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特表2024-503072複数の細長い医療デバイスを用いたロボットインターベンション処置の制御ステーションのためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】複数の細長い医療デバイスを用いたロボットインターベンション処置の制御ステーションのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20240117BHJP
   A61M 25/01 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
A61B34/35
A61M25/01
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542787
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 US2021070030
(87)【国際公開番号】W WO2022154975
(87)【国際公開日】2022-07-21
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510292504
【氏名又は名称】コリンダス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】カスヴィキス,ディーノ
【テーマコード(参考)】
4C130
4C267
【Fターム(参考)】
4C130AB01
4C130BA02
4C267AA01
4C267AA06
4C267AA28
4C267BB22
4C267BB52
4C267BB53
4C267CC08
4C267CC19
4C267EE01
4C267HH22
(57)【要約】
1つ以上の細長い医療デバイスを動作させるように構成されたロボット駆動装置を制御するためのシステム。このシステムは、第1の表面及び第1の表面と同一面ではない第2の表面を含むハウジングと、第1の表面に設けられ、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの1つを選択するために使用者の第1の手の第1の指によって操作可能である、第1の制御器と、第2の表面に設けられ、選択された細長い医療デバイスを第1の自由度で動作させるべくロボット駆動装置に指示するために使用者の第1の手の第2の指によって操作可能である、第2の制御器と、を含む。第1の制御器と第2の制御器は、第1の指と第2の指によって同時に操作可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の細長い医療デバイスを動作させるように構成されたロボット駆動装置を制御するシステムであって、
第1の表面及び前記第1の表面と同一面ではない第2の表面を備えたハウジングと、
前記第1の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの第1のデバイスを選択するためにユーザの第1の手の第1の指によって操作可能な第1の制御器と、
前記第2の表面に集積され、前記選択された第1のデバイスを第1の自由度において動作させるべく前記ロボット駆動装置に指示を出すためにユーザの第1の手の第2の指によって操作可能な第2の制御器と、を含み、
前記第1の制御器及び前記第2の制御器は、前記第1の指及び前記第2の指によって同時に操作可能である、システム。
【請求項2】
前記第2の制御器は、前記選択された第1のデバイスの速度を第1の自由度において制御するべく前記ロボット駆動装置に指示を出すためにユーザの第1の手の第2の指によって操作可能であり、
前記第2の表面に集積され、前記選択された第1のデバイスの位置を第1の自由度において制御するべく前記ロボット駆動装置に指示を出すために前記第2の指によって操作可能な第3の制御器を、当該システムにさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの第2のデバイスを選択するために前記第1の指によって操作可能な第4の制御器を、当該システムにさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの第3のデバイスを選択するために前記第1の指によって操作可能な第5の制御器を、当該システムにさらに含み、
前記第3のデバイスがガイドワイヤであり、
前記第5の制御器は、前記第1の制御器及び前記第4の制御器よりも大きい、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の指が第1の手の親指であり、
前記第2の制御器及び前記第3の制御器は、前記第1の制御器、前記第4の制御器、及び前記第5の制御器のうちの少なくとも1つがユーザによって操作されている場合にのみ、前記ロボット駆動装置に指示を出すように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の制御器、前記第4の制御器、及び前記第5の制御器のうちの少なくとも2つが、前記第1のデバイス、前記第2のデバイス、及び前記ガイドワイヤのうちの少なくとも2つを選択するために前記第1の指によって同時に操作可能である、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の自由度が直進であり、
前記ハウジングに集積され、前記選択された第1のデバイスを回転させるべく前記ロボット駆動装置に指示を出すためにユーザの第2の手によって操作可能な第3の制御器を、当該システムにさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2の制御器は、前記選択された第1のデバイスの直進速度を制御するべく前記ロボット駆動装置に指示を出すためにユーザの第1の手の第2の指によって操作可能であり、
前記第2の表面に集積され、前記選択された第1のデバイスの直進位置を制御するべく前記ロボット駆動装置に指示を出すために前記第2の指によって操作可能な第4の制御器を、当該システムにさらに含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの第2のデバイスを選択するために前記第1の指によって操作可能な第5の制御器と、
前記第1の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの第3のデバイスを選択するために前記第1の指によって操作可能な第6の制御器と、を当該システムにさらに含み、
前記第3のデバイスがガイドワイヤであり、
前記第6の制御器は、前記第1の制御器及び前記第5の制御器よりも大きい、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の表面又は前記第2の表面と同一面ではない第3の表面、及び、前記第1の表面、前記第2の表面、又は前記第3の表面と同一面ではない第4の表面を備えた第2のハウジングと、
前記第3の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちのデバイスを選択するためにユーザの第2の手の第1の指によって操作可能な第7の制御器と、
前記第4の表面に集積され、前記第7の制御器により選択されたデバイスを第1の自由度において動作させるべく前記ロボット駆動装置に指示を出すためにユーザの第2の手の第2の指によって操作可能な第8の制御器と、を当該システムにさらに含み、
前記第7の制御器及び前記第8の制御器は、前記第2の手の第1の指及び第2の指によって同時に操作可能である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第8の制御器は、前記第7の制御器により選択されたデバイスの直進速度を制御するべく前記ロボット駆動装置に指示を出すために前記第2の手の第2の指によって操作可能であり、
前記第4の表面に集積され、前記第7の制御器により選択されたデバイスの直進位置を制御するべく前記ロボット駆動装置に指示を出すために前記第2の手の第2の指によって操作可能な第9の制御器を、当該システムにさらに含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第3の表面に集積され、前記第7の制御器により選択されたデバイスとは別の1つ以上の細長い医療デバイスのうちのデバイスを選択するために前記第2の手の第1の指によって操作可能な第10の制御器と、
前記第3の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちのガイドワイヤを選択するために前記第2の手の第1の指によって操作可能な第11の制御器と、を当該システムにさらに含み、
前記第11の制御器は、前記第7の制御器及び前記第10の制御器よりも大きい、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2の手の第1の指が親指であり、
前記第8の制御器及び前記第9の制御器は、前記第7の制御器、前記第10の制御器、及び前記第11の制御器のうちの少なくとも1つがユーザによって操作されている場合にのみ、前記ロボット駆動装置に指示を出すように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第7の制御器、前記第10の制御器、及び前記11の制御器のうちの少なくとも2つが、少なくとも2つの細長い医療デバイス及び前記ガイドワイヤを選択するために前記第2の手の第1の指によって同時に操作可能である、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの第2のデバイスを選択するために前記第1の指によって操作可能な第3の制御器と、
前記第1の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの第3のデバイスを選択するために前記第1の指によって操作可能な第4の制御器と、を当該システムにさらに含み、
前記第3のデバイスがガイドワイヤであり、
前記第4の制御器は、前記第1の制御器及び前記第3の制御器よりも大きい、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の指が第1の手の親指であり、
前記第2の制御器は、前記第1の制御器、前記第3の制御器、及び前記第4の制御器のうちの少なくとも1つがユーザによって操作されている場合にのみ、前記ロボット駆動装置に指示を出すように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の制御器、前記第3の制御器、及び前記第4の制御器のうちの少なくとも2つは、前記第1のデバイス、前記第2のデバイス、及び前記ガイドワイヤのうちの少なくとも2つを選択するために前記第1の指によって同時に操作可能である、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の表面又は前記第2の表面と同一面ではない第3の表面、及び、前記第1の表面、前記第2の表面、又は前記第3の表面と同一面ではない第4の表面を備えた第2のハウジングと、
前記第3の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの第2のデバイスを選択するためにユーザの第2の手の第1の指によって操作可能な第3の制御器と、
前記第4の表面に集積され、前記第2のデバイスを第1の自由度において動作させるべく前記ロボット駆動装置に指示を出すために前記第2の手の第2の指によって操作可能な第4の制御器と、を当該システムにさらに含み、
前記第3の制御器及び前記第4の制御器は、前記第2の手の第1の指及び第2の指によって同時に操作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記第3の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの第3のデバイスを選択するために前記第2の手の第1の指によって操作可能な第5の制御器と、
前記第3の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちのガイドワイヤを選択するために前記第2の手の第1の指によって操作可能な第6の制御器と、を当該システムにさらに含み、
前記第6の制御器は、前記第3の制御器及び前記第5の制御器よりも大きい、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記第2の手の第1の指が親指であり、
前記第4の制御器は、前記第3の制御器、前記第5の制御器、及び前記第6の制御器のうちの少なくとも1つがユーザによって操作されている場合にのみ、前記ロボット駆動装置に指示を出すように構成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記第3の制御器、前記第5の制御器、及び前記第6の制御器のうちの少なくとも2つは、少なくとも2つの細長い医療デバイス及び前記ガイドワイヤを選択するために前記第2の手の第1の指によって同時に操作可能である、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
1つ以上の細長い医療デバイスを動作させるように構成されたロボット駆動装置を制御するためのシステムであって、
第1の表面及び前記第1の表面と同一面ではない第2の表面を備えたハウジングと、
前記第1の表面に集積され、ユーザの第1の手の親指によって操作可能な第1の制御器と、
前記第2の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの第1のデバイスの直進速度を制御するべく前記ロボット駆動装置に指示を出すためにユーザの第1の手の第2の指によって操作可能な第2の制御器と、
前記第2の表面に集積され、前記第1のデバイスの直進位置を制御するべく前記ロボット駆動装置に指示を出すためにユーザの第1の手の第2の指によって操作可能な第3の制御器と、を含む、システム。
【請求項23】
前記第2の制御器及び前記第3の制御器は、前記第1の制御器がユーザによって操作されている場合にのみ、前記ロボット駆動装置に指示を出すように構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記ハウジングに集積され、前記第1のデバイスを回転させるべく前記ロボット駆動装置に指示を出すためにユーザの第2の手によって操作可能な第4の制御器を、当該システムにさらに含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記第1の表面又は前記第2の表面と同一面ではない第3の表面、及び、前記第1の表面、前記第2の表面、又は前記第3の表面と同一面ではない第4の表面を備えた第2のハウジングと、
前記第3の表面に集積され、ユーザの第2の手の親指によって操作可能な第5の制御器と、
前記第4の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの第2のデバイスの直進速度を制御するべく前記ロボット駆動装置に指示を出すために前記第2の手の第2の指によって操作可能な第6の制御器と、
前記第4の表面に集積され、前記第2のデバイスの直進位置を制御するべく前記ロボット駆動装置に指示を出すために前記第2の手の第2の指によって操作可能な第7の制御器と、を当該システムにさらに含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
第2の制御及び第3の制御が、第1の制御がユーザによって操作されている場合にのみ、ロボット駆動を指示するように構成される、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
1つ以上の細長い医療デバイスを動作させるように構成されたロボット駆動装置を制御するためのシステムであって、
第1の表面及び前記第1の表面と同一面ではない第2の表面を備えたハウジングと、
前記第1の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの第1のデバイスを第1の自由度において動作させるべく前記ロボット駆動装置に指示を出すためにユーザの第1の手の第1の指によって操作可能な第1の制御器と、
前記第2の表面に集積され、前記第1のデバイスを第2の自由度において動作させるべく前記ロボット駆動装置に指示を出すためにユーザの第1の手の第2の指によって操作可能な第2の制御器と、を含む、システム。
【請求項28】
前記第1の表面に集積され、前記第1のデバイスの位置を第1の自由度において制御するべく前記ロボット駆動装置に指示を出すために前記第1の手の第1の指によって操作可能な第3の制御器を、当該システムにさらに含み、
前記第1の制御器は、前記第1のデバイスの速度を第1の自由度において制御するべく前記ロボット駆動装置に指示を出すために前記第1の手の第1の指によって操作可能であり、
前記第2の制御器は、前記第1のデバイスの位置を第1の自由度において制御するべく前記ロボット駆動装置に指示を出すために前記第1の手の第2の指によって操作可能である、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記第1の表面又は前記第2の表面と同一面ではない第3の表面、及び、前記第1の表面、前記第2の表面、又は前記第3の表面と同一面ではない第4の表面を備えた第2のハウジングと、
前記第3の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの第2のデバイスを第1の自由度において動作させるべく前記ロボット駆動装置に指示を出すためにユーザ第2の手の第1の指によって操作可能な第4の制御器と、
前記第4の表面に集積され、前記第2のデバイスを第2の自由度において動作させるべく前記ロボット駆動装置に指示を出すためにユーザの第2の手の第2の指によって操作可能な第5の制御器と、を当該システムにさらに含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記第1の表面又は前記第2の表面と同一面ではない第3の表面、及び、前記第1の表面、前記第2の表面、又は前記第3の表面と同一面ではない第4の表面を備えた第2のハウジングと、
前記第3の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの第2のデバイスを第1の自由度において動作させるべく前記ロボット駆動装置に指示を出すためにユーザの第2の手の第1の指によって操作可能な第4の制御器と、
前記第4の表面に集積され、前記第2のデバイスを選択するためにユーザの第2の手の第2の指によって操作可能な第5の制御器と、を当該システムにさらに含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記第1の表面又は前記第2の表面と同一面ではない第3の表面、及び、前記第1の表面、前記第2の表面、又は前記第3の表面と同一面ではない第4の表面を備えた第2のハウジングと、
前記第3の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの第2のデバイスを第1の自由度において動作させるべく前記ロボット駆動装置に指示を出すためにユーザの第2の手の第1の指によって操作可能な第3の制御器と、
前記第4の表面に集積され、前記第2のデバイスを第2の自由度において動作させるべく前記ロボット駆動装置に指示を出すためにユーザの第2の手の第2の指によって操作可能な第4の制御器と、を当該システムにさらに含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項32】
前記第3の制御器は、前記第2のデバイスの速度を第1の自由度において制御するべく前記ロボット駆動装置に指示を出するために前記第2の手の第1の指によって操作可能であり、
前記第3の表面に集積され、前記第2のデバイスを第2の自由度において動作させるべく前記ロボット駆動装置に指示を出すために前記第2の手の第1の指によって操作可能な第5の制御器と、を当該システムにさらに含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記第4の制御器は、前記第2のデバイスを選択するべく前記ロボット駆動装置に指示を出すために前記第2の手の第2の指によって操作可能である、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記第1の表面又は前記第2の表面と同一面ではない第3の表面、及び、前記第1の表面、前記第2の表面、又は前記第3の表面と同一面ではない第4の表面を備えた第2のハウジングと、
前記第3の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの第2のデバイスを第1の自由度において動作させるべく前記ロボット駆動装置に指示を出すためにユーザの第2の手の第1の指によって操作可能な第3の制御器と、
前記第4の表面に集積され、前記第2のデバイスを選択するべく前記ロボット駆動装置に指示を出すためにユーザの第2の手の第2の指によって操作可能な第4の制御と、を当該システムにさらに含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項35】
前記第3の制御器は、前記第2のデバイスの速度を第1の自由度において制御するべく前記ロボット駆動装置に指示出すために前記第2の手の第1の指によって操作可能であり、
前記第3の表面に集積され、前記第2のデバイスの位置を第1の自由度において制御するべく前記ロボット駆動装置に指示を出すために前記第2の手の第1の指によって操作可能な第5の制御器を、当該システムにさらに含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記第3の制御器及び前記第5の制御器は、前記第4の制御器がユーザによって操作されている場合にのみ、前記ロボット駆動装置に指示を出すように構成される、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記第4の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスの第3のデバイスを選択するべく前記ロボット駆動装置に指示を出すためにユーザの第2の手の第2の指によって操作可能な第6の制御器を、当該システムにさらに含む、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記第4の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスの第3のデバイスを選択するべく前記ロボット駆動装置に指示を出すためにユーザの第2の手の第2の指によって操作可能な第6の制御器を、当該システムにさらに含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項39】
前記ハウジングが、前記第1の表面又は前記第2の表面と同一面ではない第3の表面を備え、
前記第3の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの第1のデバイスを動作させるべく選択するためにユーザの第2の手の親指によって操作可能な第3の制御器と、
前記第3の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの第2のデバイスを動作させるべく選択するために前記第2の手の第1の指によって操作可能な第4の制御器と、
前記第3の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの第3のデバイスを動作させるべく選択するために前記第2の手の第2の指によって操作可能な第5の制御器と、を当該システムにさらに含み、
前記第3の制御器、前記第4の制御器、及び前記第5の制御器が、それぞれ、前記第2の手の親指、第1の指、及び第2の指によって、同時に操作可能である、請求項27に記載のシステム。
【請求項40】
前記第3のデバイスがガイドワイヤであり、
前記第5の制御器は、前記第3の制御器及び前記第4の制御器よりも大きい、請求項39に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
広く言えば、実施の形態はロボット医療処置システムの分野に関係し、具体的には、ロボットインターベンション医療処置において1つ以上の細長い医療デバイスの動きをロボット制御するためのシステム、装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここで使用する「細長い医療デバイス(EMD)」は、カテーテル(ガイドカテーテル、マイクロカテーテル、バルーン/ステントカテーテルなど)、ワイヤ式デバイス(ガイドワイヤ、塞栓コイル、ステント回収器など)、及び、これらの組み合せを有するデバイスを指す(ただしこれらに限定されない)。ワイヤ式デバイスには、ガイドワイヤ、マイクロワイヤ、塞栓コイル用の近位プッシャー、ステント回収器、自己拡張型ステント、及び、フローダイバーターが含まれる(ただしこれらに限定されない)。通例、ワイヤ式の細長い医療デバイス(EMD)は、その近位終端にハブ又はハンドルをもたないた。
【0003】
カテーテルやその他の細長い医療デバイス(EMD)は、神経介入手術としても知られる神経血管インターベンション(NVI)、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、及び末梢血管インターベンション(PVI)を含む、様々な脈管系疾患の診断及び治療のための低侵襲医療処置に使用される。これらの処置は、通例、脈管系を通してガイドワイヤをナビゲートし、ガイドワイヤを利用してカテーテルを前進させ治療を行うことを含む。
【0004】
カテーテル式処置は、標準的な経皮的手法を使用し、イントロデューサシースを用いて、動脈や静脈などの適切な血管へアクセスすることから始まる。イントロデューサシースを介して、次に、NVIの場合の内頸動脈、PCIの場合の冠動脈口、又はPVIの場合の浅大腿動脈といった一次位置へ、診断ガイドワイヤを利用してシース又はガイドカテーテルを進める。そして、脈管系に適したガイドワイヤを、シース又はガイドカテーテルを通して、脈管系内の標的位置までナビゲートする。蛇行解剖学的構造などの状況では、ガイドワイヤ伝いに支持カテーテル又はマイクロカテーテルを挿入し、ガイドワイヤのナビゲーションを補助する。
【0005】
医師などの操作者は、画像システム(例えば、透視装置)を使用して造影剤注入によるシネを得て、ガイドワイヤ又はカテーテルを標的位置、例えば病変、にナビゲートするためのロードマップとして使用する固定フレームを選択することができる。また、操作者がガイドワイヤ又はカテーテルを送り込む間にも造影画像が得られ、これにより操作者は、デバイスが標的位置へ向かう正しい経路に沿って移動していることを確認できる。操作者は、透視法を用いて解剖学的構造を観察しながら、ガイドワイヤ又はカテーテルの近位端を操作し、遠位先端を適切な血管へ入れ標的の解剖学的位置(病変など)に向かわせ、側枝への進入を避ける。
【0006】
例えば、NVI、PCI、及びPVIのようなカテーテル式処置を行う医師を補助するために使用される、ロボットカテーテル式処置システムが開発されている。NVI処置の例としては、動脈瘤のコイル塞栓術、動静脈奇形の液体塞栓術、及び急性虚血性脳卒中の状況における大血管閉塞の機械的血栓摘出術が挙げられる。NVI処置において、医師は、ロボットシステムを用いて、神経血管ガイドワイヤ及びマイクロカテーテルの操作を制御することにより標的病変へのアクセスを獲得し、正常な血流を回復させる治療を施す。標的へのアクセスはシース又はガイドカテーテルによって可能になるが、より遠位の領域に対して、又は、マイクロカテーテル及びガイドワイヤの適切な支持を提供するために、中間カテーテルを必要とすることもある。ガイドワイヤの遠位先端は、病変や治療の種類に応じて、病変中にナビゲートされるか又は病変を通り過ぎてナビゲートされる。動脈瘤を治療する場合は、マイクロカテーテルを病変内に進め、ガイドワイヤを除去し、マイクロカテーテルを通して動脈瘤内にいくつかの塞栓コイルを留置し、動脈瘤内への血流を遮断するために使用する。動静脈奇形を治療する場合は、マイクロカテーテルを介して液体塞栓を奇形内に注入する。血管閉塞を治療するための機械的血栓除去は、吸引及びステント回収器の使用のいずれか又は両方によって達成される。血栓の位置に応じて、吸引は、吸引カテーテルを介して行うか、又は、細い動脈の場合はマイクロカテーテルを介して行う。吸引カテーテルが病変に入ったら、陰圧をかけてカテーテルを通し血栓を除去する。あるいは、マイクロカテーテルを通してステント回収器を配置することによって、血栓を除去することもできる。血栓をステント回収器で絡め取った後、ステント回収器及びマイクロカテーテル(又は中間カテーテル)をガイドカテーテルに引き込むことによって、血栓が回収される。
【0007】
PCIの場合、医師は、ロボットシステムを用いて、冠状動脈ガイドワイヤを操作することによって病変にアクセスし、治療を行い、正常な血流を回復させる。アクセスは、ガイドカテーテルを冠動脈入口部に着座させることにより可能となる。ガイドワイヤの遠位先端を病変の先までナビゲートし、そして、複雑な解剖学的構造のために、マイクロカテーテルを用いてガイドワイヤを適切に支持することができる。血流は、病変にステント又はバルーンを送り込んで展開することによって回復させる。病変は、ステント留置の前に前処置を必要とすることがあり、病変の前拡張のためにバルーンが送り込まれたり、又は、例えばレーザー又は回転式アテレクトミーカテーテル及びガイドワイヤを利用したバルーンを用いてアテレクトミーが実施される。画像診断及び生理学的測定が、画像カテーテル又は血流予備量比(FFR)測定を用いることにより適切な治療法を決定するために実施され得る。
【0008】
PVIの場合、医師は、ロボットシステムを用いて治療を行い、NVIと同様の技術で血流を回復させる。ガイドワイヤの遠位先端は病変の先までナビゲートされ、複雑な解剖学的構造に対してはガイドワイヤを適切に支持するためにマイクロカテーテルが使用される。病変にステント又はバルーンを送り込んで展開することにより血流を回復させる。PCIの場合と同様に、病変の前処置や画像診断も同じ様に用いられる。
【0009】
カテーテル又はガイドワイヤの遠位端での支持が、例えば、蛇行又は石灰化した脈管系のナビゲーションのために、遠位の解剖学的位置に到達するために、又は、硬化病変を横切るために、必要とされる場合、オーバーザワイヤ(OTW)カテーテル又は同軸システムが用いられる。OTWカテーテルにはガイドワイヤ用の内腔があり、この内腔がカテーテルの全長に延びている。これによりガイドワイヤが全長にわたって支持されるので、比較的安定したシステムとなる。しかし、このシステムには、ラピッドエクスチェンジカテーテル(後述)と比較した場合に、摩擦が大きい、全長が長いといったいくつかの弱点がある。
【0010】
通常、留置ガイドワイヤの位置を維持しながらOTWカテーテルを抜去又は交換するためには、ガイドワイヤの(患者から出ている)露出長がOTWカテーテルより長くなければならない。長さ300cmのガイドワイヤが一般的にはこの目的に十分とされており、交換長ガイドワイヤと呼ばれることが多い。このガイドワイヤの長さ故に、OTWカテーテルの抜去又は交換には2名の操作者が必要である。このことは、三軸系として当該技術分野で知られている三重同軸系を使用する場合(四重同軸カテーテルが使用されることも知られている)、さらに困難になる。しかしながら、その安定性を理由として、NVI及びPVI処置ではOTWシステムを使用することが多い。一方、PCI処置の場合は、ラピッドエクスチェンジ(又はモノレール)カテーテルを使用することが多い。ラピッドエクスチェンジカテーテルのガイドワイヤ内腔は、モノレール又はラピッドエクスチェンジ(RX)セクションと呼ばれるカテーテルの遠位部分を通るだけである。RXシステムを使用する操作者は、互いに対し平行にインターベンションデバイスを操作し(OTWシステムではデバイスを縦列構成で操作するのとは対照的に)、ガイドワイヤの露出長はカテーテルのRXセクションよりもわずかに長くしてあればよい。ラピッドエクスチェンジガイドワイヤは、通例で180~200cmの長さである。ガイドワイヤとモノレールの短さを考えれば、RXカテーテルは1人の操作者で交換可能である。しかし、より遠位の支持が必要な場合にRXカテーテルは不適当であることが多い。
【0011】
血管インターベンション処置を行う場合、操作者は、一般的に、各カテーテル又はワイヤを動作させるべくロボットシステムを制御するために、制御ステーションに提供される一組の制御器を使用する。制御器の各々は、通例、特定の装置を制御するように又は特定の方法でカテーテル又はワイヤを動作させるように、構成される。したがって、操作者は、別々の制御器を切り換えたり、複数の制御器を同時に操作したりする、ということが時に必要となる。ロボット血管インターベンション処置中に複数のEMDの操作者制御性を改善するシステムが望まれる。
【発明の概要】
【0012】
一態様において、1つ以上の細長い医療デバイスを動作させるように構成されたロボット駆動装置を制御するシステムが含まれる。このシステムは、第1の表面及び第1の表面と同一面ではない第2の表面を備えたハウジングと、第1の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの1つを選択するために使用者の第1の手の第1の指によって操作可能である第1の制御器と、第2の表面に集積され、選択された細長い医療デバイスを第1の自由度で動作させるべくロボット駆動装置に指示するために使用者の第1の手の第2の指によって操作可能である第2の制御器と、を含む。第1の制御器と第2の制御器は、第1の指と第2の指によって同時に操作可能である。
【0013】
一態様において、1つ以上の細長い医療デバイスを動作させるように構成されたロボット駆動装置を制御するシステムが、第1の表面及び第1の表面と同一面にはない第2の表面を備えるハウジングを含む。第1の制御器が第1の表面に集積され、使用者の第1の手の親指によって操作可能であり、第2の制御器が第2の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの1つの直進速度を制御するべくロボット駆動装置に指示するために使用者の第1の手の第2の指によって操作可能である。第3の制御器が第2の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの1つの直進位置を制御するべくロボット駆動装置に指示するために使用者の第1の手の第2の指によって操作可能である。
【0014】
一態様において、1つ以上の細長い医療デバイスを動作させるように構成されたロボット駆動装置を制御するシステムが含まれる。このシステムは、第1の表面及び第1の表面と同一面ではない第2の表面を含むハウジングと、第1の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの1つを第1の自由度で動作させるべくロボット駆動装置に指示するために使用者の第1の手の第1の指によって操作可能である第1の制御器と、第2の表面に集積され、1つ以上の細長い医療デバイスのうちの1つを第2の自由度で動作させるべくロボット駆動装置に指示するために使用者の第1の手の第2の指によって操作可能である第2の制御器と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
実施の形態は、次の図面を参照して説明する以下の詳細な説明からさらに深く理解され、図中、参照番号は同様の部分に付されている。
図1】一実施例に係る、カテーテル式処置システムの斜視図。
図2】一実施例に係る、カテーテル式装置システムの概略ブロック線図。
図3】一実施例に係る、カテーテル式処置システムのロボット駆動装置の斜視図。
図4図4Aは、一実施例に係る、カテーテル式処置システムの入力システムの斜視図。図4Bは、一実施例に係る、カテーテル式処置システムの入力システムの斜視図であり、制御器ハウジングの位置調整を説明する。
図5】一実施例に係る、入力システムの左方向と右方向の斜視図。
図6】一実施例に係る、操作中の入力システムの斜視図。
図7】一実施例に係る、EMD選択制御器の斜視図。
図8】一実施例に係る、カテーテル式処置システムの入力システムの左右の制御器ハウジングの斜視図。
図9図9Aは、一実施例に係る、カテーテル式処置システムの入力システムの斜視図。図9Bは、一実施例に係る、操作中のカテーテル式処置システムの入力システムの斜視図。
図10】一実施例に係る、入力システムの左方向と右方向の斜視図。
図11】一実施例に係る、カテーテル式処置システムの入力システムの左右の制御器ハウジングの斜視図。
図12図12Aは、一実施例に係る、カテーテル式処置システムの入力システムの斜視図。図12B及び図12Cは、一実施例に係る、操作中のカテーテル式処置システムの入力システムの斜視図。
図13】一実施例に係る、入力システムの左方向と右方向の斜視図。
図14】一実施例に係る、カテーテル式処置システムの入力システムの左右の制御器ハウジングの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明は、開示する実施の形態を当技術分野の誰もが実施し使用できるようにするために提供される。しかしながら、当技術分野の誰でも容易に種々の改変を想到できる。
【0017】
実施例に係る図1は、カテーテル式処置システム10の一例を示した斜視図である。カテーテル式処置システム10は、カテーテル式医療処置、例えば、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)(例えば、STEMIを治療するため)などの経皮的インターベンション処置、神経血管インターベンション処置(NVI)(例えば、緊急の大血管閉塞(ELVO)を治療するため)、末梢血管インターベンション処置(PVI)(例えば、重症下肢虚血(CLI)のため)などを実施するために使用される。カテーテル式医療処置には、患者の疾患診断を補助するために1つ以上のカテーテルや他の細長い医療デバイス(EMD)を使用する診断カテーテル法処置が含まれる。例えば、カテーテル式診断処置の一実施例では、造影剤をカテーテルを通して1つ以上の動脈に注入し、造影剤の存在する患者の脈管系の画像を取得する。
【0018】
カテーテル式医療処置には、カテーテル(又は他のEMD)を用いて疾患を治療するカテーテル式治療処置(例えば、血管形成術、ステント留置、末梢血管疾患の治療、血栓除去、動脈静脈奇形治療、動脈瘤の治療など)も含まれる。治療処置は、例えば、血管内超音波(IVUS)、光干渉断層計(OCT)、血流予備量比(FFR)などの補助デバイス54(図2に示す)を含めることによって強化することができる。しかしながら、当分野で通常の知識を有する者であれば、実施されるべき処置の種類に基づいて特定の経皮的インターベンションデバイス又はコンポーネント(例えば、ガイドワイヤのタイプ、カテーテルのタイプなど)を選択可能である、と認識するのは当然である。カテーテル式処置システム10は、処置で使用される専用の経皮的インターベンションデバイスをわずかな調節で収容でき、あらゆるカテーテル式医療処置を実行することができる。
【0019】
カテーテル式処置システム10は、複数ある要素の中でも特に、ベッドサイドユニット20及び制御ステーション26を含む。ベッドサイドユニット20は、ロボット駆動装置24と、患者12の脇に位置する位置決めシステム22と、を備える。患者12は、患者テーブル18上に寝かされている。位置決めシステム22は、ロボット駆動装置24を位置決めし支持するために使用される。位置決めシステム22は、例えば、ロボットアーム、関節式アーム、ホルダーなどである。位置決めシステム22は、一端で、例えば患者テーブル18のレール、ベース、又はカートに取り付けることができる。位置決めシステム22の他端に、ロボット駆動装置24が取り付けられる。位置決めシステム22は(ロボット駆動装置24と共に)、患者12を患者テーブル18に寝かせるために、退避させることができる。患者テーブル18上に患者12を寝かせた後、位置決めシステム22を使用して、処置のためにロボット駆動装置24を患者12に対して位置決め(固定)する。一実施例において、患者テーブル18は、床及び/又は地面に据え付けられている台座17に支持され作動する。患者台18は、台座17に対して、多自由度、例えば、ロール、ピッチ、ヨー、で動作させることができる。ベッドサイドユニット20は、制御機器及びディスプレイ46(図2に示す)も含み得る。例えば、制御機器及びディスプレイは、ロボット駆動装置24のハウジングに配置することができる。
【0020】
「フロント(表側、手前)」は、患者12に面し、位置決めシステム22とは逆側のロボット駆動装置24の側を指し、一方、「リア(裏側、奥)」は、位置決めシステム22に最も近いロボット駆動装置24の側を指す。「上、上端、上部、上方」は、重力の向きとは逆の一般的な方向を指し、「下、下端、下部、下方」は、重力の向きの一般的な方向を指す。
【0021】
一般に、ロボット駆動装置24は、適切な経皮的インターベンションデバイス及び付属機器48(図2に示す)(例えば、ガイドワイヤ、バルーンカテーテルを含む各種カテーテル、ステントデリバリーシステム、ステント回収器、塞栓形成コイル、液体塞栓、吸引ポンプ、造影剤や薬剤の送入デバイス、止血弁アダプタ、シリンジ、ストップコック、膨張デバイスなど)を備えていて、操作者(使用者/ユーザ)11が、制御ステーション26に配置された制御機器及び入力機器などの各種制御機器を操作することによって、ロボットシステムを利用してカテーテル式医療処置を実施できるようにしている。ベッドサイドユニット20、特にロボット駆動装置24は、ここに記載する機能をベッドサイドユニット20に付与するためのあらゆるコンポーネント及び/又はその組み合わせを含み得る。制御ステーション26の操作者11を、制御ステーション操作者(使用者/ユーザ)と呼び、ここでは操作者(使用者/ユーザ)を指す。ベッドサイドユニット20の操作者(使用者/ユーザ)は、ベッドサイドユニット操作者(使用者/ユーザ)と呼ぶ。
【0022】
ロボット駆動装置24は、レール又は直線部材60(図3に示す)に取り付けられた複数のデバイスモジュール32a-dを備える。レール又は直線部材60は、デバイスモジュールを案内し支持する。デバイスモジュール32a-dの各々を用いて、カテーテル又はガイドワイヤなどのEMDを駆動することができる。例えば、ロボット駆動装置24を用いて、診断カテーテルの中に、そして患者12の動脈の中のガイドカテーテルの中に、ガイドワイヤを自動的に送り込むことができる。EMDなど、1つ以上のデバイスは、例えばイントロデューサシースを介して、挿入点16から患者12の体内(例えば血管)に入る。
【0023】
ベッドサイドユニット20は制御ステーション26と通信し、制御ステーション26は、制御ステーション26のユーザ入力によって生成される信号をベッドサイドユニット20へ無線又は有線で送信してベッドサイドユニット20の様々な機能を制御することを可能にする。後述するように、制御ステーション26は、制御コンピューティングシステム34(図2に示す)を含むか、又は制御コンピューティングシステム34を介してベッドサイドユニット20と接続される。ベッドサイドユニット20は、制御ステーション26又は制御コンピューティングシステム34、あるいはその両方に、フィードバック信号(例えば、装填、速度、動作条件、警告信号、エラーコードなど)を提供することもできる。制御コンピューティングシステム34とカテーテル式処置システム10の各コンポーネントとの間の通信は、無線接続、有線接続、又はコンポーネント間の通信を可能にする他のあらゆる手段とし得る通信リンクを介して、提供される。制御ステーション26又は他の類似の制御システムは、ローカルサイト(例えば、図2中のローカル制御ステーション38)又はリモートサイト(例えば、図2中のリモート制御ステーション及びコンピューティングシステム42)のいずれかに位置する。
【0024】
「ローカル」は、患者12及びベッドサイドユニット20の場所を言うべく使用される。カテーテル処置システム10は、ローカルサイトの制御ステーション又はリモートサイトの制御ステーション、あるいは同時にローカル制御ステーションとリモート制御ステーションの両方によって、操作することができる。ローカルサイトにおいて、操作者11及び制御ステーション26は、患者12及びベッドサイドユニット20と同じ部屋又は隣の部屋に位置する。ここで使用する場合のローカルサイトは、ベッドサイドユニット20と患者12又は被験体(例えば、動物又は死体)の場所であり、リモートサイトは、ベッドサイドユニット20を遠隔制御するために使用される制御ステーション26と操作者11の場所である。「リモート」は、ローカルサイトのベッドサイドユニット20及び/又は患者12への物理的アクセスをもたない場所を指すべく使用される。
【0025】
リモートサイトの制御ステーション26(及び制御コンピューティングシステム)とローカルサイトのベッドサイドユニット20及び/又は制御コンピューティングシステムは、例えばインターネットを介し、通信システム及びサービス36(図2に示す)で通信する。一実施例において、リモートサイトとローカル(患者)サイトは、互いに離れており、例えば、同じ建物内の別々の部屋、同じ都市内の別々の建物、別々の都市、又は、その他の、リモートサイトがローカルサイトのベッドサイドユニット20及び/又は患者12に対する物理的アクセスをもたない別々の場所、にある。
【0026】
制御ステーション26は、通例、ロボット駆動装置24及び/又はカテーテル式処置システム10の各コンポーネント又はシステムを制御するためのユーザ操作を受信するように構成された制御器を含む1つ以上の入力システム28を有する。ここに示す実施例の場合、制御ステーション26は、操作者11がベッドサイドユニット20を制御してカテーテル式医療処置を行えるようにする。例えば、入力システム28は、ロボット駆動装置24と連動する経皮的インターベンションデバイス(例えば、EMD)を用いて各種のタスクをベッドサイドユニット20に行わせるように構成される(例えば、ガイドワイヤを前進、後退又は回転させる、カテーテルを前進、後退又は回転させる、カテーテルで配置したバルーンを膨張又は収縮させる、ステントを配置及び/又は展開させる、ステント回収器を配置及び/又は展開させる、コイルを配置及び/又は展開させる、造影剤をカテーテルへ注入する、カテーテルへ液体塞栓を注入する、カテーテルへ薬剤又は生理食塩水を注入する、カテーテルで吸引する、又は、カテーテル式医療処置の一部として実施され得るその他の機能を実施するなど)。ロボット駆動装置24は、経皮的インターベンションデバイスを含むベッドサイドユニット20のコンポーネントを1つ以上の入力システム28の制御器のユーザ操作に応じて動作(例えば、軸方向動作及び回転動作)させるための各種駆動機構を含む。
【0027】
以下に説明するように、入力システム28は、1つ以上のタッチスクリーン、ジョイスティック、スクロールホイール、及び/又はボタンを含む。入力システム28に加えて、制御ステーション26は、フットスイッチや、音声命令用のマイクロフォンなど、追加のユーザ制御機器44(図2に示す)を使用することができる。入力システム28は、各種のコンポーネントと、例えばガイドワイヤ及び1つ以上のカテーテル又はマイクロカテーテルなどの各種の経皮的インターベンションデバイスと、を前進、後退、又は回転させるべく指示するように構成される。入力システムの制御器は、例えば、緊急停止ボタン、倍率ボタン、デバイス選択ボタン、及び自動作動ボタンを含むことができる。非常停止ボタンが押されると、ベッドサイドユニット20の動力(例えば、電力)が遮断されるか除去される。速度制御モードにあるとき、倍率ボタンは、入力制御器の操作に応答して関連コンポーネントが動く速度を増加又は減少させるように作用する。位置制御モードにあるとき、倍率ボタンは、入力距離と出力指令距離との間のマッピングを変更する
【0028】
入力システム28は、操作者11が、ロボット駆動装置24に装填されている経皮的インターベンションデバイスのうちのどれを入力制御器のユーザ操作で制御するか、を選択できるようにする、デバイス選択ボタンを含む。自動作動ボタンは、カテーテル式処置システム10が操作者11から直接命令を受けずに経皮的インターベンションデバイスで実行することができるアルゴリズムによる動作を実行するために、使用される。一実施例において、入力システム28は、タッチスクリーン(ディスプレイ30の一部である場合とそうでない場合がある)に表示される1つ以上のコントローラ又はアイコン(図示せず)を含み、これらは、アクティブになると、カテーテル式処置システム10のコンポーネントを作動させる。
【0029】
入力システム28はまた、バルーンを膨張又は収縮させ及び/又はステントを展開させる指示を出すように構成されたバルーン又はステント制御器を含むことができる。入力システム28は、1つ以上のボタン、スクロールホイール、ジョイスティック、タッチスクリーンなどを含み、これらは、1つ以上の特定のコンポーネントを専用制御する指示を出すために使用され得る。さらに、1つ以上のタッチスクリーンが、入力システム28の各部分又はカテーテル式処置システム10の各コンポーネントに関連した1つ以上のアイコン(図示せず)を表示する。
【0030】
制御ステーション26は、ディスプレイ30を含む。一実施例において、制御ステーション26は、2つ以上のディスプレイ30を含むこともできる。ディスプレイ30は、制御ステーション26に位置する操作者11に情報又は患者特有のデータを表示するように構成される。例えば、ディスプレイ30は、画像データ(例えば、X線画像、MRI画像、CT画像、超音波画像など)、血行動態データ(例えば、血圧、心拍数など)、患者カルテ情報(例えば、病歴、年齢、体重など)、病変又は治療評価データ(例えば、IVUS、OCT、FFRなど)を表示するように構成することができる。さらに、ディスプレイ30は、処置特有の情報(例えば、処置チェックリスト、勧告(提言)、処置の期間、カテーテル又はガイドワイヤの位置、送り込まれた薬剤又は造影剤の量など)を表示するようにも構成される。また、ディスプレイ30は、制御コンピューティングシステム34(図2に示す)に関連した機能を提供するための情報を表示するように構成されていてもよい。ディスプレイ30は、システムのユーザ入力機能の一部を提供するためのタッチスクリーン機能を有する場合もある。
【0031】
カテーテル式処置システム10は、撮像システム14も含む。撮像システム14は、カテーテル式医療処置と併せて使用され得る医用撮像システム(例えば、非デジタルX線、デジタルX線、CT、MRI、超音波など)のいずれであってもよい。一実施例において、撮像システム14は、制御ステーション26と通信するデジタルX線撮像装置である。一実施例において、撮像システム14は、患者12に対する様々な角度位置の画像(例えば、矢状面像、尾面像、前後面像など)を得るために、患者12の周囲を撮像システム14が部分的又は完全に回転することを可能にするCアーム(図1に示す)を含む。一実施例において、撮像システム14は、X線源13と、イメージインテンシファイアとしても知られる検出器15と、を有するCアームを含んだ透視システムである。
【0032】
撮像システム14は、処置中に患者12の適切な領域のX線画像を撮像するように構成される。例えば、撮像システム14は、神経血管状態を診断するために、頭部の1つ以上のX線画像を撮像するように構成することができる。撮像システム14は、カテーテル式医療処置中に1つ以上のX線画像(例えば、リアルタイム画像)を撮像して、ガイドワイヤ、ガイドカテーテル、マイクロカテーテル、ステント回収器、コイル、ステント、バルーンなどを処置中に適切に位置決めするために、制御ステーション26の操作者11を補助するように構成することもできる。1つ以上の画像がディスプレイ30に表示される。例えば、画像をディスプレイ30に表示し、操作者11がガイドカテーテル又はガイドワイヤを適切な位置へ正確に移動させることができるようにする。
【0033】
方向を明確にするために、直交座標系をX,Y,Z軸で提示してある。正のX軸は、長手方向(軸方向)の遠位方向、すなわち、近位端から遠位端への方向、別の言い方をすれば近位から遠位の方向、に向いている。Y軸とZ軸は、X軸に対する横断面内にあり、正のZ軸が上向きで、つまり重力の反対方向であり、Y軸は、右手の法則によって自動的に決まる。
【0034】
一実施例に係る図2は、カテーテル式処置システム10のブロック図である。カテーテル処置システム10は、制御コンピューティングシステム34を含む。制御コンピューティングシステム34は、物理的に、例えば制御ステーション26(図1に示す)の一部であり得る。制御コンピューティングシステム34は、通例、ここに説明する各機能を備えたカテーテル式処置システム10を提供するのに適した電子制御ユニットである。例えば、制御コンピューティングシステム34は、埋め込みシステム、専用回路、ここに説明する機能をプログラムした汎用システムなどである。制御コンピューティングシステム34は、ベッドサイドユニット20、通信システム及びサービス36(例えば、インターネット、ファイアウォール、クラウドサービス、セッションマネージャ、病院ネットワークなど)、ローカル制御ステーション38、追加の通信システム40(例えば、テレプレゼンスシステム)、リモート制御ステーション及びコンピューティングシステム42、及び患者センサ56(例えば、心電図(ECG)デバイス、脳波(EEG)デバイス、血圧モニタ、温度モニタ、心拍モニタ、呼吸モニタなど)と通信する。制御コンピューティングシステムは、撮像システム14、患者テーブル18、追加の医療システム50、造影剤注入システム52、及び補助デバイス54(例えば、IVUS、OCT、FFRなど)とも通信する。ベッドサイドユニット20は、ロボット駆動装置24と位置決めシステム22とを含み、追加の制御機器及びディスプレイ46を含むこともできる。上述のように、追加の制御機器及びディスプレイは、ロボット駆動装置24のハウジングに配置することができる。インターベンションデバイス及び付属機器48(例えば、ガイドワイヤ、カテーテルなど)は、ベッドサイドシステム20と接続される。一実施例において、インターベンションデバイス及び付属機器48は、それぞれの補助デバイス54、すなわちIVUSシステム、OCTシステム、FFRシステムなどと、接続する専用のデバイス(例えば、IVUSカテーテル、OCTカテーテル、FFRワイヤ、造影用診断カテーテルなど)を含む。
【0035】
一実施例において、制御コンピューティングシステム34は、(例えば、ローカル制御ステーション38又はリモート制御ステーション42などの制御ステーション26(図1に示す)の)1つ以上の入力システム28の制御器のユーザ操作に基づく、及び/又は、カテーテル式処置システム10を用いて医療処置を実行するべく制御コンピューティングシステム34を制御するためにアクセス可能な情報に基づく、制御信号を受信し生成するように構成されている。ローカル制御ステーション38は、1つ以上のディスプレイ30、1つ以上の入力システム28、及び追加のユーザ制御機器44を含む。
【0036】
リモート制御ステーション及びコンピューティングシステム42は、ローカル制御ステーション38と同様のコンポーネントを含み得る。リモート制御ステーション42及びローカル制御ステーション38は、それぞれに要求される機能に応じてあつらえた異なったものとすることができる。追加のユーザ制御機器44は、例えば、1つ以上の足入力コントローラを含む。足入力コントローラは、X線をオン/オフする、複数の保存画像をスクロールするなどの撮像システム14の機能を操作者が選択することを可能にするように、構成することができる。一実施例において、足入力デバイスは、入力モジュール28に含まれるスクロールホイールにマップされるデバイスを操作者が選択できるように構成することができる。追加の通信システム40(例えば、音声会話、ビデオ会話、テレプレゼンスなど)は、オペレータが患者、医療スタッフ(例えば、血管造影(angio suite)スタッフ)、及び/又はベッドサイド近くの機器とコミュニケーションを取るための支援に採用され得る。
【0037】
カテーテル式処置システム10は、明示していないあらゆる他のシステム及び/又はデバイスを含むように接続又は構成することができる。例えば、カテーテル式処置システム10は、画像処理エンジン、データ保存及びアーカイブシステム、自動バルーン及び/又はステント膨張システム、薬剤注入システム、薬剤追跡及び/又はログシステム、ユーザログ、暗号化システム、カテーテル式処置システム10のアクセス又は使用を制限するシステムなどを、含むことができる。
【0038】
既述したように、制御コンピューティングシステム34は、ロボット駆動装置24及び位置決めシステム22を含むと共に追加の制御機器及びディスプレイ46を含み得るベッドサイドユニット20と通信する。制御コンピューティングシステム34は、リモート制御ステーション42の入力システムの制御器のユーザ操作に基づく信号をリモート制御ステーション42から受信し、対応する制御信号をベッドサイドユニット20に提供する。これにより、直進及び回転(すなわち、直線軸の周りの)を含む(ただし、これらに限定されない)様々な自由度で、経皮インターベンションデバイス(例えば、ガイドワイヤ、カテーテルなど)の対応する近位部分を駆動するために使用されるモータ及び駆動機構の動作が制御される。種々の駆動機構をロボット駆動装置24の一部として設けることができる。
【0039】
実施例に係る図3は、カテーテル式処置システム10のロボット駆動装置24の斜視図である。実施例は、図3のロボット駆動装置24に限定されない。図3において、ロボット駆動装置24は、直線部材60に連結された複数のデバイスモジュール32a-dを含む。デバイスモジュール32a-dのそれぞれは、直線部材60に移動可能に取り付けられたステージ62a-dを介して直線部材60に連結される。一つ一つのデバイスモジュール32a-dは、オフセットブラケット78a-dのようなコネクタを用いてステージ62a-dと接続される。一実施例において、デバイスモジュール32a-dは、ステージ62a-dに直接取り付けられる。各ステージ62a-dは、直線部材60に沿って直線的に移動するように独立して動作させることができる。したがって、各ステージ62a-d(及びステージ62a-dに連結された対応するデバイスモジュール32a-d)は、互いに対し及び直線部材60に対し、それぞれ個別に動作させることができる。各ステージ62a-dを作動させるために駆動機構が使用される。図3に示す実施例において、駆動機構は、各ステージ62a-dに連結された個別のステージ並進モータ64a-dとステージ駆動機構76とを有しているか、又は、ステージ並進モータ64a-d自体をリニアモータとして有することができる。ステージ駆動機構76は、例えば、回転ナットを介した送りねじ、ピニオンを介したラック、ピニオン又はプーリを介したベルト、スプロケットを介したチェーンである。一実施例では、ステージ駆動機構76は、これらの機構の組み合わせである。例えば、ステージ62a-dのそれぞれで、異なるタイプのステージ駆動機構を採用することができる。ステージ駆動機構が送りねじ及び回転ナットである実施例の場合、送りねじを回転させ、送りねじに対し各ステージ62a-dを係合させ及び係合解除させ、例えば前進又は後退させるなど、動作させる。図3に図示の実施例において、ステージ62a-d及びデバイスモジュール32a-dは、縦列駆動構造になっている。
【0040】
各デバイスモジュール32a-dは、駆動モジュール68a-dと、駆動モジュール68a-dに搭載され連結されたカセット66a-dと、を含む。図3に図示の実施例において、カセット66a-dの各々は、上下の向きで駆動モジュール68a-dに装着される。別の実施例において、カセット66a-dの各々は、別の向きでデバイスモジュール68a-dに装着し得る。カセット66a-dの各々は、EMD(図示せず)の近位部と接続し支持するように構成されている。さらに、カセット66a-dの各々は、直線部材60に沿って直線的に移動する対応するステージ62a-dの作動によって提供される直線動作に加えて1つ以上の自由度を提供する要素を、含むことができる。例えば、カセット66a-dは、カセットがデバイスモジュール68a-dに連結されたときにEMDを回転させるために使用できる要素を、含むことができる。デバイスモジュール68a-dの各々は、各カセット66a-d内の機構に駆動インターフェースを提供して追加の自由度を提供するために、少なくとも1つのカプラを含む。カセット66a-dの各々は、デバイス支持体79a-dが配置されるチャンネルを含み、各デバイス支持体79a-dは、EMDが座屈するのを防止するために使用される。各デバイスモジュール32a,32b,32cにそれぞれ支持アーム77a,77b,77cが取り付けられ、これらがデバイス支持体79b,79c,79dの近位端を支持する固定点をそれぞれ提供する。ロボット駆動装置24は、デバイス支持体79、遠位支持アーム70、及び支持アーム77に接続されたデバイス支持接続部72も含む。支持アーム77は、最も遠位のデバイスモジュール32aに収容された最も遠位のデバイス支持体79aの近位端の支持のための固定点を提供するために使用される。さらに、イントロデューサインターフェース支持体(リダイレクタ)74を、デバイス支持接続部72及びEMD(例えば、イントロデューサシース)に接続することができる。ロボット駆動装置24のこの構成は、1つの直線部材でアクチュエータを使用することによってロボット駆動装置24の体積及び重量を軽減できるという利点を有する。
【0041】
患者の病原体感染を防ぐために、ヘルスケアスタッフは、ベッドサイドユニット20と患者12又は被験体(図1に示す)が収容されている部屋で無菌技術を用いる。ベッドサイドユニット20と患者12を収容する部屋は、例えば、カテーテルラボ又はアンギオスイートである。無菌技術は、滅菌バリア、滅菌器具、適切な患者準備、環境管理、及び接触ガイドラインを使用することからなる。すなわち、すべてのEMD及びインターベンション付属品が滅菌され、滅菌バリアか滅菌器具のいずれかとのみ接触が許される。一実施例において、滅菌ドレープ(図示せず)を非滅菌ロボット駆動装置24を覆って配置する。各カセット66a-dは滅菌され、ドレープ付きロボット駆動装置24と少なくとも1つのEMDとの間の滅菌インターフェースとして機能する。各カセット66a-dは、1回の使用を目的として滅菌できるように設計されるか、カセット66a-d又はそのコンポーネントを複数の処置で使用できるように全部又は一部を再滅菌できるように設計される。
【0042】
ここで使用する「カセット」は、広く言えば、少なくとも1つのEMDを支持し動作(例えば、回転及び/又は並進)させるためのコンポーネントを含むロボット駆動システムのコンポーネントを指す。「デバイスモジュール」は、広く言えば、カセットのEMD-作動要素とインターフェースする駆動カプラを備えた1つ以上のモータを含むロボット駆動システムのコンポーネントを指す。カセットは、少なくとも1つのEMDとデバイスモジュールとの間に、直接又はデバイスアダプタを介して滅菌インターフェースを提供することができる。「駆動モジュール」は、デバイスモジュールとカセットの組み合わせを指す。
【0043】
一実施例において、EMDは、カテーテル近位端のハブとハブからカテーテル遠位端へ延伸した可撓性シャフトとを有するカテーテルであり、シャフトがハブより柔軟である。一実施例において、カテーテルは、ハブとシャフトとの間で遷移する中間部を含み、その中間部が、ハブよりも柔らかく且つシャフトよりも硬い中間柔軟性をもつ。一実施例において、中間部はストレインリリーフである。
【0044】
部材(例えば、カテーテル式処置システムにおけるEMDや他の要素)の長手方向軸(長手軸、縦軸)は、部材の近位部分から部材の遠位部分に向かう方向に部材の横断面の中心を通る、部材の長さ方向の線又は軸である。例えば、ガイドワイヤの長手方向軸は、たとえガイドワイヤが関連する部分において直線でなくとも、ガイドワイヤの近位部分からガイドワイヤの遠位部分に向かう方向の中心線である。
【0045】
部材の軸方向移動は、部材の長手方向軸に沿った部材の並進(平行移動)を意味する。例えば、EMDの遠位端をその長手方向軸に沿って遠位方向に患者の中へ又はさらに中へと軸方向移動させる場合、EMDは前進中である。EMDの遠位端をその長手方向軸に沿って近位方向に患者から外へ又はさらに外へと軸方向移動させる場合、EMDは引き抜かれている。
【0046】
この点に関し、軸方向挿入は、第1の部材を第2の部材の長手方向軸に沿って第2の部材の中へ挿入することを意味する。例えば、コレットに軸方向装填されるEMDは、コレットに軸方向で挿入される。軸方向挿入の一例は、ガイドワイヤの近位端にカテーテルを後方装填することと言える。横方向挿入は、第1の部材を第2の部材の長手方向軸に対し直交する面内の方向に沿って第2の部材に挿入することを意味する。横方向挿入は、半径方向装填又は側方装填とも呼び得る。
【0047】
部材の回転動作は、部材の局部長手方向軸の周りの部材の角度方向における変化をいう。例えば、EMDの回転動作は、印加トルクによるEMDの長手方向軸の周りの時計回りの回転又は反時計回りの回転に対応する。連続動作は、リセットを必要としない中断無しの動作を指し、不連続動作は、リセットを必要とする中断有りの動作を指す。
【0048】
「遠位」と「近位」は、2つの異なる部分の相対的位置を定義する。ロボット駆動装置に関して言うと、「遠位」及び「近位」は、目的の用途における患者に対するロボット駆動装置の位置によって定義される。
【0049】
相対的位置を定義するために使用される場合、遠位部分は、ロボット駆動装置がその使用目的の位置にあるときの、近位部分よりも患者に近いロボット駆動装置の部分である。患者の中では、アクセスポイントから経路に沿ってより遠くにある脈管構造ランドマークは、アクセスポイントに近いランドマークよりも遠位であると見なされる。なお、アクセスポイントはEMDが患者に入るポイントである。同様に、近位部分は、ロボット駆動装置がその使用目的の位置にあるときの、遠位部分よりも患者から遠い部分である。
【0050】
方向を定義するために使用される場合、遠位方向は、何かが動いている、又は、何かを動かすことを目的とする、又は、何かが近位部分から遠位部分及び/又は患者の方を目指しているか向いている、ロボット駆動装置が使用目的の位置にあるときの経路を指す。近位方向は遠位方向の反対方向である。例えば、図1を参照すると、患者に対面している操作者の視点からロボット装置が示されている。この配置の場合、遠位方向は正のX座標軸の方向で、近位方向は負のX座標軸の方向である。
【0051】
モジュールの動作に関して、図3を参照すると、EMDは、ロボット駆動装置24の遠位端を規定するイントロデューサインターフェース支持体74を通って患者に向かう経路を遠位方向へ移動する。ロボット駆動装置24の近位端は、負のX軸の方向に遠位端から最も遠い所である。
【0052】
個々のモジュールの位置に関して、図3も参照すると、最も遠位のデバイスモジュールは、ロボット駆動装置24の遠位端に最も近いデバイスモジュール32aである。最も近位のデバイスモジュールは、負のX軸の方向にロボット駆動装置24の遠位端から最も遠くに位置するデバイスモジュール32dである。デバイスモジュールの相対的位置は、ロボット駆動装置の遠位端に対するそれらの相対的位置によって決定することができる。例えば、デバイスモジュール32bは、デバイスモジュール32cより遠位にある。
【0053】
EMD又はロボット駆動装置の遠位/近位部分、部位、又は端部に関して、カセット66a及びデバイスモジュール68aの部分は、ロボット駆動装置の遠位端に対するそれらの相対位置によって定義される。例えば、カセットがデバイスモジュール68aの使用位置にあるとき、カセット66aの遠位端は、ロボット駆動装置の遠位端に最も近いカセットの部分であり、カセット66aの近位端は、負のX軸の方向にロボット駆動装置の遠位端から最も遠いカセットの部分である。別の言い方をすれば、カセット66aの遠位端は、使用位置にあるときに、EMDが患者に至る経路で患者に最も近いカセットの部分である。
【0054】
前述したように、一実施例に係る制御ステーション26は、ベッドサイドユニット20を制御するために各種の入力システムを含むことができる。入力システムは、ロボット駆動装置24の動作を制御する(又は指示する)ためにユーザが操作することのできる各種の入力制御器(例えば、ボタン、スクロールホイール、ジョイスティックなど)を含むことができる。これらの入力制御器は、複数のEMDの独立した(時には同時の)動作を必要とする所定のタスクを実行するために必要な機能及びその協働順列決定を容易にするべく、入力システムにおいて様々なレイアウト又はパターンで配列することができる。
【0055】
さらに、一実施例に係る入力システムは、各種の制御モードで作動するように構成することができる。第1の制御モードにおいて入力システムの1つ以上の制御器に割り当てられている機能は、第2の制御モードにおいて1つ以上の制御器に割り当てられている機能とは異なる場合があり、制御モードは、実行される処置、制御される1つ以上のデバイス、ユーザの好み、又はあらゆる他の因子に基づいて選択され得る。入力システムは、ユーザ又は制御コンピューティングシステム34からの入力に応答して、複数の制御モードを切り替えるように構成することができる。
【0056】
ここに説明される入力システムは、制御ステーション26の表面に、固定され、集積され、又は単純に上に置かれ得る。ここに説明するように、入力システムは、1つの一体型ハウジング又は複数の個別可動ハウジングを備えることができる。
【0057】
一実施例に係る図4Aは、カテーテル式処置システムのロボット駆動装置を制御するための入力システム400の斜視図である。以下に説明するように、入力システム400は、ユーザの右手の第1の指及び第2の指を用いて、1つ以上のEMDのセットの選択及び選択したEMDのセットの直線動作を簡単に行うことができ、そして、ユーザの左手を用いて、選択したEMDのセットの回転、又は、1つ以上のEMDの第2のセットの選択及び直線動作、のいずれかを簡単に行うことができる。後者の場合、第1の(最初の)セットと第2のセットの両方に属するEMDは無い。
【0058】
入力システム400は、右側制御器ハウジング420と左側制御器ハウジング430とを含んだメインハウジング410を含む。これらハウジング410,420,430は、熱可塑性材料を含む(これに限定されない)あらゆる適切な材料からなる。ハウジング410,420,430は、入力システム400の各制御器に帰属する機能を実行するための機械的及び電気的コンポーネントを収容する。
【0059】
図4Bに図示してあるように、一実施例において、右側制御器ハウジング420及び左側制御器ハウジング430の個々の水平位置及び回転位置は、操作者によって変更することができる。ユーザの快適レベルを上げるために(すなわち、操作者の体型に位置を適合させるために)位置を変更することができる。図示の例では、図4Aに示されたそれぞれの位置と比較して、ハウジング420の水平位置は左側へシフトさせてあり、ハウジング430の水平位置も左側へシフトさせてある。加えて、ハウジング420はわずかに時計回りに回転させてあり、ハウジング430はわずかに反時計回りに回転させてある。ハウジング420,430それぞれの水平移動又は回転移動の方向と量は同一である必要はない。
【0060】
一実施例において、ハウジング410の要素(図示せず)が、各ハウジング420,430をその現在位置からリリースし、望むとおりに水平位置及び/又は回転位置を調節し、以下に説明するとおり操作中にその位置が不用意に変わることのないように調節後は各ハウジング420,430の水平位置及び回転位置を固定するために、操作され得る。ハウジング410の要素は、右側制御器ハウジング420と左側制御器ハウジング430との間の水平距離を固定して、両方のハウジング420,430が同じ方向に等距離移動できるだけにしてもよいし、あるいは、水平距離を調節できるようにしてもよい。回転の調節は、どちらの回転方向においても、特定の程度に限定してあってもよい。
【0061】
図5A及び図5Bは、入力システム400の左方と右方の斜視図であり、入力システム400の制御器に関する次の説明を理解しやすくするために提供される。
【0062】
右側制御器ハウジング420は、表面421と表面425とを含む。図5Bに最も明確に示されているように、表面421と表面425とは互いに同一面ではない。表面425を通常は「上」面と呼び、表面421を通常は「側」面と呼ぶことができる。
【0063】
両表面421,425のいずれかが、適切な方法で曲げられる又は成形される。両表面421,425のいずれかが曲げられ又は成形されることで、その上に集積される制御器を操作するユーザの指の快適なポジショニングが可能になる。表面421,425上の操作時の使用者の手のポジショニングについては後述する。
【0064】
一実施例において、制御器422,423,424は第1の表面421に集積される。本実施例において、このような集積は、各制御器422,423,424が臨む表面421の開口の提供から達成される。一実施例において、1つ以上の制御器が、表面421への装備を通して表面421に集積される。一実施例において、表面421は、制御器422,423,424が臨む1つの開口を画定する。
【0065】
制御器422,423,424が配置される表面421の部位は、同一面である必要はない。一実施例によれば、制御器422,423,424のうちの1つ以上は、制御器422,423,424の別の1つ以上が配置される表面421の部位に対して湾曲している表面421の部位に、配置される。図示のように、表面421は、同一面ではない2つの面からなると見なすことができ、そのうちの1つに制御器422,423が集積され、別の1つに制御器424が集積される。
【0066】
この実施例によれば、制御器424はスクロールホイールからなり、制御器422,423は2値ボタンからなる。制御器422又は制御器423をユーザが操作する(すなわち、押す)と、制御器422又は制御器423が押されたことを示す信号が発生する。例えば、制御器422又は制御器423が押した状態で保持されたとき、及び/又は、制御器422又は制御器423が押した状態と押していない状態との間でスイッチされたときに、信号が生成される。一実施例によれば、制御器422,423の一方又は両方は、押下される程度に基づいて最小値と最大値との間で変化する制御信号を生成するアナログ入力制御器からなる。
【0067】
スクロールホイール424は、右側制御器ハウジング420の中に部分的に収容され、スクロールホイール424の一部が表面421から外側に突き出してユーザにより操作可能であり、一方で、スクロールホイール424の反対の部分は右側制御器ハウジング420の中に位置する。スクロールホイール424の回転軸は、表面421とほぼ平行であり、その結果、ユーザによって回転させられると、スクロールホイール424の露出部分の一部がハウジング420の中へ移動すると共に、スクロールホイール424の隠れていた部分の一部がハウジング420の外へ移動して使用者の視界に入る。
【0068】
スクロールホイール424の回転は、スクロールホイール424がどのくらい長く、どの方向に(及び、一実施例において、どれくらい速く)回転したかを示す信号を生成する。一実施例において、スクロールホイール424は、スクロールホイール424の個々の回転位置を提供するように構成された複数の戻り止め(爪)を含む。スクロールホイール424がこれらの位置間を回転するとき、戻り止めはユーザに触覚フィードバックを提供する。例えば、戻り止めは、スクロールホイール424の回転に対して初期抵抗を与えることができるが、その後にスクロールホイール424が十分に長く回転するとホイールをプッシュし、結果、スクロールホイールを次の回転位置へ飛ばす又は「はずませる」。スクロールホイール424は、戻り止めにより規定される回転位置の間を動く度に信号を生成するように構成され、スクロールホイール424が第1の方向に回されると第1の信号を提供し、第1の方向と反対の第2の方向に回される第2の信号を提供する。
【0069】
選択制御器426は、制御器427a,427b,427c,427dを含む。選択制御器426は、一実施例において、表面425に集積されている。図示の例の場合、表面425は、制御器426にある制御器427a,427b,427c,427dのそれぞれが臨む開口を画定している。制御器427a,427b,427c,427dの各々は、制御器426が実質的に表面425の上及び/又は中にあると見なすことのできる他の適切な方法で表面425に集積することができる。制御器427a,427b,427c,427dのうちの1つ以上は、制御器427a,427b,427c,427dのうちの他の1つ以上が配置される表面425の部位に対して湾曲している表面425の部位に配置され得る。
【0070】
制御器427a,427b,427c,427dは、押されたときに信号を生成するボタンからなる。生成された信号は、使用者が制御器427a,427b,427c,427dのうちの1つ以上を同時に押した場合に、制御器427a,427b,427c,427dのうちのどれが押し下げられたかを決定することを可能にする。
【0071】
通常、制御器427a,427b,427c,427dの各々は、EMDを選択するためにユーザの手の指によって操作可能であり、一方、制御器422,423,424の各々は、選択されたEMDを第1の自由度で(例えば、直線的に)動作させるようにロボット駆動装置24に指示するためにユーザの手の別の指によって操作可能である。例えば、制御器422が直線前進速度制御器からなり、制御器423が直線後進速度制御器からなる。制御器424は、直進位置制御器であり得る。
【0072】
一実施例において、ユーザは、制御器427a,427b,427c,427dのうちの1つ以上を押して、対応する1つ以上のEMDを選択し、次いで、制御器422,423,424を選択的に操作して、選択された1つ以上のEMDを予定したとおりに直線的に動作させるようロボット駆動装置24に指示する。制御器427a,427b,427c,427dのうちの1つ以上を押しそしてリリースすることが、別の1つ以上のEMDが選択されるまで、対応する1つ以上のEMDの選択を生じさせる。あるいは、EMDの選択は、対応する制御器427a,427b,427c,427dが押されている間にのみ起こる。後者の場合、ロボット駆動装置は、対応する制御器427a,427b,427c,427dのいずれかが押され且つ制御器422,423,424のうちの1つが同時に操作されているときにのみ、EMDを動かすように指示される。
【0073】
一実施例において、制御器427dは制御器427a,427b,427cのいずれよりも大きく、ガイドワイヤに対応する。当該実施例の場合、制御器427a,427b,427cの各々は、それぞれのカテーテルに対応する。実施例は、4つの制御器426又はEMD及び制御器426が同じ数である例に限定されない。また、実施例は、制御器427a,427b,427c,427dとそれぞれのEMDとの間の対応関係が固定されている例に限定されない。対応関係は、動作モード及び/又はロボット駆動装置24の各カセットに装填された特定のデバイスに応じて変えることができる。
【0074】
ノブ442及びファンクションボタン444は、メインハウジング410の表面440に集積されている。表面440は、表面421又は表面425のいずれかと同一面ではない。ノブ442は、表面440に搭載されているか、表面440から突き出ているか、又は、他の方法で表面440に物理的に連結されている。ノブ442は、回転位置制御器であり、ユーザの左手で操作することができ、制御器426を利用して選択された1つ以上のEMDを対応して回転させるようにロボット駆動装置24に指示を出せる。
【0075】
ノブ442の回転は、ノブ442がどれくらい長く、どの方向に(及び、一実施例において、どれくらい速く)回転したかを示す信号を生成する。一実施例において、ノブ442は、個々の回転位置を提供するように構成された複数の戻り止めを含む。戻り止めは、ノブ442の回転に対して初期抵抗を提供するが、ノブ442を次の回転位置へ付勢することもできる。ノブ442は、戻り止めによって規定される回転位置の間を移動する度に信号を生成するように構成することができ、ノブ442が時計回りに回転したときに第1の信号を、反時計回りに回転したときに第2の信号を提供する。
【0076】
ファンクションボタン444は、入力システム400の他の制御器の操作に応答してEMDが動くときの速度を変化させるなど、システムモード又は設定を制御するように構成することができる(これに限定されるものではない)。ファンクションボタン444を押して保持すると、「ターボ」モードが起動し、現在選択されているEMD(後述する制御器436によって選択されたEMDを含む)の移動速度を増加させたり、又は、「精密」モードが起動し、移動速度を低下させたりする。他のモードとして、アルゴリズム的動作プロファイルが含まれ、例えばこのプロファイルが起動すると、EMDが前進した後に後退するごとに所定の程度スピンする。1つ以上のファンクションボタン444は、モードを維持するためにユーザが押し続けることを必要とするのではなくて、ユーザーが押す度に応答して対応するモードを交互に起動し無効にするトグルとして作動することも可能である。
【0077】
左側制御器ハウジング430は、表面431と表面435とを備える。図5Aは、表面421と表面425とが同一面ではないことを示している。右側制御器ハウジング420の表面421及び425と同様に、表面435を通常「上」面と呼び、表面431を通常「側」面と呼ぶこともできる。両方の表面431,435のいずれかが、例えば、ユーザの左手の指での制御器432,433,434の操作を良くする様式でユーザの左手の部位をサポートするような、なんらかの様式で湾曲させたり成形してあってよい。
【0078】
制御器432,433,434は、一実施例において、第1の表面431に集積されている。集積は、表面431に画定された1つ以上の開口から達成され、この開口に制御器432,433,434の各々が臨んでいる。一実施例において、1つ以上の制御器が、表面431への装備を介して表面431に集積される。一実施例において、制御器432,433,434のうちの1つ以上は、制御器432,433,434の他の1つ以上が位置する表面431の部位に対して湾曲している表面431の部位に、配置される。表面431は、同一面ではない2つの面からなると見なすことができ、そのうちの1つに制御器432,433が集積され、他の1つに制御器434が集積される。
【0079】
制御器434はスクロールホイールからなり、制御器432,433は2値ボタンからなる。制御器422,423に関して説明したように、制御器432又は制御器433がユーザによって押されたときに信号が発生する。制御器432又は制御器433が押圧された状態で保持されたとき、及び/又は、制御器432又は制御器433が押されてからリリースされたときに、信号が生成される。一実施例によれば、制御器432及び制御器433の一方又は両方は、制御器が押し下げられた程度に基づいて最小値と最大値との間で変化する制御信号を生成するアナログ入力制御器からなる。
【0080】
スクロールホイール434は、スクロールホイール424に関して説明したように、左側制御器ハウジング430の中に部分的に収容されている。スクロールホイール434の回転で、回転角度の範囲及び方向を示す信号が生成される。一実施例において、スクロールホイール434は、スクロールホイール424に個々の回転位置を提供するように構成された複数の戻り止めを含む。戻り止めは、上述のように、ユーザに触覚フィードバックを提供することができる。
【0081】
選択制御器436は、制御器437a,437b,437cを含む。選択制御器436は、一実施例において、表面435に集積されている。例えば、表面435は、制御器437a,437b,437cのそれぞれが臨む開口を画定している。制御器426に関して説明したように、制御器437a,437b,437cは、押されたときに信号を発生するボタンとすることができる。発生した信号は、ユーザが制御器437a,437b,437cのうちの1つ以上を同時に押した場合に、制御器437a,437b,437cのうちのどれが押されているか判断できるようにする。
【0082】
制御器437a,437b,437cの各々は、EMDを選択するために、ユーザの左手の指(例えば、親指)によって操作することができる。図示の例において、制御器437a,437b,437cは、ロボット駆動装置24に装填された3つのカテーテルに対応しており、制御器437a、437b,437cのいずれもガイドワイヤに対応してはいない。実施例は、制御器437a,437b,437cと各EMDとの間の対応関係が固定されている例に限定されない。対応関係は、動作モード及び/又はロボット駆動装置24の各カセットに装填された特定のデバイスに応じて変えることもできる。
【0083】
制御器437a,437b,437cのうちの1つ以上の制御器437a,437b,437cを押してリリースすることにより、対応する1つ以上のEMDが、別の1つ以上のEMDが選択されるまで、選択されるか、又は、EMDの選択は、対応する制御器437a,437b,437cが押されている間にのみ、行われる。
【0084】
制御器432,433,434の各々は、ユーザの左手の別の指(例えば、人差し指)によって操作可能であり、現在選択されているEMDを第1の自由度で(例えば、直線的に)移動させるようにロボット駆動装置24に指示する。例えば、制御器432が直線前進速度制御器であり、制御器433が直線後進速度制御器であり、制御器434が直進位置制御器である。
【0085】
一実施例に係る図6A及び図6Bは、操作時の入力システム400の斜視図である。概して言うと、図6Aは、制御器426を利用して選択されたEMDを第1の自由度(例えば、直進)で動作制御するための制御器422,423,424の操作と、選択されたEMDを第2の自由度(例えば、回転)で動作制御するためのノブ442の操作を示す。
【0086】
図6Aに示すように、ユーザの右手610は、親指612が表面425の制御器426の上に置かれ、人差し指614が表面421の制御器422,423,424の上に/周辺に置かれている、状態である。この手の配置は、表面421及び表面425の同一面ではない相対的な位置によって容易になっている。
【0087】
上述のように、ユーザは、対応する1つ以上のEMDを選択するために、1つ以上の制御器427a,427b,427c,427dを親指612で操作することができる(すなわち、押す)。また、ユーザは、選択された1つ以上のEMDを、親指612を使用して第1の自由度(例えば、直進)で望むように動作させるようにロボット駆動装置24へ指示を出すべく、制御器422,423,424を選択的に個々に操作することができる。1つ以上のEMDの選択は、対応する1つ以上の制御器427a,427b,427c,427dを押してリリースすることによって実施することができ、この場合、当該選択は、他の1つ以上のEMDが選択されるまで維持される。あるいは、選択は、いずれかの対応する制御器427a,427b,427c,427dを押してそのまま保持することによって実施することができる。
【0088】
1つ以上のEMDが制御器426を利用して選択される一方で、図6Aには、ユーザの左手620が表面440の上に置かれていることも示されている。左手の親指622及び左手の人差し指624がノブ442をつまんでノブ442を回転させ、制御器426によって選択された1つ以上のEMDを回転させるようにロボット駆動装置24に指示を出す。左手620の他の指は、左手620の際立った動きを必要とせずに、また、一実施例においては、左手の親指622及び左手の人差し指624をノブ442から離すことを必要とせずに、ファンクションボタン444のうちの所望の1つを選択するために利用可能である。
【0089】
ロボット駆動装置24に配置された1つ以上のEMDを回転させることが望ましくない場合がある。例えば、ステント回収器、バルーンカテーテル、又は塞栓コイルを回転させることは、ある状況では望ましくない場合がある。したがって、ここに説明する入力システムを用いてそのようなEMDを選択する場合、ユーザは、EMDの回転を許可するかどうかディスプレイ30を通して問われる。EMDの回転が許可されない場合、ユーザが例えばノブ442などのEMDに関連する制御器を操作しても、対応する信号がロボット駆動装置24に送信されないか、又は、ロボット駆動装置24が当該信号を無視するように構成されるか、のいずれかによって、回転は無効化される。
【0090】
一実施例において、システム10は、ロボット駆動装置24の各位置に装填されたEMDのタイプを認識している。選択された位置に特定のタイプのEMDが装填されている場合、ユーザの介入を必要とせずに上述したとおり回転を自動的に無効とすることもできる。当該実施例では、ユーザが、選択された位置に装填されたEMDに関してここに説明するような回転制御が行われるように、その無効化を解除することも可能であり得る。
【0091】
図6Bは、ユーザの左手620が左側制御器ハウジング430に移動した入力システム400の操作を示している。図6Bは、制御器426を利用して選択されたEMDの第1の自由度(例えば、直進)での動作を制御するための制御器422,423,424の操作と、制御器436を利用して選択された他のEMDの第1の自由度(例えば、直進)での動作を制御するための制御器432,433,434の操作を、図示している。
【0092】
左手620は、親指622が表面435の制御器436の上に置かれ、人差し指624が表面431の制御器432,433,434の上/周辺に置かれるように、配置される。右側制御器ハウジング420に関して上述したように、このような左手の配置は、表面431及び表面435の同一面ではない相対位置によって容易とされる。
【0093】
ユーザは、対応する1つ以上のEMDを選択するために、1つ以上の制御器437a,437b,437cを親指622で操作する(すなわち、押す)ことができる。一実施例において、右側制御器ハウジング420の制御器426を利用して現在選択されているいずれかのEMDは、制御器437a,437b,437cを利用して選択することができない。ユーザは、親指632を用いて選択した1つ以上のEMDを第1の自由度(例えば、直進)で思うように動作させるべくロボット駆動装置24に指示を出すために、制御器432,433,434を選択的に個々に操作することができる。1つ以上のEMDの選択は、制御器437a,437b,437cの対応するどれかを押してリリースする又は押したまま保持することによって、行うことができる。
【0094】
一実施例に係る図7は、制御器426の詳細な図である。図7の制御器426は、1本の指、例えば親指、を使用して1つ以上のEMDを選択できるようにするものである。制御器426は、トグル選択(すなわち、選択にあたり押してリリースする)又は「連続作動」(対応する制御器が押し下げられている間にのみEMDが選択される)を可能にする。実施例は図7の制御器426に限定されない。
【0095】
一実施例において、制御器427a,427b,427cは、制御器427a,427b,427cを探るときに表面425を横切るユーザの親指によって描かれることになる弧状におおよそ対応するように第1の弧状にして配置され、その結果、親指は、手を置き直さずとも(位置を変えずとも)制御器427a,427b,427cの各々の上に適切に置くことができる。制御器427dも同様の理由で弧状に成形され得る。
【0096】
一実施例において、制御器427a,427b,427cの各々は、それぞれの駆動位置1,2,3に装填されたカテーテルに割り当てられる。制御器427dは常にガイドワイヤに対応している。一実施例において、ガイドワイヤが位置2に装填される場合、位置2に割り当てられていた制御器427a,427b,427cが無効になる(すなわち、位置2に装填されたガイドワイヤを選択するためには使用できない)。
【0097】
制御器426は、制御器の組み合わせを複数選択できるようにも配列されている。親指で位置710を押すと、制御器427aに対応するEMD(例えば、位置1に装填されたカテーテル)が選択されることになる。一方、親指で位置720を押すと、制御器427b(例えば、位置2に装填されたカテーテル)と制御器427c(例えば、位置3に装填されたカテーテル)とに対応するEMDが選択される。さらに、親指で位置730を押すと、制御器427a(例えば、位置1に負荷されたカテーテル)、制御器427b(例えば、位置2に負荷されたカテーテル)、及び制御器427d(例えば、ガイドワイヤ)に対応するEMDが選択される。
【0098】
一実施例において、制御器426の各々は、複数の制御器の同時押しを可能にするために、間の細いギャップに比較して広い。一実施例において、各制御器426の間に配置される静的構造がいずれも省かれる。制御器426の各々の縁は、押し1,2,3ボタンの間の触覚的区別を提供するように成形されていてもよい。
【0099】
一実施例において、制御器426の各々は、作動力が低くてよく、作動ポイントを通過する際に触覚を提供し、作動ポイントを通過するオーバートラベルを可能にする。オーバートラベルは、他の制御器(例えば、制御器422,423,424)を同じ手で操作しながら、作動ポイントを越えて制御器を押すことを容易にする。一実施例において、表面425の上の制御器427a,427b,427cの高さは、接触だけでそれらを区別できる能力を高めるために、表面425の上の制御器427dの高さと異なる。制御器426のそれぞれは、縁で押された場合であっても、比較的直線的な行程及び比較的平坦な輪郭の維持を保証する設計特性を含むことができる。
【0100】
いくつかの処置は、EMDの前述の組み合わせを選択する必要性を示す。ここで、EMDが配置される駆動位置を番号が示し、「W」がガイドワイヤを表すとして:1+2;2+3;1+W;2+W;3+W;1+2+W;及び2+3+W。これらの配列は、制御器426の対応する位置を親指1本で押すことによって、これらの臨床的に適切なEMDの組み合わせをそれぞれ選択することができるようにする。図7を参照すると、位置710を親指で押すと制御器427aが押し下げられて1つのEMDが選択され(例えば、1)、位置720を親指で押すと制御器427b及び制御器427cが押し下げられて2つのEMDが選択され(例えば、2+3)、位置730を親指で押すと制御器427a、制御器427b、及び制御器427dが押し下げられて3つのEMDが選択される(1+2+W)。図7に図示された3つの選択手法は、次の組み合わせを説明していないことに言及しておく:1+2+3;1+3+W;及び1+2+3+W。これらは多くの状況において特に有益ではないかもしれない。しかしながら、これら後者の組み合わせは、図7の制御器426から排除されるわけではない。
【0101】
一実施例に係る図8は、カテーテル式処置システム用の入力システム800の、右側制御器ハウジング820と左側制御器ハウジング830の斜視図である。入力システム800の制御器は、物理的に別々に配置されているものの、上述の入力システム400の制御器と同一であり、同様に作動し得る。したがって、入力システム400の図中で4××の符号を付してある制御器及びコンポーネントは、入力システム800の図中で8××の符号を付してあり、同様の説明が適用される。
【0102】
右側制御器ハウジング820と左側制御器ハウジング830とは、1つのメインハウジングに集積されていない。したがって、ユーザは、右側制御器ハウジング820及び/又は左側制御器ハウジング830を、互いに遠ざけたり互いに近づけたり、思うように個々に移動させることができる。表面840のノブ842は、ここでは左側制御器ハウジング830の左方に配置される。また、ファンクションボタン844は、右側制御器ハウジング820の右方に配置される。
【0103】
操作に関する一実施例において、ユーザの右手610は、右側制御器ハウジング820の表面825の制御器826の上に親指を置き、表面821の制御器822,823,824の上に人差し指を置くように、配置される。右手親指は制御器826を操作して1つ以上のEMDを選択し、右手人差し指は制御器822,823,824を同時に操作して、選択されたEMDの動作を第1の自由度(例えば、直進)で制御するべくロボット駆動装置24に指示する。同時に、ユーザの左手はノブ842を操作し、選択されたEMDの動作を第2の自由度(例えば、回転)で制御する。
【0104】
ユーザの左手は、表面835の制御器836の上に左手親指を置き、表面831の制御器832,833,834の上/周辺に左手人差し指を置くようにして、左制御器ハウジング830に移動もし得る。ユーザは、左手親指で制御器836を操作して対応する1つ以上のEMDを選択することができ、左手人差し指で制御器832,833,834を操作して、制御器836を利用して選択されたEMDの動作を第1の自由度(例えば、直進)で制御するべくロボット駆動装置24に指示することができる。
【0105】
一実施例に係る図9Aは、カテーテル式処置システムのロボット駆動装置を制御するための入力システム900の斜視図である。図10A及び図10Bに、入力システム900の左方と右方の斜視図を示す。
【0106】
入力システム900は、ユーザの右手の第1の指を使用するEMDの直線動作及びユーザの右手の第2の指を使用するEMDの回転動作の制御と、ユーザの左手の第1の指を使用する選択されたEMDの直線動作及びユーザの左手の第2の指を使用するEMDの選択及び選択されたEMDの回転動作の制御と、を容易に行えるようにする。このような操作配置を図9Bに示す。
【0107】
入力システム900は、右側制御器ハウジング920及び左側制御器ハウジング930を含んだメインハウジング910を含む。右側制御器ハウジング920は、互いに同一面にない「側」面921と「上」面925とを含む。両方の表面921,925のいずれかは、表面のそれぞれに接触させようとするユーザの手の部位を快適にサポートするために、湾曲させる又は成形される。
【0108】
制御器922,923,924は、一実施例において、第1の表面921に集積されている。この実施例において、制御器924は上述のようなスクロールホイールからなり、制御器922,923は2値ボタンからなる。制御器922は直線前進速度制御器であり、制御器923は直線後進速度制御器であり、制御器924は直進位置制御器であり得る。制御器922,923,924の各々は、ユーザの右手の指(例えば、人差し指)による操作用に配列される。
【0109】
制御器926は、表面925に集積され、スクロールホイールからなる。制御器926は、回転位置制御器とすることができる。制御器926の回転軸は、制御器926の表面を左から右へ及び右から左へ横切る動きでユーザの右手親指をドラッグすることに応答して回転できるように、決められる。ユーザの右手親指による制御器926のこの操作は、ユーザの右手の別の指による制御器922,923,924の操作と同時に起こり得る。
【0110】
入力システム900の右側制御器ハウジング920は、EMD選択制御器を含まない。したがって、右側制御器ハウジング920の制御器は、操作時、ガイドワイヤなどの1つのEMDの直進動作及び回転動作の制御専用とすることができる。この専用とするEMDは、制御コンピューティングシステム34又はロボット駆動装置24の他の制御要素によって選択可能である。
【0111】
制御器927は、上述したターボモードのような機能を瞬時に作動させることができる。ユーザの右手親指で制御器927を作動させる間に制御器926を正確に操作することは難しいので、このようなターボモードは、制御器922、制御器923、及び/又は制御器924を利用して制御される直進動作に対してのみ適用される。さらに、ターボモードは、他のカテーテルの中でガイドワイヤを直線的に動かす場合など、回転が不要なシナリオに最も適していると考えられる。
【0112】
左側制御器ハウジング930は、側面931及び上面935を含む。表面931及び表面935は、図9Bに示すように、ユーザの左手の部位をサポートするために湾曲させる又は成形される。
【0113】
制御器932,933,934は、一実施例において、第1の表面931に集積されている。制御器934は上述したような直進位置制御器としてスクロールホイールであり、制御器932,933は、上述したような直進速度制御装置として2値ボタンである。制御器932,933,934の各々は、ユーザの左手の指(例えば、人差し指)による操作用に配列される。
【0114】
制御器936は表面935に集積されており、回転位置制御器としてスクロールホイールからなる。制御器936は、図9Bに示すように、ユーザの左手親指によって操作するポジションに配置されている。すなわち、左手制御器932,933,934,936は、右手制御器922,923,924,926と類似している。右手制御器922,923,924,926とは異なり、左手制御器932,933,934,936によって動作が制御されるEMDは、選択制御器937を利用してユーザによって選択可能である。
【0115】
具体的には、3つの制御器937の各々が、ユーザの左手親指によって選択され、対応するEMDが制御すべく選択される。制御器937の1つ以上を押し下げながら制御器936を操作するのは容易ではないので、制御器937の各々は、対応するEMDを制御すべく選択するために1回だけ押し下げればよい。例えば、2つのカテーテルを選択するために、ユーザは左手親指で制御器937の1つを押し、選択した制御器937をリリースし、次に左手親指で制御器937の1つを押してリリースする。そうして、親指を制御器936に移動させて、2つの選択されたEMDの回転動作を制御する。
【0116】
制御器938は「選択解除」制御器として機能する。ユーザは、左手親指で制御器938を押してリリースし、制御器937によって現在選択されている全てのEMDを選択解除する。このような配置は、所定の時間で制御システムの状態をユーザが理解することに役立つ。
【0117】
一実施例に係る図11は、カテーテル式処置システム用の入力システム1100の右側制御器ハウジング1120及び左側制御器ハウジング1130の斜視図である。入力システム1100の制御器は、物理的な配置は異なるが、上述の入力システム900の制御器と同一である。入力システム900の図中で9××の符号を付した制御器及びコンポーネントは、入力システム1100の図中で11××の符号を付して表されており、同様の説明が適用される。
【0118】
右側制御器ハウジング1120と左側制御器ハウジング1130とは、1つのメインハウジングに集積されてはいない。したがって、使用しやすさ、快適さ、又はその他の理由から、ユーザは、右側制御器ハウジング1120及び/又は左側制御器ハウジング1130を、互いに遠ざけたり近づけたり、思いどおりに移動させることができる。右側制御器ハウジング1120の制御器及び左側制御器ハウジング130の制御器の操作は、入力システム900に関して説明した操作と同様に進めることができる。
【0119】
図12A図13A、及び図13Bに示す入力システム1200は、入力システム900の右手制御器ハウジング920と同様の右手制御器ハウジング1220と、入力システム400の左手制御器ハウジング430と同様の左手制御器ハウジング1230と、を備える。したがって、右手制御器ハウジング1220の要素は、右手制御器ハウジング920の同様に符号を付してある要素と同様に機能すると仮定してよい。
【0120】
ただし、入力システム900の制御器922,923,924,926によって制御されるEMDは、入力システム900を使用してユーザ選択可能にはなっていないと前述した。対照的に、制御器1244は、表面1221の制御器1222,1223,1224のユーザ操作を介して直進動作を制御することができる1つ以上のEMDを選択するべく、操作することができ、該EMDの回転動作は、コントロール1226のユーザ操作を介して制御することができる。
【0121】
図12Bは、上記の方法による入力システム1200の操作を示す。具体的に、左手1260が制御器1244の上/周辺に置かれ、親指及び第1の3本の指が、それぞれ制御器1245d,1245a,1245b,1245cとおおよそ対応させて置かれる。一実施例において、制御器1245dはガイドワイヤに対応し、制御器1245a,1245b,1245cは、それぞれ位置1,2,3に装填されるEMDに対応する。4つのEMDの組み合わせをいずれか選択するために、左手1260を使用して、制御器1245d,1245c,1245b,1245aの対応するものを押して保持する。次いで、右手1250の親指で制御器1226を操作し、右手1250の別の指で制御器1222,1223,1224の1つを操作するようにして、選択されたEMDの回転動作及び直進動作を上述のように制御することができる。
【0122】
図12Cは、左手1260の左側制御器ハウジング1230への移動を示しており、一方、右手1250は、右側制御器ハウジング1220でその位置を維持する。左手1260は、入力システム400の左側制御器ハウジング430に関して上述したように左側制御器ハウジング120の制御器を操作することができる。具体的には、左手親指で制御器1237a,1237b,1237cのうちの1つを押し下げ、対応する(ガイドワイヤではない)EMDを選択し、左手人差し指で制御器1232,1233,1234を操作して、選択されたEMDの直進動作を制御するべくロボット駆動装置24に指示する。右側制御器ハウジング1220上では、右手親指が制御器1227を押して保持し、ガイドワイヤを作動させ、その時点で、右手人差し指は、制御器1222,1223,1224を操作してガイドワイヤの直進動作を制御するべくロボット駆動装置24に指示する。
【0123】
以上のとおり、入力システム1200は、例えば、EMDの2つの自由度(すなわち、図12B)又は2つの別々のEMDの各々の1つの自由度(すなわち、図12C)を任意制御するのに有用である。1本の手の制御に対応する1つ以上のEMDのセットを選択する能力から見ると、図12Bの操作は、1つ以上のEMDのセットの各々の2つの自由度を制御し、図12Cの操作は、1つ以上のEMDの2つの別々のセットの各々の1つの自由度の制御を示す。
【0124】
一実施例に係る図14は、カテーテル式処置システム用の入力システム1400の右側制御器ハウジング1420と左側制御器ハウジング1430の斜視図である。入力システム1400の制御器は、物理的配置は異なっているものの、上述の入力システム1200の制御器と同一であり、同様に作動し得る。したがって、入力システム1200の図中で12××の符号を付した制御器及びコンポーネントは、入力システム1400の図中で14××の符号を付して示され、同様の説明が適用される。
【0125】
右側制御器ハウジング1420と左側制御器ハウジング1430とは物理的に分離されている。したがって、ユーザは、右側制御器ハウジング1420及び/又は左側制御器ハウジング1430を別々に移動させることができる。選択制御器1444が左側制御器ハウジング1430の左方に配置されて示されているが、左側制御器ハウジング1230に対する選択制御器1244の位置と対照的である。
【0126】
操作の一例において、ユーザは左手を左側制御器ハウジング1430の上に配置し、選択制御器1444のうちの選択されたものを押して保持する。ユーザの右手は、親指が右側制御器ハウジング1420の表面1425のスクロールホイール1426の上に置かれ、人差し指が表面1421の制御器1422,1423,1424の上に置かれるように、配置される。右手親指は、選択された選択制御器1444に対応する1つ以上のEMDを回転させるように制御器1426を操作し、右手人差し指は、制御器1422,1423,1424のいずれかを同時に操作して、選択されたEMDの直進動作を制御するべくロボット駆動装置24に指示することができる。
【0127】
また、ユーザの左手は、左手親指が制御器1437a,1437b,1437cのいずれかを選択するように、左側制御器ハウジング1430に移動することができる。左手人差し指は、表面1431の制御器1432,1433,1434の上/周辺に置かれ、制御器1432,1433,434を左手指で操作して、選択されたEMDの直進動作を制御するべくロボット駆動装置24に指示する。左手親指がEMDを選択している間、右手親指は、ガイドワイヤを作動させるために制御器1427を押し下げて保持し、そして、制御器1427を保持しながら、右手人差し指は、制御器1422,1423,1424を操作して、ガイドワイヤの直進動作を制御するべくロボット駆動装置24に指示することができる。
【0128】
上述の入力制御器のいずれも、位置制御モードで使用される場合、入力制御器が操作されると、EMDを規定の増分だけ作動させるようにロボット駆動装置24に指示することができる。位置制御モードにおいて軸方向動作を制御する場合、入力制御器は、少なくとも1つのデバイスモジュール32に対し、遠位方向又は近位方向に個別距離移動するように命令することができる。位置制御モードにおいてEMDの回転動作を制御する場合、入力制御は、EMDを反時計回り又は反反時計回りの方向に個別角度回転させるようにデバイスモジュール32に命令することができる。閉ループシステムにおいて位置動作指令が出されると、制御コンピューティングシステム34は、指令された増分又は位置を、測定された増分又は位置と比較することができる。指令値が測定値と異なる場合には、制御コンピューティングシステム34は、差を補正するために追加の動作指令を与えることによってループを閉じることができる。
【0129】
速度制御モードで使用される場合、上記の入力制御器のいずれかは、ユーザによって入力制御が操作されると、指定された速度でEMDを連続的に作動させるようにロボット駆動装置24に指示することができる。軸方向動作を制御するとき、速度制御モードの入力制御器は、ユーザが入力制御器の操作をやめるまで(又はロボット駆動装置24の限界に達するまで)、規定の速度で連続的に遠位又は近位方向へ移動するように少なくとも1つのデバイスモジュール32に命令することができる。同様に、速度制御モードの入力制御器は、入力制御器が操作されている間ずっと、規定された速度で連続的に回転させるように少なくとも1つのデバイスモジュール32に命令することができる。閉ループシステムにおいて速度動作指令が出されると、制御コンピューティングシステム34は、指令された速度と測定された速度とを比較し、差が検出された場合には、移動速度を調整してループを閉じる。
【0130】
いくつかの操作モードにおいて、2値の、アナログの、及びスクロールの入力制御器と、EMDの指令された軸方向動作又は回転動作の増分との間の関係は、固定されてもよい。このようなモードで操作する場合、位置制御器及び速度制御器に対するそれぞれの規定された増分の値及び規定された速度の値は、入力制御器ごとに固定されていてもよい。しかし、他の操作モードでは、2値の、アナログの、及びスクロールの入力制御器と、EMDの指令された軸方向動作又は回転動作の量との関係を、ユーザ又は制御コンピューティングシステム34によって設定することができる。
【0131】
一実施例において、スケーリング入力制御器が提供され、ユーザが作動させると、入力制御器の規定の速度値及び規定の増分値を所定の値だけ増加又は減少させる。さらに、又は代替的に、対応するスケーリング入力が押されるたびに、入力制御器の規定された増分又は速度をスケーリング係数に基づいて増減させることができる。
【0132】
一実施例において、入力システムは、選択検証機能を備えた構成とすることができ、選択検証機能は、動作命令がロボット駆動装置24に送られる前に、要請どおりのEMD及び/又はデバイスモジュール32が選択されていることの承認をユーザに求める。
【0133】
一実施例において、ロボットシステムは、ガイドワイヤの動作を指示する入力制御器が、ガイドワイヤを保持するデバイスモジュールにマッピングされるように構成される。ガイドワイヤを保持するデバイスモジュールの識別は、ガイドワイヤをデバイスモジュール内に装填したことに応答するセンサで検出することができる。検出は、機械式センサ、電気的センサ、又は視覚センサなどの接触センサ又は非接触センサを使用するか、あるいは、システムによって要求されるユーザ入力によるものとすることができる。
【0134】
一実施例において、GUIが、入力マップ(図示せず)を使用して、入力システム28及び入力システムの入力制御器(例えば、ボタン、スクロールホイール、ノブ、ジョイスティック、又はあらゆる他の入力制御器)のグラフィカル表示を提供することもできる。入力制御器がユーザによって操作されるとき、ボタンマップは、どの入力制御器が起動されているかを示すことができる。これによりユーザは、入力システム28を見ずとも、どの入力制御器が操作されているかを視認することができ、有用である。例えば、ボタンマップは、入力システム28にある入力制御器の物理的配置に似せたパターンでスクリーン上に配置される、各入力制御器又は全入力制御器に対応するアイコンのアレイを含む。各アイコンは、ユーザが操作したときに点灯及び/又はアニメーション表示されるように設定できる。2値入力制御器の場合、ボタンに対応するアイコンは、入力制御器が作動状態(押した状態)か作動してない状態(押していない状態)かを示す。アナログ入力制御器に対応するアイコンは、操作の度合いを示す。
【0135】
視覚フィードバックに加えて、制御ステーション26は、ユーザに物理的フィードバックを提供するように構成されてもよい。例えば、フィードバックは、振動、コギング(脈動)、及び抵抗又は反作用力の少なくとも1つの方法で提供される。一実施例において、振動フィードバックを用いて様々なアラームを提供することができる。振動は、事前設定、一定強度、又は、アラートの各レベルに基づいて変動する強度で提供できる。例えば、振動の強度は、測定された負荷が最大負荷限界に近づくにつれて増加する。別の方法として、異なるアラームを区別できるよう、異なる強度又は振動パターンも可能である。コギングフィードバックは、制御機構の行程の感覚をユーザに伝える漸増性の打撃又はクリックの感覚と言える。一実施例において、コギングは、戻り止めにより作られる位置間を回転するスクロール入力制御器によって提供される触覚フィードバックと同様である。しかしながら、システムによっては、コギングフィードバックに、少なくとも1つの異なる感覚を用いることができる。コギング感覚の種類と強度は、固定でもよいし、ユーザ又はシステムによって調節可能であってもよい。
【0136】
物理的フィードバックは、ユーザが入力システム28を操作する際に生じるコンポーネント間の物理的相互作用による場合もあれば、電気機械デバイスを用いてシミュレートされる場合もある。例えば、モータを制御して、コギングフィードバックとしてタッピング感覚を与えることができる。入力システム28を介して物理的フィードバックが提供される場合、フィードバックは入力システム全体を通して感じられるようにもでき、特定の入力制御器に近接した領域の付近に提供される(又は領域に由来するように見える)。例えば、振動フィードバックは、入力制御器に関連してアラートを出すために該当入力制御器の近くにあるモータ(又はあらゆる他のデバイス)によって提供することができる。
【0137】
上記コンポーネントのいずれかを使用する方法に従ってカテーテル式処置システムを制御するためのコンピュータ実行可能プログラムコードは、非一時的コンピュータ可読媒体に保存できる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータなどの情報を記憶するための方法又は技術のいずれかにおいて実装される揮発性及び不揮発性、リムーバブル、及び非リムーバブルの媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、特に限定するわけではないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、電気的消去可能でプログラム可能なROM、フラッシュメモリ、又は他のメモリ技術、コンパクトディスクROM(CDROM)、デジタルヴァーサタイルディスク(DVD)、又は他の光学式ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、又は他の磁気記憶デバイス、又は、命令を記憶するために使用することができ、そしてシステム10(図1に示す)によってアクセスすることができる(インターネットその他のコンピュータネットワークアクセス形態を含めて)あらゆる他の媒体を含む。
【0138】
実施の形態は、当分野の技術者に想到される他の実施例も含み得る。このような他の例は、特許請求の範囲の既述と相違しない構造要素をもつ場合、又は、特許請求の範囲の既述とは実質的に異なるが等価である構造要素を含む場合、特許請求の範囲に含まれると示唆される。プロセス又は方法のステップはいずれも、その順序及び配列が代替の実施例において変更又は再配列されてもよい。
【0139】
ここに説明した実施例に対して他の多くの変更及び修正が適用され得る。これら及び他の変更の範囲は、特許請求の範囲から明らかになる。
図1
図2
図3
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図5
図6
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図9
図10
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図14
【手続補正書】
【提出日】2023-10-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
ここで使用する「細長い医療デバイス(EMD)」は、カテーテル(ガイドカテーテル、マイクロカテーテル、バルーン/ステントカテーテルなど)、ワイヤ式デバイス(ガイドワイヤ、塞栓コイル、ステント回収器など)、及び、これらの組み合せを有するデバイスを指す(ただしこれらに限定されない)。ワイヤ式デバイスには、ガイドワイヤ、マイクロワイヤ、塞栓コイル用の近位プッシャー、ステント回収器、自己拡張型ステント、及び、フローダイバーターが含まれる(ただしこれらに限定されない)。通例、ワイヤ式の細長い医療デバイス(EMD)は、その近位終端にハブ又はハンドルをもたない
【国際調査報告】