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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】インクピンニングを有する電気流体力学的印刷ヘッド
(51)【国際特許分類】
B41J 2/06 20060101AFI20240117BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20240117BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20240117BHJP
【ＦＩ】
B41J2/06
B41J2/14
B41J2/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542698
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(85)【翻訳文提出日】2023-07-13
(86)【国際出願番号】 EP2021050674
(87)【国際公開番号】W WO2022152380
(87)【国際公開日】2022-07-21
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522019524
【氏名又は名称】スクロナ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】マルティン シュミット
(72)【発明者】
【氏名】ユリアン シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ガリカー
【テーマコード（参考）】
2C056
2C057
【Ｆターム（参考）】
2C056HA05
2C056KB16
2C057AF71
2C057AG29
2C057AG42
2C057BD05
2C057BD12
2C057EA08
(57)【要約】
電気流体力学的印刷ヘッドは、ノズルキャリア（６）を備え、複数のノズル（４）は、その上に配置されている。ノズル（４）に対応付けられた複数の電極（３８、４０、４２）は、ノズル（４）の前方面に配置されている。電極（３８、４０、４２）を支持する支持構造（８）は、ノズルキャリア（６）上に配置されており、ノズル（４）間に配置された複数の支持要素（７６、７８）を備える。インク保持部（６６）は、ノズル（４）と支持要素（７６、７８）との間に配置されている。インク保持部（６６）の前方面（６８）は、ノズル（４）がインクに沈むのを防ぐために、ノズル（４）の前方端（７０）の後ろに配置されている。ガード電極（４２）は、インク保持部（６６）における電界を低減し、それによってインクを留めるインク保持部（６６）の効率を向上させるために、噴射電極（３８）とインク保持部（６６）との間に設けられ得る。各ノズル（４）を囲む吸引ダクト（１６）は、ノズル（５）からインクを除去することを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気流体力学的印刷ヘッドであって、ノズルキャリア（６）と、
前記ノズルキャリア（６）上に配置された複数のノズル（４）であって、各ノズル（４）は、前記ノズルキャリア（６）の前方面（３６）に配置され、且つ前記印刷ヘッドの噴射方向（Ｘ）に延びている突起を形成している、前記複数のノズル（４）と、
前記ノズル（４）に対応付けられており、前記ノズル（４）の前方側に配置された、複数の噴射電極（３８）と、
前記ノズルキャリア（６）上で前記噴射電極（３８）を支持する支持構造（８）であって、前記支持構造（８）は、前記ノズル（４）間に配置された複数の支持要素（７６、７８）を備える、前記支持構造（８）と、
前記ノズル（４）と前記支持要素との間に配置された複数のインク保持部（６６）であって、所与のノズル（４）において、最も近いインク保持部（６６）は、前記ノズル（４）から離れて配置されている、前記複数のインク保持部（６６）と、
を備える、電気流体力学的印刷ヘッド。
【請求項2】
前記噴射方向（Ｘ）に沿って、前記インク保持部（６６）の前方面（６８）は、前記ノズル（４）の前方端（７０）の後ろに配置されている、請求項１に記載の印刷ヘッド。
【請求項3】
各インク保持部（６６）は、前記各インク保持部（６６）に最も近い前記ノズル（４）から離れる方に向いたレッジ部分（６６ａ）を形成している、請求項１又は２に記載の印刷ヘッド。
【請求項4】
前記インク保持部（６６）は、前記ノズルキャリア（６）の前記前方面（３６）から突出して配置されている、請求項１～３のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項5】
各ノズル（４）は、前記インク保持部（６６）によって囲まれている、請求項１～４のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項6】
各支持要素（７６、７８）は、前記インク保持部（６６）によって囲まれている、請求項１～５のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項7】
所与のノズル（４）において、前記インク保持部（６６）の面は、前記ノズル（４）の面よりも疎水性及び／又は疎油性である、請求項１～６のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項8】
所与のノズル（４）と、前記ノズル（４）に最も近い、ノズルキャリア（６）に隣接した支持要素（７８）との間において、前記ノズル（４）と前記インク保持部（６６）との間に配置された第１の凹部（５８、６２）が存在し、及び／又は前記インク保持部（６６）と前記最も近い支持要素（７８）との間に配置された第２の凹部（８６）が存在し、特に、前記噴射方向（Ｘ）に沿って、前記第１及び／又は第２の凹部の底は、前記インク保持部（６６）の前記前方面（６８）に対して後方にある、請求項１～７のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項9】
前記インク保持部（６６）は、前記ノズル（４）の前方端（７０）から離れて前記ノズル（４）上に横方向に配置されており、特に、前記インク保持部（６６）の前記前方面（６８）は、前記ノズルキャリア（６）の前記前方面（３６）に対して、前記ノズル（４）の前記前方端（７０）よりも近い、請求項１～８のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項10】
ガード電極（４２）を備え、所与のノズル（４）において、前記ガード電極（４２）は、前記噴射電極（３８）と前記インク保持部（６６）との間に配置されており、特に、所与のノズル（４）において、前記ガード電極（４２）は、前記インク保持部（６６）の前方に配置されており、前記噴射電極（３８）は、前記ガード電極（４２）の前方に配置されている、請求項１～９のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項11】
前記ガード電極（４２）の電気電位を、前記インク保持部（６６）の電気電位に対して、前記噴射電極（３８）の電気電位よりも近くなるように設定するように構成され、特に、前記ガード電極（４２）の前記電位を前記インク保持部（６６）と同じ電位に設定するように構成された、電圧供給（１７）を更に備える、請求項１０に記載の印刷ヘッド。
【請求項12】
所与のノズル（４）において、前記ガード電極と前記インク保持部（６６）との間に形成されたキャビティ（７１）が存在する、請求項１０又は１１のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項13】
前記ガード電極（４２）は、前記支持構造（８）に取り付けられている、請求項１０～１２のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項14】
所与のノズル（４）について、前記ノズル（４）は、前記噴射方向（Ｘ）に沿って延びる中心ノズル軸線（１００）を有し、前記ガード電極（４２）は、前記ノズル軸線（１００）からの距離ｘ１を有し、前記距離ｘ１は、前記インク保持部（６６）と前記ノズル軸線（１００）との間の距離ｘ２よりも小さく、特に、ｘ１＜０．８・ｘ２であり、及び／又は
前記距離ｘ１は、前記ノズル軸線（１００）と、前記ノズル軸線（１００）に最も近い、前記ノズルキャリア（６）に隣接した前記支持要素（７８）との間の距離ｘ３よりも小さく、特に、ｘ１＜０．８・ｘ３、特に、ｘ１＜０．５・ｘ３であり、及び／又は
前記距離ｘ１と、前記インク保持部（６６）と前記ノズル軸線（１００）との間の前記距離ｘ２との間の差ｘ２－ｘ１は、前記ガード電極（４２）と前記インク保持部（６６）との間の垂直距離（ｄ’）の少なくとも５０％である、請求項１０～１３のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項15】
前記ノズルキャリア（６）において、前記ノズル（４）についての複数のインク供給ダクト（１５）を更に備え、特に、少なくとも１つのインク供給ダクト（１５）は、各ノズル（４）で終わる、請求項１～１４のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項16】
所与のノズル（４）において、前記最も近いインク保持部（６６）は、前記ノズル（４）、及び前記供給ダクト（１５）の端部分（１５ａ）を囲んでいる、請求項５及び１５に記載の印刷ヘッド。
【請求項17】
所与のノズル（４）において、前記供給ダクト（１５）は、前記ノズル（４）のベース部分（５０、５２）で現れている、請求項１６に記載の印刷ヘッド。
【請求項18】
前記供給ダクト（１５）は、前記噴射方向（Ｘ）に対して横断して延びる少なくとも１つの横断出口ダクト（５６）、特に複数の横断出口ダクト（５６）に接続されている、請求項１７に記載の印刷ヘッド。
【請求項19】
電気流体力学的印刷ヘッド、特に、請求項１～１８のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッドであって、ノズルキャリア（６）と、
前記ノズルキャリア（６）上に配置された複数のノズル（４）であって、各ノズル（４）は、前記ノズルキャリア（６）の前方面（３６）に配置され、且つ前記印刷ヘッドの噴射方向（Ｘ）に延びている突起を形成している、前記複数のノズル（４）と、
前記ノズル（４）に対応付けられており、前記ノズル（４）の前記前方側に配置された、複数の噴射電極（３８）と、
前記ノズル（４）についての複数のインク供給ダクト（１５）であって、少なくとも１つのインク供給ダクト（１５）は、各ノズル（４）で終わる、前記複数のインク供給ダクト（１５）と、
複数のインク吸引ダクト（１６）であって、少なくとも１つのインク吸引ダクト（１６）は、各ノズル（４）で終わる、前記複数のインク吸引ダクト（１６）と、
を備える、電気流体力学的印刷ヘッド。
【請求項20】
所与のノズル（４）において、前記最も近いインク保持部（６６）は、前記吸引ダクト（１６）の端部分（１６ａ）を囲んでいる、請求項１７又は１８のいずれか、及び請求項１９に記載の印刷ヘッド。
【請求項21】
前記供給ダクト（１５）及び／又は前記吸引ダクト（１６）に接続された、少なくとも１つのポンプ（１８）を更に備える、請求項１９又は２０に記載の印刷ヘッド。
【請求項22】
所与のノズル（４）において、前記供給ダクト（１５）は、前記噴射方向（Ｘ）に対して横断して延びる少なくとも１つの横断出口ダクト（５６）、特に複数の横断出口ダクト（５６）に接続されており、加えて、
前記供給ダクト（１５）は、前記ノズル（４）の先端に向けて延びる軸方向の出口ダクト（６０）に接続されている、請求項１９～２１のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項23】
所与のノズル（４）について、前記ノズルは、１つ以上の吸引ダクト（１６）の開口又は開口（複数）（１６ａ）によって囲まれており、前記開口又は開口（複数）は、前記ノズル（４）と、前記ノズル（４）の隣の支持要素（７８）との間に配置されている、請求項１９～２２のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項24】
前記ノズルキャリア（６）は、前方層（１０）であって、前記ノズル（４）は、前記前方層（１０）の前方面（３６）に取り付けられている、前記前方層（１０）と、
前記前方層（１０）の後方側に配置された裏地層（１２）と、
を備え、
前記噴射電極（３８）に接続された電気ビア（１４）は、前記前方層（１０）及び前記裏地層（１２）を通って延びており、
インクダクト（１４、１６）は、前記前方層（１０）に配置されている、請求項１～２３のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項25】
前記前方層（１０）は、誘電体層であり、及び／又は前記裏地層（１２）は、誘電体層、特にガラス層である、請求項２４に記載の印刷ヘッド。
【請求項26】
前記前方層（１０）において、前記噴射方向（Ｘ）に対して横断して、特に垂直に延びる、インクについての相互接続部分（１５ｄ、１６ｂ）を備える、請求項１６～２３のいずれか、及び請求項２４～２５のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項27】
複数の前記ビア（１４）は、前記裏地層（１２）においてアレイで配置されており、前記インクダクト（１５、１６）は、前記アレイの凸包（９６）内で前記裏地層（１２）を通って延びていない、請求項２６に記載の印刷ヘッド。
【請求項28】
請求項１～２７のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッドを操作する方法であって、所与のノズル（４）の周囲の領域において、前記インク保持部（６６）を使用することによって、及び／又は吸引ダクト（１５）を使用することにより前記ノズル（４）からインクを吸引することによって、前記インクを閉じ込めるステップを含む、方法。
【請求項29】
前記ノズル（４）のうちの少なくとも１つの前方端（７０）において電界を生成し、前記生成によって、前記前方端（７０）から前記インクを噴射すると同時に、前記インク保持部（６６）における電界を、前記ノズル（４）の前記前方端（７０）における前記電界の強度の５０％未満、特に１０％未満に維持するステップを含む、請求項２８に記載の方法。
【請求項30】
前記ノズルキャリア（６）内のインク供給ダクト（１５）を使用して、前記ノズル（４）にインクを個々に供給するステップと、前記ノズルキャリア（６）内のインク吸引ダクト（１６）を使用して、前記ノズル（４）からインクを個々に吸引するステップと、
を含む、請求項２８又は２９のうちいずれか１項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気流体力学的印刷ヘッド及び当該電気流体力学的印刷ヘッドを操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献１は、複数のノズルを備えるノズルキャリアを有する電気流体力学的印刷ヘッドを記載している。当該電気流体力学的印刷ヘッドは、噴射方向に沿ってインクを噴射するように設計されている。ノズルは、この噴射方向に沿って延びる突起を形成している。噴射電極は、ノズルに対応付けられており、ノズルのターゲット側に配置されている。
【0003】
この設計の印刷ヘッドでは、インクは、ノズルを「沈める」プールを形成し、印刷ヘッドの操作を妨げ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第２０１８／０００９２２３号明細書
【特許文献2】米国特許第６６３１９８３号明細書
【特許文献3】国際公開第２０１３／０００５５８号
【特許文献4】国際公開第２０１６／１２０３８１号
【特許文献5】国際公開第２０１６／１６９９５６号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明によって解決されるべき課題は、より確実な印刷を可能にする印刷ヘッド及び印刷ヘッドの操作方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明の第１の態様において、第１の独立請求項の印刷ヘッドによって解決される。
【0007】
したがって、印刷ヘッドは、少なくとも以下の要素を備え得る。
－ノズルキャリア：これは、ノズルが配置された基板である。
－ノズルキャリア：これは、ノズルが配置された基板である。
【0008】
－キャリア上に配置された複数のノズル：当該ノズルの各々は、操作中に印刷目標に向く側であるノズルキャリアの「前側」に配置された突起（すなわち、突出部）を形成している。ノズルは、印刷ヘッドの噴射方向に沿って、すなわち、印刷ヘッドがインクを噴射するように設計された方向に沿って延びている。ノズルは、噴射方向に対して平行に、又は小さい角度で、特に、噴射方向に対して４５°よりも小さい角度で延び得る。
【0009】
－ノズルに対応付けられており、ノズルの前側に配置された、複数の噴射電極：噴射電極は、例えば、当該噴射電極に対応付けられたノズルからインクを個々に噴射するために使用される。
【0010】
－ノズルキャリア上で噴射電極を支持する支持構造。この支持構造は、ノズル間に配置された複数の支持要素を備える。
【0011】
－ノズルと支持要素との間に配置された複数のインク保持部：インク保持部は、インクが支持要素に達して当該支持要素を濡らすのを防ぐ、すなわち、インク保持部は、規定境界でインクプールを「留める」。所与のノズルにおいて、最も近いインク保持部は、当該ノズルから離れて配置されている。
【0012】
インク保持部は、インクが支持要素に達するのを防ぐ。インクが支持要素に達する場合、当該インクは、当該支持要素を濡らして、ノズルを浸し得るインクプールを形成し、それによって、液滴噴射に使用される電界が適切に形成されるのを妨げる。
【0013】
好ましくは、噴射方向に沿って、インク保持部の前方面は、ノズルの前方端よりも後ろに（すなわち、ノズルキャリアに対してより近くに）配置されている。換言すれば、噴射方向に沿って、インク保持部は、ノズルの前方端に対して後方に設定されている。保持部は、ノズルキャリアに対して、ノズルの前方端よりも近くに配置されているため、ノズルは、ノズルと保持部との間で形成され得る任意のインクプールから前に延びている、すなわち、ノズルは、当該インクプールに「沈む」ことはない。しかしながら、ノズルの垂直壁は、インクで濡れ得ることに留意されたい。
【0014】
各インク保持部は好ましくは、当該各インク保持部に最も近いノズルから反対に向いたレッジ部分を形成しており、それによって、留めプロセスを補助する。
【0015】
特に好ましい実施形態では、印刷ヘッドは、噴射電極によって生成される電界からインク保持部をガードする目的を有する複数のガード電極を備える。所与のノズルにおいて、当該ノズルに対応付けられたガード電極は、当該ノズルに対応付けられた噴射電極と、同じノズルに対応付けられたインク保持部との間に配置されている。噴射電極の電界は、インクの表面張力を低下させる傾向にあるため、本設計は、インク保持部の周囲が濡れるリスクを低減する。
【0016】
特に、印刷ヘッドは、ガード電極の電位を、噴射電極の（最大）電位よりも、インク保持部の電位に近くなるように設定するように構成された電圧供給を備え得る。
【0017】
印刷ヘッドは、ノズルについての複数のインク供給ダクトを更に備え得る。インク供給ダクトは、少なくとも部分的に、ノズルキャリアに配置されている。好ましくは、少なくとも１つのインク供給ダクトは、各ノズルで終わる。インク供給ダクトは、ノズルにインクを供給するように構成されている。
【0018】
その場合、所与のノズルにおいて、最も近いインク保持部は、ノズル及び供給ダクトの端部分を囲んでいる。これにより、供給ダクトから来るインクを保持することができる。
【0019】
本発明の第２の態様では、本発明は、少なくとも以下の部分を備える電気流体力学的印刷ヘッドに関する。
－ノズルキャリア：これは、ノズルが配置された基板である。
－ノズルキャリア：これは、ノズルが配置された基板である。
【0020】
－キャリア上に配置された複数のノズル：当該ノズルの各々は、操作中に印刷目標に向く側であるノズルキャリアの「前側」に配置された突起（すなわち、突出部）を形成している。ノズルは、印刷ヘッドの噴射方向に沿って、すなわち、印刷ヘッドがインクを噴射するように設計された方向に沿って延びている。ノズルは、噴射方向に対して平行に、又は小さい角度で、特に、噴射方向に対して４５°よりも小さい角度で延び得る。
【0021】
－ノズルに対応付けられており、ノズルの前側に配置された、複数の噴射電極：噴射電極は、例えば、当該噴射電極に対応付けられたノズルからインクを個々に噴射するために使用される。
【0022】
－ノズルについての複数のインク供給ダクト：少なくとも１つのインク供給ダクトは、各ノズルで終わり、当該各ノズルにインクを供給する。
【0023】
－複数のインク吸引ダクト：少なくとも１つのインク吸引ダクトは、各ノズルで終わる。
【0024】
インク吸引ダクトは、ノズルからインクを供給するように構成されている。これにより、所与のノズルにおいて過度な量のインクを防ぐことができる。
【0025】
第１の態様と同じで、これにより、所与のノズルの周囲の領域にインクを閉じ込め、それによって、ノズルがインクのプールに沈むことを防ぐことができる。
【0026】
インク供給ダクト及び吸引ダクトは、少なくとも部分的に、ノズルキャリアに配置され得る。
【0027】
本発明の第１の態様と同じで、印刷ヘッドは好ましくは、ノズルキャリア上で噴射電極を支持する支持構造を備える。この支持構造は、ノズル間に配置された複数の支持要素を備える。吸引ダクトは、インクが支持要素に達するのを防ぐために使用され得る。
【0028】
この第２の態様は好ましくは、第１の態様と組み合わされる、すなわち、印刷ヘッドは、所与のノズルにおいて、少なくとも１つの吸引ダクトと少なくとも１つのインク保持部とを有し、両方が、インクを保持するように協働し得る。
【0029】
所与のノズルにおいて、最も近いインク保持部は好ましくは、ノズル及び供給ダクトの端部分だけでなく、吸引ダクトの端部分も囲んでいる。したがって、２つのダクトは、インク保持部によって囲まれたエリア内に新鮮なインクのプールを維持するために使用され得る。
【0030】
好ましい設計では、ノズルキャリアは、少なくとも以下の部分を備える。
－前方層：ノズルは、前方層の前側に取り付けられている。
－前方層：ノズルは、前方層の前側に取り付けられている。
【0031】
－前方層の後側に配置された裏地層。
【0032】
噴射電極に接続された電気ビアは、前方層及び裏地層を通って延びている。当該電気ビアは、噴射電極に電圧を供給する。
【0033】
加えて、インク供給ダクトは、（少なくとも）前方層に配置されている。
【0034】
特に、印刷ヘッドは、前方層において、噴射方向に対して横断して、特に垂直に延びる、インクについての相互接続部分を備え得る。これにより、ノズルについての供給ダクトを相互接続し、及び／又はノズルについての吸引ダクトを相互接続して、裏地層を通るインクダクトの数を低減（又は排除）することができる。
【0035】
好ましくは、前方層及び裏地層の両方が、誘電体層である。本設計は、電気ビアがこれらの層を通ってガイドされる必要があり、当該電気ビアが、高電圧を伴い、互いに絶縁される必要があるという理解に基づいている。代替的に、当該層はまた、誘電体材料及び非誘電体材料の合成物、例えば、特定の領域が、熱二酸化ケイ素の厚い層によって覆われたシリコンウェハで形成され得る。しかしながら、二酸化ケイ素層は、充分な厚さで製造可能でない場合があるため、本技術は、限られた電圧領域についてのみ動作し得る。
【0036】
最も好ましくは、裏地層は、電気絶縁及び機械的安定性の両方を提供するガラスで作られている。
【0037】
前方層は好ましくは、複数の光活性ポリマー層、例えば、垂直及び水平ダクト構造の任意の形態に容易に形成され得るエポキシベースのドライフィルムラミネートで作られている。代替的に、水平ダクトはまた、いくつかの構造化ガラス層を互いに結合することによって形成され得る。
【0038】
本発明はまた、印刷ヘッドを操作する方法に関し、当該印刷ヘッドにおいて、インクは、上記インク保持部（６６）を使用することによって、及び／又は吸引ダクトを使用することによりノズルからインクを吸引することによって、所与のノズルの周囲の領域に閉じ込められる。両方の場合で、インクを制御して閉じ込めることにより、インクが、周囲の支持要素に達して、ノズルを沈め得るプールが形成されるのを防ぐことができる。
【0039】
特に重要な実施形態では、当該方法は、ノズルのうちの少なくとも１つの前方端において電界を生成し、それによって、前方端からインクを噴射するステップを含む。しかしながら、同時に、インク保持部における電界は、ノズルの前方端における電界の強度の５０％未満、特に１０％未満に維持される。
【0040】
本発明の以下の詳細な説明を考慮すると、本発明はより充分に理解され、上述のもの以外の目的が明らかになるであろう。当該説明は、添付図面の参照を行う。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【0042】
注記：図１における噴射方向Ｘは下向きを指しており、ターゲットは印刷ヘッドの下方に配置されているが、垂直断面図を示す全ての他の図における噴射方向Ｘは上向きを指している、すなわち、図１は、噴射方向に対して平行な断面を示す全ての他の図に対して１８０°回転している。むしろ、それらの図における方向は、製造の進み方、すなわち、下方の層が上層の前に製造されることに基づいている。
【発明を実施するための形態】
【0043】
定義
「前」は、印刷ヘッドがインクを噴射するように設計された方向を定める。例えば、噴射電極は、ノズルの前にある。
「前」は、印刷ヘッドがインクを噴射するように設計された方向を定める。例えば、噴射電極は、ノズルの前にある。
【0044】
「後ろ」は、反対の方向を定める。例えば、ノズルは、噴射電極の後ろに配置されている。
【0045】
「前方に」及び「後方に」は、何か他のものの前又は後ろの高さの位置を示すように理解される。
【0046】
「前方」及び「後方」は、前側及び後ろ側である。
【0047】
「所与のノズルで」という特性は好ましくは、大多数、特に、少なくとも９０％のノズルについて当てはまる特性として理解される。例えば、「所与のノズルで、ガード電極は、噴射電極とインク保持部との間に配置されている」という場合、このことは好ましくは、大多数のノズル、特に、少なくとも９０％のノズルについて当てはまることを意味する。例えば、それは、印刷ヘッドのエッジにおけるノズル及び／又は未使用のノズルなど、噴射電極及び／又はガード電極を有しないいくつかのノズルがあり得る。
【0048】
印刷ヘッドの噴射方向Ｘは、「垂直」上向き方向を定める、すなわち、印刷ヘッドは、定義によって、インクを上向きに噴射するように設計されている。（もちろん、操作時、それは、重力の方向に対して任意の角度未満であってもよい。）したがって、「上方」及び「下方」などの定義は、「垂直」のこの定義を参照して理解されるべきである。
【0049】
「水平」は、垂直方向に対して垂直な任意の方向である。
【0050】
「横」は、何か他のものから見て水平な方向を示す。
【0051】
印刷ヘッド
図１は、印刷ヘッド１の実施形態の概略断面図を示す。それは、ターゲット２の上方に描写されており、それは、噴射方向Ｘに沿ってターゲットにインクを噴射するように構成されている。
図１は、印刷ヘッド１の実施形態の概略断面図を示す。それは、ターゲット２の上方に描写されており、それは、噴射方向Ｘに沿ってターゲットにインクを噴射するように構成されている。
【0052】
印刷ヘッドは、ノズルキャリア６の前方面に配置された複数のノズル４を備える。ノズル４は、１又は２次元アレイに配置され得る。
【0053】
印刷ヘッドは、ノズル４からインクを噴射する複数の噴射電極（図１に図示せず）と、支持構造８上に配置された任意選択的な更なる電極と、を有し、その設計は、以下でより詳細に記載される。更なる電極は、インクを、規定電気電位に設定するために、インクと電気的に接触して設けられ得る。
【0054】
ノズルキャリア６は、前方層１０を備え、ノズル４は、前方層１０の前方面に取り付けられており、その上で突起を形成している。それはまた、前方層１０の後方側に配置された裏地層１２を備える。
【0055】
前方層１０の内部構造は、図１に示されていないが、以下でより詳細に記載される。それは、例えば、誘電体、特にポリマーであり得る。
【0056】
裏地層１２は、例えば、絶縁半導体材料であり得るか、又はそれは、誘電体であり得る。好ましくは、裏地層１２は、少なくとも部分的にガラスである。
【0057】
電気ビア１４は、噴射電極に接続されており、噴射電極を電圧供給１７に接続するために前方層１０及び裏地層１２を通って延びている。好ましくは、各ノズル４に少なくとも１つのビア１４が存在する。他の電極を電圧供給１７に接続するために、更なるビアが設けられ得る。
【0058】
インクダクト１５、１６は、インクをノズル４に供給し、（任意選択的に）ノズル４からインクを戻して再利用する。それらは部分的に、前方層１０に配置されており、それらは、裏地層１２の周辺領域を通って延びている。それらの設計は、以下でより詳細に記載される。
【0059】
図１は、インクの供給ダクト１５及び吸引ダクト１６を有する印刷ヘッドの実施形態を示す。
【0060】
インクを供給ダクト１５に供給するために、吸引ダクトが存在する場合、吸引ダクト１６からインクを回収するために、少なくとも１つのポンプ１８及び／又は別の圧力源若しくは真空源が設けられている。
【0061】
好ましくは、印刷ヘッドは、供給ダクト１５の入力、例えば貯留タンク２２で第１の規定圧力ｐ１を生成する第１の圧力制御２０を備える。
【0062】
インクは、任意選択的なフィルタ２４及び供給ダクト１５を通ってノズル４に供給される。
【0063】
吸引ダクト１６が存在する場合、吸引ダクト１６は、吸引ダクト１６の出口、例えば吸引タンク２８で第２の規定圧力ｐ２を生成する第２の圧力制御２６を備え得る吸引システムに接続されている。吸引システムはまた、ポンプを備え得る。これは特に、上述のようなポンプ１８であり得、その場合、ポンプ１８は、循環ポンプとして機能する。
【0064】
好適なポンプ設計は、例えば、特許文献２に示されている。
【0065】
図１で更に示されるように、印刷ヘッドは、ノズルキャリア６の後方側に配置された、ＰＣＢなどの回路キャリア３０を備え得る。
【0066】
任意選択的な介在層３２は、ビア１４のより密な分解能を回路キャリア３０の回路の分解能に合わせるために、回路キャリア３０とノズルキャリア６との間に設けられ得る。当該介在層は、例えば、半導体チップがＰＣＢに実装されるフリップチップ設計で使用される。
【0067】
回路キャリア３０は、制御回路３３を支持しており、制御回路３３は、例えば、電圧供給１７の少なくとも一部、例えば当該電圧供給のドライバー段を実装し得、印刷ヘッドのそれぞれの電極に電圧源を接続している。
【0068】
図示された実施形態では、インクダクト１５、１６は、介在層３２（存在する場合）及び回路キャリア３０を通って延びている。
【0069】
ビア１４が、充分大きい相互間隔を有する（例えば０．４ｍｍよりも大きい）場合、ビア１４は、介在層３２無しで回路キャリア３０と直接的にインターフェース接続し得る。
【0070】
好ましくは、ターゲット２は、印刷ヘッド１とターゲット２との間に加速電界を生成するために電圧供給１７に接続された加速電極上に配置されている。
【0071】
圧力制御２０、２６は、印刷ヘッドの操作というセクションで以下に記載されるように圧力を維持するために使用され得る。好ましくは、それらは、供給ダクト１５及び圧力ダクト１６内の圧力を別々に調整することが可能である。
【0072】
【0073】
図２から分かるように、ノズル４は、ノズルキャリア６の前方面３６、例えばその前方層１０の前方側で突起を形成している。それは、インクがターゲット２に向けて噴射され得る出口通路５に配置されている。
【0074】
図２はまた、ノズル４に対応付けられ得る各種の電極を示す。
【0075】
噴射電極３８は、ノズル４の前方側に配置されている。図２及び図７の実施形態では、それは、インクの通過のための中心開口３９を有する環状である。それは、支持構造８及びノズルキャリア６を通って延びるビア１４のうちの１つに接続されている。
【0076】
図３及び図４は、ビア１４の可能性のある２つの実装を示す。右側で、参照番号１４の下、中空の実装が示されており、ここで、ビアは、噴射方向に沿って延びて中心ダクト１４ｃを囲む誘電体管１４ｂ内で金属コーティング１４ａとして形成されており、中心ダクト１４ｃは、印刷ヘッドとターゲットとの間の領域へ／当該領域から気体を供給する換気ダクトとしても使用され得る。このタイプの構造は、例えば、
ａ）以下に記載されるようなハニカム構造と共に管１４ｂを形成すること、及び
ｂ）例えば、スパッタリングによって管１４ｂ内で金属コーティング１４ａを形成することによって形成され得る。
ａ）以下に記載されるようなハニカム構造と共に管１４ｂを形成すること、及び
ｂ）例えば、スパッタリングによって管１４ｂ内で金属コーティング１４ａを形成することによって形成され得る。
【0077】
参照番号１４’の下で示される代替的な設計は、誘電体管１４’ｂ内に中実の金属コア１４’ａを備える。再び、管１４’ｂは、以下に記載されるようなハニカム構造と共に形成され得、金属コア１４’ａは、例えば、電気メッキによって形成され得る。
【0078】
代替的なビア設計１４、１４’は、図１７にも示されている。中空のビア設計１４は、遮蔽電極４０を接続するために描写されている一方、充填ビア設計１４’は、（図１７では見えない）噴射電極３８のために描写されている。注記：金属部分のみが図１７でハッチング領域として示されている一方、他の断面部分はハッチングされていない。
【0079】
【0080】
図２及び図８を参照して、遮蔽電極４０は、噴射電極３８の前方側に離れて配置され得る、すなわち、ノズルキャリア６に対して、噴射電極３８は遮蔽電極４０よりも近い。好ましくは、印刷ヘッド１の前方で延びる１つの連続的な遮蔽電極４０が存在するが、いくつかの当該遮蔽電極も存在し得る。
【0081】
いくつかの遮蔽電極が使用される場合、それらは、例えば、印刷ヘッドの断面において徐々にインクを偏向することを可能にする分圧器によって、例えば、電圧勾配を印加することによって異なる電位に印加され得る。
【0082】
遮蔽電極４０は、印刷ヘッド１とターゲット２との間の場を制御するように設けられている。各ノズル４について、遮蔽電極４０内の開口４１は、インクの通過を可能にする。
【0083】
図２及び図５に示されるように、ガード電極４２は、噴射電極３８の後ろ側に離れて配置され得るが、ノズルキャリア６の前方に離れて配置され得る。図２及び図５に示されるように再び、それは、環状であり得る。代替的に、それはまた、いくつかのノズルにわたって延びてもよい。
【0084】
ノズル４の上方のガード電極４２内の開口４３は、インクの通過を可能にする。
【0085】
ガード電極４２の機能は、以下に記載される。
【0086】
本実施形態のノズル４は、先端部分４６と、シャフト部分４８と、ベース部分５０、５２と、を備え、先端部分４６は、シャフト部分４８の前方に配置されており、ベース部分５０、５２（図２、図３）は、シャフト部分４８の後ろ側に配置されている。
【0087】
図示されたノズル設計は、（例えば、特許文献５から既知であるように）インクがノズル４の横面を濡らすことに依拠し、インクがノズル４の中心流路を通過することに依拠しないが、後者も同様に使用され得る。
【0088】
ノズル４が中心流路を有する場合、例えば、出口ダクト６０がノズルの先端まで全域に延びている場合、好ましくは、ノズル４は依然、インクがノズルの上だけでなくその横の外側も濡らすように操作される。確実に、インクが全てのノズルの外側を覆うことによって、全てのノズルが、同じインク外形を噴射電極に与え、これにより、印刷ヘッド全体にわたって、より均一なインク噴射を実現することができる。
【0089】
噴射方向Ｘへのノズル４に沿ったインクの望ましい流れを促進するために、好ましくは、ノズル４は、その横面において、すなわち、噴射方向Ｘに沿って延びる面において、噴射方向Ｘに沿って延びる少なくとも１つの溝を有する。この溝は、ノズル４の長さの少なくとも一部に沿って延びている。
【0090】
これは、例えば、図５で分かり、ここで、先端部分４６は、（４つの凹部４６ａが十字形のアーム間で形成された）断面形状で示され、シャフト部分４８は、２つの溝４８ａを形成している。
【0091】
図６は、先端部分４６の代替的な設計を示す。
（ａ）は、凸状横面を有し、且つ例えば、溝無しの円柱である、先端部分４６であり、
（ｂ）は、２つの横溝４６ａを形成した先端部分４６であり、
（ｃ）は、軸方向の管４６ｃを形成した先端部分である。
（ａ）は、凸状横面を有し、且つ例えば、溝無しの円柱である、先端部分４６であり、
（ｂ）は、２つの横溝４６ａを形成した先端部分４６であり、
（ｃ）は、軸方向の管４６ｃを形成した先端部分である。
【0092】
【0093】
特に、図示された実施形態では、ベース部分５０、５２は、底のサブ層５２と、上のサブ層５０と、を備える。底のサブ層５２は、インクをノズル４に供給する供給ダクト部分１５ａの端に通じる中心開口５４を有する。１つ以上の径方向の横断出口ダクト５６は、噴射方向Ｘに対して横断して、第１の環状ダクト５８に向けて中心開口５４から外向きに延びている。
【0094】
図２では、ダクト内のインクの流れは、矢印によって描写されている。
【0095】
上のサブ層５０はまた、軸方向の出口ダクト６０を形成し得、軸方向の出口ダクト６０は、ノズルの先端に向けて延びており、供給ダクト部分１５ａをシャフト部分４８の溝４８ａ（図５）に接続し、それによって、インクを直接的に先端部分４６に向けて上にガイドする。
【0096】
上のサブ層５０は、ノズル４を囲む第１の環状ダクト５８と整列した第２の環状ダクト６２によって囲まれ得る。
【0097】
ノズル４は、インク保持部６６によって囲まれており、その目的は、インクを横方向に保持するためである。環状ダクト６２は、インク保持部６６とノズル４との間で径方向に配置されており、それによって、ノズル４とインク保持部６６との間の領域６４と通じている。
【0098】
インク保持部６６の前方面６８（すなわち、噴射電極３８に最も近い前方に向いた面）は、ノズル４の前方端７０に対して噴射方向Ｘに沿って後方に設定されている。したがって、領域６４内にインクが存在する場合、インクの面は、１点鎖線によって示されるような、ノズル４の先端に向かう上昇傾斜を形成し、インクが噴射電極３８に最も近い位置に先端が確実にあるようにし、それによって、インクを送り出す規定点を形成している。
【0099】
インク保持部６６の主な機能は、インクを留めること、すなわち、インクを支持構造８の垂直部分に近づけないようにすること、すなわち、インクが上がっていって、ノズルを沈め得るプールを形成するのを防ぐことである。
【0100】
この機能は、以下の特徴のうちの１つ以上の組合せによって実装される。
ａ）インク保持部６６には、図２において太い黒線で示される、例えば、疎水性及び／又は疎油性コーティング７３による疎水性及び／又は疎油性の面が設けられている。例えば、当該面は、少なくとも部分的に、疎水性及び疎油性であるテフロン（登録商標）及び／又はＰＴＦＥで形成され得る。使用されるインクの範囲に応じて、当該面はまた、疎水性（例えば、ＨＭＤＳ、すなわち、ビス（トリメチルシリル）アミン）のみであり得るか、又は（例えば、ポリマーベースの）疎油性のみであり得る。特に、インク６６保持部の面は好ましくは、ノズル４の面よりも疎水性及び／又は疎油性である。
ａ）インク保持部６６には、図２において太い黒線で示される、例えば、疎水性及び／又は疎油性コーティング７３による疎水性及び／又は疎油性の面が設けられている。例えば、当該面は、少なくとも部分的に、疎水性及び疎油性であるテフロン（登録商標）及び／又はＰＴＦＥで形成され得る。使用されるインクの範囲に応じて、当該面はまた、疎水性（例えば、ＨＭＤＳ、すなわち、ビス（トリメチルシリル）アミン）のみであり得るか、又は（例えば、ポリマーベースの）疎油性のみであり得る。特に、インク６６保持部の面は好ましくは、ノズル４の面よりも疎水性及び／又は疎油性である。
【0101】
ｂ）インク保持部６６は、それに最も近いノズル４から離れる方に向いたレッジ部分６６ａを形成しており、これにより、その周囲でインクが進むのを困難にする。換言すれば、ノズルから見ると、レッジ部分は、外向きに延びて、「アンダーカット」６６ｂを形成している。
【0102】
ｃ）インク保持部６６は、電界が低い領域に配置されている。強電界は、インクの表面張力を低下させる傾向にあるため、本設計は、インク保持部の周囲がインクで濡れるリスクを低減する。図示された実施形態では、ノズル４に対応付けられたガード電極４２は、噴射電極３８とインク保持部６６との間に配置されている。本文脈では、「間」は好ましくは、ガード電極４２が、噴射電極３８とインク保持部６６との間の空間の容積を横切る、好ましくは２分割することを意味する。
【0103】
インク保持部６６が、インクを横方向に保持する、すなわち、最も近い支持要素にインクが達するのを防ぐ唯一の手段ではないことに留意されたい。代替的に、又はそれに加えて、インク吸引ダクト１６は、支持要素に達し得る任意のインクを除去するために使用され得る。これは、印刷ヘッドの操作というセクションでより詳細に記載される。
【0104】
ガード電極４２は、例えば、ビア１４’又は１４によって電圧供給１７に接続されており、それは、操作中、噴射電極の（最大）電位よりもインク保持部６６の（すなわち、インクの）電位に近い電位に設定され得る。特に、電圧供給１７は、インク保持部６６と同じ電位にガード電極４２を維持するように構成され得る。これにより、インク保持部６６における電界を非常に低く維持することができる。
【0105】
図２に示されるように、ガード電極４２は好ましくは、ノズル４の前方端７０と同じ「高さ」（垂直方向は噴射方向Ｘによって定められる）、例えば、噴射電極３８とノズル４の前方端７０との間の垂直距離ｄの２５％の精度内で配置される。これは、依然、噴射電極３８の場に対して先端を著しく露出させつつ、ノズル４の先端の下方でのインクの望ましい遮蔽を提供する。
【0106】
図２で分かるように、ガード電極４２とインク保持部６６との間のギャップを形成した、空気で満たされたキャビティ７１が存在し、これは、インクがガード電極４２に達するのを防ぐ。
【0107】
インクを領域６４内で横方向に保持するために、インク保持部６６は好ましくは、ノズルキャリア６の前方面３６に配置されており、そこから突出している。図２～図４の実施形態では、それは、ノズルキャリア６の前方面３６に取り付けられた第１のリング７２と、第１のリング７２の前方側に取り付けられた第２のリング７４と、を備える。第２のリング７４は、上述のレッジ部分６６ａを形成している。
【0108】
【0109】
その場合、所与のノズルにおいて、最も近いインク保持部６６は好ましくは、ノズル４及び供給ダクトの端部分１５ａだけでなく、吸引ダクト１６の端部分１６ａの端も囲んでいる。したがって、２つのダクトは、ノズルに向かい、そこから戻るインクの流れを制御するために使用され得る。
【0110】
供給ダクト１５及び吸引ダクト１６での圧力は、例えば、図２に示されるような上方の高さ６４ａと下方の高さ６４ｂとの間のどこかの領域６４内にインクを維持するように調整される。好ましくは、以下の「印刷ヘッドの操作」というセクションでより詳細に記載されるように、インクは、下方の高さ６４ｂで維持される。
【0111】
インクの望ましい横方向の制限のために、各ノズル４は好ましくは、１つ以上の吸引ダクトの開口又は開口（複数）によって囲まれている。これは、例えば、（図２の環状開口６２によって形成されるような）単一の環状開口であり得るか、又はそれは、環状の一連の吸引開口であり得る。この開口又はこれらの開口は、ノズルと、その隣の支持要素７８との間に配置されている。
【0112】
支持構造
述べられているように、支持構造８は、それぞれ異なる電極３８、４０、４２をノズルキャリア６に接続するために設けられている。それは、ノズルキャリア６の前方面３６に配置されている。
述べられているように、支持構造８は、それぞれ異なる電極３８、４０、４２をノズルキャリア６に接続するために設けられている。それは、ノズルキャリア６の前方面３６に配置されている。
【0113】
支持構造８は、ノズル４間に配置された複数の支持要素７６、７８を備える。
【0114】
インク保持部６６は好ましくは、インクがこれらの支持要素７６、７８に達するのを防ぐように、且つインクがそれらを濡らすのを防ぐように設計されており、それによって、インクがノズルを沈める傾向を低減する。
【0115】
支持構造８は好ましくは、少なくとも１つの電極キャリア層を備える。図２の実施形態では、３つの当該層８０、８２、８４が存在する。当該電極キャリア層の各々は、少なくとも１つの電極３８、４０、４２を備え、上面３６に対して平行に延び得る。
【0116】
通常、電極３８、４０、４２は、その電極キャリア層８０、８２、８４内に埋め込まれており、その前方及び後方側において少なくとも１つの誘電体サブ層８０ａ、８０ｂ、又は８２ａ、８２ｂ、又は８４ａ、８４ｂによって覆われている。
【0117】
支持要素の少なくとも一部は、図３参照のハニカム構造を形成した垂直壁７６によって形成されている。当該ハニカム構造の各々は、印刷ヘッドの様々な部分で使用され、且つ以下でより詳細に記載される多層構造の一部である。
【0118】
ハニカム構造を形成した壁７６に加えて又は代替的に、図示された実施形態では、支持要素は、各ノズル４の出口通路５を囲む垂直壁７８を備える。壁７８は、例えば円柱壁であり得るが、それはまた、例えば多角形であり得る。好ましくは、それは、ノズル４を中心としている。
【0119】
別の実施形態では、壁７８はまた、省かれ得、出口通路５の周囲の壁は、ハニカム構造の壁７６によって形成され得る。この場合、ハニカム構造をノズルと整列させる必要がある。
【0120】
更に別の実施形態では、いくつかのノズルが、単一の壁７８によって囲まれ得る。
【0121】
ここで示される実施形態では、支持要素７６及び／又は７８は、電極キャリア層８０、８２、８４の各々の間、及び最後方の電極キャリア層８０ａとノズルキャリア６との間に設けられている。しかしながら、それらはまた、サブセットのこれらの構造間にのみ設けられ得る。
【0122】
図２から最もよく分かるように、ノズル４とそのインク保持部６６との間に配置された第１の凹部が存在し、これは、環状の第１及び第２の環状ダクト５８、６２によって形成されている。それは、インクプール６４の少なくとも一部を受け入れるための容積を提供する。噴射方向Ｘに沿って、第１の凹部５８、６２の底は、インク保持部６６の前方面６８に対して後方にある（すなわち、前方面６８に対するよりもノズルキャリア６に対して近い）。
【0123】
図示された実施形態では、インク保持部６６と、最も近い支持要素７８との間に配置された第２の凹部８６が存在する。それは、レッジ部分６６ａについての空間を提供し、及び／又はインクが支持要素７８に達するのをより困難にする。噴射方向Ｘに沿って、凹部８６の底は、インク保持部６６の前方面６８に対して後方にある（すなわち、ノズルキャリア６に対して前方面６８よりも近い）。
【0124】
ノズル設計２
図９及び図１０は、ノズル設計の第２の実施形態を示す。それは主に、ノズルに対してインク供給ダクト１５（その端部分１５ａが図１０に示されている）のみが存在するが、吸引ダクトが存在しない点で第１のものと異なっている。
図９及び図１０は、ノズル設計の第２の実施形態を示す。それは主に、ノズルに対してインク供給ダクト１５（その端部分１５ａが図１０に示されている）のみが存在するが、吸引ダクトが存在しない点で第１のものと異なっている。
【0125】
更に、ノズル４とインク保持部６６との間には凹部が存在しない。むしろ、インク保持部６６は、横方向にノズル４上に配置されており、その前方面６８は、ノズル４の前方端（先端）７０から離れている。
【0126】
換言すれば、その前方面６８は、領域６４内でインクに対して上昇傾斜を形成して、ノズルを沈めるリスクを低減するために、ノズル４の前方端７０に対して後方に設定されている。
【0127】
好ましくは、インク保持部６６は、ノズルを沈める可能性を低くするために、ノズル４上に「低く」取り付けられる。特に、インク保持部６６の前方面６８は、ノズル４の前方端７０に対してよりも、ノズルキャリア６の前方サイズ３６に近い。
【0128】
分かるように、本実施形態では、インク保持部６６は、ノズル４のベース部分のサブ層５２によって形成されている。
【0129】
ノズル設計３
図１１は、ノズル設計の第３の実施形態を示す。それは主に、それがガード電極を有しない点で第２のものと異なっている。インク保持部６６の位置における電界を低く維持するために、インク保持部６６は、後方遠くに配置されている。
図１１は、ノズル設計の第３の実施形態を示す。それは主に、それがガード電極を有しない点で第２のものと異なっている。インク保持部６６の位置における電界を低く維持するために、インク保持部６６は、後方遠くに配置されている。
【0130】
特に、図１１に示されるように、インク保持部６６の前方面６８と、ノズル４の前方端７０との間の噴射方向Ｘに沿った距離ｄ’は大きい。
【0131】
定量的に、ｄが、噴射電極３８とノズル４の前方端７０との間の噴射方向Ｘに沿った距離を示す場合、好ましくは、以下の条件が維持される：
ｄ’＞ｋ・ｄ
ｋは、少なくとも０．５、特に少なくとも１．０である。
ｄ’＞ｋ・ｄ
ｋは、少なくとも０．５、特に少なくとも１．０である。
【0132】
インク保持部が無いノズル設計
これまでに図示された実施形態では、ノズル４は、ノズルキャリア６の上面３６から上に突出したインク保持部６６によって囲まれていた。しかしながら、インク吸引部を使用することで、当該インク保持部を省くことができる。これは、図２１に示されており、図２１は、基本的に図２のものに対応するがインク保持部がない実施形態を示す。したがって、図２の実施形態のベース部分５０、５２を形成した層は省かれ得る。
これまでに図示された実施形態では、ノズル４は、ノズルキャリア６の上面３６から上に突出したインク保持部６６によって囲まれていた。しかしながら、インク吸引部を使用することで、当該インク保持部を省くことができる。これは、図２１に示されており、図２１は、基本的に図２のものに対応するがインク保持部がない実施形態を示す。したがって、図２の実施形態のベース部分５０、５２を形成した層は省かれ得る。
【0133】
本実施形態では、インクは、ノズルを囲むインク吸引ダクト１６の端部分１６ａ内に吸引されることによって、ノズル４の周囲で保持される。
【0134】
一実施形態では、吸引ダクト１６の単一の環状（又は、例えば、６角形若しくは他の場合には閉ループ）端部分１６ａは、ノズル４の周囲に配置され得る。
【0135】
別の実施形態では、密な間隔でノズル４を囲んで、複数の個々の端部分１６ａが設けられ、例えば、円形又は別の閉ループに沿って配置され得る。
【0136】
本実施形態では、ガード電極４２は、ノズルキャリア６の面３６に沿ってインクが広がる傾向を低減するため、ガード電極４２は、依然有用であり得る。
【0137】
図示される実施形態では、出口ダクト６０は、ノズルの上７０まで全域に延びている。したがって、インクは、ノズルを通って軸方向に流れる。好ましくは、出口ダクト６０の圧力は、インクがノズルからあふれ出てその横側壁に沿って下に流れるように選択される。そこから、インクは、吸引ダクト１６の端部分１６ａに到達して取り去られる。これは、ノズル内で連続的なインク交換を提供する。
【0138】
【0139】
しかしながら、任意選択的に、本セクションの設計はまた、例えば、吸引ダクト１６の端部分１６ａを囲む（点線で示されるような）簡易のインク保持部６６と組み合わされ得る。
【0140】
ノズルキャリア
図１２～図１６は、可能性のあるノズルキャリア６の設計を示す。図１３～図１５は、隣接するノズルが、供給ダクト及び吸引ダクトによってどのように相互接続され得るかを示すために、図１２と比較して縮小したスケールであり、図１６は、裏地層１２の高さの印刷ヘッドの断面全体を示す、よりいっそう縮小したスケールで示されていることに留意されたい。
図１２～図１６は、可能性のあるノズルキャリア６の設計を示す。図１３～図１５は、隣接するノズルが、供給ダクト及び吸引ダクトによってどのように相互接続され得るかを示すために、図１２と比較して縮小したスケールであり、図１６は、裏地層１２の高さの印刷ヘッドの断面全体を示す、よりいっそう縮小したスケールで示されていることに留意されたい。
【0141】
【0142】
上述のように、ノズルキャリア６は、前方層１０を備え、ノズル４は、その前方面３６に取り付けられており、更に、裏地層１２は、前方層１０の後方側に配置されている。次いで、前方層１０及び裏地層１２は、多層構造であり得る。
【0143】
それらは、以下でより詳細に記載される。
【0144】
前方層１０は、いくつかのサブ層１０ａ～１０ｄで構成されており、インクをノズルに供給し、適用可能な場合、インクをノズルから供給する、ダクト１５、１６の少なくとも一部を形成している。
【0145】
図１２の実施形態では、前方層１０は、前方から後方への順に、ダクトを形成するサブ層１０ａ、１０ｂ、１０ｃ、及び１０ｄを備える。
【0146】
サブ層１０ａは、前方面１０ａを形成しており、供給ダクト及び（必要な場合）吸引ダクトそれぞれについての開口１５ａ、１６ａを備える。
【0147】
サブ層１０ｂは、（必要な場合）吸引ダクトの水平部分１６ｂ及び供給ダクトの垂直部分１５ｂを形成している。
【0148】
図１３で最もよく分かるように、吸引ダクトの水平部分１６ｂは、全てのノズル４又は少なくとも複数のノズル４と相互接続している。加えて、ダクト間でサブ層１０ｂは、支持構造８のものと同様のハニカムパターンを形成した垂直壁９０を備える。ハニカムパターンの領域は、垂直分離壁９２によってダクト１６ｂ及び／又は１５ｂから分離され得る。
【0149】
図１３はまた、前方層１０の全てを通って噴射方向Ｘに沿って延びるビア１４、１４’を示す。
【0150】
供給ダクトの垂直部分１５ｂは、図１４を参照して、サブ層１０ｃ内の供給ダクトの垂直部分１５ｃに接続されている。
【0151】
図１５に示されるように、サブ層１０ｄは、隣接するノズルと相互接続した供給ダクトの水平部分１５ｄを形成している。
【0152】
再び、サブ層１０ｄは、支持構造８のものと同様のハニカムパターンを形成した垂直壁９４を備え得る。ハニカムパターンの領域は、垂直分離壁９６によってダクト１０ｄから分離され得る。
【0153】
図１５はまた、前方層１０の全てを通って噴射方向Ｘに沿って延びるビア１４、１４’を示す。
【0154】
図１６は、裏地層１２の高さの電気ビア１４（及び１４’）、供給ダクト１５、並びに吸引ダクト１６についての可能性のある配置を示す。インクダクト１４、１６の水平分配が、裏地層１２の上方の前方層１０において実装されるため、１つ又はいくつかの、電気ビア１４の規則的なアレイの凸包９６の外側に配置された、場合によっては、大きいインクダクトを通ってインクを供給することが可能であり、これは、裏地層１２の設計を簡略化し、すなわち、インクダクトは、凸包９６内で裏地層１２を通って延びない設計である。
【0155】
サブ層１０ｂ及び／又は１０ｄ内でハニカム構造を使用する代わりに、例えば、ガラスの中実層が使用され得る。
【0156】
ハニカム多層構造
上記から以下のように、ここで示される印刷ヘッドは好ましくは、１つ以上のハニカム多層構造を使用する。１つの当該多層構造１０９は、図１８、図１９に示されている。それは、底層１１０と、上層１１２と、底層１１０と上層１０２との間の少なくとも１つの中間層１１４と、を有する。中間層１１４は、底層１１０と上層１１２との間で延びる壁１１６を形成している。これらの壁は、底層１１０と上層１１２との間の中間層１１４で複数のキャビティ１１８の壁の少なくとも一部を形成している。
上記から以下のように、ここで示される印刷ヘッドは好ましくは、１つ以上のハニカム多層構造を使用する。１つの当該多層構造１０９は、図１８、図１９に示されている。それは、底層１１０と、上層１１２と、底層１１０と上層１０２との間の少なくとも１つの中間層１１４と、を有する。中間層１１４は、底層１１０と上層１１２との間で延びる壁１１６を形成している。これらの壁は、底層１１０と上層１１２との間の中間層１１４で複数のキャビティ１１８の壁の少なくとも一部を形成している。
【0157】
壁１１４は好ましくは、ハニカムパターンを形成している。
【0158】
特に、底層１１０若しくは上層１１２が、中間層１１４とは異なる材料である場合、及び／又はそれが、中間層１１４とは異なる材料である別の層の近くに若しくは隣接して配置されている場合、当該構造は、機械的応力を低減することが見出されている。
【0159】
上記の例における当該ハニカム多層構造の例は、以下の通りである。
－図２、図１１、図１２において：前方層１０又はサブ層１０ａは、「底層」１１０であり、支持構造８の層８０は、「上層」１１２であり、それらの間の壁７６は、「中間層」１１４を形成している。
－図２、図１１、図１２において：前方層１０又はサブ層１０ａは、「底層」１１０であり、支持構造８の層８０は、「上層」１１２であり、それらの間の壁７６は、「中間層」１１４を形成している。
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
最初の３つの例では、支持構造８は少なくとも、多層構造の中間層１１４を備える。
【0165】
最後の２つの例では、ノズルキャリア６は少なくとも、多層構造の中間層１１４を備える。
【0166】
中間層１１４の厚さｔ（図１８参照）が比較的大きい場合、多層構造によって達成される応力低減は、特に明らかである。好ましくは、厚さｔは、１μｍよりも大きく、特に、１０μｍよりも大きい。
【0167】
好ましくは、中間層１１４は、例えば、構造化後のＳＵ－８層から形成されたポリマー層である。このタイプの層は、容易に製造及び構造化され得（以下の製造情報を参照）、示されるような多層構造においてそれを使用する場合、当該材料の中実層と比較して応力を低減する。
【0168】
したがって、好ましくは、印刷ヘッドは、中間層とは異なる材料の少なくとも１つの層、特に、半導体又はガラスの層を備える。
【0169】
キャビティ１１８は好ましくは、閉キャビティである、すなわち、キャビティ１１８は、図１５及び図１３のインクダクト部分１５ｂ又は１６ｄの一部も形成しておらず、キャビティ１１８は、周囲の雰囲気と通じてもいない。
【0170】
壁１１６が、規則的な繰り返しパターンを形成している場合、均一性が向上し、応力は更に減少し得る。
【0171】
好ましくは、壁１１６は、キャビティの最小直径Ｍの２５％未満の厚さｍを有する（図１９参照）。これは、中間層において中実材料が低含有量であることにつながり、更に機械的応力を低減する。本文脈では、厚さｍは、壁１１６の面に対して垂直な壁１１６の広がりである。キャビティの直径Ｍは、底層及び上層１１０、１１４に対して平行な方向におけるキャビティ１１８の広がりである。
【0172】
歪みを最適に除去するために、キャビティ１１８の最小直径Ｍは好ましくは、中間層１１４の厚さｔよりも大きい、すなわちＭ＞ｔである。中間層１１４を通って延びるキャビティが小さいほど、中間層において、より高い機械的応力が生成される。
【0173】
壁１１６は好ましくは、底層１１０及び上層１１２に対して垂直に延びている。これは、層に対して垂直に作用する力に対する機械的安定性を向上させるだけでなく、異方性材料の除去技術によって、特に光活性ポリマーのフォトリソグラフィによって壁を形成することも可能にする。
【0174】
多層構造の上層及び底層は互いに平行であることに留意されたい。
【0175】
閉キャビティ１１８は、インクダクトと通じていない、すなわち、閉キャビティ１１８は、印刷ヘッドを通るインクをガイドするために使用されていない。印刷ヘッドが換気ダクトを有する場合、閉キャビティ１１８は、これらの換気ダクトと通じてもいない。
【0176】
閉キャビティ１１８は、空気で満たされ得る。代替的に、閉キャビティ１１８は、排気され得る。又は、閉キャビティ１１８は、窒素などの気体で満たされ得る。好ましくは、閉キャビティ１１８は、ＳＦ６又はＣ４Ｆ８などの高い降伏電圧を有する気体で満たされ得る。気体は、所望の気体組成を有する作業空間内でそれぞれの製造ステップ（以下参照）を実行することによって導入され得る。
【0177】
電極設計
印刷ヘッドは、最小の構造的損傷で、操作中に生じる高電界に耐えるように設計されている。
印刷ヘッドは、最小の構造的損傷で、操作中に生じる高電界に耐えるように設計されている。
【0178】
このために、電極３８、４０、４２は、キャビティとの境界をなす中実の誘電体層８０ａ、８０ｂ、８２ａ、８２ｂ、８４ａ、８４ｂ間に配置されている。図示された実施形態では、当該キャビティは、例えば、電極キャリア層８０、８２、８４の下方のキャビティ７１、７１’、７１’’によって、及び／又は壁１１６によって形成されたキャビティ１１８によって形成されている。
【0179】
キャビティの少なくとも一部は、閉キャビティであり得る（すなわち、キャビティ１１８のように、全てのサイドにおいて壁によって囲まれている）。
【0180】
キャビティの少なくとも一部は、開キャビティ、特に、上記の実施形態のキャビティ７１、７１’、７１’’などの、ノズル４の出口通路５に隣接して通じるキャビティであり得る。
【0181】
当該設計では、電極の周囲の中実の誘電体層は通常、キャビティ内の気体よりも高い場に耐えることができ、より高い比誘電率εも有し、したがって、全体の破壊を防ぐ。同時に、固定された分子又は原子構造がキャビティ内に存在しないため、キャビティは、大きい電界によってもたらされる永続的な損傷を受けにくい。したがって、本設計は、長期間の操作中であっても電極の電界の影響に耐える印刷ヘッドの能力を向上させる。
【0182】
ここで図示される実施形態で分かるように、隣接する電極キャリア層８０、８２、８４間で垂直に延びる中実の支持構造、例えば壁７６及び７８が存在する。しかしながら、好ましくは、隣接する電極間で直接的に延びる当該中実の支持構造は存在しない。換言すれば、２つの隣接する電極間で延びる任意の直線は、キャビティ７１、７１’、７１’’、又は１１８のうちの少なくとも１つを通って延びている。この条件は、印刷ヘッドの隣接する電極の一部、又は特に全てが、操作時に、実質的に異なる電位、特に少なくとも１００Ｖの電圧分異なる電位を伴う場合に満たされるべきである。
【0183】
この条件は、例えば、図７の接触リード３８ｂの位置で、電極間で垂直に延びるように中実の支持構造を配置せず、及び／又は支持構造の部分を局所的に除去することによって満たされ得る。
【0184】
更に別の実施形態では、電界の強度は、電極間にキャビティが設けられていない位置で電気トラックを非常に狭く設計することによって低減され得る。その場合、トラックは好ましくは、壁構造７６、７８の高さの半分以下の幅である。例えば、壁構造が５μｍの高さを有する場合、トラックは、２．５μｍ以下の幅になるべきである。
【0185】
好ましくは、電極と、隣の（すなわち、最も近い）支持構造との間の横のオフセットは、２つの隣接する電極のうちの少なくとも一方について、２つの隣接する電極間の垂直距離の少なくとも２５％になるべきである。
【0186】
好ましくは、電極を保護する誘電体層のうちの少なくとも１つは、高い比誘電率εを有する。したがって、その中で場が弱くなっており、主要な電圧降下は、より低い誘電率の層、特にキャビティにシフトする。これにより、構造を電気絶縁破壊からよりいっそう充分に保護することができる。
【0187】
これに関連して、高い比誘電率εは好ましくは、少なくとも５である。好適な材料は、例えば、（９．５～１０．５の比誘電率εを有する）Ｓｉ３Ｎ４又は（９．３～１１．５のεを有する）Ａｌ２Ｏ３である。
【0188】
好ましくは、図２０に示されるように、いくつかの誘電体層は、キャビティ１２０と電極１２２との間に設けられている。（図２０のキャビティ１２０は、例えば、上記の例のキャビティ１１８又は７１、７１’、７１’’を表し、電極１２２は、上記の例の電極３８、４０、４２のうちの１つ、特に噴射電極３８を表す。
【0189】
図示された実施形態では、電極１２２は、第１の誘電体層１２４ａ、１２４ｂによって囲まれており、次いで、第１の誘電体層１２４ａ、１２４ｂは、第２の誘電体層１２６によって囲まれている。
【0190】
第１の誘電体層１２４ａ、１２４ｂは好ましくは、例えばパターン化ＳＵ－８（以下の製造プロセスを参照）で構成されたポリマー層である。当該ポリマー層は、例えば、２．５～３．０の低い比誘電率を有する。それは、例えば、上述の電極キャリア層８０、８２、８４のサブ層８０ａ、８０ｂ、８２ａ、８２ｂ、８４ａ、８４ｂに対応し、少なくとも部分的に、積層技術（以下を参照）を使用して製造され得る。
【0191】
第２の誘電体層１２６は、第１の誘電体層１２４ａ、１２４ｂよりも高い電気絶縁破壊の閾値を有する無機層である。それは好ましくは、第１の誘電体層１２４ａ、１２４ｂよりも高い、特に２倍の比誘電率を有する。それは、例えば、上述の理由でＳｉ３Ｎ４又はＡｌ２Ｏ３であり得る。それは、２つの電極間の全ての構成要素の最高の破壊抵抗を有し、通常、電気絶縁破壊を防ぐ。
【0192】
電極１２２と第２の誘電体層１２６との間に第１の誘電体層１２４ａ、１２４ｂを配置することは、例えば、電極１２２のエッジにおけるピーク電界強度が第１の誘電体層内にあり、したがって、破壊を防ぐ第２の誘電体層１２６の能力を増大させるという利点を有する。
【0193】
したがって、好ましい実施形態では、キャビティ１２０の少なくとも一部は、印刷ヘッドの幾つかの異なる電極間、又は印刷ヘッドの電極と印刷ヘッドのインク保持部６６との間に配置されている。
【0194】
好ましくは、異なる電極３８、４０、４２、１２２は、１つ以上の中実の誘電体層１２４ａ、１２４ｂ、１２６によってキャビティ又はキャビティ（複数）１２０から分離されている。
【0195】
特に、１つ以上の中実の誘電体層１２４ａ、１２４ｂ、１２６は好ましくは、ポリマー層１２４ａ、１２４及び／又は無機層１２６を備える。好ましくは、ポリマー層１２４ａ、１２４は、電極１２２と無機層１２６との間に配置されている。
【0196】
印刷ヘッドの操作
操作時、すなわち印刷中、インクは、供給ダクト１５によって印刷ヘッドに供給される。このインクは、ノズル４とインク保持部６６との間の領域６４に制限される。
操作時、すなわち印刷中、インクは、供給ダクト１５によって印刷ヘッドに供給される。このインクは、ノズル４とインク保持部６６との間の領域６４に制限される。
【0197】
インク液滴を噴射するために、（インクの電圧に対する）所望の噴射電極における電圧を一時的に増加させる。例えば、４００Ｖの電圧パルスが生成され得る。印刷していない間、噴射電極における電圧は、インクが噴射されていないレベルに維持される。好ましくは、それは、ゼロではないが、例えば、２００Ｖである。
【0198】
上述のように、インク保持部６６における電界は好ましくは、低く、例えば、ノズルの前方端７０における電界の強度の５０％未満、特に１０％未満に維持される。高い電界強度はインクの表面張力を低減するため、この手順は、インクがインク保持部を濡らしてそこを横断する傾向を低減する。
【0199】
吸引ダクト１６は、存在する場合、インクをノズルから回収するために使用される。好ましくは、印刷方法は、以下のステップを含む。
－ノズルキャリア６内の供給ダクト１５を使用して、ノズルにインクを個々に供給するステップ、及び
－ノズルキャリア６内の吸引ダクト１６を使用して、ノズルからインクを個々に吸引するステップ。
－ノズルキャリア６内の供給ダクト１５を使用して、ノズルにインクを個々に供給するステップ、及び
－ノズルキャリア６内の吸引ダクト１６を使用して、ノズルからインクを個々に吸引するステップ。
【0200】
これにより、ノズルにおいて、新鮮なインクの貯留を維持することができる。
【0201】
操作時、所与のノズルにおける吸引ダクト１６の端の圧力ｐｘは好ましくは、図２の高さ６４ｂなどでインク保持部６６にインクを近づけないように維持される。好ましくは、ｐｘは、空気が吸引ダクト１６内に吸引されるのを防ぐために低すぎるべきではない。好適な圧力は、環状ダクト６２の径方向の幅ｗから計算され得る。ｗ＝５μｍ及び水の表面張力を有するインクについて、ヤング・ラプラスの式は、１４４ミリバール（約１４．４ｋＰａ）の圧力差ｄｐをもたらす。アルカンの表面張力を有する液体について、圧力差ｄｐは、４０ミリバール（約４ｋＰａ）である。したがって、圧力ｐｘを、周囲の圧力よりもｄｐ以下で低く維持することによって、面６４ｂが維持され得、空気が吸引されない。
【0202】
環状ダクト６２の代わりに、例えば、５μｍの直径のいくつかの円形開口が使用される場合、ｄｐは２倍の大きさになる。
【0203】
周囲の圧力とｐｘとの間の差がｄｐ未満である場合、液体の高さは、例えば、図２の線６４ａに上昇する。そこにおいて、曲率は、線６４ｂよりもはるかに低い。簡略化した例で、曲率が１０倍低いと仮定すると、対応する圧力差は、（水について）１４ミリバール（約１．４ｋＰａ）である。したがって、例えば、圧力ｐｘを、大気圧よりも５０ミリバール（約５ｋＰａ）低く維持することによって、インクが線６４ａの高さと同じくらいの高さに達するのを防ぐことができる。
【0204】
一方、所与のノズルにおける供給ダクト１５の端の圧力ｐｙは、ノズルを通る所望のインク流を維持するように調整され得る。また、上述のように、出口ダクト５６及び６０を通るインク流は、これらのダクトにおいて好適な直径を選択することによって調整され得る。
【0205】
更に別の実施形態では、吸引ダクト１６の端部分１６ａにおける（周囲の圧力よりも低い）圧力差は、より低い高さ６４ｂにおけるｄｐよりも大きくなるように選択され得る。したがって、空気が吸引ダクト１６内に吸引される。
【0206】
その場合、吸引ダクト１６を通って戻るインクが再利用されるとき、インクが再循環ポンプ１８に供給される前にインク及び空気を分離するために分離デバイスが使用され得る。
【0207】
製造
本印刷ヘッドは、例えば、特許文献３～５に記載されるような、例えば半導体製造及びパッケージングから既知であるような技術を使用して製造され得る。
本印刷ヘッドは、例えば、特許文献３～５に記載されるような、例えば半導体製造及びパッケージングから既知であるような技術を使用して製造され得る。
【0208】
【0209】
当該多層構造の製造は好ましくは、以下のステップを含む。
１．底層１１０を設けるステップ。これは、例えば、前の製造ステップによって形成された上層であり得る。
１．底層１１０を設けるステップ。これは、例えば、前の製造ステップによって形成された上層であり得る。
【0210】
２．底層１１０の上に材料層を加えるステップ。この材料層は、中間層１１４を形成する。
【0211】
３．材料層の上方で上層１１２を加えるステップ。
【0212】
ステップ２及び３において堆積される材料層は、ラミネーション、スピンコーティング、スパッタリング、又は蒸着などの様々な技術を使用して加えられ得る。
【0213】
特に、上層１１２を加えるのにラミネーションが特に好ましい。ラミネーションでは、層は、シート材料として加えられ、例えば、熱及び圧力を使用して、下にある構造に接続される。これにより、容易にキャビティを架橋することができ、及び／又は張り出し構造を作ることができる。
【0214】
ステップ２の材料層は好ましくは、ＳＵ－８などのフォトレジストであり、これにより、容易に当該材料層を構造化することができる。この場合、ステップ２は、少なくとも以下のサブステップを含む。
２ａ：マスクを通じてコリメート光で材料層を照射し、それによって、材料層において照射領域及び非照射領域を定めるサブステップ。
２ａ：マスクを通じてコリメート光で材料層を照射し、それによって、材料層において照射領域及び非照射領域を定めるサブステップ。
【0215】
２ｂ：ポジティブ又はネガティブのフォトレジストが使用されるかに応じて、材料層から照射領域又は非照射領域を選択的に除去するサブステップ。
【0216】
代替的に、上層１１２はまた、中実の材料、例えばガラスウェハから形成され得、当該材料は、例えば、接着結合、融合結合、共晶結合などによって中間層１１４に結合される。
【0217】
無機誘電体層１２６（図２０）は、例えば、ポリマー誘電体層１２４ａ、１２４ｂ上にそれを堆積させる原子層堆積法によって製造され得る。
【0218】
注記
これまでに図示された実施形態のほとんどでは、各ノズルは、インクがノズルから流れ得る制限エリアを定めるインク保持部によって囲まれている。
これまでに図示された実施形態のほとんどでは、各ノズルは、インクがノズルから流れ得る制限エリアを定めるインク保持部によって囲まれている。
【0219】
例において、各ノズルは、それ自身のインク保持部によって囲まれている。代替的に、いくつかのノズルは、共通のインク保持部によって囲まれ得る、すなわち、１つのインク保持部は、いくつかのノズルを囲み得る。
【0220】
代替的に、又はそれに加えて、支持構造８の各支持要素は、インク保持部によって囲まれ得、当該インク保持部は、支持要素の周囲でインク無エリアを定め、インクが支持要素に達するのを防ぐ。これは特に、支持要素が個々の孤立した柱を形成しているときに好ましい場合がある。
【0221】
上記で図示された実施形態で分かるように、ガード電極４２は好ましくは、ノズルの軸線に近い。これは、例として、図１２に示されている。
【0222】
ここで、噴射方向Ｘに沿って延びるノズル４の中心軸線１００は、破線で示されている。ｘ１は、ガード電極４２とノズル軸線１００との間の距離である。ｘ２は、インク保持部６６とノズル軸線１００との間の距離である。ｘ３は、最も近い支持要素７８とノズル軸線２との間の距離であり、支持要素７８は、ノズルキャリア６に隣接した要素である。
【0223】
以下の関係が好ましい。
ｘ１＜ｘ２、特にｘ１＜０．８・ｘ２：ノズル軸線１００に対してインク保持部６６よりも近くにガード電極４２を配置することによって、インク保持部６６のより充分な遮蔽が達成される。
ｘ１＜ｘ２、特にｘ１＜０．８・ｘ２：ノズル軸線１００に対してインク保持部６６よりも近くにガード電極４２を配置することによって、インク保持部６６のより充分な遮蔽が達成される。
【0224】
ｘ１＜ｘ３、特にｘ１＜０．８・ｘ３、特にｘ１＜０．５・ｘ３：再び、最も近い支持要素７８を、ガード電極４２よりも軸線１００から更に遠くに配置することによって、支持要素も同様に遮蔽される。
【0225】
それに加えて、又は代替的に、差ｘ２－ｘ１は好ましくは、ガード電極４２とインク保持部６６との間の垂直距離ｄ’の少なくとも５０％である。
【0226】
特に、ｘ３は、少なくとも１μｍ分、特に、少なくとも５μｍ分、ｘ２よりも大きくなるべきである。
【0227】
したがって、単独で又は任意の組合せで以下の関係が好ましい。
－ガード電極４２とノズル軸線１００との間の距離ｘ１は、インク保持部６６とノズル軸線１００との間の距離ｘ２よりも小さい。
－ガード電極４２とノズル軸線１００との間の距離ｘ１は、インク保持部６６とノズル軸線１００との間の距離ｘ２よりも小さい。
【0228】
－ガード電極４２とノズル軸線１００との間の距離ｘ１は、軸線１００と、ノズル軸線１００に最も近い、ノズルキャリア６に隣接した支持要素７８との間の距離ｘ３よりも小さい。
【0229】
－（ガード電極４２とノズル軸線１００との間の距離ｘ１と、インク保持部６６とノズル軸線１００との間の距離ｘ２との間の）差ｘ２－ｘ１は、ガード電極４２とインク保持部６６との間の垂直距離の少なくとも５０％である。
【0230】
－（軸線１００と、ノズルキャリア６に隣接した支持要素７８との間の）距離ｘ３は、インク保持部６６とノズル軸線１００との間の距離ｘ２よりも少なくとも１μｍ分、特に、少なくとも５μｍ分大きい。
【0231】
－（ガード電極４２とノズル軸線１００との間の距離ｘ１と、インク保持部６６とノズル軸線１００との間の距離ｘ２との間の）差ｘ２－ｘ１は好ましくは、ガード電極４２とインク保持部６６との間の垂直距離の少なくとも５０％である。
【0232】
述べられているように、印刷ヘッドはまた、印刷ヘッドとターゲットとの間の領域に気体を供給し、及び／又は上記領域から気体を回収するための気体ダクトを備え得る。当該気体ダクト供給はまた、図１３及び図１５に示されるインクダクトと同様に、例えば、前方層１０及び／又は裏地層１２及び／又は介在層３２において、相互接続部分などの水平部分を備え得る。
【0233】
これまでに記載された実施形態では、３つの異なる垂直高さにおける３つの電極、すなわち、噴射電極、ガード電極、及び遮蔽電極が述べられている。しかしながら、以下のような他の電極も存在し得ることに留意されたい。
－電極は、インクの電位を定めるために、ノズルキャリア６において、例えば、供給ダクト１５及び／若しくは吸引ダクト１６に、並びに／又はノズル及び／若しくはインク保持部に設けられ得る。当該電極は、例えば、インクを、ガード電極４２と同様の又は同じ電位に維持することを可能にする。好ましくは、当該電極は、プラチナ及び／又は金である。
－電極は、インクの電位を定めるために、ノズルキャリア６において、例えば、供給ダクト１５及び／若しくは吸引ダクト１６に、並びに／又はノズル及び／若しくはインク保持部に設けられ得る。当該電極は、例えば、インクを、ガード電極４２と同様の又は同じ電位に維持することを可能にする。好ましくは、当該電極は、プラチナ及び／又は金である。
【0234】
－（例えば、図２の噴射電極３８と遮蔽電極４０との間の）更なる電極は、異なるサイズのノズルが印刷ヘッドに存在する場合に設けられ得る。これは特に、噴射電極とノズルとの間の距離が、遮蔽電極と噴射電極との間の距離よりも著しく小さいノズルについて有用である。
【0235】
本発明の現在の好ましい実施形態が図示され記載されているが、本発明は、それに限定されるのではなく、以下の特許請求の範囲内において他の方法で種々、具現化及び実施され得ることを明確に理解されるべきである。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図6(c)】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【手続補正書】
【提出日】2024-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】０１４６
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0146】
サブ層１０ａは、前方面３６を形成しており、供給ダクト及び（必要な場合）吸引ダクトそれぞれについての開口１５ａ、１６ａを備える。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】０１５２
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0152】
再び、サブ層１０ｄは、支持構造８のものと同様のハニカムパターンを形成した垂直壁９４を備え得る。ハニカムパターンの領域は、垂直分離壁９６によってダクト１５から分離され得る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】０１５４
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0154】
図１６は、裏地層１２の高さの電気ビア１４（及び１４’）、供給ダクト１５、並びに吸引ダクト１６についての可能性のある配置を示す。インクダクト１５、１６の水平分配が、裏地層１２の上方の前方層１０において実装されるため、１つ又はいくつかの、電気ビア１４の規則的なアレイの凸包９６の外側に配置された、場合によっては、大きいインクダクトを通ってインクを供給することが可能であり、これは、裏地層１２の設計を簡略化し、すなわち、インクダクトは、凸包９６内で裏地層１２を通って延びない設計である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】０２２２
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0222】
ここで、噴射方向Ｘに沿って延びるノズル４の中心軸線１００は、破線で示されている。ｘ１は、ガード電極４２とノズル軸線１００との間の距離である。ｘ２は、インク保持部６６とノズル軸線１００との間の距離である。ｘ３は、最も近い支持要素７８とノズル軸線１００との間の距離であり、支持要素７８は、ノズルキャリア６に隣接した要素である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】０２３５
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0235】
本発明の現在の好ましい実施形態が図示され記載されているが、本発明は、それに限定されるのではなく、以下の特許請求の範囲内において他の方法で種々、具現化及び実施され得ることを明確に理解されるべきである。
なお、本発明の実施態様として、以下に示すものがある。
［態様１］
電気流体力学的印刷ヘッドであって、
ノズルキャリア（６）と、
前記ノズルキャリア（６）上に配置された複数のノズル（４）であって、各ノズル（４）は、前記ノズルキャリア（６）の前方面（３６）に配置され、且つ前記印刷ヘッドの噴射方向（Ｘ）に延びている突起を形成している、前記複数のノズル（４）と、
前記ノズル（４）に対応付けられており、前記ノズル（４）の前方側に配置された、複数の噴射電極（３８）と、
前記ノズルキャリア（６）上で前記噴射電極（３８）を支持する支持構造（８）であって、前記支持構造（８）は、前記ノズル（４）間に配置された複数の支持要素（７６、７８）を備える、前記支持構造（８）と、
前記ノズル（４）と前記支持要素との間に配置された複数のインク保持部（６６）であって、所与のノズル（４）において、最も近いインク保持部（６６）は、前記ノズル（４）から離れて配置されている、前記複数のインク保持部（６６）と、
を備える、電気流体力学的印刷ヘッド。
［態様２］
前記噴射方向（Ｘ）に沿って、前記インク保持部（６６）の前方面（６８）は、前記ノズル（４）の前方端（７０）の後ろに配置されている、態様１に記載の印刷ヘッド。
［態様３］
各インク保持部（６６）は、前記各インク保持部（６６）に最も近い前記ノズル（４）から離れる方に向いたレッジ部分（６６ａ）を形成している、態様１又は２に記載の印刷ヘッド。
［態様４］
前記インク保持部（６６）は、前記ノズルキャリア（６）の前記前方面（３６）から突出して配置されている、態様１～３のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様５］
各ノズル（４）は、前記インク保持部（６６）によって囲まれている、態様１～４のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様６］
各支持要素（７６、７８）は、前記インク保持部（６６）によって囲まれている、態様１～５のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様７］
所与のノズル（４）において、前記インク保持部（６６）の面は、前記ノズル（４）の面よりも疎水性及び／又は疎油性である、態様１～６のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様８］
所与のノズル（４）と、前記ノズル（４）に最も近い、ノズルキャリア（６）に隣接した支持要素（７８）との間において、前記ノズル（４）と前記インク保持部（６６）との間に配置された第１の凹部（５８、６２）が存在し、及び／又は前記インク保持部（６６）と前記最も近い支持要素（７８）との間に配置された第２の凹部（８６）が存在し、
特に、前記噴射方向（Ｘ）に沿って、前記第１及び／又は第２の凹部の底は、前記インク保持部（６６）の前記前方面（６８）に対して後方にある、態様１～７のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様９］
前記インク保持部（６６）は、前記ノズル（４）の前方端（７０）から離れて前記ノズル（４）上に横方向に配置されており、特に、前記インク保持部（６６）の前記前方面（６８）は、前記ノズルキャリア（６）の前記前方面（３６）に対して、前記ノズル（４）の前記前方端（７０）よりも近い、態様１～８のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様１０］
ガード電極（４２）を備え、所与のノズル（４）において、前記ガード電極（４２）は、前記噴射電極（３８）と前記インク保持部（６６）との間に配置されており、
特に、所与のノズル（４）において、前記ガード電極（４２）は、前記インク保持部（６６）の前方に配置されており、前記噴射電極（３８）は、前記ガード電極（４２）の前方に配置されている、態様１～９のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様１１］
前記ガード電極（４２）の電気電位を、前記インク保持部（６６）の電気電位に対して、前記噴射電極（３８）の電気電位よりも近くなるように設定するように構成され、特に、前記ガード電極（４２）の前記電位を前記インク保持部（６６）と同じ電位に設定するように構成された、電圧供給（１７）を更に備える、態様１０に記載の印刷ヘッド。
［態様１２］
所与のノズル（４）において、前記ガード電極と前記インク保持部（６６）との間に形成されたキャビティ（７１）が存在する、態様１０又は１１のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様１３］
前記ガード電極（４２）は、前記支持構造（８）に取り付けられている、態様１０～１２のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様１４］
所与のノズル（４）について、前記ノズル（４）は、前記噴射方向（Ｘ）に沿って延びる中心ノズル軸線（１００）を有し、前記ガード電極（４２）は、前記ノズル軸線（１００）からの距離ｘ１を有し、
前記距離ｘ１は、前記インク保持部（６６）と前記ノズル軸線（１００）との間の距離ｘ２よりも小さく、特に、ｘ１＜０．８・ｘ２であり、及び／又は
前記距離ｘ１は、前記ノズル軸線（１００）と、前記ノズル軸線（１００）に最も近い、前記ノズルキャリア（６）に隣接した前記支持要素（７８）との間の距離ｘ３よりも小さく、特に、ｘ１＜０．８・ｘ３、特に、ｘ１＜０．５・ｘ３であり、及び／又は
前記距離ｘ１と、前記インク保持部（６６）と前記ノズル軸線（１００）との間の前記距離ｘ２との間の差ｘ２－ｘ１は、前記ガード電極（４２）と前記インク保持部（６６）との間の垂直距離（ｄ’）の少なくとも５０％である、態様１０～１３のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様１５］
前記ノズルキャリア（６）において、前記ノズル（４）についての複数のインク供給ダクト（１５）を更に備え、特に、少なくとも１つのインク供給ダクト（１５）は、各ノズル（４）で終わる、態様１～１４のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様１６］
所与のノズル（４）において、前記最も近いインク保持部（６６）は、前記ノズル（４）、及び前記供給ダクト（１５）の端部分（１５ａ）を囲んでいる、態様５及び１５に記載の印刷ヘッド。
［態様１７］
所与のノズル（４）において、前記供給ダクト（１５）は、前記ノズル（４）のベース部分（５０、５２）で現れている、態様１６に記載の印刷ヘッド。
［態様１８］
前記供給ダクト（１５）は、前記噴射方向（Ｘ）に対して横断して延びる少なくとも１つの横断出口ダクト（５６）、特に複数の横断出口ダクト（５６）に接続されている、態様１７に記載の印刷ヘッド。
［態様１９］
電気流体力学的印刷ヘッド、特に、態様１～１８のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッドであって、
ノズルキャリア（６）と、
前記ノズルキャリア（６）上に配置された複数のノズル（４）であって、各ノズル（４）は、前記ノズルキャリア（６）の前方面（３６）に配置され、且つ前記印刷ヘッドの噴射方向（Ｘ）に延びている突起を形成している、前記複数のノズル（４）と、
前記ノズル（４）に対応付けられており、前記ノズル（４）の前記前方側に配置された、複数の噴射電極（３８）と、
前記ノズル（４）についての複数のインク供給ダクト（１５）であって、少なくとも１つのインク供給ダクト（１５）は、各ノズル（４）で終わる、前記複数のインク供給ダクト（１５）と、
複数のインク吸引ダクト（１６）であって、少なくとも１つのインク吸引ダクト（１６）は、各ノズル（４）で終わる、前記複数のインク吸引ダクト（１６）と、
を備える、電気流体力学的印刷ヘッド。
［態様２０］
所与のノズル（４）において、前記最も近いインク保持部（６６）は、前記吸引ダクト（１６）の端部分（１６ａ）を囲んでいる、態様１７又は１８のいずれか、及び態様１９に記載の印刷ヘッド。
［態様２１］
前記供給ダクト（１５）及び／又は前記吸引ダクト（１６）に接続された、少なくとも１つのポンプ（１８）を更に備える、態様１９又は２０に記載の印刷ヘッド。
［態様２２］
所与のノズル（４）において、
前記供給ダクト（１５）は、前記噴射方向（Ｘ）に対して横断して延びる少なくとも１つの横断出口ダクト（５６）、特に複数の横断出口ダクト（５６）に接続されており、加えて、
前記供給ダクト（１５）は、前記ノズル（４）の先端に向けて延びる軸方向の出口ダクト（６０）に接続されている、態様１９～２１のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様２３］
所与のノズル（４）について、前記ノズルは、１つ以上の吸引ダクト（１６）の開口又は開口（複数）（１６ａ）によって囲まれており、前記開口又は開口（複数）は、前記ノズル（４）と、前記ノズル（４）の隣の支持要素（７８）との間に配置されている、態様１９～２２のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様２４］
前記ノズルキャリア（６）は、
前方層（１０）であって、前記ノズル（４）は、前記前方層（１０）の前方面（３６）に取り付けられている、前記前方層（１０）と、
前記前方層（１０）の後方側に配置された裏地層（１２）と、
を備え、
前記噴射電極（３８）に接続された電気ビア（１４）は、前記前方層（１０）及び前記裏地層（１２）を通って延びており、
インクダクト（１４、１６）は、前記前方層（１０）に配置されている、態様１～２３のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様２５］
前記前方層（１０）は、誘電体層であり、及び／又は
前記裏地層（１２）は、誘電体層、特にガラス層である、態様２４に記載の印刷ヘッド。
［態様２６］
前記前方層（１０）において、前記噴射方向（Ｘ）に対して横断して、特に垂直に延びる、インクについての相互接続部分（１５ｄ、１６ｂ）を備える、態様１６～２３のいずれか、及び態様２４～２５のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様２７］
複数の前記ビア（１４）は、前記裏地層（１２）においてアレイで配置されており、
前記インクダクト（１５、１６）は、前記アレイの凸包（９６）内で前記裏地層（１２）を通って延びていない、態様２６に記載の印刷ヘッド。
［態様２８］
態様１～２７のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッドを操作する方法であって、所与のノズル（４）の周囲の領域において、前記インク保持部（６６）を使用することによって、及び／又は吸引ダクト（１５）を使用することにより前記ノズル（４）からインクを吸引することによって、前記インクを閉じ込めるステップを含む、方法。
［態様２９］
前記ノズル（４）のうちの少なくとも１つの前方端（７０）において電界を生成し、前記生成によって、前記前方端（７０）から前記インクを噴射すると同時に、前記インク保持部（６６）における電界を、前記ノズル（４）の前記前方端（７０）における前記電界の強度の５０％未満、特に１０％未満に維持するステップを含む、態様２８に記載の方法。
［態様３０］
前記ノズルキャリア（６）内のインク供給ダクト（１５）を使用して、前記ノズル（４）にインクを個々に供給するステップと、
前記ノズルキャリア（６）内のインク吸引ダクト（１６）を使用して、前記ノズル（４）からインクを個々に吸引するステップと、
を含む、態様２８又は２９のうちいずれかの態様に記載の方法。
なお、本発明の実施態様として、以下に示すものがある。
［態様１］
電気流体力学的印刷ヘッドであって、
ノズルキャリア（６）と、
前記ノズルキャリア（６）上に配置された複数のノズル（４）であって、各ノズル（４）は、前記ノズルキャリア（６）の前方面（３６）に配置され、且つ前記印刷ヘッドの噴射方向（Ｘ）に延びている突起を形成している、前記複数のノズル（４）と、
前記ノズル（４）に対応付けられており、前記ノズル（４）の前方側に配置された、複数の噴射電極（３８）と、
前記ノズルキャリア（６）上で前記噴射電極（３８）を支持する支持構造（８）であって、前記支持構造（８）は、前記ノズル（４）間に配置された複数の支持要素（７６、７８）を備える、前記支持構造（８）と、
前記ノズル（４）と前記支持要素との間に配置された複数のインク保持部（６６）であって、所与のノズル（４）において、最も近いインク保持部（６６）は、前記ノズル（４）から離れて配置されている、前記複数のインク保持部（６６）と、
を備える、電気流体力学的印刷ヘッド。
［態様２］
前記噴射方向（Ｘ）に沿って、前記インク保持部（６６）の前方面（６８）は、前記ノズル（４）の前方端（７０）の後ろに配置されている、態様１に記載の印刷ヘッド。
［態様３］
各インク保持部（６６）は、前記各インク保持部（６６）に最も近い前記ノズル（４）から離れる方に向いたレッジ部分（６６ａ）を形成している、態様１又は２に記載の印刷ヘッド。
［態様４］
前記インク保持部（６６）は、前記ノズルキャリア（６）の前記前方面（３６）から突出して配置されている、態様１～３のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様５］
各ノズル（４）は、前記インク保持部（６６）によって囲まれている、態様１～４のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様６］
各支持要素（７６、７８）は、前記インク保持部（６６）によって囲まれている、態様１～５のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様７］
所与のノズル（４）において、前記インク保持部（６６）の面は、前記ノズル（４）の面よりも疎水性及び／又は疎油性である、態様１～６のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様８］
所与のノズル（４）と、前記ノズル（４）に最も近い、ノズルキャリア（６）に隣接した支持要素（７８）との間において、前記ノズル（４）と前記インク保持部（６６）との間に配置された第１の凹部（５８、６２）が存在し、及び／又は前記インク保持部（６６）と前記最も近い支持要素（７８）との間に配置された第２の凹部（８６）が存在し、
特に、前記噴射方向（Ｘ）に沿って、前記第１及び／又は第２の凹部の底は、前記インク保持部（６６）の前記前方面（６８）に対して後方にある、態様１～７のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様９］
前記インク保持部（６６）は、前記ノズル（４）の前方端（７０）から離れて前記ノズル（４）上に横方向に配置されており、特に、前記インク保持部（６６）の前記前方面（６８）は、前記ノズルキャリア（６）の前記前方面（３６）に対して、前記ノズル（４）の前記前方端（７０）よりも近い、態様１～８のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様１０］
ガード電極（４２）を備え、所与のノズル（４）において、前記ガード電極（４２）は、前記噴射電極（３８）と前記インク保持部（６６）との間に配置されており、
特に、所与のノズル（４）において、前記ガード電極（４２）は、前記インク保持部（６６）の前方に配置されており、前記噴射電極（３８）は、前記ガード電極（４２）の前方に配置されている、態様１～９のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様１１］
前記ガード電極（４２）の電気電位を、前記インク保持部（６６）の電気電位に対して、前記噴射電極（３８）の電気電位よりも近くなるように設定するように構成され、特に、前記ガード電極（４２）の前記電位を前記インク保持部（６６）と同じ電位に設定するように構成された、電圧供給（１７）を更に備える、態様１０に記載の印刷ヘッド。
［態様１２］
所与のノズル（４）において、前記ガード電極と前記インク保持部（６６）との間に形成されたキャビティ（７１）が存在する、態様１０又は１１のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様１３］
前記ガード電極（４２）は、前記支持構造（８）に取り付けられている、態様１０～１２のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様１４］
所与のノズル（４）について、前記ノズル（４）は、前記噴射方向（Ｘ）に沿って延びる中心ノズル軸線（１００）を有し、前記ガード電極（４２）は、前記ノズル軸線（１００）からの距離ｘ１を有し、
前記距離ｘ１は、前記インク保持部（６６）と前記ノズル軸線（１００）との間の距離ｘ２よりも小さく、特に、ｘ１＜０．８・ｘ２であり、及び／又は
前記距離ｘ１は、前記ノズル軸線（１００）と、前記ノズル軸線（１００）に最も近い、前記ノズルキャリア（６）に隣接した前記支持要素（７８）との間の距離ｘ３よりも小さく、特に、ｘ１＜０．８・ｘ３、特に、ｘ１＜０．５・ｘ３であり、及び／又は
前記距離ｘ１と、前記インク保持部（６６）と前記ノズル軸線（１００）との間の前記距離ｘ２との間の差ｘ２－ｘ１は、前記ガード電極（４２）と前記インク保持部（６６）との間の垂直距離（ｄ’）の少なくとも５０％である、態様１０～１３のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様１５］
前記ノズルキャリア（６）において、前記ノズル（４）についての複数のインク供給ダクト（１５）を更に備え、特に、少なくとも１つのインク供給ダクト（１５）は、各ノズル（４）で終わる、態様１～１４のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様１６］
所与のノズル（４）において、前記最も近いインク保持部（６６）は、前記ノズル（４）、及び前記供給ダクト（１５）の端部分（１５ａ）を囲んでいる、態様５及び１５に記載の印刷ヘッド。
［態様１７］
所与のノズル（４）において、前記供給ダクト（１５）は、前記ノズル（４）のベース部分（５０、５２）で現れている、態様１６に記載の印刷ヘッド。
［態様１８］
前記供給ダクト（１５）は、前記噴射方向（Ｘ）に対して横断して延びる少なくとも１つの横断出口ダクト（５６）、特に複数の横断出口ダクト（５６）に接続されている、態様１７に記載の印刷ヘッド。
［態様１９］
電気流体力学的印刷ヘッド、特に、態様１～１８のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッドであって、
ノズルキャリア（６）と、
前記ノズルキャリア（６）上に配置された複数のノズル（４）であって、各ノズル（４）は、前記ノズルキャリア（６）の前方面（３６）に配置され、且つ前記印刷ヘッドの噴射方向（Ｘ）に延びている突起を形成している、前記複数のノズル（４）と、
前記ノズル（４）に対応付けられており、前記ノズル（４）の前記前方側に配置された、複数の噴射電極（３８）と、
前記ノズル（４）についての複数のインク供給ダクト（１５）であって、少なくとも１つのインク供給ダクト（１５）は、各ノズル（４）で終わる、前記複数のインク供給ダクト（１５）と、
複数のインク吸引ダクト（１６）であって、少なくとも１つのインク吸引ダクト（１６）は、各ノズル（４）で終わる、前記複数のインク吸引ダクト（１６）と、
を備える、電気流体力学的印刷ヘッド。
［態様２０］
所与のノズル（４）において、前記最も近いインク保持部（６６）は、前記吸引ダクト（１６）の端部分（１６ａ）を囲んでいる、態様１７又は１８のいずれか、及び態様１９に記載の印刷ヘッド。
［態様２１］
前記供給ダクト（１５）及び／又は前記吸引ダクト（１６）に接続された、少なくとも１つのポンプ（１８）を更に備える、態様１９又は２０に記載の印刷ヘッド。
［態様２２］
所与のノズル（４）において、
前記供給ダクト（１５）は、前記噴射方向（Ｘ）に対して横断して延びる少なくとも１つの横断出口ダクト（５６）、特に複数の横断出口ダクト（５６）に接続されており、加えて、
前記供給ダクト（１５）は、前記ノズル（４）の先端に向けて延びる軸方向の出口ダクト（６０）に接続されている、態様１９～２１のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様２３］
所与のノズル（４）について、前記ノズルは、１つ以上の吸引ダクト（１６）の開口又は開口（複数）（１６ａ）によって囲まれており、前記開口又は開口（複数）は、前記ノズル（４）と、前記ノズル（４）の隣の支持要素（７８）との間に配置されている、態様１９～２２のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様２４］
前記ノズルキャリア（６）は、
前方層（１０）であって、前記ノズル（４）は、前記前方層（１０）の前方面（３６）に取り付けられている、前記前方層（１０）と、
前記前方層（１０）の後方側に配置された裏地層（１２）と、
を備え、
前記噴射電極（３８）に接続された電気ビア（１４）は、前記前方層（１０）及び前記裏地層（１２）を通って延びており、
インクダクト（１４、１６）は、前記前方層（１０）に配置されている、態様１～２３のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様２５］
前記前方層（１０）は、誘電体層であり、及び／又は
前記裏地層（１２）は、誘電体層、特にガラス層である、態様２４に記載の印刷ヘッド。
［態様２６］
前記前方層（１０）において、前記噴射方向（Ｘ）に対して横断して、特に垂直に延びる、インクについての相互接続部分（１５ｄ、１６ｂ）を備える、態様１６～２３のいずれか、及び態様２４～２５のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッド。
［態様２７］
複数の前記ビア（１４）は、前記裏地層（１２）においてアレイで配置されており、
前記インクダクト（１５、１６）は、前記アレイの凸包（９６）内で前記裏地層（１２）を通って延びていない、態様２６に記載の印刷ヘッド。
［態様２８］
態様１～２７のうちいずれかの態様に記載の印刷ヘッドを操作する方法であって、所与のノズル（４）の周囲の領域において、前記インク保持部（６６）を使用することによって、及び／又は吸引ダクト（１５）を使用することにより前記ノズル（４）からインクを吸引することによって、前記インクを閉じ込めるステップを含む、方法。
［態様２９］
前記ノズル（４）のうちの少なくとも１つの前方端（７０）において電界を生成し、前記生成によって、前記前方端（７０）から前記インクを噴射すると同時に、前記インク保持部（６６）における電界を、前記ノズル（４）の前記前方端（７０）における前記電界の強度の５０％未満、特に１０％未満に維持するステップを含む、態様２８に記載の方法。
［態様３０］
前記ノズルキャリア（６）内のインク供給ダクト（１５）を使用して、前記ノズル（４）にインクを個々に供給するステップと、
前記ノズルキャリア（６）内のインク吸引ダクト（１６）を使用して、前記ノズル（４）からインクを個々に吸引するステップと、
を含む、態様２８又は２９のうちいずれかの態様に記載の方法。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気流体力学的印刷ヘッドであって、ノズルキャリア（６）と、
前記ノズルキャリア（６）上に配置された複数のノズル（４）であって、各ノズル（４）は、前記ノズルキャリア（６）の前方面（３６）に配置され、且つ前記印刷ヘッドの噴射方向（Ｘ）に延びている突起を形成している、前記複数のノズル（４）と、
前記ノズル（４）に対応付けられており、前記ノズル（４）の前方側に配置された、複数の噴射電極（３８）と、
前記ノズルキャリア（６）上で前記噴射電極（３８）を支持する支持構造（８）であって、前記支持構造（８）は、前記ノズル（４）間に配置された複数の支持要素（７６、７８）を備える、前記支持構造（８）と、
前記ノズル（４）と前記支持要素との間に配置された複数のインク保持部（６６）であって、所与のノズル（４）において、最も近いインク保持部（６６）は、前記ノズル（４）から離れて配置されている、前記複数のインク保持部（６６）と、
を備える、電気流体力学的印刷ヘッド。
【請求項2】
前記噴射方向（Ｘ）に沿って、前記インク保持部（６６）の前方面（６８）は、前記ノズル（４）の前方端（７０）の後ろに配置されている、請求項１に記載の印刷ヘッド。
【請求項3】
各インク保持部（６６）は、前記各インク保持部（６６）に最も近い前記ノズル（４）から離れる方に向いたレッジ部分（６６ａ）を形成している、請求項１又は２に記載の印刷ヘッド。
【請求項4】
前記インク保持部（６６）は、前記ノズルキャリア（６）の前記前方面（３６）から突出して配置されている、請求項１～３のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項5】
各ノズル（４）は、前記インク保持部（６６）によって囲まれている、請求項１～４のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項6】
各支持要素（７６、７８）は、前記インク保持部（６６）によって囲まれている、請求項１～５のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項7】
所与のノズル（４）において、前記インク保持部（６６）の面は、前記ノズル（４）の面よりも疎水性及び／又は疎油性である、請求項１～６のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項8】
所与のノズル（４）と、前記ノズル（４）に最も近い、ノズルキャリア（６）に隣接した支持要素（７８）との間において、前記ノズル（４）と前記インク保持部（６６）との間に配置された第１の凹部（５８、６２）が存在し、及び／又は前記インク保持部（６６）と前記最も近い支持要素（７８）との間に配置された第２の凹部（８６）が存在し、特に、前記噴射方向（Ｘ）に沿って、前記第１及び／又は第２の凹部の底は、前記インク保持部（６６）の前記前方面（６８）に対して後方にある、請求項１～７のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項9】
前記インク保持部（６６）は、前記ノズル（４）の前方端（７０）から離れて前記ノズル（４）上に横方向に配置されており、特に、前記インク保持部（６６）の前記前方面（６８）は、前記ノズルキャリア（６）の前記前方面（３６）に対して、前記ノズル（４）の前記前方端（７０）よりも近い、請求項１～８のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項10】
ガード電極（４２）を備え、所与のノズル（４）において、前記ガード電極（４２）は、前記噴射電極（３８）と前記インク保持部（６６）との間に配置されており、特に、所与のノズル（４）において、前記ガード電極（４２）は、前記インク保持部（６６）の前方に配置されており、前記噴射電極（３８）は、前記ガード電極（４２）の前方に配置されている、請求項１～９のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項11】
前記ガード電極（４２）の電気電位を、前記インク保持部（６６）の電気電位に対して、前記噴射電極（３８）の電気電位よりも近くなるように設定するように構成され、特に、前記ガード電極（４２）の前記電位を前記インク保持部（６６）と同じ電位に設定するように構成された、電圧供給（１７）を更に備える、請求項１０に記載の印刷ヘッド。
【請求項12】
所与のノズル（４）において、前記ガード電極と前記インク保持部（６６）との間に形成されたキャビティ（７１）が存在する、請求項１０又は１１のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項13】
前記ガード電極（４２）は、前記支持構造（８）に取り付けられている、請求項１０～１２のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項14】
所与のノズル（４）について、前記ノズル（４）は、前記噴射方向（Ｘ）に沿って延びる中心ノズル軸線（１００）を有し、前記ガード電極（４２）は、前記ノズル軸線（１００）からの距離ｘ１を有し、前記距離ｘ１は、前記インク保持部（６６）と前記ノズル軸線（１００）との間の距離ｘ２よりも小さく、特に、ｘ１＜０．８・ｘ２であり、及び／又は
前記距離ｘ１は、前記ノズル軸線（１００）と、前記ノズル軸線（１００）に最も近い、前記ノズルキャリア（６）に隣接した前記支持要素（７８）との間の距離ｘ３よりも小さく、特に、ｘ１＜０．８・ｘ３、特に、ｘ１＜０．５・ｘ３であり、及び／又は
前記距離ｘ１と、前記インク保持部（６６）と前記ノズル軸線（１００）との間の前記距離ｘ２との間の差ｘ２－ｘ１は、前記ガード電極（４２）と前記インク保持部（６６）との間の垂直距離（ｄ’）の少なくとも５０％である、請求項１０～１３のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項15】
前記ノズルキャリア（６）において、前記ノズル（４）についての複数のインク供給ダクト（１５）を更に備え、特に、少なくとも１つのインク供給ダクト（１５）は、各ノズル（４）で終わる、請求項１～１４のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項16】
前記ノズルキャリア（６）において、前記ノズル（４）についての複数のインク供給ダクト（１５）を更に備え、特に、少なくとも１つのインク供給ダクト（１５）は、各ノズル（４）で終わり、
所与のノズル（４）において、前記最も近いインク保持部（６６）は、前記ノズル（４）、及び前記供給ダクト（１５）の端部分（１５ａ）を囲んでいる、請求項５に記載の印刷ヘッド。
【請求項17】
所与のノズル（４）において、前記供給ダクト（１５）は、前記ノズル（４）のベース部分（５０、５２）で現れている、請求項１６に記載の印刷ヘッド。
【請求項18】
前記供給ダクト（１５）は、前記噴射方向（Ｘ）に対して横断して延びる少なくとも１つの横断出口ダクト（５６）、特に複数の横断出口ダクト（５６）に接続されている、請求項１７に記載の印刷ヘッド。
【請求項19】
電気流体力学的印刷ヘッドであって、ノズルキャリア（６）と、
前記ノズルキャリア（６）上に配置された複数のノズル（４）であって、各ノズル（４）は、前記ノズルキャリア（６）の前方面（３６）に配置され、且つ前記印刷ヘッドの噴射方向（Ｘ）に延びている突起を形成している、前記複数のノズル（４）と、
前記ノズル（４）に対応付けられており、前記ノズル（４）の前記前方側に配置された、複数の噴射電極（３８）と、
前記ノズル（４）についての複数のインク供給ダクト（１５）であって、少なくとも１つのインク供給ダクト（１５）は、各ノズル（４）で終わる、前記複数のインク供給ダクト（１５）と、
複数のインク吸引ダクト（１６）であって、少なくとも１つのインク吸引ダクト（１６）は、各ノズル（４）で終わる、前記複数のインク吸引ダクト（１６）と、
を備える、電気流体力学的印刷ヘッド。
【請求項20】
所与のノズル（４）において、前記供給ダクト（１５）は、前記ノズル（４）のベース部分（５０、５２）で現れており、
所与のノズル（４）において、前記最も近いインク保持部（６６）は、前記吸引ダクト（１６）の端部分（１６ａ）を囲んでいる、請求項１９に記載の印刷ヘッド。
【請求項21】
前記供給ダクト（１５）は、前記噴射方向（Ｘ）に対して横断して延びる少なくとも１つの横断出口ダクト（５６）、特に複数の横断出口ダクト（５６）に接続されている、請求項２０に記載の印刷ヘッド。
【請求項22】
前記供給ダクト（１５）及び／又は前記吸引ダクト（１６）に接続された、少なくとも１つのポンプ（１８）を更に備える、請求項１９～２１のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項23】
所与のノズル（４）において、前記供給ダクト（１５）は、前記噴射方向（Ｘ）に対して横断して延びる少なくとも１つの横断出口ダクト（５６）、特に複数の横断出口ダクト（５６）に接続されており、加えて、
前記供給ダクト（１５）は、前記ノズル（４）の先端に向けて延びる軸方向の出口ダクト（６０）に接続されている、請求項１９～２２のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項24】
所与のノズル（４）について、前記ノズルは、１つ以上の吸引ダクト（１６）の開口又は開口（複数）（１６ａ）によって囲まれており、前記開口又は開口（複数）は、前記ノズル（４）と、前記ノズル（４）の隣の支持要素（７８）との間に配置されている、請求項１９～２３のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項25】
前記ノズルキャリア（６）は、前方層（１０）であって、前記ノズル（４）は、前記前方層（１０）の前方面（３６）に取り付けられている、前記前方層（１０）と、
前記前方層（１０）の後方側に配置された裏地層（１２）と、
を備え、
前記噴射電極（３８）に接続された電気ビア（１４）は、前記前方層（１０）及び前記裏地層（１２）を通って延びており、
インクダクト（１４、１６）は、前記前方層（１０）に配置されている、請求項１～２４のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項26】
前記前方層（１０）は、誘電体層であり、及び／又は前記裏地層（１２）は、誘電体層、特にガラス層である、請求項２５に記載の印刷ヘッド。
【請求項27】
前記前方層（１０）において、前記噴射方向（Ｘ）に対して横断して、特に垂直に延びる、インクについての相互接続部分（１５ｄ、１６ｂ）を備える、請求項２５～２６のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッド。
【請求項28】
複数の前記ビア（１４）は、前記裏地層（１２）においてアレイで配置されており、前記インクダクト（１５、１６）は、前記アレイの凸包（９６）内で前記裏地層（１２）を通って延びていない、請求項２７に記載の印刷ヘッド。
【請求項29】
請求項１～２８のうちいずれか１項に記載の印刷ヘッドを操作する方法であって、所与のノズル（４）の周囲の領域において、前記インク保持部（６６）を使用することによって、及び／又は吸引ダクト（１５）を使用することにより前記ノズル（４）からインクを吸引することによって、前記インクを閉じ込めるステップを含む、方法。
【請求項30】
前記ノズル（４）のうちの少なくとも１つの前方端（７０）において電界を生成し、前記生成によって、前記前方端（７０）から前記インクを噴射すると同時に、前記インク保持部（６６）における電界を、前記ノズル（４）の前記前方端（７０）における前記電界の強度の５０％未満、特に１０％未満に維持するステップを含む、請求項２９に記載の方法。
【請求項31】
前記ノズルキャリア（６）内のインク供給ダクト（１５）を使用して、前記ノズル（４）にインクを個々に供給するステップと、前記ノズルキャリア（６）内のインク吸引ダクト（１６）を使用して、前記ノズル（４）からインクを個々に吸引するステップと、
を含む、請求項２９又は３０のうちいずれか１項に記載の方法。
【国際調査報告】