(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】自動車用電池の異常識別方法、システム、電子装置及び媒体
(51)【国際特許分類】
B60L 3/00 20190101AFI20240116BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240116BHJP
B60L 53/80 20190101ALI20240116BHJP
B60L 53/65 20190101ALI20240116BHJP
【FI】
B60L3/00 S
H01M10/48 Z
B60L53/80
B60L53/65
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540150
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 CN2021142981
(87)【国際公開番号】W WO2022143878
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】202011623667.9
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519236398
【氏名又は名称】奥動新能源汽車科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】AULTON NEW ENERGY AUTOMOTIVE TECHNOLOGY GROUP
【住所又は居所原語表記】Block 1, Room 606, No. 1 Yichuang Street, China-Singapore Guangzhou Knowledge City, Huangpu District, Guangzhou, Guangdong 510700, China
(71)【出願人】
【識別番号】519236387
【氏名又は名称】上海電巴新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI DIANBA NEW ENERGY TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 1,No.4766,Jiangshan Road,Nicheng Town,Pudong New Area Shanghai 201308 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】呉 俊嬋
【テーマコード(参考)】
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
5H030AA06
5H030AS08
5H030FF51
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC13
5H125CC04
5H125EE26
5H125EE51
(57)【要約】
自動車用電池の異常識別方法であって、異常識別を実行する対象自動車用電池を選択するステップ;対象自動車用電池の電池管理システムに対応する第1走行距離、及び対象自動車用電池が搭載された電気自動車の車両制御装置に対応する第2走行距離を取得するステップ;第1走行距離及び第2走行距離に基づいて、対象自動車用電池の異常を識別するステップを含む。前記識別方法は、自動車用電池と走行距離との間に相互影響を及ぼす先験的知識に基づいて、対象自動車用電池の電池管理システムに対応する第1走行距離及び車両制御装置に対応する第2走行距離に基づいて対象自動車用電池の異常を識別して、自動車用電池の異常を識別する精度を向上させる。また、自動車用電池の異常識別システム、電子装置及び媒体に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用電池の異常識別方法であって、
異常識別を実行する対象の自動車用電池を選択するステップ;
前記対象自動車用電池の電池管理システムに対応する第1走行距離、及び前記対象自動車用電池が搭載された電気自動車の車両制御装置に対応する第2走行距離を取得するステップ;
前記第1走行距離及び前記第2走行距離に基づいて、前記対象自動車用電池の異常を識別するステップ;
を含むことを特徴とする、自動車用電池の異常識別方法。
【請求項2】
前記対象自動車用電池の電池管理システムに対応する第1走行距離、及び前記対象自動車用電池が搭載された電気自動車の車両制御装置に対応する第2走行距離を取得するステップは、
前記対象自動車用電池を電気自動車に搭載する際に、前記対象自動車用電池の電池管理システムに記録された第1累積走行距離、及び前記対象自動車用電池を前記電気自動車から分離する際に、前記対象自動車用電池の電池管理システムに記録された第2累積走行距離を取得するステップ;
前記第1累積走行距離及び前記第2累積走行距離に基づいて、第1走行距離を決定するステップ;
前記対象自動車用電池を電気自動車に搭載する際に、前記電気自動車の車両制御装置に記録された第3累積走行距離、及び前記対象自動車用電池を前記電気自動車から分離する際に、前記電気自動車の車両制御装置に記録された第4累積走行距離を取得するステップ;
前記第3累積走行距離及び前記第4累積走行距離に基づいて、第2走行距離を決定するステップ;
を含み、前記電池管理システムと前記車両制御装置は、それぞれ累積走行距離を記録することを特徴とする、請求項1に記載の自動車用電池の異常識別方法。
【請求項3】
前記第1走行距離及び前記第2走行距離に基づいて、前記対象自動車用電池の異常を識別するステップは、
前記第1走行距離が前記対象自動車用電池の公称走行距離を超える場合、前記対象自動車用電池が異常であり、且つ前記異常が第1主要カテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
前記第2走行距離に基づいて、前記異常が前記第1主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別するステップ;
を含むことを特徴とする、請求項2に記載の自動車用電池の異常識別方法。
【請求項4】
前記第2走行距離に基づいて、前記異常が前記第1主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別するステップは、
前記第2走行距離が空の場合、前記異常が前記第1主要カテゴリの下に区分される第1サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
前記第2走行距離が予め設定された走行距離を超えない場合、前記異常が第1主要カテゴリの下に区分される第2サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
前記第2走行距離が予め設定された走行距離を超え、且つ前記第1走行距離と一致する場合、前記異常が前記第1主要カテゴリの下に区分される第3サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
前記第2走行距離が予め設定された走行距離を超え、且つ前記第1走行距離と一致しない場合、前記異常が前記第1主要カテゴリの下に区分される第4サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
を含むことを特徴とする、請求項3に記載の自動車用電池の異常識別方法。
【請求項5】
前記第1走行距離及び前記第2走行距離に基づいて、前記対象自動車用電池の異常を識別するステップは、
前記第1走行距離が予め設定された走行距離を超えない場合、前記対象自動車用電池を異常として識別するステップ;
前記第1走行距離が前記予め設定された走行距離である場合、前記異常が第2主要カテゴリの異常タイプに属することを識別し、前記第2走行距離に基づいて、前記異常が第2主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別するステップ;
前記第1走行距離が前記予め設定された走行距離未満の場合、前記異常が第3主要カテゴリの異常タイプに属することを識別し、前記第2走行距離に基づいて、前記異常が前記第3主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別するステップ;
を更に含むことを特徴とする、請求項3に記載の自動車用電池の異常識別方法。
【請求項6】
前記第1走行距離が前記予め設定された走行距離である場合、前記異常が第2主要カテゴリの異常タイプに属することを識別し、前記第2走行距離に基づいて、前記異常が第2主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別するステップは、
前記第1走行距離が前記予め設定された走行距離であり、且つ前記第2走行距離が空の場合、前記異常が第2主要カテゴリの下に区分される第1サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
前記第1走行距離が前記予め設定された走行距離であり、且つ前記第2走行距離が前記予め設定された走行距離を超えない場合、前記異常が前記第2主要カテゴリの下に区分される第2サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
前記第1走行距離が前記予め設定された走行距離であり、且つ前記第2走行距離が前記予め設定された走行距離を超える場合、前記異常が前記第2主要カテゴリの下に区分される第3サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
を含み、
前記第1走行距離が前記予め設定された走行距離未満の場合、前記異常が第3主要カテゴリの異常タイプに属することを識別し、前記第2走行距離に基づいて、前記異常が前記第3主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別するステップは、
前記第1走行距離が前記予め設定された走行距離未満であり、且つ前記第2走行距離が空の場合、前記異常が前記第3主要カテゴリの下に区分される第1サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
前記第1走行距離が前記予め設定された走行距離未満であり、且つ前記第2走行距離が前記予め設定された走行距離を超えない場合、前記異常が前記第3主要カテゴリの下に区分される第2サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
前記第1走行距離が前記予め設定された走行距離未満であり、且つ前記第2走行距離が前記予め設定された走行距離を超える場合、前記異常が前記第3主要カテゴリの下に区分される第3サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
を含むことを特徴とする、請求項5に記載の自動車用電池の異常識別方法。
【請求項7】
前記自動車用電池の異常識別方法は、
前記対象自動車用電池に対して前記異常が属する異常タイプと一致させる処理を実行するステップを更に含むことを特徴とする、請求項3~6のいずれか一項に記載の自動車用電池の異常識別方法。
【請求項8】
前記自動車用電池の異常識別方法は、
前記異常が属する異常タイプに基づいて、電池を交換する時に資源の転移に使用するために前記電池管理システムに記録された累積走行距離で前記車両制御装置に記録された累積走行距離を置き換える又は検証するように、累積走行距離を記録する前記電池管理システムのアルゴリズムを最適化するステップを更に含むことを特徴とする、請求項3~6のいずれか一項に記載の自動車用電池の異常識別方法。
【請求項9】
選択ユニット、取得ユニット、識別ユニットを含む、自動車用電池の異常識別システムであって、
前記選択ユニットは、異常識別を実行する対象の自動車用電池を選択するために使用され;
前記取得ユニットは、前記対象自動車用電池の電池管理システムに対応する第1走行距離、及び前記対象自動車用電池が搭載された電気自動車の車両制御装置に対応する第2走行距離を取得するために使用され;
前記識別ユニットは、前記第1走行距離及び前記第2走行距離に基づいて、前記対象自動車用電池の異常を識別するために使用されることを特徴とする、自動車用電池の異常識別システム。
【請求項10】
メモリ、プロセッサ及びメモリに記憶され、プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムを含む、電子装置であって、
前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行する際に、請求項1~8のいずれか一項に記載の自動車用電池の異常識別方法を実現することを特徴とする、電子装置。
【請求項11】
コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される際に、請求項1~8のいずれか一項に記載の自動車用電池の異常識別方法のステップを実現することを特徴とする、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、出願日が2020年12月31日である、中国特許出願CN202011623667.9の優先権を主張する。本出願は上記の中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
本発明は、電池の異常状態識別の技術分野に属し、特に自動車用電池の異常識別方法、システム、電子装置及び媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、新エネルギー電池の使用過程において、直接に識別できない様々な潜在的なリスクがある可能性がある。このような潜在的なリスクは、電池の寿命と健康状態と直接関連している。しかし、電池がまだ利用可能であり、且つ明らかな異常がないため、このような潜在的なリスクは簡単に見落とされる可能性がある。電池の継続使用に伴い、潜在的なリスクが蓄積され、最終的に電池が早期に廃棄され、更に自動車の使用中に故障が発生し、より大きな損失を引き起こす可能性がある。しかし、現在の技術では、電池の異常を効果的に且つ適時に識別することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術問題は、従来技術において、電池の異常を効果的に且つ適時に識別できないという欠陥を克服するために、自動車用電池の異常識別方法、システム、電子装置及び媒体を提供することを目的とする。
【0005】
本発明は、下記の技術手段により、上記の技術問題を解決する。
【0006】
本発明は、自動車用電池の異常識別方法を提供し、
異常識別を実行する対象の自動車用電池を選択するステップ;
対象自動車用電池の電池管理システムに対応する第1走行距離、及び対象自動車用電池が搭載された電気自動車の車両制御装置に対応する第2走行距離を取得するステップ;
第1走行距離及び第2走行距離に基づいて、対象自動車用電池の異常を識別するステップ;
を含む。
【0007】
本解決手段において、自動車用電池と走行距離との間に相互影響を及ぼす先験的知識に基づいて、対象自動車用電池の電池管理システムに対応する第1走行距離及び車両制御装置に対応する第2走行距離に基づいて対象自動車用電池の異常を識別して、自動車用電池の異常を識別する精度を向上させる。
【0008】
好ましくは、対象自動車用電池の電池管理システムに対応する第1走行距離、及び対象自動車用電池が搭載された電気自動車の車両制御装置に対応する第2走行距離を取得するステップは、
対象自動車用電池を電気自動車に搭載する際に、対象自動車用電池の電池管理システムに記録された第1累積走行距離、及び対象自動車用電池を電気自動車から分離する際に、対象自動車用電池の電池管理システムに記録された第2累積走行距離を取得するステップ;
第1累積走行距離及び第2累積走行距離に基づいて、第1走行距離を決定するステップ;
対象自動車用電池を電気自動車に搭載する際に、電気自動車の車両制御装置に記録された第3累積走行距離、及び対象自動車用電池を電気自動車から分離する際に、電気自動車の車両制御装置に記録された第4累積走行距離を取得するステップ;
第3累積走行距離及び第4累積走行距離に基づいて、第2走行距離を決定するステップ;
を含み、ここで、電池管理システムと車両制御装置は、それぞれ累積走行距離を記録する。
【0009】
本技術的解決手段において、電気自動車の交換可能な自動車用電池についての先験的知識に基づいて、対象自動車用電池が電気自動車に搭載された時点から電気自動車から分離された時点までの走行距離をデータソースとして使用し、異なるソースの上記2つのデータソースに基づいて対象自動車用電池の異常を識別して、自動車用電池の異常を識別する精度と信頼性を向上させることができる。
【0010】
好ましくは、第1走行距離及び第2走行距離に基づいて、対象自動車用電池の異常を識別するステップは、
第1走行距離が対象自動車用電池の公称走行距離を超える場合、対象自動車用電池が異常であり、且つ第1主要カテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
第2走行距離に基づいて、異常が第1主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別するステップ;
を含む。
【0011】
好ましくは、第2走行距離に基づいて、異常が第1主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別するステップは、
第2走行距離が空の場合、異常が第1主要カテゴリの下に区分される第1サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
第2走行距離が予め設定された走行距離を超えない場合、異常が第1主要カテゴリの下に区分される第2サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
第2走行距離が予め設定された走行距離を超え、且つ第1走行距離と一致する場合、異常が第1主要カテゴリの下に区分される第3サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
第2走行距離が予め設定された走行距離を超え、且つ第1走行距離と一致しない場合、異常が第1主要カテゴリの下に区分される第4サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
を含む。
【0012】
好ましくは、第1走行距離及び第2走行距離に基づいて、対象自動車用電池の異常を識別するステップは、
第1走行距離が予め設定された走行距離を超えない場合、対象自動車用電池を異常として識別するステップ;
第1走行距離が予め設定された走行距離である場合、異常が第2主要カテゴリの異常タイプに属することを識別し、第2走行距離に基づいて、異常が第2主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別するステップ;
第1走行距離が予め設定された走行距離未満の場合、異常が第3主要カテゴリの異常タイプに属することを識別し、第2走行距離に基づいて、異常が第3主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別するステップ;
を更に含む。
【0013】
好ましくは、第1走行距離が予め設定された走行距離である場合、異常が第2主要カテゴリの異常タイプに属することを識別し、第2走行距離に基づいて、異常が第2主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別するステップは、
第1走行距離が予め設定された走行距離であり、且つ第2走行距離が空の場合、異常が第2主要カテゴリの下に区分される第1サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
第1走行距離が予め設定された走行距離であり、且つ第2走行距離が予め設定された走行距離を超えない場合、異常が第2主要カテゴリの下に区分される第2サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
第1走行距離が予め設定された走行距離であり、且つ第2走行距離が予め設定された走行距離を超える場合、異常が第2主要カテゴリの下に区分される第3サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
を含む。
【0014】
第1走行距離が予め設定された走行距離未満の場合、異常が第3主要カテゴリの異常タイプに属することを識別し、第2走行距離に基づいて、異常が第3主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別するステップは、
第1走行距離が予め設定された走行距離未満であり、且つ第2走行距離が空の場合、異常が第3主要カテゴリの下に区分される第1サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
第1走行距離が予め設定された走行距離未満であり、且つ第2走行距離が予め設定された走行距離を超えない場合、異常が第3主要カテゴリの下に区分される第2サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
第1走行距離が予め設定された走行距離未満であり、且つ第2走行距離が予め設定された走行距離を超える場合、異常が第3主要カテゴリの下に区分される第3サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するステップ;
を含む。
【0015】
上記の技術的解決手段において、具体的に第1走行距離及び第2走行距離の数値及び数値関係に基づいて対象自動車用電池の異常タイプを区分する方法を提供し、自動車用電池の異常を識別する精度を向上させる。また、サブカテゴリの区分と識別を通じて、今後の異常原因を正確に把握するのに便利である。
【0016】
好ましくは、自動車用電池の異常識別方法は、
対象自動車用電池に対して異常が属する異常タイプと一致させる処理を実行するステップを更に含む。
【0017】
本技術的解決手段において、対象自動車用電池に対して異常が属する異常タイプと一致させる処理を実行するステップは、対象自動車用電池に対して合理的に処理することができ、異常を適時に処理して安全問題が発生することを防止できるだけでなく、資源を最大限活用することで資源の浪費を防止することができる。
【0018】
好ましくは、自動車用電池の異常識別方法は、
異常が属する異常タイプに基づいて、電池を交換する時に資源の転移に使用するために電池管理システムに記録された累積走行距離で車両制御装置に記録された累積走行距離を置き換える又は検証するように累積走行距離を記録する電池管理システムのアルゴリズムを最適化するステップを更に含む。
【0019】
本技術的解決手段において、異常が属する異常タイプに基づいて、累積走行距離を記録する電池管理システムのアルゴリズムを最適化するステップは、累積走行距離を記録する電池管理システムの精度を向上させることができ、これはその後の電池を交換する際に資源の転移などデータ処理に走行距離を使用しなければならない場合、電池管理システムにより自己記録された累積走行距離を直接に使用する、又は、電池管理システムによって自己記録された累積走行距離を使用して車両制御装置に記録された累積走行距離について検証することができ、外部第三者が提供するデータへの依存度を低減し、コストを削減できるだけでなく、データのセキュリティとプライバシーも保証することができる。
【0020】
本発明は更に、選択ユニット、取得ユニット、識別ユニットを含む自動車用電池の異常識別システムを提供する。
【0021】
選択ユニットは、異常識別を実行する対象の自動車用電池を選択するために使用され;
取得ユニットは、対象自動車用電池の電池管理システムに対応する第1走行距離、及び対象自動車用電池が搭載された電気自動車の車両制御装置に対応する第2走行距離を取得するために使用され;
識別ユニットは、第1走行距離及び第2走行距離に基づいて、対象自動車用電池の異常を識別するために使用される。
【0022】
本解決手段において、自動車用電池と走行距離との間に相互影響を及ぼす先験的知識に基づいて、対象自動車用電池の電池管理システムに対応する第1走行距離及び車両制御装置に対応する第2走行距離に基づいて対象自動車用電池の異常を識別して、自動車用電池の異常を識別する精度を向上させる。
【0023】
好ましくは、取得ユニットは更に対象自動車用電池を電気自動車に搭載する際に、対象自動車用電池の電池管理システムに記録された第1累積走行距離、及び対象自動車用電池を電気自動車から分離する際に、対象自動車用電池の電池管理システムに記録された第2累積走行距離を取得するために使用され;
取得ユニットは更に第1累積走行距離及び第2累積走行距離に基づいて、第1走行距離を決定するために使用され;
取得ユニットは更に対象自動車用電池を電気自動車に搭載する際に、電気自動車の車両制御装置に記録された第3累積走行距離、及び対象自動車用電池を電気自動車から分離する際に、電気自動車の車両制御装置に記録された第4累積走行距離を取得するために使用され;
取得ユニットは更に第3累積走行距離及び第4累積走行距離に基づいて、第2走行距離を決定するために使用され;
ここで、電池管理システムと車両制御装置は、それぞれ累積走行距離を記録する。
【0024】
本技術的解決手段において、電気自動車の交換可能な自動車用電池についての先験的知識に基づいて、対象自動車用電池が電気自動車に搭載された時点から電気自動車から分離された時点までの走行距離をデータソースとして使用し、異なるソースの上記2つのデータソースに基づいて対象自動車用電池の異常を識別して、自動車用電池の異常を識別する精度と信頼性を向上させることができる。
【0025】
好ましくは、第1走行距離が対象自動車用電池の公称走行距離を超える場合、識別ユニットは更に対象自動車用電池が異常であり、且つ異常が第1主要カテゴリの異常タイプに属することを識別するために使用され;
識別ユニットは更に第2走行距離に基づいて、異常が第1主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別するために使用される。
【0026】
好ましくは、第2走行距離が空の場合、識別ユニットは更に異常が第1主要カテゴリの下に区分される第1サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するために使用され;
第2走行距離が予め設定された走行距離を超えない場合、識別ユニットは更に異常が第1主要カテゴリの下に区分される第2サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するために使用され;
第2走行距離が予め設定された走行距離を超え、且つ第1走行距離と一致する場合、識別ユニットは更に異常が第1主要カテゴリの下に区分される第3サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するために使用され;
第2走行距離が予め設定された走行距離を超え、且つ第1走行距離と一致しない場合、識別ユニットは更に異常が第1主要カテゴリの下に区分される第4サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するために使用される。
【0027】
好ましくは、第1走行距離が予め設定された走行距離未満であり、且つ第2走行距離が空の場合、識別ユニットは更に異常が第3主要カテゴリの下に区分される第1サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するために使用され;
第1走行距離が予め設定された走行距離未満であり、且つ第2走行距離が予め設定された走行距離を超えない場合、識別ユニットは更に異常が第3主要カテゴリの下に区分される第2サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するために使用され;
第1走行距離が予め設定された走行距離未満であり、且つ第2走行距離が予め設定された走行距離を超える場合、識別ユニットは更に異常が第3主要カテゴリの下に区分される第3サブカテゴリの異常タイプに属することを識別するために使用される。
【0028】
上記の技術的解決手段において、具体的に第1走行距離及び第2走行距離の数値及び数値関係に基づいて対象自動車用電池の異常タイプを区分する方法を提供し、自動車用電池の異常を識別する精度を向上させる。また、サブカテゴリの区分と識別を通じて、今後の異常原因を正確に把握するのに便利である。
【0029】
好ましくは、自動車用電池の異常識別システムは処理ユニットを更に含み、
処理ユニットは、対象自動車用電池に対して異常が属する異常タイプと一致させる処理を実行するために使用される。
【0030】
本技術的解決手段において、対象自動車用電池に対して異常が属する異常タイプと一致させる処理を実行するステップは、対象自動車用電池に対して合理的に処理することができ、異常を適時に処理して安全問題が発生することを防止できるだけでなく、資源を最大限活用することで資源の浪費を防止することができる。
【0031】
好ましくは、自動車用電池の異常識別システムは最適化ユニットを更に含み、
最適化ユニットは、異常が属する異常タイプに基づいて、電池を交換する時に資源の転移に使用するために電池管理システムに記録された累積走行距離で車両制御装置に記録された累積走行距離を置き換える又は検証するように累積走行距離を記録する電池管理システムのアルゴリズムを最適化するために使用される。
【0032】
本技術的解決手段において、異常が属する異常タイプに基づいて、累積走行距離を記録する電池管理システムのアルゴリズムを最適化するステップは、累積走行距離を記録する電池管理システムの精度を向上させることができ、これはその後の電池を交換する際に資源の転移などデータ処理に走行距離を使用しなければならない場合、電池管理システムにより自己記録された累積走行距離を直接に使用する、又は、電池管理システムによって自己記録された累積走行距離を使用して車両制御装置に記録された累積走行距離について検証することができ、外部第三者が提供するデータへの依存度を低減し、コストを削減できるだけでなく、データのセキュリティとプライバシーも保証することができる。
【0033】
本発明は更に、メモリ、プロセッサ及びメモリに記憶され、プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムを含み、プロセッサがコンピュータプログラムを実行する際に、本発明の自動車用電池の異常識別方法を実現する、電子機器を提供する。
【0034】
本発明は更に、コンピュータプログラムを記憶し、コンピュータプログラムがプロセッサにより実行される際に本発明の自動車用電池の異常識別方法のステップを実現する、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0035】
本発明の積極的な進歩的効果は、以下の通りである。
本発明は、自動車用電池と走行距離との間に相互影響を及ぼす先験的知識に基づいて、対象自動車用電池の電池管理システムに対応する第1走行距離及び車両制御装置に対応する第2走行距離に基づいて対象自動車用電池の異常を識別して、自動車用電池の異常を識別する精度を向上させることである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の実施例1に係る自動車用電池の異常識別方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例4に係る自動車用電池の異常識別方法のフローチャートである。
【
図3】本発明の実施例5に係る自動車用電池の異常識別方法のフローチャートである。
【
図4】本発明の実施例5に係る電子装置の構成を示す模式図である。
【
図5】本発明の実施例8に係る自動車用電池の異常識別システムの構成を示す模式図である。
【
図6】本発明の実施例11に係る自動車用電池の異常識別システムの構成を示す模式図である。
【
図7】本発明の実施例12に係る自動車用電池の異常識別システムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、実施例の形態により本発明を詳しく説明するが、それにより本発明を前記実施例の範囲に限定するわけではない。
【0038】
<実施例1>
本実施例は、自動車用電池の異常識別方法を提供する。
図1を参照すると、前記自動車用電池の異常識別方法は、
ステップS1、異常識別を実行する対象自動車用電池を選択するステップ;
ステップS2、対象自動車用電池の電池管理システムに対応する第1走行距離、及び対象自動車用電池が搭載された電気自動車の車両制御装置に対応する第2走行距離を取得するステップ;
ステップS3、第1走行距離及び第2走行距離に基づいて、対象自動車用電池の異常を識別するステップ;
を含む。
【0039】
具体的に実施する場合、まずステップS1において、異常識別を実行する対象自動車用電池を選択する。
【0040】
次に、ステップS2において、対象自動車用電池を電気自動車に搭載する際に対象自動車用電池の電池管理システムに記録された第1累積走行距離、及び対象自動車用電池を電気自動車から分離する際に、対象自動車用電池の電池管理システムに記録された第2累積走行距離を取得し、第1累積走行距離及び第2累積走行距離に基づいて、第1走行距離を決定し、対象自動車用電池を電気自動車に搭載する際に、電気自動車の車両制御装置に記録された第3累積走行距離、及び対象自動車用電池を電気自動車から分離する際に、電気自動車の車両制御装置に記録された第4累積走行距離を取得し、第3累積走行距離及び第4累積走行距離に基づいて、第2走行距離を決定する。ここで、電池管理システムと車両制御装置は、それぞれ累積走行距離を記録する。
【0041】
上記の実施可能な形態において、電池管理システムと車両制御装置は、それぞれ独立して累積走行距離を記録するため、両者が記録した累積走行距離の比較が実質的な意味を有する。ただし、電池管理システムと車両制御装置がそれぞれ独立して累積走行距離を記録する方法は同じでも異なってもよい。
【0042】
次に、ステップS3において、第1走行距離及び第2走行距離に基づいて、対象自動車用電池の異常を識別する。
【0043】
本実施例の自動車用電池の異常識別方法は、自動車用電池と走行距離との間に相互影響を及ぼす先験的知識に基づいて、対象自動車用電池の電池管理システムに対応する第1走行距離及び車両制御装置に対応する第2走行距離に基づいて対象自動車用電池の異常を識別して、自動車用電池の異常を識別する精度を向上させる。
【0044】
<実施例2>
実施例1に基づいて、本実施例は、自動車用電池の異常識別方法を提供する。
【0045】
具体的に実施する場合、まずステップS1において、異常識別を実行する対象自動車用電池を選択する。
【0046】
次に、ステップS2において、対象自動車用電池を電気自動車に搭載する際に対象自動車用電池の電池管理システムに記録された第1累積走行距離、及び対象自動車用電池を電気自動車から分離する際に、対象自動車用電池の電池管理システムに記録された第2累積走行距離を取得し、第1累積走行距離及び第2累積走行距離に基づいて、対象自動車用電池を電気自動車に搭載する際に、電気自動車の車両制御装置に記録された第3累積走行距離、及び対象自動車用電池を電気自動車から分離する際に、電気自動車の車両制御装置に記録された第4累積走行距離を取得し、第3累積走行距離及び第4累積走行距離に従って第2走行距離を決定する。ここで、電池管理システムと車両制御装置は、それぞれ累積走行距離を記録する。
【0047】
電気自動車の交換可能な自動車用電池についての先験的知識に基づいて、対象自動車用電池が電気自動車に搭載された時点から電気自動車から分離された時点までの走行距離をデータソースとして使用し、異なるソースの上記2つのデータソースに基づいて対象自動車用電池の異常を識別して、自動車用電池の異常を識別する精度と信頼性を向上させることができる。
【0048】
次に、ステップS3において、第1走行距離が対象自動車用電池の公称走行距離を超える場合、対象自動車用電池が異常であり、且つ異常が第1主要カテゴリの異常タイプに属することを識別し;第2走行距離に基づいて異常が第1主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別する。公称走行距離は自動車用電池の自体の属性である。
【0049】
サブカテゴリを識別する具体的な方法は下記に示される通りである。
【0050】
第2走行距離が空の場合、異常が第1主要カテゴリの下に区分される第1サブカテゴリの異常タイプに属することを識別する。第1サブカテゴリの異常タイプを識別する論理は、下記の通りである。電池の特定の電池交換過程において、注文データがあり、交換の記録があり、記録の第1走行距離が公称走行距離より大きく、実際の状況に適合しないと同時に、当該車両のリアルタイム車両情報と関連付けることができないため、第1サブカテゴリの異常タイプとして識別される。
【0051】
第2走行距離が予め設定された走行距離を超えない場合、異常が第1主要カテゴリの下に区分される第2サブカテゴリの異常タイプに属することを識別する。第2サブカテゴリの異常タイプを識別する論理は、下記の通りである。電池の特定の電池交換過程において、注文データがあり、交換の記録があり、記録の第1走行距離が公称走行距離より大きく、実際の状況に適合しないと同時に、関連するリアルタイム第2走行距離では、第2走行距離が予め設定された走行距離を超えず、実際の状況に適合しないため、第2サブカテゴリの異常タイプとして識別される。1つの選択可能な実施形態において、予め設定された走行距離は0である。
【0052】
第2走行距離が予め設定された走行距離を超え、且つ第1走行距離と一致する場合、異常が第1主要カテゴリの下に区分される第3サブカテゴリの異常タイプに属することを識別する。本実施例の一形態において、第2走行距離と第1走行距離との差が予め設定されたパーセント以下である場合、第2走行距離と第1走行距離は一致していると見なされる。1つの選択可能な実施形態において、予め設定されたパーセントは10%である。第3サブカテゴリの異常タイプを識別する論理は、下記の通りである。電池の特定の電池交換過程において、注文データがあり、交換の記録があり、記録の第1走行距離が公称走行距離より大きく、実際の状況に適合しないと同時に、関連するリアルタイム第2走行距離では、リアルタイム第2走行距離が第1走行距離とほとんど差がないため、第2サブカテゴリの異常タイプとして識別される。
【0053】
第2走行距離が予め設定された走行距離を超え、且つ第1走行距離と一致しない場合、異常が第1主要カテゴリの下に区分される第4サブカテゴリの異常タイプに属することを識別する。本実施例の一形態において、第2走行距離と第1走行距離との差が予め設定されたパーセントより大きい場合、第2走行距離と第1走行距離は一致しないと見なされる。1つの選択可能な実施形態において、予め設定されたパーセントは10%である。第4サブカテゴリの異常タイプを識別する論理は、下記の通りである。電池の特定の電池交換過程において、注文データがあり、交換の記録があり、記録の第1走行距離が公称走行距離より大きく、実際の状況に適合しないと同時に、関連するリアルタイム第2走行距離では、リアルタイム第2走行距離が第1走行距離と差が比較的多く、実際の状況に適合しないため、第2サブカテゴリの異常タイプとして識別される。
【0054】
本実施例の自動車用電池の異常識別方法は、具体的に第1走行距離及び第2走行距離の数値及び数値関係に基づいて対象自動車用電池の異常タイプを区分する方法を提供し、自動車用電池の異常を識別する精度を向上させる。また、サブカテゴリの区分と識別を通じて、今後の異常原因を正確に把握するのに便利である。
【0055】
<実施例3>
実施例1に基づいて、本実施例は、自動車用電池の異常識別方法を提供する。
【0056】
具体的に実施する場合、まずステップS1において、異常識別を実行する対象自動車用電池を選択する。
【0057】
次に、ステップS2において、対象自動車用電池を電気自動車に搭載する際に対象自動車用電池の電池管理システムに記録された第1累積走行距離、及び対象自動車用電池を電気自動車から分離する際に、対象自動車用電池の電池管理システムに記録された第2累積走行距離を取得し、第1累積走行距離及び第2累積走行距離に基づいて、対象自動車用電池を電気自動車に搭載する際に、電気自動車の車両制御装置に記録された第3累積走行距離、及び対象自動車用電池を電気自動車から分離する際に、電気自動車の車両制御装置に記録された第4累積走行距離を取得し、第3累積走行距離及び第4累積走行距離に従って第2走行距離を決定する。ここで、電池管理システムと車両制御装置は、それぞれ累積走行距離を記録する。
【0058】
次に、ステップS3において、第1走行距離が予め設定された走行距離を超えない場合、対象自動車用電池を異常として識別し、第1走行距離が予め設定された走行距離である場合、異常が第2主要カテゴリの異常タイプに属することを識別し、第2走行距離に基づいて、異常が第2主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別し、第1走行距離が予め設定された走行距離未満の場合、異常が第3主要カテゴリの異常タイプに属することを識別し、第2走行距離に基づいて、異常が第3主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別する。
【0059】
第2主要カテゴリの下に属するサブカテゴリを識別する具体的な方法は下記に示される通りである。
【0060】
第1走行距離が予め設定された走行距離であり、且つ第2走行距離が空の場合、異常が第2主要カテゴリの下に区分される第1サブカテゴリの異常タイプに属することを識別する。その識別論理は、下記の通りである。電池の特定の電池交換過程において、注文データがあり、交換の記録があり、記録の第1走行距離が欠けており、実際の状況に適合しないと同時に、車両のリアルタイム車両情報と関連付けることができないため、第2主要カテゴリの下に区分される第1サブカテゴリの異常タイプとして識別される。1つの選択可能な実施形態において、予め設定された走行距離は0である。
【0061】
第1走行距離が予め設定された走行距離であり、且つ第2走行距離が予め設定された走行距離を超えない場合、異常が第2主要カテゴリの下に区分される第2サブカテゴリの異常タイプに属することを識別する。その識別論理は、下記の通りである。電池の特定の電池交換過程において、注文データがあり、交換の記録があり、記録の第1走行距離が予め設定された走行距離と一致し、実際の状況に適合しないと同時に、関連するリアルタイム第2走行距離では、第2走行距離が予め設定された走行距離以下であり、実際の状況に適合しないため、異常が第2主要カテゴリの下に区分される第2サブカテゴリの異常タイプとして識別される。
【0062】
第1走行距離が予め設定された走行距離であり、且つ第2走行距離が予め設定された走行距離を超える場合、異常が第2主要カテゴリの下に区分される第3サブカテゴリの異常タイプに属することを識別する。その識別論理は、下記の通りである。電池の特定の電池交換過程において、注文データがあり、交換の記録があり、記録の第1走行距離が予め設定された走行距離と一致し、実際の状況に適合しないと同時に、関連するリアルタイム第2走行距離が正常であるため、異常が第2主要カテゴリの下に区分される第3サブカテゴリの異常タイプとして識別される。
【0063】
第2走行距離に基づいて、異常が第3主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別する具体的な方法は下記に示される通りである。
【0064】
第1走行距離が予め設定された走行距離未満であり、且つ第2走行距離が空の場合、異常が第3主要カテゴリの下に区分される第1サブカテゴリの異常タイプに属することを識別する。その識別論理は、下記の通りである。電池の特定の電池交換過程において、注文データがあり、交換の記録があり、記録の第1走行距離が予め設定された走行距離未満であり、実際の状況に適合しないと同時に、当該車両のリアルタイム車両情報と関連付けることができないため、異常が第3主要カテゴリの下に区分される第1サブカテゴリの異常タイプとして識別される。1つの選択可能な実施形態において、予め設定された走行距離は0である。
【0065】
第1走行距離が予め設定された走行距離未満であり、且つ第2走行距離が予め設定された走行距離を超えない場合、異常が第3主要カテゴリの下に区分される第2サブカテゴリの異常タイプに属することを識別する。その識別論理は、下記の通りである。電池の特定の電池交換過程において、注文データがあり、交換の記録があり、記録の第1走行距離が予め設定された走行距離未満であり、実際の状況に適合しないと同時に、関連するリアルタイム第2走行距離では、第2走行距離が予め設定された走行距離以下であり、実際の状況に適合しないため、異常が第3主要カテゴリの下に区分される第2サブカテゴリの異常タイプとして識別される。
【0066】
第1走行距離が予め設定された走行距離未満であり、且つ第2走行距離が予め設定された走行距離を超える場合、異常が第3主要カテゴリの下に区分される第3サブカテゴリの異常タイプに属することを識別する。その識別論理は、下記の通りである。電池の特定の電池交換過程において、注文データがあり、交換の記録があり、記録の第1走行距離が予め設定された走行距離未満であり、実際の状況に適合しないと同時に、関連するリアルタイム第2走行距離が正常であるため、異常が第3主要カテゴリの下に区分される第3サブカテゴリの異常タイプとして識別される。
【0067】
前記自動車用電池の異常識別方法は、具体的に第1走行距離及び第2走行距離の数値及び数値関係に基づいて対象自動車用電池の異常タイプを区分する方法を提供し、自動車用電池の異常を識別する精度を向上させる。また、サブカテゴリの区分と識別を通じて、今後の異常原因を正確に把握するのに便利である。
【0068】
本実施例の自動車用電池の異常識別方法は、自動車運行過程中に電池データ、自動車データを収集して電池自体の属性データと組み合わせ、複数のデータを総合的に考慮し、電池自体の様々な異常タイプを識別し、電池自体の異常及び使用過程中に発生する異常を含み、電池の実際の状況を適時に反映し、企業運営に適時に且つ効果的な参照情報を提供する。
【0069】
<実施例4>
実施例1~3のいずれか1個の実施例に基づいて、本実施例は、自動車用電池の異常識別方法を提供する。
図2を参照すると、前記自動車用電池の異常識別方法は、
ステップS1、異常識別を実行する対象自動車用電池を選択するステップ;
ステップS2、対象自動車用電池の電池管理システムに対応する第1走行距離、及び対象自動車用電池が搭載された電気自動車の車両制御装置に対応する第2走行距離を取得するステップ;
ステップS3、第1走行距離及び第2走行距離に基づいて、対象自動車用電池の異常を識別するステップ;
ステップS4、対象自動車用電池に対して異常が属する異常タイプと一致させる処理を実行するステップ;
を含む。
【0070】
具体的に実施する場合、ステップS4において、属する異常の種類に応じて自動車用電池について検査して評価し、自動車用電池として使用できない電池を廃棄する又はエネルギー貯蔵用電池などに使用する。
【0071】
本実施例の自動車用電池の異常識別方法において、対象自動車用電池に対して異常が属する異常タイプと一致させる処理を実行するステップは、対象自動車用電池に対して合理的に処理することができ、異常を適時に処理して安全問題が発生することを防止できるだけでなく、資源を最大限活用することで資源の浪費を防止することができる。
【0072】
<実施例5>
実施例1~3のいずれか1個の実施例に基づいて、本実施例は、自動車用電池の異常識別方法を提供する。
図3を参照すると、前記自動車用電池の異常識別方法は、
ステップS1、異常識別を実行する対象自動車用電池を選択するステップ;
ステップS2、対象自動車用電池の電池管理システムに対応する第1走行距離、及び対象自動車用電池が搭載された電気自動車の車両制御装置に対応する第2走行距離を取得するステップ;
ステップS3、第1走行距離及び第2走行距離に基づいて、対象自動車用電池の異常を識別するステップ;
ステップS5、異常が属する異常タイプに基づいて、電池を交換する時に資源の転移に使用するために電池管理システムに記録された累積走行距離で車両制御装置に記録された累積走行距離を置き換える又は検証するように累積走行距離を記録する電池管理システムのアルゴリズムを最適化するステップ;
を含む。
【0073】
本実施例の自動車用電池の異常識別方法において、異常が属する異常タイプに基づいて、累積走行距離を記録する電池管理システムのアルゴリズムを最適化するステップは、累積走行距離を記録する電池管理システムの精度を向上させることができ、これはその後の電池を交換する際に資源の転移などデータ処理に走行距離を使用しなければならない場合、電池管理システムにより自己記録された累積走行距離を直接に使用する、又は、電池管理システムによって自己記録された累積走行距離を使用して車両制御装置に記録された累積走行距離について検証することができ、外部第三者が提供するデータへの依存度を低減し、コストを削減できるだけでなく、データのセキュリティとプライバシーも保証することができる。
【0074】
<実施例6>
図4は、本実施例で提供された電子装置の構成を示す模式図である。前記電子装置は、メモリ、プロセッサ及びメモリに記憶され、プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムを含み、前記プロセッサが前記プログラムを実行する際に、実施例1~5のいずれか1個の実施例の自動車用電池の異常識別方法を実現する。
図4に示す電子装置(30)は一例に過ぎず、本発明の実施例の機能及び使用範囲に対するいかなる制限も与えてはならない。
【0075】
電子装置(30)は、汎用コンピュータ機器の形態で表現されてもよく、例えばサーバ機器であってもよい。電子機器(30)の構成要素は、上記少なくとも1つのプロセッサ(31)、上記少なくとも1つのメモリ(32)、異なるシステムの構成要素(メモリ(32)及びプロセッサ(31)を含む)を接続するバス(33)を含むがこれに限定されない。
【0076】
バス(33)はデータバス、アドレスバス及び制御バスを含む。
【0077】
メモリ(32)は、ランダムアクセスメモリ(RAM)(321)及び/又はキャッシュメモリ(322)などの揮発性メモリを含むことができ、更にリードオンリーメモリ(ROM)(323)を含むことができる。
【0078】
メモリ(32)は更に、1つの群(少なくとも1つ)のプログラムモジュール(324)を有するプログラム/ユーティリティ(325)を含むことができ、そのようなプログラムモジュール(324)は、オペレーティングシステム、1つ又は複数のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール及びプログラムデータを含むがこれらに限定されず、これらの例の各々又はいくつかの組み合わせにはネットワーク環境の実現を含むことができる。
【0079】
プロセッサ(31)は、メモリ(32)に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、本発明の実施例1~実施例5のいずれか1つの実施例における自動車用電池の異常識別方法などの各種機能応用及びデータ処理を実行する。
【0080】
電子装置(30)はまた、1つ又は複数の外部機器(34)(例えば、キーボード、ポインティングデバイスなど)と通信することができる。この通信は、入力/出力(I/O)インターフェース(35)を介して実行することができる。更に、モデル生成機器(30)はまた、ネットワークアダプタ(36)を介して1つ又は複数のネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、及び/又はインターネットなどのパブリックネットワーク)と通信することができる。図に示すように、ネットワークアダプタ(36)はバス(33)を介してモデル生成機器(30)の他のモジュールと通信する。図には示していないが、モデル生成機器(30)と組み合わせて、マイクロコード、デバイスドライバ、冗長プロセッサ、外付けディスクドライブアレイ、RAID(ディスクアレイ)システム、テープドライブ及びデータバックアップストレージシステムなどを含むが、これらに限定されない他のハードウェア及び/又はソフトウェアモジュールを使用してもよいことを理解されたい。
【0081】
上記の詳細な説明では、電子装置の複数のユニット/モジュール又はサブユニット/モジュールを挙げられているが、この区分は例示的なものに過ぎず、強制的ではないことに留意されたい。実際、本発明の実施形態によれば、上記2つ又は複数のユニット/モジュールの特徴及び機能は、1つのユニット/モジュールに具体化することができる。逆に、上記1つのユニット/モジュールの特徴及び機能は、更に複数のユニット/モジュールに区分して具体化することができる。
【0082】
<実施例7>
本実施例は、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体を提供し、前記プログラムがプロセッサによって実行される際に、実施例1~5のいずれか1つの実施例による自動車用電池の異常識別方法のステップを実現する。
【0083】
ここで、可読記憶媒体は、より具体的には、ポータブルディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ、リードオンリーメモリ、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ、光学記憶装置、磁気記憶装置又は上記のいずれか適切な組み合わせを含むが、これに限定されない。
【0084】
実施可能な形態において、本発明はまた、プログラムコードを含むプログラム製品の形態で実現することができ、前記プログラム製品が、端末装置で実行される際、前記プログラムコードは、前記端末装置が実施例1~5のいずれか1つの実施例による自動車用電池の異常識別方法のステップを実現するために使用される。
【0085】
ここで、本発明のプログラムコードを実行するために、1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組合せで記述することができ、前記プログラムコードは、ユーザ機器で完全に実行することができ、ユーザ機器で部分的に実行することができ、独立してパッケージで実行することができ、ユーザ機器で部分的に、リモート機器で部分的に実行することができる又はリモート機器で完全に実行することができる。
【0086】
<実施例8>
本実施例は、自動車用電池の異常識別システムを提供する。
図5を参照すると、前記自動車用電池の異常識別システムは、選択ユニット(201)、取得ユニット(202)、識別ユニット(203)を含む。
【0087】
選択ユニット(201)は、異常識別を実行する対象自動車用電池を選択するために使用され;取得ユニット(202)は、対象自動車用電池の電池管理システムに対応する第1走行距離、及び対象自動車用電池が搭載された電気自動車の車両制御装置に対応する第2走行距離を取得するために使用され;識別ユニット(203)は、第1走行距離及び第2走行距離に基づいて、対象自動車用電池の異常を識別するために使用される。
【0088】
具体的に実施する場合、まず選択ユニット(201)は、異常識別を実行する対象自動車用電池を選択する。
【0089】
次に、取得ユニット(202)は、対象自動車用電池を電気自動車に搭載する際に対象自動車用電池の電池管理システムに記録された第1累積走行距離、及び対象自動車用電池を電気自動車から分離する際に、対象自動車用電池の電池管理システムに記録された第2累積走行距離を取得し、取得ユニット(202)は、第1累積走行距離及び第2累積走行距離に基づいて、第1走行距離を決定し、取得ユニット(202)は、対象自動車用電池を電気自動車に搭載する際に、電気自動車の車両制御装置に記録された第3累積走行距離、及び対象自動車用電池を電気自動車から分離する際に、電気自動車の車両制御装置に記録された第4累積走行距離を取得し、取得ユニット(202)は、第3累積走行距離及び第4累積走行距離に基づいて、第2走行距離を決定する。ここで、電池管理システムと車両制御装置は、それぞれ累積走行距離を記録する。
【0090】
上記の実施可能な形態において、電池管理システムと車両制御装置は、それぞれ独立して累積走行距離を記録するため、両者が記録した累積走行距離の比較が実質的な意味を有する。ただし、電池管理システムと車両制御装置がそれぞれ独立して累積走行距離を記録する方法は同じでも異なってもよい。
【0091】
次に、識別ユニット(203)は、第1走行距離及び第2走行距離に基づいて、対象自動車用電池の異常を識別する。
【0092】
本実施例の自動車用電池の異常識別システムは、自動車用電池と走行距離との間に相互影響を及ぼす先験的知識に基づいて、対象自動車用電池の電池管理システムに対応する第1走行距離及び車両制御装置に対応する第2走行距離に基づいて対象自動車用電池の異常を識別して、自動車用電池の異常を識別する精度を向上させる。
【0093】
<実施例9>
実施例8に基づいて、本実施例は、自動車用電池の異常識別システムを提供する。
【0094】
具体的に実施する場合、まず選択ユニット(201)は、異常識別を実行する対象自動車用電池を選択する。
【0095】
次に、取得ユニット(202)は、対象自動車用電池を電気自動車に搭載する際に対象自動車用電池の電池管理システムに記録された第1累積走行距離、及び対象自動車用電池を電気自動車から分離する際に、対象自動車用電池の電池管理システムに記録された第2累積走行距離を取得し、取得ユニット(202)は、第1累積走行距離及び第2累積走行距離に基づいて、第1走行距離を決定し、取得ユニット(202)は、対象自動車用電池を電気自動車に搭載する際に、電気自動車の車両制御装置に記録された第3累積走行距離、及び対象自動車用電池を電気自動車から分離する際に、電気自動車の車両制御装置に記録された第4累積走行距離を取得し、取得ユニット(202)は、第3累積走行距離及び第4累積走行距離に基づいて、第2走行距離を決定する。ここで、電池管理システムと車両制御装置は、それぞれ累積走行距離を記録する。
【0096】
電気自動車の交換可能な自動車用電池についての先験的知識に基づいて、対象自動車用電池が電気自動車に搭載された時点から電気自動車から分離された時点までの走行距離をデータソースとして使用し、異なるソースの上記2つのデータソースに基づいて対象自動車用電池の異常を識別して、自動車用電池の異常を識別する精度と信頼性を向上させることができる。
【0097】
次に、第1走行距離が対象自動車用電池の公称走行距離を超える場合、識別ユニット(203)は、対象自動車用電池が異常であり、且つ異常が第1主要カテゴリの異常タイプに属することを識別し;識別ユニット(203)は、第2走行距離に基づいて異常が第1主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別する。公称走行距離は自動車用電池の自体の属性である。
【0098】
識別ユニット(203)が、サブカテゴリを識別する具体的な方法は下記に示される通りである。
【0099】
第2走行距離が空の場合、識別ユニット(203)は、異常が第1主要カテゴリの下に区分される第1サブカテゴリの異常タイプに属することを識別する。第1サブカテゴリの異常タイプを識別する論理は、下記の通りである。電池の特定の電池交換過程において、注文データがあり、交換の記録があり、記録の第1走行距離が公称走行距離より大きく、実際の状況に適合しないと同時に、当該車両のリアルタイム車両情報と関連付けることができないため、第1サブカテゴリの異常タイプとして識別される。
【0100】
第2走行距離が予め設定された走行距離を超えない場合、識別ユニット(203)は更に異常が第1主要カテゴリの下に区分される第2サブカテゴリの異常タイプに属することを識別する。第2サブカテゴリの異常タイプを識別する論理は、下記の通りである。電池の特定の電池交換過程において、注文データがあり、交換の記録があり、記録の第1走行距離が公称走行距離より大きく、実際の状況に適合しないと同時に、関連するリアルタイム第2走行距離では、第2走行距離が予め設定された走行距離を超えず、実際の状況に適合しないため、第2サブカテゴリの異常タイプとして識別される。1つの選択可能な実施形態において、予め設定された走行距離は0である。
【0101】
第2走行距離が予め設定された走行距離を超え、且つ第1走行距離と一致する場合、識別ユニット(203)は異常が第1主要カテゴリの下に区分される第3サブカテゴリの異常タイプに属することを識別する。本実施例の一形態において、第2走行距離と第1走行距離との差が予め設定されたパーセント以下である場合、第2走行距離と第1走行距離は一致していると見なされる。1つの選択可能な実施形態において、予め設定されたパーセントは10%である。第3サブカテゴリの異常タイプを識別する論理は、下記の通りである。電池の特定の電池交換過程において、注文データがあり、交換の記録があり、記録の第1走行距離が公称走行距離より大きく、実際の状況に適合しないと同時に、関連するリアルタイム第2走行距離では、リアルタイム第2走行距離が第1走行距離とほとんど差がないため、第2サブカテゴリの異常タイプとして識別される。
【0102】
第2走行距離が予め設定された走行距離を超え、且つ第1走行距離と一致しない場合、識別ユニット(203)は異常が第1主要カテゴリの下に区分される第4サブカテゴリの異常タイプに属することを識別する。本実施例の一形態において、第2走行距離と第1走行距離との差が予め設定されたパーセントより大きい場合、第2走行距離と第1走行距離は一致しないと見なされる。1つの選択可能な実施形態において、予め設定されたパーセントは10%である。第4サブカテゴリの異常タイプを識別する論理は、下記の通りである。電池の特定の電池交換過程において、注文データがあり、交換の記録があり、記録の第1走行距離が公称走行距離より大きく、実際の状況に適合しないと同時に、関連するリアルタイム第2走行距離では、リアルタイム第2走行距離が第1走行距離と差が比較的多く、実際の状況に適合しないため、第2サブカテゴリの異常タイプとして識別される。
【0103】
本実施例の自動車用電池の異常識別システムは、具体的に第1走行距離及び第2走行距離の数値及び数値関係に基づいて対象自動車用電池の異常タイプを区分する方法を提供し、自動車用電池の異常を識別する精度を向上させる。また、サブカテゴリの区分と識別を通じて、今後の異常原因を正確に把握するのに便利である。
【0104】
<実施例10>
実施例8に基づいて、本実施例は、自動車用電池の異常識別システムを提供する。
【0105】
具体的に実施する場合、まず選択ユニット(201)は、異常識別を実行する対象自動車用電池を選択する。
【0106】
次に、取得ユニット(202)は、対象自動車用電池を電気自動車に搭載する際に対象自動車用電池の電池管理システムに記録された第1累積走行距離、及び対象自動車用電池を電気自動車から分離する際に、対象自動車用電池の電池管理システムに記録された第2累積走行距離を取得し、第1累積走行距離及び第2累積走行距離に基づいて、第1走行距離を決定し、対象自動車用電池を電気自動車に搭載する際に、電気自動車の車両制御装置に記録された第3累積走行距離、及び対象自動車用電池を電気自動車から分離する際に、電気自動車の車両制御装置に記録された第4累積走行距離を取得し、第3累積走行距離及び第4累積走行距離に基づいて、第2走行距離を決定する。ここで、電池管理システムと車両制御装置は、それぞれ累積走行距離を記録する。
【0107】
次に、第1走行距離が予め設定された走行距離を超えない場合、識別ユニット(203)は、対象自動車用電池を異常として識別し、第1走行距離が予め設定された走行距離である場合、識別ユニット(203)は、異常が第2主要カテゴリの異常タイプに属することを識別し、識別ユニット(203)は、第2走行距離に基づいて、異常が第2主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別し、第1走行距離が予め設定された走行距離未満の場合、識別ユニット(203)は、異常が第3主要カテゴリの異常タイプに属することを識別し、識別ユニット(203)は、第2走行距離に基づいて、異常が第3主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別する。
【0108】
識別ユニット(203)が、第2主要カテゴリの下に属するサブカテゴリを識別する具体的な方法は下記に示される通りである。
【0109】
第1走行距離が予め設定された走行距離であり、且つ第2走行距離が空の場合、識別ユニット(203)は、異常が第2主要カテゴリの下に区分される第1サブカテゴリの異常タイプに属することを識別する。その識別論理は、下記の通りである。電池の特定の電池交換過程において、注文データがあり、交換の記録があり、記録の第1走行距離が欠けており、実際の状況に適合しないと同時に、車両のリアルタイム車両情報と関連付けることができないため、第2主要カテゴリの下に区分される第1サブカテゴリの異常タイプとして識別される。1つの選択可能な実施形態において、予め設定された走行距離は0である。
【0110】
第1走行距離が予め設定された走行距離であり、且つ第2走行距離が予め設定された走行距離を超えない場合、識別ユニット(203)は、異常が第2主要カテゴリの下に区分される第2サブカテゴリの異常タイプに属することを識別する。その識別論理は、下記の通りである。電池の特定の電池交換過程において、注文データがあり、交換の記録があり、記録の第1走行距離が予め設定された走行距離と一致し、実際の状況に適合しないと同時に、関連するリアルタイム第2走行距離では、第2走行距離が予め設定された走行距離以下であり、実際の状況に適合しないため、異常が第2主要カテゴリの下に区分される第2サブカテゴリの異常タイプとして識別される。
【0111】
第1走行距離が予め設定された走行距離であり、且つ第2走行距離が予め設定された走行距離を超える場合、識別ユニット(203)は、異常が第2主要カテゴリの下に区分される第3サブカテゴリの異常タイプに属することを識別する。その識別論理は、下記の通りである。電池の特定の電池交換過程において、注文データがあり、交換の記録があり、記録の第1走行距離が予め設定された走行距離と一致し、実際の状況に適合しないと同時に、関連するリアルタイム第2走行距離が正常であるため、異常が第2主要カテゴリの下に区分される第3サブカテゴリの異常タイプとして識別される。
【0112】
識別ユニット(203)が、第2走行距離に基づいて、異常が第3主要カテゴリの下に属するサブカテゴリにあることを識別する具体的な方法は下記に示される通りである。
【0113】
第1走行距離が予め設定された走行距離未満であり、且つ第2走行距離が空の場合、識別ユニット(203)は、異常が第3主要カテゴリの下に区分される第1サブカテゴリの異常タイプに属することを識別する。その識別論理は、下記の通りである。電池の特定の電池交換過程において、注文データがあり、交換の記録があり、記録の第1走行距離が予め設定された走行距離未満であり、実際の状況に適合しないと同時に、当該車両のリアルタイム車両情報と関連付けることができないため、異常が第3主要カテゴリの下に区分される第1サブカテゴリの異常タイプとして識別される。1つの選択可能な実施形態において、予め設定された走行距離は0である。
【0114】
第1走行距離が予め設定された走行距離未満であり、且つ第2走行距離が予め設定された走行距離を超えない場合、識別ユニット(203)は、異常が第3主要カテゴリの下に区分される第2サブカテゴリの異常タイプに属することを識別する。その識別論理は、下記の通りである。電池の特定の電池交換過程において、注文データがあり、交換の記録があり、記録の第1走行距離が予め設定された走行距離未満であり、実際の状況に適合しないと同時に、関連するリアルタイム第2走行距離では、第2走行距離が予め設定された走行距離以下であり、実際の状況に適合しないため、異常が第3主要カテゴリの下に区分される第2サブカテゴリの異常タイプとして識別される。
【0115】
第1走行距離が予め設定された走行距離未満であり、且つ第2走行距離が予め設定された走行距離を超える場合、識別ユニット(203)は、異常が第3主要カテゴリの下に区分される第3サブカテゴリの異常タイプに属することを識別する。その識別論理は、下記の通りである。電池の特定の電池交換過程において、注文データがあり、交換の記録があり、記録の第1走行距離が予め設定された走行距離未満であり、実際の状況に適合しないと同時に、関連するリアルタイム第2走行距離が正常であるため、異常が第3主要カテゴリの下に区分される第3サブカテゴリの異常タイプとして識別される。
【0116】
前記自動車用電池の異常識別システムは、具体的に第1走行距離及び第2走行距離の数値及び数値関係に基づいて対象自動車用電池の異常タイプを区分する方法を提供し、自動車用電池の異常を識別する精度を向上させる。また、サブカテゴリの区分と識別を通じて、今後の異常原因を正確に把握するのに便利である。
【0117】
本実施例の自動車用電池の異常識別システムは、自動車運行過程中に電池データ、自動車データを収集して電池自体の属性データと組み合わせ、複数のデータを総合的に考慮し、電池自体の様々な異常タイプを識別し、電池自体の異常及び使用過程中に発生する異常を含み、電池の実際の状況を適時に反映し、企業運営に適時に且つ効果的な参照情報を提供する。
【0118】
<実施例11>
実施例8~10のいずれか1つの実施例に基づいて、本実施例は、自動車用電池の異常識別システムを提供する。
図6を参照すると、前記自動車用電池の異常識別システムは処理ユニット(204)を更に含む。
【0119】
処理ユニット(204)は、対象自動車用電池に対して異常が属する異常タイプと一致させる処理を実行する。
【0120】
具体的に実施する場合、処理ユニット(204)は、属する異常の種類に応じて自動車用電池について検査して評価し、自動車用電池として使用できない電池を廃棄する又はエネルギー貯蔵用電池などに使用する。
【0121】
本実施例の自動車用電池の異常識別システムにおいて、対象自動車用電池に対して異常が属する異常タイプと一致させる処理を実行するステップは、対象自動車用電池に対して合理的に処理することができ、異常を適時に処理して安全問題が発生することを防止できるだけでなく、資源を最大限活用することで資源の浪費を防止することができる。
【0122】
<実施例12>
実施例8~10のいずれか1つの実施例に基づいて、本実施例は、自動車用電池の異常識別システムを提供する。
図7を参照すると、前記自動車用電池の異常識別システムは最適化ユニット(205)を更に含む。
【0123】
最適化ユニット(205)は、異常が属する異常タイプに基づいて、電池を交換する時に資源の転移に使用するために電池管理システムに記録された累積走行距離で車両制御装置に記録された累積走行距離を置き換える又は検証するように累積走行距離を記録する電池管理システムのアルゴリズムを最適化するために使用される。
【0124】
本実施例の自動車用電池の異常識別システムは、異常が属する異常タイプに基づいて、累積走行距離を記録する電池管理システムのアルゴリズムを最適化するステップは、累積走行距離を記録する電池管理システムの精度を向上させることができ、これはその後の電池を交換する際に資源の転移などデータ処理に走行距離を使用しなければならない場合、電池管理システムにより自己記録された累積走行距離を直接に使用する、又は、電池管理システムによって自己記録された累積走行距離を使用して車両制御装置に記録された累積走行距離について検証することができ、外部第三者が提供するデータへの依存度を低減し、コストを削減できるだけでなく、データのセキュリティとプライバシーも保証することができる。
【0125】
以上では本発明の具体的な実施様態を記載したが、当業者は、これらが単なる例であり、本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲によって限定される。当業者は、本発明の原理及び本質から逸脱しない限り、これらの実施形態に様々な変更又は修正を行うことができることを理解すべきであるが、これらの変更又は修正は全て本発明の保護範囲に含まれるものである。
【国際調査報告】