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特表2024-502987NR IIOTにおける同期精度の維持方法とユーザ機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】NR IIOTにおける同期精度の維持方法とユーザ機器
(51)【国際特許分類】
   H04W 56/00 20090101AFI20240117BHJP
【FI】
H04W56/00 130
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541124
(86)(22)【出願日】2022-01-11
(85)【翻訳文提出日】2023-07-05
(86)【国際出願番号】 JP2022000610
(87)【国際公開番号】W WO2022153985
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】202111002014
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ゴンウグントラ ヴェンカタラオ
(72)【発明者】
【氏名】二木 尚
(72)【発明者】
【氏名】池田 哲
(72)【発明者】
【氏名】林 貞福
(72)【発明者】
【氏名】シュリニヴァサン マニカンタン
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD25
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
NR IIOTにおける同期マスタークロックとUEクロック間のより微細な同期要件(例えば1μs未満の同期)を維持する方法を開示する。本開示では、ULタイミングアドバンス受信時間に応じてUEクロック更新を適用する方法を導入する。また、本開示では、伝播遅延変化のためのスケジューリング要求IDを示す新しいシグナリング、これに基づいて同期マスターとUEクロック間のより微細な同期要件を維持するためにタイミングアドバンスをトリガーするためのシグナリングを導入する。また、本開示では、UE(900)での伝播遅延変更を計算し、それによって同期マスターとUEクロックとの間のより微細な同期要件を維持するために伝播遅延補償を実行する新しい方法を導入する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
TSN GM(Time-Sensitive Networking Grand Mater)クロックとユーザ機器(UE)クロックとの同期を1マイクロ秒未満に維持するためにUEで実行される方法であって、
(R)ANノードからの基準時間情報(T_Ref)を受信し、
前記(R)ANノードからのTA(Timing Advance)コマンドを受信し、
前記TAコマンドからのPD(Propagation Delay)を計算し、
UEクロック更新を適用し、
前記TAコマンド受信後、前記基準時間情報受信前にPD変化が検出されなかった場合、前記基準時間情報受信時に前記UEクロック更新が適用され、
前記TAコマンド受信後、前記基準時間情報受信前にPD変化が検出され、更新TAコマンドが受信されなかった場合、前記更新TAコマンド受信時に前記UEクロック更新が適用される、方法。
【請求項2】
T_Ref+PD+deltaによる前記UEクロック更新を適用することを更に含み、前記deltaは、前記UEクロック更新時のUEクロック値と前記基準時間情報受信時のUEクロック値の差である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
計算された前記PDはTA値の半分に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ビーム変化又はパス変化による前記PDの変化がある場合に前記PD変化を検出し、前記PD変化を、前記ビーム変化又は経路変更時のUE DLタイミングと前記TAコマンド受信時のUE DLタイミングとの差として計算する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ユーザ機器(UE)であって、
少なくとも1つの送受信機と、
少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、
(R)ANノードから基準時間情報(T_Ref) を受信し、
前記(R)ANノードからTA(Timing Advance)コマンドを受信し、
前記TAコマンドからPD(Propagation Delay:伝播遅延)を計算し、
UEクロック更新を適用し、
前記TAコマンド受信後、前記基準時間情報受信前に前記UEがPD変化を検出しなかった場合、前記基準時間情報受信時に前記UEクロック更新を行い、
前記TAコマンド受信後、前記基準時間情報受信前に前記UEがPD変化を検出し、更新TAコマンドが受信されていない場合、前記更新TAコマンド受信時にUEクロック更新を行うように構成されている、UE。
【請求項6】
前記UEクロック更新はT_Ref+PD+deltaで実行され、
前記deltaは前記UEクロック更新時のUEクロック値と前記基準時間情報受信時のUEクロック値の差である、クレーム5に記載のUE。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記PDをTA値の半分として計算するように構成される、請求項5に記載のUE。
【請求項8】
前記プロセッサは、
ビーム変化又はパス変化による前記PDの変化がある場合に前記PD変化を検出し、前記PD変化を、前記ビーム変化又は経路変化時のUE DLタイミングと前記TAコマンド受信時のUE DLタイミングの差として計算するように構成される、請求項5に記載のUE。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して無線電気通信に関するものであり、特に、NR IIOT(New Radio Industrial Internet of Things)における同期マスタークロックとUEクロックとのより精細な同期要件の維持に関するものである。
【背景技術】
【0002】
NR IIOTでは、アプリケーションの一部は同期マスタークロックとUEクロック間でより厳密なクロック同期を要する。これらのアプリケーションにおける同期マスタークロックとUEクロック間の同期要件は、1マイクロ秒(μs)のレベルである。様々なNR IIOTアプリケーションのクロック同期要件は、表1.(TS 38.825-g00の表6.3.1-2)[1]に記載されている。
【表1】
【0003】
表1から、2つのシナリオでNR IIoTに1μsの同期が必要であることが分かる。この要件は、同期マスターに関してより微細な同期要件(例えば、アプリケーションに基づいて1μs又は10us)の精度内で同期される通信グループ内のすべてのUEクロックを意味する。TSNでは、同期マスターはTSNグランドマスター(TSN GM)クロックであり得る。この文献では、同期マスターとTSN GMクロックを同じ意味で使用する。
【0004】
一般に、UE水晶発振器の不正確さにより、UEクロックは時間とともにドリフトする。システム情報ブロック(SIB)9を使用した基準時間情報(T_Ref)は、時間ドリフトを修正するためにgNBから定期的に送信される場合がある。図1に示すように、gNBから(時刻TBSに)送信されたT_Refは、伝播遅延(PD)後にUEで受信される。
【0005】
例えば、1μsの同期は、2つのUEクロックが基準時間の+/-1μs以内でなければならないことを意味する。図1に示すように、gNBから異なる距離にあるUEとUEは、異なる時刻にgNBから送信される基準時間を受信することができる。NR IIOTの指定された要件を満たすために、これら2つのUEはTSN GMクロックから+/-1μs以内の精度を要する。
【0006】
UEクロックの精度は、「parts per million (ppm)」と呼ばれるメトリックを使用して指定される。1ppmとは、100万分の1が誤差の可能性があることを意味する。つまり、クロックが実行される100万マイクロ秒ごとに、クロックが1μsだけドリフトしている可能性がある。例えば、UEクロックが実行される1秒ごとに、1μsドリフトしている可能性がある。精度が0.1ppmのUEの場合、クロックは10秒ごとに1μsドリフトしている可能性がある。
【0007】
1μsのタイムシフトが発生する前にUEが基準時間情報を受信すれば、グランドマスタークロックとUEクロックの間のより微細な同期要件(例えば、1μs)を実現できる。つまり、gNBはSIB9又はRRC DLInformationTransferメッセージのいずれかを使用して基準時間情報を送信しなければならない可能性がある。基準時間情報がSIB9を使用して配信される場合、gNBは少なくとも5120msごとに(TS 38.331に従って10000ms未満のSIB周期)SIB9を送信する必要がある。
【0008】
gNBから300mの距離にあるUEの伝播遅延(PD)は1μsである。通信グループ内の異なるUEは、gNBから異なる距離にあり得るため、基準時間情報はすべてのUEに同時に提供されるが、UEクロックの更新を適用しながら伝播遅延を補償しない限り、UEクロックとTSN GMクロックとの間のより微細な同期要件(例えば、1μsの同期)は不可能である。
【0009】
要約すると、TSN GMクロックとUEクロックとのより微細な同期要件(例えば、1μs)は、伝播遅延補償(PDC)を使用して実現できる。PDCを使用してより微細な同期要件を実現及び維持するためのUEクロック更新の手順/工程を以下に説明する。

1.gNBは、周期性、オフセット、サブキャリア間隔などのパラメータを使用したSSB測定タイミング設定(SMTC)およびSRS設定にてUEを設定する。

2.UEは、異なるSSBビームを監視し、ビーム測定を実行する。測定結果に基づいて、UEは、gNBでのTXビームの変更又はRXビームの変更を支援するために、ビーム測定レポートをgNBにフィードバックすることができる。

RXビームの変更:
無線媒体/チャネルのマルチパス環境により、gNBからの同じTXビームが複数の空間方向からUEで受信され得る。各空間方向で受信されるビームは、それぞれがRXビームと呼ばれる。より強いRXビームを選択するために、UEは360度の空間方向のビームを監視し、より強いRXビームを選択することができ、選択されたビームはサービングRXビームと呼ばれる。UEはさらに、より強いビームを選択するため、あらゆる空間方向のビームを追跡し続ける。

同じTXビームについて、UEは、サービングRXビームよりも強いRXビームがある場合、RXビームを変更することができ、RXビームの切り替えはgNBに依存しない可能性がある。

異なるTX/RXビームは異なる伝播遅延を持つ場合があるため、TX/RXビームの変更は伝播遅延の変更につながる場合がある。タイミングアドバンスは伝播遅延に正比例するため、伝播遅延の変更はタイミングアドバンスの変更につながる可能性がある。

3.UEはgNBからの設定に従って定期的にSRSを送信する。受信したSRSの助けにより、gNBは伝播遅延の変化を検出することができる。検出された伝播遅延の変化が特定の閾値(gNB実装に依存する)を超える場合、gNBはUEへTAコマンドをトリガーすることができる。

4.gNBはSIB9メッセージを通じて基準時間情報を送信する。SIB9の周期はgNBの実装に依存する。

5.gNBから基準時間情報を受信すると、UEはTRef+PD+deltaとしてUEクロックを更新する。ここで、deltaは、UEクロック更新インスタンスのUEクロック値とTRef受信タイミングのUEクロック値の差である。ここで、PD=0.5*NTA*T、NTAはgNBから受信したTAコマンドで、Tは0.509nsである。
【0010】
上記の手順から、UEクロックの更新には基準時間情報とPDが必要であることが分かる。より微細な同期要件の維持は、T_RefとPDの精度に依存する。T_RefはgNBから定期的に受信されるため、その精度は許容範囲内であると想定できる。ただし、PDはビーム変化や経路変化などの他の要因によって変化する場合がある。PD変化に影響を与える要因と、TSN GMとUEクロック間の1μs同期の維持に起こりうる問題について以下に説明する。
【0011】
留意:本明細書の文脈では、「基準時間情報、基準時間情報、基準時間」という用語は同じ意味で使用される。特に明記されていない限り、これらの用語はすべて同じ意味を持ち、基準時間情報である。
【0012】
留意:本明細書の文脈では、「TSN GMクロックとTSN GM」という用語は同じ意味で使用される。特に明記されていない限り、これらの用語はすべてTSN GMクロックを意味する。
【0013】
TSN GMクロックとUEクロック間の同期要件(例:1μs)の維持:
PD=0.5*NTA*Tから、PDがタイミングアドバンス(NTA)コマンドに正比例することが分かる。TAからPDを計算できるが、ビームの変化により、伝播遅延が変化し、以前に受信したTAコマンドから計算したPDが正確でない場合がある。
【0014】
UEがビームの変化時にgNBから更新されたTAコマンドを受信しない限り、TAは正確でない可能性がある。ただし、一部のシナリオでは、ビームの変化が発生した後にUEがUL信号を送信していない場合があるため、gNBからTAコマンドを受信するのが遅れる場合がある。換言すると、UEで伝播遅延の変化があるたびに、gNBからのTAコマンドの更新はSRS(Sounding Reference Signal)の周期性に依存し得る。
【0015】
さらに、UEが、(SSBの周期性に依存する)測定の周期性に基づいてビームを切り替えることができる場合があるため、UEでのビームの変化は間接的にSSBの周期性に依存し得る。
【0016】
水晶発振器の精度に基づいて前述したように、gNBは、UEクロックが1μs以上ドリフトする前に基準時間情報を送信する場合がある。
【0017】
要約すると、より微細な同期要件は伝播遅延補償によって達成される可能性があるが、TSN GMクロックとUEクロック間の1μsの同期性の維持は、SIB9の周期性と、UEがビーム変更後にどのくらい早くSRSを送信するかに依存し得る。
【0018】
より微細な同期要件を維持する上で考えられる問題:
SRSの周期性は主に他の目的のために設計されているため、TSN GMとUEクロック間の1μsの同期性を維持するために特別にSRSの周期性を設定することは、常に実行可能であるとは限らない。このアルゴリズムのために、すべての考えられる設定シナリオで1μsの同期性を維持するように設計する必要がある。次のシナリオをさらに分析することが考えられる。

シナリオ1:SRS周期性はSIB9周期性より小さい
シナリオ2:SRS周期性はSIB9周期性より大きい
【0019】
1μsの同期性など、より微細な同期要件を維持する上で考えられる問題を分析するために、次の設定例を検討する。これらの設定例を使用して、UEクロック更新のタイムラインを示す。
【0020】
留意:いくつかの設定パラメータはスロットでUEに提供されるが、本明細書ではmsで説明する。
【0021】
設定1:
SCS:60kHz;
SSB周期:80ms;及びオフセット:0ms;
SRS周期:80ms;オフセット:20ms;
SIB 9周期:640ms;オフセット:50ms;
UEクロックの更新を図2に示す。
【0022】
このシナリオでは、(640ms時に)PD変化はあるが、UEが基準時間情報を(690ms時に)受信した場合、基準時間情報受信前(670ms時)に、更新されたTAコマンドをすでにUEで受信されている。したがって、このシナリオでは問題はない。
【0023】
設定2:
SCS:60kHz;
SSB周期:80ms;及びオフセット:0ms;
SRS周期:80ms;オフセット:20ms;
SIB 9周期:640ms;オフセット:10ms。
設定2のUEクロック更新を図3に示す。
【0024】
設定2のUEクロック更新の図では、PD変化は640msで発生し、最後に受信されたTAは350msであった。UEは基準時間情報受信時(650ms)に正確なPDを持っていなかったため、650msでのUEクロック更新は1μsの同期に失敗する場合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0025】
【非特許文献1】: [1] 3GPP(登録商標) TR 21.905: 「Vocabulary for 3GPP(登録商標) Specifications」 V15.0.0(2018-03)。
【非特許文献2】: [2] 3GPP(登録商標) TS 38.331:「Radio Resource Control (RRC) protocol specification」 V15.7.0。
【非特許文献3】: [3] 3GPP(登録商標) TS 38.133:「Radio Resource Managementのサポートのための要件」
【非特許文献4】: [4] 3GPP(登録商標) TS 38.211:「物理チャネルと変調」 V15.7.0
【非特許文献5】: [5] 3GPP(登録商標) TS 38.212:「多重化とチャネル符号化」 V15.7.0
【非特許文献6】: [6] 3GPP(登録商標) TS 38.213:「制御のための物理層手順」 V15.7.0
【非特許文献7】: [7] 3GPP(登録商標) TS 38.214:「データのための物理層手順」 V15.7.0
【非特許文献8】: [8] 3GPP(登録商標) TS 38.321:「媒体アクセス制御 (MAC) プロトコル仕様」 V15.7.0
【非特許文献9】: [9] 5G NR:「次世代無線技術」Eric Dahlman, Stefan Parkvall, Johan Skold
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】: [10] 欧州特許出願公開第2829099号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
NR IIOTでは、一部のアプリケーションで通信グループ内のUE間でより微細な同期要件を維持する必要がある。換言すると、通信グループ内のTSN GMクロックとすべてのUEクロックは、+/-x us(例:x=1)の同期精度である必要がある。これを実現するには、TSN GMクロックの基準時間(T_Ref)を通信グループ内のすべてのUEにブロードキャストする必要がある。
【0028】
gNBから300mの距離にあるUEの伝搬遅延(PD)は1μsである。通信グループ内の異なるUEは、gNBから異なる距離にあり得るため、受信した基準時間情報を適用する際に伝搬遅延を補償しない限り、UEクロックとTSN GMクロックとの間でより微細な同期要求は不可能である。
【0029】
伝搬遅延補償のための伝搬遅延計算の合意された方法の1つは、TAコマンドを使用することである。
【0030】
UEクロックは、水晶発振器の不正確さによりドリフトすることがある。無線チャネルの時間変化性により、伝播遅延が変化することがある。これらの2つの側面により、より微細な同期要件の維持は困難である。
【0031】
UEがgNBからT_Refを受信してUEクロック更新を適用する場合、いくつかのシナリオでは、PD変化があり、PD変化に対応する最新のTAコマンドを受信するかどうかによって、UEが正確なPD値を持つ場合と持たない場合がある。正確なPD値がUEクロック更新の伝播遅延補償に適用されない限り、NR IIOTアプリケーションではより微細な同期要件を維持できない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本開示は、クロック同期の改善されたシステム及び方法を提供する。より具体的には、本開示は、NR IIOTにおいて1μsの同期精度を維持するための方法に関する。
【0033】
したがって、本発明は、一態様において、TSN GM(Time-Sensitive Networking Grand Mater)クロックとユーザ機器のUEクロックとの間のより微細な同期要件(例えば、1μs又は10μs)を維持する方法を提供する。(R)ANノードから基準時間情報(T_Ref)とTA(Timing Advance)コマンドを受信し、TAコマンドから伝播遅延(Propagation Delay:PD)を計算する。TAコマンド受信後、基準時間情報受信前にPD変化が検出されなかった場合、UEクロック更新を適用し、その場合、基準時間情報受信時に、UEクロック更新を適用する。TAコマンド受信後、基準時間情報受信前にPD変化が検出され、更新TAコマンドが受信されなかった場合、更新TAコマンド受信時にUEクロック更新を適用する。
【0034】
本開示の利点と特徴をさらに明確にするために、本開示のより具体的な説明の後に、添付の図に示されているその具体的な実施形態を参照して説明する。これらの図は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、範囲を限定するものとは考えられないことを理解されたい。
【0035】
本開示は、追加の具体性と詳細を添えて、添付の図とともに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本開示は、以下の図を添えて、追加の具体性と詳細をもって説明される。
図1図1は、通信グループ内の異なるノード間の関連するタイミング関係を示す。
図2図2は、設定例1の関連するUEクロック更新のタイムラインを示す(SRSの周期は基準時間情報の周期より小さい)。
図3図3は、設定例2の関連するUEクロック更新タイムラインを示す(SRSの周期は基準時間情報の周期より小さい)。
図4図4は、TSN GMクロックとUEクロックの間のより微細な同期要件を維持する実施形態を示す信号図である。
図5図5は、設定例のUEクロック更新タイムラインを示す。
図6図6は、TSN GMクロックとUEクロックの間のより微細な同期要件を維持する別の実施形態を示す信号図である。
図7図7はSchedulingRequestResourceIdのIEを表す。
図8図8は、TSN GMクロックとUEクロックの間のより微細な同期要件を維持するさらに別の実施形態を示す信号図である。
図9図9はUEを模式的に示したブロック図である。
図10図10はRANノードを模式的に示したブロック図である。
図11図11は、コアネットワークノードを模式的に示したブロック図である。
【0037】
さらに、図中の要素は簡略化のために図示されており、必ずしも縮尺に合わせて描かれていない場合があることを当業者は理解するであろう。さらに、装置の構成に関しては、装置の1つ以上の構成要素が従来の記号によって図中に表現されている場合があり、図は、ここで説明する利点を有する当業者にとって容易に明らかになる詳細で図を不明瞭にすることはないように、本開示の実施形態を理解するのに適切な特定の詳細のみを示すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
ここでは、添付図面を参照して実施例を説明する。しかし、本開示は、多くの異なる形態で具体化される可能性があり、ここに記載された実施形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、その範囲を当業者に完全に伝えるように提供されている。添付図面に示された特定の例示的な実施例の詳細な説明で使用される用語は、限定することを意図したものではない。図面において、類似番号は類似要素を指す。
【0039】
ただし、クレーム中の参照番号は、現在の主題の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、主題が他の均等な有効な実施形態を認める可能性があるため、その範囲を限定するために考慮されるべきではないことに留意されたい。
【0040】
本明細書は、いくつかの場所で「an」、「one」又は「some」の実施形態を参照することができる。これは、必ずしもそのような各参照が同じ実施形態(単数又は複数)を指すこと、又はその特徴が単一の実施形態にのみ適用されることを意味しない。異なる実施形態の単一の特徴を組み合わせて、他の実施形態を提供することもできる。
【0041】
本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に明記されていない限り、複数形も含むことを意図している。さらに、「includes」、「comprises」、「including」及び/又は「comprising」という用語は、本明細書で使用される場合、記述された特徴、整数、ステップ、演算、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、演算、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除しないことが理解される。要素が別の要素に「接続されている」又は「結合されている」と称される場合、他の要素に直接接続又は結合されてもよいし、介在する要素が存在してもよいことが理解される。さらに、本明細書で使用される「接続されている」又は「結合されている」には、動作的に接続又は結合されているものが含まれる場合がある。本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、関連する1つ以上のリストされた項目の任意のすべての組み合わせ及び配置を含む。
【0042】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本開示が関係する当該技術分野の当業者の一人によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書で定義されているような用語は、関連する技術分野の文脈においてその意味と一致する意味を持つものとして解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想化された、又は過度に形式的な意味で解釈されることはないことが理解されるであろう。
【0043】
図は、いくつかの要素と機能的な実体のみを示す単純化された構造を示しており、すべてが論理単位であり、その実装は示されているものとは異なる場合がある。図示されている接続は論理接続であり、実際の物理接続は異なる場合がある。構造が他の機能や構造も含む場合があることは、当業者には明らかである。
【0044】
また、図に記述及び描写されているすべての論理ユニットは、ユニットが機能するために必要なソフトウェア及び/又はハードウェアコンポーネントを含む。さらに、各ユニットは、暗黙的に理解される1つ以上のコンポーネントをそれ自体の中に含むことができる。これらのコンポーネントは、相互に動作可能に結合され、当該ユニットの機能を実行するために相互に通信するように構成することができる。
【0045】
第1の実施形態:
第1の実施形態は、問題文1を解決するために、TSN GMクロックとUEクロック間のより微細な同期要件(例えば、1μs未満の同期)を維持する新しい方法を説明する。解決手順の概要を図4に示し、以下にも説明する。

401.(R)ANノード又はgNBによる基準時間情報
402.UEによるSRS送信
403.(R)ANノード又はgNBによるTAコマンド
404.UEクロックの更新
【0046】
以下、第1の実施形態を第1の例として説明する。
1.ステップ401で、gNBから基準時間情報(T_Ref)をUEで受信する。基準時間情報は、SIB 9を介して定期的に送信することも、RRC DLInformationTransferメッセージを使用したRRCシグナリングを介して送信することもできる。SIB 9の周期は、gNBの実装によって異なる。
ステップ401ではUEで基準時間情報を受信したが、UEが正確なPDを知っている場合と知らない場合があるため、基準時間情報を受信した後、UEクロック更新がすぐにUEで適用されない場合がある。
2.ステップ402では、gNBから受信したSRS設定に従って、UEからSRSを送信する。
3.ステップ403では、UEからSRSを受信すると、gNBがSRSからのPD変化を検出する場合がある。検出されたPD変化が特定の閾値(gNB実装まで)を超える場合、gNBはUEへのTAコマンドをトリガーする場合がある。gNBは、SRS送信のたびにTAコマンドを送信しない場合がある。gNBからTAコマンドをトリガーする可能性のあるSRS送信は、PD変化とgNB実装に依存する場合がある。
4.ステップ404では、ステップ403で受信したTAコマンドから、UEはTAコマンドからPDを計算する。計算されたPDはTA値の半分に等しくなる。UEは次の原則に基づいてUEクロック更新を適用する。
a.TAコマンド受信後、基準時間情報受信前にPD変化が検出されなかった場合、UEは基準時間情報受信時にUEクロック更新を適用する。
b.TAコマンド受信後、基準時間情報受信前にPD変化を検知して更新TAコマンドを受信しなかった場合、UEは更新TAコマンド受信時にUEクロック更新を適用する。換言すると、UEは更新TAコマンド受信を待つことができる。
さらに、UEは更新TAコマンドを受信すると、T_Ref+PD+deltaでクロックを更新する。ここで、deltaは、UEクロック更新時のUEクロック値と基準時間情報受信時のUEクロック値の差である。
また、UEは、ビーム変化又はパス変化の検出に基づいてPD変化を検出することができ、PD変化は、ビーム変化又はパス変化時のUE DLタイミングとTAコマンド受信時のUE DLタイミングの差として計算される。
【0047】
以下、第1の実施形態を第2の例として説明する。
1.ステップ401において、本実施例の第1の例で説明したように、UEはSIB 9を介して定期的に、又はRRC DLInformationTransferメッセージを使用したRRCシグナリングを介して基準時間情報を受信する。
【0048】
基準時間情報の受信とは別に、UEはgNBからRRC再設定メッセージも受信する。gNBは、RRC再設定メッセージを通じて、UEにSSB測定タイミング構成(SMTC)と、周期、オフセット、サブキャリア間隔などのパラメータを持つSRS構成を提供する。gNBは、設定された設定に従ってSSB信号を送信する。
受信したRRC再設定メッセージに従って、UEは異なるSSBビームを監視し、ビーム測定を実行する。ビーム測定の測定結果に基づいて、UEは、ビーム測定レポートをgNBにフィードバックし、gNBでのTXビーム変化を支援することができる。無線媒体/チャネルのマルチパス環境により、gNBからの同じTXビームが複数の空間方向にUEで受信されることがある。各空間方向に受信されるビームは、1つのRXビームと呼ばれる。より強いRXビームを選択するために、UEは360度の空間方向のビームを監視し、より強いRXビームを選択することができ、これはサービングRXビームと呼ばれる。UEはさらに、あらゆる可能性のあるより強いビームについて、あらゆる空間方向のビームを追跡し続ける。同じTXビームについて、UEは、サービスRXビームよりも強いRXビームがある場合、RXビームを変更することができ、RXビームの切り替えはgNBに依存しない可能性がある。異なるTX/RXビームは異なる伝播遅延を持つ場合があるため、TX/RXビームの変更はPDの変化につながる場合がある。タイミングアドバンスは伝播遅延に正比例するため、PDの変化はタイミングアドバンスの変化につながる可能性がある。

2.ステップ402で、UEはステップ401で受信したSRS設定に従ってSRSを送信する。

3.ステップ403で、UEからSRSを受信すると、gNBはSRSからのPD変化を検出することができる。検出されたPD変化が特定の閾値(gNB実装まで)を超える場合、gNBはUEへのTAコマンドをトリガーすることができる。gNBは、SRS送信ごとにTAコマンドを送信しない場合がある。gNBからTAコマンドをトリガーし得るSRS送信は、PD変化とgNB実装に依存し得る。

4.ステップ404では、ステップ403で受信したTAコマンドから、UEは最新のPDを計算する。UEは、次の原則に基づいてUEクロック更新を適用する。
a.TAコマンド受信後、基準時間情報受信前にPD変化が検出されなかった場合、UEは基準時間情報受信時にUEクロック更新を適用する。
b.TAコマンド受信後、基準時間情報受信前にPD変化を検知して、更新TAコマンドを受信しなかった場合、UEは更新TAコマンドを受信した時点でクロックを更新する。換言すると、UEは更新TAコマンドを待つことができる。
さらに、UEは更新TAコマンドを受信すると、UEは、T_Ref+PD+deltaでクロックを更新する。ここで、deltaは、UEクロック更新時のUEクロック値と基準時間情報受信時のUEクロック値の差である。
【0049】
第1の実施形態を以下の設定例で説明する。図5にも示す。
【0050】
設定例:
SCS:60kHz;
SSB周期:80ms;及びオフセット:0ms;
SRS周期:80ms;オフセット:20ms;
SIB 9周期:640ms;オフセット:10。
【0051】
この例では、gNBは80msごとにSSBを送信する。設定に従って、UEは80msごとにSSBビームを監視し、ビーム管理を実行する。サービングTXビームよりも強いRXビームがある場合、UEはビーム切り替えを実行する。図では、RXビーム切り替えのインスタンスは濃い赤色で示される。
【0052】
この例では、UEは80msの周期でSRSを送信する。UEからSRSを受信すると、gNBはPD変化を推定する。PD変化がある閾値以上の場合、gNBはTAコマンドをUEに送信する。
【0053】
図5に示すように、320msと640msでPD変化があり、340msと660msでPD変化後にSRS送信がある。320msと640msでのPD変化のため、gNBに依存しない可能性がある。gNBは、340msと660msで送信されたSRSを使用してPD変化を検出できる場合がある。gNBがSRSを使用してPD変化を検出した場合、350msと670msでTAコマンドをトリガーすることができる。
【0054】
640msのSIB9周期と10msのオフセットで、gNBは10msと650msでSIB9を送信する。図5に示すように、PD変化は640msで起こり、最後に受信したTAは350msである。最後に(350msで)受信したTAコマンドから計算したPDでUEクロックを640msで更新すると、UE PDが正確ではなく、1μsの同期に失敗する可能性がある。これを回避するために、更新されたTAコマンドを受信したときにUEクロックの更新を適用する。この例では、基準時間情報は650mで受信されるが、PDの変化は640msで検出されるため、更新されたTAコマンドを受信した後、UEクロックは670msで更新される。
【0055】
第2の実施形態:
第2の実施形態は、問題文1を解決するためにGMクロックとUEクロック間のより微細な同期要件(例えば、1μs未満の同期)を維持するための新しいUE支援及びgNBベースの方法を説明する。解決手順の概要を図6に示し、以下にも説明する。

601.(R)ANノード又はgNBによる基準時間情報
602.UEによるスケジューリング要求
603.(R)ANノード又はgNBによるTAコマンド
604.UEクロックの更新
【0056】
一部のシナリオでは、第2の実施形態を第1の例として説明する。
【0057】
1.ステップ601では、UEはRANノードから基準時間情報を受信する。基準時間情報は、SIB9又はRRC DLInformationTransferメッセージを通じて受信することができる。
2.ステップ602では、RXビームの変化やパスの変更などによりUEでPDの変化を検出し、SRS送信後、一定時間内に使用可能なSRSリソースがないか、一定時間内にTAコマンドを受信しない場合、UEはPDの変化を示すスケジューリング要求をgNBに送信する。PDの変化後、UEがTAコマンドを待っている場合、UEは基準時間情報を受信しているにもかかわらず、UEクロック更新を適用しない。PDの変化を示すスケジューリング要求手順は、以下で説明するように行われる。
a.本方法では、PDの変化を検知すると、UEはPDの変化を示すスケジューリング要求(新しいスケジューリング要求IDを使用)をgNBに送信する。gNBが新しいスケジューリング要求IDを検知すると、gNBはスケジューリング要求IDからPDの変化としてスケジューリング要求の目的を決定する。
b.スケジューリング要求は、TS 38.213で指定された既存の手順に従って送信される。
c.本方法では、RXビーム変更、パス変更又はその他の理由によるUEでのPD変化を示すために、SchedulingRequestIDForPropDelayChangeと呼ばれる新しいタイプのSchedulingRequestResourceIdがTS 38.331のSchedulingRequestResourceConfig IEに導入される。IEは図8に提供される。
ここで、IE SchedulingRequestResourceIdは整数であり、それぞれのSchedulingRequestResourceId IDは、さまざまな目的のためにPUCCH上のスケジューリング要求リソースを識別するために使用される。例えば、SchedulingRequestResourceId=1は目的#1(例えば、purpose#1はアップリンク許可の要求である。この場合、SchedulingRequestResourceId=1は、UL許可の要求として要求をスケジュールする目的を示し、SchedulingRequestResourceId=5は目的#2、例えば目的#2はPD変化指示である。この場合、SchedulingRequestResourceId=5はPD変化などとして要求をスケジュールする目的を示す。このSchedulingRequestResourceIdと使用される目的のマッピングは、暗黙的又は明示的に設定可能であり、gNBとUEの両方で認識される。UEがgNBへのスケジューリング要求をトリガーした目的に基づいて、UEはSchedulingRequestResourceIdを使用してスケジューリング要求を送信する。gNBがSchedulingRequestResourceIdを検出すると、gNBはSchedulingRequestResourceIdに基づいて目的を決定する。
d.UEは、PD変化に関するgNBを示すために、schedulingRequestResourceId又はschedulingRequestIDForPropDelayChangeによってPUCCHリソースを使用して設定できる。ここで、IE SchedulingRequestResourceId又はIE schedulingRequestIDForPropDelayChangeは、PD変化指示用に設定されたPUCCH上のスケジューリング要求リソースを識別するために使用される。
e.UEは、PUCCHフォーマット0/PUCCHフォーマット1のいずれかを使用して、schedulingRequestIDForPropDelayChangeで設定できる。
基準時間情報の受信周期とチャネル条件の変化に基づいて、いくつかのシナリオでは、UEがUEによるスケジューリング要求送信前に基準時間情報を受信することがあり、他のいくつかのシナリオでは、UEが基準時間情報の受信よりも早くスケジューリング要求を送信することがある。PD変化を示すためのUEからのスケジューリング要求送信は、ビーム変更又はパス変更に依存することがある。さらに、PD変化は、ビーム変更又はパス変更時のUE DLタイミングとTAコマンド(ビーム変更又はパス変更前の最後のTAコマンド)受信時のUE DLタイミングの差として計算される。
3.ステップ603では、gNBはUEが送信したスケジューリング要求を検出する。スケジューリング要求リソースの設定から、gNBはschedulingRequestIDForPropDelayChangeに対して設定された特定のPUCCH-ResourceIdについて認識する。gNBが特定のPUCCHリソースIDを検出すると、gNBはPD変化について知ることができる。gNBが受信したスケジューリング要求からタイミング変更を検出できる場合、gNBはTAコマンドを送信する。
4.ステップ604では、TAコマンドを受信すると、UEはTAコマンドからPDを計算する。計算されたPDはTA値の半分に等しく、次のようになる。
・TAコマンド受信時にUEがgNBから基準時間情報(T_Ref)を受信している場合、UEはT_Ref+PD+deltaとしてUEクロック更新を適用する。ここでdeltaは、UEクロック更新時のUEクロック値と基準時間情報受信時のUEクロック値の差である。
・SchedulingRequestIDForPropDelayChangeを送信した後、更新されたTAコマンドを受信する前にUEが基準時間情報を受信した場合、UEは更新されたTAコマンドを受信した時点でUEクロック更新を適用する。
・UEが更新されたTAコマンドを受信するまでに基準時間情報を受信しなかった場合、UEは更新されたTAコマンドに基づいてPDを更新し、gNBから基準時間情報を受信した時点でUEクロック更新を適用する。
【0058】
いくつかのシナリオでは、gNBがスケジューリング要求からPDの変化又はタイミングの変更を検出できない場合がある。これらのシナリオの解決策については、第2の例として以下で説明する。
1.ステップ601では、UEはRANノード又はgNBから基準時間情報を受信する。基準時間情報は、SIB9又はRRC DLInformationTransferメッセージを通じて受信できる。
2.ステップ602では、UEは、第2の実施形態の第1の例のステップ2で説明した手順に従って、スケジューリング要求を送信する。
3.ステップ603では、gNBは、UEが送信したスケジューリング要求を検出する。スケジューリング要求はgNBによって検出されるが、gNBはスケジューリング要求からPDの変化又はタイミングの変化を検出できない場合がある。これらのシナリオでは、UEに非周期的SRSをスケジュールしgNBはTAの変化を推定する。
4.ステップ604では、UEは非周期的SRSスケジュール許可で受信したSRSリソースを使用してスケジュールされたタイムスロットでSRS送信を送信する。
gNBがSRS送信からPD変化を検出でき、PD変化が閾値(閾値はgNB実装であり得る)を超える場合、gNBはTAコマンドをUEに送信する。TAコマンドを受信すると、UEはPDを計算し、次のことを行う。
・TAコマンドを受信したときにUEがgNBから基準時間情報(T_Ref)を受信している場合、UEはT_Ref+PD+deltaとしてUEクロック更新を適用する。ここで、deltaはUEクロック更新時のUEクロック値と基準時間情報受信時のUEクロック値の差である。PDは受信した更新TAコマンドである。
・schedulingRequestIDForPropDelayChangeを送信した後、更新TAコマンドを受信する前にUEが基準時間情報を受信した場合、UEは更新TAコマンドを受信したときにUEクロック更新を適用する。
・UEが更新TAコマンドを受信するまでに基準時間情報を受信しなかった場合、UEはPDを更新し、基準時間情報を受信したときにUEクロック更新を適用する。
【0059】
第3の実施形態:
第3の実施形態は、問題文1を解決するためにGMクロックとUEクロック間のより微細な同期要求(例えば、1μs未満の同期)を維持するために、UEがgNBから更新されたTAコマンドを待たずに受信した最後のTAに基づいて伝播遅延(PD)を計算する、新しいUEベースの方法を説明している。解決手順の概要を図8に示し、以下にも説明する。
801.(R)ANノードによるTAコマンド
802.UEによるPD計算
803.(R)ANノード又はgNBによる基準時間情報
804.UEクロックの更新
【0060】
詳細な解決の流れを以下に説明する。
1.ステップ801では、gNBがビーム変化又は他の理由によるPD変化又はタイミング変化を検出するたびにTAコマンドを送信する。
2.ステップ802では、UEはサービングビームに対する伝播遅延差を計算することで、伝播遅延(PD)を計算する。
PDの計算を以下の例を用いて説明する。
この例では、ビームXをサービングビームと仮定すると、そのPDはPDbeamX=0.5*NTA*Tで表すことができる。この場合、NTAは、サービングビームXに対応する最新のTAコマンドである。ビームYのPDは、PDbeamY=PDbeamX+Tpath_diff_beamYとして計算できる。ここで、Tpath_diff_beamYはRXビームYとRXビームX(サービングビーム)との伝播遅延差である。
UEは、各SMTC期間中に異なる空間方向の異なるRXビームを測定する必要がある場合があるため、UEは特定の空間方向/RXビームのみを測定することができる。UEは、1つのRXビーム方向で測定するたびに、その方向のタイミングを計算できる。UEがその方向のタイミングを測定する次の瞬間は、8*SMTC期間後でありうる(UEが8つの別個の空間方向で測定すると仮定する)。
チャネル条件が異なるため、特定のRXビームが再度測定される前に、UEが特定のRXビームへのRXビーム切り替えを実行し得るため、いつでも特定のRXビームの経路差を認識する方法を持つことが必要である。
任意の時点でのRXビームw.r.tサービングビームのほぼ正確な経路差を知る方法の1つは、TAコマンドを受信したサービングビームに対するすべてのRXビームw.r.tの経路差の加重平均を持つことである。これは、UEが特定のRXビーム方向で測定して格納するときに、RXビームの経路差をフォワードコンピューティング(forward computing)することによって実現できる。これはフォワードコンピューティングされ、PDは最後に測定された時間と比較して少し変化している可能性があるため、実際の経路差からの誤った偏差を無効にするために加重平均を取ることが有用である場合がある。
時間tにおけるビームYのフォワードコンピューティングされた経路差の加重平均は、T’path_diff_beamY(t)によって与えられる。これは次のように計算できる。
留意:いずれかのビームが検出できない場合、UEはそのビームの経路差計算w.r.tをリセットし、ビームが再び検出可能になったときに経路差計算を再開する。
加重平均は、シナリオ/アプリケーションに基づいてオプション機能として使用してもよい。
3.ステップ803では、基準時間情報がgNBによって送信され、UEによって受信される。
4.ステップ804では、UEがgNBから基準時間情報(T_Ref)を受信すると、当該UEはT_Ref+PD+deltaでUEクロック更新を適用する。ここで、deltaは、UEクロック更新時のUEクロック値と基準時間情報受信時のUEクロック値の差であり、ここではステップ802で計算されたPDが適用される。
【0061】
ユーザ機器(UE)
図9にUE(900)の主要構成要素を示すブロック図を示す。図示するように、UE(900)は、一つ以上のアンテナ(901)を介して接続されたノード(単数又は複数)との間で信号を送受信するように動作可能な送受信回路(902)を含む。必ずしも図1に示されているわけではないが、もちろんUE(900)は、従来のモバイルデバイスの通常の機能(ユーザインタフェイスなど)をすべて有しており、これは、必要に応じて、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアのいずれか又は任意の組み合わせによって提供され得る。ソフトウェアは、メモリにプレインストールされている場合もあれば、例えば、電気通信ネットワークを介してダウンロードされたり、リムーバブルデータストレージデバイス(RMD)からダウンロードされたりする場合もある。
【0062】
コントローラ(904)は、メモリ(905)に格納されたソフトウェアに従ってUE(900)の動作を制御する。例えば、コントローラは中央処理装置(CPU)によって実現される。ソフトウェアには、とりわけ、オペレーティングシステムと、少なくとも送受信制御モジュールを有する通信制御モジュールが含まれる。通信制御モジュール(送受信制御サブモジュールを使用)は、UEと他のノード(基地局/(R)ANノード、MME、AMF(及び他のコアネットワークノード)など)との間のシグナリング及びアップリンク/ダウンリンクデータパケットの処理(生成/送信/受信)を担当する。このようなシグナリングには、例えば、接続の確立とメンテナンスに関する適切にフォーマットされたシグナリングメッセージ(例えば、RRCメッセージ)、定期的な位置更新関連メッセージ(例えば、追跡エリアの更新、ページングエリアの更新、ロケーションエリアの更新)などのNASメッセージなどが含まれる。
【0063】
(R)ANノード
図10は、例示的な(R)ANノード(1000)、例えば基地局(LTEでは、「eNB」、5Gでは「gNB」)の主要な構成要素を示すブロック図である。図示されているように、(R)ANノード(1000)は、一つ以上のアンテナ(1001)を介して接続されたUE(単数又は複数)との間で信号を送受信し、ネットワークインタフェイス(1003)を介して(直接又は間接的に)他のネットワークノードとの間で信号を送受信するように動作可能な送受信回路(1002)を含む。コントローラ(1004)は、メモリ(1005)に格納されたソフトウェアに従って、(R)ANノード(1000)の動作を制御する。例えば、コントローラ(1004)は中央処理装置(CPU)によって実現される。ソフトウェアは、メモリ(1005)にプリインストールされている場合があり、かつ/又は、例えば、電気通信ネットワークを介して、又はリムーバブルデータストレージデバイス(RMD)からダウンロードされる場合がある。ソフトウェアは、とりわけ、オペレーティングシステムと、少なくとも送受信制御モジュールを有する通信制御モジュールを含む。
【0064】
通信制御モジュールは(送受信制御サブモジュールを使用して)、(R)ANノードと、UE、MME、AMFなどの他のノードとの間の(例えば直接的又は間接的な)信号の処理(生成/送信/受信)を担当する。シグナリングには、例えば、無線接続及び(特定のUEの)ロケーション手順に関する適切にフォーマットされたシグナリングメッセージ、特に、接続の確立及び保守に関するメッセージ(例えば、RRC接続の確立、その他のRRCメッセージ)、定期的な位置更新関連メッセージ(例えば、追跡エリアの更新、ページングエリアの更新、ロケーションエリアの更新)、S1 APメッセージ及びNG APメッセージ(すなわちN2基準点からのメッセージ)などが含まれる場合がある。このようなシグナリングには、例えば、送信ケースにおける放送情報(例えば、マスター情報、システム情報)も含まれる場合がある。
【0065】
また、コントローラ(1004)は、実装された場合、UEモビリティ推定及び/又は移動軌道推定などの関連タスクを処理するように(ソフトウェア又はハードウェアによって)構成される。
【0066】
コアネットワークノード
図11は、例示的なコアネットワークノード(1100)の主要な構成要素、例えばAMF、SMF、SEAF、AUSF、UPF、UDM、ARPF又は任意の他のコアネットワークノードを示すブロック図である。コアネットワークノード(1100)は、5GCに含まれている。図示するように、コアネットワークノードは、ネットワークインタフェイス(1104)を介して他のノード(UEを含む)と信号を送受信するために動作可能な送受信回路(1101)を含む。コントローラ(1102)は、メモリ(1103)に格納されたソフトウェアに従ってコアネットワークノード(1100)の動作を制御する。例えば、コントローラ(1102)は中央処理装置(CPU)によって実現される。ソフトウェアは、メモリ(1103)にプリインストールされている場合があり、かつ/又は、例えば、電気通信ネットワークを介して、若しくはリムーバブルデータストレージデバイス(RMD)からダウンロードされる場合がある。ソフトウェアは、とりわけ、オペレーティングシステムと、少なくとも送受信制御モジュールを有する通信制御モジュールを含む。
【0067】
通信制御モジュール(送受信制御サブモジュールを使用)は、コアネットワークノードと、UE、基地局/(R)ANノード(例えば、「gNB」又は「eNB」)などの他のノードとの間の(直接又は間接的な)シグナリングの処理(生成/送信/受信)を担当する。このようなシグナリングには、例えば、本明細書で説明する手順に関連する適切にフォーマットされたシグナリングメッセージ、例えば、UEなどとの間でNASメッセージを伝達するためのNG APメッセージ(すなわちN2基準点によるメッセージ)が含まれる。
【0068】
本開示におけるユーザ機器(又は「UE」、「移動局」、「モバイルデバイス」、「無線デバイス」)は、無線インタフェイスを介してネットワークに接続された実体である。
【0069】
なお、本明細書におけるUEは、専用の通信デバイスに限定されるものではなく、以下の段落で説明するように、本明細書に記載されたUEとしての通信機能を有する任意のデバイスに適用することができる。
【0070】
「ユーザ機器」又は「UE」(3GPP(登録商標)で使用されている用語)、「移動局」、「モバイルデバイス」、及び「無線デバイス」という用語は、一般的に互いに同義であることを意図しており、端末、携帯電話、スマートフォン、タブレット、セルラIoTデバイス、IoTデバイス、機械(machinery)などのスタンドアロンの移動局を含む。
【0071】
「UE」及び「無線デバイス」という用語には、長期間静止しているデバイスも含まれることが認識される。
【0072】
UEは、例えば、生産又は製造のための機器の製品及び/又はエネルギー関連機械(例えば、ボイラー、エンジン、タービン、ソーラーパネル、風力タービン、水力発電機、火力発電機、原子力発電機、電池、原子力システム及び/又は関連機器、重電機器、真空ポンプを含むポンプ、コンプレッサ、ファン、ブロワー、油圧機器、空気圧機器、金属加工機械、マニピュレータ、ロボット及び/又はその応用システム、ツール、金型(ダイ)又は金型(モールド)、ロール、搬送機器、昇降機器、マテリアルハンドリング機器、繊維機械、ミシン、印刷及び/又は関連する機械、抄紙機、化学機械、鉱業及び/又は建設機械及び/又は関連機器、農林漁業用機械器具、安全・環境保全機器、トラクター、精密軸受、鎖、歯車、送電設備、潤滑機器、バルブ、パイプ継手のような機器又は機械、及び/又は前述の機器又は機械などの応用システム)の製品でありうる。
【0073】
UEは、例えば、輸送機器(例えば、鉄道車両、自動車、モーターサイクル、自転車、列車、バス、カート、人力車、船舶その他の水上艦艇、航空機、ロケット、衛星、ドローン、風船などのような輸送機器)の製品である。
【0074】
UEは、例えば、情報通信機器(例えば、電子コンピュータ及び関連機器、通信・関連機器、電子部品など情報通信機器)の製品でありうる。
【0075】
UEは、例えば、冷凍機、冷凍機応用製品、貿易及び/又はサービス産業機器の製品、自動販売機、自動サービス機械、事務用機械又は機器、消費者向け電子・電子機器(例えば、オーディオ機器、ビデオ機器、大音量スピーカ、ラジオ、テレビ、電子レンジ、炊飯器、コーヒーマシン、食器洗い機、洗濯機、乾燥機、扇風機や関連器具、クリーナーなどの家電製品)などがありうる。
【0076】
UEは、例えば、電気応用システム又は電気機器(例えば、X線システム、粒子加速器、ラジオアイソトープ機器、音響機器、電磁応用機器、電子電力応用機器などのような電気応用システム又は機器)などでありうる。
【0077】
UEは、例えば、電子ランプ、照明器具、測定器、分析器、試験器、又は測量機器又は感知機器(例えば、煙アラーム、ヒューマンアラームセンサ、モーションセンサ、無線タグなどのような測量機器又は感知機器)、腕時計又は時計、実験器具、光学機器、医療機器及び/又はシステム、武器、刃物類、手工具などでありうる。
【0078】
UEは、例えば、無線を装備した携帯情報端末(personal digital assistant:PDA)又は関連機器(他の電子デバイス(例えばパソコン、電気計測器)に取り付けたり挿入したりするために設計された無線カードやモジュールなど)でありうる。
【0079】
UEは、様々な有線及び/又は無線通信技術を使用して、「モノのインターネット(IoT)」に関して、以下に説明するアプリケーション、サービス、及びソリューションを提供するデバイス又はシステムの一部でありうる。
【0080】
モノのインターネットデバイス(又は「モノ」)には、適切な電子機器、ソフトウェア、センサ、ネットワーク接続などが装備されてもよく、これにより、これらのデバイスは相互に、又は他の通信デバイスとデータを収集及び交換することができる。IoTデバイスは、内部メモリに格納されたソフトウェアの命令に従う自動化された機器を備えてもよい。IoTデバイスは、人間の監督や操作を必要とせずに動作することができる。また、IoTデバイスは長期間静止したり、非アクティブになったりする場合がある。IoTデバイスは、(一般的には)静止した装置の一部として実装される場合がある。また、IoTデバイスは、非静止装置(例えば、車両)に組み込まれたり、監視/追跡対象の動物又は人に取り付けられたりする場合もある。
【0081】
IoT技術は、通信デバイスが人間の入力によって制御されているか、メモリに格納されているソフトウェアの命令によって制御されているかにかかわらず、通信ネットワークに接続してデータを送受信することができるあらゆる通信デバイスにも実装できることが理解されるであろう。
【0082】
IoTデバイスは、MTC(Machine-Type Communication)デバイス又はM2M(Machine-to-Machine)通信デバイス又はNB-IoT UE(Narrow Band-IoT UE)と称されることもあることが理解されるであろう。UEは、1つ以上のIoT又はMTCアプリケーションをサポートする場合があることが理解されるであろう。MTCアプリケーションのいくつかの例を次の表に列挙する(出典:3GPP(登録商標) TS 22.368 V 13.1.0、Annex B、その内容は参照により本明細書に組み込まれる)。このリストは完全ではなく、マシンタイプの通信アプリケーションのいくつかの例を示すことを目的とする。
【0083】
表2:マシンタイプの通信アプリケーションのいくつかの例。
【表2】
【0084】
アプリケーション、サービス、及びソリューションは、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)サービス、緊急無線通信システム、PBX(Private Branch eXchange)システム、PHS/デジタルコードレス通信システム、POS(Point of sale)システム、広告通話システム、MBMS(Multimedia Broadcast and Multicast Service)、V2X(Vehicle to Everything)システム、列車無線システム、位置関連サービス、災害/緊急無線通信サービス、コミュニティサービス、ビデオストリーミングサービス、フェムトセルアプリケーションサービス、VoLTE(Voice over LTE)サービス、課金サービス、無線オンデマンドサービス、ローミングサービス、アクティビティ監視サービス、通信事業者/通信NW選択サービス、機能制限サービス、PoC(Proof of Concept)サービス、個人情報管理サービス、アドホックネットワーク/DTN(Delay Tolerant Networking)サービスなどであり得る。
【0085】
また、上記のUEカテゴリは、本文書に記載されている技術的アイデアや例示的な実施形態の例に過ぎない。言うまでもなく、これらの技術的アイデア及び実施形態は、上記のUEに限定されるものではなく、様々な修正を行うことができる。
【0086】
例えば、上記に開示された例示的な実施形態の全体又は一部は、以下の付記として記載することができるが、これに限定されない。
(付記1)
TSN GM(Time-Sensitive Networking Grand Mater)クロックとユーザ機器(UE)クロックとの同期を1マイクロ秒未満に維持するためにUEで実行される方法であって、
(R)ANノードからの基準時間情報(T_Ref)を受信し、
前記(R)ANノードからのTA(Timing Advance)コマンドを受信し、
前記TAコマンドからのPD(Propagation Delay)を計算し、
UEクロック更新を適用し、
前記TAコマンド受信後、前記基準時間情報受信前にPD変化が検出されなかった場合、前記基準時間情報受信時に前記UEクロック更新が適用され、
前記TAコマンド受信後、前記基準時間情報受信前にPD変化が検出され、更新TAコマンドが受信されなかった場合、前記更新TAコマンド受信時に前記UEクロック更新が適用される、方法。
(付記2)
T_Ref+PD+deltaによる前記UEクロック更新を適用することを更に含み、前記deltaは、前記UEクロック更新時のUEクロック値と前記基準時間情報受信時のUEクロック値の差である、付記1に記載の方法。
(付記3)
計算された前記PDはTA値の半分に等しい、付記1に記載の方法。
(付記4)
ビーム変化又はパス変化による前記PDの変化がある場合に前記PD変化を検出し、前記PD変化を、前記ビーム変化又は経路変更時のUE DLタイミングと前記TAコマンド受信時のUE DLタイミングとの差として計算する、付記1に記載の方法。
(付記5)
ユーザ機器(UE)であって、
少なくとも1つの送受信機と、
少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、
(R)ANノードから基準時間情報(T_Ref) を受信し、
前記(R)ANノードからTA(Timing Advance)コマンドを受信し、
前記TAコマンドからPD(Propagation Delay:伝播遅延)を計算し、
UEクロック更新を適用し、
前記TAコマンド受信後、前記基準時間情報受信前に前記UEがPD変化を検出しなかった場合、前記基準時間情報受信時に前記UEクロック更新を行い、
前記TAコマンド受信後、前記基準時間情報受信前に前記UEがPD変化を検出し、更新TAコマンドが受信されていない場合、前記更新TAコマンド受信時にUEクロック更新を行うように構成されている、UE。
(付記6)
前記UEクロック更新はT_Ref+PD+deltaで実行され、
前記deltaは前記UEクロック更新時のUEクロック値と前記基準時間情報受信時のUEクロック値の差である、クレーム5に記載のUE。
(付記7)
前記プロセッサは、
前記PDをTA値の半分として計算するように構成される、付記5に記載のUE。
(付記8)
前記プロセッサは、
ビーム変化又はパス変化による前記PDの変化がある場合に前記PD変化を検出し、前記PD変化を、前記ビーム変化又は経路変化時のUE DLタイミングと前記TAコマンド受信時のUE DLタイミングの差として計算するように構成される、付記5に記載のUE。
【0087】
本出願は、2021年1月15日に出願されたインド特許出願202111002014号に基づいており、その優先権の利益を主張しており、その開示は参照によりその全体が本出願に組み込まれている。
【0088】
略語
本明細書では、3GPP(登録商標) TR 21.905[1]及び以下に示す略語を適用する。本明細書で定義された略語は、3GPP(登録商標) TR 21.905[1]に同じ略語がある場合、その定義よりも優先される。
5GC 5Gコアネットワーク
5GS 5Gシステム
5QI 5G QoS識別子
AMF アクセス及びモビリティ管理機能
AS アクセス層
ASN1 抽象構文記法1
BWP 帯域幅部分
CORESET 制御リソースセット
CP 巡回プレフィックス
CSI チャネルの状態情報
CSI-RS チャネルの状態情報-基準信号
DL ダウンリンク
IIOT 産業用モノのインターネット
MAC メディアアクセスコントロール
MAC CE MAC制御要素
NG-RAN 次世代無線アクセスネットワーク
NR 新無線/NR無線アクセス
PBCH 物理放送チャンネル
PD 伝播遅延
PDC 伝播遅延補償
PDCCH 物理ダウンリンク制御チャネル
PDSCH 物理ダウンリンク共有チャネル
PUCCH 物理アップリンク制御チャネル
PUSCH 物理アップリンク共有チャネル
QCL 準Coロケーション
(R)AN (無線)アクセスネットワーク
RRC 無線リソース制御
RS 基準信号
SA NR スタンドアロンNR
SIB システム情報ブロック
SCS サブキャリア間隔
SR スケジューリング要求
SRS サウンディング基準信号
SS 同期信号
SSB SS/PBCHブロック
TA タイミングアドバンス
TCI 送信設定指示
UL アップリンク
OS オペレーティングシステム
MO 移動体発信
MT 移動体着信
USIM Universal Subscriber Identity(汎用加入者識別)モジュール
【0089】
定義
本明細書の目的上、3GPP(登録商標) TR 21.905 [1]及び以下に示す用語及び定義が適用される。本明細書で定義された用語は、3GPP(登録商標) TR 21.905[1]に同じ用語がある場合、その定義よりも優先される。
【0090】
参考文献一覧
[1] 3GPP(登録商標) TR 21.905:「3GPP(登録商標)仕様の語彙」。V15.0.0(2018-03)。
[2] 3GPP(登録商標) TS 38.331:「Radio Resource Control(RRC) プロトコル仕様」V15.7.0。
[3] 3GPP(登録商標) TS 38.133:「無線リソース管理サポートの要件」
[4] 3GPP(登録商標) TS 38.211:「物理チャネルと変調」V15.7.0
[5] 3GPP(登録商標) TS 38.212:「多重化とチャネル符号化」V15.7.0
[6] 3GPP(登録商標) TS 38.213:「制御のための物理層手順」V15.7.0
[7] 3GPP(登録商標) TS 38.214:「データのための物理層手順」V15.7.0
[8] 3GPP(登録商標) TS 38.321:「媒体アクセス制御(MAC)プロトコル仕様」V15.7.0
[9] 5G NR:「次世代無線技術」Eric Dahlman, Stefan Parkvall, Johan Skold
[10] EP2829099A1 送信点選択
【符号の説明】
【0091】
401 (R) ANノード又はgNBによる基準時間情報
402 UEによるSRS送信
403 (R)ANノード又はgNBによるTAコマンド
404 UEクロックの更新
601 (R)ANノード又はgNBによる基準時間情報
602 UEによるスケジューリング要求
603 (R)ANノード又はgNBによるTAコマンド
604 UEクロックの更新
801 (R)ANノードによるTAコマンド
802 UEによるPD計算
803 (R)ANノード又はgNBによる基準時間情報
804 UEクロックの更新
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】