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特表2024-503069ロボットカテーテル式処置システムの流体管理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】ロボットカテーテル式処置システムの流体管理装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/08 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
A61M25/08 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542783
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 US2021070040
(87)【国際公開番号】W WO2022154979
(87)【国際公開日】2022-07-21
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510292504
【氏名又は名称】コリンダス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA32
4C267BB40
4C267BB62
4C267CC08
4C267DD01
4C267DD08
4C267EE01
4C267HH08
4C267HH11
4C267HH22
(57)【要約】
カテーテル式処置システムのロボット駆動装置で使用するカセットであり、ベース及びサイドポートを有する止血弁を支持するように構成されたハウジングを含む。ハウジングは、細長い医療デバイスに関連した長手方向デバイス軸を有する。カセットは、ハウジングにおいて長手方向デバイス軸より上に位置する第1のチューブ接続部も含む。第1のチューブ接続部は、第1のチューブを受容するように構成される。カセットは、ハウジングの上縁部に近接して、第1のチューブ接続部及び長手方向デバイス軸より上に位置する第2のチューブ接続部も含む。第2のチューブ接続部は、第2のチューブを受容するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル式処理システムのロボット駆動装置で使用するカセットであって、
ベース及びサイドポートを有する止血弁を支持するように構成され、細長い医療デバイスに関連した長手方向デバイス軸を有するハウジングと、
前記ハウジングにおいて前記長手方向デバイス軸より上に位置し、第1のチューブを受容するように構成された第1のチューブ接続部と、
前記ハウジングの上縁部に近接して、前記第1のチューブ接続部及び前記長手方向デバイス軸よりも上に位置し、第2のチューブを受容するように構成された第2のチューブ接続部と、を含む、カセット。
【請求項2】
前記第1のチューブ接続部は、前記第1のチューブのストレインリリーフを提供するよう構成される、請求項1に記載のカセット。
【請求項3】
前記第1のチューブ接続部がクリップである、請求項2に記載のカセット。
【請求項4】
前記第2のチューブ接続部がクリップである、請求項1に記載のカセット。
【請求項5】
前記第2のチューブ接続部がループである、請求項1に記載のカセット。
【請求項6】
カテーテル式処置システムのロボット駆動装置で使用するカセットに流体接続を提供する装置であって、
細長い医療デバイスに関連した長手方向デバイス軸を有するカセットハウジングと、
前記カセットハウジング内に配置され、ベース及びサイドポートを有する止血弁と、
前記カセットハウジングにおいて前記長手方向デバイス軸より上に位置する第1のチューブ接続部と、
前記止血弁のサイドポートに接続され、前記第1のチューブ接続部に配置される第1のチューブと、
複数のポートを有し、その複数のポートのうちの1つが前記第1のチューブに接続される弁と、
前記カセットハウジングの上縁部に近接して、前記第1のチューブ接続部及び前記長手方向デバイス軸より上に位置する第2のチューブ接続部と、
前記弁の複数のポートの1つに接続され、前記第2のチューブ接続部に配置される第2のチューブと、を含む装置。
【請求項7】
前記第1のチューブ接続部は、前記第1のチューブのストレインリリーフを提供するよう構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のチューブ接続部がクリップである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記弁がストップコックである、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記複数のポートが3つのポートである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第2のチューブ接続部がクリップである、請求項6に記載の装置。
【請求項12】
前記第2のチューブ接続部がループである、請求項6に記載の装置。
【請求項13】
前記第2のチューブ接続部は、前記第2のチューブが軸方向に動作できるように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項14】
前記第2のチューブは、該第2のチューブの遠位端にショルダーを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第2のチューブは、流体源に接続される、請求項6に記載の装置。
【請求項16】
前記流体源が生理食塩水を含有する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記止血弁が回転止血弁である、請求項6に記載の装置。
【請求項18】
前記第1のチューブは、前記第1のチューブ接続部に係止するように構成されたカラーを含む、請求項6に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く言えばロボット医療処置システムの分野に関係し、より具体的には、カテーテル式処置システムのロボット駆動装置におけるカセット内の細長い医療デバイスに対する流体接続(流体継手)を管理する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルやその他の細長い医療デバイス(EMD)は、神経介入手術としても知られる神経血管インターベンション(NVI)、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、及び末梢血管インターベンション(PVI)を含む、様々な脈管系疾患の診断及び治療のための低侵襲医療処置に使用される。これらの処置は、通例、脈管系を通してガイドワイヤをナビゲートし、ガイドワイヤを利用してカテーテルを前進させ治療を行うことを含む。カテーテル式処置は、標準的な経皮的手法を使用し、イントロデューサシースを用いて、動脈や静脈などの適切な血管へアクセスすることから始まる。イントロデューサシースを介して、次に、NVIの場合の内頸動脈、PCIの場合の冠動脈口、又はPVIの場合の浅大腿動脈といった一次位置へ、診断ガイドワイヤを利用してシース又はガイドカテーテルを進める。そして、脈管系に適したガイドワイヤを、シース又はガイドカテーテルを通して、脈管系内の標的位置までナビゲートする。蛇行解剖学的構造などの状況では、ガイドワイヤ伝いに支持カテーテル又はマイクロカテーテルを挿入し、ガイドワイヤのナビゲーションを補助する。医師などの操作者は、画像システム(例えば、透視装置)を使用して造影剤注入によるシネを得て、ガイドワイヤ又はカテーテルを標的位置、例えば病変、にナビゲートするためのロードマップとして使用する固定フレームを選択することができる。また、操作者がガイドワイヤ又はカテーテルを送り込む間にも造影画像が得られ、これにより操作者は、デバイスが標的位置へ向かう正しい経路に沿って移動していることを確認できる。操作者は、透視法を用いて解剖学的構造を観察しながら、ガイドワイヤ又はカテーテルの近位端を操作し、遠位先端を適切な血管へ入れ標的の解剖学的位置(病変など)に向かわせ、側枝への進入を避ける。
【0003】
例えば、NVI、PCI、及びPVIのようなカテーテル式処置を行う医師を補助するために使用される、ロボットカテーテル式処置システムが開発されている。NVI処置の例としては、動脈瘤のコイル塞栓術、動静脈奇形の液体塞栓術、及び急性虚血性脳卒中の状況における大血管閉塞の機械的血栓摘出術が挙げられる。NVI処置において、医師は、ロボットシステムを用いて、神経血管ガイドワイヤ及びマイクロカテーテルの操作を制御することにより標的病変へのアクセスを獲得し、正常な血流を回復させる治療を施す。標的へのアクセスはシース又はガイドカテーテルによって可能になるが、より遠位の領域に対して、又は、マイクロカテーテル及びガイドワイヤの適切な支持を提供するために、中間カテーテルを必要とすることもある。ガイドワイヤの遠位先端は、病変や治療の種類に応じて、病変中にナビゲートされるか又は病変を通り過ぎてナビゲートされる。動脈瘤を治療する場合は、マイクロカテーテルを病変内に進め、ガイドワイヤを除去し、マイクロカテーテルを通して動脈瘤内にいくつかの塞栓コイルを留置し、動脈瘤内への血流を遮断するために使用する。動静脈奇形を治療する場合は、マイクロカテーテルを介して液体塞栓を奇形内に注入する。血管閉塞を治療するための機械的血栓除去は、吸引及びステント回収器の使用のいずれか又は両方によって達成される。血栓の位置に応じて、吸引は、吸引カテーテルを介して行うか、又は、細い動脈の場合はマイクロカテーテルを介して行う。吸引カテーテルが病変に入ったら、陰圧をかけてカテーテルを通し血栓を除去する。あるいは、マイクロカテーテルを通してステント回収器を配置することによって、血栓を除去することもできる。血栓をステントレト回収器で絡め取った後、ステント回収器及びマイクロカテーテル(又は中間カテーテル)をガイドカテーテルに引き込むことによって、血栓が回収される。
【0004】
PCIの場合、医師は、ロボットシステムを用いて、冠状動脈ガイドワイヤを操作することによって病変にアクセスし、治療を行い、正常な血流を回復させる。アクセスは、ガイドカテーテルを冠動脈入口部に着座させることにより可能となる。ガイドワイヤの遠位先端を病変の先までナビゲートし、そして、複雑な解剖学的構造のために、マイクロカテーテルを用いてガイドワイヤを適切に支持することができる。血流は、病変にステント又はバルーンを送り込んで展開することによって回復させる。病変は、ステント留置の前に前処置を必要とすることがあり、病変の前拡張のためにバルーンが送り込まれたり、又は、例えばレーザー又は回転式アテレクトミーカテーテル及びガイドワイヤを利用したバルーンを用いてアテレクトミーが実施される。画像診断及び生理学的測定が、画像カテーテル又は血流予備量比(FFR)測定を用いることにより適切な治療法を決定するために実施され得る。
【0005】
PVIの場合、医師は、ロボットシステムを用いて治療を行い、NVIと同様の技術で血流を回復させる。ガイドワイヤの遠位先端は病変の先までナビゲートされ、複雑な解剖学的構造に対してはガイドワイヤを適切に支持するためにマイクロカテーテルが使用される。病変にステント又はバルーンを送り込んで展開することにより血流を回復させる。PCIの場合と同様に、病変の前処置や画像診断も同じ様に用いられる。
【0006】
カテーテル又はガイドワイヤの遠位端での支持が、例えば、蛇行又は石灰化した脈管系のナビゲーションのために、遠位の解剖学的位置に到達するために、又は、硬化病変を横切るために、必要とされる場合、オーバーザワイヤ(OTW)カテーテル又は同軸システムが用いられる。OTWカテーテルにはガイドワイヤ用の内腔があり、この内腔がカテーテルの全長に延びている。これによりガイドワイヤが全長にわたって支持されるので、比較的安定したシステムとなる。しかし、このシステムには、ラピッドエクスチェンジカテーテル(後述)と比較した場合に、摩擦が大きい、全長が長いといったいくつかの弱点がある。通常、留置ガイドワイヤの位置を維持しながらOTWカテーテルを抜去又は交換するためには、ガイドワイヤの(患者から出ている)露出長がOTWカテーテルより長くなければならない。長さ300cmのガイドワイヤが一般的にはこの目的に十分とされており、交換長ガイドワイヤと呼ばれることが多い。このガイドワイヤの長さ故に、OTWカテーテルの抜去又は交換には2名の操作者が必要である。このことは、三軸系として当該技術分野で知られている三重同軸系を使用する場合(四重同軸カテーテルが使用されることも知られている)、さらに困難になる。しかしながら、その安定性を理由として、NVI及びPVI処置ではOTWシステムを使用することが多い。一方、PCI処置の場合は、ラピッドエクスチェンジ(又はモノレール)カテーテルを使用することが多い。ラピッドエクスチェンジカテーテルのガイドワイヤ内腔は、モノレール又はラピッドエクスチェンジ(RX)セクションと呼ばれるカテーテルの遠位部分を通るだけである。RXシステムを使用する操作者は、互いに対し平行にインターベンションデバイスを操作し(OTWシステムではデバイスを縦列構成で操作するのとは対照的に)、ガイドワイヤの露出長はカテーテルのRXセクションよりもわずかに長くしてあればよい。ラピッドエクスチェンジガイドワイヤは、通例で180~200cmの長さである。ガイドワイヤとモノレールの短さを考えれば、RXカテーテルは1人の操作者で交換可能である。しかし、より遠位の支持が必要な場合にRXカテーテルは不適当であることが多い。
【発明の概要】
【0007】
一態様において、カテーテル式処置システムのロボット駆動装置で使用するカセットが、ベース及びサイドポートを有する止血弁を支持するように構成されたハウジングを含む。ハウジングは、細長い医療デバイスに関連した長手方向デバイス軸を有する。カセットはまた、ハウジングにおいて長手方向デバイス軸より上に位置する第1のチューブ接続部を含む。第1のチューブ接続部は、第1のチューブを受容するように構成されている。カセットはさらに、ハウジングの上縁部に近接して位置し且つ第1のチューブ接続部及び長手方向デバイス軸より上に位置する第2のチューブ接続部を含む。第2のチューブ接続部は、第2のチューブを受容するように構成されている。
【0008】
別の態様によれば、カテーテル式処置システムのロボット駆動装置で使用するカセットに流体接続を提供する装置が、細長い医療デバイスに関連した長手方向デバイス軸を有するカセットハウジングと、カセットハウジング内に位置する止血弁とを含む。止血弁は、ベース及びサイドポートを有する。本装置はさらに、カセットハウジングにおいて長手方向デバイス軸より上に位置する第1のチューブ接続部と、止血弁のサイドポートに接続され、第1のチューブ接続部に位置する第1のチューブと、複数あるポートの1つが第1のチューブに接続される弁と、カセットハウジングの上縁部に近接して位置し且つ第1のチューブ接続部及び長手方向デバイス軸より上に位置する第2のチューブ接続部と、弁の複数のポートの1つに接続され、第2のチューブ接続部に位置する第2のチューブと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、次の図面を参照して説明する以下の詳細な説明からさらに深く理解され、図中、参照番号は同様の部分に付されている。
図1】実施例に係る、カテーテル式処置システムの斜視図。
図2】実施例に係る、カテーテル式処置システムの概略ブロック図。
図3】実施例に係る、カテーテル式処置システムのロボット駆動装置の斜視図。
図4】細長い医療デバイスの操作軸と患者内導入ポイントを説明する図。
図5図5A及び図5Bは、ロボット駆動装置の厚さが作業長の損失に影響することを説明する図。
図6】作業長の損失を最小にする向きの例を説明する図。
図7】実施例に係る、上下方向に立てて取り付けられたカセットを備えるデバイスモジュールの斜視図。
図8】実施例に係る、上下方向に立てて取り付けられたカセットを備えるデバイスモジュールの後方斜視図。
図9】実施例に係る、上下方向に立てて取り付けられたカセットを備えるデバイスモジュールの遠位端の端面図。
図10】実施例に係る、水平方向に寝かせて取り付けられたカセットを備えるデバイスモジュールの遠位端の端面図。
図11】実施例に係る、流体管理部を含むカセットの正面図。
図12】実施例に係る、流体管理装置の正面図。
図13】実施例に係る、流体管理装置の正面図。
図14】実施例に係る、上下方向に立てて取り付けられたカセット及び流体管理装置を備えるデバイスモジュールの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次の定義をここで使用する。細長い医療デバイス(EMD)は、カテーテル(ガイドカテーテル、マイクロカテーテル、バルーン/ステントカテーテルなど)、ワイヤ式デバイス(ガイドワイヤ、塞栓コイル、ステント回収器など)、及び、これらの組み合せを有するデバイスを指す(ただしこれらに限定されない)。ワイヤ式EMDには、ガイドワイヤ、マイクロワイヤ、塞栓コイル用の近位プッシャー、ステント回収器、自己拡張型ステント、及び、フローダイバーターが含まれる(ただしこれらに限定されない)。通例、ワイヤ式EMDは、その近位終端にハブ又はハンドルをもたない。一実施例において、EMDは、カテーテル近位端のハブと、該ハブからカテーテル遠位端に向かって延びる柔軟シャフトと、をもつカテーテルを有し、シャフトがハブよりも柔軟である。一実施例において、カテーテルは、ハブとシャフトとの間で遷移する移行部分を含み、この移行部分の柔軟性はハブよりも柔らかく且つシャフトよりも硬い。一実施例において、移行部分は、張力緩和部である。
【0011】
「遠位」と「近位」は、2つの別部分の相対的位置を定義する。ロボット駆動装置に関して言えば、「遠位」及び「近位」は、患者に対する使用目的に応じたロボット駆動装置の配置によって定義される。相対的位置を定義するために使用される場合、遠位部分は、ロボット駆動装置が使用目的の配置にあるときの近位部分よりも患者に近いところのロボット駆動装置の部分である。患者の体内では、アクセスポイントからの経路に沿ってより遠くにある脈管系ランドマークが、アクセスポイントに近いランドマークよりも遠位であると見なされる。アクセスポイントはEMDを患者に入れるポイントである。同様に、近位部分は、ロボット駆動装置が使用目的の配置にあるときの遠位部分よりも患者から遠いところの部分である。方向を定義するために使用される場合、遠位方向は、ロボット駆動が使用目的の配置にあるときの、何かが動いている又は何かが動いていく先の経路、又は、何かが近位部分から遠位部分及び/又は患者の方を目指す又は向いている経路を指す。近位方向は遠位方向の反対方向である。
【0012】
部材(カテーテル式処置システムのEMD又は他の要素)の長手方向軸(縦軸、長手軸)は、部材の近位部分から部材の遠位部分へ行く方向である。一例を挙げると、ガイドワイヤの長手方向軸は、関連する部分においてガイドワイヤが非線形であったとしても、ガイドワイヤの近位部分からガイドワイヤの遠位部分へ向かう方向である。部材の軸方向動作は、部材の長手方向軸に沿った部材の平行移動を意味する。EMDの遠位端を、EMDの長手方向軸に沿って遠位方向に、患者の中へ又はさらに中へ、軸方向動作させるとき、EMDは前進中である。EMDの遠位端を、EMDの長手方向軸に沿って近位方向に、患者から外へ又はさらに外へ、軸方向動作させるとき、EMDは引き抜き(後退)中である。部材の回転動作は、部材の局部長手方向軸の周りの部材の角度方向の変化を指す。EMDの回転動作は、加えられたトルクによる、EMDの長手方向軸の周りのEMDの時計回り又は反時計回りの回転に相当する。
【0013】
「軸方向挿入」は、第1の部材を、第2の部材の長手方向軸に沿って第2部材へ挿入することを意味する。「横方向挿入」は、第1の部材を、第2の部材の長手方向軸と交差する平面内の方向に沿って第2の部材へ挿入することを意味する。横方向挿入に関しては、径方向装填又は側方装填とも呼び得る。「ピンチ(挟持)」は、部材が動くときEMDと部材が一緒に動作するように、EMDを部材に取り外し可能に固定することを意味する。「アンピンチ(挟持解除)」は、部材が動くときにEMDと部材が独立して動くように、部材からEMDを解放することを意味する。「クランプ」は、EMDの動作が部材に対して拘束されるように、EMDを部材に取り外し可能に固定することを意味する。部材は、グローバル座標系に関して又はローカル座標系に関して固定され得る。「アンクランプ」は、EMDが独立して動作できるように、EMDを部材から解放することを意味する。
【0014】
「グリップ(把持)」は、少なくとも1つの自由度においてスリップ無くEMDを動作させる駆動機構によって、EMDに力又はトルクを加えることを指す。「アングリップ(把持解除)」は、EMDの位置がもはや拘束されないように、駆動機構によるEMDへの力又はトルクの印加を解除することを意味する。一つの例において、2つのタイヤの間にグリップされたEMDは、タイヤが互いに対し長手方向に動作するとき、EMDの長手方向軸の周りを回転し得る。EMDの回転動作は2つのタイヤの動作とは異なる。グリップされているEMDの位置は、駆動機構によって制約される。「座屈」は、軸方向に圧縮を受けている可撓性のEMDが、長手方向軸から逸れて又は前進中の目標経路から逸れて曲がるような、可撓性EMDの傾向を指す。一実施例において、軸方向の圧縮は、脈管系内ナビゲーションに起因する抵抗に応じて起こる。EMDが座屈するまでに支持無しでEMDを長手方向軸に沿って駆動できる距離を、ここではデバイス座屈距離と呼ぶ。デバイス座屈距離は、デバイスの剛性、形状(直径を含むがこれに限定されない)、及びEMDに加えられる力、に関係する。座屈により、目標経路とは違う弓状部分をEMDが形作ってしまう可能性がある。「よじれ」は、EMDの変形が非弾性で直せない歪みを生じた場合の座屈の一例である。
【0015】
「上、上端、上部、上方」は、重力の向きとは逆の一般的な方向を指し、「下、下端、下部、下方」は、重力の向きの一般的な方向を指す。「内、内方、内側」は、特定部分の中の部位を意味する。「外、外方、外側」は、特定部分の外の部位を意味する。「フロント(手前)」は、ベッド横のユーザに面した側で、多関節アームなどの位置決めシステムとは逆側の、ロボット駆動装置(又はロボット駆動装置の要素、又はカテーテル処置システムの他の要素)の側をいう。「リア(奥)」は、多関節アームなどの位置決めシステムに最も近いロボット駆動装置(又はロボット駆動装置の要素、又はカテーテル処置システムの他の要素)の側を意味する。「無菌インターフェース」は、無菌ユニットと非無菌ユニットとの間のインターフェースや境界を意味する。例えば、カセットは、ロボット駆動装置と少なくとも1つのEMDとの間の無菌インターフェースであり得る。「滅菌可能ユニット」とは、滅菌することの可能な(病原微生物が存在しない)装置をいう。これには、カセット、消耗ユニット、ドレープ、デバイスアダプタ、及び滅菌可能駆動モジュール/ユニット(電気機械的構成要素を含み得る)が含まれるが、これらに限定されない。滅菌可能ユニットは、患者、他の無菌デバイス、又は医療処置の無菌野に置かれたもの、と接触する可能性をもつ。
【0016】
「オンデバイスアダプタ」は、駆動インターフェースを提供するためにEMDを解放可能にピンチすることができる無菌装置を意味する。例えば、オンデバイスアダプタは、エンドエフェクタ又はEMD捕捉デバイスとしても知られている。限定の意味をもたない一実施例を挙げると、オンデバイスアダプタは、ロボット制御されて作動するコレットで、EMDをEMDの長手方向軸の周りに回転させ、EMDをコレットにピンチ及び/又はアンピンチし、及び/又はEMDをEMDの長手方向軸に沿って平行移動させる。一実施例において、オンデバイスアダプタは、EMDのハブに配置された従動歯車などのハブ駆動機構である。
【0017】
実施例に係る図1は、カテーテル式処置システム10の一例を示した斜視図である。カテーテル式処置システム10は、カテーテル式医療処置、例えば、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)(例えば、STEMIを治療するため)などの経皮的インターベンション処置、神経血管インターベンション処置(NVI)(例えば、緊急の大血管閉塞(ELVO)を治療するため)、末梢血管インターベンション処置(PVI)(例えば、重症下肢虚血(CLI)のため)などを実施するために使用される。カテーテル式医療処置には、患者の疾患診断を補助するために1つ以上のカテーテルや他の細長い医療デバイス(EMD)を使用する診断カテーテル法処置が含まれる。例えば、カテーテル式診断処置の一実施例では、造影剤をカテーテルを通して1つ以上の動脈に注入し、患者の脈管系の画像を取得する。カテーテル式医療処置には、カテーテル(又は他のEMD)を用いて疾患を治療するカテーテル式治療処置(例えば、血管形成術、ステント留置、末梢血管疾患の治療、血栓除去、動脈静脈奇形治療、動脈瘤の治療など)も含まれる。治療処置は、例えば、血管内超音波(IVUS)、光干渉断層計(OCT)、血流予備量比(FFR)などの補助デバイス54(図2に示す)を含めることによって強化することができる。しかしながら、当分野で通常の知識を有する者であれば、実施されるべき処置の種類に基づいて特定の経皮的インターベンションデバイス又はコンポーネント(例えば、ガイドワイヤのタイプ、カテーテルのタイプなど)を選択可能である、と認識するのは当然である。カテーテル式処置システム10は、処置で使用される専用の経皮的インターベンションデバイスをわずかな調節で収容でき、あらゆるカテーテル式医療処置を実行することができる。
【0018】
カテーテル式処置システム10は、複数ある要素の中でも特に、ベッドサイドユニット20及び制御ステーション26を含む。ベッドサイドユニット20は、ロボット駆動装置24と、患者12の脇に位置する位置決めシステム22と、を備える。患者12は、患者テーブル18上に寝かされている。位置決めシステム22は、ロボット駆動装置24を位置決めし支持するために使用される。位置決めシステム22は、例えば、ロボットアーム、関節式アーム、ホルダーなどである。位置決めシステム22は、一端で、例えば患者テーブル18のレール、ベース、又はカートに取り付けることができる。位置決めシステム22の他端に、ロボット駆動装置24が取り付けられる。位置決めシステム22は(ロボット駆動装置24と共に)、患者12を患者テーブル18に寝かせるために、退避させることができる。患者テーブル18上に患者12を寝かせた後、位置決めシステム22を使用して、処置のためにロボット駆動装置24を患者12に対して位置決め(固定)する。一実施例において、患者テーブル18は、床及び/又は地面に据え付けられている台座17に支持され作動する。患者台18は、台座17に対して、多自由度、例えば、ロール、ピッチ、ヨー、で動作させることができる。ベッドサイドユニット20は、制御機器及びディスプレイ46(図2に示す)も含み得る。例えば、制御機器及びディスプレイは、ロボット駆動装置24のハウジングに配置することができる。
【0019】
一般に、ロボット駆動装置24は、適切な経皮的インターベンションデバイス及び付属機器48(図2に示す)(例えば、ガイドワイヤ、バルーンカテーテルを含む各種カテーテル、ステントデリバリーシステム、ステント回収器、塞栓形成コイル、液体塞栓、吸引ポンプ、造影剤や薬剤の送入デバイス、止血弁アダプタ、シリンジ、ストップコック、膨張デバイスなど)を備えていて、操作者(ユーザ)11が、制御ステーション26に配置された制御機器及び入力機器などの各種制御機器を操作することによって、ロボットシステムを利用してカテーテル式医療処置を実施できるようにしている。ベッドサイドユニット20、特にロボット駆動装置24は、ここに記載する機能をベッドサイドユニット20に付与するためのあらゆるコンポーネント及び/又はその組み合わせを含み得る。制御ステーション26の操作者11を、制御ステーション操作者(ユーザ)と呼び、ここでは操作者(ユーザ)を指す。ベッドサイドユニット20の操作者(ユーザ)は、ベッドサイドユニット操作者(ユーザ)と呼ぶ。ロボット駆動装置24は、レール又は直線部材60(図3に示す)に取り付けられた複数のデバイスモジュール32a-dを備える。レール又は直線部材60は、デバイスモジュールを案内し支持する。デバイスモジュール32a-dの各々を用いて、カテーテル又はガイドワイヤなどのEMDを駆動することができる。例えば、ロボット駆動装置24を用いて、診断カテーテルの中に、そして患者12の動脈の中のガイドカテーテルの中に、ガイドワイヤを自動的に送り込むことができる。EMDなど、1つ以上のデバイスは、例えばイントロデューサシースを介して、挿入点16から患者12の体内(例えば血管)に入る。
【0020】
ベッドサイドユニット20は制御ステーション26と通信し、制御ステーション26は、制御ステーション26のユーザ入力によって生成される信号をベッドサイドユニット20へ無線又は有線で送信してベッドサイドユニット20の様々な機能を制御することを可能にする。後述するように、制御ステーション26は、制御コンピューティングシステム34(図2に示す)を含むか、又は制御コンピューティングシステム34を介してベッドサイドユニット20と接続される。ベッドサイドユニット20は、制御ステーション26又は制御コンピューティングシステム34、あるいはその両方に、フィードバック信号(例えば、装填、速度、動作条件、警告信号、エラーコードなど)を提供することもできる。制御コンピューティングシステム34とカテーテル式処置システム10の各コンポーネントとの間の通信は、無線接続、有線接続、又はコンポーネント間の通信を可能にする他のあらゆる手段とし得る通信リンクを介して、提供される。制御ステーション26又は他の類似の制御システムは、ローカルサイト(例えば、図2中のローカル制御ステーション38)又はリモートサイト(例えば、図2中のリモート制御ステーション及びコンピューティングシステム42)のいずれかに位置する。カテーテル処置システム10は、ローカルサイトの制御ステーション又はリモートサイトの制御ステーション、あるいは同時にローカル制御ステーションとリモート制御ステーションの両方によって、操作することができる。ローカルサイトにおいて、操作者11及び制御ステーション26は、患者12及びベッドサイドユニット20と同じ部屋又は隣の部屋に位置する。ここで使用する場合のローカルサイトは、ベッドサイドユニット20と患者12又は被験体(例えば、動物又は死体)の場所であり、リモートサイトは、ベッドサイドユニット20を遠隔制御するために使用される制御ステーション26と操作者11の場所である。リモートサイトの制御ステーション26(及び制御コンピューティングシステム)とローカルサイトのベッドサイドユニット20及び/又は制御コンピューティングシステムは、例えばインターネットを介し、通信システム及びサービス36(図2に示す)で通信する。一実施例において、リモートサイトとローカル(患者)サイトは、互いに離れており、例えば、同じ建物内の別々の部屋、同じ都市内の別々の建物、別々の都市、又は、その他の、リモートサイトがローカルサイトのベッドサイドユニット20及び/又は患者12に対する物理的アクセスをもたない別々の場所、にある。
【0021】
制御ステーション26は、通例、カテーテル式処置システム10の各コンポーネント又はシステムを操作するためのユーザ入力を受信するように構成された1つ以上の入力モジュール28を含む。ここに示す実施例の場合、制御ステーション26は、操作者11がベッドサイドユニット20を制御してカテーテル式医療処置を行えるようにする。例えば、入力モジュール28は、ロボット駆動装置24と連動する経皮的インターベンションデバイス(例えば、EMD)を用いて各種のタスクをベッドサイドユニット20に行わせるように構成される(例えば、ガイドワイヤを前進、後退又は回転させる、カテーテルを前進、後退又は回転させる、カテーテルで配置したバルーンを膨張又は収縮させる、ステントを配置及び/又は展開させる、ステント回収器を配置及び/又は展開させる、コイルを配置及び/又は展開させる、造影剤をカテーテルへ注入する、カテーテルへ液体塞栓を注入する、カテーテルへ薬剤又は生理食塩水を注入する、カテーテルで吸引する、又は、カテーテル式医療処置の一部として実施され得るその他の機能を実施するなど)。ロボット駆動装置24は、経皮的インターベンションデバイスを含むベッドサイドユニット20のコンポーネントを動作(例えば、軸方向動作及び回転動作)させるための各種駆動機構を含む。
【0022】
一実施例において、入力モジュール28は、1つ以上のタッチスクリーン、ジョイスティック、スクロールホイール、及び/又はボタンを含む。入力モジュール28に加えて、制御ステーション26は、フットスイッチや、音声命令用のマイクロフォンなど、追加のユーザ制御機器44(図2に示す)を使用することができる。入力モジュール28は、各種のコンポーネントと、例えばガイドワイヤ及び1つ以上のカテーテル又はマイクロカテーテルなどの各種の経皮的インターベンションデバイスと、を前進、後退、又は回転させるように構成される。ボタンは、例えば、緊急停止ボタン、倍率ボタン、デバイス選択ボタン、及び自動作動ボタンを含む。非常停止ボタンが押されると、ベッドサイドユニット20に対し動力(例えば、電力)が遮断又は除去される。速度制御モードにあるとき、倍率ボタンは、入力モジュール28の操作に応答して関連コンポーネントが動く速度を増加又は減少させるように作用する。位置制御モードにあるとき、倍率ボタンは、入力距離と出力指令距離との間のマッピングを変更する。デバイス選択ボタンは、ロボット駆動装置24に装填されている経皮的インターベンションデバイスのどれを入力モジュール28によって制御するかを、操作者11が選択できるようにする。自動作動ボタンは、カテーテル式処置システム10が操作者11から直接命令を受けずに経皮的インターベンションデバイスで実行することができるアルゴリズムによる動作を実行するために、使用される。一実施例において、入力モジュール28は、タッチスクリーン(ディスプレイ30の一部である場合とそうでない場合がある)に表示される1つ以上のコントローラ又はアイコン(図示せず)を含み、これらは、アクティブになると、カテーテル式処置システム10のコンポーネントを作動させる。入力モジュール28はまた、バルーンを膨張又は収縮させ、及び/又はステントを展開させるように構成されたバルーン又はステント制御器を含むことができる。入力モジュール28の各々は、1つ以上のボタン、スクロールホイール、ジョイスティック、タッチスクリーンなどを含み、これらは、1つ以上の特定のコンポーネントを専用制御するために使用され得る。さらに、1つ以上のタッチスクリーンが、入力モジュール28の各部分又はカテーテル式処置システム10の各コンポーネントに関連した1つ以上のアイコン(図示せず)を表示する。
【0023】
制御ステーション26は、ディスプレイ30を含む。一実施例において、制御ステーション26は、2つ以上のディスプレイ30を含むこともできる。ディスプレイ30は、制御ステーション26に位置する操作者11に情報又は患者特有のデータを表示するように構成される。例えば、ディスプレイ30は、画像データ(例えば、X線画像、MRI画像、CT画像、超音波画像など)、血行動態データ(例えば、血圧、心拍数など)、患者カルテ情報(例えば、病歴、年齢、体重など)、病変又は治療評価データ(例えば、IVUS、OCT、FFRなど)を表示するように構成することができる。さらに、ディスプレイ30は、処置特有の情報(例えば、処置チェックリスト、勧告(提言)、処置の期間、カテーテル又はガイドワイヤの位置、送り込まれた薬剤又は造影剤の量など)を表示するようにも構成される。また、ディスプレイ30は、制御コンピューティングシステム34(図2に示す)に関連した機能を提供するための情報を表示するように構成されていてもよい。ディスプレイ30は、システムのユーザ入力機能の一部を提供するためのタッチスクリーン機能を有する場合もある。
【0024】
カテーテル式処置システム10は、撮像システム14も含む。撮像システム14は、カテーテル式医療処置と併せて使用され得る医用撮像システム(例えば、非デジタルX線、デジタルX線、CT、MRI、超音波など)のいずれであってもよい。一実施例において、撮像システム14は、制御ステーション26と通信するデジタルX線撮像装置である。一実施例において、撮像システム14は、患者12に対する様々な角度位置の画像(例えば、矢状面像、尾面像、前後面像など)を得るために、患者12の周囲を撮像システム14が部分的又は完全に回転することを可能にするCアーム(図1に示す)を含む。一実施例において、撮像システム14は、X線源13と、イメージインテンシファイアとしても知られる検出器15と、を有するCアームを含んだ透視システムである。
【0025】
撮像システム14は、処置中に患者12の適切な領域のX線画像を撮像するように構成される。例えば、撮像システム14は、神経血管状態を診断するために、頭部の1つ以上のX線画像を撮像するように構成することができる。撮像システム14は、カテーテル式医療処置中に1つ以上のX線画像(例えば、リアルタイム画像)を撮像して、ガイドワイヤ、ガイドカテーテル、マイクロカテーテル、ステント回収器、コイル、ステント、バルーンなどを処置中に適切に位置決めするために、制御ステーション26の操作者11を補助するように構成することもできる。1つ以上の画像がディスプレイ30に表示される。例えば、画像をディスプレイ30に表示し、操作者11がガイドカテーテル又はガイドワイヤを適切な位置へ正確に移動させることができるようにする。
【0026】
方向を明確にするために、直交座標系をX,Y,Z軸で提示してある。正のX軸は、長手方向(軸方向)の遠位方向、すなわち、近位端から遠位端への方向、別の言い方をすれば近位から遠位の方向、に向いている。Y軸とZ軸は、X軸に対する横断面内にあり、Z軸が上向きで、つまり重力の反対方向であり、Y軸は、右手の法則によって自動的に決まる。
【0027】
一実施例に係る図2は、カテーテル式処置システム10のブロック図である。カテーテル処置システム10は、制御コンピューティングシステム34を含む。制御コンピューティングシステム34は、物理的に、例えば制御ステーション26(図1に示す)の一部であり得る。制御コンピューティングシステム34は、通例、ここに説明する各機能を備えたカテーテル式処置システム10を提供するのに適した電子制御ユニットである。例えば、制御コンピューティングシステム34は、埋め込みシステム、専用回路、ここに説明する機能をプログラムした汎用システムなどである。制御コンピューティングシステム34は、ベッドサイドユニット20、通信システム及びサービス36(例えば、インターネット、ファイアウォール、クラウドサービス、セッションマネージャ、病院ネットワークなど)、ローカル制御ステーション38、追加の通信システム40(例えば、テレプレゼンスシステム)、リモート制御ステーション及びコンピューティングシステム42、及び患者センサ56(例えば、心電図(ECG)デバイス、脳波(EEG)デバイス、血圧モニタ、温度モニタ、心拍モニタ、呼吸モニタなど)と通信する。制御コンピューティングシステムは、撮像システム14、患者テーブル18、追加の医療システム50、造影剤注入システム52、及び補助デバイス54(例えば、IVUS、OCT、FFRなど)とも通信する。ベッドサイドユニット20は、ロボット駆動装置24と位置決めシステム22とを含み、追加の制御機器及びディスプレイ46を含むこともできる。上述のように、追加の制御機器及びディスプレイは、ロボット駆動装置24のハウジングに配置することができる。インターベンションデバイス及び付属機器48(例えば、ガイドワイヤ、カテーテルなど)は、ベッドサイドシステム20と接続される。一実施例において、インターベンションデバイス及び付属機器48は、それぞれの補助デバイス54、すなわちIVUSシステム、OCTシステム、FFRシステムなどと、接続する専用のデバイス(例えば、IVUSカテーテル、OCTカテーテル、FFRワイヤ、造影用診断カテーテルなど)を含む。
【0028】
一実施例において、制御コンピューティングシステム34は、(例えば、ローカル制御ステーション38又はリモート制御ステーション42などの制御ステーション26(図1に示す)の)入力モジュール28とのユーザ相互作用に基づいた制御信号及び/又はカテーテル式処置システム10を用いて医療処置を実行するべく制御コンピューティングシステム34を制御するためにアクセス可能な情報に基づいた制御信号を生成するように構成されている。ローカル制御ステーション38は、1つ以上のディスプレイ30、1つ以上の入力モジュール28、及び追加のユーザ制御機器44を含む。リモート制御ステーション及びコンピューティングシステム42は、ローカル制御ステーション38と同様のコンポーネントを含み得る。リモート制御ステーション42及びローカル制御ステーション38は、それぞれに要求される機能に応じてあつらえた異なったものとすることができる。追加のユーザ制御機器44は、例えば、1つ以上の足入力コントローラを含む。足入力コントローラは、X線をオン/オフする、複数の保存画像をスクロールするなどの撮像システム14の機能を操作者が選択することを可能にするように、構成することができる。一実施例において、足入力デバイスは、入力モジュール28に含まれるスクロールホイールにマップされるデバイスを操作者が選択できるように構成することができる。追加の通信システム40(例えば、音声会話、ビデオ会話、テレプレゼンスなど)は、オペレータが患者、医療スタッフ(例えば、血管造影(angio suite)スタッフ)、及び/又はベッドサイド近くの機器とコミュニケーションを取るための支援に採用され得る。
【0029】
カテーテル式処置システム10は、明示していないあらゆる他のシステム及び/又はデバイスを含むように接続又は構成することができる。例えば、カテーテル式処置システム10は、画像処理エンジン、データ保存及びアーカイブシステム、自動バルーン及び/又はステント膨張システム、薬剤注入システム、薬剤追跡及び/又はログシステム、ユーザログ、暗号化システム、カテーテル式処置システム10のアクセス又は使用を制限するシステムなどを、含むことができる。
【0030】
上述したように、制御コンピューティングシステム34は、ロボット駆動装置24及び位置決めシステム22を含み且つ追加の制御機器及びディスプレイ46を含み得るベッドサイドユニット20と通信し、モータを動作制御し、経皮的インターベンションデバイス(例えば、ガイドワイヤ、カテーテルなど)を駆動するべく使用される機構を駆動するために、ベッドサイドユニット20へ制御信号を提供する。各駆動機構は、ロボット駆動装置24の一部として設けることができる。実施例に係る図3は、カテーテル式処置システム10のロボット駆動装置の斜視図である。図3において、ロボット駆動装置24は、直線部材60に連結された複数のデバイスモジュール32a-dを含む。デバイスモジュール32a-dのそれぞれは、直線部材60に移動可能に取り付けられたステージ62a-dを介して直線部材60に連結される。一つ一つのデバイスモジュール32a-dは、オフセットブラケット78a-dのようなコネクタを用いてステージ62a-dと接続される。一実施例において、デバイスモジュール32a-dは、ステージ62a-dに直接取り付けられる。各ステージ62a-dは、直線部材60に沿って直線的に移動するように独立して動作させることができる。したがって、各ステージ62a-d(及びステージ62a-dに連結された対応するデバイスモジュール32a-d)は、互いに対し及び直線部材60に対し、それぞれ個別に動作させることができる。各ステージ62a-dを作動させるために駆動機構が使用される。図3に示す実施例において、駆動機構は、各ステージ62a-dに連結された個別のステージ並進モータ64a-dとステージ駆動機構76とを有しているか、又は、ステージ並進モータ64a-d自体をリニアモータとして有することができる。ステージ駆動機構76は、例えば、回転ナットを介した送りねじ、ピニオンを介したラック、ピニオン又はプーリを介したベルト、スプロケットを介したチェーンである。一実施例では、ステージ駆動機構76は、これらの機構の組み合わせである。例えば、ステージ62a-dのそれぞれで、異なるタイプのステージ駆動機構を採用することができる。ステージ駆動機構が送りねじ及び回転ナットである実施例の場合、送りねじを回転させ、送りねじに対し各ステージ62a-dを係合させ及び係合解除させ、例えば前進又は後退させるなど、動作させる。図3に図示の実施例において、ステージ62a-d及びデバイスモジュール32a-dは、縦列駆動構造になっている。
【0031】
各デバイスモジュール32a-dは、駆動モジュール68a-dと、駆動モジュール68a-dに搭載され連結されたカセット66a-dと、を含む。図3に図示の実施例において、カセット66a-dの各々は、カセット66a-dを上下方向の下に向けて駆動モジュール66a-d上へ降ろすことにより、カセット66a-dが駆動モジュール68a-dに装着される向きで、駆動モジュール68a-dに装着される。カセット66a-dの上面(又は側面)は、カセット66a-dが駆動モジュール68a-dに装着されると、駆動モジュール68a-dの上面(又は側面)(すなわち、装着面)と平行である。ここで使用する場合、図3に示す装着したときの方向を水平方向と呼ぶ。他の実施例において、各カセット66a-dは、他の装着方向で駆動モジュール68a-dに取り付けられてもよい。図7図10に関して、種々の装着方向を以下に開示する。各カセット66a-dは、EMD(図示せず)の近位部と接続し支持するように構成されている。さらに、各カセット66a-dは、対応するステージ62a-dの作動で直線部材60に沿って直線的に移動することにより提供される直線動作に加えて、1つ以上の自由度を提供する要素を含むことができる。例えば、カセット66a-dは、駆動モジュール68a-dに連結されたカセットにおいてEMDを回転させるために使用される要素を、含むことができる。各駆動モジュール68a-dは、各カセット66a-d内の機構に駆動インターフェースを提供して自由度を追加するために、少なくとも1つのカプラを含む。また、各カセット66a-dは、デバイス支持体79a-dが配置されるチャンネルを含み、各デバイス支持体79a-dは、EMDの座屈を防止するために使用される。デバイスモジュール32a,32b,32cのそれぞれに支持アーム77a,77b,77cを取り付け、デバイスサポート79b,79c,79dの近位端をそれぞれ支持する固定点を設ける。ロボット駆動装置24は、デバイス支持体79、遠位支持アーム70、及び支持アーム77に接続されたデバイス支持接続体72も含む。支持アーム77は、最も遠位のデバイスモジュール32aに収容された最も遠位のデバイス支持体79aの近位端を支持する固定点を提供するために使用される。さらに、イントロデューサインターフェース支持体(リダイレクタ)74を、デバイス支持接続体72及びEMD(例えば、イントロデューサシース)に接続することができる。このロボット駆動装置24の構成は、単一の直線部材におけるアクチュエータの使用で、ロボット駆動装置24の体積及び重量を減少させることができる、という利点を有する。
【0032】
患者の病原体感染を防ぐために、ヘルスケアスタッフは、ベッドサイドユニット20と患者12又は被験体(図1に示す)が収容されている部屋で無菌技術を用いる。ベッドサイドユニット20と患者12を収容する部屋は、例えば、カテーテルラボ又はアンギオスイートである。無菌技術は、滅菌バリア、滅菌器具、適切な患者準備、環境管理、及び接触ガイドラインを使用することからなる。すなわち、すべてのEMD及びインターベンション付属品が滅菌され、滅菌バリアか滅菌器具のいずれかとのみ接触が許される。一実施例において、滅菌ドレープ(図示せず)を非滅菌ロボット駆動装置24を覆って配置する。各カセット66a-dは滅菌され、ドレープ付きロボット駆動装置24と少なくとも1つのEMDとの間の滅菌インターフェースとして機能する。各カセット66a-dは、1回の使用を目的として滅菌できるように設計されるか、カセット66a-d又はそのコンポーネントを複数の処置で使用できるように全部又は一部を再滅菌できるように設計される。
【0033】
図1に示すように、例えば、イントロデューサ及びイントロデューサシースを用い、挿入点16において、1つ以上のEMDが患者体内(例えば、血管)に入れられる。イントロデューサシースは、患者12の血管の軸線に対して、所定の角度、通常は45度より小さい角度、に向けられる(図4図6に示す)のが通例である。EMDが体内に入る所の高さ(図4に示すイントロデューサシースの近位開口部126)とロボット駆動装置124の長手方向駆動軸の高さとの間の高低差は、細長い医療デバイスの作業長に直接影響することになる。位置と角度の差を補うために細長い医療デバイスが必要になればなるほど、ロボット駆動装置が最も遠位(前方)の位置にあるときに体内に入れることのできる細長い医療デバイスは少なくなる。イントロデューサシースと同じ高さと角度のロボット駆動装置をもつことが有益である。図4は、細長い医療デバイスの操作軸と患者への導入ポイントを示す図である。図4は、イントロデューサシース122の近位端126の高さと長手方向デバイス軸125の高さとの間の高低差(d)123、及び、イントロデューサシース122とロボット駆動装置124の長手方向デバイス軸125との間の角度差(θ)128を示す。細長い医療デバイス121は、各軸に拘束され、接線方向に整列する終点をもった曲線を作成する。この曲線の長さは、ロボット駆動装置124によるそれ以上前方への駆動ができず、ミスアライメントとなるイントロデューサシース122に入ることができなくなる、細長い医療装置121の長さを表す。角度(θ)128が大きいと、デバイスの摩擦も大きくなる。一般に、角度差(θ)128及び高低差(d)123が小さい方が、摩擦の低減と作動長の損失の低減につながる。図4は、1つの直線及び1つの回転のオフセットを説明する簡単な例を図示しているが、この問題は、三次元、すなわち3つの直線オフセット及び3つの回転オフセットで発生することを理解すべきである。また、ロボット駆動装置124の厚さも、イントロデューサシース122に対する長手方向デバイス軸125の位置を決定する要因である。
【0034】
図5A及び図5Bは、駆動モジュール、又はロボット駆動装置の全体的な厚さが作業長の損失に及ぼす影響を説明する図である。図5Aは、(d)123によって示される、イントロデューサシース122に対するロボット駆動装置124の長手方向デバイス軸125の位置を示し、このロボット駆動装置124は、ロボット駆動装置124の上面と底面との間の距離(X)129によって示されるように厚い。図5Bは、より短い(d)123によって示される、イントロデューサシース122に対するロボット駆動装置124の長手方向デバイス軸125の位置を示し、このロボット駆動装置124は、ロボット駆動装置124の上面と底面との間の距離(X)129によって示されるように薄い。患者及びイントロデューサシースへ近づけるためにロボット駆動装置124の厚さを減少させることにより、イントロデューサシースとデバイス軸との間の距離123が短縮され、細長い医療デバイスの作業長の損失が減少する。図6は、作業長の損失を最小限に抑えるための向きを例示する図である。図6において、ロボット駆動装置124は、ロボット駆動装置124の長手方向デバイス軸125をイントロデューサシース122の軸に合わせるように配置される。これにより、細長い医療デバイスの角度差及び高低差による作動長の損失がなくなる。しかし、ロボット駆動装置124のこの姿勢は、ロボット駆動装置124の長さ及びサイズを考えると実用的とは言えない。また、ロボット駆動装置を鋭角に向けることは、細長い医療デバイスの装填及び取り出し、そしてロボット駆動装置の調節と取り扱いを難しくし、使いやすさに影響する。
【0035】
ロボット駆動装置と患者との間の距離、及びロボット駆動装置の長手方向デバイス軸とイントロデューサシースとの間の距離を減少させるために、デバイスモジュール32(図3に示す)のカセット66a-dは、カセット66a-dを駆動モジュール68a-d上へ水平方向に移動させることによってカセット66a-dが駆動モジュール68a-dに取り付けられるような向きで、駆動モジュール68a-dに取り付けられる。一実施例に係る図7は、上下方向装着のカセットを備えたデバイスモジュールの斜視図であり、位置実施例に係る図8は、上下方向装着のカセットを備えたデバイスモジュールの後方斜視図である。図7及び図8において、デバイスモジュール132は、カセット138の前面(又は側面)139が駆動モジュール140の前面(又は側面)141(すなわち、装着面)と平行となるようにして、駆動モジュール140に装着されたカセット138を備える。ここで使用する場合、図7及び図8に示される装着方向は、上下方向と呼ぶ。デバイスモジュール132は、レール又は直線部材134に移動可能に取り付けられたステージ136に接続される。駆動モジュール140は、例えば、カセット内に配置された細長い医療デバイス(図示せず)を回転させるための動力インターフェースをカセット138に提供するべく使用されるカプラ142を含む。カプラ142は、軸143を中心に回転する。既述したように、カセット138は、カセット138を装着面141上へ水平方向に移動させることによって駆動モジュール140に取り付けられ、その結果、カセットが駆動モジュール140のカプラ142と連結される。カセット138を上下方向に装着することにより、カセット138が装着される駆動モジュール140は、側方へ外れて位置し、もはやカセット138と患者との間には配置されない。一実施例に係る図9は、上下方向に立てて取り付けられたカセットを備えたデバイスモジュールの遠位端の端面図である。図9には、細長い医療デバイス144のデバイス軸とデバイスモジュール132の底面との間の距離146が示されている。カセット138の上下方向装着により、デバイス軸の下で細長い医療デバイス144と患者との間に駆動モジュール140を配置する必要が無い。カセット138の一部だけが、細長い医療デバイス138と患者との間にあるのみである。カセット138の上下方向装着により、細長い医療デバイスと装置モジュール132の底面との間の距離146を減らすことができ、ロボット駆動装置を患者に近づけると共に細長い医療デバイスにおける作業長の損失を低減することができる。比較のために一例を示す図10は、水平方向(左右方向)装着のカセットを備えたデバイスモジュールの遠位端の端面図である。図10に示されたデバイスモジュール132では、カセット138が駆動モジュール140に水平方向で取り付けられている。カセット138の上面(又は側面)145は、カセット138が駆動モジュール140に装着されると、駆動モジュール140の上面(又は側面)147(すなわち、装着面)と平行になる。駆動モジュール140がカセット138の下面又は下方にあり、細長い医療デバイス144のデバイス軸とデバイスモジュール132の底面との間の距離148を増加させる。このことが、デバイス軸をイントロデューサ(ここに図示せず)にできるだけ近づけることを妨げる。カセット138の下に配置された駆動モジュール140が患者と干渉することもある。一実施例において、カセットは、あらゆる角度で駆動モジュールに取り付けることができる。一実施例において、デバイス軸と患者との間に駆動モジュールを位置させずに済むように、カセットを駆動モジュールの下面に水平方向に取り付けることができる。
【0036】
カセット内のEMD(例えば、カテーテル)を、例えば、生理食塩水の点滴を供給する、造影剤の注入を可能にする、吸引を可能にする、などの目的で、種々のチューブに接続することができる。一実施例において、カテーテルは、チューブを接続する(例えば、取り外し可能に接続する又は外れないように接続する)ことができるサイドポートをもった止血弁(例えば、回転止血弁)に連結することができる。流体管理のシステムの例において、マニホールドを利用する閉鎖系(クローズドシステム)を使用して、必要な流体ライン(配管)の全てに接続を提供する。閉鎖系において、必要な流体ライン(例えば、生理食塩水、造影剤、廃棄物袋)の全てが、マニホールドのサイドポートに一連のストップコック(止め栓)を通して接続される。シリンジをマニホールドの近位端に接続し、チューブをマニホールドの遠位端に接続する。チューブの他端は、カテーテルと流体連通している止血弁のサイドポートに接続される。セットアップ後は、空気が系に入らないように、接続を外すことはない。すなわち、閉鎖系は、カテーテルに流体を注入するか又はカテーテルから流体を吸引するためのマニホールドに専用の複数の流体ラインを必要とする。系内に流体接続を必要とするカテーテルが複数ある場合、マニホールド及び必要な全ての流体ラインを備えた閉鎖系をカテーテルごとにセットアップする必要がある。複数のカテーテルを必要とするインターベンション処置の場合、カテーテルごとの閉鎖系のセットアップは負担であり、必要ではない。
【0037】
EMDを直線的に操作するロボット駆動装置において、止血弁と、止血弁に接続されたチューブとは、処置中にロボット駆動装置によって前進及び後退させられる際、カテーテルと並進する。カテーテルの移動中に、ロボット駆動装置の1つ以上の要素にチューブがつかえたり引っかかったりすることがある。チューブが掴まってしまう可能性は、上述したロボット駆動装置において高くなる。なぜなら、操作者は、通常、ベッドサイドでチューブを観察し管理するのではなく、ローカルサイト又はリモートサイトの制御ステーションからロボット駆動装置を操作するからである。チューブが引っかかったりつかえたりすると、ロボット駆動装置の動きに抵抗が生じたり、チューブが破れたり、チューブが抜けたり、止血弁やカテーテルがロボットシステムから外れたりすることがある。したがって、チューブ接続を掌握し、流体接続管理の装置を提供することで、ロボット駆動装置の動作中にチューブがつかえたり引っかかったりした場合に意図しないカテーテルの動きや損傷を防ぐことが有益である。さらに、流体(輸液)管理の開放系(オープンシステム)を提供することが有益である。
【0038】
既述したように、カセット内に配置されたカテーテルを、止血弁を介して流体用のチューブに連結することができる。一実施例に係る図11は、流体管理要素を含むカセットの正面図であり、一実施例に係る図12は、流体管理装置の正面図である。図11において、止血弁152(例えば、回転止血弁)とカテーテル176がカセット150のハウジング151内に配置されている。カテーテル176は、カセット150の長手方向デバイス軸172を画定している。止血弁152は、カテーテル176に接続されている。止血弁152は、他のEMD、例えば、ロボット駆動装置(例えば、図1及び図3に関して上述したロボット駆動装置24)内のより近位にある別のカセットからのEMD、を受容するために使用される内腔を有するベース153を含む。一実施例において、ベース153の遠位端(図示せず)は、ベース153の遠位端に回転可能に接続される、例えば回転ルアーコネクタである回転コネクタ(図示せず)を含む。一実施例において、回転ルアーコネクタの外面は、例えばロボット駆動装置によって駆動される歯車(図示せず)を有する。止血弁150は、カテーテル176へ行き来する流体用のチューブを接続するために使用されるサイドポート154も備える。一実施例において、サイドポート154は、駆動モジュールに上下方向装着されるように構成されたカセット150(例えば、図13及び図14に示されるカセット150)に配置されたときに、開放端がカセット150の上側に向かって上向きとなるように、方向を変えることができる。支持体155がカセットハウジング151に連結され、コネクタ157を含む。コネクタ157は、図13に関して後述するように、シリンジを受容するように構成される。
【0039】
カセット150は、第1のチューブ接続部156と第2のチューブ接続部160も含んでいる。第1のチューブ接続部156は、長手方向デバイス軸172より上の箇所でハウジング151に位置する。第2のチューブ接続部160は、カセットハウジング151の上縁部182に近接し、第1のチューブ接続部156及び長手方向デバイス軸172の上方で、ハウジング151に位置する。第1のチューブ接続部156及び第2のチューブ接続部160は水平方向の配置で示されているが、一実施例によれば、第1のチューブ接続部156及び第2のチューブ接続部160は、上下方向や様々な角度の配置とされる。第1のチューブ接続部156は、図12に示すように、第1のチューブ162を受容するように構成されている。図12を参照すると、第1のチューブ162の一端が止血弁152のサイドポート154に接続され、第1のチューブ162の他端が、一例として三方ストップコック(三方弁)158である弁に接続される。一実施例において、第1のチューブ162は、サイドポート154に取り外し可能に連結されるか、又は、第1のチューブ162は、サイドポート154に外れないように連結される(例えば、接着される)。三方ストップコック168は、第1のポート164、第2のポート166、及び第3のポート168を有する。図12の実施例において、第1のチューブ162は、ストップコック158の第1のポート164に接続される。一実施例において、第1のチューブ162は、ストップコック158の第1のポート164に取り外し可能に連結されるか、又は、第1のチューブ162は、ストップコック158の第1のポート164に外れないように連結される(例えば、接着される)。ストップコック158は、カセット150に堅固には取り付けられず、緩く(固定されずに)維持される。第1のチューブ接続部156は、第1のチューブ162の軸方向において第1のチューブ162を受容する。第1のチューブ接続部156は、例えばクリップである。第2のチューブ接続部160は、第2のチューブ170を受容するように構成されている。第2のチューブ170の一端は、ストップコック158の第2のポート166に接続される。一実施例において、第2のチューブ170は、ストップコック158の第2のポート166に取り外し可能に連結されるか、又は、第2のチューブ170は、ストップコック158の第2のポート166に外れないように連結される(例えば、接着される)。第2のチューブ170の他端は、後述するように、流体源(図示せず)へ接続される。第2のチューブ170は、ストップコック158を介して第1のチューブ162及び止血弁152と流体連通している。
【0040】
第1のチューブ接続部156は、第1のチューブ162をカセットハウジング151に固定し(例えば、第1のチューブ162の半径方向及び軸方向の動きを防止する)、第1のチューブ162及び止血弁152のストレインリリーフを提供するように構成される。一実施例において、第1のチューブ162は、第1のチューブ接続部156に係止し、第1のチューブ162の軸方向の移動を防止するように構成されたカラー159を含む。一実施例において、カラー159は、第1のチューブ162の外面にあり、上側フランジ163と下側フランジ165とを備える。第1のチューブ接続部156は、止血弁152を装着するとき又は止血弁151をカセット150から引き抜くときに第1のチューブ162又は第2のチューブ170のつかえや引っかかりを防ぐべく構成さる。
【0041】
一実施例に係る図13は、流体管理装置の正面図である。上述のように、ストップコック158は、カセット150に堅固には取り付けられておらず、緩く維持されており、これにより操作者は、脱気時や、シリンジをストップコック158に接続するときに、ストップコック158を容易且つ楽に操作することができる。図13において、シリンジ174は、ストップコック158の第3のポート168に接続されている。シリンジ174は、例えば、造影剤の注入、生理食塩水の注入、又は吸引のために使用される。一実施例において、シリンジ174は、支持体155においてコネクタ157に配置される。支持体155にはカセットハウジング151が連結されている。コネクタ157は、例えば、クリップその他の接続機構とすることができる。支持体155及びコネクタ157は、例えば処置の間、シリンジ174を支持し、ストップコック158に接続されているときのシリンジ174の動きを防止するように構成される。さらに、支持体155及びコネクタ157は、処置の間、カセット150(及び関連する駆動モジュール(図示せず))が直線部材60(図3に示す)に沿って直線的に動作するときに、シリンジ174を適所に保持する。
【0042】
上述したように、第2のチューブ170を用いて、第1のチューブ162と止血弁152に、例えば加圧生理食塩水バッグなどの流体源から流体(例えば、生理食塩水)が供給される。一実施例において、生理食塩水などの流体は、使用中のカテーテル176の内腔をフラッシュするために使用され、凝固の原因となる内腔内の血液滞留が起こらないことを確実にする。加圧バッグその他の流体源は、通例、患者テーブルの後方又は非操作側に位置する。第2のチューブ170は、図14に示すように、ロボット駆動装置の上方にぶら下げられ、カセットに到達する。一実施例に係る図14は、上下方向装着のカセット及び流体管理装置を備えたデバイスモジュールの斜視図である。図14において、カセット150は、駆動モジュール178に上下方向で取り付けられて示されている。駆動モジュール178は、レール180に取り付けられて動作するステージ184に連結される。弁のストップコック158は、第1のポート162を介して第1のチューブ162に接続されると共に、第2のポート166を介して第2のチューブ170に接続される。第3のポート168は、例えばシリンジ(図示せず)に接続することができる。第1のポート164、第2のポート166、及び第3のポート168は、それぞれが内腔を有し、装着されたチューブ(又は流体ライン)又はデバイス(例えば、シリンジ)との流体連通が可能である。第2のチューブ170は、カセットハウジング151の上縁部182に近接して位置する第2のチューブ接続部160に配置される。第2のチューブ接続部160は、第2のチューブ170を上方へ且つ長手方向デバイス軸172から遠ざかる方向へ向け、第2のチューブ170がロボット駆動装置の要素(例えば、図3に示すデバイス支持体79a-d)に絡まったり引っかかったりすることのないようにしている。カテーテル176などのEMDの装填及び交換時に、止血弁152は、カセット150から取り外すことができる。ルーズな第2のチューブ170が止血弁152から取り外されたときに駆動モジュールの後方へ倒れないようにすることが望ましい。したがって、第2のチューブ接続部160は、第2のチューブ170が止血弁152及びストップコック158に連結されていないときに第2のチューブ170が脱落しないように、第2のチューブ170を拘束するようにも構成される。一実施例において、第2のチューブ接続部160より下にある第2のチューブ170の遠位端は、ストップコック158に接続されていない第2のチューブ170が第2のチューブ接続部160をすり抜けて滑り落ちるのを防ぐ、ショルダー(鍔部)を含む。第2のチューブ接続部160は、例えば、クリップ又はループ(輪)である。また、第2のチューブ接続部160は、第2のチューブ170が第2のチューブ接続部160内で軸方向に移動又はスライドできるように構成されている。これにより、第2のチューブ170がストップコック158を介して止血弁に連結され、例えば脱気を可能にするように操作されるときに、取り扱いが容易になる。
【0043】
ここに説明される制御コンピューティングシステムは、処理回路を有するプロセッサを含み得る。プロセッサは、中央処理装置、特定用途プロセッサ(ASIC)、1つ以上の処理コンポーネントを含む回路、分散処理コンポーネントのグループ、処理用に構成された分散コンピュータのグループなどを含み、ここに説明するモジュール又はサブシステムコンポーネントの機能を提供するように構成される。メモリユニット(例えば、メモリデバイス、ストレージデバイスなど)は、ここに開示される様々なプロセスを遂行し及び/又は促進するために、データ及び/又はコンピュータコードを保存するためのデバイスである。メモリユニットは、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを含む。メモリユニットは、データベースコンポーネント、オブジェクトコードコンポーネント、スクリプトコンポーネント、及び/又はここに開示する種々のアクティビティをサポートするための他のあらゆるタイプの情報構造を含むことができる。一実施例によれば、過去、現在、又は将来のあらゆる分散及び/又はローカルメモリデバイスを、ここに開示のシステム及び方法で利用することができる。一実施例によれば、メモリユニットは、1つ以上の関連処理回路と共通にして接続される。この接続は、回路その他のあらゆる有線、無線、又はネットワーク接続を介して行うことができ、ここに説明する1つ以上のプロセスを実行するためのコンピュータコードを含む。1つのメモリユニットが、種々の個別メモリデバイス、チップ、ディスク、及び/又は他のストレージ構造又はシステムを含むことができる。モジュール又はサブシステムコンポーネントは、モジュールごとの機能を実行するためのコンピュータコード(例えば、オブジェクトコード、プログラムコード、コンパイルされたコード、スクリプトコード、実行可能コード、又はこれらのあらゆる組み合わせ)であり得る。
【0044】
ここに記述した説明では、最良の形態を含む発明を開示するためと、そして、当分野で通常の知識を有する者が発明を実施し使用することを可能にするために、実施例を用いた。本発明の範囲は特許請求の範囲により定義され、当分野で通常の知識を有する者の想到可能な他の例を含む。このような他の例は、特許請求の範囲の記載から外れない構成要素をもつ場合、又は、特許請求の範囲の記載とは実質的には違わない等価の構成要素をもつ場合、特許請求の範囲の範囲内にあると意図される。プロセス又は方法ステップの順序及び順序はいずれも、代替の実施例に従って変更又は再配列され得る。
【0045】
本発明の思想から逸脱することなく、他にも多くの変更及び修正を本発明に適用し得る。これらの変更及びその他の変更の範囲は特許請求の範囲から明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-10-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
カテーテル式処置システムのロボット駆動装置で使用するカセットであって、
ベース及びサイドポートを有する止血弁を支持するように構成され、細長い医療デバイスに関連した長手方向デバイス軸を有するハウジングと、
前記ハウジングにおいて前記長手方向デバイス軸より上に位置し、第1のチューブを受容するように構成された第1のチューブ接続部と、
前記ハウジングの上縁部に近接して、前記第1のチューブ接続部及び前記長手方向デバイス軸よりも上に位置し、第2のチューブを受容するように構成された第2のチューブ接続部と、を含む、カセット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
例えば、NVI、PCI、及びPVIのようなカテーテル式処置を行う医師を補助するために使用される、ロボットカテーテル式処置システムが開発されている。NVI処置の例としては、動脈瘤のコイル塞栓術、動静脈奇形の液体塞栓術、及び急性虚血性脳卒中の状況における大血管閉塞の機械的血栓摘出術が挙げられる。NVI処置において、医師は、ロボットシステムを用いて、神経血管ガイドワイヤ及びマイクロカテーテルの操作を制御することにより標的病変へのアクセスを獲得し、正常な血流を回復させる治療を施す。標的へのアクセスはシース又はガイドカテーテルによって可能になるが、より遠位の領域に対して、又は、マイクロカテーテル及びガイドワイヤの適切な支持を提供するために、中間カテーテルを必要とすることもある。ガイドワイヤの遠位先端は、病変や治療の種類に応じて、病変中にナビゲートされるか又は病変を通り過ぎてナビゲートされる。動脈瘤を治療する場合は、マイクロカテーテルを病変内に進め、ガイドワイヤを除去し、マイクロカテーテルを通して動脈瘤内にいくつかの塞栓コイルを留置し、動脈瘤内への血流を遮断するために使用する。動静脈奇形を治療する場合は、マイクロカテーテルを介して液体塞栓を奇形内に注入する。血管閉塞を治療するための機械的血栓除去は、吸引及びステント回収器の使用のいずれか又は両方によって達成される。血栓の位置に応じて、吸引は、吸引カテーテルを介して行うか、又は、細い動脈の場合はマイクロカテーテルを介して行う。吸引カテーテルが病変に入ったら、陰圧をかけてカテーテルを通し血栓を除去する。あるいは、マイクロカテーテルを通してステント回収器を配置することによって、血栓を除去することもできる。血栓をステント回収器で絡め取った後、ステント回収器及びマイクロカテーテル(又は中間カテーテル)をガイドカテーテルに引き込むことによって、血栓が回収される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
次の定義をここで使用する。細長い医療デバイス(EMD)は、カテーテル(ガイドカテーテル、マイクロカテーテル、バルーン/ステントカテーテルなど)、ワイヤ式デバイス(ガイドワイヤ、塞栓コイル、ステント回収器など)、及び、これらの組み合せを有するデバイスを指す(ただしこれらに限定されない)。ワイヤ式EMDには、ガイドワイヤ、マイクロワイヤ、塞栓コイル用の近位プッシャー、ステント回収器、自己拡張型ステント、及び、フローダイバーターが含まれる(ただしこれらに限定されない)。通例、ワイヤ式EMDは、その近位終端にハブ又はハンドルをもたない(ただしこれに限定されない)。一実施例において、EMDは、カテーテル近位端のハブと、該ハブからカテーテル遠位端に向かって延びる柔軟シャフトと、をもつカテーテルを有し、シャフトがハブよりも柔軟である。一実施例において、カテーテルは、ハブとシャフトとの間で遷移する移行部分を含み、この移行部分の柔軟性はハブよりも柔らかく且つシャフトよりも硬い。一実施例において、移行部分は、張力緩和部である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
方向を明確にするために、直交座標系をX,Y,Z軸で提示してある。正のX軸は、長手方向(軸方向)の遠位方向、すなわち、近位端から遠位端への方向、別の言い方をすれば近位から遠位の方向、に向いている。Y軸とZ軸は、X軸に対する横断面内にあり、正のZ軸が上向きで、つまり重力の反対方向であり、Y軸は、右手の法則によって自動的に決まる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
図1に示すように、例えば、イントロデューサ及びイントロデューサシースを用い、挿入点16において、1つ以上のEMDが患者体内(例えば、血管)に入れられる。イントロデューサシースは、患者120(図4図6に示す)の血管の軸線に対して、所定の角度、通常は45度より小さい角度、に向けられるのが通例である。EMDが体内に入る所の高さ(図4に示すイントロデューサシースの近位開口部126)とロボット駆動装置124の長手方向駆動軸の高さとの間の高低差は、細長い医療デバイスの作業長に直接影響することになる。位置と角度の差を補うために細長い医療デバイスが必要になればなるほど、ロボット駆動装置が最も遠位(前方)の位置にあるときに体内に入れることのできる細長い医療デバイスは少なくなる。イントロデューサシースと同じ高さと角度のロボット駆動装置をもつことが有益である。図4は、細長い医療デバイスの操作軸と患者への導入ポイントを示す図である。図4は、イントロデューサシース122の近位端126の高さと長手方向デバイス軸125の高さとの間の高低差(d)123、及び、イントロデューサシース122とロボット駆動装置124の長手方向デバイス軸125との間の角度差(θ)128を示す。細長い医療デバイス121は、各軸に拘束され、接線方向に整列する終点をもった曲線を作成する。この曲線の長さは、ロボット駆動装置124によるそれ以上前方への駆動ができず、ミスアライメントとなるイントロデューサシース122に入ることができなくなる、細長い医療デバイス121の長さを表す。角度(θ)128が大きいと、デバイスの摩擦も大きくなる。一般に、角度差(θ)128及び高低差(d)123が小さい方が、摩擦の低減と作動長の損失の低減につながる。図4は、1つの直線及び1つの回転のオフセットを説明する簡単な例を図示しているが、この問題は、三次元、すなわち3つの直線オフセット及び3つの回転オフセットで発生することを理解すべきである。また、ロボット駆動装置124の厚さも、イントロデューサシース122に対する長手方向デバイス軸125の位置を決定する要因である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
ロボット駆動装置と患者との間の距離、及びロボット駆動装置の長手方向デバイス軸とイントロデューサシースとの間の距離を減少させるために、デバイスモジュール32(図3に示す)のカセット66a-dは、カセット66a-dを駆動モジュール68a-d上へ水平方向に移動させることによってカセット66a-dが駆動モジュール68a-dに取り付けられるような向きで、駆動モジュール68a-dに取り付けられる。一実施例に係る図7は、上下方向装着のカセットを備えたデバイスモジュールの斜視図であり、一実施例に係る図8は、上下方向装着のカセットを備えたデバイスモジュールの後方斜視図である。図7及び図8において、デバイスモジュール132は、カセット138の前面(又は側面)139が駆動モジュール140の前面(又は側面)141(すなわち、装着面)と平行となるようにして、駆動モジュール140に装着されたカセット138を備える。ここで使用する場合、図7及び図8に示される装着方向は、上下方向と呼ぶ。デバイスモジュール132は、レール又は直線部材134に移動可能に取り付けられたステージ136に接続される。駆動モジュール140は、例えば、カセット内に配置された細長い医療デバイス(図示せず)を回転させるための動力インターフェースをカセット138に提供するべく使用されるカプラ142を含む。カプラ142は、軸143を中心に回転する。既述したように、カセット138は、カセット138を装着面141上へ水平方向に移動させることによって駆動モジュール140に取り付けられ、その結果、カセットが駆動モジュール140のカプラ142と連結される。カセット138を上下方向に装着することにより、カセット138が装着される駆動モジュール140は、側方へ外れて位置し、もはやカセット138と患者との間には配置されない。一実施例に係る図9は、上下方向に立てて取り付けられたカセットを備えたデバイスモジュールの遠位端の端面図である。図9には、細長い医療デバイス144のデバイス軸とデバイスモジュール132の底面との間の距離146が示されている。カセット138の上下方向装着により、デバイス軸の下で細長い医療デバイス144と患者との間に駆動モジュール140を配置する必要が無い。カセット138の一部だけが、細長い医療デバイス138と患者との間にあるのみである。カセット138の上下方向装着により、細長い医療デバイスと装置モジュール132の底面との間の距離146を減らすことができ、ロボット駆動装置を患者に近づけると共に細長い医療デバイスにおける作業長の損失を低減することができる。比較のために一例を示す図10は、水平方向(左右方向)装着のカセットを備えたデバイスモジュールの遠位端の端面図である。図10に示されたデバイスモジュール132では、カセット138が駆動モジュール140に水平方向で取り付けられている。カセット138の上面(又は側面)145は、カセット138が駆動モジュール140に装着されると、駆動モジュール140の上面(又は側面)147(すなわち、装着面)と平行になる。駆動モジュール140がカセット138の下面又は下方にあり、細長い医療デバイス144のデバイス軸とデバイスモジュール132の底面との間の距離148を増加させる。このことが、デバイス軸をイントロデューサ(ここに図示せず)にできるだけ近づけることを妨げる。カセット138の下に配置された駆動モジュール140が患者と干渉することもある。一実施例において、カセットは、あらゆる角度で駆動モジュールに取り付けることができる。一実施例において、デバイス軸と患者との間に駆動モジュールを位置させずに済むように、カセットを駆動モジュールの下面に水平方向に取り付けることができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
ここに記述した説明では、最良の形態を含む発明を開示するためと、そして、当分野で通常の知識を有する者が発明を実施し使用することを可能にするために、実施例を用いた。本発明の範囲は特許請求の範囲により定義され、当分野で通常の知識を有する者の想到可能な他の例を含む。このような他の例は、特許請求の範囲の記載から外れない構成要素をもつ場合、又は、特許請求の範囲の記載とは実質的には違わない等価の構成要素をもつ場合、特許請求の範囲の範囲内にあると意図される。プロセス又は方法ステップの順序及び手順はいずれも、代替の実施例に従って変更又は再配列され得る。
【国際調査報告】