(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】パネル化された鋸歯状ビームアセンブリ
(51)【国際特許分類】
E04B 5/40 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
E04B5/40 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541821
(86)(22)【出願日】2022-01-11
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 US2022011977
(87)【国際公開番号】W WO2022150764
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506244375
【氏名又は名称】シンプソン ストロング タイ カンパニー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パトリック マクマヌス
(57)【要約】
デッキアセンブリによって相互連結されたビームメンバの部分を含む構造ビームアンドデッキアセンブリを提供する。ビームメンバは、1つまたは複数の垂直ウェブメンバによって相互連結された水平な上部フランジ要素および下部フランジ要素を有する。ビームメンバの上部フランジは、一連の鋸歯が1つまたは複数の垂直ウェブメンバの上部から少なくとも一方向に水平に突出するか、あるいはロール状のフランジから切り取られるように、鋸状になされている。隣接するビームアンドデッキアセンブリは、一方のビームメンバの一部分をもう一方のビームメンバの一部分に取り付けることによって結果的にビームメンバの断面を完成させるように、設置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の構造支持体を跨ぐ構造床パネルであって、
前記構造床パネルの構造アセンブリは、
1つまたは複数の垂直ウェブメンバに結合される鋸歯状水平上部フランジメンバを備える第1の構造ビームメンバであって、前記鋸歯状水平上部フランジメンバは、前記鋸歯状水平上部フランジメンバ上に間隔をあけて配置された複数の鋸歯を備え、前記複数の鋸歯の隣接する鋸歯の間に複数の空隙を画定する、前記第1の構造ビームメンバと、
第1の端部および第2の端部によって画定される長さを有するデッキであって、前記第1の構造ビームメンバが前記デッキの前記第1の端部に固定される、前記デッキと、
前記デッキの前記第2の端部に固定される第2の構造ビームメンバと、
を備える、構造床パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の前記構造床パネルを少なくとも2つ備える構造床システムであって、第1の構造床パネルの前記第2の構造ビームメンバは、第2の構造床パネルの前記第1の構造ビームメンバに結合される、構造床システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本出願は、2022年1月11日に出願された「パネル化された鋸歯状ビームアセンブリ」という名称の米国特許出願第17/572,839号に対する優先権を主張する。この米国出願は、さらに、2021年1月11日に出願された「パネル化された鋸歯状ビームアセンブリ」という名称の米国仮特許出願第63/199,592号に対する優先権を主張しており、これらの出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、主に、メンバの長さに沿ったせん断作用と曲げ作用とによって垂直荷重を、1つまたは複数の構造支持体に伝達することを目的とした構造ビームアンドデッキアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
複合ビームと根太とは、従来の鉄骨建築で広く使用されている。典型的には、ビームまたは根太は、複合スラブ・オン及びデッキアッセンブリの下に完全に配置される。コンクリートスラブと鋼製ビームまたは根太との間の水平せん断力の伝達は、せん断コネクタを使用して実現するのが最も一般的であり、多くの場合、スラブ打設前にビームまたは根太の上部に溶接される頭付きアンカースタッドの形をとる。コンクリートスラブを支えるビームとデッキは通常、別体の個別の要素として製造および設置される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、コンクリートスラブに埋め込まれた鋸歯状の上部フランジをそれぞれ持つビームメンバを利用する。本発明では、頭付き鋸歯が鋼メンバとコンクリートスラブとの間の水平せん断力の伝達を行う。ビームメンバの全体の断面の一部分は、設置前にデッキの両端に取り付けられて、ビームアンドデッキアセンブリが作成される。ビームアンドデッキアセンブリの設置には、各ビームメンバの一部分を取り付けることによって隣接するビームアンドデッキアセンブリ同士を接続して、ビームメンバの全体の断面を作成することが含まれる。本発明は、ビームメンバの断面の上部フランジが鋸歯状形状で構成されており、1つまたは複数の支持体間に実質的に水平に架けられる構造ビームアンドデッキアセンブリに関する。一実施形態では、鋸歯状形状は、I型ビームの上部フランジの片側または両側の一部分が交互のパターンで切り取られて構成されている。フランジを切り取るパターンは、鋼製ビームメンバの形状の構成やフランジの向きと同様に、多くのパターンが可能である。この断面の上部フランジは、ビームメンバの上部フランジの鋸歯がコンクリートスラブによって包まれるかあるいは埋め込まれるように、典型的なコンクリートスラブにより埋め込むことが意図されており、さらに、これにより断面と周囲のスラブ媒体との間の水平せん断伝達が促進され、またこれによりメンバと周囲のスラブとの間に複合作用が生じる。この複合ビームメンバの主な機能は、ビームメンバの長さに沿って加えられた垂直荷重を、複合アセンブリのせん断力と曲げ力によって、ビームメンバの長さに沿った1つまたは複数の支持体に伝達することである。
【0005】
各デッキアセンブリに取り付けられるビームメンバの一部分は、一体構造で構成されてもよいし、構造板、アングル、「T」字形、「I」字形、「C」字形、長方形、または他の類似の幾何学的断面で構築されてもよいが、他の断面の使用も本発明の範囲内である。ビームメンバの上部フランジの両側の鋸歯は、ウェブのそれぞれの側で交互に配置される部分や、ウェブのいずれかの側で対称に配置される部分など、様々な構成で位置合わせさせ得る。複数の形状が、フランジの切り取った部分および残りの部分に配置されるが、本明細書で考察される複合作用を容易にするあらゆる形状をとることができる。
【0006】
一実施形態では、ビームメンバは周囲のスラブと複合的に作用するビームとして自己完結するものでもよい。本実施形態における鋸歯の形状は実質的に長方形であるが、正方形、円形、楕円形、膨出形、「L」字形、「T」字形またはその他の形状の使用は本発明の範囲内である。
【0007】
ビームメンバは鋼材で構成され、デッキは波形鋼材で構成され、スラブはコンクリート材で構成されることが想定されるが、他の材料の使用も本発明の範囲内である。ビームメンバ全体またはメンバの個々の構成要素は、金属、主に構造用鋼から、板からの切断、鋳造、溶接またはボルト止め形状の構築、機械加工、板の冷間曲げからの成形、押し出し、熱間圧延、または他の製作または製造工程などの公知の製作工程によって形成し得る。しかしながら、炭素繊維や他の金属などの他の既知の材料や他の製造工程も本発明の範囲内である。木材、プラスチック、炭素繊維または他の金属などの他のデッキ材も本発明の範囲内である。アスファルト、エポキシ、またはその他のセメント系材料などの他のスラブ材料も本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付の図面は、本明細書の一部を構成するものであり、本明細書と併せて読まれるものであり、様々な図において、同様または類似の部品を示すために、同様の参照数字を用いるものとする。
【0009】
【
図1】本開示の教示に係る、荷重を支持する構造ビームアンドデッキアセンブリの一実施形態の全体等角図である。
【
図2】本開示の教示に係る、
図1に示した実施形態の拡大部分等角図である。
【
図3A】本開示の教示に係る、荷重を支持する構造ビームアンドデッキアセンブリの一実施形態の断面図である。
【
図3B】本開示の教示に係る、荷重を支持する構造ビームアンドデッキアセンブリの一実施形態の断面図である。
【
図3C】本開示の教示に係る、荷重を支持する構造ビームアンドデッキアセンブリの一実施形態の断面図である。
【
図3D】本開示の教示に係る、
図3A、
図3B及び
図3Cのビームメンバに含まれる鋸歯状上部フランジの一実施形態の上面図(D)である。
【
図4A】鋸歯状の上部フランジと細長いウェブ部を有するビームのさらなる実施形態を示す図である。
【
図4B】鋸歯状の上部フランジと細長いウェブ部を有するビームのさらなる実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の下記の詳細な説明は、本発明を実施することができる特定の実施形態を示す添付の図面を参照する。実施形態は、当業者が本発明を実施可能となるように本発明の態様を十分に詳細に説明することを意図するものである。なお、本発明の範囲の精神から逸脱することなく、他の実施形態を利用し、変更を加えることができる。本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義されるものであり、したがって、本明細書は、限定的な意味で解釈されるべきものではなく、かかる特許請求の範囲が権利を有する均等物の範囲を限定するものではない。
【0011】
本仮特許出願は、米国特許出願番号第15/929292の教示の全体が参照により組み込まれる。
【0012】
図1は、デッキアセンブリ40をそれぞれ含む、隣接するビームアンドデッキアセンブリ60および61の等角図を示している。隣接するビームアンドデッキアセンブリ60および61は、設置時に互いに取り付けられる際にビームメンバ10の全断面を形成する。
【0013】
図2は、
図1の実施形態の拡大部分等角図を示している。ビームアンドデッキアセンブリ60は、ビームメンバ10の全体の断面の一部分50で構成され、一部分50は、設置前にデッキアセンブリ40に接続されている。ビームアンドデッキアセンブリ61は、ビームメンバ10の全体の断面の一部分51で構成される。一部分51は、設置前にデッキアセンブリ40に接続されている。設置時には、ビームアンドデッキアセンブリ60は、固定具70を用いて部分50を部分51に固定することにより、隣接するビームアンドデッキアセンブリ61に取り付けられる。固定具70は、ボルト、リベット、溶接、または現在知られている、あるいは今後開発される任意の構造的接続部であってもよい。部分50を部分51に接続することにより、結果的に鋸歯状上部フランジ20で構成されるビームメンバ10の全断面が完成する。位置合わせされた鋸歯21は、鋸歯状上部フランジ20の各側面から水平方向に突出している。コンクリートスラブ(図示せず)は、鋸歯状上部フランジ20を完全に埋め込む厚さまでデッキアセンブリ40上に打設される。鋸歯状上部フランジ20とコンクリートスラブが上部フランジ20の長さに沿って加えられる荷重の下で、同様の大きさと方向のひずみを受けて、これにより複合作用が生じるように、鋸歯21がコンクリートスラブに係合する。デッキ40は、ビームメンバの下部フランジ間に跨って配置されて打設中のコンクリートスラブを支持し、コンクリートスラブに付与された重畳荷重をビームメンバ10に伝達する役割を果たす。デッキアセンブリ40のビームメンバ10への接続は、ビームメンバ10がねじれ運動するのを抑制し、これによりコンクリートスラブの打設中にビームメンバ10の横方向のねじれ座屈を緩和する。
【0014】
一般的に全体を通して、コンクリートスラブにコンクリートを使用することは、より液体の状態で流し込んだり設置したりしてから、より硬質または固体の状態に硬化または固化させることができる別の構造媒体であってもよい。コンクリートが良い例であるが、流動性のあるグラウト、エポキシ混合物、または他の同様の構造媒体とすることもできる。
【0015】
図3(A)、
図3(B)および
図3(C)は、隣接するビームアンドデッキアセンブリの断面図を示している。隣接するビームアンドデッキアセンブリ60および61は、ビームメンバ10の全体断面の一部分50と、隣接するビームメンバ10の一部分51とから構成され、ビームアンドデッキアセンブリ60および61を設置する前に部分50および51がデッキアセンブリ40によって相互連結される。設置時には、ビームアンドデッキアセンブリ61は、固定具70を用いて部分51を部分50に固定することにより、隣接するビームアンドデッキアセンブリ60に取り付けられる。部分51を部分50に接続することにより、ビームメンバ10の全断面が完成する。ビームアンドデッキアセンブリ60の右側端部は、部分51が隣接するビーム及びデッキ部分に設置され固定されて示されており、この結果、鋸歯状上部フランジ20で構成されるビームメンバ10が完成する。鋸歯状上部フランジ20の各側面からは、位置合わせされた鋸歯21が水平方向に突出している。鋸歯21は、米国特許出願番号第15/929292により詳しく記載されているタイプのものであってもよい。コンクリートスラブ(図示せず)は、鋸歯状上部フランジ20を完全に埋め込む深さまでデッキアセンブリ40の上に打設される。鋸歯状上部フランジ20は、垂直ウェブメンバ32に相互連結されている。垂直ウェブメンバ32は、下部フランジメンバ31に相互連結されている。デッキ40は、ビームメンバの下部フランジ間に跨って配置されて打設中のコンクリートスラブを支持し、コンクリートスラブに付与された重畳荷重をビームメンバ10に伝達する役割を果たす。デッキアセンブリをビームメンバ10へ接続することで、ビームメンバ10がねじれ運動するのを抑制し、これによりコンクリートスラブ打設中にビームメンバ10の横方向のねじれ座屈を緩和する。
図3Dは、各側に位置合わせされた鋸歯21を含む鋸歯状の上部フランジ20の上面図を示している。鋸歯状上部フランジ20とコンクリートスラブが上部フランジ20の長さに沿って加えられる荷重の下で、同様の大きさと方向のひずみを受けて、これにより複合作用が生じるように、鋸歯21がコンクリートスラブに係合する。
【0016】
図4(A)は、深い桁の実施形態を示す更なる実施形態である。ビームメンバ10は、上述したように、鋸歯状上部フランジ20で構成し得る。本実施形態は、デッキアセンブリ40の下方に延びる細長い垂直ウェブメンバ32を含んでもよい。ビームメンバ10は、
図4(B)に示すように、デッキアセンブリ40の中央部またはデッキアセンブリ40の端部を貫通して延びていてもよい。
【0017】
以上から、本発明は、構造に特有な自明の他の利点とともに、本明細書に記載した全ての結果および目的を達成するようによく適合されたものであることがわかるであろう。特定の特徴および部分的な組合せは有用であり、他の特徴および部分的な組合せを参照することなく採用され得ることが理解されよう。これは、特許請求の範囲によって考察され、特許請求の範囲内である。本発明の多くの可能な実施形態がその範囲から逸脱することなくなされ得るので、本明細書に記載されまたは添付図面に示されるすべての事項は、例示的なものとして解釈され、限定的なものではないことも理解されるであろう。
【0018】
上述しかつ図面に示した構造および方法は、一例としてのみ示したものであり、本発明の概念および原理を限定することを意図したものではない。このように、新規な発明のいくつかの実施形態について示し説明してきた。
【0019】
前述の説明から明らかなように、本発明の特定の態様は、本明細書に例示した実施例の特定の詳細によって限定されるものではなく、したがって、当業者には、他の修正および応用、またはその等価物が生じるということが考察される。前述の明細書で使用されている「有する」、「含む」および類似の用語は、「任意」または「含んでもよい」という意味で使用されており、「必要である」という意味で使用されているのではない。しかしながら、本構造の多くの変更、修正、変形、および他の用途および応用は、本明細書および添付図面を考慮した後に当業者には明らかになるであろう。本発明の精神および範囲から逸脱しない、そのような変更、修正、変形、および他の用途および応用はすべて、後に続く特許請求の範囲によってのみ限定される本発明に包含されるとみなされる。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
前述の説明から明らかなように、本発明の特定の態様は、本明細書に例示した実施例の特定の詳細によって限定されるものではなく、したがって、当業者には、他の修正および応用、またはその等価物が生じるということが考察される。前述の明細書で使用されている「有する」、「含む」および類似の用語は、「任意」または「含んでもよい」という意味で使用されており、「必要である」という意味で使用されているのではない。しかしながら、本構造の多くの変更、修正、変形、および他の用途および応用は、本明細書および添付図面を考慮した後に当業者には明らかになるであろう。本発明の精神および範囲から逸脱しない、そのような変更、修正、変形、および他の用途および応用はすべて、後に続く特許請求の範囲によってのみ限定される本発明に包含されるとみなされる。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
1つまたは複数の構造支持体を跨ぐ構造床パネルであって、
前記構造床パネルの構造アセンブリは、
1つまたは複数の垂直ウェブメンバに結合される鋸歯状水平上部フランジメンバを備える第1の構造ビームメンバであって、前記鋸歯状水平上部フランジメンバは、前記鋸歯状水平上部フランジメンバ上に間隔をあけて配置された複数の鋸歯を備え、前記複数の鋸歯の隣接する鋸歯の間に複数の空隙を画定する、前記第1の構造ビームメンバと、
第1の端部および第2の端部によって画定される長さを有するデッキであって、前記第1の構造ビームメンバが前記デッキの前記第1の端部に固定される、前記デッキと、
前記デッキの前記第2の端部に固定される第2の構造ビームメンバと、
を備える、構造床パネル。
(項目2)
項目1に記載の前記構造床パネルを少なくとも2つ備える構造床システムであって、第1の構造床パネルの前記第2の構造ビームメンバは、第2の構造床パネルの前記第1の構造ビームメンバに結合される、構造床システム。
【国際調査報告】