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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】燃料電池膜加湿器
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240117BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20240117BHJP
【ＦＩ】
H01M8/04 N
H01M8/10 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540957
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 KR2022001153
(87)【国際公開番号】W WO2022164142
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0012279
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヒョンモ
(72)【発明者】
【氏名】キム キョンジュ
(72)【発明者】
【氏名】アン ウンジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム インホ
【テーマコード（参考）】
5H126
5H127
【Ｆターム（参考）】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AC02
5H127AC06
5H127AC07
5H127BA02
5H127BB02
5H127BB34
5H127EE17
(57)【要約】
本発明は、燃料電池の運転と停止の繰り返しによるガス漏れを防止できるだけでなく、相対的に低い製造費用及び高い生産性で製造されることができ、運転の際に発生する振動を抑制できる燃料電池膜加湿器に関するものであって、
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器は、
外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス内の水分で加湿する加湿モジュールと、前記加湿モジュールの両末端に各々結合されたキャップとを備える。前記加湿モジュールは、両末端が開放されており、内周面に段差が形成されたミッド－ケースと、前記ミッド－ケース内に配置され、複数の中空糸膜を収容する少なくとも１つのカートリッジと、前記中空糸膜の末端がポッティングされ、前記ミッド－ケース内壁により支持される固定層と、前記ミッド－ケースの段差により支持され、前記固定層と接触するブラケットと、前記ミッド－ケースの末端が挟まれる溝を有し、前記ブラケットと接触するパッキング部材とを備える。また、前記加湿モジュールは、前記ミッド－ケースの内壁に、前記固定層に挟まれて、前記加湿モジュール内部を流動する空気により前記カートリッジに発生する振動を抑制するダンピング突起が形成される。
【選択図】図２
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器は、
外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス内の水分で加湿する加湿モジュールと、前記加湿モジュールの両末端に各々結合されたキャップとを備える。前記加湿モジュールは、両末端が開放されており、内周面に段差が形成されたミッド－ケースと、前記ミッド－ケース内に配置され、複数の中空糸膜を収容する少なくとも１つのカートリッジと、前記中空糸膜の末端がポッティングされ、前記ミッド－ケース内壁により支持される固定層と、前記ミッド－ケースの段差により支持され、前記固定層と接触するブラケットと、前記ミッド－ケースの末端が挟まれる溝を有し、前記ブラケットと接触するパッキング部材とを備える。また、前記加湿モジュールは、前記ミッド－ケースの内壁に、前記固定層に挟まれて、前記加湿モジュール内部を流動する空気により前記カートリッジに発生する振動を抑制するダンピング突起が形成される。
【選択図】図２
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス内の水分で加湿する加湿モジュールと、前記加湿モジュールの両末端に各々結合されたキャップと、
を備え、
前記加湿モジュールは、
両末端が開放されており、内周面に段差が形成されたミッド－ケースと、
前記ミッド－ケース内に配置され、複数の中空糸膜を収容する少なくとも１つのカートリッジと、
前記中空糸膜の末端がポッティングされ、前記ミッド－ケース内壁により支持される固定層と、
前記ミッド－ケースの段差により支持され、前記固定層と接触するブラケットと、
前記ミッド－ケースの末端が挟まれる溝を有し、前記ブラケットと接触するパッキング部材と、
を備え、
前記ミッド－ケースの内壁には、前記固定層に挟まれて、前記加湿モジュール内部を流動する空気により前記カートリッジに発生する振動を抑制するダンピング突起が形成される燃料電池膜加湿器。
【請求項2】
前記ブラケット及び前記パッキング部材は、前記ミッド－ケースの横断面形態に対応する単一閉曲線形態を各々有する請求項１に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項3】
前記ブラケットは、前記パッキング部材より高い硬度を有する請求項１に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項4】
前記ブラケットは、６０～１００Ｓｈｏｒｅ Ａの硬度を有し、前記パッキング部材は、４０～５０Ｓｈｏｒｅ Ａの硬度を有する請求項３に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項5】
前記パッキング部材は、軟質ゴムを含み、前記ブラケットは、金属、硬質プラスチック、または硬質ゴムを含む請求項１に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項6】
前記パッキング部材は、シリコンゴムまたはウレタンゴムを含み、前記ブラケットは、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリスチレン（ＰＳ）、ポリカーボネート（ＰＣ）、またはアクリル樹脂を含む請求項５に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項7】
前記パッキング部材は、前記固定層とも接触する請求項１に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項8】
前記固定層は、前記中空糸膜の末端がポッティングされている第１の固定層と、
前記第１の固定層を覆い、前記ブラケットと接触する第２の固定層と、
を備える請求項１に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項9】
前記第１の固定層と前記第２の固定層とは、同じ物質で形成された請求項８に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項10】
前記第１の固定層と前記第２の固定層とは共にポリウレタン（ＰＵ）樹脂を含む請求項８に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項11】
前記加湿モジュールは、両末端が開放されたインナーケース（ｉｎｎｅｒ ｃａｓｅ）を前記ミッド－ケース内にさらに備え、前記中空糸膜は、前記インナーケース内に配置されている請求項８に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項12】
前記インナーケースの末端は、前記第１の固定層にポッティングされている請求項１１に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項13】
外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス内の水分で加湿する加湿モジュールと、前記加湿モジュールの両末端に各々結合されたキャップと、
を備え、
前記加湿モジュールは、
両末端が開放されており、内周面に段差が形成されたミッド－ケースと、
前記ミッド－ケース内に配置され、複数の中空糸膜を収容する少なくとも１つのカートリッジと、
前記中空糸膜の末端がポッティングされ、前記ミッド－ケース内壁により支持される固定層と、
前記ミッド－ケースの段差により支持され、前記固定層と接触するブラケットと、
前記ミッド－ケースの末端が挟まれる溝を有し、前記ブラケットと接触するパッキング部材と、
を備え、
前記ミッド－ケースの内壁には、前記固定層に挟まれて、前記加湿モジュール内部を流動する空気により前記カートリッジに発生する振動を抑制するダンピング突起が形成され、
前記中空糸膜は、第１のグループの中空糸膜及び第２のグループの中空糸膜を備え、
前記加湿モジュールは、
前記第１のグループの中空糸膜が内部に配置されている第１のインナーケースと、
前記第２のグループの中空糸膜が内部に配置されている第２のインナーケースと、
をさらに備え、
前記固定層は、
前記第１のグループの中空糸膜の末端がポッティングされている第１の固定層と、
前記第２のグループの中空糸膜の末端がポッティングされている第２の固定層と、
前記第１及び第２の固定層を覆い、前記ブラケットと接触する第３の固定層と、
を備える燃料電池膜加湿器。
【請求項14】
前記第１のインナーケースの末端は、前記第１の固定層にポッティングされており、前記第２のインナーケースの末端は、前記第２の固定層にポッティングされている請求項１３に記載の燃料電池膜加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池膜加湿器に関し、より具体的には、燃料電池の運転と停止の繰り返しによるガス漏れを防止できるだけでなく、相対的に低い製造費用及び高い生産性で製造されることができ、運転の際に発生する振動を抑制できる燃料電池膜加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、水素と酸素を結合させて電気を生産する発電型電池である。燃料電池は、乾電池や蓄電池など、一般化学電池とは異なり、水素と酸素が供給される限り、電気を生産し続けることができ、熱損失がないので、内燃機関より効率が２倍くらい高いという長所がある。
また、水素と酸素の結合により発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するので、公害物質排出が少ない。したがって、燃料電池は、環境親和的であり、かつ、エネルギー消費増加による資源枯渇に対する心配を減らすことができるという長所がある。
また、水素と酸素の結合により発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するので、公害物質排出が少ない。したがって、燃料電池は、環境親和的であり、かつ、エネルギー消費増加による資源枯渇に対する心配を減らすことができるという長所がある。
【0003】
このような燃料電池は、使用される電解質の種類によって、大別して、高分子電解質型燃料電池（Ｐｏｌｙｍｅｒ Ｅｌｅｃｔｒｏｌｙｔｅ Ｍｅｍｂｒａｎｅ Ｆｕｅｌ Ｃｅｌｌ：ＰＥＭＦＣ）、リン酸型燃料電池（Ｐｈｏｓｐｈｏｒｉｃ Ａｃｉｄ Ｆｕｅｌ Ｃｅｌｌ：ＰＡＦＣ）、溶融炭酸塩型燃料電池（Ｍｏｌｔｅｎ Ｃａｒｂｏｎａｔｅ Ｆｕｅｌ Ｃｅｌｌ：ＭＣＦＣ）、固体酸化物型燃料電池（Ｓｏｌｉｄ Ｏｘｉｄｅ Ｆｕｅｌ Ｃｅｌｌ：ＳＯＦＣ）、及びアルカリ型燃料電池（Ａｌｋａｌｉｎｅ Ｆｕｅｌ Ｃｅｌｌ：ＡＦＣ）などに分類することができる。
【0004】
これらのそれぞれの燃料電池は、元々同じ原理により作動するが、使用される燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などが互いに異なる。この中で、高分子電解質型燃料電池（ＰＥＭＦＣ）は、他の燃料電池に比べて低温で動作するという点、及び出力密度が大きくて、小型化が可能であるので、小規模据え置き型発電装備だけでなく、輸送システムでも最も有望なものと知られている。
高分子電解質型燃料電池（ＰＥＭＦＣ）の性能を向上させるにあたり、最も重要な要因のうち１つは、膜－電極接合体（Ｍｅｍｂｒａｎｅ Ｅｌｅｃｔｒｏｄｅ Ａｓｓｅｍｂｌｙ：ＭＥＡ）の高分子電解質膜（Ｐｏｌｙｍｅｒ Ｅｌｅｃｔｒｏｌｙｔｅ ＭｅｍｂｒａｎｅまたはＰｒｏｔｏｎ Ｅｘｃｈａｎｇｅ Ｍｅｍｂｒａｎｅ：ＰＥＭ）に一定量以上の水分を供給することによって含水率を維持させることである。高分子電解質膜が乾燥されれば、発電効率が急激に低下するためである。
高分子電解質型燃料電池（ＰＥＭＦＣ）の性能を向上させるにあたり、最も重要な要因のうち１つは、膜－電極接合体（Ｍｅｍｂｒａｎｅ Ｅｌｅｃｔｒｏｄｅ Ａｓｓｅｍｂｌｙ：ＭＥＡ）の高分子電解質膜（Ｐｏｌｙｍｅｒ Ｅｌｅｃｔｒｏｌｙｔｅ ＭｅｍｂｒａｎｅまたはＰｒｏｔｏｎ Ｅｘｃｈａｎｇｅ Ｍｅｍｂｒａｎｅ：ＰＥＭ）に一定量以上の水分を供給することによって含水率を維持させることである。高分子電解質膜が乾燥されれば、発電効率が急激に低下するためである。
【0005】
高分子電解質膜を加湿する方法では、１）内圧容器に水を満たした後、対象気体を拡散器（ｄｉｆｆｕｓｅｒ）に通過させて水分を供給するバブラ（ｂｕｂｂｌｅｒ）加湿方式、２）燃料電池反応に必要な供給水分量を計算し、ソレノイドバルブを介してガス流動管に直接水分を供給する直接噴射（ｄｉｒｅｃｔ ｉｎｊｅｃｔｉｏｎ）方式、及び３）高分子分離膜を利用してガスの流動層に水分を供給する加湿膜方式などがある。
これらの中でも、排ガス中に含まれる水蒸気のみを選択的に透過させる膜を利用して、水蒸気を高分子電解質膜に供給される空気に提供することによって高分子電解質膜を加湿する膜加湿方式が加湿器を軽量化及び小型化できるという点で有利である。
これらの中でも、排ガス中に含まれる水蒸気のみを選択的に透過させる膜を利用して、水蒸気を高分子電解質膜に供給される空気に提供することによって高分子電解質膜を加湿する膜加湿方式が加湿器を軽量化及び小型化できるという点で有利である。
【0006】
膜加湿方式に使用される選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当り透過面積が大きい中空糸膜が好ましい。すなわち、中空糸膜を利用して膜加湿器を製造する場合、接触表面積が広い中空糸膜の高集積化が可能であって、小容量でも燃料電池の加湿が十分になされることができ、低価素材の使用が可能であり、燃料電池において高温に排出される排ガス（ｏｆｆ－ｇａｓ）に含まれた水分と熱を回収し、加湿器を介して再使用できるという利点を有する。
図１に示されたように、通常の膜加湿方式の加湿器１０００は、外部から供給される空気と燃料電池スタック（図示せず）から排出される排ガスとの間の水分交換が起こる加湿モジュール１１００及び加湿モジュール１１００の両末端に各々結合されたキャップ１２００を備える。
キャップ１２のうち１つは、外部から供給される空気を加湿モジュール１１００に伝達し、他の１つは、加湿モジュール１１００により加湿された空気を燃料電池スタックに伝達する。
図１に示されたように、通常の膜加湿方式の加湿器１０００は、外部から供給される空気と燃料電池スタック（図示せず）から排出される排ガスとの間の水分交換が起こる加湿モジュール１１００及び加湿モジュール１１００の両末端に各々結合されたキャップ１２００を備える。
キャップ１２のうち１つは、外部から供給される空気を加湿モジュール１１００に伝達し、他の１つは、加湿モジュール１１００により加湿された空気を燃料電池スタックに伝達する。
【0007】
加湿モジュール１１００は、排ガス流入口（ｏｆｆ－ｇａｓ ｉｎｌｅｔ）１１１０ａと排ガス排出口（ｏｆｆ－ｇａｓ ｏｕｔｌｅｔ）１１１０ｂとを有するミッド－ケース（ｍｉｄ－ｃａｓｅ）１１１０及びミッド－ケース１１１０内の複数の中空糸膜１１２０を備える。中空糸膜１１２０の束の両末端は、固定層１１３０にポッティングされている。固定層１１３０は、一般的にキャスティング（ｃａｓｔｉｎｇ）方式［例えば、ディップキャスティング（ｄｉｐ ｃａｓｔｉｎｇ）または遠心キャスティング（ｃｅｎｔｒｉｆｕｇａｌ ｃａｓｔｉｎｇ）］によって液状ポリウレタン樹脂のような液状ポリマーを硬化させることにより形成される。
外部から供給される空気は、中空糸膜１１２０の中空に沿って流れる。排ガス流入口１１１０ａを介してミッド－ケース１１１０内に流入した排ガスは、中空糸膜１１２０の外表面と接触した後、排ガス排出口１１１０ｂを介してミッド－ケース１１１０から排出される。排ガスが中空糸膜１１２０の外表面と接触するとき、排ガス内に含有されていた水分が中空糸膜１１２０を透過することによって中空糸膜１１２０の中空に沿って流れていた空気を加湿する。
外部から供給される空気は、中空糸膜１１２０の中空に沿って流れる。排ガス流入口１１１０ａを介してミッド－ケース１１１０内に流入した排ガスは、中空糸膜１１２０の外表面と接触した後、排ガス排出口１１１０ｂを介してミッド－ケース１１１０から排出される。排ガスが中空糸膜１１２０の外表面と接触するとき、排ガス内に含有されていた水分が中空糸膜１１２０を透過することによって中空糸膜１１２０の中空に沿って流れていた空気を加湿する。
【0008】
キャップ１２００の内部空間は、中空糸膜１１２０の中空とのみ流体連通し、ミッド－ケース１１１０の内部空間とは完全に遮断されていなければならない。それとも、圧力差によるガス漏れが発生して、燃料電池の発電効率が低下する。
一般に、図１に示されたように、固定層１１３０とともに、固定層１１３０とミッド－ケース１１１０との間の樹脂層１１４０がキャップ１２００の内部空間をミッド－ケース１１１０の内部空間から遮断する。固定層１１３０と同様に、樹脂層１１４０は、一般的にキャスティング方式（ディップキャスティングまたは遠心キャスティング）によって液状ポリウレタン樹脂のような液状ポリマーを硬化させることにより形成される。
しかし、（ｉ）燃料電池の運転及び停止が繰り返されることによって樹脂層１１４０の膨脹及び収縮が交互に発生しつつ、ミッド－ケース１１１０と樹脂層１１４０との熱膨張係数差のため、樹脂層１１４０がミッド－ケース１１１０から分離されて、これらの間にギャップ（ｇａｐ）が引き起こされるか、（ｉｉ）振動及び／又は衝撃のため、樹脂層１１４０とミッド－ケース１１１０との間にギャップが引き起こされる蓋然性が高い。樹脂層１１４０とミッド－ケース１１１０との間のギャップは、ガス漏れを引き起こして、燃料電池の発電効率を低下させる。
一般に、図１に示されたように、固定層１１３０とともに、固定層１１３０とミッド－ケース１１１０との間の樹脂層１１４０がキャップ１２００の内部空間をミッド－ケース１１１０の内部空間から遮断する。固定層１１３０と同様に、樹脂層１１４０は、一般的にキャスティング方式（ディップキャスティングまたは遠心キャスティング）によって液状ポリウレタン樹脂のような液状ポリマーを硬化させることにより形成される。
しかし、（ｉ）燃料電池の運転及び停止が繰り返されることによって樹脂層１１４０の膨脹及び収縮が交互に発生しつつ、ミッド－ケース１１１０と樹脂層１１４０との熱膨張係数差のため、樹脂層１１４０がミッド－ケース１１１０から分離されて、これらの間にギャップ（ｇａｐ）が引き起こされるか、（ｉｉ）振動及び／又は衝撃のため、樹脂層１１４０とミッド－ケース１１１０との間にギャップが引き起こされる蓋然性が高い。樹脂層１１４０とミッド－ケース１１１０との間のギャップは、ガス漏れを引き起こして、燃料電池の発電効率を低下させる。
【0009】
樹脂層１１４０とミッド－ケース１１１０との間のギャップ発生によるガス漏れを防止するために、大韓民国登録特許第１６９７９９８号は、樹脂層１１４０側面の段差とミッド－ケース１１１０内面により形成された溝とにシーラント（液相シーリング材）を塗布した後、パッキング部材（固相シーリング材）を溝に挟んでシーラントを硬化させる方法を開示している。
しかしながら、このような方法は、（ｉ）溝に正確に合わせてシーラントを塗布しなければならないので、作業性が良くないし、（ｉｉ）シーラントを硬化させるのに２４時間以上のかなり長い時間がかかり、（ｉｉｉ）シーラントが硬化されるまで加湿モジュール１１００を保管するための別の空間が求められるという点で、低い生産性及び高い製造費用の問題点を有している。
しかしながら、このような方法は、（ｉ）溝に正確に合わせてシーラントを塗布しなければならないので、作業性が良くないし、（ｉｉ）シーラントを硬化させるのに２４時間以上のかなり長い時間がかかり、（ｉｉｉ）シーラントが硬化されるまで加湿モジュール１１００を保管するための別の空間が求められるという点で、低い生産性及び高い製造費用の問題点を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような関連技術の制限及び短所に起因した問題点を防止でき、燃料電池の運転と停止の繰り返しによるガス漏れを確実に防止できるだけでなく、相対的に低い製造費用及び高い生産性で製造されることができ、運転の際に発生する振動を抑制できる燃料電池膜加湿器を提供することを目的とする。
上述した本発明の観点の他にも、本発明の他の特徴及び利点が以下において説明されるか、そのような説明から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解され得るであろう。
上述した本発明の観点の他にも、本発明の他の特徴及び利点が以下において説明されるか、そのような説明から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器は、
外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス内の水分で加湿する加湿モジュールと、前記加湿モジュールの両末端に各々結合されたキャップとを備える。前記加湿モジュールは、両末端が開放されており、内周面に段差が形成されたミッド－ケースと、前記ミッド－ケース内に配置され、複数の中空糸膜を収容する少なくとも１つのカートリッジと、前記中空糸膜の末端がポッティングされ、前記ミッド－ケース内壁により支持される固定層と、前記ミッド－ケースの段差により支持され、前記固定層と接触するブラケットと、前記ミッド－ケースの末端が挟まれる溝を有し、前記ブラケットと接触するパッキング部材とを備える。また、前記加湿モジュールは、前記ミッド－ケースの内壁に、前記固定層に挟まれて、前記加湿モジュール内部を流動する空気により前記カートリッジに発生する振動を抑制するダンピング突起が形成される。
外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス内の水分で加湿する加湿モジュールと、前記加湿モジュールの両末端に各々結合されたキャップとを備える。前記加湿モジュールは、両末端が開放されており、内周面に段差が形成されたミッド－ケースと、前記ミッド－ケース内に配置され、複数の中空糸膜を収容する少なくとも１つのカートリッジと、前記中空糸膜の末端がポッティングされ、前記ミッド－ケース内壁により支持される固定層と、前記ミッド－ケースの段差により支持され、前記固定層と接触するブラケットと、前記ミッド－ケースの末端が挟まれる溝を有し、前記ブラケットと接触するパッキング部材とを備える。また、前記加湿モジュールは、前記ミッド－ケースの内壁に、前記固定層に挟まれて、前記加湿モジュール内部を流動する空気により前記カートリッジに発生する振動を抑制するダンピング突起が形成される。
【0012】
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記ブラケット及び前記パッキング部材は、前記ミッド－ケースの横断面形態に対応する単一閉曲線形態を各々有することができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記ブラケットは、前記パッキング部材より高い硬度を有することができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記ブラケットは、６０～１００Ｓｈｏｒｅ Ａの硬度を有し、前記パッキング部材は、４０～５０Ｓｈｏｒｅ Ａの硬度を有することができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記パッキング部材は、軟質ゴムを含み、前記ブラケットは、金属、硬質プラスチック、または硬質ゴムを含むことができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記ブラケットは、前記パッキング部材より高い硬度を有することができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記ブラケットは、６０～１００Ｓｈｏｒｅ Ａの硬度を有し、前記パッキング部材は、４０～５０Ｓｈｏｒｅ Ａの硬度を有することができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記パッキング部材は、軟質ゴムを含み、前記ブラケットは、金属、硬質プラスチック、または硬質ゴムを含むことができる。
【0013】
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記パッキング部材は、シリコンゴムまたはウレタンゴムを含み、前記ブラケットは、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリスチレン（ＰＳ）、ポリカーボネート（ＰＣ）、またはアクリル樹脂を含むことができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記パッキング部材は、前記固定層と接触することもできる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記固定層は、前記中空糸膜の末端がポッティングされている第１の固定層と、前記第１の固定層を覆い、前記ブラケットと接触する第２の固定層とを備えることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記第１の固定層と前記第２の固定層とは、同じ物質で形成されることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記パッキング部材は、前記固定層と接触することもできる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記固定層は、前記中空糸膜の末端がポッティングされている第１の固定層と、前記第１の固定層を覆い、前記ブラケットと接触する第２の固定層とを備えることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記第１の固定層と前記第２の固定層とは、同じ物質で形成されることができる。
【0014】
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記第１の固定層と前記第２の固定層とは共にポリウレタン（ＰＵ）樹脂を含むことができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記加湿モジュールは、両末端が開放されたインナーケース（ｉｎｎｅｒ ｃａｓｅ）を前記ミッド－ケース内にさらに備え、前記中空糸膜は、前記インナーケース内に配置されることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記インナーケースの末端は、前記第１の固定層にポッティングされることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記加湿モジュールは、両末端が開放されたインナーケース（ｉｎｎｅｒ ｃａｓｅ）を前記ミッド－ケース内にさらに備え、前記中空糸膜は、前記インナーケース内に配置されることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記インナーケースの末端は、前記第１の固定層にポッティングされることができる。
【0015】
また、本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器は、
外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス内の水分で加湿する加湿モジュールと、前記加湿モジュールの両末端に各々結合されたキャップとを備え、前記加湿モジュールは、両末端が開放されており、内周面に段差が形成されたミッド－ケースと、前記ミッド－ケース内に配置され、複数の中空糸膜を収容する少なくとも１つのカートリッジと、前記中空糸膜の末端がポッティングされ、前記ミッド－ケース内壁により支持される固定層と、前記ミッド－ケースの段差により支持され、前記固定層と接触するブラケットと、前記ミッド－ケースの末端が挟まれる溝を有し、前記ブラケットと接触するパッキング部材とを備え、前記ミッド－ケースの内壁には、前記固定層に挟まれて、前記加湿モジュール内部を流動する空気により前記カートリッジに発生する振動を抑制するダンピング突起が形成され、前記中空糸膜は、第１のグループの中空糸膜及び第２のグループの中空糸膜を備える。また、前記加湿モジュールは、前記第１のグループの中空糸膜が内部に配置されている第１のインナーケースと、前記第２のグループの中空糸膜が内部に配置されている第２のインナーケースとをさらに備え、前記固定層は、前記第１のグループの中空糸膜の末端がポッティングされている第１の固定層と、前記第２のグループの中空糸膜の末端がポッティングされている第２の固定層と、前記第１及び第２の固定層を覆い、前記ブラケットと接触する第３の固定層とを備える。
外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス内の水分で加湿する加湿モジュールと、前記加湿モジュールの両末端に各々結合されたキャップとを備え、前記加湿モジュールは、両末端が開放されており、内周面に段差が形成されたミッド－ケースと、前記ミッド－ケース内に配置され、複数の中空糸膜を収容する少なくとも１つのカートリッジと、前記中空糸膜の末端がポッティングされ、前記ミッド－ケース内壁により支持される固定層と、前記ミッド－ケースの段差により支持され、前記固定層と接触するブラケットと、前記ミッド－ケースの末端が挟まれる溝を有し、前記ブラケットと接触するパッキング部材とを備え、前記ミッド－ケースの内壁には、前記固定層に挟まれて、前記加湿モジュール内部を流動する空気により前記カートリッジに発生する振動を抑制するダンピング突起が形成され、前記中空糸膜は、第１のグループの中空糸膜及び第２のグループの中空糸膜を備える。また、前記加湿モジュールは、前記第１のグループの中空糸膜が内部に配置されている第１のインナーケースと、前記第２のグループの中空糸膜が内部に配置されている第２のインナーケースとをさらに備え、前記固定層は、前記第１のグループの中空糸膜の末端がポッティングされている第１の固定層と、前記第２のグループの中空糸膜の末端がポッティングされている第２の固定層と、前記第１及び第２の固定層を覆い、前記ブラケットと接触する第３の固定層とを備える。
【0016】
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記第１のインナーケースの末端は、前記第１の固定層にポッティングされており、前記第２のインナーケースの末端は、前記第２の固定層にポッティングされることができる。
その他、本発明の様々な側面による実現例等の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
その他、本発明の様々な側面による実現例等の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、従来技術において求められるシーラント塗布工程及びシーラント硬化工程が省略されるので、作業性が向上するだけでなく、製造時間が短縮されることで、その生産性を画期的に向上させることができる。
また、シーラント硬化工程のために半製品を保管する別の空間が求められないので、加湿器の生産費用が低減され得る。
また、燃料電池の運転と停止の繰り返しによるガス漏れを防止できるだけでなく、相対的に低い製造費用及び高い生産性で製造されることができる。
また、ミッド－ケースと固定層との間にダンピング突起が形成されて、運転の際に発生する振動を抑制でき、ミッド－ケース内部にある空気がキャップに流動することを抑制してシーリング機能を強化することができ、固定層形成の際、固定層の位置選定を容易にすることができる。
また、シーラント硬化工程のために半製品を保管する別の空間が求められないので、加湿器の生産費用が低減され得る。
また、燃料電池の運転と停止の繰り返しによるガス漏れを防止できるだけでなく、相対的に低い製造費用及び高い生産性で製造されることができる。
また、ミッド－ケースと固定層との間にダンピング突起が形成されて、運転の際に発生する振動を抑制でき、ミッド－ケース内部にある空気がキャップに流動することを抑制してシーリング機能を強化することができ、固定層形成の際、固定層の位置選定を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来技術に係る燃料電池膜加湿器が示された分解斜視図である。
【図2】本発明の第１実施形態に係る燃料電池膜加湿器が示された断面図である。
【図3a】本発明の第１実施形態に係るブラケットの斜視図である。
【図4a】本発明の第１実施形態に係るパッキング部材の斜視図である。
【図5】本発明の第２実施形態に係る燃料電池膜加湿器が示された断面図である。
【図6a】本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器の製造方法を説明するための断面図等である。
【図6b】本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器の製造方法を説明するための断面図等である。
【図6c】本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器の製造方法を説明するための断面図等である。
【図6d】本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器の製造方法を説明するための断面図等である。
【図6e】本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器の製造方法を説明するための断面図等である。
【図6f】本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器の製造方法を説明するための断面図等である。
【図6g】本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器の製造方法を説明するための断面図等である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、様々な変換を加えることができ、種々の実施形態を有することができるところ、特定実施形態を例示し、詳細な説明に詳細に説明しようとする。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むことと理解されなければならない。
本発明において使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、１つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないことと理解されるべきである。以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器を説明する。
本発明において使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、１つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないことと理解されるべきである。以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器を説明する。
【0020】
図２及び図５～図６ｇの断面図等は、加湿器または半製品の一端の断面図等であり、その他端も実質的に同一（または、対称の）断面を有する。
図２に示されたように、本発明の燃料電池膜加湿器２０００は、外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス内の水分で加湿する加湿モジュール２１００を備える。加湿モジュール２１００の両末端の各々は、キャップ２２００に締め付けられている。
キャップ２２００のうち、いずれか１つは、ポート２２１０を介して外部から空気を供給されて加湿モジュール２１００に伝達し、他の１つは、加湿モジュール２１００により加湿された空気を、ポート２２１０を介して燃料電池スタックに伝達する。キャップ２２００は、硬質プラスチック（例えば、ポリカーボネート、ポリアミド（ＰＡ）、ポリフタルアミド（ＰＰＡ）等）や金属で形成されることができ、単一閉曲線形態（ｓｉｍｐｌｅ ｃｌｏｓｅｄ ｃｕｒｖｅｓｈａｐｅｄ）（例えば、円形または多角形）の横断面（ｔｒａｖｅｒｓｅ ｓｅｃｔｉｏｎ）を有することができる。
図２に示されたように、本発明の燃料電池膜加湿器２０００は、外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス内の水分で加湿する加湿モジュール２１００を備える。加湿モジュール２１００の両末端の各々は、キャップ２２００に締め付けられている。
キャップ２２００のうち、いずれか１つは、ポート２２１０を介して外部から空気を供給されて加湿モジュール２１００に伝達し、他の１つは、加湿モジュール２１００により加湿された空気を、ポート２２１０を介して燃料電池スタックに伝達する。キャップ２２００は、硬質プラスチック（例えば、ポリカーボネート、ポリアミド（ＰＡ）、ポリフタルアミド（ＰＰＡ）等）や金属で形成されることができ、単一閉曲線形態（ｓｉｍｐｌｅ ｃｌｏｓｅｄ ｃｕｒｖｅｓｈａｐｅｄ）（例えば、円形または多角形）の横断面（ｔｒａｖｅｒｓｅ ｓｅｃｔｉｏｎ）を有することができる。
【0021】
本発明の一実施形態に係る加湿モジュール２１００は、外部から供給される空気と燃料電池スタックから供給される排ガスとの間の水分交換が起こる装置であって、両末端が開放されており、内周面に段差２１１２を有するミッド－ケース２１１０、ミッド－ケース２１１０内の複数の中空糸膜２１２１、中空糸膜２１２１の末端がポッティングされている固定層２１２２、ミッド－ケース２１１０の段差２１１２により支持され、固定層２１２２と接触するブラケット２１３０、及びミッド－ケース２１１０の末端が挟まれる溝を有し、ブラケット２１３０と接触するパッキング部材２１４０を備える。
ミッド－ケース２１１０は、排ガス流入／流出のためのポート２１１１（図２には、１つだけ図示されている）を有する。ミッド－ケース２１１０は、硬質プラスチック（例えば、ポリカーボネート、ポリアミド（ＰＡ）、ポリフタルアミド（ＰＰＡ）等）や金属で形成されることができ、単一閉曲線形態（例えば、円形または多角形）の横断面を有することができる。本発明の一実施形態によれば、ミッド－ケース２１１０は、キャップ２２００と同じ形態の横断面を有することができる。
ミッド－ケース２１１０は、排ガス流入／流出のためのポート２１１１（図２には、１つだけ図示されている）を有する。ミッド－ケース２１１０は、硬質プラスチック（例えば、ポリカーボネート、ポリアミド（ＰＡ）、ポリフタルアミド（ＰＰＡ）等）や金属で形成されることができ、単一閉曲線形態（例えば、円形または多角形）の横断面を有することができる。本発明の一実施形態によれば、ミッド－ケース２１１０は、キャップ２２００と同じ形態の横断面を有することができる。
【0022】
中空糸膜２１２１は、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリビニリデンフルオライド（ＰＶＤＦ）樹脂、ポリアクリロニトリル（ＰＡＮ）樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、またはこれらのうち２つ以上の混合物を含むことができる。いずれか１つのキャップ２２００を介して外部から供給される空気は、中空糸膜２１２１の中空に沿って流れながら加湿された後、他のキャップ２２００を介して燃料電池スタックに伝達される。
ミッド－ケース２１１０内に流入した排ガスが中空糸膜２１２１の外表面と接触した後、ミッド－ケース２１１０から排出される。排ガスが中空糸膜２１２１の外表面と接触するとき、その中に含有されていた水分が中空糸膜２１２１を透過することによって中空糸膜２１２１の中空に沿って流れていた空気を加湿する。
ミッド－ケース２１１０内に流入した排ガスが中空糸膜２１２１の外表面と接触した後、ミッド－ケース２１１０から排出される。排ガスが中空糸膜２１２１の外表面と接触するとき、その中に含有されていた水分が中空糸膜２１２１を透過することによって中空糸膜２１２１の中空に沿って流れていた空気を加湿する。
【0023】
硬質または軟質のポリウレタン樹脂で形成されることができる固定層２１２２は、キャップ２２００が中空糸膜２１２１とのみ流体連通できるようにキャップ２２００の内部空間をミッド－ケース２１１０の内部空間から遮断しなければならない。
しかし、前述したように、（ｉ）燃料電池の運転及び停止が繰り返されることによって固定層２１２２の膨脹及び収縮が交互に発生しつつ、ミッド－ケース２１１０と固定層２１２２との熱膨張係数差のため、固定層２１２２がミッド－ケース２１１０から分離されて、これらの間にギャップが引き起こされるか、（ｉｉ）振動及び／又は衝撃のため、固定層２１２２とミッド－ケース２１１０との間にギャップが引き起こされる蓋然性が高い。固定層２１２２とミッド－ケース２１１０との間のギャップは、ガス漏れを引き起こして、燃料電池の発電効率を低下させる。
固定層２１２２とミッド－ケース２１１０との間のギャップ発生により引き起こされることができるガス漏れは、（ｉ）ミッド－ケース２１１０の内部空間内の排ガスが固定層２１２２とミッド－ケース２１１０との間のギャップ及びキャップ２２００とミッド－ケース２１１０との間のギャップを順次通過して加湿器２０００の外へ抜け出す外部漏れ（ｅｘｔｅｒｎａｌ ｌｅａｋａｇｅ）、及び（ｉｉ）ミッド－ケース２１１０の内部空間内の排ガスが固定層２１２２とミッド－ケース２１１０との間のギャップ及び固定層２１２２とキャップ２２００との間のギャップを順次通過してキャップ２２００の内部空間に入る内部漏れ（ｉｎｔｅｒｎａｌ ｌｅａｋａｇｅ）を含む。
しかし、前述したように、（ｉ）燃料電池の運転及び停止が繰り返されることによって固定層２１２２の膨脹及び収縮が交互に発生しつつ、ミッド－ケース２１１０と固定層２１２２との熱膨張係数差のため、固定層２１２２がミッド－ケース２１１０から分離されて、これらの間にギャップが引き起こされるか、（ｉｉ）振動及び／又は衝撃のため、固定層２１２２とミッド－ケース２１１０との間にギャップが引き起こされる蓋然性が高い。固定層２１２２とミッド－ケース２１１０との間のギャップは、ガス漏れを引き起こして、燃料電池の発電効率を低下させる。
固定層２１２２とミッド－ケース２１１０との間のギャップ発生により引き起こされることができるガス漏れは、（ｉ）ミッド－ケース２１１０の内部空間内の排ガスが固定層２１２２とミッド－ケース２１１０との間のギャップ及びキャップ２２００とミッド－ケース２１１０との間のギャップを順次通過して加湿器２０００の外へ抜け出す外部漏れ（ｅｘｔｅｒｎａｌ ｌｅａｋａｇｅ）、及び（ｉｉ）ミッド－ケース２１１０の内部空間内の排ガスが固定層２１２２とミッド－ケース２１１０との間のギャップ及び固定層２１２２とキャップ２２００との間のギャップを順次通過してキャップ２２００の内部空間に入る内部漏れ（ｉｎｔｅｒｎａｌ ｌｅａｋａｇｅ）を含む。
【0024】
固定層２１２２とミッド－ケース２１１０との間のギャップ発生によるガス漏れを防止するために、本発明の燃料電池膜加湿器２０００は、ブラケット２１３０とパッキング部材２１４０とダンピング突起２１５０とをさらに備える。
図３ａ及び図３ｂに示されたように、ミッド－ケース２１１０の段差２１１２により支持されるブラケット２１３０は、ミッド－ケース２１１０の横断面形態に対応する単一閉曲線形態を有することができる。
本発明の一実施形態によれば、ブラケット２１３０は、パッキング部材２１４０より高い硬度を有し、固定層２１２２と強く接着されている。
例えば、パッキング部材２１４０は、キャップ２２００がボルト２３１０とナット２３２０とによってミッド－ケース２１１０に締め付けられるときに加えられる圧力により圧縮され得るように３０～６０Ｓｈｏｒｅ Ａ、より好ましくは、４０～５０Ｓｈｏｒｅ Ａの相対的に低い硬度を有することができ、ブラケット２１３０は、パッキング部材２１４０の硬度より高い６０～１００Ｓｈｏｒｅ Ａ、より好ましくは、７０～１００Ｓｈｏｒｅ Ａの硬度を有することができる。
図３ａ及び図３ｂに示されたように、ミッド－ケース２１１０の段差２１１２により支持されるブラケット２１３０は、ミッド－ケース２１１０の横断面形態に対応する単一閉曲線形態を有することができる。
本発明の一実施形態によれば、ブラケット２１３０は、パッキング部材２１４０より高い硬度を有し、固定層２１２２と強く接着されている。
例えば、パッキング部材２１４０は、キャップ２２００がボルト２３１０とナット２３２０とによってミッド－ケース２１１０に締め付けられるときに加えられる圧力により圧縮され得るように３０～６０Ｓｈｏｒｅ Ａ、より好ましくは、４０～５０Ｓｈｏｒｅ Ａの相対的に低い硬度を有することができ、ブラケット２１３０は、パッキング部材２１４０の硬度より高い６０～１００Ｓｈｏｒｅ Ａ、より好ましくは、７０～１００Ｓｈｏｒｅ Ａの硬度を有することができる。
【0025】
図４ａ及び図４ｂに示されたように、ミッド－ケース２１１０の末端が挟まれる溝Ｇを有するパッキング部材２１４０もミッド－ケース２１１０の横断面形態に対応する単一閉曲線形態を有することができる。
本発明の一実施形態によれば、パッキング部材２１４０は、軟質ゴム（例えば、シリコンゴムまたはウレタンゴム）を含むことができ、ブラケット２１３０は、金属、硬質プラスチック［例えば、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリスチレン（ＰＳ）、ポリカーボネート（ＰＣ）、またはアクリル樹脂］、または硬質ゴムを含むことができる。
キャップ２２００がボルト２３１０とナット２３２０とによってミッド－ケース２１１０に締め付けられるとき、キャップ２２００とミッド－ケース２１１０との間に配置されたパッキング部材２１４０部分［特に、ミッド－ケース２１１０の末端が挟まれた溝に対応するパッキング部材２１４０部分］がキャップ２２００とミッド－ケース２１１０とにより加えられる圧力により圧縮されることで、パッキング部材２１４０とミッド－ケース２１１０との間の界面を介してのガスの移動（すなわち、外部漏れ）を防止して、タイトな外部シーリング（ｅｘｔｅｒｎａｌ ｓｅａｌｉｎｇ）を保障できる。
本発明の一実施形態によれば、パッキング部材２１４０は、軟質ゴム（例えば、シリコンゴムまたはウレタンゴム）を含むことができ、ブラケット２１３０は、金属、硬質プラスチック［例えば、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリスチレン（ＰＳ）、ポリカーボネート（ＰＣ）、またはアクリル樹脂］、または硬質ゴムを含むことができる。
キャップ２２００がボルト２３１０とナット２３２０とによってミッド－ケース２１１０に締め付けられるとき、キャップ２２００とミッド－ケース２１１０との間に配置されたパッキング部材２１４０部分［特に、ミッド－ケース２１１０の末端が挟まれた溝に対応するパッキング部材２１４０部分］がキャップ２２００とミッド－ケース２１１０とにより加えられる圧力により圧縮されることで、パッキング部材２１４０とミッド－ケース２１１０との間の界面を介してのガスの移動（すなわち、外部漏れ）を防止して、タイトな外部シーリング（ｅｘｔｅｒｎａｌ ｓｅａｌｉｎｇ）を保障できる。
【0026】
また、ブラケット２１３０がミッド－ケース２１１０の段差２１１２により支持されるだけでなく、相対的に高い硬度を有するので、キャップ２２００がボルト２３１０とナット２３２０とによってミッド－ケース２１１０に締め付けられるとき、ブラケット２１３０がキャップ２２００とともにパッキング部材２１４０に圧力を効果的に加えることができる。その結果、キャップ２２００とブラケット２１３０との間に配置された［すなわち、ミッド－ケース２１１０内部に位置した］パッキング部材２１４０部分が十分に圧縮されることで、パッキング部材２１４０とブラケット２１３０との間の界面を介してのガスの移動（すなわち、内部漏れ）を防止して、優れた内部シーリング（ｉｎｔｅｒｎａｌ ｓｅａｌｉｎｇ）を保障できる。
また、本発明の一実施形態に係るブラケット２１３０は、固定層２１２２と優れた接着力を有することにより、ブラケット２１３０と固定層２１２２との間の界面を介してのガスの移動（すなわち、内部漏れ）を防止して、さらに強い内部シーリングを提供できる。必要に応じて、ブラケット２１３０の表面をプライマー（ｐｒｉｍｅｒ）で処理することにより、ブラケット２１３０と固定層２１２２との接着強度をさらに向上させて、内部シーリング効果を極大化することができる。
また、本発明の一実施形態に係るブラケット２１３０は、固定層２１２２と優れた接着力を有することにより、ブラケット２１３０と固定層２１２２との間の界面を介してのガスの移動（すなわち、内部漏れ）を防止して、さらに強い内部シーリングを提供できる。必要に応じて、ブラケット２１３０の表面をプライマー（ｐｒｉｍｅｒ）で処理することにより、ブラケット２１３０と固定層２１２２との接着強度をさらに向上させて、内部シーリング効果を極大化することができる。
【0027】
ダンピング突起２１５０は、ミッド－ケース２１１０の内壁から固定層２１２２方向に突出形成される。ダンピング突起２１５０は、ミッド－ケース２１１０の内壁を囲む環状で形成されることができる。製造の際に、ダンピング突起２１５０は、固定層２１２２に加圧方式で挟まれることができる。ダンピング突起２１５０は、第２の固定層２１２２－２に挟まれることができる。もちろん、第２の固定層２１２２－２を貫通して第１の固定層２１２２－１に挟まれることもできる。
ダンピング突起２１５０は、固定層２１２２に加圧方式で挟まれながら固定層２１２２を圧縮させて、ミッド－ケース２１１０内部の空気がキャップ２２００側に移動することを抑制して、よりタイトな内部シーリングを可能なようにする。
また、ダンピング突起２１５０は、固定層２１２２に加圧方式で挟まれながら固定層２１２２を圧縮させて、加湿モジュール２１００内部を流動する空気によりカートリッジ２１２０に発生する振動を抑制できる。すなわち、キャップのポート２２１０を介して流入する乾燥空気の流れ（図２においてＺ軸方向として表示）によりカートリッジ２１２０がＺ軸方向に振動することを抑制できる。
ダンピング突起２１５０は、固定層２１２２に加圧方式で挟まれながら固定層２１２２を圧縮させて、ミッド－ケース２１１０内部の空気がキャップ２２００側に移動することを抑制して、よりタイトな内部シーリングを可能なようにする。
また、ダンピング突起２１５０は、固定層２１２２に加圧方式で挟まれながら固定層２１２２を圧縮させて、加湿モジュール２１００内部を流動する空気によりカートリッジ２１２０に発生する振動を抑制できる。すなわち、キャップのポート２２１０を介して流入する乾燥空気の流れ（図２においてＺ軸方向として表示）によりカートリッジ２１２０がＺ軸方向に振動することを抑制できる。
【0028】
また、ダンピング突起２１５０は、ミッド－ケース２１１０の内壁から固定層２１２２方向に突出形成されるので、製造過程において固定層形成の際、固定層の位置選定を容易にすることができる。
本発明の一実施形態に係るキャップ２２００は、図２に示されたように、パッキング部材２１４０の溝に挟まれるミッド－ケース２１１０の末端に対応する位置にキャップ突起２２２０を有することができる。キャップ突起２２２０は、ミッド－ケース２１１０の末端とともにパッキング部材２１４０をより効果的に圧縮させることで、よりタイトな外部シーリングを可能なようにする。
本発明の一実施形態に係るパッキング部材２１４０は、図２に示されたように、固定層２１２２と接触することができる。固定層２１２２形成に使用される液状樹脂（例えば、液状のポリウレタン樹脂）がパッキング部材２１４０に接触した状態で硬化されるようにすることで、パッキング部材２１４０と固定層２１２２との接着強度を向上させ、内部シーリングを強化することができる。
本発明の一実施形態に係るキャップ２２００は、図２に示されたように、パッキング部材２１４０の溝に挟まれるミッド－ケース２１１０の末端に対応する位置にキャップ突起２２２０を有することができる。キャップ突起２２２０は、ミッド－ケース２１１０の末端とともにパッキング部材２１４０をより効果的に圧縮させることで、よりタイトな外部シーリングを可能なようにする。
本発明の一実施形態に係るパッキング部材２１４０は、図２に示されたように、固定層２１２２と接触することができる。固定層２１２２形成に使用される液状樹脂（例えば、液状のポリウレタン樹脂）がパッキング部材２１４０に接触した状態で硬化されるようにすることで、パッキング部材２１４０と固定層２１２２との接着強度を向上させ、内部シーリングを強化することができる。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、図２に示されたように、固定層２１２２は、中空糸膜２１２１の末端がポッティングされている第１の固定層２１２２－１、及び第１の固定層２１２２－１を覆い、ブラケット２１３０と接触する第２の固定層２１２２－２を備えることができる。
第１の固定層２１２２－１と第２の固定層２１２２－２とは、ディップキャスティング方式または遠心キャスティング方式によって液状ポリウレタン樹脂のような液状樹脂を硬化させることにより各々形成されることができる。第１の固定層２１２２－１と第２の固定層２１２２－２とは、相違した物質で各々形成されることができるが、これらの間の接着強度の側面で同じ物質（例えば、ポリウレタン樹脂）で各々形成されることが好ましいこともある。
加湿モジュール２１００は、図２に示されたように、両末端が開放されたインナーケース（ｉｎｎｅｒ ｃａｓｅ）２１２３をミッド－ケース２１１０内にさらに備えることができる。この場合、中空糸膜２１２１は、インナーケース２１２３内に配置される。中空糸膜２１２１の末端部がポッティングされている第１の固定層２１２２－１がインナーケース２１２３の開放された末端（ｏｐｅｎ ｅｎｄｓ）を閉鎖させる。
第１の固定層２１２２－１と第２の固定層２１２２－２とは、ディップキャスティング方式または遠心キャスティング方式によって液状ポリウレタン樹脂のような液状樹脂を硬化させることにより各々形成されることができる。第１の固定層２１２２－１と第２の固定層２１２２－２とは、相違した物質で各々形成されることができるが、これらの間の接着強度の側面で同じ物質（例えば、ポリウレタン樹脂）で各々形成されることが好ましいこともある。
加湿モジュール２１００は、図２に示されたように、両末端が開放されたインナーケース（ｉｎｎｅｒ ｃａｓｅ）２１２３をミッド－ケース２１１０内にさらに備えることができる。この場合、中空糸膜２１２１は、インナーケース２１２３内に配置される。中空糸膜２１２１の末端部がポッティングされている第１の固定層２１２２－１がインナーケース２１２３の開放された末端（ｏｐｅｎ ｅｎｄｓ）を閉鎖させる。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、インナーケース２１２３は、排ガス流入／流出のためのポート２１１１（図２には、１つだけ図示されている）に対応する位置に複数のホールＨを各々有する。第１のポート２１１１を介してミッド－ケース２１１０内に流入した排ガスが第１のホールＨを通過した後、中空糸膜２１２１の外表面に沿って流れながら水分を奪われる。次いで、反対側の第２のホールＨを介してインナーケース２１３３を抜け出した後、第２のポート２１１１を介してミッド－ケース２１１０から排出される。
中空糸膜２１２１、第１の固定層２１２２－１、及びインナーケース２１２３は、中空糸膜カートリッジ２１２０を構成する。
図２に示されたように、インナーケース２１２３の末端が第１の固定層２１２２－１にポッティングされていることにより、中空糸膜２１２１とインナーケース２１２３との相対的位置が一定に維持され得る。
中空糸膜２１２１、第１の固定層２１２２－１、及びインナーケース２１２３は、中空糸膜カートリッジ２１２０を構成する。
図２に示されたように、インナーケース２１２３の末端が第１の固定層２１２２－１にポッティングされていることにより、中空糸膜２１２１とインナーケース２１２３との相対的位置が一定に維持され得る。
【0031】
以下では、図５を参照して本発明の第２実施形態に係る燃料電池膜加湿器２０００を説明する。
図５に示されたように、本発明の第２実施形態に係る燃料電池膜加湿器２０００は、２個の中空糸膜カートリッジ２１２０ａ、２１２０ｂを備えているということを除いては、上述した第１実施形態と実質的に同様である。
すなわち、本発明の第２実施形態によれば、中空糸膜は、第１のグループの中空糸膜２１２１ａ及び第２のグループの中空糸膜２１２１ｂを備え、加湿モジュール２１００は、第１のグループの中空糸膜２１２１ａが内部に配置されている第１のインナーケース２１２３ａ及び第２のグループの中空糸膜２１２１ｂが内部に配置されている第２のインナーケース２１２３ｂを備え、固定層２１２２は、第１のグループの中空糸膜２１２１ａの末端がポッティングされている第１の固定層２１２２－１ａ、第２のグループの中空糸膜の末端２１２１ｂがポッティングされている第２の固定層２１２２－１ｂ、及び第１及び第２の固定層２１２２－１ａ、２１２２－１ｂを覆い、ブラケット２１３０と接触する第３の固定層２１２２－２を備える。
図５に示されたように、本発明の第２実施形態に係る燃料電池膜加湿器２０００は、２個の中空糸膜カートリッジ２１２０ａ、２１２０ｂを備えているということを除いては、上述した第１実施形態と実質的に同様である。
すなわち、本発明の第２実施形態によれば、中空糸膜は、第１のグループの中空糸膜２１２１ａ及び第２のグループの中空糸膜２１２１ｂを備え、加湿モジュール２１００は、第１のグループの中空糸膜２１２１ａが内部に配置されている第１のインナーケース２１２３ａ及び第２のグループの中空糸膜２１２１ｂが内部に配置されている第２のインナーケース２１２３ｂを備え、固定層２１２２は、第１のグループの中空糸膜２１２１ａの末端がポッティングされている第１の固定層２１２２－１ａ、第２のグループの中空糸膜の末端２１２１ｂがポッティングされている第２の固定層２１２２－１ｂ、及び第１及び第２の固定層２１２２－１ａ、２１２２－１ｂを覆い、ブラケット２１３０と接触する第３の固定層２１２２－２を備える。
【0032】
第１のグループの中空糸膜２１２１ａ、第１の固定層２１２２－１ａ、及び第１のインナーケース２１２３ａは、第１の中空糸膜カートリッジ２１２０ａを構成し、第２のグループの中空糸膜２１２１ｂ、第２の固定層２１２２－１ｂ、及び第２のインナーケース２１２３ｂは、第２の中空糸膜カートリッジ２１２０ｂを構成する。
図５に示されたように、第１及び第２のインナーケース２１２３ａ、２１２３ｂの末端が第１及び第２の固定層２１２２－１ａ、２１２２－１ｂに各々ポッティングされていることにより、第１のグループの中空糸膜２１２１ａと第１のインナーケース２１２３ａとの相対的位置及び第２のグループの中空糸膜２１２１ｂと第２のインナーケース２１２３ｂとの相対的位置が各々一定に維持され得る。
より大きい加湿容量のためには、中空糸膜２１２１の個数を増加させなければならない。しかし、１個の中空糸膜カートリッジ２１２０のみを備える第１実施形態の場合、中空糸膜２１２１が多いほど、中央に位置した中空糸膜２１２１に排ガスが伝達され難くなるという問題点がある。
図５に示されたように、第１及び第２のインナーケース２１２３ａ、２１２３ｂの末端が第１及び第２の固定層２１２２－１ａ、２１２２－１ｂに各々ポッティングされていることにより、第１のグループの中空糸膜２１２１ａと第１のインナーケース２１２３ａとの相対的位置及び第２のグループの中空糸膜２１２１ｂと第２のインナーケース２１２３ｂとの相対的位置が各々一定に維持され得る。
より大きい加湿容量のためには、中空糸膜２１２１の個数を増加させなければならない。しかし、１個の中空糸膜カートリッジ２１２０のみを備える第１実施形態の場合、中空糸膜２１２１が多いほど、中央に位置した中空糸膜２１２１に排ガスが伝達され難くなるという問題点がある。
【0033】
これに対し、本発明の第２実施形態では、２個の中空糸膜カートリッジ２１２０ａ、２１２０ｂが互いに離間して配置されるので、全体中空糸膜２１２１ａ、２１２１ｂの個数が増加しても、排ガスが全体中空糸膜２１２１ａ、２１２１ｂに比較的均一に伝達されることができる。すなわち、中空糸膜の個数が同一である場合、２個の中空糸膜カートリッジ２１２０ａ、２１２０ｂを備える第２実施形態の構造が、１個の中空糸膜カートリッジ２１２０のみを備える第１実施形態の構造に比べて中空糸膜活用度の側面で有利である。
燃料電池の容量（または、求められる加湿容量）、加湿器の大きさ、加湿器の重さなどを全体的に考慮して、ミッド－ケース２１１０内に装着される中空糸膜カートリッジ（等）の個数を決定できる。
以下では、図６ａ～図６ｇを参照して本発明の一実施形態に係る燃料電池膜加湿器２０００の製造方法をより具体的に説明する。
燃料電池の容量（または、求められる加湿容量）、加湿器の大きさ、加湿器の重さなどを全体的に考慮して、ミッド－ケース２１１０内に装着される中空糸膜カートリッジ（等）の個数を決定できる。
以下では、図６ａ～図６ｇを参照して本発明の一実施形態に係る燃料電池膜加湿器２０００の製造方法をより具体的に説明する。
【0034】
まず、図６ａに示されたように、複数の中空糸膜２１２１’の末端が第１の固定層２１２２－１’にポッティングされている中空糸膜カートリッジ２１２０’を用意する。
中空糸膜カートリッジ２１２０’は、中空糸膜２１２１’のそれぞれの少なくとも一部をインナーケース２１２３内に挿入した後、液状ポリウレタン樹脂のような液状樹脂を用いたディップキャスティング工程または遠心キャスティング工程を行うことにより製造されることができる。液状樹脂の硬化によって、中空糸膜２１２１’の末端がポッティングされている第１の固定層２１２２－１’が形成される。ディップキャスティング工程または遠心キャスティング工程を行うとき、インナーケース２１２３の末端も中空糸膜２１２１’の末端とともに第１の固定層２１２２－１’にポッティングされるようにすることができる。インナーケース２１２３は、その長さ方向に沿って互いに反対側に位置した第１及び第２のグループのホールＨを有することができる。
次いで、図６ｂに示されたように、両末端が開放されており、内周面に段差２１１２及びダンピング突起２１５０が形成されたミッド－ケース２１１０内に中空糸膜カートリッジ２１２０’を挿入する。
中空糸膜カートリッジ２１２０’は、中空糸膜２１２１’のそれぞれの少なくとも一部をインナーケース２１２３内に挿入した後、液状ポリウレタン樹脂のような液状樹脂を用いたディップキャスティング工程または遠心キャスティング工程を行うことにより製造されることができる。液状樹脂の硬化によって、中空糸膜２１２１’の末端がポッティングされている第１の固定層２１２２－１’が形成される。ディップキャスティング工程または遠心キャスティング工程を行うとき、インナーケース２１２３の末端も中空糸膜２１２１’の末端とともに第１の固定層２１２２－１’にポッティングされるようにすることができる。インナーケース２１２３は、その長さ方向に沿って互いに反対側に位置した第１及び第２のグループのホールＨを有することができる。
次いで、図６ｂに示されたように、両末端が開放されており、内周面に段差２１１２及びダンピング突起２１５０が形成されたミッド－ケース２１１０内に中空糸膜カートリッジ２１２０’を挿入する。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、ミッド－ケース２１１０は、開放された末端を有し、単一閉曲線形態の横断面を有する。ミッド－ケース２１１０は、その内部空間を長さ方向に沿って互いに反対側に位置した排ガス流入空間と排ガス排出空間とに分ける隔壁を有することができ、隔壁に形成されたホールに中空糸膜カートリッジ２１２０’が挟まれることで、隔壁により支持されることができる。このとき、インナーケース２１２３の第１のグループのホールＨは、排ガス流入空間内に存在するようになり、インナーケース２１２３の第２のグループのホールＨは、排ガス排出空間内に存在するようになる。
この場合、排ガス流入空間に入った排ガスは、第１のグループのホールＨを介してインナーケース２１２３内に流入し、インナーケース２１２３内で第２のグループのホールＨに向かって流れるようになり、第２のグループのホールＨを介して排ガス排出空間に移動し、次いで、ミッド－ケース２１１０から排出される。
この場合、排ガス流入空間に入った排ガスは、第１のグループのホールＨを介してインナーケース２１２３内に流入し、インナーケース２１２３内で第２のグループのホールＨに向かって流れるようになり、第２のグループのホールＨを介して排ガス排出空間に移動し、次いで、ミッド－ケース２１１０から排出される。
【0036】
次いで、図６ｃに示されたように、ブラケット２１３０をミッド－ケース２１１０の段差２１１２上に装着する。前述したように、ミッド－ケース２１１０は、単一閉曲線形態の横断面を有し、ブラケット２１３０は、ミッド－ケース２１１０の横断面形態に対応する単一閉曲線形態を有することができる。
本発明の一実施形態に係るブラケット２１３０は、金属、硬質プラスチック［例えば、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリスチレン（ＰＳ）、ポリカーボネート（ＰＣ）、またはアクリル樹脂］、または硬質ゴムで形成されることができる。選択的に（ｏｐｔｉｏｎａｌｌｙ）、ブラケット２１３０の表面をプライマーで処理した後、ミッド－ケース２１１０の段差２１１２上に装着することができる。
次いで、図６ｄに示されたように、ミッド－ケース２１１０の末端に対応する溝を有するパッキング部材２１４０を、ミッド－ケース２１１０の末端が溝に挟まれるように、そしてパッキング部材２１４０の一部がブラケット２１３０に接触するように、ミッド－ケース２１１０の末端上に装着する。パッキング部材２１４０もミッド－ケース２１１０の横断面形態に対応する単一閉曲線形態を有することができる。
本発明の一実施形態に係るブラケット２１３０は、金属、硬質プラスチック［例えば、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリスチレン（ＰＳ）、ポリカーボネート（ＰＣ）、またはアクリル樹脂］、または硬質ゴムで形成されることができる。選択的に（ｏｐｔｉｏｎａｌｌｙ）、ブラケット２１３０の表面をプライマーで処理した後、ミッド－ケース２１１０の段差２１１２上に装着することができる。
次いで、図６ｄに示されたように、ミッド－ケース２１１０の末端に対応する溝を有するパッキング部材２１４０を、ミッド－ケース２１１０の末端が溝に挟まれるように、そしてパッキング部材２１４０の一部がブラケット２１３０に接触するように、ミッド－ケース２１１０の末端上に装着する。パッキング部材２１４０もミッド－ケース２１１０の横断面形態に対応する単一閉曲線形態を有することができる。
【0037】
次いで、図６ｅに示されたように、ミッド－ケース２１１０、ブラケット２１３０、及びパッキング部材２１４０と中空糸膜カートリッジ２１２０’の末端との間のギャップを埋める第２の固定層２１２２－２’を形成する。
第２の固定層２１２２－２’は、ミッド－ケース２１１０にポッティングキャップ（図示せず）を締め付け、ポッティングキャップがミッド－ケース２１１０の下に位置した状態でポッティングキャップに液状ポリウレタン樹脂のような液状樹脂を注入し、硬化させるディップキャスティング工程を行い、次いで、ポッティングキャップを除去することにより製造されることができる。それに代えて、第２の固定層２１２２－２’は、遠心キャスティング工程によって形成されることもできる。
第２の固定層２１２２－２’は、ミッド－ケース２１１０にポッティングキャップ（図示せず）を締め付け、ポッティングキャップがミッド－ケース２１１０の下に位置した状態でポッティングキャップに液状ポリウレタン樹脂のような液状樹脂を注入し、硬化させるディップキャスティング工程を行い、次いで、ポッティングキャップを除去することにより製造されることができる。それに代えて、第２の固定層２１２２－２’は、遠心キャスティング工程によって形成されることもできる。
【0038】
第１及び第２の固定層２１２２－１’、２１２２－２’は、相違した液状樹脂で各々組成されることができるが、これらの間の接着強度の側面で同じ物質（例えば、液状ポリウレタン樹脂）で各々形成されるのが好ましいこともある。
本発明の一実施形態によれば、第２の固定層２１２２－２’形成に使用される液状樹脂（例えば、液状のポリウレタン）がブラケット２１３０及びパッキング部材２１４０と接触した状態で硬化されるようにすることで、これらに対する第２の固定層２１２２－２’の接着力を向上させ、内部シーリングを強化することができる。
本発明の一実施形態によれば、ブラケット２１３０が第２の固定層２１２２－２’と優れた接着力を有する物質で形成されるので、これらの間の界面を介してのガスの移動（すなわち、内部漏れ）を防止して、さらに強い内部シーリングを提供できる。また、前述したように、プライマーで表面処理されたブラケット２１３０を用いる場合、ブラケット２１３０と第２の固定層２１２２－２’との接着強度が極大化されることで、より優れた内部シーリングが提供され得る。
次いで、図６ｅのカッティングラインＣＬに沿って第１の固定層２１２２－１’、第２の固定層２１２２－２’、及び中空糸膜２１２１’を同時にカッティングすることで、図６ｆに示されたように、第２の固定層２１２２－２により囲まれた第１の固定層２１２２－１にポッティングされた末端が開放された中空糸膜２１２１を得る。
本発明の一実施形態によれば、第２の固定層２１２２－２’形成に使用される液状樹脂（例えば、液状のポリウレタン）がブラケット２１３０及びパッキング部材２１４０と接触した状態で硬化されるようにすることで、これらに対する第２の固定層２１２２－２’の接着力を向上させ、内部シーリングを強化することができる。
本発明の一実施形態によれば、ブラケット２１３０が第２の固定層２１２２－２’と優れた接着力を有する物質で形成されるので、これらの間の界面を介してのガスの移動（すなわち、内部漏れ）を防止して、さらに強い内部シーリングを提供できる。また、前述したように、プライマーで表面処理されたブラケット２１３０を用いる場合、ブラケット２１３０と第２の固定層２１２２－２’との接着強度が極大化されることで、より優れた内部シーリングが提供され得る。
次いで、図６ｅのカッティングラインＣＬに沿って第１の固定層２１２２－１’、第２の固定層２１２２－２’、及び中空糸膜２１２１’を同時にカッティングすることで、図６ｆに示されたように、第２の固定層２１２２－２により囲まれた第１の固定層２１２２－１にポッティングされた末端が開放された中空糸膜２１２１を得る。
【0039】
次いで、図６ｇに示されたように、ミッド－ケース２１１０にキャップ２２００を締め付けるものの、キャップ２２００によりパッキング部材２１４０が圧縮されるようにキャップ２２００を締め付ける。
本発明の一実施形態に係るキャップ２２００は、図６ｇに示されたように、パッキング部材２１４０の溝に挟まれるミッド－ケース２１１０の末端に対応する位置にキャップ突起２２２０を有することができる。キャップ突起２２２０は、ミッド－ケース２１１０の末端とともにパッキング部材２１４０をより効果的に圧縮させることで、よりタイトな外部シーリングを可能なようにする。
また、本発明の一実施形態によれば、ブラケット２１３０がパッキング部材２１４０より高い硬度を有することにより、ミッド－ケース２１１０にキャップ２２００が締め付けられるとき、パッキング部材２１４０が圧縮され得る。
すなわち、ブラケット２１３０がミッド－ケース２１１０の段差２１１２により支持されるだけでなく、パッキング部材２１４０の硬度（３０～６０Ｓｈｏｒｅ Ａ、より好ましくは、４０～５０Ｓｈｏｒｅ Ａ）より高い硬度（６０～１００Ｓｈｏｒｅ Ａ、より好ましくは、７０～１００Ｓｈｏｒｅ Ａ）を有するので、キャップ２２００がボルト２３１０とナット２３２０とによってミッド－ケース２１１０に締め付けられるとき、ブラケット２１３０がキャップ２２００とともにパッキング部材２１４０に圧力を効果的に加えることができる。その結果、キャップ２２００とブラケット２１３０との間に配置された［すなわち、ミッド－ケース２１１０内部に位置した］パッキング部材２１４０部分が十分に圧縮されることにより、パッキング部材２１４０とブラケット２１３０との間の界面を介してのガスの移動（すなわち、内部漏れ）を防止して、優れた内部シーリングを保障できる。
本発明の一実施形態に係るキャップ２２００は、図６ｇに示されたように、パッキング部材２１４０の溝に挟まれるミッド－ケース２１１０の末端に対応する位置にキャップ突起２２２０を有することができる。キャップ突起２２２０は、ミッド－ケース２１１０の末端とともにパッキング部材２１４０をより効果的に圧縮させることで、よりタイトな外部シーリングを可能なようにする。
また、本発明の一実施形態によれば、ブラケット２１３０がパッキング部材２１４０より高い硬度を有することにより、ミッド－ケース２１１０にキャップ２２００が締め付けられるとき、パッキング部材２１４０が圧縮され得る。
すなわち、ブラケット２１３０がミッド－ケース２１１０の段差２１１２により支持されるだけでなく、パッキング部材２１４０の硬度（３０～６０Ｓｈｏｒｅ Ａ、より好ましくは、４０～５０Ｓｈｏｒｅ Ａ）より高い硬度（６０～１００Ｓｈｏｒｅ Ａ、より好ましくは、７０～１００Ｓｈｏｒｅ Ａ）を有するので、キャップ２２００がボルト２３１０とナット２３２０とによってミッド－ケース２１１０に締め付けられるとき、ブラケット２１３０がキャップ２２００とともにパッキング部材２１４０に圧力を効果的に加えることができる。その結果、キャップ２２００とブラケット２１３０との間に配置された［すなわち、ミッド－ケース２１１０内部に位置した］パッキング部材２１４０部分が十分に圧縮されることにより、パッキング部材２１４０とブラケット２１３０との間の界面を介してのガスの移動（すなわち、内部漏れ）を防止して、優れた内部シーリングを保障できる。
【0040】
以上で説明した本発明によれば、従来技術のシーラント塗布及び硬化工程なしに、ブラケット２１３０とパッキング部材２１４０との機械的組立だけを介して外部漏れと内部漏れとを共に効果的に防止することができる。したがって、本発明によれば、従来技術において求められるシーラント塗布工程及びシーラント硬化工程が省略されるので、作業性が向上するだけでなく、製造時間が短縮されることで、その生産性を画期的に向上させることができる。また、シーラント硬化工程中に半製品を保管する別の空間が求められないので、加湿器の生産費用が低減され得る。また、ミッド－ケース２１１０と固定層２１２２との間にダンピング突起２１５０が形成されて、運転の際に発生する振動を抑制でき、ミッド－ケース内部にある空気がキャップに流動することを抑制して、シーリング機能を強化することができ、固定層形成の際、固定層の位置選定を容易にすることができる。
【0041】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、または追加などによって本発明を様々に修正及び変更させ得るであろうし、これも本発明の権利範囲内に含まれるといえるであろう。
【符号の説明】
【0042】
２０００：燃料電池膜加湿器
２１００：加湿モジュール ２１１０：ミッド－ケース
２１２０：中空糸膜カートリッジ ２１２１：中空糸膜
２１２２：固定層 ２１３０：ブラケット
２１４０：パッキング部材 ２１５０：ダンピング突起
２１００：加湿モジュール ２１１０：ミッド－ケース
２１２０：中空糸膜カートリッジ ２１２１：中空糸膜
２１２２：固定層 ２１３０：ブラケット
２１４０：パッキング部材 ２１５０：ダンピング突起
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図6e】
【図6f】
【図6g】
【国際調査報告】