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特表2024-502763光学分析物測定のための反射層なしの多孔性ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】光学分析物測定のための反射層なしの多孔性ユニット
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/59 20060101AFI20240116BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20240116BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20240116BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G01N21/59 Z
G01N21/27 Z
G01N33/483 C
G01N33/68
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538713
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 EP2021086910
(87)【国際公開番号】W WO2022136326
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】20216632.8
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500554782
【氏名又は名称】ラジオメーター・メディカル・アー・ペー・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】ケーア,トマス
(72)【発明者】
【氏名】ヤコプスン,ハンス・ピーダ・ブロビェア
(72)【発明者】
【氏名】ナイルソン,ピーダ・ヤコプスン
(72)【発明者】
【氏名】トーゴー,ミケール
【テーマコード(参考)】
2G045
2G059
【Fターム(参考)】
2G045AA13
2G045CA25
2G045CA26
2G045DA36
2G045FA14
2G045FA25
2G045FA26
2G059AA01
2G059AA06
2G059BB04
2G059BB13
2G059DD04
2G059DD12
2G059DD13
2G059EE01
2G059EE02
2G059JJ01
2G059JJ17
(57)【要約】
光学プローブによる液体(99)中の分析物(96)の検出のための多孔性ユニット(1)であって、前側(3)、および前側(3)と反対を向く裏側(4)とを有する透光性素子(2)を備え、前側(3)は、液体(99)と直接的に接触されるように適合されるか、または透光性素子(2)の前側(3)における1つもしくは複数の層によって、液体(99)から排他的に分離されるなど、液体(99)から分離されるように適合され、1つもしくは複数の層(5)は、透光性素子(2)から、少なくとも1つの入射角で、例えば、少なくとも法線入射で、1つもしくは複数の層に到達する光に対して非反射性であるように適合される、および/または、外部界面などの界面において、透光性素子(2)から界面に到達する光の、全内部反射などの内部反射を可能にするように適合され、透光性素子(2)は、孔(6)を含み、孔(6)は、それらを前側(3)において液体(99)と流体接続するそれぞれの開口部(7)から透光性素子(2)内へ延在する非貫通孔(6)であり、孔(6)の開口部(7)の断面寸法は、液体(99)中の分析物が拡散により孔(6)へ入ることを可能にしながら、より大きい粒子または細片が孔(6)に入ることを防ぐように寸法決定される、多孔性ユニットが提示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学プローブによる液体(99)中の分析物(96)の検出のための多孔性ユニット(1)であって、
前側(3)、および前記前側(3)と反対を向く裏側(4)を有する透光性素子(2)を備え、前記前側(3)は、
i.前記液体(99)と直接的に接触されるように適合されるか、または
ii.前記透光性素子(2)の前記前側(3)における1つもしくは複数の層によって、前記液体(99)から排他的に分離されるなど、前記液体(99)から分離されるように適合され、前記1つもしくは複数の層(5)は、
1.前記透光性素子(2)から、少なくとも1つの入射角で、例えば、少なくとも法線入射で、前記1つもしくは複数の層に到達する光に対して非反射性であるように適合される、および/または、
2.外部界面などの界面において、前記透光性素子(2)から前記界面に到達する光の、全内部反射などの内部反射を可能にするように適合され、
前記透光性素子(2)は、孔(6)を含み、前記孔(6)は、それらを前記前側(3)において前記液体(99)と流体接続するそれぞれの開口部(7)から前記透光性素子(2)内へ延在する非貫通孔(6)であり、
前記孔(6)の前記開口部(7)の断面寸法は、前記液体(99)中の前記分析物が拡散により前記孔(6)へ入ることを可能にしながら、より大きい粒子または細片が前記孔(6)に入ることを防ぐように寸法決定される、多孔性ユニット(1)。
【請求項2】
前記孔(6)の前記開口部(7)の断面寸法は、1μm以下、例えば800nm以下、例えば500nm以下、例えば400nm以下であり、ならびに/または、前記孔(6)に沿った軸方向における前記孔(6)の長さは、100μm未満および任意選択的に5μm超、例えば50μm未満、例えば30μm、例えば、25μmである、請求項1に記載の多孔性ユニット(1)。
【請求項3】
孔(6)を含む前記透光性素子(2)の所与の体積の多孔性は、体積で50%~5%、例えば体積で30%~10%、例えば体積で15%である、および/または
等価の孔体積深さ(DELTA)は、20μm未満、例えば10μm未満、例えば5μm以下であり、前記等価の孔体積深さ(DELTA)は、前記孔の総体積(V)を、前記孔(6)の前記開口部(7)が分布される前側領域(A)で割ったものである、請求項1または2に記載の多孔性ユニット(1)。
【請求項4】
前記孔(6)の内壁面は、親水性コーティングで覆われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の多孔性ユニット(1)。
【請求項5】
前記透光性素子(2)の前記前(3)は、前記透光性素子(2)の前記前側(3)において1つまたは複数の層によって、前記液体(99)から排他的に分離されるなど、前記液体(99)から分離され、前記1つまたは複数の層(5)は、前記透光性素子(2)から法線入射で前記前側に到達する光に対して透光性であるように適合される、請求項1~4のいずれか一項に記載の多孔性ユニット(1)。
【請求項6】
前記透光性素子(2)の前記前(3)は、前記透光性素子(2)の前記前側(3)において1つまたは複数の層によって、前記液体(99)から排他的に分離されるなど、前記液体(99)から分離され、前記1つまたは複数の層(5)は、前記透光性素子(2)から法線入射で前記前側に到達する光に対して吸光性であるように適合される、請求項1~5のいずれか一項に記載の多孔性ユニット(1)。
【請求項7】
前記透光性素子(2)、および/または前記透光性素子(2)の前記前側(3)を前記液体(99)から分離する、例えば、排他的に分離する前記1つもしくは複数の層は、一方の側における前記透光性素子および/または前記1つもしくは複数の層と他方の側における前記液体(99)との間の界面において、全内部反射などの内部反射を可能にするために配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載の多孔性ユニット(1)。
【請求項8】
前記透光性素子(2)には、前記透光性素子(2)の前記前側(3)における前記開口部(7)に隣接して、前記孔の口部分に、前記孔(6)の内側に配置される反射素子(51、52)が提供される、請求項1~7のいずれか一項に記載の多孔性ユニット(1)。
【請求項9】
前記反射素子(51、52)は、前記開口部(7)の近くの前記孔(6)の前記口部分の外周の分画のみを覆う反射コーティングとして提供され、前記分画は、約70%以下、例えば50%以下である、請求項8に記載の多孔性ユニット(1)。
【請求項10】
前記透光性素子は、任意の界面効果を無視することなど、材料を通過する光の、任意選択的に部分的または全体的に拡散する透過係数が、100マイクロメートルの材料を通る長さの場合は少なくとも50%である、例えば、材料の長さを通らない光の割合が、少なくとも、400~520nmなどの380nm~750nmの範囲内、例えば400~460nmの範囲内、例えば415~420nmの範囲内、例えば415nmもしくは約415nm、または416nmもしくは約416nm、または450nmもしくは約450nm、または455nmもしくは約455nmの1つの波長の場合、100マイクロメートルの50%以下、例えば100マイクロメートルの40%以下、例えば100マイクロメートルの20%以下、例えば100マイクロメートルの10%以下、例えば100マイクロメートルの5%以下であるように減衰係数を有する材料を含む、例えば主に含む、例えば少なくとも50w/w%含む、例えばこれからなる、請求項1~9のいずれか一項に記載の多孔性ユニット(1)。
【請求項11】
光に対する非反射性は、入射光が、少なくとも、400~520nmなどの380nm~750nmの範囲内、例えば400~460nmの範囲内、例えば415~420nmの範囲内、例えば415nmもしくは約415nm、または416nmもしくは約416nm、または450nmもしくは約450nm、または455nmもしくは約455nmの1つの波長の場合、前記透光性素子を通る方向、例えば前記透光性素子からの方向に入ってくるとき、法線入射など、少なくとも1つの入射角で、反射係数が、前記1つまたは複数の層から0.95未満、例えば0.9未満、例えば0.8未満、例えば0.7未満、例えば0.6未満、例えば0.5未満、例えば0.4未満、例えば0.3未満、例えば0.1未満、例えば0.01未満であることを必然的に伴う、請求項1~10のいずれか一項に記載の多孔性ユニット(1)。
【請求項12】
導光コアを備える光学アセンブリをさらに備え、前記導光コアは、入力分岐、出力分岐、および前側と反対の前記透光性素子の裏側(4)に接触するように配置される結合界面を備え、例えば、前記入力分岐および前記出力分岐は、前側表面に垂直に配置される共通導光面に配置される、請求項1~11のいずれか一項に記載の多孔性ユニット(1)。
【請求項13】
軸方向を画定する流路によって貫通されるハウジングをさらに備え、前記流路は、試料空間を備え、前側を伴う前記多孔性ユニットが、前記液体が前記試料空間内にあるときなど、前記液体に接触するためのセンサ表面を画定するように配置され、前記センサ表面は、前記試料空間の方を向き、例えば、前記孔は、前記試料空間との拡散液体連通のために前記液体中の前記分析物に関して構成される、請求項1~12のいずれか一項に記載の多孔性ユニット(1)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の多孔性ユニット(1)を備えるシステムであって、
前記透光性素子(2)内の少なくとも前記孔(6)を照明するように適合される1つまたは複数の光源(10)、および/または
前記1つまたは複数の光源(10)などの1つまたは複数の光源による照明(11)に応答して前記孔(6)から出射する光(21)を受信するように配置され、また前記受信した光を表す信号を生成するように適合される、光検出器(20)をさらに備える、システム。
【請求項15】
液体(99)を分析するためのシステムであって、
前記液体(99)を供給および排出するための入口および出口ポートを有する液体チャンバ(100)と、
前記液体(99)中の分析物(96)のレベルを表す第1の信号を提供するように適合される第1の検出器(20)と、
1つまたは複数のさらなる検出器であって、各々のさらなる検出器が、前記液体(99)中の前記分析物(96)を表すそれぞれのさらなる信号を提供するように適合される、1つまたは複数のさらなる検出器と
を備え、
前記第1の検出器および前記さらなる検出器は、前記第1の信号および前記1つまたは複数のさらなる信号を同じ液体(99)から獲得するように動作可能であり、
前記第1の検出器は、請求項1~13のいずれか一項に記載の前記分析物(96)の光学検出のための多孔性ユニット(1)として構成される、システム。
【請求項16】
前記システムは、前記裏側(4)に対向する前記前側(3)の側面から、前記孔(6)の内側に配設される液体を光学的にプローブするために配置される、請求項14または15に記載の液体(99)を分析するためのシステム。
【請求項17】
1つまたは複数の光源など、1つまたは複数の光源、および光検出器など、少なくとも光検出器の両方を備え、前記1つまたは複数の光源および前記光検出器の各々は、前記裏側と同じ前記前側の側面の透光性素子の外側など、前記裏側に対向する前記前側の側面に置かれる、請求項14~16のいずれか一項に記載の液体(99)を分析するためのシステム。
【請求項18】
前記1つまたは複数の光源(10)は、前記裏側(4)に対向する前記前側(3)の側面から、前記透光性素子(2)内の少なくとも前記孔(6)を照明するように適合され、
前記光検出器(20)は、1つまたは複数の光源(10)などの1つまたは複数の光源による照明(11)に応答して発せられるなど、前記孔(6)から出射する光(21)を受信するように配置され、前記光検出器(20)は、前記裏側(4)に対向する方向に前記前側(3)から離れる方向において前記孔から発せられた、例えば主に発せられた、前記受信した光を表す信号を生成するように適合される、請求項14~17のいずれか一項に記載の液体(99)を分析するためのシステム。
【請求項19】
前記1つまたは複数の光源(10)は、例えば、前記裏側(4)に対向する前記前側(3)の側面から、前記透光性素子(2)内の少なくとも前記孔(6)を照明するように適合され、前記孔に到達する前記1つまたは複数の光源からの光は、前記孔と流体接続されており、前記裏側とは反対の前記前側の側面など、前記透光性素子の外側にある、体積を横断している必要はなく、
前記光検出器(20)は、前記1つまたは複数の光源(10)などの1つまたは複数の光源による照明(11)に応答して発せられるなど、前記孔(6)から出射する光(21)を受信するように配置され、前記光検出器(20)は、前記受信した光を表す信号を生成するように適合され、前記孔(6)から発せられ、前記光検出器(20)に到達する光は、前記孔と流体接続されており、前記裏側とは反対の前記前側の側面など、前記透光性素子の外側にある、体積を横断している必要はない、請求項14~18のいずれか一項に記載の液体(99)を分析するためのシステム。
【請求項20】
前記システムは、前記孔内の液体の吸光度など、吸光度を測定するために構成される、請求項1~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
液体(99)中の分析物(96)を光学的に検出するための方法であって、
請求項14~20のいずれか一項に記載のシステムなど、請求項1~13のいずれか一項に記載の多孔性ユニット(1)を提供するステップと、
前記多孔性ユニット(1)の前側を前記液体(99)と接触させるステップと、
前記裏側(4)に対向する前記前側(3)の側面から、前記孔(6)の内側に配設される前記液体を光学的にプローブするステップと、
前記光学プローブの結果に基づいて、前記液体の分析物濃度を確立するステップと、を含む、方法。
【請求項22】
前記分析物は、
無細胞ヘモグロビン、
ビリルビン、および/または、
総タンパク質含有量である、請求項21に記載の液体(99)中の分析物(96)を光学的に検出するための方法。
【請求項23】
前記液体は全血試料であるか、または前記液体は、全血試料の血漿相である、請求項21または22に記載の液体(99)中の分析物(96)を光学的に検出するための方法。
【請求項24】
基準液で前記孔を充填するように、例えば、拡散によって前記孔(6)を充填するように、前記多孔性ユニット(1)を前記基準液と接触させるステップ、および/または
前記液体(99)中の前記分析物(96)の前記孔(6)内への拡散を可能にして安定化させるために拡散時間の間待機するステップをさらに含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の液体(99)中の分析物(96)を光学的に検出するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学プローブによる液体中の分析物の検出のためのユニット、より詳細には、光学プローブによる液体中の分析物の検出のための多孔性ユニットに関し、さらには、対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体中の分子のサブセットを検出するには多くの異なるやり方がある。膜から化学的手法および生物学的プロセスまで様々である。多くの知られているプロセスは、ろ過部のために外力を利用し、これは、ろ液に悪影響を及ぼし得る。他の方法は、ろ過の初期ステップ、その後の検出ステップを伴う複数ステッププロセスを利用する。これは、複雑なプロセスにつながり得る。
【0003】
医療デバイスの分野内において、ろ過および検出の最も伝統的な方法は、ろ過を必要とする液体の大きい体積を含む。例えば、全血中の、薬物を検出することは、不可能であることが多く、より大きい体積の全血が、目的の薬物の分析のために、血漿の必要性に起因して患者から採取される。分析が必要とされる場合、多くは、患者の静脈が、定期的に穿刺され、患者にとっては貧血のリスクがある。
【0004】
多孔性ユニットを、患者試料中の分析物の検出に関連して使用することができる。分析物は、光、例えば、分光測光法によって検出可能である血液分析物のための研究室の試験パラメータのいずれかであり得る。粒子または他の細片を含有する液体の分画に存在する成分を測定するための他の手法は、例えば微小流体デバイスにおける、精密ろ過技術による細胞成分からの一分画の分離、その後の微小流体デバイス内の専用測定におけるその分画の分析を伴う。
【0005】
しかしながら、そのようなろ過ベースの手法は、例えば、全血試料を分析するために使用されるとき、いくつかの欠点を有する。ろ過デバイスは、本質的に、試料供給からろ液分析/測定チャンバへの、フィルタの孔を通る少なくともろ液の液体流に依拠する。貫通流幾何学においては、残渣物(全血の場合、赤血球)が、次第にろ過孔を詰まらせる。直交流幾何学においては、残渣物は、ろ過膜の表面に沿って流され、以て、システムが反復使用(10~100超の試料)を意図される場合は特に、詰まりの問題を低減するが除去はしない。直交流幾何学はまた、残渣物とろ過デバイスの表面との間の摩擦およびせん断相互作用を誘起する。測定後の試料の完全な洗い流しは、困難であるか、または少なくとも非常に時間がかかり、信頼性を欠くものであり得、後続の試料間の相互汚染のさらなるリスクを伴う。さらに、ろ液をプローブするための光路の変化を結果としてもたらす圧力誘起によるろ過膜の変形に起因して、光学プローブから定量的な結果を獲得するためのさらなる課題がそのようなデバイスにおいて生じ得る。
【0006】
一般的には、光学プローブ中は、できる限り高い信号対雑音比を有すること、ならびに/または、できる限り高い感度、および好ましくは、できる限り高い特異的感度を有することが望ましい。
【0007】
したがって、高速かつ高信頼の応答での液体中の分析物の検出のための改善されたデバイスおよび方法が必要とされている。より一般的には、高速かつ高信頼の応答での全血試料の分画中の物質の検出のための改善されたデバイスおよび方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、全血試料の血漿分画中の物質を検出するため、および特に、液体中の分析物を検出するための既知のセンサ、システム、およびまたは方法の欠点のうちの少なくともいくつかを克服する改善された検出をもたらすことである。追加的に、または代替的に、本発明の目的は、増加した信号対雑音比を有すること、ならびに/または、増加した感度、および好ましくは増加した特異的感度を有することである。
【0009】
第1の態様によると、本発明は、光学プローブによる、液体中、例えば全血中、例えば全血試料中の分析物の検出のための多孔性ユニットであって、
前側、および前側と反対を向く裏側を有する透光性素子を備え、前側は、
i.液体と直接的に接触されるか、または
ii.透光性素子の前側における1つまたは複数の層によって、液体から排他的に分離されるなど、液体から分離されるように適合され、1つまたは複数の層は、
1.透光性素子から、少なくとも1つの入射角で、例えば、少なくとも法線入射で、1つもしくは複数の層に到達する光に対して非反射性であるように適合される、および/または、
2.外部界面などの界面において、透光性素子から界面に到達する光の、全内部反射などの内部反射を可能にするように適合され、
透光性素子は、孔を含み、孔は、それらを前側において液体と流体接続するそれぞれの開口部から透光性素子内へ延在する非貫通孔であり、
孔の開口部の断面寸法は、液体中の分析物が拡散により孔へ入ることを可能にしながら、より大きい粒子または細片が孔に入ることを防ぐように寸法決定される、多孔性ユニットを提供する。
【0010】
本発明の考えられる利点は、ろ過が、拡散により実施される、または実施されることができることであり、この場合、外部エネルギーは必要とされず、拡散も高速であるため、多孔性ユニットの孔内へ拡散した液体に対する測定は、液体が多孔性ユニット内へ導入された直後に実施され得る。別の考えられる利点は、多孔性ユニットが、部品が少なく、ろ過および測定中に位置を移動または変化させる必要がある部品のほとんどない、単純なものであり得ることである。別の考えられる利点は、多孔性ユニットが小さいサイズに保たれ得、測定に必要とされる体積が、通常のろ過デバイスと比較して非常に小さいことである。多孔性ユニットは、ろ過および後続の測定が液体に対して必要とされる他の応用またはデバイス内に含まれ得る。
【0011】
別の考えられる利点は、反射層を提供するための作成中の費用におけるリソースを費やす必要性をなくすこと、および/または反射層が使用または格納中に破損するリスクをなくすことなど、金属反射層などの(非内部)反射層が必要ないことである。実施形態において、多孔性ユニットであって、透光性素子の前側に、反射層であって、透光性素子の裏側から反射層に到達する光を反射するように適合される、反射層が存在しない、多孔性ユニットが提供される。
【0012】
別の考えられる利点は、反射層からの(スペクトル)反射が、測定を妨げること、例えば、多孔性ユニットの前面または前側を越えて延在するエバネセント波の、利益を同時に得ることなく妨げること、が回避されることである。
【0013】
別の考えられる利点は、本発明が、増加した測定光強度をもたらすことを可能にすることであり、これは、信号対雑音比を改善することなど、個々の測定に対する雑音を(相対的に)下げることに有益であり得る。
【0014】
別の考えらえる利点は、本発明が、増加した較正感度をもたらすことを可能にすることであり、これは、信号対雑音比を改善することなど、個々の測定に対する雑音を(相対的に)下げること、および/または検出限度を改善することに有益であり得る。
【0015】
別の考えられる利点は、本発明が、増加した特異的較正感度をもたらすことを可能にすることであり(特異性は、特定の波長同士の比較に関連する)、これは、高需要の分析物を1つまたは複数の他の分析物から識別することに有益であり得る。
【0016】
‘多孔性ユニット’とは、部分的もしくは完全に多孔性である、および/または1つもしくは複数の多孔性素子を備えるユニットと理解される。故に、多孔性ユニットは、いくつかの実施形態においては、モノリシックであり得、他の実施形態においては、例えば、サンドイッチ構造を含む、非モノリシックであり得ることが含意される。
【0017】
用語“液体”は、全血、全血の血漿分画、脊髄液、尿、胸膜、腹水、廃水、あらゆる種類の注射のための予め調製された液体、分光法により検出することが可能な成分を有する液体など、任意の液体を指す。液体は、例えば、416nmもしくは約416nm、または455nmもしくは約455nmで、1.50以下、例えば1.45以下、例えば1.40以下、例えば1.38以下、例えば1.36以下の屈折率(そうした屈折率の実部)を有すると理解され得る。
【0018】
実施形態において、液体は、液体試料である。用語“試料”は、本発明の多孔性ユニットを用いた分析において使用される、または必要とされる液体の部分を指す。
用語“全血”は、血漿および細胞成分で構成される血液を指す。血漿は、体積の約50%~60%を表し、細胞成分は、体積の約40%~50%を表す。細胞成分は、赤血球(erythrocyte/red blood cells)、白血球(leucocyte/white blood cells)、および血小板(thrombocyte/platelets)である。好ましくは、用語“全血”は、人間の被検者の全血を指すが、動物の全血も指し得る。赤血球は、すべての血液細胞の合計数の約90%~99%を構成する。それらは、変形されていない状態で約2μmの厚さを有する直径約7μmの両凹の円盤として造られる。赤血球は、非常に可撓性であり、これにより、その直径を約1.5μmまで減少させて非常に狭い毛細血管を通過することを可能にする。赤血球の1つの中核成分は、ヘモグロビンであり、これが、組織への輸送のために酸素に結合し、次いで、酸素を解放し、老廃物として肺に送達されるべき二酸化炭素に結合する。ヘモグロビンは、赤血球の赤い色、したがって全体としての血液の赤い色の原因となる。白血球は、すべての血液細胞の合計数の約1%未満を構成する。それらは、約6~約20μmの直径を有する。白血球は、例えば、細菌またはウイルス侵入に対する、身体の免疫系に関与する。血小板は、約2~約4μmの長さおよび約0.9~約1.3μmの厚さを有する最も小さい血液細胞である。それらは、凝固に重要な酵素および他の物質を含有する細胞片である。特に、それらは、血管内の破損を封止するのに役立つ一時的な血小板血栓を形成する。
【0019】
用語“血漿(blood plasmaまたはplasma)”は、血液の体積の約半分(例えば、体積で約50%~60%)を構成する血液およびリンパ液の液体部分を指す。血漿は、細胞を持たない。それは、すべての凝固因子、特にフィブリノゲンを含み、体積で約90%~95%の水を含む。血漿成分は、電解質、脂質代謝物質、例えば感染または腫瘍のためのマーカ、酵素、基質、タンパク質、およびさらなる分子成分を含む。
【0020】
用語“廃水”は、洗い流し、フラッシングに関して、または製造プロセスにおいて、使用された水を指し、そのため、老廃物および/または粒子を含有し、故に、飲用および食品調理には好適ではない。
【0021】
‘分析物’とは、任意のエンティティ、物質、または組成物と理解され、特に、原子、イオン、および/または分子であり得る。‘分析物’は、分析物の群、またはエンティティ、物質、もしくは組成物の群、例えば、化学的性質、または構造的もしくは光学的もしくは物理的性質など、1つまたは複数の性質を共有するエンティティ、物質、もしくは組成物の群を包含することが理解される。
【0022】
‘液体中の分析物の検出’とは、分析物の存在を定性的に検出すること(YES/NO)、および、順序、間隔、または比率タイプの尺度などで、濃度を定量的に決定することの両方と理解され得る。
【0023】
‘光学プローブ’は、液体の少なくとも一部分に光を照射し、光の少なくとも一部分を受信することなど、当該技術分野において共通であるように理解され、受信した光が、(おそらくは)その中の分析物に関する情報を導出することを可能にする。
【0024】
一般に、本出願全体を通して光学的性質(例えば、透光性(透光性)、吸光、内部反射、反射)に言及するとき、それは全般的に、380nm~750nmの範囲内、例えば400~520nm、例えば400~460nm(または415~420nm)、例えば415nmもしくは約415nm、または416nmもしくは約416nm、または450nmもしくは約450nm、または455nmもしくは約455nmの波長、例えば少なくとも1つの波長を有する電磁放射線(または光)を参照してなされると理解され得る。
【0025】
多孔性ユニットは、スラブなどの透光性素子を備える。透光性素子は、前側から1つまたは複数の層(存在する場合)を通って透光性素子内へ延在する、小さい非貫通孔を含有する。多孔性ユニットは、光源と、孔の内容物を光学的にプローブし、液体中の分析物含有量を表す対応する信号出力を生成するように配置される(光)検出器とを必要とする。
【0026】
用語“透光性(translucent)”は、光が通過することを可能にする材料の性質を指す。用語“透明”は、光が散乱されることなしに材料を通過することを可能にする材料の性質を指す。故に、用語“透明”は、用語“透光性”に対する部分集合と見なされる。
【0027】
好ましくは、1つまたは複数の層などの膜は、積分球で試験されるときの検出のスペクトル範囲、すなわち、関連性のある血漿成分を表す信号が展開されるスペクトル範囲において、例えば、垂直入射光の場合、例えば、380nm~750nm、400~525nmの範囲内、または416nmもしくは約416nm、または455nmもしくは約455nmで、25%超、例えば30%超、例えば35%超、例えば40%超、例えば50%超、例えば75%超、例えば90%超、さらには99%超の反射性を示す(透光性素子と1つまたは複数の層との間の界面においてなど)。
【0028】
(おそらくは散光である、または散光を含む光の)界面からの反射率、または界面を通るもしくは(バルク)材料の長さを通る透過率を測定するために適用される技術は、フーリエ変換赤外(FTIR)分析に依拠することなど、積分球を使用することであり得る。光は、透光性素子と1つまたは複数の層との間の界面などの(おそらくは拡散する)試料(バルク材料の界面または一部分など)に、1つまたは複数の層に対してノーマル90°角度で当たる。反射および/または透過光は、試料と相互作用するときに散乱される。積分球は、光が検出器に到達するまで‘跳ね返る’球壁の高反射表面を使用する、拡散試料からの散乱した透過および/または反射光が収集されるデバイスである。このやり方では、散乱に起因して低い反射率または透過率を通常もたらす表面からの正確な結果が達成され得る。
【0029】
‘透光性の(素子)’とは、一般に、透光性の材料を含む素子(element、要素)と理解され得、例えば、上記材料(透光性の材料および/または透光性素子の材料など)は、減衰係数を有し、その結果として、材料を通る(任意の界面効果を無視するなど)光の(任意選択的に部分的または全体的に拡散する)透過係数は、100マイクロメートルの材料を通る長さの場合は少なくとも50%であり、例えば、材料の長さを通らない光の割合は、例えば、416nmもしくは約416nmまたは455nmもしくは約455nmの波長では、100マイクロメートルの50%以下、例えば100マイクロメートルの40%以下、例えば100マイクロメートルの20%以下、例えば100マイクロメートルの10%以下、例えば100マイクロメートルの5%以下である。これの利点は、それが、光子を透光性素子内へ取り入れるおよび/または外へ取り出すことを可能にすることであり得る。‘透光性素子’という表現は、‘透光性の材料を含む素子’と同義に理解および使用され得る。一実施形態において、任意の界面効果を無視するなど、例えば、前側および/または裏側に対して直角の方向において前側から裏側へ、透光性素子を通る光の透過係数は、380nm~750nmの範囲内の、例えば400~520nm、例えば400~460nm(または415~420nm)、例えば415nmもしくは約415nm、または416nmもしくは約416nm、または450nmもしくは約450nm、または455nmもしくは約455nmの、波長、例えば少なくとも1つの波長、を有する電磁放射線(または光)の場合など、少なくとも10%、例えば少なくとも25%、例えば少なくとも50%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも99%である。
【0030】
用語‘裏側(back side、backside、およびback)’は、同意および同義に使用される。
‘減衰係数’とは、Napierian減衰係数uと理解され得、例えば、材料を通じた透過Tは、以下のように得られ、
T=exp(-int(u(z)dz)
式中、‘exp’は、指数関数を示し、‘int’は、積分(材料の長さを通る)を示し、zは、材料および対応する座標を通る対応する軸を示す)。
【0031】
減衰係数は、例えば、1cmキュベットを通した吸光を測定する標準分光光度計における測定によるなど、当該技術分野において共通であるように獲得され得る。A(またはAbs)によって示される、測定した吸光度は、標準装置において、A=log(I/I)として決定され、式中、logは、底-10対数であり、Iは、キュベットの前の強度であり、Iは、キュベットの後の強度である。故に、測定した吸光度は、自然対数のための基本数を示すe=2.71828でA=log(e)int(u(z)dzとしてNapierian減衰係数に関連する。
【0032】
一実施形態によると、多孔性ユニットであって、透光性素子は、透光性のスラブであり、例えばスラブは、モノリシックであると理解される、多孔性ユニットが提示される。
小孔の各々は、開口部を有し、この開口部を通じて、透光性素子の前側における液体空間と連通することができる。故に、孔は、孔と液体空間との間の液体連通を可能にするために1つまたは複数の層(存在する場合)を貫通する。孔は、裏側へ向かう方向に、前側におけるそれぞれの開口部から透光性素子内へ延在する。孔は、孔が透光性素子内で終了することを意味する“非貫通”である。孔は、透光性素子全体を通り抜けて裏側まで、または素子の内側の任意の共通の容器もしくは受容器まで継続しない。孔は、透光性素子の前側における液体空間とのみ液体連通状態にある。いくつかの実施形態において、非貫通孔は、十字交差であり得、故に孔の少なくともいくつかは、互いに接続され得、X形状、Y形状、V形状、または同様の相互接続された形状を形成するということに留意されたい。そのような構成は、孔が前側からのみ充填され、孔が互いに交差するとしても、孔を通過する著しい正味質量輸送が動作下で発生しないため、非貫通であると等しく見なされる。前側における孔の開口部を適切に寸法決定することにより、全血試料の血漿分画中または液体中の関連成分が孔に入ることを可能にしながら、多孔性ユニットの前側において全血試料の赤血球または液体中の細片が孔に入ることを防ぐことが可能であり、関連成分は、全血試料の血漿分画内に存在する、およびセンサを使用して測定/検出されることになる物質である。特に、ビリルビンおよび二酸化炭素は、関連成分である。
【0033】
動作下で、透光性素子の前側は、全血試料または液体と接触される。透光性素子内の小孔は、前側内の開口部を通る全血試料または液体と連通する。孔開口部は、選択的に、全血試料の血漿相の副試料を抽出するか、または分析物を含む液体の副試料を抽出するために寸法決定される。赤血球は、透光性素子の前側の開口部を通って孔に入ることができない。孔直径よりも大きいものは、例えば、液体内に含まれる任意の細片を締め出す孔に入ることができない。述べたように、孔は、非貫通であり、透光性素子の前側とのみ連通しており、すなわち、副試料は、孔の内側の光学プローブのために抽出され、測定後、透光性素子の前側内の同じ開口部を取って再び放出される。副試料体積は、孔の合計内部容積に相当する。ろ過および任意のろ液の正味質量輸送が、任意の共通のろ液受容器内へも、任意のろ液出口へも、孔含有層を通じて発生することはない。次いで、光検出が、孔内に含有される副試料に対してのみ実施されることになる。
【0034】
一実施形態において、1つまたは複数の層が存在し、透光性素子内の光学プローブ領域を全血試料または液体を含有する液体空間から光学的に分離する吸光層を含む。プローブ領域を液体空間から光学的に分離することによって、全血試料の無損傷の赤血球の、または液体中の細片の、プローブされた信号へのいかなる寄与も、効果的に抑制され得る。故に、測定は、孔内の液体中の分析物の内容に特異的である。
【0035】
関連成分の代表的な内容物を有する小さい副試料は、任意の好適な様式で孔へ移動され得る。小さい非貫通孔は、毛細管力および/または拡散により、前側内の開口部を通る全血試料または液体からの、光学プローブのための副試料の非常に効率的かつ高速の抽出を可能にする。
【0036】
典型的な動作モードにおいて、透光性素子の前側表面は、前側を、分析されることになる全血試料または液体と接触させる前に、リンス液によって接触される。これにより、孔は、全血試料または液体と親和性がある液体、および特に、血液分析器におけるリンス、較正、および/または品質制御目的のために一般的に使用される水溶液など、液体が全血である場合は血漿相と親和性がある液体の予充填により‘プライムされる’。例えば、全血分析器システムにおいて洗い流しのために使用される典型的なリンス液が、そのような液体として使用され得る。リンス液は、人間の血漿に対応する濃度でK、Na、Cl、Ca2+、O、pH、CO、およびHCO を含む水溶液である。リンス、較正、および/または品質制御目的のために一般的に使用される好適な溶液の非限定的な例は、以下にさらに挙げられる。全血試料または液体が、その後、血漿親和性の液体でプライムされる前側表面と接触されるとき、全血試料の血漿相内の成分の、または液体の、代表的な副試料が、予充填された孔内への関連成分の拡散により、非常に効率的かつ穏やかな様式で、抽出および移動される。特に、孔内の液体と基準液との間の分析物の含有量における任意の濃度勾配が、拡散移動をもたらし、以て、孔内に、液体中の分析物濃度を表す分析物濃度を有する副試料を産生する。
【0037】
一実施形態によると、多孔性ユニットであって、孔が、拡散によって、例えば拡散のみによって、リンスされるように配置される、多孔性ユニットが提示される。
別の動作モードにおいて、乾いたセンサの前側を全血試料または液体と直接的に接触させることも想起され得る。さらに好ましくは、この動作モードにおいて、孔の内側表面は、親水性であり、以て、毛細管力により、透光性素子の前側における全血試料または液体から孔内へ副試料を抽出する。このモードで多孔性ユニットを動作させるとき、較正は、多孔性の膜材料の同じバッチから生産される多孔性ユニットが等しい感度(透光性素子を形成する同じバッチからの多孔性の膜材料の異なる片から生産される多孔性ユニットを使用して、同一の液体に対して測定を行うとき、等しい吸光)を有する傾向があるため、バッチ較正を介して発生する。代替的に、透光性素子の孔は、分析物とは異なる吸光特徴を有する較正染料を含有し得る。較正染料は、検出/測定されるべき、血漿試料中の物質、例えば、ビリルビン、から分光学的に識別可能でありながら、光学プローブ信号を正規化/較正するのに有用である。較正染料は、実際の液体中には存在しないため、較正染料は、測定中にセンサの外に拡散し、その間、分析物は、センサの孔内に拡散する。液体を取得する前および後に孔を光学的にプローブすることにより、検出されるべき物質(例えば、ビリルビン)の定量的尺度が、較正基準信号および液体物質信号の比較により、展開され得る。
【0038】
孔の内容物は、透光性素子の裏側から、またはより一般的には、前面(または前側)、および/もしくは、1つもしくは透光性素子の方を向く複数の層(存在する場合)の側から、簡便に光学的にプローブされ得、1つまたは複数の層(存在する場合、および吸光層を含む)は、孔を含む光学プローブ領域を、透光性素子の前側に接触する液体から光学的に分離し、以て、プローブ光が、ユニットまたは透光性素子の前側において液体に到達してこれと相互作用することを防ぐ。故に、光学プローブは、孔の内側の副試料に対してのみ選択的に実施される。‘(透光性素子の)裏側から(光学的に)プローブされる’とは、一般的に、孔への入射プローブ光が裏側から前側へ向かう方向に進行し(裏側から前側への方向に裏側を介して透光性素子に入るなど)、孔から光検出器などの受信ユニットへ発せられる光は、前側から離れる方向に裏側から発せられるなど、前側から裏側への方向に発せられると理解され得る。
【0039】
多孔性ユニットは、光源と、透光性素子を光学的にプローブするように構成される光検出器とに接続され得、光源は、少なくとも孔を照明するように適合されなければならず、検出器は、光源による照明に応答して孔から出射する光を受信するように配置されなければならず、検出器はまた、検出した光を表す信号を生成するように適合されなければならない。
【0040】
入射光は、光が孔を横断し、その中の副試料と相互作用することを確実にするように、光学プローブ領域へと誘導/指向される。好ましくは、プローブ光は、光が、プローブされるべき液体で充填された孔を横断することを確実にするために、透光性素子の前側の表面および/または1つもしくは複数の層(存在する場合)の平面上の表面法線に対して斜め入射でプローブ領域内へ送られ、以て、最大の光学的相互作用路程を確実にする。
【0041】
照明に応答して孔から出射する光は、孔内の副試料と相互作用しており、故に、副試料に関する情報を保有する。出射光および/または出射光を表す信号は、次いで、全血試料中、または液体中の分析物含有量を表す値を展開するために、その情報に対して分析され得る。分析は、出射/検出光を分光学的に分析すること、ならびに/または、例えば、獲得した信号を較正/基準試料について獲得した信号と比較するため、ノイズフィルタリングのため、補正を適用するため、およびアーチファクトを除去するための、信号/データ処理を含み得る。
【0042】
‘液体と直接的に接触される’とは、透光性素子の前側表面が固体-液体界面であると理解され得、例えば、1つまたは複数の層が、透光性素子を、液体などの多孔性ユニットの外部の要素から分離しない。これの考えられる利点は、1つまたは複数の層が必要とされないこと、故に、1つまたは複数の層を提供するためのリソースおよび費用をなくすことを可能にすることである。追加的に、または代替的に、強度および感度のうちの1つまたは複数が、反射層の省略に起因して改善され得る。
【0043】
‘透光性素子の前側において1つまたは複数の層によって液体から分離される’とは、薄膜層(100マイクロメートル厚以下である薄膜層など)などの1つまたは複数の層が、多孔性ユニットの前側における固体-液体界面に存在すると理解される。‘排他的に分離される’とは、他の層が透光性素子を液体から分離していないと理解され得る。
【0044】
実施形態において、1つまたは複数の層は、非金属層からなる。考えられる利点は、金属反射が回避されることである(金属反射は、例えば、界面の各側面の材料が非金属である界面における内部反射などの内部反射に対して、比較的乏しい場合があるということに留意されたい)。‘少なくとも、1つの入射角で、1つまたは複数の層に到達する光に対して非反射性であるように適合される’とは、少なくとも、1つの入射角(法線入射など)では、入射光が透光性素子を通る方向、例えば透光性素子からの方向に入ってくるとき、光が1つまたは複数の層からわずかしか、または全く反射されない(例えば、反射係数は、0.95未満、例えば0.9未満、例えば0.8未満、例えば0.7未満、例えば0.6未満、例えば0.5未満、例えば0.4未満、例えば0.3未満、例えば0.1未満、例えば0.01未満である)と理解され得る。
【0045】
‘少なくとも、1つの入射角で、1つまたは複数の層に到達する光に対して非反射性であるように適合される’とは、例えば、少なくとも、1つの入射角(法線入射など)では、入射光(416nmもしくは約416nm、または455nmもしくは約455nmでの)が透光性素子を通る方向、例えば透光性素子からの方向に入ってくるとき、反射係数は、1つまたは複数の層から0.6未満、例えば0.5未満、例えば0.4未満、例えば0.3未満、例えば0.1未満、例えば0.01未満であると理解され得る。
【0046】
例えば、非反射性は、吸光および/または透過に起因し得る。少なくとも1つの入射角は、法線入射であり得る。これの考えられる利点は、前側からの反射光が測定をほとんどまたは全く妨げないことであり得る。
【0047】
一実施形態によると、多孔性ユニットであって、透光性素子の前(側)は、透光性素子の前側において1つまたは複数の層によって、液体から排他的に分離されるなど、液体から分離され、1つまたは複数の層は、透光性素子から法線入射で前側に到達する光に対して透光性であるように適合される、多孔性ユニットが提示される。これの考えられる利点は、前側からの反射光が測定をほとんどまたは全く妨げないことであり得る。追加的に、または代替的に、強度および感度のうちの1つまたは複数が、反射層の省略に起因して改善され得る。
【0048】
一実施形態によると、多孔性ユニットであって、透光性素子の前(側)は、透光性素子の前側において1つまたは複数の層によって、液体から排他的に分離されるなど、液体から分離され、1つまたは複数の層は、透光性素子から法線入射で前側に到達する光に対して吸光性であるように適合される、多孔性ユニットが提示される。これの考えられる利点は、前側からの反射光が測定をほとんどまたは全く妨げないことであり得る。追加的に、または代替的に、孔と孔の外側の液体との光学的分離が達成され得る。
【0049】
‘吸光性’とは、少なくとも1つの入射角(法線入射など)において(416nmもしくは約416nmでの、または455nmもしくは約455nmでの)入射光の1%超、例えば10%超、例えば25%超、例えば40%超、例えば50%超、例えば60%超、例えば75%超、例えば90%超が、1つまたは複数の層から透光性素子内へと反射されることも、1つまたは複数の層を透過されることもないと理解され得る。
【0050】
一実施形態によると、多孔性ユニットであって、透光性素子、および/または透光性素子の前側を液体から分離する、例えば、排他的に分離する1つもしくは複数の層は、一方の側における透光性素子および/または1つもしくは複数の層と他方の側における液体との間の界面において、全内部反射などの内部反射を可能にするために配置される、多孔性ユニットが提示される。考えられる利点は、強度および感度のうちの1つまたは複数が、すべての方向および角度において伝達を抑制する、および/またはエバネセント波を反射層に浸透させない(金属)反射層の省略に起因して改善され得ることであり得る。
【0051】
‘内部反射を可能にするように適合される’とは、(内部)反射が、入射および反射光を含む媒体の間の界面において可能にされる、および可能であると理解され、例えば、入射光および反射光の両方が進行している媒体は、(相対的に)より低い屈折率の媒体である界面の反対側における媒体と比較して、(相対的に)より高い屈折率の媒体であり、例えば、反射係数は、例えば、416nmもしくは約416nm、または455nmもしくは約455nm、および/または法線入射もしくは非法線入射、例えば、法線に対して45°角度で、少なくとも0.25、例えば少なくとも0.4、例えば少なくとも0.5、例えば少なくとも0.6、例えば少なくとも0.75、例えば少なくとも0.90、0.95、例えば少なくとも0.99である)。実施形態において、両方の媒体(すなわち、界面の各側面における各媒体)の消散係数は、各材料が透光性として要件に入るために十分に低い消散係数(または減衰係数)である。
【0052】
特に有利な実施形態において、光学的にプローブされるビリルビンによる血漿の色付けは、例えば、分光的に分解された吸光度測定を使用することによるもの、または、液体副試料中のビリルビンおよび/もしくは無細胞ヘモグロビンの存在を示すスペクトル範囲内、例えば、波長380nm~750nmのスペクトル範囲内、例えば、波長400nm~520nmのスペクトル範囲内、または416nmもしくは約416nmまたは455nmもしくは約455nmの既定の帯域幅にわたって分光的に統合した吸光度を測定することによるものである。
【0053】
一実施形態によると、多孔性ユニットであって、孔の開口部の断面寸法が、1μm以下、例えば800nm以下、例えば500nm以下、例えば400nm以下であり、ならびに/または、孔に沿った軸方向における孔の長さが、100μm未満および任意選択的に5μm超、例えば50μm未満、例えば30μm未満、例えば25μmである、多孔性ユニットが提示される。
【0054】
約1μm以下、または好ましくは、サブミクロン範囲内の、例えば約800nm以下、例えば約500nm以下、または約400nm以下の、最大断面寸法を有する透光性素子の前側の平面に開口部を有する孔を使用することによって、赤血球、白血球、および血小板(thrombocyte/platelet)を含むいかなる細胞成分も孔に入ることが防がれる。
【0055】
さらに驚くべきことには、約500nm以下の断面寸法を有する開口部を伴う孔は、約800nm以上の断面寸法を有する開口部を有するが、同じ合計孔体積/体積気孔率を有する孔など、より大きい孔と比較して増大された感度を有する。
【0056】
最も好ましくは、孔は、許容可能な信号対雑音比で依然としてプローブされ得る十分に大きい副試料の効率的な抽出を可能にするために、それぞれの最小孔体積を有する最小開口部を有する。有利には、孔は、約30nm以上、または50nm以上、または100nm以上、または約200nm以上の開口部を有する。
【0057】
好適な孔は、例えば、孔が一端で閉じられる改良を伴って、IT4IP社(IT4IP s.a./avenue Jean-Etienne Lenoir1/1348 Louvain-la-Neuve/Belgium)から市販されているものに類似した、いわゆるトラックエッチングされた孔を有する透明高分子膜から生産され得る。膜内の通り抜け孔は、例えば、多孔性膜の裏側にバックシートをラミネートすることによって、または、イオン衝撃トラック、および故に、これらのトラックに続くエッチングされた孔が、透明高分子膜内で停止して非貫通孔を形成するように、イオンを減速させることによって、閉じられ得る。膜は、典型的には、透光性素子に適切な機械的強度を提供するために、固い透明の要素によって裏打ちされる。
【0058】
一実施形態によると、多孔性素子であって、透光性素子が透明高分子で作製される、多孔性素子が提示される。
一実施形態によると、多孔性素子であって、孔が、透光性素子において、および任意選択的に、存在する場合1つまたは複数の層において、トラックエッチングされる、多孔性が提示される。
【0059】
透明の素子は、好ましくは、光を吸収しない材料で作製されるべきであり、同時に、例えば、材料をトラックエッチングすることによって、材料内に非貫通孔を産生することが可能でなければならない。これに好適な材料は、ポリエチレンテレフタレート(PETまたはPETE)、またはPETの類似物質(ポリエチレンテレフタレートポリエステル(PETPまたはPET-P))、またはポリカーボネート(PC)である。透明の素子は、孔内への拡散を増加させるために、例えばポリエチレングリコール(PEG)の、親水性コーティングを含み得る。親水性コーティングは、多孔性ユニットの使用に従って選択され得る。いくつかの用途において、多孔性ユニットは、一旦使用されると、決して乾くことはなく、したがって、それは、始動時にのみ親水性である必要がある。多孔性ユニットの他の使途では、それは、多孔性ユニットが乾き、その後、多孔性ユニットがさらなる使用のために再湿潤されるときに依然として使用可能であるように、それを永久的に親水性に保つコーティングを必要とする。
【0060】
一実施形態によると、多孔性ユニットであって、
孔を含む透光性素子の所与の体積の多孔性は、体積で50%~5%、例えば、体積で30%~10%、例えば、体積で15%である、多孔性ユニットが提示される。
【0061】
孔は、孔の開口部が分布される対応する前側表面積を伴って、透光性素子内に(または透光性素子の所与の領域内に)多孔性を作り出す。多孔性は、孔によって透光性素子内に作り出される空所の体積、すなわち、孔体積に関して特徴付けられ得、孔体積は、孔によって貫通される透光性素子の体積と称される。この体積は、ここでは、孔が分布される前側領域と、透光性素子の前側に垂直の軸方向において見られるような透光性素子内への孔の貫通の最大深さだけ透光性素子内へシフトされる同一の平行領域との間の体積と定義される。
【0062】
それに加えて、多孔性は、光学プローブが利用可能である副試料体積に等しい、統合した孔体積に関してさらに特徴付けられ得る。孔体積は、簡便には、孔開口部が分布される対応する前側領域について言及される孔体積である、等価の孔体積深さDELTAとして表現され得る。したがって、透光性素子の多孔性は、以下のように等価の孔体積深さDELTAへと変換され得る。所与の前側領域A内に開口部を有する孔は、総孔体積Vを有する。等価の孔体積深さは、このとき、総孔体積を所与の前側領域で割ったものとして計算される:DELTA=V/A。
【0063】
一実施形態によると、多孔性ユニットであって、
等価の孔体積深さ(DELTA)は、20μm未満、例えば10μm未満、例えば5μm以下であり、等価の孔体積深さ(DELTA)は、孔の総体積(V)を、孔の開口部が分布される前側領域(A)で割ったものである、多孔性ユニットが提示される。
【0064】
以て、関連成分のそれぞれの濃度を伴う小さい副試料が獲得される。小さい副試料体積は、高速副試料交換を促進し、以て、多孔性ユニットの応答時間、および多孔性ユニットを使用した測定のサイクル時間を低減するために、望ましい。小さい副試料体積は、透光性素子の前側に近い全血試料内の血漿分画の境界層の逓減の効果を回避するために、さらに望ましい。そのような逓減効果はさもなければ、小さい静置試料において発生し得、このような試料においては、例えば、等価の孔体積深さが臨界値を超える場合、赤血球が、透光性素子の前側において境界層の方への全血試料の体積からの関連成分の効率的な拡散交換を妨害し得る。
【0065】
好ましくは、等価の孔体積深さDELTAは、少なくとも1μm、代替的に少なくとも2μm、または3μm~5μmの範囲内であり、等価の孔体積深さは、上記のように定義される。より大きい副試料体積は、より大きい副試料体積が血漿内の関連成分に関する光学的にプローブされた情報に寄与することから、より良好な信号対雑音レベルを達成するために望ましい。
【0066】
さらに、いくつかの実施形態によると、一方では、応答時間を減少させること、サイクル時間を減少させること、および/または小さい静置全血試料または液体において逓減効果を回避すること、ならびに他方では、必要とされるまたは所望される信号対雑音比、との間の有用な折衷案が、1μm~20μmの範囲内、好ましくは2μm~10μmの範囲内、または約4μm~5μmの等価の孔体積深さDELTAについて見出される。
【0067】
有利には、1つの実施形態によると、透光性素子は、透光性素子の裏側に付着される透光性の裏材によって支持される。以て、強化された機械的安定性が達成される。
一実施形態によると、多孔性ユニットであって、透光性素子の透明の裏材スライドが、外側空気と透明裏材スライドとの間の屈折率におけるシフトの効果を最小限にするために、前側表面に対して、60°に角度付けされた表面など、45°~75°に角度付けされた表面を伴って提供される(例えば、透光性素子の外側に90°の角がなく、角は、45°~75°、例えば、60°の表面を代わりに獲得するために“切り落とされる”)、多孔性ユニットが提示される。
【0068】
さらに、本発明による多孔性ユニットの1つの実施形態によると、透光性素子の裏側に付着される透明の裏材は、光源からの、および(光)検出器への光が、孔区域に到達する光のための増大された入射角を有するように、60°プリズム(すなわち、透光性素子の外側に90°の角がなく、角は、60°の表面を代わりに獲得するために“切り落とされる”)が、透明の裏材の外側に位置付けられるような厚さを有する。例えば、60°プリズムを有することの考えられる利点はまた、光が裏材の表面で反射され、そのため、出射光が検出器に到達する前に複数の反射が存在することになることが理由で、透光性素子の内側を進行する光の機会を増加させる。
【0069】
さらに、本発明による多孔性ユニットの1つの実施形態によると、孔の内壁面は、親水性であり、例えば、親水性コーティングで覆われる。以て、乾いた孔の液体による効率的な毛細管駆動の充填が達成される。さらには、親水性コーティングは、疎水性染料、ヘモグロビン、および他のタンパク質などの特定の疎水性物質が、孔の内側に堆積することを防ぎ、さもなければ、水溶液で洗い流すことが困難であるセンサの段階的な汚れをもたらすことになる。故に、高速および高信頼応答での液体中の分析物の検出のための改善されたデバイスが可能にされ得る。
【0070】
一実施形態によると、多孔性ユニットであって、孔の内壁面が親水性コーティングで覆われる、多孔性ユニットが提示される。
さらに、本発明による多孔性ユニットの1つの実施形態によると、光源は、透光性素子の裏側から、斜め入射の照明ビームを提供するために構成され、照明角度は、透光性素子の前側によって画定される基準面の面法線に対する入射ビームの角度と定義される。以て、増大した光学相互作用長が達成され、こうして、入射光が(光)検出器による検出のためにプローブ領域を出る前に、孔の内容物との入射光の相互作用を強化する。さらには、孔開口部を通じた液体内へのプローブ光の浸透は、孔開口部の低減された明白な断面、ならびに、孔開口部を通って、反射層の反対側の液体空間内へよりも、プローブ領域内へ光を広げる増大された散乱に起因して、防がれる。
【0071】
光源は、原則的に、本システムが機能するように孔内の分析物が光を吸収する領域において光を伝送する任意の光源であり得るが、好ましくは、光源は、平坦なスペクトル特徴を有するべきであり、すなわち、平坦な特徴がより良好な応答をもたらすことになるため、スペクトルは、ピーク振幅を含有しない。光源が、非平坦なスペクトルを有する場合、すなわち、光源が、ピーク振幅を有する場合、ピークにおけるわずかな変化が、吸光における変化として誤って解釈され得る。発光ダイオードが、サイズ、重量、効率性などに関するそれらの性質に起因して、多くの場合好ましい。さらに、本発明によるセンサの1つの実施形態によると、(光)検出器は、透光性素子の裏側から斜めに出射する光を収集するように構成され、検出角度は、透光性素子の前側によって画定される基準面の面法線に対する、検出器へ向かう出射光の伝搬の角度と定義される。検出器は、光学プローブ構成の光源による照明に応答して出射する光を収集するように構成される。透光性素子の裏側から斜めに出射する光を検出することは、全血試料から出射し、前側表面および1つまたは複数の層(存在する場合)を通ってプローブ領域内へ漏れる光からの検出信号への寄与を低減する。
【0072】
(光)検出器は、スペクトル全体において吸光を検出することができる光ダイオードまたは分光器であり得る。代替的に、アレイまたはダイオードが使用され得、各ダイオードは、異なる波長で光を発し、光ダイオードは、検出器として使用される。ダイオードは、異なる間隔で光を発するために多重化され得る。次いで、吸光は、光ダイオードによって検出される光と比較される、その特定の間隔にあるダイオードから発せられる光を比較することによって、見出される。
【0073】
さらに、本発明による多孔性ユニットの1つの実施形態によると、入射面および検出面は、面法線で交差して、少なくとも0度、および180度未満、好ましくは160度未満、好ましくは130度未満、または好ましくは約90度未満の方位角を包囲し、入射面は、照明ビームの方向および基準面への面法線によって張られ、検出面は、検出器へ向かう出射光伝搬の方向および基準面への面法線によって張られる。以て、プローブ領域を通過する前の光界面における部分反射からのグレアの検出信号への寄与は低減される。プローブ領域内で副試料と相互作用しなかった光のそのようなグレアは、関連情報を含まず、したがって、信号対雑音比に有害である。
【0074】
光学プローブ光は、任意の好適な光学プローブ構成によって実施され得る。そのような光学プローブ構成は、光のビームを透光性素子の裏側にだけ向け、光検出器の入力を照明領域へ向けることを含み得る。光学構成は、透光性素子内へのプローブ光の結合を改善し、検出器入力内への透光性素子から出射する光の結合を改善する、さらなる光学素子を含み得る。そのような光学素子は、透光性素子の裏側に直接的に付着/接着される1つまたは複数のプリズムおよび/またはレンズ構成を含み得る。好ましくは、結合光学系は、光学プローブの“反射”性に対応し、入ってくるプローブ光および検出された出射光は、透光性素子の前側表面の同じ側面に維持される。さらなる改善は、例えば、第1の端においてプローブ光を透光性素子内へ結合し、プローブ領域内の光が、透光性素子の前側表面に沿って透光性素子の前側に平行の方向に本質的に伝搬して孔を横断することを強いて、第1の端を横断し得るか、その反対側であり得る透光性素子の別の端から出射光を収集することによって、孔とのプローブ光の光学的相互作用を強化することにおいて見出され得る。
【0075】
光源が古くなると、それらは、例えば、発する光が少なくなるなど、特徴が変化し得るか、またはドリフトが、ピーク振幅に影響を及ぼし得る。これは、検出器が、透光性、例えば、透明の素子内の孔が、クリーンである、すなわち、光を吸収する孔内の分子を含有しないことが予期される状況において、透光性、例えば、透明の素子を通って受信される光を測定する、フィードバック較正プロセスを使用することによって補われ得る。受信される光の振幅が予期したものよりも小さい場合、光源へのフィードバックループは、光源の劣化を補うために、光源への電流または電圧が増大されることを制御し得る。代替的に、光源が特徴を変化させた場合、測定のときの実際の吸光の計算は、元の工場較正と比較して、発せられた光のこのような変化に対して調節し得る。
【0076】
一実施形態によると、多孔性ユニットであって、透光性素子は、透光性素子の前側における開口部に隣接して、孔の口部分に、孔の内側に配置される反射素子を備える、多孔性ユニットが提示される。
【0077】
反射素子は、各孔の開口部において開始し、かつ孔内へ延在する孔の内壁に対する反射コーティングとして適用される。しかしながら、孔の開口部近くの口部分のみが被覆される。孔の開口部の周りに反射素子を提供することは、液体チャンバからのプローブ光の光学的分離を改善し、以て、例えば、液体チャンバ内の全血試料中の赤血球からの、プローブされた信号への誤った寄与を防ぐ。反射コーティングは、以下に論じられるような任意の好適な金属であり得る。
【0078】
一実施形態によると、多孔性ユニットであって、反射素子は、開口部の近くの孔の口部分の外周の分画のみを被覆する反射コーティングとして提供され、該分画は、約70%以下、例えば50%以下である、多孔性ユニットが提示される。
【0079】
孔の外周を部分的にのみ被覆することによって、小さい反射体が、孔の内側の方を向く凹面に成形された反射表面を伴って各孔内に提供される。部分被覆は、例えば、透光性素子の前側が堆積の方向に対して傾斜された状態での金属層の方向性堆積によってもたらされ得る。透光性素子の前側の平面における孔の開口部は、シャドーマスクとして作用する。シャドーマスクは、孔の口領域内の、すなわち、開口部に近い、孔の外周内壁の一部への堆積だけを可能にする。以て、すべて同じ方向に配向される小さい凹面鏡素子のアレイが作成され得る。
【0080】
これらの小さい鏡素子を凹面に成形された側面から照明するとき、結果として生じる出射光は、優先方向に向けられる。この優先方向に検出器を置くことによって、他の方向と比較して、およびそのような追加の小さい方向性鏡素子なしの実施形態と比較して、改善された信号対雑音比が達成される。
【0081】
小さい鏡素子、すなわち、方向性特徴を有する反射素子を伴ういくつかの実施形態によると、方向性特徴なしの反射素子を伴う実施形態と比較して、約3倍の出射光の強度の増加が観察される。加えて、驚くことに、孔の口部分において孔の内面に適用される小さい鏡素子を使用するとき、例えば、吸光度をプローブするとき、関連信号の約50%以上のさらなる増加が発生することが観察された。したがって、これは、少なくとも約4~5倍のS/N比における驚くべき全体的な改善を結果として生じる。
【0082】
典型的には、小さい鏡素子は、中心鏡面に対して対称である。有利には、入射光ビームによって決定されるような入射面、および検出の方向によって決定されるような検出面もまた、この中心鏡面に対して対称に配置される。1つの単純化された実施形態によると、入射面および検出面は、合致し、小さい鏡素子の中心鏡面に平行である。
【0083】
有利には、1つの実施形態によると、反射素子は、金属で作製される。そのような金属コーティングは、比較的高い費用効率でありながら、適切な反射性を用いたよく制御された様式で適用され得る。
【0084】
有利には、1つの実施形態によると、反射素子は、白金、パラジウム、または主成分として白金もしくはパラジウムを含む合金で作製される。これらの材料は、例えば、吸光度プローブによる遊離ヘモグロビンの検出に関連する電磁スペクトルのスペクトル範囲(濃紫~青)において良好な反射性を呈する。さらには、これらの材料は、生体適合性であり、例えば、人工的な溶血をもたらさない。さらには、これらの材料は、化学的に安定しており、全血試料の化学的環境にある。
【0085】
代替的に、いくつかの実施形態によると、反射素子は、銀またはアルミニウムで作製され得る。さらに有利には、いくつかの実施形態によると、孔の方を向く反射素子の表面は、追加の保護被膜層によって封入され、以て、特に、反射素子のための材料として銀またはアルミニウムを使用するとき、デバイスの寿命を強化する。好適な保護被膜は、好ましくは透明にされ、孔の開口部を邪魔しないように十分に薄くなければならない、SiOの薄層で作製され得る。これらの材料はまた、関連スペクトル範囲内で良好な反射性を提供し得、生体適合性であり、環境において化学的に安定している。
【0086】
有利には、1つの実施形態によると、反射素子の厚さは、使用される金属に応じて10nm~100nmである。そのような層厚は、透光性素子の前側における孔の開口部の詰まりなしに蒸発技術によって反射素子を適用することを可能にする。
【0087】
有利には、1つの実施形態によると、検出器は、分光光度計を含み、光学プローブデバイスは、透光性素子内のプローブ領域から出射する光の分光光度分析のために構成される。これは、プローブ領域内の副試料から出射する光における1つまたは複数の関連成分の分光的特徴を分解することを可能にする。
【0088】
さらに、特に有利な実施形態によると、光学プローブデバイスは、吸光度を測定するために構成される。以て、驚くほど著しい信号が、比較的単純な光学的設定で獲得される。これは、血液分析器システムなど、より複雑な分析設定とのセンサの容易な統合を可能にする。
【0089】
いくつかの光学的に活性の成分は、血液、例えば、ビリルビン、二酸化炭素(CO)、Patent Blue V、無細胞ヘモグロビン、およびメチレンブルーにおいて見出され得る。多孔性ユニットは、平常な成人ビリルビン濃度および/または溶血試料中の無細胞ヘモグロビンを報告することができるほど十分に高い感度でビリルビンおよび/または無細胞ヘモグロビンを検出することを可能にする。染料Patent Blue Vは、リンパ管を色付けするために、リンパ管造影およびセンチネルリンパ節生検において使用され得る。それはまた、歯の歯垢を示すための染色剤として、歯垢染め出しタブレットにおいて使用され得る。メチレンブルーは、患者内の高メトヘモグロビン濃度に対する治療、およびいくつかの尿路感染症の治療において使用される。
【0090】
多孔性ユニットからの結果として生じるスペクトルを分析するとき、全血または血漿からの吸光スペクトルが、シフトした、例えば負または正の、ベースラインを有することが明らかになった。負のベースラインは、リンスと比較して、全血または血漿について測定するとき、検出器の方への入ってくる光のより高い割合を反射する多孔性ユニットによって引き起こされる。この効果は、ヘモグロビンが吸光しない高い波長(600~700nm)で見られ得る。この効果は、リンスと比較して、血漿内の高いタンパク質含有量によって引き起こされるより高い屈折率から生じる。この効果は、ヘモグロビンピーク波長(416nm)で約15mAbsを有するヘモグロビンと比較して、約5mAbsである(吸光度Absは、光単位であり、1Absは、元の光強度の10%への減衰を引き起こし、mAbsは、ミリAbsを指す)。光源からの光強度の基準決定を利用する検出器では、約1~5g/Lの検出限度で、全血試料の血漿分画の総タンパク質(ヒト血清アルブミン、HSA)含有量を検出することが可能である。
【0091】
多孔性ユニットは、発色/色消耗アッセイのための読み取りデバイスとして使用され得る。アッセイの前に血漿を産生する必要がないということが利点である。
以下のタイプのアッセイが、多孔性ユニットと共に使用され得る:
・受容体リガンドが膜チャネルの内側で結合される、サンドイッチアッセイ。
・一部が孔内で結合されるアッセイ、例えば、色付き複合体を特にアルブミンを用いて形成するためにブロモクレゾールグリーンを使用する、ブロモクレゾールグリーンアルブミンアッセイ。620nmで測定される色の強度は、液体中のアルブミン濃度に正比例する。
・アスパラギン酸塩からα-ケトグルタル酸へのアミノ基の転移が、グルタミン酸の生成を結果としてもたらし、存在するAST酵素活性に比例する比色分析(450nm)生成物の生産が結果として生じる、例えば、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)活性アッセイキットとしての、酵素活性アッセイ。
【0092】
多孔性ユニットはまた、ビール醸造、廃水分析、食品試験、および染料生産など、非医療応用に使用され得る。ビール醸造においては、精密な色が所望される。多孔性ユニットは、液体を測定し、正しい色の液体による読み取りと比較することによって、ビールが所望の色を有するか否かを決定するために使用され得る。廃水は、ある成分の存在または不在について分析され得る。ミルク、ジュース、および他のスラリーなどの液体の食品試験においては、多孔性ユニットは、ある成分または分析物の存在または不在についての分析のために使用され得る。他の化学反応器、例えば、染料産業は、それらの液体について所望の色、内容物、または他の化学的性質を獲得するために多孔性ユニットを使用し得る。
【0093】
有利には、いくつかの実施形態によると多孔性ユニット、または多孔性ユニットを備える血液分析システムは、液体中の分析物レベルの定量的尺度を展開するために検出器によって生成される信号を既定の較正基準と比較するように構成されるプロセッサをさらに備える。
【0094】
さらに有利には、いくつかの実施形態によると、較正基準は、タルトラジン染料を含む水溶液など、染料ベースの較正溶液について獲得される。好ましくは、染料ベースの水溶液は、タルトラジンなどの較正染料を追加した典型的なリンス液から調製される。
【0095】
一実施形態によると、多孔性ユニットであって、透光性素子は、任意の界面効果を無視することなど、材料を通過する光の、任意選択的に部分的または全体的に拡散する透過係数が、100マイクロメートルの材料を通る長さの場合は少なくとも50%である、例えば、材料の長さを通らない光の割合が、少なくとも、400~520nmなどの380nm~750nmの範囲内、例えば400~460nmの範囲内、例えば415~420nmの範囲内、例えば415nmもしくは約415nm、または416nmもしくは約416nm、または450nmもしくは約450nm、または455nmもしくは約455nmの1つの波長の場合、100マイクロメートルの50%以下、例えば100マイクロメートルの40%以下、例えば100マイクロメートルの20%以下、例えば100マイクロメートルの10%以下、例えば100マイクロメートルの5%以下であるように減衰係数を有する材料を含む、例えば主に含む、例えば50w/w%以上含む、例えばこれからなる、多孔性ユニットが提示される。これは、単純な様式で、透光性素子の透光性の性質を得ることを可能にし得る。
【0096】
一実施形態によると、多孔性ユニットであって、光に対する非反射性は、入射光が、少なくとも、400~520nmなどの380nm~750nmの範囲内、例えば400~460nmの範囲内、例えば415~420nmの範囲内、例えば415nmもしくは約415nm、または416nmもしくは約416nm、または450nmもしくは約450nm、または455nmもしくは約455nmの1つの波長の場合、透光性素子を通る方向、例えば透光性素子からの方向に入ってくるとき、法線入射など、少なくとも1つの入射角で、反射係数が、1つまたは複数の層から0.95未満、例えば0.9未満、例えば0.8未満、例えば0.7未満、例えば0.6未満、例えば0.5未満、例えば0.4未満、例えば0.3未満、例えば0.1未満、例えば0.01未満であることを必然的に伴う、多孔性ユニットが提示される。
【0097】
一実施形態によると、導光コアを備える光学アセンブリをさらに備える多孔性ユニットであって、導光コアは、入力分岐、出力分岐、および前側と反対の透光性素子の裏側(4)に接触するように配置される結合界面を備え、例えば、入力分岐および出力分岐は、前側表面に垂直に配置される共通導波面に配置される、多孔性ユニットが提示される。任意選択的に多孔性ユニットの裏側に結合される光学アセンブリは、本文内の他の場所にも開示されるなど、多孔性ユニットの裏側から(裏側から前側へ向かう方向に入る孔への入射プローブ光、および、前側から裏側への方向に発せられる、孔から光検出器へ発せられる光など)、孔内の、液体などの流体に対して、選択的な光学測定など、光学測定を実施する(例えば、効率的な、単純な、および/または十分に制御された様式で実施する)ことを可能にし得る。光学アセンブリを多孔性ユニットの裏側に、結合、例えば剛結合させることの考えられる利点は、多孔性ユニットおよび光学アセンブリが、このとき、(センサ)システムから挿入および除去され得る、センサユニットまたはセンサカセットなどのユニットまたはカセットを一緒に形成し得、例えば、多孔性ユニットの摩耗および/または汚染(孔の汚染など)に伴う問題を、交換によって、効率的な様式で克服することを可能にし得る消耗品を形成し得、1つまたは複数の周辺機器、例えば、光源および/または光検出器などの受信ユニットなど、光学周辺機器との統合、例えば、効果的な統合が、光学アセンブリを介して可能にされ得る、および/または促進され得ることであり得る。一実施形態において、光学アセンブリは、参照により本明細書にその全体が組み込まれる国際特許出願第WO2021123441A1号に説明される(それは、光学部分組立品と称される)ようなもの、例えば、図1図9および上記出願の添付の文章に説明されるようなものであり、これらは参照により追加的に具体的に本明細書に組み込まれる。入力および出力分岐は、透光性素子の裏側など、光学アセンブリと透光性素子との間の結合界面の方へ向けられ得る。
【0098】
一実施形態によると、軸方向を画定する流路によって貫通されるハウジングをさらに備える多孔性ユニットであって、流路は、試料空間を備え、前側を伴う多孔性ユニットが、液体が試料空間内にあるときなど、液体に接触するためのセンサ表面を画定するように配置され、センサ表面は、試料空間の方を向き、例えば、孔は、試料空間との拡散液体連通のために液体中の分析物に関して構成される、多孔性ユニットが提示される。多孔性ユニットの前側など、多孔性ユニットに任意選択的に剛結合される、そのようなハウジングを有することの考えられる利点は、多孔性ユニットおよびハウジング(および任意選択的に、さらに光学アセンブリ)が、このとき、(センサ)システムから挿入および除去され得る、センサユニットまたはセンサカセットなどの、ユニットまたはカセットを一緒に形成し得、例えば、多孔性ユニットの摩耗およびまたは汚染(孔の汚染など)に伴う問題を、交換によって、効率的な様式で克服することを可能にし得る消耗品を形成し得、1つまたは複数の周辺機器、例えば、(マイクロ)流体システム(および光学アセンブリの場合は光学周辺機器)との統合、例えば、効果的な統合が、光学アセンブリを介して可能にされ得る、および/または促進され得ることであり得る。一実施形態において、ハウジング(および任意選択的に、光学アセンブリ)は、参照により本明細書にその全体が組み込まれる国際特許出願第WO2021123441A1号に説明される(光学アセンブリは、おそらくは光学部分組立品と称される)ようなもの、例えば、図1図9および上記出願の添付の文章に説明されるようなものであり、これらは参照により追加的に具体的に本明細書に組み込まれる。
【0099】
一実施形態において、光学アセンブリおよび任意選択的にハウジングを有する多孔性ユニットは、第2の態様によるシステムの部分を形成し得るコヒーレントユニットなど、カセットを形成し、例えば、カセットは、動作可能に、および可逆的に(任意選択的に非破壊様式で)システムの残部に接続され得る。さらなる実施形態において、カセットおよびシステムの残部は、可逆性摩擦ばめなど、中間ばめによって、接続され得る。‘中間ばめ’とは、部品が一緒に保持されるはめ合いが固く保持されるが、分解されること、例えば、器具なしで分解されること、例えば、普通の人など、人間の手によって分解されることができないほどには固くないと理解される。さらなる実施形態において、設備の異なる部分は、以下のうちの1つもしくは複数またはすべてなど、機械的係止部材によって一緒にされる:ピン(スプリットピン、またはばねピンなど)、クリックロック(一つの部分に位置付けられたばね荷重係合部材が、組み立ての際に別の部分の空洞または縁と係合し、そのため、ばね力が分解の前に弱められなければならない、ロックなど)、ディテントボール、トミーねじまたはウイングねじなどの手で操作可能なねじ。機械的係止部材のいずれかは、部品を一緒に保持する機能を果たし得ること、しかしながら、機械的係止部材のいずれかは、任意選択的に、普通の人など、人間の手によってなど、器具なしに弱められる、または取り外され得ることが理解され得る。
【0100】
本発明の第2の態様によると、第1の態様による多孔性ユニットを備えるシステムであって、
透光性素子内の少なくとも孔を照明するように適合される1つまたは複数の光源、および/または
1つまたは複数の光源などの1つまたは複数の光源による照明(11)に応答して孔から出射する光(21)を受信するように配置され、また受信した光を表す信号を生成するように適合される、光検出器をさらに備える、システムが提示される。
【0101】
‘透光性素子内の少なくとも孔を照明するように適合される1つまたは複数の光源’とは、十分な光(またはより具体的には、関連波長範囲内の、または分析物を光学的にプローブすることを可能にする、十分なスペクトル束)を提供することができる任意の光源など、任意の光源と理解される。1つまたは複数の光源は、例えば、白熱光源(タングステン電球など)、蛍光光源(水銀灯など)、LED光源、またはLASER光源(アルゴン-イオンガスレーザなど)を含み得る。
【0102】
‘光検出器’は、例えば、信号を電気的におよび/またはデジタルで出力する、電動式の光検出器など、当該技術分野において共通であるように理解される。‘光検出器’は、複数の(下位の)光検出器を含み得る、または包含し得ることがさらに理解され得る。‘検出器’は、一般的に、‘光検出器’と理解され、用語‘検出器’および‘光検出器’は、同意および同義に使用される。
【0103】
一実施形態において、本システムは、光学アセンブリおよび任意選択的にハウジングを備える多孔性ユニットを備え、例えば、上記多孔性ユニットは、システムの残部と動作可能に、および可逆的に接続可能であるカセットである。
【0104】
一実施形態において、液体を分析するためのシステムであって、
液体を供給および排出するための入口および出口ポートを有する液体チャンバと、
液体中の分析物のレベルを表す第1の信号を提供するように適合される第1の検出器(または検出ユニット)と、
1つまたは複数のさらなる検出器(または検出ユニット)であって、各々のさらなる検出器(または検出ユニット)が、液体中の分析物を表すそれぞれのさらなる信号を提供するように適合される、1つまたは複数のさらなる検出器と
を備え、
第1の検出器(または検出ユニット)およびさらなる検出器(または検出ユニット)は、第1の信号および1つまたは複数のさらなる信号を同じ液体から獲得するように動作可能であり、
第1の検出器(または検出ユニット)は、第1の態様による分析物の光学検出のための多孔性ユニットを備えるなど、多孔性ユニットとして構成される、システムが提示される。
【0105】
上で既に論じたように、この設計によって、孔が、単に多孔性ユニットの前側表面を液体と接触させることによって、代表的な量で血漿の関連成分を含む副試料で前側から充填され得ること、および故に、抽出された副試料が簡便に光学的にプローブされ得ることが達成される。関連成分は、全血試料の血漿相内に存在する、およびセンサを使用して測定/検出されることができる物質であり得る。血漿相の代表的な副試料は、全血試料から抽出され、拡散および/または毛細管力により孔内へ移動され得る。同様に上で論じたように、孔は、好ましくは、血液分析器においてリンス、較正、および/または品質制御目的のために一般的に使用される水溶液など、血漿相と親和性のある液体で予充填される。好適な溶液の非限定的な例は、以下にさらに提供される。そのような既知の液体で孔をプライミングすることは、血漿中の関連成分を表す副試料を拡散のみによって孔内へ抽出することを可能にする。
【0106】
有利には、本発明の一態様によると、液体中のビリルビンおよび/または無細胞ヘモグロビンなどの分析物を光学的に検出する方法は、以下に詳述されるように提供される。本方法は、分析物を検出するための多孔性ユニット、またはそのような多孔性ユニットを備えるシステムのそれぞれの実施形態に関して上で論じたようなものと同じ利点を少なくとも達成する。
【0107】
一実施形態によると、システムであって、本システム、例えば、血液ガス分析器である上記システムは、以下:
二酸化炭素、例えばCO
酸素、例えばO、および
pH
のうちの1つまたは複数もしくはすべての液体試料中の濃度を測定するためにさらに配置される、システムが提示される。
【0108】
そのような(血液ガス分析器)装置を有する利点は、さらなる関連液体(血液)試料パラメータを提供することを可能にすることであり得、例えば、出力を介して、ユーザ(専門家ではないユーザでさえ)は、再試験が必要であり得るなど、例えば、1つまたは複数の分析物が高い(高すぎる)無細胞ヘモグロビン干渉臨界と関連付けられ得るかどうかを通知され得る。利点は、例えば、それが、高速の応答時間、専門家ではないユーザへの関連出力、および複数のパラメータのうちの1つもしくは複数またはすべてが特に関連し得るポイントオブケア試験のための関連ソリューションを提供することであり得る。
【0109】
一実施形態によると、システムであって、本システムは、前側の、裏側に対向する側から、孔の内側に配設される液体を光学的にプローブするために配置される、システムが提示される。考えられる利点は、光が、孔の外側の液体内の成分からの光学プローブ信号への寄与(その汚染など)をもたらしていた可能性のある、孔へのおよび/または孔からの道中に孔の外側(前側の前など)の液体を横断しなければならないということを回避することを可能にすることであり得る(孔は、それ自体が、孔に入るのに十分に小さい成分からのみ信号を獲得することを可能にする目的のため、液体を効果的にフィルタリングするのに有益であり得るということに留意されたい)。
【0110】
一実施形態によると、1つまたは複数の光源など、1つまたは複数の光源、および光検出器など、少なくとも光検出器の両方を備えるシステムであって、1つまたは複数の光源および光検出器の各々は、前側の、裏側と同じ側の、透光性素子の外側など、裏側に対向する側に置かれる、システムが提示される。これは、前側の、裏側に対向する側から孔の内側に配設される液体を光学的にプローブすることなど、単純および/または効率的なシステムを促進することに有利であり得る。
【0111】
一実施形態によると、システムであって、
1つまたは複数の光源は、前側の、裏側に対向する側から、透光性素子内の少なくとも孔を照明するように適合され、および/または
光検出器は、1つまたは複数の光源などの1つまたは複数の光源による照明に応答して発せられるなど、孔から出射する光を受信するように配置され、光検出器は、裏側を向く方向に前側から離れる方向において孔から発せられた、例えば主に発せられた、受信した光を表す信号を生成するように適合される、システムが提示される。
【0112】
これは、前側の、裏側に対向する側から孔の内側に配設される液体を光学的にプローブすることなど、単純および/または効率的なシステムを促進することに有利であり得る。
一実施形態によると、システムであって、
1つもしくは複数の光源は、例えば、前側の、裏側に対向する側から、透光性素子内の少なくとも孔を照明するように適合され、孔に到達する1つもしくは複数の光源からの光は、孔と流体接続されており、前側の、裏側とは反対の側など、透光性素子の外側にある、体積を横断している必要はなく、および/または
光検出器は、1つもしくは複数の光源などの1つもしくは複数の光源による照明に応答して発せられるなど、孔から出射する光を受信するように配置され、光検出器は、受信した光を表す信号を生成するように適合され、孔から出射して光検出器に到達する光は、孔と流体接続されており、前側の、裏側と反対の側など、透光性素子の外側にある体積を横断している必要はない、システムが提示される。考えられる利点は、光が、孔へのおよび/または孔からの道中に孔の外側(前側の前など)の液体を横断しなければならないということを回避することによって、孔の外側の液体内の成分からの光学プローブ信号への寄与(その汚染など)は、低減され得る、最小限にされ得る、または除去され得ることであり得る(孔は、それ自体が、孔に入るのに十分に小さい成分からのみ信号を獲得することを可能にする目的のため、液体を効果的にフィルタリングするのに有益であり得るということに留意されたい)。
【0113】
一実施形態によると、システムであって、本システムは、孔内の液体の吸光度など、(任意選択的に分光的に分解された)吸光度を測定するために構成される、システムが提示される。これの利点は、それが、孔内の液体中の分析物の情報、例えば、濃度の情報を、単純なやり方で獲得することを可能にすることであり得る。
【0114】
本発明の第3の態様によると、液体中、例えば全血中、例えば全血試料中の分析物を光学的に検出するための方法であって、
第2の態様によるシステムなど、第1の態様による多孔性ユニットを提供するステップと、
多孔性ユニットの前側を液体と接触させるステップと、
裏側に対向する前側の側面から、孔の内側に配設される液体を光学的にプローブするステップと(例えば、入射プローブ光は、裏側から前側への方向において、透光性素子の前側と平行の、またはこれに向かう方向に進行することによって、孔に到達し、そのため、入射光の方向を規定するベクトルは、前側から裏側への方向と平行である成分を有さない)、
光学プローブの結果に基づいて、液体の分析物濃度を確立するステップと、を含む、方法が提示される。
【0115】
いくつかの実施形態によると、液体中の分析物を光学的に検出する方法は、上に開示されるような多孔性ユニットを提供するステップ、孔を基準液で充填するように多孔性ユニットを基準液と接触させるステップ、多孔性ユニットの前側を液体と接触させるステップ、液体中の分析物の孔内への拡散を可能にして安定化させるために拡散時間の間待機するステップ、孔の内側の液体を光学的にプローブするステップ、および光学プローブの結果に基づいて、液体の分析物レベルを確立するステップを含む。好ましくは、基準液は、液体と、ならびに特に、リンス、較正、および/または品質制御のための液体など、孔に入り得る液体の分画と親和性がある、水溶液である。いくつかの実施形態において、液体を導入する前にユニットの前側を基準液と接触させるステップを省略することが想起され得る。しかしながら、このステップを含むことにより、非常に効率的であり、驚くほど高速な検出応答および測定のための驚くほど短いサイクル時間をもたらす、純粋な拡散による副試料抽出が可能になる。最も有利には、分析物は、抽出した副試料内の代表的な量における分析物の存在に起因する色変化によって、孔内で光学的に検出される。
【0116】
有利には、いくつかの実施形態によると、光学プローブは、透光性素子を裏側からプローブ光で照明すること、およびプローブ光への光応答として透光性素子の裏側から出射する光の分光光度分析を実施することを含む。
【0117】
有利には、いくつかの実施形態によると、光学プローブは、吸光度を測定している。
有利には、いくつかの実施形態によると、本方法は、液体中の分析物レベルの定量的尺度を展開するために、光応答を既定の較正基準と比較するステップをさらに含む。
【0118】
さらに有利には、本方法のいくつかの実施形態によると、較正基準は、タルトラジン染料を含む水溶液など、染料ベースの較正溶液について獲得される。好ましくは、染料ベースの水溶液は、タルトラジンなどの較正染料を追加した典型的なリンス液から調製される。
【0119】
一実施形態によると、方法であって、分析物は、
無細胞ヘモグロビン、
ビリルビン、および/または、
総タンパク質含有量である
方法が提示される。
【0120】
一実施形態において、方法であって、液体は全血試料であるか、液体は全血試料の血漿相である、方法が提示される。
一実施形態によると、方法であって、
基準液で孔を充填するように、例えば、拡散によって孔を充填するように、多孔性ユニットを基準液と接触させるステップ、および/または
液体中の分析物の、孔内への拡散を可能にして安定化させるために拡散時間の間待機するステップをさらに含む、方法が提示される。
【0121】
ポイントオブケア測定システ(当該技術分野においては‘ベッドサイト’システムとも称される)および同様の研究室環境の文脈において、血液ガス分析は、多くの場合、例えば、血液ガス分析器の使用に関して訓練を受けたユーザではない場合のある、看護師などのユーザによって行われる。
【0122】
本発明の別の態様によると、全血試料中など、液体、例えば全血のポイントオブケア(POC)分析のための本発明の第2の態様によるシステムの使用の使用が提示される。
POC測定は、当該技術分野において‘ベッドサイト’測定とも称される。本文脈において、用語‘ポイントオブケア測定’は、患者に近接して実行される測定、すなわち、研究室で実行されない測定を意味すると理解されるべきである。故に、この実施形態によると、血液ガス分析器であるシステムなどのシステムのユーザは、血液試料が採取される患者に近接して、例えば、患者のベッドを収容する病室もしくは病棟内で、または同じ診療科の近くの室内で、ハンドヘルド血液試料容器内の全血試料の測定を実施する。そのような使途では、ユーザの専門知識のレベルは、多くの場合、新人から熟達者まで様々であり、故に、センサ入力に基づいて各々個々のユーザのスキルに一致する命令を自動的に出力する血液ガス分析器の能力は、そのような環境において特に有益である。
【0123】
代替的な発明によると、光学プローブによる液体中の分析物の検出のための多孔性ユニットであって、
前側、および前側と反対を向く裏側を有する透光性素子を備え、前側は、
i.液体と直接的に接触されるように適合されるか、または
ii.透光性素子の前側における1つまたは複数の非金属層によって、液体から排他的に分離されるなど、液体から分離されるように適合され、
透光性素子は、孔を含み、孔は、それらを前側において液体と流体接続するそれぞれの開口部から透光性素子内へ延在する非貫通孔であり、
孔の開口部の断面寸法は、液体中の分析物が拡散により孔へ入ることを可能にしながら、より大きい粒子または細片が孔に入ることを防ぐように寸法決定される、多孔性ユニットが提示される。
【0124】
(この代替的な発明の)考えられる利点は、金属反射が回避されることである(金属反射は、例えば、界面の各側面の材料が非金属である界面における内部反射などの内部反射に対いて、比較的乏しい場合があるということに留意されたい)。
【0125】
本発明の第1、第2、および第3の態様は各々、他の態様のいずれかと組み合され得る。本発明のこれらおよび他の態様は、以後説明される実施形態を参照して、明らかにされ、解明される。
【0126】
本発明による多孔性ユニット、システム、および方法は、ここで、添付の図に関してより詳細に説明される。図は、本発明を実装する1つのやり方を示し、添付のクレームセットの範囲内に入る他の考えられる実施形態に限定するものと解釈されるべきではない。
【0127】
本発明の好ましい実施形態は、添付の図面に関連してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0128】
図1図1は、動作条件下の、1つの実施形態による多孔性のユニットデバイスを概略的に示す図である。
図2図2は、1つの実施形態による、追加の反射素子を伴った、孔の断面詳細を概略的に示す図である。
図3図3aおよびbは、さらなる実施形態による、追加の反射素子を伴った、孔の詳細の2つの断面側面図を概略的に示す図である。
図4図4は、測定セルの断面側面図を概略的に示す図である。
図5図5は、図4の測定セルの上部立面図である。
図6図6aは、さらなる実施形態による、透明の裏材の外側にプリズム様を有する測定セルの断面側面図を概略的に示す図である。図6bは、さらなる実施形態による、透明の裏材の外側にプリズム様を有する測定セルの断面側面図を概略的に示す図である。
図7図7は、図6aの測定セルの上部立面図である。
図8図8は、血漿中のビリルビンの反応の例を示すグラフである。
図9図9は、COおよびHOのIRスペクトルを示すグラフである(2016年11月8日のhttp://www.randombio.com/co2.htmlから取得される)。
図10図10は、分光光度測定のための較正および品質制御基準として染料(タルトラジン)を使用する例を示すグラフである。
図11図11は、ヒト全血中のタンパク質(HSA)の異なる濃度に対する反応の例を示すグラフである。
図12図12は、多孔性ユニットのための時間的に分解された信号を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0129】
図1は、1つの実施形態による多孔性ユニット1の断面図を概略的に示す。多孔性ユニット1は、前側3および裏側4を伴う透光性素子2を備える。前側3には、内部反射を可能にする1つまたは複数の層5が提供される(潜在的な実施形態において、1つまたは複数の層は存在せず、代替の実施形態において、1つまたは複数の透光性の層が存在し、またさらに別の代替の実施形態において、1つまたは複数の吸光層が存在する)。透光性素子2は、前側3における開口部7から、1つまたは複数の層5を通って、透光性素子2のバルク内へ延在する非貫通孔6をさらに備え、透光性素子2のバルクにおいて非貫通孔6は終端する。図1の概略図ではそのように示されるが、孔は、前側3に垂直、または互いに平行である必要はない。動作下で、孔開口部7を有する多孔性ユニットの前側3は、液体99と接触される。液体は、赤血球または粒子98を含む細胞分画または特定の分画、および検出されるべき関連成分、ここでは分析物96を有する血漿分画/液体分画97を有し得る。孔6の開口部7の断面寸法は、分析物96が孔6に入ることを可能にしながら、赤血球または粒子98が孔6に入ることを防ぐように寸法決定される。
【0130】
孔6は、液体99と、特に液体分画97と親和性のあるリンス溶液8で予充填され得る。液体99が、予充填された孔6を有する多孔性ユニット1の前側3に接触するとき、分析物96の孔6内への拡散移動が発生し、以て、液体99中の分析物96の濃度を表す分析物96の濃度を有する孔6の内側の副試料9を確立する。
【0131】
孔6を予充填するために使用されるリンス溶液8は、液体99と親和性のある任意の水溶液であり得る。好適なリンス溶液は、血液パラメータ分析器において、リンス、較正、および/または品質制御目的のために一般的に使用されるものを含む。そのような溶液組成は、典型的には、有機緩衝剤、無機塩、界面活性剤、防腐剤、抗凝固剤、酵素、着色剤、および時として代謝産物を含む。光検出は、光源10および検出器20を伴う光学プローブ構成を使用して裏側から実施される。光源10は、液体99とは反対を向く1つまたは複数の層5の側から、透光性素子2の多孔性部分におけるプローブ体積を照明する。プローブ光11は、孔6内の副試料9と相互作用する斜め入射ビームである。出射光21は、斜角でプローブ領域を見るように同様に配置される検出器20によって検出される。検出器20は、出射光を表す信号を生成し、孔6内の副試料9との相互作用に起因して、特に分析物96の濃度に関する情報を含む。生成した信号を処理することにより、液体中の分析物のレベルを展開することが可能である。較正を使用すると、液体中の分析物のレベルは、定量的であり得る。以下の例におけるすべての測定について使用される光学プローブ技術は、例えば、約380nm~750nm、約400nm~520nmの範囲内、または455nmもしくは約455nmの波長を用いた、電磁スペクトルの可視範囲内の分光的に分解された吸光度測定を使用する。
【0132】
測定サイクルは、孔6を予充填するために使用されるリンス溶液8などのリンス溶液で液体を洗い流すことによって締めくくられる。以て、センサデバイスは、再び初期化され、次の液体を受容する準備が整う。
【0133】
図2は、さらなる実施形態による多孔性ユニットの詳細を示す。透光性素子2内の単一の孔6が概略的に示される。孔6は、孔6の開口部7における口部分内への反射材料の堆積により作成される反射カラー51の形態にある反射素子を含む。
【0134】
図3aおよび図3bは、依然としてさらなる実施形態による多孔性ユニットの詳細の2つの断面図を示す。再度、透光性素子2内の単一の孔6が概略的に示される。孔6は、孔6の開口部7における口部分内への反射材料の方向性堆積により作成される小さい鏡素子52の形態にある反射素子を含み、鏡は、図3aおよび図3bの2つの図に示されるように開口部/口部分の外周の分画のみを被覆する。小さい鏡素子52は、孔の内側から見ると凹面である。好適な反射材料、好ましくは金属の、傾斜した多孔性の透光性素子2上への方向性蒸発により、小さい鏡素子を作成すること(任意選択的に、透光性素子の前側表面上での反射層のエッチングまたはグラインディングが後に続く)により、すべての鏡素子52は、同時に形成され、同じ方向を指している。以て、出射光21の優先方向は、プローブ光11が小さい鏡素子52の凹側から入射するときに達成される。結果として、優先方向に出射する光から生成される信号の信号対雑音比は、かなり改善される。
【0135】
以下に提供されるすべての例は、透光性素子2の前側3において30nmの厚さを有する1つまたは複数の層5が獲得されるまで、前側3上の面法線に対して25度の傾斜角度で蒸発の方向による、透光性の高分子素子2の前側の上へのPdの方向性スパッタ蒸発によって獲得されるような追加の小さい鏡素子を伴うセンサ構成を使用して測定されている。透光性素子2は、透光性の、好ましくは透明の、高分子材料で作製され、本質的に円形断面を有するトラックエッチングされた非貫通孔6を有する。孔は、体積で15%の多孔性で分散される直径400nmおよび深さ25μmの開口部7を有する。一緒に、所与の前側表面積Aにわたって分散される孔は、総体積Vを有し、等価の孔体積深さDELTA=V/Aを有する。以下に提供される例における測定のために使用される上で指定した液体の場合、等価の孔体積深さDELTAは、約4μmである。
【0136】
図4および図5は、測定セル100を概略的に示し、測定セル100は、多孔性ユニット1を、その前側3が測定セル100の内側の液体体積101内へ対向する状態で含み、例えば、測定セル100は、ハウジングであり、液体体積101は、試料空間である。液体体積は、液体を供給および排出するため、ならびにプライミング、リンス、および洗い流しステップを実施するための、液体入力および出力ポート(図示せず)と連通する。多孔性ユニットの裏側は、多孔性ユニット1の裏側4からプローブ領域への光学アクセスのための窓としても作用する、透明の裏材スライド30によって機械的に安定化される。光学プローブは、図1に関連して上に説明されるような光源10および検出器20を伴う構成を使用して実施され、プローブビームおよび検出の方向は、多孔性ユニット1の前側3の面における面法線へのそれぞれの角度で傾斜される。さらには、図5において最もよく分かるように、入射プローブ光11の面および検出21の面は、好ましくは、グレア効果を回避するために180度未満の角度で、および好ましくは約90度以下の尖った角度で互いと交差する。下に提供される例の測定において、入射プローブ光11の面および出射光21の面は、小さい鏡素子52の対称面に平行の方向に対して対称に配置される。
【0137】
図6a、図6b、および図7は、多孔性ユニット1の透光性素子2の裏側4と直接接触状態にある透明の裏材スライド31を概略的に示す。入射プローブ光11が、60°プリズム32において表面を有する透光性素子2の裏スライド4に入るとき、空気と高分子との間の屈折率におけるシフトは、入射プローブ光11に影響を及ぼさず、光は、光の角度の変化なしに透光性素子2の孔6(見えない)に入り、出射光21は検出器20に到達する。図6bは、入射プローブ光11が、出射光21が検出器20に到達する前に、透明の裏材スライド31内で数回反射され得ることを示す。さらには、図7において最もよく分かるように、入射プローブ光11の面および出射光21の面は、好ましくは、グレア効果を回避するために180度未満の角度で、および好ましくは約90度以下の尖った角度で互いと交差し、プリズム32は、入射プローブ光11にも出射光21にも影響を及ぼさない。
【0138】
図1図4図5図6a、図6b、および図7において、孔は、透光性素子2の裏側4から光学的にプローブされ、すなわち、孔6への入射プローブ光11は、裏側4から前側3へ向かう方向に進行し、すなわち、裏側4から前側3への方向に裏側4を介して透光性素子2に入り、孔6から光検出器20などの受信ユニットへ発せられる光21は、前側から裏側への方向に、すなわち、前側から離れる方向に裏側から、発せられる。
【0139】
図1図4図5図6a、図6b、および図7において、入射光および発せられた光は、空気または空の空間内を伝搬するものとして描写されるが、実施形態において、上記入射光および発せられた光は、導光コアを備える光学アセンブリ内を伝搬し得、導光コアは、入力分岐、出力分岐、および前側3と反対の透光性素子2の裏側4に接触するように配置される結合界面を備え、例えば、入力分岐および出力分岐は、前側表面に垂直に配置される共通導波面に配置される。
【実施例
【0140】
以下において図8図11を参照すると、試験ラン測定のデータは、多孔性鏡の性能の異なる態様を例証する例として提供され、多孔性鏡は、透光性素子(例においては、スラブである)の前側に反射パラジウム層を含む多孔性ユニットに相当し、反射パラジウム層は、透光性素子の裏側から反射パラジウム層に到達する光を反射するように適合され、多孔性鏡からのデータは、本発明の実施形態による多孔性ユニットを理解するのに有用な例として提示される。
【0141】
これらの例の実験のために使用される多孔性鏡は、片面トラックエッチングされた線形孔が提供される総厚49μmの透明PETP膜から生産された。孔は、親水性PVP処理を施されて25μmの孔深さおよび0.4μmの孔直径を有する。面孔密度は、1.2E8/cmである。故に、孔は、PETP膜の片側に開口部を有する非貫通であり、透光性のスラブとして機能するPETP膜内へ本質的に半分のところで終了する。膜(透光性のスラブ)の多孔性の側は、25度の角度でパラジウムにより、および30nmのおよその層厚で、スパッタリングコーティングされる。これは、膜(透光性のスラブ)の多孔性の前側に金属コーティング、および孔の内側の片側に小コーティングを提供し、こうして、前側に向けて孔の開口部に隣接した孔の口部分に小さい凹面鏡を形成する。スパッタリングされた多孔性PETP膜は、孔内の小さな鏡の凹面が、光源からの導光と分光器入力からの導光との間の真ん中を指しているように、両面接着テープを使用して特注のキュベットへラミネートされる。およそ10μLのシリコンゴムの液滴が、膜上にピペットされ、次いでカバーガラスが、センサ膜(透光性のスラブ)の機械的な支持として膜の裏側に固定される。多孔性鏡は、液体、時間間隔、およびデータサンプリングの自動ハンドリングのための試験台に装着される。データ取得は、およそ3秒かかり、液体取得後14秒まで遅延される。
【0142】
試験台には、光源として2つの発光ダイオード(紫色および‘白色’LED)、および検出器として小型分光器が装備される。小型分光器内の標準スリットは、光および感度を増加させるために、125μmスリットと交換されている。測定が反射測定であるため、光源および検出器は共に、多孔性膜の裏側(非多孔性側)に置かれる。膜の多孔性金属コート側は、測定チャンバの内側に位置付けられ、故に、鏡および孔は、チャンバ内で液体に直接的に曝露される。2つの光ダイオードからの光は、光を多孔性鏡膜の小スポット(およそ2mm×2mm)へ集束させるために端部にレンズを有する共通の導光ファイバを通じて導かれる。デカルト座標を参照すると、膜の面(透光性のスラブの前側)は、座標系のZX面として規定され得る。光は、Y軸、すなわち、ZX面への面法線に対して(および、座標系のYZ面において)45°度で膜外側表面(透光性のスラブの裏側)に入る。検出器は、Y軸に対して60°の極角で位置付けられ、光源の入射面に対して(例えばYX面において)90°の方位角だけ、YZ面に対して回転される。Y軸に対する光入射および検出方向の比較的高い角度は、収集された光が孔内の副試料のより大きい長さを通って進行していることから、ヘモグロビンに対する改善された検出感度を結果としてもたらす。
【0143】
液体は、全血試料にビリルビンを混ぜることによって調製される。血漿に基づいた干渉溶液は、血漿に干渉物質を特定の値まで混ぜることによって調製される。血漿は、1500Gで15分の遠心分離によって産生される。基準として、試験されるすべての全血試料からの遠心分離導出された血漿の吸光スペクトルもまた、Perkin Elmer Lambda19 UV-Vis分光計上で測定される。
【0144】
スペクトル図8は、ビリルビンを含有する血漿を有するもの、および血漿のみを有するものという2つの流体についての分光的に分解された吸光度データを示す。約455nmの波長で、顕著なピークが観察され、異なる流体の吸光度最大値は、明らかに、ビリルビン中のそれらの含有量に従って線形に拡大する。
【0145】
スペクトル図9は、二酸化炭素(CO)および水(HO)の分光的に分解された赤外線データを示す。水と比較したCOの非重複ピークは、たとえ水が流体内に存在するとしても、CO含有量が、CO含有流体において本発明の多孔性鏡を使用して決定され得ることを示す。
【0146】
スペクトル図10は、染料ベースの較正溶液について獲得される、一連の分光的に分解された吸光度データ、および比較のために、リンス溶液について獲得されるデータを用いた例を示す。スペクトルは、互いの直後に連続サイクルで獲得された。染料ベースの較正溶液は、1Lのリンスあたり0.5gタルトラジンの追加を伴うリンス溶液である。一連の測定溶液は、以下の通り:第一に、リンス溶液、次いで、染料ベースの較正溶液、次いで、再びリンス溶液、再び同じ染料ベースの溶液、であり、一連の3つの連続した測定はすべて、リンス溶液に対して実施される。すべてのスペクトルが、同じスケール上に、および互いの上に、プロットされる。実験は、再度、獲得した結果の非常に良好な安定性および再現性を示す。さらにより重要なことには、データは、互いの上に合致する2つの染料ベースの溶液スペクトル、および同様に互いの上に合致する5つすべてのリンス溶液スペクトルの驚くほど明白な分離を示す。光学データはすべて、多孔性鏡のプローブ体積においてプローブされるということに留意されたい。これは、上述のタルトラジン染色されたリンス溶液など、染料ベースの分光光度較正溶液を使用するときにも、孔内の副試料の抽出および洗い流しのための非常に効率的かつ完全な拡散交換を示す。
【0147】
スペクトル図11は、リンスと比較して血漿中の高いタンパク質含有量によるより高い屈折率によって引き起こされる負のベースラインの分光的に分解された吸光度データを示す。多孔性鏡は、リンスと比較して、全血または血漿について測定するとき、検出器の方への入ってくる光のより高い割合を反射する。この効果は、全血中のヘモグロビンが吸光しない高い波長(600~700nm)で見られる。この効果は、ヘモグロビンピーク波長(416nm)で約10-15mAbsを有するヘモグロビンと比較して、約5mAbsである。約1~5g/Lの検出限度で全血試料のタンパク質(HSA)の含有量を検出することが可能である。2つの異なるHSA濃度(20%および8%)が測定され、高い方の濃度はまた、液体中の遊離(すなわち、赤血球の外側のヘモグロビン)により測定される。液体中のヘモグロビンの存在は、600nm未満のスペクトルの部分にのみ影響を及ぼす。600nmを上回ると、HSA含有量は、スペクトルに対する主たる影響であり、より負のベースラインほど、全血試料中のタンパク質含有量は高くなる。
【0148】
本発明のデバイスおよび方法は、幅広い態様による、ビリルビンおよび/または無細胞ヘモグロビンの検出に関して特に論じられているが、本明細書で論じられるデバイスおよび方法は、全血試料の血漿分画中または液体中の他の光学的に活性な物質の検出にも等しく適用可能であり、“光学的に活性という用語”は、分光学的光学プローブ技術によって直接検出され得る物質を指す。そのような物質は、代謝物質、医薬物質、薬物、またはビタミンを含み得るが、これらに限定されない。
【0149】
図12は、図8図11に提示されるデータを獲得するために使用される設定と同様である、および特に、多孔性ユニットが液体と直接的に接触状態にある(すなわち、1つまたは複数の層が存在しない)、設定についての、光学的に検出された(吸光度)信号を示す。すべてのスケールは線形である。水平軸は、秒単位の時間を示す。垂直軸は、光学(吸光度)信号を示す。すべての曲線は、時間発展(拡散)を示し、サブグラフは、左から右へ、それぞれ0、45、55、および65%のヘマトクリット(Hct)レベルを有する液体を示す。各サブグラフにおいて、4つの曲線(または4つの曲線を効果的に描写するマーカのセット)が示され、各々は、異なる波長に相当する(しかしながら、同じ4つの波長(WL1、WL2、WL3、およびWL4)が各サブグラフにおいて用いられる)。
【0150】
多孔性ユニットおよび設定は、図8図11に関して説明される多孔性鏡および設定と同様であるか、または同様であってもよく、特にその設定に対する変更は、多孔性ユニットが液体と直接的に接触状態にあるなど、多孔性ユニットの前側に1つまたは複数の層がないこと(および特に、反射、金属、パラジウム層がないこと)を含む。
【0151】
多孔性鏡(前側に反射、金属、パラジウム層を有する透光性素子など)と比較して、多孔性ユニット(液体と直接的に接触状態にある(すなわち、1つまたは複数の層が存在しない)多孔性ユニットなど)強度、感度、および較正感度の値が測定されており、以下の表に提供される。
【0152】
【表1】
【0153】
表に見られるように、強度、感度、および較正感度の各々は、多孔性鏡に対して多孔性ユニットにおいて改善される。
強度増加は、内部反射が実際に、金属、パラジウム層(例えば、400nmでたった60%反射しか有さない場合がある)に起因する反射に対してより高い反射であることに起因する反射性が原因であり得る。
【0154】
等価の光路長は、路長が通常キュベットの場合にどれくらいの長さであったかを示す尺度である。
較正感度比は、415nmおよび450nmで観察される光の路長の間の比である。真のキュベットにおいて、較正感度比は、100%であり、100%からの任意の偏差は、システムが光学的にどれくらい“ゆがんでいる”かの尺度である。
【0155】
本発明は、特定の実施形態に関連して説明されているが、提示された例にいかようにも限定されないものであると解釈されるべきである。本発明の範囲は、添付のクレームセットによって明記される。クレームの文脈において、用語“備えること”または“備える”は、他の考えられる要素またはステップを除外しない。また、“1つの(a)”または“1つの(an)”などの参照の言及は、複数を除外するものと解釈されるべきではない。図に示される要素に関するクレーム内の参照符号の使用もまた、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。さらには、異なるクレームにおいて言及される個々の特徴は、おそらくは、有利に組み合わされ得、異なるクレームにおけるこれらの特徴の言及は、特徴の組み合わせが可能および有利ではないことを除外しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】