(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】標的被検体を検出するための方法、アッセイ及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 33/543 20060101AFI20240116BHJP
G01N 33/569 20060101ALI20240116BHJP
G01N 27/327 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G01N33/543 521
G01N33/569 L
G01N27/327 357
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542547
(86)(22)【出願日】2022-01-13
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 US2022012370
(87)【国際公開番号】W WO2022155380
(87)【国際公開日】2022-07-21
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517284522
【氏名又は名称】ソレント・セラピューティクス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グリンスタッフ,マーク・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】シャウス,スコット・エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ベアリンガー,ジェーン・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ラング,オーガスタス
(72)【発明者】
【氏名】アル-シャムジー,ジアッド
(72)【発明者】
【氏名】セリアーニ,ディラン
(57)【要約】
本願に開示するストリップシステム、方法、デバイス及び関連キットは、試料(例えば、唾液や鼻スワブ等の生体試料)中の標的被検体の存在及び/又は濃度を測定するために使用され、前記標的被検体は、健康状態、疾患若しくは傷害又は他の生理状態の変化に関連する微生物(例えば、ウイルス体)又は分子(例えば、ウイルス抗原)とすることができる。所定の実施形態において、前記システム、方法、デバイス及びキットは、当技術分野で公知のラテラルフロータンパク質アッセイ及び他の検出アッセイに比較して改善された1種以上の特性を提供し、このような特性としては、限定されないが、アッセイ時間、使い易さ、感染の危険、正確さ、特異性、選択性、アッセイの検出限界、定量的検出、センサー出力に及ぼす一般的な干渉成分の影響、コスト、簡易性又はその組み合わせが挙げられる。所定の実施形態において、前記システム、アッセイ、方法及びキットは、多重式であり、即ち、2種以上の標的被検体(例えば、2種の異なるウイルス又はウイルスと細菌)の検出又は監視が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムに添加された生体試料中の少なくとも1種の標的被検体を検出するためのシステムであって、(i)前記少なくとも1種の標的被検体が存在する場合には、添加される基質の存在下で前記標的被検体と共に検出可能な複合体を形成することが可能な少なくとも1種の捕捉剤及び少なくとも1種の検出剤を含むアッセイと、(ii)前記検出可能な複合体を検出するための検出デバイスを含み、前記検出デバイスが、少なくとも1個の電極を含む酵素ベースのアンペロメトリックセンサーを含み、前記検出可能な複合体が、前記少なくとも1個の電極の上方に形成されるか、又は少なくとも1個の電極の上方に配置されるように前記システム内を移動する、前記システム。
【請求項2】
前記検出可能な複合体が、約30分以内に検出される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記検出可能な複合体が、約10分以下、約5分以下、約2分以下又は約1分以下から選択される時間枠内で検出される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記標的被検体が、タンパク質又はペプチドである、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記標的被検体が、ウイルスタンパク質又はペプチドである、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記標的被検体が、コロナウイルスのヌクレオカプシド(N)タンパク質である、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記標的被検体が、コロナウイルスのNタンパク質のエピトープである、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記標的被検体が、SARS-CoV-2又はその変異体のNタンパク質である、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記標的被検体が、SARS-CoV-2又はその変異体のNタンパク質のエピトープである、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムが、前記生体試料中の2種以上の標的被検体を検出する、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムが、前記生体試料中の2種以上のウイルス種を検出する、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記標的被検体が、サイトカインである、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記標的被検体が、インターロイキン又はインターフェロンである、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記標的被検体が、ホルモンである、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記標的被検体が、低分子である、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記システムが、約1ng/mL以下の検出限界(LOD)を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムが、約500pg/mL以下のLODを有する、請求項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記システムが、約100pg/mL以下のLODを有する、請求項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記システムが、約100標的被検体/mL以下のLODを有する、請求項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記システムが、約20標的被検体/mL以下、約10標的被検体/mL以下、又は約5標的被検体/mL以下から選択されるLODを有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記標的被検体が、ウイルス体である、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記ウイルスが、SARS-CoV-2又はその変異体である、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記システムが、約10000 TCID50/mL以下のLODを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記システムが、約100 TCID50/mL以下、約50 TCID50/mL以下、約10 TCID50/mL以下、又は約5 TCID50/mL以下のLODを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記捕捉剤及び前記検出剤が、アプタマー、抗体、タンパク質又はその組み合わせから構成される群から選択される、請求項1~24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記検出剤が、酵素で標識されている、請求項1~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記酵素が、オキシドレダクターゼである、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記酵素が、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、ヒドロゲナーゼ、カタラーゼ、デヒドロゲナーゼ又はホスファターゼから構成される群から選択される、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記酵素が、アルカリホスファターゼであり、前記添加される基質が、ジエタノールアミン(DEA)、1-アミノ-2-プロパノール、N-メチル-D-グルカミン又はトリス緩衝液を溶媒とするピリドキサール-5’-リン酸(PLP)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルリン酸、L-アスコルビン酸-2-リン酸、アセトアミノフェンリン酸、4-アセトアミドフェニルリン酸、4-アミノフェニルリン酸から構成される群から選択される、請求項25に記載のシステム。
【請求項30】
前記酵素が、グルコースオキシダーゼであり、前記添加される基質が、グルコースである、請求項25に記載のシステム。
【請求項31】
前記捕捉剤が、固相又は多孔質担体に固定化されており、試験サイトを提供する、請求項1~30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記捕捉剤が、第1の結合剤により固相担体に固定化されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記捕捉剤が、第2の結合剤に結合されており、前記第2の結合剤が、前記第1の結合剤と結合する、請求項31~32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記第1の結合剤が、1種以上の他の第1の結合剤と架橋されている、請求項31~34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記捕捉剤が、1種以上の他の捕捉剤と架橋されている、請求項31~34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
前記第1の結合剤が、ストレプトアビジン、金、銀、マレイミド、アクリレート、アミン、カルボン酸、ビニルスルホン、チオール、シラン及びエポキシドから構成される群から選択される、請求項32~35のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項37】
前記固相担体が、更に対照サイトを含む、請求項31~36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
前記少なくとも1種の捕捉剤と前記少なくとも1種の検出剤の少なくとも1種が、使用者により前記システムに添加される、請求項1~30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項39】
前記アッセイが、カセット内に収納されている、請求項1~38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項40】
前記捕捉剤及び検出剤が、前記タンパク質に対して約10
-10Kd以下のKdを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項41】
前記タンパク質の前記捕捉剤及び前記検出剤が、前記タンパク質に対して約10
-8Kd以下のKdを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項42】
前記捕捉剤及び前記検出剤が、前記タンパク質に対して約10
-6以下のKdを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項43】
前記システムが、少なくとも約90%以上の正確度を可能にする、請求項1~42のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項44】
前記システムが、少なくとも約98%以上の正確度を可能にする、請求項1~42のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項45】
前記システムが、電気化学的シグナルを連続的に発生する、請求項1~43のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項46】
前記電気化学的シグナルが、不連続的に収集される、請求項1~45のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項47】
前記電気化学的シグナルが、待機時間により隔てられたインターバルで収集される、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記アッセイが、ラテラルフローアッセイである、請求項1~47のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項49】
前記アッセイが、バーティカルフローアッセイである、請求項1~46のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項50】
前記システムが、自己監視システムである、請求項1~49のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項51】
前記検出が、定量的である、請求項1~50のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項52】
試料中の少なくとも1種の標的被検体を検出するためのアッセイであり、少なくとも1種の捕捉剤と少なくとも1種の検出剤を含み、前記検出剤が、酵素ラベルで標識されており、前記捕捉剤及び検出剤が、前記少なくとも1種の標的被検体と添加される基質の存在下で検出可能な複合体を形成する、前記アッセイ。
【請求項53】
前記検出可能な複合体が、約30分以内に検出される、請求項52に記載のアッセイ。
【請求項54】
前記検出可能な複合体が、約10分以下、約5分以下、約2分以下又は約1分以下から選択される時間枠内で検出される、請求項52~53のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項55】
前記標的被検体が、タンパク質又はペプチドである、請求項52~54のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項56】
前記標的被検体が、ウイルスタンパク質又はペプチドである、請求項52~54のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項57】
前記標的被検体が、コロナウイルスのヌクレオカプシド(N)タンパク質である、請求項52~54のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項58】
前記標的被検体が、コロナウイルスのNタンパク質のエピトープである、請求項52~54のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項59】
前記標的被検体が、SARS-CoV-2又はその変異体のNタンパク質である、請求項52~54のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項60】
前記標的被検体が、SARS-CoV-2又はその変異体のNタンパク質のエピトープである、請求項52~54のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項61】
前記システムが、前記生体試料中の2種以上のウイルス種を検出する、請求項52~54のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項62】
標的被検体が、サイトカインである、請求項52~54のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項63】
前記標的被検体が、インターロイキン又はインターフェロンである、請求項52~54のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項64】
前記標的被検体がホルモンである、請求項52~54のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項65】
前記標的被検体が、低分子である、請求項52~54のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項66】
前記アッセイが、約1ng/mL以下の検出限界(LOD)を有する、請求項52~65のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項67】
前記アッセイが、約500pg/mL以下のLODを有する、請求項52~65のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項68】
前記アッセイが、約100pg/mL以下のLODを有する、請求項52~65のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項69】
前記アッセイが、約100標的被検体/mL以下のLODを有する、請求項52~65のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項70】
前記アッセイが、20標的被検体/mL以下、10標的被検体/mL以下、又は5標的被検体/mL以下から選択されるLODを有する、請求項52~65のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項71】
前記標的被検体が、ウイルス体である、請求項52~54のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項72】
前記ウイルスが、SARS-CoV-2又はその変異体である、請求項52~54のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項73】
前記アッセイが、約10000 TCID50/mL以下のLODを有する、請求項52~54のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項74】
前記アッセイが、約100 TCID50/mL以下、約75 TCID50/mL以下、約50 TCID50/mL以下、約25 TCID50/mL以下、約10 TCID50/mL以下又は約5 TCID50/mL以下のLODを有する、請求項52~54のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項75】
前記捕捉剤及び前記検出剤が、アプタマー、抗体、タンパク質又はその組み合わせから構成される群から選択される、請求項52~74のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項76】
前記検出剤が、酵素で標識されている、請求項52~75のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項77】
前記酵素が、オキシドレダクターゼである、請求項76に記載のアッセイ。
【請求項78】
前記酵素が、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、ヒドロゲナーゼ、カタラーゼ、デヒドロゲナーゼ又はホスファターゼから構成される群から選択される、請求項77に記載のアッセイ。
【請求項79】
前記酵素が、アルカリホスファターゼであり、前記添加される基質が、ジエタノールアミン(DEA)、1-アミノ-2-プロパノール、N-メチル-D-グルカミン又はトリス緩衝液を溶媒とするピリドキサール-5’-リン酸(PLP)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルリン酸、L-アスコルビン酸-2-リン酸、アセトアミノフェンリン酸、4-アセトアミドフェニルリン酸、4-アミノフェニルリン酸である、請求項76に記載のアッセイ。
【請求項80】
前記酵素が、グルコースオキシダーゼであり、前記添加される基質が、グルコースである、請求項76に記載のアッセイ。
【請求項81】
前記捕捉剤が、固相又は多孔質担体に固定化されており、試験サイトを提供する、請求項52~80のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項82】
前記捕捉剤が、第1の結合剤により固相又は多孔質担体に固定化されている、請求項81に記載のアッセイ。
【請求項83】
前記捕捉剤が、第2の結合剤に結合されており、前記第2の結合剤が、前記第1の結合剤と結合する、請求項82に記載のアッセイ。
【請求項84】
前記第1の結合剤が、1種以上の他の第1の結合剤と架橋されている、請求項82~83のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項85】
前記捕捉剤が、1種以上の他の捕捉剤と架橋されている、請求項81~84のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項86】
前記第1の結合剤が、ストレプトアビジン、金、銀、マレイミド、アクリレート、アミン、カルボン酸、ビニルスルホン、チオール、シラン及びエポキシドから構成される群から選択される、請求項83に記載のアッセイ。
【請求項87】
前記固相担体が、更に対照サイトを含む、請求項82~86のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項88】
前記少なくとも1種の捕捉剤と前記少なくとも1種の検出剤が、使用者により前記システムに添加される、請求項52~80のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項89】
前記アッセイが、カセット内に収納されている、請求項52~88のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項90】
前記捕捉剤及び検出剤が、前記タンパク質に対して約10
-10以下のKdを有する、請求項52~89のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項91】
前記捕捉剤及び前記検出剤が、前記タンパク質に対して約10
-8Kd以下のKdを有する、請求項52~89のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項92】
前記捕捉剤及び前記検出剤が、前記タンパク質に対して約10
-6Kd以下のKdを有する、請求項52~89のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項93】
前記アッセイが、少なくとも約90%以上の正確度を可能にする、請求項52~92のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項94】
前記アッセイが、少なくとも約98%以上の正確度を可能にする、請求項52~92のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項95】
前記アッセイが、ラテラルフローアッセイである、請求項52~92のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項96】
前記アッセイが、バーティカルフローアッセイである、請求項52~92のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項97】
前記検出が、検出デバイスを必要としない、請求項52~92のいずれか一項に記載のアッセイ。
【請求項98】
試料中の少なくとも1種の標的被検体の検出方法であって、(i)前記試料を準備する工程と、(ii)任意に、前記試料を処理する工程と、(iii)前記試料を請求項1~51のいずれか一項に記載のシステム又は請求項52~97のいずれか一項に記載のアッセイに添加する工程と、(iv)前記少なくとも1種の標的被検体が存在する場合には、前記標的被検体を検出する工程を含む、前記方法。
【請求項99】
更に、精査と任意に後続処置のために結果を第三者に送信する工程を含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記後続処置が、疾患状態又は健康状態を診断する工程を含む、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
前記後続処置が、疾患状態を診断する工程と、任意に、少なくとも1種の治療剤を投与する工程を含む、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記後続処置が、疾患状態を診断する工程と、任意に、少なくとも1種の治療剤の投与を中断するか又は前記少なくとも1種の治療剤の用量を調節する工程を含む、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
(ii)における処理が、前記試料を希釈する工程を含む、請求項98~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
(ii)における処理が、(iii)で前記捕捉剤、前記検出剤若しくは前記第2の結合剤又は前記基質の1種以上を前記システム又はアッセイに添加する前に前記試料に添加する工程を含む、請求項93~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
請求項1~51のいずれか一項に記載のシステムの1種以上のコンポーネントと、任意に使用説明書を含む、キット。
【請求項106】
請求項52~97のいずれか一項に記載のアッセイのコンポーネントの1種以上と、任意に使用説明書を含む、キット。
【請求項107】
イムノアッセイの結果の読み出しに使用するように構成されたグルコメーター又はクロノアンペロメーター。
【請求項108】
前記クロノアンペロメーターが、改変クロノアンペロメトリー法を利用する、請求項107に記載のクロノアンペロメーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月13日出願の米国仮出願第63/137,085号、2021年2月18日出願の米国仮出願第63/150,990号、2021年3月4日出願の米国仮出願第63/156,663号、2021年3月4日出願の米国仮出願第63/156,666号、2021年4月2日出願の米国仮出願第63/170,426号、2021年6月9日出願の米国仮出願第63/208,694号、2021年7月13日出願の米国仮出願第63/221,375号、2021年10月25日出願の米国仮出願第63/271,544号、2021年10月26日出願の米国仮出願第63/272,065号の優先権を主張する。上記文献の内容は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
本願では、試料(例えば、生体試料又は環境試料)中に存在する1種以上の標的被検体を検出・監視するためのシステム、アッセイ及び方法を開示する。本願に開示する方法は、検出方法、試料調製方法、治療方法及び遠隔医療サービス方法も含む。これらの方法を実施するためのキットと試薬も提供する。
【背景技術】
【0003】
疾患若しくは傷害の進行を診断若しくは追跡するため、又は健康を監視するために、生体試料中の被検体(例えば、感染因子)を定量的に検出するためのアッセイが医療で日常的に使用されている。歴史的に、これらのアッセイは医療施設又は検査施設で実施されている。同様に、運輸業や農業等の産業には環境試料中の被検体を検出するためのアッセイも重要であり、一般的に検査施設で実施されている。いずれの場合も、このようなアッセイは、一般的に複数の工程と専門家の分析が必要である。
【0004】
このような試験の量と数値を改善する必要性が残されている。特に、このようなアッセイを非臨床環境(例えば、家庭、職場又は野外)で非専門家により簡単且つ経済的に実施する必要性が残されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願では、試料中の少なくとも1種の標的被検体を検出するためのシステム、アッセイ(バイオセンサー)及び方法を開示する。本願に開示するシステム、アッセイ及び方法は迅速であり、非専門家等の比較的経験の浅い使用者が実施した場合でも信頼できる結果が得られるという利点がある。所定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び方法は、少量の試料量を使用して低濃度の少なくとも1種の標的被検体を検出するために使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、システムに添加された試料(例えば、生体試料又は環境試料)中の少なくとも1種の標的被検体を検出するためのシステムが提供され、前記システムは、(i)前記少なくとも1種の標的被検体が存在する場合には、基質(例えば、使用者により添加される基質)の存在下で前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な少なくとも1種の捕捉剤及び少なくとも1種の検出剤を含むアッセイと、(ii)前記検出可能な複合体を検出するための検出デバイスを含み、前記検出デバイスは、少なくとも1個の電極を含む酵素ベースのアンペロメトリックセンサーを含み、前記検出可能な複合体は、前記少なくとも1個の電極の上方に形成されるか、又は少なくとも1個の電極の上方に配置されるように前記システム内を移動する。
【0007】
前記システムにより結果が提供されるまでの時間は、多種多様である。一実施形態において、前記検出可能な複合体は、約30分以内、約10分以内、約5分以内、約2分以内又は約1分以内に検出される。特定の実施形態において、結果が提供されるまでの時間は、1分未満であり、又はより特定的には、約30秒、約20秒、約10秒又は約1秒である。
【0008】
前記システムにより検出される標的被検体は、多種多様とすることができる。一実施形態において、前記標的被検体は、微生物(例えば、ウイルス、細菌、原生動物、真菌又はプリオン)、タンパク質、ペプチド、サイトカイン、ホルモン、ステロイド、補因子、低分子(例えば、治療薬又は乱用薬物)、ビタミン等から選択される。
【0009】
一実施形態において、前記システムにより検出される標的被検体は、ウイルスタンパク質である。
【0010】
特定の実施形態において、前記システムにより検出される標的被検体は、SARS-CoV-2又はその変異体等のコロナウイルスのヌクレオカプシド(N)タンパク質である。
【0011】
特定の実施形態において、前記標的被検体は、SARS-CoV-2又はその変異体等のコロナウイルスのスパイク(S)タンパク質である。
【0012】
所定の実施形態において、前記システムは、生体試料中の2種以上の標的被検体(例えば、2種以上のウイルス種)を検出する。ある種の実施形態において、前記1種以上のウイルス種は、近縁である。所定の実施形態において、前記システムは、SARS-CoV-dとインフルエンザを検出する。
【0013】
前記システムの検出限界(LOD)は、多種多様とすることができる。一実施形態において、前記システムは、約1mg/mL以下、約1ng/mL以下、約1pg/mL以下又は約1fg/mL以下のLODを有する。
【0014】
特定の実施形態において、前記標的被検体は、タンパク質又はペプチドであり、前記システムは、約500pg/mL以下、より特定的には、約200pg/mL以下、約150pg/mL以下、約100pg/mL以下、約75pg/mL以下、約50pg/mL以下、約25pg/mL以下、約10pg/mL以下、約5pg/mL以下又は約1pg/mL以下のLODを有する。
【0015】
一実施形態において、前記標的被検体は、コロナウイルス体等のウイルス体(whole virus)である。特定の実施形態において、前記ウイルス体は、SARS-CoV-2又はその変異体である。
【0016】
一実施形態において、前記標的被検体は、ウイルス体であり、約10000 TCID50/mL以下、約5000 TCID50/mL以下、約1000 TCID50/mL以下、約100 TCID50/mL以下、約50 TCID50/mL以下、約25 TCID50/mL以下、約10 TCID50/mL以下、又は約5 TCID50/mL以下のLODを有する。
【0017】
前記捕捉剤及び検出剤は、多種多様とすることができる。所定の実施形態において、前記捕捉剤及び前記検出剤は、アプタマー、抗体及びタンパク質又はその組み合わせから選択される結合剤である。
【0018】
前記検出剤は、酵素で標識することができる。オキシドレダクターゼ酵素等の任意の適切な酵素ラベルを使用することができる。一実施形態において、前記酵素は、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、ヒドロゲナーゼ、カタラーゼ、デヒドロゲナーゼ又はホスファターゼから構成される群から選択される。
【0019】
特定の実施形態において、前記酵素ラベルは、アルカリホスファターゼであり、前記添加される基質は、ジエタノールアミン(DEA)、1-アミノ-2-プロパノール、N-メチル-D-グルカミン又はトリス緩衝液を溶媒とするピリドキサール-5’-リン酸(PLP)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルリン酸、L-アスコルビン酸-2-リン酸、アセトアミノフェンリン酸、4-アセトアミドフェニルリン酸、又は4-アミノフェニルリン酸から構成される群から選択される。
【0020】
別の特定の実施形態において、前記酵素ラベルは、グルコースホスファターゼであり、前記添加される基質は、グルコースである。
【0021】
所定の実施形態において、前記システムは、更にレポーター剤を含む。前記レポーター剤は、多種多様とすることができ、例えば、アプタマー又は抗体から選択することができる。この実施形態によると、前記レポーター剤は、前記検出剤と結合する。前記検出剤と前記レポーター剤の両方を例えば異なる酵素ラベルで標識し、デュアル検出システムを提供してもよい。
【0022】
所定の実施形態において、前記捕捉剤は、溶液中に存在し、任意に少なくとも1種の標的被検体と結合する前に使用者により添加される。
【0023】
代替実施形態において、前記捕捉剤は、試験サイトを提供するように、固相又は多孔質担体に直接又は第1の結合剤を介して固定化されている。後者実施形態によると、前記捕捉剤は、第2の結合剤と結合されており、前記第2の結合剤は、前記第1の結合剤と結合する。
【0024】
一実施形態において、前記第1の結合剤は、ストレプトアビジン、金、銀、マレイミド、アクリレート、アミン、カルボン酸、ビニルスルホン、チオール、シラン及びエポキシドから構成される群から選択される。
【0025】
特定の実施形態において、前記第1の結合剤は、ストレプトアビジンであり、前記第2の結合剤は、ビオチンである。
【0026】
前記アッセイ内の前記結合剤は、1種以上の他の結合剤と架橋させてもよい。一実施形態において、前記第1の結合剤は、1種以上の他の第1の結合剤と架橋されている。別の実施形態において、前記捕捉剤は、1種以上の他の捕捉剤と架橋されている。
【0027】
一実施形態において、前記検出剤は、任意に前記捕捉剤と共に、使用者により前記システムに添加される。
【0028】
前記固相又は多孔質担体は、ビーズ、膜(例えば、ニトロセルロース膜)又は膜に固定化されたビーズ等の任意の適切なこのような担体とすることができる。
【0029】
所定の実施形態において、前記アッセイは、使い捨てカセット等のカセット内に収納されている。
【0030】
前記標的被検体がタンパク質である実施形態において、前記タンパク質に対する前記捕捉剤及び前記検出剤の親和性は、多種多様とすることができる。一実施形態において、前記捕捉剤及び前記検出剤は、前記タンパク質に対するKdが約10-10以上、約10-8Kd以上又は約10-6Kd以上である。
【0031】
前記システムの正確度は、多種多様とすることができる。請求項1~42に記載のシステムにおいて、前記システムは、少なくとも約90%以上の正確度、約93%以上の正確度、約95%以上の正確度、約95%以上の正確度、約98%以上の正確度、又は約99%以上の正確度を可能にする。
【0032】
所定の実施形態において、前記システムは、電気化学的シグナルを連続的に発生する。一実施形態において、前記電気化学的シグナルは、不連続的に収集され、例えば、前記電気化学的シグナルは、待機時間により隔てられたインターバルで収集される。
【0033】
前記システムでは、競合アッセイフォーマット又は非競合アッセイフォーマットを含む任意の適切なアッセイフォーマットを利用することができる。一実施形態において、前記システムは、ラテラルフローアッセイを含む。他の実施形態において、前記システムは、バーティカルフローアッセイを含む。前記バーティカルフローアッセイは、2層以上を有することができ、例えば、多層バーティカルフローアッセイとすることができる。
【0034】
ある種の実施形態において、本願に記載するシステムは、臨床施設外で使用するように意図され、例えば、家庭用又は職場用システムである。ある種の実施形態において、前記システムは、経時監視も含めて個人による自己監視用に意図されている。
【0035】
前記システムは、定性的、半定量的又は定量的検出を可能にすることができる。
【0036】
代替実施形態において、前記システムは、光学システムであり、前記検出デバイスは、光学リーダーである。
【0037】
特定の実施形態において、前記試料は、2個体以上の対象から取得される。
【0038】
第2の態様では、少なくとも1種の捕捉剤と少なくとも1種の検出剤を含むアッセイが開示され、前記検出剤は、酵素ラベルで標識されており、前記捕捉剤及び検出剤は、少なくとも1種の標的被検体と添加される基質の存在下で検出可能な複合体を形成する。
【0039】
前記アッセイは、電気化学的又は光学的(例えば、蛍光又は比色)アッセイとすることができる。
【0040】
一実施形態において、前記検出は、検出デバイスを必要としない。別の実施形態において、前記検出可能な複合体は、例えば、グルコメーター、クロノアンペロメーター、又はモバイルフォン等の検出デバイスにより検出される。
【0041】
前記アッセイにより結果が提供されるまでの時間は、多種多様とすることができる。一実施形態では、約30分以内、約10分以内、約5分以内、約2分以内又は約1分以内に検出される。特定の実施形態において、結果が提供されるまでの時間は、1分未満であり、又はより特定的には、約30秒、約20秒、約10秒又は約1秒である。
【0042】
前記アッセイにより検出される標的被検体は、多種多様とすることができる。一実施形態において、前記標的被検体は、微生物(例えば、ウイルス又は細菌)、タンパク質、ペプチド、ホルモン、ステロイド、サイトカイン、低分子、補因子、ビタミン等である。
【0043】
一実施形態において、前記アッセイにより検出される標的被検体は、ウイルスタンパク質又はペプチド等のタンパク質又はペプチドである。
【0044】
特定の実施形態において、前記アッセイにより検出される標的被検体は、コロナウイルスのスパイク(S)タンパク質又はヌクレオカプシド(N)タンパク質である。前記コロナウイルスは、例えば、SARS-CoV-2又はその変異体とすることができる。
【0045】
所定の実施形態において、前記アッセイは、2種以上の標的被検体を逐次又は同時に検出することができる。例えば、前記アッセイは、2種の異なるウイルス種を検出することができる。
【0046】
前記アッセイの検出限界(LOD)は、多種多様とすることができる。一実施形態において、前記アッセイは、約1mg/mL以下、約1ng/mL以下、約1pg/mL以下、又は約1fg/mL以下のLODを有する。
【0047】
特定の実施形態において、前記標的被検体は、タンパク質であり、前記アッセイは、約1ng/mL以下、約500pg/mL以下、より特定的には、約200pg/mL以下、約150pg/mL以下、100pg/mL以下、約75pg/mL以下、約50pg/mL以下、約25pg/mL以下、約10pg/mL以下、約5pg/mL以下又は約1pg/mL以下のLODを有する。
【0048】
前記アッセイが検出することができる標的被検体数は、多種多様とすることができる。一実施形態において、前記アッセイは、約100標的被検体/mL以下、約50標的被検体/mL以下、約20標的被検体/mL以下、約10標的被検体/mL以下、又は約5標的被検体/mL以下のLODを有する。
【0049】
所定の実施形態において、前記標的被検体は、コロナウイルス体等のウイルス体であり、又はより特定的には、SARS-CoV-2又はその変異体である。
【0050】
一実施形態において、前記標的被検体は、ウイルス体であり、前記アッセイは、約10000 TCID50/mL以下、約100 TCID50/mL以下、約50 TCID50/mL以下、約10 TCID50/mL以下又は約5 TCID50/mL以下のLODを有する。
【0051】
前記アッセイで使用される捕捉剤及び検出剤は、多種多様とすることができる。一実施形態において、前記捕捉剤及び前記検出剤は、アプタマー、抗体及びタンパク質から構成される群から選択される結合剤である。
【0052】
前記検出剤は、例えば、酵素ラベルで標識することができる。前記酵素は、多種多様とすることができる。一実施形態において、前記酵素は、オキシドレダクターゼである。特定の実施形態において、前記酵素は、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、ヒドロゲナーゼ、カタラーゼ、デヒドロゲナーゼ又はホスファターゼから構成される群から選択される。
【0053】
一実施形態において、前記酵素は、アルカリホスファターゼであり、前記添加される基質は、ジエタノールアミン(DEA)、1-アミノ-2-プロパノール、N-メチル-D-グルカミン又はトリス緩衝液を溶媒とするピリドキサール-5’-リン酸(PLP)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルリン酸、L-アスコルビン酸-2-リン酸、アセトアミノフェンリン酸、4-アセトアミドフェニルリン酸、又は4-アミノフェニルリン酸から構成される群から選択される。
【0054】
別の実施形態において、前記酵素は、グルコースホスファターゼであり、前記添加される基質は、グルコースである。
【0055】
所定の実施形態において、前記アッセイは、更にレポーター剤を含む。前記レポーター剤は、多種多様とすることができ、例えば、アプタマー又は抗体から選択することができる。この実施形態によると、前記レポーター剤は、前記検出剤と結合する。前記検出剤と前記レポーター剤の両方を例えば異なる酵素ラベルで標識し、デュアル検出システムを提供してもよい。
【0056】
一実施形態において、前記捕捉剤は、試験サイトを提供するように、固相又は多孔質担体に固定化されている。
【0057】
特定の実施形態において、前記捕捉剤は、第1の結合剤により固相担体に固相化されている。この実施形態によると、前記捕捉剤は、第2の結合剤と結合されており、前記第2の結合剤は、前記第1の結合剤と結合する。前記第1の結合剤は、多種多様とすることができる。
【0058】
一実施形態において、前記第1の結合剤は、ストレプトアビジン、金、銀、マレイミド、アクリレート、アミン、カルボン酸、ビニルスルホン、チオール、シラン及びエポキシドから構成される群から選択される。
【0059】
特定の実施形態において、前記第1の結合剤は、ストレプトアビジンであり、前記第2の結合剤は、ビオチンである。
【0060】
前記アッセイに関連する結合剤は、架橋させてもよい。一実施形態において、前記第1の結合剤は、1種以上の他の第1の結合剤と架橋されている。別の実施形態において、前記捕捉剤は、1種以上の他の捕捉剤と架橋されている。
【0061】
前記固相又は多孔質担体は、ビーズ、膜(例えば、ニトロセルロース膜)又は膜に固定化されたビーズ等の任意の適切なこのような担体とすることができる。
【0062】
前記固相又は多孔質担体は、任意に対照サイトを含むことができる。
【0063】
前記アッセイは、任意に使い捨てカセット等のカセット内に収納することができる。
【0064】
前記標的被検体がタンパク質又はペプチドである実施形態において、前記タンパク質又はペプチドに対する前記捕捉剤及び検出剤の親和性は、多種多様とすることができる。所定の実施形態において、前記捕捉剤及び前記検出剤は、前記タンパク質又はペプチドに対するKdが約10-10Kd以下、約10-8Kd以下又は約10-6Kd以下である。
【0065】
前記アッセイの正確度は、多種多様とすることができる。一実施形態において、前記アッセイの正確度は、少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%以上である。
【0066】
前記アッセイのフォーマットは、多種多様とすることができる。前記アッセイは、競合アッセイでもよいし、非競合アッセイでもよい。前記アッセイは、ラテラルフローアッセイでもよいし、バーティカルフローアッセイでもよい。前記アッセイがバーティカルフローアッセイである実施形態において、前記アッセイは、1層以上を含むことができる。
【0067】
第3の態様では、試料(例えば、生体試料又は環境試料)中の少なくとも1種の標的被検体の検出方法として、(i)試料を準備する工程と、(ii)任意に、前記試料を処理する工程と、(iii)本願に開示するシステム又はアッセイに前記試料を添加する工程と、(iv)前記少なくとも1種の標的被検体が存在する場合には、前記標的被検体を検出する工程を含む方法が提供される。
【0068】
前記方法は、任意に、精査と任意に後続処置のために結果を第三者に送信する工程を含む。
【0069】
一実施形態において、前記後続処置は、疾患状態又は健康状態の存在を診断する工程を含む。特定の実施形態では、結果を疾患状態(例えば、感染症)又は健康状態に対して校正することができる。前記疾患は、ウイルス感染症又は細菌感染症とすることができる。臨床所見は、例えば、上気道感染症、下気道感染症、肝炎、髄膜炎、脳炎、及び/若しくは髄膜脳炎、結膜炎、角膜炎、角結膜炎、発疹又は生殖器病変とすることができる。
【0070】
一実施形態において、前記後続処置は、医薬品等の治療剤を使用者に投与する結果を監視する工程を含む。この実施形態によると、前記使用者は、患者又は臨床試験被験者である。
【0071】
一実施形態において、前記処置は、治療剤を前記使用者に投与する工程又は投与を中断する工程を含む。
【0072】
特定の実施形態において、前記後続処置は、前記使用者に過去に投与された治療剤の用量を(増量又は減量)調節し、新規投与用量を提供する工程を含むことができる。
【0073】
別の特定の実施形態において、前記後続処置は、前記使用者に別の(例えば、第2の)治療剤を投与する工程を含むことができる。
【0074】
一実施形態において、承認済みの前記治療剤は、低分子薬又は生物学的製剤(例えば、モノクローナル抗体、治療用ワクチン又は抗がん剤)である。
【0075】
特定の実施形態において、承認済みの前記治療剤は、低分子抗ウイルス剤である。抗ウイルス剤の非限定的な代表例としては、吸着阻害剤、侵入阻害剤、脱殻阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、ヌクレオシド及びヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、並びにインテグラーゼ阻害剤が挙げられる。
【0076】
特定の実施形態において、前記抗ウイルス剤は、アシクロビル、ガンシクロビル、ホスカルネット、リバビリン、アマンタジン、アジドデオキシチミジン(ジドブジン)、ネビラピン、テトラヒドロイミダゾベンゾジアゼピノン(TIBO)化合物、エファビレンツ、レムデシビル、デラビルジン、モルヌピラビル、ニルマトレルビル及びブースト剤としてのリトナビルとニルマトレルビルの併用から選択される。
【0077】
一実施形態において、前記低分子抗ウイルス剤は、レムデシビル(1日目に負荷投与量200mgを投与後、維持投与量100mgを10日間まで毎日投与)である。
【0078】
一実施形態において、承認済みの前記治療剤は、生物学的抗ウイルス剤である。生物学的抗ウイルス剤の非限定的な代表例としては、モノクローナル抗体(mAb)、核酸治療薬(例えば、RNAi、アンチセンス、DNAワクチン、マイクロRNA、shRNA又はアプタマー)が挙げられる。
【0079】
一実施形態において、前記治療剤は、ウイルス粒子遮断薬である。
【0080】
一実施形態において、前記モノクローナル抗体抗ウイルス剤は、ソトロビマブ(例えば、500ミリグラムを単回静脈内投与)、バムラニビマブ(700mgを単回IV輸液)、エテセビマブ・バムラニビマブ合剤(エテセビマブ1400mgとバムラニビマブ700mgを単回IV輸液)、又はカシリビマブ・イムデビマブ合剤(カシリビマブ1,200mgとイムデビマブ1,200mgを単回IV輸液)から選択される。
【0081】
特定の実施形態において、前記治療剤は、抗細菌薬である。抗細菌薬の非限定的な代表例としては、ペニシリン系、セファロスポリン系、フルオロキノロン系、アミノグリコシド系、モノバクタム系、カルバペネム系及びマクロライド系が挙げられる。
【0082】
一実施形態において、前記治療剤は、オキシシリン、ドキシサイクリン、デメクロサイクリン、エラバサイクリン、ミノサイクリン、オマダサイクリン、テトラサイクリン、セファレキシン、セフォタキシム、セフタジジム、セフロキシム、セフタロリン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、メトロニダゾール、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、スルファメトキサゾール・トリメトプリム合剤、スルファサラジン、アモキシシリン・クラブラン酸合剤、バンコマイシン、ダルババンシン、オリタバンシン、テラバンシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、イミペネム・シラスタチン合剤、メロペネム、ドリペネム、及びエルタペネムから選択される。
【0083】
特定の実施形態において、前記治療剤は、抗真菌薬である。抗真菌薬の非限定的な代表例としては、アゾール系、ポリエン系及び5-フルオロシトシンが挙げられる。
【0084】
特定の実施形態において、前記治療剤は、抗炎症剤である。
【0085】
一実施形態において、前記抗炎症剤は、アスピリン、セレコキシブ、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ナブメトン、ナプロキセン、ニンテダニブ、オキサプロジン、ピルフェニドン、ピロキシカム、サルサラート、スリンダク、トルメチン、及びその組み合わせから選択される。
【0086】
特定の実施形態において、前記治療剤は、抗がん剤である。
【0087】
一実施形態において、前記抗がん剤は、アルキル化剤(又はアルキル化類似剤)、代謝拮抗薬、抗腫瘍性抗生物質、植物アルカロイド、ホルモン剤、トポイソメラーゼ阻害剤等から選択される。
【0088】
(ii)における処理は、多種多様とすることができ、例えば、前記試料を希釈する工程や、1種以上の結合剤等の1種以上の成分を前記アッセイに添加する工程が挙げられる。所定の実施形態では、前記捕捉剤、検出剤及びレポーター剤の1種以上を前記システム又はアッセイに添加する。
【0089】
第4の態様では、本願に開示するシステム又はアッセイのコンポーネントの1種以上と、任意に使用説明書を含むキットが開示される。
【0090】
第5の態様では、イムノアッセイの結果の読み出しに構成されたグルコメーター又はクロノアンペロメーターが開示される。
【0091】
所定の実施形態において、前記クロノアンペロメーターは、改変クロノアンペロメトリー法(例えば、電圧印加時間及び周期を変動させる技術)を利用し、任意に酵素機能に不可欠な化合物又は対イオン(例えば、MgCl2)の滴定と併用する。この実施形態によると、改変クロノアンペロメトリーは、シグナル(電流、電荷)の収集、シグナルの増強、シグナル対ノイズの改善、感度(例えば、検出限界)の改善、シグナル発生までの時間の短縮、複数の作用極での多重化、及び/又はバックグラウンドの低減の1種以上を可能にする。変数としては、限定されないが、電位増強、測定前の遅延、測定時間、開路時間、サイクル数、測定サンプリングレート等が挙げられる。
【0092】
所定の実施形態において、前記方法は、定電位クロノアンペロメトリーを利用しない。別の実施形態において、前記方法は、遅延型クロノアンペロメトリーを利用しない。
【0093】
本願に開示するシステム、アッセイ及び方法は、前記試料中に低濃度で存在する標的被検体の検出を可能にするという利点がある。
【0094】
特定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び方法は、前記試料中の低濃度の標的タンパク質又はペプチド(例えば、SARS-CoV-2若しくは「オミクロン」変異体等のその変異体等のコロナウイルスのNタンパク質等のウイルスタンパク質又はペプチド)の検出を可能にする。
【0095】
特定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び/又は方法は、約100fg/mL以下、より特定的には、約90fg/mL以下、約80fg/mL以下、約70fg/mL以下、約60fg/mL以下、約50fg/mL以下、約40fg/mL以下、約30fg/mL以下、約20fg/mL以下、約10fg/mL以下、約5fg/mL以下又は約1fg/mL以下のLODで標的ウイルス(例えば、SARS-CoV-2又はその変異体等のコロナウイルス)の検出を可能にする。
【0096】
特定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び/又は方法は、約25fg/mL以下のLODで標的ウイルス(例えば、SARS-CoV-2又はその変異体等のコロナウイルス)の検出を可能にする。
【0097】
特定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び/又は方法は、約1012 TCID50/mL以下、より特定的には、約1011 TCID50/mL以下、約1010 TCID50/mL以下、約109 TCID50/mL以下、約108 TCID50/mL以下、約107 TCID50/mL以下、約106 TCID50/mL以下、約105 TCID50/mL以下、約104 TCID50/mL以下、約5000 TCID50/mL以下、約2000 TCID50/mL以下、約200 TCID50/mL以下、約100 TCID50/mL以下、約50 TCID50/mL以下、又は約25 TCID50/mL以下のLODで標的ウイルスの検出を可能にする。
【0098】
別の特定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び/又は方法は、約1012pfu/mL以下、より特定的には、約1011pfu/mL以下、約1010pfu/mL以下、約109pfu/mL以下、約108pfu/mL以下、約107pfu/mL以下、約106pfu/mL以下、約105pfu/mL以下、約104pfu/mL以下、約5000pfu/mL以下、約2000pfu/mL以下、約200pfu/mL以下、約100pfu/mL以下、約50pfu/mL以下、又は約25pfu/mL以下のLODで標的ウイルスの検出を可能にする。
【0099】
別の特定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び/又は方法は、約100標的被検体/mL未満、約80標的被検体/mL以下、約60標的被検体/mL以下、約40標的被検体/mL以下、約20標的被検体/mL以下、約10標的被検体/mL以下、又は約5標的被検体/mL以下又は約1標的被検体/mLのLODを可能にする。
【0100】
所定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び/又は方法は、標的被検体約1個/mL~約100,000個/mL以上のLODを可能にする。
【0101】
所定の実施形態において、前記システムは、1mL当たり被検体約1~約5個、約5~約10個、約10~約20個又は約20~約30個のLODを可能にする。
【0102】
所定の実施形態において、本願に開示するシステム及び方法は、パルス式検出を利用する。
【0103】
特定の実施形態において、(ii)における処理は、前記試料を液体媒体で希釈する工程を含む。
【0104】
所定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び方法は、高度の特異度と感度を可能にする。ある種の実施形態において、前記システム、アッセイ及び方法は、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の特異度を可能にする。ある種の実施形態において、前記システム、アッセイ及び方法は、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の感度を可能にする。
【0105】
所定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び方法は、少なくとも1種の標的被検体の定性的、半定量的又は定量的検出を可能にする。
【0106】
所定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び/又は方法は、複数の標的の同時又は逐次検出を可能にする。一実施形態において、前記システム、アッセイ及び/又は方法は、2種以上のウイルス種又は同一ウイルス種の2種以上の株の同時又は逐次検出を可能にする。
【0107】
一実施形態において、前記システム、アッセイ及び/又は方法は、コロナウイルス(例えば、SARs-CoV-2)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、インフルエンザウイルス及びパラインフルエンザウイルス(PIV)、並びにアデノウイルスから選択される呼吸器ウイルスの同時又は逐次検出を可能にする。
【0108】
所定の実施形態において、前記システム、アッセイ及び/又は方法は、ウイルスと細菌の同時又は逐次検出を可能にする。一実施形態において、前記ウイルスは、呼吸器ウイルスであり、前記細菌は、肺炎レンサ球菌(S.pneumoniae)、インフルエンザ菌(H.influenzae)、モラクセラ・カタラーリス(M.catarrhalis)及び黄色ブドウ球菌(S.aureus)から選択される。
【0109】
前記多重システム、アッセイ又は方法は、電気化学的又は光学的検出を含むことができる。
【0110】
所定の実施形態において、前記同時又は逐次検出は、定性的、半定量的又は定量的である。
【0111】
本明細書に収載する添付図面は、本明細書の一部を構成し、本開示の1種以上の実施形態を図解し、以下の詳細な説明及び実施例のセクションと併せて、本開示の原理と実施を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【
図1】化学物質が埋め込まれたストリップに試料を塗布して試料中の標的被検体を添加し、着目領域で結合させる方法の手順フローチャートの上面概略図を示す。参照番号により指示する通り、5は標的であり、10は試料パッドであり、20はコンジュゲートパッド領域であり、30は試料膜であり、40は試験パッド固定化領域であり、50は吸収パッド/ウィッキングパッドであり、46は検出可能な複合体又はサンドイッチである。
【
図2】電気化学的手段による標的被検体の定性的又は定量的検出方法の手順フローチャートの上面概略図を示す。PBは、プルシアンブルーである。
【
図3】プロトタイプストリップカートリッジの写真と、電気化学的リーダーと共に使用することができるプロトタイプストリップカートリッジデザインの概略図を示す。
【
図4】滞留時間を変えるために使用することができる材料と形状を示す。
【
図5】試料を調製するために使用することができる材料と混合オプションを示す。
【
図6】化学物質が埋め込まれたストリップに試料を塗布して試料中の標的被検体を添加し、着目領域で結合させる方法の手順フローチャートの上面概略図を示す。
【
図7】光学的手段による標的被検体の定性的又は定量的検出方法の手順フローチャートの上面概略図を示す。
【
図8】光学的検出に関連して陽性対照と陰性対照を含む代替物理的デザインの上面概略図を示す。
【
図9】グルコース添加と、場合により光学的検出を実施するために、フローの代わりにゲルを使用する例を示す。
【
図10】光学的手段とAb-GOxに固定させたHRPによる標的被検体の定性的又は定量的検出方法の手順フローチャートの上面概略図を示す。
【
図11】ラテラルフローデバイスと共に一般に使用されるコンポーネントを示す。
【
図13】3個の電極と、試薬添加チャネルと、添加した試料の混合チャネルを含むマイクロフルイデックストリップの上面図を示す。
【
図14】H1N1の電気化学的検出のプロトコルと一例を示す。
【
図15】2種の異なるSARS-CoV-2濃度の電気化学的検出のプロットを示す。3本の棒グラフは、fu/mLで表した数値として0、10
3及び10
5のウイルス濃度[ウイルス力価]を示す。
【
図16】他のウイルスに対するCoV-2ストリップの初期選択性データを示す。
【
図17】H1N1の比色検出のプロトコルと一例を示す。
【
図19】オステオポンチンの比色検出の一例を示す。
【
図20】オステオポンチンの比色検出の他の例を示す。
【
図21】電気化学的使い捨て試験プロトタイプの上面概略図を示す。
【
図22】光学的使い捨て試験プロトタイプの上面概略図を示す。
【
図23】別の光学的使い捨て試験プロトタイプの上面概略図を示す。
【
図26】APP/DEA緩衝液システム中0又は0.1ng/mlのALP活性の総インキュベーション時間に対する10秒の最終(終点)電流を示す。
【
図27】総計測時間と計測時間インターバル周期の関数としてnAで表した累積電流を示す。
【
図28】IL-6の検出用サンドイッチアッセイ構成を示す。
【
図29】10秒間の計測時間の前に5分間又は30秒間のインターバルインキュベーション周期を設けた標準クロノアンペロメトリー検出スキームと改変クロノアンペロメトリー検出スキームを示す。
【
図30】改変クロノアンペロメトリー検出における累積電流差をIL-6濃度の関数として示す。
【
図31】MgCl
2の濃度変化の関数としてAPP/DEA中10ng/ml ALPの電荷測定値の変化を示す。0.0ng/ml、0.1ng/ml及び2ng/mlのIL-6濃度を時間に対する電流のプロットに示す。
【
図32】5mM MgCl
2の存在下又は不在下におけるDEA又はEAE中10mM APPの時間に対する電流を示す。
【
図33】反復クロノアンペロメトリー検出のデータプロセシング方法と、10秒の終点電流を利用した結果を示す。
【
図34】反復クロノアンペロメトリー検出のデータプロセシング方法と、10秒の電荷を利用した結果を示す。
【
図35】反復クロノアンペロメトリー検出のデータプロセシング方法と、総インキュベーション時間(300秒)に対する10秒の終点電流(10秒間の積分電流)の傾きを利用した結果を示す。
【
図36】IL-6の検出用サンドイッチアッセイ構成を示す。酵素であるアルカリホスファターゼで標識した抗体と、ビオチンで標識した抗体の2種類の抗体によりIL-6標的の周囲に複合体が形成される。この例では、ビオチン部分は、ストレプトアビジンで標識して膜に埋め込んだビーズと強く結合し、膜はブロッキングしてもよい。
【
図37】アルカリホスファターゼを検出酵素として使用して10分間IL-6を標準クロノアンペロメトリー検出により検出した結果を示す。
【
図38】
図37のデータを収集してから10分後のIL-6のクロノアンペロメトリー検出を示す(同一電極を使用し、10分間休止後、過剰電位を10分間を再印加)。
【
図39】電気化学的リーダー(下)と併用することができるラテラルフローデバイスカートリッジ(上)の概略図を示す。
【
図40】1)着目標的分子と結合することが可能な試薬と共に試料を緩衝液に溶解して容器に添加し、2)容器内容物を膜に移し(洗浄工程は図示せず)、3)膜と電極をカップリングさせることにより、標的分子を検出する方法を示す。その後の電気化学的検出のために膜に基質を添加し、結果を得る。このプロトコルは、標的分子の電気化学的検出を容易にする。
【
図41】時間インターバルを延ばした場合に、電極上に配置した膜に捕捉されるヌクレオカプシドタンパク質の2秒間クロノアンペロメトリー検出を示す。エラーバーは、3個の試料の標準偏差を示す。データ点とエラーバーは、電流平均と標準偏差を表す。
【
図42】先ず、ラテラルフローイムノアッセイを実施した後、基質溶液で覆った電極上に配置した膜の特定領域に固定した標的を電気化学的に検出することにより、標的分子を検出する方法を示す。別の実施形態では、膜を最初から電極上に配置してもよい。この方法は、標的分子の電気化学的検出を容易にする。
【
図43】30秒間のインターバルと2秒間の計測時間に設定した改変クロノアンペロメトリー検出スキームの結果を示す。エラーバーは、3個の試料の標準偏差を示す。「LoD」で示す線は、0ng/mLベースラインよりも3標準偏差高い電流値を表す。
【
図44】IL-6を20pg/mlまで検出するために使用した改変クロノアンペロメトリーの結果を示す。上段プロットは、明瞭にするために20pg/mlの最低濃度を拡大して0と対比し、下段プロットは、500pg/mlから0までの濃度範囲を示す。エラーバーは、3個の試料の標準偏差を示す。「LoD」で示す線は、0ng/mLベースラインよりも3標準偏差高い電流値を表す。
【
図45】
図44からのクロノアンペロメトリー終点電流の傾きをIL-6の濃度の関数として示す。上段プロットは、500pg/mlから0までの濃度範囲を含み、下段プロットは、明瞭にするために20pg/mlの最低濃度を拡大して0と対比する。エラーバーは、3個の試料の標準偏差を示す。「LoD」で示す線は、0ng/mLベースラインよりも3標準偏差高い電流値を表す。
【
図46】プロラクチンタンパク質に使用した改変クロノアンペロメトリーの結果を示す。エラーバーは、3個の試料の標準偏差を示す。左上プロットは、20~0ng/mLのプロラクチン濃度に対する電流応答を示す。右上プロットは、左上と同一データを拡大し、0.2ng/mL、0.1ng/mL、及び0ng/mLデータをより詳細に示す。左下及び右下プロットは、測定したプロラクチン濃度範囲(20~0ng/mL)で検出時間の終わりまでの終点電流の傾き(nA/s)を求めた場合の結果を示す。右下プロットは、最低値から4番目までの数値の拡大図である。エラーバーは、3個の試料の標準偏差を示す。「LoD」で示す線は、0ng/mLベースラインよりも3標準偏差高い電流値を表す。
【
図47】先ず、ラテラルフローにより競合イムノアッセイを実施した後に、膜の特定領域に固定した標的を電気化学的に検出することにより、標的分子を検出する方法を示す。この方法は、標的の存在量に応じて電流低下を測定することにより、標的分子の電気化学的検出を容易にする。
【
図48】競合アッセイによりビオチンを検出するためにビオチン標識アルカリホスファターゼと共に使用した改変クロノアンペロメトリーの結果を示す。エラーバーは、3個の試料の標準偏差を示す。「LoD」で示す線は、0ng/mLベースラインよりも3標準偏差高い電流値を表す。
【
図49】ビオチン標識アルカリホスファターゼを80pg/mlまで検出するために使用した改変クロノアンペロメトリーの結果を示す。エラーバーは、3個の試料の標準偏差を示す。「LoD」で示す線は、0ng/mLベースラインよりも3標準偏差高い電流値を表す。
【
図50】炭素作用極、炭素対極及びAg/AgCl参照極を有する電極を使用してオステオポンチンを200pg/mlまで検出するために使用した改変クロノアンペロメトリーの結果を示す。エラーバーは、3個の試料の標準偏差を示す。「LoD」で示す点は、0ng/mLベースラインよりも3標準偏差高い電流値を表す。
【
図51】炭素作用極、炭素対極及びAg/AgCl参照極を有する電極を使用して100ng/mL、10ng/mL、1ng/mL、0.5ng/mL、及び200pg/mLのオステオポンチンを検出するために使用した改変クロノアンペロメトリーの結果を示す。300秒の検出時における測定値を示した。エラーバーは、3個の試料の標準偏差を示す。「LoD」で示す点は、0ng/mLベースラインよりも3標準偏差高い電流値を表す。
【
図52】炭素作用極、炭素対極及びAg/AgCl参照極を有する電極を使用して10ng、1ng、100pg、50pg、及び20pgを膜に添加した場合に、理論的最大量のオステオポンチンを検出するために使用した改変クロノアンペロメトリーの結果を示す。300秒の検出時における測定値を示した。エラーバーは、3個の試料の標準偏差を示す。「LoD」で示す点は、0ng/mLベースラインよりも3標準偏差高い電流値を表す。
【
図53】白金作用極、白金対極及びAg/AgCl参照極を有する電極を使用して1ng/mL、100pg/mLのオステオポンチンを検出するためと、100pg及び10pgを膜に添加した場合に、理論的最大量のオステオポンチンを検出するために使用した改変クロノアンペロメトリーの結果を示す。300秒の検出時における測定値を示した。エラーバーは、3個の試料の標準偏差を示す。「LoD」で示す点は、0ng/mLベースラインよりも3標準偏差高い電流値を表す。
【
図54】炭素/プルシアンブルー作用極、炭素対極及びAg/AgCl参照極を有する電極を使用してSARS-CoV-2を12.9TCID50/mLまで検出するために使用したクロノアンペロメトリーの結果を示す。
【
図55】炭素/プルシアンブルー作用極、炭素対極及びAg/AgCl参照極を有する電極を使用してSARS-CoV-2を12.9TCID50/mlまで検出するために使用したクロノアンペロメトリーからの総電荷を示す。総電荷(μクーロン)は、30~300秒に測定した。
【
図56】炭素/プルシアンブルー作用極、炭素対極及びAg/AgCl参照極を有する電極を使用してSARS-CoV-2を12.9TCID50/mlまで検出するために使用したクロノアンペロメトリーからの120秒における電流の絶対値(|μA|)を示す。
【
図57】炭素/プルシアンブルー作用極、炭素対極及びAg/AgCl参照極を有する電極を使用してSARS-CoV-2を9pfu/mlまで検出するために使用したクロノアンペロメトリーの結果を示す。
図54からのデータをpfu/mLに変換した。
【
図58】炭素/プルシアンブルー作用極、炭素対極及びAg/AgCl参照極を有する電極を使用してSARS-CoV-2を9pfu/mlまで検出するために使用したクロノアンペロメトリーからの総電荷を示す。総電荷(μクーロン)は、30~300秒に測定した。
図55からのデータをpfu/mLに変換した。
【
図59】炭素/プルシアンブルー作用極、炭素対極及びAg/AgCl参照極を有する電極を使用してSARS-CoV-2を1プラーク形成単位(pfu)まで検出するために使用したクロノアンペロメトリーの結果を示す。理論的最大数のプラーク形成単位を膜に添加した。
図57からのデータをpfuに変換した。
【
図60】炭素/プルシアンブルー作用極、炭素対極及びAg/AgCl参照極を有する電極を使用してSARS-CoV-2を1プラーク形成単位(pfu)まで検出するために使用したクロノアンペロメトリーからの120秒における電流の絶対値(|μA|)を示す。理論的最大数のプラーク形成単位を膜に添加した。
図56からのデータをpfuに変換した。
【
図61】炭素/プルシアンブルー作用極、炭素対極及びAg/AgCl参照極を有する電極を使用してSARS-CoV-2を1プラーク形成単位(pfu)まで検出するために使用したクロノアンペロメトリーからの総電荷を示す。理論的最大数のプラーク形成単位を膜に添加した。総電荷(μクーロン)は、30~300秒に測定した。
図58からのデータをpfuに変換した。
【発明を実施するための形態】
【0113】
本発明の上記概要は、本願に開示する各実施形態又は本発明の全ての具体化について記載するものではない。以下の記載は、具体的な実施形態をより特定的に例証する。本願の随所で具体例のリストを挙げて説示するが、これらの具体例は種々に組み合わせて使用することができる。いずれの場合も、明示するリストは代表的なグループとして提供するものに過ぎず、排他的リストとして解釈すべきではない。
【0114】
本願では、試料中の少なくとも1種の標的被検体の存在を判定するために使用されるシステム、アッセイ、キット及び方法を開示する。本願に開示するシステム、アッセイ、キット及び方法は、被検体の迅速で費用効果的な検出を可能にするという利点がある。
【0115】
I.定義
文脈からそうでないことが明らかな場合を除き、本願で使用する単数形の不定冠詞と定冠詞は複数の言及を含む。
【0116】
あらゆる数値(数値範囲の上下端を含む)に関して本願で使用する「約」なる用語は、そうでないことを明示している場合又は文脈からそうでないことが明らかな場合を除き、指定参照値のいずれかの方向(大きい側又は小さい側)の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、又はそれ以下に含まれる数値範囲を意味する(但し、このような数が可能な数値の100%を超える場合は除く)。
【0117】
本願で使用する「投与する」なる用語は、当業者に公知の種々の方法及び送達システムのいずれかを使用して治療剤を対象に物理的に導入することを意味する。典型的な投与経路としては、経口、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄又は例えば、注射若しくは輸液による他の非経口投与経路が挙げられる。投与は更に、例えば、1回、複数回、及び/又は長期の1期間以上をかけて実施することができる。
【0118】
本願で使用する「親和性」なる用語は、標的分子と結合剤の結合強度の尺度を意味する。親和性は、一般的に解離定数(Kd)により表される。Kdが約10-6Mよりも大きいと、一般に非特異的結合を表すとみなされる。
【0119】
本願で使用する「アンペロメトリック」なる用語は、溶液中で2個の電極間に電位差を印加し、流れる電流の測定を使用して端点を検出する化学的滴定を意味する。
【0120】
本願で使用する「抗生物質」なる用語は、細菌の増殖と複製を抑制する物質を意味する。抗生物質化合物は、一般にアミノグリコシド系、セファロスポリン系、フルオロキノロン系、マクロライド系、ペニシリン系、スルホンアミド系及びテトラサイクリン系に分類される。
【0121】
「抗体」又は「免疫グロブリン」なる用語は、本願では同義に使用され、全長抗体と任意の抗原結合断片(抗原結合部分)又はその一本鎖コグネイトを含む。「抗体」は、少なくとも1本の重(H)鎖と1本の軽(L)鎖を含む。例えば、天然に存在するIgGでは、これらの重鎖と軽鎖がジスルフィド結合により連結されており、2対の重鎖と軽鎖が存在し、これらの2対はジスルフィド結合により相互に連結されている。各重鎖は、重鎖可変領域(本願ではVHと略称する)と、重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、CH1、CH2及びCH3の3個のドメインから構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本願ではVLと略称する)と、軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1個のドメインCLから構成される。VH領域とVL領域は、更に相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域と、その間に配置され、フレームワーク領域(FR)又は連結(J)領域(夫々重鎖と軽鎖のJH又はJL)と呼ばれる保存度の高い領域に細分することができる。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かってFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、Jの順に配置された3個のCDRと、3個のFRと、Jドメインから構成される。重鎖と軽鎖の可変領域は、抗原と結合する。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)を含む宿主組織若しくは因子又は古典的補体系の第1成分(C1q)等の体液性因子と免疫グロブリンの結合を仲介することができる。「抗体」なる用語は、本願では最も広義に使用され、種々の抗体構造を含み、限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び所望の抗原結合活性を示す抗体断片が挙げられる。
【0122】
本願で使用する「抗原」なる用語は、抗体が結合する分子実体(例えば、タンパク質分子実体又はペプチド)を意味する。所定の実施形態において、前記抗原は、コロナウイルスタンパク質(例えば、スパイクタンパク質)、又はその誘導体、断片、アナログ、ホモログ若しくはオーソログであり、本願に開示するシステム及び方法で抗原の役割を果たす。
【0123】
「抗原結合領域」なる用語は、標的分子(例えば、抗原)と相互作用する結合剤(例えば、抗体、アプタマー)の部分であって、標的分子に対するその特異性と親和性を前記結合剤に付与する部分を意味する。本願に記載する実施形態において、捕捉剤と、任意に検出剤は、少なくとも1種の標的被検体の抗原結合領域と結合する。所定の実施形態において、捕捉剤及び検出剤は、夫々標的被検体の第1の抗原結合領域及び第2の抗原結合領域と結合する。
【0124】
本願で使用する「抗ウイルス薬」なる用語は、対象におけるウイルス感染症を治療又は改善するために使用される任意の抗感染症薬又は治療薬を広義に意味する。
【0125】
本願で使用する「アプタマー」なる用語は、ナノモル及びナノモル未満の範囲の高親和性で別の分子と結合するように三次元配座をとることができるオリゴヌクレオチド(DNA又はRNA)を意味する。このようなアプタマーを含む典型的な核酸分子又はポリヌクレオチドとしては、限定されないが、D-核酸若しくはL-核酸、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロック核酸(LNAと呼ばれ、β-D-リボ構造を有するLNA、α-L-リボ構造を有するα-LNA(LNAのジアステレオマー)、2’-アミノ官能基を有する2’-アミノ-LNA、及び2’-アミノ官能基を有する2’-アミノ-α-LNAが挙げられる)又はそのハイブリッドが挙げられる。アプタマーは、低分子、タンパク質、核酸を含む他の分子と結合することができ、更には細胞、組織及び生物(例えば、ウイルス体)と結合することもでき、一価でも多価でもよい。本願に開示する実施形態で使用するアプタマーは、Synthetic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment(SELEX)等の当技術分野で周知の方法を使用して大きなランダム配列ライブラリーから選択することにより取得することができる。
【0126】
本願で使用する「アッセイ」なる用語は、標的被検体の存在、量又は機能的活性を定性的に評価又は定量的に測定するための分析手順を意味する。所定の実施形態において、本願に開示するアッセイは、折り畳み式ではなく、又は折り畳み式となるように意図されていない。所定の実施形態において、本願に開示するアッセイは、混合チャンバーを含まない。所定の実施形態において、本願に開示するアッセイは、導電性ポリマーを含まない。
【0127】
本願で使用する「アレイ」なる用語は、異なる捕捉剤を保持する複数の別個のサイトを意味する。所定の実施形態において、本願に記載するアッセイ、システム及び方法のアッセイコンポーネントは、アレイを含む。
【0128】
本願で使用する「結合剤」なる用語は、高い親和性と高い特異性でコグネイトリガンドと結合する(ハイブリダイズすることを含む)分子を意味する。結合剤は、一般的にそのコグネイトリガンドの存在を同定するために使用され、同定を可能にするために検出可能に標識することができる。結合剤は、高い親和性と高い特異性でその標的被検体と結合する。結合剤の例としては、例えば、アプタマー、抗体、抗体断片、抗体ミメティック、アプタマー、アフィマー、クエンチボディ、受容体リガンド又は分子鋳型ポリマーが挙げられる。所定の実施形態において、前記結合剤は、試験ストリップやビーズ等の固相担体に固定させること、即ち、カップリング、連結、又は結合させることができる。
【0129】
本願で使用する「結合対」なる用語は、高い親和性と特異性で相互に結合する分子対を意味する。「結合対メンバー」とは、結合対の一方の分子を意味する。例えば、ストレプトアビジンとビオチン(又はビオチンアナログ)は、相互に非共有結合的に結合する結合対メンバーである。
【0130】
本願で使用する「結合親和性」なる用語は、結合剤が標的と結合する傾向又は結合しない傾向を意味し、結合剤が標的分子と結合する結合の強度又は親和性の尺度を表す。
【0131】
本願で使用する「バイオマーカー」なる用語は、一般に生物学的変化に定量的又は定性的に関連付けられる分子を意味する。バイオマーカーの例としては、ポリペプチド、タンパク質、又はポリペプチド若しくはタンパク質の断片、ポリヌクレオチド(例えば、遺伝子産物、RNA若しくはRNA断片、又はコーディングポリヌクレオチド)、ホルモン、低分子、及び他の生体代謝産物が挙げられる。所定の実施形態において、「バイオマーカー」とは、第2の表現型を有する(例えば、疾患若しくは病態をもたないか又は前記疾患若しくは病態の重症度の低い)対象又は対象群に由来する生体試料に比較して第1の表現型を有する(例えば、疾患又は病態を有する)対象又は対象群に由来する生体試料中に差次的に存在する(即ち、増加又は減少している)低分子化合物を意味する。
【0132】
本願で使用する「バイオセンサー」なる用語は、生物学的検出素子とトランスデューサを含む分析デバイスを意味する。種々の型のバイオセンサーが当技術分野で公知である。電気化学的バイオセンサーは、電子を消費又は発生する酵素触媒反応に基づき、例えば、アンペロメトリックバイオセンサー、ポテンショメトリックバイオセンサー、インペディメトリックバイオセンサー及びボルタンメトリックバイオセンサーが挙げられる。
【0133】
「緩衝液」なる用語は、結合剤と標的被検体の結合反応を補助するのに適した液体を意味する。インキュベーション中に、1種以上の標的被検体を含有することが疑われる試料と、緩衝液と、場合により他の液体は、液相を形成する。
【0134】
「~に校正される」又は「~に関連付けられる」なる用語は、対象の生体試料中の標的被検体又はその断片の濃度が、生理状態(例えば、疾患状態又は前記疾患の程度、治療応答及び生存)と統計的に有意な相関を有することを意味する。標的被検体又はその断片の濃度と、特定の生理状態の有無の相関の強さは、統計的有意差検定により求めることができる。
【0135】
本願で使用する「カメラ」、「光検出器」等の用語は、光強度又は組成物を検出し、検出された光のデータ(例えば、画像)を生成することが可能なコンポーネントを意味する。「カメラ」及び「光検出器」なる用語は、RGB検出器や分光光度計を含む任意の型の検出器も意味することができる。
【0136】
本願で使用する「捕捉剤」なる用語は、試料中の標的被検体と結合してこれを捕捉することが可能な物質を意味する。一般的に、捕捉剤は、固定化されているか、又は固定化可能である(例えば、捕捉時には固定化されていないが、その後、固定化される)。サンドイッチイムノアッセイにおいて、捕捉剤は、任意の結合剤(例えば、アプタマー又は抗体)とすることができる。
【0137】
本願で使用する「比色」なる用語は、ヒト色知覚スペクトル(例えば、可視スペクトル)を含む色スペクトルの物理的記述及び定量を意味する。ある種の実施形態において、比色アッセイは、定量が不要な場合に特に有用である。所定の実施形態において、色変化の検出は、使用者(例えば、アッセイの実施者)の肉眼観察により実施することができ、他の実施形態では、検出デバイスが必要である。ある種の実施形態では、標的の量を定量的に測定するために、校正比色測定を使用することができる。
【0138】
本願で使用する「比色材料」なる用語は、この材料と接触している1種以上の物質に基づいて検出可能な変化を生じることができる材料を意味する。検出可能な変化としては、色の変化等の目に見える変化、光透過率、又は発光蛍光若しくは化学発光強度若しくは波長の変化を挙げることができる。
【0139】
本願で使用する「クロノアンペロメトリー」なる用語は、電極反応の速度と機序の電気化学的分析又は測定に使用される電気化学的測定技術を意味する。電気化学セルの作用(又は参照)電極上で急激に上昇する電位パルスを増強し、この電極を流れる電流を時間の関数としてクロノアンペロメーターにより測定する。本願に開示するクロノアンペロメトリー法は、標準方法でもよいし、多少改変してもよい(例えば、長パルス、短インターバル又は繰り返しパルス)。
【0140】
本願で使用する「架橋」なる用語は、あるポリマー鎖を別のポリマー鎖と連結する結合を意味する。これらの連結は、共有結合又はイオン結合の形をとることができ、前記ポリマーは、合成ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート)又は天然ポリマー(例えば、タンパク質)とすることができる。
【0141】
アッセイに関して本願で使用する場合に「競合」なる用語は、結合サイト数が限られているため、内在性被検体と検出可能な標識アナログの結合に競合を生じるアッセイを意味する。その結果、結合した標識アナログの量は、試料中の被検体の量に反比例する。試料中の被検体の量が増加するにつれて、検出可能なシグナルは減少する。競合アッセイは、全成分を同時に添加する同時添加型と、標識アナログを添加する前に試料を抗体と共にインキュベートする逐次添加型に分類することができる。他方、非競合型イムノアッセイは、結合サイトが過剰であり、試料中の被検体の量に正比例するシグナルを発生するように設計されている。一実施形態において、本願に開示するアッセイは、逐次型競合アッセイである。別の実施形態において、本願に開示するアッセイは、同時添加型競合アッセイである。
【0142】
本願で使用する「複合体」なる用語は、例えば、化学的会合により、少なくとも1個の他の分子と結合又は会合している2分子以上を含む分子実体を意味する。したがって、「マトリックス-アプタマー-標的分子複合体」なる用語は、マトリックスとアプタマーと標的分子の会合体を意味する。「ビオチン化した第2の結合剤-ストレプトアビジン」(又は「b-結合剤-SA複合体」)とは、ビオチンと第2の結合剤とストレプトアビジンの会合体を意味する。
【0143】
本願で使用する「対照エレメント」なる用語は、アッセイの機能に関する情報(例えば、結合特異性、非特異的バックグラウンド結合のレベル、結合交差反応性の程度、及びアッセイ試薬と検出システムの性能)を提供するために使用されるエレメントを意味する。本願で有用な好ましい対照としては、バックグラウンドシグナルを監視するための少なくとも1種の陰性対照、アッセイ特異性を監視するための少なくとも1種の陰性対照、少なくとも1種の陽性比色対照、及びアッセイ性能を監視するための少なくとも1種の陽性対照が挙げられる。
【0144】
本願で使用する「交差反応性」なる用語は、ある標的被検体に対する結合剤(例えば、アプタマー、抗体)が別の異なる分子(即ち、非標的分子)とも結合することができる能力を意味する。交差反応性の程度は、多種多様とすることができる。所定の実施形態において、標的被検体と非標的被検体は、共通のエピトープを有しており、即ち、種間で高度に保存された特徴を有する。
【0145】
本願で使用する「カットポイント」なる用語は、アッセイにおいて陰性応答と陽性応答を区別するために使用される閾値を意味する。これは、医薬品治療歴のない1組の疾患ヒト試料のアッセイ応答を分析することにより統計的に決定される定数値である。
【0146】
本願で使用する「サイトカイン」なる用語は、免疫調節タンパク質、ペプチド又は糖タンパク質の一分類を意味する。所定の実施形態において、本願に記載するシステム、アッセイ及び方法は、炎症性サイトカイン(例えば、インターロイキン-8(IL-8)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-11(IL-11)、インターロイキン-17(IL-17)、インターロイキン-18(IL-18)、インターフェロン-α(IFN-α)、インターフェロン-β(IFN-β)、インターフェロン-γ(IFN-γ)、G-CSF、腫瘍壊死因子α(TNF-α)又は腫瘍壊死因子β(TNF-β))等のサイトカインの検出に有用である。
【0147】
本願で使用する「ラベル」又は「検出可能なラベル」なる用語は、検出可能なシグナルを発生するか又は発生するように誘導することができる任意の分子を意味する。ラベルの非限定的な例としては、放射性同位体、酵素、酵素断片、酵素基質、酵素阻害剤、比色ラベル、補酵素、触媒、フルオロフォア、色素、化学発光物質、発光物質、増感剤、非磁性若しくは磁性粒子、固相担体、リポソーム、リガンド、又は受容体が挙げられる。
【0148】
本願で使用する「検出デバイス」なる用語は、標的被検体の存在下で発生されたシグナルを検出するのに適した任意のデバイスを意味する。検出デバイスの非限定的な代表例としては、アンペロメトリックデバイス、クーロメトリックデバイス、ポテンショメトリックデバイス及びボルタンメトリックデバイスが挙げられる。本願に記載する所定の実施形態において、前記検出デバイスは、携帯用又はハンドヘルドデバイスであり、所定の実施形態では、グルコメーターである。
【0149】
本願で使用する「診断」なる用語は、対象における疾患又は病態の認識及び(早期)検出を意味し、差次的診断も含むことができる。また、所定の実施形態では、疾患又は臨床状態の重症度の評価も「診断」なる用語に含むことができる。ある種の実施形態において、「診断」なる用語は、疾患又は病態の重症度の評価を含む。本願で使用する所定のシステム、アッセイ及び方法は、使用者に診断を提供するか、又は結果に関する情報を第三者に送信し、第三者が診断を提供若しくは確認することができる。
【0150】
本願で使用する「医薬品」なる用語は、疾患を治療若しくは予防するため、又は限定されないが、副作用及び関連する危険因子と併存疾患をはじめとする前記疾患の所見を改善するために使用される物質(例えば、低分子)を意味する。疾患を治療若しくは予防するため、又は前記疾患の所見を改善するために現在開発中の物質もこの定義に含まれる。
【0151】
本願で使用する「ドロップキャスト法」なる用語は、溶液を平坦な表面に滴下した後、溶液を蒸発させることにより、固体薄膜を形成する方法を意味する。
【0152】
本願で使用する「電極」なる用語は、貯蔵分子へ及び/又は貯蔵分子から電荷(例えば、電子)を輸送することが可能な任意の媒体を意味する。代表的な電極は、金属又は導電性有機分子である。所定の実施形態において、電極は、金、銀、銅、白金、アルミニウム、ステンレス鋼、タングステン、酸化インジウムスズ、チタン、鉛、ニッケル、シリコン、ポリイミド、パリレン、ベンゾシクロブテン、炭素、グラファイト、又はその任意の組み合わせを含む。電極は、ほぼ任意の二次元又は三次元形状(例えば、不連続線、パッド、平面、球体、シリンダー等)に製造することができる。所定の実施形態において、電極は、スクリーン印刷することができる。電極は、被検体特異的電極、陽性対照電極、陰性対照電極、対極、参照極等とすることができる。「被検体特異的電極」なる用語は、結合剤をコーティング又は他の方法で付加して機能化した電極を意味する。所定の実施形態において、本願に開示するアッセイ及び/又はシステムで利用される電極は、酸化物電極以外のものである。所定の実施形態において、本願に開示するシステム及びアッセイは、電子操作又は計測を容易にするために「ウェイクアップ」電極を含む。
【0153】
本願で使用する「電気化学システム」なる用語は、酸化還元反応又はイオンの放出若しくは吸収時の電位により、作用極と対極の間で溶液中に誘導されるような電気シグナルを測定することにより、酸化還元被検体の存在及び/又は量を測定するシステムを意味する。酸化還元反応とは、電位の印加等の電気刺激中に物質が電子を失うこと(酸化)又は電子を受け取ること(還元)を意味する。酸化還元反応は、作用極で行われ、作用極は、化学検出のために、一般的に白金や炭素等の不活性材料から構成される。参照極に対して作用極の電位を測定するが、参照極は、一般的に銀/塩化銀等の安定で扱いやすい電気化学的半電池である。電気化学システムは、標的生体分子の存在と濃度を測定するための多数の異なる技術を補助するために使用することができ、限定されないが、種々の型のボルタンメトリー、アンペロメトリー、ポテンショメトリー、クーロメトリー、コンダクトメトリー及びコンダクチメトリーが挙げられ、例えば、ACボルタンメトリー、微分パルスボルタンメトリー、矩形波ボルタンメトリー、電気化学インピーダンス分光法、アノーディックストリッピングボルタンメトリー、サイクリックボルタンメトリー、及び高速スキャンサイクリックボルタンメトリーが挙げられる。電気化学システムは、更に1個以上の陰性対照電極と、陽性対照電極を含むことができる。本発明の関連では、単一の電気化学システムを使用して2種以上の被検体を定量することができる。
【0154】
本願で使用する「環境試料」なる用語は、多様な試料種を包含する。
【0155】
「エピトープ」又は「抗原決定基」なる用語は、本願では同義に使用され、特定の結合剤(例えば、抗体又はアプタマー)により認識されてこれと特異的に結合することが可能な抗原等の分子の部分を意味する。前記抗原がポリペプチドであるとき、エピトープは、隣接アミノ酸から形成することもできるし、タンパク質の三次フォールディングにより相互に並列するように配置された非隣接アミノ酸から形成することもできる。隣接アミノ酸から形成されるエピトープは、一般的にタンパク質変性後に維持され、三次フォールディングにより形成されるエピトープは、一般的にタンパク質変性後に失われる。エピトープは、一般的にユニークな空間配置で少なくとも3アミノ酸を含み、より一般的には少なくとも5アミノ酸又は8~10アミノ酸を含む。抗原決定基は、抗体との結合について無傷の抗原(即ち、免疫応答を誘発するために使用される「免疫原」)と競合することができる。「エピトープ」なる用語は、パラトープと呼ばれる抗体分子の可変領域における特定の抗原結合部位と相互作用する抗原決定基を意味する。単一の抗原が2個以上のエピトープを有する場合もある。したがって、異なる抗体が同一抗原上の異なる区域と結合し、異なる生物学的作用を有する場合もある。
【0156】
本願で使用する「偽陰性」なる用語は、1種以上の被検体(例えば、ウイルス)を含有していないとして誤って同定された試料を意味する。
【0157】
本願で使用する「偽陽性」なる用語は、1種以上の被検体(例えば、ウイルス)を含有しているとして誤って同定された試料を意味する。
【0158】
本願で使用する「断片」なる用語は、全長ポリペプチド又はポリヌクレオチド(長さn)に対して1~n-1の配列長を有するポリペプチド又はポリヌクレオチドを意味する。断片の長さは、その目的に応じて適宜変えることができる。その長さの下限の例としては、ポリペプチドの場合には、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、15アミノ酸、20アミノ酸、25アミノ酸、30アミノ酸、40アミノ酸、50アミノ酸及びそれ以上が挙げられ、本願に具体的に挙げない整数(例えば、11)により表される長さも下限として適切であり得る。更に、ポリヌクレオチドの場合には、その長さの下限の例としては、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチド、10ヌクレオチド、15ヌクレオチド、20ヌクレオチド、25ヌクレオチド、30ヌクレオチド、40ヌクレオチド、50ヌクレオチド、75ヌクレオチド、100ヌクレオチド、200ヌクレオチド、300ヌクレオチド、400ヌクレオチド、500ヌクレオチド、600ヌクレオチド、700ヌクレオチド、800ヌクレオチド、900ヌクレオチド、1000ヌクレオチド及びそれ以上が挙げられ、本願に具体的に挙げない整数(例えば、11)により表される長さも下限として適切であり得る。本願に記載するシステム、アッセイ及び方法の所定の実施形態において、前記標的被検体は、断片(例えば、タンパク質又は核酸断片)である。
【0159】
本願で使用する「グルコメーター」なる用語は、血中グルコース値を自己監視するために糖尿病患者により広く使用されている医療デバイスを意味する。多くのグルコメーターは、試験ストリップ等の試験媒体に基づく電気化学的方法を使用している。試験ストリップは、消耗品であり、糖尿病監視の場合には、各測定に使用される血液滴中のグルコースと反応する化学物質を封入している。具体的には、化学反応が生じ、mg/dl又はmmol/lで表したグルコース値がグルコメーターに表示される。グルコメーターは、通常では携帯用であり、家庭で使用されるが、専門的なグルコメーターも知られている。
【0160】
本願で使用する「グルコース」なる用語は、単糖を意味し、一般に六炭糖である。
【0161】
本願で使用する「高親和性」なる用語は、少なくとも10-8M、約10-8M~約10-12M、又はより特定的には、約10-8M、約10-9M、約10-10M、約10-11M、若しくは約10-12Mの結合親和性を意味する。
【0162】
本願で使用する「ホルモン」なる用語は、所定の細胞又は臓器の活性を制御・調節する化学物質を意味する。ホルモンは、脂質由来、アミノ酸由来及びペプチド由来に分類することができる。所定の実施形態において、本願に開示するアッセイ、システム及び方法は、テストステロン、エストロゲン及びプロゲステロンをはじめとする脂質由来(即ち、ステロイド)ホルモンを検出するのに適している。所定の実施形態において、本願に開示するアッセイ、システム及び方法は、タンパク質ホルモンであるプロラクチンの検出用に適している。
【0163】
本願で使用する「固定化」なる用語は、可逆的又は不可逆的に固定化された分子(例えば、結合剤又は被検体)を意味する。
【0164】
本願で使用する「説明書」なる用語は、キットにおける本発明の組成物及び/又は化合物の有用性を伝達するために使用することができる刊行物、記録、図表、又は他の任意の表現媒体を含む。前記キットの説明書は、例えば、本発明の化合物及び/又は組成物を収容する容器に添付することもできるし、前記化合物及び/又は組成物を収容する容器と共に出荷することもできる。あるいは、受領者が説明書と化合物を連携して使用することを意図して、説明書を容器と別々に出荷してもよい。説明書の配布は、例えば、キットの有用性を伝達する刊行物又は他の表現媒体の物理的配布により実施してもよいし、例えば、電子メールやウェブサイトからのダウンロードのように、コンピューターによる電子送信により実施してもよい。
【0165】
本願で使用する「単離」、「精製」又は「生物学的に純粋」なる用語は、その天然状態で認められるような通常付随している成分を実質的又は本質的に含まない材料を意味する。純度と均質性は、一般的にポリアクリルアミドゲル電気泳動や高速液体クロマトグラフィー等の分析化学技術を使用して測定される。製剤中に存在する主要成分種であるタンパク質は、実質的に精製されている。所定の実施形態において、酵素標識捕捉剤及び/又は検出剤の純度は、約10%~約90%以上、特に、約10%以上、約30%以上、約50%以上、約70%以上、約85%以上、約90%以上であり、あるいは、より特定的には、約92%、約95%、約97%又は約99%以上である。
【0166】
本願で使用する「Kd」なる用語は、特定の結合剤と標的分子の相互作用の平衡解離定数を意味する。本願の所定の実施形態において、前記捕捉剤、前記検出剤又はその両方のKdは、約10-10Kd、約10-8Kd、又は約10-6である。
【0167】
本願で使用する「キット」なる用語は、併用するように意図されたアイテムの集合を意味する。キットのアイテムは、相互に機能的に連携していてもよいし、していなくてもよい。キットは、例えば、任意に固相担体に結合された本願に開示する抗体又は抗原結合断片と、アッセイを実施するための試薬と、対照試薬を含むことができる。一般的に、キットのアイテムは、バイアル、チューブ、ボトル、ボックス又はバッグ等の一次容器に収納されている。個々のアイテムをそれ自体の別々の容器に収納することもできるし、同一容器に収納することもできる。キット又はキットの一次容器に収納されたアイテムを、任意に商業的販売用(例えば、貯蔵用、又は郵便サービスや配送サービス等の運輸業者による輸送用)に適応させた二次容器(例えば、ボックス又はバッグ)でまとめることができる。
【0168】
本願で使用する「標識」なる用語は、検出可能なシグナルを発生するか又はこのようなシグナルを発生するように誘導することができる分子を意味する。標識は、被検体、免疫原、抗体、又は別の分子に結合させることができる。標識の非限定的な例としては、放射性同位体、酵素、酵素断片、酵素基質、酵素阻害剤、補酵素、触媒、フルオロフォア、色素、化学発光物質、発光物質、増感剤、非磁性若しくは磁性粒子、固相担体、リポソーム、リガンド、又は受容体が挙げられる。
【0169】
本願で使用する「ラテラルフローアッセイ」又は「LFA」なる用語は、試料中の少なくとも1種の標的被検体を同定するために使用することができるアッセイを意味する。LFAの一般フォーマットは、ELISAと同様である。ラテラルフロー技術は、堅牢で廉価であり、電源、貯蔵及び輸送用のコールドチェーン、又は特殊な試薬を必要としないため、ポイントオブケア(POC)疾患診断に好適である。LFAデバイスは、試験部品を支持することが可能な固相基材を含むことができ、前記基材は、液体試料を吸収することができ、ニトロセルロース等の固相担体に沿って液体試料の毛管作用を促進する材料から構成される。固相担体は任意の形状又は寸法とすることができ、一般的な寸法の一例は、片手で保持できるストリップである。ラテラルフローアッセイは、複数の標的物質の多重試験用に2本以上の試験ラインを有することができ、「多重」アッセイ又はシステムの一実施形態である。本願で使用する「ラテラルフロー」なる用語は、物質を水平方向に通り抜けるように流れるキャピラリーフローを意味するが、例えば、前記デバイスが縦型又は傾斜型であっても、液体の添加点から別の横方向位置への液体の流れにも適用されるものと理解されよう。ラテラルフローは、液体と基材の相互作用(表面湿潤又はウィッキング作用)の性質に依存し、外力の適用(例えば、使用者による真空又は圧力印加)を必要又は必須としない。例えば、1種以上の成分を吸着又は吸収することが可能な材料では、1種以上の成分の優先的な滞留が生じるが、「キャピラリーフロー」とは、それとは対照的に、液体の全溶解又は分散成分が実質的に等速で輸送され、比較的障害を受けずに膜を横方向に通り抜けるように流れる液体流を意味する。
【0170】
本願で使用する「非専門家」なる用語は、臨床訓練を十分に又は全く受けていない対象を意味する。
【0171】
本願で使用する「検出限界」又は「LOD」なる用語は、検出が可能な最低被検体濃度を意味する。LODは、低濃度の被検体を含有することが分かっている試料のLOD測定値と試験複製の両方を利用することにより求められる。所定の例において、LODは、被検体を含有することが分かっている試料の連続希釈液を試験し、検出が行われる最低希釈濃度を決定することにより求められる。
【0172】
「定量限界」又は「LOQ」なる用語は、被検体を確実に検出できるだけでなく、バイアス及び不正確さについて予め定義された何らかの目標を満足する最低濃度を意味する。
【0173】
「計測する」及び「測定する」なる用語は、本明細書全文を通して同義に使用され、患者試料を取得する工程及び/又は生体試料中のバイオマーカーの値を検出する工程を含む方法を意味する。一実施形態において、前記用語は、患者試料を取得する工程と、前記試料中の1種以上のバイオマーカーの値を検出する工程を意味する。別の実施形態において、「計測する」及び「測定する」なる用語は、生体試料中の1種以上のバイオマーカーの値を検出する工程を意味する。「計測する」なる用語は、本明細書全文を通して「検出する」なる用語と同義に使用される。
【0174】
本願で使用する「分子」なる用語は、広義に使用され、天然、合成又は半合成分子又は化合物を意味する。
【0175】
疾患又は障害に関して本願で使用する「経過観察」なる用語は、例えば、前記疾患の進行又は疾患若しくは障害の進行に及ぼす特定の治療の影響を分析するために、既に診断された疾患、障害、合併症又は危険を追跡し続けることを意味する。
【0176】
本願で使用する「モノクローナル抗体」なる用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味し、即ち、前記集団を構成する個々の抗体は、少量存在する可能性のある天然突然変異を除いて同一である。
【0177】
アッセイに関して本願で使用する「多重」なる用語は、複数の標的被検体を単一のアッセイで同時又は逐次使用及び/又は試験することを意味する。所定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び方法によると、使用者は、2種以上のウイルス種又は同一ウイルス種の2種以上の株を検出することができる。所定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び方法によると、使用者は、2種以上の細菌種又は同一細菌種の2種以上の株を検出することができる。所定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び方法によると、使用者は、ウイルス又は細菌を検出することができ、即ち、上気道感染症等の感染症のウイルス原因又は細菌原因を区別することができる。例えば、SARS-CoV-2、パラインフルエンザ、ライノウイルス、A型インフルエンザウイルス又はB型インフルエンザウイルスを原因とする感染症を区別することができる。別の例では、A型インフルエンザの特定のサブタイプを原因とする感染症を、A型インフルエンザの別の特定のサブタイプを原因とする感染症から(例えば、A型インフルエンザサブタイプH1とA型インフルエンザサブタイプH3を)区別することができる。別の例では、低病原性コロナウイルスから高病原性コロナウイルスを検出することができる。他の実施形態において、前記多重システム、アッセイ又は方法は、異なる免疫グロブリンの検出を可能にする。
【0178】
本願で使用する「突然変異」なる用語は、天然タンパク質のアミノ酸配列の変化を意味する。突然変異は、天然配列を使用した後、変化している特定のアミノ酸を同定することにより表すことができる。「突然変異体」又は「変異体」とは、突然変異を含むタンパク質を意味する。全長突然変異体配列とは、天然タンパク質と異なるアミノ酸として突然変異体を表すのではなく、突然変異体タンパク質の全長アミノ酸配列を意味する。所定の実施形態において、本願で使用されるシステム、アッセイ及び方法は、2種以上のウイルスを検出するために使用することができ、前記ウイルスは、近縁の変異体である。
【0179】
本願で使用する「天然タンパク質」なる用語は、その天然又は自然状態のタンパク質であり、熱、化学的突然変異又は酵素反応等の変性剤により改変されていないタンパク質を意味する。
【0180】
本願で使用する「非標的分子」なる用語は、着目バイオマーカー以外の分子を意味する。特に、非標的分子は、着目バイオマーカーと構造的に類似する分子とすることができる。所定の実施形態において、本願で使用するシステム、アッセイ及び方法は、標的被検体と非標的分子を区別するために使用することができ、即ち、標的被検体と非標的分子の両方が同一試料中に存在する場合であっても、標的被検体の存在を検出し、非標的分子の存在を検出しないために使用することができる。
【0181】
本願で使用する「核酸」なる用語は、一本鎖又は二本鎖のデオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)と、任意のその化学的修飾体を意味する。本願に開示するシステム、アッセイ及び/又は方法に従って検出される核酸は、全長核酸でもよいし、その断片でもよい。
【0182】
本願で使用する「オキシダーゼ」なる用語は、オキシドレダクターゼクラスに属し、二酸素を電子受容体として使用する酸化還元反応を触媒し、副生成物として水(H2O)又は過酸化水素(H2O2)を形成する酵素を意味する。これは、基質を酸化させるために、水素をNAD、NADP又はフラビンに転移させるデヒドロゲナーゼ酵素とは対照的である。大半の酸化還元反応は可逆的であるので、レダクターゼはオキシダーゼとすることができる。
【0183】
本願で使用する「オキシドレダクターゼ」なる用語は、電子供与体とも呼ばれる分子である還元剤から電子受容体とも呼ばれる別の分子である酸化剤へと電子の転移を触媒する酵素を意味する。オキシドレダクターゼは、オキシダーゼ、デヒドロゲナーゼ、レダクターゼ、ペルオキシダーゼ、ヒドロキシラーゼ、及びオキシゲナーゼ等の種々のサブタイプに分類することができる。
【0184】
本願で使用する「病原体」なる用語は、任意の病因物質を意味し、限定されないが、ウイルス、細菌、真菌、原生動物又は他の微生物が挙げられる。複製型病原体(例えば、ウイルス、寄生虫及び細菌)は、生体の免疫応答をほぼ避けながら、生体の資源を使用して複製することにより疾患をもたらす生物である。
【0185】
本願で使用する「駆除剤」なる用語は、有害生物を殺傷するために使用される化学物質を意味する。駆除剤は、一般に防カビ剤、除草剤、殺虫剤、及び殺鼠剤に分類される。
【0186】
本願で使用する「ポイントオブケア試験」又は「POCT」なる用語は、介護者が即座に診断及び/又は臨床介入し易いように、試験結果が瞬時又は非常に短い時間枠内で得られるという仮定の下に、患者の居場所又はその付近で生体検体をアッセイする試験を意味する(Ehrmeyer SS et al.(2007)Clin Chem Lab Med 45:766-773)。この用語は、患者と家庭用に制限するものではなく、種々の環境(例えば、共同体、診療所、郊外実験室及び病院)と使用者(例えば、技術者及び介護者)を包含する。環境と使用者に応じて、POCTの目的は、トリアージ及び紹介から診断、治療及び経過観察に至るまで多種多様とすることができる。環境試料の場合には、フィールド試験、即ち、試料採取現場での試験が同様の概念である。
【0187】
本願で使用する「ポテンショスタット」なる用語は、広義の用語であり、その通常の意味で使用され、限定されないが、三電極式セルの作用極と参照極の間の電位をプリセット値に制御する電気システムが挙げられる。必要なセル電圧及び電流がポテンショスタットのコンプライアンス限界を超えない限り、所望の電位を維持するために作用極と対極の間に流れる必要のある電流は、制限されない。バイポテンショスタットとポリポテンショスタットは、夫々2個の作用極と3個以上の作用極を制御することが可能なポテンショスタットである。
【0188】
本願で使用する「所定の閾(値)」なる用語は、分類子が偽陰性と偽陽性(の犠牲)の望ましいバランスを与える閾値数値を意味する。ある種の実施形態では、偽陽性と偽陰性の望ましくない影響を最小限にするために、臨床試験とそのアウトカムの分析(「臨床データ」と総称する)、及び/又は前臨床若しくは非臨床試験(「非臨床データ」と総称する)により、又はそれに準じて、又はそれに基づいて「所定の閾値」を統計的に(且つ臨床的に)決定、精緻化、調整及び/又は確認する。
【0189】
本願で使用する「予防する」、「予防用」又は「予防」なる用語は、病態の所見(例えば、ウイルス感染症の症状又は徴候等の病理の症状又は徴候)の抑制を意味する。
【0190】
本願で使用する「プロセッサー」なる用語は、広義に使用され、マイクロプロセッサー、マイクロコントローラー、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等のプログラマブル又はノンプログラマブルプロセシングデバイスを意味する。「プロセッサー」なる用語は、相互に連動する複数のプロセシングデバイスも包含することができる。
【0191】
本願で使用する「点突然変異」なる用語は、ポリヌクレオチドを工学的に操作し、1箇所以上のシングレット(非連続)又はダブレットアミノ酸が別のアミノ酸に置換若しくは交換、欠失又は挿入されているという点で、工学的に操作されていないアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を発現させることを意味する。
【0192】
「タンパク質」、「ペプチド」、及び「ポリペプチド」なる用語は、本願では同義に使用され、アミノ酸ポリマー又は2種以上の相互作用するか若しくは結合されたアミノ酸ポリマーのセットを意味する。この用語は、1個以上のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の人工化学的ミメティックであるアミノ酸ポリマーと、修飾残基を含む天然アミノ酸ポリマーと、非天然アミノ酸ポリマーに適用される。本願に開示するアッセイ、システム及び/又は方法に従って検出されるタンパク質は、全長タンパク質でもよいし、タンパク質断片でもよい。特定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び方法に従って検出される標的被検体は、コロナウイルス、より特定的にはSARS-CoV-2又はその変異体のヌクレオカプシド(N)タンパク質である。別の特定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び方法に従って検出される標的被検体は、インテグリン結合糖タンパク質であるオステオポンチンである。
【0193】
「パルス」なる用語は、電流、電圧、又は電磁場エネルギーのバーストを意味する。パルスは、数分の1ナノ秒~数秒又は数分まで持続することができる。
【0194】
本願に記載する方法及びシステムに関して本願で使用する「定量的」なる用語は、参照値(対照)と比較した被検体の濃度に関する情報を意味し、数値により報告することができ、被検体が検出限界未満である場合には、「ゼロ」値を割り当てることができる。「半定量的」方法及びシステムは、参照値(例えば、閾値、例えば、正常閾値又は異常閾値)に比較した検体中の被検体の量の数値表記の提示を含み、被検体が検出限界未満である場合には、「ゼロ」値を割り当てることができる。一般に、設定された参照値に対して半定量的結果を比較し、結果の定量的解釈を提供する。所定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び方法は、定量的又は半定量的結果を提供する。
【0195】
本願で使用する「迅速診断試験」なる用語は、試料の試験システム又はアッセイとして、迅速な診断を得るためにポイントオブケア又は使用者の居場所(例えば、家庭、職場、野外)で実施することができるものを意味する。迅速診断試験は、短時間で簡単に実施することができ、顕微鏡検査、酵素免疫測定法(ELISA)又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等の実験室技術を介さなくても実施することができる。非限定的な例として、迅速診断試験は、一般に試料採取時点から結果取得時点までの所要時間が約30分以下(例えば、約10分以下、約2分以下、約1分以下)である。なお、迅速診断試験に要する時間は、試料の種類、試料の量、被検体の種類等により異なる。
【0196】
本願で使用する「参照値」なる用語は、「閾値」又は「カットオフ値」とすることができる。一般的に、「閾値」又は「カットオフ値」は、実験、経験、又は理論的に決定することができる。
【0197】
本願で使用する「レポーター剤」なる用語は、デュアル検出ストラテジーの成分である物質を意味し、レポーター剤は、標識検出剤又は溶液中の物質(例えば、酵素)とすることができる。
【0198】
本願で使用する「リスク」なる用語は、特定期間を通してイベントが生じる確率を意味し、対象の「絶対」リスク又は「相対」リスクを意味することができる。絶対リスクは、関連時間コホートの計測後実測値を参照して計測することもできるし、関連期間にわたって追跡された統計的に有効な歴史的コホートから算出された指数値を参照して計測することもできる。相対リスクとは、低リスクコホートの絶対リスク又は平均集団リスクに対する対象の絶対リスクの比を意味し、臨床リスク因子の評価方法により変動し得る。所定試験結果の陽性イベントと陰性イベントの割合であるオッズ比も無変換で広く使用されている(オッズは、式p/(1-p)に従い、式中、pはイベントが起きる確率であり、(1-p)はイベントが起きない確率である)。本発明の関連では、代替連続尺度も評価することができる。
【0199】
本願で使用する「選択性」なる用語は、システム、アッセイ又は方法が、他の成分の干渉を受けずに、複合体混合物中の特定の被検体を弁別する能力を意味する。
【0200】
本願で使用する「センサー」なる用語は、少なくとも1種の標的被検体を検出するために使用される手段を意味する。「センサーシステム」は、例えば、センサー使用及び機能を助長するように意図された素子、構造及びアーキテクチャを含む。センサーシステムとしては、例えば、選択された材料性質を有するもの等の組成物と、シグナル検出及び解析で使用される素子及びデバイス等の電子コンポーネント(例えば、電流検出器、モニター、プロセッサー等)を挙げることができる。
【0201】
本願で使用する「低分子」なる用語は、低分子質量(又は分子量)(例えば、2000g/モル)を意味する。低分子は、有機分子でも無機分子でもよいし、金属有機分子でもよい。低分子の例としては、薬物(例えば、治療薬、乱用薬物)、重金属、ホルモン及び成長促進剤、分子マーカー、駆除剤並びに毒素が挙げられる。「低分子」なる用語は、例えば、約150~約2,000、又は約150~約1,500、又は約150~約1,000、又は約150~約500、又は約300~約2,000、又は約300~約1,500、又は約300~約1,000、又は約500~約2,000、又は約500~約1,500、又は約500~約1,000の分子量を有する分子を意味する。
【0202】
本願で使用する「固相担体」なる用語は、結合剤を結合させることができる固体材料を意味する。典型的な固相担体としては、限定されないが、(例えば、セファロース製の)ビーズ若しくは粒子、マイクロタイタープレート、マイクロチップ、フィルター、膜又は繊維(例えば、マイクロファイバー)が挙げられる。
【0203】
「特異的結合」、「特異的に結合する」、「選択的結合」及び「選択的に結合する」なる用語は、結合剤(例えば、抗体、アプタマー)が標的分子に対して明白な親和性を示し、一般に、非標的分子に対して顕著な交差反応性を示さないことを意味し、所定の実施形態では、少なくとも約1×10-8M以下の平衡解離定数を有することを意味する(例えば、Kdが小さいほど、強い結合を意味する)。2個の分子が特異的に結合するか否かを判定する方法は、当技術分野で周知であり、例えば、平衡透析法や表面プラズモン共鳴法が挙げられる。本願に記載する所定の実施形態において、捕捉剤と、任意に検出剤は、少なくとも1種の標的被検体と特異的に結合する。
【0204】
本願で使用する「感度」なる用語は、正しく同定される陽性の割合(例えば、システム又は方法により同定される陽性者の百分率)を意味する。感度の高いシステム又は方法では、偽陰性が制限される。
【0205】
本願で使用する「特異度」なる用語は、正しく同定される陰性の割合を意味する。特異度の高いシステム又は方法では、偽陽性が制限される。
【0206】
本願で使用する「スクリーン印刷」なる用語は、異なる種類のインクを基板に印刷する技術を意味する。インク組成物は、多種多様とすることができ、例えば、炭素、銀、金、及び白金が挙げられる。スクリーン印刷は、高品質の使い捨て電極を低コストで再現性よく生産することができる。電極を形成するための他の印刷方法又は他の方法も当技術分野で公知である。
【0207】
「対象」なる用語は、ヒト等の哺乳動物を意味する。所定の実施形態において、前記対象は、疾患若しくは障害(例えば、ウイルス感染症)を有することが疑われるもの、疾患若しくは障害(例えば、ウイルス感染症)を現在有するもの、疾患若しくは障害(例えば、ウイルス感染症)から最近回復したもの、又は疾患若しくは障害(例えば、ウイルス感染症)に罹患する危険のあるものである。
【0208】
本願で使用する「システム」なる用語は、所望の目的を実施するためのネットワークを形成する1群のオブジェクト及び/又はデバイスを意味する。
【0209】
本願で使用する「システムノイズ」なる用語は、限定されないが、望ましくない電子又は伝搬関連ノイズを意味し、例えば、ガウスノイズ、モーション関連ノイズ、フリッカノイズ、動的ノイズ、又は他のホワイトノイズが挙げられる。本願に記載する所定の実施形態において、本願のシステムは、当技術分野で公知の検出システムに比較してノイズが低減している。所定の実施形態では、ノイズが約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約45%、約50%以上低減している。
【0210】
本願で使用する「標的」なる用語は、広義の用語であり、生体液等の液体、又は水、油、燃料、泥土、堆積物、壌土、その組み合わせ等の環境試料中の物質又は化学成分を意味する。標的は天然に存在するものでもよいし、外来物質でもよい。標的は、毒素でもよいし、触媒、添加物等でもよい。
【0211】
本願で使用する「標的被検体」なる用語は、被験試料中に存在する可能性があり、結合剤と結合することが可能な分子又は他の被検体を意味する。所定の実施形態において、前記標的被検体は、病原性生物(例えば、ウイルス又は細菌)、タンパク質、ペプチド、ホルモン、ステロイド、ビタミン(例えば、ビオチン)、低分子(例えば、医薬品、医薬品中間体)、有機化合物又は毒素である。所定の実施形態において、本願に開示するアッセイ、システム及び方法により検出される標的被検体は、ニコチン以外のものである。所定の実施形態において、本願に開示するアッセイ、システム及び方法により検出される標的被検体は、RNA以外のものである。所定の実施形態において、本願に開示するアッセイ、システム及び方法により検出される標的被検体は、オキシダーゼ微生物酸化還元酵素(MRE)以外のものである。
【0212】
本願で使用する「治療」及び「治療する」なる用語は、障害又は疾患に関連する病態及び症状を予防、抑制、及び緩和することを意味する。
【0213】
本願で使用する「治療有効量」なる用語は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医により求められている生物学的又は医学的応答を対象に誘発する活性化合物又は医薬品(例えば、抗ウイルス薬)の量を意味し、治療対象である疾患又は障害の症状を予防、改善又は緩和することを含む。本願の医薬組成物の治療有効用量の決定方法は、当技術分野で公知である。本願に記載する所定の方法において、本願の方法は、治療有効量の少なくとも1種の承認済み治療剤を対象に投与することを含む。
【0214】
「2結合剤アッセイ」なる用語は、マトリックスに固定した第1の結合剤に標的被検体を結合させ、化学反応基を付けた第2の結合剤の存在下で更にインキュベートするアッセイを意味する。前記2種の結合剤のインキュベーションは同時とすることができる。
【0215】
本願で使用する「変異体」なる用語は、特定の着目ポリペプチドと、その配列を比較する「親」又は「参照」ポリペプチドの関係を表す相対的な用語である。着目ポリペプチドが特定位置の少数の配列変異を除いて親と同一のアミノ酸配列を有する場合に、前記着目ポリペプチドは、親又は参照ポリペプチドの「変異体」であるとみなされる。変異体としては、例えば、置換変異体、挿入変異体又は欠失変異体が挙げられる。一般的に、変異体では親と比較して残基の20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満が置換されている。ある種の実施形態において、変異体は、親と比較して10残基、9残基、8残基、7残基、6残基、5残基、4残基、3残基、2残基、又は1残基が置換されている。多くの場合、変異体は、機能的残基(即ち、特定の生物学的活性に関与する残基)の置換数が非常に少数である(例えば、5未満、4未満、3未満、2未満、1未満)。更に、変異体は、一般的に親と比較して付加又は欠失数が5以下、4以下、3以下、2以下、又は1以下であり、多くの場合には付加又は欠失がない。更に、付加又は欠失があったとしても、一般的に約25残基未満、約20残基未満、約19残基未満、約18残基未満、約17残基未満、約16残基未満、約15残基未満、約14残基未満、約13残基未満、約10残基未満、約9残基未満、約8残基未満、約7残基未満、約6残基未満であり、通常では約5残基未満、約4残基未満、約3残基未満、又は約2残基未満である。ある種の実施形態において、前記親又は参照ポリペプチドは、自然界に存在するポリペプチドである。当技術分野における通常の知識を有する者に理解される通り、特に特定の着目ポリペプチドが感染因子ポリペプチドであるときには、一般に前記着目ポリペプチドの複数の変異体が自然界に存在し得る。特定の実施形態において、変異体は、特にその機能において参照ウイルスタンパク質と類似するが、1箇所以上の位置で野生型ウイルスタンパク質と配列が相違する突然変異をそのアミノ酸配列に有するウイルスタンパク質(例えば、スパイクタンパク質)である。SARS-CoV-2に関して、「野生型」ゲノムは配列決定されており、当技術分野で公知である(例えば、Wu et al.(2020)cell Host & Microbe 27(3):325-328;Wang,H.,et al(2020).Eur J Clin Microbiol Infect Dis 39,1629-1635参照)。したがって、「SARS-CoV-2」変異体としては、現時点で存在する変異体に加え、将来出現するか又は発見される可能性のある変異体も挙げられる。
【0216】
「バーティカルフローアッセイ」(別称フロースルーアッセイ)なる用語は、液体試料がLFAのように横方向ではなく、アッセイ内を垂直方向に流れるアッセイを意味する。一実施形態では、従来のラテラルフローセグメントを積み重ねる(例えば、膜を積み重ねる)ように並べ変え、液体が最下層から最上層まで拡散できるようにする。例えば、E.Eltzov,Biosens.Bioelectron.,87(2017),pp.572-578参照。別の実施形態では、試薬を単一の膜に段階的に注入し、標的を膜上で試薬と反応させる。固相担体(例えば、ポリマー膜)上の所定の(空間的に多重化された)位置及び/又はパターンに異なる抗原の捕捉抗原を提供することにより、バーティカルフローアッセイで多重化が達せられる。本願に記載するバーティカルフローアッセイは、液体操作用のシリンジポンプ又はアッセイ解析用のベンチトップ読み出しデバイスを必要としないという利点がある。所定の実施形態において、本願に記載するバーティカルフローアッセイは、拡散による反応速度の制限を回避し、従来のアッセイに比較してアッセイ時間が著しく短縮される。
【0217】
本願で使用する「ウイルス種」なる用語は、複数の基準によりその特性を他の種の特性から区別することができる単系統群のウイルスを意味する。
【0218】
本願で使用する「野生型」なる用語は、自然界に存在するようなタンパク質又は核酸の天然全長形態を意味する。本願で使用する全長天然タンパク質配列なる用語は、全長天然タンパク質に存在するアミノ酸配列を意味する。野生型タンパク質は、例えば、生体試料から取得することができる。
【0219】
本願で使用する「ウイルス体」なる用語は無傷又はほぼ無傷のウイルス物質を意味する。所定の実施形態において、本願に開示する方法及びシステムは、ウイルス体粒子を検出又は定量するためには使用されず、特定のウイルスタンパク質を検出又は定量するために使用される。一実施形態において、本願に開示する方法及びシステムは、可溶性ウイルスタンパク質を検出又は定量するために使用される。
【0220】
本願に開示する方法が個別の工程を含む場合には、各工程を任意の実行可能な順序で実施することができる。また、必要に応じて2工程以上を任意に組み合わせて同時に実施してもよい。
【0221】
I.システム及びアッセイ
本願では、試料(例えば、液体試料)中の少なくとも1種の標的被検体を検出するためのシステム及びアッセイ(センサー)を開示する。所定の実施形態において、前記試料は、処理されているが、抽出されていない。前記試料は、1種又は複数の標的被検体(例えば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種又は10種以上の標的被検体)を含有することができる。
【0222】
前記システム及びアッセイは、従来の方法に比較して比較的時間と労力のかからない迅速診断試験に適しており、所定の実施形態では、結果の操作と解釈が容易であるため、従来の環境外で(例えば、実験室や臨床環境ではなく、家庭や野外で)比較的経験の浅い使用者(例えば、非専門家)により試験することが可能である。所定の実施形態において、本願に開示するシステム及びアッセイは、シングルユーザー用である。前記システム及びアッセイは、本願に詳述するように比較的低い検出限界(LOD)と高い正確度を可能にするという利点がある。所定の実施形態において、本願に記載するシステムは、より高速及び/又はより高感度の測定を可能にする(例えば、より低いLODを実現する)ように、改変クロノアンペロメトリー法を利用する。
【0223】
一実施形態では、試料(例えば、血液、鼻粘液、痰、唾液又は尿等の生体試料)中の少なくとも1種の標的被検体(例えば、ウイルス体又はウイルスタンパク質)を検出するためのシステムが提供され、前記システムは、(i)少なくとも1種の標的被検体と添加される基質(例えば、グルコース溶液)の存在下で酵素介在シグナル(例えば、オキシダーゼ介在シグナル)を直接又は間接的に発生することが可能な捕捉剤(例えば、アプタマー又は抗体)を少なくとも含むアッセイと、(ii)前記シグナルを検出するための検出デバイス(例えば、グルコメーター)を含む。所定の実施形態において、前記検出デバイスは、電気化学センサー、光学センサー又はその組み合わせから選択されるセンサーを含む。所定の実施形態において、前記検出デバイスは、約30分以内に結果を提供する。所定の実施形態において、前記シグナルは、酵素濃度に校正されている。
【0224】
所定の実施形態において、前記システムは、更に検出剤(例えば、アプタマー又は抗体)を含む。一実施形態において、前記検出剤は、使用者により前記システムに添加され、即ち、添加される検出剤である。特定の実施形態において、前記検出剤は、(例えば、酵素ラベルで)標識されており、前記標的被検体と結合し、検出可能な複合体を形成する。
【0225】
特定の実施形態において、前記捕捉剤は、試験サイトを提供するように、固相担体(例えば、試験ストリップ)に固定化されている。
【0226】
所定の実施形態において、前記捕捉剤は、固定化可能であるが、当初、即ち、標的被検体が固定される時点又は検出可能な複合体が形成される前には固定化されていない。この実施形態によると、前記捕捉剤及び検出剤は、電極の上流でシステムに存在し、被検体溶液が前記システムに添加された後に、検出可能な複合体を形成する。その後、検出可能な複合体は、電極の近傍で固相担体に捕捉される。
【0227】
所定の実施形態において、前記基質(例えば、グルコース等の糖、又はジエタノールアミン)は、添加される基質であり、即ち、使用者により前記システムに添加される。
【0228】
所定の実施形態において、前記システムは、更に第1の結合剤を含む。この実施形態によると、前記第1の結合剤は、固相担体に固定化されている。
【0229】
所定の実施形態において、前記第1の結合剤は、前記捕捉剤と結合された第2の結合剤(例えば、ビオチン)と結合する第1の結合サイトを含む。
【0230】
所定の実施形態において、前記第1の結合剤は、第2の結合サイトを含み、前記アッセイは、更にポリマー(例えば、PEG)を含み、前記ポリマーは、前記第2の結合サイトで前記第1の結合剤と結合する。この実施形態によると、前記第1の結合剤は、架橋されている。
【0231】
所定の実施形態において、前記第2の結合剤は、第3の結合剤を含み、前記第3の結合剤(例えば、ビオチン)は、1種以上の他の捕捉剤と結合できるように、前記捕捉剤と結合されている。この実施形態によると、前記捕捉剤は、架橋されている。
【0232】
所定の実施形態において、前記固相担体又は基材は、ビーズ、膜又は膜に固定化されたビーズである。所定の実施形態において、前記固相基材は、金属粒子以外のものである。
【0233】
特定の実施形態において、前記捕捉剤、前記検出剤又はその両方は、添加される試薬であり、即ち、使用者により前記システムに添加される。
【0234】
所定の実施形態において、前記基質(例えば、グルコース等の糖、又はジエタノールアミン)は、添加される基質であり、即ち、使用者により前記システムに添加される。一実施形態において、前記基質は、過剰に添加される。
【0235】
一実施形態において、前記酵素ラベルは、オキシドレダクターゼである。前記オキシドレダクターゼは、オキシダーゼ、デヒドロゲナーゼ、ヒドロゲナーゼ、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ、ヒドロキシラーゼ、オキシゲナーゼ、カタラーゼ及びレダクターゼから構成される群から選択することができる。
【0236】
オキシダーゼの非限定的な代表例としては、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、D-グルコース:D-フルクトースオキシドレダクターゼ、及びセロビオースオキシダーゼが挙げられる。
【0237】
特定の実施形態において、前記酵素ラベルは、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、グルコースオキシダーゼ(GO)及びβ-ガラクトシダーゼから選択される。
【0238】
一実施形態において、前記酵素は、グルコースオキシダーゼであり、前記基質は、グルコースである。
【0239】
一実施形態において、前記酵素は、アルカリホスファターゼであり、前記基質は、ジエタノールアミン(DEA)、1-アミノ-2-プロパノール、N-メチル-D-グルカミン又はトリス緩衝液を溶媒とするピリドキサール-5’-リン酸(PLP)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルリン酸、L-アスコルビン酸-2-リン酸、アセトアミノフェンリン酸、4-アセトアミドフェニルリン酸、又は4-アミノフェニルリン酸である。
【0240】
一実施形態において、前記酵素は、β-ガラクトシダーゼであり、前記基質は、ガラクトースである。
【0241】
一実施形態において、前記酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼであり、前記基質は、発色HRP基質(例えば、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)及び2,2’-アジノジ[3-エチルベンズチアゾリン-6-スルホン酸](ABTS))である。
【0242】
一実施形態において、前記酵素介在シグナルは、デュアル検出システムを含み、前記デュアル検出システムは、第1の酵素ラベルと第2の酵素ラベルを含み、例えば、オキシダーゼラベル(例えば、オキシダーゼラベル)とペルオキシダーゼラベル(例えば、過酸化水素)を含む。
【0243】
別の実施形態において、前記検出剤と連結された前記酵素のVmaxは、0.0001mM/分超、0.01mM/分超、0.1mM/分超、又は10mM/分超である。
【0244】
別の実施形態において、前記検出剤と連結された前記酵素のkcatは、1s-1超、10s-1超、50s-1超、又は100s-1超である。
【0245】
別の実施形態において、前記検出剤と連結された酵素のkcat/Km値は、0.00001mMs-1超、0.01mMs-1超、1mMs-1超、又は10mMs-1超である。
【0246】
特定の実施形態において、前記捕捉剤は、固相担体の上又は中に配置されたハイドロゲルに封入して提供される。前記ハイドロゲルは、基質(例えば、グルコース)で飽和させることができる。
【0247】
一実施形態において、前記アッセイは、ラテラルフローアッセイ(LFA)である。特定の実施形態において、前記ラテラルフローアッセイは、前記少なくとも1種の捕捉結合剤を含む少なくとも1個の試験サイトを含む。任意に、前記ラテラルフローアッセイは、前記システムの動作を監視するために、更に少なくとも1種の対照エレメントを含む少なくとも1個の対照サイトを含む。
【0248】
一実施形態において、前記システムは、電気化学システム又は光学システムである。特に、前記センサーは、前記標的被検体の存在又は濃度に対して校正された出力を発生する。特定の実施形態では、前記ストリップが前記電気化学デバイスに挿入されて差動電圧を生じた後のみに、電気化学的検出が実施され、前記ストリップと付属電極により生成される電流出力を検出する。
【0249】
特定の実施形態において、前記システムは、標的サイトの位置、その上方又は下方に配置された少なくとも1個の電極を含む電気化学システムである。任意に、前記少なくとも1種の結合剤を前記電極に固定してもよい。
【0250】
一実施形態において、前記システムは、自己監視用システムである。特定の実施形態において、前記検出デバイスは、グルコメーター又はモバイルフォンである。
【0251】
実施形態によっては、診断と任意に治療のために、前記シグナルに関する情報が第三者に送信される。
【0252】
一実施形態において、前記システムは、約10分以下、約5分以下、約2分以下又は約1分以下で少なくとも1種の標的被検体の検出を可能にする。
【0253】
一実施形態において、本願に開示するシステムは、疾患診断、経過観察、管理又はその組み合わせの改善を可能にする。
【0254】
所定の実施形態において、前記システムは、異なる時点で取得された同一使用者の複数の試験結果を保存し、疾患又は病態の発生する可能性を監視又は予測するためにこれらの結果を比較する。一実施形態において、前記システムは、被検体値の経時的傾向を監視できるように、同一使用者の標的被検体の量に関する結果を異なる時点で2回以上、3回以上、又は5回以上取得することができる。
【0255】
別の実施形態では、少なくとも1種の標的被検体(例えば、ウイルス体)を検出するためのアッセイ(例えば、ハンドヘルドアッセイ)として、第1の結合剤(例えば、ストレプトアビジン)と捕捉剤(例えば、アプタマー又は抗体)を含むアッセイが提供され、前記捕捉剤は、前記少なくとも1種の標的被検体と基質(例えば、グルコース溶液)の存在下で酵素介在シグナル(例えば、オキシダーゼ介在シグナル)を直接又は間接的に発生することが可能である。所定の実施形態において、前記シグナルは、酵素の濃度に比例する。所定の実施形態において、前記シグナルは、30分以下で検出することができる。
【0256】
所定の実施形態において、前記システムは、更に検出剤(例えば、アプタマー又は抗体)を含み、前記標的被検体が存在するときに、前記捕捉剤と前記検出剤は、検出可能な複合体を形成する。
【0257】
一実施形態において、前記検出剤は、添加される検出剤であり、即ち、使用者により前記システムに添加される。
【0258】
特定の実施形態において、前記基質は、添加される基質であり、即ち、使用者により前記システムに添加される。
【0259】
所定の実施形態において、前記第1の結合剤は、前記捕捉剤と結合された第2の結合剤(例えば、ビオチン)と結合する第1の結合サイトを含む。
【0260】
所定の実施形態において、前記第1の結合剤は、第2の結合サイトを含み、前記アッセイは、更にポリマー(例えば、PEG)を含み、前記ポリマーは、前記第2の結合サイトで前記第1の結合剤と結合する。この実施形態によると、前記第1の結合剤は、架橋されている。
【0261】
所定の実施形態において、前記第2の結合剤は、第3の結合剤を含み、前記第3の結合剤(例えば、ビオチン)は、1種以上の他の捕捉剤と結合できるように、前記捕捉剤と結合されている。この実施形態によると、前記捕捉剤は、架橋されている。
【0262】
所定の実施形態において、前記固相基材は、ビーズ、膜又は膜に固定化されたビーズである。
【0263】
特定の実施形態において、前記捕捉剤、前記検出剤又はその両方は、添加される試薬であり、即ち、使用者により前記システムに添加される。
【0264】
所定の実施形態において、前記基質は、添加される基質であり、即ち、使用者により前記システムに添加される。
【0265】
特定の実施形態において、前記酵素ラベルは、オキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ)又はデヒドロゲナーゼである。
【0266】
一実施形態において、前記アッセイは、ラテラルフローアッセイである。特定の実施形態において、前記アッセイは、多重ラテラルフローアッセイである。
【0267】
別の実施形態において、前記アッセイは、バーティカルフローアッセイである。一実施形態において、前記バーティカルフローアッセイは、1層、2層又は3層以上(例えば、1層、2層又は3層以上の膜層)から構成される。一実施形態において、アッセイは、多重サンドイッチバーティカルフローアッセイである。
【0268】
特定の実施形態において、前記バーティカルフローアッセイは、捕捉剤を固定化した第1の膜層と、前記標的被検体を含む第2の膜層と、標識検出剤を含む第3の膜層を含む。
【0269】
一実施形態において、前記検出可能な複合体は、検出デバイスを介さずに検出される。
【0270】
別の実施形態において、前記検出可能な複合体は、検出デバイスにより検出される。前記検出デバイスは、例えば、グルコメーター又はモバイルフォンとすることができる。
【0271】
一実施形態において、前記酵素介在シグナルは、デュアル検出システムを含み、前記デュアル検出システムは、酵素ラベル(例えば、オキシダーゼ)とレポーターラベル(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)を含む。所定の実施形態において、前記シグナルは、比色シグナルである。
【0272】
一実施形態において、前記標的被検体は、タンパク質又はペプチド(例えば、ヌクレオカプシドタンパク質等のウイルスタンパク質、又はタンパク質由来ホルモン)であり、前記システムは、約1.0ng/mL以下、約0.8ng/mL以下、約0.6ng/mL以下、約0.4ng/mL以下、約0.2ng/mL以下、約0.1ng/mL以下の検出レベル(LOD)を可能にする。所定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び/又は方法は、30分以下、15分以下、10分以下、5分以下又は1分以下でこのLODを可能にする。
【0273】
所定の実施形態において、前記標的被検体は、低分子であり、前記システムは、約0.01~約100ng/mL、約0.1~10ng/mL、0.2~5ng/mL、又は約0.2~約1.0ng/mLの範囲のLODを可能にする。所定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び/又は方法は、30分以下、15分以下、10分以下、5分以下又は1分以下でこのLODを可能にする。
【0274】
所定の実施形態において、前記標的被検体は、ウイルス体であり、前記システムは、約1012 TCID50/mL以下、より特定的には、約1011 TCID50/mL以下、約1010 TCID50/mL以下、約109 TCID50/mL以下、約108 TCID50/mL以下、約107 TCID50/mL以下、約106 TCID50/mL以下、約105 TCID50/mL以下、約104 TCID50/mL以下、約5000 TCID50/mL以下、約20000 TCID50/mL以下、約10000 TCID50/mL以下、約5000 TCID50/mL以下、約1000 TCID50/mL以下、約500 TCID50/mL以下、約300 TCID50/mL以下、約100 TCID50/mL以下、約50 TCID50/mL以下、約20 TCID50/mL以下、又は約15 TCID50/mL以下のLODを可能にする。所定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び/又は方法は、30分以下、15分以下、10分以下、5分以下又は1分以下でこのLODを可能にする。
【0275】
別の実施形態において、前記標的被検体は、ウイルス体であり、前記システムは、約13~約50000 TCID50/mL、より特定的には、約13~約20000 TCID50/mL、より特定的には、約50~約10,000 TCID50/mL、50~約104 TCID50/mL、50~約105 TCID50/mL、50~約106 TCID50/mL、50~約107 TCID50/mL、50~約108 TCID50/mL、50~約109 TCID50/mL、50~約1010 TCID50/mL、50~約1011 TCID50/mL、50~約1012 TCID50/mLの範囲のLODを可能にする。所定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び/又は方法は、30分以下、15分以下、10分以下、5分以下又は1分以下でこのLODを可能にする。
【0276】
一実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び方法は、1mL当たり約101~約1011タンパク質コピーの範囲内のLODを可能にする。
【0277】
一実施形態において、本願に開示するシステム及びアッセイは、溶液中の低分子約10~1,000個の検出が可能であり、現在の対象臨床範囲を優に下回る。一実施形態において、前記システムは、溶液中の低分子約10~約100個、又は約10~約50個、より特定的には、溶液中の低分子約10~約20個の検出を可能にする。
【0278】
一実施形態において、本願に開示するシステムは、低分子約10個/mL又は被検体10個/mL又は同等の濃度の検出限界を可能にする。
【0279】
一実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び/又は方法は、1mL当たりウイルス粒子約1000個以下、約900個以下、約800個以下、約700個以下、約600個以下、約500個以下、約400個以下、約300個以下、約200個以下、約100個以下又は同等の濃度の検出を可能にする。
【0280】
特定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び/又は方法は、1mL当たりウイルス粒子約100個以下、又はより特定的には、1mL当たりウイルス粒子約90個、約85個、約80個、約75個、約70個、約65個、約60個、約55個、又は約50個の検出を可能にする。
【0281】
一実施形態において、結果が得られるまでの時間は、1秒~30分、好ましくは10秒~15分、より好ましくは約20秒~8分、更に好ましくは30秒~5分である。
【0282】
一実施形態において、前記アッセイは、10分以下、5分以下、2分以下又は1分以下で前記少なくとも1種の標的被検体の検出を可能にする。
【0283】
本願に開示するシステム及びアッセイは、使用者に望ましい特性を示し、場合により、従来技術のアッセイ及びシステムよりも改善された特性を示す。これらの特性としては、限定されないが、検知速度及び時間(<約1分)、特異度(>約90%)、選択性(>約90%)、アッセイの検出限界(標的被検体1個/mL~>100,000個/mL)、定量的検出(精度>約90%及び正確度>約90%)、センサー出力に及ぼす一般的な干渉成分の影響、(例えば、近縁タンパク質間、例えば、リン酸化タンパク質と非リン酸化タンパク質の間の)交差反応性(標的被検体に対する選択性>約90%)、ダイナミックレンジ、反復測定の変動係数(分散<約0%)、操作安定性又はその組み合わせが挙げられる。一実施形態において、5変数の分散分析は、使用される統計法に応じて5回の測定で0.95を上回る収束に達することができる。製造の標準化により、変数を1又は2に減らすと、2回の測定で信頼水準を得ることができる。所定の実施形態において、本願に開示するシステム及びアッセイは、所望の特性、即ち、定電位又は遅延型クロノアンペロメトリーで達成可能な特性よりも優れた特性を達成するために、改変クロノアンペロメトリー法を利用する。
【0284】
一実施形態において、前記システム又はアッセイは、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、又は約99%以上の感度を可能にする。
【0285】
特定の実施形態において、前記システムは、10回の試験のうち、9回の真陽性試験結果と1回の偽陽性試験結果を生じることができる。
【0286】
一実施形態において、前記システム又はアッセイは、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、又は約99%以上の感度を可能にする。この高感度の利点は、例えば、症状が明白になる前に、非常に早期の検出を実施できるという点である。これは、他の感染個体と接触したことがある対象における疾患状態を検出するために特に有用である。
【0287】
一実施形態において、前記酸化還元被検体溶液は、化合物と対イオンの作用下でより高感度又は低感度になることができ、システム感度に影響を与えることができる。所定の実施形態では、酵素機能に不可欠の化合物又は対イオンの滴定により、標的被検体をより高感度で検出することができる。例えば、MgCl2をDEA緩衝液に滴定し、特に酵素源の関数としてアッセイ感度を上げられること示す実施例19参照。
【0288】
特定の実施形態において、前記システム又はアッセイは、10回の試験のうち、9回の真陰性試験結果と1回の偽陰性試験結果を生じることができる。
【0289】
他のこのような特性としては、試験規模、アッセイ時間、使い易さ、二次的な(医療従事者)感染が挙げられる。特に、生体試料中の標的被検体を検出するために使用する場合に、偽陰性結果は誤った診断又は治療に繋がる可能性があるので、正確さは最も重要である。
【0290】
一実施形態において、本願に開示するシステム及びアッセイは、生体(例えば、唾液又は血液)試料の添加後約10分以内、より特定的には、約5分以内、約2分以内又は約1分以内に使用者に結果を提供する。特定の実施形態において、前記システムは、約1~約2分以内に使用者に結果を提供することができる。
【0291】
一実施形態において、本願に開示するシステム及びアッセイは、偽陽性率が約33%未満である。特定の実施形態において、前記偽陽性率は、約32%、約30%、約28%、約26%、約24%、約22%、約20%、約18%、約16%、約14%、約12% 約10%、約8%、約6%、約4%又は約2%以下である。
【0292】
別の実施形態において、本願に開示するシステム及びアッセイは、偽陰性率が約20%未満であり、約18%、約16%、約14%、約12% 約10%、約8%、約6%、約4%又は約2%以下である。
【0293】
一実施形態において、本願に開示するシステムは、(95%信頼区間で)95%の感度と95%の特異度を可能にする。
【0294】
別の実施形態において、本願に開示するシステムは、約90%の最低標的臨床感度及び約98%の最適標的感度と、約90%の最低標的特異度及び>98%の最適標的感度を可能にする。
【0295】
一実施形態において、本願に開示するシステムは、疾患診断、経過観察、管理又はその組み合わせの改善を可能にする。
【0296】
本願に記載する試料及びアッセイは、多種多様のフォーマット及び検出ストラテジーとすることができるが、以下に詳述するような所定の要素は共通である。
【0297】
A.試料
本願に開示するシステム、アッセイ及び方法で利用される試料は、多種多様とすることができる。
【0298】
一実施形態において、前記試料は、生体試料である。生体試料としては、個体から取得された種々の試料種が挙げられ、臨床又は非臨床試料を含む。前記生体試料は、多種多様とすることができ、例えば、汗、唾液、涙液、血液、血清、乳汁、尿、粘液、糞便、皮脂、房水等の眼内液、呼吸器飛沫、胸水、脳脊髄液、精液、射精液、膣粘液、リンパ液、腹水、腹腔液、心嚢液、羊水、滑液、腸液、耳垢、表皮細胞、白血球、鼻腔若しくは鼻咽頭検体、血液又はその組み合わせが挙げられる。
【0299】
特定の実施形態において、前記生体試料は、唾液である。前記生体試料として唾液を使用すると、不快な試料採取技術を使用せずに済み、簡単に試料を採取できるという利点がある。唾液は、粘性、粘稠、粘着性の体液であり、細菌や真菌等の微生物、無傷のヒト細胞、細胞破片、並びに多数の可溶性物質、酵素、ホルモン、抗体、及び他の分子を元々含有している。
【0300】
唾液検体は、任意の適切な方法で対象から容易に採取することができ、所定の実施形態では、例えば、対象に容器の中に唾を吐かせた後に容器の内容物を希釈し、システム又はアッセイに添加するか、あるいはカセット又は試験ストリップ上に直接唾を吐かせることにより、特殊な設備を使用せずに採取できる。例えば、Navazesn M(1993).Methods for collecting saliva.Ann N Y Acad Sci 694:72-77参照。他の実施形態では、無細胞液相を提供するように、前記唾液を(例えば、遠心により)処理することができる。
【0301】
血液検体は、任意の適切な方法で対象から容易に採取することができ、所定の実施形態では、特殊な設備を使用せずに採取できる。
【0302】
別の特定の実施形態において、前記生体試料は、血液以外のものである。
【0303】
別の特定の実施形態において、前記生体試料は、尿以外のものである。
【0304】
生体試料は、静脈穿刺、腰椎穿刺、唾液若しくは尿等の液体試料、又は組織生検等の周知の技術を使用して対象(例えば、ヒト)から得ることができる。
【0305】
前記生体試料の体積は、多種多様とすることができる。一実施形態において、前記生体試料の体積は、約1μL~約2000μL、約10μL~約2000μL、約20μL~約2000μL、約50μL~約2000μL、又は約100μL~約2000μLであり、より特定的には、約100μL、約150μL、約200μL、約250μL、約300μL、約350μL、約400μL、約450μL、約500μL、約550μL、約600μL、約650μL、約700μL、約750μL、約800μL、約850μL、約900μL、約950μL、約1000μL、約1250μL、約1500μL、約1750μL又は約2000μLである。
【0306】
別の実施形態において、前記試料は、環境試料である。前記環境試料は、多種多様とすることができ、水、土壌、廃棄物(液体、固体又は例えば、下水を含む汚泥)、燃料、堆積物、泥土等が挙げられる。所定の実施形態において、前記環境試料は、飲食品等の工業製品又はその製造に利用される原料である。
【0307】
ある種の実施形態において、前記システムは、採取チャンバー等のコンポーネント及び/又はフルイディックデザインによる試料調製(例えば、溶媒和、希釈及び混合)を含む。ストリップ上のマトリックスは、任意の溶媒和物を含むことができる。あるいは、前記システムの外部で試料調製を行った後に、前記システムに添加してもよい。
【0308】
所定の実施形態では、前記試料を調達後で着目被検体の試験前に何らかの方法で操作又は処理しておいてもよい。特に、前記試料を液体媒体で希釈し、希釈試料としてもよい。前記試料を希釈するために使用される液体媒体としては、例えば、水、生理食塩水、細胞培養培地、又は任意の溶液が挙げられ、任意数の塩類、界面活性剤、緩衝液、還元剤、変性剤、保存剤等を添加することができる。前記試料は、例えば、2倍、4倍、又は6倍以上に希釈することができる。
【0309】
前記試料のpHは、多種多様とすることができるが、所定の実施形態では、約6.0~約8.0とする。
【0310】
固体試料を流動し易くするために、液体媒体に溶解してもよいし、他の方法で液体試料として調製してもよい。生体細胞又は粒子を使用する場合には、前記生体細胞又は粒子の内容物が液体媒体中に放出されるように、前記生体細胞又は粒子を溶解又は他の方法で破砕してもよい。このような場合には、細胞膜及び/又は細胞壁に含まれる分子も前記液体媒体中に放出させてもよい。
【0311】
他の実施形態では、前記試料を前記アッセイに添加する前に、少なくとも1種の試薬(例えば、捕捉剤、結合剤、第2の結合剤、及び/又は基質)と混合してもよい。
【0312】
所定の実施形態では、診断アッセイ自体を実施する前に、前記標的被検体を濃縮又はインキュベートしない。
【0313】
所定の実施形態において、前記試料は、生試料であり、即ち、資源から採取したままであり、試験前に処理していない。
【0314】
B.標的被検体
本願に開示するシステム、アッセイ及び方法により検出される少なくとも1種の標的被検体は、多種多様とすることができる。所定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び方法は、2種以上の標的被検体を同時又は逐次検出することができ、即ち、多重システム、アッセイ又は方法である。
【0315】
所定の実施形態において、前記標的被検体は、正常な健康状態若しくは非病原性状態又は疾患若しくは傷害により変化した生理状態に関連付けることができる。他の実施形態において、前記標的被検体は、生理状態の変化に関連付けられ、前記試験は、前記状態の進行又は治療応答の監視を可能にする。
【0316】
一実施形態において、前記標的被検体は、アレルギー疾患、感染性疾患、自己免疫疾患、心疾患、がん又は移植片対宿主病に関連付けられる。
【0317】
特定の実施形態において、前記標的被検体は、グルコース以外のものである。
【0318】
一実施形態において、前記試料は、生体試料であり、前記標的被検体は、病原性微生物(例えば、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫又は真菌胞子)等の微生物、アレルゲン、タンパク質、ペプチド、核酸、低分子、ホルモン、ステロイド、補因子、ビタミン、代謝産物等から選択される被検体である。所定の実施形態において、前記標的被検体は、ウイルス体等の微生物体である。
【0319】
他の実施形態において、前記標的被検体は、微生物に関連する抗原であり、例えば、タンパク質、ペプチド、多糖、毒素、細胞壁、細胞皮膜、ウイルス皮膜、ウイルスコート、鞭毛、長縁毛若しくは線毛、微生物、核酸とタンパク質若しくは多糖の複合体、脂質、脂質とタンパク質若しくは多糖の複合体、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、糖質、化学部分、又はその組み合わせ(例えば、リン酸化又はグリコシル化ポリペプチド等)である。
【0320】
具体的に、前記標的被検体は、ウイルス又はウイルスの一部とすることができ、前記ウイルス又はウイルスの一部の少なくとも1種のポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体又はアプタマー又はタンパク質は、現在公知であるか又は今後公知となる。
【0321】
一実施形態において、前記ウイルスは、DNAウイルスであり、例えば、一本鎖又は二本鎖DNAウイルスである。
【0322】
別の実施形態において、前記ウイルスは、RNAウイルスであり、例えば、一本鎖又は二本鎖RNAウイルスである。
【0323】
本願に開示するシステム、アッセイ及び方法に従って検出することができるウイルスの非限定的な代表例としては、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス、コロナウイルス、肝炎(例えば、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎)ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、鳥インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、単純ヘルペスウイルス、エボラウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、ヒトパピローマウイルス、マールブルグウイルス、ラッサウイルス、ペスチウイルス、豚パルボウイルス、仮性狂犬病ウイルス、ロタウイルス、カリシウイルス、エプスタイン・バールウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトボカウイルス、パルボウイルスB19、ヒトアストロウイルス、ノーウォークウイルス、コクサッキーウイルス、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、風疹ウイルス、ロタウイルス、又は犬ジステンパーウイルスか挙げられる。
【0324】
特定の実施形態において、前記標的被検体は、コロナウイルスであり、例えば、コロナウイルス体又はコロナウイルスタンパク質若しくはペプチドである。コロナウイルスは、エンベロープを有するプラス鎖一本鎖RNAウイルスの大きく多様なファミリーから構成される。全てのコロナウイルスは、例えば、スパイク(S)タンパク質、エンベロープ(E)タンパク質、膜(M)タンパク質、及びヌクレオカプシド(N)タンパク質の4個の構造タンパク質を含む。そのうち、Sタンパク質は、ウイルス吸着、融合及び侵入に最も重要な役割を果たす。
【0325】
一実施形態において、前記標的被検体は、コロナウイルスSタンパク質又はその断片若しくはエピトープである。前記Sタンパク質は、三量体I型膜貫通型糖タンパク質であり、ビリオン表面に突出する大きなスパイクが特徴的な王冠形状を形成し、宿主細胞受容体との結合と宿主細胞膜との融合を仲介する。多くのコロナウイルスにおいて、Sは翻訳後切断され、S1及びS2と呼ばれる2個のサブユニットとなり、三量化し、準安定な融合前構造に折り畳まれる。S1サブユニットは、スパイクの「ヘッド」を形成し、アミノ(N)末端ドメイン(NTD)とカルボキシ(C)末端ドメイン(CTD)の2個のドメインを含み、後者は、一般に受容体結合ドメイン(RBD)を含む。S2サブユニットは、2個のヘプタッドリピート(HR)領域を含む。S1が対応する宿主受容体を認識してこれと結合すると、S2は、コンフォメーション変化を生じ、圧縮形態から自己伸長し、融合後状態と呼ばれる爪状になる。この結果、ウイルスエンベロープは外膜と融合し、ウイルス遺伝子材料を細胞の内側に堆積させる。その後、ウイルスの生活環は進行し、生合成、アセンブリ及び放出へと進む。
【0326】
一実施形態において、前記標的被検体は、S1又はS2であり、より特定的には、NTD、RBD、CTD1、CTD2、S1/S2、S1/S2切断部位、S2’、S2’切断部位、融合ペプチド、融合ペプチド近位領域(FPPR)、ヘプタッドリピート1(HR1)、ヘプタッドリピート1、中央らせん領域(CHD)、コネクタードメイン(CD)、ヘプタッドリピート2(ヘプタッドリピート2)、膜貫通型アンカー(TM)、細胞質テール(CT)又はその組み合わせである。
【0327】
Sタンパク質可変部は、それらの受容体相互作用と、ウイルス-細胞膜融合の種々の環境トリガーに対するそれらの応答が種々に進化しており、コロナウイルスの多様性を反映している。特に、Sタンパク質のRBDは、ベータコロナウイルス群における最も可変性の高いゲノム部分である。
【0328】
別の実施形態において、前記標的被検体は、コロナウイルスヌクレオカプシド(N)タンパク質又はその断片若しくはエピトープである。Nタンパク質は、独立して折り畳まれた2個の構造領域、即ち、N末端ドメイン(NTD/ドメイン1)及びC末端ドメイン(CTD/ドメイン3)と、その間に配置された本質的に不規則な中央領域(RNA結合ドメイン/ドメイン2)の3個の別個の高度に保存されたドメインを特徴とする。特定の実施形態において、前記標的被検体は、Nタンパク質のNTD、CTD又はRNA結合ドメインである。
【0329】
アルファ、ベータ(旧称グループ2)、デルタ及びガンマの4種の血清学的に異なるグループのコロナウイルスが記載されている。各グループ内で、ウイルスはそれらの宿主範囲とゲノム配列により特徴付けられる。アルファコロナウイルスとベータコロナウイルスは、哺乳動物のみに感染し、ガンマコロナウイルスとデルタコロナウイルスは、主に鳥類に感染するが、哺乳動物に感染するものもある。今日では、新型哺乳動物コロナウイルスが正式に同定されている(Su et al.,Trends Microbiol.2016;24:490-502)。ヒトに臨床的に重要であることが分かっているベータコロナウイルス(ベータCoV)としては、A系統、B系統及びC系統のウイルスが挙げられ、より特定的には、A系統として、(普通感冒の原因となり得る)OC43及びHKU1が挙げられ、B系統として、LPH-CoV、SARS-CoV、(COVID-19病の原因である)SARS-CoV-2及びSARS-CoV-n(なお、nは、任意の整数である)が挙げられ、C系統として、MERS-CoVが挙げられる。
【0330】
一実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び方法は、ベータコロナウイルス感染症、より特定的には、A系統、B系統又はC系統コロナウイルス感染症の検出に関する。これらは、複数の構造タンパク質及び非構造タンパク質をコードする約32Kbのプラス鎖一本鎖RNAを有するウイルスである。ウイルス粒子は、スパイクタンパク質、膜タンパク質、エンベロープタンパク質、及びヌクレオカプシドタンパク質の4種の主要な構造タンパク質を含む。スパイクタンパク質は、ビリオンのエンベロープから突出し、受容体宿主選択性と細胞接着に中心的役割を果たす。ベータコロナウイルスは、ORF1abポリプロテイン及び大半の構造タンパク質内で多くの類似性があるが、スパイクタンパク質とアクセサリータンパク質は、顕著な多様性を示す。スパイクタンパク質の突然変異は、新規宿主又は病原性の増加をはじめとしてウイルスのトロピズムを変化させる可能性がある。
【0331】
特定の実施形態において、少なくとも1種の標的被検体はウイルスであり、より特定的には、ベータコロナウイルス等のコロナウイルスであり、更に特定的には、SARS-CoV-1又はSARS-Cov-2である。
【0332】
別の特定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び方法は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染症の検出に関する。SARS-CoV-2(別称2019-nCoV)は、2020年1月に重症急性呼吸器症候群2(別称Covid-19)の原因物質として同定された。新型コロナウイルスの感染は瞬く間に広がり、2020年3月に、世界保健機構(WHO)は、Covid-19をパンデミックと宣言した。このウイルスは今日までに700万人超に感染しており、400,000人超が死亡している。高密度及び密接に接触して生活又は労働する者(例えば、兵士)は特に危険である。
【0333】
SARS-CoV-2に関連する臨床徴候としては、肺炎、発熱、乾性咳、頭痛及び呼吸困難が挙げられ、進行すると、呼吸器不全と死亡に至る恐れがある。SARS-CoVとMERS-CoVの平均潜伏期間は、5~7日間であるが、SARS-CoV-2の潜伏期間は、それよりも長いと思われる。
【0334】
SARS-CoV-2は、2020年1月に配列決定され、単離された(例えば、Zhou N.N Engl J Med.,382(2020),pp.727-733)。それ以来、SARS-CoV-2の数種の配列が発表されている。他のコロナウイルスと同様に、SARS-CoV-2ウイルス表面の主要な糖タンパク質は、スパイク(S)タンパク質である。SARS-CoV-2は、受容体結合ドメイン(ヒト、フェレット、ネコ及び受容体相同性の高い他の生物種に由来するACE2と高親和性で結合するRBD)を有すると思われる(Wan et al.,(2020)J.Virol.https://doi.org/10.1128/JVI.00127-20)。
【0335】
SARS-CoV-2 S1RBDは、193アミノ酸長(N318~V510)である。
【0336】
SARS-CoV-2Sタンパク質は、SARS-CoVS Urbaniとのアミノ酸配列一致度が76%であり、コウモリSARSr-CoV ZXC21S及びZC45S糖タンパク質との一致度が80%であると報告されている。SARS-CoV-2(MN938384)、Bat-CoV(MN996532及びMG772933)及びSARS-CoV(NC004718)の相互作用ドメインの配列アラインメントによると、SARS-CoV-2のRBDは、C末端残基がSARS-CoVと著しく相違する。
【0337】
SARS-CoV-2のS1サブユニットは、受容体結合ドメイン(RBD)を含み、S2サブユニットは、疎水性融合ペプチドと2個のヘプタッドリピート領域を含む。S1は、N末端ドメイン(NTD)とC末端ドメイン(Cドメイン)の2個の構造的に独立したドメインを含む。ウイルスに応じて、NTD又はCドメインが、受容体結合ドメイン(RBD)として機能することができる。
【0338】
一実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び方法は、SARS-CoV-2のSタンパク質又はそのサブユニット若しくは断片、より特定的には、SARS-Co-V-2のSタンパク質の1個以上のエピトープを検出することができ、限定されないが、RBD、S1アミノ末端ドメイン(S1-NTD)、ORF3(3a及び3b)及びアクセサリー遺伝子ORF8が挙げられる。
【0339】
一実施形態において、前記捕捉剤及び結合剤は、ヒトアンギオテンシン変換酵素(ACE)タンパク質を使用してSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質と結合する。特定の実施形態において、前記ACEタンパク質は、Sタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)と結合する。
【0340】
一実施形態において、前記捕捉剤及び検出剤は、SARS-CoV-1スパイク(S)タンパク質上の異なるエピトープと結合する。特定の実施形態において、前記エピトープの少なくとも1個は、S1タンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)内に含まれる。
【0341】
一実施形態において、前記結合剤の1種は、ヒトアンギオテンシン変換酵素(ACE)を使用してSARS-CoV-1スパイク(S)タンパク質と結合する。特定の実施形態において、前記ACEタンパク質は、Sタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)と結合する。
【0342】
一実施形態において、本願のシステム、アッセイ及び方法は、ウイルス体、即ち、SARS-CoV-2粒子の検出を可能にする。
【0343】
一実施形態において、本願のシステム、アッセイ及び方法は、SARS-CoV-2のN末端ドメイン(NTD)及びC末端ドメイン(Cドメイン)の1個以上のエピトープの検出を可能にする。
【0344】
一実施形態において、本願のシステム、アッセイ及び方法は、SARS-CoV-2のRBDにおける1個以上のエピトープ、より特定的には、RBDの残基319~510内の1個以上のエピトープの検出を可能にする。
【0345】
特定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び方法は、SARS-CoV感染症の検出に関する。SARS-CoVは、2003年4月に重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因である病原体として同定された(Drosten et al.,New Engl.J.Med.2003;348:1967-1976)。臨床的に、SARS-CoVは、二相性の経過をたどり、即ち、先ず、高熱、パラインフルエンザ症候群を発現した後、呼吸窮迫が亢進する。飛沫が伝染に主要な役割を果たす。診断は、臨床像と、血清反応陽性、PCR又は細胞培養におけるウイルスの存在により裏付けられる疫学的データに基づく。SARS-CoVのコンセンサスゲノム配列は、程なくして公表され、B系統ベータコロナウイルスと最もよく似ている(Marra et al.,Science.2003;300:1399-14040;Ruan et al.,Lancet.2003;361:1779-1785)。
【0346】
SARS-CoVスパイクタンパク質は、S1(アミノ酸12~680)とS2(アミノ酸681~1255)の2つの機能的ドメインから構成されることが示されている(Li et al.,Science.2005;309:1864-1868)。RBDは、S1サブユニット内に位置し、S1ドメインのアミノ酸(aa)318~510から構成される断片にマッピングされている(Wong et al.,J Biol Chem.2004;279:3197-3201)。
【0347】
一実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び方法は、SARS-CoV-2のSタンパク質又はその断片若しくはエピトープ、より特定的には、SARS-CoV-2のSタンパク質の1個以上のエピトープの検出を可能にし、限定されないが、RBDが挙げられる。
【0348】
一実施形態において、本願のシステム、アッセイ及び方法は、SARS-CoV-2のRBDの1個以上のエピトープ、より特定的には、RBDの残基318~510内の1個以上のエピトープ残基の検出を可能にする。
【0349】
一実施形態において、本願に記載するシステム、アッセイ及び方法は、SARS-CoV-2のNタンパク質又はその断片若しくはエピトープの検出を可能にする。
【0350】
特定の実施形態において、本願に開示するシステム及び方法は、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染症の検出に関する。MERS-CoVは、新たに出現したベータコロナウイルスであり、重症急性呼吸器疾患の原因である。2012年にサウジアラビアで初めて単離され(Zaki et al 2012,NEJM 367:1814-1820)、それ以来、約18ヵ国に広がり、症例の大半はサウジアラビアとアラブ首長国連邦で報告されている。ヒトにおけるMERS-CoV感染症の臨床特徴は、無症候感染から非常に重症の肺炎に至るまで幅広く、急性呼吸窮迫症候群、敗血症性ショック及び多臓器不全の発症から死に至る可能性がある。このウイルスは、標的細胞に侵入するために、細胞受容体との相互作用にそのスパイクタンパク質を使用する。ウイルスは、そのスパイクタンパク質の受容体結合ドメインを介してヒト上皮細胞及び内皮細胞上のジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4)と結合することが示されている(Raj et al 2013,Nature 495:251-256)。Lu et al 2013は、MERS-CoV受容体結合ドメインが、コアと、DPP4と相互作用する受容体結合サブドメインから構成されることを示している(Lu et al 2013,Nature 500:227-231)。
【0351】
MERS-CoVスパイクタンパク質は、1353アミノ酸長のI型膜糖タンパク質であり、集合して三量体となり、エンベロープを有するMERSコロナウイルス粒子の表面のスパイク又はペプロマーを構成する。このタンパク質は、宿主受容体結合と膜融合という2つの必須機能を有しており、夫々Sタンパク質のN末端側半分(S1、アミノ酸残基1~751)とC末端側半分(S2、アミノ酸残基752~1353)に割り当てられる。MERS-CoV-Sは、S1サブユニットに存在する約230アミノ酸長の受容体結合ドメイン(RBD)を介してそのコグネイト受容体であるジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4)と結合する。Mou et al(2013)は、J.Virology(vol 87,9379~9383頁)において、MERS-CoVRBDがスパイクタンパク質の残基358~588内に位置することを示している。全長MERS-CoVスパイクタンパク質のアミノ酸配列の一例は、GenBankにアクセション番号AFS88936.1として登録されたMERS-CoV単離株EMC/2012のスパイクタンパク質のアミノ酸配列により示される。「MERS-CoV-S」なる用語は、種々のMERS-CoV単離株(例えば、Jordan-N3/2012、England-Qatar/2012、Al-Hasa_1_2013、Al-Hasa_2_2013、Al-Hasa_3_2013、Al-Hasa_4_2013、Al-Hasa_12、Al-Hasa_15、Al-Hasa_16、Al-Hasa_17、Al-Hasa_18、Al-Hasa_19、Al-Hasa_21、Al-Hasa_25、Bisha_1、Buraidah_1、England 1、Hafr-Al-Batin_1、Hafr-Al-Batin_2、Hafr-Al-Batin_6、Jeddah_1、KFU-HKU 1、KFU-HKU 13、Munich、Qatar3、Qatar4、Riyadh_1、Riyadh_2、Riyadh_3、Riyadh_3、Riyadh_4、Riyadh_5、Riyadh_9、Riyadh_14、Taif_1、UAE、及びWadi-Ad-Dawasir)から単離されたMERS-CoVスパイクタンパク質のタンパク質変異体も含む。「MERS-CoV-S」なる用語は、組換えMERS-CoVスパイクタンパク質又はその断片を含む。
【0352】
一実施形態において、前記捕捉剤及び検出剤は、229E、NL63、OC43、及びHKU1種をはじめとする普通のヒトコロナウイルスのスパイクタンパク質、膜タンパク質、ヘマグルチニンタンパク質、エンベロープ又はエンベロープタンパク質と結合する。
【0353】
特定の実施形態において、少なくとも1種の標的被検体は、ウイルスであり、より特定的には、ライノウイルスである。一実施形態において、前記第1及び第2の結合剤は、ライノウイルスの4種の可能なカプシドタンパク質の1種と結合する。
【0354】
特定の実施形態において、少なくとも1種の標的被検体は、ウイルスであり、より特定的には、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、パラインフルエンザウイルス(PIV)、又はH1N1である。
【0355】
一実施形態において、前記第1及び第2の結合剤は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、パラインフルエンザウイルス(PIV)、又はH1N1の融合タンパク質、膜タンパク質、ヘマグルチニンタンパク質、ノイラミニダーゼタンパク質、エンベロープ又はエンベロープタンパク質と結合する。
【0356】
特定の実施形態において、少なくとも1種の標的被検体は、ウイルスであり、より特定的には、ヒトメタニューモウイルスである。
【0357】
一実施形態において、前記捕捉剤及び検出剤は、ヒトメタニューモウイルスの融合タンパク質、SHタンパク質、マトリックスタンパク質、糖タンパク質、エンベロープ又はエンベロープタンパク質と結合する。
【0358】
特定の実施形態において、少なくとも1種の標的被検体は、ウイルスであり、より特定的には、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)である。
【0359】
一実施形態において、前記捕捉剤及び検出剤は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のMHCタンパク質、p17マトリックスタンパク質、gp120ドッキング糖タンパク質、gp41膜貫通型糖タンパク質、エンベロープ又はエンベロープタンパク質と結合する。
【0360】
特定の実施形態において、少なくとも1種の標的被検体は、ウイルスであり、より特定的には、エボラウイルスである。
【0361】
一実施形態において、前記捕捉剤及び検出剤は、エボラウイルスの糖タンパク質、マトリックスタンパク質、核タンパク質、エンベロープ又はエンベロープタンパク質と結合する。
【0362】
特定の実施形態において、少なくとも1種の標的被検体は、ウイルスであり、より特定的には、マールブルグウイルスである。
【0363】
一実施形態において、前記捕捉剤及び検出剤は、マールブルグウイルスの糖タンパク質、VP40マトリックスタンパク質、核タンパク質、エンベロープ又はエンベロープタンパク質と結合する。
【0364】
特定の実施形態において、少なくとも1種の標的被検体は、ウイルスであり、より特定的には、ラッサウイルスである。
【0365】
一実施形態において、前記捕捉剤及び検出剤は、ラッサウイルスの糖タンパク質1、糖タンパク質2、高分子タンパク質、亜鉛タンパク質、安定なシグナルペプチド(SSP)、核タンパク質、エンベロープ又はエンベロープタンパク質と結合する。
【0366】
一実施形態において、前記捕捉剤及び検出剤は、マラリア原虫(malaria plasmodium)のTRAPタンパク質、SPECTタンパク質、MAEBLタンパク質、PPLPタンパク質、LSAタンパク質、STARPタンパク質、CSタンパク質、SALSAタンパク質、SPATRタンパク質、PxSRタンパク質又はPfEMP3タンパク質と結合する。
【0367】
所定の実施形態において、前記1種以上の標的被検体又は病原体は、ヒト以外の動物に由来する生体試料中に存在する(例えば、コウモリにおけるウエストナイルウイルス及び人獣共通感染症病原体)。
【0368】
前記標的被検体は、任意のタンパク質又はペプチドであり、前記タンパク質又はペプチドの少なくとも1種のポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体又はアプタマーは、現在公知であるか、又は今後公知となる。
【0369】
標的の非限定的な代表例としては、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NTproBNP)[うっ血性心不全];インスリン[糖尿病];グルカゴン[糖尿病];自己抗体(抗dsDNA、抗dsg1、ANA等);前立腺特異抗原(PSA)[がん];オステオポンチン(OPN)[関節炎及びがん];がん胎児性抗原(CEA)[がん];黄体形成ホルモン[妊娠];卵胞刺激ホルモン[発生];プロラクチン[がん];ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)[妊娠及び発生];グルテン[食物アレルギー];コムギ[食物アレルギー];ピーナッツ[食物アレルギー];アーモンド[食物アレルギー];カゼイン及び乳漿[食物アレルギー];ゴマ[食物アレルギー];卵[食物アレルギー];組織トランスグルタミナーゼ抗体[セリアック病];肝臓型アルギナーゼ[肝疾患];可溶性肝抗原[肝疾患];ミトコンドリア2(M2)抗原[肝疾患];トリヨードサイロニン(T3)、抗精子抗体(ASA)、トロポニンI、サイロキシン(T4)、抗カルジオリピン抗体(ACA)、CKMB、TSH、抗子宮内膜抗体(AEA)、遊離トリヨードサイロニン(FT3)、抗卵巣抗体(AOA)、遊離サイロキシン(FT4)、抗トロホブラスト(ATB)抗体、抗甲状腺ミクロソーム(TM)抗体、抗透明帯(ZP)抗体、抗抗チオグロブリン(TG)抗体、抗HCG抗体、ヒト胎盤性ラクトゲン、抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体、HCG、トキソプラズマ(TOX)抗体、FSH、α胎児性タンパク質(AFP)、がん胎児性抗原(CEA)、遊離前立腺特異抗原(FPSA)、サイトメガロウイルス(CMV)抗体、プロゲステロン(PRO)、フェリチン、トキソプラズマ循環抗原(TOX-Ag)、エストラジオール(E2)、CA125、エストリオール(E3)、CA153、CA199、HBsAg、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、HBsAb、CA50、HBeAg、β2ミクログロブリン、HBeAb、コクサッキーウイルス抗体、HBcAb、骨Glaタンパク質(BGP)、デオキシピリジノリン(D-Pyr)、ビタミンD、インスリン、III型プロコラーゲン(PCIII)、C-ペプチド、IV型コラーゲン、インスリン抗体、ラミニン(LN)、グルカゴン、ヒアルロン酸(HA)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ抗体(GAD-AB)、フィブロネクチン(Fn)、α-フェトプロテイン(AFP)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン様ホルモン(例えば、HCG、LH、FSH、TSH);トロポニンI[心筋梗塞];トロポニンT[心筋梗塞];クレアチニンホスホキナーゼ(CPK)[心筋梗塞];MBアイソザイム(CPKMB)[心筋梗塞]、ミオグロビン[心筋梗塞];S100タンパク質(例えば、S100B)及びエノラーゼ[脳虚血];β-アミロイド[アルツハイマー病];α-シヌクレイン[パーキンソン病];β-アミロイド及びミエリン塩基性タンパク質[多発性硬化症];アルブミン及び肝酵素[C型肝炎];アビジン;ストレプトアビジン;α1-アンチトリプシン及びサーファクタントタンパク質[慢性閉塞性肺疾患];α1-アンチトリプシン及びサーファクタントタンパク質[喘息];サーファクタントタンパク質及びエラスターゼ[成人呼吸窮迫症候群];リウマトイド因子、コラーゲン、及びエラスターゼ[自己免疫疾患];アルブミン及びエラスターゼ[臓器不全];リポ多糖結合タンパク質[敗血症];アンジオテンシン及びエリスロポエチン[子癇及び子癇前症;カルプロテクチン(別称「L1アルブメン」、「MRP8/14」、「嚢胞性線維症(関連)抗原(CFA)」及び「カルグラヌリン」)[心疾患等];オキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ;キナーゼ;ヒドロラーゼ;リアーゼ;イソメラーゼ;リガーゼ;ポリメラーゼ;カテプシン;カルパイン;アミノトランスフェラーゼ(例えば、ASTやALT)、プロテアーゼ(例えば、カスパーゼ)、ヌクレオチドシクラーゼ、トランスフェラーゼ、リパーゼ、心臓発作に関連する酵素、SARS-CoV-2に由来するスパイクタンパク質等のタンパク質が挙げられる。
【0370】
所定の実施形態において、前記被検体は、nAb、IgA、IgE、IgG又はIgM等の抗体とすることができる。例えば、COVID感染により、特異的nAb、IgA、IgE、IgG又はIgMが生体内に存在する。疾患又は感染により産生される抗体を捕捉・検出することができる。
【0371】
所定の実施形態において、前記被検体は、翻訳後修飾(例えば、リン酸化、メチル化、グリコシル化)タンパク質とすることができ、前記捕捉成分は、翻訳後修飾に特異的な抗体とすることができる。修飾タンパク質を複数の特異抗体により捕捉した後、翻訳後修飾に特異的な二次抗体を使用して検出することができる。あるいは、翻訳後修飾に特異的な抗体で修飾タンパク質を捕捉した後、各修飾タンパク質に特異的な抗体で検出することができる。
【0372】
所定の実施形態において、前記標的被検体は、ホルモンである。前記ホルモンは、ペプチドホルモン、アミノ酸ホルモン、ステロイドホルモン又はエイコサノイドホルモンとすることができる。本願のシステム、アッセイ及び方法により検出することができるホルモンの非限定的な代表例としては、エストロゲン、プロゲステロン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、テストステロン/DHEA、甲状腺ホルモン、テストステロン、コルチゾール、アンドロステンジオン又はアルドステロンが挙げられる。
【0373】
所定の実施形態において、前記標的被検体は、低分子であり、前記低分子の少なくとも1種のポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体又はアプタマーは、現在公知であるか又は今後公知となる。
【0374】
前記低分子標的被検体は、多種多様とすることができる。一実施形態において、前記標的被検体は、バイオマーカー、薬物(例えば、治療薬及び/又は乱用薬物)、重金属、ホルモン、成長促進剤、栄養素、駆除剤、食品添加物又は毒素である。
【0375】
任意の適切な治療薬を検出することができ、例えば、ヒト又は他の哺乳動物における任意の障害の治療薬が挙げられる。一実施形態において、検出される治療薬は、抗生物質、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬又は抗がん薬から選択される。
【0376】
特定の実施形態において、検出される治療薬は、ペニシリン系、セファロスポリン系、マクロライド系、フルオロキノロン系、スルホンアミド系、テトラサイクリン系及びアミノグリコシド系から構成される群から選択される抗生物質である。所定の実施形態において、前記抗生物質は、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン、パロモマイシン、ストレプトマイシン、スペクチノマイシン、ゲルダナマイシン、ヘルビマイシン、リファキシミン、ロラカルベフ、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチン、メロペネム、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン、セファレキシン、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフェピム、セフタロリン・フォサミル、セフトビプロール、テイコプラニン、バンコマイシン、テラバンシン、ダルババンシン、オリタバンシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、ダプトマイシン、アジスロマイシン、アビラマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、スピラマイシン、アズトレオナム、フラゾリドン、ニトロフラントイン、リネゾリド、ポシゾリド、ラデゾリド、トレゾリド、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンg、ペニシリンv、ピペラシリン、ペニシリンg、テモシリン、チカルシリン、アモキシシリン/クラブラン酸、アンピシリン/スルバクタム、ピペラシリン/タゾバクタム、チカルシリン/クラブラン酸、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンb、シプロフロキサシン、エノキサシン、エンロフロキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、モネンシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、サラフロキサシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、トロバフロキサシン、グレパフロキサシン、サリノマイシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、バンベルマイシン(フラボマイシン)、マフェニド、スルファセタミド、スルファクロロピリダジン、スルファジアジン、スルファジアジン銀、スルファジメトキシン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファニルイミド、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、トリメトプリム・スルファメトキサゾール(tmp-smx)、スルホンアミドクリソイジン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、クロファジミン、ダプソン、カプレオマイシン、サイクロセリン、エタンブトール(bs)、エチオナミド、イソニアジド、ピラジナミド、エリスロマイシン、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、ストレプトマイシン、アルスフェナミン、クロラムフェニコール、ホスホマイシン、フシジン酸、フロルフェニコール、メトロニダゾール、ムピロシン、セフキノム、キノロン系(例えば、フルオロキノロン系)、プラテンシマイシン、キヌプリスチン/ダルフォプリスチン、ネオマイシン、ピルリマイシン、オフロキサシン、チアンフェニコール、チゲサイクリン、チルミコシン、チニダゾール、及びトリメトプリムから構成される群から選択される。
【0377】
特定の実施形態において、検出される治療薬は、アリルアミン系、アゾール系、エキノキャンディン系及びポリエン系から構成される群から選択される抗真菌薬である。所定の実施形態において、抗真菌薬は、アムホテリシンB、カンジシジン、フィリピン、ハマイシン、ナタマイシン、ナイスタチン、リモシジン、ビホナゾール、ブトコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ルリコナゾール、メトロニダゾール、ミコナゾール、オモコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール、チオコナゾール、トリアゾール系、タイロシン、アルバコナゾール、エフィナコナゾール、エポキシコナゾール、フルコナゾール、イサブコナゾール、イトラコナゾール、ポサコナゾール、プロピコナゾール、ラブコナゾール、テルコナゾール、ボリコナゾール、チアゾール系、アバファンギン、アモロルフィン、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィン、アニデュラファンギン、カスポファンギン、ミカファンギン、シクロピロクス、フルシトシン、グリセオフルビン、トルナフタート、バンコマイシン及びウンデシレン酸から構成される群から選択される。
【0378】
特定の実施形態において、本願に開示するシステム及び方法により検出される治療薬は、抗寄生虫薬である。所定の実施形態において、前記治療薬は、アルベンダゾール、アベルメクチン又はスルファキノキサリン(SQX)である。
【0379】
特定の実施形態において、本願に開示するシステム、アッセイ及び方法により検出される治療薬は、抗ウイルス薬である。所定の実施形態において、前記抗ウイルス薬は、吸着阻害剤、侵入阻害剤、脱殻阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、ヌクレオシド及びヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、並びにインテグラーゼ阻害剤から構成される群から選択される。特定の実施形態において、前記抗ウイルス薬は、リバビリンである。
【0380】
特定の実施形態において、本願に開示するシステム及び方法により検出される治療薬は、抗がん薬である。所定の実施形態において、前記抗がん薬は、メトトレキサート又はパクリタキセル、シスプラチン、レナリドミド、イブルチニブ、パルボシクリブ、及びエンザルタミドである。本願に開示するシステム及び方法に従って検出することができる他の治療薬としては、解熱剤、麻酔剤、寄生虫駆除剤、鎮痛剤(例えば、アセトアミノフェン、ミコフェノール酸)、抗炎症薬(例えば、ジピロン)、抗凝固薬、抗ヒスタミン薬、抗てんかん薬、気分安定薬、ホルモン補充剤、経口避妊薬、精神刺激薬、精神安定剤及びスタチン系が挙げられる。
【0381】
本願に開示するシステム及び方法により検出することができる治療薬の非限定的な代表例としては、3-メチルキノキサリン-2-カルボン酸、LMG、及びオラキンドックスが挙げられる。
【0382】
本願に開示するシステム及び方法により検出することができる栄養素の非限定的な代表例としては、ビオチン(ビタミンB7)、フェルラ酸、葉酸及びビタミンB12が挙げられる。
【0383】
本願に開示するシステム及び方法により検出することができる乱用薬物の非限定的な代表例としては、カンナビノイド類、クロナゼパム、コカイン、ジアゼパム、ジヒドロクロロチアジド、ジフェンヒドラミン、エチルグルクロニド、LSD、ヘロイン、マリファナ、MDPV、ニトラゼパム、サリチル酸、トラマドール及びベンラファキシンが挙げられる。
【0384】
一実施形態において、前記標的被検体は、バイオマーカーである。一実施形態において、前記バイオマーカーは、感染症(例えば、ウイルス感染症)に関連付けられる。一実施形態において、前記バイオマーカーは、GM-CSF、グランザイムA、グランザイムB、IFN-α2α、IFN-β、IFN-γ、IL-1β、IL-1RA、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-12p70、IP-10、I-TAC、MCP-1、MCP-2、MCP-4、MDC、MIP-1α MIP-1β、TNF-α、又はVEGF-Aから選択される。
【0385】
本願に開示するシステム、アッセイ及び方法に従って検出することができるバイオマーカーの非限定的な代表例としては、限定されないが、エリスロポエチン(EPO)、フェリチン、葉酸、ヘモグロビン、アルカリホスファターゼ、トランスフェリン、アポリポタンパク質E、CK、CKMB、副甲状腺ホルモン、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)、サイトカイン、シトクロムc、アポリポタンパク質AI、アポリポタンパク質AII、アポリポタンパク質BI、アポリポタンパク質B-100、アポリポタンパク質B48、アポリポタンパク質CII、アポリポタンパク質CIII、アポリポタンパク質E、トリグリセリド類、HDコレステロール、LDLコレステロール、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ、パラオキソナーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスフェラーゼ(AST)、CEA、HER-2、膀胱腫瘍抗原、サイログロブリン、α-フェトプロテイン、PSA、CA125、CA19.9、CA15.3、レプチン、プロラクチン、オステオポンチン、CD98、ファシン、トロポニンI、CD20、HER2、CD33、EGFR、VEGFA等、薬物(カンナビノイド(例えば、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)及びカンナビノール(CBN)等)、オピオイド(例えば、ヘロイン、阿片、フェンタニル等)、精神刺激薬(例えば、コカイン、アンフェタミン、メタンフェタミン等)、クラブドラッグ(例えば、MDMA、フルニトラゼパム、ガンマヒドロキシ酪酸等)、解離性薬物(例えば、ケタミン、フェンサイクリジン、サルビア、デキストロメトルファン等)、幻覚剤(例えば、LSD、メスカリン、シロシビン等)等)、爆薬(例えば、2,4,6-トリニトロトルエン(TNT)及びヘキサヒドロ-1,3,5-トリニトロ-1,3,5-トリアジン(RDX)、四硝酸ペンタエリスリトール(PETN)等)、毒性化学物質(例えば、タブン(GA)、サリン(GB)、ソマン(GD)、シクロサリン(GF)、2-(ジメチルアミノ)エチルN、N-ジメチルホスホルアミドフルオリデート(GV)、VE、VG、VM、VP、VR、VS、又はVX神経剤)等が挙げられる。
【0386】
バイオマーカーは、任意のレベルで差次的に存在することができるが、一般に、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは100%(即ち、不在)低いレベルで存在するか、又は少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%、若しくはそれ以上高いレベルで存在する。あるいは、バイオマーカーの差次的存在は、レベルの変化の倍数により特徴付けることもでき、例えば、1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3.0倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4.0倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7.0倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8.0倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも11倍、少なくとも12倍、少なくとも13倍、少なくとも14倍、少なくとも15倍、少なくとも16倍、少なくとも17倍、少なくとも18倍、少なくとも19倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、若しくは少なくとも50倍低いレベルで存在するか、又は1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3.0倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4.0倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7.0倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8.0倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも11倍、少なくとも12倍、少なくとも13倍、少なくとも14倍、少なくとも15倍、少なくとも16倍、少なくとも17倍、少なくとも18倍、少なくとも19倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、若しくは少なくとも50倍高いレベルで存在する。バイオマーカーは、統計的に有意なレベルで差次的に存在することが好ましい(例えば、ウェルチのT検定又はウィルコクソンの順位和検定を使用して決定した場合に、例えば、p値が0.05未満及び/又はq値が0.10未満)。
【0387】
一実施形態において、前記試料は、環境試料であり、前記標的被検体は、毒素、駆除剤、アスベスト、汚染物質、夾雑物、有機化合物(例えば、石油系炭化水素、ポリ芳香族系炭化水素)若しくは残渣、過フッ素化合物、有機塩素種、内分泌攪乱物質、医薬品、成長因子、清浄剤、トリクロサン、甘味剤、N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)、重金属(例えば、鉛、カドミウム)、微生物、藻類毒素、違法薬物、難燃剤、抗細菌薬、ホルモン、カビ、プリオン又はナノ材料から構成される群から選択される被検体である。
【0388】
本願に開示するシステム及び方法により検出することができる駆除剤の非限定的な代表例としては、アセタミプリド、アセトクロール、カルバリル、カルベンダジム/ベノミル、クロロタロニル、クロルピリホス、フェンプロパトリン、イミダクロプリド、パラチオン及びペンタクロロフェノールが挙げられる。本願に開示するシステム及び方法により検出することができるホルモンの非限定的な代表例としては、(天然及び合成)ステロイドホルモンが挙げられ、例えば、エストロゲン(エストロン、エストラジオール、エストリオール及びその誘導体)、アンドロゲン(テストステロン、ジヒドロテストステロン、アンドロステンジオール、アンドロステンジオン、デヒドロエピアンドロステン(DHEA)、デヒドロエピアンドロステンサルフェート(DHEA-S)及びその誘導体)、プロゲステロン(例えば、プロゲステロン、17-ヒドロキシプロゲステロン、プレグネノロン、17-ヒドロキシプレグネノロン及びその誘導体)、テストステロン、コルチゾール(例えば、グルココルチコイド、ミネラルコルチコイド、コルチゾール、11-デオキシコルチゾール、コルチコステロン、1-デオキシコルチコステロン、18-ヒドロキシコルチコステロン、アルドステロン及びその誘導体)及びメラトニンが挙げられる。
【0389】
本願に開示するシステム及び方法により検出することができる食品添加物の非限定的な代表例としては、アクリルアミド;ALP;b酸;ベンゾフェノン、ベンゾチアジン、BHT、BTZ、クリソイジン、DBP、フタル酸ジメチル、エニルコナゾール、エリスロシン、蛍光増白剤KSN、MBT、メラミン、ローダミン、スーダンI、スーダンレッド、タートラジン及びβ-ラクタマーゼが挙げられる。
【0390】
本願に開示するシステム及び方法により検出することができる燃料添加剤の非限定的な代表例としては、フェロセンやトルエン等のアンチノック剤、又はポリブテンアミン等の清浄剤、又はp-フェニレンジアミン等の酸化防止剤が挙げられる。これらは、抗体を含まないアプタマー組み合わせにより容易に検知することができる。
【0391】
所定の実施形態において、前記標的被検体は、農業、運輸業又は飲食品分野から選択される産業で重要である。
【0392】
ある種の実施形態において、前記着目被検体は、化学又は生物兵器剤である。前記標的被検体は、このような化学又は生物兵器剤のアナログ、代謝産物、及び誘導体でもよい。
【0393】
所定の実施形態において、前記アッセイは、多重アッセイであり、即ち、2種以上の標的被検体を検出することができる。例えば、前記アッセイは、2種以上の異なる標的被検体、3種以上の異なる標的被検体、4種以上の異なる標的被検体又は5種以上の異なる標的被検体を検出することができる。所定の実施形態において、前記アッセイは、複数の異なる標的被検体の検出で使用するのに適したアレイである。
【0394】
一実施形態において、本願に開示するシステム、方法及びアッセイは、SARS-CoV、MERS-CoV、SARS-CoV-2、HCoV-OC43、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、及びRSVの1種以上の同時又は逐次検出を可能にする。所定の実施形態において、前記多重アッセイは、近縁の2種以上の標的被検体(例えば、ウイルス変異体)を検出する。
【0395】
C.アッセイ
(i)フォーマット
前記アッセイのフォーマットは、本願に記載するシステムのコンポーネントであるか、又は独立型アッセイであるかに拘わらず、多種多様とすることができる。
【0396】
一実施形態において、前記アッセイは、ラテラルフローアッセイである。一般に、ラテラルフローアッセイ(LFA)は、(存在する場合に)前記標的被検体と結合して直接又は(例えば、アッセイ内、例えば、コンジュゲート領域に配置された抗体等の標識検出剤により)間接的にシグナルを発生する捕捉剤(例えば、抗体)と共に、固相担体の表面に沿って液体試料を流す。従来のラテラルフローアッセイは、ストリップ(例えば、ニトロセルロースストリップ)を利用しているが、例えば、ディップスティック、フロースルーデバイス、又はマイクロフルイディックデバイス等の他の基材も適切であると思われる。
【0397】
一実施形態において、前記アッセイは、ラテラルフローアッセイである。試験ストリップフォーマットでは、少なくとも1種の標的被検体を含有しているか又は含有することが疑われる液体試料を試料受容ゾーンに載せる。前記標的被検体は、前記試験ストリップと接触後に標識される。こうして標識された着目標的被検体は、その後、(例えば、毛管作用により)前記ストリップを通り抜けるように流れる。
【0398】
特定の実施形態において、前記ラテラルフローアッセイ(LFA)は、試料を滴下する領域である試料パッドと、反応が生じる固相担体(例えば、ポリマー膜)上の試験領域と、廃液を貯蔵する吸収パッドの4部分から構成される。前記試料パッドは、前記試料を受容するためのファイバーグラス、石英、又はセルロース基材上に配置することができる。前記吸収パッド(50)は、綿、ポリマー、Porex、紙等の吸収し易くするための吸収材を含んでいてもよいし、空でもよい。
【0399】
所定の実施形態において、前記試料パッドは、前記試験パッドと同一のパッドである。
【0400】
所定の実施形態では、少なくとも1種の第1の結合剤(例えば、捕捉剤、又は所定の実施形態では、ストレプトアビジン等の第1の結合剤)を例えば、試験ラインとして前記固相担体に固定させる。前記少なくとも1種の第1の結合剤を固定させた領域を、固定化領域又は試験領域と呼ぶ。
【0401】
所定の実施形態において、前記ラテラルフローアッセイは、更に1種以上の標識された検出剤を含むコンジュゲートパッドを含む。
【0402】
所定の実施形態において、前記ラテラルフローアッセイは、更に前記アッセイ又はシステムの動作を監視するための対照エレメントを含む1個以上の対照領域を含む。
【0403】
特定の実施形態において、前記試料は、液体試料であり、又は液体試料を提供するように希釈されている。溶液を混合するため、溶液方向を分岐させるため、対照試料検出を提供するため、分析検出方向を提供するため、又は試料対照検出を提供するために、液体フルイディックフローを使用することができる。
【0404】
前記試料が前記アッセイ内を垂直方向に流れるバーティカルフローアッセイも提供される。前記バーティカルフローアッセイは、1個以上の試験領域と、任意に1個以上の対照領域を含むことができる。
【0405】
一実施形態では、前記試料を試料パッド領域に添加し、分離膜を使用して生体試料から成分を垂直方向に分離すると、濾過された試料が残り、この濾過された試料が前記試験領域に流入する。
【0406】
前記アッセイは、少なくとも1種の捕捉剤と検出剤を含むが、所定の実施形態では、標的被検体に制約されない試験ストリップ又は他の基材を製造し易くするために、第1の結合剤(例えば、ストレプトアビジン)を含むことができる。所定の実施形態では、前記第1の結合剤を架橋させ、試験ストリップ又は他の固相担体から脱離するのを抑制又は防止する。
【0407】
一実施形態において、前記アッセイは、競合アッセイであり、標識された標的被検体に前記捕捉剤を固定させる。標識されていない標的被検体と標識された標的被検体は、前記捕捉剤との結合について競合し、標識された標的被検体の検出される割合により、結合した標的被検体の量を測定することができる。他の実施形態において、前記アッセイは、非競合アッセイである。
【0408】
別の実施形態において、前記アッセイは、2結合剤アッセイである。前記2結合剤アッセイは、標的被検体と結合する捕捉剤と、同じく標的被検体と結合する検出剤を含む。この実施形態によると、第1の結合剤が標的被検体と結合するときに、第2の結合剤により認識されるエピトープが不明瞭になったり、変化したりしないように、前記捕捉剤及び検出剤は、標的抗原の2つのオーバーラップしないエピトープを認識する必要がある。一実施形態において、前記捕捉剤は、前記標的被検体上の第1のエピトープと結合し、前記検出剤は、前記標的被検体上の第2のエピトープと結合する。標的上に結合サイトの過剰のコピーが存在するので、捕捉剤と検出剤のどちらも標的と結合することができる。
【0409】
別の実施形態において、前記アッセイは、3結合剤アッセイである。前記3結合剤アッセイは、標的被検体と結合する捕捉剤と、検出剤と、レポーター剤を含み、これらの3種の結合剤は、標的被検体と共に検出可能な複合体を形成し、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート(例えば、抗体-HRPコンジュゲート)を形成する。
【0410】
他の実施形態において、前記アッセイは、4結合剤アッセイである。前記4結合剤アッセイは、標的被検体と結合する捕捉剤と、同じく標的被検体と結合する検出剤に加え、第2の結合剤と結合する第1の結合剤を含み、前記第2の結合剤を前記捕捉剤と結合させる(例えば、ビオチン化抗体)。前記第1の結合剤及び第2の結合剤は、どちらも標的物質と特異的に結合しないという意味で汎用結合対である。逆に、前記第1の結合剤は、固相担体に固定化されており、前記第2の結合剤、捕捉剤及び検出剤は、前記使用者により前記システム又はアッセイに添加される。この実施形態によると、前記アッセイ又は試験ストリップは、標的被検体に関して汎用であり、即ち、被検体に制約されない。
【0411】
特定の実施形態において、前記第1の結合剤は、複数の結合サイトを含む。第1の結合サイトは、前記第2の結合剤と結合することができ、その他の結合サイトは、ポリマー(例えば、PEG)と結合することができ、前記第1の結合剤を1種以上の他の第1の結合剤と架橋させ、前記第1の結合剤が前記固相担体から脱離するのを抑制又は防止する。
【0412】
更に別の実施形態において、前記アッセイは、5結合剤アッセイであり、前記捕捉剤を第3の結合剤と結合させ、他の捕捉剤と架橋させて脱離を抑制又は防止する。
【0413】
(ii)結合剤
本願に記載するシステム及びアッセイは、少なくとも1種の結合剤を含み、所定の実施形態では、複数の結合剤を含む。前記結合剤は、所定の実施形態では、標的被検体に特異的であり(例えば、捕捉剤、検出剤)、他の実施形態では、標的被検体に関して汎用である(例えば、第1及び第2の結合剤)。
【0414】
前記少なくとも1種の結合剤は、多種多様とすることができる。一実施形態において、前記結合剤(例えば、前記捕捉剤、検出剤又は汎用結合対成分)は、アプタマー、抗体、ナノボディ、タンパク質、ペプチド、核酸又はその組み合わせから構成される群から選択される。
【0415】
所定の実施形態において、前記結合剤(例えば、前記捕捉剤、前記検出剤)は、標的被検体上の抗原部位に特異的である。
【0416】
一実施形態において、前記捕捉剤及び/又は検出剤は、約10~15kDaのサイズ(20~45ヌクレオチド)のアプタマーであり、少なくともマイクロモルレベルの親和性でその標的被検体と結合し、近縁の標的被検体に対して区別する。
【0417】
一実施形態において、前記捕捉剤及び/又は検出剤は、約10~15kDaのサイズ(20~45ヌクレオチド)のアプタマーであり、少なくともナノモルレベルの親和性でその標的被検体と結合し、近縁の標的被検体に対して区別する。
【0418】
特定の実施形態において、前記捕捉剤及び/又は検出剤は、アプタマーであり、標的分子に対するアプタマーのKdは、10nM以下であり、5nM以下がより好ましく、100pM程度までとすることができる。
【0419】
本発で使用するのに適した抗体としては、抗血清、ポリクローナル抗体、オムニクローナル抗体、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fab発現ライブラリーにより作製された断片、これらのいずれかのエピトープ結合断片、及び相補性決定領域(CDR)が挙げられる。
【0420】
一実施形態において、前記抗体は、モノクローナル抗体である。ある種の他の実施形態において、前記抗体は、ポリクローナル抗体である。場合により、前記ポリクローナル抗体は、アフィニティー精製されたポリクローナル抗体である。
【0421】
所定の実施形態において、前記ナノボディは、粒子(例えば、磁性粒子)である。前記粒子の粒子径は、多種多様とすることができるが、一実施形態では、約100nm~約50,000nmである。
【0422】
別の実施形態において、前記システム又はアッセイは、磁性微粒子を含む。
【0423】
特定の実施形態において、前記結合剤は、発酵法により生産される。
【0424】
一実施形態において、前記検出剤及び/又は捕捉剤の濃度は、ミリモル、ミリモル未満、マイクロモル、ナノモル、ピコモル、又はフェムトモルの範囲とすることができる。
【0425】
所定の実施形態において、前記検出剤は、標識されており、即ち、酵素又は基質にカップリングされている。検出剤に対する酵素標識効率又は収率は、約10%超、約50%超、約75%超、又は約90%超とすることができる。酵素で標識された検出剤及び/又は捕捉剤の純度は、約10%超、約50%超、約75%超又は約90%超とすることができる。
【0426】
場合により、前記酵素は、基質に曝露されると変色することが可能である。また、場合により、前記基質は、試薬(例えば、酵素)に曝露されると、変色することが可能である。したがって、色素、金属粒子(例えば、金)、化学発光又は蛍光を発光することが可能な化合物で前記検出剤を標識することができる。代替実施形態では、磁気ビーズ、セルロースビーズ、色素で標識したポリマービーズ、アフィニティープローブ等と前記検出剤を結合させることができる。
【0427】
標的被検体に対する前記捕捉剤及び/又は検出剤の親和性は、多種多様とすることができる。一実施形態において、前記捕捉剤及び/又は検出剤は、標的被検体に対するKdが約10-3~約10-15Mである。
【0428】
別の実施形態において、前記捕捉剤及び/又は検出剤は、タンパク質に対するKdが約10-10M超、約10-8M超、又は約10-6M超である。
【0429】
一実施形態において、前記捕捉剤及び/又は検出剤は、標的被検体に対するKdが約10nM以下又は約5nM以下である。
【0430】
特定の実施形態において、前記捕捉剤及び/又は前記検出剤は、標的被検体に対するKdがナノモル未満である。所定の実施形態において、前記Kdは、約100pMである。
【0431】
標的被検体に対する前記捕捉剤と前記検出剤の親和性は、相違していてもよい。特定の実施形態において、前記捕捉剤は、標的被検体に対する親和性が前記検出剤よりも弱い。別の特定の実施形態において、前記捕捉剤は、標的被検体に対する親和性が前記検出剤よりも強い。
【0432】
特定の実施形態において、第1のエピトープに対する捕捉剤の親和性は、第2のエピトープに対する検出剤の親和性よりも大きい。第1のエピトープのKdと第2のエピトープのKdの比は、1:10,000~10,000:1とすることができる。
【0433】
特定の実施形態において、第1のエピトープに対する捕捉剤の親和性は、第2のエピトープに対する検出剤の親和性よりも大きい。第1のエピトープのKdと第2のエピトープのKdの比は、1:10,000~10,000:1とすることができる。
【0434】
特定の実施形態において、前記捕捉剤は、アプタマーであり、前記検出剤は、抗体であり、より特定的には、検出可能に標識された抗体である。
【0435】
一実施形態において、前記捕捉剤は、アプタマーであり、前記検出剤は、抗体(例えば、モノクローナル抗体)であり、第3の結合剤が存在し、具体的には抗体(例えば、モノクローナル抗体)である。
【0436】
一実施形態において、前記第1の結合剤は、抗体であり、前記第2の結合剤は、抗体(例えば、モノクローナル抗体)であり、これらの抗体は、同一又は異なり、あるいは、これらの抗体の標的は、同一又は異なり、前記第3の結合剤は、グルコースオキシダーゼの抗体である。
【0437】
所定の実施形態において、前記捕捉剤は、標的被検体上の第1のサイトと結合し、前記検出剤は、標的被検体又は分子の第2の(別の)サイトと結合し、前記第3の結合剤は、グルコースオキシダーゼの抗体である。
【0438】
所定の実施形態において、前記捕捉剤は、標的被検体上の第1のサイトと結合し、前記検出剤は、標的被検体の同一サイトと結合する。標的上に前記サイトの過剰のコピーが存在するので、前記捕捉剤と前記検出剤はどちらも標的と結合することができ、前記第3の結合剤は、グルコースオキシダーゼの抗体である。
【0439】
所定の実施形態では、例えば、捕捉剤をアッセイ膜の表面又はその内部に堆積、噴霧、含侵、浸漬、注下又は注入する等の任意の適切な方法を使用して、前記結合剤(例えば、第1の結合剤又は捕捉剤)をビーズや膜等の固相担体の内部又はその表面に固定化する。
【0440】
一実施形態において、前記アッセイは、固相担体に固定化された第1の結合剤を含み、前記結合剤は、標的被検体と結合せず、特定の標的被検体に制約されないようにストリップを製造できるように、汎用結合対(例えば、ストレプトアビジン若しくはアビジンとビオチン若しくはビオチンアナログ、又はニュートラアビジンとビオチン若しくはビオチンアナログ)の一方の成分として提供される。この実施形態によると、前記システム又はアッセイは、第1の結合剤と、前記第1の結合剤と結合する第2の結合剤(汎用結合対と総称する)と、前記第2の結合剤と結合させた捕捉剤と、第4の成分として、標識された検出剤を含み、前記捕捉剤及び検出剤は、標的被検体と結合し、検出可能な複合体を形成する。
【0441】
汎用結合対(例えば、第1の結合剤、第2の結合剤、第3の結合剤)としては、例えば、ストレプトアビジンとビオチン又はビオチンアナログ、アビジンとビオチン又はビオチンアナログ、金、銀、マレイミド、ビニルスルホン及びチオールが挙げられる。所定の実施形態において、チオールは、(恐らくタンパク質又は抗体上の)システインアミノ酸から得ることができる。エポキシドとチオールの化学反応を利用して汎用結合対を提供することもできるし、シランとヒドロキシルの化学反応を利用してもよい。
【0442】
所定の実施形態において、前記システム又は方法は、同一の標的被検体上の異なるエピトープと結合する複数の捕捉剤と検出剤の結合対を含み、例えば、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種以上のこのような捕捉剤と検出剤の結合対を含む。
【0443】
溶液を混合するため、溶液方向を分岐させるため、試料を希釈するため、対照試料検出を提供するため、分析検出方向を提供するため、又は試料対照検出を提供するために、前記アッセイを流れる液体フルイディックフローを使用することができる。
【0444】
(iii)固相担体
固相担体は、多種多様とすることができる。所定の実施形態において、固相担体は、反応が生じる場所であるストリップ又は他の基材を含む。「ストリップ」又は「試験ストリップ」なる用語は、キット又はデバイスも含み、前記「ストリップ」は種々の外形であり、「カード」と呼ぶ場合もある。所定の実施形態において、前記ストリップは、ボウタイの外形を有する。
【0445】
前記試験ストリップは、挿入部と曝露部を含むことができる。前記試験ストリップの前記曝露部は、対象に由来する生体試料(例えば、唾液、血液)を受容するように配置することができる。
【0446】
前記ストリップ又は基材は、任意の適切な材料から作製することができる。所定の実施形態において、前記膜は、ポリマー(例えば、ハイドロゲル)、金属、グラスファイバー若しくはセラミック膜、セルロース、ナイロン、架橋デキストラン又は種々のクロマトグラフィー紙から構成される群から選択される。
【0447】
一実施形態において、前記基材は、(例えば、膜又はマイクロタイターウェル形態の)ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル(例えば、シート又はマイクロタイターウェル)、ポリスチレンラテックス(例えば、ビーズ又はマイクロタイタープレート)、ポリフッ化ビニリデン、ジアゾ感光紙、グラスファイバー膜、ナイロン膜、活性化ビーズ又は磁気応答性ビーズから選択される。
【0448】
一実施形態において、前記基材は、ニトロセルロース膜等のアニオン性ポリマーである。他の実施形態において、前記基材は、スルホン化テトラフルオロエチレン、ポリ(アクリル酸)、又はポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)(ポリAMPS)である。
【0449】
前記ストリップ又は他の基材は、例えば、種々の材料、テクスチャー、疎水性又は親水性を含むパターン化領域とすることができる。
【0450】
特定の実施形態において、前記アッセイは、捕捉剤(例えば、アプタマー又は抗体)又は汎用結合対の第1の結合剤(例えば、ストレプトアビジン)を封入した架橋ハイドロゲルを含む。前記架橋ハイドロゲルは、試験ストリップの表面又はその内部に存在することができる。
【0451】
前記アッセイは、1個以上の機能ゾーンを含むことができ、このようなゾーンは、不連続でオーバーラップしないことが好ましい。このようなゾーンとしては、1個以上の試験ゾーン又は1個以上の対照ゾーンが挙げられる。
【0452】
所定の実施形態において、前記ストリップは、スプリットチャネル、分割チャネル、パラレルチャネル又は隣接チャネルから選択される1本以上のチャネルを含む。
【0453】
場合により、前記チャネルは、種々の長さ、種々の材料若しくはテクスチャー、幾何形状、凹形形状、パターン形状又は凹形チャンバーとすることができる。
【0454】
特定の実施形態において、前記膜は、更に生体試料を集め、膜上のある位置から別の位置に試料を流動させるための貯留域を提供する。
【0455】
前記アッセイは、多重アッセイとすることができ、即ち、2種以上の標的被検体を検出することができる。特に、前記ストリップは、特定の標的被検体の存在に応答して直接又は間接的にシグナルを発生することが可能な少なくとも1種の結合剤(例えば、捕捉剤、汎用結合対の第1の結合剤)を各々含む1個以上の試験ゾーンを有することができる。
【0456】
他の実施形態では、共通試験ゾーン内で複数の標的被検体を検出できるように、同一試験ゾーン内に複数の結合剤(例えば、捕捉剤)を配置することができる。
【0457】
所定の領域において、前記試験ゾーンは、試験領域又は試験ライン「T」を含むことができる。検出ゾーンは、更に対照領域又は対照ライン「C」を含むことができる。
【0458】
特定の実施形態において、前記システムは、第2のストリップを含み、前記第1のストリップと前記第2のストリップは、異なる標的被検体を検出することができる。
【0459】
一実施形態では、少なくとも1種の標的被検体の濃度を測定するために色変化を使用する。
【0460】
特定の実施形態では、結合した標的被検体の範囲又は濃度を提供するために、固相担体(例えば、ポリマー膜)上の第1の結合剤(例えば、ストレプトアビジン)のグラジエント(塗布密度)を含む中間半定量的比色アッセイが提供される。
【0461】
ある種の実施形態において、前記ストリップは、比色分析用に適応又は作製することができる。これらの例では、電極を利用しなくてもよい(例えば、作用極領域を配置しなくてもよい)。
【0462】
前記ストリップの特定の実施形態において、前記試験領域は、電流と被検体濃度を測定するために使用されるチャンバーを提供する少なくとも1個の電極上に配置される。
【0463】
前記ストリップの別の実施形態において、前記電極は、少なくとも1個の電極の位置、その上方又は下方に配置される。
【0464】
一実施形態において、前記試験ストリップは、少なくとも1個の試験サイトと、2個以上の電極(例えば、作用極と参照極)と、前記電極と計器の接続手段を含む。
【0465】
特定の実施形態において、前記試験サイトは、2個の電極間に配置されている。
【0466】
所定の実施形態において、前記少なくとも1種の結合剤(例えば、捕捉剤、汎用結合対の第1の結合剤)は、前記電極に固定されている。任意の適切な方法、例えば、溶媒及び/又は水に溶解又は懸濁させたニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、又は任意の固相固定化構造を使用する薄膜乾式転相法により、直接電極機能化を行うことができる。電極への塗布は、少なくとも1種の結合剤で更に修飾する前に行ってもよいし、少なくとも1種の結合剤の同時塗布により同時に行ってもよい。
【0467】
所定の実施形態において、前記ストリップは、2個以上の電極又は3個以上の電極を含む。特定の実施形態において、前記ストリップは、陽性対照と陰性対照を可能にするために、第1組の2個以上の電極と、第2組の2個以上の電極を含む。
【0468】
任意の適切な電極を利用することができる。一実施形態において、前記電極は、炭素、鉄、パラジウム又は金電極である。別の実施形態において、前記電極は、(半)導体固体である。
【0469】
所定の実施形態において、前記少なくとも1個の電極は、メディエーターでコーティングされている。メディエーターの非限定的な代表例としては、プルシアンブルー、白金、フェリシアニド、ヘキサシアノ鉄III酸塩/ヘキサシアノ鉄II酸塩、1,10-フェナントロリンキノン、キノンイミン/フェニレンジアミン、又はオスミウム系メディエーターが挙げられる。
【0470】
特定の実施形態において、前記電極は、炭素又はプルシアンブルー若しくは白金でコーティングされた炭素である。
【0471】
特定の実施形態において、前記電極は、多孔質である。
【0472】
特定の実施形態において、前記電極は、インターデジット型である。
【0473】
所定の実施形態において、前記少なくとも1個の電極は、ゲルを付加されており、例えば、ゲルをコーティングされており、前記ゲルの内側に前記糖(例えば、グルコース)が存在する。
【0474】
特定の実施形態では、結合剤(例えば、第1の結合剤、捕捉剤)を炭素系電極に封入するか、又は金電極に固定させる。
【0475】
所定の実施形態において、前記ストリップ又は固相担体は、検出デバイスに挿入される。
【0476】
2個の電極間に電圧を印可すると、自由電子を回路内で移動させることができる。各酵素及びメディエーター分子は、必要に応じてこの移動を何度も繰り返すことができる。回路内を移動する電荷量は、前記システムにおけるグルコース値を表し、前記試料中の被検体濃度を反映する。
【0477】
特定の実施形態では、酵素としてグルコースオキシダーゼが使用され、生じる電気化学反応は下式で示される。
グルコース+O2 → D-グルコノ-1,5-ラクトース+H2O2
この酸化反応は電流を発生する。この電流の振幅は、血中グルコース濃度に直接関連する。GOxによるグルコース酸化の結果、o-グルコノ-o-ラクトースが得られる。作用極から移動した電子により、プルシアンブルー(PB)膜におけるH2O2還元を測定する。所定の実施形態において、前記電流はレベルオフではなく、連続的である。
【0478】
一実施形態において、前記試験領域は、色変化を可視化するために光学チャンバーの上又は下に配置され、色変化を使用して被検体濃度を測定する。
【0479】
特定の実施形態では、前記ストリップをカセット(例えば、使い捨てカセット)内に積層又は収納することができる。
【0480】
ある種の実施形態において、前記カセットは、グルコース貯蔵又は移送用のグルコースポッドを含まない。
【0481】
特定の実施形態において、前記ストリップは、防水バリア、防水ベース材(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))を含む使い捨て用品の一部である。
【0482】
一実施形態において、前記試験領域は、膜材料を防水バリアの下に固定させるためにボウタイ構造を含むことができる。
【0483】
前記カセットは、試薬チャンバー、試料採取材料用チャネル、1本以上のマイクロフルイディックチャネル、及び/又は作用極領域の1種以上を含むことができる。前記カセットは、廃液貯蔵用廃液ポッドを含むことができる。場合により、前記カセットは、カセットを開位置と閉位置に配置するように構成されたヒンジを含むことができる。前記ヒンジは、開位置と閉位置の間で作動することができる。開位置では、試料を試料採取材料と流体連通させることができる。前記チャネルは、唾液試料採取材料と接する近端を含むことができる。
【0484】
前記ヒンジが閉位置にあるときに、前記カセットは、実質的に試料を前記カセット内に密封することができる。ある種の実施形態において、前記ヒンジは、前記カセットを閉位置に配置し、前記カセットが実質的に開かないように作動する(例えば、前記ヒンジは、不可逆的に作動することができる)。
【0485】
一実施形態において、試験ストリップで利用される試薬(例えば、結合剤)は、保存安定性である。所定の実施形態において、前記試験ストリップで使用される試薬は、保存寿命を延ばすように凍結乾燥されている。
【0486】
前記試験ストリップは、一般的に、センサー構造を構成するように相互に積層された導電成分と非導電成分の層を含む。
【0487】
一実施形態において、前記試験ストリップは、ベース基板と、導電層と、絶縁層と、試薬層と、接着剤層と、標的被検体(例えば、抗原)を捕捉するように第1の結合剤(例えば、アプタマー)が結合された親水性(例えば、ニトロセルロース)膜と、凍結乾燥され、検出可能に標識された第2の結合剤(例えば、Ab-GOx)及びグルコースと、最上層を含む。
【0488】
別の実施形態において、前記試験ストリップは、ベース基板と、導電層と、絶縁層と、試薬層と、接着剤層と、標的被検体(例えば、抗原)を捕捉するように第1の結合剤(例えば、アプタマー)が結合された親水性(例えば、ニトロセルロース)膜と、凍結乾燥されたグルコースを含み、標的被検体を含有する生体試料に、標識された第2の結合剤(例えば、Ab-GOx)を添加する。
【0489】
ベース基板は、相互に積み重ねられた複数の成分のマトリックスとして作用し、機能性センサーを含む。このベース成分は、誘電性、不透水性、非通気性、及び気密性等の望ましい品質を有する多様な材料から作製することができる。数種の材料を挙げると、金属、及び/又はセラミック及び/又はポリマー基材等が挙げられる。
【0490】
導電層は、ベース基板の上に配置され、導電層は、アッセイしようとする被検体又はその副生物(例えば、酸素及び/又は過酸化水素)と接触させるための導電性材料を含む少なくとも1個の電極(例えば、1個、2個、又は3の電極)を含む。前記1個以上の電極としては、1個以上の作用極と、1個以上の対極、参照極、及び/又は対極/参照極が挙げられる。
【0491】
電極は、スクリーン印刷電極とすることができ、例えば、導電性炭素インクを使用してスクリーン印刷される。使用される材料は、多種多様とすることができる。本発明のグルコースセンサーシステムに有用な導電性インク組成物としては、限定されないが、銀、炭素、又は導電性インクのブレンドが挙げられる。作用極を印刷するために有用なインクの例としては、限定されないが、炭素、白金、炭素/白金、炭素ナノチューブ、又は試料中の過酸化物の検出に適した他の導電性材料が挙げられる。
【0492】
使用される電極と必要な感度は、一般に利用することができる酵素化学に依存する。例えば、グルコースオキシダーゼと連結された第2の結合剤は、試料中の被検体を検出するために過剰のグルコースを必要とする。
【0493】
「作用極」とは、被検体が酸化還元メディエーターを介して又は介さずに電気的に酸化又は電気的に還元される場である電極である。作用極は、標的被検体若しくは分子又はその副生物の濃度の変化等の刺激への曝露に応答する電流の増減を測定することができる。作用極は、可変濃度の過酸化水素又は酸素等の分子の存在下で検出可能なシグナルを提供する。
【0494】
作用極に加え、導電層は、参照極(RE)又は参照極と対極の組み合わせ(準参照極又は対極/参照極とも呼ぶ)も含むことができる。
【0495】
一実施形態において、前記電極は、少なくとも約50マイクロモルのグルコース濃度の最低感度と、約100nA~0.5nA/mm2未満のノイズレベルを提供する。
【0496】
前記絶縁層は、ポリ(塩化ビニル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、芳香族及び脂肪族ポリウレタン、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリブタジエン、シリコーンゴム、チオール-エンコポリマー、又はポリ(エチレン-酢酸ビニルコポリマー)等の絶縁性(例えば、電気絶縁性又は又は不透水性)材料の薄膜とすることができる。
【0497】
所定の実施形態において、前記試薬層は、電子の交換を容易にするためのメディエーターを含む。一実施形態において、前記試薬層は、結合剤、シリカ、フェリシアニド、フェリシアニド、1,10-フェナントロリンキノン、又はオスミウムをベースとするメディエーターを含む。
【0498】
前記接着剤層は、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(2-エチルヘキシルアクリレート)及びウレタンアクリレートコポリマー等のアクリルコポリマーとすることができる。
【0499】
前記親水性膜は、ニトロセルロース、スルホン化テトラフルオロエチレン、ポリ(アクリル酸)、又はポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)(ポリAMPS)等のアニオン性親水性コポリマーから構成することができる。前記膜は、ストレプトアビジン-NCをコーティングすることができ、標的被検体又は分子の捕捉剤として機能するように、第1の結合剤(例えば、ビオチン化アプタマー)を結合させることができる。
【0500】
特定の実施形態において、前記カセット又は試験ストリップは、一般的にPETから作製されたベース基板と、3個の電極を含む導電層[8]と、被験試料を滴下する電極の一部のみを露出させた絶縁層[6]と、電子の交換を容易にするためのメディエーターを含む試薬層と、接着剤層[6]と、標的被検体(例えば、抗原)を捕捉するための第1の結合剤(例えば、アプタマー)(6が直接機能化されていない場合には、6に配置される)と凍結乾燥されたグルコースを近端に含み、遠端を紙製貯留部(5)とする親水性ニトロセルロース膜と、凍結乾燥されたAb-GOx(G)と、最上層(4)を含む。
【0501】
特定の実施形態において、前記カセット又は試験ストリップは、(A)ベース基板と、(B)2個の電極を含む導電層と、(C)被験試料を滴下する電極の一部のみを露出させた絶縁層と、(D)電子の交換を容易にするためのメディエーターを含む試薬層と、(E)接着剤層と、(F)標的被検体(例えば、抗原)を捕捉するための第1の結合剤(例えば、アプタマー)と凍結乾燥されたグルコースを近端に含み、遠端を紙製貯留部(13)とする親水性ニトロセルロース膜と、(G)凍結乾燥されたAb-Goxと、(H)最上層を含む。
【0502】
この実施形態によると、前記ベース基板は、ポリエステルであり、インク接着を改善するためにアクリルコーティングを施す。電極マスクのCADモデルを使用し、マスクをレーザーカットしてベース基板に貼り付ける。次に導電性炭素インク(Ercon社)を使用して電極をスクリーン印刷した後に、絶縁層を印刷する(Ercon社,Insulayerインク)。2個の作用極は、各々0.6mm2の表面積となり、参照極は、1.2mm2となるであろう。前記試薬層は、メディエーター層であり、結合剤、シリカ、及びフェリシアニドから構成されるであろう。この層を2サイクルで作用極上にスクリーン印刷する。その上の接着剤層は、アクリルコポリマーであり、親水性膜は、ストレプトアビジン-NCをコーティングしたニトロセルロース膜であり、ウイルス抗原を捕捉するためにビオチン化アプタマーを固定させる。最上層はPETとすることができ、ストリップ上の試料の移動を観察できるように小さい透明部分を設ける。全体の寸法は、Lifescan社のリーダーとの適合性を確保するように本特許に記載すると同様とし、又は他の市販グルコメーターに適合可能となるように変更することができる。
【0503】
一実施形態では、凍結乾燥されたバイオ試薬の添加と、アプタマー固定化の前に、ドロップキャストGoxを作用極に直接ドロップキャストする。
【0504】
所定の実施形態では、非特異的結合を低減又は排除するために、前記試験ストリップコンポーネントを任意の適切なブロッキング剤で予めブロックすることができる。コーティング材の非限定的な例は、タンパク質、アクリルアミド、合成ポリマー、及び多糖である。一実施形態では、BSAをブロッキング剤として利用する。一実施形態では、変性BSAをブロッキング剤として利用する。別の実施形態では、乳タンパク質、TWEEN(登録商標)、又は他の界面活性剤をブロッキング剤として利用する。別の実施形態では、BSA、乳タンパク質、カゼイン、Triton、SDS、TWEEN(登録商標)、IGEPAL、又は他の界面活性剤をブロッキング剤として利用する。
【0505】
所定の実施形態において、前記システムは、シグナル対ノイズ比を低くすることができ、例えば、過渡的な非グルコース関連シグナル対ノイズを制限する。ベース層の組成、電極を堆積するために使用される方法、電極構造、電極材料、使用される酵素化学及び他のデザイン因子は、いずれもシステムのノイズに寄与する。
【0506】
一実施形態において、前記ストリップは、1年超、又は2年超、又は3年超の保存寿命を有する。
【0507】
(iv)ラベルと検出システム
前記1種以上の結合剤(例えば、検出剤)にラベルを結合させることができる。ラベルは、(例えば、共有結合により)結合剤と直接連結することもできるし、(例えば、キレート剤又はリンカー分子を使用して)間接的に結合させることもできる。
【0508】
特定の実施形態では、前記検出結合剤をラベルと結合させる。
【0509】
所定の実施形態では、ラベルを直接検出できるように、前記捕捉剤と直接結合させる。
【0510】
検出可能なラベルの例としては、限定されないが、ビオチン/ストレプトアビジンラベル、核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)ラベル、化学反応性ラベル、蛍光ラベル、酵素ラベル、放射性ラベル、量子ドット、ポリマードット、質量ラベル、コロイド状金、及びその組み合わせが挙げられる。
【0511】
ある種の実施形態において、前記ラベルは、酸化還元酵素等の酵素であり、前記少なくとも1種の標的被検体は、前記酵素により生成される生成物により検出される。適切な酵素としては、限定されないが、オキシダーゼ、デヒドロゲナーゼ、アミラーゼ及びインベルターゼが挙げられる。
【0512】
前記ラベルが酵素である一実施形態において、前記酵素は、前記酵素の基質と反応することができ、酵素ラベルとの反応後に前記基質から着色、蛍光、又は化学発光物質が生成される。特定の実施形態において、呈色基質は、o-フェニレンジアミン(OPD)、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)、3,3’-ジアミノベンシジン四塩酸塩(DAB)、2,2’-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS)等から選択される。
【0513】
特定の実施形態において、前記酵素は、オキシダーゼである。オキシダーゼの非限定的な代表例としては、糖オキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)、セロビオースオキシダーゼ、モノアミンオキシダーゼ、シトクロムP450オキシダーゼ、NADPHオキシダーゼ、複素環オキシダーゼ(例えば、ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ)、L-グロノラクトンオキシダーゼ、ラッカーゼ、リシルオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、スルフヒドリルオキシダーゼ及びアスコルビン酸オキシダーゼが挙げられる。
【0514】
所定の実施形態において、前記酵素は、デヒドロゲナーゼ又はオキシドレダクターゼ(例えば、D-グルコース:D-フルクトースオキシドレダクターゼ)である。このような酵素の非限定的な代表例としては、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、Δ12-脂肪酸デヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(グルタミン酸をα-ケトグルタル酸に変換する酵素又はその逆の変換を行う酵素)、乳酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、フルクトースデヒドロゲナーゼ、スクロースデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ソルビトールデヒドロゲナーゼ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、α-ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、黄色酵素、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、グリセロール1-リン酸デヒドロゲナーゼが挙げられる。
【0515】
一実施形態において、前記酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)又はカタラーゼである。
【0516】
一実施形態において、前記酵素は、PQQ-グルコースデヒドロゲナーゼ、NAD-グルコースデヒドロゲナーゼ及びFAD-グルコースデヒドロゲナーゼから選択される。
【0517】
一実施形態では、アルカリホスファターゼ/NBT-BCIP(塩化4-ニトロブルーテトラゾリウムと5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルリン酸の混合液)検出システムを利用する。
【0518】
一実施形態では、405nmで容易に検出可能な可溶性生成物を生じる発色基質であるp-ニトロフェニルリン酸と共にアルカリホスファターゼ検出システムを使用することができる。
【0519】
一実施形態では、2種以上のラベルを利用する。所定の実施形態において、各ラベル(例えば、捕捉剤に連結された第1のラベル、検出剤に連結された第2のラベル)は、検出可能なシグナルを発生し、前記シグナル(例えば、第1のラベルにより発生される第1のシグナル、第2のラベルにより発生される第2のシグナル等)は、区別可能である。ある種の実施形態において、前記2種以上のラベルは、同一種の物質(例えば、第1の蛍光物質である第1のラベルと、第2の蛍光物質である第2のラベル)を含む。ある種の実施形態において、前記2種以上のラベル(例えば、第1のラベル、第2のラベル等)は連動し、前記ラベルの1種以上の不在下では発生されない検出可能なシグナルを発生する。
【0520】
ある種の実施形態では、少なくとも2種、少なくとも3種又は少なくとも4種の結合剤(例えば、捕捉剤、検出剤、汎用結合対の第1の結合剤と第2の結合剤)を各々酵素で標識し(例えば、第1の結合剤を第1の酵素で標識し、第2の結合剤を第2の酵素で標識する等)、前記酵素により生成される生成物を検出することにより、酵素で標識した各結合剤を検出する。ある種の実施形態では、全結合剤を1種の酵素で標識し、前記酵素により生成される生成物を検出することにより、酵素で標識した各結合剤を検出する。
【0521】
ある種の実施形態では、2種以上のラベル(例えば、第1のラベル、第2のラベル等)が連動し、前記ラベルの1種以上の不在下では発生されない検出可能なシグナルを発生する。例えば、ある種の実施形態において、前記ラベルは、各々酵素であり、前記酵素の活性が連動し、ラベルの存在を指示する(したがって、標識したタンパク質の各々を指示する)検出可能なシグナルを発生する。連動して検出可能なシグナルを発生する酵素の例としては、ヘキソキナーゼとグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼを使用する連動アッセイや、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、β-D-ガラクトシダーゼ又はアルカリホスファターゼと連動させたNAD(P)Hの化学発光アッセイ等の連動アッセイが挙げられる。
【0522】
これらのラベルを結合剤と共有結合させるには、種々の方法を使用することができる。例えば、前記結合剤をこのようなラベルで標識するには、ジアルデヒド、カルボジイミド、ジマレイミド、ビスイミデート、ビスジアゾ化ベンジジン等のカップリング剤を使用することができる。
【0523】
一実施形態では、標的被検体を検出する結合剤(捕捉剤)と酵素ラベルを直接結合させてもよいし、捕捉結合剤と結合する二次結合剤(検出剤)を介して導入してもよい。捕捉剤がビオチンで標識されている場合には、ストレプトアビジン等のタンパク質と結合させてもよい。
【0524】
特定の実施形態において、前記アッセイは、オキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ)等の第1の酵素ラベルと、オキシドレダクターゼ(例えば、HRP)等の第2の酵素ラベルを含むデュアル標識ストラテジーを利用する。この実施形態によると、酵素は、基質の酸化を触媒し、過酸化水素を形成した後、西洋ワサビペルオキシダーゼとの酵素反応と、色変化を介して3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン又はTMB等の色素により定量される。生体試料中のグルコースの量が過剰であり、検出のために添加されるので、標的被検体が定量される。
【0525】
特定の実施形態において、前記検出剤は、抗体である。一実施形態において、前記抗体は、酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ)と一定の整数比(例えば、2酵素対1抗体又は3酵素対1抗体又は4酵素対1抗体)で結合又は連結される。
【0526】
特定の実施形態では、前記抗体をグルコースオキシダーゼと結合させ、抗体-GOxコンジュゲートを提供する。別の実施形態では、GOxとの部位特異的結合用化学リンカーを使用する代替コンジュゲートストラテジー(例えば、切断不能なチオエーテルとペプチド結合)を利用する。
図2に示すように、アプタマーは、標的被検体(タンパク質)を捕捉し、Ab-GOxは、タンパク質が存在する場合のみに結合するであろう。一定電位を印加すると、Goxは、グルコースを酸化し、電子を酸素に移動させ、過酸化水素を生成し、過酸化水素と反応する電極を介して電流出力を発生する。
【0527】
特定の実施形態では、前記抗体をオキシダーゼと結合させ、ガラクトースオキシダーゼ、D-グルコース:D-フルクトースオキシドレダクターゼ及びセロビオースオキシダーゼから構成される抗体-Oxコンジュゲートを提供する。
【0528】
特定の実施形態では、前記抗体をデヒドロゲナーゼと結合させ、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ、フルクトースデヒドロゲナーゼ、スクロースデヒドロゲナーゼ、グルコシドデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、ソルビトールデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、及びリンゴ酸デヒドロゲナーゼから構成される抗体-DHコンジュゲートを提供する。
【0529】
特定の実施形態では、前記検出剤である抗体をグルコースオキシダーゼと結合させて抗体-GOxコンジュゲートを提供し、第3の結合剤である抗体を西洋ワサビペルオキシダーゼと結合させて抗体-HRPコンジュゲートを提供する。別の実施形態では、GOx又はHRPとの部位特異的結合用化学リンカーを使用する代替コンジュゲートストラテジー(例えば、切断不能なチオエーテルとペプチド結合)を利用する。この3結合剤アッセイの所定の実施形態において、第1及び第2の結合剤は、少なくとも1種のタンパク質に特異的とすることができ、前記第3の結合剤は、西洋ワサビペルオキシダーゼと連結させた抗体である。
【0530】
本願に記載するシステム及びアッセイで利用することができる比色ラベルの非限定的な代表例としては、着色ラテックス(ポリスチレン)粒子、着色ポリマー粒子、着色セルロース粒子、金ナノ粒子を含む金属(例えば、金)ゾル、非金属元素(例えば、セレン、炭素)ゾル及び色素ゾルが挙げられる。
【0531】
D.検出デバイス
前記シグナルを検出する任意の適切な方法を利用することができる。所定の実施形態において、前記検出デバイスは、携帯用(例えば、ハンドヘルド)電池式デバイスである。
【0532】
所定の実施形態において、前記検出デバイスは、例えば、クーロメトリー、アンペロメトリー及び/又はポテンショメトリーにより、試料中の被検体の分析を可能にする。
【0533】
一実施形態において、前記デバイスは、アンペロメトリックデバイス、クーロメトリックデバイス、ポテンショメトリックデバイス又はボルタンメトリックデバイスから選択される。
【0534】
前記デバイスは、複数の電極、例えば、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個又はそれ以上の電極を有することができる。
【0535】
一実施形態において、前記電極は、修飾されていない。他の実施形態において、前記電極は、例えば、金属(酸化物)NP、ポリマー、及び他の炭素材料を使用して修飾されている。
【0536】
一実施形態において、前記デバイスは、作用極、対極及び参照極を含む3個の電極を含む。
【0537】
一実施形態において、前記デバイスは、反応体又は生成物濃度を測定し、例えば、生成された過酸化水素濃度又は消費された酸素濃度を測定する。
【0538】
別の実施形態において、前記デバイスは、酸化還元メディエーター(Mox及びMRED)の使用に基づく。この実施形態によると、反応に関与する被検体の濃度は、メディエーターの酸化又は還元の応答に関連する。
【0539】
更に別の実施形態において、前記デバイスは、GOx-FADH2-ナノ材料コンジュゲートと電極の間の直接電子移動を可能にする。この実施形態によると、メディエーターを必要とせずに、被検体濃度は、(一般に酵素の可逆的酸化還元電位付近の)低い動作電位に設定された分極電極で生じる酸化還元電流に正比例する。
【0540】
前記シグナルが電気化学シグナルである実施形態において、前記検出デバイスは、アンペロメトリック測定を実施することが可能な電気化学デバイス又はポテンショスタットに基づく測定ツールとすることができる。
【0541】
特定の実施形態において、前記検出デバイスは、グルコメーター又はパーソナルグルコースメーター(PGM)である。従来、PGMは、I型又はII型糖尿病の使用者が血中グルコース値を測定するために使用されている携帯用ハンドヘルドデバイスである。一般的に、使用者は、PGMとインタフェースする小型のストリップ(約20~30mm×約5~9mm)を購入する。使用者は、穿刺針を使用して指先又は他の部位から僅少量の血液(数マイクロリットル)を採取し、血液滴試料をストリップの露出端に塗布した後、ストリップのコネクタ端をPGMコネクタポートに挿入する。血液試料とストリップ上の薬品の間で化学反応が生じるので、PGMにより測定し、mg/dL又はmmol/L又はKg/Lの単位で表した血中グルコース値を求める。血糖値を繰り返し測定後、使用済みの試験ストリップをPGMから取り出し、新しい試験ストリップをコネクタポートに挿入する。
【0542】
一実施形態において、本願のシステム及び方法におけるグルコメーターは、市販の標準ハンドヘルドグルコメーターである。市販のグルコメーターの非限定的な例としては、Accu Chek(R)(Roche Diabetes Care,Inc.,Indianapolis,Indiana)、Van Touch(R)、Bionime(R)、Presto(R)(AgaMatrix,Salem,NH)、Wavesense Presto(R)(AgaMatrix,Salem,NH)、Counter(R)(Ascensia,Basel,Switzerland),CounterPlus(R)(Ascensia,Basel,Switzerland)、FreeStyle(R)(Abbott Diabetes Care Inc.Abbott Park,Ill)、True(R)(Trividia Health,Fort Lauderdale,Florida)が挙げられる。
【0543】
所定の実施形態において、前記グルコメーターは、使用回数限定又は使い捨てグルコメーター又はクロノアンペロメトリックデバイスである。
【0544】
グルコメーターは、一般的に血液試料中の血中グルコース値を試験するために必要な制御及び試験電子回路を収納するベースユニットを含む。他の実施形態において、グルコメーターは、試料一般又は唾液に由来する被検体の検出用に機能性を強化するように1種以上の方法で改変されている。
【0545】
特定の実施形態において、前記検出デバイスは、カセット又は試験ストリップスロットを有するベースユニットと、生体試料(例えば、唾液試料)を分析するように構成されたリーダーを有するグルコメーター又はクロノアンペロメトリックデバイスである。一実施形態において、グルコメーターは、グルコースシグナルを(例えば、定量的に)測定する。ベースユニットは、種々の形状と寸法をとることができる。試験ストリップスロットは、試験ストリップスロットに取り出し可能に挿入することができる本願に記載するもの等のグルコース型試験ストリップ又はカセットを受容するように構成されている。グルコメーターは、データを保存し、データを送信するための手段も有することができる。
【0546】
グルコースオキシダーゼを使用してグルコースの標準アンペロメトリック検出により、グルコース測定を実施することができる。この実施形態では、センサーを使用して体液中のグルコース濃度を電圧又は電流シグナルに変換する。センサーは、白金及び銀電極を使用し、過酸化水素が電気分解される電気回路の一部を形成する。グルコース酸化物膜上でグルコースの酸化の結果として過酸化水素が生成される。回路を流れる電流から過酸化水素の濃度を測定することができ、グルコース濃度が得られる。
【0547】
グルコースオキシダーゼを使用してグルコースの標準アンペロメトリック検出により、グルコース測定を実施することができる。この実施形態では、センサーを使用して体液中のグルコース濃度を電圧又は電流シグナルに変換する。センサーは、炭素電極電極を使用し、過酸化水素が電気分解される電気回路の一部を形成する。グルコース酸化物膜上でグルコースの酸化の結果として過酸化水素が生成される。回路を流れる電流から過酸化水素の濃度を測定することができ、グルコース濃度が得られる。
【0548】
所定の実施形態において、前記システムは、シグナルを増幅するために、1種以上のシグナルプロセシングアプリケーション又は電子増幅器を前記回路に含む。
【0549】
別の実施形態において、シグナル収集及び処理は、静的方法により実施することもできるし、約1秒パルス後に約5分待機、約1秒パルス後に約2分待機、約2秒パルス後に約1分待機、又は約2秒パルス後に約30秒待機とするパルス法により実施することもできる。
【0550】
一実施形態において、前記デバイスは、結果を表示するためのディスプレイユニットを含む。前記ディスプレイは、最新の試験結果を表示することができ、任意に、過去の試験結果も表示される。所定の実施形態において、前記グルコメーターは、視覚障害者が使用し易いように音声制御機能を含む。前記グルコメーターは、グルコース測定に無関係の他の機能(例えば、他の生理機能の測定)を含むことができる。グルコメーターに表示されるグルコース示度は、センサー表面の酵素濃度と正に相関し、前記濃度は、被検体(例えば、生体試料中に存在する1種以上のタンパク質)の数に相関する。
【0551】
前記グルコメーターは、ソフトウェアエレメントを有することができる。グルコメーター用の種々のソフトウェアアルゴリズムが公知である。
【0552】
一実施形態において、前記グルコメーターは、第2のデバイス(例えば、携帯電話やタブレットコンピューター等のモバイルデバイス)にメッセージを伝達するように構成されたワイヤレス送信器を有する。一実施形態において、前記メッセージは、短距離通信プロトコル(例えば、ブルートゥース(登録商標)プロトコル)を介して前記第2のデバイスに送信される。前記メッセージは、更に、例えば、テキストメッセージよいし、電子メールでもよい。
【0553】
一実施形態において、前記グルコメーターは、試験開始後迅速に結果を出力し、例えば、約5分未満、約1分30秒未満、約15秒未満又は約5秒未満である。
【0554】
グルコメーターの正確度は、多種多様とすることができるが、一般に誤差が20%以下であり、より特定的には、誤差が約15%以下、約10%以下、約5%以下であり、又は約5%未満であり、例えば、約4%以下、約3%以下、約2%以下又は約1%以下である。所定の実施形態では、新たな補正因子の実験的決定と検証に基づき、グルコメーターの交差感度を低減又は制限する。一実施形態において、前記グルコメーターの正確度は、約85%~約95%である。
【0555】
一実施形態において、前記グルコメーターは、使用者が試験の最新値を保存し、2週間の平均グルコース値を計算することを可能にし、経時的に監視できるようにする。
【0556】
所定の実施形態では、a)(同時に電流を取得しながら、例えば数分間電位を増強する)定電位クロノアンペロメトリー又はb)(基質を電極上で例えば数分間インキュベートした後、同時に電流を取得しながら、定電位クロノアンペロメトリー試験を例えば数分間実施する)遅延型クロノアンペロメトリーとは異なる改変クロノアンペロメトリー法が開示され、標的被検体の検出に関してより迅速及び/又はより高感度の測定を可能にする(例えば、より低い検出限界が得られる)。
【0557】
このような改変クロノアンペロメトリー法は、シグナル(電流、電荷)を収集するため、シグナルを増強するため、シグナル対ノイズを改善するため、感度(例えば、検出限界)を改善するため、シグナル発生までの時間を短縮するため、複数作用極で多重化するため、及び/又はバックグラウンドを低減するために利用される。変数としては、限定されないが、電位増強、パルス時間、測定前の遅延、測定時間、開路時間、サイクル数、測定サンプリングレート等が挙げられる。他の変数も当業者に認識されよう。
【0558】
所定の実施形態では、化合物又は対イオン(例えば、MgCl2)の滴定と併用し、改変クロノアンペロメトリー法(例えば、パルス検出)を利用する。
【0559】
所定の実施形態において、前記グルコースメーターは、計器ユニットの複雑さとコストを最小限にするために、「ディスプレイレス」とする。この実施形態によると、前記グルコースメーターは、無線で作動し、結果又は読み出し値を第2のデバイス(例えば、携帯電話又はパーソナルコンピューター)に送信する。
【0560】
任意に、前記グルコメーターは更に、解析の結果に関するデータをオーディオシグナル内でコード化して無線送信するように構成された送信器と、コード化を容易にするように構成されたコントローラーを含む。
【0561】
本願では、グルコメーターとリモートコンピューティングデバイスである本願に開示するシステム及び方法で使用することができるリモートコンピューティングデバイスも開示する。一実施形態において、前記リモートコンピューティングデバイスは、例えば、スマートフォン又は出力デバイスを構成することができる通信デバイス等の任意の他の適切なデバイスとすることができる。
【0562】
前記グルコメーターは、例えば、無線オーディオチャネルを介して、測定値を送信器ユニットにより前記リモートコンピューティングデバイスに送信する。
【0563】
前記リモートコンピューティングデバイスは、更に、受信者リストに接続するインターネットデバイス又はモバイルデバイス等のネットワークを介して中央リポジトリデバイス等の遠隔デバイスに情報を伝達することができる。例えば、前記検出デバイスは、前記リモートコンピューティングデバイスにより医療データを送信することができる。その後、例えば、コンピューター又はスマートフォン等のハンドヘルドデバイスを介して前記データを遠隔介護者に伝達することができる。
【0564】
この実施形態では、1種以上の検出可能な化学種がカセット又は試験ストリップ及び検出デバイス内で生体試料の反応生成物となるように、検出システムで電気化学的反応をトリガーするソフトウェアアルゴリズムが開示される。
【0565】
一実施形態では、生体試料、カセット又は試験ストリップコンポーネント及び検出デバイスの間で検出可能な反応生成物を生じる化学反応が進行するように、検出デバイスで局在化コンピューティングを使用してアルゴリズムにより数学的演算を実施する。
【0566】
一実施形態では、生体試料、カセット又は試験ストリップコンポーネント及び検出デバイスの間で検出可能な反応生成物を生じる化学反応が進行するように、検出デバイスのロケーションの外部の物理的ロケーションにあるサーバーでクラウドコンピューティングを使用し、数学的演算を実施する。
【0567】
一実施形態では、生体試料、カセット又は試験ストリップコンポーネント及び検出デバイスの間で検出可能な反応生成物を生じる化学反応が生じるように、検出デバイスに初期プログラムされていない他のアルゴリズムを含むデータカードを検出デバイスのデータカードスロットに挿入する。
【0568】
一実施形態では、標的被検体を検出するためにプロセッサーにより実行される実行可能な命令でコード化されたコンピューター読み取り可能な非一時的記憶媒体が開示される。
【0569】
シグナルが光学シグナル、例えば、比色シグナルである実施形態において、前記検出デバイスは、カメラ又はモバイルフォンとすることができる。
【0570】
前記検出デバイスは、例えば、色調、強度、蛍光、電子、電圧変化、インピーダンス変化等を検出することができる。
【0571】
所定の実施形態において、前記シグナルは、検出デバイスを必要とせずに検出することができ、即ち、前記シグナルは、肉眼で観測できる。
【0572】
所定の実施形態において、検出は、例えば、沈殿を生じるNBT-BCIPと共にアルカリホスファターゼ酵素を介する反応により、沈殿の形成を含むことができる。
【0573】
一実施形態において、グルコースオキシダーゼは、グルコースの酸化を触媒し、過酸化水素を形成した後、1個以上の電極を介してアンペロメトリック測定(例えば、電流の変化)により定量される。試料中のグルコースの量は過剰であるので、アンペロメトリック定量は標的被検体に適している。
【0574】
所定の実施形態では、検出可能な複合体の減少として結果を記録する。他の実施形態では、検出可能な複合体の増加として結果を記録する。
【0575】
前記検出デバイスは、任意に試料を受容するための採取チャンバー及び/又はダイリューターユニットを含む。
【0576】
前記検出リーダー又は電気化学的検出リーダーは、コンピューティングデバイスを収納するケーシング又はハウジングと、ディスプレイを含むことができる。前記ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)、ガスプラズマフラットパネルディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、電気泳動インク(E-ink)ディスプレイ、LCDプロジェクター又は他の型のディスプレイデバイスを含むことができる。
【0577】
前記検出リーダーは、カセット又はストリップを取り出し可能に受容するように適応させることができる。場合により、前記検出リーダーは、ハウジング内に配置されたレシーバー装置を含むことができる。
【0578】
前記検出デバイスは、データ保存、ブルートゥース(登録商標)、無線機能、送信機能等を含むことができる。前記システムは、前記検出デバイスからシグナルに関する情報を受信するための電子デバイス、データベース、又はクラウドサーバーを含むことができる。
【0579】
所定の実施形態において、前記システムは、検出システムにおける電気化学的反応の監視をトリガーするアルゴリズムを含む。所定の実施形態において、前記システムは、少なくとも1種の被検体の濃度を求めるアルゴリズムを含む。前記アルゴリズムは、局在化させてもよいし、クラウドベースでもよい。
【0580】
事例に応じてアプリケーション又は他の機能をネットワーク環境で実行することができる。ネットワーク環境は、ネットワークを通して通信する検出デバイスと1個以上のクライアントデバイスを含むことができる。ネットワークは、インターネット、1種以上のイントラネット、エクストラネット、広域ネットワーク(WAN)ローカルエリアネットワーク(LAN)、有線ネットワーク、無線ネットワーク、又は2種以上のこのようなネットワークの任意の組み合わせを含むことができる。ネットワークは、衛星ネットワーク、ケーブルネットワーク、イーサネットネットワーク、セルラーネットワーク、及び電話ネットワークを含むことができる。
【0581】
前記検出デバイスは、検出(例えば、アンペロメトリック検出)用の検出アプリケーションと、本願では詳述しない他のアプリケーション、サービス、プロセス、システム、エンジン又は機能を実行することができる。前記検出アプリケーションを含む前記検出デバイスは、他の形態の電気化学的特性決定(例えば、インピーダンススペクトロスコピー)及び/又は(例えば、スペクトロフォトメトリー、強度、蛍光、化学発光、UV/Visによる)光学的特性決定を包含、提供又は実施することができる。1個以上の測定値をデータストアに格納する(例えば、時間の関数として記録する)ことができる。ネットワークを介して送信されるデータは、定性データでも定量データでもよい。試験結果(生の結果、処理済みの結果等)、対照データ、及び場合により他の種のデータを格納又は送信することができる。
【0582】
前記クライアントデバイスは、コンピューターシステム等のプロセッサーベースのシステムを含むことができ、デスクトップコンピューター、ラップトップコンピューター、パーソナルデジタルアシスタント、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピューターシステム、IoTデバイス、又は同様の機能を有する任意の他のデバイスが挙げられる。
【0583】
場合により、システムが提供される。前記システムは、コンピューティングデバイスを含む検出デバイスを含むことができる。前記検出リーダーは、カセットを取り出し可能に受容するように適応させることができる。前記システムは、コンピューティングデバイスで実行可能なプログラム命令を含むことかでき、このような命令がコンピューティングデバイスにより実行されると、コンピューティングデバイスは特にカセットの挿入を検出する。また、前記プログラム命令は、検出リーダー又は電気化学的検出リーダーのアクチュエーターアームを駆動させ、グルコースポッドからグルコースを放出することができる。
【0584】
前記プログラム命令は、出力データを生成することができる。前記出力データは、生体試料中のグルコース以外のものでもよい標的被検体の存在又は濃度に校正されたデータを含むことができる。前記プログラム命令は、前記出力データを検出リーダーのディスプレイに表示させることもできるし、ユーザーインターフェースを作り出し、クライアントデバイスに送信し、クライアントデバイスのディスプレイに出力データを表示させることもできる。
【0585】
多数のソフトウェアコンポーネントがコンピューティングデバイスのメモリに格納されており、プロセッサーにより実行可能である。この点で、「実行可能」なる用語は、最終的にプロセッサーにより実行することができる形態のプログラムファイルを意味する。実行可能なプログラムの例としては、メモリのランダムアクセス部分にロードしてプロセッサーにより実行することができるフォーマットのマシンコード、メモリのランダムアクセス部分にロードしてプロセッサーにより実行することが可能なオブジェクトコード等の適正なフォーマットで表すことができるソースコード、又は別の実行可能なプログラムにより解釈することができ、プロセッサーにより実行される命令をメモリのランダムアクセス部分で生成するソースコードに夫々翻訳することができるコンパイルプログラムが挙げられる。実行可能なプログラムは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、USBフラッシュドライブ、メモリカード、コンパクトディスク(CD)若しくはデジタル多目的ディスク(DVD)等の光ディスク、フロッピーディスク、磁気テープ、又は他のメモリコンポーネント等のメモリの任意の部分又はコンポーネントに格納することができる。
【0586】
前記メモリは、揮発性及び不揮発性の両方のメモリと、データ記憶コンポーネントを含むことができる。揮発性コンポーネントは、電源が切れるとデータ値を保持しないコンポーネントである。不揮発性コンポーネントは、電源が切れてもデータを保持するコンポーネントである。したがって、前記メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、USBフラッシュドライブ、メモリカードリーダーによりアクセスされるメモリカード、外付けフロッピーディスクドライブによりアクセスされるフロッピーディスク、光学ディスクドライブによりアクセスされる光学ディスク、適切なテープドライブによりアクセスされる磁気テープ、及び/又は他のメモリコンポーネント、あるいはこれらのメモリコンポーネントの任意の2種以上の組み合わせを含むことができる。更に、前記RAMは、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、又は磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)及び他の同様のデバイスを含むことができる。前記ROMは、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、消去・プログラム可能なリードオンリーメモリ(EPROM)、電気的に消去・プログラム可能なリードオンリーメモリ(EEPROM)、又は他の同様のメモリデバイスを含むことができる。更に、前記プロセッサーは、複数のプロセッサー及び/又は複数のプロセッサーコアとすることができ、同様に、前記メモリは、並列処理回路で動作する複数のメモリとすることができる。
【0587】
本願に記載する検出リーダー、電気化学的検出リーダー、及び任意のアプリケーション又はサービスは、ソフトウェアで具体化することもできるし、上記のように特別に構成又はプログラムされた汎用ハードウェアによりコード実行することもできるが、代替方法として、専用ハードウェア又はソフトウェア/汎用ハードウェアと専用ハードウェアの組み合わせで具体化することもできる。専用ハードウェアで具体化する場合には、多数の技術のいずれか1種又はその組み合わせを利用する回路又はステートマシンとして各々実装することができる。これらの技術としては、限定されないが、1個以上のデータシグナルの印加後に種々の論理機能を実行するための論理ゲートを有するディスクリート論理回路、適切な論理ゲートを有する特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他のコンポーネントを挙げることができる。このような技術は一般に当業者に周知であるため、本願では詳述しない。
【0588】
一実施形態において、前記アッセイは、ラテラルフローアッセイと、電気化学的検出システムを含む。特定の実施形態において、前記ラテラルフローアッセイは、少なくとも1個の標的結合サイトを含む。任意に、膜上の前記少なくとも1個の標的結合サイトは、電極の位置、その上方又は下方に配置される。任意に、前記ラテラルフローアッセイは、更に、前記システムの動作を監視するために、少なくとも1種の対照エレメントを含む少なくとも1個の対照サイトを含む。任意に、前記対照サイトは、別の電極の上方に配置することができる。
【0589】
特定の実施形態では、前記ストリップが前記電気化学デバイスに挿入されて差動電圧を生じた後のみに、電気化学的検出が実施され、前記ストリップと付属電極により生成される電流出力を検出する。
【0590】
II.使用方法
本願に開示するシステム及びアッセイを使用して少なくとも1種の標的被検体を検出する方法が開示される。本願に開示するシステム及びアッセイを使用して対象を治療する方法と、本願に開示するシステム及びアッセイの作製方法も開示される。
【0591】
所定の実施形態において、前記方法は、家庭、職場、若しくは活動現場、又は資源制約環境をはじめとする多数の環境において、被検体検出に関して真に有用であるために必要な低い検出限界と高い正確度で実施することができる。より良好な疾患診断、経過観察及び管理を助長するように、疾患を早期に迅速に検出するためには、POC試験が不可欠であると思われる。他の実施形態において、前記方法は、診療室や救急処置室等の医療施設で実施することができる。
【0592】
前記被検体の検出は、5~30℃で実施される。特定の実施形態において、被検体の検出は、17~25℃で実施される。
【0593】
一実施形態において、前記方法は、(i)試料を取得する工程と、(ii)任意に、前記試料を処理する工程と、(iii)本願に開示するシステムに前記試料を添加する工程と、(iv)標的被検体が存在する場合には、捕捉結合剤と結合させることにより、シグナルを発生させる工程と、(v)前記シグナルを検出することにより、前記試料中の標的被検体の存在を検出する工程を含む。所定の実施形態では、前記シグナルにより指示されるような前記標的被検体の濃度が参照値よりも高い場合に、診断が可能である。
【0594】
一実施形態では、試料調製方法として、(i)試料を取得する工程と、(ii)前記試料を処理する工程と、(iii)本願に開示するシステム又はアッセイに前記試料を添加する工程と、(iv)標的被検体が存在する場合には、捕捉剤と結合させることにより、シグナルを発生させる工程と、(v)前記シグナルを検出することにより、前記試料中の標的被検体の存在を検出する工程を含む方法が提供される。
【0595】
(ii)における処理は、上記実施形態において多種多様とすることができる。前記処理は、前記システム又はアッセイに前記試料を添加する前に実施することができる。一実施形態において、前記処理は、前記試料を希釈する工程を含む。
【0596】
一実施形態において、前記処理は、1種以上のアッセイコンポーネント又は試薬を前記試料に添加する工程を含む。特定の実施形態において、前記処理は、前記試料を前記アッセイに添加する前に、捕捉剤及び/又は検出剤を前記試料に添加する工程を含む。
【0597】
特定の実施形態において、前記処理は、本願に開示するシステム又はアッセイに、ビオチンを結合させた捕捉剤(例えば、アプタマー又は抗体)と標識した検出剤(例えば、アプタマー又は抗体)を添加する工程を含む。
【0598】
一実施形態において、前記処理は、本願に開示するシステム又はアッセイに基質(例えば、酵素基質)を添加する工程を含む。前記基質は、例えば、スクロース、フルクトース、マルトース、ガラクトース、セルロース、又は酵素であるオキシダーゼ、アミラーゼ若しくはインベルターゼを含む任意の組み合わせとすることができる。前記糖の濃度は、多種多様とすることができる。一実施形態において、前記糖は、0.01mM~5M、より特定的には、約0.3~約0.8、更に特定的には、約0.05Mの濃度で存在する。他の実施形態において、前記グルコースは、使用者により添加されるのではなく、前記ストリップ内に存在する。
【0599】
一実施形態では、前記標的被検体を基質(例えば、グルコース)及び3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)等の色素と混合する。特定の実施形態では、前記標的被検体を約0.01mM~約5Mの濃度のグルコースと、約0.001mM~5Mの濃度のTMBとに混合する。
【0600】
他の実施形態では、前記標的被検体を約0.0000001mM~約1Mの濃度の西洋ワサビペルオキシダーゼと混合する。
【0601】
他の実施形態では、前記標的被検体を約0.0000001mM~約1Mの濃度のカタラーゼと混合する。
【0602】
特定の実施形態において、(iii)の工程は、インキュベーション時間(例えば、約数秒~約10分間のインキュベーション時間)を含む。
【0603】
特定の実施形態において、前記方法は、更に、例えば、インキュベーション工程後で検出工程前に、1回以上の洗浄工程を含むことができ、前記洗浄工程は、前記溶液の一部を除去若しくは吸収するため、又は未結合の試料を除去するために使用する必要がある。ある種の実施形態において、前記方法は、5回未満の洗浄工程、3回未満の洗浄工程、2回未満の洗浄工程、又は1回の洗浄工程を含む。
【0604】
所定の実施形態では、クロノアンペロメトリーにより収集したデータを解析し、被検体を含有しない対照試料から被検体を含有する試料を区別することができる。例えば、曲線面積、端点測定、曲線の初期傾き、曲線の導関数、データプラトー前の選択された1時点又は複数の時点を収集し、測定した試料間の相違を検出する。
【0605】
一実施形態では、対象の治療方法として、(i)対象に由来する生体試料(例えば、唾液)を準備する工程と、(ii)任意に、前記試料を処理する工程と、(iii)本願に開示するシステム又はアッセイに前記試料を添加する工程と、(iv)標的被検体(例えば、ウイルス体)が存在する場合には、前記標的被検体を検出し、結果を提供する工程と、(v)必要に応じて前記対象に承認済み治療剤を投与することにより、前記対象を治療する工程を含む方法が提供される。
【0606】
特定の実施形態において、前記結果は、疾患状態(例えば、感染症)又は健康状態に対して校正されている。特定の実施形態において、前記結果は、ウイルス、細菌、真菌又は他の微生物による感染症に関連付けられている。所定の実施形態において、前記結果は、アレルゲンの存在に関連付けられている。他の実施形態において、前記結果は、炎症、がん又は心疾患に関連付けられている。
【0607】
特定の実施形態において、(iv)における検出は、グルコメーター又はモバイルフォンにより実施される。
【0608】
前記承認済み治療剤は、多種多様とすることができる。一実施形態において、前記承認済み治療剤は、低分子薬(例えば、抗ウイルス剤)又は生物学的製剤(例えば、タンパク質、抗体、治療用ワクチン)である。
【0609】
特定の実施形態において、前記治療剤は、抗ウイルス剤である。
【0610】
一実施形態において、前記抗ウイルス剤は、吸着阻害剤、侵入阻害剤、脱殻阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、ヌクレオシド若しくはヌクレオチド逆転写酵素阻害剤又は複製若しくは転写複合体遮断薬である。
【0611】
特定の実施形態において、前記治療剤は、抗炎症剤である。
【0612】
一実施形態において、前記抗炎症剤は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である。特定の実施形態において、前記抗炎症剤は、酢酸、アントラニル酸、エノール酸、又はプロピオン酸の誘導体である。一実施形態において、前記抗炎症剤は、セレコキシブ、ナプロキセン、メロキシカム、ナブメトン、オキサプロジン及びピロキシカムから選択される。
【0613】
特定の実施形態において、前記治療剤は、抗がん剤である。
【0614】
一実施形態において、前記抗がん剤は、アルキル化剤(又はアルキル化類似剤)、代謝拮抗薬、抗腫瘍性抗生物質、有糸分裂阻害剤、タンパク質キナーゼ阻害剤、植物アルカロイド、ホルモン剤、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤)等から選択される。
【0615】
特定の実施形態において、前記抗がん剤は、マスタードガス誘導体、エチレンイミン、アルキルスルホネート、ヒドラジン、トリアジン、ニトロソウレア、又は金属塩から選択されるアルキル化剤から選択される。
【0616】
特定の実施形態において、前記抗がん剤は、葉酸拮抗薬、ピリミジン拮抗薬、プリン拮抗薬又はアデノシンデアミナーゼ阻害剤から選択される代謝拮抗薬である。
【0617】
特定の実施形態において、前記抗がん剤は、アントラサイクリン、クロモマイシン等から選択される抗腫瘍性抗生物質である。
【0618】
所定の実施形態において、前記抗がん剤は、シクロホスファミド、ニトロソウレア、シスプラチン、メトトレキサート、シタラビン、5-フルオロウラシル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ブレオマイシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン又はその組み合わせから選択される。
【0619】
一実施形態において、前記方法は、更に、診断のために結果を第三者に送信する工程と、任意に前記承認済み治療剤を処方する工程を含む。
【0620】
一実施形態において、前記治療レジメンが、疾患の1種以上の症状又は臨床尺度(例えば、数日間等の指定期間内におけるウイルス数の低下)の検出可能な改善を生じない場合には、代替治療レジメンに変更するために前記治療レジメンを中断することができ、あるいは、所定の実施形態では、前記治療レジメンに第2の治療レジメンを追加することができる。
【0621】
一実施形態において、前記方法は、(i)対象に由来する血液である生体試料を準備する工程と、(ii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な第1及び第2の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iii)前記試験ストリップをグルコメーター又は同様のデバイスに導入する工程と、(iv)前記生体試料を前記試験ストリップと共にインキュベートする工程と、(v)検出可能な複合体が存在する場合には、存在する過剰のグルコースのグルコース酸化により生成された過酸化水素として、前記複合体の値を検出する工程と、(vi)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量で校正することにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0622】
一実施形態において、前記方法は、(i)尿、唾液、汗、房水を含む眼内液、血液、糞便、皮脂、呼吸器飛沫、精液、膣粘液、耳垢、表皮細胞、鼻試料、脳脊髄液、胸水、鼻咽頭検体、又はその組み合わせである生体試料を対象から採取する工程と、(ii)前記工程において生体試料をスワブにより採取する工程と、(iii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な第1及び第2の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iv)前記試験ストリップをグルコメーター又は同様のクロノアンペロメトリックデバイスに導入する工程と、(v)前記生体試料を前記試験カセット又はストリップと共にインキュベートする工程と、(vi)検出可能な複合体が存在する場合には、存在する過剰のグルコースのグルコース酸化により生成された過酸化水素として、前記複合体の値を検出する工程と、(vii)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量で校正することにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0623】
一実施形態において、前記方法は、(i)前記第2の結合剤を収容した試験管に、血液である生体試料を対象から採取し、前記生体試料を1倍~1,000,000,000倍に希釈する工程と、(ii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な前記第1の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iii)前記試験ストリップをグルコメーター又はクロノアンペロメトリックデバイスに導入する工程と、(iv)前記生体試料を前記試験ストリップと共にインキュベートする工程と、(v)検出可能な複合体が存在する場合には、存在する過剰のグルコースのグルコース酸化により生成された過酸化水素として、前記複合体の値を検出する工程と、(vi)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量で校正することにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0624】
一実施形態において、前記方法は、(i)前記第2の結合剤を収容した試験管に、尿、汗、房水を含む眼内液、血液、糞便、皮脂、呼吸器飛沫、精液、膣粘液、耳垢、表皮細胞、又は鼻咽頭検体である生体試料を対象から採取し、前記生体試料を1倍~1,000,000,000倍に希釈する工程と、(ii)前記工程において生体試料をスワブにより採取する工程と、(iii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な前記第1の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iv)前記試験ストリップをグルコメーター又はクロノアンペロメトリックデバイスに導入する工程と、(v)前記生体試料を前記試験ストリップと共にインキュベートする工程と、(vi)検出可能な複合体が存在する場合には、存在する過剰のグルコースのグルコース酸化により生成された過酸化水素として、前記複合体の値を検出する工程と、(vii)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量と相関させることにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0625】
一実施形態において、前記方法は、(i)対象に由来する血液である生体試料を準備する工程と、(ii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体とグルコースオキシダーゼのコンジュゲートと競合して前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な第1の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iii)前記試験ストリップをグルコメーター又は同様のデバイスに導入する工程と、(iv)前記生体試料を前記試験ストリップと共にインキュベートする工程と、(v)検出可能な複合体が存在する場合には、存在する過剰のグルコースのグルコース酸化により生成された過酸化水素として、前記複合体の値を検出する工程と、(vi)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量で校正することにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0626】
一実施形態において、前記方法は、(i)尿、唾液、汗、房水を含む眼内液、血液、糞便、皮脂、呼吸器飛沫、精液、膣粘液、耳垢、表皮細胞、鼻試料、脳脊髄液、胸水、又は鼻咽頭検体である生体試料を対象から採取する工程と、(ii)前記工程において生体試料をスワブにより採取する工程と、(iii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体とグルコースオキシダーゼのコンジュゲートと競合して前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な第1の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iv)前記試験ストリップをグルコメーター又はクロノアンペロメトリックデバイスに導入する工程と、(v)前記生体試料を前記試験ストリップと共にインキュベートする工程と、(vi)検出可能な複合体が存在する場合には、存在する過剰のグルコースのグルコース酸化により生成された過酸化水素として、前記複合体の値を検出する工程と、(vii)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量で校正することにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0627】
一実施形態において、前記方法は、(i)前記第2の結合剤を収容した試験管に、血液である生体試料を対象から採取し、前記生体試料を1倍~1,000,000,000倍に希釈する工程と、(ii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体とグルコースオキシダーゼのコンジュゲートと競合して前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な前記第1の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iii)前記試験ストリップをグルコメーター又は同様のデバイスに導入する工程と、(iv)前記生体試料を前記試験ストリップと共にインキュベートする工程と、(v)検出可能な複合体が存在する場合には、存在する過剰のグルコースのグルコース酸化により生成された過酸化水素として、前記複合体の値を検出する工程と、(vi)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量と相関させることにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0628】
一実施形態において、前記方法は、(i)前記第2の結合剤を収容した試験管に、尿、汗、房水を含む眼内液、血液、糞便、皮脂、呼吸器飛沫、精液、膣粘液、耳垢、表皮細胞、又は鼻咽頭検体である生体試料を対象から採取し、前記生体試料を1倍~1,000,000,000倍に希釈する工程と、(ii)前記工程において生体試料をスワブにより採取する工程と、(iii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体とグルコースオキシダーゼのコンジュゲートと競合して前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な前記第1の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iv)前記試験ストリップをグルコメーター又はクロノアンペロメトリックデバイスに導入する工程と、(v)前記生体試料を前記試験ストリップと共にインキュベートする工程と、(vi)検出可能な複合体が存在する場合には、存在する過剰のグルコースのグルコース酸化により生成された過酸化水素として、前記複合体の値を検出する工程と、(vii)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量で校正することにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0629】
一実施形態において、前記方法は、同一使用者の試験結果を異なる時点で複数回取得する工程と、これらの結果を比較し、疾患又は病態の発生の可能性を監視又は予測又は追跡する工程を含む。特定の実施形態において、前記方法は、試験結果を少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回又は少なくとも5回取得する工程を含む。
【0630】
所定の実施形態では、前記方法の前記1回以上の結果が閾値レベル又はカットポイントを上回るか否かを判定するために、前記1回以上の結果を連続的又は定期的に遠隔機関に伝達することができる。
【0631】
所定の実施形態では、前記結果を所定の参照レベルと比較することができる。前記所定のレベルは、一般集団又は選択された対象集団から取得することができる。例えば、前記選択された集団は、疾患(例えば、感染症)の存在を指示する徴候又は症状を過去に有することがなかった個体等の見かけ上健康な患者から構成することができる。「所定の参照レベル」は、例えば、(例えば、感染症に罹患していないか又はこのような疾患に感受性でないことが分かっている)1個体以上の対照被験者から取得した対応する生体試料中の前記標的被検体の発現レベルを測定することにより、求めることができる。このような所定の参照レベルを使用する場合には、生体試料(即ち、前記対象から取得した被験試料)中で測定されたレベルが上昇又は増加しているならば、例えば、前記患者が前記疾患を発症する危険があると判断される。
【0632】
任意に、方法は、更に治療を推奨若しくは指示する工程及び/又は治療薬を投与する工程を含むことができる。一実施形態において、前記方法は、前記対象がカットオフレベルの閾値を上回る標的被検体値を有することを確認する工程と、その結果として前記対象が例えば、感染症又は病態の予防及び/又は治療の候補であると判定する工程を含む。前記「判定」工程は、検出する工程又は定量する工程を含み、「検出する」とは、前記標的被検体が前記生体試料中に存在するか否かを判定することを意味し、「定量する」とは、前記生体試料中に存在する前記標的被検体の量を測定することを意味する。
【0633】
本発明の方法は、治療に利用することができ、例えば、種々の病態の検出に使用してもよいし、対象の疾患ステージ又はその治療応答を監視するために使用してもよい。
【0634】
所定の実施形態において、前記方法は、更に、疾患若しくは疾患の進行に繋がる標的被検体が検出される可能性を予測するため、及び/又は疾患の予後診断(即ち、疾患の経過の予測)を可能にするために統計的手法を使用する工程を含むことができる。
【0635】
所定の実施形態では、例えば、その治療アプローチの層別化を可能にするため、又は公衆衛生若しくは他の監視目的を満足するために、1群の患者集団で前記方法を実施することができる。
【0636】
一実施形態では、病態に罹患している対象における治療レジメンの効率を監視する方法として、本願に開示する方法及び/又はシステムを使用することを含む方法が開示され、前記標的分子は、前記病態に関連する抗原であり、前記検出可能な部分の量は、前記病態のレベルを指示し、したがって、前記対象における前記治療レジメンの効率を指示する。
【0637】
所定の実施形態において、前記方法は、一定期間(例えば、数日間、数週間)にわたって1種以上の治療剤(例えば、抗ウイルス剤、抗がん剤等)の有効性を監視する工程を含み、前記治療剤が一定期間を経過しても十分に有効でないならば、使用者は代替治療アプローチを探すことができる。
【0638】
一実施形態では、前記治療レジメンが一定期間(例えば、数日間)内に病態の軽減を生じないならば、使用者は、代替治療レジメンに変更するために前記治療レジメンを中断することができ、あるいは、所定の実施形態では、前記治療レジメンに第2の治療レジメンを追加することができる。一実施形態において、前記システムは、被検体値の経時的傾向を監視できるように、同一使用者の標的被検体の量に関する結果を異なる時点で2回以上、3回以上、又は5回以上取得することができる。
【0639】
一実施形態において、前記方法は、(i)対象に由来する血液である生体試料を準備する工程と、(ii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な第1及び第2の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iii)前記検出可能な複合体を前記ストリップ上で西洋ワサビペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5-テトラメチルベンジジン等の色素と共にインキュベートする工程と、(iv)検出可能な複合体が存在する場合には、その値を色変化として検出する工程と、(v)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量で校正することにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0640】
一実施形態において、前記方法は、(i)尿、唾液、汗、房水を含む眼内液、血液、糞便、皮脂、呼吸器飛沫、精液、膣粘液、耳垢、表皮細胞、鼻試料、脳脊髄液、胸水、又は鼻咽頭検体である生体試料を対象から採取する工程と、(ii)前記工程において生体試料をスワブにより採取する工程と、(iii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な第1及び第2の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iv)前記検出可能な複合体を前記ストリップ上で西洋ワサビペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5-テトラメチルベンジジン等の色素と共にインキュベートする工程と、(v)検出可能な複合体が存在する場合には、その値を色変化として検出する工程と、(vi)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量と相関させることにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0641】
一実施形態において、前記方法は、(i)前記第2の結合剤を収容した試験管に、血液である生体試料を対象から採取し、前記生体試料を1倍~1,000,000,000倍に希釈する工程と、(ii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な前記第1の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iii)前記検出可能な複合体を前記ストリップ上で西洋ワサビペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5-テトラメチルベンジジン等の色素と共にインキュベートする工程と、(iv)検出可能な複合体が存在する場合には、その値を色変化として検出する工程と、(v)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量と相関させることにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0642】
一実施形態において、前記方法は、(i)前記第2の結合剤を収容した試験管に、尿、汗、房水を含む眼内液、血液、糞便、皮脂、呼吸器飛沫、精液、膣粘液、耳垢、表皮細胞、又は鼻咽頭検体である生体試料を対象から採取し、前記生体試料を1倍~1,000,000,000倍に希釈する工程と、(ii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な前記第1の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iii)前記検出可能な複合体を前記ストリップ上で西洋ワサビペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5-テトラメチルベンジジン等の色素と共にインキュベートする工程と、(iv)検出可能な複合体が存在する場合には、その値を色変化として検出する工程と、(v)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量で校正することにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0643】
一実施形態において、前記方法は、(i)対象に由来する血液である生体試料を準備する工程と、(ii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体とグルコースオキシダーゼのコンジュゲートと競合して前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な第1の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iii)前記検出可能な複合体を前記ストリップ上で西洋ワサビペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5-テトラメチルベンジジン等の色素と共にインキュベートする工程と、(iv)検出可能な複合体が存在する場合には、その値を色変化として検出する工程と、(v)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量で校正することにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0644】
一実施形態において、前記方法は、(i)尿、唾液、汗、房水を含む眼内液、血液、糞便、皮脂、呼吸器飛沫、精液、膣粘液、耳垢、表皮細胞、鼻試料、脳脊髄液、胸水、又は鼻咽頭検体である生体試料を対象から採取する工程と、(ii)前記工程において生体試料をスワブにより採取する工程と、(iii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体とグルコースオキシダーゼのコンジュゲートと競合して前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な第1の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iv)前記検出可能な複合体を前記試験ストリップ上で西洋ワサビペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5-テトラメチルベンジジン等の色素と共にインキュベートする工程と、(v)検出可能な複合体が存在する場合には、その値を色変化として検出する工程と、(vi)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量で校正することにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0645】
一実施形態において、前記方法は、(i)前記第2の結合剤を収容した試験管に、血液である生体試料を対象から採取し、前記生体試料を1倍~1,000,000,000倍に希釈する工程と、(ii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体とグルコースオキシダーゼのコンジュゲートと競合して前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な前記第1の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iii)前記検出可能な複合体を前記ストリップ上で西洋ワサビペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5-テトラメチルベンジジン等の色素と共にインキュベートする工程と、(iv)検出可能な複合体が存在する場合には、その値を色変化として検出する工程と、(v)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量で校正することにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0646】
一実施形態において、前記方法は、(i)前記第2の結合剤を収容した試験管に、尿、汗、房水を含む眼内液、血液、糞便、皮脂、呼吸器飛沫、精液、膣粘液、耳垢、表皮細胞、又は鼻咽頭検体である生体試料を対象から採取し、前記生体試料を1倍~1,000,000,000倍に希釈する工程と、(ii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体とグルコースオキシダーゼのコンジュゲートと競合して前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な前記第1の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iii)前記検出可能な複合体を前記ストリップ上で西洋ワサビペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5-テトラメチルベンジジン等の色素と共にインキュベートする工程と、(iv)検出可能な複合体が存在する場合には、その値を色変化として検出する工程と、(v)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量で校正することにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0647】
一実施形態において、前記方法は、同一使用者の試験結果を異なる時点で複数回取得する工程と、これらの結果を比較し、疾患又は病態の発生の可能性を監視又は予測又は追跡する工程を含む。特定の実施形態において、前記方法は、試験結果を少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回又は少なくとも5回取得する工程を含む。
【0648】
所定の実施形態では、前記方法の前記1回以上の結果が閾値レベル又はカットポイントを上回るか否かを判定するために、前記1回以上の結果を連続的又は定期的に遠隔機関に伝達することができる。
【0649】
所定の実施形態では、前記結果を所定の参照レベルと比較することができる。前記所定のレベルは、一般集団又は選択された対象集団から取得することができる。例えば、前記選択された集団は、疾患(例えば、感染症)の存在を指示する徴候又は症状が過去に有することがなかった個体等の見かけ上健康な患者から構成することができる。「所定の参照レベル」は、例えば、(例えば、感染症に罹患していないか又はこのような疾患に感受性でないことが分かっている)1個体以上の対照被験者から取得した対応する生体試料中の前記標的被検体の発現レベルを測定することにより、求めることができる。このような所定の参照レベルを使用する場合には、生体試料(即ち、前記対象から取得した被験試料)中で測定されたレベルが上昇又は増加しているならば、例えば、前記患者が前記疾患を発症する危険があると判断される。
【0650】
任意に、方法は、更に治療を推奨若しくは指示する工程及び/又は治療薬を投与する工程を含むことができる。一実施形態において、前記方法は、前記対象がカットオフレベルの閾値を上回る標的被検体値を有することを確認する工程と、その結果として前記対象が例えば、感染症又は病態の予防及び/又は治療の候補であると判定する工程を含む。前記「判定」工程は、検出する工程又は定量する工程を含み、「検出する」とは、前記標的被検体が前記生体試料中に存在するか否かを判定することを意味し、「定量する」とは、前記生体試料中に存在する前記標的被検体の量を測定することを意味する。
【0651】
本発明の方法は、治療に利用することができ、例えば、種々の病態の検出に使用してもよいし、対象の疾患ステージ又はその治療応答を監視するために使用してもよい。
【0652】
所定の実施形態において、前記方法は、更に、疾患若しくは疾患の進行に繋がる標的被検体が検出される可能性を予測するため、及び/又は疾患の予後診断(即ち、疾患の経過の予測)を可能にするために統計的手法を使用する工程を含むことができる。
【0653】
所定の実施形態では、例えば、その治療アプローチの層別化を可能にするため、又は公衆衛生若しくは他の監視目的を満足するために、1群の患者集団で前記方法を実施することができる。
【0654】
一実施形態では、病態に罹患している対象における治療レジメンの効率を監視する方法として、本願に開示する方法及び/又はシステムを使用することを含む方法が開示され、前記標的分子は、前記病態に関連する抗原であり、前記検出可能な部分の量は、前記病態のレベルを指示し、したがって、前記対象における前記治療レジメンの効率を指示する。
【0655】
所定の実施形態において、前記方法は、一定期間(例えば、数日間、数週間)にわたって1種以上の治療剤(例えば、抗ウイルス剤、抗がん剤等)の有効性を監視する工程を含み、前記治療剤が一定期間を経過しても十分に有効でないならば、使用者は代替治療アプローチを探すことができる。
【0656】
一実施形態では、前記治療レジメンが一定期間(例えば、数日間)内に病態の軽減を生じないならば、使用者は、代替治療レジメンに変更するために前記治療レジメンを中断することができ、あるいは、所定の実施形態では、前記治療レジメンに第2の治療レジメンを追加することができる。一実施形態において、前記システムは、被検体値の経時的傾向を監視できるように、同一使用者の標的被検体の量に関する結果を異なる時点で2回以上、3回以上、又は5回以上取得することができる。
【0657】
一実施形態において、前記方法は、(i)対象に由来する血液である生体試料を準備する工程と、(ii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な第1、第2、及び第3の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iii)前記検出可能な複合体を前記ストリップ上で3,3’,5,5-テトラメチルベンジジン等の色素と共にインキュベートする工程と、(iv)検出可能な複合体が存在する場合には、その値を色変化として検出する工程と、(v)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量で校正することにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0658】
一実施形態において、前記方法は、(i)尿、唾液、汗、房水を含む眼内液、血液、糞便、皮脂、呼吸器飛沫、精液、膣粘液、耳垢、表皮細胞、鼻試料、脳脊髄液、胸水、又は鼻咽頭検体である生体試料を対象から採取する工程と、(ii)前記工程において生体試料をスワブにより採取する工程と、(iii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な第1、第2、及び第3の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iv)前記検出可能な複合体を前記ストリップ上で3,3’,5,5-テトラメチルベンジジン等の色素と共にインキュベートする工程と、(v)検出可能な複合体が存在する場合には、その値を色変化として検出する工程と、(vi)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量で校正することにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0659】
一実施形態において、前記方法は、(i)前記第2の結合剤を収容した試験管に、血液である生体試料を対象から採取し、前記生体試料を1倍~1,000,000,000倍に希釈する工程と、(ii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な第1、第2、及び第3の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iii)前記検出可能な複合体を前記ストリップ上で3,3’,5,5-テトラメチルベンジジン等の色素と共にインキュベートする工程と、(iv)検出可能な複合体が存在する場合には、その値を色変化として検出する工程と、(v)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量で校正することにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0660】
一実施形態において、前記方法は、(i)前記第2の結合剤を収容した試験管に、尿、汗、房水を含む眼内液、血液、糞便、皮脂、呼吸器飛沫、精液、膣粘液、耳垢、表皮細胞、又は鼻咽頭検体である生体試料を対象から採取し、前記生体試料を1倍~1,000,000,000倍に希釈する工程と、(ii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な第1、第2、及び第3の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iii)前記検出可能な複合体を前記ストリップ上で3,3’,5,5-テトラメチルベンジジン等の色素と共にインキュベートする工程と、(iv)検出可能な複合体が存在する場合には、その値を色変化として検出する工程と、(v)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量で校正することにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0661】
一実施形態において、前記方法は、(i)対象に由来する血液である生体試料を準備する工程と、(ii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体とグルコースオキシダーゼのコンジュゲートと競合して前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な第1及び第3の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iii)前記検出可能な複合体を前記試験ストリップ上で3,3’,5,5-テトラメチルベンジジン等の色素と共にインキュベートする工程と、(iv)検出可能な複合体が存在する場合には、その値を色変化として検出する工程と、(v)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量で校正することにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0662】
一実施形態において、前記方法は、(i)尿、唾液、汗、房水を含む眼内液、血液、糞便、皮脂、呼吸器飛沫、精液、膣粘液、耳垢、表皮細胞、鼻試料、脳脊髄液、胸水、又は鼻咽頭検体である生体試料を対象から採取する工程と、(ii)前記工程において生体試料をスワブにより採取する工程と、(iii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体とグルコースオキシダーゼのコンジュゲートと競合して前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な第1及び第3の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iv)前記検出可能な複合体を前記ストリップ上で3,3’,5,5-テトラメチルベンジジン等の色素と共にインキュベートする工程と、(v)検出可能な複合体が存在する場合には、その値を色変化として検出する工程と、(vi)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量で校正することにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0663】
一実施形態において、前記方法は、(i)前記第2の結合剤を収容した試験管に、血液である生体試料を対象から採取し、前記生体試料を1倍~1,000,000,000倍に希釈する工程と、(ii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体とグルコースオキシダーゼのコンジュゲートと競合して前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な第1及び第3の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iii)前記検出可能な複合体を前記ストリップ上で西洋ワサビペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5-テトラメチルベンジジン等の色素と共にインキュベートする工程と、(iv)検出可能な複合体が存在する場合には、その値を色変化として検出する工程と、(v)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量で校正することにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0664】
一実施形態において、前記方法は、(i)前記第2の結合剤を収容した試験管に、尿、汗、房水を含む眼内液、血液、糞便、皮脂、呼吸器飛沫、精液、膣粘液、耳垢、表皮細胞、又は鼻咽頭検体である生体試料を対象から採取し、前記生体試料を1倍~1,000,000,000倍に希釈する工程と、(ii)前記生体試料中に少なくとも1種の標的被検体が存在する場合に、前記標的被検体とグルコースオキシダーゼのコンジュゲートと競合して前記標的被検体と検出可能な複合体を形成することが可能な第1及び第3の結合剤を含む試験ストリップに、前記生体試料を添加する工程と、(iii)前記検出可能な複合体を前記ストリップ上で西洋ワサビペルオキシダーゼ及び3,3’,5,5-テトラメチルベンジジン等の色素と共にインキュベートする工程と、(iv)検出可能な複合体が存在する場合には、その値を色変化として検出する工程と、(v)前記少なくとも1種の生体試料中に前記標的被検体が存在する場合に、前記検出可能な複合体が生成された場合には、前記複合体の値を前記標的被検体の量で校正することにより、診断評価を提供する工程を含む。
【0665】
前記治療剤は、多種多様とすることができる。一実施形態において、前記治療剤は、低分子、タンパク質、ウイルス、細菌核酸、又は生物学的製剤等の物質である。
【0666】
本願に開示する方法の一実施形態において、前記結果は、特異度が約90%以上、又はより特定的には、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上である。
【0667】
本願に開示する方法の一実施形態において、前記結果は、選択性が約90%以上、又はより特定的には、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上である。
【0668】
本願に開示する方法の一実施形態において、前記結果は、正確度が約90%以上、又はより特定的には、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上である。
【0669】
本願に開示する方法は、上記工程に制限されず、上記工程の前、後又は工程間に実施される追加工程を含むことができる。
【0670】
III.製造方法
本願に開示するシステム及びアッセイで使用するための汎用試験ストリップ又は基材の製造方法も開示する。前記試験ストリップは、任意の適切な方法を使用して製造することができる。一実施形態において、前記試験カセット又はストリップは、射出成形若しくはロールツーロール法、スクリーン印刷法、ドロップキャスト法又はその組み合わせを使用して製造される。
【0671】
一実施形態では、本願に開示するもの等の診断又は検出システム又はアッセイで使用するための試験ストリップの製造方法として、(i)膜を準備する工程と、(ii)前記膜に第1の結合剤(例えば、ストレプトアビジン)を結合させる工程と、(iii)任意に、前記第1の結合剤を1種以上の他の第1の結合剤と架橋させる工程を含む方法が提供される。
【0672】
特定の実施形態では、前記第1の結合剤をポリマー(例えば、PEG)により1種以上の他の結合剤と架橋させる。
【0673】
IV.キット
本願に開示する方法を実施するためのキットも開示する。
【0674】
一実施形態において、前記キットは、本願に開示するアッセイを含み、独立型アッセイでもよいし、本願に開示するシステムの一部でもよい。所定の実施形態において、前記キットは、複数のアッセイを含む。所定の実施形態において、前記キットは、検出デバイス(例えば、グルコメーター)を含む。
【0675】
本願に開示する試験カセット又はストリップ構造は、他の成分又は試薬と組み合わせてもよいし、市販又は流通用のキット又は他の小売製品のコンポーネントとして製造してもよい。
【0676】
本発明のキットは、試験ストリップ又は他の固相担体を含むことができる。所定の実施形態において、前記キットは、ラテラル又はバーティカルフロー試験ストリップを含み、前記ストリップは、別個のエレメントとして提供してもよいし、既存の結合剤の1種以上を固定してもよい。一実施形態において、前記ラテラル又はバーティカルフローストリップは、第1の結合剤(例えば、ストレプトアビジン又はアビジン)を固定することができる。任意に、前記第1の結合剤は、前記キットに含まれる前記ラテラル又はバーティカルフローストリップ上に架橋した状態で存在することができる。
【0677】
一般的に、上記キットは、例えば、洗浄試薬、及び/又は結合した標的被検体の存在を定量的に検出することが可能な他の試薬を収容する1個以上の他の容器も含むであろう。
【0678】
前記検出剤と、任意に、レポーター剤は、標識しなくてもよいし、標識してもよい。
【0679】
前記ラベルが酵素である場合、前記キットは、前記酵素により必要とされる基質と補因子を含むことができる。所定の実施形態において、前記キットは、使用者によりアッセイに添加される多量の糖(例えば、グルコース)を含むことができる。前記ラベルがフルオロフォアである場合、前記キットは、検出可能な発色団となる色素前駆体を含むことができる。
【0680】
特定の実施形態において、前記キットは、乾燥した認識エレメント(例えば、捕捉剤、検出剤)を収容した密閉使い捨てカップを含む。区画化キットは、試薬をプラスチック容器等の別々の容器に収容した任意のキットを含む。このような容器は、試料と試薬の交差汚染を避けながら、試薬をある区画から別の区画へ効率的に移送できると共に、各容器の試薬又は溶液をある区画から別の区画へ定量的に添加できる。このようなキットは、更に被験試料を受容する容器と、アッセイで使用される抗体を収容する容器と、洗浄試薬(例えば、リン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝液等)を収容する容器と、検出試薬を収容する容器を含むことができる。
【0681】
所定の実施形態において、前記キットは、使い捨てスポイト、緩衝液滴下ボトル、試薬、ブロッティング/ウィッキング材料及び使い捨て試験ストリップを含むことができる。
【0682】
所定の実施形態において、前記キットコンポーネントは、ホイル又は紙で梱包することができ、乾燥剤を同梱することができる。
【0683】
前記キットは更に、前記アッセイを実施するための説明書、及び/又は参照標準(例えば、精製コラーゲンVII、例えば、組換え生産されたコラーゲンVII)と、安定化剤、洗浄バッファー、インキュベーションバッファー等の他の添加剤を含むことができる。前記キットは、更に前記キットの投与及び/又は使用に関する説明書を含むであろう。
【0684】
前記キットは、更にリーダーを含むことができる。
【0685】
所定の実施形態において、前記キットは、(i)標的被検体約1個/mL~>100,000個/mLまでの検出限界で前記少なくとも1種の標的被検体の検出を可能にする、(i)約90%の正確度で前記少なくとも1種の標的被検体の検出を可能にする、及び/又は(iii)約10分以下、約5分以下、約2分以下又は約1分以下で結果が得られる。
【実施例】
【0686】
[実施例1]H1N1の電気化学的検出
図14は、三電極式検出システムで作用極の上方に配置した機能化ニトロセルロースストリップによりH1N1の電気化学的検出を可能にするプロトコルを示す。物理的構造を左下に示し、クロノアンペロメトリー結果を右下に示す。ウイルスの存在下で測定すると、ウイルスが存在しない対照曲線に比較して電流値が高くなることが分かる。
【0687】
[実施例2]SARS-CoV-2の電気化学的検出
図15に示すように、三電極式検出システムで作用極の上方に配置した機能化ニトロセルロースストリップによりSARS-CoV-2の電気化学的検出を行うと、ウイルス力価が高いほど、クロノアンペロメトリー曲線下面積により計算した累積電荷は高くなることが分かる。
【0688】
[実施例3]SARS-CoV-2の電気化学的検出
図16に示すように、RSV、OC43及びH1N1に対する交差反応性について同一アッセイを使用することにより、三電極式検出システムで作用極の上方に配置した機能化ニトロセルロースストリップによりSARS-CoV-2の電気化学的検出の特異度を比較した。
【0689】
[実施例4]H1N1の比色検出
図17に示すように、実施例1に記載したと同一のアッセイを使用し、本願に記載するグルコース溶液に酸化還元メディエーターと色素を添加することにより、H1N1を比色検出した。グルコース溶液は、標的と結合したオキシダーゼの存在下にあるときに、過酸化水素を生成する。電気化学的手段による電荷の検出とは対照的に、HRPとAmplex Redを添加すると、例えば、ピンク色になる。
【0690】
[実施例5]H1N1の比色検出
図18は、本願に記載するグルコース溶液に酸化還元メディエーターと色素を添加することにより、H1N1を比色検出するために使用した特定の条件を示す。グルコース溶液は、標的と結合したオキシダーゼの存在下にあるときに、過酸化水素を生成する。電気化学的手段による電荷の検出とは対照的に、HRPとTMB又はAmplex Redを添加すると、夫々青色又はピンク色になる。
【0691】
[実施例6]OPNの比色検出
図19は、サンドイッチ結合した標的複合体の上方でグルコース溶液にTMBとHRPを添加することにより、オステオポンチンを比色検出するために使用した具体的な条件を示す。
【0692】
[実施例7]OPNの比色検出
図20は、サンドイッチ結合した標的複合体の上方でグルコース溶液にTMBとHRPを添加することにより、オステオポンチンを比色検出するために使用したより具体的な条件を示す。
【0693】
[実施例8]架橋ストレプトアビジン
サンドイッチ検知アッセイを使用して被検体を電気化学的に検出するために、PBSを溶媒とした溶液10μLをドロップキャストすることにより、ストレプトアビジンをコーティングしたビーズを(例えば、細孔径0.45μmのものをThermoscientific社から購入した)ニトロセルロース膜にロードする。次に、末端にビオチン2分子を含むように化学的に修飾した3400MwのPEGをニトロセルロース膜に添加する。ストレプトアビジンとビオチンの比は、1:0.25とする。次に、PBST200μLを使用して膜を洗浄し、DropSens 710電極に移す。被検体の抗体をビオチンで機能化し、Abcam社のLightning-Link(GOxコンジュゲートキット,#ab102887)を使用して第2の別の抗体をGOxと結合させ、(Ab-GOx)を合成する。被検体と2種の抗体を混合した後、この溶液5μLをドロップキャストし、膜表面に広げ、5分間インキュベートする。PBST200μLを使用して膜を洗浄し、500mMグルコース溶液50μLの添加後にクロノアンペロメトリー測定を実施する。
【0694】
1000~50,000のPEG分子量を使用することができるが、好ましいMwは、3000~10,000である。同様に、末端にビオチン2分子を有する線状PEG又は末端にビオチン4分子を有するStar PEGを使用することもできる。
【0695】
サンドイッチ検知アッセイを使用して被検体を電気化学的に検出するために、(例えば、細孔径0.45μmのものをThermoscientific社から購入した)ニトロセルロース膜(直径4mmのディスク)の表面及び内面をストレプトアビジンで機能化する。次に、末端にビオチン2分子を含むように化学的に修飾した3400MwのPEGをニトロセルロース膜に添加する。ストレプトアビジンとビオチンの比は、1:0.25とする。次に、PBST200μLを使用して膜を洗浄し、DropSens 710電極に移す。被検体の抗体をビオチンで機能化し、Abcam社のLightning-Link(GOxコンジュゲートキット,#ab102887)を使用して第2の別の抗体をGOxと結合させ、(Ab-GOx)を合成する。被検体と2種の抗体を混合した後、この溶液5μLをドロップキャストし、膜表面に広げ、5分間インキュベートする。PBST200μLを使用して膜を洗浄し、500mMグルコース溶液50μLの添加後にクロノアンペロメトリー測定を実施する。1000~50,000のPEG分子量を使用することができるが、好ましいMwは、3000~10,000である。同様に、末端にビオチン2分子を有する線状PEG又は末端にビオチン4分子を有するStar PEGを使用することもできる。
【0696】
サンドイッチ検知アッセイを使用して被検体を光学的に検出するために、(例えば、細孔径0.45μmのものをThermoscientific社から購入した)ニトロセルロース膜(直径4mmのディスク)の表面及び内面をストレプトアビジンで機能化する。次に、末端にビオチン2分子を含むように化学的に修飾した3400MwのPEGをニトロセルロース膜に添加する。ストレプトアビジンとビオチンの比は、1:0.25とする。次に、PBST200μLを使用して膜を洗浄する。被検体の抗体をビオチンで機能化し、Abcam社のLightning-Link(GOxコンジュゲートキット,#ab102887)を使用して第2の別の抗体をGOxと結合させ、(Ab-GOx)を合成する。被検体と2種の抗体を混合した後、この溶液5μLをドロップキャストし、膜表面に広げ、5分間インキュベートする。PBST200μLを使用して膜を洗浄し、500mMグルコース溶液50μLとHRP及びAmplex Redの添加後に光学的測定を実施する。ピンク/紫色に発色し、被検体が存在すると判断される。1000~50,000のPEG分子量を使用することができるが、好ましいMwは、3000~10,000である。同様に、末端にビオチン2分子を有する線状PEG又は末端にビオチン4分子を有するStar PEGを使用することもできる。
【0697】
サンドイッチ検知アッセイを使用して被検体を光学的に検出するために、PBSを溶媒とした溶液10μLをドロップキャストすることにより、ストレプトアビジンをコーティングしたビーズを(例えば、細孔径0.45μmのものをThermoscientific社から購入した)ニトロセルロース膜にロードする。次に、末端にビオチン2分子を含むように化学的に修飾した3400MwのPEGをニトロセルロース膜に添加する。ストレプトアビジンとビオチンの比は、1:0.25とする。次に、PBST200μLを使用して膜を洗浄する。被検体の抗体をビオチンで機能化し、Abcam社のLightning-Link(GOxコンジュゲートキット,#ab102887)を使用して第2の別の抗体をGOxと結合させ、(Ab-GOx)を合成する。被検体と2種の抗体を混合した後、この溶液5μLをドロップキャストし、膜表面に広げ、5分間インキュベートする。PBST200μLを使用して膜を洗浄し、500mMグルコース溶液50μLとHRP及びAmplex Redの添加後に光学的測定を実施する。ピンク/紫色に発色し、被検体が存在すると判断される。1000~50,000のPEG分子量を使用することができるが、好ましいMwは、3000~10,000である。同様に、末端にビオチン2分子を有する線状PEG又は末端にビオチン4分子を有するStar PEGを使用することもできる。
【0698】
[実施例9]架橋捕捉剤
サンドイッチ検知アッセイを使用して被検体を電気化学的に検出するために、PBSを溶媒とした溶液10μLをドロップキャストすることにより、ストレプトアビジンをコーティングしたビーズを(例えば、細孔径0.45μmのものをThermoscientific社から購入した)ニトロセルロース膜にロードする。次に、PBST200μLを使用して膜を洗浄し、DropSens 710電極に移す。被検体の抗体を少なくともビオチン2分子で機能化し、Abcam社のLightning-Link(GOxコンジュゲートキット,#ab102887)を使用して第2の別の抗体をGOxと結合させ、(Ab-GOx)を合成する。被検体と2種の抗体を混合した後、この溶液5μLをドロップキャストし、膜表面に広げ、5分間インキュベートする。PBST200μLを使用して膜を洗浄し、500mMグルコース溶液50μLの添加後にクロノアンペロメトリー測定を実施する。
【0699】
サンドイッチ検知アッセイを使用して被検体を電気化学的に検出するために、(例えば、細孔径0.45μmのものをThermoscientific社から購入した)ニトロセルロース膜(直径4mmのディスク)の表面及び内面をストレプトアビジンで機能化する。次に、PBST200μLを使用して膜を洗浄し、DropSens 710電極に移す。被検体の抗体を少なくともビオチン2分子で機能化し、Abcam社のLightning-Link(GOxコンジュゲートキット,#ab102887)を使用して第2の別の抗体をGOxと結合させ、(Ab-GOx)を合成する。被検体と2種の抗体を混合した後、この溶液5μLをドロップキャストし、膜表面に広げ、5分間インキュベートする。PBST200μLを使用して膜を洗浄し、500mMグルコース溶液50μLの添加後にクロノアンペロメトリー測定を実施する。
【0700】
サンドイッチ検知アッセイを使用して被検体を光学的に検出するために、(例えば、細孔径0.45μmのものをThermoscientific社から購入した)ニトロセルロース膜(直径4mmのディスク)の表面及び内面をストレプトアビジンで機能化する。次に、PBST200μLを使用して膜を洗浄する。被検体の抗体を少なくともビオチン2分子で機能化し、Abcam社のLightning-Link(GOxコンジュゲートキット,#ab102887)を使用して第2の別の抗体をGOxと結合させ、(Ab-GOx)を合成する。被検体と2種の抗体を混合した後、この溶液5μLをドロップキャストし、膜表面に広げ、5分間インキュベートする。PBST200μLを使用して膜を洗浄し、500mMグルコース溶液50μLとHRP及びAmplex Redの添加後に光学的測定を実施する。ピンク/紫色に発色し、被検体が存在すると判断される。
【0701】
サンドイッチ検知アッセイを使用して被検体を光学的に検出するために、PBSを溶媒とした溶液10μLをドロップキャストすることにより、ストレプトアビジンをコーティングしたビーズを(例えば、細孔径0.45μmのものをThermoscientific社から購入した)ニトロセルロース膜にロードする。次に、PBST200μLを使用して膜を洗浄する。被検体の抗体を少なくともビオチン2分子で機能化し、Abcam社のLightning-Link(GOxコンジュゲートキット,#ab102887)を使用して第2の別の抗体をGOxと結合させ、(Ab-GOx)を合成する。被検体と2種の抗体を混合した後、この溶液5μLをドロップキャストし、膜表面に広げ、5分間インキュベートする。PBST200μLを使用して膜を洗浄し、500mMグルコース溶液50μLとHRP及びAmplex Redの添加後に光学的測定を実施する。ピンク/紫色に発色し、被検体が存在すると判断される。
【0702】
[実施例10]電気化学的プロトタイプ
図21は、電気化学的使い捨て試験プロトタイプの上面概略図を示す。この概略図は、防水ベース上に配置された三電極式システムと作用極上の固定化領域を包囲する防水バリアを含む。
【0703】
[実施例11]光学的プロトタイプ
図22は、光学的使い捨て試験プロトタイプの上面概略図を示す。この概略図は、防水ベース上に配置された固定化領域を包囲する防水バリアを含む使い捨て光学/比色試験プロトタイプを含む。防水バリアは、防水バリアの内側にチャンバーを形成する。
【0704】
[実施例12]光学的プロトタイプ
図23は、別の光学的使い捨て試験プロトタイプの上面概略図を示す。この概略図は、防水ベース上に配置された固定化領域を包囲する防水バリアを含む使い捨て光学/比色試験プロトタイプを含む。防水バリアは、防水バリアの内側にチャンバーを形成する。
【0705】
[実施例13]光学的プロトタイプ
図24は、固定化領域の上面概略図を示す。固定化領域は、例えば、ストレプトアビジンを汎用結合サイトとすることができ、前記サイトは、標的の定量を補助することができるライン、完全領域、グラジエント、パターン、トポグラフィー等の形態とすることができる。
【0706】
[実施例14]光学的プロトタイプ
図25は、別の固定化領域の上面概略図を示す。固定化領域は、ストレプトアビジンの直接固定化又はストレプトアビジンをコーティングしたポリスチレンビーズ等による汎用結合サイトを含むことができる。固定化領域上の汎用結合サイトは、抗体(例えば、着目被検体に特異的なビオチン化抗体と酵素標識抗体)の溶液に曝露することができる。溶液/試料溶液中に着目被検体が含まれているならば、どちらの抗体も標的被検体と結合することができ、固定化領域の上/上方に検出可能な複合体を形成することができる。着目被検体が含まれていないならば、固定化領域に検出可能な複合体は固定化されない。
【0707】
[実施例15]
アルカリホスファターゼに固定した1μg/mLのIL-6抗体と、1μg/mLのビオチン化IL-6抗体と、1ng/mL又は0ng/mlのIL-6タンパク質を含有する溶液をアッセイバッファーで調製した。ストレプトアビジンをコーティングしたビーズがラテラルフロー膜に埋め込まれた領域を電極上に配置した。試験溶液又は対照溶液15ulをラテラルフロー膜に添加した(
図36)。溶液は膜の遠端まで流れた。2分後に、膜を緩衝液200uLで洗浄し、洗浄液をウィッキングパッドにより吸収した。次に、20mM4-アミノフェニルリン酸/ジエタノールアミン基質(pH9.6)100μLを電極上の膜領域に滴下し、クロノアンペロメトリーを実施した。1番目のプロットは、10分間に収集されたクロノアンペロメトリー結果を示す(試験測定2回と対照測定2回を実施した;
図37)。2番目のプロットは、20分後に同一電極で収集されたクロノアンペロメトリー結果を示す(
図38)。
【0708】
[実施例16]プロトタイプカートリッジ
試料採取、電極と接触している標的結合サイトへの流動、廃液及び基質溶液リザーバーを備えるプロトタイプカートリッジを
図39に示す。このカートリッジは、電気化学的検出用バイロメーターに挿入することができる。
【0709】
[実施例17]
アルカリホスファターゼ(ALP)をジエタノールアミン(DEA)緩衝液に目標測定濃度の10倍となるように溶解した。この溶液5uLを電極に添加した後、基質溶液(10mM4-アミノフェニルリン酸(APP)/DEA(1M)+5mM MgCl
2)45uLを添加した。30秒~5分間の種々の検出インターバルで酵素と基質(ALPとAPP)をインキュベートした後、10秒間のクロノアンペロメトリー検出を行った。30秒間のインターバルでは、0.2V(対Ag)電位を10秒間印加し、最初の30秒間のインキュベーション後に電流を測定した。測定後、セルを更に20秒間開路に維持した後、10秒間の測定を繰り返した。この検出パターンを240秒間(8インターバル)まで繰り返した。2分間の検出インターバルのインキュベーションでは、インターバル間にセルを110秒間開路に維持し、10秒間のクロノアンペロメトリー測定を2分置きに240秒間又は2インターバルまで実施した。5分間の検出インターバルでは、10秒間のクロノアンペロメトリー検出を1ラウンドだけ実施した。APP/DEA緩衝液系中のALP活性が0又は0.1ng/mlのときの10秒の最終(終点)電流を総インキュベーション時間に対してプロットする(
図26)。なお、バックグラウンド(0ng/ml)終点電流は経時的に低下し、酵素活性は初期に低下する可能性もあるが、その後、経時的に増加する。
図27は、総計測時間と計測時間インターバル周期の関数としてnAで表した累積電流を比較しているが、同図に示すように、クロノアンペロメトリー検出を繰り返すと、所望の電流特性に達するために必要な総測定時間が短縮する。
【0710】
[実施例18]
アルカリホスファターゼに固定した1μg/mLの抗IL-6抗体と、1μg/mLのビオチン化抗IL-6抗体と、2ng/ml、0.1ng/mL又は0ng/mlのIL-6タンパク質を含有する溶液をアッセイバッファーで調製した。ストレプトアビジンをコーティングしたビーズがラテラルフロー膜に埋め込まれた領域を電極上に配置した。試験溶液又は対照溶液100ulをラテラルフロー膜に添加した。溶液は膜の遠端まで流れた。2分後に、膜を緩衝液200uLで洗浄し、洗浄液をウィッキングパッドにより吸収した。次に、10mM4-アミノフェニルリン酸/ジエタノールアミン基質(pH9.8)60μLを電極上の膜領域に滴下し、サンドイッチ構造に捕捉されたIL-6の濃度を測定した(
図28)。一例では、5分間の基質インキュベーション後にクロノアンペロメトリーを10秒間実施した。別の例では、基質溶液の導入後30秒置きに合計310秒間0.2V(対Ag)電位を繰り返し印加する(これらの10秒間に電流を測定する)ことにより、改変クロノアンペロメトリーを実施した(
図29)。その結果、改変クロノアンペロメトリー検出では、5分間インキュベーション後に10秒間の検出を1回だけ行った場合に比較して、0.1ng/mlの累積電流差が2.5倍となり、2ng/mlの累積電流差が3.8倍となることが判明した(
図30)。
【0711】
[実施例19]
ウシ由来アルカリホスファターゼ(ALP)をジエタノールアミン(DEA)緩衝液に目標測定濃度の10倍となるように溶解した。この溶液5uLを電極に添加した後、種々の量のMgCl2を含有する基質溶液(10mM4-アミノフェニルリン酸(APP)/DEA又はAPP/2-(エチルアミノ)エタノール(EAE))45uLを添加した。酵素と基質(ALPとAPP)を5分間インキュベートした後、5分間のクロノアンペロメトリー検出を行った。
図31に示すように、MgCl2濃度の関数としてAPP/DEA及びAPP/EAE基質緩衝液系中のALP活性(μCで表した電荷)を比較すると、MgCl
2濃度は任意の所定の酵素濃度当たりの電荷の変化に著しく影響を与えることが分かる。
【0712】
[実施例20]
ウシ腸由来アルカリホスファターゼをサンドイッチアッセイで使用し、IL-6濃度を測定した。アルカリホスファターゼに固定した1μg/mLの抗IL-6抗体と、1μg/mLのビオチン化抗IL-6抗体と、2ng/ml、0.1ng/mL又は0ng/mlのIL-6タンパク質を含有する溶液をアッセイバッファーで調製した。ストレプトアビジンをコーティングしたビーズがラテラルフロー膜に埋め込まれた領域を電極上に配置した。試験溶液又は対照溶液100ulをラテラルフロー膜に添加した。溶液は膜の遠端まで流れた。2分後に、膜を緩衝液200uLで洗浄し、洗浄液をウィッキングパッドにより吸収した。次に、5mM MgCl
2を添加するか若しくは添加しない10mM APP/DEA基質(pH9.8)又は5mM MgCl
2を添加した10mM APP/EAE基質(pH9.8)60μLを電極上の膜領域に滴下し、サンドイッチ構造に捕捉されたIL-6の濃度を測定した。基質溶液の変更/MgCl
2の添加は、IL-6アッセイの結果に大きな影響がなかった(
図32)。
【0713】
この結果から、a)種々の起源に由来する酵素及び/又はb)市販キットで結合するように改変した酵素は種々に作用することができ、クロノアンペロメトリー測定を実施するために最適化されたその濃度を又は最適化された溶液は、標的被検体のより高感度の検出を助長できると判断される。
【0714】
[実施例21]
アルカリホスファターゼに固定した1μg/mLの抗IL-6抗体と、1μg/mLのビオチン化抗IL-6抗体と、2ng/ml、0.1ng/mL又は0ng/mlのIL-6タンパク質を含有する溶液をアッセイバッファーで調製した。ストレプトアビジンをコーティングしたビーズがラテラルフロー膜に埋め込まれた領域を電極上に配置した。試験溶液又は対照溶液100ulをラテラルフロー膜に添加した。溶液は膜の遠端まで流れた。2分後に、膜を緩衝液200uLで洗浄し、洗浄液をウィッキングパッドにより吸収した。次に、10mM4-アミノフェニルリン酸/ジエタノールアミン基質(pH9.8)60uLを電極上の膜領域に滴下し、サンドイッチ構造に捕捉されたIL-6の濃度を測定した(
図28)。一例では、5分間の基質インキュベーション後にクロノアンペロメトリーを10秒間実施した。別の例では、基質溶液の導入後30秒置きに合計310秒間0.2V(対Ag)電位を繰り返し印加する(これらの10秒間に電流を測定する)ことにより、改変クロノアンペロメトリーを実施した(
図27)。改変クロノアンペロメトリー検出を繰り返して電流対時間データを獲得した後、3種類の方法により結果を解析した。第1の方法では、310秒間の総検出時間について各10秒間の検出時間後の終点電流を総和した(
図33)。第2の方法では、各10秒間の検出時間後に電荷を得るようにクロノアンペロメトリー曲線を積分し、310秒間の総検出時間の各電荷測定値を総和した(
図34)。第3の方法では、基質添加後の総時間(310秒)に対する10秒の終点電流の傾きを比較した。これらの3種類のデータ解析方法を
図33に示す(
図35)。
【0715】
[実施例22]膜により迅速イムノアッセイを実施した後にイムノアッセイ標的の電気化学的検出を行う方法
試験管内で、アルカリホスファターゼに固定した1μg/mLの抗ヌクレオカプシドタンパク質抗体1と、1μg/mLの(抗体1とは異なる標的エピトープに対する)ビオチン化抗ヌクレオカプシドタンパク質抗体2と、5ng/mL又は0ng/mLのヌクレオカプシドタンパク質を含有する溶液をアッセイバッファーで調製した。
図40に示すように、この溶液は、試薬と捕捉剤及び/又は固定剤を入れた容器に、緩衝液で希釈してもよい生体試料を添加する操作を模倣するように設定した。500pg又は0pgのヌクレオカプシドタンパク質を含有する混合溶液を(ブロックされていてもいなくてもよいが、捕捉試薬で機能化されていない)ブランク試験膜に分注した後、緩衝液で洗浄し、洗浄液をウィッキング材により吸収した。本実施例では、ウィッキングパッドの上に盛り上がるように膜をプラスチックリングの上に載せたが、膜をウィッキングパッドに直接載せてもよいし、膜を別の膜材料の上に載せてもよいし、膜を採取デバイスの上方に吊り下げてもよいし、その他の方法でもよい。次に、10mM4-アミノフェニルリン酸/ジエタノールアミン基質(pH9.8)60μLを電極上の膜領域に滴下し、存在する標的が捕捉された濃度を測定した。基質添加から30秒後にクロノアンペロメトリーを2秒間実施した後、0.2V(対Ag)電位を繰り返し印加することにより、90秒、180秒及び300秒で再度実施した。その結果、この方法によりヌクレオカプシドタンパク質が検出されることが判明した(
図41)。
【0716】
[実施例23]膜に沿ってイムノアッセイを実施した後にイムノアッセイ標的の電気化学的検出を行う方法
アルカリホスファターゼに固定した1μg/mLの抗IL-6抗体1と、1μg/mLの(抗体1とは異なる標的エピトープに対する)ビオチン化抗IL-6抗体2と、0.1ng/mL又は0ng/mlのIL-6タンパク質を含有する溶液をアッセイバッファーで調製した。ストレプトアビジンをコーティングしたビーズが埋め込まれたラテラルフロー膜に試験溶液又は対照溶液100uLを添加した。(10pg又は0pgのIL-6タンパク質を含有する)溶液が膜の遠端まで流れた後、膜を緩衝液で洗浄した。過剰の溶液をウィッキングパッドにより吸収した。次に、10mM4-AP/DEA基質60uLを電極上の膜領域に滴下し、サンドイッチ構造に捕捉されたIL-6の濃度を測定した(
図42)。検出スキームは、30秒置きに300秒間のクロノアンペロメトリー測定を繰り返すことから構成した(各データ点は、2秒間の電流を示す)(
図43)。2~3分以内に明白に迅速な検出が達せられた。
【0717】
[実施例24]IL-6タンパク質を20pg/mlまで検出するためにイムノアッセイと組み合わせて使用した改変クロノアンペロメトリー
アルカリホスファターゼに固定した1μg/mLの抗IL-6抗体1と、1μg/mLの(抗体1とは異なる標的エピトープに対する)ビオチン化抗IL-6抗体2と、500pg/mL、100pg/mL、20pg/mL又は0pg/mLのIL-6タンパク質を含有する溶液をアッセイバッファーで調製した。ストレプトアビジンをコーティングしたビーズが埋め込まれたラテラルフロー膜に試験溶液又は対照溶液100uLを添加した。(50pg、10pg、2pg又は0pgのIL-6タンパク質を含有する)溶液が膜の遠端まで流れた後、膜を緩衝液で洗浄した。過剰の溶液をウィッキングパッドにより吸収した。膜を電極の表面に移した後、10mM4-AP/DEA基質60μLを膜に滴下し、サンドイッチ構造に捕捉されたIL-6の濃度を測定した(
図28)。電気化学的検出は、30秒、90秒、180秒、300秒で2秒間のクロノアンペロメトリー測定を実施した後、300秒置きに1500秒まで測定した。
図44の各データ点は、2秒間の電流平均と標準偏差を示す。終点電流の傾きを濃度の関数として
図45に示す。
【0718】
[実施例25]プロラクチンタンパク質を200pg/mlまで検出するためにイムノアッセイと組み合わせて使用した改変クロノアンペロメトリー
アルカリホスファターゼに固定した1μg/mLの抗プロラクチン抗体1と、1μg/mLの(抗体1とは異なる標的エピトープに対する)ビオチン化抗プロラクチン抗体2と、20ng/mL、2ng/mL、0.2ng/mL、0.1ng/mL又は0ng/mLのプロラクチンタンパク質を含有する溶液をアッセイバッファーで調製した。ストレプトアビジンをコーティングしたビーズが埋め込まれたラテラルフロー膜に試験溶液又は対照溶液100uLを添加した。(2ng又は0ngのプロラクチンタンパク質を含有する)溶液が膜の遠端まで流れた後、膜を緩衝液で洗浄した。過剰の溶液をウィッキングパッドにより吸収した。ラテラルフロー膜を電極の表面に移した後、10mM4-AP/DEA基質60μLを膜に滴下し、サンドイッチ構造に捕捉されたIL-6の濃度を測定した(
図28)。検出スキームは、30秒、90秒、180秒、300秒、600秒で2秒間のクロノアンペロメトリー試験から構成した。各データ点は、2秒間の電流平均と標準偏差を示し、濃度の関数として終点電流の傾きも示す(
図46)。
【0719】
[実施例26]ビオチンを2.4ng/mLまで検出し、競合アッセイを実証するために、競合イムノアッセイと組み合わせて使用した改変クロノアンペロメトリー
アッセイバッファー中にビオチンを結合させた1nMアルカリホスファターゼを含有する溶液(対照)と、アッセイバッファー中にビオチンを結合させた1nMアルカリホスファターゼに加えて10nM又は100nMビオチンを含有する溶液(試験)を調製した。ストレプトアビジンをコーティングしたビーズが埋め込まれたラテラルフロー膜に試験溶液又は対照溶液100uLを添加した。(2.4ng又は240pgのビオチンを含有する)溶液が膜の遠端まで流れた後、膜を緩衝液で洗浄した。過剰の溶液をウィッキングパッドにより吸収した。ラテラルフロー膜を電極の表面に移した後、10mM4-AP/DEA基質60μLを膜に滴下し、電流の低下に基づいてタンパク質の濃度を測定した(
図43に示す競合検出スキーム)。電気化学的検出は、30秒、90秒、180秒、300秒、及び600秒で2秒間のクロノアンペロメトリー測定を実施した。
図48の各データ点は、2秒間の電流平均と標準偏差を示す。
【0720】
[実施例27]タンパク質コンジュゲートを80pg/mlまで検出するためにイムノアッセイと組み合わせて使用した改変クロノアンペロメトリー
アッセイバッファー中にビオチンを結合させたアルカリホスファターゼ200pg/mL、80pg/mL又は0ng/mLを含有する溶液を調製した。ストレプトアビジンをコーティングしたビーズが埋め込まれたラテラルフロー膜に試験溶液又は対照溶液100uLを添加した。(タンパク質コンジュゲート20pg、8pg又は0pgを含有する)溶液が膜の遠端まで流れた後、膜を緩衝液で洗浄した。過剰の溶液をウィッキングパッドにより吸収した。ラテラルフロー膜を電極の表面に移した後、5mM MgCl
2を含有する10mM4-AP/DEA基質60uLを膜に滴下し、結合したタンパク質の濃度を測定した。検出スキームは、30秒、90秒、180秒、300秒、600秒で2秒間のクロノアンペロメトリー測定から構成した。
図50の各データ点は、2秒間の電流平均と標準偏差を示す。
【0721】
[実施例28]オステオポンチンタンパク質を100pg/mlまで検出するためにイムノアッセイと組み合わせて使用した改変クロノアンペロメトリー
アルカリホスファターゼに結合させた1μg/mLの抗オステオポンチン抗体1と、1μg/mLの(抗体1とは異なる標的エピトープに対する)ビオチン化抗オステオポンチン抗体2と、100ng/ml、10ng/ml、0.5ng/ml、0.2ng/ml、0.1ng/ml又は0ng/mLのオステオポンチンタンパク質を含有する溶液をアッセイバッファーで調製した。ストレプトアビジンをコーティングしたビーズが埋め込まれたラテラルフロー膜に試験溶液又は対照溶液100uLを添加した。(100pg、20pg又は0pgのオステオポンチンタンパク質を含有する)溶液が膜の遠端まで流れた後、膜を緩衝液で洗浄した。過剰の溶液をウィッキングパッドにより吸収した。ラテラルフロー膜を電極の表面に移した後、10mM4-AP/DEA基質50uLを膜に滴下し、サンドイッチ構造に捕捉されたオステオポンチンの濃度を測定した。検出スキームは、30秒、90秒、120秒、180秒、及び300秒で2秒間のクロノアンペロメトリー測定から構成した。以下の図面の各データ点は、2秒間の電流平均と標準偏差を示し、濃度の関数として終点電流の傾きも示す(
図50~53)。
【0722】
[実施例29]スパイクウイルスタンパク質と膜ウイルスタンパク質の両方を標的とするラテラルフローベースサンドイッチアッセイにより電気化学的に検出された不活化コロナウイルスのウイルス体検出
試験管内で、グルコースオキシダーゼと結合させた1mg/mLの抗SARS-CoV-2膜(マトリックス)タンパク質抗体と、1mg/mLのビオチン化抗SARS-CoV-2S1スパイクタンパク質抗体と、12900 TCID50/mL、1290 TCID50/mL、129 TCID50/mL又は0 TCID50/mLのSARS-CoV-2ウイルスを含有する溶液をアッセイバッファーで調製した。最終ウイルス濃度は、試薬と捕捉剤及び/又は固定剤を入れた容器に、緩衝液で希釈してもよい生体試料(1290 TCID50/mL、129 TCID50/mL、12.9 TCID50/mL又は0 TCID50/mL)を添加する操作を模倣するように設定した。1290 TCID50/mL、129 TCID50/mL、12.9 TCID50/mL又は0 TCID50/mLのSARS-CoV-2ウイルスを含有する混合溶液を(ブロックされていてもいなくてもよいが、捕捉試薬で機能化されていない)ブランク試験膜に分注した後、緩衝液で洗浄し、洗浄液をウィッキング材により吸収した。本実施例では、膜を電極上に配置し、試験膜の一端にウィッキングパッドを配置し、溶液は横方向に流れる。次に、500mMグルコース(pH7.4)50μLを電極上の膜領域に滴下し、存在する標的の捕捉された濃度を測定した。基質添加から1秒後に、0.2V(対Ag/AgCl)電位の印加により、クロノアンペロメトリーを300秒間実施した。その結果、この方法によりSARS-CoV-2ウイルスが検出されることが判明した(
図54~61)。
【0723】
[実施例30]IgGの検出
アルカリホスファターゼに固定した1μg/mLの抗IgG抗体と、1μg/mLのビオチン化抗IgG抗体と、100ng/ml、50ng/mL又は10ng/mlのIgGタンパク質を含有する溶液をアッセイバッファーで調製する。IgGは、COVID感染に応答して産生された。ストレプトアビジンをコーティングしたビーズがラテラルフロー膜に埋め込まれた領域を電極上に配置した。試験溶液又は対照溶液100uLをラテラルフロー膜に添加する。溶液は膜の遠端まで流れた。2分後に、膜を緩衝液200uLで洗浄し、洗浄液をウィッキングパッドにより吸収する。次に、10mM4-アミノフェニルリン酸/ジエタノールアミン基質(pH9.8)60uLを電極上の膜領域に滴下し、サンドイッチ構造に捕捉されたIgGの濃度を測定する(
図28)。一例では、5分間の基質インキュベーション後にクロノアンペロメトリーを10秒間実施する。別の例では、基質溶液の導入後30秒置きに合計310秒間0.2V(対Ag)電位を繰り返し印加する(これらの10秒間に電流を測定する)ことにより、改変クロノアンペロメトリーを実施する。どちらのクロノアンペロメトリー測定も、IgGを含有しない対照溶液に比較してIgGの検出を示すであろう。
【0724】
[実施例31]検出限界
タンパク質、低分子、又はウイルスを検出するための上記実施例では、0ng/mLベースライン(被検体を添加しない対照アッセイ)よりも3標準偏差高い数値として検出限界(LoD)を定義した。0ng/mLベースラインよりも2標準偏差高い数値としてLoDを定義することもできる。LoDは、曲線の応答の標準偏差(Sy)と、校正曲線の傾き(S)に基づいて計算される場合もある(例えば、LoD=3.3(Sy/S))。
【国際調査報告】