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特表2024-502883ガードを備えたロータリー容積移送式ポンプ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】ガードを備えたロータリー容積移送式ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/18 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
F04C2/18 311B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543181
(86)(22)【出願日】2022-01-19
(85)【翻訳文提出日】2023-08-21
(86)【国際出願番号】 EP2022051071
(87)【国際公開番号】W WO2022157168
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】21152412.9
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21178353.5
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ-ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】サイモン・カーギル
【テーマコード(参考)】
3H041
【Fターム(参考)】
3H041CC19
3H041DD01
3H041DD07
3H041DD10
3H041DD33
3H041DD34
3H041DD37
3H041DD38
(57)【要約】
流体製品をポンプ送りするロータリー容積移送式ポンプ1は、前方側部および後方側部を有し、軸線方向前方壁部38と軸線方向後方壁部を有し、ギア6、7を有する第1・第2の駆動シャフト4、5に回転支持を提供し、これらシャフトを反対方向に回転させるトランスミッションハウジング2を含む。ポンプは、内部ポンピングキャビティを画定する軸線方向後方壁部20、軸線方向前方壁部22、円周方向側壁部21を有するロータケーシング15を含む。ロータケーシング15は、第1のロータ23と第2のロータ24とを収容する。これらロータは、反対方向に回転して相互作用し、流体製品はロータケーシング入口部30および出口部31を介してポンピングキャビティに出入りする。トランスミッションハウジング2の軸線方向前方壁部38とロータケーシングの軸線方向後方壁部20が、駆動シャフトが延在する中間スペース42を共同で画定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体製品をポンプ送りするためのロータリー容積移送式ポンプ(1)であって、
前記ロータリー容積移送式ポンプ(1)は、
前方側部および後方側部を有しており、かつ、
軸線方向前方壁部(38)および軸線方向後方壁部を有しており、また、一定の噛み合い条件にあるギア(6、7)を有する第1および第2の平行でありかつ軸線方向に延在する駆動シャフト(4、5)に回転支持を提供し、前記第1および第2の駆動シャフト(4、5)が反対方向に回転するように配置される、トランスミッションハウジング(2)と、
前記トランスミッションハウジング(2)の前方側部(13)に接続されており、静止した内部ポンピングキャビティを共同で画定する軸線方向後方壁部(20)、軸線方向前方壁部(22)、および円周方向側壁部(21)を有している、ロータケーシング(15)と
を含み、
前記ロータケーシング(15)は、前記第1の駆動シャフト(4)に駆動式に接続されている第1のロータ(23)と、前記第2の駆動シャフト(5)に駆動式に接続されている第2のロータ(24)と、を収容しており、
前記第1および第2のロータ(23、24)は、反対方向に回転するように、および、流体製品に対してポジティブポンピング効果を提供するために相互作用するように構成されており、前記流体製品は、ロータケーシング入口部(30)を介して前記内部ポンピングキャビティに進入し、ロータケーシング出口部(31)を介して前記内部ポンピングキャビティを退出し、
前記トランスミッションハウジング(2)の前記軸線方向前方壁部(38)、および、前記ロータケーシングの前記軸線方向後方壁部(20)は、中間スペース(42)を共同で画定しており、前記第1および第2の駆動シャフト(4、5)は、前記中間スペース(42)を通って延在しており、
前記ロータリー容積移送式ポンプ(1)は、さらに、
- 前記中間スペース(42)の中に位置付けされており、人が前記第1および第2の駆動シャフト(4、5)に接触しないように保護するために、前記第1および第2の駆動シャフト(4、5)を取り囲んでいる、第1のガード(51)、または、
- 前記中間スペース(42)の中に位置付けされており、人が前記第1の駆動シャフト(4)に接触しないように保護するために、前記第1の駆動シャフト(4)を取り囲んでいる、第1のガード(51)、および、前記中間スペース(42)の中に位置付けされており、人が前記第2の駆動シャフト(5)に接触しないように保護するために、前記第2の駆動シャフト(5)を取り囲んでいる、第2のガード(52)
を含む、ロータリー容積移送式ポンプ(1)。
【請求項2】
前記第1のガード(51)または前記第1および第2のガード(51、52)のそれぞれは、湾曲したシートメタルから、具体的にはステンレス鋼から作製されており、好ましくは、一体的な取り付けタブ(56)を含む、請求項1に記載のロータリー容積移送式ポンプ。
【請求項3】
前記第1のガード(51)または前記第1および第2のガード(51、52)のそれぞれは、前記トランスミッションハウジングの前記軸線方向前方壁部(38)に締結されている、請求項1または2に記載のロータリー容積移送式ポンプ。
【請求項4】
前記第1のガード(51)または前記第1および第2のガード(51、52)のそれぞれは、たとえば、スクリュー、ナット、またはボルトなどのような複数の締結部材(53)によって、前記トランスミッションハウジング(2)の前記軸線方向前方壁部(38)に締結されており、前記複数の締結部材(53)は、前記第1および第2の駆動シャフト(4、5)の軸線方向(10)と平行に配置されているそれらの長手方向を有している、請求項1から3のいずれか一項に記載のロータリー容積移送式ポンプ。
【請求項5】
前記ロータリー容積移送式ポンプの半径方向(19)において、および、ガード取り付けデバイス(56)のない領域において見られるように、前記第1のガード(51)または前記第1および第2のガード(51、52)のそれぞれの断面は、軸線方向(10)における長さ(59)、および、前記半径方向における厚さ(65)を有しており、前記長さ(59)は、前記厚さ(65)よりも少なくとも3倍大きく、具体的には5倍大きく、より具体的には少なくとも10倍大きい、請求項1から4のいずれか一項に記載のロータリー容積移送式ポンプ。
【請求項6】
前記第1または第2の駆動シャフト(4、5)の外側表面と前記第1のガード51または前記第1および第2のガード(51、52)のいずれかの保護本体部(70)の半径方向外側表面との間の半径方向距離(66)は、前記第1のガード(51)または第1および第2のガード(51、52)の周囲部の少なくとも50%、具体的には、少なくとも75%にわたって、前記第1のガード(51)が前記第1の駆動シャフト(4)と重なる軸線方向領域(72)において、前記第1の駆動シャフト(4)の直径(71)の50%を超えず、具体的には、30%を超えない、請求項1から5のいずれか一項に記載のロータリー容積移送式ポンプ。
【請求項7】
前記トランスミッションハウジング(2)の外側表面(68)と前記第1のガード(51)または前記第1および第2のガード(51、52)のいずれかの保護本体部(70)との間の半径方向距離(67)は、前記第1のガード(51)が前記第1の駆動シャフト(4)と重なる軸線方向領域(72)において、前記第1の駆動シャフトの直径(71)の50%よりも大きい、請求項1から6のいずれか一項に記載のロータリー容積移送式ポンプ。
【請求項8】
前記第1のガード(51)、または、前記第1および/または第2の駆動シャフト(4、5)を取り囲む前記第1および第2のガード(51、52)のそれぞれの保護本体部(70)は、ワンピースで作製されており、または、
前記第1のガード(51)、または、前記第1および/または第2の駆動シャフト(4、5)を取り囲む前記第1および第2のガード(51、52)のそれぞれの保護本体部(70)は、複数のパーツ、具体的には、2つのパーツから作製されており、前記複数のパーツは、環状のガードを形成するために互いに隣り合って組み立てられる、請求項1から7のいずれか一項に記載のロータリー容積移送式ポンプ。
【請求項9】
前記ロータリー容積移送式ポンプ(1)は、前記第1の駆動シャフト(4)のローラー軸受(3a)を前記トランスミッションハウジング(2)に固定するための第1の外側端部プレート(73)と、前記第2の駆動シャフト(5)のローラー軸受(3a)を前記トランスミッションハウジング(2)に固定するための第2の外側端部プレート(74)とをさらに含み、前記第1および第2の外側端部プレート(73、74)は、前記第1のガード(51)または前記第1および第2のガード(51、52)を前記トランスミッションハウジング(2)に取り付けるために使用されるものと同じ締結部材(53)によって、前記トランスミッションハウジング(2)に取り付けられている、請求項1から8のいずれか一項に記載のロータリー容積移送式ポンプ。
【請求項10】
前記第1のガード(51)または前記第1および第2のガード(51、52)のそれぞれの保護本体部(70)は、前記第1および第2の駆動シャフトの改善された視認性を可能にするために、ならびに、前記第1のガード(51)または前記第1および第2のガード(51、52)のいずれかに関連付けられる駆動シャフトシールにおける流体製品および/またはトランスミッション油の漏出の改善された検出を可能にするために、ガード取り付けデバイス(56)の当接表面(75)から軸線方向に変位されており、第1の軸線方向ギャップ(76)が、前記保護本体部(70)と前記トランスミッションハウジング(2)の前記軸線方向前方壁部(38)に関連付けられる前方表面(78)との間に提供されるようになっており、および/または、前記ロータケーシングの前記軸線方向後方壁部(20)の後方表面(85)から軸線方向に変位されており、第2の軸線方向ギャップ(77)が、前記保護本体部(70)と前記ロータケーシングの前記軸線方向後方壁部(20)との間に提供されるようになっている、請求項1から9のいずれか一項に記載のロータリー容積移送式ポンプ。
【請求項11】
前記第1および第2の軸線方向ギャップ(76、77)のそれぞれは、少なくとも5ミリメートルであり、具体的には、5~10ミリメートルの範囲にある、請求項10に記載のロータリー容積移送式ポンプ。
【請求項12】
前記第1のガード(51)または前記第1および第2のガード(51、52)のそれぞれの保護本体部(70)は、凹部(79)および/または貫通孔部(86)を含み、前記凹部(79)および/または前記貫通孔部(86)は、前記第1の駆動シャフト(4)または第1および第2の駆動シャフト(4、5)の改善された視認性を可能にするためのものであり、また、前記第1のガード(51)または前記第1および第2のガード(51、52)のいずれかに関連付けられる駆動シャフトシールにおける流体製品および/またはトランスミッション油の漏出の改善された検出を可能にするためのものである、請求項1から11のいずれか一項に記載のロータリー容積移送式ポンプ。
【請求項13】
前記第1および第2のガード(51、52)は、同一の設計を有している、請求項1から12のいずれか一項に記載のロータリー容積移送式ポンプ。
【請求項14】
前記第1のガード(51)または前記第1および第2のガード(51、52)のそれぞれは、保護本体部(70)と、前記保護本体部(70)から延在する複数のガード取り付けデバイス(56)とを有している、請求項1から13のいずれか一項に記載のロータリー容積移送式ポンプ。
【請求項15】
前記第1および第2のガード(51、52)のそれぞれは、スリーブ状の形状を有する環状の保護本体部(70)と、複数のガード取り付けデバイス(56)とを有しており、前記複数のガード取り付けデバイス(56)は、前記環状の保護本体部(70)から延在しており、前記トランスミッションハウジング(2)の前記軸線方向前方壁部(38)または中間部材にクランプされている、請求項1から14のいずれか一項に記載のロータリー容積移送式ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロータリー容積移送式ポンプに関する。本開示によるロータリー容積移送式ポンプは、主に円周方向のピストンポンプの観点から説明されることとなるが、本開示によるポンプは、この特定のタイプのポンプに制限されず、代替的に、ロータリーローブポンプまたはギアポンプなどの観点から実装されることも可能である。
【背景技術】
【0002】
ロータリー容積移送式ポンプの分野では、健康安全規制は、ロータケーシングとトランスミッションハウジングとの間の駆動シャフトの露出されたエリアが、人(たとえば、作業員、技術者、または管理人など)の怪我を防止するために適切にガードされることを要求する。逆に、産業衛生規制を順守するために、駆動シャフトにおけるシール漏出が迅速に識別されることが可能であるように、駆動シャフトの一部が露出されるかまたは見ることができなければならない。
【0003】
公知の解決策は、ロータケーシングとトランスミッションハウジングとの間の完全なエリアをカバーするために、ポンプの外部表面にガードをフィットさせることを伴う。しかし、このアプローチは、ときには、小さな駆動シャフトシール漏出を検出するために、ガードの完全な一時的な除去を必要とする可能性がある。この方法に伴う別の不利益は、駆動シャフトシールから漏出する流体製品が、囲まれたエリアにおいて固化および蓄積し、衛生リスクを生成させ、トランスミッションハウジング油シールを潜在的に損なう可能性があるということである。
【0004】
先行技術のガードは、容易に除去され、紛失され、損傷される可能性があり、シールエリアに対する永久的な視認性を与えるために、エンドユーザーがガードを完全に除去することも珍しくなく、したがって、ガードをフィットさせる目的全体を駄目にする。
【0005】
外部ポンプ表面にフィットされ、ロータケーシングとトランスミッションハウジングとの間の中間スペースをカバーするガードは、さらに課題を引き起こすことが可能である。たとえば、フラッシング可能な駆動シャフトシールをフィットされたポンプは、適切なフラッシュ媒体接続を必要とするが、フラッシングされていない駆動シャフトシールがフィットされているときに、フラッシュ接続部のフィッティングを可能にするためにガードを事前にカットすることは、健康安全要件を侵害する可能性がある。同様に、ロータケーシング加熱/冷却をフィットされたポンプも、適切な加熱/冷却媒体接続を必要とするが、フラッシングされていない駆動シャフトシールがフィットされているときに、加熱媒体接続のフィッティングを可能にするためにガードを事前にカットすることは、健康安全要件を侵害する可能性がある。
【0006】
これは、どのタイプのシールがポンプにフィットされているか、および、ロータケーシング加熱/冷却が実装されているかどうかに応じて、異なるガード設計が必要である可能性があり、それによって、ポンプのためのガードの設計、製造、流通、および予備品ハンドリングに関連付けられるコストおよび複雑さを著しく増加させるということを意味している。
【0007】
したがって、コスト効率および使いやすさの観点から改善されたロータリー容積移送式ポンプに対する必要性が存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の目的は、以前に述べられた問題が回避されるロータリー容積移送式ポンプを提供することである。この目的は、独立請求項の特徴によって少なくとも部分的に実現される。従属請求項は、ロータリー容積移送式ポンプのさらなる発展例を含む。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の態様によれば、流体製品をポンプ送りするためのロータリー容積移送式ポンプが提供される。ポンプは、前方側部および後方側部を有しており、また、軸線方向前方壁部および軸線方向後方壁部を有しており、また、一定の噛み合い条件にあるギアを有する第1および第2の平行で軸線方向に延在する駆動シャフトに回転支持を提供し、第1および第2の駆動シャフトが反対方向に回転するように配置されるようになっている、トランスミッションハウジングと、トランスミッションハウジングの前方側部に接続されており、静止した内部ポンピングキャビティを共同で画定する軸線方向後方壁部、軸線方向前方壁部、および円周方向側壁部を有している、ロータケーシングとを含む。ロータケーシングは、第1の駆動シャフトに駆動式に接続されている第1のロータと、第2の駆動シャフトに駆動式に接続されている第2のロータとを収容しており、第1および第2のロータは、反対方向に回転するように、および、流体製品に対してポジティブポンピング効果(positive pumping effect)を提供するために相互作用するように構成されており、流体製品は、ロータケーシング入口部を介してポンピングキャビティに進入し、ロータケーシング出口部を介してポンピングキャビティを退出する。トランスミッションハウジングの軸線方向前方壁部、および、ロータケーシングの軸線方向後方壁部は、中間スペースを共同で画定しており、第1および第2の駆動シャフトは、中間スペースを通って延在しており、ロータリー容積移送式ポンプは、第1のガードおよび第2のガードをさらに含み、第1のガードは、前記中間スペースの中に位置付けされており、人が第1の駆動シャフトに接触しないように保護するために、第1の駆動シャフトを取り囲んでおり、第2のガードは、前記中間スペースの中に位置付けされており、人が第2の駆動シャフトに接触しないように保護するために、第2の駆動シャフトを取り囲んでいる。
【0010】
また、流体製品をポンプ送りするためのロータリー容積移送式ポンプが提供される。ポンプは、前方側部および後方側部を有しており、また、軸線方向前方壁部および軸線方向後方壁部を有しており、また、一定の噛み合い条件にあるギアを有する第1および第2の平行で軸線方向に延在する駆動シャフトに回転支持を提供し、第1および第2の駆動シャフトが反対方向に回転するように配置されるようになっている、トランスミッションハウジングと、トランスミッションハウジングの前方側部に接続されており、静止した内部ポンピングキャビティを共同で画定する軸線方向後方壁部、軸線方向前方壁部、および円周方向側壁部を有している、ロータケーシングとを含む。ロータケーシングは、第1の駆動シャフトに駆動式に接続されている第1のロータと、第2の駆動シャフトに駆動式に接続されている第2のロータとを収容しており、第1および第2のロータは、反対方向に回転するように、および、流体製品に対してポジティブポンピング効果を提供するために相互作用するように構成されており、流体製品は、ロータケーシング入口部を介してポンピングキャビティに進入し、ロータケーシング出口部を介してポンピングキャビティを退出する。トランスミッションハウジングの軸線方向前方壁部、および、ロータケーシングの軸線方向後方壁部は、中間スペースを共同で画定しており、第1および第2の駆動シャフトは、中間スペースを通って延在しており、ロータリー容積移送式ポンプは、第1のガードおよび第2のガードをさらに含み、第1のガードは、前記中間スペースの中に位置付けされており、第1の駆動シャフトを取り囲んでおり、第2のガードは、前記中間スペースの中に位置付けされており、第2の駆動シャフトを取り囲んでいる。これは、人が第1の駆動シャフトおよび第2の駆動シャフトに接触しないように保護する。
【0011】
本開示の第2の態様によれば、上記に説明されているような流体製品をポンプ送りするためのロータリー容積移送式ポンプが提供されるが、ロータリー容積移送式ポンプは、第1および第2のガードの代わりに、単一の第1のガードを含み、単一の第1のガードは、前記中間スペースの中に位置付けされており、人が第1および第2の駆動シャフトに接触しないように保護するために、第1および第2の駆動シャフトを取り囲んでいる。
【0012】
また、上記に説明されているような流体製品をポンプ送りするためのロータリー容積移送式ポンプが提供されるが、ロータリー容積移送式ポンプは、第1および第2のガードの代わりに、単一の第1のガードを含み、単一の第1のガードは、前記中間スペースの中に位置付けされており、第1および第2の駆動シャフトを取り囲んでいる。これは、人が第1および第2の駆動シャフトに接触しないように保護する。
【0013】
このように、新しいタイプのガードを備えたポンプが提供され、新しいガードは、ガードがシャフトのより近くに位置決めされることを可能にし、同じガードを維持しながら、シールフラッシング接続部および他の任意選択のポンプ特徴へのアクセスを可能にし、コスト効率的なポンプが提供されるようになっている。したがって、ガードがアフターサービスなどにおいて取り外されるおよび再装着される必要がないので、新しいポンプはより使いやすい。結果として、ポンプがガードなしで動作されるリスクが低減される。
【0014】
従属請求項の特徴のうちの1つまたはいくつかを実装することによって、さらなる利点が実現される。
【0015】
いくつかの例示的な実施形態において、第1のガードまたは第1および第2のガードのそれぞれは、湾曲したシートメタル、具体的には、ステンレス鋼から作製されており、好ましくは、一体的な取り付けタブを含む。それによって、ロバストなガードが達成される。
【0016】
いくつかの例示的な実施形態において(それは、上記の実施形態のいずれか1つまたは複数と組み合わせられることが可能である)、第1のガードまたは第1および第2のガードのそれぞれは、トランスミッションハウジングの前方壁部に締結されている。それによって、隠された装着およびコンパクトなガードが提供され、安全性の向上のために、ガードの除去がより困難にされる。
【0017】
いくつかの例示的な実施形態において(それは、上記の実施形態のいずれか1つまたは複数と組み合わせられることが可能である)、第1のガードまたは第1および第2のガードのそれぞれは、複数の締結部材によって、トランスミッションハウジングの前方壁部に締結されており、複数の締結部材は、第1および第2の駆動シャフトの軸線方向と平行に配置されているそれらの長手方向を有している。また、これは、より隠された装着およびコンパクトなガードが提供されることを可能にし、安全性の向上のために、ガードの除去がより困難にされる。
【0018】
いくつかの例示的な実施形態において(それは、上記の実施形態のいずれか1つまたは複数と組み合わせられることが可能である)、ポンプの半径方向において、および、ガード取り付けデバイスのない領域において見られるように、第1のガードまたは第1および第2のガードのそれぞれの断面は、軸線方向における長さ、および、半径方向における厚さを有することが可能であり、前記長さは、前記厚さよりも少なくとも3倍大きく、具体的には5倍大きく、より具体的には少なくとも10倍大きい。結果として、スペースをあまり占有しないスリークな(sleek)ガードが提供される。
【0019】
いくつかの例示的な実施形態において(それは、上記の実施形態のいずれか1つまたは複数と組み合わせられることが可能である)、第1または第2の駆動シャフトの外側表面と第1のガードまたは第1および第2のガードのいずれかの保護本体部の半径方向外側表面との間の半径方向距離は、第1のガードまたは第1および第2のガードの周囲部の少なくとも50%、具体的には、少なくとも75%にわたって、第1のガードが第1の駆動シャフトと重なる軸線方向領域において、第1の駆動シャフトの直径の50%を超えず、具体的には、30%を超えない。したがって、ガードは、中間スペースの中に比較的深く装着されて隠され、それによって、多種多様なポンプ構成と合致している。
【0020】
いくつかの例示的な実施形態において(それは、上記の実施形態のいずれか1つまたは複数と組み合わせられることが可能である)、トランスミッションハウジングの外側表面と第1のガードまたは第1および第2のガードのいずれかの保護本体部との間の半径方向距離は、第1のガードが第1の駆動シャフトと重なる軸線方向領域において、第1の駆動シャフトの直径の50%よりも大きい。したがって、ガードは、中間スペースの中に比較的深く装着されて隠され、それによって、多種多様なポンプ構成と合致している。
【0021】
いくつかの例示的な実施形態において(それは、上記の実施形態のいずれか1つまたは複数と組み合わせられることが可能である)、第1のガード、または、第1および/または第2の駆動シャフトを取り囲む第1および第2のガードのそれぞれの保護本体部は、ワンピースで作製されている。それによって、ロバストでコスト効率的な設計が達成される。
【0022】
いくつかの例示的な実施形態において(それは、上記の実施形態のいずれか1つまたは複数と組み合わせられることが可能である)、第1のガード、または、第1および/または第2の駆動シャフトを取り囲む第1および第2のガードのそれぞれの保護本体部は、複数のパーツ、具体的には、2つのパーツから作製されており、複数のパーツは、互いに隣り合って組み立てられる。この設計は、必要とされるときに装着および取り外すことを簡単化することが可能である。
【0023】
いくつかの例示的な実施形態において(それは、上記の実施形態のいずれか1つまたは複数と組み合わせられることが可能である)、ロータリー容積移送式ポンプは、第1の駆動シャフトのローラー軸受をトランスミッションハウジングに固定するための第1の外側端部プレートと、第2の駆動シャフトのローラー軸受をトランスミッションハウジングに固定するための第2の外側端部プレートとをさらに含み、前記第1および第2の外側端部プレートは、第1のガードまたは第1および第2のガードをトランスミッションハウジングに取り付けるために使用されるものと同じ締結部材によって、トランスミッションハウジングに取り付けられている。結果として、ポンプを製造するために、より少ないパーツが必要とされる。
【0024】
いくつかの例示的な実施形態において(それは、上記の実施形態のいずれか1つまたは複数と組み合わせられることが可能である)、第1のガードまたは第1および第2のガードのそれぞれの保護本体部は、第1および第2の駆動シャフトの改善された視認性を可能にするために、ならびに、第1のガードまたは第1および第2のガードのいずれかに関連付けられる駆動シャフトシールにおける流体製品および/またはトランスミッション油の漏出の改善された検出を可能にするために、ガード取り付けデバイスの当接表面から軸線方向に変位されており、第1の軸線方向ギャップが、保護本体部とトランスミッションハウジングの前方壁部に関連付けられる前方表面との間に提供されるようになっており、および/または、ロータケーシングの後方壁部の後方表面から軸線方向に変位されており、第2の軸線方向ギャップが、保護本体部とロータケーシングの後方壁部との間に提供されるようになっている。これらの例示的な実施形態は、第1のガードまたは第1および第2のガードのそれぞれの保護本体部が、第1および第2の駆動シャフトの改善された視認性を可能にするために、ならびに、第1のガードまたは第1および第2のガードのいずれかに関連付けられる駆動シャフトシールにおける流体製品および/またはトランスミッション油の漏出の改善された検出を可能にするために、ガード取り付けデバイスの当接表面および/またはロータケーシングの後方壁部の後方表面から軸線方向に変位されており、第1の軸線方向ギャップが、保護本体部とトランスミッションハウジングの前方壁部に関連付けられる前方表面との間に提供されるようになっており、第2の軸線方向ギャップが、保護本体部とロータケーシングの後方壁部との間に提供されるようになっていると表現されることが可能である。
【0025】
いくつかの例示的な実施形態において(それは、上記の実施形態のいずれか1つまたは複数と組み合わせられることが可能である)、第1のガードまたは第1および第2のガードのそれぞれの保護本体部は、ガード取り付けデバイスの当接表面から軸線方向に変位されており、第1の軸線方向ギャップが、保護本体部とトランスミッションハウジングの前方壁部に関連付けられる前方表面との間に提供されるようになっており、および/または、ロータケーシングの後方壁部の後方表面から軸線方向に変位されており、第2の軸線方向ギャップが、保護本体部とロータケーシングの後方壁部との間に提供されるようになっている。これは、第1および第2の駆動シャフトの改善された視認性を可能にする。また、これは、第1のガードまたは第1および第2のガードのいずれかに関連付けられる駆動シャフトシールにおける流体製品および/またはトランスミッション油の漏出の改善された検出を可能にする。これらの例示的な実施形態は、第1のガードまたは第1および第2のガードのそれぞれの保護本体部が、ガード取り付けデバイスの当接表面および/またはロータケーシングの後方壁部の後方表面から軸線方向に変位されており、第1の軸線方向ギャップが、保護本体部とトランスミッションハウジングの前方壁部に関連付けられる前方表面との間に提供されるようになっており、第2の軸線方向ギャップが、保護本体部とロータケーシングの後方壁部との間に提供されるようになっていると表現されることが可能である。これは、第1および第2の駆動シャフトの改善された視認性を可能にする。また、これは、第1のガードまたは第1および第2のガードのいずれかに関連付けられる駆動シャフトシールにおける流体製品および/またはトランスミッション油の漏出の改善された検出を可能にする。
【0026】
いくつかの例示的な実施形態において(それは、上記の実施形態のいずれか1つまたは複数と組み合わせられることが可能である)、第1および第2の軸線方向ギャップのそれぞれは、少なくとも5ミリメートルであり、具体的には、5~10ミリメートルの範囲にある。これは、人が非意図的に駆動シャフトと接触する可能性があるということを回避しながら、漏出検出を可能にする。
【0027】
いくつかの例示的な実施形態において(それは、上記の実施形態のいずれか1つまたは複数と組み合わせられることが可能である)、第1のガードまたは第1および第2のガードのそれぞれの保護本体部は、凹部および/または貫通孔部を含み、凹部および/または貫通孔部は、第1の駆動シャフトまたは第1および第2の駆動シャフトの改善された視認性を可能にするためのものであり、また、第1のガードまたは第1および第2のガードのいずれかに関連付けられる駆動シャフトシールにおける流体製品および/またはトランスミッション油の漏出の改善された検出を可能にするためのものである。
【0028】
いくつかの例示的な実施形態において(それは、上記の実施形態のいずれか1つまたは複数と組み合わせられることが可能である)、第1のガードまたは第1および第2のガードのそれぞれの保護本体部は、凹部および/または貫通孔部を含む。これは、第1の駆動シャフトまたは第1および第2の駆動シャフトの改善された視認性を可能にする。また、これは、第1のガードまたは第1および第2のガードのいずれかに関連付けられる駆動シャフトシールにおける流体製品および/またはトランスミッション油の漏出の改善された検出を可能にする。
【0029】
いくつかの例示的な実施形態において(それは、上記の実施形態のいずれか1つまたは複数と組み合わせられることが可能である)、第1および第2のガードは、同一の設計を有している。これは、ポンプの改善された全体的なコスト効率を可能にする。
【0030】
いくつかの例示的な実施形態において(それは、上記の実施形態のいずれか1つまたは複数と組み合わせられることが可能である)、第1のガードまたは第1および第2のガードのそれぞれは、保護本体部を有している。これは、ロバストな構造体および簡単でコスト効率的な設計と組み合わせられるコンパクトなガード設計を可能にする。保護本体部は、第1および/または第2の駆動シャフトを取り囲むことが可能である。
【0031】
いくつかの例示的な実施形態において(それは、上記の実施形態のいずれか1つまたは複数と組み合わせられることが可能である)、第1のガードまたは第1および第2のガードのそれぞれは、複数のガード取り付けデバイスを有している。これは、ロバストな構造体および簡単でコスト効率的な設計と組み合わせられるコンパクトなガード設計を可能にする。ガード取り付けデバイスは、保護本体部から延在することが可能である。ガード取り付けデバイスは、トランスミッションハウジングの前方壁部または中間部材にクランプされることが可能である。
【0032】
いくつかの例示的な実施形態において(それは、上記の実施形態のいずれか1つまたは複数と組み合わせられることが可能である)、第1および第2のガードのそれぞれは、環状の保護本体部を有している。これは、ロバストな構造体および簡単でコスト効率的な設計と組み合わせられるコンパクトなガード設計を可能にする。環状の保護本体部は、スリーブ状の形状を有することが可能である。
【0033】
いくつかの例示的な実施形態において(それは、上記の実施形態のいずれか1つまたは複数と組み合わせられることが可能である)、第1および第2のガードのそれぞれは、複数のガード取り付けデバイスを有している。これは、ロバストな構造体および簡単でコスト効率的な設計と組み合わせられるコンパクトなガード設計を可能にする。ガード取り付けデバイスは、環状の保護本体部から延在することが可能である。ガード取り付けデバイスは、トランスミッションハウジングの前方壁部にクランプされることが可能である。
【0034】
いくつかの例示的な実施形態において(それは、上記の実施形態のいずれか1つまたは複数と組み合わせられることが可能である)、第1および第2のガードのそれぞれは、スリーブ状の形状を有する環状の保護本体部と、複数のガード取り付けデバイスとを有しており、複数のガード取り付けデバイスは、環状の保護本体部から延在しており、トランスミッションハウジングの前方壁部にクランプされている。これは、ロバストな構造体および簡単でコスト効率的な設計と組み合わせられるコンパクトなガード設計を可能にする。
【0035】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の特許請求の範囲および以下の説明を検討するときに明らかになることとなる。本開示の異なる特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく、上記および下記に明示的に説明されているもの以外の実施形態を生成させるために組み合わせられることが可能であるということを当業者は認識する。
【0036】
本開示によるロータリー容積移送式ポンプは、添付の図面を参照して、以下に詳細に説明されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】ポンプの例示的な実施形態の側面図を概略的に示す図である。
図2】ポンプの例示的な実施形態の正面図を概略的に示す図である。
図3】ポンプの例示的な実施形態によるロータケーシング後方部分の斜視図を概略的に示す図である。
図4】ポンプのロータの例示的な実施形態の斜視図を概略的に示す図である。
図5】ポンプの例示的な実施形態によるポンピング動作の原理を概略的に示す図である。
図6】ポンプの例示的な実施形態のさらなる側面図を概略的に示す図である。
図7】ポンプの例示的な実施形態によるトランスミッションハウジングの斜視図を概略的に示す図である。
図8】第1のガードの領域の断面を概略的に示す図である。
図9】第1のガードの例示的な実施形態を概略的に示す図である。
図10】第1のガードの例示的な実施形態を概略的に示す図である。
図11A】ガードの例示的な実施形態の図を概略的に示す図である。
図11B】ガードの例示的な実施形態の図を概略的に示す図である。
図11C】ガードの例示的な実施形態の図を概略的に示す図である。
図12A】ガードのさらなる例示的な実施形態の図を概略的に示す図である。
図12B】ガードのさらなる例示的な実施形態の図を概略的に示す図である。
図12C】ガードのさらなる例示的な実施形態の図を概略的に示す図である。
図13A】ガードのさらなる例示的な実施形態の図を概略的に示す図である。
図13B】ガードのさらなる例示的な実施形態の図を概略的に示す図である。
図13C】ガードのさらなる例示的な実施形態の図を概略的に示す図である。
図14】駆動シャフトならびに第1および第2のガードを備えたトランスミッションハウジングの側面図である。
図15】両方の駆動シャフトを取り囲む単一の第1のガードを備えたトランスミッションハウジングの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本開示のさまざまな態様が、本開示を図示するために、および、本開示を限定しないように、添付の図面とともに以下に説明されることとなり、ここで、同様の指定は、同様の要素を示しており、説明されている態様の変形例は、具体的に示されている実施形態に制限されず、本開示の他の変形例にも適用可能である。
【0039】
図1は、本開示による流体製品をポンプ送りするためのロータリー容積移送式ポンプ1の第1の例示的な実施形態の側面図を概略的に示している。ポンプ1は、トランスミッションハウジング2を有しており、トランスミッションハウジング2は、第1および第2の平行な駆動シャフト4、5に対する回転支持体3a、3bを含み、第1および第2の平行な駆動シャフト4、5は、ポンプ1の軸線方向10に延在している。回転支持体3a、3bは、たとえば、第1および第2の駆動シャフト4、5のそれぞれに関して、前方側部の環状の転がり軸受3aおよび後方側部の環状の転がり軸受3bの形態で提供されることが可能であり、両方とも、トランスミッションハウジング2に締結されており、第1および第2の駆動シャフト4、5をそれぞれ回転可能に保持している。
【0040】
第1の軸線方向に延在する駆動シャフト4は、第1のギア6を担持しており、第2の軸線方向に延在する駆動シャフト5は、第2のギア7を担持している。第1および第2のギア6、7(すなわち、ギアホイール)は、一定の噛み合い条件で配置されており、それは、それらが互いに一定のギア係合の状態にあることを意味している。そのうえ、第1および第2のギア6、7は互いに直接的な係合をしているので、それらは、反対方向に回転する。
【0041】
トランスミッションハウジング2は、軸線方向10に第1の長さを有しており、軸線方向10に対して垂直の第1の横方向11に第2の長さを有しており、図2に示されているように、軸線方向10および第1の横方向11の両方に対して垂直の第2の横方向12に第3の長さを有している。また、ポンプは、半径方向19の観点から定義されており、半径方向19は、本明細書では、軸線方向10に対して垂直の任意の方向を指す。したがって、第1および第2の横方向11、12の両方も、半径方向である。
【0042】
トランスミッションハウジングは、軸線方向10において見られるように、前方側部13および後方側部14をさらに有している。
【0043】
第1および第2の駆動シャフト4、5のうちの1つ(たとえば、第1の駆動シャフト4など)の端部部分9は、ポンプ1に動力を与えるための回転トルク源(たとえば、モーターなど)との回転接続のために、トランスミッションハウジング2の後方側部において、トランスミッションハウジング2の壁部を通って外へ延在することが可能である。
【0044】
トランスミッションハウジング2は、金属(たとえば、ステンレス鋼、鋳鉄、スチール、またはアルミニウム合金など)から作製されることが可能であり、第1および第2の駆動シャフト4、5は、スチールから作製されることが可能である。
【0045】
トランスミッションハウジング2は、たとえば、ねじ山付きボルトまたは他のタイプの締結具によって、外部支持表面へのトランスミッションハウジング2の取り付けを可能にするための支持構造体8を追加的に含むことが可能である。トランスミッションハウジングは、ワンピースで作製されるか、または、複数のサブパーツから構成されることが可能である。
【0046】
図1に図示されているポンプの例示的な実施形態では、ポンプ1は、ロータケーシング15をさらに含み、ロータケーシング15は、トランスミッションハウジング2の前方側部13においてトランスミッションハウジング2に接続されている。ロータケーシング15(それは、たとえば、ステンレス鋼から作製されている)は、適切に締結する構成体を介して、トランスミッションハウジング2の前方側部13に除去可能に締結されることが可能である。たとえば、ロータケーシング15は、複数のねじ山付きボルトまたはナット16または同様のねじ山付き部材によって、トランスミッションハウジング2の前方側部13に対してクランプされることが可能である。
【0047】
トランスミッションハウジング2およびロータケーシング15を含む、組み立てられたポンプ1は、前方側部17および後方側部18を有しており、図1のポンプ1の正面図が、図2に概略的に示されており、ロータケーシング15の中に位置付けされている第1および第2のロータ23、24が、点線で図示されている。
【0048】
図2において見ることができるように、ロータケーシング15をクランプするために使用される複数のねじ山付きボルトまたはナット16は、ロータケーシング15全体を通って延在することが可能であり、ポンプ1の前方側部17から見えるようにすることが可能である。
【0049】
図1および図2の例示的な実施形態では、ロータケーシング15は、軸線方向後方壁部20、円周方向側壁部21、および、軸線方向前方壁部22を含み、それらは、閉鎖された静止した内部ポンピングキャビティを共同で画定している。
【0050】
ロータケーシング15は、内部ポンピングキャビティの中に位置付けされている第1および第2のロータ23、24を収容しているので、ロータケーシング15は、内部ポンピングキャビティへのアクセスを可能にするように開放可能である。図1および図2の例示的な実施形態では、このアクセスは、ロータケーシング15を2つのパーツで作製することによって可能にされ、2つのパーツは、ロータケーシング15の軸線方向後方壁部20および円周方向側壁部21を含むロータケーシング後方部分25と、ロータケーシング15の軸線方向前方壁部22として作用する別個の前方カバー26とであり、除去可能な前方カバー26は、適切な取り付け構成体によってロータケーシング後方部分25に除去可能に締結されている。
【0051】
本開示によるロータケーシング後方部分25の例示的な実施形態の概略3D図が、ロータケーシング後方部分25の前方側部から部分的に見られるように、図3に提供されている。
【0052】
除去可能な前方カバー26は、トランスミッションハウジング2の前方側部13に対してロータケーシング15をクランプするために使用される同じ複数のねじ山付きボルトまたはナット16によって、ロータケーシング後方部分25に対してクランプされることが可能である。代替的に、別個の取り付け構成体が、前方カバー26をロータケーシング後方部分25に取り付けるために提供されることが可能である。
【0053】
図2図3の例示的な実施形態では、ロータケーシング15は、流体製品が内部ポンピングキャビティに進入する(たとえば、内部ポンピングキャビティの中へ吸い込まれる)ことを可能にするための流体製品入口開口部30と、流体製品が内部ポンピングキャビティから退出する(たとえば、内部ポンピングキャビティから外へポンプ送りされる)ことを可能にするための流体製品出口開口部31とをさらに含む。
【0054】
上記に述べられているように、ロータケーシング15は、そのうえ、ポンプのポンピング機能性を発生させるように構成されている第1および第2のロータを収容している。第1のロータ23は、第1の駆動シャフト4の前方端部に回転可能に締結されており、第2のロータ24は、第2の駆動シャフト5の前方端部に回転可能に締結されている。結果的に、第1および第2のロータ23、24は、図5において矢印によって図示されているように、相互に反対方向に回転するように構成されている。
【0055】
第1および第2のロータ23、24(それらは、実質的に同一の設計を有することが可能である)の例示的な実施形態が、図1および図2に概略的に図示されており、第1および第2のロータ23、24のうちの1つの例示的な実施形態の3D図が、後方側部から部分的に見られるように、図4に提供されている。
【0056】
第1および第2のロータ23、24のそれぞれは、少なくとも1つの(好ましくは、複数の)ロータウィング32およびロータ駆動要素33を有しており、ロータ駆動要素33は、関連の駆動シャフト4、5のロータシートの上に相対回転不能に(torque proof)装着されるように構成されている。
【0057】
それぞれのロータ23、24のロータ駆動要素33は、実質的にディスク形状またはスリーブ形状になっていることが可能であり、関連の駆動シャフト4、5の上に装着するための中央孔部または凹部44を含む。孔部または凹部44は、スプライン45を有する円筒形状の装着表面48によって画定されるか、または、関連の駆動シャフト4、5のロータシートの上へのロータの相対回転不能な装着を可能にするための非円形の装着表面によって画定されることが可能である。
【0058】
図5を参照すると、ポンプ1のこの例示的な実施形態では、ポンプ2の動作の間に、第1および第2のロータ23、24は、同じ回転速度で反対方向に回転するように構成されている。第1および第2のロータ23、24は、同じロータの近隣のロータウィングおよび内部ポンピングキャビティの壁部20、21、22によって制限されたスペース35の中に、ポンピング体積を画定するように構成されている。そのうえ、第1および第2のロータ23、24の回転の間に、流体製品は、流体製品入口開口部30から、それぞれのロータ23、24の外側に沿って、流体製品出口開口部31へ搬送されるように構成されている(図5において矢印によって図示されている)。
【0059】
とりわけ、ロータウィング(ピストン)32がポンピングキャビティの周囲部の周りで回転するときに、それらは、第1および第2のロータ23、24の噛み合いが外れるときに、製品入口開口部30において部分的な真空を連続的に発生させ、流体製品がポンプ1に進入することを引き起こす。流体製品は、その後に、ロータウィング32によってポンピングキャビティの周りに輸送される。ポンプ1によって発生するフローの方向は、第1および第2のロータ23、24の回転方向を単にシフトさせることによって反転可能である。
【0060】
ロータウィング32の具体的な形態および数は、かなり変化することが可能であり、図2図4、および図5に図示されている具体的なロータツインウィング設計は、単に、ロータウィングの1つの例示的な実施形態に過ぎず、したがって、ポンプは、本開示による他のタイプのロータウィング設計を有するロータ23、24を有することが可能である。
【0061】
図3を参照すると、ロータケーシング15は、後方壁部20から延在する第1の円筒形状のロータケースハブ36と、後方壁部20から延在する第2の円筒形状のロータケースハブ37とを含むことが可能である。第1および第2のハブ36、37は、本質的に中空の円筒形状のスリーブであり、それは、その両方の軸線方向側部に向けて開口している。そのうえ、それぞれの円筒形状のハブ36、37の軸線方向は、ポンプ1の軸線方向10と整合されている。
【0062】
第1のロータケースハブ36は、第1の駆動シャフト4を受け入れるように構成されており、第2のロータケースハブ37は、第2の駆動シャフト5を受け入れるように構成されている。換言すれば、組み立てられた状態において、第1のロータケースハブ36は、第1の駆動シャフト4と整合されており、第2のロータケースハブ37は、第2の駆動シャフト5と整合されている。したがって、第1および第2のハブ36、37は、第1の横方向11において互いに変位されている。
【0063】
トランスミッションハウジング2とロータケーシング15との組み立ての前に、第1および第2の駆動シャフト4、5の前方端部は、トランスミッションハウジングの前方表面13を越えて前方に突出している。その後に、トランスミッションハウジング2とロータケーシング15とを組み立てると、第1および第2の駆動シャフト4、5の前記前方端部は、後方側部から第1および第2のハブの中へそれぞれ挿入され、ロータケーシング15の後方側部は、トランスミッションハウジング2の前方表面13と接触する。この状態において、第1および第2の駆動シャフト4、5の前方端部は、第1および第2のハブ36、37の完全な軸線方向長さを通って延在している。
【0064】
図1を参照すると、いくつかの例示的な実施形態によれば、ポンプは、ロータケーシングシール57を含み、ロータケーシングシール57は、第1または第2の駆動シャフト4、5に沿ったポンピングキャビティから中間スペース42への流体製品の漏出を防止するように構成されている。同様に、いくつかの例示的な実施形態によれば、ポンプは、トランスミッションハウジングシール58を含み、トランスミッションハウジングシール58は、第1または第2の駆動シャフト4、5に沿ったトランスミッションハウジングから中間スペース42へのトランスミッション油の漏出を防止するように構成されている。
【0065】
図6は、ポンプ1の例示的な実施形態の側面図を示しており、図7は、同じポンプ1であるがロータケーシング15が取り外された状態の側面図を示している。
【0066】
図1図6、および図7を参照すると、トランスミッションハウジング2は、第1および第2の軸線方向に突出する取り付け部分60、61を含むことが可能であり、第1および第2の軸線方向に突出する取り付け部分60、61は、ロータケーシング15に面しており、駆動シャフト4、5の両側に位置付けされている。次いで、ロータケーシング15は、前記第1および第2の軸線方向に突出する取り付け部分60、61を介して、トランスミッションハウジング2の前方側部13に接続されることが可能であり、中間スペース42が、トランスミッションハウジング2の前方壁部38とロータケーシング15の後方壁部20との間に達成されるようになっている。
【0067】
第1および第2の軸線方向に突出する取り付け部分60、61は、トランスミッションハウジング2の2つの反対側部にのみ提供されることが可能であり、中間スペース42へのアクセスが、図1および図6に図示されているように、第2の横方向側部12から可能であるようになっている。
【0068】
図1の例示的な実施形態では、ポンプは、ロータリーケーシング加熱から解放されており、シールフラッシング接続部から解放されており、それによって、比較的空の中間スペース42を提供する。ポンプ1の動作の間に、人(たとえば、作業員、技術者、または管理人など)が、回転している第1または第2の駆動シャフト4、5と非意図的に接触しないことを保証するために、個々のおよび別個の第1のガード51が、前記中間スペース42の中に提供されており、人が第1の駆動シャフト4に接触しないように保護するために、第1の駆動シャフト4を取り囲んでおり、個々のおよび別個の第2のガード52が、前記中間スペース42の中に提供されており、人が第2の駆動シャフト5に接触しないように保護するために、第2の駆動シャフト5を取り囲んでいる。
【0069】
第1および第2のガード51、52のそれぞれは、複数の締結部材53によってトランスミッションハウジング2の前方壁部38に締結されており、複数の締結部材53は、それらの長手方向が第1および第2の駆動シャフト4、5の軸線方向10と平行に配置されている。それによって、ユーザーによる第1および第2のガード51、52の除去は、典型的に、ロータケーシング15をポンプ1から最初に取り外すことなしでは、複雑であるかまたは不可能でさえある。結果的に、ガードが適正に装着されていない状態でポンプ1が動作されるリスクが低減され、それによって、使いやすさを改善する。
【0070】
締結部材53は、たとえば、ねじ山付きコンポーネント(たとえば、スクリュー、ナット、またはボルトなど)であることが可能である。そのうえ、締結部材53は、第1および第2のガード51、52のそれぞれのガード取り付けデバイス56(たとえば、一体的な取り付けタブ56など)の中に形成された孔部または凹部を通して挿入されることが可能である。
【0071】
第1および第2のガード51、52のそれぞれは、第1および第2のガード51、52のそれぞれの保護本体部とロータケーシングの後方壁部との間に、少なくとも5ミリメートルの第1の軸線方向ギャップ54(具体的には、5~10ミリメートルの範囲にある軸線方向ギャップ)を提供するように設計および装着されている。
【0072】
同様に、第1および第2のガード51、52のそれぞれは、第1および第2のガード51、52のそれぞれの保護本体部とトランスミッションハウジング2の前方壁部38との間に、少なくとも5ミリメートルの第2の軸線方向ギャップ55(具体的には、5~10ミリメートルの範囲にある軸線方向ギャップ)を提供するように設計および装着されている。
【0073】
図6の例示的な実施形態では、ポンプは、シールフラッシング構成体を提供されている。たとえば、シールフラッシング構成体は、たとえばロータケーシングシール57のシールエリアを冷却または洗浄するために、ポンプに提供されることが可能である。次いで、適合可能なフラッシング流体が、正しい圧力および流量において使用および供給されなければならない。たとえば、フラッシングは、ポンプを始動させるのと同時にまたはその前にターンオンされることが可能であり、ポンプを停止させるのと同時にまたはその後にターンオフされることが可能である。
【0074】
フラッシング流体をシールに提供するために、一体的に形成されたチューブおよび第1および第2のフラッシュ接続部63、64を備えた専用のロータケーシング15が提供されている。そのようなシールフラッシング構成体およびフラッシング接続部63、64は、中間スペース42の中に部分的に位置付けされているが、前記接続部63、64への容易なアクセスを可能にするために、ポンプの外部表面に近い領域に主に位置付けされている。しかし、第1および第2のガード51、52は、第1および第2の駆動シャフト4、5の比較的近くに位置付けされているので(すなわち、ポンプの外部表面に近い領域には位置付けされていない)、図1によるポンプのために使用されるものと同じガード51、52が使用されることが可能であり、それによって、第1および第2のガードの異なるバージョンの数を低減させる。
【0075】
結果的に、図1図7を参照すると、本開示は、流体製品をポンプ送りするためのロータリー容積移送式ポンプ1に関し、ロータリー容積移送式ポンプ1は、いくつかの例示的な実施形態によれば、前方側部17および後方側部18を有しており、また、トランスミッションハウジング2を含み、トランスミッションハウジング2は、軸線方向前方壁部38および軸線方向後方壁部を有しており、第1および第2の駆動シャフト4、5が反対方向に回転するように配置されるように、一定の噛み合い条件にあるギア6、7を有する第1および第2の平行で軸線方向に延在する駆動シャフト4、5に回転支持を提供する。ロータリー容積移送式ポンプ1は、ロータケーシング15をさらに含み、ロータケーシング15は、トランスミッションハウジング2の前方側部13に接続されており、静止した内部ポンピングキャビティを共同で画定する軸線方向後方壁部20、軸線方向前方壁部22、および円周方向側壁部21を有している。ロータケーシング15は、第1の駆動シャフト4に駆動式に接続されている第1のロータ23と、第2の駆動シャフト5に駆動式に接続されている第2のロータ24とを収容しており、第1および第2のロータ23、24は、反対方向に回転するように、および、流体製品に対してポジティブポンピング効果を提供するために相互作用するように構成されており、流体製品は、ロータケーシング入口部30を介してポンピングキャビティに進入し、ロータケーシング出口部31を介してポンピングキャビティを退出する。トランスミッションハウジング2の軸線方向前方壁部38、および、ロータケーシング15の軸線方向後方壁部20は、中間スペース42を共同で画定しており、第1および第2の駆動シャフト4、5は、中間スペース42を通って延在している。ロータリー容積移送式ポンプ1は、第1のガード51および第2のガード52をさらに含み、第1のガード51は、前記中間スペース42の中に位置付けされており、人が第1の駆動シャフト4に接触しないように保護するために、第1の駆動シャフト4を取り囲んでおり、第2のガード52は、前記中間スペース42の中に位置付けされており、人が第2の駆動シャフト5に接触しないように保護するために、第2の駆動シャフト5を取り囲んでいる。
【0076】
それによって、第1のガード51または第1および第2のガード51、52は、第1および第2の駆動シャフト4、5の著しく近くに位置決めされることが可能であり、シールフラッシング接続部および/または加熱/冷却構成体へのアクセスが、同じガードをほとんど維持しながら、および、ガードを取り外す必要なしに、特定の実装形態のための任意選択の追加の特徴として追加されることが可能であるようになっている。換言すれば、ガードと第1および第2の駆動シャフトとの間の半径方向距離を低減させることによって、ならびに、トランスミッションハウジング2とロータケーシング15との間の中間スペース42の中において、ガードをギアボックスに固定することによって、動作の間にまたはマイナーメンテナンス手順の間にガードを除去する必要性が排除される。正味の結果は、よりコンパクトで、ロバストで、コスト効率の良い設計であり、より少ないガード変形例が必要とされ、ガードが適正に据え付けられていない状態でポンプを動作させるリスクの低減を伴う。
【0077】
上記で使用されている「取り囲む」という用語は、第1のガード51が、第1の駆動シャフト4を実質的に取り囲むかまたは完全に取り囲むかのいずれかであり、第2のガード51が、第2の駆動シャフト4を実質的に取り囲むかまたは完全に取り囲むかのいずれかであるということを意味している。ガードは、それが駆動シャフトの全周囲の少なくとも75%(具体的には、少なくとも90%)にわたってシャフトを取り囲むときに、駆動シャフトを実質的に取り囲むとみなされることが可能である。換言すれば、ガードは、任意の理由のためにガードがその周囲に沿って比較的小さくて短いギャップを有する場合でも、シャフトを取り囲むとみなされることが可能である。
【0078】
図1図6、および図7に概略的に図示されているように、いくつかの例示的な実施形態によれば、第1および第2のガード51、52のそれぞれは、トランスミッションハウジング2の特定の状況および設計に応じて、任意の中間部材(たとえば、下記に説明されることとなるような外側端部プレート73、74など)によってまたはそれなしで、トランスミッションハウジング2の前方壁部38に締結されている。
【0079】
そのうえ、図1図6、および図7に概略的に図示されているように、いくつかの例示的な実施形態によれば、第1および第2のガード51、52は、同一の設計を有することが可能である。換言すれば、第1および第2のガード51、52は、製造を簡単化するために、および、予備品ハンドリングに関連付けられるコストを低減させるために、同一であることが可能である。
【0080】
図8は、トランスミッションハウジング2への第1のガード51の取り付け領域の例示的な実施形態の断面図を概略的に示している。
【0081】
図1図7、および図8を参照すると、いくつかの例示的な実施形態によれば、第1および第2のガード51、52のそれぞれは、スリーブ状の形状を有する環状の保護本体部70と、取り付けタブ56の形態の複数の取り付けデバイス56とを有しており、取り付けタブ56は、環状の保護本体部70から延在しており、トランスミッションハウジング2の前方壁部38にクランプされる。
【0082】
ガードおよび取り付けデバイス56をワンピースで作製されることによって(すなわち、一体的なまたは一体的に形成された取り付けタブ56を有することによって)、とりわけロバストなガードが提供される。しかし、取り付けデバイス56は、代替的に、トランスミッションハウジング2にガードを保持および固定するために使用される別個のパーツであることが可能である。
【0083】
いくつかの例示的な実施形態において、第1のガード51または第1および第2のガード51、52のそれぞれは、湾曲したシートメタル(具体的には、ステンレス鋼)で作製されており、一体的な取り付けタブを含む。したがって、ガードは、たとえば、平坦な加工パーツを提供するためにシートメタルをスタンプ加工することによって製造されることが可能であり、平坦な加工パーツは、その後により環状の形状を有するように圧延または曲げ加工される。縁部が溶接され、閉鎖された環状のガード本体部を形成することが可能であり、一体的な取り付けタブ56は、環状のガード本体部の軸線方向に対してほぼ垂直に配向されるように、外向きに折り曲げられることが可能である。
【0084】
結果的に、第1のガード51の保護本体部70、または、第1および/もしくは第2の駆動シャフト4、5を取り囲む第1および第2のガード51、52のそれぞれは、ワンピースで作製されることが可能である。
【0085】
図1図7、および図8を参照すると、いくつかの例示的な実施形態において、ロータリー容積移送式ポンプ1は、第1の駆動シャフト4のローラー軸受3aをトランスミッションハウジング2に固定するための第1の外側端部プレート73と、第2の駆動シャフト5のローラー軸受3aをトランスミッションハウジング2に固定するための第2の外側端部プレート74とをさらに含むことが可能であり、前記第1および第2の外側端部プレート73、74は、第1および第2のガード51、52をトランスミッションハウジング2に取り付けるために使用されるものと同じ締結部材53によって、トランスミッションハウジング2に取り付けられている。それによって、コスト効率をさらに改善するために、より少ないコンポーネントが必要とされる。
【0086】
図9は、トランスミッションハウジング2の前方壁部38およびロータケーシング15の後方壁部20に関係して、組み立てられた位置にある第1のガード51の例示的な実施形態の断面を概略的に示しており、図10は、同じ図を示しているが、第1のガード51のみを含む。
【0087】
第1および第2のガード51、52のそれぞれは、いくつかの例示的な実施形態によれば、関連の駆動シャフト4、5を取り囲む環状の本体部領域70と、環状のガード本体部70をトランスミッションハウジングに締結するための取り付けデバイス56(たとえば、一体的な取り付けタブ56など)とを有することが可能である。ロータケーシングシール57またはトランスミッションハウジングシール58からの漏出検出に関する規制を順守するために、第1および第2の駆動シャフト4、5を完全に囲むことは、望ましくない可能性がある。
【0088】
結果的に、いくつかの例示的な実施形態によれば、環状のガード本体部は、近隣の壁部表面(たとえば、トランスミッションハウジング2の前方壁部38およびロータケーシング15の後方壁部20)からわずかに軸線方向に変位されて位置決めされることが可能である。その理由は、これがポンプ1のこの領域における任意の漏出の視認可能な検出を可能にするからである。ガード本体部70のこの軸線方向に変位された装着は、たとえば、取り付けデバイス56をガード本体部から軸線方向に特定の距離だけ突き出させ、それによって、ガード本体部70とガードが取り付けられている壁部の前方表面78との間に第1の軸線方向ギャップ76を生成させることによって達成される。
【0089】
図9および図10のガードは、図11A図11Cにおいてさまざまな図でさらに図示されており、図11Bに図示されているように、前記第1の軸線方向ギャップ76は、ガード51の全周囲の特定のセクション80にわたって延在している。図11Bのガードの例示的な実施形態では、第1の軸線方向ギャップは、近隣の取り付けデバイス56間に実質的にずっと延在しており、それによって、ガードの全周囲の少なくとも約75%にわたって延在している。
【0090】
再び図9を参照すると、第1のガードは、単に前記後方壁部20までずっと延在しないことによって、ガード本体部とロータケーシング15の後方壁部20との間に第2の軸線方向ギャップをさらに画定している。
【0091】
結果的に、第1および第2のガード51、52のそれぞれの保護本体部70は、とりわけ、関連のガードの全周囲の少なくとも約50%のセクションにわたって、ガード取り付けデバイス56の当接表面75、および/または、ロータケーシングの後方壁部20の後方表面85から、軸線方向に変位されており、第1の軸線方向ギャップ76が、保護本体部70とトランスミッションハウジング2の前方壁部38に関連付けられる前方表面78との間に提供されるようになっており、また、第2の軸線方向ギャップ77が、保護本体部70とロータケーシングの後方壁部20との間に提供されるようになっている。それによって、第1および第2の駆動シャフト4、5の視認性の改善が可能になり、同様に、たとえば、第1および第2のガード51、52のいずれかに関連付けられる駆動シャフトシールからの流体製品および/またはトランスミッション油の漏出検出の改善が可能になる。
【0092】
第1および第2の軸線方向ギャップ76、77は、ポンプの軸線方向10において、少なくとも5ミリメートルの(具体的には、5~10ミリメートルの範囲にある)長さ81を有することが可能である。ギャップのこのサイズは、たとえば、第1および第2のガード51、52のそれぞれの全周囲の少なくとも25%にわたって(具体的には、50%にわたって)延在することが可能である。
【0093】
図10を参照すると、ポンプの半径方向において、および、ガード取り付けデバイス56のない領域において見られるように、第1および第2のガード51、52のそれぞれの断面は、軸線方向10における長さ59、および、半径方向における厚さ65を有しており、前記長さ59は、前記厚さ65よりも少なくとも3倍大きく、具体的には5倍大きく、より具体的には少なくとも10倍大きい。
【0094】
軸線方向10における長さ59および半径方向における厚さ65によって画定される第1のガード51のこの断面は、第1のガード51の環状の保護本体部に対応している。
【0095】
ここでの第1のガード51の全軸線方向長さ82は、本質的に、第1のガード51の本体部の軸線方向長さ59および第1の軸線方向ギャップ76の軸線方向長さ82に対応している。
【0096】
一体的に形成された取り付けタブは、この例示的な実施形態において、約0.5~3mmの材料厚さ83、および、約10~40mmの突出長さ84を有している。
【0097】
第1および第2のガード51、52は、サイズおよび専用の動作条件などに応じて、さまざまな設計を有することが可能である。第1および第2のガード51、52の3つの異なる例示的な設計は、図11A図11C図12A図12C、および図13A図13Cに概略的に図示されている。
【0098】
図12A図12Cの例示的な実施形態では、第1および第2のガード51、52のそれぞれの保護本体部70は、凹部79を含み、凹部79は、第1および第2の駆動シャフトのさらなる改善された視認性を可能にするためのものであり、また、第1のガード(または、第1および第2のガードのいずれか)に関連付けられる駆動シャフトシールにおける流体製品および/またはトランスミッション油の漏出の改善された検出を可能にするためのものである。図12A図12Cに図示されているように、そのような凹部79は、上記に説明されている第1の軸線方向ギャップ76と組み合わせられることが可能である。代替的に、第1の軸線方向ギャップ76は省略されることが可能であり、また、凹部79のみが使用されることが可能である。
【0099】
図13A図13Cの例示的な実施形態では、第1および第2のガード51、52のそれぞれの保護本体部70は、貫通孔部86を含み、貫通孔部86は、第1および第2の駆動シャフト4、5の改善された視認性を可能にするためのものであり、また、第1および第2のガード51、52のいずれかに関連付けられる駆動シャフトシールにおける流体製品および/またはトランスミッション油の漏出の改善された検出を可能にするためのものである。図13A図13Cに図示されているように、そのような孔部86は、上記に説明されている第1の軸線方向ギャップ76と組み合わせられることが可能である。代替的に、第1の軸線方向ギャップ76は省略されることが可能であり、また、孔部86のみが使用されることが可能であり、または、孔部86が凹部79と組み合わせられることが可能である。
【0100】
図14は、ポンプ1の例示的な実施形態による軸線方向10におけるトランスミッションハウジング2の側面図を示しており、第1または第2の駆動シャフト4、5の外側表面と第1および第2のガード51、52のいずれかの保護本体部70の半径方向外側表面との間の半径方向距離66は、第1および第2のガード51、52の周囲部の少なくとも50%(具体的には、少なくとも75%)にわたって、第1のガード51が第1の駆動シャフト4と重なる軸線方向領域72において、第1の駆動シャフト4の直径71の50%を超えない。これは、駆動シャフト4、5の表面に対して垂直な半径方向において測定される。
【0101】
換言すれば、ガードと関連の駆動シャフトとの間の半径方向距離は、比較的小さく、それによって、特定のガードが多数のポンプ変形例に適合可能であるコンパクトな設計を提供する。
【0102】
そのうえ、再び図14を参照すると、ポンプのいくつかの例示的な実施形態において、トランスミッションハウジング2の外側表面68と第1および第2のガード51、52のいずれかの保護本体部70との間の半径方向距離67は、第1のガード51が第1の駆動シャフト4と重なる軸線方向領域72において、第1の駆動シャフトの直径の50%よりも大きい。これは、第1および第2のガード51、52のそれぞれのガード本体部70の表面に対して垂直な半径方向に測定される。そのうえ、これは、第1および第2のガード51、52の周囲部の少なくとも50%(具体的には、少なくとも75%)にわたって適用することが可能である。
【0103】
換言すれば、ガードは、トランスミッションハウジング2の外側表面68から間隔を離して位置付けされており、それによって、特定のガードが多数のポンプ変形例に適合可能であるコンパクトな設計を提供する。
【0104】
そのうえ、図15に概略的に図示されているように、ロータリー容積移送式ポンプ1は、いくつかの例示的な実施形態によれば、単一の第1のガード51を含むことが可能であり、単一の第1のガード51は、前記中間スペースの中に位置付けされており、人が第1および第2の駆動シャフト4、5に接触しないように保護するために、第1および第2の駆動シャフト4、5の両方を取り囲んでいる。この設計は、ポンプの特定の設計において、製造、組み立て、コンパクト性などの観点から有益である可能性がある。
【0105】
図15に図示されているように、単一のガードは、幅の狭い中央のウェスト部を備えたまたはそれを備えない概して楕円形の形状を有することが可能である。図15の例では、ガードは、砂時計形状と同様に、強力に狭くなった中央領域と組み合わせられた楕円形の形状を有するとみなされることが可能であるが、狭くなっていることは、代替的には、それほど重要でない可能性がある。
【0106】
加えて、明示的に図示されていないが、第1のガード51(または、第1および/または第2の駆動シャフト4、5を取り囲む第1および第2のガード51、52のそれぞれ)の保護本体部70は、代替的に、複数のパーツ(具体的には、2つのパーツ)から作製されることが可能であり、それらは、互いに隣り合って組み立てられる。この設計は、ロータケーシング15の除去を必要とすることなく、ガードを取り外すことを潜在的に可能にすることとなる。
【0107】
上記の説明は、本質的に単に例示的なものに過ぎず、本開示、その適用、または用途を限定することを意図していないということが認識されることとなる。特定の例が、本明細書に説明されており、図面に図示されているが、特許請求の範囲に定義されているような本開示の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更が行われることが可能であり、均等物が、その要素に置き換えられることが可能であるということが当業者によって理解されることとなる。そのうえ、本開示の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本開示の教示に適合させるように、修正が行われることが可能である。
【0108】
したがって、本開示は、本開示の教示を実施するために現在企図されている最良の形態として、図面によって図示されて本明細書に説明されている特定の例に限定されるものではなく、本開示の範囲は、先述の説明および添付の特許請求の範囲の中に入る任意の実施形態を含むこととなるということが意図されている。特許請求の範囲において記載されている参照記号は、特許請求の範囲によって保護される事項の範囲を限定するものとして理解されるべきではなく、それらの唯一の機能は、特許請求の範囲をより容易に理解できるようにすることである。
【符号の説明】
【0109】
1 ロータリー容積移送式ポンプ
2 トランスミッションハウジング
3a 回転支持体、転がり軸受、ローラー軸受
3b 回転支持体、転がり軸受
4 第1の平行な駆動シャフト、第1の軸線方向に延在する駆動シャフト
5 第2の平行な駆動シャフト、第2の軸線方向に延在する駆動シャフト
6 第1のギア
7 第2のギア
8 支持構造体
9 端部部分
10 軸線方向
11 第1の横方向
12 第2の横方向
13 前方側部、前方表面
14 後方側部
15 ロータケーシング
16 ねじ山付きボルトまたはナット
17 前方側部
18 後方側部
19 半径方向
20 軸線方向後方壁部
21 円周方向側壁部
22 軸線方向前方壁部
23 第1のロータ
24 第2のロータ
25 ロータケーシング後方部分
26 前方カバー
30 流体製品入口開口部、ロータケーシング入口部
31 流体製品出口開口部、ロータケーシング出口部
32 ロータウィング
33 ロータ駆動要素
35 スペース
36 第1の円筒形状のロータケースハブ
37 第2の円筒形状のロータケースハブ
38 前方壁部、軸線方向前方壁部
42 中間スペース
44 中央孔部または凹部
45 スプライン
48 装着表面
51 第1のガード
52 第2のガード
53 締結部材
54 第1の軸線方向ギャップ
55 第2の軸線方向ギャップ
56 ガード取り付けデバイス、取り付けタブ
57 ロータケーシングシール
58 トランスミッションハウジングシール
59 軸線方向における長さ、軸線方向長さ
60 第1の軸線方向に突出する取り付け部分
61 第2の軸線方向に突出する取り付け部分
63 第1のフラッシュ接続部、フラッシング接続部
64 第2のフラッシュ接続部、フラッシング接続部
65 半径方向における厚さ
66 半径方向距離
67 半径方向距離
68 外側表面
70 保護本体部、ガード本体部
71 第1の駆動シャフトの直径
72 軸線方向領域
73 第1の外側端部プレート
74 第2の外側端部プレート
75 当接表面
76 第1の軸線方向ギャップ
77 第2の軸線方向ギャップ
78 前方表面
79 凹部
80 セクション
81 長さ
82 軸線方向長さ
83 材料厚さ
84 突出長さ
85 後方表面
86 貫通孔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14
図15
【国際調査報告】