(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】音響出力装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20240116BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20240116BHJP
H04R 1/28 20060101ALI20240116BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20240116BHJP
H04R 9/02 20060101ALI20240116BHJP
H04R 3/04 20060101ALN20240116BHJP
【FI】
H04R1/10 104B
H04R1/00 317
H04R1/28 310B
H04R1/02 101Z
H04R9/02 101A
H04R3/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543187
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 CN2021095996
(87)【国際公開番号】W WO2022213459
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】202110383452.2
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 磊
(72)【発明者】
【氏名】王 真
(72)【発明者】
【氏名】王 力▲維▼
(72)【発明者】
【氏名】童 ▲ペイ▼耕
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲風▼云
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼ 心
【テーマコード(参考)】
5D012
5D017
5D220
【Fターム(参考)】
5D012BD06
5D017AB13
5D017AD13
5D220AB01
(57)【要約】
本願は、音響出力装置を提供する。前記音響出力装置は、スピーカーアセンブリを含んでもよい。前記スピーカーアセンブリは、エネルギー変換装置、振動膜及びハウジングを含んでもよい。前記振動膜は、前記エネルギー変換装置によって駆動されて振動して気導音波を発生してもよい。前記ハウジングは、前記エネルギー変換装置及び前記振動膜を収容する収容キャビティを形成してもよい。前記振動膜は、前記収容キャビティを仕切って第1のキャビティ及び第2のキャビティを形成してもよい。前記ハウジングに前記第2のキャビティと連通する放音孔が設置される。前記気導音波は、前記放音孔を介して前記音響出力装置の外部に伝達される。前記ハウジングに前記放音孔と連通する導音通路が設置されて、前記音響出力装置の外部の目標方向に前記気導音波を案内する。前記導音通路の長さは、7mm以下であってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカーアセンブリを含む音響出力装置であって、前記スピーカーアセンブリは、
エネルギー変換装置と、
前記エネルギー変換装置によって駆動されて振動して気導音波を発生する振動膜と、
前記エネルギー変換装置及び前記振動膜を収容する収容キャビティを形成するハウジングと、
を含み、
前記振動膜は、前記収容キャビティを仕切って第1のキャビティ及び第2のキャビティを形成し、前記ハウジングには、前記第2のキャビティと連通する放音孔が設置され、前記気導音波は、前記放音孔を介して前記音響出力装置の外部に伝達され、
前記ハウジングに前記放音孔と連通する導音通路が設置されて、前記音響出力装置の外部の目標方向に前記気導音波を案内し、前記導音通路の長さは、7mm以下である、音響出力装置。
【請求項2】
前記導音通路の長さは、2mm~5mmの範囲である、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
前記導音通路の断面積は、4.8mm
2以上である、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記導音通路の断面積は、前記気導音波の伝達方向に沿って徐々に増大する、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記導音通路の入口端の断面積は、10mm
2以上である、請求項4に記載の音響出力装置。
【請求項6】
前記導音通路の出口端の断面積は、15mm
2以上である、請求項4に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記導音通路の体積と前記第2のキャビティの体積との比は、0.05~0.9の範囲である、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項8】
前記第2のキャビティの体積は、400mm
3以下である、請求項7に記載の音響出力装置。
【請求項9】
前記導音通路の通路壁は、曲面構造を含む、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項10】
前記導音通路の出口端に音響インピーダンス網が覆設され、前記音響インピーダンス網の空隙率は、13%以上である、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項11】
前記ハウジングは、皮膚接触領域を含み、前記皮膚接触領域は、前記エネルギー変換装置によって駆動されて振動して骨導音波を発生する、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項12】
前記振動膜は、前記エネルギー変換装置及び前記ハウジングのうちの少なくとも1つに物理的に接続され、前記振動膜は、前記エネルギー変換装置及び前記ハウジングのうちの少なくとも1つに対して相対的に運動して前記気導音波を発生する、請求項11に記載の音響出力装置。
【請求項13】
前記エネルギー変換装置は、
磁場を提供する磁気回路アセンブリと、
受信されたオーディオ信号に応答して前記磁場の作用で振動するコイルと、
前記コイルを支持し、少なくとも一部が前記ハウジングの振動方向の垂直方向に沿って前記ハウジングの側方から露出するコイルホルダと、
を含み、
前記音響出力装置は、 前記導音通路及び凹み領域を含む導音部材をさらに含み、前記導音部材が前記ハウジングに物理的に接続される場合、前記コイルホルダは、前記凹み領域内に位置する、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項14】
前記ハウジング及び前記導音部材のうちの一方に挿着孔が設置され、前記ハウジング及び前記導音部材のうちの他方に挿着柱が設置され、前記挿着柱は、前記挿着孔内に挿着固定される、請求項13に記載の音響出力装置。
【請求項15】
前記放音孔を介して出力された前記気導音波は、第1の共振ピークを有し、前記音響出力装置は、
ヘルムホルツ共振キャビティをさらに含み、前記ヘルムホルツ共振キャビティは、前記気導音波の前記第1の共振ピークを低減するように、共振キャビティ及び少なくとも1つの共振キャビティ口を含む、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの共振キャビティ口は、前記第2のキャビティの側壁に設置される、請求項15に記載の音響出力装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの共振キャビティ口が開放状態にある場合の前記第1の共振ピークのピーク共振強度と、前記少なくとも1つの共振キャビティ口が閉鎖状態にある場合の前記第1の共振ピークのピーク共振強度との差は、3dB以上である、請求項16に記載の音響出力装置。
【請求項18】
前記ヘルムホルツ共振キャビティは、前記第1のキャビティと前記第2のキャビティの両方と連通し、前記第1のキャビティと連通する共振キャビティ口の面積は、前記第2のキャビティと連通する共振キャビティ口の面積以上である、請求項15に記載の音響出力装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの共振キャビティ口に音響インピーダンス網が設置され、前記音響インピーダンス網の空隙率は、3%以上である、請求項15に記載の音響出力装置。
【請求項20】
前記ハウジングは、第1のハウジングと第2のハウジングを含み、前記第1のハウジングは、前記第1のキャビティの少なくとも一部を構成し、かつ第1の共振周波数を有し、前記第2のハウジングは、前記第2のキャビティの少なくとも一部を構成し、かつ第2の共振周波数を有し、前記第1の共振周波数は、前記第2の共振周波数より小さい、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項21】
前記第2の共振周波数は、2kHz以下である、請求項20に記載の音響出力装置。
【請求項22】
前記第2の共振周波数は、1kHz以下である、請求項20に記載の音響出力装置。
【請求項23】
前記第1のハウジングの振動周波数が20Hz~150Hzである場合、前記第2のハウジングと前記第1のハウジングとの位相差は、-π/3~+π/3であり、
前記第1のハウジングの振動周波数が2kHz~4kHzである場合、前記第2のハウジングと前記第1のハウジングとの位相差は、2π/3~4π/3である、請求項20に記載の音響出力装置。
【請求項24】
前記音響出力装置が装着状態にある場合、前記皮膚接触領域の第1の領域は、ユーザーの皮膚に接触して前記エネルギー変換装置によって駆動されて振動して前記骨導音波を発生し、前記皮膚接触領域の第2の領域は、前記ユーザーの皮膚に接触しない、請求項11に記載の音響出力装置。
【請求項25】
前記第2の領域と前記ユーザーの皮膚との夾角は、0°~45°の範囲である、請求項24に記載の音響出力装置。
【請求項26】
前記第2の領域と前記ユーザーの皮膚との夾角は、10°~30°の範囲である、請求項24に記載の音響出力装置。
【請求項27】
支持アセンブリをさらに含み、前記支持アセンブリは、一端が前記ハウジングに接続され、前記スピーカーアセンブリを支持し、前記第2の領域は、前記第1の領域より前記支持アセンブリから離れる、請求項24に記載の音響出力装置。
【請求項28】
オーディオ信号を前記エネルギー変換装置の駆動信号に変換する信号処理回路をさらに含み、前記信号処理回路の前記オーディオ信号の第1の周波数帯域に対する信号利得係数は、前記信号処理回路の第2の周波数帯域に対する信号利得係数より大きく、前記第2の周波数帯域は、前記第1の周波数帯域より高い、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項29】
前記第1の周波数帯域は、少なくとも500Hzを含み、前記第2の周波数帯域は、少なくとも3.5kHz又は4.5kHzを含む、請求項28に記載の音響出力装置。
【請求項30】
前記放音孔を介して出力された前記気導音波は、第1の共振ピークを有し、前記第1の共振ピークのピーク共振周波数は、前記第2の周波数帯域内にあるか、又は前記第2の周波数帯域より高い、請求項28に記載の音響出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電子機器の技術分野に関し、特に音響出力装置に関する。
【0002】
[参照による援用]
本願は、2021年4月9日に提出された中国出願第202110383452.2号の優先権を主張するものであり、その全ての内容は、参照により本願に組み込まれるものとする。
【背景技術】
【0003】
電子機器の絶え間ない発展に伴い、音響出力装置(例えば、イヤホン)は、人々の日常生活に不可欠なソーシャルツール、娯楽ツールになっており、音響出力装置に対する人々の要求もますます高くなっている。しかしながら、従来の音響出力装置には、依然として多くの問題があり、例えば、構造が複雑であり、音質が低く、漏れ音が深刻である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、ユーザーの需要を満たすために、構造が簡単で、音響性能が高い音響出力装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施例は、音響出力装置を提供する。前記音響出力装置は、スピーカーアセンブリを含んでもよい。該スピーカーアセンブリは、エネルギー変換装置、振動膜及びハウジングを含んでもよい。振動膜は、エネルギー変換装置によって駆動されて振動して気導音波を発生してもよい。ハウジングは、前記エネルギー変換装置及び前記振動膜を収容する収容キャビティを形成してもよい。振動膜は、前記収容キャビティを仕切って第1のキャビティ及び第2のキャビティを形成してもよい。ハウジングに第2のキャビティと連通する放音孔が設置されてもよい。気導音波は、放音孔を介して音響出力装置の外部に伝送されてもよい。該音響出力装置の外部の目標方向に気導音波を案内するように、ハウジングに放音孔と連通する導音通路が設置されてもよい。導音通路の長さは、7mm以下であってもよい。
【0006】
いくつかの実施例では、前記導音通路の長さは、2mm~5mmの範囲であってもよい。
【0007】
いくつかの実施例では、前記導音通路の断面積は、4.8mm2以上であってもよい。
【0008】
いくつかの実施例では、前記導音通路の断面積は、前記気導音波の伝達方向に沿って徐々に増大してもよい。
【0009】
いくつかの実施例では、前記導音通路の入口端の断面積は、10mm2以上であってもよい。
【0010】
いくつかの実施例では、前記導音通路の出口端の断面積は、15mm2以上であってもよい。
【0011】
いくつかの実施例では、前記導音通路の体積と前記第2のキャビティの体積との比は、0.05~0.9の範囲であってもよい。
【0012】
いくつかの実施例では、前記第2のキャビティの体積は、400mm3以下であってもよい。
【0013】
いくつかの実施例では、前記導音通路の通路壁は、曲面構造を含んでもよい。
【0014】
いくつかの実施例では、前記導音通路の出口端に音響インピーダンス網が覆設され、前記音響インピーダンス網の空隙率は、13%以上であってもよい。
【0015】
いくつかの実施例では、前記ハウジングは、皮膚接触領域を含んでもよく、前記皮膚接触領域は、前記エネルギー変換装置によって駆動されて振動して骨導音波を発生してもよい。
【0016】
いくつかの実施例では、前記振動膜は、前記エネルギー変換装置及び前記ハウジングのうちの少なくとも1つに物理的に接続される。前記振動膜は、前記エネルギー変換装置及び前記ハウジングのうちの少なくとも1つに対して相対的に運動して前記気導音波を発生する。
【0017】
いくつかの実施例では、前記エネルギー変換装置は、磁気回路アセンブリ、コイル及びコイルホルダを含んでもよい。磁気回路アセンブリは、磁場を提供してもよい。コイルは、受信されたオーディオ信号に応答して前記磁場の作用で振動してもよい。コイルホルダは、前記コイルを支持してもよい。前記コイルホルダの少なくとも一部は、前記ハウジングの振動方向の垂直方向に沿って前記ハウジングの側方から露出する。前記音響出力装置は、導音部材をさらに含んでもよい。前記導音部材は、前記導音通路及び凹み領域を含んでもよく、前記導音部材が前記ハウジングに物理的に接続される場合、前記コイルホルダは、前記凹み領域内に位置する。
【0018】
いくつかの実施例では、前記ハウジング及び前記導音部材のうちの一方に挿着孔が設置されてもよい。前記ハウジング及び前記導音部材のうちの他方に挿着柱が設置されてもよい。前記挿着柱は、前記挿着孔内に挿着固定されてもよい。
【0019】
いくつかの実施例では、前記放音孔を介して出力された前記気導音波は、第1の共振ピークを有してもよい。前記音響出力装置は、ヘルムホルツ共振キャビティをさらに含んでもよい。前記ヘルムホルツ共振キャビティは、前記気導音波の前記第1の共振ピークを低減するように、共振キャビティ及び少なくとも1つの共振キャビティ口を含んでもよい。
【0020】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの共振キャビティ口は、前記第2のキャビティの側壁に設置されてもよい。
【0021】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの共振キャビティ口が開放状態にある場合の前記第1の共振ピークのピーク共振強度と、前記少なくとも1つの共振キャビティ口が閉鎖状態にある場合の前記第1の共振ピークのピーク共振強度との差は、3dB以上であってもよい。
【0022】
いくつかの実施例では、前記ヘルムホルツ共振キャビティは、前記第1のキャビティと前記第2のキャビティの両方と連通してもよい。前記第1のキャビティと連通する共振キャビティ口の面積は、前記第2のキャビティと連通する共振キャビティ口の面積以上であってもよい。
【0023】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの共振キャビティ口に音響インピーダンス網が設置されてもよく、前記音響インピーダンス網の空隙率は、3%以上であってもよい。
【0024】
いくつかの実施例では、前記ハウジングは、第1のハウジングと第2のハウジングを含んでもよい。前記第1のハウジングは、前記第1のキャビティの少なくとも一部を構成し、かつ第1の共振周波数を有してもよい。前記第2のハウジングは、前記第2のキャビティの少なくとも一部を構成し、かつ第2の共振周波数を有してもよい。前記第1の共振周波数は、前記第2の共振周波数より小さい。
【0025】
いくつかの実施例では、前記第2の共振周波数は、2kHz以下であってもよい。
【0026】
いくつかの実施例では、前記第2の共振周波数は、1kHz以下であってもよい。
【0027】
いくつかの実施例では、前記第1のハウジングの振動周波数が20Hz~150Hzである場合、前記第2のハウジングと前記第1のハウジングとの位相差は、-π/3~+π/3であってもよい。いくつかの実施例では、前記第1のハウジングの振動周波数が2kHz~4kHzである場合、前記第2のハウジングと前記第1のハウジングとの位相差は、2π/3~4π/3である。
【0028】
いくつかの実施例では、前記音響出力装置が装着状態にある場合、前記皮膚接触領域の第1の領域は、ユーザーの皮膚に接触して前記エネルギー変換装置によって駆動されて振動して前記骨導音波を発生し、前記皮膚接触領域の第2の領域は、前記ユーザーの皮膚に接触しない。
【0029】
いくつかの実施例では、前記第2の領域と前記ユーザーの皮膚との夾角は、0°~45°の範囲であってもよい。
【0030】
いくつかの実施例では、前記第2の領域と前記ユーザーの皮膚との夾角は、10°~30°の範囲であってもよい。
【0031】
いくつかの実施例では、前記音響出力装置は、支持アセンブリをさらに含んでもよい。前記支持アセンブリは、一端が前記ハウジングに接続され、前記スピーカーアセンブリを支持し、前記第2の領域は、前記第1の領域より前記支持アセンブリから離れる。
【0032】
いくつかの実施例では、前記音響出力装置は、信号処理回路をさらに含んでもよい。前記信号処理回路は、オーディオ信号を前記エネルギー変換装置の駆動信号に変換してもよい。前記信号処理回路の前記オーディオ信号の第1の周波数帯域に対する信号利得係数は、前記信号処理回路の第2の周波数帯域に対する信号利得係数より大きくてもよく、前記第2の周波数帯域は、前記第1の周波数帯域より高い。
【0033】
いくつかの実施例では、前記第1の周波数帯域は、少なくとも500Hzを含み、前記第2の周波数帯域は、少なくとも3.5kHz又は4.5kHzを含む。
【0034】
いくつかの実施例では、前記放音孔を介して出力された前記気導音波は、第1の共振ピークを有し、前記第1の共振ピークのピーク共振周波数は、前記第2の周波数帯域内にあるか、又は前記第2の周波数帯域より高い。
【0035】
付加的な特徴は、以下の説明に部分的に説明され、以下の内容及び図面を検討することにより当業者に明らかになるか、又は実施例の生成又は運用により習得されてもよい。本発明の特徴は、以下の詳細な実施例に説明される方法、ツール及び組み合わせの様々な態様を実施又は使用することにより実現し、達成することができる。
【0036】
例示的な実施例により本願をさらに説明する。図面を参照して上記例示的な実施例をより詳細に説明する。上記実施例は、非限定的かつ例示的な実施例であり、同じ符号は、図面におけるいくつかの図における類似する構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1A】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
【
図2A】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
【
図2B】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
【
図2C】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
【
図2D】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
【
図2E】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
【
図3】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響インピーダンス網の概略図である。
【
図4】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
【
図6A】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置のブロック図である。
【
図6B】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
【
図6C】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
【
図6D】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
【
図6E】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
【
図7】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の気導音波の周波数応答曲線図である。
【
図8】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の気導音波の周波数応答曲線図である。
【
図9】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
【
図10】本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の気導音波の周波数応答曲線を示す図である。
【
図11】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
【
図12】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置のブロック図である。
【
図13】本願のいくつかの実施例に係る、例示的な音響出力装置がユーザーに振動信号を伝達する過程に関連する状態の概略図である。
【
図14】本願のいくつかの実施例に係る、例示的な音響出力装置がユーザーに振動信号を伝達する過程に関連する状態の概略図である。
【
図15】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
【
図16】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本願の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、本願の例又は実施例の一部に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本願を他の類似するシナリオに適用することができる。言語環境から明らかではないか又は明記されていない限り、図面において同じ符号は同じ構造又は操作を示す。
【0039】
本願及び特許請求の範囲で使用されるように、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「1つ」、「1個」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を指すものではなく、複数形を含んでもよい。一般的には、用語「含む」及び「含有」は、明確に特定されたステップ及び要素を含むことを提示するものに過ぎず、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列ではなく、方法又はデバイスは、他のステップ又は要素も含む可能性がある。
【0040】
本明細書で使用される「データブロック」、「システム」、「エンジン」、「ユニット」、「アセンブリ」、「モジュール」及び/又は「ブロック」が、レベルの異なる様々なアセンブリ、素子、部品、部分又はアセンブリを区別する方法であることを理解されたい。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0041】
要素の間(例えば、層の間)の空間的関係及び機能的関係は、「接続」、「接合」、「インタフェース」及び「結合」を含む様々な用語を用いて説明される。本願において第1の要素と第2の要素との関係を説明する場合、「直接」と明確に説明されない限り、該関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の中間要素が存在しないという直接関係、及び第1の要素と第2の要素との間に(空間的又は機能的に)1つ以上の中間要素が存在するという間接関係を含む。逆に、素子が別の素子に「直接」接続、接合、インタフェース又は結合されると記載されている場合、中間素子が存在しない。また、様々な方式で素子の間の空間的関係及び機能的関係を実現することができる。例えば、2つの素子の間の機械的接続は、溶接接続、キー接続、ピン接続、締り嵌め接続など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。要素の間の関係を説明するための他の用語は、類似する方式で説明すべきである(例えば、「の間」、「…との間」、「隣接」及び「直接隣接」など)。
【0042】
本願の実施例は、音響出力装置を提供する。該音響出力装置は、スピーカーアセンブリを含んでもよい。スピーカーアセンブリは、エネルギー変換装置、振動膜及びハウジングを含んでもよい。エネルギー変換装置は、オーディオ信号を機械的振動信号に変換してもよい。振動膜は、エネルギー変換装置によって駆動されて振動して気導音波を発生してもよい。
【0043】
ハウジングは、エネルギー変換装置及び振動膜を収容する収容キャビティを形成してもよい。振動膜は、収容キャビティを仕切って第1のキャビティ及び第2のキャビティを形成してもよい。ハウジングに第2のキャビティと連通する放音孔が設置されてもよい。気導音波は、放音孔を介して音響出力装置の外部に伝達されてもよい。いくつかの実施例では、エネルギー変換装置により発生した振動がハウジングに伝達された後、ハウジングが明らかに振動することを引き起こす。ハウジングの振動はまた、ハウジングのユーザーに接触する領域を介してユーザーに伝達されることにより、ユーザーが知覚できる骨導音を形成する。同時に、振動膜により発生した気導音波は、放音孔を介して外部にユーザーに伝達されることにより、ユーザーが気導音に聞こえる。このときに、該音響出力装置は、ユーザーに伝達される骨導音及び気導音の両方を発生することができ、便宜上、気導骨導複合型音響出力装置と呼ばれてもよい。いくつかの代替的な実施例では、エネルギー変換装置により、ハウジングがユーザーにほとんど知覚されない微弱な振動のみを発生する。このときに、該音響出力装置は、ユーザーに伝達される気導音のみを発生すると見なされ、便宜上、気導音響出力装置と呼ばれてもよい。本願の実施例では、特に説明しない限り、発生した気導音に関連する構造(例えば、放音孔、調音孔、減圧孔、音響インピーダンス網など)は、上記音響出力装置が骨導音及び気導音の両方を発生できる場合に適用することができるだけでなく、当業者が創造的な労働をすることなく、上記音響出力装置が気導音のみを発生する場合に同様に適用することができると見なされる。
【0044】
いくつかの実施例では、ハウジングに放音孔と連通する導音通路が設置されて、音響出力装置の外部の目標方向に気導音波を案内する。導音通路の長さは、7mm以下である。いくつかの実施例では、長さが適切な導音通路を設置することにより、より多くの気導音波を人の耳に案内して、ユーザーのリスニング音量を増大させることができる。また、導音通路のパラメータ(例えば、導音通路の断面積、導音通路の形状など)を設定することにより、気導音波の周波数応答を調整できるため、音響出力装置の音質を調整する。いくつかの実施例では、導音通路は、導音部材に設置されてもよい。導音部材は、凹み領域をさらに有してもよい。ハウジングは、導音通路に向かう側が部分的に取り除かれることにより、その内部構造にボスが形成される。導音部材とハウジングが係合される場合、ボスは、凹み領域に嵌設されてもよく、このようにして、音響出力装置が局所的に厚すぎることを回避することができるだけでなく、導音部材とハウジングとの固定に影響を与えることがなく、それにより音響出力装置の構造を簡略化する。
【0045】
第2のキャビティと放音孔及び/又は導音通路との相互作用により、音響出力装置により発生した気導音波は、高い周波数帯域において第1の共振ピークを有する可能性があるため、音響出力装置から出力された気導音声と、それによる漏れ音とは、第1の共振ピークのピーク周波数付近の周波数帯域において急増し、リスニング音質が不均一になるとともに、漏れ音が増大する。いくつかの実施例では、音響出力装置に第2のキャビティと連通するヘルムホルツ共振キャビティを設置して、第1の共振ピークの付近の周波数帯域の音声を吸収することにより、音質を向上させるとともに漏れ音を低減するという効果を達成することができる。いくつかの実施例では、ハウジングは、第1のキャビティを構成する第1のハウジングと、第2のキャビティを構成する第2のハウジングとを含んでもよい。第1のハウジングの第1の共振周波数を第2のハウジングの第2の共振周波数より大きく設定することにより、音響出力装置が第2の共振周波数より小さい周波数帯域において強い気導音波を発生し、第2の共振周波数より高い周波数帯域において気導音波をほとんど発生しないようにすることができる。したがって、第2のハウジングの第2の共振周波数を調整することにより、気導音波を利用して特定の周波数帯域の骨導音波を補完することができる。
【0046】
いくつかの実施例では、ハウジングの皮膚接触領域がエネルギー変換装置によって駆動されて振動して骨導音波を発生する場合、皮膚接触領域を傾斜して設置して、皮膚接触領域とユーザーの皮膚との密着程度を低下させ、皮膚によるスピーカーアセンブリの振動への影響を低下させることにより、ハウジングが振動して大きな気導音波を発生するとともに骨導音波の伝達効果に影響を与えない。いくつかの実施例では、皮膚接触領域を伝達アセンブリに設置し、かつ伝達アセンブリを介してスピーカーアセンブリにより発生した骨導音波をユーザーに伝達することにより、皮膚接触領域の振動程度と、ユーザーの皮膚との密着程度とを変化させることができる。
【0047】
いくつかの実施例では、信号処理回路によりオーディオ信号に対して等化処理を予め行って、第1の共振ピークのピーク周波数付近の気導音強度を低下させることができる。例えば、オーディオ信号の第1の周波数帯域に対する信号利得係数は、第2の周波数帯域に対する信号利得係数より大きく、第2の周波数帯域は、第1の周波数帯域より高い。第1の共振ピークのピーク周波数は、第2の周波数帯域にあるか又は第2の周波数帯域より高い。
【0048】
図1Aは、本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
図1Bは、
図1A中の音響出力装置の分解図である。音響出力装置100は、オーディオ信号(例えば、電気信号)を機械的振動信号に変換し、かつ音声の形式で外部に出力することができる。いくつかの実施例では、音響出力装置100は、補聴器、イヤホン、スマートブレスレット、スマートグラス、携帯電話、スピーカー、スマートグラスなどの音声出力能力を有する機器を含んでもよい。本願の実施例では、音響出力装置100について、イヤホンを例として例示的に説明する。
図1A及び
図1Bに示すように、音響出力装置100は、2つのスピーカーアセンブリ110、2つの耳掛けアセンブリ120、後掛けアセンブリ130、制御回路アセンブリ140及び電池アセンブリ150を含んでもよい。後掛けアセンブリ130の両端は、それぞれ、対応する耳掛けアセンブリ120の一端に物理的に接続されてもよい。2つの耳掛けアセンブリ120の他端は、それぞれ、2つのスピーカーアセンブリ110に物理的に接続されてもよい。ユーザーが音響出力装置100を装着している場合、2つのスピーカーアセンブリ110は、それぞれ、ユーザーの頭部の左側と右側に位置してもよい。いくつかの実施例では、物理的な接続は、射出成形接続、溶接、リベット接合、ボルト、接着、係着など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0049】
図1Bに示すように、スピーカーアセンブリ110は、コアハウジング112及びコアモジュール114を含んでもよい。コアハウジング112は、コアモジュール114の少なくとも一部を収容してもよい。コアモジュール114は、オーディオ信号(例えば、電気信号)を機械的振動信号に変換して、音声を発生することができる。いくつかの実施例では、コアモジュール114は、エネルギー変換装置、振動膜などを含んでもよい。エネルギー変換装置は、受信されたオーディオ信号に応答して機械的振動信号を発生することができる。振動膜は、エネルギー変換装置によって駆動されて振動して空気により伝導される音波(気導音波又は気導音声と呼ばれてもよい)を発生することができる。例えば、振動膜は、エネルギー変換装置及び/又はコアハウジング112に物理的に接続されてもよい。振動膜は、コアハウジング112及び/又はエネルギー変換装置に対して相対的に運動することにより、コアハウジング112内の空気が振動することができる。空気の振動は、ユーザーの耳(例えば、鼓膜)に作用して聴覚神経に伝達されることにより、ユーザーに聞こえる。
【0050】
いくつかの実施例では、コアハウジング112は、皮膚接触領域116を含んでもよい。皮膚接触領域116は、ユーザーの皮膚に接触してもよい。音響出力装置100が気導骨導複合型音響出力装置である場合、エネルギー変換装置により発生した振動信号は、皮膚接触領域116を介してユーザーの骨及び/又は組織に直接作用することにより、骨及び/又は組織を介してユーザーの聴覚神経に伝達されてユーザーに聞こえる。本願の実施例では、骨及び/又は組織を介して機械的振動信号が伝達されることによりユーザーに聞こえる音声は、骨導音波又は骨導音声と呼ばれてもよい。皮膚接触領域116は、コアハウジング112のフロントハウジング又は第1のハウジングと呼ばれてもよい。コアハウジング112のフロントハウジング116に対向する表面115は、コアハウジング112のリアハウジング又は第2のハウジングと呼ばれてもよい。いくつかの実施例では、皮膚接触領域116の材料及び厚さは、骨導音波のユーザーへの伝達に影響を与えることにより、音声品質に影響を与える可能性がある。例えば、皮膚接触領域116の材料が比較的柔らかい場合、低周波数範囲の骨導音波の伝達は、高周波数範囲の骨導音波の伝達より優れてもよい。逆に、皮膚接触領域116の材料が比較的硬い場合、高周波数範囲の骨導音波の伝達は、低周波数範囲の骨導音波の伝達より優れてもよい。スピーカーアセンブリに関するより多くの説明について、本願の他の箇所(例えば、
図2A、
図4、
図6A、
図9及びそれらの説明)を参照してもよい。
【0051】
なお、本願の実施例では、気導音波及び骨導音波は、エネルギー変換装置に入力されたオーディオ信号に含まれた音声コンテンツを示してもよい。音声コンテンツは、気導音波及び骨導音波の周波数成分で示されてもよい。いくつかの実施例では、気導音波の周波数成分と骨導音波の周波数成分は、異なってもよい。例えば、骨導音波は、より多くの低周波数成分を含んでもよく、気導音波は、より多くの高周波数成分を含んでもよい。本願の実施例では、低周波数帯域に対応する周波数範囲は、20Hz~150Hzであってもよく、中間周波数帯域に対応する周波数範囲は、150Hz~5kHzであってもよく、高周波数帯域に対応する周波数範囲は、5kHz~20kHzであってもよい。中低周波数帯域に対応する周波数範囲は、150~500Hzであってもよく、中高周波数帯域に対応する周波数範囲は、500~5kHzであってもよい。
【0052】
耳掛けアセンブリ120は、耳掛け122及び収容室124を含んでもよい。収容室124は、音響出力装置100の1つ以上の部材を収容してもよい。例えば、制御回路アセンブリ140及び/又は電池アセンブリ150は、収容室124内に設置されてもよい。また例えば、音響出力装置100は、ピックアップアセンブリ、通信アセンブリ(例えば、ブルートゥース(登録商標)アセンブリ、近距離無線通信(NFC)アセンブリ)などをさらに含んでもよい。ピックアップアセンブリ、通信アセンブリなどは、収容室124内に設置されてもよい。ピックアップアセンブリは、外部の音声をピックアップして、オーディオ信号に変換してもよく、通信アセンブリは、音響出力装置100を他の機器(例えば、携帯電話、コンピュータなど)に無線接続してもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置100の1つ以上の部材は、同一の耳掛けアセンブリ120の収容室内に設置されてもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置100の1つ以上の部材は、それぞれ、2つの耳掛けアセンブリ120の収容室内に設置されてもよい。例えば、制御回路アセンブリ140及び電池アセンブリ150は、同一の耳掛けアセンブリ120の収容室124内に設置されてもよく、それぞれ、2つの耳掛けアセンブリ120の収容室124内に設置されてもよい。いくつかの実施例では、制御回路アセンブリ140及び/又は電池アセンブリ150は、対応する導線により2つのコアモジュール114に電気的に接続されてもよく、制御回路アセンブリ140は、電気信号を機械的振動信号に変換するようにコアモジュール114を制御してもよく、電池アセンブリ150は、音響出力装置100に電力を供給してもよい。例えば、コアモジュール114と他の部材(例えば、制御回路アセンブリ140、電池アセンブリ150など)との電気的な接続を確立して、コアモジュール114の電源及びデータの伝達を促進するように、耳掛け122にリード線を提供してもよい。
【0053】
いくつかの実施例では、耳掛け122は、ユーザーの耳部と頭部との間に掛けられて、音響出力装置100の装着需要を実現するように、湾曲状に設置されてもよい。具体的には、耳掛け122は、弾性支持部材(例えば、弾性ワイヤ)を含んでもよい。弾性支持部材は、耳掛け122をユーザーの耳(例えば、耳介)に合わせた形状に維持するとともに、一定の弾性を有するように構成されてもよく、それにより、耳の形状及び頭部の形状に応じて、一定の弾性変形を発生することができる。ユーザーが音響出力装置100を装着している場合、音響出力装置100は、異なる耳の形状及び/又は頭部の形状を有するユーザーに適応することができる。いくつかの実施例では、弾性支持部材は、優れた変形回復能力を有する記憶合金で製造されてもよい。耳掛け122が外力によって変形しても、外力が除去される場合、耳掛け122は、元の形状に回復することができるため、音響出力装置100の耐用年数を長くする。いくつかの実施例では、耳掛け122は、保護スリーブ126と、保護スリーブ126と一体に形成されたハウジングプロテクタ128とをさらに含んでもよい。
【0054】
いくつかの実施例では、後掛けアセンブリ130は、ユーザーの頭部の後側に掛けられるように、湾曲状に設置されてもよい。2つのスピーカーアセンブリ110は、2つの耳掛けアセンブリ120及び後掛けアセンブリ130の協働作用でユーザーの皮膚に密着することにより、音響出力装置100の装着をより安定にすることができる。いくつかの実施例では、後掛けアセンブリ130は、収容室を含んでもよい。音響出力装置100の1つ以上の部材(例えば、制御回路アセンブリ140及び/又は電池アセンブリ150)は、該収容室内に設置されてもよい。
【0055】
なお、音響出力装置100に対する上記説明は、説明の目的のためのものであり、本願の範囲を限定するものではない。多くの代替、修正及び変形は、当業者にとって明らかである。本明細書に記載の例示的な実施例の特徴、構造、方法及び他の特徴を様々な方式で組み合わせて、追加及び/又は代替の例示的な実施例を得ることができる。いくつかの実施例では、音響出力装置100は、他の装着方式を有してもよい。例えば、耳掛けアセンブリ120は、ユーザーの耳を被覆するように構成されてもよく、後掛けアセンブリ130は、ユーザーの頭上を跨いでもよい。また例えば、2つのスピーカーアセンブリ110は、有線又は無線の方式で通信してもよい。これら2つのスピーカーアセンブリ110が無線の方式で通信する場合、これら2つのスピーカーアセンブリ110の間には、物理的接続構造があってもよく、なくてもよい。例えば、各スピーカーアセンブリ110は、いずれも単独の耳掛け構造を備えてもよく、各耳掛け構造は、独立して、それに対応するスピーカーアセンブリ110をユーザーの左耳又は右耳の付近に固定することができ、或いは、2つの耳掛け構造は、さらに接続ロッドにより固定接続されてもよい。
【0056】
図2A~
図2Eは、本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
図2Aに示すように、音響出力装置200Aは、エネルギー変換装置210、振動膜220及びハウジング230を含んでもよい。ハウジング230は、エネルギー変換装置210及び振動膜220を収容する収容キャビティを形成してもよい。エネルギー変換装置210は、受信されたオーディオ信号(例えば、電気信号)を機械的振動信号に変換してもよい。例えば、音響出力装置200Aは、信号処理回路(図示せず)をさらに含んでもよい。エネルギー変換装置210は、信号処理回路に電気的に接続されてオーディオ信号を受信し、かつ該オーディオ信号に基づいて機械的振動信号を発生することができる。信号処理回路に関するより多くの説明について、本明細書の他の箇所(例えば、
図15、
図16及びそれらの説明)を参照してもよい。振動膜220は、エネルギー変換装置210によって駆動されて振動して気導音波を発生してもよい。気導音波は、ハウジング230の1つ以上の放音孔234を介してユーザーに伝達されてもよい。いくつかの実施例では、エネルギー変換装置210及び振動膜220は、コアモジュールと呼ばれてもよい。ハウジング230は、コアハウジングと呼ばれてもよい。エネルギー変換装置210、振動膜220及びハウジング230は、スピーカーアセンブリと呼ばれてもよい。
【0057】
いくつかの実施例では、エネルギー変換装置210は、ハウジング230に物理的に接続されてもよい。ハウジング230は、皮膚接触領域231(第1のハウジングと呼ばれてもよい)を含んでもよい。ユーザーが音響出力装置200Aを装着する場合、皮膚接触領域231の少なくとも一部は、ユーザーの皮膚に接触してもよく、かつエネルギー変換装置210の駆動で振動して骨導音波を発生してもよい。いくつかの実施例では、ユーザーが音響出力装置200Aを装着している場合、皮膚接触領域231の第1の領域は、ユーザーの皮膚に接触してもよく、皮膚接触領域231の第2の領域は、ユーザーの皮膚に接触しなくてもよい。換言すれば、ユーザーが音響出力装置200Aを装着している場合、皮膚接触領域231は、例えば、傾斜して設置されてもよい。音響出力装置の皮膚接触領域に関するより多くの説明について、本明細書の他の箇所(例えば、
図11及びその説明)を参照してもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置200Aは、伝達アセンブリ(図示せず)をさらに含んでもよい。伝達アセンブリは、ハウジング230に物理的に接続されてもよい。伝達アセンブリに皮膚接触領域が設置されてもよい。エネルギー変換装置210により発生した機械的振動信号は、伝達アセンブリの皮膚接触領域によりユーザーに伝達されて骨導音波を発生してもよい。伝達アセンブリに関するより多くの説明について、本明細書の他の箇所(例えば、
図12~
図14及びそれらの説明)を参照してもよい。
【0058】
いくつかの実施例では、エネルギー変換装置210は、オーディオ信号(例えば、電気信号)を機械的振動信号に変換する任意の素子(例えば、振動モータ、電磁振動装置など)であってもよく、該任意の素子を含んでもよい。例示的な信号変換方式は、電磁タイプ(例えば、ムービングコイルタイプ、ムービングマグネットタイプ、磁歪タイプ)、圧電タイプ、静電タイプなどを含んでもよいが、それらに限定されない。エネルギー変換装置210の内部構造は、単一共振システムであってもよく、複合共振システムであってもよい。いくつかの実施例では、エネルギー変換装置210は、磁気回路アセンブリ211及びコイル213を含んでもよい。磁気回路アセンブリ211は、1つ以上の磁性素子及び/又は磁気ガイド素子を含んでもよく、磁場を提供することができる。気導音響出力装置に対して、エネルギー変換装置210におけるコイル213は、振動膜220に直接固定されてもよい。エネルギー変換装置210の振動は、振動膜220の振動を直接駆動して気導音を発生してもよい。気導骨導複合型音響出力装置に対して、コイル213は、ハウジング230に物理的に接続されてもよい。コイル213は、受信されたオーディオ信号に応答して磁場の作用で振動し、かつハウジング230(例えば、第1のハウジング231)を振動するように駆動して骨導音波を発生してもよい。第1のハウジング231は、ユーザーの皮膚(例えば、ユーザーの頭部の皮膚)に接触し、かつ骨導音波を蝸牛に伝達することができる。具体的には、磁気回路アセンブリ211は、磁気ギャップを含んでもよい。磁気回路アセンブリ211は、磁気ギャップに磁場を発生することができる。コイル213は、磁気ギャップ内に位置してもよい。コイル213に電流(すなわち、オーディオ信号)を流す場合、コイル213は、磁場中で振動し、かつ第1のハウジング231を振動するように駆動することができる。ユーザーが音響出力装置200Aを装着している場合、コイル213の振動は、第1のハウジング231を介してユーザーの骨及び/又は組織に伝達され、かつ骨及び/又は組織を介してユーザーの蝸牛に伝達されることにより、ユーザーが音声(すなわち、骨導音波)に聞こえる。いくつかの実施例では、エネルギー変換装置210は、バネシート(図示せず)をさらに含んでもよい。バネシートの中心領域は、磁気回路アセンブリ211に接続されてもよい。バネシートの周辺領域は、ハウジング230に接続されて、磁気回路アセンブリ211をハウジング230内に吊り下げる。
【0059】
いくつかの実施例では、振動膜220は、ハウジング230により形成された収容キャビティを仕切って第1のキャビティ222及び第2のキャビティ224を形成してもよい。例えば、振動膜220は、エネルギー変換装置210とハウジング230との間に接続されて、エネルギー変換装置210(例えば、磁気ガイドアセンブリ211)と協働して収容キャビティを第1のキャビティ222と第2のキャビティ224に仕切ってもよい。また例えば、振動膜220は、磁気回路アセンブリ211の後面に沿って周設されてハウジング230に接続されて、収容キャビティを第1のキャビティ222と第2のキャビティ224に仕切ってもよい。なお、本明細書では、部材の「前」面部分又は「後」面部分とは、ユーザーが音響出力装置200Aを装着している場合、該部分のユーザーの皮膚に対する遠近距離によって決定される。例えば、ユーザーが音響出力装置200Aを装着している場合、第1のキャビティ222は、第2のキャビティ224よりユーザーの皮膚に近接してもよい。第1のキャビティ222は、フロントキャビティと呼ばれてもよく、第2のキャビティ224は、リアキャビティと呼ばれてもよい。
【0060】
振動膜220は、エネルギー変換装置210及び/又はハウジング230の振動に基づいて、第1のキャビティ222及び/又は第2のキャビティ224において気導音波を発生することができる。具体的には、振動膜220は、エネルギー変換装置210(例えば、磁気回路アセンブリ211)及び/又はハウジング230に物理的に接続されてもよく、例えば、振動膜220の全体は、エネルギー変換装置210の下側(すなわち、後側)に位置し、かつエネルギー変換装置210の底壁及び側壁の一部の領域に包まれる。エネルギー変換装置210が振動する場合、エネルギー変換装置210の振動は、ハウジング230及び/又は振動膜220を振動するように駆動することができる。振動膜220の振動は、第1のキャビティ222及び/又は第2のキャビティ224内の空気の振動を引き起こすことができる。第1のキャビティ222及び/又は第2のキャビティ224内の空気振動は、ハウジング230に設置された放音孔234を介して音響出力装置200Aの外部に伝播されてもよい(すなわち、気導音波を発生する)。いくつかの実施例では、放音孔234は、第1のキャビティ222と外部とを連通させるように設置されてもよい。このような場合に、エネルギー変換装置210と放音孔234は、振動膜220の同じ側に位置してもよい。皮膚接触領域231は、ユーザーの皮膚に接触しなくてもよい。つまり、音響出力装置200Aは、気導音波のみを出力してもよい。いくつかの実施例では、放音孔234は、第2のキャビティ224と外部とを連通させるように設置されてもよい。このような場合に、エネルギー変換装置210と放音孔234は、振動膜220の両側に位置してもよい。なお、エネルギー変換装置210により発生した骨導音波の位相と第2のキャビティ224において発生した気導音波の位相とが同じであるため、音響出力装置200Aにより高い音量を備えさせるために、本明細書では、放音孔234を第2のキャビティ224と連通するように設置することを例とするが、本願の範囲を限定するものではない。いくつかの実施例では、ユーザーが音響出力装置200Aを装着している場合、放音孔234は、ユーザーの耳の外耳道に向かってもよい。
【0061】
いくつかの実施例では、ハウジング230は、第1のハウジング231及び第2のハウジング233を含んでもよい。第1のハウジング231及び第2のハウジング233は、係合接続されてハウジング230を構成してもよい。第1のハウジング231は、第1のキャビティ222の側壁の少なくとも一部を構成してもよく、第2のハウジング233は、第2のキャビティ224の側壁の少なくとも一部を構成してもよく、第1のハウジング231と第2のハウジング233とは、異なる共振周波数を有してもよい。第1のハウジング及び第2のハウジングの共振周波数に関するより多くの説明について、本願の他の箇所(例えば、
図9及びその説明)を参照してもよい。
【0062】
いくつかの実施例では、ハウジング230(例えば、第2のハウジング233)は、振動の過程において、その周囲の空気を振動するように駆動することにより、音響出力装置200Aの周囲に気導音波を発生することができる。第2のハウジング233が振動により発生した気導音波と放音孔234から出力された気導音波とは、位相が逆であるため、放音孔234の位置が第2のハウジング233に近いほど、2つの気導音波の逆位相相殺の程度が高く、このようにして、ユーザーの耳に入った気導音(すなわち、第2のキャビティにおいて発生し、かつユーザーの耳に伝達された気導音)の音量を低減する。いくつかの実施例では、リスニング音量及び音質を向上させるために、音響出力装置200Aは、放音孔234と連通する導音通路(例えば、
図2Aに示す導音通路240a)をさらに含んでもよい。放音孔234を通過した気導音波は、導音通路に入り、かつ導音通路を介して導音通路の出口端から特定の方向に沿って伝播されてもよい。このようにして、導音通路は、気導音波の伝播方向を変化させることにより、音響出力装置200Aの外部の目標方向(例えば、耳)に気導音波を案内することができる。また、導音通路を利用して音響出力装置200Aの音声出口端(すなわち、導音通路の出口端)とユーザーの耳との間の距離を短縮することができるとともに、音響出力装置200Aの音声出口端と第2のハウジング233との間の距離を大きくすることができる。換言すれば、導音通路により、第2のキャビティ224(又はリアキャビティ)において発生した気導音波は、耳により近い放音孔から出力されて、より多くの音声が耳に入ることができる。
【0063】
いくつかの実施例では、導音通路の出口端は、各方向に指向するように設置されてもよい。例えば、
図2Aに示すように、音響出力装置200Aの導音通路240aの出口端は、ユーザーの顔に指向するように設置されてもよい。また例えば、
図2Bに示すように、音響出力装置200Bの導音通路240bの出口端は、ユーザーの耳介に指向するように設置されてもよい。さらに例えば、
図2Cに示すように、音響出力装置200Cの導音通路240cの出口端は、傾斜出口の方式を用いて、ユーザーの耳道に指向するように設置されてもよい。導音通路の出口の向きを設定することにより、気導音波の指向性及び/又は強度を最適化することができる。いくつかの実施例では、導音通路は、様々な形状を含んでもよい。例えば、導音通路は、湾曲導音通路を含んでもよい。また例えば、導音通路は、直通導音通路を含んでもよい。いくつかの実施例では、湾曲導音通路の構造の場合、例えば、それぞれ
図2A、
図2B又は
図2C中の導音通路240a、導音通路240b及び導音通路240cに示すように、入口端及び出口端のうちのいずれか一方から他方の全部を見えることができない。直通導音通路の構造の場合、
図2D及び
図2E中の音響出力装置200Dの導音通路240d及び音響出力装置200Eの導音通路240eに示すように、入口端及び出口端のうちのいずれか一方から他方の全部を見えることができる。なお、傾斜出口の方式の出口端により、導音通路の出口端の実際の面積が導音通路の断面積に制限されず、導音通路の断面積を増大させることに相当し、さらに気導音の出力に役立つ。いくつかの実施例では、導音通路の通路壁は、例えば、
図2E中の導音通路240eの側壁に示すように、導音通路と空気との音響インピーダンスのマッチングに役立ち、さらに気導音声の出力に役立つように、曲面構造を含んでもよい。
【0064】
いくつかの実施例では、第2のキャビティ224、導音通路及び放音孔234を有する音響構造は、ヘルムホルツ共振キャビティ構造と等価であってもよいため、音響出力装置200Aから出力された気導音波は、ある周波数帯域において第1の共振ピーク(すなわち、ヘルムホルツ共振キャビティ構造の共振ピーク)を発生する。ヘルムホルツ共振キャビティ構造に対して、その共振周波数は、式(1)によって決定されてもよい。
【0065】
【0066】
式中、f0は、ヘルムホルツ共振キャビティ構造の共振周波数を示し、Sは、導音通路出口端の断面積を示し、Vは、第2のキャビティ224の体積を示し、lは、導音通路の長さを示し、rは、導音通路の等価半径を示す。したがって、第2のキャビティ224の体積、導音通路出口端の断面積、導音通路の長さなどのパラメータを調整してヘルムホルツ共振キャビティ構造の音声共振周波数(すなわち、音響出力装置200Aから出力された気導音波の共振周波数)を調整することにより、音響出力装置の音質に影響を与えることができる。例えば、導音通路の断面積を小さくすると、高周波数共振ピーク周波数を低下させることができる。導音通路の長さを短くすると、高周波数共振ピーク周波数を上昇させることができる。いくつかの実施例では、音響出力装置200Aに高い音声出力効果を備えさせ、例えば、その周波数応答曲線を広い周波数帯域において平坦にするために、第1の共振ピークをできるだけより高周波数位置にしてもよい。いくつかの実施例では、第1の共振ピークのピーク共振周波数は、1kHz以上であってもよい。いくつかの実施例では、第1の共振ピークのピーク共振周波数は、1.5kHz以上であってもよい。いくつかの実施例では、第1の共振ピークのピーク共振周波数は、2kHz以上であってもよい。いくつかの実施例では、第1の共振ピークのピーク共振周波数は、2.5kHz以上であってもよい。いくつかの実施例では、第1の共振ピークのピーク共振周波数は、3kHz以上であってもよい。いくつかの実施例では、第1の共振ピークのピーク共振周波数は、3.5kHz以上であってもよい。いくつかの実施例では、第1の共振ピークのピーク共振周波数は、4kHz以上であってもよい。いくつかの実施例では、第1の共振ピークのピーク共振周波数は、4.5kHz以上であってもよい。
【0067】
いくつかの実施例では、導音通路は、均一な断面積を有してもよい。放音口の放音音量を保証するために、導音通路の断面積を4mm2以上にしてもよい。いくつかの実施例では、導音通路の断面積は、4.8mm2以上であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の断面積は、6mm2以上であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の断面積は、8mm2以上であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の断面積は、10mm2以上であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の断面積は、12mm2以上であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の断面積は、15mm2以上であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の断面積は、20mm2以上であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の断面積は、25mm2以上であってもよい。
【0068】
いくつかの実施例では、放音孔234の断面積は、気導音波の伝達方向に沿って徐々に減少してもよい。導音通路の断面積は、導音通路がラッパ状になるように(例えば、
図2D中の導音通路240dに示すように)、気導音波の伝達方向に沿って徐々に増大してもよい。いくつかの実施例では、導音通路の入口端の断面積は、10mm
2以上であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の入口端の断面積は、12mm
2以上であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の入口端の断面積は、15mm
2以上であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の入口端の断面積は、20mm
2以上であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の入口端の断面積は、30mm
2以上であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の入口端の断面積は、50mm
2以上であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の出口端の断面積は、15mm
2以上であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の出口端の断面積は、20mm
2以上であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の出口端の断面積は、25mm
2以上であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の出口端の断面積は、30mm
2以上であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の出口端の断面積は、35mm
2以上であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の出口端の断面積は、40mm
2以上であってもよい。
【0069】
いくつかの実施例では、導音通路の長さは、7mm以下であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の長さは、6mm以下であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の長さは、5mm以下であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の長さは、4mm以下であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の長さは、3mm以下であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の長さは、2mm以下であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の長さは、1mm以下であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の長さは、1mm~5mmの範囲であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の長さは、1.5mm~4mmの範囲であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の長さは、2mm~3.5mmの範囲であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の長さは、2.5mmであってもよい。いくつかの実施例では、直通導音通路に対して、導音通路の長さは、その入口端の幾何学的中心と出口端の幾何学的中心との間の距離であってもよい。例えば、
図2Dに示すように、導音通路240dの入口端の幾何学的中心は、点mであり、導音通路240dの出口端の幾何学的中心は、点nであり、導音通路240dの長さは、点mと点nとの間の距離で示されてもよい。いくつかの実施例では、湾曲導音通路に対して、湾曲導音通路を2つ又は2つ以上の直通サブ導音通路に分割し、かつ直通サブ導音通路の長さの和を湾曲導音通路の長さとすることができる。例えば、
図2Aに示すように、直通サブ導音通路240aは、第1の直通サブ導音通路242aと第2の直通導音通路244aに分割されてもよい。第1の直通サブ導音通路242a(又は導音通路240a)の入口端の幾何学的中心は、点aであり、第1の直通サブ導音通路242aの出口端(又は第2の直通導音通路244aの入口端)の幾何学的中心は、点bである。第2の直通導音通路244a(又は導音通路240a)の出口端の幾何学的中心は、点cであり、導音通路240aの長さは、点aと点bの間の距離と、点bと点cの間の距離との和で示されてもよい。また例えば、
図2Bに示すように、直通サブ導音通路240bは、第1の直通サブ導音通路242b、第2の直通導音通路244b及び第3の直通導音通路246bに分割されてもよい。第1の直通サブ導音通路242b(又は導音通路240b)の入口端の幾何学的中心は、点wであり、第1の直通サブ導音通路242bの出口端(又は第2の直通導音通路244bの入口端)の幾何学的中心は、点xである。第2の直通導音通路244b(又は第3の直通導音通路246b)の入口端の幾何学的中心は、点yである。第3の直通導音通路246b(又は導音通路240b)の出口端の幾何学的中心は、点zであり、導音通路240bの長さは、点wと点xの間の距離と、点xと点yの間の距離と、点yと点zの間の距離との和で示されてもよい。
【0070】
いくつかの実施例では、第2のキャビティ224の体積は、400mm3以下であってもよい。いくつかの実施例では、第2のキャビティ224の体積は、200mm3~400mm3の範囲であってもよい。いくつかの実施例では、第2のキャビティ224の体積は、250mm3~380mm3の範囲であってもよい。いくつかの実施例では、第2のキャビティ224の体積は、300mm3~360mm3の範囲であってもよい。いくつかの実施例では、第2のキャビティ224の体積は、320mm3~355mm3の範囲であってもよい。いくつかの実施例では、第2のキャビティ224の体積は、340mm3~350mm3の範囲であってもよい。いくつかの実施例では、第2のキャビティ224の体積は、350mm3であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の体積と第2のキャビティ224の体積との比は、0.05~0.9の範囲であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の体積と第2のキャビティ224の体積との比は、0.1~0.8の範囲であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の体積と第2のキャビティ224の体積との比は、0.2~0.7の範囲であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の体積と第2のキャビティ224の体積との比は、0.3~0.6の範囲であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の体積と第2のキャビティ224の体積との比は、0.4~0.5の範囲であってもよい。いくつかの実施例では、導音通路の体積と第2のキャビティ224の体積との比は、0.45であってもよい。
【0071】
いくつかの実施例では、導音通路240aの出口端に第1の音響インピーダンス網250が覆設されてもよい。第1の音響インピーダンス網250は、放音孔234を介して音響出力装置200Aの外部に出力される気導音を調整して、第2のキャビティ224において発生した気導音の中高周波数帯域又は高周波数帯域における共振ピークを低減することにより、音響出力装置200Aの気導音の周波数応答曲線がより滑らかになり、リスニング効果がより高くなる。また、第1の音響インピーダンス網250は、音響出力装置200Aの防水防塵性能を向上させるように、第2のキャビティ224を一定の程度で外部から隔離することができる。
【0072】
本明細書では、音響インピーダンス網は、フィラメントで編まれたものであってもよい。フィラメントの線径、疎密の度合いなどの要因は、音響インピーダンス網の音響インピーダンスに影響を与えてもよい。縦方向に間隔をあけて配列された複数本のフィラメントと横方向に間隔をあけて配列された複数本のフィラメントのうちの4本ずつ互いに交差するフィラメントによって、1つの空隙が囲まれてもよい(
図3に示す)。
図3は、本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響インピーダンス網の概略図である。音響インピーダンス網300のフィラメントの中心線によって囲まれた領域の面積は、S1と定義されてもよく、フィラメントの縁部によって実際に囲まれた領域(すなわち、空隙)の面積は、S2と定義されてもよく、空隙率は、S2/S1と定義されてもよい。空隙寸法は、同じ配列方向を有する任意の隣接する2本のフィラメントの間の距離、例えば、空隙の辺長として示されてもよい。いくつかの実施例では、第1の音響インピーダンス網250の音響インピーダンスは、300MKSrayls以下であってもよい。いくつかの実施例では、第1の音響インピーダンス網250の音響インピーダンスは、280MKSrayls以下であってもよい。いくつかの実施例では、第1の音響インピーダンス網250の音響インピーダンスは、260MKSrayls以下であってもよい。いくつかの実施例では、第1の音響インピーダンス網250の音響インピーダンスは、240MKSrayls以下であってもよい。いくつかの実施例では、第1の音響インピーダンス網250の音響インピーダンスは、200MKSrayls以下であってもよい。いくつかの実施例では、第1の音響インピーダンス網250の音響インピーダンスは、150MKSrayls以下であってもよい。いくつかの実施例では、第1の音響インピーダンス網250の音響インピーダンスは、100MKSrayls以下であってもよい。いくつかの実施例では、第1の音響インピーダンス網250の空隙率は、10%以上であってもよい。いくつかの実施例では、第1の音響インピーダンス網250の空隙率は、13%以上であってもよい。いくつかの実施例では、第1の音響インピーダンス網250の空隙率は、15%以上であってもよい。いくつかの実施例では、第1の音響インピーダンス網250の空隙率は、20%以上であってもよい。いくつかの実施例では、第1の音響インピーダンス網250の空隙率は、25%以上であってもよい。いくつかの実施例では、第1の音響インピーダンス網250の空隙率は、30%以上であってもよい。いくつかの実施例では、第1の音響インピーダンス網250の空隙寸法は、15μm以上であってもよい。いくつかの実施例では、第1の音響インピーダンス網250の空隙寸法は、18μm以上であってもよい。いくつかの実施例では、第1の音響インピーダンス網250の空隙寸法は、20μm以上であってもよい。いくつかの実施例では、第1の音響インピーダンス網250の空隙寸法は、25μm以上であってもよい。いくつかの実施例では、第1の音響インピーダンス網250の空隙寸法は、30μm以上であってもよい。いくつかの実施例では、第1の音響インピーダンス網250の空隙寸法は、35μm以上であってもよい。
【0073】
いくつかの実施例では、エネルギー変換装置210は、コイルホルダをさらに含んでもよい。コイル213は、コイルホルダに設置されてもよい。コイルホルダの少なくとも一部は、ハウジングの振動方向の垂直方向に沿ってハウジング230の側方から露出してもよい。このような場合に、音響出力装置200Aは、導音部材をさらに含んでもよい。導音部材に導音通路及び凹み領域が設置されてもよい。導音部材がハウジングに物理的に接続される場合、コイルホルダは、凹み領域内に位置してもよい。導音部材に関するより多くの説明について、本願の他の箇所(例えば、
図4、
図5及びそれらの説明)を参照してもよい。
【0074】
なお、音響出力装置に対する上記説明は、説明の目的のためのものであり、本願の範囲を限定するものではない。多くの代替、修正及び変形は、当業者にとって明らかである。本明細書に記載の例示的な実施例の特徴、構造、方法及び他の特徴を様々な方式で組み合わせて、追加及び/又は代替の例示的な実施例を得ることができる。なお、以上に例示された1つ以上の音響構造(例えば、放音孔、導音通路、スピーカーアセンブリなど)の数、大きさ、形状及び/又は位置は、実際の需要に応じて設定されてもよい。また例えば、ハウジング230(例えば、第1のハウジング231)には、ハウジング230の第1のキャビティ222と外部との間の圧力平衡に役立つように、第1のキャビティ222と連通する減圧孔232が設置されてもよい。さらに例えば、第1のキャビティ222と第2のキャビティ224は、流体的に連通しなくてもよい。いくつかの実施例では、第1のキャビティ222と第2のキャビティ224は、流体的に連通してもよい。例えば、振動膜220に1つ以上の貫通孔が設置されてもよい。
【0075】
図4は、本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
図5は、
図4中の音響出力装置の分解図である。
図4に示すように、音響出力装置400は、
図2Aに示す音響出力装置200Aと類似してもよい。例えば、音響出力装置400は、エネルギー変換装置410、振動膜420、ハウジング430及び導音通路440を含んでもよい。ハウジング430は、第1のハウジング431及び第2のハウジング433を含んでもよい。ハウジング430は、エネルギー変換装置410及び振動膜420のうちの少なくとも一部の素子を収容する収容キャビティを形成してもよい。収容キャビティは、第1のキャビティ422及び第2のキャビティ424を含んでもよい。第1のキャビティ422は、エネルギー変換装置410の少なくとも一部を収容してもよい。ハウジング430に第1のキャビティ422と連通する減圧孔432が設置されてもよい。ハウジング430に第2のキャビティ424と連通する放音孔434が設置されてもよい。また例えば、エネルギー変換装置410は、磁気回路アセンブリ411及びコイル413を含んでもよい。音響出力装置400に関するより多くの説明について、本願の他の箇所(例えば、
図2A及びその説明)を参照してもよい。
【0076】
いくつかの実施例では、エネルギー変換装置410は、コイルホルダ415をさらに含んでもよい。コイルホルダ415は、第1のキャビティ422内に設置されてコイル413を支持してもよい。例えば、コイルホルダ415は、コイル413をハウジング430(例えば、第1のハウジング431)に固定し、かつコイル413を磁気回路アセンブリ410の磁気ギャップに挿入させてもよい。また例えば、コイルホルダ415は、ハウジング430に接続されてもよい。コイル413が磁気回路アセンブリ411によって提供された磁場の作用で振動する場合、コイル413は、コイルホルダ415を振動するように駆動することにより、ハウジング430を振動するように駆動することができる。
【0077】
音響出力装置400は、導音部材450をさらに含んでもよい。導音部材450は、ハウジング430に物理的に接続されてもよい。導音通路440は、導音部材450に設置されてもよい。いくつかの実施例では、コイルホルダ415の少なくとも一部は、ハウジング430の振動方向の垂直方向(例えば、
図4中の方向B)に沿ってハウジング430(例えば、第1のハウジング431)の側方から露出してもよい。このような場合に、導音部材450は、凹み領域452をさらに含んでもよい。導音部材450がハウジング430に物理的に接続される場合、コイルホルダ415は、凹み領域452内に位置してもよい。換言すれば、第1のハウジング431の導音部材450(又は放音孔434)に位置する側は、少なくとも部分的に取り除かれることにより、コイルホルダ415の少なくとも一部を露出させてもよい。導音部材450は、導音通路440と放音孔432とを連通させるように、コイルホルダ415の露出部分4155及び第2のハウジング433に係合されてもよい。このようにして、第1のハウジング431の導音部材450に位置する側は、コイルホルダ415を完全に包まなくてもよく、音響出力装置400が局所的に厚すぎることを回避することができるだけでなく、導音部材450とハウジング430との固定に影響を与えない。
【0078】
単なる例として、コイルホルダ415の露出部分4155と、第2のハウジング433の放音孔434の位置する側の少なくとも一部4157とは、協働してボスを形成してもよい。いくつかの実施例では、第2のハウジング433の少なくとも一部4157は、第1のサブボス部と呼ばれてもよい。コイルホルダ415の露出部分4155は、第2のサブボス部と呼ばれてもよい。このような場合に、放音孔434の出口端は、第1のサブボス部4157の頂部に位置してもよい。それに応じて、導音部材450のコイルホルダ415及び第2のハウジング433に向かう側に凹み領域452が設置されてもよい。このときに、導音通路440の入口端は、凹み領域452の凹み底部と連通してもよい。このようにして、導音部材450がハウジング430に組み立てられる場合、ボスは、凹み領域452内に嵌設されるとともに、導音通路440と放音孔434とを連通させることができる。いくつかの実施例では、ボスの頂部と凹み領域452の凹み底部とが接触する場合、導音部材450は、ちょうどハウジング430に接触してもよい。いくつかの実施例では、ボスの頂部と凹み領域452の凹み底部とが接触する場合、導音部材450とハウジング430との間に隙間が残されて、導音通路440と放音孔434との間の気密性を改善してもよい。いくつかの実施例では、ボスの頂部と凹み領域452の凹み底部との間に環状シール材(図示せず)がさらに設置されてもよい。
【0079】
いくつかの実施例では、導音部材450とハウジング430とは、挿着接続されてもよい。例えば、ハウジング430(例えば、第2のハウジング433)及び導音部材450のうちの一方に挿着孔が設置されてもよく、他方に挿着柱が設置されてもよい。挿着柱は、挿着孔内に挿入固定されて、導音部材450とハウジング430との組立の精度及び信頼性を改善してもよい。単なる例として、
図5に示すように、挿着孔435は、第2のハウジング433に設置されてもよく、例えば、第1のサブボス部に設置されてもよい。挿着柱454は、導音部材450に設置されてもよく、例えば、凹み領域452内に設置されてもよい。導音部材450及びハウジング430は、
図5中の破線で示す方向に沿って組み立てられてもよい。
【0080】
なお、音響出力装置100に対する上記説明は、説明の目的のためのものであり、本願の範囲を限定するものではない。多くの代替、修正及び変形は、当業者にとって明らかである。本明細書に記載の例示的な実施例の特徴、構造、方法及び他の特徴を様々な方式で組み合わせて、追加及び/又は代替の例示的な実施例を得ることができる。いくつかの実施例では、音響出力装置400は、音響インピーダンス網460及び/又は保護カバー470をさらに含んでもよい。音響インピーダンス網460は、第2のキャビティ424において発生した気導音の音響インピーダンスを調整してもよい。保護カバー470は、導音通路440の出口の周辺に覆設されて、音響出力装置400を保護するとともに、音響出力装置400の外観を改善する。
【0081】
図6Aは、本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置のブロック図である。
図6B~
図6Eは、本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
図6Aに示すように、音響出力装置600は、
図2Aに示す音響出力装置200Aと類似してもよい。音響出力装置600は、エネルギー変換装置610、振動膜620及びハウジング630を含んでもよい。具体的には、
図6B~
図6Eに示すように、ハウジング630は、エネルギー変換装置610及び振動膜620のうちの少なくとも一部の素子を収容する収容キャビティを形成してもよい。収容キャビティは、第1のキャビティ622及び第2のキャビティ624を含んでもよい。第1のキャビティ622は、エネルギー変換装置610を収容してもよい。ハウジング630に収容キャビティと連通する放音孔634が設置されてもよい。いくつかの実施例では、放音孔634は、第1のキャビティ622と外部とを連通させるように設置されてもよい(
図6Dに示す)。いくつかの実施例では、放音孔634は、第2のキャビティ624と外部とを連通させるように設置されてもよい(
図6B及び
図6Bに示す)。いくつかの実施例では、エネルギー変換装置610は、磁気回路アセンブリ611及びコイル613を含んでもよい。音響出力装置600に関するより多くの説明について、本願の他の箇所(例えば、
図2A及びその説明)を参照してもよい。
【0082】
気導音波を発生したキャビティ(例えば、第2のキャビティ624)と放音孔とは、ヘルムホルツ共振キャビティ構造に相当し、音響出力装置600から出力された気導音波の周波数応答曲線は、比較的高周波数帯域において第1の共振ピークを発生するため、音響出力装置600の音質を低下させる。具体的には、第1の共振ピークのピーク周波数付近において、キャビティから出力された音声が急増するため、音響出力装置600から出力された気導音声と、それによる漏れ音とは、第1の共振ピークのピーク周波数付近の周波数帯域において急増し、リスニング音質が不均一になるとともに、漏れ音が増大する。このような場合に、ヘルムホルツ共振キャビティ640を設置することにより音響出力装置600の音質を改善することができる。ヘルムホルツ共振キャビティ640は、気導音波の第1の共振ピークのピーク共振強度及びその付近の共振強度を低下させることができる。いくつかの実施例では、ヘルムホルツ共振キャビティ640の共振周波数は、第1の共振ピークのピーク周波数と同じであってもよい。いくつかの実施例では、ヘルムホルツ共振キャビティ640の共振周波数と、第1の共振ピークのピーク周波数との差は、1オクターブバンド内であってもよい。
【0083】
ヘルムホルツ共振キャビティ640は、共振キャビティ642及び少なくとも1つの共振キャビティ口644を含んでもよい。いくつかの実施例では、ヘルムホルツ共振キャビティ640は、第2のキャビティ624と連通して、第2のキャビティ624において発生した気導音波の周波数応答を調整してもよい。共振キャビティ口644は、共振キャビティ642と第2のキャビティ624とを連通させてもよい。換言すれば、共振キャビティ口644は、第2のキャビティ624の側壁に設置されてもよい。例えば、
図6Bに示すように、共振キャビティ口644は、第2のキャビティ624を構成するハウジング(すなわち、第2のハウジング)に設置されてもよく、共振キャビティ642は、第2のハウジング外に吊り下げられてもよい。また例えば、
図6Cに示すように、共振キャビティ口644及び共振キャビティ642は、磁気回路アセンブリ611に設置されてもよい。いくつかの実施例では、ヘルムホルツ共振キャビティ640の第2のキャビティ624と連通する共振キャビティ口644が開放状態にある場合の第1の共振ピークのピーク共振強度と、ヘルムホルツ共振キャビティ640の第2のキャビティ624と連通する開口が閉鎖状態にある場合の第1の共振ピークのピーク共振強度との差は、3dB以上であってもよく、具体的には、5dB、10dB、15dB、20dBなどであってもよい。
【0084】
いくつかの実施例では、式(1)から分かるように、ヘルムホルツ共振キャビティ640の1つ以上のパラメータを設定することにより、ヘルムホルツ共振キャビティ640による第1の共振ピークへの異なる低減効果を達成することができる。例えば、異なる共振キャビティ642の体積及び/又は放音孔634の断面積を設定することにより、ヘルムホルツ共振キャビティ640による第1の共振ピークへの異なる低減効果を達成することができる(
図7に示す)。また例えば、放音孔634に導音通路が設置されてもよく、導音通路の長さを設定することにより、ヘルムホルツ共振キャビティ640による第1の共振ピークへの異なる低減効果を達成することができる。さらに例えば、共振キャビティ口644に音響インピーダンス網を設置することにより、ヘルムホルツ共振キャビティ640による第1の共振ピークの異なる低減効果を達成することができる(
図8に示す)。いくつかの実施例では、ヘルムホルツ共振キャビティ640の共振キャビティ642の体積は、第2のキャビティ624の体積と同じであってもよく、異なってもよい。なお、いくつかの実施例では、磁気回路アセンブリ611の質量は、ハウジング630の質量より大きく、同じ駆動力で、磁気回路アセンブリ611の振幅は、特に中高周波数帯域(例えば、1kHzより大きい)において、ハウジング630の振幅より小さい。換言すれば、音響出力装置600の実際の動作過程において、磁気回路アセンブリ611の振動振幅は、ハウジング630の振動振幅より小さい。これに基づいて、ヘルムホルツ共振キャビティ640を磁気回路アセンブリ611に設置すると、振動がより小さい壁面を得ることができ、該壁面は、音響エネルギーを吸収し、第1の共振ピークを低減する効果がより顕著である。
【0085】
いくつかの実施例では、ヘルムホルツ共振キャビティ640は、第1のキャビティ622と連通して、第1のキャビティ622において発生した気導音波の周波数応答を調整してもよい。共振キャビティ口644は、共振キャビティ642と第1のキャビティ622とを連通させてもよい。第1のキャビティ622において、気導音波を発生して放音孔634を介してユーザーの耳道に伝達することができる。このような場合に、ハウジング630は、ユーザーの皮膚に接触しなくてもよく、すなわち、音響出力装置600は、骨導音波を発生しなくてもよい。例えば、
図6Dに示すように、共振キャビティ口644及び共振キャビティ642は、いずれも磁気回路アセンブリ611に設置されてもよく、共振キャビティ口644は、第1のキャビティ622と連通する。いくつかの実施例では、ヘルムホルツ共振キャビティ640の第1のキャビティ622と連通する共振キャビティ口644が開放状態にある場合の第1の共振ピークのピーク共振強度と、ヘルムホルツ共振キャビティ640の第1のキャビティ622と連通する開口が閉鎖状態にある場合の第1の共振ピークのピーク共振強度との差は、3dB以上であってもよく、具体的には、5dB、10dB、15dB、20dBなどであってもよい。
【0086】
いくつかの実施例では、ヘルムホルツ共振キャビティ640は、第1のキャビティ622と第2のキャビティ624の両方と連通して、第1のキャビティ622において発生した気導音波(第1のキャビティ622において発生した漏れ音と呼ばれてもよい)と第2のキャビティ624において発生した気導音波との周波数応答を同時に調整してもよい。例えば、
図6Eに示すように、ヘルムホルツ共振キャビティ640は、第1のキャビティ622と連通する共振キャビティ口644(第1の共振キャビティ口と呼ばれてもよい)と、第2のキャビティ624と連通する共振キャビティ口646(第2の共振キャビティ口と呼ばれてもよい)とを含んでもよい。いくつかの実施例では、第1の共振キャビティ口644の面積は、第2の共振キャビティ口646の面積以上であってもよい。
【0087】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの共振キャビティ口に第2の音響インピーダンス網650がさらに設置されてもよい。いくつかの実施例では、第2の音響インピーダンス網650の空隙率は、3%以上であってもよい。いくつかの実施例では、第2の音響インピーダンス網650の空隙率は、4%以上であってもよい。いくつかの実施例では、第2の音響インピーダンス網650の空隙率は、5%以上であってもよい。いくつかの実施例では、第2の音響インピーダンス網650の空隙率は、10%以上であってもよい。いくつかの実施例では、第2の音響インピーダンス網650の空隙率は、15%以上であってもよい。いくつかの実施例では、第2の音響インピーダンス網650の空隙率は、30%以上であってもよい。いくつかの実施例では、第2の音響インピーダンス網650の空隙率は、50%以上であってもよい。いくつかの実施例では、第2の音響インピーダンス網650の空隙率は、100%であってもよい。
【0088】
図8に示すように、第2の音響インピーダンス網650の音響インピーダンスの増加に伴い、音響出力装置600は、気導音波の周波数応答曲線がより平坦になり、音質がより均一になる。いくつかの実施例では、第2の音響インピーダンス網650の音響インピーダンスは、0~1000MKSraylsであってもよい。いくつかの実施例では、第2の音響インピーダンス網650の音響インピーダンスは、50~900MKSraylsであってもよい。いくつかの実施例では、第2の音響インピーダンス網650の音響インピーダンスは、100~800MKSraylsであってもよい。いくつかの実施例では、第2の音響インピーダンス網650の音響インピーダンスは、200~700MKSraylsであってもよい。いくつかの実施例では、第2の音響インピーダンス網650の音響インピーダンスは、300~600MKSraylsであってもよい。いくつかの実施例では、第2の音響インピーダンス網650の音響インピーダンスは、400~500MKSraylsであってもよい。
【0089】
なお、音響出力装置600に対する上記説明は、説明の目的のためのものであり、本願の範囲を限定するものではない。多くの代替、修正及び変形は、当業者にとって明らかである。本明細書に記載の例示的な実施例の特徴、構造、方法及び他の特徴を様々な方式で組み合わせて、追加及び/又は代替の例示的な実施例を得ることができる。例えば、同様に、ハウジング630に減圧孔632がさらに設置される場合、減圧孔632と連通するキャビティは、それと相互作用して、ヘルムホルツ共振キャビティ構造と等価であってもよい。このときに、音響出力装置600は、該キャビティと連通するヘルムホルツ共振キャビティをさらに含んで、該キャビティにおいて発生した気導音波の共振ピークを低減することにより、音響出力装置600の音質を向上させることができる。
【0090】
図7は、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の気導音波の周波数応答曲線図である。
図7に示すように、Mは、ヘルムホルツ共振キャビティの共振キャビティ口の面積を示す。Cは、ヘルムホルツ共振キャビティの共振キャビティの体積を示す。曲線7-1は、ヘルムホルツ共振キャビティが設置されない音響出力装置の周波数応答曲線を示す。曲線7-2は、ヘルムホルツ共振キャビティが設置された音響出力装置の周波数応答曲線を示し、該ヘルムホルツ共振キャビティの共振キャビティ口の面積は、2Mであり、共振キャビティの体積は、0.5Cである。曲線7-3は、ヘルムホルツ共振キャビティが設置された音響出力装置の周波数応答曲線を示し、該ヘルムホルツ共振キャビティの共振キャビティ口の面積は、Mであり、共振キャビティの体積は、Cである。曲線7-4は、ヘルムホルツ共振キャビティが設置された音響出力装置の周波数応答曲線を示し、該ヘルムホルツ共振キャビティの共振キャビティ口の面積は、0.5Mであり、共振キャビティの体積は、2Cである。
図7から分かるように、異なる共振キャビティの体積及び共振キャビティ口の断面積により、異なるヘルムホルツ共振キャビティが同じ共振周波数を有することができる。音響出力装置にヘルムホルツ共振キャビティが設置されない場合(曲線7-1に対応する)、気導音波を発生した第2のキャビティと放音孔及び/又は導音通路との相互作用により、音響出力装置から出力された気導音波の周波数応答曲線は、高い周波数帯域において第1の共振ピークPを発生するため、音響出力装置の音質を低下させる。ヘルムホルツ共振キャビティの共振キャビティ口の面積(すなわち、M)及び/又は共振キャビティの体積(すなわち、C)を設定することにより、ヘルムホルツ共振キャビティの共振周波数を一定に維持することができる。気導音波の第1の共振ピークPを低減するヘルムホルツ共振キャビティを音響出力装置に設置すると、共振キャビティ口の面積(すなわち、M)の減少及び共振キャビティの体積(すなわち、C)の増加に伴い、ヘルムホルツ共振キャビティの第1の共振ピークPの低減帯域幅が広くなり、低減効果がより顕著になる。
【0091】
図8は、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の気導音波の周波数応答曲線図である。
図8に示すように、Rは、ヘルムホルツ共振キャビティの共振キャビティ口に設置された第2の音響インピーダンス網の音響インピーダンスを示す。曲線8-1は、ヘルムホルツ共振キャビティが設置されない音響出力装置の周波数応答曲線を示す。曲線8-2は、ヘルムホルツ共振キャビティが設置され、該ヘルムホルツ共振キャビティの共振キャビティ口に音響インピーダンスが0.2Rの第2の音響インピーダンス網が設置された音響出力装置の周波数応答曲線を示す。曲線8-3は、ヘルムホルツ共振キャビティが設置され、該ヘルムホルツ共振キャビティの共振キャビティ口に音響インピーダンスがRの第2の音響インピーダンス網が設置された音響出力装置の周波数応答曲線を示す。曲線8-4は、ヘルムホルツ共振キャビティが設置され、該ヘルムホルツ共振キャビティの共振キャビティ口に音響インピーダンスが5Rの第2の音響インピーダンス網が設置された音響出力装置の周波数応答曲線を示す。
図8において、音響出力装置にヘルムホルツ共振キャビティが設置されない場合(曲線8-1に対応する)、音響出力装置から出力された気導音波の周波数応答曲線は、高い周波数帯域において第1の共振ピークPを発生する。気導音波の第1の共振ピークPを低減するヘルムホルツ共振キャビティを音響出力装置に設置すると、共振キャビティ口に設置された第2の音響インピーダンス網の音響インピーダンスの増加に伴い、音響出力装置の周波数応答曲線は、より平坦になる。換言すれば、ヘルムホルツ共振キャビティの設置及び第2の音響インピーダンス網の音響インピーダンスの調整により、音響出力装置の音質をより均一にすることができる。
【0092】
図9は、本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
図10は、本願のいくつかの実施例に係る音響出力装置の気導音波の周波数応答曲線を示す図である。
図9に示すように、音響出力装置900は、
図2Aに示す音響出力装置200Aと類似してもよい。例えば、音響出力装置900は、エネルギー変換装置910、振動膜920及びハウジング930を含んでもよい。ハウジング930は、エネルギー変換装置910及び振動膜920のうちの少なくとも一部の素子を収容する収容キャビティを形成してもよい。収容キャビティは、第1のキャビティ922及び第2のキャビティ924を含んでもよい。第1のキャビティ922は、エネルギー変換装置910を収容してもよい。ハウジング930に第2のキャビティ924と連通する放音孔934が設置されてもよい。ハウジング930に第1のキャビティ922と連通する減圧孔932がさらに設置されてもよい。エネルギー変換装置910は、磁気回路アセンブリ911及びコイル913を含んでもよい。音響出力装置900に関するより多くの説明について、本明細書の他の箇所(例えば、
図2A及びその説明)を参照してもよい。
【0093】
ハウジング930は、第1のハウジング931(メインハウジングと呼ばれてもよい)及び第2のハウジング933(サブハウジングと呼ばれてもよい)を含んでもよい。第1のハウジング931及び第2のハウジング933は、接続されてハウジング930を構成してもよい。第1のハウジング931は、第1のキャビティ922の少なくとも一部を構成してもよく、第2のハウジング933は、第2のキャビティ924の少なくとも一部を構成してもよい。いくつかの実施例では、第2のハウジング933を製造する第2の材料は、第1のハウジング931を製造する第1の材料と同じであってもよい。具体的には、第2のハウジング933は、弾性接続部材936により第1のハウジング931に接続され、かつ振動膜920と協働して第2のキャビティ924を形成してもよい。このような場合に、第1のハウジング931、エネルギー変換装置910(例えば、エネルギー変換装置910における第1のハウジング931に接続されたバネシート)及び振動膜920は、固有周波数f1を有する振動系を形成してもよく、第2のハウジング933及び弾性接続部材936は、固有周波数f2を有する振動系を形成してもよい。いくつかの実施例では、第2のハウジング933を製造する第2の材料は、第1のハウジング931を製造する第1の材料と異なってもよい。具体的には、第2のハウジング933は、第1のハウジング931と異なる弾性係数を有してもよい。このような場合に、第1のハウジング931は、第1の材料に対応する固有周波数f1を有してもよく、第2のハウジング933は、第2の材料に対応する固有周波数f2を有してもよい。いくつかの実施例では、第1のハウジング931に関連する固有周波数f1は、第1のハウジング931の第1の共振周波数と呼ばれてもよく、第2のハウジング933に関連する固有周波数f2は、第2のハウジング933の第2の共振周波数と呼ばれてもよい。なお、ハウジング(例えば、第1のハウジング931、第2のハウジング933)の共振周波数は、レーザー振動計、加速度計などにより測定されてもよく、本願では、限定しない。例えば、レーザー振動計により第2のハウジング933の外表面の振動を測定することにより、第2のハウジング933の第2の共振周波数f2を測定することができる。また例えば、第2のハウジング933の表面に加速度計を接着するか又は機械的に取り付けて、加速度計により第2のハウジング933の外表面の振動を測定することにより、第2のハウジング933の第2の共振周波数f2を測定することができる。
【0094】
いくつかの実施例では、第1の共振周波数は、第2の共振周波数より小さくてもよい。このときに、第2のハウジング933の第2の共振周波数を調整することにより、音響出力装置900の気導音波を制御することができる。
図10に示すように、f2は、第2のハウジング933の第2の共振周波数を示す。
図10から分かるように、音響出力装置900は、第2のハウジング933の第2の共振周波数より低い周波数帯域において、強い気導音波を出力することができる。音響出力装置900は、第2のハウジング933の第2の共振周波数より高い周波数帯域において、ほとんど気導音波を出力しない。具体的には、第1のハウジング931の振動過程において、力及び反力の関係により、エネルギー変換装置910及び/又は振動膜920は、ほぼ静止するか又は第1のハウジング931と逆の方向に振動すると見なされてもよい。第1のハウジング931の振動周波数が第2の共振周波数より小さい(例えば、20Hz~150Hzであるか又は20Hz~400Hzである)場合、第2のハウジング933と第1のハウジング931との位相差は、-π/3~+π/3であってもよい。このときに、第2のハウジング933は、第1のハウジング931と振動方向が同じであってもよく、すなわち、第1のハウジング931と第2のハウジング933とは、同相である。エネルギー変換装置910及び/又は振動膜920は、第2のハウジング933と振動方向が逆であるため、第2のハウジング933と振動膜920との間の空気(すなわち、第2のキャビティ924内の空気)は、圧縮又は拡張されてもよいため、放音孔934を介して音響出力装置900の外部に出力される気導音波を発生することができる。第1のハウジング931の振動周波数が第2の共振周波数より大きい(例えば、第1のハウジング931の振動周波数が2kHz~4kHzであるか又は1kHz~2kHzである)場合、第2のハウジング933と第1のハウジング931との位相差は、2π/3~4π/3であってもよい。このときに、第2のハウジング933は、第1のハウジング931と振動方向が逆であってもよく、エネルギー変換装置910及び/又は振動膜920と振動方向が同じであってもよい。このときに、第2のキャビティ924内の空気は、圧縮又は拡張されにくいため、放音孔934を介して音響出力装置900の外部に出力される気導音波を発生しにくい。
【0095】
要するに、第2のハウジング933の第2の共振周波数を合理的に設計することにより、音響出力装置900がある特定の周波数帯域(例えば、f2より低い低周波数帯域)において放音孔934を介して音響出力装置900の外部に出力される気導音波を発生し、かつ別の周波数帯域(例えば、f2より高い高周波数帯域)において放音孔934を介して音響出力装置900の外部に出力される気導音波をほとんど発生しないように制御することができる。換言すれば、第2のハウジング933の第2の共振周波数を調整することにより、気導音波を利用して骨導音波の特定の周波数帯域を補完することができる。
【0096】
いくつかの実施例では、第2の共振周波数の大きさは、第2のハウジング933及び/又は弾性接続部材936の弾性係数などのパラメータに応じて調整されてもよく、ここでは、限定しない。いくつかの実施例では、第2の共振周波数は、10kHz以下であってもよい。いくつかの実施例では、第2の共振周波数は、8kHz以下であってもよい。いくつかの実施例では、第2の共振周波数は、6kHz以下であってもよい。いくつかの実施例では、第2の共振周波数は、5kHz以下であってもよい。いくつかの実施例では、第2の共振周波数は、3kHz以下であってもよい。いくつかの実施例では、第2の共振周波数は、2kHz以下であってもよい。いくつかの実施例では、第2の共振周波数は、1kHz以下であってもよい。いくつかの実施例では、第2の共振周波数は、0.5kHz以下であってもよい。
【0097】
図11は、本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
図11に示すように、音響出力装置1100は、
図2Aに示す音響出力装置200Aと類似してもよい。例えば、音響出力装置1100は、スピーカーアセンブリを含んでもよい。スピーカーアセンブリは、コアモジュール(例えば、エネルギー変換装置、振動膜)及びハウジング1110を含んでもよい。ハウジング1110は、エネルギー変換装置及び振動膜のうちの少なくとも一部の素子を収容する収容キャビティを形成してもよい。収容キャビティは、第1のキャビティ及び第2のキャビティを含んでもよい。第1のキャビティは、エネルギー変換装置の少なくとも一部を収容してもよい。ハウジング1110に第2のキャビティと連通する放音孔が設置されてもよい。ハウジング1110に第1のキャビティと連通する減圧孔がさらに設置されてもよい。また例えば、エネルギー変換装置は、磁気回路アセンブリ及びコイルを含んでもよい。音響出力装置1100に関するより多くの説明について、本明細書の他の箇所(例えば、
図2A及びその説明)を参照してもよい。
【0098】
前述のスピーカーアセンブリの関連説明に基づいて、音響出力装置1100が気導骨導複合型音響出力装置である場合、ハウジング1110の皮膚接触領域1112(第1のハウジング1112と呼ばれる)は、ユーザーの皮膚に接触して、コアモジュールにより発生した機械的振動を伝達し、さらに骨導音波を発生しやすい。音響出力装置1100が骨導音波を発生すると同時に、エネルギー変換装置とハウジング1110とは、相対的に運動する。さらに、振動膜の存在により、第2のキャビティにおいて、放音孔を介して人の耳に伝達され、骨導音と同相の気導音波が発生する。ハウジング1110(すなわち、第1のハウジング1112)がユーザーに接触する場合、ユーザーの皮膚の機械的特性(例えば、弾性、減衰、質量)は、逆に、コアモジュールの振動状態に影響を与える。具体的には、ハウジング1110(すなわち、第1のハウジング1112の第1の領域11A)とユーザーの皮膚とが密着するほど、ハウジング1110の振動が弱くなる。さらに、ハウジング1110の振動が弱くなると、ハウジング1110とエネルギー変換装置及び振動膜との相対的運動が弱くなり、これにより発生した気導音も小さくなり、最終的に気導音のリスニング効果に影響を与える。しかしながら、ハウジング1110は、ユーザーの皮膚と完全に分離してはいけず、骨導音波の伝達に影響を与え、さらに骨導音のリスニング効果に影響を与えるからである。
【0099】
ハウジング1110と皮膚との密着程度を低下させることにより、皮膚によるコアモジュールの振動への影響を低下させ、ハウジング1110及び/又は振動膜が振動して十分な気導音波を発生するとともに骨導音波の伝達効率を低下させないようにするために、ハウジングとユーザーの皮膚との接触面積を低減してもよく、例えば、皮膚接触領域1112を傾斜して設置してもよい。いくつかの実施例では、皮膚接触領域1112は、第1の領域11A及び第2の領域11Bを含んでもよい。音響出力装置1100は、支持アセンブリ1120(例えば、
図1B中の耳掛け122)をさらに含んでもよい。支持アセンブリ1120は、一端がハウジング1110に接続されて、スピーカーアセンブリを支持してもよい。第2の領域11Bは、第1の領域11Aより支持アセンブリ1120から離れてもよい。音響出力装置1100が装着状態にある場合、皮膚接触領域1112の第1の領域11Aは、ユーザーの皮膚に接触してエネルギー変換装置によって駆動されて振動して骨導音波を発生してもよい。皮膚接触領域1112の第2の領域11Bは、ユーザーの皮膚に接触しなくてもよい(例えば、傾斜又は間隔をあけて設置されてもよい)。いくつかの実施例では、第1の領域11Aと第2の領域11Bは、面一に設置されて、ハウジング1110の加工難易度を低下させてもよい。例えば、ハウジング1110と支持部材1120を一定の角度をなすように設置することにより、音響出力装置1100が装着状態でユーザーの皮膚に対して傾斜し、かつ間隔をあけて設置される。いくつかの実施例では、第1の領域11A及び第2の領域11Bは、面一でなくてもよい。例えば、第1の領域11Aと第2の領域11Bとは、それぞれ、2つの平面に位置してもよく、これら2つの平面は、円弧面により接続されてもよい。また例えば、第1の領域11Aと第2の領域11Bとは、それぞれ、1つの円弧面の異なる部分であってもよい。
【0100】
いくつかの実施例では、皮膚接触領域1112の傾斜角度(例えば、第2の領域11Bとユーザーの皮膚との夾角γ)は、実際の需要に応じて設定されてもよい。本明細書では、第2の領域11Bとユーザーの皮膚との夾角γは、第2の領域11Bの接平面と、ユーザーの皮膚の位置する平面との最大角度と最小角度の平均値であってもよい。いくつかの実施例では、第2の領域11Bとユーザーの皮膚との夾角γは、0°~45°の範囲であってもよい。いくつかの実施例では、第2の領域11Bとユーザーの皮膚との夾角γは、2°~40°の範囲であってもよい。いくつかの実施例では、第2の領域11Bとユーザーの皮膚との夾角γは、5°~35°であってもよい。いくつかの実施例では、第2の領域11Bとユーザーの皮膚との夾角γは、10°~30°の範囲であってもよい。いくつかの実施例では、第2の領域11Bとユーザーの皮膚との夾角γは、15°~25°の範囲であってもよい。いくつかの実施例では、第2の領域11Bの面積は、第1の領域11Aの面積より大きくてもよい。
【0101】
図12は、本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置のブロック図である。
図12に示すように、音響出力装置1200は、スピーカーアセンブリ1210、伝達アセンブリ1220及び支持アセンブリ1230を含んでもよい。スピーカーアセンブリ1210は、伝達アセンブリ1220により支持アセンブリ1230に接続されてもよい。
【0102】
スピーカーアセンブリ1210は、電気信号に基づいて機械的振動信号(例えば、骨導音波及び/又は気導音波)を発生してもよい。電気信号は、音声情報を含んでもよい。音声情報は、特定のデータフォーマットを有するビデオファイル又はオーディオファイルであってもよく、一般的なデータであってもよく、特定の方式で最終的に音声に変換可能なファイルであってもよい。電気信号は、マイクロフォン、コンピュータ、携帯電話、MP3プレーヤなどの信号源から受信されてもよい。例えば、マイクロフォンは、音源から音声信号を受信してもよい。そして、マイクロフォンは、受信した音声信号を電気信号に変換し、かつ電気信号をスピーカーアセンブリ1210に伝送してもよい。また例えば、スピーカーアセンブリ1210は、MP3プレーヤに接続されてもよく、MP3プレーヤと通信してもよい。MP3プレーヤは、電気信号をスピーカーアセンブリ1210に直接伝送してもよい。いくつかの実施例では、スピーカーアセンブリ1210は、有線接続、無線接続又はそれらの組み合わせにより信号源に接続及び/又は通信してもよい。有線接続は、例えば、ケーブル、光ケーブル、電話線など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。無線接続は、ブルートゥース(登録商標)ネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、近距離無線通信(NFC)ネットワーク、ZigBee(登録商標)ネットワークなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。スピーカーアセンブリに関するより多くの説明について、本願の他の箇所(例えば、
図2A及びその説明)を参照してもよい。
【0103】
伝達アセンブリ1220は、スピーカーアセンブリ1210に物理的に接続されてもよい。したがって、伝達アセンブリ1220は、スピーカーアセンブリ1210から振動信号を受信してもよい。音響出力装置1200がユーザーに装着されている場合、伝達アセンブリ1220とユーザーとの間には、角度が形成されてもよい。本明細書では、伝達アセンブリ1220とユーザーとの間の角度は、伝達アセンブリ1220の長軸とユーザーの皮膚の位置する平面との間の角度であってもよい。いくつかの実施例では、該角度は、0~90°、又は0°~70°、又は5°~50°、又は10°~50°、又は10°~30°などの角度範囲にあってもよい。
【0104】
伝達アセンブリ1220は、伝達アセンブリ1220の皮膚接触領域によりユーザーに接触し、かつ皮膚接触領域により受信した振動信号をユーザーに伝送してもよい。いくつかの実施例では、伝達アセンブリ1220とユーザー(例えば、ユーザーの皮膚)との接触面積は、振動信号に応答して変化してもよい。いくつかの実施例では、伝達アセンブリ1220の皮膚接触領域は、例えば、額、頸部(例えば、喉)、顔(例えば、口の周囲の領域、顎)、頭上、乳様突起、耳の周囲の領域、こめかみなど、又はそれらの任意の組み合わせに設置されてもよい。
【0105】
伝達アセンブリ1220の皮膚接触領域は、スピーカーアセンブリ1210から一定の距離離れてもよい。スピーカーアセンブリ1210は、伝達アセンブリ1220の皮膚接触領域に近接する回転軸を中心として振動してもよい。このような場合に、伝達アセンブリ1220の皮膚接触領域は、スピーカーアセンブリ1210より回転軸に近接してもよい。したがって、伝達アセンブリ1220の皮膚接触領域の振動強度は、スピーカーアセンブリ1210の振動強度より小さくてもよく、それによりユーザーに伝達される振動を低減する。例えば、伝達アセンブリ1220は、少なくとも1つの円弧状構造を有する弾性素子を含んでもよい。伝達アセンブリ1220の皮膚接触領域は、少なくとも1つの円弧状構造の突起部分にあってもよい。スピーカーアセンブリ1210は、振動信号に応答して皮膚接触領域の周囲に振動してもよい。円弧状構造に関するより多くの説明は、本願の他の箇所(例えば、
図14及びその説明)で見つけることができる。また例えば、伝達アセンブリ1220は、接続ユニット、振動伝達板及び弾性素子を含んでもよい。スピーカーアセンブリ1210は、接続ユニットの上表面に設置されてもよく、振動伝達板は、接続ユニットの一端に接続されてもよい。伝達アセンブリ1220の皮膚接触領域は、振動伝達板に設置されてもよい。支持アセンブリ1230は、弾性素子により接続ユニット又は振動伝達板に接続されてもよい。スピーカーアセンブリ1210は、振動信号に応答して支持アセンブリ1230と弾性素子との間の接続点を中心として振動してもよい。接続ユニット、振動伝達板及び弾性素子を有する伝達アセンブリに関するより多くの説明は、本願の他の箇所(例えば、
図13及びその説明)で見つけることができる。
【0106】
いくつかの実施例では、伝達アセンブリ1220の皮膚接触領域は、耳の周囲の領域に設置されて、スピーカーアセンブリ1210の1つの表面がユーザーの耳道に向かう。このようにして、振動スピーカー1210が振動する場合、スピーカーアセンブリ1210は、振動スピーカー1210の周囲の空気を振動して気導音波を発生するように駆動することができる。気導音波は、空気により耳に伝達されることにより、ユーザーに伝達される音声の強度を向上させる。したがって、ユーザーは、伝達アセンブリ1220の皮膚接触領域の振動により発生した骨導音波に聞こえるだけでなく、スピーカーアセンブリ1210が周囲の空気を駆動して発生した気導音波に聞こえる。
【0107】
いくつかの実施例では、スピーカーアセンブリ1210のハウジングは、ハウジングの側壁又はユーザーの耳道に向かう側などに設置された1つ以上の放音孔を含んでもよい。このようにして、スピーカーアセンブリ1210が振動する場合、スピーカーアセンブリ1210のハウジング(例えば、第2のキャビティ)において発生した気導音波は、1つ以上の放音孔を介してハウジング外に伝達され、さらにユーザーの耳に伝達されてもよい。いくつかの実施例では、ユーザーが音響出力装置1200を装着している場合、スピーカーアセンブリ1210の1つ以上の放音孔は、ユーザーの耳道に向かって配置されてもよい。したがって、ユーザーは、さらに、スピーカーアセンブリ1210の1つ以上の放音孔から伝達された気導音波に聞こえ、それにより、ユーザーが聞こえる音声の強度が向上する。
【0108】
支持アセンブリ1230は、伝達アセンブリ1220によりスピーカーアセンブリ1210に物理的に接続されてもよい。支持アセンブリ1230は、伝達アセンブリ1220がユーザーの皮膚に接触するように、伝達アセンブリ1220及び/又はスピーカーアセンブリ1210を支持するように構成されてもよい。
【0109】
いくつかの実施例では、支持アセンブリ1230は、固定部分を含んでもよく、該固定部分により音響出力装置1200をユーザーによりよく固定するとともに、ユーザーの使用中の落下を防止することができる。いくつかの実施例では、音響出力装置1200をユーザーの身体に単独で装着することができるように、固定部分は、U字形、C字形、円環形、楕円形、半円形など、人体のある部位(例えば、耳、頭部、頸部)に適合する任意の形状を有してもよい。例えば、支持アセンブリ1230の固定部分の形状は、人の耳介の形状に合わせてもよく、それにより音響出力装置1200をユーザーの耳に単独で装着することができる。また例えば、支持アセンブリ1230をユーザーの頭部に吊り下げることにより音響出力装置1200の落下を防止することができるように、支持アセンブリ1230の固定部分の形状は、人の頭部の形状に合わせてもよい。
【0110】
いくつかの実施例では、支持アセンブリ1230は、中空内部を有するハウジング構造であってもよい。中空内部は、電池アセンブリ、制御回路アセンブリ、ブルートゥース(登録商標)デバイスなど、又はそれらの任意の組み合わせを収容してもよい。いくつかの実施例では、支持アセンブリ1230は、金属材料(例えば、アルミニウム、金、銅)、合金材料(例えば、アルミニウム合金、チタン合金)、プラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ナイロン)、繊維材料(例えば、アセテート繊維、プロピオン酸繊維、炭素繊維)などの様々な材料で製造されてもよい。いくつかの実施例では、支持アセンブリ1230にシースが設置されてもよい。シースは、例えば、軟質シリコーンゴム、ゴムなど、一定の弾性を有する軟質材料で製造されてもよく、ユーザーにより良好な触感を提供することができる。
【0111】
なお、音響出力装置100に対する上記説明は、説明の目的のためのものであり、本願の範囲を限定するものではない。多くの代替、修正及び変形は、当業者にとって明らかである。本明細書に記載の例示的な実施例の特徴、構造、方法及び他の特徴を様々な方式で組み合わせて、追加及び/又は代替の例示的な実施例を得ることができる。いくつかの実施例では、音響出力装置1200の任意の2つのアセンブリ(例えば、スピーカーアセンブリ1210、伝達アセンブリ1220及び支持アセンブリ130)の間の接続方式は、接着、リベット接合、ネジ接続、一体形成、吸気接続又は他の類似方式など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0112】
いくつかの実施例では、音響出力装置1200は、補助支持部材をさらに含んでもよく、該補助支持部材は、ユーザーとの接触によりスピーカーアセンブリ1210への支持を補助してもよい。補助支持部材は、ロッド状構造を有してもよく、補助支持部材の端部は、スピーカーアセンブリ1210に直接接続されてもよい。したがって、ユーザーが音響出力装置1200を装着している場合、補助支持部材は、スピーカーアセンブリ1210に接触してもよい。それにより、スピーカーアセンブリ1210は、補助支持部材によりユーザーに一部の振動信号を伝送することにより、ユーザーが聞こえる音声の強度をさらに向上させることができる。
【0113】
図13は、本願のいくつかの実施例に係る、例示的な音響出力装置がユーザーに振動信号を伝達する過程に関連する状態の概略図である。
図13に示すように(例えば、
図13中の状態13a)、音響出力装置1300は、スピーカーアセンブリ1310、伝達アセンブリ1320(破線枠1320内のアセンブリ)及び支持アセンブリ1330を含んでもよい。
【0114】
スピーカーアセンブリ1310は、伝達アセンブリ1320により支持アセンブリ1330に接続されてもよい。スピーカーアセンブリ1310は、電気信号に基づいて、音声を示す振動信号を発生してもよい。単なる例として、スピーカーアセンブリ1310は、エネルギー変換装置、振動膜及びハウジングを含んでもよい。エネルギー変換装置は、磁気回路アセンブリ及びコイルを含んでもよい。コイルは、磁気回路アセンブリによって提供された磁場において振動し、かつ振動膜及び/又はハウジングを振動するように駆動してもよい。ハウジングは、人体に向かうフロントハウジングと、フロントハウジングと対向するリアハウジングとを含んでもよい。スピーカーアセンブリ1310は、様々な共振ピークを提供してもよい。いくつかの実施例では、スピーカーアセンブリ1310は、周波数範囲が500Hzより小さいか又は800Hzより小さいか又は1000Hzより小さい1つ以上の低周波数共振ピークを提供してもよい。低周波数共振ピークは、ハウジングの弾性率に関連する可能性がある。ハウジングの弾性率が小さいほど、スピーカーアセンブリ1310の低周波数共振ピークが低い可能性がある。
【0115】
伝達アセンブリ1320は、ユーザーとの接触により振動信号をユーザー(例えば、ユーザーの蝸牛)に伝達してもよい。いくつかの実施例では、伝達アセンブリ1320は、接続ユニット1322、振動伝達板1324及び弾性素子1326を含んでもよい。伝達アセンブリ1320のユーザーに接触する皮膚接触領域は、振動伝達板1324に設置されてもよい。
【0116】
いくつかの実施例では、接続ユニット1322は、2つの端部(例えば、第1の端部E1及び第2の端部E2)を有する構造であってもよい。例えば、接続ユニット1322は、2つの端部を有するロッド状構造、シート状構造などであってもよい。スピーカーアセンブリ1310は、接続ユニット1322により振動伝達板1324に接続されてもよい。例えば、スピーカーアセンブリ1310の側壁(例えば、下側壁)は、接続ユニット1322の側壁(例えば、上側壁)に接続されてもよい。好ましくは、スピーカーアセンブリ1310は、上側に設置されてもよく、接続ユニット1322の第1の端部E1に接続されてもよい。例えば、
図13に示すように、接続ユニット1322が矩形ロッドである場合、スピーカーアセンブリ1310は、接続ユニット1322の上側壁に設置されてもよい。簡潔さのために、接続ユニット1322の上側は、接続ユニット1322のユーザーの皮膚から離れる側であり、接続ユニット1322の下側は、接続ユニット1322のユーザーの皮膚に向かう側である。同様に、スピーカーアセンブリ1310の上側は、スピーカーアセンブリ1310のユーザーの皮膚から離れる側であり、スピーカーアセンブリ1310の下側は、スピーカーアセンブリ1310のユーザーの皮膚に向かう側である。いくつかの実施例では、接続ユニット1322がロッド状構造である場合、ロッドの横断面は、矩形、三角形、円形、楕円形、正六角形、不規則な形状などの他の任意の形状であってもよい。いくつかの実施例では、接続ユニット1322がシート状構造である場合、シート構造の形状は、矩形、楕円形、不規則な形状などを含んでもよい。
【0117】
振動伝達板1324は、第2の端部E2において接続ユニット1322の下側に接続されてもよい。振動伝達板1324及び伝達アセンブリ1320の皮膚接触領域は、スピーカーアセンブリ1310から一定の距離離れてもよい。振動伝達板1324は、ユーザーに接触して(
図13に示すように、破線1340は、概ねユーザーの皮膚と見なされてもよい)振動信号をユーザーに伝達するように構成されてもよい。いくつかの実施例では、振動伝達板1324は、楔形ブロックなどのブロック状物であってもよく、スピーカーアセンブリ1310をユーザーの皮膚の上方に吊り下げることを許可するか又は引き起こすことにより、接続ユニット1322の上表面又は下表面とユーザーの皮膚の表面との間に角度(例えば、
図13a中のθ)が形成される。いくつかの実施例では、接続ユニット1322の上表面又は下表面とユーザーの皮膚の表面との間の角度は、0°~90°、又は0°~70°、又は5°~50°、又は10°~50°、又は10°~30°などの範囲にあってもよい。いくつかの実施例では、接続ユニット1322の上表面又は下表面とユーザーの皮膚の表面との間の角度は、伝達アセンブリ1320とユーザーの皮膚1340(又はユーザーの皮膚の位置する平面)との間の角度と呼ばれてもよい。
【0118】
弾性素子1326及び振動伝達板1324は、接続ユニット1322の同一の端部に位置してもよく、すなわち、弾性素子1326は、接続ユニット1322の第2の端部E2に接続されてもよい。振動伝達板1324に凸状構造1328が設置されてもよい(
図13に示す)。弾性素子1326の両端は、それぞれ、凸状構造1328及び接続ユニット1322の第2の端部E2に接続されてもよい。いくつかの実施例では、弾性素子1326は、一定の弾性を有するシート状構造又はロッド状構造であってもよい。
【0119】
支持アセンブリ1330の第1の端部は、弾性素子1326の任意の点(例えば、中心点)で弾性素子1326に接続されてもよい。いくつかの実施例では、支持アセンブリ1330の第1の端部は、弾性素子1326に対して、直接接続されるか又は接続素子1332により接続されてもよい。例えば、支持アセンブリ1330の第1の端部は、弾性素子1326の中心に対して、直接接続されるか又は接続素子1332により接続されてもよい。音響出力装置1300がユーザーに固定的に装着される場合、支持アセンブリ1330は、ユーザーに対して静止すると見なされてもよく、このような場合に、スピーカーアセンブリ1310は、振動信号に応答して接続ユニット1322及び振動伝達板1324を支持アセンブリ1330と弾性素子1326との間の特定の接続点1350を中心として回転するように駆動することができる。
【0120】
図13中の状態13a及び状態13bにおいて、状態13aは、振動信号の伝達過程における音響出力装置1300の初期状態を示し、状態13bは、振動信号の伝達過程における音響出力装置1300の中間状態を示す。矢印Aは、スピーカーアセンブリ1310の振動方向を示し、矢印Aの長さは、振動強度を示す。
【0121】
音響出力装置1300が初期状態(状態13a)にある場合、伝達アセンブリ1320とユーザーの皮膚1340との間の角度がθであるとき、振動伝達板1324とユーザーの皮膚1340との接触面積は、振動信号の伝達過程において最大である。音響出力装置1300が中間状態(状態13b)にある場合、伝達アセンブリ1320とユーザーの皮膚1340との間の角度は、音響出力装置1300の初期状態での伝達アセンブリ1320とユーザーの皮膚1340との間の角度より小さくてもよい。したがって、伝達アセンブリ1320とユーザーの皮膚1340との接触面積は、振動信号に応答して変化してもよい。例えば、スピーカーアセンブリ1310が特定の接続点1350を中心としてユーザーの皮膚1340に向かって振動する過程において、伝達アセンブリ1320とユーザーの皮膚1340との間の角度は、徐々に減少してもよい(すなわち、状態13bでのθ’<θ)。このような場合に、音響出力装置1300の中間状態で、振動伝達板1324とユーザーの皮膚1340との接触面積は、音響出力装置1300の初期状態での振動伝達板1324とユーザーの皮膚1340との接触面積より小さくてもよい。したがって、スピーカーアセンブリ1310がユーザーに振動信号を伝達する過程において、ユーザーの振動感を低減することができる。
【0122】
また、振動伝達板1324がスピーカーアセンブリ1310から一定の距離離れ、かつ振動伝達板1324から特定の接続点1350までの距離がスピーカーアセンブリ1310から特定の接続点1350までの距離より小さいため、振動信号の伝達過程において、振動伝達板1324の振動強度は、スピーカーアセンブリ1310の振動強度より小さくてもよく、それにより、ユーザーの振動感をさらに低減する。単なる例として、矢印Bは、皮膚接触領域におけるある点の振動を示し、矢印Bの長さは、該点の振動強度を示す。特定の接続点1350から矢印Bまでの垂直距離が特定の接続点1350から矢印Aまでの垂直距離より小さいため、矢印Aで示される振動強度(すなわち、矢印Aの長さ)は、振動矢印Bの強度(すなわち、矢印Bの長さ)より大きい可能性がある。
【0123】
したがって、伝達アセンブリ1320を使用することにより、スピーカーアセンブリ1310による振動を低減することができるため、ユーザーを低周波数範囲の不快な振動感から保護することができる。これに基づいて、スピーカーアセンブリ1310の周波数応答をより柔軟に設計して様々な需要に適応することができる。例えば、スピーカーアセンブリ1310の最小共振ピークは、低い周波数範囲に移動されて、ユーザーにより豊かな低周波数信号を提供することができる。上記のように、スピーカーアセンブリ1310のハウジングの弾性率を変化させることにより、スピーカーアセンブリ1310の最小共振ピークを調整することができる。いくつかの実施例では、スピーカーアセンブリ1310のハウジングの弾性率は、スピーカーアセンブリ1310の最小共振ピークが2500Hzより小さいか、又は2000Hzより小さいか、又は1500Hzより小さいか、又は1200Hzより小さいか、又は1000Hzより小さいか、又は800Hzより小さいか、又は500Hzより小さいか、又は300Hzより小さいか、又は200Hzより小さいか、又は100Hzより小さいか、又は90Hzより小さいか、又は50Hzより小さいように設計されてもよい。
【0124】
なお、以上の説明は、説明の目的のためのものに過ぎず、本願の範囲を限定するものではない。当業者であれば、本願の指導で様々な変更及び修正を行うことができる。しかしながら、これらの変更及び修正は、本開示の範囲から逸脱しない。例えば、スピーカーアセンブリ1310は、振動伝達板1324に直接接続されてもよく、すなわち、接続ユニット1322を省略してもよい。このような場合に、弾性素子1326は、スピーカーアセンブリ1310に直接接続されてもよい。また例えば、音響出力装置1300は、補助支持部材(図示せず)などの1つ以上の追加部材をさらに含んでもよい。さらに例えば、スピーカーアセンブリ1310の表面がユーザーの耳道に向かって、気導音波を耳によりよく伝播するように、伝達アセンブリ1320の皮膚接触領域は、耳の周囲の領域に設置されてもよい。
【0125】
図14は、本願のいくつかの実施例に係る、例示的な音響出力装置がユーザーに振動信号を伝達する過程に関連する状態の概略図である。
図14に示すように、音響出力装置1400は、
図13に示す音響出力装置1300と類似してもよい。音響出力装置1400は、スピーカーアセンブリ1410、伝達アセンブリ1420及び支持アセンブリ1430を含んでもよい。
【0126】
スピーカーアセンブリ1410は、伝達アセンブリ1420により支持アセンブリ1430に接続されてもよい。スピーカーアセンブリ1410は、電気信号に基づいて、音声を示す振動信号を発生してもよい。スピーカーアセンブリ1410は、
図13に示すスピーカーアセンブリ1310と類似してもよく、同じであってもよい。
【0127】
伝達アセンブリ1420は、弾性素子を含んでもよい。弾性素子は、接続部分1422及び円弧状構造1424を含んでもよく、接続部分1422の第1の端部は、円弧状構造1424の第1の端部E3に接続される。いくつかの実施例では、弾性素子(例えば、接続部分1422及び/又は円弧状構造1424)は、金属材料(例えば、アルミニウム、金、銅)、合金材料(例えば、アルミニウム合金、チタン合金)、プラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ナイロン)、繊維材料(例えば、アセテート繊維、プロピオン酸繊維、炭素繊維)などの様々な弾性材料で製造されてもよい。
【0128】
スピーカーアセンブリ1410は、接続部分1422に物理的に接続されてもよい。例えば、接続部分1422がシート状構造である場合、スピーカーアセンブリ1410は、接続部分1422の上表面に設置されてもよい。また例えば、接続部分1422がロッド状構造である場合、スピーカーアセンブリ1410は、接続部分1422の上表面に設置されてもよく、スピーカーアセンブリ1410の側壁は、接続部分1422の第2の端部に接続されてもよい。
【0129】
円弧状構造1424の突起部分は、ユーザーの皮膚1440に接触してもよいため、スピーカーアセンブリ1410は、伝達アセンブリ1420により振動信号をユーザーに伝送してもよい。このような場合に、円弧状構造1424とユーザーの皮膚1440との接触面積は、
図13に示す伝達アセンブリ1320の皮膚接触領域の面積より小さくてもよい。伝達アセンブリ1420とユーザーの皮膚1440との接触面積は、振動信号に応答するときにほとんど変化しなくてもよい。スピーカーアセンブリ1410は、ユーザーの皮膚に吊り下げられてもよく、接続部分1422とユーザーの皮膚1440の表面との間に角度(例えば、
図14の状態14aでの角度a)が形成される。いくつかの実施例では、接続部分1422とユーザーの皮膚1440の表面との間の角度は、0°~90°、又は0°~70°、又は5°~50°、又は10°~50°、又は10°~30°の角度範囲にあってもよい。いくつかの実施例では、接続部分1422とユーザーの皮膚1440の表面との間の角度は、伝達アセンブリ1420とユーザーの皮膚1440(又はユーザーの皮膚の位置する平面)との間の角度と呼ばれてもよい。
【0130】
いくつかの実施例では、ユーザーの皮膚1440に接触する円弧状構造1424の突起部分は、伝達アセンブリ1420の皮膚接触領域1450と呼ばれてもよい。伝達アセンブリ1420の皮膚接触領域1450は、スピーカーアセンブリ1410から一定の距離離れてもよい。円弧状構造1424の第2の端部E4は、支持アセンブリ1430の一端に接続されてもよい。音響出力装置1400がユーザーに固定的に装着される場合、支持アセンブリ1430は、ユーザーに対して静止すると見なされてもよく、このような場合に、スピーカーアセンブリ1410は、振動信号に応答して伝達アセンブリ1420(すなわち、弾性素子の接続部分1422及び円弧状構造1424)を皮膚接触領域1450を中心として振動するか又は回転するように駆動することができる。いくつかの実施例では、円弧状構造1424の第2の端部E4は、接続素子1432により支持アセンブリ1430に接続されてもよい。
【0131】
図14中の状態14a及び状態14bにおいて、状態14aは、振動信号の伝達過程における音響出力装置1400の初期状態を示し、状態14bは、振動信号の伝達過程における音響出力装置1400の中間状態を示す。矢印Aは、スピーカーアセンブリ1410の振動方向を示し、矢印Aの長さは、振動強度を示す。
【0132】
振動信号の伝達過程において、円弧状構造1424とユーザーの皮膚1440との接触面積が小さく、スピーカーアセンブリ1410により発生した振動信号が伝達アセンブリ1420(例えば、接続部分1422及び/又は円弧状構造1424)の弾性変形に部分的に変換されるため、スピーカーアセンブリ1410がユーザーの皮膚1440に直接接触する場合のユーザーの振動感に比べて、ユーザーの振動感が低減することができる。
【0133】
また、皮膚接触領域1450がスピーカーアセンブリ1410から一定の距離離れるため、振動信号の伝達過程において、皮膚接触領域1450の振動強度は、スピーカーアセンブリ1410の振動強度より小さい可能性があり、それにより、ユーザーの振動感をさらに低減する。単なる例として、矢印Bは、皮膚接触領域1450の付近のある点の振動を示し、矢印Bの長さは、該点の振動強度を示す。皮膚接触領域1450から矢印Bまでの垂直距離が皮膚接触領域1450から矢印Aまでの垂直距離より小さいため、矢印Aで示される振動強度(すなわち、矢印Aの長さ)は、矢印Bで示される振動強度(すなわち、矢印Bの長さ)より大きい可能性がある。
【0134】
したがって、伝達アセンブリ1420を使用することにより、スピーカーアセンブリ1410による振動を低減することができるため、ユーザーを低周波数範囲の不快な振動感から保護することができる。これに基づいて、スピーカーアセンブリ1410の周波数応答をより柔軟に設計して様々な需要に適応することができる。例えば、スピーカーアセンブリ1410の最小共振ピークは、低周波数範囲に移動されて、ユーザーにより豊かな低周波数信号を提供することができる。上記のように、スピーカーアセンブリ1410のハウジングの弾性率を変化させることにより、スピーカーアセンブリ1410の最小共振ピークを調整することができる。いくつかの実施例では、スピーカーアセンブリ1410のハウジングの弾性率は、スピーカーアセンブリ1410の最小共振ピークが2500Hzより小さいか、又は2000Hzより小さいか、又は1500Hzより小さいか、又は1200Hzより小さいか、又は1000Hzより小さいか、又は800Hzより小さいか、又は500Hzより小さいか、又は300Hzより小さいか、又は200Hzより小さいか、又は100Hzより小さいか、又は90Hzより小さいか、又は50Hzより小さいように設計されてもよい。
【0135】
説明のみを目的として、音響出力装置1400について、1つの弾性素子のみが記載される。なお、本願における音響出力装置1400は、複数の弾性素子をさらに含んでもよいため、振動信号は、複数の弾性素子によって共に伝達されてもよい。いくつかの実施例では、弾性素子は、複数の円弧状構造を含んでもよいため、振動信号は、複数の円弧状構造によって共に伝達されてもよい。例えば、複数の円弧状構造は、並んで設置されてもよい。
【0136】
なお、以上の説明は、説明の目的のためのものに過ぎず、本願の範囲を限定するものではない。当業者であれば、本願の指導で様々な変更及び修正を行うことができる。しかしながら、これらの変更及び修正は、本開示の範囲から逸脱しない。例えば、円弧状構造1424は、スピーカーアセンブリ1410に直接接続されてもよく、すなわち、接続部分1422を省略してもよい。また例えば、音響出力装置1400は、補助支持部材(図示せず)などの1つ以上の追加部材をさらに含んでもよい。さらに例えば、スピーカーアセンブリ1410の表面がユーザーの耳道に向かって、気導音波を耳によりよく伝播するように、伝達アセンブリ1420の皮膚接触領域1450は、耳の周囲の領域に設置されてもよい。
【0137】
図15は、本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
図15に示すように、音響出力装置1500は、信号処理回路1510及びスピーカーアセンブリ1520を含んでもよい。信号処理回路1510は、スピーカーアセンブリ1520に電気的に接続されてもよい。
【0138】
信号処理回路1510は、オーディオ信号源から受信したオーディオ信号(例えば、電気信号)を受信し処理して、目標オーディオ信号を得ることができる。目標オーディオ信号は、スピーカーアセンブリ1520が音声を発生するように駆動することができる。例えば、信号処理回路1510は、有線接続及び/又は無線接続の方式で携帯電話、MP3、マイクロフォンなどの機器からオーディオ信号を受信することができる。信号処理回路1510は、受信したオーディオ信号に対して、例えば、復号、サンプリング、デジタル化、圧縮、周波数分割、周波数変調、EQ等化、利得調整、符号化などのうちの1種又は複数種の信号処理操作を行うことができる。信号処理回路1510は、処理して得られた目標オーディオ信号をスピーカーアセンブリ1520に伝送することができる。いくつかの実施例では、信号処理回路は、制御回路(例えば、
図1中の制御回路140)に集積化されてもよい。
【0139】
スピーカーアセンブリ1520は、目標オーディオ信号を受信し、音声(例えば、気導音波、骨導音波)に変換することができる。単なる例として、スピーカーアセンブリ1520は、エネルギー変換装置、振動膜及びハウジングを含んでもよい。エネルギー変換装置は、信号処理回路1510に電気的に接続されて、目標オーディオ信号を受信することができる。エネルギー変換装置は、目標オーディオ信号を機械的振動信号に変換してもよい。振動膜は、エネルギー変換装置によって駆動されて振動して気導音波を発生してもよい。いくつかの実施例では、エネルギー変換装置は、ハウジングに接続されてもよい。ハウジングは、皮膚接触領域を含んでもよい。皮膚接触領域は、エネルギー変換装置によって駆動されて振動して骨導音波を発生してもよい。スピーカーアセンブリに関するより多くの説明について、本明細書の他の箇所(例えば、
図2A及びその説明)を参照してもよい。
【0140】
以上から分かるように、スピーカーアセンブリ1520のキャビティ(例えば、第2のキャビティ)と放音孔との相互作用により、スピーカーアセンブリ1520(又は音響出力装置1500)から出力される気導音波は、その周波数応答曲線に第1の共振ピークを有する。第1の共振ピークで、キャビティにおいて発生した気導音声の出力が急増することにより、スピーカーアセンブリ1520(又は音響出力装置1500)から出力される気導音と、それによる漏れ音とは、第1の共振ピークに対応する周波数付近の共振周波数帯域において急増し、それにより、音響出力装置1500の音質が不均一になるとともに、漏れ音が増大する。このため、信号処理回路1510を利用して、対応する周波数帯域の信号振幅を低減し、さらに該周波数帯域の音声の出力を低減し、音声の急増現象を低減することができ、それにより、音響出力装置1500の音質及び漏れ音を改善する。
【0141】
例示的には、信号処理回路1510は、信号等化を実現するために、少なくとも1つのイコライザー1512(Equalizer、EQ)を含んでもよい。具体的には、イコライザー1512のオーディオ信号の第1の周波数帯域に対する信号利得係数は、イコライザー1512の第2の周波数帯域に対する信号利得係数より大きくてもよく、第2の周波数帯域は、第1の周波数帯域より高い。いくつかの実施例では、第1の周波数帯域は、少なくとも500Hzを含んでもよい。第2の周波数帯域は、少なくとも3.5kHz又は4.5kHzを含んでもよい。いくつかの実施例では、第1の共振ピークをできるだけ高周波数に移動させてもよい。例えば、第1の共振ピークのピーク共振周波数は、第2の周波数帯域内にあるか、又は第2の周波数帯域より高いように設定されてもよい。このようにして、イコライザー1512により信号振幅を低減し、さらに第2の周波数帯域の信号出力を低減し、気導音の急増を弱め、さらに音響出力装置1500の音質の高周波数をより均一にする。
【0142】
いくつかの実施例では、イコライザー1512は、1つ以上のフィルタを含んでもよい。フィルタは、アナログフィルタ、デジタルフィルタなど又はそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、イコライザー1512は、ウェーブレットフィルタ、移動平均フィルタ、メディアンフィルタ、適応メディアンフィルタなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、共振周波数帯域における漏れ音の急増を抑制するために、イコライザー1512は、デジタルバンドパスフィルタを含んでもよい。デジタルバンドパスフィルタの中心周波数は、第1の共振ピークのピーク周波数に近接してもよく、例えば、両者の周波数差は、1オクターブバンド内であってもよい。デジタルバンドパスフィルタの品質係数Qは、0.5~6の範囲であってもよい。デジタルバンドパスフィルタの利得は、0~12dBの範囲に制御されてもよい。
【0143】
いくつかの実施例では、信号処理回路1510は、音量監視モジュールをさらに含んでもよい。音量監視モジュールは、音響出力装置1500の音量を監視してもよい。イコライザー1512は、音響出力装置1500の音量に基づいて、第1の周波数帯域に対して異なる信号利得係数を設定してもよい。音量監視モジュールに関するより多くの説明について、本明細書の他の箇所(例えば、
図16及びその説明)を参照してもよい。
【0144】
いくつかの実施例では、音量が大きいほど、第1の周波数帯域に対する信号利得係数が小さい。例えば、音量が小さい場合に、イコライザーにより低周波数に対する信号利得係数を大きくし、さらに聴感上の低周波数を十分にし、飽和させ、音質を向上させることができ、音量が大きい場合に、イコライザーにより低周波数に対する信号利得係数を小さくし、さらにスピーカーの振幅が大きすぎることによる音割れを回避することができる。
【0145】
図16は、本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略図である。
図16に示すように、音響出力装置1600は、
図15に示す音響出力装置1500と類似してもよい。例えば、音響出力装置1600は、信号処理回路1610及びスピーカーアセンブリ1620を含んでもよい。また例えば、信号処理回路1610は、イコライザーを含んでもよい。イコライザーに関するより多くの説明について、本明細書の他の箇所(例えば、
図15及びその説明)を参照してもよい。
【0146】
信号処理回路1610は、2つ以上のイコライザー(例えば、イコライザー1612-1、イコライザー1612-2、イコライザー1612-3、イコライザー1612-4)を含んでもよい。各イコライザーは、異なる等化パラメータを有してもよい。換言すれば、各イコライザーによる同じ信号の等化効果は、異なる。例えば、イコライザー1612-1のオーディオ信号の200Hz~500Hz周波数帯域に対する信号利得係数は、イコライザー1612-1の2kHz~3kHz周波数帯域に対する信号利得係数より大きくてもよい。また例えば、イコライザー1612-2のオーディオ信号の400Hz~1kHz周波数帯域に対する信号利得係数は、イコライザー1612-2の3kHz~4.5kHz周波数帯域に対する信号利得係数より大きくてもよい。
【0147】
信号処理回路1610は、音量監視モジュール1616をさらに含んでもよい。信号処理回路1610がオーディオ信号源(例えば、携帯電話)からオーディオ信号を受信した後、音量監視モジュール1616は、オーディオ信号及び音響出力装置1600の音量設定を組み合わせて、音響出力装置1600の音量状態を決定してもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置1600の各音量状態は、1つのイコライザーに対応してもよい。信号処理回路1610は、音響出力装置1600の音量状態に基づいて、対応するイコライザーを選択してオーディオ信号に等化処理を行ってもよい。例えば、音量が小さい場合に、低周波数が多いイコライザー(すなわち、低周波数に対する信号利得係数が大きい)を呼び出して、聴感上の低周波数を十分にし、飽和させ、音質を向上させることができる。また例えば、音量が大きい場合に、低周波数が僅かに小さいイコライザーを呼び出して、スピーカーアセンブリ1620の振幅を制限して、該振幅が大きすぎることによる音割れ又は不快な振動感の体験を回避することができる。
【0148】
いくつかの実施例では、音量監視モジュール1616が音響出力装置1600の音量状態を監視することができない場合、デフォルトイコライザーを、該オーディオ信号に対応するイコライザーとして等化処理を行い、該オーディオ信号を更新することができる。音量監視モジュール1616は、更新されたオーディオ信号に基づいて、音響出力装置1600の音量状態が既知の音量状態になるまで、音響出力装置1600の音量状態を再決定してもよい。信号処理回路1610は、既知の音量状態に基づいて、対応するイコライザーを選択して等化処理を行ってもよい。
【0149】
なお、音響出力装置に対する上記説明は、説明の目的のためのものであり、本願の範囲を限定するものではない。多くの代替、修正及び変形は、当業者にとって明らかである。本明細書に記載の例示的な実施例の特徴、構造、方法及び他の特徴を様々な方式で組み合わせて、追加及び/又は代替の例示的な実施例を得ることができる。例えば、音響出力装置1600は、音響出力装置1600の防水防塵性能を改善するために、防水ライナプレートをさらに含んでもよい。また例えば、ユーザーが音響出力装置1600を装着している場合、スピーカーアセンブリ1620は、ユーザーの皮膚に傾斜して設置されてもよい。
【0150】
上記で基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記発明の開示は、単なる例として提示されているに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されているため、本願の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。
【0151】
さらに、本願の実施例を説明するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2つ以上の言及は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造、又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0152】
さらに、当業者には理解されるように、本願の各態様は、任意の新規かつ有用なプロセス、機械、製品又は物質の組み合わせ、又はそれらへの任意の新規かつ有用な改善を含む、いくつかの特許可能なクラス又はコンテキストで、例示及び説明され得る。よって、本願の各態様は、完全にハードウェアによって実行されてもよく、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)によって実行されてもよく、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって実行されてもよい。以上のハードウェア又はソフトウェアは、いずれも「データブロック」、「モジュール」、「エンジン」、「ユニット」、「アセンブリ」又は「システム」と呼ばれてもよい。さらに、本願の各態様は、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードを含む1つ以上のコンピュータ読み取り可能な媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。
【0153】
さらに、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願の処理要素又はシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単にその目的のためであり、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例に限定されないが、反対に、本願の実施例の趣旨及び範囲内にある全ての修正及び等価な組み合わせをカバーするように意図されることを理解されたい。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバー又はモバイルデバイスに説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0154】
同様に、本願の実施例の前述の説明では、本願を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがある。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。実際に、実施例の特徴は、上記開示された単一の実施例の全ての特徴より少ない場合がある。
【0155】
いくつかの実施例では、成分及び属性の数を説明する数字が使用されており、このような実施例を説明するための数字は、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「概ね」によって修飾されるものであることを理解されたい。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「概ね」は、上記数字が±20%の変動が許容されることを示す。よって、いくつかの実施例では、明細書及び特許請求の範囲において使用されている数値パラメータは、いずれも個別の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例では、数値パラメータについては、規定された有効桁数を考慮するとともに、通常の丸め手法を適用するべきである。本願のいくつかの実施例では、その範囲を決定するための数値範囲及びパラメータは近似値であるが、具体的な実施例では、このような数値は、可能な限り正確に設定される。
【0156】
本願で参照される全ての特許、特許出願、公開特許公報、及び、論文、書籍、仕様書、刊行物、文書などの他の資料は、本願の内容と一致しないか又は矛盾する出願経過文書、及び(現在又は後に本願に関連する)本願の請求項の最も広い範囲に関して限定的な影響を与え得る文書を除いて、その全体が参照により本願に組み込まれる。なお、本願の添付資料における説明、定義、及び/又は用語の使用が本願に記載の内容と一致しないか又は矛盾する場合、本願における説明、定義、及び/又は用語の使用を優先するものとする。
【0157】
最後に、本願に記載の実施例は、単に本願の実施例の原理を説明するものであることを理解されたい。他の変形例も本願の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本願の実施例は、本願において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0158】
100 音響出力装置
110 スピーカーアセンブリ
120 耳掛けアセンブリ
130 後掛けアセンブリ
140 制御回路アセンブリ
150 電池アセンブリ
【手続補正書】
【提出日】2023-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカーアセンブリを含む音響出力装置であって、前記スピーカーアセンブリは、
エネルギー変換装置と、
前記エネルギー変換装置によって駆動されて振動して気導音波を発生する振動膜と、
前記エネルギー変換装置及び前記振動膜を収容する収容キャビティを形成するハウジングと、
を含み、
前記振動膜は、前記収容キャビティを仕切って第1のキャビティ及び第2のキャビティを形成し、前記ハウジングには、前記第2のキャビティと連通する放音孔が設置され、前記気導音波は、前記放音孔を介して前記音響出力装置の外部に伝達され、
ハウジングに前記放音孔と連通する導音通路が設置されて、前記音響出力装置の外部の目標方向に前記気導音波を案内し、前記導音通路の長さは、7mm以下である、音響出力装置。
【請求項2】
前記導音通路の断面積は、前記気導音波の伝達方向に沿って徐々に増大する、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
前記導音通路の体積と前記第2のキャビティの体積との比は、0.05~0.9の範囲である、請求項1
又は2に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記導音通路の通路壁は、曲面構造を含む、請求項
1~3のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記エネルギー変換装置は、
磁場を提供する磁気回路アセンブリと、
受信されたオーディオ信号に応答して前記磁場の作用で振動するコイルと、
前記コイルを支持し、少なくとも一部が前記ハウジングの振動方向の垂直方向に沿って前記ハウジングの側方から露出するコイルホルダと、
を含み、
前記音響出力装置は、
前記導音通路及び凹み領域を含む導音部材をさらに含み、前記導音部材が前記ハウジングに物理的に接続される場合、前記コイルホルダは、前記凹み領域内に位置する、請求項
1~4のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項6】
前記放音孔を介して出力された前記気導音波は、第1の共振ピークを有し、前記音響出力装置は、
ヘルムホルツ共振キャビティをさらに含み、前記ヘルムホルツ共振キャビティは、前記気導音波の前記第1の共振ピークを低減するように、共振キャビティ及び少なくとも1つの共振キャビティ口を含む、請求項
1~5のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの共振キャビティ口は、前記第2のキャビティの側壁に設置される、請求項
6に記載の音響出力装置。
【請求項8】
前記ヘルムホルツ共振キャビティは、前記第1のキャビティと前記第2のキャビティの両方と連通し、前記第1のキャビティと連通する共振キャビティ口の面積は、前記第2のキャビティと連通する共振キャビティ口の面積以上である、請求項
6に記載の音響出力装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、第1のハウジングと第2のハウジングを含み、前記第1のハウジングは、前記第1のキャビティの少なくとも一部を構成し、かつ第1の共振周波数を有し、前記第2のハウジングは、前記第2のキャビティの少なくとも一部を構成し、かつ第2の共振周波数を有し、前記第1の共振周波数は、前記第2の共振周波数より小さい、請求項
1~8のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項10】
前記第1のハウジングの振動周波数が20Hz~150Hzである場合、前記第2のハウジングと前記第1のハウジングとの位相差は、-π/3~+π/3であり、
前記第1のハウジングの振動周波数が2kHz~4kHzである場合、前記第2のハウジングと前記第1のハウジングとの位相差は、2π/3~4π/3である、請求項
9に記載の音響出力装置。
【請求項11】
前記ハウジングは、皮膚接触領域を含み、前記皮膚接触領域は、前記エネルギー変換装置によって駆動されて振動して骨導音波を発生し、前記音響出力装置が装着状態にある場合、前記皮膚接触領域の第1の領域は、ユーザーの皮膚に接触して前記エネルギー変換装置によって駆動されて振動して前記骨導音波を発生し、前記皮膚接触領域の第2の領域は、前記ユーザーの皮膚に接触しない、請求項
1~10のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項12】
前記第2の領域と前記ユーザーの皮膚との夾角は、0°~45°の範囲である、請求項
11に記載の音響出力装置。
【請求項13】
支持アセンブリをさらに含み、前記支持アセンブリは、一端が前記ハウジングに接続され、前記スピーカーアセンブリを支持し、前記第2の領域は、前記第1の領域より前記支持アセンブリから離れる、請求項
11又は12に記載の音響出力装置。
【請求項14】
オーディオ信号を前記エネルギー変換装置の駆動信号に変換する信号処理回路をさらに含み、前記信号処理回路の前記オーディオ信号の第1の周波数帯域に対する信号利得係数は、前記信号処理回路の第2の周波数帯域に対する信号利得係数より大きく、前記第2の周波数帯域は、前記第1の周波数帯域より高い、請求項
1~13のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項15】
前記放音孔を介して出力された前記気導音波は、第1の共振ピークを有し、前記第1の共振ピークのピーク共振周波数は、前記第2の周波数帯域内にあるか、又は前記第2の周波数帯域より高い、請求項
14に記載の音響出力装置。
【国際調査報告】