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特表2024-502807白濁が改善されたデキストリンおよびその製造方法
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  • 特表-白濁が改善されたデキストリンおよびその製造方法 図1
  • 特表-白濁が改善されたデキストリンおよびその製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】白濁が改善されたデキストリンおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/30 20160101AFI20240116BHJP
【FI】
A23L29/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540045
(86)(22)【出願日】2021-12-31
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 KR2021020382
(87)【国際公開番号】W WO2022146107
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0189951
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジウォン
(72)【発明者】
【氏名】キ,ミンジ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ゴウン
(72)【発明者】
【氏名】パク,チョンジン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジェギョン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ジョンスク
【テーマコード(参考)】
4B041
【Fターム(参考)】
4B041LC04
4B041LH02
4B041LK44
4B041LP01
4B041LP06
4B041LP25
(57)【要約】
本発明は、白濁が改善されたデキストリンおよびその製造方法に関するものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体固形分100重量%を基準にして、分子量100,000以上を有する炭水化物の含量が8重量%以下である、白濁が改善されたデキストリン。
【請求項2】
全体固形分100重量%を基準にして、分子量1,000以下を有する炭水化物の含量が8重量%以下であり、分子量1,000超過~100,000未満を有する炭水化物の含量が84重量%超過である、請求項1に記載のデキストリン。
【請求項3】
全体固形分100重量%を基準にして、分子量50,000以上を有する炭水化物の含量が14重量%以下である、請求項1に記載のデキストリン。
【請求項4】
全体固形分100重量%を基準にして、分子量25,000以上を有する炭水化物の含量が22重量%以下である、請求項1に記載のデキストリン。
【請求項5】
全体固形分100重量%を基準にして、分子量250,000以上を有する炭水化物の含量が2重量%以下である、請求項1に記載のデキストリン。
【請求項6】
前記デキストリンのデキストロース当量(Dextrose Equivalent、DE)が20以下である、請求項1に記載のデキストリン。
【請求項7】
前記デキストリンのデキストロース当量(Dextrose Equivalent、DE)が18未満である、請求項1に記載のデキストリン。
【請求項8】
前記デキストリンは液状であり、30℃温度で50~300mPa*sの粘度を有する、請求項1に記載のデキストリン。
【請求項9】
全体固形分100重量%を基準にして、DP10以上の糖類を60重量%以上含む、請求項1に記載のデキストリン。
【請求項10】
全体固形分100重量%を基準にして、DP10以上の糖類を60重量%以上含み、DP3~DP9糖類のマルトオリゴ糖を40重量%以下で含む、請求項1に記載のデキストリン。
【請求項11】
全体固形分100重量%を基準にして、単糖類および二糖類を5重量%以下で含む、請求項1に記載のデキストリン。
【請求項12】
前記単糖類は、ブドウ糖、果糖、およびガラクトースからなる群より選択された1種以上を含み、前記二糖類は、マルトース、イソマルトース、セロビオース、ニゲロース、コージビオース、およびトレハロースからなる群より選択された1種以上を含むものである、請求項11に記載のデキストリン。
【請求項13】
前記デキストリンは、デンプンの加水分解物である、請求項1に記載のデキストリン。
【請求項14】
前記デンプンは、アミロースおよび/またはアミロペクチンを含むものである、請求項13に記載のデキストリン。
【請求項15】
前記デンプンは、とうもろこしデンプン、米デンプン、麦デンプン、小麦デンプン、タピオカデンプン、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、豆デンプン、モチトウモロコシデンプン、およびもち米デンプンからなる群より選択された1種以上である、請求項13に記載のデキストリン。
【請求項16】
前記デキストリンは液状または粉末である、請求項1に記載のデキストリン。
【請求項17】
前記デキストリンは液状であり、全体100重量%基準で固形分含量が10~90重量%である、請求項1に記載のデキストリン。
【請求項18】
前記デキストリンは液状であり、前記デキストリンの吸光度は0.09未満である、請求項1に記載のデキストリン。
【請求項19】
前記デキストリンは液状であり、前記デキストリンは冷凍および/または解凍過程で吸光度が0.09未満である、請求項1に記載のデキストリン。
【請求項20】
前記デキストリンは液状であり、前記デキストリンは冷蔵保管時吸光度が0.09未満である、請求項1に記載のデキストリン。
【請求項21】
デンプンを液化してデキストロース当量(Dextrose Equivalent、DE)15~30まで反応する工程;および
反応物を高分子分画と低分子分画に分離して高分子分画を得る工程を含む、請求項1による白濁が改善されたデキストリンの製造方法。
【請求項22】
前記高分子分画を濃縮する工程を追加的に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記反応物は、固形分含量100重量%基準で、DP3以上糖類の含量が75重量%以上である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記反応物は、固形分含量100重量%基準で、DP10以上糖類の含量が40重量%以下であり、DP3~DP9糖類の含量が40重量%以上であり、単糖類および二糖類含量が15重量%以下である、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記高分子分画を得る工程は、前記低分子分画を共に得ることであり、前記低分子分画はDP3~DP9糖類含量が50重量%以上である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
デンプンを液化してデキストロース当量(Dextrose Equivalent、DE)15~30まで反応する工程;および
反応物を高分子分画と低分子分画に分離して高分子分画および低分子分画を得る工程を含み、
前記反応物は、固形分含量100重量%基準で、DP3以上糖類の含量が75重量%以上である、デキストリンおよびオリゴ糖の製造方法。
【請求項27】
前記反応物は、固形分含量100重量%基準で、DP10以上糖類の含量が60重量%以下であり、DP3~DP9糖類の含量が40重量%以上であり、単糖類および二糖類含量が20重量%以下である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記オリゴ糖は、DP3~DP9糖類含量が50重量%以上である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記デキストリンは、全体固形分100重量%を基準にして、分子量100,000以上を有する炭水化物の含量を8重量%以下で含むものである、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白濁がないか誘発されないデキストリンおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デキストリンは、デキストロース当量(Dextrose Equivalent、DE)5~20の数値を有する炭水化物であって、ブドウ糖重合度(Degree of polymer、DP)が10以上である高分子物質を多数含む物質である。デキストリンは、デンプンの糊化、老化の性質を有しており、水に溶解される糖類、オリゴ糖のような水溶性性質を有している。
【0003】
デキストリンは、食品だけでなく、衣類、製薬、製紙、鉄鋼、化粧品など多様な産業群で使用されており、大部分の産業群では液状を選好していて、微生物増殖の恐れがない液状デキストリンの開発必要性が台頭する。しかし、デキストリン含量50重量%以上の溶液は、保管時デンプンの老化が起こることがあり、デキストリン含量50重量%以下の溶液は、保管時微生物の増殖が発生して物性変化と共に衛生的な問題が憂慮されるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一例は、前記で言及した従来の問題点を解決するためのものであって、微生物増殖の可能性がなく高濃度液状保管が可能なデキストリンおよびその製造方法を提供する。
【0005】
本発明の追加一例は、前記デキストリンを含む、デンプン、デキストリン、オリゴ糖などを含む食品、食品添加剤、飲料または飲料添加剤、粉末型乳化組成物、化粧品、医薬などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一例は、白濁が改善されたデキストリンに関するものである。前記デキストリンは、全体固形分100重量%を基準にして、分子量100,000以上を有する炭水化物の含量が8重量%以下、分子量1,000超過~100,000未満を有する炭水化物の含量が84重量%超過、分子量50,000以上を有する炭水化物の含量が14重量%以下、分子量25,000以上を有する炭水化物の含量が22重量%以下、または分子量250,000以上を有する炭水化物の含量が2重量%以下含むものであってもよい。
【0007】
本発明のまた他の一例は、デンプンを液化してデキストロース当量(Dextrose Equivalent、DE)15~30まで反応する工程;および、反応物を高分子分画と低分子分画に分離して高分子分画を得る工程を含む、白濁が改善されたデキストリンの製造方法に関するものである。
【0008】
本発明のまた他の一例は、デンプンを液化してデキストロース当量(Dextrose Equivalent、DE)15~30まで反応する工程;および、反応物を高分子分画と低分子分画に分離して高分子分画および低分子分画を得る工程を含む、デキストリンおよびオリゴ糖の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一例によるデキストリンシロップ組成物は、白濁が改善されて保管安定性に優れ、食品、飲料、家畜用飼料、家畜用健康/栄養食、医薬製品、化粧品などに使用できる。本発明の一例によるデキストリンシロップ組成物は、食品および飼料の質感をやわらかくし、容積を増やし、濃度を増加させ、糖の結晶化を防止し、香味および甘味を増強することができる。本発明の一例によるデキストリンシロップ組成物は、食品のイオン水飴、麦芽水飴、抵糖水飴成分を全部または一部を代替することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一例によるデキストリンの20回次冷解凍安定性実験結果を示した図である。
図2】本発明の一例によるデキストリンの分子量分布を確認するための標準グラフを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の一例は、白濁が改善されたデキストリンに関するものである。
【0012】
本発明の一例によるデキストリンは、デンプンの加水分解物であって多糖類を多数含む炭水化物であって、例えば、10糖類以上の糖類を多数含むものであってもよい。また、前記デキストリンは、デンプンの加水分解産物であって、マルトテトラオース生成酵素(Maltotetraose producing amylase、G4-amylase)を用いたデンプン加水分解物のSMB(simulated moving bed)を用いた高純度分離産物のうちの高分子分画であってもよい。
【0013】
よって、本発明の一例によるデキストリンは、10糖類以上多糖類、3~9糖類のオリゴ糖類、単糖類および二糖類の混合物であってもよい。具体的に、前記デキストリンは、マルトテトラオース生成酵素(Maltotetraose producing amylase、G4-amylase)を用いたデンプン加水分解物であってもよく、前記3~9糖類はマルトオリゴ糖であり、前記デキストリンはデンプンの加水分解産物であって、マルトテトラオース生成酵素(Maltotetraose producing amylase、G4-amylase)を用いたデンプン加水分解物のSMB(simulated moving bed)を用いた高純度分離産物のうちの高分子分画であってもよい。
【0014】
本発明の一例によるデキストリンは、デンプンの加水分解物であって、前記デンプンは、アミロースおよび/またはアミロペクチンを含むものであってもよい。例えば、前記デンプンのアミロペクチン含量は、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、96重量%以上、97重量%以上、98重量%以上、または99重量%以上であってもよい。例えば、前記デンプンのアミロース含量は、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、または95重量%以上であってもよい。一例として、前記デンプンは、70~95重量%のアミロースおよび5~30重量%のアミロペクチンを含むものであってもよい。
【0015】
例えば、前記デンプンは、穀類デンプン、根茎類デンプン、モチ穀類デンプンおよび高アミロースデンプンからなる群より選択された1種以上であってもよい。例えば、前記デンプンは、とうもろこしデンプン、米デンプン、麦デンプン、小麦デンプン、タピオカデンプン、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、豆デンプン、モチトウモロコシデンプン、およびもち米デンプンからなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0016】
本発明の一例によるデキストリンは、10糖類以上の炭水化物を複数含みながらも、10糖類以上の炭水化物のうちの高分子炭水化物および/または低分子炭水化物を特定含量で含むものであってもよい。例えば、本発明の一例によるデキストリンは、前記10糖類以上の炭水化物のうちの高分子炭水化物の相対的含量が減少したものであってもよく、具体的に、高分子多糖類を一定含量以下で含み、低分子多糖類を一定含量以上で含むものであってもよい。
【0017】
本発明の一例によるデキストリンは、低いDE値を有しながらも低い粘度を有し、白濁が発生しないか顕著に減少し、これは高分子糖類の分子量分布が相対的に低い分子量に偏っている分子量分布を有することを意味し、よって、老化(白濁)が発生できるデンプンと類似の性質を有している高分子多糖類または炭水化物、例えば、分子量100,000以上の高分子炭水化物の含量が相対的に低くて白濁が改善されると推論することができるが、本発明の技術的特徴がこのような理論的推論に限定されるのではない。
【0018】
例えば、前記デキストリンは、全体固形分100重量%を基準にして、分子量100,000以上の炭水化物の含量が8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、または1重量%以下であるものであってもよい。
【0019】
例えば、前記デキストリンは、全体固形分100重量%を基準にして、分子量50,000以上の炭水化物の含量が14重量%以下、13重量%以下、12重量%以下、11重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、または3重量%以下であるものであってもよい。
【0020】
例えば、前記デキストリンは、全体固形分100重量%を基準にして、分子量25,000以上の炭水化物の含量が22重量%以下、21重量%以下、20重量%以下、19重量%以下、18重量%以下、17重量%以下、16重量%以下、15重量%以下、14重量%以下、13重量%以下、12重量%以下、11重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、または7重量%以下であるものであってもよい。
【0021】
例えば、前記デキストリンは、全体固形分100重量%を基準にして、分子量250,000以上の炭水化物含量が2重量%以下、1.9重量%以下、1.8重量%以下、1.7重量%以下、1.6重量%以下、1.5重量%以下、1重量%以下、または0.5重量%以下であるものであってもよい。
【0022】
例えば、前記デキストリンは、全体固形分100重量%を基準にして、分子量1,000以下の炭水化物の含量が8重量%以下、7.5重量%以下、7重量%以下、6.8重量%以下、6.2重量%以下、6重量%以下、5.5重量%以下、5重量%以下、または4.5重量%以下であるものであってもよい。
【0023】
前記分子量は、平均分子量であってもよく、例えば重量平均分子量または数平均分子量であってもよい。
【0024】
本発明の一例によるデキストリンは、11糖類以上多糖類、3~10糖類のオリゴ糖類、単糖類および二糖類を特定重量比で含んで、特定デキストロース当量(Dextrose Equivalent、DE)値を有するものであってもよい。
【0025】
デキストロース当量(Dextrose Equivalent、DE)は、デンプンの加水分解程度を示す指標であって、デンプンのDE値1、デンプンがブドウ糖に完全分解された場合のDE値100を基準にして、デンプンのブドウ糖への加水分解程度によって1~100の値を有することができる。デンプン加水分解物は、通常DE値によって分類され、DE値約5~20を有するデンプン加水分解物を一般にデキストリンと称する。DE値約20以下のデキストリンは、DE値約20以上のシロップまたは水飴などと比較してデンプンの加水分解程度が低く、高分子多糖類を一定以上含み、液状である場合、白濁が発生する問題点がある。したがって、DE値約12以下の従来のデキストリンは、高濃度で白濁が発生して液状に製造しにくく、応用製品に適用する場合、白濁発生で品質が低下する問題があって、粉末のみで流通されて生産効率性が低下した。本発明の一例によるデキストリンは、低いDE値を有しながらも白濁が発生せず保管安定性が改善され、液状として流通可能なものであり得る。
【0026】
例えば、本発明の一例によるデキストリンは、デキストロース当量(Dextrose Equivalent、DE)が20以下、18未満、18以下、15以下、12以下、12未満、11以下、または10以下のものであってもよい。
【0027】
例えば、前記デキストリンは、全体固形分100重量%を基準にして、10糖類以上多糖類を60重量%以上、62重量%以上、63重量%以上、64重量%以上、65重量%以上、または66重量%以上含むものであってもよい。
【0028】
例えば、前記デキストリンは、全体固形分100重量%を基準にして、単糖類と二糖類を5重量%以下、4重量%以下、4重量%未満、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、または0.5重量%以下含むものであってもよい。または、前記デキストリンは、単糖類および二糖類を含まなくてもよい。
【0029】
例えば、前記デキストリンは、全体固形分100重量%を基準にして、3~9糖類のオリゴ糖類、例えばマルトオリゴ糖を40重量%以下、38重量%以下、35重量%以下、または34重量%以下で含むものであってもよい。
【0030】
例えば、前記デキストリンは、全体固形分100重量%を基準にして、3~9糖類のオリゴ糖類、例えばマルトオリゴ糖を0重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、または25重量%以上で含むものであってもよい。
【0031】
前記マルトオリゴ糖は、タンパク質変性防止効果および食品のマスキング効果と柔らかい食感付与のために使用できる機能性糖類である。マルトオリゴ糖は、マルトトリオース(G3、maltoriose)、マルトテトラオース(G4、maltotetraose)、マルトペンタオース(G5、maltopentaose)、マルトヘキサオース(G6、maltohexaose)、マルトヘプタオース(G7、maltoheptaose)、マルトオクタオース(G8、maltooctaose)、およびマルトノナオース(G9、maltononaose)などを含み、本発明のデキストリンに含まれたマルトオリゴ糖は、3~10糖類のマルトオリゴ糖であってもよい。
【0032】
本発明の一例によるデキストリンは、組成物100重量%を基準にして、固形分含量が10~90重量%、20~90重量%、30~90重量%、40~90重量%、50~90重量%、10~80重量%、20~80重量%、30~80重量%、40~80重量%、50~80重量%、10~70重量%、20~70重量%、30~70重量%、40~70重量%、または50~70重量%であるものであってもよく、好ましくは、固形分含量が50重量%以上であるものであってもよい。本発明の一例によるデキストリンは、固形分含量が50重量%以上という高含量でありながらも、白濁が改善されて保管安定性が増加したものであり得る。
【0033】
本発明の一例によるデキストリンは、固形分含量が高く、高濃度液状で保管が可能である。本明細書で“白濁改善”は、液状である時、白濁の発生が改善されるか、白濁の発生が防止されることを意味することができ、液状の時、透明なのを意味することができる。本明細書で“液状デキストリン”は、デキストリンが溶媒、例えば水と混合されているデキストリン溶液、またはデキストリンシロップを含む意味として使用される。本発明の一例によるデキストリンは、液状であり、白濁が改善されたものであり、冷凍および/または解凍過程で白濁が防止されるか、冷蔵保管時白濁が防止されるものであり得る。前記白濁発生の有無は、液状デキストリンの吸光度を測定して判断することができ、例えば、前記白濁は、分光光度計を用いた720nm波長での吸光度が0.09以上、0.08超過、0.07超過、0.06超過、または0.05超過である場合、白濁が発生したと区別されるものであってもよい。よって、本発明の一例によるデキストリンは、冷蔵過程、解凍過程、および/または冷蔵保管時、分光光度計を用いた720nm波長での吸光度が、0.09未満、0.08以下、0.07以下、0.06以下、または0.05以下であるものであってもよい。
【0034】
例えば、本発明の一例によるデキストリンは、冷凍および解凍を、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、15回、16回、17回、18回、19回、または20回繰り返す場合、白濁が防止されるものであってもよい。したがって、本発明によるデキストリンは、冷凍および解凍に対して安定性を有する。
【0035】
例えば、本発明の一例によるデキストリンは、冷蔵温度で、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、または20日保管時、白濁が防止されるものであってもよい。前記冷蔵温度は、0~10℃、1~10℃、2~10℃、3~10℃、4~10℃、5~10℃、0~9℃、1~9℃、2~9℃、3~9℃、4~9℃、5~9℃、0~8℃、1~8℃、2~8℃、3~8℃、4~8℃、5~8℃、0~7℃、1~7℃、2~7℃、3~7℃、4~7℃、5~7℃、0~6℃、1~6℃、2~6℃、3~6℃、4~6℃、または5~6℃温度であってもよく、一例として5℃温度であってもよい。したがって、本発明によるデキストリンは、冷蔵保管に対して安定性を有する。
【0036】
本発明の一例によるデキストリンは、低いDE値を有しながらも低い粘度を有することを特徴とすることができる。デキストロース当量(DE)は、一般に粘度と関連があると知られており、デンプンの加水分解程度が低くてDE値が低い場合、高分子糖類のゲル化が発生して粘度が高いのが一般的である。しかし、本発明の一例によるデキストリンは、粘度に影響を与える高分子糖類の分布比率が相対的に減少して、粘度が減少したものであってもよい。
【0037】
例えば、本発明の一例によるデキストリンの粘度は、50Brix基準、30℃温度で、50~300mPa*s、50~250mPa*s、50~200mPa*s、50~150mPa*s、50~140mPa*s、50~130mPa*s、50~120mPa*s、60~300mPa*s、60~250mPa*s、60~200mPa*s、60~150mPa*s、60~140mPa*s、60~130mPa*s、60~120mPa*s、70~300mPa*s、70~250mPa*s、70~200mPa*s、70~150mPa*s、70~140mPa*s、70~130mPa*s、70~120mPa*s、80~300mPa*s、80~250mPa*s、80~200mPa*s、80~150mPa*s、80~140mPa*s、80~130mPa*s、80~120mPa*s、90~300mPa*s、90~250mPa*s、90~200mPa*s、90~150mPa*s、90~140mPa*s、90~130mPa*s、または90~120mPa*sであってもよい。
【0038】
本発明のまた他の一例は、本発明によるデキストリンを粉末化した粉末デキストリンに関するものである。前記デキストリンは前述の通りであり、前記粉末デキストリンは、前記デキストリンを噴霧して粉末化したものであってもよい。本発明による粉末デキストリンは、水に溶解される場合に白濁が改善されたものであってもよい。前記白濁は前述の通りであり、本発明による粉末デキストリンは、溶解過程を経た後、本発明による白濁が改善されたデキストリンと同等な白濁改善効果を有することができる。
【0039】
本発明によるデキストリンは、デンプンを液化および/または糖化する工程;および、SMB(simulated moving bed)を用いた高純度分離工程を含む方法で製造できる。
【0040】
前記SMBクロマトグラフィー(擬似移動層吸着分離方法)を用いた高純度分離は、分離過程で相変化がなくて物質の安定性確保に容易な分離方法である。擬似移動層吸着分離方法(simulated moving bed、SMB)は、複数のカラムを用いて連続的に分離することによって、既存の回分式クロマトグラフィーに比べて純度および生産性に優れ、少ない溶媒の使用が可能であるという長所を有する。前記擬似移動層(SMB)吸着分離工程は、分離対象混合物の注入と抽出物の生産が連続的に行われる工程である。
【0041】
前記SMBで、分離樹脂として単糖分離工程にも広く使用されている塩が添加された強酸の陽イオン交換樹脂を使用するので、分離工程を行った後得られる産物には金属イオンが含まれる。前記強酸の陽イオン交換樹脂の例は、カルシウム活性基が付着された陽イオン交換樹脂であってもよい。
【0042】
前記デキストリンは、前記液化および/または糖化する工程以後に、脱色、イオン精製、および濃縮からなる群より選択された1種以上の処理を行う工程を追加的に含む方法で製造されるものであってもよい。
【0043】
前記デキストリンは、前記高純度分離工程以後に、イオン精製および/または濃縮工程を追加的に行って製造されるものであってもよい。濃縮工程を経た後、濃縮物に含まれている糖組成は、前記SMBクロマトグラフィー分離工程で得られた高純度分画の糖組成と変動が殆どなく、目的とする固形分含量になるように濃縮されるものであってもよい。
【0044】
前記デキストリンは、前記高純度分離工程以後、または前記高純度分離工程以後に精製および/または濃縮工程を経た後、乾燥して粉末化する工程および粉末を水に溶解する工程を追加的に経て製造されるものであってもよい。
【0045】
本発明のまた他の一例は、デンプンを液化してデキストロース当量(Dextrose Equivalent、DE)15~30まで反応する工程;および、反応物を高分子分画と低分子分画に分離して高分子分画を得る工程を含む、白濁が改善されたデキストリンの製造方法に関するものである。前記製造方法は、前記高分子分画を濃縮する工程を追加的に含むものであってもよい。前記白濁が改善されたデキストリンは前述の通りである。
【0046】
前記反応物は特定糖組成を有して、高分子分画と共に、低分子分画としてDP3~DP9糖類含量が、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、または85重量%以上であるオリゴ糖分画を共に得るものであってもよい。例えば、前記高分子分画を得る工程は、前記低分子分画を共に得ることであり、前記低分子分画はDP3~DP9糖類含量が50重量%以上であるものであってもよい。
【0047】
前記反応物は、固形分含量100重量%基準で、DP3以上糖類の含量が、75重量%以上、80重量%以上、または85重量%以上であるものであってもよい。
【0048】
前記反応物は、固形分含量100重量%基準で、DP10以上糖類の含量が、5重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、または30重量%以上であるものであってもよい。または、前記反応物は、固形分含量100重量%基準で、DP10以上糖類の含量が、60重量%以下、50重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、または20重量%以下であるものであってもよい。
【0049】
前記反応物は、固形分含量100重量%基準で、DP3~DP9糖類の含量が、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、または70重量%以上であるものであってもよい。
【0050】
前記反応物は、固形分含量100重量%基準で、単糖類および二糖類の含量が、20重量%以下、15重量%以下、または10重量%以下であるものであってもよい。
【0051】
一例として、前記反応物は、固形分含量100重量%基準で、DP10以上糖類の含量が40重量%以下であり、DP3~DP9糖類の含量が40重量%以上であり、単糖類および二糖類含量が20重量%以下であるものであってもよい。
【0052】
前記単糖類は、ブドウ糖、果糖、およびガラクトースからなる群より選択された1種以上を含み、前記二糖類は、マルトース、イソマルトース、セロビオース、ニゲロース、コージビオース、およびトレハロースからなる群より選択された1種以上を含むものであってもよい。
【0053】
さらに具体的に、本発明の一例によるデキストリンの製造方法は、デンプンを液化し、マルトジェニックa-アミラーゼで糖化してデキストロース当量(Dextrose Equivalent、DE)15~30を有するデンプン加水分解物を得る工程;前記デンプン加水分解物をSMBを用いた高純度分離を行って高分子分画を得る工程を含むものであってもよい。
【0054】
前記デンプンを液化して反応工程は、好ましくはDE20~30、20~28、20~26、20~24、21~30、21~28、21~26、または21~24まで反応することであってもよい。例えば、前記反応する工程は、DE21~24まで反応後高純度分離を行って高分子分画を得ることであってもよく、従来のデキストリンより高分子多糖類の平均分子量が低いデキストリンを製造することであってもよい。
【0055】
本発明によるデキストリンの製造方法は、デンプンを液化して反応する工程、糖化する工程、および、SMB(simulated moving bed)を用いた高純度分離工程を含む方法で製造できる。
【0056】
前記デキストリンは、前記液化および/または糖化する工程以後に、脱色、イオン精製、および濃縮からなる群より選択された1種以上の処理を行う工程を追加的に含む方法で製造されるものであってもよい。
【0057】
前記デキストリンは、前記高純度分離工程以後に、イオン精製および/または濃縮工程を追加的に行って製造されるものであってもよい。
【0058】
前記濃縮工程は、前記高純度分離工程で得られる高純度分画を目的とする固形分含量まで濃縮してデキストリンを得ることであってもよく、例えば、固形分含量30~90重量%、40~90重量%、50~90重量%、30~80重量%、40~80重量%、50~80重量%、30~70重量%、40~70重量%、または50~70重量%に濃縮することであってもよく、好ましくは、固形分含量50重量%以上に濃縮することであってもよい。
【0059】
前記デキストリンは、前記高純度分離工程以後、または前記高純度分離工程以後に精製および/または濃縮工程を経た後、乾燥して粉末化する工程および粉末を水に溶解する工程を追加的に経て製造されるものであってもよい。
【0060】
本発明のまた他の一例は、デンプンを液化してデキストロース当量(Dextrose Equivalent、DE)15~30まで反応する工程;および、反応物を高分子分画と低分子分画に分離して高分子分画および低分子分画を得る工程を含み、前記反応物は、固形分含量100重量%基準で、DP3以上糖類の含量が85重量%以上である、デキストリンおよびオリゴ糖を一括製造する方法に関するものである。前記一括製造する方法は、前記高分子分画からデキストリンを得て、前記低分子分画からオリゴ糖を得る工程を追加的に含むものであってもよい。前記オリゴ糖は、DP3~DP9糖類含量が50重量%以上であるものであってもよい。一例として、前記オリゴ糖は、固形分含量100重量%基準で、マルトテトラオース(G4)を、5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、または65重量%以上含むG4オリゴ糖であってもよい。
【0061】
前記反応物の糖組成は前述の通りであってもよく、例えば、前記反応物は、固形分含量100重量%基準で、DP10以上糖類の含量が40重量%以下であり、DP3~DP9糖類の含量が40重量%以上であり、単糖類および二糖類含量が20重量%以下であるものであってもよい。
【0062】
本発明のまた他の一例は、本発明の一例によるデキストリンを粉末化する工程を含む、粉末デキストリンの製造方法に関するものである。前記デキストリンおよび前記粉末デキストリンは前述の通りである。
【0063】
以下、本発明を下記の実施例によってさらに詳しく説明する。しかし、これら実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれら実施例によって限定されるのではない。
【実施例
【0064】
実施例1.白濁が改善されたデキストリン製造(1)
とうもろこしデンプン7000gを水13000gと混合した後、ハイドロヒーターを通じて液化酵素(α-amylase)(LpHera(登録商標)、Novozymes)を用いて110℃高温液化反応後、再度ハイドロヒーターを通じて130℃~140℃で通過させて液化酵素を失活させた。
その後、熱交換機を経て61℃に低めた後、シュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)由来耐熱性a-amylaseとしてエキソマルトテトラヒドロラーゼ(Exo-maltotetrahydrolase)(アミロ-G4TM、三養社)を用いて高含量のマルトテトラオース加水分解を行って、E20~22で反応を完了した。
その後、前記反応生成物を80℃で加温後、活性炭を固形分に対比して0.1~0.8重量%を投入して30分以上攪拌した。その後、フィルタープレスを経て活性炭を除去後、イオン精製、濃縮を経て9600gの糖液(試料1)を得た。試料1の糖組成を分析して重量%で表1に記載した。
試料1からデキストリンを得るために、SMB(simulated moving bed)を行って高分子分画および低分子分画に分離した。分離樹脂としてUBK530Na type樹脂を使用し、高分子分画をデキストリン分画として得て、低分子分画をオリゴ糖分画として得た。デキストリン分画およびオリゴ糖分画の糖組成を固形分含量100重量%基準で表1に示した。
その後、デキストリン分画をイオン精製を経て固形分含量が50重量%、60重量%、または70重量%になるように濃縮して、以後の実験に使用した(試料名:実施例1)。
【0065】
【表1】
【0066】
実施例2.白濁が改善されたデキストリン製造(2)
実施例1と実質的に同様な方法で行うが、DE22~24で酵素反応を完了し、反応生成物を実施例1と同様な方法で、活性炭、フィルタープレス、イオン精製、および濃縮を通じて9600gの糖液(試料2)を得た。試料2の糖組成を分析して重量%で表2に記載した。
実施例1と実質的に同様な方法で、SMBを行って試料2を高分子分画および低分子分画に分離して、デキストリン分画およびオリゴ糖分画を得た。得られたデキストリン分画およびオリゴ糖分画の糖組成を固形分含量100重量%基準で表2に示した。
その後、デキストリン分画をイオン精製を経て固形分含量が50重量%、60重量%、または70重量%になるように濃縮して以後実験に使用した(試料名:実施例2)。
【0067】
【表2】
【0068】
実施例3.白濁が改善されたデキストリン製造(3)
とうもろこしデンプン7000gを水13000gと混合した後、ハイドロヒーターを通じて液化酵素(Lphera(登録商標)、Novozymes)を用いて110℃高温液化反応し、DE20~24で液化酵素を失活させた。
80℃で加温後、活性炭を固形分に対比して0.1~0.8重量%を投入して30分以上攪拌した。その後、フィルタープレスを経て活性炭を除去後、イオン精製、濃縮を経て9600gの糖液(試料3)を得た。試料3の糖組成を重量%で表3に記載した。
試料3からデキストリンを得るために、SMB(simulated moving bed)を行って高分子と低分子を分離した。分離樹脂としてUBK530Na type樹脂を使用し、高分子分画をデキストリン分画として得て、低分子分画をオリゴ糖分画として得た。デキストリン分画およびオリゴ糖分画の糖組成を、固形分含量100重量%基準で、表3に示した。
その後、デキストリン分画を、イオン精製を経て、固形分含量が50重量%、60重量%、または70重量%になるように濃縮して、以後実験に使用した(試料名:実施例3)。
【0069】
【表3】
【0070】
実施例4.白濁が改善されたデキストリンの冷解凍安定性テスト(1)
実施例1~実施例3で製造したデキストリン分画を、イオン精製後、固形分含量50重量%に濃縮して、液状デキストリンの冷解凍安定性をテストした。対照群として、DE7デキストリン(比較例1)、DE12デキストリン(比較例2)、およびDE18デキストリン(比較例3)を固形分含量50重量%に濃縮して使用した。比較例1~比較例3デキストリンの糖組成を表4に示した。
【0071】
【表4】
【0072】
6種の液状デキストリン試料を零下20度の冷凍室に1時間放置後、室温に1時間放置して解凍させることを1回遂行して、再び冷凍室と室温にそれぞれ1時間ずつ放置することを繰り返し、各回次ごとに分光光度計を用いて720nmで吸光度を測定して、溶液の白濁発生有無を確認した。これは、水溶性高分子デキストリンの老化を誘発することで、製品品質安定性を確認しようとするためのものである。
【0073】
冷解凍安定性テスト結果を表5に示した。表5に示されているように、実施例1および2のデキストリン溶液は20回次まで白濁が発生しなかった。比較例1のデキストリンシロップは、2回次から白濁が発生し、比較例2のデキストリンシロップは、8回次から白濁が発生し、比較例3のデキストリン溶液は、12回次から白濁が発生した。
【0074】
【表5】
【0075】
実施例5.白濁が改善されたデキストリンの冷解凍安定性テスト(2)
実施例4と同様な方法で、実施例1~実施例3で製造したデキストリン分画をイオン精製後、固形分含量60重量%に濃縮して液状デキストリンの冷解凍安定性をテストした。対照群として、比較例1~比較例3のデキストリンを固形分含量60重量%に濃縮して使用した。
冷解凍安定性テスト結果を表6に示した。表6に示されているように、実施例1~3の液状デキストリンは、20回次まで白濁が発生しなかった。比較例1のデキストリンシロップは、1回次から白濁が発生し、比較例2の液状デキストリンは、5回次から白濁が発生し、比較例3の液状デキストリンは、8回次から白濁が発生した。
【0076】
【表6】
【0077】
実施例6.白濁が改善されたデキストリンの冷解凍安定性テスト(3)
実施例4と同様な方法で、実施例1~実施例3で製造したデキストリン分画をイオン精製後、固形分含量70重量%に濃縮して液状デキストリンの冷解凍安定性をテストした。対照群として、比較例1~比較例3のデキストリンを固形分含量70重量%に濃縮して使用した。
冷解凍安定性テスト結果を表7に示した。表7に示されているように、実施例1~3の液状デキストリンは20回次まで白濁が発生しなかった。比較例1のデキストリンシロップは、1回次から白濁が発生し、比較例2の液状デキストリンは、2回次から白濁が発生し、比較例3の液状デキストリンは、4回次から白濁が発生した。各試料の20回次冷解凍安定性テスト結果後の様子を図1に示した。
【0078】
【表7】
【0079】
実施例7.白濁が改善されたデキストリンの冷蔵安定性テスト
実施例6と同様な方法で行うが、70重量%の液状デキストリン6種を5℃の冷蔵室に貯蔵して、白濁発生有無を実施例4と同様な方法で24時間ごとに確認した。冷蔵安定性テスト結果を表8に示した。表8に示されているように、実施例1~実施例3の液状デキストリンは、20回次まで白濁が発生せず、比較例1~比較例3の液状デキストリンは、貯蔵1日次で白濁が発生した。
【0080】
【表8】
【0081】
実施例8.粘度分析
実施例1~3で製造したデキストリンの粘度を測定した。Brookfield粘度計を使用し、Spindle No.62を使用してSpeed30で粘度を測定した。実施例1~3で製造したデキストリン試料を50Brixに合わせて、温度を10℃間隔で調節して30℃~70℃温度で1時間加温後、粘度を測定してmPa*s単位で表9に示した。また、実施例1~3で製造したデキストリン試料を20℃温度で、Brix10間隔で10~50Brixで粘度を測定してmPa*s単位で表10に示した。
【0082】
【表9】
【0083】
【表10】
【0084】
表9および表10に示されているように、実施例1~実施例3のデキストリンは、DE値が類似している比較例1と比較して顕著に低い粘度を有し、DE18のデキストリンと類似している粘度を有した。DE値が低まれば粘度が高まるのが一般的であるが、実施例1~実施例3のデキストリンは、比較例1および比較例2と比較して低いDE値を有するのにもかかわらず、顕著に低い粘度を示した。これは、実施例1~実施例3のデキストリンは粘度に影響を与える高分子糖類の分布比率が相対的に減少していることを意味した。
【0085】
実施例9.分子量分布分析
実施例1~3で製造したデキストリンの分子量分布を分析するために、HPLC-RI systemを使用し、分析装備に使用したcolumnはTosoh社のTSKgel G3000PWxl、G4000PWxlを連結して80℃の温度で3次蒸留水を移動相にして、0.5ml/minでサンプル当り60分ずつ分析した。対照群として比較例1および2のデキストリンを使用した。また、分子量分布を比較するために、DE20以上の糖シロップ試料(corn syrup)3種(糖シロップ1(DE24):(株)三養社低甘味水飴、糖シロップ2(DE22):(株)三養社マルトオリゴ糖G4、糖シロップ3(DE26):試料1と同じ方法で製造し、G4含量50重量%以上DE26で製造したG4オリゴ糖シロップ)を共に分析した。
サンプルは2重量%に希釈して、20μL injection volumnで分析した。分子量分布を確認するために、Showa denkoのShodex Pullulan Standard(P-5、10、20、50、100、200、400、800)を使用した。Standardグラフは図2のように確認された。分子量分布分析結果を表11に示した。
表11に示されているように、実施例1~実施例3のデキストリンは、分子量100,000以上の炭水化物含量が比較例1および比較例2に対比して低く、白濁を誘発する高分子ポリマーの含量が相対的に低くて白濁が発生しなかった。また、実施例1~実施例3のデキストリンの分子量1,000以下の炭水化物の含量は、比較例1と類似していて、DE12未満の低いDE値を有した。また、本発明の一例によるデキストリンは、10万以上の高分子量を有する炭水化物の分布がDE20以上の糖シロップと類似していて、単糖類および二糖類の含量は低くてDE値は低いながらも、DE20以上の糖シロップのように白濁が防止されたことが分かった。具体的に、本発明の一例によるデキストリンの分子量分布をDE20超過の糖シロップと分子量分布を比較したとき、糖シロップは全体固形分の70重量%以上が分子量(M.W.)2,500以下に存在する反面、実施例1~3のデキストリンの場合、分子量2,500以下含量が糖シロップに対比して最小20%以上減少したのを確認することができた。したがって、本発明の一例によるデキストリンは、既存水飴に対比して低分子の比率は低いながらも、既存デキストリンに対比して分子量100,000以上の高分子の比率が低くて食品に柔らかなボディー感付与が可能であり、既存高分子デキストリンが有している穀物臭が減少して製品の甘味と風味増強に役立つことが可能である。また、既存デキストリンの噴霧賦形剤機能を同等の水準に有し、白濁が防止され、糖シロップと類似な粘度を有する特性を有している。
【0086】
【表11】
【0087】
実施例10.デキストリンおよびマルトオリゴ糖の同時製造
実施例1~3でデキストリン製造時、SMB分離前試料1~3の糖組成を固形分含量100重量%基準で表12に示し、SMB分離工程後得られた低分子分画の糖組成を固形分含量100重量%基準で表13に示した。
【0088】
【表12】
【0089】
【表13】
【0090】
表12に示されているように、分離原液のDE値は20~28であり、固形分含量100重量%基準で、3糖類~9糖類であるマルトオリゴ糖の含量が40重量%以上であり、10糖類以上の高分子含量が40重量%以下、単糖類および二糖類含量が15重量%以下であった。または、分離原液の固形分含量100重量%を基準にして、3糖類~9糖類のマルトオリゴ糖および10糖類以上糖類の合計含量が85重量%以上であった。
前記のように特定糖組成を有する分離原液をSMB分離してデキストリン分画と共に高品質のオリゴ糖分画を同時に得ることができた。具体的に、表13に示されているように、本発明の一例によるデキストリン製造時発生する副産物(ラフィネート)であるオリゴ糖分画は、DP3~DP9のマルトオリゴ糖含量が50重量%以上であるオリゴ糖であり、マルトオリゴ糖含量が固形分1g当り50%以上であるため活用価値が高い。よって、本発明の一例による製造方法は、白濁が改善されたデキストリンおよび純度50%以上のマルトオリゴ糖を同時に製造することができる。
図1
図2
【国際調査報告】