(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】パーソナルケア組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20240117BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240117BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20240117BHJP
A61P 17/18 20060101ALI20240117BHJP
A61P 39/06 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q19/00
A61K36/185
A61P17/18
A61P39/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023538847
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2021084302
(87)【国際公開番号】W WO2022135884
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/139550
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】グ,シュエラン
(72)【発明者】
【氏名】ミ,ティンヤン
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB051
4C083EE12
4C083FF01
4C088AB12
4C088AC04
4C088BA09
4C088BA16
4C088CA05
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZC52
(57)【要約】
モリンガ種子油及びモリンガ抽出物を含むパーソナルケア組成物であって、前記モリンガ種子油の量が組成物の0.8重量%未満であり、前記モリンガ抽出物の量が組成物の0.3重量%未満であり、前記モリンガ種子油の前記モリンガ抽出物との重量比が9:1~55:1の範囲であり、前記モリンガ種子油が前記モリンガ抽出物と異なるパーソナルケア組成物が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モリンガ種子油及びモリンガ抽出物を含むパーソナルケア組成物であって、
(a)前記モリンガ種子油の量が前記組成物の3重量%未満であり、
(b)前記モリンガ抽出物の量が前記組成物の0.3重量%未満であり、
(c)前記モリンガ種子油の前記モリンガ抽出物との重量比が9:1~55:1の範囲であり、
(d)前記モリンガ種子油が前記モリンガ抽出物と異なる
パーソナルケア組成物。
【請求項2】
前記モリンガ種子油がモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)、モリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa pterygosperma)、モリンガ・ペレグリナ(Moringa peregrina)、モリンガ・コンカネンシス(Moringa concanensis)及びモリンガ・ドルーハルディ(Moringa drouhardii)の少なくとも一つの種子から抽出される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記モリンガ種子油が前記組成物の0.00001~1.5重量%、好ましくは0.004~0.3重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記モリンガ抽出物が、好ましくは前記モリンガ抽出物の30~100重量%のタンパク質を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記モリンガ抽出物がINCI名モリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa Pterygosperma)種子抽出物を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記モリンガ抽出物が、前記組成物の0.000001~0.2重量%、好ましくは0.0002~0.01重量%の量で存在する、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記モリンガ種子油の前記モリンガ抽出物との重量比が18:1~55:1、好ましくは24:1~45:1の範囲である、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が前記組成物の25~78重量%の量で水を含んでいてもよい、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のパーソナルケア組成物を適用する段階を含む、老化防止、抗酸化及び酸化ストレス軽減から選択される少なくとも一つの利益を提供する方法。
【請求項10】
老化防止、抗酸化及び酸化ストレス軽減から選択される少なくとも一つの利益のための、請求項1~8のいずれか1項に記載のパーソナルケア組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モリンガ種子油及びモリンガ抽出物を含むパーソナルケア組成物であって、前記モリンガ種子油の量が組成物の0.8重量%未満であり、モリンガ抽出物の量が組成物の0.3重量%未満であり、モリンガ種子油とモリンガ抽出物の重量比が9:1~55:1の範囲であるパーソナルケア組成物に関するものである。特に、そのような組成物は、活性酸素種を顕著に阻害することができる。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚は、そのバリア機能、機械的強度、及び水に対する不浸透性を通じて、外界からの刺激に対する物理化学的保護を提供することができる。皮膚は、紫外線、青色光、汚染などの有害な環境及び極端な条件に常にさらされている。このような有害な環境に曝されると、活性酸素種(ROS)の過剰な生成が引き起こされ、その結果酸化ストレス状態となる可能性がある。酸化ストレスは、しわ、小じわ、不均一な肌の色調などの早期老化の兆候など多くの形で我々の肌に影響を与え得る。
【0003】
したがって、活性酸素種の過剰な生成を防止するためのパーソナルケア組成物の開発に多大な努力が払われてきたが、依然として改善が必要である。
【0004】
本発明者らは、活性酸素種の発生を効果的に阻害できるパーソナルケア組成物をさらに開発する必要があることを認識していた。驚くべきことに、少量のモリンガ抽出物及びモリンガ種子油を特定の比率で組み合わせると、活性酸素種を阻害するのに著しく優れた効果を示すことが認められた。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様では、本発明は、モリンガ種子油及びモリンガ抽出物を含むパーソナルケア組成物であって、前記モリンガ種子油の量が組成物の0.8重量%未満であり、前記モリンガ抽出物の量が組成物の0.3重量%未満であり、前記モリンガ種子油の前記モリンガ抽出物との重量比が9:1~55:1の範囲であり、前記モリンガ種子油が前記モリンガ抽出物と異なるパーソナルケア組成物に関するものである。
【0006】
第2の態様では、本発明は、本発明のパーソナルケア組成物を適用する段階を含む、老化防止、抗酸化又は酸化ストレス軽減から選択される少なくとも一つの利益を提供する方法に関する。
【0007】
第3の態様では、本発明は、老化防止、抗酸化又は酸化ストレス軽減から選択される少なくとも一つの利益のための、本発明のパーソナルケア組成物の使用に関する。
【0008】
本発明の他のすべての態様は、以下の詳細な説明及び実施例を考慮することにより、より容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施例を除いて、又は他に明示的に示された場合を除き、材料の量又は反応の条件、材料の物理的特性、及び/又は使用を示す本記載におけるすべての数字は、任意に、「約」という単語によって修飾されているものとして理解することができる。
【0010】
別断の断りがない限り、すべての量は組成物の重量基準である。
【0011】
留意すべき点として、値の範囲について言及する場合、特定の上限値は特定の下限値と関連付けられていることができる。
【0012】
誤解を避けるために、「含む(comprising)」という言葉は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」又は「から構成されている(composed of)」を意味するとは限らない。言い換えれば、列記された段階又は選択肢は網羅的である必要はない。
【0013】
請求項は複数の従属又は重複なしで見付かり得るという事実にかかわらず、本明細書中に見られる本発明の開示は、互いに多項従属した請求項中に見出される全ての実施形態をカバーするものと考えるべきである。
【0014】
本発明の特定の態様(例えば、本発明の組成物)に関して、ある特徴が開示される場合、そのような開示はまた、必要な変更を加えて本発明のいずれか他の態様(例えば、本発明に関連する方法)に適用されると見なされるべきである。
【0015】
好ましくは、モリンガ種子油は、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)、モリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa pterygosperma)、モリンガ・ペレグリナ(Moringa peregrina)、モリンガ・コンカネンシス(Moringa concanensis)又はモリンガ・ドルーハルディ(Moringa drouhardii)のうちの少なくとも一つの種子から抽出される。モリンガ種子は油を含んでいることを特徴とし、その含有量は植物種及び種子成熟度に応じて20~80%で変動し得る。モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種の場合、油含有量は、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)の種子で21~34%の範囲である。明瞭を期すと、種子モリンガ油は代表的には、25℃及び大気圧では液体である。
【0016】
好ましくは、モリンガ種子油は、モリンガ・オレイフェラ(Moringa Oleifera)の種子から抽出される。好ましくは、モリンガ種子油は冷間プレスによって抽出される。好ましくは、モリンガ種子油は、C20脂肪酸、好ましくはベヘン酸を含む。
【0017】
好ましくは、モリンガ種子油は、組成物の0.00001~1.5重量%、より好ましくは0.0001~0.5重量%、さらにより好ましくは0.004~0.3重量%、さらにより好ましくは0.01~0.1重量%の量で存在する。
【0018】
モリンガ抽出物は、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)、モリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa pterygosperma)、モリンガ・ペレグリナ(Moringa peregrina)、モリンガ・コンカネンシス(Moringa concanensis)及びモリンガ・ドルーハルディ(Moringa drouhardii)の群から選択される少なくとも一つの抽出物である。好ましくはモリンガ抽出物はタンパク質を含む。より好ましくは、モリンガ抽出物は、モリンガ抽出物の30~100重量%、さらにより好ましくは70~100重量%のタンパク質を含み、最も好ましくはモリンガ抽出物の100重量%のタンパク質を含む。好ましくは、そのタンパク質は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)-ポリアクリルアミドゲル電気泳動による測定で2000~50000、好ましくは5000~20000の分子量を有する。好ましくは、前記タンパク質は水に可溶であるが、油及び脂肪には不溶である。
【0019】
好ましくは、モリンガ抽出物はモリンガの水抽出物である。水抽出物とは、抽出物(exact)が水又は残留溶媒と混合した水によって得られることを指す。残留溶媒は、エタノール、アセトン、酢酸エチル、グリセリン、ブチレングリコール、又はそれらの混合物から選択することができる。好ましくは、水抽出物は、水及び/又はグリセリンを用いることによって得られる抽出物である。好ましくは、モリンガ抽出物は25℃及び大気圧下で固体である。
【0020】
好ましくは、モリンガ抽出物は、組成物の0.000001~0.2重量%、より好ましくは0.00001~0.05重量%、さらにより好ましくは0.0002~0.01重量%、さらにより好ましくは0.0005~0.006重量%の量で存在する。
【0021】
好ましくは、モリンガ抽出物は、INCI名モリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa Pterygosperma)種子抽出物を有する。好ましくは、モリンガ抽出物はPURISOFT(登録商標)(例えば、Laboratories Serobiologues/BASF)として含まれており、それのINCI名はグリセリン(及び)モリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa Pterygosperma)種子抽出物である。
【0022】
モリンガ種子油とモリンガ抽出物が同じ種から抽出されることが特に好ましい。そのような場合、タンパク質及びオイルはモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)又はモリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa pterygosperma)から抽出されることが好ましい。明瞭を期すため、モリンガ種子油はモリンガ抽出物とは異なる。
【0023】
好ましくは、モリンガ種子油のモリンガ抽出物との重量比は、18:1~55:1、より好ましくは24:1~45:1の範囲である。
【0024】
明瞭を期すため、本発明におけるモリンガ種子油又はモリンガ抽出物の重量は、代表的には、抽出溶媒の重量を除いた、モリンガから抽出されたすべての成分の重量を指す。
【0025】
当該組成物は、好ましくはクレンジング界面活性剤を含む。複数のクレンジング界面活性剤が組成物中に含まれていてもよい。クレンジング界面活性剤は、石鹸、非石鹸のアニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性界面活性剤及びそれらの混合物から選択することができる。多くの適切な界面活性化合物が入手可能であり、文献、例えば、″Surface-Active Agents and Detergents″, Volumes I and II, by Schwartz, Perry and Berchに詳細に記載されている。使用できる好ましい界面活性化合物は、石鹸、非石鹸アニオン性、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、又はそれらの混合物である。
【0026】
好適な非石鹸アニオン性界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、1級及び2級アルキル硫酸塩、特にC8~C151級アルキル硫酸塩;アルキルエーテル硫酸塩;オレフィンスルホン酸塩;アルキルキシレンスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;脂肪酸エステルスルホン酸塩;又はそれらの混合物などがある。一般にナトリウム塩が好ましい。
【0027】
最も好ましい非石鹸アニオン性界面活性剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、特にC8~C15のアルキル鎖長を有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩である。直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩の量が全組成物の0重量%~30重量%である場合が好ましく、より好ましくは1重量%~25重量%、最も好ましくは2重量%~15重量%である。
【0028】
使用できるノニオン性界面活性剤としては、1級及び2級アルコールエトキシレート、特にはアルコール1モル当たり平均1~20モルのエチレンオキサイドでエトキシル化されたC8~C20脂肪族アルコール、より特にはアルコール1モル当たり平均1~10モルのエチレンオキサイドでエトキシル化されたC10~C151級及び2級脂肪族アルコールなどがある。非エトキシル化ノニオン性界面活性剤には、アルキルポリグリコシド、グリセロールモノエーテル、及びポリヒドロキシアミド(グルカミド)などがある。ノニオン性界面活性剤のレベルが、本発明のマイクロカプセルを含む完全に製剤された組成物の0重量%~30重量%、好ましくは1重量%~25重量%、最も好ましくは2重量%~15重量%であることが好ましい。
【0029】
好適な両性界面活性剤は好ましくはベタイン界面活性剤である。好適な両性界面活性剤の例には、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルスルタイン及びアルキルアミドスルタイン;好ましくは、アルキル基及びアシル基に8~約18個の炭素を有するものなどがあるが、これらに限定されるものではない。両性界面活性剤の量が、組成物の0~20重量%であることが好ましく、より好ましくは1~10重量%である。
【0030】
特定のモノアルキルカチオン性界面活性剤を含めることも可能である。使用され得るカチオン性界面活性剤には、一般式R1R2R3R4N+X-の四級アンモニウム塩[式中、R基は長鎖又は短鎖の炭化水素鎖、代表的にはアルキル、ヒドロキシアルキル又はエトキシル化アルキル基であり、Xは対イオンである(例えば、R1がC8-C22アルキル基、好ましくはC8-C10又はC12-C14アルキル基であり、R2がメチル基であり、同一若しくは異なっていても良いR3及びR4がメチル基若しくはヒドロキシエチル基である化合物)。];及びカチオン性エステル(例えば、コリンエステル)などがある。
【0031】
水不溶性の皮膚有益剤も、コンディショナー及び保湿剤として組成物に配合することができる。例としては、シリコーンオイル;流動パラフィン、ワセリン、微結晶ロウ及び鉱油等の炭化水素類;及びヒマワリ種油及び綿実油などの植物性トリグリセリドなどがある。
【0032】
一部の組成物は増粘剤を含むことができる。これらは、セルロース誘導体、天然ゴム及びアクリルポリマーから選択することができるが、この増粘剤の種類によって限定されない。セルロース誘導体には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びそれらの組み合わせがある。適切なガムには、キサンタン、ペクチン、カラヤ、寒天、アルギン酸ガム及びそれらの組み合わせなどがある。アクリル系増粘剤の中には、Lubrizol Corporationから入手可能なCarbopol 1382、Carbopol 982、Ultrez、Aqua SF-1及びAqua SF-2などのカルボマー等のアクリル酸及びメタクリル酸のホモポリマー及びコポリマーがある。増粘剤の量は、組成物中の活性ポリマー(溶媒又は水を除く)の0.01~3重量%の範囲であることができる。
【0033】
潜在的に有害な微生物の増殖に対する保護を行うために、望ましくは防腐剤を本発明の組成物に組み込むことができる。本発明の組成物に適した従来の防腐剤は、パラ-ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステルである。最近使用されるようになった他の防腐剤には、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、及び多様な四級アンモニウム化合物などがある。特に好ましい防腐剤は、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウム及びベンジルアルコールである。防腐剤は、組成物の使用及び防腐剤と他の成分との間の起こり得る不適合性を考慮して選択されるべきである。防腐剤は、組成物の0.01重量%~2重量%の範囲の量で使用することが好ましい。
【0034】
多様な他の任意の材料を組成物に配合することができる。これらには、2-ヒドロキシ-4,2′,4′-トリクロロジフェニルエーテル(トリクロサン)、2,6-ジメチル-4-ヒドロキシクロロベンゼン及び3,4,4′-トリクロロカルバニリドなどの抗菌剤;ポリエチレン及びシリカ又はアルミナなどのスクラブ及び剥離粒子;メントールなどの清涼剤;アロエベラなどの皮膚鎮静剤;及び着色剤などがあり得る。
【0035】
さらに、本発明の組成物はさらに、0.5~10重量%のエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA)、EHDP又は混合物などの金属イオン封鎖剤;エチレングリコールジステアレート、二酸化チタン、又はLytron 621(スチレン/アクリレートコポリマー)などの乳白剤及びパール光沢剤を含むことができ、これらはすべて、製品の外観や特性を向上させるのに有用である。
【0036】
当該組成物は、組成物の10~90重量%、より好ましくは20~85重量%、さらにより好ましくは25~78重量%、最も好ましくは32~65重量%の量で水を含むことができる。
【0037】
好ましくは、当該組成物は、約20s-1の比較的高いせん断速度で20℃で測定した場合に、少なくとも10mPa・s、より好ましくは30~10000mPa・sの範囲、さらにより好ましくは50~5000mPa・s、最も好ましくは100~2000mPa・sの粘度を有する。好ましくは、当該組成物は、流体の形態である。
【0038】
好ましくは、当該パーソナルケア組成物はスキンケア組成物である。本明細書で使用される場合の「皮膚(スキン)」という用語は、顔、首、胸、腹部、背中、腕、脇の下、手、及び脚の皮膚を含む。好ましくは、「皮膚(スキン)」とは、顔及び脇の下の皮膚を意味し、より好ましくは、皮膚(スキン)とは、唇及びまぶた以外の顔の皮膚を意味する。
【0039】
好ましくは、当該方法は非治療的である。好ましくは、当該使用は非治療的である。非治療的という用語は、美容目的であり、治癒目的や治療目的ではないことを意味する。
【0040】
本発明はまた、モリンガ種子油及びモリンガ抽出物を含むパーソナルケア組成物であって、前記モリンガ種子油の量が組成物の0.8重量%未満であり、前記モリンガ抽出物の量が組成物の0.3重量%未満であり、前記モリンガ抽出物の前記モリンガ種子油との重量比が、特には光照射による老化防止、抗酸化、又は酸化ストレス軽減から選択される少なくとも一つの利点を提供するのに使用するためには9~55の範囲にあるパーソナルケア組成物を提供する。
【0041】
本発明はまた、0.8重量%未満のモリンガ種子油、0.3重量%未満のモリンガ抽出物との組み合わせの使用であって、前記モリンガ種子油の前記モリンガ抽出物との重量比が、老化防止、抗酸化、又は酸化ストレス軽減から選択される少なくとも一つの利点を提供するための医薬の製造で使用するためには9~55の範囲である使用を提供する。
【0042】
下記の実施例は、本発明についての理解を容易にするために提供される。これら実施例は特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0043】
【0044】
実施例1
正常ヒト表皮ケラチン生成細胞(NHEK)(Biocell, Xi′an, China)をケラチン生成細胞培地で培養し、6ウェルプレートに蒔いた。第2日に、培地を、試験サンプルを含む培地と交換した。
【0045】
モリンガ油を100mMの濃度でDMSO(ジメチルスルホキシド)に溶かして原液を形成した。適宜に、表1のサンプルを、材料(モリンガ油を除く)及び/又は原液をPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で表1に示した所望のレベルまで希釈することによって調製してから、さらなる実験での使用に供した。
【0046】
各サンプル中でさらに24時間インキュベートした後、培地をPBSに交換した。次に、青色LED(PL-L 18W/52/4P, Philips, Poland)を使用して細胞に青色光を照射したが、この青色LEDは、ほぼ全体が400~500nmの帯域幅内で発光し、450nmにピークを有するものである。LEDの放射は、青色光安全検出器(PMA2121)(SolarLight, PA, USA)で測定し、青色光照射の総エネルギーは10J/cm2である。青色光による30分間の照射後、DCFH-DA(2′,7′-ジクロロジヒドロフルオレセインジアセテート)色素を使用してROS(活性酸素種)の産生を評価し、フローサイトメトリー(CytoFLEX, BeckmanCoulter, USA)で検出した。データは、CytExpertプログラム(Beckman Coulter, USA)を使用して取得及び解析した。
【0047】
結果を表1にまとめた。
【0048】
【0049】
表1のデータから、少量のモリンガ種子油及びモリンガ抽出物を本発明の特定の比率で組み合わせた場合、活性酸素種の阻害が著しく良好であることが明らかである。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モリンガ種子油及びモリンガ抽出物を含むパーソナルケア組成物であって、
(a)前記モリンガ種子油の量が前記組成物の3重量%未満であり、
(b)前記モリンガ抽出物の量が前記組成物の0.3重量%未満であり、
(c)前記モリンガ種子油の前記モリンガ抽出物との重量比が9:1~
45:1の範囲であり、
(d)
前記モリンガ抽出物がモリンガの水抽出物であり、
(e)前記モリンガ種子油が前記モリンガ抽出物と異なる
パーソナルケア組成物。
【請求項2】
前記モリンガ種子油がモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)、モリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa pterygosperma)、モリンガ・ペレグリナ(Moringa peregrina)、モリンガ・コンカネンシス(Moringa concanensis)及びモリンガ・ドルーハルディ(Moringa drouhardii)の少なくとも一つの種子から抽出される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記モリンガ種子油が前記組成物の0.00001~1.5重量%、好ましくは0.004~0.3重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記モリンガ抽出物が、好ましくは前記モリンガ抽出物の30~100重量%のタンパク質を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記モリンガ抽出物がINCI名モリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa Pterygosperma)種子抽出物を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記モリンガ抽出物が、前記組成物の0.000001~0.2重量%、好ましくは0.0002~0.01重量%の量で存在する、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記モリンガ種子油の前記モリンガ抽出物との重量比が18:1~
45:1、好ましくは24:1~45:1の範囲である、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が前記組成物の25~78重量%の量で水を含んでいてもよい、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のパーソナルケア組成物を適用する段階を含む、老化防止、抗酸化及び酸化ストレス軽減から選択される少なくとも一つの利益を提供する方法。
【請求項10】
老化防止、抗酸化及び酸化ストレス軽減から選択される少なくとも一つの利益のための、請求項1~8のいずれか1項に記載のパーソナルケア組成物の使用。
【国際調査報告】