(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】ポリエチレンコポリマー及びターポリマーホットメルト接着剤組成物、物品、並びにそれを調製する方法
(51)【国際特許分類】
C09J 123/08 20060101AFI20240116BHJP
B32B 7/12 20060101ALI20240116BHJP
B32B 27/38 20060101ALI20240116BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20240116BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240116BHJP
C09J 7/30 20180101ALI20240116BHJP
【FI】
C09J123/08
B32B7/12
B32B27/38
C09J11/08
C09J11/06
C09J7/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543183
(86)(22)【出願日】2022-01-19
(85)【翻訳文提出日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 IB2022020001
(87)【国際公開番号】W WO2022157585
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514091253
【氏名又は名称】ブラスケム・エス・エー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ハディ・モハンマディ
(72)【発明者】
【氏名】ネイ・セバスティアン・ドミンゲス・ジュニオル
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AB00B
4F100AJ11A
4F100AK04B
4F100AK07B
4F100AK15B
4F100AK22A
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4J040KA35
4J040KA36
4J040KA42
4J040LA01
4J040LA02
4J040LA06
4J040LA08
4J040MB02
(57)【要約】
ホットメルト接着剤組成物は、エチレン、1又は複数種の分岐ビニルエステルモノマー、及び任意選択で含まれていてもよい酢酸ビニルから生成されるポリマー、並びに粘着付与剤を含む。ホットメルト接着剤組成物を製造する方法は、エチレンと、1又は複数種の分岐ビニルエステルモノマーと、任意選択で含まれていてもよい酢酸ビニルとから生成されるポリマー、及び粘着付与剤を、混合機に添加する工程と、任意選択で含まれていてもよい、ワックス及び/又は酸化防止剤を混合機に添加する工程と、ポリマー及び粘着付与剤、並びに任意選択で含まれていてもよいワックス及び/又は酸化防止剤を、150℃~200℃の範囲の温度で混合してホットメルト接着剤組成物を形成する工程と、を含む。基材を、類似又は相違する基材に対して接合する方法は、少なくとも1つの基材にホットメルト接着剤組成物を適用する工程と、基材及びホットメルト接着剤組成物を一緒に接合する工程とを含む。多層物品は、ホットメルト接着剤組成物の少なくとも1つの層と、1つ又は複数の基材層とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンと、
1又は複数種の分岐ビニルエステルモノマーと、
任意選択で含まれていてよい酢酸ビニルと
から生成されるポリマー、及び
粘着付与剤
を含む、ホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
ポリマーが、GPCによって得られる、
5~10,000kDaの範囲の数平均分子量、及び
1~60の範囲の分子量分布
を有する、請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
ワックス及び/又は酸化防止剤を更に含む、請求項1又は2に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項4】
可塑剤、UV安定剤、顔料及び染料、光輝顔料、殺生物剤、難燃剤、静電防止剤、及び/又はフィラーを更に含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項5】
1又は複数種の分岐ビニルエステルモノマーが、一般構造(I):
【化1】
(式中、R
1、R
2及びR
3は、3~20の合計炭素数を有する)
を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項6】
1又は複数種の分岐ビニルエステルモノマーが、一般構造(II):
【化2】
(式中、R
4及びR
5は、7の合計炭素数を有する)
を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項7】
ポリマーが、エチレンと、1又は複数種の分岐ビニルエステルとからなるコポリマーである、請求項1から6のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項8】
ポリマーが、0.01~90wt%の範囲の分岐ビニルエステル含有率を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項9】
ポリマーが、エチレンと、1又は複数種の分岐ビニルエステルと、酢酸ビニルとからなるターポリマーである、請求項1から6のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項10】
ポリマーが、0.01~89.99wt%の範囲の分岐ビニルエステル含有率を有する、請求項9に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項11】
ポリマーが0.01~89.99wt%の範囲の酢酸ビニル含有率を有する、請求項9又は10に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項12】
40barを超える反応器圧力と50℃を超える反応器温度を含む条件下でポリマーが重合されたものである、請求項1から11のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項13】
1000barを超える反応器圧力と50℃を超える反応器温度を含む条件下でポリマーが重合される、請求項1から10のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項14】
ポリマーが10~99.99wt%の範囲のエチレン含有率を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項15】
ホットメルト接着剤組成物の0.1~90wt%の範囲の量の二次ポリマーを更に含む、請求項1から14のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項16】
二次ポリマーが、EVA、エチレン-アクリルエステルコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブロックコポリマー、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項15に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項17】
GPCにより測定されるポリマーの長鎖分岐頻度が、0~10の範囲である、請求項1から16のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項18】
13C NMRにより測定されるポリマーの長鎖分岐含有率が、0~10の範囲である、請求項1から17のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項19】
ASTM D3418に準拠したポリマーの融解温度が、0~150℃の範囲である、請求項1から18のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項20】
ASTM D3418に準拠したポリマーの結晶化温度が、0~150℃の範囲である、請求項1から19のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項21】
ASTM D3418に準拠したポリマーの結晶化熱が、0~280J/gの範囲である、請求項1から20のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項22】
ポリマーが、10℃刻みの連続自己核形成及びアニーリングによる熱分画により測定される、0~20の極小を有する熱流量対温度曲線を有する、請求項1から21のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項23】
ポリマーの第1の質量損失の全コモノマー含有率に対する比が、250℃から400℃までの間、0~2の範囲である、請求項1から22のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項24】
ポリマーが、0℃で0.1MPa~10GPaの範囲の貯蔵弾性率を有する、請求項1から23のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項25】
ポリマーが、tanδ対温度のプロットにおいて、-75℃から75℃の間に1~2つの緩和極大を有する、請求項1から24のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項26】
ポリマーのT
αが、-75℃~75℃の範囲である、請求項25に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項27】
ポリマーのT
βが、-75℃~50℃の範囲である、請求項25又は26に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項28】
ASTM D1238に準拠した190℃/2.16kgでのポリマーのメルトフローレート(MFR)が、0.01g/10分~1000g/10分の範囲である、請求項1から27のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項29】
ASTM D792に準拠したポリマーの密度が、0.85g/cm
3~1.5g/cm
3の範囲である、請求項1から28のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項30】
ASTM D6866-18に準拠したポリマーのバイオベース炭素含有率が、1%~100%の範囲である、請求項1から29のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項31】
ポリマーが、ホットメルト接着剤組成物の10wt%~90wt%の範囲の量で存在する、請求項1から30のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項32】
粘着付与剤が、ホットメルト接着剤組成物の10wt%~90wt%の範囲の量で存在する、請求項1から31のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項33】
ワックスが、ホットメルト接着剤組成物の0.1wt%~40wt%の範囲の量で存在する、請求項3から32のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項34】
酸化防止剤が、ホットメルト接着剤組成物の0.01wt%~5wt%の範囲の量で存在する、請求項3から33のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項35】
ASTM D1084-08に準拠した150℃での粘度が、300cP~20000cPの範囲である、請求項1から34のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項36】
ASTM D1084-08に準拠した177℃での粘度が、300cP~10000cPの範囲である、請求項1から35のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項37】
ASTM D1544-04に準拠した溶融ガードナー色度が、1~7の範囲である、請求項1から36のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項38】
ASTM D4498-07に準拠した100グラムでの剥離接着破壊温度(PAFT)が、少なくとも40℃である、請求項1から37のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項39】
ASTM D4498-07に準拠した500グラムでのせん断接着破壊温度(SAFT)が、少なくとも70℃である、請求項1から38のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項40】
ASTM D6038に準拠した曇点が、30℃~140℃の範囲であるか、又は存在しない、請求項1から39のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項41】
ASTM D4499に準拠した177℃での100時間粘度が、300cP~10000cPの範囲である、請求項1から40のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項42】
ASTM D4499に準拠した177℃での200時間の粘度が、300cP~10000cPの範囲である、請求項1から41のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項43】
ASTM D4499に準拠した100時間色度が、3~17の範囲である、請求項1から42のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項44】
ASTM D4499に準拠した200時間色度が、3~17の範囲である、請求項1から43のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項45】
ASTM D4499に準拠した100時間粘度変化パーセントの絶対値が、0%~70%の範囲である、請求項1から44のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項46】
ASTM D4499に準拠した200時間粘度変化パーセントの絶対値が、0%~70%の範囲である、請求項1から45のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項47】
DMAによって測定されるtan δ対温度のプロットにおいて、-70~70℃の間に1から3つの緩和極大を有し、それらの極大が0.05~10の範囲の値を有する、請求項1から46のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項48】
ホットメルト接着剤組成物を製造する方法であって、
エチレン、1又は複数種の分岐ビニルエステルモノマー、及び任意選択で含まれていてよい酢酸ビニルから生成されるポリマー、並びに粘着付与剤を、混合機中へ添加する工程と、
任意選択で含まれていてよい、ワックス及び/又は酸化防止剤を混合機中へ添加する工程と、
ポリマー及び粘着付与剤、並びに任意選択で含まれていてよいワックス及び/又は酸化防止剤を、110℃~220℃の範囲の温度で混合して、ホットメルト接着剤組成物を形成する工程と
を含む、方法。
【請求項49】
織物、不織布材料、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、木材、金属、紙、及びクラフト紙からなる群から選択される基材を、類似又は相違する基材に接合するための、請求項1から47のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物の使用。
【請求項50】
基材を、類似又は相違する基材に対して接合する方法であって、
少なくとも1つの基材に、請求項1から47のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物を適用する工程と、
少なくとも1つの基材及びホットメルト接着剤組成物を一緒に接合する工程と
を含む、方法。
【請求項51】
請求項1から47のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物の少なくとも1つの層と、
1つ又は複数の基材層と
を含む多層物品。
【請求項52】
基材層が、織物、不織布材料、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、木材、金属、紙、及びクラフト紙からなる群から選択される1又は複数種の材料から作製されたものである、請求項51に記載の多層物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト接着剤組成物、物品、並びにそれを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン材料、例えばポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)の製造は、これまでに発明された合成ポリマーの中で最大の生産量である。これらの材料の成功は、生産コストの低さ、エネルギー効率、温室効果ガスの排出量の少なさ、特性の異なる広範なポリマーを生成する汎用性、及びポリマー加工性の高さにより大いに達成されたものであった。ポリオレフィン材料を用いて製造される広範な物品としては、フィルム、成形品、発泡体、パイプ、織物等が挙げられる。製造される品物の複雑さが増加することによって、特にホットメルト接着剤産業において主要な改良及び開発がされてきた。ホットメルト接着剤は、より種々様々な基材に接合するように、より広範な接着剤適用工程ウィンドウ内(adhesive application process window)で、より大きい最終使用ポートフォリオで、使用されている。適用時には、ホットメルト接着剤は溶融状態で適用(apply)され、冷却されて接着層が硬化する。更に、接着剤は、固定されたら多数の要件を満たす必要があり、その要件には、接合強度、機械的応力の下若しくはその後の接合保持、又は様々な熱的条件の下若しくはその後の適切な接合保持が含まれ得る。
【0003】
ホットメルト接着剤の物理的及び化学的特性は、幾つもの要因、例えば分子量、分子量の分布、コモノマー(又は複数のコモノマー)の含有率、性質及び分布、短鎖及び/又は長鎖分岐の存在並びにその分布、熱及びせん断履歴などに応じて、様々な応答を示し得、これらがある特定の用途におけるその適用可能性を画定する。ホットメルト接着剤の利用性を高めるため、ホットメルト接着剤は複数のポリマーを含むことができ、多数の可能なコモノマーとのランダム及びブロックコポリマーとして配合されることもでき、多数の有望な添加剤を更に含むこともできる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
この要約は、詳細な説明において以下に更に記述する概念の一部を紹介するために記載する。この要約は、特許請求の範囲に記載された主題の重要な又は本質的な特徴を特定することを意図するものでも、特許請求の範囲に記載した主題を限定する際の補助として使用されることを意図するものでもない。
一態様において、本明細書に開示される実施形態は、エチレンと、1又は複数種の分岐ビニルエステルモノマーと、任意選択で含まれていてよい酢酸ビニルとから生成されるポリマー、及び粘着付与剤を含む、ホットメルト接着剤組成物に関する。
【0005】
別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、ホットメルト接着剤組成物を製造する方法であって、エチレンと、1又は複数種の分岐ビニルエステルモノマーと、任意選択で含まれていてよい酢酸ビニルとから生成されるポリマー、及び粘着付与剤を、混合機に添加する工程と、任意選択で含まれていてよい、ワックス及び/又は酸化防止剤を混合機に添加する工程と、ポリマー及び粘着付与剤、並びに任意選択のワックス及び/又は酸化防止剤を、150℃~200℃の範囲の温度で混合してホットメルト接着剤組成物を形成する工程と、を含む、方法に関する。
【0006】
なお別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、織物、不織布材料、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、木材、金属、紙、及びクラフト紙からなる群から選択される基材を、類似又は相違する基材に対して接合するための、ホットメルト接着剤組成物の使用に関する。
【0007】
別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、基材を類似又は相違する基材に接合する方法であって、ホットメルト接着剤組成物を少なくとも1種の基材に適用する工程と、基材及びホットメルト接着剤組成物を一緒に接合する工程とを含む、方法に関する。
【0008】
別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、ホットメルト接着剤組成物の少なくとも1つの層、及び1つ又は複数の基材層を含む、多層物品に関する。
【0009】
特許請求の範囲に記載された主題の他の態様及び利点は、下記の説明及び添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一態様において、開示される実施形態は、エチレンと、1又は複数種の分岐ビニルエステルモノマーと、任意選択で含まれていてよい酢酸ビニルとから生成されるポリマー、及び粘着付与剤を含む、ホットメルト接着剤組成物に関する。1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、任意選択で、二次ポリマー、ワックス、酸化防止剤、可塑剤、UV安定剤、顔料及び染料、光輝顔料(glitter)、殺生物剤、難燃剤、静電防止剤及びフィラーを含んでいてもよい。
【0011】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマーは、エチレンと、とりわけ分子量、分子量分布、結晶化度、硬度、融解温度、ガラス転移温度を含む、形成されるコポリマーの様々な特性を修正する、1又は複数種の分岐ビニルエステルと、任意選択で含まれてよい酢酸ビニルと、の反応によって調製されたものであってよい。
【0012】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、GPCによって得られる、5~10,000kDaの範囲の数平均分子量(Mn)、及び1~60の範囲の分子量分布を有するポリマーを含んでもよい。
【0013】
本開示によるホットメルト接着剤組成物は、エチレンと、1又は複数種の分岐ビニルエステルとを様々な比率で組み込んだコポリマーであるポリマーを含んでもよい。1つ又は複数の実施形態において、ポリマーは、追加のコモノマーと1又は複数種のラジカル開始剤との存在下でエチレンと分岐ビニルエステルとを反応させてコポリマーを形成することにより調製してもよい。他の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ターポリマーであるポリマーを含んでもよい。エチレンを第1のコモノマーと反応させてポリマー樹脂又はプレポリマーを形成し、次いでそれを第2のコモノマーと反応させて最終的なポリマー組成物を調製することによりターポリマーを調製してもよく、第1及び第2のコモノマーは、同じ反応器又は異なる反応器において添加することができる。1つ又は複数の実施形態において、ターポリマーは、エチレン、1又は複数種の分岐ビニルエステル及び酢酸ビニルからなっていてもよい。1つ又は複数の実施形態において、コポリマーは、エチレンと1又は複数種のコモノマーとを1つ又は複数の重合反応段階で反応させて様々な反復単位微細構造を得ることにより調製してもよい。
【0014】
分岐ビニルエステルモノマー
1つ又は複数の実施形態において、分岐ビニルエステルは、分岐アルキル酸の異性体混合物から生成される分岐ビニルエステルを含んでもよい。本開示による分岐ビニルエステルは、一般構造(I):
【0015】
【0016】
(式中、R1、R2、及びR3は、C3~C20の範囲の合計炭素数を有する)
を有してもよい。1つ又は複数の実施形態において、R1、R2、及びR3はいずれも、1つ又は複数の実施形態において様々な分岐度を有するアルキル鎖であってもよく、或いは、R1、R2、及びR3の一部は、1つ又は複数の実施形態において、水素、アルキル、又はアリールからなる群から独立して選択されてもよい。
【0017】
1つ又は複数の実施形態において、分岐ビニルエステルモノマーは、一般構造(II):
【0018】
【0019】
(式中、R4及びR5は、6又は7の合計炭素数を有する)
を有する分岐ビニルエステルを含んでもよく、ポリマー組成物は、GPCによって得られる5kDa~10000kDaの範囲の数平均分子量(Mn)を有する。1つ又は複数の実施形態において、R4及びR5は、6未満又は7を超える合計炭素数を有してもよく、ポリマー組成物は、10000kDa以下のMnを有してもよい。即ち、Mnが5kDa未満である場合、R4及びR5は、6未満又は7を超える合計炭素数を有してもよいが、Mnが5kDaを超える場合、例えば5~10000kDaの範囲である場合、R4及びR5は6又は7の合計炭素数を含むことができる。特定の実施形態において、R4及びR5は、合計炭素数7を有し、Mnは、5~10000kDaの範囲であってもよい。更に、1又は複数の特定の実施形態において、式(II)によるビニルエステルを酢酸ビニルと組み合わせて使用してもよい。
【0020】
分岐ビニルエステルの例としては、以下の化学構造:
【0021】
【0022】
を有するモノマーを挙げることができ、それらの誘導体も含まれる。
【0023】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、0.01wt%、0.1wt%、1wt%、5wt%、10wt%、20wt%又は30wt%のうちの1つから選択される下限から、50wt%、60wt%、70wt%、80wt%、89.99wt%又は90wt%から選択される上限までの範囲の分岐ビニルエステル含有率を有するポリマーを含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0024】
1つ又は複数の実施形態において、分岐ビニルエステルは、ネオノナン酸、ネオデカン酸等のビニルエステルを含有する、モノマー及びコモノマーの混合物を含んでもよい。1つ又は複数の実施形態において、分岐ビニルエステルは、コッホ合成により調製され、Hexion(商標)chemicals社から市販されている、Versatic(商標) acid EH、Versatic(商標) acid 9、及びVersatic(商標) acid 10を含む、Versatic(商標) acidシリーズの第三級カルボン酸を含んでもよい。1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、石油及び/又は再生可能資源に由来するモノマーから生成されたポリマーを含んでもよい。
【0025】
本開示によるホットメルト接着剤組成物は、プロトン核磁気共鳴(1H NMR)及び炭素13核磁気共鳴(13C NMR)により測定される、10wt%、20wt%、又は30wt%のうちの1つから選択される下限から60wt%、70wt%、80wt%、90wt%、95wt%、99.9wt%、及び99.99wt%のうちの1つから選択される上限までの範囲の質量パーセントのエチレンを有する分岐ビニルエステル含有ポリマーを含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0026】
本開示によるホットメルト接着剤組成物は、1H NMR及び13C NMRにより測定される、0.01wt%、0.1wt%、1wt%、5wt%、10wt%、20wt%、又は30wt%のうちの1つから選択される下限から50wt%、60wt%、70wt%、80wt%、89.99wt%、又は90wt%から選択される上限までの範囲の質量パーセントのビニルエステルモノマー、例えば上記式(I)及び(II)のものを有する分岐ビニルエステル含有ポリマーを含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0027】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるホットメルト接着剤組成物は、任意選択で、0wt%、0.01wt%、0.1wt%、1wt%、5wt%、10wt%、20wt%又は30wt%のうちの1つから選択される下限から、50wt%、60wt%、70wt%、80wt%又は89.99wt%から選択される上限までの範囲の1H NMR及び13C NMRにより測定される質量パーセントの酢酸ビニルを有する分岐ビニルエステル含有ポリマーを含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0028】
本開示によるホットメルト接着剤組成物は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される、1kDa、5kDa、10kDa、15kDa、及び20kDaのうちの1つから選択される下限から40kDa、50kDa、100kDa、300kDa、500kDa、1000kDa、5000kDa、及び10000kDaのうちの1つから選択される上限までの範囲のキロダルトン(kDa)単位の数平均分子量(Mn)を有する分岐ビニルエステル含有ポリマーを含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0029】
本開示によるホットメルト接着剤組成物は、GPCにより測定される、下限が1、2、5又は10のいずれかであり、上限が20、30、40、50又は60のいずれかである分子量分布(MWD、MwのMnに対する比と定義される)を有する分岐ビニルエステル含有ポリマーを含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0030】
本開示によるホットメルト接着剤組成物は、GPCにより測定される、1kDa、5kDa、10kDa、15kDa及び20kDaのうちの1つから選択される下限から40kDa、50kDa、100kDa、200kDa、300kDa、500kDa、1000kDa、2000kDa、5000kDa、10000kDa、及び20000kDaうちの1つから選択される上限までの範囲のキロダルトン(kDa)単位の質量平均分子量(Mw)を有する分岐ビニルエステル含有ポリマーを有してもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0031】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ホットメルト接着剤組成物の、10wt%、15wt%、20wt%及び30wt%のうち1つから選択される下限から、40wt%、50wt%、60wt% 70wt%、80wt%及び90wt%のうちの1つから選択される上限の範囲の量の分岐ビニルエステル含有ポリマーを含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0032】
二次ポリマー
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるホットメルト接着剤組成物は、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン-アクリルエステルコポリマー、例えばエチレンアクリル酸ブチルコポリマー(EBA)、エチレン-アクリル酸メチルコポリマー(EMA)、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブロックコポリマー(例えば、SBS、SIS、SEBS、SEPS)、及びそれらの組合せからなる群から選択される二次ポリマーを更に含んでもよい。
【0033】
本開示による二次ポリマーは、ASTM D1238に準拠して190℃で2.16kgの荷重を用いて測定され判定される、0.1g/10分、1g/10分、2g/10分、2.5g/10分、25g/10分、100g/10分、150g/10分及び200g/10分のいずれかから選択される下限から、250g/10分、300g/10分、400g/10分、500g/10分及び1000g/10分のいずれかから選択される上限までの範囲のメルトインデックスを有してもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0034】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ホットメルト接着剤組成物の0.1wt%、1wt%、2wt%、5wt%、7wt%、10wt%、15wt%及び20wt%のうちの1つから選択される下限から、25wt%、30wt%、40wt%、45wt%、50wt%、60wt%、70wt%、80wt%及び90wt%のうちの1つから選択される上限までの範囲の量の二次ポリマーを含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0035】
粘着付与剤
本開示による粘着付与剤は、ホットメルト接着剤組成物の接着を強める化学物質又は低分子量ポリマーであってよい。粘着付与剤には、任意の相溶性を有する樹脂又はその混合物、例えば、ガムロジン、木材ロジン、トール油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量化ロジン、ロジンエステル及び重合ロジンを含む天然ロジン及び修飾ロジン;フェノール修飾ロジン及びロジンエステルを含む、天然ロジン及び修飾ロジンのグリセリン及びペンタエリトリトールのエステル類;モノマー樹脂;ピネン等の天然テルペンのポリマー及びコポリマー;テルペン樹脂;水素化ポリテルペン樹脂;フェノール修飾テルペン樹脂及びその水素化誘導体;インデン-クマロン樹脂;脂肪族石油炭化水素樹脂;水素化脂肪族石油炭化水素樹脂;環状又は非環状C5樹脂及び芳香族修飾非環状又は環状樹脂、環状石油炭化水素樹脂及びその水素化誘導体等を含む、C5/C9炭化水素樹脂が含まれる。1つ又は複数の実施形態において、粘着付与剤は、炭化水素樹脂から選択されてもよい。他の実施形態において、粘着付与剤は、Braskem社によって市販されている炭化水素樹脂、例えばUnilene A80、Unilene A90、Unilene A100又はUnilene A120を含むUNILENE(登録商標)群からの樹脂から選択されてもよい。
【0036】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ホットメルト接着剤組成物の10wt%、15wt%、20wt%、25wt%、30wt%及び40wt%のうちの1つから選択される下限から、60wt%、70wt%、80wt%及び90wt%のうちの1つから選択される上限までの範囲の量の粘着付与剤を含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0037】
1つ又は複数の実施形態において、粘着付与剤を、濃縮物、又は他のポリマー及び/又は添加剤と組み合わせた「粘着付与剤マスターバッチ」として配合して、ホットメルト組成物を調製してもよい。粘着付与剤マスターバッチは、任意の従来の樹脂の混合プロセス、例えば可溶化プロセス及び押出プロセス等において調製されてもよい。1つ又は複数の実施形態において、粘着付与剤マスターバッチは、粘着付与剤と、ホットメルト接着剤組成物の他の成分と良好な適合性を有する任意適切なベースポリマーとを用いて配合され得る。特定の実施形態において、ベースポリマーはEVAコポリマーである。
【0038】
本開示による粘着付与剤マスターバッチは、マスターバッチの20wt%~70wt%の範囲の質量パーセント(wt%)で粘着付与剤を含み、マスターバッチの20wt%~70wt%の範囲の質量パーセント(wt%)でベースポリマーを含んでもよい。
【0039】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、接着剤組成物の20wt%~70wt%の範囲の質量パーセント(wt%)の粘着付与剤マスターバッチと組み合わされ得る。
【0040】
ワックス
本開示によるホットメルト接着剤組成物は、任意選択で1又は複数種のワックスが組み入れられていてもよい。本発明において使用するのに適しているワックスには、パラフィンワックス、微結晶ワックス、高密度低分子量ポリエチレンワックス、副生物ポリエチレンワックス、フィッシャー-トロプシュワックス、酸化フィッシャー-トロプシュワックス、及び官能化ワックス、例えばヒドロキシステアルアミドワックス及び脂肪酸アミドワックスが含まれる。合成高融点ワックスという用語を、高密度低分子量ポリエチレンワックス、副生物ポリエチレンワックス及びフィッシャー-トロプシュワックスを含むものとして使用することは、当業界で一般的である。修飾ワックス、例えば酢酸ビニル修飾ワックス及び無水マレイン酸修飾ワックスも使用され得る。本発明の実施において有用な例示のワックスは、約64℃~約600℃の融点を有し、約0.5未満の含油率を有する。
【0041】
特定の例は、約55℃~約85℃の環球式軟化点を有するパラフィンワックスを含む。例示のパラフィンワックスは、Astor Wax Corporation社, Doraville, Ga.から入手可能なOkerin(登録商標)236 TP;Pennzoil Products Co社., Houston, Tex.から入手可能なPenreco(登録商標)4913;Moore & Munger社, Shelton, CN.から入手可能なR-7152パラフィンワックス;及びInternational Waxes, Ltd社、Ontario, Canadaから入手可能なパラフィンワックス1297である。特に好ましいものは、約130~165°Fの範囲の融点を有するパラフィンワックス、例えばCitgo社から入手可能なPacemaker、及びMoore及びMunger社から入手可能なR-2540等;及びExxonMobil Chemical Company社, Houston, Texasから入手可能なEscorezシリーズを含む約180°F未満の融点を有する低融点合成フィッシャー-トロプシュワックスである。最も好ましいワックスは150°Fの融点を有するパラフィンワックスである。他のパラフィンワックスは、製品名、1230、1236、1240、1245、1246、1255、1260及び1262の下でCP Hall社から入手可能なワックスを含む。CP Hall 1246パラフィンワックスは、CP Hall社(Stow, Ohio)から入手可能である。
【0042】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ホットメルト接着剤組成物の0.1wt%、0.5wt%、1wt%及び5wt%のうちの1つから選択される下限から、15wt%、20wt%、25wt%、30wt%、35wt%及び40wt%のうちの1つから選択される上限までの範囲の量のワックスを含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0043】
酸化防止剤
本開示によるホットメルト接着剤組成物は、任意選択で1又は複数種の酸化防止剤が組み入れられていてもよい。本発明において使用するのに適している酸化防止剤は、4,4'-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、ペンタエリトリトールテトラキス[3,(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、ジ-ステアリル-3,3'-チオジプロピオン酸(DSTDP)、トリス-(p-ノニルフェニル)-ホスファイト(TNPP)を含むホスファイト、及びビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)4,4'-ジフェニレン-ジホスホナイトを含んでもよい。本発明において使用するのに適している酸化防止剤は、IRGANOX 1010、IRGANOX 565、IRGANOX 1076及びIRGAFOS 168の製品名の下にBASF Corporation社, Florham Park, N.J.から入手可能なIRGANOXシリーズを含む様々な製品名の下で市販されている。
【0044】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ホットメルト接着剤組成物の0.01wt%、0.02wt%、0.03wt%、0.04wt%及び0.05wt%のうちの1つから選択される下限から、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、1wt%、2wt%、3wt%、4wt%及び5wt%のうちの1つから選択される上限までの範囲の量の酸化防止剤を含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0045】
フリーラジカル重合のための開始剤
本開示によるホットメルト接着剤組成物は、反応体混合物中でコモノマー及びプレポリマーの連鎖重合を開始させるフリーラジカルを発生することができるラジカル重合用の1又は複数種の開始剤を用いて合成されたポリマーを含んでいてもよい。1つ又は複数の実施形態において、ラジカル開始剤には、自発的に又は温度、pH、若しくは他の誘因による刺激下で分解してフリーラジカルを放出する化学種が含まれ得る。
【0046】
1つ又は複数の実施形態において、ラジカル開始剤には、過酸化物及び二官能性過酸化物、例えばベンゾイルペルオキシド;ジクミルペルオキシド;ジ-tert-ブチルペルオキシド;tert-ブチルクミルペルオキシド;t-ブチル-ペルオキシ-2-エチル-ヘキサノアート;tert-ブチルペルオキシピバラート;三級ブチルペルオキシネオデカノアート;t-ブチル-ペルオキシ-ベンゾアート;t-ブチル-ペルオキシ-2-エチル-ヘキサノアート;tert-ブチル3,5,5-トリメチルヘキサノアートペルオキシド;tert-ブチルペルオキシベンゾアート;2-エチルヘキシルカルボナートtert-ブチルペルオキシド;2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシド)ヘキサン;1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシド)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン;2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシド)ヘキシン-3;3,3,5,7,7-ペンタメチル-1,2,4-トリオキセパン;ブチル4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシド)バレラート;ジ(2,4-ジクロロベンゾイル)ペルオキシド;ジ(4-メチルベンゾイル)ペルオキシド;ペルオキシドジ(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等が含まれ得る。
【0047】
ラジカル開始剤には、ベンゾイルペルオキシド、2,5-ジ(クミルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ジ(クミルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン-3,4-メチル-4-(t-ブチルペルオキシ)-2-ペンタノール、4-メチル-4-(t-アミルペルオキシ)-2-ペンタノール、4-メチル-4-(クミルペルオキシ)-2-ペンタノール、4-メチル-4-(t-ブチルペルオキシ)-2-ペンタノン、4-メチル-4-(t-アミルペルオキシ)-2-ペンタノン、4-メチル-4-(クミルペルオキシ)-2-ペンタノン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2-t-ブチルペルオキシ-5-ヒドロペルオキシヘキサン、2,5-ジメチル-2-クミルペルオキシ-5-ヒドロペルオキシヘキサン、2,5-ジメチル-2-t-アミルペルオキシ-5-ヒドロペルオキシヘキサン、m/p-アルファ、アルファ-ジ[(t-ブチルペルオキシ)イソプロピル]ベンゼン、1,3,5-トリス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3,5-トリス(t-アミルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3,5-トリス(クミルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ[1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)ブチル]カルボナート、ジ[1,3-ジメチル-3-(t-アミルペルオキシ)ブチル]カルボナート、ジ[1,3-ジメチル-3-(クミルペルオキシ)ブチル]カルボナート、ジ-t-アミルペルオキシド、t-アミルクミルペルオキシド、t-ブチル-イソプロペニルクミルペルオキシド、2,4,6-トリ(ブチルペルオキシ)-s-トリアジン、1,3,5-トリ[1-(t-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル]ベンゼン、1,3,5-トリ-[(t-ブチルペルオキシ)-イソプロピル]ベンゼン、1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)ブタノール、1,3-ジメチル-3-(t-アミルペルオキシ)ブタノール、ジ(2-フェノキシエチル)ペルオキシジカルボナート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボナート、ジミリスチルペルオキシジカルボナート、ジベンジルペルオキシジカルボナート、ジ(イソボルニル)ペルオキシジカルボナート、3-クミルペルオキシ-1,3-ジメチルブチルメタクリラート、3-t-ブチルペルオキシ-1,3-ジメチルブチルメタクリラート、3-t-アミルペルオキシ-1,3-ジメチルブチルメタクリラート、トリ(1,3-ジメチル-3-t-ブチルペルオキシブチルオキシ)ビニルシラン、1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)ブチルN-[1-{3-(1-メチルエテニル)-フェニル)1-メチルエチル]カルバマート、1,3-ジメチル-3-(t-アミルペルオキシ)ブチルN-[1-{3(1-メチルエテニル)-フェニル}-1-メチルエチル]カルバマート、1,3-ジメチル-3-(クミルペルオキシ))ブチルN-[1-{3-(1-メチルエテニル)-フェニル}-1-メチルエチル]カルバマート、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル4,4-ジ(t-アミルペルオキシ)バレラート、エチル3,3-ジ(t-ブチルペルオキシ)ブチラート、2,2-ジ(t-アミルペルオキシ)プロパン、3,6,6,9,9-ペンタメチル-3-エトキシカルボニルメチル-1,2,4,5-テトラオキサシクロノナン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレラート、エチル-3,3-ジ(t-アミルペルオキシ)ブチラート、ベンゾイルペルオキシド、OO-t-ブチル-O-水素-モノペルオキシ-スクシナート、OO-t-アミル-O-水素-モノペルオキシ-スクシナート、3,6,9,トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペルオキシノナン(又はメチルエチルケトンペルオキシド環状三量体)、メチルエチルケトンペルオキシド環状二量体、3,3,6,6,9,9-ヘキサメチル-1,2,4,5-テトラオキサシクロノナン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t-ブチルペルベンゾアート、t-ブチルペルオキシアセタート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノアート、t-アミルペルベンゾアート、t-アミルペルオキシアセタート、t-ブチルペルオキシイソブチラート、3-ヒドロキシ-1,1-ジメチルt-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノアート、OO-t-アミル-O-水素-モノペルオキシスクシナート、OO-t-ブチル-O-水素-モノペルオキシスクシナート、ジ-t-ブチルジペルオキシフタラート、t-ブチルペルオキシ(3,3,5-トリメチルヘキサノアート)、1,4-ビス(t-ブチルペルオキシカルボ)シクロヘキサン、t-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノアート、t-ブチル-ペルオキシ-(cis-3-カルボキシ)プロピオナート、アリル3-メチル-3-t-ブチルペルオキシブチラート、OO-t-ブチル-O-イソプロピルモノペルオキシカルボナート、OO-t-ブチル-O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカルボナート、1,1,1-トリス[2-(t-ブチルペルオキシ-カルボニルオキシ)エトキシメチル]プロパン、1,1,1-トリス[2-(t-アミルペルオキシ-カルボニルオキシ)エトキシメチル]プロパン、1,1,1-トリス[2-(クミルペルオキシ-カルボニルオキシ)エトキシメチル]プロパン、OO-t-アミル-O-イソプロピルモノペルオキシカルボナート、ジ(4-メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジ(3-メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジ(2-メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、2,4-ジブロモ-ベンゾイルペルオキシド、コハク酸ペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジ(2,4-ジクロロ-ベンゾイル)ペルオキシド、及びこれらの組合せも含まれ得る。
【0048】
1つ又は複数の実施形態において、ラジカル開始剤には、アゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'-アゾビス(アミジノプロピル)ジヒドロクロリド等;過酸化物と、アゾジニトリル化合物、例えば2,2'-アゾビス(2-メチル-ペンタンニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチル-ブタンニトリル)、2,2'-アゾビス(2-エチル-ペンタンニトリル)、2-[(1-シアノ-1-メチルプロピル)アゾ]-2-メチル-ペンタンニトリル、2-[(1-シアノ-1-エチルプロピル)アゾ]-2-メチル-ブタンニトリル、2-[(1-シアノ-1-メチルプロピル)アゾ]-2-エチル等との混合物を含有するアゾ過酸化物開始剤、が含まれ得る。
【0049】
1つ又は複数の実施形態において、ラジカル開始剤には、炭素-炭素(「C-C」)フリーラジカル開始剤、例えば2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサン、3,4-ジエチル-3,4-ジフェニルヘキサン、3,4-ジベンジル-3,4ジトリルヘキサン、2,7-ジメチル-4,5-ジエチル-4,5-ジフェニルオクタン、3,4-ジベンジル-3,4-ジフェニルヘキサン等が含まれ得る。
【0050】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるホットメルト接着剤組成物は、0.000001wt%、0.0001wt%、0.01wt%、0.1wt%、0.15wt%、0.4wt%、0.6wt%、0.75wt%及び1wt%のうち1つから選択される下限から、0.5wt%、1.25wt%、2wt%、4wt%及び5wt%のうちの1つから選択される上限までの範囲の、全重合混合物(wt%)の質量パーセントで存在する、1つ又は複数のラジカル開始剤を用いて合成されたポリマーを含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と共に用いられてもよい。更に、ラジカル開始剤の濃度は、最終材料の用途に応じて上下することが想定され得る。
【0051】
安定剤
本開示によるホットメルト接着剤組成物は、反応器で重合を妨害しないがモノマー及びコモノマーの送給ライン内で重合を防止する能力を有する、全重合混合物のある一定の質量パーセントで存在する1又は複数種の安定剤を有するポリマーを含むことができる。
【0052】
1つ又は複数の実施形態において、安定剤には、ニトロキシル誘導体、例えば2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ、2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシ-1-ピペリジニルオキシ、4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ、2,2,6,6-テトラメチル-4-アミノ-ピペリジニルオキシ等が含まれ得る。
【0053】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマーは、0.000001wt%、0.0001wt%、0.01wt%、0.1wt%、0.15wt%、0.4wt%、0.6wt%、0.75wt%及び1wt%のうちの1つから選択される下限から0.5wt%、1.25wt%、2wt%、4wt%、及び5wt%のうちの1つから選択される上限までの範囲の全重合混合物の質量パーセント(wt%)で存在する1又は複数種の安定剤から形成されてもよく、いずれの下限もいずれの上限と共に使用することができる。更に、安定剤の濃度は、最終材料の用途に応じて上下することが想定される。
【0054】
添加剤
本開示によるホットメルト接着剤組成物は、ブレンド時にホットメルト接着剤組成物及び/又はポリマーに添加すると様々な物理的及び化学的特性を修正するフィラー及び添加剤を含んでもよく、フィラー及び添加剤としては、1又は複数種のポリマー添加剤、例えば分解開始剤、加工助剤、滑剤、帯電防止剤、清澄剤、成核剤、ベータ成核剤、スリップ剤、酸化防止剤、抗酸剤、光安定剤、例えばHALS、IR吸収剤、増白剤、有機及び/又は無機染料、粘着防止剤、加工助剤、難燃剤、可塑剤、殺生物剤、並びに接着促進剤が挙げられる。
【0055】
本開示によるホットメルト接着剤組成物は、1又は複数種の無機のフィラー、例えばタルク、ガラス繊維、大理石ダスト、セメントダスト、クレイ、カーボンブラック、長石、シリカ又はガラス、ヒュームドシリカ、ケイ酸塩、ケイ酸カルシウム、ケイ酸粉末、ガラス微小球、雲母、金属酸化物粒子及びナノ粒子、例えば酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、無機塩粒子及びナノ粒子、例えば硫酸バリウム、珪灰石、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、かご型シルセスキオキサン(POSS)を含んでもよい。
【0056】
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるホットメルト接着剤組成物は、0.01wt%、0.02wt%、0.05wt%、1.0wt%、5.0wt%、10.0wt%、15.0wt%、及び20.0wt%のうちの1つから選択される下限から25wt%、30wt%、40wt%、50wt%、60wt%、及び70wt%のうちの1つから選択される上限までの範囲の全組成物の質量パーセント(wt%)の1又は複数種の添加剤及び/又はフィラーを含有してもよく、いずれの下限もいずれの上限と共に使用することができる。
【0057】
ホットメルト接着剤組成物の物理的特性
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、300cP、500cP、1000cP、1500cP、2500cP、3000cP、3500cP及び4000cPのうちのいずれかから選択される下限から、4500cP、5000cP、5500cP、6000cP、7000cP、8000cP、9000cP、10000cP及び20000cPのうちのいずれかから選択される上限までを有する範囲のASTM D1084-08に準拠した150℃での粘度を有していてもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0058】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、300cP、500cP、750cP、1000cP、1250cP、1500cP及び1750cPのうちのいずれかから選択される下限から、2000cP、3000cP、4000cP、5000cP、6000cP、7000cP、8000cP、9000cP及び10000cPのうちのいずれかから選択される上限までを有する範囲のASTM D1084-08に準拠した177℃での粘度を有していてもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0059】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5又は7のASTM D1544-04に準拠した溶融ガードナー色度を有していてもよい。
【0060】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ASTM D4498-07に準拠して100グラムで少なくとも40℃、50℃、60℃又は70℃の剥離接着破壊温度(PAFT; peel adhesion fail temperature)、及びASTM D4498-07に準拠して500グラムで少なくとも70℃、80℃又は90℃のせん断接着破壊温度(SAFT)を有することができる。
【0061】
曇点は、透明なホットメルト接着剤組成物が相分離を起こし、濁った外観を形成する温度である。1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ASTM D6038に準拠して得られる、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃のうちのいずれかから選択される下限から、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃又は140℃のうちのいずれかから選択される上限までの範囲の曇点を有していてもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は曇点を示さず、したがって、曇点は存在せず、このことは成分が互いによく相溶することを示す。
【0062】
接着剤組成物の熱的安定性は、ASTM D4499等の試験方法に従って特性評価を行ってもよい。パラメーター、例えば粘度、100時間及び200時間保存された後の粘度変化及び色度が、熱的安定性を判定するために試験される。1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ASTM D4499に準拠して177℃で、300cP、500cP、750cP、1000cP、1250cP、1500cP及び1750cPのうちのいずれかから選択される下限から、2000cP、3000cP、4000cP、5000cP、6000cP、7000cP、8000cP、9000cP及び10000cPのうちのいずれから選択される上限までの範囲の100時間粘度を有してもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0063】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物にはASTM D4499に準拠して177℃で300cP、500cP、750cP、1000cP、1250cP、1500cP及び1750cPのうちのいずれかから選択される下限から、2000cP、3000cP、4000cP、5000cP、6000cP、7000cP、8000cP、9000cP及び10000cPのうちのいずれかから選択される上限までの範囲の200時間粘度を有してもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0064】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ASTM D4499に準拠して0%、0.5%、1%、2%及び3%のうちのいずれから選択される下限から、15%、17.5%、20%、25%、30%、40%、50%、60%及び70%のうちのいずれから選択される上限までの範囲の100時間粘度変化を有してもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ASTM D4499に準拠して0%、0.5%、1%、2%及び3%のうちのいずれかから選択される下限から、15%、17.5%、20%、25%、30%、40%、50%、60%及び70%のうちのいずれかから選択される上限までの範囲の200時間粘度変化を有してもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。100時間粘度変化及び200時間粘度変化は正の変化であっても負の変化であってもよく、前述の粘度変化%は、正又は負の変化いずれかの絶対値を表わす。
【0065】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ASTM D4499及びASTM D1544-04に準拠して2、3、4、5、6、7、8及び8.5のうちのいずれかから選択される下限から、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、14、15、16及び17のうちのいずれかから選択される上限までの範囲の100時間ガードナー色度を有してもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ASTM D4499及びASTM D1544-04に準拠して2、3、4、5、6、7、8及び8.5のうちのいずれかから選択される下限から、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、14、15、16及び17のうちのいずれかから選択される上限までの範囲の200時間ガードナー色度を有してもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0066】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ASTM D4499に準拠して177℃で100時間及び/又は200時間保存した後、エッジリング(edge ring)を含まないものであり得る。
【0067】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、動的機械分析(DMA)
又は示差走査熱量測定法(DSC)によって測定される、任意の100℃、90℃及び80℃から選択される上限から、-50℃、-60℃及び-70℃のうちのいずれかから選択される下限までの範囲のガラス転移温度(Tg)を有してもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。DMA測定から得られるホットメルト接着剤組成物のTan δ対温度プロットにおいて観察される極大は、-70℃~70℃の範囲で1、2又は3つの極大を示してもよく、極大は、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4及び0.5のうちのいずれかから選択される下限から、1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10のうちのいずれかから選択される上限までを有してよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0068】
ポリマーの物理的特性
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ASTM D1238に準拠し190℃/2.16kgで得られる、0.01g/10分、0.5g/10分、1g/10分、10g/10分、70g/10分、80g/10分、90g/10分及び100g/10分のうちのいずれかから選択される下限から、140g/10分、150g/10分、160g/10分、170g/10分、200g/10分、350g/10分、450g/10分、550g/10分、1000g/10分及び2000g/10分のうちのいずれかから選択される上限までの範囲のメルトフローレート(MFR)を有するポリマーを含んでいてもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0069】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ASTM D3418に準拠して示差走査熱量測定(DSC)又は広角X線回折(WAXD)により測定される、0.1%、1%、10%、及び20%のいずれかから選択される下限から60%、70%、及び80%のいずれかから選択される上限までの範囲の結晶化度を有するポリマーを含んでいてもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0070】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、動的機械分析(DMA)により、又はASTM D3418に準拠してDSCにより測定される、100℃、90℃、及び80℃のいずれかから選択される上限から-50℃、-60℃、及び-70℃のいずれかから選択される下限までの範囲のガラス転移温度(Tg)を有するポリマーを含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0071】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ASTM D3418に準拠しDSCによって測定される、0℃、10℃、20℃、30℃及び40℃のうちのいずれかから選択される下限から、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃及び150℃のうちのいずれかから選択される上限までの範囲の融解温度(Tm)を有するポリマーを含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、Tmを示さず、完全に非晶質のポリマー組成物の特性を示すこともあるポリマーを含んでもよい。
【0072】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ASTM D3418に準拠してDSCにより測定される、0℃、5℃、10℃、20℃、30℃、及び40℃のいずれかから選択される下限から80℃、90℃、100oC、110℃、120℃、130℃、140℃、及び150℃のいずれかから選択される上限までの範囲の結晶化温度(Tc)を有するポリマーを含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0073】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ASTM D3418に準拠してDSCにより測定される、0、10、20、30、40、50、及び60J/gのいずれかの下限と、140、180、200、240、及び280J/gのいずれかの上限とを有する範囲の結晶化熱を有するポリマーを含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0074】
重合条件により、広範な分子量分布(MWD)を有するポリマーの生成がもたらされる。1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、本重合方法の範囲内で得られる、1、1.5、3、5又は10のうちのいずれかの下限と、10、20、30、40、50又は60のうちのいずれかの上限を有する約1~約60の範囲のMWDを有するポリマーを含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わせて用いられてもよい。しかし、組み込まれるコモノマーの量によって、高圧条件下で生成される試料は、約1~60の広い範囲のMWDを示す。低圧条件下で生成されるコポリマー及びターポリマーは、1~300kDaの数平均分子量、1~1000kDaの質量平均分子量、及び1~60のMWDを呈し得る。他方、高圧条件下で生成されるコポリマー及びターポリマーは、1~10000kDaの数平均分子量、1~20000kDaの質量平均分子量、及び1~60のMWDを示し得る。
【0075】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ASTM D2240に準拠して判定される、25、35、及び45ショアAのいずれかから選択される下限から80、90、及び100ショアAのいずれかから選択される上限までの範囲の硬度を有するポリマーを含んでいてもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0076】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ASTM D2240に準拠して判定される、10、20、及び30ショアDのいずれかから選択される下限から50、60、及び70ショアDのいずれかから選択される上限までの範囲の硬度を有するポリマーを含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0077】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ASTM D368に準拠して判定される、10、50、及び100パーセントの伸びのいずれかから選択される下限から500、1000、及び2000パーセントの伸びのいずれかから選択される上限までの範囲、1、5、及び10MPaの引張強度のいずれかから選択される下限から15、30、70、100、及び500MPaの引張強度のいずれかから選択される上限までの範囲、0.1、1、5、20、及び40MPaの弾性率のいずれかから選択される下限から100、200、300、1000、及び5000MPaの弾性率のいずれかから選択される上限までの範囲の、伸び率、引張強度、及び弾性率を有するポリマーを含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0078】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ASTM D792に準拠した、0.75g/cm3、0.85g/cm3、及び0.89g/cm3のいずれかから選択される下限から1.1g/cm3、1.2g/cm3、1.3g/cm3、及び1.5g/cm3のいずれかから選択される上限までの範囲の密度を有するポリマーを含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0079】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、ASTM D6866-18の方法Bにより判定される、1%、5%、10%、及び20%のいずれかから選択される下限から60%、80%、90%、及び100%のいずれかから選択される上限までの範囲のバイオベース炭素含有率を有するポリマーを含んでもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0080】
1つ又は複数の実施形態において、長鎖分岐頻度LCBfは、どちらもPolymer Char社製のIR5赤外検出器及び4毛細管粘度測定検出器を備えたGPC機器を使用したGPC分析から計算できる。データの収集は、Polymer Char社のソフトウェアを使用して遂行した。IR5検出器によって測定した濃度は、クロマトグラムの全領域が注入された質量の100%の溶出に相当することを考慮して計算した。次いで、平均LCBfを、下記:
【0081】
【0082】
(式中、Rは、反復単位のモル質量であり、モノマー及びコモノマーの寄与に基づき、NMRによって判定されるそれぞれのモルパーセンテージを考慮して計算される)
に従って計算した。Mwは、質量平均分子量であり、ユニバーサル較正によって下記の等式:
【0083】
【0084】
に従って計算される。平均Bn定数は、下記:
【0085】
【0086】
に従って計算される。平均g'及びg定数は、下記:
【0087】
【0088】
に従って計算される。
【0089】
εは、粘度遮蔽率(viscosity shielding ratio)として公知であり、一定で0.7に等しいと仮定される。
【0090】
分岐試料の固有粘度(IV分岐)は、粘度計検出器からの比粘度(ηsp)を使用して次のように計算できる。
【0091】
【0092】
(式中、SAは試料量、KIVは粘度検出器定数であり、体積増分(ΔV)は連続する保持体積間の差によって決定される定数である(ΔV=RVi+1-RVi))
【0093】
直鎖状対応物の固有粘度(IV線状)は、Mark-Houwinkの式を使用して計算できる一方、Mark-Houwink定数は、Stacy-Haney法による濃度を考慮して固有粘度から次のように求められる。Stacey-Haney IV(IVSH)は、Stacy-Haney濃度に基づき、
【0094】
【0095】
によって計算され、式中、CSHは、
【0096】
【0097】
から求められる一方、ηrelは、相対粘度(ηrel=ηsp+1)であり、(hv)iは、ユニバーサル較正曲線からの各溶出体積スライスでの流体力学的体積であり、Mark-Houwink指数aは、直鎖状ポリエチレンホモポリマーの参考値0.725と定義され、定数Kは、以下:
【0098】
【0099】
に従って計算される。
【0100】
【0101】
から、各溶出体積スライスでの分子量(MSH)も、
【0102】
【0103】
に従って求められる。
【0104】
【0105】
対
【0106】
【0107】
をどちらも対数スケールでプロットすると、線状ポリマーのMark-Houwink定数kとaが導かれる。最後に、IV線状は、下記:
【0108】
【0109】
[式中、Mvは、ユニバーサル較正と、IR5赤外検出器による濃度による粘度平均分子量であり、下記:
【0110】
【0111】
(式中、Niは、分子量がMiのi番目の分子の番号である)
に従って計算される]
のように計算することができる。Miは、IR5赤外検出器による濃度と、ユニバーサル較正からの流体力学的体積(
【0112】
【0113】
)を考慮して求められる。Miは、保持体積に対してプロットされ、曲線のノイズの多い極値が除去され、次いで、3次適合多項式を使用して外挿される。この3次適合多項式から導出される等式を使用して、保持体積の関数としてMiを計算する。1つ又は複数の実施形態において、ポリマーは、GPC分析により計算される、0~10の範囲、例えば、1、0.5、1、又は1.5のいずれかの下限から2、4、6、8、又は10のいずれかの上限までの長鎖分岐頻度を有してもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0114】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマーは、13C NMRにより測定される、0~10の範囲、例えば0、0.2、0.4、0.6、0.8、又は1のいずれかの下限から2、4、6、8、又は10のいずれかの上限までの範囲の長鎖分岐含有率を有してもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0115】
13C NMR分析において、長鎖分岐(LCB)は、6個以上の炭素を持つ任意の分岐と定義される。13C NMRスペクトルに基づき、分岐ポリマー中のLCB含有率(B6+)は、下記式:
B6+ = S3,ポリマー - S3,ビニルエステルモノマー
(式中、S3ピークは、13C NMRスペクトル上で32.2ppmに位置する)
から計算される。この方法は、分岐(B6+)と主鎖の鎖末端との両方を考慮するもので、ビニルエステルモノマー中の長鎖分岐の影響は、その13C NMRスペクトルを使用して補正され、鎖末端の影響も、GPCデータを用いて補正することができる。
【0116】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマーは、連続自己核形成及びアニーリング(SSA)による熱分画後に、0~20の極小、例えば0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10の極小のいずれかの下限と、12、14、16、18、又は20の極小のいずれかの上限を有する熱流量対温度曲線を有してもよく、いずれの下限をいずれの上限と組み合わせてもよく、極小は、140~150℃、130~140℃、120~130℃、110~120℃、100~110℃、90~100℃、80~90℃、70~80℃、60~70℃、50~60℃、40~50℃、30~40℃、20~30℃、10~20℃、及び/又は0~10℃の温度範囲に割り当てられてもよい。こうした熱分画は、温度プロトコル(一連の加熱及び冷却サイクル)を使用して、コポリマー及びターポリマー中のメチル配列長の分布を反映するサイズの層状結晶の分布を生成することができる。熱分画は、TA Instruments社Discovery DSC 2500において、窒素下で行うことができる。冷却サイクルはすべて5℃/分で行ってもよく、加熱サイクルは20℃/分で行ってもよい。試料を25℃から150℃まで加熱し、150℃で5分間保持し、25℃まで冷却し、この温度に3分間保持することができる。続いて、試料を第1のアニーリング温度(140℃)に加熱し、この温度に5分間保持し、25℃まで冷却することができる。次いで、試料を次のアニーリング温度(130℃)まで再度加熱し、この温度に5分間保持し、25℃まで冷却することができる。この手順を、最後のアニーリング温度(例えば0℃であるが、これに限定されない)に到達するまで10℃刻みで繰り返してもよい。次いで、融解プロファイルを得るため、試料を150℃まで20℃/分で加熱することができる。
【0117】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマーは、250℃から400℃までの間の質量損失の全コモノマー含有率に対する比が0~2、例えば0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、及び1のいずれかの下限から1.2、1.4、1.6、1.8、又は2のいずれかの上限までの範囲である、熱重量分析(TGA)により測定される熱安定性を有してもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0118】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマーは、0.1MPa~10Gpaの0℃での貯蔵弾性率、例えば、0.1、1、2、5、10、20、40、60、80、又は100MPaのいずれかの下限と、200MPa、300MPa、400MPa、500MPa、700MPa、1GPa、5GPa、又は10GPaのいずれかの上限を有してもよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0119】
1つ又は複数の実施形態において、ポリマーは、tanδ対温度のプロットにおいて、-75℃から75℃の間に1~2つの緩和極大を有してもよく、より高温でのピークがαと呼ばれ、より低温でのピークがβと呼ばれる。1つ又は複数の実施形態において、Tα(αピークに対応する温度)は、-75℃から75℃の間、例えば、-75、-60、-50、-40、-30、-20、-10、又は0℃のいずれかの下限と、10、20、30、40、50、60、又は75℃のいずれかの上限の間で変化する可能性があり、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。1つ又は複数の実施形態において、Tβ(βピークに対応する温度)は、-75℃から50℃の間、例えば-75、-60、-50、-40、-30、-20、-10、又は0℃のいずれかの下限と、10、20、30、40、又は50℃のいずれかの上限の間で変化する可能性があり、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0120】
ホットメルト接着剤組成物調製方法
本開示によるホットメルト接着剤組成物は、任意の従来のバッチ、セミバッチ又は連続混合装置において調製することができる。1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、接着剤配合物のための任意の公知のプロセスにおいて、例えばシグマミキサー、水平式混合機、混練機、ブレンダー、バンバリーミキサー、混合ローラー、押出機、及び任意の他の入手可能な製造装置における、溶融混合を含んでもよい混合により調製することができる。
【0121】
1つ又は複数の実施形態において、成分はすべて、単一ステップで一緒に混合されてもよい。他の実施形態において、複数種のポリマーがホットメルト接着剤組成物中に存在する場合、例えば押出機中で、代替としてペレット化されて、後続の混合工程において他の成分と混合する前に、従来の混合装置中にポリマーの予備混合工程があってもよい。
【0122】
1つ又は複数の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃及び150℃のうちのいずれかから選択される下限から、180℃、190℃、200℃、210℃及び220℃のうちのいずれかから選択される上限までの範囲の温度で混合されたものであってよく、いずれの下限がいずれの上限と組み合わされてもよい。
【0123】
ポリマー調製方法
1つ又は複数の実施形態において、本開示によるホットメルト接着剤組成物中のポリマーは、エチレン及び1又は複数種の分岐ビニルエステルモノマーの重合により、反応器中で調製されてもよい。ラジカル開始剤の存在下でコモノマーを反応させる方法は、液相重合、加圧ラジカル重合、バルク重合、エマルション重合、及び懸濁重合を含む、当技術分野における任意適切な方法を含んでもよい。1つ又は複数の実施形態において、反応器は、低圧重合系として知られる500bar未満の圧力でのバッチ又は連続式反応器であってもよい。1つ又は複数の実施形態において、反応は、エチレン及び1又は複数種のビニルエステルモノマーが、不活性溶媒及び/又は1又は複数種の液体モノマーの液体相中で重合される低圧重合プロセスにおいて行われる。一実施形態において、重合は、重合ゾーンの体積の1リットル当たりのフリーラジカル重合用の1又は複数種の開始剤の総量として算定される、約0.0001~約0.01ミリモルの量のフリーラジカル重合用の開始剤を含む。重合ゾーン中のエチレンの量は、主として約20bar~約500barの範囲の反応器の合計圧力及び約20℃~約300℃の範囲の温度に依存する。1つ又は複数の実施形態において、反応器内の圧力は、20、30、40、50、75又は100barのいずれかの下限と、100、150、200、250、300、350、400、450又は500barのいずれかの上限を、反応器内の温度は、20℃、50℃、75℃又は100℃のうちのいずれかの下限と、150℃、200℃、250℃、300℃のうちのいずれかの上限を有してもよい。本開示による重合プロセスの液相は、エチレン、1又は複数種のビニルエステルモノマー、フリーラジカル重合のための開始剤を含んでもよく、任意選択で1又は複数種の不活性溶媒、例えばテトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、ジクロロメタン(DCM)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、炭酸ジメチル(DMC)、ヘキサン、シクロヘキサン、酢酸エチル(EtOAc)、アセトニトリル、トルエン、キシレン、エーテル、ジオキサン、ジメチル-ホルムアミド(DMF)、ベンゼン、又はアセトンを含んでもよい。低圧条件下で生成されるコポリマー及びターポリマーは、1~300kDaの数平均分子量、1~1000kDaの質量平均分子量、及び1~60のMWDを呈し得る。
【0124】
1つ又は複数の実施形態において、コモノマー及び1又は複数種のフリーラジカル重合開始剤は、高圧重合システムとして知られる、50℃を超える温度、及び1000barを超える圧力で、連続的又はバッチプロセスで重合される。例えば、1000、1100、1200、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、3000、5000、又は10000barを超える圧力を使用してもよい。高圧条件下で生成されるコポリマー及びターポリマーは、1~10000kDaの数平均分子量(Mn)、1~20000kDaの質量平均分子量(Mw)を有し得る。分子量分布(MWD)は、GPCによって得られる質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比から得られる。高圧条件下で生成されるコポリマー及びターポリマーは、1~60のMWDを有し得る。
【0125】
1つ又は複数の実施形態において、低圧重合及び高圧重合系での重合中の変換率は、モノマー及びコモノマーの質量又は質量流量で除した生成したポリマーの質量又は質量流量と定義され、0.01%、0.1%、1%、2%、5%、7%、10%のいずれかの下限と、15%、17%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、99%又は100%のいずれかの上限を有してもよい。
【0126】
多層構造体
本開示によるホットメルト接着剤組成物は、類似又は相違する基材を接合することによって多層構造体又は多層物品を生成するために使用されてもよい。本開示によるホットメルト接着剤組成物を使用して接合されてもよい基材のタイプに実用的上の制限はないが、例示の基材は、織物、不織布材料、ポリマー及びポリマー状材料、例えばポリウレタン、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリアクリル、ポリスチレン、金属、セルロース、例えば木材、厚紙、紙、クラフト紙等を含んでもよい。基材は、フィルム、ブロック、シート、繊維、糸、ストリップ、リボン、コーティング、箔、バンド等の形態をとってもよい。
【0127】
1つ又は複数の実施形態において、基材を、類似又は相違する基材に接合する方法は、少なくとも1種の基材にホットメルト接着剤組成物を適用する工程及び層を一緒に接合する工程を含んでもよい。例えば、接着剤組成物は溶融され、それが接合される少なくとも1種の基材に適用されてもよい。基材上への適用は、例えばカレンダー、ラミネート装置(例えば、平坦床ラミネート装置)の使用によって、様々な溶接技法によって、又は様々な熱源を使用してもよい様々なバッチプロセスによってもよい。
【0128】
本開示の1つ又は複数の実施形態はまた、ホットメルト接着剤組成物の少なくとも1つの層及び1つ又は複数の基材層を含んでいてもよい、多層物品を対象とする。多層物品の基材層は、織物、不織布材料、ポリマー及びポリマー状材料、例えばポリウレタン、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリアクリル、ポリスチレン、金属、セルロース、例えば木材、厚紙、紙、クラフト紙等から製造されてもよい。
【0129】
1つ又は複数の実施形態において、本開示による多層物品は、1つ又は複数の基材層を一緒に接合するためのバイオベース炭素含量を有するホットメルト接着剤組成物を含んでもよい。1つ又は複数の実施形態において、類似又は相違する基材に基材を接合する方法は、少なくとも1種の基材に、バイオベース炭素含量を有するホットメルト接着剤組成物を適用する工程、及びそれらの層を一緒に接合する工程を含んでもよい。
【実施例】
【0130】
下記の実施例は単なる例示であり、本開示の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。高圧条件下で様々な量の酢酸ビニルとHEXION(商標)社製ビニルカルボニルモノマーVeoVa(商標)10(炭素数10のバーサチック酸のビニルエステルの異性体の混合物)を組み入れたエチレン系ポリマーを生成して、得られた組成物について幾つかのポリマー特性を分析した。
【0131】
エチレン、VeoVa(商標)10 (Hexion社)、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノアート、ヘプタン(99%、Sigma Aldrich社)、及び酢酸ビニル(99%、Sigma Aldrich社)は、そのまま使用した。VeoVa(商標)10及び任意選択で含まれていてよい酢酸ビニルの、エチレンとのコポリマー及びターポリマーの合成を、高圧条件下で遂行した。
【0132】
(実施例1)
様々な流量のエチレン、酢酸ビニル、VeoVa(商標)10、ヘプタン、及びtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノアートを、高圧反応器で混合することにより、コモノマー混合物の連続フリーラジカル重合を用いてポリマー組成物を調製した。毎回の重合の前に、反応器を2200~2300barのエチレンで5回パージした。各反応は、反応器を200℃に加熱し、1900~2000barの圧力までエチレンを送給することにより開始させた。次いで、2000g/時の割合でエチレンの連続流を反応器に送給した。目標圧力と安定したエチレン流が達成された後、コモノマーを反応器に添加した。開始剤とヘプタンの混合物を2mL/時の流量で系に導入した。反応混合物を回収し、反応器を145℃のキシレンで洗浄した。得られたポリマーをキシレンに溶解し、冷メタノール中に沈殿させ、次いで真空ろ過した。得られたポリマーは、77.6wt%のエチレン及び22.4wt%のVeoVa(商標)10を含んでいた。
【0133】
(実施例2)
連続重合のコモノマー混合物を変えた以外、実施例1に記載のようにポリマー組成物を調製した。得られたポリマーは70.4wt%のエチレン、21.2wt%の酢酸ビニル及び8.4wt%のVeoVa(商標)10を含んでいた。
【0134】
(実施例3)
連続重合のコモノマー混合物を変えた以外、実施例1に記載のようにポリマー組成物を調製した。得られたポリマーは、69.2wt%のエチレン、25.8wt%の酢酸ビニル及び5wt%のVeoVa(商標)10を含んでいた。
【0135】
(比較例1)
比較例1は、特殊配合用途及びホットメルト接着剤のための、高い酢酸ビニル含有率を有するエチレン酢酸ビニル(EVA)のコポリマーである、Braskem社によって製造された商用樹脂HM2528である。樹脂は、低粘度、並びに接着剤樹脂及びワックスと優れた適合性を呈する。更に、それは、任意の種類のフィラーを用いて優れた荷重特性を届ける。このポリマーは72wt%のエチレン及び28wt%の酢酸ビニルを含む。
【0136】
(比較例2)
比較例2は、様々なホットメルト用途のために設計された、エチレン酢酸ビニル(EVA)のコポリマーである、Braskem社によって製造された商用樹脂、HM150である。樹脂は、中程度の低粘度及び優れた接着性を兼ね備えている。HM150は、最も粘着付与性の樹脂及びワックスと高度に相溶性を有する。このポリマーは80wt%のエチレン及び20wt%の酢酸ビニルを含む。
【0137】
(比較例3)
比較例3は、比較例1及び比較例2において使用した試料のブレンドである。ブレンドの成分を、組成(19.6wt%の比較例1及び80.4wt%の比較例2)中で混合して、190℃/2.16kgで115g/10分のメルトフローインデックスを有するブレンドを得た。
【0138】
Table 1(表1)に、全ての合成コポリマー及びターポリマーについての化学組成及びメルトフローレートを要約する。ASTM D1238に準拠して190℃/2.16kgでMFRを判定した。
【0139】
【0140】
ホットメルト接着剤組成物の調製
【0141】
(実施例4)
66gの実施例1で得られたポリマー組成物、85.4gのEscorez(商標)5637粘着付与剤、44gのSasol(商標)H1ワックス及び0.6gのIrganox(商標)1010酸化防止剤を、金属製容器へ添加し、177℃で1時間オーブン中に保存することにより、ホットメルト接着剤組成物を調製した。次いで、混合機に溶融した原料を移し、177℃で15分間混合した。
【0142】
(実施例5)
実施例1で得られたポリマー組成物を実施例2で得られたポリマー組成物と置き換えたこと以外は、実施例4に記載のようにホットメルト接着剤組成物を調製した。
【0143】
(実施例6)
実施例1で得られたポリマー組成物を実施例3で得られたポリマー組成物と置き換えたこと以外は、実施例4に記載のようにホットメルト接着剤組成物を調製した。
【0144】
(比較例4)
実施例1で得られたポリマー組成物を比較例1のポリマー組成物と置き換えたこと以外は、実施例4に記載のようにホットメルト接着剤組成物を調製した。
【0145】
(比較例5)
実施例1で得られたポリマー組成物を比較例2のポリマー組成物と置き換えたこと以外は、実施例4に記載のようにホットメルト接着剤組成物を調製した。
【0146】
(比較例6)
実施例1で得られたポリマー組成物を比較例3で得られたポリマー組成物と置き換えたこと以外は、実施例4に記載のようにホットメルト接着剤組成物を調製した。
【0147】
Table 2(表2)は、実施例4~6及び比較例4~6のホットメルト接着剤組成物を生成するために使用した各成分のwt%比率を示す。Table 2(表2)に図示するように、すべての成分の量を一貫して保ち、市販の合成コポリマー及びターポリマーのタイプのみを変えた。Table 2(表2)に示される配合は、包装タイプのホットメルト接着剤用の標準配合である。
【0148】
【0149】
Table 3(表3)は、様々なホットメルト接着剤組成物の特性を要約する。実施例4-6及び比較例4-6の、150℃及び177℃での粘度をASTM D1084-08に準拠して判定した。結果は、エチレン及び分岐ビニルエステルモノマーのコポリマー、又はエチレン、酢酸ビニル及び分岐ビニルエステルモノマーのターポリマーを含む、実施例4-6のホットメルト接着剤組成物が、分岐ビニルエステルモノマーを含まない比較例4-6のホットメルト接着剤組成物より低い粘度を有することを示す。
【0150】
実施例4-6及び比較例4-6の溶融ガードナー色度をASTM 1544-04に準拠して判定し、剥離接着破壊温度(PAFT)及びせん断接着破壊温度(SAFT)をASTM D4498-07に準拠して判定した。
【0151】
比較例4-6の曇点をASTM D6038に準拠して判定した。曇点は透明溶液が相分離を起こし、濁った外観を形成する温度である。Table 3(表3)に図示されるように、比較例4-6は107℃、101℃及び104℃の曇点を示した。
【0152】
100時間粘度、100時間色度、及びパーセント粘度変化を、ASTM D4499に準拠して測定することにより、実施例4-6及び比較例4-6のホットメルト接着剤組成物の熱的安定性を判定した。100時間保存後の粘度、粘度変化、及び色度等のパラメーターを試験して、熱的安定性を判定する。
【0153】
【0154】
(実施例7-11)
実施例7~11は、通常の操業ではEVAコポリマーを製造する工業用プラントで製造した、1つ又は複数の実施形態の例示のターポリマーである。反応器パラメーターを調整し酢酸ビニル送給流をVeoVa 10(商標)に徐々に置き換えることによって、所望のコモノマー比率が得られるまで、生成した28wt%のVAを含むEVAをターポリマーに移行させた。Table 4(表4)に前述のターポリマーの製造用の一般的反応器条件を示す。
【0155】
【0156】
(比較例7)
比較例7は、特殊配合用途及びホットメルト接着剤のための、高い酢酸ビニル含有率を有するエチレン及び酢酸ビニル(EVA)のコポリマーである、Braskem社によって製造された商用樹脂HM728である。樹脂は、高粘度と、接着剤樹脂及びワックスとの優れた適合性とを呈する。更に、この樹脂は、任意の種類のフィラーを用いて優れた荷重特性を達成する。このポリマーは72wt%のエチレン及び28wt%の酢酸ビニルを含む。
【0157】
Table 5(表5)は、全ての合成コポリマー及びターポリマーについての化学組成及びメルトフローレートを要約する。ASTM D1238に準拠して190℃/2.16kgでMFRを判定した。
【0158】
【0159】
ホットメルト接着剤組成物の調製
【0160】
(実施例12)
100gの実施例7で得られたポリマー組成物、218gのEscorez(商標)5637粘着付与剤、80gのSasol(商標)H1ワックス、及び2gのIrganox(商標)1010酸化防止剤を金属製容器へ添加し、177℃で1時間オーブン中に保存することにより、ホットメルト接着剤組成物を調製した。次いで、混合機に溶融した原料を移し、177℃で15分間混合した。
【0161】
(実施例13)
実施例7で得られたポリマー組成物を実施例8で得られたポリマー組成物と置き換えたこと以外は、実施例12に記載のようにホットメルト接着剤組成物を調製した。
【0162】
(実施例14)
実施例7で得られたポリマー組成物を実施例9で得られたポリマー組成物と置き換えたこと以外は、実施例12に記載のようにホットメルト接着剤組成物を調製した。
【0163】
(実施例15)
実施例7で得られたポリマー組成物を実施例10のポリマー組成物と置き換えたこと以外は、実施例12に記載のようにホットメルト接着剤組成物を調製した。
【0164】
(実施例16)
実施例7で得られたポリマー組成物を実施例11のポリマー組成物と置き換えたこと以外は、実施例12に記載のようにホットメルト接着剤組成物を調製した。
【0165】
(比較例8)
実施例7で得られたポリマー組成物を比較例7で得られたポリマー組成物と置き換えたこと以外は、実施例12に記載のようにホットメルト接着剤組成物を調製した。
【0166】
Table 6(表6)は、実施例12-16及び比較例8のホットメルト接着剤組成物を製造するために使用した各成分のwt%比率を示す。Table 6(表6)に図示されるように、すべての成分の量を一貫して保ち、ターポリマーのタイプのみを変えた。Table 6(表6)に示される配合は構造用接着剤用途としての標準配合である。
【0167】
【0168】
Table 7(表7)は、様々なホットメルト接着剤組成物の特性を要約する。実施例12-16及び比較例8の粘度をASTM D1084-08に準拠して150℃及び177℃で判定した。結果は、エチレン、酢酸ビニル、及び分岐ビニルエステルモノマーのターポリマーを含む、実施例12-16のホットメルト接着剤組成物が、分岐ビニルエステルモノマーを含まない比較例8のホットメルト接着剤組成物より低い粘度を有することを示す。
【0169】
実施例12-16及び比較例8の溶融ガードナー色度をASTM 1544-04に準拠して判定し、剥離接着破壊温度(PAFT)及びせん断接着破壊温度(SAFT)をASTM D4498-07に準拠して判定した。
【0170】
実施例12-16及び比較例8の曇点をASTM D6038に準拠して判定した。曇点は透明な溶液が相分離を起こし、濁った外観を形成する温度である。Table 7(表7)に図示されるように、実施例12-16は89℃~95℃の範囲で曇点を示した。
【0171】
200時間粘度、200時間色度及びパーセント粘度変化をASTM D4499に準拠して測定することにより、実施例12-16及び比較例8のホットメルト接着剤組成物の熱的安定性を判定した。200時間保存後の粘度、粘度変化、及び色度等のパラメーターを試験して、熱的安定性を判定する。
【0172】
【0173】
ホットメルト接着剤組成物の調製
【0174】
(実施例17)
実施例7で得られ100gのポリマー組成物、218gのWestrez(商標)5101粘着付与剤、80gのSasol(商標)H1ワックス、及び2gのIrganox(商標)1010酸化防止剤を、金属製容器へ添加し、177℃で1時間オーブン中に保存することにより、ホットメルト接着剤組成物を調製した。次いで、混合機に溶融した原料を移し、177℃で15分間混合した。
【0175】
(実施例18)
実施例7で得られたポリマー組成物を実施例8で得られたポリマー組成物と置き換えたこと以外は、実施例17に記載のようにホットメルト接着剤組成物を調製した。
【0176】
(実施例19)
実施例7で得られたポリマー組成物を実施例9で得られたポリマー組成物と置き換えたこと以外は、実施例17に記載のようにホットメルト接着剤組成物を調製した。
【0177】
(実施例20)
実施例7で得られたポリマー組成物を実施例10のポリマー組成物と置き換えたこと以外は、実施例17に記載のようにホットメルト接着剤組成物を調製した。
【0178】
(実施例21)
実施例7で得られたポリマー組成物を実施例11のポリマー組成物と置き換えたこと以外は、実施例17に記載のようにホットメルト接着剤組成物を調製した。
【0179】
(比較例9)
実施例7で得られたポリマー組成物を比較例7で得られたポリマー組成物と置き換えたこと以外は、比較例17に記載のようにホットメルト接着剤組成物を調製した。
【0180】
Table 6(表6)は、実施例17-21及び比較例9のホットメルト接着剤組成物を製造するために使用した各成分のwt%比率を示す。Table 8(表8)に図示されるように、すべての成分の量を一貫して保ち、ターポリマーのタイプのみを変えた。Table 6(表6)に示される配合は構造用接着剤用途としての標準配合である。
【0181】
【0182】
Table 9(表9)は、様々なホットメルト接着剤組成物の特性を要約する。実施例17-21及び比較例9の粘度をASTM D1084-08に準拠して150℃及び177℃で判定した。結果は、エチレン、酢酸ビニル、及び分岐ビニルエステルモノマーのターポリマーを含む、実施例17-21のホットメルト接着剤組成物が、分岐ビニルエステルモノマーを含まない比較例9のホットメルト接着剤組成物より低い粘度を有することを示す。
【0183】
実施例17-21及び比較例9の溶融ガードナー色度をASTM 1544-04に準拠して判定し、剥離接着破壊温度(PAFT)及びせん断接着破壊温度(SAFT)をASTM D4498-07に準拠して判定した。
【0184】
実施例17-21及び比較例9の曇点を、ASTM D6038に準拠して判定した。Table 7(表7)に図示されるように、実施例17-21は89℃~95℃の範囲で曇点を示した。
【0185】
200時間粘度、200時間色度、及びパーセント粘度変化を、ASTM D4499に準拠して測定することにより、実施例17-21及び比較例9のホットメルト接着剤組成物の熱的安定性を判定した。200時間保存後の粘度、粘度変化、及び色度等のパラメーターを得て、熱的安定性を判定した。
【0186】
【0187】
少数の例示的な実施形態のみを上記において詳細に説明したが、当業者は、例示的な実施形態において本発明から実質的に逸脱することなく多くの変更形態が可能であることを容易に理解する。したがって、そのような変更形態はすべて、下記の特許請求の範囲に定義されるように、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。特許請求の範囲において、ミーンズ-プラス-ファンクションクローズは、引用された機能を遂行するものとして本明細書に記載の構造、及び構造的均等物だけでなく均等構造も対象とすることを意図している。したがって、釘とネジは、釘が円筒形の表面を利用して木製部品を固定するのに対し、ネジはらせん状の表面を利用するという点で構造的均等物ではないかもしれないが、木製部品を固定する環境においては、釘とネジは均等構造であるともいえる。請求項が関連する機能と共に「~する手段」という語を明示的に使用しているものを除き、本明細書のあらゆる請求項のいかなる限定に対しても35U.S.C.§112(f)を行使しないことは、出願人の明確な意図である。
【国際調査報告】