(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】抗N3pGluアミロイドベータ抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240117BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240117BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20240117BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240117BHJP
A61K 31/56 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61P25/28
C07K16/18
C12N15/13
A61K31/56
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541749
(86)(22)【出願日】2022-01-11
(85)【翻訳文提出日】2023-07-11
(86)【国際出願番号】 US2022011894
(87)【国際公開番号】W WO2022150735
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(72)【発明者】
【氏名】フライシャー,アダム エス
(72)【発明者】
【氏名】ミンタン,マーク
(72)【発明者】
【氏名】シムズ,ジョン ランドール,ザ セカンド
(72)【発明者】
【氏名】スパークス,ジョンデイビッド
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4C086AA01
4C086DA08
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA06
4C086ZB11
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA21
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、抗N3pGlu Aβ抗体を使用して脳におけるAβの沈着によって特徴付けられる疾患の治療又は予防に関する。治療又は予防され得る疾患には、例えば、アルツハイマー病、ダウン症候群、及び脳アミロイド血管障害が含まれる。本発明は、いくつかの態様では、そのような治療に有用な用量及び投薬レジメンに関する。本発明は、いくつかの態様では、抗N3pGlu Aβ抗体を使用して、脳におけるAβの沈着によって特徴付けられる疾患の治療又は予防に反応するヒト対象にも関する。本発明はまた、APOE4の1又は2個の対立遺伝子を有するヒト対象にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトアルツハイマー病(AD)対象の脳におけるアミロイドベータ(Aβ)プラークを低減させる方法であって、
前記対象に、3回の700mgの第1の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、4週間に1回の頻度で投与される、投与することと、
前記3回の第1の用量の投与の4週間後、前記対象に、1回以上の1400mgの第2の用量の前記抗N3pG Aβ抗体を4週間に1回の頻度で投与することと、を含み、
前記抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列からなり、前記HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、方法。
【請求項2】
前記抗N3pG Aβ抗体は、Aβプラークが除去されるまで投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗N3pG Aβ抗体は、
i)前記対象における前記Aβプラークが、2回の連続するアミロイドPETイメージングスキャンによって測定された場合、25センチロイド以下であり、前記2回の連続するアミロイドPETイメージングスキャンが、少なくとも6か月の間隔があること、又は
ii)前記対象における前記Aβプラークが、単回のアミロイドPETイメージングスキャンによって測定された場合、11センチロイド以下であることのうちの少なくとも1つまで投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記抗N3pG Aβ抗体は、前記対象がアミロイド陰性になるまで投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記抗N3pGlu Aβ抗体が、アミロイドPETイメージングスキャンによって測定された場合、<24.1CLのAβプラークレベルに達するまで投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記抗N3pG Aβ抗体用量が、72週間以下の期間にわたって投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記3回の第1の用量の前記投与後、前記対象の脳の磁気共鳴画像(MRI)スキャンをアミロイド関連イメージング異常(ARIA)について評価し、ARIA-Eが解消するまで投与ステップのうちの1つ以上を改変するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ARIAと一致する症状が生じた場合、前記抗N3pGlu Aβ抗体の投与が、一時的に保留又は中止される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
軽度から中等度のARIAと一致する症状が生じた場合、前記抗N3pGlu Aβ抗体の投与が、一時的に保留される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
重度又は症候性ARIAと一致する症状が生じた場合、前記抗N3pGlu Aβ抗体の投与が、中止される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記抗N3pGlu Aβ抗体の投与が、
a)疾患進行モデル(DPM)によって推定された未治療と比較して、iADRS又はCDR-SBによって測定される疾患の進行を少なくとも15%緩徐化するか、
b)混合モデル反復測定分析(MMRM)によって推定された未治療と比較して、iADRS又はCDR-SBによって測定される疾患の進行を少なくとも15%緩徐化するか、
c)未治療と比較して、統合アルツハイマー病評定スケール(iADRS)によって測定される疾患の進行を少なくとも15%緩徐化するか、
d)未治療と比較して、統合アルツハイマー病評定スケール(iADRS)によって測定される疾患の進行を少なくとも3緩徐化するか、
e)未治療と比較して、臨床認知症評定スケール-ボックスの合計(CDR-SB)によって測定される疾患の進行を少なくとも20%緩徐化するか、
f)アミロイドPETイメージングによって測定された場合、前記対象の脳におけるAβプラークのレベルを少なくとも40%低減させるか、
g)未治療と比較して、前頭葉におけるタウの蓄積を少なくとも50%緩徐化するか、
h)タウPETイメージングによって測定された場合、72週間にわたる前記対象の前頭葉タウの増加を0.04SUVr未満(標準化取り込み値比)に制限するか、
i)血漿P-タウ217をベースラインから少なくとも5%低減させるか、又は
j)グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)をベースラインから少なくとも5%低減させる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与することが、前記1回以上の第1の用量を投与する前のAβプラークと比較して、Aβプラークを約平均約50センチロイド~約100センチロイド低減させ、前記Aβプラークが、アミロイドPETイメージングスキャンによって測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記対象が、前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与する前に、1.46標準化取り込み値比(SUVr)未満の脳タウレベルを有し、前記脳タウレベルが、タウPETイメージングスキャンによって測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記対象が、前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与する前に、1.10SUVr超かつ1.46SUVr未満の脳タウレベルを有し、前記脳タウレベルが、タウPETイメージングスキャンによって測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
脳タウレベルが、
18F-フロルタウシピルPETイメージングによって測定される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記対象が、前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与する前に、前頭葉脳領域におけるタウPETイメージングスキャンが陰性である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記抗N3pGlu Aβ抗体の24週間の投与が、Aβプラークを少なくとも60%低減させる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与することが、各用量の前記抗N3pGlu Aβ抗体を4mg/mL~10mg/mLの濃度で少なくとも30分間にわたって静脈内投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記対象が、前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与する前に、20~28のベースラインMMSE(ミニメンタルステート検査)スコアを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与することが、前記投与の経過中に前記対象の海馬容積を低減させない、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記対象が、前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与する前に、初期の症候性アルツハイマー病を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記対象が、少なくとも1つのAPOE4対立遺伝子を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記対象の脳におけるAβプラークのレベルが、前記第2の用量の投与完了後、少なくとも52週間、正常レベルに維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記対象の脳におけるAβプラークが、24週までに正常レベルに達するか、又は前記対象の脳におけるAβプラークレベルの低減が停止する場合、前記抗N3pGlu Aβ抗体の投与が、中止される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記対象の脳におけるAβプラークのレベルは、前記抗N3pGlu Aβ抗体の前記投与が停止された後、少なくとも52週間、正常レベルに維持される、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与することが、前記対象の脳におけるAβプラークのレベルを24週までに正常レベルに低減する、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記対象の脳におけるAβプラークのレベルが、少なくとも更に52週間、正常レベルに維持される、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記対象が、前記抗N3pGlu Aβ抗体の前記投与の76週間後、0.06SUVr未満の頭頂葉におけるタウレベルの増加を有し、前記脳タウレベルが、タウPETイメージングスキャンよって測定される、請求項23~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記対象が、前記抗N3pGlu Aβ抗体の前記投与の76週間後、前頭葉領域における0.4SUVr未満の脳タウレベルを有し、前記脳タウレベルが、タウPETイメージングスキャンによって測定される、請求項23~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
ヒトアルツハイマー病対象における疾患の進行を緩徐化する方法であって、
前記対象に抗N3pGlu Aβ抗体を投与し、統合アルツハイマー病評定スケール(iADRS)によって測定された場合、疾患の進行を少なくとも15%緩徐化することを含み、前記投与することが、
i)前記対象に、3回の700mgの第1の用量の前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、4週間に1回の頻度で投与される、投与することと、
ii)前記3回の第1の用量の投与の4週間後、1回以上の1400mgの第2の用量の前記抗N3pGlu Aβ抗体を4週間に1回の頻度で投与することと、を含み、
前記抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列からなり、前記HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、方法。
【請求項31】
ヒトアルツハイマー病対象における疾患の進行を緩徐化する方法であって、
前記対象に抗N3pGlu Aβ抗体を投与し、臨床認知症評定スケール-ボックスの合計(CDR-SB)によって測定された場合、疾患の進行を少なくとも20%緩徐化することを含み、前記投与することが、
i)前記対象に、3回の700mgの第1の用量の前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、4週間に1回の頻度で投与される、投与することと、
ii)前記3回の第1の用量の投与の4週間後、1回以上の1400mgの第2の用量の前記抗N3pGlu Aβ抗体を4週間に1回の頻度で投与することと、を含み、
前記抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列からなり、前記HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、方法。
【請求項32】
前記抗N3pG Aβ抗体は、Aβプラークが除去されるまで投与される、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
前記抗N3pG Aβ抗体は、
i)前記対象における前記Aβプラークが、2回の連続するアミロイドPETイメージングスキャンによって測定された場合、25センチロイド以下であり、前記2回の連続するアミロイドPETイメージングスキャンが、少なくとも6か月の間隔があること、及び
ii)前記対象における前記Aβプラークが、単回のPETアミロイドイメージングスキャンによって測定された場合、11センチロイド以下であることのうちの少なくとも1つまで投与される、請求項30~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記抗N3pG Aβ抗体は、前記対象がアミロイド陰性になるまで投与される、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項35】
アミロイドPETイメージングスキャンによって測定された場合、アミロイドプラークレベルが<24.1CLに達した場合、前記対象が、アミロイド陰性である、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項36】
前記抗N3pG Aβ抗体が、72週間以下の期間にわたって投与される、請求項30~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記3回の第1の用量の前記投与後、前記対象の脳の磁気共鳴画像(MRI)スキャンをアミロイド関連イメージング異常(ARIA)について評価し、ARIA-Eが解消するまで投与ステップのうちの1つ以上を改変するステップを更に含む、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項38】
ARIAと一致する症状が生じた場合、前記抗N3pGlu Aβ抗体の投与が、保留又は中止される、請求項30~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
軽度から中等度のARIAと一致する症状が生じた場合、前記抗N3pGlu Aβ抗体の投与が、一時的に保留される、請求項30~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
重度又は症候性ARIAと一致する症状が生じた場合、前記抗N3pGlu Aβ抗体の投与が、中止される、請求項30~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与することが、前記1回以上の第1の用量を投与する前のAβプラークと比較して、Aβプラークを約平均約50センチロイド~約100センチロイド低減させ、前記Aβプラークが、アミロイドPETイメージングスキャンによって測定される、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項42】
前記対象が、前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与する前に、1.46標準化取り込み値比(SUVr)未満の脳タウレベルを有し、前記脳タウレベルが、タウPETイメージングスキャンによって測定される、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項43】
前記対象が、前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与する前に、1.10SUVr超かつ1.46SUVr未満の脳タウレベルを有し、前記脳タウレベルが、タウPETイメージングスキャンによって測定される、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項44】
前記対象が、前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与する前に、前頭葉脳領域におけるタウPETイメージングスキャンが陰性である、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項45】
前記抗N3pGlu Aβ抗体の24週間の投与が、Aβプラークを少なくとも60%低減させる、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項46】
前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与することが、各用量の前記抗N3pGlu Aβ抗体を4mg/mL~10mg/mLの濃度で少なくとも30分間にわたって静脈内投与することを含む、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項47】
前記対象が、前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与する前に、20~28のベースラインMMSE(ミニメンタルステート検査)スコアを有する、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項48】
前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与することが、前記投与の経過中に前記対象の海馬容積を低減させない、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項49】
前記対象が、前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与する前に、初期の症候性アルツハイマー病を有している、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項50】
前記対象が、少なくとも1つのAPOE4対立遺伝子を有する、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項51】
前記対象の脳におけるAβプラークのレベルが、前記第2の用量の投与完了後、少なくとも52週間、正常レベルに維持される、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項52】
前記対象の脳におけるAβプラークが、24週までに正常レベルに達するか、又は前記Aβプラークの低減が停止する場合、前記抗N3pGlu Aβ抗体の投与が、中止される、請求項31に記載の方法。
【請求項53】
前記対象の脳におけるAβプラークのレベルは、前記抗N3pGlu Aβ抗体の前記投与が停止された後、少なくとも52週間、正常レベルに維持される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与することが、前記対象の脳におけるAβプラークのレベルを24週までに正常レベルに低減する、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項55】
前記対象の脳におけるAβプラークのレベルが、少なくとも更に52週間、正常レベルに維持される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記対象が、前記抗N3pGlu Aβ抗体の前記投与の76週間後、0.06SUVr未満の頭頂葉におけるタウレベルの増加を有し、前記脳タウレベルが、タウPETイメージングスキャンによって測定される、請求項51~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記対象が、前記抗N3pGlu Aβ抗体の前記投与の76週間後、前頭葉領域における0.4SUVr未満の脳タウレベルを有し、前記脳タウレベルが、タウPETイメージングスキャンによって測定される、請求項51~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
アルツハイマー病の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法であって、
i)前記対象に、3回の700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、4週間に1回の頻度で投与される、投与することと、
ii)前記3回の第1の用量の投与の4週間後、1回以上の1400mgの第2の用量の前記抗N3pGlu Aβ抗体を4週間に1回の頻度で投与することと、を含み、
前記抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列からなり、前記HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、方法。
【請求項59】
アルツハイマー病の治療を必要とする対象においてそれを治療する改善された方法であって、
i)前記対象に、3回の700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、4週間に1回の頻度で投与される、投与することと、
ii)前記3回の第1の用量の投与の4週間後、1回以上の1400mgの第2の用量の前記抗N3pGlu Aβ抗体を4週間に1回の頻度で投与することと、を含み、
前記抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列からなり、前記HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、方法。
【請求項60】
アルツハイマー病の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法であって、
i)前記対象に、3回の700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、4週間に1回の頻度で投与される、投与すること、
ii)前記3回の第1の用量の前記投与後及び1回以上の第2の用量の投与前に、前記対象の脳の磁気共鳴画像(MRI)スキャンをアミロイド関連イメージング異常(ARIA)について評価することであって、ARIAと一致する症状が生じた場合、1回以上の第2の用量の前記投与が、一時的に保留される、評価すること、
iii)前記3回の第1の用量の投与の4週間後、1回以上の1400mgの第2の用量の前記抗N3pGlu Aβ抗体を4週間に1回の頻度で投与すること、を含み、
前記抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列からなり、前記HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、方法。
【請求項61】
ARIA症状の解消又はMRIでの放射線写真の安定化後、1回以上の第2の用量の前記投与が、再開される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記1回以上の第2の用量が、保留され、コルチコステロイドが、前記対象に投与される、請求項60又は61に記載の方法。
【請求項63】
アルツハイマー病の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法であって、
i)前記対象に、3回の700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、4週間に1回の頻度で投与される、投与すること、
ii)前記3回の第1の用量の前記投与後及び1回以上の第2の用量の投与前に、前記対象の脳の磁気共鳴画像(MRI)スキャンをアミロイド関連イメージング異常(ARIA)について評価することであって、重度又は症候性ARIAと一致する症状が生じた場合、1回以上の第2の用量の前記投与が、中止される、評価すること、
iii)前記3回の第1の用量の投与の4週間後、1回以上の1400mgの第2の用量の前記抗N3pGlu Aβ抗体を4週間に1回の頻度で投与すること、を含み、
前記抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列からなり、前記HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、方法。
【請求項64】
1回以上の第2の用量の前記投与が、中止され、コルチコステロイドが、前記対象に投与される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
ARIA-Eと一致する症状が生じるまで、アルツハイマー病の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法であって、
i)前記対象に、3回の700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、4週間に1回の頻度で投与される、投与することと、
ii)前記3回の第1の用量の投与の4週間後、1回以上の1400mgの第2の用量の前記抗N3pGlu Aβ抗体を4週間に1回の頻度で投与することと、を含み、
前記抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列からなり、前記HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、方法。
【請求項66】
前記ARIAの症状が、MRIによって検出されるか、又は前記対象において呈される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
患者をドナネマブで治療するための方法であって、前記患者が、アルツハイマー病を罹患しており、前記方法が、
a)第1の3回の用量では、4週間ごとに700mgのドナネマブを投与する(又は投与したことがある)ステップと、
b)前記患者がARIA-Eの症状を有するかどうかを、i)用量増加前にMRIを実施するか、若しくは実施したことによって、又はii)ARIA-Eと一致する臨床症状が生じる場合に、決定するステップと、
c)前記患者が中等度のARIA-Eの症状を有する場合、ドナネマブでの治療を一時的に中止するステップと、
d)前記患者が症候性ARIA-Eを有しない場合、脳アミロイドが除去されるか、陰性になるか、又は<24.1CLになるまで、ドナネマブを前記患者に4週間ごとに1400mgの量で投与するステップと、を含む、方法。
【請求項68】
患者をドナネマブで治療するための方法であって、前記患者が、アルツハイマー病を罹患しており、前記方法が、
a)第1の3回の用量では、4週間ごとに700mgのドナネマブを投与する(又は投与したことがある)ステップと、
b)前記患者がARIA-Eの症状を有するかどうかを、i)用量増加前にMRIを実施するか、若しくは実施したことによって、又はii)ARIA-Eと一致する臨床症状が生じる場合に、決定するステップと、前記患者が症候性ARIA-Eを有しない場合、脳アミロイドが除去されるか、陰性になるか、又は<24.1CLになるまで、ドナネマブを前記患者に4週間ごとに1400mgの量で投与するステップと、を含む、方法。
【請求項69】
アルツハイマー病に罹患している患者に対してドナネマブで患者を治療するための改善された方法であって、前記改善が、
a)第1の3回の用量では、4週間ごとに700mgのドナネマブを投与する(又は投与したことがある)ことと、
b)前記患者がARIA-Eの症状を有するかどうかを、i)用量増加前にMRIを実施するか、若しくは実施したことによって、又はii)ARIA-Eと一致する臨床症状が生じる場合に、決定することと、
c)前記患者が中等度のARIA-Eの症状を有する場合、ドナネマブでの治療を一時的に中止することと、
d)前記患者が症候性ARIA-Eを有しない場合、脳アミロイドが除去されるか、陰性になるか、又は<24.1CLになるまで、ドナネマブを前記患者に4週間ごとに1400mgの量で内服投与することと、を含む、方法。
【請求項70】
アルツハイマー病に罹患している患者に対してドナネマブで患者を治療するための改善された方法であって、前記改善が、
a)第1の3回の用量では、4週間ごとに700mgのドナネマブを投与する(又は投与したことがある)ことと、
b)前記患者がARIA-Eの症状を有するかどうかを、i)用量増加前にMRIを実施するか、若しくは実施したことによって、又はii)ARIA-Eと一致する臨床症状が生じる場合に、決定することと、前記患者が症候性ARIA-Eを有しない場合、脳アミロイドが除去されるか、陰性になるか、又は<24.1CLになるまで、ドナネマブを前記患者に4週間ごとに1400mgの量で内服投与することと、を含む、方法。
【請求項71】
患者をドナネマブで治療するための方法であって、前記患者が、アルツハイマー病を罹患しており、前記方法が、
a)第1の3回の用量では、4週間ごとに700mgのドナネマブを投与する(又は投与したことがある)ステップと、
b)前記患者が中等度のARIA-E症状を有する場合、治療を中止するステップと、
c)ARIA-Eが解消したら、脳アミロイドが除去されるか、陰性になるか、<24.1CLになるか、又はARIA-E症状が再発するまで、ドナネマブを前記患者に4週間ごとに1400mgの量で投与することによって治療を継続するステップと、を含む、方法。
【請求項72】
前記症状又はARIA-Eが、MRIスキャンによって確認されるか、又は決定される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
患者をドナネマブで治療するための方法であって、前記患者が、アルツハイマー病を罹患しており、前記方法が、
a)第1の3回の用量では、4週間ごとに700mgのドナネマブを投与する(又は投与したことがある)ステップと、
b)前記患者が、症候性のARIA-Eを有しない限り、脳アミロイドが除去されるか、陰性になるか、又は<24.1CLになるまで、ドナネマブを前記患者に4週間ごとに1400mgの量で投与するステップと、を含む方法。
【請求項74】
前記症状又はARIA-Eが、MRIスキャンによって確認されるか、又は決定される、請求項73に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、抗N3pGlu Aβ抗体で疾患を予防又は治療する方法に関し、その疾患は、対象におけるアミロイドベータ(Aβ)の沈着によって特徴付けられる。本開示はまた、Aβの沈着によって特徴付けられる疾患を治療又は予防するのに有用な抗N3pGlu Aβ抗体の用量及び投薬レジメンにも関する。本開示のいくつかの態様は、対象におけるAβの沈着によって特徴付けられる疾患の治療又は予防に関し、対象は、i)脳全体におけるタウレベル/負荷(全体的タウ)、ii)脳の部分(例えば、脳の異なる葉)におけるタウレベル/負荷、及び/又はiii)対象のゲノムにおけるAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子の存在に基づいて選択される。本明細書に開示される抗体、投薬レジメン、又は方法を使用して治療又は予防され得る疾患には、例えば、アルツハイマー病(AD)、ダウン症候群、及び脳アミロイド血管障害(CAA)が含まれる。本開示はまた、任意選択で、中間の脳タウ負荷の存在下で、初期の症候性アルツハイマー病を有する対象における疾患の進行を緩徐化することにも関する。本開示はまた、ADの疾患進行の緩徐化にも関する。本開示の抗N3pG Aβ抗体での治療は、任意選択で、脳タウロードの存在下で、AD神経病理の証拠及び軽度認知機能障害又は軽度認知症段階の疾患を有する患者において開始され得る。いくつかの実施形態では、脳タウロードは、非常に低い、低い、中間、又は高いタウである。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病の治療法は、社会の最も重要な満たされていないニーズのうちの1つである。脳アミロイドプラークの形態でのアミロイドβペプチドの蓄積は、アルツハイマー病の初期かつ必須の事象であり、神経変性をもたらし、結果として、認知及び機能障害などの臨床症状の発症を引き起こす(Selkoe,“The Origins of Alzheimer Disease:A is for Amyloid,”JAMA 283:1615-7(2000)、Hardy et al.,“The Amyloid Hypothesis of Alzheimer’s Disease:Progress and Problems on the Road to Therapeutics,”Science 297:353-6(2002)、Masters et al.,“Alzheimer’s Disease,”Nat.Rev.Dis.Primers 1:15056(2015)、及びSelkoe et al.,“The Amyloid Hypothesis of Alzheimer’s Disease at 25 years,”EMBO Mol.Med.8:595-608(2016))。
【0003】
アミロイドベータは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)と呼ばれるより大きな糖タンパク質のタンパク質分解切断によって形成される。APPは、多くの組織で発現されるが、特にニューロンシナプスで発現される内在性膜タンパク質である。APPは、γ-セクレターゼによって切断されてAβペプチドを放出し、それには、37~49アミノ酸残基のサイズの範囲のペプチドの群が含まれる。Aβモノマーは、オリゴマー、前原線維、及びアミロイド原線維を含む様々なタイプの高次構造に凝集する。アミロイドオリゴマーは、可溶性であり、脳全体に広がる可能性があるが、アミロイド原線維はより大きく、不溶性であり、更に凝集してアミロイドプラークを形成する可能性がある。ヒト患者で見られるアミロイドプラークには、A(登録商標)ペプチドの不均質混合物が含まれており、そのいくつかには、N末端切断が含まれており、N末端ピログルタミン酸残基(pGlu)などのN末端修飾が更に含まれる場合がある。
【0004】
疾患の進行の駆動におけるアミロイドプラークの役割は、Aβ沈着の増加又は減少のいずれかを行う珍しい遺伝子変異体の研究によって裏付けられている(Fleisher et al.,“Associations Between Biomarkers and Age in the Presenilin 1 E280A Autosomal Dominant Alzheimer Disease Kindred:A Cross-sectional Study,”JAMA Neurol 72:316-24(2015)、Jonsson et al.,“A Mutation in APP Protects Against Alzheimer’s Disease and Age-related Cognitive Decline,”Nature 488:96-9(2012))。加えて、疾患の初期のアミロイドプラークの存在は、軽度認知機能障害(MCI)からAD認知症に進行する可能性を増加させる(Doraiswamy et al.,“Amyloid-β Assessed by Florbetapir F18 PET and 18-month Cognitive Decline:A Multicenter Study,”Neurology 79:1636-44(2012))。Aβプラークの除去を目的とした介入又は療法は、ADの臨床進行を緩徐化するという仮説が立てられている。
【0005】
いくつかの既知の抗Aβ抗体には、バピヌズマブ(bapineuzumab)、ガンテネルマブ、アデュカヌマブ、GSK933776、ソラネズマブ、クレネズマブ、ポネズマブ、及びレカネマブ(BAN2401)が含まれる。Aβを標的とする抗体は、前臨床研究及び臨床研究の両方でアルツハイマー病の治療薬として有望であることが示されている。この有望さにもかかわらず、アミロイドを標的とする多くの抗体は、複数の臨床試験で治療エンドポイントを達成できなかった。抗アミロイド臨床試験の歴史は、ほぼ20年に及び、ほとんどの場合、そのような療法がADを効果的に治療する可能性には疑問が投げかけられている(Aisen et al.,“The Future of Anti-amyloid Trials,”The Journal of Prevention of Alzheimer’s Disease 7:146-151(2020)、Budd et al.,“Clinical Development of Aducanumab,an Anti-Aβ Human Monoclonal Antibody Being Investigated for the Treatment of Early Alzheimer’s Disease,”The Journal of Prevention of Alzheimer’s Disease 4(4):255-263(2017)及びKlein et al.,“Gantenerumab Reduces Amyloid-β Plaques in Patients with Prodromal to Moderate Alzheimer’s Disease:A PET Substudy Interim Analysis,”Alzheimer’s Research & Therapy 11.1:1-12(2019))。
【0006】
ヒト患者に見られるアミロイドプラークには、Aβペプチドの不均質混合物が含まれる。N3pGlu Aβ(N3pG Aβ、N3pE Aβ、Aβ pE3-42、又はAβ p3-42とも称される)は、Aβペプチドの切断形態であり、アミロイドプラークでのみ見られる。N3pGlu Aβは、ヒトAβのN末端の最初の2つのアミノ酸残基を欠き、Aβの3番目のアミノ酸位にグルタミン酸に由来するピログルタメートを有する。N3pGlu Aβペプチドは、脳に沈着したAβの微量成分であるが、研究では、N3pGlu Aβペプチドが積極的な凝集特性を有し、沈着カスケードの初期に蓄積することを示唆している。N3pGlu Aβを含む、プラークにみられるAβに対する抗体の長期慢性投与による受動免疫は、様々な動物モデルの脳においてAβ凝集体を破壊し、プラークの除去を促進することが示されている。
【0007】
N3pGlu Aβに対する抗体は、当該技術分野において既知である。例えば、米国特許第8,679,498号(その中に開示された抗N3pGlu Aβ抗体を含め、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)は、抗N3pGlu Aβ抗体及びこれらの抗体を用いたアルツハイマー病などの疾患を治療する方法を開示している。
【0008】
ドナネマブ(米国特許第8,679,498号に開示されている)は、脳アミロイドプラークにのみ存在するアミロイドベータ(N3pGlu Aβ)エピトープの3番目のアミノ酸のピログルタメート修飾に指向された抗体である。ドナネマブの作用機序は、ADの重要な病理学的特徴である既存のアミロイドプラークの標的化及び除去である。ADの第2の神経病理学的特徴は、過剰リン酸化タウタンパク質を含む細胞内神経原線維変化の存在である。Aβがタウの病状を引き起こし、Aβとタウの間のより複雑で相乗的な相互作用が後の段階で現れ、疾患の進行を促進する可能性がある(Busche et al.,“Synergy Between Amyloid-β and Tau in Alzheimer’s disease”,Nature Neuroscience 23:1183-93(2020))。
【0009】
ドナネマブの治療及び予防戦略には、例えば、脳アミロイドロードが存在する初期の症候性AD患者におけるアミロイドプラークに特異的なN3pGlu Aβを標的とすることが含まれる。この理論的根拠は、Aβの産生及び沈着がADの病因における初期の必要な事象であると述べているADのアミロイド仮説に基づいている。例えば、Selkoe,“The Origins of Alzheimer Disease:A is for Amyloid,”JAMA 283:1615-1617(2000)を参照。この仮説の臨床的支持は、ADの症状が現れる前に実質Aβレベルが上昇し、脳Aβを過剰生産するADの遺伝的変異体とAβ産生を防ぐ遺伝的変異体によって支持されるという実証から得られる。例えば、Jonsson et al.,“A Mutation in APP Protects Against Alzheimer’s Disease and Age-related Cognitive Decline,”Nature 488(7409):96-99(2012)及びFleisher et al.,“Associations Between Biomarkers and Age in the Presenilin 1 E280A Autosomal Dominant Alzheimer Disease Kindred:A Cross-sectional Study,”JAMA Neurol.72:316-24(2015)を参照。
【0010】
しかしながら、Aβ抗体の長期慢性投与には重大な問題が存在する。Aβ抗体の投与は、アミロイド関連のイメージング異常(ARIA)、血管原性浮腫及び溝浸出液を示唆するもの(ARIA-E)、微小出血及びヘモジデリン沈着物(ARIA-H)、注入部位反応、及び免疫原性のリスクなどのヒトにおける有害事象をもたらした。例えば、Piazza and Winblad,“Amyloid-Related Imaging Abnormalities(ARIA)in Immunotherapy Trials for Alzheimer’s Disease:Need for Prognostic Biomarkers?”Journal of Alzheimer’s Disease,52:417-420(2016);Sperling,et al.,“Amyloid-related Imaging Abnormalities in Patients with Alzheimer’s Disease Treated with Bapineuzumab:A Retrospective Analysis,”The Lancet Neurology 11.3:241-249(2012);Brashear et al.,“Clinical Evaluation of Amyloid-related Imaging Abnormalities in Bapineuzumab Phase III Studies,”J.of Alzheimer’s Disease 66.4:1409-1424(2018);Budd et al.,“Clinical Development of Aducanumab,an Anti-Aβ Human Monoclonal Antibody Being Investigated for the Treatment of Early Alzheimer’s Disease,”The Journal of Prevention of Alzheimer’s Disease 4.4:255(2017)を参照。
【0011】
このような有害事象の正確な原因は、不明であるが、概して、抗体治療が脳血管アミロイドとの相互作用を通して血液脳関門を破壊し、この破壊が漏出性の障壁及び患者の浮腫の発現をもたらすと考えられている。いくつかの可能な作用機序が仮定されており、例えば、血管壁からのアミロイドの除去が神経血管単位を不安定にし、神経血管単位の炎症/浸潤物を局在化し、間質可溶性Aβのレベルが高くなることによる脳血管アミロイドレベルの増加など、実質プラークの除去又は神経血管単位の星状細胞末端足突起におけるAQP-4の局在変化がある。
【0012】
いくつかの治療用アミロイド標的抗体は、ARIA-Eの用量反応関連の増加を示している。例えば、Brashear et al.,“Clinical Evaluation of Amyloid-related Imaging Abnormalities in Bapineuzumab Phase III Studies,”J.of Alzheimer’s Disease 66.4:1409-1424(2018);Budd et al.,“Clinical Development of Aducanumab,an Anti-Aβ Human Monoclonal Antibody Being Investigated for the Treatment of Early Alzheimer’s Disease,”The Journal of Prevention of Alzheimer’s Disease 4.4:255(2017)を参照。いくつかの場合では、アポリポタンパク質Eのイプシロン4対立遺伝子(本明細書ではAPOE4、apoE4、又はApoE-ε4と称される)を有する患者では、ARIA-Eの発生率が高くなる。
【0013】
プラーク除去を維持しながらARIA-Eの有害事象率を減少させるために、いくつかの抗体治療プログラムでは、有効量レベルに達する前の約6か月の期間にわたる複数回用量漸増(3~4ステップ)を含む用量漸増スキームを実行している。例えば、Budd et al.,“Clinical Development of Aducanumab,an Anti-Aβ Human Monoclonal Antibody Being Investigated for the Treatment of Early Alzheimer’s Disease,”The Journal of Prevention of Alzheimer’s Disease 4.4:255(2017)及びKlein et al.,“Gantenerumab Reduces Amyloid-β Plaques in Patients with Prodromal to Moderate Alzheimer’s Disease:a PET Substudy Interim Analysis,”Alzheimer’s Research & Therapy 11.1:101(2019)を参照されたい。そのような治療レジメンは、アミロイドプラークを完全に除去することができない場合があるか、又はアミロイドプラークの除去を遅延させる場合がある。
【0014】
したがって、問題となる有害事象を引き起こすか、又は増加させることなく対象を適切に治療する、改善された用量、投薬レジメン、又は方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0015】
本開示の一態様は、沈着したアミロイドに結合する治療抗体を受けている患者で観察され、いくつかの臨床開発プログラムでは用量制限されている血管原性浮腫を伴うARIAなどの問題のある有害事象を回避する用量及び投薬レジメンを提供する。
【0016】
本開示の抗体は、主に沈着したアミロイドプラークに見られるN3pGlu Aβに選択的に結合する。沈着した実質プラークにおけるN3pGlu Aβペプチドの出現率は、他のAβペプチド種に対して非常に低く(約1~2%)、大部分が完全長Aβ1-42である。したがって、本開示の抗体の結合部位の総数は、他のプラーク結合Aβ抗体に対して劇的に少ない。CNS血管に沿って沈着するアミロイドであるCAAの生化学分析では、N3pGluペプチドの出現率が同様に低い(約2%)ことが実証された。
【0017】
驚くべきことに、本開示の抗体は、長期間にわたる複数回用量漸増を必要としない。いくつかの場合では、抗体は有害事象の高い発生率を引き起こすことなく有効量レベルに達し得る。更に、いくつかの場合では、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体及びその投薬レジメンは、本明細書に記載されるように、抗アミロイド抗体で観察されるARIA有害事象の発生率及び/又は重症度を最小限に抑えながら、迅速な脳アミロイドの除去を促進する。
【0018】
本開示の改良された用量、投薬レジメン、及び方法の有益な効果は、例えば、抗体が血管アミロイドへの低い総結合を有する一方で(例えば、N3pGluペプチドの出現率が低いため)実質プラークを迅速に除去するためであり得る。換言すれば、本開示の改良された用量、投薬レジメン、及び方法の有益な効果は、i)実質/血管プラークを標的とし、アミロイドプラークの迅速な低下を達成するそれらの能力、及びii)実質及び血管のアミロイド沈着物の両方に見られる抗体結合部位の相対的な不足の組み合わせによるものであり得る。臨床研究は、本開示の改良された用量、投薬レジメン、及び方法を使用したアルツハイマー病患者の治療が、対象の脳から沈着したアミロイド(アミロイドプラークなど)の迅速な除去をもたらすことを実証した。本開示の抗体の標的エピトープの出現率がまばらであるにもかかわらず、アミロイドの除去の速度は、ある範囲の用量の他のアミロイド標的化治療用抗体からの公表されているデータ(Budd et al.,The Journal of Prevention of Alzheimer’s Disease 4.4:255(2017)及びKlein et al.,Alzheimer’s Research & Therapy 11.1:101(2019))よりも有意に速かった。
【0019】
本明細書に記載される投薬レジメンは、本開示の抗体が脳アミロイドを迅速に除去するのを促進し、一方でこのクラスの治療用抗体で観察されるARIA有害事象の発生率及び/又は重症度を最小限に抑える。更に、本明細書に開示される投薬レジメンは、早期に大量のアミロイド除去を提供する(例えば、対象の約60%が52週までに「アミロイド陰性」スキャンを有する)。本明細書に記載の投薬スキームは、抗N3pGlu Aβ抗体が実質プラークを迅速に除去するのを促進し、一方で、(N3pGluペプチドの出現率が低いため)血管アミロイドへの総結合がより低い。
【0020】
上記のように、Aβを標的とする抗体などのアミロイドプラークを標的とする抗体は、前臨床研究及び臨床研究の両方でアルツハイマー病の治療薬として有望であることが示されている。この有望さにもかかわらず、アミロイドを標的とする抗体は、複数の臨床試験で治療エンドポイントを達成できなかった。抗アミロイド臨床試験の歴史は、ほぼ20年に及び、ほとんどの場合、そのような療法がADを効果的に治療する可能性には疑問が投げかけられている(Aisen et al.,“The Future of Anti-amyloid Trials,”The Journal of Prevention of Alzheimer’s Disease 7 146-151(2020))。現在までに承認されているAD治療はほんの一握りである。アルツハイマー病の治療における課題は、アルツハイマー病が、脳病理に基づくのではなく、依然として主に、例えば、精神疾患のような症状に基づいて診断及び治療されることである。更に別の課題は、臨床試験がほぼ同じように設計されている場合でさえも、多くの場合、再現可能な結果を得ることが難しい、臨床試験中に直面する再現性の危機である。これは2つの主な要因によって引き起こされる。まず、ほとんどの試験では、病理ではなく症状に基づいて登録基準を設定している。したがって、基礎的な病理のレベルに大きなばらつきがある不均質集団、又は更に悪いことに、異なる基礎疾患を有する患者を登録することになる。したがって、これらの患者のADは非常に異なる速度で進行し、例えば、平均値の標準偏差によって測定される群内変動は、AD試験においては非常に大きい。また、集団の不均質の問題は、転帰の測定における対象内のノイズによって悪化する。
【0021】
Aβプラークを有する対象が抗N3pGlu Aβ抗体治療に反応するかどうかを判断することは、非常に困難である。これは、部分的には、Aβプラークに罹患している対象間の生理学的及び臨床的不均質のためであり、対象は依然として主に症状に基づいて診断されているためである。例えば、記憶力の低下などの捉えにくい認知機能症状を有する患者が、前駆又は前臨床アルツハイマー病に罹患しているかどうか、近い将来にAD病認知症に進行する場合があるかどうかを判断することは、依然として臨床医にとっての課題である。
【0022】
AD病臨床試験のプラセボ集団は、認知及び機能の低下の軌跡において大きく異なり(Veitch et al.,“Understanding Disease Progression and Improving Alzheimer’s Disease Clinical Trials:Recent Highlights from the Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative,”Alzheimer’s & Dementia 15.1:106-152(2019))、それは、試験集団の不均質性によるものと考えられている(Devi et al.,“Heterogeneity of Alzheimer’s Disease:Consequence for Drug Trials?”Alzheimer’s Research & Therapy 10.1:1-3(2018))。これにより、特定の治療から恩恵を受け得る対象を特定して治療するという問題が更に大きくなる。患者が抗N3pGlu Aβ抗体治療に反応し得るかどうかを適切に特定する作業は、例えば、記憶診療所への時機の良い紹介、正確で早期のAD診断、対症療法の開始、将来の計画及び疾患改変治療の開始のために最も重要なものである。
【0023】
これまで、試験コホートは、認知機能試験スコアの範囲及び自己申告による記憶の問題などの臨床的特徴によって選択されてきた。長年の失敗の後、当分野の専門家は抗アミロイド疾患改変療法(DMT)を疾患の進行の初期に試験することを主張している(Aisen et al.2020)。しかしながら、抗アミロイドDMTについてのいくつかの臨床研究は、アルツハイマー病の初期段階の患者を標的としているにもかかわらず、エンドポイントを達成していない。例えば、クレネズマブの第III相臨床試験(Cread試験)では、前駆から軽度のADを有する患者を募集した。この研究の結果は、もっぱら否定的であった。治療群対プラセボ群の間、又は前駆対軽度のAD亜群内で、一次及び二次の両方のエンドポイントに差は見出されなかった(clinicaltrials.govでNCT03114657、Therapeutics:Crenezumab.Alzforum.AC Immune SA,Genentech,Hoffmann-La Roche;2019[cited 2020Sep7].alzforum.org/therapeutics/crenezumabから利用可能)。同様に、前駆AD患者におけるガンテネルマブの有効性及び安全性を評価する第II/III相臨床試験(SCarlet RoAD試験)は、試験の一次及び二次エンドポイントで有効性が得られる可能性が低かったため中止された(Ostrowitzki et al.,“A Phase III Randomized Trial of Gantenerumab in Prodromal Alzheimer’s Disease,”Alzheimer’s research & therapy 9.1:1-15(2017))。
【0024】
したがって、対象がアミロイド標的化療法に反応するかどうかを適切に特定する改良された方法に対する必要性が存在する。
【0025】
Doody et al.,“Phase 3 Trials of Solanezumab for Mild-to-Moderate Alzheimer’s Disease,”NEJM,370;4,311-321(2014)は、「APOEε4保有者と非保有者との間で、有効性測定に対する明確な異なる処置効果は観察されなかった」ことを示している。APOE4の1又は2個の対立遺伝子(例えば、APOE4のヘテロ接合体又はホモ接合体保有者)を有するヒト対象への抗N3pGlu Aβ抗体の投与により、それらの対立遺伝子のうちの1つ以上の非保有者と比較した場合、予期せぬ、驚くべき効果が得られることが現在見出されている。したがって、本開示の実施形態のうちのいくつかは、その対立遺伝子を有する患者に、それらの患者の認知機能低下を緩徐化する手段として、ある用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することを含む。具体的には、患者が抗N3pGlu Aβ抗体を投与された場合、非保有者よりもAPOE4保有者において大きな効果があることが見出されている。これは、様々な臨床測定及び様々なエンドポイントを使用して測定された場合、APOE4を有する抗N3pGlu Aβ抗体を投与された患者は、非保有者よりも認知機能の低下が少ないことを意味する。
【0026】
アミロイド病理の存在について選択された全ての治療臨床試験の全てにわたって、ベースラインでは保有者は若く、アミロイドロードが高く、タウ病理が高い。プラセボ群の全てのスケールにわたる臨床的低下は、保有者の状態によって異ならない。プラセボ群の場合、保有者の状態の比較は、アミロイドに有意な縦方向の変化はないが、しかしながら、保有者対非保有者ではタウの変化が大きくなる傾向があることを示している。療法中のアミロイドの相対的な縦方向の変化は、保有者よりも非保有者において大幅な減少を示す。考慮すべき1つの仮説は、APOEのタウとの相互作用である。アミロイド沈着はプラーク内に埋め込まれたAPOEを濃縮させ、含むことが知られている。更に最近では、APOEがタウもつれからも単離されることが示された。動物データは、タウとのAPOEの相互作用があることを更に示唆している。加えて、APOEのまれな変異は、脳アミロイドロードが顕著にあるがタウ負荷が比較的低いにもかかわらず、典型的な発症の時期をはるかに超えた常染色体優性PSEN1変異を有する対象を保護しているようであった。いくつかの実施形態において、本開示は、APOEがアミロイド相互作用を超えてタウにも影響を及ぼし、タウの変化速度が保有者においてより速くなり得ることを示す。更に、治療の影響は、臨床の進行により直接的に関連するタウの進行に大きな影響を与える可能性がある。タウの進行及び広がりは、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1(LRP1、アルファ-2-マクログロブリン受容体、アポリポタンパク質E受容体、又は分化クラスター91としても知られる)に関連している。Rauch et al.,“LRP1 is a Master Regulator of Tau Uptake and Spread,”Nature 580(7803):381-385(2020)を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。最近の報告によると、LRP1はAPOE媒介機構を介してタウの内部化及び分解を促進するようである。Cooper et al.,“Regulation of Tau Internalization,Degradation,and Seeding by LRP1 Reveals Multiple Pathways for Tau Catabolism,”Journal of Biological Chemistry 100715(2021)を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
本開示の一態様は、低いタウ若しくは中等度のタウ、非常に低いから中等度のタウを有するか、又は高いタウを有しないアルツハイマー患者は、抗N3pGlu Aβ抗体での治療に反応性であり、たとえ臨床的に前臨床又は初期段階のADとして分類された場合でも、高いタウレベルを有する患者は、抗N3pGlu Aβ抗体では効果的に治療され得ない可能性があるという発見に基づいている。本開示の別の態様は、APOE4の1又は2個の対立遺伝子を有するアルツハイマー患者が抗N3pGlu Aβ抗体での治療に反応性であるという発見に基づいている。本開示の更に別の態様は、APOE4の1又は2個の対立遺伝子及び低いタウ若しくは中等度のタウ、非常に低いから中等度のタウを有するか、又は高いタウを有しないアルツハイマー患者が、抗N3pGlu Aβ抗体での治療に反応性であるという発見に基づいている。
【0028】
抗N3pGlu Aβ抗体での治療に最も反応性である対象を特定することは、臨床的に効果的な抗アミロイド治療を見つけるという20年以上にわたる問題を解決し、当該技術分野の顕著な前進を反映するものである。本開示のいくつかの態様は、患者の脳病理に基づいて患者を診断及び治療することを対象とする。患者の脳病理に基づいて患者を選択することにより、臨床試験でより均質な集団が提供され、ノイズが減少して再現性の高い結果が保証されるだけでなく、ADの段階及びその進行を適切に特定することも保証される。ADの段階の適切な特定は、例えば、記憶診療所への時機の良い紹介、正確で早期のAD診断、対症療法の開始、将来の計画、及び疾患改変治療の開始を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
(原文に記載なし)
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示のいくつかの態様は、脳内のAβプラークによって特徴付けられる疾患に罹患しているヒト対象に、抗N3pGlu Aβ抗体を2ステップで投与する投薬レジメンを提供する。第1のステップでは、ヒト対象は、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量(又は低用量)の抗N3pGlu Aβ抗体を投与され、各第1の用量(低用量)は、約4週間に1回(すなわち、4週間に1回の頻度で)投与される。1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後、第2のステップでは、ヒト対象は、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量(又は高用量)を投与され、各第2の用量(高用量)は、4週間に1回投与される。
【0031】
本開示のいくつかの態様は、i)ヒト対象の脳における全体的(global)又は全体的(overall)なタウ負荷、又はii)対象の脳若しくはその部分におけるタウの広がりに基づいて、対象におけるADの段階/進行を特定することに関する。いくつかの態様では、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体は、i)対象におけるADの段階/進行を決定することなく、又はii)対象におけるADの段階/進行に関係なく、対象に投与され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、患者は、対象の脳内(例えば、脳全体又は脳の部分)に存在するタウの量に基づいて層別化/特定/選択/治療することができる。いくつかの実施形態では、患者は、対象の脳(例えば、脳全体又は脳の部分)に存在するタウの量及びAPOE4の1又は2個の対立遺伝子の存在に基づいて、層別化/特定/選択/治療され得る。
【0033】
他の実施形態では、患者は、AD進行の段階(例えば、脳内のタウの広がりに基づいて)層別化/特定/選択/治療される。例えば、いくつかの段階中、AD患者におけるタウ負荷は、前頭葉又は後外側側頭領域(PLT)を含まない側頭葉の領域に分離される。ADの別の段階は、AD患者におけるタウ負荷が後外側側頭(PLT)又は後頭部領域に限定される場所である。ADの更に別の段階は、AD患者におけるタウ負荷が、PLT又は後頭領域におけるタウ負荷とともに頭頂若しくは楔前若しくは前頭領域に存在するときである。いくつかの実施形態では、患者は、AD進行の段階(例えば、脳におけるタウの広がりに基づいて)及びAPOE4の1又は2個の対立遺伝子の存在に基づいて、層別化/特定/選択/治療され得る。
【0034】
脳におけるタウの量、脳の部分におけるAD進行、及び/又はAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子の存在に基づく患者の層別化を使用して、例えば、患者が抗N3pGlu Aβ抗体治療に反応するかどうかを決定し得る。脳におけるタウの量、脳の部分におけるAD進行、及び/又はAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子の存在に基づく患者集団の層別化/選択もまた、臨床試験のデザイン及び実施中に直面する患者の不均質及び反復可能性の問題を解決するのに役立つ。
【0035】
本開示の他の態様は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防に反応性であるヒト対象を提供する。本開示のこの態様のいくつかの実施形態では、反応性ヒト対象には、低いから中等度のタウ負荷、非常に低いから中等度のタウ負荷、及び/又はAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有するヒト対象が含まれる。本開示のこの態様のいくつかの実施形態では、反応性ヒト対象は、高いタウ負荷を有するヒト対象を除外する。本開示のこの態様のいくつかの実施形態では、反応性ヒト対象は、高いタウ負荷及び/又はAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有するヒト対象を除外する。
【0036】
いくつかの実施形態では、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防のために、反応性ヒト対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防のためにヒト対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防のために、脳タウレベルに関係なく、ヒト対象に投与される。
【0037】
一態様では、本開示は、ヒト対象の脳におけるAβプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、ii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法に関する。本発明のこの態様のいくつかの実施形態では、脳タウレベルに関係なく、ヒト対象に抗N3pGlu Aβ抗体が投与される。本開示のいくつかの態様は、脳におけるAβプラークを低減させるための抗N3pGlu Aβ抗体を対象に投与する手段を含む、ヒト対象の脳におけるAβプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法に関する。
【0038】
いくつかの実施形態では、このような治療は、Aβプラークによって特徴付けられる疾患を有する患者の脳におけるアミロイド沈着、アミロイドベータプラーク、又はAβロードの減少又は低減をもたらす。いくつかの実施形態では、このような治療は、Aβプラークによって特徴付けられる疾患を有する患者の脳におけるタウレベルの減少又は低減をもたらす。いくつかの実施形態では、このような治療は、Aβプラークによって特徴付けられる疾患を有する患者における血漿タウレベルの減少又は低減をもたらす。いくつかの実施形態では、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体は、脳タウPET及び/又は血漿p-タウによって測定される、タウ病態生理の蓄積を緩徐化する。
【0039】
いくつかの実施形態では、このような治療は、Aβプラークによって特徴付けられる疾患を有する患者の脳におけるニューロフィラメント軽鎖(NfL)レベルの減少又は低減をもたらす。いくつかの実施形態では、このような治療は、Aβプラークによって特徴付けられる疾患を有する患者の血漿又は脳脊髄液(CSF)におけるAβ42/40比の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、このような治療は、Aβプラークによって特徴付けられる疾患を有する患者の血液中のグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)の減少又は低減をもたらす。いくつかの実施形態では、このような治療は、Aβプラークによって特徴付けられる疾患を有する患者におけるP-タウ217レベルの減少又は低減をもたらす。
【0040】
本開示の別の態様は、ヒト対象の脳におけるAβプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防における使用のための抗N3pGlu Aβ抗体であって、抗N3pGlu Aβ抗体は、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の投与用(各第1の用量が、約4週間に1回投与される)、続く、1回以上の第1の用量の投与の4週間後の1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の投与用(各第2の用量が、約4週間に1回投与される)であり、抗N3pGlu Aβ抗体は、LCVR及びHCVRを含み、LCVRは、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRは配列番号2のアミノ酸配列を含む、抗N3pGlu Aβ抗体に関する。
【0041】
本開示の一態様は、ヒトアルツハイマー病(AD)対象の脳におけるアミロイドベータプラークを低減させる方法であって、対象に、3回の700mgの第1の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、4週間に1回の頻度で投与される、投与することと、3回の第1の用量の投与から4週間後、対象に、1回以上の1400mgの第2の用量の抗N3pG Aβ抗体を4週間に1回の頻度で投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列からなり、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、方法に関する。
【0042】
本開示の別の態様は、ヒト対象の脳におけるAβプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防における使用のための抗N3pGlu Aβ抗体であって、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗体が、投与され、各第1の用量が、約4週間に1回投与され、続いて、1回以上の第1の用量の投与の4週間後、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量が投与され、各第2の用量が、約4週間に1回投与され、抗N3pGlu Aβ抗体は、LCVR及びHCVRを含み、LCVRは、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRは、配列番号2のアミノ酸配列を含む、抗N3pGlu Aβ抗体に関する。
【0043】
本開示の別の態様は、ヒト対象の脳におけるAβプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防のための薬剤の製造における抗N3pGlu Aβ抗体の使用であって、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗体が、投与され、各第1の用量が、約4週間に1回投与され、続いて、1回以上の第1の用量の投与の4週間後、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量が投与され、各第2の用量が、約4週間に1回投与され、抗N3pGlu Aβ抗体は、LCVR及びHCVRを含み、LCVRは、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRは、配列番号2のアミノ酸配列を含む、使用に関する。
【0044】
本開示の別の態様は、対象における臨床若しくは前臨床アルツハイマー病、ダウン症候群、又は臨床若しくは前臨床CAAを治療又は予防する方法であって、i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、ii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法に関する。
【0045】
本開示の別の態様は、前臨床AD(AD病理の証拠を有する認知機能が損なわれていない対象)、前駆AD(Aβ関連軽度認知障害、MCI又はADに起因するMCIとも称されることもある)、軽度AD、中等度AD及び重度ADを治療又は予防する方法であって、i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、ii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法に関する。
【0046】
本開示の別の態様は、Aβプラークによって特徴付けられる疾患を有する患者における認知又は機能の低下を緩徐化する方法であって、i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、ii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法に関する。
【0047】
本開示の別の態様は、Aβプラークによって特徴付けられる疾患を有する患者におけるAβプラーク又はAβロードを低減させる方法であって、i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、ii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法に関する。
【0048】
本開示の別の態様は、Aβプラークによって特徴付けられる疾患を有する患者の機能低下を緩徐化する方法であって、i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、ii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法に関する。
【0049】
本開示の別の態様は、Aβプラークによって特徴付けられる疾患を有する患者における記憶喪失、認知機能低下、又は機能低下を予防する方法であって、i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、ii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法に関する。
【0050】
本開示の別の態様は、ヒトアルツハイマー病対象における疾患の進行を緩徐化する方法であって、対象に抗N3pGlu Aβ抗体を投与し、統合アルツハイマー病評定スケール(iADRS)によって測定された場合、疾患の進行を少なくとも15%緩徐化することを含み、投与することが、i)対象に、3回の700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、4週間に1回の頻度で投与される、投与することと、ii)3回の第1の用量の投与から4週間後、1回以上の1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を4週間に1回の頻度で投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列からなり、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、方法に関する。
【0051】
本開示の別の態様は、ヒトアルツハイマー病対象における疾患の進行を緩徐化する方法であって、対象に抗N3pGlu Aβ抗体を投与し、臨床認知症評定スケール-ボックスの合計(CDR-SB)によって測定された場合、疾患の進行を少なくとも20%緩徐化することを含み、投与することが、i)対象に、3回の700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、4週間に1回の頻度で投与される、投与することと、ii)3回の第1の用量の投与から4週間後、1回以上の1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を4週間に1回の頻度で投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列からなり、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、方法に関する。
【0052】
本開示の別の態様は、i)脳アミロイドベータの蓄積を低減若しくは予防する、ii)タウ蓄積を低減若しくは予防する、iii)記憶喪失の発症を予防若しくは遅延する、iv)認知機能低下の予防若しくは遅延する、v)機能低下の予防若しくは遅延する、又はvi)臨床的に無症候性の対象若しくはAD病理の証拠を有する認知機能が損なわれていない対象におけるADの症候性段階の発症の予防若しくは遅延する方法に関する。本方法は、i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、ii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、3回の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体が、患者に4週間に1回の頻度で投与され、1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後、6回の700mg超~約1400mgの用量の抗N3pGlu Aβ抗体が4週間に1回の頻度で患者に投与される。いくつかの実施形態では、3回の約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体が、患者に4週間に1回の頻度で投与され、1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後、6回の約1400mgの用量の抗N3pGlu Aβ抗体が4週間に1回の頻度で患者に投与される。いくつかの実施形態では、対象は、AD病理の証拠を有し、認知機能が損なわれていない。いくつかの実施形態では、対象は、AD病理の証拠を有し、臨床的に無症候性である。
【0053】
本開示のいくつかの態様は、臨床的に無症候性であるヒト対象の脳におけるAβプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法に関する。この方法は、i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、ii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、3回の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体が、患者に4週間に1回の頻度で投与され、1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後、6回の700mg超~約1400mgの用量の抗N3pGlu Aβ抗体が4週間に1回の頻度で患者に投与される。いくつかの実施形態では、3回の約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体が、患者に4週間に1回の頻度で投与され、1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後、6回の約1400mgの用量の抗N3pGlu Aβ抗体が4週間に1回の頻度で患者に投与される。
【0054】
いくつかの実施形態では、臨床的に無症候性の対象は、アルツハイマー病を引き起こす遺伝子変異を有することが知られている。本開示において、「アルツハイマー病を引き起こす遺伝子変異を有することが知られている臨床的に無症候性の対象」には、PSEN1 E280Aのアルツハイマー病を引き起こす遺伝子変異(Paisa変異)、常染色体優性アルツハイマー病を引き起こす遺伝子変異を有することが知られている患者が含まれ、又は1若しくは2個のAPOE4対立遺伝子を保有するためADを発生するリスクが高い。
【0055】
本開示の別の態様は、非常に低いから中等度のタウ負荷、又は低いから中等度のタウ負荷を有すると決定されているヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、ii)1回以上の第1の用量を投与してから4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法に関する。
【0056】
本開示の別の態様は、APOE4の1又は2個の対立遺伝子を有し、かつ非常に低いから中等度のタウ負荷又は低いか中等度のタウ負荷を有すると決定されているヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、ii)1回以上の第1の用量を投与してから4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法に関する。
【0057】
本開示の別の態様は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象が低いから中等度のタウ負荷又は非常に低いから中等度のタウ負荷を有するかどうかを決定することと、ヒト対象が非常に低いから中等度のタウ負荷又は非常に低いから中等度のタウ負荷を有する場合、次いで、i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、ii)1回以上の第1の用量を投与してから4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法に関する。
【0058】
本開示の別の態様は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象が非常に低いから中等度のタウ負荷又は低いから中等度のタウ負荷、及びAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有するかどうかを決定することと、ヒト対象が非常に低いから中等度のタウ負荷又は非常に低いから中等度のタウ負荷、及びAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有する場合、次いで、i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、ii)1回以上の第1の用量を投与してから4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法に関する。
【0059】
本発明の別の態様は、高いタウ負荷を有しないとして決定されているヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、ii)1回以上の第1の用量を投与してから4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法に関する。
【0060】
本発明の別の態様は、高いタウ負荷及びAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有しないとして決定されているヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、ii)1回以上の第1の用量を投与してから4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法に関する。
【0061】
本発明の別の態様は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象が高いタウ負荷を有するかどうかを決定することと、ヒト対象が高いタウ負荷を有しない場合、次いで、i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、ii)1回以上の第1の用量を投与してから4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法に関する。
【0062】
本発明の別の態様は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象が高いタウ負荷及びAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有するかどうかを決定することと、ヒト対象がAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有し、かつ高いタウ負荷を有しない場合、次いで、i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、ii)1回以上の第1の用量を投与してから4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法に関する。
【0063】
本開示の別の態様は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象に有効量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することを含み、ヒト対象が、非常に低いから中等度のタウ負荷又は低いから中等度のタウ負荷を有するとして決定されている、方法に関する。
【0064】
本開示の別の態様は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象に有効量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することを含み、ヒト対象が、非常に低いから中等度のタウ負荷又は低いから中等度のタウ負荷及びAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有すると決定されている、方法に関する。
【0065】
本開示の別の態様は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象が低いから中等度のタウ負荷又は非常に低いから中等度のタウ負荷を有するかどうかを決定することと、ヒト対象が低いから中等度のタウ負荷又は非常に低いから中等度のタウ負荷を有する場合、次いで、ヒト対象に有効量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することと、を含む、方法に関する。
【0066】
本開示の別の態様は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象がAPOE4の1又は2個の対立遺伝子及び低いから中等度のタウ負荷又は非常に低いから中等度のタウ負荷を有するかどうかを決定することと、ヒト対象がAPOE4の1又は2個の対立遺伝子及び低いから中等度のタウ負荷又は非常に低いから中等度のタウ負荷を有する場合、次いで、ヒト対象に有効量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することと、を含む、方法に関する。
【0067】
本開示の別の態様は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象に有効量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することを含み、ヒト対象が、高いタウ負荷を有しないとして決定されている、方法に関する。
【0068】
本開示の別の態様は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象に有効量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することを含み、ヒト対象が、APOE4の対立遺伝子を1又は2個の対立遺伝子を有し、かつ高いタウ負荷を有しないとして決定されている、方法に関する。
【0069】
本開示の別の態様は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象が高いタウ負荷を有するかどうかを決定することと、ヒト対象が高いタウ負荷を有しない場合、次いで、ヒト対象に有効量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することと、を含む、方法に関する。
【0070】
本開示の別の態様は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象がAPOE4の1又は2個の対立遺伝子及び高いタウ負荷を有するかどうかを決定することと、ヒト対象がAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有し、かつ高いタウ負荷を有しない場合、次いで、ヒト対象に有効量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することと、を含む、方法に関する。
【0071】
いくつかの態様では、抗N3pGlu Aβ抗体を使用して、ヒト脳の異なる部分、例えば、ヒト対象の脳の異なる葉におけるタウ負荷を減少させ得るか、更なる増加を予防し得るか、又はタウ蓄積速度を緩徐化し得る。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体を使用して、ヒト脳の前頭葉におけるタウ負荷/蓄積の速度を減少させるか、更なる増加を予防するか、又は緩徐化する。いくつかの実施形態では、前頭葉におけるタウの蓄積は、未治療の対象と比較して少なくとも30~70%緩徐化される。いくつかの実施形態では、前頭葉におけるタウの蓄積は、未治療の対象と比較して少なくとも50%緩徐化される。いくつかの実施形態では、対象は、抗N3pGlu Aβ抗体を投与する前に、前頭葉脳領域におけるタウPETイメージングスキャンが陰性である。いくつかの実施形態では、対象は、抗N3pGlu Aβ抗体の投与の76週間後、0.4SUVr未満の前頭葉領域における脳タウレベルを有し、脳タウレベルは、タウPETイメージングスキャンによって測定される。
【0072】
いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体を使用して、ヒト脳の頭頂葉におけるタウ負荷/蓄積の速度を減少させるか、更なる増加を予防するか、又は緩徐化する。いくつかの実施形態では、対象は、抗N3pGlu Aβ抗体の投与の76週間後、0.06SUVr未満の頭頂葉におけるタウレベルの増加を有し、脳タウレベルは、タウPETイメージングスキャンよって測定される。
【0073】
いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体を使用して、ヒト脳の後頭葉におけるタウ負荷/蓄積の速度を減少させるか、更なる増加を予防するか、又は緩徐化する。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体を使用して、ヒト脳の側頭葉におけるタウ負荷/蓄積の速度を減少させるか、更なる増加を予防するか、又は緩徐化する。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体を使用して、後外側側頭葉におけるタウ負荷/蓄積の速度を減少させるか、更なる増加を予防するか、又は緩徐化する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、i)1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与され、各第1の用量は約4週間に1回投与され、及びii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与し、各第2の用量は約4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0074】
本開示の一態様は、脳の側頭葉におけるタウ負荷及び/又はAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有すると決定されているヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象に抗N3pGlu Aβを投与することを含む、方法に関する。本発明の別の態様は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象が脳の側頭葉におけるタウ負荷及び/又はAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有するかどうかを決定することと、ヒト対象に抗N3pGlu Aβを投与することと、を含む、方法に関する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、後外側側頭葉におけるタウ負荷及び/又はAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、i)1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与され、各第1の用量は約4週間に1回投与され、及びii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与し、各第2の用量は約4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0075】
本開示の別の態様は、脳の後頭葉におけるタウ負荷及び/又はAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有すると決定されているヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象に抗N3pGlu Aβを投与することを含む、方法に関する。本発明の別の態様は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象が脳の後頭葉におけるタウ負荷及び/又はAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有するかどうかを決定することと、ヒト対象に抗N3pGlu Aβを投与することと、を含む、方法に関する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、i)1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与され、各第1の用量は約4週間に1回投与され、及びii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与し、各第2の用量は約4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0076】
本開示の別の態様は、脳の頭頂葉におけるタウ負荷及び/又はAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有すると決定されているヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象に抗N3pGlu Aβを投与することを含む、方法に関する。本発明の別の態様は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象が脳の頭頂葉におけるタウ負荷及び/又はAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有するかどうかを決定することと、ヒト対象に抗N3pGlu Aβを投与することと、を含む、方法に関する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、i)1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与され、各第1の用量は約4週間に1回投与され、及びii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与し、各第2の用量は約4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0077】
本開示の別の態様は、脳の前頭葉におけるタウ負荷及び/又はAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有すると決定されているヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象に抗N3pGlu Aβを投与することを含む、方法に関する。本発明の別の態様は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象が脳の前頭葉におけるタウ負荷及び/又はAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有するかどうかを決定することと、ヒト対象に抗N3pGlu Aβを投与することと、を含む、方法に関する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、i)1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与され、各第1の用量は約4週間に1回投与され、及びii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与し、各第2の用量は約4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0078】
本開示の別の態様は、脳の後外側側頭(PLT)及び/若しくは後頭葉におけるタウ負荷並びに/又はAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有すると決定されているヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象に抗N3pGlu Aβを投与することを含む、方法に関する。本発明の別の態様は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象が脳の後外側側頭(PLT)及び/若しくは後頭葉におけるタウ負荷並びに/又はAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有するかどうかを決定することと、ヒト対象に抗N3pGlu Aβを投与することと、を含む、方法に関する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、i)1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与され、各第1の用量は約4週間に1回投与され、及びii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与し、各第2の用量は約4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0079】
本開示の別の態様は、脳のPLT若しくは後頭部領域のタウ負荷とともに、i)頭頂部若しくは楔前部領域、又はii)前頭部領域におけるタウ負荷、並びに/又はiii)APOE4の1又は2個の対立遺伝子を有すると決定されているヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象に抗N3pGlu Aβを投与することを含む、方法に関する。本発明の別の態様は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象が脳のPLT若しくは後頭部領域のタウ負荷とともに、i)頭頂部若しくは楔前部領域、又はii)前頭部領域におけるタウ負荷、並びに/又はiii)APOE4の1又は2個の対立遺伝子を有するかどうかを決定することと、ヒト対象に抗N3pGlu Aβを投与することと、を含む、方法に関する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、i)1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与され、各第1の用量は約4週間に1回投与され、及びii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与し、各第2の用量は約4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0080】
本開示の別の態様は、脳のi)前頭葉に分離された、若しくはii)後外側側頭領域(PLT)を含まない側頭葉の領域におけるタウ負荷、並びに/又はiii)APOE4の1又は2個の対立遺伝子を有すると決定されているヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象に抗N3pGlu Aβを投与することを含む、方法に関する。本発明の別の態様は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象が脳のi)前頭葉に分離された、若しくはii)後外側側頭領域(PLT)を含まない側頭葉の領域におけるタウ負荷、並びに/又はiii)APOE4の1又は2個の対立遺伝子を有するかどうかを決定することと、ヒト対象に抗N3pGlu Aβを投与することと、を含む、方法に関する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、i)1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与され、各第1の用量は約4週間に1回投与され、及びii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与し、各第2の用量は約4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0081】
いくつかの態様では、本開示は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防のためにヒト対象を選択する方法に関する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、ヒト対象の脳における全体的な(global)(全体的な(overall))タウの量に基づいて選択される。例えば、患者が脳における非常に低いから中等度のタウ及び/又はAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有するという理由で、ヒト対象は、脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防のために選択される。別の実施形態では、患者が脳における低いから中等度のタウ(又は中間のタウ)及び/又はAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有するという理由で、ヒト対象は、脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防のために選択される。別の実施形態では、患者が脳において高いタウを有するという理由で、ヒト対象は、脳内のアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防から除外される。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、ヒト対象の脳におけるADの進行に基づいて選択される。例えば、患者が脳の前頭葉に存在するタウ負荷及び/又はAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有するという理由で、ヒト対象は、脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防のために選択される。別の実施形態では、患者が脳の頭頂葉に存在するタウ負荷及び/又はAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有するという理由で、ヒト対象は、脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防のために選択される。別の実施形態では、患者が脳の後頭葉に存在するタウ負荷及び/又はAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有するという理由で、ヒト対象は、脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防のために選択される。別の実施形態では、患者が脳の側頭葉に存在するタウ負荷及び/又はAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有するという理由で、ヒト対象は、脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防のために選択される。いくつかの実施形態では、患者が脳の後外側側頭(PLT)及び/若しくは後頭葉に存在するタウ負荷並びに/又はAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有するという理由で、ヒト対象は、脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防のために選択される。いくつかの実施形態では、患者が脳のPLT若しくは後頭部領域のタウ負荷とともに、i)頭頂部若しくは楔前部領域、又はii)前頭部領域におけるタウ負荷、並びに/又はiii)APOE4の1又は2個の対立遺伝子を有するという理由で、ヒト対象は、脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防のために選択される。いくつかの実施形態では、患者が脳のi)前頭葉に分離された、ii)後外側側頭領域(PLT)を含まない側頭葉の領域におけるタウ負荷、並びに/又はiii)APOE4の1又は2個の対立遺伝子を有するという理由で、ヒト対象は、脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防のために選択される。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、i)1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与され、各第1の用量は約4週間に1回投与され、及びii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与し、各第2の用量は約4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、本開示の様々な態様に記載される対象は、後外側側頭葉タウ負荷及び/又はAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有すると決定されている。いくつかの実施形態では、本開示の様々な態様に記載される対象は、後外側側頭葉及び後頭葉タウ負荷並びに/又はAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有すると決定されている。いくつかの実施形態では、本開示の様々な態様に記載される対象は、後外側側頭葉、後頭葉、及び頭頂葉タウ負荷並びに/又はAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有すると決定されている。いくつかの実施形態では、本開示の様々な態様に記載される対象は、外側側頭葉、後頭葉、頭頂葉、及び前頭葉タウ負荷並びに/又はAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有すると決定されている。いくつかの実施形態では、本開示の様々な態様に記載される対象は、後外側側頭葉、後頭葉、頭頂葉及び/若しくは前頭葉タウ負荷並びに/又はAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有すると決定されている。いくつかの実施形態では、本開示の様々な態様に記載される対象は、PETイメージングに基づいた1.46SUVr超の神経学的タウ負荷に相当する後外側側頭葉、後頭葉、頭頂葉及び/又は前頭葉タウ負荷を有すると決定されている。いくつかの実施形態では、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体は、72週間にわたる対象の前頭葉タウの増加を、タウPETイメージングによって測定された場合の0.04SUVr未満に制限する。
【0083】
いくつかの実施形態では、ヒトの脳又はその一部(例えば、脳の葉又は脳全体)におけるタウ負荷を使用して、抗N3pGlu Aβ抗体の投与を中止すべきかどうかを決定し得る。例えば、脳におけるタウの除去速度の緩徐化、タウレベルの低減の停止、タウレベルの更なる上昇の予防、又はタウ蓄積速度の緩徐化を、抗N3pGlu Aβ抗体の投与期間を決定するための指標として使用され得る。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体は、側頭葉、後頭葉、頭頂葉、又は前頭葉におけるタウの除去速度の緩徐化、タウレベルの低減の停止、タウレベルの更なる上昇の予防、又はタウ蓄積速度の緩徐化が生じるまで、対象に投与される。
【0084】
いくつかの実施形態では、ヒトの脳におけるアミロイドベータ負荷を使用して、抗N3pGlu Aβ抗体の投与を中止すべきかどうかを決定し得る。例えば、Aβの除去速度の緩徐化、Aβレベルの低減の停止、Aβレベルの更なる上昇の予防、又は脳におけるAβ蓄積速度の緩徐化を、抗N3pGlu Aβ抗体の投与期間を決定するための指標として使用され得る。いくつかの実施形態では、対象の脳におけるAβプラークが24週までに正常レベルに達するか、又は対象の脳におけるAβプラークレベルの低減が停止する場合、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体の投与は中止される。いくつかの実施形態では、対象の脳におけるAβプラークのレベルが、抗N3pGlu Aβ抗体の投与が停止された後、少なくとも52週間、正常レベルに維持される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体を投与することにより、対象の脳におけるAβプラークのレベルが24週までに正常レベルに低減する。いくつかの実施形態では、対象の脳におけるAβプラークのレベルは、少なくとも更に52週間、正常レベルに維持される。
【0085】
いくつかの実施形態では、ヒト対象の脳の一部分に存在するタウ負荷は、最適な治療レジメンの選択、又は抗N3pGlu Aβ抗体と組み合わせた治療法の投与のために使用され得る。例えば、アミロイド陽性ヒト対象の脳の前頭葉におけるタウ負荷の存在は、ヒト対象が抗N3pGlu Aβ抗体単独又は抗タウ抗体と組み合わせての投与から利益を得るかを決定する指標として使用され得る。いくつかの実施形態では、抗タウ抗体と組み合わせた抗N3pGlu Aβ抗体を使用して、ヒト脳の異なる部分、例えば、ヒト対象の脳の異なる葉におけるタウ蓄積を減少させるか、増加を予防するか、又はその速度を緩徐化し得る。いくつかの実施形態では、ヒトの脳の異なる部分、例えば、ヒト対象の脳の異なる葉におけるタウ負荷は、i)治療に対する患者の反応を追跡するため、又はii)療法を再開する必要がある場合に使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示の様々な態様に記載される抗体、方法、又は投薬レジメンは、i)ヒト対象の脳におけるAβプラークの低減、及び/又はii)ヒト対象の認知機能低下又は機能低下を緩徐化することを引き起こす。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体、方法、又は投薬レジメンは、アミロイドプラークの低減をもたらす。
【0086】
本開示の様々な態様に記載される抗N3pGlu Aβ抗体には、i)以下のものが含まれるか、ii)以下のものと置換され得るか、又はiii)以下のものなどの抗N3pGlu Aβ抗体とともに使用される:
●配列番号5のアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号6のアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)、及び配列番号7のアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域3(LCDR3)、又は配列番号5の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列、配列番号6の軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列、及び配列番号7の軽鎖相補性決定領域3(LCDR3)と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む抗N3pGlu Aβ抗体、
●配列番号8のアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号9のアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域2(HCDR2)、及び配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域3(HCDR3)、又は配列番号8の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列、配列番号9の重鎖相補性決定領域2(HCDR2)と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列、及び配列番号10の重鎖相補性決定領域3(HCDR3)と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む抗N3pGlu Aβ抗体、
●配列番号5のアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番号6のアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)、配列番号7のアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域3(LCDR3)、配列番号8のアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号9のアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域2(HCDR2)、及び配列番号10のアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域3(HCDR3)、又は配列番号5の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列、配列番号6の軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列、配列番号7の軽鎖相補性決定領域3(LCDR3)と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列、配列番号8の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列、配列番号9の重鎖相補性決定領域2(HCDR2)と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列、及び配列番号10の重鎖相補性決定領域3(HCDR3)と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む抗N3pGlu Aβ抗体、
●LCVR及びHCVRであって、当該LCVRは、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、HCVRは、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、それらは、配列番号5であるLCDR1、配列番号6であるLCDR2、は配列番号7であるLCDR3、配列番号8であるHCDR1、配列番号9であるHCDR2、配列番号10であるHCDR3からなる群から選択される、LCVR及びHCVR、又はLCVR及びHCVRであって、当該LCVRは、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、HCVRは、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、それらは、配列番号5と少なくとも95%の相同性を有するLCDR1、配列番号6と少なくとも95%の相同性を有するLCDR2、配列番号7と少なくとも95%の相同性を有するLCDR3、配列番号8と少なくとも95%の相同性を有するHCDR1、配列番号9と少なくとも95%の相同性を有するHCDR2、及び配列番号10と少なくとも95%の相同性を有するHCDR3からなる群から選択される、LCVR及びHCVR、を含む抗N3pGlu Aβ抗体。
●配列番号3のアミノ酸配列又は配列番号3と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)を含むN3pGlu Aβ抗体、
●配列番号4のアミノ酸配列又は配列番号4と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む重鎖(HC)を含むN3pGlu Aβ抗体、
●LC及びHCを含む抗N3pGlu Aβ抗体であって、LCが配列番号3のアミノ酸配列を含み、かつHCが配列番号4のアミノ酸配列を含むか、又はLCが配列番号3と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含み、かつHCが配列番号4と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、抗N3pGlu Aβ抗体、
●2つの軽鎖及び2つの重鎖を含む抗N3pGlu Aβ抗体であって、LCが配列番号3のアミノ酸配列又は配列番号3と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含み、HCが配列番号4のアミノ酸配列、又は配列番号4と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、抗N3pGlu Aβ抗体。
●配列番号1のアミノ酸配列、又は配列番号1と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むLCVRを含むN3pGlu Aβ抗体、
●配列番号2のアミノ酸配列、又は配列番号2と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHCVRを含むN3pGlu Aβ抗体。
●LCVR及びHCVRを含むN3pGlu Aβ抗体であって、LCVRが配列番号1のアミノ酸配列又は配列番号1と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含み、HCVRが配列番号2のアミノ酸HCVR又は配列番号2と少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、N3pGlu Aβ抗体。
【0087】
いくつかの実施形態では、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体には、カッパLC及びIgG HCが含まれる。特定の実施形態では、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体は、ヒトIgG1アイソタイプのものである。
【0088】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の本明細書に記載の抗N3pGlu Aβ抗体を投与される。いくつかの実施形態では、1回以上の第1の用量は、各第1の用量が4週間に1回投与されるようにヒト対象に投与される。特定の実施形態では、第1の用量は、対象に1回投与される。いくつかの実施形態では、第1の用量は、対象に2回投与され、各第1の用量は、4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、第1の用量は、対象に3回投与され、各第1の用量は、4週間に1回投与される。
【0089】
いくつかの実施形態では、対象は、約100mg~約700mgの1回の第1の用量、2回の第1の用量、又は3回の第1の用量を投与され、各第1の用量は、約4週間に1回投与される。特定の実施形態では、ヒト対象は、3回の約700mgの第1の用量を投与され、各第1の用量は、約4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、第2の用量を投与する前に、第1の用量を1回、2回、又は3回投与される。
【0090】
いくつかの実施形態では、3回の約700mgの第1の用量は、12週間の期間、4週間に1回、対象に投与され、続いて約1400mgの第2の用量が投与される。いくつかの実施形態では、1回以上の約700mgの第1の用量は、約3か月の期間、4週間に1回、対象に投与され、続いて約1400mgの第2の用量が投与される。
【0091】
いくつかの実施形態では、第1の用量は、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mgである。いくつかの実施形態では、第1の用量は、約1mg/kg~約10mg/kgの抗N3pGlu Aβ抗体である。特定の実施形態では、対象は、最大で3回の約1mg/kg~約10mg/kgの第1の用量を投与される。いくつかの実施形態では、対象は、約1mg/kg~約10mg/kgの1回の第1の用量、2回の第1の用量、又は3回の第1の用量を投与される。特定の一実施形態では、対象は、4週間に1回、3回の約10mg/kgの第1の用量を投与される。いくつかの実施形態では、第1の用量は、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、又は約10mg/kgである。
【0092】
特定の実施形態では、第1の用量は、4週間に1回、又は月に1回投与される。特定の一実施形態では、対象は、4週間に1回、3回の約10mg/kgの第1の用量を投与される。いくつかの実施形態では、第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体は、対象に約1か月間、約2か月間、又は約3か月間投与される。
【0093】
いくつかの実施形態では、対象は、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与される。いくつかの実施形態では、対象は、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与され、各第2の用量は、約4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量は、1回以上の第1の用量の4週間後に投与される。
【0094】
特定の実施形態では、対象は、1回以上の700mg超の第2の用量を投与される。いくつかの実施形態では、対象は、1回以上の約1400mgの第2の用量を投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量は、700mg超、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg又は約1400mgである。特定の実施形態では、第2の用量は、4週間に1回投与される。特定の一実施形態では、対象は、4週間に1回、1回以上の700mg超の第2の用量を投与される。特定の一実施形態では、対象は、4週間に1回、1回以上の約1400mgの第2の用量を投与される。
【0095】
脳MRIスキャンは、ヒト対象を監視/評価するために(例えば、ARIA-E又はARIA-Hについて)ヒト対象に実施され得る。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体の投与によって引き起こされる有害事象を診断/評価/監視するために、脳MRIスキャンがヒト対象に実施され得る。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、抗N3pGlu Aβ抗体の用量の投与の間に脳MRIスキャンを実施される(例えば、4週間に1回)。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体での治療を開始する前に、ベースライン脳MRIが取得される。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、抗N3pGlu Aβ抗体の用量を、例えば、700mg~1400mgに増加させる前に、脳MRIスキャンを実施される。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、抗N3pGlu Aβ抗体の第1の用量の後に脳MRIスキャンを実施される。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、3回の用量の抗N3pGlu Aβ抗体の後に、脳MRIスキャンを実施される。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、治療開始の最初の4週間の後に、脳MRIスキャンを実施される。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、治療開始の最初の12週間後に、脳MRIスキャンを実施される。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、1400mgの用量を投与する前に、脳MRIスキャンを実施される。いくつかの実施形態では、脳MRIスキャンは、1回以上の1400mgの第2の用量の投与を開始する前に、実施される。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、20mg/kgの用量を投与する前に脳MRIスキャンを実施される。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、700mg用量の最後の用量後に、脳MRIスキャンを実施される。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、10mg/kg量の最後の用量後に、脳MRIスキャンを実施される。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、3回の第1の用量の投与後、かつ1回以上の第2の用量の投与前に、アミロイド関連イメージング異常(ARIA)について対象の脳のMRIスキャンを評価するステップを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、本開示は、アルツハイマー病の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法であって、i)対象に、3回の700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、4週間に1回の頻度で投与される、投与すること、ii)3回の第1の用量の投与後及び1回以上の第2の用量の投与前に、対象の脳の磁気共鳴画像(MRI)スキャンをアミロイド関連イメージング異常(ARIA)について評価することであって、ARIAと一致する症状が生じた場合、1回以上の第2の用量の投与が、一時的に保留される、評価すること、iii)3回の第1の用量の投与の4週間後、1回以上の1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を4週間に1回の頻度で投与することを含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列からなり、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、方法に関する。いくつかの実施形態では、ARIA症状の解消又はMRIでの放射線写真の安定化後、1回以上の第2の用量の投与が、再開される。いくつかの実施形態では、1回以上の第2の用量が、保留され、コルチコステロイドが、対象に投与される。
【0097】
いくつかの実施形態では、本開示は、アルツハイマー病の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法であって、i)対象に、3回の700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、4週間に1回の頻度で投与される、投与すること、ii)3回の第1の用量の投与後及び1回以上の第2の用量の投与前に、対象の脳の磁気共鳴画像(MRI)スキャンをアミロイド関連イメージング異常(ARIA)について評価することであって、重度又は症候性ARIAと一致する症状が生じた場合、1回以上の第2の用量の投与が、中止される、評価すること、iii)3回の第1の用量の投与の4週間後、1回以上の1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を4週間に1回の頻度で投与することを含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列からなり、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、方法に関する。いくつかの実施形態では、1回以上の第2の用量の投与が、中止され、コルチコステロイドが、対象に投与される。
【0098】
いくつかの実施形態では、本開示は、ARIA-Eと一致する症状が生じるまで、アルツハイマー病の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法であって、i)対象に、3回の700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、4週間に1回の頻度で投与される、投与することと、ii)3回の第1の用量の投与の4週間後、1回以上の1400mgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を4週間に1回の頻度で投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列からなり、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、方法に関する。いくつかの実施形態では、ARIAの症状は、MRIによって検出されるか、又は対象において呈される。
【0099】
いくつかの実施形態では、本開示は、患者をドナネマブで治療するための方法であって、患者は、アルツハイマー病を罹患しており、方法は、a)第1の3回の用量では、4週間ごとに700mgのドナネマブを投与する(又は投与したことがある)ステップと、b)患者がARIA-Eの症状を有するかどうかを、i)用量増加前にMRIを実施するか、若しくは実施したことによって、又はii)ARIA-Eと一致する臨床症状が生じる場合に、決定するステップと、c)患者が中等度のARIA-Eの症状を有する場合、ドナネマブでの治療を一時的に中止するステップと、d)患者が症候性ARIA-Eを有しない場合、脳アミロイドが除去されるか、陰性になるか、又は<24.1CLになるまで、ドナネマブを患者に4週間ごとに1400mgの量で投与するステップと、を含む、方法に関する。
【0100】
いくつかの実施形態では、本開示は、患者をドナネマブで治療するための方法であって、患者は、アルツハイマー病を罹患しており、方法は、a)第1の3回の用量では、4週間ごとに700mgのドナネマブを投与する(又は投与したことがある)ステップと、b)患者がARIA-Eの症状を有するかどうかを、i)用量増加前にMRIを実施するか、若しくは実施したことによって、又はii)ARIA-Eと一致する臨床症状が生じる場合に、決定するステップと、患者が症候性ARIA-Eを有しない場合、脳アミロイドが除去されるか、陰性になるか、又は<24.1CLになるまで、ドナネマブを患者に4週間ごとに1400mgの量で投与するステップと、を含む、方法に関する。
【0101】
いくつかの実施形態では、本開示は、アルツハイマー病に罹患している患者に対してドナネマブで患者を治療するための改善された方法であって、改善は、a)第1の3回の用量では、4週間ごとに700mgのドナネマブを投与するか又は投与したことがあることと、b)患者がARIA-Eの症状を有するかどうかを、i)用量増加前にMRIを実施するか、若しくは実施したことによって、又はii)ARIA-Eと一致する臨床症状が生じる場合に、決定することと、c)患者が中等度のARIA-Eの症状を有する場合、ドナネマブでの治療を一時的に中止することと、d)患者が症候性ARIA-Eを有しない場合、脳アミロイドが除去されるか、陰性になるか、又は<24.1CLになるまで、ドナネマブを患者に4週間ごとに1400mgの量で内服投与することと、を含む、方法。
【0102】
いくつかの実施形態では、本開示は、アルツハイマー病に罹患している患者に対してドナネマブで患者を治療するための改善された方法であって、改善は、a)第1の3回の用量では、4週間ごとに700mgのドナネマブを投与するか又は投与したことがあることと、b)患者がARIA-Eの症状を有するかどうかを、i)用量増加前にMRIを実施するか、若しくは実施したことによって、又はii)ARIA-Eと一致する臨床症状が生じる場合に、決定することと、患者が症候性ARIA-Eを有しない場合、脳アミロイドが除去されるか、陰性になるか、又は<24.1CLになるまで、ドナネマブを患者に4週間ごとに1400mgの量で内服投与することと、を含む、方法。
【0103】
いくつかの実施形態では、本開示は、患者をドナネマブで治療するための方法であって、患者は、アルツハイマー病を罹患しており、方法は、a)第1の3回の用量では、4週間ごとに700mgのドナネマブを投与するか又は投与したことがあるステップと、b)患者が中等度のARIA-E症状を有する場合、治療を中止するステップと、c)ARIA-Eが解消したら、脳アミロイドが除去されるか、陰性になるか、<24.1CLになるか、又はARIA-E症状が再発するまで、ドナネマブを患者に4週間ごとに1400mgの量で投与することによって治療を継続するステップと、を含む、方法に関する。いくつかの実施形態では、症状又はARIA-Eは、MRIスキャンによって確認されるか、又は決定される。
【0104】
いくつかの実施形態では、本開示は、患者をドナネマブで治療するための方法であって、患者は、アルツハイマー病を罹患しており、方法は、a)第1の3回の用量では、4週間ごとに700mgのドナネマブを投与するか又は投与したことがあるステップと、b)患者が、症候性のARIA-Eを有しない限り、脳アミロイドが除去されるか、陰性になるか、又は<24.1CLになるまで、ドナネマブを患者に4週間ごとに1400mgの量で投与するステップと、を含む、方法に関する。いくつかの実施形態では、症状又はARIA-Eは、MRIスキャンによって確認されるか、又は決定される。
【0105】
いくつかの実施形態では、患者の脳MRIは、用量の増加(例えば、700mgから1400mgへ)前、又はARIA-Eと一致する症状が生じた場合に取得される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体による治療は、重度又は症候性ARIA-Eにより、又はそれが生じると、保留又は中止される。いくつかの実施形態では、患者において軽度又は中等度の無症候性ARIA-Eが生じると、抗N3pGlu Aβ抗体での治療が一時的に中断され得る。いくつかの実施形態では、患者において軽度又は中等度の無症候性ARIA-Eが生じると、抗N3pGlu Aβ抗体の用量を一時的に1400mg~700mgに低減させ得る。いくつかの実施形態では、ARIA-Eが生じると、コルチコステロイドを含む支持療法が患者に投与され得る。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体による治療は、症状の解消又は異常な脳MRIでの放射線写真の安定化後に再開され得る。
【0106】
ARIA-Hの症状が生じた場合は、多くの場合、ARIA-Eの存在下であり、ARIA-Eと同様に管理される。いくつかの実施形態では、患者の脳MRIは、用量を増加する前に、又はARIA-Hと一致する症状が発生した場合に取得される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体による治療は、ARIA-Hにより、又はそれが生じると、保留又は中止される。いくつかの実施形態では、患者においてARIA-Hが生じると、例えば、ARIA-H症状が軽度又は中等度である場合、抗N3pGlu Aβ抗体での治療は一時的に中断され得る。いくつかの実施形態では、患者において軽度又は中等度の無症候性ARIA-Hが生じると、抗N3pGlu Aβ抗体の用量を一時的に1400mg~700mgに低減させ得る。いくつかの実施形態では、ARIA-Hが生じると、コルチコステロイドを含む支持療法が患者に投与され得る。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体による治療は、ARIA-E又はARIA-Hの症状が改善するまで一時的に中止され得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、対象は、1回以上の10mg/kg超~約20mg/kgの第2の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量は、10mg/kg超、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、又は約20mg/kgである。一実施形態では、対象は、1回以上の10mg/kg超の第2の用量を投与される。一実施形態では、対象は、1回以上の約20mg/kgの第2の用量を投与される。特定の実施形態では、第1の用量は、月に1回投与される。一実施形態において、対象は、1回以上の10mg/kg超の第2の用量を投与され、各第2の用量は、4週間に1回、又は月に1回投与される。一実施形態において、対象は、1回以上の約20mg/kgの第2の用量を投与され、各第2の用量は、4週間に1回、又は月に1回投与される。
【0108】
いくつかの実施形態では、第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体が、対象に1回投与され、続いて、1回以上の第2の用量が投与され、第2の用量は、1回以上の第1の用量の4週間後、その後4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体が、対象に2回(4週間に1回)投与され、続いて、1回以上の第2の用量が、第1の用量の4週間後、その後4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体が、対象に3回(4週間に1回)投与され、続いて、1回以上の第2の用量が、第1の用量の4週間後、その後4週間に1回投与される。
【0109】
いくつかの実施形態では、対象は、1回以上の第1の用量、1回以上の約1400mgの第2の用量、続いて、1回以上の700mg超~約1300mgの第2の用量で治療される。特定の一実施形態では、対象は、1回以上の約700mgの第1の用量、1回以上の約1400mgの第2の用量、続いて1回以上の約700mgの用量で治療される。
【0110】
いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体は、初期の症候性アルツハイマー病を有し、中間の脳タウ負荷が存在する患者における疾患の進行を緩徐化する。いくつかの実施形態では、患者は、第1の3回の用量については、4週間ごとに700mgの抗N3pG Aβ抗体を投与され、続いて、脳アミロイドプラークが正常範囲に達するまで、4週間ごとに1400mgの抗N3pG Aβ抗体を投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pG Aβ抗体の用量を700mg~1400mgに増加する前に、患者に対してMRIが実施される。
【0111】
いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体は、初期の症候性アルツハイマー病を有する患者(すなわち、ADに起因する軽度の認知機能障害又は軽度の認知症を有する患者)における疾患の進行を緩徐化する。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体は、アミロイド陽性であり、中間の脳タウ負荷を有する患者において臨床的な利益を示す。いくつかの実施形態では、患者は、第1の3回の用量については、4週間ごとに700mgの抗N3pGlu Aβ抗体を投与され、続いて、脳アミロイドプラークが除去されるまで、4週間ごとに1400mgの抗N3pGlu Aβ抗体を投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pG Aβ抗体の用量を700mg~1400mgに増加する前に、患者に対して脳MRIが実施される。いくつかの実施形態では、ベースライン脳MRIは、治療を開始する前に取得される。
【0112】
いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体は、AD神経病理学と一致するバイオマーカーの証拠を有する初期の症候性アルツハイマー病を有する患者(ADに起因する軽度の認知障害又は軽度の認知症)における疾患の進行を緩徐化する。いくつかの実施形態では、患者は、第1の3回の用量については、4週間ごとに700mgの抗N3pGlu Aβ抗体を投与され、続いて、脳アミロイドプラークが除去されるまで、4週間ごとに1400mgの抗N3pGlu Aβ抗体を投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pG Aβ抗体の用量を700mg~1400mgに増加する前に、患者に対して脳MRIが実施される。いくつかの実施形態では、ベースライン脳MRIは、治療を開始する前に取得される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体の用量/注入を忘れた場合、抗N3pGlu Aβ抗体の投与は、必要に応じて同じ投薬スケジュールで再開される。
【0113】
いくつかの実施形態では、本開示の投薬レジメンは、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量及び1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の後、1回以上の追加用量(本明細書では第3の用量とも称される)を含む。いくつかの実施形態では、第3の用量は、対象の脳におけるAβの沈着を低減させるか、対象の脳におけるAβの更なる沈着を予防するか、更なる認知機能低下を予防するか、記憶喪失を予防するか、又は機能低下を予防するために対象に投与される。第3の用量は、約100mg~約1400mgであり得る。いくつかの実施形態では、異なる又は同じ抗体が、第1の用量、第2の用量、及び第3の用量に使用される。いくつかの実施形態では、異なるAβ標的化抗体が第3の用量で投与される。例えば、本開示のいくつかの実施形態は、i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、ii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、iii)続いて、1回以上の約100mg~約1400mgの第3の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することと、を含み、抗N3pGlu Aβ抗体は、LCVR及びHCVRを含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、1回以上の第3の用量の本開示の抗N3pGlu Aβ抗体は、2又は4週間ごと、毎月、1年ごと、2年ごと、3年ごと、4年ごと、5年ごと、又は10年ごとに対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、第3の用量は、2週間ごとに与えられる。いくつかの実施形態では、第3の用量は、4週間ごとに与えられる。いくつかの実施形態では、第3の用量は、毎年与えられる。一実施形態では、第3の用量は、2年ごとに与えられる。別の実施形態では、第3の用量は、3年ごとに与えられる。別の実施形態では、第3の用量の抗体は、5年ごとに与えられる。別の実施形態では、第3の用量の抗体は、10年ごとに与えられる。別の実施形態では、第3の用量の抗体は、2~5年ごとに与えられる。別の実施形態では、第3の用量の抗体は、5~10年ごとに与えられる。
【0114】
いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体は、疾患を治療又は予防するのに十分な期間、対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体(第1の用量の抗体及び第2の用量の抗体を含む)は、最大で約72週間の期間、任意選択で、4週間に1回、又は月に1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体(第1の用量の抗体及び第2の用量の抗体を含む)は、最大で約98週間の期間、任意選択で、4週間に1回、又は月に1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体(第1の用量の抗体及び第2の用量の抗体を含む)は、最大で約124週間の期間、任意選択で、4週間に1回、又は月に1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体(第1の用量の抗体及び第2の用量の抗体を含む)は、対象においてアミロイドの正常レベルが達成されるまでヒト対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗体は、脳アミロイドプラークが正常範囲に達するか、又は除去されるまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、脳アミロイドプラークが正常範囲に達するか、又は除去されるまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗体は、脳アミロイドプラークのレベルの低減が停止するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、脳アミロイドプラークのレベルの低減が停止するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗体は、対象がアミロイド陰性になるまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象がアミロイド陰性になるまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、対象の脳内のアミロイドプラークレベルが24.1CL未満である場合、対象はアミロイド陰性であるとみなされる。いくつかの実施形態では、対象における脳アミロイドプラークのレベルは、アミロイドPETイメージングスキャンによって測定され得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体の用量は、第1の3回の用量では、4週間ごとに700mgであり、続いて、最大72週間、又は脳アミロイドプラークが正常範囲に達するか、若しくは除去されるまで、4週間ごとに1400mgである。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体の用量は、第1の3回の用量では、4週間ごとに700mgであり、続いて、脳アミロイドプラークの低減が停止するまで、4週間ごとに1400mgである。
【0116】
いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体(第1の用量の抗体及び第2の用量の抗体を含む)は、最大で約18か月の期間、任意選択で、4週間に1回、又は月に1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体(第1の用量の抗体及び第2の用量の抗体を含む)は、最大で約24か月の期間、任意選択で、4週間に1回、又は月に1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体(第1の用量の抗体及び第2の用量の抗体を含む)は、最大で約30か月の期間、任意選択で、4週間に1回、又は月に1回、対象に投与される。
【0117】
一実施形態では、対象は、4週間に1回、3回の700mgの第1の用量を投与され、次いで、最大で72週間の期間、4週間に1回、1400mgの第2の用量を投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体(例えば、第1の用量の抗体及び第2の用量の抗体を含む)は、約4週間、約8週間、約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、約52週間、約56週間、約60週間、約64週間、約68週間、約72週間、又は約76週間の期間、対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体(例えば、第1の用量の抗体及び第2の用量の抗体を含む)は、約76週間、約80週間、約84週間、約88週間、約92週間、約96週間、約100週間、約104週間、約108週間、約112週間、約116週間、又は約120週間の期間、対象に投与される。
【0118】
特定の実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体は、約24週間の期間、対象に投与される。特定の実施形態では、抗体は、約28週間の期間、対象に投与される。特定の実施形態では、抗体は、約52週間の期間、対象に投与される。特定の実施形態では、抗体は、約72週間の期間、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、72週間以下の期間、対象に投与される。
【0119】
いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体(例えば、第1の用量の抗体及び第2の用量の抗体を含む)は、約1か月~約18か月の期間、対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体は、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約12か月、約13か月、約14か月、約15か月、約16か月、約17か月、又は約18か月の期間、対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体は、約19か月、約20か月、約21か月、約22か月、約23か月、約24か月、約25か月、約26か月、約27か月、約28か月、約29か月、又は約30か月の期間、対象に投与される。
【0120】
いくつかの実施形態では、抗体は、脳アミロイドプラークが正常範囲に達するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗体は、脳アミロイドプラークが除去されるまで、対象に投与される。
【0121】
特定の実施形態では、抗体は、約3か月の期間、対象に投与される。特定の実施形態では、抗体は、約6か月の期間、対象に投与される。特定の実施形態では、抗体は、約12か月の期間、対象に投与される。特定の実施形態では、抗体は、約18か月の期間、対象に投与される。
【0122】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防するのに十分な期間、抗N3pGlu Aβ抗体を投与される。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、対象の脳におけるアミロイドプラークを正常範囲にするのに十分な期間(又は、脳のアミロイドプラークが除去されるまで)、抗N3pGlu Aβ抗体(例えば、第1の用量及び/又は第2の用量を含む)が投与される。アミロイドプラークの正常範囲は、少なくとも6か月の間隔である2回の連続するPETスキャンでアミロイドプラークレベルが25センチロイド以下と実証されるか、又は11センチロイド未満のアミロイドプラークレベルが実証される単回のPETスキャンと定義される。本開示において、脳におけるアミロイドプラークの「正常範囲」という用語は、脳アミロイドプラークが「除去された」と互換的に使用される。
【0123】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象におけるアミロイドプラークレベルが約25センチロイド以下になるまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、アミロイドプラークは、PETイメージングによって測定される。他の実施形態では、本開示の抗体は、2回の連続するPETイメージングスキャンで対象におけるアミロイドプラークレベルが約25センチロイド以下になるまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、2回の連続するPETイメージングスキャンは、少なくとも6か月の間隔である。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象におけるアミロイドプラークレベルが、1回のPETイメージングによって測定された場合、約11センチロイド以下になるまで、対象に投与される。
【0124】
特定の実施形態では、対象は、3回の700mgの第1の用量の本開示の抗体を投与され、各第1の用量は、4週間に1回投与され、次いで、1回以上の1400mgの第2の用量の抗体を投与され、各第2の用量は、患者におけるアミロイドプラークレベルが約25センチロイド以下になるまで、4週間に1回投与される。
【0125】
他の実施形態では、対象は、3回の700mgの第1の用量の本開示の抗体を投与され、各第1の用量は、4週間に1回投与され、次いで、1400mgの第2の用量の抗体を投与され、各第2の用量は、患者におけるアミロイドプラークレベルが2回の連続するPETイメージングスキャンで約25センチロイド以下になるか、又は1回のPETイメージングスキャンで11センチロイド以下となるまで、4週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、2回の連続するPETイメージングスキャンは、少なくとも6か月の間隔である。
【0126】
いくつかの実施形態では、対象は、患者におけるアミロイドプラークレベルが、2回の連続するPETイメージングスキャンで約25センチロイド以下、又は1回のPETイメージングスキャンで約11センチロイド以下になった後、抗N3pGlu Aβ抗体用量を投与されない。いくつかの実施形態では、2回の連続するPETイメージングスキャンは、少なくとも6か月の間隔である。
【0127】
いくつかの実施形態では、対象は、患者におけるアミロイドプラークレベルが、2回の連続するPETイメージングスキャンで約25センチロイド以下、又は1回のPETイメージングスキャンで約11センチロイド以下になった後、1回以上の700mgの用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与され得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるアミロイドプラークが約25~約150センチロイド低減するまで、対象に投与される。例えば、Klunk et al.,“The Centiloid Project:Standardizing Quantitative Amyloid Plaque Estimation by PET,”Alzheimer’s & Dementia 11.1:1-15(2015)及びNavitsky et al.,“Standardization of Amyloid Quantitation with Florbetapir Standardized Uptake Value Ratios to the Centiloid Scale,Alzheimer’s & Dementia 14.12:1565-1571(2018)を参照されたく、これらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0129】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβ沈着が約50~約150センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβ沈着が約25、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120、約130、約140又は約150センチロイド低減するまで対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約50センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約60センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約70センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約80センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約84センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約90センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約100センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約110センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約120センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約130センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約140センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約150センチロイド低減するまで、対象に投与される。
【0130】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβ沈着が平均約25~約100センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβ沈着が平均約50~約100センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβ沈着が平均約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約84、約90、約100センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが平均約50センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが平均約60センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが平均約70センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが平均約80センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが平均約84センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが平均約90センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが平均約100センチロイド低減するまで、対象に投与される。
【0131】
いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβ沈着が約25~約150センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβ沈着が約50~約150センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβ沈着が約25、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約84、約90、約100、約110、約120、約130、約140又は約150センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約50センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約60センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約70センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約80センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約84センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約90センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約100センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約110センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約120センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約130センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約140センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約150センチロイド低減するまで、対象に投与される。
【0132】
いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβ沈着が平均約25~約100センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβ沈着が平均約50~約100センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβ沈着が平均約25、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約84、約90、約100センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが平均約50センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが平均約60センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが平均約70センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが平均約80センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが平均約84センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが平均約90センチロイド低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが平均約100センチロイド低減するまで、対象に投与される。
【0133】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体、方法、投薬レジメン、及び/又は使用は、ヒト対象の脳におけるAβプラークの低減をもたらす。特定の実施形態では、Aβプラークは、治療後に約20~100%低減する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約20~100%低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒト対象の脳におけるAβプラークが約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約75%、又は約100%低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約20%低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約25%低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約30%低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約35%低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約40%低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約50%低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約75%低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約100%低減するまで、対象に投与される。
【0134】
いくつかの実施形態では、第1の用量及び/又は第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約20~100%低減するまで、対象に投与される。特定の実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約20~100%低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量の本開示の抗体は、対象の脳におけるAβプラークが約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約75%又は約100%低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量は、対象の脳におけるAβプラークが約20%低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量は、対象の脳におけるAβプラークが約25%低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量は、対象の脳におけるAβプラークが約30%低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量は、対象の脳におけるAβプラークが約35%低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量は、対象の脳におけるAβプラークが約40%低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量は、対象の脳におけるAβプラークが約50%低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量は、対象の脳におけるAβプラークが約75%低減するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量は、対象の脳におけるAβプラークが約100%低減するまで、対象に投与される。
【0135】
いくつかの実施形態では、対象の脳におけるAβプラークの低減パーセンテージは、約4週、約8週、約12週、約16週、約20週、約24週、約28週、約32週間、約36週、約40週、約44週、約48週、約52週、約56週、約60週、約64週、約68週、又は約72週で測定される。いくつかの実施形態では、対象におけるAβプラークレベルは、本発明の抗N3pGlu Aβ抗体の投与(第1の用量及び第2の用量の両方を含む)の24週間以内に少なくとも60%低減する。
【0136】
いくつかの実施形態では、対象の脳におけるAβプラークのセンチロイド低減は、約4週、約8週、約12週、約16週、約20週、約24週、約28週、約32週間、約36週、約40週、約44週、約48週、約52週、約56週、約60週、約64週、約68週、又は約72週で測定される。
【0137】
いくつかの実施形態では、対象の脳におけるAβプラークの平均センチロイド低減は、約4週、約8週、約12週、約16週、約20週、約24週、約28週、約32週間、約36週、約40週、約44週、約48週、約52週、約56週、約60週、約64週、約68週、又は約72週で測定される。
【0138】
いくつかの実施形態では、本開示は、ベースラインからの認知機能-機能複合エンドポイントの低下の約15~約45パーセントの緩徐化をもたらす。いくつかの実施形態では、本開示は、約4週間、約8週間、約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、約52週間、約56週間、約60週間、約64週間、約68週間、約72週間又は76週間の期間にわたって、ベースラインからの認知機能-機能複合エンドポイントの低下の約15~約45パーセントの緩徐化をもたらす。
【0139】
いくつかの実施形態では、本開示は、76週間の期間にわたって、ベースラインからの認知機能-機能複合エンドポイントの低下の約15~約45パーセントの緩徐化をもたらす。いくつかの実施形態では、ベースラインからの認知機能-機能複合エンドポイントの低下の緩徐化は、混合モデル反復測定(MMRM)モデル又はベイズ疾患進行モデル(DPM)から提供される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ベースラインからの認知機能-機能複合エンドポイントの低下の約15~約45パーセントの緩徐化に達するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の第1の用量又は第2の用量は、ベースラインからの認知機能-機能複合エンドポイントの低下の約15~約45パーセントの緩徐化に達するまで、対象に投与される。
【0140】
いくつかの実施形態では、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体の対象への投与は、未治療の対象と比較して、疾患の進行を約15%~約45%緩徐化し、疾患の進行は、DPMによって測定される。いくつかの実施形態では、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体の対象への投与は、未治療の対象と比較して、疾患の進行を約15%緩徐化し、疾患の進行は、DPMによって測定される。いくつかの実施形態では、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体の対象への投与は、未治療の対象と比較して、疾患の進行を約20%緩徐化し、疾患の進行は、DPMによって測定される。いくつかの実施形態では、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体の対象への投与は、未治療の対象と比較して、疾患の進行を約25%緩徐化し、疾患の進行は、DPMによって測定される。いくつかの実施形態では、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体の対象への投与は、未治療の対象と比較して、疾患の進行を少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%又は少なくとも45%緩徐化し、疾患の進行は、DPMによって測定される。
【0141】
いくつかの実施形態では、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体の対象への投与は、未治療の対象と比較して、疾患の進行を約15%~約45%緩徐化し、疾患の進行は、MMRMによって測定される。いくつかの実施形態では、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体の対象への投与は、未治療の対象と比較して、疾患の進行を約15%緩徐化し、疾患の進行は、MMRMによって測定される。いくつかの実施形態では、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体の対象への投与は、未治療の対象と比較して、疾患の進行を約20%緩徐化し、疾患の進行は、MMRMによって測定される。いくつかの実施形態では、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体の対象への投与は、未治療の対象と比較して、疾患の進行を約25%緩徐化し、疾患の進行は、MMRMによって測定される。いくつかの実施形態では、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体の対象への投与は、未治療の対象と比較して、疾患の進行を少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%又は少なくとも45%緩徐化し、疾患の進行は、MMRMによって測定される。
【0142】
いくつかの実施形態では、本開示は、ベースラインから、又は未治療の対象と比較して、統合アルツハイマー病評定スケール(iADRS)での低下又は疾患の進行の約15~約60パーセントの緩徐化をもたらす。いくつかの実施形態では、本開示は、約4週間、約8週間、約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、約52週間、約56週間、約60週間、約64週間、約68週間、約72週間又は76週間の期間にわたって、ベースラインから、又は未治療の対象と比較して、統合アルツハイマー病評定スケールでの低下又は疾患の進行の約15~約60パーセントの緩徐化をもたらす。いくつかの実施形態では、iADRSによって測定された低下の緩徐化は、混合モデル反復測定(MMRM)モデル又はベイズ疾患進行モデル(DPM)から提供される。
【0143】
いくつかの実施形態では、本開示は、ベースラインから、又は未治療の対象と比較して、統合アルツハイマー病評定スケールにおける低下又は疾患の進行の約20パーセント、約25パーセント、約30パーセント、約32パーセント、約35パーセント、約40パーセント、約45パーセント、約50%、約55%、又は約60%の緩徐化をもたらす。
【0144】
いくつかの実施形態では、本開示は、76週間の期間にわたって、ベースラインから、又は未治療の対象と比較して、統合アルツハイマー病評定スケールでの低下の約15~約60パーセントの緩徐化をもたらす。特定の実施形態では、本開示は、76週間の期間にわたって、ベースラインから、又は未治療の対象と比較して、統合アルツハイマー病評定スケールでの低下の約32パーセントの緩徐化をもたらす。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ベースラインから、又は未治療の対象と比較して、統合アルツハイマー病評定スケールでの低下の約15~約60パーセントの緩徐化に達するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の第1又は第2の用量は、ベースラインから、又は未治療の対象と比較して、統合アルツハイマー病評定スケールでの低下の約15~約60パーセントの緩徐化に達するまで、対象に投与される。
【0145】
いくつかの実施形態では、本開示は、ベースラインから、又は未治療の対象と比較して、統合アルツハイマー病評定スケール(iADRS)での低下又は疾患の進行の約3~約6の緩徐化をもたらす。いくつかの実施形態では、本開示は、約4週間、約8週間、約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、約52週間、約56週間、約60週間、約64週間、約68週間、約72週間又は76週間の期間にわたって、ベースラインから、又は未治療の対象と比較して、統合アルツハイマー病評定スケールでの低下又は疾患の進行の約3~約6の緩徐化をもたらす。
【0146】
いくつかの実施形態では、本開示は、ベースラインから、又は未治療の対象と比較して、統合アルツハイマー病評定スケールにおける低下又は疾患の進行の約3、約4、約5、又は約6の緩徐化をもたらす。いくつかの実施形態では、本開示は、76週間の期間にわたって、ベースラインから、又は未治療と比較して、統合アルツハイマー病評定スケールでの低下又は疾患の進行の3~約6ポイントの緩徐化をもたらす。
【0147】
いくつかの実施形態では、iADRSによって測定された疾患の進行の緩徐化は、混合モデル反復測定(MMRM)モデル又はベイズ疾患進行モデル(DPM)から提供される。
【0148】
いくつかの実施形態では、対象のiADRSを含む認知機能複合エンドポイントは、約4週、約8週、約12週、約16週、約20週、約24週、約28週、約32週間、約36週、約40週、約44週、約48週、約52週、約56週、約60週、約64週、約68週、又は約72週で測定される。
【0149】
いくつかの実施形態では、本開示は、ベースラインから、又は未治療の対象と比較して、臨床認知症評定スケール-ボックスの合計(CDR-SB)での低下又は疾患の進行の約20~約40パーセントの緩徐化をもたらす。いくつかの実施形態では、本開示は、約4週間、約8週間、約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、約52週間、約56週間、約60週間、約64週間、約68週間、約72週間又は76週間の期間にわたって、ベースラインから、又は未治療と比較して、CDR-SBでの低下又は疾患の進行の約20~約40パーセントの緩徐化をもたらす。
【0150】
いくつかの実施形態では、本開示は、ベースラインから、又は未治療の対象と比較して、CDR-SBでの低下又は疾患の進行の約20パーセント、約25パーセント、約30パーセント、約35パーセント、又は約40パーセントの緩徐化をもたらす。
【0151】
いくつかの実施形態では、本開示は、76週間の期間にわたって、ベースラインから、又は未治療の対象と比較して、CDR-SBでの低下の約20~約40パーセントの緩徐化をもたらす。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ベースラインから、又は未治療の対象と比較して、CDR-SBでの低下の約20~約40パーセントの緩徐化に達するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の第1又は第2の用量は、ベースラインから、又は未治療の対象と比較して、CDR-SBでの低下の約20~約40パーセントの緩徐化に達するまで、対象に投与される。いくつかの実施形態では、CDR-SBによって測定された疾患の進行の緩徐化は、混合モデル反復測定(MMRM)モデル又はベイズ疾患進行モデル(DPM)から提供される。
【0152】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体、方法、投薬レジメン、及び/又は使用は、対象の海馬容積の低減をもたらさない。いくつかの実施形態では、抗体の投与は、対象の海馬容積の低減をもたらさない。
【0153】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体、方法、投薬レジメン、及び/又は使用は、ヒト対象の脳におけるタウレベルの減少又は低減をもたらす。いくつかの実施形態では、本開示の抗体、方法、投薬レジメン、及び/又は使用は、Aβプラークによって特徴付けられる疾患を有する患者における血漿タウレベルの減少又は低減をもたらす。いくつかの実施形態では、本開示の抗体、方法、投薬レジメン、及び/又は使用は、Aβプラークによって特徴付けられる疾患を有する患者におけるP-タウ217レベルの減少又は低減をもたらす。いくつかの実施形態では、本開示の抗体、方法、投薬レジメン、及び/又は使用は、Aβプラークによって特徴付けられる疾患を有する患者におけるP-タウ217レベルの急速かつ持続的な低減をもたらす。いくつかの実施形態では、P-タウ217レベルは、ベースラインから約5%~約40%低減する。いくつかの実施形態では、P-タウ217レベルは、ベースラインから約10%~約30%低減する。いくつかの実施形態では、P-タウ217レベルは、ベースラインから約20%~約30%低減する。いくつかの実施形態では、P-タウ217レベルは、ベースラインから約25%~約30%低減する。いくつかの実施形態では、P-タウ217レベルは、ベースラインから5%、10%、15%、20%、24%、25%、29%、30%、35%、又は40%低減する。いくつかの実施形態では、P-タウ217レベルは、抗N3pG抗体での治療後、ベースラインから約5%~約40%低減する。いくつかの実施形態では、P-タウ217レベルは、抗N3pG抗体での治療後、ベースラインから約10%~約30%低減する。いくつかの実施形態では、P-タウ217レベルは、抗N3pG抗体での治療後、ベースラインから約20%~約30%低減する。いくつかの実施形態では、P-タウ217レベルは、抗N3pG抗体での治療後、ベースラインから約25%~約30%低減する。いくつかの実施形態では、P-タウ217レベルは、抗N3pG抗体での治療後、ベースラインから5%、10%、15%、20%、24%、25%、29%、30%、35%、又は40%低減する。いくつかの実施形態では、P-タウ217レベルは、本開示の抗N3pG抗体での治療中又は治療後、1つ以上の時点で、ベースラインから約5%~約40%低減する。
【0154】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体、方法、投薬レジメン、及び/又は使用は、Aβプラークによって特徴付けられる疾患を有する患者の脳におけるニューロフィラメント軽鎖(NfL)レベルの減少又は低減をもたらす。いくつかの実施形態では、NfLレベルは、プラセボと比較して、約1%~約20%低減する。いくつかの実施形態では、NfLレベルは、プラセボと比較して、約5%~約15%低減する。いくつかの実施形態では、NfLレベルは、プラセボと比較して、約10%~約15%低減する。いくつかの実施形態では、NfLレベルは、プラセボと比較して、2%、3%、4%、5%、10%、15%、又は20%低減する。いくつかの実施形態では、NfLレベルは、抗N3pG抗体での治療後、プラセボと比較して、約1%~約20%低減する。いくつかの実施形態では、NfLレベルは、抗N3pG抗体での治療後、プラセボと比較して、約5%~約15%低減する。いくつかの実施形態では、NfLレベルは、抗N3pG抗体での治療後、プラセボと比較して、約10%~約15%低減する。いくつかの実施形態では、NfLレベルは、抗N3pG抗体での治療後、プラセボと比較して、2%、3%、4%、5%、10%、15%、又は20%低減する。いくつかの実施形態では、NfLレベルは、抗N3pG抗体での治療後、プラセボと比較して、2%、3%、4%、5%、10%、15%、又は20%低減する。いくつかの実施形態では、NfLレベルは、本開示の抗N3pG抗体での治療中又は治療後、1つ以上の時点で、プラセボと比較して、約1%~約20%低減する。
【0155】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体、方法、投薬レジメン、及び/又は使用は、Aβプラークによって特徴付けられる疾患を有する患者の血漿又は脳脊髄液(CSF)中のAβ42/40比の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、血漿中のAβ42/40比は、ベースラインと比較して、約1%~約10%増加する。いくつかの実施形態では、血漿中のAβ42/40比は、ベースラインと比較して、約1%~約5%増加する。いくつかの実施形態では、血漿中のAβ42/40比は、ベースラインと比較して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%増加する。いくつかの実施形態では、血漿中のAβ42/40比は、抗N3pG抗体での治療後、ベースラインと比較して、約1%~約10%増加する。いくつかの実施形態では、血漿中のAβ42/40比は、抗N3pG抗体での治療後、ベースラインと比較して、約1%~約5%増加する。いくつかの実施形態では、血漿中のAβ42/40比は、抗N3pG抗体での治療後、ベースラインと比較して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%増加する。いくつかの実施形態では、血漿中のAβ42/40比は、本開示の抗N3pG抗体での治療中又は治療後、1つ以上の時点で、ベースラインと比較して、約1%~約10%増加する。
【0156】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体、方法、投薬レジメン、及び/又は使用は、Aβプラークによって特徴付けられる疾患を有する患者の血液中のグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)の減少又は低減をもたらす。いくつかの実施形態では、GFAPレベルは、ベースラインから約5%~約40%低減する。いくつかの実施形態では、GFAPレベルは、ベースラインから約10%~約30%低減する。いくつかの実施形態では、GFAPレベルは、ベースラインから約10%~約20%低減する。いくつかの実施形態では、GFAPレベルは、ベースラインから約10%~約15%低減する。いくつかの実施形態では、GFAPレベルは、ベースラインから5%、10%、12%、15%、20%、24%、25%、29%、30%、35%、又は40%低減する。いくつかの実施形態では、GFAPレベルは、抗N3pG抗体での治療後、ベースラインから約5%~約40%低減する。いくつかの実施形態では、GFAPレベルは、抗N3pG抗体での治療後、ベースラインから約10%~約30%低減する。いくつかの実施形態では、GFAPレベルは、抗N3pG抗体での治療後、ベースラインから約10%~約20%低減する。いくつかの実施形態では、GFAPレベルは、抗N3pG抗体での治療後、ベースラインから約10%~約15%低減する。いくつかの実施形態では、GFAPレベルは、抗N3pG抗体での治療後、ベースラインから5%、10%、12%、15%、20%、24%、25%、29%、30%、35%、又は40%低減する。いくつかの実施形態では、GFAPレベルは、本開示の抗N3pG抗体での治療中又は治療後、1つ以上の時点で、ベースラインから約5%~約40%低減する。いくつかの実施形態では、GFAPレベルは、本開示の抗N3pG抗体での治療中又は治療後、1つ以上の時点で、ベースラインから約5%~約30%低減する。いくつかの実施形態では、GFAPレベルは、本開示の抗N3pG抗体での治療中又は治療後、1つ以上の時点で、ベースラインから約5%~約20%低減する。いくつかの実施形態では、GFAPレベルは、本開示の抗N3pG抗体での治療中又は治療後、1つ以上の時点で、ベースラインから約5%~約15%低減する。いくつかの実施形態では、GFAPレベルは、本開示の抗N3pG抗体での治療中又は治療後、1つ以上の時点で、ベースラインから5%、10%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、又は40%低減する。
【0157】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、アルツハイマー病を治療するための有効量の対症療法剤と同時に、別々に、又は連続的に組み合わせて投与され得る。対症療法剤は、コリンエステラーゼ阻害剤(ChEI)及び/又はN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)部分アンタゴニストから選択され得る。好ましい実施形態では、薬剤は、ChEIである。別の好ましい実施形態では、薬剤は、NMDAアンタゴニスト、又はChEI及びNMDAアンタゴニストを含む併用剤である。
【0158】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の投薬レジメン又は方法は、ソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体をヒト患者に投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体は、有効量の配列番号15の軽鎖を有する抗体と同時に、別々に、又は連続的に組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体は、有効量の配列番号16の重鎖を有する抗体と同時に、別々に、又は連続的に組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体は、有効量の配列番号16の2つの重鎖及び配列番号15の2つの軽鎖を有する抗体と同時に、別々に、又は連続的に組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体は、有効量のソラネズマブと同時に、別々に、又は連続的に組み合わせて投与され得る。
【0159】
ソラネズマブについての、そのCDR配列、LCVR、HCVR配列、及びその製造方法及び使用方法を含む追加情報は、以下の特許文献に見出され、これらは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
●米国特許第7,195,761号
●米国特許出願公開第2006/0039906号
●米国特許第7,195,761号
●米国特許第8,591,894号
●米国特許第7,771,722号
●米国特許出願公開第2007/0190046号。
【0160】
ソラネズマブを他の抗体と組み合わせて使用することについての情報は、米国特許出願公開第2019/03824号に見出され、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0161】
いくつかの実施形態では、ソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体は、アミロイドベータレベルを正常範囲内に維持するためにヒト対象に投与される。実施形態では、ソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体は、アミロイドプラークレベルの増加を予防するためにヒト対象に投与される。実施形態では、ソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体は、アミロイドプラークレベルの増加の速度を低減させるためにヒト対象に投与される。
【0162】
いくつかの実施形態では、ヒト対象には、本明細書に記載の抗N3pGlu Aβ抗体の用量又は投薬レジメンを、ソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体の用量又は投薬レジメンと組み合わせて実施され得る。いくつかの実施形態では、ソラネズマブの用量は、4週間ごとに400mg、4週間ごとに800mg、4週間ごとに1200mg、又は4週間ごとに1600mgである。いくつかの実施形態では、ソラネズマブの投薬レジメンは、400mgの初期用量、及び患者を400mgで維持するか、又は4週間ごとに800mgまで漸増するか、又は4週間ごとに1200mgまで漸増するか、又は経時的に1600mgまで漸増するかのいずれかを含む。他の実施形態は、1600mgの初期用量を与えることと、次いで、その用量を維持するか、又は400mg、800mg、若しくは1200mgまで漸増することと、を含み得る。当業者であれば、用量をどのように漸増又は漸減するか、又はどのように患者を特定の用量に維持するか(及び投薬の変更と関連するタイミング)を理解するであろう。
【0163】
いくつかの実施形態では、ソラネズマブの投与は、脳において利用可能な可溶性Aβの低減を引き起こす。この低減は、約4週、約8週、約12週、約16週、約20週、約24週、約28週、約32週、約36週、約40週、約44週、約48週、約52週、約56週、約60週、約64週、約68週、又は約72週、又は約80週で測定され得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、ソラネズマブの投与は、可溶性Aβ濃度の5%低下をもたらす。他の実施形態では、ソラネズマブの投与は、可溶性Aβ濃度の10%低下をもたらす。他の実施形態では、ソラネズマブの投与は、可溶性Aβ濃度の15%低下をもたらす。他の実施形態では、ソラネズマブの投与は、可溶性Aβ濃度の20%低下をもたらす。他の実施形態では、ソラネズマブの投与は、可溶性Aβ濃度の25%低下をもたらす。他の実施形態では、ソラネズマブの投与は、可溶性Aβ濃度の30%低下をもたらす。他の実施形態では、ソラネズマブの投与は、可溶性Aβ濃度の35%低下をもたらす。他の実施形態では、ソラネズマブの投与は、可溶性Aβ濃度の40%低下をもたらす。他の実施形態では、ソラネズマブの投与は、可溶性Aβ濃度の45%低下をもたらす。他の実施形態では、ソラネズマブの投与は、可溶性Aβ濃度の50%低下をもたらす。他の実施形態では、ソラネズマブの投与は、可溶性Aβ濃度の50%超の低下をもたらす。当業者であれば、どのように可溶性Aβ濃度の測定するか理解するであろう。Siemers et al.,“Safety and Changes in Plasma and Cerebrospinal Fluid Amyloid β After a Single Administration of an Amyloid β Monoclonal Antibody in Subjects with Alzheimer Disease.”Clinical Neuropharmacology 33.2(2010):67-73及びFarlow et al.,“Safety and Biomarker Effects of Solanezumab in Patients with Alzheimer’s Disease,”Alzheimer’s & Dementia 8.4(2012):261-271を参照されたく、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0165】
当業者であれば、ソラネズマブ又は別の抗体の用量の変更は、PETスキャン、臨床観察、様々な「試験」における患者の能力などを含む様々な要因に基づき得ることを理解するであろう。
【0166】
いくつかの実施形態では、対象の脳におけるAβ沈着によって特徴付けられる疾患は、前臨床アルツハイマー病、臨床AD、前駆AD、軽度AD、中等度AD、重度AD、ダウン症候群、臨床脳アミロイド血管障害、又は前臨床脳アミロイド血管障害から選択される。いくつかの実施形態では、対象は、初期の症候性AD患者である。いくつかの実施形態では、対象は、前駆AD及びADに起因する軽度の認知症を有する。
【0167】
本開示は、アルツハイマー病を含む、ヒト対象の脳におけるAβプラークによって特徴付けられる疾患のバイオマーカーの使用を含む。このようなバイオマーカーには、例えば、アミロイド沈着、アミロイドプラーク、CSF中のAβ、血漿中のAβ、脳タウ沈着、血漿中のタウ、又は脳脊髄液中のタウ、及びスクリーニング、診断、治療又は予防におけるそれらの使用が含まれる。このようなバイオマーカーの非限定的な潜在的な使用には、1)罹患する運命にある対象、又は疾患の「前臨床」段階にある対象の特定、2)臨床試験又は疫学研究における疾患の不均質性の低減、3)誘導、潜伏及び検出の段階を含む疾患の自然史の反映、並びに4)臨床試験又は疾患の治療/予防の対象を標的とすることが含まれる。
【0168】
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、本明細書に記載の抗体、投薬レジメン、又は方法を使用して、対象が治療され得るかどうかを評価するために使用され得る。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、本明細書に記載の抗体、投薬レジメン、又は方法を使用して、対象において(本明細書に記載の)疾患を予防することができるかどうかを評価するために使用され得る。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、本明細書に記載の抗体、投薬レジメン、又は方法を使用して、対象が(本明細書に記載の)疾患の治療又は予防に反応するかどうかを評価するために使用され得る。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、本明細書に記載される抗体、投薬レジメン、又は方法を使用して、対象を群に階層化又は分類し、どの対象の群が(本明細書に記載の)疾患の治療/予防に反応するかを特定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、本明細書に記載されるように、対象の病状及び/又は対象への抗体若しくはその用量の投与期間を評価するために使用され得る。
【0169】
いくつかの実施形態では、対象は、常染色体優性アルツハイマー病を引き起こす、又は1若しくは2個のAPOE4対立遺伝子を保有するためADを発症するリスクが高い遺伝子変異を有する。特定の実施形態では、対象は1又は2個のAPOE4対立遺伝子を保有しており、すなわち、患者はヘテロ接合性又はホモ接合性である。
【0170】
いくつかの実施形態では、対象は、抗N3pGlu Aβ抗体を投与する前のベースラインMMSE(ミニメンタルステート検査)スコアが20~28である。
【0171】
いくつかの実施形態では、対象は、低いから中等度のタウ負荷を有するか、又は低いから中等度のタウ負荷を有すると決定されている。PET脳イメージング(例えば、18Fフロルタウシピル(Flortaucipir)を使用)によって測定されるタウ負荷が、≧1.10標準化取り込み値比(SUVr)~≦1.46SUVrである場合、対象は低いから中等度のタウ負荷を有する。いくつかの実施形態では、対象は、低いから中等度のタウ負荷を有するか、又は低いから中等度のタウ負荷を有すると決定されており、かつ1又は2個のAPOE4対立遺伝子を保有する。
【0172】
いくつかの実施形態では、対象は、非常に低いタウ負荷を有するか、又は非常に低いタウ負荷を有すると決定されている。PET脳イメージング(例えば、18Fフロルタウシピルを使用)によって測定されるタウ負荷が、1.10SUVr未満である場合、対象は非常に低いタウ負荷を有する。いくつかの実施形態では、対象は、非常に低いタウ負荷を有するか、又は非常に低いタウ負荷を有すると決定されており、かつ1又は2個のAPOE4対立遺伝子を保有する。
【0173】
いくつかの実施形態では、対象は、非常に低いから中等度のタウ負荷を有するか、又は非常に低いタウから中等度のタウ負荷を有すると決定されている。PET脳イメージング(例えば、18Fフロルタウシピルを使用)によって測定されるタウ負荷が、≦1.46SUVrである場合、対象は非常に低いから中等度のタウ負荷を有する。いくつかの実施形態では、対象は、非常に低いから中等度のタウ負荷を有するか、又は非常に低いから中等度のタウ負荷を有すると決定されており、かつ1又は2個のAPOE4対立遺伝子を保有する。
【0174】
いくつかの実施形態では、対象は、高いタウ負荷を有しないか、又は高いタウ負荷を有しないと決定されている。いくつかの実施形態では、PET脳イメージング(例えば、18Fフロルタウシピルを使用)によって測定されるタウ負荷が、1.10SUVr超である場合、ヒト対象は高いタウ負荷を有する。いくつかの実施形態では、高いタウを有する対象は、本開示の抗体を投与されない。いくつかの実施形態では、対象は、高いタウ負荷を有しないか、又は高いタウ負荷を有しないと決定されており、かつ1又は2個のAPOE4対立遺伝子を保有している。
【0175】
いくつかの実施形態では、本開示に記載の抗N3pGlu Aβ抗体、投薬レジメン、又は方法は、非常に低いから中等度のタウを有するヒト対象において有効である。いくつかの実施形態では、本開示に記載の抗N3pGlu Aβ抗体、投薬レジメン、又は方法は、低いから中等度のタウを有するヒト対象において有効である。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、i)約1.14SUVr以下、又はii)約1.14SUVr~約1.27SUVrのタウレベルを有するヒト対象において最も有効である。いくつかの実施形態では、本開示に記載の抗N3pGlu Aβ抗体、投薬レジメン、又は方法は、タウレベルに関係なく、ヒト対象において有効である。
【0176】
いくつかの実施形態では、本開示に記載の抗N3pGlu Aβ抗体、投薬レジメン、又は方法は、非常に低いから中等度のタウを有し、かつ1又は2個のAPOE4対立遺伝子を保有するヒト対象において有効である。いくつかの実施形態では、本開示に記載の抗N3pGlu Aβ抗体、投薬レジメン、又は方法は、低いから中等度のタウを有し、かつ1又は2個のAPOE4対立遺伝子を保有するヒト対象において有効である。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、1又は2個のAPOE4対立遺伝子を有し、かつi)約1.14SUVr以下、又はii)約1.14SUVr~約1.27SUVrのタウレベルを有するヒト対象において最も有効である。
【0177】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、対象の脳におけるAβプラークのレベルが、第2の用量の投与完了後、少なくとも52週間、正常レベルに維持されるようなものである。
【0178】
ヒト対象のタウレベルは、診断する医師又は当業者に精通した技術及び方法によって決定され得る。いくつかの実施形態では、アミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を患っているヒト対象は、診断する医師又は当業者に精通した技術及び方法を使用して、非常に低いから中等度のタウ、低いから中等度のタウを有する、又は高いタウを有しないと決定される。いくつかの実施形態では、このような方法はまた、脳タウ負荷の増加又は低減を事前スクリーニング、スクリーニング、診断、評価するために、及び/又は本明細書に記載される疾患の治療又は予防において達成された進歩を評価するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本方法はまた、本明細書に記載される抗体、投薬レジメン、又は方法を使用して、対象を群に階層化し、及び/又はどの対象の群が(本明細書に記載の)疾患の治療/予防に反応するかを特定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、ヒト対象のタウレベルを決定/検出するために使用される方法又は技術は、本明細書に記載の抗体、投薬レジメン、又は方法を使用して対象をプレスクリーニング又はスクリーニングし、どの対象が(本明細書に記載の)疾患の治療/予防に反応するかを決定するために使用され得る。
【0179】
いくつかの実施形態では、ヒト対象のタウレベルは、例えば、i)脳タウ沈着、ii)血漿中のタウ、又はiii)脳脊髄液中のタウを検出又は定量化する技術又は方法を使用して決定され得る。いくつかの実施形態では、脳タウ負荷、血漿中のタウ、又は脳脊髄液中のタウは、本明細書に記載される抗体、投薬レジメン、又は方法を使用して、対象を群に階層化し、及び/又はどの対象の群が(本明細書に記載の)疾患の治療/予防に反応するかを特定するために使用され得る。
【0180】
ヒト対象の脳におけるタウレベルは、放射性標識されたPET化合物を用いたタウイメージングなどの方法を使用して決定され得る(Leuzy et al.,“Diagnostic Performance of RO948 F18 Tau Positron Emission Tomography in the Differentiation of Alzheimer Disease from Other Neurodegenerative Disorders,”JAMA Neurology 77.8:955-965(2020)、Ossenkoppele et al.,“Discriminative Accuracy of F18-flortaucipir Positron Emission Tomography for Alzheimer Disease vs Other Neurodegenerative Disorders,”JAMA 320,1151-1162,doi:10.1001/jama.2018.12917(2018)、これらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0181】
いくつかの実施形態では、PETリガンドであるバイオマーカーF18-フロルタウシピルが、本開示の目的のために使用され得る。例えば、PETタウ画像を定量的に評価して、公開されている方法によってSUVr(標準化取り込み値比)を推定し得(Pontecorvo et al.,“A Multicentre Longitudinal Study of Flortaucipir(18F)in Normal Ageing,Mild Cognitive Impairment and Alzheimer’s Disease Dementia,”Brain 142:1723-35(2019)、Devous et al.,“Test-Retest Reproducibility for the Tau PET Imaging Agent Flortaucipir F18,”Journal of Nuclear Medicine 59:937-43(2018)、Southekal et al.,“Flortaucipir F18 Quantitation Using Parametric Estimation of Reference Signal Intensity,”J.Nucl.Med.59:944-51(2018)、これらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)及び/又は患者を視覚的に評価する、例えば、患者がADパターンを有するかどうかを決定し得る(Fleisher et al.,“Positron Emission Tomography Imaging With F18-flortaucipir and Postmortem Assessment of Alzheimer Disease Neuropathologic Changes,”JAMA Neurology 77:829-39(2020)、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。SUVr値が低いほどタウ負荷が少ないことを示し、SUVr値が高いほどタウ負荷が高いことを示す。一実施形態では、flortaucipirスキャンによる定量的評価は、以下に記載される自動画像処理パイプラインによって達成される(Southekal et al.,“Flortaucipir F18 Quantitation Using Parametric Estimation of Reference Signal Intensity,”J.Nucl.Med.59:944-951(2018)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、脳内の特定の標的関心領域内のカウントは(例えば、マルチブロック重心判別分析又は MUBADA、Devous et al,“Test-Retest Reproducibility for the Tau PET Imaging Agent Flortaucipir F18,”J.Nucl.Med.59:937-943(2018)を参照)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、を参照領域と比較し、参照領域は、例えば、小脳全体(wholeCere)、小脳GM(cereCrus)、アトラス-ベースの白質(atlasWM)、対象固有のWM(ssWM、例えば、参照シグナル強度のパラメトリック推定(PERSI)を使用)、Southekal et al.,“Flortaucipir F18 Quantitation Using Parametric Estimation of Reference Signal Intensity,”J.Nucl.Med.59:944-951(2018)を参照、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。タウ負荷を決定する好ましい方法は、標準化取り込み値比(SUVr)として報告される定量分析であり、これは、参照領域と比較した場合(例えば、PERSIを使用)、脳における特定の標的関心領域内のカウントを表す(例えば、MUBADA,)。
【0182】
いくつかの実施形態では、リン酸化タウ(P-タウ、スレオニン181又は217のいずれかでリン酸化されている)を使用して、本開示の目的のためにタウロード/負荷を測定し得る(Barthelemy et al.,“Cerebrospinal Fluid Phospho-tau T217 Outperforms T181 as a Biomarker for the Differential Diagnosis of Alzheimer’s Disease and PET Amyloid-positive Patient Identification,”Alzheimer’s Res.Ther.12,26,doi:10.1186/s13195-020-00596-4(2020)、Mattsson et al.,“Aβ Deposition is Associated with Increases in Soluble and Phosphorylated Tau that Precede a Positive Tau PET in Alzheimer’s Disease,”Science Advances 6,eaaz2387(2020)、これらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。特定の実施形態では、残基217のスレオニンでリン酸化されたヒトタウに対する抗体を使用して、本開示の目的のために対象におけるタウロード/負荷を測定し得る(国際特許出願公開第2020/242963号を参照されたく、これは、参照によりその全体が組み込まれる)。本開示は、いくつかの実施形態では、WO2020/242963に開示された抗タウ抗体を使用して、対象におけるタウロード/負荷を測定することを含む。WO2020/242963に開示された抗タウ抗体は、CNSで発現されるヒトタウのアイソフォームに対して指向されている(例えば、CNSで発現されるアイソフォームを認識するが、CNSの外側でのみ発現されるヒトタウのアイソフォームは認識しない)。CNSにおいて発現されるヒトタウのアイソフォームに対するそのような抗体は、以下のうちの1つ以上として患者を同定/選択する方法において使用され得る:(i)本明細書に開示される疾患を有するか、(ii)本明細書に開示される疾患に罹患するリスクがあるか、(iii)本明細書に開示される疾患の治療が必要であるか、又は(iv)神経学的画像検査が必要である。
【0183】
いくつかの実施形態では、放射性標識PET化合物を用いたアミロイドイメージング、又はAβ若しくはAβのバイオマーカーを検出する診断薬を使用するなどの方法によって脳においてアミロイドが検出された場合、対象はアミロイドプラークについて陽性である。脳アミロイドロード/負荷を測定するために本開示で使用され得る例示的な方法には、例えば、フロルベタピル(Carpenter,et al.,“The Use of the Exploratory IND in the Evaluation and Development of 18F-PET Radiopharmaceuticals for Amyloid Imaging in the Brain:A Review of One Company’s Experience,”The Quarterly Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging 53.4:387(2009)、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、フロルベタベン(Syed et al.,“[18F]Florbetaben:A Review in β-Amyloid PET Imaging in Cognitive Impairment,”CNS Drugs 29,605-613(2015)、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、及びフルテメタモル(Heurling et al.,“Imaging β-amyloid Using[18F]Flutemetamol Positron Emission Tomography:From Dosimetry to Clinical Diagnosis,”European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging 43.2:362-373(2016)、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)が含まれる。
【0184】
F18-フロルベタピルは、前駆AD又は軽度AD認知症の患者を含む患者の脳プラークロードの定性的及び定量的測定を提供し得る。例えば、視覚的に読み取った際に有意なF18-フロルベタピルシグナルが存在しない場合は、臨床的に認知障害を示している患者にはアミロイドプラークがまばらから全くないことを示す。したがって、F18-フロルベタピルはまた、アミロイド病理の確認も提供する(例えば、Clark,et al.,“Use of Florbetapir-PET for Imaging β-amyloid Pathology,”JAMA 305.3:275-283(2011)を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。F18-フロルベタピルPETは、脳における線維状アミロイドプラークの定量的評価も提供し、いくつかの実施形態では、本開示の抗体による脳からのアミロイドプラークの低減を評価するために使用され得る。F18-フロルベタピル法はまた、自動化され得る(例えば、Joshi,et al.,“A Semiautomated Method for Quantification of F 18 Florbetapir PET Images,”J.Nuclear Medicine 56.11:1736-1741(2015)を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0185】
放射性標識されたPET化合物でのアミロイドイメージングは、ヒト患者の脳におけるAβ沈着が低減しているか、又は増加しているかを決定するために(例えば、治療後のAβ沈着の低減パーセンテージを計算するため、又はADの進行を評価するために)使用され得る。当業者は、(放射性標識PET化合物を用いた)アミロイドイメージングから得られた標準化取り込み値比(SUVr)値を相関させて、治療前後の患者の脳におけるAβ沈着の低減%を計算し得る。SUVr値は、標準化されたセンチロイド単位に変換され得、100はADの平均、0は若い対照の平均であり、アミロイドPETトレーサー間の比較及びセンチロイド単位に従った低減の計算が可能になる(Klunk et al.,“The Centiloid Project:Standardizing Quantitative Amyloid Plaque Estimation by PET,”Alzheimer’s & Dementia 11.1:1-15(2015)及びNavitsky et al.,“Standardization of Amyloid Quantitation with Florbetapir Standardized Uptake Value Ratios to the Centiloid Scale,”Alzheimer’s & Dementia 14.12:1565-1571(2018)、これは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、ベースラインからの脳アミロイドプラーク沈着の変化は、F18-フロルベタピルPETスキャンによって測定される。
【0186】
β-アミロイドの脳脊髄液又は血漿に基づく分析もまた、本開示の目的のためのアミロイドロード/負荷を測定するために使用され得る。例えば、Aβ42を使用して脳のアミロイドを測定することができる(Palmqvist,S.et al.,“Accuracy of Brain Amyloid Detection in Clinical Practice Using Cerebrospinal Fluid Beta-amyloid 42:a Cross-validation Study Against Amyloid Positron Emission Tomography.JAMA Neurol 71,1282-1289(2014)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、Aβ42/Aβ40又はAβ42/Aβ38の比は、アミロイドベータのバイオマーカーとして使用することができる(Janelidze et al.,“CSF Abeta42/Abeta40 and Abeta42/Abeta38 Ratios:Better Diagnostic Markers of Alzheimer Disease,”Ann Clin Transl Neurol 3,154-165(2016)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0187】
いくつかの実施形態では、CSF又は血漿中の沈着した脳アミロイドプラーク又はAβは、本明細書に記載される抗体、投薬レジメン、又は方法を使用して、対象を群に階層化し、どの対象の群が(本明細書に記載の)疾患の治療/予防に反応するかを特定するために使用され得る。
【0188】
本明細書で使用される場合、「抗N3pGlu Aβ抗体」、「抗N3pG抗体」、又は「抗N3pE抗体」は、互換的に使用され、Aβ1-40又はAβ1-42よりもN3pGlu Aβに優先的に結合する抗体を指す。当業者は、「抗N3pGlu Aβ抗体」、並びに「hE8L」、「B12L」及び「R17L」を含むいくつかの特異的抗体が、米国特許第8,679,498 B2号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に特定され、開示されている(作製及び使用方法とともに)ことを理解し、認識するであろう。例えば、米国特許第8,679,498B2号の表1を参照されたい。「hE8L」、「B12L」及び「R17L」抗体を含む、米国特許第8,679,498B2号に開示される抗体の各々は、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体として、又は本開示の様々な態様に記載される抗N3pGlu Aβ抗体の代わりに使用され得る。抗N3pGlu Aβ抗体の他の代表的な種には、米国特許第8,961,972号、米国特許第10,647,759号、米国特許第9,944,696号、WO2010/009987A2、WO2011/151076A2、WO2012/136552A1及びその均等物、例えば、米国特許法第112条(f)の下に開示された抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0189】
当業者は、「抗N3pGlu Aβ抗体」、及びいくつかの特異的抗体が、米国特許第8,961,972号(これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、米国特許第10,647,759号(これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、及び米国特許第9,944,696号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)において特定され、開示されている(そのような抗体を作製及び使用する方法とともに)ことを理解し、認識するであろう。米国特許第8,961,972号、同第9,944,696号及び同第10,647,759号に開示されている抗N3pGlu Aβ抗体のうちのいずれも、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体として、又は本開示の様々な態様に記載される抗N3pGlu Aβ抗体の代わりに使用され得る。
【0190】
当業者は、「抗N3pGlu Aβ抗体」、並びに「抗体VI」、「抗体VII」、「抗体VIII」、及び「抗体IX」を含むいくつかの特異的抗体が、WO2010/009987A2(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に特定され、開示されている(そのような抗体を作製及び使用する方法とともに)ことを理解し、認識するであろう。これらの4つの抗体(例えば、「抗体VI」、「抗体VII」、「抗体VIII」及び「抗体IX」)の各々は、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体として、又は本開示の様々な態様に記載される抗N3pGlu Aβ抗体の代わりに使用され得る。
【0191】
当業者は、「抗N3pGlu Aβ抗体」、及び「抗体X」及び「抗体XI」を含むいくつかの特異的抗体が、WO2011/151076A2(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に特定され、開示されている(そのような抗体を作製及び使用する方法とともに)ことを理解し、認識するであろう。これらの2つの抗体(例えば、「抗体X」及び「抗体XI」)の各々は、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体として、又は本開示の様々な態様に記載される抗N3pGlu Aβ抗体の代わりに使用され得る。
【0192】
当業者は、「抗N3pGlu Aβ抗体」、並びに「抗体XII」及び「抗体XIII」を含むいくつかの特異的抗体が、WO2012/136552A1(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)において特定され、開示されている(当該抗体を作製及び使用するための方法とともに)ことを理解し、認識するであろう。これらの2つの抗体(例えば、「抗体XII」及び「抗体XIII」)の各々は、本開示の抗N3pGlu Aβ抗体として、又は本開示の様々な態様に記載される抗N3pGlu Aβ抗体の代わりに使用され得る。
【0193】
本明細書で使用される場合、「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互接続された2つのHC及び2つのLCを含む免疫グロブリン分子である。各LC及びHCのアミノ末端部分は、そこに含まれる相補性決定領域(CDR)を介した抗原認識に関与する可変領域を含む。CDRには、フレームワーク領域と呼ばれる、より保存された領域が点在している。本発明の抗体のLCVR及びHCVR領域内のCDRドメインへのアミノ酸の割り当ては、以下、Kabat番号付け規則(Kabat,et al.,Ann.NY Acad.Sci.190:382-93(1971)、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242(1991))、及びNorth番号付け規則(North et al.,A New Clustering of Antibody CDR Loop Conformations,Journal of Molecular Biology,406:228-256(2011))に基づいている。上記の方法に従って、本開示の抗体のCDRは決定された。
【0194】
本開示の抗体は、モノクローナル抗体(「mAb」)である。モノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ技術、組換え技術、ファージ提示技術、合成技術、例えばCDR移植、又はそのような技術又は当該技術分野で既知の他の技術の組み合わせにより産生することができる。本開示のモノクローナル抗体は、ヒト又はヒト化である。ヒト化抗体は、非ヒト抗体に由来するCDRを取り囲む1つ以上のヒトフレームワーク領域(又は実質的ヒトフレームワーク領域)を含むように操作され得る。ヒトフレームワークの生殖系列配列は、ImunoGeneTics(INGT)からそのウェブサイト、http://imgt.cines.frを介して、又はThe Immunoglobulin FactsBook by Marie-Paule Lefranc and Gerard Lefranc,Academic 25 Press,2001,ISBN 01244135から取得され得る。ヒト抗体又はヒト化抗体を生成する技術は当該技術分野で周知である。本開示の別の実施形態では、抗体又はそれをコードする核酸は、単離された形態で提供される。本明細書で使用する場合、「単離された」という用語は、細胞環境に見出される任意の他の高分子種を含まないか、又は実質的に含まない、タンパク質、ペプチド、又は核酸を指す。「実質的に含まない」とは、本明細書中で使用する場合、目的のタンパク質、ペプチド、又は核酸が存在する高分子種の80%超(モル基準で)、好ましくは90%超、より好ましくは95%超の含むことを意味する。
【0195】
本開示の抗N3pGlu Aβ抗体は、医薬組成物として投与される。本開示の抗体を含む医薬組成物は、本明細書に記載の疾患又は障害のリスクがあるか、又はそれらを示す対象に、非経口経路(例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内)によって投与され得る。皮下及び静脈内経路が好ましい。いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体は、静脈内注入によって投与される。
【0196】
「治療」、「治療すること」又は「治療する」などの用語には、対象における既存の症状、状態、疾患、又は障害の進行又は重症度を抑制する、緩徐化する、又は停止することが含まれる。「対象」という用語は、ヒトを指す。
【0197】
「予防」という用語は、疾患の発症又は進行を予防するために、無症候性の対象又は前臨床アルツハイマー病を有する対象に本開示の抗体を予防的に投与することを意味する。
【0198】
「Aβの沈着によって特徴付けられる疾患」又は「Aβプラークによって特徴付けられる疾患」という用語は、互換的に使用され、脳又は脳血管系におけるAβプラークによって病理学的に特徴付けられる疾患を指す。これには、アルツハイマー病、ダウン症候群、脳アミロイド血管障害などの疾患が含まれる。アルツハイマー病の臨床診断、病期分類又は進行は、既知の技術を使用し、結果を観察することにより、当業者のような担当診断医又は医療専門家によって容易に決定され得る。これは、一般に、脳プラークイメージング、精神若しくは認知評価(例えば、臨床的認知症評定-ボックスの要約(CDR-SB)、ミニメンタルステート検査(MMSE)若しくはアルツハイマー病評価スケール-認知(ADAS-Cog))、又は機能評価(例えば、アルツハイマー病共同研究-日常生活の活動(ADCS-ADL)を含む。認知及び機能評価を使用して、患者の認知(例えば、認知低下)及び機能(例えば、機能低下)の変化を決定することができる。本明細書で使用される「臨床的アルツハイマー病」は、アルツハイマー病の診断された段階である。これには、前駆期アルツハイマー病、軽度アルツハイマー病、中等度アルツハイマー病及び重度アルツハイマー病と診断された状態が含まれる。「前臨床期アルツハイマー病」という用語は、臨床的アルツハイマー病に先行する段階であり、バイオマーカーの測定可能な変化(アミロイドPETによるCSF Aβ42レベル又は蓄積した脳プラークなど)は、臨床的アルツハイマー病に進行する、アルツハイマー病の患者の最も初期の徴候を示す。これは通常、記憶喪失及び混乱のような症状が顕著となる前である。前臨床アルツハイマー病にはまた、発症前の常染色体優性保有者、1又は2個のAPOE4対立遺伝子を保有するためAD発症のリスクが高い患者も含まれる。
【0199】
認知機能低下の低減又は緩徐化は、臨床認知症評定-ボックスの要約、ミニメンタルステート検査、又はアルツハイマー病評価スケール-認知などの認知評価によって測定され得る。機能低下の低減又は緩徐化は、ADCS-ADLなどの機能評価によって測定することができる。
【0200】
本明細書で使用される場合、「mg/kg」とは、キログラム単位の体重に基づいて、対象に投与される抗体又は薬物のミリグラム単位の量を意味する。用量は、一度に与えられる。例えば、体重70kgの対象に対する抗体の10mg/kg用量は、単回投与で投与される抗体の単回700mg用量である。同様に、体重70kgの対象に対する抗体の20mg/kg用量は、単回投与で投与される抗体の1400mg用量である。
【0201】
いくつかの実施形態では、抗N3pGlu Aβ抗体の各用量は、約4mg/mL~約10mg/mLの濃度で少なくとも30分間にわたって対象に静脈内投与される。いくつかの実施形態では、700mg用量の抗N3pGlu Aβ抗体を再構成して40mLの再構成溶液を作製し、再構成溶液を更に希釈して約4mg/mL~約10mg/mLの抗体濃度に達し、希釈された溶液を対象に30分の期間にわたって静脈内投与する。いくつかの実施形態では、1400mg用量の抗N3pGlu Aβ抗体を再構成して80mLの再構成溶液を作製し、再構成溶液を更に希釈して約4mg/mL~約10mg/mLの抗体濃度に達し、希釈された溶液を対象に30分の期間にわたって静脈内投与する。
【0202】
本明細書で使用される場合、18F-フロルタウシピルベースの定量分析を使用して、タウ負荷が1.10SUVr未満(<1.10SUVr)である場合、ヒト対象は、「非常に低いタウ」負荷を有し、定量分析は、SUVrの計算を指し、SUVrは、参照領域と比較した場合、脳における特定の標的関心領域内のカウントを表す(マルチブロック重心判別分析又はMUBADA、Devous et al,“Test-Retest Reproducibility for the Tau PET Imaging Agent Flortaucipir F18,”J.Nucl.Med.59:937-943(2018)を参照されたい)(参照信号強度又はPERSIのパラメトリック推定、Southekal et al.,“Flortaucipir F 18 Quantitation Using Parametric Estimation of Reference Signal Intensity,”J.Nucl.Med.59:944-951(2018)を参照されたい)。
【0203】
本明細書で使用される場合、18F-フロルタウシピルベースの定量分析を使用して、タウ負荷が1.46SUVr以下(すなわち、≦1.46SUVr)である場合、ヒト対象は、「非常に低いタウから中等度のタウ」負荷を有し、定量分析は、SUVrの計算を指し、SUVrは、参照領域と比較した場合、脳における特定の標的関心領域内のカウントを表す(MUBADA、Devous et al,“Test-Retest Reproducibility for the Tau PET Imaging Agent Flortaucipir F18,”J.Nucl.Med.59:937-943(2018)を参照されたい)(PERSI、Southekal et al.,“Flortaucipir F 18 Quantitation Using Parametric Estimation of Reference Signal Intensity,”J.Nucl.Med.59:944-951(2018)を参照されたい)。
【0204】
本明細書で使用される場合、18F-フロルタウシピルベースの定量分析を使用して、タウ負荷が1.10SUVr以上~1.46SUVr以下(すなわち、≧1.10SUVr~≦1.46SUVr)である場合、ヒト対象は、「低いタウから中等度のタウ」負荷を有し、定量分析は、SUVrの計算を指し、SUVrは、参照領域と比較した場合、脳における特定の標的関心領域内のカウントを表す(MUBADA、Devous et al,“Test-Retest Reproducibility for the Tau PET Imaging Agent Flortaucipir F18,”J.Nucl.Med.59:937-943(2018)を参照されたい)(PERSI、Southekal et al.,“Flortaucipir F 18 Quantitation Using Parametric Estimation of Reference Signal Intensity,”J.Nucl.Med.59:944-951(2018)を参照されたい)。「低いタウから中等度のタウ」負荷は、「中間」タウ負荷とも称される。
【0205】
本明細書で使用される場合、18F-フロルタウシピルベースの定量分析を使用して、タウ負荷が1.46SUVr超(すなわち、>1.46SUVr)である場合、ヒト対象は、「高いタウ」負荷を有し、定量分析は、SUVrの計算を指し、SUVrは、参照領域と比較した場合、脳における特定の標的関心領域内のカウントを表す(MUBADA、Devous et al,“Test-Retest Reproducibility for the Tau PET Imaging Agent Flortaucipir F18,”J.Nucl.Med.59:937-943(2018)を参照されたい)(PERSI、Southekal et al.,“Flortaucipir F 18 Quantitation Using Parametric Estimation of Reference Signal Intensity,”J.Nucl.Med.59:944-951(2018)を参照されたい)。
【0206】
本明細書で使用される場合、初期の症候性アルツハイマー病は、ADの軽度認知障害段階(前駆ADとしても知られる)及びADの軽度認知症段階を包含する。National Institute on Aging and Alzheimer’s Association(NIA-AA)は、アルツハイマー病の定義を支援するフレームワークを作成した(Jack et al.,“NIA-AA Research Framework:Toward a Biological Definition of Alzheimer’s Disease,”Alzheimer’s & Dementia:The Journal of the Alzheimer’s Association 14(4)535-562(2018)を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0207】
本明細書で使用する場合、軽度認知障害は、入手可能な全ての情報に基づいて、その個人の予想範囲を下回る認知能力として定義される。これは、臨床判断及び/又は認知機能試験能力の成績に基づく場合がある。認知能力は通常、集団基準に基づいて障害/異常の範囲内にあるが、能力がその個人に期待される範囲を下回っている限り、必須ではない。認知機能障害の証拠に加えて、ベースラインからの認知能力の低下の証拠も存在する必要がある。これは、個人又は観察者によって報告されるか、又は長期的な認知機能試験/行動評価の変化によって若しくはこれらの組み合わせによって観察される場合がある。この段階では、個人は日常生活活動を独立して実行しているが、認知機能困難は、自己報告又は研究パートナーによる裏付けのいずれかにより、日常生活のより複雑な活動に対して、検出可能ではあるが軽度の機能的影響をもたらす場合がある。本明細書で使用される場合、軽度の認知症は、いくつかのドメインに影響を及ぼす実質的な進行性の認知機能障害、及び/又は神経行動障害として定義される。これは、個人の報告又は観察者(研究パートナーなど)の報告、又は縦断的認知機能試験の変化によって文書化される。この段階には、日常生活に対する明らかな機能的影響が含まれており、主に手段的活動に影響を及ぼし、個人はもはや完全に自立しておらず、日常生活活動に時折介助が必要になる。ADが、a)基本的な活動に障害があり、日常生活に多大な機能的影響を及ぼし、かつb)もはや自立できず、日常生活活動に頻繁な援助を必要とする時点まで悪化した場合、その個人は、軽度のAD認知症ではないとみなされる。
【0208】
本明細書で使用される「約」という用語は、最大±10%を意味する。
【0209】
「対象」及び「患者」という用語は、本開示において互換的に使用される。
【0210】
「第1の用量」及び「低用量」という用語は、本開示において互換的に使用され得る。「第2の用量」及び「高用量」という用語は、本開示において互換的に使用され得る。
【0211】
「低下の緩徐化」及び「疾患の進行の緩徐化」という語句は、本開示では互換的に使用される。
【0212】
本明細書で使用される場合、「治療方法」とは、本明細書に記載の疾患又は障害を治療するための組成物の使用、及び/又は本明細書に記載の疾患又は障害を治療するための薬剤の製造における使用及び/又は使用のための組成物の使用に等しく適用可能である。
【0213】
以下の実施例は、本開示を更に説明する。しかしながら、以下の実施例は、限定ではなく例示として記載されており、当業者によって様々な修正がなされ得ることが理解される必要がある。
【実施例】
【0214】
実施例1:操作されたN3pGlu Aβ抗体の発現及び精製
N3pGlu Aβに対する抗体は、当該技術分野において既知である。例えば、米国特許第8,679,498号及び米国特許第8,961,972号(それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)は、抗N3pGlu Aβ抗体、その抗体の作製方法、抗体製剤、及び抗体を用いてアルツハイマー病などの疾患を治療する方法を開示している。
【0215】
本開示の抗N3pGlu Aβ抗体を発現及び精製する例示的な方法は、以下のとおりである。HEK293EBNA又はCHOなどの適切な宿主細胞は、最適な所定の重鎖対軽鎖(HC:LC)ベクター比、又はHC及びLCの両方をコードする単一のベクター系を使用して抗体を分泌するための発現系で、一過性又は安定的のいずれかでトランスフェクションされ得る。抗体が分泌されている、清澄化した培地を、多くの一般的に使用される技術のいずれかを使用して精製する。例えば、培地は、適合する緩衝液、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)などで平衡化されているプロテインA又はGのセファロースFFカラムに都合よく適用され得る。カラムを洗浄し、非特異的結合成分を除去する。結合した抗体を、例えば、pH勾配(例えば、0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)から0.1Mのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH2.5)へ)によって、溶出する。抗体画分をSDS-PAGEによってなど検出し、プールする。意図する使用に応じて、更なる精製は任意選択である。抗体を、一般的な技術を使用して濃縮及び/又は滅菌濾過し得る。可溶性凝集体及び多量体を、サイズ排除、疎水性相互作用、イオン交換、又はヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーを含む一般的な技術によって効果的に除去し得る。これらのクロマトグラフィーステップ後の抗体の純度は、99%超であり得る。産物を-70℃で直ちに凍結しても、又は凍結乾燥してもよい。本開示の抗N3pGlu Aβ抗体のいくつかのアミノ酸配列は、配列表に提供される。
【0216】
実施例2:抗N3pGlu Aβ抗体の安全性、忍容性、及び有効性の評価
多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、第2相臨床研究(NCT03367403、clinicaltrials.gov)(TRAILBLZER-ALZ又はAACGとしても知られる)は、初期の症候性ADを有するAD対象(すなわち、ADに起因する軽度の認知機能障害又は軽度の認知症を有する対象)における、N3pGlu Aβ抗体(本明細書ではドナネマブとしても称される)の安全性及び有効性を評価するために設計された。この研究は、最大72週間の処置にわたって、既存のアミロイドプラークの除去が臨床的測定並びに疾患病理及び神経変性のバイオマーカーによって決定される疾患の進行を緩徐化することができるかどうかを、他のことも含めて評価した。
【0217】
この研究は、133週間の研究であり、最大9週間のスクリーニング期間、4週間後の76週目に最終評価が行われる最大72週間の処置期間、及び48週間の免疫原性及び安全性フォローアップが含まれていた(
図1を参照)。
図1は、臨床プロトコルの研究デザインを示す。
【0218】
処置群及び期間:約1,497人の患者がスクリーニングされ、約266人が無作為化された。患者は最大72週間の処置(投薬)を受けた。
●ドナネマブ:静脈内ドナネマブ(第1の3回の用量は700mgQ4WK、その後は1400mgQ4WK)最大72週間、又は
●プラセボ:静脈内プラセボQ4WKで最大72週間。
【0219】
一次及び二次エンドポイント:
この研究の一次エンドポイントは、以下のとおりであった。
●ベースラインから18か月までの統合アルツハイマー病評定スケール(iADRS)スコアの変化によって測定される認知及び機能の変化。
【0220】
この研究の二次エンドポイントは、以下のとおりであった。
●以下によって測定されたベースラインから18か月までの認知力の変化:ADAS-Cog13スコアの変化、臨床認知症評定スケールのボックス合計スコア(CDR-SB)の変化、ミニメンタルステート検査スコア(MMSE)の変化、及びアルツハイマー病共同研究-日常生活の手段的活動スケール(ADCS-iADL)スコアの変化。
●F18-フロルベタピルPETスキャンで測定されたベースラインから18か月までの脳アミロイドプラーク沈着の変化。
●F18-フロルタウシピルPETスキャンで測定されたベースラインから18か月までの脳タウ沈着の変化。
●ベースラインから18か月までの容積測定MRI測定値の変化。
【0221】
安全性エンドポイント:
この研究の安全性エンドポイントは、以下のとおりである。
●標準的な安全性評価:自然発生的に報告された有害事象(AE)、臨床検査、バイタルサイン及び体重測定、12誘導心電図(ECG)、身体及び神経学的検査
●MRI(アミロイド関連イメージング異常[ARIA]及び緊急放射線所見)
●コロンビア自殺重症度評定スケール(C-SSRS)
【0222】
統計分析:全ての有効性分析は、特に指定がない限り、処置意図(ITT)の原則に従う。ITT分析は、対象が割り当てられた処置を受けていない、正しい処置を受けていない、又は他の方法でプロトコルに従っていない場合でも、無作為な割り当てによって対象が割り当てられている群によるデータの分析である。特に断りのない限り、処置効果のペアワイズ試験は、両側アルファ(α)レベル0.05で実施された。両側信頼区間(CI)は95%の信頼水準で表示される。
【0223】
有効性:この研究の主な目的は、ドナネマブの静脈内注入が、初期の症候性ADを有する患者においてプラセボと比較して複合尺度iADRSによって測定されるADと関連する認知機能低下及び/又は機能低下を緩徐化するという仮説を検証することであった。処置期間中の予定されたベースライン後の各訪問でのiADRSのベースラインスコアからの変化は、MMRMモデルを使用して分析され、それには、以下の用語:ベースラインスコア、プールされた治験責任医師、処置、訪問、訪問ごとの処置相互作用、訪問ごとのベースライン相互作用、ベースラインでのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)及び/又はメマンチンの併用(はい/いいえ)、及びベースラインでの年齢。処置比較の主な時点は、二重盲検処置期間の終了時(76週目)であった。ドナネマブ対プラセボの処置比較について、最小二乗平均進行における処置群のコントラスト並びにそれに関連するp値及び95%CIを計算した。加えて、プラセボより少なくとも関心のあるマージン(プラセボの進行を25%遅らせる)で優れている活性処置群のベイズ事後確率を計算した。
【0224】
ADAS-Cog13、ADCS-iADL、CDR-SB、MMSEを含む二次有効性転帰における、処置期間中の各予定されたベースライン後の訪問時のベースラインからの変化は、一次解析で記載したのと同じMMRMモデルを使用して解析される。
【0225】
安全性:安全性は、二重盲検処置期間中の有害事象(AE)、臨床検査対象物、バイタルサイン、MRIスキャン、ECG、免疫原性を要約及び分析することによって評価される。
【0226】
薬物動態/薬力学:血漿ドナネマブ濃度と、SUVr、認知機能エンドポイント、ARIA発生率、又はPD活性の他のマーカーとの間の薬物動態又は薬力学(PK/PD)の関係をグラフで調査した。ドナネマブに対する抗体の存在と、PK、PD、安全性及び/又は有効性との間の関係は、グラフで評価され得る。正当な場合には、抗薬物抗体、PD、及び他のエンドポイント(PETスキャン、ARIA-Eなど)の潜在的な相互作用を評価するために追加の分析が検討されてもよい。グラフ分析の結果に基づいて追加のモデリングを実行してもよい。
【0227】
投薬及び用量の正当性:ドナネマブ(700mg又は1400mg)は、最低30分間にわたって約140mLのIV注入として4週間ごとに投与される。4週間に1回静脈内投与される700mg及び1400mgのドナネマブの用量は、現在の前臨床薬理学及び毒物学データ、及び臨床PK、PD、及び安全性データに基づいて選択される。事前及び継続中の曝露には、単回及び/又は複数回用量の投薬スケジュールで0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、及び40mg/kgが含まれる。研究AACC(NCT01837641、clinicaltrials.gov)からのデータは、用量が10mg/kg以上の場合、ドナネマブのPKが直線的であることを示唆している。用量が10mg/kg以上の場合、平均半減期は約9~11日であり、700mg及び1400mgの4週間ごとのIV投薬では、血漿PKの蓄積が最小限になると予測される。高レベルのF18-フロルベタピルPETシグナル低減が、20mg/kgの単回用量で観察され、3か月で2週ごとの10mg/kgの投薬スケジュールで見られるF18-フロルベタピルPETシグナル低減に相当する。これに加えて、2週間ごとの投薬スケジュールと比較した4週間ごとの投薬スケジュールによる患者負荷の減少及び同等の安全性に基づいて、アミロイドプラークを堅牢に低下させるための最高用量レジメンとして、4週ごとに1400mgの投薬が選択される。最も低いARIA-Eの速度は、毎月10mg/kgの投薬で観察された。このため、患者が高いPD効果を達成することを可能にしながら、ARIAの発生率を低減させるために、漸増スケジュール(第1の3回の用量は4週間ごとに700mg、次いで4週間ごとに1400mg)が提案されている。加えて、ARIA-E事故に対しては線量低減ルールが確立されている。
【0228】
選択基準:インフォームドコンセント時の年齢が60歳~85歳(両端を含む)の男女の両方を含む患者が、研究に登録する資格があった。患者は、患者又は研究パートナー(情報提供者)によって6か月間以上、報告された記憶機能の段階的かつ進行性の変化を示す場合がある。いくつかの場合では、患者は、訪問1で20~28(両端を含む)のMMSEスコアを有するか、又は訪問1の前の6か月以内の許容可能な過去のF18-フロルタウシピルPETスキャンが中央読み取り基準を満たす場合がある。患者は、F18-フロルタウシピルスキャン(中央読み取り)基準及び/又はF18-フロルベタピルスキャン(中央読み取り)基準を満たす場合もある。
【0229】
除外基準:患者は、以下の基準のうちのいずれかを満たす場合、研究登録から除外される:修正ハチンスキー虚血スケール(MHIS、Hachinski et al.1975)スコアが≧4;治験責任医師の意見では、必要な心理測定試験を完了するのに十分な病前読み書き能力、十分な視力、又は十分な聴力を欠く;他の認知症、脳の重篤な感染症、パーキンソン病、多発性脳震盪、又はてんかん又は再発性発作(小児熱性けいれんを除く)を含むがこれらに限定されない、認知又は研究を完了する能力に影響を与える可能性があるAD以外の中枢神経系(CNS)に影響を与える重大な神経疾患;心血管疾患、肝臓疾患、腎臓疾患、消化器疾患、呼吸器疾患、内分泌疾患、神経疾患(アルツハイマー病以外)、精神疾患、免疫疾患、又は血液疾患、及び治験責任医師の意見ではこの研究の分析を妨げる可能性がある他の状態を含む、現在の重篤又は不安定な疾患;又は余命が24か月未満である;皮膚の非転移性基底細胞がん及び/又は扁平上皮がん、上皮内子宮頸がん、非進行性前立腺がん、又は再発若しくは転移のリスクが低い他のがんは除く、過去5年以内にがんの病歴がある;治験責任医師の判断で、精神障害又は症状が薬物効果の解釈を混乱させるか、認知的評価に影響を与えるか、又は研究を完了する患者の能力に影響を与える可能性があると判断した場合、AD以外の現在主な精神医学的診断を受けている患者;統合失調症又は他の慢性精神病の病歴のある患者;QT延長症候群の病歴がある;病歴、検査、又はC-SSRSによって評価され、自殺の重大なリスクがあると治験責任医師によって臨床的に判断されている;スクリーニング訪問前2年以内のアルコール又は薬物使用障害(喫煙障害を除く)の病歴;臨床的に重大な複数又は重度の薬物アレルギー、又は重度の治療後過敏症反応(大多形紅斑、線状免疫グロブリンA皮膚病、中毒性表皮壊死融解症、及び/又は剥離性皮膚炎を含むがこれらに限定されない)の病歴がある;又は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体について既知の陽性の血清学的所見がある。検査が必要かどうかについては、現地の法律及び規制が適用される場合がある;スクリーニング時に、治験責任医師によって決定された、患者に有害となる可能性があるか、研究に支障をきたす可能性があるか、又は認知症の他の病因の証拠を示す、身体検査又は神経学的検査、バイタルサイン、ECG、又は臨床検査結果において任意の臨床的に重要な異常を有する;進行性認知症の別の潜在的な病因を示唆する重大な異常の証拠、又は研究に安全に参加する患者の能力に影響を与える可能性のある臨床的に重要な所見を示すスクリーニングMRI;閉所恐怖症又は禁忌の金属(強磁性)インプラント/心臓ペースメーカーの存在など、MRIに対する禁忌がある;ARIA-E、4つ超の脳微小出血、1つ超の表在性鉄沈着症、任意の巨視的出血又は重度の白質疾患の存在を示す中央読み取りMRIがある;スクリーニング時の平均(3回のECG)補正QT(QTcF)間隔測定値が>450ミリ秒(男性)又は>470ミリ秒(女性)(治験施設で決定);B型肝炎の既往歴のある患者は、スクリーニング時にHBs抗原検査を受けるべきであり、HBs抗原が陽性の場合は除外される;C型肝炎の既往歴のある患者はスクリーニング時にHCV RNA PCR検査を受ける必要があり、HCV RNA PCR検査が陽性の場合は除外される;スクリーニング時、計算されたクレアチニンの除去が<30mL/分(Cockcroft-Gault式、Cockcroft及びGault 1976);スクリーニング時にアラニントランスアミナーゼ(ALT)≧2×実施検査室の正常値(ULN)の上限、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≧2×ULN、総ビリルビンレベル(TBL)≧1.5×ULN、又はアルカリホスファターゼ(ALP)≧1.5×ULN;無作為化前2か月未満の間、安定した用量のAChEI及び/又はメマンチンによる治療を受けている;認知に影響を与える可能性のある併用薬の変更があり、その投薬はスクリーニングの1か月前、及びスクリーニングと無作為化との間、少なくとも1年間安定している必要がある(抗生物質など、除外又は使用期間が限られているために中止された薬剤には適用されない);QT間隔を大幅に延長することが知られている薬剤の現在の使用;無作為化前に半減期が<5の受動的抗アミロイド免疫療法による治療歴がある;他の研究でAβに対する能動免疫を受けている;ドナネマブ、関連化合物、又は製剤の任意の成分に対する既知のアレルギーがある;又は重大なアトピーの病歴;モノクローナル抗体、ジフェンヒドラミン、エピネフリン、又はメチルプレドニゾロンのいずれかに対するアレルギーがある;F18-フロベタピル又はF18-フロルタウシピルに対する感受性;MRIに対する禁忌;PETに対する禁忌;現在又は計画されている電離放射線への曝露があり、研究用PETリガンドの計画的投与と組み合わせると、地域の推奨曝露限度を超える累積曝露が生じる可能性がある。
【0230】
ARIA-Eの投薬量改変:ドナネマブの投薬量改変は、表Aに示す以下の場合におけるARIA-Eの発生に合わせて調整される。投薬量の低減が必要な場合、ドナネマブの用量は、次に低い用量(1400mg~700mg、又は700mgからプラセボまで)に低減される。
【表1】
【0231】
ARIA-Eの全てのケースでは、ARIA-Eが解決するまで、4~6週間ごとに予定外のMRIスキャンが必要になる。
【0232】
研究処置の中止:研究処置の永久中止につながる可能性のある理由:対象の決定(対象又は対象の指名者、法定後見人による治験薬の中止要求など)、又は肝事象又は肝検査異常による中止。肝事象又は肝検査異常により治験薬の使用を中止された対象は、CRF/電子データ入力を介して追加の肝安全性データを収集する必要がある。
【0233】
肝検査異常に対する治験薬の中止は、対象が以下の条件のいずれかを満たす場合に考慮される:アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)又はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)>8×正常値の上限(ULN);2週間超、ALT又はAST>5×ULN;ALT又はAST>3×ULNかつ総ビリルビンレベル(TBL)>2×ULN又は国際正規化比(INR)>1.5;ALT又はAST>3×ULNで、疲労、吐き気、嘔吐、右上腹部の痛み又は圧痛、発熱、発疹、及び/又は好酸球増加症(>5%)の出現を伴う;アルカリホスファターゼ(ALP)>3×ULN;ALP>2.5×ULNかつTBL>2×ULN;又はALP>2.5×ULNで、疲労、吐き気、嘔吐、右上腹部の痛み又は圧痛、発熱、発疹、及び/又は好酸球増加症(>5%)の出現を伴う。
【0234】
加えて、以下の状況では、対象は治験製品を中止される。
●以下を有する患者においては、ドナネマブでの処置は永久に中止される:
○以前のドナネマブの用量の低減又は一時中止後のARIA-Eの再度発症、
○臨床的に重大な症状を伴うARIA-Hのあらゆる増加、
○>4の新たな微小出血、>1の新たな表在性鉄沈着症又は既存の表在性鉄沈着症の大幅な悪化、又は症状に関係なく巨視的出血、又は
○症状の重症度又はMRI所見に関係なく、重大な有害事象(SAE)として報告されたARIA-E事象。
●以下を有する患者においても、ドナネマブでの処置は永久に中止されることになる:
○長期にわたる急性注入反応(すなわち、抗ヒスタミン薬、非ステロイド性抗炎症薬、及び/又は麻薬などの薬剤に反応しない、及び/又は注入の短期間の中断)、又は
○有害事象又は臨床的に重要な検査値、心電図結果、身体検査所見、MRI所見(症候性虚血性脳卒中など)、
【0235】
ARIA-Eによるドナネマブ研究処置の一時中止
ARIA-Eが表Aに示す一時中止基準を満たしている場合、ドナネマブ処置の一時中止が許可される。プロトコルに一時中止ではなく継続投薬又は用量低減が示されているARIA-Eの場合、ドナネマブの投与は、一時的に中止され得る。
【0236】
例えば、ARIA-Eにより投薬が一時的に中止され、一時薬剤中止後16週間以内に症状及び放射線学的所見が完全に解消した場合、ドナネマブは、ARIA-Eの初回発症後に再開してもよい。ARIA-Eの症状及び放射線学的所見が16週間以内に完全に解消しない場合、患者はドナネマブ処置を永久に中止される。
【0237】
治験薬は、患者が無作為に割り当てられた元の研究群に応じて、二重盲検で700mg又はプラセボのいずれかで再開してもよい。用量再開の4~6週間後に、予定外の安全性MRIスキャンが必要である。
【0238】
有効性評価:認知及び機能試験はeCOAタブレットを使用して実施される。評価者の質問並びに患者及び研究パートナーの応答の音声録音も、評価者スケールの管理を集中監視するための認知及び機能試験の実施中にeCOAタブレット経由で収集される。各患者の認知及び機能試験は、潜在的な変動を減らすために、試験が行われる毎日ほぼ同じ時間に実施する必要がある。ADAS-Cog及びMMSEは、ADCS-ADL及びCDRとは異なる評価者によって管理される必要があることに注意されたい。これら2人の評価者は、研究全体を通じて同じ患者に対して同じスケールを継続する必要がある。可能であれば、各評価は、各訪問時に同じ評価者によって特定の患者に対して実施される必要がある主任治験責任医師(PI)は、評価者が全てのトレーニング要件を満たしている場合に、現場で手段を管理する評価者を選択する責任がある。
【0239】
投与する場合は、患者にとってストレスとなる可能性のある医療処置(採血など)の前に、まず認知及び機能の試験を実施する必要がある。一部の処置(MRI、F18-フロルタウシピルPETタウイメージング、F18-フロルベタピルPETアミロイドイメージング)は、訪問枠内の他の日に実施され得ることに注意されたい。
【0240】
一次有効性評価:
統合アルツハイマー病評定スケール(iADRS、Wessels et al.,“A Combined Measure of Cognition and Function for Clinical Trials:The Integrated Alzheimer’s Disease Rating Scale(iADRS),”J Prev Alzheimer’s Dis.2(4):227-241(2015)、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。iADRSは、理論主導のアプローチ(認知及び機能の両方の測定を組み込む)及びデータマイニングアプローチ(アルツハイマー病ニューロイメージングイニシアチブからのデータの分析を介して最も感度の高いスケールの組み合わせを特定する)の両方を使用して開発された複合物を表す。iADRSは、2つのADにおいて十分に確立され、治療感度が高く広く受け入れられている尺度、ADAS-Cog13及びADCS-iADLのスコアの単純な線形結合であり、ADのコアドメインを測定する。これら2つのスケールの全ての項目は、項目の追加の重み付けを行わずに含まれており、表面性妥当性及びその成分に対する複合の解釈の容易さが得られる。iADRSスコアは、ADAS-Cog13及びADCS-iADLから導出され、一次有効性の尺度である。ADAS-Cog13及びADCS-ADLは、患者に投与される実際のスケールである。
【0241】
二次有効性評価:ADAS-Cog13の評価の直後に、追加の臨床転帰測定を毎回の訪問で同じ順序で実施する必要がある。データの欠落を最小限に抑えるために、評価者は患者又は研究パートナー(説明書に指定されているとおり)に口頭で各測定値を含め、応答を適切に記録する必要がある。全ての訪問で同じ研究パートナーを情報提供者として使用する必要がある。
【0242】
アルツハイマー病評定スケール-認知サブスケール:ADAS-Cog13は、ADを有する者の特徴的な認知行動及び非認知行動の機能障害の重症度を評価するために設計された評価者が管理する手段である(Rosen et al.,“A New Rating Scale for Alzheimer’s Disease,”Am J Psychiatry.141(11):1356-1364(1984)、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ADAS-Cog13は、潜在的な変動を低減するために、訪問ごとに同じ評価者によって実施される必要がある。ADASの認知サブスケールであるADAS-Cog13は、ADで最も典型的に障害される認知機能の領域を評価する13項目で構成されている:つまり、見当識、言語記憶、言語、実践、遅延自由想起、数字の消去、迷路完了の測定である(Mohs et al.,“Development of Cognitive Instruments for Use in Clinical Trials of Antidementia Drugs:Additions to the Alzheimer’s Disease Assessment Scale that Broaden its Scope,”The Alzheimer’s Disease Cooperative Study.Alzheimer Dis Assoc Disord.11(Suppl 2):S13-S21(1997)、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ADAS-Cog13は、ADAS-Cog11よりも軽症患者間の差異をより良く識別することが可能であるため、二次転帰として含まれる。ADAS-Cog13スケールは、0~85の範囲であり、スコアが高いほど疾患の重症度が高いことを示す。
【0243】
アルツハイマー病共同研究-日常生活活動のインベントリ:ADCS-ADLは、評価者が実施するアンケートとして作成された23項目のインベントリであり、患者の研究パートナーが回答する必要がある(Galasko et al.,“An Inventory to Assess Activities of Daily Living for Clinical Trials in Alzheimer’s Disease,”The Alzheimer’s Disease Cooperative Study.Alzheimer Dis Assoc Disord.1997;11(Suppl 2):S33-S39、Galasko et al.,“Galantamine Maintains Ability to Perform Activities of Daily Living in Patients with Alzheimer’s Disease,”J Am Geriat Soc.52(7):1070-1076(2004)、これらは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ADCS-ADLは、潜在的な変動を低減するために、訪問ごとに同じ評価者によって実施されるべきである。日常生活の手段的活動(ADCS-iADL)に関する項目のADCS-ADLサブセット(項目7~23)は、二次有効性尺度として使用される。初期の症候性AD集団における焦点は、疾患のより重篤な段階で影響を受けると考えられている基本的な日常生活活動(bADL)ではなく、日常生活の手段的活動(iADL)にある。iADLスコアの範囲は、0~56で、スコアが低いほど疾患の重症度が大きいことを示す。特定の項目ごとに、研究パートナーは、まず患者が過去4週間中にADLを試みたかどうかを尋ねる。患者がADLを試みた場合、研究パートナーは一連の能力の説明に基づいて患者の能力レベルを評価するよう求められる。各項目のスコア及びツールの総合スコアが計算される。ADCS-ADLスコアの合計の範囲は、0~78で、スコアが高いほど障害のレベルが大きいことを示す。bADLの個別のスコア(0~22)も計算される。
【0244】
臨床認知症評定スケール:CDRは、患者及び研究パートナー(情報提供者)に対して行われる半構造化面接であり、全体的な機能の指標を提供する(Berg et al.,“Mild Senile Dementia of the Alzheimer’s Type.4.Evaluation of Intervention,”Ann Neurol.31(3):242-249(1992)、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。CDRは、潜在的な変動を低減するために、訪問ごとに同じ評価者によって実施されるべきである。情報提供者は、患者の記憶、方向性、判断及び問題解決、地域社会の事情、家庭及び趣味、身の回りの世話について質問される。患者の記憶力、見当識能力、判断力、問題解決能力が評価される。スコアが高いほど、疾患の重症度が大きいことを示す。6つのドメインの各々に重症度スコアを割り当てると、ボックスの合計として知られる合計スコアが得られ、そのため、略語CDR-SBである。CDR-SBの範囲は、0~18で、値が高いほど障害が大きいことを示す。
【0245】
ミニメンタルステート検査:MMSEは、患者の認知機能を評価するために使用される簡単な手段である(Folstein et al.,“Mini-Mental State”.A Practical Method for Grading the Cognitive State of Patients for the Clinician,”J Psychiatr Res.12(13):189-198(1975)、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。MMSEは、潜在的な変動を低減するために、訪問ごとに同じ評価者によって実施される必要がある。手段は、2つのセクションに分かれている。第1のセクションでは、見当識、記憶、注意力を測定する。第1のセクションの最大スコアは、21である。第2のセクションでは、物体に名前を付け、口頭及び書面による指示に従い、文章を書き、図をコピーする患者の能力を試験する。第2のセクションの最高スコアは、9である。合計MMSEスコアの範囲は、0~30で、スコアが低いほど障害レベルが大きいことを示す。
【0246】
バイオマーカー有効性測定(二重盲検期間)F18-フロルベタピルPETスキャン:アミロイド負荷の変化(F18-フロルベタピルPETシグナルによって評価)を、ベースライン、52週目[訪問15]、及び76週目[訪問21]、又は早期中止訪問(ED)でF18-フロベタピルPETスキャンを受けた患者についてドナネマブ処置及びプラセボ処置された患者において比較する。
【0247】
F18-フロルタウシピルPETスキャン:タウ負荷の変化(F18-フロルタウシピルPETシグナルによって評価)を、ベースライン及びエンドポイント(訪問21[76週目]又はED)のF18-フロルタウシピルのスキャンの両方を受けた患者について、ドナネマブで処置及びプラセボで処置された患者において比較する。
【0248】
容積測定MRI:脳の磁気共鳴イメージングは、訪問2~14中に実施され得る。容積測定MRIでのドナネマブ処置及びプラセボ処置の効果が評価され、比較され、AD患者に生じる脳容積の損失が評価される。
【0249】
アミロイドプラークの除去:アミロイドプラークの除去(F18-フロルベタピルPETシグナルによって評価)を、ベースライン、訪問8(24週目)、訪問15(52週目)及びエンドポイント訪問21(76週目)、又はEDのF18-フロルベタピルPETスキャンを受けた患者について、ドナネマブで処置及びプラセボで処置された患者において比較する。
【0250】
タウ沈着の蓄積:タウ対螺旋フィラメント(PHF)プラークの蓄積の程度(F18-フロルタウシピルのPETシグナルによって評価)を、ベースライン及びエンドポイントの訪問21(76週目)、又はEDのF18-フロルタウシピルPETスキャンを受けた患者について、ドナネマブ処置及びプラセボ処置された患者において比較する。
【0251】
バイオマーカー:バイオマーカー研究は、薬物動態、標的係合、PD、作用機序、患者反応の変動性(安全性を含む)、及び臨床転帰に関連する問題に対処するために行われる。試料収集は臨床研究に組み込まれ、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、タンパク質、脂質、他の細胞要素を含む生体分子の測定を介してこれらの問題を調べることができる。バイオマーカー研究用の血清、血漿、全血RNA試料は、地域の規制が許可する場合、訪問2~14中に収集される。
【0252】
実施例3:安全性、忍容性、及び有効性の研究結果
この実施例は、初期の症候性ADを有する参加者におけるドナネマブの安全性、有害事象、及び有効性から得られた結果を提供する。登録は、それぞれ、タウ及びアミロイドプラークの病理を示すフロルベタピル及びフロルタウシピルの陽電子放出断層撮影法(PET)スキャンに基づいた。参加者は、プラセボ又はドナネマブ(1~3回の用量では700mg、それ以降は1,400mg)のいずれかを4週間ごとに最大で72週間、静脈内投与された。一次転帰測定は、76週での統合AD評定スケール(iADRS、範囲0~144、低いほど認知欠陥が大きく、日常生活活動の障害が大きいことを示す)のベースラインからの変化であった。二次転帰測定には、臨床認知症評定スケールボックス合計(CDR-SB、範囲0~18、高いほど機能障害が大きいことを示す)、AD評価スケール-認知(ADAS-Cog13、範囲0~85、高いほど疾患の重症度が大きいことを示す)、アルツハイマー病共同研究-日常生活活動(ADCS-iADL、範囲0~59、低いほど障害が大きいことを示す)、ミニメンタルステート検査(MMSE、範囲0~30、低いほど障害が大きいことを示す)、それぞれフロルベタピル及びF18-フロルタウシピルPETで評価されたアミロイド及びタウ負荷、並びに容積測定磁気共鳴イメージングMRI(vMRI)が含まれる。
【0253】
患者集団及び研究デザイン:この研究(TRAILBLAZER-ALZ)は、60~85歳の初期の症候性AD(前駆AD、MCIが明らかなADの症候性認知症前段階[MCI-AD]、及び軽度AD認知症[症状が認知症及びADの診断基準を満たすのに十分重度である]の組み合わせ)の参加者におけるドナネマブの安全性、有害事象、有効性を評価する多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照研究である(Dubois et al.,“Research Criteria for the Diagnosis of Alzheimer’s Disease:Revising the NINCDS-ADRDA Criteria,”The Lancet Neurology 6:734-46(2007)、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。スクリーニング手順には、ミニメンタルステート検査(MMSE、範囲0~30、低いほど機能障害が大きいことを示す、Folstein et al.,“Mini-mental state.A Practical Method for Grading the Cognitive State of Patients for the Clinician,”J.Psychiatr.Res.12:189-98(1975)、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる))、F18-フロルタウシピルPETスキャン、磁気共鳴イメージング(MRI)、及びF18-フロルベタピルPETスキャンが含まれる。フロルタウシピル及びF18-フロルベタピルのPETスキャンは、患者の適格性を評価するために集中型PETイメージング検査施設によって検査された。全ての適格な患者は、PETスキャンで病理学的タウの証拠があり、定量的なタウレベルが特定の上限閾値を下回っていることが求められた。後者の基準は、広範なタウ病変の存在によって示されるように、進行した疾患では抗アミロイド処置の有効性が限られているという懸念に対処した。タウ画像を定量的に評価し、患者がADパターンを有するかどうかを決定するため公開された方法(Pontecorvo et al.,“A Multicentre Longitudinal Study of Flortaucipir(18F)in Normal Ageing,Mild Cognitive Impairment and Alzheimer’s Disease Dementia,”Brain 142:1723-35(2019)、Devous et al.,“Test-Retest Reproducibility for the Tau PET Imaging Agent Flortaucipir F18,”Journal of Nuclear Medicine 59:937-43(2018)、Southekal et al.,“Flortaucipir F18 Quantitation Using Parametric Estimation of Reference Signal Intensity,”J.Nucl.Med.59:944-51(2018)、これらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)、及び視覚的に評価(Fleisher et al.,“Positron Emission Tomography Imaging With F18-flortaucipir and Postmortem Assessment of Alzheimer Disease Neuropathologic Changes,”JAMA Neurology 77:829-39(2020)、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)によって、SUVr(標準化取り込み値比)を推定した。
【0254】
SUVr>1.46の画像は、高いタウを有するものとして除外された。高いタウを有するとして除外されなかった画像については、SUVr値が1.10未満の画像、又は陰性ADパターンを有すると視覚的に読み取られた画像は、画像が進行性ADパターンを有すると視覚的に読み取られたが、SUVr値が1.10未満でありこの場合は依然として含まれる場合を除き、不適切なタウレベルを有するとして除外された。MRIを除き、各患者はスクリーニングF18フロルベタピルPETスキャンの前に、他の全ての訪問1適格基準を満たす必要があった。
【0255】
参加基準を満たした参加者は、最大で72週間、4週間ごとに静脈内(IV)のドナネマブ(第1の3回の用量は700mg、次いで1400mg)、又は4週間ごとにIVプラセボのいずれかを受けるように1:1で無作為化された。施設要因の群間の比較可能性を得るために、参加者の無作為化を調査施設ごとに階層化した。参加基準による階層化はなかった。ドナネマブで処置を受けた参加者では、フロルベタピルスキャン(24週目及び52週目)で測定したセンチロイド(CL)でのアミロイド除去率が11以上、かつ25未満の場合、用量を700mgに漸減されるか、又はいずれかの測定値で11未満、又は2回の連続されたスキャンで11以上、かつ25未満の場合はプラセボに切り替えた。アミロイド関連の画像異常-浮腫/滲出液(ARIA-E、実質液蓄積又は溝液浸出による、流体減衰型反転回復イメージングシーケンスにおけるMRI上の信号高強度、Sperling et al.,“Amyloid-related Imaging Abnormalities in Amyloid-Modifying Therapeutic Trials:Recommendations from the Alzheimer’s Association Research Roundtable Workgroup,”Alzheimer’s & Dementia 7:367-85(2011)、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)が、700mgの第1の3回の用量での漸増中に生じた場合、用量は増加しなかった。最終エンドポイント測定及び安全性評価は、最後の注入から4週間後の76週目に実施された。
【0256】
臨床及びバイオマーカーの結果測定:一次転帰測定は、プラセボと比較して、ベースライン~76週のiADRSの変化(範囲0~144、低いほど認知障害と日常生活の障害が大きいことを示す)であった。iADRSは、その個々のコンポーネントであるAD評価スケール認知(ADAS-Cog13、範囲0~85、高いほど疾患の重症度が高いことを示す、Mohs et al.,“Development of Cognitive Instruments for use in Clinical Trials of Antidementia Drugs:Additions to the Alzheimer’s Disease Assessment Scale that Broaden its Scope.The Alzheimer’s Disease Cooperative Study,”Alzheimer Dis Assoc Disord 11 Suppl 2:S13-21(1997)、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)及びAD共同研究-日常生活の手段的活動(ADCS-iADL、範囲0~59、低いほど機能障害が大きいことを示す、Galasko et al.,“An Inventory to Assess Activities of Daily Living for Clinical Trials in Alzheimer’s disease,”Alzheimer Disease and Associated Disorders 11:S33-S9(1997)及びGalasko et al.,“Galantamine Maintains Ability to Perform Activities of Daily Living in Patients with Alzheimer’s Disease,”Journal of the American Geriatrics Society 52:1070-6(2004)、これらは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)の線形結合である。
【0257】
iADRSは、中核となる疾患プロセスの測定を目的とした理論的構成を使用して開発され、臨床試験データを使用して、その構成の実施に最適な項目/スケールを特定した。ADAS-Cog13合計スコア及びADCS-iADLスコアの全ての項目が、項目の重み付けなしで含まれているため、表面性妥当性並びに複合及びその成分の両方の解釈の容易さが得られる。iADRSは、AD障害の全体的な尺度(合計スコア)だけでなく、個々のサブスコア(認知及び機能)も測定することが可能である。iADRSの検証は確立されており、複合能力の統計的特性が説明されている。
【0258】
二次転帰測定の方法論、臨床認知症評定スケールボックスの合計(CDR-SB、範囲0~18、高いほど機能障害が大きいことを示す、Morris,“The Clinical Dementia Rating(CDR),”Current Version and Scoring Rules 43:2412-a(1993)、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、ADAS-Cog13、それぞれ、ADCS-iADL、MMSE、F18-フロルベタピル及びF18-フロルタウシピルPETによって評価されるアミロイド及びタウ負荷、及び容積測定MRIは、臨床プロトコルに詳述されている。全体的なタウロードの評価は、タウの時空間分布を説明するタウIQアルゴリズムを使用して実施された(Whittington et al.,“TauIQ-A Canonical Image Based Algorithm to Quantify Tau PET Scans,”J.of Nuclear Medicine(2021)、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0259】
試料サイズの決定及び統計分析:2つの処置群に1:1で無作為化され、200人の参加者が処置を完了すると予想される250人の参加者の登録は、活性処置群は、プラセボに比べてiADRSの進行を少なくとも25%緩徐化する事後確率が0.6以上であることを証明する約84%の検出力を提供すると決定された。検出力計算の仮定は、それぞれ、プラセボ群及びドナネマブ群の18か月間の平均進行レベルが約12ポイント及び6ポイント(50%減速)、共通標準偏差が17であった。有効性分析は、参加者がベースライン及びベースライン後の少なくとも1回のiADRS測定を受ける、修正された処置意図の原則に基づいて実施された(特に指定がない限り)。特に断りのない限り、処置効果のペアワイズ検定は全て、両側アルファレベル0.05で実施された。
【0260】
ベースライン特性は、継続的及びカテゴリ的測定の記述統計とともに、処置群及び全体ごとに要約された。一次転帰は、混合モデル反復測定(MMRM)分析を使用して分析され、各予定されたベースライン後の時点でのiADRSスコアのベースラインからの変化が従属変数として使用された。固定効果のモデルには、以下の用語が含まれた:ベースラインスコア、治験責任医師、処置、訪問、訪問ごとの処置相互作用、訪問ごとのベースライン相互作用、ベースラインでのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)及び/又はメマンチンの併用(はい/いいえ)、及びベースラインでの年齢。訪問は、カテゴリ変数とみなされた。二次有効性転帰は、MMRM分析を使用して評価された。Bretzのグラフィカルアプローチ(Bretz,et.al.,“A Graphical Approach to Sequentially Rejective Multiple Test Procedures,”Statistics in Medicine,28(4):586-604(2009)、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を使用して、アルファレベル0.05で一次及び主要な二次仮説の研究に関するI型エラー率の制御を提供する。一次分析が有意であると仮定して、一次分析について説明したMMRM分析は、CDR-SB、ADAS-Cog13、ADCS-iADL、及びMMSEスコアに対して実施され、有意性は仮説の多重度グラフに基づいて決定した。長期的な臨床転帰は、点推定値及びエラーバーとともに提供される。ベースライン後のカテゴリデータについては、処置群の比較にフィッシャーの直接確率検定を使用した。エンドポイントで収集されたベースライン後の連続データについては、処置及び年齢の独立した因子を用いた共分散分析(ANCOVA)が使用された。各主任の現場治験責任医師は、現場で手段を管理するためのトレーニング要件を満たした評価者を選出する責任を負った。評価者は処置の割り当てについて盲検であった。
【0261】
ベイズ疾患進行モデル(DPM)を使用して、76週間の研究にわたるドナネマブ群とプラセボ群との間のiADRSの低下速度を評価した。このモデルは、プラセボに対して比例した処置効果を仮定しており、拡散した事前分布を含む。同様のモデルが以前に使用されたが、現在のモデルではプラセボの低下を表すパラメータの事前分布が単調になるように強制されていなかった点が除かれる。この分析により、プラセボに対するドナネマブ群の比例的な低下として定義される疾患の進行率(DPR)の事後確率分布が生成された。DPRが1未満の場合、ドナネマブが有利になる。95%信頼区間及び疾患の進行率の事後平均が表示される。積極的処置群がプラセボに対して疾患の進行を少なくとも25%緩徐化する事後確率が事前に指定され、DPMから計算された。DPMモデルを使用して、CDR-SB、ADAS-Cog13、ADCS-iADL、及びMMSEの低下速度を評価した。DPMモデルは、二次エンドポイントに対する事前に指定された多重度試験戦略の一部として含まれていなかった。
【0262】
安全性パラメータ(AE、実験室分析物、バイタルサイン、心電図、MRI)は、処置期間中のカテゴリ変数のパーセンテージとともに連続変数及び頻度の記述統計を使用して要約された。
【0263】
MMRMモデルの欠損データを処理するために、反復測定の尤度ベースの混合効果モデルが使用された。モデルパラメータは、全ての観測データを組み込んだ限定尤度推定を使用して同時に推定された。欠損データが無作為に欠損している場合、及び無視できる非無作為な欠損データがある場合、推定値は不偏であることが示されている。反復測定分析では、データ収集が予定されていた訪問からのデータのみが使用される。参加者が早期に研究を中止した場合、変数の収集が予定されていなかった訪問時に有効性又は安全性データの測定が行われてもよい。このデータは、他の全ての分析で使用された。
【0264】
集団及びベースライン特性:プラセボ及びドナネマブ単剤療法群のベースライン集団統計は、それぞれ、平均年齢が75.4歳及び75.0歳、女性が51.6%及び51.9%、白人が96.0%及び93.1%、APOE4保有者が74.2%及び72.5%であった(表B)。
【表2-1】
【表2-2】
【0265】
試験開始時点では、この研究はドナネマブとBACE1阻害剤との併用群を含む3群で構成されていた。この群は試験の早い段階で中止され、15人の参加者がその群に無作為に割り当てられた。修正された処置意図集団では、スクリーニングを受けた1955人の参加者のうち、126人がプラセボに、131人がドナネマブに無作為化された。iADRSの平均ベースラインスコアは、プラセボでは105.9、ドナネマブでは106.2であり、MMSEは、それぞれ23.7及び23.6であり、CDR-SBは、3.4及び3.6であり、F18-フロルタウシピルPETの全体的なタウロードは、0.46及び0.47であり、アミロイドPET値は101.1及び107.6であった(表B)。
【0266】
一次転帰:ドナネマブは、プラセボと比較して、初期の症候性アルツハイマー病を有する患者における認知及び日常機能の複合尺度の低下を大幅に緩徐化することを示した。ドナネマブは、統合アルツハイマー病評定スケール(iADRS)におけるベースライン~76週の変化の一次エンドポイントを満たし、プラセボに対して32%低下を緩徐化し(
図2A~C)、これは統計的に有意であった。iADRSは、アルツハイマー病で一般的に使用される2つの尺度である認知尺度ADAS-Cog
13及び機能尺度ADCS-iADLを組み合わせた臨床複合ツールである。76週ではiADRSのベースラインからの変化は、プラセボ群で-10.06、ドナネマブ処置された患者では-6.86であった(処置差:3.20、95%信頼区間[CI]:0.12、6.27、p=0.04)(
図2A~C及び表D)。
図2A~Cは、一次iADRS、二次CDR-SB、ADAS-Cog13、ADCS-iADL、及びMMSEの臨床転帰を示す。
図2Aは、一次転帰、MMRMで分析されたiADRSスコアのベースライン~76週のLS平均変化の結果を示している。
図2Bは、18か月のエンドポイントでのMMRMモデル及び18か月の研究全体にわたるベイズDPMモデルからの緩徐化推定値パーセントを示している。95%の信頼区間が示される。
図2Cは、二次転帰、MMRMで分析された(i)CDR-SB、(ii)ADAS-Cog
13、(iii)ADCS-iADL、及び(iv)MMSEスコアにおけるベースライン~76週のLS平均変化の結果を示している。
図2A~Cでは、Δ=差、W=週、iADRS=統合アルツハイマー病評定スケール、ADAS-Cog
13=アルツハイマー病評定スケール-認知サブスケール、ADCS-iADL=アルツハイマー病共同研究-日常生活の手段的活動スケール、CDR-SB=臨床認知症評定スケールボックスの合計、MMSE=ミニメンタルステート検査、MMRM=反復測定の混合モデル、DPM=疾患進行モデル、LS=最小二乗法、CI=信頼区間、n=参加者の数、SE=標準誤差。
【0267】
図2Dは、TRAILBLZER-ALZからの疾患の進行のベイズモデルを使用した一次iADRS及び二次CDR-SB転帰の臨床結果を示す(AACG研究、実施例2)。
図2Dでは、iADRS=統合アルツハイマー病評定スケール、CDR-SB=臨床認知症評価-ボックスの合計、++は、>99%緩徐化する少なくとも0%の事後確率を示す。
【0268】
図2Eは、自由度2の自然三次スプライン(NCS2)、自由度3の自然三次スプライン(NCS3)、及びTRAILBLZER-ALZからの二次混合モデル(QMM)を使用した、iADRS一次有効性転帰及びCDR-SB二次転帰についての実施例2の臨床結果の頻度主義的分析を示す(*=p<0.05対プラセボ、**=p<0.01対プラセボ)(AACG研究、実施例2)。自然三次スプライン(NCS)モデルは、データに一種の平滑化関数を提供し、各処置群の様々な形状(直線、二次など)の下で縦方向の軌跡を適切に推定できる。モデルの自由度を事前に指定して、データの平滑化のレベルを確立し得る。二次混合モデルは、MMRMと同様の多くの特徴を有するが、各処置群の縦方向の軌道が計画された又は観察された訪問時間にわたって平滑化され、線形又は二次形状が可能になるように、縦方向の平均値の推定に対して追加の仮定が行われる。
図2Eでは、iADRS=統合アルツハイマー病評定スケール、CDR-SB=臨床認知症評価-ボックスの合計、++は、>99%緩徐化する少なくとも0%の事後確率を示し、NCS2=自由度2の自然三次スプライン、NCS3=自由度3の自然三次スプライン、QMM=二次混合モデル。
【表3】
【表4-1】
【表4-2】
【0269】
18か月のエンドポイントでのMMRMモデル及び18か月全体にわたるベイズDPMから得た、プラセボに対する疾患の進行の緩徐化推定値パーセントは、両方の方法でiADRSの低下の緩徐化を示した(
図2B)。iADRSにおけるプラセボに対して疾患の進行が少なくとも25%緩徐化する遅くなる事後確率は、ベイズDPMから0.78と計算された。
【0270】
二次転帰:ドナネマブはまた、プラセボと比較して、認知及び機能を測定する事前に指定された全ての二次エンドポイントにおいて一貫した改善を示したが、全ての二次エンドポイントにおいて名目上の統計的有意性には達しなかった。ドナネマブ群では、CDR-SBの76週でのベースラインからの変化のプラセボとの差は、CDR-SBでは-0.36(95%CI:-0.83~0.12)であり、ADAS-Cog
13では-1.86(95%CI:-3.63~-0.09)であり、ADCS-iADLでは1.21(95%CI:-0.77~3.20)であり、MMSEでは0.64(95%CI:-0.40~1.67)であった(
図2C及び表E)。
【表5-1】
【表5-2】
【0271】
バイオマーカー:N3pGlu Aβを標的とすることにより、ドナネマブ処置は、アミロイドイメージングによって測定される、高レベルのアミロイドプラーク除去が迅速にもたらされることが示されている。PETアミロイドについては、ドナネマブで処置された参加者は、プラセボと比較して76週で85CLアミロイドプラークの低減を示した(プラセボ=0.93、ドナネマブ=-84.13)(
図3A)。プラセボと比較して、ドナネマブ群では24週までに68CLの低減の区別が明らかであった(プラセボ=-1.82、ドナネマブ=-69.64、ドナネマブ群ではベースラインから65%低減)。ドナネマブ群において「アミロイド陰性」(CLアミロイドプラークが24.1未満と定義)であった参加者の割合は、それぞれ、24週、52週、76週で40.0%、59.8%、67.8%であった(
図3A)。それぞれ、28週目及び56週目に投与されたドナネマブ参加者の約27%及び55%が、プラセボ注入に対して低減するのに十分なアミロイド緩徐化を達成した。この研究では、アミロイドプラークレベルが連続する2回の測定で25センチロイド未満、又は任意の1回の測定で11センチロイド未満になると、患者はドナネマブを受けるのを中止し、プラセボに切り替えた。
【0272】
F18-フロルタウシピルPETによって評価された全体的なタウロードの評価では、ベースライン~76週で群間に差がないことが明らかになった(
図3B)。vMRIで評価した海馬の容積変化では、群間に差はなかった(
図3C(iii))。52でのドナネマブで処置された参加者において、プラセボと比較して、より大きな全脳容積の減少及びより大きな脳室容積の増加が見られた(
図3C(i)及び(ii))。
図3A~Cは、二次バイオマーカーの転帰を示している。
図3Aは、二次転帰、センチロイド(CL)でF18-フロルベタピルPETスキャンによって測定された脳アミロイドプラーク沈着におけるベースライン~76週の変化の結果を示している。
図3Bは、F18-フロルタウシピルPETスキャンで測定された全体的なタウロードを示している。「アミロイド陰性」/<24.1CL=同様の年齢で、それ以外は健康な個人の平均CLレベル。
図3Cは、(i)全脳、(ii)脳室、及び(iii)海馬のvMRIを示している。
図3では、Δ=差、W=週、LS=最小二乗、CI=信頼区間、CL=センチロイド、n=参加者の数、SE=標準誤差。
【0273】
有害事象:ドナネマブ群とプラセボ群との間で、死亡又は重篤な有害事象(SAE)の発生率に差はなかった。安全性集団における二重盲検期間中に、プラセボ群の参加者125人中113人(90.4%)及びドナネマブ群の131人中119人(90.8%)の合計が少なくとも1つの処置中に発現した有害事象(TEAE)を有した。ARIA-Eの発生率は、プラセボ(0.8%)と比較して、ドナネマブ群(27%)で有意に高かった。症候性ARIA-Eは、プラセボ群のは0.8%と比較してドナネマブ群の参加者全体の6.1%(ARIA-Eの参加者の22%)で報告された。ARIA-E症例のほとんどは、投薬開始から12週目までに生じた。入院を必要とする重篤な症候性ARIA-Eが、ドナネマブで処置された2名の参加者(1.5%)で生じた。両方の参加者は混乱の症状があり、1人は自分の意見を表現することが困難であると報告したが、それらの全ては完全に解消した。ARIA-Eは両方のケースで完全に解消され、ARIA-Eの平均解消時間は18週間であった。中枢神経系の表在性鉄沈着症(出血を伴うARIAの一種(ARIA-H))、吐き気、注入関連反応(IRR)の発生率は全て、プラセボと比較してドナネマブ群で有意に高かった。ARIA-Eによる処置中止はドナネマブ群の7名の参加者(5.3%)で生じた。2人(1.5%)はARIA-Eのために研究を中止した。どちらの群にも脳巨大出血は見られなかった。IRRはドナネマブ群の参加者の7.6%で報告され、プラセボ群では0%であった。ドナネマブで処置された3名の参加者(2.3%)で重篤なIRR又は過敏症が生じた。ドナネマブで処置された参加者における処置中に出現した抗薬物抗体(TE-ADA)の発生率は約90%であった。
【0274】
これらの結果は、初期の症候性アルツハイマー病患者に対するアミロイドプラーク特異的介入において、ドナネマブ群におけるアミロイド除去にはプラセボと比較して疾患の進行の緩徐化が伴ったことを示している。iADRSスケールにおける76週での3.20の処置差は、疾患スペクトル全体にわたるスコア範囲(0~144)だけでなく、重要なことに、参加者集団内のiADRSのダイナミックレンジ(26ポイント)及びプラセボ群の低下(-10.06)も考慮して解釈されるべきである。
【0275】
ここで提供される結果は、いくつかの側面で予想外であり、驚くべきものである。ドナネマブの投薬レジメンにより、試験の初期段階で大量のアミロイドが除去され、参加者のほぼ60%が52週までに「アミロイド陰性」スキャンを受けた。これは、F18-フロルタウシピルのPETスキャンでの全ての参加者をスクリーニングした最初の研究であり、おそらく基礎的な病理の範囲が狭まり、それによって臨床的低下の分散が減少した可能性が高い。
【0276】
患者のタウPETスクリーニングでは、高いタウを有する対象を除外した。高いタウを有する患者は、抗アミロイド処置に対する反応性が低いか、又は抗アミロイド処置に対してより抵抗性のある疾患を有している可能性がある。
【0277】
ヨーロッパのアルツハイマー型認知症予防プロジェクトによって提案されているように、比較的新しい疾患進行モデルを使用して、iADRS、ADAS-Cog13、ADCS-iADL、CDR-SB、及びMMSEスコアの処置の違いの分析が実施された。処置効果を検出するためのより優れた感度が得られると(Solomon et al.,“European Prevention of Alzheimer’s Dementia Longitudinal Cohort Study(EPAD LCS):Study Protocol,”BMJ Open 8:e021017(2018)、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、このモデルは統計的検出力の大幅な向上を可能にし(Wang et al.,“A Novel Cognitive Disease Progression Model for Clinical Trials in Autosomal-dominant Alzheimer’s disease,”Statistics in Medicine 37:3047-55(2018)、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、この試験では、MMRMモデルの単一点推定と同様の疾患の緩徐化の推定が明らかになった。
【0278】
全体的なタウロードに対する処置効果の欠如が観察されたことに関しては、PETによるタウの変化がアミロイドの変化に対して大幅に遅れること、及び画像変化を検出するには18か月の時間が短すぎることが考えられる。常染色体優性対象におけるモデル化では、最初に検出可能なPETアミロイド変化及び最初に検出可能なタウPET変化から10~20年の遅れがあることが示唆されている(Barthelemy et al.,“A Soluble Phosphorylated Tau Signature Links Tau,Amyloid and the Evolution of Stages of Dominantly Inherited Alzheimer’s Disease,”Nat.Med.26:398-407(2020)、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。全体的なタウへの影響がないことは、アミロイドβの低減を標的とすることが生物学的疾患の進行に影響を与えるかどうかについての疑問を引き起こす可能性がある。しかしながら、脳領域の事前に指定された追加の分析では、プラセボと比較してドナネマブ群では脳の様々な領域(例えば、前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉領域)でのタウ蓄積の低減が示唆されている(
図4)。
【0279】
タウ蓄積の堅牢な減少又は更なる増加の予防が、例えば、脳の前頭葉で見られる。後頭葉は最も高いベースライン信号の一部を有し、したがって、増加するタウロードの減少を示す能力に上限効果を与える可能性がある。
図4は、小脳灰色参照でのタウ蓄積の局所SUVr分析を示している。小脳参照領域を使用して、F18フロルタウシピルによって測定された前頭葉タウロードは、症候性の初期AD対象におけるその後76週間にわたるiADRS及びCDR-SBの変化と相関している。
図5は、低い前頭タウ負荷が患者の少ない低下と関連していることを示している。前頭葉のタウ負荷が高いと、患者の急速な低下と関連する。言い換えれば、低い前頭葉のタウ負荷を有する患者は、高い前頭葉タウ負荷を有する患者と比較して、低下がより緩徐化である(iADRS又はCDR-SBで測定)。
【0280】
この測定はタウロードの全体的な変化を反映しており、更に調査すると、変化の影響をより受けやすい部分領域が示される可能性がある。タウ変化及び療法反応を定量化するための領域選択及び分析のための最適な方法は、まだ初期段階にある。
【0281】
有意な容積変化を示した最近のBACE阻害剤研究とは対照的に、海馬容積には有意な変化はなかった(Wessels et al.,“Efficacy and Safety of Lanabecestat for Treatment of Early and Mild Alzheimer Disease:The AMARANTH and DAYBREAK-ALZ Randomized Clinical Trials,”JAMA Neurology 77:199-209(2020)、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。プラセボと比較して、ドナネマブ処置により脳全体の容積がより大きく減少し、脳室容積がより大きく増加するという観察は、萎縮ではなくタンパク質の除去という状況で解釈される可能性がある。ADの自然史研究では、全体的な容積測定MRIの変化は通常、萎縮に起因すると考えられているが、この研究及び別の抗アミロイド療法研究で見られるように、それらがタンパク質凝集体の急速な構造除去という状況において真の萎縮を表しているかどうかは依然として不明である。(Sur et al.,“BACE Inhibition Causes Rapid,Regional,and Non-progressive Volume Reduction in Alzheimer’s Disease Brain,”Brain 143:3816-26(2020)、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0282】
ARIA-E及びARIA-Hは、アミロイドプラーク除去治療と関連付けられている Sperling et al.,“Amyloid-related imaging abnormalities in amyloid-modifying therapeutic trials:Recommendations from the Alzheimer’s Association Research Roundtable Workgroup,”Alzheimer’s & Dementia 7:367-85(2011);Sevigny et al.,“The Antibody Aducanumab Reduces Aβ Plaques in Alzheimer’s Disease,”Nature 537:50-6(2016);Ostrowitzki et al.,“Mechanism of Amyloid Removal in Patients With Alzheimer Disease Treated With Gantenerumab,”Archives of Neurology 69:198-207(2012);Salloway et al.,“Two Phase 3 Trials of Bapineuzumab in Mild-to-Moderate Alzheimer’s Disease,”New England Journal of Medicine 370:322-33(2014);Salloway et al.,“A Phase 2 Multiple Ascending Dose Trial of Bapineuzumab in Mild to Moderate Alzheimer Disease,”Neurology 73:2061-70(2009)及びSperling et al.,“Amyloid-related Imaging Abnormalities in Patients with Alzheimer’s Disease Treated with Bapineuzumab:A Retrospective Analysis,”Lancet Neurol.11:241-9(2012)、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。
【0283】
第1b相研究では、ドナネマブで処置された参加者におけるARIA-Eの発生率は26.1%で、2人の参加者が症候性ARIA-Eを報告した(4.3%)。この研究では、ドナネマブ群でも同様のARIA-E発生率(27%)が見られ、6.1%が症候性ARIA-Eを報告した。プラークを標的とする抗体の他の試験で見られたように、ARIA-Eの発生率はAPOE4保有者でより一般的であった(Sevigny et al.,“The Antibody Aducanumab Reduces Aβ Plaques in Alzheimer’s Disease,”Nature 2016;537:50-6、Ostrowitzki et al.,“Mechanism of Amyloid Removal in Patients With Alzheimer Disease Treated With Gantenerumab,”Archives of Neurology 69:198-207、Salloway et al.,“Two Phase 3 Trials of Bapineuzumab in Mild-to-Moderate Alzheimer’s Disease,”NEJM 2014;370:322-33(2014)、及びSperling et al.,“Amyloid-related Imaging Abnormalities in Patients with Alzheimer’s Disease Treated with Bapineuzumab:A Retrospective Analysis,”Lancet Neurol.11:241-9(2012)、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ドナネマブで処置された参加者における処置中に出現した抗薬物抗体(TE-ADA)の発生率(約90%)は、第1相での所見(>85%)と同様であった。
【0284】
これらの結果は、初期の症候性ADの参加者において、ドナネマブでの処置がアミロイドプラークの除去をもたらし、iADRSスケールで測定される認知及び機能の低下が緩徐化したことを示している。
【0285】
実施例4:ベースラインのタウPET患者層別化と関連する有効性
抗N3pGlu Aβ抗体であるドナネマブは、ベースラインのフロルタウシピルレベルが最も低い対象において最も効果的であることが判明している。この抗体は、高いタウ(>1.46SUVr)を有する対象では効果が低い可能性がある。換言すれば、高いタウ(>1.46SUVr)を有する対象は、Aβ療法、特に、例えば、ドナネマブを含む抗N3pGlu抗体に基づく療法に対する反応性が低い可能性がある。
【0286】
タウレベル(例えば、アルツハイマー病に罹患しているヒト対象の層別化の目的)は、フロルタウシピルスキャンの最初の視覚的評価に基づいて決定され、続いて、定量分析が行われる。視覚的評価は、新皮質の特定領域におけるトレーサーの取り込みの存在に基づく3段階の読み取り(tAD-、tAD+、tAD++)に依存する。定量分析とは、参照領域(参照信号強度のパラメトリック推定値又はPERSI)と比較した場合の、脳における特定の対象標的関心領域内のカウントを表すSUVrの計算を指す(マルチブロック重心判別分析又はMUBADA)。SUVr値が低いほどタウ負荷が少ないことを示し、SUVr値が高いほどタウ負荷が大きいことを示す。
【0287】
表Fに示すように、低いから中等度のタウ群(例えば、1.10以上~1.46以下のSUVrを有する)におけるスキャンは、AACG研究における抗N3pGlu Aβ抗体の投与に適格である。
【0288】
視覚的評価:ヒト対象の視覚的評価の方法は、Fleisher et al.,“Positron Emission Tomography Imaging With[18F]flortaucipir and Postmortem Assessment of Alzheimer Disease Neuropathologic Changes,”JAMA Neurol.77(7):829-839(2020)に記載されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。簡単に説明すると、脳のどの領域でも新皮質トレーサー活性の増加がない場合、又は活性が前頭葉若しくは後外側側頭(PLT)領域を含まない側頭葉の領域に分離されている場合、フロルタウシピルスキャンは陰性(tAD-)となる。陽性スキャンは、新皮質トレーサー活動が増加した領域に基づいて2つのカテゴリに分類される。新皮質トレーサー活性が後外側側頭(PLT)又は後頭部領域に限定されているフロルタウシピルスキャンは、tAD+として分類される。
【0289】
最後に、フロルタウシピルスキャンで頭頂部又は楔前部領域トレーサー活性の増加が示される場合、又は前頭部領域の活性がPLT若しくは後頭部領域の活性とともに存在する場合、tAD++として分類される。定量分析は、全てのtAD+及びtAD++スキャンで実行される。
【0290】
定量分析:定量分析は、自動画像処理パイプラインを介して実行される。以前に開発された新皮質の標的関心容積(VOI)(MUBADA、Devous et al.,“Test-Retest Reproducibility for the Tau PET Imaging Agent Flortaucipir F18,”J.Nucl.Med.2018;59:937-943(2018)を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)は、各スキャンに適用され、導出されたカウントが患者固有の参照領域(PERSI)に対して正規化される。他の標的領域及び参照領域もパイプラインを介して抽出される。PERSI参照領域は、アトラスで定義された白質領域内で非特異的なフロルタウシピル取り込みを有するボクセルを特定する、対象特異的なデータ駆動型技術である(例えば、Southekal et al,“Flortaucipir F18 Quantitation Using Parametric Estimation of Reference Signal Intensity,”J.Nucl.Med.59:944-951(2018)を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。MUBADA標的領域は、画像の特徴に基づいて診断群の分離を最大化する統計的手法を使用して開発された(Devous et al,“Test-Retest Reproducibility for the Tau PET Imaging Agent Flortaucipir F18,”J.Nucl.Med.59:937-943(2018)を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。202人の対象(55人のAβ-高齢認知正常、43人のAβ-MCI、54人のAβ+MCI、16人のAβ-AD、及び34人のAβ+AD)の大規模なデータセットからのF18フロルタウシピル画像に適用する場合、分析により二次元が得られた(aka成分)。最初の次元(分散の95%を説明する)は、診断及びアミロイドの状態による群の最大限の分離を提供し、現在ではMUBADAVOIと称されるVOIに変換された(例えば、Devous et al.,“Test-Retest Reproducibility for the Tau PET Imaging Agent Flortaucipir F18,”J.Nucl.Med.2018;59:937-943(2018)を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0291】
次いで、PERSI参照領域に比したMUBADA VOIを204人の対象に適用し、結果の値を4つのタウ負荷四分位、1)非常に低い、2)低い、3)中等度、4)高いに分割した。非常に低い及び低いを分けるカットオフSUVr値は、1.10であり、低い及び中等度は、1.23であり、中等度及び高いは、1.46であった。これらの値は、上記のアルゴリズムに従って対象をスクリーニングするために使用された。
【0292】
高いタウを有する患者の認知機能低下は主にタウオパチーによって引き起こされ、したがって抗アミロイド療法に反応しないという仮説に基づいて、SUVr>1.46のtAD+及びtAD++スキャンを有する対象は、抗N3pGlu Aβ抗体を投与されなかった。
【表6】
【0293】
以下の
図6A~Cに示すように、抗N3pGlu Aβ抗体であるドナネマブは、ベースラインのフロルタウシピルシグナルが最も低い処置亜群において最も有効であることが見出された。
図6に基づいて、高いタウ(>1.46SUVr)を有する患者は治療に反応する可能性が低いという仮説が立てられる。
【0294】
データは、抗N3pGlu Aβ抗体であるドナネマブが、約1.14SUVr以下又は約1.27SUVr以下のタウレベルを有するヒト対象において最も有効であったことを実証している(
図6A及び6B)。スケールスコアの変化は、1.274SUVrを超えるベースラインタウPET SUVr値によって定義される、最も右のグラフのプラセボと比較して、ドナネマブ処置群では統計的に有意ではなかった(
図6C)。
図6A~Cは、iADRS(FTP=F18-フロルタウシピル)に基づくベースラインのタウ亜群分析を示している。
【0295】
実施例5:対立遺伝子アポリポタンパク質E4(APOE4)の保有者と関連する有効性及び安全性
第2相臨床試験(NCT03367403、clinitritrials.gov)(上記の実施例2、3、及び4で開示)には、APOE4の1又は2個の対立遺伝子を有する参加者の亜群における抗N3pGlu Aβ抗体(ドナネマブ)の有効性及び安全性の試験も含まれていた。
【0296】
この第2相臨床試験は、初期の症候性ADを有する患者におけるドナネマブの安全性、忍容性、有効性を評価する無作為化、プラセボ対照、二重盲検、多施設共同第2相研究であった。ベースライン~76週の臨床的変化は、認知及び日常機能を測定する複合ツールである統合AD評定スケール(iADRS、一次エンドポイント)及び臨床認知症評定スケール-ボックス合計(CDR-SB、二次エンドポイント)を使用して、中間のタウ病理レベルを有する全ての登録患者について評価された。ベースラインの特徴は、ドナネマブ又はプラセボでそれぞれ処置された患者の72.5%及び74.2%がAPOE4保有者であることを示した。iADRS及び主要な二次エンドポイントの追加分析は、この亜群集団に焦点を当てて実施された。
【0297】
結果:プラセボと比較して、ドナネマブ処置は、76週でのAPOE4保有者におけるiADRSで測定した認知機能低下の49%緩徐化(p=0.004)(
図7A)、CDR-SBの認知機能低下の36%緩徐化(p=0.038)をもたらした(
図7B)。
【0298】
保有者と非保有者との間のドナネマブ処置の差は、保有者の方が有意に大きかった(iADRS:p=0.001、CDR-SB:p=0.046)。追加の主要な二次エンドポイントでは、APOE4保有者においてプラセボと比較してドナネマブの一貫した強力な有効性が示された。以下の表G及びHを参照されたい。
【表7】
【表8】
【0299】
APOE4保有者の安全性プロファイルは、ドナネマブ処置集団全体と一致していた。ドナネマブでの処置後のタウPET増加の緩徐化は、ドナネマブを投与されたAPOE4保有者の方が非保有者よりも数値的に大きかった。
【0300】
浮腫又は滲出液を伴うアミロイド関連画像異常(ARIA)は、ほとんどが無症状であるが、APOE4保有者(33.7%)では非保有者(8.3%)よりも一般的であった。微小出血のようなヘモジデリン沈着を伴うARIAは、ドナネマブを受けたAPOE4保有者の34.5%で生じた。ARIAを有する保有者対象を打ち消しても、iADRS(p=0.020)及びCDR-SB(p=0.050)のプラセボ処置差の有意性は変化しなかった。
【0301】
研究集団の分析により、APOE4保有者では非保有者よりもドナネマブの有効性が高く、iADRS及びCDR-SBの両方で疾患の進行の有意な緩徐化が実証された。
【0302】
図7A~Bは、ドナネマブが、非保有者よりもAPOE4保有者においてより高い有効性を示したことを示す。
図7Aは、ドナネマブがiADRSスケールでAPOE4保有者において非保有者よりも高い有効性を示したことを示している。
図7Bは、ドナネマブがCDR-SBスケールでAPOE4保有者において非保有者よりも高い有効性を示したことを示している。
図7Cは、投与群及びプラセボ群における患者のAPOE4状態によるアミロイド変化(センチロイド)を示す。
図7Dは、患者のAPOE4状態によるタウPET SUVRの変化を示す。左のグラフは、APOE4の保有者(図ではE4保有者と称される)及び非保有者(図ではE4非保有者と称される)の前頭脳葉データを示している。右のグラフは、APOE4の保有者(図ではE4保有者と称される)及び非保有者(図ではE4非保有者と称される)の外側側頭葉データを示している。
図7E~Gは、ドナネマブ処置群及びプラセボ群の両方におけるAPOE4保有者についてのiADRSに基づくベースラインタウ亜群分析を示す。下3分の1は、プラセボ群及びドナネマブ群の両方についてのベースラインF18-フロルタウシピル(FTP)SUVR≦1.144の患者を示している。中央の3分の1は、プラセボ群及びドナネマブ群の両方についてのベースラインFTP SUVRが1.144~1.268の患者を示している。上3分の1は、プラセボ群及びドナネマブ群の両方についてのベースラインFTP SUVR>1.268の患者を示している。
【0303】
実施例6.ドナネマブ処置後のアミロイド低減の動態
ドナネマブ処置は、急速な24週でのアミロイド低減をもたらし、その低減速度はベースラインのアミロイド量に正比例した。6か月のドナネマブ処置後、よりプラークの除去が多い参加者は、前頭部、頭頂部、側頭脳領域におけるタウの進行が少なく、認知機能の低下が少ないことと関連するアミロイドプラークの変化が大きかったことが示された。
【0304】
図8Aは、ドナネマブが患者のアミロイドの急速な低減を誘導したことを示している。この図は、ドナネマブで処置された患者の個別の24週間のアミロイド低減軌跡を示している。
【0305】
図8Aに示す個々のアミロイドの軌跡は、臨床研究TRAILBLAZER-ALZ(AACG、Clinicaltrials.gov識別子NCT03367403)で観察されたベースライン及び24週間のアミロイド測定値(センチロイド単位、CL)に基づいている。参加者(N=115)は、ドナネマブで処置され、ベースライン及び24週間のF18-フロルベタピルPETスキャンの両方を完了した。完全なアミロイド除去(本明細書ではアミロイド陰性とも称され、
図8Aでは破線で示す)は、アミロイドプラークレベルが<24.1CLであると定義される(Mintun et al.,“Donanemab in Early Alzheimer’s Disease,”New England Journal of Medicine 384(18)(2021):1691-1704,2021、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ドナネマブは、迅速かつ有意なアミロイドプラークの低減を誘導した。全ての参加者は、-1.8CL~-174.8CLの範囲のアミロイド低減を示した。全参加者の平均アミロイド低減速度は、-2.9CL/週であった。群の平均値は、最初の24週間で24.1CLの完全アミロイド除去閾値に近づいた。プロットの上部の点で示されているように、個々の軌跡は、ベースラインのアミロイドプラークレベルが高い個人は、処置開始から最初の24週間で完全なアミロイド除去には程遠いことも意味する。逆に、プロット上の低い点で示されているように、ベースラインのアミロイドプラークレベルが低い参加者は、処置の最初の24週間で完全なアミロイド除去に近づく。
【0306】
図8Bは、TRAILBLAZER-ALZにおいてドナネマブで処置された参加者についてのベースラインアミロイドレベル(X軸)と24週間にわたるアミロイドレベルの変化(Y軸)との間の関連性を示す。アミロイドプラークの低減は、ベースラインのアミロイドプラークレベルと関連している。
【0307】
図8Bに示す、ベースラインのアミロイドレベルとドナネマブでの24週間の処置にわたるアミロイドレベルの変化との関係は、臨床研究TRAILBLAZER-ALZ(AACG、Clinicaltrials.gov識別子NCT03367403)で観測されたベースライン及び24週間のアミロイド測定値に基づいている。この分析では、参加者(N=115)は、ドナネマブで処置され、ベースライン及び24週間のF18-フロルベタピルPETスキャンの両方を受けた。ベースラインでの総アミロイドプラークレベルと最初の24週間に除去されたプラークの総量との堅牢な相関関係(ピアソン相関係数r=-0.57、p<0.001)が観察された。ベースラインのアミロイドプラークレベルが高いほど、より多くのアミロイドプラークの除去がもたらされた。逆に、ベースラインのアミロイドプラークレベルが低いと、除去されるプラークの量は少なくなる。
【0308】
ベースラインでのアミロイドプラークレベルが低いほど、平均して、アミロイド除去がより早期に完了する。
図8Cは、TRAILBLAZER-ALZにおいてドナネマブで処置された参加者について、ベースラインのアミロイドレベル(Y軸)と24週間で到達したアミロイド除去量(X軸)との間の関連性を示す。24週でアミロイドを完全に除去した参加者は、ベースラインのアミロイドプラークレベルが低かった。
図8Cでは、バーは平均+/-標準偏差を示し、CL=センチロイド、PET=陽電子放出断層撮影法、Q=四分位。
【0309】
図8Cに示す、ベースラインのアミロイドレベルと24週間で得られたアミロイドの除去レベル(部分的又は完全)との間の関係は、臨床研究TRAILBLAZER-ALZで観察されたベースライン及び24週間のアミロイド測定値に基づいている。この分析では、参加者(N=115)は、ドナネマブで処置され、ベースライン及び24週間のフロルベタピルPETスキャンの両方を受け、この分析に含まれた。患者は、24週間のアミロイドプラークレベルによって2つの群に分けられた。完全なアミロイド除去(本明細書ではアミロイド陰性とも称される)は、アミロイドプラークレベルが24.1CL未満であると定義され、部分的なアミロイド除去は、アミロイドプラークレベルが24.1CL以上であると定義される。2つの試料のt検定は、2つの群を比較するために使用される。24週での完全なアミロイド除去に達した参加者は、24週に部分的アミロイド除去を受けた参加者よりも平均して、ベースラインアミロイドプラークレベルが有意に(p<0.0001)低かった。
【0310】
アミロイドプラークのベースラインレベルが低い参加者は、完全なアミロイド除去をより早く達成することが観察された(
図8D)。
図8Dは、ベースラインアミロイドプラークレベルの関数としてプラーク除去を達成するまでのモデル化された関係を示す。
図8Dは、ベースラインで様々なレベルのアミロイド沈着を有する患者において完全なアミロイドプラーク除去(24.1CL未満のPET測定として定義される)を達成するまでの時間を表す。
図8Dに示すシミュレーションは、臨床研究TRAILBLAZER-ALZ(AACG、Clinicaltrials.gov識別子NCT03367403)及びAACD(Clinicaltrials.gov識別子NCT02624778)からのデータを使用して開発された曝露反応モデルを使用して実施された。このモデルは間接反応モデルであり、ドナネマブ活性はアミロイドプラークレベルと関連する除去速度定数を増加させるものとしてモデル化されている。シミュレーションを実施するために、TRAILBLAZER-ALZで使用された投薬レジメンと同様に、10,000人の仮想患者が700mgのドナネマブIVを4週間の間隔で3回の用量を受け、続いて、1400mgのドナネマブをQ4Wで17回の用量を受けるシミュレーションが行われた。患者は、ベースラインのアミロイドβプラークロード(CL)値によって四分位(Q1~Q4)に分けられ、Q1は38.7~81.6センチロイドであり、Q2は81.6~100.3センチロイドであり、Q3=100.3~126.3センチロイド、Q4は126.4~251.4センチロイドである。76週間の処置終了時点で、モデルが推定したアミロイド除去を達成した患者のパーセンテージ(四分位別)は、92.1%(Q1)、86.8%(Q2)、83.1%(Q3)、76.0%(Q4)であった。
【0311】
図8Dの分析は、ベースラインアミロイドレベルが低い患者は、より高いベースラインアミロイドレベルで療法を開始した患者よりも、処置の76週間以内にアミロイドの除去を達成する可能性が高いことを示している。例えば、Q1には92.1%の患者が完全なアミロイドの除去を達成したが、Q4には76.0%の患者がアミロイドの除去を達成した。各四分位の患者の50%がアミロイド除去を達成するのに必要な時間として、各四分位のベースラインでのアミロイドの相対量に対応して、アミロイドのベースラインが低い患者は、アミロイドのベースラインが高い患者よりも早くプラークの除去を達成するようである。
【0312】
ベースラインのアミロイドレベルとドナネマブ投薬レジメンとの間の関連性を
図8Eに示す。この図は、ベースラインのアミロイドレベル(Y軸)と使用されたドナネマブの投薬量との間の関連を示している。アミロイドプラークのベースラインレベルが低い参加者は、早期に用量を低減する資格があった。
図8Eでは、バーは平均+/-標準偏差を示し、CL=センチロイド、Max=最大値、PET=陽電子放出断層撮影法、***p<0.001。
【0313】
ドナネマブによる処置を受けた参加者において、アミロイドプラークレベル(24週及び52週に実施されたF18-フロルベタピルPETによって評価)が11CL~25CL未満であり、アミロイドプラークの除去を示している場合、用量は700mgに引き下げられた。アミロイドプラークレベルが個々のスキャンで11CL未満であった場合、又は2回の連続スキャンで11CL~25CL未満であった場合、ドナネマブ処置を受けた参加者はプラセボに切り替えられた。
図8Eには2つの亜群が含まれている:試験終了まで最大用量を継続した参加者及び24週で用量を低減する資格のある参加者である。2つの試料のt検定を使用して2つの群を比較した。用量変更基準を満たす参加者は、試験終了まで最大限の処置を続けた参加者よりも、ベースラインのアミロイドプラークレベルが有意に低かった。
【0314】
ドナネマブでの処置に対する反応率は、ベースラインのアミロイドプラークレベルに依存しており、投薬処置を中止しても、1年間にわたって顕著なアミロイドの再蓄積をもたらさない。
図8Fは、6か月以内にアミロイドの除去を達成した患者における処置中止後の、モデルが予測したアミロイドプラークレベルの変化を示す。
【0315】
図8Fで上述したモデルを使用して、TRAILBLAZER-ALZで利用された投薬レジメンを使用して、2000人の患者においてアミロイドプラークレベルの変化をシミュレーションした。これら2000人の患者のうち、アミロイドプラークレベルが11CL以下に達したサブセットをグラフで検査し、残りの試験にわたるアミロイドプラークレベルの予測される時間経過を評価する。ドナネマブ処置を中止するためのTRAILBLAZER-ALZで使用された基準であるため、このシミュレーションのカットオフとして11CLの値が使用された。中央値(実線)及び90%予測間隔(影付き領域)が、処置期間及び処置期間外についてプロットされている。
【0316】
患者が<11CLに達した後に処置を中止した場合のプラークの再蓄積に対する影響を、処置曝露反応モデルを使用したシミュレーションによって調査した(
図8F)。24週までにPETシグナル<11CLを達成するようにシミュレーションされた患者群では、ドナネマブ処置の中止により、モデルによって推定されるプラーク蓄積量(約6.7CL/年)に起因するようにシミュレーションの終了時(76週目)までPETシグナルが大幅に増加しなかった。このモデルの仮定は、ドナネマブ処置後のプラーク形成/蓄積速度がベースラインの速度と同様であるということである。このモデルの意味するところは、比較的低いアミロイド蓄積速度(6.7CL/年)がドナネマブ投与中に11CLを達成した患者はモデル推定ベースラインの101CLに戻るには13年超必要とすると示唆されるため、完全なアミロイド除去が達成された後にドナネマブ投与を継続することによる更なる利益は限定的であるということである。
【0317】
ドナネマブ処置により、76週間にわたってタウ蓄積が減少し、24週間でアミロイドプラークが完全に除去された参加者ではタウ蓄積が減少した。
図8Gは、部分的アミロイド除去又はプラセボの参加者と比較した、24週間でアミロイドプラークの完全な除去に達した参加者のタウPETに対する影響を示す。ベースライン及び76週目に[
18F]フロルタウシピルPETスキャンを受けたTRAILBLAZER-ALZ研究参加者が分析に含まれている。ドナネマブを投与された参加者(
図8Gの緑色のバー)は、24週でのアミロイドプラークレベルに基づいて、部分的又は完全なアミロイド除去を有すると指定される。完全なアミロイド除去は、アミロイドプラークレベルが<24.1CLであると定義され、部分アミロイド除去コホートには、24週までにその閾値に達しなかったドナネマブ処置を受けた参加者が含まれていた。タウPET蓄積は、小脳下腿を参照領域として使用し、側頭、頭頂、及び前頭脳領域におけるF18フロルタウシピル局所SUVRによって測定される。P値は、76週間にわたるプラセボの局所タウPET変化に対する統計的有意性を示す(灰色)。
図8Gでは、バーは平均+/-標準誤差を示し、LS=最小二乗、PET=陽電子放出断層撮影法、SUVR=標準化取り込み値比、*p<0.05、**p<0.01対プラセボ。
【0318】
ドナネマブで処置を受けたTRAILBLAZER-ALZ試験参加者では、76週目に側頭、頭頂及び前頭脳領にわたってF18-フロルタウシピルPETで測定された凝集タウの蓄積が少ないことが観察された。研究の24週に完全なアミロイドの除去を達成した参加者では、タウの変化に対して数値的により大きな効果が見られる(蓄積は更に少なくなる)。これらのデータは、アミロイドプラークの迅速な除去の価値を強調し、アミロイド誘発性タウオパチーのモデル、及びアルツハイマー病の発症及び/又は進行に対するこれらのバイオマーカーの関連性を支持する。
【0319】
図8Hは、24週でのアミロイドプラークレベルの変化パーセント対ベースラインからのiADRS変化を示す。24週でのアミロイドの除去が大きいほど、臨床的低下が少なさと関連した。
【0320】
各患者のCL値のベースラインからの変化パーセンテージを24週目に計算し、52、64、及び76週目のTRAILBLAZER-ALZのiADRSのベースラインからの変化(臨床的疾患進行の減少を示す)に対してプロットした(
図8H)。ドナネマブ処置及びプラセボ処置された患者の両方がプロットに含まれた。単純な線形回帰直線を当てはめて、24週目でのプラーク低減とiADRSの臨床転帰との間の関係を示し、ピアソン相関係数を計算した。負の相関係数は、アミロイドプラークの除去量の増加と臨床的低下の減少との間の直線関係を示す。52、64、及び76週目の時点で、相関係数はそれぞれ-0.15、-0.13、及び-0.09であった。この分析は、より多くのアミロイドプラークを除去することはより少ない臨床的低下と関連することを示唆する適度な相関関係を示している。
【0321】
図8Iは、PK、PET、及び臨床エンドポイント(iADRS)データを統合したモデルを使用して、アミロイドプラークの減少と疾患進行速度の遅延との間の関係を示す。図中、iADRS=統合アルツハイマー病評定スケール、平均及び90%CI、CI=信頼区間、PET=陽電子放出断層撮影法、PK=薬物動態。
【0322】
アミロイドプラークレベルの変化とiADRSスケールで測定される疾患の進行速度の変化との関係を記述するモデルが開発された。このモデルは、Conrado et al.,“An Updated Alzheimer’s Disease Progression Model:Incorporating Non-linearity,Beta Regression,and a Third-level Random Effect in NONMEM,”Journal of Pharmacokinetics and Pharmacodynamics 41(6)581-598,2014(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)によって説明されている疾患進行モデルに基づいている。この研究では、ドナネマブ及びアミロイドプラークの曝露反応モデルによって予測されるように、ベースラインからのアミロイドプラークレベルの変化パーセントと相関する疾患進行の勾配を緩和するものとしてモデル化された薬物効果を含むようにコンラドモデルが修正された。
図8Iは、疾患勾配に対するアミロイドプラーク低減のモデル推定効果とともにTRAILBLAZER-ALZ集団における疾患進行のモデル推定勾配を使用して生成された。関係の90%信頼区間は、モデルパラメータのそれぞれの標準誤差を使用して推定された。モデルの予測関係は実線でプロットされ、90%信頼区間は
図8Iの影付き領域で表された。
【0323】
図8Iは、ドナネマブ処置によるアミロイドの変化と、プラセボ患者に対する疾患進行速度の変化との間のモデル化された関係を示す。この関係は、血清ドナネマブ濃度と、アミロイドレベルの変化、及びアミロイドレベルの変化の結果としてのその後の疾患の進行の変化を関連付ける曝露反応モデルに基づいている。このモデルは、アミロイドプラークの完全な除去が、疾患の進行速度を>40%低減する可能性があることを示唆している。このモデルは、アミロイドプラークレベルの低減と疾患進行速度の変化との間に継続的な関係があることを示唆している。この関係の継続的な性質は、完全でないプラーク除去が、患者の病気の進行速度を緩徐化し、患者が自立したライフスタイルを維持することを可能にするために、十分な認知的及び機能的活動を維持することができる期間を長くすることを示唆している。
【0324】
実施例7:アミロイドの除去は、スレオニン217でリン酸化されたヒトタウ(P-タウ217)の血漿レベルの急速かつ持続的な低減をもたらす
対象におけるアミロイドの除去は、血漿P-タウ217レベルの急速かつ持続的な低減をもたらす。血漿P-タウ217は、F18-フロルベタピルPETで測定したベースラインのアミロイドプラークレベル及びF18-フロルタウシピルPETで測定したベースラインの神経原線維変化と相関した。ドナネマブでの処置は、12週間以内に検出される血漿P-タウ217の急速な低減を駆動する。Conradoモデルによって示されるように、血漿P-タウ217の変化は、PETによるアミロイドプラークの低減、PETによるタウ神経原線維変化の成長の緩徐化、及び臨床進行の緩徐化と正の相関があった。更に、局所タウ-PETの低下で観察される傾向と同様に、アミロイドプラークの早期の完全な除去は、血漿P-タウ217の大幅な低減を示唆している。
【0325】
残基217のスレオニンでリン酸化されたヒトタウ(P-タウ217)に対するイムノアッセイを使用して、TRAILBLAZER-ALZにおける患者のヒトK2EDTA血漿中のタウロード/負荷を測定した(例えば、国際特許出願公開第2020/242963号を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。WO2020/242963に開示された抗タウ抗体は、CNSで発現されるヒトタウのアイソフォームに対して指向されている(例えば、CNSで発現されるアイソフォームを認識するが、CNSの外側でのみ発現されるヒトタウのアイソフォームは認識しない)。
【0326】
QuanterixSimoa(登録商標)HD-Xアナライザー(商標)をp-タウ217イムノアッセイに使用した。アナライザーは、P-タウ217イムノアッセイ試薬(捕捉抗体:P-タウ217に対するFabクローン、検出抗体:タウタンパク質に対する抗体クローン、キャリブレーター及び対照:捕捉及び検出抗体によって認識されるエピトープを表す、PEGリンカーで結合した2つの合成ペプチドを使用する。例えば、単一分子アレイ(Simoa(登録商標))技術を使用する国際特許出願公開第2020/242963号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。このアッセイは、ヒト血漿中の低レベルのP-タウ217を検出し得、完全に自動化されたイムノアッセイである。
【0327】
第1のステップでは、標的抗体でコーティングされた捕捉ビーズをヒト血漿試料と組み合わせた。試料中に存在する標的分子は、抗体でコーティングされた捕捉ビーズによって捕捉された。洗浄後、ビオチン化検出抗体を捕捉ビーズと混合した。検出抗体は捕捉された標的に結合する。2回目の洗浄後、ストレプトアビジン-β-ガラクトシダーゼ(SBG)のコンジュゲートを捕捉ビーズと混合した。SBGはビオチン化検出抗体に結合し、捕捉された標的の酵素標識をもたらす。3回目の洗浄後、捕捉ビーズをレゾルフィンβ-D-ガラクトピラノシド(RGP)基質溶液に再懸濁し、Simoa(登録商標)ディスクに移した。次いで、個々の捕捉ビーズをアレイのマイクロウェル中に密封した。標的が捕捉されて標識されると、β-ガラクトシダーゼはRGP基質を加水分解して、測定用のシグナルを提供する蛍光生成物を産生する。単一標識された標的分子は、Simoa(登録商標)光学システムによって30秒以内に検出及びカウントされるのに十分な蛍光シグナルをもたらす。標的濃度が低い場合、アレイ中で陽性シグナルを有するビーズ含有ウェルのパーセンテージは、試料中に存在する標的の量に比例する。より高い標的濃度では、ビーズを含むウェルのほとんどが1つ以上の標識された標的分子を有している場合、総蛍光シグナルは試料中に存在する標的の量に比例する。未知の試料中の標的の濃度は、重み付けをせずに対数-対数検出力回帰を使用して検量線から補間される。
【0328】
図9A~Bは、ベースラインの血漿P-タウ217が、ベースラインのアミロイドプラークレベル及び神経原線維変化と相関していることを示す。
図9Aは、ベースラインアミロイドPETセンチロイド及びベースライン血漿P-タウ217の散布図を示す。白丸はプラセボを投与されたTRAILBLAZER-ALZの患者を示し、緑色の実線はドナネマブを受けたTRAILBLAZER-ALZの患者を示す。P-タウ217値は、log10変換によって正規化された。2つの変数間の相関は、Spearmanの順位相関を使用して評価された。ベースラインでは、F18-フロルベタピルPETによって測定されたβ-アミロイドは、血漿P-タウ217レベルと正の相関を示した(R=0.147、p=0.026)。
図9Bは、ベースラインタウPETMUBADASUVR及びベースライン血漿P-タウ217の散布図を示す。白丸はプラセボを投与されたTRAILBLAZER-ALZの患者を示し、緑色の実線はドナネマブを受けたTRAILBLAZER-ALZの患者を示す。P-タウ217値は、log10変換によって正規化された。2つの変数間の相関は、Spearmanの順位相関を使用して評価された。ベースラインでは、F18-フロルベタピルPETによって測定された脳タウは、血漿P-タウ217レベルと正の相関を示した(R=0.383、p<0.0001)。
図9A~9Bにおいて、CL=センチロイド、SUVR=標準化取り込み値比、PET=陽電子放出断層撮影法、p=p値、R=相関係数、SUVR=標準化取り込み値比。
【0329】
イムノアッセイデータは、ヒト対象におけるドナネマブ処置により血漿P-タウ217が有意に減少したことを示している。
図9Cは、処置群間のベースラインからのP-タウ217の変化を比較するための反復測定を伴う混合モデル(MMRM)を示す。この図は、ドナネマブが血漿P-タウ217を早期に低減することを示している。
図3A(上に提供)は、ドナネマブ処置でアミロイドプラークが大幅に低下することを示している。P-タウ217は、12週間の測定から開始する、処置後の迅速な除去を示した。76週目では、ドナネマブ処置群はベースラインと比較して24%の減少を示し(P<0.0001)、プラセボ処置群は6%の増加を示した(p=0.03)。プラセボ処置群と比較して、ドナネマブ処置群はP-タウ217蓄積に関して29%の減少を示した。
図9Cでは、LS=最小二乗、p=p値、**p<0.01、****p<0.0001対プラセボ。
【0330】
血漿P-タウ217の変化は、24週間後のアミロイドプラークの除去状態と関連していた。
図9Dは、プラセボ群、部分的アミロイド除去で処置したドナネマブ群、及び完全なアミロイド除去で処置したドナネマブ群にわたるベースラインからのP-タウ217の変化を比較するための反復測定を伴う混合モデル(MMRM)を示す。完全なアミロイド除去は、フロルベタピルPETセンチロイドレベル<24.1(本明細書ではアミロイド陰性とも称される)として定義された。アミロイドの除去の状態は、24週でのF18-フロルベタピルPETスキャンを使用して測定された。
図9Dにおいて、バーは平均+/-標準誤差を示し、LS=最小二乗、p=p値、****p<0.0001対プラセボ。
【0331】
脳タウPETからの所見と一致して、アミロイドの除去はP-タウ217の低減と関連した。76週では、統計的に有意ではなかったが(p=0.34)、24週での完全なアミロイド除去は、部分的アミロイド除去よりも数値的に大きなP-タウ217低減を示した。両方の処置群は、プラセボ群と比較してP-タウ217蓄積の統計的に有意な減少を示した(p<0.0001)。
【0332】
図9E及び9Fは、血漿P-タウ217の減少がアミロイドの除去と関連していることを示している。
図9E及び9Fは、それぞれ、24週及び76週でのベースライン値からのP-タウ217の変化を伴う、ベースラインからのアミロイドPETセンチロイド変化の散布図を示す。P-タウ217値は、log10変換によって正規化された。2セットの変数間の相関は、Spearmanの順位相関を使用して評価された。図中、白丸はプラセボを投与されたTRAILBLAZER-ALZの患者を示し、緑色の実線はドナネマブを受けたTRAILBLAZER-ALZの患者を示す、CL=センチロイド、PET=陽電子放出断層撮影法、p=p値、r=相関係数。
【0333】
両方の時点(24週及び76週)で、F18-フロルベタピルPETで測定された場合のβ-アミロイドのベースライン値からの変化は、P-タウ217レベルと正の相関を示した(両方の相関係数について、それぞれr=0.349及び0.482。p<0.001)。
【0334】
血漿P-タウ217の減少は、76週での神経原線維変化の減少と関連していた。
図9G及び9Hは、76週でのベースライン値からのP-タウ217の変化を伴う、ベースラインからのタウPET局所SUVR(前頭部及び頭頂部)の変化の散布図を示す。P-タウ217値は、log10変換によって正規化された。2セットの変数間の相関は、Spearmanの順位相関を使用して評価された。図中、白丸はプラセボを投与されたTRAILBLAZER-ALZの患者を示し、黒丸はドナネマブを受けたTRAILBLAZER-ALZの患者を示す、PET=陽電子放出断層撮影法、p=p値、r=相関係数。
【0335】
前頭葉及び頭頂葉のSUVRのベースライン値からの変化は、P-タウ217のベースライン値からの変化と正の相関を示す(それぞれr=0.171、p=0.031及びr=0.257、p=0.0011)。
【0336】
PK/PDモデルは、血漿P-タウ217と臨床的低下の緩徐化との間の関係を示している。このモデルは、血漿P-タウ217レベルの変化とiADRSスケールで測定される疾患の進行速度の変化との関係を記述するために開発された。このモデルは、Conradoらによって記載された疾患進行モデルに基づいている(Conrado et al.,“An Updated Alzheimer’s Disease Progression Model:Incorporating Non-linearity,Beta Regression,and a Third-level Random Effect in NONMEM,”Journal of Pharmacokinetics and Pharmacodynamics 41(6)581-598,2014、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0337】
このモデルは、P-タウ217の低減が臨床的低下の遅延の予測因子として統計的に有意であることを示している(p<0.001)。
図9Iでは、iADRS=統合アルツハイマー病評定スケール、平均値及び90%CI、CI=信頼区間、PK=薬物動態学、p=p値。
【0338】
実施例8:TRAILBLAZER-ALZ3試験のデザイン及び理論的根拠
目的:TRAILBLAZER-ALZ3(本明細書では、TB3、NCT05026866と称される)は、AD病理(前臨床AD)の証拠を有する認知障害のない参加者におけるドナネマブ対プラセボの影響を評価するように設計された、中央評価者による分散型デザインの多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、事象駆動型の第3相試験である。
図10は、臨床プロトコルの試験デザインを示している。SPは、研究期間の略である。ドナネマブが定義された成功因子を満たしている場合、プラセボに無作為化され、SPIIIを完了した参加者は、SPIV、非盲検延長でドナネマブを利用できる可能性がある。
【0339】
概要及び一次エンドポイント:参加基準を満たす約3,300人の参加者が、ドナネマブのいずれかに1:1の比率で無作為化される(第1の3回の用量では700mgを4週間に1回(Q4W)静脈内(IV)投与、続いて次の6回の用量で1,400mgのIVをQ4Wで)又はプラセボ(9回の用量をQ4WでIV)。約434人の参加者が臨床進行の一次転帰事象(臨床認知症評定グローバルスコア(CDR-GS又はgCDR)がベースラインでのCDR-GS=0から2回連続の訪問で増加)を経験するまで、参加者を追跡し、研究への総参加期間は参加者ごとに異なり、3~5年間継続的にフォローアップを有する。ドナネマブでの処置は、0~2のAPOE4対立遺伝子用量によって階層化される。例えば、個人はE4対立遺伝子のコピーを0、1、又は2個有する場合がある。APOE4対立遺伝子のコピーが0個の場合はAPOE4陰性、APOE4対立遺伝子のコピーが1つの場合はヘテロ接合、APOE4対立遺伝子のコピーが2つの場合はホモ接合性である。APOE4保有者の状態によって個人を分類するのではなく、APOE4用量によるこのような層別化により、各処置群におけるホモ接合性及びヘテロ接合性のE4保有者を同量にすることが可能になる。
【0340】
この試験では、過小評価群の参加者を含む適格な参加者の数を増やすことを目的として、訪問の全部又は一部が遠隔で行われる分散型臨床試験(DCT)モデルが使用される。全ての臨床評価及び認知評価は、中央評価者によってリモートで実施される。DCTモデルには、臨床評価のための集中評価者による強力な参加者維持及び標準化の強化の可能性を最適化するための、技術、柔軟な場所、中央スタッフ配置の使用が含まれている。参加者及びパートナーには、研究全体を通じて中央連絡先として機能する中央研究コーディネーター(CSC)が割り当てられる。
【0341】
選択/除外基準:
選択基準は以下を含む:
●55歳~80歳の男女、
●認知状態に関する電話面接-完全な認知機能の修正(TICS-m)スコア、及び
●適格な血漿P-タウ217結果(SIMOAアッセイ)。
【0342】
除外基準は以下を含む:
●軽度認知障害(MCI)/認知症、又は認知に影響を及ぼす他の神経変性疾患、
●MCI又は認知症の処置のために処方薬を現在又は以前の使用、
●現在重篤な病気又は不安定な病気、
●再発リスクが高く、試験の完了を妨げているがんの病歴、
●臨床的に重大な複数又は重度の薬物アレルギー、又は処置後の重度の過敏反応の病歴、
●抗アミロイド免疫療法による以前の治療、
●MRI又は臨床検査でのスクリーニングで任意の臨床的に重要な異常、
●MRIに対するあらゆる禁忌、及び
●スクリーニング時にARIA-E(滲出液又は浮腫を伴うアミロイド関連の画像異常)、>4つの脳微小出血、>1つの表在性鉄沈着症、巨視的出血又は重度の白質疾患の存在を示す中央読み取りMRI。
【0343】
他の有効性評価:臨床の進行を評価するための二次エンドポイントには、国際買い物リスト試験、連続対連想学習、国際日常記号置換試験-医薬品、カテゴリー流暢さ、顔名前関連試験、行動パターン分離-オブジェクト試験、コグステートブリーフバッテリー、CDR-ボックスの合計、認知機能指数、モントリオール認知機能評価、及び認知複合スコア(個々の評価の組み合わせを含む)が含まれる。任意選択の追加には、フロルベタピル-18FPETスキャン(N=200)、フロルタウシピル-18FPETスキャン(N=500)、及びAPOE開示が含まれ得る。
【0344】
安全性評価:ドナネマブの安全性及び忍容性を評価するために、この研究では、自発的に報告された有害事象(AE)、MRI(ARIA及び緊急の放射線所見用)、注入関連反応、及びコロンビア自殺重症度評定スケールを監視する。ARIAを評価/監視するためのMRIは、ベースライン、第1の用量後、700mg~1400mgに用量を増加する前、投薬期間(例えば、二重盲検処置期間)中、4週、12週、20週、及び1~2週間ごと、又は治験責任医師によって決定されるときに実施され得る。MRIのスケジュール設定は、ARIAを評価/監視するために非盲検延長期間中に再開され得る。
【0345】
バイオマーカー:バイオマーカー研究用の血清、血漿、全血RNA試料は、スクリーニング時及び研究全体にわたって収集される。バイオマーカー分析は、薬物の性質、標的への係合、薬力学、作用機序、及び参加者の反応の変動性(安全性を含む)との関連性の問題に対処するために実行される。血漿P-タウ217及び他の血液ベースのバイオマーカーは、臨床転帰及び療法に対する反応を更に知るために使用される。前臨床アルツハイマー病集団におけるプラセボに対して脳アミロイドプラーク負荷及び脳神経原線維変化負荷に対するドナネマブの効果を評価するために、参加者のサブセットはフロルベタピル及び/又はフロルタウシピルのPETイメージングを受ける。
【0346】
潜在的な影響/結論:TB3は、中央評価者による革新的な分散型試験デザインを表している。これには、臨床事象発生までの時間モデル、血液ベースのADバイオマーカー選択基準、及び潜在的に支持的なADバイオマーカーのエンドポイントが含まれている。この試験の結果は、脳アミロイドプラークの急速な低下を伴うドナネマブ処置がADの臨床段階への進行を遅延させることができるかどうか、更には予防できるかどうかという問題に取り組むのに役立ち得る。
【0347】
実施例9:TRAILBLAZER-ALZのバイオマーカー
追加のバイオマーカーデータは、Simoa(登録商標)Neurology4-Plex E Advantage Kitを使用して生成された(アッセイ/キットに関する追加情報は、「quanterix.com/wp-content/uploads/2020/12/Neurology-4-Plex-E-Data-Sheet-HD-X.pdf」で提供され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。簡単に説明すると、Simoa(登録商標)Neuro4-plexEアッセイは、ヒト血漿中のアミロイドベータ40(Aβ40)、アミロイドベータ42(Aβ42)、ニューロフィラメント軽鎖(NfL)、及びグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)を定量的に測定するためのデジタルイムノアッセイである。Simoa(登録商標)HD-Xアナライザー(商標)は、レディトゥユースのNeuro4-plexEイムノアッセイ試薬を使用して、単一分子アレイ(SiMoA)テクノロジーを使用してジョブを実行する(1つのジョブは1つの値に等しいため、重複実行は2つのジョブになる)。2ステップのSimoa(登録商標)Neuro4-plexEアッセイでは、標的抗体でコーティングされた常磁性ビーズが、同じインキュベーションで試料及びビオチン化検出抗体と結合される。試料中に存在する標的分子は、抗体でコーティングされたビーズによって捕捉され、同時にビオチン化抗体検出器と結合する。洗浄後、ストレプトアビジン-β-ガラクトシダーゼ(SBG)の複合体をビーズと混合する。SBGはビオチン化検出抗体に結合し、捕捉された標的の酵素標識をもたらす。最終洗浄後、ビーズをレゾルフィンβ-D-ガラクトピラノシド(RGP)基質溶液に再懸濁し、Simoa(登録商標)ディスクに移した。次いで、個々のビーズをアレイのマイクロウェル中に密封する。標的がビーズ上で捕捉され、標識されている場合、β-ガラクトシダーゼはマイクロウェル中のRGP基質を加水分解して、測定用のシグナルを提供する蛍光生成物を産生する。単一標識された標的分子は、Simoa(登録商標)光学システムによって30秒以内に検出及びカウントされるのに十分な蛍光シグナルをもたらす。標的濃度が低い場合、アレイ中で陽性シグナルを有するビーズ含有ウェルのパーセンテージは、試料中に存在する標的の量に比例する。より高い標的濃度では、ビーズを含むウェルのほとんどが1つ以上の標識された標的分子を有している場合、総蛍光シグナルは試料中に存在する標的の量に比例する。未知の試料中の標的の濃度は、1/y2の重み付けによる4/5パラメータのロジスティック回帰を使用して検量線から補間される。
【0348】
ニューロフィラメント軽鎖(NfL)
ニューロフィラメント軽鎖(NfL)は、多くの疾患機構による神経損傷を示すことができる重要なバイオマーカー(血漿又はCSF)であるが、特にアルツハイマー病でも同様に上昇する。NfLを低減し得る療法は、神経損傷を軽減し、その疾患の転帰改善の前兆となると推定される。Simoa(登録商標)Neuro4-plexEアッセイから得られたデータは、ドナネマブで処置された集団全体におけるNfLが、処置/投薬レジメンの過程でプラセボと比較して少なくとも4%低減することができることを実証している(
図11Aは血漿NFLの低減を示す)。この低減効果は、
図11Bに示されるように、APOE4保有者において増強される可能性があり、試験の後半の時点で顕著な低下が示される。図の血漿データは、APOE4保有者集団におけるアルツハイマー病における抗Aβ抗体によるNfLの低減を初めて実証したものである。
図11Bは、APOE4保有者におけるNfLのベースラインからの変化を示す(MMRMモデルからのLS平均推定値。
【0349】
アミロイドベータ(Aβ)
Aβ
42/40比は、アミロイドプラークが脳実質に沈着する場合、血漿及びCSF中で時間の経過とともにゆっくりと減少することが知られている。アミロイドプラークを除去する治療はこの比率を正常化する可能性があり、これはより高いレベルに向かって増加すると解釈される。TRAILBLAZER-ALZから得られたデータは、ドナネマブ処置がこの比率を増加し、少なくとも1つの時点で大幅な改善を示すことを示している(
図12)。
図12は、Aβ42/40比の増加を示している。
【0350】
他の抗体とは異なり、ドナネマブは任意の可溶性種と相互作用しないことは注目に値し、そのため、この比率の上昇により、他の抗体で以前に証明された他の可溶性血液種との結合による交絡効果を伴うことなく、このバイオマーカーを正常化するアミロイドプラークの除去の能力に関する決定的な結果が得られる。
【0351】
グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)
GFAPバイオマーカーの正規化及び低減は、プラーク低下抗体にとって重要な最初のことである。GFAPは、反応性星状細胞で上方制御される中間の細胞骨格タンパク質であり、多くの疾患の病理学的特徴として認識されているが、ADでもよく説明されている。GFAPはアミロイドーシスと関連しており、最近の研究では血中のGFAPとアミロイド沈着が関連付けられている。
図13Aに示すデータは、血液中で測定されるGFAPの低減を通じて、アミロイドに対する星状細胞の病理学的反応を低減させる治療薬(ドナネマブ)の能力を初めて示している。
図13Aは、GFAPがドナネマブ処置により有意に低下することを示している。加えて、P-タウ217及びGFAPは、TRAILBLAZER-ALZにおけるアミロイドプラークの除去と同様の関係を示す。
図13Bは、76週でのプラークの除去とGFAPとの間の相関を示す。
【0352】
この病理の低減を記録する他の方式は、理論的には存在するが、C11デプレニルのようなPETトレーサーが含まれる可能性がある。星状細胞は、星状細胞終板結合を介した毛細血管の相互作用を通じて血液脳関門の維持に重要な役割を果たす。加えて、星状細胞は、シナプス間隙におけるグルタミン酸の除去又は取り込みを調節及び支援することにより、グルタミン酸毒性において重要な役割を果たす。このバイオマーカーの改善は、臨床上の利点と、アミロイド沈着の過程で発症するアミロイド誘発性病理の改善の前兆となる。このバイオマーカーの改善は、アルツハイマー病で障害される血液脳関門機能の改善、及び神経機能又は生存の改善を示し得る。アミロイドの低減及びGFAPレベルの正常化の利点は、これらの例に限定されない。他の例には、一次及び二次分岐の生存、瘢痕形成、免疫細胞動員、シナプスリモデリング、代謝調節、概日リズム、カルシウム動態、神経伝達物質調節、及び抗酸化緩衝作用による星状細胞の健康の改善が含まれ得る。加えて、これらのデータは、GFAPがAD処置の重要な処置標的である可能性があることを示唆し得る。
【0353】
実施例10:初期の症候性アルツハイマー病におけるドナネマブの安全性、忍容性、及び有効性の評価
多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、第3相臨床試験(NCT04437511、clinicaltrials.gov、本明細書では「TRAILBLAZER-ALZ2」、「AACI」、又は「AACI試験」と称される)は、脳タウ病変が存在する初期の症候性AD(すなわち、前駆AD及びADに起因する軽度の認知症)を有する患者におけるヒト化N3pG Aβ抗体(ドナネマブ)の安全性及び有効性を評価するために設計される。AACIは、既存のアミロイドプラークの除去が疾患の進行を遅らせることができるかどうかを、認知及び機能に関する臨床転帰、及び76週間の二重盲検観察にわたる疾患病理及び神経変性の画像バイオマーカー測定によって評価するであろう。
【0354】
AACIは、高いタウ病理を有する参加者を含めることにより、以前の第2相試験(すなわち、TRAILBLAZER-ALZ、AACGとしても知られる、Clinicaltrials.gov識別子NCT03367403))と比較して患者集団を拡大している。一次解析では、低い-中等度のタウ病理集団及び全体集団(低い-中等度タウ及び高いタウ病理)を検査し、ドナネマブの有効性と安全性を経時的に更に評価するために設計された長期延長期間が含まれる。
【0355】
この研究は、最大76週間の治療にわたって、既存のアミロイドプラークの除去が臨床的測定並びに疾患病理及び神経変性のバイオマーカーによって決定される疾患の進行を緩徐化することができるかどうかを、他のことも含めて評価するであろう。参加者の無作為化は、調査部位及びタウの病理(低い-中等度対高)によって階層化される。これは、2つの処置群による並行二重盲検処置研究である。この研究には最大49日間続き得るスクリーニング訪問が含まれており、参加者は二重盲検期間に無作為化されるために、タウ上昇と一致するF18-フロルタウシピルPETタウ画像検査結果が得られる必要がある。二重盲検試験の期間は76週間で、ドナネマブ対プラセボの安全性、忍容性、有効性を評価するため、二重盲検期間の終わり(76週目)にエンドポイント測定を伴う最大72週間の処置が含まれる。この試験では、コホート1及びコホート2に約1,800人の参加者が無作為化される。コホート1は、約300人以下の無作為化された参加者で構成され、事前に指定された日付より前に無作為化された参加者が含まれる。約1000人の低い-中等度タウ参加者がコホート2のドナネマブに無作為化される。コホート2では参加者の約3分の1が高いタウ病変を有するとの仮定の下、全体で約1500人の参加者(低タウ、中等度タウ、高いタウの病態)が研究で無作為化され、約1000人の低い-中等度タウの病態を達成すると予想される。
【0356】
参加基準を満たす参加者は、1:1の比率で以下の処置群のうちのいずれかに無作為化される。ドナネマブ、第1の3回の用量は700mgをQ4Wで静脈内(IV)投与、続いて1400mgをQ4WでIV投与、又はプラセボ。スクリーニング及び処置後のフォローアップ期間を含む各参加者の研究参加の最大合計期間は最大205週間であり、これには、最大7週間のスクリーニング期間、訪問2での無作為化、最大72週間の二重盲検処置期間(訪問2~21)、V21でのPETスキャンによるアミロイドプラーク低減の評価を伴う、訪問21(V21、76週目、参加者の最後のドナネマブ投与後4週間)で実施される二重盲検期間の最終エンドポイント測定及び安全性評価、78週間の延長の可能性あり(ドナネマブによる処置期間の最大期間は150週間)、ドナネマブの最後の投与から12週間後に始まる免疫原性及び安全性のフォローアップ訪問、及び最大44週間のフォローアップ期間が含まれる。研究の延長部分(訪問22~41)では、二重盲検期間中に無作為にドナネマブに割り付けられ、V21までに用量低減基準を満たさなかった参加者はドナネマブの投与を継続する。二重盲検期間中に700mgを維持した参加者には、V25以降に1400mgに増量する機会が与えられる。二重盲検期間中にドナネマブに無作為化され、V21までに用量低減基準を満たした参加者は、V22で開始するプラセボを受けるように割り当てられる。二重盲検期間中にプラセボに無作為化された参加者は、V22で開始するドナネマブを受けるように割り当てられ、二重盲検期間中は参加者と同じ用量漸増に従うことになる。デザイン上、全ての参加者には研究のある時点でドナネマブを受ける機会が与えられる場合がある。ただし、延長期間の割り当ては二重盲検である。
【0357】
訪問8(24週目)、訪問15(52週目)、訪問21(76週目)、訪問28(102週目)、又は訪問35(130週目)のフロルベタピルF18PETスキャンで測定したアミロイドプラークの低減が用量を満たす参加者低減基準では、研究の残りの期間においてドナネマブのIVプラセボへの二重盲検用量低減が行われる。
【0358】
図14は、臨床プロトコル用の研究デザインを示す。
図14の略語:IP=治験薬、IV=静脈内、PET=陽電子放出断層撮影法、Q4W=4週間ごと、V=訪問。
図14の「a」:投薬量の決定は、24、52、76、102及び130週目の[F18]-フロルベタピルPETスキャンによって決定されたアミロイド負荷の低減に基づいている。
図14の「b」:最大78週間の延長期間におけるドナネマブ投薬スケジュール(ドナネマブによる処置期間の最大期間は150週間である)。
図14の「c」:フォローアップ期間は治験製品の最終投与の12週間後に始まり、訪問801~804までが上記のようにスケジュールされる。参加者が全てのフォローアップ訪問を完了する必要がない場合は、調査員に通知される(V801~804)。注:V601は任意選択である。V601を完了していない参加者の場合、手順はV1に含まれる。無作為化は、V2で生じる。両方のコホートが同じ研究デザインに従っているため、
図14ではコホート1と2を区別していない。
【0359】
選択基準:男性及び女性の参加者は、以下の基準が全て当てはまる場合にのみ研究に参加する資格がある:
1.インフォームドコンセントに署名した時点で、60~85歳の年齢。
2.6か月以上にわたって参加者又は情報提供者によって報告された記憶機能の段階的かつ進行性の変化。
3.スクリーニング又は訪問1時のMMSEスコアが20~28(両端を含む)。
4.[F18]-フロルタウシピルスキャン(中央読み取り)基準を満たす。
5.[F18]-フロルベタピルスキャン(中央読み取り)基準を満たす。
6.参加について書面によるインフォームドコンセントを提供し、参加者と頻繁に連絡をとり(週に少なくとも10時間と定義される)、研究訪問に参加者に同行するか、又は指定された時間に電話で対応してくれる研究パートナーを用意する。第2の研究パートナーがバックアップとして機能する場合がある。研究パートナーは、同意書に署名するために参加者に同行する必要がある。C-SSRS/自傷行為補足フォームが投与される日には、研究パートナー1名が同席するか、又は電話で対応できることが求められる。研究パートナーは、認知及び機能スケールが実施される日には必ず出席しなければならない。参加者に第2の研究パートナーがいる場合は、1人の研究パートナーがCDR及びアルツハイマー病共同研究-日常生活インベントリ活動(ADCS-ADL)の評価を主に担当することが好ましい。以下の評価及びスケールを必要とする訪問では、以下の評価のための訪問に参加者が同行しない場合は、電話で対応できる研究パートナーが必要である:AE及び併用薬、C-SSRS/自傷行為補足フォームの関連部分、CDR及びADCS-ADL。研究パートナーが研究参加を辞退しなければならない場合、研究者の裁量により代替が許可される場合がある。後任者は、参加者に同伴する最初の訪問時に、別のインフォームドコンセントに署名する必要がある。
7.スクリーニング時の研究者の意見によると、神経心理学的検査に十分な読み書き能力、視力、聴力を有している。
8.信頼でき、研究期間中は積極的に対応し、研究手順に従う意欲がある。
9.安定した併用の症候性アルツハイマー病治療薬及び認知に影響を与える可能性のある他の薬剤を、無作為化前に少なくとも約30日間服用している(局所薬剤、必要に応じて[prn]薬剤、又は中止された薬剤には適用されない)。
10.インフォームドコンセントフォーム(ICF)及びプロトコルに記載されている要件及び制限への準拠を含む、インフォームドコンセントを提供することができる。
【0360】
除外基準:以下の基準のうちのいずれかが該当する場合、参加者は研究から除外される:他の認知症、重篤な脳の感染症、パーキンソン病、多発性脳震盪、又はてんかん又は再発性発作(小児熱性けいれんを除く)を含むがこれらに限定されない、アルツハイマー病以外の中枢神経系に影響を与える重大な神経疾患、認知又は研究を完了する能力に影響を与える可能性のある疾患;心血管疾患、肝臓疾患、腎臓疾患、消化器疾患、呼吸器疾患、内分泌疾患、神経疾患(アルツハイマー病以外)、精神疾患、免疫疾患、又は血液疾患、及び治験責任医師の意見ではこの研究の分析を妨げる可能性がある他の疾患を含む、現在の重篤又は不安定な疾患;又は余命が24か月未満である;心血管疾患、肝臓疾患、腎臓疾患、消化器疾患、呼吸器疾患、内分泌疾患、神経疾患(アルツハイマー病以外)、精神疾患、免疫疾患、又は血液疾患、及び治験責任医師の意見ではこの研究の分析を妨げる可能性がある他の疾患を含む、現在の重篤又は不安定な疾患;又は余命が24か月未満である;治験責任医師の判断で、精神障害又は症状が薬物効果の解釈を混乱させるか、認知的評価に影響を与えるか、又は研究を完了する患者の能力に影響を与える可能性があると判断した場合、AD以外の現在主な精神医学的診断を受けている参加者;統合失調症又は他の慢性精神病の病歴のある参加者は除外される;治験責任医師の判断では、積極的に自殺願望があるため、自殺の重大な危険があるとみなされる;スクリーニング訪問前2年以内のアルコール又は薬物使用障害(喫煙障害を除く)の病歴;臨床的に重大な複数又は重度の薬物アレルギー、重大なアトピー、又は重度の治療後過敏症反応(多形性紅斑、線状免疫グロブリンA皮膚病、中毒性表皮壊死融解症、及び/又は剥離性皮膚炎を含むがこれらに限定されない)の病歴;スクリーニング時に、治験責任医師によって決定された、患者に有害となる可能性があるか、研究に支障をきたす可能性があるか、又は認知症の他の病因の証拠を示す、身体検査又は神経学的検査、バイタルサイン、ECG、又は臨床検査結果において任意の臨床的に重要な異常を有する;進行性認知症の別の潜在的な病因を示唆する重大な異常の証拠、又は研究に安全に参加する患者の能力に影響を与える可能性のある臨床的に重要な所見を示すスクリーニングMRI;閉所恐怖症又は禁忌の金属(強磁性)インプラント/心臓ペースメーカーの存在など、MRIに対する禁忌がある;ARIA-E、4つ超の脳微小出血、1つ超の表在性鉄沈着症、任意の巨視的出血又は重度の白質疾患の存在を示す中央読み取りMRIがある;フロルベタピルF18又はフロルタウシピルF18に対する感受性がある、又はPETに禁忌がある;静脈へのアクセスが不十分である;現在又は計画されている電離放射線への曝露があり、研究用PETリガンドの計画的投与と組み合わせると、地域の推奨曝露限度を超える累積曝露が生じる可能性がある;クリーニング時のアラニンアミノトランスアミナーゼ(ALT)≧2.5×実施検査室の正常値上限(ULN)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≧2.5×ULN、総ビリルビンレベル(TBL)≧1.5×ULN、又はアルカリホスファターゼ(ALP)≧2×ULN;以前、受動的抗アミロイド免疫療法での治療を受けたことがある;他の研究でAβに対する能動免疫を受けている;現在、この研究と科学的又は医学的に適合しないと判断された治験薬又は任意の他のタイプの医学研究を含む他の介入臨床試験に参加している;又はドナネマブ、関連化合物、又は製剤の任意の成分に対する既知のアレルギーがある。注:研究期間中は、ガンテネルマブ、レカネマブ、アデュカヌマブなどのドナネマブ以外の受動抗アミロイド免疫療法の併用は許可されていない。
【0361】
用量改変:治験製品(IP)の用量改変は、アミロイドプラークの低減が用量低減基準を満たす参加者又は以下に記載の条件を満たす参加者を除き、この研究では許可されていない。研究の目標は、参加者が標的用量まで漸増されることである。漸増期間中(つまり、二重盲検患者又は延長期間の治験薬の4回目の注入前)にARIAを発症した参加者について、治験責任医師は次のことを決定する場合がある。
●投薬を一時的に中止し、参加者が第1の3回の用量を超えて一時的に又は残りの処置期間にわたってのいずれかで中断前の用量を維持すべきかを決定する、
●第1の3回の用量を超えて一時的に、又は残りの処置期間にわたってのいずれかで同じ用量を継続する、又は
●上記の投薬スケジュールを継続する。
【0362】
ARIA-Eによる研究の中止/ドナネマブ処置の一時中止:上記の実施例2と同じ。
【0363】
一次エンドポイント:この研究の主な目的は、ドナネマブのIV注入が、ベースライン時の低い-中等度のタウ病理を有する参加者の集団及び集団全体において、プラセボと比較して、iADRSスコアで測定されるADの認知及び/又は機能の低下を緩徐化するという仮説を試験することである。一次有効性分析は、ベイズ疾患進行モデルを利用し、ベースライン時の低い-中等度タウ病理集及びコホート2の集団全体に適合させる。一次有効性分析は、規制当局とのやり取り及び内部意思決定に基づいて、代替統計モデルを使用するように改変される場合がある。iADRSのベイズDPMは、プラセボに対してドナネマブの処置による疾患進行の遅延の可能性を評価する。DPMの主な目的は、疾患進行率(DPR)として知られる量を推定することであり、これは、プラセボ処置を受けた参加者に対するドナネマブ処置を受けた参加者の疾患進行の割合を測定する。DPMモデルの重要な前提は、ドナネマブの処置効果が研究期間全体にわたってプラセボに比例すると仮定していることである。比例性の仮定は、事象発生までの時間データの比例ハザードモデリングで行われるものと似ている。モデルには全てのパラメータに拡散事前分布が含まれ、したがって、事前分布は事後分布にほとんど影響を与えない。以前の研究からのドナネマブの効果に関する情報や知識は以前の配布には組み込まれず、推論は研究TRAILBLAZER-ALZ2のみに基づいている。
【0364】
DPMモデルは次のとおりである。
【数1】
式中、Y
ijは、参加者iの訪問jにおける臨床転帰を示し、ベースライン(処置前)における参加者の臨床転帰スコアはY
i0である。値γ
i(i=1、2、…k)は、対象固有の変量効果を表す。パラメータT
iは、参加者iの処置群を示し、参加者がドナネマブに無作為化された場合、T
iは値1を有し、参加者がプラセボに無作為化された場合、値0を有する。パラメータα
vは、訪問v-1~vまでのプラセボの平均臨床転帰スコアの変化であり、ε
ijは誤差項である。プラセボに対するドナネマブのDPRは、パラメータe
θによって提供される。1未満のDPR値は、ドナネマブ群がプラセボに対して疾患の進行を遅らせていることを示し、1より大きいDPR値は、ドナネマブ群がプラセボに対して疾患の進行を悪化させていることを示す。ベースラインでのAChEI及び/又はメマンチンの併用の共変量(はい/いいえ)、ベースラインでの年齢、及び潜在的に他の共変量がモデルに含まれる。
【0365】
MMRM分析はiADRSについても評価される。処置期間中のベースライン後の予定された各訪問時のiADRSのベースラインスコアからの変化が従属変数になる。固定効果のモデルには、以下の用語が含まれる:ベースラインスコア、プールされた治験責任医師、処置、訪問、訪問ごとの処置相互作用、訪問ごとのベースライン相互作用、ベースラインでのAChEI及び/又はメマンチンの併用(はい/いいえ)、ベースライン時の年齢。訪問はカテゴリ変数とみなされる。帰無仮説は、最後の訪問時のドナネマブ群とプラセボとの間のコントラストが0に等しいというものである。非構造化共分散行列は、対象内の分散共分散誤差をモデル化するために使用される。構造化されていない共分散構造行列の結果が収束しない場合は、次の試験が順番に使用される:(1)不均質なテプリッツ共分散構造、(2)不均質な自己回帰共分散構造、(3)不均質化合物の対称共分散構造、(4)複合対称共分散構造。
【0366】
Kenward-Roger近似を使用して、分母の自由度を推定する。処置比較の主な時点は76週目となる。最小二乗平均進行における処置群のコントラスト、及びその関連するp値及び95%CIは、上記で指定したMMRMモデルを使用して、ドナネマブとプラセボの処置比較のために計算される。上記のDPM及びMMRMモデルに加えて、研究の二重盲検期間にわたる各処置群の平均は、二次混合効果モデルと自然な三次スプラインを使用してモデル化され得る(Chambers及びHastie(編)、「StatisticalModels」)inS」チャップマン&ホール/CRC、第1版(1992年)。二次モデルはMMRMと多くの同様の機能を備えているが、各処置アームの長手方向の軌道が計画された訪問時間又は観察された訪問時間にわたって平滑化され、線形又は二次形状が可能になるように、長手方向の平均値の推定値に追加の仮定が行われる。自然三次スプライン(NCS)モデルは、データに一種の平滑化関数を提供し、各処置群の様々な形状(直線、二次など)の下で縦方向の軌跡を適切に推定され得る。モデルの自由度を事前に指定して、データの平滑化のレベルを確立し得る。「ノット」の数と位置は、データがある形状から別の形状に移行する様々な期間を解析して、適切な適合を提供するために利用される。処置比較の主な時点は76週目となる。二次モデル又はNCSモデルの分散共分散構造の仮定はMMRMモデルと同じであり、モデルで使用される共変量は変更されないままである。
【0367】
iADRSを使用したDPM、MMRM、二次解析、及びNCS解析は、低い-中等度タウ集団、全体集団、及び高いタウ集団で評価される。
【0368】
二次エンドポイント:iADRSの一次エンドポイントと同様に、各二次有効性転帰は、低い-中等度タウ集団、全体集団、及び高いタウ集団に対してDPM、MMRM、二次解析、及びNCS分析を使用して評価される。これらの二次有効性転帰には、ADAS-Cog13、ADCS-iADL、CDR-SB、及びMMSEが含まれる。アミロイドプラークのベースラインからの長期的な変化([F18]-フロルベタピルPETスキャンで測定)は、モデルに次の用語を含むMMRMを使用して分析される:ベースラインバイオマーカー値、処置、訪問、訪問ごとの処置相互作用、及び訪問ごとのベースライン相互作用。タウ沈着のベースラインからエンドポイントまでの変化(フロルタウシピルPETスキャンで測定)は、ベースライン値と処置に関する共分散分析(ANCOVA)モデルを使用して分析される。vMRIパラメータにおける萎縮は、モデルに次の用語を含むMMRMを使用して分析される:処置、訪問、訪問ごとの処置相互作用、ベースラインvMRI、頭蓋内容積、及びベースライン時の年齢。
【0369】
三次/探索的エンドポイント:iADRS、CDR-SB、ADCS-iADL、ADAS-Cog13、及びMMSEによって測定される臨床進行に対するドナネマブによる遅延開始疾患改善の仮説を評価するために有効性分析が実施される。統計的手法(Liu-Seifert et al.,“A novel approach to delayed-start analyses for demonstrating disease-modifying effects in Alzheimer’s Disease.”PLoS ONE,10(3),(2015)を参照されたい)を使用して、各臨床エンドポイントを分析し、早期開始参加者(AACI開始時にドナネマブに無作為化)及び遅延開始参加者(延長期間で初めてドナネマブを受ける)の間で処置効果を比較する。分析は、特に指定がない限り、処置意図(ITT)の原則に従う。二重盲検期間中に用量減量基準を満たさなかった参加者について、脳アミロイドプラーク沈着の変化([F18]-フロルベタピルPETで測定)を154週目まで評価する。アミロイドプラークの再蓄積を評価するために、二重盲検期間及び延長期間中に用量減量基準を満たした参加者において、脳アミロイドプラーク沈着([F18]-フロルベタピルPETによって測定)も評価される。
【0370】
安全性エンドポイント:この研究の安全性エンドポイントは次のとおりである:
●標準的な安全性評価:自然発生的に報告された有害事象(AE)、臨床検査、バイタルサイン及び体重測定、12誘導心電図(ECG)、身体検査及び神経学的検査。
●MRI(アミロイド関連の画像異常[ARIA]及び緊急の放射線学的所見)。
●コロンビア自殺重症度評定スケール(C-SSRS):処置中に発生した自殺関連の思考や行動は、C-SSRSスコアリング及びデータ分析ガイド(コロンビア自殺重症度評定スケール(C-SSRS)と一致するC-SSRSへの反応に基づいて要約される。コロンビア灯台プロジェクトのウェブサイト、cssrs.columbia.edu.2019)、
●肝臓の安全性モニタリング:ALT、AST、ALP、TBL、直接ビリルビン、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、クレアチンキナーゼ(CK)などの臨床検査を48~72時間以内に繰り返し、異常を確認する必要がある。特定の重大な上昇が発生した場合は、肝臓損傷の考えられる原因を探すために包括的な評価を実行する必要がある。
【0371】
免疫原性の評価:対象試料は4段階のアプローチを使用して分析される。全ての試料は、ADAが存在する可能性についてTier1(スクリーニング)で評価される。スクリーニングカットポイント以上のシグナルを生成することが判明した試料は、ドナネマブに対する特異性を確認するためにTier2で評価される(確認)。抗ドナネマブ抗体に特異的であることが確認された試料は全て「検出」として報告される。スクリーニングカットポイントを下回る全ての試料(Tier1)、又は確認されなかった試料(Tier2)は「不検出」として報告される。Tier2で「検出された」いずれの試料も、Tier3(力価評価)及びTier4(中和抗体)で評価される。抗薬物抗体力価は、Tier3力価評価から報告される。Tier4アッセイカットポイントを超える試料はいずれも、「中和抗体が検出された」として報告され、Tier4のアッセイカットポイントを下回る試料は、「中和抗体が検出されない」として報告される。既存の(ベースライン)ADA、ベースライン後の任意の時点でのADA、及びドナネマブに対するTEADAを有する対象の頻度及び割合が表にまとめられる。ベースラインでADAが検出されない場合、TEADAは、アッセイに必要な最小希釈倍率よりも2倍(1希釈)大きい力価を有するADAと定義される。ベースラインでADAが検出された試料の場合、TEADAはベースラインと比較して力価が4倍(2希釈)増加した試料として定義される。TEADA対象の最大力価の分布について説明する。中和抗体の頻度も表にまとめることもできる。ドナネマブに対する抗体の存在と、PK、PD、安全性、及び/又は有効性の評価との間の関係が評価され得る。
【0372】
薬物動態学/薬力学分析:非線形混合効果モデリング又は他の適切なソフトウェアを使用したドナネマブPKデータのコンパートメントモデリングを検討し、除去及び分布の中心容積の集団推定値を報告することができる。選択したモデルによっては、他のPKパラメータも報告される場合がある。PKパラメータに対する用量レベル又は人口統計的要因の影響についての探索的なグラフ分析を実施することもできる。必要に応じて、ドナネマブの他の研究からのデータがこの分析に使用される場合がある。血漿ドナネマブ濃度とSUVr、認知エンドポイント、ARIA発生率、又はPD活性の他のマーカーとの間のPK/PD関係をグラフで調べることができる。ドナネマブに対する抗体の存在と、PK、PD、安全性、及び/又は有効性との間の関係は、グラフで評価することができる。このモデリングを容易にし、この研究からの曝露推定値が試験終了時に利用できることを確実にするために、全ての参加者が訪問18(64週間の処置)を完了した後にPKデータがロックされ、PKモデリングを試験の終了前に始めることを可能にすることが意図されている。64週間のPKロックには安全性又は有効性のデータは含まれない。このロックの前に、早期PKロック計画が作成され、実施され、これにより、研究の完全性を確保するために講じられる安全策が指定される。PK分析の結果は別のレポートで提供される予定である。グラフ分析の結果に基づいて追加のモデリングを実行してもよい。
【0373】
統計分析:AACI試験の主な有効性目的は、iADRSで測定した76週間にわたる低い-中等度タウ病理の参加者の集団又は集団全体において、ドナネマブがプラセボと比較してアルツハイマー病の認知機能低下及び/又は機能低下を遅らせることを実証することである。この研究には、AACG(TRAILBLAZER-ALZとも称される)では研究されていない集団である高いタウの参加者が含まれている。全体の集団には、ベースラインで低い-中等度タウ、又は高いタウの病理を有する、登録された初期の症候性AD参加者全員が含まれる。
【0374】
一次有効性解析は、一次転帰iADRSに対して実施されるベイズ疾患進行モデル(DPM)である。一次有効性解析は、ベースライン時の低い-中等度タウ集団及び全体集団の2つの集団に対して行われる。重要成功要因(CSF)は、母集団ごとに次の形式で確立される。
●確率(低い-中等度タウ集団の場合、プラセボに対してドナネマブにより疾患進行が少なくともX%遅くなる)>確率閾値A
●確率(集団全体のプラセボに対して、ドナネマブによる疾患進行の少なくともX%緩徐化)>確率閾値B
【0375】
ベイズDPMは、各母集団について少なくともX%が減速する事後確率を計算するために利用される。低い-中等度タウ集団の事後確率が事前に指定された確率閾値Aを超える場合、又は集団全体の事後確率が事前に指定された確率閾値Bを超える場合、試験は一次エンドポイントを満たしたとみなされる。CSFの1つが満たされ、もう1つが満たされていない場合、満たされなかったCSFは、頻度主義の枠組みでアルファをリサイクルするのと同様の様式で、代替の事前に指定された確率閾値で再試験される(Millenet.al.,“Chain Procedures:a class of flexible closed testing procedures with clinical trial applications.”Stat Biopharm.Res.20113(1):14-30)。各集団の正確なCSF、及び一方のCSFが満たされ、もう一方のCSFが満たされない場合の潜在的なCSFは、試験のコホート2の盲検化を解除する前に、StudySAPで事前に指定される。CSFはシミュレーションによって決定され、様々なヌルシナリオ(例えば、異なるプラセボ低下率、変動性の仮定など)の下で偽陽性率(ヌル条件下でCSFの少なくとも1つを満たす確率)が2.5%未満であることが保証される。
【0376】
同様の様式で定義された主要な二次仮説は、ドナネマブが以下の点でプラセボよりも優れているというものである:
●MMSE、ADAS-Cog13、CDR-SB、及びADCS-iADLによって測定された76週目までの初期症候性ADの参加者の臨床的進行、
●フロルベタピルF18PETスキャンで測定された76週目の脳アミロイド沈着、
●フロルタウシピルF18PETスキャンにより測定された76週目の脳タウ沈着、
●vMRIで測定した76週目の脳領域容積。
【0377】
最終要約:AACI研究では、高いタウ病変を有する参加者を含めることにより、以前の第2相研究と比較して参加者集団を拡大した。一次解析では、低い-中等度タウの病理集団と集団全体を検査し、長期にわたるドナネマブの有効性と安全性を更に評価するために設計された長期延長期間を追加する。AACI研究の結果は、統合されたアルツハイマー病評定スケールによって測定されるように、疾患の進行を大幅に遅らせるとともに、アミロイドプラークレベルの深くかつ急速な低下及びそれに付随するタウの広がりの減少をもたらす可能性がある。
【0378】
本開示の例示的な実施形態
以下に、本開示全体にわたって記載される実施形態を提供する。
【0379】
1.ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、
i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、
ii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、
抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法。
【0380】
2.ヒト対象が、第2の用量を投与する前に、第1の用量を1回、2回、又は3回投与される、1の実施形態。
【0381】
3.ヒト対象が、約700mgの第1の用量を投与される、1又は2の実施形態。
【0382】
4.ヒト対象が、1回以上の約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、又は約1400mgの第2の用量を投与される、1~3のうちのいずれか1つの実施形態。
【0383】
5.ヒト対象が、1回以上の約1400mgの第2の用量を投与される、1~4のうちのいずれか1つの実施形態。
【0384】
6.アミロイドの正常レベルが達成されるか、又は対象の脳からのAβの低減/除去が停止するまで、最大で72週間の期間、抗N3pGlu Aβ抗体が、ヒト対象に投与される、1~5のうちのいずれか1つの実施形態。
【0385】
7.患者におけるアミロイドプラークレベルが約25センチロイド以下になるまで、抗N3pGlu Aβ抗体が、ヒト対象に投与される、1~6のうちのいずれか1つの実施形態。
【0386】
8.ヒト対象におけるアミロイドプラークレベルが、2回の連続するPETイメージングスキャンで約25センチロイド以下となるか(任意選択で、2回の連続するPETイメージングスキャンが少なくとも6か月の間隔がある)、又は1回のPETイメージングスキャンで11センチロイド以下となるまで、抗N3pGlu Aβ抗体が、ヒト対象に投与される、1~6のうちのいずれか1つの実施形態。
【0387】
9.ヒト対象が、4週間に1回、3回の700mgの第1の用量を投与され、次いで、最大で72週間の期間、4週間に1回、1400mgの第2の用量を投与される、1~6のうちのいずれか1つの実施形態。
【0388】
10.ヒト対象が、4週間に1回、3回の700mgの第1の用量を投与され、次いで、対象におけるアミロイドプラークレベルが約25センチロイド以下になるまで、4週間に1回、1400mgの第2の用量を投与される、1~6のうちのいずれか1つの実施形態。
【0389】
11.ヒト対象が、4週間に1回、3回の700mgの第1の用量を投与され、次いで、対象におけるアミロイドプラークレベルが、2回の連続するPETイメージングスキャンで約25センチロイド以下となるか(任意選択で、2回の連続するPETイメージングスキャンが少なくとも6か月の間隔がある)、又は1回のPETイメージングスキャンで11センチロイド以下となるまで、4週間に1回、1400mgの第2の用量を投与される、1~6のうちのいずれか1つの実施形態。
【0390】
12.ヒト対象が、疾患を治療又は予防するのに十分な期間、第2の用量を投与される、1~11のうちのいずれか1つの実施形態。
【0391】
13.疾患の治療又は予防が、i)ヒト対象の脳におけるAβプラークの低減、及び/又はii)ヒト対象における認知若しくは機能の低下を緩徐化する、1~12のうちのいずれか1つの実施形態。
【0392】
14.ヒト対象の脳におけるAβプラークの低減が、アミロイドPET脳イメージング又はAβのバイオマーカーを検出する診断によって決定される、13の実施形態。
【0393】
15.ヒト対象の脳におけるAβプラークが約20~100%低減するまで、第2の用量がヒト対象に投与される、13又は14の実施形態。
【0394】
16.ヒト対象の脳におけるAβプラークが、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約75%、又は約100%低減される、15の実施形態。
【0395】
17.ヒト対象の脳におけるAβプラークが、i)約平均約25センチロイド~約100センチロイド、ii)約平均約50センチロイド~約100センチロイド、iii)約100センチロイド、又はiv)約84センチロイド低減されるまで、第2の用量がヒト対象に投与される、1~14のうちのいずれか1つの実施形態。
【0396】
18.ヒト対象の脳におけるAβ沈着によって特徴付けられる疾患が、前臨床アルツハイマー病(AD)、臨床AD、前駆AD、軽度AD、中等度AD、重度AD、ダウン症候群、臨床脳アミロイド血管障害、又は前臨床脳アミロイド血管障害から選択される、1~17のうちのいずれか1つの実施形態。
【0397】
19.ヒト対象が、初期の症候性AD患者である、1~18のうちのいずれか1つの実施形態。
【0398】
20.ヒト対象が、前駆AD及びADに起因する軽度の認知症を有する、19の実施形態。
【0399】
21.ヒト対象が、i)非常に低いから中等度のタウ負荷を有するか、若しくは非常に低いから中等度のタウ負荷を有すると決定されているか、ii)低いから中等度のタウ負荷を有するか、若しくは低いから中等度のタウ負荷を有すると決定されているか、iii)非常に低いから中等度のタウ負荷を有するか、若しくは非常に低いから中等度のタウ負荷を有すると決定され、かつAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有するか、iv)低いから中等度のタウ負荷を有するか、若しくは低いから中等度のタウ負荷を有すると決定され、かつAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有するか、又はv)APOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有する、1~20のうちのいずれか1つの実施形態。
【0400】
22.ヒト対象が、i)PET脳イメージングによって測定されたタウ負荷が≦1.46SUVrである場合、非常に低いから中等度のタウ負荷を有するか、又はii)PET脳イメージングによって測定されたタウ負荷が1.10SUVr~1.46SUVrである場合、低いから中等度のタウ負荷を有する、21の実施形態。
【0401】
23.ヒト対象が、i)高いタウ負荷を有しないか、若しくは高いタウ負荷を有しないと決定されているか、又はii)APOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を担持し、かつ高いタウ負荷を有しないか、若しくは高いタウ負荷を有しないと決定されている、1~20のうちのいずれか1つの実施形態。
【0402】
24.PET脳イメージングによって測定されたタウ負荷が1.46SUVrを上回る場合、ヒト対象が、高いタウ負荷を有する、23の実施形態。
【0403】
25.ヒト対象のタウ負荷が、PET脳イメージング又はタウのバイオマーカーを検出する診断を使用して決定される、21又は23の実施形態。
【0404】
26.抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖(LC)及び重鎖(HC)を含み、LCが、配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCが、配列番号4のアミノ酸配列を含む、1~25のうちのいずれか1つの実施形態。
【0405】
27.抗N3pGlu Aβ抗体が、2つの軽鎖及び2つの重鎖を含み、LCが、配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCが、配列番号4のアミノ酸配列を含む、1~26のうちのいずれか1つの実施形態。
【0406】
28.ヒト対象の脳におけるAβプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防における使用のための抗N3pGlu Aβ抗体であって、
抗N3pGlu Aβ抗体が、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の投与用(各第1の用量が、約4週間に1回投与される)、続く、1回以上の第1の用量の投与の4週間後の1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の投与用(各第2の用量が、約4週間に1回投与される)であり、
抗N3pGlu Aβ抗体が、LCVR及びHCVRを含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、抗N3pGlu Aβ抗体。
【0407】
29.ヒト対象の脳におけるAβプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防における使用のための抗N3pGlu Aβ抗体であって、
1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗体が、投与され、各第1の用量が、約4週間に1回投与され、続いて、1回以上の第1の用量の投与の4週間後、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量が投与され、各第2の用量が、約4週間に1回投与され、
抗N3pGlu Aβ抗体が、LCVR及びHCVRを含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、投与することと、を含む、抗N3pGlu Aβ抗体。
【0408】
30.ヒト対象が、第2の用量を投与する前に、第1の用量を1回、2回、又は3回投与される、28又は29の実施形態。
【0409】
31.ヒト対象が、約700mgの第1の用量を投与される、28~30のうちのいずれか1つの実施形態。
【0410】
32.ヒト対象が、1回以上の約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、又は約1400mgの第2の用量を投与される、28~31のうちのいずれか1つの実施形態。
【0411】
33.ヒト対象が、1回以上の約1400mgの第2の用量を投与される、28~32のうちのいずれか1つの実施形態。
【0412】
34.最大で72週間の期間、又はアミロイドの正常レベルが達成されるまで、抗N3pGlu Aβ抗体が、ヒト対象に投与される、28~33のうちのいずれか1つの実施形態。
【0413】
35.患者におけるアミロイドプラークレベルが約25センチロイド以下になるまで、抗N3pGlu Aβ抗体が、ヒト対象に投与される、28~34のうちのいずれか1つの実施形態。
【0414】
36.ヒト対象におけるアミロイドプラークレベルが、2回の連続するPETイメージングスキャンで約25センチロイド以下となるか(任意選択で、2回の連続するPETイメージングスキャンが少なくとも6か月の間隔がある)、又は1回のPETイメージングスキャンで11センチロイド以下となるまで、抗N3pGlu Aβ抗体が、ヒト対象に投与される、28~34のうちのいずれか1つの実施形態。
【0415】
37.ヒト対象が、4週間に1回、3回の700mgの第1の用量を投与され、次いで、最大で72週間の期間、4週間に1回、1400mgの第2の用量を投与される、28~34のうちのいずれか1つの実施形態。
【0416】
38.ヒト対象が、4週間に1回、3回の700mgの第1の用量を投与され、次いで、患者におけるアミロイドプラークレベルが約25センチロイド以下になるまで、4週間に1回、1400mgの第2の用量を投与される、28~34のうちのいずれか1つの実施形態。
【0417】
39.ヒト対象が、4週間に1回、3回の700mgの第1の用量を投与され、次いで、対象におけるアミロイドプラークレベルが、2回の連続するPETイメージングスキャンで約25センチロイド以下となるか(任意選択で、2回の連続するPETイメージングスキャンが少なくとも6か月の間隔がある)、又は1回のPETイメージングスキャンで11センチロイド以下となるまで、4週間に1回、1400mgの第2の用量を投与される、28~34のうちのいずれか1つの実施形態。
【0418】
40.ヒト対象が、疾患を治療又は予防するのに十分な期間、第2の用量を投与される、28~39のうちのいずれか1つの実施形態。
【0419】
41.疾患の治療又は予防が、i)ヒト対象の脳におけるAβプラークの低減、及び/又はii)ヒト対象における認知若しくは機能の低下を緩徐化する、28~40のうちのいずれか1つの実施形態。
【0420】
42.ヒト対象の脳におけるAβプラークの低減が、アミロイドPET脳イメージング又はAβのバイオマーカーを検出する診断によって決定される、41の実施形態。
【0421】
43.ヒト対象の脳におけるAβプラークが約20~100%低減するまで、第2の用量がヒト対象に投与される、41又は42の実施形態。
【0422】
44.ヒト対象の脳におけるAβプラークが、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約75%、又は約100%低減される、43の実施形態。
【0423】
45.患者の脳におけるAβプラークが約100%低減する、43又は44の実施形態。
【0424】
46.ヒト対象の脳におけるAβプラークが、i)約平均約25センチロイド~約100センチロイド、ii)約平均約50センチロイド~約100センチロイド、iii)約100センチロイド、又はiv)約84センチロイド低減されるまで、第2の用量がヒト対象に投与される、28~42のうちのいずれか1つの実施形態。
【0425】
47.ヒト対象の脳におけるAβ沈着によって特徴付けられる疾患が、前臨床アルツハイマー病、臨床AD、前駆AD、軽度AD、中等度AD、重度AD、ダウン症候群、臨床脳アミロイド血管障害、又は前臨床脳アミロイド血管障害から選択される、28~46のうちのいずれか1つの実施形態。
【0426】
48.ヒト対象が、初期の症候性AD患者であるか、又はヒト対象が、前駆AD及びADに起因する軽度の認知症を有する、28~47のうちのいずれか1つの実施形態。
【0427】
49.ヒト対象が、i)非常に低いから中等度のタウ負荷を有するか、若しくは非常に低いから中等度のタウ負荷を有すると決定されているか、ii)低いから中等度のタウ負荷を有するか、若しくは低いから中等度のタウ負荷を有すると決定されているか、iii)非常に低いから中等度のタウ負荷を有するか、若しくは非常に低いから中等度のタウ負荷を有すると決定され、かつAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有するか、iv)低いから中等度のタウ負荷を有するか、若しくは低いから中等度のタウ負荷を有すると決定され、かつAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有するか、又はv)APOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有する、28~48のうちのいずれか1つの実施形態。
【0428】
50.ヒト対象が、i)PET脳イメージングによって測定されたタウ負荷が≦1.46SUVrである場合、非常に低いから中等度のタウ負荷を有するか、又はii)PET脳イメージングによって測定されたタウ負荷が1.10SUVr~1.46SUVrである場合、低いから中等度のタウ負荷を有する、49の実施形態。
【0429】
51.ヒト対象が、i)高いタウ負荷を有しないか、若しくは高いタウ負荷を有しないと決定されているか、又はii)APOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を担持し、かつ高いタウ負荷を有しないか、若しくは高いタウ負荷を有しないと決定されている、28~48のうちのいずれか1つの実施形態。
【0430】
52.PET脳イメージングによって測定されたタウ負荷が1.46SUVrを上回る場合、ヒト対象が、高いタウ負荷を有する、51の実施形態。
【0431】
53.ヒト対象のタウ負荷が、PET脳イメージング又はタウのバイオマーカーを検出する診断を使用して決定される、49又は51の実施形態。
【0432】
54.抗N3pGlu Aβ抗体が、LC及びHC含み、LCが、配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCが、配列番号4のアミノ酸配列を含む、28~53のうちのいずれか1つの実施形態。
【0433】
55.抗N3pGlu Aβ抗体が、2つの軽鎖及び2つの重鎖を含み、LCが、配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCが、配列番号4のアミノ酸配列を含む、28~54のうちのいずれか1つの実施形態。
【0434】
56.ヒト対象の脳におけるAβプラークによって特徴付けられる疾患の治療又は予防のための薬剤の製造における抗N3pGlu Aβ抗体の使用であって、
1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗体が、投与され、各第1の用量が、約4週間に1回投与され、続いて、1回以上の第1の用量の投与の4週間後、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量が投与され、各第2の用量が、約4週間に1回投与され、
抗N3pGlu Aβ抗体が、LCVR及びHCVRを含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、使用。
【0435】
57.ヒト対象が、第2の用量を投与する前に、第1の用量を1回、2回、又は3回投与される、56の実施形態。
【0436】
58.ヒト対象が、約700mgの第1の用量を投与される、56又は57の実施形態。
【0437】
59.ヒト対象が、1回以上の約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、又は約1400mgの第2の用量を投与される、56~58のうちのいずれか1つの実施形態。
【0438】
60.ヒト対象が、1回以上の約1400mgの第2の用量を投与される、56~59のうちのいずれか1つの実施形態。
【0439】
61.最大で72週間の期間、又はアミロイドの正常レベルが達成されるまで、抗N3pGlu Aβ抗体が、ヒト対象に投与される、56~60のうちのいずれか1つの実施形態。
【0440】
62.患者におけるアミロイドプラークレベルが約25センチロイド以下になるまで、抗N3pGlu Aβ抗体が、ヒト対象に投与される、56~61のうちのいずれか1つの実施形態。
【0441】
63.患者におけるアミロイドプラークレベルが、2回の連続するPETイメージングスキャンで約25センチロイド以下となるか(任意選択で、2回の連続するPETイメージングスキャンが少なくとも6か月の間隔がある)、又は1回のPETイメージングスキャンで11センチロイド以下となるまで、抗N3pGlu Aβ抗体が、ヒト対象に投与される、56~61のうちのいずれか1つの実施形態。64.ヒト対象が、4週間に1回、3回の700mgの第1の用量を投与され、次いで、最大で72週間の期間、4週間に1回、1400mgの第2の用量を投与される、56~61のうちのいずれか1つの実施形態。
【0442】
65.ヒト対象が、4週間に1回、3回の700mgの第1の用量を投与され、次いで、対象におけるアミロイドプラークレベルが約25センチロイド以下になるまで、4週間に1回、1400mgの第2の用量を投与される、56~61のうちのいずれか1つの実施形態。
【0443】
66.ヒト対象が、4週間に1回、3回の700mgの第1の用量を投与され、次いで、患者におけるアミロイドプラークレベルが、2回の連続するPETイメージングスキャンで約25センチロイド以下となるか(任意選択で、2回の連続するPETイメージングスキャンが少なくとも6か月の間隔がある)、又は1回のPETイメージングスキャンで11センチロイド以下となるまで、4週間に1回、1400mgの第2の用量を投与される、56~61のうちのいずれか1つの実施形態。
【0444】
67.ヒト対象が、疾患を治療又は予防するのに十分な期間、第2の用量を投与される、56~66のうちのいずれか1つの実施形態。
【0445】
68.疾患の治療又は予防が、i)ヒト対象の脳におけるAβプラークの低減、及び/又はii)ヒト対象における認知若しくは機能の低下を緩徐化する、56~67のうちのいずれか1つの実施形態。
【0446】
69.ヒト対象の脳におけるAβプラークの低減が、アミロイドPET脳イメージング又はAβのバイオマーカーを検出する診断によって決定される、68の実施形態。
【0447】
70.ヒト対象の脳におけるAβプラークが約20~100%低減するまで、第2の用量がヒト対象に投与される、68又は69の実施形態。
【0448】
71.ヒト対象の脳におけるAβプラークが、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約75%、又は約100%低減される、70の実施形態。
【0449】
72.患者の脳におけるAβプラークが100%低減する、70又は71の実施形態。
【0450】
73.ヒト対象の脳におけるAβプラークが、i)約平均約25センチロイド~約100センチロイド、ii)約平均約50センチロイド~約100センチロイド、iii)約100センチロイド、又はiv)約84センチロイド低減されるまで、第2の用量がヒト対象に投与される、56~72のうちのいずれか1つの実施形態。
【0451】
74.ヒト対象の脳におけるAβ沈着によって特徴付けられる疾患が、前臨床アルツハイマー病、臨床AD、前駆AD、軽度AD、中等度AD、重度AD、ダウン症候群、臨床脳アミロイド血管障害、又は前臨床脳アミロイド血管障害から選択される、56~73のうちのいずれか1つの実施形態。
【0452】
75.ヒト対象が、初期の症候性AD患者であるか、又はヒト対象が、前駆AD若しくはADに起因する軽度の認知症を有する、56~74のうちのいずれか1つの実施形態。
【0453】
76.ヒト対象が、i)非常に低いから中等度のタウ負荷を有するか、若しくは非常に低いから中等度のタウ負荷を有すると決定されているか、ii)低いから中等度のタウ負荷を有するか、若しくは低いから中等度のタウ負荷を有すると決定されているか、iii)非常に低いから中等度のタウ負荷を有するか、若しくは非常に低いから中等度のタウ負荷を有すると決定され、かつAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有するか、iv)低いから中等度のタウ負荷を有するか、若しくは低いから中等度のタウ負荷を有すると決定され、かつAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有するか、又はv)APOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有する、56~75のうちのいずれか1つの実施形態。
【0454】
77.ヒト対象が、i)PET脳イメージングによって測定されたタウ負荷が≦1.46SUVrである場合、非常に低いから中等度のタウ負荷を有するか、又はii)PET脳イメージングによって測定されたタウ負荷が1.10SUVr~1.46SUVrである場合、低いから中等度のタウ負荷を有する、76の実施形態。
【0455】
78.ヒト対象が、i)高いタウ負荷を有しないか、若しくは高いタウ負荷を有しないと決定されているか、又はii)APOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を担持し、かつ高いタウ負荷を有しないか、若しくは高いタウ負荷を有しないと決定されている、56~75のうちのいずれか1つの実施形態。
【0456】
79.PET脳イメージングによって測定されたタウ負荷が1.46SUVrを上回る場合、ヒト対象が、高いタウ負荷を有する、78の実施形態。
【0457】
80.ヒト対象のタウ負荷が、タウPET脳イメージング又はタウのバイオマーカーを検出する診断を使用して決定される、76又は78の実施形態。
【0458】
81.抗N3pGlu Aβ抗体が、LC及びHC含み、LCが、配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCが、配列番号4のアミノ酸配列を含む、56~80のうちのいずれか1つの実施形態。
【0459】
82.抗N3pGlu Aβ抗体が、2つの軽鎖及び2つの重鎖を含み、LCが、配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCが、配列番号4のアミノ酸配列を含む、56~81のうちのいずれか1つの実施形態。
【0460】
83.i)非常に低いから中等度のタウ負荷若しくは低いから中等度のタウ負荷、又はii)非常に低いから中等度のタウ負荷若しくは低いから中等度のタウ負荷、及びAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有すると決定されているヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、
i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、
ii)1回以上の第1の用量を投与してから4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、
抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法。
【0461】
84.ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、
ヒト対象が非常に低いから中等度のタウ負荷若しくは低いから中等度のタウ負荷、及び/又はAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有するかどうかを決定することと、ヒト対象が非常に低いから中等度のタウ負荷若しくは低いから中等度のタウ負荷及び/又はAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有する場合、次いで、
i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、
ii)1回以上の第1の用量を投与してから4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、
抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法。
【0462】
85.i)高いタウ負荷を有しないとして、又はii)APOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有し、高いタウ負荷を有しないと決定されているヒト対象の脳におけるアミロイドβプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、
i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、
ii)1回以上の第1の用量を投与してから4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、
抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法。
【0463】
86.ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、
ヒト対象が、i)高いタウ負荷、又はii)高いタウ負荷及びAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有するかどうかを決定することと、ヒト対象が高いタウ負荷を有しない場合、又はヒト対象が高いタウ負荷を有さず、かつAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有する場合、次いで、
i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、
ii)1回以上の第1の用量を投与してから4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、
抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法。
【0464】
87.ヒト対象が、第2の用量を投与する前に、第1の用量を1回、2回、又は3回投与される、83~86のうちのいずれか1つの実施形態。
【0465】
88.ヒト対象が、約700mgの第1の用量を投与される、83~87のうちのいずれか1つの実施形態。
【0466】
89.ヒト対象が、1回以上の約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、又は約1400mgの第2の用量を投与される、83~88のうちのいずれか1つの実施形態。
【0467】
90.ヒト対象が、1回以上の約1400mgの第2の用量を投与される、83~89のうちのいずれか1つの実施形態。
【0468】
91.最大で72週間の期間、又はアミロイドの正常レベルが達成されるまで、抗N3pGlu Aβ抗体が、ヒト対象に投与される、83~90のうちのいずれか1つの実施形態。
【0469】
92.ヒト対象におけるアミロイドプラークレベルが約25センチロイド以下になるまで、抗N3pGlu Aβ抗体が、ヒト対象に投与される、83~91のうちのいずれか1つの実施形態。
【0470】
93.ヒト対象におけるアミロイドプラークレベルが、2回の連続するPETイメージングスキャンで約25センチロイド以下となるか(任意選択で、2回の連続するPETイメージングスキャンが6か月の間隔がある)、又は1回のPETイメージングスキャンで11センチロイド以下となるまで、抗N3pGlu Aβ抗体が、ヒト対象に投与される、83~91のうちのいずれか1つの実施形態。
【0471】
94.ヒト対象が、4週間に1回、3回の700mgの第1の用量を投与され、次いで、最大で72週間の期間、4週間に1回、1400mgの第2の用量を投与される、83~91のうちのいずれか1つの実施形態。
【0472】
95.ヒト対象が、4週間に1回、3回の700mgの第1の用量を投与され、次いで、対象におけるアミロイドプラークレベルが約25センチロイド以下になるまで、4週間に1回、1400mgの第2の用量を投与される、83~91のうちのいずれか1つの実施形態。
【0473】
96.ヒト対象が、4週間に1回、3回の700mgの第1の用量を投与され、次いで、患者におけるアミロイドプラークレベルが、2回の連続するPETイメージングスキャンで約25センチロイド以下となるか(任意選択で、2回の連続するPETイメージングスキャンが少なくとも6か月の間隔がある)、又は1回のPETイメージングスキャンで11センチロイド以下となるまで、4週間に1回、1400mgの第2の用量を投与される、83~91のうちのいずれか1つの実施形態。
【0474】
97.ヒト対象が、疾患を治療又は予防するのに十分な期間、第2の用量を投与される、83~96のうちのいずれか1つの実施形態。
【0475】
98.疾患の治療又は予防が、i)ヒト対象の脳におけるAβプラークの低減、及び/又はii)ヒト対象における認知若しくは機能の低下を緩徐化する、83~97のうちのいずれか1つの実施形態。
【0476】
99.ヒト対象の脳におけるAβプラークの低減が、アミロイドPET脳イメージング又はAβのバイオマーカーを検出する診断によって決定される、98の実施形態。
【0477】
100.ヒト対象の脳におけるAβプラークが約20~100%低減するまで、第2の用量がヒト対象に投与される、98又は99の実施形態。
【0478】
101.ヒト対象の脳におけるAβプラークが、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約75%、又は約100%低減される、100の実施形態。
【0479】
102.ヒト対象の脳におけるAβプラークが、i)約平均約25センチロイド~約100センチロイド、ii)約平均約50センチロイド~約100センチロイド、iii)約100センチロイド、又はiv)約84センチロイド低減されるまで、第2の用量がヒト対象に投与される、83~99のうちのいずれか1つの実施形態。
【0480】
103.ヒト対象の脳におけるAβ沈着によって特徴付けられる疾患が、前臨床アルツハイマー病(AD)、臨床AD、前駆AD、軽度AD、中等度AD、重度AD、ダウン症候群、臨床脳アミロイド血管障害、又は前臨床脳アミロイド血管障害から選択される、83~102のうちのいずれか1つの実施形態。
【0481】
104.ヒト対象が、初期の症候性AD患者である、83~103のうちのいずれか1つの実施形態。
【0482】
105.ヒト対象が、前駆AD及びADに起因する軽度の認知症を有する、104の実施形態。
【0483】
106.ヒト対象が、i)PET脳イメージングによって測定されたタウ負荷が≦1.46SUVrである場合、非常に低いから中等度のタウ負荷を有するか、又はii)PET脳イメージングによって測定されたタウ負荷が1.10SUVr~1.46SUVrである場合、低いから中等度のタウ負荷を有する、83又は84の実施形態。
【0484】
107.PET脳イメージングによって測定されたタウ負荷が1.46SUVrを上回る場合、ヒト対象が、高いタウ負荷を有する、85又は86の実施形態。
【0485】
108.ヒト対象のタウ負荷が、PET脳イメージング又はタウのバイオマーカーを検出する診断を使用して決定される、83~86のうちのいずれか1つの実施形態。
【0486】
109.抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖(LC)及び重鎖(HC)を含み、LCが、配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCが、配列番号4のアミノ酸配列を含む、83~108のうちのいずれか1つの実施形態。
【0487】
110.抗N3pGlu Aβ抗体が、2つの軽鎖及び2つの重鎖を含み、LCが、配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCが、配列番号4のアミノ酸配列を含む、83~109のうちのいずれか1つの実施形態。
【0488】
111.ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、
ヒト対象に有効量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することを含み、ヒト対象が、i)低いから中等度のタウ負荷若しくは非常に低いから中等度のタウ負荷を有するとして、ii)低いから中等度のタウ負荷若しくは非常に低いから中等度のタウ負荷及びAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有するとして、又はiii)APOE4の1又は2個の対立遺伝子を有するとして決定されている、方法。
【0489】
112.ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、
ヒト対象が低いから中等度のタウ負荷若しくは非常に低いから中等度のタウ負荷を有するかどうかを決定することと、ヒト対象が低いから中等度のタウ負荷若しくは非常に低いから中等度のタウ負荷を有する場合、次いで、ヒト対象に有効量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することと、あるいは、
ヒト対象が、i)低いから中等度のタウ負荷及びAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子、又はii)非常に低いから中等度のタウ負荷及びAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有するかどうかを決定することと、ヒト対象が、i)低いから中等度のタウ負荷及び1若しくは2個のAPOE4対立遺伝子、又はii)非常に低いから中等度のタウ負荷及び1若しくは2個のAPOE4対立遺伝子を有する場合、次いで、ヒト対象に有効量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することと、を含む、方法。
【0490】
113.ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、
ヒト対象に有効量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することを含み、ヒト対象が、i)高いタウ負荷を有しない、又はii)高いタウ負荷及びAPOE4の1又は2個の対立遺伝子を有しないとして決定されている、方法。
【0491】
114.ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、
ヒト対象が、i)高いタウ負荷、又はii)高いタウ負荷及びAPOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有するかどうかを決定することと、ヒト対象が、i)高いタウ負荷を有しないか、又はii)APOE4の1若しくは2個の対立遺伝子を有し、かつ高いタウ負荷を有しない場合、次いで、
ヒト対象に有効量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することと、を含む、方法。
【0492】
115.ヒト対象が、疾患を治療又は予防するのに十分な期間、有効量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与される、111~114のうちのいずれか1つの実施形態。
【0493】
116.疾患の治療又は予防が、i)ヒト対象の脳におけるAβプラークの低減、及び/又はii)ヒト対象における認知若しくは機能の低下を緩徐化する、111~115のうちのいずれか1つの実施形態。
【0494】
117.ヒト対象の脳におけるAβプラークの低減が、アミロイドPET脳イメージング又はAβのバイオマーカーを検出する診断によって決定される、116の実施形態。
【0495】
118.ヒト対象の脳におけるAβプラークが約20~100%低減するまで、有効量の抗N3pGlu Aβ抗体がヒト対象に投与される、116又は117の実施形態。
【0496】
119.ヒト対象の脳におけるAβプラークが、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約75%、又は約100%低減される、118の実施形態。
【0497】
120.ヒト対象の脳におけるAβプラークが、i)約平均約25センチロイド~約100センチロイド、ii)約平均約50センチロイド~約100センチロイド、iii)約100センチロイド、又はiv)約84センチロイド低減されるまで、有効量の抗N3pGlu Aβ抗体がヒト対象に投与される、111~119のうちのいずれか1つの実施形態。
【0498】
121.ヒト対象の脳におけるAβ沈着によって特徴付けられる疾患が、前臨床アルツハイマー病(AD)、臨床AD、前駆AD、軽度AD、中等度AD、重度AD、ダウン症候群、臨床脳アミロイド血管障害、又は前臨床脳アミロイド血管障害から選択される、111~120のうちのいずれか1つの実施形態。
【0499】
122.ヒト対象が、初期の症候性AD患者である、111~121のうちのいずれか1つの実施形態。
【0500】
123.ヒト対象が、前駆AD及びADに起因する軽度の認知症を有する、122の実施形態。
【0501】
124.ヒト対象が、i)PET脳イメージングによって測定されたタウ負荷が≦1.46SUVrである場合、非常に低いから中等度のタウ負荷を有するか、又はii)PET脳イメージングによって測定されたタウ負荷が1.10SUVr~1.46SUVrである場合、低いから中等度のタウ負荷を有する、111又は112の実施形態。
【0502】
125.PET脳イメージングによって測定されたタウ負荷が1.46SUVrを上回る場合、ヒト対象が、高いタウ負荷を有する、113又は114の実施形態。
【0503】
126.ヒト対象のタウ負荷が、PET脳イメージング又はタウのバイオマーカーを検出する診断を使用して決定される、111~114のうちのいずれか1つの実施形態。
【0504】
127.ヒトの脳の側頭葉、後頭葉、頭頂葉又は前頭葉における、タウ負荷の更なる増加を減少させる/予防する、又はタウ蓄積の速度を緩徐化する方法であって、
i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、
ii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、
抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法。
【0505】
128.i)脳の側頭葉、後頭葉、頭頂葉、又は前頭葉にタウ負荷を有すると決定されているヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、方法は、
i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、
ii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、
抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法。
【0506】
129.ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、
ヒト対象が、脳の側頭葉、後頭葉、頭頂葉、又は前頭葉にタウ負荷を有するかどうかを決定することを含み、ヒト対象が脳の側頭葉、後頭葉、頭頂葉、又は前頭葉にタウ負荷を有する場合、
i)ヒト対象に、1回以上の約100mg~約700mgの第1の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与することであって、各第1の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、
ii)1回以上の第1の用量を投与してから約4週間後に、ヒト対象に、1回以上の700mg超~約1400mgの第2の用量の抗N3pG Aβ抗体を投与することであって、各第2の用量が、約4週間に1回投与される、投与することと、を含み、
抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、方法。
【0507】
130.ヒト対象が、脳の後外側側頭葉又は側頭葉にタウ負荷を有する、127~129のうちのいずれか1つの実施形態。
【0508】
131.ヒト対象が、脳の後頭葉にタウ負荷を有する、127~130のうちのいずれか1つの実施形態。
【0509】
132.ヒト対象が、脳の頭頂葉にタウ負荷を有する、127~131のうちのいずれか1つの実施形態。
【0510】
133.ヒト対象が、脳の前頭葉にタウ負荷を有する、127~132のうちのいずれか1つの実施形態。
【0511】
134.ヒト対象が、脳の後外側側頭葉(PLT)又は後頭葉にタウ負荷を有する、127~133のうちのいずれか1つの実施形態。
【0512】
135.ヒト対象が、脳のPLT若しくは後頭部領域のタウ負荷とともに、i)頭頂部若しくは楔前部領域、又はii)前頭部領域にタウ負荷を有する、127~134のうちのいずれか1つの実施形態。
【0513】
136.ヒト対象が、脳のi)前頭葉に分離された、又はii)後外側側頭領域(PLT)を含まない側頭葉の領域にタウ負荷を有する、127~135のうちのいずれか1つの実施形態。
【0514】
137.ヒト対象が、脳の後外側側頭葉、後頭葉、及び頭頂葉にタウ負荷を有する、127~136のうちのいずれか1つの実施形態。
【0515】
138.ヒト対象が、脳の後外側側頭葉、後頭葉、頭頂葉、及び前頭葉にタウ負荷を有する、127~137のうちのいずれか1つの実施形態。
【0516】
139.ヒト対象が、ヒト対象が、脳の後外側側頭葉、後頭葉、頭頂葉及び/又は前頭葉にタウ負荷を有する、127~138のうちのいずれか1つの実施形態。
【0517】
140.ヒト対象が、第2の用量を投与する前に、第1の用量を1回、2回、又は3回投与される、127~139のうちのいずれか1つの実施形態。
【0518】
141.ヒト対象が、約700mgの第1の用量を投与される、127~140のうちのいずれか1つの実施形態。
【0519】
142.ヒト対象が、1回以上の約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、又は約1400mgの第2の用量を投与される、127~141のうちのいずれか1つの実施形態。
【0520】
143.ヒト対象が、1回以上の約1400mgの第2の用量を投与される、127~142のうちのいずれか1つの実施形態。
【0521】
144.最大で72週間の期間、又はアミロイドの正常レベルが達成されるまで、抗N3pGlu Aβ抗体が、ヒト対象に投与される、127~143のうちのいずれか1つの実施形態。
【0522】
145.患者におけるアミロイドプラークレベルが約25センチロイド以下になるまで、抗N3pGlu Aβ抗体が、ヒト対象に投与される、127~144のうちのいずれか1つの実施形態。
【0523】
146.ヒト対象におけるアミロイドプラークレベルが、2回の連続するPETイメージングスキャンで約25センチロイド以下となるか(任意選択で、2回の連続するPETイメージングスキャンが少なくとも6か月の間隔がある)、又は1回のPETイメージングスキャンで11センチロイド以下となるまで、抗N3pGlu Aβ抗体が、ヒト対象に投与される、127~145のうちのいずれか1つの実施形態。
【0524】
147.ヒト対象が、4週間に1回、3回の700mgの第1の用量を投与され、次いで、最大で72週間の期間、4週間に1回、1400mgの第2の用量を投与される、127~146のうちのいずれか1つの実施形態。
【0525】
148.ヒト対象が、4週間に1回、3回の700mgの第1の用量を投与され、次いで、対象におけるアミロイドプラークレベルが約25センチロイド以下になるまで、4週間に1回、1400mgの第2の用量を投与される、127~147のうちのいずれか1つの実施形態。
【0526】
149.ヒト対象が、4週間に1回、3回の700mgの第1の用量を投与され、次いで、対象におけるアミロイドプラークレベルが、2回の連続するPETイメージングスキャンで約25センチロイド以下となるか(任意選択で、2回の連続するPETイメージングスキャンが少なくとも6か月の間隔がある)、又は1回のPETイメージングスキャンで11センチロイド以下となるまで、4週間に1回、1400mgの第2の用量を投与される、127~148のうちのいずれか1つの実施形態。
【0527】
150.ヒト対象が、疾患を治療又は予防するのに十分な期間、第2の用量を投与される、127~149のうちのいずれか1つの実施形態。
【0528】
151.疾患の治療又は予防が、i)ヒト対象の脳におけるAβプラークの低減、及び/又はii)ヒト対象における認知若しくは機能の低下を緩徐化する、127~150のうちのいずれか1つの実施形態。
【0529】
152.ヒト対象の脳におけるAβプラークの低減が、アミロイドPET脳イメージング又はAβのバイオマーカーを検出する診断によって決定される、請求項151の方法。
【0530】
153.ヒト対象の脳におけるAβプラークが約20~100%低減するまで、第2の用量がヒト対象に投与される、151又は152の実施形態。
【0531】
154.ヒト対象の脳におけるAβプラークが、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約75%、又は約100%低減される、153の実施形態。
【0532】
155.ヒト対象の脳におけるAβプラークが、i)約平均約25センチロイド~約100センチロイド、ii)約平均約50センチロイド~約100センチロイド、iii)約100センチロイド、又はiv)約84センチロイド低減されるまで、第2の用量がヒト対象に投与される、127~154のうちのいずれか1つの実施形態。
【0533】
156.ヒト対象の脳におけるAβ沈着によって特徴付けられる疾患が、前臨床アルツハイマー病(AD)、臨床AD、前駆AD、軽度AD、中等度AD、重度AD、ダウン症候群、臨床脳アミロイド血管障害、又は前臨床脳アミロイド血管障害から選択される、127~155のうちのいずれか1つの実施形態。
【0534】
157.ヒト対象が、初期の症候性AD患者である、127~156のうちのいずれか1つの実施形態。
【0535】
158.ヒト対象が、前駆AD及びADに起因する軽度の認知症を有する、157の実施形態。
【0536】
159.ヒト対象が、i)非常に低いから中等度のタウ負荷を有するか、若しくは非常に低いから中等度のタウ負荷を有すると決定されているか、又はii)低いから中等度のタウ負荷を有するか、若しくは低いから中等度のタウ負荷を有すると決定されている、127~158の実施形態。
【0537】
160.ヒト対象が、i)PET脳イメージングによって測定されたタウ負荷が≦1.46SUVrである場合、非常に低いから中等度のタウ負荷を有するか、又はii)PET脳イメージングによって測定されたタウ負荷が1.10SUVr~1.46SUVrである場合、低いから中等度のタウ負荷を有する、159の実施形態。
【0538】
161.ヒト対象が、高いタウ負荷を有しないか、又は高いタウ負荷を有しないと決定されている、127~160のうちのいずれか1つの実施形態。
【0539】
162.PET脳イメージングによって測定されたタウ負荷が1.46SUVrを上回る場合、ヒト対象が、高いタウ負荷を有する、161の実施形態。
【0540】
163.ヒト対象のタウ負荷が、PET脳イメージング又はタウのバイオマーカーを検出する診断を使用して決定される、159又は161の実施形態。
【0541】
164.抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖(LC)及び重鎖(HC)を含み、LCが、配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCが、配列番号4のアミノ酸配列を含む、127~163のうちのいずれか1つの実施形態。
【0542】
165.抗N3pGlu Aβ抗体が、2つの軽鎖及び2つの重鎖を含み、LCが、配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCが、配列番号4のアミノ酸配列を含む、127~164のうちのいずれか1つの実施形態。
【0543】
166.患者が、APOE4の1又は2個の対立遺伝子を有する、127~165のうちのいずれか1つの実施形態。
【0544】
167.ヒトの脳の側頭葉、後頭葉、頭頂葉又は前頭葉における、タウ負荷の更なる増加を減少させる/予防する、又はタウ蓄積の速度を緩徐化する方法であって、抗N3pGlu Aβ抗体をヒト対象に投与することを含む、方法。
【0545】
168.脳の側頭葉、後頭葉、頭頂葉、又は前頭葉にタウ負荷を有すると決定されているヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、抗N3pGlu Aβ抗体をヒト対象に投与することを含む、方法。
【0546】
169.ヒト対象の脳におけるアミロイドベータプラークによって特徴付けられる疾患を治療又は予防する方法であって、ヒト対象が、脳の側頭葉、後頭葉、頭頂葉、又は前頭葉にタウ負荷を有するかどうかを決定することと、ヒト対象が脳の側頭葉、後頭葉、頭頂葉、又は前頭葉にタウ負荷を有する場合、次いで、ヒト対象に抗N3pGlu Aβ抗体を投与することと、を含む、方法。
【0547】
170.ヒト対象が、脳の後外側側頭葉又は側頭葉にタウ負荷を有する、167~169のうちのいずれか1つの実施形態。
【0548】
171.ヒト対象が、脳の後頭葉にタウ負荷を有する、167~170のうちのいずれか1つの実施形態。
【0549】
172.ヒト対象が、脳の頭頂葉にタウ負荷を有する、167~171のうちのいずれか1つの実施形態。
【0550】
173.ヒト対象が、脳の前頭葉にタウ負荷を有する、167~172のうちのいずれか1つの実施形態。
【0551】
174.ヒト対象が、脳の後外側側頭葉(PLT)又は後頭葉にタウ負荷を有する、167~173のうちのいずれか1つの実施形態。
【0552】
175.ヒト対象が、脳のPLT若しくは後頭部領域のタウ負荷とともに、i)頭頂部若しくは楔前部領域、又はii)前頭部領域にタウ負荷を有する、167~174のうちのいずれか1つの実施形態。
【0553】
176.ヒト対象が、脳のi)前頭葉に分離された、又はii)後外側側頭領域(PLT)を含まない側頭葉の領域にタウ負荷を有する、167~175のうちのいずれか1つの実施形態。
【0554】
177.ヒト対象が、脳の後外側側頭葉、後頭葉、及び頭頂葉にタウ負荷を有する、167~176のうちのいずれか1つの実施形態。
【0555】
178.ヒト対象が、脳の後外側側頭葉、後頭葉、頭頂葉、及び前頭葉にタウ負荷を有する、167~177のうちのいずれか1つの実施形態。
【0556】
179.ヒト対象が、ヒト対象が、脳の後外側側頭葉、後頭葉、頭頂葉及び/又は前頭葉にタウ負荷を有する、167~178のうちのいずれか1つの実施形態。
【0557】
180.患者が、APOE4の1又は2個の対立遺伝子を有する、167~179のうちのいずれか1つの実施形態。
【0558】
181.ヒト患者が、1つ以上の有効量のソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体を更に投与される、1~27のうちのいずれか1つの実施形態。
【0559】
182.抗N3pGlu Aβ抗体及びソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体が、同時に、別々に、又は連続的に投与される、181の実施形態。
【0560】
183.ヒト患者が、1つ以上の有効量のソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体を更に投与される、28~55のうちのいずれか1つの実施形態。
【0561】
184.抗N3pGlu Aβ抗体及びソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体が、同時に、別々に、又は連続的に投与される、183の実施形態。
【0562】
185.ヒト患者が、1つ以上の有効量のソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体を更に投与される、56~82のうちのいずれか1つの実施形態。
【0563】
186.抗N3pGlu Aβ抗体及びソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体が、同時に、別々に、又は連続的に投与される、185の実施形態。
【0564】
187.ヒト患者が、1つ以上の有効量のソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体を更に投与される、83~110のうちのいずれか1つの実施形態。
【0565】
188.抗N3pGlu Aβ抗体及びソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体が、同時に、別々に、又は連続的に投与される、187の実施形態。
【0566】
189.ヒト患者が、1つ以上の有効量のソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体を更に投与される、111~126のうちのいずれか1つの実施形態。
【0567】
190.抗N3pGlu Aβ抗体及びソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体が、同時に、別々に、又は連続的に投与される、189の実施形態。
【0568】
191.ヒト患者が、1つ以上の有効量のソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体を更に投与される、127~166のうちのいずれか1つの実施形態。
【0569】
192.抗N3pGlu Aβ抗体及びソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体が、同時に、別々に、又は連続的に投与される、191の実施形態。
【0570】
193.ヒト患者が、1以上の有効量のソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体を更に投与される、167~180のうちのいずれか1つの実施形態。
【0571】
194.抗N3pGlu Aβ抗体及びソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体が、同時に、別々に、又は連続的に投与される、193の実施形態。
【0572】
195.ソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体が、アミロイドベータレベルを正常範囲内に維持するためにヒト対象に投与される、181~194のうちのいずれか1つの実施形態。
【0573】
196.ソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体が、アミロイドプラークレベルの増加を予防するためにヒト対象に投与される、181~194のうちのいずれか1つの実施形態。
【0574】
197.ソラネズマブ又はソラネズマブの部分を含む抗体が、アミロイドプラークレベルの増加速度を低減させるためにヒト対象に投与される、181~194のうちのいずれか1つの実施形態。
配列
配列番号1、軽鎖可変領域(LCVR)
DIVMTQTPLSLSVTPGQPASISCKSSQSLLYSRGKTYLNWLLQKPGQSPQLLIYAVSKLDSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCVQGTHYPFTFGQGTKLEIK
配列番号2、重鎖可変領域(HCVR)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFTRYYINWVRQAPGQGLEWMGWINPGSGNTKYNEKFKGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREGITVYWGQGTTVTVSS
配列番号3、軽鎖(LC)
DIVMTQTPLSLSVTPGQPASISCKSSQSLLYSRGKTYLNWLLQKPGQSPQLLIYAVSKLDSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCVQGTHYPFTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号4、重鎖(HC)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFTRYYINWVRQAPGQGLEWMGWINPGSGNTKYNEKFKGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREGITVYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
配列番号5、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)
KSSQSLLYSRGKTYLN
配列番号6、軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)
AVSKLDS
配列番号7、軽鎖相補性決定領域3(LCDR3)
VQGTHYPFT
配列番号8、重鎖相補性決定領域1(HCDR1)
GYDFTRYYIN
配列番号9、重鎖相補性決定領域2(HCDR2)
WINPGSGNTKYNEKFKG
配列番号10、重鎖相補性決定領域3(HCDR3)
EGITVY
配列番号11、配列番号1、軽鎖可変領域(LCVR)のヌクレオチド配列
GATATTGTGATGACTCAGACTCCACTCTCCCTGTCCGTCACCCCTGGACAGCCGGCCTCCATCTCCTGCAAGTCAAGTCAGAGCCTCTTATATAGTCGCGGAAAAACCTATTTGAATTGGCTCCTGCAGAAGCCAGGCCAATCTCCACAGCTCCTAATTTATGCGGTGTCTAAACTGGACTCTGGGGTCCCAGACAGATTCAGCGGCAGTGGGTCAGGCACAGATTTCACACTGAAAATCAGCAGGGTGGAGGCCGAAGATGTTGGGGTTTATTACTGCGTGCAAGGTACACATTACCCATTCACGTTTGGCCAAGGGACCAAGCTGGAGATCAAA
配列番号12、配列番号2、重鎖可変領域(HCVR)のヌクレオチド配列
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGTCCTCAGTGAAGGTTTCCTGCAAGGCATCTGGTTACGACTTCACTAGATACTATATAAACTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGATGGATTAATCCTGGAAGCGGTAATACTAAGTACAATGAGAAATTCAAGGGCAGAGTCACCATTACCGCGGACGAATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAAGGCATCACGGTCTACTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCA
配列番号13、配列番号3、軽鎖(LC)のヌクレオチド配列
GATATTGTGATGACTCAGACTCCACTCTCCCTGTCCGTCACCCCTGGACAGCCGGCCTCCATCTCCTGCAAGTCAAGTCAGAGCCTCTTATATAGTCGCGGAAAAACCTATTTGAATTGGCTCCTGCAGAAGCCAGGCCAATCTCCACAGCTCCTAATTTATGCGGTGTCTAAACTGGACTCTGGGGTCCCAGACAGATTCAGCGGCAGTGGGTCAGGCACAGATTTCACACTGAAAATCAGCAGGGTGGAGGCCGAAGATGTTGGGGTTTATTACTGCGTGCAAGGTACACATTACCCATTCACGTTTGGCCAAGGGACCAAGCTGGAGATCAAACGAACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGC
配列番号14、配列番号4、重鎖(HC)のヌクレオチド配列
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGTCCTCAGTGAAGGTTTCCTGCAAGGCATCTGGTTACGACTTCACTAGATACTATATAAACTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGATGGATTAATCCTGGAAGCGGTAATACTAAGTACAATGAGAAATTCAAGGGCAGAGTCACCATTACCGCGGACGAATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAAGGCATCACGGTCTACTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCGCTAGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGACGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCCCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGT
配列番号15、ソラネズマブの軽鎖のアミノ酸配列
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSLIYSDGNAYLHWFLQKPGQSPRLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCSQSTHVPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号16、ソラネズマブの重鎖のアミノ酸配列
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYSMSWVRQAPGKGLELVAQINSVGNSTYYPDTVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCASGDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルツハイマー病(AD)の治療を必要とする対象においてそれを治療するための薬剤であって、
(i)前記対象に、3回の700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、700mgの各第1の用量が、4週間に1回の頻度で投与される、投与することと、
(ii)前記3回の第1の用量の投与後、前記対象の脳の磁気共鳴画像(MRI)スキャンをアミロイド関連イメージング異常(ARIA)について評価することと、
(iii)前記評価するステップが、ARIAを示さない場合、前記3回の第1の用量の投与から4週間後、1回以上の1400mgの第2の用量の前記抗N3pGlu Aβ抗体を4週間に1回の頻度で投与することと、を含み、
前記抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列からなり、前記HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、薬剤。
【請求項2】
アルツハイマー病(AD)の治療を必要とする対象においてそれを治療するための薬剤であって、
(i)前記対象に、3回の700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、700mgの各第1の用量が、4週間に1回の頻度で投与される、投与することと、
(ii)前記3回の第1の用量の投与後、前記対象の脳の磁気共鳴画像(MRI)スキャンをARIAについて評価することと、
(iii)前記評価するステップが、ARIAを示す場合、ARIAの解消又はMRIでの放射線写真の安定化まで、前記抗N3pGlu Aβ抗体による治療を一時的に保留することと、
(iv)ARIAの解消又はMRIでの放射線写真の安定化に応じて、1回以上の1400mgの第2の用量の前記抗N3pGlu Aβ抗体を4週間に1回の頻度で投与することと、を含み、
前記抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列からなり、前記HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、薬剤。
【請求項3】
前記第2の用量が、
i)前記Aβプラークが、除去される、
ii)前記対象における前記Aβプラークが、2回の連続するアミロイドPETイメージングスキャンによって測定された場合、25センチロイド以下であり、前記2回の連続するアミロイドPETイメージングスキャンが、少なくとも6カ月の間隔がある、
iii)前記対象における前記Aβプラークが、単回のアミロイドPETイメージングスキャンによって測定された場合、11センチロイド以下である、
iv)前記対象が、アミロイド陰性である、又は
v)アミロイドPETイメージングスキャンによって測定された場合、<24.1CLの前記Aβプラークレベルに達する、まで投与される、請求項1又は2に記載の薬剤。
【請求項4】
前記抗N3pGlu Aβ抗体の用量が、72週間以下の期間にわたって投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項5】
前記対象に、前記3回の第1の用量を投与するステップの前に、ベースラインMRIスキャンを得ることを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項6】
前記第2の用量が、60週間以内の期間にわたって投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項7】
a)疾患進行モデル(DPM)によって推定された未治療の場合と比較して、iADRS又はCDR-SBによって測定される疾患の進行を、少なくとも15%緩徐化するか、
b)混合モデル反復測定分析(MMRM)によって推定された未治療の場合と比較して、iADRS又はCDR-SBによって測定される疾患の進行を、少なくとも15%緩徐化するか、
c)未治療の場合と比較して、統合アルツハイマー病評定スケール(iADRS)によって測定される疾患の進行を、少なくとも15%緩徐化するか、
d)未治療の場合と比較して、統合アルツハイマー病評定スケール(iADRS)によって測定される疾患の進行を、少なくとも3緩徐化するか、
e)未治療の場合と比較して、臨床認知症評定スケール-ボックスの合計(CDR-SB)によって測定される疾患の進行を、少なくとも20%緩徐化するか、
f)アミロイドPETイメージングによって測定された場合、前記対象の脳におけるAβプラークのレベルを、少なくとも40%低減させるか、
g)未治療の場合と比較して、前頭葉におけるタウの蓄積を、少なくとも50%緩徐化するか、
h)タウPETイメージングによって測定された場合、72週間にわたる前記対象の前頭葉タウの増加を、0.04SUVr未満(標準化取り込み値比)に制限するか、
i)血漿P-タウ217を、ベースラインから少なくとも5%低減させるか、又は
j)グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)を、ベースラインから少なくとも5%低減させる、請求項1~6のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項8】
前記抗N3pGlu Aβ抗体を投与することが、前記1回以上の第1の用量を投与する前のAβプラークと比較して、Aβプラークを約平均約50センチロイド~約100センチロイド低減させ、前記Aβプラークが、アミロイドPETイメージングスキャンによって測定される、請求項1又は2に記載の薬剤。
【請求項9】
前記抗N3pGlu Aβ抗体の24週間の投与が、前記Aβプラークを少なくとも60%低減させる、請求項1又は2に記載の薬剤。
【請求項10】
前記第1の用量及び第2の用量の各々が、4mg/mL~10mg/mLの濃度で少なくとも30分間にわたって静脈内投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項11】
前記対象の海馬容積が、低減しない、請求項1又は2に記載の薬剤。
【請求項12】
前記対象の脳におけるAβプラークのレベルが、前記1つ以上の第2の用量を投与するステップ後、少なくとも52週間、正常レベルに維持される、請求項1又は2に記載の薬剤。
【請求項13】
前記抗N3pGlu Aβ抗体の投与から24週間後、前記対象の脳におけるAβプラークレベルが、正常レベルに達するか、又は低減が停止する場合、前記1つ以上の第2の用量を投与するステップが、中断される、請求項1又は2に記載の薬剤。
【請求項14】
前記対象の脳におけるAβプラークのレベルが、前記1つ以上の第2の用量を投与するステップが中断された後、少なくとも52週間、正常レベルに維持される、請求項1又は2に記載の薬剤。
【請求項15】
前記対象の脳におけるAβプラークのレベルが、24週までに正常レベルに低減される、請求項1又は2に記載の薬剤。
【請求項16】
前記対象の脳におけるAβプラークのレベルが、前記1つ以上の第2の用量を投与するステップが中止された後、少なくとも52週間、正常レベルに維持される、請求項15に記載の薬剤。
【請求項17】
前記対象が、前記1つ以上の第2の用量を投与するステップから76週間後、0.06SUVr未満の頭頂葉におけるタウレベルの増加を有し、前記脳タウレベルが、タウPETイメージングスキャンよって測定される、請求項12~16のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項18】
前記対象が、前記1つ以上の第2の用量を投与するステップから76週間後、前頭葉領域における0.4SUVr未満の脳タウレベルを有し、前記脳タウレベルが、タウPETイメージングスキャンによって測定される、請求項12~17のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項19】
アルツハイマー病の治療を必要とする対象においてそれを治療するための薬剤であって、
(i)前記対象に、3回の700mgの第1の用量の抗N3pGlu Aβ抗体を投与することであって、700mgの各第1の用量が、4週間に1回の頻度で投与される、投与することと、
(ii)前記3回の第1の用量の投与後、前記対象の脳の磁気共鳴画像(MRI)スキャンをARIAについて評価することと、
(iii)前記評価するステップが、ARIAを示す場合、前記抗N3pGlu Aβ抗体による治療を中断することと、を含み、
前記抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列からなり、前記HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、薬剤。
【請求項20】
前記ARIAが、ARIA-Eである、請求項1~19のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項21】
ARIA-Eが、中等度又は重度である、請求項20に記載の薬剤。
【請求項22】
前記ARIAが、ARIA-Hである、請求項1~19のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項23】
ARIA-Hが、中等度又は重度である、請求項22に記載の薬剤。
【請求項24】
前記対象に、3回の第1の用量を投与するステップの前に、前記対象が、
(i)1.46標準化取り込み値比(SUVr)未満の脳タウレベルを有し、
(ii)1.10SUVr超かつ1.46SUVr未満の脳タウレベルを有するか、又は
(iii)前頭葉脳領域における陰性の脳タウイメージングレベルを有し、
前記脳のタウレベルが、タウPETイメージングスキャンによって測定される、請求項1~23のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項25】
脳タウレベルが、
18F-フロルタウシピルPETイメージングによって測定される、請求項24に記載の薬剤。
【請求項26】
前記対象に、前記3回の第1の用量を投与するステップの前に、前記対象が、
(i)初期の症候性アルツハイマー病を有すると特定されているか、
(ii)少なくとも1つのAPOE4対立遺伝子を有すると特定されているか、又は
(iii)20~28のベースラインMMSE(ミニメンタルステート検査)スコアを有する、請求項1~25のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項27】
アルツハイマー病の治療を必要とする対象においてそれを治療するための薬剤であって、
i)前記対象に、最大3回の第1の用量を投与することであって、各第1の用量が、700mgの抗N3pGlu Aβ抗体を含み、4週間に1回の第1の用量の頻度で投与され、前記対象が、各投与後にARIAについて評価され、 ARIAが観察された場合、ARIA症状の解消又はMRIでの放射線写真の安定化まで、前記抗N3pGlu Aβ抗体の投与が、一時的に中断される、投与することと、
ii)ARIAの解消又はMRIでの放射線写真の安定化に応じて、前記残りの第1の用量又は1回以上の1400mgの第2の用量の前記抗N3pGlu Aβ抗体を4週間に1回の頻度で投与することと、を含み、
前記抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列からなり、前記HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、薬剤。
【請求項28】
アルツハイマー病の治療を必要とする対象においてそれを治療するための薬剤であって、
i)前記対象に、最大3回の第1の用量を投与することであって、各第1の用量が、700mgの抗N3pGlu Aβ抗体を含み、4週間に1回の第1の用量の頻度で投与され、前記対象が、各第1の用量後にARIAについて評価される、投与することと、
ii)1回以上の1400mgの第2の用量の前記抗N3pGlu Aβ抗体を4週間に1回の頻度で投与することと、を含み、
前記抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、前記LCVRが、配列番号1のアミノ酸配列からなり、前記HCVRが、配列番号2のアミノ酸配列からなる、薬剤。
【請求項29】
前記抗N3pGlu Aβ抗体が、軽鎖(LC)及び重鎖(HC)を含み、前記LCが、配列番号3のアミノ酸配列を含み、前記HCが、配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の薬剤。
【国際調査報告】