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特表2024-502771ヘテロダイン光検出を用いる、複屈折ファイバブラッググレーティングセンサに照会するための方法およびシステム
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  • 特表-ヘテロダイン光検出を用いる、複屈折ファイバブラッググレーティングセンサに照会するための方法およびシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】ヘテロダイン光検出を用いる、複屈折ファイバブラッググレーティングセンサに照会するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/353 20060101AFI20240116BHJP
   G01K 11/3206 20210101ALI20240116BHJP
   G01L 1/24 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G01D5/353 C
G01K11/3206
G01L1/24 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538780
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 IB2021061767
(87)【国際公開番号】W WO2022137027
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】102020000032027
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521259127
【氏名又は名称】ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】BREMBO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ファラッリ,ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ムアネンダ,ヨナス セイフ
(72)【発明者】
【氏名】ディ パスクヮーレ,ファブリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】トッツェッティ,ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】カモッツィ,フランチェスコ
【テーマコード(参考)】
2F056
2F103
【Fターム(参考)】
2F056VF02
2F056VF11
2F056VF16
2F103CA04
2F103CA06
2F103EB01
2F103EB12
2F103EC09
2F103EC15
2F103EC16
2F103ED36
(57)【要約】
複屈折ファイバブラッググレーティング(Bi-FBG)タイプの少なくとも1つのセンサに照会するための方法が記載されている。
このような方法は、まず、複屈折ファイバブラッググレーティングタイプのBi-FBGの前記少なくとも1つのセンサに広帯域光励起放射OAを照射するステップと、複屈折ファイバブラッググレーティングタイプのBi-FBGの少なくとも1つのセンサからの反射光スペクトルORを検出フォトニック集積回路PICに伝達するステップとを含む。
次に、本方法は、検出フォトニック集積回路PICに構成された偏光光ビームスプリッタによって、複屈折によって生成され第1の周波数ω1を中心とする第1の光偏光によって特徴付けられる前記反射光スペクトルOR1の第1の成分を、複屈折によって生成され第2の周波数ω2を中心とする第2の光偏光によって特徴付けられる前記反射光スペクトルOR2の第2の成分から分離するステップを含む。
本方法はさらに、前述の広帯域光励起OAを検出フォトニック集積回路PICに供給するステップと、検出フォトニック集積回路PICにおいて実施される前述の広帯域光励起放射OAの少なくとも1つの狭帯域光フィルタリングに基づいて、少なくとも2つの狭帯域光信号(LO1、LO2)を得るステップとを備える。
前記少なくとも2つの狭帯域光信号(LO1、LO2)は、第1の局所発振器周波数ωLO1を中心とする第1の局所発振器光信号LO1と、第2の局所発振器周波数ωLO2を中心とする第2の局所発振器光信号LO2とを含む。
次に、この方法は、反射光スペクトルの前記第1の成分OR1と前記第1の局所発振器光信号LO1とを、検出フォトニック集積回路PICに集積された第1の光ヘテロダイン検出手段に供給してヘテロダイン検出を行い、第1の局所発振器周波数ωLO1と反射光スペクトルの第1の成分OR1の前記第1の周波数ω1との差に等しい第1の中間周波数ωIFsで第1の電気信号E1を得ることを含む。
同様に、本方法は、反射光スペクトルOR2の前記第2の成分および前記第2の局所発振器光信号LO2を、同じく前記検出フォトニック集積回路PICに集積された第2の光ヘテロダイン検出手段に供給してヘテロダイン検出を実施し、第2の局所発振器周波数ωLO2と反射光スペクトルOR2の第2の成分の前記第2の周波数ω2との差に等しい第2の中間周波数ωIFfで第2の電気信号E2を得ることをさらに含む。
本方法は最後に、光ファイバセンサBi-FBGのセンサのブラッググレーティングの第1の基準波長λiに対して、第1の偏光を有する反射光スペクトルOR1の第1の成分の第1の波長シフトΔλ1を示す第1の中間周波数ωIFsを決定するステップを含む; さらに、光ファイバセンサBi-FBGのブラッググレーティングの第2の基準波長λiに対する、第2の偏光を有する反射光スペクトルの第2の成分OR2の第2の波長シフトΔλ2を示す第2の中間周波数ωIFfを決定する。
前述の第1の波長シフトΔλ1および第2の波長シフトΔλ2は、光ファイバセンサBi-FBGによって測定される少なくとも1つの物理的な大きさを代表する。
さらに、複屈折ファイバブラッググレーティングBi-FBGの少なくとも1つのセンサに照会するための対応するシステムについて説明する。
最後に、複屈折ファイバブラッググレーティング(Bi-FBG)タイプのセンサによって検出可能な少なくとも2つの物理的大きさを、前述の照会する方法を用いて決定するための方法とシステムについて説明する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)の少なくとも1つのセンサに照会するための方法であって、
- 複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)の前記少なくとも1つのセンサを広帯域光励起放射(OA)で照らすステップと、
- 前記複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)の前記少なくとも1つのセンサによって反射された反射光スペクトル(OR)を、検出フォトニック集積回路(PIC)に伝達するステップと、
- 前記検出フォトニック集積回路(PIC)に構成された偏光オプティカルビームスプリッタ(PS)によって、前記複屈折によって生成され、第1の周波数(ω1)を中心とする第1の光偏光によって特徴付けられる、前記反射光スペクトルの第1の成分(OR1)と、前記複屈折によって生成され、第2の周波数(ω2)を中心とする第2の光偏光によって特徴付けられる、前記反射光スペクトルの第2の成分(OR2)とを分離するステップと、
- 前記広帯域光励起放射(OA)を前記検出フォトニック集積回路(PIC)に供給するステップと、
- 前記検出フォトニック集積回路(PIC)において行われる前記広帯域光励起放射(OA)の少なくとも1つの狭帯域光フィルタリングに基づいて、少なくとも2つの狭帯域光信号(LO1、LO2)を取得するステップであって、前記少なくとも2つの狭帯域光信号(LO1、LO2)は、第1の局所発振器周波数(ωLO1)を中心とする第1の局所発振器光信号(LO1)と、第2の局所発振器周波数(ωLO2)を中心とする第2の局所発振器光信号(LO2)とを含む、ステップと、
- 前記反射光スペクトルの前記第1の成分(OR1)および前記第1の局所発振器光信号(LO1)を、前記検出フォトニック集積回路(PIC)に集積された第1の光ヘテロダイン検出手段に供給してヘテロダイン検出を行い、前記第1の局所発振器周波数(ωLO1)と、前記反射光スペクトルの前記第1の成分(OR1)の前記第1の周波数(ω1)との差に等しい第1の中間周波数(ωIFs)で第1の電気信号(E1)を取得するステップと、
- 前記反射光スペクトルの前記第2の成分(OR2)および前記第2の局所発振器光信号(LO2)を、前記検出フォトニック集積回路(PIC)に集積された第2の光ヘテロダイン検出手段に供給してヘテロダイン検出を行い、前記第2の局所発振器周波数(ωLO2)と、前記反射光スペクトルの前記第2の成分(OR2)の前記第2の周波数(ω2)との差に等しい第2の中間周波数(ωIFf)で第2の電気信号(E2)を取得するステップと、
- 第1の基準波長(λref1;λi)に対する、第1の偏光を有する反射光スペクトルの第1の成分(OR1)の第1の波長シフト(Δλ1)を示す、前記第1の中間周波数(ωIF1)を決定するステップと、
- 複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)のセンサのブラッググレーティングの第2の基準波長(λref2)に対する、第2の偏光を有する反射光スペクトルの第2の成分(OR2)の第2の波長シフト(Δλ2)を示す、前記第2の中間周波数(ωIF2)を決定するステップと、を含み、
前記第1の波長シフト(△λ1)および前記第2の波長シフト(△λ2)が、複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)のセンサによって測定される少なくとも1つの物理的な大きさを代表する、方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つの狭帯域光信号(LO1、LO2)を取得するステップは、
- 検出フォトニック集積回路(PIC)に集積された狭帯域バンドパス光波長可変フィルタ(OTF)によって、前記広帯域光励起放射(OA)を狭帯域フィルタリングして、局所発振器信号(LO)として作用するように適合された局所発振器周波数(ωLO)を中心とする狭帯域光信号を取得するステップと、
- 入力として受信された同じ狭帯域光信号の2つの減衰したレプリカを2つの出力ポートで利用可能にするように構成された光ビームスプリッタ(OSPL)によって、前記狭帯域光信号を分割するステップと、を含み、
第1の局所発振信号(LO1)と第2の局所発振信号(LO2)は、光ビームスプリッタの2つの出力ポートに存在する、互いに同一の2つの信号である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つの狭帯域光信号(LO1、LO2)を取得するステップは、
- 光ビームスプリッタ(OSPL)によって前記広帯域光励起放射(OA)を分割し、前記広帯域光励起放射の第1のレプリカと前記広帯域光励起放射の第2のレプリカとを取得するステップと、
- 前記広帯域光励起放射の前記第1のレプリカを、前記検出フォトニック集積回路(PIC)に内蔵された第1の狭帯域バンドパス光波長可変フィルタ(OTF1)によって狭帯域フィルタリングし、第1の局所発振器周波数(ωLO1)を中心とする第1の狭帯域光信号を取得するステップと、
- 前記広帯域光励起放射の前記第2のレプリカを、前記検出フォトニック集積回路(PIC)に内蔵された第2の狭帯域バンドパス光波長可変フィルタ(OTF2)によって狭帯域フィルタリングし、第2の局所発振器周波数(ωLO2)を中心とする第2の狭帯域光信号を取得するステップと、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ヘテロダイン検出を実施し、第1の電気信号(E1)を取得するステップが、第1の光ヘテロダイン検出手段の第1の光カプラ(OC1)の光導波路において、反射光スペクトルの第1の成分(OR1)と第1の局所発振器光信号(LO1)とを結合するステップを含み、さらに、前記第1の光ヘテロダイン検出手段の第1の光電子受信機(PD1)によって、第1の光カプラの出力で得られる光信号をそれぞれの第1の電気信号(E1)に変換するステップを含み、
ヘテロダイン検出を実施し、第2の電気信号(E2)を取得するステップは、第2の光ヘテロダイン検出手段の第2の光カプラ(OC2)の光導波路において、反射光スペクトルの第2の成分(OR2)と第2の局所発振器光信号(LO2)とを結合するステップを含み、さらに、前記第2の光ヘテロダイン検出手段の第2の光電子受信機(PD2)によって、第2の光カプラの出力で得られる光信号をそれぞれの第2の電気信号(E2)に変換するステップを含む、
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
第1の電気信号(E1)および第2の電気信号(E2)を得るためにヘテロダイン検出を実施する各ステップが、出力として2つの光信号を提供するように構成されたそれぞれの2x2光カプラを使用して、平衡検出を実施するステップを含み、
各ヘテロダイン検出について、平衡検出のための2つのそれぞれのフォトダイオードによって検出され、各ヘテロダイン検出について、第1の電気信号(E1)および第2の電気信号(E2)の各々は、それぞれのフォトダイオードから出力される電流の減算として得られる、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第1のヘテロダイン検出を実施するステップが、前記第1の光カプラ(OC1)における入力の前に、フォトニック集積回路(PIC)内に構成された第1の光位相シフタ(OPS1)によって、前記第1の局所発振器光信号(LO1)の位相を制御された方法でシフトするステップをさらに含み、
第2のヘテロダイン検出を実施するステップが、前記第2の光カプラ(OC2)における入力の前に、前記フォトニック集積回路(PIC)内に構成された第2の光位相シフタ(OPS2)によって、前記第2の局所発振器光信号(LO2)の位相を制御された方法でシフトするステップをさらに含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
ヘテロダイン検出を実施するステップが、反射光スペクトルの第1の成分(OR1)と反射光スペクトルの第2の成分(OR2)とを、反射光スペクトルの第1の成分(OR1)と反射光スペクトルの第2の成分(OR2)との周波数偏差の差を代表する中間周波数(ωIF)の光信号を出力として生成するように構成される単一の2x1光カプラ(OC)に注入するステップを含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
各々がそれぞれの公称動作波長(λ1~λn)によって特徴付けられるカスケード接続された複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG1~Bi-FBGn)の複数のセンサに照会するように構成された、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法であって、
- 前記伝達するステップは、複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG1~Bi-FBGn)のカスケード接続されたセンサによって反射された全体反射光スペクトル(ORT)を、検出フォトニック集積回路(PIC)に伝達するステップを含み、
- 前記分離するステップは、前記全体反射光スペクトルの第1の成分(ORT1)と前記全体反射光スペクトルの第2の成分(ORT2)とを分離するステップを含み、
前記全体反射光スペクトルの第1の成分(ORT1)は、それぞれの第1の周波数(ω11~ω1n)を中心とする、第1の光偏光を有する第1の成分(OR11~OR1n)の重ね合わせを含み、
前記全体反射光スペクトルの第2の成分(ORT2)は、それぞれの第2の周波数(ω21~ω2n)を中心とする、第2の光偏光を有する第2の成分(OR21~OR2n)の重ね合わせを含み、
方法はさらに、
- 第1の周波数識別手段またはデマルチプレクス手段(AWG1)によって、第1の成分(OR11~OR1n)を互いにスペクトル分離するステップと、
- 第2の周波数識別手段またはデマルチプレクス手段(AWG2)によって、第2の成分(OR21-OR2n)を互いにスペクトル分離するステップと、
- 前記第1の成分(OR11-OR1n)の各々および前記第2の成分(OR21~OR2n)の各々に対して前記ヘテロダイン検出のステップを実行し、それぞれの複数の第1の電気信号(E1k)および第2の電気信号(E2k)を取得するステップと、
- 複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBGk)のそれぞれのセンサに対応する第1の電気信号(E1k)および第2の電気信号(E2k)の各ペアについて、第1の中間周波数(ωIFs,k)および第2の中間周波数(ωIFf,k)を決定する前記ステップを実行するステップと、をさらに含む、方法。
【請求項9】
前記第1の光偏光は、「低速偏光軸」上の偏光に対応し、第1の複屈折ピーク周波数(ω1)は、低速軸複屈折ピーク周波数(ωs)に対応し、
前記第2の光偏光は、前記第1の光偏光に直交し、前記「低速偏光軸」に直交する「高速偏光軸」上の偏光に対応し、第2の複屈折ピーク周波数(ω2)は、高速軸複屈折ピーク周波数(ωf)に対応する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の基準波長(λref1)および前記第2の基準波長(λref2)は、初期較正によって決定された、2つの高速チャネルおよび低速チャネル上の、複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)のセンサの2つのそれぞれの公称動作波長に対応する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の基準波長(λref1)と前記第2の基準波長(λref2)とが一致し、狭帯域バンドパス光波長可変フィルタ(OTF)のチューニングによって特定される基準波長(λi)に対応する、
請求項2~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の基準波長(λref1)および前記第2の基準波長(λref2)は、2つの狭帯域バンドパス光波長可変フィルタ(OTF1、OTF2)のチューニングによってそれぞれ特定される2つの基準波長(λi1、λi2)にそれぞれ対応する、
請求項2~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-Bi-FBG)のセンサによって検出可能な少なくとも2つの物理的な大きさを決定する方法であって、
- 複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)の少なくとも1つのセンサに照会する、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法を実施するステップと、
- 前記第1の中間周波数(ωIFs)および前記第2の中間周波数(ωIFf)の処理に基づいて、少なくとも2つの物理的な大きさを決定するステップと、を含む方法。
【請求項14】
決定される2つの物理的大きさが、縦ひずみおよび横ひずみである、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
決定される2つの物理的大きさが、ひずみおよび温度である、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)の少なくとも1つのセンサに照会するシステム(1)であって、
- 広帯域光放射源(BS)であって、前記複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)の前記少なくとも1つのセンサに広帯域光励起放射(OA)を照らするように構成された、広帯域光放射源(BS)と、
- 前記センサからの反射光スペクトル(OR)を受信するために前記複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)の前記少なくとも1つのセンサに動作可能に接続された第1の入力ポート(C1)と、前記広帯域光励起放射(OA)を受信するために前記広帯域光放射源(BS)に動作可能に接続された第2の入力ポート(C2)とを有する検出フォトニック集積デバイス(PIC)と、を含み、
前記検出フォトニック集積デバイス(PIC)は、
- 複屈折によって生成され、第1の周波数(ω1)を中心とする第1の光偏光によって特徴付けられる、前記反射光スペクトルの第1の成分(OR1)を、複屈折によって生成され、第2の周波数(ω2)を中心とする第2の光偏光によって特徴付けられる、前記反射光スペクトルの第2の成分(OR2)から分離するように構成された、偏光光ビームスプリッタ(PS)と、
- 少なくとも2つの狭帯域光信号(LO1、LO2)を取得するように構成された局所発振器信号を生成させる手段であって、
狭帯域光信号は、第1の局所発振器周波数(ωLO;ωLO1)を中心とする第1の局所発振器光信号(LO1)と、第2の局所発振器周波数(ωLO;ωLO2)を中心とする第2の局所発振器光信号(LO2)と、を含み、
前記局所発振器信号を生成するための手段は、前記広帯域光励起放射(OA)の狭帯域光フィルタリングを実行するように構成された、少なくとも1つの狭帯域バンドパス光波長可変フィルタ(OTF)を含む手段と、
- 前記反射光スペクトルの前記第1の成分(OR1)および前記第1の局所発振器光信号(LO1)を受信し、ヘテロダイン検出技術によって、前記反射光スペクトルの前記第1の成分(OR1)および前記第1の局所発振器光信号(LO1)に基づいて、前記第1の局所発振器周波数(ωLO1)と前記反射光スペクトルの第1の成分(OR1)の前記第1の周波数(ω1)との差に等しい第1の中間周波数(ωIFs)で第1の電気信号(E1)を生成するように構成された第1の光ヘテロダイン検出手段(11)と、
- 前記反射光スペクトルの前記第2の成分(OR2)および前記第2の局所発振器光信号(LO2)を受信し、ヘテロダイン検出技術によって、前記反射光スペクトルの前記第2の成分(OR2)および前記第2の局所発振器光信号(LO2)に基づいて、前記第2の局所発振器周波数(ωLO2)と前記反射光スペクトルの第2の成分(OR2)の前記第2の周波数(ω2)との差に等しい第2の中間周波数(ωIFf)で第2の電気信号(E2)を生成するように構成された第2の光ヘテロダイン検出手段(12)と、
- 前記第1の電気信号(E1)を利用可能にするように構成された第1の出力ポート(U1)と、前記第2の電気信号(E2)を利用可能にするように構成された第2の出力ポート(U2)と、を含み、
システムが、
- 電子処理手段(2)であって、
前記第1の電気信号(E1)および前記第2の電気信号(E2)を受信するように前記フォトニック集積デバイス(PIC)に動作可能に接続され、
複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)のセンサのブラッググレーティングの第1の基準波長(λref1;λi)に対して、第1の偏光を有する、反射光スペクトル(OR1)の第1の成分の第1の波長シフト(△λ1)を示す、前記第1の中間周波数(ωIFs)を決定するように構成され、
さらに複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)のセンサのブラッググレーティングの第2の基準波長(λref2)に対して、第2の偏光を有する、反射光スペクトル(OR2)の第2の成分の第2の波長シフト(△λ2)を示す、前記第2の中間周波数(ωIFf)を決定するように構成され、
前記第1の波長シフト(△λ1)および前記第2の波長シフト(△λ2)は、光ファイバセンサ(Bi-FBG)によって測定される物理的な大きさの少なくとも1つを代表する、システム(1)。
【請求項17】
前記局所発振器信号を生成するための手段が、
- 前記広帯域光励起放射(OA)を狭帯域フィルタリングし、局所発振器信号(LO)として作用するように適合された局所発振器周波数(ωLO)を中心とする狭帯域光信号を生成するように構成された、狭帯域バンドパス光波長可変フィルタ(OTF)と、
- 前記狭帯域光信号(LO)を分割し、同じ狭帯域光信号の2つの減衰したレプリカを光ビームスプリッタの2つの出力ポートで利用可能にするように構成された光ビームスプリッタ(OSPL)であって、前記減衰したレプリカは、入力として受信された同じ狭帯域光信号の減衰したレプリカであり、それぞれ、第1の局所発振器信号(LO1)および第2の局所発振器信号(LO2)に対応する、光ビームスプリッタ(OSPL)と、を含む、
請求項16に記載のシステム(1)。
【請求項18】
前記局所発振器信号を生成するための手段が、
- 前記広帯域光励起放射(OA)を分割し、前記広帯域光励起放射の第1のレプリカと前記広帯域光励起放射の第2のレプリカとを取得するように構成された光ビームスプリッタ(OSPL)と、
- 前記広帯域光励起放射の前記第1のレプリカを狭帯域フィルタリングし、第1の局所発振器周波数(ωLO1)を中心とする第1の狭帯域光信号(LO1)を生成するように構成された、第1の狭帯域バンドパス光波長可変フィルタ(OTF1)と、
- 前記広帯域光励起放射の前記第2のレプリカを狭帯域フィルタリングし、第2の局所発振器周波数(ωLO2)を中心とする第2の狭帯域光信号(LO2)を生成するように構成された、第2の狭帯域バンドパス光波長可変フィルタ(OTF2)と、を含む、
請求項16に記載のシステム(1)。
【請求項19】
- 第1のヘテロダイン検出手段は、
- 反射光スペクトルの第1の成分(OR1)と第1の局所発振器光信号(LO1)とを結合するように構成された、それぞれの光導波路を含む第1の光カプラ(OC1)と、
- 第1の光カプラ(OC1)からの出力光信号を受信し、それぞれの第1の電気信号(E1)に変換するように構成された第1の光電子受信機(PD1)と、を含み、
- 第2のヘテロダイン検出手段は、
- 反射光スペクトルの第2の成分(OR2)と第2の局所発振器光信号(LO2)とを結合するように構成された、それぞれの光導波路を含む第2の光カプラ(OC2)と、
- 第2の光カプラ(OC2)からの出力光信号を受信し、それぞれの第2の電気信号(E2)に変換するように構成された第2の光電子受信機(PD2)と、を含む、
請求項16から18のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項20】
- 前記第1の光カプラ(OC1)は、2x2光カプラであり、反射光スペクトルの第1の成分(OR1)と第1の局所発振器光信号(LO1)との組み合わせから得られる2つの光ビート信号を出力として提供するように構成され、前記第1の光電子受信機(B-PD1)は、平衡検出を行うように構成された2つのフォトダイオードを含み、前記第1の電気信号(E1)は、前記第1の光電子受信機(PD1)の2つのフォトダイオードから出力される電流の減算として得られ、
- 前記第2の光カプラ(OC2)は、2x2光カプラであり、反射光スペクトルの第2の成分(OR2)と第2の局所発振器光信号(LO2)との組み合わせから得られる2つの光ビート信号を出力として提供するように構成され、前記第2の光電子受信機(B-PD2)は、平衡検出を行うように構成された2つのフォトダイオードを含み、前記第2の電気信号(E2)は、前記第2の光電子受信機(PD2)の2つのフォトダイオードから出力される電流の減算として得られる、
請求項19に記載のシステム(1)。
【請求項21】
前記第1のヘテロダイン検出手段が、前記第1の光カプラ(OC1)における入力の前に、制御された方法で、前記第1の局所発振器光信号(LO1)の位相をシフトするように構成された第1の光位相シフタ(OPS1)をさらに含み、
前記第2のヘテロダイン検出手段が、前記第2の光カプラ(OC2)における入力の前に、制御された方法で、前記第2の局所発振器光信号(LO2)の位相をシフトするように構成された第2の光位相シフタ(OPS2)をさらに含む、
請求項19に記載のシステム(1)。
【請求項22】
カスケード接続された複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG1~Bi-FBGn)の複数のセンサをクエリするように構成され、各センサは、それぞれの公称動作波長(λ1~λn)によって特徴付けられ、
- 偏光ビームスプリッタ(PS)は、複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG1~Bi-FBGn)のカスケード接続されたセンサからの全体反射光スペクトル(ORT)の第1の成分(ORT1)および第2の成分(ORT2)を分離するように構成され、
全体反射光スペクトルの第1の成分(ORT1)は、それぞれの第1の周波数(ω11~ω1n)を中心とする、第1の光偏光を有する第1の成分(OR11~OR1n)の重ね合わせを含み、
全体反射光スペクトルの第2の成分(ORT2)は、それぞれの第2の周波数(ω21~ω2n)を中心とする、第2の光偏光を有する第2の成分(OR21~OR2n)の重ね合わせを含み、
システムは、
- 前記第1の成分(OR11~OR1n)を互いにスペクトル的に分離するように構成された第1の周波数識別またはデマルチプレクス手段(AWG1)と、
- 前記第2の成分(OR21~OR2n)を互いにスペクトル的に分離するように構成された第2の周波数識別またはデマルチプレクス手段(AWG2)と、
- それぞれの複数の第1の電気信号(E1n)を得るために、それぞれの第1の成分(OR11~OR1n)に対して動作するように構成された、複数の第1のヘテロダイン検出手段と、
- それぞれの複数の第2の電気信号(E2n)を得るために、それぞれの第2の成分(OR21~OR2n)に対して動作するように構成された、複数の第2のヘテロダイン検出手段と、をさらに含む、
請求項16から21のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項23】
前記狭帯域バンドパス光波長可変フィルタ(OTF)は、光マイクロリング共振器フィルタである、
請求項16から22のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項24】
前記偏光光ビームスプリッタ(PS)が、「2次元グレーティングカプラ」タイプの集積フォトニクス技術、または「偏光スプリッタおよびローテータ-PSR」タイプの集積フォトニクス技術によって製造された偏光光ビームスプリッタである、
請求項16から23のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項25】
第1の光電子受信機(PD1)および/または第2の光電子受信機(PD2)の各々は、考慮される波長における光信号を検出し、電気信号に変換するように構成された少なくともそれぞれの半導体フォトダイオードを含む、
請求項16から23のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項26】
広帯域光放射源(BS)に接続された第1のサーキュレータポートと、ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)のセンサを含む複屈折光ファイバに接続された第2のサーキュレータポートと、フォトニック集積デバイス(PIC)の光入力ポートに接続された第3のサーキュレータポートと、を有する光サーキュレータ(3)をさらに含み、
光サーキュレータ(3)は、第1のサーキュレータポートから受信した広帯域光放射(OA)を、第2のサーキュレータポートを介して、ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)のセンサを含む複屈折光ファイバに送信するように構成され、さらに、第2のサーキュレータポートから受信した、ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)のセンサによって反射されたスペクトルを、第3のサーキュレータポートを介して、フォトニック集積デバイス(PIC)の光入力ポートに伝達するように構成される、
請求項16から25のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項27】
前記第1の基準波長(λref1)および前記第2の基準波長(λref2)は、初期較正によって決定された、2つの高速チャネルおよび低速チャネル上の、複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)のセンサの2つのそれぞれの公称動作波長に対応する、
請求項16から26のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項28】
前記第1の基準波長(λref1)と前記第2の基準波長(λref2)とが一致し、狭帯域バンドパス光波長可変フィルタ(OTF)のチューニングによって特定される基準波長(λi)に対応する、
請求項17から26のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項29】
前記第1の基準波長(λref1)および前記第2の基準波長(λref2)は、それぞれ、2つの狭帯域バンドパス光波長可変フィルタ(OTF1、OTF2)のチューニングによってそれぞれ特定される2つの基準波長(λi1、λi2)に対応する、
請求項17から26のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項30】
複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)のセンサによって検出可能な少なくとも2つの物理的な大きさを決定するためのシステムであって、
- 複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)のセンサと、
- 複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)の少なくとも1つのセンサに照会するための、請求項16から29のいずれか1項に記載のシステム(1)であって、前記電子処理手段(2)が、検出された前記第1の中間周波数(ωIFs)および前記第2の中間周波数(ωIFf)の処理に基づいて、前記少なくとも2つの物理的大きさを決定するようにさらに構成されている、システム(1)と、を含む、
システム。
【請求項31】
決定される2つの物理的大きさは、縦ひずみおよび横ひずみである、
請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
決定される2つの物理的大きさが、ひずみおよび温度である、
請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)のセンサが、ブレーキパッド内で作動するように構成されている、もしくはブレーキキャリパ内に組み込まれている、もしくはブレーキキャリパと結合されている、もしくはブレーキキャリパサポートとブレーキキャリパの間に配置されるように適合されたワッシャ装置に組み込まれており、
検出される少なくとも2つの物理的な大きさが、複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG)のセンサが配置される点に存在し、一般にブレーキキャリパに作用する締め付け力および/または制動トルクを代表する縦ひずみおよび横ひずみである、
請求項31に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、複屈折(birefringent)ファイバブラッググレーティング(Fiber Bragg Grating)タイプのセンサを使用して物理パラメータを測定するための方法およびシステムに関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、ヘテロダイン光検出(heterodyne optical detection)および集積フォトニック(integrated photonic)技術を採用した、(例えば、複屈折ファイバ内の)複屈折ファイバブラッググレーティング(FBG)タイプのセンサにクエリする(query)ための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
ファイバブラッググレーティングタイプの光ファイバセンサ(FBGセンサ)は、その単純さと正確さの特徴により、ひずみや温度などの物理的な大きさを測定するために頻繁に使用されるようになってきている。このようなセンサは受動的であるため、光放射によって照らされる必要があり、それによって反射(reflect)または送信(transmit)されたスペクトルを解析して、所望の物理的大きさの測定値を得る必要がある。
【0004】
この分野では、複屈折ファイバブラッググレーティング(Bi-FBG)のセンサは、標準的なファイバFBGセンサと比較して、より多くの情報を提供するという利点がある。これは、反射によって、異なる光偏光(optical polarization)を有する2つの部分的に独立した光信号成分の組み合わせとして見ることができる光信号を生成するからであり、それぞれが、センサによって検出可能な1つまたは複数の物理的な大きさによって、それ自身の特有の予測可能な方法でバイアスされる。
【0005】
互いに直交する(例えば、いわゆる「速い偏光軸」と「遅い偏光軸」に関連する)光偏光を有するセンサによって反射されたスペクトルの成分を独立して検出することが可能であるため、その場合、センサの公称動作波長(nominal operating wavelength)からのこれらの成分のそれぞれの波長偏差を検出することが可能である。
【0006】
従って、複屈折ファイバを用いたBi-FBGセンサでは、検出すべき物理パラメータや物理的な大きさを測定するために、従来のファイバFBGセンサよりも多くの情報を得ることが可能である。
【0007】
その一方で、複屈折ファイバFBGセンサは、標準的なファイバFBGセンサよりもはるかに複雑で、したがって、より高価でかさばる、照会(interrogating)/クエリ(querying)、および処理(processing)の方法とシステムを必要とする。
【0008】
実際、照会/クエリは、少なくとも2つの異なるチャネル、すなわち、高速軸偏光に対応する1つのチャネルと低速軸偏光に対応する1つのチャネルで光励起によって行われなければならず(異なる偏光を持つ少なくとも2つの反射光信号が存在し、それぞれが独自の周波数/波長で作用するため)、これは通常、既知の解決策では、波長可変(tunable)レーザー光源によって行われる。
【0009】
さらに、複屈折Bi-FBGセンサによって反射された光信号の受信、フィルタリング、電気光学処理部分全体は、複屈折でないFBGセンサと比較して、少なくとも反復されている。
【0010】
標準的なファイバFBGセンサの照会/クエリシステムをすでに困難にしている複雑さ、コスト、およびかさ張りの問題は、複屈折ファイバBi-FBGセンサの照会/クエリシステムにおいてさらに深刻に感じられ、現在までに少なくとも部分的に未解決である。
【0011】
以上のことから、上記の技術的欠点を緩和し、以下の基準:(i)構造および使用におけるコンパクト性および簡便性;(ii)性能における有効性、を満たす複屈折ファイバBi-FBGセンサに照会するためのシステムおよび方法に対する必要性が強く感じられる。
【0012】
このようなニーズは、特に、検出能力の観点から、複屈折ファイバBi-FBGセンサが潜在的に大きな利点を提供する多くの技術分野において感じられるが、実際には、複雑さ及び嵩のために、先行技術において利用可能な複屈折ファイバBi-FBGセンサ照会システム(これは、もちろん、実用的な適用可能性のために不可欠である)を設置することが、不可能ではないにしても、困難であるという事実によって悩まされ得る。
【発明の概要】
【0013】
解決策
本発明の目的は、先行技術を参照して上述した欠点を少なくとも部分的に解決し、考慮される技術分野で特に感じられる前述のニーズに応えることができる、複屈折ファイバブラッググレーティングタイプのセンサに照会するための方法を提供することである。
【0014】
この目的および他の目的は、請求項1に記載の複屈折ファイバブラッググレーティングタイプの少なくとも1つのセンサに照会する方法によって達成される。
【0015】
このような方法のいくつかの有利な実施形態は、従属請求項2~12の主題である。
【0016】
本発明のさらなる目的は、複屈折ファイバブラッググレーティング(Bi-FBG)タイプの少なくとも1つのセンサに照会するための対応するシステムを提供することである。
【0017】
この目的は、請求項16に記載のプロセスによって達成される。
【0018】
このようなシステムのいくつかの有利な実施形態は、従属請求項17~29の主題である。
【0019】
本発明の別の目的は、前述の照会方法を採用する複屈折ファイバブラッググレーティング(Bi-FBG)タイプのセンサによって検出可能な少なくとも2つの物理的大きさを決定する方法を提供することである。
【0020】
このような目的は、請求項13に記載の方法によって達成される。
【0021】
このような方法のいくつかの有利な実施形態は、従属請求項14~15の主題である。
【0022】
本発明のさらなる目的は、複屈折ファイバブラッググレーティング(Bi-FBG)タイプのセンサによって検出可能な少なくとも2つの物理的大きさを決定するための対応するシステムを提供することである。
【0023】
この目的は、請求項30に記載のシステムによって達成される。
【0024】
このようなシステムのいくつかの有利な実施形態は、従属請求項31~33の主題である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明による方法およびシステムのさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して非限定的に説明することにより提供される、その好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【0026】
図1図1は、複屈折ファイバブラッググレーティング(Bi-FBG)タイプのセンサに照会するためのシステムの異なる実施形態を、機能ブロックチャートによって示している。
図2図2は、複屈折ファイバブラッググレーティング(Bi-FBG)タイプのセンサに照会するためのシステムの異なる実施形態を、機能ブロックチャートによって示している。
図3図3は、複屈折ファイバブラッググレーティング(Bi-FBG)タイプのセンサに照会するためのシステムの異なる実施形態を、機能ブロックチャートによって示している。
図4図4は、複屈折ファイバブラッググレーティング(Bi-FBG)タイプのセンサに照会するためのシステムの異なる実施形態を、機能ブロックチャートによって示している。
図5図5は、複屈折ファイバブラッググレーティング(Bi-FBG)タイプのセンサに照会するためのシステムの異なる実施形態を、機能ブロックチャートによって示している。
図6図6は、複屈折ファイバブラッググレーティング(Bi-FBG)タイプのセンサに照会するためのシステムの異なる実施形態を、機能ブロックチャートによって示している。
図7図7は、いくつかの既知の光ヘテロダイン検出/受信技術を簡略化して示している。
図8図8は、いくつかの既知の光ヘテロダイン検出/受信技術を簡略化して示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図1~6を参照して、複屈折ファイバブラッググレーティング(FBG)タイプの少なくとも1つのセンサ(以下、簡潔にするために、複屈折Bi-FBGセンサと呼ぶこともある)、例えば、複屈折ファイバ内または複屈折にされた光ファイバゾーン内で得られるBi-FBGタイプのセンサ、に照会するための方法を説明する。
【0028】
このような方法は、まず、複屈折ファイバブラッググレーティングBi-FBGタイプの前述の少なくとも1つのセンサに広帯域光励起放射(broadband optical excitation radiation)OAを照射するステップと、集積フォトニックPIC検出回路(またはデバイス)において、複屈折ファイバブラッググレーティングBi-FBGタイプの少なくとも1つのセンサによって反射された反射光スペクトルORを伝達するステップと、を含む。
【0029】
次に、本方法は、検出フォトニック集積回路PICに含まれる偏光光ビームスプリッタによって、複屈折によって生成され、第1の周波数ω1を中心とする第1の光偏光によって特徴付けられる、前述の反射光スペクトルの第1の成分OR1を、複屈折によって生成され、第2の周波数ω2を中心とする第2の光偏光によって特徴付けられる、前述の反射光スペクトルの第2の成分OR2から分離することを含む。
【0030】
本方法はさらに、前述の広帯域光励起OAを検出フォトニック集積回路PICに供給することと、検出フォトニック集積回路PICにおいて実施される前述の広帯域光励起放射OAの少なくとも1つの狭帯域光フィルタリングに基づいて、少なくとも2つの狭帯域光信号(LO1、LO2)を取得することを含む。
【0031】
少なくとも2つの狭帯域光信号(LO1、LO2)は、第1の局所発振器周波数(local oscillator frequency)ωLO1を中心とする第1の局所発振器光信号LO1と、第2の局所発振器周波数ωLO2を中心とする第2の局所発振器光信号LO2とを含む。
【0032】
次に、本方法は、反射光スペクトルの第1の成分OR1と第1の局所発振器光信号LO1とを、検出フォトニック集積回路PICに集積された第1の光ヘテロダイン検出手段に供給してヘテロダイン検出を実施し、第1の局所発振器周波数ωLO1と、反射光スペクトルの第1の成分OR1の第1の周波数ω1との差に等しい第1の中間周波数ωIFsで第1の電気信号E1を取得することを含む。
【0033】
同様に、本方法は、反射光スペクトルの第2の成分OR2と第2の局所発振器光信号LO2とを、同じく検出フォトニック集積回路PICに集積された第2の光ヘテロダイン検出手段に供給してヘテロダイン検出を実施し、第2の局所発振器周波数ωLO2と、反射光スペクトルの第2の成分OR2の第2の周波数ω2との差に等しい第2の中間周波数ωIFfで第2の電気信号E2を取得することをさらに含む。
【0034】
本方法は最後に、第1の基準波長λref1に対する、第1の偏光を有する反射光スペクトルの第1の成分OR1の第1の波長シフトΔλ1を示す第1の中間周波数ωIFsを決定するステップを含み、さらに、第2の基準波長λref2に対する、第2の偏光を有する反射光スペクトルの第2の成分OR2の第2の波長シフトΔλ2を示す、前述の第2の中間周波数ωIFfを決定するステップを含む。
【0035】
前述の第1の波長シフトΔλ1および第2の波長シフトΔλ2(決定された中間周波数が示す)は、光ファイバセンサBi-FBGによって測定された少なくとも1つの物理的な大きさを代表する。
【0036】
図1に示す方法の一実施形態によれば、少なくとも2つの狭帯域光信号(LO1、LO2)を取得する前述のステップは、
- 検出フォトニック集積回路PICに組み込まれた狭帯域バンドパス光波長可変フィルタ(optical tunable filter)OTFによって、前述の広帯域光励起放射OAを狭帯域フィルタリングして、局所発振器信号LOとして作用するように適合された局所発振器周波数ωLOを中心とする狭帯域光信号を取得するステップと、
- 入力として受信された同じ狭帯域光信号の2つの減衰したレプリカを2つの出力ポートで利用できるように構成された光ビームスプリッタOSPLによって、前述の狭帯域光信号を分割するステップと、
を含む。
【0037】
この場合、第1の局所発振器信号LO1と第2の局所発振器信号LO2は、光ビームスプリッタの2つの出力ポートに存在する互いに同一の2つの信号である。
【0038】
図2に示す方法の別の実施形態によれば、少なくとも2つの狭帯域光信号(LO1、LO2)を取得する前述のステップは、
- 広帯域光励起放射の第1のレプリカおよび広帯域光励起放射の第2のレプリカを得るために、光ビームスプリッタによって前述の広帯域光励起放射OAを分割するステップと、
- 検出フォトニック集積回路PICに集積された第1の狭帯域バンドパス光波長可変フィルタOTF1によって、広帯域光励起放射の前述の第1のレプリカを狭帯域フィルタリングして、第1の局所発振器周波数ωLO1を中心とする第1の狭帯域光信号を得るステップと、
- 第2の局所発振器周波数ωLO2を中心とする第2の狭帯域光信号を得るために、検出フォトニック集積回路PICに集積された第2の狭帯域バンドパス光波長可変フィルタOTF2によって、広帯域光励起放射の前述の第2のレプリカを狭帯域フィルタリングするステップと、
を含む。
【0039】
本方法の、例えば、図1~4に示される一実施形態によれば、ヘテロダイン検出を実施し、第1の電気信号E1を得るステップは、第1の光ヘテロダイン検出手段の第1の光カプラOC1の光導波路において、反射光スペクトルの第1の成分OR1と第1の局所発振器光信号LO1とを結合するステップを含み、さらに、第1の光ヘテロダイン検出手段の第1の光電子受信機PD1によって、第1の光カプラの出力で得られた光信号をそれぞれの第1の電気信号E1に変換するステップを含む。
【0040】
このような実施形態において、ヘテロダイン検出を実施し、第2の電気信号E2を得るステップは、第2の光ヘテロダイン検出手段の第2の光カプラOC2の光導波路において、反射光スペクトルの第2の成分OR2と第2の局所発振器光信号LO2とを結合するステップを含み、さらに、第2の光ヘテロダイン検出手段の第2の光電子受信機PD2によって、第2の光カプラの出力で得られた光信号をそれぞれの第2の電気信号E2に変換するステップを含む。
【0041】
一実施形態(図3に示す)によれば、第1の電気信号E1および第2の電気信号E2を得るためにヘテロダイン検出を実施する各ステップは、それぞれのヘテロダイン検出のために、平衡検出(balanced detection)のための2つのそれぞれのフォトダイオードによって検出される2つの光信号を出力として提供するように構成された、それぞれの2x2光カプラを用いて平衡検出を実施するステップを含み、第1の電気信号E1および第2の電気信号E2それぞれは、それぞれのフォトダイオードから出力される電流の減算として得られる。
【0042】
本方法の別の実施態様(図4に示す)によれば、第1のヘテロダイン検出を実施するステップは、フォトニック集積回路PICに構成された第1の光位相シフタOPS1によって、第1の光カプラOC1における入力の前に、制御された方法で第1の局所発振器光信号LO1の位相をシフトするステップをさらに含む。
【0043】
同様に、第2のヘテロダイン検出を実施するステップは、フォトニック集積回路PICに構成された第2の光位相シフタOPS2によって、第2の光カプラOC2における入力の前に、制御された方法で第2の局所発振器光信号LO2の位相をシフトするステップをさらに含む。
【0044】
本方法の別の実施形態(図5に示す)によれば、ヘテロダイン検出を実施するステップは、反射光スペクトルの第1の成分OR1と反射光スペクトルの第2の成分OR2とを単一の2x1光カプラOCに注入するステップを含み、反射光スペクトルの第1の成分OR1と反射光スペクトルの第2の成分OR2との周波数偏差の差を代表する中間周波数ωIFの光信号を出力として生成するように構成される。
【0045】
ヘテロダイン技術を用いたコヒーレント光検出(または受信)とも呼ばれるヘテロダイン検出は、一般的に知られている技術である。本発明による対応システムの以下の説明では、図1図6に示す実施形態を参照して、この点に関してさらなる詳細を提供する。
【0046】
図6に示す実施形態によれば、本方法は、複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG1~Bi-FBGn)の複数のセンサにカスケード式に照会することができ、各々がそれぞれの公称動作波長(λ1~λn)によって特徴付けられる。
【0047】
このような実施形態において、伝達するステップは、複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG1~Bi-FBGn)のカスケード接続されたセンサから反射された全体反射光スペクトルORTを検出フォトニック集積回路PICに伝達するステップを含み、分離するステップは、前述の全体反射光スペクトルORTの第1の成分ORT1と第2の成分とを分離するステップを含む。
【0048】
全体反射光スペクトルの第1の成分ORT1は、それぞれの第1の周波数(ω11~ω1n)を中心とする第1の光偏光を有する第1の成分(OR11~OR1n)の重ね合わせを含む。
【0049】
全体反射光スペクトルの第2の成分ORT2は、それぞれの第2の周波数(ω21~ω2n)を中心とする第2の光偏光を有する第2の成分(OR21~OR2n)の重ね合わせを含む。
【0050】
この場合、本方法は、
- 第1の周波数識別(frequency discrimination)またはデマルチプレクス手段AWG1によって、第1の成分(OR11~OR1n)を互いにスペクトル的に分離するステップと、
- 第2の周波数識別またはデマルチプレクス手段AWG2によって、第2の成分(OR21~OR2n)を互いにスペクトル的に分離するステップと、
- 前述の第1の成分(OR11~OR1n)の各々および前述の第2の成分(OR21~OR2n)の各々に対してヘテロダイン検出ステップを実行し、それぞれの複数の第1の電気信号E1kおよび第2の電気信号E2kを得るステップと、
- 複屈折ファイバブラッググレーティングタイプBi-FBGkのそれぞれのセンサに対応する第1の電気信号E1kおよび第2の電気信号E2kのそれぞれの組について、第1の中間周波数ωIFs,kおよび第2の中間周波数ωIFf,kを決定する前述のステップを実行するステップと、をさらに含む。
【0051】
本方法の一実施形態によれば、前述の第1の光偏光は、「低速偏光軸」(簡潔にするために「低速軸」と呼ぶ)上の偏光に対応し、第1の複屈折ピーク周波数ω1は、低速軸複屈折ピーク周波数ωsに対応する。前述の第2の光偏光は、第1の光偏光に直交し、「低速偏光軸」に直交する「高速偏光軸」(簡略化のために「高速軸」と呼ぶ)上の偏光に対応し、第2の複屈折ピーク周波数ω2は、高速軸複屈折ピーク周波数ωfに対応する。
【0052】
本方法の一実施形態によれば、前述の第1の基準波長λref1および前述の第2の基準波長λref2は、初期較正によって決定された2つの高速チャネルおよび低速チャネル上の、複屈折ファイバブラッググレーティングタイプBi-FBGのセンサの2つのそれぞれの公称動作波長に対応する。
【0053】
本方法の別の実施形態によれば、前述の第1の基準波長λref1と第2の基準波長λref2は一致し、狭帯域バンドパス光波長可変フィルタOTFのチューニングによって特定される基準波長λiに対応する。
【0054】
本方法の一実施形態によれば、前述の第1の基準波長λref1および第2の基準波長λref2はそれぞれ、2つの狭帯域バンドパス光波長可変フィルタ(OTF1、OTF2)のチューニングによって特定される2つの基準波長λi1、λi2に対応する。
【0055】
別の実施形態によれば、前述の第1の基準波長λref1と前述の第2の基準波長λref2は、2つの高速チャネルおよび低速チャネルにおいて、複屈折ファイバブラッググレーティングBi-FBGタイプのセンサの2つのそれぞれの公称動作波長に一致し、対応する。
【0056】
ここで、複屈折ファイバブラッググレーティングBi-FBGタイプのセンサによって検出可能な少なくとも2つの物理的大きさを決定するための方法について説明する。
【0057】
このような方法は、上述した実施形態のいずれか1つに従って、複屈折ファイバブラッググレーティングBi-FBGタイプの少なくとも1つのセンサに照会するための方法を実行し、その後、上述した第1の中間周波数ωIFsおよび第2の中間周波数ωIFfの処理に基づいて、少なくとも2つの物理的大きさを決定することを提供する。
【0058】
このような方法の一実施形態によれば、決定される2つの物理的大きさは、縦ひずみおよび横ひずみである。
【0059】
このような方法の別の実施形態によれば、決定される2つの物理的大きさは、ひずみと温度である。
【0060】
これに関して、複屈折を特徴とするファイバブラッググレーティングBi-FBGセンサによって反射された2つの直交偏光ブラッグ波長を測定するための方法に関する前述の実施形態を参照して、以下にさらなる説明を行う。
【0061】
光ファイバ「コア」の屈折率(refractive index)の周期的かつ均一な変化は、Bi-FBG構造の最も単純な形態である。Bi-FBGセンサの基本的な特性は、共振条件の存在であり、これは次のように定義されるブラッグ波長(λB)と呼ばれる特定の波長で光を反射する。
λB = 2neff ・ Λ
ここで、neff はファイバの実効屈折率、Λはグレーティングの周期で、グレーティングのピッチとも呼ばれる。ブラッグ波長は、グレーティングピッチ(Λ)とファイバコアの実効屈折率(neff)に依存し、これらのパラメータは温度とひずみの変化に敏感である。このため、Bi-FBGセンサはひずみや温度センサとして直接利用することができる。
【0062】
ファイバが複屈折である場合、直交する2つの偏光で伝搬する光が経験する実効屈折率は異なり、一般的にneff-sおよびneff-fと定義される。
【0063】
したがって、複屈折ファイバのBi-FBGセンサによって反射された2つの直交偏光スペクトルは、Δλ= λs-λf =2(neff-s - neff-f) ・ Λ のピーク波長分離を有する2つの異なる波長で観測される。
【0064】
波長の代わりに、対応する周波数パラメータωを参照することで、同様の考察を行うことができる。
【0065】
複屈折Bi-FBGセンサの製造に使用される複屈折ファイバの例としては、PandaファイバやTruePhaseファイバ、ボウタイファイバ、Dクラッドファイバ、楕円コア・楕円クラッドファイバ、微細構造高複屈折光ファイバ(MOF)などがある。
【0066】
複屈折ブラッググレーティングは、フェムト秒書き込みによって光ファイバに誘導することもできる。この場合、複屈折は、Bi-FBGセンサが得られるファイバの限られた領域にのみ内接する。
【0067】
複屈折Bi-FBGセンサは、有利なことに、光偏光の高速軸と低速軸に対応するブラッグ波長オフセットを測定することによって、ひずみと温度を同時に検出することを可能とする。
【0068】
線形依存性を仮定すると、ブラッグ波長λsおよびλfと、温度およびひずみの変化との間の相関は、マトリックス形式で表される以下の式で表すことができる。
【数1】
ここで、
Δλs と Δλf は低速軸と高速軸のブラッグ波長変化、下の数式(2)および数式(3)で表される変数は、それぞれ低速軸と高速軸の温度感度、下の数式(4)および数式(5)で表される変数は、ひずみ感度、ΔTは温度変化、Δεはひずみ変化である。
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【0069】
したがって、温度変化ΔTと、ひずみ変化Δεは、逆マトリックスを通して同時に計算することができる。
【数6】
ここで、下の数式(7)であらわされるものは、マトリックスの行列式(determinant)である。
【数7】
【0070】
複屈折Bi-FBGセンサは、横ひずみと縦ひずみを区別することも可能である。
【0071】
実際、Bi-FBGセンサは、複屈折軸が直交して表面に平行になるように配置されている場合、横方向のひずみ依存性が最大になる。2つの複屈折軸の一方に沿って横方向の荷重が加えられると、対応する反射ピークが最大の横ひずみ感度を示す。
【0072】
その代わり、軸が表面に対して45°の位置にある場合、横ひずみに対するBi-FBGセンサの感度は低下し、波長偏差は主に縦ひずみに依存する。
【0073】
複屈折Bi-FBGセンサのこの特性は、2種類のひずみの区別を可能にし、有利なことに、せん断ひずみの測定を可能にする。例えば、S.Sulejmaniらの論文、「Shear stress sensing with Bragg grating-based sensors in microstructured optical fibers」、Opt. Express 21, 20404-20416 (2013)は、複屈折軸を45°に配置した場合に、波長分離偏差の最大せん断ひずみ感度が得られることを示している。
【0074】
したがって、明らかに、Bi-FBG複屈折センサの利点は、異なる偏光の2つのスペクトル成分によって提供される情報によって、2つの異なる大きさを同時に検出できることである。
【0075】
図1~6を参照して、複屈折ファイバブラッググレーティングFBGタイプの少なくとも1つのセンサ(以下、簡潔にするために、複屈折Bi-FBGセンサと呼ぶこともある)、例えば、複屈折ファイバ内または複屈折にされた光ファイバゾーン内で得られるBi-FBGタイプのセンサを検査するためのシステム1について説明する。
【0076】
このようなシステムは、広帯域光放射源BSと、集積フォトニック検出デバイスPICと、集積フォトニック検出デバイスPICと動作可能に接続された電子処理手段2とを含む。
【0077】
広帯域光放射源BSは、複屈折ファイバブラッググレーティングBi-FBGタイプの少なくとも1つのセンサに広帯域光励起放射OAを照射するように構成されている。
【0078】
統合型フォトニック検出装置PICは、複屈折ファイバブラッググレーティングBi-FBGタイプの前述の少なくとも1つの光ファイバセンサに動作可能に接続され、該センサからの反射光スペクトルORを受信する第1の入力ポートC1と、前述の広帯域光放射源BSに動作可能に接続され、前述の広帯域光励起放射OAを受信する第2の入力ポートC2とを含む。
【0079】
集積フォトニック検出デバイスPICは、偏光光ビームスプリッタPSと、局所発振器信号発生手段と、第1のヘテロダイン光検出手段と、第2のヘテロダイン光検出手段と、第1の出力ポートU1と、第2の出力ポートU2と、を含む。
【0080】
偏光光ビームスプリッタPSは、複屈折によって生成され第1の周波数ω1を中心とする第1の光偏光によって特徴付けられる前述の反射光スペクトルの第1の成分OR1と、複屈折によって生成され第2の周波数ω2を中心とする第2の光偏光によって特徴付けられる反射光スペクトルの第2の成分OR2とを分離するように構成されている。
【0081】
局所発振信号生成手段は、第1の局所発振周波数ωLO1を中心とする第1の局所発振光信号LO1と、第2の局所発振周波数ωLO2を中心とする第2の局所発振光信号LO2とを含む少なくとも2つの狭帯域光信号(LO1、LO2)を得るように構成されている。
【0082】
このような局所発振器信号生成手段は、前述の広帯域光励起放射OAの狭帯域光フィルタリングを実行するように構成された、少なくとも1つの波長可変な狭帯域光バンドパスフィルタOTFを含む。
【0083】
第1の光ヘテロダイン検出手段は、反射光スペクトルの前述の第1の成分OR1および前述の第1の局所発振器光信号LO1を受信し、ヘテロダイン検出技術または受信技術によって、生成するように構成され、反射光スペクトルの第1の成分OR1および第1の局所発振器光信号LO1に基づいて、第1の局所発振器周波数ωLO1と、反射光スペクトルの第1の成分OR1の第1の周波数ω1との差に等しい第1の中間周波数ωIFsで第1の電気信号E1を生成する。
【0084】
第2の光ヘテロダイン検出手段は、反射光スペクトルの前述の第2の成分OR2および前述の第2の局所発振器光信号LO2を受信し、ヘテロダイン検出技術によって、生成するように構成され、反射光スペクトルの第2の成分OR2および第2の局所発振器光信号LO2に基づいて、第2の局所発振器周波数ωLO2と、反射光スペクトルの第2の成分OR2の前述の第2の周波数ω2との差に等しい第2の中間周波数ωIFfで第2の電気信号E2を生成する。
【0085】
第1の電気信号E1を利用可能にするように構成された第1の出力ポートU1と、第2の電気信号E2を利用可能にするように構成された第2の出力ポートU2とを備える。
【0086】
電子処理手段は、集積PICフォトニックデバイスと動作可能に接続され、前述の第1の電気信号E1および第2の電気信号E2を受信し、第1の基準波長λref1に対する、第1の偏光を有する反射光スペクトルの第1の成分OR1の第1の波長オフセットΔλ1を示す前述の第1の中間周波数ωIFsを決定するように構成される。
【0087】
電子処理手段はさらに、第2の基準波長λref2に対する、第2の偏光を有する反射光スペクトルの第2の成分OR2の第2の波長シフトΔλ2を示す、前述の第2の中間周波数ωIF2を決定するように構成される。
【0088】
前述の第1の波長シフトΔλ1および第2の波長シフトΔλ2は、光ファイバセンサBi-FBGによって測定される少なくとも1つの物理的な大きさを代表する。
【0089】
システム1の一実施形態(図1に示す)によれば、局所発振器信号を生成する前述の手段は、波長可変狭帯域OTF光フィルタと光ビームスプリッタとを含む。
【0090】
狭帯域光波長可変OTFは、前述の広帯域光励起放射OAを狭帯域フィルタリングし、局所発振器信号LOとして作用するように適合された局所発振器周波数ωLOを中心とする狭帯域光信号を生成するように構成される。
【0091】
光ビームスプリッタは、前述の狭帯域光信号を分割し、光ビームスプリッタの2つの出力ポートで利用可能な第1の局所発振器信号LO1および第2の局所発振器信号LO2にそれぞれ対応する入力として受信された狭帯域光信号自体の2つの減衰したレプリカを作るように構成される。
【0092】
前述の実施形態のいくつかの追加の詳細については、図1を参照して後述する。
【0093】
見て分かるように、このシステムは、高速軸と低速軸に対応する2つの直交偏光を2つの光導波路に結合する装置と分割(または分波)する装置を含む。
【0094】
2つの直交偏光を分割するためのデバイスは、いくつかの可能な実装オプションにおいて、例えば、2次元2Dグレーティングカプラまたは偏光ローテータおよびスプリッタ(PSR)と組み合わせたエッジカプラである。
【0095】
システムはさらに、ヘテロダイン検出方式を実装する2つの異なる集積フォトニック回路を含む。
【0096】
複屈折Bi-FBGによって反射された異なる周波数/波長における2つの直交偏光は分離され、2つのシングルモード導波路に結合され、その中で異なる周波数/波長における2つの信号が別々に分析される。
【0097】
この2つの信号は、2つの集積光カプラによって局所発振器信号と別々に結合され、集積フォトダイオードで混合され、ヘテロダイン検出によって2つの個々のピークの周波数偏差が検出される。
【0098】
図1に示す例のように、広帯域光源BSから来る光は、光スプリッタ(「スプリッタ」)OSによって分割され、光サーキュレータ3の第1のポートとフォトニック集積回路PICの入力ポートの両方に送られる。
【0099】
複屈折Bi-FBGセンサは、光サーキュレータの第2のポートを介して広帯域光源BSにより照会され、複屈折Bi-FBGセンサからの反射光パワーは、光サーキュレータの第3のポートにより収集され、PIC集積フォトニック回路を実装するチップに結合される。
【0100】
集積フォトニック回路PICは、複屈折Bi-FBGセンサによって反射された高速軸偏光および低速軸偏光に関して、光カプラC1と、信号偏光スプリッタPS(ここで、偏光スプリッタ、または偏光光ビームスプリッタは、上述のように、2DグレーティングカプラまたはPSRを含んでもよい)とを含む。
【0101】
集積フォトニック回路PICは、広帯域光を集積フォトニック回路に結合するように構成された追加の光カプラC2(例えば、1次元グレーティングカプラまたは「エッジ」カプラ)をさらに含む。
【0102】
フォトニック集積回路PICは、
- 局所発振信号として使用される所望の周波数/波長を選択するための少なくとも1つの波長可変光バンドパスOTFフィルタ(例えば、リング共振器フィルタであるが、これに限定されない)と、
- 光信号と局所発振器信号を同じ導波路に結合するように構成された少なくとも2つの光カプラと、
- ヘテロダイン検出用の少なくとも2つの集積フォトダイオードと、をさらに含む。
【0103】
カプラは、光サーキュレータの第3のポートからPIC光チップに反射された光を結合し、PS偏光スプリッタは、2つの異なる光導波路に送ることによって光を分離し、高速軸ωsと低速軸ωfの周波数で複屈折Bi-FBGセンサから反射された2つの直交偏光は、結合され、PIC集積フォトニック回路の2つの異なる導波路に送られる。
【0104】
一実施オプションによれば、この方式は、スプリッタによって分離された光を2つの導波路TEに結合するための偏光ローテータまたは2Dグレーティングカプラをさらに含む。
【0105】
結合され、PICチップ上の別の入力ポートに入力として供給される広帯域光は、特定の波長を選択するために、波長可変光バンドパスフィルタOTFによってフィルタリングされる。
【0106】
一実施オプションによれば、波長可変フィルタは波長可変マイクロリング共振器の取り出し(extraction)(ドロップ)ポートに基づいている。
【0107】
選択された波長でフィルタリングされた光は、局所LO発振器として動作し、分割されて2つの異なる集積光カプラOC1、OC2に送られ、低速偏光軸ωsおよび高速偏光軸ωfの周波数の光と結合される。
【0108】
各カプラは局所LO発振器の周波数と2つの周波数ωsとωfのそれぞれ1つを結合し、光カプラの出力信号はヘテロダイン構成に従って集積フォトダイオードに送られる。
【0109】
2つの光信号と局所発振器は、導波路内を同じ断面と偏光で伝搬し、ヘテロダイン検出のための最大の偏光マッチを提供する。
【0110】
2つの中間周波数ωIFs = ωs - ωLO、および他方の側ωIFf = ωf - ωLOにおける2つのヘテロダイン検出の混合から生じる項は、複屈折Bi-FBGセンサの反射ピークの波長に関する情報を運び、複屈折Bi-FBGセンサの波長オフセットおよび低速軸と高速軸にそれぞれ対応する2つのピーク間の波長分離を検出するために使用することができる。
【0111】
システムの別の実施形態(図2に示す)によれば、前述の局所発振器信号発生手段は、光ビームスプリッタOSPL、第1の波長可変狭帯域通過光フィルタOTF1、および第2の波長可変狭帯域通過光フィルタOTF2を含む。
【0112】
光ビームスプリッタOSPLは、広帯域光励起放射の第1のレプリカと広帯域光励起放射の第2のレプリカを得るために、前述の広帯域光励起放射OAを分割するように構成される。
【0113】
第1の狭帯域光波長可変OTF1は、広帯域光励起放射の前述の第1のレプリカを狭帯域フィルタリングし、第1の局所発振器周波数ωLO1を中心とする第1の狭帯域光信号LO1を生成するように構成される。
【0114】
第2の狭帯域光波長可変OTF2は、広帯域光励起放射の前述の第2のレプリカを狭帯域フィルタリングし、第2の局所発振器周波数ωLO2を中心とする第2の狭帯域光信号LO2を生成するように構成される。
【0115】
前述の実施形態のいくつかの追加の詳細については、図2を参照して後述する。
【0116】
この場合、PICデバイスは、2つの異なる周波数ωLO1、ωLO2の2つの独立した局所発振器を選択するように構成された2つの異なる波長可変狭帯域光フィルタOTF1、OTF2を含む。
【0117】
波長の2つのピークを検出するための2つの中間周波数ωIFs = ωs - ωLOと、ωIFf = ωf - ωLOは独立している。一実施オプションによれば、このような周波数は、後続の検出段階を容易にし、より正確にするために、細かく調整される。
【0118】
有利なことに、2つの独立した局所発振器を使用するこの実施形態は、中間周波数、すなわち局所発振器と「低速」および「高速」偏光光信号との間のビート周波数(beat frequency)の独立した制御を可能にするため、ヘテロダイン検出方式においてより大きな柔軟性を提供する。このような柔軟性は、更なる利点につながり、例えば、フォトダイオードに必要な帯域を低減することが可能になり、その結果、その入力におけるノイズが低減され、測定の信号対雑音比(signal-to-noise ratio)SNRが改善される。
【0119】
システム1の実施形態(例えば図1~3に図示)によれば、第1のヘテロダイン検出手段は、反射光スペクトルの第1の成分OR1と第1の局所発振器光信号LO1とを結合するように構成された、それぞれの光導波路を含む第1の光カプラOC1を含み、第1の光カプラOC1からの出力光信号を受信し、それをそれぞれの第1の電気信号E1に変換するように構成された第1の光電子受信機PD1を含む。
【0120】
第2のヘテロダイン検出手段は、反射光スペクトルの第2の成分OR2と第2の局所発振器光信号LO2とを結合するように構成された、それぞれの光導波路を含む第2の光カプラOC2を含み、第2の光カプラOC2からの出力光信号を受信し、それをそれぞれの第2の電気信号E2に変換するように構成された第2の光電子受信機PD2を含む。
【0121】
様々な可能な実装オプションによれば、第1および第2のヘテロダイン検出または受信手段は、それ自体既知のヘテロダイン検出または受信デバイスによって実装される。
【0122】
例えば、Rongqing Huiの「Introduction to Fiber-Optic Communications」-1st Edition, 13th June 2019 (DOI:10.1016/B978-0-12-805345-4.00009-3)を参照することができ、そこから図7および図8の図が抜粋され、以下に簡単に説明される。
【0123】
図7は、ヘテロダイン混合技術のよく知られた例を示しており、これは、電子受信によって容易に検出できる対応する中間周波数信号を得るために、光周波数信号の周波数を下げることを可能にする。
【0124】
特に、光信号と局所発振器の混合は、フォトダイオード、すなわち、入力信号E(t)と局所発振器ELO(t)にそれぞれ対応する2つの電磁界が混合され、2つの入力電磁界の2乗に比例する光電流i(t)を供給する2次検出則を持つ検出器によって達成することができる。
【0125】
入力光信号E(t)と局所発振器光信号ELO(t)は次のように表すことができる。
【数8】
【数9】

ここで、A(t)とALO(t)は振幅、ωとωLOは角周波数または脈動、φとφLOはそれぞれ入力信号と局所発振器の位相である。
光信号と局所発振器の直接検出成分とは別に、局所発振器の光パワーが一般的に(そしていずれにせよ作ることができる)入力光信号のパワーよりもはるかに大きいことを考慮すると、最も重要な光電流成分i(t)は中間周波数ωIF=ω - ωLOで観測され、次のように書くことができる。
【数10】
ここで、下記の数式(11)であらわされる項はフォトダイオードの応答性、εは光カプラの電力結合係数(図7に示す)、θ は光信号と局所発振器の間の偏光状態差角、Δφ は相対位相差である。
【数11】
【0126】
図3に示すシステムの別の実施形態によれば、前述の第1の光カプラOC1は2x2光カプラであり、第1の反射光スペクトル成分OR1と第1の局所発振器光信号LO1との組み合わせから生じる2つの光ビート信号を出力するように構成されている。
【0127】
さらに、前述の第1の光電子受信機B-PD1は、平衡検出を行うように構成された2つのフォトダイオードを含み、第1の電気信号E1は、第1の光電子受信機B-PD1の2つのフォトダイオードからの発信電流の減算として得られる。
【0128】
同様に、前述の第2の光カプラOC2は、2x2光カプラであり、第2の反射光スペクトル成分OR2と第2の局所発振器光信号LO2との組み合わせから得られる2つの光ビート信号を出力するように構成されている。
【0129】
さらに、前述の第2の光電子受信機B-PD2は、平衡検出を行うように構成された2つのフォトダイオードを備え、第2の電気信号E2は、第2の光電子受信機B-PD2の2つのフォトダイオードからの発信電流の減算として得られる。
【0130】
実装オプションによれば、平衡ヘテロダイン検出は、図8に示すような、それ自体既知の平衡検出技術を使用して実行される。
【0131】
この場合、1x2光カプラは2x2光カプラに置き換えられ、光カプラの2つの出力ポートはBPD平衡光検出器に接続される。
【0132】
平衡コヒーレント・ヘテロダイン検出を行うことで、検出信号の信号対雑音比SNRが向上し、局所発振器の強度ノイズによる不要な影響を避けることができる。
【0133】
具体的には、図2に示す平衡コヒーレント・ヘテロダイン検出では、2x2光カプラと2つのフォトダイオードを並列に使用する。2つの光電流の差は1つの成分、すなわち中間周波数成分のみを提供し、これは次式で表すことができる。
【数12】
【0134】
この構成では、有利なことに、光信号と局所発振器信号のDC成分がキャンセルされ、このような方式により、信号対雑音比SNRを向上させ、反射応答における過剰なレーザーノイズ(強度ノイズなど)と非局所効果による望ましくない影響を低減することが可能になる。
【0135】
図4に示すシステムの一実施形態によれば、第1のヘテロダイン検出手段は、第1の光位相シフタOPS1をさらに含み、第1の光カプラOC1における入力の前に、制御された方法で、第1の局所発振器光信号LO1の位相をシフトするように構成される。第2のヘテロダイン検出手段は、第2の光カプラOC2における入力の前に、制御された方法で、第2の局所発振器光信号LO2の位相をシフトするように構成された、第2の光位相シフタOPS2をさらに備える。
【0136】
したがって、この場合、PICデバイスは、局所光発振器信号の位相を制御し変調することができる2つの光位相シフタを統合している。
【0137】
位相シフタは、局所発振器の位相制御を追加する。局所発振器の位相は、位相シフタによって変調することができ、有利には、位相制御によって測定の感度を向上させることが可能になる。
【0138】
図5に示すシステムの別の実施形態によれば、2つの周波数ωsとωfの光信号は、方向性カプラ(directional coupler)で結合される。この場合も、ヘテロダイン検出の中間周波数は、ωIFS=ωs-ωfで与えられる。
【0139】
一実施形態(図6に示す)によれば、システムは、カスケード接続された複屈折ファイバブラッググレーティングタイプ(Bi-FBG~1-Bi-FBGn)の複数のセンサに照会するように構成され、各センサは、それぞれの公称動作波長(λ1~λn)によって特徴付けられる。
【0140】
このような実施形態では、PS偏光光ビームスプリッタは、複屈折ファイバブラッググレーティング(Bi-FBG1~Bi-FBGn)センサカスケードからの全体的なORT反射光スペクトルの第1の成分と第2の成分を分離するように構成される。
【0141】
全体反射光スペクトルの第1の成分ORT1は、それぞれの第1の周波数(ω11~ω1n)を中心とする第1の光偏光を有する第1の成分(OR11~OR1n)の重ね合わせを含み、全体反射光スペクトルの第2の成分ORT2は、それぞれの第2の周波数(ω21~ω2n)を中心とする第2の光偏光を有する第2の成分(OR21~OR2n)の重ね合わせを含む。
【0142】
この場合、システムは、第1および第2の周波数識別手段またはデマルチプレクス手段と、複数の第1のヘテロダイン検出手段と、複数の第2のヘテロダイン検出手段とをさらに含む。
【0143】
第1の周波数識別またはデマルチプレクス手段AWG1は、第1の成分(OR11~OR1n)を互いにスペクトル的に分離するように構成される。
【0144】
第2の周波数識別またはデマルチプレクス手段AWG2は、第2の成分(OR21~OR2n)を互いにスペクトル的に分離するように構成される。
【0145】
第1のヘテロダイン検出手段は、それぞれの複数の第1の電気信号E1nを得るために、それぞれの第1の成分(OR11~OR1n)に対して動作するように構成される。
【0146】
第2のヘテロダイン検出手段は、それぞれの複数の第2の電気信号E2nを得るために、それぞれの第2の成分(OR21~OR2n)に対して動作するように構成される。
【0147】
一実施オプション(図6に示す例で言及)によれば、周波数識別またはデマルチプレクシングの第1および第2の手段の両方は、偏光スプリッタの出力に配置されたそれぞれの一体型「アレイ導波路グレーティング」(AWG)型デバイスによって行われ、WDM(波長分割マルチプレクシング)に基づく測定を可能にする。
【0148】
AWGデバイスは、1つの導波路入力に存在する複数のN個の波長を含む光信号を分配し、N個の異なる出力導波路の入力で利用できるようにするための光デバイスである。
【0149】
N個の複屈折Bi-FBGセンサから反射された波長ピークはPICデバイスに結合され、高速軸偏光信号と低速軸偏光信号にそれぞれ対応するN個の波長は分離され、2つの異なる導波路に送られ、個々の波長はフィルタリングされ、AWGデバイスのそれぞれ異なる出力ポートに選択される。AWGデバイスのそれぞれの出力ポートにおける個々の波長は、単一の複屈折Bi-FBGセンサへのクエリを参照して、先に例示した方式のいずれかによって検出することができる。
【0150】
別の実施オプションによれば、周波数識別またはデマルチプレクシングの第1および/または第2の手段は、それ自体既知の他のタイプのそれぞれのWDMデマルチプレクシングデバイスによって行われる。
【0151】
既に上述した実施オプションによれば、前述の調整可能な狭帯域光バンドパスフィルタOTFは、それ自体既知のマイクロリング光共振器フィルタである。
【0152】
例えば、リング共振器は、ファイバまたは光導波路が「ループ」構成で囲まれている構造体であり、特定の共振波長の光が、構成的干渉条件下でリング(またはループ)を通過すると、光の強度が構造体内で増加し、所定の共振波長の光を抽出ポートのモニタポートで抽出/観察することができる。
【0153】
マイクロリング共振器を設計し、集積フォトニック回路PICに組み込むことで、バンドパスフィルタ、光スイッチ、光強度変調器として使用することができる。
【0154】
マイクロリング共振器の共振波長は、デバイスの屈折率および形状(例えば、光導波路のサイズおよびリング直径)に依存し、共振波長は、光導波路の屈折率のわずかな変化、例えば、局所的なマイクロヒータに基づく熱調整によって調整することができる。
【0155】
本システムの一実施形態によれば、前述の偏光光ビームスプリッタPSは、2次元グレーティングカプラ型の集積フォトニクス技術によって製造された偏光光ビームスプリッタである。
【0156】
システムの別の実装オプションによれば、前述の偏光ビームスプリッタPSは、偏光スプリッタとローテータ-PSRタイプの統合フォトニクス技術によって作られた偏光光ビームスプリッタである。
【0157】
偏光ビームスプリッタに関して、シリコン光導波路内で同じ光ビームの直交する偏光を結合して伝搬させる異なる方策があることは注目に値する。最もよく知られた解決策は、2次元グレーティングカプラと、偏光スプリッタとローテータ(PSR)を組み合わせたエッジカプラである。
【0158】
2次元グレーティングカプラ(2D GC)は、2つの1次元グレーティングカプラ(1D GC)の重ね合わせと考えることができ、入力でファイバから来る直交する2つの偏光が、直交する方向の2つの偏光光導波路TEに結合される。直交する2つの偏光は、光が同じ偏光で伝搬する光導波路に結合される。
【0159】
PSR偏光ローテータおよびスプリッタでは、2つの直交偏光を含む信号が統合偏光光ビームスプリッタに送られ、このビームスプリッタが光を2つの直交偏光TEおよびTMを持つ2つの別々の信号に分割する[例えば、M.R.Watts, H.A.Haus, E.P.Ippen 「Integrated mode-evolution-based polarization splitter」 Opt.Lett.30,967-969 (2005)]。分離されたTM偏光信号は偏光ビームローテータに送られ、そこで偏光は90°回転されTE偏光信号になる[M.R.Watts, H.A.Haus, E.P.Ippen 「Integrated mode-evolution-based polarization splitter」 Opt.R.Watts, H.A.Haus, 「Integrated mode-evolution-based polarization rotators」 Opt.Lett.30,138-140 (2005)]。
【0160】
システムの一実施オプションによれば、前述の第1の光電子受信機PD1および/または前述の第2の光電子受信機PD2の各々は、考慮される波長の光信号を検出して電気信号に変換するように構成された少なくともそれぞれの半導体フォトダイオードを含む。
【0161】
一実施形態によれば、システムは、広帯域光放射源BSに接続された第1のサーキュレータポートと、複屈折ファイバブラッググレーティングBi-FBGタイプのセンサを含む複屈折光ファイバに接続された第2のサーキュレータポートと、フォトニック集積デバイスPICの光入力ポートに接続された第3のサーキュレータポートとを有する光サーキュレータ3をさらに含む。
【0162】
このような光サーキュレータ3は、第1のサーキュレータポートから受信した広帯域光放射OAを、第2のサーキュレータポートを介して、ファイバブラッググレーティングBi-FBGタイプのセンサを含む複屈折光ファイバに送信し、さらに、第2のサーキュレータポートから受信した複屈折ファイバブラッググレーティングBi-FBGタイプのセンサで反射されたスペクトルを、第3のサーキュレータポートを介して、フォトニック集積素子PICの光入力ポートに伝達するように構成されている。
【0163】
システムの一実施形態によれば、前述の第1の基準波長λref1および前述の第2の基準波長λref2は、初期較正によって決定された、2つの高速チャネルおよび低速チャネル上の、複屈折ファイバブラッググレーティングBi-FBGタイプのセンサの2つのそれぞれの公称動作波長に対応する。
【0164】
システムの別の実施形態によれば、前述の第1の基準波長λref1と前述の第2の基準波長λref2は一致し、狭帯域バンドパス光波長可変フィルタOTFのチューニングによって特定される基準波長λiに対応する。
【0165】
システムの一実施オプションによれば、前述の第1の基準波長λref1および第2の基準波長λref2は、それぞれ、2つの狭帯域バンドパス光波長可変フィルタ(OTF1、OTF2)のチューニングによって特定される2つの基準波長λi1、λi2に対応する。
【0166】
本方法の別の実施態様によれば、前述の第1の基準波長λref1と前述の第2の基準波長λref2は一致し、2つの高速チャネルと低速チャネルにおける、複屈折ファイバブラッググレーティングBi-FBGタイプのセンサの2つのそれぞれの公称動作波長に対応する。
【0167】
次に、複屈折ファイバブラッググレーティングBi-FBGタイプのセンサによって検出可能な少なくとも2つの物理的大きさを決定するための方法を説明する。
【0168】
このようなシステムは、複屈折ファイバブラッググレーティングBi-FBGタイプのセンサと、上述した実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つの複屈折ファイバブラッググレーティングBi-FBGタイプに照会するためのシステムと、を含み、電子処理手段は、検出された前述の第1の中間周波数ωIF1および第2の中間周波数ωIF2の処理に基づいて、少なくとも2つの物理的大きさを決定するようにさらに構成される。
【0169】
ある実施態様によれば、決定された2つの物理的大きさは、縦ひずみおよび横ひずみである。
【0170】
別の実施態様によれば、決定された2つの物理的な大きさは、ひずみと温度である。
【0171】
このようなシステムの一実施形態によれば、複屈折ファイバブラッググレーティングBi-FBGタイプセンサは、ブレーキパッド内で動作するように構成されるか、ブレーキキャリパに埋め込まれるか、ブレーキキャリパに取り付けられるか、ブレーキキャリパブラケットとブレーキキャリパの間に配置されるように適合されたワッシャ装置に埋め込まれる。
【0172】
検出される少なくとも2つの物理的な大きさは、縦ひずみと横ひずみであり、これらは複屈折ファイバブラッググレーティング(Bi-FBG)センサが配置されている点に存在し、全体としてブレーキキャリパに作用するクランプ力および/またはブレーキトルクを表す。
【0173】
本発明の目的は、その機能的および構造的特徴により、上記に例示した方法およびシステムによって完全に達成されることは注目に値する。
【0174】
実際、従来技術の説明部分に記載された技術的問題を参照すると、本発明によるシステムは、本質的な構成要素が(例えば、PIC技術のフォトニック集積回路に)集積された、単純でコンパクトなシステムである。
【0175】
本発明による、複屈折ファイバで作られたBi-FBGセンサに照会するためのシステムおよび方法は、(i)構造および使用におけるコンパクト性および単純性、(ii)性能における有効性という指標を満たしている。
【0176】
これは、このような方法とシステムがフォトニック集積回路に基づいているためであり、本発明の解決策が、複屈折Bi-FBGセンサによって反射されたスペクトルの偏光に基づく光分割と、それに続くダブルヘテロダインコヒーレント検出(PICに集積可能なコンポーネントによって達成可能な機能)を含んでいる点で可能となる。
【0177】
さらに、(PICに組み込むことができない)局所発振器の必要性は回避される。なぜなら、局所発振器によって生成される信号と実質的に同様の信号が、同じ広帯域光クエリ放射のレプリカの狭帯域光フィルタリングを通してPIC回路で得られるからである。
【0178】
以上のことから、本発明によって提供される照会システムは、ブレーキキャリパのひずみおよび温度検知のような技術分野に設置することができ、ブレーキパッドに非常に適している。
【0179】
このような状況において、複屈折Bi-FBGセンサが提供する上述の利点は、特に、少なくとも2つの大きさまたは物理的パラメータ(例えば、横ひずみと縦ひずみ、またはひずみと温度)を同時に検出する能力を含め、特に明白である。
【0180】
偶発的かつ特定のニーズを満たすために、当業者は、上述の実施形態に対していくつかの変更および適合を行うことができ、また、しかしながら、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、機能的に同等である他の要素と置き換えることができる。1つの可能な実施形態に属するものとして上述した全ての特徴は、他の説明した実施形態から独立して実施することができる。
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【国際調査報告】