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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-23
(54)【発明の名称】非常用脱気装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/342 20210101AFI20240116BHJP
   H01M 50/30 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/367 20210101ALI20240116BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20240116BHJP
【FI】
H01M50/342 201
H01M50/342 101
H01M50/30
H01M50/367
H01M50/35 201
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561921
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2021087121
(87)【国際公開番号】W WO2022136451
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】102020134548.8
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523237578
【氏名又は名称】ボード コンツェルマン カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Bodo Konzelmann KG
【住所又は居所原語表記】Lise-Meitner-Str. 15, 74369 Loechgau, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ コンツェルマン
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ブーフマン
【テーマコード(参考)】
5H012
【Fターム(参考)】
5H012BB01
5H012DD01
5H012EE01
5H012EE04
5H012FF02
5H012JJ02
(57)【要約】
本発明は、電気化学的または電気技術的な装置の、特にバッテリハウジング用の収容ハウジング内の内圧を補償する非常用脱気装置(10)であって、少なくとも1つのガス通過開口(27.2)を有するハウジング(20)を備えており、ガス通過開口(27.2)は、ハウジング(20)に設けられた膜支持部(27)内にまたは膜支持部(27)に接して支持された気密な、特に空気密な膜(30)によって遮断されており、気密な膜(30)に対して間隔をあけて、切断部材(27.3)が配置されており、切断部材(27.3)は、気密な膜(30)が所定のように変形した場合に切断部材(27.3)に当たり、気密な膜(30)を少なくとも一箇所において破壊し、これにより、ガス通過開口(27.2)を通じて、非常用脱気装置(10)の内面(21.2)と非常用脱気装置(10)の外面(21.1)との間に流体接続を生じさせるように形成されかつ位置決めされている、非常用脱気装置(10)に関する。収容ハウジングの湿分防護手段を改良するために、本発明では、ハウジング(20)内にまたはハウジング(20)に接して少なくとも1つの収容部(29)が設けられており、収容部(29)に対応して、少なくとも1つの空気通流部(29.2)が内面(21.2)と外面(21.1)との間に配置されており、1つまたは複数の空気通流部(29.2)は、ガス透過性の膜の形態の少なくとも1つの通気部材(74)によって覆われていることが想定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学的または電気技術的な装置の、特にバッテリハウジング用の収容ハウジング内の内圧を補償する非常用脱気装置(10)であって、少なくとも1つのガス通過開口(27.2)を有するハウジング(20)を備えており、前記ガス通過開口(27.2)は、前記ハウジング(20)に設けられた膜支持部(27)内にまたは膜支持部(27)に接して支持された気密な、特に空気密な膜(30)によって遮断されており、該気密な膜(30)には、切断部材(27.3)が対応して配置されており、特に該切断部材(27.3)は、前記膜(30)に対して間隔をあけて配置されており、前記切断部材(27.3)は、前記気密な膜(30)が所定のように変形した場合に、該気密な膜(30)を少なくとも一箇所において破壊し、これにより、前記ガス通過開口(27.2)を通じて、当該非常用脱気装置(10)の内面(21.2)と当該非常用脱気装置(10)の外面(21.1)との間に流体接続を生じさせるように形成されかつ位置決めされている、非常用脱気装置(10)において、
前記ハウジング(20)内にまたは前記ハウジング(20)に接して少なくとも1つの収容部(29)が設けられており、該収容部(29)に対応して、少なくとも1つの空気通流部(29.2)が前記内面(21.2)と前記外面(21.1)との間に配置されており、1つまたは複数の前記空気通流部(29.2)は、ガス透過性の膜の形態の少なくとも1つの通気部材(74)によって覆われていることを特徴とする、非常用脱気装置(10)。
【請求項2】
前記切断部材(27.3)は、前記ハウジング(20)のホルダ(27.1)によって支持されており、前記ハウジング(20)は、前記切断部材(27.3)のための前記ホルダ(27.1)と前記膜支持部(27)の固定部分(27.5)とが互いに一体に結合された構成部材を形成しており、前記気密な膜(30)は、前記固定部分(27.5)に直接的または間接的にシールされて結合されていることを特徴とする、非常用脱気装置(10)。
【請求項3】
前記ホルダ(27.1)は、前記少なくとも1つのガス通過開口(27.2)を形成しており、好適には、2つの前記ガス通過開口(27.2)の間に前記ホルダ(27.1)のウェブ部分が形成されており、該ウェブ部分に前記切断部材(27.3)が配置されている、請求項1または2記載の非常用脱気装置(10)。
【請求項4】
前記固定部分(27.5)を前記ホルダ(27.1)に対して間隔をあけて保持するスペーサ部材(27.4)が前記ホルダ(27.1)に一体成形されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の非常用脱気装置(10)。
【請求項5】
前記膜支持部(27)は、前記ハウジング(20)の、前記内面(21.2)に面した壁内に凹設された支持部(27.6)を有しており、前記固定部分(27.5)は、前記支持部(27.6)において前記外面(21.1)に向かう方向で、壁に対して間隔をあけて配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の非常用脱気装置(10)。
【請求項6】
前記ハウジング(20)の前記外面(21.1)の領域に、ガス案内部(24)が配置されており、該ガス案内部(24)は、1つまたは複数の前記ガス通過開口(27.2)および/または前記少なくとも1つの通流部(29.2)と、前記外面(21.1)に続く周囲との間の空間的な接続部を形成しており、前記ガス案内部(24)は、少なくとも1つの壁部材(24.1)を有しており、該壁部材(24.1)は、前記外面(21.1)の領域において前記少なくとも1つのガス通過開口(27.2)および/または前記少なくとも1つの通流部(29.2)を覆っている、請求項1から5までのいずれか1項記載の非常用脱気装置(10)。
【請求項7】
前記ガス案内部(24)は、少なくとも1つのガス案内通路を有しており、1つまたは複数の前記ガス案内通路は、前記少なくとも1つの壁部材(24.1)によって、かつ側方では複数の結合部分(24.2)によって画定されており、前記少なくとも1つの壁部材(24.1)は、前記結合部分(24.2)のうちの1つまたは複数を介して前記ハウジング(20)に一体に結合されている、請求項6記載の非常用脱気装置(10)。
【請求項8】
前記ガス案内部(24)は、該ガス案内部(24)と前記外面(21.1)の領域の前記周囲との間にガス案内接続部を形成する少なくとも1つのガス出口開口(25)を有しており、該ガス出口開口(25)は、1つまたは複数の前記ガス通過開口(27.2)および/または前記少なくとも1つの通流部(29.2)に対して離間して配置されており、好適には、前記ガス出口開口(25)と、1つまたは複数の前記ガス通過開口および/または前記少なくとも1つの通流部(29.2)との間の距離は、前記ガス通過開口(27.2)および/または前記少なくとも1つの通流部(29.2)の最小横断面寸法の少なくとも2倍である、請求項6または7記載の非常用脱気装置(10)。
【請求項9】
前記ガス出口開口(25)と、前記ガス通過開口(27.2)および/または前記少なくとも1つの通流部(29.2)との間は、真っ直ぐ見通せるようになっていない、請求項8記載の非常用脱気装置(10)。
【請求項10】
1つの前記ガス出口開口(25)の横断面積または複数の前記ガス出口開口(25)の横断面積の和は、1つの前記ガス通過開口(27.2)または複数の前記ガス通過開口(27.2)の横断面積に等しいかまたはこれよりも大きい、請求項8または9記載の非常用脱気装置(10)。
【請求項11】
前記ハウジング(20)は、一体に成形されたカバー(21)を有しており、該カバー(21)は、特に孔として形成されていてよい取付け部材、好適には取付け受容部(22)を備えており、前記取付け部材は、当該非常用脱気装置(10)を前記収容ハウジングのハウジング壁に結合するように形成されかつ配置されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の非常用脱気装置(10)。
【請求項12】
前記取付け受容部(22)は、好適には金属材料またはプラスチック材料から成るスリーブ(50)を受容しており、該スリーブ(50)は、前記カバー(21)に形状結合式かつ/または材料結合式かつ/または摩擦結合式に結合されていて、ねじ部材のための貫通開口を形成しており、前記スリーブ(50)は、前記外面(21.1)の領域に、前記ねじ部材を支持するための支持面を形成している、請求項11記載の非常用脱気装置(10)。
【請求項13】
前記ハウジング(20)は、前記内面(21.2)にシール収容部(28)を形成しているカバー(21)を有しており、前記シール収容部(28)内にまたは前記シール収容部(28)に接して、複数のシール部分(61,62)を備えた環状のシール(60)が保持されており、前記複数のシール部分(61,62)を備えた前記シール(60)は、前記収容ハウジング、特に前記バッテリハウジングの外面にシールされた状態で当接するための環状のシール面(63)を形成している、請求項1から12までのいずれか1項記載の非常用脱気装置(10)。
【請求項14】
前記気密な膜(30)は、環状の結合部分(31)を有しており、該結合部分(31)でもって、前記気密な膜(30)は気密に、前記膜支持部(27)の前記固定部分(27.5)に直接に環状に結合されており、
および/または、前記通気部材(74)は、環状の結合部分(74.3)を有しており、該結合部分(74.3)でもって、前記通気部材(74)は好適には気密に、前記収容部(29)の前記固定部分(29.4)に直接に環状に結合されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の非常用脱気装置(10)。
【請求項15】
前記気密な膜(30)は、支持体(40)の膜支持体(43)に結合されており、前記支持体(40)は、環状に周方向に延在する固定面(44)を有しており、前記気密な膜(30)の前記環状の結合部分(31)は、前記固定面(44)に気密に環状に結合されており、前記支持体(40)は、連結部材(41)に結合面(42)を有しており、該結合面(42)でもって前記支持体(40)は、前記ハウジング(20)に結合されており、好適には材料結合式に結合されており、特に接着または溶接されているか、またはフィルムを背面から射出されており、
および/または、前記通気部材(74)は、保持体(70)の支持体部材(73)に結合されており、該支持体部材(73)は、環状に周方向に延在する固定面を有しており、前記通気部材(74)の前記環状の結合部分(74.3)は、好適には気密に前記固定面に環状に結合されており、前記保持体(70)は、結合部材(71)に結合面(72)を有しており、該結合面(72)でもって前記保持体(70)は前記ハウジング(20)に結合されており、好適には材料結合式に結合されており、特に接着または溶接されているか、またはフィルムを背面から射出されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の非常用脱気装置(10)。
【請求項16】
複数の前記通気部材(74)の自由な横断面積の和または1つの前記通気部材(74)の自由な横断面積は、前記気密な膜(30)の自由な横断面積よりも小さい、請求項1から15までのいずれか1項記載の非常用脱気装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学的または電気技術的な装置の、特にバッテリハウジング用の収容ハウジング内の内圧を補償する非常用脱気装置であって、少なくとも1つのガス通過開口を有するハウジングを備えており、ガス通過開口は、ハウジングに設けられた膜支持部内にまたは膜支持部に接して支持された気密な、特に空気密な膜によって遮断されており、気密な膜には、切断部材が対応して配置されており、特に切断部材は、膜に対して間隔をあけて配置されており、切断部材は、気密な膜が所定のように変形した場合に切断部材に当たると、この気密な膜を少なくとも一箇所において破壊し、これにより、ガス通過開口を通じて、非常用脱気装置の内側と非常用脱気装置の外側との間に流体接続を生じさせるように形成されかつ位置決めされている、非常用脱気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような非常用脱気装置は、独国特許出願公開第102011080325号明細書から公知である。この公知の非常用脱気装置は、バッテリハウジングに取り付けるための孔を備えたフランジ部分を有する支持体部材を有している。この場合、支持体部材は、バッテリハウジングの開口の縁部を覆っている。支持体部材は、支持体部材のガス通過開口を遮断する膜に結合されている。この場合、膜は、支持体部材と緊締部材との間に張られていて、周方向においてシールされて保持されている。さらに、中心領域に切断部材を有するハウジング状の防護部材が使用される。この切断部材は、膜に対向して位置している。防護部材は、非常用脱気装置の外側からの、膜への干渉を防ぐために用いられる。防護部材は、複数のガス通過開口を有している。膜は、ガス透過性であるが、実質的に防水性である。この場合、この防水機能は、周囲の水が内側の領域に外側からは全くまたは極僅かにしか流入することができない程度のものである。通常運転中は、膜を介して周囲とバッテリハウジングとの間でガス補償を行うことができる。このことは、膜がガス透過性であるために可能である。例えば、バッテリハウジング内の故障に基づき急激な破裂圧力が発生すると、膜は外側に向かって湾曲する。切断部材と膜の外側との間には、このような損傷時に膜の許容可能な変形を規定する間隔が設けられている。膜が許容可能な変形を超えて湾曲すると、尖端部として形成されている切断部材に膜が当たる。切断部材は膜を傷つけ、これにより、膜は裂断することになる。この場合、ガスは、バッテリハウジングからガス通過開口を通って周囲に急速に漏出することができる。これにより、バッテリハウジングが爆発することが防止されている。
【0003】
上述したように、膜は、「通常の」運転条件の間は「呼吸」している。この場合、周囲とバッテリハウジングの内部空間との間の空気交換は、ガス透過性の膜を越えて行われる。このとき、バッテリハウジング内に侵入する空気は、湿分を伴う。湿分は、バッテリハウジング内で凝縮し、これは不都合に感じられる。
【0004】
さらに、従来技術から公知の非常用脱気装置は、手間をかけて形成されている。個々の装置構成部材間の、製造に起因して必然的に生じる寸法誤差にわたり、切断部材が、1回のバッチのそれぞれ異なる非常用脱気装置において常に正確に膜の表面に対して同じ間隔をあけて位置することを保証することはできない。これは、変化すると共に再現不能な膜の破裂特性をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、侵入する空気湿分の問題を少なくとも大幅に低減ないし回避することができる、冒頭で述べた形式の非常用脱気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、ハウジング内にまたはハウジングに接して少なくとも1つの収容部が設けられており、収容部に対応して、少なくとも1つの空気通流部が内面と外面との間に配置されており、1つまたは複数の空気通流部が、ガス透過性の膜の形態の少なくとも1つの通気部材によって遮断されていることにより解決される。
【0007】
したがって、本発明では、破裂機能が呼吸機能から分離される。損傷時に電気化学的または電気技術的な装置の収容ハウジング内の内圧を急激に低下させることができるようにするためには、気密な膜が、十分に大きな自由な横断面積を提供する必要がある。この十分に大きな自由な横断面積は、損傷時に解放され、これにより圧力を放出することができる。通常の運転条件の間に、気密な膜を介して空気湿分が収容ハウジング内に流入することはできない。ただし、この通常の運転条件において、収容ハウジングの内部空間と周囲との間の圧力補償を行うことができるようにするために、少なくとも1つの通気部材が使用されている。この通気部材は、構造的に簡単に、ガス透過性の膜により形成される。この場合、ガス透過性の膜は、ガスは通すが水は通さない。これに対応して、このガス透過性の膜は、確かに外側からの水の流入を阻止するが、しかし呼吸機能を可能にする。破裂機能には、気密な膜の大きな自由な横断面積が必要とされているのに対して、呼吸機能、すなわちガス透過性の膜(通気部材)は、小さな横断面積のみを必要とする。これにより、一方では通気部材を呼吸機能に合わせて的確に設計することができ、かつ他方では破裂機能を担う気密な膜を個別にかつ的確に設計することができ、この場合、好適には小さな横断面の通気部材を介して、より少ない空気湿分が収容ハウジング内に侵入することになる。よって、破裂機能および呼吸機能の設計を、互いに独立して行うことができる。
【0008】
本発明の好適な態様では、切断部材は、ハウジングのホルダによって支持されており、ハウジングは、切断部材のためのホルダと膜支持部の固定部分とが互いに一体に結合された構成部材を形成しており、この場合、気密な膜は、固定部分に直接的または間接的にシールされて結合されていることが想定されていてよい。ホルダと固定部分との一体的な結合を介して、切断部材が常に正確な寸法で固定部分に対応して、ひいては気密な膜にも対応して配置されていることが保証される。これにより、再現可能な破裂特性を得ることができる。さらに、本発明による非常用脱気装置は、特に簡単かつ安定的に構成されている。これにより、本発明による非常用脱気装置は確実に作動し、さらに、部品コストおよび組立コストをより低下させる。
【0009】
本発明の好適な構成態様では、ホルダは、少なくとも1つのガス通過開口を形成していることが想定されていてよく、この場合、好適には、少なくとも2つのガス通過開口の間にホルダのウェブ部分が形成されており、ウェブ部分に切断部材が配置されていることが想定されている。これらの構成形式により、損傷の際に効果的なガス導出を生じさせることができることが判った。さらに、ホルダは、少なくとも、ガス通過開口を有していない領域においても気密な膜を覆っており、これにより、例えば干渉、飛沫水および持続的な溢流に対する機械的な防護手段を提供している。
【0010】
好適には、固定部分をホルダに対して間隔をあけて保持するスペーサ部材がホルダに一体成形されていることが想定されていてもよい。このようにして、気密な膜と切断部材との間の間隔を極めて適切に製造することができる。
【0011】
非常用脱気装置は、小さな構成高さを備えた本発明の一態様では、膜支持部が、ハウジングの、内面に面した壁内に凹設された支持部を有しており、この場合、固定部分は、支持部において外面に向かう方向で、壁に対して間隔をあけて配置されている、ということに基づき構想することができる。
【0012】
本発明の特に好適な態様は、ハウジングの外面の領域にガス案内部が配置されており、ガス案内部は、1つまたは複数のガス通過開口および/または少なくとも1つの通流部と、外面に続く周囲との間の空間的な接続部を形成しており、ガス案内部は、少なくとも1つの壁部材を有しており、壁部材は、外面の領域において少なくとも1つのガス通過開口および/または少なくとも1つの通流部を覆っていることを特徴とする。ガス案内部を介して、過負荷時および/または通常運転時にガス導出を行うことができる。この場合、ガス案内部は、ガス案内部の壁部材が、気密な膜および/または少なくとも1つの通気部材への直接的な干渉を阻止する機械的な干渉防護手段を提供するように構想されていてよい。
【0013】
この場合、さらにガス案内部は、少なくとも1つのガス案内通路を有しており、1つまたは複数のガス案内通路は、少なくとも1つの壁部材によって、かつ側方では複数の結合部分によって画定されており、少なくとも1つの壁部材は、結合部分のうちの1つまたは複数を介してハウジングに一体に結合されていることが想定されていてもよい。この構造は、側方の結合部分により、機械的な干渉防護手段を追加的に改良する。一体的な結合により、部品コストおよび組立コストが大幅に減少する。特にこの場合、ガス案内通路を形成するために別の構成部材が必要になることはない。
【0014】
本発明の1つの考えられる構成は、ガス案内部が、ガス案内部と外面の領域の周囲との間にガス案内接続部を形成する少なくとも1つのガス出口開口を有しており、ガス出口開口は、1つまたは複数のガス通過開口および/または少なくとも1つの通流部に対して離間して配置されているようになっていてよい。離間は、干渉防護手段のみを提供するわけではない。むしろこれにより、外面から流入した飛沫水が簡単には気密な膜および/または通気部材に到達してこれらを損傷することはできない、ということも達成される。好適には、このためにガス出口開口と、1つまたは複数のガス通過開口および/または少なくとも1つの通流部との間の距離は、ガス通過開口および/または少なくとも1つの通流部の最小横断面寸法の少なくとも2倍になっている。
【0015】
干渉防護手段および飛沫水防護手段は、ガス出口開口と、ガス通過開口および/または少なくとも1つの通流部との間が真っ直ぐ見通せるようになっていないことが想定されている場合に、特に効果的に達成される。これにより、ガス出口開口を介して挿入される線状の物品、例えば線材またはドライバが、膜および/または通気部材に当たることが防止されている。
【0016】
1つのガス出口開口の横断面積または複数のガス出口開口の横断面積の和が、1つのガス通過開口または複数のガス通過開口の横断面積に等しいかまたはこれよりも大きいことが想定されている場合には、損傷時にガス流の不都合な加速が防止される。
【0017】
本発明の1つの考えられる態様は、ハウジングが、一体に成形されたカバーを有しており、カバーは、特に孔として形成されていてよい取付け部材、好適には取付け受容部を備えており、取付け部材は、非常用脱気装置を収容ハウジング、特にバッテリハウジングのハウジング壁に結合するように形成されかつ配置されているようになっている。
【0018】
好適には、ハウジングはプラスチックから成っており、特に好適にはプラスチック射出成形部材として一体に形成されている。
【0019】
このような構造形式では特に、取付け受容部は、金属材料またはプラスチックから成るスリーブを受容しており、スリーブは、カバーに形状結合式かつ/または材料結合式に結合されていて、ねじ部材のための貫通開口を形成しており、スリーブは、外面の領域に、ねじ部材を支持するための支持面を形成していることが想定されていてよい。これは、非常用脱気装置と収容ハウジング、特にバッテリハウジングとの持続的な結合を保証する。
【0020】
ハウジングが、内面にシール収容部を形成しているカバーを有しており、シール収容部内にまたはシール収容部に接して、複数のシール部分を備えた環状のシールが保持されており、複数のシール部分を備えたシールは、収容ハウジング、特にバッテリハウジングの外面にシールされた状態で当接するための環状のシール面を形成していることが想定されている場合には、収容ハウジングに対するハウジングの安定的な連結が可能である。
【0021】
シールは、シール収容部内に挿入された別個のシールとして形成されていてよい。シールを2成分射出成形法でハウジングに一体成形することも考えられる。さらに、シールをシール収容部に加工成形することも考えられる。
【0022】
本発明の一態様により、気密な膜が環状の結合部分を有しており、結合部分でもって、気密な膜が気密に、膜支持部の固定部分に直接に環状に結合されており、および/または、通気部材が環状の結合部分を有しており、結合部分でもって、通気部材が好適には気密に、収容部の固定部分に直接に環状に結合されていることが想定されている場合には、非常用脱気装置のための部品コストが大幅に削減される。
【0023】
ただし、代替的に、気密な膜が支持体の膜支持体に結合されており、支持体は、環状に周方向に延在する固定面を有しており、気密な膜の環状の結合部分は、固定面に気密に環状に結合されており、支持体は、連結部材に結合面を有しており、結合面でもって支持体は、ハウジングに結合されており、好適には材料結合式に結合されており、特に接着または溶接されており、および/または、通気部材が保持体の支持体部材に結合されており、支持体部材は、環状に周方向に延在する固定面を有しており、通気部材の環状の結合部分は、好適には気密に固定面に環状に結合されており、保持体は、結合部材に結合面を有しており、保持体は、結合面でもってハウジングに結合されており、好適には材料結合式に結合されており、特に接着または溶接されているか、またはフィルムを背面から射出されている、ということが想定されていてもよい。
【0024】
本発明の特に好適な態様では、複数の通気部材の自由な横断面積の和または1つの通気部材の自由な横断面積は、気密な膜の自由な横断面積よりも小さいことが想定されていてよく、この場合、好適には、複数の通気部材の自由な横断面積の和または1つの通気部材の自由な横断面積は、気密な膜の自由な横断面積よりも小さいことが想定されている。
【0025】
以下に、本発明を図示の実施例に基づき、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】非常用脱気装置の分解斜視図である。
図2図1に示した非常用脱気装置を上から見た斜視図である。
図3図1および図2に示した非常用脱気装置の構成ユニットを示す図である。
図4図1および図2に示した非常用脱気装置の長手方向断面図である。
図5図1および図2に示した非常用脱気装置を下から見た図である。
図6図1および図5に示した非常用脱気装置の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1には、ハウジング20を有する非常用脱気装置10が示されている。好適には、ハウジング20は一体に形成されており、射出成形法でプラスチック部品として製造されている。
【0028】
ハウジング20はカバー21を有しており、カバー21はプレート状に形成されていてよい。カバー21は、外面21.1と内面21.2(図3参照)とを形成している。組立状態では、外面21.1は周囲に面している。内面21.2は収容ハウジングに面しており、収容ハウジング、例えばバッテリハウジングに非常用脱気装置10を取り付けることができる。
【0029】
カバー21は、特に孔として形成されていてよい複数の取付け受容部22を備えていてよい。孔22は、外面21.1と内面21.2との間でカバー21を貫通している。
【0030】
図1から認められるように、ハウジング20は、実質的に矩形または正方形に形成されており、縦方向側面23.1と横方向側面23.2とによって画定され、縦方向側面23.1および横方向側面23.2は、それぞれが対を成して互いに平行に位置している。もちろん、カバー21の別の輪郭、例えば円形または楕円形または多角形の任意の輪郭を設けることも可能である。
【0031】
図3からは、ハウジング20が一体に成形された膜支持部27を有していることが認められる。膜支持部27の領域には、ホルダ27.1が配置されている。ホルダ27.1は面部材として形成されており、少なくとも1つのガス通過開口27.2を備えている。しかしまた、1つのガス通過開口27.2のみ、または複数のガス通過開口27.2がホルダ27.1に設けられていることも考えられる。ホルダ27.1は、切断部材27.3を支持している。本実施例では、切断部材27.3は、2つのガス通過開口27.2の間のウェブに配置されている。
【0032】
切断部材27.3の別の配置も考えられる。切断部材27.3は、点状の尖端部として形成されている。直線的または別の形状に延びる刃を備えた切断部材27.3を使用することも考えられる。
【0033】
ホルダ27.1には、スペーサ部材27.4が一体に続いている。スペーサ部材27.4は、特に環状の壁として形成されていてよい。
【0034】
膜支持部27は、スペーサ部材27.4に続いて固定部分27.5に移行している。固定部分27.5は、本実施例におけるように、環状の載置面として形成されていてよい。特に有利なのは、固定部分27.5が中断されること無しに環状に形成されている場合である。膜支持部27はさらに、支持部27.6を有している。支持部27.6は、ハウジング20の、内面21.2を形成する壁内に凹設されている。
【0035】
図3からさらに認められるように、固定部分27.5の奥の領域には排出部26がカバー21に加工成形されていることが想定されていてよい。排出部26は、図3に示すように、例えば孔によって形成されていてよい。これらの孔は、図3に示すように、外面の領域に開口していて、例えばスペーサ部材27.4から縦方向側面23.1または横方向側面23.2にまで延びている。
【0036】
図2および図3から、ガス通過開口27.2は外側においてガス案内部24により覆われていることが認められる。このために、ガス通過開口27.2に対して軸線方向の間隔をあけて位置し、かつ外側において側方の結合部分24.2を介してハウジング20に、特にカバー21に一体に結合された壁部材24.1が使用されている。ガス案内部24は、壁部材24.1と結合部分24.2と底壁24.3とでもってガス案内通路を形成している。このガス案内通路は、その長手方向側の両端部にガス出口開口25を形成しており、ガス出口開口25を介して、周囲とのガス案内接続を生じさせることができる。もちろん、1つのガス出口開口25のみが設けられていること、または別の箇所により多くのガス出口開口が設けられていることも考えられる。
【0037】
図3が示すように、ハウジング20によって、1つまたは複数のガス出口開口25からガス案内通路とガス通過開口27.2とを介して非常用脱気装置10の内面21.2にまで到る、ガス案内接続部が提供される。
【0038】
このガス案内接続部を遮断するために、気密な、特に空気密な膜30が設けられている。気密な膜30は、好適には面部材として形成されており、さらに好適にはプラスチックフィルムによって形成されている。
【0039】
膜30は、実質的に水密であり、特に膜30は、外部からの水圧供給による膜30の望ましくない故障を回避するために、耐裂性を有するように十分に厚く設計されている。
【0040】
膜30は特にフィルムであってよく、このフィルムに対して、型工具内で支持体40が一体的に射出成形され(「フィルム背面射出」)、この場合、膜30と支持体40とは、好適には熱可塑性樹脂から成っている。これにより、1回の作業工程で、支持体40と膜30との間に気密な結合を形成することができる。
【0041】
また、膜30を膜支持部27内に挿入し、次いで、型工具内でプラスチックを背面から射出して支持体40を形成することも考えられる。このフィルム背面射出方式は、部品コストおよび組立コストを低下させる。
【0042】
膜30は、ポリエチレンテレフタレートまたはポリカーボネートを含み、好適には完全にこのような材料から成ることが考えられる。
【0043】
膜30は、好適には円盤の形態で形成されているが、別の形態をとることもできる。ただし、円盤は変形時に有利な特性を有することが判っている。
【0044】
膜30は、組立状態においてハウジング20の内面21.2に面した内面33を有している。膜30はさらに、外面32を有している。外面32は、組立状態において外面21.1の方に向けられている。さらに、膜30は、好適には縁部側に形成された、環状の結合部分31を有している。
【0045】
膜30は、膜支持部27の固定部分27.5に直接に結合されるか、または支持体40を介して間接的に結合されてよい。
【0046】
膜30が直接に取り付けられる場合には、膜30は、結合部分31でもって固定部分27.5に環状にかつ気密に結合される。このことは、例えば材料結合式の結合によって行われてよい。ここでは、接着または溶接、特に超音波溶接またはフィルム背面射出が考えられる。
【0047】
間接的に取り付けられる場合には、図1に示すように、膜30はその結合部分31でもって、支持体40の固定面44に載置される。膜30はその結合部分31でもって、固定面44に環状にかつ気密に結合されることができる。ここでも、結合は材料結合式の結合、特に接着または溶接、特に超音波溶接を介して行われることが考えられる。
【0048】
図1にはさらに、支持体40は連結部材41を有していることが示されている。この連結部材41は、結合面42を有している。さらに、連結部材41は、固定面44を形成する膜支持体43を支持している。この場合、膜支持体43は、結合面42に対して間隔をあけて固定面44を保持している。
【0049】
図3が示すように、支持体40は、支持体40に固定された膜30と共に、予め膜支持部27内に挿入されることができる。挿入動作は、固定部分27.5に当たる結合面42によって制限される。ここで当接し合う支持体40の面とハウジング20の面との間には、環状の気密な結合部が形成される。追加的にまたは代替的に、別の箇所にも、例えば環状の支持部27.6の領域にも、環状の気密な結合部が形成されてよい。この結合部は、接着、溶接、特に超音波溶接またはフィルム背面射出によって形成することができる。
【0050】
さらに、図4には、ハウジング20が周方向に延びるシール収容部28を備えていることが示されている。このシール収容部28は、カバー21の内面21.2において膜支持部27を取り囲んでいる。シール収容部28内には、シール60を挿入、加工成形、または一体成形することができる。
【0051】
シール60は、シール部分61,62を有している。これらのシール部分61,62は、図1に示すように、環状のシール面63を形成している。さらに、シール60は複数の付加部64を有していてよく、付加部64は、組立状態ではカバーの内面21.2において孔(取付け受容部22)を環状にシールすることが考えられる。取付けねじの貫通を可能にするために、付加部64は、取付け受容部22に整合する開口65を備えていてよい。
【0052】
図1にはさらに、取付け受容部22内に、金属材料またはプラスチックから成るスリーブ50が挿入されていることが示されている。好適には、スリーブ50を包囲するように、ハウジング20のプラスチック材料が射出されるか、または後から圧入される。スリーブ50は外面21.1の領域に、取付け部材のねじ頭等の部分のための支持面を形成している。内側においてスリーブ50は、非常用脱気装置10を取り付けようとする収容ハウジングの外面に当て付けるために用いられる直立面を形成している。
【0053】
図1には、非常用脱気装置10が、ハウジング20に結合された少なくとも1つの通気部材74を有していることが示されている。
【0054】
通気部材74は、ガス透過性の、特に空気透過性の膜、特にフィルムの形態で形成されていてよい。フィルムは、複数の通路または細孔を有していてよく、これらの通路または細孔を介して、空気が外面21.1から通気部材74を通り抜けて内面21.2に流入することができるようになっている。
【0055】
ハウジング20に対する通気部材74の取付けは、ハウジング20に対する気密な膜30の取付けと同様に行うことができる。この点については、気密性の膜30に関する上記の説明を参照されたい。特に、保持体70が使用されていてよく、保持体70は、支持体40と同様にまたは同じ構成で形成されていてよい。
【0056】
保持体70は、結合部材71を有している。結合部材71は、環状の結合面72を形成している。結合部材71には支持体部材73が一体成形されている。支持体部材73は、通気部材74のための、環状の連結面を有している。
【0057】
通気部材74は環状の結合部分74.3を有しており、結合部分74.3は、好適には縁部側において環状に形成されている。通気部材74は、ハウジング20の外面21.1の方に向いて、外面74.1を形成している。通気部材74は、ハウジング20の内面21.2の方に向いて、内面74.2を形成している。
【0058】
通気部材74は、その結合部分74.3でもって支持体部材73の連結面に載置され、この連結面に環状に、好適には気密に結合されることができる。上記の取付け方式を参照されたい。
【0059】
本発明の枠内では、1つまたは複数の通気部材74が設けられて、ハウジング20に結合されていてよい。本実施例では、2つの通気部材74が使用されている。
【0060】
図3が示すように、ハウジング20は、通気部材74のために収容部29を有している。収容部29は、空気通流部29.2を備えた底部29.1を有していてよい。代替的には、底部29.1を省くこともできる。ただし、底部29.1は有利である。なぜなら、この場合は通流部29.2の横断面を特に小さく形成することができ、このことは飛沫水防護の理由から有利であるためである。
【0061】
収容部29は、環状の固定部分29.4を備えた支持部分29.3を有している。固定部分29.4は、好適には環状の壁部分29.5に移行している。
【0062】
図6には、通気部材74をハウジング20に取り付けるために、まず通気部材74を保持体70に結合することが示されている。次いで、保持体70を通気部材74と共に収容部29内に挿入する。この場合、挿入動作は、例えば固定部分29.4に環状に当接する結合面72によって制限されてよい。支持体部材73は、固定部分29.4の上で外面21.1の方向に固定部分29.4を越えて突出している。
【0063】
保持体70の取付けは、支持体40の取付けと同様に行うことができる。この点については、上記の説明を参照されたい。
【0064】
図6からさらに認められるように、1つまたは複数の収容部29の配置は、空気通流部29.2が、ガス案内部24によって取り囲まれた通路に開口するようになっていてよい。
【0065】
図6にはさらに、通気部材74の外面74.1とハウジング20の底部29.1との間の領域に、自由空間が形成されていてよいことが示されている。この場合、好適には、この自由空間に排出部26が開口していることが想定されている。排出部26の、自由空間とは反対側の端部は、周囲に通じている。
【0066】
膜30の機能性と通気部材74の機能性の両方を保証するために、場合によっては流入した水を、排出部26を介して再び排出することができるようになっている。
【0067】
本発明による非常用脱気装置10は、収容ハウジングの壁に設けられた開口を気密に閉鎖するために用いられる。収容ハウジングは、特に蓄電池が収納されたバッテリハウジングであってよい。開口を閉鎖するために、非常用脱気装置10は開口を覆うように収容ハウジングの壁に載置され、例えば取付け受容部22を貫通して案内されたねじ部材を用いて収容ハウジングに結合される。もちろん、非常用脱気装置10と収容ハウジングとの間に別の形式の結合を形成することも可能である。例えば、非常用脱気装置10が、収容ハウジングの壁に係止される一体成形された係止フックを備えていることが考えられる。さらに、緊締結合手段の使用も考えられる。
【0068】
非常用脱気装置10の機能形式は、以下の通りである。通常運転中、膜30は、ガス案内部24と収容ハウジングの内部空間との間の経路を気密に遮断する。周囲と収容ハウジングの内部空間との間の通常の圧力変動は、通気部材74を介して補償することができる。このために、ガスが通気部材74を介して収容ハウジングの内部空間から通気部材74を通り抜けてガス案内部24内に、ひいては周囲に流入することができるようになっている。収容ハウジング内の圧力が運転に起因して低下した場合には、逆方向にガスが流れることもできるようになっている。
【0069】
収容ハウジングの内部空間内に、損傷時に高い圧力が急激に滞留すると、膜30は図4に示す位置から外面21.1に向かって、許容不能な圧力上昇に際して膜30が切断部材27.3に当たるまで湾曲させられる。切断部材27.3は膜30を傷つけ、したがって、張られた膜30は、次いで裂断することになる。このようにして、ガス案内接続部を大面積に解放することができる。収容ハウジングの内部空間からのガス圧力は、ガス通過開口27.2を通ってガス案内部24内に放出される。次いで、ガスは周囲に漏出することができる。
【0070】
非常用脱気装置10の1つの代替的な構成態様では、ホルダ27.1に、前側に配置されたガス案内部24へのガス案内接続部を形成する複数のガス通過開口27.2が設けられていてよい。この場合、このガス案内部24も、例えば複数のガス案内通路を有していてよい。これらのガス案内通路のそれぞれに対して、少なくとも1つのガス通過開口27.2が設けられており、これにより、このガス案内通路とのガス案内接続部を形成している。
【0071】
ガス案内部24の各ガス案内通路は、結合部分でもって外側においてハウジング20に一体に結合された壁部材によって画定されている。他方で、結合部分24.2は、壁部材24.1を底壁24.3に対して間隔をあけて保持している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】