(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】細胞培養システム
(51)【国際特許分類】
C12M 3/00 20060101AFI20240117BHJP
C12M 3/06 20060101ALI20240117BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20240117BHJP
【FI】
C12M3/00 A
C12M3/06
C12N5/071
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540037
(86)(22)【出願日】2021-12-29
(85)【翻訳文提出日】2023-07-29
(86)【国際出願番号】 US2021065509
(87)【国際公開番号】W WO2022147121
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500149223
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル,ケイティー
(72)【発明者】
【氏名】フェケーテ,ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】チャン,レイ
(72)【発明者】
【氏名】パイテル,レイチェル,ゼット.
(72)【発明者】
【氏名】プレイドン,ロバート,ゴードン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB11
4B029CC13
4B029DB16
4B029DF05
4B029DG06
4B029GB07
4B029GB09
4B065AA90X
4B065BC06
4B065BC42
4B065CA44
(57)【要約】
【解決手段】
本開示は全般に、細胞培養装置及び細胞培養方法に関する。本開示の一態様は、酸素透過性バッグであって、バッグの内部区画の境界を画定する1つ以上のポリマーフィルムであって、1つ以上のポリマーフィルムの各々は、バッグの内部区画に隣接する、フルオロポリマーを含む内層と、内層に接着された、ポリマーを含む外層と、を含む、1つ以上のポリマーフィルムと、バッグの外面に形成され、内部区画と流体連通する第1のポートと、バッグの外面に形成され、内部区画と流体連通する第2のポートと、内部区画に含まれる、複数のマイクロキャリアと、を備える、酸素透過性バッグである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素透過性バッグであって、
前記バッグの内部区画の境界を画定する1つ以上のポリマーフィルムであって、前記1つ以上のポリマーフィルムの各々は、
前記バッグの前記内部区画に隣接する内層であって、フルオロポリマーを含む、内層と、
前記内層に接着された、ポリマーを含む外層と、を含む、1つ以上のポリマーフィルムと、
前記バッグの外面に形成され、前記内部区画と流体連通する第1のポートと、
前記バッグの外面に形成され、前記内部区画と流体連通する第2のポートと、
前記内部区画に含まれる、複数のマイクロキャリアと、を備える、酸素透過性バッグ。
【請求項2】
前記酸素透過性バッグが、
前記バッグの内部区画を形成するように結合された縁部を有する1つ以上のポリマーフィルムであって、前記1つ以上のポリマーフィルムの各々は、前記バッグの前記内部区画に隣接する内層であって、フルオロポリマーを含む、内層と、前記内層に接着された、ポリマーを含む外層と、を含む、1つ以上のポリマーフィルムと、
前記バッグの外面に形成され、前記内部区画と流体連通する第1のポートと、
前記バッグの外面に形成され、前記内部区画と流体連通する第2のポートと、
前記内部区画に含まれる、複数のマイクロキャリアと、を備える、酸素透過性バッグである、請求項1に記載のバッグ。
【請求項3】
前記内層がフッ素化エチレン-プロピレンを含む、請求項1に記載のバッグ。
【請求項4】
前記外層がエラストマーを含む、請求項1に記載のバッグ。
【請求項5】
前記外層が、シリコーンゴム(例えば、高粘稠度ゴム(HCR)、フルオロシリコーンゴム(FSR)、液体シリコーンゴム(LSR)、室温加硫ゴム(RTV)、熱可塑性シリコーンゴム(TPE)、白金硬化シリコーンゴム、及び過酸化物硬化シリコーンゴムから選択される)を含む、請求項1に記載のバッグ。
【請求項6】
前記内層が、0.001~0.7mm(例えば、0.01~0.1mm)の厚さを有し、実質的に(例えば、少なくとも95重量%)フッ素化エチレン-プロピレンを含み、
前記外層が、0.01~5mm(例えば、0.1~0.5mm)の厚さを有し、実質的に(例えば、少なくとも95重量%)シリコーンゴムを含む、請求項1に記載のバッグ。
【請求項7】
前記マイクロキャリアが、100~400μm(例えば、110~300μm、又は120~275μm)の平均直径を有する、請求項1に記載のバッグ。
【請求項8】
前記マイクロキャリアが、ポリスチレン、架橋デキストラン、又はセルロースを含む、請求項1に記載のバッグ。
【請求項9】
前記内部区画に含まれる前記複数のマイクロキャリアが、前記バッグの前記内部区画の総表面積の少なくとも100%(例えば、少なくとも500%、又は少なくとも1000%)である総表面積を有する、請求項1に記載のバッグ。
【請求項10】
分割されていない内部区画と、
前記内部区画内に延び、前記内部区画と流体連通する第1の液体透過性チューブであって、前記第1のポートに動作可能に結合された、第1の液体透過性チューブと、
前記内部区画内に延び、前記内部区画と流体連通する第2の液体透過性チューブであって、前記第2のポートに動作可能に結合された、第2の液体透過性チューブと、を備え、
前記第1の液体透過性チューブは、前記チューブの中央ルーメンを画定する第1の内側支持構造と、前記第1の内側支持構造を取り囲む第1の外側フィルタ層と、を備える、請求項1に記載のバッグ。
【請求項11】
分割されていない内部区画と、
前記バッグの前記内部区画内に延び、前記バッグの前記内部区画と流体連通する第1の液体透過性チューブであって、前記ポートに動作可能に結合された、第1の液体透過性チューブと、
前記バッグの前記内部区画内に延び、前記バッグの前記内部区画と流体連通する第2の液体透過性チューブであって、前記第2のポートに動作可能に結合された、第2の液体透過性チューブと、を備え、
前記第1の液体透過性チューブは、50~200μm(例えば、50~150μm、又は75~150μm)の平均孔径を有する、請求項1に記載のバッグ。
【請求項12】
前記内部区画の第1の部分を前記内部区画の第2の部分から分離する多孔質膜であって、前記第2の部分は前記複数のマイクロキャリアを含有する、多孔質膜と、
前記バッグの外面に形成された第3のポートと、を備え、
前記第1のポート及び第2のポートは各々、前記内部区画の前記第1の部分と流体連通し、前記第3のポートは、前記内部区画の前記第2の部分と流体連通する、請求項1に記載のバッグ。
【請求項13】
前記内部区画の第1の側方部分を前記内部区画の中央部分から分離する第1の多孔質膜と、
前記内部区画の第2の側方部分を前記内部区画の前記中央部分から分離する第2の多孔質膜であって、前記中央部分は前記複数のマイクロキャリアを含有する、第2の多孔質膜と、
前記バッグの外面に形成された第3のポートと、を備え、
前記第1のポートは、前記内部区画の前記第1の側方部分と流体連通し、前記第2のポートは、前記内部区画の前記第2の側方部分と流体連通し、前記第3のポートは、前記内部区画の前記中央部分と流体連通する、請求項1に記載のバッグ。
【請求項14】
細胞を培養する方法であって、足場依存性細胞及び培地を前記マイクロキャリアとともに、請求項1~13のいずれかに記載のバッグの前記内部区画に提供するステップと、前記第1のポートと前記第2のポートとの間の前記内部区画を通して培地を流すステップと、を含む、方法。
【請求項15】
培養された細胞を前記マイクロキャリアから分離するステップと、
前記培養された細胞を前記バッグから取り出すステップと、を更に含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月30日に出願された米国仮特許出願第63/132291号の優先権の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は全般に、細胞培養装置及び細胞培養方法に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞培養及び細胞単離は、多くの用途において重要なプロセスである。例えば、治療用途(例えば、免疫療法、再生医療など)において使用するための特定の細胞は、典型的には単離され、インビトロで培養される。例えば、前駆細胞及び間葉系幹細胞などの細胞、並びに単球及び他の免疫細胞は、血液中に比較的低濃度で存在し、したがって、典型的には血液から単離され、インビトロで培養される。同様に、神経細胞、心筋細胞、上皮細胞、及び再生医療(例えば、骨修復、皮膚修復、膵島再生など)のための他の細胞は、インビトロで培養され得る。
【0004】
バッグの形態の市販の細胞培養デバイスは、細胞培養に使用される従来の形式である。細胞培養バッグは、使い捨て式であるという利点を有し、これは、調製及び洗浄時間を減少させる。更に、細胞培養バッグは、予備滅菌可能であり、安価であり、使用が容易であり、保管及び使用のために最小限の空間しか必要としない。使い捨て式品はまた、細胞培養及び環境に対する夾雑のリスクを低減するのに役立つ。
【0005】
しかしながら、そのようなバッグの表面は、典型的には、足場依存性細胞のための接着基質が乏しく、それは生存するためにそれらの天然の細胞ニッチに匹敵する環境を必要とする。更に、そのようなバッグの内部表面積は、(例えば、総バッグ体積と比較して)比較的限られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、足場依存性細胞の改善された培養を容易にする細胞培養及び単離物品が依然として必要とされている。
【0007】
本開示の一態様は、酸素透過性バッグであって、バッグの内部区画を形成するように結合された縁部を有する1つ以上のポリマーフィルムであって、1つ以上のポリマーフィルムの各々は、バッグの内部区画に隣接する内層であって、フルオロポリマーを含む、内層と、内層に接着された、ポリマーを含む外層と、を含む、1つ以上のポリマーフィルムと、バッグの外面に形成され、内部区画と流体連通する第1のポートと、バッグの外面に形成され、内部区画と流体連通する第2のポートと、内部区画に含まれる、複数のマイクロキャリアと、を備える、酸素透過性バッグである。
【0008】
本開示の別の態様は、分割されていない内部区画と、内部区画内に延び、内部区画と流体連通する第1の液体透過性チューブであって、第1のポートに動作可能に結合された、第1の液体透過性チューブと、内部区画内に延び、内部区画と流体連通する第2の液体透過性チューブであって、第2のポートに動作可能に結合された、第2の液体透過性チューブと、を備え、第1の液体透過性チューブは、チューブの中央ルーメンを画定する第1の内側支持構造と、第1の内側支持構造を取り囲む第1の外側フィルタ層と、を備える、(例えば、本明細書に記載される任意の実施形態による)バッグである。
【0009】
本開示の別の態様は、分割されていない内部区画と、バッグの内部区画内に延び、バッグの内部区画と流体連通する第1の液体透過性チューブであって、ポートに動作可能に結合された、第1の液体透過性チューブと、バッグの内部区画内に延び、バッグの内部区画と流体連通する第2の液体透過性チューブであって、第2のポートに動作可能に結合された、第2の液体透過性チューブと、を備え、第1の液体透過性チューブは、50~200μm(例えば、50~150μm、又は75~150μm)の平均孔径を有する、(例えば、本明細書に記載される任意の実施形態による)バッグである。
【0010】
本開示の別の態様は、内部区画の第1の部分を内部区画の第2の部分から分離する多孔質膜であって、第2の部分は複数のマイクロキャリアを含有する、多孔質膜と、バッグの外面に形成された第3のポートと、を備え、第1のポート及び第2のポートは各々、内部区画の第1の部分と流体連通し、第3のポートは、内部区画の第2の部分と流体連通する、(例えば、本明細書に記載される任意の実施形態による)バッグである。
【0011】
本開示の別の態様は、内部区画の第1の側方部分を内部区画の中央部分から分離する第1の多孔質膜と、内部区画の第2の側方部分を内部区画の中央部分から分離する第2の多孔質膜であって、中央部分は複数のマイクロキャリアを含有する、第2の多孔質膜と、バッグの外面に形成された第3のポートと、を備え、第1のポートは、内部区画の第1の側方部分と流体連通し、第2のポートは、内部区画の第2の側方部分と流体連通し、第3のポートは、内部区画の中央部分と流体連通する、(例えば、本明細書に記載される任意の実施形態による)バッグである。
【0012】
本開示の別の態様は、細胞を培養する方法であって、足場依存性細胞及び培地を(例えば、本明細書に記載される任意の実施形態による)バッグに追加するステップを含む、方法である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態によるバッグの概略上面図(上)及び断面図(下)である。
【
図2】
図2は、本明細書に記載されるバッグの構成に使用するのに好適なポリマーフィルムの部分断面図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態による液体透過性チューブの概略切り取り図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態による液体透過性チューブの概略切り取り図である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施形態によるバッグの概略的な上面図(上)及び断面図(下)である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態によるバッグの概略断面図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施形態によるバッグの概略断面図である。
【
図8】
図8は、本開示の一実施形態によるバッグの概略上面図である。
【
図9】
図9は、オートクレーブで処理した後の、比較用の市販のフルオロポリマーバッグの写真である(実施例1参照)。
【
図10】
図10は、オートクレーブで処理した後の、本開示の一実施形態による酸素透過性バッグの写真である(実施例1参照)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、足場依存性細胞を細胞培養バッグ中で培養及び単離する物品及び方法に関する。本発明者らは、従来の細胞培養バッグは、その表面が典型的には足場依存性細胞にとって不適切な基材であり、更にマイクロキャリア細胞培養にとっても不適切であり得ることに注目する。当業者が理解するように、「マイクロキャリア」細胞培養は、離散したマイクロメートルスケールの粒子(例えば、回転楕円体「マイクロキャリア」又は「マイクロビーズ」)を含み、その表面は、足場依存性細胞のための接着基質として機能することができる。
【0015】
本発明者らは、細胞培養バッグの内面が、例えば、バッグ調製(例えば、滅菌によってもたらされる構造変化)又は使用(例えば、バッグ支持体又はバッグ揺動デバイスから不均一に加えられた力)に由来する機械的応力によって歪められ得ることに注目する。そのような歪みから生じるバッグ表面上のマクロスケールの特徴は、細胞培養プロセス中にマイクロキャリアの局在化又は「プーリング」を引き起こすことがあり、バッグ体積全体にわたるマイクロキャリアの望ましくない不均一な分布をもたらす。そのような特徴はまた、直接的(すなわち、マクロスケール表面特徴とマイクロキャリアとの間の衝突)及び間接的(すなわち、不均一に分布したマイクロキャリア集団の「プールされた」領域におけるマイクロキャリア間の衝突の増加)の両方で、キャリア固定細胞が(例えば、撹拌又は揺動中に)受ける剪断応力及び衝突応力の量を顕著に増加させることができる。
【0016】
有利なことに、本発明者らは、外側ポリマー層に接着された内側フルオロポリマー層を含む酸素透過性ポリマーフィルムから形成された培養バッグの内面が、望ましくは、調製(例えば、オートクレーブ内での滅菌)及び使用(例えば、揺動デバイス上でのインキュベーション)を通して比較的歪みのないままであり得ると判定した。したがって、細胞培養プロセス中にバッグに含まれるマイクロキャリアは、比較的均一に分布したままであることができ、固定された細胞の剪断力及び衝突力への曝露を顕著に低減することができる。本発明者らは更に、そのようなバッグが、細胞培養及び/又は培養された細胞の効率的な回収中のフィード培地の最小限の破壊的除去及び補充を容易にする1つ以上の灌流成分を有利に含み得ると判定した。
【0017】
したがって、本開示の一態様は、(例えば、縁部を結合してバッグを形成することによって)バッグの内部区画の境界を画定する1つ以上のポリマーフィルム(例えば、第1のポリマーフィルム及び第2のポリマーフィルム)を含む酸素透過性バッグである。ポリマーフィルムの各々は、バッグの内部区画に隣接する内層であって、フルオロポリマーを含む、内層と、内層に接着された、ポリマーを含む外層と、を含む。バッグは、バッグの外面に形成され、内部区画と流体連通する第1のポートと、バッグの外面に形成され、内部区画と流体連通する第2のポートと、を含む。そして、バッグは、内部区画に複数のマイクロキャリアを含む。
【0018】
上述のように、様々な実施形態では、酸素透過性バッグは、バッグの内部区画を形成するように結合された縁部を有する1つ以上のポリマーフィルムであって、1つ以上のポリマーフィルムの各々は、バッグの内部区画に隣接する内層であって、フルオロポリマーを含む、内層と、内層に接着された、ポリマーを含む外層と、を含む、1つ以上のポリマーフィルムと、バッグの外面に形成され、内部区画と流体連通する第1のポートと、バッグの外面に形成され、内部区画と流体連通する第2のポートと、内部区画に含まれる、複数のマイクロキャリアと、を備える、酸素透過性バッグの形態であり得る。
【0019】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、1つ以上のポリマーフィルムは、バッグの内部区画の周りに縁部を形成するように共に結合された縁部を有する、第1のポリマーフィルム及び第2のポリマーフィルムを含む。しかしながら、他の実施形態では、単一のポリマーフィルムを折り重ねてそれ自体に結合してバッグを形成することができ、又は管状フィルムを2つの縁部で溶着してバッグを形成することができる。いずれにしても、2つの別個のフィルムが使用される場合、1つのポリマーフィルムのみが本明細書に記載の積層構造を有する必要がある。他のフィルムも積層構造を有してもよいし、いくらか異なる構造を有してもよい。
【0020】
上述したように、ポリマーフィルムの各々(すなわち、積層ポリマーフィルムであり、このようなフィルムが1つだけバッグの中に存在する必要があることを認識している)は、フルオロポリマーを含む内層を含む。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、内層は、実質的にフルオロポリマー、例えば、少なくとも80重量%、又は少なくとも85重量%、又は少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%、又は少なくとも97.5重量%、又は少なくとも98重量%、又は少なくとも99重量%のフルオロポリマーを含む。
【0021】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、内層は、エチレン-プロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン-ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/エチレンコポリマー(HTE)、クロロトリフルオロエチレン/フッ化ビニリデンコポリマー、クロロトリフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、エチレン/クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、エチレン/トリフルオロエチレンコポリマー、エチレン/テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、テトラフルオロエチレン/プロピレンコポリマー(TFE/P)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP/HFP)、ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン/ビニリデンコポリマー(THV)、及び官能化ポリマー末端基を有するペルフルオロ(1-ブテニルビニルエーテル)ホモシクロポリマーから選択される1つ以上のフルオロポリマーを含む。特定の望ましい実施形態では、内層は、フッ素化エチレン-プロピレンを含む。例えば、特定のこのような実施形態では、内層は、少なくとも80重量%(例えば、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%)のフッ素化エチレン-プロピレンを含む。
【0022】
様々な実施形態では、内層は、非結晶性(例えば、DSCによって測定される場合)であるか、又は2J/g未満の融解熱を有する非晶質フッ素含有ポリマーから選択されるフルオロポリマーを含む。例えば、特定のこのような実施形態では、内層は、テトラフルオロエチレンと、2~8個の炭素原子を有するフルオロオレフィン及びアルキル基が1個又は3~5個の炭素原子を含有するフッ素化アルキルビニルエーテルなどの官能性又は非官能性モノマーとのコポリマーを含む。様々な実施形態では、非官能性モノマーは、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、PEVE、PMVE、及びペルフルオロ-(プロピレンビニルエーテル)(PPVE)のうちの1つ以上を含む。様々な実施形態では、官能性モノマーは、ペルフルオロエチルビニルエーテル(EVE)、CF2=CFOCF2CFCF3OCF2CF2COOCH3(EVE-カルバメート)、CF2=CFOCF2CFCF3OCF2CF2SO2F(PSEPVE)、CF2=CFOCF2CFCF3OCF2CF2CN(8CNVE)、N3(CF2=CFOCF2CFCF3OCF2CF2)3(EVE-トリアジン)、CF2=CFOCF2CFCF3OCF2CF2CN(EVE-CN)、CF2=CFOCF2CFCF3OCF2CF2CH2OH(EVE-OH)、CF2=CFOCF2CFCF3OCF2CF2CH2PO2(OH)2(EVE-P)CF2=CFOCF2CFCF3OCF2CF2CH2COOH(EVE-COOH)、及び2,2-ビストリフルオロメチル-4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソール(PDD)のうちの1つ以上を含む。
【0023】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、内層は、DuPont(Wilmington,DE)製のTEFLON(登録商標)SF60(TFE/PMVE/PEVE,DuPont,Wilmington DE)、TEFLON(登録商標)SF61(TFE/PMVE/PEVE/EVE-P)、TEFLON(登録商標)SF50(TFE/HFP)、Teflon(登録商標)AF1600(PDD/TFE)、及びTEFLON(登録商標)AF2130(PDD/CTFE);Asahi Corporation(東京)製のCYTOP(登録商標)(CYTOPタイプA、CYTOPタイプM、CYTOPタイプS、又はCYTOP NM);MY Polymers Corporation(Rehovot,Israel)製の(MY-133);又はNusil Corporation(Carpinteria,CA)製の(LS-233)などの1つ以上の市販の非晶質フルオロポリマーを含み得る。
【0024】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、内層(例えば、実質的にフッ素化エチレン-プロピレンを含む)は、0.001~0.7mm、例えば、0.001~0.4mm、又は0.001~0.1mm、又は0.005~0.7mm、又は0.005~0.4mm、又は0.005~0.1mm、又は0.01~0.7mm、又は0.01~0.4mm、又は0.01~0.1mmの厚さを有する。本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、内層は、少なくとも95重量%のフッ素化エチレン-プロピレンを含み、0.01~0.1mmの厚さを有する。
【0025】
上述したように、ポリマーフィルムの各々(すなわち、積層ポリマーフィルムであり、このようなフィルムが1つだけバッグの中に存在する必要があることを認識している)は、ポリマーを含む外層を含む。様々なポリマーを使用することができ、当業者は、特にガス透過性及びしわに関して、本明細書の開示に基づいて望ましいポリマーを選択するであろう。特定の望ましい実施形態では、外層は、フルオロポリマーを実質的に含まず、例えば、5%を超えるフルオロポリマーを含まず、例えば、1%以下のフルオロポリマーを含まない。
【0026】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、外層は、エラストマーを含む。当業者が理解するように、「エラストマー」又は「ゴム」は、粘弾性特性及び比較的弱い分子間力を有する、炭素、水素、酸素、及び/又はケイ素を含むモノマーから形成されるポリマーを含む。エラストマーは、典型的には、比較的低いヤング率及び比較的高い破壊歪みを有する。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、外層は、実質的にエラストマー、例えば、少なくとも80重量%、又は少なくとも85重量%、又は少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%、又は少なくとも97.5重量%、又は少なくとも98重量%、又は少なくとも99重量%のエラストマーを含む。
【0027】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、外層は、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(CIIR、BIIR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、及び水素化ニトリルゴム(HNBR)などの、硫黄加硫によって硬化される1つ以上の不飽和ゴムを含む。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、外層は、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、ポリアクリルゴム(ACM、ABR)、シリコーンゴム(SI、Q、VMQ)、フルオロシリコーンゴム(FSR、FVMQ)、フルオロエラストマー(FKM、FEPM)、ペルフルオロエラストマー(FFKM)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、GENIOMER(登録商標)などの熱可塑性シリコーンを含む熱可塑性ウレタン(TPU)、環状オレフィンコポリマー、ポリオレフィンエラストマー、エラストマーPET、及びエチレン酢酸ビニル(EVA)などの、硫黄加硫によって硬化不可能な1つ以上の不飽和ランナーを含む。特定のこのような実施形態では、1つ以上の不飽和ゴムは、外層の少なくとも80重量%(例えば、少なくとも90重量%、又は少なくとも97.5重量%、又は少なくとも99重量%)の合計量で存在する。
【0028】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、外層は、1つ以上の熱可塑性ポリウレタン又は熱硬化性ポリウレタンを含む。特定のこのような実施形態では、外層は、ポリエステル及びポリエーテルグレードのポリオールの両方を含む、メチレンジイソシアネート(MDI)又はトルエンジイソシアネート(TDI)に基づく熱可塑性ポリウレタンなどの1つ以上の熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む。例えば、様々な実施形態では、外層は、Bayer Materials Scienceの商標である「TEXIN」、Lubrizolの商標である「ESTANE」、Dow Chemical Co.の商標である「PELLETHANE」、及びBASF,Inc.の商標である「ELASTOLLAN」を含む市販の「プレポリマー」に基づく1つ以上の熱可塑性ポリウレタンを含む。特定のこのような実施形態では、1つ以上の熱可塑性ポリウレタン又は熱硬化性ポリウレタンは、外層の少なくとも80重量%(例えば、少なくとも90重量%、又は少なくとも97.5重量%、又は少なくとも99重量%)の合計量で存在する。
【0029】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、外層は、GENIOMER(登録商標)140シリコーンTPE、GENIOMER(登録商標)200シリコーンTPEエラストマー(90%ポリジメチルシロキサン及びイソシアネート)、GENIOMER(登録商標)、60シリコーンTPE、GENIOMER(登録商標)80シリコーンTPE、又はGENIOMER(登録商標)145TPEなどの1つ以上の熱可塑性シリコーンを含み、これらの全ては、90%ポリジメチルシロキサン及びイソシアネートを含む。特定のこのような実施形態では、1つ以上の熱可塑性シリコーンは、外層の少なくとも80重量%(例えば、少なくとも90重量%、又は少なくとも97.5重量%、又は少なくとも99重量%)の合計量で存在する。
【0030】
本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、外層は、ポリメチルペンテン(PMP)(すなわち、メチルペンテンモノマー単位の熱可塑性ポリマー)を含む。例えば、特定のこのような実施形態では、外層は、少なくとも80重量%(例えば、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%)のポリメチルペンテンを含む。
【0031】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、外層は、シリコーンゴムを含む。例えば、特定のこのような実施形態では、外層は、少なくとも80重量%(例えば、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%)のシリコーンゴムを含む。
【0032】
特定のこのような実施形態では、外層は、例えば、ジメチルシロキサン、ジエチルシロキサン、ジプロピルシロキサン、メチルエチルシロキサン、及びメチルプロピルシロキサンのうちの1つ以上から形成されるポリアルキルシロキサンを含むシリコーンポリマーマトリックスを含むシリコーンゴムを含む。特定の望ましい実施形態では、シリコーンゴムは、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などのポリジアルキルシロキサンを含む。特定のこのような実施形態では、シリコーンポリマーは、比較的非極性であり、ハロゲン化物官能基(例えば、Cl、Br)及びフェニル官能基を実質的に含まない。
【0033】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、外層は、両末端がビニルジメチルシロキシ基で末端封鎖されたポリジメチルシロキサン、両末端がビニルジメチルシロキシ基で末端封鎖されたジメチルシロキサン-ビニルメチルシロキサンコポリマー、及び両末端がビニルジメチルシロキシ基で末端封鎖されたジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマーから選択される1つ以上のポリオルガノシロキサンを含む。
【0034】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、シリコーンゴムは、白金触媒による液体シリコーンゴム(LSR)又は高粘稠度ガムゴム(HCR)を含む。様々な実施形態では、シリコーンゴムは、過酸化物触媒によるシリコーンゴム(LSR)又は高粘稠度ガムゴム(HCR)、例えば、Saint-Gobainによって製造される過酸化物系シリコーンであるSILMEDIC(登録商標)などを含む。HCRシリコーンゴムの一例は、GE Plasticsから入手可能なGE 94506 HCRである。また、LSRシリコーンゴムの例としては、Wacker Silicone(Adrian,MI)によるWacker 3003、及びRhodia Silicones(Ventura,CA)によるRhodia 4360が挙げられる。
【0035】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、外層(例えば、実質的にポリメチルペンテン又はシリコーンゴムを含む)は、0.01~5mm、例えば、0.01~1mm、又は0.01~0.5mm、又は0.05~5mm、又は0.05~1mm、又は0.05~0.5mm、又は0.1~5mm、又は0.1~1mm、又は0.1~0.5mmの厚さを有する。本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、外層は、少なくとも95重量%のポリメチルペンテンを含み、0.1~0.5mmの厚さを有する。本明細書に別様に記載されるような他の望ましい実施形態では、外層は、少なくとも95重量%のシリコーンゴムを含み、0.1~0.5mmの厚さを有する。
【0036】
本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、内層は0.001~0.7mmの厚さを有し、外層は0.01~5mmの厚さを有する。例えば、様々な実施形態では、内層は0.01~0.4mmの厚さを有し、外層は0.05~1mmの厚さを有する。別の例では、様々な実施形態では、内層は0.01~0.1mmの厚さを有し、外層は0.1~0.5mmの厚さを有する。特定のこのような実施形態では、内層は、実質的に(例えば、少なくとも95重量%)フッ素化エチレン-プロピレンを含む。特定のこのような実施形態では、外層は、実質的に(例えば、少なくとも95重量%)シリコーンゴムを含む。
【0037】
上述したように、ポリマーフィルムの内層及び外層は互いに接着される。様々な実施形態では、接着された層は、コーティングプロセスによって形成される。特定のこのような実施形態では、接着された内層及び外層は、キャスト可能なフルオロポリマー組成物をポリマー層(例えば、エラストマー層)上に分散させた産物である。当然ながら、他のそのような実施形態では、接着された層は、キャスト可能なポリマー組成物(例えば、キャスト可能なエラストマー組成物)をフルオロポリマー層上に分散させた産物である。当業者が理解するように、「キャスト可能な」ポリマー(例えば、フルオロポリマー又は非フルオロポリマー)を液体キャリア媒体中に分散、溶解、懸濁、乳化、又は他の方法で分配して、支持材料上に堆積させてポリマー層を形成することができるポリマー組成物を提供することができる。当然ながら、「キャスト可能な」ポリマーは、液体状態で溶融又は他の方法で処理され得、次いで冷却又は他の方法で硬化されて(例えば、UV、IR、開始剤、又は電子ビームによって)、固体ポリマー層を形成することができるポリマーも含むことができる。好適なキャリア液体(例えば、DMAC、NMP、グリコールエーテル、水)及び本明細書に記載のポリマーをキャストするための方法は、当該技術分野において既知である。
【0038】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、接着された層は、化学結合を伴うコーティングプロセスによって形成される。例えば、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、外層は、実質的に(例えば、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%)シリコーンゴムを含み、それに接着された内側フルオロポリマー層は、シリコーンゴムに結合することができる反応性化合物を含有するフルオロポリマー組成物をキャストした産物である。特定のこのような実施形態では、反応性化合物は、例えば、シロキサン結合を有する化合物、アルコキシシリル基を有するシランカップリング剤、クロロシリル基又はシラザンを有する官能性シラン、アミノシラン、及びシリル化剤などの炭化水素ケイ素含有化合物から選択される。これらの中でも、シロキサン結合を有する化合物、及びアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。様々な実施形態では、反応性化合物は、シロキサン結合(例えば、末端修飾ジメチルシロキサン、縮合型又は付加型液体シリコーン、ケイ酸塩、及びアクリルシリコーンポリマー)を有する。
【0039】
例えば、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、外層は、実質的に(例えば、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%)シリコーンゴムを含み、それに接着された内側フルオロポリマー層は、アミノシラン末端修飾を有するフルオロポリマー(例えば、CYTOPタイプM)又はカルボキシル基末端修飾を有するフルオロポリマー(例えば、CYTOPタイプA)を含み、任意選択でカップリング剤を含む組成物をキャストした産物である。このような実施形態では、化学結合による接着性は、縮合、アルキル化、アミド化、シリル化、エーテル化(例えば、直接又はカップリング剤を介して)のうちの1つ以上によって生じ得る。例えば、特定のこのような実施形態では、内側フルオロポリマー層は、ヒドロキシル基、アミノ基、又は硫黄基と反応するイソシアネート化合物を含む組成物をキャストした産物である。他の実施形態では、フルオロポリマー層は、水素結合によって外層に接着される。
【0040】
本明細書に別様に記載されるような他の実施形態では、内層及び外層は、化学結合、接着結合、熱溶融結合、溶媒結合、レーザ溶着、表面処理、押出、共押出、及び積層のうちの1つ以上によって結合される。例えば、特定の望ましい実施形態では、内層(例えば、実質的にフッ素化エチレンプロピレンを含む)及び外層(例えば、実質的にシリコーンゴムを含む)は、C処理(Saint-Gobain Performance Plastics Corporation、米国特許第6,726,979号)、コロナ放電、プラズマ処理、及びエッチングから選択される1つ以上の表面処理によって結合される。他の実施形態では、内層及び外層は、単独で又は本明細書に記載の処理方法と併せて使用することができる添加剤又はプライマーを伴う化学処理によって結合される。
【0041】
例えば、本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、内層は、実質的に(例えば、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%)フッ素化エチレン-プロピレン(例えば、C処理されたフッ素化エチレン-プロピレン)を含み、それに接着された外層は、フッ素化エチレン-プロピレンを液体シリコーンゴム(LSR)シリコーンで(例えば、押出によって)プライミング及びコーティングした産物である。他の実施形態では、内層及び外層は、(例えば、LIGHTSWITCH(登録商標)完成品(Saint-Gobain Performance Plastics Corporation(Valley Forge,PA))のものと同様に)一緒に予備積層される。
【0042】
本発明者らは、本明細書に記載のバッグの内層が、望ましくは低い全有機体炭素(TOC)を有し得ることに注目する。当業者は、「全有機体炭素」が有機化合物中に結合した炭素の量であり、とりわけ医薬品製造機器の非特異的指標として使用されることが多いことを理解するであろう。全有機体炭素は、精製及び分配システムを使用する単位操作の性能を監視するために、バイオテクノロジー産業におけるプロセス制御属性として利用される。
【0043】
全有機体炭素は、バッグの内部表面積又は別の物品の表面積からの抽出によって測定される(結果は、mg/cm2の単位で提供され、表面積1平方センチメートル当たりの総抽出可能有機体炭素である)。材料は、70℃で24時間、所与の量の精製水と接触させることによって抽出される。
【0044】
フッ素化エチレンプロピレンバッグの(すなわち、FEPフィルムを使用する)全有機体炭素値の一例は、<0.01mg/cm2である。シリコーンチューブでは、抽出率は、14.6cm2/mLであってもよいし(例えば、Biosil)、15.9cm2/mLであってもよく(例えば、SR139)、シリコーンBiosilチューブの全有機体炭素値の一例は、0.021mg/cm2であり、シリコーンSR139チューブの全有機体炭素値の一例は、0.008mg/cm2である。少なくとも特定のシリコーンチューブでは、抽出物の体積及び濃度によって値が機械の最大検出値を超えるので、サンプルが希釈され得る。希釈及び異なる抽出率により、重量/面積値を提供するために、これらのサンプルとバッグサンプルとの比較が必要となる。
【0045】
本明細書で定量化されるように、全有機体炭素は、UV促進化学酸化の高温湿式酸化反応を利用する機器を使用して、米国薬局方(USP)643に従って測定される(Ultra-Clean Technology Handbook:Volume 1:Ultra-Pure Water,Ohmi,Tadahiro;CRC Press,1993年,497~517頁)。精製水を、1mLの水に対して3cm2の物品表面積の比で、70℃で24時間ポリマーと接触させて置く。水をポリマーとの接触から除去し、TOC分析器で試験する。好適な機器は、TEKMAR DOHRMANN Model Phoenix 8000TOC分析器である。
【0046】
したがって、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、バッグを構成するポリマーフィルムのうちの1つ以上(例えば、各々)は、ガス透過性であり、0.1mg/cm2未満、例えば、又は0.5mg/cm2未満、又は0.1mg/cm2未満、又は0.01mg/cm2未満、又は0.001mg/cm2未満の水中全有機体炭素を有する内層を備える。例えば、特定のこのような実施形態では、ポリマーフィルムの各々は、0.001mg/cm2~0.1mg/cm2、例えば、0.001mg/cm2~0.075mg/cm2、又は0.001mg/cm2~0.05mg/cm2、又は0.001mg/cm2~0.01mg/cm2の水中全有機体炭素を有する内層を備える。
【0047】
本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、外層は、実質的に(例えば、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%)シリコーンゴムを含み、内層は、実質的に(例えば、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%)フッ素化エチレンプロピレンを含み、内層は、0.001mg/cm2~0.05mg/cm2、例えば、0.001mg/cm2~0.01mg/cm2の水中全有機体炭素を有する。
【0048】
上述したように、バッグは酸素透過性である。本発明者らは、本明細書に記載の酸素透過性ポリマーフィルムが、細胞培養に必要なガス交換(例えば、酸素の補充)を容易にすることができ、バッグへの又はバッグからの1つ以上の追加のガス供給の必要性を低減又は更に排除することに注目する。したがって、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、バッグを構成するポリマーフィルムのうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、1日当たり少なくとも100cc/m2、例えば、1日当たり少なくとも500cc/m2、又は1日当たり少なくとも1,000cc/m2、又は1日当たり少なくとも2,000cc/m2のガス透過性(例えば、酸素透過性)を有する。本明細書で定量化されるように、酸素透過性は、MOCON Ox-tran 2/21H酸素分析器を用いて、ASTM D3985に従って、25℃で測定される。フィルム透過性の別の態様では、正規化単位(cc-mm/m2-日)を使用して、任意の厚さのフィルムを示すことができる。例えば、5mmフィルムの変換範囲は、25℃の温度で約12.7cc-mm/m2-日~少なくとも約279cc-mm/m2-日である。構造体/複合体の透過性は、2つの層から構成されるので、cc/m2の項で表すことができる。
【0049】
本発明者らは更に、本明細書に別様に記載されるバッグが、望ましくは二酸化炭素に対して透過性であり得る(例えば、蓄積した二酸化炭素の除去を容易にするために)ことに注目する。したがって、本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、バッグを構成するポリマーフィルムのうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、1日当たり少なくとも5,000cc/m2、例えば、1日当たり少なくとも10,000cc/m2、又は1日当たり少なくとも15,000cc/m2、又は1日当たり少なくとも20,000cc/m2の二酸化炭素透過性を有する。例えば、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、バッグを構成するポリマーフィルムのうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、1日当たり10,000~40,000cc/m2、例えば、1日当たり15,000~35,000cc/m2、又は1日当たり20,000~30,000cc/m2の二酸化炭素透過性を有する。本明細書で定量化されるように、二酸化炭素透過性は、MOCON Permatran-C 441 CO2TR分析器を用いて、ASTM F2476に従って、25℃で、100%CO2、及び0%相対湿度でフィルムの両側において測定される。
【0050】
本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、外層は、実質的に(例えば、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%)シリコーンゴムを含み、内層は、実質的に(例えば、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%)フッ素化エチレンプロピレンを含み、ポリマーフィルムのうちの少なくとも1つ(例えば、各々)は、1日当たり1000~25,000cc/m2の範囲内のガス透過性、及び0.1mg/cm2未満の水中全有機体炭素を有する。特定のこのような実施形態では、ポリマーフィルムの各々は、0.001mg/cm2~0.1mg/cm2、例えば、0.001mg/cm2~0.075mg/cm2、又は0.001mg/cm2~0.05mg/cm2、又は0.001mg/cm2~0.01mg/cm2の水中全有機体炭素を有する内層を備える。
【0051】
上述したように、バッグは、内部区画に複数のマイクロキャリアを含む。特定の望ましい実施形態では、バッグの内部区画に含まれるマイクロキャリアは、多孔性かつ非分解性(例えば、水性細胞培養培地中で)である。例えば、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、マイクロキャリアは、ポリスチレン、架橋デキストラン、又はセルロースを含む。特定の望ましい実施形態では、マイクロキャリア表面は、正又は負に荷電した官能基(例えば、ポリスチレン、架橋デキストラン、セルロースなどに共有結合している)を含む。例えば、特定のこのような実施形態では、マイクロキャリアは、実質的にポリスチレンであり、酸素含有官能基(例えば、ポリスチレンに共有結合している)を含む正味負に荷電した表面を有する。当業者は、そのような「表面処理された」マイクロキャリアが、細胞付着及び/又は拡散を容易にする比較的親水性の表面を有し得ることを理解するであろう。
【0052】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、マイクロキャリアは、1つ以上の細胞外マトリックス化合物、例えば、コラーゲンI、ポリ-L-リジン、フィブロネクチン、レトロネクチン、ヒアルロン酸、ポリドーパミンを含む。例えば、特定のこのような実施形態では、マイクロキャリアは、実質的にポリスチレン、架橋デキストラン、又はセルロースを含むコア粒子の表面に共有結合した1つ以上の細胞外マトリックス化合物(例えば、コラーゲン又はポリドーパミン)を含む。本明細書に記載される他の実施形態では、マイクロキャリアは、少なくとも少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、又は少なくとも97.5重量%、又は少なくとも98重量%、又は少なくとも99重量%、又は少なくとも99.5重量%の、ポリスチレン、架橋デキストラン、又はセルロースのうちの1つ以上を含む。
【0053】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、マイクロキャリアは、100~400μm、例えば、100~300μm、又は100~275μm、又は110~400μm、又は110~300μm、又は110~275μm、又は120~400μm、又は120~300μm、又は120~275μmの平均直径を有する。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、マイクロキャリアは、1~1.25g/mL、例えば、1~1.15g/mL、又は1~1.1g/mLの平均密度を有する。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、マイクロキャリアは、0.1~10cm2/mg、例えば、0.1~7.5cm2/mg、又は0.5~10cm2/mg、又は0.5~7.5cm2/mg、又は1~10cm2/mg、又は1~7.5cm2/mgの平均比表面積を有する。
【0054】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、内部区画に含まれる複数のマイクロキャリアの合計質量(すなわち、グラム)対内部区画の体積(すなわち、リットル)の比は、1~15g/L、例えば、1~12.5g/L、又は1~10g/L、又は2.5~15g/L、又は2.5~12.5g/L、又は2.5~10g/L、又は5~15g/L、又は5~12.5g/L、又は5~10g/Lである。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、マイクロキャリアは、0.1~10cm2/mg(例えば、0.5~10cm2/mg)の平均比表面積を有し、内部区画に含まれる複数のマイクロキャリアの合計質量対内部区画の体積の比は、1~15g/L(例えば、2.5~10g/L)である。
【0055】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、内部区画に含まれる複数のマイクロキャリアは、バッグの内部区画に隣接する内層の総表面積の少なくとも100%、例えば、少なくとも500%、又は少なくとも1,000%、又は少なくとも5,000%、又は少なくとも10,000%である総表面積を有する。
【0056】
上述したように、本明細書に記載のバッグは、細胞培養中の不均一なマイクロキャリア分布及び/又は固定された細胞の望ましくない剪断力及び衝突力への曝露を有利に制限することができる。したがって、本開示の別の態様は、細胞を培養する方法であって、足場依存性細胞及び培養培地を本明細書に記載のバッグに追加するステップを含む、方法である。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、細胞は、血液細胞又は免疫細胞を含む。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、細胞は、幹細胞、多能性間質細胞、肝細胞、ケラチノサイト、内皮細胞、上皮細胞、ニューロンである。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、細胞は、分化した幹細胞、例えば、軟骨細胞様、骨芽細胞様、又は脂肪細胞様の分化した幹細胞などである。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、細胞は、内皮前駆細胞、間葉系間質細胞、又は例えば、単球などの緩く接着した細胞である。
【0057】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、細胞の、複数のマイクロキャリアの総表面積に対する比が1,000~10,000細胞/cm2、例えば、1,000~9,000細胞/cm2、又は1,000~7,500細胞/cm2、又は2,500~10,000細胞/cm2、又は2,500~9,000細胞/cm2、又は2,500~7,500細胞/cm2、又は3,500~10,000細胞/cm2、又は3,500~9,000細胞/cm2、又は3,500~7,500細胞/cm2となるように、いくつかの足場依存性細胞がバッグに添加される。
【0058】
バッグは所望のインキュベーション温度に維持することができ、撹拌することができる。例えば、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、本方法は、バッグを揺動させるステップを含む。
【0059】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、本方法は、(例えば、固定された細胞をトリプシンに曝露することによって)培養された細胞をマイクロキャリアから分離するステップと、次いで、(例えば、バッグの内部区画内にマイクロキャリアを保持するように構成されたフィルタを通して)培養された細胞をバッグから取り出すステップと、を更に含む。
【0060】
上述したように、本明細書に記載のバッグは、有利には、1つ以上の灌流成分を含むことができる。例えば、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、バッグは、分割されていない内部区画と、内部区画内に延び、内部区画と流体連通する第1の液体透過性チューブであって、ポートに動作可能に結合された、第1の液体透過性チューブと、内部区画内に延び、内部区画と流体連通する第2の液体透過性チューブであって、第2のポートに動作可能に結合された、第2の液体透過性チューブと、を備える。このような実施形態では、第1の液体透過性チューブは、チューブの中央ルーメンを画定する第1の内側支持構造と、第1の内側支持構造を取り囲む第1の外側フィルタ層と、を備える。本発明者らは、望ましくは、第2のチューブから内部容積を通って第1のチューブの外に培地を流すことによって、固定された細胞を感知できるほど妨害することなく、かつ/又は含まれるマイクロキャリアの数を減少させることなく、フィード培地をバッグの内部区画に通して灌流することができることに注目する。第1のチューブの第1のフィルタ層は、マイクロキャリアが内部区画の内部容積から逃げるのを防止することができる。したがって、足場依存性細胞は、フィード培地供給制限及び/又は廃棄物除去制限なしに、内部区画において増殖及び濃縮され得る。存在する場合、第3のポートは、培地サンプリング並びに内部区画への細胞及び/又はマイクロキャリアの導入のために使用され得る。本発明者らは更に、有利には、細胞培養プロセスに続いて、培養された細胞をマイクロキャリアから分離し、第1のフィルタ層を通して(例えば、マイクロキャリアを内部区画に保持する)バッグから取り出すことができることに注目する。
【0061】
しかし、当業者は、第1及び第2のポートのうちの1つ以上に対してフィルタを様々な方法で、すなわち、例えば、灌流中にマイクロキャリアがバッグから出るのを防止するために、フィルタを通して内部区画(internal compartment)を出る培地を濾過するのに好適な方法で配列することができる。
【0062】
特に、このような実施形態では、内部区画は分割されていなくてもよい(例えば、第1及び第2のチューブが第1のサブ区画内にあり、第3のポートが、膜又は他の多孔質構造によって第1のサブ区画から分割された第2のサブ区画に接続されるように、内部区画を分割する膜又は他の多孔質構造がない)。本発明者らは、これが、インキュベーション細胞と灌流培地との間の良好な流体移動を有利に可能にし得ることに注目する。
【0063】
そのようなバッグの実施形態が、
図1の概略上面図(上)及び断面図(下)に示されている。
図1のバッグ100は、長軸132を有する分割されていない内部区画130の周りに縁部を形成するように、それらの縁部で共に結合された第1のポリマーフィルム110及び第2のポリマーフィルム120を含む。バッグ100は、第1のポート140及び第2のポート150を更に含み、両方とも内部区画130と流体連通する。
図1の特定の実施形態では、第1のポート140は、第1の液体透過性チューブ170に動作可能に結合され、第2のポート150は、第2の液体透過性チューブ180に動作可能に結合される。
図1の実施形態では、バッグ100は、内部区画130と流体連通する第3のポート160を更に含む。しかしながら、当業者は、第3のポートが、本明細書で企図される全ての実施形態において存在するという必要がないことを理解するであろう。マイクロキャリア135は、内部区画130内に配置することができる。
【0064】
図2は、本明細書に記載されるバッグ、例えば、
図1のバッグの構成に使用するのに好適なポリマーフィルムの部分断面図である。ここで、ポリマーフィルム110は、本明細書に別様に記載されるフルオロポリマーを含む(例えば、フルオロポリマーである)内側層111と、本明細書に別様に記載されるポリマー(例えば、非フッ素化ポリマー)を含む(例えば、ポリマーである)外層112と、を有する。
【0065】
本明細書に記載のバッグは、様々な容積で提供することができる。特に限定されないが、内部区画の容積は、例えば、5mL~3500mL、例えば、10mL~500mL、又は10mL~100mL、又は100mL~3000mL、又は500mL~2500mL、又は500mL~2000mLの範囲内であり得る。しかし、当業者が理解するように、異なる容積のバッグも企図される。
【0066】
本明細書に記載のバッグは、望ましくは、第1のポートと第2のポートとの間を流れることによって、内部容積のかなりの部分を通る培地の灌流を可能にするように構成される。
【0067】
例えば、上述した
図1のもののような、第1のチューブ及び第2のチューブを含むバッグの様々な望ましい実施形態では、第1のチューブは、バッグの第1の側縁部に隣接して配置され、第2のチューブは、バッグの第2の反対側の側縁部に隣接して配置される。様々な実施形態では、各々がバッグの側縁部から2cm以内にある。例えば、
図1の実施形態では、第1のチューブ170は、第1の側縁部134に隣接して配置され、第2のチューブ180は、第1の側縁部134からバッグの反対側にある第2の側縁部136に隣接して配置される。チューブは、例えば、互いに実質的に平行であってもよく、例えば、互いに20度以内又は更に10度以内であってもよい。特定の望ましい実施形態では、第1のチューブ及び第2のチューブは、バッグの長軸の方向に沿って延びる。例えば、
図1の実施形態では、第1のチューブ170及び第2のチューブ180は、バッグの長軸132の方向に沿って延びる。当然ながら、他の実施形態では、チューブは任意の好適な方法で配列することができる。例えば、様々な実施形態では、第1のチューブ及び第2のチューブは、湾曲され、丸みを帯びたバッグの側縁部に沿って延びる。
【0068】
当然ながら、他の実施形態では、チューブは含まれない。様々な実施形態では、フィルタは、第1のポート及び第2のポートのうちの1つ以上に配置されることができ、それを通してバッグから出る培地を濾過するように構成される。フィルタは、細胞を通過させるが、マイクロキャリアがバッグの外側に通過することを防止するように構成され得る。
【0069】
第1、第2、及び(存在する場合)第3のポートは、バッグに沿って様々な位置に設置することができる。例えば、様々な実施形態では、第1及び第2のポートは、バッグの縁部、例えば、バッグ内へのチューブの延伸の方向に直交して延びる縁部に形成される。これは、
図1のバッグに示されるように同じ縁部にあってもよく、又は両縁部にあってもよい。
図1に示されるようなチューブを含む実施形態では、これは、第1及び第2のポートの相対位置が、共通方向に沿って(例えば、バッグの長軸に沿って)第1の液体透過性チューブ及び第2の液体透過性チューブの延伸を促進することを可能にする。第3のポートは、例えば、第1及び第2のポートの一方又は両方と同じ縁部に沿って形成することができる。
図1の実施形態では、ポート140、150、及び160は、共通縁部に沿っている。しかし、第3のポートは、代替として、第1及び第2のポートが形成される縁部に直交する縁部に沿って、又は代替として、バッグの別の表面に沿って、例えば、細胞の重力支援除去を可能にする底面に沿って存在することができる。ポートの位置は、第1及び第2のポート(並びにそれに結合された第1及び第2のチューブ)の相対位置がバッグのかなりの容積を通した灌流を容易にする限り、特に限定されない。当業者は、本開示に基づいて、第1のポート及び第2のポート、並びに任意の構造(第1のチューブ及び第2のチューブなど)を配列して、例えば、バッグ内の灌流の流れにおけるデッドスポットを最小限に抑え、かつ/又は灌流の流れが細胞成長を妨害しないことを確実にする。存在する場合、第3のポートは、例えば、培地サンプリング並びにバッグの内部容積への細胞及び/又はマイクロキャリアの導入を容易にするように位置付けられ得る。
【0070】
本明細書に記載されるようなバッグを形成するために、1つ以上のポリマーフィルムの縁部は、高周波(RF)溶着、熱インパルス溶着、超音波溶着、ホットバー溶着、化学結合、接着結合、熱溶融結合、溶媒溶着、レーザ溶着、コロナ放電、放射、表面処理、極熱、ベルト、若しくは溶融積層、エッチング、プラズマ処理、押出、湿潤、接着剤、又はこれらの組み合わせなどの任意の望ましい方法によって(例えば、同じポリマーフィルムの他の縁部に、又は2つ以上のポリマーフィルムの場合は互いに)結合され得る。特定の望ましい実施形態では、1つ以上のフィルムは、熱溶着、レーザ溶着、又はホットバー溶着によって結合される。
【0071】
存在する場合、第1のチューブ及び第2のチューブは、カラー封止プロセスによって(例えば、高周波溶着、超音波溶着、熱インパルス溶着、ホットバー溶着、化学結合、接着結合、熱溶融結合、溶媒溶着、レーザ溶着、コロナ放電、放射、極熱若しくは溶融積層、エッチング、プラズマ処理、湿潤、接着剤、又はこれらの組み合わせによって)、バッグの1つ以上の縁部に形成されたそれぞれの第1及び第2のポートに取り付けられ得る。これは、バッグの形成時に行うことができる。第1のチューブは、その外側フィルタ層が、細胞が内部区画からチューブを通って第1のポートから外に送られることを防止することができるように、(例えば、カラー封止によって)封止することができる。したがって、第1及び/又は第2のチューブは、バッグの外側からバッグの内側に延びることができる(その多孔性部分は、望ましくは、実質的にバッグ内にのみ延びる)。当然ながら、他の実施形態では、第1及び/又は第2のチューブは、バッグで終端し、他のチューブを通して流体システムに接続することができる。そのような他のチューブは、第1及び第2の流体透過性チューブについて本明細書に記載されるものと同じ材料から作製され得る。
【0072】
上述のように、様々な実施形態では、第1のチューブ(例えば、
図1のチューブ170)は、チューブの中央ルーメンを画定する第1の内側支持構造と、第1の内側支持構造を取り囲む第1の外側フィルタ層と、を備える。本明細書に詳細に記載されるように、第1の内側支持構造は、様々な形態、例えば、穿孔されたか、若しくはそうでなければ多孔性のチューブ、フレーム、又は螺旋状に巻かれたフィラメントの形態をとり得る。支持構造は、本明細書の図に示されるように断面が円形であってもよく、又は他の断面形状、例えば多角形を有してもよい。本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、支持構造及び外側フィルタ層の材料は、チューブを通る液体の流れが最小圧力で開始又は維持されることができるように、親水性、自己湿潤性、及び/又は十分に多孔性である。
【0073】
そのような流体透過性チューブの実施形態が、
図3の切り取り図に示されている。
図3のチューブ300は、螺旋状に巻かれたフィラメント372と、フィラメントを取り囲む外側フィルタ層374と、を含む。外側フィルタ層374は、少なくともポート(例えば、
図1のポート140)において螺旋状に巻かれたフィラメント372に取り付けられるが、フィラメントに沿った1つ以上の追加の点において螺旋状に巻かれたフィラメント372に取り付けられ得る。外側フィルタ層は、螺旋状に巻かれたフィラメントを比較的緩く取り囲むことができ(例えば、フィラメント372上の緩いバッグとして)、又は螺旋状に巻かれたフィラメントに対してより緊密に配置することができる(例えば、フィラメント372上の密着スリーブとして)。
【0074】
したがって、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、第1の内側支持構造は、螺旋状に巻かれたフィラメントを備える。フィラメントは、比較的剛性であっても比較的可撓性であってもよく、当然ながら、フィラメントがチューブの中央ルーメンを画定し、第1の外側フィルタ層を支持することができる限り、比較的きつく巻かれていても比較的緩く巻かれていてもよい。本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、フィラメントは、0.1mg/cm2未満の水中全有機体炭素を有するポリマーを含む(例えば、ポリマーである)。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、フィラメントは、(例えば、0.1mg/cm2未満の水中全有機体炭素を有する)フルオロポリマー、ポリメチルペンテン、又はこれらの組み合わせを含む(例えば、これらから形成される)。
【0075】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、螺旋状に巻かれたフィラメントの間隔(すなわち、中央ルーメンの軸に沿った)は、複数のマイクロキャリアの平均サイズとほぼ等しいか、又は更にそれよりも大きい。例えば、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、螺旋状に巻かれたフィラメントの間隔は、少なくとも500μm、又は500μm~10mm、若しくは500μm~7.5mm、若しくは500μm~5mmの範囲内である。本発明者らは、100μmより大きい間隔を有するチューブが、固定された細胞を感知できるほど妨害することなく、かつ/又は含まれるマイクロキャリアの数を減少させることなく、望ましい流量での培養培地灌流を有利に促進することができると判定した。
【0076】
本明細書に別様に記載されるような他の実施形態では、支持構造は、例えば、フィラメント形状材料から形成されるが、螺旋とは異なって配列される、フレームとして提供することができる。フィラメント及びフィラメントの間隔は、螺旋状に巻かれたフィラメントについて上述した通りであってもよい。
【0077】
本明細書で別様に提供されるような他の実施形態では、支持構造は、多孔質チューブの形態であり得る。1つのこのような実施形態(例えば、
図1のチューブ170として使用するための)が、
図4に切り取られて示されている。
図4のチューブ470は、多孔質チューブ472と、多孔質チューブを取り囲む外側フィルタ層474と、を含む。外側フィルタ層は、少なくともポート(例えば、
図1のポート140)において多孔質チューブに取り付けられるが、チューブに沿った1つ以上の追加の点において多孔質チューブに取り付けられ得る。外側フィルタ層は、多孔質チューブを比較的緩く取り囲むことができ(例えば、多孔質チューブ472上のバッグとして)、又は多孔質チューブに対してより緊密に配置することができる(例えば、多孔質チューブ472上のスリーブとして)。
【0078】
したがって、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、第1の内側支持構造は、第1の多孔質チューブを備える。チューブは、当然ながら、チューブが第1の外側フィルタ層を支持することができる限り、比較的可撓性であっても比較的剛性であってもよい。本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、多孔質チューブは、0.1mg/cm2未満の水中全有機体炭素を有するポリマーを含む(例えば、ポリマーから形成される)。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、多孔質チューブは、(例えば、0.1mg/cm2未満の水中全有機体炭素を有する)エラストマー、フルオロポリマー、ポリメチルペンテン、又はこれらの組み合わせを含む(例えば、これらから形成される)。本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、多孔質チューブは、(例えば、0.1mg/cm2未満の水中全有機体炭素を有する)シリコーン又はポリ塩化ビニルを含む(例えば、これらから形成される)。例えば、特定のこのような実施形態では、多孔質チューブは、シリコーンエラストマーを含む。別の例では、特定のこのような実施形態では、多孔質チューブは、フッ素化エチレンプロピレンを含む。しかし、他の好適な材料と同様に、様々なフッ素化及び非フッ素化ポリマーを使用することができる。
【0079】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、多孔質チューブは、100μm~5,000μmの範囲内の平均孔径を有する。例えば、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、多孔質チューブの平均孔径は、100~2500μm、又は100~1000μm、又は250~5000μm、又は250~2500μm、又は250~1000μm、又は500~5000μm、又は500~2500μm、又は500~1000μmである。本明細書で使用される場合、平均孔径は、細孔が好都合な光学的測定には小さすぎる場合に、キャピラリーフローポロメトリーによって測定される。当業者は、10μm~5,000μmの範囲内の孔径が、ほとんどのマイクロキャリアのサイズとほぼ同等であるか、又はそれより大きくなり得ることを認識するであろう。しかしながら、本発明者らは、多孔質チューブが、特に外側フィルタ層と共に使用される場合に、固定された細胞を感知できるほど妨害することなく、かつ/又は含まれるマイクロキャリアの数を減少させることなく、望ましい流量での培養培地灌流を有利に促進することができると判定した。
【0080】
多孔質チューブは、広い範囲内の多孔率を有することができる。当業者は、機械的安定性及び流量の所望の組み合わせを提供する多孔率を選択するであろう。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、多孔質チューブは、10%~90%の範囲内の多孔率を有する。当業者は、物品中の細孔の容積の、材料の総容積に対する尺度である多孔率は、いくつかの既知のポロシメトリー法によって測定することができることを理解するであろう。本明細書で使用される場合、水蒸発は、細孔が好都合な光学的測定には小さすぎる場合に、チューブの多孔率を測定するために使用される。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、多孔質チューブの多孔率は、20%~90%、又は30%~90%、又は40%~90%、又は50%~90%、又は10%~80%、又は10%~70%、又は10%~60%、又は10%~50%、又は20%~80%、又は30%~70%、又は40%~60%の範囲内である。
【0081】
多孔質チューブの多孔性は、当該分野で認識されている多くの方法、例えば、成形、熱穿孔、レーザ穿孔、電子ビーム穿孔、放電加工、機械穿孔、スタンピング、又は切断のいずれかによって提供することができる。
【0082】
本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、第1の多孔質チューブの多孔性の大部分は、第2の液体透過性チューブの反対側の表面(例えば、半円筒形表面)上に局在化される。有利には、本発明者らは、第2の液体透過性チューブから離れたチューブの多孔性の配向が、第2の液体透過性チューブから第1の液体透過性チューブへの培養培地灌流によってもたらされる培養された細胞の妨害及び/又はマイクロキャリアの減少を更に最小限にすることができると判定した。したがって、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、第1の多孔質チューブの多孔率の少なくとも65%、又は少なくとも75%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%は、第2の液体透過性チューブの反対側の表面(例えば、半円筒形表面)上に局在化される。
【0083】
本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、第1の多孔質チューブの多孔性は、液体透過性チューブの中央ルーメンの軸に沿って比較的均一に分布され、すなわち、バッグの長軸に沿った均一灌流を促進する。
【0084】
上述したように、第1のチューブは、第1の内側支持構造の周りに配置された第1の外側フィルタ層を含み得る。第1の外側フィルタ層は、灌流中にマイクロキャリアがバッグから逃げるのを防止するのに役立つように選択された平均孔径を有する多孔質材料から形成される。様々な実施形態では、平均孔径は、バッグに含まれるマイクロキャリアの平均サイズよりも小さくなるように選択される。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、第1の外側フィルタ層は、200μm未満、例えば、150μm未満の平均孔径を有する。例えば、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、第1の外側フィルタ層の平均孔径は、10~200μm、例えば、20~200μm、又は30~200μm、又は75~200μm、又は10~150μm、又は20~150μm、又は30~150μm、又は50~150μm、又は75~150μmである。当業者は、200μm以下の孔径が、ほとんどのマイクロキャリアとほぼ同等であるか、又はそれよりも小さくなり得ることを認識するであろう。驚くべきことに、本発明者らは、外側フィルタ層(例えば、培養された細胞に対して小さな機能的孔径を有する)と内側支持構造(例えば、培養された細胞に対して大きな機能的孔径又は間隔を有する)との組み合わせが、固定された細胞を感知できるほど妨害することなく、かつ/又は含まれるマイクロキャリアの数を減少させることなく、望ましい流量での培養培地の灌流を促進することができると判定した。しかし、フィルタ孔径がマイクロキャリアサイズよりもいくらか大きい場合であっても、フィルタは、灌流中の内部容積からのマイクロキャリアの著しい損失を防止するのに有効であり得る。
【0085】
特定の望ましい実施形態では、第1の外側フィルタ層は、バッグに含まれるマイクロキャリアの平均直径の約100%未満、例えば、約75%未満、又は約50%未満、又は約40%未満、又は約30%未満、又は約25%未満の平均孔径及び/又はD99孔径を有する。
【0086】
当業者は、フィルタ層の「機能的」孔径が、層内の孔の平均サイズ及び最大サイズの両方に応じて異なることを理解するであろう。したがって、本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、フィルタ層のD99孔径(すなわち、99パーセンタイルのサイズである細孔のサイズ)は、フィルタ層の平均孔径と最大100%、例えば、最大50%、最大30%、又は最大10%異なる。本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、フィルタ層のD99孔径は、500μm未満、例えば、250μm未満、又は200μm未満、又は150μm未満である。
【0087】
しかしながら、当業者が理解するように、第1の外側フィルタ層の小さい平均孔径は、バッグを通る流れを減速させることがある。したがって、当業者は、所望のマイクロキャリアのための濾過を提供するのに十分小さいが、バッグを通る所望の流量を提供するのに十分大きい孔径を選択することができる。例えば、本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、バッグに含まれるマイクロキャリアは、100~400μmの平均直径を有し、第1の外側フィルタ層の平均孔径は、10~200μmである(例えば、マイクロキャリアの平均直径より小さい)。
【0088】
本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、第1の外側フィルタ層は、0.1mg/cm2未満の水中全有機体炭素を有するポリマーを含む(例えば、ポリマーから形成される)。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、第1の外側フィルタ層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエステル、ナイロン、及びフッ素化エチレン-プロピレンのうちの1つ以上を含む。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、第1の外側フィルタ層は、ステンレス鋼を含む。特定のこのような実施形態では、第1の外側フィルタ層は、ポリマー被覆ステンレス鋼(例えば、ポリテトラフルオロエチレン被覆ステンレス鋼)を含む。
【0089】
しかしながら、本明細書に別様に記載されるようなバッグの他の実施形態では、第1のチューブは、支持構造から分離されたフィルタ層を含むものではないが、代わりに、第1の外側フィルタ層について本明細書に記載される平均孔径を有するチューブである。これは、例えば、多孔質フィルム材料をチューブに形成することによって(例えば、溶着によって)、又は所望の孔径を有する剛性管状材料を提供することによって、作製することができる。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、第1のチューブは、200μm未満、例えば、150μm未満の平均孔径を有する。例えば、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、第1のチューブの平均孔径は、10~200μm、例えば、20~200μm、又は30~200μm、又は75~200μm、又は10~150μm、又は20~150μm、又は30~150μm、又は50~150μm、又は75~150μmである。特定の望ましい実施形態では、第1のチューブは、例えば、第1の外側フィルタ層に関して上述したように、バッグに含まれるマイクロキャリアの平均直径の約100%未満、例えば、約75%未満、又は約50%未満、又は約40%未満、又は約30%未満、又は約25%未満の平均孔径及び/又はD99孔径を有する。本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、第1のチューブのD99孔径(すなわち、99パーセンタイルのサイズである細孔のサイズ)は、チューブの平均孔径と最大50%、例えば、最大30%、又は最大10%異なる。本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、第1のチューブのD99孔径は、50μm未満、例えば、20μm未満である。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、第1のチューブは、10μm未満のD99孔径を有する。例えば、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、第1のチューブのD99孔径は、500μm未満、例えば、250μm未満、又は200μm未満、又は150μm未満である。特定の望ましい実施形態では、第1のチューブは剛性であり、すなわち、その中を流れる流体の圧力なしにその断面形状を維持するのに十分に剛性である。
【0090】
第2の液体透過性チューブ(例えば、
図1のチューブ180)は、概して、培地をバッグの内部区画に投入するために使用されるため、多くの実施形態では、フィルタ層を有する必要はない。したがって、様々な実施形態では、第2の液体透過性チューブは、外側フィルタ層を有していない、第1の液体透過性チューブの多孔質チューブ支持構造について上述したようなものであり得る。第2の液体透過性チューブは、様々な他の管状構造をとることができる。
【0091】
しかしながら、本明細書に別様に記載されるような他の実施形態では、第2の液体透過性チューブは、チューブの中央ルーメンを画定する第2の内側支持構造と、第2の内側支持構造を取り囲む第2の外側フィルタ層と、を備える。そして、他の実施形態では、第2の液体透過性チューブは、200μm以下の平均孔径を有するチューブである。このような実施形態では、第2の液体透過性チューブは、第1の液体透過性チューブについて本明細書の任意の実施形態において別様に記載されるようなものであり得る。有利には、このようなバッグは、第2のチューブから、内部容積を通って、第1のチューブの外への、上述したような培地の流れを可能にし、その逆も同様である。本発明者らは、このような実施形態において灌流の方向を逆にすることによって、細胞を第1の外側フィルタ層から除去することができるが、内部区画内に保持することができると判定した。当然ながら、このような「双方向」バッグはまた、ユーザによるより便利なセットアップ及び操作を容易にすることができる。特定の望ましい実施形態では、第2の液体透過性チューブの内側支持構造及び外側フィルタ層は、第1の液体透過性チューブの任意の実施形態に関して本明細書に記載される通りである。
図3及び
図4に示す構造は、様々な実施形態では、第2の液体透過性チューブとして使用することができる。
【0092】
例えば、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、第2の内側支持構造は、螺旋状に巻かれたフィラメント(例えば、上述した螺旋状に巻かれたフィラメント)を備える。特定のこのような実施形態では、第1の液体透過性チューブの第1の内側支持構造はまた、螺旋状に巻かれたフィラメントを備える。同様に、本明細書に別様に記載されるような特定の他の実施形態では、第2の内側支持構造は、フレーム構造を備える。特定のこのような実施形態では、第1の液体透過性チューブの第1の内側支持構造はまた、フレーム構造を備える。
【0093】
別の例では、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、第2の内側支持構造は、多孔質チューブ(例えば、上述したような多孔質チューブ)を備える。例えば、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、第1の内側支持構造は第1の多孔質チューブを備え、第2の内側支持構造は第2の多孔質チューブを備える。特定のこのような実施形態では、第2の多孔質チューブ(例えば、及び第1の多孔質チューブ)は、100~2500μm、又は100~1000μm、又は250~5000μm、又は250~2500μm、又は250~1000μm、又は500~5000μm、又は500~2500μm、又は500~1000μmの範囲内の機能的孔径を有する。特定のこのような実施形態では、第2の多孔質チューブ(例えば、及び第1の多孔質チューブ)は、10%~90%、又は20%~80%、又は30%~70%の範囲内の多孔率を有する。特定のこのような実施形態では、第2の多孔質チューブの多孔率の少なくとも60%、又は少なくとも75%、又は少なくとも90%が、第1の液体透過性チューブの反対側の表面(例えば、半円筒形表面)上に局在化される(例えば、第1の多孔質チューブの多孔率の少なくとも60%、又は少なくとも75%、又は少なくとも90%が、第2の液体透過性チューブの反対側の表面(例えば、半円筒形表面)上に局在化される)。様々な実施形態では、第2の多孔質チューブ(例えば、及び第1の多孔質チューブ)は、シリコーンエラストマーを含む。様々な実施形態では、第2の外側フィルタ層(例えば、及び第1の外側フィルタ層)は、200μm未満、例えば、150μm未満の平均孔径を有する。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、第2の外側フィルタ層の平均孔径は、10~200μm、例えば、20~200μm、又は30~200μm、又は75~200μm、又は10~150μm、又は20~150μm、又は30~150μm、又は50~150μm、又は75~150μmである。様々な実施形態では、第2の外側フィルタ層(例えば、及び第1の外側フィルタ層)は、ステンレス鋼、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエステル、ナイロン、及びフッ素化エチレン-プロピレンのうちの1つ以上を含む。
【0094】
そして、他の実施形態では、第2の液体透過性チューブは、第2の支持構造及び第2の外側フィルタ層を含まないチューブであるが、代わりに、第2の外側フィルタ層について本明細書に記載される孔径を有するチューブの形態である。これは、例えば、多孔質フィルム材料をチューブに形成することによって(例えば、溶着によって)、又は所望の孔径を有する剛性管状材料を提供することによって、作製することができる。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、第2のチューブは、200μm未満、例えば、150μm未満の平均孔径を有する。例えば、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、第2のチューブの平均孔径は、10~200μm、例えば、20~200μm、又は30~200μm、又は75~200μm、又は10~150μm、又は20~150μm、又は30~150μm、又は50~150μm、又は75~150μmである。特定の望ましい実施形態では、第2のチューブは、例えば、第1の外側フィルタ層に関して上述したように、バッグに含まれるマイクロキャリアの平均直径の約100%未満、例えば、約75%未満、又は約50%未満、又は約40%未満、又は約30%未満、又は約25%未満の平均孔径及び/又はD99孔径を有する。本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、第2のチューブのD99孔径(すなわち、99パーセンタイルのサイズである細孔のサイズ)は、第2のチューブの平均孔径と最大50%、例えば、最大30%、又は最大10%異なる。特定の望ましい実施形態では、第2のチューブは剛性であり、すなわち、その中を流れる流体の圧力なしにその断面形状を維持するのに十分に剛性である。
【0095】
第2の液体透過性チューブが第2のフィルタ層によって覆われているか、又は上述したように小さな孔径を有する場合、バッグの内部容積への細胞の導入及び/又はバッグの内部容積からの細胞の除去を単純化するために、第3のポートが存在することが望ましい場合がある。
【0096】
上述のように、本発明者らは、第1及び/又は第2のポートにおける濾過が、本明細書で提供される管状構造以外によって提供され得ることを企図する。例えば、フィルタは第1のポートに動作可能に結合され得、及び/又はフィルタは第2のポートに動作可能に結合され得る。他の例では、フィルタは、ポートを細胞培養システムの他の部分に接続するように作用するコネクタに差し込まれ得る。これらのフィルタは、概して、上述したものと同じ特性を有することができる。例えば、様々な実施形態では、平均孔径は、バッグに含まれるマイクロキャリアの平均サイズよりも小さくなるように選択される。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、フィルタは、200μm未満、例えば、150μm未満の平均孔径を有する。例えば、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、フィルタの平均孔径は、10~200μm、例えば、20~200μm、又は30~200μm、又は75~200μm、又は10~150μm、又は20~150μm、又は30~150μm、又は50~150μm、又は75~150μmである。当業者は、200μm以下の孔径がほとんどのマイクロキャリアとほぼ同等又はそれより小さくなり得るが、フィルタ孔径がマイクロキャリアサイズよりもいくらか大きい場合であっても、フィルタは、灌流中の内部容積からのマイクロキャリアの著しい損失を防止するのに有効であり得る事を認識するであろう。特定の望ましい実施形態では、フィルタは、バッグに含まれるマイクロキャリアの平均直径の約100%未満、例えば、約75%未満、又は約50%未満、又は約40%未満、又は約30%未満、又は約25%未満の平均孔径及び/又はD99孔径を有する。当業者が理解するように、フィルタの「機能的」孔径は、層内の孔の平均サイズ及び最大サイズの両方に応じて異なる。したがって、本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、フィルタのD99孔径(すなわち、99パーセンタイルのサイズである細孔のサイズ)は、フィルタの平均孔径と最大100%、例えば、最大50%、最大30%、又は最大10%異なる。本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、フィルタのD99孔径は、500μm未満、例えば、250μm未満、又は200μm未満、又は150μm未満である。しかしながら、当業者が理解するように、フィルタの小さい平均孔径は、バッグを通る流れを減速させることがある。したがって、当業者は、所望のマイクロキャリアのための濾過を提供するのに十分小さいが、バッグを通る所望の流量を提供するのに十分大きい孔径を選択することができる。例えば、本明細書に別様に記載されるような様々な望ましい実施形態では、バッグに含まれるマイクロキャリアは、100~400μmの平均直径を有し、フィルタの平均孔径は、50~200μmである(例えば、マイクロキャリアの平均直径より小さい)。
【0097】
上述のように、本発明者らは、本明細書に記載のバッグが、マイクロキャリア細胞培養を通して培地を灌流するために有用であると判定した。したがって、本開示の別の態様は、細胞を培養する方法であって、本明細書に別様に記載されるようなバッグ(例えば、
図1のバッグ100)を提供するステップであって、バッグが内部区画(例えば、内部区画130)内に培地及び細胞(例えば、本明細書に別様に記載される)を含む、ステップと、第2のポート(例えば、ポート150)を通して(及び第2の液体透過性チューブ(例えば、チューブ180)を通して)培地を添加することによって内部区画を通して培地を流すステップと、第1のポート(例えば、ポート140)から(存在する場合、第1の液体透過性チューブ(例えば、チューブ170)を介して)培地を除去するステップと、を含む、方法である。様々なこのような実施形態では、内部区画内に培地及び細胞を含むバッグは、バッグの外面に形成されバッグの内部区画と流体連通する第3のポート(例えば、ポート160)を通して、培地及び細胞をバッグに添加することによって提供され得る。しかしながら、他の実施形態では、特に第3のポートが存在しない場合、第1又は第2のポートを使用して、培地及び細胞をバッグに入れることができる。例えば、0.5~20mL/分の範囲内の様々な流量を使用することができる。流量は、望ましくは、マイクロキャリアが培養培地中に懸濁されたままであることを可能にするのに十分に低い。当然ながら、通常の動作の過程にわたって、流量は変化し得、又は更に不連続であり得る(例えば、偶発的に、又は細胞活性に基づいて)。したがって、別の例では、流量は、1日当たり0.2~2バッグ容積置換の範囲であり得る。バッグは、灌流中に所望のインキュベーション温度に維持することができ、揺動又は他の方法で撹拌することができる。
【0098】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、本方法は、(例えば、マイクロキャリア接着細胞の数を所望の第1のレベルに増加させるのに十分な)インキュベーション期間後に、追加の複数のマイクロキャリアをバッグに添加するステップ(例えば、培養された細胞に利用可能な接着基質の総面積を増加させるために)を含む。様々な実施形態では、追加の複数のマイクロキャリア(例えば、本明細書に別様に記載されるようなマイクロキャリアを含む)は、バッグの外面にありバッグの内部区画と流体連通する第3のポート(例えば、ポート160)を通る。
【0099】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、本方法は、(例えば、マイクロキャリア接着細胞の数が所望の最終レベルまで増加した後に)マイクロキャリアから培養された細胞を分離するステップと、次いで、バッグの内部区画から培養された細胞を取り出すステップと、を更に含む。当業者が理解するように、接着細胞をマイクロキャリアから分離する方法は、当該技術分野において既知である。例えば、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、マイクロキャリアから培養された細胞を分離するステップは、トリプシンをフィード培地(例えば、第2のポートを通して流される)に添加するステップを含む。
【0100】
本発明者らは、有利には、培養された細胞が、第1のポート(例えば、ポート140)を通して(存在する場合、第1の液体透過性チューブ(例えば、チューブ170)を介して)バッグの内部区画から取り出され得るが、マイクロキャリアは、例えば、第1のチューブ、第1の多孔質チューブ、又はいくらかの他のフィルタの周りに配置された第1の外側フィルタ層である、第1のポートに動作可能に結合されたフィルタによって内部区画内に保持されることに注目する。
【0101】
しかしながら、本発明者らは、第1のポート又は第2のポートに対して動作可能に結合されたフィルタが、本開示のシステム及び方法において要件とされないことに注目する。いくつかの実施形態では、流れは、マイクロキャリアのかなりの部分をバッグから押し出すことを回避するように制御され得る。しかしながら、他の実施形態では、多孔質膜を使用して、マイクロキャリアが配置される内部区画の容積から第1及び第2のポートを連通する内部区画の容積を分離することができる。膜の孔径がマイクロキャリアのサイズよりもいくらか大きい場合であっても、膜は、第1のポートと第2のポートとの間の流れがマイクロキャリアを妨害して運び去ることを可能にすることなく、区画間の培地の交換を可能にすることができる。
【0102】
したがって、別の例では、本明細書に記載されるバッグは、灌流膜を含むことができる。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、バッグは、内部区画の第1の部分を内部区画の第2の部分から分離する第1の多孔質膜であって、第2の部分は複数のマイクロキャリアを含有する、第1の多孔質膜と、バッグの外面に形成された第3のポートと、を備える。このような実施形態では、第1のポート及び第2のポートは各々、内部区画の第1の部分と流体連通し、第3のポートは、内部区画の第2の部分と流体連通する。本発明者らは、望ましくは、固定された細胞を感知できるほど妨害することなく、かつ/又は内部区画の第2の部分に含まれるマイクロキャリアの数を減少させることなく、フィード培地をバッグの内部区画の第1の部分に通して灌流することができることに注目する。本発明者らは、望ましくは、第1のポートと第2のポートとの間の内部容積を通って培地を流すことによって、固定された細胞を感知できるほど妨害することなく、かつ/又は含まれるマイクロキャリアの数を減少させることなく、フィード培地をバッグの内部区画に通して灌流することができることに注目する。内部区画を分割する多孔質膜は、マイクロキャリアが内部区画の第2の部分から逃げるのを防止することができる。したがって、足場依存性細胞は、フィード培地供給制限及び/又は廃棄物除去制限なしに、第2の部分において増殖及び濃縮され得る。第3のポートは、培地サンプリング並びに内部区画の第2の部分への細胞及び/又はマイクロキャリアの導入のために使用され得る。本発明者らは更に、有利には、細胞培養プロセスに続いて、培養された細胞をマイクロキャリアから分離し、多孔質膜を通して(すなわち、マイクロキャリアを内部区画に保持する)バッグから取り出すことができることに注目する。別の実施形態では、第3のポートは、第1及び第2のポートに関して上述したように、それに動作可能に結合されたフィルタを有することができ、これにより、バッグからマイクロキャリアを除去することなく細胞を収集することができる。
【0103】
そのようなバッグの実施形態が、
図5の概略上面図(上)及び断面図(下)に示されている。
図5のバッグ500は、多孔質膜530によって第1の部分540及び第2の部分550に分離されている内部区画の周りに縁部を形成するように、それらの縁部で共に結合された第1のポリマーフィルム510及び第2のポリマーフィルム520を含む。バッグ500は、各々内部区画の第1の部分540と流体連通する第1のポート560及び第2のポート570と、内部区画の第2の部分550と流体連通する第3のポート580と、を更に含む。
【0104】
バッグは、望ましくは、第1のポートと第2のポートとの間を流れることによって、内部容積のかなりの部分を通る培地の灌流を可能にするように構成される。当業者は、本開示に基づいて、第1のポート及び第2のポートを配列して、例えば、バッグ内の灌流の流れにおけるデッドスポットを最小限に抑え、かつ/又は灌流の流れが細胞成長を妨害しないことを確実にする。第3のポートは、例えば、培地サンプリング並びにバッグの第2の部分への細胞及び/又はマイクロキャリアの導入を容易にするように位置付けられ得る。
【0105】
別の例では(図示せず)、バッグは、第1の部分内に延び第1の部分と流体連通する第1の液体透過性チューブ(例えば、本明細書に別様に記載されるような)であって、第1のポートに動作可能に結合された第1の液体透過性チューブと、第1の部分内に延び第1の部分と流体連通する第2の液体透過性チューブ(例えば、本明細書に別様に記載されるような)であって、第2のポートに動作可能に結合された第2の液体透過性チューブと、を備える。特定のこのような実施形態では、チューブは、例えば、互いに実質的に平行であり、バッグの反対側の縁部に隣接して配置され得る(例えば、多孔質膜上の流動培地の分布を増加させる)。
【0106】
図5の実施形態では、内部区画は、第1のポリマーフィルム510及び多孔質膜520によって境界付けられた第1の部分540と、第2のポリマーフィルム520及び多孔質膜530によって境界付けられた第2の部分550とに分割される。当然ながら、内部区画は、そのように均等に分割される必要はない。例えば、
図6の実施形態では、バッグ600は、内部区画の周りに縁部を形成するように、それらの縁部で共に結合された第1のポリマーフィルム610及び第2のポリマーフィルム620を含み、多孔質膜630は、第2のポリマーフィルム620に結合された縁部を有し、内部区画を第1の部分640及び第2の部分650に分離する。別の例では、
図7の実施形態では、バッグは、内部区画の周りに縁部を形成するように、それらの縁部で共に結合された第1のポリマーフィルム710及び第2のポリマーフィルム720を含み、多孔質膜730は、折り畳まれ、それらの縁部で結合されて、内部区画を第1の部分740及び第2の部分750に分離する。このような実施形態では、当業者は、本明細書に記載される第1のポート、第2のポート、及び第3のポートを位置付けて、例えば、バッグ内の灌流の流れにおけるデッドスポットを最小限に抑え、灌流の流れが細胞成長を妨害しないことを確実にし、バッグの第2の部分への細胞及び/若しくはマイクロキャリアの導入を容易にし、並びに/又はバッグ内の流体サンプリング若しくは監視の所望の位置を提供することができる。
【0107】
更に別の例では、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、バッグは、内部区画の第1の部分を内部区画の中央部分から分離する第1の多孔質膜と、内部区画の第2の部分を内部区画の中央部分から分離する第2の多孔質膜であって、中央部分はマイクロキャリアを含有する、第2の多孔質膜と、バッグの外面に形成された第3のポートと、を備える。このような実施形態では、第1のポートは、内部区画の第1の部分と流体連通し、第2のポートは、内部区画の第2の部分と流体連通し、第3のポートは、内部区画の中央部分と流体連通する。本発明者らは、望ましくは、固定された細胞を感知できるほど妨害することなく、かつ/又は内部区画の中央部分に含まれるマイクロキャリアの数を減少させることなく、フィード培地をバッグの内部区画の中央部分に通して灌流することができることに注目する。本発明者らは、望ましくは、第2のチューブから内部容積を通って第1のチューブの外へ培地を流すことによって、固定された細胞を感知できるほど妨害することなく、かつ/又は含まれるマイクロキャリアの数を減少させることなく、フィード培地をバッグの内部区画に通して灌流することができることに注目する。内部区画を分割する多孔質膜は、マイクロキャリアが内部区画の中央部分から逃げるのを防止することができる。したがって、足場依存性細胞は、フィード培地供給制限及び/又は廃棄物除去制限なしに、中央部分において増殖及び濃縮され得る。第3のポートは、培地サンプリング並びに内部区画の中央部分への細胞及び/又はマイクロキャリアの導入のために使用され得る。本発明者らは更に、有利には、細胞培養プロセスに続いて、培養された細胞をマイクロキャリアから分離し、多孔質膜を通して(すなわち、マイクロキャリアを中央区画に保持する)バッグから取り出すことができることに注目する。
【0108】
そのようなバッグの実施形態が、
図8の概略上面図に示されている。
図8のバッグ800は、第1の多孔質膜820によって第1の側方部分840及び中央部分850に分離されており、第2の多孔質膜830によって第2の側方部分860及び中央部分850に分離されている内部区画の周りに縁部を形成するように、それらの縁部で共に結合された第1のポリマーフィルム810及び第2のポリマーフィルム(図示せず)を含む。バッグ800は、内部区画の第1の側方部分840と流体連通する第1のポート870と、第2の側方部分860と流体連通する第2のポート880と、内部区画の中央部分850と流体連通する第3のポート890と、を更に含む。
【0109】
バッグは、望ましくは、第2のポートから第1のポートに流れることによって、内部容積のかなりの部分を通る培地の灌流を可能にするように構成される。当業者は、本開示に基づいて、第1のポート及び第2のポートを配列して、例えば、バッグ内の灌流の流れにおけるデッドスポットを最小限に抑え、かつ/又は灌流の流れが細胞成長を妨害しないことを確実にする。第3のポートは、例えば、培地サンプリング並びにバッグの中央部分への細胞及び/又はマイクロキャリアの導入のために位置付けられ得る。
【0110】
内部区画を分割する1つ以上の膜を含むバッグを形成するために、1つ以上のポリマーフィルム及び1つ以上の多孔質膜の縁部は、高周波溶着、熱インパルス溶着、超音波溶着、ホットバー溶着、化学結合、接着結合、熱溶融結合、溶媒溶着、レーザ溶着、コロナ放電、放射、表面処理、極熱、ベルト、若しくは溶融積層、エッチング、プラズマ処理、押出、湿潤、接着剤、又はこれらの組み合わせなどの任意の望ましい方法によって結合され得る。特定の望ましい実施形態では、ポリマーフィルムは、熱溶着、レーザ溶着、又はホットバー溶着によって共に結合される。
【0111】
本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、1つ以上の多孔質膜は、0.1mg/cm2未満の水中全有機体炭素を有するポリマーを含む(例えば、ポリマーから形成される)。本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、1つ以上の多孔質膜は各々個別に、実質的にフルオロポリマー、例えば、少なくとも80重量%、又は少なくとも85重量%、又は少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%、又は少なくとも97.5重量%、又は少なくとも98重量%、又は少なくとも99重量%のフルオロポリマー(例えば、1つ以上のポリマーフィルムの内層に関して上述したように)を含む。
【0112】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、1つ以上の多孔質膜は各々個別に、エチレン-プロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン-ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/エチレンコポリマー(HTE)、クロロトリフルオロエチレン/フッ化ビニリデンコポリマー、クロロトリフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、エチレン/クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、エチレン/トリフルオロエチレンコポリマー、エチレン/テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、テトラフルオロエチレン/プロピレンコポリマー(TFE/P)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP/HFP)、ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン/ビニリデンコポリマー(THV)、及び官能化ポリマー末端基を有するペルフルオロ(1-ブテニルビニルエーテル)ホモシクロポリマーから選択される1つ以上のフルオロポリマーを含む。特定の望ましい実施形態では、1つ以上の多孔質膜は各々個別に、少なくとも80重量%(例えば、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%)のフッ素化エチレン-プロピレンを含む。
【0113】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、1つ以上の多孔質膜は各々個別に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエステル、ナイロン、及びフッ素化エチレン-プロピレンのうちの1つ以上を含む。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、1つ以上の多孔質膜は、ステンレス鋼を含む。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、1つ以上の多孔質膜は、フルオロポリマー被覆基材を含む。例えば、特定のこのような実施形態では、1つ以上の多孔質膜は、フルオロポリマー被覆ステンレス鋼(例えば、ポリテトラフルオロエチレン被覆ステンレス鋼)を含む。
【0114】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、1つ以上の多孔質膜(例えば、実質的にフルオロポリマーを含む)は各々個別に、0.001~0.7mm、例えば、0.001~0.4mm、又は0.001~0.1mm、又は0.005~0.7mm、又は0.005~0.4mm、又は0.005~0.1mm、又は0.01~0.7mm、又は0.01~0.4mm、又は0.01~0.1mmの厚さを有する。本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、1つ以上の多孔質膜は各々個別に、少なくとも95重量%のフッ素化エチレン-プロピレンを含み、0.01~0.1mmの厚さを有する。
【0115】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、1つ以上の多孔質膜は各々、灌流中にマイクロキャリアが第2の部分又は中央部分から逃げるのを防止するのに役立つように選択された平均孔径を有する。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、1つ以上の多孔質膜の平均孔径は、200μm未満、例えば、150μm未満である。例えば、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、1つ以上の多孔質膜の平均孔径は、10~200μm、例えば、20~200μm、又は30~200μm、又は75~200μm、又は10~150μm、又は20~150μm、又は30~150μm、又は50~150μm、又は75~150μmである。
【0116】
特定の望ましい実施形態では、1つ以上の多孔質膜は、バッグに含まれるマイクロキャリアの平均直径の約100%未満、例えば、約75%未満、又は約50%未満、又は約40%未満、又は約30%未満、又は約25%未満の平均孔径及び/又はD99孔径を有する。
【0117】
1つ以上の多孔質膜は、広い範囲内の多孔率を有することができる。当業者は、機械的安定性及び流量の所望の組み合わせを提供する多孔率を選択するであろう。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、1つ以上の多孔質膜は各々個別に、10%~90%の範囲内の多孔率を有する。本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、多孔質チューブの多孔率は、20%~90%、又は30%~90%、又は40%~90%、又は50%~90%、又は10%~80%、又は10%~70%、又は10%~60%、又は10%~50%、又は20%~80%、又は30%~70%、又は40%~60%の範囲内である。
【0118】
多孔質膜の多孔性は、当該分野で認識されている多くの方法、例えば、成形、熱穿孔、レーザ穿孔、電子ビーム穿孔、放電加工、機械穿孔、スタンピング、又は切断のいずれかによって提供することができる。
【0119】
当業者が理解するように、多孔質膜の「機能的」孔径は、膜内の孔の平均サイズ及び最大サイズの両方に応じて異なる。したがって、本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、1つ以上の多孔質膜のD99孔径(すなわち、99パーセンタイルのサイズである細孔のサイズ)は、1つ以上の多孔質膜の平均孔径と最大100%、例えば、最大50%、最大30%、又は最大10%異なる。本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、1つ以上の多孔質膜のD99孔径は、500μm未満、例えば、250μm未満、又は200μm未満、又は150μm未満である。
【0120】
しかしながら、当業者が理解するように、1つ以上の多孔質膜の小さい平均孔径は、バッグを通る流れを減速させ、及び/又は培地が灌流される内部区画の部分とマイクロキャリアが配置される内部区画の部分との間の交換を減速させ得る。したがって、当業者は、所望のマイクロキャリアのための濾過を提供するのに十分小さいが、バッグを通る所望の流量を提供するのに十分大きい孔径を選択することができる。例えば、本明細書に別様に記載されるような特定の望ましい実施形態では、バッグに含まれるマイクロキャリアは、100~400μmの平均直径を有し、1つ以上の多孔質膜の平均孔径は、50~200μmである(例えば、マイクロキャリアの平均直径より小さい)。しかし、他の実施形態(例えば、
図5~
図7の実施形態に類似した実施形態)では、1つ以上の多孔質膜の平均孔径は、マイクロキャリアの平均直径よりもいくらか大きくてもよい。そのような場合であっても、それにかかわらず、膜はかなりの割合のマイクロキャリアが逃げるのを防止することができる。
【0121】
上述のように、本発明者らは、本明細書に記載のバッグが、細胞培養を通して培地を灌流するために有用であると判定した。したがって、本開示の別の態様は、細胞を培養する方法であって、足場依存性細胞及び培地をマイクロキャリアとともに、本明細書に別様に記載されるようなバッグ(例えば、
図5のバッグ500又は
図8のバッグ800)の内部区画に提供するステップと、第1のポートと第2のポートとの間の内部区画を通して培地を流すステップと、を含む、方法である。フィルタが第1のポートに動作可能に結合される場合、流れは、例えば、第2のポートから第1のポートへの流れであり得る。1つ以上の膜が内部区画を様々な区画に分割する場合、マイクロキャリアをバッグに入れるために第3のポートを使用することができる。細胞及び培地は、同様に第3のポートを通して添加され得る。
【0122】
例えば、0.5~20mL/分の範囲内の様々な流量を使用することができる。流量は、望ましくは、マイクロキャリアが培養培地中に懸濁されたままであることを可能にするのに十分に低い。当然ながら、通常の動作の過程にわたって、流量は変化し得、又は更に不連続であり得る(例えば、偶発的に、又は細胞活性に基づいて)。したがって、別の例では、流量は、1日当たり0.2~2バッグ容積置換の範囲であり得る。バッグは、灌流中に所望のインキュベーション温度に維持することができ、揺動又は他の方法で撹拌することができる。
【0123】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、本方法は、(例えば、マイクロキャリア接着細胞の数を所望の第1のレベルに増加させるのに十分な)インキュベーション期間後に、追加の複数のマイクロキャリアをバッグに添加するステップ(例えば、培養された細胞に利用可能な接着基質の総面積を増加させるために)を含む。様々な実施形態では、追加の複数のマイクロキャリア(例えば、本明細書に別様に記載されるようなマイクロキャリアを含む)は、第3のポートを通り、又はフィルタが第1のポートに動作可能に結合される実施形態では、第2のポートを通る。
【0124】
本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、本方法は、(例えば、マイクロキャリア接着細胞の数が所望の最終レベルまで増加した後に)マイクロキャリアから培養された細胞を分離するステップと、次いで、バッグの内部区画から培養された細胞を取り出すステップと、を更に含む。当業者が理解するように、接着細胞をマイクロキャリアから分離する方法は、当該技術分野において既知である。例えば、本明細書に別様に記載されるような様々な実施形態では、マイクロキャリアから培養された細胞を分離するステップは、トリプシンをフィード培地(例えば、第2のポートを通して流される)に添加するステップを含む。
【0125】
本発明者らは、有利には、培養された細胞は、かなりの量のマイクロキャリアがバッグから出ることを防止するためにフィルタ又は多孔質膜を使用して、バッグの内部区画から取り出され得ることに注目する。すなわち、マイクロキャリアは、多孔質膜又はフィルタによって内部区画内に保持される。
【実施例】
【0126】
実施例において、酸素及び二酸化炭素透過性バッグAは、内側フッ素化エチレン-プロピレン層及び外側シリコーンゴム層を含むポリマーフィルムから形成された。バッグA及び比較の市販のフルオロポリマーバッグCを、同様の標準条件下、オートクレーブ中で滅菌した(121℃で30分間、続いて60分間の乾燥時間)。
図9に示されるように、バッグCは、顕著に収縮し(フィルム押出「機械方向」、すなわち図示されるような垂直方向に2~5%、フィルム押出「横断方向」、すなわち図示されるような水平方向に1~3%)、バッグの内面に目に見えるしわを生じさせる。対照的に、バッグAは、
図10に示すように、望ましく滑らかなままであった。
【0127】
ポリスチレンマイクロキャリア、培地、及び接着細胞を滅菌バッグに添加し、次いでこれを揺動デバイス上でインキュベートした。最初のインキュベーション期間後、マイクロキャリア分布は、バッグCよりもバッグAの容積全体にわたってより均一に分布していた(バッグの内面のしわの間にマイクロキャリアの顕著な「プーリング」を示した)。そして、バッグAからの(すなわち、マイクロキャリアからの分離後の)培養された細胞の総収率(培養容積当たり)は、バッグCのものよりも顕著に高かった。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、バッグA中のマイクロキャリア(したがって、接着細胞)は、バッグC中のものよりも顕著に小さい剪断力及び衝突力にさらされ得、マイクロキャリアは、バッグCの表面のしわと衝突し得、バッグAの均一な分布におけるものよりも顕著に高い速度で他の「プールされた」マイクロキャリアと衝突し得ることに注目する。
【0128】
本開示の追加の態様は、以下の非限定的な付番実施形態によって提供され、これらは、技術的にも論理的にも矛盾しない任意の数及び任意の組み合わせで組み合わせることができる。
実施形態1. 酸素透過性バッグであって、
バッグの内部区画の境界を画定する1つ以上のポリマーフィルムであって、1つ以上のポリマーフィルムの各々は、
バッグの内部区画に隣接する内層であって、フルオロポリマーを含む、内層と、
内層に接着された、ポリマーを含む外層と、を含む、1つ以上のポリマーフィルムと、
バッグの外面に形成され、内部区画と流体連通する第1のポートと、
バッグの外面に形成され、内部区画と流体連通する第2のポートと、
内部区画に含まれる、複数のマイクロキャリアと、を備える、酸素透過性バッグ。
実施形態2. 酸素透過性バッグが、
バッグの内部区画を形成するように結合された縁部を有する1つ以上のポリマーフィルムであって、1つ以上のポリマーフィルムの各々は、バッグの内部区画に隣接する内層であって、フルオロポリマーを含む、内層と、内層に接着された、ポリマーを含む外層と、を含む、1つ以上のポリマーフィルムと、
バッグの外面に形成され、内部区画と流体連通する第1のポートと、
バッグの外面に形成され、内部区画と流体連通する第2のポートと、
内部区画に含まれる、複数のマイクロキャリアと、を備える、酸素透過性バッグである、実施形態1に記載のバッグ。
実施形態3. 内層が、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン-ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/エチレンコポリマー(HTE)、クロロトリフルオロエチレン/フッ化ビニリデンコポリマー、クロロトリフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、エチレン/クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、エチレン/トリフルオロエチレンコポリマー、エチレン/テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、テトラフルオロエチレン/プロピレンコポリマー(TFE/P)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP/HFP)、ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン/ビニリデンコポリマー(THV)、又は官能化ポリマー末端基を有するペルフルオロ(1-ブテニルビニルエーテル)ホモシクロポリマーのうちの1つ以上を含む、実施形態1又は2に記載のバッグ。
実施形態4. 内層がフッ素化エチレン-プロピレンを含む、実施形態1又は2に記載のバッグ。
実施形態5. 内層が0.001~0.7mm(例えば、0.01~0.1mm)の厚さを有する、実施形態1~4のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態6. 外層がエラストマーを含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態7. 外層が、天然ポリイソプレンゴム(NR)、合成ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(CIIR、BIIR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)及び水素化ニトリルゴム(HNBR)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、ポリアクリルゴム(ACM、ABR)、シリコーンゴム(SI、Q、VMQ)、フルオロシリコーンゴム(FSR、FVMQ)、フルオロエラストマー(FKM、FEPM)、ペルフルオロエラストマー(FFKM)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、環状オレフィンコポリマー、ポリオレフィンエラストマー、並びにエラストマーPETのうちの1つ以上を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態8. 外層がポリメチルペンテンポリマー(PMP)を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態9. 外層が、シリコーンゴム(例えば、高粘稠度ゴム(HCR)、フルオロシリコーンゴム(FSR)、液体シリコーンゴム(LSR)、室温加硫ゴム(RTV)、熱可塑性シリコーンゴム(TPE)、白金硬化シリコーンゴム、及び過酸化物硬化シリコーンゴムから選択される)を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態10. 外層が0.01~5mm(例えば、0.05~1mm)の厚さを有する、実施形態1~9のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態11. 内層が、0.001~0.7mm(例えば、0.01~0.1mm)の厚さを有し、実質的に(例えば、少なくとも95重量%)フッ素化エチレン-プロピレンを含み、
外層が、0.01~5mm(例えば、0.1~0.5mm)の厚さを有し、実質的に(例えば、少なくとも95重量%)シリコーンゴムを含む、実施形態1又は2に記載のバッグ。
実施形態12. 内層及び外層が、(例えば、化学結合、接着結合、熱溶融結合、溶媒結合、レーザ溶着、表面処理、押出、共押出、コーティング、及び積層のうちの1つ以上によって)結合される、実施形態1~11のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態13. マイクロキャリアが、100~400μm(例えば、110~300μm、又は120~275μm)の平均直径を有する、実施形態1~12のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態14. マイクロキャリアが、1~1.25g/mL(例えば、1~1.15g/mL、又は1~1.1g/mL)の平均密度を有する、実施形態1~13のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態15. マイクロキャリアが、0.1~10cm2/mg(例えば、0.5~7.5cm2/mg、又は1~7.5cm2/mg)の平均比表面積を有する、実施形態1~14のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態16. マイクロキャリアが、ポリスチレン、架橋デキストラン、又はセルロースを含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態17. マイクロキャリアが、1つ以上の細胞外マトリックス化合物(例えば、コラーゲンI、ポリ-L-リジン、フィブロネクチン、レトロネクチン、ヒアルロン酸、及びポリドーパミンから選択される)を含み、細胞外マトリックス化合物がマイクロキャリアの表面の少なくとも一部分を構成する、実施形態1~16のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態18. 内部区画に含まれる複数のマイクロキャリアが、バッグの内部区画の総表面積の少なくとも100%(例えば、少なくとも500%、又は少なくとも1000%)である総表面積を有する、実施形態1~17のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態19. 分割されていない内部区画と、
内部区画内に延び、内部区画と流体連通する第1の液体透過性チューブであって、第1のポートに動作可能に結合された、第1の液体透過性チューブと、
内部区画内に延び、内部区画と流体連通する第2の液体透過性チューブであって、第2のポートに動作可能に結合された、第2の液体透過性チューブと、を備え、
第1の液体透過性チューブは、チューブの中央ルーメンを画定する第1の内側支持構造と、第1の内側支持構造を取り囲む第1の外側フィルタ層と、を備える、実施形態1~18のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態20. バッグの外面に形成され、バッグの内部区画と流体連通する第3のポートを備える、実施形態19に記載のバッグ。
実施形態21. 第1の内側支持構造が、第1の多孔質チューブを備える、実施形態19又は実施形態20に記載のバッグ。
実施形態22. 第1の多孔質チューブが、100~5,000μmの平均孔径、及び10~90%の多孔率を有する、実施形態21に記載のバッグ。
実施形態23. 第1の内側支持構造が、螺旋状に巻かれたフィラメントを備える、実施形態19又は実施形態20に記載のバッグ。
実施形態24. 第1の外側フィルタ層が、ステンレス鋼、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエステル、ナイロン、及びフッ素化エチレン-プロピレンのうちの1つ以上を含む、実施形態19~23のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態25. 第1の外側フィルタ層が、50~200μm(例えば、50~150μm、又は75~150μm)の平均孔径を有する、実施形態19~24のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態26. 第2の液体透過性チューブが、チューブの中央ルーメンを画定する第2の内側支持構造と、第2の内側支持構造を取り囲む第2の外側フィルタ層と、を備える、実施形態19~25のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態27. 第2の内側支持構造が、螺旋状に巻かれたフィラメント又は第2の多孔質チューブを備える、実施形態26に記載のバッグ。
実施形態28. 第2の外側フィルタ層が、ステンレス鋼、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエステル、ナイロン、及びフッ素化エチレン-プロピレンのうちの1つ以上を含む、実施形態26又は実施形態27に記載のバッグ。
実施形態29. 第2の外側フィルタ層が、50~200μm(例えば、50~150μm、又は75~150μm)の平均孔径を有する、実施形態26~28のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態30. 分割されていない内部区画と、
バッグの内部区画内に延び、バッグの内部区画と流体連通する第1の液体透過性チューブであって、ポートに動作可能に結合された、第1の液体透過性チューブと、
バッグの内部区画内に延び、バッグの内部区画と流体連通する第2の液体透過性チューブであって、第2のポートに動作可能に結合された、第2の液体透過性チューブと、を備え、
第1の液体透過性チューブは、50~200μm(例えば、50~150μm、又は75~150μm)の平均孔径を有する、実施形態1~18のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態31. 第1の液体透過性チューブが、ステンレス鋼、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエステル、ナイロン、及びフッ素化エチレン-プロピレンのうちの1つ以上を含む、実施形態30に記載のバッグ。
実施形態32. 内部区画の第1の部分を内部区画の第2の部分から分離する多孔質膜であって、第2の部分は複数のマイクロキャリアを含有する、多孔質膜と、
バッグの外面に形成された第3のポートと、を備え、
第1のポート及び第2のポートは各々、内部区画の第1の部分と流体連通し、第3のポートは、内部区画の第2の部分と流体連通する、実施形態1~18のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態33. 多孔質膜がフルオロポリマーを含む、実施形態32に記載のバッグ。
実施形態34. 多孔質膜が、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン-ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/エチレンコポリマー(HTE)、クロロトリフルオロエチレン/フッ化ビニリデンコポリマー、クロロトリフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、エチレン/クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、エチレン/トリフルオロエチレンコポリマー、エチレン/テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、テトラフルオロエチレン/プロピレンコポリマー(TFE/P)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP/HFP)、ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン/ビニリデンコポリマー(THV)、又は官能化ポリマー末端基を有するペルフルオロ(1-ブテニルビニルエーテル)ホモシクロポリマーのうちの1つ以上を含む、実施形態32に記載のバッグ。
実施形態35. 多孔質膜が、10~200μm、例えば、20~200μm、又は30~200μm、又は75~200μm、又は10~150μm、又は20~150μm、又は30~150μm、又は50~150μm、又は75~150μmの平均孔径を有する、実施形態32~34のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態36. 多孔質膜が、10~90%(例えば、20~70%、又は30~50%)の多孔率を有する、実施形態32~35のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態37. 内部区画の第1の側方部分を内部区画の中央部分から分離する第1の多孔質膜と、
内部区画の第2の側方部分を内部区画の中央部分から分離する第2の多孔質膜であって、中央部分は複数のマイクロキャリアを含有する、第2の多孔質膜と、
バッグの外面に形成された第3のポートと、を備え、
第1のポートは、内部区画の第1の側方部分と流体連通し、第2のポートは、内部区画の第2の側方部分と流体連通し、第3のポートは、内部区画の中央部分と流体連通する、実施形態1~18のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態38. 第1の多孔質膜及び第2の多孔質膜が各々個別に、フルオロポリマーを含む、実施形態37に記載のバッグ。
実施形態39. 第1の多孔質膜及び第2の多孔質膜が各々個別に、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン-ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/エチレンコポリマー(HTE)、クロロトリフルオロエチレン/フッ化ビニリデンコポリマー、クロロトリフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、エチレン/クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、エチレン/トリフルオロエチレンコポリマー、エチレン/テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、テトラフルオロエチレン/プロピレンコポリマー(TFE/P)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP/HFP)、ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン/ビニリデンコポリマー(THV)、又は官能化ポリマー末端基を有するペルフルオロ(1-ブテニルビニルエーテル)ホモシクロポリマーのうちの1つ以上を含む、実施形態37に記載のバッグ。
実施形態40. 第1の多孔質膜及び第2の多孔質膜が各々個別に、50~200μm(例えば、50~150μm、又は75~150μm)の平均孔径を有する、実施形態37~39のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態41. 第1の多孔質膜及び第2の多孔質膜が各々個別に、10~90%(例えば、20~70%、又は30~50%)の多孔率を有する、実施形態37~40のいずれか1つに記載のバッグ。
実施形態42. 細胞を培養する方法であって、足場依存性細胞及び培地をマイクロキャリアとともに、実施形態1~41のいずれかに記載のバッグの内部区画に提供するステップと、第1のポートと第2のポートとの間の内部区画を通して培地を流すステップと、を含む、方法。
実施形態43. バッグを(例えば、揺動させることによって)撹拌するステップを含む、実施形態42に記載の方法。
実施形態44. インキュベーション期間後、追加の複数のマイクロキャリアを(例えば、バッグの外面に形成された第3のポートを通して)バッグの内部区画に添加するステップを更に含む、実施形態42又は43に記載の方法。
実施形態45. 培養された細胞をマイクロキャリアから分離するステップと、
培養された細胞をバッグから取り出すステップと、を更に含む、実施形態42~44のいずれか1つに記載の方法。
実施形態46. バッグが、実施形態19~31のいずれか1つに記載のバッグであり、第2のポートを通して及び第2の液体透過性チューブを通して培地を添加し、第1の液体透過性チューブを通して及び第1のポートを通して培地を除去することによって、内部区画を通して培地を流す、実施形態42~45のいずれか1つに記載の細胞を培養する方法。
実施形態47. バッグを提供するステップが、バッグの外面に形成された第3のポートを通して、複数のマイクロキャリア及び培地を添加するステップを含む、実施形態46に記載の方法。
実施形態48. 培養された細胞をマイクロキャリアから分離するステップと、
培養された細胞を、バッグの内部区画から、第1の液体透過性チューブを通して及び第1のポートを通して取り出すステップと、を更に含む、実施形態46又は実施形態47に記載の方法。
実施形態49. バッグが、実施形態32~36のいずれか1つに記載のバッグであり、培地及び足場依存性細胞が内部区画の第2の部分に提供され、第2のポートを通して培地を添加し、第1のポートを通して培地を除去することによって、内部区画を通して培地を流す、実施形態42~45のいずれか1つに記載の細胞を培養する方法。
実施形態50. バッグが、内部区画の中央部分に培地及び足場依存性細胞を含む、実施形態37~41のいずれか1つに記載のバッグであり、第2のポートを通して培地を添加し、第1のポートを通して培地を除去することによって、内部区画を通して培地を流す、実施形態42~45のいずれか1つに記載の細胞を培養する方法。
実施形態51. 複数のマイクロキャリアが、第3のポートを通して内部区画に提供される、実施形態49又は実施形態50に記載の方法。
【国際調査報告】