(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】ヘッドマウントディスプレイシステムのための作動される瞳ステアリング
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240117BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20240117BHJP
G02B 5/32 20060101ALI20240117BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240117BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/18
G02B5/32
G02B5/30
H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541747
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 US2021065719
(87)【国際公開番号】W WO2022150222
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジグレ, ダヴィッド トマ
(72)【発明者】
【氏名】トレンブレー, エリック ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ザゴラ, ヴォルカー
(72)【発明者】
【氏名】パパドプロス, イオアニス
(72)【発明者】
【氏名】ユフェ, ニコラ リオネル
(72)【発明者】
【氏名】デ ゴル, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ロメロ, カルロス アルベルト マシアス
【テーマコード(参考)】
2H149
2H199
2H249
【Fターム(参考)】
2H149AA17
2H149BA02
2H149DA04
2H149DA12
2H149FC07
2H149FC09
2H149FC10
2H199CA04
2H199CA12
2H199CA29
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2H199CA69
2H199CA92
2H199CA96
2H249AA07
2H249AA08
2H249AA13
2H249AA14
2H249AA50
2H249AA60
2H249AA64
2H249CA01
2H249CA08
2H249CA09
2H249CA15
2H249CA17
2H249CA22
(57)【要約】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、作動される反射瞳ステアリングを備えるヘッドマウント仮想網膜ディスプレイ(VRD)システムを対象とする。ディスプレイシステムは、画像コンテンツを生成するための投影システムと、投影システムからの光をユーザの眼内に反射する光学コンバイナの一部であり得る、作動される反射光学アーキテクチャと、を含む。ディスプレイシステムは、ユーザの眼の位置を追跡するように、かつ反射光学アーキテクチャを作動させて、反射光がユーザの眼内に導かれるように反射光の方向を変化させるように構成されている。本明細書に記載のVRDは、高効率であり得、これらのVRDが一日中、日常使用が可能であるように、改善されたサイズ、重量、及び輝度を有し得る。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドマウントディスプレイシステムであって、フレームと、
前記フレームによって支持された画像光プロジェクタと、
前記フレームによって支持され、かつ前記画像光プロジェクタの前方に配設された回折反射器であって、前記回折反射器が、前記画像光プロジェクタによって投影された画像光を受け取るように、かつユーザ上での前記ディスプレイシステムの保持時に、前記画像光を前記ユーザの眼内に反射するように構成されており、前記回折反射器が、
複数の回折層を備える、回折反射器と、
前記フレームによって支持され、かつ前記回折層の相対配向を変化させるように構成されたアクチュエータであって、前記回折層の異なる相対配向が、異なる関連付けられた眼の位置に光を反射するように構成されている、アクチュエータと、を備える、ヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項2】
前記アクチュエータが、前記回折層の相対物理位置を変化させるように構成された機械式アクチュエータである、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項3】
前記アクチュエータが、前記回折層のうちの1つ以上を回転させるように構成されている、請求項2に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項4】
前記回折反射器が、回折層のリズレープリズム式のスタックを備える、請求項3に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項5】
前記アクチュエータが、前記回折層のうちの1つ以上を横方向にシフトさせるように構成されている、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項6】
前記回折層が、体積位相ホログラムを含む、請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項7】
前記回折層が、反射幾何学的位相レンズを含む、請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項8】
前記ユーザの前記眼の瞳孔の位置を判定するための眼追跡システムを更に備え、前記アクチュエータが、前記瞳孔の前記判定された位置に基づいて、異なる瞳孔場所に対応する異なる配向を引き起こすように構成されている、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項9】
前記画像光プロジェクタが、前記回折反射器に対する固定された配向を有する、請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項10】
拡張現実ディスプレイデバイスであって、
画像光プロジェクタ、
前記画像光プロジェクタからの投影光を受け取るように構成された反射回折コンバイナ、を備え、前記回折コンバイナが、世界光を前記画像光プロジェクタからの前記投影光と組み合わせるように、かつ前記投影光を可変の選択可能なステアリングされた射出瞳場所で画像を形成するように方向付けるように構成されており、前記回折コンバイナが、
前記投影光を回折して、前記ステアリングされた射出瞳場所で前記画像を形成するように構成された切替可能なビームステアリングユニットを備え、前記ビームステアリングユニットが、
前記投影光を受け取るように構成された2つ以上の回折格子と、
作動機構と、を備え、
前記2つ以上の回折格子のうちの少なくとも1つが、前記作動機構に結合されており、
前記作動機構が、前記2つ以上の回折格子のうちの少なくとも1つの配向の変化を生じさせるように構成されており、異なる配向が、入射投影光に対して異なる関連付けられた回折角を有し、前記異なる関連付けられた回折角が、異なるステアリングされた射出瞳場所に対応する、拡張現実ディスプレイデバイス。
【請求項11】
前記画像光プロジェクタが、
1つ以上の微小電気機械システム走査ミラーと、レーザ光源と、を備える、請求項10に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項12】
前記画像光プロジェクタが、可変焦点レンズを備える、請求項10に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項13】
前記ディスプレイシステムのユーザの眼の瞳孔の位置を追跡するための眼追跡アセンブリを更に備える、請求項10に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項14】
前記眼追跡アセンブリが、軸外カメラを含む、請求項13に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項15】
前記2つ以上の回折格子が、リズレープリズム式のステアリング機構を形成し、前記回折コンバイナが、
前記2つ以上の回折格子の後方のコリメーティングホログラフィック光学素子と、
前記2つ以上の回折格子の前方のホログラフィック光学素子集束レンズと、を更に備える、請求項10に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項16】
前記2つ以上の回折格子のうちの第1の回折格子と、前記2つ以上の回折格子のうちの第2の回折格子と、が、前記作動機構に結合されており、
前記第1の回折格子の作動が、第1の格子配向から第2の格子配向への前記第1の回折格子の回転を生じさせ、
前記第2の回折格子の作動が、第3の格子配向から第4の格子配向への前記第2の回折格子の回転を生じさせ、
前記第1の回折格子の回転が、前記第1の回折格子からの前記投影光の前記回折角を変化させ、前記第2の回折格子の前記回転が、前記第2の回折格子からの前記投影光の前記回折角を変化させる、請求項15に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項17】
前記2つ以上の回折格子が、透過格子を含み、前記投影光が、前記ビームステアリングユニットの前記2つ以上の回折格子を通ってシングルパスにのみ回折される、請求項15に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項18】
前記2つ以上の回折格子が、透過体積位相ホログラフィック格子及び反射体積位相ホログラフィック格子を含み、
前記透過体積位相ホログラフィック格子が、光コリメータであり、
前記反射体積位相ホログラフィック格子が、前記投影光を前記ステアリングされた射出瞳に集束させるように構成されている、請求項10に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項19】
前記反射体積位相ホログラフィック格子が、前記作動機構に機械的に結合されている、請求項18に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項20】
前記作動機構が、前記透過体積位相ホログラフィック格子に対して前記反射体積位相ホログラフィック格子を横方向に並進させるように構成されており、前記少なくとも1つの反射体積位相ホログラフィック格子の横方向の並進が、前記少なくとも1つの反射体積位相ホログラフィック格子からの反射時に前記投影光の前記回折角を変化させる、請求項19に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項21】
前記ステアリングされた射出瞳の移動距離と、前記少なくとも1つの反射体積位相ホログラフィック格子の前記横方向の並進の距離と、の比が、1:1である、請求項20に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項22】
前記2つ以上の回折格子が、少なくとも2つの二次位相回折格子を含む、請求項10に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項23】
前記少なくとも2つの二次位相回折格子が、
透過体積位相ホログラフィック格子と、反射体積位相ホログラフィック格子と、を含む、請求項22に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項24】
前記反射体積位相ホログラフィック格子が、前記作動機構に結合されている、請求項23に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項25】
前記作動機構が、前記透過体積位相ホログラフィック格子に対して前記反射体積位相ホログラフィック格子を横方向に並進させるように構成されており、前記横方向の並進が、前記二次位相回折格子に線形格子関数を生成させ、前記線形格子関数が、前記少なくとも1つの反射体積位相ホログラフィック格子からの反射時に、前記投影光の前記回折角を変化させる、請求項24に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項26】
前記ステアリングされた射出瞳の移動距離と、前記少なくとも1つの反射体積位相ホログラフィック格子の横方向の並進の距離と、の比が、1:1よりも大きい、請求項25に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項27】
前記透過体積位相ホログラフィック格子が、所定の焦点距離において、投影光を発散させる、請求項23に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項28】
前記作動機構が、前記反射体積位相ホログラフィック格子を、前記少なくとも1つの透過体積位相ホログラフィック格子に向けて、又は前記少なくとも1つの透過体積位相ホログラフィック格子から遠ざかるようにチルトさせるように構成されており、
異なるチルトが、前記反射体積位相ホログラフィック格子からの反射時の前記投影光の異なる回折角に対応する、請求項24に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項29】
前記ビームステアリングユニットが、
偏光スイッチと、
前記偏光スイッチの前方の四分の一波長板と、前記四分の一波長板の前方の反射器と、を更に備える、請求項10に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項30】
前記ビームステアリングユニットが、
前記偏光スイッチの後方の第1の偏光レンズと、
前記第1の偏光レンズの後方の体積位相ホログラフィック格子と、を更に備える、請求項29に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項31】
前記2つ以上の回折格子が、
前記偏光スイッチの前方の第2の偏光レンズと、前記第2の偏光レンズの前方の第3の偏光レンズと、を備える、請求項30に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項32】
前記ビームステアリングユニットによる前記世界光の転向を相殺するように構成された世界補償器を更に備える、請求項10に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項33】
前記世界補償器が、前記ビームステアリングユニットと実質的に同一の光学部品を備え、前記世界補償器は、前記ビームステアリングユニットの光学効果が前記世界補償器によって打ち消されるように、前記ビームステアリングユニットに対して反対に駆動される、請求項32に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項34】
前記回折格子が、液晶偏光格子を含み、前記回折コンバイナが、
右旋円偏光を集束させるように構成された第1のホログラフィック光学素子と、
左旋円偏光をコリメートするように構成された第2のホログラフィック光学素子と、を更に備え、
前記第2のホログラフィック光学素子が、前記ビームステアリングユニットの後方にあり、前記第1のホログラフィック光学素子が、前記第2のホログラフィック光学素子の後方にある、請求項10に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項35】
前記ビームステアリングユニットが、前記回折格子の前方の四分の一波長板を更に備える、請求項34に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項36】
前記作動機構が、前記1つ以上の液晶偏光格子のうちの少なくとも1つに電圧を選択的に印加するための電気スイッチを備える、請求項34に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項37】
前記印加された電圧が、前記少なくとも1つの液晶偏光格子の格子構造を変化させ、前記格子構造の前記変化が、前記少なくとも1つの液晶偏光格子の透過時に、前記投影光の前記回折角を変化させる、請求項36に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項38】
前記液晶偏光格子が、ブラッグ選択性の液晶偏光格子を含む、請求項34に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項39】
前記ステアリングされた射出瞳のアドレス指定可能なステアリング位置の数が、2
nに等しく、式中、nは、前記ビームステアリングユニット内の回折格子の数である、請求項10に記載の拡張現実ディスプレイシステム。
【請求項40】
ヘッドマウントディスプレイシステムであって、
フレームと、
前記フレームによって支持された画像光プロジェクタと、
前記フレームによって支持され、かつ前記画像光プロジェクタの前方に配設された回折反射器であって、前記回折反射器が、前記画像光プロジェクタによって投影された画像光を受け取るように、かつユーザ上での前記ディスプレイシステムの保持時に、前記画像光を前記ユーザの眼内に反射するように構成されており、前記回折反射器が、
液晶偏光格子を備える複数の回折層を備え、
偏光スイッチが、前記回折層を通って伝播する光の偏光を変化させるように構成されており、前記スイッチの異なる状態が、異なる関連付けられた眼の位置に光を反射するように構成されている、回折反射器と、
を備えるヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項41】
ダイクロイックミラーを更に備え、前記回折層が、前記ダイクロイックミラーによって分離された液晶偏光格子の第1のスタック及び第2のスタックを備える、請求項40に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項42】
ダイクロイックミラーと、
偏光子と、を更に備え、
前記ダイクロイックミラー、偏光子、及び液晶偏光格子が、スタックを形成し、前記偏光子が、前記ダイクロイックミラーの前方にあり、前記ダイクロイックミラーが、前記液晶偏光格子の前方にある、請求項40に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項43】
前記ユーザの前記眼の瞳孔の位置を判定するための眼追跡システムを更に備え、前記アクチュエータが、前記瞳孔の前記判定された位置に基づいて、異なる瞳孔場所に対応する異なる配向を引き起こすように構成されている、請求項40に記載のヘッドマウントディスプレイシステム。
【請求項44】
ヘッドマウントディスプレイからユーザに対して仮想コンテンツを表示するための方法であって、
前記ユーザの眼の瞳孔の位置を追跡することと、
画像光プロジェクタから複数の回折層を備える回折反射器に画像光を投影することと、
前記瞳孔の位置を追跡するために、前記回折反射器からの前記画像光の反射角を変化させることと、を含む、方法。
【請求項45】
前記角度を変化させることが、前記回折層の相対配向を変化させることを含み、異なる相対配向が異なる瞳孔位置に対応し、前記相対配向を変化させることが、前記光を前記瞳孔の追跡された位置に方向付ける、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記相対配向を変化させることが、前記回折層のうちの1つ以上を前記回折層のうちの1つ以上の他のものに対して回転させることを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記相対配向を変化させることが、前記回折層のうちの1つ以上を前記回折層のうちの1つ以上の他のものに対して横方向にシフトさせることを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記回折層が、液晶偏光格子及び偏光スイッチを備え、前記反射角を変化させることが、前記偏光スイッチを通って伝播する光の偏光を変化させることを含む、請求項44に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ディスプレイシステムに関し、より具体的には、拡張現実ディスプレイシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の演算及び表示技術により、いわゆる「仮想現実」又は「拡張現実」経験のためのシステムの開発が促進されており、デジタル的に再生された画像又はその部分が現実であるかのように、又は現実と知覚され得るように、ユーザに提示される。仮想現実、すなわち、「VR」シナリオは、通常、他の実際の現実世界の視覚入力に対する透明性を伴わない、デジタル又は仮想の画像情報の提示を伴い、拡張現実、すなわち、「AR」シナリオは、通常、ユーザ周辺の実際の世界の可視化に対する拡張としての、デジタル又は仮想の画像情報の提示を伴う。混合現実、すなわち、「MR」シナリオは、一種のARシナリオであり、通常、自然世界に一体化され、これに応答する仮想オブジェクトを伴う。例えば、MRシナリオにおいて、AR画像コンテンツは、現実世界におけるオブジェクトによって遮断され得るか、又はさもなければ、現実世界におけるオブジェクトと相互作用するものとして知覚され得る。
【0003】
図1を参照すると、AR技術のユーザが、背景中の人々、木々、建物、及びコンクリートプラットフォーム30を特徴とする現実世界の公園のような設定20を見る拡張現実シーン10が描かれている。これらの項目に加えて、AR技術のユーザはまた、彼が、現実世界のプラットフォーム30に立つロボット像40、マルハナバチの擬人化のように見える漫画様アバターキャラクタ50など、これらの要素40、50は現実世界には存在していなくても、「仮想コンテンツ」を「見ている」と知覚する。人間の視覚認識システムは複雑であるため、その他の仮想又は現実世界の画像要素の中でも、仮想画像要素の快適で、自然に感じられる、豊富な提示を促進するAR技術を生み出すことが課題である。
【0004】
本明細書に開示のシステム、デバイス、及び方法は、AR及びVR技術に関する様々な課題に対処するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの態様は、ヘッドマウントディスプレイシステムであって、フレームと、フレームによって支持された画像光プロジェクタと、フレームによって支持され、かつ画像光プロジェクタの前方に配設された回折反射器であって、回折反射器が、画像光プロジェクタによって投影された画像光を受け取るように、かつユーザ上でのディスプレイシステムの保持時に、画像光をユーザの眼内に反射するように構成されており、回折反射器が、複数の回折層を備える、回折反射器と、フレームによって支持され、かつ回折層の相対配向を変化させるように構成されたアクチュエータと、を備え、回折層の異なる相対配向が、異なる関連付けられた眼の位置に光を反射するように構成されている、ヘッドマウントディスプレイシステムを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、アクチュエータは、回折層の相対物理位置を変化させるように構成された機械式アクチュエータである。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、回折層のうちの1つ以上を回転させるように構成されている。いくつかの実施形態では、回折反射器は、回折層のリズレープリズム式のスタックを備える。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、回折層のうちの1つ以上を横方向にシフトさせるように構成されている。いくつかの実施形態では、回折層は、体積位相ホログラムを含む。いくつかの実施形態では、回折層は、反射幾何学的位相レンズを含む。いくつかの実施形態では、画像光プロジェクタは、回折反射器に対する固定された配向を有する。
【0007】
いくつかの実施形態では、ヘッドマウントディスプレイシステムは、ユーザの眼の瞳孔の位置を判定するための眼追跡システムを更に備え、アクチュエータが、瞳孔の判定された位置に基づいて、異なる瞳孔場所に対応する異なる配向を引き起こすように構成されている。
【0008】
いくつかの態様は、拡張現実ディスプレイデバイスであって、画像光プロジェクタ、画像光プロジェクタからの投影を受け取るように構成された反射回折コンバイナ、を備え、回折コンバイナが、世界光を画像光プロジェクタからの投影光と組み合わせるように、かつ投影光を可変の選択可能なステアリングされた射出瞳場所で画像を形成するように方向付けるように構成されており、回折コンバイナが、投影光を回折して、ステアリングされた射出瞳場所で画像を形成するように構成された切替可能なビームステアリングユニットを備え、ビームステアリングユニットが、投影光を受け取るように構成された2つ以上の回折格子と、作動機構と、を備え、2つ以上の回折格子のうちの少なくとも1つが、作動機構に結合されており、作動機構が、2つ以上の回折格子のうちの少なくとも1つの配向の変化を生じさせるように構成されており、異なる配向が、入射投影光に対して異なる関連付けられた回折角を有し、異なる関連付けられた回折角が、異なるステアリングされた射出瞳場所に対応する。
【0009】
いくつかの実施形態では、画像光プロジェクタは、1つ以上の微小電気機械システム走査ミラーと、レーザ光源と、を備える。いくつかの実施形態では、画像光プロジェクタは、可変焦点レンズを備える。いくつかの実施形態では、拡張現実ディスプレイシステムは、ディスプレイシステムのユーザの眼の瞳孔の位置を追跡するための眼追跡アセンブリを更に備える。いくつかの実施形態では、眼追跡アセンブリは、軸外カメラを含む。いくつかの実施形態では、2つ以上の回折格子は、リズレープリズム式のステアリング機構を形成し、回折コンバイナは、2つ以上の回折格子の後方のコリメーティングホログラフィック光学素子と、2つ以上の回折格子の前方のホログラフィック光学素子集束レンズと、を更に備える。
【0010】
いくつかの実施形態では、2つ以上の回折格子のうちの第1の回折格子と、2つ以上の回折格子のうちの第2の回折格子と、が、作動機構に結合されており、第1の回折格子の作動が、第1の格子配向から第2の格子配向への第1の回折格子の回転を生じさせ、第2の回折格子の作動が、第3の格子配向から第4の格子配向への第2の回折格子の回転を生じさせ、第1の回折格子の回転が、第1の回折格子からの投影光の回折角を変化させ、第2の回折格子の回転が、第2の回折格子からの投影光の回折角を変化させる。いくつかの実施形態では、2つ以上の回折格子が、透過格子を含み、投影光が、ビームステアリングユニットの2つ以上の回折格子を通ってシングルパスにのみ回折される。
【0011】
いくつかの実施形態では、2つ以上の回折格子が、透過体積位相ホログラフィック格子及び反射体積位相ホログラフィック格子を含み、透過体積位相ホログラフィック格子が、光コリメータであり、反射体積位相ホログラフィック格子が、投影光をステアリングされた射出瞳に集束させるように構成されている。いくつかの実施形態では、反射体積位相ホログラフィック格子が、作動機構に機械的に結合されている。いくつかの実施形態では、作動機構が、透過体積位相ホログラフィック格子に対して反射体積位相ホログラフィック格子を横方向に並進させるように構成されており、少なくとも1つの反射体積位相ホログラフィック格子の横方向の並進が、少なくとも1つの反射体積位相ホログラフィック格子からの反射時に投影光の回折角を変化させる。いくつかの実施形態では、ステアリングされた射出瞳の移動距離と、少なくとも1つの反射体積位相ホログラフィック格子の横方向の並進の距離と、の比は、1:1である。
【0012】
いくつかの実施形態では、2つ以上の回折格子は、少なくとも2つの二次位相回折格子を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの二次位相回折格子は、透過体積位相ホログラフィック格子と、反射体積位相ホログラフィック格子と、を含む。いくつかの実施形態では、反射体積位相ホログラフィック格子は、作動機構に結合されている。いくつかの実施形態では、作動機構が、透過体積位相ホログラフィック格子に対して反射体積位相ホログラフィック格子を横方向に並進させるように構成されており、横方向の並進が、二次位相回折格子に線形格子関数を生成させ、線形格子関数が、少なくとも1つの反射体積位相ホログラフィック格子からの反射時に、投影光の回折角を変化させる。いくつかの実施形態では、ステアリングされた射出瞳の移動距離と、少なくとも1つの反射体積位相ホログラフィック格子の横方向の並進の距離と、の比は、1:1よりも大きい。いくつかの実施形態では、透過体積位相ホログラフィック格子は、所定の焦点距離において、投影光を発散させる。いくつかの実施形態では、作動機構は、反射体積位相ホログラフィック格子を、少なくとも1つの透過体積位相ホログラフィック格子に向けて、又は少なくとも1つの透過体積位相ホログラフィック格子から遠ざかるようにチルトさせるように構成されており、異なるチルトは、反射体積位相ホログラフィック格子からの反射時の投影光の異なる回折角に対応する。
【0013】
いくつかの実施形態では、ビームステアリングユニットは、偏光スイッチと、偏光スイッチの前方の四分の一波長板と、四分の一波長板の前方の反射器と、を更に備える。いくつかの実施形態では、ビームステアリングユニットは、偏光スイッチの後方の第1の偏光レンズと、第1の偏光レンズの後方の体積位相ホログラフィック格子と、を更に備える。いくつかの実施形態では、2つ以上の回折格子は、偏光スイッチの前方の第2の偏光レンズと、第2の偏光レンズの前方の第3の偏光レンズと、を備える。
【0014】
いくつかの実施形態では、拡張現実ディスプレイシステムは、ビームステアリングユニットによる世界光の転向を相殺するように構成された世界補償器を更に備える。いくつかの実施形態では、世界補償器は、ビームステアリングユニットと実質的に同一の光学部品を備え、世界補償器は、ビームステアリングユニットの光学効果が世界補償器によって打ち消されるように、ビームステアリングユニットに対して反対に駆動される。いくつかの実施形態では、回折格子は、液晶偏光格子を含み、回折コンバイナは、右旋円偏光を集束させるように構成された第1のホログラフィック光学素子と、左旋円偏光をコリメートするように構成された第2のホログラフィック光学素子と、を更に備え、第2のホログラフィック光学素子は、ビームステアリングユニットの後方にあり、第1のホログラフィック光学素子は、第2のホログラフィック光学素子の後方にある。いくつかの実施形態では、ビームステアリングユニットは、回折格子の前方の四分の一波長板を更に備える。いくつかの実施形態では、作動機構は、1つ以上の液晶偏光格子のうちの少なくとも1つに電圧を選択的に印加するための電気スイッチを備える。いくつかの実施形態では、印加された電圧は、少なくとも1つの液晶偏光格子の格子構造を変化させ、格子構造の変化は、少なくとも1つの液晶偏光格子の透過時に、投影光の回折角を変化させる。いくつかの実施形態では、液晶偏光格子は、ブラッグ選択性の液晶偏光格子を含む。いくつかの実施形態では、ステアリングされた射出瞳のアドレス指定可能なステアリング位置の数は、2nに等しく、式中、nは、ビームステアリングユニット内の回折格子の数である。
【0015】
いくつかの態様は、ヘッドマウントディスプレイシステムであって、フレームと、フレームによって支持された画像光プロジェクタと、フレームによって支持され、かつ画像光プロジェクタの前方に配設された回折反射器であって、回折反射器が、画像光プロジェクタによって投影された画像光を受け取るように、かつユーザ上でのディスプレイシステムの保持時に、画像光をユーザの眼内に反射するように構成されている、回折反射器と、を備え、回折反射器が、液晶偏光格子を備える複数の回折層を備え、偏光スイッチが、回折層を通って伝播する光の偏光を変化させるように構成されており、スイッチの異なる状態が、異なる関連付けられた眼の位置に光を反射するように構成されている、ヘッドマウントディスプレイシステムを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、ヘッドマウントディスプレイシステムは、ダイクロイックミラーを更に備え、回折層は、ダイクロイックミラーによって分離された液晶偏光格子の第1のスタック及び第2のスタックを備える。
【0017】
いくつかの実施形態では、ヘッドマウントディスプレイシステムは、ダイクロイックミラー及び偏光子を更に備え、ダイクロイックミラー、偏光子、及び液晶偏光格子が、スタックを形成し、偏光子が、ダイクロイックミラーの前方にあり、ダイクロイックミラーが、液晶偏光格子の前方にある。いくつかの実施形態では、ヘッドマウントディスプレイシステムは、ユーザの眼の瞳孔の位置を判定するための眼追跡システムを更に備え、アクチュエータが、瞳孔の判定された位置に基づいて、異なる瞳孔場所に対応する異なる配向を引き起こすように構成されている。
【0018】
いくつかの態様は、ヘッドマウントディスプレイからユーザに対して仮想コンテンツを表示するための方法を含み、この方法は、ユーザの眼の瞳孔の位置を追跡することと、画像光プロジェクタから複数の回折層を備える回折反射器に画像光を投影することと、瞳孔の位置を追跡するために、回折反射器からの画像光の反射角を変化させることと、を含む。いくつかの実施形態では、角度を変化させることは、回折層の相対配向を変化させることを含み、異なる相対配向が異なる瞳孔位置に対応し、相対配向を変化させることは、光を瞳孔の追跡された位置に方向付ける。いくつかの実施形態では、相対配向を変化させることは、回折層のうちの1つ以上を回折層のうちの1つ以上の他のものに対して回転させることを含む。いくつかの実施形態では、相対配向を変化させることは、回折層のうちの1つ以上を回折層のうちの1つ以上の他のものに対して横方向にシフトさせることを含む。いくつかの実施形態では、回折層は、液晶偏光格子及び偏光スイッチを備え、反射角を変化させることは、偏光スイッチを通って伝播する光の偏光を変化させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
これらの図面は、例示的な実施形態を示すために提供されるものであり、本開示の範囲を限定することが意図されたものでない。
【0020】
【
図1】拡張現実(AR)デバイスを通じたARのユーザビューを示す。
【
図2】ウェアラブルディスプレイシステムの一例を示す。
【
図3】ユーザのため三次元画像をシミュレーションする従来のディスプレイシステムを示す。
【
図4】複数の深度平面を使用して三次元画像をシミュレーションするためのアプローチの態様を示す。
【
図6】画像光をユーザの眼内にステアリングすることによって仮想コンテンツを表示するための光学系アーキテクチャの一例を示す。
【
図7】画像光をユーザの眼内にステアリングするための電子的に作動されるアセンブリのための光学アーキテクチャの一例を示す。
【
図8A】
図7の光学アーキテクチャのためのホログラフィック光学素子の光学機能の例を示す。
【
図8B】
図7の光学アーキテクチャのためのホログラフィック光学素子の光学機能の例を示す。
【
図9】
図7の光学アーキテクチャのための電子的に作動されるビームステアリングユニット(BSU)の一例を示す。
【
図10】オフ状態及びオン状態における液晶偏光格子(LCPG)の例を示す。
【
図11】n=3個のLCPGを有するLCPG BSUを使用して達成され得る回折角θの例を示す。
【
図12】画像光をユーザの眼内にステアリングするための電子的に作動されるアセンブリのための光学アーキテクチャの別の例を示す。
【
図13】電子的に作動されるBSUの別の例を示す。
【
図14A】
図12の光学アーキテクチャのホログラフィック光学素子の光学機能の例を示す。
【
図14B】
図12の光学アーキテクチャのホログラフィック光学素子の光学機能の例を示す。
【
図15】n=3個のLCPGを有するブラッグ選択性のLCPG BSUを使用して達成され得る回折角θの例を示す。
【
図16】リズレープリズム式のBSUを有する光学アーキテクチャの例を示す。
【
図17】
図16のリズレープリズム式のBSUの構造の一例を示す。
【
図18】
図16のリズレープリズム式のBSUの構造の別の例を示す。
【
図19】シングルパスリズレープリズム式のBSUの光学機能性の一例を示す。
【
図20】ダブルパスリズレープリズム式のBSUの光学機能性の一例を示す。
【
図21】シフトプレートBSUを備える光学アーキテクチャの一例を示す。
【
図22】
図21のシフトプレートBSUを使用して達成され得る様々な例示的な瞳ステアリング位置を示す。
【
図23】
図21のシフトプレートBSUの体積位相ホログラフィック格子構造の例を示す。
【
図24】シフトプレートBSUを備える光学アーキテクチャの別の例を示す。
【
図25】
図24のシフトプレートコンバイナを使用して達成され得る瞳ステアリング位置の例を示す。
【
図26】
図24のシフトプレートBSUの体積位相ホログラフィック格子構造の例を示す。
【
図27A】チルト及びシフトシフトプレートBSUを使用して達成され得る瞳ステアリング位置の例を示す。
【
図27B】チルト及びシフトシフトプレートBSUを使用して達成され得る瞳ステアリング位置の例を示す。
【
図28】光学構造を通る光の伝播の例を示す、ダブルパスパワー型シフトプレートBSUの光学アーキテクチャの例を示す。
【
図29】
図29のダブルパスシフトプレートコンバイナのステアリングされた瞳位置の例を示す。
【
図30】ディスプレイデバイスのステアリングされた射出瞳の画像を生成するためのプロセスのフローチャートの一例を示す。
【
図31】ディスプレイデバイスにおいてステアリングされた射出瞳の画像を生成するためのプロセスの他の態様のフローチャートの一例を示す。
【
図32】ディスプレイデバイスにおいてステアリングされた射出瞳の画像を生成するための並列ワークフロープロセスの図の一例を示す。
【
図33】ステアリングされた射出瞳の画像を表示するためのプロセスのフローチャートの一例を示す。
【
図34】ステアリングされた射出瞳の画像を表示するための別のプロセスのフローチャートの一例を示す。
【
図36】二次元でBSUの層を移動させるための線形アクチュエータを有する機械的に作動されるBSUの一例を示す。
【
図37】二次元でBSUの層を移動させるための線形アクチュエータを有する機械的に作動されるBSUの別の例を示す。
【
図38】異なる深度平面上に画像コンテンツを提供するための上流の可変焦点レンズ構造の統合の一例の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書のいくつかの実施形態は、ユーザ又は観覧する者の眼内に画像光を能動的にステアリングすることによって仮想コンテンツを表示するためのヘッドマウントディスプレイシステムを対象とする。ディスプレイシステムは、画像情報(画像光と称され得る)で符号化された光を、構造の相対配向又は反射器における光スイッチの状態を変化させるアクチュエータを有する、反射器に出力する光プロジェクタを含む。これらの変化は、入射画像光の反射角を変化させて、それによって画像光を観覧する者の眼内にステアリングする。
【0022】
いくつかの実施形態では、反射器は、回折層のスタックを有する回折反射器であり得る。いくつかの実施形態では、これらの回折層は、ビームステアリングユニット(BSU)を形成し得、回折層の、及び/又は回折層における回折特徴の異なる相対配向は、入射光の異なる反射角を提供し得る。いくつかの実施形態では、反射器の作動は、回折層の相対物理位置を変化させる機械式アクチュエータを使用して達成され得る。例えば、機械式アクチュエータは、回折層のうちの1つ以上に物理的に結合され得る。回折層は、回折層のリズレープリズム式のスタックであり得、これらの層のうちの1つ以上は、所望の方向に画像光反射を提供するために回転され得る。いくつかの他の実施形態では、回折層は、所望の方向に画像光反射を提供するために横方向にシフトされ得る。
【0023】
回折層の作動はまた、反射器の液晶格子間の光スイッチを有する状態を変化させるための電流差及び/又は電圧差を提供する電気式アクチュエータ(例えば、1つ以上の電気スイッチ)を使用して達成されてもよい。例えば、光スイッチの変化は、液晶格子を介して光の伝播の方向を変化させ得る光の偏光を変化させ得る。
【0024】
ディスプレイシステムは、画像光がステアリングされるべき方向を判定するために、観覧する者の眼の瞳孔の位置を追跡する眼追跡システムを含み得る。次いで、回折構造を作動させて、観覧する者の眼内に画像光をステアリングするための所望の反射角を提供し得る。瞳ステアリングを備える本明細書に開示のディスプレイシステムは、仮想網膜ディスプレイ(VRD)システムと称され得る。本明細書に開示のディスプレイシステムは、周囲環境のビューを提供し、かつそのビュー上に仮想コンテンツをオーバーレイし得る拡張現実ディスプレイシステムであってもよく、又は周囲環境のビューを提供せずに仮想コンテンツを単に提供し得る仮想現実ディスプレイシステムであってもよいことは理解されよう。拡張現実ディスプレイシステムでは、回折反射器は、観覧する者に周囲環境と画像光によって提供される仮想コンテンツとの両方が見えるように、周囲環境からの光を画像光と組み合わせるための、光学コンバイナの一部であり得る。
【0025】
有利なことに、本明細書に開示のVRDシステムは、様々な利益を提供し得る。例えば、エネルギー効率が増加し得る。観覧する者の眼が動くにつれて観覧する者に画像光を提供するために、多くの従来のディスプレイは、観覧する者の眼のための様々な可能な位置を包含する広い領域にわたって出力画像光を表示することが理解されよう。このことは、観覧する者の眼が所与の位置にあると、画像光の一部のみがその眼に到達することから、望ましくないほど非効率的であり、他の可能な位置に向かう光は、それらが眼に受け入れられないという点で「無駄に」なる。特に観覧する者の眼内に画像光をステアリングすることによって、画像光は、広範囲にわたって提供される必要がなく、本明細書に記載のVRDは、従来の技術よりも10倍以上効率的であり得る。この改善された効率は、デバイスのサイズ及び重量の減少を提供するために活用され得、輝度を増加させ得、これにより、知覚された画像品質を改善し、ヘッドマウントディスプレイシステムを一日中、日常使用することを容易にし得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、VRDは、直接眼の網膜上に画像を描画し得る。例えば、ラスタ走査アプローチでは、網膜は、アレイ状に配置された多数の離散的な画素又はピクセルに分割され得る。ディスプレイの光ビームは、網膜を横切って掃引される(例えば、一度に一行ずつ、アレイの左右に、及び上から下に)。ビームが、画像を受信するためのプロジェクタ画面に類似化され得る網膜全体にわたって掃引される際に、ビーム強度を、各ピクセルの対応する強度値を保持する、例えば、フレームバッファ又はリフレッシュバッファに従ってパターンを作成するように変動させる。ビームが行又は走査線に沿って掃引される場合、ピクセルの各行の末端で、ビームは、水平帰線でアレイの反対側に戻って、次の走査線を表示し始める。同様に、ビームがフレーム全体を表示して、アレイの単一の走査を完了した後、ビームは、垂直帰線でアレイの上部に戻って、次のフレームを走査し始め得る。好ましくは、走査は、ユーザが、画素の全てを同時に存在するものと知覚して、それによって、画像全体をまるごと知覚するように、十分に高速である。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステムは、レーザを利用し得、走査されるビームは、レーザビームであり得、レーザビームは、有利なことに、眼において小さい射出瞳を作成し得る。いくつかの実施形態では、本明細書のディスプレイシステムのステアリングされる射出瞳は、作動される反射器によって導かれた画像光が眼に入射する場所であると理解され得、作動される反射器による異なる角度での画像光の反射が、画像光を異なる場所に方向付けることによって、異なるステアリングされる射出瞳を提供する。いくつかの実施形態では、射出瞳は、有利なことに、小さい(例えば、直径が2mm以下)場合がある。
【0027】
回折反射器を形成する回折層は様々な形態をとり得ることが理解されよう。いくつかの実施形態では、回折層は、ユーザの眼に射出瞳をステアリングするために相対配向を変化させる体積位相ホログラムを含み得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、本明細書におけるVRDは、これらのVRDの構造の機械的作動のための1つ以上の微小電気機械システム(MEMS)デバイスを備え得る。例えば、画像光プロジェクタは、回折反射器上に光を方向付けるためのMEMSミラーを含み得る。そのようなMEMSは、光が回折反射器から反射する角度の範囲を増加させて、ディスプレイシステムに利用可能である可能な射出瞳の場所の数を増加させるのに有用であり得る。
【0029】
ここで、図面を参照するが、全体を通して、同様の参照符号は、同様の特徴を指す。
【0030】
例示的なディスプレイシステム
図2は、ウェアラブルディスプレイシステム80の一例を示している。ディスプレイシステム80は、ディスプレイ62と、そのディスプレイ62の機能をサポートする様々な機械及び電子モジュール及びシステムと、を含む。ディスプレイ62は、フレーム64に結合されてもよく、フレーム64は、ディスプレイシステムのユーザ又は観覧する者60によって着用可能であり、かつ、ユーザ60の眼の前方にディスプレイ62を位置決めするように構成されている。ディスプレイ62は、いくつかの実施形態において、アイウェアと考えられ得る。いくつかの実施形態において、スピーカ66は、フレーム64に結合され、ユーザ60の外耳道に隣接して位置決めされている(図示されていないが、別のスピーカが、任意選択で、ステレオ/成形可能音声制御を提供するために、ユーザの他方の外耳道に隣接して位置決めされ得る)。ディスプレイシステムはまた、音を検出するための1つ以上のマイクロフォン67又は他のデバイスも含み得る。いくつかの実施形態において、マイクロフォンは、ユーザに、システム80に対する入力又はコマンド(例えば、ボイスメニューコマンド、自然言語質問など)を提供させるように構成され、かつ/又は、他の人との(例えば、同様のディスプレイシステムの他のユーザとの)音声通信を可能にしてもよい。
【0031】
引き続き
図2を参照すると、ディスプレイ62は、有線リード又は無線接続によるなど、通信リンク68によって、フレーム64に固定的に取り付けられる、ユーザが着用したヘルメット又は帽子に固定的に取り付けられる、ヘッドフォンに内蔵される、又はユーザ60に別様に取り外し可能に(例えば、バックパックスタイル構成、ベルト連結スタイル構成で)取り付けられるなど、多様な構成で装着され得るローカルデータ処理モジュール70に対して、動作可能に結合されている。ローカル処理及びデータモジュール70は、ハードウェアプロセッサと、非揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスクドライブ)などのデジタルメモリと、を備えてもよく、両方とも、データの処理、キャッシング、保存の支援を行うのに利用され得る。データには、a)画像撮影デバイス(カメラなど)、マイクロフォン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、ジャイロ、及び/又は、本明細書に開示の他のセンサなど、(例えば、フレーム64に対して動作可能に結合されるか、又はユーザ60に別様に取り付けられ得る)センサから捕捉されたデータ、及び/又は、b)場合によっては、そのような処理又は検索後のディスプレイ62への通過のための、(仮想コンテンツに関するデータを含む)遠隔処理モジュール72及び/又は遠隔データリポジトリ74を使用して取得及び/又は処理されたデータ、が含まれる。ローカル処理及びデータモジュール70は、有線又は無線通信リンクを介するなど、通信リンク76、78により、遠隔処理モジュール72及び遠隔データリポジトリ74に対して動作可能に結合され得ることにより、これらの遠隔モジュール72、74が互いに対して動作可能に結合され、ローカル処理及びデータモジュール70へのリソースとして利用可能となる。いくつかの実施形態において、ローカル処理及びデータモジュール70は、画像撮影デバイス、マイクロフォン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、及び/又はジャイロのうちの1つ以上を含んでもよい。いくつかの他の実施形態において、これらのセンサのうちの1つ以上は、フレーム64に取り付けられてもよく、又は有線若しくは無線の通信経路により、ローカル処理及びデータモジュール70と通信するスタンドアローン構造であってもよい。
【0032】
図2を引き続き参照すると、いくつかの実施形態において、遠隔処理モジュール72は、データ及び/又は画像情報を分析及び処理するように構成された1つ以上のプロセッサを備えてもよい。いくつかの実施形態において、遠隔データリポジトリ74は、デジタルデータ保存設備を備え、デジタルデータ保存設備は、「クラウド」リソース構成におけるインターネット又は他のネットワーキング構成を通じて利用可能であり得る。いくつかの実施形態において、遠隔データリポジトリ74は、1つ以上の遠隔サーバを含んでもよく、遠隔サーバは、例えば、拡張現実コンテンツを生成するための情報などの情報を、ローカル処理及びデータモジュール70及び/又は遠隔処理モジュール72に提供する。いくつかの実施形態において、全てのデータが保存され、全ての演算が、ローカル処理及びデータモジュールにおいて実施されることで、遠隔モジュールからの完全自律使用を可能にする。
【0033】
ここで
図3を参照すると、画像の「三次元」すなわち「3D」としての知覚は、観覧する者の各眼にわずかに異なる画像表現を提供することによって達成され得る。
図3は、ユーザに対して三次元画像をシミュレーションするための従来のディスプレイシステムを示している。各眼4、6に対する2つのはっきりと異なる画像5、7は、ユーザに出力される。画像5、7は、観覧する者の視線に平行な光学軸又はZ軸に沿った距離10で、眼4、6から離間している。画像5、7は、平坦であり、眼4、6は、単一調節状態をとることによって画像上に焦点を合わせ得る。そのようなシステムは、画像5、7を組み合わせて、組み合わせた画像の深度及び/又はスケールの知覚を提供するための人間の視覚系に依拠するものである。
【0034】
しかしながら、人間の視覚系は、より複雑であり、現実的な深度の知覚を提供することは、更に課題となることが理解されるであろう。例えば、従来の「3D」ディスプレイシステムを観覧する多くの者は、そのようなシステムが不快であると感じ、又は深度の感覚を全く知覚しないこともある。理論に限定されることなく、オブジェクトを観覧する者は、両眼共同及び調節の組み合わせのゆえに、そのオブジェクトを「三次元」であると知覚し得る。2つの眼の互いに対する両眼共同運動(すなわち、瞳孔が互いに近付くか、又は遠ざかるように移動することで、眼の視線を収束させて、オブジェクト上に固定するような眼の回転)は、眼の水晶体と瞳孔との焦点合わせ(すなわち「調節」)と密接に関連付けられている。通常の条件下において、眼の水晶体の焦点を変化させる、すなわち、眼の調節を行って、異なる距離にある1つのオブジェクトから別のオブジェクトへ焦点を変化させることにより、瞳孔拡張又は瞳孔収縮とともに、「調節両眼共同反射」として既知の関係の下、自動的に同一距離に両眼共同を合わせるように変化を生じる。同様に、両眼共同の変化は、通常の条件下において、水晶体の形状及び瞳孔のサイズの調節を合わせるように変化させるトリガとなる。本明細書に記載のとおり、多くの立体又は「3D」ディスプレイシステムでは、各眼に対するわずかに異なる提示(つまり、わずかに異なる画像)を使用してシーンを表示することで、人間の視覚系に三次元視点を知覚させるようにする。しかしながら、そのようなシステムはとりわけ、異なるシーンの提示を単に提供するのみで、眼では単一調節状態で全ての画像情報を観覧しており、「調節両眼共同反射」に対抗するため、多くのユーザにとっては不快なものとなる。調節と両眼共同との間のより良いマッチを提供するディスプレイシステムは、より現実的で快適な三次元画像のシミュレーションを形成し得る。
【0035】
図4は、複数の深度平面を使用した三次元画像をシミュレーションするためのアプローチの態様を示している。
図4を参照すると、z軸上の眼4、6から様々な距離にあるオブジェクトは、眼4、6によって調節されて、これらのオブジェクトに焦点が合わされている。眼(4及び6)は、z軸に沿った異なる距離でオブジェクトに焦点を合わせる特定の調節状態をとる。結果として、特定の調節状態は、深度平面14のうちの特定の1つと関連付けられ得、この特定の1つは、関連付けられた焦点距離を有し、眼がその深度平面に対して調節状態にあるとき、特定の深度平面内のオブジェクト又はオブジェクトの一部に焦点が合うようになる。いくつかの実施形態において、眼4、6の各々に対して異なる画像提示を行うことにより、また更に深度平面の各々に対応して異なる画像提示を提供することにより、三次元画像がシミュレーションされてもよい。例示の明確さのために別々に示されているが、眼4、6の視野は、例えば、z軸に沿う距離が増加するほど重なり合い得る。加えて、図示の容易さのために平坦に示されているが、深度平面の輪郭は、物理的空間において湾曲していてもよく、深度平面中のあらゆる特徴が、特定の調節状態において眼の焦点のあった状態にあるようにすることが理解されるであろう。
【0036】
オブジェクトと眼4又は6との間の距離はまた、その眼によって観覧される、そのオブジェクトからの光の発散量も変化させ得る。
図5A~5Cは、距離と光線の発散との間の関係を示している。オブジェクトと眼4との間の距離は、距離の降順、R1、R2、及びR3の順に表されている。
図5A~5Cに示されるとおり、オブジェクトへの距離が短くなるほど、光線はより発散する。距離が長くなるほど、光線はよりコリメートされる。別の表現をすると、ある点(オブジェクト又はオブジェクトの一部)で生成された明視野が球状の波面曲率を有し、これはその点がユーザの眼からどれだけ離れているかの関数であることであり得る。曲率は、オブジェクトと眼4との間の距離が短くなるほど大きくなる。結果として、異なる深度平面において、光線の発散程度も異なり、深度平面と観覧する者の眼4との間の距離が短くなるほど、発散程度が上昇する。
図5A~5Cにおいては、図示の明確さのために単一の眼4のみを図示したが、眼4に関する考察は、観覧する者の両方の眼4及び6に適用されてもよいことが理解されよう。
【0037】
理論に限定されることなく、人間の眼は、通常、有限数の深度平面を解釈して深度知覚を与え得ると考えられている。結果として、知覚された深度を高度に信じられるほどシミュレーションすることは、眼に、これらの限られた数の深度平面の各々に対応して異なる画像提示を提供することによって達成され得る。異なる提示は、観覧する者の眼によって別々に焦点が合わせられてもよく、これにより、異なる深度平面上に位置するシーンに対して異なる画像特徴に焦点を合わせるのに必要な眼の調節に基づき、及び/又は、異なる深度平面上の異なる画像特徴の焦点が外れていることを観察することに基づき、ユーザに深度の手がかりを与える手助けとなる。以下で考察されるように、本明細書に記載のディスプレイシステム及び光学アーキテクチャは、上流の可変焦点レンズと互換性があり得、これにより、調節-両眼共同マッチングが容易になり得る。
【0038】
調節-両眼共同ミスマッチに加えて、光学効率は、現在のウェアラブルディスプレイ技術の重大な問題である。回折導波路は、回折導波路の、アイボックスサイズ、全体的な体積、視野、及び画質の組み合わせに起因して使用されてきたが、通常、導波路に注入された光の数パーセントのみがユーザの眼に伝送されるという点で非効率的であり得る。この非効率性は、回折損失と、本明細書で考察されるように、ほとんどの導波路システムでは、導波路が投影光を大きなアイボックス領域上に分散させるという事実と、の両方から結果として生じ得る。この非効率性は、電力消費及び表示の明るさに悪影響を及ぼす場合があり、ひいては、このことが、ディスプレイデバイスが大きな電池を有することを必要とすると同時に、望まない放熱事態と低い全体的な表示の明るさを生じさせる場合がある。
【0039】
コンパクトかつ軽量な「一日中、毎日の」ウェアラブルディスプレイは、現在の既存の技術から容易に利用可能である効率よりも高い効率を必要とし得る。様々な課題が、ウェアラブルディスプレイ技術で使用するための高効率の光学システム及びデバイスを達成することと関連付けられている。ウェアラブルディスプレイの効率を高めるための1つの戦略は、大きなアイボックスにわたって光を分配するのではなく、小さな射出瞳で光を出力することである。しかしながら、そのようなデバイスによって形成された画像は、小さな領域に投影されるだけであるため、ユーザの眼が動くと、画像が失われ、又は画像の品質が低下し得る。したがって、小さな射出瞳を利用するいくつかの光学システム及びデバイスは、可動ミラーを使用して、投影システムからの光を別のミラー上へと方向付け、次いで、別のミラーが光をユーザの眼内に方向付ける。
【0040】
しかしながら、現在既存の瞳ステアリング方法及びシステムは、体積/バルク要件、効率、射出瞳ステアリング範囲、ステアリング範囲全体にわたる画像品質、色の忠実度、シースルービジョンの品質、電力消費、及び必要とされる眼鏡フォームファクタのうちの1つ以上が不足しているため、連続使用デバイスには十分ではない場合がある。更に、既存の瞳ステアリングデバイスの電力消費、速度、精度、効率、輝度、及びフォームファクタは、定型的な日常使用に対して満足のいくものではない場合がある。したがって、導波路式及び瞳ステアリング型の両方の既存のヘッドマウントディスプレイシステムは、様々な用途、特に、一日中、毎日のウェアラブルディスプレイデバイスでの使用には不十分であり得る。
【0041】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、既存のシステムの様々な欠陥を改善し得る、作動される瞳ステアリングを備えるヘッドマウント又はニアアイ仮想網膜ディスプレイ(VRD)システムを対象とする。本明細書に記載のVRDシステムは、改善されたサイズ、重量、及び輝度を提供する、高効率であり得る光学アーキテクチャを備え得る。したがって、本明細書に記載のVRDは、一日中、日常使用が可能な光学システム及びデバイスで使用され得る。
【0042】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、シースルーウェアラブルディスプレイのための極めて効率的な光学アーキテクチャを対象とする。いくつかの実施形態では、本明細書で考察されるように、導波路又は従来の瞳拡大光学系を使用して大きなアイボックスを作成する代わりに、光学アーキテクチャは、眼の位置にマッチするように能動的にステアリングされる比較的小さな射出瞳(例えば、2mm以下を含む、眼の瞳孔のサイズ未満)を眼において作成するシステムを備え得る。ディスプレイデバイスの射出瞳のサイズと観覧する者の眼の入射瞳のサイズとの間のミスマッチを記述するものと理解され得る低いエテンデュと、例えば体積位相ホログラム(VPH)などからの、高い回折効率と、は、レーザ光源から射出瞳への非常に低い光学的損失につながり得る。更に、いくつかの実施形態では、本明細書におけるシステム及びデバイスの射出瞳は、眼の瞳孔よりも小さく、かつユーザの眼を追うようにステアリングされ得ることから、大きなアイボックスと関連付けられた損失は、実質的に低減又は排除され得る。有利なことに、ディスプレイ光源によって生成された光の大部分は、より大きな領域にわたって分布するのではなく、ユーザの網膜に転送され得る。
【0043】
図6は、画像光をユーザの眼内にステアリングすることによって仮想コンテンツを表示するための光学系アーキテクチャの一例を示している。光学系アーキテクチャ600は、VRDアーキテクチャであり得、画像光(すなわち、例えば所望の色及び/又は輝度を画素に提供するために、画像コンテンツで符号化された光)を出力するための画像光プロジェクタ602を備え得る。画像光プロジェクタ602は、画像光を生成するための光源604を含み得る。いくつかの実施形態では、画像光プロジェクタ602は、画像光プロジェクタ602によって出力される光線の強度及び/又は色を変動させて、出力光を画像情報で符号化するための変調器を含み得る。いくつかの他の実施形態では、出力される光の強度及び/又は色は、光源604を直接制御することによって制御され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、画像光プロジェクタ602は、走査ディスプレイの光出力端の場所及び/又は方向に基づいて光の出力を変化させる走査ディスプレイであり得る。このようにして、出力が領域全体にわたる走査を終了すると、異なる表示素子(例えば、ピクセル)が形成され得、光は、アプリケーションの所望のピクセルに対応する特定の場所に出力される。いくつかの実施形態では、走査は、走査ミラー606を使用して達成され得、走査ミラー606は、光源604から出力された光を光走査のための所望の方向に方向付けるように移動する(例えば、1つ以上の軸に沿って回転する)。
【0045】
いくつかの実施形態では、画像光プロジェクタ602は、レーザ光を出力するレーザ走査プロジェクタの形態をとる走査ディスプレイであり得る。例えば、画像光プロジェクタ602は、光をMEMSミラー606に方向付けるレーザ光源604を備え得る。レーザ走査プロジェクタ602は、1つ以上の追加のレーザ、MEMS、ミラー、ガルバノメータスキャナ、コリメータ、上流の可変焦点部品又は他の光学部品609、611を備え得ることが理解されよう。光学系609、611は、異なる深度平面のオブジェクトを配置するための異なる調節刺激を提供するために、出力された光の波面発散を修正するように構成された投影光学系であり得、かつ/又は可変焦点レンズ素子であり得ることが理解されよう。レーザ走査プロジェクタ602は、単色投影用の1つのレーザ光源、又は異なる成分色についての異なる波長の光を出力してフルカラー画像を形成する複数の光源(例えば、RGB(赤、緑、及び青)フルカラー投影用の3つの光源)を備え得る。加えて、レーザ走査プロジェクタ602は、デジタル制御信号をレーザ走査プロジェクタ602における走査部品を制御するアナログ信号に変換するためのコントローラ及びデジタルアナログ変換器(DAC)を備えてもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム62の処理モジュール70及び/又は72などの1つ以上のプロセッサは、レーザ走査プロジェクタ602のためのコントローラを備え得る。
【0046】
本明細書で考察されるように、いくつかの実施形態では、MEMS606は、光を1つ以上の軸に沿って回折反射器608に走査及び転向するための振動走査ミラーを備え得る。本明細書で考察されるように、走査を利用して、ユーザの網膜上に画像を描画し得る。
【0047】
MEMSは、機械部品及び電気部品を組み合わせた統合されたデバイス又はシステムを指し得ることが理解されよう。MEMSは、集積回路(IC)バッチ処理技法を使用して製造され得、マイクロメートル又はミリメートルのスケールのサイズ範囲であり得る。MEMSは、機械的マイクロ構造、マイクロセンサ、マイクロアクチュエータ、及びマイクロエレクトロニクスを備え得、各々が同じ基板上に集積される。マイクロ機械部品は、当該技術分野で知られているマイクロマシニングプロセスを使用して、シリコン基板及び他の基板の操作によって製造され得る。バルクマイクロマシニング及び表面マイクロマシニング、並びに高アスペクト比マイクロマシニング(HARM)などのプロセスは、シリコンの一部を選択的に除去するか、又は追加の構造層を追加して、機械部品及び電気機械部品を形成する。MEMSは、マイクロスケールで感知、制御、及び作動する能力を有し、これは、マクロスケールでの効果を生成し得る。MEMSの小サイズ、低コスト、低電力消費、機械的耐久性、高精度、及び低コストのバッチ処理は、ディスプレイデバイスでの使用に様々な利点を提供する。
【0048】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のMEMSは、動的な光変調のための一種のマイクロミラーアクチュエータである走査ミラープロジェクタを含み得る。いくつかの実施形態では、走査ミラープロジェクタは、1つ以上のミラーを1つ以上の次元で移動させるためのマイクロサイズモータを備え得る。1つ以上のミラーに向けられたレーザビームは、モータによって並進及び/又は回転され得る走査ミラーによって正確に偏向及びステアリングされて、標的点に到達し得る。走査ミラープロジェクタは、走査ミラープロジェクタが超低電力環境で動作するため、有利であり得、卓越した再現性及び信頼性を提供し、1つ以上の軸での迅速な光学ビーム走査を提供し得る。
【0049】
本明細書で使用されるMEMS走査ミラーは、例えば、経時的に光を移動及び偏向させるように適合された円筒形、長方形、又は正方形のマイクロミラーを含み得る。マイクロミラーは、トーションアームによって固定部分に接続され得、1つ以上の軸に沿ってチルト及び振動し得る。例えば静電、熱、電磁、又は圧電を含む、異なる作動原理が使用され得る。MEMS走査ミラーは、水平軸及び垂直軸のいずれか又は両方に沿って光を走査するための1つ以上の振動軸に沿って振動するように構成された単一のマイクロミラーを含み得る。代替的に、MEMSデバイスは、第1の振動軸に沿って振動するように構成された第1のMEMS走査ミラーと、第2の振動軸に沿って振動するように構成された第2のMEMS走査ミラーと、を含み得る。いくつかの実施形態では、2ミラー配置で、第1及び第2のMEMS走査ミラーは、振動軸が直交するように正確に位置決めされ得る。
【0050】
図6を引き続き参照すると、転向された光は、1つ以上の光線607を含み得る。アーキテクチャ600が拡張現実ディスプレイシステムの一部である場合、回折反射器608は、光学コンバイナであってもよく、世界光612を透過させながら、光線607をステアリングされた射出瞳610に転向するように提供されてもよい。好ましくは、ステアリングされた射出瞳610の場所は、眼614の瞳孔の場所とマッチする。本明細書における様々な図面では、1つの眼及びアーキテクチャが示され得るが、観覧する者は、別の眼を有し得、ディスプレイシステムは、その他方の眼に画像光を提供するために、アーキテクチャ600などの別のアーキテクチャを提供され得ることが理解されよう。
【0051】
回折反射器608は、本明細書でより詳細に記載されているように、追加の光学素子とともに、1つ以上の瞳ステアリング機構を備え得る。例えば、回折反射器608は、射出瞳610をユーザ60の眼614の視覚平面内でステアリングして眼の入射瞳の位置にマッチさせるための、1つ以上のVPH格子又は液晶格子及び機能的なビームステアリング光学系を備え得る。いくつかの実施形態では、アーキテクチャ600は、眼614への透過光ではない仮想現実ディスプレイシステムの一部であり得る。そのような実施形態では、回折反射器608は、単にビームステアリングのための反射光学系であると理解され得る。
【0052】
VPHは、共通の入力経路からの異なる波長の光を異なる角度の出力経路へと回折するための周期的位相構造を含む光学格子を含み得ることが理解されよう。VPH格子は、透明なガラス又は溶融シリカの2つの層の間に封止された透過性材料、例えば重クロム酸ゼラチンの層に形成されている。入射光の位相は、周期的な微分硬度又は屈折率を有する光学的に厚いフィルムを入射光が通過する際に変調される。VPH格子は、表面レリーフパターンの深さが入射光の位相を変調する従来の格子とは異なる。しかしながら、従来の反射格子と同様に、周期構造の空間周波数は、回折光におけるスペクトル分散、又は波長成分の角度分離を決定する。平均屈折率、屈折率微分又は変調、及びフィルムの厚さは、VPHの効率、偏光、及び帯域幅性能特性を決定する。VPH格子は、VPHの光学構造が、耐久性を有し、清掃可能であり、カスタマイズ可能であり、安定であり、かつ優れた光学特性を有するという点で有利であり得る。VPH格子は、反射型又は透過型VPH格子を含み得る。
【0053】
従来の格子とは異なり、VPH格子は、格子構造が外部ガラス及び/又は表面コーティングによって保護されるため、強化された強度、堅牢性、及び環境耐久性を提供する。VPH格子を他の光学素子と組み合わせて、追加の又は強化された光学特性を可能にしてもよい。VR及びARヘッドマウントディスプレイ(HMD)におけるレンズなどの古典的な幾何学的光学素子は、矯正用眼鏡/サングラスのフォームファクタを求めるディスプレイの重量又はサイズ要件を満たすことができない。しかしながら、VPH格子の幾何学形状は、従来の反射格子を使用して実現することができないコンパクトで高性能のシステム形状を可能にする。従来の格子は、通常、回折/分散光が入射光源に向かって反射するリトロー幾何学形状で機能する。対照的に、VPH格子の透過幾何学形状に起因して、入射光及び回折光は、格子面の反対側に位置し得る。結果として、VPH格子は、入射光及び回折光を、検出器、ファイバ、又はMEMSなどの独立した光学系及び部品によって動作させることを可能にする。更に、撮像光学系は、格子に直接隣接して配置されてもよく、これにより、いくつかの用途において、システムサイズが最小限に抑えられ、性能が向上し得る。いくつかの実施形態では、偏光不感受性VPH格子構造の使用は、偏光分割システム構成の必要性を排除して、部品数及びデバイスサイズを更に低減し得る。VPH格子は、300ライン/mm未満~6000ライン/mm超のライン周波数で作製され得る。VPH格子は、本明細書において、ホログラフィック光学素子(HOE)とも称され得る。
【0054】
図6を引き続き参照すると、例示的なVRDアーキテクチャ600は、アーキテクチャが極度にコンパクトであ電力効率がよい場合があり、かつ実質的にコヒーレントアーチファクトがない画像を投影し得るという点で、既存のアーキテクチャに対して様々な利点を有し得る。VRDアーキテクチャ600はまた、投影光の大部分がユーザの瞳孔に入るように、導波路式のディスプレイに対して非常に小さな射出瞳を生成してもよい。いくつかの実施形態では、例示的な光学アーキテクチャ600からの実質的に全ての投影光が、ユーザの瞳孔に入る。対照的に、導波路式のディスプレイシステムなどの他のディスプレイシステムは、大きなアイボックスを生成し得、電力は、広く分散され、投影光のほんの一部のみがユーザの瞳孔に入る。
【0055】
追加的に、例示的な光学アーキテクチャ600を使用して、上流の可変焦点を介して、大視野(FOV)、高輝度、高効率、及び制御された連続的な両眼共同-調節マッチングを有するデバイスにコンパクトなディスプレイシステムを生成してもよい。FOVは、回折反射器608が外観に関連して画像を表示する、ユーザの眼に対して張る、垂直方向及び水平方向の角度を示す。より狭いFOVであれば、ユーザの視野の中心付近の制限された観覧をもたらすであろう一方で、広いFOVは、より広いビューを可能にする。
【0056】
有利なことに、本明細書で考察されるように、例示的なVRDアーキテクチャ600は、VRDアーキテクチャ600が瞳拡大光学系を必要とせず、かつウェアラブルアイウェアデバイスに折り畳まれ得ることから、比較可能なデバイスよりも小さい場合がある。加えて、例示的なVRDアーキテクチャ600の効率は、光ステアリングとアーキテクチャによって作成された射出瞳614の小さいサイズとに起因して、少量の光しか無駄にならない場合がある(すなわち、光源604によって生成された光の少量のみが眼614の瞳孔に到達しない)ため、比較的高い場合がある。最後に、画像光プロジェクタ602によって生成された光の大部分が、より大きなアイボックス全体にわたって分散されるのではなく、小さな射出瞳610を介して能動的アイボックスに能動的に方向付けられるため、高輝度が達成される。
【0057】
いくつかの実施形態では、例示的なVRDアーキテクチャ600は、FOVの一部分又は全体にわたるユーザの眼の回転及び横方向の移動を考慮したステアリングされた射出瞳610を生成することができる。いくつかの実施形態では、VRDアーキテクチャ600は、水平回転及び垂直回転の両方を考慮することができる。いくつかの実施形態では、VRDアーキテクチャ600は、眼の物理的に可能な回転範囲全体にわたって、水平回転及び垂直回転の両方を考慮することができる。例えば、いくつかの実施形態では、VRDアーキテクチャ600は、約50度(例えば、水平視線から下向きに25度及び上向きに25度)の垂直の眼回転を考慮することが可能であり得る。いくつかの実施形態では、VRDアーキテクチャ600は、約1度、約1.5度、約2度、約2.5度、約3度、約3.5度、約4度、約4.5度、約5度、約5.5度、約6度、約6.5度、約7度、約7.5度、約8度、約8.5度、約9度、約9.5度、約10度、約10.5度、約11度、約11.5度、約12度、約12.5度、約13度、約13.5度、約14度、約14.5度、約15度、約15.5度、約16度、約16.5度、約17度、約17.5度、約18度、約18.5度、約19度、約19.5度、約20度、約20.5度、約21度、約21.5度、約22度、約22.5度、約23度、約23.5度、約24度、約24.5度、約25度、約25.5度、約26度、約26.5度、約27度、約27.5度、約28度、約28.5度、約29度、約29.5度、約30度、又は前述の値のいずれかの間の値の上向きの垂直の眼回転を考慮することが可能であり得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、VRDアーキテクチャ600は、約1度、約1.5度、約2度、約2.5度、約3度、約3.5度、約4度、約4.5度、約5度、約5.5度、約6度、約6.5度、約7度、約7.5度、約8度、約8.5度、約9度、約9.5度、約10度、約10.5度、約11度、約11.5度、約12度、約12.5度、約13度、約13.5度、約14度、約14.5度、約15度、約15.5度、約16度、約16.5度、約17度、約17.5度、約18度、約18.5度、約19度、約19.5度、約20度、約20.5度、約21度、約21.5度、約22度、約22.5度、約23度、約23.5度、約24度、約24.5度、約25度、約25.5度、約26度、約26.5度、約27度、約27.5度、約28度、約28.5度、約29度、約29.5度、約30度、又は前述の値のいずれかの間の値の下向きの垂直の眼回転を考慮することが可能であり得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、VRDアーキテクチャ600は、約70度(例えば、垂直の中央視線から左方向に35度及び右方向に35度)の水平の眼回転を考慮することが可能であり得る。いくつかの実施形態では、VRDアーキテクチャ600は、約1度、約1.5度、約2度、約2.5度、約3度、約3.5度、約4度、約4.5度、約5度、約5.5度、約6度、約6.5度、約7度、約7.5度、約8度、約8.5度、約9度、約9.5度、約10度、約10.5度、約11度、約11.5度、約12度、約12.5度、約13度、約13.5度、約14度、約14.5度、約15度、約15.5度、約16度、約16.5度、約17度、約17.5度、約18度、約18.5度、約19度、約19.5度、約20度、約20.5度、約21度、約21.5度、約22度、約22.5度、約23度、約23.5度、約24度、約24.5度、約25度、約25.5度、約26度、約26.5度、約27度、約27.5度、約28度、約28.5度、約29度、約29.5度、約30度、約30.5度、約31度、約31.5度、約32度、約32.5度、約33度、約33.5度、約34度、約34.5度、約35度、又は前述の値のいずれかの間の値の左の水平の眼回転を考慮することが可能であり得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、VRDアーキテクチャ600は、約1度、約1.5度、約2度、約2.5度、約3度、約3.5度、約4度、約4.5度、約5度、約5.5度、約6度、約6.5度、約7度、約7.5度、約8度、約8.5度、約9度、約9.5度、約10度、約10.5度、約11度、約11.5度、約12度、約12.5度、約13度、約13.5度、約14度、約14.5度、約15度、約15.5度、約16度、約16.5度、約17度、約17.5度、約18度、約18.5度、約19度、約19.5度、約20度、約20.5度、約21度、約21.5度、約22度、約22.5度、約23度、約23.5度、約24度、約24.5度、約25度、約25.5度、約26度、約26.5度、約27度、約27.5度、約28度、約28.5度、約29度、約29.5度、約30度、約30.5度、約31度、約31.5度、約32度、約32.5度、約33度、約33.5度、約34度、約34.5度、約35度、又は前述の値のいずれかの間の値の右の水平の眼回転を考慮することが可能であり得る。
【0061】
図6を引き続き参照すると、いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ82(例えば、可視光カメラ及び赤外線カメラを含むデジタルカメラ)は、眼の画像をキャプチャして、例えば眼の瞳孔の位置を追跡するように、提供され得る。本明細書で使用される場合、カメラは、任意の画像撮影デバイスであり得る。いくつかの実施形態において、カメラアセンブリ82は、画像撮影デバイスと、眼に光(例えば、近赤外光)を投影するための光源と、を含み得、光は、その後、眼によって反射され、画像撮影デバイスによって検出され得る。いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ82は、フレーム64(
図2)に取り付けられ得、カメラアセンブリ82からの画像情報を処理し得る処理モジュール70及び/又は72(
図2)と電気通信し得る。いくつかの実施形態において、各眼を別々にモニタリングするために、1つのカメラアセンブリ82が各眼に対して利用され得る。
【0062】
カメラアセンブリ82は、ユーザの眼の動きを追跡し得る内側の対面する撮像システムに統合され得る。内側の対面する撮像システムは、片眼の動き又は両眼の動きのいずれかを追跡し得る。内側の対面する撮像システムは、フレーム64に取り付けられ得、処理モジュール70又は72と電気通信し得、処理モジュール70又は72は、内側の対面する撮像システムによって取得された画像情報を処理して、例えばユーザ60の眼の瞳孔の直径若しくは向き、眼の動き、又は眼の姿勢を、判定し得る。内側の対面する撮像システムは、1つ以上のカメラをカメラアセンブリ82の一部として含み得る。例えば、少なくとも1つのカメラを使用して、各眼を画像化し得る。カメラによって取得された画像を使用して、各眼の瞳孔サイズ又は眼の姿勢を別々に判定し、それによって、各眼への画像情報の提示をその眼に動的に適合させることが可能になり得る。
【0063】
カメラアセンブリ82は、例えば、単一カメラ入力又はマルチカメラ入力を備える、例えば、ニアアイ追跡(軸上又は軸外)、遠隔追跡、モデルベースの追跡、又は回帰ベースの追跡を含む、ビデオベースの眼追跡システムを含み得る。ニアアイ追跡は、眼を観覧しているカメラ位置に応じて、軸上構成と軸外構成とに分割され得る。軸外配置は、場合によっては視線推定での不均一な精度を犠牲にして、より少ないスペースを占有し得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、例示的なVRDアーキテクチャ600を組み込むディスプレイシステムはまた、ユーザの変動する瞳孔間距離(IPD)を考慮する必要があり得る。IPDは、両眼の瞳孔が望ましくは観覧システムの射出瞳内に位置決めされるヘッドマウントディスプレイを含む、双眼観覧システムの重要な設計考慮事項である。IPD測定を、そのようなシステムの設計において使用して、射出光学系又は接眼レンズの横方向の調整の範囲を指定し得る。また、IPDを使用して、双眼光学システムの射出瞳間の距離を記述してもよい。いくつかの実施形態では、ユーザ間の変動するIPDは、各ユーザに対するディスプレイデバイスのフィッティング中に考慮され得る。
【0065】
VRDアーキテクチャ600の利用における1つの潜在的な課題は、時間的視覚効果の作成にあり、関連して、眼の動きと無関係に、高品質の画像を網膜に連続的に投影することによる現実的かつ快適なユーザエクスペリエンスを維持することにある。小さな射出瞳を有するユーザの眼の高画像品質を維持するために、正確で高速のユーザ瞳孔感知、射出瞳ステアリング、及び画像レンダリングループが好ましくは実装される。したがって、適切な瞳ステアリングハードウェア及びソフトウェアが、満足のいくループを生成するために採用され得る。
【0066】
射出瞳ステアリングのいくつかの従前のアプローチは、様々な瞳複製方法を使用してVRDの射出瞳を受動的に拡大することを伴う。しかしながら、本明細書におけるいくつかの実施形態では、例示的なVRDアーキテクチャ600は、瞳を複製しない。代わりに、本明細書におけるVRDの射出瞳614は、眼を追うように動的にステアリングされ得る。
【0067】
VRDのための機械的及び非機械的瞳ステアリングを含む、射出瞳ステアリングのいくつかの変形例が本明細書に記載されている。本明細書で考察されるように、基礎となるVRDアーキテクチャは、例えば、ユーザのこめかみの近くに装着され、かつ投影光を眼に反射する回折反射器上に光を投影する画像光プロジェクタを備え得る。いくつかの実施形態では、射出瞳ステアリング機構は、回折反射器に統合されており、回折層のスタック、例えば1つ以上のVPHの組み合わせ、及び/又は液晶格子を伴い得る。本明細書に記載の瞳ステアリング機構はまた、両眼共同-調節矛盾(VAC)を軽減するために有益であり得る、比喩的な調節刺激を提供するための上流の可変焦点レンズ構造と同等であり得る。本明細書で考察されるように、VACは、ニアアイディスプレイでは問題となり、導波路式のディスプレイでは対処することが困難であり得る。対照的に、可変焦点VRDシステムは、小さい、低電力の可変焦点レンズを利用して、変動する調節刺激のための変動するレベルの波面発散を提供し得る。本明細書における瞳ステアリング機構を回折コンバイナの上流の可変焦点構造と組み合わせて使用することは、有利なことに、調整可能な可変焦点ディスプレイを提供し得る。
【0068】
非機械的射出瞳ステアリング機構
本明細書に開示のいくつかの射出瞳ステアリング機構は、これらの射出瞳ステアリング機構の作動において非機械的であり得る。いくつかの実施形態では、非機械的ビームステアリングは、有利なことに、高効率、低摩耗、高速、及び/又は低故障率を提供し得る。非機械的ビーム制御を達成するために、マイクロレンズアレイ、電気光学プリズム、及び回折音響光学技法を含む、多種多様なアプローチが探索されてきた。望ましくないことに、これらのアプローチは、以下の制限のうちの1つ以上に悩まされ得る:低スループット、散乱、小さいステアリング角度/絞り、及び大きな物理的サイズ。
【0069】
本明細書におけるいくつかの非機械的射出瞳ステアリング機構は、電子的に作動される瞳ステアリング機構を含み得る。これらの瞳ステアリング機構のうちのいくつかは、液晶偏光格子(LCPG)の偏光感受特性に基づき得る。例えば、いくつかの電子的に作動される瞳ステアリング機構は、1つ以上の射出瞳を能動的にステアリングするために、電子的にアドレス指定可能な偏光スイッチと組み合わせた1つ以上のLCPGを備えるコンバイナを備え得る。電子的瞳ステアリングを組み込んだデバイスは、少なくとも可視波長から赤外波長までの波長を含むほぼ任意の波長で動作するように適合され得る。
【0070】
電子的に作動される瞳ステアリング機構を使用して、シースルーウェアラブルディスプレイのための効率的な光学アーキテクチャを構築し得る。本明細書で考察されるように、導波路又は従来の瞳拡大光学系を使用して大きなアイボックスを作成する代わりに、電子的に作動される瞳ステアリング機構を有する光学システムが、眼において、眼の位置にマッチするように能動的にステアリングされる小さな射出瞳を作成し得る。LCPG、他の回折層(VPHなど)、及び/又は電子的にアドレス指定可能な分極スイッチをスタックすることは、控えめな量の切替可能な射出瞳の場所を有する透明コンバイナの構築を可能にし得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、電子的に作動される射出瞳ステアリングは、例えば軸外の回折VRDで、使用され得る。本明細書における電子的に作動される瞳ステアリング機構はまた、両眼共同-調節矛盾(VAC)を軽減するための上流の可変焦点構造と同等であり得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、電子的に作動される射出瞳ステアリング機構は、回折コンバイナに統合されており、偏光選択性及び非選択性の回折素子(例えば、LCPG、HOE、及び他の体積位相格子を含む)の層の組み合わせを備える。瞳ステアリングは、偏光スイッチがオン又はオフに切り替えられるかどうかに応じて、格子の異なる順序を考慮するために偏光選択性格子間に偏光スイッチを配置することによって達成され得る。いくつかの実施形態では、アドレス指定可能なステアリング位置の数は、2nであり、式中、nは、スタックされたスイッチの数である。
【0073】
偏光スイッチを備えるLCPG
本明細書に記載のいくつかの光学コンバイナは、非ブラッグ選択性のLCPGを備える、電子的に作動させる瞳ステアリング機構を備え得る。いくつかの実施形態では、非ブラッグ選択性のLCPGは、世界光補償ユニットと対をなして、世界光がコンバイナを通過することを可能にし得る。非ブラッグ選択性のLCPGは、一般に、世界光に対して不透明である。したがって、非ブラッグ選択性のLCPGを備えるコンバイナは、世界光を補償するための追加のLCPGスタックを必要とし得る。LCPGの追加のスタックは、軽量でコンパクトなディスプレイデバイスが所望される場合、瞳ステアリングに使用され得る層の数に制約を与え得る。結果として、層の数(すなわち、スタックされたスイッチ)は、層の数を増やすとコンバイナの透明性が低下するため、電子的に作動される瞳ステアリングに非ブラッグ選択性のLCPGを利用するコンバイナの制限要因であり得る。
【0074】
図7は、画像光をユーザの眼内にステアリングするための電子的に作動されるアセンブリのための光学アーキテクチャ700の一例を示す。いくつかの実施形態では、光学アーキテクチャ700は、
図6のディスプレイシステムのための回折反射器608などのVRDディスプレイで使用するための回折反射器を形成するために使用され得る。光学アーキテクチャ700は、第1のHOE720、第2のHOE722、ビームステアリングユニット(BSU)724、ダイクロイックミラー726、及び世界補償器728を備える。示された実施形態では、画像光プロジェクタ602から投影された偏光ビーム607が、影響を受けずに第1の偏光選択性のHOE720を通過し、BSU724に向けて第2の偏光選択性HOE722によってコリメートされる。BSU724は、シングルパスモード又はダブルパスモードで、光の偏光の偏光特性と、BSU724におけるLCPGのオン/オフステータスと、に基づいて、光を選択的にステアリングする。
図7の示されたダブルパスの実施形態では、第2のHOE722からの入射光ビーム607は、第1の時間にBSU724によってダイクロイックミラー726にステアリングされ、ダイクロイックミラー726は、光ビーム607をユーザの眼716に向けてBSU724に戻すように反射する。ダイクロイックミラー726からの反射の後、BSU724は、第2の時間に光ビーム607を、光ビーム607が影響を受けずに通過する第2のHOE722と、ステアリングされた射出瞳610に光を集束させる第1のHOE720と、に戻すように動的にステアリングする。
【0075】
図8A及び8Bは、それぞれ、第1のHOE720及び第2のHOE722の光学機能を示している。第1のHOE720は、右旋円偏光802を集束させ、左旋円偏光804を影響を受けないままにすることを含む光学機能を有し得る。第2のHOE704は、左旋円偏光804をコリメートし、右旋円偏光802を影響を受けないままにすることを含む光学機能を有し得る。したがって、
図7の示された実施形態では、光ビーム607は、画像光プロジェクタ602から投影されたときに左旋円偏光する。左旋円偏光ビーム607は、第1のHOEによって影響を受けず、第2のHOE722によってコリメートされる。しかしながら、眼716から離れた第1のパス及び眼716に向かう第2のパスでBSU724(
図7)を通過した後、光ビーム607は、第2のパスが眼716に向かって第1のHOE720及び第2のHOE722を通過する時点で右旋円偏光するようにそれらの偏光を切り替え得る。したがって、第2のパス時に、光ビーム607は、第2のHOE722によって影響を受けず、第1のHOE720によって射出瞳610に集束され得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、第1のHOE720及び第2のHOE722の光学機能は、第1のHOE720が第2のHOE722の上述の光学機能を実行するように交換可能であり得、その逆もまた同様である。
図7の示された実施形態では、光ビーム607は、最初に、第1のHOE720によって影響を受けず、かつ第2のHOE722によってコリメートされるように、左旋円偏光する。しかしながら、ダイクロイックミラー726から反射し、BSU724を眼716に向かうままとした後、光ビーム607は、影響を受けずに第2のHOE722を通過し、かつ第1のHOE720によって射出瞳610に集束されるように、右旋円偏光し得る。
【0077】
図9は、
図7の光学アーキテクチャのための電子的に作動されるビームステアリングユニット(BSU)の一例を示している。BSU724は、各々が回折層を形成する1つ以上のLCPG902を備え得る。いくつかの実施形態では、LCPGの各々は、連続的な面内ベンドスプレイパターンを有する切替可能なネマチックLCPGを含み得る。理論によって制限されないが、LCPGの各々の理論的回折効率を、η
0=cos
2(Γ/2)、η
±1=(1/2)(1±S’
3)sin
2(Γ/2)と表すことができ、式中、η
mはm次の回折効率であり、Γ=2πΔnd/λは、LCPG層のリタデーションであり、λは、入射光の波長であり、S’
3=S
3/S
0は、入射光の楕円率に対応する正規化されたストークスパラメータである。いくつかの実施形態では、入射光は、入力が円偏光し(S
’
3=±1)、かつLC層のリタデーションが半波(Δnd=λ/2)であるときに、1次のうちの1つのみに回折され得る。
【0078】
入力光ビーム607が円偏光すると、第1のHOE720及び/又は第2のHOE722は、BSU724のLCPGへの入力光が2つの直交する(左旋/右旋)円偏光状態のいずれかであることを確実にする。偏光の偏光特性に応じて、各LCPGは、ビームを一次(+θ又は-θ)のうちの1つに回折し、その偏光特性を反転させる。LCPG(V>>Vthreshold)に電圧を印加すると、格子プロファイルは実効的に消去され(すなわち、Δn=0)、入射ビームは、LCPGを通過し、入射ビームの偏光状態を維持する。回折角は、古典的な格子方程式θout=sin-1(mλ/Λ+sinθin)によって確立され得、式中、次数mは、入射偏光に依存し、Λは、格子周期である。
【0079】
図10は、オフ状態及びオン状態における液晶偏光格子(LCPG)の例を示している。理論によって制限されないが、LCPGは、光をステアリングするための周期構造を利用する従前の回折格子と同様であると理解され得る。しかしながら、LCPGは、純粋な位相変調又は振幅変調の代わりに偏光変調を使用し、場合によっては、99.8%を超える高い一次効率を提供し得る。液晶は、液晶が電場によって配向が操作され得る高異方性分子で構成されるため、偏光格子媒体に十分に適している。高効率及びコンパクトなサイズにより、LCPGは、コヒーレントなビームのステアリング及びアクティブな画像走査システムに好適となり得る。アクティブなLCPGがオン状態に切り替わる(すなわち、特定の電圧閾値を超える電圧が、電極間に印加される)と、LCPGの格子構造が消失し、第3の非偏向及び非偏光の経路がもたらされる。LCPGのスタックにおける各素子は、正味の偏向から、オフに切り替えられ得るか、追加され得るか、又は減算され得るため、相対的に小さいスタックが、大きなセットの偏向角を提供して、二次元の広い範囲の角度を少ない数のスタック素子で達成することを可能にし得る。
【0080】
図9を再び参照すると、BSU724は、1つ以上のLCPG902を備え得る。
図9の例示的なBSU724は、3つのLCPG902(n=3)を備える。しかしながら、いくつかの実施形態では、BSU724は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25個のLCPG902を備え得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、各LCPG層は、いくらかの光学的損失を生じさせ得るため、BSU724内のLCPG902の数は、透明性を高め、かつ光学アーキテクチャ700を利用するディスプレイデバイスのサイズを縮小するために低くてもよい。
【0081】
理論によって制限されないが、LCPG902の格子i+1の空間周波数がLCPG902の格子iの空間周波数とは異なる場合、可能な回折角θの数は、2
nに等しい場合があり、式中、nは、BSU724におけるLCPG902の数である、と考えられる。
図11は、n=3のBSU724を使用して達成され得る例示的な回折角θを示しており、空間周波数σ
i+1=2σ
iである。示されるように、n=3個のLCPGを有するビームステアリングユニットは、2
3=8個の等間隔の回折角を達成し得る。ダブルパス構成では、回折角は、2θに2倍される。
【0082】
再び
図9を参照すると、いくつかの実施形態では、BSU724はまた、1つ以上の波長板904を備えてもよい。波長板904は、入射光の偏光に応じて屈折率が異なる、石英、雲母、又はプラスチックなどの複屈折材料で構成され得る。波長板の挙動は、結晶の厚さ、光の波長、及び屈折率の変動に依存し得る。これらのパラメータ間の関係を適切に選定することによって、光波の2つの偏光成分間に制御される位相シフトを導入し、それによって、光波の偏光を改変することが可能であり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の波長板904は、直線偏光を円偏光に変換し、その逆もまた同様である、少なくとも1つの四分の一波長板を含む。更に、いくつかの実施形態では、BSU724は、1つ以上のVPH格子906を備えてもよい。
【0083】
BSU724の光学機能は、第1のHOE720、第2のHOE722、及びダイクロイックミラー726との組み合わせで、画像光プロジェクタ602から特定のステアリングされた射出瞳610に光ビーム607を方向付けて、眼716の網膜に画像を生成することであり得る。BSU724におけるLCPG902のうちの1つ以上は、オン又はオフ状態に連続的に切り替えられて、眼716の検出された動きに基づいて、光ビーム607を2n個の異なる回折角にステアリングし得る。
【0084】
再び
図7を参照すると、光学アーキテクチャ700はまた、BSU724と同一であるが反対に駆動される光学構造を備え得る世界補償器728を備えてもよい。世界補償器は、世界光612に対する正味の光学効果が最小限であるか、又はないように、世界光612に対してBSU724の逆の光学機能を実行することによって機能し得る。上述したように、非ブラッグ選択性のLCPGは、一般に、世界光に対して不透明である格子を含むため、世界補償器728を利用して、世界光612が眼716に到達することを可能にし得る。
【0085】
ブラッグ選択性のLCPG
いくつかの電子的に作動される瞳ステアリング機構は、ブラッグ選択性のLCPGを備え得る。いくつかの実施形態では、ブラッグ選択性のLCPGは、比較可能な非ブラッグ選択性のLCPGよりも透明であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、ブラッグ選択性のLCPGを備えるコンバイナ及び光学アーキテクチャは、同様の又は更に高いレベルの透明性を維持しながら、非ブラッグ選択性のLCPGを備えるコンバイナ及び光学アーキテクチャよりも多くの層を備え得る。光学アーキテクチャ内の層の数を増加させることは、コンバイナによって達成され得る射出瞳ステアリング位置の量の増加を可能にし得、これにより、瞳ステアリングの精度、正確さ、及び/又は速度が増加し得る。更に、ブラッグ選択性のLCPGは透明であり得ることから、世界光は、追加の世界補償光学系を必要とせずに、これらのLCPGを利用するコンバイナを通過し得る。したがって、いくつかの実施形態では、ブラッグ選択性のLCPGを有するコンバイナは、他の瞳ステアリング機構を採用したディスプレイシステムと比較して、強化されたユーザエクスペリエンス及び画像投影を提供し得る。
【0086】
図12は、画像光をユーザの眼内にステアリングするための電子的に作動されるアセンブリのための光学アーキテクチャ1200の別の例を示している。いくつかの実施形態では、光学アーキテクチャ1200は、
図6の回折反射器608などのVRDディスプレイで使用するための回折反射器を形成するために使用され得る。光学アーキテクチャ1200は、第1のHOE720、第2のHOE722、ビームステアリングユニット(BSU)724、ダイクロイックミラー726、及び偏光子728を備える。示された実施形態では、画像光プロジェクタ602から投影された偏光ビーム607が、影響を受けずに第1の偏光選択性のHOE720を通過し、BSU724に向けて第2の偏光選択性HOE722によってコリメートされる。BSU724は、シングルパスモード又はダブルパスモードで、光の偏光の偏光特性と、BSU724におけるブラッグ選択性のLCPGのオン/オフステータスと、に基づいて、光を選択的にステアリングする。
図12の示されたダブルパスの実施形態では、第2のHOE722からの入射光ビーム607は、第1の時間にBSU724によってダイクロイックミラー726にステアリングされ、ダイクロイックミラー726は、光ビーム607をユーザの眼716に向けてBSU724に戻すように反射する。ダイクロイックミラー726からの反射の後、BSU724は、第2の時間に光ビーム607を、光ビーム607が影響を受けずに通過する第2のHOE722と、ステアリングされた射出瞳610に光を集束させる第1のHOE720と、に戻すように動的にステアリングする。
【0087】
図14A及び14Bは、
図12の光学アーキテクチャのホログラフィック光学素子の光学機能の例を示している。第1のHOE720は、右旋円偏光入射光802を集束させ、左旋円偏光入射光804を影響を受けないままにすることを含む光学機能を有し得る。第2のHOE704は、左旋円偏光804をコリメートし、右旋円偏光802を影響を受けないままにすることを含む光学機能を有し得る。したがって、
図12の示された実施形態では、光ビーム607は、画像光プロジェクタ602から投影されたときに左旋円偏光する。左旋円偏光ビーム607は、第1のHOEによって影響を受けず、第2のHOE722によってコリメートされる。しかしながら、眼716から離れた第1のパス及び眼716に向かう第2のパスでBSU724を通過した後、光ビーム607は、第2のパスが眼716に向かって第1のHOE720及び第2のHOE722を通過する時点で右旋円偏光するように光ビーム607の偏光を切り替えられ得る。したがって、第2のパス時に、光ビーム607は、第2のHOE722によって影響を受けず、第1のHOE720によって射出瞳610に集束され得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、第1のHOE720及び第2のHOE722の光学機能は、第1のHOE720が第2のHOE722の上述の光学機能を実行するように交換可能であり得、その逆もまた同様である。
図12の示された実施形態では、光ビーム607は、最初に、第1のHOE720によって影響を受けず、かつ第2のHOE722によってコリメートされるように、左旋円偏光する。しかしながら、ダイクロイックミラー726から反射し、BSU724を眼716に向かうままとした後、光ビーム607は、影響を受けずに第2のHOE722を通過し、かつ第1のHOE720によって射出瞳610に集束されるように、右旋円偏光し得る。
【0089】
図13は、本明細書におけるいくつかの実施形態による例示的なBSU724を示している。BSU724は、1つ以上のブラッグ選択性のLCPG1302を備え得る。LCPGの各々は、切替可能なネマチックブラッグ選択性のLCPG1302を含み得る。ブラッグ選択性のLCPG1302を使用する例示的なBSU724では、1つ以上のブラッグ選択性のLCPG1302の全てが、同じ偏光を有する光に対して作用するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のブラッグ選択性のLCPG1302の各々は、右旋円偏光を有する光に対して作用し得る。いくつかの他の実施形態では、1つ以上のブラッグ選択性のLCPG1302の各々は、左旋円偏光を有する光に対して作用し得る。ブラッグ選択性のLCPG1302のこの構成の結果として、ブラッグ選択性のLCPGが作用する偏光と反対の偏光を有する世界光が、影響を受けずにBSU724を通過し得る。したがって、この構成では、世界補償器は必要でない場合がある。
【0090】
理論によって制限されないが、ブラッグ選択性のLCPG1302の格子i+1の空間周波数がブラッグ選択性のLCPG1302の格子iの空間周波数とは異なる場合、可能な回折角θの数は、2
nに等しく、式中、nは、BSU724におけるLCPG1302の数である、と考えられる。
図15は、n=3のブラッグ選択性のLCPG1302を有するBSU724を使用して達成され得る例示的な回折角θを示しており、空間周波数σ
i+1=2σ
iである。示されるように、n=3個のLCPG1302を有するビームステアリングユニットは、2
3=8個の離間した回折角を達成し得る。ダブルパス構成では、回折角は、2θに2倍され得る。
【0091】
機械的に作動させる瞳ステアリング機構
いくつかの実施形態では、ヘッドマウントディスプレイシステムは、光学素子の横方向の並進、回転、及び/又はチルトを提供するように機械的に作動される射出瞳ステアリング機構を備える回折反射器を備え得る。いくつかの実施形態では、回折反射器及び関連する画像光プロジェクタは、単一の射出瞳を提供し得る。回折反射器は、複数の回折層を含み得、層のうちの少なくとも1つは、機械的に作動されて、ディスプレイシステムの射出瞳を眼の瞳孔の場所にステアリングし得る。いくつかの他の実施形態では、回折反射器は、2つ以上の射出瞳を備え得る。本明細書で考察されるように、回折反射器は、拡張現実ディスプレイシステムなどのための光学コンバイナの一部であり得る。
【0092】
リズレープリズム式の回折反射器
図16を参照すると、いくつかの実施形態では、機械的に作動される射出瞳ステアリング機構は、リズレープリズム式のアーキテクチャ1600を備え得る。いくつかの実施形態では、リズレープリズム式のアーキテクチャ1600は、複数の回折層、例えば4つの回折層を備え得、回折層のうちの2つが機械的に回転して、ディスプレイデバイスの射出瞳612をシフトさせる。いくつかの実施形態では、リズレープリズム式のアーキテクチャ1600は、ビームステアリングに使用され得る一対のウェッジプリズムを含む、リズレープリズム対とも呼ばれるリズレープリズムの原理に基づいて構造化されている。例えば、一方のウェッジを他方のウェッジに対して回転させると、光ビームの方向が変化するようになっている。ウェッジの角度が同じ方向になると、屈折ビームの角度が大きくなる。ウェッジが反対方向の角度に回転すると、これらのウェッジは打ち消し合い、ビームは、まっすぐに通過することが可能になる。回折層は同様の様式で機能することが理解されよう。いくつかの実施形態では、光学アーキテクチャ1600は、
図6のディスプレイシステムのための回折反射器608などのVRDディスプレイで使用するための回折反射器を形成するために使用され得る
【0093】
いくつかの実施形態では、リズレープリズム式のアーキテクチャ1600は、4つの回折層を備え得、中間の2つの層の各々は、他方に対して回転し、2つの外側層は、静止したままである。リズレープリズム式のアーキテクチャ1600は、反射性又は透過性の回折層を備え得る。いくつかの実施形態では、画像光プロジェクタ602からの入射光ビーム607に最も近い外側層1620は、第1のHOEを備え得る。いくつかの実施形態では、リズレープリズム式のアーキテクチャ1600のアクティブ層(例えば、2つの中間層)は、アクチュエータ(図示せず)による操作に基づいて、所望の光学機能性を提供し得る。いくつかの実施形態では、アクティブ層は、第1のHOE1620からのコリメートされた光に対して作用し得る。いくつかの実施形態では、入射光から最も遠い外側層1622は、第2のHOEを備え得る。いくつかの実施形態では、層1622の第2のHOEは、集束レンズ又は集束プレートを備え得る。いくつかの実施形態では、リズレープリズム式のアーキテクチャは、コンバイナの一部であり得る。いくつかの実施形態では、リズレープリズム式のアーキテクチャ1600の層は、画像光プロジェクタ602からの投影画像におけるアーチファクト又は他の画像欠陥を低減するために、各々に対して角度が付けられ得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、リズレープリズム式のアーキテクチャ1600は、4層以上の回折構造を備える。いくつかの実施形態では、層は、VPH、液晶ベースの位相格子、又は両方の組み合わせを備え得る。とりわけ、アイボックスサイズ、分解能、及びFOVなどの光学アーキテクチャ及びデバイス要件に応じて、異なるタイプの格子が利用され得る。選定された光学アーキテクチャ(例えば、シングルパス、ダブルパス、反射、透過)に応じて、シースルー透明性を補償するための追加の層が必要とされ得る。例えば、シングルパス及びダブルパスのアーキテクチャは、透過格子又は反射格子のいずれか、又は両方の組み合わせを使用して形成され得る。
【0095】
図16を再び参照すると、アーキテクチャ1600は、アクティブなリズレープリズムBSU1624、第1の回折層1620、及び第2の回折1622を備える光学コンバイナを備え得る。リズレープリズム式のアーキテクチャ1600はまた、光をMEMS606に方向付けるレーザ光源604を備える画像光プロジェクタ602を備えてもよい。画像光プロジェクタ602は、1つ以上の追加のレーザ、MEMS、ミラー、ガルバノメータスキャナ、コリメータ、上流の可変焦点部品又は他の光学部品609、611を備え得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、第1のHOE1620は、画像光プロジェクタ602からの光ビーム607がBSU1624に方向付けられるように、光ビーム607のコリメータとして機能し得る。BSU1624は、ユーザの瞳孔614の動きに応答して、光ビーム607が射出瞳610にステアリングされるように、光ビーム607を回折させるように機械的に作動され得る。BSU1624は、シングルパス構成で形成され得、光ビーム607は、画像光プロジェクタ602、第1の回折層1620、及び眼の側からBSU1624に入るとき、又はダブルパス構成でのみ回折され、光ビーム607は、第2の回折層1622と相互作用した後、BSU1624を通過する第1のパスとBSU1624を通過する第2のパスとの両方で回折される。いくつかの実施形態では、第2の回折層1622は、集束レンズとして機能して、光ビーム607を、BSU1624に戻し、かつユーザの眼に向けて反射し得る。いくつかの実施形態では、光ビーム607は、BSU1624及び第2の回折層1622から戻った後、第2のパス上で第1の回折層1620によって影響を受けない。いくつかの実施形態では、光学アーキテクチャ1600は、とりわけ、追加の回折層(例えば、追加のHOE)などの追加の層、及び/又はダイクロイックミラーを備え得る。
【0097】
図17は、
図16のリズレープリズム式のBSU1624の構造の一例を示している。
図17の例示的なBSU1624は、透過性のリズレープリズム式の瞳ステアリング機構を備える。示された実施形態では、BSU1624は、本明細書で考察されるように、シングルパス構成又はダブルパス構成の少なくとも2つの透過回折格子を備える。第1の透過格子1702及び第2の透過格子1704に入射する光ビーム607は、格子の各々を通る透過時に回折され得る。いくつかの実施形態では、回折角は、第1の透過格子1702及び/又は第2の透過格子1704の回転によって変化し得る。例えば、示されるように、第1の配向1702Aから第2の配向1702Bへの第1の格子1702の機械的回転は、第1の格子702を通る透過時に光ビーム607の回折角を変化させ得る。同様に、第1の配向1704Aから第2の配向1704Bへの第2の格子1704の機械的回転は、第2の格子704を通る透過時に光ビーム607の回折角を変化させ得る。第1の透過格子1702及び/又は第2の透過格子1704の回転によって生じる回折角の変化の結果として、射出瞳610の場所は、少なくとも2つの次元でステアリングされ得る。いくつかの実施形態では、第1の透過格子1702及び/又は第2の透過格子1704の回転面は、第1の格子1702及び第2の格子1704を通る光伝播方向に垂直に配向されている。シングルパス構成では、光ビーム607は、BSU1624によって1回のみ回折されることとなるが、ダブルパス構成では、光ビーム607は、BSU1624を通過する第1のパス及び第2のパスの両方で回折され得る。
【0098】
図18は、
図16のリズレープリズム式のBSUの構造の別の例を示している。
図18のBSU1624は、反射リズレープリズム式の瞳ステアリング機構を備える。示された実施形態では、BSU1624は、本明細書で考察されるように、シングルパス構成又はダブルパス構成の少なくとも2つの反射格子を備える。第1の反射格子1802及び/又は第2の反射格子1804に入射する光ビーム607は、各格子の内部側面又は内部表面1806からの反射時に回折され得る。いくつかの実施形態では、格子の内部側面1806は、互いに対面する第1の反射格子1802及び第2の反射格子の側面を指す。いくつかの実施形態では、光ビーム607の回折角は、第1の反射格子1802及び/又は第2の透過格子1804の回転によって変化し得る。例えば、示されるように、第1の配向1802Aから第2の配向1802Bへの第1の格子1802の機械的回転は、第1の格子1802の内部側面1806からの反射時に光ビーム607の回折角を変化させ得る。同様に、第1の配向1804Aから第2の配向1804Bへの第2の格子1804の機械的回転は、第2の格子1804の内部側面1806からの反射時に光ビーム607の回折角を変化させ得る。第1の反射格子1802及び/又は第2の反射格子1804の回転によって生じる回折角の変化の結果として、射出瞳610の場所は、少なくとも2つの次元でステアリングされ得る。いくつかの実施形態では、回転面は、第1の格子1802及び第2の格子1804を通る光伝搬方向に垂直に配向されている。
【0099】
透過格子で形成されたリズレープリズムBSUと、反射格子によって形成されたリズレープリズムBSUと、の正味の光学機能は、格子の配向に応じて同様であり得る。しかしながら、反射格子BSUでは、光は、
図18に示されるように、各格子を通る光の透過時にではなく、隣接する格子の対面する表面からの反射時に回折され得る。
【0100】
図19は、シングルパスリズレープリズム式のBSU1624の光学機能性の一例を示している。コンバイナ1900は、
図16の光学アーキテクチャ1600に関して考察されるように、第1のHOE1604及び第2のHOE1606を備え得る。更に、コンバイナ1900は、シングルパス構成のリズレープリズムBSU1624を備え得る。示されるように、光ビーム607は、第1のHOE1620からBSU1624を通る最初の透過時に1回回折され得る。しかしながら、光607は、第2のHOE1622から戻る、反対側からBSU1624を通る第2の透過時に、BSU1624によって影響を受けない場合がある。光ビーム607の回折は正味の回折として
図19に示されていることが理解されよう。
図17及び18に関連して考察されるように、光ビーム607は、BSU1624内で複数回回折され得、BSU1624内の回折格子の1つ以上の層を通る透過時、又はこれらの層からの反射時に回折され得る。
【0101】
図20は、サブルパスリズレープリズム式のBSU1624の光学機能性の一例を示している。回折反射器2000は、
図16の光学アーキテクチャ1600に関連して考察されるように、第1の回折層1620及び第2の回折層1622を備え得る。本明細書で考察されるように、回折層1620、1622の各々は、HOEを備え得る。いくつかの実施形態では、回折反射器2000は、ダブルパス構成のリズレープリズムBSU1624を備え得る。示されるように、光ビーム607は、第1の回折層1620からBSU1624を通る最初の透過時に1回回折され、かつ第2の回折層1624から戻る、反対側からBSU1624を通る第2の透過時に再び回折され得る。
【0102】
透過型及び反射型の両方のリズレープリズムBSUは、特定のディスプレイデバイスの光学要件に応じて、シングルパス構成又はダブルパス構成で配向され得る。
図17及び18に関連して考察されるように、光ビーム607は、BSU1624内で複数回回折され得、BSU1624内の1つ以上の回折格子を通る透過時、又はこれらの回折格子からの反射時に回折され得る。
【0103】
シフトプレート式の作動
いくつかの実施形態では、回折反射器は、シフトプレート式のBSUを備える射出瞳ステアリング機構を備え得る。いくつかの実施形態では、シフトプレート式のBSUは、2つ以上の回折層を備え得、回折層のうちの1つ以上の横方向シフトは、ディスプレイシステムの射出瞳610(
図6)のシフトをもたらす。
【0104】
いくつかの実施形態では、シフトプレート式のBSUは、ユーザの視線を横切る平面上のX方向及び/又はY方向で、回折反射器の1つ以上の光学素子(例えば、回折層)を横方向に変位させることによって機能し得る。X方向及びY方向はまた、ユーザのFOV内の水平軸及び垂直軸に平行な方向(ユーザの視野の水平軸及び垂直軸に沿った方向など)を指すと理解され得ることが理解されよう。いくつかの実施形態では、シフトプレート式のBSUは、2つ以上の層を必要とし得、層のうちの1つ以上が、他の層に対して移動する。層は、VPH又は反射幾何学的位相レンズ、又は両方の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、世界光補正のための追加の層は、必要とされない。
【0105】
図21は、コリメート型シフトプレートコンバイナを備える例示的な光学アーキテクチャ2100を示している。アーキテクチャ2100は、第1の格子層2120及び第2の格子層2122を備えるBSU2124を備える光学コンバイナを備え得る。光学アーキテクチャ2100はまた、デジタルで窓化された瞳ステアリング範囲全体にわたって光を走査するためのMEMS606に光を方向付ける光源604(例えば、レーザ光源)を備える画像光プロジェクタ602を備えてもよい。画像光プロジェクタ602は、1つ以上の追加の光源(例えば、レーザ)、MEMS、ミラー、ガルバノメータスキャナ、コリメータ、上流の可変焦点部品又は他の光学部品609、611を備え得ることが理解されよう。いくつかの実施形態では、光学アーキテクチャ2100は、
図6のディスプレイシステムのための回折反射器608などのVRDディスプレイで使用するための回折反射器を形成するために使用され得る。
【0106】
いくつかの実施形態では、第1の格子層2120は、第1の格子層2120と第2の格子層2122との間のクロストークを回避するために、光ビーム607の全ての主要光線を急峻な角度でコリメートすることによって機能する第1のHOEを含む。本明細書で使用される場合、クロストークは、格子間の光信号の干渉又は交差を指す。全ての主要光線を集束させる前にコリメートすることは、第2の格子層2122への全ての入射光ビーム607がブラッグマッチし、したがって、高効率で集束された小さな射出瞳610を形成するようになる位置変動に対して、第2の格子層2122が非感受性であることを確実にする。いくつかの実施形態では、第2の格子層2122は、コリメートされた主要光線を射出瞳610に集束させるように機能する第2のHOEを含む。いくつかの実施形態では、X方向及びY方向における第2の格子層2122の機械的な並進は、ユーザの眼の検出された場所に基づいて、光ビーム607を射出瞳610にステアリングするために使用される。いくつかの実施形態では、X方向及びY方向における第2の格子層2122の機械的な並進は、1:1の関係で射出瞳610を移動させる。換言すれば、射出瞳610は、第2の格子層2122のX方向及びY方向における対応する移動と等しい距離だけX方向及びY方向に移動する。いくつかの実施形態では、第1の格子層2120は、光ビーム607の回折が第1の格子層2120を通る光ビーム607の透過時に生じるような透過型HOEを含み得る。いくつかの実施形態では、第2の格子層2122は、光ビーム607の回折が第2の格子層2120からの光ビーム607の反射時に生じるような反射型HOEを含み得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、コリメート型シフトプレート配置では、射出瞳610の変位は、第2の格子2122の変位に1:1の比で比例する。コリメート型シフトプレート配置の単純な構造の結果として、コリメート型シフトプレート配置を使用して、高効率で単純なディスプレイシステムを形成し得る。いくつかの実施形態では、3色投影(RGB)を使用するとき、コリメート型シフトプレートの瞳ステアリングは、90%を超える総電力効率をもたらし得る。更に、本明細書で考察されるように、コリメート型シフトプレート配置は、光学クロストークを回避し得、これにより、アーチファクトが低減され、光学システムの全体的な視覚的品質が向上する。最後に、いくつかの実施形態では、コリメート型シフトプレート配置は、ユーザエクスペリエンスを悪化させることになり得る瞳収差を最小限に抑えるか、又は排除し得る。
【0108】
図22は、
図21に示されるもののようなコリメート型シフトプレート回折反射器を使用して達成され得る様々な瞳ステアリング位置を示している。いくつかの実施形態では、コリメート型シフトプレートビームステアリング機構を備えるコンバイナは、X方向及びY方向における約8mm×8mmの面積にわたって射出瞳をステアリングすることが可能であり得る。しかしながら、ステアリング範囲は、シフトプレートの作動範囲に基づいて、拡張又は制限されてもよい。
図22は、第1の格子2120及び第2の可動格子2122を備えるBSU2124によって、3つの異なる例示的なY軸射出瞳位置610A、610B、及び610Cにステアリングされている、画像光プロジェクタ602からの光ビーム607の主要光線を示している。
【0109】
図23は、
図21のシフトプレートBSUの体積位相ホログラフィック格子構造の例を示している。体積位相ホログラフィック格子構造は、コリメート型シフトプレート回折反射器を形成し得る。いくつかの実施形態では、第1の格子層2120は、透過VPHを含み得る。いくつかの実施形態では、
図23に示されるように、光ビーム607は、例えばビームスプリッタによって、オブジェクトビーム2302として既知の一方と、参照ビーム2304としての他方と、の2つのビームに分割され得る。透過VPHは、第1の格子層2120上に
図23に示されるように、オブジェクトビーム2302及び参照ビーム2304が同じ側からVPHに入射するVPHである。いくつかの実施形態では、第2の格子層2122は、反射VPHを含み得る。反射VPHでは、第2の格子2122上に
図23に示されるように、オブジェクトビーム2302及び参照ビーム2304が反対側からVPHに入射し得る。いくつかの実施形態では、第1の格子2120及び/又は第2の格子2122は、所望の光学機能を提供するための、集束レンズ2306などの追加の光学素子を具備する。
【0110】
パワー型シフトプレート式の作動
いくつかの実施形態では、回折反射器は、パワー型シフトプレート式のBSUを備える射出瞳ステアリング機構を備え得る。いくつかの実施形態では、パワー型シフトプレート式のBSUは、2つ以上の回折層を備え得、回折層のうちの1つ以上の横方向シフトは、ディスプレイデバイスの射出瞳610(
図6)のシフトをもたらす。
【0111】
いくつかの実施形態では、パワー型シフトプレートBSUは、修正されたアルバレスレンズ配置の少なくとも2つの透過型屈折プレート又は格子を備え得る。従前のアルバレスレンズでは、各格子は、二次元立方体プロファイルで成形された、平坦な表面及び反対側の表面を有する。隣接する格子の立方体表面は、両方の格子が光軸上にこれらの格子の頂点を具備する場合に、各格子の誘起された位相変動が隣接する格子によって打ち消されるように、互いに逆方向に成形されている。しかしながら、2つのプレートが相対的な横方向の並進を経る場合、立方体表面プロファイルの微分である位相変動が導入され、二次位相プロファイル(例えば、光学パワー)をもたらす。したがって、X方向又はY方向における相対的な並進は、直交する方向同士において独立して円筒形のパワーを誘起するのに対して、組み合わされた移動は、円形、楕円形、又は円筒形の位相プロファイルを生成し得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、パワー型シフトプレート式のBSUは、標準のアルバレスレンズのバリエーションを備え得る。例えば、BSUは、各々が二次位相を有する2つ以上の回折レンズを備え得る。隣接する格子が互いに対してX方向又はY方向に並進又はシフトされると、格子は、線形格子関数を生成する。この関数を使用して、二次元のビームステアリングをもたらし得る。いくつかの実施形態では、コリメート型シフトプレートアーキテクチャとは対照的に、パワー型シフトプレートBSUは、隣接する格子間のビームをコリメートしない。しかしながら、パワー型シフトプレートBSUは、光ビーム607(
図6)の波面発散を変化させ得る。
【0113】
図24は、パワー型シフトプレートコンバイナを備える例示的な光学アーキテクチャを示している。アーキテクチャ2400は、第1の格子層2420及び第2の格子層2422を備えるBSU2424を備える、光学コンバイナの一部であり得る回折反射器を備え得る。光学アーキテクチャ2400はまた、画像光を異なるBSU2424に反射するように配置されたMEMS606に画像光を方向付けるように構成された光源604(例えば、レーザ光源)を備える画像光プロジェクタ602を備えてもよい。いくつかの実施形態では、MEMS606は、可動であり、例えば、回転して、デジタルで窓化された瞳ステアリング範囲全体にわたって光を走査するように、構成され得る。画像光プロジェクタ602は、1つ以上の追加のレーザ、MEMS、ミラー、ガルバノメータスキャナ、コリメータ、上流の可変焦点、ビームスプリッタ、又は他の光学部品609、611を備え得る。いくつかの実施形態では、画像光プロジェクタ602からの光ビーム607は、画像光プロジェクタ607の瞳の中心から発せられる光線とブラッグマッチする。いくつかの実施形態では、光学アーキテクチャ2400は、
図6のディスプレイシステムのための回折反射器608などのVRDディスプレイで使用するための回折反射器を形成するために使用され得る
【0114】
いくつかの実施形態では、第1の二次位相格子2420は、静止していてもよく、特定の焦点距離Fを有する光ビーム607の全ての主要光線を発散させてもよく、選定される焦点距離Fは、回折反射器の所望の光学特性に依存する。焦点距離Fの全ての主要光線を集束させる前に発散させることは、クロストークを軽減し得、第2の二次位相格子2422は、第2の二次位相格子2422への全ての入射光ビーム607がブラッグマッチし、したがって、高効率で集束された小さな射出瞳610を形成するようになる、位置変動に対して非感受性であり得る。いくつかの実施形態では、第2の二次位相格子2422は、発散した主要光線を射出瞳610に集束させる。いくつかの実施形態では、X方向及びY方向における第2の格子層2422の機械的な並進は、ユーザの眼の検出された場所に基づいて、光ビーム607を射出瞳610にステアリングするために使用される。いくつかの実施形態では、X方向及びY方向における第2の二次位相格子2422の機械的な並進は、1:1又は1:>1の関係で射出瞳610を移動させる。例えば、射出瞳610は、第2の二次位相格子2422のX方向及びY方向における対応する移動として、X方向及びY方向に等しい又はより大きい距離だけ移動し得る。いくつかの実施形態では、第1の二次位相格子2420は、光ビーム607の回折が第1の二次位相格子2420を通る光ビーム607の透過時に生じるような透過型VPHを含み得る。いくつかの実施形態では、第2の格子2422は、光ビーム607の回折が第2の二次位相格子層2422からの光ビーム607の反射時に生じるような反射型VPHを含み得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、パワー型シフトプレート配置では、射出瞳610の変位は、第2の二次位相格子2422の変位に1:1又は>1:1の比で比例する。いくつかの実施形態では、射出瞳610の移動と第2の二次位相格子2422の移動との比は、約1.00:1、約1.05:1、約1.10:1、約、1.15:1、約1.20:1、約1.25:1、約1.30:1、約1.35:1、約1.40:1、約1.45:1、約1.50:1、約1.55:1、約1.60:1、約1.65:1、約1.70:1、約1.75:1、約1.80:1、約1.85:1、約1.90:1、約1.95:1、約2.00:1、約2.05:1、約2.10:1、約2.15:1、約2.20:1、約2.25:1、約2.30:1、約2.35:1、約2.40:1、約2.45:1、約2.50:1、約2.55:1、約2.60:1、約2.65:1、約2.70:1、約2.75:1、約2.80:1、約2.85:1、約2.90:1、約2.95:1、約3.00:1、又は前述の値のいずれかの間の値であり得る。
【0116】
コリメート型シフトプレートBSUと比較して、パワー型シフトプレートBSUは、射出瞳610の移動と第2の二次位相格子2422の移動との>1:1の比に起因して有利であり得る。結果として、第2の二次位相格子2422の相対的に小さな移動は、射出瞳610のある一定の距離の移動を誘起し得、コリメート型シフトプレートBSUで射出瞳610を同じ距離移動させれば、第2の格子2144のより大きな移動を必要とするであろう。更に、本明細書で考察されるように、パワー型シフトプレート配置は、有利なことに、光学クロストークを軽減し得、これにより、アーチファクトが低減され、光学システムの全体的な視覚的品質が向上する。瞳収差の発生は、パワー型シフトプレートBSUで低減又は排除され得る。しかしながら、パワー型シフトプレートBSUは、コリメート型シフトプレートBSUよりも複雑な構造を有し、一般に、3色投影(RGB)を使用する場合、約60%のより低い効率を有する。
【0117】
図25は、
図24に示されるもののような、パワー型シフトプレートコンバイナを使用して達成され得る瞳ステアリング位置の様々な例を示している。いくつかの実施形態では、パワー型シフトプレートビームステアリング機構を備えるコンバイナは、X方向及びY方向における約8mm×8mmの面積にわたって射出瞳をステアリングすることが可能であり得る。しかしながら、ステアリング範囲は、シフトプレートの作動範囲に基づいて、拡張又は制約されてもよい。
図25は、第1の格子2420及び第2の可動格子2422を備えるBSU2424によって、3つの異なる例示的なY軸射出瞳位置610A、610B、及び610Cにステアリングされている、画像光プロジェクタ602からの光ビーム607の主要光線を示している。
【0118】
図26は、
図24のシフトプレートBSUの例示的な体積位相ホログラフィック格子構造を示している。いくつかの実施形態では、
図23に示されるように、光ビーム607は、例えばビームスプリッタによって、オブジェクトビーム2302及び参照ビーム2304に分割され得る。いくつかの実施形態では、第1の格子層2420は、透過VPHを含み得る。いくつかの実施形態では、第2の格子層2422は、反射VPHを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の格子層2420及び/又は第2の格子層2422は、所望の光学機能を提供するための、集束レンズ2306などの追加の光学素子を具備する。
図26に示されるように、2つのオブジェクトビームの焦点における小さな軸外オフセットは、第2の格子層2422からの反射回折後の第1の格子層2420との第2のパス相互作用に対するクロストークを回避するために必要である。
【0119】
第2の格子層2422が射出瞳610をステアリングするために横方向にのみシフトされ得るパワー型シフトプレートの代替として、
図27A及び27Bは、本明細書のいくつかの実施形態による、チルト及びシフトパワー型シフトプレートコンバイナを使用して達成され得る様々な例示的な瞳ステアリング位置を示す。チルト及びシフトパワー型シフトプレートアーキテクチャは、
図24の光学アーキテクチャ2400と同一のアーキテクチャを有し得る。しかしながら、チルト及びシフトパワー型シフトプレートBSUでは、第2の二次位相格子層2422は、ユーザ又は観覧する者の眼に向かって、又はこの眼から離れるように横方向にシフトし、又は傾斜するように作動されてもよい。いくつかの実施形態では、横方向のシフトは、FOVのX次元及びY次元における格子層の移動を指すが、チルトは、光学Z軸における格子の移動を指し、格子の一部分は、ユーザ又は観覧する者に向かってチルトし、格子の別の部分は、観覧する者のユーザから離れてチルトする。
【0120】
図27Aは、チルト及びシフトパワー型シフトプレートBSU2424の瞳ステアリング位置を示している。いくつかの実施形態では、第2の二次位相格子層2422は、X方向に約1.0mm、又は左方向に約0.5mm、及び右方向に約0.5mmの横方向シフト範囲と、観覧する者から約4度、又は約2度、及び観覧する者に向かって約2度のチルトシフト範囲と、を有する。
図27Bは、チルト及びシフトパワー型シフトプレートBSU2424の瞳ステアリング位置を示しており、第2の二次位相格子層2422は、観覧する者から6度、又は約3度、及び観覧する者に向かって約3度のチルトシフト範囲を有する。
【0121】
いくつかの実施形態では、チルト及びシフトパワー型シフトプレートビームステアリング機構を備える回折反射器は、X方向及びY方向における約8mm×8mmの面積にわたって射出瞳をステアリングすることが可能であり得る。しかしながら、ステアリング範囲は、シフトプレートのシフト及びチルト作動範囲に基づいて、拡張又は低減されてもよい。
図27A及び27Bは、第1の格子層2420及び第2の可動格子層2422を備えるBSU2424によって、異なる例示的なY軸射出瞳位置610A、610B、610C、610D、610E、及び610Fにステアリングされている、画像光プロジェクタ602からの光ビーム607の主要光線を示している。
【0122】
図24の例示的なパワー型シフトプレートアーキテクチャ2400と、
図27A及び27Bのチルト及びシフトパワー型シフトプレートアーキテクチャは、2つの回折格子層を利用して射出瞳610をステアリングするが、回折素子のより複雑な構成を利用して、所望の射出瞳変換のための機械的変換の頻度及び/又は距離を低減してもよい。例示的な構成が、ダブルパスパワー型シフトプレートコンバイナの光学構造を例証する
図28に示されている。ダブルパスパワー型シフトプレートコンバイナは、低RGBクロストーク、低瞳収差、及び有利な射出瞳ステアリング機械的変換比を有する光学アーキテクチャを提供し得る。
【0123】
図28を参照すると、光学構造を通る光の伝搬の例を示す、ダブルパスパワー型シフトプレートBSUの光学アーキテクチャ2800の例が示されている。アーキテクチャ2800は、例えば、光をMEMS606に方向付けるレーザ光源604を備え得る画像光プロジェクタ602(
図6)からの投影光ビーム607に対して作用し得る。画像光プロジェクタ602は、1つ以上の追加の光源(例えば、レーザ)、MEMS、ミラー、ガルバノメータスキャナ、コリメータ、上流の可変焦点部品又は他の光学部品609、611を備え得る。いくつかの実施形態では、光ビーム607は、左旋円偏光802を含み得る。
【0124】
アーキテクチャ2800は、第1のVPH層2802及び第1の偏光レンズ層2804を備え得、これらは、組み合わせで機能して、偏光スイッチ2806に向けて光ビーム607をコリメートする。偏光スイッチ2806は、光ビーム607を文字偏光を有する光に選択的に変換するか、又は偏光を変化させずに光を単に透過することによって機能する。例えば、偏光スイッチ2806は、左旋円偏光802を有する光を単に透過し得るか、又は光を、右旋円偏光804を有するその光に変換し得る。次いで、左旋円偏光802又は右旋円偏光804は、偏光スイッチ2806から第2の偏光レンズ2808及び第3の偏光レンズ2810に方向付けられる。いくつかの実施形態では、第2の偏光レンズ2808は、コリメートされた左旋円偏光802を集束させるか、又はコリメーションされた右旋円偏光804を発散させる光学機能を有する。
【0125】
第2の偏光レンズ2808からの光は、第3の偏光レンズ2810に方向付けられ、第3の偏光レンズ2810は、第2の偏光レンズ2808に対して機械的にシフト及び/又はチルトして、光を射出瞳610に動的にステアリングするように構成されている。第3の偏光レンズ2810は、本明細書に記載の機械的ステアリング機構のいずれかを使用してシフト及び/又はチルトされ得るが、好ましくは、パワー型シフトプレートアプローチを使用してシフト及び/又はチルトされる。第3の偏光レンズ2810からの光は、四分の一波長板を含み得る波長板2814と、光学アーキテクチャ2800を通して光を戻すように反射し得る反射器2812と、に方向付けられる。
【0126】
偏光スイッチ2806を通過する第2のパス上で、光は、左旋円偏光802に切り替えられ、第1の偏光レンズ2804に方向付けられる。第1の偏光レンズ2804は、光ビーム607を眼のステアリングされた射出瞳610に集束させる。いくつかの実施形態では、第1の偏光レンズ2804、第2の偏光レンズ2808、及び第3の偏光レンズ2810の各々は、HOEを含み得る。
【0127】
図29は、本明細書におけるいくつかの実施形態による、ダブルパスパワー型シフトプレートコンバイナの様々な瞳ステアリング位置を示している。
図29は、光学アーキテクチャ2800によって3つの異なる例示的なY軸射出瞳位置610A、610B、610Cにステアリングされている、画像光プロジェクタ602からの光ビーム607の主要光線を示している。
【0128】
図29の示される実施形態は、わずか約0.50mmの機械的な並進の範囲を使用して、X方向に約8mm、又は左方向に約4mm、及び右方向に約4mmの射出瞳シフト範囲を誘起することが可能であり得る。したがって、ダブルパスパワー型シフトプレートコンバイナは、機械的な格子移動と機械的な格子移動との約16:1の比を有し得る。いくつかの実施形態では、ダブルパスパワー型シフトプレートコンバイナは、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、約10:1、約11:1、約12:1、約13:1、約14:1、約15:1、約16:1、約17:1、約18:1、約19:1、約20:1、約21:1、約22:1、約23:1、約24:1、約25:1、約26:1、約27:1、約28:1、約29:1、約30:1、約31:1、約32:1、約33:1、約34:1、約35:1、約36:1、約37:1、約38:1、約39:1、約40:1、約41:1、約42:1、約43:1、約44:1、約45:1、約46:1、約47:1、約48:1、約49:1、約50:1、又は前述の値のいずれかの間の、射出動移動と機械的な格子移動との比を有し得る。
【0129】
ソフトウェア統合
図2を参照して本明細書で考察されるように、本明細書で考察される光学アーキテクチャは、ディスプレイシステム62の一部として光学コンバイナ内に統合され得る。ディスプレイシステム62は、ハードウェアプロセッサと、非揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスクドライブ)などのデジタルメモリと、を備えてもよく、両方とも、データの処理、キャッシング、保存の支援を行うのに利用され得る。データには、a)画像撮影デバイス(カメラなど)、マイクロフォン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、ジャイロ、及び/又は、本明細書に開示の他のセンサなど、(例えば、フレーム64に対して動作可能に結合されるか、又はユーザ60に別様に取り付けられ得る)センサから捕捉されたデータ、及び/又は、b)場合によっては、そのような処理又は検索後のディスプレイ62への通過のための、(仮想コンテンツに関するデータを含む)遠隔処理モジュール72及び/又は遠隔データリポジトリ74を使用して取得及び/又は処理されたデータ、が含まれる。ローカル処理及びデータモジュール70は、有線又は無線通信リンクを介するなど、通信リンク76、78により、遠隔処理モジュール72及び遠隔データリポジトリ74に対して動作可能に結合され得ることにより、これらの遠隔モジュール72、74が互いに対して動作可能に結合され、ローカル処理及びデータモジュール70へのリソースとして利用可能となる。
【0130】
図30は、本明細書におけるいくつかの実施形態による、ディスプレイデバイスにおけるステアリングされた射出瞳上に画像を生成するための例示的な高レベルプロセスのフローチャートを示している。3002において、ユーザの一方又は両方の眼は、例えば、カメラアセンブリ82のビデオベースの眼追跡システムによって追跡され得る(眼追跡データを生成するための
図60)。眼追跡データは、処理モジュール70又は72に送信され得、処理モジュール70又は72は、内側の対面する撮像システムによって取得された画像情報を処理して、例えば、ユーザ60の眼の瞳孔の直径若しくは向き、眼の動き、又は眼の姿勢を、判定し得る。いくつかの実施形態では、処理モジュール70又は72は、眼追跡データに従って射出瞳をステアリングするために、3004において射出瞳ステアリングを実行するための、例えば本明細書で考察されるような、瞳ステアリング作動機構及び画像光プロジェクタの、コントローラを備え得る。最後に、コントローラは、ステアリングされた射出瞳の場所に従って、3006においてレンダリング及び/又は画像補正を実行して、ユーザの眼に画像を提供し得る。例えば、射出瞳シフトは、投影画像の角度内容の変化を誘起し得る。したがって、いくつかの実施形態では、画像の幾何学的歪み及びシフトを、瞳ステアリングとともに調整されるように実行することが必要とされ得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム62は、複数のプロセスを並列に監視、開始、及び完了して、画像をステアリングされた射出瞳に迅速かつ正確にデリバリするための1つ以上のコントローラ(例えば、処理モジュール70又は72中)を備え得る。
図31は、本明細書におけるいくつかの実施形態による、ディスプレイデバイスにおけるステアリングされた射出瞳上に画像を生成するための例示的なワークフロープロセスのフローチャートを示している。いくつかの実施形態では、1つ以上のコントローラは、様々な他のプロセス及びディスプレイデバイス62の全体的な機能性を管理するマスタプロセス3100を制御するように構成され得る。いくつかの実施形態では、マスタプロセス3100は、例えば、データモジュール70又は遠隔データデポジトリ74から、3102において画像又は複数の画像をロードすることを含み得る。マスタプロセス3100はまた、例えば、瞳ステアリングのための機械的又は電子的作動を提供するためのモータプロセス3112、画像を投影し、かつ画像補正を提供するための投影プロセス3120、及び/又はユーザ又は観覧する者60の眼を追跡するための眼追跡プロセス3130を含む、様々な他のプロセスを3104において生成してもよい。マスタプロセス3100はまた、3106において画像を表示すること、及び/又は3108において他のプロセスを終了又は停止することを含んでもよい。マスタプロセスは、3110において終了又は停止し得る。
【0132】
モータプロセス3112は、適正な画像投影及び瞳ステアリング機能性を提供するための、例えばMEMS、機械式アクチュエータ、及び/又は電気回路を含むディスプレイデバイス62内の様々な機構を制御し得る。いくつかの実施形態では、モータプロセスは、機械式アクチュエータを起動して、ディスプレイデバイス62内の1つ以上のステージを移動させて、回折反射器の回折層の移動を提供することを含み得る。例えば、モータプロセス3112は、受信された眼追跡データ及び/又はマスタプロセス3100からの命令に基づいて、3114においてステージ制御機構を開始することを含み得る。3116において、モータプロセスは、1つ以上のステージを所望の位置に移動させて、適正な射出瞳ステアリングを可能にし得る。最後に、3118において、モータプロセス3112は、例えば、ステージが、ユーザ60の眼の場所にマッチする射出瞳に画像を方向付けるようにシフトされている場合、ステージ制御を完了し得る。
【0133】
独立して、又はモータプロセス3112と並列に、投影プロセス3120は、眼追跡データ及び/又はマスタプロセス3100から受信された命令に基づいて、画像を補正及び投影することを含み得る。例えば、投影プロセス3120は、3122において、画像に色補正を適用することを含み得る。光学シースルーディスプレイでは、背景オブジェクトから到来した光がディスプレイから発せられる光と混合し、色ブレンド問題として知られていることを生じさせる。色ブレンドは、デジタルコンテンツの読みやすさ及び色符号化に影響を与えるため、そのようなディスプレイのユーザビリティに悪影響を及ぼす。したがって、色ブレンドは、特に屋外で使用される場合、そのようなデバイスのユーザビリティに影響を与えるため、色補正は、ヘッドマウントディスプレイシステムに望ましい場合がある。色補正は、背景と混合されると、元々意図された色をもたらす代替の表示色を見つけることによって、色ブレンドの影響を軽減することを目的としている。拡張現実ディスプレイシステムにおける別の潜在的な問題は、画像歪みであり、画像歪みは、ディスプレイに組み込まれた特定のディスプレイアーキテクチャに応じて生じ得る。したがって、いくつかの実施形態では、3124において、投影プロセス3120は、ディスプレイデバイス62の光学アーキテクチャによって生じる画像歪みを相殺又は無効化し得る画像歪みを適用することを含み得る。いくつかの実施形態では、色補正及び画像歪みを提供した後、3126において、適正な1つ以上の画像が提供され得るか、又は投影され得る。最後に、3128において、適正な1つ以上の画像が3128においてユーザに表示され得る。
【0134】
本明細書で考察されるように、小型の射出瞳ヘッドマウントディスプレイは、射出瞳がユーザの瞳孔の正確な位置にステアリングされ得るように、正確で高速の瞳孔追跡を必要とし得る。したがって、モータプロセス3112及び投影プロセス3120と独立して、又は並列に、眼追跡プロセス3130は、3132において、ユーザ又は観覧する者60の瞳孔位置を定位することを含み得る。瞳孔位置は、例えば、カメラアセンブリ82(
図6)を備える内側の対面する撮像システムによって定位され得る。
【0135】
図32は、本明細書におけるいくつかの実施形態による、ディスプレイシステムにおけるステアリングされた射出瞳に画像を生成するための、例示的な並列ワークフロープロセス及びそれらの接続の図を示している。いくつかの実施形態では、適正な画像生成及び投影、眼追跡、及び瞳ステアリングを可能にするためのデータ及び/又は命令が、様々なプロセス間で転送され得る。例えば、マスタプロセス3100は、モータプロセス3112、投影プロセス3120、及び/又は眼追跡プロセス3130を生成し得る。上述したように、眼追跡プロセス3130は、ユーザ又は観覧する者60の眼の瞳孔を定位することを含み得る。
図32に示されるように、3134において、瞳孔の判定された場所を含むデータが、マスタプロセスに伝送され得る。瞳孔位置を受信することに応答して、3136において、マスタプロセスは、モータプロセス3112を生成し、かつ/又はモータプロセス3112に命令を発行し得、命令は、ディスプレイデバイス62のビームステアリング機構の作動を開始及び完了するための速度、位置決め、及び/又は電気作動仕様を含む。いくつかの実施形態では、3136におけるモータプロセス3112への命令の発行と同時又は順次に、マスタプロセス3100はまた、投影プロセス3120を生成し、かつ/又は3138における投影プロセス3120を容易にするためのデータ及び命令を伝送してもよく、命令は、ステアリングされた射出瞳の予測位置を含む。いくつかの実施形態では、命令を受信することに応答して、投影プロセス3120は、予測された射出瞳位置に基づいて、色補正及び画像歪みを適用して、ディスプレイデバイス62内でユーザ又は観覧する者60に表示するための適正な画像を提供し得る。
【0136】
いくつかの実施形態では、モータプロセス3112がディスプレイデバイス62のビームステアリング機構の作動を完了すると、3140において、射出瞳の実際のステアリングされた位置を含むデータが、マスタプロセス3100に伝送され得る。このデータは、射出瞳の実際の位置に基づいて、更なる色補正及び画像歪みが適用され得るように、投影プロセス3120に伝送され得る。上記のプロセス及び接続が例であること、及び本明細書に記載のプロセスは1つ以上の処理モジュール70又は72を介して制御され得ることが、当業者によって理解されよう。
【0137】
図33は、ステアリングされた射出瞳の画像を表示するためのプロセスのフローチャートの一例を示している。特に、
図33は、画像を表示する前に画像が事前に較正される、ステアリングされた射出瞳画像表示プロセス3300を示している。いくつかの実施形態では、3302において、静止画像が、例えば、ローカル処理及びデータモジュール70又は遠隔データデポジトリ74からロードされ得る。いくつかの実施形態では、3304において、例えば、カメラアセンブリ82(
図6)、MEMS、機械式アクチュエータ、画像光プロジェクタ、及び/又は電気回路などのハードウェアが起動され得る。いくつかの実施形態では、3306において、画像歪みが適用され得る。いくつかの実施形態では、画像歪みは、瞳孔位置の関数として適用され得る。追加的に、いくつかの実施形態では、画像歪みが適用された後、様々な瞳孔位置のための関心領域(ROI)画像コピーが作成及び記憶され得る。いくつかの実施形態では、3308において、色補正が適用され得る。いくつかの実施形態では、色補正は、瞳孔位置の関数として適用され得る。追加的に、いくつかの実施形態では、色補正が適用された後に、様々な瞳孔位置のためのROI画像コピーが作成及び記憶され得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、3310において、ユーザ又は観覧する者60の瞳孔位置が判定され得る。例として、カメラアセンブリ82(
図6)は、ユーザ又は観覧する者の眼の画像を取得し、かつ画像に基づいて瞳孔位置を判定し得る1つ以上の処理モジュール70又は72に画像を伝送するように構成され得る。いくつかの実施形態では、瞳孔半径までのビン位置が判定され得る。いくつかの実施形態では、3312において、瞳孔位置が判定されると、瞳ステアリング機構が作動されて、射出瞳をユーザ又は観覧する者60の判定された瞳孔位置に移動させ得る。いくつかの実施形態では、詳細に上述したように、ビームステアリングユニットの1つ以上の格子が、二次元で機械的に並進されて、瞳位置を移動させ得る。いくつかの実施形態では、3314において、ユーザ又は観覧する者60の瞳孔位置に基づいて、記憶されたROI画像コピーから適正な画像が選択され得る。最後に、3316において、画像を投影して、ステアリングされた射出瞳においてユーザ又は観覧する者60に表示し得る。このプロセスは、3318において終了し得る。
【0139】
上述のプロセスは、瞳孔位置の関数として判定されるビームステアリング構成要素の画像歪み、色補正、及び機械的な並進を必要とし得る。いくつかの実施形態では、上記のプロセスは、より単純でより高速の表示ループを可能にし得、表示ループは、瞳孔追跡、射出瞳ステアリング、及び画像表示ループを指す。しかしながら、いくつかの実施形態では、上記のプロセスは、瞳孔位置に基づいて適正な画像が選択され得る較正されたROI画像コピーの大規模な記憶を必要とし得る。示された実施形態は、単一の静止画像のロードについて記載しているが、記憶される画像の量は、表示のための画像の数とともに線形に増加するであろうが、静止画像又は動画像のシーケンスも較正及び表示され得ることが理解されよう。
【0140】
図34は、本明細書におけるいくつかの実施形態による、ステアリングされた射出瞳上に画像を表示する別の例示的なプロセスのフローチャートを示している。特に、
図34に示されるプロセス3400は、事前較正プロセス3300とは対照的に、自動的で応答性の高い画像較正を対象とする。
【0141】
いくつかの実施形態では、3402において、画像、画像のシーケンス、又はビデオが、例えば、ローカル処理及びデータモジュール70又は遠隔データデポジトリ74からロードされ得る。いくつかの実施形態では、3404において、例えば、カメラアセンブリ82、MEMS、リニアアクチュエータ、レーザプロジェクタ、及び/又は電気回路などのハードウェアが始動され得る。いくつかの実施形態では、3206において、ユーザ又は観覧する者60の瞳孔位置が判定され得る。例として、カメラアセンブリ82は、ユーザ又は観覧する者の眼の画像を取得し、かつ画像に基づいて瞳孔位置を判定し得る1つ以上の処理モジュール70又は72に画像を伝送するように構成され得る。いくつかの実施形態では、瞳孔半径までのビン位置が判定され得る。いくつかの実施形態では、3408において、瞳孔位置が判定されると、瞳ステアリング機構が作動されて、射出瞳をユーザ又は観覧する者60の判定された瞳孔位置に移動させ得る。いくつかの実施形態では、詳細に上述したように、ビームステアリングユニットの1つ以上の格子が、二次元で機械的に並進されて、瞳位置を移動させ得る。いくつかの実施形態では、3410において、画像ROIが、瞳孔位置の関数として選択され得る。画像ROIが選択されると、画像歪み及び色補正が、それぞれ、3412及び3414において、瞳孔位置の関数として、画像ROIに適用され得る。最後に、3416において、画像は、射出瞳においてユーザ又は観覧する者60に表示され得る。このプロセスは、3418において終了する。
【0142】
上述のプロセスは、瞳孔位置の関数として判定されるビームステアリング構成要素の画像歪み、色補正、及び機械的な並進を必要とし得る。プロセス3300とは対照的に、プロセス3400は、様々な種類の画像又はビデオの入力を受け入れるように容易に適合され得る。しかしながら、画像較正は、前処理ステップ中ではなく追跡された瞳孔の動きに応答して完了することから、表示プロセス3400は、ユーザ又はビュー60に適正な画像を提供するために、相対的に高速の動き追跡、瞳ステアリング、及び画像補正を必要とし得る。一方、複数の事前較正されたROI画像は、一般に、プロセス3400を使用して記憶される必要がないことから、大量の記憶装置を必要としない。
【0143】
機械及び光学システムの統合
上述したように、本明細書に記載のディスプレイシステムは、瞳ステアリング機構のうちの1つ以上を備えるビームステアリングユニットを備える回折反射器を備え得る。いくつかの実施形態では、瞳ステアリング機構は、1つ以上の機械的に作動される回折格子を備え得る。いくつかの実施形態では、機械的に作動される回折格子は、VPHを含む。
【0144】
図35は、本明細書におけるいくつかの実施形態による例示的な機械的に作動される回折反射器アセンブリを示している。回折反射器アセンブリ3500は、回折反射器3504(例えば、光学コンバイナ)に結合されたアクチュエータアセンブリ3502を備え得る。回折反射器3504は、本明細書に記載の光学アーキテクチャ及び/又は回折反射器アーキテクチャのいずれかを備え得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータアセンブリは、回折反射器3504内で瞳ステアリング機構を作動させるための1つ以上のリニアアクチュエータを含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のリニアアクチュエータは、電気リニアアクチュエータを含み得る。電気リニアアクチュエータは、AC又はDCモータの回転運動を直線運動に変換し得ることが理解されよう。直線運動は、所望のビームステアリング位置を達成するために、回折反射器3504内で格子を持ち上げる、落下させる、スライドさせる、調整する、チルトさせる、押す、又は引くことができる。例えば、直線運動は、プロジェクタからの光が所望の位置で射出瞳にステアリングされるように、回折反射器3504内の回折格子の並進、回転、及び/又はチルトを生じさせ得る。リニアアクチュエータアセンブリ3502は、1つ以上のコントローラを介して制御され得る。例えば、リニアアクチュエータアセンブリは、ディスプレイデバイス62の処理モジュール70及び/又は72で制御され得る。
【0145】
いくつかの実施形態では、回折反射器3604は、アクチュエータアセンブリ3502に結合する取り付け部分3506と、ディスプレイ部分3508と、を備え得、光学アーキテクチャの大部分が収容され、回折反射器3504の光学機能が一般に実行される。
【0146】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ部分3508は、約50mmの長さ及び33mmの高さを含み得、
図35では、長さは、ディスプレイ部分3508の水平次元又はX方向を含み、高さは、ディスプレイ部分3508の垂直次元又はY方向を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ部分3508の長さは、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm、約14mm、約15mm、約16mm、約17mm、約18mm、約19mm、約20mm、約21mm、約22mm、約23mm、約24mm、約25mm、約26mm、約27mm、約28mm、約29mm、約30mm、約31mm、約32mm、約33mm、約34mm、約35mm、約36mm、約37mm、約38mm、約39mm、約40mm、約41mm、約42mm、約43mm、約44mm、約45mm、約46mm、約47mm、約48mm、約49mm、約50mm、約51mm、約52mm、約53mm、約54mm、約55mm、約56mm、約57mm、約58mm、約59mm、約60mm、約61mm、約62mm、約63mm、約64mm、約65mm、約66mm、約67mm、約68mm、約69mm、約70mm、約71mm、約72mm、約73mm、約74mm、約75mm、約76mm、約77mm、約78mm、約79mm、約80mm、約81mm、約82mm、約83mm、約84mm、約85mm、約86mm、約87mm、約88mm、約89mm、約90mm、約91mm、約92mm、約93mm、約94mm、約95mm、約96mm、約97mm、約98mm、約99mm、約100mm、又は前述の値のいずれか間の値であり得る。
【0148】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ部分3508の高さは、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm、約14mm、約15mm、約16mm、約17mm、約18mm、約19mm、約20mm、約21mm、約22mm、約23mm、約24mm、約25mm、約26mm、約27mm、約28mm、約29mm、約30mm、約31mm、約32mm、約33mm、約34mm、約35mm、約36mm、約37mm、約38mm、約39mm、約40mm、約41mm、約42mm、約43mm、約44mm、約45mm、約46mm、約47mm、約48mm、約49mm、約50mm、約51mm、約52mm、約53mm、約54mm、約55mm、約56mm、約57mm、約58mm、約59mm、約60mm、約61mm、約62mm、約63mm、約64mm、約65mm、約66mm、約67mm、約68mm、約69mm、約70mm、約71mm、約72mm、約73mm、約74mm、約75mm、約76mm、約77mm、約78mm、約79mm、約80mm、約81mm、約82mm、約83mm、約84mm、約85mm、約86mm、約87mm、約88mm、約89mm、約90mm、約91mm、約92mm、約93mm、約94mm、約95mm、約96mm、約97mm、約98mm、約99mm、約100mm、又は前述の値のいずれか間の値であり得る。
【0149】
図36は、本明細書におけるいくつかの実施形態による、別の例示的な作動される回折反射器アセンブリを示している。回折反射器アセンブリ3600は、ディスプレイ部分3508及びコネクタ部分3506を備える回折反射器3504を備える。回折反射器3504は、本明細書に記載の光学アーキテクチャ及び/又は回折反射器アーキテクチャのいずれかを備え得る。回折反射器アセンブリ3600はまた、回折反射器3504内のビームステアリング機構を作動させるためのリニアアクチュエータ3602A及び3602Bを備えるアクチュエータアセンブリ3502を備えてもよい。いくつかの実施形態では、アクチュエータアセンブリ3502は、
図36の水平軸及び垂直軸におけるビームステアリング機構の360度の動き範囲を可能にし得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータアセンブリ3502はまた、回折反射器3504のビームステアリング機構の回転及び/又はチルトを可能にしてもよい。
【0150】
図37は、本明細書におけるいくつかの実施形態による別の例示的な作動される回折反射器を示している。回折反射器アセンブリ3700は、ディスプレイ部分3508及びコネクタ部分3506を備える回折反射器3504を備える。回折反射器アセンブリ3700はまた、回折反射器3504内のビームステアリング機構を作動させるためのリニアアクチュエータ3702A及び3702Bを備えるアクチュエータアセンブリ3502を備えてもよい。いくつかの実施形態では、アクチュエータアセンブリ3502は、
図37の水平軸及び垂直軸におけるビームステアリング機構の360度の動き範囲を可能にし得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータアセンブリ3502はまた、回折反射器3504のビームステアリング機構の回転及び/又はチルトを可能にしてもよい。
【0151】
図35~37の例示された実施形態は、本質的に例示的である。任意の作動機構が、光コンバイナの一部を形成し得る回折反射器を備えるディスプレイ内のビームステアリング機構の機械的作動を実行するために使用され得ることは、当業者によって理解されよう。
【0152】
上述したように、本明細書における光学アーキテクチャは、上流の可変焦点と組み合わせて、調節-両眼共同マッチングを提供し得る。可変焦点レンズを利用しなければ、表示される画像の仮想場所は、光学的無限遠にあってもよく、光学アーキテクチャは、単一の深度平面上に画像を表示するようにのみ構成されてもよい。しかしながら、統合された上流の可変焦点は、仮想画像源の移動により、複数の焦点面で画像を表示することを可能にし得る。
図38は、本明細書におけるいくつかの実施形態による上流の可変焦点の例示的な機能性の図を示している。いくつかの実施形態では、可変焦点レンズ3802は、画像光プロジェクタ602などの投影システム内に位置し得る。本明細書に記載のVRDシステム及びアーキテクチャの全ては、投影システム内に配置された可変焦点素子と同等である。例えば、
図38に示されるように、レーザコリメータ3804に隣接する可変焦点素子3802を配置することは、ディスプレイが様々な距離で焦点を合わせられて、ユーザの眼716のための適切な調節刺激を提供し、かつ両眼共同-調節矛盾を回避することを可能にする。この構成は、本明細書に記載のように、MEMS606及び追加の光学素子609、611と更に同等である。光学アーキテクチャ内の可変焦点の配置は、多様であってもよく、示された実施形態に限定されないことが、当業者に理解されよう。例えば、可変焦点は、MEMS606の上流に提供されてもよく、又は下流に提供されてもよい。
【0153】
他の実施形態
前述の明細書において、本発明を、その特定の実施形態を参照して記載してきた。しかしながら、本発明のより広い趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更をそれに加えることができることは明らかであろう。したがって、明細書及び図面を、限定的な意味ではなく例示的な意味で捉えるべきである。
【0154】
実際、本開示のシステム及び方法は、各々、いくつかの斬新な態様を有し、その中には、本明細書に開示の望ましい属性に対して単独で果たすべきもの、又は必要とされるものが全くないことが理解されよう。上述の様々な特徴及びプロセスは、互いに独立して使用されてもよく、又は様々な方途で組み合わせられてもよい。全ての可能なコンビネーション及びサブコンビネーションは、本開示の範囲内であることが意図されている。
【0155】
別個の実施形態の文脈で本明細書に記載された特定の特徴もまた、単一の実施形態において組み合わせて実施され得る。逆に、単一の実施形態の文脈で記載された様々な特徴もまた、複数の実施形態において別々に、又は任意の好適なサブコンビネーションで実施され得る。更に、特徴は、特定のコンビネーションで作用するものとして上述され、かつ更には当初そのように特許請求され得るが、特許請求されたコンビネーションからの1つ以上の特徴は、場合によっては、コンビネーションから削除されてもよく、特許請求されたコンビネーションは、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形例に方向付けられてもよい。各実施形態及びあらゆる実施形態に必要又は不可欠な特徴又は特徴のグループは、全くない。
【0156】
とりわけ、「し得る(can)」、「し得る(could)」、「し得る(might)」、「し得る(may)」、「例えば(e,g.,)」などのような、本明細書で使用される条件付き用語は、別段明記されない限り、又は使用される文脈内で別様に理解されない限り、一般に、特定の実施形態が、特定の特徴、要素、及び/又はステップを含む一方で、他の実施形態は、それらを含まない旨を伝えることが意図されていることが理解されよう。したがって、そのような条件付き用語は、一般に、特徴、要素、及び/又はステップが、1つ以上の実施形態に何らかの方途で必要とされるか、又は1つ以上の実施形態は、これらの特徴、要素、及び/又はステップが、任意の特定の実施形態において含まれるか、又は実施されるべきかを、著者の提供又は催促の有無にかかわらず決定するための論理を必然的に含むことを意図するものではない。用語「備える/含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などは同義語であり、包含的に、オープンエンド方式で使用され、追加の要素、特徴、行為、動作などを排除しない。また、「又は」という用語は、その包含的な意味で(その排他的な意味ではなく)使用されるため、例えば、要素の列挙を接続するために使用される場合、「又は」という用語は、列挙内の要素の1つ、いくつか、又は全てを意味する。加えて、本出願において使用される「a」、「an」、及び「the」、並びに添付の特許請求の範囲は、別段の明示のない限り、「1つ以上」又は「少なくとも1つ」を意味すると解釈されるものである。同様に、図面には特定の順序で動作が描かれているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作を示された特定の順序で、若しくは順次に実行する必要はないこと、又は示された全ての動作を実行する必要はないことを理解されたい。更に、図面は、フローチャートの形態で1つ以上の例示的なプロセスを概略的に描かれ得る。しかしながら、描かれていない他の動作が、概略的に示されている例示的な方法及びプロセスに組み込まれてもよい。例えば、1つ以上の追加の動作は、示された動作の前に、動作の後に、動作と同時に、又は動作のいずれかの間で実行されてもよい。追加的に、動作は、他の実施形態では、再配置又は再順序化されてもよい。特定の状況においては、マルチタスク及び並列処理が有利である場合がある。更に、上述した実施形態における様々なシステム構成要素の分離は、全ての実施形態においてそのような分離が必要であると理解されるべきではなく、更には、記載されたプログラムコンポーネント及びシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品において一緒に統合され得るか、又は複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ると理解されるべきである。追加的に、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。例えば、特許請求の範囲に記載された行為は、異なる順序で実行されてもよく、かつそれでも望ましい結果を達成し得る。
【0157】
したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示された実施形態に限定されることを意図するものではなく、本開示、本明細書に開示の原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲を付与されるべきである。
【国際調査報告】