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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】太陽電池アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20240116BHJP
   H01L 31/0747 20120101ALN20240116BHJP
【FI】
H01L31/04 262
H01L31/06 455
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540772
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2021086832
(87)【国際公開番号】W WO2022144211
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】2020731.2
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523246639
【氏名又は名称】レック ソーラー プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユー,ジョンフン
(72)【発明者】
【氏名】リン,テイン アウン ヴィクター
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA02
5F251AA05
5F251DA07
5F251FA10
5F251FA17
(57)【要約】
太陽電池アセンブリは、光起電力素子を含む積層構造体と、積層構造体の表面上に配置された電極アセンブリと、を備え、電極アセンブリは、複数の導電性ワイヤ部分と、積層構造体の表面上に配置された第1の複数の導電素子と、複数の導電性ワイヤ部分と第1の複数の導電素子との間に介在する第2の複数の導電素子と、を有し、前記第1の複数の導電素子は、第2の複数の導電素子と積層構造体の表面との間にオーム接触を形成するように構成され、第2の複数の導電素子は、第1の複数の導電素子と複数の導電性ワイヤ部分との間にオーム接触を形成するように構成される。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池アセンブリであって、
光起電力素子を含む積層構造体と、
前記積層構造体の表面上に配置された電極アセンブリと、
を備え、前記電極アセンブリは、
複数の導電性ワイヤ部分と、
前記積層構造体の前記表面上に配置された第1の複数の導電素子と、
前記複数の導電性ワイヤ部分と前記第1の複数の導電素子との間に介在する第2の複数の導電素子と、
を有し、
前記第1の複数の導電素子は、前記第2の複数の導電素子と前記積層構造体の前記表面との間にオーム接触を形成するように構成され、前記第2の複数の導電素子は、前記第1の複数の導電素子と前記複数の導電性ワイヤ部分との間にオーム接触を形成するように構成される、
太陽電池アセンブリ。
【請求項2】
前記電極アセンブリは、前記積層構造体の背面に配置された背部電極アセンブリを画定し、
前記太陽電池アセンブリはさらに、前記背面とは反対側の前記積層構造体の前面に配置された前部電極アセンブリを備える、
請求項1に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項3】
前記背部電極アセンブリの前記複数の導電性ワイヤ部分は、第1の複数の導電性ワイヤ部分を画定し、
前記前部電極アセンブリは、第2の複数の導電性ワイヤ部分を有し、前記第2の複数の導電性ワイヤ部分は、前記前部電極アセンブリの第3の複数の導電素子とオーム接触を形成するように構成され、
前記第3の複数の導電素子は、前記第2の複数の導電性ワイヤ部分と前記積層構造体の前記前面との間に介在する、
請求項2に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項4】
前記背部電極アセンブリのみが、前記複数の導電性ワイヤ部分と前記第1の複数の導電素子との間に介在する前記第2の複数の導電素子を有する、請求項2または請求項3に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項5】
前記第2の複数の導電素子は、複数の細長いバスバーを画定する、請求項1~4のいずれか一項に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項6】
前記複数の導電性ワイヤ部分のうちの少なくとも1つの導電性ワイヤ部分は、前記複数の細長いバスバーのうちの少なくとも1つの細長いバスバーに、少なくとも部分的に重なるように配置される、請求項5に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項7】
前記細長いバスバーは、前記導電性ワイヤ部分と略平行に配置される、請求項6に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項8】
前記複数の細長いバスバーのうちの少なくとも1つは、前記積層構造体の前記表面の平面内で測定される幅を有し、前記細長いバスバーの前記幅は、前記積層構造体の前記表面の平面内で測定される前記導電性ワイヤ部分の厚さと、少なくとも等しい、請求項7に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項9】
前記細長いバスバーの前記幅は、前記導電性ワイヤ部分の前記厚さと、実質的に同じである、またはそれよりも小さい、請求項8に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項10】
前記細長いバスバーの前記幅は、0.7mm未満である、請求項8または請求項9に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項11】
前記細長いバスバーの第1の部分の前記幅は、前記導電性ワイヤ部分の前記厚さよりも大きく、及び/または前記細長いバスバーの第2の部分の前記幅は、前記導電性ワイヤ部分の前記厚さと実質的に同じであり、及び/または前記細長いバスバーの第3の部分の前記幅は、前記導電性ワイヤ部分の前記厚さより小さい、請求項8~10のいずれか一項に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項12】
前記細長いバスバーの前記幅は、その長さに沿って変化する、請求項8~11のいずれか一項に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項13】
前記細長いバスバーの長手方向縁部は、複数の直線状または湾曲状のファセットを有する、請求項12に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項14】
前記細長いバスバーの前記幅は、その長さに沿って変化し、ひし形またはスカラップ形を画定する、請求項12または請求項13に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項15】
前記第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちの前記ワイヤ部分のそれぞれは、前記複数の細長いバスバーの対応する導電素子に重なるように構成される、請求項5~14のいずれか一項に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項16】
前記第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちの前記ワイヤ部分のそれぞれに関する軸長は、前記ワイヤ部分のそれぞれが重なる、前記複数の細長いバスバーのうちの対応する導電素子の軸長に対して、略平行に整列するように構成される、請求項15に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項17】
前記第1の複数の導電素子は、複数のフィンガー電極を含み、前記複数のフィンガー電極のうちの少なくとも1つは、前記フィンガー電極に重なる前記複数の細長いバスバーのうちの少なくとも1つと、長さ方向に実質的にずれた状態である、請求項5~16のいずれか一項に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項18】
前記少なくとも1つのフィンガー電極は、前記少なくとも1つの細長いバスバーに対して略垂直に配置される、請求項17に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項19】
前記第1の複数の導電素子及び前記第2の複数の導電素子のうちの少なくとも1つは、印刷材料を使用して形成される、先行請求項のいずれか一項に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項20】
前記複数の太陽電池アセンブリは、互いに電気接続される、請求項1~19のいずれか一項に記載の複数の太陽電池アセンブリを備えた太陽光モジュール。
【請求項21】
第2の太陽電池アセンブリに対して電気接続された第1の太陽電池アセンブリを備え、
前記第1の太陽電池アセンブリの前記複数の導電性ワイヤ部分は、前記第2の太陽電池アセンブリの前記複数の導電性ワイヤ部分に対して電気接続される、
請求項20に記載の太陽光モジュール。
【請求項22】
太陽電池アセンブリを製造する方法であって、
光起電力素子を含む積層構造体を提供することと、
前記積層構造体の表面に電極アセンブリを配置することと、
を含み、前記電極アセンブリを配置することは、
前記積層構造体の前記表面上に第1の複数の導電素子を構成して、前記積層構造体の前記表面とのオーム接触を形成することと、
前記第1の複数の導電素子上に第2の複数の導電素子を構成して、前記第1の複数の導電素子とのオーム接触を形成することと、
前記第2の複数の導電素子上に複数の導電性ワイヤ部分を配置して、前記第2の複数の導電素子とのオーム接触を形成することと、
を含む、方法。
【請求項23】
前記積層構造体は、背面と、前記背面の反対側にある前面とを有し、
前記方法は、前記背面上に前記電極アセンブリを配置して、背部電極アセンブリを画定することを含み、
前記方法はさらに、前記前面上に前部電極アセンブリを配置することを含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記背部電極アセンブリの前記複数の導電性ワイヤ部分は、第1の複数の導電性ワイヤ部分を画定し、
前記前部電極アセンブリを配置することは、
前記積層構造体の前記前面上に第3の複数の導電素子を構成して、前記積層構造体の前記前面とのオーム接触を形成することと、
前記第3の複数の導電素子上に第2の複数の導電性ワイヤ部分を配置して、前記第2の複数の導電性ワイヤ部分が配置された前記第3の複数の導電素子とオーム接触を形成することと、
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記背部電極アセンブリを配置する前記方法のみ、前記複数の導電性ワイヤ部分と前記第1の複数の導電素子との間に前記第2の複数の導電素子が介在するように構成することを含む、請求項23または請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の複数の導電素子を構成することは、前記積層構造体の前記表面上に第1の印刷材料を堆積させて、複数のフィンガー電極を形成することを含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の複数の導電素子を構成することは、前記積層構造体の前記表面上に第2の印刷材料を堆積させて、複数の細長いバスバーを形成することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の印刷材料を堆積させることは、第1の印刷可能な前駆体を堆積させて、次に第1の焼成プロセスに従って前記第1の印刷可能な前駆体を焼成することを含み、
前記第2の印刷材料を堆積させることは、第2の印刷可能な前駆体を堆積させて、次に第2の焼成プロセスに従って前記第2の印刷可能な前駆体を焼成することを含み、
前記第2の焼成プロセスが完了した後にのみ、前記第1の印刷可能な前駆体は前記積層構造体の前記表面上に堆積される、
請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽電池アセンブリ、太陽光モジュール、及び太陽電池アセンブリの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光から電気エネルギーを提供する太陽光モジュールは、光起電力電池のアレイを備え、光起電力電池はそれぞれ、半導体基板を含む。従来、電池は接続された状態であり、これにより、電流は、電池表面上のフィンガー電極のグリッドを介して、電池の前面及び背面に印刷された一連の幅広で垂直なバスバー電極へ送られる。電流は、バスバー電極から、一連の銅リボンに沿って接続箱に流れ、各銅リボンは、各バスバー電極にはんだ付けされた状態である。
【0003】
太陽電池開発の一般的な目的は、生産コストの削減の必要性とバランスの取れた高い変換効率を達成することである。これを達成するための努力は、特に、モジュール内の太陽電池間の電極接続と、半導体基板の特性とに、重点が置かれてきた。しかし、これらの開発にもかかわらず、太陽電池の電力変換効率を高めるために、太陽電池の電極間の接触を改善する必要性が残っている。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によれば、太陽電池アセンブリが提供され、太陽電池アセンブリは、
光起電力素子を含む積層構造体と、
積層構造体の表面(例えば外面)上に配置された電極アセンブリと、
を備え、電極アセンブリは、
複数の導電性ワイヤ部分と、
積層構造体の表面上に配置された第1の複数の導電素子と、
複数の導電性ワイヤ部分と第1の複数の導電素子との間に介在する第2の複数の導電素子と、
を有し、
第1の複数の導電素子は、第2の複数の導電素子と積層構造体の表面との間にオーム接触を形成するように構成され、第2の複数の導電素子は、第1の複数の導電素子と複数の導電性ワイヤ部分との間にオーム接触を形成するように構成される。
【0005】
第2の複数の導電素子は、第1の複数の導電素子と複数の導電性ワイヤとの間に電気経路を提供するように構成される。したがって、第2の複数の導電素子は、電極アセンブリの接触抵抗率を下げ、これにより太陽電池のフィルファクタを高める。このように、導電素子(または複数の導電素子)は、複数の導電性ワイヤと、積層構造体の表面上に配置された第1の複数の導電素子との間の不十分な接触界面により生じ得る抵抗損失を減少させるように構成される。
【0006】
本明細書で使用される「導電性」及び「絶縁性」という用語には、それぞれ電気伝導性及び電気絶縁性を意味する意図が明確にあることが、理解されよう。これらの用語の意味は、光起電力太陽電池デバイスである本開示の技術的文脈を考慮すれば、特に明らかになるであろう。「オーム接触」という用語には、非整流電気接合(すなわち略線形電流電圧(I‐V)特性を示す2つの導体間の接合)を意味する意図があることも、理解されよう。
【0007】
ここで、任意の特徴が提示される。これらは、単独で、または任意の態様との任意の組み合わせで、適用可能である。
【0008】
第1の複数の導電素子及び第2の複数の導電素子は、複数のフィンガー電極及び複数の細長いバスバーをそれぞれ画定することができ、複数のフィンガー電極及び複数の細長いバスバーは、積層構造体の表面上に配置され(例えば印刷され)、太陽光アセンブリの「太陽電池」を画定することが、当業者には容易に理解されよう。具体的には、複数の細長いバスバーは、複数のフィンガー電極の上に配置される(例えば複数のフィンガー電極の上に印刷される)。言い換えると、実施形態では、第1の複数の導電素子及び第2の複数の導電素子は、太陽電池の一部を形成し得る。この実施形態では、複数の導電性ワイヤ部分は、太陽電池に対して適用される電極アセンブリを少なくとも部分的に形成し得る。太陽電池と電極アセンブリとの組み合わせは、太陽電池アセンブリと称され得る。
【0009】
第1の複数の導電素子及び第2の複数の導電素子は、複数の導電性ワイヤ部分とともに、積層構造体から電荷キャリアを抽出するために協働するように構成されることも、理解されよう。したがって、これらの構成要素は、電極アセンブリを画定し、電極アセンブリは、積層構造体と組み合わされた時、本発明の太陽電池アセンブリを画定する。言い換えると、実施形態では、第1の複数の導電素子及び第2の複数の導電素子は、複数の導電性ワイヤ部分と共に、太陽電池に対して適用される電極アセンブリを少なくとも部分的に形成し得る。太陽電池と電極アセンブリとの組み合わせは、太陽電池アセンブリと称され得る。
【0010】
積層構造体は、前面(例えば最前面)と、背面(例えば最背面)とを有し得る。前面は、背面の反対側に存在し得る。電極アセンブリは、積層構造体の背面上に配置された背部電極アセンブリを画定し得る。太陽電池アセンブリは、さらに、背面とは反対側の積層構造体の前面上に配置された前部電極アセンブリを備え得る。
【0011】
複数の導電性ワイヤ部分は、フィルム内に配置され得る。フィルムは、電気絶縁性及び/または光透過性を有するように構成され得る。フィルムは、ワイヤ部分が積層構造体上で正確に離間されるように積層構造体と導電性ワイヤ部分との付着を提供するように構成され得る。このようにして、フィルムにより、ワイヤ部分は、積層構造体と、具体的には第2の複数の導電素子に関して、正確に位置合わせすることが可能となる。フィルムは、ワイヤ部分と積層構造体との間の機械的結合を提供し得る。例示的な構成では、フィルムは、積層構造体の表面全体を覆わなくてもよい。
【0012】
背部電極アセンブリの複数の導電性ワイヤ部分は、第1の複数の導電性ワイヤ部分を画定し得る。フィルム(例えば絶縁性及び/または光透過性フィルム)は、第1のフィルム(例えば背部フィルム、例えば絶縁性及び/または光透過性フィルム)を画定し得る。
【0013】
前部電極アセンブリは、第2の複数の導電性ワイヤ部分を備え得る。第2の複数の導電性ワイヤ部分は、第2のフィルム(例えば前部フィルム、例えば絶縁性及び/または光透過性フィルム)内に配置され得る。
【0014】
第2の複数の導電性ワイヤ部分は、前部電極アセンブリの第3の複数の導電素子とオーム接触を形成するように構成され得る。第3の複数の導電素子は、前部電極アセンブリの第2の複数の導電性ワイヤ部分と、積層構造体の前面との間に介在し得る。
【0015】
背部電極アセンブリのみが、複数の導電性ワイヤ部分と第1の複数の導電素子との間に介在する第2の複数の導電素子を備え得る。別の言い方をすると、背部電極アセンブリのみが、上記で画定された第2の複数の導電素子を含み得る。このように、背部電極アセンブリは、2つの複数の導電素子で構成され得、それぞれが第1の複数の導電性ワイヤ部分と積層構造体の背面との間に介在する。
【0016】
対照的に、前部電極アセンブリは、単一の複数の導電素子(すなわち第3の複数の導電素子)でのみ構成され得、これは、第2の複数の導電性ワイヤ部分と積層構造体の前面との間に介在する。つまり、前部電極アセンブリでは、第2の複数の導電性ワイヤは、第3の複数の導電素子のみを介して、積層構造体の前面に対して電気的に接続され得る。すなわち、第2の複数の導電性ワイヤと積層構造体の前面との間に、第3の複数の導電素子以外に介在する素子は存在し得ない。
【0017】
一方、背部電極アセンブリでは、第1の複数の導電性ワイヤは、第1の複数の導電素子及び第2の複数の導電素子のみを介して、積層構造体の背面に対して電気的に接続され得る。すなわち、第1の複数の導電性ワイヤと積層構造体の背面との間に、第1の複数の導電素子及び第2の複数の導電素子以外に介在する素子は存在し得ない。
【0018】
したがって、第2の複数の導電素子の(すなわち背部電極アセンブリの)各導電素子は、第1の複数の導電素子のうちの導電素子と、第1の複数の導電性ワイヤ部分のそれぞれの導電性ワイヤ部分との間に、オーム接触を形成するように構成され得る。対照的に、第2の複数の導電性ワイヤ部分の(すなわち前部電極アセンブリの)各導電性ワイヤ部分は、第3の複数の導電素子のうちの導電素子と、直接オーム接触を形成するように構成され得る。
【0019】
背部電極アセンブリを検討すると、第2の複数の導電素子は、太陽電池アセンブリの使用時に光の大部分が積層構造体に入射する積層構造体の前面の陰影に対して影響を与えることがない。。第2の複数の導電素子を積層構造体の背面上(すなわち入射光とは反対側の面上)にのみ設けることにより、導電素子により生じ得る任意の陰影が制限される。
【0020】
積層構造体の前面は、太陽電池アセンブリの使用時に光が入射する積層構造体の表面を画定し得る。積層構造体の背面は、前面の反対側にある積層構造体の表面を画定し、すなわち、積層構造体の背面は、使用時に入射光に対して直接曝露され得ない。太陽電池アセンブリは、反射光が積層構造体の背面に向かって送られるように構成され得る。
【0021】
第2の複数の導電素子のうちの導電素子のそれぞれは、細長いバスバーを備え得る。導電素子/細長いバスバーは、積層構造体の表面にわたり延在し、積層構造体の表面上に配置された複数の第1の導電素子のそれぞれと、オーム接触を形成するように構成され得る。第2の複数の導電素子/細長いバスバーは、導電性材料で形成されるので、第2の複数の導電素子/細長いバスバーにより、積層構造体の背面上に配置された第1の複数の導電素子のうちの少なくとも1つから、第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちの少なくとも1つへ、電荷キャリアの流れが可能となる。このようにして、第2の複数の導電素子/細長いバスバーのそれぞれが、背部電極アセンブリの集電体を画定し得る。
【0022】
既知の太陽電池には、「冗長ライン」(別称、角度付き冗長ライン)を設けることができ、これは、太陽電池の端部から短距離延在し、フィンガー電極に対し非平行(例えば垂直または約45度)の方向に延在することが、理解されよう。実施形態では、各冗長ラインは、太陽電池の表面(例えば丈または幅)の20%未満、例えば太陽電池の表面(例えば丈または幅)の10%、7.5%、または5%未満にわたり、延在し得る。
【0023】
これらの「冗長ライン」は、フィンガー電極と交差する導電性ワイヤのアレイの位置合わせに役立つように、太陽電池の表面上に配置される。したがって、これらの「冗長ライン」は、導電性ワイヤとフィンガー電極との間の接触界面を妨害しないように、フィンガー電極と同じ平面に配置される。本発明による電極アセンブリは、導電素子/細長いバスバーが第1の複数の導電素子と複数の導電性ワイヤ部分との間に介在することから、このような「冗長ライン」を有する太陽電池とは区別される。このように、導電素子/細長いバスバーの少なくとも一部は、導電性ワイヤ部分及びフィンガー電極により占有されるそれぞれの平面に隣接して介在するが、それぞれの平面とは空間的に異なる平面に、配置され得る。よって、導電素子/細長いバスバーは、フィンガー電極と電極アセンブリのワイヤ部分との間にオーム接触を提供するように有利に構成される。
【0024】
第2の複数の導電素子/細長いバスバーのそれぞれは、実質的に積層構造体の表面にわたり延在し、「全長」の細長いバスバーを画定するように構成され得る。実施形態では、第2の複数の導電素子/細長いバスバーのそれぞれは、積層構造体の表面(例えば丈)の50%超過、例えば積層構造体の表面(例えば丈)の60%、70%、80%、90%、または95%超過にわたり、延在するように構成され得る。このように、「全長」の細長いバスバーは、ワイヤ部分と下にあるフィンガー電極のそれぞれとの間に、オーム接触を提供し得る。
【0025】
第2の複数の導電素子/細長いバスバーのそれぞれは、幅、軸長、及び深さで構成され得る。このような導電素子/細長いバスバーはそれぞれ、その軸長がその幅よりも実質的に長くなるように構成され得る。導電素子/細長いバスバーの幅及び軸長は、積層構造体の背面の平面と整列した垂直方向で測定され得、深さは、積層構造体の背面の平面に垂直な方向で測定され得る。このような導電素子/細長いバスバーはそれぞれ、積層構造体の背面から突出する/直立するような深さで構成され得る。
【0026】
第2の複数の導電素子/細長いバスバーのそれぞれは、積層構造体の背面を縦方向に縦断して延在するように配置され得る。これらの導電素子/細長いバスバーは、背面にわたり横方向に間隔をあけて配置され、バスバー間には、縦方向に延在する空間が画定され得る。これらの導電素子/細長いバスバーは、互いに平行または略平行であり得る。これらの導電素子/バスバーは、横方向に等間隔または略等間隔に配置され得る。したがって、第2の複数の導電素子/バスバーは、横方向に離間した(例えば等間隔に配置された)平行な導電素子/バスバーのアレイを形成し得る。
【0027】
第2の複数の導電素子/細長いバスバーのうちの少なくとも1つは、略長方形(例えば正方形)の断面(その軸長に対して垂直である断面)を有し得る。これらの導電素子/細長いバスバーのすべてが、同じ長方形の横断面形状を有してもよい。このような当該または各導電素子/細長いバスバーの横断面は、その軸長に沿って均一であり得る。
【0028】
第2の複数の導電素子/細長いバスバーのうちの少なくとも1つまたはそれぞれは、その長さに沿って変化する幅で構成され得る。細長いバスバーの幅は、その長さに沿って変化し、その最も幅の広い部分は、下にあるフィンガー電極と重なる場所に対応する。したがって、細長いバスバーは、周期的な波形を有する幅で構成され得、最も幅の広い部分は、フィンガー電極と重なる部分に対応し、最も幅の狭い部分は、フィンガー電極間の空間に対応する。このように、細長いバスバーは、フィンガー電極との接触面積を最大化すると同時に、バスバーの全体寸法を最小化することで関連材料費を削減するように、構成され得る。
【0029】
例示的な構成では、導電性部分/細長いバスバーの長手方向縁部は、複数の直線ファセットを有し得る。したがって、導電性部分/細長いバスバーのワイヤ受け面は、菱形を画定し得る。代替的に、導電性部分/細長いバスバーの長手方向縁部は、複数の曲線ファセットを有し得る。導電性部分/細長いバスバーのワイヤ受け面は、スカラップ(ホタテ貝)形を画定し得る。
【0030】
第2の複数の導電素子/細長いバスバーは、導電性材料で形成され得る。導電性材料は、Ag、Al、及びAuのうちの少なくとも1つを含み得る金属材料/金属合金材料から形成され得る。背部電極アセンブリのこれらの導電素子/細長いバスバーは、印刷材料を使用して形成され得る。印刷材料は、第2の複数の導電素子/細長いバスバーを形成するように、積層構造体の背面上に好都合に堆積することが可能である。
【0031】
印刷材料は、溶媒中に懸濁した金属粉末(例えばAg、Al、Au粉末)とガラスフリットとの混合物を含み得る導電性ペーストなど、印刷可能な前駆体を使用して形成され得る。印刷された第2の複数の導電素子/細長いバスバーを形成するために、印刷可能な前駆体/導電性ペーストは、焼成または硬化され得る。
【0032】
第1の複数のワイヤ部分におけるワイヤ部分のそれぞれは、幅、軸長、及び深さで構成され得る。ワイヤ部分は、その軸長がその幅よりも実質的に長くなるように構成され得る。ワイヤ部分の幅及び軸長は、積層構造体の背面の平面と整列した垂直方向で測定され得、深さは、積層構造体の背面の平面に垂直な方向で測定され得る。
【0033】
第1の複数のワイヤ部分のそれぞれは、積層構造体の背面に対して縦方向に縦断して延在するように配置され得る。ワイヤ部分は、背面に対して横方向に間隔をあけて配置され、ワイヤ部分の間には、縦方向に延在する空間が画定され得る。ワイヤ部分は、互いに平行または略平行であり得る。ワイヤ部分は、横方向に等間隔または略等間隔に配置され得る。したがって、複数の導電性ワイヤ部分は、横方向に離間した(例えば等間隔に配置された)平行なワイヤ部分のアレイを形成し得る。
【0034】
第1の複数のワイヤ部分におけるワイヤ部分のうちの2つ以上を、電気的または物理的に接合して、単一の導電性コンジットが形成され得る。
【0035】
第1の複数の導電性ワイヤ部分及び/または第2の複数の導電性ワイヤ部分(以後、ワイヤ部分とも称する)の形状及び寸法は、前部電極アセンブリ及び/または背部電極アセンブリの光電子特性、すなわちこれらの集電特性及び積層構造体陰影特性を最適化するように、選択され得る。各ワイヤ部分は、円形の横断面形状(すなわちワイヤ部分の軸長を横断する面形状)を有し得る。あるいは、ワイヤ部分は、例えば長方形、多角形、及び三角形を含む、異なる横断面形状を有してもよい。あるいは、ワイヤ部分の断面は、長円形または不規則な形状であってもよい。
【0036】
第1の複数の導電性ワイヤ及び/または第2の複数の導電性ワイヤにおける導電性ワイヤ部分のそれぞれは、導電性金属または金属合金から形成され得る。ワイヤ部分のそれぞれは、ワイヤのコアの融点よりも低い融点を有する導電性材料を含むコーティングで、少なくとも部分的にコーティングされ得る。各ワイヤは、合金コーティングで完全にコーティングされてもよく、または積層構造体に面する1つ以上の側面が少なくとも部分的にコーティングされてもよい。
【0037】
外側コーティングは、少なくとも2つ以上の成分から形成された金属合金を含み得る。外側コーティング合金は、鉛ベース、スズベース、及びビスマスベースの合金のうちの少なくとも1つであり得る。外側コーティングは、2相、または3相以上の複合金属合金を含み得る。
【0038】
ワイヤ部分コーティングは、Ag、Bi、Cd、Ga、In、Pb、Sn、Tiなどのうちの少なくとも1つを含む金属合金から形成され得る。ワイヤ部分コーティングはまた、有機マトリックス内に埋め込まれた金属粒子または合金粒子から形成される導電性材料も含み得る。
【0039】
第1の複数の導電性ワイヤ部分及び/または第2の複数の導電性ワイヤ部分におけるワイヤ部分のうちの少なくとも1つまたはそれぞれは、それぞれの第1の絶縁光透過性フィルム及び第2の絶縁光透過性フィルムの表面上に配置され得る。代替的または付加的に、ワイヤ部分のうちの少なくとも1つは、フィルム内に少なくとも部分的に配置され得る。このように、ワイヤ部分の表面がフィルムの表面から突出するように、少なくとも1つのワイヤ部分がフィルム内に埋め込まれ得る。あるいは、ワイヤ部分のうちの少なくとも1つまたはそれぞれは、各自のフィルム内に実質的に包まれ得る(例えば完全に包まれ得る)が、さらに、ワイヤ部分のうちの少なくとも1つまたはそれぞれが重なる導電素子/細長いバスバーとの電気接触を形成するように構成される。
【0040】
第1のフィルム及び/または第2のフィルムは、高い延性、良好な絶縁特性、光透過性、及び熱安定性、耐収縮性を有するポリマー材料で形成され得る。例示的なポリマー材料には、アセテート、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルホン、レーヨン、ポリオレフィン、プラスチレン、レーヨネクスト、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフッ化ビニルフィルム、及び変性エチレンテトラフルオロエチレンなどが含まれ得る。実施形態では、第1のフィルム及び/または第2のフィルムは、単一の材料層で構成されているが、しかし、いくつかの他の実施形態では、第1のフィルム及び/または第2のフィルムは、2つ以上の層を含み、これらの層のうちの2つ以上は、異なる材料及び/または材料特性を含み得る。
【0041】
ワイヤ部分に面するフィルムの表面は、透明な接着剤でコーティングされ得る。太陽電池アセンブリの製造中、フィルムを加熱して接着剤を軟化させることにより、力を加えることでワイヤ部分へのフィルムの接着が可能となり得る。このようにして、ワイヤは、少なくとも部分的に接着剤内に埋め込まれ得る。複数の導電性ワイヤ部分が取り扱われる時、積層構造体上に配置される前に、第1のフィルム及び/または第2のフィルムは、ワイヤ部分に構造的支持を提供するように構成され得る。
【0042】
前部電極アセンブリ及び/または背部電極アセンブリが積層構造体と組み立てられる時、関連する絶縁光透過性フィルムは、フィルムと積層構造体との間に挟まれたワイヤ部分の形状に適合するように変形し得る。言い換えると、フィルムの前面は、非ワイヤ領域では略平坦であり、ワイヤ領域ではワイヤ部分の上に畝/隆起を形成し得る。このようにして、フィルムの(例えば縦方向の)各ワイヤ領域は、凸状の(例えば横断)形状(すなわち略半円形状)を有し得る。
【0043】
背部電極アセンブリの第1の絶縁光透過性フィルムは、前面(積層構造体を向く面)、及び前面の反対側の背面(積層構造体とは反対側の面)を有し得る。第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちの少なくとも1つのワイヤ部分は、第1のフィルムの前面上に配置され得る。
【0044】
前部電極アセンブリの第2の絶縁光透過性フィルムは、使用時に光が入射する前面(積層構造体とは反対側の面)、及び前面の反対側の背面(積層構造体を向く面)を有し得る。第2の複数の導電性ワイヤ部分のうちの少なくとも1つのワイヤ部分は、第2のフィルムの背面上に配置され得る。
【0045】
積層構造体は、丈及び幅を含み得る。積層構造体の丈は、その幅より短くあり得る。積層構造体の背面にわたる縦方向及び横方向は、積層構造体の丈方向及び幅方向とそれぞれ平行であり得る。ゆえに、第2の複数の導電素子/細長いバスバー及びワイヤ部分は、積層構造体の丈にわたり延在し、その幅に沿って離間されるように、配置され得る。
【0046】
第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちの少なくとも1つのワイヤ部分は、電極アセンブリ(例えば背部電極アセンブリ)の導電素子/細長いバスバーに(例えば部分的または完全に)重なるように配置され得る。
【0047】
第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちの複数のワイヤ部分は、対応する第2の複数の導電素子/細長いバスバーに(例えば部分的または完全に)重なるように構成され得る。
【0048】
第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちのワイヤ部分のそれぞれは、第2の複数の導電素子/細長いバスバーのうちの対応する導電素子に(例えば部分的または完全に)重なるように構成され得る。例えば、第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちのワイヤ部分のそれぞれは、第2の複数の導電素子/細長いバスバーのうちの異なる導電素子/細長いバスバーに少なくとも部分的に重なるように構成され得る。
【0049】
第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちの少なくとも1つのワイヤ部分の軸長は、当該少なくとも1つのワイヤが重なる(第2の複数の)導電素子/細長いバスバーの軸長に対して、略平行/略軸方向に整列するように配置され得る。
【0050】
第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちの複数のワイヤ部分の軸長は、当該複数のワイヤ部分が重なる対応する第2の複数の導電素子/細長いバスバーの軸長に対して、略平行/略軸方向に整列するように構成され得る。
【0051】
第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちのワイヤ部分のそれぞれに関する軸長は、当該ワイヤ部分のそれぞれが重なる、第2の複数の導電素子/細長いバスバーのうちの対応する導電素子の軸長に対して、略平行/略軸方向に整列するように構成され得る。
【0052】
重ねられた当該または各導電素子/細長いバスバーとそれぞれの導電性ワイヤ部分との間の実質的な整列により、導電素子/細長いバスバー及び第1の複数の導電性ワイヤ部分により生じる陰影が軽減される。
【0053】
また、第2の複数の導電素子/細長いバスバーと第1の複数の導電性ワイヤ部分との間の前述の実質的な整列により、これらの導電性ワイヤ部分とこれらの導電素子/細長いバスバーとの間の界面における接触面積が増加し、これにより接触抵抗率が低下する。したがって、太陽電池アセンブリは、相似する短絡電流(すなわち相似する陰影による)を維持すると同時に、接触界面における抵抗率を低下させることでフィルファクタを増加させるように構成され得る。
【0054】
背部電極アセンブリの例示的な構成によれば、横方向に離間した平行な第1の複数の導電性ワイヤ部分のアレイは、横方向に離間した平行な第2の複数の導電素子/細長いバスバーのアレイ上に重ねられ得る(すなわち直接重ね合わせられ得る)。
【0055】
第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちの少なくとも1つの導電性ワイヤ部分が、少なくとも1つの導電素子/細長いバスバーと重なって整列する場合、導電素子/細長いバスバーの幅(例えば幅の少なくとも第1の部分)は、積層構造体の表面の平面内で測定された導電性ワイヤ部分の厚さと、少なくとも等しくあり得る。例えば、導電素子/細長いバスバーは、その全長に沿って、導電性ワイヤ部分の厚さに少なくとも等しい幅を有し得る。
【0056】
導電素子/細長いバスバーが、導電性ワイヤ部分の厚さに等しい幅(例えば幅の少なくとも第2の部分、及び/または幅の少なくとも第1の部分)で構成される場合、導電素子/バスバーが導電性ワイヤ部分の幅と同様の幅を有するので、背部電極アセンブリは、余分な陰影を生じない。
【0057】
導電素子/細長いバスバーの幅(例えば幅の少なくとも第3の部分)は、積層構造体の表面の平面内で測定された導電性ワイヤ部分の厚さ(例えば幅)より小さくあり得る。例えば、導電素子/細長いバスバーは、その全長に沿って、導電性ワイヤ部分の厚さより小さい幅を有し得る。実施形態では、導電素子/細長いバスバーの幅(例えば幅の少なくとも第3の部分)は、導電性ワイヤ部分の厚さよりほんのわずかに小さくあり得る。例えば、導電素子/細長いバスバーの幅(例えば少なくとも第3の部分の幅)は、導電性ワイヤ部分の幅の約90%であり得る。
【0058】
導電性ワイヤ部分の湾曲した外面は、下にある細長いバスバーとの最大接触面積の幅が、導電性ワイヤ部分の厚さよりも小さくなることを意味する。よって、細長いバスバーは、幅をわずかに狭くして構成され、それでもなお良好なオーム接触を維持し、同時に積層構造体への陰影の影響を最小限に抑えることができる。例えば、導電素子/細長いバスバーの幅(例えば少なくとも第3の部分の幅及び/または全長)は、0.70mm未満であり得る。例えば、導電素子/細長いバスバーの幅(例えば少なくとも第3の部分の幅及び/または全長)は、0.25mm未満であり得る。
【0059】
実施形態では、導電性ワイヤ部分は、0.6mm~0.7mmの幅を有する略平坦なリボンを有し得る。この場合、細長いバスバーは、バスバーの陰影効果を低減させるために、リボンの幅よりも0.1mm小さい幅で構成され得る。
【0060】
例示的な実施形態によれば、導電素子/細長いバスバーの幅は、導電性ワイヤ部分の厚さ(例えば幅)より大きくあり得る。導電素子/細長いバスバーのそれぞれの幅を、導電性ワイヤの厚さよりもわずかに大きく構成することにより、それぞれのワイヤとバスバーとの間にわずかなずれが生じた場合でも、良好な電気接触が確保される。
【0061】
第2の複数の導電性ワイヤ部分における導電性ワイヤ部分は、第1の複数の導電性ワイヤ部分について上記で説明された通りであり得る。
【0062】
第1の複数のワイヤ部分と、第2の複数のワイヤ部分とは、これらの間に積層構造体を介在させた状態で、互いに整列され得る。
【0063】
電極アセンブリ(例えば背部電極アセンブリ)の第1の複数の導電素子は、積層構造体の背面上に配置された複数のフィンガー電極(例えば複数の背部フィンガー電極)を備え得る。前部電極の第3の複数の導電素子は、積層構造体の前面上に配置された複数のフィンガー電極(すなわち複数の前部フィンガー電極)を備え得る。
【0064】
複数の前部フィンガー電極及び/または複数の背部フィンガー電極の各フィンガー電極は、その幅より実質的に長い軸長で構成され得る。フィンガー電極の幅と軸長の両方は、積層構造体のそれぞれの表面の平面内において垂直方向で測定され得る。フィンガー電極は、積層構造体の幅方向と平行な横方向に延在し得る。
【0065】
複数の前部フィンガー電極及び/または複数の背部フィンガー電極のそれぞれのうちのフィンガー電極は、それぞれの表面にわたり間隔をあけて配置され、フィンガー電極間には、横方向に延在する空間が画定され得る。フィンガー電極は、積層構造体の丈方向と略平行である縦方向に、間隔をあけて配置され得る。それぞれの複数のフィンガー電極は、互いに略平行であり得る。したがって、複数の背部フィンガー電極は、縦方向に離間した(例えば等間隔に配置された)平行なフィンガー電極のアレイを形成し得る。
【0066】
複数の背部フィンガー電極のうちの少なくとも1つのフィンガー電極の軸長は、当該少なくとも1つのフィンガー電極に重なる第2の複数の導電素子/細長いバスバーのうちの少なくとも1つの軸長に対し、実質的にずれた状態(例えば略非平行または略垂直)であり得る。複数の背部フィンガー電極のうちの少なくとも1つのフィンガー電極の軸長は、第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちの少なくとも1つの導電性ワイヤ部分の軸長に対し、実質的にずれた状態(例えば略非平行または略垂直)であり得る。
【0067】
したがって、導電素子/細長いバスバーが、重ねられた導電性ワイヤ部分と軸方向に整列している場合、関連するフィンガー電極の軸長は、導電性ワイヤ部分と導電素子/細長いバスバーの両方と、軸方向に同じ不整合角度だけずれた状態であり得る。
【0068】
フィンガー電極の軸長は、重ねられた導電性ワイヤ部分及び/または導電素子/細長いバスバーの軸長に対して、略垂直に配置され得る。このように、フィンガー電極は、積層構造体の背面からの電荷収集を最適化するのに好都合に配置され得る。
【0069】
積層構造体の前面は、積層構造体の背面とは異なる数のフィンガー電極を備え得る。背部フィンガー電極の数は、少なくとも80個、及び/または最大300個であり得る。
【0070】
通常、フィンガー電極は、積層構造体の丈を実質的に横切って延在し得る。積層構造体の前面上の複数のフィンガー電極のうちの少なくとも1つは、前面の丈を部分的にのみ横切って延在し得る。少なくとも1つの前部フィンガー電極は、積層構造体の端部から延在して、短縮型前部フィンガー電極を画定し得る。このように、積層構造体の前面は、太陽電池から電荷を抽出するためのワイヤ部分がより少ない端部に、より多くのフィンガー電極が設けられ得る。短縮型前部フィンガー電極は、積層構造体の幅にわたる「全長」前部フィンガー電極と、交互に配置され得る。短縮型前部フィンガー電極は、積層構造体の中間領域における陰影の量を減少させる。短縮型前部フィンガー電極は、「冗長ライン」(別称、平行冗長ライン)と称され得る。
【0071】
対照的に、背部フィンガー電極のそれぞれは、積層構造体の丈を実質的に横切って延在して、「全長」の背部フィンガー電極を画定するように構成され得る。実施形態では、背部フィンガー電極のそれぞれは、積層構造体の表面(例えば幅)の50%超過、例えば積層構造体の表面(例えば幅)の60%、70%、80%、90%、または95%超過にわたり、延在するように構成され得る。陰影が問題にならない積層構造体の背面においては、背部フィンガー電極の長さ(及び数)が増大するほど、電荷抽出は増加する。
【0072】
太陽電池アセンブリの例示的な構成によれば、横方向に離間した平行な複数の導電素子/細長いバスバーのアレイは、複数の背部フィンガー電極のアレイ上に重ねられ、すなわち直接重ねられ、複数の背部フィンガー電極のアレイに対して垂直に配置され得る。
【0073】
第1の複数の導電素子、例えば背部フィンガー電極は、導電性材料、すなわち第1の導電性材料で形成され得る。前述のように、第2の複数の導電素子/細長いバスバーは、導電性材料、すなわち第2の導電性材料で形成され得、第2の導電性材料は、第1の導電性材料と同じであってもよく、または異なってもよい。第3の複数の導電素子、例えば前部フィンガー電極は、第3の導電性材料で形成され得、第3の導電性材料は、第1の導電性材料及び/または第2の導電性材料(複数可)と同じであってもよく、または異なってもよい。
【0074】
第1の導電性材料、第2の導電性材料、及び第3の導電性材料(複数可)のうちの少なくとも1つまたはそれぞれは、印刷材料であり得る。印刷される第1の導電性材料及び/または第3の導電性材料により、積層構造体のそれぞれの表面上に、幅及び/または深さが(軸長と比較して)狭いフィンガー電極の形成が可能となる。第1の導電性材料及び/または第3の導電性材料は、Ag、Al、及びAuのうちの少なくとも1つを含み得る金属材料/金属合金材料から形成され得る。
【0075】
第1の複数の導電性ワイヤ部分及び第2の複数の導電性ワイヤ部分は、太陽光モジュール内の複数の太陽電池アセンブリを互いに接続するように構成され得ることが、理解されよう。例えば、積層構造体の前面上に配置されたフィンガー電極と直接接続する合金被覆銅ワイヤのグリッドを含む箔ワイヤ電極構成の一部を、第2の複数の導電性ワイヤ部分は形成し得る(例えば前述のように絶縁光透過性フィルムでワイヤ部分を支持することにより)。これにより、電気損失が減少し、クラックまたは電池損傷が太陽光モジュールの性能に与え得る影響が最小限に抑えられる。さらに、箔ワイヤ電極構成の使用は、モジュール製造コストの大幅な削減につながり、また、従来のバスバー電極で前面を構成することにより引き起こされた遮光から生じる光損失の大幅な削減にもつながる。
【0076】
フィンガー電極と、このような箔ワイヤ電極構成の複数の導電性ワイヤとの間の接続は、信頼性に欠けることがあり、太陽電池アセンブリの抵抗率の増加及び高フィルファクタの損失に至り得ることが、理解されよう。しかし、太陽電池アセンブリの背面上で第1の複数の導電性ワイヤとフィンガー電極との間に介在する複数の導電素子/細長いバスバーは、背部電極アセンブリの抵抗率を低下させ、これにより太陽電池アセンブリのフィルファクタを増加させる。
【0077】
太陽電池アセンブリの積層構造体は、複数の層、または素子を有し得、複数の層のうちの少なくとも1つは、半導体材料で形成される。光起電力素子(または層)は、シリコンウェハで形成され、シリコン太陽電池の半導体積層構造体を画定し得る。
【0078】
太陽電池アセンブリの例示的な構成によれば、積層構造体は、多層半導体アセンブリを備え、多層半導体アセンブリは、光起電力素子と、光起電力素子の反対側に配置された少なくとも1つのエミッタ層とを含む。少なくとも1つのエミッタ層は、pn接合を形成するために、光起電力素子の反対側に配置され得る。エミッタ層は、前部電極アセンブリまたは背部電極アセンブリに対して電気的に接続され得る。第1のエミッタ層は、前部電極アセンブリに接続され得、第2のエミッタ層は、背部電極アセンブリに接続され得る。
【0079】
積層構造体は、任意の種類の太陽電池構造を画定するように構成され得ることが、理解されよう。例えば、積層構造体は、ヘテロ接合型太陽電池を画定し得る。あるいは、積層構造体は、タンデム接合太陽電池を画定し得る。
【0080】
少なくとも1つのエミッタ層は、積層構造体の前面に向かって配置され得る。前部電極アセンブリは、エミッタ層上に配置され得る。したがって、エミッタ層は、前部電極アセンブリと、積層構造体の光起電力素子との間に配置され得る。
【0081】
背面電界層は、積層構造体の背面に向かって、すなわち光起電力素子と背面電極アセンブリとの間に、配置され得る。背面電界は、太陽電池の動作中に、光起電力素子から電荷キャリアを抽出するように構成され得る。したがって、背部電極アセンブリは、積層構造体の電界層上に配置され得る。
【0082】
光起電力素子は、シリコンなどの半導体材料で形成され得る。必須ではないが、半導体材料またはその一部は、正または負にドープされ得る(すなわちp型またはn型の半導体)。半導体材料はドープされなくてもよい(すなわち真性半導体)。積層構造体に使用されるシリコンは、単結晶シリコン及び多結晶シリコンなどの結晶シリコン、またはアモルファス(非晶質)シリコンであり得る。
【0083】
多層半導体アセンブリは、p型材料を含むエミッタ層と、n型材料を含む背面電界層とを有することができ、エミッタ層及び背面電界層は、n型材料を含む光起電力素子の両側に配置される。前部電極アセンブリは、エミッタ層に対して電気的に接続され得、背部電極アセンブリは、背面電界層に対して電気的に接続され得る。このような構成は、ヘテロ接合技術(HJT)型太陽電池を画定し得る。よって、エミッタ層及び背面電界層はそれぞれ、アモルファスシリコン(a‐Si:H)から形成され得、光起電力素子は、結晶シリコン(c‐Si)を含み得る。
【0084】
多層半導体アセンブリは、少なくとも1つの真性層を有することができ、すなわち真性ドープ半導体を備える。少なくとも1つの真性層は、エミッタ層と光起電力素子との間に配置され、前側パッシベーション層が形成され得る。代替的または付加的に、少なくとも1つの真性層は、光起電力素子と背面電界層との間に配置され、背側パッシベーション層が形成され得る。少なくとも1つの真性層は、アモルファスシリコンから形成され得る。
【0085】
半導体材料がn型の場合、半導体材料は、リン(P)、砒素(As)、及びアンチモン(Sb)などのV族元素の不純物を含むように構成され得る。半導体材料がp型の場合、半導体材料は、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、及びインジウム(In)などのIII族元素の不純物を含み得る。あるいは、半導体材料は、シリコン以外の材料で形成され得る。
【0086】
積層構造体内に形成されたエミッタ層は、光起電力素子の第1の導電型(例えばn型)とは反対の第2の導電型(例えばp型)の不純物領域を画定することができ、よって、光起電力素子とともにpn接合を形成する。
【0087】
pn接合においてp型材料とn型材料との間に形成された界面により、過剰な電子及び正孔は、n型材料及びp型材料にそれぞれ拡散する。電荷キャリアのこの相対的な移動により、pn接合において空乏領域(例えば空間電荷領域)が形成される。熱平衡状態に達すると、空乏領域にわたり内蔵電位差が形成される。
【0088】
太陽電池の作動中、基板に入射する光によって生成された複数の電子‐正孔対は、pn接合に起因する内蔵電位差によって生成された電界により、電子と正孔とに分離される。次に、分離した電子は、n型半導体に移動し(例えばトンネリングし)、分離した正孔は、p型半導体に移動する。よって、光起電力素子がn型であり、エミッタがp型である場合、分離した正孔及び電子は、エミッタ及び光起電力素子にそれぞれ移動する。したがって、光起電力素子では、電子が多数キャリアとなり、エミッタでは、正孔が多数キャリアとなる。
【0089】
別の構成によれば、エミッタ層がn型であり得、光起電力素子がp型であり得、これらの間にpn接合が形成される。この場合、分離した正孔及び分離した電子は、光起電力素子及びエミッタ層にそれぞれ移動する。
【0090】
積層構造体の前面(複数可)は、テクスチャ加工され、凹凸の表面に対応する、または凹凸特性を有するテクスチャ表面が形成され得る。この場合、積層構造体のテクスチャ表面により、積層構造体に入射する光の量が増加し、よって太陽電池の効率が向上する。
【0091】
積層構造体はさらに、積層構造体の前面及び/または背面に配置された反射防止層または反射防止コーティングを有し得る。当該または各反射防止層は、単層構造または多層構造を有し得る。反射防止層は、シリコン窒化物(SiNx)及び/またはシリコン酸化物(SiOx)から形成され得る。あるいは、反射防止層は、反射防止表面を提供するためにテクスチャ加工されたインジウムスズ酸化物(ITO)などの透明導電性酸化物(TCO)から形成され得る。反射防止層は、有利に、太陽電池に入射する光の反射率を減少させ、所定の波長帯域の選択を増加させることにより、太陽電池の効率を増加させる。
【0092】
積層構造体は、積層構造体の前面及び/または背面に配置された透明導電性酸化物コーティングを有し得る。透明導電性酸化物コーティングは、積層構造体のエミッタ層、真性層、及び光起電力素子のうちの少なくとも1つに対して、電気的に接続され得る。透明導電性酸化物コーティングは、積層構造体のそれぞれの表面上に配置されたフィンガー電極への横方向キャリア輸送を増加させるように構成され得る。透明導電性酸化物コーティングは、低キャリア移動度を示すアモルファスシリコンで形成された層を有するヘテロ接合型デバイスにおいて、特に有利である。
【0093】
第2の態様によれば、第1の態様による複数の太陽電池を備えた太陽光モジュールが提供される。複数の太陽電池は、互いに電気的に接続され得る。
【0094】
第1の太陽電池は、第2の太陽電池に対して電気的に接続され得る。よって、第1の太陽電池の電極アセンブリの複数の導電性ワイヤ部分は、第2の太陽電池の電極アセンブリの複数の導電性ワイヤ部分に対して、電気的に接続され得る。例示的な構成によれば、第1の太陽電池の前部電極アセンブリの第2の複数の導電性ワイヤ部分は、第2の太陽電池の背部電極アセンブリの第1の複数の導電性ワイヤ部分に対して、電気的に接続され得る。したがって、2つの複数の導電性ワイヤ部分は、モジュール内の2つ以上の太陽電池間の電気接続を形成し得る。
【0095】
第1の太陽電池の背部電極アセンブリの第1の複数の導電性ワイヤ部分は、第2の太陽電池の前部電極アセンブリの第2の複数のワイヤ部分と、物理的及び/または電気的に接続することができ、例えば一体的に形成され得る。このように、複数の導電性ワイヤ部分が、第1の太陽電池と第2の太陽電池との間の直接的電気接続を提供し得ることより、これらの間の電荷の流れが増大する。導電性ワイヤ部分をこのように構成することで、隣接する太陽電池間に別個の接続(銅リボンなど)を設ける必要がなくなり、これにより、太陽光モジュールを作るのに必要な製造工程の数及び複雑さが軽減される。
【0096】
実施形態では、第1の太陽電池の前部電極アセンブリの第3の複数の導電素子は、第1の複数の導電性ワイヤ部分、及び第2の複数の導電性ワイヤ部分、及び第2の複数の導電素子のみを介して、第2の太陽電池の背部電極アセンブリの第1の複数の導電素子に対して接続される。
【0097】
太陽光モジュールは、複数の太陽電池アセンブリを収容するフレームを備え得る。フレームは、複数の太陽電池アセンブリの前側及び背側にそれぞれ配置された前部プレート及び背部プレートを備え得る。前部プレート及び背部プレートのうちの少なくとも1つまたはそれぞれは、ガラス(例えばガラスシート)で形成され得る。太陽光モジュールは、封止材を有し得、これは、前部プレートと、背部プレートと、複数の太陽電池アセンブリとの間の接着を提供するように構成され得る。このように、封止材は、太陽光モジュールのガラスシートと、複数の太陽電池アセンブリのうちの1つにおける絶縁光透過性フィルムとの間に配置され得る。封止材は、太陽光モジュールへの湿気の侵入を防ぐように構成され得る。したがって、封止材は、エチレンビニルアセテート(EVA)、または任意の他の適切な耐湿性材料から形成され得る。
【0098】
第3の態様によれば、第1の態様による太陽電池を製造するための方法が提供され、方法は、
光起電力素子を含む積層構造体を提供することと、
積層構造体の表面上に電極アセンブリを配置することと、
を含み、電極アセンブリを配置することは、
積層構造体の表面上に第1の複数の導電素子を構成して、積層構造体の表面とのオーム接触を形成することと、
第1の複数の導電素子上に第2の複数の導電素子を構成して、第1の複数の導電素子とのオーム接触を形成することと、
第2の複数の導電素子上に複数の導電性ワイヤ部分を配置して、第2の複数の導電素子とのオーム接触を形成することと、
を含む。任意で、複数の導電性ワイヤ部分は、フィルム(例えば絶縁及び/または光透過性フィルム)内に配置される。
【0099】
積層構造体は、背面(例えば最背面)と、背面の反対側にある前面(例えば最前面)と、を有し得る。したがって、方法は、積層構造体の背面上に電極アセンブリを配置して、背部電極アセンブリを画定することを含み得る。方法はさらに、積層構造体の前面上に前部電極アセンブリを配置することを含み得る。
【0100】
背部電極アセンブリの複数の導電性ワイヤ部分は、第1の複数の導電性ワイヤ部分(例えば第1の絶縁及び/または光透過性フィルム内に配置される)を画定し得る。このような構成では、前部電極アセンブリを配置する方法は、積層構造体の前面上に第3の複数の導電素子を構成して、積層構造体の前面とオーム接触を形成することと、第3の複数の導電素子の上に第2の複数の導電性ワイヤ部分を配置して、第3の複数の導電素子とオーム接触を形成することと、含み得る。第2の複数の導電性ワイヤ部分は、第2のフィルム(例えば絶縁性及び/または光透過性フィルム)内に配置され得る。
【0101】
背部電極アセンブリを配置する方法のみ、複数の導電性ワイヤ部分と第1の複数の導電素子との間に第2の複数の導電素子が介在するように構成することを、含み得る。つまり、前部電極アセンブリを配置する方法では、第2の複数の導電性ワイヤは、第3の複数の導電素子のみを介して、積層構造体の前面に接続され得る。すなわち、第2の複数の導電性ワイヤと積層構造体の前面との間に、第3の複数の導電素子以外に介在する素子は存在し得ない。一方、背部電極アセンブリを配置する方法では、第1の複数の導電性ワイヤは、第1の複数の導電素子及び第2の複数の導電素子のみを介して、積層構造体の背面に対して接続され得る。すなわち、第1の複数の導電性ワイヤと積層構造体の背面との間に、第1の複数の導電素子及び第2の複数の導電素子以外に介在する素子は存在し得ない。
【0102】
積層構造体の前面上に第3の複数の導電素子を構成する方法は、前面上に複数の細長いフィンガー電極、すなわち複数の前部フィンガー電極を、(例えば直接)堆積させることを含み得る。同様に、積層構造体の背面上に第1の複数の導電素子を構成する方法は、背面上に複数の細長いフィンガー電極、すなわち複数の背部フィンガー電極を、(例えば直接)堆積させることを含み得る。
【0103】
第2の複数の導電素子は、複数の細長いバスバーを画定するように構成され得る。方法は、背面上に配置された複数の細長いフィンガー電極のうちの少なくとも1つの上に、導電素子のうちの少なくとも1つを(例えば直接)堆積させること(すなわち重ねること)を含み得る。
【0104】
複数の背部フィンガー電極を堆積させる方法は、積層構造体の背面上に第1の導電性材料を(例えば直接)堆積させることを含み得る。第2の複数の導電素子/細長いバスバーを堆積させる方法は、積層構造体の背面上に第2の導電性材料を(例えば直接的及び間接的に)堆積させて、複数の細長いバスバーを形成することを含み得る。すなわち、背部フィンガー電極が存在する背面領域では、細長いバスバーは、背部フィンガー電極上に直接的に、よって背面上に間接的に、堆積され得るが、しかし、背部フィンガー電極が存在しない背面領域では、細長いバスバーは、背面上に直接堆積され得る。複数の前部フィンガー電極を堆積させる方法は、積層構造体の前面上に第3の導電性材料を(例えば直接)堆積させることを含み得る。
【0105】
第1の導電性材料、第2の導電性材料、及び第3の導電性材料のうちの少なくとも1つは、蒸着、メッキ、印刷などを含む様々な方法で、堆積され得る。例えば、第1の導電性材料、第2の導電性材料、及び第3の導電性材料は、第1の印刷材料、第2の印刷材料、及び第3の印刷材料を、それぞれ含み得る。
【0106】
第1の導電性材料を堆積させる方法は、第1の印刷材料の第1の印刷可能な前駆体を、積層構造体の背面上に印刷することを含み得る。方法はさらに、第1の焼成プロセスに従って第1の印刷可能な前駆体を硬化させて、導電素子/細長いバスバーを形成することを含み得る。
【0107】
第2の導電性材料を堆積させる方法は、第2の印刷材料の第2の印刷可能な前駆体を、積層構造体の背面上に印刷することを含み得る。方法はさらに、第2の焼成プロセスに従って第2の印刷可能な前駆体を硬化させて、複数の背部フィンガー電極を形成することを含み得る。
【0108】
第3の導電性材料を堆積させる方法は、第3の印刷材料の第3の印刷可能な前駆体を、積層構造体の前面上に印刷することを含み得る。方法はさらに、第3の焼成プロセスに従って第3の印刷可能な前駆体を硬化させて、複数の前部フィンガー電極を形成することを含み得る。
【0109】
第1の印刷可能な前駆体、第2の印刷可能な前駆体、及び第3の印刷可能な前駆体のうちの少なくとも1つを硬化させる方法は、積層構造体のそれぞれの表面上に配置された印刷可能な前駆体を、炉内で焼成することを含み得る。第1の印刷可能な前駆体、第2の印刷可能な前駆体、及び第3の印刷可能な前駆体のうちの少なくとも1つは、金属粉末及びガラスフリットを適切な溶媒とともに混合することにより得られ得る金属ペーストを含み得る。
【0110】
複数の背部フィンガー電極を形成するために使用される第1の印刷可能な前駆体(よって第1の導電性材料)は、導電素子/バスバーを形成するために使用される第2の印刷可能な前駆体とは異なり得る。よって、方法は、第1の印刷可能な前駆体を積層構造体の背面上に印刷し、次いで第1の焼成プロセスに従って積層構造体を焼成して、複数の背部フィンガー電極を形成することを含み得る。方法はさらに、第2の印刷可能な前駆体が細長い背部フィンガー電極のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に重なるように、第2の印刷可能な前駆体を背面上に堆積させ、次いで、第2の焼成プロセスに従って積層構造体を焼成して、複数の導電素子/細長いバスバーを形成することを含み得る。
【0111】
第1の導電性材料、第2の導電性材料、及び第3の導電性材料は、それぞれ/すべてが、異なる化学組成を有し得る。第1の焼成プロセス、第2の焼成プロセス、及び第3の焼成プロセスは、それぞれ/すべてが、焼成温度などの異なる焼成パラメータを含み得る。
【0112】
方法は、導電素子のうちの少なくとも1つの導電素子の軸長が、当該少なくとも1つの導電素子が重なるフィンガー電極のうちの少なくとも1つのフィンガー電極の軸長と略非平行に(例えば略垂直に)なり得るように、第2の複数の導電素子/細長いバスバーを堆積させることを含み得る。方法は、第2の複数の導電素子/細長いバスバーを、複数の背部フィンガー電極に対して垂直に配置されるように堆積させることを含み得る。
【0113】
方法は、第2の複数の導電素子/細長いバスバーが第1の複数の導電性ワイヤ部分を受けることができるように、積層構造体の背面上の指定位置に、すなわちワイヤ受け位置に、第2の複数の導電素子/細長いバスバーを堆積させることを含み得る。ワイヤ受け位置(または複数のワイヤ受け位置)のそれぞれは、第1の複数の導電性ワイヤ部分内のワイヤ部分の構成(すなわち横方向の間隔)に基づいて、決定され得る。このように、方法は、第1の複数の導電性ワイヤ部分が第2の複数の導電素子に(例えば部分的または完全に)重なることができるように、第2の複数の導電素子が積層構造体の背面上に配置されることを確保する。
【0114】
第2の複数の導電素子/細長いバスバーが、積層構造体の背面上に配置されたフィンガー電極上に堆積されると、第1の複数の導電性ワイヤ部分が、対応する第2の複数の導電素子/細長いバスバー上に(例えば部分的または完全に)重ねられ得る。
【0115】
方法は、背部電極アセンブリの(第2の複数の)導電素子/細長いバスバーに(例えば部分的または完全に)重なるように、第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちの少なくとも1つのワイヤ部分を構成することを含み得る。
【0116】
方法は、対応する第2の複数の導電素子/細長いバスバーに(例えば部分的または完全に)重なるように、第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちの複数のワイヤ部分を構成することを含み得る。
【0117】
方法は、第2の複数の導電素子/細長いバスバーのうちの対応する(例えば異なる)導電素子に(例えば部分的または完全に)重なるように、第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちのワイヤ部分のそれぞれを構成することを含み得る。
【0118】
方法はさらに、第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちの少なくとも1つのワイヤ部分の軸長を、当該少なくとも1つのワイヤが重なる背部電極アセンブリの(第2の複数の)導電素子/細長いバスバーの軸長に対して、平行/軸方向に整列する(または略平行/略軸方向に整列する)ように、配置することを含み得る。
【0119】
方法は、第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちの複数のワイヤ部分が重なる対応する第2の複数の導電素子/細長いバスバーの軸長に対して、当該複数のワイヤ部分の軸長が平行/軸方向に整列する(または略平行/略軸方向に整列する)ように、第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちの複数のワイヤ部分を構成することを含み得る。
【0120】
方法は、第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちのワイヤ部分のそれぞれが重なる、第2の複数の導電素子/細長いバスバーのうちの対応する導電素子の軸長に対して、当該ワイヤ部分のそれぞれに関する軸長が平行/軸方向に整列する(または略平行/略軸方向に整列する)ように、第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちのワイヤ部分のそれぞれを構成することを含み得る。
【0121】
第1の複数の導電性ワイヤ部分が及び/または第2の複数の導電性ワイヤ部分が積層構造体のそれぞれの前面及び背面上に重ねられると、方法はさらに、下にある表面とオーム接触を形成するために、導電性ワイヤ部分を加熱することを含み得る。
【0122】
方法は、第1の複数の導電性ワイヤ部分を加熱して、ワイヤ部分のコーティングの少なくとも一部を溶融させることを含み得る。溶融したワイヤコーティング部分は、背部電極アセンブリの複数の導電素子/細長いバスバーのうちワイヤが重なる少なくとも1つと、オーム接触を形成するように構成され得る。
【0123】
方法は、第2の複数の導電性ワイヤ部分を加熱して、ワイヤ部分のコーティングの少なくとも一部を溶融させることを含み得る。溶融したワイヤコーティング部分は、複数の前部フィンガー電極のうちワイヤが重なる少なくとも1つと、オーム接触を形成するように構成され得る。
【0124】
第1の複数の導電性ワイヤ部分及び/または第2の複数の導電性ワイヤ部分のうちのワイヤ部分のそれぞれのコーティングは、それぞれのワイヤ部分のコアが形成される材料よりも融点の低い材料で構成され得る。第1の複数の導電性ワイヤ部分及び/または第2の複数の導電性ワイヤ部分のうちのワイヤ部分のコーティングは、別個に、または同じ加熱プロセス中に、加熱され得る。
【0125】
前部の第1の複数の導電素子及び背部の第1の複数の導電素子(例えば前部フィンガー電極及び背部フィンガー電極)は、同時に(すなわち単一の堆積プロセスを使用して)堆積されてもよく、または別個に堆積されてもよい。第1の複数の導電素子が堆積されると、第2の複数の導電素子(例えば細長いバスバー)が、別個の堆積プロセスで堆積され得る。
【0126】
第1の複数の導電素子及び第2の複数の導電素子のうちの少なくとも1つまたはそれぞれの硬化温度は、最大300℃であり得る。積層構造体がHJT太陽電池構造を画定する例示的な実施形態では、硬化ステップは、200℃未満の温度で構成され得る。例示的な構成では、硬化温度は、少なくとも145℃であり得る。硬化温度は、最大165℃であり得る。
【0127】
相互排反する場合を除いて、上記の態様のうちのいずれか1つに関して説明された特徴またはパラメータは、任意の他の態様にも適用され得ることが、当業者には理解されよう。さらに、相互排反する場合を除いて、本明細書で説明されるいずれの特徴またはパラメータも、任意の態様に適用され得、及び/または本明細書で説明される任意の他の特徴またはパラメータと組み合わせられ得る。
【0128】
ここで、図面を参照して、実施形態が単なる例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0129】
図1】太陽電池を備えた太陽光モジュールの拡大側面断面図である。
図2A図1の太陽電池の上面(前面)の平面図である。
図2B図2A及び図2Cに示される太陽電池を通る、ある位置の横断面図である。
図2C図1の太陽電池の底面(背面)の平面図である。
図2D図2A及び図2Cに示される太陽電池を通る、別の位置の横断面図である。
図3図1の太陽電池の半導体積層構造体の斜視断面図である。
図4a】バスバーの代替的構成を有する太陽電池の底部(背部)の平面図である。
図4b図4aに示される太陽電池の底部(背部)の拡大図である。
図5】バスバーの代替的構成を有する太陽電池の底部(背部)の平面図である。
図6図1の太陽電池の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0130】
ここで、本開示の態様及び実施形態が、添付の図面を参照して説明される。さらなる態様及び実施形態は、当業者には明らかであろう。
【0131】
図面では、層、フィルムなどの厚さは、明確にするために誇張されている。さらに、層、フィルム、領域、または基板などの要素が別の要素の「上」にあると言及される時、その要素はその別の要素の上に直接存在する場合もあれば、介在要素が存在する場合もあることが、理解されよう。対照的に、要素が別の要素の「上に直接」に存在すると言及される時、介在要素は存在しない。
【0132】
図1は、太陽光パネルの支持アセンブリ102内に配置された、本発明による太陽電池10を示す。支持アセンブリ102の前部プレート104は、太陽電池10が取り付けられた中央チャンバ106内へ光が透過できるように構成された透明(例えばガラス)シートを有する。図1の上部の矢印は、太陽電池10に入射する太陽放射の方向を示す。
【0133】
支持アセンブリ102の背部プレート108は、中央チャンバ106内に太陽電池10を囲むように配置される。背部プレート108は、背部プレート108の上面に入射するいずれの光も太陽電池10に向けて反射し戻すように構成された反射シートを有する。中央チャンバ106は、外部の液体または気体の侵入を防止する封止材(図1に示される斜線領域)で充填される。
【0134】
太陽電池10は、支持アセンブリ102内に配置された複数の太陽電池(図示せず)のうちの1つである。複数の太陽電池10のそれぞれは、1つ以上のストリングで互いに電気接続され、太陽光モジュール100を画定する。
【0135】
図2A及び図2Cは、太陽電池10の上面図(前面図)及び底面図(背面図)を示し、一方で図2B及び図2Dは、それぞれ図2A図2Cに示される破線B‐B及びA‐Aに沿った太陽電池10の横断面を示す。太陽電池10は、積層構造体12と、積層構造体12の前面16上に配置された前部電極アセンブリ14と、積層構造体12の背面20上に配置された背部電極アセンブリ18とを含む。太陽電池10は、図2A及び図2Cの垂直方向の寸法である丈と、図2A及び図2Cの水平方向の寸法である幅とを有する。
【0136】
前面16は、太陽電池10の使用時に光が入射する積層構造体12の表面を画定する。背面20は、図2Bに示されるように、前面16の反対側にある積層構造体12の表面を画定する。
【0137】
下記でさらに説明されるように、積層構造体12は、入射放射線の吸収から電荷キャリアを生成するように構成された多層半導体アセンブリである。前部電極アセンブリ14及び背部電極アセンブリ18は、積層構造体12に取り付けて、積層構造体12により生成された電荷キャリアを伝導するようにそれぞれ構成される。
【0138】
この背部電極アセンブリ18は、第1の絶縁光透過性フィルム30内に配置された第1の複数の導電性ワイヤ部分28と、積層構造体12の背面20上に配置された第1の複数の導電素子34と、第1の複数の導電性ワイヤ部分28と第1の複数の導電素子との間に介在する第2の複数の導電素子32とを含む。
【0139】
第2の複数の導電素子32は、第1の複数の導電性ワイヤ部分28と、積層構造体12の背面20上に配置された複数の背部フィンガー電極34を画定する第1の複数の導電素子34との間に、オーム接触を形成するように構成される。
【0140】
前部電極アセンブリ14は、図2Bに示されるように、第2の絶縁光透過性フィルム24内に配置された第2の複数の導電性ワイヤ部分22を備える。第2の複数のワイヤ部分22は、第3の複数の導電素子26に重なるように構成され、第3の複数の導電素子26は、積層構造体12の前面16上に配置された複数の前部フィンガー電極26を画定する。ワイヤ部分22は、フィンガー電極26とオーム接触を形成するように構成される。
【0141】
背部電極アセンブリ18のみが、それぞれのフィンガー電極34と導電性ワイヤ部分28との間に介在する第2の複数の導電素子32を含む。前部電極14は、図2Bに示されるように、第2の複数の導電性ワイヤ部分22が、積層構造体12の前面16上に配置されたフィンガー電極26と直接接触するように構成される。
【0142】
対照的に、背部電極アセンブリ18の第2の導電素子32は、積層構造体12の背面20上のフィンガー電極34と、第1の複数の導電性ワイヤ部分28との間に、電気経路を提供するように構成される。したがって、導電素子32は、背部電極アセンブリ18の接触抵抗率を下げ、これにより、太陽電池10のフィルファクタを高める。このように、導電素子32は、第1の複数の導電性ワイヤ部分28が複数の背部フィンガー電極34と直接接触するように構成された場合に存在する抵抗損失を、低減するように構成される。
【0143】
導電素子32は、導電性材料から形成され、これにより、導電素子32は、積層構造体12の背面20上の第1の複数の導電性ワイヤ部分28とフィンガー電極34との間で電荷キャリアが流れることを可能にするように構成される。このように、導電素子32のそれぞれは、背部電極アセンブリ18の集電体を画定する。
【0144】
導電素子32のそれぞれは、幅、長さ、及び深さを有する細長いバスバー32を備える。各バスバー32の長さは、その幅よりも実質的に長い軸長を画定する。バスバー32の幅及び長さの両方は、積層構造体12の背面20の平面と整列した方向で測定される。
【0145】
各バスバー32の寸法は、他のすべてのバスバー32の寸法と、実質的に同じである。例えば、バスバー32は、それぞれが積層構造体12の背面20から同じ量だけ突出するように、共通の深さを有する。各バスバー32の深さは、積層構造体12の背面20の平面に対して垂直な方向(図2Bに示される垂直方向)で測定される。さらに、バスバー32のそれぞれは、(その長さに対して垂直な)長方形の断面を有する。
【0146】
図2A図2B、及び図2Cを参照して、複数のフィンガー電極26、34、ワイヤ部分22、28、及びバスバー32のそれぞれの配置を、ここではより詳細に説明する。
【0147】
複数の前部フィンガー電極26及び複数の背部フィンガー電極34は、積層構造体12にわたり横方向(図2Aの水平方向)に延在するように配置され、縦方向(図2Aの垂直方向)に等間隔に離間して配置される。
【0148】
積層構造体12の前面16及び背面20のそれぞれに配置されたフィンガー電極は、互いに平行に配置される。図2A及び図2Cに示されるように、複数の前部フィンガー電極26及び複数の背部フィンガー電極34のそれぞれは、12個の電極を備える。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、前部フィンガー電極26及び背部フィンガー電極34の数は異なってもよく、例えば、前面16及び背面20のそれぞれに80個のフィンガー電極が存在してもよいことを、理解されたい。フィンガー電極の数は、本発明の範囲から逸脱することなく、さらに多く(例えば250個より多く)てもよいことが、理解されよう。細長いバスバー32の数は4~20であり、ワイヤ部分28、22の数は細長いバスバー32の数と同じである。
【0149】
積層構造体12の前面16上に配置されたフィンガー電極のそれぞれは、複数の背部フィンガー電極34のうちの対応する電極と、整列される。
【0150】
第1の複数の導電性ワイヤ部分28及び第2の複数の導電性ワイヤ部分22のうちのワイヤ部分は平行であり、積層構造体12の背面20に対して縦方向(図2Aの垂直方向)に縦断して延在する。複数のワイヤ部分28、22のそれぞれのうちのワイヤ部分はまた、積層構造体12の背面20に対して横方向(図2Aの水平方向)に等間隔に離間して配置され、ワイヤ部分の間には、縦方向に延在する空間が画定される。したがって、複数の導電性ワイヤ部分28、22のそれぞれは、横方向に離間した平行なワイヤ部分のアレイを画定する。
【0151】
第2の複数の導電性ワイヤ部分22におけるワイヤ部分のそれぞれは、第1の複数の導電性ワイヤ部分28のうちの対応するワイヤ部分と、整列される。第1の複数のワイヤ部分28及び第2の複数のワイヤ部分22はそれぞれ、積層構造体12の両側に配置された16個のワイヤ部分を含む。先と同様に、いくつかの他の実施形態では、異なる数のワイヤ部分が存在し得る。
【0152】
ここで、積層構造体12の背面20を縦方向(図2Aの垂直方向)に縦断して延在する複数の細長いバスバー32を検討する。ワイヤ部分と同様に、バスバー32も互いに平行に配置され、横方向(図2Aの水平方向)に等間隔に配置される。ゆえに、バスバー32間の間隔は、バスバー32の間に、縦方向に延在する空間のアレイを画定する。
【0153】
前述の構成によれば、図2A及び図2Cに示されるように、複数の前部フィンガー電極26及び複数の背部フィンガー電極34は、第1の複数の導電性ワイヤ部分22及び第2の複数の導電性ワイヤ部分28、ならびに複数の細長いバスバー32に対し、垂直に配置されることが、理解されよう。
【0154】
図2B及び図2Cに示されるように、背部電極アセンブリ18には、16個のバスバー32が設けられる。16個のバスバーのそれぞれには、第1の複数の導電性ワイヤ部分28のうちの導電性ワイヤ部分が重なる。第1の複数の導電性ワイヤ部分28のうちのワイヤ部分のそれぞれに関する軸長は、当該ワイヤ部分のそれぞれが重なる、複数の細長いバスバー32のうちの対応するバスバーの軸長に対して、軸方向に整列される。よって、第1の複数の導電性ワイヤ部分28は、積層構造体12の背面20上の複数の細長いバスバー32の上に直接重ね合わせられる。有利なことに、バスバー32とワイヤ部分28とを整列させることにより、バスバー32を含めることで生じるさらなる陰影の割合が制限される。
【0155】
また、バスバー32とワイヤ部分28との平行な整列により、導電性ワイヤ部分と細長いバスバーとの界面における接触面積が増加し、これにより接触抵抗率が低下する。したがって、太陽電池10は、相似する短絡電流(すなわち相似する陰影による)を維持すると同時に、接触界面における抵抗率を低下させることでフィルファクタを増加させるように構成される。
【0156】
細長いバスバー32のそれぞれの幅は、0.25mm未満であり、これは従来の太陽電池のバスバーの幅よりも大幅に狭い。バスバーの幅をより狭くすることにより、従来のバスバー構成と比較して、積層構造体12の背面20にわたり、より多くのバスバー32を配置することが可能となる。バスバー32の数を多くすることで、太陽電池10内には、より多くの電流抽出経路が形成される。
【0157】
さらに、バスバー32のそれぞれは、バスバー32に重なる導電性ワイヤ部分28の厚さよりもわずかに大きい幅で構成される。細長いバスバー32の幅をより広くすることにより、導電性ワイヤ部分28と細長いバスバーとの間の界面で良好な電気接触が確保され、これにより、第1の複数の導電性ワイヤ部分28と背部フィンガー電極32との間の接続抵抗率が低下する。
【0158】
細長いバスバー32のそれぞれの幅を、導電性ワイヤ部分の厚さよりもわずかに広く構成することにより、背部電極アセンブリ18の製造中にワイヤ部分とバスバーとの間にわずかなずれが生じた場合でも、良好な電気接触が確保される。
【0159】
図2Cに示される細長いバスバー32は、まっすぐな長手方向縁部を有するように構成される。本発明の代替的な構成によれば、長手方向縁部は、図4A及び図5にそれぞれ示されるように、複数の直線状または湾曲状のファセットを有するように構成され得る。特に図4Bを参照すると、細長いバスバー132のそれぞれにおけるワイヤ受け面は、周期的または反復するダイヤモンド形状を画定する。あるいは、図5に示されるように、ワイヤ受け面は、周期的な(または反復する)スカラップ形状を画定するように、複数の湾曲状ファセットを有し得る。
【0160】
図4A図4B、及び図5に示される例示的な構成のそれぞれにおいて、細長いバスバー132、232の最も幅の広い部分は、フィンガー電極32と重なる部分に対応し、最も幅の狭い部分は、フィンガー電極32間の空間に対応する。このように、細長いバスバー132、232は、フィンガー電極32との接触面積を最大化すると同時に、バスバーの全体寸法を最小化することで関連材料費を削減するように、構成される。
【0161】
細長いバスバー32は、Agを含む金属合金から形成された導電性材料で形成される。導電性材料は印刷材料であり、これにより、積層構造体12の背面20上にバスバー32を好都合に堆積させることができる。印刷材料は、溶媒中に懸濁した銀の金属粉末とガラスフリットとの混合物を含む導電性ペーストなど、印刷可能な前駆体を使用して形成される。下記でより詳しく説明されるように、細長いバスバーを形成するために、導電性ペーストは焼成または硬化され得る。
【0162】
第1の複数のフィンガー電極26及び第2の複数のフィンガー電極34はそれぞれ、複数の細長いバスバー32を形成するために使用されるものと同様の印刷導電性材料を使用して、形成される。
【0163】
図2Aに示されるように、導電性ワイヤ部分22、28はそれぞれ、円形の横断面形状(すなわちワイヤ部分の軸長を横断する面形状)を有する。ワイヤ部分のそれぞれは、導電性金属合金から作られた軸芯で形成される。ワイヤ部分のコアは、外側導電性コーティングでコーティングされる。
【0164】
ワイヤ部分のコアは、銅で形成され、外側コーティングは、コアの融点よりも低い融点を有する材料で形成される。外側コーティングは、鉛ベース合金などの金属合金を含み得る。
【0165】
太陽電池10の例示的な配置によれば、第1の複数の導電性ワイヤ部分28及び第2の複数の導電性ワイヤ部分22のそれぞれは、積層構造体12に面するそれぞれのフィルム30、24の表面に付けられる。それぞれのフィルム30、24のこの「積層構造体に面する」表面は、ワイヤ部分をそれぞれのフィルム30、24に接着させる接着剤で、コーティングされる。
【0166】
図2Dを参照すると、前部電極アセンブリ14の場合、フィルム24は、ワイヤ部分22及び前部フィンガー電極26の合間の領域で、積層構造体12の前面に接触するように配置される。背部電極アセンブリ18の場合、フィルム30は、ワイヤ部分28、細長いバスバー32、及び背部フィンガー電極34の合間の領域で、積層構造体12の背面20に接触するように配置される。
【0167】
太陽電池10の実施形態では、図1及び図2Bに示されるように、第1のフィルム30及び第2のフィルム24のうちの少なくとも1つまたはそれぞれは、それぞれのワイヤ部分28、22及びそれぞれのフィンガー電極34、26を、少なくとも部分的に(例えば完全に)包み込む、または取り囲むように構成される。背部電極アセンブリ18の場合、フィルム30は、細長いバスバー32も少なくとも部分的に(例えば完全に)包み込み得る。
【0168】
ワイヤ部分が積層構造体12上に正しく配置されるように(すなわち細長いバスバー及びフィンガー電極と位置合わせされるように)、第1のフィルム30及び第2のフィルム24は、積層構造体12と導電性ワイヤ部分28、22との間の接着を提供するように配置される。例示的な実施形態では、第1のフィルム30及び第2のフィルム24は、積層構造体12の表面を完全に覆わなくてもよい。
【0169】
一方、図面に示される第1のフィルム30及び第2のフィルム24は、略平坦な底面及び上面をそれぞれ有する。フィルムはそれぞれの電極の構造要素に適合するように構成され得ることが、理解されよう。例えば、背部電極アセンブリ18のフィルム30は、積層構造体12の背面20上に配置されたフィンガー電極34、バスバー32、及びワイヤ部分28に適合し得る。この例示的な構成によれば、フィルム30は、ワイヤ部分及びバスバーの合間の背面20の領域において積層構造体に向かってくぼんだ細長いチャネルを有し得、電極構造(例えばバスバー及びワイヤー部分)が存在する場所の上では畝/隆起を形成し得る。
【0170】
第2のフィルム24は、熱及び圧力で積層構造体の上部に付けられ、よってフィルム24は、細長いバスバー及び背部フィンガー電極に適合する。第1のフィルム30も、熱と圧力で積層構造体の底部に付けられることで、積層構造体の底部上に配置された前部フィンガー電極に適合する。
【0171】
代替の例示的な構成によれば、フィルム30、24は、フィルム30、24のそれぞれの積層構造体に面する表面上に配置されたチャネルを有し得る。チャネルは、対応する細長いバスバー及びフィンガー電極の周りにぴったりとフィットするように構成され得る。
【0172】
第1のフィルム30及び第2のフィルム24は、通常、導電性ワイヤ部分28、22よりも薄い。例えば、導電性ワイヤ部分は、約200μm~300μmの厚さを有し得、フィルムは、約100μmの厚さを有する。
【0173】
第1のフィルム30及び第2のフィルム24はそれぞれ、高い延性、良好な絶縁特性、光透過性、及び熱安定性、耐収縮性を有するポリマー材料で形成される。例示的なポリマー材料は、変性エチレンテトラフルオロエチレンから成る。
【0174】
図3は、図2A図2B、及び図2Cによる太陽電池10の積層構造体12の断面図である。この図では、積層構造体12は、前部電極14及び背部電極18から分離して示される。図3は例示的な積層構造体12を示し、いくつかの他の実施形態では、積層構造体は図3に示されるものとは異なり得ることを、理解されたい。例えば、いくつかの他の実施形態では、積層構造体12が入射放射線(例えば光)から電気を生成する機能を実行し続けることができる限り、1つ以上の層が存在しなくてもよく、1つ以上の層が合併されてもよく、及び/または、さらなる層が追加されてもよい。
【0175】
積層構造体12は、多層半導体アセンブリ60を備え、多層半導体アセンブリ60は、エミッタ層64と背面電界層66との間に挟まれた光起電力素子62を含む。よって、エミッタ層64及び背面電界層66は、光起電力素子62の両側に配置される。
【0176】
エミッタ層64は、積層構造体12の前面16に向かって配置され、背面電界層66は、背面20に向かって配置される。前部電極アセンブリ14は、エミッタ層64に対して電気的に接続され、背部電極アセンブリ18は、背面電界層66に対して電気的に接続される。このような構成は、ヘテロ接合技術(HJT)型太陽電池を画定する。
【0177】
光起電力素子62は、リン(P)、ヒ素(As)、及びアンチモン(Sb)などのV族元素の不純物で負にドープされた(すなわちn型材料である)結晶シリコン(c‐Si)から形成される。エミッタ層64及び背面電界層66はそれぞれ、アモルファスシリコン(a‐Si:H)から形成される。アモルファスシリコンは、PECVDを使用してシリコンウェハの前面及び背面に堆積される。
【0178】
エミッタ層64は、正にドープされた半導体材料(すなわちp型材料)を含み、背面電界層66は、n型材料を含む。p型材料は、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、及びインジウム(In)などのIII族元素の不純物を含む。
【0179】
積層構造体12の例示的な構成によれば、エミッタ層64は、光起電力素子62の導電型と反対の導電型を有する積層構造体の不純物領域を画定し、よって、光起電力素子62と共にpn接合を形成する。
【0180】
多層半導体アセンブリ60はさらに、第1の真性層74及び第2の真性層76を備える。真性層74、76は両方とも、真性ドープされたアモルファスシリコンから形成される。第1の真性層74は、エミッタ層64と光起電力素子62との間に配置され、前側パッシベーション層を形成する。さらに、第2の真性層は、光起電力素子62と背面電界層66との間に配置され、後側パッシベーション層を形成する。
【0181】
最後に、積層構造体12の前面16は、インジウムスズ酸化物(ITO)から形成された透明導電性コーティング68で覆われる。ITO層の上面70は、反射防止特性を与えるためにテクスチャ加工される。反射防止層は、有利に、太陽電池に入射する光の反射率を減少させ、所定の波長帯域の選択を増加させることにより、太陽電池の効率を増加させる。
【0182】
積層構造体12の背面20もまた、インジウムスズ酸化物(ITO)から形成された透明導電性コーティング72で覆われる。透明導電性コーティング68、72は、積層構造体12のそれぞれの表面上に配置されたフィンガー電極への横方向キャリア輸送を増加させるように構成される。透明導電性コーティング68、72は、低キャリア移動度を示すアモルファスシリコンから形成された層を有するヘテロ接合型デバイスにおいて、特に有利である。
【0183】
図3の上部に矢印で示されるように、太陽電池10の作動中、積層構造体に光が入射する。入射光子の吸収を通して、複数の電子正孔対が生成される。次に、電子正孔対は、pn接合から生じる内蔵電位差により、電子と正孔とに分離される。分離された電子は、光起電力素子62内のn型半導体に移動し、分離された正孔は、エミッタ層64内のp型半導体に移動する。したがって、光起電力素子62では、電子が多数キャリアとなり、エミッタ層64では、正孔が多数キャリアとなる。これらの多数キャリアのそれぞれは、それぞれの電極14、18により積層構造体12から抽出される。
【0184】
ここで、太陽電池10を製造する例示的な方法が、対応する方法ステップのフローチャートを示す図6を参照して説明される。
【0185】
方法は、光起電力素子を含む積層構造体12が提供される第1のステップ202から始まる。図3を参照して前述されたように、例示的な配置によれば、積層構造体12は、半導体アセンブリ60を備えるように構成される。
【0186】
方法は次に、積層構造体12の前面16及び背面20がそれぞれ導電性部分で構成されるステップ204に進む。これは、複数の前部フィンガー電極26及び複数の背部フィンガー電極34をそれぞれ形成するように、積層構造体の前面16及び背面20上に導電性材料を堆積させることにより、達成される。
【0187】
複数の背部フィンガー電極34が積層構造体12の背面20上に堆積されると、方法は、複数の細長いバスバー32が積層構造体12上に堆積されるステップ206に進み得る。バスバー32は、導電性材料を所定のパターンで積層構造体12の背面20上に堆積させることにより、形成される。具体的には、方法は、複数の背部フィンガー電極34に対して垂直にバスバー32を重ねて、バスバー32が複数の背部フィンガー電極34と電気接続を形成するように構成することを含む。
【0188】
複数の前部フィンガー電極26及び複数の背部フィンガー電極34、ならびに複数の細長いバスバー32のそれぞれは、スクリーン印刷プロセスを使用してそれぞれの表面上に堆積される。スクリーン印刷プロセスは、スクリーン、すなわちマスクを介して、積層構造体表面上に印刷可能な前駆体を配置することを含む。マスクの開口部は、印刷される特徴(つまりフィンガー電極及びバスバー)に関するそれぞれの配置及び寸法を決定する。対応するフィンガー電極及び/または細長いバスバーの特徴を形成するために、それぞれの印刷可能な前駆体は、積層構造体の表面上にそれぞれ設けられると、次に炉内で焼成される。
【0189】
複数の背部フィンガー電極34を堆積させる方法は、背面20上に第1の導電性材料を堆積させることを含む。方法は、第1の印刷可能な前駆体を堆積させて、その後、第1の焼成プロセスに従って硬化させることを含む。
【0190】
複数の細長いバスバー32を堆積させる方法は、積層構造体12の背面20上に第2の導電性材料を堆積させることを含む。方法は、第2の印刷可能な前駆体を堆積させて、その後、第2の焼成プロセスに従って硬化させることを含む。
【0191】
複数の前部フィンガー電極26を堆積させる方法は、前面16上に第3の導電性材料を堆積させることを含む。方法は、第3の印刷可能な前駆体を堆積させて、その後、第3の焼成プロセスに従って硬化させることを含む。
【0192】
背部フィンガー電極34に対するバスバー32の配置に起因して、複数の背部フィンガー電極34が形成されてからのみ(すなわち第2の焼成ステップが完了した後にのみ)、第1の印刷可能な前駆体は積層構造体12の背面20上に堆積される。
【0193】
第1の印刷可能な前駆体は、背部フィンガー電極34に対応する第2の印刷可能な前駆体を堆積させるために使用された印刷マスクとは異なる印刷マスクを使用して、堆積される。異なる印刷マスクは、異なる寸法の開口部を有し、これにより、フィンガー電極34の位置合わせ及び寸法に対して、得られるバスバー32の位置合わせ及び寸法が変更される。
【0194】
第1の印刷可能な前駆体、第2の印刷可能な前駆体、及び第3の印刷可能な前駆体のそれぞれは、適切な溶媒の存在下で金属粉末をガラスフリットと混合することにより得られる金属ペーストを含む。
【0195】
複数の前部フィンガー電極26及び複数の背部フィンガー電極34は、実質的に同じである。ゆえに、第2の印刷可能な前駆体及び第3の印刷可能な前駆体は、実質的に同じ化学組成で構成される。さらに、第2の焼成プロセス及び第3の焼成プロセスはそれぞれ、同じ焼成パラメータ(例えば焼成温度及び継続時間)を有する。
【0196】
複数のバスバー32は、前部フィンガー電極26及び背部フィンガー電極34の組成とは異なる組成で形成される。したがって、第1の印刷可能な前駆体は、第2の印刷可能な前駆体及び第3の印刷可能な前駆体の組成とは、実質的に異なる。さらに、第1の焼成プロセスは、第2の焼成プロセス及び第3の焼成プロセスとは異なる焼成パラメータを有する。
【0197】
前述の方法の一環として、第1の複数の導電性ワイヤ部分28が細長いバスバー32に重なることができるように、細長いバスバー32は、積層構造体12の背面20上の所定位置に配置される。方法は、後続の方法ステップ中にワイヤ部分28がバスバー32上に正確に重なることを確保するように、バスバー32が背面20上で位置決定される、事前位置合わせステップを含む。
【0198】
細長いバスバー32が積層構造体12の背面20上に堆積されると(すなわちバスバー32が焼成された後)、次に、第1の複数の導電性ワイヤ部分28がバスバー32の上に重ねられ得る。最初に、ワイヤ部分28のそれぞれは、ワイヤ部分28を受けるように構成された対応するバスバー32と、軸方向に整列される。次に、第1の複数の導電性ワイヤ部分28のそれぞれが、関連するバスバー32と適切に整列されると、ワイヤ部分28はバスバー32上に配置される。
【0199】
前述の方法によれば、各ワイヤ部分28の軸長は、各ワイヤ部分28が重なるバスバー32の軸長と平行に配置される。さらに、図2C図4A図4B、及び図5のそれぞれに示されるように、ワイヤ部分28のそれぞれは、積層構造体12の前面16及び背面20上の複数のフィンガー電極26、34に対して、垂直に配置される。
【0200】
複数の細長いバスバー32の堆積に続いて、第2の複数の導電性ワイヤ部分22も積層構造体12上に配置され得る。ステップ208では、図2Aに示されるように、ワイヤ部分22は、積層構造体12の前面16上の第1の複数のフィンガー電極26に垂直に位置するように、積層構造体12の前面16上に重ねられる。第1の複数のワイヤ部分28及び第2の複数のワイヤ部分22を重ねる方法は、同時にまたは順次に、任意の順序で進められ得る。
【0201】
導電性ワイヤ部分28、22を配置する方法は、ワイヤ部分を重ねる表面上にワイヤ部分を接合させるために、ワイヤ部分28、22を炉内で加熱するステップを含む。第1の複数のワイヤ部分28及び第2の複数のワイヤ部分22はそれぞれ、加熱されると部分的に溶融する外側コーティングで構成される。
【0202】
第2の複数の導電性ワイヤ部分22のうちのワイヤ部分の外側コーティングは、積層構造体12の前面16上に配置された、ワイヤ部分22の下に重なるフィンガー電極26と、オーム接触を形成するように構成され、一方、第1の複数の導電性ワイヤ部分28を加熱することにより、そのコーティングは、背面20上に配置された細長いバスバー32とオーム接触を形成する。
【0203】
本発明は、前述の実施形態に限定されず、本明細書で説明される概念から逸脱することなく、様々な変更及び改良を行うことができることが、理解されよう。相互排反する場合を除いて、特徴のうちのいずれも、別個に使用されてもよく、または任意の他の特徴と組み合わせて使用されてもよく、本開示は、本明細書に説明される1つ以上の特徴のすべての組み合わせ及び部分的組み合わせにまで及び、これらを含む。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4a
図4b
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0170
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0170】
のフィルム30は、熱及び圧力で積層構造体の底部に付けられ、よってフィルム30は、細長いバスバー及び背部フィンガー電極に適合する。第のフィルム24も、熱と圧力で積層構造体の上部に付けられることで、積層構造体の底部上に配置された前部フィンガー電極に適合する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0184
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0184】
ここで、太陽電池10を製造する例示的な方法200が、対応する方法ステップのフローチャートを示す図6を参照して説明される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0192
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0192】
背部フィンガー電極34に対するバスバー32の配置に起因して、複数の背部フィンガー電極34が形成されてからのみ(すなわち第の焼成ステップが完了した後にのみ)、第の印刷可能な前駆体は積層構造体12の背面20上に堆積される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0195
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0195】
複数の前部フィンガー電極26及び複数の背部フィンガー電極34は、実質的に同じである。ゆえに、第の印刷可能な前駆体及び第3の印刷可能な前駆体は、実質的に同じ化学組成で構成される。さらに、第の焼成プロセス及び第3の焼成プロセスはそれぞれ、同じ焼成パラメータ(例えば焼成温度及び継続時間)を有する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0196
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0196】
複数のバスバー32は、前部フィンガー電極26及び背部フィンガー電極34の組成とは異なる組成で形成される。したがって、第の印刷可能な前駆体は、第の印刷可能な前駆体及び第3の印刷可能な前駆体の組成とは、実質的に異なる。さらに、第1の焼成プロセスは、第2の焼成プロセス及び第3の焼成プロセスとは異なる焼成パラメータを有する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0197
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0197】
前述の方法の一環として、第1の複数の導電性ワイヤ部分28が細長いバスバー32に重なることができるように、細長いバスバー32は、積層構造体12の背面20上の所定位置に配置される。方法は、後続の方法ステップ208、210中にワイヤ部分28がバスバー32上に正確に重なることを確保するように、バスバー32が背面20上で位置決定される、事前位置合わせステップを含む。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0198
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0198】
細長いバスバー32が積層構造体12の背面20上に堆積されると(すなわちバスバー32が焼成された後)、次に、第1の複数の導電性ワイヤ部分28がバスバー32の上に重ねられ得る。最初に、ワイヤ部分28のそれぞれは、ワイヤ部分28を受けるように構成された対応するバスバー32と、軸方向に整列される。次に、第1の複数の導電性ワイヤ部分28のそれぞれが、関連するバスバー32と適切に整列されると、方法ステップ210において、ワイヤ部分28はバスバー32上に配置される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0200
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0200】
複数の細長いバスバー32の堆積に続いて、第2の複数の導電性ワイヤ部分22も積層構造体12上に配置され得る。ステップ208では、図2Aに示されるように、ワイヤ部分22は、積層構造体12の前面16上の複数の前部フィンガー電極26に垂直に位置するように、積層構造体12の前面16上に重ねられる。第1の複数のワイヤ部分28及び第2の複数のワイヤ部分22を重ねる方法は、同時にまたは順次に、任意の順序で進められ得る。
【手続補正9】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池アセンブリであって、
光起電力素子を含む積層構造体と、
前記積層構造体の表面上に配置された電極アセンブリと、
を備え、前記電極アセンブリは、
複数の導電性ワイヤ部分と、
前記積層構造体の前記表面上に配置された第1の複数の導電素子と、
前記複数の導電性ワイヤ部分と前記第1の複数の導電素子との間に介在する第2の複数の導電素子と、
を有し、
前記第1の複数の導電素子は、前記第2の複数の導電素子と前記積層構造体の前記表面との間にオーム接触を形成するように構成され、前記第2の複数の導電素子は、前記第1の複数の導電素子と前記複数の導電性ワイヤ部分との間にオーム接触を形成するように構成される、
太陽電池アセンブリ。
【請求項2】
前記電極アセンブリは、前記積層構造体の背面に配置された背部電極アセンブリを画定し、
前記太陽電池アセンブリはさらに、前記背面とは反対側の前記積層構造体の前面に配置された前部電極アセンブリを備える、
請求項1に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項3】
前記背部電極アセンブリの前記複数の導電性ワイヤ部分は、第1の複数の導電性ワイヤ部分を画定し、
前記前部電極アセンブリは、第2の複数の導電性ワイヤ部分を有し、前記第2の複数の導電性ワイヤ部分は、前記前部電極アセンブリの第3の複数の導電素子とオーム接触を形成するように構成され、
前記第3の複数の導電素子は、前記第2の複数の導電性ワイヤ部分と前記積層構造体の前記前面との間に介在する、
請求項2に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項4】
前記背部電極アセンブリのみが、前記複数の導電性ワイヤ部分と前記第1の複数の導電素子との間に介在する前記第2の複数の導電素子を有する、請求項2または請求項3に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項5】
前記第2の複数の導電素子は、複数の細長いバスバーを画定する、請求項1~4のいずれか一項に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項6】
前記複数の導電性ワイヤ部分のうちの少なくとも1つの導電性ワイヤ部分は、前記複数の細長いバスバーのうちの少なくとも1つの細長いバスバーに、少なくとも部分的に重なるように配置される、請求項5に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項7】
前記細長いバスバーは、前記導電性ワイヤ部分と略平行に配置される、請求項6に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項8】
前記複数の細長いバスバーのうちの少なくとも1つは、前記積層構造体の前記表面の平面内で測定される幅を有し、前記細長いバスバーの前記幅は、前記積層構造体の前記表面の平面内で測定される前記導電性ワイヤ部分の厚さと、少なくとも等しい、請求項7に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項9】
前記細長いバスバーの前記幅は、前記導電性ワイヤ部分の前記厚さと、実質的に同じである、またはそれよりも小さい、請求項8に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項10】
前記細長いバスバーの前記幅は、0.7mm未満である、請求項8または請求項9に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項11】
前記細長いバスバーの第1の部分の前記幅は、前記導電性ワイヤ部分の前記厚さよりも大きく、及び/または前記細長いバスバーの第2の部分の前記幅は、前記導電性ワイヤ部分の前記厚さと実質的に同じであり、及び/または前記細長いバスバーの第3の部分の前記幅は、前記導電性ワイヤ部分の前記厚さより小さい、請求項8~10のいずれか一項に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項12】
前記細長いバスバーの前記幅は、その長さに沿って変化する、請求項8~11のいずれか一項に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項13】
前記細長いバスバーの長手方向縁部は、複数の直線状または湾曲状のファセットを有する、請求項12に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項14】
前記細長いバスバーの前記幅は、その長さに沿って変化し、ひし形またはスカラップ形を画定する、請求項12または請求項13に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項15】
前記第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちの前記ワイヤ部分のそれぞれは、前記複数の細長いバスバーの対応する導電素子に重なるように構成される、請求項5~14のいずれか一項に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項16】
前記第1の複数の導電性ワイヤ部分のうちの前記ワイヤ部分のそれぞれに関する軸長は、前記ワイヤ部分のそれぞれが重なる、前記複数の細長いバスバーのうちの対応する導電素子の軸長に対して、略平行に整列するように構成される、請求項15に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項17】
前記第1の複数の導電素子は、複数のフィンガー電極を含み、前記複数のフィンガー電極のうちの少なくとも1つは、前記フィンガー電極に重なる前記複数の細長いバスバーのうちの少なくとも1つと、長さ方向に実質的にずれた状態である、請求項5~16のいずれか一項に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項18】
前記少なくとも1つのフィンガー電極は、前記少なくとも1つの細長いバスバーに対して略垂直に配置される、請求項17に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項19】
前記第1の複数の導電素子及び前記第2の複数の導電素子のうちの少なくとも1つは、印刷材料を使用して形成される、先行請求項のいずれか一項に記載の太陽電池アセンブリ。
【請求項20】
前記複数の太陽電池アセンブリは、互いに電気接続される、請求項1~19のいずれか一項に記載の複数の太陽電池アセンブリを備えた太陽光モジュール。
【請求項21】
第2の太陽電池アセンブリに対して電気接続された第1の太陽電池アセンブリを備え、
前記第1の太陽電池アセンブリの前記複数の導電性ワイヤ部分は、前記第2の太陽電池アセンブリの前記複数の導電性ワイヤ部分に対して電気接続される、
請求項20に記載の太陽光モジュール。
【請求項22】
太陽電池アセンブリを製造する方法であって、
光起電力素子を含む積層構造体を提供することと、
前記積層構造体の表面に電極アセンブリを配置することと、
を含み、前記電極アセンブリを配置することは、
前記積層構造体の前記表面上に第1の複数の導電素子を構成して、前記積層構造体の前記表面とのオーム接触を形成することと、
前記第1の複数の導電素子上に第2の複数の導電素子を構成して、前記第1の複数の導電素子とのオーム接触を形成することと、
前記第2の複数の導電素子上に複数の導電性ワイヤ部分を配置して、前記第2の複数の導電素子とのオーム接触を形成することと、
を含む、方法。
【請求項23】
前記積層構造体は、背面と、前記背面の反対側にある前面とを有し、
前記方法は、前記背面上に前記電極アセンブリを配置して、背部電極アセンブリを画定することを含み、
前記方法はさらに、前記前面上に前部電極アセンブリを配置することを含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記背部電極アセンブリの前記複数の導電性ワイヤ部分は、第1の複数の導電性ワイヤ部分を画定し、
前記前部電極アセンブリを配置することは、
前記積層構造体の前記前面上に第3の複数の導電素子を構成して、前記積層構造体の前記前面とのオーム接触を形成することと、
前記第3の複数の導電素子上に第2の複数の導電性ワイヤ部分を配置して前記第3の複数の導電素子とオーム接触を形成することと、
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記背部電極アセンブリを配置する前記方法のみ、前記複数の導電性ワイヤ部分と前記第1の複数の導電素子との間に前記第2の複数の導電素子が介在するように構成することを含む、請求項23または請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の複数の導電素子を構成することは、前記積層構造体の前記表面上に第1の印刷材料を堆積させて、複数のフィンガー電極を形成することを含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の複数の導電素子を構成することは、前記積層構造体の前記表面上に第2の印刷材料を堆積させて、複数の細長いバスバーを形成することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の印刷材料を堆積させることは、第1の印刷可能な前駆体を堆積させて、次に第1の焼成プロセスに従って前記第1の印刷可能な前駆体を焼成することを含み、
前記第2の印刷材料を堆積させることは、第2の印刷可能な前駆体を堆積させて、次に第2の焼成プロセスに従って前記第2の印刷可能な前駆体を焼成することを含み、
前記第2の焼成プロセスが完了した後にのみ、前記第1の印刷可能な前駆体が前記積層構造体の前記表面上に堆積される、
請求項27に記載の方法。
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正の内容】
図6
【国際調査報告】