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▶ リハブ-ロボティクス カンパニー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】ウェアラブルシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 4/00 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
A61F4/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539884
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 CN2021140656
(87)【国際公開番号】W WO2022143359
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】63/132,460
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523240143
【氏名又は名称】リハブ-ロボティクス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】REHAB-ROBOTICS COMPANY LIMITED
【住所又は居所原語表記】Unit 1604-07A, Office Tower Two, The Harbourfront, Whampoa, Kowloon, Hong Kong (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イップ, チ ブン
(72)【発明者】
【氏名】ツイ, プイ ユン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ヨン ジェン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA30
4C097BB02
4C097CC02
4C097CC08
4C097CC13
4C097CC14
4C097DD09
(57)【要約】
ユーザの身体部分への対象物の取り付けを容易にするための取り付けシステム(100)であって、前記対象物に固定するように適合された磁気保持器(110)と、前記ユーザの前記身体部分に固定するための締付具(130)と、前記締結具(130)に回転可能に結合された磁気アダプタ(120)とを含む。使用中に前記保持器(110)が前記対象物に取り付けられ、前記締結具(130)がユーザの前記身体部分に取り付けられて前記保持具(110)に近づくとき、前記保持器(110)と前記アダプタ(120)との間の磁気吸引により前記対象物が前記身体部分に取り付けられ、前記アダプタ(120)と前記締結具(130)との間の回転により、前記ユーザは前記対象物を快適かつ効果的に使用することができる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を手に取り付けるための取り付けシステムであって、
(a)前記対象物に締結するように適合された保持器であって、
前端及び後端を有し、内面を有するハウジングと、
前記ハウジングに設置された第1の磁石とを含む保持器と、
(b)アダプタであって、
前記ハウジングの前記内面に接合するための結合面を含むフレームと、
前記フレームに設置された第2の磁石とを含むアダプタと、
(c)前記手に固定するための締結具と、
(d)前記アダプタと前記締結具が回転可能に結合されるように前記アダプタを前記締結具に接続するように構成されるヒンジとを含み、
これにより、前記アダプタが前記保持器に近づくと、前記対象物は前記第1の磁石と前記第2の磁石との間の磁力によって前記手に取り付けられ、前記アダプタと前記締結具との間の回転によって、前記手が前記対象物を快適かつ効果的に使用することができる、ことを特徴とする取り付けシステム。
【請求項2】
前記ハウジングに設置された前記第1の磁石は第1の平面を画定し、前記第1の磁石は、前記第1の平面に垂直な第1の磁力をさらに有し、前記フレームに設置された前記第2の磁石は第2の平面を画定し、前記第2の磁石は前記第2の平面に垂直な第2の磁力をさらに有し、前記保持器と前記アダプタは、前記第1の磁石と前記第2の磁石が適切に整列するときに、可逆的に互いにインターロックできるように形成され、それにより、使用中に前記第1の平面と前記第2の平面の間をスライドすることによる意図しない離脱を防止する、ことを特徴とする請求項1に記載の取り付けシステム。
【請求項3】
前記保持器は、前記内面から外側に突出し、前記ハウジングの前記後端の付近に位置する突起を含み、
前記アダプタは、(a)前記保持器と前記アダプタが適切に整列するときに、前記突起を受け入れるように構成され、(b)前記保持器と前記アダプタが適切に整列していないときに、前記保持器が前記アダプタに磁気的に取り付けられることを阻止するように構成される凹部を含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の取り付けシステム。
【請求項4】
前記ハウジングの前記前端と前記後端は長手方向軸に沿って整列しており、前記突起は前記内面に前記長手方向軸に垂直な横方向軸に沿って延びており、前記凹部は、前記突起と相補的な形状を有し、前記保持器と前記アダプタが互いにインターロックするとき、前記長手方向軸に沿ったスライド移動を防止するようになっている、ことを特徴とする請求項3に記載の取り付けシステム。
【請求項5】
前記保持器は、前記内面に形成されたキャビティを含み、前記アダプタは、前記保持器とアダプタが互いにインターロックするとき、縦軸及び横軸に沿ったスライド移動を防止するように、前記キャビティと嵌合するように構成され、前記結合面から外側に延びる突起を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の取り付けシステム。
【請求項6】
前記キャビティは、前記ハウジングの前記後端の付近に位置する、ことを特徴とする請求項5に記載の取り付けシステム。
【請求項7】
前記保持器は、前記前端において前記内面から外側に延びる少なくとも1つの係合アームを含み、前記アダプタは、前記アダプタの端部に少なくとも1つの前記係合アームと嵌合するように構成される少なくとも1つの係合縁を含む、ことを特徴とする前記1~6のいずれか一項に記載の取り付けシステム。
【請求項8】
各係合アームは、前記係合アームの遠端に前記内面に向かって曲げられた湾曲部を含み、前記係合縁は、前記係合アームの前記湾曲部に嵌合するように形成される、ことを特徴とする請求項7に記載の取り付けシステム。
【請求項9】
前記アダプタは、解放力を受けたときに前記アダプタの前記保持器からの離脱を容易にするように構成され、前記フレームの側面に配置された少なくとも1つのラッチをさらに含む、ことを特徴とする前記1~8のいずれか一項に記載の取り付けシステム。
【請求項10】
ユーザの身体部分への対象物の取り付けを容易にするための取り付けシステムであって、
(a)前記対象物に固定するように適合された磁気保持器と、
(b)前記ユーザの前記身体部分に固定するための締付具と、
(c)前記締結具に回転可能に結合された磁気アダプタとを含み、
これにより、使用中に前記保持器が前記対象物に取り付けられ、前記締結具が前記ユーザの前記身体部分に取り付けられて前記保持具に近づくとき、前記保持器と前記アダプタとの間の磁気吸引により前記対象物が前記身体部分に取り付けられ、前記アダプタと前記締結具との間の回転によって、前記ユーザは前記対象物を快適かつ効果的に使用することができる、ことを特徴とする取り付けシステム。
【請求項11】
前記保持器は第1の磁石を含み、前記アダプタは第2の磁石を含み、前記第1の磁石は第1の平面を画定し、前記第1の平面に垂直な第1の磁力をさらに有し、前記第2の磁石は第2の平面を画定し、前記第2の平面に垂直な第2の磁力をさらに有し、前記アダプタと前記保持器は、前記第1の磁石と前記第2の磁石が適切に整列するときに、可逆的に互いにインターロックすることができ、それにより、使用中に前記第1の平面と前記第2の平面の間をスライドすることによる意図しない離脱を防止する、ことを特徴とする請求項10に記載の取り付けシステム。
【請求項12】
前記アダプタと前記締結具との間の回転運動を可能にするために前記アダプタを前記締結具に接続するように構成されるヒンジを含む、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の取り付けシステム。
【請求項13】
前記保持器は、前記アダプタを接合するための内面と、前記内面から外側に突出する突起とを含み、前記アダプタは、前記突起を受け入れるように構成される凹部を含む、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の取り付けシステム。
【請求項14】
前記保持器は、長手方向軸に沿って整列された前端及び後端を有し、前記突起は前記内面に前記長手方向軸に垂直な横方向軸に沿って延びており、前記凹部は、前記突起と相補的な形状を有し、前記保持器と前記アダプタが互いにインターロックするとき、前記長手方向軸に沿ったスライド移動を防止するようになっている、ことを特徴とする請求項13に記載の取り付けシステム。
【請求項15】
前記突起は、前記保持器の前記後端の付近に位置する、ことを特徴とする請求項14に記載の取り付けシステム。
【請求項16】
前記保持器は、前記内面に形成されたキャビティを含み、前記アダプタは、前記キャビティと嵌合するように構成され、前記アダプタから外側に延びる突起を含む、ことを特徴とする請求項14に記載の取り付けシステム。
【請求項17】
前記キャビティは、前記保持器の前記後端の付近に位置する、ことを特徴とする請求項16に記載の取り付けシステム。
【請求項18】
前記保持器は、前記前端において前記内面から外側に延びる少なくとも1つの係合アームを含み、前記アダプタは、前記アダプタの端部に少なくとも1つの前記係合アームと嵌合するように構成される少なくとも1つの係合縁を含む、ことを特徴とする請求項14に記載の取り付けシステム。
【請求項19】
各係合アームは、前記係合アームの遠端に前記内面に向かって曲げられた湾曲部を含み、前記係合縁は、前記係合アームの前記湾曲部に嵌合するように形成される、ことを特徴とする請求項18に記載の取り付けシステム。
【請求項20】
前記アダプタは、解放力を受けたときに前記アダプタの前記保持器からの離脱を容易にするように構成される少なくとも1つのラッチをさらに含む、ことを特徴とする請求項10に記載の取り付けシステム。
【請求項21】
前記保持器と前記対象物とを接続するように適合された前記対象物に設置される容器をさらに含む、ことを特徴とする請求項10~20のいずれか一項に記載の取り付けシステム。
【請求項22】
前記保持器は、前記保持器の一側に配置された少なくとも1つのリブを含み、前記容器は、前記保持器の前記リブをスライド可能に受け入れるための少なくとも1つのレールを含む、ことを特徴とする請求項21に記載の取り付けシステム。
【請求項23】
前記対象物はロボットハンドであり、前記容器は前記ロボットハンドの指アセンブリに設置される、ことを特徴とする請求項21又は22に記載の取り付けシステム。
【請求項24】
前記対象物は工具であり、前記容器は前記工具を保持するように適合されている、ことを特徴とする請求項21に記載の取り付けシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの身体部分に対象物を取り付けるためのウェアラブルシステムに関し、特に磁気ウェアラブルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
障害患者、特に手足障害患者は、正常な日常活動に困難がある。
【発明の概要】
【0003】
上記の背景に鑑みて、いくつかの実施態様では、特定の日常的な物理的タスクにおいてユーザを支援するシステムを提供することを目的とする。
【0004】
したがって、例示的な実施態様は、ユーザの身体部分への対象物の取り付けを容易にするための取り付けシステムであって、(a)前記対象物に固定するように適合された磁気保持器と、(b)前記ユーザの前記身体部分に固定するための締付具と、(c)前記締結具に回転可能に結合された磁気アダプタとを含み、これにより、使用中に前記保持器が前記対象物に取り付けられ、前記締結具が前記ユーザの前記身体部分に取り付けられて前記保持具に近づくとき、前記保持器と前記アダプタとの間の磁気吸引により前記対象物が前記身体部分に取り付けられ、前記アダプタと前記締結具との間の回転によって、前記ユーザは前記対象物を快適かつ効果的に使用することができる取り付けシステムを提供する。
【0005】
他の実施態様によれば、対象物を手に取り付けるための取り付けシステムであって、(a)前記対象物に締結するように適合された保持器であって、前端及び後端を有し、内面を有するハウジングと、前記ハウジングに設置された第1の磁石とを含む保持器と、(b)前記ハウジングの前記内面に接合するための結合面を含むフレームと、前記フレームに設置された第2の磁石とを含むアダプタと、(c)前記手に固定するための締結具と、(d)前記アダプタと前記締結具が回転可能に結合されるように前記アダプタを前記締結具に接続するように構成されるヒンジとを含み、前記アダプタが前記保持器に近づくと、前記対象物は前記第1の磁石と前記第2の磁石との間の磁力によって前記手に取り付けられ、前記アダプタと前記締結具との間の回転によって、前記手が前記対象物を快適かつ効果的に使用することができる取り付けシステムを提供する。
【0006】
いくつかの例示的な実施態様では、前記ハウジングに設置された前記第1の磁石が第1の平面を画定し、前記第1の磁石は、前記第1の平面に垂直な第1の磁力をさらに有し、前記フレームに設置された前記第2の磁石が第2の平面を画定し、前記第2の磁石は前記第2の平面に垂直な第2の磁力をさらに有し、前記保持器と前記アダプタは、前記第1の磁石と前記第2の磁石が適切に整列するときに、可逆的に互いにインターロックできるように形成され、それにより、使用中に前記第1の平面と前記第2の平面の間をスライドすることによる意図しない離脱を防止する。
【0007】
本明細書では、他の例示的な実施態様について説明する。
【0008】
様々な実施態様において様々な利点が存在する。例えば、いくつかの実施態様では、取り付けシステムは、ユーザのハンド回復のために、ユーザの指を案内してロボットハンドに正確に整列して取り付けるように設計されている。ユーザの手が閉じていても、締結具はユーザの指に縛ることができ、保持器とアダプタが正しい位置に係合されている場合、ユーザの指は保持器とアダプタの間の磁気引力によって簡単にロボットハンドに取り付けることができる。保持器とアダプタの相互インターロックによって、使用中に指がロボットハンドにしっかりと固定されることが保証される。
【0009】
いくつかの実施態様では、アダプタのラッチは、正しい方向に解放力を加えることによって、手または体の部位が対象物から容易に離れることを助ける。
【0010】
いくつかの実施態様では、取り付けシステムは、ユーザが手で対象物を保持するために通常の把持を行うことができなくても、ユーザが日常的なタスクを実行するために対象物を効果的に快適に使用することができるように、ユーザの手を任意の対象物に取り付けることを容易にするために使用することができる。いくつかの他の実施態様では、取り付けシステムは、ユーザの身体部分の対象物への取り付けを容易にするために使用することができ、ユーザがより容易に対象物を取り付けまたは離脱することができる。いくつかの実施態様では、ユーザは、取り付けシステムの助けなしに対象物を個別に取り付けることができない。いくつかの実施態様では、対象物は膝支持体であり、ユーザの身体部分は膝である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A図1Aは、取り付けシステムに係る例示的な実施態様の斜視図である。
図1B図1Bは、図1Aと同じ例示的な実施態様の異なる斜視図である。
図1C図1Cは、図1Aと同じ例示的な実施態様の異なる斜視図である。
図2A図2Aは、取り付けシステムに係る例示的な実施態様における保持器とアダプタが互いにインターロックする場合の斜視図である。
図2B図2Bは、図2Aと同じ例示的な実施態様の異なる斜視図である。
図2C図2Cは、図2Aと同じ例示的な実施態様の異なる斜視図である。
図3A図3Aは、取り付けシステムに係る例示的な実施態様における保持器とアダプタが互いにインターロックするとき、保持器の前端から見た図である。
図3B図3Bは、取り付けシステムに係る図3Aに示す軸A-Aを横切る断面図と、各丸印部のクローズアップ断面図とを示す。
図4A図4Aは、取り付けシステムに係る例示的な実施態様における指へのロボットハンドの取り付けを容易にすることを示す。
図4B図4Bは、取り付けシステムに係る例示的な実施態様における指へのロボットハンドの取り付けを容易にすることを示す。
図5A図5Aは、例示的な実施態様における取り付けシステムを筆記具に取り付けることを示す。
図5B図5Bは、図5Aと同じ例示的な実施態様における取り付けシステムの容器と保持器を示す。
図5C図5Cは、図5Aと同じ例示的な実施態様における使用中に筆記具を指に取り付けることを容易にするための取り付けシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、「含む」とは、 以下の要素を含むが、その他を除外しないことを意味する。
【0013】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、「係合」とは、協働する部品が互いに係合して部品の相対運動を制限する、任意のタイプの可逆的機械的接続を意味する。
【0014】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、用語「湾曲」は、端部に屈曲角部を有する任意の形状、例えばV字形、L字形、U字形又は任意の他の不規則形状を含むことを意図する。
【0015】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、用語「手」は、手の任意の部分、例えば指、掌、手首、腕、腕のスタブなどを含むことを意図する。
【0016】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、「工具」とは、人が手又は他の身体部分に保持する必要があるものをいう。例えば、工具は、カップ、ボウル、プレート、カトラリーなどの台所用品、スプーン、フォーク、箸、ナイフなどの食器、紙、メモ帳、定規、ペンや鉛筆などの筆記具などの文房具、バッグ、財布、電話、その他あらゆる物が含まれるが、これらに限定されない。
【0017】
本明細書で使用される「前」、「中」、「後」、「側」、「長さ」、「幅」、「内側」、「外側」、「内部」、「外部」等の用語は、単に参照点を説明するだけで、本発明を任意の特定の方位または構成に限定しないことが理解される。さらに、「第1の」、「第2の」、「第3の」等の用語は、本明細書に開示されるような多数の部分、構成要素および/または参照点のうちの1つを単に特定するだけであり、同様に、本発明を任意の特定の構成または方位に限定するものでもない。
【0018】
いくつかの実施態様では、ユーザの身体部分への対象物の取り付けを容易にするための取り付けシステムであって、(a)対象物に固定するように適合された磁気保持器と、(b)ユーザの身体部分に固定するための締付具と、(c)締結具に回転可能に結合された磁気アダプタとを含み、使用中に保持器が対象物に取り付けられているとき、締結具がユーザの身体部分に取り付けられて保持具に近づき、保持器とアダプタとの間の磁気吸引により対象物が身体部分に取り付けられ、アダプタと締結具との間の回転によって、ユーザは対象物を快適かつ効果的に使用することができる取り付けシステムを提供する。
【0019】
いくつかの実施態様では、ユーザの身体部分は、ヒトまたは動物の身体の任意の部位、例えば手、腕、足、首、腰、膝、足首など、あるいは四肢の指、例えば指や足指であってもよい。いくつかの実施態様では、ユーザの身体部分は身体の切断部分を含む。
【0020】
いくつかの実施態様では、取り付けシステムは、保持器と対象物を接続するように適合された対象物に設置された容器をさらに含む。
【0021】
いくつかの実施態様では、対象物はロボットハンドであってもよく、保持器はロボットハンドに直接または間接的に固定することができ、例えば、ロボットハンドの指アセンブリに設置された容器との接続に適している。
【0022】
いくつかの実施態様では、対象物は工具であってもよく、保持器は、接着剤、糊、または他の機械的手段を使用することによって、工具を保持するように適した容器に直接取り付けることができる。
【0023】
いくつかの実施態様では、対象物は膝装具であり、ユーザの身体部分は膝である。
【0024】
いくつかの実施態様では、保持器は第1の磁石を含み、アダプタは第2の磁石を含み、第1の磁石が第1の平面を画定し、第1の平面に垂直な第1の磁力をさらに有し、第2の磁石が第2の平面を画定し、第2の平面に垂直な第2の磁力をさらに有し、アダプタと保持器は、第1の磁石と第2の磁石が適切に整列するときに、可逆的に互いにインターロックすることができ、それにより、使用中に第1の平面と第2の平面の間をスライドすることによる意図しない離脱を防止する。いくつかの実施態様では、保持器とアダプタは、適切な整列を容易にし、それらが係合して互いにインターロックするときにスライド移動を防止するように相補的に形成された係合構造を含む。
【0025】
いくつかの実施態様では、保持器は、アダプタを接合するための内面と、内面から外側に突出する突起とを含み、アダプタは、突起を受け入れるように構成される凹部を含む。保持器は、長手方向軸に沿って整列された前端及び後端を有し、突起は内面に長手方向軸に垂直な横方向軸に沿って延びて保持器の後端の付近に位置し、凹部は、突起と相補的な形状を有し、保持器とアダプタが互いにインターロックするとき、長手方向軸に沿ったスライド移動を防止するようになっている。いくつかの実施態様では、突起はレッジとすることができる。
【0026】
いくつかの実施態様では、保持器は、内面に形成されたキャビティを含み、アダプタは、キャビティと嵌合するように構成され、アダプタから外側に延びる突起を含む。いくつかの実施態様では、キャビティは、保持器の後端の付近に位置する。キャビティは、穴、開口部又は切欠きとすることができる。
【0027】
いくつかの実施態様では、保持器は、前端において内面から外側に延びる少なくとも1つの係合アームを含む。各係合アームは、係合アームの遠端に内面に向かって曲げられた湾曲部を含む。アダプタは、アダプタの端部に少なくとも1つの係合アームと嵌合するように構成される少なくとも1つの係合縁を含み、係合縁は、係合アームの湾曲部に嵌合するように形成される。
【0028】
いくつかの実施態様では、取り付けシステムは、アダプタと締結具との間の回転運動を可能にするためにアダプタを締結具に接続するように構成されるヒンジを有する。いくつかの実施態様では、アダプタは、解放力を受けたときにアダプタの保持器からの離脱を容易にするように構成される少なくとも1つのラッチをさらに含む。
【0029】
突起、レッジ、凹部、ノッチ、スロット、穴、溝、キャビティ、突出起、リブなどの係合構造は、様々な形や大きさであり得ることが当業者には理解される。例えば、レッジは外側に突出し、凹部は内側にへこむことができるが、その逆もあり得る。二つの部品が互いに嵌合または配合できるように適合されている限り、それらはこの実施態様の範囲に含まれる。明確にするために、ある部品が別の部品と「嵌合」または「配合」するとき、2つの部品は、位置を確保するような方法で接続する。
【0030】
以下の説明では、異なる図の同じ構成要素を説明するために、同じ符号が採用される。
【0031】
次に、例示的な実施態様における取り付けシステム100を示す図1A図1Bおよび図1Cを参照する。取り付けシステム100は、保持器110、アダプタ120、締結具130及びヒンジ140を含む。いくつかの実施態様において、保持器110は磁気保持器とも呼ばれ、アダプタ120は磁気アダプタとも呼ばれる。
【0032】
保持器110は、前端1123、前端1123の反対側の後端1124、内面1121、内面1121の反対側の外面1122、及び二つの保持器の側壁1125及び側壁1129を有するハウジング1120を含み、それらが一緒にその中に中空内部空間を画定する。内面1121の長さは、保持器の長手方向軸1127(図1Aに点線1127として示す)を画定し、前端1123および後端1124は、保持器の長手方向軸1127に沿って整列している。内面1121の幅は、内面1121上で保持器の長手方向軸1127に垂直な保持器の横方向軸1128(図1Aに点線1128として示す)を画定する。
【0033】
保持器110は、ハウジング1120に設置された第1の磁石1170を含む。本実施態様では、第1の磁石1170は長方形状である。ハウジング1120の中空内部空間には、第1の磁石1170を収容するための第1の磁石室1126(図1Bに示す)が設けられる。第1の磁石室1126は、第1の磁石1170がハウジング1120の内部に確実に固定するように収容するために、矩形ブロックの形状に構成される。また、第1の磁石室1126は、中空内部空間を3つのセグメント、すなわち、前端1123の付近の前部中空セグメント1112、第1の磁石室1126である中間中空セグメント、および後端1124の付近の後部中空セグメント1114に分割する。各中空セグメントは、外面1122に開口端を有する。チャンバーのサイズおよび形状は例示のためのものであり、任意の形状および寸法とすることができる。
【0034】
ハウジング1120に設置された第1の磁石1170は、第1の平面を画定する。第1の磁石1170は、第1の平面に垂直な第1の磁力をさらに有する。本実施態様では、内面1121および外面1122は、第1の平面に平行である。
【0035】
この実施態様では、保持器110は、内面1121から外側に垂直に突出する突起1130をさらに含む。突起1130は、ハウジング1120の後端1124の付近に位置する。この実施態様では、突起1130は、内面1121の幅を横切って保持器の横方向軸1128に平行に延びるレッジである。
【0036】
保持器110は、内面1121に形成されたキャビティ1140を有する。キャビティ1140は、穴、ノッチ、溝またはポケットであり得る。キャビティ1140は、ハウジング1120の後端1124の付近に位置する。キャビティ1140は、突出部1130と並列して配置され、突出部1130よりも後端1124に近い位置にある。この実施態様では、キャビティ1140は、その基部が内面1121に大きな開口を形成し、基部の反対側の別の端部が後部中空セグメント1114に接続される小さな開口を形成するように、内面1121を通って延びる逆錐台状の錐体の形状で構成されている穴である。いくつかの他の実施態様では、キャビティ1140は、正方形、長方形、三角形、楕円形、半楕円形、および他の多角形および非多角形のような、ユーザの好みに応じて他の形状およびサイズに構成することができる。
【0037】
この実施態様では、保持器110は、前端1123に位置し、内面1121から外側に延びる2つの係合アーム1151および係合アーム1152をさらに含む。両方の係合アーム1151および係合アーム1152は、同じ形状であり、フックの形状に構成される。各係合アームは、内面1121から離れた遠端を有し、遠端に内面1121に向かって曲がった湾曲部を含む。この実施態様では、係合アーム1151および係合アーム1152は、それぞれ湾曲部1153および湾曲部1154を含む。各湾曲部は、その2つの内側面が前端1123に向かう方向で曲げられて一緒に接続されている概ねV字形である。係合アーム間には、隙間1155が画定されている。隙間1155は、ヒンジ140が隙間内で回転可能に動くことができる大きさである(後に詳述する)。
【0038】
保持器110は、対象物(図示せず)に固定するように適合されている。この実施態様では、保持器110は、保持器の側壁1125及び側壁1129からそれぞれ保持器の横方向軸1128に沿って外側に突出した2つのサイドリブ1160及びサイドリブ1162を有する。サイドリブは、外面1122に接する保持器の側壁の縁に位置し、保持器の側壁の全長に沿って延びる。サイドリブ1160及びサイドリブ1162は、保持器110の対象物(図示せず)への取り付け又は固定を容易にするための手段として機能する。いくつかの実施態様では、保持器110はサイドリブを有さず、保持器110は、例えば、保持器110が取り付けるように設計されている対象物内の相補的な形状と嵌合できる保持器110内の追加の形状を導入することによって、接着剤、糊又は他の機械的締結配置を使用することによって対象物に直接的又は間接的に接続することができる。
【0039】
アダプタ120は、フレーム1220を含む。フレーム1220は、係合端1223と、係合端1223の反対側の離脱端1224と、結合面1221と、結合面1221の反対側の実質的に平坦なアダプタ接触面1222(図2Cに示す)と、二つのアダプタの側壁1225及び側壁1229とを有し、それらが一緒にその中に中空室を画定する。結合面1221の長さは、アダプタの長手方向軸1227(図1Bに点線1227で示す)を画定し、係合端1223と離脱端1224は、アダプタの長手方向軸1227に沿って整列している。結合面1221の幅は、結合面1221上でアダプタの長手方向軸1227に垂直なアダプタの横方向軸1228(図1Bに点線1228で示す)を画定する。結合面1221は、ハウジング1120の内面1121と係合するように設けられている。
【0040】
アダプタ120は、フレーム1220に設置された第2の磁石1270を含む。この実施態様では、第2の磁石1270は、第1の磁石1170と幅および長さが同じ寸法の矩形状である。フレーム1220の中空室には、第2の磁石1270を収容するための第2の磁石室1226(図1Bに示す)が設けられる。第2の磁石室1226は、第2の磁石1270がフレーム1220の内部に確実に固定するように収容するための矩形ブロックの形状に構成される。また、第2の磁石室1226は、中空室を3つのセグメント、すなわち、係合端1223の付近の第1の中空区画1212、第2の磁石室1226である第2の中空区画、および離脱端1224の付近の第3の中空区画1214に分割する。各中空区画は、結合面1221に開口端を有する。保持器110の構成と同様に、上述したこれらの区画の形状は例示のためのものであり、アダプタの実際の形状は、ユーザの必要性に応じて設計することができる。
【0041】
フレーム1220に設置された第2の磁石1270は、第2の平面を画定する。第2の磁石1270は第2の平面に垂直な第2の磁力をさらに有する。本実施態様では、結合面1221とアダプタとの接触面は、第2の平面に平行である。
【0042】
この実施態様では、アダプタ120は、保持器110とアダプタ120が適切に整列されたときに保持器110の突出部1130を受け入れるように構成及び形成された凹部1230をさらに含む。凹部1230は、離脱端1224の付近に、保持器110とアダプタ120が互いにインターロックするときの保持器110の突出部1130の位置に対応して位置する。本実施態様では、凹部1230は、対向するアダプタの側壁1225、側壁1229にそれぞれ形成された2つのノッチ又はスロット1230A、スロット1230Bによって画定される。ノッチ1230A及びノッチ1230Bは、アダプタの横方向軸1228に沿って整列し、結合面1221から反対側のアダプタ接触面に向かって垂直に延びており、保持器110とアダプタ120が係合して適切に整列されたときに突起1130が凹部1230に確実に係合することができるようにする。
【0043】
アダプタ120は、フレーム1220の離脱端1224の付近に位置し、保持器110とアダプタ120が互いにインターロックするときにキャビティ1140と嵌合するように構成される突起1240を有する。この実施態様では、突起1240は、アダプタ接触面1222の内側から結合面1221の方向に向かって垂直に延びる。突起1240は、第3の中空区画1214を通って結合面1221の開放端から突出する。いくつかの他の実施態様では、突起1240は、結合面1221から外側に延びる。突起1240は、保持器110とアダプタ120が係合したときに突起1240をキャビティ1140に嵌め込んで適切な整列を容易にすることができるように、対応するキャビティ1140に実質的に適合する形状およびサイズを有する先端1242を含む。
【0044】
アダプタ120は、係合端1223に位置し、保持器110及びアダプタ120の使用時に係合アーム1151及び係合アーム1152とそれぞれ嵌合するように構成される2つの係合縁1251及び係合縁1252を更に含む。この実施態様では、2つの係合縁1251及び1252は、リッジの形状に構成される。各リッジは、その2つの外側面が折り曲げられて係合端1223で一緒に接続された概ねV字形である。V字形のリッジは、各係合アームのV字形の湾曲部に係合するように構成されている。溝1255は、ヒンジ140を受け入れ、ヒンジ140が溝1255内で回転可能に動くことを可能にするために、2つの係合縁1251及び係合縁1252の間の係合端1223に設けられる(後述)。
【0045】
この実施態様では、アダプタ120は、フレーム1220の離脱端1224の付近に位置する2つのラッチ1260(図1Aに示す)及びラッチ1262(図1Cに示す)を有する。ラッチ1260及びラッチ1262は、それぞれアダプタの側壁1225及び側壁1229からアダプタの横方向軸1228に沿って外側に突出する。ラッチは、アダプタ接触面1222(図2Cに示す)に接する側壁の縁に配置される。いくつかの他の実施態様では、アダプタ120は、フレーム1220のいずれかの一側に位置する1つのラッチだけを有することができる。ラッチは、解放力を受けたときに互いにインターロックするとき、アダプタ120の保持器110からの離脱を容易にするように構成される。
【0046】
締結具130は、ユーザの身体部分に固定するために取り付けシステム100に設けられている。いくつかの実施態様では、締結具130は、ハーネス、ストラップ、リング、ストリップ、またはベルトであり得る。この実施態様では、締結具130は、ユーザの指(図4Bおよび図5Cに示す)を包囲するように構成される指用ストラップである。指ストラップは、第1のストラップ端1310と、第1のストラップ端とは反対側の第2のストラップ端1320とを有する(図1Aに示される)。ストラップ接触プラットフォーム1332は、第1のストラップ端1310と第2のストラップ端1320との間の指ストラップの中間に配置される。締結具130は、第1のストラップ端1310に位置する2つのストラップピン1311およびストラップピン1312を含む。各ストラップピンは、一般に、バーの中央に設けられたノッチを有する長方形のバーとして形作られている。締結具130は、第2のストラップ端1320からストラップ接触プラットフォーム1332の方向に向かって互いに平行に配置された7つのストラップホール1321をさらに含む。各ストラップホール1321は、ストラップピン1311またはストラップピン1312を受け入れる長方形のバーの形状に構成されており、ストラップピンをストラップホールにしっかりと挿入することができ、それによって指を包囲する締結具130のリング状構造を形成する。リング状締結具130の半径サイズは、異なるユーザの様々な指のサイズに適合するようにストラップピン1311およびストラップピン1312を異なるストラップホール1321に嵌め込むことによって調整可能である。
【0047】
取り付けシステム100のヒンジ140は、アダプタ120と締結具130とが回転可能に結合されるように、アダプタ120を締結具130に接続するように構成される。ここで図1Cを参照すると、ヒンジ140は、アダプタ120の係合端1223に接続された回転可能端部1412と、締結具130のストラップ接触プラットフォーム1332に接続された反対固定端1414とを有する細長く湾曲したヒンジ本体1410を含む。アダプタ横方向軸1228(図1Bに示す)に沿って延びるヒンジ軸(図示せず)が、ヒンジ本体1410の回転可能端部1412をフレーム1220の係合端1223に接続するために設けられる。係合端1223の付近のフレーム1220の側面を貫通して形成された一対のヒンジ軸穴1422は、ヒンジ軸がフレーム1220に挿入され、アダプタ横方向軸1228に沿ってヒンジ本体1410の回転可能端1412を通過することを可能にするために設けられる。ヒンジシャフトは、アダプタ横方向軸1228に平行な回転軸を画定し、ヒンジ本体1410及びヒンジ本体1410に接続された締結具130が回転軸回りを回転することを可能にする。係合端1223での溝1255は、ヒンジ140が溝1255内で回転軸回りを回転可能に移動できるように、ヒンジ140を受け入れるための空間を提供する。いくつかの他の実施態様では、ヒンジ140は、アダプタ120と締結具130を接続して異なる態様の回転運動を可能にするように構成されるジョイント又はピボットであり得る。
【0048】
説明を容易にするために、同じ符号を有するすべての後続の図は、同じ部品を参照し、各図に対する説明で繰り返さないことにする。
【0049】
図2A、2Bおよび2Cは、使用中に保持器110とアダプタ120とが係合して互いにインターロックするときの取り付けシステム100を示す。第1の磁力と第2の磁力との間の磁気吸引力により、第1の磁石1170と第2の磁石(図示せず)とが適切な整列で磁気的に取り付けられ、第1の平面と第2の平面との間のスライド移動を防止する。第1の磁石と第2の磁石が適切に整列されると、保持器110とアダプタ120は、可逆的に互いにインターロックすることができ、保持器110の内面(図示せず)とアダプタ120の結合面(図示せず)は、互いに向き合うように適合されている。
【0050】
図2A図2Cに示すように、保持器110の突起1130は、保持器110とアダプタ120とが係合して適切に整列されたときに、アダプタ120の凹部1230と嵌合するように構成される。また、突起1130と凹部1230は、保持器110とアダプタ120が適切に整列されていないときに、保持器110がアダプタ120に磁気的に取り付けられることを阻止することができる。突起1130と凹部1230との間の嵌合は、保持器110とアダプタ120とが互いにインターロックするときに、保持器の長手方向軸1127に沿ったスライド移動を防止する。
【0051】
図2Aに示すように、アダプタ120の突起1240は、保持器110とアダプタ120が係合して適切に整列されたときに、保持器110のキャビティ1140に確実に挿入されるように構成される。突起1240の先端がキャビティ1140を形成する孔を通過することにより、保持器110とアダプタ120の相対位置が固定され、保持器110とアダプタ120が互いにインターロックするときに保持器の長手方向軸1127と保持器の横方向軸1128に沿ってスライド移動することを防止する。また、突起1240とキャビティ1140は、保持器110とアダプタ120が適切に整列されていないときに、アダプタ120に保持器110が磁気的に取り付けられることを阻止することができ、アダプタ120が保持器110に係合して互いにインターロックできる可能な位置が1つだけ存在するようにする。
【0052】
アダプタ120の係合縁1251及び係合縁1252は、保持器110とアダプタ120が係合して適切に整列されたときに、係合アーム1151及び係合アーム1152の湾曲部1153及び湾曲部1154とそれぞれ嵌合するように構成されている。上述のように、図2Aから2Cに示すように、各係合縁は各係合アームのV形の湾曲部に嵌合するように構成されるV形のリッジとなる。係合縁と係合アームとの間の嵌合は、アダプタ120の保持器110に対する適切な整列を案内し、保持器の長手方向軸1127に沿ったスライド移動を防止し、また、保持器110とアダプタ120とが適切に整列されたときに第1の平面および第2の平面に垂直な方向でアダプタ120が保持器110から意図しない離脱を防止する。
【0053】
前述したように、アダプタ120と締結具130は、ヒンジ140を介して互いに接続されている。ヒンジ140は、締結具130がアダプタ120に対して0度から180度以上まで閉じる/開くことができるように、アダプタ横方向軸(図示せず)に平行な回転軸回りに単軸の回転運動を可能にする。いくつかの実施態様では、締結具130は、アダプタ120に対して0度から90度まで閉じる/開くことができる。図2Bは、ストラップ接触プラットフォーム1332がアダプタ120と接触している閉状態のアダプタ120と締結具130を示す。図2Cは、ストラップ接触台1332がアダプタ120に対してある角度まで開いており、アダプタ接触面1222がストラップ接触面1330と接触しておらず、アダプタ120と締結具130の開放状態を示している。使用中に保持器110とアダプタ120が互いにインターロックするとき、2つの係合アーム1151と係合アーム1152の間の隙間1155は、ヒンジ本体1412を受け入れる空間を提供し、保持器110の前端1123に向かう方向への回転軸周りのヒンジ140の回転運動を可能にし、それによってアダプタ120と締結具130の閉状態から開状態への切り替えを可能にする。
【0054】
図2Cに示すように、ストラップ接触プラットフォーム1332は、アダプタ120と締結具130が互いに接触しているときにアダプタ接触面1222に面している平坦なストラップ接触面1330を有する実質的に長方形の筐体である。ストラップ接触プラットフォーム1332は、筐体に収納された金属プレート1334を含む。本実施態様では、金属プレート1334は長方形の形状である。金属プレート1334とフレーム1220に設置された第2の磁石1270(図1Bに示す)との間には、それらが互いに近接しているときに軽い磁力が存在し、締結具130が使用されていないとき(例えば、締結具130がユーザの身体部分に結び付けられていないとき)、ストラップ接触プラットフォーム1332がアダプタ120に磁力で取り付けられ、それによってアダプタ120および締結具130が閉状態に維持されてヒンジ140の意図しない回転移動が妨げられるようにする。
【0055】
フレーム1220の離脱端1224の付近に配置されたラッチ1260及びラッチ1262は、アダプタ120と保持器110が解放力を受けて互いにインターロックするとき、アダプタ120の保持器110からの着脱を容易にするように構成される。解放力は、保持器110から離れる方向に、第1の平面及び第2の平面に垂直な方向にラッチに加えられる。いくつかの実施態様では、この寸法で指定された制約がないため、解放力がアダプタ120を保持器110から離脱する唯一の方法である。いくつかの他の実施態様では、保持器110はラッチを含まないことがあり、解放力は、アダプタ120を保持器110から離脱するために、保持器110から離れる方向に離脱端1224に直接加えることができる。
【0056】
図3Aは、使用中に保持器110とアダプタ120とが適切に整列され、互いにインターロックしているときに、保持器110の前端1123から見た取り付けシステム100を示す。図3Bは、図3Aに示す軸A-Aを横切る取り付けシステム100の断面図を示す。図3Bは、取り付けシステム100の4つの各丸印部310、320、330、340のクローズアップ図をさらに示す。丸印部310は、保持器110の係合アーム1151とアダプタ120の係合縁1251との間の嵌合を示す。丸印部320は、互いに磁気的に取り付ける第1の磁石1170と第2の磁石1270の結合を示す。丸印部330は、保持器110の突起1130とアダプタ120の凹部1230との嵌合を示す。丸印部340は、保持器110のキャビティ1140とアダプタ120の突起1240との間の嵌合を示す。4つの丸印部は、それらが適切に整列されたときにアダプタ120の保持器110に対する移動を制限し、使用中の解放力以外の外力によるアダプタ120の保持器110からの意図しない離脱を防止するように指定されている、取り付けシステムにおける係合構造を示す。
【0057】
図4Aは、例示的な実施態様におけるロボットハンド410の指アセンブリ411に接続される取り付けシステムの保持器110を示す。この実施態様では、取り付けシステムは、ロボットハンド410の指アセンブリ411に設置された容器420を更に含む。容器420は、保持器110を受け入れ、保持器110をロボットハンド410に接続するように構成される。
【0058】
図4Bは、図4Aの丸印部412のクローズアップ図である。容器420は、保持器110を収容するように形成された細長い本体4210を有する。この実施態様では、細長い本体4210は、概して長方形の形状である。細長い本体4210は、前面4211、前面と反対側の背面(図示せず)、開放端4212、開放端4212と反対側の閉鎖端4213、および2つの側面4214、側面4215を含み、それたが一緒にその中に保持器110を収容するための空間を画定する。前面4211は、保持器110が細長い本体4210に入れられたとき、保持器110の内面1121が前面4211の方向を向き、容器420の外側に露出するように、概して覆われていない。側面4214、側面4215の内側部分には、一対の摺動可能なレール4220が互いに対向して配置される。図4Bでは、側面4215の内側部分に1つのレール4220のみが示されているが、側面4214の内側部分の反対側には別のレールが存在することが理解される。一対のレール4220は、保持器110が容器420にスライドして入り、ロボットハンド412に固定されるように、開放端4212を介して保持器110のサイドリブ(この図には示されていないが図2Cに示されている)を一対のレール4220に挿入することによって保持器110をスライド可能に受け入れるように適合される。使用中に保持器110は、異なるユーザの異なる指の長さに対応するために、一対のレール4220の長さに沿ってスライドできる。細長い本体4210の開放端4212には、容器420をロボットハンド412の指アセンブリ411にしっかりと設置し、保持器110がそこに配置されると開放端4212を介して細長い本体4210から滑り出ることを防止するためのネジロック4230が設けられている。
【0059】
図4Bは、ユーザの指430に結ばれるアダプタ120とリング形締結具130をさらに示す。この実施態様では、締結具130は、前述のように異なるユーザの様々な指のサイズに適合するように、ストラップピン(図示せず)を異なるストラップホール1321に嵌め込むことによって調整可能な半径方向のサイズを有する指ストラップである。
【0060】
いくつかの実施態様では、ロボットハンド410は、ユーザのためのハンド回復のための動力補助装置として使用することができる。指アセンブリ411は、異なるタイプの訓練エクササイズを実行するためにユーザの指を曲げたり伸ばしたりするために作動される指外骨格であり得る。
【0061】
いくつかの実施態様では、ロボットハンド410は、5つの指アセンブリを有することができ、各指アセンブリは、保持器110を受け入れるように構成される容器が設置される。 ユーザの各指は、アダプタ120と保持器110との間の相互作用によって、各指がロボットハンド410の対応する指アセンブリに取り付けることができるように、締結具130で固定される。
【0062】
ここで、図1A、1B及び1Cと同様に図4Bを参照して上述した取り付けシステムの動作に説明する。使用中に締結具130はまずユーザの指430に結ばれる。次に、ユーザは、指430を容器420に固定された保持器110に向かって動かし、アダプタ120の係合縁1251及び係合縁1252をそれぞれ係合アーム1151及び係合アーム1152の湾曲部に挿入することができる。係合縁と係合アームの嵌合により、アダプタ120が保持器110に近接するように案内され、第1の磁石1170と第2の磁石1270の間の磁力により、アダプタ120が保持器110に磁気的に取り付けられる。アダプタ120の結合面1221は、保持器110の内面1121と係合することになる。前述のように、突起1130、凹部1230、突起1240及びキャビティ1140は、保持器110とアダプタ120とが適切に整列されていないときに、アダプタ120と保持器110とが互いに磁気的に取り付けられることを物理的に阻止するため、アダプタ120と保持器110とを望ましくない方向又は位置に係合する機会を排除する。アダプタ120が所定の位置にスナップインできるのは、保持器110とアダプタ120が可逆的に互いにインターロックするように完全に整列されたときだけである。突起1130と凹部1230、突起1240とキャビティ1140、係合縁と係合アームの間の嵌合、および第1の磁石1170と第2の磁石1270の間の磁気引力は、それらが適切に整列しているときに、アダプタ120の保持器110に対するスライド移動を防ぎ、使用中に外力によってアダプタ120が保持器110から意図しない離脱を防止する。保持器110とアダプタ120の係合およびインターロックは、ロボットハンド410のユーザの指430への取り付けを容易にする。ヒンジ140によって促進されるアダプタ120と締結具130との間の回転運動は、指430がロボットハンド410に取り付けるときの指の動作を容易にし、ロボットハンド410が指の内転/外転運動を快適かつ効果的に引き起こすことを可能にする。
【0063】
ユーザがロボットハンド410から指430を離脱しようとするとき、ユーザはアダプタ120のラッチ1260またはラッチ1262のうちの1つに保持器110から離れる方向に解放力を加えてアダプタ120を保持器110から離脱することができる。これにより、指430が保持器110から離れる方向に回転し、アダプタ120が保持器110の係合アームの湾曲部から出ることができる。
【0064】
上記の実施態様は、指の使用が困難な患者、特に、拳に深く屈曲して自力で指を伸ばすことができない指、例えば、脳卒中患者にとって特に有用である。
【0065】
図5A、5Bおよび5Cは、別の例示的な実施態様におけるユーザの指530への筆記具510の取り付けを容易にする取り付けシステムを示す。この実施態様では、筆記具510はペンである。容器520が、保持器110を筆記具510に接続するために提供される。この実施態様では、容器520は、筆記具510を保持するように適合された円筒形の管である。容器520は、容器の外周面に配置された円盤状のピボット540を含む。保持器110は、ハウジング1120の前端1123の付近に位置する穴550を含む。ピボット540は、保持器110を容器520に接続するために、穴550と嵌合するように構成されている。ピボット540は、ハウジング112の内面1121の平面に垂直なピボット軸542をさらに画定し、容器520に接続された保持器110がピボット軸542回りを回転することを可能にする。
【0066】
別の実施態様では、保持器110の外面を容器520に接着することによって、保持器110は容器520に直接取り付けられる。容器520は、保持器110の保持器横方向軸に沿って整列される。
【0067】
使用中に筆記具510は、まず容器520に挿入され固定される。締結具130は、ユーザの指530に結びつけられる。この実施態様では、図5Cに示すように、締結具130はユーザの人差し指に結ばれている。ユーザは、指530を保持器110に向かって動かし、アダプタ120を保持器110に適切な整列で係合させることができる。保持器110とアダプタ120の係合及びインターロックは、筆記具510をユーザの指530に取り付けることを容易にし、ユーザが通常のグリップを作ることができない場合でも、筆記具510を使用して筆記作業を実行できるようにする。ピボット軸542を中心とする保持器110の回転運動により、ユーザは、指の位置に対する筆記具510の向きを調整して、筆記具510の快適かつ効果的な使用を可能にし、または異なる書き方に適合させることができる。
【0068】
いくつかの他の実施態様では、保持器110の外面1122は、保持器110自体をペンに直接取り付けることができるようにシリンダーに成形することもできる。保持器110の外面1122は、身体に取り付けるように設計された他の対象物と相互作用するように、任意の他の形状に成形することもできる。
【0069】
本発明の例示的な実施態様は、このように完全に説明される。説明では特定の実施態様に言及したが、当業者には、本発明がこれらの特定の詳細の変形を伴って実施され得ることは明らかである。したがって、本発明は、本明細書に記載された実施態様に限定されると解釈されるべきではない。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
【国際調査報告】