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特表2024-502974微生物の細胞質溶出効果に優れる新規抗菌ペプチド
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  • 特表-微生物の細胞質溶出効果に優れる新規抗菌ペプチド 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】微生物の細胞質溶出効果に優れる新規抗菌ペプチド
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20240117BHJP
   C07K 7/08 20060101ALI20240117BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240117BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20240117BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240117BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20240117BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
C12N15/09 Z
C07K7/08
A61P31/04
A61K38/08
A61K47/42
A61K8/64
A61Q19/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540908
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(85)【翻訳文提出日】2023-07-03
(86)【国際出願番号】 KR2021016051
(87)【国際公開番号】W WO2022163978
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0011657
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523252869
【氏名又は名称】セリコン ラボ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ミン キュ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ポ キョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ウォン ソク
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ヨン ピル
(72)【発明者】
【氏名】パク,チ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】パク,チェ フ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076BB31
4C076CC18
4C076EE41A
4C076FF70
4C083AD411
4C083BB48
4C083CC03
4C083CC23
4C083CC25
4C084AA02
4C084BA18
4C084CA59
4C084MA63
4C084NA14
4C084ZB35
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA16
4H045DA83
4H045EA15
4H045EA29
4H045FA33
4H045GA05
4H045GA15
4H045GA25
(57)【要約】
本発明は、抗菌(antimicrobial)ペプチド、その誘導体又はその断片、前記抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片をコードするポリヌクレオチド、前記抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片を含む皮膚外用剤用担体、化粧料組成物、医薬部外品組成物及び薬学的組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌(antimicrobial)ペプチド、その誘導体又はその断片。
【請求項2】
前記誘導体は、前記配列番号5~配列番号8のいずれかからなる抗菌ペプチドのN末端から1番目、2番目、5番目、6番目、9番目及び12番目の位置からなる群から選択されるいずれかの位置に相当するアミノ酸が他の塩基性アミノ酸に置換されたものである、請求項1に記載の抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片。
【請求項3】
前記塩基性アミノ酸は、リシン(Lysine)又はアルギニン(Arginine)である、請求項2に記載の抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片。
【請求項4】
前記誘導体は、配列番号1~配列番号4からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片。
【請求項5】
前記抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片は、大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pneumonia aeruginosa)及びカンジダ菌(Candida albicans)からなる群から選択される少なくとも1つの生長を阻害するものである、請求項1に記載の抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片をコードするポリヌクレオチド。
【請求項7】
前記抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片は、配列番号9~配列番号16からなる群から選択されるいずれかの配列でコードされるものである、請求項6に記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載の抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片を含む皮膚外用剤用担体。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか一項に記載の抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片を含む化粧料組成物。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に記載の抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片を含む医薬部外品組成物。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか一項に記載の抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片を含む皮膚外用剤用薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌(antimicrobial)ペプチド、その誘導体又はその断片、前記抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片をコードするポリヌクレオチド、前記抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片を含む皮膚外用剤用担体、化粧料組成物、医薬部外品組成物及び薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、パンデミック時代に対応すべく、優れた抗菌力を有する製品の需要が増加しており、抗菌製品に対する様々な試みが盛んに行われている。その努力の一環として、天然抗生剤についての研究、開発が行われている。
【0003】
具体的には、植物抽出物を有効成分として含む抗菌用組成物(特許文献1)などの天然由来の抗生剤が知られているが、抽出物などの天然物は粒子のサイズが相対的に大きく、一つの天然物のみで有意な効果を発揮することが困難であるので、新たな抗菌物質を開発する必要性が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2020-0017912号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Sambrook et al.,supra, 9.50-9.51, 11.7-11.8
【非特許文献2】Pearson et al (1988) [Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85]: 2444
【非特許文献3】Rice et al., 2000, Trends Genet. 16: 276-277
【非特許文献4】Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453
【非特許文献5】Devereux, J., et al, Nucleic Acids Research 12: 387 (1984)
【非特許文献6】Atschul, [S.] [F.,] [ET AL, J MOLEC BIOL 215]: 403 (1990)
【非特許文献7】Guide to Huge Computers, Martin J. Bishop, [ED.,] Academic Press, San Diego,1994
【非特許文献8】[CARILLO ETA/.](1988) SIAM J Applied Math 48: 1073
【非特許文献9】Smith and Waterman, Adv. Appl. Math (1981) 2:482
【非特許文献10】Schwartz and Dayhoff, eds., Atlas Of Protein Sequence And Structure, National Biomedical Research Foundation, pp. 353-358 (1979)
【非特許文献11】Gribskov et al(1986) Nucl. Acids Res. 14: 6745
【非特許文献12】J. Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory press, Cold Spring Harbor, New York, 1989
【非特許文献13】F.M. Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., New York
【非特許文献14】E. Kaiser et al. Anal. Biochem., 1970, 34(2), 595~598.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、本発明の抗菌ペプチドが他のペプチドに比べて抗菌効果に著しく優れることを確認し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、抗菌(antimicrobial)ペプチド、その誘導体又はその断片を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、前記抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片をコードするポリヌクレオチドを提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片を含む皮膚外用剤用担体を提供することを目的とする。
【0010】
さらに、本発明は、前記抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片を含む化粧料組成物を提供することを目的とする。
【0011】
さらに、本発明は、前記抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片を含む医薬部外品組成物を提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、前記抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片を含む薬学的組成物を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、他のペプチドに比べて、著しく向上した抗菌活性、及び低下した毒性を有するので、防腐剤、医薬品、化粧品などの業界における産業的活用を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】公知のペプチドと対比して配列番号1のペプチドの抗菌活性及び細胞毒性を確認した結果を示す図である。
図2】配列番号1のペプチドと対比して配列番号2のペプチドの抗菌活性及び細胞毒性を確認した結果を示す図である。
図3】配列番号2及び配列番号5~配列番号8のペプチドの抗菌活性及び細胞毒性を確認した結果を示す図である。
図4】配列番号2~配列番号4のペプチドの抗菌活性及び細胞毒性を確認した結果を示す図である。
図5】本発明の抗菌ペプチドの大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pneumonia aeruginosa)及びカンジダ菌(Candida albicans)に対する抗菌効果を確認した結果を示す図である。
図6】本発明の抗菌ペプチドの大腸菌に対する抗菌効果をSEM(scanning electron microscope, 走査型電子顕微鏡)により分析した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について具体的に説明する。なお、本発明で開示される一態様の説明及び実施形態は、共通事項について他の態様の説明及び実施形態にも適用される。また、本発明で開示される様々な要素のあらゆる組み合わせが本発明に含まれる。さらに、以下の具体的な記述に本発明が限定されるものではない。
【0016】
本発明の一態様は、配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌(antimicrobial)ペプチド、その誘導体又はその断片を提供する。
【0017】
本発明における「抗菌ペプチド」とは、抗微生物活性を有するペプチドを意味し、抗微生物活性は微生物の種類に限定されるものではないので、前記「抗菌」は抗バクテリア(antibacterial)、抗真菌(antifungal)及び抗生(antibiotic)と混用される。具体的には、本発明の抗菌ペプチドは、配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列を含むものであってもよく、抗微生物活性を有するものであれば、配列番号5~配列番号8のいずれかの誘導体、又はその断片を含むものであってもよい。
【0018】
前記抗菌ペプチドは、バクテリアなどの微生物から植物、昆虫、両生類、哺乳類、ヒトなどの様々な種において個体を保護するための内在免疫系(一次防御)により発現する物質であり、従来の抗生剤に比べて抗菌力に優れ、耐性がほとんどないという特性を有するが、抗菌ペプチドとして機能するものであれば、これらに限定されるものではない。
【0019】
また、本発明の抗菌ペプチドは、抗微生物(antimicrobial)活性を有するものであれば、構造などはいかなるものでもよく、前記微生物(microorganism)は、微生物のカテゴリーに含まれるものであればいかなるものでもよく、バクテリア(bacteria)、真菌(fungus)などが全て含まれ、その種類や由来などはいかなるものでもよい。
【0020】
具体的には、配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片は、大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pneumonia aeruginosa)及びカンジダ菌(Candida albicans)からなる群から選択される少なくとも1つの生長を阻害するものであるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本発明の一実施例において、配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌ペプチド及びその誘導体は、大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pneumonia aeruginosa)及び/又はカンジダ菌(Candida albicans)に対する抗菌活性を有することが確認された(実施例2)。
【0022】
本発明における「誘導体」とは、配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌ペプチドの誘導体を意味し、具体的には、配列番号5~配列番号8のアミノ酸配列に一部の官能基が付加されるか、一部のアミノ酸配列が欠失、改変、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するペプチドであるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
具体的には、本発明における誘導体は、配列番号1~配列番号4からなる群から選択される少なくとも1つであってもよく、配列番号5~配列番号8のアミノ酸配列からなる抗菌ペプチドと同様に抗菌ペプチドとして機能するものであってもよい。抗菌ペプチドについては前述した通りである。
【0024】
本発明の配列番号5~配列番号8のアミノ酸配列からなる抗菌ペプチド及びその誘導体は、化学式1の配列を有すると共に、抗菌活性を有するものであるが、これに限定されるものではない。
【0025】
[化1]
[X-X-Lys-Phe-X-X-Ile-Leu-X-Tyr-Leu-X
【0026】
化学式1において、X~Xは塩基性アミノ酸から選択され、アルギニン、リシン、ロイシン及びフェニルアラニンから選択される。配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌ペプチド及びその誘導体は、化学式1の配列を有するものであることが好ましく、本発明の誘導体は、配列番号1~配列番号4のアミノ酸配列からなるものであることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
配列番号1:HN-[Lys-Lys-Leu-Phe-Lys-Lys-Ile-Leu-Lys-Tyr-Leu-Lys]-CO
配列番号2:HN-[Arg-Arg-Leu-Phe-Arg-Arg-Ile-Leu-Arg-Tyr-Leu-Arg]-CO
配列番号3:HN-[Arg-Phe-Leu-Phe-Arg-Leu-Ile-Leu-Arg-Tyr-Leu-Arg]-CO
配列番号4:HN-[Arg-Arg-Leu-Phe-Arg-Leu-Ile-Leu-Arg-Tyr-Leu-Phe]-CO
配列番号5:HN-[Arg-Lys-Leu-Phe-Lys-Arg-Ile-Leu-Arg-Tyr-Leu-Lys]-CO
配列番号6:HN-[Lys-Arg-Leu-Phe-Arg-Lys-Ile-Leu-Lys-Tyr-Leu-Arg]-CO
配列番号7:HN-[Lys-Arg-Leu-Phe-Lys-Arg-Ile-Leu-Arg-Tyr-Leu-Lys]-CO
配列番号8:HN-[Arg-Lys-Leu-Phe-Arg-Lys-Ile-Leu-Lys-Tyr-Leu-Arg]-CO
【0027】
具体的には、前記誘導体は、配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌ペプチドのN末端から1番目、2番目、5番目、6番目、9番目及び12番目の位置からなる群から選択されるいずれかの位置に相当するアミノ酸が他の塩基性アミノ酸に置換されたものであってもよい。
【0028】
アミノ酸の置換は、一般に残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性及び/又は両親媒性(amphipathic nature)性質に基づいて発生し得る。具体的には、電荷を帯びた側鎖(electrically charged amino acid)を有するアミノ酸のうち正に荷電した(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン(Arginine; R)、リシン(Lysine; K)及びヒスチジン(Histidine; H)が挙げられ、負に荷電した(酸性)アミノ酸としては、グルタミン酸(Glutamate; E)及びアスパラギン酸(Aspartate; D)が挙げられ、電荷を帯びていない側鎖(uncharged amino acid)を有するアミノ酸のうち非極性アミノ酸(nonpolar amino acid)としては、グリシン(Glycine; G)、アラニン(Alanine; A)、バリン(Valine; V)、ロイシン(Leucine; L)、イソロイシン(Isoleucine; I)、メチオニン(Methionine; M)、フェニルアラニン(Phenylalanine; F)、トリプトファン(Tryptophan; W)及びプロリン(Proline; P)が挙げられ、極性(polar)又は親水性(hydrophilic)アミノ酸としては、セリン(Serine; S)、トレオニン(Threonine; T)、システイン(Cysteine; C)、チロシン(Tyrosine; Y)、アスパラギン(Asparagine; N)及びグルタミン(Glutamine; Q)が挙げられ、前記非極性アミノ酸のうち芳香族アミノ酸としては、フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンが挙げられる。
【0029】
本発明における「他の塩基性アミノ酸への置換」とは、置換前のアミノ酸とは異なる塩基性アミノ酸への置換であればいかなるものでもよい。すなわち、配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌ペプチドのN末端から1番目、2番目、5番目、6番目、9番目及び12番目の位置からなる群から選択されるいずれかの位置に存在する置換前のアミノ酸が他の塩基性アミノ酸に置換されたものであってもよく、具体的には、前記X、X、X、X、X及びXの位置からなる群から選択されるいずれかの位置に存在するアミノ酸が他の塩基性アミノ酸に置換されたものであってもよい。より具体的には、前記塩基性アミノ酸は、ヒスチジン、リシン及びアルギニンから選択されるものであってもよく、リシン又はアルギニンであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0030】
本発明の目的上、配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌ペプチドの誘導体は、配列番号1~配列番号4からなる群から選択される少なくとも1つであるが、これに限定されるものではない。
【0031】
本発明の一実施例において、配列番号5~配列番号8ペプチド及びその誘導体である、配列番号1~4のペプチドは、化学式1の構造を有すると共に、抗菌活性を有することが確認された(実施例2)。
【0032】
具体的には、本発明の一実施例において、化学式1のアミノ酸配列からなる抗菌ペプチド又はその誘導体は、抗菌活性に優れることが確認された。より具体的には、配列番号1、配列番号2及び配列番号5~配列番号8、さらに具体的には、配列番号5~配列番号8、特に具体的には、配列番号6のものが抗菌活性に著しく優れることが確認された(実施例1及び実施例2)。
【0033】
本発明における「断片」とは、特定配列を有するペプチドの一部の配列を意味し、配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌ペプチド又はその誘導体の一部の配列であってもよく、前記抗菌ペプチド又はその誘導体と同様に抗微生物活性を有するものであってもよい。
【0034】
配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片は、天然由来のものであるが、これに限定されるものではなく、前記抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片と同じ活性を有する配列であればいかなるものでもよい。
【0035】
本発明における抗菌ペプチドは、配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片と記載されていても、配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片のアミノ酸配列の前後への無意味な配列付加や、抗菌ペプチドとして同じ機能を維持するサイレント変異を除外するものではなく、配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片と同一又は相当する活性を有するものであれば本発明の抗菌ペプチドに含まれることは当業者にとって明らかであろう。具体例として、本発明の抗菌ペプチドは、配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌ペプチド、その誘導体、その断片、又はそれと80%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%以上の相同性もしくは同一性を有するアミノ酸配列からなるペプチドであってもよい。
【0036】
本発明に「特定配列番号で表されるアミノ酸配列を含むペプチド」、「特定配列番号で表されるアミノ酸配列からなるペプチド」又は「特定配列番号で表されるアミノ酸配列を有するペプチド」と記載されていても、当該配列番号のアミノ酸配列からなるペプチドと同一又は相当する活性を有するものであれば、一部の配列が欠失、改変、置換、保存的置換又は付加されたアミノ酸配列を有するペプチドであっても本発明に用いられることは言うまでもない。例えば、アミノ酸配列のN末端及び/又はC末端におけるペプチドの機能を変更しない配列の付加、自然に発生し得る突然変異、その非表現突然変異(silent mutation)又は保存的置換を有するものが挙げられる。
【0037】
前記「保存的置換(conservative substitution)」とは、あるアミノ酸が類似した構造的及び/又は化学的性質を有する他のアミノ酸に置換されることを意味する。このようなアミノ酸置換は、一般に残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性及び/又は両親媒性(amphipathic nature)における類似性に基づいて発生し得る。通常、保存的置換は、ペプチドの活性にほとんど又は全く影響を及ぼさない。
【0038】
本発明のペプチドは、固相に一定に結合されたアミノ酸骨格に少なくとも1つのアミノ酸又は適切に保護されたアミノ酸を連続させてアミド結合を形成する方法で作製することができるが、これに限定されるものではない。また、前記ペプチドは、安定性を大幅に低下させない範囲で他のアミノ酸の挿入、置換、欠失が可能であり、それらも本発明に含まれる。
【0039】
また、本発明のペプチドは、細胞内での移動を促進する細胞膜透過性ペプチド(cell permeable peptide)がC末端又はN末端に結合された形態で作製されてもよい。例えば、前記細胞膜透過性ペプチドとしては、TATペプチド(Arg-Lys-Lys-Arg-Arg-Tyr-Arg-Arg-Arg)及びTat-PTDペプチド(Gly-Arg-Lys-Lys-Arg-Arg-Gln-Arg-Arg-Arg:Tat PTD)が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明によるペプチドの活性を阻害しない範囲内のものであれば、当該技術分野で公知の細胞膜透過性ペプチドのいかなるものでも用いることができる。
【0040】
本発明のペプチド及び化合物は、金属錯体の形態に作製されてもよく、前記金属は、銅、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ニッケル、銀、ゲルマニウム、ガリウムから選択されるが、これらに限定されるものではなく、銅を用いるものが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0041】
なお、本発明のペプチドは、塩の形態で存在してもよい。本発明に用いられる塩の形態は、化合物の最終分離及び精製中に、又はアミノ基を適切な酸と反応させることにより形成されるものであってもよい。例えば、酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p-トルエンスルホン酸塩及びウンデカン酸塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、酸付加塩を形成するために用いられる酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸、及びシュウ酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸などの有機酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明のペプチドは、トリフルオロ酢酸塩又は酢酸塩の形態に作製することが好ましい。
【0042】
本発明の組成物に含まれるペプチドの作製のために用いられるアミノ酸のアミノ基又はカルボキシ基は、適切な保護基により保護されるようにしてもよい。保護されたアミノ酸は、固体支持体に付着するようにしてもよく、アミド結合を形成するのに適した条件下にて、次のアミノ酸を添加することにより、溶液中で反応が行われるようにしてもよい。また、保護基は、適切な保護基により保護されたアミノ酸を添加する前に、完全に除去されるようにしてもよい。全てのアミノ酸が目的に応じて連結されると、遊離した残留保護基及び遊離した固体支持体から連続して又は同時に分離し、最終目的のペプチドが得られる。
【0043】
本発明のペプチド化合物を作製するための最も好ましい合成方法としては、固相ポリマー支持体を利用して合成する固相ペプチド合成法が用いられ、上記方法により作製されたペプチドのα-アミノ基は、酸又は塩基感受性官能基により保護される。ここで、アミノ酸の保護基は、ペプチド縮合反応条件で安定した性質を示さなければならず、伸長するペプチド鎖が破壊されることなく、又はそれに含まれる任意のキラル中心がラセミ化することなく、容易に除去される性質を持たなければならない。よって、好ましい保護基としては、9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、t-ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、ビフェニルイソプロピルオキシカルボニル、t-アミルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、(α,α)-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、O-ニトロフェニルスルフェニル、2-シアノ-t-ブチルオキシカルボニルなどが挙げられ、上記目的のために当該技術分野で公知の好適な他の保護基も本発明に用いることができる。
【0044】
本発明のペプチド合成におけるアミノ酸の保護基としては、9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)保護基を用いることが最も好ましい。
【0045】
特に、本発明のペプチド合成において用いるアミノ酸残基の保護基は、N-メチルグルタミン酸においてはt-ブチル(t-Bu)であり、リシンにおいてはt-ブトキシカルボニル(Boc)であり、セリンにおいては7t-ブチル(t-Bu)であり、トレオニン及びアロトレオニンにおいてはt-ブチル(t-Bu)であり、システインにおいてはトリチル(Trt)であることが好ましいが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0046】
固相ペプチド合成法において、C末端アミノ酸は、適切な固体支持体又は樹脂に付着される。前記合成に有用な好ましい固体支持体としては、段階的な縮合脱保護反応の試薬及び反応条件に不活性であり、用いる媒質に不溶性の物質が好ましく、例えば2-クロロトリチルクロリド樹脂(2-chlorotrityl chloride resin)、リンクアミド(rink amid)又はリンクアミド4-メチルベンジルヒドリルアミン樹脂(rink amid MBHA resin)が挙げられる。
【0047】
特に、C末端ペプチドに好ましい固体支持体は、Novabiochem Corporationから市販されている2-クロロトリチルクロリド、リンクアミド(rink amid)又はリンクアミド4-メチルベンジルヒドリルアミン樹脂(rink amid MBHA resin)である。
【0048】
C末端アミド(amide)は、ジクロロメタン、N-メチルピロリドン(NMP)、DMFなどの溶媒中において、10℃~50℃の温度で、好ましくは30℃の温度条件で、1~24時間かけて、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、N-メチルモルホリン(NMM)、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)又はビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィンクロリド(BOPCI)の存在又は不在下で、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、[O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート](HATU)又はO-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)にカルボン酸を活性化させ、縮合により樹脂又は固体支持体に縮合(結合,カップリング)することができる。
【0049】
固体支持体がリンクアミド4-メチルベンジルヒドリルアミン樹脂である場合、好ましい保護基であるFmoc官能基は、C末端アミノ酸との縮合の前に、第2級アミン溶液、好ましくは20%ピぺリジンDMF溶液を過剰量用いて切断される。前述したように脱保護した4-(2’,4’-ジメトキシフェニル-Fmoc-アミノメチル)フェノキシアセトアミドエチル樹脂に目的とするアミノ酸を縮合させるのに用いる好ましい試薬としては、適切に保護されたアミノ酸にDMF溶媒中で用いるN-メチルモルホリン(NMM)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート](HATU)、O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)などの縮合反応試薬である。
【0050】
本発明において行う連続的なアミノ酸の縮合は、関連技術分野において周知の自動ペプチド合成機を用いてもよく、手動で直接行ってもよい。好ましい合成反応の条件は、Fmoc基で保護されたα-アミノ酸を第2級アミン溶液、好ましくはピぺリジンで処理して脱保護し、その後十分な過剰量の溶媒で洗浄し、次に縮合しようとする他の保護された各アミノ酸を3~7倍モルの過剰量で添加し、好ましくはDMF溶媒中で反応を行うものである。
【0051】
本発明の固相樹脂を用いたペプチド合成の最後のステップにおいては、連続して又は1回の操作で樹脂から得ようとするペプチドを除去し、各アミノ酸の残基を保護している保護基を脱保護してもよい。樹脂からのペプチドの除去、及び残基に存在する保護基の脱保護は、一般に樹脂とペプチド間の結合を切断する切断試薬カクテル、例えばトリフルオロ酢酸(TFA)、トリイソプロピルシラン(TIS)、チオアニソール、水、エタンジチオール(EDT)などで構成されるジクロロメタン混合カクテル溶液で処理して行うものとする。このようにして得られた混合溶液は、冷蔵保管しておいた過剰量のジエチルエーテル溶媒で処理することにより、沈殿物を生成させる。このようにして得られた沈殿物を遠心分離して完全に沈殿させ、過剰量のトリフルオロ酢酸、トリイソプロピルシラン、チオアニソール、水、エタンジチオールなどを一次除去し、この手順を2回以上繰り返すと、固形化した沈殿物が得られる。ここで、完全に脱保護したペプチド塩は、水とアセトニトリル溶媒で構成される混合溶媒及び逆相高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分離精製する。分離精製したペプチド溶液を凍結乾燥させて完全に濃縮乾燥させることにより、固形のペプチドが得られる。
【0052】
本発明の他の態様は、配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌(antimicrobial)ペプチド、その誘導体又はその断片をコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0053】
配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列、抗菌ペプチド、誘導体及び断片については前述した通りである。
【0054】
具体的には、配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌ペプチドは、化学式1の配列からなるものであり、前記誘導体は、配列番号1~配列番号4からなる群から選択されるいずれかの配列からなるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
また、前記抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片は、配列番号9~配列番号16からなる群から選択されるいずれかの配列でコードされるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
本発明において、配列番号5~配列番号8のアミノ酸配列又はその誘導体は、例えば配列番号9~配列番号16の塩基配列(nucleic acid sequence)を含むポリヌクレオチドによりコードされるものであってもよい。
【0057】
本発明における「ポリヌクレオチド」とは、ヌクレオチド単量体(monomer)が共有結合により長く鎖状につながったヌクレオチドの重合体(polymer)であって、所定の長さより長いDNA又はRNA鎖を意味する。本発明における前記ポリヌクレオチドは、配列番号5~配列番号8のアミノ酸配列を有する抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片の活性を示すペプチドをコードするものであるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
前記ポリヌクレオチドは、本発明による抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片の活性を有するペプチドをコードするポリヌクレオチドであればいかなるものでもよい。
【0059】
具体的には、前記抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片の活性を示すペプチドをコードするポリヌクレオチドは、化学式1、前記抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片で表されるアミノ酸をコードする塩基配列を含んでもよい。前記ポリヌクレオチドは、コドンの縮退(degeneracy)により、又は前記ペプチドを発現させようとする生物において好まれるコドンを考慮して、ペプチドのアミノ酸配列が変化しない範囲でコード領域に様々な改変を行うことができる。前記ポリヌクレオチドは、例えば配列番号9~配列番号16の塩基配列を含むものであるか、それと相同性又は同一性が80%、具体的には90%以上、より具体的には95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、さらに具体的には99%以上の塩基配列からなるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
また、本発明のポリヌクレオチドは、プローブ、例えば前記塩基配列の全部又は一部に対する相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることにより、配列番号5~配列番号8、その誘導体又はその断片のアミノ酸配列をコードする配列であればいかなるものでもよい。前記「ストリンジェントな条件(stringent condition)」とは、ポリヌクレオチド間の特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件を意味する。このような条件は、文献(例えば、J.Sambrook et al.)に具体的に記載されている。例えば、相同性もしくは同一性の高いポリヌクレオチド同士、40%以上、具体的には90%以上、より具体的には95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、さらに具体的には99%以上の相同性もしくは同一性を有するポリヌクレオチド同士をハイブリダイズし、それより相同性もしくは同一性の低いポリヌクレオチド同士をハイブリダイズしない条件、又は通常のサザンハイブリダイゼーション(southern hybridization)の洗浄条件である60℃、1×SSC、0.1%SDS、具体的には60℃、0.1×SSC、0.1%SDS、より具体的には68℃、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度及び温度において、1回、具体的には2回~3回洗浄する条件が挙げられる。
【0061】
ハイブリダイゼーションは、たとえハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに応じて塩基間のミスマッチ(mismatch)が可能であっても、2つの核酸が相補的配列を有することが求められる。「相補的」とは、互いにハイブリダイゼーションが可能なヌクレオチド塩基間の関係を表すために用いられるものである。例えば、DNAにおいて、アデニンはチミンに相補的であり、シトシンはグアニンに相補的である。よって、本発明のポリヌクレオチドには、実質的に類似する核酸配列だけでなく、全配列に相補的な単離された核酸フラグメントが含まれてもよい。
【0062】
具体的には、相同性又は同一性を有するポリヌクレオチドは、55℃のTm値でハイブリダイゼーションステップが行われるハイブリダイゼーション条件と前述した条件を用いて検出することができる。また、前記Tm値は、60℃、63℃又は65℃であってもよいが、これらに限定されるものではなく、その目的に応じて当業者により適宜調節される。
【0063】
ポリヌクレオチドをハイブリダイズする適切なストリンジェンシーはポリヌクレオチドの長さ及び相補性の程度に依存し、変数は当該技術分野で公知である(非特許文献1参照)。
【0064】
本発明における「相同性(homology)」又は「同一性(identity)」とは、2つの与えられたアミノ酸配列又は塩基配列が関連する程度を意味し、百分率で表される。相同性及び同一性は、しばしば互換的に用いられる。
【0065】
保存されている(conserved)ポリヌクレオチド又はペプチドの配列相同性又は同一性は標準配列アルゴリズムにより決定され、用いられるプログラムにより確立されたデフォルトギャップペナルティが共に用いられてもよい。実質的には、相同性を有するか(homologous)又は同じ(identical)配列は、中程度又は高いストリンジェントな条件(stringent conditions)下において、一般に配列全体又は全長の少なくとも約50%、60%、70%、80%又は90%以上とハイブリダイズする。ハイブリダイゼーションには、ポリヌクレオチドにおいて一般のコドン又はコドン縮退を考慮したコドンを有するポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションも含まれることは言うまでもない。
【0066】
任意の2つのポリヌクレオチド又はペプチド配列が相同性、類似性又は同一性を有するか否かは、例えば非特許文献2のようなデフォルトパラメーターと「FASTA」プログラムなどの公知のコンピュータアルゴリズムを用いて決定することができる。あるいは、EMBOSSパッケージのニードルマンプログラム(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, 非特許文献3)(バージョン5.0.0又はそれ以降のバージョン)で行われるように、ニードルマン=ウンシュ(Needleman-Wunsch)アルゴリズム(非特許文献4)を用いて決定することができる(GCGプログラムパッケージ(非特許文献5)、BLASTP、BLASTN、FASTA(非特許文献6、7及び8)を含む)。例えば、国立生物工学情報センターのBLAST又はClustal Wを用いて相同性、類似性又は同一性を決定することができる。
【0067】
ポリヌクレオチド又はペプチドの相同性、類似性又は同一性は、例えば非特許文献9に開示されているように、非特許文献4などのGAPコンピュータプログラムを用いて、配列情報を比較することにより決定することができる。要約すると、GAPプログラムは、2つの配列のうち短いものにおける記号の総数で、類似する配列記号(すなわち、ヌクレオチド又はアミノ酸)の数を割った値と定義している。GAPプログラムのためのデフォルトパラメーターは、(1)二進法比較マトリックス(同一性は1、非同一性のは0の値をとる)及び非特許文献10に開示されているように、非特許文献11の加重比較マトリックス(又はEDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックス)と、(2)各ギャップに3.0のペナルティ、及び各ギャップの各記号に追加の0.10ペナルティ(又はギャップオープンペナルティ10、ギャップ延長ペナルティ0.5)と、(3)末端ギャップに無ペナルティとを含む。
【0068】
また、任意の2つのポリヌクレオチド又はペプチド配列が相同性、類似性又は同一性を有するか否かは、定義されたストリンジェントな条件下にてサザンハイブリダイゼーション実験で配列を比較することにより確認することができ、定義される適切なハイブリダイゼーション条件は当該技術の範囲内であり、当業者に周知の方法(例えば、非特許文献12、13)で決定される。
【0069】
本発明のさらに他の態様は、配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌(antimicrobial)ペプチド、その誘導体又はその断片を含む皮膚外用剤用担体を提供する。
【0070】
配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列、抗菌ペプチド、誘導体及び断片については前述した通りである。
【0071】
本発明における「担体」とは、組成物をはじめとする任意の物質又は成分を担持するものを意味し、担持体、含浸材、媒介体などと混用される。また、前記担体の例としての組成物は、手、パフ、チップ、ブラシなどの塗布手段で皮膚に塗布及び送達するものであってもよい。
【0072】
さらに、前記担体は、化粧料組成物、薬学的組成物、医薬部外品組成物などに含まれるものであるが、これらに限定されるものではなく、本発明の目的上、前記担体は、配列番号5~配列番号8のアミノ酸配列からなる抗菌(antimicrobial)ペプチド、その誘導体又はその断片を含むものである。
【0073】
本発明における「皮膚外用剤」とは、皮膚に塗布する剤形を意味する。本発明において、外用剤は、皮膚に塗布する剤形であればいかなる形状であってもよく、外用剤は、さらに軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤などに分類されるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
具体的には、前記軟膏剤は、皮膚に塗布する主成分を基剤に溶解又は分散させた半固形の外用剤である。基剤は、成分によって油脂性軟膏剤と水溶性軟膏剤に分けられる。油脂性基剤を用いる軟膏剤は、皮膚軟化作用を有し、密封性に優れ、傷への適用に適するが、除去が容易でないという欠点がある。皮膚に類似する脂溶性性質及び皮膚軟化作用を有するので、皮膚透過が困難な成分を局所的に透過させるのに有利な剤形である。
【0075】
前記軟膏は、主に油などの油相で形成されており、保湿に優れ、脂溶性成分の透過に好ましいが、粘りがあるという欠点があり、前記クリームは、油中水型に乳化した半固形の外用剤であり、油相と水相を混合することにより軟膏の粘りを改善した剤形である。乳化過程として、油相と水相を混合するために、界面活性剤により又は特別な工程を経て混合する。また、クリームは、軟膏剤に比べて塗布及び除去が容易な剤形であり、ローションは、クリームより水に類似した性質を有する剤形であり、主成分を水性液剤に溶解させるか、乳化させるか、又は微細に分散させた外用剤である。主成分、添加剤、精製水などを用いて溶液、懸濁液又は乳濁液とし、全体を均質化したものである。前記ゲル剤は、液体を浸透させた、分子量の大きな有機分子からなる半固形状の外用剤である。水相にゲル化剤を分散させたものであってもよく、カルボマーや合成高分子などのゲル化剤を用いることができる。溶剤は、有効成分、使用目的、使用方法などに応じて様々な種類が用いられ、本発明の外用剤がこれらに限定されるものではない。
【0076】
本発明のさらに他の態様は、配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌(antimicrobial)ペプチド、その誘導体又はその断片を含む化粧料組成物を提供する。
【0077】
配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列、抗菌ペプチド、誘導体及び断片については前述した通りである。
【0078】
本発明において、化粧料組成物は、溶液、外用軟膏、クリーム、フォーム、栄養化粧水、柔軟化粧水、香水、パック、柔軟水、乳液、メイクアップベース、エッセンス、石鹸、液体洗浄料、入浴剤、サンスクリーンクリーム、サンオイル、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、ローション、パウダー、界面活性剤含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション、パッチ及びスプレーからなる群から選択される剤形に製造することができるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
本発明の化粧料組成物は、一般の皮膚化粧料に配合される化粧品学的に許容される担体を1種以上さらに含んでもよく、通常の成分として、例えば油分、水、界面活性剤、保湿剤、低級アルコール、増粘剤、キレート剤、色素、防腐剤、香料などを適宜配合してもよいが、これらに限定されるものではない。
【0080】
本発明の化粧料組成物に含まれる化粧品学的に許容される担体は、前記化粧料組成物の剤形によって様々である。
【0081】
本発明の剤形が軟膏、ペースト、クリーム又はゲルの場合は、担体成分として、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルク、酸化亜鉛などが用いられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0082】
本発明の剤形がパウダー又はスプレーの場合は、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ポリアミドパウダーなどが用いられ、特にスプレーの場合は、ハイドロクロロフルオロカーボン、プロパン/ブタン又はジメチルエーテルなどの推進剤がさらに含まれるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0083】
本発明の剤形が溶液又は乳濁液の場合は、担体成分として、溶媒、可溶化剤、乳濁化剤などが用いられ、例えば水、グリセリン、エタノール、イソプロパノール、炭酸ジエチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイルなどが用いられ、特に綿実油、ピーナッツオイル、トウモロコシ胚種油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、グリセリン脂肪族エステル、ポリエチレングリコール又はソルビタンの脂肪酸エステルが用いられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0084】
本発明の剤形が懸濁液の場合は、担体成分として、水、グリセリン、エタノール、プロピレングリコールなどの液状の希釈剤や、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステルなどの懸濁剤や、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、アガー、トラガカントなどが用いられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0085】
本発明の剤形が石鹸の場合は、担体成分として、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸ヘミエステル塩、脂肪酸タンパク質加水分解物、イセチオン酸塩、ラノリン誘導体、脂肪族アルコール、植物性油、グリセリン、糖などが用いられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0086】
本発明のさらに他の態様は、配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌(antimicrobial)ペプチド、その誘導体又はその断片を含む医薬部外品組成物を提供する。
【0087】
配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列、抗菌ペプチド、誘導体及び断片については前述した通りである。
【0088】
本発明における「医薬部外品」とは、ヒトや動物の疾病を診断、治療、改善、軽減、処置又は予防する目的で用いる物品のうち医薬品より作用が軽微な物品を意味し、例えば、薬事法によれば、医薬部外品とは、医薬品の用途に用いる物品を除くものを意味し、ヒト・動物の疾病治療や予防に用いる製品、人体に対する作用が軽微であるか、又は直接作用しない製品などが挙げられる。
【0089】
本発明の前記医薬部外品組成物は、ボディクレンザー、フォーム、石鹸、マスク、軟膏剤、クリーム、ローション、エッセンス及びスプレーからなる群から選択される剤形に製造することができるが、これらに限定されるものではない。
【0090】
本発明の化粧料組成物又は医薬部外品組成物において、配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片は、組成物全体に対して0.01重量%~100.0重量%、0.1重量%~10重量%含まれてもよい。
【0091】
本発明のさらに他の態様は、配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌(antimicrobial)ペプチド、その誘導体又はその断片を含む皮膚外用剤用薬学的組成物を提供する。
【0092】
配列番号5~配列番号8のいずれかのアミノ酸配列、抗菌ペプチド、誘導体、断片及び皮膚外用剤については前述した通りである。
【0093】
本発明の薬学的組成物は、配列番号5~配列番号8のアミノ酸配列からなる抗菌(antimicrobial)ペプチド、その誘導体又はその断片を含むことに加えて、薬学的に許容される担体をさらに含んでもよい。
【0094】
本発明における前記「薬学的に許容される」ものとは、それを投与する際に生物体を刺激することなく、投与される化合物の生物学的活性及び特性を損なわず、薬学分野で通常用いられるものを意味する。本発明の前記薬学的組成物は、前記担体と共に製剤化されて食品、医薬品、飼料添加剤、飲料水添加剤などとして活用される。
【0095】
前記担体の種類は特に限定されるものではなく、当該技術分野で通常用いられる担体であれば、いかなるものでも用いることができる。前記担体としては、例えば食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、マルトデキストリン、グリセリン、エタノールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0096】
また、本発明の前記薬学的組成物は、必要に応じて、賦形剤、希釈剤、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤などの他の薬学的に許容される添加剤を添加して用いてもよく、充填剤、増量剤、湿潤剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、結合剤、滑沢剤などをさらに添加して用いてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0097】
本発明の前記薬学的組成物は、皮膚外用剤に適した様々な剤形に製剤化して用いることができる。
【0098】
前記皮膚外用剤としては、例えばエアゾール剤、スプレー剤、洗浄剤、軟膏、塗布用パウダー、オイル、クリームなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、皮膚外用剤として機能するものであればいかなるものでもよい。
【0099】
本発明の前記薬学的組成物を皮膚外用剤用に製剤化するために、滅菌水溶液剤、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、外用剤などが用いられ、前記非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物性油、オレイン酸エチルなどのエステルなどが用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
また、より具体的には、本発明の前記薬学的組成物を製剤化する場合は、本発明の薬学的組成物を安定剤又は緩衝剤と共に水に混合して溶液又は懸濁液とし、それをアンプル(ampoule)などの単位に製剤化する。さらに、本発明の前記薬学的組成物をエアゾール剤に製剤化する場合は、水分散した濃縮物又は湿潤粉末を噴射するための推進剤などを添加剤と共に配合するが、これらに限定されるものではない。
【0101】
さらに、本発明の前記薬学的組成物を軟膏、クリームなどに製剤化する場合は、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルク、酸化亜鉛などを担体として用いて製剤化するが、これらに限定されるものではない。
【0102】
本発明の前記薬学的組成物は、皮膚外用剤用に製剤化され、ゲル、パッチ、噴霧剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤、パスタ剤及びカタプラズマ剤からなる群から選択される剤形を有することがより好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0103】
本発明の前記薬学的組成物の薬学的有効量、外用剤のための有効投与量は、前記薬学的組成物の製剤化方法、投与方法、投与時間及び/又は投与経路などにより異なり、前記薬学組成物の投与で達成しようとする反応の種類と程度、投与対象となる個体の種類、年齢、体重、一般的な健康状態、疾病の症状や程度、性別、食餌、排泄、当該個体に同時又は異時に共に用いられる薬物、その他組成物の成分などをはじめとする様々な因子、及び医薬分野で周知の類似の因子に応じて異なり、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、目的とする治療に効果的な投与量を容易に決定、処方することができる。本発明の前記薬学的組成物の投与は、1日1回投与してもよく、数回に分けて投与してもよい。よって、前記投与量は、いかなる面においても本発明を限定するものではない。
【0104】
また、本発明における投与は外用剤としての投与であり、本発明の前記薬学的組成物の投与量は1日1mg/kg~1,000mg/kgであることが好ましい。
【0105】
本発明の前記薬学的組成物の投与経路及び投与方法は、それぞれ独立したものであってもよく、その方法が特に限定されるものではなく、目的とする当該部位に前記薬学的組成物を送達できるものであれば、任意の投与経路及び投与方法を用いることができる。前記薬学的組成物は、皮膚外用剤として投与してもよい。具体的には、前記組成物を疾患部位に塗布又は噴霧する方法が用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0106】
本発明の前記薬学的組成物は、塗布又は噴霧する方法で投与することが好ましく、具体的には、皮膚状態を改善する必要のある部位や、皮膚疾患を予防、改善又は治療する必要のある部位に局所的に塗布する方法で投与する。
【0107】
本発明のさらに他の態様は、本発明の抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片の抗菌への使用を提供する。
【0108】
前記抗菌とは、抗微生物活性を意味し、抗微生物活性は微生物の種類に限定されるものではないので、前記「抗菌」は抗バクテリア(antibacterial)、抗真菌(antifungal)及び抗生(antibiotic)と混用される。
【0109】
前記抗菌ペプチド、誘導体及び断片については前述した通りである。
【0110】
本発明のさらに他の態様は、本発明の抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片で対象を処理するステップを含む抗菌方法を提供する。
【0111】
前記対象は、抗菌を必要し、抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片で処理する対象であればいかなるものでもよく、前記処理は、噴霧、塗布などであり、抗菌を必要とし、抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片を対象に接触させるものであればいかなるものでもよい。前記抗菌ペプチド、誘導体及び断片については前述した通りである。
【実施例
【0112】
以下、実施例及び実験例を挙げて本発明をより詳細に説明する。しかし、これらの実施例及び実験例は本発明を例示するものにすぎず、本発明がこれらの実施例及び実験例に限定されるものではない。
【0113】
製造例1:抗菌ペプチドの作製
抗菌ペプチドの機能を確認するために、配列番号5~配列番号8及びその誘導体ペプチドを作製した。
【0114】
1-1:配列番号1のペプチド合成
本発明に用いるアミノ酸の略語及び名称は次の通りである。
Phe:フェニルアラニン/Ile:イソロイシン/Lys:リシン/Leu:ロイシン/Arg:アルギニン/Tyr:チロシン
【0115】
Novabiochem corporationから購入した2-chlorotrityl chloride resin(1.4mmol/gでローディングした樹脂)を71.4mg(0.10mmol)秤量し、樹脂を7.5mlの塩化メチル(methylchloride)溶媒に5分間反応させ、その後塩化メチルを除去した。
【0116】
その後、Fmoc-Lys(Boc)-OH(281.1mg,0.60mmol)を7.5mlのMC溶媒に完全に溶解し、次いでN,N’-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(0.21ml,1.2mmol)を入れて樹脂に添加した。反応液を室温で12時間攪拌(shaking)し、その後10mlのDMF溶媒で4回洗浄した。
【0117】
次に、20%(w/v)ピぺリジン(piperidine)DMF溶液を7.5ml添加して15分間攪拌(shaking)し、前述した樹脂に添加した物質から9-フルオレニルメトキシカルボニル(9-fluorenylmethyloxycarbonyl; Fmoc)保護基を完全に除去し、10mlのDMF溶媒を用いて4回洗浄した(10mlずつ4回洗浄)。このステップにおいて、Kaiser test[非特許文献14]を行ってFmoc保護基の脱保護反応の有無を確認した。
【0118】
一方、Fmoc-Leu-OH(212.0mg,0.60mmol)、ヘキサフルオロホスファートベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(hexafluorophosphate benzotriazole tetramethyluronium; HBTU)(227.6mg,0.60mmol)、及びヒドロキシベンゾトリアゾール(hydroxybenzotriazole; HOBt)(81.0mg,0.6mmol)を7.5mlのDMF溶媒に完全に溶解し、その後DIPEA(0.21ml,1.2mmol)を入れて前述した樹脂に添加した。反応液を常温で3時間攪拌(shaking)し、その後10mlずつDMF溶媒で4回洗浄した。このステップにおいて、Kaiser testを行って反応終了を確認した。
【0119】
次に、次の合成周期で連続してペプチドを縮合(カップリング)させた。
(1)DMF溶媒(10ml)での4回の洗浄
(2)20%(w/v)ピぺリジンDMF溶液(7.5ml)を用いた15分間の脱保護
(3)DMF溶媒(10ml)での4回の洗浄
(4)Fmoc-アミノ酸、HBTU、HOBt、DIPEAの添加
(5)HBTU、HOBt、DIPEA縮合試薬の添加とアミノ酸の活性化及び3時間の縮合
(6)DMF溶媒(10ml)での4回の洗浄
【0120】
(1)~(6)を継続して繰り返した。ここで、Fmoc-Leu-OH以降のFmoc保護アミノ酸(0.60mmol)は、次の順序で樹脂反応容器に添加して縮合させた。
(i)Fmoc-Tyr(tBu)-OH
(ii)Fmoc-Lys(Boc)-OH
(iii)Fmoc-Leu-OH
(iv)Fmoc-Ile-OH
(v)Fmoc-Lys(Boc)-OH
(vi)Fmoc-Lys(Boc)-OH
(vii)Fmoc-Phe-OH
(viii)Fmoc-Leu-OH
(ix)Fmoc-Lys(Boc)-OH
(x)Fmoc-Lys(Boc)-OH
【0121】
Fmoc-Lys(Boc)-OH縮合後の(6)以降においては、最後に、20%ピぺリジンDMF溶液(7.5ml)で処理し、次いで10mlずつ、DMF溶媒で3回、MC溶媒で3回、ジエチルエーテル溶媒で3回洗浄した。
【0122】
これらの合成終了後、直ちに、ペプチドが縮合した樹脂において、3時間かけて、トリフルオロ酢酸/トリイソプロピルシラン/水(95:2.5:2.5)の混合物(10ml)を用いて、樹脂からペプチドを切断した。このようにして得られた混合溶液を冷蔵保管されたジエチルエーテル溶媒100mlで処理することにより、沈殿物を生成させた。得られた沈殿物を遠心分離して完全に沈殿させ、トリフルオロ酢酸で1次除去し、以上の手順(ジエチルエーテル溶媒を100ml添加して沈殿物を洗浄し、遠心分離するステップ-1次除去を試みたトリフルオロ酢酸を除去する作業)を2回繰り返すことにより、固形化した沈殿物を得た。
【0123】
前記沈殿物(ペプチド)は、C-18カラムで50分間かけて、0.001%トリフルオロ酢酸を含有する5%~100%のアセトニトリル/水濃度勾配溶媒システムを用いるHPLCで精製した。純粋精製した分画物を凍結乾燥させ、白色粉末型のトリフルオロ酢酸塩として配列番号1の抗菌ペプチド155mgを得た。
配列番号1:HN-[Lys-Lys-Leu-Phe-Lys-Lys-Ile-Leu-Lys-Tyr-Leu-Lys]-CO
MS(ESI)m/e,[M+H]+=1550.17;(155mg)
【0124】
1-2:配列番号2~配列番号8の合成
製造例1-1と同様の作製過程を用いるが、Fmoc保護アミノ酸の順序を変更し、次の配列番号2~配列番号8のペプチドを作製した。
配列番号2:HN-[Arg-Arg-Leu-Phe-Arg-Arg-Ile-Leu-Arg-Tyr-Leu-Arg]-CO
MS(ESI)m/e,[M+H]+=1718.23;(171mg)
配列番号3:HN-[Arg-Phe-Leu-Phe-Arg-Leu-Ile-Leu-Arg-Tyr-Leu-Arg]-CO
MS(ESI)m/e,[M+H]+=1666.18;(166mg)
配列番号4:HN-[Arg-Arg-Leu-Phe-Arg-Leu-Ile-Leu-Arg-Tyr-Leu-Phe]-CO
MS(ESI)m/e,[M+H]+=1666.18;(166mg)
配列番号5:HN-[Arg-Lys-Leu-Phe-Lys-Arg-Ile-Leu-Arg-Tyr-Leu-Lys]-CO
MS(ESI)m/e,[M+H]+=1634.2;(153mg)
配列番号6:HN-[Lys-Arg-Leu-Phe-Arg-Lys-Ile-Leu-Lys-Tyr-Leu-Arg]-CO
MS(ESI)m/e,[M+H]+=1634.2;(143mg)
配列番号7:HN-[Lys-Arg-Leu-Phe-Lys-Arg-Ile-Leu-Arg-Tyr-Leu-Lys]-CO
MS(ESI)m/e,[M+H]+=1634.2;(132mg)
配列番号8:HN-[Arg-Lys-Leu-Phe-Arg-Lys-Ile-Leu-Lys-Tyr-Leu-Arg]-CO
MS(ESI)m/e,[M+H]+=1634.2;(172mg)
【実施例1】
【0125】
配列番号5~配列番号8及びその誘導体の抗菌活性及び細胞毒性評価
本発明の抗菌ペプチドとしての機能を確認するために、抗菌活性及び細胞毒性を評価した。本発明の配列番号5~配列番号8から選択されるいずれかのアミノ酸配列からなる抗菌ペプチド及びその誘導体である配列番号1~配列番号4の抗菌活性及び細胞毒性を評価した。
【0126】
具体的には、抗菌活性を評価するために、大腸菌(Escherichia coli)に対する抗菌活性を測定すると共に、大腸菌を抗菌ペプチドで処理して細胞の生存率を測定し、その後比較した。
【0127】
また、抗菌ペプチドとして機能するためには、微生物の生存のみ阻害し、細胞毒性は最小限に抑えなければならないので、ヒト角質細胞を抗菌ペプチドで処理して細胞の生存率を測定することにより、ヒト角質細胞に対する細胞毒性も共に評価した。
【0128】
抗菌活性の評価方法
本実験に用いる大腸菌は、韓国生命工学研究院生物資源センター(KTCC)から分譲されたものをLB培地で培養し、ヒト角質細胞(HaCaT)は、ATCC(American Type Culture Collection, USA)から購入し、10%fetal bovine serum(FBS, Gibco, USA)及び1%antibiotic-antimycotic(Gibco, USA)を含むDulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM, Gibco, USA)を用いて、37℃の5%CO2 incubatorで培養した。
【0129】
抗菌ペプチドに対する抗菌活性効果を実験するために、大腸菌をLB培地で8時間程度培養し、その後培養した菌を96well plateに分注した。各wellに各濃度の抗菌ペプチド試料を入れ、37℃で24時間培養し、その後マイクロプレートリーダーを用いて600nmで吸光度を測定し、試料で処理していない群と比較して百分率(%)で示した。
【0130】
ヒト角質細胞に対する細胞毒性評価
抗菌ペプチドに対するHaCaT細胞の生存率を調べるために、MTT assayを行った。HaCaT細胞を96-well plateに2×10cells/mlで24時間培養し、その後各濃度の試料で処理し、さらに24時間培養した。培養した培地を除去し、MTT溶液(0.5mg/ml in PBS)で処理した。4時間後に、MTT溶液を除去し、DMSOを各wellに加え、37℃で30分間かけてformazanを溶解し、その後マイクロプレートリーダー(Molecular Devices Spectra MAX, Sunnyvale, CA, USA)を用いて570nmで吸光度を測定した。全ての実験は各濃度毎に3つのwellの平均値をとって統計処理し、試料無処理群と比較して相対的な生存率(%)で示した。
【0131】
1-1:配列番号1の抗菌ペプチドの抗菌活性及び細胞毒性評価
前述した配列番号1~配列番号8のペプチドのうち、優先的に配列番号1の抗菌ペプチドの抗菌活性及び細胞毒性を測定し、配列番号1と公知の抗菌ペプチドの抗菌活性及び細胞毒性を比較分析した。本実施例に用いる抗菌ペプチドの配列は次の通りである。
・公知のペプチド配列(BP-100):KKLFK KILKY L
【0132】
大腸菌に対する抗菌活性評価の結果、公知のペプチドに比べて、配列番号1のペプチドの抗菌活性が著しく優れることが確認された(図1のA)。それだけでなく、ヒト角質細胞に対する毒性レベルは、配列番号1のペプチドが公知のペプチドと同等のレベルを維持することが確認された(図1のB)。
【0133】
これらの結果から、配列番号1は、公知のペプチド配列に1つのアミノ酸が付加されたものであるにもかかわらず、公知のペプチドに比べて、抗菌ペプチドとして顕著な効果を有することが確認された。
【0134】
1-2:配列番号2の抗菌ペプチドの抗菌活性及び細胞毒性評価
配列番号1及び配列番号2の抗菌活性及び細胞毒性を比較分析した。
【0135】
大腸菌に対する抗菌活性評価の結果、配列番号2のペプチドに比べて、配列番号1のペプチドの抗菌活性が著しく優れることが確認された(図2のA)。それだけでなく、ヒト角質細胞に対する毒性レベルは、配列番号1のペプチドが公知のペプチドと同等のレベルを維持することが確認された(図2のB)。
【0136】
これらの結果から、配列番号2は、抗菌ペプチドとして顕著な効果を有することが確認された。
【0137】
1-3:配列番号5~配列番号8の抗菌ペプチドの抗菌活性及び細胞毒性評価
配列番号5~配列番号8の抗菌活性及び細胞毒性を比較分析した。
【0138】
大腸菌に対する抗菌活性評価のために、実施例1-1、並びに実施例1-1で行った実験以外に、さらにMIC(Minimum inhibitory concentration)及びIC50の測定を行った。
【0139】
具体的には、実験方法としては、抗菌活性効果実験を用い、実験結果に対するMIC及びIC50値は、それぞれ最小発育阻止濃度及び50%発育阻止濃度を吸光度O.D値で評価して算出した。
【0140】
その結果、配列番号5~配列番号8のペプチドの抗菌活性は、配列番号2のペプチドに比べても優れることが確認された。とりわけ、配列番号6及び配列番号8のペプチドの抗菌活性が最も優れ、次に配列番号5及び配列番号7のペプチドの抗菌活性が優れることが確認された(図3のA及び表1)。
【0141】
また、ヒト角質細胞に対する毒性レベルは、配列番号5~配列番号8のペプチドが公知のペプチドに比べて著しく低いだけでなく、配列番号2のペプチドに比べても低いことが確認された(図3のB)。
【0142】
これらの結果から、配列番号5~配列番号8、特に配列番号6及び配列番号8のペプチドは、配列番号1のペプチドに比べて、抗菌活性が大幅に向上し、細胞毒性が大幅に低下するので、抗菌ペプチドとして顕著な効果を有することが確認された。
【0143】
【表1】
【0144】
比較例:配列番号3及び配列番号4のペプチドの抗菌活性及び細胞毒性評価
類似するサイズ及び配列を有するペプチドが全て同様の抗菌活性を有するか否かを評価するために、配列番号2と比較して、配列番号3及び配列番号4の抗菌活性及び細胞毒性を分析した。
【0145】
大腸菌に対する抗菌活性評価の結果、配列番号3及び配列番号4のペプチドに比べて、配列番号2のペプチドの抗菌活性が著しく優れることが確認された(図4のA)。それだけでなく、ヒト角質細胞に対する毒性レベルは、配列番号3及び配列番号4のペプチドに比べて、配列番号2のペプチドが大幅に低下することが確認された(図4のB)。
【0146】
これらの結果から、配列番号3及び配列番号4は配列番号2のペプチドの配列に類似するにもかかわらず、配列番号3及び配列番号4に比べて、配列番号2の抗菌活性が大幅に向上し、細胞毒性が低下するので、配列番号3及び配列番号4のペプチドに比べて、抗菌ペプチドとして配列番号2の効果が非常に優れ、本発明に類似するサイズ及び配列を有するペプチドが全て優れた抗菌活性を有するわけではないことが確認された。
【実施例2】
【0147】
他の菌に対する抗菌ペプチドの抗菌活性及び細胞毒性評価
本発明の抗菌ペプチドが大腸菌以外の他の菌にも抗菌活性があるか否かを評価するために、食薬処公示菌株である大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pneumonia aeruginosa)及びカンジダ菌(Candida albicans)に対する抗菌効果を確認した。
【0148】
具体的には、大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌はLB培地を用い、カンジダ菌はYM培地を用いて培養し、その後培養した菌を96well plateに分注した。各wellに各濃度の抗菌ペプチド試料を入れ、37℃で24時間培養し、その後マイクロプレートリーダーを用いて600nmで吸光度を測定し、試料で処理していない群と比較して百分率(%)で示した。
【0149】
その結果、配列番号1~配列番号8のペプチドの4種の菌に対する抗菌活性効果を示したIC50値は次の通りであり、配列番号3と配列番号4番を除く全ての配列番号において大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌及びカンジダ菌に対する強力な抗菌活性効果を示した(表2)。
【0150】
【表2】
【0151】
また、4種の菌に対するディスク拡散法を行うために、次の実験を行った。
【0152】
大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌及びカンジダ菌を各培地で培養し、その後培養した所定量の菌で固化していない固体培地を処理して固化させた。固化した固体培地の表面を抗菌ペプチド試料10ulで処理し、乾燥させた3M paperディスクを載せ、その後37℃で16時間培養して阻止円の大きさを観察した。
【0153】
その結果、ディスク拡散法(Disk diffusion method, Kirby-Bauer)のための各菌の培地を配列番号6のペプチドで処理したところ、大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌及びカンジダ菌の全ての菌において境界が明確で透明な阻止円が現れることが確認された(図5)。
【0154】
よって、本発明の配列番号5~配列番号8の抗菌ペプチド及びその誘導体は、大腸菌だけでなく、黄色ブドウ球菌、緑膿菌及びカンジダ菌においても顕著な抗菌活性を示すことが確認された。
【実施例3】
【0155】
抗菌ペプチドの微生物細胞膜破壊を用いた抗菌活性効果
本発明の抗菌ペプチドが微生物に及ぼす影響を詳細に確認するために、大腸菌を配列番号6のペプチドで30分間処理し、その後抗菌効果をSEM(scanning electron microscope, 走査型電子顕微鏡)により分析した。
【0156】
具体的には、SEM分析のために、大腸菌をLB培地で培養し、その後所定量を採取して配列番号6のペプチドで30分間処理し、PBSで2回洗浄し、次いで2%Paraformaldehyde in PBSの1次固定液で2時間固定した。固定後に、PBSで2回洗浄し、次いで30、50、70、80、95、100(%)エタノールで各ステップ毎に10分間脱水処理し(最後の100%は3回繰り返し処理する)、ペレットを凍結乾燥させた。コーティング機でPlatinumコーティングし、その後SEMにより分析した。
【0157】
その結果、配列番号6のペプチドで処理すると、大腸菌において、全体的に菌細胞膜が破壊され、大きな気孔が生じ、菌細胞内の内容物の溶出が観察された(図6)。
【0158】
これらの結果から、本発明の抗菌ペプチド、その誘導体又はその断片は、優れた抗菌活性、及び低下した細胞毒性を示すので、抗菌ペプチドとして顕著な効果を有することが確認された。
【0159】
以上の説明から、本発明の属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。なお、上記実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明には、明細書ではなく請求の範囲の意味及び範囲とその等価概念から導かれるあらゆる変更や変形された形態が含まれるものと解釈すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
2024502974000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
[化1]
[X-XLeu-Phe-X-X-Ile-Leu-X-Tyr-Leu-X
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
特に、本発明のペプチド合成において用いるアミノ酸残基の保護基は、N-メチルグルタミン酸においてはt-ブチル(t-Bu)であり、リシンにおいてはt-ブトキシカルボニル(Boc)であり、セリンにおいてはt-ブチル(t-Bu)であり、トレオニン及びアロトレオニンにおいてはt-ブチル(t-Bu)であり、システインにおいてはトリチル(Trt)であることが好ましいが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0135
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0135】
大腸菌に対する抗菌活性評価の結果、配列番号1のペプチドに比べて、配列番号2のペプチドの抗菌活性が著しく優れることが確認された(図2のA)。それだけでなく、ヒト角質細胞に対する毒性レベルは、配列番号2のペプチドが 配列番号1と同等のレベルを維持することが確認された(図2のB)。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0138
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0138】
大腸菌に対する抗菌活性評価のために、実施例1-1、並びに実施例1-2で行った実験以外に、さらにMIC(Minimum inhibitory concentration)及びIC50の測定を行った。
【国際調査報告】