IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クラリアント・インターナシヨナル・リミテツドの特許一覧

特表2024-502853ポリリン酸アンモニウムを含む組成物
<>
  • 特表-ポリリン酸アンモニウムを含む組成物 図1
  • 特表-ポリリン酸アンモニウムを含む組成物 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】ポリリン酸アンモニウムを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 21/12 20060101AFI20240116BHJP
   C09K 21/10 20060101ALI20240116BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20240116BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20240116BHJP
   C09D 5/18 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
C09K21/12 ZNM
C09K21/10
C09D7/65
C09D201/00
C09D5/18
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023541772
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(85)【翻訳文提出日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 EP2022052317
(87)【国際公開番号】W WO2022171489
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】21157118.7
(32)【優先日】2021-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596081005
【氏名又は名称】クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100145333
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 弓子
(72)【発明者】
【氏名】テルマート・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ツアシュトラッセン-ガッセン・アンドレア
【テーマコード(参考)】
4H028
4J038
【Fターム(参考)】
4H028AA46
4H028AA48
4H028AB02
4H028BA04
4J038DM012
4J038NA15
(57)【要約】
本発明は,成分(A)として,0.1~99.9重量%の相IIポリリン酸アンモニウム,および,成分(B)として,0.1~99.9重量%の相Iおよび/または相III,IV,Vおよび/またはVIのポリリン酸アンモニウムを含む,ここで,上記成分の合計は100重量%である組成物,並びに,当該組成物の発泡性塗料における使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)として,0.1~99.9重量%の相IIポリリン酸アンモニウム,および,成分(B)として,0.1~99.9重量%の相Iおよび/または相III,IV,Vおよび/またはVIのポリリン酸アンモニウムを含む,ここで,上記成分の合計は100重量%である,組成物。
【請求項2】
成分Aを60~99.9重量%,および成分Bを0.1~40重量%含む,請求項1の組成物。
【請求項3】
成分Aを75~92重量%,および,成分Bを8~35重量%含む,請求項1または2の組成物。
【請求項4】
成分Aは,相IIポリリン酸アンモニウムであり,成分Bは,相Iポリリン酸アンモニウムである,請求項1~3のいずれかの組成物。
【請求項5】
成分Aは,式(NHn+23n+1(n=300~100,000)を有する相IIポリリン酸アンモニウムである,請求項1~4のいずれかの組成物。
【請求項6】
成分Aは,式(NHn+23n+1(n=1,000~25,000)を有する相IIポリリン酸アンモニウムである,請求項1~5のいずれかの組成物。
【請求項7】
成分Bは,式(NHn+23n+1(n=5~100)を有する相Iポリリン酸アンモニウムである,請求項1~6のいずれかの組成物。
【請求項8】
-ISO760に準拠して0.5%未満の残留湿分(含水量),
-0.3~0.9g/cmの嵩密度,
-1.5%未満の水溶解度(25℃で水中10%の懸濁液),
-40mPas未満の粘度(Brookfield DV3T,速度50rpm,スピンドル1),
-レーザー回析により測定して5~50μmの粒径d50
-レーザー回析により測定して10~60μmの粒径d90
-4~8のpH値(25℃で水中10%の懸濁液),
を有する,請求項1~7のいずれかの組成物。
【請求項9】
当該ポリリン酸アンモニウムは,有機官能性(ポリ)シラン,(ポリ)シロキサン,(ポリ)シラザン,変性ワックス,ポリウレタン,ポリエポキシド,尿素-ホルムアルデヒド樹脂,メラミン-ホルムアルデヒド樹脂,(メタ)アクリレート樹脂を,スチレン/アクリレートコポリマーを,ウレタンを,エチレン/酢酸ノニルコポリマーを,ゴムをベースとするエマルション,および/または,それらの混合物でマイクロカプセル化されている,請求項1~8のいずれかの組成物。
【請求項10】
成分(A)および(B)の量に基づいて,多くとも10重量%の,硫酸アンモニウム,硫酸トリエチルアンモニウム,硫酸テトラメチルアンモニウム,硫酸トリメチルアンモニウム,硫酸ジメチル,硫酸ジエチル,硫酸ジプロピル,オクチル硫酸ナトリウム,デシル硫酸ナトリウム,オクタデシル硫酸ナトリウム,ラウリル硫酸,尿素硫酸,硫酸メラミン,硫酸ヒドロキシルアミン,硫酸ヒドラジン,硫酸カリウム,硫酸水素カリウム,硫酸ナトリウム,硫酸水素ナトリウム,硫酸マグネシウム,硫酸水素マグネシウム,硫酸カルシウム,硫酸水素カルシウム,硫酸バリウム,硫酸アルミニウムカリウム,硫酸アルミニウム,硫酸鉄(III),硫酸鉄(II),硫酸コバルト,硫酸チタン,硫酸亜鉛,硫酸スズ,硫酸セリウム,硫酸リチウム,メチル硫酸トリメチルスルホニウムまたはこれらの混合物をさらに含む,請求項1~9のいずれかの組成物。
【請求項11】
発泡性塗料の反応開始温度を低下させるための,発泡性塗料の耐火性能を高めるための,クリアコートおよび発泡性塗料のための難燃剤としての,木材および他のセルロース製品のための難燃剤におけるもしくは難燃剤としての,ポリマー,ゲルコート,不飽和ポリエステル樹脂のための反応性および/または非反応性難燃剤におけるもしくは難燃剤としての,難燃性ポリマー成形材料の製造のための,難燃性ポリマー成形体の製造のための,ポリエステルおよびセルロース純紡および混紡布を含侵により難燃加工するための,ポリエステルおよびセルロース純紡および混紡布を難燃加工するための,ポリウレタン発泡物質における,ポリオレフィンにおける,不飽和ポリエステルおよびフェノール樹脂における,および,繊維を難燃加工するための,請求項1~10のいずれかの組成物の使用。
【請求項12】
プラグコネクタ,電力分配装置における電流接触部品(漏電遮断),回路基板,密封材,パワープラグ,回路遮断器,ランプハウジング,LEDランプハウジング,コンデンサハウジング,回路基板中もしくは回路基板上のコイル要素,ベンチレータ,接地線,プラグ,プラグハウジング,バッテリーハウジング,ケーブル,フレキシブル印刷回路基板,充電ケーブル,エンジンカバー,繊維コーティングおよび他の製品におけるまたはこれらのための,請求項1~10のいずれかの組成物の使用。
【請求項13】
鋼,木,木材,紙,ミネラルウール,石膏ボード,プラスチック,金属,合金,合成もしくは天然繊維でできた織物および他の適切な材料上における,および/または,ソルダーレジストとしての,および,電気スイッチおよび回路用の,耐火塗料のための,請求項1~10のいずれかの組成物の使用。
【請求項14】
例えば,綱梁および鋼製の支柱,天井,壁,ケーブル,パイプ,導管,ケーブルおよびコンビネーションバルクヘッド,ドア,カーテン,防煙垂れ壁,ブラインド,安全キャビネット,据え付けキャビネットおよび他の物品など,鋼構造物のコーティングのための,請求項1~10のいずれかの組成物の使用。
【請求項15】
フィルム形成バインダー,発泡剤,発泡体形成物質としての請求項1~10のいずれかの組成物,炭素形成物質,助剤および添加剤,および,任意で,増粘剤,分散剤,および,溶媒および/または溶媒混合物を含む耐火塗料。
【請求項16】
5~69.4重量%のフィルム形成バインダー,
5~25重量%の発泡剤,
5~40重量%の発泡体形成物質としての請求項1~10のいずれかの組成物,
5~25重量%の炭素形成物質,
5~40重量%の助剤および添加剤,
0.5~10重量%の増粘剤,
0.1~10重量%の分散剤,および
10~40重量%の溶媒および/または溶媒混合物,
を含む,ここで,上記成分の合計は100重量%である,請求項15の耐火塗料。
【請求項17】
上記フィルム形成バインダーは,スチレンおよびアクリル酸エステルをベースとするコポリマー,アクリル酸エステルをベースとするコポリマー,ビニルトルエン/アクリレートコポリマー,スチレン/アクリレートポリマー,酢酸ビニルをベースとするホモポリマー,酢酸ビニル,エチレンおよび塩化ビニルをベースとするコポリマー,酢酸ビニルおよび長鎖分岐状カルボン酸のビニルエステルをベースとするコポリマー,酢酸ビニルおよびマレイン酸ジ-n-ブチルエステルおよび/またはアクリル酸エステルをベースとするコポリマー,ビニル/アクリレートコポリマー,自己架橋ポリウレタン分散体,テルペンおよび/またはポリテルペンおよび/またはこれらの混合物を含む;上記発泡剤は,メラミン,メラミン-ホルムアルデヒド縮合物,グアニジン,それらの塩,メラミン縮合生成物および/またはジシアンジアミドである;上記炭素形成物質は,澱粉,加工澱粉,多価アルコール(ポリオール),例えば単糖類および多糖類,および/または,熱可塑性または熱硬化性ポリマー樹脂バインダー,例えばフェノール樹脂,尿素樹脂,ポリウレタン,ポリ塩化ビニル,ポリ(メタ)アクリレート,ポリ酢酸ビニル,ポリビニルアルコール,シリコーン樹脂および/またはゴムである;上記助剤および添加剤は,ガラス繊維,鉱物繊維,金属繊維,炭素繊維,カオリン,タルク,酸化アルミニウム,水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウムおよび他の金属酸化物,沈降シリカ,ケイ酸塩および/または粉砕セルロースである;上記増粘剤および/またはレオロジー添加剤は,(変性)セルロース,シリカ,ベントナイト,ヒマシ油誘導体,脂肪誘導体,ポリアミド,ポリ(メタ)アクリレート,ポリアクリルアミド,ポリエーテル,ポリウレタン,ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン,糖ポリマー,例えばアラビアゴム,アルギン酸塩,キサンタンゴムおよび/または寒天である;上記湿潤剤および分散剤は,アルキルフェノールエトキシレート,ポリアクリル酸および/またはポリウレタンである;上記有機溶媒および/または溶媒混合物は,芳香族炭化水素,好ましくはキシレンおよび/またはアルキルベンゼン,好ましくはトルエンおよびエチルベンゼン;アルコール,好ましくはメタノールおよび/またはアルカノール,好ましくは2-メチル-1-プロパノール;ケトン,例えばアセトンまたはブタノン,アルカンエステル,および/または,ポリエーテル,好ましくはポリグリコールエーテルである,請求項15または16の耐火塗料。
【請求項18】
上記多価アルコールは,トリペンタエリスリトールおよび/またはペンタエリスリトールの重縮合物および/またはペンタエリスリトールベースエステルと多価アルコールの混合物,ポリ酢酸ビニル,ポリビニルアルコール,ソルビトール,および/または,エチレンオキシド-プロピレンオキシドポリオールである,請求項15~17のいずれかの耐火塗料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ポリリン酸アンモニウムを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリリン酸アンモニウムは,広く難燃剤として使用される。さらに,ポリリン酸アンモニウムは,遊離の硝酸を含み金属の表面処理のために利用される(酸)浴における亜硝酸ガスの発生を防ぐために,使用することができる(特許文献1:EP-A-0004560)。
【0003】
ポリリン酸アンモニウムは,いくつかの結晶型(I~VI)を取ることがあり,そのうちI型のポリリン酸アンモニウムは,縮合剤およびリン酸またはホスフェートから合成することができる。
【0004】
II型のポリリン酸アンモニウムは,難水溶性の生成物であり,合成樹脂における使用のための難燃性成分として知られている。それは典型的には五酸化リンから製造される。
【0005】
II型のポリリン酸アンモニウムの製造のための公知の方法は,I型のポリリン酸アンモニウムを一定時間熱処理することを特徴とする(非特許文献1:C.Y.Shen et al,Journal of American Chemical Society,Vol.91,p.62(1969))。同様に,ここには結晶型IIおよびIVの製造方法が示されている。
【0006】
非特許文献2(M.Watanabe,M.Sakurai,M.TAKAHASHI,Phosphorus Research Bulletin 2003,16,39-46)は,I型およびV型のポリリン酸アンモニウムを記載している。
【0007】
II型のポリリン酸アンモニウムの製造のための別の方法は,非特許文献3(M.Watanabe,N.Narita,M.Sakurai,H.Suzuki,Bulletin of the Chemical Society of Japan 2000,73,115-119)および非特許文献4(R.C.Sheridan,J.F.Mccullough,N.E.Stahlheber,C.Y.Shen in Inorganic Syntheses,John Wiley&Sons,Inc,1979)ならびに非特許文献5(K.R.Waerstad,G.H.McClellan,J.Agric.Food Chem.1976,24,412-415)に記載されている。
【0008】
特許文献2(US-A-3,978,195)は,基本的に水不溶性鎖状ポリリン酸アンモニウムの製造方法であって,等モル量のオルトリン酸アンモニウムおよび五酸化リンをアンモニアガスの存在下で170~350℃の温度で,混合ツールを備えた反応器において,持続的に混合,混練および微粉砕しながら反応させる方法を主張している。
【0009】
特許文献3(EP-A-0537475)に記載される別の方法では,第1段階においてオルトリン酸アンモニウム,五酸化リンおよび気体アンモニアを互いにに反応させ,中間生成物を第2段階において,プレート乾燥機上で,アンモニア雰囲気下でさらに濃縮し,乾燥させる。
【0010】
ポリリン酸アンモニウムは,一般に,高純度かつ均質な形で調製することが困難である。 特に,その残留湿分および吸湿性は,保管および輸送において重大な問題を引き起こす。
【0011】
今日知られているポリリン酸アンモニウムは,非常に多くの場合に,発泡性調合物において使用され,これはその後耐火塗料として利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】EP-A-0004560
【特許文献2】US-A-3,978,195
【特許文献3】EP-A-0537475
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】C.Y.Shen et al,Journal of American Chemical Society,Vol.91,p.62(1969)
【非特許文献2】M.Watanabe,M.Sakurai,M.TAKAHASHI,Phosphorus Research Bulletin 2003,16,39-46
【非特許文献3】M.Watanabe,N.Narita,M.Sakurai,H.Suzuki,Bulletin of the Chemical Society of Japan 2000,73,115-119
【非特許文献4】R.C.Sheridan,J.F.Mccullough,N.E.Stahlheber,C.Y.Shen in Inorganic Syntheses,John Wiley&Sons,Inc,1979
【非特許文献5】K.R.Waerstad,G.H.McClellan,J.Agric.Food Chem.1976,24,412-415
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来の耐火調合物は,主に鋼,アルミニウムおよび/またはコンクリートのような熱の影響を受けにくい基材の保護に使用されるところ,熱安定性の低い基板の断熱(保護)のための需要がますます高まっている。これらは,有機材料であっても無機材料であってもよい。これらは,ポリマー性であっても非ポリマー性であってもよい。
【0015】
すべての基材にとって,発生する熱分解反応が抑制されるだけではないため,低温での断熱が不可欠である。鋼などの不活性基材の場合,低温で発生する膨張の結果として,燃焼の全過程にわたって断熱効果も増加する。はるかに長い耐火時間を達成したり,塗布量を明らかに減らしたりすることが可能である。
【0016】
従って,本発明の目的は,安定かつ取扱いが容易で,特に発泡性塗料において使用する際に基材保護を向上させる,ポリリン酸アンモニウムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
当該目的は,成分(A)として,0.1~99.9重量%の相IIポリリン酸アンモニウム,および,成分(B)として,0.1~99.9重量%の相Iおよび/または相III,IV,Vおよび/またはVIのポリリン酸アンモニウムを含む,ここで上記成分の合計は100重量%である,組成物によって達成される。
【0018】
当該組成物は,好ましくは,成分Aを60~99.9重量%,および成分Bを0.1~40重量%含む。
【0019】
当該組成物は,より好ましくは,成分Aを65~92重量%および成分Bを8~35重量%含む。
【0020】
当該組成物において,好ましくは,成分Aは,相IIポリリン酸アンモニウムであり,成分Bは,相Iポリリン酸アンモニウムである。
【0021】
成分Aは,好ましくは,式(NHn+23n+1(n=300~100,000)を有する相IIポリリン酸アンモニウムである。
【0022】
成分Aは,より好ましくは,式(NHn+23n+1(n=1,000~25,000)を有する相IIポリリン酸アンモニウムである。
【0023】
成分Bは,好ましくは,成分Bは,式(NHn+23n+1(n=5~100)を有する相Iポリリン酸アンモニウムである。
【0024】
本発明に係る組成物は,好ましくは,
-ISO760に準拠して0.5%未満の残留湿分(含水量),
-0.3~0.9g/cmの嵩密度,
-1.5%未満の水溶解度(25℃で水中10%の懸濁液),
-40mPas未満の粘度(Brookfield DV3T,速度50rpm,スピンドル1),
-レーザー回析により測定して1~50μmの粒径d50
-レーザー回析により測定して10~60μmの粒径d90
-4~8のpH値(25℃で水中10%の懸濁液),を有する。
【0025】
本発明に係る組成物において,当該ポリリン酸アンモニウムは,有機官能性(ポリ)シラン,(ポリ)シロキサン,(ポリ)シラザン,変性ワックス,ポリウレタン,ポリエポキシド,尿素-ホルムアルデヒド樹脂,メラミン-ホルムアルデヒド樹脂,(メタ)アクリレート樹脂を,スチレン/アクリレートコポリマーを,ウレタンを,エチレン/酢酸ノニルコポリマーを,ゴムをベースとするエマルション,および/または,それらの混合物でマイクロカプセル化されている。
【0026】
当該組成物は,好ましくは,さらに次の成分を,成分(A)および(B)の量に基づいて,多くとも10重量%含む:成分(A)および(B)の量に基づいて多くとも10重量%の,硫酸アンモニウム,硫酸トリエチルアンモニウム,硫酸テトラメチルアンモニウム,硫酸トリメチルアンモニウム,硫酸ジメチル,硫酸ジエチル,硫酸ジプロピル,オクチル硫酸ナトリウム,デシル硫酸ナトリウム,オクタデシル硫酸ナトリウム,ラウリル硫酸,尿素硫酸,硫酸メラミン,硫酸ヒドロキシルアミン,硫酸ヒドラジン,硫酸カリウム,硫酸水素カリウム,硫酸ナトリウム,硫酸水素ナトリウム,硫酸マグネシウム,硫酸水素マグネシウム,硫酸カルシウム,硫酸水素カルシウム,硫酸バリウム,硫酸アルミニウムカリウム,硫酸アルミニウム,硫酸鉄(III),硫酸鉄(II),硫酸コバルト,硫酸チタン,硫酸亜鉛,硫酸スズ,硫酸セリウム,硫酸リチウム,メチル硫酸トリメチルスルホニウムまたはこれらの混合物。
【0027】
本発明は,発泡性塗料の反応開始温度を低下させるための,発泡性塗料の耐火性能を高めるための,クリアコートおよび発泡性塗料のための難燃剤としての,木材および他のセルロース製品のための難燃剤におけるもしくは難燃剤としての,ポリマー,ゲルコートおよび/または不飽和ポリエステル樹脂のための反応性および/または非反応性難燃剤におけるもしくは難燃剤としての,難燃性ポリマー成形材料の製造のための,難燃性ポリマー成形体の製造のための,ポリエステルおよびセルロース純紡および混紡布を難燃加工するための,ポリウレタン発泡物質における,ポリオレフィンにおける,不飽和ポリエステルおよびフェノール樹脂における,および,繊維を難燃加工するための,請求項1~10のいずれかの組成物の使用に関する。
【0028】
本発明は,同様に,プラグコネクタ,電力分配装置における電流接触部品(漏電遮断),回路基板,密封材,パワープラグ,回路遮断器,ランプハウジング,LEDランプハウジング,コンデンサハウジング,回路基板中もしくは回路基板上のコイル要素,ベンチレータ,接地線,プラグ,プラグハウジング,バッテリーハウジング,ケーブル,フレキシブル印刷回路基板,充電ケーブル,エンジンカバー,繊維コーティングおよび他の製品におけるまたはこれらのための,請求項1~10のいずれかの組成物の使用に関する。
【0029】
特に,本発明は,鋼,木,木材,紙,ミネラルウール,石膏ボード,プラスチック,金属,合金,合成もしくは天然繊維でできた織物および他の材料上における,および/またはソルダーレジストとしてのおよび電気スイッチおよび回路用の耐火塗料のための請求項1~10のいずれかの組成物の使用に関する。
【0030】
特に好ましくは,例えば,綱梁および鋼製の支柱,天井,壁,ケーブル,パイプ,導管,ケーブルおよびコンビネーションバルクヘッド,ドア,カーテン,防煙垂れ壁,ブラインド,安全キャビネット,据え付けキャビネットおよび他の物品など,鋼構造物のコーティングのための,請求項1~10のいずれかの組成物の使用である。
【0031】
本発明は,また,フィルム形成バインダー,発泡剤,発泡体形成物質としての請求項1~10のいずれかの組成物,炭素形成物質,助剤および添加剤,および,任意で,増粘剤,分散剤,および,溶媒および/または溶媒混合物,を含む耐火塗料にも関する。
【0032】
そのような耐火塗料は,好ましくは,フィルム形成バインダー,発泡剤,発泡体形成物質としての請求項1~10のいずれかの組成物,炭素形成物質として少なくとも1の多価アルコール,助剤および/または添加剤,増粘剤,分散剤,および,溶媒および/または溶媒混合物,を含む。
【0033】
特に好ましくは,耐火塗料は,
5~69.4重量%のフィルム形成バインダー,
5~25重量%の発泡剤,
5~40重量%の発泡体形成物質としての請求項1~10のいずれかの組成物,
5~25重量%の炭素形成物質,
5~40重量%の助剤および/または添加剤,
0.5~10重量%の増粘剤,
0.1~10重量%の湿潤剤および/または分散剤,および
10~40重量%の溶媒および/または溶媒混合物,
を含む,ここで,上記成分の合計は100重量%である。
【0034】
上記フィルム形成バインダーは,好ましくは,スチレンおよびアクリル酸エステルをベースとするコポリマー,アクリル酸エステルをベースとするコポリマー,ビニルトルエン/アクリレートコポリマー,スチレン/アクリレートポリマー,酢酸ビニルをベースとするホモポリマー,酢酸ビニル,エチレンおよび塩化ビニルをベースとするコポリマー,酢酸ビニルおよび長鎖分岐状カルボン酸のビニルエステルをベースとするコポリマー,酢酸ビニルおよびマレイン酸-ジ-n-ブチルエステルおよび/またはアクリル酸エステルをベースとするコポリマー,ビニル/アクリレートコポリマー,自己架橋ポリウレタン分散体,テルペン,および/またはポリテルペンおよび/またはこれらの混合物を含む;
上記発泡剤は,メラミン,メラミン-ホルムアルデヒド縮合物,グアニジン,それらの塩,メラミン縮合生成物および/またはジシアンジアミドである;
上記炭素形成物質は,澱粉,加工澱粉,多価アルコール(ポリオール),例えば単糖類および多糖類,および/または,熱可塑性または熱硬化性ポリマー樹脂バインダー,例えばフェノール樹脂,尿素樹脂,ポリウレタン,ポリ塩化ビニル,ポリ(メタ)アクリレート,ポリ酢酸ビニル,ポリビニルアルコール,シリコーン樹脂および/またはゴムである;
上記助剤および添加剤は,ガラス繊維,鉱物繊維,金属繊維,炭素繊維,カオリン,タルク,酸化アルミニウム,水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウムおよび他の金属酸化物,沈降シリカ,ケイ酸塩および/または粉砕セルロースである;
上記増粘剤および/またはレオロジー添加剤は,(変性)セルロース,シリカ,ベントナイト,ヒマシ油誘導体,脂肪誘導体,ポリアミド,ポリ(メタ)アクリレート,ポリアクリルアミド,ポリエーテル,ポリウレタン,ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン,糖ポリマー,例えばアラビアゴム,アルギン酸塩,キサンタンゴムおよび/または寒天である;
上記湿潤剤および分散剤は,アルキルフェノールエトキシレート,ポリアクリル酸および/またはポリウレタンである;
上記有機溶媒および/または溶媒混合物は,芳香族炭化水素,好ましくはキシレンおよび/またはアルキルベンゼン,好ましくはトルエンおよびエチルベンゼン;アルコール,好ましくはメタノールおよび/またはアルカノール,好ましくは2-メチル-1-プロパノール;ケトン,例えばアセトンまたはブタノン,アルカンエステル,および/または,ポリエーテル,好ましくはポリグリコールエーテルである。
【0035】
上記多価アルコールは,好ましくは,トリペンタエリスリトールおよび/またはペンタエリスリトールの重縮合物および/またはペンタエリスリトールベースエステルと多価アルコールの混合物,ポリ酢酸ビニル,ポリビニルアルコール,ソルビトール,および/または,エチレンオキシド-プロピレンオキシドポリオールである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は実施例における時間関数として鋼板裏面の温度変化を示す図である。
図2図2は実施例における例12および13における鋼板裏面温度差の経時変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は,それぞれ粉状またはペレットである成分(A)および成分(B)を,互いに混合する,または,溶解した成分(B)を成分(A)に導入することを特徴とする,請求項1~10のいずれかの混合物の製造方法に関する。
【0038】
本発明に係る混合物の製造方法は,さらに,等モル量のオルトリン酸二水素アンモニウムおよび尿素を0.5~4時間,250~300℃の温度で加熱することを特徴とする。
【0039】
本発明に係る混合物の別の製造方法は,等モル量のオルトリン酸アンモニウムおよび尿素を0.1~4時間,250~305℃で,湿潤アンモニア雰囲気下,加熱することを特徴とする。
【0040】
本発明に係る混合物の別の製造方法は,等モル量のオルトリン酸アンモニウムおよび尿素を0.1~4時間,320~350℃で,湿潤アンモニア雰囲気下,成分(B)を同時に添加しながら加熱することを特徴とする。
【0041】
ポリリン酸アンモニウムの使用の好ましい分野は,後に耐火塗料として機能する発泡性調合物における使用である。
【0042】
また,発泡性塗料の特徴は,断熱層形成耐火塗料とも呼ばれ,燃焼時に適当な温度にさらされると発泡し,この耐火塗料の発泡が,鋼構造,天井,壁,ケーブル,パイプなど基材への熱の伝達を遅らせ,または,少なくとも妨げることである。
【0043】
本発明の塗料から形成された断熱層は,すでに優れた強度および断熱特性を有しており,従来の塗料調合剤と比較してより早い反応開始を特徴とする。
したがって,本発明に係る発泡性塗料組成物は,鋼構造物および他の物質,ならびに感熱性基材の効率的な保護に適している。
【0044】
例えば,鉄骨造の建物は,従来の建築方法に比べて多くの利点があるが,火災が起きると,保護されていない鉄骨の温度は急上昇し,鉄骨が軟化し,剛性を失い,構造物の安定性を危険にさらす(崩壊の危険,建物からの退出の防止など)という重大な欠点がある。よって,鋼材を断熱することが望ましい。
例えば,発泡性塗料は,火熱の影響を遅らせるために,様々な構造に適用することができる。この塗料は,塗料が適用されるそれぞれの基材の温度上昇速度を遅らせ,したがって,火熱による構造崩壊が起きるまでの時間を長くする。追加された時間で,消火および建物冷却がより可能となり,脱出時間を長くする。
【0045】
任意で一以上の反応性難燃剤を本発明に係る組成物に添加することが可能である。本発明に関連する一例は,反応性有機リン化合物,例えば,9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン10-オキシド(DOPO)およびその誘導体および付加物である。
【0046】
本発明の組成物は,好ましくは,さらにホスフィン酸塩を含んでもよい(EP-A-1544206)。
【0047】
前述のホスフィン酸塩またはジホスフィン酸塩の使用は,ホスフィン酸塩を含まない調合物と比較して,発泡反応の開始温度を15℃以上低下させる。
【0048】
有機溶媒は,好ましくは芳香族炭化水素類,好ましくはキシレンおよび/またはアルキルベンゼン,好ましくはエチルベンゼン;アルコール,好ましくはメタノール,および/またはアルカノール,より好ましくは2-メチル-1-プロパノール;ポリエーテル,好ましくはポリグリコールエーテル,より好ましくはアルファ-イソトリデシル-オメガ-ヒドロキシ-ポリグリコールエーテルである。
【0049】
増粘剤および/またはレオロジー添加剤などの追加の添加剤,ならびに,充填剤を組成物に添加することができる。使用されるレオロジー添加剤,例えば,沈降防止剤,タレ止め剤およびチキソトロープ剤は,好ましくはポリヒドロキシカルボキシアミド,尿素誘導体,不飽和カルボン酸エステルの塩,酸性リン酸誘導体のアルキルアンモニウム塩,p-トルエンスルホン酸のアミン塩,スルホン酸誘導体のアミン塩,および当該化合物の水溶液もしくは有機溶液または混合物である。
さらに,フュームドシリカもしくは沈降シリカをベースとする,またはシラン化フュームドシリカもしくは沈降シリカをベースとするレオロジー添加剤を使用することができる。レオロジー添加剤は,好ましくは,ヒュームドシリカ,変性および未変性の層状ケイ酸塩,沈降シリカ,セルロースエーテル,多糖類,ポリウレタンおよびアクリル増粘剤,尿素誘導体,ヒマシ油誘導体,ポリアミド,脂肪酸アミドおよびポリオレフィンを含むが,ただし,それらは固体形態,粉砕セルロースおよび/または懸濁液媒体であって,例えばキサンタンガムである。
【0050】
そのような耐火塗料(発泡性塗料)は多種多様な異なる基材,好ましくは鉄骨および鋼柱,天井,壁,ケーブル,パイプ,ケーブルダクト,ケーブルおよび組合せ隔壁,ドア,カーテン,煙カーテン,ブラインド,安全キャビネット,据え付けキャビネット等の保護のために,主に塗装可能,または圧延可能な塗料の形態で使用される。
【0051】
本発明は,特に,鋼,木,木材,紙,ミネラルウール,石膏ボード,プラスチック,金属,合金,合成もしくは天然繊維でできた織物および他の適切な材料上における,および/または,ソルダーレジストとしての,および,電気スイッチおよび回路用の,本発明の耐火塗料の使用に関する。本発明による耐火塗料は,中空材およびH形材の構造防火および作業場用途に非常に好適であり,高い耐候安定性が必要とされる領域にも同様に適している。
【0052】
本発明の混合物は,発泡性調合物における,およびその後の耐火塗料としての上記使用のために,極めて適している。
【0053】
本発明の混合物は,好ましくは,ポリオレフィンにおいて,またはポリオレフィン上の発泡性塗料としても使用することができる。
【0054】
好ましいポリオレフィンは,例えばモノ-およびジオレフィン(例えばエチレン,プロピレン,イソブチレン,ブテン,4-メチルペンテン,イソプレン,ブタジエン,スチレン)のポリマー,例えばポリプロピレン,ポリイソブチレン,ポリブタ-1-エン,ポリ-4-メチルペンタ-1-エン,ポリスチレン,ポリ-(p-メチルスチレン)および/またはポリ-(αメチルスチレン),ポリイソプレンまたはポリブタジエン,およびポリエチレン(任意選択的に架橋された),例えば高密度ポリエチレン(HDPE),高分子量の高密度ポリエチレン(HDPE-HMW),超高分子量の高密度ポリエチレン(HDPE-UHMW),中密度ポリエチレン(HMDPE),低密度ポリエチレン(LDPE),直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE),超低密度ポリエチレン(VLDPE),分岐状低密度ポリエチレン(BLDPE),さらにシクロオレフィンの,例えばシクロペンテンまたはノルボルネンのポリマーである。
【0055】
さらに,好ましいポリマーは,上記で挙げたポリオレフィンの,例えばポリプロピレン(PP)とポリイソブチレン,ポリエチレンとポリイソブチレン,ポリプロピレンとポリエチレンの混合物(ブレンド)(例えば,PP/HDPE/LDPE),および,種々のタイプのポリエチレンの混合物(例えば,LDPE/HDPE)である。
【0056】
さらに,好ましい使用可能なポリマーは,モノ-およびジオレフィン互いの,ならびにモノ-およびジオレフィンと他のビニル系モノマーとのコポリマー,例えばエチレン-プロピレン-コポリマー;LLDPE,VLDPEおよびそれらとLDPEとの混合物;プロピレン-ブタ-1-エン-コポリマー,プロピレン-イソブチレン-コポリマー,エチレン-ブタ-1-エン-コポリマー,エチレン-ヘキセン-コポリマー,エチレン-メチルペンテン-コポリマー,エチレン-ヘプテン-コポリマー,エチレン-オクテン-コポリマー,プロピレン-ブタジエン-コポリマー,イソブチレン-イソプレン-コポリマー,エチレン-アルキルアクリレート-コポリマー,エチレン-アルキルメタクリレート-コポリマー,エチレン-ビニルアセテート-コポリマー,スチレンまたはアルファ-メチルスチレンとジエンまたはアクリル誘導体とのコポリマー,例えばスチレン-ブタジエン,スチレン-アクリロニトリル,スチレン-アルキルメタクリレート,スチレン-ブタジエン-アルキルアクリレートおよびメタクリレート,スチレン-マレイン酸無水物,スチレン-アクリロニトリル-メチルアクリレート;スチレンコポリマーと他のポリマー,例えばポリアクリレート,ジエン-ポリマーまたはエチレン-プロピレン-ジエン-ターポリマーとの高い衝撃強さの混合物;ならびにスチレンのブロック-コポリマー,例えばスチレン-ブタジエン-スチレン,スチレン-イソプレン-スチレン,スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンまたはスチレン-エチレン/プロピレン-スチレン,さらにスチレンまたはα-メチルスチレンのグラフトコポリマー,例えばポリブタジエンへのスチレン,ポリブタジエン-スチレン-もしくはポリブタジエン-アクリロニトリル-コポリマーへのスチレン,ポリブタジエンへのスチレンおよびアクリロニトリル(またはメタクリロニトリル);ポリブタジエンへのスチレン,アクリロニトリルおよびメチルメタクリレート;ポリブタジエンへのスチレンおよびマレイン酸無水物;ポリブタジエンへのスチレン,アクリロニトリルおよびマレイン酸無水物もしくはマレイン酸イミド;ポリブタジエンへのスチレンおよびマレイン酸イミド,ポリブタジエンへのスチレンおよびアルキルアクリレートもしくはアルキルメタクリレート,エチレン-プロピレン-ジエン-ターポリマーへのスチレンおよびアクリロニトリル,ポリアルキルアクリレートもしくはポリアルキルメタクリレートへのスチレンおよびアクリロニトリル,アクリレート-ブタジエン-コポリマーへのスチレンおよびアクリロニトリル,ならびにこれらの混合物,いわゆるABS-,MBS-,ASA-もしくはAES-ポリマーとして知られるもの;さらにまた一酸化炭素とのそれらのコポリマーまたはエチレン-アクリル酸-コポリマーおよびそれらの塩(アイオノマ―)ならびにまたエチレンとプロピレンおよびジエン,例えばヘキサジエン,ジシクロペンタジエンもしくはエチリデンノルボルネンとのターポリマー;上記のようなコポリマー互いのおよび/または他のポリマーとの混合物,例えばポリプロピレン-エチレン-プロピレン-コポリマー,LDPE-エチレン-ビニルアセテート-コポリマー,LDPE-エチレン-アクリル酸-コポリマー,LLDPE-エチレン-ビニルアセテート-コポリマー,LLDPE-エチレン-アクリル酸-コポリマー,および交互または統計ポリアルキレン-一酸化炭素-コポリマーならびにこれらと他のポリマー,例えばポリアミドとの混合物である。
【0057】
本発明の混合物は,熱可塑性ポリマー,例えばポリエステル,ポリスチレンまたはポリアミド,および熱硬化性ポリマー,例えば不飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,ポリウレタンまたはアクリレートにおいて使用することもできる。
【0058】
適切なポリエステルは,ジカルボン酸およびそれらのエステルおよびジオールから,および/またはヒドロキシカルボン酸または対応のラクトンから誘導される。特に好ましくは,テレフタル酸およびエチレングリコール,プロパン-1,3-ジオールおよびブタン-1,3-ジオールが使用される。
【0059】
適切なポリエステルは,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート(Celanex(登録商標)2500,Celanex(登録商標)2002,Celanese社;Ultradur(登録商標),BASF社),ポリ-1,4-ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート,ポリヒドロキシベンゾアート,ならびにヒドロキシ末端基を有するポリエーテルから誘導されるブロックポリエーテルエステル;さらにポリカーボネートまたはMBSで改質されたポリエステルである。
【0060】
上記ポリマーは,好ましくは,モノ-およびジオレフィンのポリマー,例えばポリプロピレン,ポリイソブチレン,ポリブテン-1,ポリ-4-メチル-ペンテン-1,ポリイソプレンまたはポリブタジエン,および加えてシクロオレフィンの重合体,例えばシクロペンテンまたはノルボルネン;さらにポリエチレン(任意選択的に架橋されていてもよい),例えば高密度ポリエチレン(HDPE),高分子量の高密度ポリエチレン(HDPE-HMW),超高分子量の高密度ポリエチレン(HDPE-UHMW),中密度ポリエチレン(MDPE),低密度ポリエチレン(LDPE),直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE),分岐状低密度ポリエチレン(BLDPE),およびそれらの混合物である。
【0061】
上記ポリマーは,好ましくは,モノ-およびジオレフィンと互いの,または他のビニル系モノマーとのコポリマー,例えばエチレン-プロピレン-コポリマー,直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)およびそれと低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物,プロピレン-ブテン-1-コポリマー,プロピレン-イソブチレン-コポリマー,エチレン-ブテン-1-コポリマー,エチレン-ヘキセン-コポリマー,エチレン-メチルペンテン-コポリマー,エチレン-ヘプテン-コポリマー,エチレン-オクテン-コポリマー,プロピレン-ブタジエン-コポリマー,イソブチレン-イソプレン-コポリマー,エチレン-アルキルアクリレート-コポリマー,エチレン-アルキルメタクリレート-コポリマー,エチレン-ビニルアセテート-コポリマーおよび一酸化炭素とのそれらのコポリマー,またはエチレン-アクリル酸-コポリマーおよびそれらの塩(アイオノマー),ならびにまたエチレンとプロピレンおよびジエン,例えばヘキサジエン,ジシクロペンタジエンもしくはエチリデンノルボルネンとのターポリマー;さらに,上記のようなコポリマー互いの混合物,例えばポリプロピレン/エチレン-プロピレン-コポリマー,LDPE/エチレン-ビニルアセテート-コポリマー,LDPE/エチレン-アクリル酸-コポリマー,LLDPE/エチレン-ビニルアセテート-コポリマー,LLDPE/エチレン-アクリル酸-コポリマー,および交互にまたは統計的に構成されたポリアルキレン/一酸化炭素-コポリマーならびにこれらと他のポリマー,例えばポリアミドとの混合物である。
上記ポリマーは,好ましくは,炭化水素樹脂(例えばC~C)であってそれらの水素化修飾を含む炭化水素(例えば粘着付与樹脂)およびポリアルキレンとデンプンとの混合物である。
【0062】
上記ポリマーは,好ましくは,ポリスチレン(Polystyrol(登録商標)143E,BASF社),ポリ(p-メチルスチレン),ポリ(アルファ-メチルスチレン)である。
【0063】
上記ポリマーは,好ましくは,スチレンまたはアルファ-メチルスチレンとジエンまたはアクリル誘導体のコポリマー,例えばスチレン-ブタジエン,スチレン-アクリロニトリル,スチレン-アルキルメタクリレート,スチレン-ブタジエン-アルキルアクリレートおよび-メタクリレート,スチレン-マレイン酸無水物,スチレン-アクリロニトリル-メチルアクリレート;スチレンコポリマーと他のポリマー,例えばポリアクリレート,ジエンポリマーまたはエチレン-プロピレン-ジエン-ターポリマーの高耐衝撃性混合物;スチレンのブロックコポリマー,例えばスチレン-ブタジエン-スチレン,スチレン-イソプレン-スチレン,スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンまたはスチレン-エチレン/プロピレン-スチレンである。
【0064】
好ましくは,上記ポリマーは,スチレンまたはアルファ-メチルスチレンのグラフトコポリマー,例えばポリブタジエンへのスチレン,ポリブタジエン-スチレン-もしくはポリブタジエン-アクリロニトリル-コポリマーへのスチレン,ポリブタジエンへのスチレンおよびアクリロニトリル(またはメタクリロニトリル);ポリブタジエンへのスチレン,アクリロニトリルおよびメチルメタクリレート;ポリブタジエンへのスチレンおよびマレイン酸無水物;ポリブタジエンへのスチレン,アクリロニトリルおよびマレイン酸無水物もしくはマレイン酸イミド;ポリブタジエンへのスチレンおよびマレイン酸イミド,ポリブタジエンへのスチレンおよびアルキルアクリレートもしくはアルキルメタクリレート,エチレン-プロピレン-ジエン-ターポリマーへのスチレンおよびアクリロニトリル,ポリアルキルアクリレートもしくはポリアルキルメタクリレートへのスチレンおよびアクリロニトリル,アクリレート-ブタジエン-コポリマーへのスチレンおよびアクリロニトリル,ならびにこれらの混合物,例えばいわゆるABS,MBS,ASAもしくはAESポリマーとして知られるものである。
【0065】
上記スチレンポリマーは,好ましくは,比較的粗い孔の発泡体,例えばEPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム),例えばStyropor(登録商標)(BASF社),および/または微細な孔の発泡体,例えばXPS(押出法ポリスチレンフォーム),例えばStyrodur(登録商標)(BASF社)である。ポリスチレン発泡物質,例えばAustrotherm(登録商標)XPS,Styrofoam(登録商標)(Dow Chemical社)等が好ましい。
【0066】
好ましくは,上記ポリマーは,ハロゲン含有ポリマー,例えばポリクロロプレン,塩素化ゴム,イソブチレン-イソプレンからの塩素化および臭素化コポリマー(ハロブチルゴム),塩素化またはクロロスルホン化ポリエチレン,エチレンおよび塩素化エチレンのコポリマー,エピクロロヒドリンホモ-およびコポリマー,特にハロゲン含有ビニル化合物からのポリマー,例えばポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリフッ化ビニル,ポリフッ化ビニリデン;ならびにそれらのコポリマー,例えば塩化ビニル-塩化ビニリデン,塩化ビニル-酢酸ビニルまたは塩化ビニリデン-酢酸ビニルである。
【0067】
上記ポリマーは,好ましくは,アルファ,ベータ-不飽和酸およびそれらの誘導体から誘導されるポリマー,例えばポリアクリレートおよびポリメタクリレート,ブチルアクリレートで耐衝撃性に変性したポリメチルメタクリレート,ポリアクリルアミドおよびポリアクリロニトリル,および上記のモノマーのそれらの間でのまたは他の不飽和モノマーとのコポリマー,例えば,アクリロニトリル-ブタジエン-コポリマー,アクリロニトリル-アルキルアクリレート-コポリマー,アクリロニトリル-アルコキシアルキルアクリレート-コポリマー,アクリロニトリル-ビニルハライド-コポリマーまたはアクリロニトリル-アルキルメタクリレート-ブタジエン-ターポリマーである。
【0068】
上記ポリマーは,好ましくは,不飽和アルコールおよびアミン,または,それらのアシル誘導体またはアセタールから由来されるポリマー,例えばポリビニルアルコール,ポリビニルアセテート,ステアレート,ベンゾエート,マレエート,ポリビニルブチラール,ポリアリルフタレート,ポリアリルメラミン;ならびにそれらのオレフィンとのコポリマーである。
【0069】
上記ポリマーは,好ましくは,環状エーテルのホモ-およびコポリマー,例えばポリアルキレングリコール,ポリエチレンオキシド,ポリプロピレンオキシドまたはそれらのビスグリシジルエーテルとのコポリマーである。
【0070】
好ましくは,上記ポリマーはポリアセタール,例えばポリオキシメチレン,および,例えばエチレンオキシドのようなコモノマーを含むポリオキシメチレン;熱可塑性ポリウレタン,アクリレートまたはMBSで変性されたポリアセタールである。
【0071】
上記ポリマーは,好ましくは,ポリフェニレンオキシドおよびスルフィドならびにそれらとスチレンポリマーもしくはポリアミドとの混合物である。
【0072】
上記ポリマーは,好ましくは,末端ヒドロキシル基,および,脂肪族または芳香族ポリイソシアネートの両方を有するポリエーテル,ポリエステルおよびポリブタジエンから誘導されるポリウレタン,ならびにそれらの前駆体である。
【0073】
上記ポリマーは,好ましくは,ジアミンとジカルボン酸からおよび/またはアミノカルボン酸または対応するラクタムから誘導されるポリアミドおよびコポリアミド,例えば,ナイロン2/12,ナイロン4,ナイロン4/6,ナイロン6,ナイロン6/6,ナイロン6/9,ナイロン6/10,ナイロン6/12,ナイロン6/66,ナイロン7,ナイロン7,7,ナイロン8,ナイロン8,8,ナイロン9,ナイロン9,9,ナイロン10,ナイロン10,9,ナイロン10,10,ナイロン11,ナイロン12,m-キシレン,ジアミンおよびアジピン酸に由来する芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミンとイソ-および/またはテレフタル酸(ポリヘキサメチレンイソフタルアミドポリヘキサメチレンテレフタルアミド)および任意選択的に変性剤としてのエラストマーから製造されるポリアミド,例えばポリ-2,4,4-トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミドまたはポリ-m-フェニレンイソフタルアミドである。
上記のポリアミドとポリオレフィン,オレフィンコポリマー,アイオノマーまたは化学的に結合もしくはグラフトしたエラストマーとのブロックコポリマー;または上記のポリアミドとポリエーテル,例えばポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコールもしくはポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマー。更に,EPDMもしくはABSで変性されたポリアミドまたはコポリアミド;並びに加工中に縮合されたポリアミド(“RIM-ポリアミド系”)もある。
【0074】
上記ポリマーは,好ましくは,ポリ尿素,ポリイミド,ポリアミドイミド,ポリエーテルイミド,ポリエステルイミド,ポリヒダントインおよびポリベンズイミダゾールである。
【0075】
上記ポリマーは,好ましくは,ジカルボン酸およびジアルコールから,および/またはヒドロキシカルボン酸または対応のラクトンから誘導されるポリエステル,例えばポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリ-1,4-ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート,ポリヒドロキシベンゾエート,ならびにヒドロキシ末端基を有するポリエーテルから誘導されるブロック-ポリエーテルエステル;さらにポリカーボネートまたはMBSで変性されたポリエステルである。
【0076】
上記ポリマーは,好ましくは,ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートである。
上記ポリマーは,好ましくは,ポリスルホン,ポリエーテルスルホンおよびポリエーテルケトンである。
【0077】
上記ポリマーは,好ましくは,一方ではアルデヒド,そして他方ではフェノール,尿素またはメラミンから誘導される架橋ポリマー,例えばフェノール-ホルムアルデヒド樹脂,尿素-ホルムアルデヒド樹脂およびメラミン-ホルムアルデヒド樹脂である。
【0078】
上記ポリマーは,好ましくは,乾燥および非乾燥アルキド樹脂である。
上記ポリマーは,好ましくは,飽和および不飽和ジカルボン酸と多価アルコールのコポリエステル,および架橋剤としてのビニル化合物から誘導された不飽和ポリエステル樹脂,ならびにそれらのハロゲン含有の難燃性変性物である。
【0079】
上記ポリマーは,好ましくは,置換されたアクリル酸エステル,例えばエポキシアクリレート,ウレタンアクリレートまたはポリエステルアクリレートから誘導された架橋性アクリル樹脂である。
上記ポリマーは,好ましくは,メラミン樹脂,尿素樹脂,イソシアネート,イソシアヌレート,ポリイソシアネートまたはエポキシド樹脂で架橋されている,アルキド樹脂,ポリエステル樹脂およびアクリレート樹脂である。
【0080】
上記ポリマーは,好ましくは,脂肪族,脂環式,複素環式または芳香族のグリシジル化合物から誘導された架橋されたエポキシド樹脂,例えば,通常の硬化剤,例えば無水物またはアミンを用いて,促進剤を用いてもしくは促進剤なしで架橋される,ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテル,ビスフェノール-F-ジグリシジルエーテルの生成物である。
【0081】
好ましくは,上記ポリマーは,上記ポリマーの混合物(ポリブレンド),例えばPP/EPDM(ポリプロピレン/エチレン-プロピレン-ジエンゴム),ポリアミド/EPDMまたはABS(ポリアミド/エチレン-プロピレン-ジエンゴムまたはアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン),PVC/EVA(ポリ塩化ビニル/エチレンビニルアセテート),PVC/ABS(ポリ塩化ビニル/アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン),PVC/MBS(ポリ塩化ビニル/メタクリレート-ブタジエン-スチレン),PC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン),PBTP/ABS(ポリブチレンテレフタレート/アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン),PC/ASA(ポリカーボネート/アクリルエステル-スチレン-アクリロニトリル),PC/PBT(ポリカーボネート/ポリブチレン-テレフタレート),PVC/CPE(ポリ塩化ビニル/塩素化ポリエチレン),PVC/アクリレート(ポリ塩化ビニル/アクリレート,POM/熱可塑性PUR(ポリオキシメチレン/熱可塑性ポリウレタン),PC/熱可塑性PUR(ポリカーボネート/熱可塑性ポリウレタン),POM/アクリレート(ポリオキシメチレン/アクリレート),POM/MBS(ポリオキシメチレン/メタクリレート-ブタジエン-スチレン),PPO/HIPS(ポリフェニレンオキシド/耐衝撃性ポリスチレン),PPO/PA6.6(ポリフェニレンオキシド/ポリアミド6.6)ならびにコポリマー,PA/HDPE(ポリアミド/高密度ポリエチレン),PA/PP(ポリアミド/ポリエチレン),PA/PPO(ポリアミド/ポリフェニレンオキシド),PBT/PC/ABS(ポリブチレンテレフタレート/ポリカーボネート/アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)および/またはPBT/PET/PC(ポリブチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート/ポリカーボネート)である。
【0082】
本発明に係る混合物は,繊維中または繊維上で,それらの特性を損なうことなく,相応に使用することができる。
本発明に係る混合物は,ランダム分布又は特定のパターン,例えばドットパターンで,可撓性の,特に繊維材料に適用できる。そのような繊維材料は,例えばホテル,劇場および会議場の内装において,および輸送モード(バス,電車,自動車,飛行機等)において使用される。
【0083】
本発明に係る混合物は,例えばRoempps Chemie-Lexikon,9版(1996)「Flammschutzmittel」,1369~1371頁に記載されるような別の難燃剤と一緒に使用することができる。
【0084】
本発明に係る混合物は,大体において,単独で又は他の物質と共に,炭化促進,消火,バリア層形成,断熱層形成,または,その他の働きをしうる。
【0085】
ポリマー,特にポリオレフィンのポリマーにおいて,およびポリマー上に,並びに,断熱層を形成する発泡性塗料および繊維におけるまたはそのための上記用途の全てについて,他の添加剤,特に酸化防止剤,帯電防止剤,発泡剤,他の難燃剤,熱安定剤,衝撃改良剤,加工助剤,潤滑剤,光安定剤,ドリップ防止剤,相容化剤,補強材料,充填剤,核形成剤,レーザーマーキング添加剤,加水分解安定剤,鎖延長剤,着色顔料,および/または可塑剤を添加することが可能である。
【0086】
後に防火塗料として塗布される発泡性調合物は,以下のように製造される:
a)溶媒または溶媒混合物を最初に室温にし,攪拌しながらそれぞれの樹脂をその中に溶解させ,次いで,攪拌しながら,分散剤および任意で消泡剤のような塗料添加剤を添加する,
b)発泡体形成物質,発泡剤および炭素形成物質を,そして助剤および添加剤(例えば,二酸化チタン,繊維および充填剤)もまた,低速で撹拌しながら撒き入れる,
c)チキソトロープ剤を攪拌しながら撒き入れる,
d)50℃~60℃の温度を維持しながら,高せん断力で少なくとも25分間分散させる,
e)少なくとも5分間均一に分散させ,溶媒または溶媒混合物を添加して所望の粘度に仕上げる。
【0087】
これらの調合物は,例えば,本発明に係る断熱層形成難燃性塗料の製造方法において使用することができる。この場合,シリコーン樹脂エマルジョン(バインダー)は,高せん断溶解機中で,燃焼が起きると発泡体を形成する薬剤,ならびに任意のさらなる助剤および添加剤と混合され,所望の稠度に調整される。
【0088】
本発明の塗料組成物は,表面に直接,またはプライマー塗布層を介して塗布してもよい。塗料組成物は,典型的には-10~60℃の温度で液体状で塗布される。塗布は,例えば,エアレススプレー,鋳造(金型において使用される),塗装またはこて塗りによって行うことができる。
【0089】
本発明に係る塗料組成物は,様々な基材に塗布することができる。好ましくは,鋼およびアルミニウムの基材,並びに複合材料,例えばガラス繊維強化プラスチックである。
【実施例
【0090】
本発明を以下の例によって説明するが,本発明を限定するものではない。
まず,ポリリン酸アンモニウムの混合物を,表1に示す通り,結晶相IIポリリン酸アンモニウムを,それぞれの量の結晶相Iポリリン酸アンモニウムと,タンブリングミキサー(Heidolph社製)中,320回転/分(rpm)で5時間混合して製造する。
純粋結晶相IIポリリン酸アンモニウムは例1で使用した。
純粋結晶相Iポリリン酸アンモニウムは例11で使用した。
このようにして得られた混合物は,表1に再現された特性を示す。
【0091】
【表1】
【0092】
上記の値は,以下のようにして求めた:
粘度
粘度の測定のために,例1~11のそれぞれの生成物の10重量%懸濁液を25℃水中で調製し,撹拌した。粘度は,Brookfield粘度計を用いてDIN ISO 2555(スピンドル61,100rpm)に準拠して測定した。
【0093】
導電率
pH測定のために,例1~11のそれぞれの生成物の10重量%懸濁液を25℃の水中で調製し,5分間撹拌した。導電率は電位差測定法(Knick社製,703型コンダクターメーター)によって測定した。
【0094】
pH
pH測定のために,例1~11のそれぞれの生成物の10重量%懸濁液を25℃の水中で調製し,5分間撹拌した。pHは電位差測定法(Metrohm社製,LL Aquatrode Plus WOC)を用いて測定した。
【0095】
酸価
酸価測定のために,例1~11のそれぞれの生成物の10重量%懸濁液を25℃の水中で調製し,5分間撹拌した。酸価は,ISO2114に準拠して測定した。
【0096】
水溶解度
アンモニアポリリン酸またはその混合物の10重量%懸濁液を25℃の水中で調製し,撹拌し,濾過した。使用量(10%懸濁液)に基づく濾液の乾燥残留物は,このポリリン酸アンモニウムの水溶解度に対応する。
【0097】
質量喪失
質量損失は,様々な方法で表すことができる:
1)質量損失2%の温度(℃)
2)300℃における質量損失(%)
【0098】
質量損失は,Sartorius社製のMA35M-230N装置を用いて,熱重量分析により窒素雰囲気下で測定した。
【0099】
難燃性混合物の嵩密度は,EN ISO;DIN53468に準拠して,25℃で測定した。粒径d50は,Malvern社マスターサイザーを用いて測定した。
【0100】
表1の例1~11から,相Iポリリン酸アンモニウムを相IIポリリン酸アンモニウムへ添加することで生成物のいくつかの特性が悪影響を受けることが明らかである。例えば,溶解度が3%以上上昇し,導電率が著しく上昇する。さらなる悪影響として,混合物中の相Iポリリン酸アンモニウム含有量が増加すると,酸価が5mgKOH/g以上上昇し,熱安定性が低下する。
【0101】
同塗料が風化または他の野外の影響にさらされる場所で使用される場合,湿気の影響でポリリン酸アンモニウムが浸出する可能性があり,そうなるともはや発泡反応に利用できなくなる。これにより,発泡作用が低下することが予想される。そのため,APPの溶解度を低く保つことが有利である。
【0102】
溶液中の塩濃度上昇は,短鎖(ポリ)リン酸アンモニウムの溶解度に関連し,導電率の測定によって説明ができる。
【0103】
加えて,水性バインダーを用いた発泡システムの貯蔵中に高い塩負荷が生じると,分散安定性が損なわれ,不可逆的な粘度増加によって現れる望ましくない貯蔵安定性の低下につながる可能性がある。
【0104】
例えば,WO2017153227A1に記載されている発泡性調合物に例1,4および6を組み込んだ場合,良好な相溶性が観察された。
【0105】
純粋相IIAPPの使用(例1)と比較すると,例4および6の場合,24時間後に最終生成物の粘度増加は見られなかった。
結晶相混合物を用いて製造された発泡性塗料(例4および6)の耐火時間(乾燥層厚さ2000μm)の増加は観察されなかった。
発泡体特性はさらに,わずかな不均一性および安定性の低下を示した。特に,層が比較的厚い場合,これは,燃焼試験中に発泡体の剥離をもたらす可能性がある。
【0106】
【0107】
一方,本発明の混合物が溶媒系発泡性塗料に使用される場合,断熱作用の明確な上昇が観察される。
例1および4からの生成物を使用して,例12および13の溶媒系発泡性調合物を製造した。
【0108】
例12
例1のポリリン酸アンモニウムを用いて,以下の組成の発泡性調合物を製造した:
例1のポリリン酸アンモニウム 28重量部
樹脂(Omnova社,Pliolite(登録商標)Ultra100) 10重量部
メラミン(OCI社,Melafine(登録商標)) 8重量部
ペンタエリスリトール(Perstorp社,Charmor(登録商標)PT40) 8重量部
二酸化チタン(Cristal社,Tiona(登録商標)696) 9重量部
クロロパラフィン(Dover Chemicals社,Hordaresin(登録商標)NP70) 6重量部
増粘剤(Luvotix(登録商標)VP031),補助剤および添加剤(ブチルジグリコールアセテート(BDGA),Texanol(登録商標)),分散剤,塗料添加剤,溶媒(Shellsol(登録商標)100/140,キシレン) 100重量部
【0109】
例13
例1のポリリン酸アンモニウム28重量部ではなく,例4の相IIポリリン酸アンモニウム(85重量%)と相Iポリリン酸アンモニウム(15重量%)との混合物28重量部を使用したことを除いて,例12と同様の手順を行った。
【0110】
例12および13におけるそれぞれの発泡性調合物は,以下のようにして製造した:
a)溶媒を最初に室温にし,塗料添加剤(Disperbyk(登録商標)-2163,BYK社),攪拌しながら分散剤および任意で消泡剤が添加される,
b)低速で攪拌しながら,例1または4の各混合物,発泡剤,炭素源,二酸化チタン,充填剤を撒き入れ,次いでチキソトロープ剤を撒き入れる,
c)当該混合物を,30~70℃の温度に維持しながら,20~60分間高剪断力で分散させ,次いで,低剪断力で溶媒を添加することによって所望の粘度に仕上げる。
【0111】
このように製造された発泡性調合物を,塗装鋼板(規格EN10025-2:2004に準拠したS235JR番号1.0122;寸法:280×280×5mm)に発泡性塗料として塗布し,乾燥膜厚2000μmで,DIN4102パート8,燃焼曲線ISO834に準じて燃焼試験を行った。図1は,時間関数として,鋼板の裏面の温度変化を示す。
【0112】
ここで,鋼板裏面の温度がTcritical=500℃に達するまでの時間は,例1の純物質を使用した場合で100分であったのに対し,例4の混合物を使用した場合は,驚くべきことに,109分と大幅に長くなることが見出された。これは,本発明に係る使用では,鋼の臨界軟化温度に,より遅い時点で到達するため,保護作用がより効果的であることを意味する。したがって,鋼構造物の構造的完全性をより長く維持することができる。
【0113】
上述のように,これは,9%の性能向上である。裏面の温度が300℃に達するまでの時間は,例1では32分,例4では48分であり,これは,防火時間が50%増加することを意味する。
【0114】
図2のように,例12および13における鋼板裏面温度の差を経時的にプロットすると,例13の断熱効果は,燃焼時間全体にわたって高いことが分かる。最大温度差は,約27分後に観察された45℃である。
【0115】
例12および13の本発明に係る混合物を用いると,例1と比較して,とりわけ反応開始はより低い温度で起こり,その結果,断熱作用がより早く(より速く)開始することから,本発明による発泡性調合物で塗布された基材は,はるかに高い断熱効果を得る。説明したシステムが構造用鋼構造物に使用されると,長寿命および/またはより効率的な防火システムを可能にする。より長い耐火時間の結果として,建物の居住者は火災の場合,避難時間がより長くなり,消防士は,安全な環境で消火活動ができる。
【0116】
本発明に係る発泡性調合物は,断熱作用が早く開始するために,従来低融点のために熱から保護できなかった基材を耐火性にするために使用することができる。例えば,低温(例えば,300℃)でも軟化する,または可燃性および/または有毒な熱分解ガスを放出するポリマーおよび他の基材を保護することも可能である。
【0117】
本発明に係る発泡性調合物の利点は,別の観点からも同様に明らかである。
【0118】
【表2】
【0119】
例えば,例1(比較)では,わずか17分後に基板温度250℃に到達し,本発明の例4では29分まで到達しない。したがって,本発明に係る発泡性塗料は,適当な温度範囲内で,純粋相IIポリリン酸アンモニウムのほぼ2倍の効果を有する。
【0120】
したがって,例えば熱可塑性樹脂など融点または断熱破壊温度が300℃以下であることが多い非金属系基材の場合,火の回りを非常に効率的に阻止することが可能である。ここでの実用例は,例えば,屋根パネルおよびパーティションなどの構造材パネル,または重要な環境(電池ハウジングまたは加圧水素貯蔵設備)で使用される他の複合材料である。
【0121】
本発明に係る混合物の使用により得られる低温でのより高い耐火時間は,材料の節約に有利につながる。同様に,同じ効果を達成するために,層の厚みをより薄くすることが可能である。
比較的低温域内における250℃での性能向上率は71%であった。
本発明に係る異なる結晶相のポリリン酸アンモニウムの混合物は,したがって,より即効性のある発泡性塗料の製造に優れた適合性を有し,材料効率が向上する。
【0122】
例1および例4に基づく例12および13の発泡性塗料を,様々なプラスチック製の基材に塗布し,乾燥フィルム厚2000μmで,DIN4102パート8,燃焼曲線ISO834に準拠して,燃焼試験を行った。
【0123】
例14
Ultramid(登録商標)A3K(BASF社;ISO11357に準拠した融点:260℃)への適用:当ポリマーの臨界軟化温度260℃は,例12の発泡性調合物では21分後に到達したが,例13の本発明の発泡性調合物では35分後に到達した。したがって,本発明に係る発泡性調合物を使用する場合,耐火時間は67%長くなる。
【0124】
例15
Makrolon(登録商標)2205ポリカーボネート基材への適用(Covestro社;ISO11357に準拠した融点:300℃):
当ポリマーの300℃の臨界軟化温度は,例12の発泡性調合物では37分後に到達したが,例13の本発明の発泡性調合物では58分後に到達した。したがって,本発明による発泡性調合物を使用する場合,耐火時間は57%長くなる。
【0125】
例16
社内製造のガラス繊維充填複合基材(DICY硬化ビスフェノールAエポキシ樹脂)への適用:
当基材の320℃の臨界破壊温度は,例12の発泡性調合物では62分後に到達したが,例13の本発明に係る発泡性調合物では74分後に到達した。したがって,本発明に係る発泡性調合物が使用される場合,耐火時間は19%長くなる。
【0126】
例17
アルミニウム基材への適用
当基材の320℃の臨界軟化温度は,例12の発泡性調合物では62分後に到達したが,例13の本発明に係る発泡性調合物では74分後に到達した。したがって,本発明に係る発泡性調合物が使用される場合,耐火時間は19%長くなる。
【0127】
本発明に係る例4の混合物を,以下の樹脂(表3)を用いた溶媒系発泡性調合物の製造にも使用した:
例18:スチレンアクリレートコポリマー-Pliolite(登録商標)Ultra100(Omnova社/Synthomer社)
例19:メタクリル酸塩コポリマー-Dianal(登録商標)TB080(Evonik社)
例20:メタクリル樹脂-Degalan(登録商標)LP65/11(Evonik社)
例21:(スチレン/アクリレーツ)コポリマー-Pliolite(登録商標)AC80(Omnova社/Synthomer社)
例22:メタクリル樹脂-Viacryl(登録商標)SC124/50WS(Allnex社)
例23:メタクリル樹脂-Degalan(登録商標)LP63/11(Evonik社)
【0128】
【表3】
【0129】
表3は,本発明に係る難燃性混合物の変動性を示す。一部で500℃までのFRTの向上は見られなかったが,全体的により早い反応開始によるより早い作用効果が認められた。
【0130】
さらに,全ての実験において,表面接着性,拡張性,均質性,および細孔径に関する好ましい発泡特性は維持された。
【0131】
本発明に係るそれぞれの発泡性調合物における本発明に係る例4の混合物は,例1の混合物と比較して,それぞれの場合において臨界温度に到達するまでの時間をより長くすることが見出された。
【0132】
したがって,本発明に係る相IIポリリン酸アンモニウムと相Iポリリン酸アンモニウムとの混合物は,有用な発泡性調合物の製造に優れた適合性を有する。


図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)として,75~92重量%の相IIポリリン酸アンモニウム,および,成分(B)として,8~35重量%の相Iポリリン酸アンモニウムを含む,ここで,上記成分の合計は100重量%である,組成物。
【請求項2】
成分Aは,式(NHn+23n+1(n=300~100,000)を有する相IIポリリン酸アンモニウムである,請求項1の組成物。
【請求項3】
成分Aは,式(NHn+2PnO3n+1(n=1,000~25,000)を有する相IIポリリン酸アンモニウムである,請求項1または2の組成物。
【請求項4】
成分Bは,式(NHn+2PnO3n+1(n=5~100)を有する相Iポリリン酸アンモニウムである,請求項1~3のいずれかの組成物。
【請求項5】
-ISO760に準拠して0.5%未満の残留湿分(含水量),
-0.3~0.9g/cmの嵩密度,
-1.5%未満の水溶解度(25℃で水中10%の懸濁液),
-40mPas未満の粘度(Brookfield DV3T,速度50rpm,スピンドル1),
-レーザー回析により測定して5~50μmの粒径d50
-レーザー回析により測定して10~60μmの粒径d90
-4~8のpH値(25℃で水中10%の懸濁液),
を有する,請求項1~4のいずれかの組成物。
【請求項6】
当該ポリリン酸アンモニウムは,有機官能性(ポリ)シラン,(ポリ)シロキサン,(ポリ)シラザン,変性ワックス,ポリウレタン,ポリエポキシド,尿素-ホルムアルデヒド樹脂,メラミン-ホルムアルデヒド樹脂,(メタ)アクリレート樹脂を,スチレン/アクリレートコポリマーを,ウレタンを,エチレン/酢酸ノニルコポリマーを,ゴムをベースとするエマルション,および/または,それらの混合物でマイクロカプセル化されている,請求項1~5のいずれかの組成物。
【請求項7】
成分(A)および(B)の量に基づいて,多くとも10重量%の,硫酸アンモニウム,硫酸トリエチルアンモニウム,硫酸テトラメチルアンモニウム,硫酸トリメチルアンモニウム,硫酸ジメチル,硫酸ジエチル,硫酸ジプロピル,オクチル硫酸ナトリウム,デシル硫酸ナトリウム,オクタデシル硫酸ナトリウム,ラウリル硫酸,尿素硫酸,硫酸メラミン,硫酸ヒドロキシルアミン,硫酸ヒドラジン,硫酸カリウム,硫酸水素カリウム,硫酸ナトリウム,硫酸水素ナトリウム,硫酸マグネシウム,硫酸水素マグネシウム,硫酸カルシウム,硫酸水素カルシウム,硫酸バリウム,硫酸アルミニウムカリウム,硫酸アルミニウム,硫酸鉄(III),硫酸鉄(II),硫酸コバルト,硫酸チタン,硫酸亜鉛,硫酸スズ,硫酸セリウム,硫酸リチウム,メチル硫酸トリメチルスルホニウムまたはこれらの混合物をさらに含む,請求項1~6のいずれかの組成物。
【請求項8】
発泡性塗料の反応開始温度を低下させるための,発泡性塗料の耐火性能を高めるための,クリアコートおよび発泡性塗料のための難燃剤としての,木材および他のセルロース製品のための難燃剤におけるもしくは難燃剤としての,ポリマー,ゲルコート,不飽和ポリエステル樹脂のための反応性および/または非反応性難燃剤におけるもしくは難燃剤としての,難燃性ポリマー成形材料の製造のための,難燃性ポリマー成形体の製造のための,ポリエステルおよびセルロース純紡および混紡布を含侵により難燃加工するための,ポリエステルおよびセルロース純紡および混紡布を難燃加工するための,ポリウレタン発泡物質における,ポリオレフィンにおける,不飽和ポリエステルおよびフェノール樹脂における,および,繊維を難燃加工するための,請求項1~7のいずれかの組成物の使用。
【請求項9】
プラグコネクタ,電力分配装置における電流接触部品(漏電遮断),回路基板,密封材,パワープラグ,回路遮断器,ランプハウジング,LEDランプハウジング,コンデンサハウジング,回路基板中もしくは回路基板上のコイル要素,ベンチレータ,接地線,プラグ,プラグハウジング,バッテリーハウジング,ケーブル,フレキシブル印刷回路基板,充電ケーブル,エンジンカバー,繊維コーティングおよび他の製品におけるまたはこれらのための,請求項1~7のいずれかの組成物の使用。
【請求項10】
鋼,木,木材,紙,ミネラルウール,石膏ボード,プラスチック,金属,合金,合成もしくは天然繊維でできた織物および他の適切な材料上における,および/または,ソルダーレジストとしての,および,電気スイッチおよび回路用の,耐火塗料のための,請求項1~7のいずれかの組成物の使用。
【請求項11】
例えば,綱梁および鋼製の支柱,天井,壁,ケーブル,パイプ,導管,ケーブルおよびコンビネーションバルクヘッド,ドア,カーテン,防煙垂れ壁,ブラインド,安全キャビネット,据え付けキャビネットおよび他の物品など,鋼構造物のコーティングのための,請求項1~7のいずれかの組成物の使用。
【請求項12】
フィルム形成バインダー,発泡剤,発泡体形成物質としての請求項1~7のいずれかの組成物,炭素形成物質,助剤および添加剤,および,任意で,増粘剤,分散剤,および,溶媒および/または溶媒混合物を含む耐火塗料。
【請求項13】
5~69.4重量%のフィルム形成バインダー,
5~25重量%の発泡剤,
5~40重量%の発泡体形成物質としての請求項1~10のいずれかの組成物,
5~25重量%の炭素形成物質,
5~40重量%の助剤および添加剤,
0.5~10重量%の増粘剤,
0.1~10重量%の分散剤,および
10~40重量%の溶媒および/または溶媒混合物,
を含む,ここで,上記成分の合計は100重量%である,請求項12の耐火塗料。
【請求項14】
上記フィルム形成バインダーは,スチレンおよびアクリル酸エステルをベースとするコポリマー,アクリル酸エステルをベースとするコポリマー,ビニルトルエン/アクリレートコポリマー,スチレン/アクリレートポリマー,酢酸ビニルをベースとするホモポリマー,酢酸ビニル,エチレンおよび塩化ビニルをベースとするコポリマー,酢酸ビニルおよび長鎖分岐状カルボン酸のビニルエステルをベースとするコポリマー,酢酸ビニルおよびマレイン酸ジ-n-ブチルエステルおよび/またはアクリル酸エステルをベースとするコポリマー,ビニル/アクリレートコポリマー,自己架橋ポリウレタン分散体,テルペンおよび/またはポリテルペンおよび/またはこれらの混合物を含む;上記発泡剤は,メラミン,メラミン-ホルムアルデヒド縮合物,グアニジン,それらの塩,メラミン縮合生成物および/またはジシアンジアミドである;上記炭素形成物質は,澱粉,加工澱粉,多価アルコール(ポリオール),例えば単糖類および多糖類,および/または,熱可塑性または熱硬化性ポリマー樹脂バインダー,例えばフェノール樹脂,尿素樹脂,ポリウレタン,ポリ塩化ビニル,ポリ(メタ)アクリレート,ポリ酢酸ビニル,ポリビニルアルコール,シリコーン樹脂および/またはゴムである;上記助剤および添加剤は,ガラス繊維,鉱物繊維,金属繊維,炭素繊維,カオリン,タルク,酸化アルミニウム,水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウムおよび他の金属酸化物,沈降シリカ,ケイ酸塩および/または粉砕セルロースである;上記増粘剤および/またはレオロジー添加剤は,(変性)セルロース,シリカ,ベントナイト,ヒマシ油誘導体,脂肪誘導体,ポリアミド,ポリ(メタ)アクリレート,ポリアクリルアミド,ポリエーテル,ポリウレタン,ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン,糖ポリマー,例えばアラビアゴム,アルギン酸塩,キサンタンゴムおよび/または寒天である;上記湿潤剤および分散剤は,アルキルフェノールエトキシレート,ポリアクリル酸および/またはポリウレタンである;上記有機溶媒および/または溶媒混合物は,芳香族炭化水素,好ましくはキシレンおよび/またはアルキルベンゼン,好ましくはトルエンおよびエチルベンゼン;アルコール,好ましくはメタノールおよび/またはアルカノール,好ましくは2-メチル-1-プロパノール;ケトン,例えばアセトンまたはブタノン,アルカンエステル,および/または,ポリエーテル,好ましくはポリグリコールエーテルである,請求項12または13の耐火塗料。
【請求項15】
上記多価アルコールは,トリペンタエリスリトールおよび/またはペンタエリスリトールの重縮合物および/またはペンタエリスリトールベースエステルと多価アルコールの混合物,ポリ酢酸ビニル,ポリビニルアルコール,ソルビトール,および/または,エチレンオキシド-プロピレンオキシドポリオールである,請求項12~14のいずれかの耐火塗料。
【国際調査報告】