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▶ フェヴレ・トランスポール・イタリア・ソチエタ・ペル・アツィオーニの特許一覧

特表2024-502762少なくとも1つの車両のブレーキ手段の動作を検証するための方法およびシステム、および摩擦力を測定するためのシステム
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  • 特表-少なくとも1つの車両のブレーキ手段の動作を検証するための方法およびシステム、および摩擦力を測定するためのシステム 図1
  • 特表-少なくとも1つの車両のブレーキ手段の動作を検証するための方法およびシステム、および摩擦力を測定するためのシステム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】少なくとも1つの車両のブレーキ手段の動作を検証するための方法およびシステム、および摩擦力を測定するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/08 20060101AFI20240116BHJP
   B60T 17/22 20060101ALI20240116BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20240116BHJP
   G01M 17/007 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G01M17/08
B60T17/22 Z
G01L5/00 G
G01M17/007 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538681
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 IB2021062191
(87)【国際公開番号】W WO2022137165
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】102020000031898
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516351289
【氏名又は名称】フェヴレ・トランスポール・イタリア・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】FAIVELEY TRANSPORT ITALIA S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ティオーネ, ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】フレア, マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】グラッソ, アンジェロ
【テーマコード(参考)】
2F051
3D049
【Fターム(参考)】
2F051AA01
2F051AB09
2F051BA07
3D049AA04
3D049CC03
3D049HH45
3D049HH51
3D049KK20
3D049QQ04
3D049RR03
3D049RR10
(57)【要約】
少なくとも1つの車両、特に鉄道車両の制動手段の動作を検証するための方法が記載される。当該方法は、以下の工程a)~e)を含む。a)少なくとも1つの車両(301、302、・・・、303)の少なくとも1つの車軸の少なくとも1つの車輪(100、200)に制動力(FA)を加える工程、b)ゼロでない一定の前進速度に従って少なくとも1つの車両を牽引する工程、c)レール上で、制動力(FA)の関数である少なくとも1つの摩擦力(FB)の測定する工程、d)少なくとも1つの測定された摩擦力(FB)を所定の最低限の力値(FBmin)と比較する工程、e)摩擦力(FB)が所定の最小の力値(FBmin)よりも小さい少なくとも1つの車輪に関連する制動手段が誤動作していると判定する工程。また、摩擦力を測定するためのシステム、および少なくとも1つの車両の制動手段の動作を検証するためのシステムも記載される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの車両(301、302、・・・、303)、特に少なくとも1つの鉄道車両の制動手段の動作を検証するための方法であって、前記少なくとも1つの車両は、
-レール(101、201、502)上を走行するように配置された少なくとも1つの車輪が結合される少なくとも1つの車軸と、
-前記少なくとも1つの車輪に関連する制動手段と、を備え;
前記制動手段の動作を検証するための方法は、
a)前記制動手段の手段によって、前記少なくとも1つの車両(301、302、・・・、303)の前記少なくとも1つの車軸の前記少なくとも1つの車輪(100、200)に制動力(Fa)を与える工程と;
b)前記少なくとも1つの車両(301、302、・・・、303)を移動させることにより、前記少なくとも1つの車両は、ゼロでない一定の前方速度で移動する工程と;
c)前記制動力(Fa)の関数である少なくとも1つの摩擦力(Fb)をレール(101、201、502)上で測定する工程と、前記少なくとも1つの摩擦力(Fb)は、前記レールと前記少なくとも1つの車輪との間の接触点(102、202)において前記少なくとも1つの車輪(100、200、503)によって生じ;
d)少なくとも1つの測定された摩擦力(Fb)を所定の最小摩擦力(Fbmin)と比較する工程と;
e)測定された摩擦力(Fb)が前記所定の最小摩擦力(Fbmin)よりも小さい少なくとも1つの車輪に関連する制動手段が誤動作していると判定する工程と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の制動手段の動作を検証するための方法において、前記少なくとも1つの車両が、前記少なくとも1つの車輪に関連する制動手段に制動圧(Pf)を与えるように配置された制動管(220)を含んでおり、
前記工程a)は、
-前記制動管(220)内で、前記制動手段に前記少なくとも1つの車両(301、302、・・・、303)の前記少なくとも1つの車軸の前記少なくとも1つの車両(100、200)に制動力(Fa)を発生させる制動圧(Pf)を与える。
【請求項3】
請求項1に記載の制動手段の動作を検証するための方法において、前記少なくとも1つの車両は、前記少なくとも1つの車輪に関連する制動手段に電気エネルギーを供給するように配置された電気線を含んでおり、
前記工程a)は、
-前記制動手段が、前記少なくとも1つの車両(301、302、・・・、303)の前記少なくとも1つの車軸の前記少なくとも1つの車両(100、200)に制動力(Fa)を生成させる電気エネルギー値を前記電気線に与える。
【請求項4】
請求項1に記載の制動手段の動作を検証する方法において、前記少なくとも1つの車両は、前記制動手段に関連付けられた制動制御手段を含んでおり、
前記工程a)は、
a’)前記制動制御手段によって、前記制動手段を作動させて、前記少なくとも1つの車両(301、302、・・・、303)の前記少なくとも1つの車軸の前記少なくとも1つの車輪(100、200)に制動力(Fa)を与える。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記少なくとも1つの車両は前記少なくとも1つの車輪に関連する制動手段に所定の制動圧を提供するように配置された主管を含んでおり、
前記工程a’)は、
前記制動制御手段により、前記制動手段を作動させる前記制動手段に提供される前記主管によって受けとられる所定の制動圧力の値を調整し、前記少なくとも1つの車両(301、302、…、303)の前記少なくとも1つの車軸の前記少なくとも1つの車輪(100、200)に制動力(Fa)を与える。
【請求項6】
先行する請求項のいずれか1項に記載の制動手段の動作を検証するための方法において、
前記工程b)は、
-前記少なくとも1つの車両(301、302、・・・、303)を牽引することにより、前記少なくとも1つの車両は、ゼロでない一定の前進速度で移動する。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の制動手段の動作を検証するための方法において、前記少なくとも1つの車両(301、302、・・・、303)は複数の車軸を含み、それぞれの車軸は、少なくとも2つの車輪に結合されており、
前記工程c)、d)、e)は、少なくとも1つの車両の各車軸の各車輪に対して実行される。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の制動手段の操作を検証するための方法において、前記車両(301、302、・・・、303)が少なくとも2つであり、
前記工程c)、d)、e)は、各車両の各車軸の各車輪に対して実行される。
【請求項9】
少なくとも1つの車両、特に少なくとも1つの鉄道車両の少なくとも1つの車輪によって生成される摩擦力を測定するためのシステムであって、前記少なくとも1つの車両は、
-レール(101、201、502)上を走行するように配置された少なくとも1つの車輪が結合される少なくとも1つの車軸と;
-前記少なくとも1つの車輪に関連し、前記少なくとも1つの車輪(100、200)に制動力(Fa)を生成するように配置された制動手段と、を備え;
前記制動力(Fa)が前記少なくとも1つの車輪に加えられると、前記少なくとも1つの車輪(100、200、503)によって、前記レールと前記少なくとも1つの車輪との間の接触点(102、202)において、摩擦力(Fb)が生じ;
少なくとも1つの車輪によって生成される摩擦力(Fb)の数値は、少なくとも1つの車輪に加えられる前記制動力(Fa)の関数であり;
前記摩擦力(304)を測定するためのシステムは、測定工程において前記少なくとも1つの車輪(200)の接触通過を可能にするように配置された可動レールセグメント(201)を備え、前記少なくとも1つの車輪(200)の接触通過は、前記制動力(Fa)の関数である前記摩擦力(Fb)を前記可動レールセグメント(201)に伝達するように配置されており、
前記可動レールセグメント(201)は、前記少なくとも1つの車輪(200)の通過方向に従って、前記少なくとも1つの車輪によって生成される摩擦力(Fb)によってスライドするように配置されており、
前記摩擦力(304)を測定するためのシステムは、前記可動レールセグメント(201)の第1の端部の側部に配置された少なくとも第1の力センサー手段(208)を含み、
前記第1の力センサー手段(208)は、前記可動レールセグメント(201)に対し、前記可動レールセグメント(201)が前記少なくとも1つの車輪の走行方向に移動するときに、前記可動レールセグメント(201)が前記第1の力センサー手段(208)に押し付けられるように配置されており、
前記第1の力センサー手段(208)は、前記少なくとも1つの車輪の走行方向に従って前記可動レールセグメント(201)の摺動によって生成される力を測定するように配置されており、
前記可動レールセグメント(201)の水平方向の摺動によって生成され、前記第1の力センサー手段(208)によって測定される力は、前記少なくとも1つの車輪によって生成される摩擦力(Fb)に対応することを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項9に記載の摩擦力を測定するためのシステムにおいて、当該摩擦力を測定するためのシステム(304)は、前記第1の端部に対向する、前記可動レールセグメント(201)の第2の端部の側部に配置された第2の力センサー手段(209)をさらに備え、
前記摩擦力を測定するためのシステム(304)は、前記少なくとも1つの車輪の両方の可能な通過方向に従って、前記可動レールセグメント(201)の摺動によって生成される力を測定することができる。
【請求項11】
請求項9または10に記載の摩擦力を測定するためのシステムにおいて、前記可動レールセグメント(201)が、支持体(204)上に載置されるように配置された摺動手段(203)上を摺動するように配置されており、
前記支持体(204)は、前記可動レールセグメント(201)の下方に配置され、グランド(205)に拘束される。
【請求項12】
請求項11に記載の摩擦力を測定するためのシステムにおいて、前記支持体(204)は、力センサー手段(213)に頂点力重力を伝達するように構成される。
【請求項13】
少なくとも1つの車両、特に少なくとも1つの鉄道車両の少なくとも1つの車輪によって生成される摩擦力を測定するためのシステムであって、前記少なくとも1つの車両は、
-レール(101、201、502)上を走行するように配置された少なくとも1つの車輪が結合される少なくとも1つの車軸と、
-前記少なくとも1つの車輪に関連し、前記少なくとも1つの車輪(100、200)に制動力(Fa)を生成するように配置された制動手段と、を備え、
前記制動力(Fa)が前記少なくとも1つの車輪に加えられると、前記少なくとも1つの車輪(100、200、503)によって、前記レールと前記少なくとも1つの車輪との間の接触点(102、202)において、摩擦力(Fb)が生じ、
少なくとも1つの車輪によって生成される摩擦力(Fb)の数値は、少なくとも1つの車輪に加えられる前記制動力(Fa)の関数であって、
前記摩擦力を測定するための前記システム(304)は、レール(502)の片側に結合されるように配置された少なくとも第1の歪み計センサー手段(501)を備え、
前記第1の歪み計センサー手段(501)は、前記少なくとも1つの車輪(200)の第1の通過方向、または前記少なくとも1つの車輪(200)の前記第1の通過方向とは逆の前記少なくとも1つの車輪(200)の第2の通過方向に従って前記摩擦力(Fb)を測定するような向きで配置されることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項13に記載の摩擦力を測定するシステムにおいて、さらに前記レール(502)の片側に拘束されるように配置され、前記第1の歪み計センサー手段(501)に近接する第2の歪み計センサー手段を備え、前記第2の歪み計センサー手段は、前記レールに作用する重み力を測定するような向きで配置される。
【請求項15】
少なくとも1つの車両(301、302、・・・、303)、特に少なくとも1つの鉄道車両の制動手段の動作を検証するためのシステムにおいて、前記少なくとも1つの車両は、
-レール(101、201、502)上を走行するように配置された少なくとも1つの車輪が結合される少なくとも1つの車軸と;
-前記少なくとも1つの車輪に関連し、前記少なくとも1つの車輪(100、200)に制動力(Fa)を生成するように配置された制動手段と、を備え;
前記制動力(Fa)が前記少なくとも1つの車輪に加えられると、前記少なくとも1つの車輪(100、200、503)によって、前記レールと前記少なくとも1つの車輪との間の接触点(102、202)において、摩擦力(Fb)が生じ;
少なくとも1つの車輪によって生成される摩擦力(Fb)の数値は、少なくとも1つの車輪に加えられる前記制動力(Fa)の関数であり;
前記制動手段の動作を検証するためのシステムは、
-請求項9~14のいずれか一項に記載の摩擦力を測定するためのシステムと、
-測定された摩擦力(Fb)が所定の最小摩擦力(Fbmin)よりも小さい前記少なくとも1つの車輪に関連する制動手段が誤作動していることを判定するように構成された制御手段と、を有することを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項15に記載の制動手段の動作を検証するシステムにおいて、前記制御手段は正の最大摩擦力値(Fb)を検出したときに、車輪(100、200、503)の通過が生じたことを識別するように構成されていることを特徴とする。
【請求項17】
請求項15または16に記載の制動手段の動作を検証するシステムにおいて、前記制御手段は、正の最高重量力値(Fp)を検出したときに車輪(100、200、503)の通過が生じたことを識別するように構成されている。
【請求項18】
請求項15~17のいずれか1項に記載の制動手段の動作を検証するためのシステムにおいて、前記制御手段は、前記少なくとも1つの車輪と前記レールとの間の接触点の近傍に設置されるように構成された車輪計数装置(308)によって車輪(100、200、503)の通過が生じたことを識別するように構成され、前記摩擦力(Fb)の計測が行われる。
【請求項19】
請求項15~18のいずれか1項に記載の制動手段の動作を検証するためのシステムにおいて、前記制御手段は、以下の要素により、車輪(100、200、503)の通過が手段によって生じたことを識別するように構成されている。
-摩擦力(Fb)の計測が行われる少なくとも1つの車輪とレールとの間の接触点の近傍に設置されるように構成されたカメラ(310)
-少なくとも1つの画像認識アルゴリズム
【請求項20】
請求項15~19のいずれか1項に記載の制動手段の動作を検証するためのシステムにおいて、前記制御手段は、識別された車輪(100、200、503)の各々に、前記少なくとも1つの車両に沿って固有の位置識別子を割り当てるように構成される。
【請求項21】
請求項15から20のいずれか1項に記載の制動手段の動作を検証するためのシステムにおいて、前記制御手段は、以下のように構成される:
-1つまたは複数の車両の各車輪(100、200、503)の測定された摩擦力(Fb)をそれぞれ受け取る;
-測定された各摩擦力(Fb)を少なくとも1つの所定の最小摩擦力値(Fbmin)と比較する;
-関連する測定された摩擦力(Fb)が前記少なくとも1つの所定の最小摩擦力値(Fbmin)よりも小さい各車輪に関連する制動手段が誤作動していると判定する。
【請求項22】
請求項20に従属する場合に請求項21に記載の制動手段の動作を検証するためのシステムにおいて、前記制御手段は、各車輪(100、200、503)に関連する各摩擦力(Fb)を、前記1つまたは複数の車両に沿った前記固有の位置識別子を介して各車輪に関連するそれぞれの所定の最小摩擦力(Fbmin)と比較するように構成される。
【請求項23】
請求項20~22のいずれか1項に記載の制動手段の動作を検証するためのシステムにおいて、
前記制御手段は各車輪(100、200、503)に関連する各摩擦力(Fb)を、各車輪(100、200、503)に関連するそれぞれの所定の最小摩擦力値(Fbmin)と比較するために配置され、
各車輪に関連するそれぞれの所定の最小摩擦力値(Fbmin)は1つ以上の車両に沿って前記固有の位置識別子によってアドレス指定されるアレイに記憶されるように配置され、
前記アレイは、前記制御手段に関連するデータベース(312)に含まれる。
【請求項24】
請求項20~22のいずれか1項に記載の制動手段の動作を検証するためのシステムにおいて、
前記制御手段は、
前記摩擦力(Fb)の計測が行われる前記各車輪と前記レールとの間の前記接触点の近傍に設置されるように配置されたカメラ(310)と、少なくとも1つの画像認識アルゴリズムとによって、前記各車輪(100、200、503)がどの車両に関連付けられているかを識別し;
各車輪(100、200、503)に関連する各摩擦力(Fb)を、各車両(301、302、・・・、303)に関連するそれぞれの所定の最小摩擦力値(Fbmin)と比較し;
各車両(301、302、・・・、303)に関連する各最小摩擦力値(Fbmin)は、1つ以上の車両に沿って固有の位置識別子によってアドレス指定される第1のアレイに記憶されるように配置され;
前記アレイは、前記制御手段に関連するデータベース(312)に含まれるように構成される。
【請求項25】
請求項24に記載の制動手段の動作を検証するためのシステムにおいて、
前記制御手段は、
前記1つまたは複数の車両(301、302、・・・、303)に関連する重み付けされた制動パラメーターを取得し、前記1つまたは複数の車両(301、302、・・・、303)に関連する前記重み付けされた制動パラメーターは、前記1つまたは複数の車両に沿って前記固有の位置識別子によってアドレス指定される第2のアレイに記憶されるように配置され、
前記重み付けされた制動パラメーターを介して、それぞれの車輪(100、200、503)に関連する正規化された制動力(Fa)を得る。
【請求項26】
請求項15~25のいずれか1項に記載の制動手段の動作を検証するためのシステムにおいて、前記制御手段が、コンピュータシステムを備える計測管理システム(305)に含まれ、摩擦力を測定するための前記システムによって測定された摩擦力(Fb)の各々の数値を受け取るように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、ブレーキシステムの分野に関する。特に、本発明は、少なくとも1つの車両、特に少なくとも1つの鉄道車両の制動手段(braking means)の動作を検証するための方法、および少なくとも1つの車両、特に少なくとも1つの鉄道車両の制動手段の動作を検証するためのシステムに関し、並びに摩擦力を測定するためのシステムに関する。動作の検証、すなわち診断は、リアルタイムで実行されてもよい。
【背景技術】
【0002】
従来技術は、特に鉄道車両の分野を参照して以下に説明される。上記は可能であれば、レールによって走行する他の分野の車両にも同様に適用されてもよい。
【0003】
鉄道車両またはいくつかの鉄道車両を含む鉄道車両隊列(railway convoy)の始動後、または稼働する前、例えば、毎日の作業として、「ブレーキ試験(brake test)」として当業者に知られている作業が実行される。この作業は、鉄道車両または鉄道車両隊列の全体として、ブレーキシステムの正しい動作を検証するために必要である。
【0004】
「ブレーキ試験」は、1台以上の鉄道車両のタイプの構成及び鉄道車両隊列の構成に応じて、異なる方法で実施される。
【0005】
固定構成として知られる最新世代の鉄道車両隊列の場合、ブレーキ試験は一般に自動化されている。例えば、制動システム(braking system)の制動シリンダ(braking cylinders)に接続された圧力センサーによって、制動制御手段(例えば、コンピュータ)は、それらによって制御される空気圧制動圧力が所定の許容範囲内で、制動シリンダに実際に存在することを確認する。
【0006】
しかしながら、このタイプの自動チェックは、制動システムの制動シリンダが制動力(braking force)(制動圧力に対応する)をパッド-ディスク(pad-disc)又はシュー-ホイールクラッチのペア(shoe-wheel clutch pair)に加えることを検証することができない。制動シリンダの故障は、例えば、制動力を局所的に減少させることによって、公称圧力/力比(nominal pressure/force ratio)を変化させる。
【0007】
例えば、機関車(locomotive)や複数の鉄道車両によって作られた貨物車両隊列(freight convoys)の例では、前記機関車と連結された鉄道車両との間の通信のインフォメーション手段がない。この場合、「ブレーキ試験」は、操作者が、少なくとも視覚的に、空気制動圧力(pneumatic braking pressure)がない場合、シュー103が車輪(wheel)から離れていること、またはパッドがディスクから離れていることを確認するように求められる手順を含む。操作者は、空気制動圧力がある場合、シューが車輪に接触しているか、またはパッドがディスクに接触していることも確認すべきである。
【0008】
この手順は非常に長い時間を必要とし、視覚的検証のために、操作者は、鉄道車両または鉄道車両隊列に沿って、その全長にわたってそれぞれのサイドを歩くことを余儀なくされる。この手順は、制動(braking)が加えられた場合に実行され、その後、制動が解放された場合に繰り返される。さらに、視覚的分析は、制動が視覚的に加えられたとき、制動シリンダに実際に加えられる圧力が公称のものに対応することを保証せず、制動力発生チェーン内の1つまたは複数の空気圧構成要素に対する見えない障害を隠すことになる。
【0009】
「ブレーキ試験」に関する問題は、空気式ブレーキシステムを参照して前述した。しかしながら、同様の問題は、電気空気式又は電気機械式のブレーキシステムにおいても、また、関連する制動印可手段(braking application means)においても同様に見られる。
【0010】
最近の技術開発は、各鉄道車両に、無線通信手段を備えた適切な圧力および力センサーに接続され、「ブレーキ試験」工程中にブレーキ試験に関連する地上データを送信することができる「エネルギーハーベスティング(energy harvesting)」システムを介して自家電力データ取得システム(self-powered data acquisition system)を提供することを提案している。
【0011】
提案されたシステムが動作する限り、それは、ハードウェア構成要素の観点と、完全なフリート(complete fleet)のための設置およびアップグレードコストの観点との両方において、高いコストを意味する。
【0012】
さらに、「ブレーキ試験」は、運転中の安全に固有の手順であるため、データ収集、特に伝送システムに関して、有効な安全基準(EN50126、EN50128、EN50129)に従った開発および検証に対する面倒なコストを意味する。
【0013】
ゴム車輪を有する車両の分野では制動システムを定期的にチェックするための装置が利用可能であり、そこでは試験中の車両がまず、車輪に回転を与えるローラ上に配置され、その後、試験中の車両のブレーキが作動される。最後に、ローラに付与された制動トルクが測定される。この測定に基づいて、ブレーキシステムの効率が評価される。 明らかに、このアプローチは列車隊列を構成する各車両の各車軸上への適用の複雑さ、およびそれを実行するのに必要な時間のために、各日々の任務の開始時に、鉄道車両や鉄道車両隊列などのレール上を走行する車両(rail vehicle)の場合には適用されないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の目的は、可能かつ完全なフリートのハードウェア構成要素ならびに設置およびアップグレードコストの両方に関して高いコストを伴わない有効な解決策を提供することである。
【0015】
さらなる目的は、本発明の出願日に有効な安全基準(EN50126、EN50128、EN50129)に従って、高価な開発および認証コストを伴わない解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記および他の目的および効果は、本発明の態様によれば、請求項1に規定された特徴を有する少なくとも1つの車両の制動手段の操作を検証するための方法によって、請求項9または13に規定された特徴を有する少なくとも1つの車両の少なくとも1つの車輪によって生成される摩擦力を測定するためのシステムによって、および請求項15に規定された特徴を有する少なくとも1つの車両の制動手段の操作を検証するためのシステムによって、達成される。本発明の好ましい実施形態は従属請求項において規定され、その内容は本明細書の一体的な部分として理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
次に、本発明にかかる少なくとも1つの車両の制動手段の動作を検証するための方法、少なくとも1つの車両の少なくとも1つの車輪によって生成される摩擦力を測定するためのシステム、および少なくとも1つの車両の制動手段の動作を検証するためのシステムのいくつかの好ましい実施形態の機能的および構造的特徴について説明する。添付の図面を参照する。
図1図1は、一例として、制動シリンダと制動手段のシューとを示しており、これらは、レール上で接触している走行中の車輪に作用するように配置されている。
図2図2は、本発明による少なくとも1つの車両の制動手段の動作を検証するためのシステムの実施形態を示す。
図3図3は、本発明による少なくとも1つの車両の制動手段の操作を検証するためのシステムのさらなる実施形態を示す。
図4図4の上側の図は制動管(ブレーキパイプ)の制動圧力と制動力との間の例示的な関係を示し、下側の図は車体重量値(tare value)と全負荷値と制動力との間の例示的な関係を示す。
図5図5は、少なくとも1つの車両の少なくとも1つの車輪によって生成される摩擦力を測定するためのシステムの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の複数の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その出願において、以下の説明に提示されるか、または図面に示される構成要素の設計詳細および構成に限定されないことを明らかにすべきである。本発明は他の実施形態を想定することができ、異なる方法で実際に実施または構築されることができる。また、表現および用語は記述的な目的を有し、限定的なものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。「含む(include)」および「備える(comprise)」の使用およびそれらの変形は、以下に記載される要素およびそれらの均等物、ならびに追加の要素およびそれらの均等物を包含するものとして理解されるべきである。
【0019】
さらに、本開示および特許請求の範囲を通して、「長手方向」、「横断方向」、「垂直方向」、または「水平方向」などの位置および向きを示す用語および表現は、1つまたは複数の車両の進行方向に対して長手方向の一般的なグランド205に対するものである。
【0020】
図に関して、側面図が使用され、それぞれのレールによって支持される車輪について示されかつ説明されるものは、複製され、車軸によって拘束される一対の車輪、およびトラックを構成する2つのレールに適用されるものとして理解され、各レールは各車輪に関連付けられる。
【0021】
例えば図1を見ると、シュー・オン・ホイール型(shoe-on-wheel type)のブレーキシステムが示されている。当業者は、パッドオンディスク型(pad-on-disc type)のブレーキシステムにも同様に本発明を適用することができる。この図を参照して、以下では、車輪によって生成される摩擦力がどのように生成されるか、およびそれがどのように計算され得るかを、例として詳細に説明する。
【0022】
角速度ω(t)を有する車輪100は、接触点102においてレール101上に載置される。シューは、点104において、均一な制動力Faを車輪100に及ぼすことができる。
【0023】
車輪100とレール101との間の接触点102において、摩擦力Fbが結果的に生成される。
【0024】
半径rおよび慣性モーメントJを有する車輪100の円周に作用する力の平衡の方程式は、本発明の議論のために有意ではない転がり摩擦を除いて、本明細書で報告される[角速度ω(t)を有する車輪100]では、以下のように表される。
【0025】
【0026】
ω(t)の一定の非ゼロ値については以下の式となる。
【0027】
【0028】
したがって、一定速度ω(t)の条件下では以下の式となる。
【0029】
【0030】
したがって、一定ω(t)の条件下で摩擦力Fbを測定することができるので、回転摩擦に関係する力、例えば軸受に関係する力がある場合を除き(これらの力は、本発明の目的にとっては、いかなる場合でも無視してよいと考えられる)、ブレーキ力(制動力)Faの値は、車輪又は車軸の物理的パラメーターに関係なく、直接的に得られる。
【0031】
第1の態様では、本発明は、少なくとも1つの車両301、302、・・・、303、特に少なくとも1つの鉄道車両の制動手段の動作を検証するための方法に関する。
【0032】
少なくとも1つの車両は、レール101、201、502上を移動するように配置された少なくとも1つの車輪が結合される少なくとも1つの車軸と、前記少なくとも1つの車輪に関連する制動手段とを含む。
【0033】
第1の実施形態において、ブレーキ手段(制動手段)の動作を検証するための方法は、以下の工程を含む。
a)制動手段によって、少なくとも1つの車両301、302、・・・、303の少なくとも1つの車軸の少なくとも1つの車輪100、200に制動力Faを与える工程;
b)少なくとも1つの車両301、302、・・・、303を移動させ、その結果、少なくとも1つの車両は、ゼロでない一定の前方速度で移動する工程;
c)レール101、201、502上で、前記制動力Faの関数である摩擦力Fbを測定し、前記少なくとも1つの摩擦力Fbは、前記レールと前記少なくとも1つの車輪との間の接触点102、202において前記少なくとも1つの車輪100、200、503によって生ぜしめられる工程;
d)少なくとも1つの測定された摩擦力Fbを所定の最小低摩擦力Fbminと比較する工程;
e)測定された摩擦力Fbが前記所定の最小摩擦力Fbminよりも小さい少なくとも1つの車輪に関連する制動手段が誤作動していると判定する工程。
【0034】
例えば、摩擦力Fbは、少なくとも1つの力センサー手段208、209または少なくとも1つの歪み計センサー手段(strain gauge sensor means)501によって測定されてもよい。
【0035】
工程a)およびb)は前述した順序には拘束されない。例えば、工程a)およびb)は、工程c)の測定中に、以下の条件が得られる順序にかかわらず、以下の条件が満たされることが充分である場合には、逆にしてもよい。
-少なくとも1つの車両は非ゼロかつ一定の前進速度に従って移動する、
-制動力Faは、少なくとも1つの車両の少なくとも1つの車軸の少なくとも1つの車輪100、200に加えられる。
【0036】
さらなる実施形態では、好ましくは制動手段が空気式または電空式の制動システムに属してもよく、またはそれに関連していてもよい。したがって、例えば空気式および/または電空式ブレーキシステムの場合に適用可能ないくつかの実施形態を以下に記載する。
【0037】
好ましくは、少なくとも1つの車両が少なくとも1つの車輪に関連する制動手段に制動圧Pfを提供するように配置された制動管(brake pipe)220を含むことができ、その場合上述の工程a)は以下のようになる。
-前記制動菅220内に、前記制動手段が少なくとも1つの車両301、302、・・・、303の少なくとも1つの車軸の少なくとも1つの車輪100、200に制動力Faを生成させるような制動圧力Pfを加える。
【0038】
すなわち、制動管の制動圧値Pfを直接的に変更することにより、制動手段が対応付けられた車輪毎に、制動力Faを付与する。ここで、発生する制動力は、制動管によって提供される制動圧値Pfに依存する。
【0039】
制動管220内の圧力は、例えば、制動圧力Pfの数値を調整するように構成された圧力制御手段によって与えられてもよい。
【0040】
好ましくは、さらなる実施形態では、少なくとも1つの車両が前記制動手段に関連付けられた制動制御手段(braking control means)を含むことができ、その場合前記工程a)は以下のようになる。
a’)前記制動制御手段によって、前記制動手段を作動させて、前記少なくとも1つの車両301、302、・・・、303の少なくとも1つの車軸の少なくとも1つの車輪100、200に制動力Faを与える。
【0041】
この場合、好ましくは、前記少なくとも1つの車両が前記少なくとも1つの車輪に関連する制動手段に所定の制動圧を与えるように配置された主管(main pipe)を含むことができ、その場合工程a’)は以下のようになる。
-前記制動制御手段により、前記制動手段を作動させる前記制動手段に提供される前記主管が受ける所定の制動圧力の値を調整し、前記少なくとも1つの車両301、302、・・・、303の少なくとも1つの車軸の少なくとも1つの車輪100、200に制動力Faを与えるようにする。
【0042】
言い換えると、例えば、主管によって提供される所定の制動圧力の値は所定のレベル、例えば、8bar~10barに維持され得るが、制動制御手段は受け取った制動圧力値を局所的に調整することができ、その結果、制動手段に提供される実際の制動圧力値は少なくとも1つの車両301、302、・・・、303の少なくとも1つの車軸の少なくとも1つの車輪100、200に制動力Faを与える。このようにして、各車輪に発生する制動力を独立して調整することができる。
【0043】
好ましくは、制動手段が、例えば、シューまたはパッドが結合される制動シリンダを含んでいてもよく、車輪またはディスクにそれぞれ作用するように構成されてもよい。制動手段は、「分配器」バルブ(distributor valve)、補助タンク、空気圧計量装置223、機械的伝達系225をさらに含むことができる。
【0044】
例えば、主管および/または制動管は、空気式または電空式制動システムに含まれていてもよく、またはそれに関連していてもよい。空気式または電空式制動システムの場合、それは、例えば、複数の車両の場合、少なくとも1つの車両に沿って、または隊列に沿って配置された通信バスによって制御され得る。このようなバスにより、例えば、種々の制動制御を1つ以上の制動制御手段に提供することができる。
【0045】
さらなる実施形態では、好ましくは、制動手段が空気式または電気機械式の制動システムに属してもよく、またはそれに関連付けられてもよい。
【0046】
この場合、少なくとも1つの車両が前記少なくとも1つの車輪に関連する制動手段に電気エネルギーを供給するように配置された電線を含むことができ、その場合工程a)は以下のようになる。
-前記制動手段が、少なくとも1つの車両301、302、・・・、303の少なくとも1つの車軸の少なくとも1つの車輪100、200に制動力Faを発生させるような電気エネルギー値を前記電線に付与する。
【0047】
好ましくは、制動手段は、例えば、シューまたはパッドが結合される電気機械アセンブリを含むことができ、車輪またはディスクにそれぞれ作用するように構成することができる。例えば、電気機械アセンブリは、電気モータを備えてもよい。電気モータは、例えば、電気エネルギーを使用して機械的アセンブリを動かすことができ、その動きが前記シューまたはパッドを駆動することができる。
【0048】
少なくとも1つの車両の移動に関して、好ましくは、工程b)は以下のようになる。
-少なくとも1つの車両301、302、・・・、303を牽引することにより、少なくとも1つの車両が非ゼロかつ一定の前進速度で移動する。
【0049】
牽引は、例えば、牽引手段300によって実施することができる。牽引手段は、例えば機関車であってもよい。
【0050】
好ましくは、少なくとも1つの車両301、302、・・・、303は複数の車軸を含むことができる。さらに、少なくとも2つの車輪を各車軸に結合することができる。この場合、前述の工程c)、d)、e)は、少なくとも1つの車両の各車軸の各車輪に対して実行されてもよい。
【0051】
好ましくは、車両が少なくとも2つの車両301、302、・・・、303であってもよい。明らかに、各車両301、302、・・・、303は複数の車軸を含むことができ、少なくとも2つの車輪を各車軸に結合することができる。この場合、前述の工程c)、d)、e)は、各車両の各車軸の各車輪に対して実行されてもよい。
【0052】
したがって、全ての車輪について合計すると、工程c)、d)、e)は以下のようにすることが可能となる。
c)レール101、201、502上における、レールと車輪との間のそれぞれの接触点において車輪100、200、503によって加えられる摩擦力Fbを測定する工程、
d)前記測定された摩擦力Fbを所定の最小摩擦力Fbminと比較する工程、
e)測定された摩擦力Fbが前記所定の最小摩擦力Fbminよりも小さい車輪に関連する制動手段が誤作動していると判定する工程。
【0053】
例えば、摩擦力Fbは、少なくとも1つの力センサー手段(force sensor means)208、209または少なくとも1つの歪み計センサー手段(strain gauge sensor means)501によって測定されてもよい。
【0054】
本発明の第2の態様は、少なくとも1つの車両、特に少なくとも1つの鉄道車両の少なくとも1つの車輪によって生成される摩擦力を測定するためのシステムに関する。そのような少なくとも1つの車両は、レール101、201、502上を移動するように配置された少なくとも1つの車輪が結合される少なくとも1つの車軸を備え、前記少なくとも1つの車輪に関連する制動手段は少なくとも1つの車輪100、200上に制動力Faを生成するように配置される。例えば、図1に見られるように、制動力Faが少なくとも1つの車輪に加えられると、少なくとも1つの車輪100、200、503によって、レールと少なくとも1つの車輪との間の接触点102、202において、摩擦力Fbが生じる。少なくとも1つの車輪によって生成される摩擦力Fbの数値は、少なくとも1つの車輪に加えられる制動力Faの関数となる。
【0055】
図2を参照すると、第1の実施形態において、摩擦力を測定するためのシステム304は、測定工程において前記少なくとも1つの車輪200の接触通過(contact transit)を可能にするように配置された可動レールセグメント201を備える。少なくとも1つの車輪200の接触通過は、制動力Faの関数である摩擦力Fbを可動レールセグメント201に伝達する。可動レールセグメント201は、前記少なくとも1つの車輪によって生成される摩擦力Fbに起因して、前記少なくとも1つの車輪200の通過方向に従ってスライドするように配置される。
【0056】
摩擦力を測定するためのシステム304は、可動レールセグメント201の第1の端部に沿って配置された、少なくとも第1の力センサー手段208、例えば、力変換器(force transducer)を備える。第1の力センサー手段208は、可動レールセグメント201が少なくとも1つの車輪の走行方向、すなわち走行方向に移動するときに、可動レールセグメント201が第1の力センサー手段208を押すように、可動レールセグメント201に対して配置される。第1の力センサー手段 208は、少なくとも1つの車輪の走行方向に従って可動レールセグメント201の摺動によって生成される力を測定するように構成される。可動レールセグメント201の水平方向の摺動によって生成され、第1の力センサー手段 208によって測定される力は、少なくとも1つの車輪によって生成される摩擦力Fbに実質的に対応する。
【0057】
好ましくは、摩擦力を測定するためのシステム304が第1の端部に対向する可動レールセグメント201の第2の端部に沿って配置された第2の力センサー手段209、例えば、力変換器をさらに備えてもよい。このようにして、摩擦力を測定するためのシステム304は、少なくとも1つの車輪の両方の可能な通過方向に従って、可動レールセグメント201の摺動によって生成される力を測定することができる。
【0058】
好ましくは、可動レールセグメント201は、支持体204上に載置されるように配置された摺動手段203上を摺動するように配置されてもよい。支持体204は、可動レールセグメント201の下方で、グランド205に拘束されるように配置されてもよい。
【0059】
好ましくは、支持体204は、それに重力をかける頂点力(vertex force)を少なくとも1つの重量力センサー手段(weight force sensor means)213、例えば、限定するものではないが、力変換器またはロードセルに伝達するように構成されてもよい。
【0060】
代替実施形態では、少なくとも1つの車両、特に少なくとも1つの鉄道車両の少なくとも1つの車輪によって生成される摩擦力を測定するためのシステムは、レール502の片側に拘束されるように配置された少なくとも1つの第1の歪み計センサー手段 501を備える。第1の歪み計センサー手段 501は、少なくとも1つの車輪200の第1の通過方向、または第1の通過方向とは逆の少なくとも1つの車輪200の第2の通過方向に従って、前記摩擦力Fbを測定するような向きで配置される。
【0061】
好ましくは、摩擦力を測定するためのシステムは、第1の歪み計センサー手段501に近接して、レール502の片側に拘束されるように配置された第2の歪み計センサー手段をさらに備えてもよい。したがって、第2の歪み計センサー手段は、レールに作用する重み力(重量力)を測定するような向きで配置されてもよい。
【0062】
第1及び第2の歪み計センサー手段は、それぞれ歪みゲージセンサー又は歪みゲージであってもよい。
【0063】
言い換えれば、第1および第2の歪み計センサー手段は、第1の力センサー手段および第2の力センサー手段208、209ならびに少なくとも1つの重み力センサー手段213をそれぞれ機能的に置き換えてもよい。
【0064】
後者の解決策の低価格を考慮すると、いくつかの歪み計センサー手段がいくつかの車輪上で同時に測定を実行し、測定処理を加速することができるように、測定領域に沿ってレール502に沿って設置されてもよい。
【0065】
記載されている少なくとも1つの車両の少なくとも1つの車輪によって生成される摩擦力を測定するためのシステムに関して、少なくとも1つの車両は以下の要素を含んでいてもよい。
-少なくとも1つの車輪に関連する制動手段に制動圧Pfを与えるように配置された制動菅220であって、制動圧Pfが少なくとも1つの車輪100、200に制動力Faを発生させるようになっており、
-少なくとも1つの車輪に関連する制動手段に電気エネルギーを供給するように配置された電線であって、電気エネルギー値が前記制動手段に少なくとも1つの車両301、302、303の少なくとも1つの車軸の少なくとも1つの車輪100,200に制動力Faを生じさせるようになっている、または
-少なくとも1つの車輪に関連する少なくとも1つの制動制御手段であって、少なくとも1つの車両301、302、303の少なくとも1つの車軸の少なくとも1つの車輪100,200に制動力Faを与えるように当該手段を制御するように配置されている。
【0066】
車両が少なくとも1つの制動制御手段を含む場合、少なくとも1つの車両は、前記少なくとも1つの車輪に関連する制動手段に所定の制動圧を与えるように配置された主管を備えていてもよい。ここで、制動制御手段により、前記主管が受ける所定の制動圧の値を調整して前記制動手段に与えることができ、前記少なくとも1つの車両301、302、・・・、303の少なくとも1つの車軸の少なくとも1つの車輪100、200に制動力Fを与えるようにする。
【0067】
本発明の別の態様は、少なくとも1つの車両301、302、・・・、303、特に少なくとも1つの鉄道車両の制動手段の動作を検証するためのシステムに関する。ここでも、少なくとも1つの車両は、レール101、201、502上を移動するように配置された少なくとも1つの車輪が結合される少なくとも1つの車軸と、少なくとも1つの車輪100、200上に制動力Faを生成するように配置された前記少なくとも1つの車輪に関連する制動手段とを含む。すでに以上で説明したように、摩擦力Fb は制動力Faが前記少なくとも1つの車輪に加えられるとき、前記レールと前記少なくとも1つの車輪との間の接触点102、202において、少なくとも1つの車輪100、200、503によって生成される。少なくとも1つの車輪によって生成される摩擦力Fbの数値は、少なくとも1つの車輪に加えられる前記制動力Faの関数となる。
【0068】
第1の実施形態では、制動手段の動作を検証するためのシステムは、上述の実施形態のいずれか1つによる摩擦力を測定するためのシステムを含む。
【0069】
さらに、制動手段の動作を検証するためのシステムは、測定された摩擦力Fbが所定の関連する最小摩擦力(predetermined associated minimum friction force)Fbminよりも低い少なくとも1つの車輪に関連する制動手段が誤動作していると判定するように構成された制御手段を含む。
【0070】
好ましくは、制御手段は、マイクロプロセッサー、マイクロコントローラー、プロセッサー、コントローラー、PLC、FPGAなどのうちの少なくとも1つであってもよく、またはそれを含んでもよい。
【0071】
好ましくは、制御手段は、正の最大摩擦力値(positive peak weight force value)Fbを検出したときに、車輪100、200、503の通過が生じたことを識別するように構成されてもよい。
【0072】
好ましくは、制御手段は、正の最大重量力値Fpを検出したときに、車輪100、200、503の通過が生じたことを識別するように構成されてもよい。
【0073】
好ましくは、制御手段は、車輪100、200、503の通過が、摩擦力Fbの計測が行われる少なくとも1つの車輪とレールとの間の接触点の近傍に設置されるように構成された車輪計数装置(wheel counting device)308によって生じたことを識別するように構成されてもよい。車輪計数装置308は、有線又は無線の通信手段314により、検出された情報を制御手段に連続的に送信するようにしてもよい。
【0074】
好ましくは、制御手段は、車輪100、200、503の通過が、摩擦力Fbの計測が行われる少なくとも1つの車輪とレールとの間の接触点の近傍に設置されるように構成されたカメラ310と、少なくとも1つの画像認識アルゴリズムによって生じたことを識別するように構成されてもよい。
【0075】
好ましくは、制御手段は、が識別された車輪100、200、503の各々に、少なくとも1つの車両に沿って固有な位置識別子(unique position identifier)を割り当てるように構成されてもよい。
【0076】
好ましくは、制御手段は、
-1つ以上の車両の各車輪100、200、503に対応する各測定摩擦力Fbを受け取り;
-各測定摩擦力Fbを、少なくとも1つの所定の最小摩擦力値Fbminと比較し;
-関連する測定摩擦力Fbが前記少なくとも1つの所定の最小摩擦力値Fbminよりも小さい各車輪に関連する制動手段が誤動作していると判定する。
【0077】
好ましくは、制御手段が各車輪100、200、503に関連して測定された各摩擦力Fbを、1つまたは複数の車両に沿った前記固有の位置識別子を介して各車輪に関連するそれぞれの所定の最小摩擦力Fbminと比較するように構成されてもよい。
【0078】
好ましくは、制御手段が各車輪100、200、503に関連する各摩擦力Fbを、各車輪100、200、503に関連する所定の最小摩擦力Fbminと比較するように構成されてもよい。図3に見られるように、各車輪に関連する各最小摩擦力Fbminは、1つ以上の車両に沿って固有の位置識別子によってアドレス指定されるアレイ(array)に記憶されるように構成されてもよい。アレイは、前記制御手段に関連するデータベース312に含まれてもよい。
【0079】
代替的に、または追加的に、制御手段は以下のように構成されてもよい。
-摩擦力Fbの計測が行われる各車両とレールとの間の接触点の近傍に設置されるように配置されたカメラ310と、少なくとも1つの画像認識アルゴリズムによって、各車輪100、200、503が関連付けられる各車両を識別する;
-各車輪100、200、503に関連する各摩擦力Fbを、各車両301、302、・・・、303に関連するそれぞれの所定の最小摩擦力Fbminと比較する。
【0080】
各車両301、302、・・・、303に関連する各最小摩擦力Fbminは、1つ以上の車両に沿って固有の位置識別子によってアドレス指定される第1のアレイに記憶されるように構成されてもよい。この場合も、アレイは、前記制御手段に関連するデータベース312に含まれるように構成してもよい。
【0081】
この場合、好ましくは、前記制御部手段は以下のように構成されてもよい。
-1つまたは複数の車両301、302、・・・、303に関連する重み付けされた(加重)制動パラメーター(weighted braking parameters)を取得し、ここで、1つまたは複数の車両301、302、・・・、303に関連する前記重み付けされた制動パラメーターは、1つまたは複数の車両に沿って固有の位置識別子によってアドレス指定される第2のアレイに記憶されるように構成される;
-それぞれの車輪100、200、503に関連する正規化された制動力Faを、前記重み付けされた制動パラメーターを介して得る。
【0082】
好ましくは、図3に再度見られるように、制御手段はコンピュータシステムを備える計測管理システム305に含まれ、摩擦力を測定するためのシステムによって測定された摩擦力Fbのそれぞれの数値を受け取るように構成されてもよい。
【0083】
記載された少なくとも1つの車両のための制動手段の操作を検証するためのシステムに関して、少なくとも1つの車両はさらに以下の要素を備えていてもよい。
-少なくとも1つの車輪に関連する制動手段に制動圧Pfを与えるように配置された制動菅220であって、制動圧Pfが少なくとも1つの車輪100、200に制動力Faを発生させるようになっており、
-少なくとも1つの車輪に関連する制動手段に電気エネルギーを供給するように配置された電線であって、電気エネルギー値が前記制動手段に少なくとも1つの車両301、302、303の少なくとも1つの車軸の少なくとも1つの車輪100,200に制動力Faを生じさせるようになっている、または
-前記制動手段に関連する少なくとも1つの制動制御手段であって、少なくとも1つの車両301、302、303の少なくとも1つの車軸の少なくとも1つの車輪100,200に制動力Faを与えるように当該制動手段を作動させるように配置されている。
【0084】
車両が少なくとも1つの制動制御手段を含む場合、少なくとも1つの車両は、前記少なくとも1つの車輪に関連する制動手段に所定の制動圧を与えるように構成された主管を含むことができる。ここで、制動制御手段により、前記主管が受ける所定の制動圧の値を調整して前記制動手段に与えることができ、前記少なくとも1つの車両301、302、・・・、303の前記少なくとも1つの車軸の少なくとも1つの車輪100、200に制動力Faを与えるようにする。
【0085】
以下、本発明の動作をさらに明確にするために、本発明の多様な実施例及び使用例を説明する。
【0086】
図2を用いて、少なくとも1台の車両の制動手段の動作を検証するためのシステムの第1の実施形態を詳しく説明する。車輪200は車両、特に、図示されていない鉄道車両に属し、接触点202において可動レールセグメント201上に載っている。可動レールセグメント201は、支持体204上に載っている摺動または転動手段203上で軸Xに沿って自由に移動する。図示の例では、支持体204が機械的接地基準(mechanical ground reference)205と一体であると考えられる。本例では、支持体204は、軸Yに沿って垂直に並進し、少なくとも1つの力センサー213上で計量することができる。
【0087】
図2に見られるように、可動レールセグメント201の水平移動は、機械的接地基準205と一体の2つのレール206、207によって、軸Xに沿った2つの方向で制限される。
【0088】
2つの力センサー手段、すなわち第1および第2の力センサー手段 208、209(これらの2つのロードセルに限られない)は、可動レールセグメント201の軸Xに沿った水平方向の可能な動きにより、それぞれ、レール206(図の左側)およびレール207(図の右側)において生じる力を測定する。
【0089】
車両制動工程の間、制動シリンダ210及びシュー211を含む制動手段は、等価点(equivalent point)112において車輪100に制動力Faを及ぼす。
【0090】
車輪200の方向に応じて、ω(t)=0のとき、第1の力変換器208と第2の力変換器209との間の1つは、制動力Fa、すなわち、等価点112において車輪200にシュー211によって加えられる制動(braking)に対応する摩擦力FBを測定する。
【0091】
一般に、従来技術による貨物輸送隊列(freight transport convoys)のためのブレーキシステムは、圧力が1つ以上の車両を牽引する機関車によって制御される制動菅220によって作られる。
【0092】
制動菅220は、「分配器」バルブとして知られる装置221と、図示しない補助タンクとを供給する。「分配器」バルブ221は、当業者に知られている伝達関数に従って、制動菅220内に存在する圧力の関数として制動圧力225を生成する。
【0093】
空気式計量装置222は、「分配器」バルブ221によって生成された制動圧力および重量情報223を受け取る。重量情報223は、例えば、限定はしないが、車輪200が属する台車または車両の重量を示す圧力である。重量情報223は、例えば、限定はしないが、車輪200が属する台車または車両の重量を示す手動操作式インジケータの位置である。
【0094】
空気式計量装置222は、制動圧力225および重量情報223の関数として、重み付けされた制動圧力(加重制動圧)224を生成する。
【0095】
制動力Faは、加重制動圧224、制動シリンダ210の寸法、機械的伝達系225、シュー211と車輪200との間の摩擦係数の関数である。
【0096】
したがって、制動菅220内の圧力を知ることで、力センサー手段 208、209のうちの1つによる摩擦力Fbの計測値は、「分配器」バルブ221、空気圧計量装置222、機械的伝達系225、シュー211、シュー211と車輪200との間の摩擦係数からなるブレーキチェーンの状態を示す。
【0097】
支持体204がデカルト軸Yに沿って垂直に自由に摺動し、少なくとも1つの重量力センサー手段213、例えば、限定するものではないが、ロードセルに載る場合、重量力変換器は車輪200によって可動レールセグメント201に加えられる重量力Fpを読み取る。
【0098】
重量力(weight force)Fpを知ることで、空気式計量装置222に入力される重量情報223を推定することができる。
【0099】
図4aは当業者に知られている、制動管の制動圧力Pfと制動力Fa=摩擦力Fbとの間の関係を、重量力(weirht force)が矢印401の方向に増加することで示しており、ここで、Pb=5barの公称値およびPr=3.5barの公称値であり、また車体重量制動力値(tare braking force value)Fa(T)および全荷重制動力(full load braking force)Fa(FL)は、特定の車両モデルの特定の値である。
【0100】
図4bは、当業者に知られているように、重量力(weight force)が車体重量値Fp(T)と全荷重値Fp(FL)との間で変化し、制動管の制動圧の一定値(特定の車両モデルでは、例えば、Pf=3.5バール)に対しては、制動力Fa=摩擦力F、となる可能性の関係を図示している。
【0101】
以下、パラメーターFa(T)、Fa(FL)、Fp(T)、Fp(FL)を「車両重量制動パラメーター」(vehicle weighing braking parameters)と定義する。
【0102】
したがって、制動菅220内の制動圧Pf、重量力Fp、摩擦力Fb=制動力Faの測定(measure)を知ることにより、「分配器」バルブ220、空気式計量装置222、機械的伝達系225、シュー211、シュー211と車輪200との間の摩擦係数を含む制動手段(また、前記制動チェ-ン)の状態を評価する際に、より良好な精度を有することができる。
【0103】
少なくとも1つの車両の制動手段の動作を検証するための方法の第1の実施形態についても以下に説明する。
【0104】
図3を参照すると、機関車300は、摩擦力を測定するためのシステム上を通過するとき、列車の各車輪の角加速度をゼロに保つために、少なくとも1つの車両301、302、・・・、303によって作られた隊列(convoy)、特に鉄道隊列を一定速度で牽引してもよい。本例では、機関車に加えて、3つの他の車両301、302、303が図示されており、各車両は4つの車軸を有し、車両当たり合計8つの車輪を有する。なお、各車輪の角加速度ゼロは、以下の次の式で表せる。
【0105】
【0106】
さらに、機関車300は、少なくとも1つの車両301、302、・・・、303の制動手段に制動力Faを加えるように促すなど、既知の一定圧Pfを制御することができ、同時に、機関車300が一定速度で隊列を牽引し続けることを可能にする。
【0107】
さもなければ、機関車300は、前述した段落に記載された測定条件を保証するような一定の制動圧力Pfを制御することができ、その値はさらに局所的な瞬間的な動作条件に依存し、この圧力値Pfをワイヤレスチャンネルを介して測定管理システム305に送信することができ、その機能については後で詳述する。
【0108】
摩擦力を測定するためのシステム304は、摩擦力を測定するためのシステム304の一部を形成する可動レールセグメント201に各車輪によって加えられる摩擦力Fbを測定することができる。
【0109】
摩擦力を測定するためのシステム304は、少なくとも1つの車両301、302、・・・、303のそれぞれの車輪の測定された摩擦力値Fbを、有線または無線通信手段 306を介して測定管理システム305に連続的に送信することができる。
【0110】
支持体204がデカルト軸Yに沿って垂直に自由に摺動する場合、少なくとも1つの重量力センサー手段 213は、車輪200によって可動レールセグメント201に及ぼされる重量力Fpを読み取り、少なくとも1つの車両301、302、・・・、303のそれぞれの車輪に対応する測定された重量力値Fpを、有線または無線通信手段 307によってコンピューター測定管理システム305に連続的に送信する。
【0111】
そのような測定管理システム305は、以下の方法のうちの少なくとも1つに従って、車輪の通過を識別することができる。
-第1および第2の力センサー手段208、209のうちの少なくとも1つによって測定される、ゼロから非ゼロへの、およびゼロに戻る軸Xに沿った力の変化を識別すること;
-少なくとも1つの重量力センサー手段213によって測定される、ゼロから非ゼロへの、およびゼロに戻る、軸Yに沿った重量力変化Fpを識別すること;
-有線又は無線の通信手段309により、前記測定管理システム305に接続された車輪計数装置308により識別すること;
-有線又は無線通信手段311によって測定システム304上を通過する少なくとも1つの車両301、302・・・、303の画像を測定管理システム305に送信するカメラ310によって、測定管理システム305は画像解析アルゴリズムによって測定システム304上を通過する車輪の通過を識別し、カメラ310によって送信された画像を解析すること。
【0112】
各車輪が通過するにつれて、測定管理システム305は増分数値(incremental numerical value)からなる固有の識別子を各車輪に関連付け、それを、対応する測定された摩擦力値Fbおよび場合によっては対応する測定された重量力値Fpと共に、例えばデータベース312に保存することができる。
【0113】
データベース312は隊列の構成、すなわち、隊列内の各車両の位置および各車両の車軸の数を含むことができる。このようにして、集中測定管理システム305は、各制動力測定Fbを各車両301、302、・・・、303の各車輪に関連付けることができる。
【0114】
一定速度で機関車300によって牽引される少なくとも1つの車両301、3012、・・・303を備える隊列、特に鉄道隊列のブレーキ試験の第1の実例の間、前記機関車300が制動菅220内に制動圧Pfを加えるとき、以下の工程を実行してもよい。
-摩擦力を測定するためのシステム304によって送られた各摩擦力値Fbを取得し、これを前述の識別方法の少なくとも1つによって識別された各車輪と関連付ける工程;
-測定中の隊列に関連する所定の最小摩擦力値Fbminで取得された摩擦力値Fbと、制動管220内の圧力値とを比較する工程;
-前記所定の最小摩擦力値Fbminよりも小さい摩擦力値Fbの存在下で、現在の摩擦力値Fbが属する車輪に関連付けられた車両を識別し、識別された車両をオペレータに、例えば、限定するものではないが、ヒューマンマシンインターフェース313によって報告する工程。
【0115】
さもなければ、一定速度で機関車300によって牽引される少なくとも1つの車両301、302、・・・30を備える隊列、特に鉄道隊列のブレーキ試験の第2の実例の間、前記機関車300が制動菅220内にブレーキ圧Pfを加えるとき、以下の工程を実行してもよい。
-摩擦力を測定するためのシステム304によって送られた各摩擦力値Fbを取得し、これを前述の識別方法の少なくとも1つによって識別された各車輪と関連付ける工程;
-取得した摩擦力値Fbを最小摩擦力値Fbmin_1、Fbmin_2、・・・、Fbmin_3のベクトルに含まれる値と比較する工程、各最小摩擦値は、各最小摩擦力値Fbmin_1、Fbmin_2、・・・、Fbmin_3が制動管220の所定の制動圧値Pfに関連付けられる程度、隊列に含まれる車両301、302、・・・、303のうちの1つに関連付けられており、前記所定の値のベクトルは、データベース312に含まれている;
-前記所定の対応する値Fbmin_nよりも小さい摩擦力値Fbが存在する場合、現在の摩擦力値Fbが属する車輪に関連付けられた車両を識別し、識別された車両をオペレータに、例えば、限定するものではないが、ヒューマンマシンインターフェース313によって報告する工程。
【0116】
さらに別の方法では、一定速度で機関車300によって牽引される少なくとも1つの車両301、302、・・・303を備える隊列、特に鉄道隊列のブレーキ試験の第3の実例の間、前記機関車300が制動菅220内に所定の制動圧Pfを印加するとき、以下の工程を実行してもよい。
-摩擦力を測定するためのシステム304によって送られた各摩擦力値Fbおよび重量力値Fpを取得し、各摩擦力値Fbおよび重量力値Fpを、上述の識別方法のうちの少なくとも1つで識別された各車輪に関連付ける工程;
-取得されたそれぞれの力値Fbを、取得された関連する力-重量値Fp、制動管内の制動圧値Pf、および問題の車両に関連する重み付けされた制動パラメーターの関数として正規化する工程であって、重み付けされた制動パラメーターは、データベース312に含まれる;
-各正規化摩擦力値Fbを、所定の最小摩擦力値Fbmin_1、Fbmin_2、・・・、Fbmin_3のベクトルに含まれる比較正規化値と比較する工程で、これらの最小摩擦力値Fbmin_1、Fbmin_2、・・・、Fbmin_3の各々は、測定されている隊列に属する前記車両301、302、・・・、303のうちの1つと関連付けられる;
-前記所定の対応する最小摩擦力値Fbmin_nよりも小さい摩擦力値Fbの存在下で、現在の摩擦力値Fbが属する車輪に関連付けられた車両を識別し、例えば、限定するものではないが、ヒューマンマシンインターフェース313によって、その車両をオペレータに報告する工程。
【0117】
少なくとも1つの車両、特に少なくとも1つの鉄道車両の制動手段の動作を検証するための方法のさらなる実施例が、以下に説明される。
【実施例
【0118】
少なくとも1つの鉄道車両301、302、・・・、303の制動手段の操作を検証するための方法であって、前記少なくとも1つの鉄道車両は、
-少なくとも1つの車輪が結合される少なくとも1つの車軸と;
-前記少なくとも1つの車輪に関連する制動手段に制動圧Pfを与えるように配置された制動管220と、を備え;
前記制動手段の動作を検証するための方法は、以下の工程を含む:
a)前記制動管220において、前記少なくとも1つの鉄道車両301、302、・・・、303の前記少なくとも1つの車軸の前記少なくとも1つの車輪100、200に制動力Faを生成するようになっている制動圧Pfを付与する工程;
b)前記少なくとも1つの鉄道車両がゼロでない一定の前進速度で移動するように、前記少なくとも1つの鉄道車両301、302、・・・、303を牽引する工程;
c)レール101、201、502上で、前記制動力Faの関数である少なくとも1つの摩擦力Fbを測定する工程、前記少なくとも1つの摩擦力Fbは、前記レールと前記少なくとも1つの車輪との間の接触点102、202で前記少なくとも1つの車輪100、200、503によって生成される;
d)少なくとも1つの測定された摩擦力Fbを所定の最小摩擦力Fbminと比較する工程;
e)測定された摩擦力Fbが前記所定の最小摩擦力Fbminよりも小さい少なくとも1つの車輪に関連する制動手段が誤作動していると判定する工程。
【0119】
したがって、達成される利点は、ハードウェア構成要素に関しても、完全なフリートの設置およびアップグレードコストに関しても、高いコストを意味することなく、効果的な解決策を提供することである。
【0120】
本発明が適用可能な少なくとも1つの車両は、鉄道分野に加えて、レール上を走行する任意の車両に同様に適用することができる。
【0121】
達成されるさらなる利点は、有効な安全基準(EN50126、EN50128、EN50129)に従った高価な開発および認証コストを伴わない解決策を提供することである。
【0122】
本発明にかかる少なくとも1つの車両の制動手段の動作を検証するための方法、少なくとも1つの車両の少なくとも1つの車輪によって生成される摩擦力を測定するためのシステム、および少なくとも1つの車両の制動手段の動作を検証するためのシステムのいくつかの態様および実施形態について説明した。各実施形態は、任意の他の実施形態と組み合わせることができることを理解されたい。さらに、本発明は、記載された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって規定される範囲内で変更されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】