(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】炭化水素フィードの水素異性化プロセス
(51)【国際特許分類】
C10G 45/64 20060101AFI20240116BHJP
B01J 23/44 20060101ALI20240116BHJP
B01J 29/74 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
C10G45/64
B01J23/44 M
B01J29/74 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540108
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 US2021064266
(87)【国際公開番号】W WO2022146732
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、イーファ
(72)【発明者】
【氏名】レイ、グワン - ダオ
(72)【発明者】
【氏名】オジョ、アデオラ フローレンス
【テーマコード(参考)】
4G169
4H129
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BC65A
4G169BC69A
4G169BC72B
4G169BC75B
4G169BE17C
4G169CB02
4G169CB62
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4G169ZF05B
4G169ZF09B
4H129HA17
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4H129KC17X
4H129KD18X
4H129KD21X
4H129KD23X
4H129NA25
4H129NA37
4H129NA45
(57)【要約】
本明細書では、炭化水素フィードを水素異性化するプロセスについて説明する。当該プロセスは、炭化水素フィードと水素異性化添加剤とを組み合わせて混合フィードを提供することと、当該混合フィードを、ゼオライトSSZ-91を含む水素異性化触媒と接触させることとを含んでもよく、当該水素異性化添加剤が、置換または非置換の窒素複素環である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素フィードを水素異性化するプロセスであって、
炭化水素フィードと水素異性化添加剤を組み合わせて混合フィードを提供することと、
前記混合フィードを水素異性化触媒と接触させることと、を含み、
ここで、前記水素異性化添加剤は置換または非置換の窒素複素環であり、かつ前記水素異性化触媒はゼオライトSSZ-91を含む、前記プロセス。
【請求項2】
炭化水素フィードを水素異性化することによって生成される基油の収率を増大させるプロセスであって、
炭化水素フィードと水素異性化添加剤を組み合わせて混合フィードを提供することと、
前記混合フィードを、ゼオライトSSZ-91を含む水素異性化触媒と接触させて基油生成物を形成することと、を含み、
ここで、前記水素異性化添加剤は、置換または非置換の窒素複素環であり、
前記基油生成物の収率は、前記水素異性化添加剤の非存在下で実施されるプロセスと比較して、少なくとも1.0重量%改善される、前記プロセス。
【請求項3】
前記水素異性化添加剤が3~10の範囲のDBE(二重結合当量)数を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記水素異性化添加剤が、置換または非置換芳香族窒素複素環である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記水素異性化添加剤が約600未満の分子量を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記水素異性化添加剤が、置換または非置換の三環式縮合環芳香族窒素複素環、置換または非置換の二環式縮合環芳香族窒素複素環、及び単環芳香族窒素複素環から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記水素異性化添加剤が、置換または非置換のカルバゾール、ピロール、ピリジン、インドール、キノリン及びアクリジンから選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記水素異性化添加剤が、C
1-10アルキル;ヒドロキシル;C
1-10アルコキシ;C
1-10カルボキシル及び-NR’R”から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されている置換窒素複素環であり、ここでR’及びR”は独立してHまたはC
1-10アルキルである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
請求項1に記載のプロセスであって、前記水素異性化添加剤が、式Iによる、置換または非置換芳香族窒素複素環であり:
【化1】
式中、
R
1は、水素、C
1-10アルキル、ヒドロキシル、C
1-10アルコキシ、C
1-10カルボキシルから選択され、
R
2及びR
3は、水素、C
1-10アルキル、ヒドロキシル、C
1-10アルコキシ、C
1-10カルボキシル及び-NR’R”から独立して選択され、
ここで、R’及びR”は独立してHまたはC
1-10アルキルである、前記プロセス。
【請求項10】
R
1が、C
1-4アルキルから選択され、R
2及びR
3が水素である、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記炭化水素フィードと前記水素異性化添加剤を組み合わせることが、前記炭化水素フィードの重量に基づいて約10~約500ppmの前記水素異性化添加剤を前記炭化水素フィードに添加することを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記炭化水素フィードと前記水素異性化添加剤を組み合わせることが、前記炭化水素フィードの重量に基づいて、約0.1~約50ppmの範囲の量で、前記炭化水素フィードに対して窒素を提供する量で、前記水素異性化添加剤を添加することを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記炭化水素フィードと前記水素異性化添加剤とを組み合わせて、水素異性化反応器に供給する前に前記混合フィードを形成する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記炭化水素フィードの30%蒸留温度が少なくとも約900°F(482℃)である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
前記炭化水素フィードが約0℃以上の流動点を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記水素異性化触媒がさらに第8~10族金属を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
前記混合フィードを水素異性化条件下で前記水素異性化触媒及び水素と接触させ、前記水素異性化条件が約550°F~約750°F(288℃~399℃)の範囲の温度を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項18】
請求項17に記載のプロセスであって、前記水素異性化条件がさらに、
約15~約3000psig(0.10~20.68MPaゲージ)の範囲の圧力と、
約0.1~約20h
-1LHSVの範囲の速度での、前記水素異性化触媒を含有する反応器への混合フィードの供給速度と、
混合フィード1バレル当たり約2000~約10,000標準立方フィートH
2(約360~約1800m
3H
2/m
3フィード)の比率で前記反応器に供給される水素及び混合フィードと、を含む、前記プロセス。
【請求項19】
前記混合フィードと前記水素異性化触媒とを接触させることによる前記炭化水素フィードの水素異性化に続いて生成される水素異性化ストリームを水素化仕上げ触媒と接触させて、約-5℃以下の流動点を有する基油を得る、請求項1に記載のプロセス。
【請求項20】
前記混合フィードと前記水素異性化触媒とを接触させることによって生成される基油の収率が、前記水素異性化添加剤の非存在下で行われるプロセスと比較して少なくとも1.0重量%改善される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項21】
炭化水素フィードと水素異性化触媒とを接触させることによって生成される基油の収率を改善するためのプロセスであって、前記炭化水素フィードと水素異性化添加剤とを組み合わせて、混合フィードと前記水素異性化触媒とを接触させる前に、前記混合フィードを形成することを含み、
ここで、前記水素異性化添加剤は置換または非置換の窒素複素環であり、かつ前記水素異性化触媒はゼオライトSSZ-91を含む、前記プロセス。
【請求項22】
生成された前記基油が約-5℃以下の流動点を有する、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記水素異性化添加剤の非存在下で行われるプロセスと比較して、前記収率が少なくとも1.0重量%改善される、請求項21に記載のプロセス。
【請求項24】
前記水素異性化添加剤がカルバゾールである、請求項21に記載のプロセス。
【請求項25】
前記水素異性化添加剤が前記炭化水素フィードに少なくとも約10ppmの量で添加される、請求項21に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月30日出願の米国出願第17/138,223号に対する優先権の利益を主張しており、この出願の開示内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本明細書には、水素異性化添加剤を使用して炭化水素フィードを水素異性化するための新しいプロセスが記載されている。
【背景技術】
【0003】
水素異性化とは、炭化水素フィードが水素異性化される際に、イソパラフィンとn-パラフィンの比率を増大させるプロセスである。したがって、水素異性化は、炭化水素フィードを改良して、由来する炭化水素フィードと比較して流動点が低いなどの特性が改善された基油を提供するために使用される。水素異性化触媒は、モレキュラーシーブを含み、モレキュラーシーブの細孔がモレキュラーシーブに入り得る分子のサイズと形状を決定する。
【0004】
新しく改良された水素異性化プロセスを開発する必要性が継続的に存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、炭化水素フィードを水素異性化することによって生成される基油の収率を向上させるプロセスに関する。本発明は、水素異性化添加剤として窒素複素環を炭化水素フィードに添加すると、炭化水素フィードを、ゼオライトSSZ-91を含む水素異性化触媒と接触させることによって生成される基油の収率が向上するという本発明者らの驚くべき発見に基づいている。
【0006】
第1の態様によれば、炭化水素フィードを水素異性化するプロセスが提供され、このプロセスは、
炭化水素フィードと水素異性化添加剤とを組み合わせて混合フィードを提供することと;
混合フィードを水素異性化触媒と接触させることとを含み、
ここで、この水素異性化添加剤は、置換または非置換の窒素複素環であり、水素異性化触媒はゼオライトSSZ-91を含む。
【0007】
第2の態様によれば、炭化水素フィードを水素異性化することによって生成される基油の収率を増大させるプロセスが提供され、このプロセスは:
炭化水素フィードと水素異性化添加剤とを組み合わせて混合フィードを提供することと、
この混合フィードを、ゼオライトSSZ-91を含む水素異性化触媒と接触させて基油生成物を形成することと、を含み、
ここで、この水素異性化添加剤は、置換または非置換の窒素複素環であり、かつ
基油生成物の収率は、水素異性化添加剤の非存在下で実施されるプロセスと比較して、少なくとも1.0重量%改善される。
【0008】
第3の態様によれば、混合フィードと水素異性化触媒とを接触させる前に、炭化水素フィードと水素異性化添加剤とを組み合わせて混合フィードを形成することにより、炭化水素フィードと水素異性化触媒とを接触させることによって生成される基油の収率を向上させるための水素異性化添加剤の使用が提供され、
ここで、水素異性化添加剤は置換または非置換の窒素複素環であり、この水素異性化触媒はゼオライトSSZ-91を含む。
【0009】
当業者であれば、相互に排他的な場合を除き、上記の態様のいずれか1つに関連して説明した特徴は、任意の他の態様にも準用して適用され得ることを理解するであろう。さらに、相互に排他的な場合を除いて、本明細書に記載の任意の特徴は、任意の態様に適用されてもよく、及び/または本明細書に記載の任意の他の特徴と組み合わされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による炭化水素フィードを水素異性化するプロセスを概略的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
序文
本明細書で使用される「窒素複素環」という用語は、ある環の位置を占める少なくとも1つの窒素ヘテロ原子を含む複素環式化合物を指す。実施形態では、窒素複素環に含まれるヘテロ原子(複数可)は窒素からなる。実施形態では、窒素複素環は単一のヘテロ原子のみを含み、単一のヘテロ原子は窒素である。
【0012】
本明細書で使用される「二重結合当量(double bond equivalent)」または「DBE」という用語は、分子のすべてのパイ結合を単結合に変換するために、及びすべての環を非環式構造に変換するために、所定の分子(例えば、本明細書に記載の窒素複素環)に付加する必要があるH2の分子の数を指す。DBE(二重結合当量)数は、次の方程式を使用して分子式から決定され得る。
DBE=C-(H/2)+(N/2)+1
ここで、Cは分子中の炭素原子の数、Hは水素原子の数、及びNは窒素原子の数である。例えば、DBE番号1は、1つの環または1つの二重結合に対応し、DBE番号2は、2つの環、2つの二重結合、1つの三重結合、または1つの環に加えて1つの二重結合に対応する。例えば、カルバゾールのDBE番号は9(3つの環のそれぞれに1つ、3つの二重結合のそれぞれに1つ)であり、エチルカルバゾールのDBE番号も9(3つの環のそれぞれに1つ、及びそれぞれ3つの二重結合に1つ)である。
【0013】
本明細書で使用する「流動点」という用語は、油、例えば本明細書に記載の炭化水素フィードが制御された条件下で流れ始める温度を指す。流動点は、ASTM D5950に従って測定され得る。
【0014】
特に明記しない限り、触媒反応ゾーンに供給される炭化水素フィードの「供給速度」は、本明細書では、1時間当たりの触媒の容積当たりのフィードの容積として表され、逆数時間(h-1)単位付きの液体時間空間速度(LHSV)と呼ばれる場合もある。
【0015】
「*MRE型モレキュラーシーブ」及び「EUO型モレキュラーシーブ」という用語には、国際ゼオライト協会のフレームワークに割り当てられたすべてのモレキュラーシーブ及びそのアイソタイプが含まれ、これはAtlas of Zeolite Framework Types,eds.Ch. Baerlocher,L.B.McCusker and D.H.Olson,Elsevier,6th revised edition,2007 ならびに国際ゼオライト協会のウェブサイトのゼオライト構造のデータベースwebsite (http://www.iza-online.org)に記載のとおりである。
【0016】
「第2、8、9及び10族金属」とは、元素周期律表の2、8、9及び10族から選択される元素金属、及び/またはそのような金属を含む金属化合物を指す。
【0017】
「周期表」という用語は、2018年12月1日付のバージョンのIUPAC元素周期表を指す。
【0018】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的のために、別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される量、パーセンテージまたは割合を表す、すべての数値、及びその他の数値は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、別段の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメーターは、得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの、ある(不定冠詞:a)」、「1つの、ある(不定冠詞:an)」、及び「この、その(定冠詞:the)」は、明示的かつ明確に1つの指示対象に限定されない限り、複数の指示を含むことに留意されたい。本明細書で使用される「含む」という用語及びその文法的変形は、非限定的なものであることを意図しており、リスト内の項目の言及は、リストされた項目に置換または追加できる他の同様の項目を除外するものではない。本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、その用語の後に特定される要素またはステップを含むことを意味するが、そのような要素またはステップはすべてを網羅するものではなく、実施形態は他の要素またはステップを含んでもよい。
【0019】
特に明記しない限り、個々の構成要素または構成要素の混合物を選択できる要素、材料、または他の構成要素の種類の記載は、列挙された成分及びそれらの混合物のすべての可能な下位一般的な組み合わせを含むことを意図する。さらに、本明細書に示されるすべての数値範囲には、その上限値と下限値が含まれる。
【0020】
本明細書で標準テストについて言及する場合、特に明記しない限り、参照される試験のバージョンは、この特許出願の提出時点で最新のものである。
【0021】
特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者が思いつく他の例を含み得る。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造的要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文言と実質的な差異を有さない同等の構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内であることが意図される。本明細書と矛盾しない範囲で、本明細書で言及されるすべての引用は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
水素異性化添加剤
本明細書では、水素異性化触媒を使用して炭化水素フィードを水素異性化する前に、炭化水素フィードに導入してもよい水素異性化添加剤について説明する。炭化水素フィードへの水素異性化添加剤の添加は、驚くべきことに、本明細書に記載の水素異性化プロセスによって生成される水素異性化基油生成物の収率を増大させることが見出された。
【0023】
ここで、水素異性化添加剤は、置換または非置換の窒素複素環である。実施形態では、置換または非置換の窒素複素環は、置換または非置換の芳香族窒素複素環である。
【0024】
実施形態では、水素異性化添加剤は、3~10、例えば4~10、6~10、7~10、8~10、または7~9の範囲の二重結合当量(DBE)数を有する。実施形態では、水素異性化添加剤の二重結合当量(DBE)数は9である。
【0025】
実施形態では、水素異性化添加剤は、約600未満、例えば約500未満、約250未満、または約200未満の分子量を有する。実施形態では、水素異性化添加剤は、約60~約600、例えば約60~約250の範囲の分子量を有する。
【0026】
実施形態では、水素異性化添加剤は以下から選択される。置換もしくは非置換の三環式縮合環芳香族窒素複素環(例えば、置換もしくは非置換の11~14員の芳香族複素環);置換または非置換の二環式縮合環芳香族窒素複素環(例えば、置換または非置換の8~10員の二環式縮合環芳香族複素環);及び単環芳香族窒素複素環(例えば、置換または非置換の5または6員の二環式縮合環芳香族複素環)。実施形態では、水素異性化添加剤は、置換または非置換のカルバゾール、置換または非置換のピロール、置換または非置換のピリジン、置換または非置換のインドール、置換または非置換のキノリン、及び置換または非置換のアクリジンから選択される。実施形態では、水素異性化添加剤は、置換または非置換のカルバゾールである。実施形態では、水素異性化添加剤は、置換のカルバゾールである。実施形態では、水素異性化添加剤はN-エチルカルバゾールである。
【0027】
実施形態では、水素異性化添加剤は、以下:アルキル;ヒドロキシル;アルコキシ;カルボキシル;及び-NR’R”から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されている置換窒素複素環(例えば、置換芳香族窒素複素環)であり、式中R’及びR”は独立してHまたはアルキルである。実施形態では、水素異性化添加剤は、以下:C1-10アルキル;ヒドロキシル;C1-10アルコキシ;C1-10カルボキシル;及び-NR’R”から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されている置換窒素複素環(例えば、置換芳香族窒素複素環)であり、式中R’及びR”は独立して、HまたはC1-10アルキルである。実施形態では、水素異性化添加剤は、置換窒素複素環(例えば、置換芳香族窒素複素環)であり、これは、以下:C1-6アルキル、ヒドロキシル、C1-6アルコキシ、C1-6カルボキシル及び-NR’R”から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されており、式中、R’及びR”は独立してHまたはC1-6アルキルである。実施形態では、水素異性化添加剤は、置換窒素複素環(例えば、置換芳香族窒素複素環)であり、これは、以下:C1-4アルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ、C1-4カルボキシル及び-NR’R”から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されており、式中、R’及びR”は独立してHまたはC1-4アルキルである。実施形態では、水素異性化添加剤は、C1-10アルキルから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されている、置換窒素複素環(例えば、置換芳香族窒素複素環)である。実施形態では、水素異性化添加剤は、置換窒素複素環(例えば、置換芳香族窒素複素環)であり、これは、C1-6アルキルから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されている。実施形態では、水素異性化添加剤は、置換窒素複素環(例えば、置換芳香族窒素複素環)であり、これは、C1-4アルキルから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されている。
【0028】
実施形態では、水素異性化添加剤は、非置換窒素複素環(例えば、非置換芳香族窒素複素環)である。
【0029】
実施形態では、水素異性化添加剤は、式Iによる置換または非置換の芳香族窒素複素環である:
【化1】
式中、
R
1は、水素、C
1-10アルキル、ヒドロキシル、C
1-10アルコキシ、C
1-10カルボキシルから選択され;かつ
R
2及びR
3は、水素、C
1-10アルキル、ヒドロキシル、C
1-10アルコキシ、C
1-10カルボキシル及び-NR’R”から独立して選択され、R’及びR”は独立してHまたはC
1-10アルキルである。
【0030】
実施形態では、R1は、水素、C1-10アルキル、ヒドロキシル、C1-10アルコキシ、C1-10カルボキシルから選択される。実施形態では、R1は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、C1-6アルコキシ、C1-6カルボキシルから選択される。実施形態では、R1は、水素、C1-4アルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ、C1-4カルボキシルから選択される。実施形態では、R1は、水素及びC1-10アルキルから選択される。実施形態では、R1は、水素及びC1-6アルキルから選択される。実施形態では、R1は、水素及びC1-4アルキルから選択される。実施形態では、R1はC1-10アルキルである。実施形態では、R1は、C1-6アルキルである。実施形態では、R1は、C1-4アルキルである。
【0031】
実施形態では、R2及びR3は独立して、水素、C1-10アルキル、ヒドロキシル、C1-10アルコキシ、C1-10カルボキシル及び-NR’R”から選択され、式中R’及びR”は独立してHまたはC1-10アルキルである。実施形態では、R2及びR3は独立して、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、C1-6アルコキシ、C1-6カルボキシル及び-NR’R”から選択され、式中、R’及びR”は独立してHまたはC1-6アルキルである。実施形態では、R2及びR3は独立して水素、C1-4アルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ、C1-4カルボキシル及び-NR’R”から選択され、式中、R’及びR”は独立してHまたはC1-4アルキルである。実施形態では、R2及びR3は、水素及びC1-10アルキルから独立して選択される。実施形態では、R2及びR3は独立して水素及びC1-6アルキルから選択される。実施形態では、R2及びR3は独立して水素及びC1-4アルキルから選択される。実施形態では、R2及びR3は、水素である。
【0032】
実施形態では、R1は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、C1-6アルコキシ、C1-6カルボキシルから選択され;そして、R2及びR3は、独立して、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、C1-6アルコキシ、C1-6カルボキシル及び-NR’R”から選択され、ここで、R’及びR”は、独立して、HまたはC1-6アルキルである。実施形態では、R1は、水素、C1-4アルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ、C1-4カルボキシルから選択され;かつR2及びR3は独立して、水素、C1-4アルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ、C1-4カルボキシル及び-NR’R”から選択され、式中、R’及びR”は独立してHまたはC1-4アルキルである。実施形態では、R1は、水素及びC1-10アルキルから選択され;かつR2及びR3は、水素及びC1-10アルキルから独立して選択される。実施形態では、R1は、水素及びC1-6アルキルから選択され;かつR2及びR3は独立して水素及びC1-6アルキルから選択される。実施形態では、R1は、水素及びC1-4アルキルから選択され;かつR2及びR3は独立して水素及びC1-4アルキルから選択される。実施形態では、R1は、C1-10アルキルであり;かつR2及びR3は水素である。実施形態では、R1は、C1-6アルキルであり;かつR2及びR3は水素である。実施形態では、R1は、C1-4アルキルであり;かつR2及びR3は水素である。実施形態では、R1は、C1-3アルキルであり;かつR2及びR3は水素である。実施形態では、R1は、C1-2アルキル;及びR2及びR3は水素である。実施形態では、R1は、C2アルキルであり;かつR2及びR3は水素である。
【0033】
実施形態では、R1は、水素、C1-10アルキル、ヒドロキシル、C1-10アルコキシ、C1-10カルボキシルから選択され;かつR2及びR3は独立して、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、C1-6アルコキシ、C1-6カルボキシル及び-NR’R”から選択され、式中、R’及びR”は独立してHまたはC1-6アルキルである。実施形態では、R1は、水素、C1-10アルキル、ヒドロキシル、C1-10アルコキシ、C1-10カルボキシルから選択され;かつR2及びR3は独立して、水素、C1-4アルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ、C1-4カルボキシル及び-NR’R”から選択され、式中、R’及びR”は独立してHまたはC1-4アルキルから選択される。実施形態では、R1は、水素、C1-10アルキル、ヒドロキシル、C1-10アルコキシ、C1-10カルボキシルから選択され;かつR2及びR3は、水素及びC1-10アルキルから独立して選択される。実施形態では、R1は、水素、C1-10アルキル、ヒドロキシル、C1-10アルコキシ、C1-10カルボキシルから選択され;かつR2及びR3は独立して、水素及びC1-6アルキルから選択される。実施形態では、R1は、水素、C1-10アルキル、ヒドロキシル、C1-10アルコキシ、C1-10カルボキシルから選択され;かつR2及びR3は独立して、水素及びC1-4アルキルから選択される。実施形態では、R1は、水素、C1-10アルキル、ヒドロキシル、C1-10アルコキシ、C1-10カルボキシルから選択され;かつR2及びR3は水素である。
【0034】
実施形態では、R1は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、C1-6アルコキシ、C1-6カルボキシルから選択され;かつR2及びR3は独立して、水素、C1-10アルキル、ヒドロキシル、C1-10アルコキシ、C1-10カルボキシル及び-NR’R”から選択され、式中、R’及びR”は独立してHまたはC1-10アルキルである。実施形態では、R1は、水素、C1-4アルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ、C1-4カルボキシルから選択され;かつR2及びR3は独立して、水素、C1-10アルキル、ヒドロキシル、C1-10アルコキシ、C1-10カルボキシル及び-NR’R”から選択され、式中、R’及びR”は独立してHまたはC1-10アルキルである。実施形態では、R1は、水素及びC1-10アルキルから選択され;かつR2及びR3は独立して、水素、C1-10アルキル、ヒドロキシル、C1-10アルコキシ、C1-10カルボキシル及び-NR’R”から選択され、式中、R’及びR”は独立してHまたはC1-10アルキルである。実施形態では、R1は、水素及びC1-6アルキルから選択される。実施形態では、R1は、水素及びC1-4アルキルから選択され;かつR2及びR3は独立して水素、C1-10アルキル、ヒドロキシル、C1-10アルコキシ、C1-10カルボキシル及び-NR’R”から選択され、かつ式中、R’及びR”は独立してHまたはC1-10アルキルである。実施形態では、R1は、C1-10アルキルであり;かつR2及びR3は独立して水素、C1-10アルキル、ヒドロキシル、C1-10アルコキシ、C1-10カルボキシル及び-NR’R”から選択され、式中、R’及びR”は独立してHまたはC1-10アルキルである。実施形態では、R1は、C1-6アルキルであり;かつR2及びR3は独立して水素、C1-10アルキル、ヒドロキシル、C1-10アルコキシ、C1-10カルボキシル及び-NR’R”から選択され、式中、R’及びR”は独立してHまたはC1-10アルキルである。実施形態では、R1は、C1-4アルキルであり;かつR2及びR3は独立して、水素、C1-10アルキル、ヒドロキシル、C1-10アルコキシ、C1-10カルボキシル及び-NR’R”から選択され、式中、R’及びR”は独立してHまたはC1-10アルキルである。
【0035】
水素異性化触媒
実施形態では、水素異性化触媒はゼオライトSSZ-91を含む。
【0036】
実施形態では、水素異性化触媒は、水素異性化触媒の総重量に対して約5~約95重量%のゼオライトSSZ-91、例えば、水素異性化触媒の総重量に対して、約10~約95重量%のゼオライトSSZ-91、約20~約90重量%のゼオライトSSZ-91、約25~約85重量%のゼオライトSSZ-91、約30~約80重量%のゼオライトSSZ-91、約35~約75重量%のゼオライトSSZ-91、約35~約55重量%のゼオライトSSZ-91、約45~約75重量%のゼオライトSSZ-91、または約55~約75重量%のゼオライトSSZ-91を含む。
【0037】
水素異性化触媒はさらに、金属修飾剤、例えば第2族、第8族、第9族及び第10族の金属またはそれらの組み合わせから選択される金属修飾剤を含む。実施形態では、金属修飾剤は、8族、9族、または10族の金属及びそれらの組み合わせから選択され、例えば、金属修飾剤は、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt及びそれらの組み合わせから選択され得る。実施形態では、金属改質剤は、第10族金属及びそれらの組み合わせから選択される。実施形態では、水素異性化触媒は白金を含む。
【0038】
実施形態では、水素異性化触媒は、水素異性化触媒の総重量に対して約0.05~約2.0重量%の金属修飾剤(例えば、8、9または10族の金属、例えば白金などの10族の金属)、例えば、水素異性化触媒の総重量の約0.1~約1.5重量%、または約0.2~約1.5重量%、または約0.1~約1重量%を含む。
【0039】
実施形態では、水素異性化触媒は酸化物結合剤を含む。実施形態では、酸化物結合剤は無機酸化物である。実施形態では、水素異性化触媒は、アルミナ、シリカ、セリア、チタニア、酸化タングステン、ジルコニア、及びそれらの組み合わせから選択される酸化物結合剤を含む。実施形態では、水素異性化触媒はアルミナを含む酸化物結合剤を含む。適切なアルミナは市販されており、例えば、Sasol(登録商標)のCatapal(登録商標)アルミナ及びPural(登録商標)アルミナ、またはUOP(登録商標)のVersal(登録商標)アルミナが挙げられる。一般に、アルミナは、触媒ベースのマトリックス材料として使用されることが知られている任意のアルミナであり得る。例えば、アルミナは、ベーマイト、バイヤライト、γ-アルミナ、η-アルミナ、θ-アルミナ、δ-アルミナ、χ-アルミナ、またはそれらの混合物であってもよい。実施形態では、水素異性化触媒は、水素異性化触媒の総重量に対して約5~約95重量%の酸化物結合剤、例えば水素異性化触媒の総重量に対して、約5~約80重量%の酸化物結合剤、約10~約70重量%の酸化物結合剤、約20~約70重量%の酸化物結合剤、例えば約25~約65重量%の酸化物結合剤を含む。
【0040】
実施形態では、この水素異性化触媒は:
約5~約95重量%のゼオライトSSZ-91と、
約0.05~約2.0重量%の第8~10族金属と、
約5~約95重量%の酸化物結合剤とを、水素異性化触媒の総重量に対して含む。
【0041】
実施形態では、水素異性化触媒は:
約30~約80重量%のゼオライトSSZ-91と、
約0.1~約1.5重量%の第8~10族金属と、
約20~約70重量%の酸化物結合剤とを、水素異性化触媒の総重量に対して含む。
【0042】
ゼオライトSSZ-91
ゼオライトSSZ-91及びゼオライトSSZ-91の製造方法は、米国特許第9920260号に記載されている。ゼオライトSSZ-91は、SSZ-91モレキュラーシーブとも呼ばれる。
【0043】
ゼオライトSSZ-91のSiO2/Al2O3モル比(SAR)は40~220である。実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、40~200、例えば、70~200、80~200、70~180、80~180、70~160、80~160、70~140、80~140、100~160、100~140、または120~140のSiO2/Al2O3モル比(SAR)を有する。SARは、誘導結合プラズマ(ICP)元素分析によって求める。
【0044】
ゼオライトSSZ-91は、生成物に存在するZSM-48型材料全体の少なくとも70%がポリタイプ6で構成されている。製品中に存在する全ZSM-48タイプ材料のうちのポリタイプ6の割合は、DIFFaXシミュレーションによって決定され、Lobo及びKoningsveldがJ.Am.Chem.Soc.2012,124,13222-13230に記載されており、この無秩序は3つの異なる故障確率によって調整された。「少なくともX%」という表現には、構造内に他のZSM-48ポリタイプが存在しない場合、すなわち材料が100%ポリタイプ6である場合が含まれることに注意のこと。ポリタイプ6の構造は、Lobo及びKoningsveldに記載されている。(J.Am.Chem.Soc.2002,124,13222-13230を参照のこと)。実施形態では、SSZ-91材料は、生成物に存在するZSM-48型材料全体の少なくとも80%がポリタイプ6で構成されている。実施形態では、SSZ-91材料は、生成物に存在するZSM-48型材料全体の少なくとも90%がポリタイプ6で構成されている。ポリタイプ6構造には、国際ゼオライト協会の構造委員会によってフレームワークコード*MREが与えられている。
【0045】
ゼオライトSSZ-91は、1~8の範囲の平均アスペクト比を集合的に有する微結晶を含む多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有する。実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、集合的に1~6、例えば1~5、1~4、または1~3の範囲の平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶集合体として特徴付けられる形態を有する。
【0046】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、約100nm~1.5μmの直径を有する多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有し、凝集体のそれぞれは、集合的に1~8の範囲の平均アスペクト比を有する微結晶の集合体を含む。いくつかの実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、約100nm~1.5μmの直径を有する多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有し、各凝集体は、集合的に1~6の範囲、例えば、1~5、1~4、または1~3の平均アスペクト比を有する微結晶の集合体を含む。本明細書で使用する場合、直径という用語は、検査される各微結晶の短端の最短の長さを指す。
【0047】
ゼオライトSSZ-91は、実質的に純粋な相の材料である。本明細書で使用する場合、「実質的に純粋な相の材料」という用語は、材料がゼオライトのZSM-48ファミリーに属するゼオライト相以外のゼオライト相を完全に含まないか、またはその材料の選択性に測定可能な影響を及ぼさない量で存在するか、またはその材料の選択性に対する材料の欠点よりも少ない。SSZ-91と共結晶化する2つの一般的な相は、EU-1、マガディアイト、ケニヤアイトなどのEUO型のモレキュラーシーブである。これらの追加の相は、別個の相として存在してもよいし、SSZ-91相と相互成長してもよい。
【0048】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、ゼオライトSSZ-91生成物全体の0~7重量%の範囲の量でEUO型モレキュラーシーブ相を含む。実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、0~5.0重量%、例えば0~4.0重量%、または0~3.5重量%の範囲の量のEUO型モレキュラーシーブ相を含む。実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、0.1~7.0重量%、例えば0.1~5.0重量%、0.1~4.0重量%、または0.1~3.5重量%の範囲の量のEUO型モレキュラーシーブ相を含む。実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、0~7重量%のEU-1、例えば、0~5.0重量%のEU-1、0~4.0重量%のEU-1、0~3.5重量%のEU-1、0.1~7.0重量%のEU-1、0.1~5.0重量%のEU-1、0.1~4.0重量%のEU-1、0.1~3.5重量%のEU-1、0.1~2重量%のEU-1、または0.1~1重量%のEU-1を含む。
【0049】
粉末XRDピーク強度の比は、混合物中の任意の2相の重量分率の関数として直線的に変化することが知られている:(Iα/Iβ)=(RIRα/RIRβ)*(xα/xβ)であり、ここで、RIR(参照強度比)パラメーターは、国際回折データセンターの粉末回折ファイル(PDF)データベース(http://www.icdd.com/products/)で見出され得る。したがって、ゼオライトSSZ-91中のEUO相の重量パーセントは、EUO相のピーク強度とSSZ-91相のピーク強度との間の比を測定することによって算出され得る。
【0050】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、以下:
酸化ケイ素(SiO2)対酸化アルミニウム(Al2O3)のモル比(SAR)が40~220と、
ZSM-48型材料全体の少なくとも70%のポリタイプ6と、
0~7.0重量%のEUO型モレキュラーシーブ相と、
を含み、ここで、ゼオライトSSZ-91は、集合的に1~8の平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有する。
【0051】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、以下:
酸化ケイ素(SiO2)対酸化アルミニウム(Al2O3)のモル比(SAR)が40~220と、
ZSM-48型材料全体の少なくとも70%のポリタイプ6と、
0~4.0重量%のEUO型モレキュラーシーブ相と、
を含み、ここでゼオライトSSZ-91は、集合的に1~8という平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有する。
【0052】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、以下:
酸化ケイ素(SiO2)対酸化アルミニウム(Al2O3)のモル比(SAR)が40~220と、
ZSM-48型材料全体の少なくとも70%のポリタイプ6と、
0~3.5重量%のEUO型モレキュラーシーブ相と、
を含み、ここでゼオライトSSZ-91は、集合的に1~8という平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有する。
【0053】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、以下:
酸化ケイ素(SiO2)対酸化アルミニウム(Al2O3)のモル比(SAR)が40~200と、
ZSM-48型材料全体の少なくとも70%のポリタイプ6と、
0~4.0重量%のEUO型モレキュラーシーブ相と、
を含み、ここでゼオライトSSZ-91は、集合的に1~8という平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有する。
【0054】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、以下:
酸化ケイ素(SiO2)対酸化アルミニウム(Al2O3)のモル比(SAR)が70~200と、
ZSM-48型材料全体の少なくとも70%のポリタイプ6と、
0~4.0重量%のEUO型モレキュラーシーブ相と、
を含み、ここでゼオライトSSZ-91は、集合的に1~6の平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有する。
【0055】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、以下:
酸化ケイ素(SiO2)対酸化アルミニウム(Al2O3)のモル比(SAR)が80~200と、
ZSM-48型材料全体の少なくとも70%のポリタイプ6と、
0.1~7.0重量%のEUO型モレキュラーシーブ相と、
を含み、ここでゼオライトSSZ-91は、1~6の平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有する。
【0056】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、以下:
酸化ケイ素(SiO2)対酸化アルミニウム(Al2O3)のモル比(SAR)が80~200と、
ZSM-48型材料全体の少なくとも70%のポリタイプ6と、
0.1~4.0重量%のEUO型モレキュラーシーブ相と、
を含み、ここでゼオライトSSZ-91は、集合的に1~6の平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有する。
【0057】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、以下:
酸化ケイ素(SiO2)対酸化アルミニウム(Al2O3)のモル比(SAR)が80~200と、
ZSM-48型材料全体の少なくとも70%のポリタイプ6と、
0.1~4.0重量%のEU-1と、
を含み、ここでゼオライトSSZ-91は、集合的に1~6の平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有する。
【0058】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、以下:
酸化ケイ素(SiO2)対酸化アルミニウム(Al2O3)のモル比(SAR)が80~200と、
ZSM-48型材料全体の少なくとも70%のポリタイプ6と、
0.1~4.0重量%のEUO型モレキュラーシーブ相と、
を含み、ここでゼオライトSSZ-91は、集合的に1~6の平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有する。
【0059】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、以下:
酸化ケイ素(SiO2)対酸化アルミニウム(Al2O3)のモル比(SAR)が80~160と、
ZSM-48型材料全体の少なくとも70%のポリタイプ6と、
0.1~4.0重量%のEUO型モレキュラーシーブ相と、
を含み、ここでゼオライトSSZ-91は、集合的に1~6の平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有する。
【0060】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、以下:
酸化ケイ素(SiO2)対酸化アルミニウム(Al2O3)のモル比(SAR)が70~160と、
ZSM-48型材料全体の少なくとも70%のポリタイプ6と、
0.1~4.0重量%のEUO型モレキュラーシーブ相と、
を含み、ここでゼオライトSSZ-91は、集合的に1~6の平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有する。
【0061】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、以下:
酸化ケイ素(SiO2)対酸化アルミニウム(Al2O3)のモル比(SAR)が70~200と、
ZSM-48型材料全体の少なくとも80%のポリタイプ6と、
0.1~4.0重量%のEUO型モレキュラーシーブ相と、
を含み、ここでゼオライトSSZ-91は、集合的に1~6の平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有する。
【0062】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、以下:
酸化ケイ素(SiO2)対酸化アルミニウム(Al2O3)のモル比(SAR)が80~200と、
ZSM-48型材料全体の少なくとも80%のポリタイプ6と、
0.1~4.0重量%のEUO型モレキュラーシーブ相と、
を含み、ここでゼオライトSSZ-91は、集合的に1~6の平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有する。
【0063】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、以下:
酸化ケイ素(SiO2)対酸化アルミニウム(Al2O3)のモル比(SAR)が80~200と、
ZSM-48型材料全体の少なくとも80%のポリタイプ6と、
0.1~7.0重量%のEUO型モレキュラーシーブ相と、
を含み、ここでゼオライトSSZ-91は、集合的に1~4という平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有する。
【0064】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、以下:
酸化ケイ素(SiO2)対酸化アルミニウム(Al2O3)とのモル比(SAR)が80~200と;
ZSM-48型材料全体の少なくとも80%のポリタイプ6と、
0.1~4.0重量%のEUO型モレキュラーシーブ相と、
を含み、ここでゼオライトSSZ-91は、集合的に1~4という平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有する。
【0065】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、以下:
酸化ケイ素(SiO2)対酸化アルミニウム(Al2O3)のモル比(SAR)が80~160と、
ZSM-48型材料全体の少なくとも80%のポリタイプ6と、
0.1~4.0重量%のEUO型モレキュラーシーブ相と、
を含み、ここでゼオライトSSZ-91は、集合的に1~4という平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有する。
【0066】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、以下:
酸化ケイ素(SiO2)対酸化アルミニウム(Al2O3)のモル比(SAR)が100~140と、
ZSM-48型材料全体の少なくとも80%のポリタイプ6と、
0.1~4.0重量%のEUO型モレキュラーシーブ相と、
を含み、ここでゼオライトSSZ-91は、集合的に1~4という平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有する。
【0067】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、以下:
酸化ケイ素(SiO2)対酸化アルミニウム(Al2O3)のモル比(SAR)が100~140と、
ZSM-48型材料全体の少なくとも80%のポリタイプ6と、
0.1~4.0重量%のEU-1と、
を含み、ここでゼオライトSSZ-91は、集合的に1~4という平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶凝集体として特徴付けられる形態を有する。
【0068】
本明細書に記載のように合成されたゼオライトSSZ-91は、そのXRDパターンによって特徴付けられ得る。表1の粉末XRD線は、合成されたままのゼオライトSSZ-91を表す。回折パターンのわずかな変動は、格子定数の変化に起因する特定のサンプルのフレームワーク種のモル比の変化から生じ得る。さらに、十分に小さい結晶はピークの形状と強度に影響を及ぼし、ピークの大幅な広がりにつながる。回折パターンのわずかな変動はまた、調製に使用される有機化合物の変動から生じる場合も、及びサンプルごとのSi/Alモル比の変動からも生じる場合もある。焼成により、XRDパターンにわずかなシフトが生じる場合もある。これらの小さな摂動にもかかわらず、基本的な結晶格子構造は変化しない。
【表1】
【0069】
表2のX線回折パターン線は、焼成されたSSZ-91を表す。
【表2】
【0070】
本明細書に示される粉末X線回折パターンは、標準的な技術によって収集されたものである。放射線は、CuKα放射線であった。ピークの高さ及び位置は、2θの関数として(θはブラッグ角である)、ピークの相対強度から読み取られ(バックグラウンドを調整して)、記録されたラインに対応する面間隔dが算出され得る。
【0071】
ゼオライトSSZ-91の調製
反応混合物及び結晶化
ゼオライトSSZ-91の調製では、ゼオライトのZSM-48ファミリーからモレキュラーシーブを合成するために選択的な少なくとも1つの有機化合物が、結晶化テンプレートとしても公知の構造指向剤(「SDA」)として使用される。ゼオライトSSZ-91の製造に役立つSDAは、次の構造(1)で表される:
【化2】
N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサメチルヘキサメチレンジアンモニウム
またはヘキサメトニウムカチオン
【0072】
SDAカチオンは、典型的には、モレキュラーシーブの形成に有害ではない任意のアニオンであり得るアニオンと結合される。アニオンの代表例としては、水酸化物、酢酸塩、硫酸塩、カルボン酸塩、及びハロゲン、例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、及びヨウ化物が挙げられる。一実施形態では、アニオンは臭化物である。
【0073】
一般に、ゼオライトSSZ-91は以下:
(a)(1)少なくとも1つの酸化ケイ素源を含む反応混合物を調製すること;(2)少なくとも1つの酸化アルミニウム源;(3)周期表の第1族及び第2族から選択される元素の少なくとも1つの供給源;(4)水酸化物イオン;(5)ヘキサメトニウムカチオン;及び(6)水;ならびに
(b)モレキュラーシーブの結晶を形成するのに十分な結晶化条件下で反応混合物を維持すること、によって調製される。
【0074】
ゼオライトSSZ-91が形成される反応混合物の組成は、モル比を単位として以下に特定され:
【表3】
式中、
(1)Mは、周期表の第1族及び第2族の元素からなる群から選択され;かつ
(2)Qは、上記の構造1で表される構造指向剤である。
【0075】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91が形成される反応混合物の組成は、モル比を単位として以下に特定され:
【表4】
式中、
(1)Mは、周期表の第1族及び第2族の元素からなる群から選択され;かつ
(2)Qは、上記の構造1によって示される構造指向剤である。
【0076】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91が形成される反応混合物の組成は、モル比を単位として以下に特定され:
【表5】
式中、
(1)Mは、周期表の第1族及び第2族の元素からなる群から選択され;かつ
(2)Qは、上記の構造1によって示される構造指向剤である。
【0077】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91が形成される反応混合物の組成は、モル比を単位として以下に特定され:
【表6】
式中、
(1)Mは、周期表の第1族及び第2族の元素からなる群から選択され;かつ
(2)Qは、上記の構造1によって示される構造指向剤である。
【0078】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91が形成される反応混合物の組成は、モル比を単位として以下に特定され:
【表7】
式中、
(1)Mは、周期表の第1族及び第2族の元素からなる群から選択され;かつ
(2)Qは、上記の構造1によって示される構造指向剤である。
【0079】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91が形成される反応混合物の組成は、モル比を単位として以下に特定され:
【表8】
式中、
(1)Mは、周期表の第1族及び第2族の元素からなる群から選択され;かつ
(2)Qは、上記の構造1によって示される構造指向剤である。
【0080】
本明細書で有用なケイ素源としては、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、シリカヒドロゲル、ケイ酸、コロイダルシリカ、テトラアルキルオルトケイ酸塩(例えば、テトラエチルオルトケイ酸塩)、及び水酸化シリカが挙げられる。
【0081】
反応混合物は、周期律表の第1族及び第2族から選択される元素の少なくとも1つの供給源(本明細書ではMと呼ぶ)を含有して形成され得る。実施形態では、反応混合物は、周期律表の第1族の元素源を使用して形成される。実施形態では、反応混合物はナトリウム(Na)源を使用して形成される。結晶化プロセスに悪影響を及ぼさない任意のM含有化合物が適している。このような第1族元素及び第2族元素の供給源としては、それらの酸化物、水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩、クエン酸塩及び酢酸塩が挙げられる。
【0082】
本明細書に記載の各実施形態について、モレキュラーシーブ反応混合物は、複数の供給源によって供給され得る。また、2つ以上の反応成分を1つの供給源によって提供してもよい。
【0083】
反応混合物は、モレキュラーシーブ(ゼオライトSSZ-91)の結晶が形成されるまで高温に維持され得る。ゼオライト水熱結晶化は、通常、加圧下、通常はオートクレーブ内で行われ、その結果、反応混合物は自原性圧力を受け、任意選択で、約125℃~約200℃の範囲の温度で、適切な期間、例えば約1時間から数日間、例えば約1時間~約10日間、約1時間~約9日間、約1時間~約8日間、約1時間~約7日間、または約1時間~約6日、または約1時間~約5日、または約1時間~約4日間、または約1時間~約3日間、または約1時間~約48時間、または約1時間~約36時間、または約1時間~約24時間、または約1時間~約18時間、撹拌される。
【0084】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、少なくとも1つのケイ素源、少なくとも1つのアルミニウム源、周期表の第1族及び第2族から選択される少なくとも1つの元素源、水酸化物イオン、ヘキサメトニウムカチオン、及び水を含む反応混合物を調製すること;この反応混合物を結晶化条件にさらすことを含む方法によって調製され;ここで、この反応混合物は以下を含み:
【表9】
ここでMは、周期表の第1族及び第2族由来の元素からなる群から選択され;Qは、ヘキサメトニウムカチオンであり、ここで結晶化条件には、反応混合物を約125℃~約200°という範囲の高温に維持することを含む。
【0085】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、少なくとも1つのケイ素源、少なくとも1つのアルミニウム源、周期表の第1族及び第2族から選択される少なくとも1つの元素源、水酸化物イオン、ヘキサメトニウムカチオン、及び水を含む反応混合物を調製すること;反応混合物を結晶化条件にさらすことを含む方法によって調製され;ここで、この反応混合物は以下を含み:
【表10】
ここでMは、周期表の第1族及び第2族由来の元素からなる群から選択され;Qは、ヘキサメトニウムカチオンであり、結晶化条件には、反応混合物を約125℃~約200℃、例えば、約125℃~約180℃、または約125℃~約160℃という範囲の高温に維持することを含む。
【0086】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、少なくとも1つのケイ素源、少なくとも1つのアルミニウム源、周期表の第1族及び第2族から選択される少なくとも1つの元素源、水酸化物イオン、ヘキサメトニウムカチオン、及び水を含む反応混合物を調製すること;反応混合物を結晶化条件にさらすことを含む方法によって調製され;ここで、反応混合物は以下を含み:
【表11】
ここでMは、周期表の第1族及び第2族由来の元素からなる群から選択され;Qは、ヘキサメトニウムカチオンであり、結晶化条件には、反応混合物を約125℃~約200℃、例えば、約125℃~約180℃、または約125℃~約160℃という範囲の高温に維持することを含む。
【0087】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91は、少なくとも1つのケイ素源、少なくとも1つのアルミニウム源、周期表の第1族及び第2族から選択される少なくとも1つの元素源、水酸化物イオン、ヘキサメトニウムカチオン、及び水を含む反応混合物を調製することと;この反応混合物を結晶化条件にさらすことと、を含む方法によって調製され;ここで、この反応混合物は以下を含む:
【表12】
ここでMは、周期表の第1族及び第2族由来の元素からなる群から選択され;Qは、ヘキサメトニウムカチオンであり、ここで結晶化条件には、反応混合物を約125℃~約200℃、例えば、約125℃~約180℃、または約125℃~約160℃という範囲の高温に維持することを含む。
【0088】
実施形態では、結晶化条件は、反応混合物を約125℃~約200℃、例えば約125℃~約180℃、約125℃~約180℃、約125℃~約170℃、約125℃~約160℃という範囲の高温に維持することを含む。
【0089】
EUO相の形成量は、SSZ-91生成物の収率を最大化しながらEUO相の形成を最小限に抑える最適なヒドロゲル組成、温度、結晶化時間を選択することによって抑制される。米国特許第9920260号に示される実施例は、これらのプロセス変数の変化がどのようにしてEU-1の形成を最小限に抑えるかに関する指針を提供する。当業者であれば、EU-1の形成を最小限に抑えるために必要なプロセス変数を容易に選択することができるであろう。なぜなら、これらの変数は、生成工程の規模、利用可能な装置の能力、所望の標的収率、及び生成物中のEU-1材料の許容レベルに依存するからである。
【0090】
水熱結晶化ステップ中に、モレキュラーシーブ結晶が反応混合物から自発的に核生成することが可能になり得る。シード材料としてモレキュラーシーブの結晶を使用すると、完全な結晶化が起こるまでに必要な時間を短縮するのに有利となり得る。さらに、シーディングは、核生成及び/または望ましくない相上のモレキュラーシーブの形成を促進することによって得られる、生成物の純度の増大につながり得る。しかし、シーディングを使用する場合、大量のEUO相の形成を避けるために、シードは非常に純粋なSSZ-91でなければならないことがわかっている。シードとして使用する場合、種結晶は、反応混合物に使用されるケイ素源の重量の0.5%~5%の間の量で添加される。
【0091】
マガディアイト及びケニヤアイトは層状ケイ酸ナトリウム組成物であるので、臭化ヘキサメトニウム/SiO2比を最適化すること、水酸化物濃度を制御すること、及びナトリウム濃度を最小限に抑えることにより、マガディアイト及びケニヤアイトの生成が最小限に抑えられる。米国特許第9920260号に提供される実施例は、ゲル状態の変化がどのようにしてEU-1の形成を最小限に抑えるかに関する指針を提供する。
【0092】
モレキュラーシーブ結晶が一旦形成されれば、濾過などの標準的な機械的分離技術によって固体生成物が反応混合物から分離される。結晶を水洗し、次いで乾燥させて、合成されたままのモレキュラーシーブ結晶を得る。乾燥ステップは、大気圧または真空下で実行され得る。
【0093】
結晶化後の処理
ゼオライトSSZ-91は合成したまま使用できるが、通常は熱処理(焼成)される。「合成されたままの」という用語は、結晶化後、SDAカチオンを除去する前の形態のゼオライトSSZ-91を指す。SDAは、例えば、酸化雰囲気(例えば、空気、酸素分圧が0kPaを超えるガス)中で、モレキュラーシーブからSDAを除去するのに十分な、当業者が容易に決定できる温度での熱処理(例えば、焼成)によって除去され得る。SDAは、米国特許第6,960,327号に記載されているように、オゾン化及び光分解技術(例えば、モレキュラーシーブから有機化合物を選択的に除去するのに十分な条件下で、可視光よりも短い波長を有する光または電磁放射線にSDA含有モレキュラーシーブ製品を曝露すること)によっても除去することができる。
【0094】
ゼオライトSSZ-91は、その後、蒸気、空気、または不活性ガス中で200℃~800℃の温度で1~48時間以上にわたる期間、焼成してもよい。通常、イオン交換によって骨格外カチオン(例えば、Na+)を除去し、それを水素、アンモニウム、または任意の所望の金属イオンで置き換えることが望ましい。
【0095】
形成されたモレキュラーシーブが中間モレキュラーシーブである場合、ヘテロ原子格子置換技術などの合成後技術を使用して、標的モレキュラーシーブ(例えば、ゼオライトSSZ-91)を達成し得る。標的モレキュラーシーブ(例えば、ゼオライトSSZ-91)は、酸浸出などの公知の技術によって格子からヘテロ原子を除去することによっても達成され得る。
【0096】
本明細書に開示されるプロセスから製造されるゼオライトSSZ-91は、多種多様な物理的形状に形成され得る。ゼオライトSSZ-91は、粉末、顆粒、または成形品、例えば、2メッシュ(タイラー)スクリーンを通過し、400メッシュ(タイラー)スクリーン上に保持されるのに十分な粒子サイズを有する押出物の形態であってもよい。有機結合剤を用いた押出成形などによって触媒が成形される場合、ゼオライトSSZ-91は、乾燥前に押出成形してもよく、または乾燥もしくは部分的に乾燥させてから押出成形されてもよい。
【0097】
ゼオライトSSZ-91は、有機変換プロセスで使用される温度及び他の条件に耐性のある他の材料とコンポジット化され得る。このようなマトリックス材料としては、活性材料及び不活性材料、ならびに合成または天然に存在するモレキュラーシーブ、ならびに粘土、シリカ及び金属酸化物などの無機材料が挙げられる。このような材料の例及びそれらを使用する方法は、米国特許第4,910,006号及び同第5,316,753号に開示されている。
【0098】
水素異性化触媒の調製
水素異性化触媒は、ゼオライトSSZ-91を含む。ゼオライトSSZ-91は、合成されたままの形態であっても、焼成されたままの形態であってもよい。実施形態では、水素異性化触媒は、焼成された形態のゼオライトSSZ-91から形成される。
【0099】
実施形態では、水素異性化触媒は、ゼオライトSSZ-91(合成されたままの形態または焼成された形態)をアルミナなどの酸化物結合剤とコンポジット化させることによって形成される。実施形態では、ゼオライトSSZ-91を酸化物結合剤とコンポジット化させることは、ゼオライトSSZ-91を酸化物結合剤(例えば、アルミナ)と混合することと、生成物を押し出すこととを含む。モレキュラーシーブ(ゼオライトSSZ-91)と酸化物結合剤との混合物は、広範囲の物理的形状及び寸法を有する粒子または押出物に形成され得る。実施形態では、押出物または粒子は、金属をローディングする前に乾燥及び焼成される。実施形態では、押出物または粒子に金属、例えば2、8、9及び/または10族金属(例えばPtなどの8~10族金属)を含浸させ、次いで乾燥し、焼成する。実施形態では、押出物または粒子は、金属をローディングする前に乾燥及び焼成される。
【0100】
実施形態では、水素異性化触媒は、以下:
ゼオライトSSZ-91と酸化物結合剤をコンポジット化して押出物ベースを形成することと;
金属、例えば第8~10族金属を含有する含浸溶液を押出物ベースに含浸させて、金属をローディングした押出物を形成することと;
金属をロードした押出物を乾燥させることと;
乾燥した金属ロード押出物を焼成することと、によって調製される。
【0101】
実施形態では、水素異性化触媒は、ゼオライトSSZ-91に金属、例えば2、8、9及び/または10族金属(例えばPtなどの8~10族金属)を含有する溶液を含浸させることによって形成される。実施形態では、水素異性化触媒は、2、8、9及び/または10族金属(例えばPtなどの8~10族金属)を含有する溶液で焼成形態でゼオライトSSZ-91を含浸させることによって形成される。実施形態では、水素異性化触媒は、ゼオライトSSZ-91及び酸化物結合剤を含む押出物ベースを含浸させることによって形成される。
【0102】
実施形態では、押出物ベースは、金属(2、8、9及び/または10族金属;例えば、Ptなどの8~10族金属)を含有する含浸溶液(例えば、含浸溶液に浸漬)に、0.1~10時間曝露される。
【0103】
実施形態では、押出物ベースは乾燥され(例えば、約100°F(38℃)~約300°F(149℃)の範囲の温度で約0.1~約10時間)、含浸前に、(約600°F(316℃)~約1200°F(649℃)の範囲の温度で約0.1~約10時間)焼成される。
【0104】
実施形態では、ゼオライトSSZ-91と酸化物結合剤とをコンポジット化することによって形成された押出物ベースは、含浸前に乾燥され、焼成される。実施形態では、乾燥及び焼成された押出物ベースに含浸溶液を含浸させて金属ローディング押出物を形成し、その後再び乾燥及び焼成して水素異性化触媒を形成する。
【0105】
実施形態では、含浸ゼオライトSSZ-91、例えば、ゼオライトSSZ-91を含む含浸押出物ベースは、約100°F(38℃)~約300°F(149℃)の範囲の温度で約0.1~約10時間乾燥される。
【0106】
実施形態では、乾燥した含浸ゼオライトSSZ-91(例えば、乾燥した金属ローディング押出物)は、約600°F(316℃)~約1200°F(649℃)の範囲の温度で、約0.1~約10時間焼成される。実施形態では、焼成は空気中で行われる。
【0107】
炭化水素フィード
実施形態では、炭化水素フィードは、全原油、還元原油、真空塔残渣、循環油、合成原油、軽油、減圧軽油、フッツ油、フィッシャー・トロプシュ誘導ワックス、軽油を含む中間留分ストック、灯油、ジェット燃料、潤滑油ストック、暖房油、重質中性フィード、水素化処理軽油、水素化分解軽油、水素化処理潤滑油ラフィネート、ブライトストック、潤滑油ストック、合成油、フィッシャー・トロプシュ合成油、高流動点ポリオレフィン(例えば、約0℃以上の流動点を有するポリオレフィン);ノルマルアルファオレフィンワックス、スラックワックス、脱油ワックス、マイクロクリスタリンワックス、常圧蒸留プロセスからの残留留分、溶剤脱れき石油残留物、シェールオイル、循環油、動物由来脂肪、動物由来油、動物由来ワックス、植物由来脂肪、植物由来油、植物由来ワックス、石油ワックス、スラックワックス、及び化学プラントプロセスで生成されるワックスから選択される。
【0108】
実施形態では、炭化水素フィードは、全原油、還元原油、真空塔残渣、サイクル油、合成原油、軽油、減圧軽油、フッツ油、及びフィッシャー・トロプシュ誘導ワックスから選択される。
【0109】
実施形態では、炭化水素フィードは以下から選択される:水素化処理または水素化分解された軽油;水素化処理された基油ラフィネート;ブライトストック;潤滑油ストック;合成油;フットオイル;フィッシャー・トロプシュ合成油;高流動点ポリオレフィン(例えば、約0℃以上の流動点を有するポリオレフィン);ノルマルアルファオレフィンワックス;スラックワックス;脱油ワックス;マイクロクリスタリンワックス;軽油及び真空軽油;大気圧蒸留プロセスからの残留留分;溶剤脱れき石油残渣;シェール油、循環油;動物及び植物由来の脂肪、油及びワックス;石油及びスラックワックス;ならびに化学プラントのプロセスで生成されるワックス。実施形態では、炭化水素フィードは、水素化処理または水素化分解軽油、水素処理基油ラフィネート、ブライトストック、潤滑油ストック、合成油、フッツ油、フィッシャー・トロプシュ合成油、高流動点ポリオレフィン(例えば、約0℃以上の流動点を有するポリオレフィン)、ノルマルアルファオレフィンワックス、スラックワックス、脱油ワックス及びマイクロクリスタリンワックスから選択される。
【0110】
実施形態では、炭化水素フィードは、重質フィード、例えば重質中性(600N)及びブライトストックであるか、またはそれを含む。
【0111】
実施形態では、炭化水素フィードはワックス状フィードであり、すなわち約0℃以上の流動点、例えば約10℃以上の流動点、または約20℃以上の流動点を有する炭化水素フィードである。
【0112】
実施形態では、炭化水素フィードは、100℃で約3~約30cSt、例えば約3.5~約15cStの範囲の動粘性率を有する。
【0113】
実施形態では、炭化水素フィードは、約400°F(204℃)~約1300°F(704℃)、例えば、約500°F(260℃)~約1100°F(593℃)、または約600°F(316℃)~約1050°F(566℃)の範囲の蒸留温度を有する。実施形態では、炭化水素フィードは、約400°F(204℃)~約1300°F(704℃)の範囲の蒸留温度、及び約3~約30cStの範囲の100℃での動粘性率を有する。実施形態では、炭化水素フィードは、約500°F(260℃)~約1100°F(593℃)の範囲の蒸留温度、及び100℃で約3.5~約15cStの範囲の動粘性率を有する。
【0114】
実施形態では、炭化水素フィードは、少なくとも約700°F(371℃)、例えば、少なくとも約750°F(339℃)、または少なくとも約800°F(426℃)の5%蒸留温度を有する。実施形態では、炭化水素フィードは、少なくとも約750°F(399℃)、例えば、少なくとも約800°F(426℃)、または少なくとも約840°F(449℃)の10%蒸留温度を有する。実施形態では、炭化水素フィードは、少なくとも約850°F(399℃)、例えば少なくとも約900°F(482℃)の30%蒸留温度を有する。炭化水素フィードの蒸留温度は、ASTM D 2887に従って決定され得る。
【0115】
実施形態では、炭化水素フィードは、約20℃以上の流動点、及び少なくとも約750°F(399℃)の10%蒸留温度を有する。
【0116】
実施形態では、炭化水素フィードは、約5%を超えるワックス、約10%を超えるワックス、または約15%を超えるワックスを含む。実施形態では、炭化水素フィードは、約5%~約30%のワックスを含む。本明細書で使用するとき、「ワックス状炭化水素フィード」という用語には、石油由来のワックスに加えて、植物由来のワックス及び動物由来のワックスが含まれ得る。本明細書で使用する「ワックス」という用語は、0℃を超える、例えば20℃を超える流動点を有する炭化水素成分を指す。
【0117】
炭化水素フィードの水素異性化プロセス
本明細書では、炭化水素フィードを水素異性化するプロセスについて記載する。本プロセスは、以下:
炭化水素フィードと水素異性化添加剤とを組み合わせて混合フィードを提供することと、
この混合フィードを水素異性化触媒と接触させることとを含み、
ここで、水素異性化添加剤は置換または非置換の窒素複素環であり、水素異性化触媒はゼオライトSSZ-91を含む。
【0118】
実施形態では、炭化水素フィードと水素異性化添加剤を組み合わせることは、炭化水素フィードの重量に基づいて、少なくとも約10ppmの水素異性化添加剤を炭化水素フィードに添加することを含み、例えば、炭化水素フィードの重量に基づいて、炭化水素フィードに対する水素異性化添加剤の少なくとも約20ppm、少なくとも約30ppm、または少なくとも約50ppmを添加することを含む。一実施形態では、炭化水素フィードと水素異性化添加剤を組み合わせることは、炭化水素フィードの重量に基づいて炭化水素フィードに水素異性化添加剤を最大約500ppmまで、例えば炭化水素フィードの重量に基づいて、炭化水素フィードに対する水素異性化添加剤の最大約300ppmまで、最大約250ppmまで、最大約200ppmまで、または最大約150ppmまで添加することを含む。実施形態では、炭化水素フィードと水素異性化添加剤を組み合わせることは、炭化水素フィードの重量に基づいて約10~約500ppmという炭化水素フィードに対する水素異性化添加剤、例えば、約10~約250ppm、約20~約250ppm、約20~約200ppm、約50~約250ppm、約50~200ppm、約50~150ppm、または約100~150ppm、または約50~100ppmという、炭化水素フィードの重量に基づく、炭化水素フィードに対する水素異性化添加剤の添加を含む。
【0119】
実施形態では、炭化水素フィードと水素異性化添加剤を組み合わせることは、炭化水素フィードの重量に基づいて、少なくとも約0.1ppmの量、例えば、炭化水素フィードの重量に基づいて例えば、少なくとも約0.5ppm、または少なくとも約1ppmの量で炭化水素フィードに窒素を提供する量で水素異性化添加剤を添加することを含む。実施形態では、炭化水素フィードと水素異性化添加剤を組み合わせることは、炭化水素フィードの重量に基づいて最大約50ppm、例えば、炭化水素フィードの重量に基づいて、最大約30ppm、最大約25ppm、最大約20ppm、または最大約15ppmの量で、炭化水素フィードに窒素を提供する量で水素異性化添加剤を添加することを含む。実施形態では、炭化水素フィードと水素異性化添加剤を組み合わせることは、炭化水素フィードの重量に基づいて約0.1~約50ppmの範囲の量で、例えば、炭化水素フィードの重量に基づいて約0.5~約25ppm、または約1~約20ppmの量で炭化水素フィードに窒素を提供する量で、水素異性化添加剤を添加することを含む。
【0120】
実施形態では、炭化水素フィードと水素異性化添加剤を混合することによって形成された混合フィードが水素異性化反応器に供給される。
【0121】
実施形態では、炭化水素フィード及び水素異性化添加剤は、独立して水素異性化反応器に供給されて、水素異性化反応器内で混合フィードが形成される。
【0122】
炭化水素フィードの水素異性化は、水素の存在下で行われる。
図1に示される実施形態では、炭化水素フィード10は、水素異性化添加剤11と混合されて、混合フィード13を形成し得る。混合フィード13は、水素12とともに水素異性化反応器14に供給されてもよく、水素異性化反応器14は水素異性化触媒16を含む。反応器14内で、混合フィード13は、水素の存在下、水素異性化条件下で水素異性化触媒16と接触して、水素異性化ストリーム18を提供し得る。
【0123】
実施形態では、水素異性化触媒16は、炭化水素フィード10(例えば、混合フィード13)を水素異性化反応器14に導入する前に活性化される。実施形態では、触媒の活性化は、450~650°F(232~343℃)の温度で1~10時間の還元を含む。
【0124】
実施形態では、水素異性化条件(例えば、反応器14における水素異性化条件)は、約390°F~約800°F(199℃~427℃)の範囲の温度、例えば約550°F~約700°F(288℃~371℃)の温度を含む。
【0125】
実施形態では、水素異性化条件(例えば、反応器14における水素異性化条件)は、約15~約3000psig(0.10~20.68MPaゲージ)の範囲の圧力、例えば、約100~約2500psig(0.69~17.24MPa)の圧力を含む。
【0126】
実施形態では、水素異性化条件(例えば、反応器14における水素異性化条件)は、水素異性化触媒を含有する反応器への混合フィードの供給速度を、約0.1~約20h-1LHSVの範囲の速度、例えば、約0.1~約5h-1LHSVで含む。
【0127】
実施形態では、水素異性化条件(例えば、反応器14における水素異性化条件)は、水素異性化触媒を含有する反応器への水素フィードの供給速度を、約0.1~約20h-1LHSVの範囲の速度、例えば、約0.1~約5h-1LHSVで含む。
【0128】
実施形態では、水素異性化条件(例えば、反応器14における水素異性化条件)は、水素と、混合フィードとを含み、これは、混合フィード1バレル当たり約2000~約10,000標準立方フィートH2(約360~約1800m3H2/m3フィード、例えば、バレル混合フィード当たり約2500~約5000scf H2(約440~約890m3H2/m3フィード)の比率で反応器に供給される。
【0129】
実施形態では、水素異性化条件(例えば、反応器14における水素異性化条件)は、水素と、炭化水素フィードとを含み、これは、混合フィード1バレル当たり約2000~約10,000標準立方フィートH2(約360~約1800m3H2/m3フィード、例えば、バレル炭化水素フィード当たり約2500~約5000scf H2(約440~約890m3 H2/m3フィード)の比率で反応器に供給される。
【0130】
実施形態では、水素異性化条件(例えば、反応器14における水素異性化条件)は、以下:
約390°F~約800°F(199℃~427℃)の範囲の温度、例えば、約550°F~約750°F(288℃~399℃)、または570°F~675°F(299℃~357℃)の温度と、
約15~約3000psig(0.10~20.68MPaゲージ)の範囲の圧力、例えば、約100~約2500psig(0.69~17.24MPa)の圧力と、
約0.1~約20h-1LHSV、例えば約0.1~約5h-1LHSVの範囲の速度での、水素異性化触媒を含有する反応器への混合フィードの供給速度と、
水素及び混合フィードと、を含み、これは1バレルの混合フィード当たり約2000~約10,000標準立方フィートのH2(約360~約1800m3 H2/m3フィード、例えば、バレル混合フィード当たり約2500~約5000scfのH2(約440~約890m3H2/m3フィード)の比率で反応器に供給される。
【0131】
実施形態では、混合フィードと水素異性化触媒との接触後に生成される水素異性化ストリーム(例えば、水素異性化ストリーム18)は、水素化仕上げステップを受けてもよい。実施形態では、混合フィードと水素異性化触媒との接触後に生成される水素異性化ストリームは、水素化仕上げユニットに供給されて、水素化仕上げ触媒と接触して、水素化仕上げ水素異性化ストリームを形成し得る。水素化仕上げステップでは、基油生成物から微量の芳香族化合物、オレフィン、着色体などが除去され得る。実施形態では、水素化仕上げ触媒は、アルミナ担体及び貴金属、例えばパラジウム、またはパラジウムと組み合わせた白金を含む。
【0132】
実施形態では、混合フィードと水素異性化触媒との接触後に生成される水素異性化ストリーム、または水素化仕上げされた水素異性化ストリームを蒸留ユニットに供給してもよい。実施形態では、水素異性化ストリームを蒸留ユニットに供給して、-5℃以下の流動点を有する基油を提供する。
【0133】
実施形態では、炭化水素フィードを水素異性化するプロセスは、-5℃以下の流動点を有する基油を提供する。実施形態では、炭化水素フィードを水素異性化するプロセスは、100℃で約3~約12cSt、例えば約4~約12cSt、約6~約12cSt、約8~約12cSt、約10~約12cSt、約4~約10cSt、約6~約10cSt、約8~約10cSt、または約10cStの範囲の動粘性率を有する基油を提供する。100℃における基油の動粘性率は、ASTM D 445に従って測定され得る。
【0134】
実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって生成される基油の収率は、水素異性化添加剤の非存在下で実施されるプロセスと比較して、少なくとも1.0重量%改善される。実施形態では、本明細書に記載のプロセスによって生成される基油の収率は、水素異性化添加剤の非存在下で実施されるプロセスと比較して、少なくとも2.0重量%改善される。
【0135】
実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、少なくとも約85%の収率で基油を提供する。
【実施例】
【0136】
以下の例示的な実施例は、非限定的であることが意図される。
【0137】
実施例の概要
以下の実施例は、本明細書に記載のプロセス及び方法が、驚くべきことに炭化水素フィードから生成される基油生成物の収率を向上させる水素異性化プロセスを効率的に提供することを実証する。
【0138】
水素異性化触媒
実施例1
ゼオライトSSZ-91は、米国特許第9920260号(参照により本明細書に組み込まれる)及び上記段落[0067]に従って調製された。
【0139】
次いで、ゼオライトSSZ-91生成物をアルミナとコンポジット化して、65重量%のゼオライトSSZ-91を含む混合物を提供した。混合物を押出し、乾燥し、焼成して押出物ベースを形成した。押出物ベースを、白金を含む溶液に含浸させた。次いで、含浸された触媒を空気中で乾燥させた後、焼成して水素異性化触媒を提供した。水素異性化触媒生成物の全体的な白金ローディングは0.6重量%であった。
【0140】
炭化水素フィードの水素異性化
実施例1に従って生成された水素異性化触媒を参照実施例2ならびに実施例3及び4の水素異性化プロセスに使用して、炭化水素フィードを水素異性化した。参照実施例2ならびに実施例3及び4の水素異性化プロセスで使用した炭化水素フィードは、以下の表3に示す特性を有する重質中性フィードであった。
【表13】
【0141】
以下に説明する参照実施例2、ならびに実施例3及び4の水素異性化プロセスはそれぞれ、下流固定床水素異性化反応器、水素化仕上げ反応器、及び蒸留ユニットを備えるマイクロユニット内で実施した。水素異性化反応器に、実施例1の水素異性化触媒を固定床にロードした。水素化仕上げ反応器には、固定床にPd/Pt水素化仕上げ触媒をロードした。
【0142】
参照実施例2ならびに実施例3及び4の各プロセスにおいて炭化水素または混合フィードを水素異性化反応器に導入する前に、本明細書に記載の標準的な還元手順によって水素異性化触媒を活性化した。
【0143】
参照実施例2ならびに実施例3及び4の各プロセスにおいて水素異性化フィードを水素化仕上げ反応器に導入する前に、本明細書に記載の標準的な還元手順によって水素化仕上げ触媒を活性化した。
【0144】
参照実施例2ならびに実施例3及び4の各プロセスについて:水素異性化反応器は、600~650°F(316~343℃)の温度及び2100psigの圧力で作動された;そして、水素化仕上げ反応器は、450°F(232℃)の温度及び2100psig圧力で作動された。
【0145】
参照実施例2ならびに実施例3及び4の各プロセスについて、水素化仕上げ反応器によって生成された水素化仕上げ生成物を蒸留ユニットに送って、沸点が750°F以上、かつ流動点が-15℃である基油を得た。
【0146】
参照実施例2
実施例1の水素異性化触媒を水素異性化反応器に入れ、上記の標準的な還元手順により活性化した。炭化水素フィードは、1.2というLHSVで水素異性化反応器を通して供給され、水素は、炭化水素フィード1バレル当たり約3000標準立方フィートH2という水素対炭化水素フィード比で水素異性化反応器に供給された(約540m3 H2/m3フィード)。水素化仕上げ生成物は蒸留ユニットに送られ、燃料と基油生成物が分離された。
【0147】
実施例3
炭化水素フィードを水素異性化反応器に通す前に、70ppmのN-エチルカルバゾールを炭化水素フィードに添加して混合原料を生成したことを除いて、実施例2を繰り返した。
【0148】
実施例4
140ppmのN-エチルカルバゾールを炭化水素フィードに添加して混合フィードを生成したことを除いて、実施例3を繰り返した。
【0149】
表4は、参照実施例2並びに実施例3及び4のプロセスにおいてN-エチルカルバゾールを炭化水素フィードに添加したときの水素異性化プロセスの性能結果を示す。
【表14】
【0150】
驚くべきことに、N-エチルカルバゾールを炭化水素フィードに添加すると、実施例1の水素異性化触媒を使用して生成される基油の収率が向上することが判明した。70ppmのN-エチルカルバゾールを添加した後、基油の収率は2重量%増大した。N-エチルカルバゾール濃度が140ppmに増大すると、基油収率は2.3重量%増大される。理論に束縛されるものではないが、窒素複素環の添加により非選択的な副反応が抑制され、基油の収率の向上につながると考えられる。
【0151】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本明細書に記載の概念から逸脱することなく様々な変更及び改良がなされ得ることが理解される。相互に排他的な場合を除き、いずれの特徴も個別に、または他の特徴と組み合わせて使用することができ、本開示は、本明細書に記載される1つ以上の特徴のすべての組み合わせ及びサブコンビネーションにまで及び、それらを含む。本発明の範囲を判断する際には、下記の番号の付いた段落及び請求項を参照すべきである。
【0152】
米国特許の実施慣行の目的上、及び認められる場合には、その他の特許庁においては、本発明の上記の説明で引用したいずれの特許及び刊行物も、それらに含まれるいずれかの情報が、上記の開示内容と整合し及び/または上記の開示内容を補う限りにおいては、参照により、本明細書に援用される。
【0153】
誤解を避けるために、本出願は、以下の番号の付いた段落に記載されている主題に関する。
【0154】
1.炭化水素フィードを水素異性化するプロセスであって、
炭化水素フィードと水素異性化添加剤を組み合わせて混合フィードを提供することと、
この混合フィードを水素異性化触媒と接触させることと、を含み、
ここで、水素異性化添加剤は置換または非置換の窒素複素環であり、水素異性化触媒はゼオライトSSZ-91を含む。
【0155】
2.炭化水素フィードを水素異性化することによって生成される基油の収率を増大させるプロセスであって、
炭化水素フィードと水素異性化添加剤とを組み合わせて混合フィードを提供することと、
混合フィードをゼオライトSSZ-91を含む水素異性化触媒と接触させて基油生成物を形成することと、を含み、
ここで、この水素異性化添加剤は、置換または非置換の窒素複素環であり、
基油生成物の収率は、水素異性化添加剤の非存在下で実施されるプロセスと比較して、少なくとも1.0重量%改善される、プロセス。
【0156】
3.水素異性化添加剤が3~10の範囲のDBE(二重結合当量)数を有する、段落1または2によるプロセス。
【0157】
4.水素異性化添加剤が置換または非置換の芳香族窒素複素環である、段落1~3のいずれかに記載のプロセス。
【0158】
5.水素異性化添加剤が約600未満の分子量を有する、段落1~4のいずれか1項に記載のプロセス。
【0159】
6.水素異性化添加剤が、置換または非置換の三環式縮合環芳香族窒素複素環、置換または非置換の二環式縮合環芳香族窒素複素環、及び単環芳香族窒素複素環から選択される、段落1~5のいずれか1項に記載のプロセス。
【0160】
7.水素異性化添加剤が、置換または非置換のカルバゾール、ピロール、ピリジン、インドール、キノリン及びアクリジンから選択される、段落1~6のいずれか1項に記載のプロセス。
【0161】
8.水素異性化添加剤が、C1-10アルキル;ヒドロキシル;C1-10アルコキシ;C1-10カルボキシル及び-NR’R”から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されている置換窒素複素環であり、ここでR’及びR”は独立してHまたはC1-10アルキルである、段落1~7のいずれか1項に記載のプロセス。
【0162】
9.段落1~8のいずれか1項に記載のプロセスであって、前記水素異性化添加剤が、式Iによる置換または非置換の芳香族窒素複素環であり:
【化3】
式中、
R
1は、水素、C
1-10アルキル、ヒドロキシル、C
1-10アルコキシ、C
1-10カルボキシルから選択され、
R
2及びR
3は、水素、C
1-10アルキル、ヒドロキシル、C
1-10アルコキシ、C
1-10カルボキシル及び-NR’R”から独立して選択され、
ここで、R’及びR”は独立してHまたはC
1-10アルキルである。
【0163】
10.R1が、C1-4アルキルから選択され、かつR2及びR3が水素である、段落9に記載のプロセス。
【0164】
11.炭化水素フィードと水素異性化添加剤を組み合わせることが、炭化水素フィードの重量に基づいて約10~約500ppmの水素異性化添加剤を炭化水素フィードに添加することを含む、段落1~10のいずれかに記載のプロセス。
【0165】
12.炭化水素フィードと水素異性化添加剤を組み合わせることが、炭化水素フィードの重量に基づいて、約0.1~約50ppmの範囲の量で、炭化水素フィードに対して窒素を提供する量で、水素異性化添加剤を添加することを含む、段落1~11のいずれか1項に記載のプロセス。
【0166】
13.炭化水素フィードと水素異性化添加剤を組み合わせて、水素異性化反応器に供給する前に混合フィードを形成する、段落1~12のいずれか1項に記載のプロセス。
【0167】
14.炭化水素フィードの30%蒸留温度が少なくとも約900°F(482℃)である、段落1~13のいずれか1項に記載のプロセス。
【0168】
15.炭化水素フィードが約0℃以上の流動点を有する、段落1~14のいずれか1項に記載のプロセス。
【0169】
16.水素異性化触媒がさらに第8~10族金属を含む、段落1~15のいずれか1項に記載のプロセス。
【0170】
17.混合フィードを水素異性化条件下で水素異性化触媒及び水素と接触させ、水素異性化条件が約550°F~約750°F(288℃~399℃)の範囲の温度を含む、段落1~16のいずれか1項に記載のプロセス。
【0171】
18.段落17に記載のプロセスであって、水素異性化条件がさらに、
約15~約3000psig(0.10~20.68MPaゲージ)の範囲の圧力と、
約0.1~約20h-1LHSVの範囲の速度での、水素異性化触媒を含有する反応器への混合フィードの供給速度と、
水素及び混合フィードと、を含み、これが混合フィード1バレル当たり約2000~約10,000標準立方フィートH2(約360~約1800m3H2/m3フィード)の比率で反応器に供給される。
【0172】
19.混合フィードと水素異性化触媒とを接触させることによる炭化水素フィードの水素異性化に続いて生成される水素異性化ストリームを水素化仕上げ触媒と接触させて、約-5℃以下の流動点を有する基油を提供する、段落1~18のいずれかに記載のプロセス。
【0173】
20.混合フィードと水素異性化触媒とを接触させることによって生成される基油の収率が、水素異性化添加剤の非存在下で行われるプロセスと比較して少なくとも1.0重量%、例えば少なくとも2.0重量%改善される、段落1~19のいずれか1項に記載のプロセス。
【0174】
21.混合フィードと水素異性化触媒とを接触させる前に、炭化水素フィードと水素異性化添加剤とを接触させて混合フィードを形成することにより、炭化水素フィードと水素異性化触媒とを接触させることによって生成される基油の収率を向上させるための水素異性化添加剤の使用であって、
ここで、水素異性化添加剤は置換または非置換の窒素複素環であり、水素異性化触媒はゼオライトSSZ-91を含む、使用。
【0175】
22.生成された基油が約-5℃以下の流動点を有する、段落21に記載の使用。
【0176】
23.水素異性化添加剤の非存在下で行われるプロセスと比較して、収率が少なくとも1.0重量%、例えば少なくとも2.0重量%改善される、段落21または22による使用。
【0177】
24.前記水素異性化添加剤がN-エチルカルバゾールなどのカルバゾールである、段落21~23のいずれか1項に記載の使用。
【0178】
25.前記水素異性化添加剤が炭化水素フィードに少なくとも約10ppmの量で添加される、段落21~24のいずれかに記載の使用。
【0179】
26.炭化水素フィードと水素異性化触媒とを接触させることによって生成される基油の収率を改善するためのプロセスであって、炭化水素フィードと水素異性化添加剤とを組み合わせて、混合フィードと水素異性化触媒とを接触させる前に、混合フィードを形成することを含み、
ここで、この水素異性化添加剤は置換または非置換の窒素複素環であり、水素異性化触媒はゼオライトSSZ-91を含む、プロセス。
【0180】
27.生成された基油が約-5℃以下の流動点を有する、段落26に記載のプロセス。
【0181】
28.前記水素異性化添加剤の非存在下で行われるプロセスと比較して、収率が少なくとも1.0重量%、例えば少なくとも2.0重量%改善される、段落26または段落27に記載のプロセス。
【0182】
29.前記水素異性化添加剤がN-エチルカルバゾールなどのカルバゾールである、段落26~28のいずれか1項に記載のプロセス。
【0183】
30.前記水素異性化添加剤が炭化水素フィードに少なくとも約10ppmの量で添加される、段落26~29のいずれか1項に記載のプロセス。
【国際調査報告】