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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】皮膚改善用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20240116BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20240116BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20240116BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20240116BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240116BHJP
   A61Q 17/00 20060101ALI20240116BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240116BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/36
A61K8/63
A61Q19/02
A61Q19/00
A61Q17/00
A23L33/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538822
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 KR2021019608
(87)【国際公開番号】W WO2022139458
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0182508
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Witepsol
2.TWEEN
3.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】グワン・ジン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ソ・ヨン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ム・ヒョン・ジン
(72)【発明者】
【氏名】ソ・リム・ミン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ボン・キム
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
【Fターム(参考)】
4B018MD07
4B018MD10
4B018ME14
4C083AC102
4C083AC251
4C083AC252
4C083AC311
4C083AC312
4C083AD022
4C083AD092
4C083AD491
4C083AD492
4C083AD531
4C083AD532
4C083BB47
4C083BB51
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE07
4C083EE12
4C083EE16
(57)【要約】
本発明は、セドロール(Cedrol)とβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つ、またはフェルラ酸(Ferulic acid)とβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む皮膚改善用組成物に関し、具体的には、前記組成物を有効成分として含む皮膚美白用、抗酸化用、皮膚弾力増進またはシワ改善用、または皮膚保湿用、化粧料、食品及び医薬部外品組成物に関する。また、本発明の組成物は、セドロール(Cedrol)及びフェルラ酸(Ferulic acid)の低い剤形安定性を補完し、抗酸化、メラニンの減少、コラーゲン合成促進、及びヒアルロン酸合成促進効果をすべてセドロール(Cedrol)またはフェルラ酸(Ferulic acid)単独の場合よりも、β-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つと組み合わせた場合のほうがシナジー効果が発生することを確認した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セドロール(Cedrol)またはフェルラ酸(Ferulic acid)と、
β-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つと、を含む、皮膚美白用化粧料組成物。
【請求項2】
前記化粧料は、化粧水、エッセンス、ローション、クリーム、パック、ジェル、パウダー、ファンデーション、バーム(balm)、軟膏または洗浄剤の剤形である、請求項1に記載の皮膚美白用化粧料組成物。
【請求項3】
前記組成物は、メラニンの減少効果を有する、請求項1に記載の皮膚美白用化粧料組成物。
【請求項4】
セドロール(Cedrol)またはフェルラ酸(Ferulic acid)と、
β-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つと、を含む、抗酸化用化粧料組成物。
【請求項5】
前記化粧料は、化粧水、エッセンス、ローション、クリーム、パック、ジェル、パウダー、ファンデーション、バーム(balm)、軟膏または洗浄剤の剤形である、請求項4に記載の抗酸化用化粧料組成物。
【請求項6】
前記組成物は、フリーラジカル消去効果を有する、請求項4に記載の抗酸化用化粧料組成物。
【請求項7】
セドロール(Cedrol)またはフェルラ酸(Ferulic acid)と、
β-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つと、を含む、皮膚弾性増進またはシワ改善用化粧料組成物。
【請求項8】
前記化粧料は、化粧水、エッセンス、ローション、クリーム、パック、ジェル、パウダー、ファンデーション、バーム(balm)、軟膏または洗浄剤の剤形である、請求項7に記載の皮膚弾性増進またはシワ改善用化粧料組成物。
【請求項9】
前記組成物は、コラーゲン合成促進効果を有する、請求項7に記載の皮膚弾力増進またはシワ改善用化粧料組成物。
【請求項10】
セドロール(Cedrol)またはフェルラ酸(Ferulic acid)と、
β-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つと、を含む、皮膚保湿用化粧料組成物。
【請求項11】
前記化粧料は、化粧水、エッセンス、ローション、クリーム、パック、ジェル、パウダー、ファンデーション、バーム(balm)、軟膏または洗浄剤の剤形である、請求項10に記載の皮膚保湿用化粧料組成物。
【請求項12】
前記組成物は、ヒアルロン酸合成促進効果を有する、請求項10に記載の皮膚保湿用化粧料組成物。
【請求項13】
セドロール(Cedrol)またはフェルラ酸(Ferulic acid)と、
β-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つと、を含む、食品組成物。
【請求項14】
前記組成物は、皮膚美白用、抗酸化用、皮膚弾力増進またはシワ改善用、または皮膚保湿用である、請求項13に記載の食品組成物。
【請求項15】
セドロール(Cedrol)またはフェルラ酸(Ferulic acid)と、
β-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つと、を含む、医薬部外用組成物。
【請求項16】
前記組成物は、皮膚美白用、抗酸化用、皮膚弾力増進またはシワ改善用、または皮膚保湿用である、請求項15に記載の医薬部外品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セドロール(Cedrol)とβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つ、またはフェルラ酸(Ferulic acid)とβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む皮膚改善用組成物に関し、具体的には、前記組成物を有効成分として含む皮膚美白用、抗酸化用、皮膚弾力増進またはシワ改善用、または皮膚保湿用、化粧料、食品及び医薬部外品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの肌の色は、メラノサイト(melanocyte)の活動性、血管の分布、皮膚の厚さ、人体内外の色素含有の有無など、様々な要因によって決定され、特にメラノサイトでチロシナーゼ(tyrosinase)などの酵素が作用して生成されるメラニンという黒色色素が重要である。メラニンは皮膚に存在して紫外線などから身体を保護する重要な機能を果たすが、過剰生産される場合、色素沈着及び皮膚老化を促進し、皮膚がんの誘発にも主な作用を果たすことが知られている。
【0003】
過剰なメラニン色素沈着を治療または軽減させるために、以前からアスコルビン酸(ascorbic acid)、コジ酸、アルブチン(arbutin)、ヒドロキノン(hydroquinone)、グルタチオン(glutathione)、チロシナーゼ阻害活性を持つ物質を化粧料や医薬部外品に配合して使用した。しかし、これらは不十分な美白効果、皮膚に対する安全性問題、化粧料に配合時の安定性問題などにより、その使用が制限されている。
【0004】
また、近年、環境汚染による紫外線量の増加、西欧化された生活習慣、ストレスなど皮膚の健康を脅かす要因が増加している。これらは皮膚汚染、乾燥、トラブル、皮膚の免疫系の異常などを誘発し、結局、皮膚炎、荒れ、急激な老化などを引き起こす。
【0005】
特に、体内活性酸素種の濃度を増加させ、このような活性酸素種は、細胞構成成分である脂質、タンパク質、糖及びDNAなどを攻撃して過酸化反応を引き起こすことにより皮膚の老化を促進する問題がある。これにより、活性酸素種の生成を抑制する抗酸化効果、これによる抗老化(皮膚老化防止)効果を有する化粧料組成物に対する開発が求められている。
【0006】
コラーゲンは、皮膚の線維芽細胞(fibroblast)で生成される主要基質タンパク質で、皮膚の機械的堅牢性と組織の結合力を維持し、細胞接着の支持、細胞分化の誘導などの機能を果たす。年齢の増加及び紫外線照射による光老化によりコラーゲンは減少し、コラーゲンを分解するコラゲナーゼ酵素活性によりコラーゲンの減少が促進される。これは皮膚のシワの形成とも密接な関連があることが知られている。
【0007】
一方、皮膚では、哺乳類の体内に存在するヒアルロン酸の50%以上が皮膚、特に表皮の細胞間間隔と真皮の結締組織に分布することが知られている。このようなヒアルロン酸の皮膚内での量は老化とともに減少することが知られており、皮膚内のヒアルロン酸の減少は、皮膚の水分含有量減少の直接的な原因の一つと考えられている。したがって、皮膚の保湿とヒアルロン酸は、密接な関連がある。
【0008】
現在、皮膚弾力増進及びシワ改善化粧料としてはレチノール、アデノシン、クロレラ抽出物などが知られている。レチノールは、コラーゲン合成を促進してエラスターゼ酵素を阻害する物質であるが、不安定で皮膚適用時に刺激、発疹などの安全性の問題で使用量の制限がある。
【0009】
また、セドロール(Cedrol)またはフェルラ酸(Ferulic acid)は、その美容効果が知られているが、溶解度などの物質の固有特性により、剤形を通じて効果が十分に伝達されるようにすることには困難性があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、セドロール(Cedrol)またはフェルラ酸(Ferulic acid)をβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つと組み合わせた場合、フリーラジカルの消去、メラニンの減少、コラーゲン合成の促進、ヒアルロン酸合成促進効果があり、セドロールまたはフェルラ酸単独で剤形を製造した場合より、セドロール(Cedrol)またはフェルラ酸(Ferulic acid)をβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つとの組み合わせによって剤形安定性が確保されることを確認することにより、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明は、化粧料、食品または医薬部外品のためのセドロール(Cedrol)とβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つとを有効成分として含む皮膚改善用組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、化粧料、食品または医薬部外品のためのフェルラ酸(Ferulic acid)とβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つとを有効成分として含む皮膚改善用組成物を提供する。
【0013】
前記目的を達成するために、セドロール(Cedrol)とβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つとを有効成分として含む組成物を皮膚に処理する段階を含む、皮膚美白、抗酸化、皮膚弾力増進またはシワ改善、または皮膚保湿方法を提供する。
【0014】
前記目的を達成するために、セドロール(Cedrol)とβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つとを有効成分として含む組成物を対象体に投与する段階を含む、皮膚美白、抗酸化、皮膚弾力増進またはシワ改善、または皮膚保湿方法を提供する。
【0015】
前記目的を達成するために、皮膚美白、抗酸化、皮膚弾力増進またはシワ改善用、または皮膚保湿用化粧料、食品または医薬部外品を製造するためのセドロール(Cedrol)とβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つとを有効成分として含む組成物の用途を提供する。
【0016】
前記目的を達成するために、フェルラ酸(Ferulic acid)とβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つとを有効成分として含む組成物を皮膚に処理する段階を含む、皮膚美白、抗酸化、皮膚弾力増進またはシワ改善、または皮膚保湿方法を提供する。
【0017】
前記目的を達成するために、フェルラ酸(Ferulic acid)とβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つとを有効成分として含む組成物を対象体に投与する段階を含む、皮膚美白、抗酸化、皮膚弾力増進またはシワ改善、または皮膚保湿方法を提供する。
【0018】
前記目的を達成するために、皮膚美白、抗酸化、皮膚弾力増進またはシワ改善用、または皮膚保湿用化粧料、食品または医薬部外品を製造するためのフェルラ酸(Ferulic acid)とβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つとを有効成分として含む組成物の用途を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明による組成物は、フリーラジカルの消去、メラニンの減少、コラーゲン合成の促進、ヒアルロン酸合成促進効果により皮膚を改善でき、本発明の組み合わせにより剤形の安定性が確保される効果があるので、皮膚を改善するための化粧料、食品または医薬部外品に効果的に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明の実験例で確認したように、セドロール(Cedrol)またはフェルラ酸(Ferulic acid)単独で剤形を製造した場合、剤形安定性がかなり低いという問題点がある(実験例2の実施例7及び実施例11)。しかし、セドロール(Cedrol)またはフェルラ酸(Ferulic acid)をβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つと組み合わせた実施例8~10、実施例12~14の場合、セドロール(Cedrol)またはフェルラ酸(Ferulic acid)が析出しないことを確認した。したがって、セドロール(Cedrol)またはフェルラ酸(Ferulic acid)を単独で使用した場合よりも、β-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)と組み合わせた場合のほうが剤形安定性が高まることを確認した。
【0022】
また、抗酸化、メラニンの減少、コラーゲン合成の促進、ヒアルロン酸合成促進効果がすべてセドロール(Cedrol)またはフェルラ酸(Ferulic acid)、単独の場合よりも、β-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つと組み合わせた場合のほうがシナジー効果が発生することを確認した。
【0023】
本発明は、セドロール(Cedrol)と、
β-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つと、を含む、皮膚美白、抗酸化、皮膚弾力増進またはシワ改善用または皮膚保湿用化粧料、食品、医薬部外品組成物を提供する。
【0024】
他の態様として、フェルラ酸(Ferulic acid)と、
β-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つと、を含む、皮膚美白、抗酸化、皮膚弾力増進またはシワ改善用または皮膚保湿用化粧料、食品、医薬部外品組成物を提供する。
【0025】
他の態様として、セドロール(Cedrol)とβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つとを有効成分として含む組成物を皮膚に処理する段階を含む皮膚美白、抗酸化、皮膚弾力増進またはシワ改善、または皮膚保湿方法を提供する。
【0026】
他の態様として、セドロール(Cedrol)とβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つとを有効成分として含む組成物を対象体に投与する段階を含む、皮膚美白、抗酸化、皮膚弾力増進またはシワ改善、または皮膚保湿方法を提供する。
【0027】
他の態様として、皮膚美白、抗酸化、皮膚弾力増進またはシワ改善用、または皮膚保湿用化粧料、食品、または医薬部外品を製造するためのセドロール(Cedrol)とβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つとを有効成分として含む組成物の用途を提供する。
【0028】
他の態様として、フェルラ酸(Ferulic acid)とβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つとを有効成分として含む組成物を皮膚に処理する段階を含む、皮膚美白、抗酸化、皮膚弾力増進またはシワ改善、または皮膚保湿方法を提供する。
【0029】
他の態様として、フェルラ酸(Ferulic acid)とβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つとを有効成分として含む組成物を対象体に投与する段階を含む、皮膚美白、抗酸化、皮膚弾力増進またはシワ改善、または皮膚保湿方法を提供する。
【0030】
他の態様として、皮膚美白、抗酸化、皮膚弾力増進またはシワ改善用、または皮膚保湿用化粧料、食品、または医薬部外品を製造するためのフェルラ酸(Ferulic acid)とβ-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つとを有効成分として含む組成物の用途を提供する。
【0031】
本発明の「皮膚美白」とは、メラニン色素の合成を阻害して肌のトーンを明るくするだけでなく、メラニンの皮膚沈着(過色素沈着症)を抑制するか、または防止、紫外線、ホルモンまたは遺伝に起因するシミ、そばかすを緩和または改善するすべての作用を意味する。
【0032】
本発明の「抗酸化」とは、細胞内代謝または紫外線の影響による酸化的ストレスによって反応性の高いフリーラジカル(free radical)または活性酸素種(reactive oxygen species; ROS)による細胞の酸化を抑制することをいい、フリーラジカルまたは活性酸素種を除去することにより、細胞の損傷を減少させて皮膚の老化防止効果を示すことができる。本発明では、実験例で確認したDPPH減少効果を通じてフリーラジカル消去効果を確認した。
【0033】
本発明の「フリーラジカル(free radical)」とは、1つの不対電子を有する原子または分子、水素原子、塩素原子などは単原子の遊離基であるが、通常、フリーラジカルと呼ばれるものは無機あるいは有機化合物分子からプロトン1つが脱離し、残基に不対電子1つがあることをいう。活性酸素は化学反応性に優れており、それらによって誘導されるフリーラジカルは、生体内の各種反応に影響を及ぼし、老化などを引き起こす。生物体はフリーラジカルによって引き起こされる有害性に常にさらされており、細胞の年齢の増加に伴って有害性が漸進的に蓄積されて様々な疾病を引き起こす。したがって、フリーラジカル消去は、抗酸化効果に重要な役割を果たす。
【0034】
本発明の「皮膚弾力増進」とは、皮膚がたるんだり伸びたりする程度を緩和させることを意味する。また、「シワ改善」とは、皮膚にシワができるのを予防、抑制または阻害するか、またはすでに生成されたシワを緩和させることを意味する。本発明では、コラーゲン合成促進効果を確認し、皮膚弾性増進及びシワ改善効果を確認した。
【0035】
本発明の「皮膚保湿」とは、皮膚に水分感を増加させ、水分損失を抑制してしっとりとした状態を維持させることを意味する。本発明では、ヒアルロン酸合成促進効果を確認して皮膚保湿効果を確認した。
【0036】
本発明の「化粧料組成物」は、一般的な乳化剤及び可溶化剤の形態であってもよい。例えば、柔軟化粧水または栄養化粧水などの化粧水、フェイシャルローション、ボディローションなどの乳液、栄養クリーム、水分クリーム、アイクリームなどのクリーム、エッセンス、化粧軟膏、バーム(balm)、スプレー、ジェル、パック、サンスクリーン、メイクアップベース、液状、固形状またはスプレー状などのファンデーション、パウダー、クレンジングクリーム、クレンジングローション、クレンジングオイルなどのメイク落とし剤、クレンジングフォーム、石鹸、ボディウォッシュなどの洗浄剤などの剤形を有してもよい。
【0037】
また、前記化粧品は、本発明の組成物にさらに脂肪物質、有機溶媒、溶解剤、濃縮剤及びゲル化剤、軟化剤、抗酸化剤、懸濁化剤、安定化剤、発泡剤(foaming agent)、芳香剤、界面活性剤、水、イオン型または非イオン型乳化剤、充填剤、金属イオン封鎖剤及びキレート化剤、保存剤、ビタミン、遮断剤、湿潤化剤、必須オイル、染料、顔料、親水性または親油性活性剤、脂質小胞または化粧品に通常使用される任意の他の成分などの化粧品分野で通常使用される補助剤を含有してもよい。
【0038】
前記化粧料剤形は、有効成分が短期間内に皮膚に留まるメイク落とし剤、洗浄剤などのウォッシュ-オフ(wash-off)タイプの化粧品の場合には、比較的高濃度の前記本発明の組成物を含んでもよい。一方、有効成分が長期間にわたって皮膚に留まる化粧水、乳液、クリーム、エッセンスなどのリブ-オン(leave-on)タイプの化粧品の場合には、ウォッシュ-オフタイプの化粧品に比べて低濃度の前記本発明の組成物を含んでもよい。これに制限されるものではないが、本発明の一具体例において、前記組成物は、前記本発明の組成物を全組成物重量に対して0.0001重量%~10重量%(好ましくは、0.0001重量%~1重量%)を含んでもよい。本発明の組成物が前記本発明の組成物を0.0001重量%未満で含む場合には十分な皮膚美白、抗酸化、皮膚弾力増進またはシワ改善用、または皮膚保湿効果が期待できず、10重量%を超過して含む場合には、アレルギーなど不要な反応が発生するか、または皮膚の安全性に問題が発生しうるので、これを防止するためのものである。
【0039】
本発明の「食品組成物」は、前記本発明の組成物を飲料、お茶類、香辛料、ガム、菓子類などの食品素材に添加するか、またはカプセル化、粉末化、懸濁液などで製造した食品の組成物を意味する。
【0040】
前記食品剤形は日常的に摂取できるので、皮膚美白、抗酸化、皮膚弾力増進またはシワ改善用または皮膚の保湿効果が期待できるので、非常に有用である。
【0041】
前記本発明の組成物を食品添加物として使用する場合、前記本発明の組成物をそのまま添加するか、または他の食品または食品成分と併用してもよく、通常の方法によって適切に使用されてもよい。有効成分の混合量は、その使用目的(予防、健康または治療的処置)に応じて適切に決定されてもよい。一般に、食品または飲料の製造時に本発明の組成物は、原料に対して15重量部以下、好ましくは、10重量部以下の量で添加される。しかし、健康及び衛生を目的とするか、または健康調節を目的とする長期間の摂取の場合には、前記量は前記範囲以下であってもよい。
【0042】
前記食品の種類は特に制限されるものではない。前記物質を添加できる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料水、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合体などがあり、通常の意味での健康食品をすべて含む。
【0043】
食品剤形が飲料の場合、通常の飲料のように様々な香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含有してもよい。上述した天然炭水化物は、ブドウ糖、果糖などのモノサカライド、マルトース、スクロースなどのジサカライド及びデキストリン、シクロデキストリンなどのポリサッカライド、キシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールである。甘味剤としては、タウマチン、ステビア抽出物などの天然甘味剤や、サッカリン、アスパルテームなどの合成甘味剤などを使用してもよい。前記天然炭水化物の割合は、本発明の組成物100mL当たり、一般的に約0.01~0.04g、好ましくは、約0.02~0.03gである。
【0044】
前記に加えて食品剤形は、様々な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクト酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護コロイド増粘剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含有してもよい。その他の食品剤形は、天然フルーツジュース、フルーツジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含んでもよい。これらの成分は独立してまたは混合して使用してもよい。このような添加剤の割合はあまり重要ではないが、本発明の組成物100重量部当たり、0.01~0.1重量部の範囲から選ばれるのが一般的である。
【0045】
本発明の「医薬部外品組成物」とは、ヒトや動物の疾病を診断、治療、軽減、処置または予防する目的で使用されるが、医薬品より人体に及ぼす作用が軽い物品を意味し、物品のうち器具、機械または装置ではないもの及びヒトや動物の構造と機能に薬理学的影響を与える目的で使用する物品のうち、器具、機械または装置でないものを除く物品用組成物を意味する。薬事法による医薬品の用途に使用される物品を除き、一具体例として皮膚外用剤、個人衛生用品または内服用製剤を含んでもよいが、これに制限されるものではなく、医薬部外品の製剤化方法、容量、利用方法、構成成分などは技術分野に公知の通常の技術から適切に選択されてもよい。
【0046】
本発明は、セドロール(Cedrol)と、
β-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つと、を含む、皮膚美白、抗酸化、皮膚弾力増進またはシワ改善用または皮膚保湿用薬学組成物を提供する。
【0047】
他の態様として、フェルラ酸(Ferulic acid)と、
β-シトステロール(Beta-sitosterol)及びリノール酸(Linoleic acid)からなる群から選ばれる少なくとも1つと、を含む、皮膚美白、抗酸化、皮膚弾力増進またはシワ改善用または皮膚保湿用薬学組成物を提供する。
【0048】
本発明の「薬学組成物」は、経口または非経口で投与してもよく、前記本発明の組成物を薬学組成物として使用する場合、一般医薬品製剤の形態、例えば、臨床投与時に経口及び非経口の様々な剤形として投与されてもよいが、製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調製されてもよいが、これに制限されるものではない。
【0049】
経口投与用固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、本発明の薬学組成物に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、カルシウムカーボネート(Calcium carbonate)、スクロース(Sucrose)またはラクトース(Lactose)、ゼラチンなどを混合して調製されてもよいが、これに制限されるものではない。
【0050】
単純な賦形剤の他にマグネシウムスチレートタルクなどの潤滑剤も使用される。経口用液状製剤としては、懸濁剤、内容液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、よく使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィンの他に様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてもよいが、これに制限されるものではない。
【0051】
非経口投与用製剤には、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール(Propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどの植物油、エチルオレートなどの注射可能なエステルなどが使用されてもよい。坐剤の基剤としては、ウィテプソル(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用されてもよいが、これに制限されるものではない。
【0052】
また、本発明の組成物は、化粧品剤形の製造のために使用されてもよい。このような化粧料剤形については、前述した本発明の組成物を含む化粧品剤形に関する説明に記載した内容と同一である。
【0053】
本発明による組成物に含まれる前記言及された成分のそれぞれは、好ましくは、各国の政府によって規定された規範に明示された最大使用量を超えない範囲内で本発明の組成物に含まれてもよい。例えば、薬学組成物を提供する場合、大韓民国、米国、ヨーロッパ、ドイツ、日本、中国などで規定する薬局方(Pharmacopoeia)または医薬品集に明示された製法、性状、使用量などの範囲内で本発明に含まれてもよい。また、化粧料組成物を提供する場合、各国の政府で規定する化粧品安全に関する法律または中国政府で規定する「化粧品安全技術仕様」に明示された最大使用量を超えない範囲内で本発明の化粧料組成物に含まれてもよい。
【0054】
以下、本発明を下記実験例により詳細に説明する。ただし、下記実験例は、本発明を例示するものであり、本発明の内容が下記実験例によって制限されるものではない。また、これらの実験例は、本発明に対する理解を助けるための目的に過ぎず、いかなる意味においても本発明の範囲がこれらによって制限されるものではない。
【0055】
実験例1:皮膚改善効果の確認
【0056】
【表1】
【0057】
前記のように、当該成分をメタノールに溶解してサンプルを製造した。下記実験例1~4の実験方法によってサンプルの各成分の濃度が調節された。
【0058】
<実験例1-1>フリーラジカル消去による抗酸化効果
【0059】
比較例1~4及び実施例1~6において、溶液内の各構成成分の濃度が0.5mg/mLとなるようにメタノールを溶媒として溶液を製造した。比較例1~4及び実施例1~6の抗酸化効果を確認するため、1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl;DPPH)方法でフリーラジカル消去能を測定した。DPPHは、比較的安定したフリーラジカルであり、ラジカル状態で存在すると517nmで最大吸光を示し、ラジカルが消去されると吸光能力を失う。DPPHは0.12mMの濃度でメタノールに溶かして使用した。
【0060】
比較例1~4及び実施例1~6と濃度別Trolox溶液(0.0125、0.025、0.05、0.1、0.2、0.4、0.8mg/mL)を24-ウェルプレートにそれぞれ100μLずつ入れ、DPPH溶液を1,900μLずつ添加した。常温で光を遮断して1時間放置し、マイクロプレートリーダー(BioTek EPOCH)を用いて517nmでの吸光度を測定した。7つの濃度でのTrolox溶液の吸光度値で濃度による検量線(Calibration curve)を作成した。この実験において、Troloxは、試料の抗酸化力を測定するための一つの指標であり、各比較例及び実施例の抗酸化力は、Troloxに対比した大きさとなる。検量線に実施例の溶液の吸光度を代入し、当該実施例の溶液1mLが示す抗酸化効果の程度をTrolox μmol equientes/mLで示し、下記表2にまとめた。実験は3回行った後の平均値を計算して示した。
【0061】
【表2】
【0062】
前記表2に示すように、本発明の実施例においてすべて十分なラジカル消去能があることを確認した。
【0063】
<実験例1-2>メラニン生成阻害による美白効果
MNT-1メラノーマ細胞(MNT-1 Melanoma cell)を培養するために、DMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)と10%FBS(Fetal Bovine Serum)を混合したものを基本培地とした。MNT-1メラノーマ細胞を6-well plateに1~2×10cells/mLの濃度で分注して24時間培養した。比較例1~4及び実施例1~6の各構成成分の濃度が最終3μg/mL(3ppm)となるように試料を処理した後、72時間培養した。陽性対照群としてアルブチン(Arbutin)は、200μg/mL(200ppm)となるように処理した(表3の陽性対照群)。その後、細胞をトリプシン(Trypsin)処理して培養容器から取り外して、13,000rpmで1分間遠心分離した後、上澄み液を除去した。残っている細胞に0.5%Triton X-100溶液300μLを添加して細胞を溶解(Lysis)した。これを再び13,000rpmで3分間遠心分離して沈殿(Pellet)と上澄み液を別々に回収した。沈殿内のメラニンを0.5N水酸化ナトリウム溶液を100μL添加し、12時間Incubationして溶かし、分光光度計を用いて450nmで吸光度を測定して生成されたメラニンの総量を測定した。
【0064】
メタノールで処理された群(陰性対照群)に比べて生成阻害されたメラニンの総量をメラニン生成阻害率(%)で計算(下記式1)し、実験は、3回行った後に平均値を計算して表3に示した。
【0065】
メラニン生成阻害率(%)=(1-(各サンプルで処理した群の生成されたメラニンの総量/メタノールで処理した群の生成されたメラニンの総量))*100(式1)
【0066】
【表3】
【0067】
前記表3に示すように、本発明の実施例においてすべて十分なメラニン生成阻害効果があることを確認した。
【0068】
<実験例1-3>コラーゲン合成促進効果
【0069】
ヒト由来線維芽細胞(Fibroblast)を培養するためにDMEMと10%FBSを混合したものを基本培地とした。皮膚線維芽細胞を48-well plateに2~5×10cells/mLの濃度で分注して24時間培養した。成長要因のある基本培地を除去し、比較例1~4及び実施例1~6の各構成成分の濃度が最終3μg/mL(3ppm)である培地(FBSが添加されていない培地)を加え、24時間培養した。コラーゲン合成を誘導する陽性対照群は、TGF-βで5ng/mL(5ppb)となるように処理した(表4の陽性対照群)。細胞培養液を取り込んでHuman procollagen 1α1 duoset ELISA Kit(R&D Systems社)と分光光度計を用いて合成されたコラーゲンを測定した。
【0070】
分離精製されたコラーゲンを0.25、0.5、1、2、4、8ng/mLの濃度で測定して検量線を作成し、これに基づいて比較例1~4及び実施例1~6、陰性対照群、陽性対照群のコラーゲン(Type I collagen)生成量を計算した。メタノールで処理した群(陰性対照群)に比べて生成されたコラーゲン量をコラーゲン生成率(%)で計算(式2)し、実験を3回行った後、平均値を計算して表4に示した。
【0071】
コラーゲン生成率(%)=(各実施例で処理された群のコラーゲン生成量-メタノールで処理された群のコラーゲン生成量)/(メタノールで処理された群のコラーゲン生成量)*100(式2)
【0072】
【表4】
【0073】
前記表4に示すように、本発明の実施例においてすべて十分なコラーゲン増進効果が確認された。
【0074】
<実験例1-4>ヒアルロン酸合成促進効果
ヒト皮膚角質形成細胞(Primary cultured human skin keratinocyte)は、Thermo Fisher Scientific社から購入し、成長因子であるEpidermal Growth Factor(EGF)とBovine Pituitary Extract(BPE)が添加されたKeratinocyte-SFMを用いて培養した。角質形成細胞を60mm culture plateに2~5×10cells/mLの濃度で分注して24時間培養した。成長要因のある基本培地を除去し、比較例1~4及び実施例1~6の各構成成分の濃度が最終3μg/mL(3ppm)である培地(EGFとBPEが添加されていない培地)を加え、24時間培養した。ヒアルロン酸合成を誘導する陽性対照群は、all-trans-Retinoic acidで100nMとなるように処理した(表5の陽性対照群)。細胞培養液を取り込んでHyaluronan DuoSet ELISA Kit(R&D Systems社)と分光光度計を用いて合成されたヒアルロン酸を測定した。
【0075】
標準ヒアルロン酸を1.1、3.3、10、30、90ng/mLの濃度で測定して検量線を作成し、これに基づいて比較例1~4及び実施例1~6、陰性対照群、比較例3のヒアルロン酸生成量を計算した。メタノールで処理された群(陰性対照群)に比べて生成されたヒアルロン酸量をヒアルロン酸生成率(%)で計算し(式3)、実験は3回行った後、平均値を計算して表5に示した。
【0076】
ヒアルロン酸生成率(%)=(実施例で処理された群のヒアルロン酸生成量-メタノールで処理された群のヒアルロン酸生成量)/(メタノールで処理された群のヒアルロン酸生成量)*100(式3)
【0077】
【表5】
【0078】
前記表5に示すように、本発明の実施例においてすべて十分なヒアルロン酸生成効果があることを確認した。
【0079】
実験例2:剤形安定性改善の確認
<実験例2-1>セドロール(Cedrol)を含有した化粧料組成物の製造(実施例7-10)
【0080】
実施例7は、下記表6に記載された組成比(単位重量%)で、原料2に原料3、4を分散させた後、原料5を投入して溶解した。溶解確認後、原料6-8を溶解した後、均一に撹拌した。原料1に原料9-11を順次投入して均一に攪拌し、エタノール相を水相に徐々に投入して10分間均一に攪拌して美容液を製造した。実施例8~10は、実施例7と同様の方法で製造した。
【0081】
【表6】
【0082】
<実験例2-2>フェルラ酸(Ferulic acid)を含有した化粧料組成物の製造(実施例11-14)
【0083】
実施例11は、下記表7に記載された組成比(単位重量%)で、原料2に原料3,4を分散させた後、原料5を投入して溶解した。溶解確認後、原料6-8を溶解した後、均一に撹拌した。原料1に原料9-11を順次投入して均一に攪拌し、エタノール相を水相に徐々に投入して10分間均一に攪拌して美容液を製造した。実施例12~14は、実施例11と同様の方法で製造した。
【0084】
【表7】
【0085】
<実験例2-3>溶解度及び相溶性の評価
【0086】
前記実施例7~14の化粧料組成物に対して、溶解度と相溶性を評価した。25℃で4週間、4℃で4週間、45℃で4週間保管しながら、相(phase)分離の有無及び析出の有無を目視で観察し、下記表8及び表9に示した。
【0087】
<評価基準>
異常なし:○、弱い析出:△、分離及び析出:X
【0088】
【表8】
【0089】
前記表8に示すように、β-シトステロール(Beta-sitosterol)とリノール酸(Linoleic acid)を使用した実施例8~10の場合、セドロール(Cedrol)が水に溶解されることが確認された。β-シトステロール(Beta-sitosterol)とリノール酸(Linoleic acid)を使用していない実施例7の場合、パウダー状のまま分散し、溶解しないことが確認された。
【0090】
【表9】
【0091】
前記表9に示すように、β-シトステロール(Beta-sitosterol)とリノール酸(Linoleic acid)を使用した実施例12~14の場合、フェルラ酸(Ferulic acid)が水に溶解することが確認された。β-シトステロール(Beta-sitosterol)とリノール酸(Linoleic acid)を同時に使用した実施例14では、冷蔵条件でも析出現象がなく、安定した剤形が維持されることを確認した。β-シトステロール(Beta-sitosterol)とリノール酸(Linoleic acid)を使用していない実施例11の場合、パウダー状のまま分散し、溶解しないことが確認された。
【0092】
前記実験結果を通じて、本発明のβ-シトステロール(Beta-sitosterol)とリノール酸(Linoleic acid)は、セドロール(Cedrol)とフェルラ酸(Ferulic acid)の溶解度に影響を与えて化粧料内に安定的に分散できるように助けるという事実を確認した。
【0093】
また、本発明のセドロール(Cedrol)とフェルラ酸(Ferulic acid)は、それぞれβ-シトステロール(Beta-sitosterol)とリノール酸(Linoleic acid)を一緒に処理したときに化粧料内で安定的に分散できるという事実を確認できた。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セドロール(Cedrol)またはフェルラ酸(Ferulic acid)と、
リノール酸(Linoleic acid)及びβ-シトステロール(Beta-sitosterol)からなる群から選ばれる少なくとも1つと、を含む、化粧料組成物。
【請求項2】
前記化粧料は、皮膚美白の改善、抗酸化、皮膚弾性増進またはシワ改善、または皮膚保湿のために使用される、請求項1に記載の皮膚美白用化粧料組成物。
【請求項3】
前記組成物は、メラニンの減少効果を有する、請求項1に記載の皮膚美白用化粧料組成物。
【請求項4】
前記組成物は、フリーラジカル消去効果を有する、請求項に記載の抗酸化用化粧料組成物。
【請求項5】
前記組成物は、コラーゲン合成促進効果を有する、請求項に記載の皮膚弾力増進またはシワ改善用化粧料組成物。
【請求項6】
前記組成物は、ヒアルロン酸合成促進効果を有する、請求項に記載の皮膚保湿用化粧料組成物。
【請求項7】
セドロール(Cedrol)またはフェルラ酸(Ferulic acid)と、
リノール酸(Linoleic acid)及びβ-シトステロール(Beta-sitosterol)からなる群から選ばれる少なくとも1つと、を含む、食品組成物。
【請求項8】
前記組成物は、皮膚美白の改善、抗酸化、皮膚弾力増進またはシワ改善、または皮膚保湿のために使用される、請求項に記載の食品組成物。
【請求項9】
セドロール(Cedrol)またはフェルラ酸(Ferulic acid)と、
リノール酸(Linoleic acid)及びβ-シトステロール(Beta-sitosterol)からなる群から選ばれる少なくとも1つと、を含む、医薬部外用組成物。
【請求項10】
前記組成物は、皮膚美白の改善、抗酸化、皮膚弾力増進またはシワ改善、または皮膚保湿のために使用される、請求項に記載の医薬部外品組成物。
【国際調査報告】