(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】光学ガラス、ガラスプリフォーム、光学素子と光学機器
(51)【国際特許分類】
C03C 3/247 20060101AFI20240117BHJP
G02B 1/00 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
C03C3/247
G02B1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541629
(86)(22)【出願日】2022-01-04
(85)【翻訳文提出日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 CN2022070078
(87)【国際公開番号】W WO2022156527
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】202110083421.5
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512264046
【氏名又は名称】成都光明光▲電▼股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU GUANG MING GUANG DIAN GLASS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.359,Sec.3,Chenglong Avenue,Long quan yi District,Chengdu,Sichuan China
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】匡 波
(72)【発明者】
【氏名】毛 露路
(72)【発明者】
【氏名】頼 徳光
【テーマコード(参考)】
4G062
【Fターム(参考)】
4G062AA04
4G062BB09
4G062CC10
4G062DA01
4G062DA02
4G062DB03
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4G062HH11
4G062HH13
4G062HH15
4G062HH17
4G062HH20
4G062JJ01
4G062JJ03
4G062JJ04
4G062JJ05
4G062JJ07
4G062JJ10
4G062KK01
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4G062KK04
4G062KK05
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4G062KK08
4G062KK10
4G062MM02
4G062NN02
4G062NN15
4G062NN29
4G062NN33
4G062NN34
(57)【要約】
本発明は光学ガラスを提供し、前記光学ガラスの成分はモル%で表し、陽イオンはP5+:26~45%、 Al3+:5~25%、R2+:28~60%を含み、陰イオンは、F-とO2-を含み、F-+O2-は98%以上、(P5++Al3+)/F-は0.9~4.0であり、前記R2+はBa2+、Sr2+、Ca2+とMg2+の合計含有量である。合理的な成分設計により、本発明で得られた光学ガラスは、所望の屈折率とアッベ数を有すると同時に、ΔPC,s値とΔPC,t値が低く、耐候性が優れる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モル%で成分を表し、以下の陽イオンを含む、光学ガラス: P
5+:26~45%;Al
3+:5~25%;R
2+:28~60%。
F
-とO
2-の陰イオンを含み、F
-+O
2-は98%以上であり、(P
5++Al
3+)/F
-は0.9~4.0であり、前記R
2+はBa
2+、Sr
2+、Ca
2+とMg
2+の合計含有量である。
【請求項2】
モル%で成分を表し、以下の陽イオンをさらに含む、請求項1に記載の光学ガラス: La
3++Gd
3++Y
3+:0~20%、及び/又はNb
5++W
6++Ti
4+:0~15%、及び/又はRn
+:0~10%、及び/又はYb
3+:0~10%、及び/又はZn
2+:0~10%、及び/又はB
3+:0~10%、及び/又はSi
4+:0~5%、及び/又はTa
5+:0~10%、及び/又はSb
3+:0~1%、及び/又はSn
4+:0~1%、及び/又はCe
4+:0~1%であり、前記Rn
+はLi
+、Na
+、K
+の一種又は複数種である。
【請求項3】
モル%で成分を表し、以下の陽イオンを含む、光学ガラス: P
5+:26~45%;La
3++Gd
3++Y
3+:0~20%;Al
3+:5~25%;R
2+:28~60%;Nb
5++W
6++Ti
4+:0~15%;Rn
+:0~10%;Yb
3+:0~10%;Zn
2+:0~10%;B
3+:0~10%;Si
4+:0~5%;Ta
5+:0~10%;Sb
3+:0~1%;Sn
4+:0~1%;Ce
4+:0~1%;
F
-とO
2-の陰イオンを含み、F
-+O
2-は98%以上であり、前記R
2+はBa
2+、Sr
2+、Ca
2+とMg
2+の合計含有量であり、Rn
+はLi
+、Na
+、K
+の一種又は複数種である。
【請求項4】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:(P
5++Al
3+)/F
-が0.9~4.0、好ましくは(P
5++Al
3+)/F
-が1.0~3.5、より好ましくは(P
5++Al
3+)/F
-が1.2~3.0、さらに好ましくは(P
5++Al
3+)/F
-が1.5~2.5である。
【請求項5】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:(Nb
5++W
6++Ti
4+)/(La
3++Gd
3++Y
3+)が0.1~10.0、好ましくは(Nb
5++W
6++Ti
4+)/(La
3++Gd
3++Y
3+)が0.2~6.0、より好ましくは(Nb
5++W
6++Ti
4+)/(La
3++Gd
3++Y
3+)が0.5~4.0、さらに好ましくは(Nb
5++W
6++Ti
4+)/(La
3++Gd
3++Y
3+)が0.7~2.0である。
【請求項6】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス: Y
3+/(La
3++Gd
3++Y
3+)は0.3~1.0、好ましくはY
3+/(La
3++Gd
3++Y
3+)が0.5~1.0、より好ましくはY
3+/(La
3++Gd
3++Y
3+)が0.6~1.0、さらに好ましくはY
3+/(La
3++Gd
3++Y
3+)が0.65~1.0である。
【請求項7】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:Mg
2+/Ba
2+が0.01~0.3、好ましくはMg
2+/Ba
2+が0.02~0.25、より好ましくはMg
2+/Ba
2+が0.03~0.2、さらに好ましくはMg
2+/Ba
2+が0.05~0.15である。
【請求項8】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:Sr
2+/Y
3+が0.3~10.0、好ましくはSr
2+/Y
3+が0.5~5.0、より好ましくはSr
2+/Y
3+が0.8~3.0、さらに好ましくはSr
2+/Y
3+が1.0~2.0である。
【請求項9】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:(Ca
2++Zn
2+)/(Nb
5++W
6++Ti
4+)が2.0以下、好ましくは(Ca
2++Zn
2+)/(Nb
5++W
6++Ti
4+)が1.0以下、より好ましくは(Ca
2++Zn
2+)/(Nb
5++W
6++Ti
4+)が0.8以下、さらに好ましくは(Ca
2++Zn
2+)/(Nb
5++W
6++Ti
4+)が0.5以下である。
【請求項10】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:(Rn
++Ca
2+)/Mg
2+が2.0以下、好ましくは(Rn
++Ca
2+)/Mg
2+が1.0以下、より好ましくは(Rn
++Ca
2+)/Mg
2+が0.8以下、さらに好ましくは(Rn
++Ca
2+)/Mg
2+が0.5以下である。
【請求項11】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:F
-/O
2-が0.18~0.6、好ましくはF
-/O
2-が0.2~0.5、より好ましくはF
-/O
2-が0.25~0.45、さらに好ましくはF
-/O
2-が0.28~0.4である。
【請求項12】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:F
-/Ba
2+が0.35~1.2、好ましくはF
-/Ba
2+が0.5~1.1、より好ましくはF
-/Ba
2+が0.6~1.0、さらに好ましくはF
-/Ba
2+が0.65~0.9である。
【請求項13】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス: P
5+:30~40%、好ましくはP
5+:33~38%、及び/又はLa
3++Gd
3++Y
3+:0.1~15%、好ましくはLa
3++Gd
3++Y
3+:0.5~12%、より好ましくはLa
3++Gd
3++Y
3+:1~10%、及び/又はNb
5++W
6++Ti
4+:0.5~10%、好ましくはNb
5++W
6++Ti
4+:1~8%、及び/又はR
2+:35~55%、好ましくはR
2+:38~50%、及び/又はAl
3+:8~20%、好ましくはAl
3+:10~18% 、及び/又はRn
+:0~5%、好ましくはRn
+:0~2%、より好ましくはRn
+を含まず、及び/又はYb
3+:0~5%、好ましくはYb
3+:0~2%、より好ましくはYb
3+を含まず、及び/又はZn
2+:0~5%、好ましくはZn
2+:0~2%、より好ましくはZn
2+を含まず、及び/又はB
3+:0~5%、好ましくはB
3+:0~2%、より好ましくはB
3+を含まず、及び/又はSi
4+:0~2%、好ましくはSi
4+:0~1%、より好ましくはSi
4+を含まず、及び/又はTa
5+:0~5%、好ましくはTa
5+:0~2%、より好ましくはTa
5+を含まず、及び/又はSb
3+:0~0.5%、好ましくはSb
3+:0~0.1%、及び/又はSn
4+:0~0.5%、好ましくはSn
4+:0~0.1%、より好ましくはSn
4+を含まず、及び/又はCe
4+:0~0.5%、好ましくはCe
4+:0~0.1%、より好ましくはCe
4+を含まないことである。
【請求項14】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:Ba
2+:28~45%、好ましくはBa
2+:30~40%、より好ましくはBa
2+:33~38%、及び/又はSr
2+:0~10%、好ましくはSr
2+:1~8%、より好ましくはSr
2+:2~7%、及び/又はMg
2+:0~10%、好ましくはMg
2+:1~7%、より好ましくはMg
2+:2~6%、及び/又はCa
2+:0~10%、好ましくはCa
2+:0~6%、より好ましくはCa
2+:0~5%、及び/又はLa
3+:0~10%、好ましくはLa
3+:0~5%、より好ましくはLa
3+:0~3%、及び/又はGd
3+:0~10%、好ましくはGd
3+:0~5%、より好ましくはGd
3+:0~3%、及び/又はY
3+:0~10%、好ましくはY
3+:0.5~8%、より好ましくはY
3+:1~7%、及び/又はNb
5+:0~10%、好ましくはNb
5+:0~6%、より好ましくはNb
5+:0~4%、及び/又はW
6+:0~10%、好ましくはW
6+:0~6%、より好ましくはW
6+:0~5%、及び/又はTi
4+:0~10%、好ましくはTi
4+:0~5%、より好ましくはTi
4+:0~2%、さらに好ましくはTi4+を含まないことである。
【請求項15】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:F
-:15~45%、好ましくはF
-:18~38%、より好ましくはF
-:21~35%、及び/又はO
2-:55~85%、好ましくはO
2-:62~82%、より好ましくはO
2-:65~79%である。
【請求項16】
モル%で成分を表し、陰イオンはさらに以下を含む:Cl
-:0~2%、及び/又はBr
-:0~2%、及び/又はI
-:0~2%、好ましくは陰イオンがさらいに以下を含む:Cl
-:0~1%、及び/又はBr
-:0~1%、及び/又はI
-:0~1%、より好ましくは陰イオンがさらに以下を含む: Cl
-:0~0.5%、及び/又はBr
-:0~0.5%、及び/又はI
-:0~0.5%、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項17】
前記光学ガラスの屈折率n
dは1.57~1.66、好ましくは屈折率n
dが1.58~1.64、より好ましくは屈折率n
dが1.60~1.63、アッベ数ν
dは56~65、好ましくはアッベ数ν
dが58~63、より好ましくはアッベ数ν
dが59~62である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項18】
前記光学ガラスのΔP
C,s値は0以下、好ましくはΔP
C,s値が-0.01以下、より好ましくはΔP
C,s値が-0.015以下、さらに好ましくはΔP
C,s値が-0.02以下、及び/又はΔP
C,t値は-0.01以下、好ましくはΔP
C,t値が-0.02以下、より好ましくはΔP
C,t値が-0.03以下、さらに好ましくはΔP
C,t値が-0.04以下、よりさらに好ましくはΔP
C,t値が-0.05以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項19】
前記光学ガラスの耐水安定性D
Wは3類以上、好ましくは耐水安定性D
Wは2類以上、及び/又は耐酸安定性D
Aは3類以上、好ましくは耐酸安定性D
Aが2類以上、及び/又は耐候性CRは2類以上、好ましくは耐候性CRが1類、及び/又は転移温度T
gは620℃以下、好ましくは転移温度T
gが610℃以下、より好ましくは転移温度T
gが600℃以下、及び/又は密度ρは4.60g/cm
3以下、好ましくは密度ρが4.50g/cm
3以下、より好ましくは密度ρが4.40g/cm
3以下、及び/又はλ
80は380nm以下、好ましくはλ
80が375nm以下、より好ましくはλ
80が370nm以下、及び/又はλ
5は330nm以下、好ましくはλ
5が325nm以下、より好ましくはλ
5が320nm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項20】
請求項1~19のいずれ一項に記載の光学ガラスで製造される、ガラスプリフォーム。
【請求項21】
請求項1~19のいずれ一項に記載の光学ガラス、又は請求項20に記載のガラスプリフォームで製造される、光学素子。
【請求項22】
請求項1~19のいずれ一項に記載の光学ガラス、及び/又は請求項21に記載の光学素子を含む、光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ガラスに関し、特に屈折率が1.57~1.66、アッベ数が56~65の光学ガラス、及びそれから製造されたガラスプリフォーム、光学素子及び光学機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光学レンズは車載イメージング、監視セキュリティなどの分野に大量に応用され、夜間イメージングでは、レンズは夜間白黒モードで近赤外光を吸収し、近赤外帯域光線と可視光はレンズを通過する時に異なる焦点距離に焦点を当て、イメージング画質が劣化し、車載イメージング、監視セキュリティ、さらには望遠鏡、銃照準鏡などの分野における光学設計上の難題となっている。
【0003】
ガラスの屈折率は波長が大きくなるにつれて低下し、一般的に可視光イメージセンサを用いた撮像システムの夜の近赤外補助照明の利用可能波長範囲は800~1000nmであり、研究により、この波長範囲内で、ガラスの屈折率が波長の増大に伴って低下する幅が正常のガラスより小さい場合、すなわち、ガラスが近赤外帯域に一定の異常分散を形成すると、光学設計によって日夜共焦点を実現する難度を大幅に低下させ、夜間イメージング品質を効果的に改善することができると見出した、前記近赤外帯域の異常分散はΔPC,sとΔPC,t値を用いて表現する。
【0004】
屈折率が1.57~1.66、アッベ数が56~65の光学ガラスの屈折率とアッベ数は適切であり、様々なイメージングシステムに広く応用されている。従来技術における屈折率及びアッベ数がこの範囲内である光学ガラスのΔPC,sとΔPC,t値が比較的大きく、新型イメージング光学機器の開発上のニーズを満たすことができない。例えば、出願番号が200780019054.0である特許は屈折率が1.55~1.65、アッベ数が55~65の光学ガラスを開示している。
【0005】
一方、日夜共焦点を実現する必要がある光学システムは、通常、劣悪な環境で使用されており、光学システムの信頼性を保証するために、光学材料が優れた耐候性を備える必要がある。したがって、ΔPC,sとΔPC,t値が比較的低く、耐候性に優れた光学ガラスの開発は、光電情報分野の発展に重要な役割を果たす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、ΔPC,sとΔPC,t値が比較的低く、優れた耐候性を有する光学ガラスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は次のとおりである。
【0008】
(1) モル%で成分を表し、以下の陽イオンを含む、光学ガラス: P5+:26~45%;Al3+:5~25%;R2+:28~60%。
F-とO2-の陰イオンを含み、F-+O2-は98%以上であり、(P5++Al3+)/F-は0.9~4.0であり、前記R2+はBa2+、Sr2+、Ca2+とMg2+の合計含有量である。
【0009】
(2) モル%で成分を表し、以下の陽イオンをさらに含む、(1)に記載の光学ガラス: La3++Gd3++Y3+:0~20%、及び/又はNb5++W6++Ti4+:0~15%、及び/又はRn+:0~10%、及び/又はYb3+:0~10%、及び/又はZn2+:0~10%、及び/又はB3+:0~10%、及び/又はSi4+:0~5%、及び/又はTa5+:0~10%、及び/又はSb3+:0~1%、及び/又はSn4+:0~1%、及び/又はCe4+:0~1%であり、前記Rn+はLi+、Na+、K+の一種又は複数種である。
【0010】
(3) モル%で成分を表し、以下の陽イオンを含む、光学ガラス:P5+:26~45%;La3++Gd3++Y3+:0~20%;Al3+:5~25%;R2+:28~60%;Nb5++W6++Ti4+:0~15%;Rn+:0~10%;Yb3+:0~10%;Zn2+:0~10%;B3+:0~10%;Si4+:0~5%;Ta5+:0~10%;Sb3+:0~1%;Sn4+:0~1%;Ce4+:0~1%;
F-とO2-の陰イオンを含み、F-+O2-は98%以上であり、前記R2+はBa2+、Sr2+、Ca2+とMg2+の合計含有量であり、Rn+はLi+、Na+、K+の一種又は複数種である。
【0011】
(4) その成分の陽イオンはP5+と、Al3+と、R2+とを含み、陰イオンはF-とO2-とを含み、前記光学ガラスの屈折率ndは1.57~1.66、アッベ数νdは56~65、ΔPC,s値は0以下、ΔPC,t値は-0.01以下である、光学ガラス。
【0012】
(5) モル%で成分を表し、以下の陽イオンを含む、(4)に記載の光学ガラス: P5+:26~45%、La3++Gd3++Y3+:0~20%、Al3+:5~25%、R2+:28~60%、Nb5++W6++Ti4+:0~15%、Rn+:0~10%、Yb3+:0~10%、Zn2+:0~10%、B3+:0~10%、Si4+:0~5%、Ta5+:0~10%、Sb3+:0~1%、Sn4+:0~1%、Ce4+:0~1%であり、前記R2+はBa2+、Sr2+、Ca2+とMg2+の合計含有量であり、Rn+はLi+、Na+、K+の一種又は複数種である。
【0013】
(6) モル%で以下の成分を含む、(1)~(5)のいずれかに記載の光学ガラス: (P5++Al3+)/F-は0.9~4.0であり、好ましくは(P5++Al3+)/F-が1.0~3.5、より好ましくは(P5++Al3+)/F-が1.2~3.0、さらに好ましくは(P5++Al3+)/F-が1.5~2.5である。
【0014】
(7) モル%で以下の成分を含む、(1)~(5)のいずれかに記載の光学ガラス:(Nb5++W6++Ti4+)/(La3++Gd3++Y3+)が0.1~10.0、好ましくは(Nb5++W6++Ti4+)/(La3++Gd3++Y3+)が0.2~6.0、より好ましくは(Nb5++W6++Ti4+)/(La3++Gd3++Y3+)が0.5~4.0、さらに好ましくは(Nb5++W6++Ti4+)/(La3++Gd3++Y3+)が0.7~2.0である。
【0015】
(8) モル%で以下の成分を含む、(1)~(5)のいずれかに記載の光学ガラス: Y3+/(La3++Gd3++Y3+)が0.3~1.0であり、好ましくはY3+/(La3++Gd3++Y3+)が0.5~1.0、より好ましくはY3+/(La3++Gd3++Y3+)が0.6~1.0、さらに好ましくはY3+/(La3++Gd3++Y3+)が0.65~1.0である。
【0016】
(9) モル%で以下の成分を含む、(1)~(5)のいずれかに記載の光学ガラス:Mg2+/Ba2+が0.01~0.3、好ましくはMg2+/Ba2+が0.02~0.25、より好ましくはMg2+/Ba2+が0.03~0.2、さらに好ましくはMg2+/Ba2+が0.05~0.15である。
【0017】
(10) モル%で以下の成分を含む、(1)~(5)のいずれかに記載の光学ガラス:Sr2+/Y3+が0.3~10.0、好ましくはSr2+/Y3+が0.5~5.0、より好ましくはSr2+/Y3+が0.8~3.0、さらに好ましくはSr2+/Y3+が1.0~2.0である。
【0018】
(11) モル%で以下の成分を含む、(1)~(5)のいずれかに記載の光学ガラス:(Ca2++Zn2+)/(Nb5++W6++Ti4+)が2.0以下、好ましくは(Ca2++Zn2+)/(Nb5++W6++Ti4+)が1.0以下、より好ましくは(Ca2++Zn2+)/(Nb5++W6++Ti4+)が0.8以下、さらに好ましくは(Ca2++Zn2+)/(Nb5++W6++Ti4+)が0.5以下である。
【0019】
(12) モル%で以下の成分を含む、(1)~(5)のいずれかに記載の光学ガラス:(Rn++Ca2+)/Mg2+が2.0以下、好ましくは(Rn++Ca2+)/Mg2+が1.0以下、より好ましくは(Rn++Ca2+)/Mg2+が0.8以下、さらに好ましくは(Rn++Ca2+)/Mg2+が0.5以下である。
【0020】
(13) モル%で以下の成分を含む、(1)~(5)のいずれかに記載の光学ガラス:F-/O2-が0.18~0.6、好ましくはF-/O2-が0.2~0.5、より好ましくはF-/O2-が0.25~0.45、さらに好ましくはF-/O2-が0.28~0.4である。
【0021】
(14) モル%で以下の成分を含む、(1)~(5)のいずれかに記載の光学ガラス:F-/Ba2+が0.35~1.2、好ましくはF-/Ba2+が0.5~1.1、より好ましくはF-/Ba2+が0.6~1.0、さらに好ましくはF-/Ba2+が0.65~0.9である。
【0022】
(15) モル%で以下の成分を含む、(1)~(5)のいずれかに記載の光学ガラス:P5+:30~40%、好ましくはP5+:33~38%、及び/又はLa3++Gd3++Y3+:0.1~15%、好ましくはLa3++Gd3++Y3+:0.5~12%、より好ましくはLa3++Gd3++Y3+:1~10%、及び/又はNb5++W6++Ti4+:0.5~10%、好ましくはNb5++W6++Ti4+:1~8%、及び/又はR2+:35~55%、好ましくはR2+:38~50%、及び/又はAl3+:8~20%、好ましくはAl3+:10~18% 、及び/又はRn+:0~5%、好ましくはRn+:0~2%、より好ましくはRn+を含まず、及び/又はYb3+:0~5%、好ましくはYb3+:0~2%、より好ましくはYb3+を含まず、及び/又はZn2+:0~5%、好ましくはZn2+:0~2%、より好ましくはZn2+を含まず、及び/又はB3+:0~5%、好ましくはB3+:0~2%、より好ましくはB3+を含まず、及び/又はSi4+:0~2%、好ましくはSi4+:0~1%、より好ましくはSi4+を含まず、及び/又はTa5+:0~5%、好ましくはTa5+:0~2%、より好ましくはTa5+を含まず、及び/又はSb3+:0~0.5%、好ましくはSb3+:0~0.1%、及び/又はSn4+:0~0.5%、好ましくはSn4+:0~0.1%、より好ましくはSn4+を含まず、及び/又はCe4+:0~0.5%、好ましくはCe4+:0~0.1%、より好ましくはCe4+を含まないことである。
【0023】
(16) モル%で以下の成分を含む、(1)~(5)のいずれかに記載の光学ガラス:Ba2+:28~45%、好ましくはBa2+:30~40%、より好ましくはBa2+:33~38%、及び/又はSr2+:0~10%、好ましくはSr2+:1~8%、より好ましくはSr2+:2~7%、及び/又はMg2+:0~10%、好ましくはMg2+:1~7%、より好ましくはMg2+:2~6%、及び/又はCa2+:0~10%、好ましくはCa2+:0~6%、より好ましくはCa2+:0~5%、及び/又はLa3+:0~10%、好ましくはLa3+:0~5%、より好ましくはLa3+:0~3%、及び/又はGd3+:0~10%、好ましくはGd3+:0~5%、より好ましくはGd3+:0~3%、及び/又はY3+:0~10%、好ましくはY3+:0.5~8%、より好ましくはY3+:1~7%、及び/又はNb5+:0~10%、好ましくはNb5+:0~6%、より好ましくはNb5+:0~4%、及び/又はW6+:0~10%、好ましくはW6+:0~6%、より好ましくはW6+:0~5%、及び/又はTi4+:0~10%、好ましくはTi4+:0~5%、より好ましくはTi4+:0~2%、さらに好ましくはTi4+を含まないことである。
【0024】
(17) モル%で以下の成分を含む、(1)~(5)のいずれかに記載の光学ガラス:F-:15~45%、好ましくはF-:18~38%、より好ましくはF-:21~35%、及び/又はO2-:55~85%、好ましくはO2-:62~82%、より好ましくはO2-:65~79%である。
【0025】
(18) モル%で成分を表し、以下の陰イオンをさらに含む:Cl-:0~2%、及び/又はBr-:0~2%、及び/又はI-:0~2%、好ましくは以下の陰イオンをさらに含む:Cl-:0~1%、及び/又はBr-:0~1%、及び/又はI-:0~1%、より好ましくは以下の陰イオンをさらに含む:Cl-:0~0.5%、及び/又はBr-:0~0.5%、及び/又はI-:0~0.5%、(1)~(5)のいずれかに記載の光学ガラス。
【0026】
(19) 前記光学ガラスの屈折率ndは1.57~1.66、好ましくは屈折率ndが1.58~1.64、より好ましくは屈折率ndが1.60~1.63、アッベ数νdは56~65、好ましくはアッベ数νdが58~63、より好ましくはアッベ数νdが59~62である、(1)~(5)のいずれかに記載の光学ガラス。
【0027】
(20) 前記光学ガラスのΔPC,s値は0以下、好ましくはΔPC,s値が-0.01以下、より好ましくはΔPC,s値が-0.015以下、さらに好ましくはΔPC,s値が-0.02以下、及び/又はΔPC,t値は-0.01以下、好ましくはΔPC,t値が-0.02以下、より好ましくはΔPC,t値が-0.03以下、さらに好ましくはΔPC,t値が-0.04以下、よりさらに好ましくはΔPC,t値が-0.05以下である、(1)~(5)のいずれかに記載の光学ガラス。
【0028】
(21) 前記光学ガラスの耐水安定性DWは3類以上、好ましくは耐水安定性DWが2類以上、及び/又は耐酸安定性DAは3類以上、好ましくは耐酸安定性DAが2類以上、及び/又は耐候性CRは2類以上、好ましくは耐候性CRが1類、及び/又は転移温度Tgは620℃以下、好ましくは転移温度Tgが610℃以下、より好ましくは転移温度Tgが600℃以下、及び/又は密度ρは4.60g/cm3以下、好ましくは密度ρが4.50g/cm3以下、より好ましくは密度ρが4.40g/cm3以下、及び/又はλ80は380nm以下、好ましくはλ80が375nm以下、より好ましくはλ80が370nm以下、及び/又はλ5は330nm以下、好ましくはλ5が325nm以下、より好ましくはλ5が320nm以下である、(1)~(5)のいずれかに記載の光学ガラス。
【0029】
(22) (1)~(21)のいずれか一つに記載の光学ガラスで製造される、ガラスプリフォーム。
【0030】
(23) (1)~(21)の一つに記載の光学ガラス又は(22)に記載のガラスプリフォームで製造される、光学素子。
【0031】
(24) (1)~(21)の一つに記載の光学ガラスを含み、及び/又は(23)に記載の光学素子を含む、光学機器。
【発明の効果】
【0032】
本発明の有益な効果は、以下の通りである。合理的な成分設計により、本発明により得られた光学ガラスは、所望の屈折率とアッベ数を有すると同時に、ΔPC,s値とΔPC,t値が比較的低く、耐候性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明にかかる光学ガラスの実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で適宜変形して実施することが可能である。さらに、適宜省略はあるものの、記載を繰り返すことによって本発明の主旨が限定されるものではなく、以下では、本発明の光学ガラスを単にガラスと称することもある。
【0034】
<光学ガラス>
以下に、本発明の光学ガラスを構成する各成分の範囲について説明する。本明細書において、特に説明がない限り、陽イオン成分の含有量は陽イオン成分全体に対する当該陽イオンのモルパーセント(mol%)で表され、陰イオン成分の含有量は陰イオン成分全体に対する当該陰イオンのモルパーセント(mol%)で表され、陽イオン成分の含有量間の比は、各陽イオン成分の含有量間のモルパーセント含有量の比であり、陰イオン成分の含有量間の比は、各陰イオン成分の含有量間のモルパーセント含有量の比であり、陰陽イオン成分の含有量間の比は、陽イオン成分全体における陽イオン成分のモルパーセント含有量と陰イオン成分全体における陰イオン成分のモルパーセント含有量との比である。
【0035】
具体的には、本明細書に記載されている数値範囲には、上限値および下限値が含まれ、「以上」および「以下」には端点値、ならびに範囲に含まれるすべての整数および分数が含まれ、範囲が限定されている場合に記載されている具体的な値に限定されるものではない。本明細書で「及び/又は」と呼ばれるものは包括的であり、例えば「A及び/又はB」は、Aのみ、Bのみ、またはAとBの両方を意味する。
【0036】
なお、以下に説明する各成分のイオン価は、便宜上使用される代表値であり、他のイオン価と区別がない。光学ガラスの各成分のイオン価は代表値以外の可能性がある。例えば、Pは通常+5価のイオン価状態でガラスに存在するため、本特許では「P5+」を代表値としているが、他のイオン価状態で存在する可能性があり、これも本特許の保護対象である。
【0037】
<陽イオン成分>
P5+はガラスネットワーク形成体成分であり、ガラスの安定性を高め、ガラスの△PC,t値と△PC,s値を下げることができるが、その含有量が26%未満の場合、上述の効果が明らかではなく、ガラスの安定性が低下し、結晶傾向が高くなる。従って、本発明においては、P5+の含有量が26%以上、好ましくは含有量が30%以上、より好ましくは含有量が33%以上である。一方、P5+の含有量が45%を超えると、ガラスの耐候性が低下し、本発明の所望の光学定数を得ることが困難となる。従って、本発明においては、P5+の含有量が45%以下、好ましくは含有量が40%以下、より好ましくは含有量が38%以下である。いくつかの実施形態では、約26%、26.5%、27%、27.5%、28%、28.5%、29%、29.5%、30%、30.5%、31%、31.5%、32%、32.5%、33%、33.5%、34%、34.5%、35%、35.5%、36%、36.5%、37%、37.5%、38%、38.5%、39%、39.5%、40%、40.5%、41%、41.5%、42%、42.5%、43%、43.5%、44%、44.5%、45%のP5+を含むことができる。
【0038】
Al3+は本発明のガラスの骨格成分であり、ガラスの機械的性能と耐候性を効果的に向上させると同時に、ガラスの熱膨張係数を低下させることができるが、その含有量が5%未満の場合、安定したガラス骨格を形成し、上述の効果を得ることができない。Al3+の含有量が25%を超えると、ガラスの転移温度と液相温度が上昇し、ガラスの溶融が困難になると同時に、成形温度が高め、ガラスの揮発が激化し、ガラスストライプが悪くなり、かつ、高すぎる転移温度によりプレス成形が困難になる。従って、本発明においては、Al3+の含有量が5~25%、好ましくは8~20%、より好ましくは10~18%である。いくつかの実施形態では、約5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、25%のAl3+を含むことができる。
【0039】
La3+はガラスの屈折率を高め、耐酸性を改善することができるが、La3+の含有量が多すぎると、ガラスの熱安定性と耐失透性が低下し、ガラスの製造中に失透しやすくなる。従って、本発明においては、La3+の含有量が10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%のLa3+を含むことができる。
【0040】
Gd3+はガラスの化学的安定性を改善し、屈折率を高めることができるが、その含有量が10%を超えると、ガラスの転移温度が上昇し、その安定性も低下する。従って、本発明においては、Gd3+の含有量が10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%のGd3+を含むことができる。
【0041】
Y3+は屈折率が高く、分散が低く、ガラスの摩耗度を改善し、ガラスの△P C,t値と△PC,s値を適切に低下することができるが、その含有量が10%を超えると、ガラスの失透傾向が高くなる。従って、本発明においては、Y3+の含有量が10%以下、好ましくは0.5~8%、より好ましくは1~7%である。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%のY3+を含むことができる。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態では、La3+、Gd3+、Y3+の合計含有量La3++Gd3++Y3+を20%以下に制御することにより、ガラスの光学定数が設計要件を超えることを防止できるので 、好ましくはLa3++Gd3++Y3+ が20%以下である。さらに、La3+、Gd3+、Y3+の合計含有量La3++Gd3++Y3+を0.1~15%の範囲内にすることにより、所望の光学定数が得やすいと同時に、ガラスの化学安定性を高めることができるので、より好ましくはLa3++Gd3++Y3+が0.1~15%、さらに好ましくはLa3++Gd3++Y3+が0.5~12%、よりさらに好ましくはLa3++Gd3++Y3+が1~10%である。いくつかの実施形態では、La3++Gd3++Y3+は、0%、0%超、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%であり得る。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態では、Y3+/(La3++Gd3++Y3+)を0.3~1.0の範囲内に制御することにより、ガラスの耐候性を最適化し、ガラスの光透過率を高めることができる。従って、好ましくはY3+/(La3++Gd3++Y3+)が0.3~1.0、より好ましくはY3+/(La3++Gd3++Y3+)が0.5~1.0、さらに好ましくはY3+/(La3++Gd3++Y3+)が0.6~1.0、よりさらに好ましくはY3+/(La3++Gd3++Y3+)が0.65~1.0である。いくつかの実施形態では、Y3+/(La3++Gd3++Y3+)の値が0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0であり得る。
【0044】
Yb3+はガラスの屈折率を高めることができるが、その含有量が高すぎると、ガラスの熱安定性と耐失透性が低下する。したがって、本発明においては、Yb3+の含有量が10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下、さらに好ましくはYb3+を含まないことである。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%のYb3+を含むことができる。
【0045】
W6+はガラスの屈折率と分散を高め、ガラスの転移温度、△PC,t値と△PC,sを下げることができるが、その含有量が10%を超えると、ガラスの着色度が悪くなり、屈折率が設計要求を超えやすく、摩耗度が悪くなる。したがって、W6+の含有量は10%以下、好ましくは6%以下、より好ましくは5%以下である。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%のW6+を含むことができる。
【0046】
Nb5+はガラスの屈折率と分散を高め、ガラスの△PC,tと△PC,s値を下げ、ガラスの熱安定性と化学安定性を改善することができるが、その含有量が10%を超えると、ガラスの耐失透性が低下し、着色度が悪くなる。したがって、Nb5+の含有量は10%以下、好ましくは6%以下、より好ましくは4%以下である。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%のNb5+を含むことができる。
【0047】
Ti4+はガラスの化学安定性を改善し、ガラスの△PC,tと△PC,s値を下げることができるが、その含有量が多すぎると、ガラスの結晶傾向が高くなり、着色度が悪くなると同時に、ガラスの溶融性が低下する。従って、本発明においては、Ti4+の含有量が10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下である。いくつかの実施形態では、さらに好ましくはTi4+を含まないことである。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%のTi4+を含むことができる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態では、Nb5+、W6+とTi4+の合計含有量Nb5++W6++Ti4+を15%以下にすることにより、ガラスの屈折率とアッベ数が設計要件を超え、耐失透性の低下及び着色度の劣化を防止することができので、好ましくはNb5++W6++Ti4+が15%以下である。さらに、Nb5++W6++Ti4+を0.5%以上にすることにより、ガラスの△PC,t値と△PC,s値の低減に有利である。したがって、より好ましくはNb5++W6++Ti4+が0.5~10%、さらに好ましくはNb5++W6++Ti4+が1~8%である。いくつかの実施形態では、Nb5++W6++Ti4+は、0%、0%超、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%であり得る。
【0049】
本発明者らが大量の実験研究を重ねた結果、本発明のいくつかの実施形態では、Nb5+、W6+とTi4+の合計含有量Nb5++W6++Ti4+と、La3+、Gd3+とY3+の合計含有量La3++Gd3++Y3+との比(Nb5++W6++Ti4+)/(La3++Gd3++Y3+)を0.1~10.0にすることにより、ガラスの光学定数を所望の範囲内にすると同時に、ガラスの△PC,t値と△PC,s値を低減し、ガラスの化学安定性を最適化することできると見出した。従って、好ましくは(Nb5++W6++Ti4+)/(La3++Gd3++Y3+)が0.1~10.0、より好ましくは(Nb5++W6++Ti4+)/(La3++Gd3++Y3+)が0.2~6.0、さらに好ましくは(Nb5++W6++Ti4+)/(La3++Gd3++Y3+)が0.5~4.0、よりさらに好ましくは(Nb5++W6++Ti4+)/(La3++Gd3++Y3+)が0.7~2.0である。いくつかの実施形態では、(Nb5++W6++Ti4+)/(La3++Gd3++Y3+)の値が0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.3、2.5、2.7、3.0、3.3、3.5、3.7、4.0、4.3、4.5、4.7、5.0、5.3、5.5、5.7、6.0、6.3、6.5、6.7、7.0、7.3、7.5、7.7、8.0、8.3、8.5、8.7、9.0、9.3、9.5、9.7、10.0であり得る。
【0050】
本発明では、28~60%のアルカリ土類金属成分R2+(R2+はBa2+、Sr2+、Ca2+とMg2+の合計含有量)を添加することにより、ガラスの熱安定性を高め、ガラスの光学定数を調整しており、好ましくはR2+の含有量が35~55%、より好ましくはR2+の含有量が38~50%である。いくつかの実施形態では、約28%、28.5%、29%、29.5%、30%、30.5%、31%、31.5%、32%、32.5%、33%、33.5%、34%、34.5%、35%、35.5%、36%、36.5%、37%、37.5%、38%、38.5%、39%、39.5%、40%、40.5%、41%、41.5%、42%、42.5%、43%、43.5%、44%、44.5%、45%、45.5%、46%、46.5%、47%、47.5%、48%、48.5%、49%、49.5%、50%、50.5%、51%、51.5%、52%、52.5%、53%、53.5%、54%、54.5%、55%、55.5%、56%、56.5%、57%、57.5%、58%、58.5%、59%、59.5%、60%のR2+を含むことができる。
【0051】
Ba2+はガラスの屈折率、熱安定性と耐候性を高めることができ、本発明では28%以上のBa2+を添加することにより上記の効果を得る。一方、Ba2+の含有量が45%を超えると、ガラスの転移温度と密度が増加し、摩耗度が悪くなる。従って、本発明においては、Ba2+の含有量が28~45%、好ましくは30~40%、より好ましくは33~38%である。いくつかの実施形態では、約28%、28.5%、29%、29.5%、30%、30.5%、31%、31.5%、32%、32.5%、33%、33.5%、34%、34.5%、35%、35.5%、36%、36.5%、37%、37.5%、38%、38.5%、39%、39.5%、40%、40.5%、41%、41.5%、42%、42.5%、43%、43.5%、44%、44.5%、45%のBa2+を含むことができる。
【0052】
Sr2+はガラスの熱膨張係数を低下させ、ガラスの屈折率と密度を効果的に調整することができるが、その含有量が高すぎると、ガラスの耐失透性と化学安定性が低下する。従って、本発明においては、Sr2+の含有量が0~10%、好ましくは1~8%、より好ましくは2~7%である。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%のSr2+を含むことができる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態では、Sr2+とY3+の相対含有量Sr2+/Y3+を0.3~10.0範囲内に制御することでガラスの転移温度と密度を低下させることができるので、好ましくはSr2+/Y3+は0.3~10.0、より好ましくはSr2+/Y3+が0.5~5.0である。さらに、Sr2+/Y3+を0.8~3.0範囲内にすることでガラスの耐結晶性をさらに向上させることができるので、さらに好ましくはSr2+/Y3+が0.8~3.0、よりさらに好ましくはSr2+/Y3+が1.0~2.0である。いくつかの実施形態では、Sr2+/Y3+の値は0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.3、3.5、3.7、4.0、4.3、4.5、4.7、5.0、5.3、5.5、5.7、6.0、6.3、6.5、6.7、7.0、7.3、7.5、7.7、8.0、8.3、8.5、8.7、9.0、9.3、9.5、9.7、10.0であり得る。
【0054】
Mg2+はガラスの摩耗度と耐失透性を改善することができるが、その含有量が10%を超えると、ガラスの安定性が低下する。従って、本発明においては、Mg2+の含有量が0~10%、好ましくは1~7%、より好ましくは2~6%である。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%のMg2+を含むことができる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態では、Mg2+とBa2+の含有量との比Mg2+/Ba2+を0.01~0.3範囲内にすることにより、ガラスの摩耗度を最適化すると同時に、ガラスの化学安定性を高めることができる。従って、好ましくはMg2+/Ba2+が0.01~0.3、より好ましくはMg2+/Ba2+が0.02~0.25、さらに好ましくはMg2+/Ba2+が0.03~0.2、よりさらに好ましくはMg2+/Ba2+が0.05~0.15である。いくつかの実施形態では、Mg2+/Ba2+の値が0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3であり得る。
【0056】
Ca2+はガラスの化学安定性を高め、ガラスの研磨性能を改善することができ、一定の含有量内でBa2+を代替して使用してガラスの密度を下げることができるが、その含有量が多すぎると、ガラスの耐失透性が悪化する。従って、本発明においては、Ca2+の含有量が0~10%、好ましくは0~6%、より好ましくは0~5%である。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%のCa2+を含むことができる。
【0057】
Rn+(Rn+はLi+、Na+、K+の一種又は複数種である)はガラスの転移温度と屈折率を下げ、ガラスのプレス加工性能を高めることができるが、その含有量が多すぎると、ガラスの安定性と耐候性が低下する。従って、本発明においては、Rn+の含有量が10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下である。いくつかの実施形態では、さらに好ましくはRn+を含まないことである。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%のRn+を含むことができる。
【0058】
本発明は大量の実験研究を重ねた結果、いくつかの実施形態では、(Rn++Ca2+)/Mg2+を2.0以下に制御することにより、ガラスの密度、△PC,t値と△PC,s値を下げ、ガラスの摩耗度を最適化することができることと見出した。したがって、好ましくは(Rn++Ca2+)/Mg2+が2.0以下、より好ましくは(Rn++Ca2+)/Mg2+が1.0以下、さらに好ましくは(Rn++Ca2+)/Mg2+が0.8以下、よりさらに好ましくは(Rn++Ca2+)/Mg2+が0.5以下である。いくつかの実施形態では、(Rn++Ca2+)/Mg2+の値が0、0超、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0であり得る。
【0059】
Zn2+はガラスの転移温度を下げ、ガラスの熱安定性を高めることができるが、その含有量が10%を超えるとガラスの分散が増加し、所望の光学定数を得ることが難しく、かつ、ガラスの耐失透性が低下する。したがって、Zn2+の含有量が10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下に限定される。いくつかの実施形態では、さらに好ましくはZn2+を含まないことである。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%のZn2+を含むことができる。
【0060】
本発明は大量の実験研究を重ねた結果、いくつかの実施形態では、Ca2+とZn2+の合計含有量Ca2++Zn2+とNb5+、W6+、Ti4+の合計含有量Nb5++W6++Ti4+との比(Ca2++Zn2+)/(Nb5++W6++Ti4+)を2.0以下に制御することにより、ガラスがより低い△PC,t値と△PC,s値を得ると同時に、ガラスの耐結晶性を最適化することができる。したがって、好ましくは(Ca2++Zn2+)/(Nb5++W6++Ti4+)が2.0以下、より好ましくは(Ca2++Zn2+)/(Nb5++W6++Ti4+)が1.0以下である。さらに、(Ca2++Zn2+)/(Nb5++W6++Ti4+)を0.8以下にすることにより、ガラスの気泡度をさらに最適化し、ガラスの熱膨張係数を低減することもできる。したがって、さらに好ましくは(Ca2++Zn2+)/(Nb5++W6++Ti4+)が0.8以下、よりさらに好ましくは(Ca2++Zn2+)/(Nb5++W6++Ti4+)が0.5以下である。いくつかの実施形態では、(Ca2++Zn2+)/(Nb5++W6++Ti4+)の値が0、0超、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0であり得る。
【0061】
Si4+はガラスの耐失透性を高め、ガラスの摩耗度を下げ、加工性を高めることができるが、その含有量が5%を超えると、ガラスの溶融性能が低下する。したがって、本発明の光学ガラスにおけるSi4+の含有量が5%以下、好ましくは2%、より好ましくは1%以下、さらに好ましくはSi4+を含まないことである。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%のSi4+を含むことができる。
【0062】
B3+はガラスの耐失透性を高めることができるが、フッ素含有の光学ガラスでは、ガラスの溶融時に高く揮発し、ガラスの光学定数が不安定になり、ストライプが発生するので、B3+の含有量は10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下に限定され、さらに好ましくはB3+を含まないことである。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%のB3+を含むことができる。
【0063】
Ta5+はガラスの屈折率を高めることができるが、その含有量が高い場合は、ガラスが失透しやすい。したがって、Ta5+の含有量が10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下であり、また、ガラスの△PC,t値と△PC,s値の低下に顕著な寄与がなく、しかも高価であるため、さらに好ましくはTa5+を含まないことである。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%のTa5+を含むことができる。
【0064】
本発明のガラスには、ガラスの脱泡効果を高めるために、Sb3+、Sn4+、Ce4+の一種又は復讐種の成分を清澄剤として含有することができる。Sb3+の含有量が1%を超える場合、ガラスの清澄性が低下する傾向があると同時に、その強い酸化作用により成形用金型の劣化を促進するので、本発明のSb3+の含有量は1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下である。Sn4+は清澄剤として使うことができるが、その含有量が1%を超えるとガラスが着色し、ガラスを加熱、軟化してプレス加工などの再成形するときに、Sn4+が結晶核生成の起点となり、失透する傾向がある。したがって、本発明のSn4+の含有量は1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下、さらに好ましくはSn4+を含まないことである。Ce4+の作用と含有量はSn4+と同様であり、その含有量が1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下、さらに好ましくはCe4+を含まないことである。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%のSb3+和/或Sn4+和/或Ce4+を含むことができる。
【0065】
<陰イオン成分>
本発明のガラス中はF-とO2-の合計含有量F-+O2-を98%以上にすることにより、ガラスが優れた安定性を得ると同時に、ガラスの△PC,tと△PC,s値を低減することができ、好ましくはF-+O2-が98.5%以上、より好ましくはF-+O2-が99%以上、さらに好ましくはF-+O2-が99.5%以上である。いくつかの実施形態では、F-+O2-は、98%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、100%であり得る。
【0066】
F-はガラスの屈折率温度係数と転移温度を下げるのに明らかな効果があり、アッベ数を高め、△PC,t値と△PC,s値を低下する重要な成分であり、その含有量が15%未満であれば、上記の効果は明らかではない。したがって、好ましくはF-の含有量が18%以上、より好ましくはF-の含有量が21%以上である。一方、F-の含有量が高すぎる場合、ガラスの屈折率が低下し、ガラスの安定性が下げ、ガラスの熱膨張係数が大きくする。特に溶融中にフッ素の揮発は環境を汚染し、ガラスの内部組成が不均一になるため、本発明におけるF-の含有量は45%以下、好ましくは38%以下、より好ましくは35%以下に限定される。いくつかの実施形態では、約15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%のF-を含むことができる。
【0067】
本発明の光学ガラスはO2-を含有し、特に、55%以上のO2-を添加することにより、ガラスの安定性と耐候性を向上させ、ガラスの摩耗度の悪化とストライプの劣化を抑制することができる。一方、O2-の含有量を85%以下に制御することにより、ガラスの高温粘度及び溶融温度の上昇を防止することができる。従って、O2-の含有量が55~85%、好ましくは62~82%、より好ましくは65~79%である。いくつかの実施形態では、約55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%のO2-を含むことができる。
【0068】
本発明では、清澄剤として2%以下のCl-を添加することでガラスの脱泡効果を高めることができ、好ましくはCl-の含有量が0~1%、より好ましくは0~0.5%である。いくつかの実施形態では、約0%、0%超、0.01%、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%のCl-を含むことができる。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態では、F-とO2-の相対含有量F-/O2-を0.18~0.6範囲内に制御することにより、ガラスの安定性と熱安定性を高め、ガラスの光透過率を最適化することができる。従って、好ましくはF-/O2-が0.18~0.6、より好ましくはF-/O2-が0.2~0.5、さらに好ましくはF-/O2-が0.25~0.45、よりさらに好ましくはF-/O2-が0.28~0.4である。いくつかの実施形態では、F-/O2-の値が0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.6であり得る。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態では、F-/Ba2+を0.35~1.2範囲内にすることにより、ガラスの△PC,t値と△PC,s値を低下させると同時に、より低い転移温度を得ることができる。従って、好ましくはF-/Ba2+が0.35~1.2、より好ましくはF-/Ba2+が0.5~1.1、さらに好ましくはF-/Ba2+が0.6~1.0、よりさらに好ましくはF-/Ba2+が0.65~0.9である。いくつかの実施形態では、F-/Ba2+の値が0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.6、0.61、0.63、0.65、0.67、0.7、0.73、0.75、0.77、0.8、0.83、0.85、0.87、0.9、0.93、0.95、0.97、1.0、1.03、1.05、1.07、1.1、1.13、1.15、1.17、1.2であり得る。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態では、好ましくは(P5++Al3+)/F-を0.9~4.0範囲内にし、ガラスの耐失透性と耐候性を高め、フッ素の揮発を抑制することができ、より好ましくは(P5++Al3+)/F-が1.0~3.5、さらに好ましくは(P5++Al3+)/F-が1.2~3.0、よりさらに好ましくは(P5++Al3+)/F-が1.5~2.5である。いくつかの実施形態では、(P5++Al3+)/F-の値は、0.9、0.95、1.0、1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95、2.0、2.05、2.1、2.15、2.2、2.25、2.3、2.35、2.4、2.45、2.5、2.55、2.6、2.65、2.7、2.75、2.8、2.85、2.9、2.95、3.0、3.05、3.1、3.15、3.2、3.25、3.3、3.35、3.4、3.45、3.5、3.55、3.6、3.65、3.7、3.75、3.8、3.85、3.9、3.95、4.0であり得る。
【0072】
<他の成分>
本発明の光学ガラスの特性を損なわない範囲内で、必要に応じてZr4+、Ge4+、Bi3+、Te4+、Br-、I-などの他の成分を本発明の光学ガラスに添加することができる。いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスにおけるTa5+、Ge4+、Bi3+、Te4+の合計含有量又はそれぞれの含有量は、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下、よりさらに好ましくは含まないことである。いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスにおけるBr-、I-の合計含有量又はそれぞれの含有量は、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下、よりさらに好ましくは含まないことである。
【0073】
<含まれるべきでない成分>
V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の成分は、単独又は混合して少量で添加してもガラスが着色し、可視光領域の特定の波長で吸収が発生し、さらに本発明の可視光透過率向上効果を低下する性質があるので、特に可視光領域の波長の透過率に対する要求がある光学ガラスは、好ましくは実際に上記の成分を含まないことである。
【0074】
As、Pb、Th、Cd、Tl、Os、Be及びSe成分は、近年、有害な化学物質として使用を制御する傾向があり、ガラスの製造工程だけでなく、加工工程及び製品化後の処置に至るまで、環境保護への取り組みが必要である。そのため、環境への影響を重視する場合は、不可避な混入以外は、それらを含まないことが好ましい。これにより、光学ガラスは実際に環境を汚染する物質を含まなくなる。したがって、本発明の光学ガラスは、特殊な環境措置を講じなくても、製造、加工及び廃棄が可能である。
【0075】
本明細書に記載されている「含まない」、「0%」という用語は、対応する成分を本発明のガラスの原料として意図的に添加しなかったことを意味する。しかし、光学ガラスを製造するための原料及び/又は設備として、意図的に添加されていない不純物や成分が、最終的なガラス中に少量または微量に存在することがあり、それらも本発明の特許の対象となる。
【0076】
以下では、本発明の光学ガラスの特性について説明する。
【0077】
<屈折率とアッべ数>
光学ガラスの屈折率(nd)とアッべ数(νd)は、GB/T 7962.1-2010 に規定された方法に従って試験されている。
【0078】
いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスの屈折率(nd)の下限値が1.57、好ましくは下限値が1.58、より好ましくは下限値が1.60であり、いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスの屈折率(nd)の上限値が1.66、好ましくは上限値が1.64、より好ましくは上限値が1.63である。
【0079】
いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスの屈折率(nd)は、1.57、1.575、1.58、1.585、1.59、1.595、1.60、1.605、1.61、1.615、1.62、1.625、1.63、1.635、1.64、1.645、1.65、1.655、1.66であり得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスのアッベ数(νd)の下限値は56、好ましくは下限値が58、より好ましくは下限値が59であり、いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスのアッベ数(νd)の上限値が65、好ましくは上限値が63、より好ましくは上限値が62である。
【0081】
いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスのアッベ数(νd)は56、56.5、57、57.5、58、58.5、59、59.5、60、60.5、61、61.5、62、62.5、63、63.5、64、64.5、65であり得る。
【0082】
<耐水安定性>
光学ガラスの耐水安定性(DW)(粉末法)はGB/T 17129に規定された方法で試験されている。
【0083】
いくつかの実施形態において、本発明の光学ガラスの耐水安定性(DW)は3類以上、好ましくは2類以上である。
【0084】
<耐酸安定性>
光学ガラスの耐酸安定性(DA)(粉末法)はGB/T 17129に規定された方法で試験されている。
【0085】
いくつかの実施形態において、本発明の光学ガラスの耐酸安定性(DA)は3類以上、好ましくは2類以上である。
【0086】
<耐候性>
光学ガラスの耐候性(CR)は、以下の方法に従って試験されている。
ガラス試料を相対湿度90%の飽和水蒸気環境の試験箱に入れ、40~50℃で1時間おきに交互に循環させ、15回循環する。試料を試験箱に入れる前後の濁度変化量に応じて耐候性の種類を区分し、表1は耐候性分類一覧表である。
【0087】
【0088】
いくつかの実施形態において、本発明の光学ガラスの耐候性(CR)は2類以上、好ましくは1類である。
【0089】
<転移温度>
光学ガラスの転移温度(Tg)はGB/T7962.16-2010に規定されている方法に従って試験されている。
【0090】
いくつかの実施形態において、本発明の光学ガラスの転移温度(Tg)は620℃以下、好ましくは610℃以下、より好ましくは600℃以下である。
【0091】
<密度>
光学ガラスの密度(ρ)はGB/T7962.20-2010に規定された方法に従って試験されている。
【0092】
いくつかの実施形態において、本発明の光学ガラスの密度(ρ)は4.60g/cm3以下、好ましくは4.50g/cm3以下、より好ましくは4.40g/cm3以下である。
【0093】
<着色度>
本発明の光学ガラスの短波透過スペクトル特性は着色度(λ80/λ5)で表す。λ80はガラスの透過率が80%に達するときの対応する波長、λ5は、ガラス透過率が5%に達するときの対応する波長を指す。ここで、λ80は、互いに平行する光学研磨された2つの相対平面を有する厚さが10±0.1 mmのガラスを用いて、280nmから700nmまでの波長領域における分光透過率を測定し、透過率80%の波長を示す。分光透過率又は透過率は、ガラスの前記表面に垂直に強度Iinの光を入射し、ガラスを透過して別の平面から強度Ioutの光を出射する場合に、Iout/Iinで表される量であり、ガラスの前記表面上の表面反射損失の透過率も含む。ガラスの屈折率が高いほど、表面反射損失が大きくなる。したがって、高屈折率ガラスでは、λ80の値が小さいほど、ガラス自体の着色が極めて少ないことを意味する。
【0094】
いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスのλ80が380 nm以下、好ましくはλ80が375 nm以下、より好ましくはλ80が370 nm以下である。
【0095】
いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスのλ5が330 nm以下、好ましくはλ5が325 nm以下、より好ましくはλ5が320 nm以下である。
【0096】
<ΔPC,sとΔPC,t値>
光学ガラスのΔPC,sとΔPC,t値は『GB/T 7962.1-2010』に規定された方法に従ってガラスのNF、NC、Ns、Nt値を測定し、以下の公式で計算する:
PC,s=(nC-ns)/(nF-nC)
ΔPC,s= PC,s-0.4017-0.002365νd
PC,t=(nC-nt)/(nF-nC)
ΔPC,t= PC,t-0.5462-0.004713νd
【0097】
いくつかの実施形態において、本発明の光学ガラスのΔPC,s値が0以下、好ましくは-0.01以下、より好ましくは-0.015以下、さらに好ましくは-0.02以下である。
【0098】
いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスのΔPC,t値は-0.01以下、好ましくは-0.02以下、より好ましくは-0.03以下、さらに好ましくは-0.04以下、よりさらに好ましくは-0.05以下である。
【0099】
<製造方法>
本発明の光学ガラスの製造方法は以下のとおりである:本発明のガラスは、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、酸化物、フッ化物、リン酸塩、メタリン酸塩など、従来の原料、従来の工程で製造され、常法により配合した後、調製した炉材を850~1200℃の溶解炉(蓋つきの白金るつぼ、白金合金るつぼなど)に投入して溶融する。その後、清澄化、均一化して、気泡や未溶解物のない均質な溶融ガラスを得、この溶融ガラスを金型に入れて鋳造し、焼きなましする。当業者であれば、実際の必要に応じて、原料、製法およびプロセスパラメータを適宜選択することができる。
【0100】
<ガラスプリフォーム及び光学素子>
研磨加工や熱プレス成形、精密プレス成形などのプレス成形手段を用いて、作製された光学ガラスからガラスプリフォームを作製することができる。すなわち、研削や研磨などの機械加工により光学ガラスから光学プリフォームを作製するか、光学ガラスからプレス成形用のブランクを作製し、このブランクを熱プレス成形した後、研磨して光学プリフォームを作製し、又は研磨して作製したブランクを精密プレス成形して光学プリフォームを作製することができる。
【0101】
なお、光学プリフォームの製造手段は上記手段に限定されないことを説明されたい。上記のように、本発明の光学ガラスは、各種光学素子及び光学設計に有用であり、特に本発明の光学ガラスからブランクを形成し、このブランクを用いて熱プレス成形、精密プレス成形等を行い、レンズ、プリズム等の光学素子を作製することが好ましい。
【0102】
本発明の光学プリフォーム及び光学素子は、いずれも上記本発明の光学ガラスから形成されている。本発明の光学プリフォームは、光学ガラスが備えている優れた特性を有し、本発明の光学素子は、光学ガラスが備えている優れた特性を有し、光学的価値の高いさまざまなレンズ、プリズム等の光学素子を提供することができる。
【0103】
レンズの例としては、レンズ表面が球面または非球面の凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどのさまざまなレンズが挙げられる。
【0104】
<光学機器>
本発明の光学ガラスにより形成される光学素子は、写真装置、撮像装置、表示装置及び監視装置等の光学機器を作製することができる。
【0105】
[実施例]
<光学ガラス実施例>
本発明の技術的解決策をさらに明確に説明するために、以下の非限定的な実施例を提供する。
【0106】
本実施例は、上記光学ガラスの製造方法を用いて、表2~表4に示す成分を有する光学ガラスを得る。また、各ガラスの特性を本発明に記載の試験方法により測定し、その結果を表2~表4に表した。
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
<ガラスプリフォーム実施例>
光学ガラス実施例の表2~表4で得られたガラスを、研磨加工手段、又は熱プレス成形、精密プレス成形などのプレス成形手段で凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなど、様々なレンズ、プリズムなどのプリフォームを製造する。
【0114】
<光学素子実施例>
上記ガラスプリフォームの実施例で得られたこれらのプリフォームをアニールし、屈折率などの光学特性が所望の値に達するようにガラス内部の応力を低下させながら屈折率を微調整する。
【0115】
次に、各プリフォームを研削し、研磨し、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどのさまざまなレンズ、プリズムを作製する。得られた光学素子の表面には反射防止膜を塗布することもできる。
【0116】
<光学機器実施例>
上記光学素子の実施例で製造された光学素子は、光学設計により、1つまたは複数の光学素子を用いて光学部品または光学コンポーネントを形成することにより、撮像装置、センサ、顕微鏡、医薬技術、デジタル投影、通信、光学通信技術/情報伝送、自動車分野における光学/照明、フォトリソグラフィ技術、エキシマレーザ、ウエハ、コンピュータチップ及びこのような回路及びチップを含む集積回路及び電子デバイスに用いることができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モル%で成分を表し、以下の陽イオンを含む、光学ガラス:P
5+:26~45%;Al
3+:5~25%;R
2+:28~60%
F
-及びO
2-の陰イオンを含み、F
-+O
2-は98%以上であり、(P
5++Al
3+)/F
-は0.9~4.0であり、前記R
2+はBa
2+、Sr
2+、Ca
2+及びMg
2+の合計含有量である。
【請求項2】
モル%で成分を表し、以下の陽イオンをさらに含む、請求項1に記載の光学ガラス:La
3++Gd
3++Y
3+:0~20%、及び/又はNb
5++W
6++Ti
4+:0~15%、及び/又はRn
+:0~10%、及び/又はYb
3+:0~10%、及び/又はZn
2+:0~10%、及び/又はB
3+:0~10%、及び/又はSi
4+:0~5%、及び/又はTa
5+:0~10%、及び/又はSb
3+:0~1%、及び/又はSn
4+:0~1%、及び/又はCe
4+:0~1%であり、前記Rn
+はLi
+、Na
+、K
+のうちの一種又は複数種である。
【請求項3】
モル%で成分を表し、以下の陽イオンを含む、光学ガラス:P
5+:26~45%;La
3++Gd
3++Y
3+:0~20%;Al
3+:5~25%;R
2+:28~60%;Nb
5++W
6++Ti
4+:0~15%;Rn
+:0~10%;Yb
3+:0~10%;Zn
2+:0~10%;B
3+:0~10%;Si
4+:0~5%;Ta
5+:0~10%;Sb
3+:0~1%;Sn
4+:0~1%;Ce
4+:0~1%;
F
-及びO
2-の陰イオンを含み、F
-+O
2-は98%以上であり、前記R
2+はBa
2+、Sr
2+、Ca
2+及びMg
2+の合計含有量であり、Rn
+はLi
+、Na
+、K
+のうちの一種又は複数種である。
【請求項4】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:(P
5++Al
3+)/F
-が0.9~4.0
、及び/又はF
-
/O
2-
が0.18~0.6、及び/又はF
-
/Ba
2+
が0.35~1.2である。
【請求項5】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:(P
5+
+Al
3+
)/F
-
が1.0~3.5、及び/又はF
-
/O
2-
が0.2~0.5、及び/又はF
-
/Ba
2+
が0.5~1.1である。
【請求項6】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:(P
5+
+Al
3+
)/F
-
が1.2~3.0、及び/又はF
-
/O
2-
が0.25~0.45、及び/又はF
-
/Ba
2+
が0.6~1.0である。
【請求項7】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:(P
5+
+Al
3+
)/F
-
が1.5~2.5、及び/又はF
-
/O
2-
が0.28~0.4、及び/又はF
-
/Ba
2+
が0.65~0.9である。
【請求項8】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:(Nb
5++W
6++Ti
4+)/(La
3++Gd
3++Y
3+)が0.1~10.0
、及び/又はY
3+
/(La
3+
+Gd
3+
+Y
3+
)は0.3~1.0、及び/又はMg
2+
/Ba
2+
が0.01~0.3、及び/又はSr
2+
/Y
3+
が0.3~10.0、及び/又は(Ca
2+
+Zn
2+
)/(Nb
5+
+W
6+
+Ti
4+
)が2.0以下、及び/又は(Rn
+
+Ca
2+
)/Mg
2+
が2.0以下である。
【請求項9】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:(Nb
5+
+W
6+
+Ti
4+
)/(La
3+
+Gd
3+
+Y
3+
)が0.2~6.0、及び/又はY
3+
/(La
3+
+Gd
3+
+Y
3+
)は0.5~1.0、及び/又はMg
2+
/Ba
2+
が0.02~0.25、及び/又はSr
2+
/Y
3+
が0.5~5.0、及び/又は(Ca
2+
+Zn
2+
)/(Nb
5+
+W
6+
+Ti
4+
)が1.0以下、及び/又は(Rn
+
+Ca
2+
)/Mg
2+
が1.0以下である。
【請求項10】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:(Nb
5+
+W
6+
+Ti
4+
)/(La
3+
+Gd
3+
+Y
3+
)が0.5~4.0、及び/又はY
3+
/(La
3+
+Gd
3+
+Y
3+
)は0.6~1.0、及び/又はMg
2+
/Ba
2+
が0.03~0.2、及び/又はSr
2+
/Y
3+
が0.8~3.0、及び/又は(Ca
2+
+Zn
2+
)/(Nb
5+
+W
6+
+Ti
4+
)が0.8以下、及び/又は(Rn
+
+Ca
2+
)/Mg
2+
が0.8以下である。
【請求項11】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:(Nb
5+
+W
6+
+Ti
4+
)/(La
3+
+Gd
3+
+Y
3+
)が0.7~2.0、及び/又はY
3+
/(La
3+
+Gd
3+
+Y
3+
)は0.65~1.0、及び/又はMg
2+
/Ba
2+
が0.05~0.15、及び/又はSr
2+
/Y
3+
が1.0~2.0、及び/又は(Ca
2+
+Zn
2+
)/(Nb
5+
+W
6+
+Ti
4+
)が0.5以下、及び/又は(Rn
+
+Ca
2+
)/Mg
2+
が0.5以下である。
【請求項12】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:P
5+:30~40%
、及び/又はLa
3+
+Gd
3+
+Y
3+
:0.1~15%、及び/又はNb
5+
+W
6+
+Ti
4+
:0.5~10%、及び/又はR
2+
:35~55%、及び/又はAl
3+
:8~20%、及び/又はRn
+
:0~5%、及び/又はYb
3+
:0~5%、及び/又はZn
2+
:0~5%、及び/又はB
3+
:0~5%、及び/又はSi
4+
:0~2%、及び/又はTa
5+
:0~5%、及び/又はSb
3+
:0~0.5%、及び/又はSn
4+
:0~0.5%、及び/又はCe
4+
:0~0.5%である。
【請求項13】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス: P
5+
:33~38%、及び/又はLa
3+
+Gd
3+
+Y
3+
:0.5~12%、及び/又はNb
5+
+W
6+
+Ti
4+
:1~8%、及び/又はR
2+
:38~50%、及び/又はAl
3+
:10~18% 、及び/又はRn
+
:0~2%、及び/又はYb
3+
:0~2%、及び/又はZn
2+
:0~2%、及び/又はB
3+
:0~2%、及び/又はSi
4+
:0~1%、及び/又はTa
5+
:0~2%、及び/又はSb
3+
:0~0.1%、及び/又はSn
4+
:0~0.1%、及び/又はCe
4+
:0~0.1%である。
【請求項14】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス: La
3+
+Gd
3+
+Y
3+
:1~10%、及び/又はRn
+
を含まず、及び/又はYb
3+
を含まず、及び/又はZn
2+
を含まず、及び/又はB
3+
を含まず、及び/又はSi
4+
を含まず、及び/又はTa
5+
を含まず、及び/又はSn
4+
を含まず、及び/又はCe
4+
を含まない。
【請求項15】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:Ba
2+
:28~45%、及び/又はSr
2+
:0~10%、及び/又はMg
2+
:0~10%、及び/又はCa
2+
:0~10%、及び/又はLa
3+
:0~10%、及び/又はGd
3+
:0~10%、及び/又はY
3+
:0~10%、及び/又はNb
5+
:0~10%、及び/又はW
6+
:0~10%、及び/又はTi
4+
:0~10% 、及び/又はF
-
:15~45%、及び/又はO
2-
:55~85%である。
【請求項16】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:Ba
2+
:30~40%、及び/又はSr
2+
:1~8%、及び/又はMg
2+
:1~7%、及び/又はCa
2+
:0~6%、及び/又はLa
3+
:0~5%、及び/又はGd
3+
:0~5%、及び/又はY
3+
:0.5~8%、及び/又はNb
5+
:0~6%、及び/又はW
6+
:0~6%、及び/又はTi
4+
:0~5%、及び/又はF
-
:18~38%、及び/又はO
2-
:62~82%である。
【請求項17】
モル%で以下の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス:Ba
2+
:33~38%、及び/又はSr
2+
:2~7%、及び/又はMg
2+
:2~6%、及び/又はCa
2+
:0~5%、及び/又はLa
3+
:0~3%、及び/又はGd
3+
:0~3%、及び/又はY
3+
:1~7%、及び/又はNb
5+
:0~4%、及び/又はW
6+
:0~5%、及び/又はTi
4+
:0~2%、及び/又はF
-
:21~35%、及び/又はO
2-
:65~79%である。
【請求項18】
モル%で成分を表し、陰イオンはさらに以下を含む:Cl
-:0~1%、及び/又はBr
-:0~
1%、及び/又はI
-:0~
1%
、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項19】
前記光学ガラスの屈折率n
dは1.57~1.66
、アッベ数ν
dは56~65である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項20】
前記光学ガラスの屈折率n
d
は1.60~1.63、アッベ数ν
d
は59~62である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項21】
前記光学ガラスのΔP
C,s値は0以下
、及び/又はΔP
C,t値は-0.01以下
、及び/又は耐水安定性D
W
は3類以上、及び/又は耐酸安定性D
A
は3類以上、及び/又は耐候性CRは2類以上、及び/又は転移温度T
g
は620℃以下、及び/又は密度ρは4.60g/cm
3
以下、及び/又はλ
80
は380nm以下、及び/又はλ
5
は330nm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項22】
前記光学ガラスのΔP
C,s
値は-0.02以下、及び/又はΔP
C,t
値は-0.05以下、及び/又は耐水安定性D
W
は2類以上、及び/又は耐酸安定性D
A
は2類以上、及び/又は耐候性CRは1類、及び/又は転移温度T
g
は600℃以下、及び/又は密度ρは4.40g/cm
3
以下、及び/又はλ
80
は370nm以下、及び/又はλ
5
は320nm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項23】
請求項1~
22のいずれ一項に記載の光学ガラスで製造される、ガラスプリフォーム。
【請求項24】
請求項1~
22のいずれ一項に記載の光学ガラス、又は請求項23に記載のガラスプリフォームで製造される、光学素子。
【請求項25】
請求項1~22のいずれ一項に記載の光学ガラス、及び/又は請求項24に記載の光学素子を含む、光学機器。
【国際調査報告】