(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システム及び頭部装着型表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20240117BHJP
G02B 13/02 20060101ALI20240117BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/02
G02B27/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539795
(86)(22)【出願日】2020-12-31
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 CN2020142550
(87)【国際公開番号】W WO2022141594
(87)【国際公開日】2022-07-07
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517291003
【氏名又は名称】深▲ゼン▼納徳光学有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】郭健飛
(72)【発明者】
【氏名】曹鴻鵬
(72)【発明者】
【氏名】彭華軍
【テーマコード(参考)】
2H087
2H199
【Fターム(参考)】
2H087KA06
2H087KA07
2H087KA15
2H087LA02
2H087PA02
2H087PA06
2H087PA07
2H087PA18
2H087PB03
2H087PB08
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA13
2H087QA17
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA39
2H087QA41
2H087QA45
2H087RA32
2H087RA41
2H087RA44
2H199CA23
2H199CA24
2H199CA25
2H199CA42
2H199CA47
2H199CA83
2H199CA84
2H199CA86
2H199CA87
2H199CA88
2H199CA92
(57)【要約】
順次接する像面(103)、副光路(T)、ビームスプリッタ(101)及び主光路(A)を含む光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システムであって、像面(103)の光軸と副光路(T)の光軸とは重なり、主光路(A)の光軸と副光路(T)の光軸とは相互に垂直であり、主光路(A)の光軸は、ビームスプリッタ(101)で反射され、ビームスプリッタ(101)で透過される副光路(T)と重ね合せられ、主光路(A)は、ビームスプリッタ(101)からマイクロ画像ディスプレイ(102)まで光軸方向に順に配列される第1のレンズ(111)、第2のレンズ(112)及び第3のレンズ群(116)を含み、第1のレンズ(111)は、正レンズであり、第2のレンズ(112)は、負レンズであり、第3のレンズ群(116)は、正レンズ群であり、第3のレンズ群(116)は、ビームスプリッタ(101)からマイクロ画像ディスプレイ(102)まで光軸方向に順に配列される第3のレンズ(113)、第4のレンズ(114)及び第5のレンズ(115)を含み、副光路(T)は、像面(103)からビームスプリッタ(101)まで光軸方向に順に配列される第6のレンズ(109)、第7のレンズ(108)及び第8のレンズ(107)を含む光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システム及び頭部装着型表示装置。マイクロ画像ディスプレイ(102)で表示される画像と物体外形観測撮像機器で撮像される実物画像とを重ね合せて表示することにより、各光学部品間の特徴関係に合わせて、結像がさらに明瞭で、歪みが小さく、結像品質が高いという特徴を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次接する像面、副光路、ビームスプリッタ及び主光路を含む光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システムであって、前記像面の光軸と前記副光路の光軸とは重なり、前記主光路の光軸と前記副光路の光軸とは相互に垂直であり、前記主光路の光軸は、前記ビームスプリッタで反射され、前記ビームスプリッタで透過される副光路と重ね合せられ、
前記主光路は、前記ビームスプリッタからマイクロ画像ディスプレイまで光軸方向に順に配列される第1のレンズ、第2のレンズ及び第3のレンズ群を含み、前記第1のレンズは、正レンズであり、前記第2のレンズは、負レンズであり、前記第3のレンズ群は、正レンズ群であり、前記第3のレンズ群は、前記ビームスプリッタからマイクロ画像ディスプレイまで光軸方向に順に配列される第3のレンズ、第4のレンズ及び第5のレンズを含み、
前記副光路は、前記像面から前記ビームスプリッタまで光軸方向に順に配列される第6のレンズ、第7のレンズ及び第8のレンズを含み、
前記光学システムの有効焦点距離をFとし、前記主光路の有効焦点距離をF
1とし、前記副光路の有効焦点距離をF
2とし、且つF、F
1、F
2が以下の関係式(1)、(2)
0.558≦F
1/F≦1.822 (1)
2.265≦F
t/F≦3.493 (2)
を満たすことを特徴とする、光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システム。
【請求項2】
前記主光路の有効焦点距離は、F
1であり、前記副光路の有効焦点距離は、F
2であり、且つF
1、F
2が以下の関係式(3)
1.413≦F
t/F
1≦4.63 (3)
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システム。
【請求項3】
前記像面の像高をHとし、前記マイクロ画像ディスプレイの像高をhとし、且つH、hが以下の関係式(4)
0.346≦h/H≦0.716 (4)
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システム。
【請求項4】
前記ビームスプリッタの光線反射率をμとし、前記ビームスプリッタの透過率をnとし、且つμ、nが以下の関係式(5)
80%≦μ+n≦100% (5)
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システム。
【請求項5】
前記主光路と前記副光路の光軸のなす角をθとし、且つθが以下の関係式(6)
θ<180° (6)
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システム。
【請求項6】
前記第1のレンズが前記マイクロ画像ディスプレイから離れた側の光学面は、マイクロ画像ディスプレイの方向に凹んでおり、該光学面は、球面の面形状であることを特徴とする、請求項1に記載の光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システム。
【請求項7】
前記第2のレンズがマイクロ画像ディスプレイに近接する側の光学面は、マイクロ画像ディスプレイの方向に凹んでおり、該光学面は、球面の面形状であることを特徴とする、請求項1に記載の光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システム。
【請求項8】
前記第6のレンズは、負レンズであり、前記第7のレンズと前記第8のレンズは、正レンズであることを特徴とする、請求項1に記載の光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システム。
【請求項9】
前記第6のレンズが像面から離れた側の光学面は、前記第7のレンズの隣接する光学面と接合されることを特徴とする、請求項1に記載の光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システム。
【請求項10】
前記第3のレンズは、両凸レンズであり、前記第4のレンズがマイクロ画像ディスプレイから離れた側の光学面は、マイクロ画像ディスプレイの方向に凹んでおり、前記第3のレンズがマイクロ画像ディスプレイに近接する側の光学面は、前記第4のレンズの隣接する光学面と接合されることを特徴とする、請求項1に記載の光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システム。
【請求項11】
前記第3のレンズがマイクロ画像ディスプレイに近接する側の光学面、及びマイクロ画像ディスプレイから離れた側の光学面は、いずれもマイクロ画像ディスプレイに凹んでおり、前記第4のレンズがマイクロ画像ディスプレイから離れた側の光学面は、マイクロ画像ディスプレイの方向に凹んでいることを特徴とする、請求項1に記載の光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システム。
【請求項12】
前記ビームスプリッタ、前記主光路及び前記副光路内の各レンズのベース材質は、いずれも光学ガラス材質であることを特徴とする、請求項1に記載の光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システム。
【請求項13】
マイクロ画像ディスプレイ及び物体外形観測撮像機器を含む頭部装着型表示装置であって、請求項1~12のいずれか一項に記載の接眼レンズ光学システムをさらに含むことを特徴とする、頭部装着型表示装置。
【請求項14】
前記マイクロ画像ディスプレイは、有機エレクトロルミネッセンス発光素子、透過型液晶ディスプレイ又は反射型液晶ディスプレイを含むことを特徴とする、請求項13に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項15】
前記物体外形観測撮像機器は、顕微鏡又は望遠鏡を含むが、それらに限らないことを特徴とする、請求項13に記載の頭部装着型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学技術分野に関し、より具体的には、光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システム及び頭部装着型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の絶え間ない向上に伴い、人々は、一部の高度な光学計器の使用もますます頻繁になっているが、現在市場の多くの光学計器は、使用者に対して特殊な要求があり、使用者自身が関連知識の備蓄を持って初めて使い慣れて使用することができ、これは使用者を大いに減少させる。
【0003】
例えば、光学業界のアマチュアが望遠鏡、ナイトビジョン機器等の光学結像機器を使用する過程において、使用者は、しばしばその観測した物体に不慣れであり、絶えず書籍又はインターネット接続機器を利用して照会しなければ観測した物体の情報を検索することができず、ひいては対応する物体の情報を検索できない場合もある。このような状況により、使用者は、使用中に多くの時間をかけて資料を検索しなければならず、高度な機器の使用に対する使用者の興味を大幅に低下させる。
【0004】
高度な光学計器を使用する人の増加に伴い、高度な光学計器の参入障壁を下げる必要がある。光学計器の本来の使用機能を変えることなく、いかに使用者に使い方を慣れてもらうかが主な挑戦となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術課題は、既存の光学システムがいずれも固定焦点光学システムであり、大部分の消費者のニーズを満たすことが困難であるとともに、光学システムの重量が重くて体積が大きく、従来の技術の上記欠陥に対して、光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システム及び頭部装着型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明がその技術課題を解決するために採用される技術案は、順次接する像面、副光路、ビームスプリッタ及び主光路を含む光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システムを構成し、前記像面の光軸と前記副光路の光軸とは重なり、前記主光路の光軸と前記副光路の光軸とは相互に垂直であり、前記主光路の光軸は、前記ビームスプリッタで反射され、前記ビームスプリッタで透過される副光路と重ね合せられ、
前記主光路は、前記ビームスプリッタからマイクロ画像ディスプレイまで光軸方向に順に配列される第1のレンズ、第2のレンズ及び第3のレンズ群を含み、前記第1のレンズは、正レンズであり、前記第2のレンズは、負レンズであり、前記第3のレンズ群は、正レンズ群であり、前記第3のレンズ群は、前記ビームスプリッタからマイクロ画像ディスプレイまで光軸方向に順に配列される第3のレンズ、第4のレンズ及び第5のレンズを含み、前記副光路は、前記像面から前記ビームスプリッタまで光軸方向に順に配列される第6のレンズ、第7のレンズ及び第8のレンズを含み、前記光学システムの有効焦点距離をFとし、前記主光路の有効焦点距離をF1とし、前記副光路の有効焦点距離をF2とし、且つF、F1、F2が以下の関係式(1)、(2)を満たす。
0.558≦F1/F≦1.822 (1);
2.265≦Ft/F≦3.493 (2)。
【0007】
さらに、前記主光路の有効焦点距離は、F1であり、前記副光路の有効焦点距離は、F2であり、且つF1、F2が以下の関係式(3)を満たす。
1.413≦Ft/F1≦4.63 (3)。
【0008】
さらに、前記像面の像高をHとし、前記マイクロ画像ディスプレイの像高をhとし、且つH、hが以下の関係式(4)を満たす。
0.346≦h/H≦0.716 (4)。
【0009】
さらに、前記ビームスプリッタの光線反射率をμとし、前記ビームスプリッタの透過率をnとし、且つμ、nが以下の関係式(5)を満たす。
80%≦μ+n≦100% (5)。
【0010】
さらに、前記主光路と前記副光路の光軸のなす角をθとし、且つθが以下の関係式(6)を満たす。
θ<180° (6)。
【0011】
さらに、前記第1のレンズが前記マイクロ画像ディスプレイから離れた側の光学面は、マイクロ画像ディスプレイの方向に凹んでおり、該光学面は、球面の面形状である。
【0012】
さらに、前記第2のレンズがマイクロ画像ディスプレイに近接する側の光学面は、マイクロ画像ディスプレイの方向に凹んでおり、該光学面は、球面の面形状である。
【0013】
さらに、前記第6のレンズは、負レンズであり、前記第7のレンズと前記第8のレンズは、正レンズである。
【0014】
さらに、前記第6のレンズが像面から離れた側の光学面は、前記第7のレンズの隣接する光学面と接合される。
【0015】
さらに、非球面の面形状の計算式は、以下の通りである。
。
【0016】
さらに、前記第3のレンズは、両凸レンズであり、前記第4のレンズがマイクロ画像ディスプレイから離れた側の光学面は、マイクロ画像ディスプレイの方向に凹んでおり、前記第3のレンズがマイクロ画像ディスプレイに近接する側の光学面は、前記第4のレンズの隣接する光学面と接合される。
【0017】
さらに、前記第3のレンズがマイクロ画像ディスプレイに近接する側の光学面、及びマイクロ画像ディスプレイから離れた側の光学面は、いずれもマイクロ画像ディスプレイに凹んでおり、前記第4のレンズがマイクロ画像ディスプレイから離れた側の光学面は、マイクロ画像ディスプレイの方向に凹んでいる。
【0018】
さらに、前記ビームスプリッタ、前記主光路及び前記副光路内の各レンズのベース材質は、いずれも光学ガラス材質である。
【0019】
本発明は、マイクロ画像ディスプレイ及び物体外形観測撮像機器を含み、前記いずれか一項に記載の接眼レンズ光学システムをさらに含む頭部装着型表示装置をさらに提供する。
【0020】
さらに、前記マイクロ画像ディスプレイは、有機エレクトロルミネッセンス発光素子、透過型液晶ディスプレイ又は反射型液晶ディスプレイを含む。
【0021】
さらに、前記物体外形観測撮像機器は、顕微鏡又は望遠鏡を含むが、それらに限らない。
【0022】
本発明の有益な効果は、半透過半反射の方式で結像光線の重ね合せを行い、主光路の光軸がビームスプリッタで反射された後、ビームスプリッタで投射された副光路の光軸と重ね合せられ、マイクロ画像ディスプレイで表示される画像と物体外形観測撮像機器で撮像される実物画像とを重ね合せて表示し、正、負、正のレンズの組み合わせ及び各光学部品間の特徴関係によって、高精細で一致度が高いという効果を達成し、結像がさらに明瞭で、歪みが小さく、結像品質が高いという特徴を有し、マイクロ画像ディスプレイの結像と二重光路の結像の重畳をより完全でリアルにすることにある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の実施例又は既存技術における技術案をより明瞭に説明するために、以下は、添付図面と実施例に関連して本発明をさらに説明し、以下の記述における添付図面は、ただ本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、これらの添付図面に基づき、他の添付図面を取得することもできる。
【
図1】本発明の第1の実施例の接眼レンズ光学システムの光路図である。
【
図2a】本発明の第1の実施例の接眼レンズ光学システムの像面湾曲図である。
【
図2b】本発明の第1の実施例の接眼レンズ光学システムの歪みグラフである。
【
図3】本発明の第1の実施例の接眼レンズ光学システムのスペックルアレイの概略図である。
【
図4】本発明の第1の実施例の接眼レンズ光学システムの光学伝達関数MTFの概略図である。
【
図5】本発明の第2の実施例の接眼レンズ光学システムの光路図である。
【
図6a】本発明の第2の実施例の接眼レンズ光学システムの像面湾曲図である。
【
図6b】本発明の第2の実施例の接眼レンズ光学システムの歪みグラフである。
【
図7】本発明の第2の実施例の接眼レンズ光学システムのスペックルアレイの概略図である。
【
図8】本発明の第2の実施例の接眼レンズ光学システムの光学伝達関数MTFの概略図である。
【
図9】本発明の第3の実施例の接眼レンズ光学システムの光路図である。
【
図10a】本発明の第3の実施例の接眼レンズ光学システムの像面湾曲図である。
【
図10b】本発明の第3の実施例の接眼レンズ光学システムの歪みグラフである。
【
図11】本発明の第3の実施例の接眼レンズ光学システムのスペックルアレイの概略図である。
【
図12】本発明の第3の実施例の接眼レンズ光学システムの光学伝達関数MTFの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施例の目的、技術案、及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例における技術案に関連して明確に、完全に説明する。説明される実施例は、本発明の実施例の一部に過ぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。本発明の実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0025】
本発明は、順次接する像面、副光路、ビームスプリッタ及び主光路を含む光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システムを構成し、像面の光軸と副光路の光軸とは重なり、主光路の光軸と副光路の光軸とは相互に垂直であり、主光路の光軸は、ビームスプリッタで反射され、ビームスプリッタで透過される副光路と重ね合せられる。
【0026】
主光路は、ビームスプリッタからマイクロ画像ディスプレイまで光軸方向に順に配列される第1のレンズ、第2のレンズ及び第3のレンズ群を含み、第1のレンズは、正レンズであり、第2のレンズは、負レンズであり、第3のレンズ群は、正レンズ群であり、第3のレンズ群は、ビームスプリッタからマイクロ画像ディスプレイまで光軸方向に順に配列される第3のレンズ、第4のレンズ及び第5のレンズを含む。
【0027】
副光路は、像面からビームスプリッタまで光軸方向に順に配列される第6のレンズ、第7のレンズ及び第8のレンズを含む。
【0028】
光学システムの有効焦点距離をFとし、主光路の有効焦点距離をF1とし、副光路の有効焦点距離をF2とし、且つF、F1、F2が以下の関係式(1)、(2)を満たす。
0.558≦F1/F≦1.822 (1);
2.265≦Ft/F≦3.493 (2)。
【0029】
ここで、F1/Fの取り得る値は、0.558、0.7、0.81、0.833、0.954、1.12、1.32、1.57、1.822等であり、Ft/Fの取り得る値は、2.265、2.34、2.57、2.67、2.89、3.11、3.32、.3.493等である。
【0030】
上記関係式(1)、(2)におけるF1/FとFt/Fの値の範囲は、システム収差の補正、光学素子の加工難易度、及び光学素子の組み立て偏差の感度に密接に関連し、関係式(1)におけるF1/Fの値は、-0.558よりも大きく、システム収差を十分に補正することができ、それにより優れた光学効果を実現し、その値は、1.822よりも小さく、前記システムにおける光学素子の加工性を改善し、関係式(2)におけるFt/F値は、2.265よりも大きく、前記システムにおける光学素子の加工性を改善し、その値は、3.493よりも小さく、システム収差を十分に補正することができ、それにより優れた光学効果を実現する。
【0031】
上記実施例は、ビームスプリッタの半透過半反射の特性を採用し、ここで、主光路の光軸がビームスプリッタで反射された後、ビームスプリッタで投射された副光路の光軸と重ね合せられ、マイクロ画像ディスプレイで表示される画像と物体外形観測撮像機器で撮像される実物画像とを重ね合せて表示し、正、負、正のレンズの組み合わせ及び各光学部品間の特徴関係によって、高精細で一致度が高いという効果を達成し、結像がさらに明瞭で、歪みが小さく、結像品質が高いという特徴を有し、マイクロ画像ディスプレイの結像と二重光路の結像の重畳をより完全でリアルにする。
【0032】
さらなる実施例では、主光路の有効焦点距離は、F1であり、副光路の有効焦点距離は、F2であり、且つF1、F2が以下の関係式(3)を満たす。
1.413≦Ft/F1≦4.63 (3)。
【0033】
ここで、Ft/F1の取り得る値は、1.413、1.512、1.784、1.95、2.111、2.135、3.12、3.354、3.785、3.987、4.12、4.63等である。
【0034】
さらなる実施例では、像面の像高をHとし、マイクロ画像ディスプレイの像高をhとし、且つH、hが以下の関係式(4)を満たす。
0.346≦h/H≦0.716 (4)。
【0035】
ここで、h/Hの取り得る値は、0.346、0.461、0.478、0.557、0.578、0.613、0.655、0.689、0.716等である。
【0036】
さらなる実施例では、ビームスプリッタの光線反射率をμとし、ビームスプリッタの透過率をnとし、且つμ、nが以下の関係式(5)を満たす。
80%≦μ+n≦100% (5)。
【0037】
ここで、μ+nの取り得る値は、80%、85%、88.5%、89.1%、91.2%、99%、100%等である。
【0038】
さらなる実施例では、主光路と副光路の光軸のなす角をθとし、且つθが以下の関係式(6)を満たす。
θ<180° (6)。
【0039】
さらなる実施例では、第1のレンズがマイクロ画像ディスプレイから離れた側の光学面は、マイクロ画像ディスプレイの方向に凹んでおり、該光学面は、球面の面形状である。
【0040】
さらなる実施例では、第2のレンズがマイクロ画像ディスプレイに近接する側の光学面は、マイクロ画像ディスプレイの方向に凹んでおり、該光学面は、球面の面形状である。
【0041】
さらにシステムの非点収差と像面湾曲等の収差を改善し、接眼レンズシステムがフルサイズで均一な画質の高解像度光学効果を実現するのに有利である。
【0042】
さらなる実施例では、第6のレンズは、負レンズであり、第7のレンズと第8のレンズは、正レンズである。
【0043】
さらなる実施例では、第6のレンズが像面から離れた側の光学面は、第7のレンズの隣接する光学面と接合される。
【0044】
さらなる実施例では、第3のレンズは、両凸レンズであり、第4のレンズがマイクロ画像ディスプレイから離れた側の光学面は、マイクロ画像ディスプレイの方向に凹んでおり、第3のレンズがマイクロ画像ディスプレイに近接する側の光学面は、第4のレンズの隣接する光学面と接合される。
【0045】
さらなる実施例では、第3のレンズがマイクロ画像ディスプレイに近接する側の光学面、及びマイクロ画像ディスプレイから離れた側の光学面は、いずれもマイクロ画像ディスプレイに凹んでおり、第4のレンズがマイクロ画像ディスプレイから離れた側の光学面は、マイクロ画像ディスプレイの方向に凹んでいる。
【0046】
さらなる実施例では、ビームスプリッタ、主光路及び副光路内の各レンズのベース材質は、いずれも光学ガラス材質である。
【0047】
前記接眼レンズ光学システムの各級の収差を十分に補正するとともに、光学素子の製造コストと光学システムの重量を抑えることができる。
【0048】
さらなる実施例では、非球面の面形状の計算式は、以下のとおりである:
ここで、zは、光学面の矢高であり、cは、非球面頂点での曲率であり、kは、非球面係数であり、α2、4、6…は、各階の係数であり、rは、曲面上の点からレンズシステム光軸までの距離座標である。
【0049】
前記光学システムの収差(球差、コマ収差、歪み、像面湾曲、非点収差、色収差と他の高次収差を含む)を十分に補正し、前記接眼レンズ光学システムが大画角、大口径を実現するとともに、中央視野とエッジ視野の画像品質をさらに向上させ、中央視野とエッジ視野の画像品質の差を縮小し、より均一な画像品質と低い歪みを実現するのに有利である。
【0050】
以下、より具体的な実施例によって、上記接眼レンズ光学システムの原理、方案及び表示結果についてさらに詳しく説明する。
【0051】
以下の実施例では、
図1に示すように、順次接する像面103、副光路T、ビームスプリッタ101及び主光路Aを含み、前記像面103の光軸と前記副光路Tの光軸とは重なり、前記主光路Aの光軸と前記副光路Tの光軸とは相互に垂直であり、前記主光路Aの光軸は、前記ビームスプリッタ101で反射され、前記ビームスプリッタ101で透過される副光路Tと重ね合せられ、前記主光路Aは、前記ビームスプリッタ101からマイクロ画像ディスプレイ102まで光軸方向に順に配列される第1のレンズ111、第2のレンズ112、第3のレンズ113、第4のレンズ114と第5のレンズ115を含み、前記第1のレンズ111は、正レンズであり、前記第2のレンズ112は、負レンズであり、前記副光路Tは、前記像面103から前記ビームスプリッタ101まで光軸方向に順に配列される第4のレンズ109、第5のレンズ108及び第6のレンズ107を含み、像面103は、接眼レンズ光学システムにより結像された射出瞳であってもよく、バーチャルの出光開口であり、最適な結像効果を観察することができる。マイクロ画像ディスプレイ102から発される光は、順次第5のレンズ115、第4のレンズ114、第3のレンズ113、第2のレンズ112と第1のレンズ111を経た後、ビームスプリッタ101で反射される。物体外形観測撮像機器110から発される光線は、ビームスプリッタ101で透過され、ビームスプリッタ101で反射されるマイクロ画像ディスプレイ102の光線と重ね合せられ、且つ順次第6のレンズ107、第5のレンズ108と第4のレンズ109を経た後、像面103に到達する。
【0052】
第1の実施例
前記第1の実施例の接眼レンズの設計データは、以下の表1に示すとおりである。
【0053】
【0054】
添付図面1は、第1の実施例の接眼レンズ光学システムの2D構造図であり、順次接する像面103、副光路T、ビームスプリッタ101及び主光路Aを含み、前記像面103の光軸と前記副光路Tの光軸とは重なり、前記主光路Aの光軸と前記副光路Tの光軸とは相互に垂直であり、前記主光路Aの光軸は、前記ビームスプリッタ101で反射され、前記ビームスプリッタ101で透過される副光路Tと重ね合せられ、前記主光路Aは、前記ビームスプリッタ101からマイクロ画像ディスプレイ102まで光軸方向に順に配列される第1のレンズ111、第2のレンズ112、第3のレンズ113、第4のレンズ114と第5のレンズ115を含み、前記第1のレンズ111は、正レンズであり、前記第2のレンズ112は、負レンズであり、前記副光路Tは、前記像面103から前記ビームスプリッタ101まで光軸方向に順に配列される第4のレンズ109、第5のレンズ108及び第6のレンズ107を含み、前記主光路Aと前記副光路Tの光軸のなす角をθとし、θ角は、180°よりも小さい。第1のレンズ111がマイクロ画像ディスプレイ102から離れた側の光学面は、マイクロ画像ディスプレイ102の方向に凹んでおり、該光学面は、偶数次非球面の面形状であり、第2のレンズ112がマイクロ画像ディスプレイ102に近接する側の光学面は、マイクロ画像ディスプレイ102に凹んでおり、該光学面は、球面の面形状である。本光学システムの光学レンズとビームスプリッタ101の基板は、光学ガラス材質であり、ここで光学システムの焦点距離Fは、79.47mmであり、主光路Aの焦点距離F1は、100.62mmであり、副光路Tの焦点距離Ftは、180mmであり、像面103の像高Hは、23mmであり、マイクロ画像ディスプレイ102の像高は、8mmであると、F1/Fは、1.267であり、Ft/Fは、2.265であり、Ft/F1は、1.789であり、h/Hは、0.348である。
【0055】
添付図面2a、添付図面2b、添付図面3、添付図面4は、それぞれ該光学システムの像面湾曲図、歪みグラフ、スペックルアレイ図及び光学伝達関数MTF図であり、本実施例の各視野光線が像面(表示デバイスI)の単位画素内で高い解像度及び小さい光学像面湾曲の歪みを有し、単位周期10mmあたりの解像度が0.8以上に達し、光学システムの収差が良好に補正され、前記接眼レンズ光学システムによって均一で、高光学性能の表示画像を観察できることを反映する。
【0056】
第2の実施例
前記第2の実施例の接眼レンズの設計データは、以下の表2に示すとおりである。
【0057】
【0058】
添付図面5は、第2の実施例の接眼レンズ光学システムの2D構造図であり、順次接する像面103、副光路T、ビームスプリッタ101及び主光路Aを含み、前記像面103の光軸と前記副光路Tの光軸とは重なり、前記主光路Aの光軸と前記副光路Tの光軸とは相互に垂直であり、前記主光路Aの光軸は、前記ビームスプリッタ101で反射され、前記ビームスプリッタ101で透過される副光路Tと重ね合せられ、前記主光路Aは、前記ビームスプリッタ101からマイクロ画像ディスプレイ102まで光軸方向に順に配列される第1のレンズ111、第2のレンズ112、第3のレンズ113、第4のレンズ114と第5のレンズ115を含み、前記第1のレンズ111は、正レンズであり、前記第2のレンズ112は、負レンズであり、前記副光路Tは、前記像面103から前記ビームスプリッタ101まで光軸方向に順に配列される第4のレンズ109、第5のレンズ108及び第6のレンズ107を含み、前記主光路Aと前記副光路Tの光軸のなす角をθとし、θ角は、180°よりも小さい。第1のレンズ111がマイクロ画像ディスプレイ102から離れた側の光学面は、マイクロ画像ディスプレイ102の方向に凹んでおり、該光学面は、偶数次非球面の面形状であり、第2のレンズ112がマイクロ画像ディスプレイ102に近接する側の光学面は、マイクロ画像ディスプレイ102の方向に凹んでおり、該光学面は、球面の面形状である。本光学系の光学レンズとビームスプリッタ101の基板は、光学ガラス材質であり、ここで光学系の焦点距離Fは、77.48mmであり、主光路Aの焦点距離F1は、100.22mmであり、副光路Tの焦点距離Ftは、180mmであり、像面103の像高Hは、16.2mmであり、マイクロ画像ディスプレイ102の像高は、6mmであると、F1/Fは、1.29であり、Ft/Fは、2.32であり、Ft/F1は、1.80であり、h/Hは、0.37である。
【0059】
添付図面6a、添付図面6b、添付図面7、添付図面8は、それぞれ該光学システムの像面湾曲図、歪みグラフ、スペックルアレイ図及び光学伝達関数MTF図であり、本実施例の各視野光線が像面(表示デバイスI)の単位画素内で高い解像度及び小さい光学像面湾曲の歪みを有し、単位周期20mmあたりの解像度が0.9以上に達し、光学システムの収差が良好に補正され、前記接眼レンズ光学システムによって均一で、高光学性能の表示画像を観察できることを反映する。
【0060】
第3の実施例
前記第3の実施例の接眼レンズの設計データは、以下の表3に示すとおりである。
【0061】
【0062】
添付図面9は、第3の実施例の接眼レンズ光学システムの2D構造図であり、順次接する像面103、副光路T、ビームスプリッタ101及び主光路Aを含み、前記像面103の光軸と前記副光路Tの光軸とは重なり、前記主光路Aの光軸と前記副光路Tの光軸とは相互に垂直であり、前記主光路Aの光軸は、前記ビームスプリッタ101で反射され、前記ビームスプリッタ101で透過される副光路Tと重ね合せられ、前記主光路Aは、前記ビームスプリッタ101からマイクロ画像ディスプレイ102まで光軸方向に順に配列される第1のレンズ111、第2のレンズ112、第3のレンズ113、第4のレンズ114と第5のレンズ115を含み、前記第1のレンズ111は、正レンズであり、前記第2のレンズ112は、負レンズであり、前記副光路Tは、前記像面103から前記ビームスプリッタ101まで光軸方向に順に配列される第4のレンズ109、第5のレンズ108及び第6のレンズ107を含み、前記主光路Aと前記副光路Tの光軸のなす角をθとし、θ角は、180°よりも小さい。第1のレンズ111がマイクロ画像ディスプレイから離れた側の光学面は、マイクロ画像ディスプレイ102に凹んでおり、該光学面は、偶数次非球面の面形状であり、第2のレンズ112がマイクロ画像ディスプレイ102に近接する側の光学面は、マイクロ画像ディスプレイ102に凹んでおり、該光学面は、球面の面形状である。本光学系の光学レンズとビームスプリッタ101の基板は、光学ガラス材質であり、ここで光学系の焦点距離Fは、65.17mmであり、主光路Aの焦点距離F1は、107.96mmであり、副光路Tの焦点距離Ftは、180mmであり、像面103の像高Hは、23.5mmであり、マイクロ画像ディスプレイ102の像高は、16.2mmであると、F1/Fは、1.65であり、Ft/Fは、2.76であり、Ft/F1は、1.67であり、h/Hは、0.69である。
【0063】
添付図面10a、添付図面10b、添付図面11、添付図面12は、それぞれ該光学システムの像面湾曲図、歪みグラフ、スペックルアレイ図及び光学伝達関数MTF図であり、本実施例の各視野光線が像面(表示デバイスI)の単位画素内で高い解像度及び小さい光学像面湾曲の歪みを有し、単位周期20mmあたりの解像度が0.9以上に達し、光学システムの収差が良好に補正され、前記接眼レンズ光学システムによって均一で、高光学性能の表示画像を観察できることを反映する。
【0064】
上記実施例1~3の各データは、いずれも発明の概要の中に記録されるパラメータ要求を満たし、結果は、以下の表4に示すとおりである。
【0065】
【0066】
本発明は、マイクロ画像ディスプレイ及び物体外形観測撮像機器を含み、前記いずれか一項の接眼レンズ光学システムをさらに含む頭部装着型表示装置をさらに提供する。
【0067】
好ましくは、マイクロ画像ディスプレイは、有機エレクトロルミネッセンス発光素子、透過型液晶ディスプレイ又は反射型液晶ディスプレイを含む。
【0068】
好ましくは、物体外形観測撮像機器は、顕微鏡又は望遠鏡を含むが、それらに限らない。
【0069】
上記頭部装着型表示装置は、光路を重ね合せることができる接眼レンズ光学システムを採用し、該システムは、半透過半反射の方式で結像光線の重ね合せを行い、主光路の光軸がビームスプリッタで反射された後、ビームスプリッタで投射された副光路の光軸と重ね合せられ、マイクロ画像ディスプレイで表示される画像と物体外形観測撮像機器で撮像される実物画像とを重ね合せて表示し、正、負、正のレンズの組み合わせ及び各光学部品間の特徴関係によって、高精細で一致度が高いという効果を達成し、結像がさらに明瞭で、歪みが小さく、結像品質が高いという特徴を有し、マイクロ画像ディスプレイの結像と二重光路の結像の重畳をより完全でリアルにする。
【0070】
具体的な実際の応用において、使用者は、多重結像を重ね合せて表示し、光学計器の結像に対して説明分析処理を行い、該光学計器に精通していない人でも操作判断ができるようにする。
【0071】
当業者にとっては、上記の説明に基づいて改良又は変換することができ、これらすべての改良と変換は、本発明に添付された特許請求の範囲の保護範囲に属すべきであることを理解されたい。
【国際調査報告】