(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】眼科用デバイス
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
A61F9/007 130E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541266
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 US2022011708
(87)【国際公開番号】W WO2022150650
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518224358
【氏名又は名称】ニュー ワールド メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポーティアス、エリック
(57)【要約】
カニューレ遠位端とルーメンと少なくとも1つの流体出口とを有するカニューレを含む眼科用デバイスが提供される。カニューレは流体を送達するように構成されている。カニューレの周囲にはスリーブが配設され、スリーブは遠位端を有する。スリーブ及びカニューレにはハンドルが連結されて、ハンドルはアクチュエータを有する。アクチュエータには内部機構が連結され、内部機構はスリーブをカニューレに対して引き戻すように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カニューレ遠位端、ルーメン、及び少なくとも1つの流体出口を有し、流体を送達するように構成されたカニューレと、
前記カニューレの周囲に配設されたスリーブであって、スリーブ遠位端を有するスリーブと、
前記スリーブ及び前記カニューレに連結されたハンドルであって、アクチュエータを有するハンドルと、
前記アクチュエータに連結された引き戻し機構であって、前記スリーブを前記カニューレに引き戻すように構成された引き戻し機構と
を有する眼科用デバイス。
【請求項2】
前記カニューレは長手中心軸線に沿って前記スリーブと同軸に配設された直管状カニューレである、請求項1に記載の眼科用デバイス。
【請求項3】
前記眼科用デバイスの非作動位置において前記カニューレ遠位端は前記スリーブによって覆われており、前記眼科用デバイスの動作位置において前記カニューレ遠位端は前記スリーブの遠位端から遠位方向に突出している、請求項1に記載の眼科用デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの流体出口は、前記カニューレ遠位端に配設された単一の出口ポートを有する、請求項1に記載の眼科用デバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの流体出口は、
前記カニューレ遠位端に配設された出口ポートと、
前記カニューレ遠位端に配設された、前記カニューレの一部に沿って近位方向に延びる1つ又は複数のマウスホール・ポートと
を有する、請求項1に記載の眼科用デバイス。
【請求項6】
前記出口ポート及び前記1つ又は複数のマウスホール・ポートは、一続きの出口を形成している、請求項5に記載の眼科用デバイス。
【請求項7】
前記一続きの出口は、前記出口ポートから出て長手中心軸線に沿って、及び前記1つ又は複数のマウスホール・ポートから出て前記長手中心軸線と直交する方向に、流体を送達するように構成されている、請求項6に記載の眼科用デバイス。
【請求項8】
前記1つ又は複数のマウスホール・ポートのうちの少なくとも1つは、アーチ付き長方形の形状である、請求項5に記載の眼科用デバイス。
【請求項9】
前記1つ又は複数のマウスホール・ポートのうちの少なくとも1つは、正方形の形状である、請求項5に記載の眼科用デバイス。
【請求項10】
前記1つ又は複数のマウスホール・ポートのうちの少なくとも1つは、長方形の形状である、請求項5に記載の眼科用デバイス。
【請求項11】
前記1つ又は複数のマウスホール・ポートのうちの少なくとも1つは、半円の形状である、請求項5に記載の眼科用デバイス。
【請求項12】
前記カニューレ遠位端に配設されたワイヤを更に有し、前記ワイヤの両端は前記カニューレの外面に接続され、前記ワイヤの中間部分は前記単一の出口ポートの上を横切っている、請求項4に記載の眼科用デバイス。
【請求項13】
前記ワイヤの前記中間部分は、前記カニューレ遠位端を越えて外側へとアーチ状になっている、請求項12に記載の眼科用デバイス。
【請求項14】
前記カニューレ遠位端に配設されている複数のワイヤを更に備え、各ワイヤについて、前記ワイヤの両端は前記カニューレの外面に接続されており、前記ワイヤの中間部分は前記単一の出口ポート上を横断している、請求項4に記載の眼科用デバイス。
【請求項15】
前記複数のワイヤのうちの少なくとも2つは互いに隣り合って配設されている、請求項14に記載の眼科用デバイス。
【請求項16】
前記複数のワイヤは互いに隣り合って平行に配設されている、請求項14に記載の眼科用デバイス。
【請求項17】
前記複数のワイヤのうちの少なくとも2つは互いに交差して配設されている、請求項14に記載の眼科用デバイス。
【請求項18】
前記2つのワイヤのうちの第1のワイヤは、前記2つのワイヤのうちの第2のワイヤよりも、前記カニューレ遠位端から更に遠位外側方向に延びている、請求項17に記載の眼科用デバイス。
【請求項19】
前記複数のワイヤのうちの第1及び第2のワイヤは、互いに交差することなく互いに隣り合って配設されており、前記複数のワイヤのうちの第3のワイヤは、前記第1及び第2のワイヤの少なくとも一方と交差するように配設されている、請求項14に記載の眼科用デバイス。
【請求項20】
前記アクチュエータは押しボタンを有し、前記押しボタンは、
前記カニューレへの前記スリーブの引き戻しを作動させること、及び
前記カニューレを通して流体輸送を行わせるように流体輸送機構を作動させること
のうちの1つを行うように構成されている、請求項1に記載の眼科用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本願は2021年1月11日に出願された「OPHTHALMIC DEVICE」と題する米国仮特許出願第63/136,031号の利益を主張するものであり、その開示の全体が、あらゆる目的のために参照によって本願に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般に医療デバイス及び医療処置に関し、より詳細には眼科用デバイスに関する。
【発明の概要】
【0003】
緑内障は眼内圧(IOP:intraocular eye pressure)の上昇の結果生じる疾患である。IOPは、眼の自然な排水(例えば、眼の腐植質(humus)の排水)が妨げられ、低下し、又はそれ以外で閉塞されたときに上昇する可能性がある。眼の水晶体の前方(例えば直上)の腔は、房水と呼ばれる粘性流体で満たされている。眼の中の房水の連続的な流れによって、眼の血管のない部分(例えば、角膜及び水晶体)に栄養が供給される。この房水の流れはまた、これらの組織から不要物(例えば、異物の破片)を除去する。健康な眼では、毛様体の上皮細胞から新しい房水が分泌されるときに、房水の液流が前眼房から線維柱帯網を通ってシュレム管内へと排出される。排出された房水はシュレム管から静脈流に進入し、眼から出て行く静脈血と一緒に運ばれる。眼の自然の排水機構(例えば、シュレム管及び/又は線維柱帯網)が適切に機能しなくなると、IOPが上昇し出す。したがって、眼に流体を送達するための遠位先端部を有する眼科用デバイスを提供することが望ましい。
【0004】
本開示の更なる理解を提供する目的で導入された、本明細書に組み込まれその一部を構成している添付の図面は、本開示の実施例を図示しており、本説明とともに本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本開示の複数の態様に係る、例示の眼科用デバイスの斜視図である。
【
図2】本開示の複数の態様に係る、スリーブによって包囲されている内部カニューレを有する眼科用デバイスの実例の遠位端を示す斜視図である。
【
図3】本開示の複数の態様に係る、スリーブから突出している内部カニューレを有する
図2の眼科用デバイスの遠位端の斜視図である。
【
図4】本開示の複数の態様に係る、スリーブから突出している内部カニューレを示す眼科用デバイスの実例の遠位端の斜視図である。
【
図5】本開示の複数の態様に係る、スリーブから突出している内部カニューレを示す眼科用デバイスの実例の遠位端の斜視図である。
【
図6】本開示の複数の態様に係る、
図5の眼科用デバイスの側面図である。
【
図7】本開示の複数の態様に係る、スリーブから突出している内部カニューレを示す眼科用デバイスの実例の遠位端の斜視図である。
【
図8】本開示の複数の態様に係る、
図7の眼科用デバイスの正面図である。
【
図9】本開示の複数の態様に係る、スリーブから突出している内部カニューレを示す眼科用デバイスの実例の遠位端の斜視図である。
【
図10】本開示の複数の態様に係る、スリーブから突出している内部カニューレを示す眼科用デバイスの実例の遠位端の斜視図である。
【
図11】本開示の複数の態様に係る、スリーブから突出している内部カニューレを示す眼科用デバイスの実例の遠位端の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の詳細な説明は例示的且つ説明的なものに過ぎず、特許請求するような特徴を制約するものではない。本明細書で使用される場合、用語「備える又は有する(comprises)」、「備えている又は有している(comprising)」、又はこれらの他の変形は、非排他的な包含を含むことを意図しており、この場合、列挙された要素を備えるプロセス、方法、物品、又は装置は、これらの要素を含むだけでなく、明示的に列挙されていないか又はそのようなプロセス、方法、物品、若しくは装置に内在している、他の要素を含み得る。更に、用語「例示的な(exemplary)」は本明細書では「理想的な(ideal)」ではなく「実例(example)」の意味で使用されている。本明細書で使用される場合、用語「約」、「実質的に」、及び「ほぼ」は、述べられている値の+/-5%以内の値の範囲を示す。用語「遠位の」は、デバイスを対象者の体内に導入するときに使用者から最も遠くにある部分を指す。対照的に、用語「近位の」は、デバイスを対象者の体内に設置するときに使用者の最も近くにある部分を指す。
【0007】
本開示は主題の技術の実例を含み、添付の特許請求の範囲の範囲を限定するものではないことを理解されたい。ここで、具体的であるが非限定的な実例に従って、主題の技術の様々な態様を開示する。本開示に記載される様々な実施例は、所望の用途又は実装に従い、異なる方法及び変形形態で実施され得る。
【0008】
以下で検討する実施例は、緑内障又は他の眼の症状の治療で使用されるように構成された眼科用デバイスなどの医療デバイス、及び関連する使用方法に関する。いくつかの実施例によれば、眼科用デバイスはカニューレを含む遠位端を有し得る。カニューレは、内側ルーメン(内腔)と、シュレム管などの患者の標的部位内に粘弾性流体又は他の物質を送達するように構成されている、1つ又は複数の流出オリフィスと、を含み得る。
【0009】
いくつかの実施例によれば、カニューレの先端部は、カニューレの外面の周囲に配設されているカラーを含み得る。カラーは、カニューレの位置決めを容易にする又は眼に関する流体輸送を容易にするべく、患者の眼の房水流出経路内の眼内組織と相互作用するように構成され得る。例えば、カラーは、カニューレのオリフィスをシュレム管の中又は近くに位置決めするのを容易にする構造を提供するための、固定されている又はオリフィスよりも近位にある位置まで移動可能な、半径方向に突出したリップを含み得る。
【0010】
いくつかの実施例によれば、カラーは、引き戻し可能なスリーブの一部として実装され得る。スリーブはカニューレの周囲に配設することができ、カニューレに対して後退することで、吸引効果によって患者組織を引っ張るように構成することができる。例えば、ボタン又はデバイスのハンドル上に配設された他のアクチュエータ構成要素の操作は、スリーブを引き戻すことによって、カニューレの周囲に沿って線維柱帯網を引っ張りカニューレで線維柱帯網を貫通させるとともに、シュレム管を開いてその中での流体送達を容易にするように、構成され得る。
【0011】
いくつかの実施例によれば、機構は、比較的素早く鋭いスナップ動作で、スリーブを引き戻す、又はそれ以外で眼科用デバイスの構成要素を移動させるように、構成され得る。そのような動作は例えば、カニューレによる患者の組織の吸引及びその貫通を容易にし得る。追加として又は別法として、機構は、スリーブの引き戻しと協調してカニューレを通して流体又は物質を注入するように、ポンプを動作させることができる。
【0012】
これらの及び他の実施例が、
図1~
図11に示す特定の実例と関連させて以下で検討されている。しかしながら、当業者は様々な修正及び代替の用途を認識するであろう。したがって、これらの図及び上で提供した説明に関して提供される詳細な説明は限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ本開示と関連付けられる様々な概念を説明する役割を果たす。
【0013】
図1は医療デバイスの実例を示し、より詳細には、眼科用デバイス10の実例を示す。示されている実例では、眼科用デバイス10は、シュレム管又は患者の眼の他の眼内部位内への物質の注入を容易にするべく眼組織と相互作用するように構成されている、医療器具又は最低侵襲性の外科用器具として構成されている。ただし、眼科の器具及び手技に言及して本明細書の実例が記載されているが、眼科用デバイス10の教示が様々な他の医療及び非医療用途のいずれにも容易に適用又は適合され得ることが、諒解されるであろう。それらには、例えば、患者の眼以外の患者組織との相互作用を含む他の医療手技、及び流体の注入又は輸送を含む他の非医療用途を含めることができる。
【0014】
図1を参照すると、眼科用デバイス10は、接眼構成要素30に連結されているハンドル20を含み得る。接眼構成要素30は一般に、眼組織と相互作用する、及び/又は眼内の腔内、例えば患者の眼の前眼房に挿入されるように、構成されている。接眼構成要素30は、流体送達、組織操作、及び/又は患者の眼との他の相互作用を容易にするように構成され得る。
【0015】
図1の実例に示すように、接眼構成要素30は、ハンドル20の遠位端から突出し長手中心軸線Xを定める長尺の管状部材を含み得る。接眼構成要素30は、作動長さLと、角膜切開部又は患者の眼の他の切開部を介した前眼房への挿入を可能にする直径と、を有し得る。本明細書に記載する作動長さLは、ハンドル20の遠位端から接眼構成要素30の遠位端まで延びる、ハンドル20から突き出ている接眼構成要素30の露出された長さ又は距離と定義できる。作動長さLは例えば、約16ミリメートル(mm)から40mmの間の範囲、又はより特定的には約18mmであり得るが、様々な実装形態においてこれらの実例から外れる他の寸法が好適であり得ることが企図される。直径は作動長さLに沿って変化しても又は作動長さL全体にわたって不変であってもよく、例えば、約100マイクロメートル(μm)から1000μmの範囲、又はより特定的には約700μmとすることができるが、様々な実装形態においてこれらの実例から外れる他の寸法が好適であり得ることが企図される。
図1の実例に示すように、接眼構成要素30は、(直線状の中心軸線Xを定める)直線状の幾何形状で実装され得るか、又は、接眼構成要素30は、湾曲した及び/若しくは屈曲した幾何形状で実装され得る。
【0016】
図1を引き続き参照すると、ハンドル20は、眼科用デバイス10の本体として実装することができ、使用者又は他の操作者の手によって操作されるように構成され得る。例えば
図1に示すように、ハンドル20は、遠位端及び遠位端の反対側の近位端を有する、長尺の管状部材として実装され得る。このことにより、例えば、外科医が鉛筆のように握ることでハンドル20の把持又は操作が容易になり得るが、ピストル形状の構成及び/又はフィンガーループなどの他の形状及び構成を有してハンドル20が実装され得ることが企図される。ハンドル20の外面は、使用者がハンドル20を容易に掴めるように起伏のある形状及び/又はテクスチャを有する表面(例えば、ぎざぎざの、リブ状の、又は他の表面テクスチャ)を有する、握り40を含み得る。ハンドル20の外面が起伏のない真っ直ぐな形状及び/又は平滑な外面を有する実装形態も企図される。
【0017】
ハンドル20はアクチュエータ50を含み得るか、又はこれに連結され得る。デバイスを使用する眼科手技の実施を容易にする1つ又は複数の動作機能を提供するために、アクチュエータ50を、眼科用デバイス10の1つ又は複数の移動する部品に連結することができる。例えば、アクチュエータ50は、接眼構成要素30の1つ若しくは複数の部品をハンドル20から独立して移動させる、及び/又は、接眼構成要素30の2つ以上の移動する部品を互いから独立して移動させるように構成され得る。追加として又は別法として、アクチュエータ50は、接眼構成要素30を通して流体を輸送するための、ポンプ、プランジャ、及び/又は圧縮機構を作動させるように構成され得る。アクチュエータ50は例えば、そのような部品を直接、又はハンドル20内に配設されている内部機構を介して移動させるように構成され得る。
【0018】
図1に示す実例では、アクチュエータ50は、ハンドル20上に配設されている、押されていない位置と押された位置の間で移動可能な機械的な押しボタンとして実装されるか、さもなければこれを含む。押しボタンはハンドル20の側面上に配設されて示されているが、このことにより例えば、外科医又は他の使用者の手が手技中にハンドル20を掴むときに、その使用者が自身の親指及び/又は人差し指を用いて作動を行うことが容易になり得る。追加として又は別法として、押しボタンが例えばハンドルの近位端などの他の場所に配設されている実装形態が企図される。押しボタンの代わりに又はそれに加えて、アクチュエータ38は、スライダ、ローラホイール、スクイーズバルブ、及び/又は眼科用デバイス10の移動する部品を作動させるために使用者若しくは他の操作者が操作可能な任意の他の好適な機構を含む実装形態も企図される。
【0019】
図2及び
図3は、眼科用デバイス10に含めることのできる接眼構成要素30の実例を示す拡大図である。
図2及び
図3は、
図1に示すような接眼構成要素30の遠位部分60を示す。
【0020】
図2及び
図3に示す実例では、接眼構成要素30は、カニューレ32と、スリーブ34(本明細書では「シース」と呼ぶ場合もある)とを含む。スリーブ34はカニューレ32の周囲に配設されており、カニューレ32はスリーブ34内に配設されている。カニューレ32及びスリーブ34は例えば、実質的に管状の構成要素として各々実装することができ、この場合、カニューレ32はスリーブ34と同軸に配設され、カニューレ32及びスリーブ34はいずれも中心軸線Xを中心として配設される。カニューレ32及び/又はスリーブ34は例えば、接眼構成要素30の作動長さLと等しい作動長さを各々有し得る。
【0021】
カニューレ32及びスリーブ34は、互いに対して相対移動するように構成され得る。例えば
図2及び
図3に示すように、カニューレ32及びスリーブ34は、カニューレ32の遠位端がスリーブ34によって実質的に覆われているか又は包囲されている第1の構成(
図2に示す)と、カニューレ32の遠位端がスリーブ34の遠位端から遠位方向に突出している第2の構成(
図3に示す)との間で、互いに対して移動可能であり得る。相対移動は例えば、カニューレ32及びハンドル20から独立した、スリーブ34の近位方向への引き戻しによって、並びに/又は、スリーブ34及びハンドル20から独立した、カニューレ32の遠位方向への配備によって、達成され得る。アクチュエータ50は、カニューレ32及び/又はスリーブ34をハンドル20の固定された構成要素に対して移動させるように、カニューレ32及び/又はスリーブ34に動作的に連結され得る。
【0022】
カニューレ32は、流体又は他の物質を輸送するように構成され得る。例えば、カニューレ32は、ヒアルロン酸ナトリウム又はコンドロイチン硫酸などの、粘弾性流体を注入するように構成され得る。粘弾性流体は、組織構造を拡張させて互いから分離させることで房水の流路を再び開くか又は拡張することにより、適切な排出及び眼圧緩和のための十分な空間を提供するのに役立つ、非常に柔軟なゲル状の物質である。粘弾性流体はまた、出血している構造を拡張させて互いから分離させることによって視野の妨害を解消して、可視化を改善することができる。幹細胞、薬剤、気体(例えば、SF6又はC3F8)、及び/又は染料(例えば、トリパンブルー染料)を送達するためにカニューレ32を利用できることもまた企図される。注入される幹細胞は例えば、眼内の健康な組織の成長を開始させる(例えば、それにより健康な線維柱帯網を発達させて、そこを通る房水の排出を向上させる)ことができる。注入される染料は例えば、線維柱帯網を通って流れて、線維柱帯網に閉塞されたままの、押し潰されたままの、又はそれ以外で房水の流れを妨げるエリアが存在する場合に、それがどのエリアであるかを判定できるように、房水の流体流の可視化を向上させることができる。更に、物質の注入に関しての実例が記載されているが、カニューレ32は追加として又は別法として、物質を引き出す、例えば組織、血液、房水、又は他の物質をシュレム管又は眼の他の部分から引き出すために利用できることが企図される。
【0023】
図3に示すように、カニューレ32は、その遠位端に丸められた、鋭くしていない、又はそれ以外の外傷をもたらさない先端部を有する、先鋭でないマイクロカニューレとして実装され得る。カニューレ32がその遠位端に鋭い針又は外傷をもたらすような先端部を有して実装される実装形態も企図されるが、先鋭でないカニューレは、周囲の組織の望まれない外傷のリスクを低減しながら、線維柱帯網などの多孔性の患者組織の貫通を容易にすることができる。
【0024】
カニューレ32は、カニューレ32の遠位部分上に配設されている、例えばカニューレ遠位端上又は近くに配設されている、1つ又は複数のオリフィス36を含み得る。1つ又は複数のオリフィス32は、流体又は他の物質を輸送するように構成されている1つ又は複数の流体輸送ポートを提供し得る。例えば、1つ又は複数のオリフィス36は、粘弾性物質を患者の眼のシュレム管に送達するための流出ポートを提供するように構成され得る。
図3の実例に示すように、1つ又は複数のオリフィス36をカニューレ32の側面上に配設することができ、このオリフィス36は、カニューレ32の側壁を中心軸線Xに対して横断方向に貫通する1つ又は複数の流体チャネルを提供し得る。別法として、オリフィスが中心軸線Xに沿って、並びに/又は、意図する標的部位へと及び/若しくは標的部位から流体を輸送するための任意の他の1つ若しくは複数の好適な位置に配設される、他の実装形態が企図される。オリフィス36は各々、30μmから70μmの間、又は例えば約50μm若しくは約60μmの直径を有し得るが、様々な実装形態においてこれらの範囲から外れる他のオリフィス直径を好適に使用できることが企図される。カニューレ32は、カニューレ32の遠位部分上に配設されている1つ又は複数の溝38を含み得る。
【0025】
例えば
図2及び
図3に示すように、スリーブ34とカニューレ32の間の相対移動は、スリーブ34でオリフィス36のうちの1つ又は複数を選択的に覆う及び曝露させるように構成され得る。例えば、
図2に示す第1の構成にあるとき、スリーブ34の遠位端を、オリフィス36を覆うか又は取り囲むように、オリフィス36よりも遠位の第1の軸方向位置に配設することができ、
図3に示す第2の構成にあるとき、スリーブ34の遠位端を、スリーブ34の遠位端の外側でオリフィス36を露出させるように、オリフィス36よりも近位の第2の軸方向位置に配設することができる。
【0026】
眼科用デバイス10は、カニューレ遠位端に又はその近くに、カニューレ32の先端部の周囲に沿って配設されているカラー70を更に含み得る。例えば
図2及び
図3に示すように、カラー70はスリーブ34の一体の部分であってもよいか、さもなければスリーブ遠位端においてスリーブ34に固定的に連結されていてもよく、この場合、カラー70及びカニューレ32が互いに対して移動可能となるように、カラー70はスリーブ34と一緒に移動し得る。カラー70は、カニューレ32の設置を容易にするよう患者組織と相互作用するように構成されている、カニューレ32の周囲に沿って(例えば、カニューレ32の外径上に又は外径に沿って)配設された構造を提供し得る。例えば、カラー70の遠位端にあるカラー面72は、線維柱帯網を操作する、並びに/又は、線維柱帯網及び/若しくはシュレム管の近傍の他の組織に当接する誘導制約部を提供するように構成され得る。この誘導用制約部によって、例えば、シュレム管内の所望の貫通深さへのオリフィス36の設置が容易になり得る。
【0027】
図2及び
図3に示す実例では、カラー70は、スリーブ34の遠位部分の一部として含まれている。スリーブ34及びカニューレ32が
図3に示す第2の構成となっているとき、カラー面72は、半径方向外向きにカニューレ32の外径から離れる方へと突出しているリップを提供する。リップは、デバイスが第2の構成にあるときに、カニューレ32の貫通深さがカニューレ32の遠位端とリップ(又はカラー面72又はカラー70の遠位端)の間の所定の距離によって制約又は誘導されるように、線維柱帯網又はシュレム管の近傍の他の組織に当接し得る。
【0028】
図4は、眼科用デバイス10に含めることのできる接眼構成要素130の実例を示す拡大図である。カニューレ132及びスリーブ34は、カニューレ132の遠位端がスリーブ34によって実質的に覆われているか又は包囲されている、
図2に示すものと同様の第1の構成と、カニューレ132の遠位端がスリーブ34の遠位端から遠位方向に突出している第2の構成(
図4に示す)との間で、互いに対して移動可能であり得る。カニューレ132はカニューレ132の遠位端に出口ポート135を有するが、カニューレ32のオリフィス36のようないかなる側面のオリフィスも有さない。この場合、出口ポート135から長手中心軸線Xに沿って流体が送達される。カニューレ132は真っ直ぐなカニューレとして示されている。
【0029】
図5及び
図6は、眼科用デバイス10に含めることのできる接眼構成要素230の実例を示す拡大図である。カニューレ232及びスリーブ34は、カニューレ232の遠位端がスリーブ34によって実質的に覆われているか又は包囲されている、
図2に示すものと同様の第1の構成と、カニューレ232の遠位端がスリーブ34の遠位端から遠位方向に突出している第2の構成(
図5に示す)との間で、互いに対して移動可能であり得る。カニューレ232は、カニューレ232の遠位端にある出口ポート235と、カニューレ232の遠位端から近位方向に延びる1つ又は複数のマウスホール・ポート236と、を有する。この場合、出口ポート235から長手中心軸線Xに沿って、及び更に、マウスホール・ポート236から長手中心軸線Xと概ね直交する方向に、流体が送達される。本開示のいくつかの態様において、マウスホール・ポート(mousehole port)236は、正方形、長方形、円形、三角形など、任意の形状であってよい。
【0030】
図7及び
図8は、眼科用デバイス10に含めることのできる接眼構成要素330の実例を示す拡大図である。カニューレ332及びスリーブ34は、カニューレ332の遠位端がスリーブ34によって実質的に覆われているか又は包囲されている、
図2に示すものと同様の第1の構成と、カニューレ332の遠位端がスリーブ34の遠位端から遠位方向に突出している第2の構成(
図7に示す)との間で、互いに対して移動可能であり得る。カニューレ332は、カニューレ332の遠位端にある出口ポート335と、出口ポート335を横切って延びる1本又は複数本のワイヤ336と、を有する。
【0031】
本開示の複数の態様において、ワイヤ336の各端部337をカニューレ332の遠位端の一部に連結又は接続することができ、その場合、ワイヤの中間部分338は出口ポート335の周囲で曲げられてもよい。例えば、中間部分338は、シュレム管の後壁をコアリング(coring)しないように、カニューレ332の最遠位部分から外向きに曲がるように構成され得る。この場合、出口ポート335から長手中心軸線Xに沿い、ワイヤ336の中間部分338を越えて、流体が送達される。本開示のいくつかの態様において、ワイヤ336は任意のサイズ及び厚さであってよい。
【0032】
本開示のいくつかの態様において、
図9に示すように、複数本のワイヤ336が出口ポート335上で互いに交差してもよい。例えば、第1のワイヤ336がカニューレ332の遠位端から第2のワイヤ336よりも遠くまで延びて(例えば弓形に突き出て)、その結果第1のワイヤ336が第2のワイヤ336の上でこれと交差していてもよい。
図9に示すように、ワイヤ336は、互いに直交して十字形状に配設されてもよい。本開示の複数の態様において、カニューレ332上には任意の数のワイヤ336が配設され得る。本開示の複数の態様において、ワイヤ336は任意の好適な形状で互いに交差してもよい。
【0033】
本開示のいくつかの態様において、
図10に示すように、複数本のワイヤ336が出口ポート335上で互いに隣り合って、例えば平行に、配設されてもよい。例えば、2本のワイヤ336を長手中心軸線Xの両側に平行に配設して、出口ポート335を3つのセクションに仕切ってもよい。本開示の複数の態様において、カニューレ332上には任意の数のワイヤ336が配設され得る。本開示の複数の態様において、ワイヤ336は、互いに交差することなく互いに対して任意の位置に配設され得る。
【0034】
本開示のいくつかの態様において、
図11に示すように、カニューレ332の遠位端に配設された複数本のワイヤ336は、互いに交差することなく互いに隣り合って配設された何本かのワイヤ(例えば、2本の平行なワイヤ)と、これら他のワイヤのうちの少なくとも1本の上でこれと交差する(例えば、2本の平行なワイヤの上でこれらと直交して交差する)、少なくとも1本の更なるワイヤと、を含み得る。
【0035】
1つ又は複数の実施例において、眼科用デバイスは、カニューレ遠位端、ルーメン、及び少なくとも1つの流体出口を有するカニューレであって、流体を送達するように構成されている、カニューレと、カニューレの周囲に配設されておりスリーブ遠位端を有するスリーブと、スリーブ及びカニューレに連結されているハンドルであって、アクチュエータを有する、ハンドルと、アクチュエータに連結されておりスリーブをカニューレに対して引き戻すように構成されている引き戻し機構と、を含む。
【0036】
本開示の複数の態様において、カニューレは、長手中心軸線に沿ってスリーブと同軸に配設された直管状カニューレである。本開示の複数の態様において、眼科用デバイスの非作動位置では、カニューレ遠位端はスリーブによって覆われており、眼科用デバイスの作動位置では、カニューレ遠位端はスリーブの遠位端から遠位方向に突出している。本開示の複数の態様において、少なくとも1つの流体出口は、カニューレ遠位端に配設された単一の出口ポートを備える。
【0037】
本開示の複数の態様において、少なくとも1つの流体出口は、カニューレ遠位端に配設されている出口ポートと、カニューレ遠位端に配設されておりカニューレの一部に沿って近位方向に延びている1つ又は複数のマウスホール・ポートと、を備える。本開示の複数の態様において、出口ポート及び1つ又は複数のマウスホール・ポートは、一続きの出口を形成している。本開示の複数の態様において、一続きの出口は、出口ポートから長手中心軸線に沿って、及び、1つ又は複数のマウスホール・ポートから長手中心軸線と直交する方向に、流体を送達するように構成されている。本開示の複数の態様において、1つ又は複数のマウスホール・ポートのうちの少なくとも1つは、アーチ付き長方形(arched rectangle)の形状である。本開示の複数の態様において、1つ又は複数のマウスホール・ポートのうちの少なくとも1つは、正方形の形状である。本開示の複数の態様において、1つ又は複数のマウスホール・ポートのうちの少なくとも1つは、長方形の形状である。本開示の複数の態様において、1つ又は複数のマウスホール・ポートのうちの少なくとも1つは、半円の形状である。
【0038】
本開示の複数の態様において、カニューレ遠位端にはワイヤが配設されており、ワイヤの両端はカニューレの外面に接続されており、ワイヤの中間部分は単一の出口ポートの上を横切って(すなわち横断して)いる。本開示の複数の態様において、ワイヤの中間部分は、カニューレ遠位端を越えて外側へとアーチ状になっている。本開示の複数の態様において、カニューレ遠位端には複数本のワイヤが配設されており、各ワイヤについて、ワイヤの両端はカニューレの外面に接続されており、ワイヤの中間部分は単一の出口ポートの上を横切っている。本開示の複数の態様において、複数本のワイヤのうちの少なくとも2本は、互いに隣り合って配設されている。本開示の複数の態様において、複数本のワイヤは、互いに隣り合って平行に配設されている。
【0039】
本開示の複数の態様において、複数本のワイヤのうちの少なくとも2本は、互いに交差して配設されている。本開示の複数の態様において、2本のワイヤのうちの第1のものは、2本のワイヤのうちの第2のものよりも、カニューレ遠位端から更に遠位外側方向に延びている。本開示の複数の態様において、複数本のワイヤのうちの第1及び第2のワイヤは、互いに交差することなく互いに隣り合って配設されており、複数本のワイヤのうちの第3のワイヤは、第1及び第2のワイヤの少なくとも一方と交差するように配設されている。本開示の複数の態様において、アクチュエータは、スリーブをカニューレに対して引き戻すように作動させること、及び、流体輸送機構を作動させてカニューレを通した流体輸送を引き起こすことの、一方を行うように構成された、押しボタンを備える。
【0040】
開示されるプロセスの方法におけるブロックのどの特定の順序又は階層性も、例示の手法を説明するものであることが理解される。設計又は実装の選好に基づいて、プロセスにおけるブロックの特定の順序若しくは階層性を構成し直してもよいこと、又は説明される全てのブロックを実行してもよいことが理解される。いくつかの実装形態では、ブロックのうちの任意のものを同時に実行してもよい。
【0041】
本開示は、どのような当業者でも本明細書に記載する様々な態様を実施できるように提供される。本開示は主題の技術の様々な実例を提供し、主題の技術はこれらの実例に限定されない。これらの態様の様々な修正が当業者には容易に明らかになり、本明細書で規定される一般的原理は他の態様に適用され得る。
【0042】
単数形の要素への言及は、明示的にそうであると述べられていない限りは「ただ1つ(one and only one)」を意味するようには意図されておらず、むしろ「1つ又は複数(one or more)」を意味するように意図されている。特に断りのない限り、「いくつかの(some)」という用語は、1つ又は複数を指す。男性の代名詞(例えば、彼の(his))には、女性及び中性の代名詞(例えば、彼女の(her)及びその(its))が含まれ、その逆も成り立つ。見出し及び副見出しが存在する場合、それらは便利のためだけに使用されており、本発明を限定しない。
【0043】
「例示的な」という単語は本明細書では、「実例又は例示として機能する」という意味で使用される。本明細書で「例示的」であるとして記載されるいかなる態様又は設計も、必ずしも他の態様又は設計に比べて好ましいか又は有利であると解釈されるべきではない。一態様では、本明細書に記載されている様々な代替の構成及び動作は少なくとも同等であると見なされ得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「又は」によって各々が分けられる一連のアイテムの前に付く、「~のうちの少なくとも1つ」という句は、リストの各アイテムではなく、そのリストを全体的に修飾する。「~のうちの少なくとも1つ」という句は少なくとも1つのアイテムを選択することを要求しない。むしろこの句では、アイテムのうちの任意の1つのうちの少なくとも1つ、及び/又はアイテムの任意の組合せのうちの少なくとも1つ、及び/又はアイテムの各々の少なくとも1つを含む意味が可能になる。例として、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」という句は、Aのみ、Bのみ、若しくはCのみ、又はA、B、及びCの任意の組合せを指し得る。
【0045】
「態様(aspect)」のような句は、かかる態様が主題の技術にとって不可欠であること、又は、かかる態様が主題の技術の全ての構成に当てはまることを示唆するものではない。ある態様に関連する開示は、全ての構成に当てはまり得るか、又は1つ若しくは複数の構成に当てはまり得る。1つの態様は1つ又は複数の実例を提供し得る。1つの態様のような句は1つ又は複数の態様を指す場合があり、その逆も成り立つ。「実施例(embodiment)」のような句は、かかる実施例が主題の技術にとって不可欠であること、又は、かかる実施例が主題の技術の全ての構成に当てはまることを示唆するものではない。ある実施例に関連する開示は、全ての実施例に当てはまり得るか、又は1つ若しくは複数の実施例に当てはまり得る。1つの実施例は1つ又は複数の実例を提供し得る。1つの実施例のような句は1つ又は複数の実施例を指す場合があり、その逆も成り立つ。「構成(configuration)」のような句は、かかる構成が主題の技術にとって不可欠であること、又は、かかる構成が主題の技術の全ての構成に当てはまることを示唆するものではない。ある構成に関連する開示は、全ての構成に当てはまり得るか、又は1つ若しくは複数の構成に当てはまり得る。1つの構成は1つ又は複数の実例を提供し得る。1つの構成のような句は1つ又は複数の構成を指す場合があり、その逆も成り立つ。
【0046】
一態様では、別途記載のない限り、本明細書に明記されている全ての測定値、値、定格、位置、大きさ、サイズ、及び他の諸元は、続く特許請求の範囲の中のものを含め近似的なものであり、厳密なものではない。一態様では、それらは、それらが関連している機能と、及びそれらが関係している技術において通例であるものと整合する、妥当な範囲を有することが意図されている。
【0047】
開示されるステップ、動作、又はプロセスの特定の順序又は階層性は、例示的な手法を説明するものであることが理解される。設計の選好に基づいて、ステップ、動作、又はプロセスの特定の順序又は階層性を構成し直してもよいことが理解される。ステップ、動作、又はプロセスのうちのいくつかを同時に行ってもよい。ステップ、動作、又はプロセスの一部又は全部が、使用者の介入なしに自動的に実行されてもよい。存在している場合、添付の方法の請求項は、様々なステップ、動作、又はプロセスの要素を例としての順序で提示しており、この提示される特定の順序又は階層性に限定されることは意図されていない。
【0048】
当業者に知られているか又は将来知られることになる、本開示の全体にわたって記載されている様々な態様の要素のあらゆる構造的及び機能的等価物が、本明細書に参照によって明示的に組み込まれており、それらは特許請求の範囲に包含されることが意図されている。更に、本明細書に開示されている内容は、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかに関わらず、決して公衆への開放を意図するものではない。どの請求項の要素も、その要素が「~のための手段(means for)」という句を使用して明示的に記述されていない、又は方法の請求項の場合にはその要素が「~のためのステップ(step for)」という句を使用して記述されていない限りは、米国特許法第112条(f)の規定の下で解釈されるべきではない。また更に、「含む(include)」、「有する(have)」などの用語が使用される範囲において、そのような用語は、「備える(comprise)」という用語を請求項で移行句として用いるときに解釈される場合の「備える」と同様、包括的であることが意図されている。
【0049】
本開示の「発明の名称」、「背景技術」、「発明の概要」、「図面の簡単な説明」、及び「要約書」は本明細書において本開示に組み込まれているが、それらは制限的な記載としてではなく、本開示の例示的な実例として提供されている。本明細書は、それらが特許請求の範囲の範囲又は意味を限定するように使用されるものではないとの理解のもとで提示される。更に、「発明を実施するための形態」において、その説明が例示的な実例を提供し、本開示を合理化する目的で様々な特徴が様々な実施例において1つにまとめられていることが理解できる。この開示方法は、特許請求される主題が各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映しているものとして解釈されるべきではない。むしろ、続く特許請求の範囲に反映されているように、進歩性を備えた主題は、開示される単一の構成又は動作の、全てに満たない特徴で成り立つ。以下の特許請求の範囲は本明細書において「発明を実施するための形態」に組み込まれており、各請求項は個別に特許請求される主題としてそれ自体で成立している。
【0050】
特許請求の範囲は本明細書に記載する態様に限定されることは意図されておらず、言語による請求項と矛盾しない全範囲を認められるものであり、全ての法的な等価物を包含するものである。それでもなお、どの請求項も米国特許法第101条、102条、又は103条を満たさない主題を包含することは意図されておらず、またどの請求項もそのように解釈されるべきではない。
【国際調査報告】