IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アール.ピー.シェーラー テクノロジーズ、エルエルシーの特許一覧

特表2024-503075抗体-薬物コンジュゲートのための二重切断エステルリンカー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】抗体-薬物コンジュゲートのための二重切断エステルリンカー
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/64 20170101AFI20240117BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20240117BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20240117BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20240117BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240117BHJP
   A61K 38/07 20060101ALI20240117BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240117BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
A61K47/64
A61K47/65
A61K47/60
A61K31/4745
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61K38/07
A61K47/68
A61K39/395 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542793
(86)(22)【出願日】2022-01-13
(85)【翻訳文提出日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 US2022012347
(87)【国際公開番号】W WO2022155362
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】63/138,255
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】515135228
【氏名又は名称】アール.ピー.シェーラー テクノロジーズ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】チュプラコフ,ステパン
(72)【発明者】
【氏名】オグンコヤ,アヨデレ・オー.
(72)【発明者】
【氏名】ドレイク,ペネロペ・エム.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076EE23
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF34
4C084AA02
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA10
4C084BA16
4C084BA23
4C084BA41
4C084DA33
4C084NA10
4C084ZB211
4C084ZC411
4C085AA25
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA03
4C086CB22
4C086NA10
4C086ZB21
4C086ZC41
(57)【要約】
本開示は、抗体-薬物コンジュゲート構造を提供し、抗体-薬物コンジュゲートが、抗体を薬物に結合するエステル基を含む切断可能なリンカーを含む。本開示はまた、そのようなコンジュゲートを産生するための化合物及び方法を包含する。加えて、本開示はまた、コンジュゲートを使用する薬学的組成物及び方法を包含する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のコンジュゲートであって、
【化1】
式中、
が、薬物であり、
が、ポリペプチドであり、
Aが、アミノ酸残基であり、kが、0又は1~5の整数であり、
Lが、リンカーであり、
Gが、コンジュゲート化部分であり、
が、
【化2】
及び-(CHR(CHR)-から選択され、
が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、及びRから選択され、Rが、任意選択的に、Rで置換され、
jが、0又は1~5の整数であり、
が、Rであるか、又はRが、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択され、Rが、Rで置換され、
が、-NH-又は-C(O)-であり、
各Rが、独立して、グリコシド又はグリコシド誘導体である、コンジュゲート。
【請求項2】
が、
【化3】
である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項3】
が、-(CHR(CHR)-である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項4】
jが、0である、請求項3に記載のコンジュゲート。
【請求項5】
が、アルキルである、請求項4に記載のコンジュゲート。
【請求項6】
が、アリールである、請求項4に記載のコンジュゲート。
【請求項7】
jが、1である、請求項3に記載のコンジュゲート。
【請求項8】
が、水素である、請求項7に記載のコンジュゲート。
【請求項9】
が、Rで置換される、請求項7に記載のコンジュゲート。
【請求項10】
各Rが、独立して、
【化4】
から選択される、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項11】
前記コンジュゲートが、式(II)のコンジュゲートであり、
【化5】
式中、Rが、アミノ酸側鎖である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項12】
前記コンジュゲートが、
【化6】
から選択される、請求項11に記載のコンジュゲート。
【請求項13】
前記コンジュゲートが、式(III)のコンジュゲートであり、
【化7】
式中、Rが、アミノ酸側鎖である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項14】
前記コンジュゲートが、
【化8】
から選択される、請求項13に記載のコンジュゲート。
【請求項15】
kが、2である、請求項11~14のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項16】
Lが、
-(T-V-(T-V-(T-V-(T-V-(T-V-(T-V-を含み、
式中、
a、b、c、d、e、及びfが、各々独立して、0又は1であり、
、T、T、T、T、及びTが、各々独立して、共有結合、(C~C12)アルキル、置換(C~C12)アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリル、(EDA)、(PEG)、(AA)、-(CR13OH)-、4-アミノ-ピペリジン(4AP)、メタ-アミノ-ベンジルオキシ(MABO)、メタ-アミノ-ベンジルオキシカルボニル(MABC)、パラ-アミノ-ベンジルオキシ(PABO)、パラ-アミノ-ベンジルオキシカルボニル(PABC)、パラ-アミノベンジル(PAB)、パラ-アミノ-ベンジルアミノ(PABA)、アセタール、ヒドラジン、ジスルフィド、及びエステルから選択され、EDAが、エチレンジアミン部分であり、PEGが、ポリエチレングリコールであり、AAが、アミノ酸残基又はアミノ酸類似体であり、各wが、1~20の整数であり、各nが、1~30の整数であり、各pが、1~20の整数であり、各mが、1~12の整数であり、
、V、V、V、V、及びVが、各々独立して、共有結合、-CO-、-NR15-、-NR15(CH-、-NR15(C)-、-CONR15-、-NR15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO-、-SONR15-、-NR15SO-、及び-P(O)OH-からなる群から選択され、各qが、1~6の整数であり、
各R13が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールから選択され、
各R15が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項17】
が、(C~C12)アルキルであり、Vが、-CO-であり、
が、アミノ酸類似体であり、Vが、-NH-であり、
が、(PEG)であり、Vが、-CO-であり、
d~fが、各々0であるか、又は
が、(C~C12)アルキルであり、Vが、-CO-であり、
が、アミノ酸類似体であり、Vが、-NH-であり、
が、(PEG)であり、Vが、-CONH-であり、
が、(PEG)であり、Vが、-CO-であり、
e及びfが、各々0である、請求項16に記載のコンジュゲート。
【請求項18】
Gが、以下であり、
【化9】
式中、
Zが、CR10又はNであり、
が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択され、
及びRが、各々独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択されるか、又はR及びRが、任意選択的に、環状に連結されて、5員若しくは6員のヘテロシクリルを形成し、
各R10が、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される、請求項1~17のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項19】
Gが、アセタール、ヒドラゾン、オキシム、スルフィド、ジスルフィド、トリアゾール、エステル、及びアミドから選択される、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項20】
式(IV)の化合物であって、
【化10】
式中、
が、薬物であり、
Aが、アミノ酸残基であり、kが、0又は1~5の整数であり、
Lが、リンカーであり、
Gが、コンジュゲート化部分であり、
が、
【化11】
及び-(CHR(CHR)-から選択され、
が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、及びRから選択され、Rが、任意選択的に、Rで置換され、
jが、0又は1~5の整数であり、
が、Rであるか、又はRが、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択され、Rが、Rで置換され、
が、-NH-又は-C(O)-であり、
各Rが、独立して、グリコシド又はグリコシド誘導体である、化合物。
【請求項21】
が、
【化12】
である、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
が、-(CHR(CHR)-である、請求項20に記載の化合物。
【請求項23】
jが、0である、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
が、アルキルである、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
が、アリールである、請求項23に記載の化合物。
【請求項26】
jが、1である、請求項22に記載の化合物。
【請求項27】
が、水素である、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
が、Rで置換される、請求項26に記載の化合物。
【請求項29】
各Rが、独立して、
【化13】
から選択される、請求項20に記載の化合物。
【請求項30】
前記化合物が、式(V)の化合物であり、
【化14】
式中、Rが、アミノ酸側鎖である、請求項20に記載の化合物。
【請求項31】
前記化合物が、
【化15】
から選択される、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
前記化合物が、式(VI)の化合物であり、
【化16】
式中、Rが、アミノ酸側鎖である、請求項20に記載の化合物。
【請求項33】
前記化合物が、
【化17】
から選択される、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
kが、2である、請求項30~33のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項35】
Lが、
-(T-V-(T-V-(T-V-(T-V-(T-V-(T-V-を含み、
式中、
a、b、c、d、e、及びfが、各々独立して、0又は1であり、
、T、T、T、T、及びTが、各々独立して、共有結合、(C~C12)アルキル、置換(C~C12)アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリル、(EDA)、(PEG)、(AA)、-(CR13OH)-、4-アミノ-ピペリジン(4AP)、メタ-アミノ-ベンジルオキシ(MABO)、メタ-アミノ-ベンジルオキシカルボニル(MABC)、パラ-アミノ-ベンジルオキシ(PABO)、パラ-アミノ-ベンジルオキシカルボニル(PABC)、パラ-アミノベンジル(PAB)、パラ-アミノ-ベンジルアミノ(PABA)、アセタール、ヒドラジン、ジスルフィド、及びエステルから選択され、EDAが、エチレンジアミン部分であり、PEGが、ポリエチレングリコールであり、AAが、アミノ酸残基又はアミノ酸類似体であり、各wが、1~20の整数であり、各nが、1~30の整数であり、各pが、1~20の整数であり、各mが、1~12の整数であり、
、V、V、V、V、及びVが、各々独立して、共有結合、-CO-、-NR15-、-NR15(CH-、-NR15(C)-、-CONR15-、-NR15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO-、-SONR15-、-NR15SO-、及び-P(O)OH-からなる群から選択され、各qが、1~6の整数であり、
各R13が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールから選択され、
各R15が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される、請求項20~34のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項36】
が、(C-C12)アルキルであり、Vが、-CO-であり、
が、アミノ酸類似体であり、Vが、-NH-であり、
が、(PEG)であり、Vが、-CO-であり、
d~fが、各々0であるか、又は
が、(C-C12)アルキルであり、Vが、-CO-であり、
が、アミノ酸類似体であり、Vが、-NH-であり、
が、(PEG)であり、Vが、-CONH-であり、
が、(PEG)であり、Vが、-CO-であり、
e及びfが、各々0である、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
Gが、以下であり、
【化18】
式中、
Zが、CR10又はNであり、
及びRが、各々独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択されるか、又はR及びRが、任意選択的に、環状に連結されて、5員若しくは6員のヘテロシクリルを形成し、
各R10が、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される、請求項20~36のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項38】
Gが、アセタール、NHSエステル、PFPエステル、TFPエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、アシルハライド、マレイミド、ヨードアセトアミド、ホスフィン、アルキン、アジド、ヒドラジン、アルコキシアミン、ジスルフィド、エステル、及びアミドから選択される、請求項20に記載の化合物。
【請求項39】
薬学的組成物であって、
請求項1~19のいずれか一項に記載のコンジュゲートと、
薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項40】
有効量の請求項1~19のいずれか一項に記載のコンジュゲートを対象に投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月15日に出願された米国仮特許出願第63/138,255号の利益を主張するものであり、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、新しいクラスの標的送達療法として過去20年間にわたって登場してきた。典型的なADC(図1)は、化学リンカーを介して非常に強力な医薬品(ペイロード)に連結された抗体ベースの標的化エレメントを含む。結合されたペイロードに対する標的化エレメント(例えば、抗体)のモル比は変化し得、薬物対抗体比(DAR)と称される。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、抗体-薬物コンジュゲート構造を提供し、抗体-薬物コンジュゲートが、抗体を薬物に結合するエステル基を含む切断可能なリンカーを含む。本開示はまた、そのようなコンジュゲートを産生するための化合物及び方法を包含する。加えて、本開示はまた、コンジュゲートを使用する薬学的組成物及び方法を包含する。
【0004】
本開示の態様は、式(I)のコンジュゲートであって、
【化1】
式中、
が、薬物であり、
が、ポリペプチドであり、
Aが、アミノ酸残基であり、kが、0又は1~5の整数であり、
Lが、リンカーであり、
Gが、コンジュゲート化部分であり、
が、
【化2】
及び-(CHR(CHR)-から選択され、
が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、及びRから選択され、Rが、任意選択的に、Rで置換され、
jが、0又は1~5の整数であり、
が、Rであるか、又はRが、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択され、Rが、Rで置換され、
が、-NH-又は-C(O)-であり、
各Rが、独立して、グリコシド又はグリコシド誘導体である、コンジュゲートを含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、Xは、
【化3】
である。
【0006】
いくつかの実施形態では、Xは、-(CHR(CHR)-である。
【0007】
いくつかの実施形態では、jは、0である。
【0008】
いくつかの実施形態では、Rは、アルキルである。
【0009】
いくつかの実施形態では、Rは、アリールである。
【0010】
いくつかの実施形態では、jは、1である。
【0011】
いくつかの実施形態では、Rは、水素である。
【0012】
いくつかの実施形態では、Rは、Rで置換される。
【0013】
いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、
【化4】
から選択される。
【0014】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、以下の式(II)のコンジュゲートであり、
【化5】
式中、Rが、アミノ酸側鎖である。
【0015】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、
【化6】
から選択される。
【0016】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、以下の式(III)のコンジュゲートであり、
【化7】
式中、Rが、アミノ酸側鎖である。
【0017】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、
【化8】
から選択される。
【0018】
いくつかの実施形態では、kは、2である。
【0019】
いくつかの実施形態では、Lは、
-(T-V-(T-V-(T-V-(T-V-(T-V-(T-V-を含み、
式中、
a、b、c、d、e、及びfが、各々独立して、0又は1であり、
、T、T、T、T、及びTが、各々独立して、共有結合、(C~C12)アルキル、置換(C~C12)アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリル、(EDA)、(PEG)、(AA)、-(CR13OH)-、4-アミノ-ピペリジン(4AP)、メタ-アミノ-ベンジルオキシ(MABO)、メタ-アミノ-ベンジルオキシカルボニル(MABC)、パラ-アミノ-ベンジルオキシ(PABO)、パラ-アミノ-ベンジルオキシカルボニル(PABC)、パラ-アミノベンジル(PAB)、パラ-アミノ-ベンジルアミノ(PABA)、アセタール、ヒドラジン、ジスルフィド、及びエステルから選択され、EDAが、エチレンジアミン部分であり、PEGが、ポリエチレングリコールであり、AAが、アミノ酸残基又はアミノ酸類似体であり、各wが、1~20の整数であり、各nが、1~30の整数であり、各pが、1~20の整数であり、各mが、1~12の整数であり、
、V、V、V、V、及びVが、各々独立して、共有結合、-CO-、-NR15-、-NR15(CH-、-NR15(C)-、-CONR15-、-NR15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO-、-SONR15-、-NR15SO-、及び-P(O)OH-からなる群から選択され、各qが、1~6の整数であり、
各R13が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールから選択され、
各R15が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される。
【0020】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、リンカーLを含み、
が、(C-C12)アルキルであり、Vが、-CO-であり、
が、アミノ酸類似体であり、Vが、-NH-であり、
が、(PEG)であり、Vが、-CO-であり、
d~fが、各々0であるか、又は

が、(C-C12)アルキルであり、Vが、-CO-であり、
が、アミノ酸類似体であり、Vが、-NH-であり、
が、(PEG)であり、Vが、-CONH-であり、
が、(PEG)であり、Vが、-CO-であり、
e及びfが、各々0である。
【0021】
いくつかの実施形態では、Gは、以下であり、
【化9】
式中、
Zが、CR10又はNであり、
が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択され、
及びRが、各々独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択されるか、又はR及びRが、任意選択的に、環状に連結されて、5員若しくは6員のヘテロシクリルを形成し、
各R10が、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される。
【0022】
いくつかの実施形態では、Gは、アセタール、ヒドラゾン、オキシム、スルフィド、ジスルフィド、トリアゾール、エステル、及びアミドから選択される。
【0023】
本開示の実施形態は、式(IV)の化合物であって、
【化10】
式中、
が、薬物であり、
Aが、アミノ酸残基であり、kが、0又は1~5の整数であり、
Lが、リンカーであり、
Gが、コンジュゲート化部分であり、
が、
【化11】
及び-(CHR(CHR)-から選択され、
が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、及びRから選択され、Rが、任意選択的に、Rで置換され、
jが、0又は1~5の整数であり、
が、Rであるか、又はRが、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択され、Rが、Rで置換され、
が、-NH-又は-C(O)-であり、
各Rが、独立して、グリコシド又はグリコシド誘導体である、式(IV)の化合物を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、Xは、
【化12】
である。
【0025】
いくつかの実施形態では、Xは、-(CHR(CHR)-である。
【0026】
いくつかの実施形態では、jは、0である。
【0027】
いくつかの実施形態では、Rは、アルキルである。
【0028】
いくつかの実施形態では、Rは、アリールである。
【0029】
いくつかの実施形態では、jは、1である。
【0030】
いくつかの実施形態では、Rは、水素である。
【0031】
いくつかの実施形態では、Rは、Rで置換される。
【0032】
いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、
【化13】
から選択される。
【0033】
いくつかの実施形態では、化合物は、以下の式(V)の化合物であり、
【化14】
式中、Rが、アミノ酸側鎖である。
【0034】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【化15】
から選択される。
【0035】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(VI)の化合物であり、
【化16】
式中、Rが、アミノ酸側鎖である。
【0036】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【化17】
から選択される。
【0037】
いくつかの実施形態では、kは、2である。
【0038】
いくつかの実施形態では、Lは、
-(T-V-(T-V-(T-V-(T-V-(T-V-(T-V-を含み、
式中、
a、b、c、d、e、及びfが、各々独立して、0又は1であり、
、T、T、T、T、及びTが、各々独立して、共有結合、(C~C12)アルキル、置換(C~C12)アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリル、(EDA)、(PEG)、(AA)、-(CR13OH)-、4-アミノ-ピペリジン(4AP)、メタ-アミノ-ベンジルオキシ(MABO)、メタ-アミノ-ベンジルオキシカルボニル(MABC)、パラ-アミノ-ベンジルオキシ(PABO)、パラ-アミノ-ベンジルオキシカルボニル(PABC)、パラ-アミノベンジル(PAB)、パラ-アミノ-ベンジルアミノ(PABA)、アセタール、ヒドラジン、ジスルフィド、及びエステルから選択され、EDAが、エチレンジアミン部分であり、PEGが、ポリエチレングリコールであり、AAが、アミノ酸残基又はアミノ酸類似体であり、各wが、1~20の整数であり、各nが、1~30の整数であり、各pが、1~20の整数であり、各mが、1~12の整数であり、
、V、V、V、V、及びVが、各々独立して、共有結合、-CO-、-NR15-、-NR15(CH-、-NR15(C)-、-CONR15-、-NR15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO-、-SONR15-、-NR15SO-、及び-P(O)OH-からなる群から選択され、各qが、1~6の整数であり、
各R13が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールから選択され、
各R15が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される。
【0039】
いくつかの実施形態では、化合物は、リンカーLを含み、
が、(C~C12)アルキルであり、Vが、-CO-であり、
が、アミノ酸類似体であり、Vが、-NH-であり、
が、(PEG)であり、Vが、-CO-であり、
d~fが、各々0であるか、又は
が、(C~C12)アルキルであり、Vが、-CO-であり、
が、アミノ酸類似体であり、Vが、-NH-であり、
が、(PEG)であり、Vが、-CONH-であり、
が、(PEG)であり、Vが、-CO-であり、
e及びfが、各々0である。
【0040】
いくつかの実施形態では、Gは、以下であり、
【化18】
式中、
Zが、CR10又はNであり、
及びRが、各々独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択されるか、又はR及びRが、任意選択的に環状に連結されて、5員若しくは6員のヘテロシクリルを形成し、
各R10が、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される。
【0041】
いくつかの実施形態では、Gは、アセタール、NHSエステル、PFPエステル、TFPエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、アシルハライド、マレイミド、ヨードアセトアミド、ホスフィン、アルキン、アジド、ヒドラジン、アルコキシアミン、ジスルフィド、エステル、及びアミドから選択される。
【0042】
本開示の態様は、本明細書に記載されるコンジュゲートと、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物を含む。
【0043】
本開示の態様は、コンジュゲートを対象に投与する方法を含み、本方法は、本明細書に記載されるコンジュゲートを対象に投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本開示の実施形態による、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の主要成分の概略図を示す。
図2A】ADCに対するリンカー戦略を示す。(図2、パネルA)アミン含有ペイロードのためのカルバメート結合;(図2、パネルB)ヒドロキシ基含有ペイロードのためのカルボキシルエステルリンカー。
図2B】ADCに対するリンカー戦略を示す。(図2、パネルA)アミン含有ペイロードのためのカルバメート結合;(図2、パネルB)ヒドロキシ基含有ペイロードのためのカルボキシルエステルリンカー。
図3】本開示の実施形態による、隣接する単糖を有するエステルリンカーの二重切断設計を示す。
図4】本開示の実施形態による、ADCのための二重切断カルボキシルエステルリンカーの構造設計の例を示す。
図5】ADCの合成のためのHIPSライゲーションの概略図を示す。アルデヒド部分を保有する抗体を、Hydrazino-iso-Pictet-Spengler(HIPS)リンカー及びペイロードと反応させ、安定なアザカルボリン結合を有する部位特異的にコンジュゲート化されたADCを生成する。
図6】化合物21 CH1-3/CTタグ化サシツズマブコンジュゲートのグラフを示し、疎水性相互作用カラム(HIC)によって決定される場合、3.41のDARが得られる。
図7】化合物21 CH1-3/CTタグ化サシツズマブコンジュゲートのグラフを示し、分析サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって決定される場合、98.1%がモノマーである。
図8】化合物21 CH1-3/CTタグ化ポラツズマブコンジュゲートのグラフを示し、HICによって決定される場合、3.67のDARが得られる。
図9】化合物21 CH1-3/CTタグ化ポラツズマブコンジュゲートのグラフを示し、分析SECによって決定される場合、97.4%がモノマーである。
図10】化合物52 CTタグ化抗FITCコンジュゲートのグラフを示し、HICによって決定される場合、1.61のDARが得られる。
図11】化合物52 CTタグ化抗FITCコンジュゲートのグラフを示し、分析SECによって決定される場合、98.1%がモノマーである。
図12】化合物52 CTタグ化トラスツズマブコンジュゲートのグラフを示し、HICによって決定される場合、1.56のDARが得られる。
図13】化合物52 CTタグ化トラスツズマブコンジュゲートのグラフを示し、分析SECによって決定される場合、95.6%がモノマーである。
図14】化合物52 CTタグ化サシツズマブコンジュゲートのグラフを示し、HICによって決定される場合、1.02のDARが得られる。
図15】化合物52 CTタグ化サシツズマブコンジュゲートのグラフを示し、分析SECによって決定される場合、98.5%がモノマーである。
図16】化合物49 CTタグ化抗FITCコンジュゲートのグラフを示し、HICによって決定される場合、1.09のDARが得られる。
図17】化合物49 CTタグ化抗FITCコンジュゲートのグラフを示し、分析SECによって決定される場合、90.0%がモノマーである。
図18】化合物49 CTタグ化トラスツズマブコンジュゲートのグラフを示し、HICによって決定される場合、1.09のDARが得られる。
図19】化合物49 CTタグ化トラスツズマブコンジュゲートのグラフを示し、分析SECによって決定される場合、90.0%がモノマーである。
図20】化合物49 CTタグ化サシツズマブコンジュゲートのグラフを示し、HICによって決定される場合、0.80のDARが得られる。
図21】化合物49 CTタグ化サシツズマブコンジュゲートのグラフを示し、分析SECによって決定される場合、93.3%がモノマーである。
図22】SK-BR-3細胞に対する(28)と比較した、(21)を有するHER2を標的とするADC、又はアイソタイプ対照ADC、又はCL2A-SN38のインビトロ効力のグラフを示す。
図23】MDA-MB-468細胞に対する(28)と比較した、(21)を有するTROP-2を標的とするADC、又はアイソタイプ対照ADC、又はCL2A-SN38のインビトロ効力のグラフを示す。
図24】MDA-MB-468細胞に対する(28)又は(12)と比較した、(21)を有するTROP-2を標的とするADC、又はアイソタイプ対照ADCのインビトロ効力のグラフを示す。
図25】MDA-MB-468細胞に対する(41)と比較した、(49)を有するTROP-2を標的とするADC、又はアイソタイプ対照ADCのインビトロ効力のグラフを示す。
図26】SK-BR-3細胞に対する(28)又は(12)と比較した、(21)を有するHER2を標的とするADC、又はアイソタイプ対照ADCのインビトロ効力のグラフを示す。
図27】SK-BR-3細胞に対する(41)と比較した、(49)を有するHER2を標的とするADC、又はアイソタイプ対照ADCのインビトロ効力のグラフを示す。
図28】NCI-N87細胞に対する(41)と比較した、(49)を有するHER2を標的とするADC、又はアイソタイプ対照ADCのインビトロ効力のグラフを示す。
図29】NCI-N87細胞に対する(28)又は(12)と比較した、(21)を有するHER2を標的とするADC、又はアイソタイプ対照ADCのインビトロ効力のグラフを示す。
図30】SK-BR-3細胞に対する(41)と比較した、(52)を有するHER2を標的とするADC、又はアイソタイプ対照ADCのインビトロ効力のグラフを示す。
図31】MDA-MB-468細胞に対する(41)と比較した、(52)を有するTROP-2を標的とするADC、又はアイソタイプ対照ADCのインビトロ効力のグラフを示す。
【0045】
定義
以下の用語は、別段で指示がない限り、以下の意味を有する。定義されていない任意の用語は、当該技術分野で認識されている意味を有する。
【0046】
「アルキル」は、1~10個の炭素原子、例えば1~6個の炭素原子、又は1~5個、又は1~4個、又は1~3個の炭素原子を有する一価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指す。この用語は、例として、メチル(CH-)、エチル(CHCH-)、n-プロピル(CHCHCH-)、イソプロピル((CHCH-)、n-ブチル(CHCHCHCH-)、イソブチル((CHCHCH-)、sec-ブチル((CH)(CHCH)CH-)、t-ブチル((CHC-)、n-ペンチル(CHCHCHCHCH-)、及びネオペンチル((CHCCH-)などの直鎖及び分岐鎖のヒドロカルビル基を含む。
【0047】
「置換アルキル」という用語は、本明細書に定義されるアルキル基を指し、アルキル鎖(C炭素原子を除く)中の1個以上の炭素原子が、任意選択的に、-O-、-N-、-S-、-S(O)-(式中、nは0~2である)、-NR-(式中、Rは、水素又はアルキルである)などのヘテロ原子と置き換わっており、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、及び-NRからなる群から選択される1~5個の置換基を有し、R’及びR”が、同じであってもよく、又は異なっていてもよく、水素、任意選択的に置換されたアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロ環式環から選択される。
【0048】
「アルキレン」は、二価の脂肪族ヒドロカルビル基、好ましくは、直鎖又は分岐鎖のいずれかである1~6個、より好ましくは1~3個の炭素原子を有し、任意選択的に、-O-、-NR10-、-NR10C(O)-、-C(O)NR10-などから選択される1つ以上の基で中断されている、二価の脂肪族ヒドロカルビル基を指す。この用語には、例として、メチレン(-CH-)、エチレン(-CHCH-)、n-プロピレン(-CHCHCH-)、iso-プロピレン(-CHCH(CH)-)、(-C(CHCHCH-)、(-C(CHCHC(O)-)、(-C(CHCHC(O)NH-)、(-CH(CH)CH-)などが含まれる。
【0049】
「置換アルキレン」は、以下の「置換」の定義において炭素について記載されているように、置換基で置き換えられた1~3個の水素を有するアルキレン基を指す。
【0050】
「アルカン」という用語は、本明細書で定義されるアルキル基及びアルキレン基を指す。
【0051】
「アルキルアミノアルキル」、「アルキルアミノアルケニル」、及び「アルキルアミノアルキニル」という用語は、R’NHR”-基を指し、R’は本明細書で定義されるアルキル基であり、R”は本明細書で定義されるアルキレン、アルケニレン又はアルキニレン基である。
【0052】
「アルカリール」又は「アラルキル」という用語は、-アルキレン-アリール及び-置換アルキレン-アリール基を指し、アルキレン、置換アルキレン及びアリールが本明細書で定義される。
【0053】
「アルコキシ」は、-O-アルキル基を指し、アルキルは本明細書で定義されるとおりである。アルコキシとしては、例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシなどが挙げられる。「アルコキシ」という用語はまた、アルケニル-O-、シクロアルキル-O-、シクロアルケニル-O-、及びアルキニル-O-基を指し、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアルキニルが本明細書で定義されるとおりである。
【0054】
「置換アルコキシ」という用語は、置換アルキル-O-、置換アルケニル-O-、置換シクロアルキル-O-、置換シクロアルケニル-O-、及び置換アルキニル-O-の基を指し、置換アルキル、置換アルケニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、及び置換アルキニルが、本明細書で定義されるとおりである。
【0055】
「アルコキシアミノ」という用語は、-NH-アルコキシ基を指し、アルコキシは、本明細書で定義される。
【0056】
「ハロアルコキシ」という用語は、アルキル-O-基を指し、アルキル基上の1個以上の水素原子がハロ基で置換されており、例として、トリフルオロメトキシなどの基を含む。
【0057】
「ハロアルキル」という用語は、上述の置換アルキル基を指し、アルキル基上の1個以上の水素原子がハロ基で置換されている。そのような基の例としては、限定されないが、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロエチルなどのフルオロアルキル基が挙げられる。
【0058】
「アルキルアルコキシ」という用語は、-アルキレン-O-アルキル、アルキレン-O-置換アルキル、置換アルキレン-O-アルキル、及び置換アルキレン-O-置換アルキルの基を指し、アルキル、置換アルキル、アルキレン、及び置換アルキレンが、本明細書で定義されるとおりである。
【0059】
「アルキルチオアルコキシ」という用語は、-アルキレン-S-アルキル、アルキレン-S-置換アルキル、置換アルキレン-S-アルキル、及び置換アルキレン-S-置換アルキルの基を指し、アルキル、置換アルキル、アルキレン、及び置換アルキレンが、本明細書で定義されるとおりである。
【0060】
「アルケニル」は、2~6個の炭素原子、好ましくは2~4個の炭素原子を有し、少なくとも1個、好ましくは1~2個の二重結合不飽和部位を有する直鎖又は分岐鎖ヒドロカルビル基を指す。この用語は、例として、ビビニル、アリル、及びブタ-3-エン-1-イルを含む。この用語には、シス及びトランス異性体、又はこれらの異性体の混合物が含まれる。
【0061】
「置換アルケニル」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール及び-SO-ヘテロアリールから選択される、1~5個の置換基、又は1~3個の置換基を有する、本明細書に定義されるアルケニル基を指す。
【0062】
「アルキニル」は、2~6個の炭素原子、好ましくは2~3個の炭素原子を有し、少なくとも1個、好ましくは1~2個の三重結合不飽和部位を有する直鎖又は分岐鎖一価ヒドロカルビル基を指す。そのようなアルキニル基の例としては、アセチレニル(-C≡CH)、及びプロパルギル(-CHC≡CH)が挙げられる。
【0063】
「置換アルキニル」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール及び-SO-ヘテロアリールから選択される、1~5個の置換基、又は1~3個の置換基を有する、本明細書に定義されるアルキニル基を指す。
【0064】
「アルキニルオキシ」は、-O-アルキニル基を指し、アルキニルは本明細書で定義されるとおりである。アルキニルオキシは、例として、エチニルオキシ、プロピニルオキシなどを含む。
【0065】
「アシル」は、H-C(O)-、アルキル-C(O)-、置換アルキル-C(O)-、アルケニル-C(O)-、置換アルケニル-C(O)-、アルキニル-C(O)-、置換アルキニル-C(O)-、シクロアルキル-C(O)-、置換シクロアルキル-C(O)-、シクロアルケニル-C(O)-、置換シクロアルケニル-C(O)-、アリール-C(O)-、置換アリール-C(O)-、ヘテロアリール-C(O)-、置換ヘテロアリール-C(O)-、ヘテロシクリル-C(O)-、及び置換ヘテロシクリル-C(O)-の基を指し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式環、及び置換ヘテロ環式環が、本明細書で定義されるとおりである。例えば、アシルは、「アセチル」基CHC(O)-を含む。
【0066】
「アシルアミノ」は、-NR20C(O)アルキル、-NR20C(O)置換アルキル、NR20C(O)シクロアルキル、-NR20C(O)置換シクロアルキル、-NR20C(O)シクロアルケニル、-NR20C(O)置換シクロアルケニル、-NR20C(O)アルケニル、-NR20C(O)置換アルケニル、-NR20C(O)アルキニル、-NR20C(O)置換アルキニル、-NR20C(O)アリール、-NR20C(O)置換アリール、-NR20C(O)ヘテロアリール、-NR20C(O)置換ヘテロアリール、-NR20C(O)ヘテロ環式環、及び-NR20C(O)置換ヘテロ環式環の基を指し、R20が、水素又はアルキルであり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式環、及び置換ヘテロ環式環が、本明細書で定義されるとおりである。
【0067】
「アミノカルボニル」又は「アミノアシル」という用語は、-C(O)NR2122基を指し、R21及びR22が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式環、及び置換ヘテロ環式環からなる群から選択され、R21及びR22が、任意選択的に、それらに結合した窒素と共に結合し、ヘテロ環式環又は置換ヘテロ環式環基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式環、及び置換ヘテロ環式環が、本明細書で定義されるとおりである。
【0068】
「アミノカルボニルアミノ」は、-NR21C(O)NR2223基を指し、R21、R22、及びR23が、独立して、水素、アルキル、アリール、又はシクロアルキルから選択されるか、又は2つのR基が結合して、ヘテロシクリル基を形成する。
【0069】
「アルコキシカルボニルアミノ」という用語は、-NRC(O)OR基を指し、各Rが、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルが、本明細書で定義されるとおりである。
【0070】
「アシルオキシ」という用語は、アルキル-C(O)O-、置換アルキル-C(O)O-、シクロアルキル-C(O)O-、置換シクロアルキル-C(O)O-、アリール-C(O)O-、ヘテロアリール-C(O)O-、及びヘテロシクリル-C(O)O-の基を指し、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルが、本明細書で定義されるとおりである。
【0071】
「アミノスルホニル」は、-SONR2122基を指し、R21及びR22が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式環、置換ヘテロ環式環からなる群から選択され、R21及びR22が、任意選択的に、それらに結合した窒素と共に結合し、ヘテロ環式環又は置換ヘテロ環式環基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式環、及び置換ヘテロ環式環が、本明細書で定義されるとおりである。
【0072】
「スルホニルアミノ」は、-NR21SO22基を指し、R21及びR22が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式環、及び置換ヘテロ環式環からなる群から選択され、R21及びR22が、任意選択的に、それらに結合した原子と共に結合し、ヘテロ環式環又は置換ヘテロ環式環基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式環、及び置換ヘテロ環式環が、本明細書で定義されるとおりである。
【0073】
「アリール」又は「Ar」は、単環を有する6~18個の炭素原子の一価の芳香族炭素環基(フェニル基中に存在するものなど)、又は複数の縮合環を有する環系(そのような芳香族環系の例としては、ナフチル、アントリル、及びインダニルが挙げられる)を指し、縮合環が、芳香族であってもよく、又は芳香族でなくてもよいが、但し、結合点が、芳香族環の原子を介するものである。この用語は、例として、フェニル及びナフチルを含む。アリール置換基の定義によって別段の制約を受けない限り、かかるアリール基は、任意選択的に、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリール、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、及びトリハロメチルから選択される、1~5個の置換基、又は1~3個の置換基で置換され得る。
【0074】
「アリールオキシ」は、-O-アリール基を指し、アリールは、本明細書でまた定義される任意選択的に置換されたアリール基を含む、例として、フェノキシ、ナフトキシなどを含む、本明細書に定義されるとおりである。
【0075】
「アミノ」は、-NH基を指す。
【0076】
「置換アミノ」という用語は、-NRR基を指し、各Rが、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルからなる群から選択され、但し、少なくとも1つのRが水素ではない。
【0077】
「アジド」という用語は、-N基を指す。
【0078】
「カルボキシル」、「カルボキシ」又は「カルボキシレート」は、-COH又はその塩を指す。
【0079】
「カルボキシルエステル」若しくは「カルボキシエステル」、又は「カルボキシアルキル」若しくは「カルボキシルアルキル」という用語は、-C(O)O-アルキル、-C(O)O-置換アルキル、-C(O)O-アルケニル、-C(O)O-置換アルケニル、-C(O)O-アルキニル、-C(O)O-置換アルキニル、-C(O)O-アリール、-C(O)O-置換アリール、-C(O)O-シクロアルキル、-C(O)O-置換シクロアルキル、-C(O)O-シクロアルケニル、-C(O)O-置換シクロアルケニル、-C(O)O-ヘテロアリール、-C(O)O-置換ヘテロアリール、-C(O)O-ヘテロ環式環、及び-C(O)O-置換ヘテロ環式環の基を指し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式環、及び置換ヘテロ環式環が、本明細書で定義されるとおりである。
【0080】
「(カルボキシルエステル)オキシ」又は「カルボネート」は、-O-C(O)O-アルキル、-O-C(O)O-置換アルキル、-O-C(O)O-アルケニル、-O-C(O)O-置換アルケニル、-O-C(O)O-アルキニル、-O-C(O)O-置換アルキニル、-O-C(O)O-アリール、-O-C(O)O-置換アリール、-O-C(O)O-シクロアルキル、-O-C(O)O-置換シクロアルキル、-O-C(O)O-シクロアルケニル、-O-C(O)O-置換シクロアルケニル、-O-C(O)O-ヘテロアリール、-O-C(O)O-置換ヘテロアリール、-O-C(O)O-ヘテロ環式環、及び-O-C(O)O-置換ヘテロ環式環の基を指し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環式環、及び置換ヘテロ環式環が、本明細書で定義されるとおりである。
【0081】
「シアノ」又は「ニトリル」は、-CN基を指す。
【0082】
「シクロアルキル」は、縮合環系、架橋環系、及びスピロ環系を含む、単一又は複数の環式環を有する3~10個の炭素原子の環状アルキル基を指す。好適なシクロアルキル基の例は、例えば、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチル等を含む。そのようなシクロアルキル基は、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチル等の単環構造、又はアダマンタニル等の複数の環構造を含む。
【0083】
「置換シクロアルキル」という用語は、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール及び-SO-ヘテロアリールから選択される、1~5個の置換基、又は1~3個の置換基を有する、シクロアルキル基を指す。
【0084】
「シクロアルケニル」は、単一又は複数の環を有し、少なくとも1つの二重結合を有し、好ましくは1~2個の二重結合を有する、3~10個の炭素原子の非芳香族環状アルキル基を指す。
【0085】
「置換シクロアルケニル」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール及び-SO-ヘテロアリールから選択される、1~5個の置換基、又は1~3個の置換基を有する、シクロアルケニル基を指す。
【0086】
「シクロアルキニル」は、単一又は複数の環を有し、少なくとも1つの三重結合を有する、5~10個の炭素原子の非芳香族シクロアルキル基を指す。
【0087】
「シクロアルコキシ」は、-O-シクロアルキルを指す。
【0088】
「シクロアルケニルオキシ」は、-O-シクロアルケニルを指す。
【0089】
「ハロ」又は「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを指す。
【0090】
「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」は、-OH基を指す。
【0091】
「ヘテロアリール」は、1~15個の炭素原子、例えば、1~10個の炭素原子と、環内の酸素、窒素、及び硫黄からなる群から選択される1~10個のヘテロ原子との芳香族基を指す。かかるヘテロアリール基は、環系中に単環(ピリジニル、イミダゾリル、又はフリルなど)又は複数の縮合環(例えば、インドリジニル、キノリニル、ベンゾフラン、ベンズイミダゾリル、又はベンゾチエニルなどの基の中にあるような)を有することができ、環系内の少なくとも1つの環は芳香族である。価数要件を満たすために、かかるヘテロアリール環中の任意のヘテロ原子は、H又は置換基、例えば、本明細書に記載されるアルキル基又は他の置換基に結合されていてもよく、又は結合されていなくてもよい。特定の実施形態では、ヘテロアリール基の窒素及び/又は硫黄環原子は、任意選択的に酸化されて、N-オキシド(N→O)、スルフィニル、又はスルホニル部分を提供する。この用語は、例として、ピリジニル、ピロリル、インドリル、チオフェニル、及びフラニルを含む。ヘテロアリール置換基の定義によって別段の制約を受けない限り、かかるヘテロアリール基は、任意選択的に、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリール、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、及びトリハロメチルから選択される、1~5個の置換基、又は1~3個の置換基で置換され得る。
【0092】
「ヘテロアラルキル」という用語は、アルキレン及びヘテロアリールが本明細書で定義される、-アルキレン-ヘテロアリール基を指す。この用語は、例として、ピリジルメチル、ピリジルエチル、インドリルメチルなどを含む。
【0093】
「ヘテロアリールオキシ」は、-O-ヘテロアリールを指す。
【0094】
「ヘテロ環」、「ヘテロ環式環」、「ヘテロシクロアルキル」、及び「ヘテロシクリル」は、単環又は複数の縮合環を有し、縮合環系、架橋環系及びスピロ環系を含み、1~10個のヘテロ原子を含む、3~20個の環原子を有する、飽和又は不飽和基を指す。これらの環原子は、窒素、硫黄、又は酸素から選択され、縮合環系において、環のうちの1つ以上が、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであってもよく、但し、結合点が、非芳香族環を介するものである。特定の実施形態では、ヘテロ環式環基の窒素及び/又は硫黄原子は、任意選択的に酸化され、N-オキシド、-S(O)-、又は-SO-部分を提供する。価数要件を満たすために、かかるヘテロ環式環中の任意のヘテロ原子は、1個以上のH又は1個以上の置換基、例えば、本明細書に記載されるアルキル基又は他の置換基に結合されていてもよく、又は結合されていなくてもよい。
【0095】
ヘテロ環及びヘテロアリールの例としては、限定されないが、アゼチジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタルイミド、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、モルホリニル、チオモルホリニル(チアモルホリニルとも称される)、1,1-ジオキソチオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジン、テトラヒドロフラニルなどが挙げられる。
【0096】
ヘテロ環式環置換基の定義によって別段の制約を受けない限り、かかるヘテロ環式環基は、任意選択的に、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、及び縮合ヘテロ環から選択される、1~5個、又は1~3個の置換基で置換され得る。
【0097】
「ヘテロシクリルオキシ」は、-O-ヘテロシクリル基を指す。
【0098】
「ヘテロシクリルチオ」という用語は、ヘテロ環式環-S-基を指す。
【0099】
「ヘテロシクレン」という用語は、本明細書で定義されるように、ヘテロ環から形成されるジラジカル基を指す。
【0100】
「ヒドロキシアミノ」という用語は、-NHOH基を指す。
【0101】
「ニトロ」は、-NO基を指す。
【0102】
「オキソ」は、原子(=O)を指す。
【0103】
「スルホニル」は、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、-SO-アルケニル、-SO-置換アルケニル、-SO-シクロアルキル、-SO-置換シクロアルキル、-SO-シクロアルケニル、-SO-置換シクロアルケニル、-SO-アリール、-SO-置換アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-置換ヘテロアリール、-SO-ヘテロ環、及び-SO-置換ヘテロ環の基を指し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、及び置換ヘテロ環は本明細書で定義されるとおりである。スルホニルとしては、例として、メチル-SO-、フェニル-SO-、及び4-メチルフェニル-SO-が挙げられる。
【0104】
「スルホニルオキシ」は、-OSO-アルキル、-OSO-置換アルキル、-OSO-アルケニル、-OSO-置換アルケニル、-OSO-シクロアルキル、-OSO-置換シクロアルキル、-OSO-シクロアルケニル、-OSO-置換シクロアルケニル、-OSO-アリール、-OSO-置換アリール、-OSO-ヘテロアリール、-OSO-置換ヘテロアリール、-OSO-ヘテロ環、及び-OSO-置換ヘテロ環の基を指し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、及び置換ヘテロ環は本明細書で定義されるとおりである。
【0105】
「サルフェート」又は「硫酸エステル」は、-O-SO-OH、-O-SO-O-アルキル、-O-SO-O-置換アルキル、-O-SO-O-アルケニル、-O-SO-O-置換アルケニル、-O-SO-O-シクロアルキル、-O-SO-O-置換シクロアルキル、-O-SO-O-シクロアルケニル、-O-SO-O-置換シクロアルケニル、-O-SO-O-アリール、-O-SO-O-置換アリール、-O-SO-O-ヘテロアリール、-O-SO-O-置換ヘテロアリール、-O-SO-O-ヘテロ環、及び-O-SO-O-置換ヘテロ環の基を指し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、及び置換ヘテロ環は本明細書で定義されるとおりである。
【0106】
「アミノカルボニルオキシ」という用語は、-OC(O)NRR基を指し、各Rが、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロ環式環であり、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロ環式環が、本明細書で定義されるとおりである。
【0107】
「チオール」は、-SH基を指す。
【0108】
「チオキソ」又は「チオケト」という用語は、原子(=S)を指す。
【0109】
「アルキルチオ」又は「チオアルコキシ」という用語は、-S-アルキル基を指し、アルキルが本明細書で定義されるとおりである。特定の実施形態では、硫黄は、-S(O)-へと酸化され得る。スルホキシドは、1つ以上の立体異性体として存在し得る。
【0110】
「置換チオアルコキシ」という用語は、-S-置換アルキル基を指す。
【0111】
「チオアリールオキシ」という用語は、アリール-S-基を指し、アリール基は、本明細書でまた定義される任意選択的に置換されたアリール基を含む、本明細書に定義されるとおりである。
【0112】
「チオヘテロアリールオキシ」という用語は、ヘテロアリール-S-基を指し、ヘテロアリール基は、本明細書でまた定義される任意選択的に置換されたアリール基を含む、本明細書に定義されるとおりである。
【0113】
「チオヘテロシクロオキシ」という用語は、ヘテロシクリル-S-基を指し、ヘテロシクリル基は、本明細書でまた定義される任意選択的に置換されたヘテロシクリル基を含む、本明細書に定義されるとおりである。
【0114】
本明細書の開示に加えて、「置換された」という用語はまた、指定された基(group)又は基(radical)を修飾するために使用される場合、指定された基(group)又は基(radical)の1つ以上の水素原子が、互いに独立して、以下に定義されるのと同じ又は異なる置換基で置き換えられることを意味することができる。
【0115】
本明細書の個々の用語に関して開示される基に加えて、特定の基又はラジカル中の飽和炭素原子上の1個以上の水素を置換するための置換基(単一の炭素上の任意の2個の水素を、=O、=NR70、=N-OR70、=N、又は=Sで置き換えることができる)は、別段の指定がない限り、-R60、ハロ、=O、-OR70、-SR70、-NR8080、トリハロメチル、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO、=N、-N、-SO70、-SO、-SOOR70、-OSO70、-OSO、-OSOOR70、-P(O)(O(M、-P(O)(OR70)O、-P(O)(OR70、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-C(O)O、-C(O)OR70、-C(S)OR70、-C(O)NR8080、-C(NR70)NR8080、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OC(O)O、-OC(O)OR70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70CO 、-NR70CO70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)NR8080、-NR70C(NR70)R70、及び-NR70C(NR70)NR8080であり、R60が、任意選択的に置換されたアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、各R70が、独立して、水素若しくはR60であり、各R80が、独立してR70であるか、又はあるいは、2つのR80が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、5員、6員、若しくは7員のヘテロシクロアルキルを形成し、これらは、任意選択的に、O、N、及びSからなる群から選択される同じ若しくは異なる1~4個の追加のヘテロ原子を含み得、そのうち、Nが、-H若しくはC~Cアルキル置換を有していてもよく、各Mが、正味の単一正電荷を有する対イオンである。各Mは、独立して、例えば、アルカリイオン、例えば、K、Na、Li、アンモニウムイオン、例えば、N(R60、又はアルカリ土類イオン、例えば、[Ca2+0.5、[Mg2+0.5、又は[Ba2+0.5(「添え字の0.5は、かかる二価のアルカリ土類イオンの対イオンのうちの1つが、本発明の化合物のイオン化した形態であってもよく、塩化物などの他の典型的な対イオン、又は本明細書に開示される2つのイオン化した化合物が、かかる二価アルカリ土類イオンの対イオンとして機能し得るか、本発明の二重イオン化した化合物が、かかる二価アルカリ土類イオンの対イオンとして機能し得ることを意味する)であってもよい。具体例として、-NR8080は、-NH、-NH-アルキル、N-ピロリジニル、N-ピペラジニル、4N-メチル-ピペラジン-1-イル及びN-モルホリニルを含むことを意味する。
【0116】
本明細書の開示に加えて、「置換」アルケン、アルキン、アリール及びヘテロアリール基中の不飽和炭素原子上の水素の置換基は、別段の指定がない限り、-R60、ハロ、-O、-OR70、-SR70、-S、-NR8080、トリハロメチル、-CF、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO、-N、-SO70、-SO 、-SO70、-OSO70、-OSO 、-OSO70、-PO -2(M、-P(O)(OR70)O、-P(O)(OR70、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-CO 、-CO70、-C(S)OR70、-C(O)NR8080、-C(NR70)NR8080、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OCO 、-OCO70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70CO 、-NR70CO70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)NR8080、-NR70C(NR70)R70及び-NR70C(NR70)NR8080であり、式中、R60、R70、R80、及びMが、既に定義されているとおりであり、但し、置換アルケン又はアルキンの場合には、置換基は、-O、-OR70、-SR70、又は-Sではない。
【0117】
本明細書の個々の用語に関して開示される基に加えて、「置換」ヘテロアルキル及びシクロヘテロアルキル基中の窒素原子上の水素の置換基は、別段の指定がない限り、-R60、-O、-OR70、-SR70、-S、-NR8080、トリハロメチル、-CF、-CN、-NO、-NO、-S(O)70、-S(O)、-S(O)OR70、-OS(O)70、-OS(O)、-OS(O)OR70、-P(O)(O(M、-P(O)(OR70)O、-P(O)(OR70)(OR70)、-C(O)R70、-C(S)R70、-C(NR70)R70、-C(O)OR70、-C(S)OR70、-C(O)NR8080、-C(NR70)NR8080、-OC(O)R70、-OC(S)R70、-OC(O)OR70、-OC(S)OR70、-NR70C(O)R70、-NR70C(S)R70、-NR70C(O)OR70、-NR70C(S)OR70、-NR70C(O)NR8080、-NR70C(NR70)R70及び-NR70C(NR70)NR8080であり、式中、R60、R70、R80、及びMが、既に定義されているとおりである。
【0118】
本明細書の開示に加えて、特定の実施形態では、置換される基は、1、2、3、若しくは4個の置換基、1、2、若しくは3個の置換基、1若しくは2個の置換基、又は1個の置換基を有する。
【0119】
上で定義されている全ての置換基において、それ自体に更なる置換基を有する置換基(例えば、置換アリール基を置換基として有し、それ自体が置換アリール基で置換されており、更に置換アリール基によって置換されている置換アリール基など)を定義することによって到達するポリマーは、本明細書に含まれることを意図していないことが理解される。そのような場合において、そのような置換の最大数は3である。例えば、本明細書で具体的に企図される置換アリール基の連続的な置換は、置換アリール-(置換アリール)-置換アリールに限定される。
【0120】
別段の指示がない限り、本明細書で明示的に定義されない置換基の命名法は、官能基の末端部分に続いて隣接官能基を結合点に向かって命名することによって到達される。例えば、置換基「アリールアルキルオキシカルボニル」は、(アリール)-(アルキル)-O-C(O)-基を指す。
【0121】
1つ以上の置換基を含む本明細書に開示される基のいずれに関しても、そのような基は、立体的に実施不可能であり、及び/又は合成的に実現不可能である任意の置換又は置換パターンを当然含まないことを理解されたい。加えて、対象化合物には、これらの化合物の置換から生じる全ての立体化学異性体が含まれる。
【0122】
「薬学的に許容される塩」という用語は、患者、例えば、哺乳動物への投与に対して許容される塩(所与の投薬量計画に対して許容される哺乳動物安全性を有する対イオンを有する塩)を意味する。かかる塩は、薬学的に許容される無機又は有機塩基、及び薬学的に許容される無機又は有機酸に由来し得る。「薬学的に許容される塩」は、化合物の薬学的に許容される塩を指し、塩は、当該技術分野で周知の様々な有機及び無機対イオンに由来し、単なる例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどを含み、分子が塩基性官能基を含有する場合、塩酸塩、臭化水素塩、ギ酸塩、酒石酸塩、ベシル酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの有機又は無機酸の塩が挙げられる。
【0123】
「その塩」という用語は、酸のプロトンが、金属カチオン又は有機カチオンなどのカチオンによって置き換えられたときに形成される化合物を意味する。該当する場合、塩は、薬学的に許容される塩であるが、このことは、患者への投与を意図していない中間化合物の塩には必要ではない。例として、本発明の化合物の塩は、無機又は有機酸の共役塩基を塩のアニオン性構成要素として、化合物が無機又は有機酸によってプロトン化されてカチオンを形成するものを含む。
【0124】
「溶媒和物」は、溶媒分子と溶質の分子又はイオンとの組み合わせによって形成される複合体を指す。溶媒は、有機化合物、無機化合物、又は両方の混合物であり得る。溶媒のいくつかの例には、メタノール、N、N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、及び水が含まれるが、これらに限定されない。溶媒が水であるとき、形成される溶媒和物は水和物である。
【0125】
「立体異性体(stereoisomer)」及び「立体異性体(stereoisomers)」は、同じ原子連結性を有するが、空間における異なる原子配置を有する化合物を指す。立体異性体には、シス-トランス異性体、E及びZ異性体、鏡像異性体、並びにジアステレオマーが含まれる。
【0126】
「互変異性体」とは、原子の電子結合においてのみ、及び/又は陽子の位置において異なる分子の代替形態、例えば、エノールケト及びイミン-エナミン互変異性体、又はピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、及びテトラゾール等の-N=C(H)-NH-環原子配置を含むヘテロアリール基の互変異性体を指す。当業者は、他の互変異性環原子配置が可能であることを認識するであろう。
【0127】
「又はその塩若しくは溶媒和物若しくは立体異性体」という用語は、塩、溶媒和物、及び立体異性体の全ての置換(permutation)、例えば、対象化合物の立体異性体の薬学的に許容される塩の溶媒和物を含むことを意図していることを理解されたい。
【0128】
「薬学的有効量」及び「治療有効量」は、特定の障害又は疾患、又はその症状の1つ以上を治療し、かつ/又は疾患又は障害の発生を予防するのに十分な化合物の量を指す。腫瘍原性増殖性障害に関して、薬学的有効量又は治療有効量は、特に、腫瘍を縮小させるか、又は腫瘍の成長速度を低下させるのに十分な量を含む。
【0129】
「患者」は、ヒト及び非ヒト対象、特に、哺乳動物対象を指す。
【0130】
本明細書で使用される「治療すること」又は「治療」という用語は、哺乳動物(特にヒト)などの患者の疾患又は医学的状態を治療すること、又は治療を意味し、(a)対象の予防的治療など、疾患又は医学的状態の発生を防止すること、(b)患者の疾患又は医学的状態をなくすか、逆行させるなど、疾患又は医学的状態を改善すること、(c)例えば、患者の疾患又は医学的状態の発症を遅延させるか、又は停止させることなどにより、疾患又は医学的状態を抑制すること、あるいは(d)患者の疾患又は医学的状態の症状を緩和することを含む。
【0131】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、本明細書で交換可能に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマー形態を指す。特に別段の指示がない限り、「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」は、遺伝的にコードされているアミノ酸及びコードされていないアミノ酸、化学的又は生化学的に修飾されているか、若しくは誘導体化されているアミノ酸、並びに修飾されたペプチド骨格を有するポリペプチドを含んでもよい。用語は、これらに限定されないが、異種アミノ酸配列を有する融合タンパク質、異種及び相同リーダー配列を有する融合、少なくとも1つのN末端メチオニン残基を含むタンパク質(例えば、組換え細菌宿主細胞中で産生を容易にする)を含む融合タンパク質、免疫学的にタグ化されたタンパク質などを含む。
【0132】
「天然アミノ酸配列」又は「親アミノ酸配列」は、本明細書で交換可能に使用され、修飾アミノ酸残基を含むような修飾の前のポリペプチドのアミノ酸配列を指す。
【0133】
「アミノ酸類似体」、「非天然アミノ酸」などの用語は、交換可能に使用されてもよく、天然に存在するタンパク質(例えば、Ala又はA、Cys又はC、Asp又はD、Glu又はE、Phe又はF、Gly又はG、His又はH、Ile又はI、Lys又はK、Leu又はL、Met又はM、Asn又はN、Pro又はP、Gln又はQ、Arg又はR、Ser又はS、Thr又はT、Val又はV、Trp又はW、Tyr又はY)中に一般的に見出される1つ以上のアミノ酸と構造及び/又は全体的な形状が類似しているアミノ酸様化合物を含む。アミノ酸類似体には、修飾側鎖又は骨格を有する天然アミノ酸も含まれる。アミノ酸類似体はまた、天然に存在するD形態と同じ立体化学を有するアミノ酸類似体、並びにアミノ酸類似体のL形態を含む。場合によっては、アミノ酸類似体は、1つ以上の天然アミノ酸の骨格構造及び/又は側鎖構造を共有し、その差は、分子中の1つ以上の修飾基である。かかる修飾としては、限定されないが、ある原子(例えばN)の関連する原子(例えばS)による置換、ある基(例えば、メチル、若しくはヒドロキシルなど)又はある原子(例えば、Cl、若しくはBrなど)の付加、ある基の欠失、共有結合の置換(例えば、単結合を二重結合などへ)、あるいはそれらの組み合わせが挙げられ得る。例えば、アミノ酸類似体は、α-ヒドロキシ酸、及びα-アミノ酸などを含み得る。
【0134】
「アミノ酸側鎖」又は「アミノ酸の側鎖」などの用語は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及びアミノ酸類似体を含む、アミノ酸残基のα炭素に結合した置換基を指すために使用され得る。アミノ酸側鎖はまた、本明細書に記載の修飾アミノ酸及び/又はコンジュゲートの文脈で記載されるアミノ酸側鎖を含み得る。
【0135】
「炭水化物」などの用語は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、及び多糖類のモノマー単位及び/又はポリマーを指すために使用され得る。糖という用語は、単糖類、二糖類などのより小さな炭水化物を指すために使用され得る。「炭水化物誘導体」という用語は、目的の炭水化物の1つ以上の官能基が置換され(任意の好都合な置換基によって置き換えられ)、修飾され(任意の好都合な化学物質を使用して別の基に変換され)るか、又は存在しない(例えば、除去されるか、又はHによって置き換えられる)化合物を含む。様々な炭水化物及び炭水化物誘導体が入手可能であり、主題の化合物及びコンジュゲートでの使用に適合され得る。
【0136】
「グリコシド」又は「グリコシル」という用語は、グリコシド結合を介して部分に結合した糖分子又は基を指す。例えば、グリコシドが結合する部分は、本明細書に記載される切断可能なリンカーであり得る。グリコシド結合は、様々なタイプの結合、例えば、限定されないが、O-グリコシド結合(O-グリコシド)、N-グリコシド結合(グリコシルアミン)、S-グリコシド結合(チオグリコシド)、又はC-グリコシド結合(C-グリコシド又はC-グリコシル)を介して、グリコシドを他の部分に連結し得る。ある場合には、グリコシドは、それらが結合している部分から、例えば、化学的に媒介される加水分解又は酵素的に媒介される加水分解によって切断され得る。
【0137】
「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、及び多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、ヒト化抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、抗体断片(例えば、Fab断片)などを含む。抗体は、標的抗原に結合することができる。(Janeway,C.,Travers,P.,Walport,M.,Shlomchik(2001)Immuno Biology,5th Ed.,Garland Publishing,New York)。標的抗原は、抗体の1つ以上の可変領域によって形成される相補性決定領域(CDR)によって認識される、エピトープとも呼ばれる1つ以上の結合部位を有し得る。
【0138】
「自然抗体」という用語は、抗体の重鎖及び軽鎖が作製され、多細胞生物の免疫系によって対になっている抗体を指す。脾臓、リンパ節、骨髄、及び血清は、自然抗体を産生する組織の一例である。例えば、抗原で免疫付与された第一の動物から単離された細胞を産生する抗体によって産生される抗体は、自然抗体である。
【0139】
「ヒト化抗体」又は「ヒト化免疫グロブリン」という用語は、ヒト抗体から対応して配置されるアミノ酸で置換されている1つ以上のアミノ酸(例えば、フレームワーク領域、定常領域、又はCDRの中)を含有する非ヒト(例えば、マウス又はウサギ)抗体を指す。概して、ヒト化抗体は、同じ抗体の非ヒト化態様と比較した場合に、ヒト宿主中で低減された免疫応答を生成する。抗体は、例えば、CDRグラフティング(EP239,400、PCT公開第WO91/09967号、米国特許第5,225,539号、同第5,530,101号、及び同第5,585,089号)、ベニヤリング若しくはリサーフェイシング(EP592,106、EP519,596、Padlan,Molecular Immunology 28(4/5):489-498(1991)、Studnicka et al.,Protein Engineering 7(6):805-814(1994)、Roguska.et al.,PNAS91:969-973(1994))、並びにチェーンシャッフリング(米国特許第5,565,332号)を含む、当該技術分野で既知の様々な技術を使用して、ヒト化され得る。特定の実施形態では、フレームワーク置換は、CDR及びフレームワーク残基の相互作用のモデリングによって特定され、抗原結合及び配列比較に重要なフレームワーク残基を特定し、特定の位置での異常なフレームワーク残基を特定する(例えば、米国特許第5,585,089号、Riechmann et al.,Nature 332:323(1988)を参照されたい)。本発明での使用が企図される抗体をヒト化するための追加の方法は、米国特許第5,750,078号、同第5,502,167号、同第5,705,154号、同第5,770,403号、同第5,698,417号、同第5,693,493号、同第5,558,864号、同第4,935,496号、及び同第4,816,567号、並びにPCT公開第WO98/45331号及び同第WO98/45332号に記載されている。特定の実施形態では、主題のウサギ抗体は、US2004/0086979及びUS2005/0033031に記載される方法に従ってヒト化され得る。したがって、上述の抗体は、当該技術分野で周知である方法を使用してヒト化され得る。
【0140】
「キメラ抗体」という用語は、抗体の軽鎖及び重鎖遺伝子が、典型的には遺伝子操作することによって、異なる種に属している抗体可変領域及び定常領域遺伝子から構築されている、抗体を指す。例えば、マウスモノクローナル抗体からの遺伝子の可変セグメントは、ガンマ1及びガンマ3などのヒト定常セグメントに結合され得る。療法用キメラ抗体の一例は、マウス抗体由来の可変ドメイン又は抗原結合ドメインと、ヒト抗体由来の定常ドメイン又はエフェクタードメインとから構成されているハイブリッドタンパク質であるが、他の哺乳動物種由来のドメインも使用され得る。
【0141】
免疫グロブリンポリペプチドの免疫グロブリン軽鎖又は重鎖可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」とも呼ばれる、3つの超可変領域によって中断されているフレームワーク領域(FR)から構成されている。フレームワーク領域及びCDRの程度は、定義されている(“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”E.Kabat et al.,U.S.Department of Health and Human Services,1991を参照されたい)。構成要素である軽鎖及び重鎖の組み合されたフレームワーク領域である、抗体のフレームワーク領域は、CDRを位置決定し、アラインメントするのに役立つ。CDRは、主に、抗原のエピトープへの結合に寄与する。
【0142】
「親Igポリペプチド」は、本明細書に記載のアルデヒドタグ化定常領域を欠くアミノ酸配列を含むポリペプチドである。親ポリペプチドは、天然配列定常領域を含んでいてもよく、又は既存のアミノ酸配列修飾(付加、欠失、及び/又は置換など)を有する定常領域を含んでもよい。
【0143】
本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、化合物が天然で存在するものとは異なる環境にある目的の化合物を記載することを意味する。「単離された」は、目的の化合物が実質的に濃縮されており、かつ/又は目的の化合物が部分的若しくは実質的に精製されている、試料内にある化合物を含むことを意味する。
【0144】
本明細書で使用される場合、「実質的に精製された」という用語は、その天然の環境から除去され、天然に関連する他の構成要素を少なくとも60%含まない、少なくとも75%含まない、少なくとも80%含まない、少なくとも85%含まない、少なくとも90%含まない、少なくとも95%含まない、少なくとも98%含まない、又は98%超を含まない、化合物を指す。
【0145】
「生理学的条件」という用語は、生細胞と適合性のあるそれらの条件、例えば、生細胞と適合性のある温度、pH、塩分などの主に水性条件を包含することを意味する。
【0146】
「反応性パートナー」とは、別の反応性パートナーと特異的に反応し、反応生成物を生成する分子又は分子部分を意味する。例示的な反応性パートナーは、スルファターゼモチーフのシステイン又はセリン、及びホルミルグリシン生成酵素(FGE)を含み、これらが反応して、モチーフ中のシステイン又はセリンの代わりに、ホルミルグリシン(FGly)を含有する変換されたアルデヒドタグの反応生成物を形成する。他の例示的な反応性パートナーは、変換されたアルデヒドタグのfGly残基のアルデヒド(例えば、反応性アルデヒド基)と、アルデヒド反応性基及び目的の部分を含む「アルデヒド反応性の反応性パートナー」を含み、これらが反応して、修飾fGly残基を介して修飾ポリペプチドにコンジュゲート化された目的の部分を有する修飾アルデヒドタグ化ポリペプチドの反応生成物を形成する。
【0147】
「N末端」は、遊離アミン基を有するポリペプチドの末端アミノ酸残基を指し、非N末端アミノ酸残基中のアミン基が、通常、ポリペプチドの共有結合性骨格の一部を形成する。
【0148】
「C末端」は、遊離カルボキシル基を有するポリペプチドの末端アミノ酸残基を指し、非C末端アミノ酸残基中のカルボキシル基が、通常、ポリペプチドの共有結合性骨格の一部を形成する。
【0149】
ポリペプチド又はポリペプチドのアミノ酸配列に関して使用される場合の「内部部位」は、N末端又はC末端ではないポリペプチドの領域を意味する。
【0150】
本発明が更に記載される前に、本発明は、記載される特定の実施形態に限定されず、当然のことながら、変化する可能性があることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載するためのものであるにすぎず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲のみによって限定されるため、限定的であることは意図されないこともまた理解されたい。
【0151】
値の範囲が提供される場合、文脈が別途明確に指示しない限り、その範囲の上限と下限との間の下限の単位の10分の1までの各介在値、及び記載された範囲内の任意の他の記載された値又は介在値は、本発明内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立して、そのより小さな範囲に含まれていてもよく、その記載された範囲内で任意の具体的に除外される境界を仮定して、本発明にも包含される。記載された範囲が、境界の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる境界の一方又は両方を除外した範囲もまた、本発明に含まれる。
【0152】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で記載される本発明の特定の特徴はまた、組み合わされて単一の実施形態で提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載された本発明の様々な特徴は、別個に、又は任意の好適なサブコンビネーションでも提供され得る。本発明に関する実施形態の全ての組み合わせは、本発明によって具体的に包含され、まさに、そのような組み合わせが、例えば、安定した化合物(すなわち、作製され、単離され、特性決定され、生物学的活性について試験され得る化合物)である化合物である主題を包含する程度まで、ありとあらゆる組み合わせが、個々に、かつ明示的に開示されたかのように、本明細書に開示される。加えて、様々な実施形態及びその要素(例えば、かかる変数を記載する実施形態で列挙される化学基の要素)の全てのサブコンビネーションもまた、本発明によって具体的に包含され、まさにありとあらゆるサブコンビネーションが、個々に、かつ明示的に開示されたかのように、本明細書に開示される。
【0153】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様又は同等の任意の方法及び材料はまた、本発明の実施又は試験においても使用することができるが、好ましい方法及び材料をここで記載する。本明細書で言及される全ての公開物は、公開物が引用されるものとの関連で方法及び/又は材料を開示し、記載するために、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0154】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、あらゆる任意選択的な要素を排除するように記載され得ることに更に留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の記載に関連する「単に」、「のみ」等の排他的な用語の使用、又は「否定的」な限定の使用の先行詞としての役割を果たすことが意図される。
【0155】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で記載される本発明の特定の特徴はまた、組み合わされて単一の実施形態で提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載された本発明の様々な特徴は、別個に、又は任意の好適なサブコンビネーションでも提供され得る。
【0156】
本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日前に専らそれらの開示のために提供されている。本明細書におけるいかなるものも、本発明が先行発明によってそのような公開に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。更に、提供される刊行物の日付は、独立して確認する必要があり得る実際の刊行日とは異なる場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0157】
本開示は、抗体を薬物に結合するエステル基を含む切断可能なリンカーを含む、抗体-薬物コンジュゲート構造を提供する。本開示はまた、そのようなコンジュゲートを産生する方法、及びそのコンジュゲートを使用する方法を包含する。
【0158】
ほとんどのペイロードは、活性を示すためにADCアセンブリからの切断を必要とする。したがって、ADCで使用される化学リンカーは、細胞内(リソソーム)条件下で主に切断可能である。典型的には、そのようなリンカーは、プロテアーゼ及びグリコシダーゼによる酵素切断を受けやすいか、又は酸分解性である。例えば、多くのアミン含有薬物は、自壊性(self-immolative)スペーサー及びカルバメート基を介してプロテアーゼ切断可能なジペプチドリンカーに容易に結合することができる(図2、パネルA)。対照的に、結合可能な部分として遊離ヒドロキシ基のみを有するペイロードは、ADCで直接使用することが困難であることが証明されている。そのようなペイロードのための切断可能なリンカーは、特別な設計を必要とし、多くの場合、手間のかかる合成アプローチを必要とする。カルボキシルエステル基を使用してヒドロキシ含有ペイロードを抗体に結合させることは、このクラスのペイロードを有するADCを生成するための最も直接的で合成的に扱いやすいアプローチであるように思われる(図2、パネルB)。しかしながら、エステルは、様々な血漿ヒドロラーゼ(エステラーゼ)に対して非常に感受性があり、したがって、通常、循環において高い安定性(t1/2=週)を必要とするADCに有用なリンカーとはみなされない。本開示は、血漿中で安定なコンジュゲートの生成のためにヒドロキシ含有薬物を抗体に直接結合するためのエステルリンカーの使用を含むADCを提供する。
【0159】
単糖部分に隣接するカルボキシルエステルリンカーを含むADCは、完全に露出したエステル基と比較して、より高い血漿中安定性を示し得るが、図3に示されるように、ADC内在化及び輸送時に効率的に切断し得る。
【0160】
標的細胞に入る前の細胞外加水分解酵素によるエステル切断は、それ自体が血漿中で非常に安定である隣接するグリコシドによって提供される立体障害のために、無視できるものであり得る。逆に、ADC内在化時に、単糖基は、リソソームグリコシダーゼによって効率的に除去され得、細胞内エステラーゼによる酵素加水分解にアクセス可能なエステル基を残し得る。この後者のステップは、コンジュゲート化に用いられる遊離ヒドロキシ基の回収を伴う元のペイロードの放出につながるであろう(図3)。そのような二重切断エステルグリコシドリンカーの例を図4に示す。これらは、オルトグリコシド部分(1)を含むサリチル酸エステルリンカー、及びα-アリールグリシン(2)の構造関連する誘導体を含む。同じ構造設計概念を、セリン、イソセリン、及びスレオニンに適用することは、それぞれ、グリコシド化エステルリンカー3、4、及び5を提供する。同じ原理に従って、リンゴ酸及び酒石酸の単糖含有誘導体(それぞれ6及び7)も提供される(図4)。
【0161】
抗体-薬物コンジュゲート
本開示は、コンジュゲート、例えば、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を提供する。「コンジュゲート」とは、第2の部分(例えば、薬物又は活性薬剤)と安定して会合する第1の部分(例えば、抗体)を意味する。例えば、抗体-薬物コンジュゲートには、別の部分(例えば、抗体)と安定して会合した薬物又は活性薬剤が含まれる。「安定して会合する」は、ある部分が、別の部分又は構造に、標準条件下で結合されていることを意味する。特定の実施形態では、第1の部分及び第2の部分は、1つ以上の官能基及び共有結合を介して互いに結合されている。例えば、1つ以上の官能基及び共有結合は、本明細書に記載の切断可能なリンカーを含み得る。
【0162】
特定の実施形態では、コンジュゲートは、第2の部分にコンジュゲート化されたポリペプチドを含む、ポリペプチドコンジュゲートである。特定の実施形態では、ポリペプチドにコンジュゲート化された部分は、限定されないが、薬物、活性薬剤、検出可能な標識、水溶性ポリマー、又は膜若しくは表面へのポリペプチドの固定化のための部分などの様々な目的の部分のうちのいずれかであり得る。特定の実施形態では、コンジュゲートは、ポリペプチドが抗体であり、したがって、抗体-薬物コンジュゲートを提供する、薬物コンジュゲートである。例えば、コンジュゲートは、ポリペプチドが薬物又は活性薬剤にコンジュゲート化されている、薬物コンジュゲートであり得る。様々なタイプの薬物又は活性薬剤が、コンジュゲートに使用されてもよく、以下により詳細に記載される。
【0163】
目的の部分(例えば、薬物又は活性薬剤)は、ポリペプチドの任意の所望の部位でポリペプチド(例えば、抗体)にコンジュゲート化され得る。したがって、本開示は、例えば、ポリペプチドのC末端又はその付近の部位でコンジュゲート化された部分を有する修飾ポリペプチドを提供する。他の例としては、ポリペプチドのN末端又はその付近の位置でコンジュゲート化された部分を有する修飾ポリペプチドを含む。例としては、ポリペプチドのC末端とN末端との間の位置(例えば、ポリペプチドの内部部位)にコンジュゲート化された部分を有する修飾ポリペプチドも挙げられる。上の組み合わせは、修飾ポリペプチドが2つ以上の部分にコンジュゲート化されている場合にも可能である。
【0164】
特定の実施形態では、本開示のコンジュゲートは、アミノ酸残基のα炭素でポリペプチドのアミノ酸残基にコンジュゲート化された薬物又は活性薬剤を含む。別の言い方をすれば、コンジュゲートは、ポリペプチド中の1つ以上のアミノ酸残基の側鎖が、薬物又は活性薬剤に結合するように修飾されている(例えば、本明細書に記載されるリンカーを介して薬物又は活性薬剤に結合された)ポリペプチドを含む。例えば、コンジュゲートは、ポリペプチド中の1つ以上のアミノ酸残基のα-炭素が、薬物又は活性薬剤に結合される(例えば、本明細書に記載されるリンカーを介して薬物又は活性薬剤に結合される)ように修飾されているポリペプチドを含む。
【0165】
本開示の実施形態は、ポリペプチドが、1つ以上の部分、例えば、2部分、3部分、4部分、5部分、6部分、7部分、8部分、9部分、又は10部分以上にコンジュゲート化される、コンジュゲートを含む。部分は、ポリペプチド中の1つ以上の部位でポリペプチドにコンジュゲート化され得る。例えば、1つ以上の部分は、ポリペプチドの単一アミノ酸残基にコンジュゲート化され得る。ある場合には、1つの部分は、ポリペプチドのアミノ酸残基にコンジュゲート化される。他の実施形態では、2つの部分は、ポリペプチドの同じアミノ酸残基にコンジュゲート化され得る。他の実施形態では、第1の部分は、ポリペプチドの第1のアミノ酸残基にコンジュゲート化され、第2の部分は、ポリペプチドの第2のアミノ酸残基にコンジュゲート化される。例えば、ポリペプチドが第1のアミノ酸残基で第1の部分にコンジュゲート化され、第2のアミノ酸残基で2つの他の部分にコンジュゲート化される場合に、上の組み合わせもまた可能である。これらに限定されないが、第1のアミノ酸残基で第1及び第2の部分にコンジュゲート化され、第2のアミノ酸残基で第3及び第4の部分にコンジュゲート化されたポリペプチドなどの他の組み合わせも可能である。
【0166】
1つ以上の部分にコンジュゲート化されるポリペプチドの1つ以上のアミノ酸残基は、天然に存在するアミノ酸、非天然アミノ酸、又はそれらの組み合わせであり得る。例えば、コンジュゲートは、ポリペプチドの天然に存在するアミノ酸残基にコンジュゲート化された部分を含み得る。他の例において、コンジュゲートは、ポリペプチドの非天然アミノ酸残基にコンジュゲート化された部分を含み得る。1つ以上の部分は、上に記載されるように、単一の天然又は非天然アミノ酸残基でポリペプチドにコンジュゲート化され得る。ポリペプチド中の1つ以上の天然又は非天然アミノ酸残基は、本明細書に記載されるように、1つ以上の部分にコンジュゲート化され得る。例えば、ポリペプチド中の2つ(又はそれ超)のアミノ酸残基(例えば、天然又は非天然アミノ酸残基)は、ポリペプチド中の複数の部位が修飾されるように、各々が1つ又は2つの部分にコンジュゲート化され得る。
【0167】
本明細書に記載されるように、ポリペプチドは、1つ以上の部分にコンジュゲート化され得る。特定の実施形態では、目的の部分は、薬物、活性薬剤、又は検出可能な標識などの化学エンティティである。例えば、薬物(又は活性薬剤)は、ポリペプチドにコンジュゲート化されてもよく、又は他の実施形態では、検出可能な標識が、ポリペプチドにコンジュゲート化されてもよい。したがって、例えば、本開示の実施形態は、限定されないが、以下のものを含む:ポリペプチド及び薬物のコンジュゲート、ポリペプチド及び活性薬剤のコンジュゲート、ポリペプチド及び検出可能な標識のコンジュゲート、2つ以上の薬物及びポリペプチドのコンジュゲート、2つ以上の検出可能な標識及びポリペプチドのコンジュゲートなど。
【0168】
特定の実施形態では、ポリペプチド(例えば、抗体)及び目的の部分(例えば、薬物又は活性薬剤)は、コンジュゲート化部分を介してコンジュゲート化される。例えば、ポリペプチド及び目的の部分は、各々コンジュゲート化部分に結合(例えば、共有結合)してもよく、したがって、コンジュゲート化部分を介して、ポリペプチド及び目的の部分を一緒に間接的に結合する。ある場合には、コンジュゲート化部分は、ヒドラジニル-インドリル若しくはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニル化合物、又はヒドラジニル-インドリル若しくはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニル化合物の誘導体を含む。例えば、ヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルコンジュゲート化部分を介して、ポリペプチドに目的の部分をカップリングするための一般的なスキームは、以下の一般的な反応スキームに示される。ヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルコンジュゲート化部分は、本明細書でそれぞれ、ヒドラジノ-iso-Pictet-Spengler(HIPS)コンジュゲート化部分及びアザ-ヒドラジノ-iso-Pictet-Spengler(アザHIPS)コンジュゲート化部分とも称される。
【化19】
【0169】
上の反応スキームにおいて、Rは、ポリペプチドにコンジュゲート化される(例えば、本明細書に記載の切断可能なリンカーを介してポリペプチドにコンジュゲート化される)目的の部分(例えば、薬物又は活性薬剤)を含む。上の反応スキームに示されるように、2-ホルミルグリシン残基(fGly)を含むポリペプチドを、コンジュゲート化部分(例えば、ヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルコンジュゲート化部分)を含むように修飾された薬物又は活性薬剤と反応させ、コンジュゲート化部分に結合したポリペプチドコンジュゲートを生成し、したがって、コンジュゲート化部分を介して、ポリペプチドに薬物又は活性薬剤を結合する。
【0170】
本明細書に記載されるように、この部分は、様々な部分、例えば、限定されないが、化学エンティティ、例えば、検出可能な標識、又は薬物若しくは活性薬剤のうちのいずれかであり得る。R’及びR”は、各々独立して、任意の所望の置換基、例えば、限定されないが、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルであってもよい。Zは、CR21、NR22、N、O、又はSであってもよく、式中、R21及びR22は、各々独立して、上のR’及びR”について記載される置換基のいずれかから選択される。
【0171】
本明細書に記載されるコンジュゲート及び化合物に示されるように、他のヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルコンジュゲート化部分もまた可能である。例えば、ヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルコンジュゲート化部分は、リンカーに結合される(例えば、共有結合される)ように修飾され得る。したがって、本開示の実施形態は、リンカーを介して薬物又は活性薬剤に結合されるヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルコンジュゲート化部分を含む。ヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルコンジュゲート化部分を薬物又は活性薬剤にカップリングし得るリンカーの様々な実施形態を、本明細書で詳細に記載する。例えば、場合によっては、リンカーは、切断可能なリンカー、例えば、本明細書に記載の切断可能なリンカーである。
【0172】
特定の実施形態では、ポリペプチドは、目的の部分にコンジュゲート化されてもよく、ポリペプチドは、目的の部分へのコンジュゲート化の前に修飾される。ポリペプチドの修飾は、目的の部分へのコンジュゲート化に好適な1つ以上の反応性基を含有する修飾ポリペプチドを産生し得る。ある場合には、ポリペプチドは、1つ以上のアミノ酸残基で修飾されて、目的の部分(例えば、上述のヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルコンジュゲート化部分などのコンジュゲート化部分を含む部分)へのコンジュゲート化に好適な1つ以上の反応性基を提供し得る。例えば、ポリペプチドは、反応性アルデヒド基(例えば、反応性アルデヒド)を含むように修飾され得る。反応性アルデヒドは、「アルデヒドタグ」又は「aldタグ」に含まれてもよく、これらは、本明細書で使用される場合、ホルミルグリシン生成酵素(FGE)の作用によって、2-ホルミルグリシン残基(本明細書では「FGly」と称される)を含有するように変換されたスルファターゼモチーフ(例えば、L(C/S)TPSR)に由来するアミノ酸配列を指す。FGEによって生成されるFGly残基は、「ホルミルグリシン」としても称され得る。言い換えれば、「アルデヒドタグ」という用語は、「変換された」スルファターゼモチーフ(すなわち、システイン又はセリン残基がFGEの作用によってFGlyに変換されたスルファターゼモチーフ、例えば、L(FGly)TPSR)を含むアミノ酸配列を指すために本明細書で使用される。変換されたスルファターゼモチーフは、「変換されていない」スルファターゼモチーフ(すなわち、システイン又はセリン残基がFGEによってFGlyに変換されていないが、変換されることは可能であるスルファターゼモチーフ、例えば、配列L(C/S)TPSRを有する、変換されていないスルファターゼモチーフ)を含むアミノ酸配列に由来し得る。スルファターゼモチーフ上のホルミルグリシン生成酵素(FGE)の作用の文脈において使用される場合の「変換」は、スルファターゼモチーフ中のシステイン又はセリン残基のホルミルグリシン(FGly)残基への(例えば、CysからFGlyへ、又はSerからFGlyへの)生化学的修飾を指す。部位特異的タンパク質修飾におけるアルデヒドタグ及びその使用の更なる態様は、米国特許第7,985,783号及び米国特許第8,729,232号に記載されており、これらの各々の開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0173】
ある場合には、FGly残基を含有する修飾ポリペプチドは、FGlyと、化合物(例えば、上述のヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルコンジュゲート化部分を含有する化合物)との反応によって、目的の部分にコンジュゲート化され得る。例えば、FGly含有ポリペプチドは、ポリペプチドへの薬物のコンジュゲート化を提供するために好適な条件下で、反応性パートナー含有薬物と接触され得る。場合によっては、反応性パートナーを含有する薬物は、上述のヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルコンジュゲート化部分を含み得る。例えば、薬物又は活性薬剤は、ヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルコンジュゲート化部分を含むように修飾され得る。ある場合には、薬物又は活性薬剤は、ヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルに結合し、例えば、リンカー(例えば、本明細書に詳細に記載される切断可能なリンカー)を介して、ヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルに共有結合する。
【0174】
特定の実施形態では、本開示のコンジュゲートは、少なくとも1つの修飾アミノ酸残基を有するポリペプチド(例えば、抗体)を含む。ポリペプチドの修飾アミノ酸残基は、上述のヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルコンジュゲート化部分を含有する薬物又は活性薬剤にカップリングされ得る。特定の実施形態では、ポリペプチド(例えば、抗体)の修飾アミノ酸残基は、上述のようにFGly残基に変換されたシステイン又はセリン残基に由来し得る。特定の実施形態では、FGly残基は、上述のヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルコンジュゲート化部分を含有する薬物又は活性薬剤にコンジュゲート化され、薬物がヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルコンジュゲート化部分を介してポリペプチドにコンジュゲート化される、本開示のコンジュゲートを提供する。本明細書で使用される場合、FGly’という用語は、目的の部分(例えば、薬物又は活性薬剤)にカップリングされるポリペプチド(例えば、抗体)の修飾アミノ酸残基を指す。
【0175】
特定の実施形態では、コンジュゲートは、本明細書に記載される少なくとも1つの修飾アミノ酸残基を含み、修飾アミノ酸残基は、本明細書に記載されるリンカー(切断可能なリンカー)に結合され、リンカー(切断可能なリンカー)は、薬物又は活性薬剤に結合する。例えば、コンジュゲートは、上述の少なくとも1つの修飾アミノ酸残基(FGly’)を含んでもよい。
【0176】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、以下の式(I)のコンジュゲートであり、
【化20】
式中、
が、薬物であり、
が、ポリペプチドであり、
Aが、アミノ酸残基であり、kが、0又は1~5の整数であり、
Lが、リンカーであり、
Gが、コンジュゲート化部分であり、
が、
【化21】
及び-(CHR(CHR)-から選択され、
が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、及びRから選択され、Rが、任意選択的に、Rで置換され、
jが、0又は1~5の整数であり、
が、Rであるか、又はRが、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択され、Rが、Rで置換され、
が、-NH-又は-C(O)-であり、
各Rが、独立して、グリコシド又はグリコシド誘導体である。
【0177】
式(I)のコンジュゲートに関連する置換基は、以下により詳細に記載される。
【0178】
特定の実施形態では、Xは、
【化22】
及び-(CHR(CHR)-から選択される。
【0179】
場合によっては、Xは、
【化23】
である。
【0180】
特定の実施形態では、Xは、
【化24】
である。
【0181】
場合によっては、Xは、-(CHR(CHR)-である。特定の実施形態では、jは、0又は1~5の整数である。場合によっては、jは、0であり、したがって、Xは、存在しない。場合によっては、jは、1である。場合によっては、jは、2である。場合によっては、jは、3である。場合によっては、jは、4である。場合によっては、jは、5である。
【0182】
特定の実施形態では、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、及びRから選択され、Rが、任意選択的に、Rで置換される。特定の実施形態では、Rは、水素である。特定の実施形態では、Rは、アルキル若しくは置換アルキル、例えば、C1~6アルキル若しくはC1~6置換アルキル、又はC1~4アルキル若しくはC1~4置換アルキル、又はC1~3アルキル若しくはC1~3置換アルキルである。特定の実施形態では、Rは、アルケニル若しくは置換アルケニル、例えば、C2~6アルケニル若しくはC2~6置換アルケニル、又はC2~4アルケニル若しくはC2~4置換アルケニル、又はC2~3アルケニル若しくはC2~3置換アルケニルである。特定の実施形態では、Rは、アルキニル若しくは置換アルキニル、例えば、C2~6アルケニル若しくはC2~6置換アルケニル、又はC2~4アルケニル若しくはC2~4置換アルケニル、又はC2~3アルケニル若しくはC2~3置換アルケニルである。特定の実施形態では、Rは、アリール若しくは置換アリール、例えば、C5~8アリール若しくはC5~8置換アリール、例えば、Cアリール若しくはC置換アリール、又はCアリール若しくはC置換アリールである。特定の実施形態では、Rは、フェニルである。特定の実施形態では、Rは、ヘテロアリール若しくは置換ヘテロアリール、例えば、C5~8ヘテロアリール若しくはC5~8置換ヘテロアリール、例えば、Cヘテロアリール若しくはC置換ヘテロアリール、又はCヘテロアリール若しくはC置換ヘテロアリールである。特定の実施形態では、Rは、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、例えば、C3~8シクロアルキル若しくはC3~8置換シクロアルキル、例えば、C3~6シクロアルキル若しくはC3~6置換シクロアルキル、又はC3~5シクロアルキル若しくはC3~5置換シクロアルキルである。特定の実施形態では、Rは、ヘテロシクリル若しくは置換ヘテロシクリル、例えば、C3~8ヘテロシクリル若しくはC3~8置換ヘテロシクリル、例えば、C3~6ヘテロシクリル若しくはC3~6置換ヘテロシクリル、又はC3~5ヘテロシクリル若しくはC3~5置換ヘテロシクリルである。特定の実施形態では、Rは、Rである。
【0183】
特定の実施形態では、Rは、任意選択的に、Rで置換される。例えば、場合によっては、Rは、Rで置換されない。他の実施形態では、Rは、Rで置換される。
【0184】
特定の実施形態では、Rは、Rである。
【0185】
特定の実施形態では、Rは、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択され、Rが、Rで置換される。特定の実施形態では、Rは、Rで置換される。これらの例では、Rは、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択され得る。特定の実施形態では、Rは、アルキル若しくは置換アルキル、例えば、C1~6アルキル若しくはC1~6置換アルキル、又はC1~4アルキル若しくはC1~4置換アルキル、又はC1~3アルキル若しくはC1~3置換アルキルである。特定の実施形態では、Rは、メチルである。特定の実施形態では、Rは、エチルである。特定の実施形態では、Rは、アルケニル若しくは置換アルケニル、例えば、C2~6アルケニル若しくはC2~6置換アルケニル、又はC2~4アルケニル若しくはC2~4置換アルケニル、又はC2~3アルケニル若しくはC2~3置換アルケニルである。特定の実施形態では、Rは、アルケニル若しくは置換アルケニル、例えば、C2~6アルケニル若しくはC2~6置換アルケニル、又はC2~4アルケニル若しくはC2~4置換アルケニル、又はC2~3アルケニル若しくはC2~3置換アルケニルである。特定の実施形態では、Rは、アリール若しくは置換アリール、例えば、C5~8アリール若しくはC5~8置換アリール、例えば、Cアリール若しくはC置換アリール、又はCアリール若しくはC置換アリールである。特定の実施形態では、Rは、フェニルである。特定の実施形態では、Rは、ヘテロアリール若しくは置換ヘテロアリール、例えば、C5~8ヘテロアリール若しくはC5~8置換ヘテロアリール、例えば、Cヘテロアリール若しくはC置換ヘテロアリール、又はCヘテロアリール若しくはC置換ヘテロアリールである。特定の実施形態では、Rは、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、例えば、C3~8シクロアルキル若しくはC3~8置換シクロアルキル、例えば、C3~6シクロアルキル若しくはC3~6置換シクロアルキル、又はC3~5シクロアルキル若しくはC3~5置換シクロアルキルである。特定の実施形態では、Rは、ヘテロシクリル若しくは置換ヘテロシクリル、例えば、C3~8ヘテロシクリル若しくはC3~8置換ヘテロシクリル、例えば、C3~6ヘテロシクリル若しくはC3~6置換ヘテロシクリル、又はC3~5ヘテロシクリル若しくはC3~5置換ヘテロシクリルである。
【0186】
特定の実施形態では、Xは、-NH-又は-C(O)-である。場合によっては、Xは、-NH-である。場合によっては、Xは、-C(O)-である。
【0187】
特定の実施形態では、各Rは、独立して、グリコシド又はグリコシド誘導体である。特定の実施形態では、グリコシド又はグリコシド誘導体は、グルクロニド、ガラクトシド、グルコシド、マンノシド、フコシド、O-GlcNAc、及びO-GalNAcから選択される。
【0188】
例えば、いくつかの実施形態では、グリコシド又はグリコシド誘導体は、以下の構造:
【化25】
から選択され得る。
【0189】
特定の実施形態では、Wは、薬物(又は活性薬剤)である。本開示のコンジュゲートに使用され得る薬物及び活性薬剤の例は、以下により詳細に記載される。
【0190】
特定の実施形態では、Wは、ポリペプチド(例えば、抗体)である。本開示のコンジュゲートで使用され得るポリペプチド及び抗体の例は、以下により詳細に記載される。
【0191】
特定の実施形態では、Aは、アミノ酸残基である。特定の実施形態では、kは、0又は1~5の整数である。場合によっては、kは、0であり、したがって、Aは、存在しない。場合によっては、kは、1である。場合によっては、kは、2である。場合によっては、kは、3である。場合によっては、kは、4である。場合によっては、kは、5である。
【0192】
アミノ酸残基には、天然に存在するタンパク質に見出されるアミノ酸(例えば、Ala又はA、Cys又はC、Asp又はD、Glu又はE、Phe又はF、Gly又はG、His又はH、Ile又はI、Lys又はK、Leu又はL、Met又はM、Asn又はN、Pro又はP、Gln又はQ、Arg又はR、Ser又はS、Thr又はT、Val又はV、Trp又はW、Tyr又はY)が含まれるが、これらに限定されない。場合によっては、アミノ酸残基は、アミノ酸類似体又は非天然アミノ酸であり得る。
【0193】
「アミノ酸類似体」、「非天然アミノ酸」などの用語は、交換可能に使用されてもよく、天然に存在するタンパク質中に一般的に見出される1つ以上のアミノ酸と構造及び/又は全体的な形状が類似しているアミノ酸様化合物を含む。アミノ酸類似体には、修飾側鎖又は骨格を有する天然アミノ酸も含まれる。アミノ酸類似体はまた、天然に存在するD形態と同じ立体化学を有するアミノ酸類似体、並びにアミノ酸類似体のL形態を含む。場合によっては、アミノ酸類似体は、1つ以上の天然アミノ酸の骨格構造及び/又は側鎖構造を共有し、その差は、分子中の1つ以上の修飾基である。かかる修飾としては、限定されないが、ある原子(例えばN)の関連する原子(例えばS)による置換、ある基(例えば、メチル、若しくはヒドロキシルなど)又はある原子(例えば、Cl、若しくはBrなど)の付加、ある基の欠失、共有結合の置換(例えば、単結合を二重結合などへ)、あるいはそれらの組み合わせが挙げられ得る。例えば、アミノ酸類似体は、α-ヒドロキシ酸、及びα-アミノ酸などを含み得る。
【0194】
特定の実施形態では、Lは、リンカーである。場合によっては、リンカーは、切断可能なリンカーである。本開示のコンジュゲートで使用され得るリンカーの例は、以下により詳細に記載される。
【0195】
特定の実施形態では、Gは、コンジュゲート化部分である。上述のように、本開示のADCにおいて、ポリペプチド(例えば、抗体)及び薬物又は活性薬剤は、コンジュゲート化部分を介して互いにコンジュゲート化され得る。例えば、ポリペプチド(抗体)及び薬物は、各々コンジュゲート化部分に結合(例えば、共有結合)してもよく、したがって、コンジュゲート化部分を介して、間接的にポリペプチド(抗体)及び薬物を一緒に結合する。任意の都合のよいコンジュゲート化部分が、本開示のコンジュゲートに使用され得、コンジュゲート化部分が、ADCにおける薬物又は活性薬剤へのポリペプチド(例えば、抗体)の安定した結合を提供するのに十分である。
【0196】
特定の実施形態では、コンジュゲート化部分は、ヒドラジニル-インドリル若しくはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニル化合物、又はヒドラジニル-インドリル若しくはヒドラジニル-ピロロ-ピリジニル化合物の誘導体を含む。特定の実施形態では、コンジュゲート化部分Gは、以下であり、
【化26】
式中、
Zが、CR10又はNであり、
が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択され、
及びRが、各々独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択されるか、又はR及びRが、任意選択的に環状に連結されて、5員若しくは6員のヘテロシクリルを形成し、
各R10が、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される。
【0197】
特定の実施形態では、Zは、CR10又はNである。特定の実施形態では、Zは、CR10である。特定の実施形態では、Zは、Nである。
【0198】
特定の実施形態では、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される。特定の実施形態では、Rは、水素である。特定の実施形態では、Rは、アルキル若しくは置換アルキル、例えば、C1~6アルキル若しくはC1~6置換アルキル、又はC1~4アルキル若しくはC1~4置換アルキル、又はC1~3アルキル若しくはC1~3置換アルキルである。特定の実施形態では、Rは、メチルである。特定の実施形態では、Rは、アルケニル若しくは置換アルケニル、例えば、C2~6アルケニル若しくはC2~6置換アルケニル、又はC2~4アルケニル若しくはC2~4置換アルケニル、又はC2~3アルケニル若しくはC2~3置換アルケニルである。特定の実施形態では、Rは、アルキニル若しくは置換アルキニル、例えば、C2~6アルケニル若しくはC2~6置換アルケニル、又はC2~4アルケニル若しくはC2~4置換アルケニル、又はC2~3アルケニル若しくはC2~3置換アルケニルである。特定の実施形態では、Rは、アリール若しくは置換アリール、例えば、C5~8アリール若しくはC5~8置換アリール、例えば、Cアリール若しくはC置換アリール、又はCアリール若しくはC置換アリールである。特定の実施形態では、Rは、ヘテロアリール若しくは置換ヘテロアリール、例えば、C5~8ヘテロアリール若しくはC5~8置換ヘテロアリール、例えば、Cヘテロアリール若しくはC置換ヘテロアリール、又はCヘテロアリール若しくはC置換ヘテロアリールである。特定の実施形態では、Rは、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、例えば、C3~8シクロアルキル若しくはC3~8置換シクロアルキル、例えば、C3~6シクロアルキル若しくはC3~6置換シクロアルキル、又はC3~5シクロアルキル若しくはC3~5置換シクロアルキルである。特定の実施形態では、Rは、ヘテロシクリル若しくは置換ヘテロシクリル、例えば、C3~8ヘテロシクリル若しくはC3~8置換ヘテロシクリル、例えば、C3~6ヘテロシクリル若しくはC3~6置換ヘテロシクリル、又はC3~5ヘテロシクリル若しくはC3~5置換ヘテロシクリルである。
【0199】
特定の実施形態では、R及びRは、各々独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択されるか、又はR及びRが、任意選択的に、環状に連結されて、5員若しくは6員のヘテロシクリルを形成する。
【0200】
特定の実施形態では、各Rは、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される。特定の実施形態では、Rは、水素である。特定の実施形態では、Rは、アルキル若しくは置換アルキル、例えば、C1~6アルキル若しくはC1~6置換アルキル、又はC1~4アルキル若しくはC1~4置換アルキル、又はC1~3アルキル若しくはC1~3置換アルキルである。特定の実施形態では、Rは、メチルである。特定の実施形態では、Rは、アルケニル若しくは置換アルケニル、例えば、C2~6アルケニル若しくはC2~6置換アルケニル、又はC2~4アルケニル若しくはC2~4置換アルケニル、又はC2~3アルケニル若しくはC2~3置換アルケニルである。特定の実施形態では、Rは、アルキニル又は置換アルキニルである。特定の実施形態では、Rは、アルコキシ又は置換アルコキシである。特定の実施形態では、Rは、アミノ又は置換アミノである。特定の実施形態では、Rは、カルボキシル又はカルボキシルエステルである。特定の実施形態では、Rは、アシル又はアシルオキシである。特定の実施形態では、Rは、アシルアミノ又はアミノアシルである。特定の実施形態では、Rは、アルキルアミド又は置換アルキルアミドである。特定の実施形態では、Rは、スルホニルである。特定の実施形態では、Rは、チオアルコキシ又は置換チオアルコキシである。特定の実施形態では、Rは、アリール若しくは置換アリール、例えば、C5~8アリール若しくはC5~8置換アリール、例えば、Cアリール若しくはC置換アリール、又はCアリール若しくはC置換アリールである。特定の実施形態では、Rは、ヘテロアリール若しくは置換ヘテロアリール、例えば、C5~8ヘテロアリール若しくはC5~8置換ヘテロアリール、例えば、Cヘテロアリール若しくはC置換ヘテロアリール、又はCヘテロアリール若しくはC置換ヘテロアリールである。特定の実施形態では、Rは、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、例えば、C3~8シクロアルキル若しくはC3~8置換シクロアルキル、例えば、C3~6シクロアルキル若しくはC3~6置換シクロアルキル、又はC3~5シクロアルキル若しくはC3~5置換シクロアルキルである。特定の実施形態では、Rは、ヘテロシクリル若しくは置換ヘテロシクリル、例えば、C3~6ヘテロシクリル若しくはC3~6置換ヘテロシクリル、又はC3~5ヘテロシクリル若しくはC3~5置換ヘテロシクリルである。
【0201】
特定の実施形態では、各Rは、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される。特定の実施形態では、Rは、水素である。特定の実施形態では、Rは、アルキル若しくは置換アルキル、例えば、C1~6アルキル若しくはC1~6置換アルキル、又はC1~4アルキル若しくはC1~4置換アルキル、又はC1~3アルキル若しくはC1~3置換アルキルである。特定の実施形態では、Rは、メチルである。特定の実施形態では、Rは、アルケニル若しくは置換アルケニル、例えば、C2~6アルケニル若しくはC2~6置換アルケニル、又はC2~4アルケニル若しくはC2~4置換アルケニル、又はC2~3アルケニル若しくはC2~3置換アルケニルである。特定の実施形態では、Rは、アルキニル又は置換アルキニルである。特定の実施形態では、Rは、アルコキシ又は置換アルコキシである。特定の実施形態では、Rは、アミノ又は置換アミノである。特定の実施形態では、Rは、カルボキシル又はカルボキシルエステルである。特定の実施形態では、Rは、アシル又はアシルオキシである。特定の実施形態では、Rは、アシルアミノ又はアミノアシルである。特定の実施形態では、Rは、アルキルアミド又は置換アルキルアミドである。特定の実施形態では、Rは、スルホニルである。特定の実施形態では、Rは、チオアルコキシ又は置換チオアルコキシである。特定の実施形態では、Rは、アリール若しくは置換アリール、例えば、C5~8アリール若しくはC5~8置換アリール、例えば、Cアリール若しくはC置換アリール、又はCアリール若しくはC置換アリールである。特定の実施形態では、Rは、ヘテロアリール若しくは置換ヘテロアリール、例えば、C5~8ヘテロアリール若しくはC5~8置換ヘテロアリール、例えば、Cヘテロアリール若しくはC置換ヘテロアリール、又はCヘテロアリール若しくはC置換ヘテロアリールである。特定の実施形態では、Rは、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、例えば、C3~8シクロアルキル若しくはC3~8置換シクロアルキル、例えば、C3~6シクロアルキル若しくはC3~6置換シクロアルキル、又はC3~5シクロアルキル若しくはC3~5置換シクロアルキルである。特定の実施形態では、Rは、ヘテロシクリル若しくは置換ヘテロシクリル、例えば、C3~8ヘテロシクリル若しくはC3~8置換ヘテロシクリル、例えば、C3~6ヘテロシクリル若しくはC3~6置換ヘテロシクリル、又はC3~5ヘテロシクリル若しくはC3~5置換ヘテロシクリルである。
【0202】
特定の実施形態では、R及びRは、任意選択的に環状に連結されて、5員又は6員のヘテロシクリルを形成する。特定の実施形態では、R及びRは、環状に連結されて、5員又は6員のヘテロシクリルを形成する。特定の実施形態では、R及びRは、環状に連結されて5員のヘテロシクリルを形成する。特定の実施形態では、R及びRは、環状に連結されて6員のヘテロシクリルを形成する。
【0203】
特定の実施形態では、各R10は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される。
【0204】
各R10についての様々な可能性は、以下により詳細に記載される。特定の実施形態では、R10は、水素である。特定の実施形態では、各R10は、水素である。特定の実施形態では、R10は、F、Cl、Br、又はIなどのハロゲンである。特定の実施形態では、R10は、Fである。特定の実施形態では、R10は、Clである。特定の実施形態では、R10は、Brである。特定の実施形態では、R10は、Iである。特定の実施形態では、R10は、アルキル若しくは置換アルキル、例えば、C1~6アルキル若しくはC1~6置換アルキル、又はC1~4アルキル若しくはC1~4置換アルキル、又はC1~3アルキル若しくはC1~3置換アルキルである。特定の実施形態では、R10は、メチルである。特定の実施形態では、R10は、アルケニル若しくは置換アルケニル、例えば、C2~6アルケニル若しくはC2~6置換アルケニル、又はC2~4アルケニル若しくはC2~4置換アルケニル、又はC2~3アルケニル若しくはC2~3置換アルケニルである。特定の実施形態では、R10は、アルキニル又は置換アルキニルである。特定の実施形態では、R10は、アルコキシ又は置換アルコキシである。特定の実施形態では、R10は、アミノ又は置換アミノである。特定の実施形態では、R10は、カルボキシル又はカルボキシルエステルである。特定の実施形態では、R10は、アシル又はアシルオキシである。特定の実施形態では、R10は、アシルアミノ又はアミノアシルである。特定の実施形態では、R10は、アルキルアミド又は置換アルキルアミドである。特定の実施形態では、R10は、スルホニルである。特定の実施形態では、R10は、チオアルコキシ又は置換チオアルコキシである。特定の実施形態では、R10は、アリール若しくは置換アリール、例えば、C5~8アリール若しくはC5~8置換アリール、例えば、Cアリール若しくはC置換アリール、又はCアリール若しくはC置換アリール(例えば、フェニル又は置換フェニル)である。特定の実施形態では、R10は、ヘテロアリール若しくは置換ヘテロアリール、例えば、C5~8ヘテロアリール若しくはC5~8置換ヘテロアリール、例えば、Cヘテロアリール若しくはC置換ヘテロアリール、又はCヘテロアリール若しくはC置換ヘテロアリールである。特定の実施形態では、R10は、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、例えば、C3~8シクロアルキル若しくはC3~8置換シクロアルキル、例えば、C3~6シクロアルキル若しくはC3~6置換シクロアルキル、又はC3~5シクロアルキル若しくはC3~5置換シクロアルキルである。特定の実施形態では、R10は、ヘテロシクリル若しくは置換ヘテロシクリル、例えば、C3~8ヘテロシクリル若しくはC3~8置換ヘテロシクリル、例えば、C3~6ヘテロシクリル若しくはC3~6置換ヘテロシクリル、又はC3~5ヘテロシクリル若しくはC3~5置換ヘテロシクリルである。
【0205】
特定の実施形態では、コンジュゲート化部分Gは、ポリペプチド(抗体)WをリンカーLにコンジュゲートする官能基を含む。場合によっては、Gは、アセタール、ヒドラゾン、オキシム、スルフィド、ジスルフィド、トリアゾール、エステル、及びアミドから選択される。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、アセタールである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、ヒドラゾンである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、オキシムである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、スルフィドである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、ジスルフィドである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、トリアゾールである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、エステルである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、アミドである。
【0206】
特定の実施形態では、コンジュゲート化部分Gは、ポリペプチド(抗体)上の対応する反応性基と反応して、ポリペプチド(抗体)をリンカーLにコンジュゲートする中間体又は前駆体官能基に関して記載され得る。これらの例では、コンジュゲート化部分Gは、アセタール、NHSエステル、PFPエステル、TFPエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、アシルハライド、マレイミド、ヨードアセトアミド、ホスフィン、アルキン、アジド、ヒドラジン、アルコキシアミン、ジスルフィド、エステル、及びアミドから選択され得る。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、アセタールである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、NHSエステルである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、PFPエステルである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、TFPエステルである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、イソシアネートである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、イソチオシアネートである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、アシルハライドである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、マレイミドである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、ヨードアセトアミドである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、ホスフィンである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、アルキンである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、アジドである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、ヒドラジンである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、アルコキシアミンである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、ジスルフィドである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、エステルである。場合によっては、コンジュゲート化部分Gは、アミドである。
【0207】
特定の実施形態では、式(I)のコンジュゲートは、リンカーLを含む。リンカーは、コンジュゲート化部分を介して、目的の1つ以上の部分(例えば、薬物又は活性薬剤)を1つ以上のポリペプチドに結合させるために利用され得る。リンカーは、任意の好都合な位置で(例えば、本明細書に記載されるように)コンジュゲート化部分Gに結合され得る(例えば、共有結合され得る)。例えば、リンカーは、ヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルコンジュゲート化部分を薬物(例えば、カンプトテシン又はカンプトテシン誘導体)に結合し得る。ヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルコンジュゲート化部分を使用して、リンカー(したがって薬物)をポリペプチド、例えば、抗体にコンジュゲートし得る。
【0208】
例えば、上の式(I)に示されるように、Lは、コンジュゲート化部分Gを介してWに結合し、したがって、Wは、コンジュゲート化部分を介してリンカーLに間接的に結合する。上述のように、Wは、ポリペプチド(例えば、抗体)であり、したがって、Lは、コンジュゲート化部分を介してポリペプチド(例えば、抗体)に結合し、例えば、リンカーLは、コンジュゲート化部分を介して(本明細書に記載のヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルコンジュゲート化部分を介して)ポリペプチド(例えば、抗体)に間接的に結合する。
【0209】
任意の好都合なリンカーが、本主題のコンジュゲート及び化合物中のリンカーLのために利用され得る。特定の実施形態では、リンカーLは、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシルアミノ、アルキルアミド、置換アルキルアミド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される基を含み得る。特定の実施形態では、リンカーLは、アルキル又は置換アルキル基を含み得る。特定の実施形態では、リンカーLは、アルケニル又は置換アルケニル基を含み得る。特定の実施形態では、リンカーLは、アルキニル又は置換アルキニル基を含み得る。特定の実施形態では、リンカーLは、アルコキシ又は置換アルコキシ基を含み得る。特定の実施形態では、リンカーLは、アミノ又は置換アミノ基を含み得る。特定の実施形態では、リンカーLは、カルボキシル又はルボキシルエステル基を含み得る。特定の実施形態では、リンカーLは、アシルアミノ基を含み得る。特定の実施形態では、リンカーLは、アルキルアミド又は置換アルキルアミド基を含み得る。特定の実施形態では、リンカーLは、アリール又は置換アリール基を含み得る。特定の実施形態では、リンカーLは、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリール基を含み得る。特定の実施形態では、リンカーLは、シクロアルキル又は置換シクロアルキル基を含み得る。特定の実施形態では、リンカーLは、ヘテロシクリル又は置換ヘテロシクリル基を含み得る。
【0210】
特定の実施形態では、リンカーLは、ポリマーを含み得る。例えば、ポリマーは、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールホモポリマー、ポリプロピレングリコールホモポリマー、エチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマー(例えば、ホモポリマー及びコポリマーが非置換であるか、又はアルキル基で一端で置換されている)、ポリビニルアルコール、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルピロリドン、それらの組み合わせなどを含む、ポリアルキレングリコール及びその誘導体を含んでもよい。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリアルキレングリコールである。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリエチレングリコールである。他のリンカーも、以下により詳細に記載されるコンジュゲート及び化合物に示されるように、可能である。
【0211】
いくつかの実施形態では、Lは、以下の式:
-(L-(L-(L-(L-(L-(L-によって記載されるリンカーであり、
式中、L、L、L、L、L、及びLが、各々独立して、リンカーサブユニットであり、a、b、c、d、e、及びfが、各々独立して、0又は1であり、a、b、c、d、e、及びfの合計は、1~6である。
【0212】
特定の実施形態では、a、b、c、d、e、及びfの合計は、1である。特定の実施形態では、a、b、c、d、e、及びfの合計は、2である。特定の実施形態では、a、b、c、d、e、及びfの合計は、3である。特定の実施形態では、a、b、c、d、e、及びfの合計は、4である。特定の実施形態では、a、b、c、d、e、及びfの合計は、5である。特定の実施形態では、a、b、c、d、e、及びfの合計は、6である。特定の実施形態では、a、b、c、d、e、及びfは、各々1である。特定の実施形態では、a、b、c、d、及びeは、各々1であり、fは、0である。特定の実施形態では、a、b、c、及びdは、各々1であり、e及びfは、各々0である。特定の実施形態では、a、b、及びcは、各々1であり、d、e、及びfは、各々0である。特定の実施形態では、a及びbは、各々1であり、c、d、e、及びfは、各々0である。特定の実施形態では、aは、1であり、b、c、d、e、及びfは、各々0である。
【0213】
特定の実施形態では、リンカーサブユニットLは、コンジュゲート化部分に結合する(例えば、上の式(I)に示されるとおり)。特定の実施形態では、リンカーサブユニットLは、存在する場合、薬物又は活性薬剤Wに結合する。例えば、Lは、式(I)の構造の-A-X-X-C(O)O-部分を介して薬物又は活性薬剤Wに間接的に結合することができる。特定の実施形態では、リンカーサブユニットLは、存在する場合、薬物又は活性薬剤に結合する。例えば、Lは、式(I)の構造の-A-X-X-C(O)O-部分を介して薬物又は活性薬剤Wに間接的に結合することができる。特定の実施形態では、リンカーサブユニットLは、存在する場合、薬物又は活性薬剤に結合する。例えば、Lは、式(I)の構造の-A-X-X-C(O)O-部分を介して薬物又は活性薬剤Wに間接的に結合することができる。特定の実施形態では、リンカーサブユニットLは、存在する場合、薬物又は活性薬剤に結合する。例えば、Lは、式(I)の構造の-A-X-X-C(O)O-部分を介して薬物又は活性薬剤Wに間接的に結合することができる。特定の実施形態では、リンカーサブユニットLは、存在する場合、薬物又は活性薬剤に結合する。例えば、Lは、式(I)の構造の-A-X-X-C(O)O-部分を介して薬物又は活性薬剤Wに間接的に結合することができる。
【0214】
任意の好都合なリンカーサブユニットが、リンカーLに利用され得る。目的のリンカーサブユニットとしては、限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリエチレン及びポリアクリレート、アミノ酸残基、炭水化物系ポリマー又はその炭水化物残基及びその誘導体、ポリヌクレオチド、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基などのポリマーの単位、それらの組み合わせ、並びにそれらの置換バージョンが挙げられる。いくつかの実施形態では、L、L、L、L、L、及びL(存在する場合)の各々は、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換アルキル、アリール基、置換アリール基、及びジアミン(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)から独立して選択される1つ以上の基を含む。
【0215】
いくつかの実施形態において、L(存在する場合)は、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換アルキル、アリール基、置換アリール基、又はジアミンを含む。いくつかの実施形態において、Lは、ポリエチレングリコールを含む。いくつかの実施形態において、Lは、修飾ポリエチレングリコールを含む。いくつかの実施形態において、Lは、アミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態において、Lは、アルキル基又は置換アルキルを含む。いくつかの実施形態において、Lは、アリール基又は置換アリール基を含む。いくつかの実施形態において、Lは、ジアミン(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)を含む。
【0216】
いくつかの実施形態において、L(存在する場合)は、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換アルキル、アリール基、置換アリール基、又はジアミンを含む。いくつかの実施形態において、Lは、ポリエチレングリコールを含む。いくつかの実施形態において、Lは、修飾ポリエチレングリコールを含む。いくつかの実施形態において、Lは、アミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態において、Lは、アルキル基又は置換アルキルを含む。いくつかの実施形態において、Lは、アリール基又は置換アリール基を含む。いくつかの実施形態において、Lは、ジアミン(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)を含む。
【0217】
いくつかの実施形態において、L(存在する場合)は、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換アルキル、アリール基、置換アリール基、又はジアミンを含む。いくつかの実施形態において、Lは、ポリエチレングリコールを含む。いくつかの実施形態において、Lは、修飾ポリエチレングリコールを含む。いくつかの実施形態において、Lは、アミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態において、Lは、アルキル基又は置換アルキルを含む。いくつかの実施形態において、Lは、アリール基又は置換アリール基を含む。いくつかの実施形態において、Lは、ジアミン(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)を含む。
【0218】
いくつかの実施形態において、L(存在する場合)は、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換アルキル、アリール基、置換アリール基、又はジアミンを含む。いくつかの実施形態において、Lは、ポリエチレングリコールを含む。いくつかの実施形態において、Lは、修飾ポリエチレングリコールを含む。いくつかの実施形態において、Lは、アミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態において、Lは、アルキル基又は置換アルキルを含む。いくつかの実施形態において、Lは、アリール基又は置換アリール基を含む。いくつかの実施形態において、Lは、ジアミン(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)を含む。
【0219】
いくつかの実施形態において、L(存在する場合)は、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換アルキル、アリール基、置換アリール基、又はジアミンを含む。いくつかの実施形態において、Lは、ポリエチレングリコールを含む。いくつかの実施形態において、Lは、修飾ポリエチレングリコールを含む。いくつかの実施形態において、Lは、アミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態において、Lは、アルキル基又は置換アルキルを含む。いくつかの実施形態において、Lは、アリール基又は置換アリール基を含む。いくつかの実施形態において、Lは、ジアミン(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)を含む。
【0220】
いくつかの実施形態において、L(存在する場合)は、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、アミノ酸残基、アルキル基、置換アルキル、アリール基、置換アリール基、又はジアミンを含む。いくつかの実施形態において、Lは、ポリエチレングリコールを含む。いくつかの実施形態において、Lは、修飾ポリエチレングリコールを含む。いくつかの実施形態において、Lは、アミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態において、Lは、アルキル基又は置換アルキルを含む。いくつかの実施形態において、Lは、アリール基又は置換アリール基を含む。いくつかの実施形態において、Lは、ジアミン(例えば、アルキレンジアミンを含む連結基)を含む。
【0221】
いくつかの実施形態おいて、Lは、-(L-(L-(L-(L-(L-(L-を含むリンカーであり、式中、
-(L-は、-(T-V-であり、
-(L-は、-(T-V-であり、
-(L-が、-(T-V-であり、
-(L-が、-(T-V-であり、
-(L-が、-(T-V-であり、
-(L-が、-(T-V-であり、
、T、T、T、T、及びTが、存在する場合、テザー基(tether group)であり、
、V、V、V、V、及びVが、存在する場合、共有結合又は連結官能基であり、
a、b、c、d、e、及びfが、各々独立して、0又は1であり、a、b、c、d、e、及びfの合計は、1~6である。
【0222】
上述のように、特定の実施形態では、Lは、コンジュゲート化部分Gに結合する(例えば、上の式(I)に示されるとおり)。したがって、特定の実施形態では、Tは、コンジュゲート化部分Gに結合する(例えば、上の式(I)に示されるとおり)。特定の実施形態では、Vは、(間接的に)薬物又は活性薬剤に(例えば、式(I)中の構造の-A-X-X-C(O)O-部分を介して)結合する。特定の実施形態では、Lは、存在する場合、薬物又は活性薬剤に結合する。したがって、特定の実施形態では、Tは、存在する場合、(間接的に)薬物又は活性薬剤に結合するか、又はVは、存在する場合、(間接的に)薬物又は活性薬剤に(例えば、式(I)の構造の-A-X-X-C(O)O-部分を介して)結合する。特定の実施形態では、Lは、存在する場合、薬物又は活性薬剤に結合する。したがって、特定の実施形態では、Tは、存在する場合、(間接的に)薬物又は活性薬剤に結合するか、又はVは、存在する場合、(間接的に)薬物又は活性薬剤に(例えば、式(I)の構造の-A-X-X-C(O)O-部分を介して)結合する。特定の実施形態では、Lは、存在する場合、カンプトテシン又はカンプトテシン誘導体に結合している。したがって、特定の実施形態では、Tは、存在する場合、(間接的に)薬物又は活性薬剤に結合するか、又はVは、存在する場合、(間接的に)薬物又は活性薬剤に(例えば、式(I)の構造の-A-X-X-C(O)O-部分を介して)結合する。特定の実施形態では、Lは、存在する場合、カンプトテシン又はカンプトテシン誘導体に結合している。したがって、特定の実施形態では、Tは、存在する場合、(間接的に)薬物又は活性薬剤に結合するか、又はVは、存在する場合、(間接的に)薬物又は活性薬剤に(例えば、式(I)の構造の-A-X-X-C(O)O-部分を介して)結合する。特定の実施形態では、Lは、存在する場合、カンプトテシン又はカンプトテシン誘導体に結合している。したがって、特定の実施形態では、Tは、存在する場合、(間接的に)薬物又は活性薬剤に結合するか、又はVは、存在する場合、(間接的に)薬物又は活性薬剤に(例えば、式(I)の構造の-A-X-X-C(O)O-部分を介して)結合する。
【0223】
テザー基、T、T、T、T、T、及びTに関して、任意の好都合なテザー基が、本主題のリンカーで利用され得る。いくつかの実施形態において、T、T、T、T、T、及びTは各々、共有結合、(C~C12)アルキル、置換(C~C12)アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリル、(EDA)、(PEG)、(AA)、-(CR13OH)-、4-アミノ-ピペリジン(4AP)、メタ-アミノ-ベンジルオキシ(MABO)、メタ-アミノ-ベンジルオキシカルボニル(MABC)、パラ-アミノ-ベンジルオキシ(PABO)、パラ-アミノ-ベンジルオキシカルボニル(PABC)、パラ-アミノベンジル(PAB)、パラ-アミノ-ベンジルアミノ(PABA)、パラ-アミノ-フェニル(PAP)、パラ-ヒドロキシ-フェニル(PHP)、アセタール基、ヒドラジン、ジスルフィド、及びエステルから独立して選択される1つ以上の基を含み、式中、各wが、1~20の整数であり、各nが、1~30の整数であり、各pが、1~20の整数であり、各mが、1~12の整数である。
【0224】
特定の実施形態では、テザー基(例えば、T、T、T、T、T、及び/又はT)は、(C~C12)アルキル又は置換(C~C12)アルキルを含む。特定の実施形態では、(C~C12)アルキルは、1~12個の炭素原子、例えば、1~10個の炭素原子、又は1~8個の炭素原子、又は1~6個の炭素原子、又は1~5個の炭素原子、又は1~4個の炭素原子、又は1~3個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。場合によっては、(C~C12)アルキルは、アルキル若しくは置換アルキル、例えば、C~C12アルキル、又はC~C10アルキル、又はC~Cアルキル、又はC~Cアルキルであってもよい。場合によっては、(C~C12)アルキルは、C-アルキルである。例えば、(C~C12)アルキルは、アルキレン若しくは置換アルキレン、例えば、C~C12アルキレン、又はC~C10アルキレン、又はC~Cアルキレン、又はC~Cアルキレンであってもよい。場合によっては、(C~C12)アルキルは、C-アルキレン(例えば、CHCH)である。
【0225】
特定の実施形態では、置換(C~C12)アルキルは、1~12個の炭素原子、例えば、1~10個の炭素原子、又は1~8個の炭素原子、又は1~6個の炭素原子、又は1~5個の炭素原子、又は1~4個の炭素原子、又は1~3個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐鎖の置換アルキル基である。場合によっては、置換(C~C12)アルキルは、置換アルキル、例えば、置換C~C12アルキル、又は置換C~C10アルキル、又は置換C~Cアルキル、又は置換C~Cアルキルであってもよい。場合によっては、置換(C~C12)アルキルは、置換C-アルキルである。例えば、置換(C~C12)アルキルは、置換アルキレン、例えば、置換C~C12アルキレン、又は置換C~C10アルキレン、又は置換C~Cアルキレン、又は置換C~Cアルキレンであってもよい。場合によっては、置換(C~C12)アルキルは、置換C-アルキレンである。
【0226】
特定の実施形態では、テザー基(例えば、T、T、T、T、T、及びT)は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、又は置換ヘテロシクリルを含む。場合によっては、テザー基(例えば、T、T、T、T、T、及びT)は、アリール又は置換アリールを含む。例えば、アリールは、フェニルであり得る。ある場合には、置換アリールは、置換フェニルである。置換フェニルは、(C~C12)アルキル、置換(C~C12)アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される1つ以上の置換基で置換され得る。場合によっては、置換アリールは、置換フェニルであり、置換基は、本明細書に記載の切断可能な部分(例えば、酵素的に切断可能な部分、例えば、グリコシド又はグリコシド誘導体)を含む。
【0227】
場合によっては、テザー基(例えば、T、T、T、T、T、及びT)は、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールを含む。場合によっては、テザー基(例えば、T、T、T、T、T、及びT)は、シクロアルキル又は置換シクロアルキルを含む。場合によっては、テザー基(例えば、T、T、T、T、T、及びT)は、ヘテロシクリル又は置換ヘテロシクリルを含む。場合によっては、置換ヘテロアリール、置換シクロアルキル、又は置換ヘテロシクリル上の置換基は、本明細書に記載の切断可能な部分(例えば、酵素的に切断可能な部分、例えば、グリコシド又はグリコシド誘導体)を含む。
【0228】
特定の実施形態では、テザー基(例えば、T、T、T、T、T、及びはT)は、エチレンジアミン(EDA)部分、例えば、EDA含有テザー基を含む。特定の実施形態では、(EDA)は、1つ以上のEDA部分を含み、例えば、式中、wが、1~50、例えば、1~40、1~30、1~20、1~12、又は1~6、例えば、1、2、3、4、5、又は6の整数である)。連結したエチレンジアミン(EDA)部分は、任意選択的に、任意の好都合な置換基、例えば、アルキル、置換アルキル、アシル、置換アシル、アリール、又は置換アリールで、1つ以上の好都合な位置で置換され得る。特定の実施形態では、EDA部分は、以下の構造:
【化27】
によって記載され、
式中、yが、1~6、又は0若しくは1の整数であり、各R12が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される。特定の実施形態では、yは、1、2、3、4、5、又は6である。特定の実施形態では、yは1であり、rは0である。特定の実施形態では、yは、1であり、rは、1である。特定の実施形態では、yは、2であり、rは、0である。特定の実施形態では、yは、2であり、rは、1である。特定の実施形態では、各R12は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールから選択される。特定の実施形態では、EDAの任意の2つの隣接するR12基は、環状に連結して、例えば、ピペラジニル環を形成してもよい。特定の実施形態では、yは、1であり、2つの隣接するR12基は、アルキル基であり、環状に連結してピペラジニル環を形成する。特定の実施形態では、yは、1であり、隣接するR12基は、水素、アルキル(例えば、メチル)、及び置換アルキル(例えば、低級アルキル-OH、例えば、エチル-OH、又はプロピル-OH)から選択される。
【0229】
特定の実施形態では、テザー基(例えば、T、T、T、T、T、及びはT)は、4-アミノ-ピペリジン(4AP)部分(本明細書では、ピペリジン-4-アミノ、P4Aとも称される)を含む。4AP部分は、任意選択的に、任意の好都合な置換基、例えば、アルキル、置換アルキル、ポリエチレングリコール部分、アシル、置換アシル、アリール、又は置換アリールで、1つ以上の好都合な位置で置換され得る。特定の実施形態では、4AP部分は、以下の構造によって記載され、
【化28】
式中、R12は、水素、アルキル、置換アルキル、ポリエチレングリコール部分(例えば、ポリエチレングリコール又は修飾ポリエチレングリコール)、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される。特定の実施形態では、R12は、ポリエチレングリコール部分である。特定の実施形態では、R12は、カルボキシ修飾ポリエチレングリコールである。
【0230】
特定の実施形態では、R12は、式(PEG)によって記載されるポリエチレングリコール部分を含み、これは、以下の構造で表され、
【化29】
式中、kが、1~20、例えば、1~18、又は1~16、又は1~14、又は1~12、又は1~10、又は1~8、又は1~6、又は1~4、又は1若しくは2、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20などの整数である。場合によっては、kは、2である。特定の実施形態では、R17は、OH、COOH、又はCOORから選択され、式中、Rが、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される。特定の実施形態では、R17は、COOHである。
【0231】
特定の実施形態では、テザー基(例えば、T、T、T、T、T、及びT)は、(PEG)を含み、式中、(PEG)が、ポリエチレングリコール又は修飾ポリエチレングリコール連結単位である。特定の実施形態では、(PEG)は、以下の構造によって記載され、
【化30】
式中、nが、1~50、例えば、1~40、1~30、1~20、1~12、又は1~6、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20などの整数である。場合によっては、nは、2である。場合によっては、nは、3である。場合によっては、nは、6である。場合によっては、nは、12である。
【0232】
特定の実施形態では、テザー基(例えば、T、T、T、T、T、及びT)は、(AA)を含み、式中、AAが、アミノ酸残基である。任意の好都合なアミノ酸が利用され得る。目的のアミノ酸としては、限定されないが、L-アミノ酸及びD-アミノ酸、天然に存在するアミノ酸、例えば、20個の主なアルファ-アミノ酸及びベータ-アラニンのうちのいずれか、天然に存在しないアミノ酸(例えば、アミノ酸類似体)、例えば、天然に存在しないアルファ-アミノ酸又は天然に存在しないベータ-アミノ酸などが挙げられる。特定の実施形態では、pは、1~50、例えば、1~40、1~30、1~20、1~12、又は1~6、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20などの整数である。特定の実施形態では、pは、1である。特定の実施形態では、pは、2である。
【0233】
特定の実施形態では、テザー基(例えば、T、T、T、T、T、及びT)は、式-(CR13OH)-によって記載される部分を含み、式中、mが、0であるか、又はnが、1~50、例えば、1~40、1~30、1~20、1~12、又は1~6、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12の整数である。特定の実施形態では、mは、1である。特定の実施形態では、mは、2である。特定の実施形態では、R13は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される。特定の実施形態では、R13は、水素である。特定の実施形態では、R13は、アルキル若しくは置換アルキル、例えば、C1~6アルキル若しくはC1~6置換アルキル、又はC1~4アルキル若しくはC1~4置換アルキル、又はC1~3アルキル若しくはC1~3置換アルキルである。特定の実施形態では、R13は、アルケニル若しくは置換アルケニル、例えば、C2~6アルケニル若しくはC2~6置換アルケニル、又はC2~4アルケニル若しくはC2~4置換アルケニル、又はC2~3アルケニル若しくはC2~3置換アルケニルである。特定の実施形態では、R13は、アルキニル又は置換アルキニルである。特定の実施形態では、R13は、アルコキシ又は置換アルコキシである。特定の実施形態では、R13は、アミノ又は置換アミノである。特定の実施形態では、R13は、カルボキシル又はカルボキシルエステルである。特定の実施形態では、R13は、アシル又はアシルオキシである。特定の実施形態では、R13は、アシルアミノ又はアミノアシルである。特定の実施形態では、R13は、アルキルアミド又は置換アルキルアミドである。特定の実施形態では、R13は、スルホニルである。特定の実施形態では、R13は、チオアルコキシ又は置換チオアルコキシである。特定の実施形態では、R13は、アリール若しくは置換アリール、例えば、C5~8アリール若しくはC5~8置換アリール、例えば、Cアリール若しくはC置換アリール、又はCアリール若しくはC置換アリールである。特定の実施形態では、R13は、ヘテロアリール若しくは置換ヘテロアリール、例えば、C5~8ヘテロアリール若しくはC5~8置換ヘテロアリール、例えば、Cヘテロアリール若しくはC置換ヘテロアリール、又はCヘテロアリール若しくはC置換ヘテロアリールである。特定の実施形態では、R13は、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、例えば、C3~8シクロアルキル若しくはC3~8置換シクロアルキル、例えば、C3~6シクロアルキル若しくはC3~6置換シクロアルキル、又はC3~5シクロアルキル若しくはC3~5置換シクロアルキルである。特定の実施形態では、R13は、ヘテロシクリル若しくは置換ヘテロシクリル、例えば、C3~8ヘテロシクリル若しくはC3~8置換ヘテロシクリル、例えば、C3~6ヘテロシクリル若しくはC3~6置換ヘテロシクリル、又はC3~5ヘテロシクリル若しくはC3~5置換ヘテロシクリルである。
【0234】
特定の実施形態では、R13は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールから選択される。これらの実施形態において、アルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールは、R13について上に記載されているとおりである。
【0235】
特定の実施形態では、テザー基(例えば、T、T、T、T、T、及びT)は、メタ-アミノ-ベンジルオキシ(MABO)、メタ-アミノ-ベンジルオキシカルボニル(MABC)、パラ-アミノ-ベンジルオキシ(PABO)、パラ-アミノ-ベンジルオキシカルボニル(PABC)、パラ-アミノベンジル(PAB)、パラ-アミノ-ベンジルアミノ(PABA)、パラ-アミノ-フェニル(PAP)、又はパラ-ヒドロキシ-フェニル(PHP)を含む。
【0236】
いくつかの実施形態では、テザーは、以下の構造
【化31】
によって記載されるMABO基を含む。
【0237】
いくつかの実施形態では、テザーは、以下の構造
【化32】
によって記載されるMABC基を含む。
【0238】
いくつかの実施形態では、テザーは、以下の構造
【化33】
によって記載されるPABO基を含む。
【0239】
いくつかの実施形態では、テザーは、以下の構造
【化34】
によって記載されるPABC基を含む。
【0240】
いくつかの実施形態では、テザーは、以下の構造
【化35】
によって記載されるPAB基を含む。
【0241】
いくつかの実施形態では、テザーは、以下の構造
【化36】
によって記載されるPABA基を含む。
【0242】
いくつかの実施形態では、テザーは、以下の構造
【化37】
によって記載されるPAP基を含む。
【0243】
いくつかの実施形態では、テザーは、以下の構造
【化38】
によって記載されるPHP基を含む。
【0244】
特定の実施形態では、各R14は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される。
【0245】
特定の実施形態では、R14は、水素である。特定の実施形態では、各R14は、水素である。特定の実施形態では、R14は、アルキル若しくは置換アルキル、例えば、C1~6アルキル若しくはC1~6置換アルキル、又はC1~4アルキル若しくはC1~4置換アルキル、又はC1~3アルキル若しくはC1~3置換アルキルである。特定の実施形態では、R14は、アルケニル若しくは置換アルケニル、例えば、C2~6アルケニル若しくはC2~6置換アルケニル、又はC2~4アルケニル若しくはC2~4置換アルケニル、又はC2~3アルケニル若しくはC2~3置換アルケニルである。特定の実施形態では、R14は、アルキニル又は置換アルキニルである。特定の実施形態では、R14は、アルコキシ又は置換アルコキシである。特定の実施形態では、R14は、アミノ又は置換アミノである。特定の実施形態では、R14は、カルボキシル又はカルボキシルエステルである。特定の実施形態では、R14は、アシル又はアシルオキシである。特定の実施形態では、R14は、アシルアミノ又はアミノアシルである。特定の実施形態では、R14は、アルキルアミド又は置換アルキルアミドである。特定の実施形態では、R14は、スルホニルである。特定の実施形態では、R14は、チオアルコキシ又は置換チオアルコキシである。特定の実施形態では、R14は、アリール若しくは置換アリール、例えば、C5~8アリール若しくはC5~8置換アリール、例えば、Cアリール若しくはC置換アリール、又はCアリール若しくはC置換アリールである。特定の実施形態では、R14は、ヘテロアリール若しくは置換ヘテロアリール、例えば、C5~8ヘテロアリール若しくはC5~8置換ヘテロアリール、例えば、Cヘテロアリール若しくはC置換ヘテロアリール、又はCヘテロアリール若しくはC置換ヘテロアリールである。特定の実施形態では、R14は、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、例えば、C3~8シクロアルキル若しくはC3~8置換シクロアルキル、例えば、C3~6シクロアルキル若しくはC3~6置換シクロアルキル、又はC3~5シクロアルキル若しくはC3~5置換シクロアルキルである。特定の実施形態では、R14は、ヘテロシクリル若しくは置換ヘテロシクリル、例えば、C3~8ヘテロシクリル若しくはC3~8置換ヘテロシクリル、例えば、C3~6ヘテロシクリル若しくはC3~6置換ヘテロシクリル、又はC3~5ヘテロシクリル若しくはC3~5置換ヘテロシクリルである。
【0246】
上に示されるMABO、MABC、PABO、PABC、PAB、PABA、PAP、及びPHPテザー構造のいくつかの実施形態では、フェニル環は、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される1つ以上の追加の基で置換され得る。
【0247】
リンカーLの特定の実施形態では、テザー基T、T、T、T、T、又はTのうちの1つ以上は各々、任意選択的にグリコシド又はグリコシド誘導体で置換されている。特定の実施形態では、グリコシド又はグリコシド誘導体は、グルクロニド、ガラクトシド、グルコシド、マンノシド、フコシド、O-GlcNAc、及びO-GalNAcから選択される。
【0248】
特定の実施形態では、上に示されるMABO、MABC、PABO、PABC、PAB、PABA、PAP、及びPHPテザー構造は、グリコシド及びグリコシド誘導体から選択される1つ以上の追加の基で置換され得る。例えば、上に示されるMABO、MABC、PABO、PABC、PAB、PABA、PAP、及びPHPテザー構造のいくつかの実施形態では、フェニル環は、グリコシド及びグリコシド誘導体から選択される1つ以上の追加の基で置換され得る。特定の実施形態では、グリコシド又はグリコシド誘導体は、グルクロニド、ガラクトシド、グルコシド、マンノシド、フコシド、O-GlcNAc、及びO-GalNAcから選択される。
【0249】
例えば、いくつかの実施形態では、グリコシド又はグリコシド誘導体は、以下の構造:
【化39】
から選択され得る。
【0250】
連結官能基、V、V、V、V、V、及びVに関して、任意の好都合な連結官能基が、リンカーLで利用され得る。目的の連結官能基としては、限定されないが、アミノ、カルボニル、アミド、オキシカルボニル、カルボキシ、スルホニル、スルホキシド、スルホニルアミノ、アミノスルホニル、チオ、オキシ、ホスホ、ホスホロアミデート、チオホスホライデートなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、V、V、V、V、V、及びVは、各々独立して、共有結合、-CO-、-NR15-、-NR15(CH-、-NR15(C)-、-CONR15-、-NR15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO-、-SONR15-、-NR15SO-、及び-P(O)OH-から選択され、qは、1~6の整数である。特定の実施形態では、qは、1~6(例えば、1、2、3、4、5、又は6)の整数である。特定の実施形態では、qは、1である。特定の実施形態では、qは、2である。特定の実施形態では、qは、3である。特定の実施形態では、qは、4である。特定の実施形態では、qは、5である。特定の実施形態では、qは、6である。
【0251】
いくつかの実施形態において、各R15は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミノ、置換アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノアシル、アルキルアミド、置換アルキルアミド、スルホニル、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される。
【0252】
特定の実施形態では、R15は、水素である。特定の実施形態では、各R15は、水素である。特定の実施形態では、R15は、アルキル若しくは置換アルキル、例えば、C1~6アルキル若しくはC1~6置換アルキル、又はC1~4アルキル若しくはC1~4置換アルキル、又はC1~3アルキル若しくはC1~3置換アルキルである。特定の実施形態では、R15は、アルケニル若しくは置換アルケニル、例えば、C2~6アルケニル若しくはC2~6置換アルケニル、又はC2~4アルケニル若しくはC2~4置換アルケニル、又はC2~3アルケニル若しくはC2~3置換アルケニルである。特定の実施形態では、R15は、アルキニル又は置換アルキニルである。特定の実施形態では、R15は、アルコキシ又は置換アルコキシである。特定の実施形態では、R15は、アミノ又は置換アミノである。特定の実施形態では、R15は、カルボキシル又はカルボキシルエステルである。特定の実施形態では、R15は、アシル又はアシルオキシである。特定の実施形態では、R15は、アシルアミノ又はアミノアシルである。特定の実施形態では、R15は、アルキルアミド又は置換アルキルアミドである。特定の実施形態では、R15は、スルホニルである。特定の実施形態では、R15は、チオアルコキシ又は置換チオアルコキシである。特定の実施形態では、R15は、アリール若しくは置換アリール、例えば、C5~8アリール若しくはC5~8置換アリール、例えば、Cアリール若しくはC置換アリール、又はCアリール若しくはC置換アリールである。特定の実施形態では、R15は、ヘテロアリール若しくは置換ヘテロアリール、例えば、C5~8ヘテロアリール若しくはC5~8置換ヘテロアリール、例えば、Cヘテロアリール若しくはC置換ヘテロアリール、又はCヘテロアリール若しくはC置換ヘテロアリールである。特定の実施形態では、R15は、シクロアルキル若しくは置換シクロアルキル、例えば、C3~8シクロアルキル若しくはC3~8置換シクロアルキル、例えば、C3~6シクロアルキル若しくはC3~6置換シクロアルキル、又はC3~5シクロアルキル若しくはC3~5置換シクロアルキルである。特定の実施形態では、R15は、ヘテロシクリル若しくは置換ヘテロシクリル、例えば、C3~8ヘテロシクリル若しくはC3~8置換ヘテロシクリル、例えば、C3~6ヘテロシクリル若しくはC3~6置換ヘテロシクリル、又はC3~5ヘテロシクリル若しくはC3~5置換ヘテロシクリルである。
【0253】
特定の実施形態では、各R15は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される。これらの実施形態では、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリル置換基は、R15について上に記載されているとおりである。
【0254】
特定の実施形態では、テザー基は、アセタール基、ジスルフィド、ヒドラジン、又はエステルを含む。いくつかの実施形態では、テザー基は、アセタール基を含む。いくつかの実施形態では、テザー基は、ヒドラジンを含む。いくつかの実施形態では、テザー基は、ジスルフィドを含む。いくつかの実施形態では、テザー基は、エステルを含む。
【0255】
上述のように、いくつかの実施形態では、Lは、-(T-V-(T-V-(T-V-(T-V-(T-V-(T-V-を含むリンカーであり、式中、a、b、c、d、e、及びfが、各々独立して、0又は1であり、a、b、c、d、e、及びfの合計が、1~6である。
【0256】
いくつかの実施形態では、リンカーLにおいて、
は、(C~C12)アルキル及び置換(C~C12)アルキルから選択され、
、T、T、T、及びTが、各々独立して、(C~C12)アルキル、置換(C~C12)アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリル、(EDA)、(PEG)、(AA)、-(CR13OH)-、4-アミノ-ピペリジン(4AP)、MABO、MABC、PABO、PABC、PAB、PABA、PAP、PHP、アセタール基、ジスルフィド、ヒドラジン、及びエステルから選択され、
、V、V、V、V、及びVが、各々独立して、共有結合、-CO-、-NR15-、-NR15(CH-、-NR15(C)-、-CONR15-、-NR15CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-S(O)-、-SO-、-SONR15-、-NR15SO-、及び-P(O)OH-から選択され、qが、1~6の整数であり、
(PEG)が、
【化40】
であり、式中、nが、1~30の整数であり、
EDAが、以下の構造:
【化41】
を有するエチレンジアミン部分であり、式中、yが、1~6の整数であり、rが、0又は1であり、
4-アミノ-ピペリジン(4AP)が、
【化42】
であり、
AAは、アミノ酸残基であり、pが、1~20の整数であり、
各R12が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、ポリエチレングリコール部分、アリール、及び置換アリールから選択され、任意の2つの隣接するR12基が、環状に連結され、ピペラジニル環を形成してもよく、
各R13が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、及び置換アリールから選択され、
各R15が、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択される。
【0257】
いくつかの実施形態では、Lは、リンカーであり、
が、(C~C12)アルキルであり、Vが、-CO-であり、
が、アミノ酸類似体であり、Vが、-NH-であり、
が、(PEG)であり、Vが、-CO-であり、
d~fが、各々0であるか、又は
が、(C~C12)アルキルであり、Vが、-CO-であり、
が、アミノ酸類似体であり、Vが、-NH-であり、
が、(PEG)であり、Vが、-CONH-であり、
が、(PEG)であり、Vが、-CO-であり、
e及びfが、各々0である。
【0258】
特定の実施形態では、上のリンカー構造の左側(例えば、T)は、コンジュゲート化部分Gに結合し、上のリンカー構造の右側(例えば、V又はV)は、(例えば、式(I)の構造の-A-X-X-C(O)O-部分を介して)薬物又は活性薬剤に結合する。
【0259】
特定の実施形態では、コンジュゲートは、上述のように、抗体及び薬物がリンカーによって一緒に連結されている、抗体-薬物コンジュゲートである。場合によっては、リンカーは、切断可能なリンカーである。切断可能なリンカーは、1つ以上の切断可能な部分を含むリンカーであり、切断可能な部分は、特定の条件下で解離することができ、したがって、切断可能なリンカーを2つ以上の分離可能な部分に分離することができる1つ以上の結合を含む。例えば、切断可能な部分は、1つ以上の共有結合を含んでもよく、1つ以上の共有結合は、特定の条件下で解離又は分離して、切断可能なリンカーを2つ以上の部分に分離することができる。抗体-薬物コンジュゲート中に含まれるそのようなリンカーは、切断可能なリンカーであり得、その結果、適切な条件下で、切断可能なリンカーが切断され、その薬物についての所望の作用標的部位で、抗体から薬物を分離するか、又は放出する。
【0260】
場合によっては、切断可能なリンカーは、2つの切断可能な部分、例えば、第1の切断可能な部分及び第2の切断可能な部分を含む。切断可能な部分は、その薬物についての所望の作用標的部位で抗体から薬物を分離するか、又は放出するように、両方の切断可能な部分の切断が必要となるように構成され得る。例えば、切断可能なリンカーの切断は、最初に2つの切断可能な部分のうちの1つを切断し、次いで2つの切断可能な部分の他方を切断することによって達成することができる。特定の実施形態では、切断可能なリンカーは、第1の切断可能な部分と、第1の切断可能な部分の切断を妨害する第2の切断可能な部分と、を含む。「切断を妨害する」とは、切断されていない第2の切断可能な部分の存在が、第1の切断可能な部分の切断の可能性を減少させるか、又は切断を実質的に阻害し、したがって、切断可能なリンカーの切断の量を実質的に減少させるか、又は切断を防止することを意味する。例えば、切断されていない第2の切断可能な部分の存在は、第1の切断可能な部分の切断を妨害することができる。第2の切断可能な部分の存在による第1の切断可能な部分の切断の妨害は、ひいては、抗体からの薬物の放出の量を実質的に減少させるか、又は放出を防止する。例えば、抗体-薬物コンジュゲートが、その薬物についての所望の作用標的部位にあるか、又はその付近にあるようになるまで、抗体からの薬物の早期放出を実質的に減少又は防止することができる。
【0261】
ある場合には、第2の切断可能な部分が、第1の切断可能な部分の切断を妨害するため、切断可能なリンカーの切断は、最初に第2の切断可能な部分を切断し、次いで第1の切断可能な部分を切断することによって達成することができる。第2の切断可能な部分の切断は、第1の切断可能な部分の切断に対する妨害を減少させるか、又はなくすことができ、したがって、第1の切断可能な部分の切断を可能にする。第1の切断可能な部分の切断により、切断可能なリンカーが上述のように2つ以上の部分に解離又は分離して、抗体-薬物コンジュゲートから薬物を放出することができる。場合によっては、第1の切断可能な部分の切断は、切断されていない第2の切断可能な部分の存在下では実質的に起こらない。実質的にとは、切断されていない第2の切断可能な部分の存在下で、第1の切断可能な部分の約10%以下の切断が起こること、例えば、切断されていない第2の切断可能な部分の存在下で、第1の切断可能な部分の約9%以下、又は約8%以下、又は約7%以下、又は約6%以下、又は約5%以下、又は約4%以下、又は約3%以下、又は約2%以下、又は約1%以下、又は約0.5%以下、又は約0.1%以下の切断が起こることを意味する。
【0262】
別の言い方をすれば、第2の切断可能な部分は、第1の切断可能な部分を切断されないように保護することができる。例えば、切断されていない第2の切断可能な部分の存在は、第1の切断可能な部分を切断されないように保護することができ、したがって、抗体-薬物コンジュゲートが、その薬物についての所望の作用標的部位にあるか、又はその付近にあるようになるまで、抗体からの薬物の早期放出を実質的に減少又は防止することができる。したがって、第2の切断可能な部分の切断により、第1の切断可能な部分を露出させ(例えば、第1の切断可能な部分を脱保護し)、したがって、第1の切断可能な部分の切断を可能にし、切断可能なリンカーの切断が起こり、次いで、上述の薬物についての所望の作用標的部位で抗体から薬物を分離又は放出する。特定の場合では、第2の切断可能な部分の切断により、第1の切断可能な部分を、その後の切断に対して露出させるが、第2の切断可能な部分は、切断可能なリンカーの中にはなく、それ自体は切断可能なリンカーの切断を起こさない(すなわち、切断可能なリンカーを切断するために、第1の切断可能な部分の切断が依然として必要である)。
【0263】
切断可能なリンカーに含まれる切断可能な部分は、各々、酵素的に切断可能な部分であり得る。例えば、第1の切断可能な部分は、第1の酵素的に切断可能な部分であってもよく、第2の切断可能な部分は、第2の酵素的に切断可能な部分であってもよい。酵素的に切断可能な部分は、酵素の酵素作用によって上述のように2つ以上の部分に分離することができる切断可能な部分である。酵素的に切断可能な部分は、酵素の酵素作用によって切断することができる任意の切断可能な部分、例えば、限定されないが、エステル、ペプチド、グリコシドなどであり得る。場合によっては、酵素的に切断可能な部分を切断する酵素は、抗体-薬物コンジュゲートから放出される薬物の所望の作用標的部位などの所望の作用標的部位に存在する。ある場合には、酵素的に切断可能な部分を切断する酵素は、全血液、血漿、又は血清などの他の領域に有意な量では存在しない。したがって、酵素的に切断可能な部分の切断は、実質的な切断が所望の作用部位で起こるように制御することができ、一方で、他の領域で、又は抗体-薬物コンジュゲートが所望の作用部位に到達する前に、切断は有意に起こらない。
【0264】
例えば、本明細書に記載されるように、本開示の抗体-薬物コンジュゲートは、がんの治療のために、例えば、がん細胞が存在する所望の作用部位へのがん療法薬の送達のために使用することができる。ある場合には、酵素、例えば、エステル結合を切断するエステラーゼは、がん細胞において過剰発現される、がんについてのバイオマーカーであり得る。がんにおける特定の酵素の過剰発現、したがって局在化を、本開示の抗体-薬物コンジュゲートの切断可能なリンカーに含まれる酵素的に切断可能な部分の文脈で使用して、所望の作用部位(すなわち、がん(及び過剰発現した酵素)の部位)で薬物を特異的に放出させることができる。したがって、いくつかの実施形態では、酵素的に切断可能な部分は、がん細胞において過剰発現される酵素によって切断され得る切断可能な部分(例えば、エステル)である。例えば、酵素は、エステラーゼであり得る。したがって、場合によっては、酵素的に切断可能な部分は、エステラーゼ酵素によって切断され得る切断可能な部分(例えば、エステル)である。
【0265】
特定の実施形態では、酵素的に切断可能な部分は、エステル結合である。例えば、上述の第1の切断可能な部分(すなわち、第2の切断可能な部分によって早期切断から保護される切断部分)は、エステルを含み得る。切断されていない第2の切断可能な部分の存在は、第1の切断可能な部分(エステル)を、エステラーゼ酵素によって切断されないように保護することができ、したがって、抗体-薬物コンジュゲートが、その薬物についての所望の作用標的部位にあるか、又はその付近にあるようになるまで、抗体からの薬物の早期放出を実質的に減少又は防止することができる。場合によっては、第1の切断可能な部分に隣接するリンカーLの部分は、置換基に連結しているか、又は置換基を含み、置換基は、第2の切断可能な部分を含む。場合によっては、第2の切断可能な部分は、グリコシドを含む。
【0266】
いくつかの実施形態では、酵素的に切断可能な部分は、糖部分、例えば、グリコシド(若しくはグリコシル)又はグリコシド誘導体である。ある場合には、グリコシド又はグリコシド誘導体は、グリコシド又はグリコシド誘導体を含まない切断可能なリンカーと比較して、切断可能なリンカーの親水性の増加を促進することができる。グリコシド又はグリコシド誘導体は、切断可能なリンカーにおける使用に好適であり、かつ酵素の酵素作用によって切断することができる、任意のグリコシド又はグリコシド誘導体であり得る。例えば、第2の切断可能な部分(すなわち、第1の切断可能な部分を早期切断から保護する切断可能な部分)は、グリコシド又はグリコシド誘導体であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1の切断可能な部分は、エステルを含み、第2の切断可能な部分は、グリコシド又はグリコシド誘導体を含む。特定の実施形態では、第2の切断可能な部分は、グルクロニド、ガラクトシド、グルコシド、マンノシド、フコシド、O-GlcNAc、及びO-GalNAcから選択されるグリコシド又はグリコシド誘導体である。場合によっては、第2の切断可能な部分は、グルクロニドである。場合によっては、第2の切断可能な部分は、ガラクトシドである。場合によっては、第2の切断可能な部分は、グルコシドである。場合によっては、第2の切断可能な部分は、マンノシドである。場合によっては、第2の切断可能な部分は、フコシドである。場合によっては、第2の切断可能な部分は、O-GlcNAcである。場合によっては、第2の切断可能な部分は、O-GalNAcである。
【0267】
グリコシド又はグリコシド誘導体は、グリコシド結合を介して切断可能なリンカーに結合(共有結合)することができる。グリコシド結合は、様々なタイプの結合、例えば、限定されないが、O-グリコシド結合(O-グリコシド)、N-グリコシド結合(グリコシルアミン)、S-グリコシド結合(チオグリコシド)、又はC-グリコシド結合(C-グリコシド又はC-グリコシル)を介して、グリコシド又はグリコシド誘導体を切断可能なリンカーに連結し得る。場合によっては、グリコシド結合は、O-グリコシド結合(O-グリコシド)である。ある場合には、グリコシド又はグリコシド誘導体は、酵素によって結合する切断可能なリンカーから(例えば、グリコシド結合の酵素によって媒介される加水分解を介して)切断され得る。グリコシド又はグリコシド誘導体を、グリコシド又はグリコシド誘導体を切断可能なリンカーに結合するグリコシド結合の切断(加水分解)を実行することが可能な任意の好都合な酵素によって、切断可能なリンカーから除去又は切断することができる。グリコシド又はグリコシド誘導体を切断可能なリンカーに結合するグリコシド結合の切断(加水分解)を媒介するために使用され得る酵素の一例は、グリコシダーゼ、例えば、グルクロニダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルコシダーゼ、マンノシダーゼ、フコシダーゼなどである。他の好適な酵素も、グリコシド又はグリコシド誘導体を切断可能なリンカーに結合するグリコシド結合の切断(加水分解)を媒介するために使用され得る。ある場合には、グリコシド又はグリコシド誘導体を切断可能なリンカーに結合するグリコシド結合の切断(加水分解)を媒介するために使用される酵素は、抗体-薬物コンジュゲートの薬物についての所望の作用部位に、又はその付近に見出される。例えば、酵素は、抗体-薬物コンジュゲートの薬物についての所望の作用部位に、又はその付近の細胞において見出される、リソソーム酵素、例えば、リソソームグリコシダーゼであり得る。ある場合には、酵素は、第1の切断可能な部分の切断を媒介する酵素が見出される標的部位、又はその付近で見出される酵素である。
【0268】
特定の実施形態では、コンジュゲートは、式(II)のコンジュゲートであり、
【化43】
式中、Rが、アミノ酸側鎖である。
【0269】
特定の実施形態では、Rは、アミノ酸の側鎖を表す。例えば、Rは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及びアミノ酸類似体を含む、アミノ酸残基のα炭素に結合した置換基を表し得る。ある場合には、Rは、天然に存在するタンパク質中に見出されるアミノ酸の側鎖(例えば、Ala又はA、Cys又はC、Asp又はD、Glu又はE、Phe又はF、Gly又はG、His又はH、Ile又はI、Lys又はK、Leu又はL、Met又はM、Asn又はN、Pro又はP、Gln又はQ、Arg又はR、Ser又はS、Thr又はT、Val又はV、Trp又はW、Tyr又はYの側鎖)を表す。特定の実施形態では、Rは、バリン(Val)の側鎖を表し、すなわち、Rが、イソプロピルである。特定の実施形態では、Rは、アラニン(Ala)の側鎖を表し、すなわち、Rが、メチルである。特定の実施形態では、Rは、フェニルアラニン(Phe)の側鎖を表し、すなわち、Rが、ベンジルである。特定の実施形態では、Rは、リジン(Lys)の側鎖を表し、すなわち、Rが、4-アミノブチルである。
【0270】
式(II)の特定の実施形態では、コンジュゲートは、
【化44】
から選択される。
【0271】
特定の実施形態では、コンジュゲートは、式(III)のコンジュゲートであり、
【化45】
式中、Rが、アミノ酸側鎖である。
【0272】
式(III)の特定の実施形態では、コンジュゲートは、
【化46】
から選択される。
【0273】
式(II)及び式(III)において、置換基W、W、k、L、G、及びRは、式(I)に関して上述したとおりである。
【0274】
上の構造において示される化学エンティティ、リンカー及びコンジュゲート化部分のうちのいずれも、本主題の化合物及びコンジュゲートにおける使用に適合され得る。
【0275】
ヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニル化合物、及びコンジュゲートを生成するための方法に関する追加の開示は、米国特許第9,310,374号及び米国特許第9,493,413号に見出され、これらの各々の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0276】
コンジュゲートを生成するのに有用な化合物
本開示は、本明細書に記載のコンジュゲートを生成するために有用な化合物を提供する。特定の実施形態では、化合物は、薬物又は活性薬剤に結合することができ、また、薬物又は活性薬剤のポリペプチド(例えば、抗体)へのコンジュゲート化に有用なコンジュゲート化部分を含み得る。例えば、化合物中のコンジュゲート化部分は、ポリペプチド(例えば、抗体)にコンジュゲート化されてもよく、したがって、薬物又は活性薬剤とポリペプチド(抗体)とを一緒に間接的に結合させる。
【0277】
特定の実施形態では、化合物は、式(IV)の化合物であり、
【化47】
式中、
が、薬物であり、
Aが、アミノ酸残基であり、kが、0又は1~5の整数であり、
Lが、リンカーであり、
Gが、コンジュゲート化部分であり、
が、
【化48】
及び-(CHR(CHR)-から選択され、
が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、及びRから選択され、Rが、任意選択的に、Rで置換され、
jが、0又は1~5の整数であり、
が、Rであるか、又はRが、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、及び置換ヘテロシクリルから選択され、Rが、Rで置換され、
が、-NH-又は-C(O)-であり、
各Rが、独立して、グリコシド又はグリコシド誘導体である。
【0278】
式(IV)の化合物に関して、置換基W、A、k、L、G、X、X、R、j、R、及びRは、式(I)、(II)、及び(III)のコンジュゲートに関して上述したとおりである。
【0279】
特定の実施形態では、化合物は、式(V)の化合物であり、
【化49】
式中、Rが、アミノ酸側鎖である。
【0280】
式(V)の特定の実施形態では、化合物は、
【化50】
から選択される。
【0281】
特定の実施形態では、化合物は、式(VI)の化合物であり、
【化51】
式中、Rが、アミノ酸側鎖である。
【0282】
式(VI)の特定の実施形態では、化合物は、
【化52】
から選択される。
【0283】
式(V)及び式(VI)において、置換基W、k、L、G、R、及びRは、式(I)、(II)、及び(III)に関して上述したとおりである。
【0284】
ポリペプチド及び抗体
上に示されるように、主題のコンジュゲートは、置換基Wとして、ポリペプチド(例えば、抗体)を含んでもよい。ポリペプチド(抗体)は、2-ホルミルグリシン(FGly)残基を含むように修飾され得る。本明細書で使用される場合、アミノ酸は、それらの標準名、それらの標準的な3文字の略称、及び/又はそれらの標準的な1文字の略称、例えば、アラニン又はAla又はA、システイン又はCys又はC、アスパラギン酸又はAsp又はD、グルタミン酸又はGlu又はE、フェニルアラニン又はPhe又はF、グリシン又はGly又はG、ヒスチジン又はHis又はH、イソロイシン又はIle又はI、リジン又はLys又はK、ロイシン又はLeu又はL、メチオニン又はMet又はM、アスパラギン又はAsn又はN、プロリン又はPro又はP、グルタミン又はGln又はQ、アルギニン又はArg又はR、セリン又はSer又はS、トレオニン又はThr又はT、バリン又はVal又はV、トリプトファン又はTrp又はW、及びチロシン又はTyr又はYと称され得る。
【0285】
特定の実施形態では、ポリペプチド又は抗体のアミノ酸配列は、インビボで(例えば、細胞においてアルデヒドタグ含有タンパク質の翻訳時に)、又はインビトロで(例えば、無細胞系においてアルデヒドタグ含有タンパク質とFGEとを接触させることによって)のいずれかで、ホルミルグリシン生成酵素(FGE)の作用によって、2-ホルミルグリシン(FGly)残基へと変換する(酸化する)ことが可能なセリン又はシステイン残基を含有するスルファターゼモチーフを含むように修飾される。かかるスルファターゼモチーフは、本明細書では、FGE修飾部位とも称され得る。
【0286】
スルファターゼモチーフ
アルデヒドタグの最小スルファターゼモチーフは、通常、5個又は6個のアミノ酸残基の長さであり、通常、6個以下のアミノ酸残基の長さである。Igポリペプチドにおいて提供されるスルファターゼモチーフは、少なくとも5又は6個のアミノ酸残基であり、例えば、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、又は6個未満のアミノ酸残基長のスルファターゼモチーフを画定するように、5~16個、6~16、5~15、6~15、5~14、6~14、5~13、6~13、5~12、6~12、5~11、6~11、5~10、6~10、5~9、6~9、5~8、又は6~8個のアミノ酸残基長であり得る。
【0287】
特定の実施形態では、目的のポリペプチドは、1つ以上のアミノ酸残基、例えば、2個以上、若しくは3個以上、若しくは4個以上、若しくは5個以上、若しくは6個以上、若しくは7個以上、若しくは8個以上、若しくは9個以上、若しくは10個以上、若しくは11個以上、若しくは12個以上、若しくは13個以上、若しくは14個以上、若しくは15個以上、若しくは16個以上、若しくは17個以上、若しくは18個以上、若しくは19個以上、若しくは20個以上のアミノ酸残基が、ポリペプチド中のスルファターゼモチーフの配列を提供するために、天然アミノ酸配列に対して挿入、欠失、置換(置き換え)されているものを含む。特定の実施形態では、ポリペプチドは、ポリペプチドの天然アミノ酸配列と比較して、アミノ酸配列の20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、又は2個未満のアミノ酸残基の修飾(挿入、付加、欠失、及び/又は置換/置き換え)を含む。ポリペプチド(例えば、抗体)に対する天然のアミノ酸配列が、所望のスルファターゼモチーフの1つ以上の残基を含有する場合、残基の修飾の総数は、例えば、所望のスルファターゼモチーフの配列を提供するような天然のアミノ酸残基に隣接するアミノ酸残基の部位特異的修飾(挿入、付加、欠失、置換/置き換え)によって、減少させることができる。特定の実施形態では、標的抗体の天然のアミノ酸配列の修飾の程度は、(例えば、N末端又はC末端に対して)挿入され、欠失され、置換され(置き換えられ)、及び/又は付加されるアミノ酸残基の数を最小限に抑えるように、最小限に抑えられる。標的抗体のアミノ酸配列の修飾の程度を最小限に抑えることによって、かかる修飾が抗体の機能及び/又は構造に及ぼし得る影響を最小限に抑え得る。
【0288】
特定の目的のアルデヒドタグは、少なくとも1つの最小スルファターゼモチーフ(「コンセンサススルファターゼモチーフ」とも称される)を含むものであるが、より長いアルデヒドタグが、本開示によって企図及び包含され、本開示の組成物及び方法において使用され得ることが容易に理解されることに留意されたい。したがって、アルデヒドタグは、5個又は6個の残基の最小スルファターゼモチーフを含むことができ、又はより長く、追加のアミノ酸残基によってモチーフのN末端及び/又はC末端側に隣接され得る最小スルファターゼモチーフを含むことができる。例えば、5又は6個のアミノ酸残基のアルデヒドタグ、並びに5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個以上より多いアミノ酸残基のより長いアミノ酸配列が企図される。
【0289】
アルデヒドタグは、Ig重鎖のC末端又はその付近に存在することができ、例えば、アルデヒドタグは、天然の野生型Ig重鎖のC末端の1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸内に存在し得る。アルデヒドタグは、Ig重鎖のCH1ドメイン内に存在し得る。アルデヒドタグは、Ig重鎖のCH2ドメイン内に存在し得る。アルデヒドタグは、Ig重鎖のCH3ドメイン内に存在し得る。アルデヒドタグは、Ig軽鎖定常領域、例えば、カッパ軽鎖定常領域又はラムダ軽鎖定常領域中に存在し得る。
【0290】
特定の実施形態では、使用されるスルファターゼモチーフは、以下の式によって記載されてもよく、
102030(I’)
式中、
10が、システイン又はセリンであり((C/S)によって表すこともでき)、
20が、プロリン又はアラニン残基のいずれかであり((P/A)によって表すこともでき)、
30が、塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン(R)であり、リジン(K)又はヒスチジン(H)、例えば、リジンであってもよく)、又は脂肪族アミノ酸(アラニン(A)、グリシン(G)、ロイシン(L)、バリン(V)、イソロイシン(I)、又はプロリン(P)、例えば、A、G、L、V、又はIであり、
が、存在するか、又は存在せず、存在する場合、任意のアミノ酸、例えば、脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸、又は極性非帯電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸又は帯電アミノ酸以外のもの)、例えば、L、M、V、S、又はT、例えば、L、M、S、又はVであってもよく、但し、スルファターゼモチーフが、標的ポリペプチドのN末端にある場合、Xが存在し、
及びXが、独立して、任意のアミノ酸であってもよいが、通常は、脂肪族アミノ酸、極性非帯電アミノ酸、又は硫黄含有アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸又は帯電アミノ酸以外のもの)、例えば、S、T、A、V、G、又はC、例えば、S、T、A、V、又はGであってもよい。
【0291】
抗体重鎖及び/又は軽鎖のアミノ酸配列は、式X102030の少なくとも5個のアミノ酸の配列を提供するように修飾されてもよく、式中、
10が、システイン又はセリンであり、
20が、プロリン又はアラニン残基であり、
30が、脂肪族アミノ酸又は塩基性アミノ酸であり、
が、存在するか、又は存在せず、存在する場合、任意のアミノ酸であり、但し、異種スルファターゼモチーフがポリペプチドのN末端にある場合、Xが存在し、
及びXが、各々独立して、任意のアミノ酸である。
【0292】
スルファターゼモチーフは、概して、選択されたFGE、例えば、アルデヒドタグ化ポリペプチドが発現される宿主細胞中に存在するFGE、又は無細胞インビトロ法においてアルデヒドタグ化ポリペプチドと接触されるFGEによって変換することができるように選択される。
【0293】
例えば、FGEが、真核生物FGE(例えば、ヒトFGEを含む哺乳動物FGE)である場合、スルファターゼモチーフは以下の式:
CXPX30(I”)のスルファターゼモチーフであってもよく、
式中、
が、存在してもよく、又は存在しなくてもよく、存在する場合、任意のアミノ酸、例えば、脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸、又は極性非帯電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸又は帯電アミノ酸以外のもの)、例えば、L、M、S、又はVであってもよく、但し、スルファターゼモチーフが、標的ポリペプチドのN末端にある場合、Xが存在し、
及びXが、独立して、任意のアミノ酸、例えば、脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸、又は極性非帯電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸又は帯電アミノ酸以外のもの)、例えば、S、T、A、V、G、又はC、例えば、S、T、A、V、又はGであってもよく、
30が、塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン(R)であり、リジン(K)又はヒスチジン(H)、例えば、リジンであってもよく)、又は脂肪族アミノ酸(アラニン(A)、グリシン(G)、ロイシン(L)、バリン(V)、イソロイシン(I)、又はプロリン(P)、例えば、A、G、L、V、又はIである。
【0294】
スルファターゼモチーフの具体例としては、LCTPSR(配列番号//)、MCTPSR(配列番号//)、VCTPSR(配列番号//)、LCSPSR(配列番号//)、LCAPSR(配列番号//)、LCVPSR(配列番号//)、LCGPSR(配列番号//)、ICTPAR(配列番号//)、LCTPSK(配列番号//)、MCTPSK(配列番号//)、VCTPSK(配列番号//)、LCSPSK(配列番号//)、LCAPSK(配列番号//)、LCVPSK(配列番号//)、LCGPSK(配列番号//)、LCTPSA(配列番号//)、ICTPAA(配列番号//)、MCTPSA(配列番号//)、VCTPSA(配列番号//)、LCSPSA(配列番号//)、LCAPSA(配列番号//)、LCVPSA(配列番号//)、及びLCGPSA(配列番号//)が挙げられる。
【0295】
FGly含有配列
修飾抗体の重鎖及び/又は軽鎖にFGEが作用すると、スルファターゼモチーフ中のセリン又はシステインが、FGlyに修飾される。したがって、FGly含有スルファターゼモチーフは、以下の式:
(FGly)X2030(I’’’)のFGly含有スルファターゼモチーフであってもよく、
式中、
FGlyが、ホルミルグリシン残基であり、
20が、プロリン又はアラニン残基のいずれかであり((P/A)によって表すこともでき)、
30が、塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン(R)であり、リジン(K)又はヒスチジン(H)、通常は、リジンであってもよく)、又は脂肪族アミノ酸(アラニン(A)、グリシン(G)、ロイシン(L)、バリン(V)、イソロイシン(I)、又はプロリン(P)、例えば、A、G、L、V、又はIであり、
が、存在してもよく、又は存在しなくてもよく、存在する場合、任意のアミノ酸、例えば、脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸、又は極性非帯電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸又は帯電アミノ酸以外のもの)、例えば、L、M、V、S、又はT、例えば、L、M、又はVであってもよく、但し、スルファターゼモチーフが、標的ポリペプチドのN末端にある場合、Xが存在し、
及びXが、独立して、任意のアミノ酸、例えば、脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸、又は極性非帯電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸又は帯電アミノ酸以外のもの)、例えば、S、T、A、V、G、又はC、例えば、S、T、A、V、又はGであってもよい。
【0296】
上述のように、FGly残基を含有する修飾ポリペプチドは、FGlyと薬物(例えば、上に記載されるようなヒドラジニル-インドリル又はヒドラジニル-ピロロ-ピリジニルコンジュゲート化部分を含有する薬物)との反応によって薬物(例えば、マイタンシノイド)にコンジュゲート化され、FGly’含有スルファターゼモチーフを産生してもよい。本明細書で使用される場合、FGly’という用語は、マイタンシン又はアウリスタチンなどの薬物にカップリングされるスルファターゼモチーフの修飾アミノ酸残基を指す。したがって、FGly’含有スルファターゼモチーフは、以下の式:
(FGly’)X2030(II)のFGly’含有スルファターゼモチーフであってもよく、
式中、
FGly’が、式(I)の修飾アミノ酸残基であり、
20が、プロリン又はアラニン残基のいずれかであり((P/A)によって表すこともでき)、
30が、塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン(R)であり、リジン(K)又はヒスチジン(H)、通常は、リジンであってもよく)、又は脂肪族アミノ酸(アラニン(A)、グリシン(G)、ロイシン(L)、バリン(V)、イソロイシン(I)、又はプロリン(P)、例えば、A、G、L、V、又はIであり、
が、存在してもよく、又は存在しなくてもよく、存在する場合、任意のアミノ酸、例えば、脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸、又は極性非帯電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸又は帯電アミノ酸以外のもの)、例えば、L、M、V、S、又はT、例えば、L、M、又はVであってもよく、但し、スルファターゼモチーフが、標的ポリペプチドのN末端にある場合、Xが存在し、
及びXが、独立して、任意のアミノ酸、例えば、脂肪族アミノ酸、硫黄含有アミノ酸、又は極性非帯電アミノ酸(すなわち、芳香族アミノ酸又は帯電アミノ酸以外のもの)、例えば、S、T、A、V、G、又はC、例えば、S、T、A、V、又はGであってもよい。
【0297】
修飾部位
上に示されるように、抗体のアミノ酸配列は、インビボ(例えば、細胞中のアルデヒドタグ含有タンパク質の翻訳のときに)又はインビトロ(例えば、無細胞系において、アルデヒドタグ含有タンパク質をFGEと接触させることによって)のいずれかで、FGEの作用によってFGly残基に変換(酸化)されることができるセリン又はシステイン残基を含有するスルファターゼモチーフを含むように修飾される。本開示のコンジュゲートを生成するために使用される抗体は、少なくともIg定常領域、例えば、Ig重鎖定常領域(例えば、少なくともCH1ドメイン;少なくともCH1及びCH2ドメイン;CH1、CH2、及びCH3ドメイン;又はCH1、CH2、CH3、及びCH4ドメイン)、又はIg軽鎖定常領域を含む。かかるIgポリペプチドは、本明細書で「標的Igポリペプチド」又は「標的抗体」と称される。
【0298】
スルファターゼモチーフが導入される抗体中の部位は、任意の好都合な部位であり得る。上に示されるように、場合によっては、標的ポリペプチドの天然のアミノ酸配列の修飾の程度は、(例えば、N末端又はC末端に対して)挿入され、欠失され、置換され(置き換えられ)、及び/又は付加されるアミノ酸残基の数を最小限に抑えるように、最小限に抑えられる。標的抗体のアミノ酸配列の修飾の程度を最小限に抑えることによって、かかる修飾が抗体の機能及び/又は構造に及ぼし得る影響を最小限に抑え得る。
【0299】
抗体重鎖定常領域は、任意の重鎖アイソタイプ、天然に存在しないIg重鎖定常領域(コンセンサスIg重鎖定常領域を含む)のIg定常領域を含み得る。Ig定常領域は、アルデヒドタグを含むように修飾されてもよく、アルデヒドタグは、Ig定常領域の溶媒接近可能なループ領域中又はそれに隣接して存在する。Ig定常領域は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは16個のアミノ酸、又は16個より多いアミノ酸の挿入及び/又は置換によって修飾され、上述のようなスルファターゼモチーフのアミノ酸配列を提供することができる。
【0300】
ある場合には、アルデヒドタグ化抗体は、アルデヒドタグ化Ig重鎖定常領域(例えば、少なくともCH1ドメイン;少なくともCH1及びCH2ドメイン;CH1、CH2、及びCH3ドメイン;又はCH1、CH2、CH3、及びCH4ドメイン)を含む。アルデヒドタグ化Ig重鎖定常領域は、IgA、IgM、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプ重鎖又はその任意のアロタイプバリアント、例えば、ヒト重鎖定常領域配列又はマウス重鎖定常領域配列、ハイブリッド重鎖定常領域、合成重鎖定常領域、又はFGEによって修飾され、FGly修飾Igポリペプチドを生成し得る少なくとも1つのスルファターゼモチーフを含むように修飾されたコンセンサス重鎖定常領域配列などの重鎖定常領域配列を含み得る。Ig重鎖のアロタイプバリアントは、当該技術分野で既知である。例えば、Jefferis and Lefranc(2009)MAbs1:4を参照されたい。
【0301】
ある場合には、アルデヒドタグ化抗体は、アルデヒドタグ化Ig軽鎖定常領域を含む。アルデヒドタグ化Ig軽鎖定常領域は、カッパ軽鎖、ラムダ軽鎖の軽鎖定常領域配列、例えば、ヒトカッパ又はラムダ軽鎖定常領域、ハイブリッド軽鎖定常領域、合成軽鎖定常領域、又はコンセンサス軽鎖定常領域配列などを含み、FGly修飾抗体を生成するようにFGEによって修飾され得る少なくとも1つのスルファターゼモチーフを含むように修飾される。例示的な定常領域は、ヒトガンマ1及びガンマ3領域を含む。スルファターゼモチーフを除き、修飾定常領域は、野生型アミノ酸配列を有していてもよく、又は野生型アミノ酸配列に対して少なくとも70%同一(例えば、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%同一)であるアミノ酸配列を有し得る。
【0302】
いくつかの実施形態において、スルファターゼモチーフは、Igポリペプチド重鎖のC末端以外の位置、又はそれに加えた位置にある。上に示されるように、単離されたアルデヒドタグ化抗体は、上述のスルファターゼモチーフを含むように修飾された重鎖定常領域を含んでもよく、スルファターゼモチーフは、抗体重鎖定常領域の表面接近可能なループ領域の中にあるか、又はそれに隣接している。
【0303】
スルファターゼモチーフは、Ig重鎖のかかる修飾部位のこれらのアミノ酸配列のうちの1つ以上内、又はそれに隣接して提供され得る。例えば、Ig重鎖ポリペプチドは、これらのアミノ酸配列のうちの1つ以上で修飾され(例えば、修飾が1つ以上のアミノ酸残基の挿入、欠失、及び/又は置換を含む場合)、これらの修飾部位に隣接してN末端に、及び/又は隣接してC末端にスルファターゼモチーフを提供することができる。代替的に又はこれに加えて、Ig重鎖ポリペプチドは、これらのアミノ酸配列のうちの1つ以上で修飾され(例えば、修飾が1つ以上のアミノ酸残基の挿入、欠失、及び/又は置換を含む場合)、Ig重鎖修飾部位の任意の2つの残基の間にスルファターゼモチーフを提供することができる。いくつかの実施形態において、Ig重鎖ポリペプチドは、互いに隣接し得るか、又は1つ、2つ、3つ、4つ以上(例えば、約1~約25、約25~約50、又は約50~約100、又はそれ超のアミノ酸によって分離され得る2つのモチーフを含むように修飾され得る。代替的に又はこれに加えて、天然アミノ酸配列が、スルファターゼモチーフ配列の1つ以上のアミノ酸残基を提供する場合、Ig重鎖ポリペプチドアミノ酸配列の修飾部位の選択されたアミノ酸残基は、修飾部位にスルファターゼモチーフを提供するように、修飾され得る(例えば、修飾が1つ以上のアミノ酸残基の挿入、欠失、及び/又は置換を含む場合)。
【0304】
本開示の抗体-薬物コンジュゲートで使用される抗体は、限定されないが、例えば、がん細胞上に存在する抗原、自己免疫細胞上に存在する抗原、病原性微生物上に存在する抗原、ウイルス感染細胞(例えば、ヒト免疫不全ウイルス感染細胞)上に存在する抗原、疾患細胞上に存在する抗原などを含み、様々な抗原結合特異性のうちのいずれかを有し得る。例えば、抗体コンジュゲートは、抗原に結合してもよく、抗原は、細胞の表面上に存在する。本開示の抗体コンジュゲートは、好適な結合親和性で、例えば、5×10-6M~10-7M、10-7M~5×10-7M、5×10-7M~10-8M、10-8M~5×10-8M、5×10-8M~10-9M、又は10-9Mより大きな結合親和性で、抗原に結合し得る。
【0305】
非限定的な例として、主題の抗体コンジュゲートは、がん細胞上に存在する抗原(例えば、腫瘍特異的抗原、がん細胞上で過剰発現される抗原など)に結合してもよく、コンジュゲート化された部分は、薬物、例えば、細胞傷害性化合物(例えば、細胞傷害性小分子、細胞傷害性合成ペプチドなど)であり得る。例えば、主題の抗体コンジュゲートは、がん細胞上の抗原に特異的であってもよく、コンジュゲート化された部分は、薬物、例えば、細胞傷害性化合物(例えば、細胞傷害性小分子、細胞傷害性合成ペプチドなど)である。
【0306】
更なる非限定的な例として、主題の抗体コンジュゲートは、ウイルスに感染した細胞上に存在する抗原(例えば、抗原がウイルスによってコードされる場合、抗原が、ウイルスによって感染する細胞型上に発現される場合など)に結合してもよく、コンジュゲート化部分は、薬物、例えば、ウイルス融合阻害剤であり得る。例えば、主題の抗体コンジュゲートは、ウイルスに感染した細胞上に存在する抗原に結合してもよく、コンジュゲート化部分は、薬物、例えば、ウイルス融合阻害剤であり得る。
【0307】
ポリペプチドへのコンジュゲート化のための薬物
上に示されるように、本開示のコンジュゲート又は化合物は、置換基Wとして、薬物又は活性薬剤を含み得る。いくつかの薬物のうちのいずれも、抗体にコンジュゲートする反応性パートナーとして、使用に好適であるか、又は使用に好適になるように修飾され得る。薬物の例としては、小分子薬物及びペプチド薬物が挙げられる。
【0308】
本明細書で使用される場合の「小分子薬物」は、化合物、例えば、有機化合物を指し、それは、目的の薬学的活性を示し、それが概して、約800Da以下、又は2000Da以下の分子量であるが、最大5kDaの分子を包含し得、10kDaと同じ程度の大きさであり得る。小無機分子は、炭素原子を含まない分子を指すが、小有機分子は少なくとも1つの炭素原子を含む化合物を指す。
【0309】
例えば、薬物又は活性薬剤は、カンプトテシン、又はその類似体若しくは誘導体、又は薬学的に活性なカンプトテシン部分及び/若しくはその一部分であり得る。ポリペプチドにコンジュゲート化されたカンプトテシンは、限定されないが、本明細書に記載されるようなカンプトテシン並びにその類似体及び誘導体など、様々なカンプトテシン部分のうちのいずれかであり得る。本明細書に記載のコンジュゲート及び化合物で使用されることが見出される薬物の例としては、これらに限定されないが、SN-38、ベロテカン、エキサテカン、9-アミノカンプトテシン(9-AC)、それらの誘導体などのカンプトテシン又はカンプトテシン誘導体が挙げられる。
【0310】
他の実施形態では、薬物又は活性薬剤は、マイタンシンであり得る。「マイタンシン」、「マイタンシン部分」、「マイタンシン活性薬剤部分」、及び「マイタンシノイド」は、マイタンシン、並びにその類似体及び誘導体、並びに薬学的に活性なマイタンシン部分及び/又はその部分を指す。ポリペプチドにコンジュゲート化されたマイタンシンは、限定されないが、本明細書に記載されるようなマイタンシン並びにその類似体及び誘導体(例えば、デアシルマイタンシン)など、様々なマイタンシノイド部分のうちのいずれかであり得る。
【0311】
他の例において、薬物又は活性薬剤は、アウリスタチン、又はその類似体若しくは誘導体、又は薬学的に活性なアウリスタチン部分及び/又はその部分であり得る。ポリペプチドにコンジュゲート化されたアウリスタチンは、限定されないが、本明細書に記載されるようなアウリスタチン並びにその類似体及び誘導体など、様々なアウリスタチン部分のうちのいずれかであり得る。本明細書に記載のコンジュゲート及び化合物で使用されることが見出される薬物の例としては、これらに限定されないが、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、それらの誘導体などのアウリスタチン又はアウリスタチン誘導体が挙げられる。
【0312】
他の場合では、薬物又は活性薬剤は、デュオカルマイシン、又はその類似体若しくは誘導体、又は薬学的に活性なデュオカルマイシン部分及び/又はその部分であり得る。ポリペプチドにコンジュゲート化されたデュオカルマイシンは、限定されないが、本明細書に記載されるようなデュオカルマイシン並びにその類似体及び誘導体など、様々なデュオカルマイシン部分のうちのいずれかであり得る。本明細書に記載のコンジュゲート及び化合物で使用されることが見出される薬物の例としては、これらに限定されないが、デュオカルマイシンA、デュオカルマイシンB1、デュオカルマイシンB2、デュオカルマイシンC1、デュオカルマイシンC2、デュオカルマイシンD、デュオカルマイシンSA、及びCC-1065、それらの誘導体などのデュオカルマイシン又はデュオカルマイシン誘導体が挙げられる。いくつかの実施形態では、デュオカルマイシンは、これらに限定されないが、アドゼレシン、ビゼレシン、又はカルゼレシンなどの、デュオカルマイシン類似体である。
【0313】
特定の実施形態では、薬物は、サイトトキシン、キナーゼ阻害剤、免疫刺激剤、トール様受容体(TLR)アゴニスト、オリゴヌクレオチド、アプタマー、サイトカイン、ステロイド、及びペプチドから選択される。
【0314】
例えば、サイトトキシンは、細胞死(例えば、壊死若しくはアポトーシス)又は細胞生存率の低下をもたらす任意の化合物を含むことができる。
【0315】
キナーゼ阻害剤としては、限定されないが、アダボセルチブ、アファチニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、セツキシマブ、コビメチニブ、クリゾチニブ、カボザンチニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、エントレクチニブ、エルダフィチニブ、エルロチニブ、フォスタマチニブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ムブリチニブ、ニロチニブ、パゾパニブ、ペガプタニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ツカチニブ、バンデタニブ、ベムラフェニブなどが挙げられる。
【0316】
免疫刺激剤としては、これらに限定されないが、ワクチン(例えば、細菌又はウイルスワクチン)、コロニー刺激因子、インターフェロン、インターロイキンなどが挙げられる。TLRアゴニストとしては、これらに限定されないが、イミキモド、レシキモドなどが挙げられる。
【0317】
オリゴヌクレオチド薬物としては、これらに限定されないが、フォミビルセン、ペガプタニブ、ミポメルセン、エテプリルセン、デフィブロチド、ヌシネルセン、ゴロジルセン、ビルトラルセン、ボラネソルセン、イノテルセン、トフェルセン、トミネルセンなどが挙げられる。
【0318】
アプタマー薬物としては、限定されないが、ペガプタニブ、AS1411、REG1、ARC1779、NU172、ARC1905、E10030、NOX-A12、NOX-E36などが挙げられる。
【0319】
サイトカインとしては、これらに限定されないが、アルブインターフェロンアルファ2B、アルデスロイキン、ALT-801、アナキンラ、アンセスチム、アボテルミン、バルグラスチム、ベンペガルデスロイキン、ビネトラキン、シントレデキンベスドトクス、CTCE-0214、ダルベポエチンアルファ、デニロイキンジフチトクス、デュラネルミン、エドデキンアルファ、エムフィラミン、エポエチンデルタ、エリスロポエチン、ヒトインターロイキン2、インターフェロンα、インターフェロンα-2c、インターフェロンα-n1、インターフェロンα-n3、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンβ-1a、インターフェロンβ-1b、インターフェロンγ-1b、インターフェロンκ、インターロイキン-1α、インターロイキン10、インターロイキン7、レノグラスチム、レリジスチム、リペグフィルグラスチム、ロルカフスプアルファ、Maxy-G34、メトキシポリエチレングリコールエポエチンベータ、モルグラモスチム、ムプレスチム、ナグレスチペン、オプレルベキン、ペグフィルグラスチム、ペギロデカキン、ペグインターフェロンα-2a、ペグインターフェロンα-2b、ペグインターフェロンβ-1a、ペグインターフェロンλ-1a、組換えCD40リガンド、レグラモスチム、ロミプロスチム、サルグラモスチム、トロンボポエチン、ツコツズマブセルモロイキン、ウイルスマクロファージ炎症性タンパク質が挙げられる。
【0320】
ステロイド薬物としては、これらに限定されないが、プレドニゾロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、デフラザコートなどが挙げられる。
【0321】
本明細書で使用される場合の「ペプチド薬物」は、ポリマー化合物を含むアミノ酸を指し、天然型及び非天然型ペプチド、オリゴペプチド、環式ペプチド、及びタンパク質、並びにペプチド模倣物を包含することを意味する。ペプチド薬物は、化学合成によって得られることができるか、又は遺伝子的にコードされた供給源(例えば、組換え源)から生成され得る。ペプチド薬物は、分子量を範囲し得、200Da~10kDa以上の分子量であり得る。好適なペプチドとしては、細胞傷害性ペプチド、血管新生ペプチド、抗血管新生ペプチド、B細胞を活性化するペプチド、T細胞を活性化するペプチド、抗ウイルスペプチド、ウイルス融合を阻害するペプチド、1つ以上のリンパ球集団の生成を増加させるペプチド、抗微生物ペプチド、成長因子、成長ホルモン放出因子、血管作動性ペプチド、抗炎症ペプチド、グルコース代謝を調節するペプチド、抗血栓性ペプチド、抗侵害受容性ペプチド、血管拡張剤ペプチド、血小板凝集阻害剤、鎮痛剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0322】
本明細書に記載のコンジュゲート及び化合物で使用されることが見出される薬物の追加の例としては、これらに限定されないが、チューブリシンM、カリケアマイシン、STAT3阻害剤、α-アマニチン、オーロラキナーゼ阻害剤、ベロテカン、及びアントラサイクリンが挙げられる。
【0323】
薬物の他の例としては、がん化学療法剤などの小分子薬物が挙げられる。例えば、ポリペプチドが、腫瘍細胞に対する特異性を有する抗体(又はその断片)である場合、抗体は、本明細書に記載されるように、修飾アミノ酸を含むように修飾されてもよく、その後、がん化学療法剤にコンジュゲート化され得る。がん化学療法剤は、がん細胞の増殖を低減する非ペプチド性(すなわち、非タンパク質性)化合物を含み、細胞傷害性剤及び細胞増殖抑制剤を包含する。化学療法剤の非限定的な例としては、アルキル化剤、ニトロソウレア、代謝拮抗物質、抗腫瘍抗生物質、植物(ビンカ)アルカロイド、又はステロイドホルモンが挙げられる。ペプチド性化合物も又は使用され得る。
【0324】
好適ながん化学療法剤は、ドラスタチン並びにその活性類似体及び誘導体と、アウリスタチン並びにその活性類似体及び誘導体(例えば、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)など)と、を含む。例えば、WO96/33212、WO96/14856、及びUS6,323,315を参照されたい。例えば、ドラスタチン10又はオーリスタチンPEは、本開示の抗体-薬物コンジュゲートに含まれ得る。好適ながん化学療法剤はまた、マイタンシノイド並びにその活性類似体及び誘導体(例えば、EP1391213、及びLiu et al(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:8618-8623を参照されたい)と、デュオカルマイシン並びにその活性類似体及び誘導体(例えば、合成類似体、KW-2189、及びCB1-TM1を含む)と、を含む。
【0325】
細胞増殖を低減するために作用する薬剤は、当該技術分野で既知であり、幅広く使用される。そのような薬剤としては、これらに限定されないが、メクロレタミン、シクロホスファミド(シトキサン(商標))、メルファラン(L-サルコリシン)、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(メチル-CCNU)、ストレプトゾシン、クロロゾトシン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、ダカルバジン、及びテモゾロミドを含む、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、及びトリアゼンなどのアルキル化剤が挙げられる。
【0326】
代謝拮抗剤としては、これらに限定されないが、シタラビン(CYTOSAR-U)、シトシンアラビノシド、フルオロウラシル(5-FU)、フロクスウリジン(FudR)、6-チオグアニン、6-メルカプトプリン(6-MP)、ペントスタチン、5-フルオロウラシル(5-FU)、メトトレキサート、10-プロパルギル-5,8-ジデアザフォレート(PDDF、CB3717)、5,8-ジデアザテトラヒドロ葉酸(DDATHF)、ロイコボリン、リン酸フルダラビン、ペントスタチン、及びゲムシタビンを含む、葉酸類似体、ピリミジン類似体、プリン類似体、及びアデノシンデアミナーゼ阻害剤が挙げられる。
【0327】
好適な天然生成物及びそれらの誘導体(例えば、ビンカアルカロイド、抗腫瘍抗生物質、酵素、リンホカイン、及びエピポドフィロトキシン)としては、Ara-C、パクリタキセル(タキソール(登録商標))、ドセタキセル(タキソテール(登録商標))、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン-C、L-アスパラギナーゼ、アザチオプリン;ブレキナル;アルカロイド、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシンなど;ポドフィロトキシン、例えば、エトポシド、テニポシドなど;抗生物質、例えば、アントラサイクリン、ダウノルビシン塩酸塩(ダウノマイシン、ルビドマイシン、セルビジン)、イダルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、及びモルホリノ誘導体など;フェノキシゾンビスシクロペプチド、例えば、クチノマイシン;塩基糖ペプチド、例えば、ブレオマイシン;アントラキノン配糖体、例えば、プリカマイシン(ミトラマイシン);アントラセンジオン、例えば、ミトキサントロン;アジリノピロロインドールジオン、例えば、マイトマイシン;大環状免疫抑制剤、例えば、シクロスポリン、FK-506(タクロリムス、プログラフ)、ラパマイシンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0328】
他の抗増殖性細胞傷害性剤は、ナベルビン、CPT-11、アナストロゾール、レトロゾール、カペシタビン、ラロキサフェン、シクロホスファミド、イホスファミド、及びドロロキシフェンである。
【0329】
抗増殖性活性を有する微小管作用剤はまた、使用するのに好適であり、これらに限定されないが、アロコルヒチン(NSC406042)、ハリコンドリンB(NSC609395)、コルヒチン(NSC757)、コルヒチン誘導体(例えば、NSC33410)、ドラスタチン10(NSC376128)、メイタンシン(NSC153858)、リゾキシン(NSC332598)、パクリタキセル(タキソール(登録商標))、タキソール(登録商標)誘導体、ドセタキセル(タキソテール(登録商標))、チオコルヒチン(NSC361792)、トリチルシステイン、ビンブラスチンサルフェート、ビンクリスチンサルフェート、これらに限定されないが、エポチロンA、エポチロンB、ジスコデルモリドを含む天然及び合成エポチロン;エストラムスチン、ノコダゾールなどが挙げられる。
【0330】
使用するのに好適であるホルモン調節剤及びステロイド(合成類似体を含む)としては、これらに限定されないが、副腎皮質ステロイド、例えば、プレドニゾン、デキサメタゾンなど;エストロゲン及びプレゲスチン、例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、メドロキシプロゲステロンアセテート、メゲストロールアセテート、エストラジオール、クロミフェン、タモキシフェンなど;及び副腎皮質抑制剤、例えば、アミノグルテチミド;17α-エチニルエストラジオール;ジエチルスチルベストロール、テストステロン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、メチルプレドニゾロン、メチル-テストステロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、メドロキシプロゲステロンアセテート、ロイプロリド、フルタミド(ドロゲニル(Drogenil))、トレミフェン(フェアストン(Fareston))、及びゾラデックス(登録商標)が挙げられる。エストロゲンは増殖及び分化を刺激し、それ故に、エストロゲン受容体に結合する化合物がこの活性を抑止するために使用される。副腎皮質ステロイドは、T細胞増殖を阻害し得る。
【0331】
他の好適な化学療法剤としては、金属錯体、例えばシスプラチン(シス-DDP)、カルボプラチンなど;尿素、例えば、ヒドロキシ尿素;及びヒドラジン、例えば、N-メチルヒドラジン;エピポフィロトキシン;トポイソメラーゼ阻害剤;プロカルバジン;ミトキサントロン;ロイコボリン;テガフールなどが挙げられる。目的の他の抗増殖性剤としては、免疫抑制剤、例えば、ミコフェノール酸、サリドマイド、デスオキシスペルグアリン、アザスポリン、レフルノミド、ミゾリビン、アザスピラン(SKF105685);イレッサ(登録商標)(ZD1839、4-(3-クロロ-4-フルオロフェニルアミノ)-7-メトキシ-6-(3-(4-モルホリニル)プロポキシ)キナゾリン)などが挙げられる。
【0332】
タキサンは、使用するのに好適である。「タキサン」は、パクリタキセル、並びに任意の活性タキサン誘導体又はプロドラッグを含む。「パクリタキセル」(例えば、ドセタキセル、タキソール(商標)、タキソテール(商標)、パクリタキセルの10-デスアセチル類似体、及びパクリタキセルの3’N-デスベンゾイル-3’N-t-ブトキシカルボニル類似体などの類似体、製剤、及び誘導体を含むことを本明細書で理解されるべきである)は、当業者に既知の技術を利用して容易に調製され得るか(WO94/07882、WO94/07881、WO94/07880、WO94/07876、WO93/23555、WO93/10076、米国特許第5,294,637号、同第5,283,253号、同第5,279,949号、同第5,274,137号、同第5,202,448号、同第5,200,534号、同第5,229,529号、及びEP590,267もまた参照されたい)、又は例えば、Sigma Chemical Co.,St.Louis,Moを含む様々な市販の供給源から得ることができる(Taxus brevifoliaからのT7402、又はTaxus yannanensisからのT-1912)。
【0333】
パクリタキセルは、一般の化学的に利用可能な形態のパクリタキセルのみではなく、類似体及び誘導体(例えば、上記に記載されるようなタキソテール(商標)ドセタキセル)並びにパクリタキセルコンジュゲート(例えば、パクリタキセル-PEG、パクリタキセル-デキストラン、又はパクリタキセル-キシロース)も指すことを理解されるべきである。
【0334】
親水性誘導体、及び疎水性誘導体の両方を含む、様々な既知の誘導体もまた、用語「タキサン」の内に含まれる。タキサン誘導体としては、これらに限定されないが、国際特許出願第99/18113号に記載されているガラクトース及びマンノース誘導体;WO99/14209に記載されているピペラジノ及び他の誘導体;WO99/09021、WO98/22451、及び米国特許第5,869,680号に記載されているタキサン誘導体;WO98/282886に記載されている6-チオ誘導体;米国特許第5,821,263号に記載されているスルフェンアミド誘導体;及び米国特許第5,415,869号に記載されているタキソール誘導体が挙げられる。それは、これらに限定されないが、WO98/58927、WO98/13059、及び米国特許第5,824,701号に記載されているものを含む、パクリタキセルのプロドラッグも更に含む。
【0335】
使用するのに好適な生物学的反応修飾剤としては、これらに限定されないが、(1)チロシンキナーゼ(RTK)活性の阻害剤;(2)セリン/トレオニンキナーゼ活性の阻害剤;(3)腫瘍抗原に特異的に結合する抗体などの腫瘍関連抗原拮抗剤;(4)アポトーシス受容体作動剤;(5)インターロイキン-2;(6)IFN-α;(7)IFN-γ;(8)コロニー刺激因子;及び(9)血管新生の阻害剤が挙げられる。
【0336】
薬物の例としては、がん化学療法剤などの小分子薬物が挙げられる。例えば、ポリペプチドが、腫瘍細胞に対する特異性を有する抗体(又はその断片)である場合、抗体は、本明細書に記載されるように、修飾アミノ酸を含むように修飾されてもよく、その後、微小管作用剤などのがん化学療法剤にコンジュゲート化され得る。特定の実施形態では、薬物は、マイタンシノイドなどの抗増殖活性を有する微小管作用剤である。
【0337】
本開示の実施形態は、コンジュゲートを含み、抗体が、1個以上の薬物部分、例えば、2個の薬物部分、3個の薬物部分、4個の薬物部分、5個の薬物部分、6個の薬物部分、7個の薬物部分、8個の薬物部分、9個の薬物部分、又は10個以上の薬物部分にコンジュゲート化される。薬物部分は、本明細書に記載されるように、抗体中の1つ以上の部位で抗体にコンジュゲート化され得る。特定の実施形態では、コンジュゲートは、0.1~10、又は0.5~10、又は1~10、例えば、1~9、又は1~8、又は1~7、又は1~6、又は1~5、又は1~4、又は1~3、又は1~2の範囲の平均薬物対抗体比(DAR)(モル比)を有する。特定の実施形態では、コンジュゲートは、1~2、例えば、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、又は2などの平均DARを有する。特定の実施形態では、コンジュゲートは、1~5の平均DARを有する。特定の実施形態では、コンジュゲートは、1~4の平均DARを有する。特定の実施形態では、コンジュゲートは、1~3の平均DARを有する。特定の実施形態では、コンジュゲートは、1~2の平均DARを有する。平均は、算術平均を意味する。
【0338】
ポリペプチドにコンジュゲート化される薬物は、ポリペプチドとの反応のための反応性パートナーを組み込むように修飾され得る。薬物が、ペプチド薬物である場合、反応性部分(例えば、アミノオキシ又はヒドラジドは、N末端領域、N終末、C末端領域、C終末で、又はペプチドに対して内部の位置で位置付けられ得る。例えば、方法の一例は、アミノオキシ基を有するペプチド薬物を合成することを伴う。この例において、ペプチドは、Boc保護前駆体から合成される。ペプチドのアミノ基は、カルボン酸基及びオキシ-N-Boc基を含む化合物と反応し得る。例として、ペプチドのアミノ基は、3-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ)プロパン酸と反応する。カルボン酸基及びオキシ-N-保護基を含む化合物上の他の変化は、アルキレンリンカー及びアルキレンリンカー上の置換基中に異なる数の炭素を含み得る。ペプチドのアミノ基とカルボン酸基及びオキシ-N-保護基を含む化合物との間の反応は、標準ペプチド連結化学を通して生じる。使用され得るペプチド連結試薬の例としては、これらに限定されないが、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)、DIC(ジイソプロピルカルボジイミド)、ジ-p-トルオイルカルボジイミド、BDP(1-ベンゾトリアゾールジエチルホスフェート-1-シクロヘキシル-3-(2-モルフォリニルエチル)カルボジイミド)、EDC(1-(3-ジメチルアミノプロピル-3-エチル-カルボジイミド塩酸塩)、フッ化シアヌル、塩化シアヌル、TFFH(テトラメチルフルオロホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート)、DPPA(ジフェニルホスホルアジデート)、BOP(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)、HBTU(O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、TBTU(O-ベンゾトリアゾール-1-yl-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート)、TSTU(O-(N-スクシンイミジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート)、HATU(N-[(ジメチルアミノ)-1-H-1,2,3-トリアゾロ[4,5,6]-ピリジン-1-イルメチレン]--N-メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN-オキシド)、BOP-Cl(ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド)、PyBOP((1-H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)-トリス(ピロリジノ)ホスホニウムテトラフルオロホスフェート)、BrOP(ブロモトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)、DEPBT(3-(ジエトキシホスホリルオキシ)-1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オン)PyBrOP(ブロモトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)が挙げられる。非限定的な例として、HOBt及びDICは、ペプチド連結試薬として使用され得る。
【0339】
アミノオキシ機能性を曝露するための脱保護は、N保護基を含むペプチド上で行われる。N-オキシスクシンイミド基の脱保護は、例えば、環式アミノ基の標準脱保護条件に従って生じる。脱保護条件は、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Chemistry,3rd Ed.,1999,John Wiley & Sons,NY and Harrison et al.に見出され得る。特定の脱保護条件は、ヒドラジン試薬、アミノ試薬、又は水素化ホウ素ナトリウムを含む。Boc保護基の脱保護は、TFAと共に生じる。脱保護のための他の試薬としては、これらに限定されないが、ヒドラジン、メチルヒドラジン、フェニルヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、及びメチルアミンが挙げられる。生成物及び中間体は、HPLC精製などの従来の手段によって精製され得る。
【0340】
当業者は、pH及び立体障害(すなわち、目的の反応性パートナーと反応するためのアミノ酸残基の接触可能性)などの要因が重要であることを理解し、最適なコンジュゲート化条件を提供するための修飾反応条件は、当業者内で良好であり、当該技術分野で慣例である。コンジュゲート化が、生細胞内又は生細胞上に存在するポリペプチドで行われる場合、条件は、生理学的に適合性となるように選択される。例えば、pHは、反応を生じさせることを可能にするのに十分な時間の間、一次的に低下され得るが、細胞によって耐容される期間内(例えば、約30分~1時間)ではない。細胞表面上でポリペプチドの修飾を行うための生理学的条件は、細胞表面アジドを保有する細胞の修飾中のケトン-アジド反応において使用されるものに類似し得る(例えば、US6,570,040を参照されたい)。
【0341】
本明細書に開示される化合物又はコンジュゲートと共に反応性パートナーとして役立つα-求核性基を含むか、又は含むように修飾されている小分子化合物はまた、本開示のポリペプチド-薬物コンジュゲート中の薬物としての使用が企図される。一般的な方法は、目的の化合物を合成するのに有用な化学的合成スキーム及び条件で当該技術分野で既知である(例えば、Smith and March, March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,Fifth Edition,Wiley-Interscience,2001、又はVogel,A Textbook of Practical Organic Chemistry,Including Qualitative Organic Analysis,Fourth Edition,New York:Longman,1978を参照されたい)。
【0342】
製剤
本開示のコンジュゲートは、様々な異なる方式で製剤化され得る。一般に、コンジュゲートが、勾配-薬物コンジュゲートである場合、コンジュゲートは、薬物、抗体、治療される状態、及び使用される投与経路に適合する様式で製剤化される。
【0343】
いくつかの実施形態において、本開示のコンジュゲートのうちのいずれかと、薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物が提供される。
【0344】
コンジュゲート(例えば、抗体-薬物コンジュゲート)は、任意の好適な形態で、例えば、薬学的に許容される塩の形態で提供されてもよく、投与の任意の好適な経路、例えば、経口、局所、又は非経口投与のために製剤化され得る。コンジュゲートが、注射可能な液体(それらが静脈内又は直接的に組織に投与されるそれらの実施形態におけるものなど)として提供される場合、コンジュゲートは、すぐに使用できる剤形として、又は再構成可能な貯蔵安定性粉末若しくは薬学的に許容される担体及び賦形剤からなる液体として提供され得る。
【0345】
コンジュゲートを製剤化する方法は、容易に利用可能なものから適応され得る。例えば、コンジュゲートは、治療有効量のコンジュゲートと薬学的に許容される担体(例えば、生理食塩水)とを含む薬学的組成物で提供され得る。薬学的組成物は、任意選択的に、他の添加剤(例えば、緩衝剤、安定剤、防腐剤など)を含み得る。いくつかの実施形態において、製剤は、哺乳動物への投与に好適であり、例えば、ヒトへの投与に好適なものである。
【0346】
治療方法
本開示の抗体-薬物コンジュゲートは、親薬物(すなわち、抗体へのコンジュゲート化の前の薬物)の投与による治療を受けることが可能な対象の状態又は疾患の治療に有用である。
【0347】
いくつかの実施形態では、有効量(例えば、治療有効量)の本開示のコンジュゲートのいずれかを対象に投与することを含む方法が提供される。
【0348】
特定の態様において、対象の標的部位に薬物を送達する方法であって、この方法が、対象に、本開示のコンジュゲートのうちのいずれかを含む薬学的組成物を投与することを含み、投与が、対象の標的部位で、コンジュゲートから治療有効量の薬物を放出するのに有効である、方法が提供される。例えば、本明細書に記載されるように、本開示の抗体-薬物コンジュゲートは、切断可能なリンカー、例えば、第1の酵素的に切断可能な部分及び第2の酵素的に切断可能な部分を含む酵素的に切断可能なリンカーを含み得る。場合によっては、切断可能なリンカーは、適切な条件下で切断され、その薬物についての所望の作用標的部位で抗体から薬物を分離又は放出し得る。例えば、第1の切断可能なリンカーが切断されないように保護する第2の切断可能なリンカーは、第1の切断可能な部分の切断を可能にするために切断されてもよく、これにより、切断可能なリンカーを2つ以上の部分に切断し、したがって、所望の作用部位で抗体-薬物コンジュゲートから薬物が放出される。
【0349】
特定の実施形態では、第1の切断可能な部分は、酵素的に切断可能な部分であり得る。場合によっては、第1の切断可能な部分の切断を促進する酵素は、治療される対象に投与される(すなわち、治療される対象に対して外因性の)酵素である。例えば、第1の酵素は、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートの投与の前、投与と同時、又は投与の後に投与され得る。
【0350】
特定の実施形態では、第2の切断可能な部分は、酵素的に切断可能な部分であり得る。場合によっては、第2の切断可能な部分の切断を促進する酵素は、治療される対象に投与される(すなわち、治療される対象に対して外因性の)酵素である。例えば、第2の酵素は、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートの投与の前、投与と同時、又は投与の後に投与され得る。特定の実施形態では、第1の酵素と第2の酵素は、異なる酵素である。
【0351】
他の例において、第1の切断可能な部分の切断を促進する第1の酵素は、治療される対象中に存在する(すなわち、治療される対象に対して内因性の)酵素である。例えば、第1の酵素は、抗体-薬物コンジュゲートの薬物についての所望の作用部位に存在し得る。抗体-薬物コンジュゲートの抗体は、所望の作用部位に特異的に標的化されてもよく(例えば、所望の作用部位に存在する抗原に特異的に結合してもよく)、所望の作用部位はまた、第1の酵素の存在を含む。場合によっては、第1の酵素は、治療される対象の身体の他の領域と比較して、所望の作用部位で過剰な存在量で存在する。例えば、第1の酵素は、治療される対象の身体の他の領域と比較して、所望の作用部位で過剰発現され得る。場合によっては、第1の酵素は、特定の領域又は場所における第1の酵素の局在化に起因して、所望の作用部位で過剰な存在量で存在する。例えば、第1の酵素は、リソソームなどの所望の作用部位内の特定の構造と関連し得る。ある場合には、第1の酵素は、対象の身体の他の領域と比較して、リソソーム中に過剰な存在量で存在する。いくつかの実施形態では、第1の酵素を含むリソソームは、抗体-薬物コンジュゲートの薬物についての所望の作用部位、例えば、薬物で治療されるがん又は腫瘍の部位に見出される。特定の実施形態では、第1の酵素は、エステラーゼである。
【0352】
特定の実施形態では、第2の切断可能な部分の切断を促進する第2の酵素は、治療される対象中に存在する(すなわち、治療される対象に対して内因性の)酵素である。例えば、第2の酵素は、抗体-薬物コンジュゲートの薬物についての所望の作用部位に存在し得る。抗体-薬物コンジュゲートの抗体は、所望の作用部位に特異的に標的化されてもよく(例えば、所望の作用部位に存在する抗原に特異的に結合してもよく)、所望の作用部位はまた、第2の酵素の存在を含む。場合によっては、第2の酵素は、治療される対象の身体の他の領域と比較して、所望の作用部位で過剰な存在量で存在する。例えば、第2の酵素は、治療される対象の身体の他の領域と比較して、所望の作用部位で過剰発現され得る。場合によっては、第2の酵素は、特定の領域又は場所における第2の酵素の局在化に起因して、所望の作用部位で過剰な存在量で存在する。例えば、第2の酵素は、リソソームなどの所望の作用部位内の特定の構造と関連し得る。ある場合には、第2の酵素は、対象の身体の他の領域と比較して、リソソーム中に過剰な存在量で存在する。いくつかの実施形態では、第2の酵素を含むリソソームは、抗体-薬物コンジュゲートの薬物についての所望の作用部位、例えば、薬物で治療されるがん又は腫瘍の部位に見出される。特定の実施形態では、第2の酵素は、グルクロニダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルコシダーゼ、マンノシダーゼ、フコシダーゼなどである。
【0353】
任意の好適な酵素を、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートの第1の切断可能な部分及び第2の切断可能な部分の切断に使用することができる。他の酵素、例えば、限定されないが、他の脊椎動物(例えば、霊長類、マウス、ラット、ネコ、ブタ、ウズラ、ヤギ、イヌなど)由来の酵素も、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートの第1の切断可能な部分及び第2の切断可能な部分の切断に使用するのに好適である場合がある。
【0354】
特定の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、標準的な条件下で実質的に安定である。実質的に安定とは、抗体-薬物コンジュゲートの切断可能なリンカーが、上述の第1の酵素及び第2の酵素の存在しない状態で、有意な量の切断を受けないことを意味する。例えば、上述のように、第2の切断可能な部分は、第1の切断可能な部分が切断されないように保護することができ、したがって、抗体-薬物コンジュゲートの切断可能なリンカーは、上述の第2の酵素が存在しない状態で、有意な量の切断を受けない。例えば、抗体-薬物コンジュゲートの切断可能なリンカーは、抗体-薬物コンジュゲートの25%以下、例えば、20%以下、又は15%以下、又は10%以下、又は5%以下、又は4%以下、又は3%以下、又は2%以下、又は1%以下が、第1の酵素及び/又は第2の酵素が存在しない状態で切断するような、実質的に安定なものであり得る。ある場合には、抗体-薬物コンジュゲートは、抗体-薬物コンジュゲートの切断可能なリンカーが、第1の酵素及び/又は第2の酵素が存在しない状態で有意な量の切断を受けないように実質的に安定であるが、第1の酵素及び第2の酵素が存在する場合には切断され得る。例えば、抗体-薬物コンジュゲートは、対象への投与後に実質的に安定であり得る。ある場合には、抗体-薬物コンジュゲートは、対象への投与後に実質的に安定であり、次いで、抗体-薬物コンジュゲートが、所望の作用部位で第2の酵素存在下にあるとき、第2の切断可能な部分は、切断可能なリンカーから切断され、したがって、第1の切断可能な部分が、第1の酵素によるその後の切断に対して露出し、次いで、その所望の作用部位で薬物を放出することができる。特定の実施形態では、対象への投与後、抗体-薬物コンジュゲートは、第1の酵素及び/又は第2の酵素が存在しない状態で、例えば、1時間以上、又は2時間以上、又は3時間以上、又は4時間以上、又は5時間以上、又は6時間以上、又は7時間以上、又は8時間以上、又は9時間以上、又は10時間以上、又は15時間以上、又は20時間以上、又は24時間(1日)以上、又は2日以上、又は3日以上、又は4日以上、又は5日以上、又は6日以上、又は7日(1週間)以上の長期間にわたって安定である。特定の実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、第1の酵素及び/又は第2の酵素が存在しない状態で、あるpH範囲で、例えば、2~10、又は3~9、又は4~8、又は5~8、又は6~8、又は7~8の範囲のpHでなど、長期間安定である。
【0355】
上述のように、本開示の抗体-薬物コンジュゲートは、親薬物の投与による治療に適している対象において状態又は疾患の治療における用途を見出す。「治療」は、宿主を悩ませる状態と関連する症状の少なくとも改善が達成されることを意味し、改善が、パラメータの大きさ、例えば、治療されている状態と関連する症状の少なくとも低減を指すために、広義で使用される。したがって、治療は、病的状態、又はそれと関連する少なくとも症状が、宿主がその状態、又はその状態を特徴付ける少なくとも症状をもはや患わないように完全に阻害され、例えば、発生を予防、又は停止、例えば、終了する状況も含む。したがって、治療は、(i)予防、すなわち、有害な状態への疾患進行を予防するなど、臨床症状を発症させないようにすることを含め、臨床症状の発症のリスクを減らすこと、(ii)阻害、すなわち、活動性の疾患を緩和又は完全に阻害することなど、臨床症状の発症又は更なる発症を阻止すること、及び/又は(iii)軽減、すなわち、臨床症状を逆行させることを含む。
【0356】
治療される対象は、療法の必要がある対象であってもよく、治療される対象は、親薬物を使用する治療に適した対象である。したがって、様々な対象は、本明細書に開示される抗体-薬物コンジュゲートを使用する治療に適している場合がある。概して、かかる対象は、目的のヒトを含む「哺乳動物」である。他の対象は、家庭用ペット(例えば、イヌ及びネコ)、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ヤギ、ウマなど)、げっ歯類(例えば、マウス、モルモット、及びラット、例えば、疾患の動物モデルなど)、並びに非ヒト霊長類(例えば、チンパンジー及びサル)を含み得る。
【0357】
投与される抗体-薬物コンジュゲートの量は、親薬物の用量及び/又は投薬レジメンの指導に基づいて最初に決定され得る。概して、投与される抗体-薬物コンジュゲートは、結合薬物の標的送達及び/又は高められた血清半減期を提供し得、このようにして、投薬レジメンの低減された用量又は低減された投与のうちの少なくとも1つを提供する。したがって、抗体-薬物コンジュゲートは、本開示の抗体-薬物コンジュゲートにコンジュゲート化される前に、親薬物に対して投薬レジメンの低減された用量及び/又は低減された投与を提供することができる。
【0358】
更に、上記のように、抗体-薬物コンジュゲートは、薬物送達の制御された化学量論を提供し得るため、抗体-薬物コンジュゲートの投与量は、抗体-薬物コンジュゲート主成分当たりに提供される薬物分子の数に基づいて計算され得る。
【0359】
いくつかの実施形態において、抗体-薬物コンジュゲートの複数回用量が投与され得る。抗体-薬物コンジュゲートの投与の頻度は、例えば、症状の重症度、対象の状態などの様々な要因のいずれかに依存して変化し得る。例えば、いくつかの実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートは、1ヶ月に1回、1ヶ月に2回、1ヶ月に3回、隔週、週に1回(qwk)、週に2回、週に3回、週に4回、週に5回、週に6回、1日おき、毎日(qd/od)、1日に2回(bds/bid)、又は1日に3回(tds/tid)などで投与される。
【実施例
【0360】
以下の実施例は、当業者に、本発明の作製及び使用方法の完全な開示及び記載を提供するために提示されるものであり、発明者らが発明とみなす範囲を限定することを意図せず、また、以下の実験が実行される全て又は唯一の実験であることを表すことを意図するものではない。使用された数字(例えば量、温度など)に対する精度を確保する努力がなされているが、ある程度の実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。別段の指示がない限り、部は、重量部であり、分子量は、重量平均分子量であり、温度は、摂氏であり、圧力は、大気圧又は大気圧に近い圧力である。「平均」は、算術平均を意味する。標準的な略語が使用されてもよく、例えば、bp,塩基対、kb,キロベース、pl,ピコリットル、s又はsec,秒、min,分、h又はhr,時間、aa,アミノ酸、kb,キロベース、bp,塩基対、nt,ヌクレオチド、i.m.,筋肉内(筋肉内に)、i.p.,腹腔内(腹腔内に)、s.c.,皮下(皮下に)などである。
【0361】
一般的な合成手順
一般的に知られている化学的合成スキーム及び開示されている化合物を合成するのに有用な条件を提供する多くの一般的な参考文献が利用可能である(例えば、Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,Fifth Edition,Wiley-Interscience,2001、又はVogel,A Textbook of Practical Organic Chemistry,Including Qualitative Organic Analysis,Fourth Edition,New York:Longman,1978を参照されたい)。
【0362】
本明細書に記載される化合物は、HPLC、分取薄層クロマトグラフィー、フラッシュカラムクロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを含む、当該技術分野で既知の任意の精製プロトコルによって精製され得る。順相及び逆相、並びにイオン性樹脂を含む、任意の好適な静止相を使用することができる。特定の実施形態では、開示された化合物は、シリカゲル及び/又はアルミナクロマトグラフィーを介して精製される。例えば、Introduction to Modern Liquid Chromatography,2nd Edition,ed.L.R.Snyder and J.J.Kirkland,John Wiley and Sons,1979、及びThin Layer Chromatography,編集E.Stahl,Springer-Verlag,New York,1969を参照されたい。
【0363】
対象化合物の調製のためのプロセスのいずれかの間に、該当分子のあらゆる感受性基又は反応性基を保護することが必要であり、かつ/又は望ましい場合がある。このことは、例えば、J.F.W.McOmie,“Protective Groups in Organic Chemistry”,Plenum Press,London and New York 1973、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis”,Third edition,Wiley,New York 1999、“The Peptides”;Volume3(編集者:E.Gross and J.Meienhofer),Academic Press,London and New York 1981、“Methoden der organischen Chemie”,Houben-Weyl,4th edition,Vol.15/l,Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1974、H.-D.Jakubke and H.Jescheit,“Aminosauren,Peptide,Proteine”,Verlag Chemie,Weinheim,Deerfield Beach,and Basel 1982,及び/又はJochen Lehmann,“Chemie der Kohlenhydrate:Monosaccharide and Derivate”,Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1974などの標準的な研究に記載されるような従来の保護基を使用することによって達成され得る。保護基は、当該技術分野で既知の方法を使用して、好都合なその後の段階で除去され得る。
【0364】
主題の化合物は、市販されている出発物質及び/又は従来の合成方法によって調製された出発物質を使用して、様々な異なる合成経路を介して合成することができる。本明細書に開示される化合物を合成するために使用され得る合成経路の様々な例が、以下のスキームに記載される。
【0365】
実施例1
二重切断エステルリンカーの合成
材料及び方法
一般情報
合成試薬は、Sigma-Aldrich、Acros、AK Scientific、又は他の商業的供給源から購入し、精製することなく使用した。無水溶媒は、商業的供給源から密封されたボトルの状態で得た。サイトトキシンSN-38(12)は、MedChemExpressから購入し、そのまま使用した。サイトトキシン28及び41は、商業的供給源から購入し、そのまま使用した。化合物9は、以前に報告された手順を使用して合成した。合成中間体16、19、20、22、25、及び48は、Shanghai Medicilonから商業的に入手し、精製せずに使用した。全ての他の出発物質は、商業的供給源から購入するか、又は以前に報告された手順を使用して合成した。全ての場合に、溶媒を、Buchi V-700真空ポンプを取り付けたBuchi Rotovapor R-114を用い、減圧下で除去した。Biotageクロマトグラフィー精製システムを用いて、カラムクロマトグラフィーを行った。Phenomenex Kinetex5μm EVO C18 150×21.2mmカラムを取り付けたWaters分取HPLCユニットを使用して、分取HPLC精製を行った。30℃で、モデルG1322Aデガッサー、モデルG1311Aクォータナリ4ポンプ、モデルG1329Aオートサンプラー、モデルG1314可変波長検出器、Agilent Poroshell120 SB C18,4.6mm×50mmカラムを取り付けたAgilent1100シリーズ分析用HPLCで、0.05%トリフルオロ酢酸を含有する水及びアセトニトリルの10~100%勾配を使用して、HPLC分析を実施した。HPLCを254nm又は205nmでモニタリングした。Agilent1260 Infinity HPLCシステム、G1314可変波長検出器、及びAgilent Poroshell120 SB C18、4.6mm×50mmカラムを取り付けたAgilent Technology6120四重極LC/MSで、30℃で、0.1%ギ酸を含有する水及びアセトニトリルの10~100%勾配を使用して、低解像度質量スペクトル(LRMS)を取得した。
【0366】
【化53】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-(tert-ブトキシカルボニル)-5-ニトロフェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(10)の調製
20mLの無水アセトニトリル中のtert-ブチル2-ヒドロキシ-4-ニトロ安息香酸(9、160mg、0.67mmol)アセトブロモ-D-グルクロン酸メチルエステル(8、797mg、2.0mmol)の混合物に、酸化銀(I)(463mg、2.0mmol)を添加した。得られた混合物を、暗所で24時間激しく撹拌した。反応混合物を、シリカゲルパッドを通して濾過し、酢酸エチルで溶出した。合わせた濾液を濃縮乾固し、残渣をシリカゲル(酢酸エチル-ヘキサン、0~30%v/v勾配)上で精製し、210mgの生成物10(0.38mmol、収率56%)を白色固体として得た。LRMS(ESI):m/z 578.1[M+Na]、C2429NO14についての計算値m/z 578.2。
【0367】
4-ニトロ-2-(((2S,3R,4S,5S,6S)-3,4,5-トリアセトキシ-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)安息香酸(11)の調製
tert-ブチルエステル10(180mg、0.32mmol)を、室温で4mLのTFA-DCM混合物(1:1)に溶解した。得られた溶液を30分間静置し、次いで、溶媒を減圧下で除去し、残渣をシリカゲル(メタノール-DCM、0~5%v/v勾配)上で精製して、155mgの生成物11(0.31mmol、収率97%)を桃色泡状固体として得た。LRMS(ESI):m/z 522.1[M+Na]、C2021NO14についての計算値m/z 522.1。
【0368】
【化54】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-((((S)-4,11-ジエチル-4-ヒドロキシ-3,14-ジオキソ-3,4,12,14-テトラヒドロ-1H-ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-9-イル)オキシ)カルボニル)-5-ニトロフェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(53)の調製
2mLの無水THF中のSN-38(12、20mg、51μmole)及びカルボン酸11(26mg、51μmole)の混合物に、10.5mgのDCC(51μmole)を添加し、続いて、DMAP(6mg、51μmole)を添加した。反応混合物を24時間撹拌し、次いで、固体を濾過して除き、得られた濾液を真空下で濃縮し、シリカゲル(MeOH-DCM 0~10%v/v勾配)上で精製し、40mgの生成物53(46μmole、収率90%)をオフホワイトの固体として得た。LRMS(ESI):m/z 874.2[M+H]、C423918についての計算値m/z 874.2。
【0369】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(5-アミノ-2-((((S)-4,11-ジエチルー4ーヒドロキシー3,14-ジオキソ-3,4,12,14-テトラヒドロ-1H-ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-9-イル)オキシ)カルボニル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(54)の調製
5mLの酢酸エチル中の化合物53(40mg、46μmol)の撹拌溶液に、5mgの10重量%のパラジウム炭素(4.6μmol)及び50μLのトリエチルアミン(0.36mmol)を添加した。反応フラスコをアルゴンで洗い流し、ゴム隔膜で密封し、水素バルーンを取り付けた。反応混合物を、室温で一晩撹拌し、次いで、セライトパッドを通して濾過し、真空下で濃縮し、シリカゲル(MeOH-DCM 0~10%v/v勾配)上で精製し、28mgの化合物54(34μmole、収率73%)を黄色がかった固体として得た。LRMS(ESI):m/z 844.3[M+H]、C424116についての計算値m/z 844.3。
【0370】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(5-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロパンアミド)-2-((((S)-4,11-ジエチル-4-ヒドロキシ-3,14-ジオキソ-3,4,12,14-テトラヒドロ-1H-ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-9-イル)オキシ)カルボニル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(56)の調製
1mLのDCM中の化合物54(28mg、34μmol)及びBoc-L-Ala-OH(7mg、34μmol)の混合物に、EEDQ(10mg、40μmol)を室温で添加した。得られた混合物を、暗所で24時間撹拌し、次いで、シリカゲル(MeOH-DCM 0~10%v/v勾配)上で直接精製して、24mgの生成物56(24μmole、収率70%)を黄褐色固体として得た。LRMS(ESI):m/z 1015.4[M+H]、C505419についての計算値m/z 1015.3。
【0371】
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(5-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)プロパンアミド)-2-((((S)-4,11-ジエチル-4-ヒドロキシ-3,14-ジオキソ-3,4,12,14-テトラヒドロ-1H-ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-9-イル)オキシ)カルボニル)フェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸(57)の調製
2mLのメタノール-水混合物(4:1)中の化合物55(19mg、19μmole)の溶液に、スカンジウム(III)トリフレート(19mg、38μmole)を室温で添加した。得られた混合物を30℃で4日間撹拌し、次いで、溶媒を真空下で除去し、残渣を逆相HPLC(C18カラム、CHCN-HO、0.05%TFA、0~50%v/v勾配)によって精製して、所望の生成物57と対応する部分的に加水分解されたメチルエステル58との約1:1の混合物3.5mgを得た(混合物の収率21%)。混合物は、更に精製することなく、次のステップに使用した。LRMS(ESI)m/z 875.4[M+H]、C434616(57)についての計算値875.3;LRMS(ESI)m/z 889.4[M+H]、C444816(58)についての計算値889.3。
【0372】
【化55】
(S)-tert-ブチル(4,11-ジエチル-4-ヒドロキシ-3,14-ジオキソ-3,4,12,14-テトラヒドロ-1H-ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-9-イル)カーボネート(13)の調製
ジクロロメタン(16mL)中のSN-38 12(158mg、0.40mmol)及びBocO(114mg、1.3mmol)の溶液に、ピリジン(0.98mL、12.2mmol)を0℃で添加した。1時間後、溶液を室温まで加温し、2時間撹拌した。次いで、反応混合物を真空下で濃縮し、残渣をシリカゲル(ヘキサンーEtOAc、100:0~0:100v/v)によって精製して、13(160mg、0.33mmol、83%)をオフホワイトの固体として得た。LRMS(ESI):m/z 493.2[M+H]、C2729についての計算値m/z 493.2。
【0373】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(2-((((S)-9-((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-4,11-ジエチル-3,14-ジオキソ-3,4,12,14-テトラヒドロ-1H-ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル)オキシ)カルボニル)-5-ニトロフェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(14)の調製
カルボン酸11(18mg、36μmol)のジクロロメタン(1mL)及びDMF(0.5mL)中の溶液に、Boc保護されたSN-38 13(14mg、28μmol)、続いてDCC(6mg、29μmol)及びDMAP(3mg、25μmol)を0℃で添加した。1時間後、反応混合物を室温まで加温し、撹拌を2時間続けた。反応混合物を、C18カラム(0.05%TFAを含むHO/CHCN、100:0~0:100v/v)を使用した逆相クロマトグラフィーによって精製し、化合物14(25mg、26μmol、収率93%)を黄色固体として得た。LRMS(ESI):m/z 974.3[M+H]、C474720についての計算値m/z 974.3。
【0374】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(5-アミノ-2-((((S)-9-((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-4,11-ジエチル-3,14-ジオキソ-3,4,12,14-テトラヒドロ-1H-ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル)オキシ)カルボニル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(15)の調製
EtOAc(0.5mL)中の化合物14(35mg、36μmol)の溶液に、Pd/C(10重量%、2mg)及びトリエチルアミン(2μL、22μmol)を添加した。次いで、3回の繰り返しサイクルで、フラスコを排気し、バルーンからの水素ガスを充填した。反応混合物を、Hバルーンが取り付けられた状態で、室温で48時間、激しく撹拌した。固体をセライトパッドを通して濾過することによって除去し、濾液を濃縮し、高減圧下で乾燥させ、35mgの粗化合物15を得て、これを精製することなく次のステップで使用した。LRMS(ESI):m/z 944.3[M+H]、C474918についての計算値m/z 944.3。
【0375】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(5-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)-2-((((S)-9-((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-4,11-ジエチル-3,14-ジオキソ-3,4,12,14-テトラヒドロ-1H-ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル)オキシ)カルボニル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(17)の調製
DMF(0.5mL)中の粗アミン15(35mg)及びFmoc-Val-Ala-OH16(60mg、0.15mmol)の混合物に、室温でHATU(56mg、0.15mmol)及びDIPEA(51μL、0.30mmol)を添加した。反応混合物を一晩撹拌し、C18カラム(0.05%TFAを含むHO/CHCN、100:0~0:100v/v)での逆相クロマトグラフィーによって精製して、化合物17(46mg、34μmol、2ステップで収率94%)を黄色固体として得た。LRMS(ESI):m/z 1336.5[M+H]、C707322についての計算値m/z 1336.5。
【0376】
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(5-((S)-2-((S)-2-アミノ-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)-2-((((S)-4,11-ジエチル-9-ヒドロキシ-3,14-ジオキソ-3,4,12,14-テトラヒドロ-1H-ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル)オキシ)カルボニル)フェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸(18)の調製
化合物17(20mg、15μmol)のMeOH-HO混合物(4:1v/v、1mL)溶液に、Sc(OTf)(180mg、0.36mmol)を室温で添加した。得られた混合物を2日間撹拌し、真空下で濃縮した。残渣を、DMF-ピペリジン混合物(10:1v/v、1.1mL)中で再構築し、室温で1時間撹拌した。反応混合物を、C18カラム(0.05%TFAを含むHO/CHCN、90:10~35:65v/v)での逆相クロマトグラフィーによって精製して、化合物18(8mg、9μmol、収率60%)を得た。LRMS(ESI):m/z 874.3[M+H]、C434715についての計算値m/z 874.3。
【0377】
(R)-2-(3-(2-((2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-1-イル)プロパンアミド)-3,31-ジオキソ-31-(ペルフルオロフェノキシ)-7,10,13,16,19,22,25,28-オクタオキサ-4-アザヘントリアコンタン-1-スルホン酸(20)の調製
【化56】
カルボン酸19(180mg、0.17mmol)及びペンタフルオロフェノール(125mg、0.68mmol)の4mLの無水THF中の混合物に、室温でDCC(68mg、0.33mmol)を添加した。得られた混合物を一晩撹拌し、セライトのパッドを通して濾過し、真空下で濃縮し、逆相クロマトグラフィー(C18、0~80%アセトニトリル水/0.05%TFA)によって精製して、無色油(0.08mmol、収率47%)として100mgのPFPエステル20を得た。LRMS(ESI):m/z 1225.4[M+H]、C566917Sについての計算値m/z 1225.4。
【0378】
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(2-((((S)-4,11-ジエチル-9-ヒドロキシ-3,14-ジオキソ-3,4,12,14-テトラヒドロ-1H-ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル)オキシ)カルボニル)-5-((2S,5S,36R)-40-(2-((1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-1-イル)-5-イソプロピル-2-メチル-4,7,35,38-テトラオキソ-36-(スルホメチル)-10,13,16,19,22,25,28,31-オクタオキサ-3,6,34,37-テトラアザテトラコンタンアミド)フェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸(21)の調製
アミン18(8mg、9μmol)及びPFPエステル20(12mg、10μmol)のDMF(0.5mL)中の混合物に、HOAt(1.2mg、9μmol)及びDIPEA(5μL、27μmol)を周囲温度で添加した。反応混合物を1時間撹拌し、次いで、DMF(0.5mL)を混合物に添加し、続いてピペリジン(50μL)を添加した。室温で15分間撹拌した後、反応混合物を、C18カラム(0.05%のTFAを含むHO/CHCN、90:10~45:55v/v)を使用して逆相HPLCによって直接精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、凍結乾燥させて、黄色固体として化合物21を得た(3.5mg、2μmol、収率22%)。LRMS(ESI):m/z 1692.7[M+H]、C781051129Sについての計算値m/z 1692.7。
【0379】
【化57】
((S)-1-(((S)-1-(((3R,4S,5S)-1-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル)(メチル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)(メチル)カルバメート(42)の調製
CHCN(2mL)中のMMAE41(100mg、0.14mmol)及びBocO(56mg、0.26mmol)の混合物に、DIPEA(44μL、0.26mmol)を室温で添加した。一晩撹拌した後、反応混合物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH、100:0~90:10v/v)を使用して精製して、化合物42(100mg、0.12mmol、86%)をオフホワイトの固体として得た。LRMS(ESI):m/z 818.6[M+H]、C4475についての計算値m/z 818.6。
【0380】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(5-アミノ-2-(((1S,2R)-2-((2R,3R)-3-((S)-1-((6S,9S,12S,13R)-12-((S)-sec-ブチル)-6,9-ジイソプロピル-13-メトキシ-2,2,5,11-テトラメチル-4,7,10-トリオキソ-3-オキサ-5,8,11-トリアザペンタデカン-15-オイル)ピロリジン-2-イル)-3-メトキシ-2-メチルプロパンアミド)-1-フェニルプロポキシ)カルボニル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(44)の調製
ジクロロメタン(1mL)及びDMF(0.5mL)中のカルボン酸11(160mg、320μmol)の溶液にBoc-MMAE42(100mg、120μmol)を添加し、続いて、DCC(54mg、210μmol)及びDMAP(32mg、210μmol)を0℃で添加した。1時間後、反応混合物を室温まで加温し、一晩撹拌した。混合物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(DCM中0~6%のMeOH)によって精製して、半純粋化合物43を得、これを、2mLの酢酸エチルに溶解した。この溶液に、Pd/C(10重量%、40mg)及びトリエチルアミン(44μL、440μmol)を添加した。次いで、3回の繰り返しサイクルで、フラスコを排気し、バルーンからの水素ガスを充填した。反応混合物を、Hバルーンが取り付けられた状態で、室温で48時間、激しく撹拌した。触媒をセライトパッドを通した濾過によって除去した後、濾液を真空下で濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(DCM中0~5%のMeOH)によって精製して、化合物44(120mg、95μmol、収率79%)を黄色固体として得た。LRMS(ESI):m/z 1269.7[M+H]、C649620についての計算値m/z 1269.7。
【0381】
2S,3R,4S,5S,6S)-2-(5-((S)-2-((S)-2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)-2-(((1S,2R)-2-((2R,3R)-3-((S)-1-((6S,9S,12S,13R)-12-((S)-sec-ブチル)-6,9-ジイソプロピル-13-メトキシ-2,2,5,11-テトラメチル-4,7,10-トリオキソ-3-オキサ-5,8,11-トリアザペンタデカン-15-オイル)ピロリジン-2-イル)-3-メトキシ-2-メチルプロパンアミド)-1-フェニルプロポキシ)カルボニル)フェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(46)の調製
無水DMF(1mL)中のアミン44(120mg、94μmol)及びFmoc-Ala-Cl32(63mg、180μmol)の混合物に、DIPEA(32μL、180μmol)を室温で添加した。30分後、反応混合物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(DCM中0~5%のMeOH)によって簡単に精製した。次に、CHCN(5mL)中の化合物45の溶液に、ピペリジン(80μL)を添加した。1時間後、反応混合物を濃縮し、CHCN(1mL)中で再構成した。この溶液に、Fmoc-Val-OPfp34(94mg、180μmol)及びDIPEA(22μL、120μmol)を添加した。20分後、反応物をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM中0~5%v/vのMeOH)によって精製して、化合物46(120mg、72μmol、収率77%)を黄色固体として得た。LRMS(ESI):m/z 1661.9[M+H]、C8712024についての計算値m/z 1661.8。
【0382】
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(5-((S)-2-((S)-2-アミノ-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)-2-(((1S,2R)-2-((2R,3R)-3-((S)-1-((6S,9S,12S,13R)-12-((S)-sec-ブチル)-6,9-ジイソプロピル-13-メトキシ-2,2,5,11-テトラメチル-4,7,10-トリオキソ-3-オキサ-5,8,11-トリアザペンタデカン-15-オイル)ピロリジン-2-イル)-3-メトキシ-2-メチルプロパンアミド)-1-フェニルプロキシ)カルボニル)フェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸(47)の調製
MeOH/HO(0.3mL)の4:1(v/v)混合物中の化合物46(15mg、9μmol)の溶液に、ScOTf(100mg、0.20mmol)を撹拌しながら室温で添加した。2日後、反応混合物を、真空下で濃縮し、DMF-ピペリジン混合物(10:1v/v、1.1mL)中で再構築し、室温で1時間撹拌した。次いで、反応混合物を、C18カラム(0.05%のTFAを含むHO/CHCN、90:10~20:80v/v)上で逆相クロマトグラフィーによって精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、真空下で濃縮して、化合物47を得た(1.5mg、収率13%)。LRMS(ESI):m/z 1299.7[M+H]、C6510219についての計算値m/z 1299.7。
【0383】
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(2-(((1S,2R)-2-((2R,3R)-3-((S)-1-((3R,4S,5S)-4-((S)-N,3-ジメチル-2-((S)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタンアミド)ブタンアミド)-3-メトキシ-5-メチルヘプタノイル)ピロリジン-2-イル)-3-メトキシ-2-メチルプロパンアミド)-1-フェノキシプロポキシ)カルボニル)-5-((2S,5S,18R)-22-(2-((1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-ピロロロ[2,3-b]ピリジン-1-イル)-5-イソプロピル-2-メチル-4,7,17,20-テトラオキソ-18-(スルホメチル)-10,13-ジオキサ-3,6,16,19-テトラザドコサンアミド)フェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸(49)の調製
DMF(0.5mL)中のカルボン酸48(1mg、1.3μmol)及びHATU(0.4mg、1.1μmol)の混合物に、DIPEA(1.0μL、6.1μmol)を添加した。反応混合物を、室温で30分間撹拌し、次いで、アミン47(1.5mg、1.2μmol)を、混合物に加えた。1時間後、反応混合物を濃縮し、次いで、ギ酸(1mL)中で再構築した。30分後、溶媒を、真空中で除去した。残渣を、DMF(1mL)に溶解し、室温で、ピペリジン(50μL)で処理した。室温で15分間撹拌した後、反応混合物を、C18カラム(0.05%のTFAを含むHO/CHCN、90:10~35:65v/v)を使用して逆相HPLCによって直接精製した。所望の化合物を含有する画分をプールし、凍結乾燥させて、化合物49(0.7mg、収率35%)を得た。LRMS(ESI):m/z 1753.9[M+H]、C841291325Sについての計算値m/z 1753.9。
【0384】
【化58】
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(5-(1-(9H-フルオレン-9-イル)-3-オキソ-2,7,10,13,16,19,22,25,28-ノナオキサ-4-アザヘントリアコンタン-31-アミド)-2-(((1S,2R)-2-((2R,3R)-3-((S)-1-((3R,4S,5S)-4-((S)-N,3-ジメチル-2-((S)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタンアミド)ブタンアミド)-3-メトキシ-5-メチルヘプタノイル)ピロリジン-2-イル)-3-メトキシ-2-メチルプロパンアミド)-1-フェニルプロポキシ)カルボニル)フェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸(50)の調製
化合物44(32mg、25μmol)及びDCM(0.5mL)中のカルボン酸37(52mg、77μmol)及びMeOH(50μL)の混合物に、EEDQ(25mg、100μmol)を室温で添加した。得られた混合物を一晩撹拌し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(0~10%MeOH/DCM)によって精製した。得られた中間体を、300μLのMeOH及び75μLの水に溶解した。この溶液を、スカンジウム(III)トリフレート(310mg)で処理し、室温で2日間撹拌し、次いで、逆相クロマトグラフィー(C18、0~80%アセトニトリル-水、0.05%TFA)によって直接精製して、7mgの化合物50(4μmol、収率16%)を無色固体として得た。LRMS(ESI):m/z 1674.9[M+H]、C8612726についての計算値m/z 1674.9。
【0385】
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(5-(1-アミノ-3,6,9,12,15,18,21,24-オクタオキサヘプタコサン-27-アミド)-2-(((1S,2R)-2-((2R,3R)-3-((S)-1-(6S,9S,12S,13R)-12-((S)-sec-ブチル)-6,9-ジイソプロピル-13-メトキシ-2,2,5,11-テトラメチル-4,7,10-トリオキソ-3-オキサ-5,8,11-トリアザペンタデカン-15-オイル)ピロリジン-2-イル)-3-メトキシ-2-メチルプロパンアミド)-1-フェニルプロポキシ)カルボニル)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸(51)の調製
1.5mLの無水アセトニトリル中の化合物50(7mg、4μmol)の溶液を、室温で、BocO(10mg、40μmol)及びDIPEA(7.3μL、40μmol)で処理した。反応混合物を4時間撹拌し、次いで、ピペリジン(100μL)で直接処理した。30分後、反応混合物を、逆相クロマトグラフィー(C18、0~70%アセトニトリル-水/0.05%TFA)によって精製して、3.6mgの化合物51(2μmol、収率50%)を無色固体として得た。LRMS(ESI):m/z 1553.8[M+H]、C7612526についての計算値m/z 1553.9。
【0386】
(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(2-(((1S,2R)-2-((2R,3R)-3-((S)-1-((3R,4S,5S)-4-((S)-N,3-ジメチル-2-((S)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタンアミド)ブタンアミド)-3-メトキシ-5-メチルヘプタノイル)ピロリジン-2-イル)-3-メトキシ-2-メチルプロパンアミド)-1-フェニルプロポキシ)カルボニル)-5-((R)-44-(2-((1,2-ジメチルヒドラジニル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-1-イル)-29,39,42-トリオキソ-40-(スルホメチル)-4,7,10,13,16,19,22,25,32,35-デカオキサ-28,38,41-トリアザテトラテトラコンタンアミド)フェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸(52)の調製
0.3mLの無水DMF中のカルボン酸48(3.6mg、4.5μmol)の溶液を、室温で、HATU(1.5mg、4μmol)及びDIPEA(3μL)で処理した。得られた混合物を、30分間撹拌し、次いで、化合物51(3.5mg、2μmol)と合わせた。室温で1時間撹拌した後、反応混合物を、真空下で濃縮し、1mLのギ酸中で再構成した。室温で1時間後、ギ酸を真空中で除去し、残渣を1mLのDMFに溶解させ、室温で、ピペリジン(100μL)で処理した。30分後、反応混合物を逆相分取HPLC(0~70%アセトニトリル-水/0.05%TFA)によって精製した。純粋な画分を合わせ、凍結乾燥させて、6mgの化合物52(1.8μmol、収率90%)を白色固体として得た。LRMS(ESI):m/z 1004.6[M+2H]2+、C941511332についての計算値m/z 1004.5。
【0387】
実施例2
コンジュゲートの調製
二重切断エステルリンカーを含有するサイトトキシン構築物21、49、及び52を、HIPSライゲーションを使用して、一組のアルデヒドタグ化モノクローナル抗体にコンジュゲート化した(図5)。得られたコンジュゲートの分析による特性決定を、図6~21に示す。
【0388】
実施例3
バイオコンジュゲート化、精製、及びHPLC分析
アルデヒドタグ化抗体(15mg/mL)を、0.85%DMAを含有するクエン酸ナトリウム/NaCl緩衝液(pH5.3~5.5)中、37℃で72時間、リンカー-ペイロード(8~28mol当量の薬物:抗体)にコンジュゲート化した。ある場合には、リンカー-ペイロード溶解度を改善するために、3%スクロース、0.05%のTween-20、及び/又は最大10%vol/volのDMAを添加した。コンジュゲート化後、遊離薬物を、コンジュゲート化緩衝液に複数ラウンド希釈して、アミコン0.5mL 30kD MWCO遠心フィルター(Millipore Sigma#UFC5030BK)又はZeba脱塩カラム(Fisher#PI87766)を使用して濃縮することによって除去した。最終生成物のDARを決定するために、ADCを、分析HIC又はPLRPによって行った。HICカラム(Tosoh#14947)を、移動相A:1.5Mの硫酸アンモニウム、25mMのリン酸ナトリウムpH7.0、及び移動相B:25%のイソプロパノール、18.75mMのリン酸ナトリウムpH7.0によって試験した。PLRPカラム(Agilent#PL1912-1802)を、移動相A:H2O中の0.1%のトリフルオロ酢酸、及び移動相B:CHCN中の0.1%のトリフルオロ酢酸を用い、カラムを80℃まで加熱して試験した。凝集を測定するために、300mMのNaCl、25mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、5%イソプロパノールの移動相を用いた分析用サイズ排除クロマトグラフィー(SEC、Tosoh#08541)を使用して試料を分析した。
【0389】
非タグ化(野生型)抗体のマレイミドコンジュゲート化
抗体(5mg/mL)を、PBS(pH8.0)、1mM DTPA中で、37℃で90分間、2.5~4mol当量のTCEPを使用して還元した。TCEPを除去し、タンパク質をPBS(pH7.4)、1mM DTPAに交換した。還元された抗体(3mg/mL)を、10mol当量のCL2A-SN-38と氷上で60分間コンジュゲート化した。遊離薬物を除去し、最終的なADCをPBS(pH7.4)に交換した。
【0390】
インビトロ細胞傷害性アッセイ
-1日目に、細胞株を、100μLの成長培地中、4×103細胞/ウェルの密度で96ウェルプレート(Corning#3603)にプレーティングした。0日目に、試験試料の段階希釈を、6×最終濃度の成長培地中で実施し、20μLを細胞に添加した。5%CO、37℃で5日間インキュベートした後、製造者の推奨に従って、Promega CellTiter Glo(登録商標)を使用して、生存率を測定した。GI50曲線を、ペイロード濃度に対して正規化されたGraphPad Prismで計算した。細胞傷害性アッセイ(薬物濃度(nM)に対する生存率(%))のグラフを、図22~31に示す。
【0391】
本発明が、その特定の実施形態を参照しつつ記載されているが、様々な変更が行われてもよく、均等物が本発明の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく代用され得ることが当業者によって理解されるべきである。加えて、多くの修正は、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、1つ又は複数のプロセスステップを、本発明の対象の趣旨及び範囲に適合するように行われ得る。全てのそのような修正は、本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
図1
図2A
図2B
図3
図4-1】
図4-2】
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
【国際調査報告】