(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】熱管理方法及び熱管理システム
(51)【国際特許分類】
H01M 10/633 20140101AFI20240117BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20240117BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20240117BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20240117BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240117BHJP
H01M 10/6235 20140101ALI20240117BHJP
H01M 10/623 20140101ALI20240117BHJP
【FI】
H01M10/633
H01M10/615
H01M10/6556
H01M10/6568
H01M10/625
H01M10/6235
H01M10/623
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541944
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(85)【翻訳文提出日】2023-07-11
(86)【国際出願番号】 CN2021126254
(87)【国際公開番号】W WO2023070294
(87)【国際公開日】2023-05-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼元▲ミィアォ▼
(72)【発明者】
【氏名】黄孝▲鍵▼
(72)【発明者】
【氏名】李占良
(72)【発明者】
【氏名】但志▲敏▼
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031HH06
5H031KK08
(57)【要約】
本出願の実施例は、熱管理方法及び熱管理システムを提供する。熱管理方法は、加熱装置と、電池パックと、管路サブシステムとを含む熱管理システムに応用され、ここで、管路サブシステムが加熱装置及び電池パックと熱接触し、熱管理方法は、前記加熱装置が作動状態にある時、加熱装置の温度及び電池パックの電池パックの温度を検出し、そして、加熱装置の温度が電池パックの温度よりも高い時、管路サブシステムを介して、熱を加熱装置から電池パックに伝達することを含む。本出願の実施例によれば、熱管理効率を向上させ、熱管理コストを低減させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱装置と、電池パックと、前記加熱装置及び前記電池パックと熱接触する管路サブシステムとを含む熱管理システムに用いられる熱管理方法であって、
前記加熱装置が作動状態にある時、加熱装置の温度及び前記電池パックの電池パックの温度を検出し、そして、
前記加熱装置の温度が前記電池パックの温度よりも高い時、前記管路サブシステムを介して、熱を前記加熱装置から前記電池パックに伝達することを含む、ことを特徴とする熱管理方法。
【請求項2】
前記管路サブシステムは、その中を流れることができる熱交換媒体を含み、前記管路サブシステムは、前記電池パックと熱接触する電池パック熱交換器と、前記加熱装置と熱接触する加熱装置熱交換器とをさらに含み、それによって前記熱交換媒体が前記加熱装置及び前記電池パックと熱を伝達することができる、ことを特徴とする請求項1に記載の熱管理方法。
【請求項3】
前記加熱装置の温度は、前記加熱装置熱交換器の媒体流出ポートで測定される、ことを特徴とする請求項2に記載の熱管理方法。
【請求項4】
前記熱管理方法は、前記加熱装置の温度を検出し、そして、検出した加熱装置の温度が第一の加熱装置温度閾値よりも高い時、前記管路サブシステムの熱交換媒体が前記電池パック熱交換器を避けるように循環して流れるようにすることをさらに含む、ことを特徴とする請求項2に記載の熱管理方法。
【請求項5】
前記熱管理方法は、前記加熱装置の温度を検出し、そして、検出した加熱装置の温度が第二の加熱装置温度閾値よりも高い時、前記管路サブシステムの熱交換媒体が前記電池パック熱交換器を避けるように循環して流れるようにし、前記管路サブシステムに接続される冷却モジュールを起動して前記熱交換媒体を冷却することをさらに含む、ことを特徴とする請求項2に記載の熱管理方法。
【請求項6】
電池パックと、加熱装置と、前記加熱装置及び前記電池パックと熱接触する管路サブシステムとを含む熱管理システムであって、
前記熱管理システムは、前記加熱装置が作動状態にある時、加熱装置の温度及び前記電池パックの電池パックの温度を検出するように構成されており、そして、
前記管路サブシステムは、前記加熱装置の温度が前記電池パックの温度よりも高い時、熱を前記加熱装置から前記電池パックに伝達するように構成されている、ことを特徴とする熱管理システム。
【請求項7】
前記加熱装置は、スイッチモジュールと、エネルギー貯蔵ユニットと、冷却ユニットとを含み、前記スイッチモジュールと前記エネルギー貯蔵ユニットとは、互いに電気的に接続され、前記スイッチモジュール及び前記エネルギー貯蔵ユニットは、いずれも前記冷却ユニットと熱接触し、それによって前記スイッチモジュール及び前記エネルギー貯蔵ユニットは、いずれも前記冷却ユニットに熱を伝達することができる、ことを特徴とする請求項6に記載の熱管理システム。
【請求項8】
前記加熱装置は、電圧安定化モジュールをさらに含み、前記電圧安定化モジュールは、前記スイッチモジュールに電気的に接続され且つ前記冷却ユニットと熱接触し、それによって前記電圧安定化モジュールは、前記冷却ユニットに熱を伝達することができる、ことを特徴とする請求項7に記載の熱管理システム。
【請求項9】
前記管路サブシステムは、電池パック熱交換器と、加熱装置熱交換器と、第一のポンプと、第二のポンプと、第一の三方管と、第二の三方管と、第一の三方弁と、第二の三方弁と、熱交換器とを含み、
ここで、前記電池パック熱交換器は、前記電池パックと熱接触し、前記加熱装置熱交換器は、前記加熱装置と熱接触し、
前記第一の三方管と前記第二の三方管とのうちのいずれか一つは、いずれも、第一のポートと、第二のポートと、第三のポートとを含み、前記第一の三方弁と前記第二の三方弁とのうちのいずれか一つは、いずれも、共通弁口と、第一の弁口と、第二の弁口とを含み、
前記加熱装置熱交換器の媒体流出ポートが前記第一のポンプの入力ポートに接続され、前記第一のポンプの出力ポートが前記第一の三方管の第一のポートに接続され、前記第一の三方管の第二のポートが前記熱交換器の一つのポートに接続され、前記熱交換器の他のポートが前記第二の三方弁の共通弁口に接続され、前記第二の三方弁の第二の弁口が前記第二のポンプの入力ポートに接続され、前記第二のポンプの出力ポートが前記電池パック熱交換器の媒体流入ポートに接続され、前記電池パック熱交換器の媒体流出ポートが前記第二の三方管の第一のポートに接続され、前記第二の三方管の第二のポートが前記加熱装置熱交換器の媒体流入ポートに接続され、
前記第一の三方管の第三のポートが前記第一の三方弁の第二の弁口に接続され、前記第二の三方管の第三のポートが前記第一の三方弁の共通弁口に接続され、前記第二の三方弁の第一の弁口が前記第一の三方弁の第一の弁口に接続される、ことを特徴とする請求項7に記載の熱管理システム。
【請求項10】
前記管路サブシステムは、その中を流れる熱交換媒体を含み、前記熱交換媒体は、エチレングリコールと水との混合溶液であり、前記管路サブシステムは、前記第一の三方管と前記熱交換器との間に設置される、前記混合溶液を貯蔵及び補充するための膨張水タンクをさらに含む、ことを特徴とする請求項9に記載の熱管理システム。
【請求項11】
前記熱管理システムは、
前記加熱装置の温度を検出するために前記加熱装置熱交換器の媒体流出ポート箇所に設置される加熱装置熱交換器媒体流出ポートの温度センサと、
前記熱交換器に接続されて前記熱交換器を冷却する冷却モジュールとをさらに含む、ことを特徴とする請求項9に記載の熱管理システム。
【請求項12】
前記熱管理システムは、コントローラをさらに含み、前記電池パックは、電池管理モジュールを含み、前記加熱装置は、加熱装置制御ユニットを含み、前記コントローラと、前記電池管理モジュールと、前記加熱装置制御ユニットとは、コントローラエリアネットワークCANを介して互いに接続され、
前記加熱装置熱交換器媒体流出ポートの温度センサ、前記第一のポンプ、前記第二のポンプ、前記第一の三方弁、前記第二の三方弁及び前記冷却モジュールは、前記コントローラに接続され、
前記電池管理モジュールは、前記電池パックの温度を検出し、
前記加熱装置制御ユニットは、前記加熱装置におけるスイッチモジュールとエネルギー貯蔵ユニットとのうちの少なくとも一つの温度を検出し、
ここで、前記コントローラは、前記加熱装置熱交換器媒体流出ポートの温度センサ、前記電池管理モジュール及び前記加熱装置制御ユニットからのデータに基づいて、前記第一のポンプと、前記第二のポンプと、前記第一の三方弁と、前記第二の三方弁と、前記冷却モジュールとのうちの少なくとも一つを制御することによって、前記熱管理システムの少なくとも一つの作動モードを実現する、ことを特徴とする請求項11に記載の熱管理システム。
【請求項13】
前記加熱装置が作動状態にある場合、前記加熱装置制御ユニットにより検出された前記エネルギー貯蔵ユニットの温度がエネルギー貯蔵ユニットの温度閾値よりも高く又は前記スイッチモジュールの温度がスイッチモジュールの温度閾値よりも高い時、前記コントローラは、前記第一のポンプを起動し、前記第二のポンプをオフにし、第一の弁口のみが共通弁口と連通するように前記第一の三方弁を制御し、第一の弁口のみが共通弁口と連通するように前記第二の三方弁を制御するとともに、前記冷却モジュールを起動することによって、前記加熱装置を冷却する、ことを特徴とする請求項12に記載の熱管理システム。
【請求項14】
前記加熱装置が作動状態にある場合、前記加熱装置制御ユニットにより検出された前記エネルギー貯蔵ユニットの温度がエネルギー貯蔵ユニットの温度閾値以下であり且つ前記スイッチモジュールの温度がスイッチモジュールの温度閾値以下である時、前記コントローラは、さらに前記加熱装置熱交換器媒体流出ポートの温度センサ及び前記電池管理モジュールからのデータに基づいて、前記第一のポンプと、前記第二のポンプと、前記第一の三方弁と、前記第二の三方弁と、前記冷却モジュールとのうちの少なくとも一つを制御する、ことを特徴とする請求項12に記載の熱管理システム。
【請求項15】
前記加熱装置熱交換器媒体流出ポートの温度センサにより検出された、加熱装置熱交換器から流出した熱交換媒体の温度が前記電池管理モジュールにより検出された電池パックの温度よりも高い時、前記コントローラは、前記第一のポンプを起動し、前記第二のポンプを起動し、第一の弁口のみが共通弁口と連通するように前記第一の三方弁を制御し、第二の弁口のみが共通弁口と連通するように前記第二の三方弁を制御するとともに、前記冷却モジュールをオフにすることによって、前記加熱装置の熱を前記電池パックに伝達できるようにする、ことを特徴とする請求項14に記載の熱管理システム。
【請求項16】
前記加熱装置熱交換器媒体流出ポートの温度センサにより検出された、加熱装置熱交換器から流出した熱交換媒体の温度が前記電池管理モジュールにより検出された電池パックの温度以下である時、前記コントローラは、前記第一のポンプを起動し、前記第二のポンプをオフにし、第二の弁口のみが共通弁口と連通するように前記第一の三方弁を制御し、第一の弁口のみが共通弁口と連通するように前記第二の三方弁を制御するとともに、前記冷却モジュールをオフにすることによって、前記加熱装置の熱を前記管路サブシステムにおける熱交換媒体に伝達できるようにする、ことを特徴とする請求項14に記載の熱管理システム。
【請求項17】
前記加熱装置が作動状態にない場合、前記電池管理モジュールにより検出された電池パックの温度が第一の電池パックの温度閾値よりも高い時、前記コントローラは、前記第一のポンプをオフにし、前記第二のポンプを起動し、第二の弁口のみが共通弁口と連通するように前記第一の三方弁を制御し、第二の弁口のみが共通弁口と連通するように前記第二の三方弁を制御するとともに、前記冷却モジュールをオフにすることによって、前記電池パックを冷却する、ことを特徴とする請求項12に記載の熱管理システム。
【請求項18】
前記電池管理モジュールにより検出された電池パックの温度が第二の電池パックの温度閾値よりも高い時、前記コントローラは、前記第一のポンプをオフにし、前記第二のポンプを起動し、第二の弁口のみが共通弁口と連通するように前記第一の三方弁を制御し、第二の弁口のみが共通弁口と連通するように前記第二の三方弁を制御するとともに、前記冷却モジュールを起動することによって、前記電池パックを冷却する、ことを特徴とする請求項17に記載の熱管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、熱管理の技術分野に関し、具体的に、熱管理方法及び熱管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には、様々な電力消費装置(例えば、電気自動車)は、電池パックを動力源として使用することがますます増えているが、電池パックの性能は、使用環境の影響を受ける。例えば、低温環境下で電池パックの性能は、ある程度低下する可能性がある。そのため、様々な技術手段を利用し、電池パックの熱管理をすることができる。
【0003】
従来の熱管理には効率が悪く、コストが高いという問題がある。外部加熱の技術手段に対しては、熱源と、媒体と、加熱対象との間の熱伝達を介する必要があり、損失が比較的大きく、効率が高くない。内部加熱の技術手段に対しては、電流が導体とインピーダンス素子を流れる必要があり、損失が比較的大きいため、熱の浪費を引き起こしてしまう。電池パックの電力量を利用してそれ自体を加熱すると、エネルギー消費と電気自動車の航続に影響を与える。なお、加熱効率向上の努力によるコストの増加は、加熱効率の増加と釣り合わないため、一部の加熱熱量が随意に散逸してしまう現象が生じる。
【発明の概要】
【0004】
上記問題に鑑み、本出願は、熱管理効率が高くなく、コストが高いという問題を克服又は緩和できる熱管理方法及び熱管理システムを提供する。
【0005】
第一の態様によれば、本出願は、加熱装置と、電池パックと、前記加熱装置及び前記電池パックと熱接触する管路サブシステムとを含む熱管理システムに用いられる熱管理方法を提供し、前記熱管理方法は、前記加熱装置が作動状態にある時、加熱装置の温度及び前記電池パックの電池パックの温度を検出し、そして、前記加熱装置の温度が前記電池パックの温度よりも高い時、前記管路サブシステムを介して、熱を前記加熱装置から前記電池パックに伝達することを含む。
【0006】
本出願の実施例の技術案では、熱管理方法は、加熱装置と、電池パックと、管路サブシステムとを含む熱管理システムを利用して実施される。ここで、管路サブシステムと加熱装置との間及び管路サブシステムと電池パックとの間は、いずれも、熱接触を形成する。管路サブシステムと加熱装置及び電池パックの両方との熱接触により、加熱装置が作動状態にあり且つ加熱装置の温度が電池パックの温度よりも高い時、管路サブシステムにより、加熱装置から電池パックへの熱伝達を実現することができる。
【0007】
いくつかの実施例では、前記管路サブシステムは、その中を流れることができる熱交換媒体を含み、前記管路サブシステムは、前記電池パックと熱接触する電池パック熱交換器と、前記加熱装置と熱接触する加熱装置熱交換器とをさらに含み、それによって前記熱交換媒体が前記加熱装置及び前記電池パックと熱を伝達することができる。管路サブシステムに含まれる熱交換媒体、電池パック熱交換器及び加熱装置熱交換器により、加熱装置から電池パックへの熱伝達の効率を向上させることができる。
【0008】
いくつかの実施例では、前記加熱装置の温度は、前記加熱装置熱交換器の媒体流出ポートで測定される。加熱装置熱交換器の媒体流出ポートで媒体温度を検出することで、熱を伝達するタイミングを容易に判断することができ、即ち検出した加熱装置の温度が電池パックの温度よりも高い時、加熱装置から電池パックへの熱伝達を行うことができる。
【0009】
いくつかの実施例では、前記熱管理方法は、前記加熱装置の温度を検出し、そして、検出した加熱装置の温度が第一の加熱装置温度閾値よりも高い時、前記管路サブシステムの熱交換媒体が前記電池パック熱交換器を避けるように循環して流れるようにすることをさらに含む。このステップは、加熱装置の温度及び電池パックの温度を検出する前に実行されてもよい。加熱装置の温度の検出は、加熱装置の一つ又は複数の部材の温度を検出することによって実現されてもよい。加熱装置の温度が第一の加熱装置温度閾値よりも高い時、加熱装置の温度が十分に高いと考えられ、それによって加熱装置の熱を管路サブシステムの熱交換媒体に伝達することができる。この時、熱交換媒体が電池パック熱交換器を避けるようにすることで、熱が熱交換媒体から電池パックに伝達されることを回避することができ、それによって加熱装置の熱を熱交換媒体に十分に伝達し、熱交換媒体の温度を迅速に向上させ、熱管理効率を向上させることができる。
【0010】
いくつかの実施例では、前記熱管理方法は、前記加熱装置の温度を検出し、そして、検出した加熱装置の温度が第二の加熱装置温度閾値よりも高い時、前記管路サブシステムの熱交換媒体が前記電池パック熱交換器を避けるように循環して流れるようにし、前記管路サブシステムに接続される冷却モジュールを起動して前記熱交換媒体を冷却することをさらに含む。このステップは、熱を加熱装置から電池パックに伝達した後に実行されてもよい。加熱装置の温度の検出は、加熱装置の一つ又は複数の部材の温度を検出することによって実現されてもよい。加熱装置の温度が第二の加熱装置温度閾値よりも高い時、ここで第二の加熱装置温度閾値が第一の加熱装置温度閾値よりも高く、加熱装置の温度が高すぎると考えられ、それによって加熱装置を冷却することができる。この時、熱交換媒体が電池パック熱交換器を避けるようにし且つ冷却モジュールを起動することで、熱交換媒体を冷却すると同時に、熱が電池パックから熱交換媒体に伝達されることを回避することができ、それによって熱交換媒体を十分に冷却し、加熱装置の温度を迅速に低減させ、熱管理効率を向上させることができる。
【0011】
第二の態様によれば、本出願は、電池パックと、加熱装置と、前記加熱装置及び前記電池パックと熱接触する管路サブシステムとを含む熱管理システムを提供し、前記熱管理システムは、前記加熱装置が作動状態にある時、加熱装置の温度及び前記電池パックの電池パックの温度を検出するように構成されており、そして、前記管路サブシステムは、前記加熱装置の温度が前記電池パックの温度よりも高い時、熱を前記加熱装置から前記電池パックに伝達するように構成されている。
【0012】
本出願の実施例の技術案では、電池パック、加熱装置及び管路サブシステムにより熱管理システムを形成する。ここで、加熱装置と電池パックとの間に電気的な接続を形成し、管路サブシステムと電池パックとの間及び管路サブシステムと加熱装置との間にいずれも熱接触を形成する。加熱装置と電池パックとの間の電気的な接続により、加熱装置は、電池パックに電流を印加することにより、電池パックに対する加熱を実現することができる。管路サブシステムと加熱装置及び電池パックの両方との熱接触により、加熱装置が作動状態にあり且つ加熱装置の温度が電池パックの温度よりも高い時、管路サブシステムを介して加熱装置から電池パックへの熱伝達を実現することができる。
【0013】
いくつかの実施例では、前記加熱装置は、スイッチモジュールと、エネルギー貯蔵ユニットと、冷却ユニットとを含み、前記スイッチモジュールと前記エネルギー貯蔵ユニットとは、互いに電気的に接続され、前記スイッチモジュール及び前記エネルギー貯蔵ユニットは、いずれも前記冷却ユニットと熱接触し、それによって前記スイッチモジュール及び前記エネルギー貯蔵ユニットは、いずれも、前記冷却ユニットに熱を伝達することができる。スイッチモジュールとエネルギー貯蔵ユニットとの間の電気的な接続により、加熱装置の加熱機能を実現し、さらに電池パックに対する加熱を実現することができる。スイッチモジュール及びエネルギー貯蔵ユニットの両方と冷却ユニットとの熱接触により、スイッチモジュールとエネルギー貯蔵ユニットに効果的な放熱を提供することができる。
【0014】
いくつかの実施例では、前記加熱装置は、電圧安定化モジュールをさらに含み、前記電圧安定化モジュールは、前記スイッチモジュールに電気的に接続され且つ前記冷却ユニットと熱接触し、それによって前記電圧安定化モジュールは、前記冷却ユニットに熱を伝達することができる。電圧安定化モジュールは、加熱装置に対して電圧安定化作用を果たすことができる。なお、電圧安定化モジュールと冷却ユニットとの熱接触により、電圧安定化モジュールに効果的な放熱を提供することができる。
【0015】
いくつかの実施例では、前記管路サブシステムは、電池パック熱交換器と、加熱装置熱交換器と、第一のポンプと、第二のポンプと、第一の三方管と、第二の三方管と、第一の三方弁と、第二の三方弁と、熱交換器とを含み、ここで、前記電池パック熱交換器は、前記電池パックと熱接触し、前記加熱装置熱交換器は、前記加熱装置と熱接触し、前記第一の三方管と前記第二の三方管とのうちのいずれか一つは、いずれも、第一のポートと、第二のポートと、第三のポートとを含み、前記第一の三方弁と前記第二の三方弁とのうちのいずれか一つは、いずれも、共通弁口と、第一の弁口と、第二の弁口とを含み、前記加熱装置熱交換器の媒体流出ポートが前記第一のポンプの入力ポートに接続され、前記第一のポンプの出力ポートが前記第一の三方管の第一のポートに接続され、前記第一の三方管の第二のポートが前記熱交換器の一つのポートに接続され、前記熱交換器の他のポートが前記第二の三方弁の共通弁口に接続され、前記第二の三方弁の第二の弁口が前記第二のポンプの入力ポートに接続され、前記第二のポンプの出力ポートが前記電池パック熱交換器の媒体流入ポートに接続され、前記電池パック熱交換器の媒体流出ポートが前記第二の三方管の第一のポートに接続され、前記第二の三方管の第二のポートが前記加熱装置熱交換器の媒体流入ポートに接続され、前記第一の三方管の第三のポートが前記第一の三方弁の第二の弁口に接続され、前記第二の三方管の第三のポートが前記第一の三方弁の共通弁口に接続され、前記第二の三方弁の第一の弁口が前記第一の三方弁の第一の弁口に接続される。各ポンプと、各三方管と、各三方弁と、熱交換器とを含む管路サブシステムを設置することにより、異なる応用シナリ向けの異なる熱管理モードを実現する1セットの管路を形成することができ、それによって熱管理コストを低減させる。
【0016】
いくつかの実施例では、前記管路サブシステムは、その中を流れる熱交換媒体を含み、前記熱交換媒体は、エチレングリコールと水との混合溶液であり、前記管路サブシステムは、前記第一の三方管と前記熱交換器との間に設置される、前記混合溶液を貯蔵及び補充するための膨張水タンクをさらに含む。エチレングリコールと水との混合溶液を熱交換媒体として利用することで、熱交換媒体の効果的な加熱又は冷却を実現し、加熱装置と電池パックとの間の熱交換効率を向上させることができる。管路サブシステムに膨張水タンクを設置することで、必要に応じて、熱交換媒体が多すぎる時、熱交換媒体を貯蔵することができ、熱交換媒体が不足している時、熱交換媒体を補充することもできる。
【0017】
いくつかの実施例では、前記熱管理システムは、前記加熱装置の温度を検出するために前記加熱装置熱交換器の媒体流出ポート箇所に設置される加熱装置熱交換器媒体流出ポートの温度センサと、前記熱交換器に接続されて前記熱交換器を冷却する冷却モジュールとをさらに含む。加熱装置熱交換器の媒体流出ポート箇所に温度センサを設置することで、加熱装置熱交換器から流出した熱交換媒体の温度を検出することができ、さらに検出結果を利用して異なる応用シナリ向けの異なる熱管理モードを実現することができる。熱交換器に接続される冷却モジュールにより、熱交換器に対する冷却を実現することができ、さらに実際の応用シナリオに応じて管路サブシステムにおける熱交換媒体を冷却する。
【0018】
いくつかの実施例では、前記熱管理システムは、コントローラをさらに含み、前記電池パックは、電池管理モジュールを含み、前記加熱装置は、加熱装置制御ユニットを含み、前記コントローラと、前記電池管理モジュールと、前記加熱装置制御ユニットとは、コントローラエリアネットワークCANを介して互いに接続され、前記加熱装置熱交換器媒体流出ポートの温度センサ、前記第一のポンプ、前記第二のポンプ、前記第一の三方弁、前記第二の三方弁及び前記冷却モジュールは、前記コントローラに接続され、前記電池管理モジュールは、前記電池パックの温度を検出し、前記加熱装置制御ユニットは、前記加熱装置におけるスイッチモジュールとエネルギー貯蔵ユニットとのうちの少なくとも一つの温度を検出し、ここで、前記コントローラは、前記加熱装置熱交換器媒体流出ポートの温度センサ、前記電池管理モジュール及び前記加熱装置制御ユニットからのデータに基づいて、前記第一のポンプと、前記第二のポンプと、前記第一の三方弁と、前記第二の三方弁と、前記冷却モジュールとのうちの少なくとも一つを制御することによって、前記熱管理システムの少なくとも一つの作動モードを実現する。電池管理モジュールにより、電池パックに関する温度を検出することができ、加熱装置制御ユニットにより、加熱装置の各部材に関する温度を検出することができ、さらに、電池管理モジュールと加熱装置制御ユニットに接続されるコントローラにより、各ポンプ、各三方弁及び冷却モジュールを制御することができ、それによって異なる応用シナリ向けの異なる熱管理モードを実現する。
【0019】
いくつかの実施例では、前記加熱装置が作動状態にある場合、前記加熱装置制御ユニットにより検出された前記エネルギー貯蔵ユニットの温度がエネルギー貯蔵ユニットの温度閾値よりも高く又は前記スイッチモジュールの温度がスイッチモジュールの温度閾値よりも高い時、前記コントローラは、前記第一のポンプを起動し、前記第二のポンプをオフにし、第一の弁口のみが共通弁口と連通するように前記第一の三方弁を制御し、第一の弁口のみが共通弁口と連通するように前記第二の三方弁を制御するとともに、前記冷却モジュールを起動することによって、前記加熱装置を冷却する。このような場合、本出願の実施例による熱管理システムを利用し、加熱装置の温度が高すぎる時に、加熱装置の迅速な冷却を実現し、即ち加熱装置を迅速に冷却し、加熱装置の温度を迅速に低減させることができる。
【0020】
いくつかの実施例では、前記加熱装置が作動状態にある場合、前記加熱装置制御ユニットにより検出された前記エネルギー貯蔵ユニットの温度がエネルギー貯蔵ユニットの温度閾値以下であり且つ前記スイッチモジュールの温度がスイッチモジュールの温度閾値以下である時、前記コントローラは、さらに前記加熱装置熱交換器媒体流出ポートの温度センサ及び前記電池管理モジュールからのデータに基づいて、前記第一のポンプと、前記第二のポンプと、前記第一の三方弁と、前記第二の三方弁と、前記冷却モジュールとのうちの少なくとも一つを制御する。このような場合、本出願の実施例による熱管理システムを利用し、加熱装置温度が高すぎになっていない時に、加熱装置熱交換器から流出した熱交換媒体の温度と電池パックの温度とを比較するとともに、比較結果に基づいて異なる応用シナリ向けの異なる熱管理モードを実現することができる。
【0021】
いくつかの実施例では、前記加熱装置熱交換器媒体流出ポートの温度センサにより検出された、加熱装置熱交換器から流出した熱交換媒体の温度が前記電池管理モジュールにより検出された電池パックの温度よりも高い時、前記コントローラは、前記第一のポンプを起動し、前記第二のポンプを起動し、第一の弁口のみが共通弁口と連通するように前記第一の三方弁を制御し、第二の弁口のみが共通弁口と連通するように前記第二の三方弁を制御するとともに、前記冷却モジュールをオフにすることによって、前記加熱装置の熱を前記電池パックに伝達できるようにする。このような場合、本出願の実施例による熱管理システムを利用し、加熱装置熱交換器から流出した熱交換媒体の温度が電池パックの温度よりも高い時に、大ループ電池の水熱を実現し、即ち加熱装置から電池パックへの熱伝達を実現し、電池パックの温度を向上させることができる。
【0022】
いくつかの実施例では、前記加熱装置熱交換器媒体流出ポートの温度センサにより検出された、加熱装置熱交換器から流出した熱交換媒体の温度が前記電池管理モジュールにより検出された電池パックの温度以下である時、前記コントローラは、前記第一のポンプを起動し、前記第二のポンプをオフにし、第二の弁口のみが共通弁口と連通するように前記第一の三方弁を制御し、第一の弁口のみが共通弁口と連通するように前記第二の三方弁を制御するとともに、前記冷却モジュールをオフにすることによって、前記加熱装置の熱を前記管路サブシステムにおける熱交換媒体に伝達できるようにする。このような場合、本出願の実施例による熱管理システムを利用し、加熱装置熱交換器から流出した熱交換媒体の温度が電池パックの温度以下である時に、小ループの迅速な水熱を実現し、即ち熱交換媒体を迅速に加熱し、熱交換媒体の温度を迅速に向上させることができる。
【0023】
いくつかの実施例では、前記加熱装置が作動状態にない場合、前記電池管理モジュールにより検出された電池パックの温度が第一の電池パックの温度閾値よりも高い時、前記コントローラは、前記第一のポンプをオフにし、前記第二のポンプを起動し、第二の弁口のみが共通弁口と連通するように前記第一の三方弁を制御し、第二の弁口のみが共通弁口と連通するように前記第二の三方弁を制御するとともに、前記冷却モジュールをオフにすることによって、前記電池パックを冷却する。このような場合、本出願の実施例による熱管理システムを利用し、電池パックの温度が比較的高い時に、電池の冷却を実現し、即ち電池パックを冷却し、電池パックの温度を低減させることができる。
【0024】
いくつかの実施例では、前記電池管理モジュールにより検出された電池パックの温度が第二の電池パックの温度閾値よりも高い時、前記コントローラは、前記第一のポンプをオフにし、前記第二のポンプを起動し、第二の弁口のみが共通弁口と連通するように前記第一の三方弁を制御し、第二の弁口のみが共通弁口と連通するように前記第二の三方弁を制御するとともに、前記冷却モジュールを起動することによって、前記電池パックを冷却する。このような場合、本出願の実施例による熱管理システムを利用し、電池パックの温度が高すぎる時に、電池の迅速な冷却を実現し、即ち電池パックを迅速に冷却し、電池パックの温度を迅速に低減させることができる。
【0025】
上記説明は、本出願の技術案の概要に過ぎない。本出願の技術手段をより明瞭に理解した上、明細書の内容に従って実施できるために、そして本出願の上記と他の目的、特徴及び利点をより明確にわかりやすくするために、以下は、本出願の具体的な実施の形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
以下の好ましい実施の形態の詳細な記述を閲読することにより、様々な他の利点と有益なところは、当業者にとって明瞭になる。図面は、好ましい実施の形態を示すためにのみ使用され、本出願に対する制限とは考えられない。そして、すべての図面において、同じ符号は、同じ部材を表す。図面において、
【
図1】本出願のいくつかの実施例による熱管理システムの概略図である。
【
図2】本出願のいくつかの実施例による熱管理システムの管路サブシステムの接続状況の概略図である。
【
図3】本出願のいくつかの実施例による熱管理システムの制御状況の概略図である。
【
図4】本出願のいくつかの実施例による熱管理システムの第一の作動モードの概略図である。
【
図5】本出願のいくつかの実施例による熱管理システムの第二の作動モードの概略図である。
【
図6】本出願のいくつかの実施例による熱管理システムの第三の作動モードの概略図である。
【
図7】本出願のいくつかの実施例による熱管理システムの第四の作動モードと第五の作動モードの概略図である。
【
図8】本出願のいくつかの実施例による熱管理方法のフローチャートである。
【
図9】本出願のいくつかの実施例による熱管理方法で一部の作動モードを実現するフローチャートである。
【
図10】本出願のいくつかの実施例による熱管理方法で一部の作動モードを実現するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下は、図面を結び付けながら本出願の技術案の実施例を詳細に記述する。以下の実施例は、本出願の技術案をより明瞭に説明するためにのみ使用されるため、例に過ぎず、これにより本出願の保護範囲を制限することができない。
【0028】
特に定義されない限り、本明細書に使用されるすべての技術的と科学的用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同じであり、本明細書に使用される用語は、具体的な実施例を記述するためのものに過ぎず、本出願を限定することを意図しておらず、本出願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における用語である「含む」と「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。
【0029】
本出願の実施例の記述において、技術用語である「第一」、「第二」などは、異なる対象を区別するためにのみ使用され、相対的な重要性を明示又は示唆し、又は指示される技術的特徴の数、特定の順序又は主副関係を暗黙的に示すと理解されない。本出願の実施例の記述において、具体的で明確な限定がない限り、「複数」の意味は、二つ以上である。
【0030】
本明細書に言及された「実施例」は、実施例を結び付けて記述された特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも一つの実施例に含まれ得ることを意味している。明細書における各位置でのこのフレーズの出現は、必ずしも全てが同じ実施例を指すというわけではなく、他の実施例と相互排他する独立した又は代替的な実施例でもない。当業者であれば、本明細書に記述された実施例を他の実施例と組み合わせることが可能であることを明示的かつ非明示的に理解することができる。
【0031】
本出願の実施例の記述において、用語である「及び/又は」は、関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えば「A及び/又はB」は、「単独のA」、「AとBとの組み合わせ」、「単独のB」の三つのケースを表してもよい。また、本明細書における文字である「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0032】
本出願の実施例の記述において、用語である「複数の」は、二つ以上(二つを含む)を指し、同様に、「複数組」は、二組以上(二組を含む)を指し、「複数枚」は、二枚以上(二枚を含む)を指す。
【0033】
本出願の実施例の記述において、技術用語である「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などにより指示される方位又は位置関係は、図面に基づいて示される方位又は位置関係であり、本出願の実施例の説明の便宜又は説明の簡略化を図るためのものに過ぎず、言及された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成して操作しなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本出願の実施例を限定するものとして理解してはいけない。
【0034】
本出願の実施例の記述において、特に明確に規定、限定されていない限り、技術用語である「取り付け」、「繋がり」、「接続」、「固定」などの用語は、広義に理解されるべきであり、例えば固定的な接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体であってもよく、機械的な接続であってもよく、電気的な接続であってもよく、直接的な繋がりであってもよく、中間媒体による間接的な繋がりであってもよく、二つの素子内部の連通又は二つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本出願の実施例における具体的な意味を理解することができる。
【0035】
新エネルギー技術の発展に伴い、動力源としての電池パックの応用範囲は、ますます広くなっている。電池パックの性能は、使用環境の影響を受け、特に環境温度の影響を受ける。例えば、低温環境(例えば、-10℃、-20℃以下)では、電池パックの性能は、常温環境(例えば、20℃)に対してある程度低下する可能性があり、例えば電池パックの最大使用可能容量は、10%~20%低下する可能性がある。
【0036】
低温環境が電池パックに与える悪影響を克服するために、様々な技術手段を利用して電池パックを加熱することができる。
【0037】
例えば、外部加熱方式(例えば、加熱膜を利用する水熱方式)により電池パックを加熱してもよい。外部加熱方式は、熱源と、媒体と、加熱対象との間の熱伝達を介する必要があるため、伝達プロセスが比較的長く、損失が比較的大きく、全体的な効率が高くない。
【0038】
また例えば、内部加熱方式(例えば、電池パック構造にインピーダンス素子を設置することで、直接に電池パックの内部で熱を発生させる)により電池パックを加熱してもよい。内部加熱方式は、電流が電池パックの内部の導体とインピーダンス素子を流れる必要があるため、発熱損失が比較的大きく、そして時間が長いほど、発熱損失が大きくなり、熱の浪費を引き起こす。
【0039】
なお、電池パックに対する加熱は、エネルギー消費上の問題も発生する。つまり、電池パックを加熱するために消費されるエネルギーは、電池パックの電力に直接的又は間接的に由来する。電池パックを加熱するエネルギー消費を低減できれば、より多くのエネルギーを電気自動車の走行に用いることができ、それによって電気自動車の航続距離を向上させることができることを意味する。
【0040】
また、電池パックに対する加熱効果を改善し、加熱効率を向上させることは、必然的にコスト増加を招くが、このようなコストの増加は、加熱効果の改善及び加熱効率の増加とは一般的に釣り合いが取れず、即ち、加熱利得とコスト投入との調和が取れない。そのため、コストの観点から、一部の加熱熱量を随意に散逸させることがより合理的な現象であるかもしれない。
【0041】
以上の考えに基づき、熱管理効率が高くなく、コストが高いという問題を克服又は緩和するために、発明者は、研究により、電池パックと、加熱装置と、管路サブシステムとを含む熱管理システムを提案し、加熱装置は、電池パックに電気的に接続され、加熱装置と電池パックは、いずれも熱交換媒体を含む管路サブシステムと熱接触を形成する。このような熱管理システムにより、加熱装置から電池パックへの熱伝達を実現することができる。
【0042】
このような熱管理システムにおいて、一方では、加熱装置は、電池パックに電気的に接続され、それによって加熱装置は、電池パックに電流を印加することにより電池パックを加熱することができ、他方では、電池パック、加熱装置は、いずれも管路サブシステムと熱接触を形成し、それによって管路サブシステムにおける熱交換媒体を利用して、加熱装置から電池パックへの熱伝達を実現することができる。そのため、管路サブシステムを利用して加熱装置から電池パックへの熱伝達を実現し、本出願の実施例による熱管理システムは、異なる熱管理モードで加熱装置の散逸し得る熱を利用することができ、それによって熱管理効率を向上させ、熱管理コストを低減させる。
【0043】
本出願の実施例による熱管理システムは、様々な電力消費装置に応用することができ、例えば携帯電話、タブレットパソコン、ノートパソコン、電動玩具、電動工具、バッテリ車、電気自動車、船舶、航空機などを含むが、これらに限らない。電気自動車は、純電気自動車、電動力を利用するハイブリッド自動車、レンジエクステンダー自動車などを含む。本出願の実施例による熱管理システムは、電力消費装置の熱管理効率を向上させ、熱管理コストを低減させることができる。
【0044】
図1は、本出願のいくつかの実施例による熱管理システムの概略図である。
【0045】
本出願の実施例は、熱管理システムを提供し、熱管理システムは、電池パック100と、加熱装置200と、管路サブシステム300とを含む。加熱装置200は、電池パック100に電気的に接続され、それによって加熱装置200は、電池パック100に電流を印加することにより電池パック100を加熱することができる。管路サブシステム300は、その中を流れることができる熱交換媒体を含む。管路サブシステム300は、加熱装置200及び電池パック100と熱接触し、それによって加熱装置200は、熱交換媒体を介して電池パック100に熱を伝達することができる。
【0046】
本出願の実施例では、電池パック100、加熱装置200及び管路サブシステム300により熱管理システムを形成する。
【0047】
電池パック100の例は、電気自動車に設置される、電気自動車にエネルギーを提供できる動力電池パックを含む。加熱装置200は、電池パック100に電気的に接続され、例えば電池パック100の正負極に電気的に接続され、それによって加熱装置200の各部材(以下の詳しい説明を参照)を利用し、電池パック100に電流を印加することにより電池パック100を加熱することができる。加熱装置200の例は、電池パック100に電気的に接続される加熱ボックスを含み、電池パック100を加熱できる他の形式の加熱装置も含む。管路サブシステム300は、加熱装置200及び電池パック100の両方と熱接触を形成する。
【0048】
加熱装置200と電池パック100との間の電気的接続において採用される電圧は、100ボルト以上の直流電圧であってもよい。当業者であれば理解できるように、これは、電気的接続に対する例示的な説明に過ぎず、本発明に対する制限を構成するものではなく、電池パック100の加熱を実現できる他の形式の電圧も本発明の範囲内に含まれる。
【0049】
電池パック100及び加熱装置200の両方と管路サブシステム300との熱接触により、管路サブシステム300を流れる熱交換媒体を利用して、加熱装置200と電池パック100との間の熱交換、例えば加熱装置200から電池パック100への熱伝達を実現することができる。そのため、加熱装置200の散逸し得る熱を利用することができ、それによって熱管理効率を向上させる。
【0050】
本明細書では、熱接触とは、二つの部材又は二つの装置が十分に熱を伝達することができる接触状態を意味し、例えば以下に記述される実施例では、電池パック100が管路サブシステム300の電池パック熱交換器110(例えば、実際の応用シナリオに応じて、熱交換器は、熱交換プレートなどであってもよい)と熱接触し、それによって両者の間で十分に熱を伝達することができる。
【0051】
なお、実際の応用シナリオに応じて、管路サブシステム300を流れる熱交換媒体を加熱又は冷却してもよく、例えば加熱装置200又は以下に記述される冷却モジュール311により加熱又は冷却し、それによって熱交換の効率を向上させることができる。
【0052】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、
図1を引き続き参照し、加熱装置200は、スイッチモジュール205と、エネルギー貯蔵ユニット207と、冷却ユニット209とを含み、スイッチモジュール205とエネルギー貯蔵ユニット207とは、互いに電気的に接続され、スイッチモジュール205とエネルギー貯蔵ユニット207は、いずれも冷却ユニット209と熱接触し、それによってスイッチモジュール205とエネルギー貯蔵ユニット207は、いずれも、冷却ユニット209に熱を伝達することができる。
【0053】
本出願の実施例では、スイッチモジュール205は、半導体スイッチデバイス(例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタIGBT)を含んでもよく、エネルギー貯蔵ユニット207は、半導体スイッチデバイスに電気的に接続されるインダクタンスを含んでもよい。加熱装置200に含まれる加熱装置制御ユニット201(以下の記述を参照)は、スイッチモジュール205を制御し、例えば半導体スイッチデバイスの導通遮断を制御することによって、エネルギー貯蔵ユニット207から電池パック100に印加される電流を制御し、さらに加熱装置200による電池パック100に対する加熱を制御する。
【0054】
冷却ユニット209とスイッチモジュール205及びエネルギー貯蔵ユニット207の両方のとの熱接触は、直接接触であってもよく、熱伝導部材及び/又は熱伝導媒体を介する間接接触であってもよい。スイッチモジュール205及びエネルギー貯蔵ユニット207の両方と冷却ユニット209との熱接触により、冷却ユニット209を利用してスイッチモジュール205とエネルギー貯蔵ユニット207に効果的な放熱を提供することができる。
【0055】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、
図1を引き続き参照し、加熱装置200は、電圧安定化モジュール203をさらに含み、電圧安定化モジュール203は、スイッチモジュール205に電気的に接続され且つ冷却ユニット209と熱接触し、それによって電圧安定化モジュール203は、冷却ユニット209に熱を伝達することができる。
【0056】
電圧安定化モジュール203は、コンデンサを含んでもよい。本出願の実施例では、電圧安定化モジュール203は、電池パック100に電気的に接続され、例えば電池パック100の正負極に電気的に接続され、それによって加熱装置200から電池パック100への出力に対して電圧安定化作用を果たす。なお、電圧安定化モジュール203と冷却ユニット209との熱接触により、冷却ユニット209を利用して電圧安定化モジュール203に効果的な放熱を提供することができる。
【0057】
図2は、本出願のいくつかの実施例による熱管理システムの管路サブシステムの接続状況の概略図である。
【0058】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、
図2を参照し、管路サブシステムは、電池パック熱交換器110と、加熱装置熱交換器210と、第一のポンプ301と、第二のポンプ302と、第一の三方管303と、第二の三方管304と、第一の三方弁305と、第二の三方弁306と、熱交換器307とを含み、ここで、電池パック熱交換器110は、電池パック100と熱接触し、加熱装置熱交換器210は、加熱装置200と熱接触し、第一の三方管303と第二の三方管304とのうちのいずれか一つは、いずれも、第一のポートと、第二のポートと、第三のポートとを含み、第一の三方弁305と第二の三方弁306とのうちのいずれか一つは、いずれも、共通弁口Oと、第一の弁口Aと、第二の弁口Bとを含み、加熱装置熱交換器210の媒体流出ポートが第一のポンプ301の入力ポートに接続され、第一のポンプ301の出力ポートが第一の三方管303の第一のポートに接続され、第一の三方管303の第二のポートが熱交換器307の一つのポートに接続され、熱交換器307の他のポートが第二の三方弁306の共通弁口に接続され、第二の三方弁306の第二の弁口が第二のポンプ302の入力ポートに接続され、第二のポンプ302の出力ポートが電池パック熱交換器110の媒体流入ポートに接続され、電池パック熱交換器110の媒体流出ポートが第二の三方管304の第一のポートに接続され、第二の三方管304の第二のポートが加熱装置熱交換器210の媒体流入ポートに接続され、第一の三方管303の第三のポートが第一の三方弁305の第二の弁口に接続され、第二の三方管304の第三のポートが第一の三方弁305の共通弁口に接続され、第二の三方弁306の第一の弁口が第一の三方弁305の第一の弁口に接続される。
【0059】
本出願の実施例では、電池パック熱交換器110と加熱装置熱交換器210は、それぞれ電池パック100と加熱装置200と熱接触する。本出願の実際の応用シナリオに応じて、電池パック熱交換器110と加熱装置熱交換器210とのうちのいずれか一つは、熱交換プレートであってもよい。例えば、熱交換プレートは、電池パック100の上方又は下方に設置され、電池パック100の上面又は下面と緊密に接触し、それによって熱交換プレートと電池パック100は、十分に熱を伝達することができる。
【0060】
当業者であれば理解できるように、ここに記載された熱交換プレートは、例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の実際の応用シナリオに応じて、当業者は、本発明の構想を実現する他の形式の任意の熱交換器、例えば電池パック100(又は加熱装置200)の全部又は一部を包む熱交換器などを採用してもよい。
【0061】
本出願の実施例では、第一のポンプ301と第二のポンプ302は、エネルギーを利用して(例えば電池パックからのエネルギーを利用して)管路サブシステム300における熱交換媒体を駆動できるポンプ、例えば水ポンプであってもよい。
【0062】
本出願の実施例では、第一の三方管303と第二の三方管304は、管路サブシステム300に設置され、第一の三方管303と第二の三方管304とのうちのいずれか一方の三つのポートは、互いに同等である。
【0063】
本出願の実施例では、第一の三方弁305と第二の三方弁306は、いずれも、電子三方弁であり、第一の三方弁305と第二の三方弁306とのうちのいずれか一つは、いずれも、共通弁口と、第一の弁口と、第二の弁口とを含む。第一の三方弁305と第二の三方弁306は、いずれも、以下に記述されるコントローラ400により制御され、それによってコントローラ400の制御信号に基づいて、第一の三方弁305と第二の三方弁306とのうちのいずれか一つは、第一の状態と第二の状態との間で切り替えることができる。ここで、第一の状態において、共通弁口は、第一の弁口と導通されるが、第二の弁口は、共通弁口及び第一の弁口の両方といずれも遮断され、第二の状態において、共通弁口は、第二の弁口と導通されるが、第一の弁口は、共通弁口及び第一の弁口の両方といずれも遮断される。言い換えれば、コントローラ400の制御信号に基づいて、第一の三方弁305は、その共通弁口がその第一の弁口のみと導通される第一の状態と、その共通弁口がその第二の弁口のみと導通される第二の状態との間で切り替えることができる。類似しているように、第二の三方弁306も、その共通弁口がその第一の弁口のみと導通される第一の状態と、その共通弁口がその第二の弁口のみと導通される第二の状態との間で切り替えることができる。
【0064】
当業者であれば理解できるように、ここに記載された、共通弁口と、第一の弁口と、第二の弁口とを含む第一の三方弁305と第二の三方弁306は、例に過ぎず、本発明の範囲に対する制限を構成するものではなく、本発明の実際の応用シナリオに応じて、当業者は、本発明の構想を実現する他の形式の任意の三方弁を採用してもよい。
【0065】
本出願の実施例では、熱交換器307により、管路サブシステム300における熱交換媒体は、外部環境又は他の部材(例えば以下に記述される冷却モジュール)と熱伝達及び熱交換を行うことができる。
【0066】
当業者であれば理解できるように、上記実施例における熱交換器、各ポンプ、各三方管、各三方弁及び熱交換器の接続形式は、例に過ぎず、本発明の範囲に対する制限を構成するものではなく、本発明の応用シナリオに応じて、当業者は、本発明の構想を実現する他の任意の部材及びその接続形式を採用してもよい。
【0067】
熱交換器と、各ポンプと、各三方管と、各三方弁と、熱交換器とを含む管路サブシステム300を設置することで、異なる応用シナリオ向けの異なる熱管理モードを実現する1セットの管路を形成することができ、それによって熱管理コストを低減させる。
【0068】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、管路サブシステム300は、その中を流れる熱交換媒体を含み、熱交換媒体は、エチレングリコールと水との混合溶液であり、管路サブシステム300は、第一の三方管303と熱交換器307との間に設置される、混合溶液を貯蔵及び補充するための膨張水タンク308をさらに含む。
【0069】
本出願の実施例では、膨張水タンク308は、熱交換媒体、例えばエチレングリコールと水との混合溶液を収容するために用いられる。管路サブシステム300に膨張水タンク308を設置することで、必要に応じて、熱交換媒体が多すぎる時、熱交換媒体を貯蔵することができ、熱交換媒体が不足している時、熱交換媒体を補充することもできる。管路サブシステム300に設置される膨張水タンク308の位置は、例に過ぎず、本発明に対する制限を構成するものではない。
【0070】
本出願の実施例では、熱交換媒体を利用して電池パック100と加熱装置200との間及び他の部材の間の熱交換を実現する。本発明者は、エチレングリコールと水との混合溶液を熱交換媒体として利用することで、コスト、熱交換性能、メンテナンス性などの面でバランスが取れることを発見したが、当業者であれば理解できるように、上記熱交換媒体の成分は、例示的な説明に過ぎず、本発明に対する制限を構成するものではない。エチレングリコールと水との混合溶液を熱交換媒体として利用することで、熱交換媒体を効果的に加熱又は冷却することを実現し、加熱装置と電池パックとの間の熱交換効率を向上させることができる。
【0071】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、
図2を参照し、熱管理システムは、加熱装置熱交換器210から流出した熱交換媒体の温度を検出するために加熱装置熱交換器210の媒体流出ポート箇所に設置される加熱装置熱交換器媒体流出ポートの温度センサ211と、熱交換器307に接続されて熱交換器307を冷却する冷却モジュール311とをさらに含む。
【0072】
本出願の実施例では、加熱装置熱交換器媒体流出ポートの温度センサ211は、温度を検知し、且つ検知した温度を出力信号に変換できるセンサ、例えば接触式温度センサ(抵抗温度センサなど)と非接触式温度センサ(放射温度センサなど)を採用してもよい。本出願の実施例では、冷却モジュール311は、自動車空調システムの冷却部材であってもよく、それによって起動後に熱交換器307における熱を持ち去ることができ、自動車空調システムの冷却部材を冷却モジュール311として利用することで、熱管理コストを低減させることができる。
【0073】
加熱装置熱交換器210の媒体流出ポート箇所に温度センサを設置することによって、加熱装置熱交換器210から流出した熱交換媒体の温度を検出することができ、さらに検出結果を利用して、異なる応用シナリ向けの異なる熱管理モードを実現することができる。熱交換器307に接続される冷却モジュール311により、熱交換器307に対する冷却を実現することができる。
【0074】
図3は、本出願のいくつかの実施例による熱管理システムの制御状況の概略図である。
【0075】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、
図3を参照し、熱管理システムは、コントローラ400をさらに含み、電池パック100は、電池管理モジュール101を含み、加熱装置200は、加熱装置制御ユニット201を含み、コントローラ400と、電池管理モジュール101と、加熱装置制御ユニット201とは、コントローラエリアネットワーク(Controller Area Network、CAN)を介して互いに接続され、加熱装置熱交換器媒体流出ポートの温度センサ211、第一のポンプ301、第二のポンプ302、第一の三方弁305、第二の三方弁306及び冷却モジュール311は、コントローラ400に接続され、電池管理モジュール101は、電池パックの温度を検出し、加熱装置制御ユニット201は、加熱装置200におけるスイッチモジュール205とエネルギー貯蔵ユニット207とのうちの少なくとも一つの温度を検出し、ここで、コントローラ400は、加熱装置熱交換器媒体流出ポートの温度センサ211、電池管理モジュール101及び加熱装置制御ユニット201からのデータに基づいて、第一のポンプ301と、第二のポンプ302と、第一の三方弁305と、第二の三方弁306と、冷却モジュール311とのうちの少なくとも一つを制御することによって、熱管理システムの少なくとも一つの作動モードを実現する。
【0076】
本出願の実施例では、コントローラ400は、単独なコントローラであってもよく、自動車のシステムに集積されてもよい。電池管理モジュール101は、自動車の電池管理システム(BMS)又はその部材であってもよい。加熱装置制御ユニット201は、加熱装置200の部材(例えば電圧安定化モジュール203、スイッチモジュール205、一体に設置されるエネルギー貯蔵ユニットや冷却ユニット209など)に対して検出と制御を行うために用いられる。当業者であれば理解できるように、CANは、コントローラ400と、電池管理モジュール101と、加熱装置制御ユニット201との間の接続形式の例に過ぎず、本発明に対する制限を構成するものではない。実際の応用シナリオに応じて、他の有線/無線接続ネットワーク又はプロトコルを採用してもよい。
【0077】
電池管理モジュール101により電池パック100の温度を検出することができ、加熱装置制御ユニット201により加熱装置200の各部材の温度を検出することができ、さらに、電池管理モジュール101と加熱装置制御ユニット201に接続されるコントローラ400により、各ポンプ、各三方弁及び冷却モジュールを制御することができ、それによって異なる応用シナリ向けの異なる熱管理モードを実現する。
【0078】
図4は、本出願のいくつかの実施例による熱管理システムの第一の作動モードの概略図である。
【0079】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、
図4を参照し、加熱装置200が作動状態にある場合、加熱装置制御ユニット201により検出されたエネルギー貯蔵ユニット207の温度がエネルギー貯蔵ユニットの温度閾値よりも高く又はスイッチモジュール205の温度がスイッチモジュールの温度閾値よりも高い時、コントローラ400は、第一のポンプ301を起動し、第二のポンプ302をオフにし、その第一の弁口のみがその共通弁口と連通するように第一の三方弁305を制御し、その第一の弁口のみがその共通弁口と連通するように第二の三方弁306を制御するとともに、冷却モジュール311を起動することによって、加熱装置200を冷却する。
【0080】
本出願の実施例では、加熱装置200が作動状態にあるかどうかは、加熱装置制御ユニット201により加熱装置200の電流又は電圧を検出することによって決定されてもよい。具体的には、加熱装置制御ユニット201が加熱装置200の電流がゼロではなく又は電圧がゼロではないことを検出する時、加熱装置200が作動状態にあることを決定する。逆に、加熱装置制御ユニット201が加熱装置200の電流がゼロであり且つ電圧がゼロであることを検出する時、加熱装置200が作動状態にないことを決定する。
【0081】
本出願の実施例では、加熱装置200及びその部材が過熱する場合、損傷を防止するために冷却する必要がある。
【0082】
このような場合、本出願の実施例による熱管理システムを利用し、加熱装置200の部材の温度が比較的高い時、加熱装置200を冷却し、加熱装置200の温度を低減させ、第一の作動モード、即ち「加熱装置を冷却する」作動モードを実現することができる。
【0083】
例えば、エネルギー貯蔵ユニットの温度閾値は、140℃であってもよく、スイッチモジュールの温度閾値は、100℃であってもよく、加熱装置制御ユニット201により検出されたエネルギー貯蔵ユニット207の温度が140℃よりも高く、又はスイッチモジュール205の温度が100℃よりも高い時、コントローラ400は、「加熱装置を冷却する」作動モードに入るように制御する。
【0084】
本出願の実施例では、代替的に、電圧安定化モジュール203の温度を検出してもよい。例えば、電圧安定化モジュールの温度閾値が85℃の場合、加熱装置制御ユニット201により検出された電圧安定化モジュール203の温度が85℃よりも高い時、コントローラ400は、「加熱装置を冷却する」作動モードに入るように制御してもよい。
【0085】
なお、加熱装置200が作動状態にある場合、加熱装置制御ユニット201により検出されたエネルギー貯蔵ユニット207の温度がエネルギー貯蔵ユニットの温度閾値以下であり且つスイッチモジュール205の温度がスイッチモジュールの温度閾値以下である時、コントローラ400は、さらに加熱装置熱交換器媒体流出ポートの温度センサ211と電池管理モジュール101からのデータに基づいて、第一のポンプ301と、第二のポンプ302と、第一の三方弁305と、第二の三方弁306と、冷却モジュール311とのうちの少なくとも一つを制御する。
【0086】
図5は、本出願のいくつかの実施例による熱管理システムの第二の作動モードの概略図である。
【0087】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、
図5を参照し、加熱装置熱交換器媒体流出ポートの温度センサ211により検出された、加熱装置熱交換器210から流出した熱交換媒体の温度が電池管理モジュール101により検出された電池パックの温度よりも高い時、コントローラ400は、第一のポンプ301を起動し、第二のポンプ302を起動し、その第一の弁口のみがその共通弁口と連通するように第一の三方弁305を制御し、その第二の弁口のみがその共通弁口と連通するように第二の三方弁306を制御するとともに、冷却モジュール311をオフにすることによって、加熱装置200の熱を電池パック100に伝達できるようにする。
【0088】
本出願の実施例では、冬に環境温度が比較的低い時、電池パック100の性能がある程度低下する可能性があるため、電池パック100を加熱する必要がある。熱交換媒体の温度が適切である場合、例えば加熱装置熱交換器210から流出した熱交換媒体の温度が電池パック100の温度よりも高い場合、管路サブシステム300における熱交換媒体を利用し、加熱装置200から電池パック100への熱伝達を行うことができる。
【0089】
このような場合、本出願の実施例による熱管理システムを利用し、電池パック100を加熱する必要がある時、熱交換媒体が電池パック熱交換器110及び加熱装置熱交換器210の両方を通るようにすることができ、それによって比較的大きい媒体循環回路で、加熱装置200から電池パック100への熱伝達を行い、電池パック100の温度を向上させ、第二の作動モード、即ち「大ループ電池水熱」の作動モードを実現する。
【0090】
図6は、本出願のいくつかの実施例による熱管理システムの第三の作動モードの概略図である。
【0091】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、
図6を参照し、加熱装置熱交換器媒体流出ポートの温度センサ211により検出された、加熱装置熱交換器210から流出した熱交換媒体の温度が電池管理モジュール101により検出された電池パックの温度以下である時、コントローラ400は、第一のポンプ301を起動し、第二のポンプ302をオフにし、その第二の弁口のみがその共通弁口と連通するように第一の三方弁305を制御し、その第一の弁口のみがその共通弁口と連通するように第二の三方弁306を制御するとともに、冷却モジュール311をオフにすることによって、加熱装置200の熱を管路サブシステム300における熱交換媒体に伝達できるようにする。
【0092】
本出願の実施例では、電池パック100を加熱する必要がある時、熱交換媒体の温度が適切ではない場合、例えば加熱装置熱交換器210から流出した熱交換媒体の温度が電池パック100の温度以下である場合、加熱装置200から電池パック100への熱伝達効率を著しく低減させることがあり、それによって熱管理効率を低減させる。
【0093】
このような場合、本出願の実施例による熱管理システムを利用し、電池パック100を加熱する必要があるが、熱交換媒体の温度が適切ではない場合、熱交換媒体が電池パック熱交換器110を通らないようにすることができ、それによって比較的小さい媒体循環回路で熱交換媒体を加熱し、熱交換媒体の温度を向上させ、第三の作動モード、即ち「小ループ水熱」の作動モードを実現する。
【0094】
図7は、本出願のいくつかの実施例による熱管理システムの第四の作動モードと第五の作動モードの概略図である。
【0095】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、
図7を参照し、加熱装置200が作動状態にない場合、電池管理モジュール101により検出された電池パックの温度が第一の電池パックの温度閾値よりも高い時、コントローラ400は、第一のポンプ301をオフにし、第二のポンプ302を起動し、その第二の弁口のみがその共通弁口と連通するように第一の三方弁305を制御し、その第二の弁口のみがその共通弁口と連通するように第二の三方弁306を制御するとともに、冷却モジュール311をオフにすることによって、電池パック100を冷却する。
【0096】
本出願の実施例では、夏に環境温度が比較的高い時、電池パックの安全性を保証するために電池パック100を冷却する必要がある。
【0097】
このような場合、本出願の実施例による熱管理システム10を利用し、電池パックの温度が比較的高い時、電池パック100を冷却し、電池パック100の温度を低減させ、第四の作動モード、即ち「電池を冷却する」作動モードを実現することができる。ここで、熱交換媒体は、加熱装置熱交換器210を通らない。
【0098】
例えば、第一の電池パックの温度閾値は、30℃であってもよく、電池管理モジュール101により検出された電池パックの温度が30℃よりも高い時、コントローラ400は、「電池を冷却する」作動モードに入るように制御する。
【0099】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、同様に
図7を参照し、電池管理モジュール101により検出された電池パックの温度が第二の電池パックの温度閾値よりも高い(第二の電池パックの温度閾値が第一の電池パックの温度閾値よりも高い)時、コントローラ400は、第一のポンプ301をオフにし、第二のポンプ302を起動し、その第二の弁口のみがその共通弁口と連通するように第一の三方弁305を制御し、その第二の弁口のみがその共通弁口と連通するように第二の三方弁306を制御するとともに、冷却モジュール311を起動することによって、電池パック100を冷却する。
【0100】
本出願の実施例では、電池パック100の温度がより高い時、電池パックの安全性を保証するために電池パック100を迅速に冷却する必要がある。
【0101】
このような場合、本出願の実施例による熱管理システムを利用し、電池パックの温度がより高い時、第五の作動モード、即ち「電池を迅速に冷却する」作動モードを実現し、電池パック100を迅速に冷却し、電池パック100の温度を迅速に低減させることができる。第四の作動モードとの相違点として、第五の作動モードは、さらに冷却用の冷却モジュール311を起動し、熱交換器307における熱を持ち去ることによって、熱交換の効率を向上させる。
【0102】
例えば、第二の電池パックの温度閾値は、40℃であってもよく、電池管理モジュール101により検出された電池パックの温度が40℃よりも高い時、コントローラ400は、「電池を迅速に冷却する」作動モードに入るように制御する。
【0103】
なお、本出願のいくつかの実施例によれば、熱管理システムは、それぞれ電池パック熱交換器110の媒体流出ポートと媒体流入ポート箇所に設置される、電池パック熱交換器媒体流出ポートの温度センサ111と電池パック熱交換器媒体流入ポートの温度センサ112とをさらに含んでもよく、
図2に示すとおりである。電池パック熱交換器媒体流出ポートの温度センサ111と電池パック熱交換器媒体流入ポートの温度センサ112とのうちのいずれか一つは、電池管理モジュール101に接続されてもよく、それによって測定した、電池パック熱交換器110から流出した熱交換媒体の温度、及び電池パック熱交換器110に流入する熱交換媒体の温度を電池管理モジュール101に送信する。当業者であれば理解できるように、実際の応用シナリオに応じて、電池パック熱交換器110から流出した熱交換媒体の温度と電池パック熱交換器110に流入する熱交換媒体の温度とのうちのいずれか一つを利用して電池パックの温度を代替してもよい。
【0104】
図8は、本出願のいくつかの実施例による熱管理方法のフローチャートである。
【0105】
本出願の実施例は、熱管理方法を提供する。
図8を参照し、この熱管理方法は、以下のステップを含む。S1、加熱装置が作動状態にある時、加熱装置の温度及び電池パックの電池パックの温度を検出する。S2、加熱装置の温度が電池パックの温度よりも高い時、管路サブシステムを介して、熱を加熱装置から電池パックに伝達する。
【0106】
本出願の実施例では、電池パックの例は、電気自動車に設置される、電気自動車にエネルギーを提供する動力電池パックであり、加熱装置は、例えば電池パックの正負極に電気的に接続されることによって、電池パックに電流を印加することで電池パックを加熱する。管路サブシステムは、加熱装置及び電池パックの両方といずれも熱接触を形成し、それによって管路サブシステムを流れる熱交換媒体を利用し、例えば加熱装置から電池パックへの熱伝達を実現することができる。そのため、加熱装置の散逸し得る熱を利用することができ、それによって熱管理効率を向上させる。
【0107】
図9は、本出願のいくつかの実施例による熱管理方法で一部の作動モードを実現するフローチャートである。
【0108】
本出願のいくつかの実施例によれば、ステップS100において、加熱装置が作動しているかどうかを判断する。加熱装置が作動しているかどうかを判断することは、加熱装置の電圧及び/又は電流を検出することによって行われてもよい。例えば、加熱装置の電流がゼロではなく又は電圧がゼロではない場合、加熱装置が作動状態にあることを決定し、ステップS200に入る。
【0109】
ステップS200において、加熱装置の温度が第一の加熱装置温度閾値よりも高いかどうかを判断する。加熱装置の温度を検出することは、加熱装置の一つ又は複数の部材の温度を検出することによって実現されてもよく、例えば加熱装置の電圧安定化モジュールと、スイッチモジュールと、エネルギー貯蔵ユニットとのうちの一つ又は複数の温度を検出することによって実現されてもよい。加熱装置の温度が第一の加熱装置温度閾値よりも高い時、加熱装置の温度が十分に高く、加熱装置に内部熱量の損失が存在すると考えられる。そのため、加熱装置の熱を管路サブシステムの熱交換媒体に伝達することができ、それによって加熱装置内部の熱を十分に利用し、熱管理効率を向上させる。加熱装置の温度が第一の加熱装置温度閾値よりも高い場合、ステップS300に入る。
【0110】
ステップS300において、媒体循環をオンにし、加熱装置の熱を熱交換媒体に伝達する。ここで、管路サブシステムの熱交換媒体は、電池パック熱交換器を避けるように循環して流れることができる。このような方式は、コントローラを利用して管路サブシステムの各ポンプ、各三方弁を制御することによって実現されてもよく、即ち以上に記載の「小ループ水熱」の作動モードに対応する。熱が熱交換媒体から電池パックに伝達されることを回避することにより、加熱装置の熱を熱交換媒体に十分に伝達し、熱交換媒体の温度を迅速に向上させ、熱管理効率を向上させることができる。
【0111】
そして、ステップS400において、加熱装置の排水口の温度が電池パックの温度よりも高いかどうかを判断する。容易に検出するために、加熱装置の排水口の温度、つまり加熱装置の温度は、加熱装置熱交換器の媒体流出ポートで測定されてもよい。電池パックの温度は、電池パックの電池管理モジュールにより検出されてもよい。加熱装置の排水口の温度が電池パックの温度よりも高い場合、ステップS500に入り、そうではない場合、ステップS300に戻る。
【0112】
ステップS500において、管路サブシステムを介して加熱装置の熱を電池パックに伝達する。このステップは、コントローラを利用して管路サブシステムの各ポンプ、各三方弁を制御することによって実現されてもよく、即ち以上に記載の「大ループ電池水熱」の作動モードに対応する。加熱装置から電池パックへの熱伝達により、散逸し得る加熱装置の熱を利用して電池パックを加熱し、熱管理コストを低減させることができる。
【0113】
そして、ステップS600において、加熱装置の温度が第二の加熱装置温度閾値よりも高いかどうかを判断し、ここで、第二の閾値は、第一の閾値よりも高くてもよい。加熱装置の温度を検出することは、加熱装置の一つ又は複数の部材の温度を検出することによって実現されてもよく、例えば加熱装置の電圧安定化モジュールと、スイッチモジュールと、エネルギー貯蔵ユニットとのうちの一つ又は複数の温度を検出することによって実現されてもよい。加熱装置の温度が第二の加熱装置温度閾値よりも高い時、加熱装置の温度が高過ぎると考えられ、それによって、加熱装置の安全を保証するために加熱装置を冷却する必要がある。加熱装置の温度が第二の加熱装置温度閾値よりも高い場合、ステップS700に入る。
【0114】
ステップS700において、冷却装置をオンにし、加熱装置と電池パックとの熱伝達を停止する。ここで、管路サブシステムの熱交換媒体は、電池パック熱交換器を避けるように循環して流れることができ、管路サブシステムに接続される冷却モジュールを起動して熱交換媒体を冷却する。このような方式は、コントローラを利用して管路サブシステムの各ポンプ、各三方弁及び冷却モジュールを制御することによって実現されてもよく、即ち以上に記載の「加熱装置を冷却する」作動モードに対応する。このように、熱交換媒体を冷却すると同時に、熱が電池パックから熱交換媒体に伝達されることを回避することができ、それによって熱交換媒体を十分に冷却し、加熱装置の温度を迅速に低減させ、熱管理効率を向上させることができる。
【0115】
図10は、本出願のいくつかの実施例による熱管理方法で一部の作動モードを実現するフローチャートである。
【0116】
本出願のいくつかの実施例によれば、選択的に、ステップS10において、加熱装置制御ユニットを利用し、エネルギー貯蔵ユニットの温度と半導体スイッチモジュールの温度を監視し、CANバスに送信するとともに、電池管理モジュールを利用し、電池パックの温度を監視し、CANバスに送信する。
【0117】
ステップS20において、加熱装置制御ユニットを利用し、加熱装置の電流又は電圧がゼロであるかどうかを検出する。加熱装置の電流がゼロであり且つ電圧がゼロである場合、加熱装置が作動状態にないことを決定し、ステップS31に入る。加熱装置の電流がゼロではなく又は電圧がゼロではない場合、加熱装置が作動状態にあることを決定し、ステップS32に入る。
【0118】
加熱装置が作動状態にある場合、ステップS42において、コントローラを利用して、エネルギー貯蔵ユニットの温度が第一のエネルギー貯蔵ユニットの温度閾値よりも高いかどうか又はスイッチモジュールの温度が第一のスイッチモジュールの温度閾値よりも高いかどうかを判断する。ステップS42の判断結果が否定である場合、ステップS43に入り、熱管理システムの管路サブシステムは、作動しない。ステップS42の判断結果が肯定である場合、ステップS52に入り、コントローラを利用し、作動し始めるように水ポンプ1を制御して、冷却水が加熱装置を流れることを保証する。
【0119】
冷却水が加熱装置を流れた後、ステップS62において、コントローラを利用し、エネルギー貯蔵ユニットの温度が第二のエネルギー貯蔵ユニットの温度閾値よりも高いかどうか又はスイッチモジュールの温度が第二のスイッチモジュールの温度閾値よりも高いかどうかを判断する。ここで、第二のエネルギー貯蔵ユニットの温度閾値は、第一のエネルギー貯蔵ユニットの温度閾値よりも高く、第二のスイッチモジュールの温度閾値は、第一のスイッチモジュールの温度閾値よりも高い。ステップS62の判断結果が肯定である場合、ステップS72に入り、コントローラを利用して第一の作動モード、即ち「加熱装置を冷却する」作動モードに入るように制御する。この時、ステップS82において、第一のポンプを起動し、第二のポンプをオフにし、その第一の弁口のみがその共通弁口と連通するように第一の三方弁を制御し、その第一の弁口のみがその共通弁口と連通するように第二の三方弁を制御するとともに、冷却モジュールを起動することによって、加熱装置を冷却する。
【0120】
ステップS62の判断結果が否定である場合、ステップS63に入り、コントローラを利用し、加熱装置の排水口の温度が電池パックの温度よりも高いかどうかを判断する。ステップS63の判断結果が肯定である場合、ステップS73に入り、コントローラを利用して第二の作動モード、即ち「大ループ電池水熱」の作動モードに入るように制御する。この時、ステップS83において、第一のポンプを起動し、第二のポンプを起動し、その第一の弁口のみがその共通弁口と連通するように第一の三方弁を制御し、その第二の弁口のみがその共通弁口と連通するように第二の三方弁を制御するとともに、冷却モジュールをオフにすることによって、加熱装置の熱を電池パックに伝達できるようにし、比較的大きい媒体循環回路で、加熱装置から電池パックへの熱伝達を行う。
【0121】
ステップS63の判断結果が否定である場合、ステップS74に入り、コントローラを利用して第三の作動モード、即ち「小ループ水熱」の作動モードに入るように制御する。この時、ステップS84において、第一のポンプを起動し、第二のポンプをオフにし、その第二の弁口のみがその共通弁口と連通するように第一の三方弁を制御し、その第一の弁口のみがその共通弁口と連通するように第二の三方弁を制御するとともに、冷却モジュールをオフにすることによって、加熱装置の熱を管路サブシステムにおける熱交換媒体に伝達できるようにし、比較的小さい媒体循環回路で熱交換媒体を加熱する。
【0122】
第一、第二及び第三の作動モードで、コントローラを利用し、ステップS62に対して循環判断を行い、即ちエネルギー貯蔵ユニットの温度が第二のエネルギー貯蔵ユニットの温度閾値よりも高いかどうか又はスイッチモジュールの温度が第二のスイッチモジュールの温度閾値よりも高いかどうかを判断し、判断結果に基づいて対応するフローを実行する。そのため、熱管理システムを適切な作動モードに維持し、熱管理効率を向上させることができる。
【0123】
なお、加熱装置が作動状態にない場合、ステップS41において、コントローラは、第一のポンプをオフにする。そして、ステップS51において、コントローラを利用して電池パックの温度が第一の電池パックの温度閾値よりも高いかどうかを判断する。ステップS51の判断結果が否定である場合、ステップS43に入り、熱管理システムの管路サブシステムは、作動しない。
【0124】
ステップS51の判断結果が肯定である場合、ステップS61に入り、コントローラを利用して第四の作動モード、即ち「電池を冷却する」作動モードに入るように制御する。この時、ステップS71において、第一のポンプをオフにし、第二のポンプを起動し、その第二の弁口のみがその共通弁口と連通するように第一の三方弁を制御し、その第二の弁口のみがその共通弁口と連通するように第二の三方弁を制御するとともに、冷却モジュールをオフにすることによって、熱交換媒体が加熱装置熱交換器を通らない状況下で、熱交換媒体を利用して加熱装置を冷却する。
【0125】
第四の作動モードの後、ステップS81において、コントローラを利用して電池パックの温度が第二の電池パックの温度閾値よりも高いかどうかを判断する。ここで、第二の電池パックの温度閾値は、第一の電池パックの温度閾値よりも高い。ステップS81の判断結果が否定である場合、依然として第四の作動モード、即ち「電池を冷却する」作動モードを行う。ステップS81の判断結果が肯定である場合、ステップS91に入り、コントローラを利用して第五の作動モード、即ち「電池を迅速に冷却する」作動モードに入るように制御する。この時、ステップS101において、第一のポンプをオフにし、第二のポンプを起動し、その第二の弁口のみがその共通弁口と連通するように第一の三方弁を制御し、その第二の弁口のみがその共通弁口と連通するように第二の三方弁を制御するとともに、冷却モジュールを起動することによって、熱交換媒体が加熱装置熱交換器を通らず且つ冷却モジュールが起動した状況下で、熱交換媒体を利用して加熱装置を冷却する。
【0126】
第四の作動モードとの相違点として、第五の作動モードは、さらに冷却用の冷却モジュールを起動し、熱交換器における熱を持ち去ることによって、熱交換の効率を向上させる。
【0127】
第五の作動モードで、コントローラを利用し、ステップS51に対して循環判断を行い、即ち電池パックの温度が温度閾値Dよりも高いかどうかを判断し、判断結果に基づいて対応するフローを実行する。そのため、熱管理システムを適切な作動モードに維持し、熱管理効率を向上させることができる。
【0128】
当業者であれば理解できるように、以上に記載の具体的な数値(例えば温度値)は、例に過ぎず、本発明の範囲に対する制限を構成するものではなく、本発明の実際の応用シナリオに応じて、試験データに基づいて各具体的な数値を決定してもよい。
【0129】
そのため、本出願のいくつかの実施例によれば、1セットの管路で異なる応用シナリオ向けの異なる熱管理モードを実現し、それによって熱管理コストを低減させる。
【0130】
最後に説明すべきこととして、以上の各実施例は、本出願の技術案を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではない。前述各実施例を参照して本出願について詳細に説明したが、当業者であれば理解できるように、依然として前述各実施例に記載された技術案を修正したり、そのうちの一部の又はすべての技術的特徴を同等に置き換えたりすることができ、これらの修正又は置き換えは、該当する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の範囲から逸脱させるものではなく、それらは、いずれも本出願の請求項と明細書の範囲に含まれるべきである。特に、構造的衝突がない限り、各実施例に言及された各技術的特徴は、いずれも、いずれかの方式で組み合わせることができる。本出願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に属するすべての技術案を含む。
【符号の説明】
【0131】
電池パック100、加熱装置200、管路サブシステム300、コントローラ400、
電池パック熱交換器110、加熱装置熱交換器210、
電池管理モジュール101、
加熱装置制御ユニット201、
電圧安定化モジュール203、
スイッチモジュール205、
エネルギー貯蔵ユニット207、
冷却ユニット209、
第一のポンプ301、
第二のポンプ302、
第一の三方管303、
第二の三方管304、
第一の三方弁305、
第二の三方弁306、
熱交換器307、
膨張水タンク308、
電池パック熱交換器媒体流出ポートの温度センサ111、
電池パック熱交換器媒体流入ポートの温度センサ112、
加熱装置熱交換器媒体流出ポートの温度センサ211、
冷却モジュール311。
【国際調査報告】