(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】センサデバイスおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/02 20060101AFI20240116BHJP
G01N 27/04 20060101ALI20240116BHJP
G01N 27/22 20060101ALI20240116BHJP
G01N 27/12 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G01N27/02 Z
G01N27/04 F
G01N27/22 A
G01N27/12 B
G01N27/12 N
G01N27/12 H
G01N27/12 C
G01N27/12 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538772
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 GB2021053370
(87)【国際公開番号】W WO2022136847
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515207499
【氏名又は名称】パワー ロール リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】ディエール,ファブリス
(72)【発明者】
【氏名】トッピング,アレクサンダー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】カシュ,ニコラス
【テーマコード(参考)】
2G046
2G060
【Fターム(参考)】
2G046AA01
2G046AA05
2G046AA09
2G046AA12
2G046AA30
2G046BA01
2G046BA03
2G046BA06
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2G046FE29
2G046FE39
2G046FE44
2G046FE48
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2G060AB09
2G060AE19
2G060AF06
2G060AF07
2G060AF10
2G060AG03
2G060AG11
2G060BB08
2G060JA01
2G060KA01
(57)【要約】
本発明はセンサデバイスに関し、特に本発明は、検体との係合に応答して信号応答が提供されるように構成された、基板の溝内に形成された電子センサデバイスに関する。本発明はまた、こうしたセンサデバイスを形成する方法に関する。電子センサデバイスは、少なくとも1つの溝を含む基板を備え、前記溝は、第1面および第2面を含み、前記溝は、少なくとも基板内の溝深さおよび前記基板の表面における溝幅を含む断面プロファイルを有する。前記第1面は、第1電気的非絶縁部分を含み、前記第2面は、第2電気的非絶縁部分を含み、前記プロファイル内では、前記第1電気的非絶縁部分は、前記第2電気的非絶縁部分から電気的に分離される。検出媒体が前記溝内に設けられ、前記第1電気的非絶縁部分および前記第2電気的非絶縁部分と接触的に係合するように配置され、そして検体と接触的に係合するように構成される。さらに、前記プロファイルまたは前記検出媒体は、使用時に、検体と検出媒体との係合に応答して、第1応答フェーズおよび後続の第2応答フェーズを含む信号応答が提供されるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの溝を含む基板であって、前記溝は、第1面および第2面を含み、前記溝は、少なくとも、基板内の溝深さおよび前記基板の表面における溝幅を含む断面プロファイルを有する、基板を備え、
前記第1面は、第1電気的非絶縁部分を含み、前記第2面は、第2電気的非絶縁部分を含み、前記プロファイル内では、前記第1電気的非絶縁部分は、前記第2電気的非絶縁部分から電気的に分離されており、
さらに、前記溝内に設けられた検出媒体であって、前記第1電気的非絶縁部分および第2電気的非絶縁部分と接触的に係合するように配置され、そして検体と接触的に係合するように構成された検出媒体を備え、
前記プロファイルまたは前記検出媒体は、使用時に、検体と検出媒体との係合に応答して、第1応答フェーズおよび後続の第2応答フェーズを含む信号応答が提供されるように構成される、電子センサデバイス。
【請求項2】
前記検出媒体は、媒体表面および媒体本体を含み、
前記第1応答フェーズは、前記検体と前記媒体表面との係合に応答して提供される、請求項1に記載の電子センサ。
【請求項3】
前記第2応答フェーズは、前記媒体本体内の検体の係合に応答して提供される、請求項2に記載の電子センサ。
【請求項4】
前記媒体本体は、前記少なくとも1つの溝の前記プロファイルを形成する前記基板の一部を含む、請求項2または請求項3に記載の電子センサ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの溝の前記プロファイルは、第1特徴的形状を有し、使用時に、第2応答フェーズにおいて前記プロファイルは、第2特徴的形状に変形する、請求項4に記載の電子センサ。
【請求項6】
前記信号応答は、前記少なくとも1つの溝の少なくとも1つの予め定めた電気的特性の変化を含む、請求項1~5のいずれかに記載の電子センサ。
【請求項7】
前記予め定めた電気的特性は、前記少なくとも1つの溝のインピーダンス、抵抗または静電容量である、請求項6に記載の電子センサ。
【請求項8】
前記第1応答フェーズ内で、前記予め定めた電気的特性は、第1レートで変化し、前記第2応答フェーズ内で、前記予め定めた電気的特性は、第2レートで変化する、請求項6に記載の電子センサ。
【請求項9】
前記第1レートは、前記第2レートよりも大きい大きさである、請求項8に記載の電子センサ。
【請求項10】
前記第1応答フェーズは、第1時間間隔に渡って持続し、前記第2応答フェーズは、第2時間間隔に渡って持続する、請求項8または請求項9に記載の電子センサ。
【請求項11】
記第1時間間隔は1秒未満であり、前記第2時間間隔は20秒未満である、請求項10に記載の電子センサ。
【請求項12】
前記第1時間間隔は10秒未満であり、前記第2時間間隔は300秒未満である、請求項10に記載の電子センサ。
【請求項13】
前記溝幅は、100μm以下、好ましくは40μm以下、さらにより好ましくは0.5μm~10μmの範囲内である、請求項1~12のいずれかに記載の電子センサデバイス。
【請求項14】
溝アスペクト比が、前記溝深さと前記溝幅との比率として定義され、前記溝アスペクト比は、0.1:1~50:1の範囲内、好ましくは1:1~6:1の範囲内である、請求項1~13のいずれかに記載の電子センサデバイス。
【請求項15】
前記プロファイルは、U字形状、V字形状、非対称V字形状、円形状、半円形状、または正方形状のいずれか1つである、請求項1に記載の電子センサデバイス。
【請求項16】
前記プロファイルは、平坦なベースを含む、請求項1~15のいずれかに記載の電子センサデバイス。
【請求項17】
前記第1電気的非絶縁部分または前記第2電気的非絶縁部分は、個々の前記第1面または前記第2面から前記基板の前記表面上に延びている、請求項1~16のいずれかに記載の電子センサデバイス。
【請求項18】
前記第1電気的非絶縁部分または前記第2電気的非絶縁部分は、コーティングを含む、請求項1~17のいずれかに記載の電子センサデバイス。
【請求項19】
前記少なくとも1つの溝は、一連の溝を含む、請求項1~18のいずれかに記載の電子センサデバイス。
【請求項20】
前記一連の溝の各溝は、5mm~1000mmの長さである、請求項19に記載の電子センサデバイス。
【請求項21】
前記一連の溝の統合長さが、少なくとも100mの長さである、請求項19または請求項20に記載の電子センサデバイス。
【請求項22】
前記一連の溝の第1溝の第2面が、前記一連の溝の第2溝の第1面と電気的に接続されている、請求項19~21のいずれかに記載の電子センサデバイス。
【請求項23】
前記一連の溝は、予め定めた溝間隔で前記基板表面上に整列している、請求項19~22のいずれかに記載の電子センサデバイス。
【請求項24】
前記検出媒体は、前記プロファイルの少なくとも一部の上に共形的に堆積されている、請求項1~23のいずれかに記載の電子センサデバイス。
【請求項25】
前記検出媒体は、前記少なくとも1つの溝を部分的に充填し、実質的に充填し、または過剰充填する、請求項1に記載の電子センサデバイス。
【請求項26】
前記検出媒体は、バインダおよび活性成分を混合状態で含む、請求項1~25のいずれかに記載の電子センサデバイス。
【請求項27】
前記バインダおよび前記活性成分は、均一に分散されている、請求項26に記載の電子センサデバイス。
【請求項28】
前記信号応答は、前記検体と前記活性成分との係合に応答して提供される、請求項26または請求項27に記載の電子センサデバイス。
【請求項29】
前記活性成分は、固体充填剤または液体として設けられる、請求項26~28のいずれかに記載の電子センサデバイス。
【請求項30】
前記バインダは、前記検出媒体内の前記活性成分を結合するように構成される、請求項26~29のいずれかに記載の電子センサデバイス。
【請求項31】
前記プロファイルまたは前記検出媒体は、使用時に、検体と検出媒体との中断した係合に応答して、第1回復フェーズおよび後続の第2回復フェーズ含む回復信号が提供されるようにさらに構成される、請求項1から30のいずれかに記載の電子センサデバイス。
【請求項32】
前記第1応答フェーズは、前記検出媒体の表面からの検体の中断した係合に応答して提供される、請求項31に記載の電子センサ。
【請求項33】
前記第2応答フェーズは、前記媒体本体からの検体の解離に応答して提供される、請求項31または請求項32に記載の電子センサ。
【請求項34】
請求項1~33のいずれかに記載の電子センサと、
検出器と、を備える検体検出装置であって、
前記少なくとも1つの溝の前記第1電気的非絶縁部分は、第1電極を形成し、前記少なくとも1つの溝の前記第2電気的非絶縁部分は、第2電極を形成し、
前記第1電極および前記第2電極は、前記検出器に電気的に接続され、前記検出器は、前記信号応答を検出し測定する、検体検出装置。
【請求項35】
前記検出器は、前記回復信号を検出し測定する、請求項34に記載の検体検出装置。
【請求項36】
請求項1~33のいずれかに記載の電子センサの製造方法であって、
前記基板を用意するステップと、
前記表面内に前記少なくとも1つの溝を形成し、これにより前記第1面、前記第2面および前記プロファイルを提供するステップと、
前記プロファイルの少なくとも一部の内部に前記検出媒体を設けて、前記第1電気的非絶縁部分および前記第2電気的非絶縁部分と接触的に係合するステップと、を含む方法。
【請求項37】
活性成分をバインダと混合し、前記プロファイルの少なくとも一部の内部に前記混合物を堆積させることによって、前記検出媒体を混合物として設けるステップをさらに含む、請求項36に記載の電子センサデバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサデバイスに関し、特に本発明は、検体との係合に応答して信号応答が提供されるように構成された、基板の溝内に形成された電子センサデバイスに関する。本発明はまた、こうしたセンサデバイスを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境内の検体に応答して電気信号を提供するセンサデバイスは周知である。例えば、あるセンサは、懸案の検体に対するキャパシタ誘電体材料の特異的な応答に起因して、検体または検体の化学基に応答して静電容量の測定可能な変化を提供する。このようにこうしたデバイスの誘電体材料は、懸案のターゲット検体についての親和性のために選択される。既知の例は、ガスの吸着を検出するフッ化ランタニド、液体中のイオン種を検出するポリイミド、重金属を検出するパラジウムを含む。
【0003】
このようにセンサの形態および性質は、ターゲット検体または検体のターゲット化学基に依存する。即ち、センサは、特定の環境およびセンサが検出する検体に従って、デバイスの電気容量の増加または減少を確実にするために、特異的に構築され構成される。
【0004】
静電容量信号に依存する特定の電子センサデバイスは、例えば、電極間に挟まれた結晶ウェハ、または金属板電極を含む多層構造の含有物を用いて、従来のキャパシタ材料および構成を利用する。
【0005】
他の特定の静電容量電子センサデバイスは、ターゲット検体による電極との接触に応答して、代替の静電容量信号を提供できるデバイスを作成するために、電極間の正確な間隔に依存する。既知の例は、ポリエステル基板上に搭載されたパラジウムコーティングの銀ワイヤ、ガラスまたはアルミナ基板に搭載されたシリコンゴムコーティングの金属フィンガ、支持スペーサを用いて正確に離れて位置決めされた平面電極を備えたMEMSデバイスを含む。
【0006】
先行技術による解決策の共通の欠点が、デバイスが特定の環境内で特定の検体に応答するように制限されていることである。更なる不具合が、デバイスが、その複雑さと、専門的な材料またはコンポーネントの正確な間隔の要求に起因して、製造するのが高価であることである。
【0007】
さらに、既知のデバイスの静電容量信号応答は、例えば、時間経過を伴う誘電体の段階的な変化に起因して、長期間劣化の影響を受けやすい。このように既知のデバイスは、長期間に渡ってゆっくりと起こるため、検出不可能である静電容量変化を提供する可能性がある。
【0008】
さらに、特定の検体用のセンサデバイスは、使用前に前処理を必要とする場合がある。特に、既知のセンサ、例えば、水素ガスは、典型的には、検体に対する正確かつタイムリーな応答を確保するように、センサを汚染除去するのを確保するために、数時間、おそらく24時間以上の加熱または熱処理を必要とする。こうしてセンサは、ハイパワー電源に接続することを必要とし、使用準備が整うまでにセットアップに多大なエネルギーと時間を必要とする。
【0009】
従って、本発明の目的は、上記の不具合の1つ以上を軽減することである。特に、本発明の目的は、広範囲の検体に応答して電気信号を提供できる電子センサを提供することである。即ち、電子センサは、様々な検体および検体の様々な化学基について電気信号を提供するように容易に構成可能である。
【0010】
本発明の更なる目的は、検体に応答して信頼性の高い電気信号を提供するセンサデバイスを提供することである。換言すると、デバイスは、検体の存在が迅速かつ明確に示されるように、容易に検出可能で安定である電気信号を提供する。
【0011】
本発明の更なる目的は、比較的簡単な設計であるセンサデバイスおよび製造方法を提供することであり、そのためデバイスは迅速かつ低コストで製造できる。他の目的は、ある範囲の検体を検出するようにセンサを構成するために、設計および製造方法が容易に変更できることである。
【0012】
本発明の更なる目的は、設置が容易であり、設置後の即時の使用に準備しているセンサデバイスを提供することである。即ち、設置すると、すぐに使用できるセンサデバイスを提供することである。また、本発明の目的は、低減された電力を用いて動作するセンサデバイスを提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1態様によれば、電子センサデバイスが提供され、このデバイスは、
少なくとも1つの溝を含む基板であって、前記溝は、第1面および第2面を含み、前記溝は、少なくとも基板内の溝深さおよび前記基板の表面における溝幅を含む断面プロファイルを有する、基板を備え、
前記第1面は、第1電気的非絶縁部分を含み、前記第2面は、第2電気的非絶縁部分を含み、前記プロファイル内では、前記第1電気的非絶縁部分は、前記第2電気的非絶縁部分から電気的に分離されており、
さらに、前記溝内に設けられた検出媒体であって、前記第1電気的非絶縁部分および前記第2電気的非絶縁部分と接触的に係合するように配置され、そして検体と接触的に係合するように構成された検出媒体を備え、
前記プロファイルまたは前記検出媒体は、使用時に、検体と検出媒体との係合に応答して、第1応答フェーズおよび後続の第2応答フェーズを含む信号応答が提供されるように構成される。
【0014】
信号応答は、第1応答フェーズおよび第2応答フェーズを含む。即ち、信号応答は、特徴的な第1応答フェーズと、後続の異なる第2応答フェーズを提供する。理論に束縛されないが、本発明者らは、第1および第2応答フェーズは、検体と検出媒体との係合によって提供される2つの特徴的な相互作用によって提供できると考える。特に、検出媒体と溝の2つの非絶縁部分との接触係合に起因して、検出媒体は、2つの容量性表面の間に誘電体を提供する。検体による検出媒体の係合により、ここで説明するように、検出媒体の誘電特性を変化させ、または影響を与える。
【0015】
特定の例では、検出媒体と溝の2つの非絶縁部分との接触係合に起因して、検出媒体は、2つの非絶縁表面の間に抵抗エレメント、即ち、電気抵抗器を提供する。検体による検出媒体の係合により、ここで説明するように、検出媒体の抵抗特性を変化させ、または影響を与える。
【0016】
ここで使用するように、検出媒体が、測定可能な電気的特性を提供できる適切な材料とすることができ、これは、センサデバイスに適切な第1および第2フェーズ応答を提供する。検出媒体の選択は、検出対象の検体に依存することがある。
【0017】
ここで使用するように、電気的非絶縁部分は、導電体でもよく、または半導体として機能してもよい。特定の例では、第1電気的非絶縁部分および第2電気的非絶縁部分の一方または両方は、導電体でもよい。特定の例では、第1電気的非絶縁部分および第2電気的非絶縁部分の一方または両方は、半導体として機能してもよい。特定の例では、第1電気的非絶縁部分は導電体でもよく、第2電気的非絶縁部分は半導体として機能してもよい。
【0018】
検体は、液体でもよい。検体が液体である場合、検出媒体は、ガス、例えば、空気でもよい。この文脈において、検体と検出媒体との間の係合は、検体によるガス(例えば、空気)の変位でもよい。これらの実施形態では、液体は、典型的には非絶縁性、例えば、極性プロトン性溶媒である。特定の例では、液体は、水を含んでもよい。特定の例では、液体は、水または水溶液でもよい。液体が水である場合、検出媒体は、ガス、例えば、空気でもよい。液体が非腐食性水溶液である場合、検出媒体は、ガス、例えば、空気でもよい。
【0019】
検体が腐食性水溶液である場合、溝の面は、コーティングしてもよい。特定の例では、コーティングは非反応性でもよい。「非反応性」とは、コーティングが、検出対象の腐食性水溶液と反応しないことを意味する。必要に応じて、コーティングは、溝面の電気的非絶縁部分を完全にコーティングしてもよい。
【0020】
コーティングは、典型的には誘電体である。それは、1以上の誘電率を有してもよい。それは、10以上の誘電率を有してもよい。それは、1000以下、例えば、100以下の誘電率を有してもよい。
【0021】
コーティングは、腐食性水溶液の少なくとも一部を吸収または吸着してもよい。コーティングは、腐食性水溶液と接触した場合、例えば、コーティングへの腐食性水溶液の吸収または吸着の結果として、膨張してもよい。
【0022】
コーティングの誘電率は、例えば腐食性水溶液と接触した場合、例えば、コーティングへの腐食性水溶液の吸収または吸着の結果として、変化してもよい。コーティングの誘電率は、コーティングの膨潤を提供してもよい。
【0023】
コーティングは、検体と接触しても膨張しなかったり、その誘電率を変化させない場合、検出媒体は、ガス(例えば、空気)であり、検体と検出媒体との間の係合は、検体によるガス(例えば、空気)の変位でもよい。
【0024】
コーティングが膨潤したり、その誘電率を変化させる場合、検出媒体は、コーティングでよく、検出媒体は、コーティングとガス(例えば、空気)の両方でもよい。
【0025】
コーティングは、ポリマーを含んでもよい。コーティングは、非反応性ポリマーを含んでもよい。コーティングは、フッ素化ポリマー、例えば、ポリビニルジフルオライド(PVDF)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含んでもよい。
【0026】
腐食性水溶液が酸性である場合(例えば、HCl、H2SO4、H3PO4、有機酸などを含む溶液)、例示的なポリマーは、PVDFおよびPTFEを含む。
【0027】
腐食性水溶液がアルカリ性である場合(例えば、水酸化物イオン、炭酸イオン、有機塩基などを含む溶液)、例示的なポリマーは、PVDF、PTFEおよびポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)を含む。
【0028】
コーティングは、ポリマーの特性を変えるために、例えば、ポリマーの誘電率を増加させたり、ポリマーが膨潤する傾向を増加させるために、添加剤を含んでもよい。
【0029】
コーティングは、PVDFマトリクスおよびチタン酸バリウム粒子充填剤を含んでもよい。例示的な例が、商品名DuPont LuxPrint(登録商標)8153で販売されている。
【0030】
コーティングは、10nmから10μmの範囲の厚さを有してもよい。コーティング厚さは、溝幅または溝高さに応じて変化してもよい。コーティングは、単一層として形成してもよく、コーティングの複数層として形成してもよい。
【0031】
コーティングが複数層として形成される場合、コーティングの各層は、異なる導電率を与えてもよい。こうしてコーティングの第1層は、コーティングの第2層よりもより高い導電性でもよく、またはより低い導電性でもよい。コーティングの複数層のうちの1つまたは複数は、導電体でもよい。追加または代替として、コーティングの複数層のうちの1つまたは複数は、半導体として機能してもよい。
【0032】
検体は、ガスでもよい。
【0033】
検体がガスである場合、典型的には、検出媒体は、溝の第1面および第2面と接触的に係合するバインダと、活性成分とを含む。活性成分は、検体と結合し、その係合を通じて検出媒体の誘電率を変化させるように選択される。
【0034】
バインダは、典型的にはポリマーを含む。バインダは、フッ素化ポリマーを含んでもよい。バインダは、印刷可能なポリマー組成物でもよい。例示的な例は、ポリスチレン、PVDF、PTFEおよびPMMAを含むポリマー組成物を含む。
【0035】
バインダは、フッ素化ポリマーを含む印刷可能なポリマー組成物でもよい。バインダは、PVDFを含む印刷可能なポリマー組成物でもよい。例示的な例は、商品名DuPont LuxPrint(登録商標)8155で販売されている。
【0036】
活性成分は、検体を、吸収し、吸着し、溶解し、挿入(intercalate)し、検体と反応し、またはそれ以外には検体を取り込む、任意の物質でもよい。
【0037】
活性成分は、液体でもよい。活性成分が液体である場合、それは、バインダに対して、検出媒体が液体であるような濃度で存在してもよい。代替として、バインダに対して、検出媒体がゲルであるような濃度で存在してもよい。
【0038】
活性成分は、固体でもよい。活性成分が固体である場合、それは、典型的にはバインダのマトリクス中に分散された充填剤の形態をとる。
【0039】
活性成分は、非絶縁性でもよい。活性成分が、バインダを介して分散された充填剤である場合、活性成分は、バインダを通る導電性経路を提供してもよい。
【0040】
活性成分が、溝の第1面から第2面までの導電性経路を提供してもよい。導電性経路は、溝面から、溝の外部に設けられた電気端子までの代替の導電性経路よりも高い電気抵抗を有してもよい。
【0041】
検体は、CO2ガスでもよい。
【0042】
検体がCO2である場合、活性成分は、イオン液体でもよい。イオン液体は、20℃で液体であるイオン化合物である。イオン液体は、イミダゾリウムイオンを含んでもよい。
イミダゾリウムイオンは、C2位置に水素を含んでもよい。イオン液体は、1-アルキル-3-アルキル-イミダゾリウムイオンを含んでもよい。イオン液体は、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオンを含んでもよい。イオン液体は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオンを含んでもよい。
【0043】
イオン液体の対イオン(例えば、イミダゾリウムイオンと結合する対イオン)は、ビス(アルキルスルホニル)イミドまたはビス(ハロアルキルスルホニル)イミドでもよい。対イオンは、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドでもよい。
【0044】
イオン液体は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドでもよい。
【0045】
イオン液体はまた、アミン塩基、例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)を含んでもよい。典型的には、アミン塩基は、イオン液体に溶解する。
【0046】
適切なイオン液体の例は、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムカチオンおよびDBU、例えば、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリドおよびDBUを含む。
【0047】
検出媒体は、検出媒体の総重量に対して1重量%から50重量%のイオン液体を含んでもよい。検出媒体は、検出媒体の総重量に対して40重量%以下のイオン液体を含んでもよい。検出媒体は、検出媒体の総重量に対して5重量%から20重量%のイオン液体を含んでもよい。検出媒体は、検出媒体の総重量に対して5重量%から15重量%のイオン液体を含んでもよい。イオン液体が、検出媒体の総重量に対して約15重量%~20重量%(イオン液体とバインダの種類に応じて)未満の濃度で存在する場合、検出媒体は、典型的には液体である。
【0048】
CO2を検出する場合、検出媒体は、液体でもよい。
【0049】
CO2に特に適した検出媒体は、10%のイオン液体を備えたPVDFバインダである。
【0050】
検体は、水蒸気でもよい。
【0051】
検体が水蒸気である場合、活性成分は、イオン液体でもよい。イオン液体は、CO2の検出に適したイオン液体について上述したものでもよい。
【0052】
検出媒体は、検出媒体の総重量に対して1重量%から50重量%のイオン液体を含んでもよい。検出媒体は、検出媒体の総重量に対して15重量%~50重量%のイオン液体を含んでもよい。検出媒体は、検出媒体の総重量に対して20重量%~50重量%のイオン液体を含んでもよい。イオン液体が、検出媒体の総重量に対して約15重量%~20重量%(イオン液体とバインダの種類に応じて)を超える濃度で存在する場合、検出媒体は、典型的にはゲルである。
【0053】
水蒸気を検出する場合、検出媒体は、ゲルでもよい。
【0054】
検体は、H2ガスでもよい。
【0055】
検体がH2である場合、検出媒体は、充填剤を含むバインダでもよい。
【0056】
バインダは、フッ素化ポリマーを含んでもよい。バインダは、印刷可能なポリマー組成物でもよい。
【0057】
バインダは、フッ素化ポリマーを含む印刷可能なポリマー組成物でもよい。バインダは、PVDFを含む印刷可能なポリマー組成物でもよい。バインダは、ポリスチレンを含む、またはPMMAを含む印刷可能なポリマー組成物でもよい。例示的な一例は、商品名DuPont LuxPrint(登録商標)8155で販売されている。
【0058】
検体がH2である場合、活性成分は、固体充填剤、例えば、金属または金属酸化物でもよい。充填剤は、ある物質、例えば、分子酸素と結合する金属または金属酸化物でもよい。
【0059】
充填剤、例えば、金属または金属酸化物は、バインダのマトリックス中に分散されてもよい。充填剤は、ナノ構造の形態でもよい。
【0060】
特定の実施形態では、活性成分は、酸化亜鉛でもよい。他の特定の実施形態では、活性成分は、酸化スズでもよい。さらに特定の実施形態では、活性成分は、酸化チタンでもよい。活性成分、例えば、酸化亜鉛または酸化スズなどは、ナノ構造の形態でもよい。ナノ構造は、ナノワイヤ、ナノチューブ、ナノ粒子、およびナノファイバを含む。
【0061】
触媒が、検出媒体中に存在していてもよい。触媒は、活性成分上のコーティングでもよい。触媒は、遷移金属、例えば、Pdを含んでもよい。触媒は、遷移金属、例えば、Pdでもよい。触媒は、遷移金属化合物、例えば、塩化パラジウムでもよい。
【0062】
活性成分は、酸化スズであり、触媒は、Pdを含むことでもよい。活性成分は、酸化スズであり、触媒は、Pdであることでもよい。活性成分は、酸化スズであり、触媒は、塩化パラジウムであることでもよい。活性成分は、塩化パラジウムでコーティングされた酸化スズでもよい。
【0063】
検出媒体は、検出媒体の総重量に対して1重量%~50重量%の充填剤(例えば、酸化亜鉛または酸化スズ)を含んでもよい。好ましくは、検出媒体は、2重量%~10重量%の充填剤を含んでもよい。さらにより好ましくは、検出媒体は、3重量%~5重量%の充填剤を含んでもよい。
【0064】
存在する場合、検出媒体は、検出媒体の総重量に対して0.01重量%~5重量%の触媒を含んでもよい。
【0065】
特定の例は、使用前に前処理を必要としない電子センサデバイスを提供する。
【0066】
特に、特定の例は、検体が、予熱または熱活性化なしで使用可能な水素ガスであるデバイスを提供する。即ち、センシング装置に設置するとすぐに使用準備状態になる水素センサが提供される。こうして典型的には既知のセンサのように、センサを汚染除去するためにセンサを数時間以上加熱する必要はない。
【0067】
上記の議論において、物質または混合物が特定の物理的状態(例えば、固体、液体、ガス、ゲル)を有するものとして説明している場合、それは、20℃の温度、1気圧の圧力におけるその物質または混合物の物理的状態である。
【0068】
第1応答フェーズでは、信号応答は、検出媒体上の検体の表面効果によって提供されるもよい。即ち、第1応答フェーズでは、信号応答は、検出媒体の表面上の検体との係合によって提供されてもよい。こうして第1応答フェーズは、溝内に形成されたセンサデバイスの誘電特性または電気抵抗特性に第1変化を与える。
【0069】
誘電特性または電気抵抗特性の第1変化は、ここでより詳細に説明するように、例えば、デバイス両端での静電容量、抵抗またはインピーダンスのうちの1つ以上を測定することによって、適切に検出できる。第1応答フェーズでは、第1変化レートが測定される。
【0070】
第2応答フェーズでは、信号応答は、検出媒体上の検体のバルク効果によって提供されてもよい。即ち、第2応答フェーズでは、信号応答は、検出媒体の表面を越えた検出媒体の特定の本体または体積上の検体との係合によって提供されてもよい。こうして検出媒体の本体または体積は、その本体内で、検体を吸収し、吸着し、溶解し、挿入(intercalate)し、または取り込むことができる。こうして検出媒体の本体または体積は、その本体内で、検体を吸収し、吸着し、溶解し、挿入し、またはそれ以外には収集する能力を有してもよい。
【0071】
こうして第2応答フェーズは、溝内に形成されたセンサデバイスの誘電特性または電気抵抗特性に第2変化を与えることができる。誘電特性または電気抵抗特性の第2変化は、ここでより詳細に説明するように、例えば、デバイス両端での静電容量、抵抗または抵抗のうちの1つ以上を測定することによって、適切に検出できる。第2応答フェーズでは、第2変化レートが測定される。
【0072】
このように本発明の電子センサデバイスの検出媒体は、検体との表面係合およびバルク係合の両方を提供するように構成できる。即ち、基板の溝内に検出媒体を設けることによって、検体と接触的に係合し、第1および第2応答フェーズを含む信号応答を提供する検出媒体を含むセンサを提供することが可能である。
【0073】
好都合には、溝内に検出媒体を設けることによって、検体が表面と接触的に係合する際、第1応答フェーズを提供するように構成されたセンサが提供できる。
【0074】
さらに、検体が検出媒体内に吸収され、吸着され、溶解され、挿入され、または取り込まれる際、後続の第2応答フェーズを提供するように構成されたセンサデバイスも提供できる。好ましくは、第2応答フェーズは、検体が検出媒体との吸収、吸着、溶解または取り込みの平衡に到達することによって提供できる。このように第2フェーズ応答は、ゼロに向かう第2変化レートに対応してもよい。換言すると、第2応答フェーズは、検出媒体内にほぼ一定量の検体が存在する平衡点に到達するまでの電気的特性の変化として提供されてもよい。
【0075】
適切には、前記検出媒体は、媒体表面および媒体本体を含んでもよく、前記第1応答フェーズは、前記媒体表面と検体の係合に応答して提供される。
【0076】
このように検出媒体上での検体の表面効果は、検出媒体の媒体表面との検体の係合によって提供されてもよい。
【0077】
適切には、前記第2応答フェーズは、前記媒質本体内の検体の係合に応答して提供されてもよい。
【0078】
このように検出媒体上の検体のバルク効果は、検出媒体の媒体本体との検体の係合によって提供されてもよい。
【0079】
第1および第2フェーズ応答として提供される信号応答に起因して、本発明者によって驚くべき利点に気が付いた。
こうしてセンサデバイスの感度、即ち、検体がセンサに係合して応答信号を提供する速度は、大きな表面積を備えた溝を設けることによって改善できるが、こうしたデバイスは、実質的に、不安定な第1フェーズ応答を提供できるだけである。
換言すると、こうしたデバイスは、信頼性の低い電気的特性測定値を提供する可能性がある。理由は、その表面に係合する検体が、過渡的な方法でしかそうしない可能性があるためである。
【0080】
これに対して溝が溝深さを含む本発明の一態様のセンサデバイスを提供することによって、センサデバイスは、第2フェーズ応答を提供できる。別の言い方では、センサデバイスに媒体本体を設けることによって、センサデバイスは、第2フェーズ応答を提供できる。このようにセンサの信号応答は、信頼性がより高くなる。センサの増加した信頼性は、適切なアスペクト比(即ち、溝幅と溝深さの比率)を備えた溝を提供することによって達成できる。理論に束縛されないが、本発明者は、検出媒体との検体の第1表面係合により第1フェーズ応答を提供し、そして検出媒体との検体の次のバルク結合が続くことにより第2フェーズ応答を提供するため、信頼性が改善できると考える。
【0081】
第1および第2フェーズ応答を示す実験データは、
図6~
図12を参照してここで説明している。
【0082】
適切には、前記媒体本体は、少なくとも1つの溝のプロファイルを形成する基板の一部を含んでもよい。
【0083】
このように電子センサデバイスは、周囲の流体を媒体として使用して簡単に設けることができる。即ち、デバイスには、第1面および第2面上に個々の第1および第2電気的非絶縁部分を含む溝が設けられてもよく、さらに溝内に空気を含んでもよい。このように初期フェーズにおいて検体の不在時に、溝内の空気が溝内の誘電体エレメントまたは抵抗エレメントを提供でき、電気的特性、例えば、静電容量または抵抗がセンサ両端で測定できる。この配置例では、検体によるセンサとの接触により、検体による溝内の空気の一部の置換を引き起こす。こうして第1フェーズ応答は、溝の第1および第2電気的非絶縁部分との検体の接触係合によって提供できる。
【0084】
第2フェーズ応答も、この構成例によって提供できる。第2フェーズ応答は、溝の断面プロファイルの少なくとも一部を形成する基板への検体の吸着によって提供できる。即ち、第2フェーズ応答は、第1電気的非絶縁部分と第2電気的非絶縁部分との間の電気的分離を提供する空間内に溝内に露出した少なくとも基板への検体の吸着によって提供できる。
【0085】
適切には、前記少なくとも1つの溝の前記プロファイルは、第1特徴的形状を有してもよく、使用時に、第2応答フェーズにおいて前記プロファイルは、第2特徴的形状に変形してもよい。このようにセンサとの検体の係合により、溝内の基板による検体の吸着を提供でき、それによって溝の断面形状に対して変化を提供できる。溝プロファイルまたは断面形状に対する変化により、第2フェーズ応答を提供できる。別の言い方では、プロファイルの変形により、センサデバイスの電気的特性を変化させ、第2フェーズ応答を提供できる。理論に束縛されないが、本発明者は、変形は、少なくとも部分的には、溝内に露出した基板による検体の吸収または吸着に起因する可能性があると考える。
【0086】
適切には、前記信号応答は、前記少なくとも1つの溝の少なくとも1つの予め定めた電気的特性の変化を含んでもよい。
【0087】
適切には、前記予め定めた電気特性は、前記少なくとも1つの溝のインピーダンス、抵抗または静電容量でもよい。
【0088】
これらの方法で、第1および第2フェーズ応答は、ここで説明するように電気回路内の適切な検出器によって容易に測定できる。
【0089】
適切には、前記第1応答フェーズ内では、前記予め定めた電気的特性は第1レートで変化し、前記第2応答フェーズ内では、前記予め定めた電気的特性は第2レートで変化してもよい。
【0090】
適切には、前記第1レート変化は、前記第2レート速度よりも大きい大きさでもよい。
【0091】
これらの方法で、第1フェーズ応答を測定し、第2フェーズ応答から区別することが可能である。さらに、前記第1および第2フェーズ応答は、検体または一連の検体とのセンサの係合に起因して、信頼性の高い特徴的な信号応答を提供する。
【0092】
適切には、前記第1応答フェーズは、第1時間間隔に渡って持続し、前記第2応答フェーズは、第2時間間隔に渡って持続してもよい。より適切には、前記第1時間間隔は1秒未満でよく、前記第2時間間隔は60秒未満でもよい。
【0093】
代替として、前記第1時間間隔は60秒未満でもよく、前記第2時間間隔は600秒未満でもよい。好ましくは、前記第1時間間隔は40秒未満でもよく、前記第2時間間隔は180秒未満でもよい。さらにより好ましくは、前記第1時間間隔は20~40秒の範囲内でもよく、前記第2時間間隔は80~120秒の範囲内でもよい。
【0094】
これらの方法で、検出媒体が、特徴的に区別可能な第1フェーズ応答と第2フェーズ応答を提供するように調整できる。即ち、センサは、例えば、適切な溝アスペクト比を選択することによって構成でき、第2フェーズ応答とは明らかに明確に区別される第1フェーズ応答を提供できる。
【0095】
第1または第2フェーズ応答はまた、他の信号応答、例えば、検体の不在時に事前の電気的特性の測定とは明確にはっきりと区別できる。
【0096】
さらに、検体の性質に応じて、センサは、第1フェーズ応答の増加した変化レートを提供するように構成できる。
【0097】
追加または代替として、センサは、第2フェーズ応答を提供するように構成でき、センサの測定された電気的特性は、検体の不在時に測定された電気的特性から特徴的に変化している。
【0098】
適切には、前記溝幅は、100μm以下でもよく、より適切には40μm以下、さらにより適切には0.5μm~10μmの範囲内である。
【0099】
適切には、溝アスペクト比が、前記溝深さと前記溝幅との比率として定義でき、前記溝アスペクト比は、0.1:1~50:1の範囲内でもよい。より適切には、溝アスペクト比は、1:1~6:1の範囲内でもよい。
【0100】
適切には、前記プロファイルは、U字形状、V字形状、非対称V字形状、円形状、半円形状、または正方形状のいずれか1つでもよい。
【0101】
適切には、前記プロファイルは、平坦なベースを含んでもよい。
【0102】
適切には、前記第1電気的非絶縁部分または前記第2電気的非絶縁部分は、個々の前記第1面または前記第2面から前記基板の前記表面上に延びてもよい。
【0103】
適切には、前記第1電気的非絶縁部分または第2電気的非絶縁部分は、コーティングを含んでもよい。特定の例では、第1電気的非絶縁部分は、第2電気的非絶縁部分と実質的に同じ組成である。特定の例では、第1電気的非絶縁部分は、第2電気的非絶縁部分とは異なってもよい。
【0104】
電気的非絶縁部分、即ち、個々の第1電気的非絶縁部分および第2電気的非絶縁部分の一方または両方は、導電体または半導体を含む任意の適切な組成物から提供されてもよい。より適切には、電気的非絶縁部分が、炭素、金属、または非金属、例えば、金属酸化物コーティングなどとして提供されてもよい。電気的非絶縁部分に適した金属が、アルミニウム、金、銀、ニッケル、チタン、マンガン、または他の適切な金属のいずれか1つから形成されるコーティングとして提供されてもよい。適切な非金属が、当業者には知られているように、その上に形成されるコーティングとして提供される任意の金属酸化物でもよい。金属酸化物の非限定的な例は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄または酸化マンガンを含む。
【0105】
適切には、個々の溝の第1面および/または第2面は、軸外方向コーティングプロセスによって第1材料および/または第2材料でコーティングされてもよい。これは、製造時に溝の特定の面を選択的にコーティングできるという利点を提供する。
【0106】
代替または追加として、第1電気的非絶縁部分または第2電気的非絶縁部分は、基板の不連続な電気的非絶縁コーティングを含んでもよく、または、それでもよい。即ち、電気的非絶縁コーティングを基板上に堆積させて、1つ以上の電気的非絶縁部分を提供してもよい。
【0107】
電気的非絶縁部分は、基板の他のコーティングの一部をエッチングまたは除去して、電気的非絶縁コーティングを露出させることによって形成してもよい。いくつかの実施形態では、電気的非絶縁部分は、製造時に基板の表面上の接続部分のある領域をマスキングすることによって形成してもよい。こうして接続部分のある領域が、導電性材料を欠いていてもよい。
【0108】
適切には、前記少なくとも1つの溝は、一連の溝を含んでもよい。即ち、特定の実施形態では、電子センサは、第1の一連の溝を含んでもよい。
【0109】
第1の一連の溝は、任意の数の溝を含んでもよく、即ち、第1端子溝および第2端子溝を含んでもよい。
【0110】
第1の一連の溝の各溝は、基板の横断方向を横切って延びてもよい。
【0111】
第1の一連の溝の各溝は、平行に延びていてもよい。
【0112】
第1端子溝と第2端子溝との間の第1の一連の溝内に、任意の数の溝を設けてもよい。第1端子溝は、一端、または第1端、例えば、遠位端において、終端してもよく、あるいは第1の一連の溝の終端を形成してもよい。第2端子溝は、他端、または第2端、例えば、近位端において、終端してもよく、あるいは第1の一連の溝の終端を形成してもよい。
【0113】
遠位端および近位端は、基板のウェブ方向を横切る第1の一連の溝の端部を示す。
【0114】
センサデバイスは、第2の一連の溝をさらに含んでもよい。第2の一連の溝は、任意の数の溝を含んでもよく、即ち、第1端子溝および第2端子溝を含んでもよい。
【0115】
第2の一連の溝の各溝は、基板の横断方向を横切って延びてもよい。
【0116】
第2の一連の溝の各溝は、平行に延びていてもよい。
【0117】
第2の一連の溝の各溝は、第1の一連の溝の各溝と平行でもよい。
【0118】
第1端子溝と第2端子溝との間の第2の一連の溝内に、任意の数の溝を設けてもよい。第1端子溝は、一端、または第1端、例えば、遠位端において、終端してもよく、あるいは第2の一連の溝の終端を形成してもよい。第2端子溝は、他端、または第2端、例えば、近位端において、終端してもよく、あるいは第2の一連の溝の終端を形成してもよい。
【0119】
遠位端および近位端は、基板のウェブ方向を横切る第2の一連の溝の端部を示す。
【0120】
第1端子溝および第2端子溝は、それぞれ基板の表面上の接続部分に近接してもよい。各接続部分は、溝、例えば、端子溝を電気的に接続する手段を提供する。特定の例では、接続部分が、溝に電気回路内の電気接続を提供する。このように個々の第1接続部分および第2接続部分が、センサデバイスの第1電極および第2電極を提供できる。
【0121】
追加または代替として、第1の一連の溝の第2端子溝および第2の一連の溝の第1終端は、接続部分によって、分離または離隔していてもよい。即ち、第1の一連の溝と第2の一連の溝との間に、接続部分によって提供される電気接続部が存在してもよい。
【0122】
適切には、少なくとも1つの溝は、対向するエッジで隣接する平行セクションを有する単一の溝を備えてもよく、それにより実質的に繰り返しS字形状を形成できる。
【0123】
適切には、前記一連の溝の各溝は、5mmから1000mmの長さでもよい。
【0124】
適切には、前記一連の溝の統合長さは、100mより大きい長さでもよく、より適切には1000mより大きい長さでもよい。さらにより適切には、前記一連の溝の統合長さは、10000mより大きい長さでもよく、さらにより適切には、10000m~60000mの範囲でもよい。
【0125】
適切には、前記一連の溝の第1溝の第2面が、前記一連の溝の第2溝の第1面と電気的に連通していてもよい。
【0126】
適切には、前記一連の溝は、予め定めた溝密度で前記基板表面上に整列してもよい。ここで使用したように、溝密度は、合計基板面積に対する合計溝面積の比率として定義できる。適切には、前記溝密度は、50~80%の範囲内、より好ましくは60~70%の範囲内でもよい。
【0127】
基板は、硬化性樹脂、特にUV硬化性樹脂を含んでもよい。適切には、基板は、ポリ塩化ビニル(PVC)上にコーティングされたアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)上にコーティングされたアクリル樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)上にコーティングされたアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)上にコーティングされたバイオポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)上にコーティングされたバイオポリマー、およびポリエチレンナフタレート(PEN)上にコーティングされたバイオポリマーのうちの1つ以上を含んでもよい。より適切には、基板が、電気的非絶縁性材料で含浸またはドープされてもよい。特定の例では、基板が、少なくとも30体積%、より適切には少なくとも37体積%まで含浸またはドープされてもよい。
【0128】
適切には、前記検出媒体は、前記プロファイルの少なくとも一部上に共形的に(conformally)堆積される。このように検出媒体は、第1面または第2面、あるいは第1電気的非絶縁部分または第2電気的非絶縁部分を保護的に覆うことができる。
【0129】
適切には、前記検出媒体は、前記少なくとも1つの溝を部分的に充填し、実質的に充填し、または過剰充填してもよい。
【0130】
適切には、前記検出媒体は、バインダおよび活性成分を混合状態で含んでもよい。
【0131】
適切には、前記バインダおよび前記活性成分は、均一に分散されてもよい。
【0132】
適切には、信号応答は、検体と前記活性成分との係合に応答して提供されてもよい。
【0133】
適切には、前記活性成分は、粒子として、または液体として設けられてもよい。
【0134】
適切には、前記バインダは、前記検出媒体内の前記活性成分を結合するように構成されてもよい。
【0135】
適切には、前記プロファイルまたは前記検出媒体は、使用時に、検体と検出媒体との中断した係合に応答して、回復信号が提供されてもよい。より適切には、回復信号は、第1回復フェーズおよび後続の第2回復フェーズを含んでもよい。
【0136】
適切には、前記第1応答フェーズは、前記検出媒体の表面からの検体の中断した係合に応答して提供されてもよい。
【0137】
適切には、前記第2応答フェーズは、前記媒体本体からの検体の解離(dissociation)に応答して提供されてもよい。
【0138】
これらの方法で、電子センサは、センサを用いた検体の不在または減少に起因して応答信号を提供するように容易に構成できる。
【0139】
本発明の更なる態様によれば、検体検出装置で提供される。検体検出装置は、
少なくとも1つの溝を含む基板を含む電子センサを備え、前記溝は、第1面および第2面を含み、前記溝は、少なくとも基板内の溝の深さおよび前記基板の表面における溝幅を含む断面プロファイルを有し、
前記第1面は、第1電気的非絶縁部分を含み、前記第2面は、第2電気的非絶縁部分を含み、前記プロファイル内で、前記第1電気的非絶縁部分は、前記第2電気的非絶縁部分から電気的に分離されており、
さらに、前記溝内に設けられた検出媒体であって、前記第1電気的非絶縁部分および第2電気的非絶縁部分と接触的に係合するように配置され、そして検体と接触的に係合するように構成された検出媒体を備え、
前記プロファイルまたは前記検出媒体は、使用時に、検体と検出媒体との係合に応答して、第1応答フェーズおよび後続の第2応答フェーズを含む信号応答が提供されるように構成され、
さらに、検出器を備え、
前記少なくとも1つの溝の前記第1電気的非絶縁部分は、第1電極を形成し、前記少なくとも1つの溝の前記第2電気的非絶縁部分は、第2電極を形成し、
前記第1電極および第2電極は、前記検出器に電気的に接続され、前記検出器は、前記信号応答を検出し測定する。
【0140】
適切には、前記検出器は、前記回復信号を検出し測定する。
【0141】
適切には、電子センサデバイスは、2端子デバイスとも称される。第1および第2の一連の溝は、カスケード溝構造とも称される。使用時、デバイスは、直列配置で製造でき、並列または直列と並列の組合せ配置で動作できる。
【0142】
本発明のさらに更なる態様によれば、電子センサデバイスを製造する方法が提供される。この方法は、前記基板を用意するステップと、
前記表面内に前記少なくとも1つの溝を形成し、これにより第1面、第2面およびプロファイルを提供するステップと、
前記表面内に前記少なくとも1つの溝を形成し、それによって、第1面、第2面、および少なくとも、基板内の溝深さおよび前記基板の表面における溝幅を含むプロファイルを提供するステップであって、前記第1面は、第1電気的非絶縁部分を含み、前記第2面は、第2電気的非絶縁部分を含み、前記プロファイル内では、前記第1電気的非絶縁部分は、前記第2電気的非絶縁部分から電気的に分離されている、ステップと、
前記プロファイルの少なくとも一部の内部に前記検出媒体を設けて、前記第1電気的非絶縁部分および前記第2電気的非絶縁部分と接触的に係合するステップであって、前記プロファイルまたは前記検出媒体は、使用時に、検体と検出媒体との係合に応答して、第1応答フェーズおよび後続の第2応答フェーズを含む信号応答が提供されるように構成される、ステップと、を含む。
【0143】
適切には、前記方法はさらに、活性成分(例えば、充填剤)をバインダと混合することによって、前記検出媒体を提供することをさらに含む。
【0144】
電子センサデバイスの製造中に、軸外方向コーティングプロセスを使用してもよく、これにより溝または一連の溝の少なくとも1つの面が選択的にコーティングされる。これは、こうしたデバイスのロールツーロール(roll-to-roll)製造に特に有用であり、製造プロセスをバッチプロセスではなく連続プロセスとして実行できるためである。こうした場合、溝の反対側の面は、コーティング対象の面に影を落とすため、コーティング対象の面の一部だけが、到来する材料によってコーティングできる。これは、「シャドーイング効果」として知られている。こうしてシャドーイング効果は、溝の面に堆積される材料の量を管理する。シャドーイング効果は、軸外方向コーティングの角度を増加または減少させることによって変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【0146】
【
図1】本発明の一態様に係る電子センサデバイスの第1例示的実施形態の断面図を示す。
【
図2】本発明の一態様に係る電子センサデバイスの第2例示的実施形態の断面図を示す。
【
図3】本発明の一態様に係る電子センサデバイスの第3例示的実施形態の断面図を示す。
【
図4】検出器との電気接続のための2端子デバイスとして提供される、本発明の一態様に係る例示的実施形態の電子センサの斜視図を示す。
【
図5】
図5(a)は、本発明の一態様に係る例示的実施形態のデバイスの、(a)試験条件下でのモデル信号応答を示し、
図5(b)は、モデル信号応答の計量定義を示す。
【
図6】
図4の2端子デバイスによって測定された、液体の水に応答した静電容量信号応答の実験データを示し、
図6(a)は第1検出媒体の両方、
図6(b)は第1検出媒体のみ、
図6(c)は第2検出媒体のみを組み込む。
【
図7】5%の二酸化炭素ガス(
図7(a))および、最初は2%、その後5%の二酸化炭素ガス(
図7(b))を含む雰囲気に応答した、試験条件下での更なる例示的実施形態の電子センサデバイスの静電容量信号応答の実験データを示す。
【
図8】5%の二酸化炭素ガスの雰囲気に応答した
図9のデバイスのインピーダンス信号応答の実験データを示す。
【
図9】本発明の一態様に係る電子センサデバイスを形成する例示的方法を示す。
【
図10】第3検出媒体を組み込む、
図4の2端子デバイスによって測定された、液体の水に応答した静電容量信号応答の実験データを示す。
【
図11】第4検出媒体を組み込む、
図4の2端子デバイスによって測定された、5%の水素ガスに応答した抵抗信号応答の実験データを示す。
【
図12】第5検出媒体を組み込む、
図4の2端子デバイスによって測定された、0.8~0.9%の水素ガスに応答した抵抗信号応答の実験データを示す。
【0147】
図面において、同様の参照番号は同様の部分を参照する。
【発明を実施するための形態】
【0148】
下記の説明では、特定の用語は便宜的に使用しているに過ぎず、限定的ではない。用語「上側」は、組み立て時および取り付け時に、説明するコンポーネントを基準として、参照している図面内のある方向を指定している。
【0149】
さらに、ここで使用するように、用語「接続され」、「装着され」、および「搭載され」は、両者間に他の部材が介在しない2つの部材間の直接接続、そして1つ以上の他の部材が介在する部材間の間接接続を含むことを意図している。この用語は、上記で具体的に言及した単語、その派生語、および類似の意味の単語を含む。
【0150】
さらに、別段に特定していない限り、序数形容詞、例えば、「第1」、「第2」、「第3」などの使用は、類似の物体の異なるインスタンスが参照されていることを示すに過ぎず、そのように記載された物体が、時間的、空間的、ランキングまたはその他の方法で所定の順序であるべきことを意味することを意図していない。
【0151】
ここで
図1(a)および1(b)を参照すると、本発明の第1態様に係る電子センサデバイス100の断面図が示される。
図1(a)(b)の例では、センサデバイス100は、溝104を有する基板102を含み、溝104は、第1面120および第2面130を含み、これは、少なくとも基板内の溝深さ165と、基板102の表面105での溝幅160とを含む断面プロファイルを有する。
【0152】
第1面120は第1電気的非絶縁部分122を含み、第2面130は第2電気的非絶縁部分132を含み、プロファイル内では、第1電気的非絶縁部分122は、第2電気的非絶縁部分132から電気的に分離される。
【0153】
検出媒体150が、前記溝内に設けられ、前記第1および第2電気的非絶縁部分122,132と接触的に係合するように配置され、検体と接触的に係合するように構成される。
【0154】
溝104のプロファイルまたは検出媒体150のいずれかは、使用時に、検体と検出媒体150との係合に応答して、第1応答フェーズおよび後続の第2応答フェーズを含む信号応答が提供されるように構成される。
【0155】
溝104は、基板102の表面105を横切って近位端から遠位端まで延びるように形成される。溝104は、基板102を横切って直線的に延びている。特定の他の例では、溝は、任意の適切な向きまたは構成、例えば、Z字状、ジグザグ状、または湾曲状の配置などで、基板を横切って延びていてもよい。
【0156】
溝104は、ある断面プロファイルを備えて形成される。図示の例では、断面プロファイルは、対向して配置され、基板102の中に延びる第1面22および第2面132を含む。第1面122と第2面132は、ベース117によって離隔して配置される。
【0157】
このプロファイルは、基板の表面105において第1面122と第2面132との間の距離によって決定される溝幅160を含む略U字状の溝を形成する。このプロファイルは、溝104が基板102内に延びる垂直距離によって決定される深さ165を含む。
【0158】
あるプロファイルがさらに溝アスペクト比を含む。ここで使用される溝アスペクト比は、基板表面での溝の幅と、基板内の溝の深さとの比率として定義される。
図1に示す例では、溝104には、5μmの溝幅160および10μmの溝深さが設けられている。溝アスペクト比は、2:1である。
【0159】
溝104の第1面122および第2面132は、実質的に等しい長さであり、基板102の表面105に直交して延びる基準軸に対して共通の角度で表面105から延びている。
【0160】
特定の他の例では、溝プロファイルは、任意の適切な形状でもよく、例えば、これに限定されないが、V字状、円形状、半円形状または正方形状などでもよい。溝プロファイルは、基準軸に関して対称であっても非対称でもよい。即ち、例えば、プロファイルが、異なる長さの面、または基準軸に対して異なる角度を備えたV字状でもよい。
【0161】
第1面120には、第1電気的非絶縁部分122が設けられる。第1電気的非絶縁部分122は、溝104内で第1面120の長さに沿って延びている。図示の例では、第1電気的非絶縁部分122は、金属化アルミニウムコーティングである。
【0162】
第1電気的非絶縁部分122は、表面105から溝ベース117の上方のある距離まで、第1面120の深さの一部に延びている。
【0163】
第2面130には、第2電気的非絶縁部分132が設けられる。第2電気的非絶縁部分132は、溝104内で第2面130の長さに沿って延びている。図示の例では、第2電気的非絶縁部分132は、金属化アルミニウムコーティングである。
【0164】
第2電気的非絶縁部分132は、表面105から溝ベース117の上方のある距離まで、第1面120の深さの一部に延びている。
【0165】
第1電気的非絶縁部分122および第2電気的非絶縁部分132は、溝104を隔てて電気的に分離されている。即ち、第1電気的非絶縁部分122および第2電気的非絶縁部分132は、溝104のベース117を隔てて離隔している。
【0166】
図1に示す例では、第1電気的非絶縁部分122は、第2電気的非絶縁部分132と実質的に同じ組成である。特定の例では、第1電気的非絶縁部分122は、第2電気的非絶縁部分132とは異なってもよい。
【0167】
第1電気的非絶縁部分122および第2電気的非絶縁部分132は、導電体または半導体を含む任意の適切な組成物から提供できる。好ましくは、電気的非絶縁部分122および第2電気的非絶縁部分132は、カーボン、または金属もしくは金属酸化物のコーティングとして設けられる。さらにより好ましくは、電気的非絶縁部分122および第2電気的非絶縁部分132は、アルミニウム、金、銀、ニッケル、チタン、マンガン、またはこれらの酸化物、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マンガンのコーティングとして設けられる。
【0168】
第1および第2電気的非絶縁部分122,132は、個々の溝面上にコーティングまたは堆積物として設けることができる。個々のコーティングが、任意の適切な手法、例えば、軸外方向コーティングプロセスなどを用いて塗布できる。個々のコーティングが、蒸着手法を用いて塗布できる。代替として、基板は、電気的非絶縁材料で形成でき、第1および第2電気的非絶縁部分が、基板内の個々の溝面を形成することによって設けられる。
【0169】
検出媒体150が、溝104の内部に設けられる。検出媒体150は、溝の内部に堆積され、検出媒体150が第1電気的非絶縁部分122と接触的に係合し、そして第2電気的非絶縁部分132と接触的に係合するようになる。
【0170】
検出媒体150は、溝104を部分的に充填する。即ち、検出媒体150は、溝104のベース117を覆い、それが第1および第2面120,130の上方に部分的に延びるようし、それによって第1および第2電気的非絶縁部分122,132を部分的に覆う。これにより検出媒体150には、溝104内に含まれる表面152が設けられる。即ち、検出媒体150の表面152は、溝内で露出しており、物質、例えば、検体が溝104に入って検出媒体150と係合する。
【0171】
使用時、電子センサデバイス100は、ここで説明するように、電気回路、例えば、検出器を含む2端子デバイスなどの内部で接続される。ここで説明するように、センサデバイス100の両端に電位差を印加することによって、センサデバイスの電気的特性が適切な検出器を用いて検出、測定できる。特定の例では、電気的特性は、溝104の両端で測定される静電容量である。必要に応じて、電気的特性は、溝104の両端で測定されるインピーダンスまたは抵抗である。電気的特性の測定の更なる詳細は、
図6~
図10に関連してここに提供される。
【0172】
ここで
図2を参照すると、電子センサデバイス300の第2例示的実施形態が示される。機能が前の例と同じ場合、参照番号も同じままであるが、最初の数字が「3」になる。
【0173】
さらに、
図2は、基板302内に溝304を含み、第1および第2面320,330を含むセンサ300の断面図を示す。溝304のプロファイルは、
図1に示される例示的実施形態の溝104のプロファイルと実質的に同じであるため、簡潔のために、ここでは詳細を繰り返さない。
【0174】
溝304の第1面320には、第1電気的非絶縁部分322が設けられる。第1電気的非絶縁部分322は、溝304内で第1面320の長さに延びている。図示の例では、第1電気的非絶縁部分322は、金属化アルミニウムコーティングである。
【0175】
第1電気的非絶縁部分322は、第1面320の深さの一部に、表面305から溝ベース317の上方にある距離まで延びている。第1電気的非絶縁部分322はさらに、基板の表面305に沿ってある距離延びており、第1接触部分322aを提供する。
【0176】
基板302の表面305には、第1コーティング382が設けられる。第1コーティング382は、溝の第1面320の上側エッジから遠くへ延びている。即ち、第1コーティング382は、第1電気的非絶縁部分322の接触部分322aと接触的に係合して設けられる。こうして第1電気的非絶縁部分322は、第1電極を形成することができる。このように第1電気的非絶縁部分322は、ここでさらに説明するように、2端子デバイスの第1端子に電気的に接続できる。
【0177】
溝304の第2面330には、第2電気的非絶縁部分332が設けられる。第2電気的非絶縁部分332は、溝304内で第2面330の長さに延びている。図示の例では、第2電気的非絶縁部分332は、金属化アルミニウムコーティングである。
【0178】
第2電気的非絶縁部分332は、第1面320の深さの一部に、表面305から溝ベース317の上方にある距離まで延びている。第2電気的非絶縁部分332はさらに、基板302の表面305に沿ってある距離延びており、第2接触部分332aを提供する。
【0179】
基板302の表面305には、第2コーティング383が設けられる。第2コーティング383は、溝の第2面330の上側エッジから遠くへ延びている。即ち、第2コーティング383は、第2電気的非絶縁部分332の接触部分332aと接触的に係合して設けられる。こうして第2電気的非絶縁部分332は、第2電極を形成することができる。このように第2電気的非絶縁部分332は、ここでさらに説明するように、2端子デバイスの第2端子に電気的に接続できる。
【0180】
検出媒体350が、溝304の内部に設けられる。検出媒体350は、溝内に堆積され、検出媒体350が第1電気的非絶縁部分322と接触的に係合し、そして第2電気的非絶縁部分332と接触的に係合するようになる。
【0181】
検出媒体350は、溝304を過剰充填する。即ち、検出媒体350は、溝内の空洞を充填し、溝表面352が基板302の表面305の平面よりも上方に延びている。即ち、検出媒体350の表面352は、溝の上方に露出しており、物質、例えば、検体が溝304に入って検出媒体350と係合する。
【0182】
使用時、電子センサデバイス300は、第1および第2電極を用いて、電気回路、例えば、検出器を含む2端子デバイスなどの内部で接続される。センサデバイス300の電気的特性が、
図1の例示的実施形態のセンサデバイスと同様な方法で、適切な検出器を用いて検出、測定できる。
【0183】
ここで
図3を参照すると、電子センサデバイス400の第3例示的実施形態が示される。機能が前の例と同じ場合、参照番号も同じままであるが、最初の数字が「4」になる。
【0184】
さらに、
図3は、基板402内に溝404を含み、第1および第2面420,430を含むセンサ400の断面図を示す。溝のプロファイル、そして第1および第2電気的非絶縁部分422,432は、
図1に示す例示的実施形態の溝104の対応する特徴と実質的に同じであるため、簡潔のために、ここでは詳細を繰り返さない。
【0185】
検出媒体450が、溝404の内部に設けられ、それが溝のプロファイルを共形的に(conformally)覆う。即ち、検出媒体450は、検出媒体450材料の層で溝404の第1面420、第2面430およびベース417を覆っており、溝は、検出媒体450で充填されない。
【0186】
第1および第2面420,430の個々の上側エッジにおいて、検出媒体450は、溝404から外へ延びており、それにより第1および第2電気的非絶縁部分422,432の境界を表面405で覆う。このように検出媒体450は、第1および第2電気的非絶縁部分422,432に対して被覆を提供するように配置され、これらが検体に露出されないようにする。検出媒体450は、第1および第2電気的非絶縁部分422,432を封入するように配置され、それによって保護層を提供する。
【0187】
ここで
図4を参照すると、検出器との電気接続のための2端子デバイスとして提供される例示的実施形態の電子センサ500の斜視図が示されている。機能が前の例と同じ場合、参照番号も同じままであるが、最初の数字が「5」になる。
【0188】
電子センサ500は、一連の溝504を含む領域が形成された基板502を含む。
【0189】
基板502は、ここで説明するように、一連の溝504とともに配置されたスペーサおよびチャネルが設けられた第1領域を含む。第1領域は、一連の溝504と基板502の第1エッジとの間に延びる第1端子512として形成される。第1端子512は、それに搭載された第1コネクタ592と電気的に接続される。
【0190】
基板502は、ここで説明するように、一連の溝504とともに配置されたスペーサおよびチャネルが設けられた第2領域を含む。第2領域は、一連の溝504と基板502の第2対向エッジとの間に延びる第2端子514として形成される。第2端子514は、それに搭載された第1コネクタ594に電気的に接続される。
【0191】
基板502は、その上に検体599の2つの部分が堆積された状態で示される。図示の例では、検体599は、一連の溝504に接触して係合する2つの液滴として提供される。
【0192】
第1および第2端子512,514は、第1および第2コネクタ592,594を介して検出器(不図示)に電気的に接続される。即ち、第1および第2端子512,514は、検出器を備えた電気回路を形成する。検出器は、
図5を参照してより詳細に説明するように、一連の溝504の電気的特性を検出し測定するように適切に選択される。こうしてセンサデバイス500は、検出器に電気的に接続された2端子デバイスとして形成される。
【0193】
ここで
図5を参照すると、例えば、
図4に示したようなセンサ500および電気検出器を用いたモデル信号応答が示される。特に、
図5(a)には、第1検体部分、そして第2検体部分が電子センサデバイスと接触的に係合する際に、経時的に測定されたモデル静電容量信号応答640が示される。信号応答モデルでは、検体部分は水の液滴であるが、信号応答は、ある範囲の流体形態の検体を示す可能性がある。
【0194】
モデル信号応答640から得られた計量定義を
図5(b)に示す。初期静電容量値(C0)は、バックグラウンド信号応答に対応する。即ち、C0は、センサデバイスとの検体の係合前に測定された静電容量値に対応する。こうしてC0は、検体が存在する前のセンサの一定の静電容量信号応答を表す。
【0195】
第1検体液滴が、センサと係合する(641)。第1検体液滴の係合により、センサに第1信号応答を提供する。第1検体は、体積V1を有する。第1信号応答の後、第1液滴は、センサと係合した状態のままである。第1信号応答は、ここで説明するように、センサ上での第1検体液滴の表面効果、および第1検体液滴のバルク効果に対応する第1および第2フェーズ応答を含む。
【0196】
第1信号応答の第1フェーズ応答は、時間間隔t5の持続時間を有し、その後、検出器は、第1特性静電容量C5を測定する。C5は、ベースライン静電容量C0とは異なる静電容量である。C5は、第1信号応答の第2フェーズ応答を表す。即ち、C5は、センサとの第1検体液滴の係合後の静電容量信号応答を表す。
【0197】
第2検体液滴が、センサと係合する(643)。第2検体液滴の係合により、センサに第2信号応答を提供する。第2検体は、体積V2を有する。第2信号応答の後、第2液滴は、センサと係合した状態のままになる。第2信号応答は、ここで説明するように、センサ上での第2検体液滴の表面効果、および第2検体液滴のバルク効果に対応する第1および第2フェーズ応答を含む。
【0198】
第2信号応答の第1フェーズ応答は、時間間隔t10の持続時間を有し、その後、検出器は、第2特性静電容量C10を測定する。C10は、ベースライン静電容量C0および第1特性静電容量C5の両方とは異なる静電容量である。C10は、第2応答信号の第2フェーズ応答を表す。即ち、C10は、センサとの第2検体液滴の係合後の静電容量信号応答を表す。
【0199】
追加または代替として、第1または第2信号応答のいずれかの第2フェーズ応答は、測定された電気的特性の変化を含むことがある。即ち、第2フェーズ応答が、例えば、静電容量などの静電気特性のみに限定されない。特定の例では、第2フェーズ応答が、センサに対する検体のバルク効果によって引き起こされる経時的な電気的特性の変化を含むことがある。こうして第2フェーズ応答内で、変化率は、予め定めた時間に渡ってゼロに減少することがある。換言すると、第2フェーズ応答内では、検体が検出媒体のバルク体積との平衡に近づくにつれて、電気的特性は静的測定に向かう傾向がある可能性がある。
【0200】
モデル応答640は、センサからの第1および第2検体液滴の除去645も含む。検体液滴の除去により、センサに回復信号応答を提供する。回復信号応答は、センサに対する検体の表面効果の中断、そしてセンサに対する検体のバルク効果の中断に対応する第1および第2フェーズ応答を含む。
【0201】
回復信号応答は、時間間隔tdの持続時間を有し、その後、検出器は、ベースライン静電容量C0を測定する。
【0202】
第1検体液滴によって提供される、信号応答についての信号対ノイズ比s5が、ここではC5/C0として定義される。第1および第2検体液滴によって提供される、信号応答についての信号対ノイズ比s10は、ここではC10/C0として定義される。従って、第1および第2検体液滴に対する静電容量感度Sは、ここでは次のように定義される。
【0203】
【0204】
図5に示すモデル応答の第1信号応答は、個々の第1および第2フェーズ応答を含み、センサが検体を検出したことを示すのに充分なものである。即ち、第1信号応答は、それ自体で検体が検出されたことを示す電気的特性(この場合は静電容量)の信頼できる測定可能な変化を提供できる。センサが検体を検出したことを示すために、第2信号応答は必要とされない場合がある。こうして
図5に示す第2信号応答は、ここで説明するようなセンサが、増加する検体量との係合に起因して、複数の信号応答を提供できることを示すために提供される。
【0205】
ここで
図6を参照すると、本発明の一態様に係る2つの異なるセンサデバイスを組み込んだ場合に、
図6に示す2端子デバイスによって測定された容量信号応答の実験データが示される。
【0206】
2つのセンサは、BLK_IGIおよびD53_1Pとして識別される。センサはそれぞれ、5.3μmの溝幅および10μmの溝深さを有する一連の溝を含む基準基板で形成される。基準基板は、66%の溝密度を有する。溝の第1面と第2面は金属化面で形成される。即ち、基準基板の溝は、厚さ約100nmのアルミニウムの層として形成された第1および第2電気的非絶縁部分を含む。
【0207】
センサBLK_IGIは、検出媒体として空気を含む。
図6(b)は、
図4を参照して説明したように、検体の第1および第2液滴、この場合は液体の水に応答したセンサBLK_IGIの信号応答1040を示す。信号応答の計量は、
図5を参照して説明したモデル応答の計量に対応して、
図6(a)に示す表に提供される。
【0208】
第1液滴は、センサと係合して(1041)、第1信号応答を提供する。第1信号応答は、第1フェーズ応答1051を含み、静電容量がほぼ瞬時に約0Fのベースラインから約2.5×10-8Fまで増加し、約2.5×10-8F、即ち25nFの変化である。第1フェーズ応答s5の信号対ノイズ比は、7.37と測定された。第1フェーズ応答は、センサ上の第1液滴の表面効果に対応する。
【0209】
第2フェーズ応答1052が提供され、そこでは静電容量が第1特性静電容量C5まで減少する。第2フェーズ応答は、センサ上の第1液滴のバルク効果に対応する。第1信号応答の時間t5は、44.5秒である。
【0210】
第2液滴が、センサと係合し(1043)、第2信号応答を提供する。第2信号応答は、第1フェーズ応答1061を含み、静電容量は、約1.0×10-8Fから約6.0×10-8Fまでほぼ瞬時に増加し、約5.0×10-8F、即ち50nFの変化である。第1フェーズ応答の信号対ノイズ比s10は、17.22と測定された。第1フェーズ応答は、センサ上の第2液滴の表面効果に対応する。
【0211】
第2フェーズ応答1062が提供され、静電容量は、第2特性静電容量C10まで減少する。第2信号応答は、センサ上の第1液滴のバルク効果に対応する。第2信号応答の時間t10は、43.46秒である。
【0212】
第1および第2液滴がセンサから除去され(1045)、回復信号応答1071を提供する。
【0213】
センサD53_1Pは、Dupont Luxprint 8153を含む検出媒体を含み、その更なる詳細はここで提供される。検出媒体は、基準基板の溝付き領域の単一コートとして提供される。
【0214】
図6(c)は、
図4を参照して説明したように、検体の第1液滴および第2液滴(この場合は液体の水)に応答して測定されたセンサD53_1Pの信号応答1140を示す。信号応答の計量は、
図5を参照して説明したモデル応答の計量に対応して、
図6(a)に示す表に提供される。
【0215】
第1液滴がセンサと係合して(1141)、第1信号応答を提供する。第1信号応答は、第1フェーズ応答1151を含み、このとき静電容量は約0Fから約2.5×10-8Fまでほぼ瞬時に増加する。第1フェーズ応答の信号対ノイズ比s5は、1.98と測定された。第1フェーズ応答は、センサ上の第1液滴の表面効果に対応する。
【0216】
第2フェーズ応答1152が提供され、そこでは静電容量は、第1特性静電容量C5まで減少する。第2信号応答は、センサ上の第1液滴のバルク効果に対応する。応答時間t5は、7.00秒である。
【0217】
第2液滴がセンサと係合して(1143)、第2信号応答を提供する。第2信号応答は、第1フェーズ応答1161を含み、静電容量は、約2.5×10-8Fから4.0×10-8Fまでほぼ瞬時に増加する。第1フェーズ応答の信号対ノイズ比s10は、3.31と測定された。第1フェーズ応答は、センサ上の第2液滴の表面効果に対応する。
【0218】
第2フェーズ応答1162が提供され、静電容量は、第2特性静電容量C10まで減少する。第2フェーズ応答は、センサ上の第1液滴のバルク効果に対応する。応答時間t10は、4.28秒である。
【0219】
第1液滴および第2液滴は、センサから除去され(1145)、回復信号応答1171を提供する。回復信号応答時間tdは、12.00秒である。
【0220】
ここで
図10を参照すると、実質的に減少した溝アスペクト比を備えたセンサデバイスを組み込んだ場合、
図4に示す2端子デバイスによって測定された静電容量信号応答の実験データが示される。センサは、BLK_ELFとして識別され、約80μmの溝幅と1μm未満の溝深さ(0.013の溝アスペクト比に対応)を有する一連の溝を含む基準基板から形成される。
【0221】
図6に関して説明したセンサと共通に、溝の第1面および第2面には、金属化面が形成され、厚さ約100nmのアルミニウム層として形成された第1および第2電気的非絶縁部分を提供する。
【0222】
センサBLK_ELFは、検出媒体として空気を含む。
図10(b)は、
図4を参照して説明したように、検体の第1液滴および第2液滴、この場合は液体の水に応答するセンサBLK_ELFの信号応答1540を示す。信号応答の計量は、
図5を参照して説明したモデル応答の計量に対応して、
図10(a)に示す表に提供される。
【0223】
第1液滴がセンサと係合して(1541)、第1信号応答を提供する。第1信号応答は、第1フェーズ応答1551を含み、静電容量は、ほぼ瞬時に約0Fのベースラインから約1.0×10-9Fまで増加し、約1.0×10-9F、即ち1nFの変化である。
【0224】
第2液滴がセンサと係合して(1543)、第2信号応答を提供する。第2信号応答は、第1フェーズ応答1561を含み、静電容量は、約6.0×10-10Fから約1.0×10-9Fまでほぼ瞬時に増加し、約4.0×10-10F、即ち、0.4nFの変化である。
【0225】
こうして
図6に示すBLK-IGIの例の第1フェーズ応答1051,1061と比較すると、BLK-ELFの個々の第1フェーズ応答1551,1561は実質的により弱い。即ち、BLK-IGIサンプルの静電容量の変化は、BLK-ELFの変化よりも、第1信号応答では25倍以上大きく、第2信号応答では約200倍大きい大きさである。これにより本発明者は、溝アスペクト比に起因して、BLK-ELFセンサデバイスは信頼性の高い信号応答を提供するには不十分であろうと結論する。
【0226】
ここで
図8を参照すると、高濃度の二酸化炭素ガスを含む雰囲気に応答した、試験条件下での更なる例示の実施形態の電子センサデバイスの静電容量信号応答の実験データが示される。
【0227】
このセンサは、
図6を参照して説明したサンプルBLK_IGIおよびD53_1Pのセンサと実質的に同じ溝構成を備える。検出媒体は、イミダゾリウムイオン液体(例えば、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド)と混合されたDupont Luxprint 8155を含み、その詳細はここで提供される。検出媒体の内部では、Dupont Luxprint 8155がバインダを提供する。イミダゾリウムイオン液体は、活性成分を提供する。
【0228】
図7(a)は、
図6を参照して説明したように、検体、この場合は5%二酸化炭素の雰囲気の導入に応答したセンサの信号応答1240を示す。アルゴン雰囲気が提供されるセンサデバイスを含む制御信号応答も図示される。
【0229】
二酸化炭素は、センサと係合して(1241)、信号応答を提供する。信号応答は、第1フェーズ応答1251を含み、静電容量は、約5.0×10-8Fのベースラインから少なくとも5.4×10-8Fまで増加する。第1フェーズ応答は、センサ上での二酸化炭素の表面効果に対応する。第1フェーズ反応が発生するまでの時間は、約1分である。
【0230】
第2フェーズ応答1252が提供され、静電容量は、第2レート(この場合はより遅い)で、約5.6×10-8Fの第1特性静電容量まで増加する。フェーズ信号応答は、センサ上の二酸化炭素のバルク効果に対応する。応答時間は、約6分である。
【0231】
5%の二酸化炭素雰囲気は、試験中にセンサを保持している試験チャンバの蓋を取り外すことによって中断される(1245)。センサからの5%の二酸化炭素の中断により、回復信号応答1271を提供する。
【0232】
図7(b)は、
図4を参照して説明したように、検体の導入に応答したセンサの信号応答1340を示す。詳細には、
図7(b)のデータを取得するために使用した例では、検体は、2%の二酸化炭素の初期雰囲気によって提供され、続いて5%の二酸化炭素の次の雰囲気によって提供される。
【0233】
初期の二酸化炭素雰囲気では、二酸化炭素がセンサと係合して(1341)、第1信号応答を提供する。第1信号応答は、第1フェーズ応答1351を含み、静電容量は、約4.3×10-8Fのベースラインから少なくとも4.4×10-8Fまで増加する。第1フェーズ応答は、センサ上での二酸化炭素の表面効果に対応する。第1フェーズ応答が発生するまでの時間は、1分未満である。
【0234】
第2フェーズ応答1352が提供され、静電容量は、更なるレート(この場合はより遅い)で約4.6×10-8Fの第1特性静電容量に向かって増加する。第2フェーズ応答は、センサ上での二酸化炭素のバルク効果に対応する。応答時間は、約10分である。
【0235】
後続の二酸化炭素雰囲気の導入により、二酸化炭素はセンサと係合して(1343)、第2信号応答を提供する。第2信号応答は、第1フェーズ応答1361を含み、静電容量は、約4.6×10-8Fから少なくとも4.8×10-8Fまで増加する。第1フェーズ応答は、センサ上での二酸化炭素の増加した濃度の表面効果に対応する。第1フェーズ応答が発生するまでの時間は、1分未満である。
【0236】
第2フェーズ応答1362が提供され、静電容量は、更なるレート(この場合はより遅い)で、約5.0×10-8Fの第2特性静電容量に向かって増加する。第2フェーズ応答は、センサ上での二酸化炭素の増加した増加のバルク効果に対応する。応答時間は、約10分である。
【0237】
5%の二酸化炭素雰囲気は、試験中にセンサを保持している試験チャンバの蓋を取り外すことによって中断される(1345)。センサからの5%の二酸化炭素の中断により、回復信号応答1371を提供する。
【0238】
ここで
図8を参照すると、
図7(a)を参照して上述したように、5%の二酸化炭素ガスを含む雰囲気の導入中でのインピーダンス信号応答の測定に対応する実験データが示される。こうして対応するインピーダンス信号応答は、静電容量信号応答と実質的に同じ特徴を含んで図示される。
【0239】
二酸化炭素は、センサと係合して(1441)、信号応答を提供する。信号応答は、第1フェーズ応答1451を含み、インピーダンスは、約9.3×104Zのベースラインから8.5×104Z未満に減少する。第1フェーズ応答は、センサ上での二酸化炭素の表面効果に対応する。第1フェーズ応答が発生するまでの時間は、1分未満である。
【0240】
第2フェーズ応答1452が提供され、インピーダンスは、第2レート(この場合はより遅い)で、約7.5×104Zの第1特性インピーダンスまで減少する。第2フェーズ応答は、センサ上での二酸化炭素のバルク効果に対応する。応答時間は、約9分である。
【0241】
5%の二酸化炭素雰囲気は、試験中にセンサを保持している試験チャンバの蓋を取り外すことによって中断される(1445)。センサからの5%の二酸化炭素の中断により、回復信号応答1471を提供する。
【0242】
ここで
図9を参照すると、本発明の一態様に係る電子センサデバイスを形成する例示的な方法800が示される。
【0243】
方法800は、基板を提供すること(810)から開始する。次のステップ820では、ここで説明したタイプの前記基板の表面内に溝が形成される。こうして溝は、第1面、第2面、および少なくとも基板内の溝深さと基板の表面での溝幅を含む溝プロファイルを提供する。また、形成ステップは、第1電気的非絶縁部分を含む第1面を提供し、第2電気的非絶縁部分を含む第2面を形成する。第1電気的非絶縁部分は、プロファイル内で前記第2電気的非絶縁部分から電気的に分離されている。
【0244】
最終ステップ830では、検出媒体が、前記プロファイルの少なくとも一部の内部に設けられ、前記第1および第2電気的非絶縁部分を接触的に係合させる。
【0245】
ここで
図11を参照すると、酸素ガスと窒素ガスのベースライン混合物に2%の水素ガスを含む雰囲気を導入する際の抵抗信号応答の測定に対応する実験データが示されている。このように、対応する抵抗信号応答1640は、静電容量信号応答およびインピーダンス信号応答と実質的に同じ特徴を含んで示される。
【0246】
水素は、センサと係合して(1641)、信号応答を提供する。信号応答は、第1フェーズ応答1651を含み、抵抗は、約1900オームのベースラインから1600オーム未満まで減少する。第1フェーズ応答は、センサ上での水素の表面効果に対応する。第1フェーズ応答が発生するまでの時間は、1分未満である。
【0247】
第2フェーズ応答1652が提供され、抵抗は、第2レート(この場合はより遅い)で、約1150オームの第1特性抵抗まで減少する。第2フェーズ応答は、センサ上での水素のバルク効果に対応する。応答時間は、約4分である。
【0248】
5%の水素雰囲気は、試験中に酸素ガスと窒素ガスのベースライン混合物の雰囲気の導入によって中断される(1645)。センサからの5%の水素の中断により、回復信号応答1671を提供する。
【0249】
ここで
図12を参照すると、2%の水素を含む雰囲気の導入中の抵抗信号応答1740の測定に対応する実験データが示されている。こうして、対応する抵抗信号応答が図示される。
【0250】
水素は、センサと係合して(1741)、信号応答を提供する。信号応答は、第1フェーズ応答1751を含み、抵抗は、約1240オームのベースラインから1600オーム未満まで増加する。第1フェーズ応答は、センサ上での水素の表面効果に対応する。第1フェーズ応答が発生するまでの時間は、約30秒である。
【0251】
第2フェーズ応答1752が提供され、抵抗は、第2レート(この場合はより遅い)で、約3200オームの第1特性抵抗まで増加する。第2フェーズ応答は、センサ上での水素のバルク効果に対応する。応答時間は、約2分である。
【0252】
2%の水素雰囲気は、試験中に酸素ガスと窒素ガスのベースライン混合物の雰囲気の導入によって中断される(1745)。センサからの2%の水素の中断により、回復信号応答1771を提供する。
【0253】
当業者は、上記の詳細な例は、限定的な意味ではなく、例としてのみ説明されており、しかも添付の請求項によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更および修正が可能であることを理解するであろう。上述した詳細な例に対して種々の変更が可能であり、例えば、溝、溝面、溝断面プロファイルの数、形状、サイズ、配置、組み立て等に変形例が存在してもよい。センサデバイスの信号応答を調整するために、検出媒体の性質と充填レベルにおいても種々の変更が存在してもよい。
【国際調査報告】