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特表2024-502768艶消し効果が持続するメークアップ組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】艶消し効果が持続するメークアップ組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/898 20060101AFI20240116BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20240116BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240116BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20240116BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
A61K8/898
A61Q1/04
A61K8/31
A61K8/25
A61Q1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538754
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 FR2021052441
(87)【国際公開番号】W WO2022136808
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】2014057
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】500078211
【氏名又は名称】エル・ヴェ・エム・アッシュ ルシェルシュ
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100103230
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 裕貢
(72)【発明者】
【氏名】シャンプルドンド,エロディー
(72)【発明者】
【氏名】ブシャール ドゥ ラ ポトゥリー,ヴァレリー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB232
4C083AB431
4C083AB432
4C083AB441
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC332
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD261
4C083AD262
4C083BB21
4C083CC02
4C083CC13
4C083DD23
4C083DD28
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
本発明は、ケラチン物質、特に唇をケアおよび/またはメークアップするための化粧品組成物であって、生理学的に許容できる媒体中に、a)該組成物の総重量に対して少なくとも17.5重量%の活性材料含有量のシリコーン/ポリウレタンポリマー、b)一つまたはそれ以上の直鎖状または分枝鎖状C8-C19アルカン、c)シリカ粉末、好ましくは処理された粉末、およびd)任意に、顔料、を含む化粧品組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質、特に唇をケアおよび/またはメークアップするための化粧品組成物であって、生理学的に許容できる媒体中に
a)該組成物の総重量に対して少なくとも17.5重量%の活性物質含有量、特に、組成物の総重量に対して17.5重量%~25重量%の範囲の含有量のシリコーン/ポリウレタンポリマー、
b)一つまたはそれ以上の直鎖状または分枝鎖状C8-C19アルカン、
c)シリカ粉末、好ましくは疎水化処理粉末、特に、該組成物の総重量に対して2重量%~10重量%の範囲の含有量のシリカ粉末、好ましくは疎水化処理粉末、および
d)任意に、顔料、
を含む化粧品組成物。
【請求項2】
液状の無水組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
親油性ゲル化剤、特に鉱物ゲル化剤、例えばベントン、好ましくは第4級ヘクトライトをさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
5重量%未満のシリコーン樹脂、特に1重量%未満のシリコーン樹脂を含むこと、好ましくは、シリコーン樹脂を含まないことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
シリコーン/ポリウレタンポリマーが、
-ヒドロキシル基で官能基化された一つのオルガノポリシロキサン(polyorganopolysiloxane)であって、特に、式(I)
【化1】
[式中、nは、0~5000の整数、好ましくは1~200の整数、より好ましくは10~100の整数、さらにより好ましくは10~50の整数である]
で示される構造に相当する、ヒドロキシル基で官能基化された一つのオルガノポリシロキサン(polyorganopolysiloxane)と、
-ジイソシアネート化合物、特に、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネートおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されるジイソシアネート化合物との、
反応産物であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
シリコーンポリウレタンポリマーが、該組成物の総重量に対して17.5重量%~25重量%、特に18重量%~22重量%の範囲の活性材料の含有量で存在することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
C8-C19アルカンが、分枝鎖状アルカン、例えばイソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、ヘミ-スクワラン、直鎖状C8-C19アルカン、例えばノナン、ドデカン、ウンデカン、トリデカン、n-テトラデカン、n-ペンタデカン、n-ノナデカンおよびこれらの混合物からなる群から選択され、特に、直鎖状アルカンの混合物C11/C13、C10/C12、C10/C14、およびC15/C19からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
少なくともイソドデカンを含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
シリカ粉末が、疎水化処理されている、特に、ラウロイルリシンで疎水化処理されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
該組成物の総重量に対して3重量%~8重量%の範囲の含有量のシリカ粉末を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
a)該組成物の総重量に対して17.5重量%~25重量%の範囲の活性材料含有量のシリコーン/ポリウレタンポリマー
b)イソドデカン
c)該組成物の総重量に対して2重量%~10重量%の範囲の含有量のシリカ粉末、好ましくは疎水化処理粉末、
d)任意に、顔料、および
e)鉱物親油性ゲル化剤、例えばベントン、
を含むことを特徴とする、請求項2に記載の無水液状組成物。
【請求項12】
少なくとも一つの他の増量剤、特に、セルロース粉末、コットン粉末、雲母およびこれらの混合物から選択される増量剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ケラチン物質、特に唇をケアおよび/またはメークアップするための化粧方法であって、該ケラチン物質、特に唇に、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物を適用することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品分野に関し、特に、ケラチン物質、特に唇のメークアップのための化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
唇を美しくし、保護し、および/または着色することを目的とする唇ケアおよび/またはメークアップ製品が広く使用されている。特に、唇上に光沢のある堆積物または艶消し堆積物を形成し、メークアップ製品としては良好な色彩が持続する特性を有する液体、半流動体または固体(スティック)の形態にある唇用の製品が知られている。艶消し効果を得るには、一般に揮発性油と増量剤が使用されるが、これらの使用により組成物の安定性が影響を受けることがあり、また皮膜(フィルム)の堆積により唇が乾燥した外観を与えることがある。
【0003】
したがって、唇上に均質で快適で艶消し(テカリの無い)の、第2の皮膚のような堆積物を得るための、唇のための新しいケアおよび/またはメークアップ製品、特に液状製品を開発する必要性が依然として残っている。
【0004】
本発明は、これらの必要性を満たすことができる。本出願人は実際に、組成物であって、該組成物の総重量に対して少なくとも17.5重量%の活性材料含量のシリコーン/ポリウレタンポリマー、一つまたはそれ以上の直鎖状または分枝鎖状C8-C19アルカン、およびシリカ粉末、好ましくは疎水化処理粉末、を含有する組成物を開発した。予期せぬことに、本出願人は、シリコーン/ポリウレタンポリマーに関連するシリコーン樹脂が存在しない場合でも、摩擦に対する抵抗または持続性の喪失を生じることなく、16重量%を超える活性材料含有量のシリコーン/ポリウレタンポリマーを含む組成物を配合することが可能であることを実証し、このことは、出願FR3052357で教示されている不利益とは逆である。本発明の組成物は、市販されている唇のための艶消し液状製品と比較して、艶消し性能および艶消し持続性がずば抜けて優れている。より詳細には、本出願人は、唇に皮膜として適用された本発明の組成物が、それを適用した布地または材料に接触しても移らないことを示した。この耐移り性は、本発明の組成物中の他の成分と組み合わされたシリコーンポリウレタンポリマーによって付与される特別なメークアップ効果に加えて、支持体、材料または布地との接触による有色皮膜の変化を避けようとする使用者にとって特に求められている。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の第一の態様は、ケラチン物質、特に唇をケアおよび/またはメークアップするための化粧品組成物であって、生理学的に許容できる媒体中に、
a)該組成物の総重量に対して少なくとも17.5重量%の活性材料(乾燥材料)含有量のシリコーン/ポリウレタンポリマー、
b)一つまたはそれ以上の直鎖状または分枝鎖状C8-C19アルカン、
c)シリカ粉末、好ましくは疎水化処理粉末、および
d)任意に、顔料、
を含む化粧品組成物である。
【0006】
「ケラチン物質」とは、特に、皮膚および/または唇、毛髪、睫毛および爪を意味する。特定の実施態様によれば、本発明の組成物は、唇に適用される。
【0007】
本発明はまた、ケラチン物質、特に唇をケアおよび/またはメークアップするための方法であって、該ケラチン物質、特に唇に、本発明の組成物を適用することを含む方法に関する。
【0008】
本発明の組成物の適用により、ケラチン物質、特に唇上に、艶消しで均質で快適な第二の皮膚のような皮膜を堆積させることができる。
【0009】
本発明の詳細な説明
したがって、本発明の第一の態様は、ケラチン物質、特に唇をケアおよび/またはメークアップするための化粧品組成物であって、生理学的に許容できる媒体中に、
a)該組成物の総重量に対して少なくとも17.5重量%の活性材料(乾燥材料)含有量のシリコーン/ポリウレタンポリマー、
b)一つまたはそれ以上の直鎖状または分枝鎖状C8-C19アルカン、
c)シリカ粉末、好ましくは疎水化処理粉末、および
d)任意に、顔料、
を含む化粧品組成物に関する。
【0010】
特定の好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は無水組成物である。
【0011】
用語「無水」とは、特に、水が好ましくは組成物に添加されないが、組成物中に使用される様々な化合物中に微量の形で存在し得ることを意味する。特に、本発明による組成物は、前記組成物の総重量に対して4重量%未満、好ましくは3重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、さらにより好ましくは0.5重量%未満の水を含むか、または完全に水を含まない。
【0012】
特定の好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は、液状の無水組成物である。
【0013】
したがって、本発明の組成物は、該組成物の総重量に対して少なくとも17.5重量%の活性材料(乾燥材料)含有量の、以下に定義されるシリコーン/ポリウレタンポリマーを含む。
【0014】
シリコーン/ポリウレタンポリマー
本発明による「シリコーン/ポリウレタンポリマー」とは、オルガノシロキサン単位およびウレタン結合を含むいずれかのポリマーを意味する。
【0015】
特定の実施態様によれば、本発明によるシリコーン/ポリウレタンポリマーは、ヒドロキシル基で官能基化された、好ましくは、少なくとも二つのヒドロキシル基を含むポリオルガノシロキサンとジイソシアネート化合物との反応産物である。
【0016】
このようなヒドロキシル基で官能基化されたポリオルガノシロキサンは、式(I):
【化1】
[式中、Rは、出現するごとに独立して、水素原子、ヒドロキシル基、および場合により置換されていてよい1~10個の炭素原子を含む炭化水素から選択され、特に、置換されているまたは置換されていないアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリール-アルキルまたはアルキル-アリール基から選択され;好ましくは、Rは、直鎖状、環状または分枝鎖状の場合により置換されていてよいC1-C6アルキルまたはアルケニル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ビニル、C1-C8アリルまたはアリールを含むがこれらに限定されない)、アリール-アルキルまたはアルキル-アリール基(フェニル、ベンジル、トリル、キシリルを含むがこれらに限定されない)から選択され、
ここで、上記のR基は、それぞれ場合により、場合により一つまたはそれ以上のヘテロ原子(酸素、窒素、リンおよびハロゲン、特にフッ素を含む)によって置換されていてよく、フルオロアルキル基(ペルフルオロアルキル)、例えばモノ-、ジ-およびトリ-フルオロメチル、ペルフルオロフェニル、およびC1-C6置換アルキルアミノ基s(式-(CH2)1-6-NRN 2および-(CH2)1-6-NRN-(CH2)1-6-NRN 2[式中、RNは、一般に水素であるが、またメチル、エチル、プロピル、などであってもよい]を含む);ポリエーテル基(式-(CH2CH2O)n-を有するポリエチレンオキシド、式-(CH(CH3)CH2O)n-を有するプロピレンオキシド基およびこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない);およびアミンオキシド、ホスフェート、ヒドロキシル、エステルおよび/またはカルボキシレート官能基、などとして例示され;または
ここで、Rは、追加の-L-OH基を含んでいてもよく;
ここで、Lは、結合または結合基を示し;好ましくは、Lは、1~10個の炭素原子を有する二価の炭化水素(二価のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキル-アリールまたはアリール-アルキル基、例えば、C1-C10アルキル基(式-(CH2)1-10-、好ましくは-(CH2)1-6-の二価基を含むがこれらに限定されない)を含むがこれらに限定されない)から選択される結合基であり、より好ましくは、Lは-CH2CH2CH2-であり;
nは、0~5000の整数、好ましくは1~200の整数、より優先的には10~100の整数、さらにより優先的には10~50の整数である]に相当する。
【0017】
好ましくは、Rは、少なくとも一つまたはそれ以上のメチル基の出現を示し、より優先的には、Rは、すべてまたは実質的にすべての出現でメチル基を示し、これは、Rが、出現の90%を超える、特に95%を超える、または98%を超える出現でメチル基を示すことを意味する。本発明の一実施態様によれば、ヒドロキシル基で官能基化されたポリオルガノシロキサンは、例えば、式Ia:
【化2】
[式中、Lおよびnは上記に定義されている通りである]
で示される構造に相当するポリメチルシロキサンを含む。
【0018】
本発明の好ましい実施態様によれば、ヒドロキシル基で官能基化されたポリオルガノシロキサンは、例えば、式Ib:
【化3】
[式中、nは、上記に定義されている通りである]
で示される構造に相当するポリメチルシロキサンを含む。
【0019】
ジイソシアネートは、特に、式:O=C=N-R1-N=C=O[式中、R1は、場合により一つまたはそれ以上のヘテロ原子によって置換されていてよい、1~20個(20個を含む)炭素原子を含む二価の炭化水素基であり、特に、R1は、直鎖状、環状もしくは分枝鎖状の、場合により置換されていてよい環状アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキル-アリールまたはアリールアルキル基(
i.式:
【化4】
で示される基、
ii.式:
【化5】
で示される基、
iii.式:
【化6】
で示される基、
iv.式:
【化7】
で示される基、
v.式:
【化8】
で示される基、
およびこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない)から選択される。
【0020】
本発明の範囲内で適当と考えられるジイソシアネートは、トルエンジイソシアネート;メチレンジフェニルジイソシアネート(2,2’-MDI、2,4’-MDI、および4,4’-MDIを含む);1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネート;キシレンジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート;3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート;p-フェニレンジイソシアネート;m-フェニレンジイソシアネート;4,4’-イソプロピリデンジシクロヘキシルイソシアネート;およびこれらの等価物を含むがこれらに限定されない。
【0021】
好ましい実施態様において、ジイソシアネートは、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0022】
一実施態様において、ジイソシアネートは、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートを含むか、または実質的にそれからなる。
【0023】
別の実施態様において、ジイソシアネートは、イソフォロンジイソシアネートを含むか、または実質的にそれからなる。
【0024】
さらに別の実施態様において、ジイソシアネートは、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネートを含むか、または実質的にそれからなり、この実施態様は特に好ましい。
【0025】
したがって、特定の実施態様によれば、シリコーン/ポリウレタンポリマーは、
-ヒドロキシル基で官能基化された一つのオルガノポリシロキサン(polyorganopolysiloxane)であって、特に、式(I):
【化9】
[式中、nは、0~5000の整数、好ましくは1~200の整数、より好ましくは10~100の整数、さらにより好ましくは10~50の整数である]
で示される構造に相当する、ヒドロキシル基で官能基化された一つのオルガノポリシロキサン(polyorganopolysiloxane)と、
-ジイソシアネート化合物であって、特に、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるジイソシアネート化合物との、
反応産物である。
【0026】
好ましい実施態様によれば、本発明によるシリコーン/ポリウレタンポリマーは、ヒドロキシル基で官能基化されたポリオルガノシロキサンおよびジイソシアネート由来の反復単位を交互のABコポリマーの形態で含み、ここで、A単位は、式II:
【化10】
[式中、R、Lおよびnは、式I、Ia、IbおよびIeに関して上記に定義されている通りである]で示される構造を有し、B単位は、式III:
【化11】
[式中、R1は、上記に定義されている通りである]で示される構造を有し、
ここで、A単位およびB単位は、直鎖状、分枝鎖状または環状に、好ましくは直鎖状に配置されている。
【0027】
前記ポリマーはまた、式IまたはIIにおける一つまたはそれ以上のR基が、基IV、例えば
【化12】
[式中、Rは式Iについて定義されている通りであり、R*は、式IIIのB単位の側鎖にさらに結合する-L-O基を示していてもよく、これは、さらに式IIのA単位に結合していてもよく;あるいは、R*は、L-OHを示していてもよく、R基は、前に定義されている基、または末端基を示していてもよい]であるポリオルガノシロキサンにおいて分岐点または接合点を含む。
【0028】
ポリオルガノシロキサンがこのようなタイプの分岐点または接合点を含む場合、それらはT型またはQ型接合の形で存在していてもよく、ここで、Tは、上記で示したように、Si原子上の一つのR基のみがポリオルガノシロキサン鎖であることを示し、Qは、二つのR基がポリオルガノシロキサンであることを示す。
【0029】
これらのタイプのポリオルガノシロキサン化合物は、シリコーン/ポリウレタンポリマーと分枝鎖状または接合T樹脂またはQ樹脂とのコポリマーと称される。
【0030】
シリコーン/ポリウレタンポリマーはまた、官能化されたイソシアネートプレポリマーから調製されてもよい。例えば、イソシアネートプレポリマーは、以下の式V:
【化13】
[式中、R、R1およびLは、上記に定義されている通りであり、xは、0~5000の整数、好ましくは1~200の整数、より好ましくは10~100の整数、より好ましくは10~50の整数である]
で示されるポリオルガノシロキサンジイソシアネートなどの二官能性または多官能性のポリオルガノシロキサンイソシアネートであってもよい。
【0031】
プレポリマーはまた、一つまたはそれ以上のR基を有する追加のイソシアネート基を導入することによって多官能化されていてもよい。官能化されたイソシアネートプレポリマーは、ヒドロキシルで官能化されたポリオルガノシロキサンと反応されて、式Iの化合物またはその多官能性アナログが得られる。
【0032】
式Vによるプレポリマーは、一般に、4000~約15000ダルトンの範囲の分子量を有する。式I、IaおよびIbによるプレポリマーは部分的に、一般に250~約15000ダルトンの範囲の分子量を有する。
【0033】
本発明の一実施態様において、シリコーン/ポリウレタンポリマーは、ポリアルキレングリコール亜単位、特にポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコール(PPG)を含まないか、または実質的に含まない。
【0034】
「実質的に含まない」とは、ポリマーが約1重量%未満、好ましくは約0.5重量%未満、より好ましくは約0.1重量%~20重量%未満のポリアルキレングリコール亜単位を含むことを意味する。
【0035】
好ましい実施態様において、本発明の化粧品組成物に使用されるシリコーン/ポリウレタンポリマーは、式Ibとジイソシアネート(1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4'-ジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される)との反応産物を含む直鎖状ポリマーである。
【0036】
このようなシリコーン/ポリウレタンポリマーとしては、例えば、Siltech CorporationからSILMER UR 5050またはUR 100100という商品名の、イソドデカン中のプレミックス(イソドデカン中の45%の乾燥材料のポリマー)の形態のものを入手することができる。
【0037】
別の実施態様によれば、シリコーン/ポリウレタンポリマーは、ヘミ-スクワラン(hemi-squalane)中のプレミックスの形態で使用される。
【0038】
別の実施態様によれば、シリコーン/ポリウレタンポリマーは、直鎖状C9-C16アルカンまたは直鎖状C9-C16アルカンの混合物、好ましくはn-ノナンおよびn-ドデカンの混合物(C9-C12、VEGELIGHT SILK)またはn-ウンデカンおよびn-トリデカンの混合物(C11-C13、CETIOL ULTIMATE)中のプレミックスの形態で使用される。
【0039】
本発明によるシリコーン/ポリウレタンポリマーは、本発明の組成物中に、少なくとも17.5重量%の活性材料(乾燥材料)の含有量のポリマーで存在する。本発明の組成物中のシリコーン/ポリウレタンポリマーの含有量は一般に、該組成物の総重量に対して40重量%未満、または30重量%またはそれ以下の活性材料である。特定の実施態様によれば、シリコーン/ポリウレタンポリマーは、該組成物の総重量に対して17.5重量%~25重量%、特に18重量%~22重量%の範囲の活性材料の含有量で存在する。
【0040】
特定の好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は、5重量%未満のシリコーン樹脂、特に1重量%未満のシリコーン樹脂を含み、好ましくは、シリコーン樹脂を含まない。
【0041】
用語「シリコーン樹脂」とは、特に、一般に固体形態、特に粉末形態であるMQタイプ、Tタイプ、またはMQTタイプのシリコーン樹脂を意味する。
【0042】
油相
本発明の組成物の油相は、少なくとも一つまたはそれ以上の直鎖状または分枝鎖状C8-C19アルカンを含む。
【0043】
直鎖状または分枝鎖状C8-C19アルカンとして、特に:
-C8-C16イソアルカン(イソパラフィンとも称される)(例えば、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、ヘミ-スクワラン(hemi-squalane))、および、例えば、ISOPAR(登録商標)またはPERMETYL(登録商標)という商標名で販売されている油,:
-直鎖状アルカン(それぞれ炭化水素鎖を有する)
-C9-C17、C10-C14(例えば、ウンデカンおよびトリデカンの混合物(BASF Care CreationsよりCetiol(登録商標)Ultimateという名称で販売されている))、
-C15-C19(例えば、SeppicよりEMOGREEN(登録商標)L15という名称で販売されているもの)、
-C9-C12、C12-C14(例えば、BIOSYNTHISよりVEGELIGHT(登録商標)SILK(INCI名:C9-12アルカン)、VEGELIGHT(登録商標)1214LCという名称で販売されているもの)、
-n-ドデカン(C12)およびn-テトラデカン(C14)(特に、SasolよりそれぞれPARAFOL(登録商標)12-97およびPARAFOL(登録商標)14-97という名称で販売されている)、
-これらの混合物、
が挙げられる。
【0044】
したがって、特定の実施態様によれば、組成物は、分枝鎖状アルカン、例えばイソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、ヘミ-スクワラン(hemi-squalane)、直鎖状C8-C19アルカン、例えばノナン、ドデカン、ウンデカン、トリデカン、n-テトラデカン、n-ペンタデカン、n-ノナデカンおよびこれらの混合物からなる群から選択されるC8-C19アルカン、特に、直鎖状の混合物アルカンC11/C13、C10/C12、C10/C14、およびC15/C19を含む。
【0045】
特定の実施態様によれば、組成物は、少なくとも、分枝鎖状C8-C19アルカンとしてのイソドデカンを含む。
【0046】
特定の実施態様によれば、本発明の組成物中の直鎖状または分枝鎖状C8-C19アルカン(特に、イソドデカン)の総含有量は、該組成物の総重量に対して少なくとも30重量%である。特に、該組成物の総重量に対して40重量%~80重量%の範囲、特に50重量%~70重量%の範囲である。
【0047】
本発明の組成物の脂肪相は一般に、ゲル化剤および/またはテクスチャリング剤、特に親油性ゲル化剤、ワックス、ペースト状脂肪物質、またはこれらの混合物によってテクスチャリングまたは構造化される。
【0048】
特定の実施態様によれば、本発明の組成物は、少なくとも一つの親油性ゲル化剤を含む。
【0049】
ゲル化剤
親油性ゲル化剤として、特に、鉱物ゲル化剤、例えば、油に分散されているベントン(bentone)が挙げられる。例えば、参照としてElementisのBENTONE GEL ISD V(INCI名:イソドデカン(および)ジステアルジモニウムヘクトライト(および)プロピレンカーボネート(Isododecane (and) Disteardimonium Hectorite (and) Propylene Carbonate)が挙げられる。
【0050】
したがって、特定の実施態様によれば、本発明の組成物はまた、親油性ゲル化剤、特に鉱物ゲル化剤、例えばベントン(bentone)、好ましくは第4級ヘクトライトを含む。
【0051】
親油性ゲル化剤、特にベントン(bentone)の総含有量は、該組成物の総重量に対して0.5重量%~5重量%、特に2重量%~4重量%の範囲であり得る。
【0052】
シリカ粉末
組成物は、少なくとも一つのシリカ粉末、好ましくは疎水化処理されたシリカ粉末をさらに含む。
【0053】
実際、出願人は、出願FR3052357で教示されている偏見にもかかわらず、シリカ粉末の使用により、本発明による組成物中にシリコーン/ポリウレタンポリマーを非常に高い乾燥材料含有量(16%を超える)で配合できることを示した。また、組成物に快適性をもたらし、特に唇にメークアップを適用する際に求められる艶消し効果をもたらす。シリカ粉末としては、特に以下の市販の参照物質(commercial reference)を挙げることができる:
【0054】
【表1】

【0055】
特定の実施態様によれば、シリカ粉末は疎水化処理されている。
【0056】
「疎水化処理されたシリカ粉末」とは、シリカ粉末が親油性剤または疎水性剤で表面処理されていることを意味する。特に、N-アシル化アミノ酸またはその塩、シリコーン剤、金属石鹸、レシチンおよびその誘導体、ワックス、脂肪酸エステルおよびリン脂質からなる群から選択される親油性剤が挙げられる。
【0057】
好ましくは、シリカ粉末は、ラウロイルリシンで処理されている。特に、IKEDA社よりAMILON(登録商標)という市販の参照物質が挙げられる。
【0058】
特定の実施態様によれば、シリカ粉末、特に、疎水化処理されたシリカ粉末は組成物中に、該組成物の総重量に対して2重量%~10重量%、特に3重量%~8重量%の範囲で存在する。
【0059】
特定の実施態様によれば、本発明の組成物は、
a)該組成物の総重量に対して17.5重量%~25重量%の範囲の活性材料含有量のシリコーン/ポリウレタンポリマー、
b)イソドデカン、
c)該組成物の総重量に対して2重量%~10重量%の範囲の含有量のシリカ粉末、好ましくは疎水化処理粉末、
d)任意に、顔料、および
e)鉱物親油性ゲル化剤、例えばベントン(bentone)、
を含む無水液状組成物である。
【0060】
好ましくは、この実施態様において、粉末は、ラウロイルリシンで処理されている。
【0061】
特定の実施態様によれば、本発明の組成物は、
a)該組成物の総重量に対して17.5重量%~25重量%、好ましくは18重量%~22重量%の範囲の活性材料含有量のシリコーン/ポリウレタンポリマー、
b)該組成物の総重量に対して40重量%~80重量%、好ましくは50重量%~70重量%の範囲の含有量の一つまたはそれ以上の直鎖状または分枝鎖状C8-C19アルカン、特にイソドデカン)、
c)該組成物の総重量に対して2重量%~10重量%、好ましくは3重量%~8重量%の範囲の含有量のシリカ粉末、好ましくは疎水化処理粉末、
d)任意に、顔料、および
e)該組成物の総重量に対して0.5重量%~5重量%、好ましくは2重量%~4重量%の範囲の含有量の鉱物親油性ゲル化剤、例えばベントン(bentone)、
を含む無水液状組成物である。
【0062】
特定の実施態様によれば、本発明の組成物は、
a)該組成物の総重量に対して18重量%~22重量%の範囲の活性材料含有量のシリコーン/ポリウレタンポリマー、
b)該組成物の総重量に対して50重量%~70重量%の範囲の含有量のイソドデカン、
c)該組成物の総重量に対して3重量%~8重量%の範囲の含有量の疎水化処理されたシリカ粉末、好ましくはラウロイルリシンで疎水化処理されたシリカ粉末、
d)任意に、顔料、および
e)該組成物の総重量に対して2重量%~4重量%の範囲の含有量のベントン(bentone)、
を含む無水液状組成物である。
【0063】
組成物は、シリカ粉末で得られる結果に影響を与えない限り、他の追加の増量剤をさらに含んでいてもよい。
【0064】
本発明の意味の範囲内で、「増量剤」とは、無色または白色の鉱物または有機の天然または合成の性質を有し、不溶性で構成の真ん中に分散された(小板状、球状または楕円形)形状の粒子を意味する。
【0065】
増量剤は、特に、天然起源または合成起源の雲母類、カオリン、酸化亜鉛および酸化チタン;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸水素マグネシウム;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム;合成ポリマー粉末、例えばポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド(例えばナイロン);ポリアクリルまたはポリメタクリル酸粉末、シリコーン粉末;セルロース粉末;ガラスセラミックスビーズ;天然起源の有機材料、例えば、架橋されているまたは架橋されていないトウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプンおよびコットンデンプン、およびこれらの混合物から選択される。
【0066】
特定の実施態様によれば、本発明の組成物は、特に、セルロース粉末、コットン粉末、雲母およびこれらの混合物から選択される、少なくとも一つの他の増量剤をさらに含む。
【0067】
特定の実施態様によれば、組成物中の増量剤の総含有量は、特に、該組成物の総重量に対して2重量%~10重量%、特に3重量%~8重量%の範囲である。
【0068】
本発明の組成物は、特に、少なくとも一つの着色材料を含むメークアップ組成物である。
【0069】
着色材料
【0070】
本発明の意味において、着色材料とは、適切な化粧品媒体中に十分な量で配合された場合に着色された光学効果を生み出すことができる化合物を意味する。
【0071】
着色材料は、本発明の連続相、この場合は本発明の油相に可溶性または不溶性の有機または無機着色材料、光学効果材料、およびそれらの混合物から選択することができる。
【0072】
特定の実施態様によれば、着色材料は、特に、鉱物顔料、有機顔料およびこれらの混合物から選択される。
【0073】
「顔料」とは、得られる堆積物を着色および/または不透明にすることを意図した、水溶液に不溶の、白色または有色の鉱物または有機粒子を意味する。無機顔料、有機顔料、および複合顔料(すなわち、無機および/または有機材料に基づく顔料)を挙げることができる。
【0074】
「鉱物顔料」のうち、例えば、二酸化チタン(ルチルまたはアナターゼ)(任意に表面処理されている);黒色、黄色、赤色および褐色の酸化鉄;マンガンバイオレット;ウルトラマリンブルーの酸化クロム、クロム水和酸化物およびフェリックブルー(ferric blue)が挙げられる。
【0075】
唇のための組成物について、例えば、二酸化チタン;黒色、黄色、赤色および褐色の酸化鉄およびマンガンバイオレットが挙げられる。
【0076】
「有機顔料」のうち、例えば、顔料D&C red no 19;D&C red no 9;D&C Red no 22;D&C Red no 21;D&C Red no 28;D&C Yellow no 6;D&C orange no 4;D&C orange no 5;D&C Red no 27;D&C red no 13;D&C Red no 7;D&C Red no 6;D&C Yellow no 5;D&C Red no 36;;D&C Red no 33;D&C orange no 10;D&C yellow no 6;;D&C Red no 30;D&C red no 3;D&C Blue 1;カーボンブラック(carbon black)およびラッカー(lacquer)が挙げられる。
【0077】
特に、着色材料は組成物中に、該組成物の総重量に対して2重量%~20重量%、好ましくは3重量%~15重量%の含有量で存在する。
【0078】
ガレヌス
本発明の組成物は、ケラチン物質のメークアップおよび/またはケアのための組成物、特に皮膚および/または唇、眼瞼もしくは眉毛、好ましくは唇のメークアップおよび/またはケアのための組成物である。
【0079】
第一の実施態様によれば、本発明の組成物は、唇のための任意のメークアップ組成物に使用することで、(色移りのない)持続性の艶消し結果を提供することができる「上塗り」組成物である。
【0080】
別の実施態様によれば、本発明の組成物は、色、艶消し効果および保持力(耐移り性)を提供するためのシングルステップのメークアップ組成物である。
【0081】
本発明の組成物は、有利には、液状組成物、特に液状組成物、好ましくは唇のための液状組成物である。
【0082】
本発明の一実施態様において、本発明の組成物は、液体形態であり得、流動性のファウンデーション、アイシャドーまたは流動性のリップスティック、アイライナー、日焼け止めまたは皮膚色彩製品(skin coloring product)であり得る。
【0083】
好ましくは、組成物は唇のためのメークアップ組成物、特に唇のためのグロス(gloss)の形態である。
【0084】
化粧方法
本発明はまた、ケラチン物質をケアおよび/またはメークアップするための化粧方法であって、ケラチン物質、特に皮膚および/または唇、好ましくは唇に、本発明の組成物を適用することを含む方法に関する。
【0085】
唇に適用される組成物は、好ましくは、唇のための液状メークアップ組成物、特に流動性リップスティックである。
【0086】
本発明による方法は、特に、第2の皮膚のような艶消し皮膜を唇上に堆積させることを目的とする、唇をメークアップするための方法である。
【0087】
次に、本発明を以下の非限定的な実施例で説明する。%は、特に断らない限り、組成物の総重量に対する成分の重量%として表される。
【実施例
【0088】
実施例1 流動性の艶消しリップスティック:ポリマー含有量と増量剤の性質の選択
【0089】
本実施例では、本発明による組成物を、一つとして低含有量のポリウレタンシリコーンポリマーを含み、もう一つとしてシリカ粉末の代わりにセルロース粉末を含む、2成分の組成物と比較する。
【0090】
SILMER(登録商標)UR-5050は、ビス-ヒドロキシプロピルジメチコン/SMDIコポリマーをイソドデカン中に45重量%の乾燥材料で含む。
【0091】
AMILON:シリカ(および)ラウロイルリシン(95/5)
【0092】
以下の表における本発明の組成物および比較例2はそれぞれ、重量比(ポリマー/イソドデカン)45/55によるイソドデカン中のポリウレタンシリコーンポリマーからなる40重量%の市販製品SILMER(登録商標)UR-5050を含む。
【0093】
比較例1の配合物は、36重量%の上記の市販製品SILMER(登録商標)UR-5050(すなわち、配合物中の16.2重量%の乾燥材料のポリマー)を含む。
【0094】
配合を以下の表2に示す。
【表2】

【0095】
組成物は以下のプロトコルに従って調製される:
【0096】
下記の配合物の顔料をイソドデカン中で3つのシリンダーに通して、均質で微細な顔料の分散液を得る。
【0097】
SILMER UR-5050とBENTONE GELを混合し、次に、前の工程の顔料分散液に徐々に加える。Rayneriを用いて1500rpmで5分間均質化させる。
【0098】
増量剤を添加し、混合物をRayneriで10~15分間均質化させる。
【0099】
液状組成物を唇に適用させる。
【0100】
8hでの組成物の安定性と耐移り性の特性を評価する:
-配合物の安定性は、室温で8時間静置した後に評価し;
-耐移り性は、以下のように評価する:有色皮膜を唇に適用し、乾燥後ティッシュペーパーを唇に当て、色移りの有無を観察する。
【0101】
実施例1(本発明)の配合物は、長時間にわたって艶消し効果が良好に持続する、快適で均質な艶消し堆積物を形成する。該堆積物は第二の皮膚のようなものである。
【0102】
他方で、上記配合物において、17.5%未満の乾燥材料の含有量のシリコーンポリウレタンポリマーを含む比較配合1は、耐移り性が劣る。皮膜は支持体上に部分的に移り、本発明の根底にある技術的問題は解決されていない。
【0103】
比較配合物2は、室温で8時間静置した後でも安定ではない。テクスチャの変化により、顔料が大幅に脱混合され、2つの目に見える相が現れる。この結果を踏まえ、耐移り性の評価は行っていない。
【0104】
これらの結果では、組成物の総重量に対して17.5%またはそれ以上のDMの含有量のポリマーとシリカ粉末との組み合わせのおかげで、耐移り性の艶消し皮膜の堆積性能が得られることを示している。
【0105】
実施例2:持続性と耐移り性の評価
上記の実施例(本発明)の配合1は、市販の長持ちする艶消し液状リップスティックである、非の打ちどころのない快適さで、色移りすることなく、ウルトラ艶消し、ウルトラカバー力の、長持ちする液状リップスティックとして市販されているSephora社のクリームリップステイン製品(Cream Lip Stain product)と比較して評価した。この製品は特にシリコーン樹脂、油および増量剤を含まない。Sephoraの参照製品(「対照」)CREAM LIP STAINの成分リストは次のとおりである:イソドデカン、ジメチコン、トリメチルシロキシシリケート、ポリブテン、ワセリン、シクロヘキサシロキサン、カオリン、ジステアルジモニウムヘクトライト、cera alba(蜜蝋)、ジメチルシリル化シリカ、アロマ(flavor)、ベヘン酸/エイコサン二酸グリセリル、プロピレンカーボネート、persea gratissima(アボカド)油、トコフェロール、シクロペンタシロキサン、ベンジルアルコール、+/-は、(雲母、CI 15850(red 7 lake)、CI 19140(yellow 5 lake)、CI 77891(二酸化チタン)、CI 77491(酸化鉄)、CI 77492(酸化鉄)、CI 77499(酸化鉄)、CI 15850(red 6)、CI 42090(blue 1 lake)、CI 75470(カルミン))を含む。
【0106】
持続性試験
Visia CRカメラを用いて、目を閉じた状態で正面から口の写真を撮影する。
【0107】
持続性は適用後午前6時から午後6時までの2時間ごとに視覚化させた。本発明の組成物は、より均質な皮膜が持続するより艶消し効果を提供する。
【0108】
本発明の組成物の経時的な持続性は、対照よりもはるかに優れている。実際、対照の持続性は数時間後に減少するが、本発明の持続性は適用後18時間まで維持される。
【0109】
本発明の組成物は、柔らかく快適な皮膜を形成する。
【0110】
耐移り性試験(Frictiometer)
【0111】
「耐移り性」については、製品が静摩擦と動摩擦といった2種類の応力に耐えないといけない。
【0112】
この領域の外観を測定するには、プローブ摩擦計FR700を使用する。この装置は、テフロンディスク(直径16mm、厚さ1mm)が固定された摩擦ヘッドを備えている。
【0113】
組成物の均質な皮膜をボランティアの前腕に適用する。乾燥皮膜と接触している皮膚に適用すると、摩擦ヘッドが一定速度(100rpm、10秒間)で回転する。
【0114】
持続性(転移り性)は、ディスク上に移られた製品の量を測定することによって評価する。この目的のために、写真を撮影し、画像分析を行う。製品が見出されたゾーンを特定し、配合物を適用したゾーン上のディスクの最大接触ゾーンに対する相対的なピクセル数で定量化する。
【0115】
試験の終了時、本発明の組成物はディスクに移られた製品の量が非常に少量であり(移り2%)、対照配合物での移られた製品(移り34%)よりも著しく低かった。
【0116】
パネル試験
実施例で上述した本発明の組成物および対照(SephoraのCream Lip Stain)をボランティアのパネルによって試験した。
【0117】
各ボランティアは2つの配合物のうち一つを唇に適用し、一日中それを保ちした。
【0118】
次に、パネルボランティアは、耐移り性(T0およびT12hで)および日中の快適さ(T12hで)の観点から、試験した配合物(本発明による組成物または対照)の性質を特徴付けることを目的としたアンケートに回答した。
【0119】
結果を以下の表に示し、最初の結果はT0(配合物の適用)に対応し、2番目の結果は試験日の終わりに行う。
【0120】
T0での評価(唇に配合物を適用し、乾燥させた後)
【表3】

【0121】
T+12時間での評価
【表4】

【0122】
これらの結果では、本発明の組成物が、適用時(T0)および1日使用後の両方で、快適性、色の持続性(均質性)および耐移り性の点で、対照より優れた特性を有することを示している。
【0123】
これらの性能により、製品を長期間保存し、日中の完全性(均質性と色)を維持することができる。
【0124】
実施例2 「上塗り」配合物
【0125】
本発明による無色組成物(顔料を含まない)を調製する。
【0126】
配合を以下の表に示す。
【表5】

【0127】
SILMER(登録商標)UR-5050は、イソドデカン中に45重量%の乾燥材料のビス-ヒドロキシプロピルジメチコン/SMDIコポリマーを含む。
【0128】
AMILON:シリカ(および)ラウロイルリシン(95/5)
【0129】
組成物は以下のプロトコルに従って調製する:
【0130】
実施例2の組成物を唇に適用することで皮膜を形成する。これは、有利には、唇に第一層の有色皮膜適用した後、上塗りとして使用することができる。艶消しメークアップを与え、持続性(耐移り性)を向上させる。
【国際調査報告】