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特表2024-502779アイドリング制御付き衝撃ねじ込み/ねじ抜き装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】アイドリング制御付き衝撃ねじ込み/ねじ抜き装置
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/02 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
B25B21/02 Z
B25B21/02 H
B25B21/02 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538988
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2021087549
(87)【国際公開番号】W WO2022136662
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】2014124
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507284031
【氏名又は名称】エタブリスマン・ジョルジュ・ルノー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ブガン,レミ
(72)【発明者】
【氏名】ギルボ,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】バーボ,バンジャマン
(57)【要約】
本発明は、衝撃ねじ込み/ねじ抜き装置であって、
ロータを備える電気的なモータと、
前記モータを制御するための手段であって、前記モータに指令命令を伝達することができる、手段と、
衝撃機構と、を含み、前記衝撃機構は、
前記ロータの回転軸の周りを回転できるように取り付けられた少なくとも1つのアンビルと、
前記軸の周りで前記モータによって回転することができる少なくとも1つのハンマーであって、少なくとも、
前記ハンマーが前記モータによって回転されるときに、前記少なくとも1つのアンビルと衝突することができない非係合位置と、
前記ハンマーが前記モータによって回転されるときに、前記少なくとも1つのアンビルと衝突することができる係合位置と、
の間を移動することができる少なくとも1つのハンマーと、を含む装置に関する。本発明によれば、制御するための前記手段によって前記モータに供給される前記指令命令の変動が、前記少なくとも1つのハンマーの一方の位置から他方の位置への移動をトリガする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃ねじ込み/ねじ抜き装置であって、
ロータを備える電気的なモータと、
前記モータを制御するための手段であって、前記モータに指令命令を伝達することができる、手段と、
衝撃機構と、を含み、前記衝撃機構は、
前記ロータの回転軸の周りを回転できるように取り付けられた少なくとも1つのアンビルと、
前記回転軸の周りで前記モータによって回転することができる少なくとも1つのハンマーであって、少なくとも、
前記ハンマーが前記モータによって回転されるときに、前記少なくとも1つのアンビルと衝突することができない非係合位置と、
前記ハンマーが前記モータによって回転されるときに、前記少なくとも1つのアンビルと衝突することができる係合位置と、
の間を移動することができる少なくとも1つのハンマーと、を含み、
制御するための前記手段によって前記モータに供給される前記指令命令の変動が、前記少なくとも1つのハンマーの一方の位置から他方の位置への移動をトリガすることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記装置は、前記ロータと同軸のフライホイールを備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記モータを制御するための前記手段は、ねじ込みまたはねじ抜き動作を実行するために前記装置が実装されることを可能にし、前記動作は、前記ハンマーが前記アンビルと衝突する一連の連続する衝撃サイクルを実行することを含み、制御するための前記手段は、前記モータに指令命令を伝達することが可能であり、
制御するための前記手段は、各衝撃サイクル中に、制御するための前記手段によって前記モータに供給される前記指令命令の変動を生成することが可能であり、前記変動が、前記少なくとも1つのハンマーの、その位置の1つから他の位置への移動をトリガすることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのハンマーは少なくとも1つの打撃面を備え、前記少なくとも1つのアンビルは少なくとも1つの衝突面を備え、
前記少なくとも1つのハンマーが前記係合位置にあるときであって前記少なくとも1つのハンマーが前記モータによって回転されるとき、前記打撃面および前記衝突面は互いに打撃することができ、
前記少なくとも1つのハンマーが前記非係合位置にあるときであって前記少なくとも1つのハンマーが前記モータによって回転されるとき、前記打撃面および前記衝突面は互いに打撃することができない、
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ロータには、駆動シャフトが設けられ、
前記フライホイールは前記駆動シャフトと同軸であり、
前記少なくとも1つのハンマーは、その非係合位置と係合位置との間を移動することができるように前記フライホイールに取り付けられ、
前記フライホイールと前記駆動シャフトとが回転可能に連結されて前記少なくとも1つのハンマーがその非係合位置にあるような少なくとも1つの端位置によって画定される角度範囲にわたって、前記フライホイールが前記駆動シャフトに対して回転可能であり、
前記装置は、
前記駆動シャフトが前記少なくとも1つの端位置にあるときにはその非係合位置に、
前記駆動シャフトが前記角度範囲内の所定の位置にあるときにはその係合位置に、
前記少なくとも1つのハンマーを配置するために、前記少なくとも1つのハンマーに作用する少なくとも1つの作動要素を含むことを特徴とする、単独の、または請求項3または4と組み合わせられる、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記角度範囲は、前記フライホイールおよび前記駆動シャフトが回転可能に連結されて前記少なくとも1つのハンマーがその非係合位置にあるような、前記フライホイールに対する前記駆動シャフトの2つの端位置によって画定されることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのハンマーは、前記モータの回転軸に平行な軸に沿って、前記少なくとも1つのハンマーの前記係合位置と前記非係合位置との間で回転することができることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記駆動シャフトと共に回転するように前記駆動シャフトに固定された割り出しピンを備え、前記割り出しピンは、前記駆動シャフトと前記フライホイールとを回転可能に連結するように、前記少なくとも1つの端位置において、前記フライホイールと共に回転するために前記フライホイールに固定された少なくとも1つの停止部に当接することができることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの作動要素は、前記駆動シャフトと共に回転するように前記駆動シャフトに固定された少なくとも1つのフィンを備え、前記少なくとも1つのフィンは、前記少なくとも1つのハンマーに堅固に接続された少なくとも1つのランプに沿って移動することができ、
前記少なくとも1つのフィンおよび前記少なくとも1つのランプは、
前記駆動シャフトが前記少なくとも1つの端位置にあるときには前記少なくとも1つのハンマーを前記非係合位置に配置するように、および、
前記駆動シャフトが前記角度範囲内の前記所定の位置にあるときには前記少なくとも1つのハンマーを前記係合位置に配置するように構成されるように、
成形されることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、前記ハンマーと共に回転するように前記ハンマーの各々に固定された少なくとも1つの被駆動歯車を備え、前記ハンマーは前記フライホイールに堅固に接続され、
前記少なくとも1つの作動要素は、前記駆動シャフトと共に回転するように前記駆動シャフトに固定されて前記被駆動歯車のうちの1つ以上と係合された駆動歯車を備え、
前記駆動シャフトの前記フライホイールに対する相対運動は、前記少なくとも1つのハンマーがその前記係合位置と前記非係合位置との間で移動されることを可能にすることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのハンマーは、前記駆動シャフトの回転軸に平行な軸に沿って、その係合位置と非係合位置との間で並進することができることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記駆動シャフトに固定され、前記駆動シャフトと共に回転するが、自由に並進する二次駆動シャフトを備え、
前記二次駆動シャフトは、前記駆動シャフトの回転軸に沿って前記フライホイールに対して並進および回転することができるように取り付けられ、
前記二次駆動シャフトは、前記フライホイールに堅固に接続された少なくとも1つのガイドピンがカムに対して移動することができるような少なくとも1つのカムを備え、
前記少なくとも1つのカムは、
前記少なくとも1つの端位置と前記所定の位置との間の前記角度範囲にわたって前記二次駆動シャフトが前記フライホイールに対して回転することを可能にするように、および、
前記少なくとも1つの端位置と前記所定の位置との間の前記フライホイールの移動中に前記フライホイールに対する前記二次駆動シャフトの並進移動を可能にするように、
成形されたプロファイルを有することを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つのハンマーは、
前記駆動シャフトと共に並進するように前記駆動シャフトに固定されているが、それと共に回転するようには固定されておらず、
前記駆動シャフトによってその係合位置と非係合位置との間で移動されるように前記フライホイールに対して並進することができるように取り付けられていることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記モータは、コイルを備えた内部ステータを含み、
前記ロータは外部であり、かつ、前記フライホイールを形成しており、
前記少なくとも1つのハンマーは、前記ロータと共に回転するように前記ロータに固定され、前記少なくとも1つのハンマーは、前記ロータの回転軸に平行な軸に沿ってその係合位置と非係合位置との間で前記ロータに対して回転することができるように取り付けられ、
前記コイルによって作り出される磁界は、
制御するための前記手段が前記ロータを回転させるために前記コイルに電力を供給するときには前記少なくとも1つのハンマーをその非係合位置に配置するように、
制御するための前記手段が前記ロータを回転させるために前記コイルに電力を供給しないときには前記少なくとも1つのハンマーをその係合位置に配置するように、
前記少なくとも1つのハンマーに作用することを特徴とする、単独の、または請求項3または4と組み合わせられる、請求項2に記載の装置。
【請求項15】
制御するための前記手段は、
前記モータを一方向に加速して、前記駆動シャフトをその端位置の一方に配置し、前記フライホイールを所定の速度まで一方向に回転させる命令を供給することと、
前記駆動シャフトが前記角度範囲にわたって前記フライホイールに対して移動して前記所定の位置に到達し、前記少なくとも1つのハンマーをその係合位置に配置して、前記少なくとも1つのハンマーを前記少なくとも1つのアンビルと衝突させるように、前記モータに減速命令を供給することと、
前記方向に前記モータを再加速する命令を供給することと、
ができることを特徴とする、単独の、または請求項6~13のいずれか1項と組み合わせられる、請求項5に記載の装置。
【請求項16】
制御するための前記手段は、
前記ロータを回転させ、前記少なくとも1つのハンマーを前記非係合位置に配置するために、前記モータに電力を供給する命令を供給し、
前記少なくとも1つのハンマーを前記非係合位置に配置して前記ロータを前記方向に回転させて前記少なくとも1つのハンマーを前記少なくとも1つのアンビルと衝突させるために、前記モータに電力を供給しない命令を供給するように構成されることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
制御するための前記手段は、前記少なくとも1つのハンマーが前記少なくとも1つのアンビルに対して前記ロータの回転軸に沿った所定の角度位置にあることを示す少なくとも1つのパラメータを制御するための前記手段が検出するまで、前記所定の速度で前記ロータの回転を維持するように構成されていることを特徴とする、請求項15または16に記載の装置。
【請求項18】
前記モータは、前記ロータの前記角度位置を測定するためのセンサを備え、
制御するための前記手段は、
前記センサを使用して行われた測定に基づいて、それぞれの衝撃サイクルの終わりにおける前記少なくとも1つのアンビルの前記角度位置を決定し、記録し、
そこから、その後の衝撃サイクルにおいて、前記少なくとも1つのアンビルに対する前記少なくとも1つのハンマーの前記角度位置と、前記所定の角度位置の到達とを推定するように構成されることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つのアンビルに堅固に接続された出力シャフトを備え、
前記装置は、前記出力シャフトの前記角度位置を測定するためのセンサを備え、
制御するための前記手段は、
各衝撃サイクルの終わりに前記出力シャフトの前記角度位置を決定し、記録し、
そこから、その後の衝撃サイクルにおいて、前記少なくとも1つのアンビルに対する前記少なくとも1つのハンマーの前記角度位置と、前記所定の角度位置の到達とを推定するように構成されることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
制御するための前記手段は、前記少なくとも1つのハンマーの前記所定の角度位置において前記ロータと前記フライホイールとの間の角度ずれを安定させるように前記モータを制御することができることを特徴とする、請求項17~19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記フライホイールの前記角度位置を測定することができる角度センサを備え、
制御するための前記手段は、前記フライホイールに対する前記ロータの前記角度位置を計算することができることを特徴とする、請求項20に記載の装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1. 発明の属する技術分野
本発明の分野は、衝撃レンチとしてより一般的に知られている衝撃ねじ込み/ねじ抜き装置の設計および製造の分野である。
【背景技術】
【0002】
2. 従来技術
衝撃レンチは、ナットやねじなどの要素を、それらを使用するオペレータの手にトルクフィードバックを生じさせることなく、それらを締め付けたり緩めたりするために従来使用されているツールである。
【0003】
このような工具は電動または空気圧モータと、衝撃機構とを備え、その入力はモータのロータに接続され、その出力はねじ込み工具を回転させることができる出力正方形を備える。衝撃機構は典型的には、モータによって回転することができ、より典型的にはハンマーと呼ばれる質量体を担持するフライホイールを備え、それは出力正方形を打撃することができ、それはアンビルとして作用し、したがって、それを回転させて、締め付け-緩められる要素にトルクを伝達する。したがって、打撃機構は、(モータによって駆動される)回転質量体の運動エネルギーを衝撃エネルギーに変換する。いくつかのタイプの衝撃機構があるが、それらはすべて、出力正方形を打撃する1つまたは複数のハンマーを有するという共通の特徴を有する。
【0004】
ツインハンマー、2つのジョー、またはピンクラッチ機構など、異なる種類の衝撃機構が存在し、これらは全て、一般に1、時には2に等しい数で、1回転当たりの決定された数の衝撃を系統的に生成する共通の特徴を有する。1回転当たりの衝撃の数は、衝撃機構の運動学に関連し、変更することができない。
【0005】
すべての衝撃機構は同じ原理で動作し、すなわち、締め付けトルクに徐々に到達するためには多数の衝撃が必要とされる。したがって、衝撃レンチの締め付けトルクは、各衝撃中にアンビルに伝達される衝撃の数およびエネルギーの量に依存する。一般に、衝撃レンチの締め付けトルクは、10秒のねじ込み後に到達するトルクに対応すると主張されている。
【0006】
高い締め付けトルクを迅速に達成するために、各衝撃中に出力正方形に伝達されるエネルギーは、高くなければならない。これは、衝撃前の衝撃機構の回転速度を増加させることによって達成することができる。これはより強力なモータを実装することを必要とし、これは特に、全体の寸法、重量、およびコストの観点から、欠点である。
【0007】
別の解決策は、衝撃レンチをアイドル状態にすること、すなわち、モータが所定の速度に達するまで、ハンマーをアンビルと衝突できない非係合位置に保ち、次いで、ハンマーを、アンビルと衝突して大きな力の衝撃を生成することができる係合位置に配置することによって、ハンマーを作動させることを含む。
【0008】
この技術は興味深いが、ハンマーを係合位置または非係合位置のいずれか一方から他方へ移動させるために、モータから独立したアクチュエータを実装することを必要とする。したがって、この種の衝撃レンチは構造的に複雑である。
【0009】
したがって、衝撃レンチは、高い締め付けトルクに迅速に到達することを可能にするために、さらに改善され得る。
【発明の概要】
【0010】
3. 発明の目的
本発明は特に、これらの様々な問題の少なくともいくつかに対する効果的な解決策を提供することを目的とする。
【0011】
特に、少なくとも1つの実施形態によれば、本発明は、高い締め付けトルクに迅速に到達することを可能にする電気衝撃レンチを提供することを目的とする。
【0012】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明は特に、そのような衝撃レンチを簡単な設計で提供することを目的とする。
【0013】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明はさらに、信頼性があり、かつ堅牢であるそのような衝撃レンチを提供することを目的とする。
【0014】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明はさらに、費用効果の高いそのような衝撃レンチを提供することを目的とする。
【0015】
4. 発明の説明
この目的のために、本発明は、衝撃ねじ込み/ねじ抜き装置であって、
ロータを備える電気的なモータと、
前記モータを制御するための手段であって、前記モータに指令命令を伝達することができる、手段と、
衝撃機構と、を含み、前記衝撃機構は、
前記ロータの回転軸の周りを回転できるように取り付けられた少なくとも1つのアンビルと、
前記回転軸の周りで前記モータによって回転することができる少なくとも1つのハンマーであって、少なくとも、
前記ハンマーが前記モータによって回転されるときに、前記少なくとも1つのアンビルと衝突することができない非係合位置と、
前記ハンマーが前記モータによって回転されるときに、前記少なくとも1つのアンビルと衝突することができる係合位置と、
の間を移動することができる少なくとも1つのハンマーと、を含む装置を提案する。
【0016】
本発明によれば、制御するための前記手段によって前記モータに供給される前記指令命令の変動が、前記少なくとも1つのハンマーの一方の位置から他方の位置への移動をトリガする。
【0017】
したがって、本発明のこの態様によれば、モータに供給される命令の単純な変動は、ハンマーがその位置のうちの1つから他の位置に移動されることを可能にし、この移動が行われることを可能にするアクチュエータを実装する必要がない。これは本発明による装置を非常に単純な設計にするが、それにもかかわらず、モータが十分に速く動作しているときに打撃機構を作動させることを可能にすることによって、高い締め付けトルクに迅速に到達することを可能にする。
【0018】
1つの可能な特徴によれば、前記装置は、前記ロータと同軸のフライホイールを備える。
【0019】
1つの考えられる特徴によれば、前記モータを制御するための前記手段は、ねじ込みまたはねじ抜き動作を実行するために前記装置が実装されることを可能にし、前記動作は、前記ハンマーが前記アンビルと衝突する一連の連続する衝撃サイクルを実行することを含み、制御するための前記手段は、前記モータに指令命令を伝達することが可能であり、
制御するための前記手段は、各衝撃サイクル中に、制御するための前記手段によって前記モータに供給される前記指令命令の変動を生成することが可能であり、前記変動が、前記少なくとも1つのハンマーの、その位置の1つから他の位置への移動をトリガする。
【0020】
1つの可能な特徴によれば:
前記少なくとも1つのハンマーは少なくとも1つの打撃面を備え、前記少なくとも1つのアンビルは少なくとも1つの衝突面を備え、
前記少なくとも1つのハンマーが前記係合位置にあるときであって前記少なくとも1つのハンマーが前記モータによって回転されるとき、前記打撃面および前記衝突面は互いに打撃することができ、
前記少なくとも1つのハンマーが前記非係合位置にあるときであって前記少なくとも1つのハンマーが前記モータによって回転されるとき、前記打撃面および前記衝突面は互いに打撃することができない。
【0021】
1つの可能な特徴によれば:
前記ロータには、駆動シャフトが設けられる。前記フライホイールは前記駆動シャフトと同軸である。前記少なくとも1つのハンマーは、その非係合位置と係合位置との間を移動することができるように前記フライホイールに取り付けられる。前記フライホイールと前記駆動シャフトとが回転可能に連結されて前記少なくとも1つのハンマーがその非係合位置にあるような少なくとも1つの端位置によって画定される角度範囲にわたって、前記フライホイールが前記駆動シャフトに対して回転可能である。前記装置は、前記駆動シャフトが前記少なくとも1つの端位置にあるときにはその非係合位置に、
前記駆動シャフトが前記角度範囲内の所定の位置にあるときにはその係合位置に、
前記少なくとも1つのハンマーを配置するために、前記少なくとも1つのハンマーに作用する少なくとも1つの作動要素を含む。
【0022】
1つの可能な特徴によれば、前記角度範囲は、前記フライホイールおよび前記駆動シャフトが回転可能に連結されて前記少なくとも1つのハンマーがその非係合位置にあるような、前記フライホイールに対する前記駆動シャフトの2つの端位置によって画定される。
【0023】
1つの可能な特徴によれば、前記少なくとも1つのハンマーは、前記モータの回転軸に平行な軸に沿って、前記少なくとも1つのハンマーの前記係合位置と前記非係合位置との間で回転することができる。
【0024】
1つの可能な特徴によれば、前記駆動シャフトと共に回転するように前記駆動シャフトに固定された割り出しピンを備え、前記割り出しピンは、前記駆動シャフトと前記フライホイールとを回転可能に連結するように、前記少なくとも1つの端位置において、前記フライホイールと共に回転するために前記フライホイールに固定された少なくとも1つの停止部に当接することができる。
【0025】
1つの可能な特徴によれば:
前記少なくとも1つの作動要素は、前記駆動シャフトと共に回転するように前記駆動シャフトに固定された少なくとも1つのフィンを備え、前記少なくとも1つのフィンは、前記少なくとも1つのハンマーに堅固に接続された少なくとも1つのランプに沿って移動することができる。前記少なくとも1つのフィンおよび前記少なくとも1つのランプは、
前記駆動シャフトが前記少なくとも1つの端位置にあるときには前記少なくとも1つのハンマーを前記非係合位置に配置するように、および、
前記駆動シャフトが前記角度範囲内の前記所定の位置にあるときには前記少なくとも1つのハンマーを前記係合位置に配置するように構成されるように、
成形される。
【0026】
1つの可能な特徴によれば:
前記装置は、前記ハンマーと共に回転するように前記ハンマーの各々に固定された少なくとも1つの被駆動歯車を備え、前記ハンマーは前記フライホイールに堅固に接続される。前記少なくとも1つの作動要素は、前記駆動シャフトと共に回転するように前記駆動シャフトに固定されて前記被駆動歯車のうちの1つ以上と係合された駆動歯車を備える。前記駆動シャフトの前記フライホイールに対する相対運動は、前記少なくとも1つのハンマーがその前記係合位置と前記非係合位置との間で移動されることを可能にする。
【0027】
1つの可能な特徴によれば、前記少なくとも1つのハンマーは、前記駆動シャフトの回転軸に平行な軸に沿って、その係合位置と非係合位置との間で並進することができる。
【0028】
1つの可能な特徴によれば、前記駆動シャフトに固定され、前記駆動シャフトと共に回転するが、自由に並進する二次駆動シャフトを備え、
前記二次駆動シャフトは、前記駆動シャフトの回転軸に沿って前記フライホイールに対して並進および回転することができるように取り付けられ、
前記二次駆動シャフトは、前記フライホイールに堅固に接続された少なくとも1つのガイドピンがカムに対して移動することができるような少なくとも1つのカムを備え、
前記少なくとも1つのカムは、
前記少なくとも1つの端位置と前記所定の位置との間の前記角度範囲にわたって前記二次駆動シャフトが前記フライホイールに対して回転することを可能にするように、および、
前記少なくとも1つの端位置と前記所定の位置との間の前記フライホイールの移動中に前記フライホイールに対する前記二次駆動シャフトの並進移動を可能にするように、
成形されたプロファイルを有する。
【0029】
1つの可能な特徴によれば、前記少なくとも1つのハンマーは、
前記駆動シャフトと共に並進するように前記駆動シャフトに固定されているが、それと共に回転するようには固定されておらず、
前記駆動シャフトによってその係合位置と非係合位置との間で移動されるように前記フライホイールに対して並進することができるように取り付けられている。
【0030】
1つの可能な特徴によれば、前記モータは、コイルを備えた内部ステータを含み、
前記ロータは外部であり、
前記少なくとも1つのハンマーは、前記ロータと共に回転するように前記ロータに固定され、前記少なくとも1つのハンマーは、前記ロータの回転軸に平行な軸に沿ってその係合位置と非係合位置との間で前記ロータに対して回転することができるように取り付けられ、
前記コイルによって作り出される磁界は、
制御するための前記手段が前記ロータを回転させるために前記コイルに電力を供給するときには前記少なくとも1つのハンマーをその非係合位置に配置するように、
制御するための前記手段が前記ロータを回転させるために前記コイルに電力を供給しないときには前記少なくとも1つのハンマーをその係合位置に配置するように、前記少なくとも1つのハンマーに作用する。
【0031】
1つの考えられる特徴によれば、制御するための前記手段は、
前記モータを一方向に加速して、前記駆動シャフトをその端位置の一方に配置し、前記フライホイールを所定の速度まで一方向に回転させる命令を供給することと、
前記駆動シャフトが前記角度範囲にわたって前記フライホイールに対して移動して前記所定の位置に到達し、前記少なくとも1つのハンマーをその係合位置に配置して、前記少なくとも1つのハンマーを前記少なくとも1つのアンビルと衝突させるように、前記モータに減速命令を供給することと、
前記方向に前記モータを再加速する命令を供給することと、
ができる。
【0032】
1つの考えられる特徴によれば、制御するための前記手段は、
前記ロータを回転させ、前記少なくとも1つのハンマーを前記非係合位置に配置するために、前記モータに電力を供給する命令を供給し、
前記少なくとも1つのハンマーを前記非係合位置に配置して前記ロータを前記方向に回転させて前記少なくとも1つのハンマーを前記少なくとも1つのアンビルと衝突させるために、前記モータに電力を供給しない命令を供給するように構成される。
【0033】
1つの考えられる特徴によれば、制御するための前記手段は、前記少なくとも1つのハンマーが前記少なくとも1つのアンビルに対して前記ロータの回転軸に沿った所定の角度位置にあることを示す少なくとも1つのパラメータを制御するための前記手段が検出するまで、前記所定の速度で前記ロータの回転を維持するように構成されている。
【0034】
1つの考えられる特徴によれば、前記モータは、前記ロータの前記角度位置を測定するためのセンサを備え、
制御するための前記手段は、
前記センサを使用して行われた測定に基づいて、それぞれの衝撃サイクルの終わりにおける前記少なくとも1つのアンビルの前記角度位置を決定し、記録し、
そこから、その後の衝撃サイクルにおいて、前記少なくとも1つのアンビルに対する前記少なくとも1つのハンマーの前記角度位置と、前記所定の角度位置の到達とを推定するように構成される。
【0035】
1つの考えられる特徴によれば、前記少なくとも1つのアンビルに堅固に接続された出力シャフトを備え、
前記装置は、前記出力シャフトの前記角度位置を測定するためのセンサを備え、
制御するための前記手段は、
各衝撃サイクルの終わりに前記出力シャフトの前記角度位置を決定し、記録し、
そこから、その後の衝撃サイクルにおいて、前記少なくとも1つのアンビルに対する前記少なくとも1つのハンマーの前記角度位置と、前記所定の角度位置の到達とを推定するように構成される。
【0036】
1つの考えられる特徴によれば、制御するための前記手段は、前記少なくとも1つのハンマーの前記所定の角度位置において前記ロータと前記フライホイールとの間の角度ずれを安定させるように前記モータを制御することができる。
【0037】
1つの考えられる特徴によれば、前記フライホイールの前記角度位置を測定することができる角度センサを備え、
制御するための前記手段は、前記フライホイールに対する前記ロータの前記角度位置を計算することができる。
【0038】
5. 図面の説明
本発明のさらなる特徴および利点は、単に説明のための非限定的な例として与えられる特定の実施形態の以下の説明および添付の図面を読むことによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の第1の実施形態による装置の縦断面図を示す。
図2図1の装置の分解部分図を示す。
図3】ハンマーが非係合位置にある、図1の装置の異なる断面を示す。
図4】ハンマーが係合位置にある、図1の装置の異なる断面を示す。
図5】ハンマーが係合位置にある、図1の装置の異なる断面を示す。
図6】ハンマーが係合位置に移動することを可能にしない、ハンマーおよびアンビルの相対位置を示す。
図7】(a)は、ハンマーが係合位置に移動することを可能にする、ハンマーおよびアンビルの相対位置を示す。(b)は、ハンマーが係合位置にある、ハンマーおよびアンビルの相対位置を示す。
図8】動作中の装置の、ハンマーおよびアンビルの異なる相対位置を示す。
図9】本発明の第2の実施形態による装置の縦断面図を示す。
図10図9の装置の分解部分図を示す。
図11】ハンマーが係合位置にあり、アンビルと衝突する、図9の装置の異なる断面を示す。
図12】ハンマーが非係合位置にある、図9の装置の異なる断面を示す。
図13】ハンマーが係合位置にあり、アンビルと衝突しない、図9の装置の異なる断面を示す。
図14】本発明の第3の実施形態による装置の縦断面図を示す。
図15】異なる位置における図14の装置の打撃機構の部分斜視図を示す。
図16図14の装置の分解部分図を示す。
図17】(b)は、ハンマーを非係合位置に配置するために停止部に当接するガイドピンを示し、(a)は、非係合位置におけるハンマーと、アンビルとの通常の相対位置を示す。
図18図14の装置の断面図を示す。
図19】(b)は、ハンマーを係合位置に配置するために停止部に当接しないガイドピンを示し、(a)は、アンビルと衝突する係合位置にあるハンマーを示す。
図20】(a)は、ハンマーを非係合位置に配置するために停止部に当接するガイドピンを示し、(a)は、非係合位置におけるハンマーと、アンビルとの通常の相対位置を示す。
図21】本発明による装置の第4の実施形態を示す。
図22】動作中の本発明による装置のモータの速度および加速度の経時変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
6. 特定の実施形態の説明
6.1. 第1実施形態
図1~8を参照して、衝撃レンチとも呼ばれる、本発明によるねじ込み/ねじ抜き装置の第1の実施形態を示す。
【0041】
このような装置は、ステータ20とロータ(回転体、回転子)21とを備える電気的なモータ2を収容するケーシング1を備える。それは、作動トリガ10を備える。
【0042】
ロータ21には駆動シャフト3が設けられており、その端部には駆動シャフト3の長手方向軸に垂直な軸に沿って互いから離れて延びる2つのフィン4が突出している。
【0043】
駆動シャフト3の端部は、割り出しピン5をさらに備える。
【0044】
装置は、以下を含む衝撃機構6を備える:
ロータ21の回転軸を中心に回転できるように取り付けられた少なくとも1つのアンビル60;
前記軸に沿ってモータによって回転可能である少なくとも1つのハンマー61。
【0045】
各アンビル60は、2つの対向する衝突面601を備える。
【0046】
アンビル60は、出力正方形とも呼ばれる出力シャフト602に回転可能に連結され、この出力シャフトは、ナットまたはねじなどの、ねじ込み/ねじ抜きされる要素を回転させるために、ねじ込み/ねじ抜きビットを担持することができる。
【0047】
各ハンマー61は、2つの対向する打撃面610を備える。各ハンマー61は、駆動シャフトのフィン4が移動することができるランプ(傾斜)プロファイル640を画定する中央凹部630によって分離された2つのラグ620をさらに備える。
【0048】
ハンマー61は、フライホイール7に堅固に接続されている。フライホイール7は、内部にハンマー61が配置されるベルを形成する。ハンマー61は、静止してロータの回転軸に平行な軸に沿って延びるようにフライホイール7に固定されたシャフト70上で回転することができるように取り付けられる。
【0049】
ロータ、駆動シャフト、フライホイールおよび出力シャフトは同軸である。
【0050】
孔71はフライホイールの中心を移動し、その周囲には、2つの停止部73によって画定される角度部分にわたって延びる、より大きい外径の溝72が形成される。2つの停止部の実装は、ねじ込みおよびねじ抜きの両方の間、装置が動作することを可能にする。単一の停止部の実装は、装置がこれらの2つの方向の一方または他方においてのみ動作することを可能にする。
【0051】
割り出しピン5は溝72の形状を補完する形状を有し、溝72を画定る停止部73のいずれかに当接するまで、その中を移動することができる。したがって、フライホイール7は、2つの停止部73によって画定される角度範囲にわたって、駆動シャフト3上でその軸に沿って回転することができる。
【0052】
したがって、フライホイールは、少なくとも1つの端位置によって画定される角度範囲にわたって駆動シャフトに対して回転することが可能であり、この実施形態では端位置は停止部73によって画定される2つの端位置であり、フライホイールおよび駆動シャフトは回転可能に連結される。割り出しピン5が停止部73に当接しているとき、フライホイール7および駆動シャフト3は、割り出しピンを停止部に近づける方向に回転可能に連結される。
【0053】
各ハンマー61は、少なくとも以下のものの間で、対応するシャフト70を中心に回転することができる:
ハンマーがモータによって回転されるときにアンビル60と衝突することができない非係合位置
ハンマーがモータによって回転されるときにアンビル60と衝突することができる係合位置。
【0054】
打撃面および衝突面は、少なくとも1つのハンマーがその係合位置にあるときであって少なくとも1つのハンマーがモータによって回転されるとき、互いに打撃することができる。
【0055】
打撃面および衝突面は、少なくとも1つのハンマーが非係合位置にあるときであって少なくとも1つのハンマーがモータによって回転されるとき、互いに打撃することができない。
【0056】
前記装置は、
前記駆動シャフトが前記少なくとも1つの端位置にあるときにはその非係合位置に、
前記駆動シャフトが前記角度範囲内の所定の位置にあるときにはその係合位置に、
前記少なくとも1つのハンマーを配置するために、前記少なくとも1つのハンマーに作用する少なくとも1つの作動要素を含む。
【0057】
作動要素は、それと共に回転するために駆動シャフト3に固定され、ハンマー61のラグ620のランプ(傾斜部)640に対して移動することができるフィン4を備える。
【0058】
フィン4およびランプ640は、
前記駆動シャフトが前記少なくとも1つの端位置にあるときには前記少なくとも1つのハンマーを前記非係合位置に配置するように、および、
前記駆動シャフトが前記角度範囲内の前記所定の位置にあるときには前記少なくとも1つのハンマーを前記係合位置に配置するように構成されるように、
成形される。
【0059】
割り出しピン5が停止部73の1つに当接すると、フィン4はハンマー61の中央凹部630内に収容される。したがって、ハンマーはその非係合位置に保持され、フライホイールは、モータがアンビルの周りをそれと衝突することなく回転するハンマーを自由に駆動することができるように、駆動シャフトに回転可能に連結される。
【0060】
割り出しピン5が2つの停止部73の間の溝内を移動すると、それは、フィン4がラグ620と相互作用してハンマーを係合位置にしてそれゆえその打撃面がアンビルの衝突面と衝突することを可能にするような所定の位置をとる。
【0061】
図3の(c)は、フライホイールの停止部73に当接する割り出しピン5を示している。図3の(b)は、ハンマーの対応する非係合位置を示す。図3の(a)は、ハンマーの非係合位置においてアンビルの周りを回転するハンマーの通常の角度位置を示す。
【0062】
図4の(c)は、ハンマーの係合位置に対応する停止部73間の所定位置にある割り出しピン5を示している。図4の(b)は、ハンマーの対応する係合位置を示す。図4の(a)は、ハンマーの係合位置での衝撃の前の、アンビルに対するハンマーの通常の角度位置を示す。
【0063】
図5の(c)は、ハンマーの係合位置に対応する停止部73間の所定位置にある割り出しピン5を示している。図5の(b)は、ハンマーの対応する係合位置を示す。図5の(a)は、アンビルに衝突するハンマーの係合位置におけるハンマーの位置を示している。
【0064】
装置はモータを制御するための手段を備え、これらの手段はモータに指令命令を送信することができる。
【0065】
制御するためのこれらの手段は、スクリーンおよび/またはキーボードなどのユーザインターフェースを備え、ユーザが例えば、締め付けトルクまたは最大締め付けトルクの割合の設定値を入力することを可能にする。
【0066】
制御するための手段は、ユーザの命令を予め設定された制御法則に従って速度に変換するためのコントローラを備える。それらは、ハンマーがそれぞれアンビルと衝突する一連の連続的な衝撃サイクルを実行することを含むねじ込みまたはねじ抜き動作の実行に向けて働くために、装置を制御するための方法が実施されることを可能にする。
【0067】
モータの角度センサは、コントローラがロータの位置をリアルタイムで知ってその速度を計算することを可能にする。
【0068】
操作者が衝撃レンチのトリガを作動させて、ねじ込みまたはねじ抜き動作をトリガすると、制御するための手段は、モータに所定の回転周波数Viになるように命令を伝達する。装置は、例えば図8の(a)に示すような通常の状態にある。
【0069】
駆動シャフトは、停止部73(図8の(a)~図8の(b)~図8の(c))に当接するまでフライホイールの溝内を移動する。したがって、フライホイールは駆動シャフトに回転可能に連結され、ハンマーはフィンによってその非係合位置に配置され、アンビルは回転可能に静止したままである(図8の(d)参照)。
【0070】
ロータが回転周波数Viに達すると、制御するための手段は、衝撃メカニズムが衝撃に先立って適当な位置にあることを確認する状態が満足されるまでモータが回転周波数Viに留まるようにモータを制御する。図6および図7から、ハンマーが非係合位置にあるとき、ハンマーがアンビルの周りにベルを形成することが明確に分かる。したがって、それらは、アンビルと干渉することなく、アンビルの周りを回転することができる。しかしながら、非係合位置から係合位置に移動するために、ハンマーは、アンビルに対して特定の位置になければならない。より具体的には、ハンマーとアンビルとの相対位置は、ハンマーがアンビルの外周面と摩擦することなくその係合位置に移動できるような位置でなければならない。図6では、アンビルに対するハンマーの相対位置は、ハンマーが非係合位置からその係合位置に移動することを可能にしない。逆に、図7では、アンビルに対するハンマーの相対位置は、ハンマーがその非係合位置(図7の(a)参照)からその係合位置(図7の(b)参照)に移動することを可能にする。
【0071】
これを達成するために、第1の代替形態によれば、アンビルが堅固に接続される出力シャフト上に、角度位置センサを配置することができる。
【0072】
各衝撃の終わりに、このセンサは出力シャフトの角度位置、したがってアンビルの角度位置を測定し、それは、後続の衝撃まで不変のままである。したがって、その後の衝撃サイクルの間、アンビルの位置は既知であり(それは前の衝撃サイクルの終わりに測定されたものに対応する)、一方、ハンマーの位置は、モータの角度センサによって測定されたロータの位置から推定される。したがって、アンビルに対するハンマーの相対位置を知ることができ、また、アンビルと干渉することなく非係合位置からその係合位置へハンマーが移動することをアンビルに対するハンマーの角度位置が可能にするときにのみ、ハンマーをその係合位置に配置するように、モータの減速を制御することができる。
【0073】
第2の代替形態によれば、アンビルの角度位置は、出力シャフト上に角度センサを実装することなく決定することができる。そのような場合、アンビルの角度位置は、各衝撃時にモータの角度センサを使用して決定される。より具体的には、モータの回転周波数の急激な低下が検出されると、衝撃機構における衝撃の発生に続いて、制御するための手段が、アンビルの位置に対応するロータの位置を記録する。したがって、後続の衝撃サイクルにおいて、前のサイクル中に記録されたアンビルの相対位置と、モータの角度センサによってリアルタイムで測定されたものに対応するハンマーの相対位置とを知ることができる。したがって、アンビルに対するハンマーの相対位置を知ることができ、アンビルに面するハンマーの潜在的な位置決めによって妨げられることなく、ハンマーの非係合位置から係合位置へのハンマーの移動を、アンビルに対するハンマーの角度位置が可能にするときにのみ、ハンマーをその係合位置に配置するように、モータの減速を制御することができる。
【0074】
この代替形態によれば、アンビルの初期位置を推定することができる前に、少なくとも1つの衝撃が行われなければならない。したがって、ねじ込みサイクルは、低速度での第1の衝撃から始まり、そのために、電動制動命令は、他のいかなる条件もなしに、所望の速度に達するとすぐに開始する。
【0075】
アンビルに対するハンマーの相対位置が、ハンマーが非係合位置からその係合位置に移動することを可能にするようになると、モータは、ハンマーをその係合位置に配置するように制御され得る。
【0076】
ハンマーがその係合位置にあるためには、駆動シャフトとフライホイールとの間の角度オフセットが所定の値αに等しくなければならない。
【0077】
アンビルに対するハンマーの相対位置が適すると、モータは、フライホイールと駆動シャフトとの間の角度ずれが、ハンマーがその係合位置にあるような所定値αに達するように、制御するための手段によって減速される。
【0078】
エンジンが減速される直前に、駆動シャフトおよびフライホイールは速度Viで回転する。エンジンが減速されると、フライホイールは、その慣性により速度Viで回転し続ける。したがって、その角度位置は、その速度と、モータが制動される直前に占有された位置とから知ることができ、この位置は、モータが減速されたときのモータの角度センサによって測定されたロータの位置である。代替的に、フライホイールの角度位置は、フライホイール上に配置された角度センサを使用することによって知ることができる。ロータの位置に対応する駆動シャフトの位置も、リアルタイムで知ることができる。これらのデータを考慮することにより、フライホイールと駆動シャフトとの間のオフセットが、ハンマーがその係合位置にあるような所定値αに達する時間を、検出することができる(図8の(e)参照)。
【0079】
この時間が検出されると、制御するための手段は、駆動シャフトとフライホイールとの間の角度ずれが、ハンマーが係合位置にあるような所定値αに維持されるように、モータを速度Viに再加速させる。
【0080】
速度Viは、制御するための手段が、ハンマーがアンビルに衝突してアウトプットシャフト、ひいてはねじ込みされるべき要素を回転させる時点に続くモータの速度の急激な低下を検出するまで維持される。
【0081】
出力シャフトの位置は、衝撃の終わりに測定され、次いで、新しい衝撃サイクルが実行される。衝撃サイクルは、所望の締め付けトルクに達するまで、連続して繰り返される。
【0082】
図22は、衝撃サイクル中のモータの速度および加速度の経時変化を示す。
【0083】
ねじ込み操作は、典型的には2つの連続する段階を含む:
ねじが、締め付けられる要素と接触していないアプローチ段階。ねじは典型的には移動するために長い距離を有し、その間、ねじは、締め付けられるべき要素に到達する前に、ほとんど抵抗を発しない。したがって、ねじの回転速度は、比較的高くなければならない。ねじが、締め付けられる要素と接触する締め付け段階。ねじを回転させるのに必要なトルクは著しく増加する。
【0084】
アプローチ段階は、多数の小さな衝撃を生成することによって実行される。
【0085】
6.2. 第2の実施形態
図9図13を参照して、本発明による衝撃レンチの第2の実施形態を示す。
【0086】
以下、第1の実施形態と第2の実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0087】
この第2の実施形態では、装置は、ハンマー61の各々に固定されてそれと共に回転する少なくとも1つの被駆動歯車(従動歯車)8を備える。
【0088】
この場合、作動要素は、駆動シャフト3に固定されてそれと共に回転し、各ハンマー61の被駆動歯車と係合した駆動歯車9を備える。
【0089】
フライホイール7に対する駆動シャフト3の相対運動は、少なくとも1つのハンマーがその係合位置と非係合位置との間で移動されることを可能にする。
【0090】
図12の(c)は、フライホイールの停止部73に当接する割り出しピン5を示している。図12の(a)は、ハンマーの対応する非係合位置を示す。図12の(b)は、歯車の噛み合いを示している。
【0091】
図13の(c)は、ハンマーの係合位置に対応する停止部73間の所定位置における割り出しピン5を示している。図13の(a)は、ハンマーの対応する係合位置と、衝撃前のアンビルに対するハンマーの通常の位置とを示す。図13の(b)は、歯車の噛み合いを示している。
【0092】
図11の(c)は、ハンマーの係合位置に対応する停止部73間の所定位置における割り出しピン5を示している。図11の(a)は、ハンマーの対応する係合位置と、アンビルと衝突するハンマーの位置とを示す。図11の(b)は、歯車の噛み合いを示している。
【0093】
制御するための手段およびモータの制御手段は、第1の実施形態と同様である。
【0094】
6.3. 第3の実施形態
図14図20を参照して、本発明による衝撃レンチの第3の実施形態を示す。第3の実施形態と先の2つの実施形態との間の主な相違点のみを以下に説明する。
【0095】
この第3の実施形態では、前記少なくとも1つのハンマーは、その係合位置と非係合位置との間で、前記駆動シャフトの回転軸に平行な軸に沿って並進することができる。
【0096】
この実施形態では、装置は、ロータ21の駆動シャフト3に固定されてそれと共に回転するが、自由に並進する二次駆動シャフト9を備える。
【0097】
二次駆動シャフト9は、駆動シャフト3の回転軸に沿ってフライホイール7に対して並進および回転することができるように取り付けられる。
【0098】
二次駆動シャフト9は、フライホイールの回転軸に垂直に延在してフライホイール7に堅固に接続された少なくとも1つのガイドピン91が移動することができる少なくとも1つのカム90を備える。
【0099】
カム9は、フライホイールが2つの端位置の間で二次駆動シャフトに対して自由に回転する角度範囲を画定する2つの停止部73によって画定される。
【0100】
少なくとも1つのカム90は、端位置と角度範囲内の所定の位置との間の前記角度範囲にわたって、二次駆動シャフト9がフライホイールに対して回転移動することを可能にし、端位置および所定の位置のいずれかからの移動中にフライホイールに対する二次駆動シャフトの並進運動を可能にするように成形されたプロファイルを有する。
【0101】
ハンマー61は、フライホイールの回転軸に平行な軸に沿ってフライホイールのガイドランプ700の内側を並進させることができるように取り付けられたシャフトである。各ハンマーは溝650を有し、その内側には、二次駆動シャフト9の端部に固定されたワッシャ100のエッジが収容されて、ハンマーを二次駆動シャフトと並進的にリンクさせて、ハンマーをその係合位置と非係合位置との間で移動させる。
【0102】
圧縮ばね11などの弾性復帰手段は、ハンマーに作用してハンマーを付勢し、ハンマーの非係合位置に復帰させる。
【0103】
図15の(a)および図15の(b)は、非係合位置にあるハンマーを示している。図15の(c)は、係合位置にあるハンマーを示している。
【0104】
図17の(b)は、ハンマーを非係合位置に配置するために停止部73に当接するガイドピン91を示す。図17の(a)は、アンビルに対する非係合位置におけるハンマーの通常の相対位置を示す。
【0105】
図20の(a)は、ハンマーを非係合位置に配置するために停止部73に当接するガイドピン91を示す。図20の(a)は、アンビルに対する非係合位置におけるハンマーの通常の相対位置を示す。
【0106】
図19の(b)は、ハンマーを係合位置に配置するために停止部73に当接しないガイドピン91を示す。図19の(a)は、アンビルと衝突する係合位置にあるハンマーを示す。
【0107】
制御するための手段およびモータの制御手段は、第1の実施形態と同様である。
【0108】
6.4. 第4の実施形態
図21を参照して、第4の実施形態を示す。
【0109】
この実施形態では、モータは、コイル200を備えた内部ステータ20を備え、ロータ21は外部にある。
【0110】
外部ロータは、フライホイールを形成する。
【0111】
ハンマーは、それと共に回転するようにロータに固定され、また、ハンマーは、係合位置と非係合位置との間で回転軸に平行な軸に沿ってロータに対して回転できるように取り付けられる。
【0112】
ハンマー61の打撃面610は、その係合位置においては、ロータの外周から突出してアンビルに衝突する。
【0113】
ハンマー61の打撃面610は、その非係合位置においては、アンビルと衝突しないようにロータの周囲から突出しない。
【0114】
この実施形態では、コイルによって作り出された磁界は:
前記ロータを回転させるために、制御するための手段がコイルに電力を供給するとき、ハンマーを前記非係合位置に配置し、
前記ロータを回転させるために、制御するための手段がコイルに電力を供給しないとき、ハンマーをその係合位置に配置する、
ようにハンマーに作用する。
【0115】
したがって、制御するための手段は、モータに:
ハンマーをその非係合位置に配置し、ロータを回転させる回転命令と、
ハンマーをその係合位置に配置し、アンビルに対するハンマーの衝撃をトリガするためのモータ停止命令と、
を伝達することができる。
【0116】
圧縮ばねなどの弾性復帰手段、および/または遠心力は、コイルへの電力を供給が遮断されたときに、ハンマーをその係合位置に移動させることを可能にする。
【0117】
図21の(a)では、ハンマーは非係合位置にある。図21の(b)では、ハンマーは係合位置にある。

図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図6
図7(a)】
図7(b)】
図8
図9
図10
図11(a)】
図11(b)】
図11(c)】
図12(a)】
図12(b)】
図12(c)】
図13(a)】
図13(b)】
図13(c)】
図14
図15(a)】
図15(b)】
図15(c)】
図16
図17(a)】
図17(b)】
図18
図19(a)】
図19(b)】
図20
図21(a)】
図21(b)】
図22
【国際調査報告】