(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】投影スクリーン
(51)【国際特許分類】
G03B 21/60 20140101AFI20240116BHJP
G03B 21/56 20060101ALI20240116BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20240116BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20240116BHJP
G02B 3/08 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G03B21/60
G03B21/56
G02B5/08 A
G02B5/02 B
G02B3/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541710
(86)(22)【出願日】2022-01-18
(85)【翻訳文提出日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 CN2022072479
(87)【国際公開番号】W WO2022152310
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】202110062212.2
(32)【優先日】2021-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523260314
【氏名又は名称】維業達科技(江蘇)有限公司
【氏名又は名称原語表記】IVTECH JIANGSU CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 8 Tongsheng Road Development Zone Nantong, Jiangsu 226000, China
(71)【出願人】
【識別番号】517261855
【氏名又は名称】蘇州維業達触控科技有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】517227998
【氏名又は名称】蘇州蘇大維格科技集団股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】周 小紅
(72)【発明者】
【氏名】朱 鳴
(72)【発明者】
【氏名】浦 東林
(72)【発明者】
【氏名】朱 鵬飛
(72)【発明者】
【氏名】朱 昊枢
(72)【発明者】
【氏名】孫 如斌
(72)【発明者】
【氏名】陳 林森
【テーマコード(参考)】
2H021
2H042
【Fターム(参考)】
2H021BA02
2H021BA03
2H021BA06
2H042BA02
2H042BA03
2H042BA19
2H042DA02
2H042DA03
2H042DA04
2H042DA05
2H042DA06
2H042DA07
2H042DA11
2H042DA17
2H042DC02
2H042DC04
2H042DD02
2H042DE04
(57)【要約】
本発明において投影スクリーンを提供する。前記投影スクリーンは、着色層、拡散層及びフレネルレンズ層のうちいずれか1つと反射層を含む。フレネルレンズ層は球面型フレネルレンズ層または非球面型フレネルレンズ層である。フレネルレンズはその上表面から突出している複数の環状突起を含み、前記複数の環状突起はフレネルレンズの上表面上に環状に配列され、前記フレネルレンズの上表面の垂直面によって切断される各環状突起の断面の形状は三角形、多段式階段または他の形状である。各フレネルレンズの断面において、フレネルレンズの上表面に平行である第一辺の幅は漸次に変わり、各フレネルレンズの断面の形状と幅も漸次に変わる。それにより球面型フレネルレンズ層または非球面型フレネルレンズ層の集光特性が決められる。フレネルレンズ層の各環状突起の表面には散乱型微細構造が形成され、反射層は金属反射層であるか或いは合金反射層であり、反射層は、エレクトロプレート、蒸着、墳着または塗布工程により製造される。従来の投影スクリーンと比較してみると、本発明の投影スクリーンは、輝度が高く、視野角が大きいとの特徴を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さの方向に順に重畳している着色層、拡散層、フレネルレンズ層及び反射層を含むか或いは、厚さの方向に順に重畳している拡散層、着色層、フレネルレンズ層及び反射層を含み、前記フレネルレンズはその上表面から突出している複数の環状突起を含み、前記複数の環状突起はフレネルレンズの上表面上に環状に配列され、前記フレネルレンズの上表面の垂直面によって切断される各環状突起の断面の形状は三角形、多段式階段または他の形状であることを特徴とする投影スクリーン。
【請求項2】
反射層は金属反射層であるか或いは合金反射層であり、前記金属反射層は、アルミニウム、銀、金、クロム、ニッケル及び銅を含み、前記合金反射層は、ニッケルクロム合金、アルミニウム合金、チタン合金を含み、
フレネルレンズ層は環状突起の底面に形成される基材層または所定のヘイズ比を有している薄膜を更に含み、
フレネルレンズ層の環状突起の表面には散乱型微細構造が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の投影スクリーン。
【請求項3】
反射層は、エレクトロプレート、蒸着、墳着または塗布工程により製造されることを特徴とする請求項2に記載の投影スクリーン。
【請求項4】
厚さの方向に順に重畳している着色層、フレネルレンズ層及び反射層を含み、前記フレネルレンズはその上表面から突出している複数の環状突起を含み、前記複数の環状突起はフレネルレンズの上表面上に環状に配列され、前記フレネルレンズの上表面の垂直面によって切断される各環状突起の断面の形状は三角形、多段式階段または他の形状であり、前記フレネルレンズの環状突起には拡散粒子が添加されていることを特徴とする投影スクリーン。
【請求項5】
反射層は金属反射層であるか或いは合金反射層であり、前記金属反射層は、アルミニウム、銀、金、クロム、ニッケル及び銅を含み、前記合金反射層は、ニッケルクロム合金、アルミニウム合金、チタン合金を含み、
フレネルレンズ層は環状突起の底面に形成される基材層または所定のヘイズ比を有している薄膜を更に含み、
フレネルレンズ層の環状突起の表面には散乱型微細構造が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の投影スクリーン。
【請求項6】
反射層は、エレクトロプレート、蒸着、墳着または塗布工程により製造されることを特徴とする請求項5に記載の投影スクリーン。
【請求項7】
厚さの方向に順に重畳している拡散層、フレネルレンズ層及び反射層を含み、前記フレネルレンズはその上表面から突出している複数の環状突起を含み、前記複数の環状突起はフレネルレンズの上表面上に環状に配列され、前記フレネルレンズの上表面の垂直面によって切断される各環状突起の断面の形状は三角形、多段式階段または他の形状であり、前記フレネルレンズの環状突起には着色粒子が添加されていることを特徴とする投影スクリーン。
【請求項8】
反射層は金属反射層であるか或いは合金反射層であり、前記金属反射層は、アルミニウム、銀、金、クロム、ニッケル及び銅を含み、前記合金反射層は、ニッケルクロム合金、アルミニウム合金、チタン合金を含み、
フレネルレンズ層は環状突起の底面に形成される基材層または所定のヘイズ比を有している薄膜を更に含み、
フレネルレンズ層の環状突起の表面には散乱型微細構造が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の投影スクリーン。
【請求項9】
反射層は、エレクトロプレート、蒸着、墳着または塗布工程により製造されることを特徴とする請求項8に記載の投影スクリーン。
【請求項10】
厚さの方向に順に重畳しているフレネルレンズ層と反射層を含み、前記フレネルレンズはその上表面から突出している複数の環状突起を含み、前記複数の環状突起はフレネルレンズの上表面上に環状に配列され、前記フレネルレンズの上表面の垂直面によって切断される各環状突起の断面の形状は三角形、多段式階段または他の形状であり、フレネルレンズ層の底面の基材層またはフレネルレンズ層の底面の所定のヘイズ比を有している薄膜には着色粒子と拡散粒子が添加されるか或いは環状突起には着色粒子と拡散粒子が添加されていることを特徴とする投影スクリーン。
【請求項11】
フレネルレンズ層の環状突起の表面には散乱型微細構造が形成され、
反射層は金属反射層であるか或いは合金反射層であり、前記金属反射層は、アルミニウム、銀、金、クロム、ニッケル及び銅を含み、前記合金反射層は、ニッケルクロム合金、アルミニウム合金、チタン合金を含むことを特徴とする請求項10に記載の投影スクリーン。
【請求項12】
反射層は、エレクトロプレート、蒸着、墳着または塗布工程により製造されることを特徴とする請求項11に記載の投影スクリーン。
【請求項13】
投影スクリーンの製造方法であって、前記投影スクリーンは厚さの方向に順に重畳している着色層、拡散層、フレネルレンズ層及び反射層を含むか或いは、厚さの方向に順に重畳している着色層、フレネルレンズ層及び反射層を含むか或いは、前記投影スクリーンは厚さの方向に順に重畳している拡散層、フレネルレンズ層及び反射層を含むか或いは、厚さの方向に順に重畳しているフレネルレンズ層と反射層を含み、
前記投影スクリーンの製造方法は、拡散層、着色層及びフレネルレンズ層のうちいずれか二種をOCAにより貼り付けるか或いは、
塗布方法で拡散層と着色層を製造した後、それらをOCAによりフレネルレンズ層に貼り付けるか或いは、
着色層を拡散層の1つの表面上にめっきした後、OCAにより拡散層の他の1つの表面をフレネルレンズ層に貼り付けるか或いは、
着色層を拡散層の1つの表面上にめっきした後、OCAにより拡散層から離れている着色層の1つの表面をフレネルレンズ層に貼り付けるステップを含むことを特徴とする投影スクリーンの製造方法。
【請求項14】
前記フレネルレンズはその上表面から突出している複数の環状突起を含み、前記複数の環状突起はフレネルレンズの上表面上に環状に配列され、前記フレネルレンズの上表面の垂直面によって切断される各環状突起の断面の形状は三角形、多段式階段または他の形状であり、
反射層は金属反射層であるか或いは合金反射層であり、前記金属反射層は、アルミニウム、銀、金、クロム、ニッケル及び銅を含み、前記合金反射層は、ニッケルクロム合金、アルミニウム合金、チタン合金を含むことを特徴とする請求項13に記載の投影スクリーンの製造方法。
【請求項15】
ロールツーロールプロセスによりフレネルレンズ層を製造し、前記ロールツーロールプロセスは、基材、所定のヘイズ比を有している薄膜、拡散層または着色層上に接着剤層を塗布するステップと、前記フレネルレンズ製造用金型により接着剤層に対してロールツーロールエンボス加工技術を実施することによりフレネルレンズ層を形成するステップとを含み、
反射層は、エレクトロプレート、蒸着、墳着または塗布工程により製造され、
フレネルレンズ層は環状突起の底面に形成される基材層または所定のヘイズ比を有している薄膜を更に含み、
フレネルレンズ層の環状突起の表面には散乱型微細構造が形成されていることを特徴とする請求項14に記載の投影スクリーンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示技術の分野に属し、特に、投影スクリーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
いろいろな表示技術の発展に伴い、超大型の表示画面を獲得できる投影表示技術は多い人々の注目を集めている。投影表示技術によって表示された画面の品質を常用の液晶表示技術または有機表示技術によって表示された画面の品質まで向上させるため、投影装置の品質を向上させるだけでなく、高品質の光学投影スクリーンを用意する必要がある。
【0003】
光学投影スクリーンは一連の微細光学構造で構成されかつ投影装置(projector)の光線と環境光がスクリーン構造に再び配置させる投影スクリーンである。光学投影スクリーンは、環境光の光強度を低減し、投影装置の光線の光強度を増強させることにより、画面のコントラスト、輝度の増益、カーラーの可逆性(Color reversibility)及び解像度等を向上させ、高い画質に対する要求を満たすことができる。フレネルスクリーンは現在、常用している光学投影スクリーンである。フレネルスクリーンは、フレネルレンズ構造の原理を用い、所定の角度に入射する光線を平行光線に変換した後それを使用者の目に入射させることにより画像を形成する。環境光による影響を低減し、スクリーンの輝度とコントラストを向上させることは、フレネルスクリーン分野の技術者が求めている課題である。
【0004】
従来の技術において、フレネルスクリーン中のフレネルレンズを製造する製造方法としてダイヤモンド切削方法を常用する。ダイヤモンド切削方法によって製造されるフレネルレンズの微細構造は、精度が低く、凹部の間のサイズが大きい(通常20~50umである)との欠点を有している。精度がそんなに低い微細構造により光線の利用率を向上させることができない。微細構造の精度を向上させることができるが、それによりフレネルレンズを製造する難しさが増加するおそれがある。したがって、光線の利用率を確保する前提下において、フレネルレンズを製造する難しさを低減することはこの技術分野の技術者が求めている課題になっている。
【0005】
現在、販売されている光学投影スクリーン、例えば大日本印刷株式会社(DNP)と成都菲斯特科技有限会社において出荷する光学投影スクリーンはいずれも、光学投影スクリーンを支持する重い背部フレームを含み、かつ枠等の部品が背部フレームに取り付けられている硬性スクリーンである。しかしながら、そのような硬性スクリーンは、重量が重いだけでなく、体積が大きく、巻くことができないとの欠点を有しているので、運搬の利便性がよくなく、多い空間を占める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術の問題を解決するため、本発明は下記フレネルレンズを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフレネルレンズはその上表面から突出している複数の環状突起を含み、前記複数の環状突起はフレネルレンズの上表面上に環状に配列され、前記フレネルレンズの上表面の垂直面によって切断される各環状突起の断面の形状は三角形であり、前記フレネルレンズの三角形の断面において、前記フレネルレンズの上表面に平行である辺は第一辺であり、他の2つの辺は第二辺と第三辺である。各フレネルレンズの三角形の断面において各第一辺の高さは同一に形成され、第三辺と第一辺との間の夾角は90°である。
【0008】
本発明は他のフレネルレンズを提供する。前記フレネルレンズはその上表面から突出している複数の環状突起を含み、前記複数の環状突起はフレネルレンズの上表面上に環状に配列され、前記フレネルレンズの上表面の垂直面によって切断された各環状突起の断面の形状は多段式階段型であり、前記フレネルレンズの上表面に平行である辺は第一辺であり、階段が形成されている辺は第二辺であり、階段が形成されていない辺は第三辺であり、第三辺は第一辺に垂直である。各階段の2つの側辺において、1つの側辺は第一辺に垂直であり、他の1つの側辺は第一辺に平行である。各階段の側辺において、側辺は第一辺から最も多く離れておりかつ第一辺に平行である側辺である。側辺と第一辺との間の垂直距離を高さHといい、各階段の第一辺の高さは同一に形成されている。
【0009】
本発明の実施例において、第一辺の高さHはつぎのとおりである。
中心から外部に向く方向に数えるとき、第j個目の三角形または多段式階段の断面において第一辺a1の長さLjはつぎのとおりであり、
この式において、Pは1より大きいか或いは等しい整数であり、λは中心の波長であり、fはフレネルレンズの焦点距離である。
【0010】
本発明の実施例において、第一辺の高さHは1~20μmである。
【0011】
本発明の実施例において、各三角形の第二辺と第一辺との間の夾角β1は65~81°である。
【0012】
本発明の実施例において、第一辺の長さは0.02~0.3mmである。
【0013】
本発明の実施例において、環状突起の表面には散乱型微細構造が形成されている。
【0014】
本発明の実施例においてフレネルレンズの設計方法を提供する。前記フレネルレンズはその上表面から突出している複数の環状突起を含み、前記複数の環状突起はフレネルレンズの上表面上に環状に配列され、フレネルレンズの上表面の垂直面によって切断された各環状突起の断面の形状は三角形または多段式階段型である。断面の形状が三角形または多段式階段型である環状突起の断面においてフレネルレンズの上表面に平行である辺は第一辺である。中心から外部に向く方向に数えるとき、断面の形状が三角形または多段式階段型である第j個目の環状突起の第一辺の長さLjはつぎのとおりである。
この式において、Pは1より大きいか或いは等しい整数であり、λは中心の波長であり、fはフレネルレンズの焦点距離である。
【0015】
本発明の実施例において、下記ステップにより断面の形状が三角形または多段式階段型である第j個目の環状突起の第一辺の長さLjを算出することができる。
ステップ1において、球面レンズの半径をRと仮定し、レンズ材料の屈折率がnと仮定することにより球面レンズの焦点距離fを算出し、算出した球面レンズの焦点距離fは
ステップ3において、第j個目の環状突起の半径がajであると仮定することにより下記三角形関係を獲得する。
それを展開することにより下記式を獲得する。
ステップ4において、断面の形状が三角形である第一辺の長さLjを算出する。獲得は第一辺の長さLjはつぎのとおりである。
【0016】
本発明の実施例においてフレネルレンズ製造用金型の製造方法を提供する。前記フレネルレンズ製造用金型はその上表面から突出している複数の環状微細構造ユニットを含み、前記複数の環状微細構造ユニットはフレネルレンズの上表面上に環状に配列され、フレネルレンズの上表面の垂直面によって切断された各環状微細構造ユニットの断面の形状は三角形または多段式階段型である。断面の形状が三角形または多段式階段型である環状微細構造の断面においてフレネルレンズの上表面に平行である辺は第一辺である。中心から外部に向く方向に数えるとき、断面の形状が三角形または多段式階段型である第j個目の環状突起の第一辺の長さLjはつぎのとおりである。
この式において、Pは1より大きいか或いは等しい整数であり、λは中心の波長であり、fはフレネルレンズの焦点距離である。
【0017】
断面の形状が三角形または多段式階段型である実施例1~2の断面の第一辺の高さHを定義することのように、断面の形状が三角形または多段式階段型である本発明の断面の第一辺の高さHはつぎのとおりである。
その式において、nはフレネルレンズの屈折率である。
【0018】
本発明の実施例においてフレネルレンズ製造用金型の製造方法を提供する。前記フレネルレンズ製造用金型の製造方法は下記ステップを含む。
ステップ1において、三次元モデル図を提供する。
ステップ2において、少なくとも1つの曲率関数f1(x)を設定し、その曲率関数f1(x)により三次元モデルの中点の高さを確定する。
ステップ3において、前記三次元モデル図の高さ方向において区分をすることにより複数の高さ区域を獲得する。
ステップ4において、三次元モデル図を平面に投影することによりグレースケールイメージを獲得する。前記グレースケールイメージは複数のピクセルドットを含み、各ピクセルドットはピクセルドットの位置とグレースケール値を含む。前記三次元モデル図が水平面に投影される投影は複数の点を含み、各点はその位置と高さ値を含む。各点の位置はグレースケールイメージ中のピクセルドットの位置に対応し、前記三次元モデル図の各高さ区域はグレースケール値の範囲に対応する。前記三次元モデル図の高さ値が位置している高さ区域の高さ範囲と、グレースケール値の範囲に対応する対応関数f2(x)により前記高さ値に対応するグレースケール値を獲得し、かつ前記グレースケールイメージに対応するピクセルドットのグレースケール値を獲得する。
ステップ5において、ターゲットキャリア上にフォトレジストを塗布し、前記グレースケールイメージによってリソグラフィを実施することによりパターン化構造を獲得する。リソグラフィ時間とグレースケール値に対応する関数f3(x)を採用し、かつ露光現像を実施することによりターゲットキャリア上にパターン化構造を形成する。
ステップ6において、UV印刷方法または金属成長方法を採用することによりパターン化構造を他のキャリアに移転し、フレネルレンズのパターンと対応する金型を形成する。
【0019】
本発明の実施例においてフレネルレンズ製造用金型の製造方法を提供する。前記フレネルレンズ製造用金型の製造方法は下記ステップを含む。
ステップ1において、三次元モデル図を提供する。
ステップ2において、少なくとも1つの曲率関数f1(x)を設定し、その曲率関数f1(x)により三次元モデルの中点の高さを確定する。
ステップ3において、前記三次元モデル図の高さ方向において区分をすることにより複数の高さ区域を獲得する。
ステップ4において、三次元モデル図を平面に投影することによりグレースケールイメージを獲得する。前記グレースケールイメージは複数のピクセルドットを含み、各ピクセルドットはピクセルドットの位置とグレースケール値を含む。前記三次元モデル図が水平面に投影される投影は複数の点を含み、各点はその位置と高さ値を含む。各点の位置はグレースケールイメージ中のピクセルドットの位置に対応し、前記三次元モデル図の各高さ区域はグレースケール値の範囲に対応する。前記三次元モデル図の高さ値が位置している高さ区域の高さ範囲と、グレースケール値の範囲に対応する対応関数f2(x)により前記高さ値に対応するグレースケール値を獲得し、かつ前記グレースケールイメージに対応するピクセルドットのグレースケール値を獲得する。
ステップ5において、前記グレースケールイメージに基づいて複数のバイナリイメージをサンプリングする。
ステップ6において、ターゲットキャリア上にフォトレジストを塗布し、前記複数のバイナリイメージによりオーバーレイリソグラフィを実施し、かつ露光現像を実施することによりターゲットキャリア上にパターン化構造を獲得する。
ステップ7において、UV印刷方法または金属成長方法を採用することによりパターン化構造を他のキャリアに移転し、フレネルレンズのパターンと対応する金型を形成する。
【0020】
本発明の実施例において、三次元モデル図の形状は円錐形である。
円錐形の円形底面の半径Rはつぎのとおりである。
円錐形の母線の長さLと円形底面との間の夾角αは次のとおりである。
その式において第一辺の高さHはつぎのとおりである。
その式において、Pは1より大きいか或いは等しい整数であり、λは中心の波長であり、nはフレネルレンズの屈折率であり、fはフレネルレンズの焦点距離であり、Nは環状微細構造の数量である。
【0021】
本発明の実施例において、三次元モデル図の三次元モデルは半球形であり、半球形底面の半径Rはつぎのとおりである。
【0022】
【0023】
本発明の実施例において、曲率関数f1(x)はつぎのとおりである。
その式において、
独立変数xは、円錐形の円形底面の任意の1つの半径上に位置している点から、円形底面の円心の反対側に位置している半径の一端の端部まで距離を指す。
【0024】
本発明の実施例において、円錐形の底面に平行である平面により円錐形をN個の円錐形分体に分割する。円錐形の上部から数えるとき、第j+1個目の円錐形分体の母線の長さΔLj+1はつぎのとおりである。
【0025】
本発明の実施例において、半球形底面に平行である平面により円錐形をN個の円錐形分体に分割する。その場合、各円錐形分体の長さはつぎのとおりである。
【0026】
本発明の実施例において、グレースケール値の範囲内のグレースケール値と、第j+1個目の区域の高さ範囲内の高さ値に対応する関数f2(x)はつぎのとおりである。
【0027】
本発明の実施例において、グレースケール値の範囲内のグレースケール値と第j+1個目の区域の高さ範囲内の高さ値に対応する関数f2(x)はつぎのとおりである。
グレースケール値の範囲は0より大きいか或いは等しくかつQmaxより小さい。Qmaxはグレースケール値の範囲中の最大のグレースケール値であり、独立変数xは高さ範囲内の高さ値を指す。
【0028】
本発明の実施例において、リソグラフィ時間とグレースケール値に対応する関数f3(x)はつぎのとおりである。
その式において、ηはリソグラフィの速度であり、独立変数xはグレースケール値を指す。
【0029】
【0030】
本発明の実施例において、
その式において、Mは階段の数量であり、iは0より大きいか或いは等しくかつMより小さい整数である。
【0031】
本発明の実施例において、階段の数量MによりM-1個のバイナリイメージをサンプリングする。
グレースケール値は第k個目の範囲内のピクセルドットに黒を割り当て、グレースケール値は他の範囲内のピクセルドットに白を割り当てることにより第k個目のバイナリイメージを獲得するか或いは、
グレースケール値は第k個目の範囲内のピクセルドットに白を割り当て、グレースケール値は他の範囲内のピクセルドットに黒を割り当てることにより第k個目のバイナリイメージを獲得する。
第k個目の範囲は少なくとも第k-1個目の範囲を覆い、Mは2より大きいか或いは等しい整数であり、黒はバイナリ中の1を表し、白はバイナリ中の0を表す。
【0032】
本発明の実施例において、オーバーレイリソグラフィが実施された前記ターゲットキャリアに対してベーキングを実施することによりパターン化構造を獲得する。
【0033】
本発明は投影スクリーンを提供する。前記投影スクリーンは厚さの方向に順に重畳している着色層、拡散層、フレネルレンズ層及び反射層を含むか或いは、前記投影スクリーンは厚さの方向に順に重畳している拡散層、着色層、フレネルレンズ層及び反射層を含む。
【0034】
本発明は投影スクリーンを提供する。前記投影スクリーンは厚さの方向に順に重畳している着色層、フレネルレンズ層及び反射層を含み、フレネルレンズ層には拡散粒子が添加されている。
【0035】
本発明は投影スクリーンを提供する。前記投影スクリーンは厚さの方向に順に重畳している拡散層、フレネルレンズ層及び反射層を含み、フレネルレンズ層には着色粒子が添加されている。
【0036】
本発明は投影スクリーンを提供する。前記投影スクリーンは厚さの方向に順に重畳しているフレネルレンズ層と反射層を含み、フレネルレンズ層の基材層または所定のヘイズ比を有している薄膜には着色粒子と拡散粒子が添加されるか或いは、フレネルレンズ層には着色粒子と拡散粒子が添加されている。
【0037】
本発明の実施例において、フレネルレンズ層は基材上に形成され、基材は光透過率が75%以上である高透過率の樹脂で製造され、基材の厚さは10~200μmである。
【0038】
本発明の実施例において、フレネルレンズ層と基材は一体に形成されるか或いはフレネルレンズ層はOCAにより基材上に貼り付かれる。
【0039】
本発明の実施例において、フレネルレンズ層は所定のヘイズ比を有している薄膜上に形成される。薄膜のヘイズ比は50~90%であり、薄膜の厚さは50~200μmである。
【0040】
本発明の実施例において、フレネルレンズ層はOCAにより所定のヘイズ比を有している薄膜上に貼り付けられる。
【0041】
本発明の実施例において、フレネルレンズ層は球面型フレネルレンズ層または非球面型フレネルレンズ層である。
【0042】
本発明の実施例において、OCAの厚さは10~200μmである。
【0043】
本発明の実施例において、着色層の厚さは10~200μmであり、着色層の光透過率は50~90%である。
【0044】
本発明の実施例において、着色層はニッケルめっき層であり、着色層の光透過率は50~90%である。
【0045】
本発明の実施例において、拡散層は拡散粒子が混合されている透光性の樹脂である。
【0046】
本発明の実施例において、拡散層の厚さは50~1000μmである。
【0047】
本発明の実施例において、拡散層は拡散機能を有しているマイクロナノ構造であり、拡散層の横方向の断面の形状は、円弧型、三角形、多辺形、矩形、台形または不規則的な形状のうちいずれか一種であるか或いはいずれか2つの形状の組合せである。
【0048】
本発明の実施例において、マイクロナノ構造の高さは1~20μmである。
【0049】
本発明の実施例において、マイクロナノ構造は柔軟性材料で製造される。
【0050】
本発明の実施例において、拡散層は半透明半反射型フィルムであり、拡散層のヘイズ比は50~90%であり、光透過率は55~65%である。
【0051】
本発明の実施例において、前記反射層は金属反射層であるか或いは合金反射層である。
【0052】
本発明の実施例において、前記金属反射層は、アルミニウム、銀、金、クロム、ニッケル及び銅を含み、前記合金反射層は、ニッケルクロム合金、アルミニウム合金、チタン合金を含む。
【0053】
本発明の実施例において、反射層はアルミニウム反射層であり、めっきまたは墳着方法でアルミニウム反射層を製造する。
【0054】
本発明の実施例において、めっき方法で反射層を製造するとき、アルミニウム反射層の厚さは0.04~3μmである。
【0055】
本発明の実施例において、アルミ粒子の粒径は500nm以下である。
【0056】
本発明の実施例において、墳着方法で反射層を製造するとき、アルミニウム反射層の厚さは10~20μmである。
【0057】
本発明の実施例において、アルミ粒子の粒径は5μmより大きい。
【0058】
本発明の実施例において、フレネルレンズ層の構成材料の屈折率と拡散粒子の屈折率との間の差異は0.4未満である。
【0059】
本発明の実施例において、着色粒子の粒径は200μm未満である。
【0060】
本発明の実施例において、拡散粒子の粒径は1~50μmである。
【0061】
本発明は投影スクリーンの製造方法を更に提供する。前記投影スクリーンの製造方法は、拡散層、着色層及びフレネルレンズ層のうちいずれか二種をOCAにより貼り付けるか或いは、
塗布方法で拡散層と着色層を製造した後、それらをOCAによりフレネルレンズ層に貼り付けるか或いは、
着色層を拡散層の1つの表面上にめっきした後、OCAにより拡散層の他の1つの表面をフレネルレンズ層に貼り付けるか或いは、
着色層を拡散層の1つの表面上にめっきした後、OCAにより拡散層から離れている着色層の1つの表面をフレネルレンズ層に貼り付けるステップを含む。
【0062】
本発明の実施例において、フレネルレンズ層を貼り付けた後、フレネルレンズ層の表面に反射層を形成する。
【0063】
本発明の実施例において、フレネルレンズ層を貼り付ける前に、フレネルレンズ層の表面に反射層を形成する。
【0064】
本発明の実施例において、OCAの厚さは10~200μmである。
【0065】
本発明の実施例において、フレネルレンズ層はロールツーロールプロセスにより製造される。
【0066】
本発明の実施例において、基材、所定のヘイズ比を有している薄膜、拡散層または着色層上に接着剤層を塗布する。つぎに、前記フレネルレンズ製造用金型により接着剤層に対してロールツーロールエンボス加工技術を実施することにより、フレネルレンズ層を形成する。
【0067】
本発明の実施例において、最後に、加熱によりフレネルレンズ層を固化させる。
【0068】
本発明の実施例において、前記フレネルレンズ製造用金型を製造するとき、まず、レーザー印刷工程によりフレネルレンズ製造用金型の表面にランダム点構造を形成する。つぎに、そのフレネルレンズ製造用金型で所定の材料を押すことにより、フレネルレンズ層を形成し、かつフレネルレンズ層の環状突起の表面に散乱型微細構造を形成する。
【発明の効果】
【0069】
本発明の技術的事項により下記発明の効果を獲得することができる。
(1)本発明は光線の利用率を確保する前提下において、フレネルレンズの製造難度を低減できるフレネルレンズ製造用金型の設計方法を提供する。
(2)本発明は製造が簡単であるフレネルレンズ製造用金型の製造方法を提供する。
(3)従来の投影スクリーンと比較してみると、本発明の投影スクリーンは、輝度が高く、視野角が大きいとの特徴を有している。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1a】本発明の第一実施例に係るフレネルレンズの構造を示す平面図である。
【
図1b】本発明の第一実施例に係るフレネルレンズの構造を示す断面図である。
【
図1c】本発明の第一実施例に係るフレネルレンズの1つの微細構造ユニットの構造を示す断面図である。
【
図2a】本発明の第二実施例に係るフレネルレンズの構造を示す平面図である。
【
図2b】本発明の第二実施例に係るフレネルレンズの構造を示す断面図である。
【
図2c】本発明の第二実施例に係るフレネルレンズの1つの微細構造ユニットの構造を示す断面図である。
【
図3】本発明の第三実施例に係るフレネルレンズの設計に用いられる幾何図である。
【
図4a】本発明の第四実施例に係るフレネルレンズの製造用金型に用いられる円錐形三次元モデルを示す斜視図である。
【
図4b】本発明の第四実施例に係るフレネルレンズの製造用金型に用いられる円錐形三次元モデルを示す軸方向の断面図である。
【
図5a】本発明の第六実施例に係る投影スクリーンの構造を示す図である。
【
図5b】本発明の第六実施例に係る投影スクリーンの構造を示す図である。
【
図5c】本発明の第六実施例に係る投影スクリーンの構造を示す図である。
【
図6】本発明の第七実施例に係る投影スクリーンの構造を示す図である。
【
図7】本発明の第八実施例に係る投影スクリーンの構造を示す図である。
【
図8】本発明の第九実施例に係る投影スクリーンの構造を示す図である。
【
図9】本発明の第十実施例に係る投影スクリーンの構造を示す図である。
【
図10】フレネルレンズの表面にランダム点が形成されかつめっき工程により製造される反射層の実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下、本発明の実施例により本発明の実施例に係る事項を詳細に説明する。当業者は下記実施例を参照することにより、本発明の技術的事項により所定の技術的課題を解決することと所定の発明の効果を奏することとを容易に理解した上実施することができる。
【0072】
特別な説明がない限り、本発明の原料、装置としてこの技術分野の常用の原料、装置を使用し、市場においてそれらを購入することができる。特別な説明がない限り、本発明の方法としてこの技術分野の常用の方法を用いる。
【0073】
実施例一
図1は本発明の実施例に係るフレネルレンズ(Fresnel Lens)の構造を示す図である。具体的に、
図1aは本発明の実施例に係るフレネルレンズの構造を示す平面図であり、
図1bは本発明の実施例に係るフレネルレンズの構造を示す断面図である。
図1a~
図1bに示すとおり、フレネルレンズはその上表面から突出している複数の環状突起を含み、前記複数の環状突起はフレネルレンズの上表面上に環状に配列され、フレネルレンズの上表面の垂直面によって切断される各環状突起の断面の形状は三角形である。
図1cに示すとおり、フレネルレンズの三角形の断面において、フレネルレンズの上表面に平行である辺は第一辺a1であり、他の2つの辺は第二辺b1と第三辺c1である。各フレネルレンズの三角形の断面において各第一辺a1の高さHは同一に形成されている。マイクロナノリソグラフィ技術でフレネルレンズ製造用金型を製造する利便性を向上させるため、第三辺c1と第一辺a1との間の夾角α1を90°にすることが好ましい。各フレネルレンズの三角形の断面において、第一辺a1の幅が漸次に変わり、高さが変わらないことにより、各フレネルレンズの三角形の断面は漸次に変わり、断面の形状と幅も漸次に変わる。それにより球面型フレネルレンズ層または非球面型フレネルレンズ層の集光特性が決められる。
【0074】
フレネルレンズの三角形の断面において第一辺a1の高さHはつぎのとおりであり、
この式において、Pは1より大きいか或いは等しい整数であり、λは中心の波長であり、nはフレネルレンズの屈折率である。
【0075】
中心から外部に向く方向に数えるとき、第j個目の三角形の断面において第一辺a1の長さLjはつぎのとおりであり、
この式において、Pは1より大きいか或いは等しい整数であり、λは中心の波長であり、fはフレネルレンズの焦点距離である。
【0076】
本発明の実施例において、各三角形の第二辺b1と第一辺a1との間の夾角β1は65~81°であり、第一辺a1の高さは1~20μmであり、第一辺a1の長さは0.02~0.3mmであることが好ましい。
【0077】
実施例二
図2は本発明の実施例に係るフレネルレンズの構造を示す図である。具体的に、
図2aは本発明の実施例に係るフレネルレンズの構造を示す平面図であり、
図2bは本発明の実施例に係るフレネルレンズの構造を示す断面図である。
図2a~
図2bに示すとおり、フレネルレンズはその上表面から突出している複数の環状突起を含み、前記複数の環状突起はフレネルレンズの上表面上に環状に配列され、フレネルレンズの上表面の垂直面によって切断された各環状突起の断面の形状は多段式階段である。
図2cに示すとおり、前記多段式階段において、前記フレネルレンズの上表面に平行である辺は第一辺a2であり、階段が形成されている辺は第二辺b2であり、階段が形成されていない辺は第三辺c2である。
図2cに示すとおり、マイクロナノリソグラフィ技術でフレネルレンズ製造用金型を製造するため、第三辺c2は第一辺a2に垂直であり、各階段の2つの側辺において、1つの側辺d1は第一辺a2に垂直であり、他の1つの側辺d2は第一辺a2に平行であることが好ましい。各階段の側辺において、側辺d2は第一辺a2から最も多く離れておりかつ第一辺a2に平行である側辺である。側辺d2と第一辺a2との間の垂直距離を高さHといい、各第一辺a2の高さHは同一に形成されている。前記フレネルレンズの断面において、第一辺a2の幅が漸次に変わり、高さが変わらないことにより、各フレネルレンズの断面は漸次に変わり、断面の形状と幅も漸次に変わる。それにより球面型フレネルレンズ層または非球面型フレネルレンズ層の集光特性が決められる。
【0078】
第一辺a2の高さHはつぎのとおりであり、
この式において、Pは1より大きいか或いは等しい整数であり、λは中心の波長であり、nはフレネルレンズの屈折率である。
【0079】
中心から外部に向く方向に数えるとき、第j個目の階段の断面において第一辺a2の長さLjはつぎのとおりであり、
この式において、Pは1より大きいか或いは等しい整数であり、λは中心の波長であり、fはフレネルレンズの焦点距離である。
【0080】
本発明の実施例において、第一辺a2の高さは1~20μmであり、第一辺a2の長さは0.02~0.3mmであることが好ましい。
【0081】
本発明の実施例において、環状突起の断面の形状は前記2つの形状にのみ限定されず、他の形状に形成されることもできる。具体的に、フレネルレンズはその上表面から突出している複数の環状突起を含み、前記複数の環状突起はフレネルレンズの上表面上に環状に配列され、各環状突起の断面の形状はいろいろな形状に形成されることができる。環状突起の断面において、環状突起の上表面に平行である辺を第一辺といい、形状が変わる1つの辺を第二辺といい、形状が変わる他の1つの辺を第三辺という。第二辺と第三辺の交差点と第一辺との間の垂直距離を第一辺の高さHといい、各第一辺の高さHは同一に形成されている。マイクロナノリソグラフィ技術でフレネルレンズ製造用金型を製造する利便性を向上させるため、第三辺と第一辺との間の夾角α1を90°にすることが好ましい。各フレネルレンズの断面において、第一辺の幅が漸次に変わり、高さが変わらないことにより、各フレネルレンズの断面は漸次に変わり、断面の形状と幅も漸次に変わる。それにより球面型フレネルレンズ層または非球面型フレネルレンズ層の集光特性が決められる。
【0082】
実施例三
本発明の実施例においてフレネルレンズの設計方法を提供する。前記フレネルレンズはその上表面から突出している複数の環状突起を含み、前記複数の環状突起はフレネルレンズの上表面上に環状に配列され、フレネルレンズの上表面の垂直面によって切断された各環状突起の断面の形状は三角形、多段式階段または他の形状である。断面の形状が三角形、多段式階段または他の形状である環状突起の断面においてフレネルレンズの上表面に平行である辺は第一辺である。中心から外部に向く方向に数えるとき、断面の形状が三角形、多段式階段または他の形状である第j個目の環状突起の第一辺の長さLjはつぎのとおりである。
この式において、Pは1より大きいか或いは等しい整数であり、λは中心の波長であり、fはフレネルレンズの焦点距離である。
【0083】
図3に示すとおり、下記ステップにより断面の形状が三角形、多段式階段または他の形状である第j個目の環状突起の第一辺の長さLjを算出することができる。
【0084】
ステップ1において、球面レンズの半径をRと仮定し、レンズ材料の屈折率がnと仮定することにより球面レンズの焦点距離fを算出する。算出した球面レンズの焦点距離fは
【0085】
し、第j個目の環状突起に対して陥没をj回実施する。
【0086】
ステップ3において、第j個目の環状突起の半径がajであると仮定することにより下記三角形関係を獲得する。
【0087】
【0088】
【0089】
ステップ4において、断面の形状が三角形、多段式階段または他の形状である第j個目の環状突起の第一辺の長さLjを算出する。獲得は第一辺の長さLjはつぎのとおりである。
【0090】
【0091】
実施例四
本発明の実施例においてフレネルレンズ製造用金型の製造方法を提供する。前記フレネルレンズ製造用金型はその上表面から突出している複数の環状微細構造ユニットを含み、前記複数の環状微細構造ユニットはフレネルレンズの上表面上に環状に配列され、フレネルレンズの上表面の垂直面によって切断された各環状微細構造ユニットの断面の形状は三角形、多段式階段または他の形状である。断面の形状が三角形、多段式階段または他の形状である環状微細構造の断面においてフレネルレンズの上表面に平行である辺は第一辺である。中心から外部に向く方向に数えるとき、断面の形状が三角形、多段式階段または他の形状である第j個目の環状突起の第一辺の長さLjはつぎのとおりである。
この式において、Pは1より大きいか或いは等しい整数であり、λは中心の波長であり、fはフレネルレンズの焦点距離である。
【0092】
断面の形状が三角形、多段式階段または他の形状である実施例1~2の断面の第一辺の高さHを定義することのように、断面の形状が三角形、多段式階段または他の形状である本発明の断面の第一辺の高さHはつぎのとおりである。
その式において、nはフレネルレンズの屈折率である。
【0093】
前記フレネルレンズ製造用金型の製造方法は下記ステップを含む。
【0094】
ステップ1において、三次元モデル図を提供する。具体的に、
図4aに示すとおり、三次元モデル図の形状は円錐形であることが好ましい。
【0095】
【0096】
円錐形の母線の長さLと円形底面との間の夾角αは次のとおりである。
【0097】
その式において第一辺の高さHはつぎのとおりである。
その式において、Pは1より大きいか或いは等しい整数であり、λは中心の波長であり、nはフレネルレンズの屈折率であり、fはフレネルレンズの焦点距離であり、Nは環状微細構造の数量である。
【0098】
本発明の実施例において、三次元モデル図の三次元モデルは半球形であることが好ましい。半球形底面の半径はRであり、その半径Rはつぎのとおりである。
その式において、Pは1より大きいか或いは等しい整数であり、λは中心の波長であり、nはフレネルレンズの屈折率であり、fはフレネルレンズの焦点距離であり、Nは環状微細構造ユニットの数量である。
【0099】
ステップ2において、少なくとも1つの曲率関数f1(x)を設定し、その曲率関数f1(x)により三次元モデルの中点の高さを確定する。前記曲率関数f1(x)はつぎのとおりである。
その式において、独立変数(independent variable)xは、円錐形の円形底面の任意の1つの半径上に位置している点から、円形底面の円心の反対側に位置している半径の一端の端部まで距離を指す。
【0100】
本発明の実施例において、好ましい曲率関数f1(x)はつぎのとおりである。
【0101】
その式において、
独立変数xは、円錐形の円形底面の任意の1つの半径上に位置している点から、円形底面の円心の反対側に位置している半径の一端の端部まで距離を指す。
【0102】
ステップ3において、前記三次元モデル図の高さ方向において区分をすることにより複数の高さ区域を獲得する。具体的に、
図4bに示すとおり、円錐形の底面に平行である平面により円錐形をN個の円錐形分体に分割する。円錐形の上部から数えるとき、第j+1個目の円錐形分体の母線の長さΔLj+1はつぎのとおりである。
【0103】
本発明の実施例において、半球形底面に平行である平面により円錐形をN個の円錐形分体に分割する。その場合、各円錐形分体の長さはつぎのとおりである。
【0104】
ステップ4において、三次元モデル図を平面に投影することによりグレースケールイメージを獲得する。前記グレースケールイメージは複数のピクセルドットを含み、各ピクセルドットはピクセルドットの位置とグレースケール値(Grayscale value)を含む。前記三次元モデル図が水平面に投影される投影は複数の点を含み、各点はその位置と高さ値を含む。各点の位置はグレースケールイメージ中のピクセルドットの位置に対応し、前記三次元モデル図の各高さ区域はグレースケール値の範囲に対応する。例えば、グレースケール値の範囲は0~64であるか或いは0~256である。前記三次元モデル図の高さ値が位置している高さ区域の高さ範囲と、グレースケール値の範囲に対応する対応関数f2(x)により前記高さ値に対応するグレースケール値を獲得し、かつ前記グレースケールイメージに対応するピクセルドットのグレースケール値を獲得する。具体的に、グレースケール値の範囲内のグレースケール値と、第j+1個目の区域の高さ範囲内の高さ値に対応する関数f2(x)はつぎのとおりである。
【0105】
本発明の実施例において、グレースケール値の範囲内のグレースケール値と第j+1個目の区域の高さ範囲内の高さ値に対応する関数f2(x)はつぎのとおりである。
グレースケール値の範囲は0より大きいか或いは等しくかつQmaxより小さい。Qmaxはグレースケール値の範囲中の最大のグレースケール値であり、独立変数xは高さ範囲内の高さ値を指す。
【0106】
ステップ5において、ターゲットキャリア上にフォトレジストを塗布し、前記グレースケールイメージによってリソグラフィを実施することによりパターン化構造を獲得する。グレースケールイメージを複数のユニットに分割した後それに対してリソグラフィを実施する。リソグラフィ時間とグレースケール値に対応する関数f3(x)を採用し、かつ露光現像を実施することによりターゲットキャリア上に傾斜面を形成する。グレースケールイメージのピクセルドットのグレースケール値が高ければ高いほど、リソグラフィにかかる時間は長くなり、リソグラフィの深さは深くなる。グレースケールイメージのピクセルドットのグレースケール値が小さければ小さいほど、リソグラフィにかかる時間は少なくなり、リソグラフィの深さは浅くなる。リソグラフィ時間とグレースケール値に対応する関数f3(x)はつぎのとおりである。
その式において、ηはリソグラフィの速度である。すなわち、単位時間に対応するリソグラフィの深さを表す。独立変数xはグレースケール値を指す。
【0107】
本発明の実施例において、グレースケール値の範囲を選択するとき、リソグラフィの時間は変わらない。すなわち、
その式において、
【0108】
本発明の実施例において、
その式において、Mは階段の数量であり、iは0より大きいか或いは等しくかつMより小さい整数である。
【0109】
ステップ6において、UV印刷方法または金属成長方法を採用することによりパターン化構造を他のキャリアに移転し、フレネルレンズのパターンと対応する金型を形成する。
【0110】
従来の技術と比較してみると、本実施例のフレネルレンズ製造用金型の製造方法は、三次元モデル図を平面に投影することによりグレースケールイメージを獲得し、高さにより前記三次元モデル図を複数の高さ区域に分割する。各高さ区域の高さ範囲によりグレースケール値の範囲に対応する。それにより、三次元モデル図をグレースケールイメージに容易に変換させ、フレネルレンズ製造用金型を容易に製造することができる。
【0111】
実施例5
本発明はフレネルレンズ製造用金型の製造方法を提供する。前記フレネルレンズ製造用金型の製造方法は下記ステップを含む。
【0112】
ステップ1において、三次元モデル図を提供する。
【0113】
ステップ2において、少なくとも1つの曲率関数を設定し、その曲率関数により三次元モデルの中点の高さを確定する。
【0114】
ステップ3において、前記三次元モデル図の高さ方向において区分をすることにより複数の高さ区域を獲得する。
【0115】
ステップ4において、三次元モデル図を平面に投影することによりグレースケールイメージを獲得する。
【0116】
ステップ1~4の具体的な過程は実施例4のステップ1~4と同じであるため、ここで再び説明しない。
【0117】
ステップ5において、前記グレースケールイメージに基づいて複数のバイナリイメージをサンプリングする。具体的に、
階段の数量MによりM-1個のバイナリイメージをサンプリングする。
グレースケール値は第一個目の範囲内のピクセルドットに黒(白)を割り当て、グレースケール値は他の範囲内のピクセルドットに白(黒)を割り当てる。
グレースケール値は第二個目の範囲内のピクセルドットに黒(白)を割り当て、グレースケール値は他の範囲内のピクセルドットに白(黒)を割り当てる。
グレースケール値は第k個目の範囲内のピクセルドットに黒(白)を割り当て、グレースケール値は他の範囲内のピクセルドットに白(黒)を割り当てる。
第k個目の範囲は少なくとも第k-1個目の範囲を覆い、Mは2より大きいか或いは等しい整数である。黒はバイナリ中の1を表し、白はバイナリ中の0を表す。
【0118】
ステップ6において、ターゲットキャリア上にフォトレジストを塗布し、前記複数のバイナリイメージによりオーバーレイリソグラフィを実施し、かつ露光現像を実施することによりターゲットキャリア上に多段式階段のパターン化構造を獲得する。
【0119】
本発明の好適な実施例において、オーバーレイリソグラフィが実施された前記ターゲットキャリアに対してベーキングを実施することによりパターン化構造を獲得する。
【0120】
ステップ7において、UV印刷方法または金属成長方法を採用することによりパターン化構造を他のキャリアに移転し、フレネルレンズのパターンと対応する金型を形成する。
【0121】
本実施例において、複数のバイナリイメージによりオーバーレイリソグラフィを実施することによりフレネルレンズ製造用金型を製造する。それにより、グレースケールとリソグラフィによりフレネルレンズ製造用金型を製造するとき、時間が多くかかり、効率が低いとの欠点を解決することができる。
【0122】
実施例6
本発明は投影スクリーンを提供する。
図5a~
図5bに示すとおり、前記投影スクリーンは厚さの方向に順に重畳している着色層、拡散層、フレネルレンズ層及び反射層を含む。フレネルレンズ層は球面型フレネルレンズ層または非球面型フレネルレンズ層である。
【0123】
本発明の実施例において、
図5cに示すとおり、投影スクリーンは厚さの方向に順に重畳している拡散層、着色層、フレネルレンズ層及び反射層を含む。
【0124】
本発明の実施例において、投影スクリーンは厚さの方向に順に重畳している、拡散層、フレネルレンズ層、着色層及び反射層を含む。着色層はフレネルレンズ層の複数の環状突起の表面に形成され、反射層は着色層の表面に形成される。
【0125】
着色層は、投影スクリーンに入射する環境光を吸収し、画像の黒色輝度を低減し、画像のコントラストを向上させる機能を有している。着色層は、光透過率が75%以上である高透過率の樹脂に着色剤を均等に混合させた後、それを射出成型装置で射出するか或いは熱硬化を実施することにより形成されるものである。着色剤として灰色または黒色等の濃い色の染料または顔料等を用いることが好ましい。例えば、カーボンブラック、石墨、黒色の酸化鉄等の金属塩等を用いることができる。高透過率の樹脂として、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PC(ポリカーボネート)樹脂、MS(メチルメタクリレート-スチレン)樹脂、MBS(メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン)樹脂、TAC(トリエチレンセルロース)樹脂、PEN(ポリエチレングリコールナフタレンジカルボキシレート)樹脂、アクリル樹脂等を用いることができる。着色層の厚さは10~200μmであり、着色層の光透過率は50~90%であることが好ましい。
【0126】
本発明の実施例において、着色層はニッケルめっき層であり、着色層の光透過率は50~90%であることが好ましい。
【0127】
拡散層は、視野角を拡大し、かつスクリーン内の光輝度の均等性を増加させるものである。
図5aに示すとおり、拡散層は、光透過性を有する樹脂に拡散光散乱機能を有する拡散粒子を均一に混合させることにより獲得した薄膜であることができる。視野角を拡大しかつ輝度面の均等性を増加させるため、樹脂の屈折率と拡散粒子の屈折率との間の差異を0.4以下にする。樹脂の材料として、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PC(ポリカーボネート)樹脂、MS(メチルメタクリレート-スチレン)樹脂、MBS(メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン)樹脂、TAC(トリエチレンセルロース)樹脂、PEN(ポリエチレングリコールナフタレンジカルボキシレート)樹脂、アクリル樹脂等を用いることが好ましい。拡散粒子として無機拡散粒子及び/或いは有機拡散粒子を用いることができる。無機拡散粒子として、酸化アルミ、酸化アンチモン、酸化カドミウム、酸化タンタル、ジルコニア、酸化鉄、酸化銅、酸化鉛、酸化マンガン、酸化スズ、酸化タングステン、セレン化亜鉛、酸化ニオブ、テルル化亜鉛、バナジウム、酸化モリブデン、硫化亜鉛、酸化亜鉛、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、酸化チタン、硫化鉛のうちいずれか一種または多種で構成される粒子であることができる。有機拡散粒子として、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、メラミン樹脂、ベンジルメラミン樹脂、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂等のうちいずれか一種または多種を用いることができる。拡散粒子の粒径は1~50μmであり、好ましくは5~30μmである。拡散層の厚さは50~1000μmであり、好ましくは188μmである。
【0128】
本発明の実施例において、
図5bに示すとおり、拡散層は拡散機能を有しているマイクロナノ構造であり、その高さは1~20μmである。拡散層の横方向の断面の形状は、円弧型、三角形、多辺形、矩形、台形または不規則的な形状のうちいずれか一種であるか或いはいずれか2つの形状の組合せであることができる。投影スクリーンを巻く目的を達成するため、投影スクリーンは柔軟性を有しており、マイクロナノ構造は柔軟性材料例えば樹脂で製造されることが好ましい。
【0129】
本発明の実施例において、拡散層は半透明半反射型フィルムであり、拡散層のヘイズ比は50~90%であり、光透過率は55~65%であることが好ましい。
【0130】
前記反射層は金属反射層であるか或いは合金反射層であることができる。前記金属反射層は、アルミニウム、銀、金、クロム、ニッケル及び銅を含むことができるが、それらにのみ限定されるものでない。前記合金反射層は、ニッケルクロム合金、アルミニウム合金、チタン合金を含むことができるが、それらにのみ限定されるものでない。
【0131】
本発明の好適な実施例において、反射層はアルミニウム反射層であり、めっきまたは墳着方法で反射層を製造することが好ましい。めっき方法で反射層を製造するとき、反射層の厚さは0.04~3μmであり、アルミ粒子の粒径は500nm以下であることが好ましい。墳着方法で反射層を製造するとき、反射層の厚さは10~20μmであり、アルミ粒子の粒径は5μmより大きいことが好ましい。
【0132】
フレネルレンズ層は投影光線の伝播方向を調節する役割をする。フレネルレンズ層は実施例1~2のフレネルレンズであることができる。
【0133】
本発明の実施例において、投影スクリーンがより高い輝度(すなわち増益)とより大きい視野角(すなわち半視野角)を具備することを確保するため、
図5cに示すとおり、フレネルレンズ層の環状突起の表面に散乱型微細構造を形成する。
【0134】
本発明の実施例において、フレネルレンズ層は基材上に形成される。基材は光透過率が75%以上である高透過率の樹脂で製造され、基材の厚さは10~200μmであることが好ましい。
【0135】
本発明の実施例において、フレネルレンズ層と基材は一体に形成されることができる。
【0136】
本発明の実施例において、フレネルレンズ層はOCAにより基材上に貼り付かれる。OCAの厚さは10~200μmであることが好ましい。
【0137】
本発明の実施例において、フレネルレンズ層は所定のヘイズ比を有している薄膜上に形成される。薄膜のヘイズ比は50~90%であり、薄膜の厚さは50~200μmであることが好ましい。
【0138】
本発明の実施例において、フレネルレンズ層はOCAにより所定のヘイズ比を有している薄膜または基材上に貼り付かれる。OCAの厚さは10~200μmであることが好ましい。
【0139】
本発明は投影スクリーンの製造方法を更に提供する。
【0140】
OCAにより拡散層、着色層及びフレネルレンズ層をその記載の順に貼り付けるか或いは、OCAにより着色層、拡散層及びフレネルレンズ層をその記載の順に貼り付けることができる。OCAの厚さは10~200μmである。
【0141】
本発明の実施例において、塗布方法で拡散層、着色層及びフレネルレンズ層を製造した後、それらをOCAによりフレネルレンズ層に貼り付けるか或いは、塗布方法で着色層、拡散層及びフレネルレンズ層を製造した後、それらをOCAによりフレネルレンズ層に貼り付けることができる。OCAの厚さは10~200μmである。
【0142】
本発明の実施例において、ロールツーロールプロセスによりフレネルレンズ層を製造する。具体的に、まず、基材、所定のヘイズ比を有している薄膜、拡散層または着色層上に接着剤層を塗布する。つぎに、実施例4~5のフレネルレンズ製造用金型により接着剤層に対してロールツーロールエンボス加工技術を実施することにより、フレネルレンズ層を形成する。最後に、加熱によりフレネルレンズ層を固化させる。
【0143】
本発明の実施例において、投影スクリーンがより高い輝度(すなわち増益)とより大きい視野角(すなわち半視野角)を具備することを確保するため、実施例4~5のフレネルレンズ製造用金型を製造するとき、まず、レーザー印刷工程によりフレネルレンズ製造用金型の表面にランダム点構造を形成する。つぎに、そのフレネルレンズ製造用金型で所定の材料を押すことにより、フレネルレンズ層を形成し、かつフレネルレンズ層の環状突起の表面に散乱型微細構造を形成する。
【0144】
本発明の実施例において、着色層を拡散層の1つの表面上にめっきした後、OCAにより拡散層の他の1つの表面をフレネルレンズ層に貼り付けるか或いは、着色層を拡散層の1つの表面上にめっきした後、OCAにより拡散層から離れている着色層の1つの表面をフレネルレンズ層に貼り付けることができる。OCAの厚さは10~200μmである。
【0145】
フレネルレンズ層を貼り付けた後、フレネルレンズ層の表面に反射層を形成する。
【0146】
本発明の好適な実施例において、フレネルレンズ層を貼り付ける前に、フレネルレンズ層の表面に反射層を形成する。
【0147】
本発明の実施例において、貼り付け方法としてロールツーロールプロセスを用いる。
【0148】
実施例7
本発明は投影スクリーンを提供する。
図6に示すとおり、前記投影スクリーンは厚さの方向に順に重畳している着色層、フレネルレンズ層及び反射層を含む。フレネルレンズ層は球面型フレネルレンズ層または非球面型フレネルレンズ層である。
【0149】
着色層と反射層は実施例6中の説明を参照することができるので、ここで再び説明しない。フレネルレンズ層の製造方法も実施例6中の説明を参照することができるので、ここで再び説明しない。本実施例のフレネルレンズ層を製造するとき、接着剤層に拡散粒子を添加する。フレネルレンズ層の構成材料の屈折率と拡散粒子の屈折率との間の差異は0.4未満である。拡散粒子は実施例5中の無機材料または有機材料の拡散粒子を用いることができるので、ここで再び説明しない。
【0150】
本実施例の投影スクリーンに拡散層が形成されないことにより、本発明の投影スクリーンをより薄く、より柔らかくすることができる。それにより本発明の投影スクリーンを容易に巻くことができる。また、フレネルレンズ層に拡散粒子が添加されていることにより、投影スクリーンに投影される画像の視野角を更に増加させ、輝度面の均等性を更に向上させることができる。
【0151】
本発明は投影スクリーンの製造方法を更に提供する。
【0152】
着色層とフレネルレンズ層はOCAにより順に貼り付けられる。OCAの厚さは10~200μmである。
【0153】
フレネルレンズ層を貼り付けた後、フレネルレンズ層の表面に反射層を形成する。
【0154】
本発明の実施例において、フレネルレンズ層を貼り付ける前に、フレネルレンズ層の表面に反射層を形成する。
【0155】
本発明の実施例において、前記貼り付け方法としてロールツーロールプロセスを用いる。
【0156】
実施例8
本発明は投影スクリーンを提供する。
図7に示すとおり、前記投影スクリーンは厚さの方向に順に重畳している拡散層、フレネルレンズ層及び反射層を含む。フレネルレンズ層は球面型フレネルレンズ層または非球面型フレネルレンズ層である。
【0157】
拡散層と反射層は実施例6中の説明を参照することができるので、ここで再び説明しない。フレネルレンズ層の製造方法も実施例6中の説明を参照することができるので、ここで再び説明しない。本実施例のフレネルレンズ層を製造するとき、フレネルレンズ層の接着剤層に着色粒子を添加する。着色粒子の材料として灰色または黒色等の濃い色の染料または顔料等を用いることが好ましい。例えば、カーボンブラック、石墨、黒色の酸化鉄等の金属塩等を用いることができる。着色粒子の粒径は200μm未満である好ましい。
【0158】
本実施例の投影スクリーンに着色層が形成されないことにより、本発明の投影スクリーンをより薄く、より柔らかくすることができる。それにより本発明の投影スクリーンを容易に巻くことができる。また、フレネルレンズ層に着色粒子が添加されていることにより、環境光による画像の黒色輝度を大幅に低減し、画像のコントラストを大幅に向上させることができる。
【0159】
本発明は投影スクリーンの製造方法を更に提供する。
【0160】
拡散層とフレネルレンズ層はOCAにより順に貼り付けられる。OCAの厚さは10~200μmである。
【0161】
フレネルレンズ層を貼り付けた後、フレネルレンズ層の表面に反射層を形成する。
【0162】
本発明の実施例において、フレネルレンズ層を貼り付ける前に、フレネルレンズ層の表面に反射層を形成する。
【0163】
本発明の実施例において、前記貼り付け方法としてロールツーロールプロセスを用いる。
【0164】
実施例9
本発明は投影スクリーンを提供する。
図8に示すとおり、前記投影スクリーンは厚さの方向に順に重畳しているフレネルレンズ層と反射層を含む。フレネルレンズ層は球面型フレネルレンズ層または非球面型フレネルレンズ層である。
【0165】
反射層は実施例6中の説明を参照することができるので、ここで再び説明しない。フレネルレンズ層の製造方法も実施例6中の説明を参照することができるので、ここで再び説明しない。本実施例のフレネルレンズ層を製造するとき、フレネルレンズ層の基材層または所定のヘイズ比を有している薄膜に着色粒子と拡散粒子を添加する。着色粒子の材料として灰色または黒色等の濃い色の染料または顔料等を用いることが好ましい。例えば、カーボンブラック、石墨、黒色の酸化鉄等の金属塩等を用いることができる。拡散粒子として無機拡散粒子及び/或いは有機拡散粒子を用いることができる。拡散粒子の材料は実施例6中の説明を参照することができるので、ここで再び説明しない。着色粒子の粒径は200μm以下である。拡散粒子の粒径は1~50μmであり、好ましくは5~30μmである。基材層の厚さは50~200μmである。
【0166】
本実施例の投影スクリーンに着色層と拡散層が形成されないことにより、本発明の投影スクリーンをより薄く、より柔らかくすることができる。それにより本発明の投影スクリーンを容易に巻くことができる。そのような投影スクリーンにより、環境光による画像の黒色輝度を大幅に低減し、画像のコントラストを大幅に向上させることができる。また、投影スクリーンに投影される画像の視野角を更に増加させ、輝度面の均等性を大幅に向上させることができる。
【0167】
実施例10
本発明は投影スクリーンを提供する。
図9に示すとおり、前記投影スクリーンは厚さの方向に順に重畳しているフレネルレンズ層と反射層を含む。フレネルレンズ層は球面型フレネルレンズ層または非球面型フレネルレンズ層である。
【0168】
反射層は実施例6中の説明を参照することができるので、ここで再び説明しない。フレネルレンズ層の製造方法も実施例6中の説明を参照することができるので、ここで再び説明しない。本実施例のフレネルレンズ層を製造するとき、フレネルレンズ層の接着剤層に着色粒子と拡散粒子を添加する。着色粒子と拡散粒子は実施例9中の説明を参照することができるので、ここで再び説明しない。
【0169】
本発明は実施例4~5のフレネルレンズ製造用金型を採用することにより実施例5~10のフレネルレンズ層に対してエンボス加工を実施する。実施例4~5のフレネルレンズ製造用金型の表面にはレーザー印刷工程によるランダム点構造が形成されており、反射層はめっき(例えばエレクトロプレート、蒸着または墳着)工程により製造されるものである。それにより、従来の投影スクリーンより一層高い輝度(すなわち増益)と一層大きい視野角(すなわち半視野角)を獲得することができる。従来の投影スクリーンのフレネルレンズ層は実施例4~5のフレネルレンズ製造用金型を採用することによりそのフレネルレンズ層に対してエンボス加工を実施するが、従来のフレネルレンズ製造用金型の表面にはレーザー印刷工程によるランダム点構造が形成されておらず、従来の反射層はアルミスプレー工程を採用する。実験のデータは
図10に示すとおりである。その原因は不明であり、さらなる研究が進められている。
【0170】
本発明は、前記実施例の技術的事項にのみ限定されず、他の技術的事項を含むことができる。本発明はそれらを1つずつ説明しない。すなわち、本発明の特許請求の範囲が定めた技術的事項はいろいろな実施方法により実施されることができる。
【0171】
本発明の明細書において説明しない事項はこの技術分野の技術者が把握している常識であることができる。
【0172】
本発明の明細書と特許請求の範囲に記載されている「含む」、「具備する」等の用語は開放性用語である。すなわち、その用語らは「~含むが、それらのみに限定されるものでない」との意味を表す。「だいたい」との用語は許可範囲内の誤差を有している事項を意味する。この技術分野の技術者は本発明の許可範囲内の誤差により所定の技術的課題を解決し、かつ所定の技術的効果を奏することができる。
【0173】
注意すべきことは、本発明中の「含む」、「具備する」等の用語は開放性用語である。すなわち、一連の要素を含む製品またはシステムは、明確に記載されている要素だけでなく、記載されていない他の要素またはその製品またはシステム中の固有の要素を更に含むことができる。特別な説明がない限り、「1つの事項を含む」との用語により限定される要素は、1つの事項が含まれる要素だけでなく、その要素を具備する製品またはシステム中の他の同様の要素を更に含むことができる。
【0174】
以上、本発明の好適な実施例を説明してきたが、前記実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであるため、本発明は前記実施例の構成にのみ限定されるものでない。実施の条件及び環境を変わることにより、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において前記実施例の事項に対して適当な改良、修正をすることができる。この技術分野の技術者は本発明の要旨を逸脱しない範囲内において設計の変更、改良、代替及び修正をすることができ、それらがあっても本発明の特許請求の範囲が定めた範囲に含まれることは当然である。
【国際調査報告】