IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブローゼ・ファールツォイクタイレ・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニ・コマンディットゲゼルシャフト・ハルシュタットの特許一覧

<>
  • 特表-自動車のウィンドウリフタ 図1
  • 特表-自動車のウィンドウリフタ 図2
  • 特表-自動車のウィンドウリフタ 図3
  • 特表-自動車のウィンドウリフタ 図4
  • 特表-自動車のウィンドウリフタ 図5
  • 特表-自動車のウィンドウリフタ 図6
  • 特表-自動車のウィンドウリフタ 図7
  • 特表-自動車のウィンドウリフタ 図8
  • 特表-自動車のウィンドウリフタ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】自動車のウィンドウリフタ
(51)【国際特許分類】
   E05F 11/48 20060101AFI20240116BHJP
   B60J 1/17 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
E05F11/48 E
B60J1/17 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541372
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2021085583
(87)【国際公開番号】W WO2022148612
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】102021200084.3
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513106808
【氏名又は名称】ブローゼ ファールツォイクタイレ エスエー ウント コンパニ コマンディートゲゼルシャフト バンベルク
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルボシュ リッコ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス クリーガー
(72)【発明者】
【氏名】マルチン ヤノシュ
【テーマコード(参考)】
3D127
【Fターム(参考)】
3D127CB05
3D127CC05
3D127DF09
3D127DF15
(57)【要約】
本発明は、自動車用のウィンドウリフタ(1)に関する。ウィンドウリフタ(1)は、自動車ウィンドウ(4)の保持のためのレールスライダ(3)をスライド可能にガイドする少なくとも1つのガイドレール(2)のための機能支持体(11)と、ケーブル駆動装置(8)と、を備え、ケーブル駆動装置(8)は、アクチュエータ(9)と、ケーブル駆動部ハウジング(10)とを有し、そのケーブル駆動部ハウジング内には、アクチュエータ(9)に結合可能であり、且つ回転軸(D)の周りを回転可能なケーブルドラム(16)が収容されており、又は収容可能であり、そのケーブルドラムには、牽引ケーブル(5)が巻き付けられており、又は巻き付け可能であり、ケーブル駆動部ハウジング(10)は、ベース板(19)と、所定数の壁要素(33)とを有し、その所定数の壁要素の間に前記ケーブルドラム(16)が配置されている、又は収容可能であり、機能支持体(11)は、ケーブルドラム(16)のアクチュエータ(9)への結合のための貫通開口部(29)の周辺に、ケーブルドラム(16)が嵌入されたケーブル駆動部ハウジング(10)との形状結合の形成のための嵌込み輪郭部(15)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用のウィンドウリフタ(1)であって、
自動車ウィンドウ(4)の保持のためのレールスライダ(3)をスライド可能にガイドする少なくとも1つのガイドレール(2)のための機能支持体(11)と、
ケーブル駆動装置(8)と、を備え、
前記ケーブル駆動装置(8)は、アクチュエータ(9)と、ケーブル駆動部ハウジング(10)とを有し、そのケーブル駆動部ハウジング内には、前記アクチュエータ(9)に結合可能であり、且つ回転軸(D)の周りを回転可能なケーブルドラム(16)が収容されており、又は収容可能であり、そのケーブルドラムには、牽引ケーブル(5)が巻き付けられており、又は巻き付け可能であり、
前記ケーブル駆動部ハウジング(10)は、ベース板(19)と、所定数の壁要素(33)とを有し、その所定数の壁要素の間に前記ケーブルドラム(16)が配置されている、又は収容可能であり、
前記機能支持体(11)は、前記ケーブルドラム(16)の前記アクチュエータ(9)への結合のための貫通開口部(29)の周辺に、前記ケーブルドラム(16)が嵌入された前記ケーブル駆動部ハウジング(10)との形状結合の形成のための嵌込み輪郭部(15)を有している、ウィンドウリフタ(1)。
【請求項2】
牽引ケーブル(5)が既に巻き付けられた前記ケーブルドラム(16)は、前記ケーブル駆動部ハウジング(10)に嵌入されている、又は嵌入可能であることを特徴とする、請求項1に記載のウィンドウリフタ(1)。
【請求項3】
前記ケーブル駆動部ハウジング(10)の中に予め取付けられた状態の前記ケーブルドラム(16)が、その中において、回転結合又はバヨネット結合の方式によって軸方向に固定されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のウィンドウリフタ(1)。
【請求項4】
前記ケーブル駆動部ハウジング(10)は、周方向(U)にアクセス可能な少なくとも1つの嵌込み溝(25)を有しており、
前記ケーブルドラム(16)は、少なくとも1つの半径方向の嵌込み要素(26)を有しており、その嵌込み要素は、前記ケーブルドラム(16)に対する前記ケーブル駆動部ハウジング(10)の回転運動によって、ハウジング側の前記嵌込み溝(25)内に達する、又は挿入可能であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のウィンドウリフタ(1)。
【請求項5】
前記ケーブルドラム(16)は、前記アクチュエータ(9)との嵌込み結合の形成のために、ドラム側の嵌込み輪郭部(22)を有する中央受入れ開口部(21)を有しており、
前記半径方向の嵌込み要素(26)は、前記中央受入れ開口部(21)の反対側にある前記ケーブルドラム(16)の端面に形成されていることを特徴とする、請求項4に記載のウィンドウリフタ(1)。
【請求項6】
前記ケーブル駆動部ハウジング(10)の前記壁要素(33)は、軸方向(A)に段差状であり、及び/又は、
前記壁要素(33)と、前記ケーブル駆動部ハウジング(10)の前記ベース板(19)との間には、面取り部又は面取り部の移行部が形成されている、又は設けられており、及び/又は、
特に半径方向外側の壁領域(33a)と、半径方向内側の壁領域(33b)との間には、それぞれの前記壁要素(33)の外側にハウジング側の当接カラー部(35)が形成されていること、及び/又は、それぞれの前記壁要素(33)の内側にハウジング側の嵌込み溝(25)が形成されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のウィンドウリフタ(1)。
【請求項7】
前記機能支持体(11)の前記嵌込み輪郭部(15)は、前記ケーブル駆動部ハウジング(10)との形状結合において、前記ベース板(19)に、前記壁要素(33)とは反対側の板側面において重なる所定数の係止要素(17)を有していることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のウィンドウリフタ(1)。
【請求項8】
前記機能支持体(11)の前記嵌込み輪郭部(15)が、所定数の同軸の壁部(15a,15b,15c)を有しており、
前記機能支持体(11)の前記嵌込み輪郭部(15)の半径方向内側壁部(15c)は、前記ケーブルドラム(16)が嵌入された前記ケーブル駆動部ハウジング(10)の前記壁要素(33)のための当接面(30c)を有しており、又は形成しており、及び/又は、
前記機能支持体(11)の前記嵌込み輪郭部(15)の半径方向中央壁部(15b)は、前記ケーブルドラム(16)が嵌入された前記ケーブル駆動部ハウジング(10)の前記ベース板(19)のための当接面(30b)を有しており、又は形成しており、及び/又は、
前記機能支持体(11)の前記嵌込み輪郭部(15)の半径方向外側壁部(15a)は、前記ケーブルドラム(16)が嵌入された前記ケーブル駆動部ハウジング(10)の前記ベース板(19)のための円錐状の当接面(30a)を有している、又は形成していることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のウィンドウリフタ(1)。
【請求項9】
前記ケーブル駆動部ハウジング(10)は、前記ケーブルドラム(16)を前記ケーブル駆動部ハウジング(10)に係止するための少なくとも1つの係止要素(39,40,41)を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のウィンドウリフタ(1)。
【請求項10】
前記1つの係止要素(39,40,41)、又は各係止要素は、前記ベース板(19)に、及び/又は、前記ケーブル駆動部ハウジング(10)の受入れ部(24)に設けられていることを特徴とする、請求項9に記載のウィンドウリフタ(1)。
【請求項11】
前記ケーブルドラム(16)が嵌入された前記ケーブル駆動部ハウジング(10)は、前記機能支持体(11)の前記嵌込み輪郭部(15)内に回転不能に保持されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のウィンドウリフタ(1)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のウィンドウリフタ(1)の機能支持体(11)に、牽引ケーブル(5)用のケーブルドラム(16)を取付けるための方法であって、
前記牽引ケーブル(5)が既に巻き付けられた前記ケーブルドラム(16)を前記ケーブルドラムハウジング(10)に嵌入し、
前記牽引ケーブル(5)が巻き付けられた前記ケーブルドラム(16)を収容する前記ケーブルドラムハウジング(10)を、前記機能支持体(11)に、軸方向に、形状結合的に嵌入する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ウィンドウを保持するためのレールスライダをスライド可能にガイドする少なくとも1つのガイドレールのための機能支持体と、ケーブル駆動装置と、を備えた自動車用のウィンドウリフタに関する。さらに、本発明は、そのようなウィンドウリフタの機能支持体内又は機能支持体上にケーブルドラムを取付ける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可動の自動車窓ガラスは、一般に、(自動車)ウィンドウリフタとしての電気的又は電動モータ駆動式の調整装置によって、閉放位置と開鎖位置との間において移動させられる。このようなウィンドウリフタは、ケーブル駆動部又はアクチュエータとしての(電気)サーボモータと、サーボモータを窓ガラスに接続する、又は動力伝達技術によって結合するサーボ機構とを含み、それらは自動車のドア又は自動車のボディに付属している。この場合、サーボ機構は、ガイドレール上をスライド可能にガイドされる少なくとも1つの伝動体、又は伝動体機能付きレールスライダによって、移動する窓ガラスに機械的に接続される。
【0003】
レールスライダのガイドレールにおけるガイドのために、サーボ機構は、窓ガラスを閉位置と開位置との間の位置調整経路に沿って移動させるために、例えば、ボーデンケーブル、又はケーブルシースのない(ボーデン構造ではない)牽引ケーブルの形態の可撓性の牽引手段を含む。牽引ケーブルは通常、ウィンドウリフタの方向転換要素、例えば方向転換ローラを介してガイドされる。その方向転換要素は、それぞれのガイドレール及びアクチュエータと同様に、ケーブル駆動装置の一部として、例えばドア内側パネルの形で、ユニット支持体又はドアモジュール支持体(以下、機能支持体という)上に配置される、又はこの支持体に取り付けられている。このようなケーブル牽引機構を備えたウィンドウリフタは、ケーブル牽引ウィンドウリフタとも呼ばれる。
【0004】
ケーブル駆動装置は、通常、アクチュエータ又はケーブル駆動部によって回転駆動されるケーブルドラムを含み、そのケーブルドラムには、牽引ケーブルが巻き付けられており、そのために、螺旋状又はねじ状のケーブル刻み目(ケーブル溝)を有する。そのケーブル溝内には、牽引ケーブルが、例えばケーブルループとして、通常、軸方向に間隔を空けて複数回巻かれて存在している。牽引ケーブルが巻き付けられたケーブルドラムは、通常、ケーブル駆動部ハウジング内において、ハウジング側の軸受箇所に回転可能に置かれており、(電気)サーボモータによって、通常、それに結合された歯車装置、特に90°ベベルギアとしてのウォームギアの形状をした歯車を介して回転駆動される。言い換えれば、アクチュエータ、特に連結された歯車装置を有する電動モータと、牽引ケーブルが巻き付けられている、又は巻き付けられ得るケーブルドラムをその中に有するケーブル駆動部ハウジングとが、ケーブル駆動装置を形成する。
【0005】
ケーブルドラムの回転運動の結果、牽引ケーブルは、一方のケーブル部分(ケーブル端部)においてケーブルドラムに巻き取られ、他方のケーブル部分(ケーブル端部)においてケーブルドラムから巻き戻される。これによって、牽引ケーブルによって形成されたケーブルループが移動し、それは、ガイドレールに沿ったレールスライダの移動を導き、それによって、窓ガラスの閉位置と開位置との間の位置調整を導く。
【0006】
独国特許出願公開第102018201023A1号明細書から知られたウィンドウリフタ(ウィンドウリフタモジュール)は、(ケーブルドラムの回転軸に対して)軸方向に盛り上がったハウジング輪郭部と、軸方向に延びるハウジング壁とを有する3アーム星形のケーブル駆動部ハウジングを備える。そのハウジング壁は、ケーブルドラムを部分的に囲み、ハウジング輪郭部と共に、牽引ケーブルの入出ケーブル部のための、鋭角の入口領域及び出口領域を形成している。
【0007】
ケーブル駆動部ハウジングは、通常、構造上、設計上、及び動力技術上、特定の自動車システム又は自動車ドアシステム、或いはドアモジュールために設計されており、容易に他のシステムに転用することができない。従って、異なる位置、取付けパターン、及び/又はねじ止めパターンであるために、並びに同一の自動車であっても左右の自動車ドアが非対称性であることから、ケーブル駆動部ハウジングの異なる形状、又は異なる設計を提供しなければならないことが多い。このことは、望ましくないことに、対応した高い材料費、製造費、及びコスト支出を伴うこととなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、特に好適なケーブル駆動装置を備えたウィンドウリフタ(ウィンドウリフタシステム、ウィンドウリフタモジュール)を提示するという課題に基づいている。特に、ケーブル駆動装置のケーブル駆動部ハウジング又はケーブルドラムハウジングは、好適には、異なるウィンドウリフタ又はウィンドウリフタシステム(ウィンドウリフタモジュール)にも、及び/又は、同一の自動車の自動車ドア(左右の自動車ドア)にも、可能な限り汎用的に使用可能であるべきである。さらに、特に牽引ケーブルが既に巻き付けられたケーブルドラムを、ウィンドウリフタの機能支持体内に、又は機能支持体に取り付けるための特に好適な方法が提示されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、自動車のウィンドウリフタに関しては、請求項1の特徴によって、及び、取付け方法に関しては、請求項12の特徴によって、本発明に従って解決される。有利な形態及び更なる形態は、従属請求項の主題である。
【0010】
特にウィンドウリフタシステム又はウィンドウリフタモジュールとしての、自動車用のウィンドウリフタは、自動車ウィンドウの保持のための特に伝動体機能を有するレールスライダを、スライド可能にガイドする少なくとも1つのガイドレールのための機能支持体と、ケーブル駆動装置とを備える。機能支持体は、例えば、自動車ドアのドアモジュールの構成部品であり、好適には、板状部品である。その板状部品は、エンボス加工及び/又は輪郭部を有する成形部品として作製され、また、例えば、プラスチック射出成形品として、又は、金属薄板からなる打抜き加工及び曲げ加工部品として作製される。特に、ガイドレール又は各ガイドレールは、レールスライダのレール輪郭部として機能支持体に一体化され得る。
【0011】
「ウィンドウリフタ」という用語は、ここ及び以下において、ウィンドウリフタモジュール又は特に同義的にウィンドウリフタシステムという意味に解され、好ましくは、レールスライダがスライド可能にガイドされるガイドレールと、ケーブル駆動装置とが機能支持体に取付けられている場合に、又は、そのガイドレールが機能支持体に一体化され、レールスライダとケーブル駆動装置とが機能支持体に取り付けられている場合に、そのように解される。
【0012】
ケーブル駆動装置は、特に電動モータであるアクチュエータと、ケーブル駆動部ハウジング(以下、ケーブルドラムハウジングともいう)を有し、そのケーブル駆動部ハウジング内には、アクチュエータに結合された又は結合可能な、且つ回転軸の周りに回転可能なケーブルドラムが収容されている、又は収容可能である。アクチュエータの電動モータがモータシャフトを有する電動モータの場合、これは(ブラシレス又はブラシ付き)電動モータであり、好ましくは90°ベベルギアとしてウォームギアに結合されている。モータシャフトは、ロータ、好適にはコイル又はモータ巻線を有する整流子を支持し、この整流子は、通電されるか又は通電可能なカーボンブラシによって接触される。ロータと、好適には永久磁石から形成されたステータとは、電動モータ(整流子モータ)の、特にポット状のモータハウジング(極ポット)に収容されている。
【0013】
ケーブルドラムには牽引ケーブルが巻き付けられており、この牽引ケーブルは、レールグライダ又は各レールグライダに接続されている又は接続可能である。好適には、牽引ケーブルは、取付け状態において、複数回ケーブルドラムに巻き付けられており、入込みケーブル部分及び送出ケーブル部分を形成し、その際、それらケーブル部分は、方向転換要素を介してガイドされる。円筒形のケーブルドラムは、シェル側に螺旋状又はねじ状のケーブル刻み目(ケーブル溝)を有し、そのケーブル溝に牽引ケーブルが挿入され、ドラム側においてガイドされる。
【0014】
ケーブル駆動部ハウジングは、好ましくは円形状の又は円形のベース板と、間にケーブルドラムが配置されている、又は配置される所定数の壁要素とを有する。それらの壁要素は、好適にベース板上に形成され、ケーブルドラムの回転軸に対して軸方向に延びている。特に有利には、それら壁要素はシリンダジャケットのような軸方向部分として作製され、好ましくはそのような要素又は部分が3つ設けられ、その間に凹部又はスペースが形成されている。好適には、ベース板内に、中央の、好ましくは円筒形の受入れ部が設けられている。これは、好ましくは、アクチュエータ又はケーブル駆動装置の歯車装置のシャフトピン(軸受ピン又は嵌込みピン)のための受入れ部として使用される。
【0015】
機能支持体は、ケーブル駆動部ハウジング又はケーブルドラムハウジングとの形状結合、特に軸方向の形状結合の形成のための嵌込み輪郭部を有する。支持体側の嵌込み輪郭部は、支持体側の貫通開口部の周辺に配置され、この開口部を介してアクチュエータ又はケーブル駆動装置と、ケーブル駆動部ハウジング又はケーブルドラムハウジングに位置している(収容された、配置された)ケーブルドラムとの連結が行われる、又は、形成される。
【0016】
少なくとも2つの相互接続された部品間の「形状結合」という用語は、特に、相互接続された部品の結合が、部品自体の輪郭部の直接的な相互の入り込み係合によって、又は、付加的な結合部品を介した間接的な相互の入り込み係合によって、少なくとも一方向において行われるという意味に、ここ及び以下において解される。従って、この方向における相互の動きの「阻止」は、形状に起因して行われる。
【0017】
有利な一形態においては、ケーブル駆動部ハウジングは、周方向(方位方向)にアクセス可能な少なくとも1つの嵌込み溝を有する。ケーブルドラムは、少なくとも1つの半径方向の嵌込み要素を有しており、その嵌込み要素は、ケーブルドラムに対するケーブル駆動部ハウジングの回転運動によって、又は、逆にケーブル駆動部ハウジングに対するケーブルドラムの回転運動によって、ハウジング側の嵌込み溝内に挿入可能である。ドラム側の嵌込み要素又は各嵌込み要素は、好適には、ケーブルドラムのドラム本体又はドラムシェルから半径方向に張り出す、環状の半径部分である。
【0018】
好適な更なる一形態によれば、ケーブル駆動部ハウジングは、ケーブルドラムをケーブル駆動部ハウジングによって係止するための少なくとも1つの係止要素を有する。その係止要素は、好適には、ベース板に、及び/又は、ケーブル駆動部ハウジングの、シャフトピン又は歯車装置ピンのためにベース板に(中央に)配置された受入れ部、特にスリーブ状の受入れ部に設けられる。そこでの係止要素又は嵌込み要素は、好ましくは半径方向に広がり、ケーブルドラムの取付けの過程において、対応するドラム側の溝(環状溝)に係合する。
【0019】
追加的又は代替的に、半径方向外側及び/又は半径方向内側の係止要素は、特に好ましくはケーブル駆動部ハウジングの軸方向壁要素の間の領域に設けられる。半径方向外側の係止要素は、好適には、ケーブルドラムをケーブル駆動部ハウジングに嵌入(Einsetzen)する過程において、ケーブルドラムのラジカル嵌込み要素によって、係止結合の形成のもとに、背後係合される。
【0020】
ケーブルドラムは、好適には、アクチュエータとの好ましくは形状結合的な嵌込み結合の形成のために、ドラム側の嵌込み輪郭部を有した中央受入れ開口部を有している。ケーブルドラムのそれぞれの半径方向の嵌込み要素は、好ましくは、中央受入れ開口部を有する端面の反対側にあるケーブルドラムの端面に形成されている。好適には、ハウジング側の嵌込み溝は、ドラム側の嵌込み要素のために、ハウジング側の壁要素において、好ましくは、ベース板への移行部に設けられている。
【0021】
取付けの際に、ケーブルドラムはケーブル駆動部ハウジング(ケーブルドラムハウジング)に嵌入される。すると、ドラム側の嵌込み要素はハウジング側の隣接する壁要素間の凹部に達し、それによって、ケーブルドラムは、続いてケーブル駆動部ハウジングに対して回転することができ、その際、回転運動の過程において、ドラム側の嵌込み要素はハウジング側の嵌込み溝に達する。そのため、このようにして形成される、ケーブルドラムとケーブル駆動部ハウジングとの結合は、純粋な差込回転結合又はバヨネット結合の方式によって行われる。
【0022】
ケーブル駆動部ハウジングが、好ましくはベース側及び軸方向壁要素の間に設けられた係止要素を有して形成されている場合、嵌入する過程において、ドラム側の嵌込み要素の、ハウジング側の係止要素又は嵌込み要素との係合が行われ、その際、続いて、ケーブルドラムは、ケーブル駆動部ハウジング内において軸方向に固定され、その中において、回転可能に配置又は収容される。
【0023】
有利には、ケーブルドラムが差込回転結合によってケーブル駆動部ハウジングに嵌入されるとき、牽引ケーブルは既にケーブルドラムに巻き付けられており、続いて支持体側の嵌込み輪郭部との形状結合が形成される。ケーブル駆動部ハウジングと支持体側の嵌込み輪郭部との形状結合においては、ドラム側の嵌込み要素が周方向両側に開口したハウジング側の嵌込み溝を通って回転両方向にスライドできるため、ケーブルドラムはケーブル駆動部ハウジング内で自由に回転することができる。
【0024】
好適な更なる一形態によれば、ケーブル駆動部ハウジングの壁要素は、軸方向に段差状に形成されている。代替的には、壁要素とケーブル駆動部ハウジングのベース板との間に、面取り部又は面取り状の移行部が形成され得る、又は設けられ得る。好適には、それぞれの壁要素の半径方向外側の壁領域と半径方向内側の壁領域との間に、特に環状又は部分環状の当接カラー部が形成されている。有利には、ドラム側の半径方向に配置された嵌込み要素のためのハウジング側の嵌込み溝は、段差形状によって、又はベース板と壁要素との間の面取り状の移行部によって、それぞれの壁要素の半径方向内側において形成される。
【0025】
さらに有利には、特に段差形状によって、壁要素の半径方向外側に形成されたハウジング側の当接カラー部は、機能支持体の嵌込み輪郭部の領域に設けられた(支持体側の)支持カラー部に対応する。言い換えれば、ケーブル駆動部ハウジングの壁要素又は各壁要素と、機能支持体の嵌込み輪郭部とは、それぞれ対応する当接輪郭部と支持輪郭部とを有している。その当接輪郭部と支持輪郭部とは、少なくとも、ケーブル駆動部ハウジングと機能支持体との間の嵌込み結合又は形状結合の形成の間、又は形成の過程において、そのハウジング中に収容され、牽引ケーブルが巻き付けられたケーブルドラムを伴うケーブル駆動部ハウジングのために、軸方向のストッパを提供する。
【0026】
有利な形態においては、支持体側の嵌込み輪郭部は、特に半径方向内向きの係止フックを有した軸方向の係止アームの形状において、所定数の係止要素を有している。支持体側のその係止要素は、ケーブル駆動部ハウジングとの形状結合において、そのベース板が、ハウジング側の壁要素とは反対側の板側面に重なる。
【0027】
支持体側の嵌込み輪郭部の好適な更なる一形態によれば、嵌込み輪郭部は所定数の、特に円筒形の、同軸の壁部を有している。牽引ケーブルが巻き付けられたケーブルドラムを既にその中に伴うケーブル駆動部ハウジングのための(軸方向の)ストッパは、機能支持体の嵌込み輪郭部の半径方向内側のこの同軸の壁部によって、支持体側に設けられている。そのストッパは、少なくとも、嵌込み結合又は形状結合の形成の間、又は形成の過程において有効である。これは、ケーブル駆動部ハウジングのための支持輪郭部として、好ましくは周方向に中断された当接面を形成している。
【0028】
更なる、特に中央の、これらの同軸壁部は、ケーブル駆動部ハウジングのための支持輪郭部として、更なる、好ましくは周方向に中断された当接面を形成する。機能支持体の嵌込み輪郭部の同軸壁部の(半径方向)外側の1つは、好適には、ケーブルドラムがそこに嵌入されたケーブル駆動部ハウジングのベース板のための、好ましくは円錐状の当接面を有する。ハウジング側のベース板は、(対応する)円錐状の板端部を有し得る。
【0029】
(半径方向)外側の同軸壁部は、好ましくは係止要素又は係止アームを有している。その係止フックは、支持体側の嵌込み輪郭部の同軸壁部を越えて軸方向に突出している。好適には、ケーブルドラムがその中に嵌入されたケーブルドラムハウジングは、機能支持体の嵌込み輪郭部内に回転不能に保持される。好ましくは、そのために、支持体側の嵌込み輪郭部又はその同軸壁部の間に存在する周方向の凹部又は軸方向の溝が使用され、この軸方向の溝においては、ケーブル駆動部ハウジングの軸方向に向いた壁要素が、特に周方向(方位方向)に形状結合的に係合する。
【0030】
さらに、壁部には、好ましくは2つの凹部が設けられ、この凹部を通して、牽引ケーブルの入込みケーブル部分又は送出ケーブル部分が、ケーブル駆動部ハウジングから、及び支持体側の嵌込み輪郭部からの外に導出されている、又は導出される。その際、ケーブル駆動部ハウジングの壁要素間のハウジング側の凹部は、支持体側の嵌込み輪郭部の凹部と同列に配置されている。
【0031】
嵌込み結合又は形状結合の過程において、有利には、支持体側の壁部によって、支持体側の嵌込み輪郭部内へのケーブル駆動部ハウジングの嵌入深さは、軸方向において制限される。さらに、牽引ケーブルが巻き付けられたケーブルドラムは、回転結合によってケーブル駆動部ハウジング内に固定される。ケーブル駆動装置又はアクチュエータが、支持体側の嵌込み輪郭部によって囲まれた貫通開口部を介してケーブルドラムに結合されるやいなや、ケーブルドラムは軸方向の両方向に固定され、ケーブル駆動部ハウジング内において自由に回転可能である。
【0032】
牽引ケーブル用のケーブルドラムを機能支持体に取付ける方法においては、牽引ケーブルが既に巻き付けられたケーブルドラムをケーブル駆動部ハウジング(ケーブルドラムハウジング)に嵌入する。次いで、牽引ケーブルが巻き付けられたケーブルドラムを収容するケーブル駆動部ハウジング又はケーブルドラムハウジングを、機能支持体に、特に軸方向に、形状結合的に嵌入する。
【0033】
以下において、図面を参照しながら、本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】プレート状の機能支持体と、ケーブル駆動装置と、並びに、ケーブル駆動装置に接続され(自動車)窓ガラスのための伝動体機能を有するレールスライダをガイドする2つのガイドレールと、を備えたウィンドウリフタ(ウィンドウリフタモジュール、ウィンドウリフタシステム)の概略図である。
図2図1の部分IIを拡大して示す斜視図であり、ケーブルドラムが挿入されたケーブル駆動部ハウジングが機能支持体に嵌入されており、ケーブル駆動部ハウジングのベース板が、ケーブルドラムと共に、又はケーブルドラムのために、支持体側の嵌込み輪郭部に係止されている様子を示している。
図3】嵌込み輪郭部を有する(部分的に示された)機能支持体の支持体側にケーブル駆動部ハウジングとケーブルドラムとを有し、他方の支持体側にケーブル駆動部(アクチュエータ)を有するケーブル駆動装置を示す分解斜視図である。
図4】ケーブルドラムとアクチュエータ(ケーブル駆動部)との間の結合又は結合インターフェースとしての支持体側の貫通開口部の領域における嵌込み輪郭部への視線によって、機能支持体を部分的に示す斜視図である。
図5】ベース板上に形成された壁要素を有するケーブル駆動部ハウジング(ケーブルドラムハウジング)を示す斜視図である。
図6】一方のドラム端面に半径方向に配向された嵌込み要素を有するケーブルドラムを示す斜視図である、
図7】巻き付けられた牽引ケーブルを有するケーブルドラムを備えたケーブル駆動部ハウジング(ケーブルドラムハウジング)を示す斜視平面図であって、アクチュエータのためのドラム側の嵌込み輪郭部を有する受入れ開口部上への斜視平面図である。
図8】ケーブル駆動部ハウジングとケーブルドラムとの嵌込み結合の形成のための係止要素を有するケーブル駆動部ハウジング(ケーブルドラムハウジング)の変形例を示す斜視図である。
図9図8によるケーブル駆動部ハウジング(ケーブルドラムハウジング)に収容され、それに係止されたケーブルドラム(牽引ケーブルなし)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
互いに対応する部分及び大きさには、全ての図において同一の参照符号を付す。
【0036】
図1は、自動車のウィンドウリフタ1を示し、本実施例においては、いわゆる二次的なケーブルウィンドウリフタであり、2本の平行なガイドレール2を備え、このガイドレール2に伝動体機能を有するレールスライダ3がスライド可能にガイドされる。窓ガラス4はレールスライダ3に保持され、例えばクランプされる。レールスライダ3は、牽引ケーブル5に接続されており、この牽引ケーブル5は、それぞれ上部及び下部の方向転換要素6及び7(好ましくは方向転換ローラの形態において)を介してガイドされ、また、ケーブル駆動装置8に結合されている。好ましくは電動モータのケーブル駆動装置8の回転運動により、窓ガラス4を開放位置へ、又はその反対方向である閉鎖位置に移動させる。
【0037】
ケーブル駆動装置8は、アクチュエータ又はケーブル駆動部9と、ケーブルドラムハウジング又はケーブル駆動部ハウジング10とを有しており、そのハウジングには、アクチュエータ9に結合されたケーブルドラムが回転軸D(図3)の周りを回転可能に収容されている。ケーブルドラムに、レールスライダ3に接続された牽引ケーブル5が巻き付けられている。アクチュエータ9は、歯車装置に結合された、詳細には示されていない電動モータを有している。ケーブル駆動装置8は、機能支持体11に取り付けられており、機能支持体11上にはガイドレール2が取付けられている、又は一体化されていてもよい。言い換えれば、機能支持体11は、例えば自動車ドアのドアモジュールの構成部品として、そこに既に組み込まれたレール輪郭部をレールスライダ3のためのガイドレール2として有する成形部品であり得る。方向転換要素6,7も、機能支持体11に既に形成することができる。
【0038】
ガイドレール2及びその上にガイドされるレールスライダ3、並びに牽引ケーブル5、ケーブル駆動部ハウジング10及びケーブルドラムを含むケーブル駆動装置8を備えたウィンドウリフタ1は、本実施例及び以下において、ウィンドウリフタモジュール又はウィンドウリフタシステムと呼ぶこともできる。
【0039】
図2及び図3は、ケーブル駆動装置8が配置され、支持体側に取付けられている、機能支持体11の領域を部分的に示している。図2からわかるように、支持体側に取付け部位12が設けられており、実施例においては、星形に配置された3つの取付け部位12が設けられており、この取付け部位12において、アクチュエータ9が、嵌込みピン又はねじ込みピン13によって、機能支持体11に、例えばねじ込み取付けによって取り付けられている。
【0040】
さらに、図2には、ケーブル駆動装置8のアクチュエータ(ケーブル駆動部)9の、図3に示す歯車装置ピン又はピボットピン14に結合される電動モータのモータハウジング9aが示されている。アクチュエータ9の電動モータは、90°ベベルギア装置としてのウォームギアに結合されており、そのウォームギアは、アクチュエータ9の歯車装置ハウジング9b内に配置され、ピボットピン14を有する、又は駆動する。より詳細には示さないが、モータシャフトは、コイル又はモータ巻線が取付けられた整流子を支持し、この整流子は、通電された又は通電可能なカーボンブラシによって接触される。ロータと、永久磁石から形成されたステータとは、ポット状のモータハウジング9a内に配置されている。
【0041】
図示の好ましい実施形態においては、ケーブル駆動部又はアクチュエータ9とは反対側の、機能支持体11の側の上に、支持体側の嵌込み輪郭部15が設けられており、その輪郭部内にケーブルドラム16が収容されたケーブル駆動部ハウジング又はケーブルドラムハウジング10が嵌入されて係止される。さらに、支持体側の嵌込み輪郭部15の係止要素17が設けられ、その端側の係止フック18は、ケーブル駆動部ハウジング又はケーブルドラムハウジング(以下、単にケーブル駆動部ハウジングという)10のベース板19に重なる。これによって、形状結合が形成される。図3に示されたケーブルドラム16の回転軸Dと、それと同軸の軸方向Aを基準にして、ケーブル駆動部ハウジング10と機能支持体11との軸方向への形状結合が、機能支持体11の嵌込み輪郭部15を介して形状結合的な嵌込み結合として形成される。
【0042】
図3は、その中に収容された、回転軸Dの周りを回転可能なケーブルドラム16を有するケーブル駆動部ハウジング10の縦断面を示しており、そのケーブルドラム16は、外側歯部20を有する、歯車装置側のピボットピン14を介して、アクチュエータ9に結合されている。そのために、ケーブルドラム16は、アクチュエータ9のピボットピン14の外側歯部20との形状結合的な嵌込み結合の形成のための内側歯部22の形状において、ドラム側の結合輪郭部を有する中央受入れ開口部21を有する。
【0043】
ケーブルドラム16を貫通して係合する、歯車装置側のシャフトピン23は、ケーブル駆動部ハウジング10のベース板19に形成された、又はそのベース板19内に形成された受入れ部24にガイドされる。ケーブル駆動部ハウジング10は、周方向Uにアクセス可能な少なくとも1つの嵌込み溝25を有する。ケーブルドラム16は、ドラム本体又はドラムシェルから半径方向に突出する少なくとも1つの嵌込み要素26を有する。
【0044】
図3に示すケーブル駆動部ハウジング10と機能支持体11との嵌込み状態において、ケーブルドラム16は、ケーブル駆動部ハウジング10内において回転軸Dの周りを両回転方向に自由に回転可能であり、これによってドラム側の嵌込み要素26は、両回転方向において実質的に接触することなくハウジング側の嵌込み溝25を通過することができる。
【0045】
図7に見られるように、ケーブルドラム16には牽引ケーブル5が巻き付けられている。そのために、牽引ケーブル5は、取付けられた状態において、図1において27aと記された入り込みケーブル部分と、図1において27bと記された送出ケーブル部分との形成のもとに、ケーブルドラム16上に複数回転、巻き付けられており、その際、ケーブル部分27a,27bは、方向転換要素6,7を介してガイドされる。そのために、円筒形のケーブルドラム16は、外周面に螺旋状又はねじ状のケーブル刻み目(ケーブル溝)28を有し、このケーブル溝28に牽引ケーブル5が挿入されている。
【0046】
図4は、ケーブル駆動部ハウジング又はケーブルドラムハウジング10との形状結合の形成のための、嵌込み輪郭部15の領域における機能支持体11の関連部分を示している。支持体側の嵌込み輪郭部15は、支持体側の貫通開口部29の周辺に配置されており、この貫通開口部29を介して、アクチュエータ又はケーブル駆動部9と、ケーブル駆動部ハウジング又はケーブルドラムハウジング10に収容されたケーブルドラム16との連結が行われる。支持体側の嵌込み輪郭部15は、所定数の円筒形の同軸の壁部、すなわち半径方向外側の壁部15a、半径方向中央の壁部15b、及び半径方向内側の壁部15cを有する。中央壁部15bは、内側壁部15c及び外側壁部15aよりも軸方向の高さが低い。さらに、外側壁部15aは内側壁部15cより突き出ている。係止要素17は、係止フック18を有した係止アームとして外側壁部15aに一体化されている。係止要素17は内側壁部15cを越えて軸方向に、すなわち回転軸Dと同軸の軸方向Aに突出している。中央壁部15b及び内側壁部15cは、それぞれケーブル駆動部ハウジング10の支持面又は当接面30b又は30cを形成している。
【0047】
図3において比較的明確に見られるように、外側壁部15aは、支持体側の貫通開口部29に向かって軸方向Aに先細りする円錐状の当接面30aを、ケーブル駆動部ハウジング10のベース板19(好ましくは外縁側は同様に円錐状である)のために形成している。円筒ジャケット状の壁部15a~15cの間の周方向Uにおいて、支持体側の嵌込み輪郭部15に2つの凹部又は中間スペース31が設けられている。これらの凹部31を介して、牽引ケーブル5の入り込み、及び送出ケーブル部分27a,27bは、本実施例においては、互いに約220°~230°の角度において、支持体側の嵌込み輪郭部15からガイドされる。更に、本実施例においては、支持体側の嵌込み輪郭部15は、半径方向内側の壁部15cに3つの軸方向溝32を有している。これらの軸方向溝32の1つは、凹部31の1つに開口している。
【0048】
図5は、好ましくは円形のベース板19を有するケーブル駆動部ハウジング10の斜視図である。本実施例においては、このベース板上に3つの軸方向に延びる壁要素33が形成されており、この壁要素33の間にケーブルドラム16が収容されているか、又は収容される。壁要素33は、円筒ジャケット状の軸方向部分として作製されており、その間に軸方向の凹部又は中間スペース34が形成されている。壁要素33は、軸方向Aに段差状に作製されている。環状又は部分環状の当接カラー部35が、それぞれの壁要素33の、半径方向外側(下側)の壁領域33aと、半径方向内側(上側)の壁領域33bとの間において、外側に形成されている。その段差形状によって、それぞれのハウジング側の嵌込み溝25は、対応する壁要素33の内側に形成されている。ケーブル駆動部ハウジング10は、ここに示す3つの壁要素33に基づいて、3つのこのような嵌込み溝25を有する。
【0049】
ハウジング側の当接カラー部35は、支持体側の嵌込み輪郭部15の中央壁部15bに対応する。ハウジング側のベース板19は、支持体側の嵌込み輪郭部15の内側壁部15cに対応する。このようにして、ケーブル駆動部ハウジング10の壁要素33及びベース板19は、一方において、また、機能支持体11の嵌込み輪郭部15に対応する当接輪郭部又は支持輪郭部を有する。言い換えれば、ケーブル駆動部ハウジング10は、その壁要素側の当接カラー部35と、そのベース板19とによって、プレートエッジ側の、支持面又は当接面30b,30cにおいて支持されることができる。この支持機能は、特に、ケーブル駆動部ハウジング10が、その中に配置された、巻き付けられた牽引ケーブル5を有するケーブルドラム16と共に、支持体側の嵌込み輪郭部15に、嵌込み結合又は形状結合の形成の下に嵌入された際に、ケーブル駆動部ハウジング10のための軸方向のストッパを形成する。
【0050】
ケーブル駆動部ハウジング10が支持体側の嵌込み輪郭部15に嵌入された場合、ハウジング側の壁要素33は、支持体側の壁部15cの軸方向溝32に係合する。このようにして、ケーブル駆動部ハウジング10は支持体側の嵌込み輪郭部15内に回転不能に配置され、一方、ケーブルドラム16は回転軸Dの周りを回転することができる。
【0051】
図6及び図7は、そこに巻かれた牽引ケーブル5を有さない、又は有する、ケーブルドラム16が収容されたケーブル駆動部ハウジング10を示している。内側歯部22を伴うドラム側の受入れ開口部21が認識される。実施例におけるケーブルドラム16の3つの半径方向に突出した部分環状の嵌込み要素26が、受入れ開口部21とは反対側にあり、且つ、取付け状態においてハウジング側のベース板19に面する端面に設けられており、そこにおいてケーブルドラム16に形成されている。ケーブルドラム16に対するケーブル駆動部ハウジング10の回転運動、又はその逆によって、ドラム側の嵌込み要素26がハウジング側の嵌込み溝25に係合する。この嵌込み状態において、ケーブルドラム16はケーブル駆動部ハウジング10内に軸方向に固定される。
【0052】
図7は、巻き付けられた牽引ケーブル5を有するケーブルドラム16が収容された状態のケーブル駆動部ハウジング10を示す。受入れ開口部21の領域には、ドラム端部側にニップル室36が設けられ、そのニップル室には、牽引ケーブル5の一方のケーブル端部に取り付けられたケーブルニップル37が入っている。ケーブルドラム16が内側歯部22を有するドラム端側の上方においては、ハウジング側の受入れ部24が、ケーブルドラム16のドラム側の、中央凹部又は受入れ輪郭部38に収容される。そのために、ケーブルドラム16は、支持体側の嵌込み輪郭部15によって、及び/又は以下に説明するそれぞれの係止要素39,40又は41によって、ケーブル駆動部ハウジング10内において半径方向に固定される。
【0053】
図8に示すケーブル駆動部ハウジング10の変形例によれば、そのハウジング10は、ケーブルドラム16のケーブル駆動部ハウジング10への係止結合又は嵌込み結合の形成のために、少なくとも1つのそのような係止要素、又は所定数のそのような係止要素を有する。本実施例においては、3つの半径方向外側の係止要素39が示されており、これらはベース板19上に設けられており、好ましくはそれから形成される。これらの半径方向外側の係止要素39は、周方向Uにおいて隣接する壁要素33間のハウジング側の中間スペース34に設けられている。
【0054】
また、本実施例においては、3つの半径方向内側の係止要素40も設けられており、これら係止要素40は同様にベース板19に設けられ、好ましくはそれから形成され、ハウジング側の中間スペース34に配置されていることが分かる。
【0055】
ケーブル駆動部ハウジング10のスリーブ状の受入れ部24には、単一の係止要素41を設けることもできる。そこの係止又は嵌込み要素41は半径方向に延び、ケーブルドラム16の取付けの過程において、ドラム側の環状溝に、特にケーブルドラム16の凹部又は受入れ輪郭部38の領域に、より詳細には図示しない方法によって係合する。
【0056】
ケーブル駆動部ハウジング10は、係止要素39,40,41の変形例のうちの1つだけを有すること、又は、これらの変形例のうちの2つを有すること、又は係止要素39,40及び/又は41の3つの変形例のすべてを有することもできる。
【0057】
図9に見られるように、半径方向外側の係止要素39は、ケーブル駆動部ハウジング10に嵌入される過程において、係止結合の形成の下に、ケーブルドラム16の半径方向嵌込み要素26によって、背後係合される。
【0058】
取付けの際、ケーブルドラム16は、牽引ケーブル5が既に巻き付けられた状態においてケーブル駆動部ハウジング(ケーブルドラムハウジング)10に嵌入される。その際、ドラム側の嵌込み要素26がハウジング側の壁要素33の間の凹部34に達し、それによって、ケーブルドラム16をケーブル駆動部ハウジング10に対して回転させることができ、その際、回転運動の過程において、ドラム側の嵌込み要素26がハウジング側の嵌込み溝25に達する。そのように形成されるケーブルドラム16とケーブル駆動部ハウジング10との結合は、純粋な差込回転結合、又はバヨネット結合の方式によって行われる。回転結合によって、牽引ケーブル5が巻き付けられたケーブルドラム16は、特に、準備のために、及び、機能支持体11における、又は機能支持体11上におけるケーブル駆動部ハウジング10内の取付けの間において、ケーブル駆動部ハウジング10内に固定される、
【0059】
受入れ部24に係止要素41を有する、又は、ベース側及び軸方向の壁要素33の間に設けられた係止要素40及び/又は41を有するケーブル駆動部ハウジング10の形成の際に、嵌入する過程において、ケーブルドラム16のケーブル駆動部ハウジング10への係止が行われる。半径方向外側の係止要素39の場合、図9に見られるように、係止はドラム側の嵌込み要素26によって行われる。その際、係止後、ケーブルドラム16は、ケーブル駆動部ハウジング10内において軸方向には固定されるが、その中において回転可能に配置される。
【0060】
続いて、牽引ケーブル5が巻き付けられたケーブルドラム16をその中に有するケーブル駆動部ハウジング又はケーブルドラムハウジング10は、機能支持体11に形状結合によって嵌入される。嵌込み結合又は形状結合の過程において、支持体側の対応する壁部15によって、支持体側の嵌込み輪郭部15内へのケーブル駆動部ハウジング10の嵌入深さは、軸方向に制限される。アクチュエータ又はケーブル駆動部9が、支持体側の嵌込み輪郭部15によって囲まれた貫通開口部29を介してケーブルドラム16に結合された際に、ケーブルドラム16は、軸方向Aの両方向において軸方向に固定される。ケーブル駆動部ハウジング10と支持体側の嵌込み輪郭部15との形状結合において、ドラム側の嵌込み要素26がハウジング側の嵌込み溝25内を周方向Uに通過して両回転方向にスライド可能であることによって、ケーブルドラム16はケーブル駆動部ハウジング10内において自由に回転可能である。
【0061】
要約すると、本発明は、ウィンドウリフタモジュール又はウィンドウリフタシステムとしてのウィンドウリフタ1に関し、そのウィンドウリフタ1は、機能支持体11と、牽引ケーブルが巻き付けられ、アクチュエータ9に結合可能なケーブルドラム16が収容されるケーブル駆動部ハウジング10を有するケーブル駆動装置8と、を備える。その際、そのケーブル駆動部ハウジング10は、ケーブルドラム16の収容のためのベース板19と壁要素33とを有し、またその際、その機能支持体11は、ケーブルドラムハウジング10との形状結合の形成のための嵌込み輪郭部15を有する。
【0062】
特許請求される発明は、上記した実施例には限定されない。むしろ、特許請求される発明の主題から逸脱することなく、開示される特許請求の範囲内において、当業者によって、本発明の他の変形例もそこから導出され得る。特に、様々な実施例に関連して説明された全ての個々の特徴は、特許請求される発明の主題から逸脱することなく、開示された特許請求の範囲内において、他の方法によって組み合わせ可能である。
【0063】
さらに、説明した解決策は、特別に示した使用事例における使用のみではなく、例えば、ドア及びテールゲートシステム、シングルロープ式(einstraengig)ウィンドウリフタ、車両ロック、位置調節可能なシート及び内装システム、並びに、電気駆動装置、制御装置、センサ及び車両内のそれらの配置、のような自動車の他の使用における同様の実施においても使用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 ウィンドウリフタ/ウィンドウリフタモジュール/ウィンドウリフタシステム
2 ガイドレール
3 レールスライダ
4 窓ガラス
5 牽引ケーブル/内部牽引
6 上部方向転換要素
7 下部方向転換要素
8 ケーブル駆動装置
9 アクチュエータ/ケーブル駆動部
9a モータハウジング
9b 歯車装置ハウジング
10 ケーブル駆動部ハウジング/ケーブルドラムハウジング
11 機能支持体
12 取付け部位
13 嵌込みピン/ねじ込みピン
14 歯車装置ピン/回転ピン
15 支持体側の嵌込み輪郭部
15a 外側壁部
15b 中央壁部
15c 内側壁部
16 ケーブルドラム
17 係止要素
18 係止フック
19 ベース板
20 外側歯部
21 受入れ開口部
22 内側歯部
23 シャフトピン/歯車装置ピン
24 受入れ部
25 嵌込み溝
26 嵌込み要素
27a 入り込み牽引ケーブル部分
27b 送出牽引ケーブル部分
28 ケーブル溝
29 貫通開口部
30a 円錐状の当接面
30b 支持面/当接面
30c 支持面/当接面
31 支持体側の凹部/中間スペース
32 軸方向溝
33 壁要素
33a 外側(下側)壁部
33b 内側(上側)壁部
34 ハウジング側の凹部/中間スペース
35 当接カラー部
36 ニップル室
37 ケーブルニップル
38 凹部/受入れ輪郭部
39 係止要素
40 係止要素
41 係止要素
A 軸方向
D 回転軸
U 周方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】