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特表2024-503062ボート牽引構造体用ポリエステル布帛
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】ボート牽引構造体用ポリエステル布帛
(51)【国際特許分類】
   D06N 7/00 20060101AFI20240117BHJP
   D06N 3/14 20060101ALI20240117BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20240117BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20240117BHJP
   B63H 9/06 20200101ALI20240117BHJP
【FI】
D06N7/00
D06N3/14
B32B27/12
B32B27/40
B63H9/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542703
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-06
(86)【国際出願番号】 EP2022050799
(87)【国際公開番号】W WO2022152882
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】2100401
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508349735
【氏名又は名称】ポルシェ アンデュストリ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ステファヌ ブラン
【テーマコード(参考)】
4F055
4F100
【Fターム(参考)】
4F055AA26
4F055BA12
4F055BA14
4F055BA16
4F055DA11
4F055EA04
4F055EA22
4F055FA15
4F055FA18
4F055FA19
4F055FA20
4F055FA37
4F055GA02
4F100AK41B
4F100AK41C
4F100AK42A
4F100AK45B
4F100AK45C
4F100AK51B
4F100AK51C
4F100AK54B
4F100AK54C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA06
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100CA02B
4F100CA02C
4F100DG11A
4F100EJ05B
4F100EJ05C
4F100GB31
4F100JA13A
4F100JD01
4F100JD15
4F100JK07B
4F100JK07C
4F100JK08A
4F100YY00A
(57)【要約】
船舶用の空中牽引構造体であって、マルチフィラメント連続経糸及び緯糸から形成され、その2つの表面の一方又は両方にポリウレタン(PU)がコーティングされており、裸の布帛が1.8以上4以下のカバー率TCを有し、糸がポリ(エチレンテレフタレート)(PET)製であり、布帛が経糸密度及び緯糸密度に関して、20糸/cm以上50糸/cm以下の密度を有し、ポリウレタンがポリエーテル系、ポリエステル系、又はポリカーボネート系の架橋PUであり、このPUが、(1)有機溶剤相で実施される、規格DIN 53504による、5MPa以下、特に1MPa以上4MPa以下、特に1MPa以上3MPa以下の100%伸長時のモジュラスを有する、単一成分ポリウレタンの架橋に由来し、(2)約5重量%以上約30重量%以下、特に約7重量%以上約20重量%以下、特に約8重量%以上約18重量%以下の乾燥エラストマーに対する乾燥架橋剤の割合に基づく、架橋剤による架橋に由来し、布帛が、コーティングを含む重量が43g/m又は44g/m以上250g/m以下の範囲にある、船舶用の空中牽引構造体。このような布帛で作られた、特にパラグライダーの帆型の、船舶牽引構造体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶用の空中牽引構造体であって、マルチフィラメント連続経糸及び緯糸から形成され、その2つの表面の一方又は両方にポリウレタン(PU)がコーティングされている、少なくとも1層の布帛を含み、裸の前記布帛が1.8以上4以下、好ましくは2.6以上3.2以下のカバー率TCを有すること、ここで前記TCは、式TC=(フィラメント数/cm×1フィラメントの直径cm)経糸+(フィラメント数/cm×1フィラメントの直径cm)緯糸に従って計算され、前記糸がポリ(エチレンテレフタレート)(PET)製であること、前記布帛が経糸密度及び緯糸密度に関して、20糸/cm以上50糸/cm以下の密度を有すること、前記ポリウレタンがポリエーテル系、ポリエステル系、又はポリカーボネート系の架橋PUであること、このPUが、(1)有機溶剤相で実施される、規格DIN 53504による、5MPa以下、特に1MPa以上4MPa以下、特に1MPa以上3MPa以下の100%伸長時のモジュラスを有する、単一成分ポリウレタンの架橋に由来し、(2)約5重量%以上約30重量%以下、特に約7重量%以上約20重量%以下、特に約8重量%以上約18重量%以下の乾燥エラストマーに対する乾燥架橋剤の割合に基づく、架橋剤による架橋に由来すること、及び前記布帛が、コーティングを含む重量が43g/m又は44g/m以上250g/m以下の範囲にあること、を特徴とする、船舶用の空中牽引構造体。
【請求項2】
規格DIN EN ISO 2062に従って、前記PET糸の引張強さが、特に6cN/dtex以上、特に6cN/dtex以上7cN/dtex以下であること、及び/又はその破断伸度が、特に20%以上、特に20%以上30%以下であること、を特徴とする、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記布帛の、コーティングを含む重量が44g/m以上250g/m以下、特に44g/m以上130g/m以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の構造体。
【請求項4】
前記コーティング材料の乾燥取り込み率が、10重量%以上、特に10重量%以上30重量%以下又は35重量%以下、好ましくは12重量%以上30重量%以下であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項5】
前記布帛が、33dtex以上470dtex以下、好ましくは44dtex以上115dtex以下のdtexを有し、特に、DPF(デシテックス/フィラメント)が1以上4以下、好ましくは1.3以上3.7以下である、経糸及び緯糸を含むか、又はこれらからなることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項6】
前記PUの架橋剤が、イソシアネート、ポリイソシアネート、メラミン、メラミンを含む化合物、又はイソシアネートとメラミンの混合物であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項7】
前記布帛が、新品であるかエージング後であるかに拘らず、測定表面積100cmにわたり、規格NFG 07111に従って測定された、2000Paの圧力下で20L/m/分以下の通気性、及び/又はTappi 441 om-90規格に従った1%以下の吸水率を有すること特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項8】
前記布帛が、規格NF EN ISO 13934-1に従って、1.36kgの元で前記経糸方向及び前記緯糸方向に沿ったバイアスの伸長が10%以下、特に1%以上10%以下、好ましくは3%以上10%以下であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項9】
前記布帛が、昇華によってプリントされた模様を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項10】
下面及び上面を含む、ボックスセクション型のパラグライダーの帆の構造体を含み、前記下面及び前記上面が、この布帛で作られていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項11】
前記下面及び前記上面が、50m以上800m以下、特に100m以上500m以下の表面積を有することを特徴とする、請求項10に記載の構造体。
【請求項12】
船舶用の空中牽引構造体を製造するための、特に、このような構造体の前記下面及び/又は前記上面を、ボックスセクションを有するパラグライダーの帆の形態で製造するための、請求項1~9のいずれか一項に記載のコーティングされた布帛の使用。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか一項に記載のコーティングされた布帛を製造することを含む、船舶空中牽引構造体の製造方法であって、前記方法において、
-布帛が提供され、前記布帛が、経糸密度及び緯糸密度で20糸/cm以上50糸/cm以下の密度を有するポリ(エチレンテレフタレート)(PET)製であり、
-この布帛の2つの表面の一方又は両方を、以下の混合物:規格DIN 53504に従って、約5MPa以下、特に1MPa以上4MPa以下、特に1MPa以上3MPa以下の100%伸長時のモジュラスを有する単一成分ポリウレタンエラストマー;前記エラストマー用溶剤;及び、約5重量%以上約30重量%以下、特に約7重量%以上約20重量%以下、特に約8重量%以上約18重量%以下の前記乾燥エラストマーに対する乾燥架橋剤の割合に基づく、架橋剤、を使用してコーティングし、
-前記コーティングが乾燥し、架橋するまで、前記布帛を加熱し、
-コーティングされた布帛が得られ;
-任意に、前記布帛を、例えば昇華プリントによって、その2つの表面の一方又は両方にプリントし、
-前記空中構造体の全部又は一部が、このコーティングされた布帛で作られている、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶を牽引するために使用可能な、特に二次変位手段として機能する布帛に関する。この布帛は特に、ボックスセクションを備えたパラグライダーの帆などの、空中牽引構造体の全部又は一部を形成することを目的としている。本発明はまた、牽引構造体、特に、この布帛が、布帛によって形成される構造体の部分の大部分又は全部を形成するボックスセクション型のパラグライダーの帆に関する。本発明はまた、この布帛を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
主に熱機関によって移動する、又は化石エネルギーで作動する一般船舶において、商船、貨物船、ヨットなどの一定のトン数又は一定の大きさの船舶又は船を移動させる手段として使用可能な、空中牽引構造体を提案する必要がある。これらの空中牽引構造体は、船の航行のみに使用される場合がある。より一般的には、構造体は、プライマリモードを補足するバックアップ又はセカンダリの手段である。
【0003】
現在、国際貿易の90%近くが、海上ルートを通っている。重油の燃焼は、環境問題を引き起こす、CO、窒素酸化物、及び硫黄酸化物を排出する。化石エネルギーへの海上貿易の依存を減らすために、プレーヤーは、マストで支える帆や自立帆の使用を発展させている。また、ロープやラインで船舶に連結するフリーセイル(カイトサーフ)などの牽引装置の使用にも目を向けている。
【0004】
パラグライダーの帆用の布帛は、例えばWO2011/042653に記載されている。しかしながら、これらは、層流気流を伴う本質的に流体滑空の行為で個人を支えるために開発された帆であり、その行為は、変位させる質量、海によって提供される抵抗、海の状態、そして何よりも動的な飛行条件のために、船舶又は船を牽引するときに海で見られると思われる条件とは比較にならない。滑空用のパラグライダーの帆が経験する応力は、一般的に1mあたり数キログラム程度である。高いトン数単位で船舶を牽引することに移行するための同調的な、あるいは規模を変えるアプローチでは、布帛が重くなりすぎて、帆が上がらず、空中に留まることができなくなるであろう。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、商船、貨物船、漁船、ヨットなど、一定のトン数又は一定の大きさの船舶又は船を牽引する際に、海上の環境(水、湿気、塩分、紫外線など)で使用する際に経験する力によって発生する高い応力下で、安定した空隙率を布帛に提供することを目的とする。
【0006】
本発明の別の目的は、使用に必要な最良の機械的特性を保持し、特にバイアス全体にわたって適切な剛性を有する、このような布帛を提供することである。
【0007】
別の目的は、昇華プリントによって布帛をプリントする能力を有することであり、したがって、この方法でプリントするのに適した、コーティングされた布帛を提供できるようにすることである。
【0008】
本発明の別の目的は、ボックスセクション型のパラグライダーの帆の空中牽引構造体を製造するのに適した、特に下面及び上面を製造するのに適し、したがってこのような用途に適した、このような布帛を提案することである。
【0009】
別の目的は、商船、貨物船、漁船、ヨットなど、一定のトン数又は一定の大きさの船や船舶を牽引する際に、海上の環境(水、湿気、塩分、紫外線など)で使用する際に経験する力によって発生する高い応力下でも、構成布帛が安定した多孔性を持ち、構造体全体にそれを与える、ボックスセクションを有するパラグライダーの帆の構造体などの空中牽引構造体を提案することである。
【0010】
特に、本発明の1つの目的は、このような構造体、特に船舶又は船を牽引することができる下面及び上面の製造を可能にする、このような布帛を提案することである。
【0011】
本発明の更に別の目的は、上記の全ての特性を有しながら、同時に、空中構造体が、送られ、上昇し、空中に留まり、それが意図される風の条件下でその役割を果たし、予想される動的挙動に基づいて進化することができるのに十分な軽さである、このような布帛を提案することである。
【0012】
更に他の目的は、以下の発明の説明を読めば明らかになるであろう。
【0013】
これらの目的、及び他の目的は、適切なカバー率(TC)を有する織物構造体と、コーティングされた布帛にバイアスを横切る伸長能力、及びコーティングへの耐久性を付与するのに十分な柔軟性を有する、ポリマーコーティングとの組み合わせにより、決定された多孔性を保持することができる布帛により達成される。本発明による布帛は、特に、布帛の総重量、使用条件下での耐久性のある多孔性、バイアスを横切る伸長によって特徴付けられる、使用中の耐久性のある寸法安定性、及び機械的強度の間の妥協であり、この妥協によって、前述の目的を満たす布帛及び空中牽引構造体を提供することを可能にする。
【0014】
本発明による布帛は、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)製のマルチフィラメント連続経糸及び緯糸から形成され、その2つの表面の一方又は両方にポリウレタン(PU)がコーティングされている。布帛は、好ましくは、経糸及び緯糸に関して、20糸/cm以上50糸/cm以下の密度を有する。ポリウレタンは、有利には、ポリエーテル系、ポリエステル系、又はポリカーボネート系の架橋ポリウレタン(PU)である。別の好ましい特徴によれば、PUは、単一成分ポリウレタンエラストマーから得られる。このエラストマーは、それ自体知られているように、ポリオールセグメント(ポリエーテル、ポリエステル又はポリカーボネート)、イソシアネートセグメント、及び鎖延長剤又はヒドロキシル化架橋剤から形成される。一つの重要な好ましい特徴は、エラストマーが、規格DIN 53504に従って、約5MPa以下、特に1MPa以上4MPa以下、特に1MPa以上3MPa以下、例えば約2MPaの100%伸長時のモジュラスを有することである。別の重要な好ましい特徴は、エラストマーが架橋剤(エラストマーを形成するために使用される架橋剤と混同してはならない)との混合物であることである。特に、乾燥エラストマーに対する乾燥架橋剤の割合は、約5重量%以上約30重量%以下、特に約7重量%以上約20重量%以下、特に約8重量%以上約18重量%以下(例えば約8重量%及び約16重量%)である。架橋剤は、特にイソシアネート、メラミン、又はイソシアネートとメラミンの混合物を含む。この架橋剤により、特に、エラストマー上に残存する反応性官能基(特にNCO及びアルコール)の全部又は一部を塞ぎ、追加の結合又は架橋を形成し、布帛のコーティングを形成する架橋PUを得ることが可能になる。
【0015】
本発明による布帛は、船舶牽引構造体、特に後に詳述するように、この用途のためのパラグライダーの帆型の構造体を形成することを意図しているか、又は形成することができる。
【0016】
布帛は、有利には1.8以上4以下、特に2.6以上3.2以下のカバー率TCを有する。TC(カバー率)は、製織操作から得られるPET布帛のものであり、可能なカレンダー加工又は類似の加工を行う前のものである。TCは、以下のように計算される:TC=(フィラメント数/cm×1フィラメントの直径cm)経糸+(フィラメント数/cm×1フィラメントの直径cm)緯糸。本発明で保持されるTC値は、場合によっては、その後、最終的に有利なカレンダー加工によって強調される、十分に閉じた構成を布帛に付与する数値に相当し、これにより、一方では、布帛の使用領域に適した低空隙率を得るために、コーティング材料の取り込み率を制限することが可能になり、他方では、その結果、コーティングされた布帛の最終重量を制限することが可能になる。
【0017】
本発明は、連続経糸及び緯糸から形成され、その2つの表面の一方又は両方にポリウレタン(PU)がコーティングされた、特に船舶牽引構造体用の布帛に関するものであり、裸の布帛が1.8以上4以下、特に2.6以上3.2以下のカバー率TCを有すること、糸がポリ(エチレンテレフタレート)(PET)製であること、布帛が経糸密度及び緯糸密度に関して、20糸/cm以上50糸/cm以下の密度を有すること、ポリウレタンがポリエーテル系、ポリエステル系、又はポリカーボネート系の架橋PUであること、及びこのPUが、(1)有機溶剤相で実施される(特に溶剤に溶解される)、規格DIN 53504による、5MPa以下、特に1MPa以上4MPa以下、特に1MPa以上3MPa以下の100%伸長時のモジュラスを有する、単一成分ポリウレタンエラストマーの架橋に由来し、(2)約5重量%以上約30重量%以下、特に約7重量%以上約20重量%以下、特に約8重量%以上約18重量%以下の乾燥エラストマーに対する乾燥架橋剤の割合に基づく、架橋剤による架橋に由来すること、を特徴とする。
【0018】
本発明による布帛は、生理食塩水条件下でのエージングの間、したがって布帛の使用の間、初期の多孔性(新品の場合)を保持するか、又はこの多孔性のわずかな増加を経験するだけの驚くべき能力を有する。同時に、これらの布帛はまた、そのエージング又は使用中に、吸水性の点で低レベルの増加しか受けないという利点を有する。したがって、特にパラグライダー型の空中牽引構造体用の布帛を提供することを可能にする処方が見出され、この布帛は、空隙率に関して優れた特性を有し、塩水の取り込みに対して経時的及び使用中に低い感受性、あるいは実際には無感受性でさえも有し、それによって、構造体又は帆の効率的かつ安全な使用を可能にする良好な機械的性能の特性を持続的に保持することが可能になる。
【0019】
布帛は、コーティングを含む重量が43g/m、44g/m、45g/m又は50g/m以上であってもよい。この重量はまた、約43g/m、44g/m、45g/m又は50g/m以上約250g/m以下、特に約130g/m、例えば約105g/m又は約110g/mの範囲であってもよい。
【0020】
一実施形態によれば、コーティング材料の乾燥取り込み率は、10重量%以上、特に10重量%以上35重量%以下、典型的には10重量%以上30重量%以下、好ましくは12重量%以上30重量%以下、より好ましくは12重量%以上25重量%以下である。乾燥取り込み率は、コーティングされた布帛の乾燥コーティング(特に架橋PU)の重量比であり、最終布帛に存在する乾燥/架橋コーティングの重量を代表する。このコーティング又は取り込み率は、最適化を表す。過剰になると、ある種の特性に悪影響を及ぼし、重量を不必要に増加させる可能性がある。
【0021】
PETは、エチレンテレフタレートの繰り返し単位からなる。しかしながら、本発明の範囲は、ポリエステルの分子鎖当たり、少量の他の単位、例えば10mol%未満、特に5mol%未満の他の単位を含む変種にも実際に及ぶ(これらの他の単位を形成するために、コモノマーとしては、例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、ヒドロキシ安息香酸、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメリット酸、及びペンタエリスリトールが挙げられる)。
【0022】
ポリエステル糸は、マルチフィラメント糸である。マルチフィラメント糸は、複数の連続フィラメントから形成されている。一実施形態によれば、布帛は、33dtex以上470dtex以下、例えば44dtex以上115dtex以下のdtexの番手を有する経糸及び緯糸を含むか、又はこれらからなる。例えば、以下の番手:44dtex、80dtex、114dtex、を有する糸が使用される。特に、経糸と緯糸のDPF(デシテックス/フィラメント)は、1以上4以下、好ましくは1.3以上3.7以下である。
【0023】
一実施形態では、経糸及び緯糸は、同じ番手を有し、同じDPFを有する。
【0024】
別の実施形態では、経糸及び緯糸は、異なる番手を有し、一方向の糸番手は、他方向の糸番手よりも厳密に高い。例えば、一方向の糸番手は、33dtex以上470dtex以下、特に78dtex以上115dtex以下であり、他方向の糸番手は、33dtex以上115dtex以下、特に44dtex以上78dtex以下であり、第一方向の糸番手は、他方向の糸番手より厳密に高い。一態様によれば、より高い番手の糸は、緯糸方向にある。別の態様によれば、より高い番手の糸は、経糸方向にある。
【0025】
別の実施形態では、経糸又は緯糸のいずれか、あるいは経糸方向及び緯糸方向の両方において、同じ一定の方向で多様な番手を提供することが可能である。この場合、経糸方向及び/又は緯糸方向において、異なる番手を有する少なくとも2種類の糸が存在する。
【0026】
PET糸の引張強さ(又は引張強度)は、特に6cN/dtex以上、特に6cN/dtex以上7cN/dtex以下である。その破断伸度は、特に20%以上、特に20%以上30%以下である。引張強さ及び破断伸度は、規格DIN EN ISO 2062に従って測定される。
【0027】
これらの特徴を有するPET繊維又は糸は、市販されており、及び/又は注文に応じて製造することができる。
【0028】
ポリエステル糸は、任意に、1種以上の添加剤、例えば安定剤及び/又は帯電防止剤を含む。
【0029】
一実施形態によれば、実施に使用されるPET布帛は、カレンダー加工された布帛であり、これは、PUでコーティングされる前にカレンダー加工が施されていることを意味する。カレンダー加工は、布帛を押しつぶし、構成フィラメント並びに糸を広げ、布帛の気孔を閉じ、その気孔率を低下させるのに寄与する。
【0030】
本発明の布帛は、溶剤相でポリウレタンをコーティングすることによって得られる。コーティングは、以下に述べる特徴のいずれか1つを有してもよい。第一に、布帛は、その2つの表面の一方又は両方にコーティングされてもよく、好ましくは、一方の表面にコーティングされる。
【0031】
ポリウレタンは、硬い部分(イソシアネート)及び柔軟な部分(ポリオール)を含有する。当業者は、100%伸長時のモジュラスによって特徴付けられる、所望の剛性を有するエラストマーを得るために、イソシアネート/ポリオール比と成分の性質との間の妥協点を見出す方法を知っている。好ましくは、コーティングに使用されるエラストマーは、単一成分エラストマーであり、イソシアネートは、ポリオールと反応し、次いで鎖延長剤又は架橋剤と反応し、一般にNCO及びアルコールなどの反応性官能基を依然として含むエラストマーを形成する。当業者は、イソシアネート、ポリオール、及び鎖延長剤又は架橋剤から得られるコポリマー又はエラストマーの製造に関する文献、特に、Institut National de Sciences Appliquees-INSA(国立応用科学研究所)のSegolene HibonによるThese en Materiaux Polymeres et Composites(ポリマー材料及び複合材料に関する学位論文)、リヨン、フランス、2006年、を参照することができる。
【0032】
コーティング組成物は、架橋剤、特にイソシアネート又はメラミン、あるいはこれらの混合物によって補われる。「イソシアネート」という用語は、単独で又は1つ以上の他のイソシアネート及び/又はポリイソシアネートとの混合物として、イソシアネート及びポリイソシアネートの両方を指すものと理解される。本明細書において、「イソシアネート」という用語は、「イソシアネート」及び「ポリイソシアネート」という用語を含むものとして理解されるべきである。ポリイソシアネートが好ましい。メラミンに関しては、特に、適切なメラミン(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン)、又はメラミンを含む化合物若しくは樹脂、例えばメラミン-ホルムアルデヒド樹脂であってもよい。
【0033】
一実施形態によれば、乾燥エラストマーに対する乾燥架橋剤の割合は、約5重量%以上約30重量%以下、特に約7重量%以上約20重量%以下、特に約8重量%以上約18重量%以下である。
【0034】
一実施形態によれば、ポリウレタン(及び出発エラストマー)は、ポリエーテル系である。特に、ポリエーテル系ポリウレタンは、直鎖状又は分枝状であり、ポリエーテル型のポリオール部分と、イソシアネート部分とを含む。
【0035】
一実施形態によれば、ポリウレタン(及び出発エラストマー)は、ポリエステル系である。特に、ポリエステル系ポリウレタンは、直鎖状又は分岐状であり、ポリエステル型のポリオール部分とイソシアネート部分とを含む。
【0036】
別の実施形態によれば、ポリウレタン(及び出発エラストマー)は、ポリカーボネート系である。特に、ポリカーボネート系ポリウレタンは、直鎖状又は分枝状であり、ポリカーボネート型のポリオール部分と、イソシアネート部分とを含む。
【0037】
エラストマー及び架橋剤に関しては、イソシアネート部分は、好ましくは脂肪族であり、実際、芳香族イソシアネートは、経時的に黄色く変色するという欠点があるため、使用可能ではあるけれども、好ましくない。
【0038】
一実施形態では、本発明の布帛は、溶剤相でポリウレタンをコーティングすることによって得られる。ポリエステル布帛からコーティングされた布帛を製造するための、この布帛製造方法は、本発明の別の目的である。コーティングは、後述する特徴のいずれか1つを有してもよい。
【0039】
コーティング工程は、直接コーティングなどの、織物のコーティングに従来使用されている技術によって実施される。「直接コーティング」という用語は、例えば、ドクターブレード、シリンダー、エアナイフ、パダー、マイヤーロッド(又はチャンピオンプロセス)を使用する、直接蒸着コーティングプロセスを指すと理解される。
【0040】
一実施形態では、本発明の布帛は、バイアスを横切る剛性によって特徴付けられる。バイアスは、経糸に対して45°の方向に沿って測定されるとき、経糸方向であると言われる。バイアスは、緯糸に対して45°の方向に沿って測定されるとき、緯糸方向であると言われる。伸長は、バイアスに沿って3ポンド(Lbs、1.36kg)の力を加えたときのパーセントで測定される。この伸長によって、バイアスを横切る布帛の硬さが特徴付けられる。使用する規格は、NF EN ISO 13934-1であり、幅50mm、長さ300mmの試験片を作成する。動力計のクランプ爪の間隔は200mmであり、測定は100mm/分の速度で行われる。
【0041】
特に、本発明によるコーティングされた布帛は、経糸方向及び緯糸方向に沿ったバイアスの伸長が、3ポンド又は1.36kgの元で、すなわち10%以下である。したがって、この伸長は、1%以上10%以下、好ましくは3%以上10%以下であってもよい。
【0042】
一実施形態によれば、新品時、布帛は、規格NFG 07111(測定表面積100cm)に従って測定された、2000Paの圧力下で20L/m/分以下の空隙率又は通気性;及び/又は(好ましくは、及び)Tappi 441 om-90規格に従った1%以下、特に0.9%以下、例えば0.5%以下の吸水率を有する。
【0043】
本発明の布帛は、有利には高い耐久性、特に高い水安定性を示す。この安定性は、実施例の項で説明する様々な加速劣化法によって評価することができる。本発明による布帛の場合、空隙率又は通気性及び吸水特性は、使用後に殆ど変化しない。
-加水分解及び機械的応力後の空隙率又は通気性:エージング後、好ましくは規格NFG07111に従って30L/m/分以下、特に20L/m/分以下、特に15L/m/分以下のままである、及び/又は
-Tappi 441 om-90規格に従う吸水率が1%以下、特に0.9%以下、例えば0.5%以下のままである。
【0044】
パラグライダーの帆型の構造体を製造することを可能にする布帛で、船舶又は船を引っ張ることができ、特にこれらの帆にかかる応力に耐えることができる。これらの布帛は、上記の特性を有し、空中構造体が飛ばされ、上昇し、空中に留まり、意図された風条件下でその役割を果たし、予想される動的挙動に基づいて展開するのに十分軽い。
【0045】
本発明の別の目的は、本明細書で定義される高強度PET布帛のコーティングのための、本明細書で定義されるPUエラストマー又は架橋PUコーティングの使用である。このコーティングは、特に、布帛に、本明細書に記載の特性又は性質、特に、本明細書に記載のバイアス方向の伸度;及び/又は、本明細書に記載の新品時又は経時または使用後の非常に低い吸水率;及び/又は、本明細書に記載の新品時のコーティング布帛と、経時又は使用後のコーティング布帛との間で、全く又は僅かしか増加を示さない空隙率を与えることを意図する。この使用は、本発明の別の目的である以下の製造方法をもたらすことができる。
【0046】
コーティングされた布帛を製造するための布帛製造方法は、特に以下の工程を含む。
(a)本発明によるポリエステル布帛を提供する工程;この布帛は、任意にカレンダー加工されてもよい、
(b)この布帛の2つの表面の一方又は両方を、本発明に従って溶剤相のポリウレタンを使用して、好ましくは、本明細書に記載されるように、溶剤に溶解され、架橋剤と混合された単一成分エラストマーから、本発明に従ったコーティング速度で、コーティングする工程、
(c)コーティングが乾燥し、架橋するまで、布帛を加熱する工程、
(d)本発明に従うコーティングされた布帛が得られる工程、
(e)任意に、布帛を、例えば昇華プリントによって、その2つの表面の一方又は両方にプリントする工程。
【0047】
本発明の目的は、特に、以下のような、コーティングされた布帛を製造するための布帛製造方法に関する。
-布帛が提供され、布帛は、経糸密度及び緯糸密度で20糸/cm以上50糸/cm以下の密度を有するポリ(エチレンテレフタレート)(PET)製である、
-この布帛の2つの表面の一方又は両方を、以下の混合物:規格DIN 53504に従って、約5MPa以下、特に1MPa以上4MPa以下、特に1MPa以上3MPa以下の100%伸長時のモジュラスを有する単一成分ポリウレタンエラストマー;エラストマー用溶剤;及び、約5重量%以上約30重量%以下、特に約7重量%以上約20重量%以下、特に約8重量%以上約18重量%以下の乾燥エラストマーに対する乾燥架橋剤の割合に基づく、架橋剤、を使用してコーティングする、
-コーティングが乾燥し、架橋するまで、布帛を加熱する、
-コーティングされた布帛が得られる;
-任意に、布帛を、例えば昇華プリントによって、その2つの表面の一方又は両方にプリントする。
【0048】
本方法は、上述したような布帛を製造することを目的としており、その結果、布帛の製造に使用される要素の特徴は、本方法に適用され、本方法においてそれを使用するためのこれらの要素の選択に適用され、以下のセクションでそれらを繰り返す必要はない。
【0049】
PET布帛は、コーティングの前にカレンダー加工を受けることができる。
【0050】
一実施形態によれば、PET布帛は、工具、シリンダー又はカレンダーローラーと、カウンタープレートとの間で、コーティング前にカレンダー加工される。「カレンダー加工表面」と呼ばれる、カレンダー加工工具の通過を受けた布帛の表面は、他の表面と比較して平滑になる。
【0051】
一態様によれば、コーティングは、このカレンダー加工表面に施される。この平滑な表面にあらかじめ下地処理を施しておくことによって、ポリマーの接着性を高めることができる。これは、物理的処理でも化学的処理でもよい。例えば、化学結合を形成するためにポリマーの基と反応できる官能基を提供する、化学処理である。
【0052】
別の態様によれば、コーティングは、平滑化されていない、もう一方の表面に施される。コーティングの取り込み率は、関係する表面によって異なり、この速度は、平滑化されていない表面でより高くなるため、当業者がコーティングの量と重量を調整することを可能にすることを理解すべきである。また、両方の表面にコーティングすることも可能である。
【0053】
別の実施形態によれば、PET布帛は、コーティングの前に、2つのカレンダー加工工具、シリンダー又はカレンダーローラーの間でカレンダー加工される。布帛の両表面は、平滑化される。その後、2つの表面の一方又は両方が、上記のような接着加工の有無に拘らず、コーティングされる。
【0054】
PET布帛のカレンダー加工は、好ましくは150℃以上250℃以下、好ましくは180℃以上210℃以下の温度で行われる。カレンダー加工は、好ましくは150kg以上250kg以下、好ましくは180kg以上230kg以下の範囲の圧力で行われる。カレンダーの回転速度は、1m/分以上30m/分以下、好ましくは10m/分以上20m/分以下であってよい。
【0055】
本発明の布帛は、溶剤相でポリウレタンをコーティングすることによって得られる。コーティングは、以下に述べる特徴のいずれか1つを有することができる。
【0056】
PUは、規格DIN 53504に従って、約5MPa以下、特に1MPa以上4MPa以下、特に1MPa以上3MPa以下の100%伸長時のモジュラスを有する。PUは、有機溶剤に溶解している。ポリマーは、媒体に溶解する。この溶液にPU用架橋剤を添加する。特に、乾燥ポリウレタンに対する乾燥架橋剤の割合は、約5重量%以上約30重量%以下、特に約7重量%以上約20重量%以下、特に約8重量%以上約18重量%以下である。
【0057】
本発明の布帛は、溶剤に溶解したポリウレタンでコーティングすることによって得られる。特に、コーティングは、溶剤に溶解した(特にイソシアネート、ポリオール、及び鎖延長剤又は架橋剤から形成される)単一成分エラストマーを含有する。フィルムは、溶剤の蒸発中に自然に形成される。溶剤は、有機溶剤であり、特に芳香族溶剤、アルコール、ケトン、エステル、ジメチルホルムアミド、及びn-メチルピロリドンから構成される群から選択することができる。ある特定の実施形態では、溶剤は、トルエン、キシレン、イソプロパノール、ブタノール、1-メトキシプロパン-2-オール、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、n-メチルピロリドン、及び前述の少なくとも2つの混合物から構成される群から選択される。例えば、トルエン及びイソプロパノールの混合物が挙げられる。
【0058】
一実施形態では、溶剤相ポリウレタンは、PU及び溶剤混合物に対して、20重量%以上50重量%以下の非架橋PU、特に単一成分エラストマーの濃度によって特徴付けることができる。一実施形態では、この溶剤相ポリウレタン、特に溶剤中の溶液中のエラストマーは、23℃で100,000mPa・s未満、好ましくは23℃で5,000mPa・s以上60,000mPa・s以下の粘度(規格DIN EN ISO/A3に従う)によって特徴付けることができる。
【0059】
特に、乾燥工程及び架橋工程は、最初に、例えば約90℃以上約120℃以下の温度で乾燥し、その後、約140℃以上約210℃以下の温度で架橋する工程を含む。
【0060】
本発明の布帛コーティング組成物は、添加剤を更に含むことができる。前記添加剤は、布帛コーティング組成物に一般的に使用される任意の添加剤であってよい。それらは特に、粘度調整剤、紫外線安定剤、染料、分散剤、及び界面活性剤から構成される群から選択される。一実施形態によれば、コーティングは、抗紫外線剤を含む。
【0061】
一実施形態では、本方法は、乾燥工程及び架橋工程の後に、布帛に防汚及び/又は撥水特性を付与する1つ以上の後処理工程を含む。「防汚」という用語は、帯電防止剤及び/又は撥水剤を使用する処理を指すと理解される。「撥水加工」という用語は、フッ素化樹脂の架橋剤、例えばイソシアネートの有無に拘らず、フッ素化樹脂を使用する加工を指すと理解される。撥水加工の後に乾燥/架橋工程が続く。一実施形態では、後処理は、当業者に公知の任意の方法、特にパディング、コーティング、スプレー又はプラズマ処理によって施される。
【0062】
本明細書に記載されるコーティングされた布帛は、いわゆる昇華プリント技術によってプリント可能であることが見出された。本発明の一態様によれば、このコーティングされた布帛は、昇華技術によって着色、プリント又は装飾される。この後者は特に、高温で昇華できる1種以上の染料を用いて基材(転写基材)上にパターンをプリントすることによって実施することができる。その後、基材をコーティングされた布帛に接触させ、例えば約200℃で加圧しながらホットカレンダー加工を行う。染料は、気相に移行し、コーティングの中、及び/又は表面、及び/又は繊維に移行する。ポリエステルPETは、この温度でも安定したままである。
【0063】
実施例1、1bis、2及び2bisの布帛は、本発明による布帛及び牽引構造体又は帆の実施形態である。これらは、実施例に記載された構成要素の特徴によって定義される。
【0064】
本発明の目的はまた、本発明による方法を実施することによって得られる、又は得ることができる布帛に関する。本発明はまた、本明細書に記載したような布帛を製造すること、又はここに記載したような布帛を有すること、及びこのコーティングされた布帛を用いて空中構造体の全部又は一部を製造することを含む、特に、ボックスセクション(セル)を有するパラグライダーの帆の形態でこのような構造体の下面(下部帆)及び/又は上面(上部帆)を製造するための、空中牽引構造体の製造方法に関する。本発明はまた、船舶用の空中牽引構造体を製造するための、特に、ボックスセクションを有するパラグライダーの帆の形態でこのような構造体の下面及び/又は上面を製造するための、本明細書に記載したようなコーティングされた布帛の使用に関する。
【0065】
本発明はまた、本発明による布帛を含む、又は本発明による布帛から作られた空中牽引構造体に関する。「空中牽引構造体」とは、本発明による少なくとも1つの布帛を含む構造体又は帆であって、船舶又は船に連結することができ、現実及び/又は顕在的な風の影響下で前記船舶又は船の変位を確保又は寄与することができる構造体又は帆を指す。有利には、構造体は、前記構造体において重ね合わされて一緒に保持され、下面として機能する層及び上面として機能する層を形成する、2層のこの布帛を含む。特に、構造体は、ボックスセクション型のパラグライダーの帆であり、好ましくは、本発明の布帛で作られた2層の布帛(下面及び上面)を含む。所望の寸法を有する下面及び上面を有するために、後者は、本発明によるパネル又はロール又は布片の集合体であり、特に縫製によるものである。下面及び上面は、本発明に従って、同じ布帛で作ることも、異なる布帛で作ることも、異なる布帛の集合体の一方及び/又は他方を含むこともできる。
【0066】
2層の布帛は、同じ布帛又は別の布帛から作られるパーティションによって連結される。一実施形態では、パーティションはまた、上述の布帛と同じ性質のPUコーティングを施したPET布帛から作られる。しかしながら、100%伸長時のモジュラスが約6MPa以上約40MPa以下であり、架橋剤率が約40重量%以上約200重量%以下であるPUを使用することが好ましい。
【0067】
構造体は、特にパラグライダー型の帆の場合には下面及び/又は上面に、昇華によってプリントされた模様を有することができる。
【0068】
牽引構造体、特にパラグライダー型構造体の下面及び上面は、50m以上、100m以上又は200m以上800m以下、特に100m以上500m以下の表面を有することができる。
【0069】
牽引構造体は、様々なトン数の船舶、特に100トン以上55万トン以下、例えば1万トン以上26万トン以下のトン数の船舶に使用することができ、そのサイズも様々である。
【0070】
従来、EP2,475,577(その全体の内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、本発明によるパラグライダー型の帆は、下面及び上面を有する。帆の前面では、下面及び上面が前縁によって連結され、帆の後面では、下面及び上面が一緒になって後縁を形成する。下面と上面との間には、前縁で前方に向かって開き、ボックス間の壁で横方向に沿って一対に区切られた、前後方向のボックスセクションがある。
【0071】
帆の構成部分、特にその下面、上面、ボックス間の壁は、特に縫製によって互いにしっかりと組み合わされた布片からなる。このように、帆の各構成部品は、本発明による布帛のみではないにしても、基本的に布帛で作られる。
【0072】
この布帛は、連続経糸及び連続緯糸によって形成され、これらの経糸及び緯糸は、従来の織り技術に従って交錯される。一例として、この布帛の網目は、正方形である。この布帛は、リップストップ型、すなわち、布帛の引き裂き防止性能を向上させるために、補強糸を組み込んだものとすることができる。
【0073】
各部品の組立ては、帆内において、縦糸が帆の前後方向APに沿って縦方向に延び、横糸が横方向Lに沿って縦方向に延びるように設けられる。言い換えれば、水平面に投影すると、経糸及び緯糸はそれぞれ、下面及び上面に属する部分の布帛と、ボックス間の壁を構成する部分の布帛の両方について、前後方向APと横方向Lに平行に延びている。
【0074】
次に、本発明を、好ましい実施形態に対応する実施例を用いて説明するが、これらは、何ら限定することなく、説明のために提供されるものである。
【実施例
【0075】
実施例1及び1bis:
これらの実施例は、硬いPUでコーティングされた従来のポリアミド6.6布帛(対照1)、一方の表面にスタッフPUでコーティングされたポリエステル布帛(対照2)、及び一方の表面にPUでコーティングされた高強度ポリエチレンテレフタレート(PET)布帛(本発明による実施例)の一方の表面に、ポリウレタンコーティングを施した場合の衝撃を比較したものである。
【0076】
対照1:PA6.6は、スピンネーカー分野における従来のポリアミド布帛であり、100%伸長時のモジュラスが8MPaのPUエラストマーと、イソシアネート+メラミンホルムアルデヒド架橋剤から得られるPUコーティングが施されている。乾燥エラストマーに対する乾燥架橋剤の割合は、66.9%である。PUは、トルエンとイソプロパノールの50/50混合物中で使用される。
【0077】
対照2:100%伸長時のモジュラスが32.4MPaのPUエラストマーと、イソシアネート+メラミンホルムアルデヒド架橋剤から得られるPUコーティングが施されている。乾燥エラストマーに対する乾燥架橋剤の割合は、137%である。PUは、トルエンとイソプロパノールの50/50混合物中で使用される。
【0078】
PETは、100%伸長時のモジュラスが2MPaのPUエラストマーと、イソシアネート+メラミンホルムアルデヒド架橋剤から得られるPUコーティングを有する。乾燥エラストマーに対する乾燥架橋剤の割合は、8.4%である。実施例1及び1bisは、コーティング材料の乾燥取り込み率によって異なる。PUは、トルエンとイソプロパノールの50/50混合物中で使用される。
【0079】
両対照及び本発明の実施例において、PUは、脂肪族ポリカーボネートをベースとする単一成分PUである。
【0080】
PETの引張強さは、6.6cN/dtexである。破断伸度は、21%である。
【0081】
コーティングは、ドクターブレードを使用して行われ、100℃で乾燥させた後、180℃で架橋させる。速度は、27m/分である。
【表1】
【0082】
実施例2及び2bis:
これらの実施例は、硬いPUでコーティングされた従来のポリアミド6.6布帛(対照3)、一方の表面にスタッフPUでコーティングされたポリエステル布帛(対照4)、及び一方の表面にPUでコーティングされた高強度ポリエチレンテレフタレート(PET)布帛(本発明による実施例)の一方の表面に、ポリウレタンコーティングを施した場合の衝撃を比較したものである。
【0083】
対照3:PA6.6は、スピンネーカー分野における従来のポリアミド布帛であり、100%伸長時のモジュラスが8MPaのPUエラストマーと、イソシアネート+メラミンホルムアルデヒド架橋剤から得られるPUコーティングが施されている。乾燥エラストマーに対する乾燥架橋剤の割合は、66.9%である。PUは、トルエンとイソプロパノールの50/50混合物中で使用される。
【0084】
対照4:100%伸長時のモジュラスが8MPaのPUエラストマーと、イソシアネート+メラミンホルムアルデヒド架橋剤から得られるPUコーティングが施されている。乾燥エラストマーに対する乾燥架橋剤の割合は、66.9%である。PUは、トルエンとイソプロパノールの50/50混合物中で使用される。
【0085】
PETは、100%伸長時のモジュラスが2MPaのPUエラストマーと、イソシアネート+メラミンホルムアルデヒド架橋剤から得られるPUコーティングを有する。乾燥エラストマーに対する乾燥架橋剤の割合は、実施例2では15.4%、実施例2bisでは8.4%である。実施例2及び2bisはまた、コーティング材料の乾燥取り込み率によって異なる。PUは、トルエンとイソプロパノールの50/50混合物中で使用される。
【0086】
両対照及び本発明の実施例において、PUは、脂肪族ポリカーボネートをベースとする単一成分PUである。
【0087】
PETの引張強さは、6.6cN/dtexである。破断伸度は、21%である。
【0088】
コーティングは、ドクターブレードを使用して行われ、100℃で乾燥させた後、180℃で架橋させる。速度は、27m/分である。
【表2】
【0089】
2つの実施例についての結論:
PA6.6基材は、エージング後の吸水率がより高いため、理想的とはいえない。本発明によるコーティング布帛は、良好な多孔性(通気性)特性を有し、この良好な多孔性は、エージングによる試験で実証されたように安定している。本発明による布帛のバイアスを横切る優れた試験は、この多孔性の維持に寄与する。本発明による布地はまた、新品時及びエージング後の吸水性の点で最良の挙動を示す。これらの特性により、これらの布帛は、海洋環境で使用される空中牽引構造体を形成するための使用に適している。
【0090】
本出願で使用する方法及び測定法(本発明の特徴及び実施例):
NF EN ISO 2062-規格の方法Aを使用する、定率伸長試験装置を使用した個々の糸の破断強度及び破断伸度の測定。
【0091】
破断力(単位センチニュートン、cN):引張試験中に試料が破損して、破断させるために発生する最大力。
【0092】
破断伸度(%):後者の破断時に測定される試料の長さの増加。
【0093】
引張強さ(cN/tex):cNで表した破断力とdtexで表した糸の線密度の商(1tex=糸長1000mあたり1g)。
【0094】
本試験により、糸の特性変数である、サンプルの力及び破断伸度を測定することを可能にする。
【0095】
糸は、500mm間隔で2つの固定クランプの間に置かれる。次に、装置(ダイナモメーター)は、クランプを500mm/分の一定の変位速度で互いに離し、加えられた力を連続的に測定する。糸を切断するのに必要な力、及び切断時の糸の長さの増加が測定される。
【0096】
平均破断力及び平均破断伸度は、この試験で特徴付けられる2つのデータ項目である。引張強さは、破断力を線密度で割って算出される。
【0097】
単一成分ポリウレタンエラストマーの100%伸長時のモジュラスは、規格DIN 53504に従って測定される。モジュラスは、規格「Spanungswerte」の3.4に定義されている。測定は、タイプS2のダンベル型(Schulterstab)、ただし、棒の長さlが55mm、厚さが200μmの試験片を用いて行う。使用する装置は、ダイナモメーターである。ダンベル試験片を固定クランプに入れ、長さLの間隔をあけて、可能な限り最小の予張力で固定する。その後、クランプを400mm/分の一定速度で互いに離し、ダイナモメーターで加えられた力を伸長の関数として測定する。100%伸長時のモジュラス又は応力(MPa)は、試験片の初期セクションの100%伸長時に測定された力の比である。これは、規格DIN 53504の9.4項、Spannungswerteに記載されている。
【0098】
空隙率(通気性)及び吸水率は、新品時又はエージング後に評価された又は評価されるものである。
【0099】
エージングについては、加水分解後の布帛の空隙率も測定される。このために、布帛を「Cocotte Minute」圧力釜に30g/Lの塩水と共に4時間、使用温度と圧力で入れる。その後、布帛を大気開放で高速で浮かせて30分間の処理を施し、布帛をミル型組み立て品(4枚刃の組み立て品で、布帛は、そのうちの1枚の刃の先端に固定されている)に固定する。
【0100】
新品時又はエージング後の吸水率を、Tappi 441 om-90規格に従って測定しておく又は測定する。単位は、%である。本装置は、正方形のゴム基材と、ゴムガスケットでその底部を覆った金属リングからなる。試料は、正方形の基材の上に置かれ、金属リングは、試料の上に置かれる。クランプ装置を使用して、システムを水密にする。一定量(100ml)の水をリングに入れ、決められた時間(1分間)試料と接触させる。時間経過後、円筒形リングから水を除去し、試料表面に残った残留水を、規格に記載されているシリンダーを使用して、圧力をかけずに、2枚のブロッターの間に置かれた試料上を、シリンダーを往復運動させることにより除去する。吸水率は、水との接触前後の重量の差を計算することによって求められる。
【0101】
新品時又はエージング後の空隙率を、NFG 07111規格又はNF EN ISO 9237規格(布帛の通気性の測定)(後者が前者に取って代わるが、結果は同じである。)に従って、測定しておく又は測定する。試料は、円形の試料ホルダーに取り付けられる。試料に空気流を誘導させる2000Paの窪みを作るために、吸引を開始する。この流れの流量が測定され、単位はL/m/分である。
【0102】
バイアスを横切って3ポンド(lbs)又は1.36kgの力を加え、布帛の伸び率を測定しておく又は測定する。この伸長は、バイアスを横切る生地の剛性を特徴付ける。使用される規格は、NF EN ISO 13934-1である。幅50mm、長さ300mmの試験片を作成する、又は作成されている。ダイナモメーターのクランプ爪は、互いに200mm離され、測定は、100mm/分の速度で行われる。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0102
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0102】
バイアスを横切って3ポンド(lbs)又は1.36kgの力を加え、布帛の伸び率を測定しておく又は測定する。この伸長は、バイアスを横切る生地の剛性を特徴付ける。使用される規格は、NF EN ISO 13934-1である。幅50mm、長さ300mmの試験片を作成する、又は作成されている。ダイナモメーターのクランプ爪は、互いに200mm離され、測定は、100mm/分の速度で行われる。以下の項目[態様1]~[態様13]に本発明の実施形態の例を列記する。
[態様1]
船舶用の空中牽引構造体であって、マルチフィラメント連続経糸及び緯糸から形成され、その2つの表面の一方又は両方にポリウレタン(PU)がコーティングされている、少なくとも1層の布帛を含み、裸の前記布帛が1.8以上4以下、好ましくは2.6以上3.2以下のカバー率TCを有すること、ここで前記TCは、式TC=(フィラメント数/cm×1フィラメントの直径cm) 経糸 +(フィラメント数/cm×1フィラメントの直径cm) 緯糸 に従って計算され、前記糸がポリ(エチレンテレフタレート)(PET)製であること、前記布帛が経糸密度及び緯糸密度に関して、20糸/cm以上50糸/cm以下の密度を有すること、前記ポリウレタンがポリエーテル系、ポリエステル系、又はポリカーボネート系の架橋PUであること、このPUが、(1)有機溶剤相で実施される、規格DIN 53504による、5MPa以下、特に1MPa以上4MPa以下、特に1MPa以上3MPa以下の100%伸長時のモジュラスを有する、単一成分ポリウレタンの架橋に由来し、(2)約5重量%以上約30重量%以下、特に約7重量%以上約20重量%以下、特に約8重量%以上約18重量%以下の乾燥エラストマーに対する乾燥架橋剤の割合に基づく、架橋剤による架橋に由来すること、及び前記布帛が、コーティングを含む重量が43g/m 又は44g/m 以上250g/m 以下の範囲にあること、を特徴とする、船舶用の空中牽引構造体。
[態様2]
規格DIN EN ISO 2062に従って、前記PET糸の引張強さが、特に6cN/dtex以上、特に6cN/dtex以上7cN/dtex以下であること、及び/又はその破断伸度が、特に20%以上、特に20%以上30%以下であること、を特徴とする、態様1に記載の構造体。
[態様3]
前記布帛の、コーティングを含む重量が44g/m 以上250g/m 以下、特に44g/m 以上130g/m 以下であることを特徴とする、態様1又は2に記載の構造体。
[態様4]
前記コーティング材料の乾燥取り込み率が、10重量%以上、特に10重量%以上30重量%以下又は35重量%以下、好ましくは12重量%以上30重量%以下であることを特徴とする、態様1~3のいずれか一態様に記載の構造体。
[態様5]
前記布帛が、33dtex以上470dtex以下、好ましくは44dtex以上115dtex以下のdtexを有し、特に、DPF(デシテックス/フィラメント)が1以上4以下、好ましくは1.3以上3.7以下である、経糸及び緯糸を含むか、又はこれらからなることを特徴とする、態様1~4のいずれか一態様に記載の構造体。
[態様6]
前記PUの架橋剤が、イソシアネート、ポリイソシアネート、メラミン、メラミンを含む化合物、又はイソシアネートとメラミンの混合物であることを特徴とする、態様1~5のいずれか一態様に記載の構造体。
[態様7]
前記布帛が、新品であるかエージング後であるかに拘らず、測定表面積100cm にわたり、規格NFG 07111に従って測定された、2000Paの圧力下で20L/m /分以下の通気性、及び/又はTappi 441 om-90規格に従った1%以下の吸水率を有すること特徴とする、態様1~6のいずれか一態様に記載の構造体。
[態様8]
前記布帛が、規格NF EN ISO 13934-1に従って、1.36kgの元で前記経糸方向及び前記緯糸方向に沿ったバイアスの伸長が10%以下、特に1%以上10%以下、好ましくは3%以上10%以下であることを特徴とする、態様1~7のいずれか一態様に記載の構造体。
[態様9]
前記布帛が、昇華によってプリントされた模様を有することを特徴とする、態様1~8のいずれか一態様に記載の構造体。
[態様10]
下面及び上面を含む、ボックスセクション型のパラグライダーの帆の構造体を含み、前記下面及び前記上面が、この布帛で作られていることを特徴とする、態様1~9のいずれか一態様に記載の構造体。
[態様11]
前記下面及び前記上面が、50m 以上800m 以下、特に100m 以上500m 以下の表面積を有することを特徴とする、態様10に記載の構造体。
[態様12]
船舶用の空中牽引構造体を製造するための、特に、このような構造体の前記下面及び/又は前記上面を、ボックスセクションを有するパラグライダーの帆の形態で製造するための、態様1~9のいずれか一態様に記載のコーティングされた布帛の使用。
[態様13]
態様1~9のいずれか一態様に記載のコーティングされた布帛を製造することを含む、船舶空中牽引構造体の製造方法であって、前記方法において、
-布帛が提供され、前記布帛が、経糸密度及び緯糸密度で20糸/cm以上50糸/cm以下の密度を有するポリ(エチレンテレフタレート)(PET)製であり、
-この布帛の2つの表面の一方又は両方を、以下の混合物:規格DIN 53504に従って、約5MPa以下、特に1MPa以上4MPa以下、特に1MPa以上3MPa以下の100%伸長時のモジュラスを有する単一成分ポリウレタンエラストマー;前記エラストマー用溶剤;及び、約5重量%以上約30重量%以下、特に約7重量%以上約20重量%以下、特に約8重量%以上約18重量%以下の前記乾燥エラストマーに対する乾燥架橋剤の割合に基づく、架橋剤、を使用してコーティングし、
-前記コーティングが乾燥し、架橋するまで、前記布帛を加熱し、
-コーティングされた布帛が得られ;
-任意に、前記布帛を、例えば昇華プリントによって、その2つの表面の一方又は両方にプリントし、
-前記空中構造体の全部又は一部が、このコーティングされた布帛で作られている、
方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶用の空中牽引構造体であって、2つの表面を有する裸の布帛から作られ、マルチフィラメント連続経糸及び緯糸から形成され、その2つの表面の一方又は両方にコーティング材料としてポリウレタン(PU)がコーティングされている、少なくとも1層のコーティングされた布帛を含み、前記裸の布帛が1.8以上4以下のカバー率TCを有し、ここで前記TCは、式TC=(フィラメント数/cm×1フィラメントの直径cm)経糸+(フィラメント数/cm×1フィラメントの直径cm)緯糸に従って計算され、前記糸がポリ(エチレンテレフタレート)(PET)製であり、前記裸の布帛が、33dtex以上470dtex以下のdtexを有する経糸及び緯糸を含むか、又はこれらからなり、経糸密度及び緯糸密度に関して、20糸/cm以上50糸/cm以下の密度を有し、前記ポリウレタンがポリエーテル系、ポリエステル系、又はポリカーボネート系の架橋PUであり、このPUが、(1)有機溶剤相で実施される、規格DIN 53504による、5MPa以下の100%伸長時のモジュラスを有する、単一成分ポリウレタンの架橋によって得られ、(2)5重量%以上30重量%以下の乾燥エラストマーに対する乾燥架橋剤の割合に基づく、架橋剤による架橋によって得られ、及び前記コーティングされた布帛が、コーティングを含む重量が43g/m 上250g/m以下の範囲にある、船舶用の空中牽引構造体。
【請求項2】
前記裸の布帛が、2.6以上3.2以下のカバー率TCを有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記単一成分ポリウレタンが、規格DIN 53504による、1MPa以上4MPa以下の100%伸長時のモジュラスを有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項4】
前記単一成分ポリウレタンが、規格DIN 53504による、1MPa以上3MPa以下の100%伸長時のモジュラスを有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項5】
前記乾燥エラストマーに対する前記乾燥架橋剤の割合が、7重量%以上20重量%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項6】
規格DIN EN ISO 2062に従って、前記PET糸の引張強さが、6cN/dtex以上であり、これらPET糸の破断伸度が、20%以上でる、請求項1~4のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項7】
規格DIN EN ISO 2062に従って、前記PET糸の引張強さが、6cN/dtex以上7cN/dtex以下であり、これらPET糸の破断伸度が、20%以上30%以下である、請求項6に記載の構造体。
【請求項8】
前記コーティングされた布帛の、コーティングを含む重量が44g/m以上250g/m下でる、請求項1~4のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項9】
前記コーティングされた布帛の、コーティングを含む重量が44g/m 以上130g/m 以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項10】
前記コーティング材料の乾燥取り込み率が、10重量%以上35重量%以下でる、請求項1~のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項11】
前記裸の布帛が、33dtex以上470dtex以下のdtexを有し、DPF(デシテックス/フィラメント)が1以上4以下である、経糸及び緯糸を含むか、又はこれらからなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項12】
前記PUの架橋剤が、イソシアネート、ポリイソシアネート、メラミン、メラミンを含む化合物、又はイソシアネートとメラミンの混合物である、請求項1~のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項13】
前記コーティングされた布帛が、新品であるかエージング後であるかに拘らず、測定表面積100cmにわたり、規格NFG 07111に従って測定された、2000Paの圧力下で20L/m/分以下の通気性、及び/又はTappi 441 om-90規格に従った1%以下の吸水率を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項14】
前記コーティングされた布帛が、規格NF EN ISO 13934-1に従って、1.36kgの元で前記経糸方向及び前記緯糸方向に沿ったバイアスの伸長が10%以下でる、請求項1~のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項15】
前記コーティングされた布帛が、規格NF EN ISO 13934-1に従って、1.36kgの元で前記経糸方向及び前記緯糸方向に沿ったバイアスの伸長が1%以上10%以下である、請求項14に記載の構造体。
【請求項16】
前記コーティングされた布帛が、昇華によってプリントされた模様を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項17】
下面及び上面を含む、ボックスセクション型のパラグライダーの帆の構造体を有し、前記下面及び前記上面が、このコーティングされた布帛で作られている、請求項1~のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項18】
前記下面及び前記上面が、50m以上800m下の表面積を有する、請求項17に記載の構造体。
【請求項19】
請求項1~のいずれか一項に記載のコーティングされた布帛を製造することを含む、船舶空中牽引構造体の製造方法であって、前記方法において、
2つの表面を有する裸の布帛が提供され、この布帛が、経糸密度及び緯糸密度で20糸/cm以上50糸/cm以下の密度を有するポリ(エチレンテレフタレート)(PET)製であり、
-この布帛の2つの表面の一方又は両方を、以下の混合物:規格DIN 53504に従って、5MPa以下の100%伸長時のモジュラスを有する単一成分ポリウレタンエラストマー;前記エラストマー用溶剤;及び、5重量%以上30重量%以下の前記乾燥エラストマーに対する乾燥架橋剤の割合に基づく、架橋剤、を使用してコーティングし、
-前記コーティングが乾燥し、架橋するまで、この混合物を有する前記布帛を加熱し、
-コーティングされた布帛が得られ
前記空中構造体の全部又は一部が、このコーティングされた布帛で作られている、
方法。
【国際調査報告】