IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メク カンパニー リミテッドの特許一覧

特表2024-5028713Gセンサーマスク及びこれを用いた持続陽圧呼吸器システム
<>
  • 特表-3Gセンサーマスク及びこれを用いた持続陽圧呼吸器システム 図1
  • 特表-3Gセンサーマスク及びこれを用いた持続陽圧呼吸器システム 図2
  • 特表-3Gセンサーマスク及びこれを用いた持続陽圧呼吸器システム 図3
  • 特表-3Gセンサーマスク及びこれを用いた持続陽圧呼吸器システム 図4
  • 特表-3Gセンサーマスク及びこれを用いた持続陽圧呼吸器システム 図5
  • 特表-3Gセンサーマスク及びこれを用いた持続陽圧呼吸器システム 図6
  • 特表-3Gセンサーマスク及びこれを用いた持続陽圧呼吸器システム 図7
  • 特表-3Gセンサーマスク及びこれを用いた持続陽圧呼吸器システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】3Gセンサーマスク及びこれを用いた持続陽圧呼吸器システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20240116BHJP
   A61B 5/107 20060101ALI20240116BHJP
   A61M 16/06 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
A61M16/00 305A
A61B5/107 300
A61M16/06 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542568
(86)(22)【出願日】2022-01-04
(85)【翻訳文提出日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 KR2022000102
(87)【国際公開番号】W WO2022154355
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】10-2021-0004259
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】523264002
【氏名又は名称】メク カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MEK CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョンチョル
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB03
4C038VC20
(57)【要約】
本発明は、睡眠中の患者の睡眠姿勢をセンシングして睡眠姿勢が変更されると、変更された睡眠姿勢に応じて直ちにブロワーによって圧力を補正する3Gセンサーマスク及びこれを用いた持続陽圧呼吸器システムに関し、本発明のシステムは、患者の顔に装着されて睡眠中の患者の睡眠姿勢をセンシングする3Gセンサーマスクと、3Gセンサーマスクと有無線で繋がれて3Gセンサーマスクによってセンシングされた患者の睡眠姿勢情報が伝送され、伝送された患者の睡眠姿勢の変化に対応して気道開放に必要な気道閉鎖圧を検出し、検出された睡眠姿勢別の気道閉鎖圧に基づいて治療圧力を直ちに補正する陽圧呼吸器と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の顔に装着されて睡眠中の前記患者の睡眠姿勢をセンシングする3Gセンサーマスクと、
前記3Gセンサーマスクと有無線で繋がれて前記3Gセンサーマスクによってセンシングされた患者の睡眠姿勢情報が伝送され、伝送された前記患者の睡眠姿勢の変化に対応して気道開放に必要な圧力、気道閉鎖圧を検出し、検出された気道閉鎖圧とそれによる姿勢情報とに基づいてブロワーによって圧力を直ちに補正する陽圧呼吸器と、
を含む、3Gセンサーマスクを用いた持続陽圧呼吸器システム。
【請求項2】
前記陽圧呼吸器は、
睡眠モニタリングを通じて、前記3Gセンサーマスクからセンシングされた患者の睡眠姿勢情報と、睡眠中の患者の気道閉鎖圧情報とをそれぞれ収集し、収集された両データをマッチングして前記患者の睡眠姿勢によって変わる気道閉鎖圧を分析することを特徴とする、請求項1に記載の3Gセンサーマスクを用いた持続陽圧呼吸器システム。
【請求項3】
前記陽圧呼吸器は、
前記患者の睡眠姿勢とは関係なく、睡眠中に前記患者の気道閉鎖圧に応じてブロワーを調節して圧力を制御するACPAP(Auto CPAP)と、前記患者の睡眠モニタリングのために、前記ACPAPによって測定された前記患者の気道閉鎖圧情報を収集し、これと同時に前記3Gセンサーマスクによってセンシングされた前記患者の睡眠姿勢情報を収集し、収集された両データをマッチングして睡眠中の前記患者の睡眠姿勢によって変わる気道閉鎖圧を分析し、分析の結果、睡眠姿勢による気道閉鎖圧に基づいて圧力を直ちに補正するPCPAP(Position CPAP)と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の3Gセンサーマスクを用いた持続陽圧呼吸器システム。
【請求項4】
前記陽圧呼吸器は、
前記患者の睡眠姿勢とは関係なく、睡眠中に前記患者の気道閉鎖圧に応じてブロワーを調節して圧力を制御するACPAP(Auto CPAP)と、前記患者の睡眠モニタリングのために、前記ACPAPによって測定された前記患者の気道閉鎖圧情報を収集し、これと同時に前記3Gセンサーマスクによってセンシングされた前記患者の睡眠姿勢情報を収集し、収集された両データをマッチングして睡眠中の前記患者の睡眠姿勢によって変わる気道閉鎖圧を分析し、分析の結果、睡眠姿勢による気道閉鎖圧に基づいて圧力を直ちに補正する制御モジュールと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の3Gセンサーマスクを用いた持続陽圧呼吸器システム。
【請求項5】
前記陽圧呼吸器は、
前記収集されたデータから前記患者が仰向け寝姿勢である時の気道閉鎖圧と、前記患者が横向き寝姿勢である時の気道閉鎖圧とをそれぞれ検出し、検出された各気道閉鎖圧を重力方向角度による最大圧、最小圧に定め、それらの中間値の範囲内で重力方向角に対して比例して変わる関数に基づいて、多様な角度の睡眠姿勢による気道閉鎖圧を予測して抽出することを特徴とする、請求項1に記載の3Gセンサーマスクを用いた持続陽圧呼吸器システム。
【請求項6】
前記陽圧呼吸器は、
前記3Gセンサーマスクによって前記患者が起きる姿勢がセンシングされる場合、非睡眠状態と認識して睡眠治療モードではない非睡眠治療モードにモード切り替えて動作することで持続的な治療が可能であることを特徴とする、請求項1に記載の3Gセンサーマスクを用いた持続陽圧呼吸器システム。
【請求項7】
前記3Gセンサーマスクは、
前記患者の睡眠姿勢をセンシングする時の基準位置を設定するために、基本姿勢の位置をセンシングして前記陽圧呼吸器へ伝送し、
前記陽圧呼吸器は、
前記3Gセンサーマスクから伝送された位置を基準位置に設定し、設定完了及びセンシング動作に関する案内を音声、アラーム、光のうちのいずれか一つ以上を利用してユーザに出力することを特徴とする、請求項1に記載の3Gセンサーマスクを用いた持続陽圧呼吸器システム。
【請求項8】
前記陽圧呼吸器は、
遠隔モニタリング及び圧力調整をする睡眠モニタリングを行うか、もしくは収集されたデータを格納部に保存及び記録して患者別プロファイリングする睡眠モニタリングを行うことを特徴とする、請求項1に記載の3Gセンサーマスクを用いた持続陽圧呼吸器システム。
【請求項9】
前記陽圧呼吸器は、
前記患者が眠りから覚めた場合、睡眠姿勢による圧力制御方式で治療を再開するかどうかについて判断し、ユーザから治療再開に対する操作要請が入力されれば、既にプロファイル化された患者別睡眠姿勢による圧力制御方式で動作を行うことを特徴とする、請求項1に記載の3Gセンサーマスクを用いた持続陽圧呼吸器システム。
【請求項10】
陽圧呼吸器用マスクであって、
患者の顔に装着されて喉に所定圧力の空気を供給する供給ホースと、
睡眠中の前記患者の睡眠姿勢をセンシングする3Gセンサーモジュールと、
前記3Gセンサーモジュールによってセンシングされた患者の睡眠姿勢情報を有無線で前記陽圧呼吸器に伝送して患者の睡眠姿勢をリアルタイムで反映させる通信部と、
を含む、3Gセンサーマスク。
【請求項11】
前記3Gセンサーモジュールによって前記患者の睡眠姿勢をセンシングするとき、基本姿勢の位置をセンシングして基準位置を設定するように具備されたスイッチモジュールをさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載の3Gセンサーマスク。
【請求項12】
前記3Gセンサーモジュールは、
前記患者の顔に装着可能にするフレームと一体に具備されるか、
着脱自在に具備されて、既存の陽圧呼吸器用マスクに適用可能であることを特徴とする、請求項10に記載の3Gセンサーマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持続陽圧呼吸器に関し、特に、患者の姿勢変化に応じて直ちに治療陽圧を補正して、睡眠中の患者の睡眠姿勢が随時に変更されても、変更された睡眠姿勢に対応される治療圧力に直ちに制御して患者が呼吸の不便さなしに睡眠し続けられるようにする圧力調整陽圧呼吸器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、いびき患者や睡眠時無呼吸症候群のような症状を有する患者は、持続陽圧呼吸器(Continuous positive airway pressure、CPAP)を利用した治療を通じて生の質を向上させることができる。
【0003】
持続陽圧呼吸器は、患者が眠っているうちに、気道の閉鎖によって無呼吸が発生して呼吸量が減るか、呼吸気道抵抗の増加で吸気または排気の流速が減少する場合、マスクを通じて定められた圧力の空気を吹き込んで持続的に陽圧(大気圧よりも高い圧力)を維持させることで気道の閉鎖を防止する装置である。
【0004】
このような持続陽圧呼吸器としては、固定陽圧呼吸器と自動陽圧呼吸器とがあるが、常に固定された圧力の空気を吹き込む固定陽圧呼吸器は、自動陽圧呼吸器に比べて多様な患者の状態を能動的に補正することができないという短所がある。自動陽圧呼吸器は、患者の状態(無呼吸、低呼吸、いびきなど)によって、ブロワーを介した圧力調整で能動的に患者の呼吸量を維持するという長所があるものの、数回乃至数十回以上呼吸を通じて漸進的に圧力を調整するので、患者の状態変化に応じたレスポンスに最小限数十秒、最大数分の時間が所要となる。これにより、患者が睡眠中に姿勢を変える場合、迅速な圧力調整が困難であるという問題点がある。
【0005】
例えば、患者が睡眠中に姿勢を変える過程は、数秒以内発生するが、陽圧呼吸器の遅い反応によって治療圧力を好適な値に変化させる過程は、数十秒以上がかかる。よって、患者が姿勢を変えることにより、以前よりも相対的に高い気道開放圧力が必要な状況にもかかわらず、陽圧呼吸器の遅い反応によって低い気道開放圧力が供給されて患者が低呼吸又は無呼吸に進められることができる。若しくは、高い圧力から低い圧力に移動する時間の間に、患者の姿勢に比べて高い気道開放圧力が患者に供給されてしまい、呼吸に不便さを感じて眠りから覚める現象が発生する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記のような問題点を解決するためのものであって、睡眠中の患者の睡眠姿勢が変更されると、変更された睡眠姿勢によって変わる気道閉鎖圧を検出し、検出された気道閉鎖圧に基づいて直ちにブロワーによって治療圧力を補正することで、患者が睡眠中に呼吸するに際して不便さなしに睡眠し続けられるようにする持続陽圧呼吸器システムを提供することにその目的がある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、患者の顔に装着されて、喉に所定圧力の空気を供給することで、患者の呼吸量を補助することはもちろん、患者の睡眠姿勢をセンシングし、センシングされた睡眠姿勢情報を陽圧呼吸器へ有線または無線方式によって伝送して患者の睡眠姿勢をリアルタイムで反映させる3Gセンサーマスクを提供することである。
【0008】
また、本発明のまた他の目的は、患者が起きる姿勢を取る場合、3Gセンサーマスクを通じて非睡眠状態を認識して、睡眠治療モードではない非睡眠治療モードに切り替えて眠りから覚めた非睡眠状態に対しても能動的な治療ができるように提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記した課題を解決するために、本発明の実施形態による3Gセンサーマスク及びこれを用いた持続陽圧呼吸器システムは、患者の顔に装着されて睡眠中の前記患者の睡眠姿勢をセンシングする3Gセンサーマスクと、前記3Gセンサーマスクと有無線で繋がれて前記3Gセンサーマスクによってセンシングされた患者の睡眠姿勢情報が伝送され、伝送された前記患者の睡眠姿勢の変化に対応して気道開放に必要な圧力、気道閉鎖圧を検出し、検出された気道閉鎖圧とそれによる姿勢情報とに基づいてブロワーによって圧力を直ちに補正する陽圧呼吸器と、を含む。
【0010】
ここで、前記陽圧呼吸器は、睡眠モニタリングを通じて、前記3Gセンサーマスクからセンシングされた患者の睡眠姿勢情報と、睡眠中の患者の気道閉鎖圧情報とをそれぞれ収集し、収集された両データをマッチングして前記患者の睡眠姿勢によって変わる気道閉鎖圧を分析することを特徴とする。
【0011】
他の実施形態として、前記陽圧呼吸器は、前記患者の睡眠姿勢とは関係なく、睡眠中に前記患者の気道閉鎖圧に応じてブロワーを調節して圧力を制御するACPAP(Auto CPAP)と、前記患者の睡眠モニタリングのために、前記ACPAPによって測定された前記患者の気道閉鎖圧情報を収集し、これと同時に前記3Gセンサーマスクによってセンシングされた前記患者の睡眠姿勢情報を収集し、収集された両データをマッチングして睡眠中の前記患者の睡眠姿勢によって変わる気道閉鎖圧を分析し、分析の結果、睡眠姿勢による気道閉鎖圧に基づいて圧力を直ちに補正するPCPAP(Position CPAP)と、を含むことができる。
【0012】
また他の実施形態として、前記陽圧呼吸器は、前記患者の睡眠姿勢とは関係なく、睡眠中に前記患者の気道閉鎖圧に応じてブロワーを調節して圧力を制御するACPAP(Auto CPAP)と、前記患者の睡眠モニタリングのために、前記ACPAPによって測定された前記患者の気道閉鎖圧情報を収集し、これと同時に前記3Gセンサーマスクによってセンシングされた前記患者の睡眠姿勢情報を収集し、収集された両データをマッチングして睡眠中の前記患者の睡眠姿勢によって変わる気道閉鎖圧を分析し、分析の結果、睡眠姿勢による気道閉鎖圧に基づいて圧力を直ちに補正する制御モジュールと、を含むことができる。
【0013】
なお、本発明の実施形態による3Gセンサーマスクは、陽圧呼吸器用マスクであって、患者の顔に装着されて喉に所定圧力の空気を供給する供給ホースと、睡眠中の前記患者の睡眠姿勢をセンシングする3Gセンサーモジュールと、前記3Gセンサーモジュールによってセンシングされた患者の睡眠姿勢情報を有無線で前記陽圧呼吸器に伝送して患者の睡眠姿勢をリアルタイムで反映させる通信部と、を含む。
【0014】
これに加えて、前記3Gセンサーマスクは、前記3Gセンサーモジュールによって前記患者の睡眠姿勢をセンシングするとき、基本姿勢の位置をセンシングして基準位置を設定するように具備されたスイッチモジュールをさらに含むことができる。
【0015】
前記3Gセンサーモジュールは、前記患者の顔に装着可能にするフレームと一体に具備されるか、着脱自在に具備されて、既存の陽圧呼吸器用マスクに適用可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
このような本発明によれば、患者が睡眠中に姿勢が変更されると、3Gセンサーマスクによって患者の睡眠姿勢をセンシングし、センシングされた睡眠姿勢によって変わる患者別気道閉鎖圧(気道開放に必要な圧力をいい、気道開放圧とも呼ぶ)を直ちに提供して制御することで、患者が睡眠障害なしに睡眠し続けることができるという効果がある。すなわち、患者が随時に睡眠姿勢を変更してもタイムラグなしに当該目標値に直ちに制御が可能になることで、患者の姿勢変化に応じて発生する呼吸の不便さを解消するという顕著な効果がある。
【0017】
また、本発明によれば、睡眠モニタリング過程を通じて患者の睡眠姿勢によって変わる気道閉鎖圧をあらかじめ分析して記録しておくことで、タイムラグを最小化できるとともに、直ちに対応できるという効果がある。
【0018】
また、本発明によれば、患者が仰向け寝姿勢である時、横向き寝姿勢である時の気道閉鎖圧をそれぞれ検出し、これから重力による気道閉鎖圧を分析して多様な角度の睡眠姿勢別の気道閉鎖圧を予測することにより、一回の測定で多様な角度の睡眠姿勢に対する圧力補正を行うことができるという効果がある。
【0019】
また、本発明の3Gセンサーマスクによれば、患者が顔に装着する間に、患者の姿勢をセンシングして陽圧呼吸器に伝送することで、患者の睡眠姿勢をリアルタイムで反映することができるという効果がある。さらに、本発明は、センサーモジュールをマスクに一体に設けてもよく、または着脱自在に設けることで、既存の陽圧呼吸器用マスクに装着して使用できるようにその活用範囲を拡大することができるという効果がある。
【0020】
また、本発明によれば、患者が起きる姿勢を取る場合、3Gセンサーマスクを通じて非睡眠状態を認識して睡眠治療モードではない非睡眠治療モードに切り替えて非睡眠状態でも能動的で且つ持続治療ができるという効果がある
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態による持続陽圧呼吸器システムを示した図である。
図2】本発明の一実施形態による陽圧呼吸器システムの構成を示した図である。
図3】本発明の他の実施形態による陽圧呼吸器システムの構成を示した図である。
図4】本発明のまた他の実施形態による陽圧呼吸器システムの構成を示した図である。
図5】本発明の実施形態による陽圧呼吸器における制御部の機能を説明するための構成ブロック図である。
図6】睡眠姿勢の変化に応じてマッチングされる気道閉鎖圧を検出するグラフを示した図である。
図7】重力方向角度に基づいて多様な角度による睡眠姿勢別気道閉鎖圧を予測するグラフを示した図である。
図8】本発明の実施形態による陽圧呼吸器システムの制御方法を説明するための動作流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳しく説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態による持続陽圧呼吸器システムを示した図である。
【0024】
本発明の実施形態による持続陽圧呼吸器システムは、患者の顔に装着される3Gセンサーマスク100と、陽圧呼吸器200と、を含んで具現される。
【0025】
3Gセンサーマスク100は、図1に示したように、患者の顔に装着されて患者の喉に所定圧力の空気を供給して患者の呼吸量を補助する。そして、3Gセンサーマスク100は、患者が顔に装着する間に、患者の睡眠姿勢をセンシングして陽圧呼吸器200へ伝送する。この時、3Gセンサーマスク100は、有線または無線で陽圧呼吸器200と繋がれてデータを陽圧呼吸器200に伝送する。
【0026】
陽圧呼吸器200は、3Gセンサーマスク100によってセンシングされた患者の睡眠姿勢情報が伝送され、伝送された患者の睡眠姿勢の変化に対応して気道が閉鎖される気道閉鎖圧を検出する。そして、検出された気道閉鎖圧に基づいてブロワーによって圧力を直ちに補正する。
【0027】
すなわち、本発明の実施形態による陽圧呼吸器200は、睡眠中の患者の睡眠姿勢が変わると、睡眠姿勢によって変わる気道閉鎖圧を検出して気道の閉鎖を防止するためにブロワーの圧力を補正するものである。
【0028】
このために、本発明の実施形態による陽圧呼吸器200は、患者別睡眠パターンを診断するための睡眠モニタリング過程が行われなければならない。通常、気道閉鎖は睡眠姿勢、例えば仰向け寝姿勢と横向き寝姿勢によって異なり、また解剖学的に人ごとに差がある。普通、仰向けに横になっている時の重力による気道閉鎖が、横向きに横になっている時よりも高い。このような理由から、本発明の実施形態では、睡眠モニタリングを通じて、患者の睡眠姿勢パターンと、睡眠中の気道閉鎖圧パターンとを睡眠診断データとして収集し、患者の睡眠姿勢による気道閉鎖圧をあらかじめ決定しておく。その以降、患者の睡眠姿勢が変わると、3Gセンサーマスク100によって測定された睡眠姿勢と対応する気道閉鎖圧を抽出して直ちに調節することに特徴がある。
【0029】
以下、多様な実施形態を参照して本発明のシステム構成を説明する。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態による陽圧呼吸器システムの構成を示した図であり、図3及び図4は、本発明の他の実施形態による陽圧呼吸器システムの構成を示した図であり、図5は本発明の実施形態による陽圧呼吸器における制御部の機能を説明するための構成ブロック図である。
【0031】
図2は、3Gセンサーマスク100と一つの陽圧呼吸器200とで具現されるシステムを示しており、図3では、3Gセンサーマスク100と二つの陽圧呼吸器300、400、すなわち、ACPAP(Auto Continuous Positive Airway Pressure)300とPCPAP(Position Continuous Positive Airway Pressure)400とで具現されるシステムを示している。図4は、ACPAP500に、睡眠姿勢による制御のための制御モジュール600のみを追加で構成したシステムに対して示している。
【0032】
ここで、ACPAPとは、従来の自動陽圧呼吸器を言い、PCPAPとは、本発明の実施形態によって睡眠姿勢の変化に応じて圧力を制御する自動陽圧呼吸器を言う。したがって、本発明は、種々の実施形態によって従来の自動陽圧呼吸器であるACPAPをそのまま適用または併合して具現してもよい。
【0033】
まず、図2を参照すれば、本発明の一実施形態による3Gセンサーマスク100は、陽圧呼吸器用マスクであって、基本的に患者の顔に装着されて喉に所定圧力の空気を供給する供給ホースを含み、睡眠中の患者の睡眠姿勢をセンシングする3Gセンサーモジュール120と、スイッチモジュール140と、を含む。そして、3Gセンサーモジュール120によってセンシングされた患者の睡眠姿勢情報を、陽圧呼吸器200の通信部260へ有無線方式によって伝送する通信部(図示せず)を含むことができる。
【0034】
有線方式は、供給ホースを介して有線で連結することができ、無線方式は、RF(RADIO FREQUENCY)無線通信、ブルートゥース(BLUETOOTH)通信、WiFi通信、NFC(NEAR FIELD COMMUNICATION)、ビーコン(BEACON)などを用いた近距離無線通信などを利用して連結することができる。
【0035】
3Gセンサーモジュール120は、3軸方向の速度、位置、距離などを測定して現位置をセンシングする装置である。例えば、3Gセンサーモジュール120は、3軸加速度センサー、3軸ジャイロセンサー、レーザーを用いたセンサーなどを含む。3Gセンサーモジュール120の電源は、バッテリーや充電池を利用することができる。
【0036】
スイッチモジュール140は、3Gセンサーモジュール120によって患者の睡眠姿勢をセンシングするときに、基準位置の設定に用いられる。つまり、患者がスイッチモジュール140を操作すると、当該姿勢でのセンシング値を基本姿勢として認識し、それを基準位置として設定する。
【0037】
また、スイッチモジュール140は、基準位置の設定のためのユーザの操作があれば、基本姿勢を何秒間維持しなさいという案内メッセージを、音声、あるいは画面や表示灯を用いた視覚的な表出方法などを利用して提供することができる。ここで、基本姿勢は、一般に仰向け寝姿勢を意味するが、これに限定するわけではなく、ユーザの便宜によって、横向き寝姿勢を基本姿勢に設定してもよい。
【0038】
このような構成によって、本発明の一実施形態による3Gセンサーマスク100は、患者の顔に装着される間に、3Gセンサーモジュール120によって患者の睡眠姿勢をセンシングし、センシングされた患者の睡眠姿勢情報を陽圧呼吸器200へ伝送して患者の睡眠姿勢の変化をリアルタイムで反映させる。
【0039】
一方、本発明の一実施形態で、3Gセンサーモジュール120は、患者の顔に装着可能に設けられるフレームと一体に具備されてもよく、着脱自在に具備されてもよい。後者の場合、3Gセンサーモジュール120は、既存の陽圧呼吸器用マスクに装着して使用し得るので、既存の陽圧呼吸器用マスクをお持ちの患者にまでその活用範囲を拡大することができる。
【0040】
本発明の一実施形態による陽圧呼吸器200は、圧力センサー210、ブロワー220、格納部230、制御部240、モード選択部250、および通信部260を含む。
【0041】
圧力センサー210は、流入する酸素と空気の圧力を測定し、ブロワー220は流入する空気を内部へ噴射して供給する役割をする。
【0042】
制御部230は、圧力センサー210によって測定された空気の圧力に基づいて患者の状態に応じてブロワー220の圧力を調節する。このような構成によって、本発明の実施形態による陽圧呼吸器200は、患者の喉に供給される空気の圧力を能動的に制御することができる。
【0043】
また、制御部240は、通信部260によって3Gセンサーマスク100からセンシングされた患者の睡眠姿勢情報が伝送され、伝送された患者の睡眠姿勢の変化に対応して気道開放に必要な圧力、すなわち、気道閉鎖圧(あるいは気道開放圧とも呼ぶ)を検出する。そして、検出された気道閉鎖圧に基づいてブロワー220によって圧力を補正する。
【0044】
睡眠姿勢別の気道閉鎖圧を検出するために、制御部200は患者別の睡眠パターンを診断する睡眠モニタリング過程を行う。すなわち、睡眠中の患者の気道閉鎖圧をモニタリングする同時に3Gセンサーマスク100を利用して患者の睡眠姿勢をモニタリングする。
【0045】
モニタリングの結果、制御部240は、図5に示したように、睡眠データ収集部で、3Gセンサーマスク100によってセンシングされた患者の睡眠姿勢情報と、圧力センサー210によってセンシングされた睡眠中の患者の気道閉鎖圧情報とを、それぞれ収集する。そして、睡眠姿勢別の気道閉鎖圧分析部で、収集された両データをマッチングして患者の睡眠姿勢によって変わる気道閉鎖圧を分析する。
【0046】
すなわち、睡眠姿勢別の気道閉鎖圧分析部は、3Gセンサーマスク100からセンシングされた患者の睡眠姿勢情報と、圧力センサー210からセンシングされた睡眠中の患者の気道閉鎖圧情報とを互いにマッチングして患者の睡眠姿勢に相応する気道閉鎖圧を分析することができる。
【0047】
気道閉鎖圧を分析する方法としては、収集されたこれらのデータから患者が仰向け寝姿勢である時の気道閉鎖圧と、患者が横向き寝姿勢である時の気道閉鎖圧とをそれぞれ検出し、検出された各気道閉鎖圧を重力方向角度による最大圧、最小圧に定め、それらの中間値の範囲内で、重力方向角度に対して比例して変わる波形関数(例えば、sine波形)を生成する。生成された関数に基づき、睡眠姿勢の多様な角度に応じて気道閉鎖圧を予測して抽出することができる。
【0048】
すなわち、気道閉鎖圧分析は、収集されたデータに基づき、患者が仰向け寝姿勢である時の第1気道閉鎖圧と、患者が横向き寝姿勢である時の第2気道閉鎖圧とをそれぞれ検出し、検出された第1、第2気道閉鎖圧のいずれか一つを重力方向角度による最大圧に定め、もう一つを重力方向角度による最小圧に定めた後、最大圧と最小圧との間の気道閉鎖圧値の範囲内で重力方向角に対して比例して変わる波形関数(例えば、sine波形)を生成し、生成された関数に基づいて睡眠姿勢の多様な角度によって気道閉鎖圧を予測して抽出することができる。
【0049】
制御部240のブロワー圧力制御部は、睡眠姿勢別の気道閉鎖圧分析部によって検出された気道閉鎖圧に基づいてブロワーの圧力を直ちに補正する。
【0050】
このような構成によって、本発明の実施形態による制御部240は、睡眠モニタリングを通じて患者の睡眠姿勢による気道閉鎖圧をあらかじめ決定しておき、その以後に患者の睡眠姿勢が変わると3Gセンサーマスク100によって測定された睡眠姿勢と対応される気道閉鎖圧を、睡眠姿勢別の気道閉鎖圧分析部で分析された関数から抽出して直ちにブロワー220の圧力を調節する。
【0051】
図6は、睡眠姿勢の変化に応じてマッチングされる気道閉鎖圧を検出するグラフを示した図である。
【0052】
同グラフにおいて、ACPAP曲線(点線)は、睡眠中の患者の気道閉鎖圧をモニタリングして測定した値であり、おおむね患者の睡眠姿勢が変わる度にACPAPの曲線が徐々に変わることが分かる。
【0053】
このとき、A地点は、姿勢が0゜になる時、つまり、患者が横向き寝姿勢である時を指し、B地点は、姿勢が90゜になる時、つまり、患者が仰向け寝姿勢である時を指す。
【0054】
睡眠モニタリングを通じて、本発明の一実施形態による陽圧呼吸器は、睡眠中の患者の気道閉鎖圧情報と睡眠姿勢情報とを収集して、図6に示したACPAP曲線及び睡眠姿勢曲線を獲得し、これらを互いにマッチングすることができる。
【0055】
したがって、A地点での圧力、すなわち、患者が横向き寝姿勢である時の気道閉鎖圧と、B地点での圧力、すなわち、患者が仰向け寝姿勢である時の気道閉鎖圧とを、それぞれ検出することができる。
【0056】
一方、PCPAP曲線(実線)は、本発明の一実施形態によって患者の睡眠姿勢別の制御を行った結果をモニタリングして、本発明の一実施形態による気道閉鎖圧を測定した値である。PCPAP曲線とACPAP曲線とを比較してみれば、二つの曲線がほぼ類似した波形を成しているが、詳細には、PCPAP曲線が患者の睡眠姿勢が変わる度に能動的に変わることが見られる。言い換えれば、タイムラグなしに患者の睡眠姿勢に応じて能動的に直ちに制御が行われた結果を示している。
【0057】
そして、PCPAP曲線において、初期に眠りにつく前までの睡眠進入時間の間には、ACPAP曲線に沿って漸進的に制御する。一般に、患者が睡眠に進入するようになれば普段よりも気道閉鎖圧が徐々に上がるようになるので、これによって、本発明でも睡眠姿勢に関係なく、ACPAP動作モードのように漸進的に圧力を制御するようになる。睡眠進入以後には睡眠姿勢の変化に応じて能動制御する。
【0058】
図7は、重力方向角度に基づいて多様な角度による睡眠姿勢別の気道閉鎖圧を予測するグラフを示した図である。
【0059】
先に図6のグラフで検出された各気道閉鎖圧、患者が仰向け寝姿勢である時の気道閉鎖圧Ptと、患者が横向き寝姿勢である時の気道閉鎖圧Psとを、重力方向角度による最大圧、最小圧にそれぞれ定めて、3軸情報を総合して重力方向角度で表現すれば、sine波形で重力方向角度と比例する気道閉鎖圧を予測することができる。
【0060】
このような曲線に基づいて、本発明の一実施形態による陽圧呼吸器は多様な角度による睡眠姿勢に対して当該気道閉鎖圧を予測して抽出することができる。
【0061】
重力方向角度または重力方向角とは、横になった姿勢及び首の姿勢などの情報であるX、Y、Z軸を総合して重力方向への角度に変換した状態を言い、解剖学的に見る時、X、Y、Z軸の比重は、それぞれ異なるように反映されることができる。
【0062】
図7の曲線において、O地点は横向き寝姿勢の場合、P地点は仰向け寝姿勢の場合、Q地点はOと反対側の横向き寝姿勢を意味する。
【0063】
さらに図2を参照すれば、本発明の一実施形態による制御部240は、3Gセンサーマスク100から患者が起きる姿勢がセンシングされる場合、非睡眠状態と認識してモード選択部250と連携して睡眠治療モードではない非睡眠治療モードにモード切り替えて動作制御する。
【0064】
モード選択部250は、睡眠治療モードと非睡眠治療モードとに区分して、簡単なモード切り替え(または選択)で非睡眠治療モードに動作進入可能に提供する。通常、患者が睡眠に進入するようになれば、普段よりも気道閉鎖圧が上がる。したがって、非睡眠治療モードは、睡眠治療モードに比べて全体的に圧力制御を低めて調節するように設定される。
【0065】
また、本発明の一実施形態による制御部240は、患者が眠りから覚めた場合または非睡眠治療モードで動作しているものが睡眠モードに進入しようとする場合、睡眠姿勢による圧力制御方式で治療を再開するか否かについて判断し、ユーザから治療再開に対する操作要請が入力されれば制御部240は、既にプロファイル化された患者別睡眠姿勢による圧力制御方式で動作を行うように制御する。
【0066】
他方、本発明の一実施形態による制御部240は、睡眠モニタリングを行うに当たり、遠隔モニタリング及び圧力調整をしたり、睡眠診断データを陽圧呼吸器200の格納部230に保存及び記録したりして患者別プロファイル化する。
【0067】
次に、図3の他の実施形態を説明する。
【0068】
本発明の他の実施形態では、二つの陽圧呼吸器であるACPAP300と、PCPAP400で具現された例を示している。
【0069】
すなわち、ACPAP300は、基本的な構成要素である圧力センサー310、ブロワー320、および制御部330を含み、睡眠姿勢に関係なく、睡眠中の患者の気道閉鎖圧に応じてブロワーを調節して圧力を制御する。ACPAP300は、患者の睡眠パターンをモニタリングするためのもので、一定時間(例えば、一晩程度)の間に適用して、モニタリングを済ませてからは、後述するPCPAP400を適用する。
【0070】
このようなACPAP300は、一般的な陽圧呼吸器の機能を持つ装置であって、既存の自動陽圧呼吸器をそのまま適用することができる。
【0071】
PCPAP400は、ACPAP300と別途で具備され、通信部460を介してACPAP300及び3Gセンサーマスク100とそれぞれ有線または無線で繋がれることができる。
【0072】
PCPAP400は、図2の一実施形態での構成と同様に、制御部430、格納部440、モード選択部450、および通信部460を含む。すなわち、PCPAP400は、通信部460で3Gセンサーマスク100からマスクによってセンシングされた患者の睡眠姿勢情が伝送され、制御部420は、通信部460を通じて伝送された患者の睡眠姿勢の変化に対応して気道閉鎖圧を検出した後、これに基づいてブロワー420により圧力を補正する。
【0073】
このために、PCPAP400は、制御部420において、ACPAP300によって測定された患者の気道閉鎖圧情報を収集し、これと同時に3Gセンサーマスク100によってセンシングされた患者の睡眠姿勢情報を収集する。そして、収集された両データをマッチングして睡眠中の前記患者の睡眠姿勢によって変わる気道閉鎖圧を分析する。分析の結果、PCPAP400は、睡眠姿勢による気道閉鎖圧に基づいて圧力を直ちに補正する。
【0074】
気道閉鎖圧を分析する具体的な方法としては、前述の図2及び図5、6、7で説明したものと同様である。また、3Gセンサーマスク100の構成も図2で説明した構成と同一なので、前述したものと重なる構成については省略する。
【0075】
したがって、本発明の他の実施形態によるシステムは、ACPAP300を利用して睡眠モニタリングを行い、PCPAP400でモニタリングしたデータを収集して分析する役割をする。すなわち、睡眠モニタリングのために、最初はACPAP300によってACPAPモードで治療を行い、睡眠姿勢による気道閉鎖圧をデータ分析した後、患者別プロファイリングしてからは、PCPAP400によって睡眠姿勢による気道閉鎖圧情報に基づくPCPAPモードで治療を行う。言い換えれば、図3の本発明の他の実施形態によるシステムは、既存の自動陽圧呼吸器であるACPAPと別個でPCPAPを具備するが、既存の陽圧呼吸器をそのまま適用することができることから、患者の立場からは、新しい装備を購入しないで追加構成のみを具備して睡眠姿勢による能動的な治療を受けることができる。
【0076】
以下、図4のまた他の実施形態を説明する。
【0077】
本発明のまた他の実施形態では、既存の自動陽圧呼吸器であるACPAP500に睡眠姿勢による圧力制御を行う制御モジュール600を追加構成した。制御モジュール600としては、制御部630、格納部640、モード選択部650、および通信部660を含む。
【0078】
このような制御モジュール600は、図3の実施形態でのPCPAP400に類似するように、患者の睡眠モニタリングのために、ACPAP500によって測定された患者の気道閉鎖圧情報を収集し、これと同時に3Gセンサーマスク100によってセンシングされた患者の睡眠姿勢情報とを収集し、収集された両データをマッチングして睡眠中の患者の睡眠姿勢によって変わる気道閉鎖圧を分析する。そして、分析の結果、制御モジュール600は、睡眠姿勢による気道閉鎖圧に基づいて圧力を直ちに補正する。
【0079】
この時、制御モジュール600は、ACPAP500のブロワーを直ちに調節して圧力を制御するという点で、図3の実施形態と異なる。
【0080】
しかし、本発明のまた他の実施形態によるシステムも、図3の実施形態と同様に、既存の陽圧呼吸器をそのまま適用することができる構成であって、患者の立場からは、新しい陽圧呼吸器を購入しないで追加構成のみを具備して睡眠姿勢による能動的な治療を受けることができる。
【0081】
図8は、本発明の実施形態による陽圧呼吸器システムの制御方法を説明するための動作流れ図である。
【0082】
まず、S1段階で、制御部が患者またはユーザ(看護婦、医師)の操作によって睡眠モニタリングを開始する。睡眠モニタリング時には制御部がACPAPモードで一定時間の間に治療を行うようになる。ここで、ACPAPモードとは、睡眠姿勢による圧力制御方式ではない、既存の一般的な自動陽圧呼吸器による制御方式、すなわち、患者の呼吸状態によって制御する方式を言う。
【0083】
次いで、睡眠モニタリング開始と同時に3Gセンサーマスク100が動作して患者の睡眠中の睡眠姿勢をセンシングする。
【0084】
次に、S2段階で、制御部が3Gセンサーマスク100によってセンシングされた患者の睡眠姿勢情報とACPAPモードで治療を行った気道閉鎖圧情報とをそれぞれ検出して収集する。
【0085】
次に、S3段階で、制御部が収集した両データをマッチングして睡眠姿勢による気道閉鎖圧情報をデータ分析して格納部に保存する。制御部は、この保存を通じて患者別プロファイリングが可能である。
【0086】
具体的に、制御部は患者が仰向け寝姿勢である時の気道閉鎖圧と、横向き寝姿勢である時の気道閉鎖圧とをそれぞれ検出し、検出された気道閉鎖圧に基づいて睡眠姿勢の重力方向角による気道閉鎖圧を予測して検出することができる。
【0087】
それからS4段階で、制御部が睡眠姿勢による気道閉鎖圧情報に基づくPCPAPモードで治療を行う。すなわち、制御部が患者別に分析した睡眠姿勢の変化に応じた気道閉鎖圧に基づいてブロワーを直ちに補正(制御)して睡眠姿勢による最適の圧力を供給する。
【0088】
次のS10及びS11段階で、患者が目が覚めたり、または非睡眠モードに進入してから再び睡眠モードに進入しようとしたりする場合、制御部がPCPAPモードで動作する前に治療を再開するかどうかについて判断する。
【0089】
通常、患者が眠りにつくという前題下で本発明の陽圧呼吸器動作を行うことなので、この段階は、患者が目が覚めた場合、治療をし続けるか否かについて確認する過程である。
【0090】
前記S11段階で、ユーザから治療を再開するという操作が入力されれば、S4段階に戻り、以前のように睡眠姿勢による気道閉鎖圧を基準として、PCPAPモードで治療を引き続き遂行する。
【0091】
前記S11段階で、ユーザから治療を再開しないとの操作が入力されれば、次のS12段階のように、制御部が睡眠姿勢を再びチェックするかどうかについての診断可否を確認する。
【0092】
診断する場合、制御部が最初のS1段階に戻ってルーチン動作を行う。
【0093】
診断しない場合、制御部が終了する。
【0094】
以上の説明は、一つの陽圧呼吸器で統合具現されたシステムの構成に基づいて説明したが、図3及び図4のように、既存の陽圧呼吸器に加えて、PCPAPまたは制御モジュールが含まれるシステムである場合、睡眠モニタリング段階S1では、既存の陽圧呼吸器であるACPAPによって治療を遂行し、その以後のデータ分析及び動作は、PCPAPまたは制御モジュールによって遂行されるはずである。
【0095】
以上の説明は、本発明を例示的に説明したものに過ぎず、本発明の属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様な変形が可能である。したがって、本発明の明細書に開示された実施形態は、本発明を限定するものではない。本発明の範囲は、下記特許請求の範囲によって解釈されなければならなく、本出願当時においてこれらを代替できる多様な均等物と変形例も本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【0096】
多様な実施例が本発明を実施するための最良の形態で説明された。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、3Gセンサーマスクを用いた持続陽圧呼吸器システムに関連する分野で用いられる。
【0098】
本発明の思想や範囲を外れることなく、本発明で種々の変更及び変形が可能であるということは、当業者にとって自明である。それゆえ、本発明は、添付の請求範囲及びその均等範囲内で提供される本発明の変更及び変形を含むものと意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】