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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】改良型アルファウイルスベクター
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/63 20060101AFI20240117BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20240117BHJP
   C12N 15/117 20100101ALI20240117BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20240117BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20240117BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20240117BHJP
   C12N 15/33 20060101ALI20240117BHJP
   C12N 15/53 20060101ALI20240117BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240117BHJP
   C12N 15/26 20060101ALI20240117BHJP
   C12N 15/24 20060101ALI20240117BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240117BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240117BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20240117BHJP
   A61K 39/02 20060101ALI20240117BHJP
   A61K 39/12 20060101ALI20240117BHJP
   A61K 39/002 20060101ALI20240117BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20240117BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240117BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20240117BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240117BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240117BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240117BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20240117BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240117BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20240117BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240117BHJP
   A61K 39/395 20060101ALN20240117BHJP
   A61K 38/19 20060101ALN20240117BHJP
   A61K 38/20 20060101ALN20240117BHJP
【FI】
C12N15/63 Z ZNA
C12N15/113 Z
C12N15/117 Z
C12N7/01
C12N15/86 Z
C12N15/31
C12N15/33
C12N15/53
C12N15/13
C12N15/26
C12N15/24
A61P37/04
A61K48/00
A61K39/00 G
A61K39/02
A61K39/12
A61K39/002
A61K39/00 K
A61K39/39
A61P43/00 121
A61P33/00
A61P31/12
A61P31/04
A61P31/00
A61P31/10
A61K35/76
A61K9/127
A61K47/18
A61K39/395 N
A61K38/19
A61K38/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543115
(86)(22)【出願日】2022-01-19
(85)【翻訳文提出日】2023-09-05
(86)【国際出願番号】 US2022013004
(87)【国際公開番号】W WO2022159511
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】63/139,297
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】518213307
【氏名又は名称】グリットストーン バイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ホン スー-ジーン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA44
4B065CA45
4B065CA60
4C076AA19
4C076CC07
4C076CC31
4C076CC32
4C076CC34
4C076CC35
4C076DD49
4C076FF11
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA13
4C084BA44
4C084CA18
4C084DA01
4C084DA12
4C084DA14
4C084MA02
4C084MA05
4C084MA24
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB091
4C084ZB092
4C084ZB311
4C084ZB312
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZB351
4C084ZB352
4C084ZB381
4C084ZB382
4C084ZC751
4C085AA03
4C085AA14
4C085AA38
4C085BA01
4C085BA02
4C085BA07
4C085BA49
4C085BA51
4C085BB36
4C085BB41
4C085BB44
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE05
4C085EE06
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG06
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA09
4C087CA12
4C087MA02
4C087MA05
4C087MA24
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZB31
4C087ZB33
4C087ZB35
4C087ZB38
4C087ZC75
(57)【要約】
本明細書は、複数のサブゲノミックプロモーターにより駆動される複数の発現カセットを有するアルファウイルス由来ベクターを含むワクチン組成物を開示する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己複製アルファウイルスベースの発現系を含む抗原発現系の送達のための組成物であって、前記自己複製アルファウイルスベースの発現系を含み、
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系が1つ以上のベクターを含み、前記1つ以上のベクターが、
(a)RNAアルファウイルス骨格であって、
(i)少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列と、
(ii)少なくとも1つのポリアデニル化(ポリ(A))配列と
を含む、前記RNAアルファウイルス骨格、ならびに
(b)少なくとも2つのカセットであって、その各々が独立して、
(i)少なくとも1つの抗原コード核酸配列であって、
a.エピトープコード核酸配列と、
b.任意選択で5’リンカー配列と、
c.任意選択で3’リンカー配列と
を含む、前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列、及び
(ii)任意選択で、少なくとも1つの第2のポリ(A)配列であって、前記アルファウイルスにとって天然のポリ(A)配列または外因性のポリ(A)配列である、前記第2のポリ(A)配列
を含む、前記カセット
を含み、
ここで、5’側から3’側へ配向した、前記少なくとも2つのカセットのうちの第1のものは、ポリヌクレオチド配列ctacggcTAAcctgaa(+1)tggaを含むコア保存プロモーター配列を含む第1のアルファウイルス由来サブゲノミックプロモーター(SGP1)を含むプロモーターヌクレオチド配列に機能的に連結されており、前記少なくとも2つのカセットのうちの少なくとも第2のものは、前記コア保存プロモーター配列を含む第2のアルファウイルス由来サブゲノミックプロモーター(SGP2)を含むプロモーターヌクレオチド配列に機能的に連結されており、
前記SGP1サブゲノミックプロモーター及び/または前記SGP2サブゲノミックプロモーターが、アルファウイルスにコードされる前記コア保存プロモーター配列の3’側に由来する拡張3’側プロモーター領域を含む、
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系を含む抗原発現系の送達のための組成物。
【請求項2】
前記SGP1の拡張3’側プロモーター領域が、前記SGP2の拡張3’側プロモーター領域とは異なる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記SGP1サブゲノミックプロモーターまたは前記SGP2サブゲノミックプロモーターの両方ではなくいずれかが、アルファウイルスにコードされる前記コア保存プロモーター配列の3’側に由来する拡張3’側プロモーター領域を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記拡張3’側プロモーター領域が、ポリヌクレオチド配列CTACGACATを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記拡張3’側プロモーター領域が、ポリヌクレオチド配列CTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記拡張3’側プロモーター領域が、ポリヌクレオチド配列CTACGACATからなる、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記拡張3’側プロモーター領域が、ポリヌクレオチド配列CTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGからなる、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記拡張3’側プロモーター領域が、ポリヌクレオチド配列ATAGTCTAGTCCGCCAAGを含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
(a)前記サブゲノミックプロモーターの各々が、ポリヌクレオチド配列CTACGACATを含む拡張3’側プロモーター領域を含み、(b)前記SGP1サブゲノミックプロモーターまたは前記SGP2サブゲノミックプロモーターの両方ではなくその一方のみが、ポリヌクレオチド配列ATAGTCTAGTCCGCCAAGをさらに含む拡張3’側プロモーター領域を含み、前記ポリヌクレオチド配列ATAGTCTAGTCCGCCAAGが、前記ポリヌクレオチド配列CTACGACATの3’側でコードされる、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記SGP1サブゲノミックプロモーター、前記SGP2サブゲノミックプロモーター、またはその両方が、アルファウイルスにコードされる前記コア保存プロモーター配列の5’側に由来する拡張5’側プロモーター領域を含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記拡張5’側プロモーター領域が、アルファウイルス非構造タンパク質4(nsp4)に由来するポリヌクレオチド配列を含み、前記コア保存プロモーター配列の5’側でコードされる、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記拡張5’側プロモーター領域が、前記コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされる、請求項10または11に記載の組成物。
【請求項13】
前記拡張5’側プロモーター領域が、前記コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列ctctを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記拡張5’側プロモーター領域が、前記コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列acttccatcatagttatggccatgactactctagctagcagtgttaaatcattcagctacctgagaggggcccctataactctを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
前記拡張5’側プロモーター領域が、前記コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列acctgagaggggcccctataactctを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項16】
前記拡張5’側プロモーター領域が、前記コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列gggcccctataactctを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項17】
前記拡張5’側プロモーター領域が、前記コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列gggcccctataactctからなる、請求項10に記載の組成物。
【請求項18】
前記SGP2サブゲノミックプロモーターの拡張5’側プロモーター領域が、前記コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列acttccatcatagttatggccatgactactctagctagcagtgttaaatcattcagctacctgagaggggcccctataactctを含む、請求項10~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記SGP2サブゲノミックプロモーターの拡張5’側プロモーター領域が、前記コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列acctgagaggggcccctataactctを含む、請求項10~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記SGP2サブゲノミックプロモーターの拡張5’側プロモーター領域が、前記コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列gggcccctataactctを含む、請求項10~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記SGP2サブゲノミックプロモーターの拡張5’側プロモーター領域が、前記コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列gggcccctataactctからなる、請求項10~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記RNAアルファウイルス骨格の前記少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列が、前記SGP1サブゲノミックプロモーターを含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
前記拡張3’側プロモーター領域及び/または前記拡張5’側プロモーター領域が、前記コア保存プロモーター配列の由来として用いられたアルファウイルスと同じアルファウイルスに由来する、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
前記拡張3’側プロモーター領域及び/または前記拡張5’側プロモーター領域が、前記SGP1サブゲノミックプロモーターと前記SGP2サブゲノミックプロモーターの間の組み換えを減少させるかまたは排除することができる、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
前記拡張3’側プロモーター領域及び/または前記拡張5’側プロモーター領域が、1つ以上の転写エンハンサーエレメントを含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
前記SGP2サブゲノミックプロモーターが、カセットの発現を、同じカセットが前記SGP1サブゲノミックプロモーターに機能的に連結されている場合と比べて少なくとも2倍促進することができる、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項27】
前記SGP2の拡張3’側プロモーター領域及び/または拡張5’側プロモーター領域が、カセットの発現を、同じカセットが前記SGP1サブゲノミックプロモーターに機能的に連結されている場合と比べて少なくとも2倍促進することができる、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項28】
前記SGP2サブゲノミックプロモーターが、対象への投与後に、前記SGP2サブゲノミックプロモーターに機能的に連結されているカセットによってコードされるエピトープに対して、同じカセットが前記SGP1サブゲノミックプロモーターに機能的に連結されている場合と比べて、より強い免疫応答を刺激することができる、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項29】
前記SGP2の拡張3’側プロモーター領域及び/または拡張5’側プロモーター領域が、対象への投与後に、前記SGP2サブゲノミックプロモーターに機能的に連結されている前記カセットによってコードされるエピトープに対して、同じカセットが前記SGP1サブゲノミックプロモーターに機能的に連結されている場合と比べて、より強い免疫応答を刺激することができる、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項30】
前記SGP2サブゲノミックプロモーターが、前記第2のカセットの5’側に隣接してコードされ、任意選択で、前記第2のカセットのコザック配列の5’側に隣接してコードされる、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項31】
前記SGP1サブゲノミックプロモーターまたは前記SGP2サブゲノミックプロモーターのいずれかが、ポリヌクレオチド配列GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGを含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項32】
前記SGP2サブゲノミックプロモーターが、ポリヌクレオチド配列GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGを含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項33】
前記SGP1サブゲノミックプロモーターが、ポリヌクレオチド配列GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACを含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項34】
(a)前記SGP1サブゲノミックプロモーターまたは前記SGP2サブゲノミックプロモーターのいずれかが、ポリヌクレオチド配列GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGを含み、かつ
(b)他方のサブゲノミックプロモーターが、ポリヌクレオチド配列GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACを含むが、ポリヌクレオチド配列ATAGTCTAGTCCGCCAAGを含まない、
前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項35】
前記SGP2サブゲノミックプロモーターがポリヌクレオチド配列GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACを含み、前記SGP1サブゲノミックプロモーターがポリヌクレオチド配列GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACを含み、ここで、前記SGP1サブゲノミックプロモーターが、ポリヌクレオチド配列ATAGTCTAGTCCGCCAAGを含まない、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項36】
免疫原性ポリペプチドをコードする前記核酸配列のうちの1つ以上の規則配列が、5’側から3’側へ、以下を含む式で表され:
-(L5-N-L3-P-(L5-N-L3-P-(L5-N-L3-(G5-U-G3
式中、Pは、前記SGP1サブゲノミックプロモーターを含み、Pは、前記SGP2サブゲノミックプロモーターを含み、Pについては、追加のカセットについてa=0または1であり、
Nは前記エピトープコード核酸配列を含み、c=1であり、
L5は前記5’リンカー配列を含み、b=0または1であり、
L3は前記3’リンカー配列を含み、d=0または1であり、
G5は、GPGPGアミノ酸リンカーをコードする少なくとも1つの核酸配列のうちの1つを含み、e=0または1であり、
G3は、GPGPGアミノ酸リンカーをコードする少なくとも1つの核酸配列のうちの1つを含み、g=0または1であり、
Uは、少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列のうちの1つを含み、f=1であり、
X=1~400であり、各Xについて、対応するNは、対応するエピトープコード核酸配列であり、かつ
Y=0、1、または2であり、各Yについて、対応するUは普遍的MHCクラスIIエピトープコード核酸配列であり、任意選択で、少なくとも1つの前記普遍的配列が、破傷風トキソイド及びPADREのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1~35のいずれかに記載の組成物。
【請求項37】
各Xについて、前記対応するNは、別個のエピトープコード核酸配列である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
各Yについて、前記対応するUは、別個のMHCクラスIIエピトープコード核酸配列である、請求項36または37に記載の組成物。
【請求項39】
各Nは、7~15アミノ酸長のMHCクラスIエピトープ、MHCクラスIIエピトープ、B細胞応答を刺激する能力があるエピトープ、またはそれらの組み合わせをコードし、
L5は、前記エピトープの天然N末端アミノ酸配列をコードする天然5’リンカー配列であり、ここで、前記5’リンカー配列が、少なくとも2アミノ酸長であるペプチドをコードし、
L3は、前記エピトープの天然C末端アミノ酸配列をコードする天然3’リンカー配列であり、ここで、前記3’リンカー配列が、少なくとも2アミノ酸長であるペプチドをコードする、
請求項36~38のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項40】
前記エピトープコード核酸配列が、
コードする前記エピトープの配列を、野生型核酸配列によりコードされる対応するペプチド配列とは別個のものにする、少なくとも1つの変化、
病原体由来ペプチド、ウイルス由来ペプチド、細菌由来ペプチド、真菌由来ペプチド、及び寄生虫由来ペプチドからなる群より選択される感染症生物ペプチドをコードする核酸配列であって、任意選択で、前記エピトープコード核酸配列が、MHCクラスIエピトープもしくはMHCクラスIIエピトープをコードする、前記感染症生物ペプチドをコードする核酸配列、または
それらの組み合わせ
を含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項41】
ナノ粒子状送達ビヒクルをさらに含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項42】
前記ナノ粒子状送達ビヒクルが脂質ナノ粒子(LNP)である、請求項39に記載の組成物。
【請求項43】
前記LNPが、イオン化可能なアミノ脂質を含む、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記イオン化可能なアミノ脂質が、MC3様(ジリノレイルメチル-4-ジメチルアミノブチラート)分子を含む、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記ナノ粒子状送達ビヒクルが前記抗原発現系を内包する、請求項39~44のいずれかに記載の組成物。
【請求項46】
前記骨格が、アウラウイルス、フォートモルガンウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、ロスリバーウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビスウイルス、またはマヤロウイルスの少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項47】
前記骨格が、ベネズエラウマ脳炎ウイルスの少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項48】
前記骨格が、少なくとも、アウラウイルス、フォートモルガンウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、ロスリバーウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビスウイルス、またはマヤロウイルスのヌクレオチド配列によってコードされる、非構造タンパク質媒介性増幅のための配列、26Sプロモーター配列、ポリ(A)配列、非構造タンパク質1(nsP1)遺伝子、nsP2遺伝子、nsP3遺伝子、及びnsP4遺伝子を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項49】
前記骨格が、少なくとも、アウラウイルス、フォートモルガンウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、ロスリバーウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビスウイルス、またはマヤロウイルスのヌクレオチド配列によってコードされる、非構造タンパク質媒介性増幅のための配列、26Sプロモーター配列、及びポリ(A)配列を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項50】
非構造タンパク質媒介性増幅のための配列が、アルファウイルス5’UTR、51nt CSE、24nt CSE、26Sサブゲノミックプロモーター配列、19nt CSE、アルファウイルス3’UTR、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項51】
前記骨格が、構造ビリオンタンパク質であるカプシド、E2及びE1をコードしない、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項52】
前記カセットが、アウラウイルス、フォートモルガンウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、ロスリバーウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビスウイルス、またはマヤロウイルスのヌクレオチド配列内で構造ビリオンタンパク質の代わりに挿入される、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項53】
ベネズエラウマ脳炎ウイルスが、配列番号3または配列番号5の配列を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項54】
ベネズエラウマ脳炎ウイルスが、塩基対7544~11176の欠失をさらに含む配列番号3または配列番号5の配列を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項55】
前記骨格が、配列番号6または配列番号7に記載の配列を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項56】
前記カセットが、配列番号3または配列番号5の配列に記載される塩基対7544~11176の欠失に取って代わるよう7544位に挿入されている、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項57】
前記カセットのうちの1つ以上が、少なくとも100、200、300、400、500、600、700、800、または900ヌクレオチド長である、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項58】
前記カセットのうちの1つ以上が、少なくとも1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、または10000ヌクレオチド長である、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項59】
前記1つ以上のベクターが、少なくとも3500ヌクレオチド長であるカセットの発現を駆動することができる、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項60】
前記1つ以上のベクターが、少なくとも6000ヌクレオチド長であるカセットの発現を駆動することができる、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項61】
前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列のうちの少なくとも1つが、MHCクラスIによって提示されるエピトープをコードするエピトープコード核酸配列を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項62】
前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列のうちの少なくとも1つが、MHCクラスIIによって提示されるエピトープをコードするエピトープコード核酸配列を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項63】
前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列のうちの少なくとも1つが、B細胞応答を刺激することができるポリペプチド配列またはその一部分をコードするエピトープコード核酸配列を含み、任意選択で、前記B細胞応答を刺激することができるポリペプチド配列またはその一部分が、抗体により結合され得ることが予測されるかもしくは既知である、全長タンパク質、タンパク質ドメイン、タンパク質サブユニット、または抗原断片を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項64】
前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列が、2つ以上の抗原コード核酸配列を含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項65】
各抗原コード核酸配列が互いに直接連結されている、請求項64に記載の組成物。
【請求項66】
各抗原コード核酸配列が、リンカーをコードする核酸配列により別個の抗原コード核酸配列に連結されている、請求項64または65に記載の組成物。
【請求項67】
前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのHLAアレルによる提示能があることが予測または確認された2つ以上の別個のエピトープをコードするエピトープコード核酸配列を含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項68】
前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列が、少なくとも2~10、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の核酸配列を含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項69】
前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列が、少なくとも11~20、15~20、11~100、11~200、11~300、11~400、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または最大400個の核酸配列を含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項70】
前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列が、少なくとも2~400個の核酸配列を含み、前記抗原コード核酸配列のうちの少なくとも2つが、(1)MHCクラスIによって提示され、(2)MHCクラスIIによって提示され、かつ/または(3)B細胞応答を刺激することができる、ポリペプチド配列もしくはそれらの一部をコードする、エピトープコード核酸配列を含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項71】
前記抗原コード核酸配列のうちの少なくとも2つが、(1)MHCクラスIによって提示され、(2)MHCクラスIIによって提示され、かつ/または(3)B細胞応答クラスを刺激することができる、ポリペプチド配列もしくはそれらの一部をコードする、エピトープコード核酸配列を含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項72】
対象に投与されて翻訳された場合、前記少なくとも1つのエピトープコード核酸配列によってコードされるエピトープのうちの少なくとも1つが抗原提示細胞上に提示され、細胞表面上の抗原のうちの少なくとも1つを標的とする免疫応答が生じる、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項73】
対象に投与されて翻訳された場合、前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列によってコードされる抗原のうちの少なくとも1つが、前記抗原のうちの少なくとも1つを標的とする抗体反応を生じさせる、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項74】
前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列が対象に投与されて翻訳された場合、MHCクラスIまたはMHCクラスIIの抗原のうちの少なくとも1つが抗原提示細胞上に提示され、細胞表面上の前記抗原のうちの少なくとも1つを標的とする免疫応答が生じ、任意選択で、前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列の各々の発現が、前記少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列によって駆動される、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項75】
各MHCクラスIエピトープコード核酸配列が、8~35アミノ酸長、任意選択で、9~17、9~25、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または35アミノ酸長のポリペプチド配列をコードする、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項76】
少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列が存在する、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項77】
少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列が存在しかつ少なくとも1つのMHCクラスII核酸配列を含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項78】
少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列が、12~20、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または20~40アミノ酸長である、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項79】
少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列が存在しかつ少なくとも1つの普遍的MHCクラスIIエピトープコード核酸配列を含み、任意選択で、前記少なくとも1つの普遍的配列が、破傷風トキソイド及びPADREのうちの少なくとも1つ、及び/または少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列を含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項80】
前記少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列または第2のプロモーターヌクレオチド配列が誘導性である、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項81】
前記少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列または第2のプロモーターヌクレオチド配列が非誘導性である、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項82】
前記少なくとも1つのポリ(A)配列が、前記骨格にとって天然のポリ(A)配列を含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項83】
前記少なくとも1つのポリ(A)配列が、前記骨格にとって外因性のポリ(A)配列を含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項84】
前記少なくとも1つのポリ(A)配列が、前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列のうちの少なくとも1つに機能的に連結されている、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項85】
前記少なくとも1つのポリ(A)配列が、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、または少なくとも90個の連続するAヌクレオチドである、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項86】
前記少なくとも1つのポリ(A)配列が、少なくとも80個の連続するAヌクレオチドである、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項87】
前記少なくとも1つの第2のポリ(A)配列が存在する、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項88】
前記少なくとも1つの第2のポリ(A)配列が、SV40ポリ(A)シグナル配列もしくはウシ成長ホルモン(BGH)ポリ(A)シグナル配列、または2つ以上のSV40ポリ(A)シグナル配列もしくはBGHポリ(A)シグナル配列の組み合わせを含む、請求項87に記載の組成物。
【請求項89】
前記少なくとも1つの第2のポリ(A)配列が、2つ以上の第2のポリ(A)配列を含み、任意選択で、前記2つ以上の第2のポリ(A)配列が、2つ以上のSV40ポリ(A)シグナル配列、2つ以上のBGHポリ(A)シグナル配列、またはSV40ポリ(A)シグナル配列とBGHポリ(A)シグナル配列の組み合わせを含む、請求項87に記載の組成物。
【請求項90】
前記抗原カセットが、
イントロン配列、外因性イントロン配列、恒常的輸送エレメント(CTE)、RNA輸送エレメント(RTE)、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)配列、配列内リボソーム進入配列(IRES)配列、2A自己切断ペプチド配列をコードするヌクレオチド配列、Furin切断部位をコードするヌクレオチド配列、または前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列のうちの少なくとも1つに機能的に連結されているmRNAの核外輸送、安定性、もしくは翻訳効率を増強させることが知られている5’側もしくは3’側の非コード領域内の配列
のうちの少なくとも1つをさらに含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項91】
前記抗原カセットが、緑色蛍光タンパク質(GFP)、GFP変異体、分泌型アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、ルシフェラーゼバリアント、または検出可能なペプチドもしくはエピトープが含まれるがこれらに限定されないレポーター遺伝子をさらに含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項92】
前記検出可能なペプチドまたはエピトープが、HAタグ、Flagタグ、His-タグ、またはV5タグからなる群より選択される、請求項91に記載の組成物。
【請求項93】
前記1つ以上のベクターが、少なくとも1つの免疫調節因子をコードする1つ以上の核酸配列をさらに含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項94】
前記免疫調節因子が、抗CTLA4抗体もしくはその抗原結合断片、抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片、抗PD-L1抗体もしくはその抗原結合断片、抗4-1BB抗体もしくはその抗原結合断片、または抗OX-40抗体もしくはその抗原結合断片である、請求項93に記載の組成物。
【請求項95】
前記抗体またはその抗原結合断片が、Fab断片、Fab’断片、一本鎖Fv(scFv)、単一特異性抗体もしくは共に連結された多重特異性抗体のいずれかとしての単一ドメイン抗体(sdAb)(例えば、ラクダ科動物の抗体ドメイン)、または全長一本鎖抗体(例えば、重鎖と軽鎖が可動性リンカーによって連結されている全長IgG)である、請求項94に記載の組成物。
【請求項96】
前記抗体の重鎖配列及び軽鎖配列が、2A等の自己切断配列もしくはIRESのいずれかにより区切られている連続配列であるか、または前記抗体の重鎖配列及び軽鎖配列が、連続グリシン残基等の可動性リンカーによって連結されている、請求項94または95に記載の組成物。
【請求項97】
前記免疫調節因子がサイトカインである、請求項93に記載の組成物。
【請求項98】
前記サイトカインが、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、もしくはIL-21またはそれら各々のバリアントのうちの少なくとも1つである、請求項97に記載の組成物。
【請求項99】
前記組成物のうちのいずれかのヌクレオチド配列を含む、ベクターまたはベクターのセット。
【請求項100】
前記組成物のうちのいずれかのヌクレオチド配列または単離されたヌクレオチド配列のセットを含む単離細胞であって、任意選択で、BHK-21、CHO、HEK293もしくはそのバリアント、911、HeLa、A549、LP-293、PER.C6、またはAE1-2a細胞である、前記細胞。
【請求項101】
前記組成物請求項のいずれかに記載の組成物及び使用説明書を含むキット。
【請求項102】
対象を治療するための方法であって、前記組成物請求項のいずれかに記載の組成物または前記組成物のうちのいずれかの医薬組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項103】
対象での免疫応答を誘導するための方法であって、前記組成物請求項のいずれかに記載の組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項104】
前記対象が、前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列の前記エピトープコード核酸配列によってコードされるMHCクラスIエピトープまたはMHCクラスIIエピトープを提示することが予測されるかもしくは既知である少なくとも1つのHLAアレルを発現する、請求項102~103のいずれかに記載の方法。
【請求項105】
自己複製アルファウイルスベースの発現系を含むペイロードの送達のための組成物であって、前記自己複製アルファウイルスベースの発現系を含み、
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系が1つ以上のベクターを含み、前記1つ以上のベクターが、
(a)RNAアルファウイルス骨格であって、
(i)少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列と、
(ii)少なくとも1つのポリアデニル化(ポリ(A))配列と
を含む、前記RNAアルファウイルス骨格、ならびに
(b)少なくとも2つのカセットであって、その各々が独立して、
(i)少なくとも1つのペイロードコード核酸配列、及び
(ii)任意選択で、少なくとも1つの第2のポリ(A)配列であって、前記アルファウイルスにとって天然のポリ(A)配列または外因性のポリ(A)配列である、前記第2のポリ(A)配列
を含む、前記カセット
を含み、
ここで、5’側から3’側へ配向した、前記少なくとも2つのカセットのうちの第1のものは、ポリヌクレオチド配列ctacggcTAAcctgaa(+1)tggaを含むコア保存プロモーター配列を含む第1のアルファウイルス由来サブゲノミックプロモーター(SGP1)を含むプロモーターヌクレオチド配列に機能的に連結されており、前記少なくとも2つのカセットのうちの少なくとも第2のものは、前記コア保存プロモーター配列を含む第2のアルファウイルス由来サブゲノミックプロモーター(SGP2)を含むプロモーターヌクレオチド配列に機能的に連結されており、
前記SGP1サブゲノミックプロモーター及び/または前記SGP2サブゲノミックプロモーターが、アルファウイルスにコードされる前記コア保存プロモーター配列の3’側に由来する拡張3’側プロモーター領域を含む、
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系を含むペイロードの送達のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年1月19日に出願の米国仮出願第63/139,297号の利益を主張するものであり、あらゆる目的のために参照することによりその全体が本発明に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2020年5月19日に作成された上記ASCIIコピーは、GSO_101_sequencelisting.txtという名前であり、サイズが10,142,330バイトである。
【背景技術】
【0003】
背景
アルファウイルスは、ヒト及び他の動物における多くの疾患に関与する小さな一本鎖プラス鎖RNAウイルスの一群である。例えば、“The Alphaviruses:Gene Expression,Replication and Evolution,”Microbiological Reviews,Sept.1994,p.491-562(非特許文献1)、Jose et al.,“A structural and functional perspective of alphavirus replication and assembly,”Future Micriobol.,2009,v.4:837-856(非特許文献2)を参照のこと。アルファウイルスは、それらの複製効率及び特異性が高いことから、哺乳類細胞での異種タンパク質の発現のための自己複製RNAベクターの操作において有用であることが証明されている。例えば、Frolov et al.,“Alphavirus-based expression vectors:strategies and applications”,PNAS,1996,v.93,pp.11371-11377(非特許文献3)、Young Kim,et al.,“Enhancement of protein expression by alphavirus replicons by designing self-replicating subgenomic RNAs”,PNAS,2014,v.11:29,pp.10708-10713(非特許文献4)を参照のこと。この分野ではいくらかの前進が見られるものの、標的細胞へのRNAベクターの送達の効率、RNAベクターからの異種タンパク質の発現の効率、RNAベクターから発現するタンパク質の「個別化」の容易さ、ある特定の異種タンパク質(例えば、ネオアンチゲン)がRNAベクターから発現した場合の免疫応答の改善、及び/またはそのようなRNAベクターの製造効率の改善等の領域では、改善が必要とされている。
【非特許文献1】“The Alphaviruses:Gene Expression,Replication and Evolution,”Microbiological Reviews,Sept.1994,p.491-562
【非特許文献2】Jose et al.,“A structural and functional perspective of alphavirus replication and assembly,”Future Micriobol.,2009,v.4:837-856
【非特許文献3】Frolov et al.,“Alphavirus-based expression vectors:strategies and applications”,PNAS,1996,v.93,pp.11371-11377
【非特許文献4】Young Kim,et al.,“Enhancement of protein expression by alphavirus replicons by designing self-replicating subgenomic RNAs”,PNAS,2014,v.11:29,pp.10708-10713
【発明の概要】
【0004】
概要
本明細書では、自己複製アルファウイルスベースの発現系を含む抗原発現系の送達のための組成物を提供し、かかる自己複製アルファウイルスベースの発現系の送達のための組成物が、自己複製アルファウイルスベースの発現系を含み、自己複製アルファウイルスベースの発現系が1つ以上のベクターを含み、1つ以上のベクターが、(a)RNAアルファウイルス骨格であって、(i)少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列と、(ii)少なくとも1つのポリアデニル化(ポリ(A))配列と、を含む、RNAアルファウイルス骨格;ならびに(b)少なくとも2つのカセットであって、その各々が独立して、(i)a.エピトープコード核酸配列と、b.任意選択で5’リンカー配列と、c.任意選択で3’リンカー配列と、を含む、少なくとも1つの抗原コード核酸配列;及び(ii)任意選択で、少なくとも1つの第2のポリ(A)配列であって、アルファウイルスにとって天然ポリ(A)配列または外因性ポリ(A)配列である、第2のポリ(A)配列、を含む、カセット、を含み、ここで、5’側から3’側へ配向した、少なくとも2つのカセットのうちの第1のものは、ポリヌクレオチド配列ctacggcTAAcctgaa(+1)tggaを含むコア保存プロモーター配列を含む第1のアルファウイルス由来サブゲノミックプロモーター(SGP1)を含むプロモーターヌクレオチド配列に機能的に連結されており、少なくとも2つのカセットのうちの少なくとも第2のものは、コア保存プロモーター配列を含む第2のアルファウイルス由来サブゲノミックプロモーター(SGP2)を含むプロモーターヌクレオチド配列に機能的に連結されており、SGP1サブゲノミックプロモーター及び/またはSGP2サブゲノミックプロモーターが、アルファウイルスにコードされるコア保存プロモーター配列の3’側に由来する拡張3’側プロモーター領域を含む。
【0005】
本明細書ではまた、自己複製アルファウイルスベースの発現系を含むペイロードの送達のための組成物も提供し、かかる自己複製アルファウイルスベースの発現系の送達のための前記組成物が、(A)自己複製アルファウイルスベースの発現系を含み、自己複製アルファウイルスベースの発現系が1つ以上のベクターを含み、1つ以上のベクターが、(a)RNAアルファウイルス骨格であって、(i)少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列と、(ii)少なくとも1つのポリアデニル化(ポリ(A))配列と、を含む、RNAアルファウイルス骨格;ならびに(b)少なくとも2つのカセットであって、その各々が独立して、(i)少なくとも1つのペイロードコード核酸配列、及び(ii)任意選択で、少なくとも1つの第2のポリ(A)配列であって、アルファウイルスにとって天然ポリ(A)配列または外因性ポリ(A)配列である、第2のポリ(A)配列、を含む、カセット、を含み、ここで、5’側から3’側へ配向した、少なくとも2つのカセットのうちの第1のものは、ポリヌクレオチド配列ctacggcTAAcctgaa(+1)tggaを含むコア保存プロモーター配列を含む第1のアルファウイルス由来サブゲノミックプロモーター(SGP1)を含むプロモーターヌクレオチド配列に機能的に連結されており、少なくとも2つのカセットのうちの少なくとも第2のものは、コア保存プロモーター配列を含む第2のアルファウイルス由来サブゲノミックプロモーター(SGP2)を含むプロモーターヌクレオチド配列に機能的に連結されており、SGP1サブゲノミックプロモーター及び/またはSGP2サブゲノミックプロモーターが、アルファウイルスにコードされるコア保存プロモーター配列の3’側に由来する拡張3’側プロモーター領域を含む。
【0006】
いくつかの態様では、SGP1の拡張3’側プロモーター領域は、SGP2の拡張3’側プロモーター領域とは異なる。
【0007】
いくつかの態様では、SGP1サブゲノミックプロモーターまたはSGP2サブゲノミックプロモーターの両方ではなくいずれかが、アルファウイルスにコードされるコア保存プロモーター配列の3’側に由来する拡張3’側プロモーター領域を含む。
【0008】
いくつかの態様では、拡張3’側プロモーター領域は、ポリヌクレオチド配列CTACGACATを含む。いくつかの態様では、拡張3’側プロモーター領域は、ポリヌクレオチド配列CTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGを含む。いくつかの態様では、拡張3’側プロモーター領域は、ポリヌクレオチド配列CTACGACATからなる。いくつかの態様では、拡張3’側プロモーター領域は、ポリヌクレオチド配列CTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGからなる。いくつかの態様では、拡張3’側プロモーター領域は、ポリヌクレオチド配列ATAGTCTAGTCCGCCAAGを含む。
【0009】
いくつかの態様では、(a)サブゲノミックプロモーターの各々が、ポリヌクレオチド配列CTACGACATを含む拡張3’側プロモーター領域を含み、(b)SGP1サブゲノミックプロモーターまたはSGP2サブゲノミックプロモーターの両方ではなくその一方のみが、ポリヌクレオチド配列ATAGTCTAGTCCGCCAAGをさらに含む拡張3’側プロモーター領域を含み、ポリヌクレオチド配列ATAGTCTAGTCCGCCAAGは、ポリヌクレオチド配列CTACGACATの3’側でコードされる。
【0010】
いくつかの態様では、SGP1サブゲノミックプロモーター、SGP2サブゲノミックプロモーター、またはその両方が、アルファウイルスにコードされるコア保存プロモーター配列の5’側に由来する拡張5’側プロモーター領域を含む。いくつかの態様では、拡張5’側プロモーター領域は、アルファウイルス非構造タンパク質4(nsp4)に由来するポリヌクレオチド配列を含み、コア保存プロモーター配列の5’側でコードされる。いくつかの態様では、拡張5’側プロモーター領域は、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされる。いくつかの態様では、拡張5’側プロモーター領域は、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列ctctを含む。
【0011】
いくつかの態様では、拡張5’側プロモーター領域は、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列acttccatcatagttatggccatgactactctagctagcagtgttaaatcattcagctacctgagaggggcccctataactctを含む。いくつかの態様では、拡張5’側プロモーター領域は、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列acctgagaggggcccctataactctを含む。いくつかの態様では、拡張5’側プロモーター領域は、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列gggcccctataactctを含む。いくつかの態様では、拡張5’側プロモーター領域は、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列gggcccctataactctからなる。
【0012】
いくつかの態様では、SGP2サブゲノミックプロモーターの拡張5’側プロモーター領域は、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列acttccatcatagttatggccatgactactctagctagcagtgttaaatcattcagctacctgagaggggcccctataactctを含む。いくつかの態様では、SGP2サブゲノミックプロモーターの拡張5’側プロモーター領域は、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列acctgagaggggcccctataactctを含む。いくつかの態様では、SGP2サブゲノミックプロモーターの拡張5’側プロモーター領域は、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列gggcccctataactctを含む。いくつかの態様では、SGP2サブゲノミックプロモーターの拡張5’側プロモーター領域は、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列gggcccctataactctからなる。
【0013】
いくつかの態様では、RNAアルファウイルス骨格の少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列は、SGP1サブゲノミックプロモーターを含む。
【0014】
いくつかの態様では、拡張3’側プロモーター領域及び/または拡張5’側プロモーター領域は、コア保存プロモーター配列の由来として用いられたアルファウイルスと同じアルファウイルスに由来する。
【0015】
いくつかの態様では、拡張3’側プロモーター領域及び/または拡張5’側プロモーター領域は、SGP1サブゲノミックプロモーターとSGP2サブゲノミックプロモーターの間の組み換えを減少させるかまたは排除することができる。いくつかの態様では、拡張3’側プロモーター領域及び/または拡張5’側プロモーター領域は、1つ以上の転写エンハンサーエレメントを含む。いくつかの態様では、SGP2サブゲノミックプロモーターは、カセットの発現を、同じカセットがSGP1サブゲノミックプロモーターに機能的に連結されている場合と比べて少なくとも2倍促進することができる。いくつかの態様では、SGP2の拡張3’側プロモーター領域及び/または拡張5’側プロモーター領域は、カセットの発現を、同じカセットがSGP1サブゲノミックプロモーターに機能的に連結されている場合と比べて少なくとも2倍促進することができる。いくつかの態様では、SGP2サブゲノミックプロモーターは、対象への投与後に、SGP2サブゲノミックプロモーターに機能的に連結されているカセットによってコードされるエピトープに対して、同じカセットがSGP1サブゲノミックプロモーターに機能的に連結されている場合と比べて、より強い免疫応答を刺激することができる。いくつかの態様では、SGP2の拡張3’側プロモーター領域及び/または拡張5’側プロモーター領域は、対象への投与後に、SGP2サブゲノミックプロモーターに機能的に連結されているカセットによってコードされるエピトープに対して、同じカセットがSGP1サブゲノミックプロモーターに機能的に連結されている場合と比べて、より強い免疫応答を刺激することができる。
【0016】
いくつかの態様では、SGP2サブゲノミックプロモーターは、第2のカセットの5’側に隣接してコードされ、任意選択で、第2のカセットのコザック配列の5’側に隣接してコードされる。
【0017】
いくつかの態様では、SGP1サブゲノミックプロモーターまたはSGP2サブゲノミックプロモーターのいずれかが、ポリヌクレオチド配列GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGを含む。いくつかの態様では、SGP2サブゲノミックプロモーターは、ポリヌクレオチド配列GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGを含む。いくつかの態様では、SGP1サブゲノミックプロモーターは、ポリヌクレオチド配列GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACを含む。
【0018】
いくつかの態様では、(a)SGP1サブゲノミックプロモーターまたはSGP2サブゲノミックプロモーターのいずれかが、ポリヌクレオチド配列GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGを含み、(b)他方のサブゲノミックプロモーターは、ポリヌクレオチド配列GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACを含むが、ポリヌクレオチド配列ATAGTCTAGTCCGCCAAGを含まない。いくつかの態様では、SGP2サブゲノミックプロモーターは、ポリヌクレオチド配列GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACを含み、SGP1サブゲノミックプロモーターは、ポリヌクレオチド配列GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACを含み、ここで、SGP1サブゲノミックプロモーターは、ポリヌクレオチド配列ATAGTCTAGTCCGCCAAGを含まない。
【0019】
いくつかの態様では、免疫原性ポリペプチドをコードする核酸配列のうちの1つ以上の規則配列は、5’側から3’側へ、以下を含む式で表され:
P1-(L5b-Nc-L3d)X-P2-(L5b-Nc-L3d)X-Pa-(L5b-Nc-L3d)X-(G5e-Uf)Y-G3g
式中、P1は、SGP1サブゲノミックプロモーターを含み、P2は、SGP2サブゲノミックプロモーターを含み、Paの場合、追加のカセットについてa=0または1であり、Nはエピトープコード核酸配列を含み、c=1であり、L5は5’リンカー配列を含み、b=0または1であり、L3は3’リンカー配列を含み、d=0または1であり、G5は、GPGPGアミノ酸リンカーをコードする少なくとも1つの核酸配列のうちの1つを含み、e=0または1であり、G3は、GPGPGアミノ酸リンカーをコードする少なくとも1つの核酸配列のうちの1つを含み、g=0または1であり、Uは、少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列のうちの1つを含み、f=1であり、X=1~400であり、各Xについて、対応するNcは、対応するエピトープコード核酸配列であり、かつ、Y=0、1、または2であり、各Yについて、対応するUfは普遍的MHCクラスIIエピトープコード核酸配列であり、任意選択で、少なくとも1つの普遍的配列が、破傷風トキソイド及びPADREのうちの少なくとも1つを含む。
【0020】
いくつかの態様では、各Xについて、対応するNcは別個のエピトープコード核酸配列である。いくつかの態様では、各Yについて、対応するUfは別個のMHCクラスIIエピトープコード核酸配列である。いくつかの態様では、各Nは、7~15アミノ酸長のMHCクラスIエピトープ、MHCクラスIIエピトープ、B細胞応答を刺激する能力があるエピトープ、またはそれらの組み合わせをコードし、L5は、エピトープの天然N末端アミノ酸配列をコードする天然5’リンカー配列であり、ここで、5’リンカー配列が、少なくとも2アミノ酸長であるペプチドをコードし、L3は、エピトープの天然C末端アミノ酸配列をコードする天然3’リンカー配列であり、ここで、3’リンカー配列が、少なくとも2アミノ酸長であるペプチドをコードする。
【0021】
いくつかの態様では、エピトープコード核酸配列は、コードするエピトープの配列を、野生型核酸配列によりコードされる対応するペプチド配列とは別個のものにする少なくとも1つの変化;病原体由来ペプチド、ウイルス由来ペプチド、細菌由来ペプチド、真菌由来ペプチド、及び寄生虫由来ペプチドからなる群より選択される感染症生物ペプチドをコードする核酸配列であって、任意選択で、エピトープコード核酸配列が、MHCクラスIエピトープもしくはMHCクラスIIエピトープをコードする、感染症生物ペプチドをコードする核酸配列、またはそれらの組み合わせ、を含む。
【0022】
いくつかの態様では、組成物はさらに、ナノ粒子状送達ビヒクルを含む。いくつかの態様では、ナノ粒子状送達ビヒクルは、脂質ナノ粒子(LNP)である。いくつかの態様では、LNPは、イオン化可能なアミノ脂質を含む。いくつかの態様では、イオン化可能なアミノ脂質は、MC3様(ジリノレイルメチル-4-ジメチルアミノブチラート)分子を含む。いくつかの態様では、ナノ粒子状送達ビヒクルは、抗原発現系を内包する。
【0023】
いくつかの態様では、骨格は、アウラウイルス、フォートモルガンウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、ロスリバーウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビスウイルス、またはマヤロウイルスの少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、骨格は、ベネズエラウマ脳炎ウイルスの少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、骨格は、少なくとも、アウラウイルス、フォートモルガンウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、ロスリバーウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビスウイルス、またはマヤロウイルスのヌクレオチド配列によってコードされる、非構造タンパク質媒介性増幅のための配列、26Sプロモーター配列、ポリ(A)配列、非構造タンパク質1(nsP1)遺伝子、nsP2遺伝子、nsP3遺伝子、及びnsP4遺伝子を含む。いくつかの態様では、骨格は、少なくとも、アウラウイルス、フォートモルガンウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、ロスリバーウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビスウイルス、またはマヤロウイルスのヌクレオチド配列によってコードされる、非構造タンパク質媒介性増幅のための配列、26Sプロモーター配列、及びポリ(A)配列を含む。いくつかの態様では、非構造タンパク質媒介性増幅のための配列は、アルファウイルス5’UTR、51nt CSE、24nt CSE、26Sサブゲノミックプロモーター配列、19nt CSE、アルファウイルス3’UTR、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの態様では、骨格は、構造ビリオンタンパク質であるカプシド、E2及びE1をコードしない。いくつかの態様では、カセットは、アウラウイルス、フォートモルガンウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、ロスリバーウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビスウイルス、またはマヤロウイルスのヌクレオチド配列内で構造ビリオンタンパク質の代わりに挿入される。いくつかの態様では、ベネズエラウマ脳炎ウイルスは、配列番号3または配列番号5の配列を含む。いくつかの態様では、ベネズエラウマ脳炎ウイルスは、塩基対7544~11176の欠失をさらに含む配列番号3または配列番号5の配列を含む。いくつかの態様では、骨格は、配列番号6または配列番号7に記載の配列を含む。いくつかの態様では、カセットは、配列番号3または配列番号5の配列に記載される塩基対7544~11176の欠失に取って代わるよう7544位に挿入される。
【0024】
いくつかの態様では、カセットのうちの1つ以上は、少なくとも100、200、300、400、500、600、700、800、または900ヌクレオチド長である。いくつかの態様では、カセットのうちの1つ以上は、少なくとも1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、または10000ヌクレオチド長である。いくつかの態様では、1つ以上のベクターは、少なくとも3500ヌクレオチド長であるカセットの発現を駆動することができる。いくつかの態様では、1つ以上のベクターは、少なくとも6000ヌクレオチド長であるカセットの発現を駆動することができる。
【0025】
いくつかの態様では、少なくとも1つの抗原コード核酸配列のうちの少なくとも1つは、MHCクラスIによって提示されるエピトープをコードするエピトープコード核酸配列を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つの抗原コード核酸配列のうちの少なくとも1つは、MHCクラスIIによって提示されるエピトープをコードするエピトープコード核酸配列を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つの抗原コード核酸配列のうちの少なくとも1つは、B細胞応答を刺激することができるポリペプチド配列またはその一部分をコードするエピトープコード核酸配列を含み、任意選択で、B細胞応答を刺激することができるポリペプチド配列またはその一部分は、抗体により結合され得ることが予測されるかもしくは既知である、全長タンパク質、タンパク質ドメイン、タンパク質サブユニット、または抗原断片を含む。
【0026】
いくつかの態様では、少なくとも1つの抗原コード核酸配列は、2つ以上の抗原コード核酸配列を含む。いくつかの態様では、各抗原コード核酸配列は互いに直接連結されている。いくつかの態様では、各抗原コード核酸配列は、リンカーをコードする核酸配列により別個の抗原コード核酸配列に連結されている。
【0027】
いくつかの態様では、少なくとも1つの抗原コード核酸配列のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのHLAアレルによる提示能があることが予測または確認されている2つ以上の別個のエピトープをコードするエピトープコード核酸配列を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つの抗原コード核酸配列は、少なくとも2~10、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の核酸配列を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つの抗原コード核酸配列は、少なくとも11~20、15~20、11~100、11~200、11~300、11~400、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または最大400個の核酸配列を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つの抗原コード核酸配列は、少なくとも2~400個の核酸配列を含み、抗原コード核酸配列のうちの少なくとも2つは、(1)MHCクラスIによって提示され、(2)MHCクラスIIによって提示され、かつ/または(3)B細胞応答を刺激することができる、ポリペプチド配列もしくはそれらの一部をコードする、エピトープコード核酸配列を含む。いくつかの態様では、抗原コード核酸配列のうちの少なくとも2つは、(1)MHCクラスIによって提示され、(2)MHCクラスIIによって提示され、かつ/または(3)B細胞応答クラスを刺激することができる、ポリペプチド配列もしくはそれらの一部をコードする、エピトープコード核酸配列を含む。
【0028】
いくつかの態様では、対象に投与されて翻訳された場合、少なくとも1つのエピトープコード核酸配列によってコードされたエピトープのうちの少なくとも1つが抗原提示細胞上に提示され、細胞表面上の抗原のうちの少なくとも1つを標的とする免疫応答が生じる。いくつかの態様では、対象に投与されて翻訳された場合、少なくとも1つの抗原コード核酸配列によってコードされた抗原のうちの少なくとも1つは、抗原のうちの少なくとも1つを標的とする抗体反応を生じさせる。いくつかの態様では、少なくとも1つの抗原コード核酸配列が対象に投与されて翻訳された場合、MHCクラスIまたはMHCクラスIIの抗原のうちの少なくとも1つが抗原提示細胞上に提示され、細胞表面上の抗原のうちの少なくとも1つを標的とする免疫応答が生じ、任意選択で、少なくとも1つの抗原コード核酸配列の各々の発現が、少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列によって駆動される。
【0029】
いくつかの態様では、各MHCクラスIエピトープコード核酸配列は、8~35アミノ酸長、任意選択で、9~17、9~25、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または35アミノ酸長のポリペプチド配列をコードする。いくつかの態様では、少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列が存在する。いくつかの態様では、少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列が存在し、少なくとも1つのMHCクラスII核酸配列を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列は、12~20、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または20~40アミノ酸長である。いくつかの態様では、少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列が存在し、少なくとも1つの普遍的MHCクラスIIエピトープコード核酸配列を含み、任意選択で、少なくとも1つの普遍的配列は、破傷風トキソイド及びPADREのうちの少なくとも1つ、及び/または少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列を含む。
【0030】
いくつかの態様では、少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列または第2のプロモーターヌクレオチド配列は、誘導性である。いくつかの態様では、少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列または第2のプロモーターヌクレオチド配列は、非誘導性である。いくつかの態様では、少なくとも1つのポリ(A)配列は、骨格にとって天然のポリ(A)配列を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つのポリ(A)配列は、骨格にとって外因性のポリ(A)配列を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つのポリ(A)配列は、少なくとも1つの抗原コード核酸配列のうちの少なくとも1つに機能的に連結されている。いくつかの態様では、少なくとも1つのポリ(A)配列は、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、または少なくとも90個の連続するAヌクレオチドである。いくつかの態様では、少なくとも1つのポリ(A)配列は、少なくとも80個の連続するAヌクレオチドである。いくつかの態様では、少なくとも1つの第2のポリ(A)配列が存在する。いくつかの態様では、少なくとも1つの第2のポリ(A)配列は、SV40ポリ(A)シグナル配列もしくはウシ成長ホルモン(BGH)ポリ(A)シグナル配列、または2つ以上のSV40ポリ(A)シグナル配列もしくはBGHポリ(A)シグナル配列の組み合わせを含む。いくつかの態様では、少なくとも1つの第2のポリ(A)配列は、2つ以上の第2のポリ(A)配列を含み、任意選択で、2つ以上の第2のポリ(A)配列は、2つ以上のSV40ポリ(A)シグナル配列、2つ以上のBGHポリ(A)シグナル配列、またはSV40ポリ(A)シグナル配列とBGHポリ(A)シグナル配列の組み合わせを含む。
【0031】
いくつかの態様では、抗原カセットはさらに、イントロン配列、外因性イントロン配列、恒常的輸送エレメント(CTE)、RNA輸送エレメント(RTE)、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)配列、配列内リボソーム進入配列(IRES)配列、2A自己切断ペプチド配列をコードするヌクレオチド配列、Furin切断部位をコードするヌクレオチド配列、または少なくとも1つの抗原コード核酸配列のうちの少なくとも1つに機能的に連結されているmRNAの核外輸送、安定性、もしくは翻訳効率を増強させることが知られている5’側もしくは3’側の非コード領域内の配列、のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの態様では、抗原カセットはさらに、緑色蛍光タンパク質(GFP)、GFP変異体、分泌型アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、ルシフェラーゼバリアント、または検出可能なペプチドもしくはエピトープが含まれるがこれらに限定されないレポーター遺伝子を含む。いくつかの態様では、検出可能なペプチドまたはエピトープは、HAタグ、Flagタグ、His-タグ、またはV5タグからなる群より選択される。
【0032】
いくつかの態様では、1つ以上のベクターはさらに、少なくとも1つの免疫調節因子をコードする1つ以上の核酸配列を含む。いくつかの態様では、免疫調節因子は、抗CTLA4抗体もしくはその抗原結合断片、抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片、抗PD-L1抗体もしくはその抗原結合断片、抗4-1BB抗体もしくはその抗原結合断片、または抗OX-40抗体もしくはその抗原結合断片である。いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、Fab断片、Fab’断片、一本鎖Fv(scFv)、単一特異性抗体もしくは共に連結された多重特異性としての単一ドメイン抗体(sdAb)(例えば、ラクダ科動物の抗体ドメイン)、または全長一本鎖抗体(例えば、重鎖と軽鎖が可動性リンカーによって連結されている全長IgG)である。いくつかの態様では、抗体の重鎖配列及び軽鎖配列は、2A等の自己切断配列もしくはIRESのいずれかにより区切られている連続配列であるか、または抗体の重鎖配列及び軽鎖配列が、連続グリシン残基等の可動性リンカーによって連結されている。いくつかの態様では、免疫調節因子はサイトカインである。いくつかの態様では、サイトカインは、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、もしくはIL-21またはそれら各々のバリアントのうちの少なくとも1つである。
【0033】
本明細書ではまた、本明細書に記載される組成物のうちのいずれかのヌクレオチド配列を含むベクターまたはベクターのセットも提供する。
【0034】
本明細書ではまた、本明細書に記載される組成物のうちのいずれかのヌクレオチド配列または単離されたヌクレオチド配列のセットを含む単離細胞も提供し、任意選択で、細胞は、BHK-21、CHO、HEK293もしくはそのバリアント、911、HeLa、A549、LP-293、PER.C6、またはAE1-2a細胞である。
【0035】
本明細書ではまた、本明細書に記載される組成物のうちのいずれかの組成物及び使用説明書を含むキットも提供する。
【0036】
本明細書ではまた、対象を治療するための方法も提供し、本明細書に記載される組成物のうちのいずれかまたは本明細書に記載される医薬組成物のうちのいずれかを対象に投与することを含む。
【0037】
本明細書ではまた、対象での免疫応答を誘導するための方法も提供し、本明細書に記載される組成物のうちのいずれかまたは本明細書に記載される医薬組成物のうちのいずれかを対象に投与することを含む。
【0038】
いくつかの態様では、対象は、少なくとも1つの抗原コード核酸配列のエピトープコード核酸配列によってコードされるMHCクラスIエピトープもしくはMHCクラスIIエピトープを提示することが予測されるかまたは既知である少なくとも1つのHLAアレルを発現する。
【0039】
いくつかの態様では、上記組成物のうちのいずれかはさらに、ナノ粒子状送達ビヒクルを含む。いくつかの態様では、ナノ粒子状送達ビヒクルは脂質ナノ粒子(LNP)であってよい。いくつかの態様では、LNPは、イオン化可能なアミノ脂質を含む。いくつかの態様では、イオン化可能なアミノ脂質は、MC3様(ジリノレイルメチル-4-ジメチルアミノブチラート)分子を含む。いくつかの態様では、ナノ粒子状送達ビヒクルは、抗原発現系を内包する。
【0040】
いくつかの態様では、上記組成物のうちのいずれかはさらに複数のLNPを含み、LNPは、抗原発現系、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、及びLNPの凝集を阻害する複合脂質を含み、ここで、複数のLNP中の少なくとも約95%のLNPは、非層状形態を有する、または高電子密度であるかのいずれかである。
【0041】
いくつかの態様では、非カチオン性脂質は、(1)リン脂質と、(2)コレステロールまたはコレステロール誘導体との混合物である。
【0042】
いくつかの態様では、LNPの凝集を阻害する複合脂質は、ポリエチレングリコール(PEG)-脂質複合体である。いくつかの態様では、PEG-脂質複合体は、PEG-ジアシルグリセロール(PEG-DAG)複合体、PEGジアルキルオキシプロピル(PEG-DAA)複合体、PEG-リン脂質複合体、PEG-セラミド(PEG-Cer)複合体、及びそれらの混合物からなる群より選択される。いくつかの態様では、PEG-DAA複合体は、PEG-ジデシルオキシプロピル(C10)複合体、PEG-ジラウリルオキシプロピル(C12)複合体、PEG-ジミリスチルオキシプロピル(C14)複合体、PEG-ジパルミチルオキシプロピル(C16)複合体、PEG-ジステアリルオキシプロピル(C18)複合体、及びそれらの混合物からなる群より選択されるメンバーである。
【0043】
いくつかの態様では、抗原発現系は、LNP中に完全に封入されている。
【0044】
いくつかの態様では、LNPの非層状形態は、逆ヘキサゴナル相(HII)またはキュービック相の構造を含む。
【0045】
いくつかの態様では、カチオン性脂質は、LNP中に存在する総脂質の約10mol%~約50mol%を構成する。いくつかの態様では、カチオン性脂質は、LNP中に存在する総脂質の約20mol%~約50mol%を構成する。いくつかの態様では、カチオン性脂質は、LNP中に存在する総脂質の約20mol%~約40mol%を構成する。
【0046】
いくつかの態様では、非カチオン性脂質は、LNP中に存在する総脂質の約10mol%~約60mol%を構成する。いくつかの態様では、非カチオン性脂質は、LNP中に存在する総脂質の約20mol%~約55mol%を構成する。いくつかの態様では、非カチオン性脂質は、LNP中に存在する総脂質の約25mol%~約50mol%を構成する。
【0047】
いくつかの態様では、複合脂質は、LNP中に存在する総脂質の約0.5mol%~約20mol%を構成する。いくつかの態様では、複合脂質は、LNP中に存在する総脂質の約2mol%~約20mol%を構成する。いくつかの態様では、複合脂質は、LNP中に存在する総脂質の約1.5mol%~約18mol%を構成する。
【0048】
いくつかの態様では、LNPのうち95%超は、非層状形態を有する。いくつかの態様では、LNPのうち95%超は、高電子密度である。
【0049】
いくつかの態様では、上記組成物のうちのいずれかはさらに複数のLNPを含み、LNPは、LNP中に存在する総脂質の50mol%~65mol%を構成するカチオン性脂質;LNP中に存在する総脂質の0.5mol%~2mol%を構成する、LNPの凝集を阻害する複合脂質;及び非カチオン性脂質であって、以下のいずれか、すなわち、リン脂質とコレステロールもしくはその誘導体との混合物であって、リン脂質が、LNP中に存在する総脂質の4mol%~10mol%を構成し、コレステロールもしくはその誘導体が、LNP中に存在する総脂質の30mol%~40mol%を構成するもの;リン脂質とコレステロールもしくはその誘導体との混合物であって、リン脂質が、LNP中に存在する総脂質の3mol%~15mol%を構成し、コレステロールもしくはその誘導体が、LNP中に存在する総脂質の30mol%~40mol%を構成するもの、を含むか、またはLNP中に存在する総脂質の最大49.5mol%を構成して、リン脂質とコレステロールもしくはその誘導体との混合物に含まれ、コレステロールもしくはその誘導体が、LNP中に存在する総脂質の30mol%~40mol%を構成する、非カチオン性脂質、を含む。
【0050】
いくつかの態様では、上記組成物のうちのいずれかはさらに複数のLNPを含み、LNPは、LNP中に存在する総脂質の50mol%~85mol%を構成するカチオン性脂質;LNP中に存在する総脂質の0.5mol%~2mol%を構成する、LNPの凝集を阻害する複合脂質;及びLNP中に存在する総脂質の13mol%~49.5mol%を構成する非カチオン性脂質を含む。
【0051】
いくつかの態様では、リン脂質は、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、またはそれらの混合物を含む。
【0052】
いくつかの態様では、複合脂質は、ポリエチレングリコール(PEG)-脂質複合体を含む。いくつかの態様では、PEG-脂質複合体は、PEG-ジアシルグリセロール(PEG-DAG)複合体、PEG-ジアルキルオキシプロピル(PEG-DAA)複合体、またはそれらの混合物を含む。いくつかの態様では、PEG-DAA複合体は、PEG-ジミリスチルオキシプロピル(PEG-DMA)複合体、PEG-ジステアリルオキシプロピル(PEG-DSA)複合体、またはそれらの混合物を含む。いくつかの態様では、複合体のPEG部分は、平均分子量が約2,000ダルトンである。
【0053】
いくつかの態様では、複合脂質は、LNP中に存在する総脂質の1mol%~2mol%を構成する。
【0054】
いくつかの態様では、LNPは、式I:
の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体を含み、式中、L及びLは、それぞれ独立して、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-RC(=O)-、-C(=O)R-、-RC(=O)R-、-OC(=O)R-、-RC(=O)O-もしくは直接結合であり;Gは、C-Cアルキレン、-(C=O)-、-O(C=O)-、-SC(=O)-、-RC(=O)-または直接結合であり:-C(=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)S-、-C(=O)R-もしくは直接結合であり;Gは、C-Cアルキレンであり;Rは、HもしくはC1-C12アルキルであり;R1a及びR1bは、それぞれの出現において、独立して、(a)HもしくはC-C12アルキルであるか、または(b)R1aがHもしくはC-C12アルキルであり、R1bは、それが結合している炭素原子と共に、隣接するR1b及びそれが結合している炭素原子と一緒になって炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり;R2a及びR2bは、それぞれの出現において、独立して、(a)HもしくはC-C12アルキルであるか、または(b)R2aがHもしくはC-C12アルキルであり、R2bは、それが結合している炭素原子と共に、隣接するR2b及びそれが結合している炭素原子と一緒になって炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり;R3a及びR3bは、それぞれの出現において、独立して、(a)HもしくはC-C12アルキルであるか、または(b)R3aがHもしくはC-C12アルキルであり、R3bは、それが結合している炭素原子と共に、隣接するR及びそれが結合している炭素原子と一緒になって炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり;R4a及びR4bは、それぞれの出現において、独立して、(a)HもしくはC1-C12アルキルであるか、または(b)R4aがHもしくはC1-C12アルキルであり、R4bは、それが結合している炭素原子と共に、隣接するR4b及びそれが結合している炭素原子と一緒になって炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり;R及びRは、それぞれ独立してHまたはメチルであり;RはC4-C20アルキルであり;R及びRは、それぞれ独立してC1-C12アルキルであるか、またはRとRは、それらが結合している窒素原子と共に、5員、6員もしくは7員の複素環を形成し;a、b、c及びdは、それぞれ独立して1~24の整数であり;xは、0、1または2である。
【0055】
いくつかの態様では、LNPは、式II:
の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体を含み、式中、L及びLは、それぞれ独立して、-O(C=O)-、-(C=O)O-もしくは炭素-炭素二重結合であり、R1a及びR1bは、それぞれの出現において、独立して、(a)HもしくはC-C12アルキルであるか、または(b)R1aがHもしくはC-C12アルキルであり、R1bは、それが結合している炭素原子と共に、隣接するR1b及びそれが結合している炭素原子と一緒になって炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、R2a及びR2bは、それぞれの出現において、独立して、(a)HもしくはC-C12アルキルであるか、または(b)R2aがHもしくはC-C12アルキルであり、R2bは、それが結合している炭素原子と共に、隣接するR2b及びそれが結合している炭素原子と一緒になって炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、R3a及びR3bは、それぞれの出現において、独立して、(a)HもしくはC-C12アルキルであるか、または(b)R3aがHもしくはC-C12アルキルであり、R3bは、それが結合している炭素原子と共に、隣接するR3b及びそれが結合している炭素原子と一緒になって炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、R4a及びR4bは、それぞれの出現において、独立して、(a)HもしくはC-C12アルキルであるか、または(b)R4aがHもしくはC-C12アルキルであり、R4bは、それが結合している炭素原子と共に、隣接するR4b及びそれが結合している炭素原子と一緒になって炭素-炭素二重結合を形成するかのいずれかであり、R及びRは、それぞれ独立してメチルまたはシクロアルキルであり、Rは、それぞれの出現において、独立してHもしくはC-C12アルキルであり、R及びRは、それぞれ独立して、非置換C1-C12アルキルであるか、またはRとRは、それらが結合している窒素原子と共に、1個の窒素原子を含む5員、6員もしくは7員の複素環を形成し、a及びdは、それぞれ独立して0~24の整数であり、b及びcは、それぞれ独立して1~24の整数であり、eは、1もしくは2であるが、ただし、R1a、R2a、R3aもしくはR4aのうち少なくとも1つがC1-C12アルキルであるか、またはLもしくはLのうち少なくとも一方が-O(C=O)-もしくは-(C=O)O-であり、R1a及びR1bは、aが6の場合はイソプロピルではない、またはaが8の場合はn-ブチルではないことを条件とする。
【0056】
いくつかの態様では、上記組成物のうちのいずれかはさらに、中性脂質、ステロイド、及びポリマー結合脂質を含む1つ以上の賦形剤を含む。いくつかの態様では、中性脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、及び1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの態様では、中性脂質はDSPCである。
【0057】
いくつかの態様では、化合物と中性脂質のモル比は、約2:1~約8:1の範囲である。
【0058】
いくつかの態様では、ステロイドはコレステロールである。いくつかの態様では、化合物とコレステロールのモル比は、約2:1~1:1の範囲である。
【0059】
いくつかの態様では、ポリマー結合脂質はペグ化脂質である。いくつかの態様では、化合物とペグ化脂質のモル比は、約100:1~約25:1の範囲である。いくつかの態様では、ペグ化脂質は、PEG-DAG、PEGポリエチレン(PEG-PE)、PEG-スクシノイル-ジアシルグリセロール(PEG-S-DAG)、PEG-cerまたはPEGジアルキオキシプロピルカルバマート(dialkyoxypropylcarbamate)である。いくつかの態様では、ペグ化脂質は、以下の構造III:
を有する、またはその薬学的に許容される塩、互変異性体もしくは立体異性体であり、R10及びR11は、それぞれ独立して、10~30個の炭素原子を含有する、直鎖状または分岐状の飽和または不飽和のアルキル鎖であり、ここで、アルキル鎖は任意選択で、1つ以上のエステル結合により中断され、zは、平均値が30~60の範囲である。いくつかの態様では、R10及びR11は、それぞれ独立して、12~16個の炭素原子を有する直鎖の飽和アルキル鎖である。いくつかの態様では、zの平均は約45である。ここから開始
【0060】
いくつかの態様では、LNPは、ポリアニオン性核酸と混合すると自己組織化して非二重層構造になる。いくつかの態様では、非二重層構造は、直径が60nm~120nmである。いくつかの態様では、非二重層構造は、直径が約70nm、約80nm、約90nm、または約100nmである。いくつかの態様では、ナノ粒子状送達ビヒクルは、直径が約100nmである。
【0061】
本明細書ではまた、本明細書に記載されるヌクレオチド配列のうちのいずれかを含むベクターまたはベクターのセットも提供する。本明細書ではまた、本明細書に開示される単離されたヌクレオチド配列を含むベクターも開示する。
【0062】
本明細書ではまた、本明細書に記載されるヌクレオチド配列または単離されたヌクレオチド配列のセットのうちいずれかを含む単離細胞も提供し、任意選択で、細胞は、BHK-21、CHO、HEK293もしくはそのバリアント、911、HeLa、A549、LP-293、PER.C6、またはAE1-2a細胞である。
【0063】
本明細書ではまた、本明細書に記載される組成物のうちのいずれか及び使用説明書を含むキットも提供する。本明細書ではまた、本明細書に開示されるベクターまたは組成物及び使用説明書を含むキットも開示する。
【0064】
本明細書ではまた、Covid-19を患う対象を治療するための方法も提供し、かかる方法は、本明細書に記載される組成物のうちのいずれかまたは医薬組成物のうちのいずれかを対象に投与することを含む。
【0065】
本明細書ではまた、対象を治療するための方法も提供し、かかる方法は、本明細書に記載される組成物のうちのいずれかまたは医薬組成物のうちのいずれかを対象に投与することを含む。
【0066】
本明細書ではまた、対象での免疫応答を刺激するための方法も提供し、かかる方法は、本明細書に記載される組成物のうちのいずれかまたは医薬組成物のうちのいずれかを対象に投与することを含む。
【0067】
本明細書ではまた、対象を治療するための方法も開示し、かかる方法は、本明細書に開示されるベクターまたは本明細書に開示される医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0068】
本明細書ではまた、上記組成物のうちのいずれかの1つ以上のベクターを製造する方法も開示する。
【0069】
本明細書ではまた、本明細書に開示される組成物のうちのいずれかを製造する方法も開示する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
本発明のこれら及び他の、特徴、態様、及び利点は、以下の説明、及び添付の図面の参照によりさらに良く理解される。
【0071】
図1】単一アルファウイルス由来サブゲノミックプロモーター(SGP)を特徴とする自己増幅mRNA(SAM)系を示す。
【0072】
図2】別々のSGPにより駆動される複数の発現カセットを特徴とするSAM系を示す。
【0073】
図3】別々のアルファウイルス由来サブゲノミックプロモーター(SGP)により駆動される複数の発現カセットを特徴とするSAM系ワクチン接種を受けたマウスの、ELISpotを使用して測定された抗原特異的細胞性免疫応答を示す。免疫2週間後のIFNγ ELISpotの結果が示されている。スパイク、ヌクレオカプシド、またはOrf3aに広がる重複ペプチドプールに対するT細胞応答が示されている。
【0074】
図4】別々のCMVプロモーターにより駆動される複数の発現カセットを特徴とするChAdV系ワクチン接種を受けたマウスの、ELISpotを使用して測定された抗原特異的細胞性免疫応答を示す。免疫2週間後のIFNγ ELISpotの結果が示されている。スパイク、ヌクレオカプシド、またはOrf3aに広がる重複ペプチドプールに対するT細胞応答が示されている。
【0075】
図5】別々のSGPにより駆動される複数の発現カセット(スパイク「IDT-スパイク」及びT細胞エピトープカセット5「TCE5」)を特徴とするSAM系ワクチン接種を受けたマウスの、ELISpotを使用して測定された抗原特異的細胞性免疫応答を示す。様々なカセット編成の概略が上部に示されている。左パネルは、スパイク抗原に広がる8つの重複ペプチドプールに対する反応の総和を示す。右パネルは、NCap、膜、及びOrf3aに広がる3つの重複ペプチドプールに対する反応の総和を示す。データは、10ugの各SAMワクチンで免疫したBalb/cマウス(n=6/群)で、免疫後2週間目に脾細胞の単離を行った場合である。
【0076】
図6】別々のSGPにより駆動される複数の発現カセット(スパイク「IDT-スパイク」及びT細胞エピトープカセット5「TCE5」)を特徴とするSAM系ワクチン接種を受けたマウスのスパイク特異的IgG反応を示す。様々なカセット編成の概略が上部に示されている。Balb/cマウスを10ugの各SAMワクチンで免疫した(n=4/群)。免疫後4週間目に血清を採取して分析した。S1 IgG結合をMSD ELISAにより測定。エンドポイント力価を内挿。幾何平均、幾何学的SD。
【0077】
図7】別々のSGPにより駆動される複数の発現カセット(スパイク「IDT-スパイク」及びT細胞エピトープカセット6または7「TCE6/7」)を特徴とするSAM系ワクチン接種を受けたマウスの、ELISpotを使用して測定された抗原特異的細胞性免疫応答を示す。様々なカセット編成の概略が上部に示されている。上のパネルは、スパイク抗原に広がる8つの重複ペプチドプールに対する反応の総和を示す。下パネルは、NCap、膜、及びOrf3aに広がる3つの重複ペプチドプールに対する反応の総和を示す。データは、10ugの各SAMワクチンで免疫したBalb/cマウス(n=6/群)で、免疫後2週間目に脾細胞の単離を行った場合である。
【0078】
図8】別々のSGPにより駆動される複数の発現カセット(スパイク「IDT-スパイク」及びT細胞エピトープカセット6または7「TCE6/7」)を特徴とするSAM系ワクチン接種を受けたマウスのスパイク特異的IgG反応を示す。様々なカセット編成の概略が上部に示されている。Balb/cマウスを10ugの各SAMワクチンで免疫した(n=4/群)。免疫後4週間目に血清を採取して分析した。S1 IgG結合をMSD ELISAにより測定。エンドポイント力価を内挿。幾何平均、幾何学的SD。
【0079】
図9】別々のSGPにより駆動される複数の発現カセット(スパイク「IDT-スパイク」及びT細胞エピトープカセット5または8「TCE5/8」)を特徴とするSAM系ワクチン接種を受けたマウスの、ELISpotを使用して測定された抗原特異的細胞性免疫応答を示す。様々なカセット編成の概略が上部に示されている。上のパネルは、スパイク抗原に広がる8つの重複ペプチドプールに対する反応の総和を示す。下パネルは、NCap、膜、及びOrf3aに広がる3つの重複ペプチドプールに対する反応の総和を示す。データは、10ugの各SAMワクチンで免疫したBalb/cマウス(n=6/群)で、免疫後2週間目に脾細胞の単離を行った場合である。
【0080】
図10】別々のSGPにより駆動される複数の発現カセット(スパイク「IDT-スパイク」及びT細胞エピトープカセット5または8「TCE5/8」)を特徴とするSAM系ワクチン接種を受けたマウスのスパイク特異的IgG反応を示す。様々なカセット編成の概略が上部に示されている。Balb/cマウスを10ugの各SAMワクチンで免疫した(n=4/群)。免疫後4週間目に血清を採取して分析した。S1 IgG結合をMSD ELISAにより測定。エンドポイント力価を内挿。幾何平均、幾何学的SD。
【0081】
図11】別々のSGPにより駆動される複数の発現カセット(スパイク「SA-スパイク」、及びT細胞エピトープカセット9「TCE9」またはヌクレオカプシドとTCE11の組み合わせ「Nuc-TCE11)を特徴とするSAM系ワクチン接種を受けたマウスの、ELISpotを使用して測定された抗原特異的細胞性免疫応答を示す。様々なカセット編成の概略が上部に示されている。左パネルは、スパイク抗原に広がる8つの重複ペプチドプールに対する反応の総和を示す。中央パネルは、TCE(Orf3a、膜ならびにNSP3、4、6及び12の遺伝子)のためのタンパク質特異的ペプチドプールを用いたELISpotにより検出されたT細胞応答の和を示す。右パネルは、は、ヌクレオカプシドに広がるペプチドプールに対する反応の総和を示す。データは、10ugの各SAMワクチンで免疫したBalb/cマウス(n=6/群)で、免疫後2週間目に脾細胞の単離を行った場合である。14日目、T細胞分析のために各群で6匹のマウスから脾臓を採取した。残りのマウス(n=6)からの血清を、抗IgG MSD ELISAによりIgG応答について0週目、4週目、8週目及び12週目に分析した。4週間のIgGデータが示されている。
【0082】
図12】別々のSGPにより駆動される複数の発現カセット(スパイク「SA-スパイク」、及びT細胞エピトープカセット9「TCE9」またはヌクレオカプシドとTCE11の組み合わせ「Nuc-TCE11)を特徴とするSAM系ワクチン接種を受けたマウスのスパイク特異的IgG反応を示す。様々なカセット編成の概略が上部に示されている。Balb/cマウスを10ugの各SAMワクチンで免疫した(n=6/群)。免疫後0週目、4週目、8週目及び12週目に血清を採取して分析した。免疫4週間後が示されている。S1 IgG結合をMSD ELISAにより測定。エンドポイント力価を内挿。幾何平均、幾何学的SD。
【発明を実施するための形態】
【0083】
詳細な説明
本明細書では、多シストロン性アルファウイルス由来自己増幅mRNA(SAM)ベクター及び本明細書に記載されるペイロード/抗原発現系の送達のための組成物について記載する。多シストロン性SAMコンストラクトには、(A)自己複製アルファウイルスベースの発現系が含まれ、かかる自己複製アルファウイルスベースの発現系には1つ以上のベクターが含まれ、かかる1つ以上のベクターには、(a)RNAアルファウイルス骨格であって、(i)少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列と、(ii)少なくとも1つのポリアデニル化(ポリ(A))配列と、が含まれる、RNAアルファウイルス骨格、ならびに(b)ペイロード配列を発現する少なくとも2つのカセットであって、5’側から3’側へ配向した、少なくとも2つのカセットのうちの第1のものは、ポリヌクレオチド配列ctacggcTAAcctgaa(+1)tggaを含むコア保存プロモーター配列を含む第1のアルファウイルス由来サブゲノミックプロモーター(SGP1)を含むプロモーターヌクレオチド配列に機能的に連結されており、少なくとも2つのカセットのうちの少なくとも第2のものは、コア保存プロモーター配列を含む第2のアルファウイルス由来サブゲノミックプロモーター(SGP2)を含むプロモーターヌクレオチド配列に機能的に連結されており、SGP1サブゲノミックプロモーター及び/またはSGP2サブゲノミックプロモーターが、アルファウイルスにコードされるコア保存プロモーター配列の3’側に由来する拡張3’側プロモーター領域を含む、少なくとも2つのカセット、が含まれる。
【0084】
理論に拘束されることは望まないが、一般に、本明細書での多シストロン性SAMベクターは、当該分野に存在する潜在的な技術的制約に対処し、これには、(1)大型カセット(例えば、天然アルファウイルスサブゲノミックプロモーターから発現する天然カセットのサイズより大きい、例えば、長さが約4kb以上のカセット)が含まれている複数のペイロードの発現を改善すること、(2)複数のペイロードの発現の制御改善、例えば、異なるペイロードの相対発現を制御すること、及び(3)ベクター組み換え事象(例えば、アルファウイルスサブゲノミックプロモーター間でのベクター内部プロモーターの組み換え)の減少等によるベクター安定性の改善、が含まれるがこれらに限定されない。
【0085】
例示的ワクチンの状況では、カセットの各々は、独立して、(i)a.エピトープコード核酸配列と、b.任意選択で5’リンカー配列と、c.任意選択で3’リンカー配列と、を含む、少なくとも1つの抗原コード核酸配列を含むことができる。
【0086】
カセットには、任意選択で、少なくとも1つの第2のポリ(A)配列を含めることができ、ここで、第2のポリ(A)配列は、アルファウイルス骨格にとって天然ポリ(A)配列であるかまたは外因性ポリ(A)配列である。
【0087】
本明細書での多シストロン性SAMベクターには、コア保存プロモーター配列が含まれる複数のサブゲノミックプロモーターが含まれる。一般に、最小「保存」プロモーター配列には、ポリヌクレオチド配列ctacggcTAAcctgaa(+1)tggaが含まれ、ここで、「+1」は、サブゲノミックプロモーターの推定転写開始部位を示す。アルファウイルスサブゲノミックプロモーターの追加のフランキング配列は、プロモーター活性に影響を与えることができ、コアプロモーターの一部と見なされ得る。例えば、追加のフランキング配列は、検出可能なインビトロでの発現及び/または検出可能なインビボでの有効性(例えば、免疫応答の刺激における有効性)を生み出すために必要となる場合がある。
【0088】
サブゲノミックプロモーター(SGP1、SGP2、または両方)には、拡張3’側プロモーター領域が含まれ得る。拡張3’側プロモーター領域は、コア保存プロモーター配列の由来として用いられたアルファウイルスと同じアルファウイルスに由来し得る。拡張3’側プロモーター領域は、コア保存プロモーター配列の由来として用いられたアルファウイルスとは異なるアルファウイルスに由来し得る。拡張3’側プロモーター領域には、ポリヌクレオチド配列CTACGACATが含まれ得る。拡張3’側プロモーター領域には、ポリヌクレオチド配列CTACGACATと、アルファウイルス、例えば、コア保存プロモーター配列の由来として用いられたアルファウイルスと同じアルファウイルスに由来する、追加の拡張3’側プロモーター領域のポリヌクレオチドと、が含まれ得る。拡張3’側プロモーター領域には、ポリヌクレオチド配列AGTCTAGTCCGCCAAGが含まれ得る。拡張3’側プロモーター領域には、ポリヌクレオチド配列CTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれ得る。拡張3’側プロモーター領域は、ポリヌクレオチド配列CTACGACATを含むことができ、コア保存プロモーター配列の3’側に隣接してコードされて(すなわち、コア保存プロモーターと拡張3’側プロモーター領域との間に散在ヌクレオチドが1つも含まれない)、ポリヌクレオチド配列CTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATまたはCTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATが含まれるサブゲノミックプロモーターをもたらし得る。拡張3’側プロモーター領域は、ポリヌクレオチド配列CTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGを含むことができ、コア保存プロモーター配列の3’側に隣接してコードされて、ポリヌクレオチド配列CTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGまたはCTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれるサブゲノミックプロモーターをもたらし得る。
【0089】
サブゲノミックプロモーターのうちの一方(すなわち、SGP1またはSGP2のいずれかであって、両方ではない)には、拡張3’側プロモーター領域が含まれ得る。サブゲノミックプロモーターのうちの一方には、他方の拡張3’側プロモーター領域とは異なる拡張3’側プロモーター領域が含まれ得る(例えば、SGP1及びSGP2は、異なる拡張3’側プロモーター領域を有する)。理論に拘束されることは望まないが、例えば、拡張3’側プロモーター領域は、ベクターの安定性を、例えば、拡張3’側プロモーター領域をサブゲノミックプロモーターのうちの一方のみ(SGP1またはSGP2であって、両方ではない)に含めることでベクター組み換え事象(例えば、アルファウイルスサブゲノミックプロモーター間でのベクター内部プロモーターの組み換え)を減少させることにより改善することができる。
【0090】
理論に拘束されることは望まないが、別の例では、拡張3’側プロモーター領域は、発現の制御、例えば、様々なサブゲノミックプロモーターからのカセットの発現の相対強度を制御することを、拡張3’側プロモーター領域をサブゲノミックプロモーターのうちの一方のみ(SGP1またはSGP2であって、両方ではない)に含めることで改善することができる。
【0091】
サブゲノミックプロモーターのうちの一方のみ(すなわち、SGP1またはSGP2のいずれかであって、両方ではない)が、ポリヌクレオチド配列CTACGACATが含まれる拡張3’側プロモーター領域を含むことができる。サブゲノミックプロモーターのうちの一方のみ(すなわち、SGP1またはSGP2のいずれかであって、両方ではない)が、ポリヌクレオチド配列CTACGACATと、アルファウイルス、例えば、コア保存プロモーター配列の由来として用いられたアルファウイルスと同じアルファウイルスに由来する追加のポリヌクレオチドと、が含まれる拡張3’側プロモーター領域を含むことができる。サブゲノミックプロモーターのうちの一方のみ(すなわち、SGP1またはSGP2のいずれかであって、両方ではない)が、ポリヌクレオチド配列AGTCTAGTCCGCCAAGが含まれる拡張3’側プロモーター領域配列を含むことができる。
【0092】
サブゲノミックプロモーターのうちの1つまたは全部が、ポリヌクレオチド配列CTACGACATが含まれる拡張3’側プロモーター領域を含むことができるが、サブゲノミックプロモーターのうちの一方のみ(すなわち、SGP1またはSGP2のいずれかであって、両方ではない)が、アルファウイルス、例えば、コア保存プロモーター配列の由来として用いられたアルファウイルスと同じアルファウイルスに由来する、追加の拡張3’側プロモーター領域のポリヌクレオチドを含むことができる。サブゲノミックプロモーターのうちの1つまたは全部が、ポリヌクレオチド配列CTACGACATが含まれる拡張3’側プロモーター領域を含むことができるが、サブゲノミックプロモーターのうちの一方のみ(すなわち、SGP1またはSGP2のいずれかであって、両方ではない)が、ポリヌクレオチド配列AGTCTAGTCCGCCAAGが含まれる拡張3’側プロモーター領域配列を含むことができる。
【0093】
サブゲノミックプロモーターのうちの一方のみ(すなわち、SGP1またはSGP2のいずれかであって、両方ではない)が、ポリヌクレオチド配列CTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれる拡張3’側プロモーター領域を含むことができる。サブゲノミックプロモーターのうちの1つまたは全部が、ポリヌクレオチド配列CTACGACATが含まれる拡張3’側プロモーター領域を含むことができるが、サブゲノミックプロモーターのうちの一方のみ(すなわち、SGP1またはSGP2のいずれかであって、両方ではない)が、ポリヌクレオチド配列CTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれる拡張3’側プロモーター領域を含むことができる。
【0094】
サブゲノミックプロモーターのうちの一方のみ(すなわち、SGP1またはSGP2のいずれかであって、両方ではない)が、ポリヌクレオチド配列CTACGACATが含まれる拡張3’側プロモーター領域を含むことができ、コア保存プロモーター配列の3’側に隣接してコードされて、ポリヌクレオチド配列CTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATまたはCTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATが含まれるサブゲノミックプロモーターをもたらし得る。
【0095】
サブゲノミックプロモーターのうちの一方のみ(すなわち、SGP1またはSGP2のいずれかであって、両方ではない)が、ポリヌクレオチド配列CTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれる拡張3’側プロモーター領域を含むことができ、コア保存プロモーター配列の3’側に隣接してコードされて、ポリヌクレオチド配列CTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGまたはCTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれるサブゲノミックプロモーターをもたらし得る。
【0096】
サブゲノミックプロモーターのうちの1つまたは全部が、コア保存プロモーター配列の3’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列CTACGACATが含まれる拡張3’側プロモーター領域を含むことができるが、サブゲノミックプロモーターのうちの一方のみ(すなわち、SGP1またはSGP2のいずれかであって、両方ではない)が、ポリヌクレオチド配列CTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれる拡張3’側プロモーター領域を含むことができ、コア保存プロモーター配列の3’側に隣接してコードされ得る。
【0097】
場合によっては、対サブゲノミックプロモーター配列(すなわち、SGP1とSGP2)には、追加の拡張3’側プロモーター領域を含まないCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACまたは追加の拡張3’側プロモーター領域を含まないCTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACのいずれかと対になった、CTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGまたはCTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGのいずれかが含まれる。場合によっては、対サブゲノミックプロモーター配列(すなわち、SGP1とSGP2)には、追加の拡張3’側プロモーター領域を含まないCTACGGCTAACCTGAATGGAまたは追加の拡張3’側プロモーター領域を含まないCTCTCTACGGCTAACCTGAATGGAのいずれかと対になった、CTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGまたはCTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGのいずれかが含まれる。
【0098】
場合によっては、対サブゲノミックプロモーター配列(すなわち、SGP1とSGP2)には、いずれも追加の拡張3’側プロモーター領域を含まないCTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACと対になったCTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれる。場合によっては、対サブゲノミックプロモーター配列(すなわち、SGP1とSGP2)には、追加の拡張3’側プロモーター領域を含まないCTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACと対になったCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれる。
【0099】
場合によっては、対サブゲノミックプロモーター配列(すなわち、SGP1とSGP2)には、いずれも追加の拡張3’側プロモーター領域を含まないCTCTCTACGGCTAACCTと対になったCTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれる。場合によっては、対サブゲノミックプロモーター配列(すなわち、SGP1とSGP2)には、追加の拡張3’側プロモーター領域を含まないCTCTCTACGGCTAACCTGAATGGAと対になったCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれる。
【0100】
場合によっては、対サブゲノミックプロモーター配列(すなわち、SGP1とSGP2)には、追加の拡張3’側プロモーター領域を含まないCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACと対になったCTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれる。場合によっては、対サブゲノミックプロモーター配列(すなわち、SGP1とSGP2)には、追加の拡張3’側プロモーター領域を含まないCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACと対になったCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれる。
【0101】
場合によっては、対サブゲノミックプロモーター配列(すなわち、SGP1とSGP2)には、追加の拡張3’側プロモーター領域を含まないCTACGGCTAACCTGAATGGAと対になったCTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれる。場合によっては、対サブゲノミックプロモーター配列(すなわち、SGP1とSGP2)には、追加の拡張3’側プロモーター領域を含まないCTACGGCTAACCTGAATGGAと対になったCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれる。
【0102】
サブゲノミックプロモーター(SGP1、SGP2、または両方)には、拡張5’側プロモーター領域が含まれ得る。理論に拘束されることは望まないが、拡張5’側プロモーター領域は、発現の制御、例えば、様々なサブゲノミックプロモーターからのカセットの発現の相対強度を制御することを、拡張5’側プロモーター領域を含めることで改善することができる。拡張5’側プロモーター領域は、コア保存プロモーター配列の由来として用いられたアルファウイルスと同じアルファウイルスに由来し得る。拡張5’側プロモーター領域は、コア保存プロモーター配列の由来として用いられたアルファウイルスとは異なるアルファウイルスに由来し得る。拡張5’側プロモーター領域には、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列ctctが含まれる(すなわち、コア保存プロモーターと拡張5’側プロモーター領域との間に散在ヌクレオチドが1つも含まれない)。一実施形態では、サブゲノミックプロモーターのうちの1つ以上の各々には、最小配列ctctctacggcTAAcctgaa(+1)tggaが含まれる。
【0103】
拡張5’側プロモーター領域には、ポリヌクレオチド配列acttccatcatagttatggccatgactactctagctagcagtgttaaatcattcagctacctgagaggggcccctataactctに由来するポリヌクレオチド配列が含まれ得る。拡張5’側プロモーター領域には、ポリヌクレオチド配列acttccatcatagttatggccatgactactctagctagcagtgttaaatcattcagctacctgagaggggcccctataactctが含まれ得る。拡張5’側プロモーター領域には、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列acttccatcatagttatggccatgactactctagctagcagtgttaaatcattcagctacctgagaggggcccctataactctが含まれ得る。拡張5’側プロモーター領域には、ポリヌクレオチド配列acctgagaggggcccctataactctが含まれ得る。拡張5’側プロモーター領域には、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列acctgagaggggcccctataactctが含まれ得る。拡張5’側プロモーター領域には、ポリヌクレオチド配列gggcccctataactctが含まれ得る。拡張5’側プロモーター領域には、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列gggcccctataactctが含まれ得る。拡張5’側プロモーター領域には、ポリヌクレオチド配列ggggcccctataactctが含まれ得る。拡張5’側プロモーター領域には、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列ggggcccctataactctが含まれ得る。
【0104】
拡張5’側プロモーター領域は、ポリヌクレオチド配列gggcccctataactctからなり得る。拡張5’側プロモーター領域は、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列gggcccctataactctからなり得る。拡張5’側プロモーター領域は、ポリヌクレオチド配列ggggcccctataactctからなり得る。拡張5’側プロモーター領域は、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列ggggcccctataactctからなり得る。
【0105】
SGP2サブゲノミックプロモーターの拡張5’側プロモーター領域には、ポリヌクレオチド配列acttccatcatagttatggccatgactactctagctagcagtgttaaatcattcagctacctgagaggggcccctataactctに由来するポリヌクレオチド配列が含まれ得る。SGP2サブゲノミックプロモーターの拡張5’側プロモーター領域には、ポリヌクレオチド配列acttccatcatagttatggccatgactactctagctagcagtgttaaatcattcagctacctgagaggggcccctataactctが含まれ得る。SGP2サブゲノミックプロモーターの拡張5’側プロモーター領域には、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列acttccatcatagttatggccatgactactctagctagcagtgttaaatcattcagctacctgagaggggcccctataactctが含まれ得る。SGP2サブゲノミックプロモーターの拡張5’側プロモーター領域には、ポリヌクレオチド配列acctgagaggggcccctataactctが含まれ得る。SGP2サブゲノミックプロモーターの拡張5’側プロモーター領域には、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列acctgagaggggcccctataactctが含まれ得る。SGP2サブゲノミックプロモーターの拡張5’側プロモーター領域には、ポリヌクレオチド配列gggcccctataactctが含まれ得る。SGP2サブゲノミックプロモーターの拡張5’側プロモーター領域には、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列gggcccctataactctが含まれ得る。SGP2サブゲノミックプロモーターの拡張5’側プロモーター領域は、ポリヌクレオチド配列gggcccctataactctからなり得る。SGP2サブゲノミックプロモーターの拡張5’側プロモーター領域は、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列gggcccctataactctからなり得る。SGP2サブゲノミックプロモーターの拡張5’側プロモーター領域は、ポリヌクレオチド配列ggggcccctataactctからなり得る。SGP2サブゲノミックプロモーターの拡張5’側プロモーター領域は、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされるポリヌクレオチド配列ggggcccctataactctからなり得る。
【0106】
拡張プロモーター領域には、1つ以上の転写エンハンサーエレメントが含まれ得る。エンハンサーエレメントは、コアプロモーター配列(複数可)の3’側でも5’側でもコードされ得る。SGP1、SGP2のいずれか、または両方が、エンハンサーエレメントを含むことができる。エンハンサーエレメントは、コア保存プロモーター配列の由来として用いられたアルファウイルスと同じアルファウイルスに由来し得る。エンハンサーエレメントは、コア保存プロモーター配列の由来として用いられたアルファウイルスとは異なるアルファウイルスに由来し得る。特に、天然アルファウイルスのnsp4遺伝子のC末端部分をコードするポリヌクレオチドは、天然の26Sサブゲミック転写プロモーターとの関連においてアルファウイルスサブゲノミックプロモーターのコア保存プロモーター配列と重複する。したがって、SGP1、SGP2のいずれか、または両方が、アルファウイルス非構造タンパク質4(nsp4)に由来するポリヌクレオチド配列が含まれるエンハンサーエレメントを含むことができ、これは一般に、コア保存プロモーター配列の5’側でコードされ、例えば、コア保存プロモーター配列の5’側に隣接してコードされる。nsp4のC末端部分をコードするポリヌクレオチドには、配列GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACが含まれ得るサブゲノミックプロモーターをもたらす追加の配列GGGCCCCTATAAが含まれ得る。SGP1、SGP2のいずれか、または両方が、配列GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACを含むことができる。コア保存プロモーター配列の5’側にnsp4のC末端部分をコードするポリヌクレオチドを、及びコア保存プロモーター配列の3’側に拡張3’側プロモーター領域のCTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGを含めることにより、配列GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれるサブゲノミックプロモーター(これは一般に、SGP1またはSGP2のいずれかに限られ、両方ではない)をもたらすことができる。nsp4のC末端部分をコードするポリヌクレオチドには、配列GGGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACが含まれ得るサブゲノミックプロモーターをもたらす追加の配列GGGGCCCCTATAAが含まれ得る。SGP1、SGP2のいずれか、または両方が、配列GGGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACを含むことができる。コア保存プロモーター配列の5’側にnsp4のC末端部分をコードするポリヌクレオチドを、及びコア保存プロモーター配列の3’側に拡張プロモーター領域のCTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGを含めることにより、配列GGGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれるサブゲノミックプロモーター(これは一般に、SGP1またはSGP2のいずれかに限られ、両方ではない)をもたらすことができる。
【0107】
コア保存プロモーター配列の5’側にnsp4のC末端部分をコードするポリヌクレオチドを、及びコア保存プロモーター配列の3’側に拡張プロモーター領域のCTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGを含めることにより、以下の配列対が含まれるサブゲノミックプロモーターをもたらすことができる:
(1)GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACが含まれるSGP1及びGGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれるSGP2、
(2)GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACが含まれるSGP2及びGGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれるSGP1、
(3)CTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACが含まれるSGP1及びGGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれるSGP2、
(4)CTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACが含まれるSGP2及びGGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれるSGP1、
(5)GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACが含まれるSGP1及びCTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれるSGP2、
(6)GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACが含まれるSGP2及びCTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGが含まれるSGP1。
【0108】
コア保存プロモーター配列の5’側にnsp4のC末端部分をコードするポリヌクレオチドを、及びコア保存プロモーター配列の3’側に拡張プロモーター領域のatagtctagtccgccaagを含めることにより、以下の配列対からなるサブゲノミックプロモーターをもたらすことができる、
(1)GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACからなるSGP1及びGGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGからなるSGP2、
(2)GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACからなるSGP2及びGGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGからなるSGP1、
(3)CTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACからなるSGP1及びGGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGからなるSGP2、
(4)CTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACからなるSGP2及びGGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGからなるSGP1、
(5)GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACからなるSGP1及びCTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGからなるSGP2、
(6)GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACからなるSGP2及びCTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAGからなるSGP1。
【0109】
RNAアルファウイルス骨格の少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列には、SGP1サブゲノミックプロモーターが含まれ得る。例えば、SGP1とは、アルファウイルス骨格によってもたらされる「天然」サブゲノミックプロモーターを指し得る。
【0110】
カセットを、発現レベルの制御が提供されるよう並べることができる。例えば、理論に拘束されることは望まないが、図2で示すように、別々のSGPにより駆動される複数の発現カセットを特徴とするSAM系は、SGP1とSGP2の両方が第2の遺伝子をコードする転写産物を産生することを考えると、第2のSGP(SGP2)の制御下にある遺伝子を高発現させることができる。したがって、多シストロン性SAMベクターは、カセットの発現を、同じカセットがSGP1サブゲノミックプロモーターに機能的に連結されている場合と比べて少なくとも2倍促進することができるSGP2サブゲノミックプロモーターを有し得る。いくつかの実施形態では、拡張プロモーター領域(例えば、5’nsp4ポリヌクレオチド及び/または上記のatagtctagtccgccaag)は、カセットの発現を、同じカセットがSGP1サブゲノミックプロモーターに機能的に連結されている場合と比べて少なくとも2倍促進することができるSGP2に含められる。
【0111】
カセットは、そのカセットからのペイロードの発現を駆動することができるサブゲノミックプロモーターにカセットが機能的に連結されるよう構成することができる。例えば、サブゲノミックプロモーターは、カセットのコザック配列5’側に隣接することを含め、カセットの5’側に隣接させることができる。
【0112】
I.定義
一般に、特許請求の範囲及び明細書で使用される用語は、当業者により理解される平易な意味を有するものと解釈されることが意図される。さらに明確にするために、以下に特定の用語を定義する。平易な意味と記載の定義の間に矛盾がある場合は、記載の定義が使用される。
【0113】
本明細書で使用される場合、用語「抗原」は、免疫応答を刺激する物質である。抗原は、ネオアンチゲンであり得る。抗原は、特定の集団、例えば、がん患者の特定の集団の間で見られる抗原である「共通抗原」であり得る。
【0114】
本明細書で使用される場合、用語「ネオアンチゲン」は、例えば、腫瘍細胞での変異または腫瘍細胞に特異的な翻訳後修飾を介して、対応する野生型抗原とは異なるものにする、少なくとも1つの変化を有する抗原である。ネオアンチゲンには、ポリペプチド配列またはヌクレオチド配列が含まれ得る。変異には、フレームシフトもしくは非フレームシフトのインデル、ミスセンスもしくはナンセンスの置換、スプライス部位の変化、ゲノム再編成もしくは遺伝子融合、またはネオORFを生じさせる任意のゲノム変化もしくは発現変化が含まれ得る。変異にはまた、スプライスバリアントも含まれ得る。腫瘍細胞に特異的な翻訳後修飾には、異常なリン酸化が含まれ得る。腫瘍細胞に特異的な翻訳後修飾にはまた、プロテアソームにより生成されたスプライス抗原も含まれ得る。Liepe et al.,A large fraction of HLA class I ligands are proteasome-generated spliced peptides;Science.2016 Oct 21;354(6310):354-358を参照のこと。対象は、様々な診断方法、例えば、以下に詳述される患者選択方法の使用を介して投与のために特定され得る。
【0115】
本明細書で使用される場合、用語「腫瘍抗原」は、対象の腫瘍細胞もしくは組織中に存在するが、対象の対応する正常な細胞もしくは組織には存在しない抗原であるか、または正常な細胞もしくは組織と比較して、腫瘍細胞もしくはがん性組織において発現が変化していることが既知であるかもしくはそのことが見出されたポリペプチドに由来する抗原である。
【0116】
本明細書で使用される場合、用語「抗原ベースのワクチン」は、1つ以上の抗原、例えば、複数の抗原に基づいたワクチン組成物である。ワクチンは、ヌクレオチドベース(例えば、ウイルスベース、RNAベース、またはDNAベース)、タンパク質ベース(例えば、ペプチドベース)、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0117】
本明細書で使用される場合、用語「候補抗原」は、抗原を表し得る配列を生じさせる変異または他の異常である。
【0118】
本明細書で使用される場合、用語「コード領域」は、タンパク質をコードする遺伝子の部分(複数可)である。
【0119】
本明細書で使用される場合、用語「コード変異」は、コード領域で生じる変異である。
【0120】
本明細書で使用される場合、用語「ORF」とは、オープンリーディングフレームを意味する。
【0121】
本明細書で使用される場合、用語「NEO-ORF」は、変異またはスプライシング等の他の異常から生じる腫瘍特異的ORFである。
【0122】
本明細書で使用される場合、用語「ミスセンス変異」は、あるアミノ酸から別のアミノ酸への置換を引き起こす変異である。
【0123】
本明細書で使用される場合、用語「ナンセンス変異」は、あるアミノ酸から終止コドンへの置換を引き起こすか、または標準開始コドンの除去を引き起こす変異である。
【0124】
本明細書で使用される場合、用語「フレームシフト変異」は、タンパク質のフレームに変化を引き起こす変異である。
【0125】
本明細書で使用される場合、用語「インデル」は、1つ以上の核酸の挿入または欠失である。
【0126】
本明細書で使用される場合、2つ以上の核酸またはポリペプチドの配列との関連での「同一性」パーセントという用語は、以下に記載の配列比較アルゴリズム(例えば、BLASTP及びBLASTNまたは当業者に利用可能な他のアルゴリズム)のうちの1つを使用するかまたは目視検査によって測定される、最大一致度について比較及びアラインメントを行った場合に、明示されたパーセンテージのヌクレオチドまたはアミノ酸残基が同じである2つ以上の配列または部分配列を指す。用途に応じて、「同一性」パーセントは、比較される配列の領域にわたって、例えば、機能ドメインにわたって存在することもあれば、別の場合には、比較される2配列の全長にわたって存在することもある。
【0127】
配列比較では典型的には、1つの配列が参照配列の役目を果たし、これに対して被験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、被験配列及び参照配列をコンピュータに入力し、必要に応じて部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムのパラメータを指定する。その後、配列比較アルゴリズムが、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する被験配列(複数可)の配列同一性パーセントを算出する。別法として、配列の類似性または非類似性は、選択された配列位置(例えば、配列モチーフ)における、特定のヌクレオチドの、または翻訳された配列の場合はアミノ酸の、有無の組み合わせによって確立することができる。
【0128】
比較のための配列の最適アラインメントは、例えば、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所的相同性アルゴリズムによるか、Needleman & Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムによるか、Pearson & Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性検索方法によるか、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.内にあるGAP,BESTFIT,FASTA,及びTFASTA)によるか、または目視検査(概要は、下記Ausubel et al.を参照のこと)によって行うことができる。
【0129】
配列同一性パーセント及び配列類似性を決定するのに好適なアルゴリズムの一例はBLASTアルゴリズムであり、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)に記載されている。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationを介して公的に入手可能である。
【0130】
本明細書で使用される場合、用語「ノンストップまたはリードスルー」は、天然の終止コドンの除去を引き起こす変異である。
【0131】
本明細書で使用される場合、用語「エピトープ」は、抗体またはT細胞受容体が典型的に結合する、抗原の特定部分である。
【0132】
本明細書で使用される場合、用語「免疫原性」は、免疫応答を、例えば、T細胞、B細胞、または両方を介して刺激する能力である。
【0133】
本明細書で使用される場合、用語「HLA結合親和性」、「MHC結合親和性」とは、特定の抗原と特定のMHCアレルの間での結合の親和性を意味する。
【0134】
本明細書で使用される場合、用語「ベイト」は、試料からのDNAまたはRNAの特定の配列を濃縮するために使用される核酸プローブである。
【0135】
本明細書で使用される場合、用語「バリアント」は、対象の核酸と、対照として使用される参照ヒトゲノムとの間の差である。
【0136】
本明細書で使用される場合、用語「バリアントコール」は、典型的にはシークエンシングからの、バリアントの存在のアルゴリズム的決定である。
【0137】
本明細書で使用される場合、用語「多型」は、生殖細胞系列バリアント、すなわち、個体の、DNAを持つ細胞すべてに見出されるバリアントである。
【0138】
本明細書で使用される場合、用語「体細胞バリアント」は、個体の非生殖系細胞に生じるバリアントである。
【0139】
本明細書で使用される場合、用語「アレル」は、遺伝子のバージョンまたは遺伝子配列のバージョンまたはタンパク質のバージョンである。
【0140】
本明細書で使用される場合、用語「HLA型」は、HLA遺伝子アレルを補足するものである。
【0141】
本明細書で使用される場合、用語「ナンセンス変異依存分解機構」または「NMD」は、未成熟終止コドンに起因する細胞によるmRNAの分解である。
【0142】
本明細書で使用される場合、用語「幹変異(truncal mutation)」は、腫瘍発生の初期に生じる、腫瘍の細胞の大部分に存在する変異である。
【0143】
本明細書で使用される場合、用語「サブクローナル変異(subclonal mutation)」は、腫瘍発生の後期に生じる、腫瘍細胞のサブセットにのみ存在する変異である。
【0144】
本明細書で使用される場合、用語「エクソーム」は、タンパク質をコードするゲノムのサブセットである。エクソームは、ゲノムのうちのエクソン集であり得る。
【0145】
本明細書で使用される場合、用語「ロジスティック回帰」は、従属変数が1に等しい確率のロジットを従属変数の線形関数としてモデル化する、統計からの2値のデータに関する回帰モデルである。
【0146】
本明細書で使用される場合、用語「ニューラルネットワーク」は、多層の線形変換、それに続く、典型的には確率的勾配降下法及び誤差逆伝播法により訓練される要素ごとの非線形変換を行うことからなる、分類または回帰のための機械学習モデルである。
【0147】
本明細書で使用される場合、用語「プロテオーム」は、細胞、細胞群、または個体によって発現及び/または翻訳される全タンパク質のセットである。
【0148】
本明細書で使用される場合、用語「ペプチドーム」は、細胞表面上のMHC-IまたはMHC-IIによって提示される全ペプチドのセットである。ペプチドームは、細胞または細胞集の特性を指す場合がある(例えば、腫瘍を構成する細胞すべてのペプチドームの結合体を意味する腫瘍ペプチドーム、または感染症により感染している細胞すべてのペプチドームの結合体を意味する感染症ペプチドーム)。
【0149】
本明細書で使用される場合、用語「ELISPOT」とは、酵素結合免疫吸着スポットアッセイを意味し、これは、ヒト及び動物での免疫応答をモニタリングするための一般的な方法である。
【0150】
本明細書で使用される場合、用語「デキストラマー」は、フローサイトメトリーにおいて抗原特異的T細胞染色に使用される、デキストランベースのペプチド-MHC多量体である。
【0151】
本明細書で使用される場合、用語「寛容または免疫寛容」は、1つ以上の抗原、例えば、自己抗原に対する免疫不応答性の状態である。
【0152】
本明細書で使用される場合、用語「中枢性寛容」は、自己反応性T細胞クローンを除去すること、または自己反応性T細胞クローンを促進して免疫抑制性の制御性T細胞(Treg)に分化させることのいずれかによって、胸腺において影響を受ける寛容である。
【0153】
本明細書で使用される場合、用語「末梢性寛容」は、中枢性寛容を生き延びた自己反応性T細胞を下方制御もしくはアネルギー化すること、またはこれらのT細胞を促進してTregに分化させることによって、末梢において影響を受ける寛容である。
【0154】
用語「試料」には、静脈穿刺、排泄、射精、マッサージ、生検、針吸引、洗浄試料、擦過、外科的切開、もしくは介入、または当該技術分野で公知の他の手段が含まれる手段によって対象から採取された、単一細胞もしくは複数の細胞または細胞の断片あるいは体液のアリコートが含まれ得る。
【0155】
用語「対象」は、細胞、組織、または生物、ヒトもしくは非ヒトを包含し、雌雄、インビボ、エキソビボ、またはインビトロを問わない。対象という用語は、ヒト等の哺乳類を含む。
【0156】
用語「哺乳類」は、ヒト及び非ヒトの両方を包含し、これには、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、マウス、ウシ、ウマ、及びブタが含まれるが、これらに限定されない。
【0157】
用語「臨床因子」とは、対象の状態、例えば、疾患の活動性または重症度の尺度を指す。「臨床因子」は、非試料マーカーを含む対象の健康状態のすべてのマーカー、及び/または対象の他の特徴、例えば、限定することなく、年齢及び性を包含する。臨床因子は、対象からの試料(または試料の集団)または決定されている条件下の対象の評価から取得され得るスコア、値、または値のセットであり得る。臨床因子はまた、マーカー、及び/または遺伝子発現代替物等の他のパラメータによって予測することもできる。臨床因子には、腫瘍の種類、腫瘍サブタイプ、感染症の種類、感染症サブタイプ、及び喫煙歴が含まれ得る。
【0158】
用語「腫瘍に由来する抗原コード核酸配列」とは、例えばRT-PCRを介して、腫瘍から取得される核酸配列;または腫瘍をシークエンシングし、次いで、シークエンシングデータを使用して、例えば、当該技術分野で公知の様々な合成法もしくはPCRベースの方法を介して核酸配列を合成することにより取得される配列データを指す。派生配列には、配列が最適化された核酸配列バリアント(例えば、コドン最適化及び/または発現のための他の最適化)等の、核酸配列バリアントが含まれ得、それらは、腫瘍から取得される対応する天然核酸配列がコードするポリペプチド配列と同じポリペプチド配列をコードする。
【0159】
用語「感染症に由来する抗原コード核酸配列」とは、例えばRT-PCRを介して、感染細胞もしくは感染症生物から取得される核酸配列、または感染細胞もしくは感染症生物をシークエンシングし、次いで、シークエンシングデータを使用して、例えば、当該技術分野で公知の様々な合成法もしくはPCRベースの方法を介して核酸配列を合成することにより取得される配列データを指す。派生配列には、配列が最適化された核酸配列バリアント(例えば、コドン最適化及び/または発現のための他の最適化)等の、核酸配列バリアントが含まれ得、それらは、対応する天然感染症生物核酸配列がコードするポリペプチド配列と同じポリペプチド配列をコードする。派生配列には、天然感染症生物ポリペプチド配列に対して1つ以上(例えば、1、2、3、4、または5)の変異を有する改変感染症生物ポリペプチド配列をコードする核酸配列バリアントが含まれ得る。例えば、改変ポリペプチド配列は、感染症生物タンパク質の天然ポリペプチド配列に対して1つ以上のミスセンス変異を有し得る。
【0160】
用語「アルファウイルス」とは、トガウイルス(Togaviridae)科のメンバーを指し、一本鎖プラス鎖RNAウイルスである。アルファウイルスは典型的には、シンドビスウイルス、ロスリバーウイルス、マヤロウイルス、チクングニアウイルス、及びセムリキ森林ウイルス等の旧世界、または東部ウマ脳炎、アウラウイルス、フォートモルガンウイルス、もしくはベネズエラウマ脳炎ウイルス及びその派生株TC-83等の新世界に分類される。アルファウイルスは典型的には、自己複製RNAウイルスである。
【0161】
用語「アルファウイルス骨格」とは、ウイルスゲノムの自己複製を可能にするアルファウイルスの最小配列(複数可)を指す。最小配列には、非構造タンパク質媒介性増幅のための保存配列、非構造タンパク質1(nsP1)遺伝子、nsP2遺伝子、nsP3遺伝子、nsP4遺伝子、及びポリA配列、ならびにサブゲノミック(例えば、26S)プロモーターエレメント等のサブゲノミックウイルスRNAの発現のための配列が含まれ得る。
【0162】
用語「非構造タンパク質媒介性増幅のための配列」には、当業者に周知のアルファウイルス保存配列エレメント(CSE:conserved sequence element)が含まれる。CSEとしては、アルファウイルス5’UTR、51nt CSE、24nt CSE、サブゲノミックプロモーター配列(例えば、26Sサブゲノミックプロモーター配列)、19nt CSE、及びアルファウイルス3’UTRが挙げられるが、これらに限定されない。
【0163】
用語「RNAポリメラーゼ」には、DNAテンプレートからのRNAポリヌクレオチドの生成を触媒するポリメラーゼが含まれる。RNAポリメラーゼとしては、T3、T7、及びSP6等のバクテリオファージ由来のポリメラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
用語「脂質」には、疎水性及び/または両親媒性の分子が含まれる。脂質は、カチオン性、アニオン性、または中性であり得る。脂質は、合成でも天然由来でもあり得、場合によっては生物分解性であり得る。脂質には、コレステロール、リン脂質、ポリエチレングリコール(PEG)複合体(PEG化脂質)等のこれに限定されない脂質複合体、ワックス、油、グリセリド、脂肪、及び脂溶性ビタミンが含まれ得る。脂質にはまた、ジリノレイルメチル-4-ジメチルアミノブチラート(MC3)及びMC3様分子も含まれ得る。
【0165】
用語「脂質ナノ粒子」または「LNP」には、水性内部を囲む脂質含有膜を使用して形成される小胞様構造が含まれ、リポソームとも呼ばれる。脂質ナノ粒子には、界面活性剤により安定化された固体脂質コアを有する脂質ベース組成物が含まれる。コア脂質は、脂肪酸、アシルグリセロール、ワックス、及びこれらの界面活性剤の混合物であり得る。リン脂質、スフィンゴミエリン、胆汁酸塩(タウロコール酸ナトリウム)、及びステロール(コレステロール)等の生体膜脂質を安定化剤として用いることができる。脂質ナノ粒子は、1つ以上のカチオン性、アニオン性、または中性の脂質の定義された比を含め、これに限定されない、異なる脂質分子について定義された比を使用して形成することができる。脂質ナノ粒子は、外膜シェル内に分子を内包することができ、その後、標的細胞と接触させて内包された分子を宿主細胞サイトゾルに送達することができる。脂質ナノ粒子は、それらの表面も含めて、非脂質分子を用いて修飾または機能化することができる。脂質ナノ粒子は、単一層(単層(unilamellar))または多層(多重層(multilamellar))であり得る。脂質ナノ粒子は、核酸と複合体を形成することができる。単層脂質ナノ粒子は核酸と複合体を形成することができ、ここで、核酸は水性内部にある。多重層脂質ナノ粒子は核酸と複合体を形成することができ、ここで、核酸は水性内部にあるか、または形成するかもしくは間に挟まれる。
【0166】
略語:MHC:major histocompatibility complex(主要組織適合遺伝子複合体);HLA:human leukocyte antigen(ヒト白血球抗原)、またはhuman MHC gene locus(ヒトMHC遺伝子座);NGS:next-generation sequencing(次世代シークエンシング);PPV:positive predictive value(陽性適中率);TSNA:tumor-specific neoantigen(腫瘍特異的ネオアンチゲン);FFPE:formalin-fixed,paraffin-embedded(ホルマリン固定パラフィン包埋);NMD:nonsense-mediated decay(ナンセンス変異依存分解機構);NSCLC:non-small-cell lung cancer(非小細胞肺癌);DC:dendritic cell(樹状細胞)。
【0167】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」には、文脈で特に明示されない限り、複数の指示対象が含まれることに留意すべきである。
【0168】
具体的に記述されるかまたは文脈から明らかでない限り、用語「約」は、本明細書で使用される場合、当該技術分野における通常の許容公差の範囲内、例えば、平均の2標準偏差以内であると理解される。「約」は、記述された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内であると理解され得る。文脈から別様に明確でない限り、本明細書で提供されるすべての数値は、約という用語によって修飾される。
【0169】
本明細書で直接定義されていないいかなる用語も、本発明の技術分野内で理解されるような、それらの用語に共通して関連付けられる意味を有すると理解されるべきである。本明細書では、本発明の態様の組成物、デバイス、方法等、及びそれらをどのように作製または使用するかを説明するうえで、実践者に追加のガイダンスを提供するために特定の用語が論じられる。同じものについて複数の言い方で言われる場合があることを認識されよう。したがって、本明細書で論じられる用語のうちの任意の1つ以上について代替言語及び同義語が使用される場合がある。ある用語が本明細書で詳述されるかもしくは論じられているか否かは重要ではない。いくつかの同義語または代用可能な方法、材料等が提供される。明示的に記述されていない限り、1つまたは少数の同義語または同等物の記述は、他の同義語または同等物の使用を排除するものではない。用語の例を含め、例の使用は、例示のみを目的としており、本明細書での本発明の態様の範囲及び意味を限定するものではない。
【0170】
本明細書の本文中で引用されているすべての参考文献、発行済特許、及び特許出願は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0171】
II.抗原の同定
腫瘍及び正常のエクソーム及びトランスクリプトームのNGS分析のための研究方法が報告されており、抗原同定領域に適用されている6,14、15。臨床現場での抗原同定のための感度及び特異性の増大のための特定の最適化を考慮することができる。これらの最適化は、2つの領域、すなわち、実験室プロセスに関連するものと、NGSデータ分析に関連するものとに分類することができる。記載の研究方法はまた、他の状況での抗原の同定、例えば、感染症生物、対象での感染、または対象の感染細胞から抗原を同定する同定に適用することができる。最適化の例は当業者に公知であり、例えば、米国特許第10,055,540号、米国出願公開第US20200010849A1号、米国出願公開第16/606,577号、ならびに国際特許出願公開第WO2020181240A1号、同第WO/2018/195357号及び同第WO/2018/208856号に方法が詳述されており、それぞれ、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0172】
抗原(例えば、腫瘍または感染症生物に由来する抗原)を同定するための方法には、細胞表面に提示される(例えば、樹状細胞等のプロフェッショナル抗原提示細胞を含め、腫瘍細胞、感染細胞、または免疫細胞にMHCによって提示される)可能性の高い抗原、及び/または免疫原性である可能性の高い抗原を同定することが含まれる。一例として、そのような方法の1つは、腫瘍、感染細胞、もしくは感染症生物から、エクソーム、トランスクリプトームもしくは全ゲノムのヌクレオチド配列決定及び/または発現のデータのうちの少なくとも1つを取得するステップであって、ヌクレオチド配列決定データ及び/または発現データが、抗原(例えば、腫瘍または感染症生物に由来する抗原)のセットのそれぞれのペプチド配列を表すデータを取得するために使用される、取得するステップ;抗原の各々が1つ以上のMHCアレルによって細胞表面、例えば、対象の腫瘍細胞または感染細胞の表面に提示される数的可能性のセットを生成するために、各抗原のペプチド配列を1つ以上の提示モデルに入力するステップであって、数的可能性のセットが、受け取った質量分析データに少なくとも基づいて同定されている、入力するステップ;ならびに選択抗原のセットを生成するために、数的可能性のセットに基づいて抗原のセットのサブセットを選択するステップ、を含み得る。
【0173】
II.B.ネオアンチゲンにおける腫瘍特異的変異の同定
本明細書ではまた、ある特定の変異(例えば、がん細胞に存在するバリアントまたはアレル)の同定のための方法も開示する。特に、これらの変異は、がんを有する対象のがん細胞のゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、またはエクソームには存在するが、対象の正常組織には存在しない可能性がある。共通ネオアンチゲンを含め、腫瘍に特異的なネオアンチゲンを同定するための特定の方法が当業者に公知であり、例えば、米国特許第10,055,540号、米国出願公開第US20200010849A1号、ならびに国際特許出願公開第WO/2018/195357号及び同第WO/2018/208856号に方法が詳述されており、それぞれ、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。腫瘍に特異的な共通ネオアンチゲンの例は、国際特許出願公開第WO2019226941A1号に詳述されており、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。共通ネオアンチゲンには、KRAS関連変異(例えば、KRAS G12C、KRAS G12V、KRAS G12D、及び/またはKRAS Q61H変異)が含まれるが、これらに限定されない。例えば、KRAS関連MHCクラスIネオエピトープには、野生型(WT)ヒトKRASに関する変異、例えば、以下の例示的アミノ酸配列に関する変異が含まれ得る:
MTEYKLVVVGAGGVGKSALTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGETCLLDILDTAGQEEYSAMRDQYMRTGEGFLCVFAINNTKSFEDIHHYREQIKRVKDSEDVPMVLVGNKCDLPSRTVDTKQAQDLARSYGIPFIETSAKTRQRVEDAFYTLVREIRQYRLKKISKEEKTPGCVKIKKCIIM。
【0174】
腫瘍における遺伝子変異は、それらが腫瘍においてのみタンパク質のアミノ酸配列の変化をもたらす場合には、腫瘍の免疫学的標的化に有用であると見なすことができる。有用な変異には、(1)タンパク質に異なるアミノ酸をもたらす非同義変異、(2)終止コドンが修飾または欠失されて、C末端に新規の腫瘍特異的配列を持つより長いタンパク質の翻訳をもたらすリードスルー変異、(3)成熟mRNAにイントロンが包含されてしまい、そのため固有の腫瘍特異的タンパク質配列をもたらすスプライス部位変異、(4)2つのタンパク質の接合部に腫瘍特異的配列を持つキメラタンパク質を生じさせる染色体再構成(すなわち、遺伝子融合)、(5)新規の腫瘍特異的タンパク質配列を持つ新たなオープンリーディングフレームをもたらすフレームシフト変異または欠失、が挙げられる。変異にはまた、非フレームシフトインデル、ミスセンス置換もしくはナンセンス置換、スプライス部位の変化、ゲノム再編成もしくは遺伝子融合、またはネオORFを生じさせる任意のゲノム変化もしくは発現変化のうちの1つ以上も含まれ得る。
【0175】
例えば、腫瘍細胞におけるスプライス部位、フレームシフト、リードスルー、もしくは遺伝子融合の変異から生じる、変異を有するペプチドまたは変異ポリペプチドは、腫瘍と正常細胞を対比させたDNA、RNAもしくはタンパク質のシークエンシングを行うことによって同定することができる。
【0176】
また、変異には、以前に同定されている腫瘍特異的変異も含まれ得る。既知の腫瘍変異は、Catalogue of Somatic Mutations in Cancer(COSMIC)データベースに見出すことができる。
【0177】
個体のDNAまたはRNAにおける特定の変異またはアレルの存在を検出するために様々な方法が利用可能である。この分野での進歩により、正確、容易、かつ安価な大規模SNPジェノタイピングが提供された。例えば、動的アレル特異的ハイブリダイゼーション(DASH)、マイクロプレートアレイ対角ゲル電気泳動(MADGE)、パイロシークエンス法、オリゴヌクレオチド特異的ライゲーション、TaqManシステム、及びAffymetrix SNPチップ等の各種DNA「チップ」技術を含め、いくつかの技術が報告されている。これらの方法では、典型的にはPCRによる、標的遺伝子領域の増幅を利用する。さらに他の方法は、侵入切断、それに続く質量分析法、または固定化南京錠型プローブ(padlock probe)及びローリングサークル増幅による、小シグナル分子の生成に基づく。特異的変異を検出するための当該技術分野で公知の方法のいくつかを以下にまとめる。
【0178】
PCRベースの検出手段では、複数のマーカーのマルチプレックス増幅を同時に含むことができる。例えば、サイズが重複しない、同時に分析可能なPCR産物が生成されるようPCRプライマーを選択することは当該技術分野において周知である。別法として、差別的に標識され、そのため各々が差別的に検出可能なプライマーを用いて、異なるマーカーを増幅させることが可能である。当然のことながら、ハイブリダイゼーションに基づく検出手段により、試料中の複数のPCR産物の差別的な検出が可能になる。複数のマーカーの多重分析を可能にする他の技術が当該技術分野で公知である。
【0179】
ゲノムDNAまたは細胞RNAにおける一塩基多型の分析を容易にするために、いくつかの方法が開発されている。例えば、一塩基多型は、例えばMundy,C.R.(米国特許第4,656,127号)に開示されているような、特殊化したエキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを使用することによって検出することができる。その方法によれば、多型性部位に対して3’側に隣接するアレル配列に相補的なプライマーは、特定の動物またはヒトから取得された標的分子にハイブリダイズ可能にされている。標的分子上の多型性部位が、存在する特定のエキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチド誘導体に相補的なヌクレオチドを含有している場合は、その誘導体が、ハイブリダイズしたプライマーの末端に組み込まれる。そのような組み込みは、プライマーをエキソヌクレアーゼに対して耐性にし、それによりその検出を可能にする。試料のエキソヌクレアーゼ耐性誘導体の同一性が分かっているため、そのプライマーがエキソヌクレアーゼに対して耐性になったという所見から、標的分子の多型性部位に存在するヌクレオチド(複数可)が、反応に使用されるヌクレオチド誘導体のヌクレオチドに相補的であることが明らかになる。この方法には、大量の外来性配列データの決定を必要としないという利点がある。
【0180】
多型性部位のヌクレオチドの同一性を決定するために溶液を用いる方法を使用することができる。Cohen,D.et al.(仏国特許第2,650,840号、PCT出願第WO91/02087号)。米国特許第4,656,127号のMundyの方法でのように、多型性部位に対して3’側に隣接するアレル配列に相補的なプライマーが用いられる。この方法では、多型性部位のヌクレオチドに相補的である場合にプライマーの末端に組み込まれる標識ジデオキシヌクレオチド誘導体を使用して、その部位のヌクレオチドの同一性を決定する。
【0181】
Genetic Bit AnalysisまたはGBAとして知られる代替的方法がGoelet,P.et al.によって報告されている(PCT出願第92/15712号)。Goelet,P.et al.の方法では、標識されたターミネーターと、多型性部位に対して3’側にある配列に相補的なプライマーとの混合物を使用する。したがって、組み込まれている標識されたターミネーターは、評価される標的分子の多型性部位に存在するヌクレオチドによって決定され、かつ、それに相補的である。Cohen et al.(フランス特許第2,650,840号、PCT出願第WO91/02087号)の方法とは対照的に、Goelet,P.et al.の方法は、プライマーまたは標的分子が固相に固定化されている不均一相アッセイであり得る。
【0182】
DNAの多型性部位を評価するためのプライマー誘導型ヌクレオチド組み込み手順がいくつか報告されている(Komher,J.S.et al.,Nucl.Acids.Res.17:7779-7784(1989)、Sokolov,B.P.,Nucl.Acids Res.18:3671(1990)、Syvanen,A.-C.,et al.,Genomics 8:684-692(1990)、Kuppuswamy,M.N.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)88:1143-1147(1991)、Prezant,T.R.et al.,Hum.Mutat.1:159-164(1992)、Ugozzoli,L.et al.,GATA 9:107-112(1992)、Nyren,P.et al.,Anal.Biochem.208:171-175(1993))。これらの方法は、それらが、多型性部位における塩基同士を識別するために標識デオキシヌクレオチドの組み込みを利用する点で、GBAとは異なる。そのようなフォーマットでは、シグナルが、組み込まれたデオキシヌクレオチドの数に比例するため、同じヌクレオチドのランで生じる多型は、ランの長さに比例するシグナルを生じさせ得る(Syvanen,A.-C.,et al.,Amer.J.Hum.Genet.52:46-59(1993))。
【0183】
多数のイニシアチブが、DNAまたはRNAの何百万もの個々の分子から並行して直接、配列情報を取得する。合成時リアルタイム1分子シークエンシング技術は、蛍光ヌクレオチドの検出に依存しており、配列決定されるテンプレートに相補的なDNAの新生鎖に蛍光ヌクレオチドが組み込まれる。一方法では、30~50塩基長のオリゴヌクレオチドが、カバーガラスに5’末端で共有結合により係留されている。これらの係留鎖は2つの機能を果たす。第1に、テンプレートが、表面に結合したオリゴヌクレオチドに相補的な捕捉尾部を伴って構成されている場合に、それらの係留鎖は標的テンプレート鎖の捕捉部位として作用する。それらはまた、配列読み取りの基礎を形成するテンプレート指向性のプライマー伸長のためのプライマーとしても作用する。捕捉プライマーは、複数サイクルの、合成、検出、及び色素を除去するための色素-リンカーの化学的切断を使用する配列決定のための定位置部位として機能する。各サイクルには、ポリメラーゼ/標識ヌクレオチドの混合物の添加、すすぎ、イメージング及び色素の切断が含まれる。代替的方法では、ポリメラーゼは、蛍光ドナー分子で修飾されてスライドガラス上に固定化され、各ヌクレオチドは、ガンマ-リン酸に結合しているアクセプター蛍光部分で色分けされる。システムは、蛍光修飾したヌクレオチドが新たな鎖に組み込まれる際の、蛍光タグ付きポリメラーゼと蛍光修飾したヌクレオチドとの相互作用を検出する。他の合成時解読技術もまた存在する。
【0184】
変異を同定するために、任意の好適な合成時解読プラットフォームを使用することができる。上記のように、現在4つの主要な合成時解読プラットフォームが利用可能である:Roche/454 Life SciencesのGenome Sequencers、Illumina/Solexaの1G Analyzer、Applied BioSystemsのSOLiDシステム、及びHelicos BiosciencesのHeliscopeシステム。合成時解読プラットフォームはまた、Pacific BioSciences及びVisiGen Biotechnologiesによっても報告されている。いくつかの実施形態では、配列決定される複数の核酸分子は、支持体(例えば、固体支持体)に結合している。核酸を支持体に固定化するために、捕捉配列/ユニバーサルプライミング部位をテンプレートの3’及び/または5’末端に付加することができる。核酸は、支持体に共有結合で結合している相補配列に捕捉配列をハイブリダイズすることによって、支持体に結合させることができる。捕捉配列(ユニバーサル捕捉配列とも呼ばれる)は、ユニバーサルプライマーとして二重の役目を果たし得る支持体に結合している配列に相補的な核酸配列である。
【0185】
捕捉配列の代替として、ある結合対(例えば、米国特許出願第2006/0252077号に記載されるような、例えば、抗体/抗原、受容体/リガンド、またはアビジン-ビオチンの対等)のメンバーを各断片に連結させて、その結合対それぞれの第2のメンバーでコートされた表面に捕捉させることができる。
【0186】
捕捉の後、例えば、テンプレート依存性合成時解読を含め、例えば、実施例及び米国特許第7,283,337号に記載のような、一分子検出/シークエンシングによって配列を分析することができる。合成時解読では、表面に結合した分子が、ポリメラーゼ存在下で複数の標識ヌクレオチド三リン酸に曝露される。テンプレートの配列は、成長鎖の3’末端に組み込まれる標識ヌクレオチドの順序によって決定される。これは、リアルタイムで実施することも、ステップアンドリピート方式で実施することもできる。リアルタイム分析の場合、各ヌクレオチドに異なる光学標識を組み込むことができ、組み込まれたヌクレオチドの刺激に複数のレーザーを利用することができる。
【0187】
シークエンシングにはまた、他の超並列シークエンシングまたは次世代シークエンシング(NGS)の技術及びプラットフォームも含まれ得る。超並列シークエンシング技術及びプラットフォームのさらなる例は、Illumina HiSeqまたはMiSeq、Thermo PGMまたはProton、Pac Bio RS IIまたはSequel、QiagenのGene Reader、及びOxford Nanopore MinIONである。追加で同様の現在の超並列シークエンシング技術、及びこれらの技術の将来世代を使用することができる。
【0188】
本明細書に記載される方法に使用するための核酸試料を取得するために、任意の細胞種または組織を用いることができる。例えば、DNAまたはRNA試料は、腫瘍もしくは既知の技術(例えば、静脈穿刺)により得られる体液、例えば、血液、または唾液から得ることができる。別法として、乾燥試料(例えば、毛髪または皮膚)に核酸試験を実施することができる。さらに、ある試料をシークエンシングのために腫瘍から取得することができ、別の試料を、正常組織が腫瘍と同じ組織型のものである場合の正常組織からシークエンシングのために取得することができる。ある試料をシークエンシングのために腫瘍から取得することができ、別の試料を、正常組織が腫瘍と比べて異なる組織型のものである場合の正常組織からシークエンシングのために取得することができる。
【0189】
腫瘍には、肺癌、黒色腫、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、胃癌、結腸癌、精巣癌、頭頸部癌、膵癌、脳腫瘍、B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、及びT細胞リンパ性白血病、非小細胞肺癌、及び小細胞肺癌のうちの1つ以上が含まれ得る。
【0190】
別法として、タンパク質質量分析法を使用して、腫瘍細胞上でMHCタンパク質に結合している変異ペプチドの存在を同定または検証することができる。ペプチドは、腫瘍細胞から、または腫瘍から免疫沈降させたHLA分子から、酸溶出させた後、質量分析法を使用して同定することができる。
【0191】
III.免疫調節因子
本明細書に記載されるChAdVベクターまたは本明細書に記載されるアルファウイルスベクター等の本明細書に記載されるベクターは、少なくとも1つの抗原をコードする核酸を含むことができ、同じかまたは別個のベクターが、少なくとも1つの免疫調節因子コードする核酸を含むことができる。免疫調節因子には、免疫チェックポイント分子に結合して、その活性を遮断する結合分子(例えば、scFv等の抗体)が含まれ得る。免疫調節因子には、IL-2、IL-7、IL-12(IL-12のp35、p40、p70、及び/またはp70融合コンストラクトを含む)、IL-15、またはIL-21等のサイトカインが含まれ得る。免疫調節因子には、修飾サイトカイン(例えば、pegIL-2)が含まれ得る。ベクターは、抗原カセット、及び免疫調節因子をコードする1つ以上の核酸分子を含むことができる。
【0192】
遮断または阻害の標的となり得る例示的な免疫チェックポイント分子には、CTLA-4、4-1BB(CD137)、4-1BBL(CD137L)、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、TIM3、B7H3、B7H4、VISTA、KIR、2B4(CD2ファミリーの分子に属し、すべてのNK、γδ、及びメモリーCD8+(αβ)T細胞に発現する)、CD160(BY55とも呼ばれる)、及びCGEN-15049が含まれるが、これらに限定されない。免疫チェックポイント阻害剤には、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、TIM3、B7H3、B7H4、VISTA、KIR、2B4、CD160、及びCGEN-15049のうちの1つ以上に結合してその活性を遮断または阻害する、抗体、もしくはその抗原結合断片、または他の結合タンパク質が含まれる。例示的な免疫チェックポイント阻害剤には、トレメリムマブ(CTLA-4遮断抗体)、抗OX40、PD-L1モノクローナル抗体(抗B7-H1;MEDI4736)、イピリムマブ、MK-3475(PD-1遮断薬)、ニボルマブ(抗PD1抗体)、CT-011(抗PD1抗体)、BY55モノクローナル抗体、AMP224(抗PDL1抗体)、BMS-936559(抗PDL1抗体)、MPLDL3280A(抗PDL1抗体)、MSB0010718C(抗PDL1抗体)及びヤーボイ/イピリムマブ(抗CTLA-4チェックポイント阻害剤)が含まれる。抗体をコードする配列は、当該技術分野の通常の技能を使用してC68等のベクター内に操作が可能である。例示的な方法は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれるFang et al.,Stable antibody expression at therapeutic levels using the 2A peptide.Nat Biotechnol.2005 May;23(5):584-90.Epub 2005 Apr 17に記載されている。
【0193】
IV.ペイロード及び抗原
ペイロード核酸配列は、目的細胞に送達されることが所望される、任意の核酸配列であり得る。一般に、ペイロードは、核酸配列の発現を駆動するようプロモーターに連結される核酸配列である。ペイロード核酸配列は、ポリペプチド(すなわち、転写されて、タンパク質に翻訳されることのできる核酸配列)をコードすることができる。一般に、ペプチドをコードするペイロード核酸配列は、細胞で発現されることが所望される任意のタンパク質をコードすることができる。タンパク質の例としては、抗原(例えば、MHCクラスIエピトープ、MHCクラスIIエピトープ、またはB細胞応答を刺激する能力があるエピトープ)、抗体、サイトカイン、キメラ抗原受容体(CAR)、T細胞受容体、またはゲノム編集システム成分(例えば、ゲノム編集システムで使されるヌクレアーゼ)が挙げられるが、これらに限定されない。ゲノム編集システムとしては、CRISPRシステム、ジンクフィンガーシステム、メガヌクレアーゼシステム、またはTALENシステムが挙げられるが、これらに限定されない。ペイロード核酸配列は、非コード配列であり得る(すなわち、転写されることはできるが、タンパク質に翻訳されない核酸配列)。一般に、非コードペイロード核酸配列は、細胞で発現されることが所望される任意の非コードポリヌクレオチドであり得る。非コードポリヌクレオチドの例としては、RNA干渉(RNAi)ポリヌクレオチド(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、shRNA、siRNA、miRNA等)またはゲノム編集システムポリヌクレオチド(例えば、ガイドRNA[gRNA]、シングルガイドRNA[sgRNA]、トランス活性化型CRISPR[tracrRNA]、及び/またはCRISPR RNA[crRNA])が挙げられるが、これらに限定されない。ペイロード核酸配列は、2つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ以上)の別個のポリペプチド(例えば、一緒に連結されている2つ以上の別個のエピトープ配列)をコードするか、または2つ以上の別個の非コード核酸配列(例えば、2つ以上の別個のRNAiポリヌクレオチド)を含有することができる。ペイロード核酸配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列と非コード核酸配列の組み合わせを有することができる。
【0194】
ベクターは、1~30のペイロードコード核酸配列、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、もしくはそれ以上の異なるペイロードコード核酸配列、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14の異なるペイロードコード核酸配列、または12、13もしくは14の異なるペイロードコード核酸配列を含有することができる。ペイロードコード核酸配列とは、「カセット」の、ペイロードをコードする部分を指し得る。カセットの特徴については本明細書で詳述されている。カセットは、カセット内で一緒に連結されている2つ以上のペイロードコード核酸配列を含有することができる(例えば、例示的な非限定的例として、連結されたT細胞エピトープをコードする連結された抗原コード核酸配列)。
【0195】
ベクターは、1~30の別個のペイロードコード核酸配列、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、もしくはそれ以上の別個のペイロードコード核酸配列、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14の別個のペイロードコード核酸配列、または12、13もしくは14の別個のペイロードコード核酸配列を含有することができる。ペイロードコード核酸配列とは、個々のペイロード配列のための配列、例えば、例示的な非限定的例として、カセット内で一緒に連結されている2つ以上のペイロードコード核酸配列の、連結されたT細胞エピトープの各々を指し得る。
【0196】
抗原には、ヌクレオチドまたはポリペプチドが含まれ得る。例えば、抗原は、ポリペプチド配列をコードするRNA配列であり得る。したがって、ワクチンに有用な抗原には、ヌクレオチド配列またはポリペプチド配列が含まれ得る。がんワクチンに使用することができる抗原は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際特許出願公開第WO/2019/226941号に記載されている。
【0197】
本明細書では、本明細書に開示の方法によって同定される腫瘍特異的変異を含む単離されたペプチド、既知の腫瘍特異的変異を含むペプチド、及び本明細書に開示の方法によって同定される変異ポリペプチドまたはそれらの断片を開示する。ネオアンチゲンペプチドは、それらのコード配列との関連において説明することができ、その場合、ネオアンチゲンには、関連ポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列(例えば、DNAまたはRNA)が含まれる。
【0198】
本明細書ではまた、正常な細胞もしくは組織と比較して腫瘍細胞もしくはがん性組織において発現が変化していることが既知であるかまたはそのことが見出された任意のポリペプチドに由来するペプチド、例えば、正常な細胞もしくは組織と比較して腫瘍細胞もしくはがん性組織で異常に発現されることが既知であるかまたはそのことが見出された任意のポリペプチドも開示する。抗原ペプチドが由来し得る好適なポリペプチドは、例えば、COSMICデータベースに見出すことができる。COSMICは、ヒトのがんにおける体細胞変異に関する包括的な情報を管理している。ペプチドは、腫瘍特異的変異を含有する。腫瘍抗原(例えば、共通腫瘍抗原及び腫瘍ネオ抗原)には、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる米国出願第17/058,128号に記載のものが含まれ得るが、これに限定されない。抗原ペプチドは、それらのコード配列との関連において説明することができ、その場合、抗原には、関連ポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列(例えば、DNAまたはRNA)が含まれる。
【0199】
抗原ヌクレオチド配列によってコードされる1つ以上のポリペプチドは、以下の、IC50値が1000nM未満であるMHCとの結合親和性、MHCクラスIペプチドの場合は、8~15、8、9、10、11、12、13、14、もしくは15のアミノ酸長、プロテアソームによる切断を促進するペプチドの内部または近傍での配列モチーフの存在、及びTAP輸送を促進する配列モチーフの存在、のうちの少なくとも1つを含むことができる。MHCクラスIIペプチドの場合は、6~30、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18,19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30のアミノ酸長、細胞外もしくはリソソームでのプロテアーゼ(例えば、カテプシン)による切断またはHLA-DMに触媒されるHLA結合を促進するペプチドの内部もしくは近傍での配列モチーフの存在。
【0200】
1つ以上の抗原が腫瘍の表面に提示され得る。
【0201】
1つ以上の抗原は、腫瘍を有する対象において免疫原性であることができ、例えば、対象においてT細胞応答またはB細胞応答を惹起することができ得る。
【0202】
対象での自己免疫応答を誘導する1つ以上の抗原は、腫瘍を有する対象のためのワクチン作製との関連では、考慮から除外することができる。
【0203】
少なくとも1つの抗原ペプチド分子のサイズは、限定するわけではないが、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120またはそれ以上のアミノ分子残基、及びそこから導き出せる任意の範囲を含むことができる。具体的な実施形態では、抗原ペプチド分子は50アミノ酸以下である。
【0204】
抗原ペプチド及びポリペプチドは、MHCクラスIの場合は、15残基長以下であり得、通常は約8~約11残基、特に9または10残基からなり、MHCクラスIIの場合は、6以上30以下の残基であり得る。
【0205】
抗原ペプチド及びポリペプチドは、HLAタンパク質上に提示され得る。いくつかの態様では、抗原ペプチド及びポリペプチドは、野生型ペプチドよりも高い親和性でHLAタンパク質上に提示される。いくつかの態様では、抗原ペプチドまたはポリペプチドは、少なくとも5000nM未満、少なくとも1000nM未満、少なくとも500nM未満、少なくとも250nM未満、少なくとも200nM未満、少なくとも150nM未満、少なくとも100nM未満、少なくとも50nM未満またはそれより低いIC50を有し得る。
【0206】
いくつかの態様では、抗原ペプチド及びポリペプチドは、対象に投与された場合に自己免疫応答を誘導しない、及び/または免疫寛容を引き起こさない。
【0207】
また、少なくとも2つ以上の抗原ペプチドを含む組成物も提供される。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも2つの別個のペプチドを含有する。少なくとも2つの別個のペプチドは、同じポリペプチドに由来し得る。別個のポリペプチドとは、ペプチドが、長さ、アミノ酸配列、またはその両方で異なっていることを意味する。ペプチドは、腫瘍特異的変異を含有することが既知であるかまたはそのことが見出された任意のポリペプチドに由来するか、あるいは正常な細胞もしくは組織と比較して腫瘍細胞もしくはがん性組織において発現が変化していることが既知であるかまたはそのことが見出された任意のポリペプチド、例えば、正常な細胞もしくは組織と比較して腫瘍細胞もしくはがん性組織で異常に発現されることが既知であるかまたはそのことが見出された任意のポリペプチドに由来するペプチドである。抗原ペプチドが由来し得る好適なポリペプチドは、例えば、COSMICデータベースまたはAACR Genomics Evidence Neoplasia Information Exchange(GENIE)データベースに見出すことができる。COSMICは、ヒトのがんにおける体細胞変異に関する包括的な情報を管理している。AACR GENIEは、臨床グレードのがんゲノムデータを集約し、それらを何万ものがん患者からの臨床転帰と関連付けている。ペプチドは、腫瘍特異的変異を含有する。いくつかの態様では、腫瘍特異的変異は、特定のがん種のドライバー変異である。
【0208】
本明細書ではまた、感染症生物、対象における感染、または対象の感染細胞と関連する任意のポリペプチドに由来するペプチドも開示する。抗原は、感染症生物のヌクレオチド配列またはポリペプチド配列に由来し得る。感染症生物のポリペプチド配列には、病原体由来ペプチド、ウイルス由来ペプチド、細菌由来ペプチド、真菌由来ペプチド、及び/または寄生虫由来ペプチドが含まれるが、これらに限定されない。感染症生物には、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス(SARS)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)、エボラ、HIV、B型肝炎ウイルス(HBV)、インフルエンザ、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、サイトメガロウイルス(CMV)、チクングニアウイルス、呼吸器多核体ウイルス(RSV)、デング熱ウイルス、オルチミクソウイルス科(orthymyxoviridae family)ウイルス、及び結核が含まれるが、これらに限定されない。
【0209】
本明細書では、本明細書に開示の方法によって同定される感染症生物特異的な抗原またはエピトープを含む単離されたペプチド、既知の感染症生物特異的な抗原またはエピトープを含むペプチド、及び本明細書に開示の方法によって同定される変異ポリペプチドまたはそれらの断片を開示する。抗原ペプチドは、それらのコード配列との関連において説明することができ、その場合、抗原には、関連ポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列(例えば、DNAまたはRNA)が含まれる。
【0210】
本明細書に記載されるベクター及び関連組成物を使用して、任意の生物からの抗原、例えば、それらの毒素もしくは他の副生成物を、送達し、かかる生物もしくはその副生成物と関連する感染症もしくは他の有害反応を予防及び/または治療することができる。
【0211】
ワクチンに組み込むことができる(例えば、カセットにしてコードされる)抗原には、ヒト及び非ヒト脊椎動物に感染する病原性ウイルス等のウイルスに対してヒトまたは非ヒト動物を免疫するのに有用な免疫原が含まれる。抗原は、様々なウイルス科から選択され得る。対抗する免疫応答が望まれる望ましいウイルス科の例には、ピコルナウイルス科が含まれ、これには、感冒の症例の約50%の原因であるライノウイルス属;ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、及びA型肝炎ウイルス等のヒトエンテロウイルスが含まれるエンテロウイルス属、ならびに主に非ヒト動物での、口蹄疫の原因であるアプトウイルス(apthoviruses)属が含まれる。ウイルスのうちピコルナウイルス科の中では、標的抗原には、VP1、VP2、VP3、VP4、及びVPGが含まれる。別のウイルス科には、カルシウイルス(calcivirus)科が含まれ、これにはノーウォーク群のウイルスが包含され、これらは流行性胃腸炎の重要な病原体である。ヒト及び非ヒト動物での免疫応答を刺激するための標的抗原に使用するために望ましいさらに別のウイルス科はトガウイルス科であり、これにはアルファウイルス属が含まれ、これには、シンドビスウイルス、ロスリバーウイルス、ならびにベネズエラウマ脳炎、東部ウマ脳炎及び西部ウマ脳炎、ならびに風疹ウイルス等のルビウイルスが含まれる。Flaviviridae科には、デングウイルス、黄熱病ウイルス、日本脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス及びダニ媒介性脳炎ウイルスが含まれる。他の標的抗原は、C型肝炎またはコロナウイルス科から生成される場合があり、これには、伝染性気管支炎ウイルス(家禽)、ブタ伝染性胃腸ウイルス(ブタ)、ブタ血球凝集性脳脊髄炎ウイルス(ブタ)、ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(ネコ)、ネコ腸コロナウイルス(ネコ)、イヌコロナウイルス(イヌ)等の多数の非ヒトウイルス、及びヒト呼吸器コロナウイルスが含まれ、これらは、感冒及び/または非A型、B型もしくはC型肝炎を引き起こす場合がある。コロナウイルス科の中では、標的抗原には、E1(Mタンパク質またはマトリックスタンパク質とも呼ばれる)、E2(Sタンパク質またはスパイクタンパク質とも呼ばれる)、E3(HEまたはヘマグルチンーエルテロース(hemagglutin-elterose)とも呼ばれる)の糖タンパク質(コロナウイルスすべてに存在するわけではない)、またはN(ヌクレオカプシド)が含まれる。さらに他の抗原は、ラブドウイルス科に対して指向され得、これには、ベシクロウイルス属(例えば、水疱性口内炎ウイルス)、及びリッサウイルス全般(例えば狂犬病)が含まれる。ラブドウイルス科の中では、好適な抗原は、Gタンパク質またはNタンパク質に由来し得る。マールブルグウイルス及びエボラウイルス等の出血熱ウイルスが含まれるfiloviridae科は、好適な抗原源であり得る。パラミクソウイルス科には、パラインフルエンザウイルス1型、パラインフルエンザウイルス3型、ウシパラインフルエンザウイルス3型、ウブラウイルス(ムンプスウイルス)、パラインフルエンザウイルス2型、パラインフルエンザウイルス4型、ニューカッスル病ウイルス(ニワトリ)、牛疫、モルビリウイルス(麻疹及びイヌジステンパーを含む)、ならびに呼吸器多核体ウイルスが含まれるニューモウイルス(例えば、GenBankから配列が入手可能な糖(G)タンパク質及び融合(F)タンパク質)が含まれる。インフルエンザウイルスはオルトミクソウイルス科の中に分類され、好適な抗原源であり得る(例えば、HAタンパク質、N1タンパク質)。ブニヤウイルス科には、ブニヤウイルス属(カリフォルニア脳炎、ラクロス)、フレボウイルス属(リフトバレー熱)、ハンタウイルス属(プレマラ(puremala)はヘマハギン熱(hemahagin fever)ウイルスである)、ナイロウイルス属(ナイロビ羊病)及び様々な未分類のブンガウイルス(bungavirus)が含まれる。アレナウイルス科では、LCM及びラッサ熱ウイルスに対する抗原源が得られる。レオウイルス科には、レオウイルス属、ロタウイルス属(小児に急性胃腸炎を引き起こす)、オルビウイルス属、及びカルチウイルス(cultivirus)属(コロラドダニ熱、レボンボ(ヒト)、ウマ脳症、ブルータング)が含まれる。レトロウイルス科にはオンコリビリナル(oncorivirinal)亜科が含まれ、これには、ネコ白血病ウイルス、HTLVI及びHTLVII、レンチビリナル(lentivirinal)(これには、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウマ伝染性貧血ウイルス、及びスプマビリナル(spumavirinal)が含まれる)のようなヒト及び動物の疾患が包含される。レンチウイルスの中から、多くの好適な抗原が報告されており、容易に選択することができる。好適なHIV抗原及びSIV抗原の例には、非限定的に、gag、pol、Vif、Vpx、VPR、Env、Tat、Nef、及びRevといったタンパク質、ならびにそれらの様々な断片が含まれる。例えば、Envタンパク質の好適な断片には、gp120、gp160、gp41等のそのサブユニット、またはより小さなそれらの断片、例えば、少なくとも約8アミノ酸長のもの、のうちのいずれかが含まれ得る。同様に、tatタンパク質の断片が選択され得る。[米国特許第5,891,994号及び米国特許第6,193,981号を参照のこと。]また、D.H.Barouch et al,J.Virol.,75(5):2462-2467(March 2001)、及びR.R.Amara,et al,Science,292:69-74(6 Apr.2001)に記載のHIVタンパク質及びSIVタンパク質も参照のこと。別の例では、HIV及び/またはSIVの免疫原性タンパク質もしくはペプチドを使用して、融合タンパク質または他の免疫原性分子が形成され得る。例えば、2001年8月2日に公開されたWO01/54719、及び、1999年4月8日に公開されたWO99/16884に記載のHIV-1 Tat及び/またはNef融合タンパク質及び免疫化レジメンを参照のこと。本発明は、本明細書に記載されるHIV及び/またはSIVの免疫原性タンパク質もしくはペプチドに限定されない。さらに、これらのタンパク質に対する様々な改変が報告されており、そうでなければ当業者が容易に行うことができる。例えば、米国特許第5,972,596号に記載されている改変gagタンパク質を参照のこと。さらに、任意の所望のHIV免疫原及び/またはSIV免疫原が、単独または組み合わせで送達され得る。そのような組み合わせには、単一ベクターからかまたは複数のベクターからの発現が含まれ得る。パポーバウイルス科には、ポリオーマウイルス亜科(BKUウイルス及びJCUウイルス)及びパピローマウイルス亜科(がんまたは乳頭腫の悪性進行と関連する)が含まれる。アデノウイルス科には、呼吸器疾患及び/または腸炎を引き起こすウイルス(EX、AD7、ARD、O.B.)が含まれる。パルボウイルス科ネコパルボウイルス(ネコ腸炎)、ネコ汎白血球減少症ウイルス、イヌパルボウイルス、及びブタパルボウイルス。ヘルペスウイルス科には、単純ウイルス属(HSVI、HSVII)、バリセロウイルス属(仮性狂犬病、水痘帯状疱疹)を包含するalphaherpesvirinae亜科、ならびにサイトメガロウイルス属(ヒトCMV)、ムロメガロウイルス属)が含まれるbetaherpesvirinae亜科、ならびにリンホクリプトウイルス属、EBV(バーキットリンパ腫)、感染性鼻気管炎、マレック病ウイルス、及びラジノウイルス属が含まれるgammaherpesvirinae亜科が含まれる。ポックスウイルス科には、オルソポックスウイルス属(痘瘡(天然痘)及びワクシニア属(牛痘))、パラポックスウイルス属、アビポックスウイルス属、カプリポックスウイルス属、レポリポックスウイルス属、ブタポックスウイルス属を包含するchordopoxyirinae亜科、ならびにentomopoxyirinae亜科が含まれる。ヘパドナウイルス科には、B型肝炎ウイルスが含まれる。好適な抗原源であり得る分類対象外ウイルスの1つは、デルタ型肝炎ウイルスである。さらに他のウイルス源には、トリ伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス及び豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルスが含まれ得る。アルファウイルス科には、ウマ動脈炎ウイルス及び様々な脳炎ウイルスが含まれる。
【0212】
ワクチンに組み込むことができる(例えば、カセット内でコードされる)抗原には、ヒト及び非ヒト脊椎動物に感染する、細菌、真菌、寄生性微生物もしくは多細胞寄生虫が含まれる病原体に対して、ヒトまたは非ヒト動物を免疫化するのに有用な免疫原も含まれる。細菌性病原体の例には、病原性グラム陽性球菌が含まれ、pneumococci、staphylococci、及びstreptococciが含まれる。病原性グラム陰性球菌には、meningococcus、gonococcusが含まれる。病原性腸内グラム陰性桿菌には、enterobacteriaceae;pseudomonas、acinetobacteria及びeikenella;類鼻疽;salmonella;shigella;haemophilus(Haemophilus influenzae、Haemophilus somnus);moraxella;H.ducreyi(軟性下疳を引き起こす);brucella;Franisella tularensis(野兎病を引き起こす);yersinia(pasteurella);streptobacillus moniliformisならびにspirillumが含まれる。グラム陽性桿菌には、listeria monocytogenes;erysipelothrix rhusiopathiae;Corynebacterium diphtheria(ジフテリア);cholera;B.anthracis(炭疽);ドノヴァン症(鼠径部肉芽腫);及びバルトネラ症が含まれる。病原性嫌気性菌によって引き起こされる疾患には、破傷風;ボツリヌス症;他のクロストリジウム;結核;ハンセン病;及び他のマイコバクテリアが含まれる。特定の細菌種の例は、限定することなく、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Streptococcus agalactiae、Streptococcus faecalis、Moraxella catarrhalis、Helicobacter pylori、Neisseria meningitidis、Neisseria gonorrhoeae、Chlamydia trachomatis、Chlamydia pneumoniae、Chlamydia psittaci、Bordetella pertussis、Salmonella typhi、Salmonella typhimurium、Salmonella choleraesuis、Escherichia coli、Shigella、Vibrio cholerae、Corynebacterium diphtheriae、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium avium、Mycobacterium intracellulare複合体、Proteus mirabilis、Proteus vulgaris、Staphylococcus aureus、Clostridium tetani、Leptospira interrogans、Borrelia burgdorferi、Pasteurella haemolytica、Pasteurella multocida、Actinobacillus pleuropneumoniae、及びMycoplasma gallisepticumである。病原性スピロヘータによる疾患には、梅毒;トレポネーマ症:イチゴ腫、ピンタ及び風土病梅毒;及びレプトスピラ症が含まれる。高病原体細菌及び病原性真菌によって引き起こされる他の感染症には、アクチノミセス症/放線菌症;ノカルジア症;クリプトコッカス症(Cryptococcus)、醸母菌症(Blastomyces)、ヒストプラスマ症(Histoplasma)及びコクチジオイデス真菌症(Coccidiodes);カンジダ症(Candida)、アスペルギルス症(Aspergillis)、及びムコール症;スポロトリクム症;パラコクシジオイデス症、ペトリエリジオーシス(petriellidiosis)、トルロプシス症、菌腫及びクロモミコーシス;及び皮膚糸状菌症が含まれる。リケッチア感染症には、チフス熱、ロッキー山紅斑熱、Q熱、及びリケッチア痘症が含まれる。マイコプラズマ感染症及びクラミジア感染症の例には、mycoplasma pneumoniae;性病性リンパ肉芽腫、オウム病、及び周産期クラミジア感染症が挙げられる。病原性真核生物は、病原性の原生動物及び蠕虫を包含し、それらにより引き起こされる感染症には、アメーバ症;マラリア;リーシュマニア症(例えば、Leishmania majorによって引き起こされる);トリパノソーマ症;トキソプラズマ症(例えば、Toxoplasma gondiiによって引き起こされる);Pneumocystis carinii感染症、トリカン(Trichan)感染症、トキソプラズマ感染症(Toxoplasma gondii)、バベシア症;ジアルジア症(例えば、Giardiaによって引き起こされる)、施毛虫症(例えば、Trichomonasによって引き起こされる)、フィラリア症、住血吸虫症(例えば、Schistosomaによって引き起こされる)、線虫感染症、吸虫(trematode)または吸虫(fluke)感染症、及び条虫(サナダムシ)感染症が挙げられる。他の寄生虫感染症は、特にAscaris、Trichuris、Cryptosporidium、及びPneumocystis cariniiによって引き起こされ得る。
【0213】
本明細書ではまた、感染症生物、対象における感染、または対象の感染細胞と関連する任意のポリペプチドに由来するペプチドも開示する。抗原は、感染症生物の核酸配列またはポリペプチド配列に由来し得る。感染症生物のポリペプチド配列には、病原体由来ペプチド、ウイルス由来ペプチド、細菌由来ペプチド、真菌由来ペプチド、及び/または寄生虫由来ペプチドが含まれるが、これらに限定されない。感染症生物には、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス(SARS)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)、エボラ、HIV、B型肝炎ウイルス(HBV)、インフルエンザ、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、サイトメガロウイルス(CMV)、チクングニアウイルス、呼吸器多核体ウイルス(RSV)、デング熱ウイルス、オルチミクソウイルス科(orthymyxoviridae family)ウイルス、及び結核が含まれるが、これらに限定されない。
【0214】
抗原は、腫瘍細胞、感染細胞、または樹状細胞等のプロフェッショナル抗原提示細胞を含む免疫細胞等の細胞の細胞表面に提示されることが予測されるものを選択することができる。抗原は、免疫原性であることが予測されるものを選択することができる。
【0215】
抗原ヌクレオチド配列によってコードされる1つ以上のポリペプチドは、以下の、IC50値が1000nM未満であるMHCとの結合親和性、MHCクラスIペプチドの場合は、8~15、8、9、10、11、12、13、14、もしくは15のアミノ酸長、プロテアソームによる切断を促進するペプチドの内部または近傍での配列モチーフの存在、及びTAP輸送を促進する配列モチーフの存在、のうちの少なくとも1つを含むことができる。MHCクラスIIペプチドの場合は、6~30、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18,19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30のアミノ酸長、細胞外もしくはリソソームでのプロテアーゼ(例えば、カテプシン)による切断またはHLA-DMに触媒されるHLA結合を促進するペプチドの内部もしくは近傍での配列モチーフの存在。
【0216】
1つ以上の抗原が腫瘍の表面に提示され得る。1つ以上の抗原が感染細胞の表面に提示され得る。
【0217】
1つ以上の抗原は、腫瘍を有する対象において免疫原性であり得、例えば、対象でのT細胞応答及び/またはB細胞応答を刺激する能力がある。1つ以上の抗原は、感染症を有するかまたは有すると疑われる対象において免疫原性であり得、例えば、対象でのT細胞応答及び/またはB細胞応答を刺激する能力がある。1つ以上の抗原は、感染症のリスクのある対象において免疫原性であり得、例えば、その感染症に対する免疫学的防御(すなわち、免疫)を提供する、対象でのT細胞応答及び/またはB細胞応答を刺激する能力、例えば、メモリーT細胞、メモリーB細胞、またはその感染症に特異的な抗体の産生を刺激する等の能力がある。
【0218】
1つ以上の抗原は、1つ以上の抗原を認識する抗体(例えば、腫瘍または感染症抗原を認識する抗体)の産生等のB細胞応答を刺激する能力があり得る。抗体は、直鎖ポリペプチド配列を認識することができるか、または二次及び三次構造を認識することができる。したがって、B細胞抗原には、直鎖ポリペプチド配列または二次構造及び三次構造を有するポリペプチドが含まれ得、それらとしては、全長タンパク質、タンパク質サブユニット、タンパク質ドメイン、または二次構造及び三次構造を有することが既知であるかもしくは予測される任意のポリペプチド配列が挙げられるが、これらに限定されない。腫瘍または感染症抗原に対するB細胞応答を刺激する能力がある抗原はそれぞれ、腫瘍細胞または感染症生物の表面に見られる抗原であり得る。腫瘍または感染症抗原に対するB細胞応答を誘発する能力がある抗原はそれぞれ、腫瘍または感染症生物で発現される細胞内ネオアンチゲンであり得る。
【0219】
1つ以上の抗原には、T細胞応答を刺激する能力がある抗原(例えば、予測されるT細胞エピトープ配列等のペプチド)と、B細胞応答を刺激する能力がある別個の抗原(例えば、全長タンパク質、タンパク質サブユニット、タンパク質ドメイン)の組み合わせが含まれ得る。
【0220】
対象での自己免疫応答を刺激する1つ以上の抗原は、対象のためのワクチン作製との関連では、考慮から除外することができる。
【0221】
少なくとも1つの抗原ペプチド分子(例えば、エピトープ配列)のサイズは、限定するわけではないが、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120またはそれ以上のアミノ分子残基、及びそこから導き出せる任意の範囲を含むことができる。具体的な実施形態では、抗原ペプチド分子は50アミノ酸以下である。
【0222】
抗原性ペプチド及びポリペプチドは、MHCクラスIの場合は15残基長以下であり得、通常約8~約11残基、特に9または10残基が含まれ、MHCクラスIIの場合は、6~30残基であり得る。
【0223】
必要に応じて、より長いペプチドをいくつかの方法で設計することができる。ある場合では、HLAアレルでのペプチドの提示可能性が予測されるかまたは既知である場合、より長いペプチドには、(1)個々の提示されるペプチドが、各々の対応する遺伝子産物のN末端及びC末端へ向かって2~5アミノ酸の伸長を有する、(2)提示されたペプチドの一部または全部と、各々について伸長された配列との連結、のいずれかが含まれ得る。別の場合では、シークエンシングにより腫瘍内に存在する長い(10残基超)ネオエピトープ配列が明らかになる場合(例えば、新規ペプチド配列をもたらすフレームシフト、リードスルーまたはイントロン包含による)、より長いペプチドには、(3)新規の腫瘍特異的または感染症特異的なアミノ酸の領域全体が含まれ、したがって、計算によるかまたはインビトロ試験に基づいた、最も強力なHLA提示の短いペプチドの選択の必要性が省かれる。いずれの場合も、より長いペプチドの使用により、患者細胞による内因性プロセシングが可能になり、より効果的な抗原提示及びT細胞応答の刺激がもたらされ得る。より長いペプチドにはまた、腫瘍または感染症生物でそれぞれ発現されるもの等の、ペプチドの全長タンパク質、タンパク質サブユニット、タンパク質ドメイン、及びそれらの組み合わせも含まれ得る。B細胞応答を刺激するために、より長いペプチド(例えば、全長タンパク質、タンパク質サブユニット、またはタンパク質ドメイン)及びそれらの組み合わせを含めることができる。
【0224】
抗原ペプチド及びポリペプチドは、HLAタンパク質上に提示され得る。いくつかの態様では、抗原ペプチド及びポリペプチドは、野生型ペプチドよりも強い親和性でHLAタンパク質上に提示される。いくつかの態様では、抗原ペプチドまたはポリペプチドは、少なくとも5000nM未満、少なくとも1000nM未満、少なくとも500nM未満、少なくとも250nM未満、少なくとも200nM未満、少なくとも150nM未満、少なくとも100nM未満、少なくとも50nM未満またはそれより低いIC50を有し得る。
【0225】
いくつかの態様では、抗原ペプチド及びポリペプチドは、対象に投与された場合に自己免疫応答を誘導しない、及び/または免疫寛容を引き起こさない。
【0226】
また、少なくとも2つ以上の抗原ペプチドを含む組成物も提供される。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも2つの別個のペプチドを含有する。少なくとも2つの別個のペプチドは、同じポリペプチドに由来し得る。別個のポリペプチドとは、ペプチドが、長さ、アミノ酸配列、またはその両方で異なっていることを意味する。ペプチドには、腫瘍特異的変異が含まれ得る。腫瘍特異的ペプチドは、腫瘍特異的変異を含有することが既知であるかまたはそのことが見出された任意のポリペプチドに由来し得るか、あるいは正常な細胞もしくは組織と比較して腫瘍細胞もしくはがん性組織において発現が変化していることが既知であるかまたはそのことが見出された任意のポリペプチド、例えば、正常な細胞もしくは組織と比較して腫瘍細胞もしくはがん性組織で異常に発現されることが既知であるかまたはそのことが見出された任意のポリペプチドに由来するペプチドであり得る。ペプチドは、感染症生物と関連することが既知であるかまたはそのように疑われている任意のポリペプチドに由来し得るか、あるいは正常な細胞もしくは組織と比較して感染細胞において発現が変化していることが既知であるかまたはそのことが見出された任意のポリペプチドに由来するペプチドであり得る(例えば、発現が宿主細胞に限定されている感染症のポリヌクレオチドまたはポリペプチドが含まれる、感染症のポリヌクレオチドまたはポリペプチド)。抗原ペプチドが由来し得る好適なポリペプチドは、例えば、COSMICデータベースまたはAACR Genomics Evidence Neoplasia Information Exchange(GENIE)データベースに見出すことができる。COSMICは、ヒトのがんにおける体細胞変異に関する包括的な情報を管理している。AACR GENIEは、臨床グレードのがんゲノムデータを集約し、それらを何万ものがん患者からの臨床転帰と関連付けている。いくつかの態様では、腫瘍特異的変異は、特定のがん種のドライバー変異である。
【0227】
所望の活性または特性を有する抗原ペプチド及びポリペプチドを修飾して、ある特定の所望の属性、例えば薬理学的特性の改善を提供し、一方で、未修飾ペプチドが所望のMHC分子と結合して適切なT細胞を活性化させるという生物学的活性を増大させるかまたはその実質的にすべてを少なくとも保持するようにすることができる。例えば、抗原ペプチド及びポリペプチドを、保存的または非保存的な置換等の様々な変更に供することができ、その場合、そのような変更により、それらの使用における特定の利点、例えば、MHCの結合、安定性または提示の改善が提供され得る。保存的置換とは、あるアミノ酸残基を、生物学的及び/または化学的に類似する別のアミノ酸残基に置き換えること、例えば、ある疎水性残基を別の疎水性残基に、もしくはある極性残基を別の極性残基に置き換えることを意味する。置換には、Gly、Ala;Val、Ile、Leu、Met;Asp、Glu;Asn、Gln;Ser、Thr;Lys、Arg;及びPhe、Tyr等の組み合わせが含まれる。単一アミノ酸置換の効果はまた、D-アミノ酸を使用してプローブしてもよい。そのような修飾は、例えば、Merrifield,Science 232:341-347(1986),Barany & Merrifield,The Peptides,Gross & Meienhofer,eds.(N.Y.,Academic Press),pp.1-284(1979)、及びStewart & Young,Solid Phase Peptide Synthesis,(Rockford,Ill.,Pierce),2d Ed.(1984)に記載されている、周知のペプチド合成手順を使用して行うことができる。
【0228】
様々なアミノ酸模倣物または非天然アミノ酸でのペプチド及びポリペプチドの修飾は、ペプチド及びポリペプチドの安定性をインビボで増大させる際に特に有用であり得る。安定性は多くの方法でアッセイ可能である。例えば、ペプチダーゼ及び様々な生物学的媒体、例えば、ヒトの血漿及び血清が、安定性を試験するために使用されている。例えば、Verhoef et al.,Eur.J.Drug Metab Pharmacokin.11:291-302(1986)を参照のこと。ペプチドの半減期は、25%ヒト血清(v/v)アッセイを使用して好都合に決定され得る。プロトコルは一般に以下のとおりである。プールされたヒト血清(AB型、非熱非働化)を、使用前に遠心分離により脱脂する。次いで、血清をRPMI組織培養培地で25%に希釈し、ペプチド安定性を試験するために使用する。所定の時間間隔で少量の反応溶液を取り出し、6%トリクロロ酢酸またはエタノールの水溶液に加える。混濁反応試料を15分間冷却(4℃)し、その後、沈殿した血清タンパク質を遠心にかけてペレットにする。その後、ペプチドの存在を、安定性特異的なクロマトグラフィー条件を使用した逆相HPLCによって決定する。
【0229】
ペプチド及びポリペプチドは、血清中半減期改善以外の所望の属性が得られるよう、修飾可能である。例えば、ペプチドがCTL活性を刺激する能力は、Tヘルパー細胞応答を刺激する能力がある少なくとも1つのエピトープを含有する配列への結合によって増強され得る。免疫原性ペプチド/Tヘルパー複合体は、スペーサー分子によって連結可能である。スペーサーは典型的には、生理学的条件下で実質的に非荷電である、アミノ酸またはアミノ酸模倣物等の比較的小さい中性分子で構成される。スペーサーは典型的には、例えば、Ala、Gly、または非極性アミノ酸もしくは中性極性アミノ酸の他の中性スペーサーから選択される。任意選択で存在するスペーサーは同じ残基で構成される必要はなく、したがって、ヘテロオリゴマーでもホモオリゴマーでもあり得ることが理解されるであろう。存在する場合、スペーサーは一般には少なくとも1または2残基、より一般には3~6残基である。別法として、ペプチドは、スペーサーを用いずにTヘルパーペプチドに連結可能である。
【0230】
抗原ペプチドは、Tヘルパーペプチドに直接連結することができ、またペプチドのアミノ末端もしくはカルボキシ末端のいずれにおいてもスペーサーを介して連結することもできる。抗原ペプチドまたはTヘルパーペプチドのいずれのアミノ末端も、アシル化が可能である。例示的Tヘルパーペプチドには、破傷風トキソイド830~843、インフルエンザ307~319、マラリアスポロゾイト周囲382~398及び378~389が含まれる。
【0231】
タンパク質またはペプチドは、標準的分子生物学的技術によるタンパク質、ポリペプチドもしくはペプチドの発現、天然物からのタンパク質もしくはペプチドの単離、またはタンパク質もしくはペプチドの化学合成等の、当業者に公知の任意の技術によって作製可能である。様々な遺伝子に対応する、ヌクレオチドならびにタンパク質、ポリペプチド及びペプチドの配列は、以前に開示されており、当業者に公知のコンピュータ化されたデータベースに見出すことができる。そのようなデータベースの1つは、National Institutes of Healthウェブサイトに設けられたNational Center for Biotechnology InformationのGenbank及びGenPeptデータベースである。既知の遺伝子のコード領域は、本明細書に開示の技術または当業者に公知であろう技術を使用して、増幅及び/または発現が可能である。別法として、タンパク質、ポリペプチド及びペプチドの様々な市販の調製物が当業者に公知である。
【0232】
さらなる態様では、抗原には、抗原ペプチドまたはその部分をコードする核酸(例えば、ポリヌクレオチド)が含まれる。ポリヌクレオチドは、例えば、DNA、cDNA、PNA、CNA、RNA(例えば、mRNA)、一本鎖及び/または二本鎖、あるいは天然または安定化形態のポリヌクレオチド、例えば、チオリン酸骨格を有するポリヌクレオチド等、あるいはそれらの組み合わせのいずれかであり得、イントロンを含有する場合もあれば、含有しない場合もある。抗原をコードするポリヌクレオチド配列は、発現が改善するよう、例えば、転写、翻訳、転写後プロセシング、及び/またはRNA安定性を改善すること等により、配列最適化が可能である。例えば、抗原をコードするポリヌクレオチド配列は、コドンが最適化されたものであり得る。本明細書で「コドン最適化」とは、所与の生物のコドンバイアスに関して使用頻度の低いコドンを、使用頻度の高い同義コドンに置き換えることを指す。ポリヌクレオチド配列を、転写後プロセシングが改善するよう最適化することができ、例えば、意図しないスプライシングが減少するよう、スプライシングモチーフ(例えば、標準及び/または潜在的/非標準のスプライスドナー配列、分岐配列、及び/またはアクセプター配列)の除去、及び/または好ましいスプライシング現象にバイアスをかけるための外因性スプライシングモチーフ(例えば、スプライスドナー配列、分岐配列、及び/またはアクセプター配列)の導入等を介して最適化することができる。外因性イントロン配列には、SV40に由来するもの(例えば、SV40ミニイントロン)及び免疫グロブリンに由来するもの(例えば、ヒトβ-グロビン遺伝子)が含まれるが、これらに限定されない。外因性イントロン配列は、プロモーター/エンハンサー配列と抗原(複数可)配列の間に組み込まれ得る。発現ベクターに使用するための外因性イントロン配列は、Callendret et al.(Virology.2007 Jul 5;363(2):288-302)に詳述されており、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。ポリヌクレオチド配列を、転写安定性が改善するよう、例えば、RNA不安定性モチーフ(例えば、AUリッチエレメント及び3’UTRモチーフ)及び/または反復ヌクレオチド配列の除去を介して最適化することができる。ポリヌクレオチド配列を、正確な転写が改善するよう、例えば、潜在的転写イニシエーター及び/またはターミネーターの除去を介して最適化することができる。ポリヌクレオチド配列を、翻訳及び翻訳精度が改善するよう、例えば、潜在的AUG開始コドン、早期ポリA配列、及び/または二次構造モチーフの除去を介して最適化することができる。ポリヌクレオチド配列を、転写産物の核外輸送が改善するよう、恒常的輸送エレメント(CTE)、RNA輸送エレメント(RTE)、またはウッドチャック転写後調節エレメント(WPRE)の付加等を介して最適化することができる。発現ベクターに使用するための核外輸送シグナルは、Callendret et al.(Virology.2007 Jul 5;363(2):288-302)に詳述されており、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。ポリヌクレオチド配列を、GC含量に関して、例えば、所与の生物の平均GC含量が反映されるよう最適化することができる。配列最適化により、転写、翻訳、転写後プロセシング、及び/またはRNA安定性等の1つ以上の配列特性のバランスを取ることができる。配列最適化により、転写、翻訳、転写後プロセシング、及びRNA安定性のそれぞれのバランスの取れた最適配列を生成することができる。GeneArt(Thermo Fisher)、Codon Optimization Tool(IDT)、Cool Tool(University of Singapore)、SGI-DNA(La Jolla California)等の配列最適化アルゴリズムが当業者に公知である。抗原をコードするタンパク質の1つ以上の領域を別々に配列最適化することができる。
【0233】
さらに別の態様では、ポリペプチドまたはその部分を発現する能力がある発現ベクターを提供する。様々な細胞型の発現ベクターが当該技術分野において周知であり、過度の実験を伴うことなく選択することができる。一般に、DNAは、プラスミド等の発現ベクター内に、発現のための適切な配向及び正しいリーディングフレームで挿入される。必要に応じて、所望の宿主により認識される、適切な転写調節性及び翻訳調節性の制御ヌクレオチド配列にDNAを連結させることができるが、そのような制御は一般に発現ベクター内で利用可能である。その後、ベクターが標準的技術により宿主に導入される。ガイダンスは、例えば、Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Yに見出すことができる。
【0234】
IV.A.カセット
1つ以上のペイロードの選択、「カセット」のクローニング及び構築ならびにウイルスベクターへのその挿入に用いられる方法は、本明細書で提供される教示を考慮すれば、当業者の技量の範囲内である。「ペイロードカセット」または「カセット」または「抗原カセット」とは、選択されたペイロードまたは複数のペイロード(例えば、抗原コード核酸配列等のペイロードコード核酸配列)と、ペイロード(複数可)を転写し、転写された産物を発現するために必要な他の調節エレメントとの組み合わせを意味する。選択されたペイロードまたは複数のペイロードとは、別個のペイロード配列を指し得、例えば、カセット内のペイロードコード核酸配列は、ペイロードが転写され、発現されるよう、ペイロードコード核酸配列(または複数のペイロードコード核酸配列)をコードすることができる。ペイロードまたは複数のペイロードは、転写が可能な方法で調節性成分に機能的に連結され得る。そのような成分には、ウイルスベクターをトランスフェクトされた細胞においてペイロード(複数可)の発現を駆動することができる従来の調節エレメントが含まれる。したがって、ペイロードカセットは、選択されたプロモーターを含有することもでき、これは、ペイロード(複数可)に連結され、組換えベクターの選択ウイルス配列内に他の任意選択の調節エレメントと共に配される。Aカセットには、1つ以上のペイロード、例えば、本明細書に記載されるペイロードのうちのいずれかをコードする1つ以上の配列が含まれ得る。カセットは、1つ以上のペイロードコード核酸配列を有することができ、例えば、複数のペイロードコード核酸配列を含有するカセットは、それぞれ独立して別々のプロモーターに機能的に連結されている、及び/または他のマルチシストン性(multicistonic)の系、例えば、2Aリボソームスキッピング配列要素(例えば、E2A、P2A、F2A、またはT2A配列)または配列内リボソーム進入部位(IRES)配列要素等を使用して一緒に連結されている。リンカーはまた、TEVまたはフーリンの切断部位等の切断部位を有することができる。切断部位を有するリンカーを、他の要素、例えば、多シストロン性の系にあるものと組み合わせて使用することができる。非限定的な例を用いて説明すると、フーリンプロテアーゼ切断部位が翻訳後の2A配列の除去を促進するよう構成されるように、フーリンプロテアーゼ切断部位を2Aリボソームスキッピング配列要素と組み合わせて使用することができる。
【0235】
複数のペイロードコード核酸配列を含有するカセットでは、各ペイロードコード核酸配列を連結させることができる(例えば、例示的な非限定的例では、連結されたT細胞エピトープをコードする連結されたペイロードコード核酸配列)。多シストロン性フォーマットの例を用いて説明すると、ペイロードをコードするカセットは、以下のように構成される:(1)内因性26Sプロモーター-ペイロード1-T2A-ペイロード2タンパク質、または(2)内因性26Sプロモーター-ペイロード1-26Sプロモーター-ペイロード2。多シストロン性フォーマットの例を用いてさらに説明すると、SARS-CoV-2ペイロードをコードするカセットは、以下のように構成される:(1)内因性26Sプロモーター-スパイクタンパク質-T2A-膜タンパク質、または(2)内因性26Sプロモーター-スパイクタンパク質-26Sプロモーター-連結されたT細胞エピトープ。
【0236】
本明細書に記載されるアルファウイルス由来サブゲノミックプロモーターに加え、追加のプロモーターまたはプロモーターエレメントを用いることができる。有用なプロモーターは、構成的プロモーターまたは調節(誘導性)プロモーターであり得、発現されるペイロード(複数可)の量の制御を可能にする。例えば、望ましいプロモーターは、サイトメガロウイルス最初期プロモーター/エンハンサーのプロモーターである[例えば、Boshart et al,Cell,41:521-530(1985)を参照のこと]。別の望ましいプロモーターとしては、ラウス肉腫ウイルスのLTRプロモーター/エンハンサーが挙げられる。さらに別のプロモーター/エンハンサー配列はニワトリ細胞質ベータアクチンプロモーターである[T.A.Kost et al,Nucl.Acids Res.,11(23):8287(1983)]。他の好適または望ましいプロモーターも、当業者により選択され得る。
【0237】
カセットにはまた、ウイルスベクター配列にとって異種の核酸配列も含まれ得、これには、転写物(ポリ(A)、ポリAまたはpA)の効率的なポリアデニル化のためのシグナルをもたらす配列、ならびに機能的なスプライスドナー及びスプライスアクセプター部位を有するイントロンが含まれる。本発明の例示的ベクターで用いられる一般的なポリA配列は、パポーバウイルスSV-40に由来するものである。ポリ-A配列(例えば、非天然ポリA)は一般に、ペイロードに基づく配列の後、ウイルスベクター配列の前のカセット内に挿入され得る。一般的なイントロン配列はまたSV-40に由来し得、SV-40 Tイントロン配列と呼ばれる。カセットはまた、プロモーター/エンハンサー配列とペイロード(複数可)の間に位置するようなイントロンを含有することもできる。これら及び他の一般的ベクター要素の選択は、従来通りであり[例えば、Sambrook et al,“Molecular Cloning.A Laboratory Manual.”,2d edit.,Cold Spring Harbor Laboratory,New York(1989)及びそこに引用されている参考文献を参照のこと]、そのような配列の多くが商業的及び産業的供給源ならびにGenbankから利用可能である。
【0238】
カセットは、1つ以上のペイロード(例えば、1つ以上のペイロードコード核酸配列)を有することができる。例えば、所与のカセットには、1~10、1~20、1~30、10~20、15~25、15~20、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のペイロードが含まれ得る。ペイロードは、互いに直接連結され得る。ペイロードはまた、リンカーを用いて互いに連結され得る。ペイロードは、NからCへ、またはCからNへ等の、互いに対して任意の配向が可能である。
【0239】
本明細書の他の箇所に記載があるように、カセットは、選択され得る部位の中でも特に、VEE骨格の欠失させた構造タンパク質等のウイルスベクター内の任意の選択欠失の部位か、またはChAdに基づくベクターのE1遺伝子領域欠失もしくはE3遺伝子領域欠失の部位に位置させることができる。
【0240】
多シストロン性SAMベクターは、各要素の規則配列を5’側から3’側へ表すための以下の式を用いて表すことができ、
P1-(L5b-Nc-L3d)X-P2-(L5b-Nc-L3d)X-Pa-(L5b-Nc-L3d)X-(G5e-Uf)Y-G3g
式中、P1は、SGP1サブゲノミックプロモーターを含み、P2は、SGP2サブゲノミックプロモーターを含み、Paの場合、追加のカセットについてa=0または1であり、Nは、ペイロードコード核酸配列を含み、c=1であり、L5は5’リンカー配列を含み、b=0または1であり、L3は3’リンカー配列を含み、d=0または1であり、G5は、GPGPGアミノ酸リンカーをコードする少なくとも1つの核酸配列のうちの1つを含み、e=0または1であり、G3は、GPGPGアミノ酸リンカーをコードする少なくとも1つの核酸配列のうちの1つを含み、g=0または1であり、Uは、少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列のうちの1つを含み、f=1であり、X=1~400であり、各Xについて、対応するNcは、対応するペイロードコード核酸配列であり、かつ、Y=0、1、または2であり、各Yについて、対応するUfは普遍的MHCクラスIIエピトープコード核酸配列であり、任意選択で、少なくとも1つの普遍的配列が、破傷風トキソイド及びPADREのうちの少なくとも1つを含む。
【0241】
ペイロードをコードする配列(例えば、カセット、またはカセット内のペイロードをコードする核酸配列のうちの1つ以上)は、各要素の規則配列を5’側から3’側へ表すための以下の式を用いて表すことができ、
-(L5-N-L3-(G5-U-G3
式中、Pは、第2のプロモーターヌクレオチド配列を含み、a=0または1であり、c=1であり、Nは、本明細書に記載されるペイロード由来核酸配列のうちの1つ(例えば、本明細書に記載される抗原コード核酸配列のうちのいずれか)を含み、L5は5’リンカー配列を含み、b=0または1であり、L3は3’リンカー配列を含み、d=0または1であり、G5は、GPGPGアミノ酸リンカーをコードする少なくとも1つの核酸配列のうちの1つを含み、e=0または1であり、G3は、GPGPGアミノ酸リンカーをコードする少なくとも1つの核酸配列のうちの1つを含み、g=0または1であり、Uは、少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列のうちの1つを含み、f=1であり、X=1~400であり、各Xについて、対応するNは、ペイロードコード核酸配列であり、かつ、Y=0、1、または2であり、各Yについて、対応するUは、(1)普遍的MHCクラスIIエピトープコード核酸配列であって、任意選択で、かかる少なくとも1つの普遍的配列が破傷風トキソイド及びPADREのうちの少なくとも1つを含む、普遍的MHCクラスIIエピトープコード核酸配列であるか、または(2)MHCクラスIIエピトープコード核酸配列である。いくつかの態様では、各Xについて、対応するNは、別個のペイロードコード核酸配列である。いくつかの態様では、各Yについて、対応するUは、別個の普遍的MHCクラスIIエピトープコード核酸配列または別個のMHCクラスII抗原コード核酸配列である。上記のペイロードコード配列式は、場合によっては、連結されたT細胞エピトープ等の連結されたペイロード配列をコードするカセットの部分を表すだけである。例えば、例示的な非限定的例として、連結されたT細胞エピトープ及び1つ以上の全長SARS-CoV-2タンパク質をコードするカセットでは、上記のペイロードコード配列式は連結されたT細胞エピトープを表し、これとは別に、カセットは、2Aリボソームスキッピング配列要素(例えば、E2A、P2A、F2A、またはT2A配列)及び/または配列内リボソーム進入部位(IRES)配列要素等のマルチシストン性の系を使用して任意選択で連結されている、1つ以上の全長SARS-CoV-2タンパク質をコードする。
【0242】
一例では、存在する要素には、b=1、d=1、e=1、g=1、h=1、X=18、Y=2であり、ベクター骨格がChAdV68ベクターを含む場合、a=1であり、PはCMVプロモーターであり、少なくとも1つの第2のポリ(A)配列が存在し、ここで、第2のポリ(A)配列は、ベクター骨格にとって外因性ポリ(A)配列であり、ここで、任意選択で、外因性ポリ(A)配列は、SV40ポリ(A)シグナル配列もしくはBGHポリ(A)シグナル配列を含み、かつ、各Nは、7~15アミノ酸長のMHCクラスIエピトープ、MHCクラスIIエピトープ、B細胞応答を刺激する能力があるエピトープ、またはそれらの組み合わせをコードし、L5は、エピトープの天然N末端アミノ酸配列をコードする天然5’リンカー配列であり、ここで、5’リンカー配列が、少なくとも3アミノ酸長であるペプチドをコードし、L3は、エピトープの天然C末端アミノ酸配列をコードする天然3’リンカー配列であり、ここで、3’リンカー配列が、少なくとも3アミノ酸長であるペプチドをコードし、Uは、PADREクラスII配列及び破傷風トキソイドMHCクラスII配列の各々であることが含まれる。上記のペイロードコード配列式は、場合によっては、連結されたT細胞エピトープ等の連結されたエピトープ配列をコードするペイロードカセットの部分を表すだけである。
【0243】
一例では、存在する要素には、b=1、d=1、e=1、g=1、h=1、X=18、Y=2であり、ベクター骨格がベネズエラウマ脳炎ウイルスベクターを含む場合、a=0であり、ペイロードカセットが、内因性26Sプロモーターに機能的に連結されており、少なくとも1つのポリアデニル化ポリ(A)配列は、骨格により提供される少なくとも80個の連続するAヌクレオチドのポリ(A)配列であり、各Nは、7~15アミノ酸長のMHCクラスIエピトープ、MHCクラスIIエピトープ、B細胞応答を刺激する能力があるエピトープ、またはそれらの組み合わせをコードし、L5は、エピトープの天然N末端アミノ酸配列をコードする天然5’リンカー配列であり、ここで、5’リンカー配列が、少なくとも3アミノ酸長であるペプチドをコードし、L3は、エピトープの天然C末端アミノ酸配列をコードする天然3’リンカー配列であり、ここで、3’リンカー配列が、少なくとも3アミノ酸長であるペプチドをコードし、Uは、PADREクラスII配列及び破傷風トキソイドMHCクラスII配列の各々であることが含まれる。
【0244】
ペイロードカセットは、各要素の規則配列を5’側から3’側へ表すための以下の式を用いて表すことができ、
(P-(L5-N-L3-(P2-(G5-U-G3
式中、P及びP2はプロモーターヌクレオチド配列を含み、NはMHCクラスIエピトープコード核酸配列を含み、L5は5’リンカー配列を含み、L3は3’リンカー配列を含み、G5は、アミノ酸リンカーをコードする核酸配列を含み、G3は、アミノ酸リンカーをコードする少なくとも1つの核酸配列のうちの1つを含み、Uは、MHCクラスII抗原コード核酸配列を含み、各Xについて、対応するNcは、エピトープをコードする核酸配列であり、各Yについて、対応するUfは、MHCクラスIIエピトープコード核酸配列(例えば、普遍的MHCクラスIIエピトープコード核酸配列)である。普遍的配列は、破傷風トキソイド及びPADREのうちの少なくとも1つを含むことができる。普遍的配列は、破傷風トキソイドペプチドを含むことができる。普遍的配列は、PADREペプチドを含むことができる。普遍的配列は、破傷風トキソイドペプチド及びPADREペプチドを含むことができる。存在する要素の数を選択することにより、組成物及び規則配列をさらに定義することができ、例えば、a=0または1、b=0または1、c=1、d=0または1、e=0または1、f=1、g=0または1、h=0または1、X=1~400、Y=0、1、2、3、4または5、Z=1~400、及びW=0、1、2、3、4または5である。
【0245】
一例では、存在する要素には、a=0、b=1、d=1、e=1、g=1、h=0、X=10、Y=2、Z=1、及びW=1である場合、追加のプロモーターは存在せず(例えば、RNAアルファウイルスまたはChAdVの骨格等のベクター骨格で提供されるプロモーターヌクレオチド配列のみが存在する)、10のMHCクラスIエピトープが存在し、5’リンカーが各Nに存在し、3’リンカーが各Nに存在し、2つのMHCクラスIIエピトープが存在し、2つのMHCクラスIIエピトープを連結するリンカーが存在し、2つのMHCクラスIIエピトープの5’末端を最終MHCクラスIエピトープの3’リンカーに連結するリンカーが存在し、かつ、2つのMHCクラスIIエピトープの3’末端をベクター骨格(例えば、ChAdVまたはRNAアルファウイルスの骨格)に連結するリンカーが存在することを表していることが含まれる。
【0246】
カセットの3’末端をベクター骨格(例えば、RNAアルファウイルス骨格)に連結することの例には、3’の19nt CSE等のベクター骨格によって提供される3’UTR要素に直接連結することが含まれる。カセットの5’末端をベクター骨格(例えば、RNAアルファウイルス骨格)に連結することの例には、サブゲノミックプロモーター配列(例えば、26Sサブゲノミックプロモーター配列)、アルファウイルス5’UTR、51nt CSE、もしくは24nt CSE等の、ベクター骨格のプロモーターまたは5’UTR要素に直接連結することが含まれる。
【0247】
他の例には、以下が含まれる:a=1の場合、ベクター骨格(例えば、ChAdVまたはRNAアルファウイルスの骨格)によって提供されるプロモーターヌクレオチド配列以外のプロモーターが存在することを表し;a=1、かつ、Zが1より大きい場合、ベクター骨格によって提供されるプロモーターヌクレオチド配列以外の複数のプロモーターが存在し、各々が、核酸配列をコードする1つ以上の別個のMHCクラスIエピトープの発現を駆動し;h=1の場合、MHCクラスIIエピトープコード核酸配列の発現を駆動するための別個のプロモーターが存在することを表し;かつ、g=0の場合、MHCクラスIIエピトープコード核酸配列は、存在する場合に、ベクター骨格(例えば、ChAdVまたはRNAアルファウイルスの骨格)に直接連結されていることを表す。例えば、ChAdVベクター骨格は、CMVプロモーター/エンハンサーの制御下に置かれた抗原カセットを有することができる。
【0248】
他の例には、存在している各MHCクラスIエピトープが、5’リンカーを有し得る場合、3’リンカーを有し得る場合、どちらも有し得ない場合、または両方を有し得る場合が含まれる。複数のMHCクラスIエピトープが同じ抗原カセット内に存在する例では、一部のMHCクラスIエピトープは5’リンカー及び3’リンカーの両方を有し得るが、他のMHCクラスIエピトープは5’リンカーを有するか、3’リンカーを有するか、またはどちらも有し得ない。複数のMHCクラスIエピトープが同じ抗原カセット内に存在する他の例では、一部のMHCクラスIエピトープは5’リンカーまたは3’リンカーのいずれかを有し得るが、他のMHCクラスIエピトープは5’リンカーを有し得るか、3’リンカーを有し得るか、またはどちらも有し得ない。
【0249】
複数のMHCクラスIIエピトープが同じ抗原カセット内に存在する例では、一部のMHCクラスIIエピトープは5’リンカーと3’リンカーの両方を有し得るが、他のMHCクラスIIエピトープは5’リンカーを有し得るか、3’リンカーを有し得るか、またはどちらも有し得ない。複数のMHCクラスIIエピトープが同じ抗原カセット内に存在する他の例では、一部のMHCクラスIIエピトープは5’リンカーまたは3’リンカーのいずれかを有し得るが、他のMHCクラスIIエピトープは5’リンカーを有し得るか、3’リンカーを有し得るか、またはどちらも有し得ない。
【0250】
他の例には、存在している各ペイロードが、5’リンカーを有し得る場合、3’リンカーを有し得る場合、どちらも有し得ない場合、または両方を有し得る場合が含まれる。複数の各ペイロードが同じ各ペイロードカセット内に存在する例では、一部の各ペイロードは5’リンカーと3’リンカーの両方を有し得るが、他の各ペイロードは5’リンカーを有し得るか、3’リンカーを有し得るか、またはどちらも有し得ない。複数の各ペイロードが同じ各ペイロードカセット内に存在する他の例では、一部の各ペイロードは5’リンカーまたは3’リンカーのいずれかを有し得るが、他の各ペイロードは5’リンカーを有し得るか、3’リンカーを有し得るか、またはどちらも有し得ない。
【0251】
プロモーターヌクレオチド配列であるP及び/またはP2は、RNAアルファウイルス骨格等のベクター骨格によって提供されるプロモーターヌクレオチド配列と同じであり得る。例えば、RNAアルファウイルス骨格によって提供されるプロモーター配列であるPn及びP2は、各々がサブゲノミックプロモーター配列(例えば、26Sサブゲノミックプロモーター配列)またはCMVプロモーターを含むことができる。プロモーターヌクレオチド配列であるP及び/またはP2は、ベクター骨格(例えば、ChAdVまたはRNAアルファウイルスの骨格)によって提供されるプロモーターヌクレオチド配列とは異なっていてよく、また互いに異なっていてもよい。
【0252】
5’リンカーであるL5は、天然配列でも非天然配列でもあり得る。非天然配列には、AAY、RR、及びDPPが含まれるが、これらに限定されない。3’リンカーであるL3もまた、天然配列でも非天然配列でもあり得る。さらに、L5及びL3は、両方が天然配列であること、両方が非天然配列であること、または一方が天然であり、他方が非天然であることが可能である。各Xについて、アミノ酸リンカーは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、またはそれ以上のアミノ酸長であり得る。各Xについて、アミノ酸リンカーはまた、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、または少なくとも30のアミノ酸長であり得る。各Xについて、アミノ酸リンカーはまた、2~10、2~15、2~20、2~25、2~30、2~40、2~50、3~10、3~15、3~20、3~25、3~30、3~40、3~50、4~10、4~15、4~20、4~25、4~30、4~40、4~50、5~10、5~15、5~20、5~25、5~30、5~40、5~50、6~10、6~15、6~20、6~25、6~30、6~40、6~50、7~10、7~15、7~20、7~25、7~30、7~40、7~50、8~10、8~15、8~20、8~25、8~30、8~40、または8~50のアミノ酸長であり得る。
【0253】
アミノ酸リンカーG5は各Yについて、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、またはそれ以上のアミノ酸長であり得る。各Yについて、アミノ酸リンカーはまた、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、または少なくとも30のアミノ酸長であり得る。G5はまた、2~10、2~15、2~20、2~25、2~30、2~40、2~50、3~10、3~15、3~20、3~25、3~30、3~40、3~50、4~10、4~15、4~20、4~25、4~30、4~40、4~50、5~10、5~15、5~20、5~25、5~30、5~40、5~50、6~10、6~15、6~20、6~25、6~30、6~40、6~50、7~10、7~15、7~20、7~25、7~30、7~40、7~50、8~10、8~15、8~20、8~25、8~30、8~40、または8~50のアミノ酸長でもあり得る。
【0254】
アミノ酸リンカーG3は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94,95、96、97、98、99、100、またはそれ以上のアミノ酸長であり得る。G3はまた、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、または少なくとも30のアミノ酸長でもあり得る。G3は、2~10、2~15、2~20、2~25、2~30、2~40、2~50、3~10、3~15、3~20、3~25、3~30、3~40、3~50、4~10、4~15、4~20、4~25、4~30、4~40、4~50、5~10、5~15、5~20、5~25、5~30、5~40、5~50、6~10、6~15、6~20、6~25、6~30、6~40、6~50、7~10、7~15、7~20、7~25、7~30、7~40、7~50、8~10、8~15、8~20、8~25、8~30、8~40、または8~50のアミノ酸長でもあり得る。
【0255】
各Xについて、各Nは、MHCクラスIエピトープ、MHCクラスIIエピトープ、B細胞応答を刺激する能力があるエピトープ/抗原、またはそれらの組み合わせをコードすることができる。各Xについて、各Nは、MHCクラスIエピトープ、MHCクラスIIエピトープ、及びB細胞応答を刺激する能力があるエピトープ/抗原の組み合わせをコードすることができる。各Xについて、各Nは、MHCクラスIエピトープ及びMHCクラスIIエピトープの組み合わせをコードすることができる。各Xについて、各Nは、MHCクラスIエピトープ及びB細胞応答を刺激する能力があるエピトープ/抗原の組み合わせをコードすることができる。各Xについて、各Nは、MHCクラスIIエピトープ及びB細胞応答を刺激する能力があるエピトープ/抗原の組み合わせをコードすることができる。各Xについて、各Nは、MHCクラスIIエピトープをコードすることができる。各Xについて、各Nは、B細胞応答を刺激する能力があるエピトープ/抗原をコードすることができる。各Xについて、各Nは、7~15アミノ酸長のMHCクラスIエピトープをコードすることができる。各Xについて、各Nはまた、MHCクラスIエピトープの5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30アミノ酸長をコードすることができる。各Xについて、各Nはまた、MHCクラスIエピトープの少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、または少なくとも30アミノ酸長をコードすることができる。各Xについて、各Nは、MHCクラスIIエピトープをコードすることができる。各Xについて、各Nは、B細胞応答を刺激する能力があるエピトープをコードすることができる。
【0256】
多シストロン性の系内の各カセットそれぞれを含め、カセットは、少なくとも100、200、300、400、500、600、700、800、または900ヌクレオチド長であり得る。カセットは、少なくとも1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、または10000ヌクレオチド長であり得る。カセットは、少なくとも1000ヌクレオチド長であり得る。カセットは、少なくとも2000ヌクレオチド長であり得る。カセットは、少なくとも3000ヌクレオチド長であり得る。カセットは、少なくとも4000ヌクレオチド長であり得る。カセットは、少なくとも5000ヌクレオチド長であり得る。カセットは、少なくとも6000ヌクレオチド長であり得る。カセットは、少なくとも7000ヌクレオチド長であり得る。カセットは、少なくとも8000ヌクレオチド長であり得る。カセットは、少なくとも9000ヌクレオチド長であり得る。カセットは、100~1000、100~2000、100~3000、100~4000、100~5000、100~6000、100~7000、100~8000、100~9000、または100~10000ヌクレオチド長であり得る。カセットは、500~1000、500~2000、500~3000、500~4000、500~5000、500~6000、500~7000、500~8000、500~9000、または500~10000ヌクレオチド長であり得る。カセットは、1000~2000、1000~3000、1000~4000、1000~5000、1000~6000、1000~7000、1000~8000、1000~9000、または1000~10000ヌクレオチド長であり得る。カセットは、ほぼアルファウイルスから欠失させた長さ(例えば、VEE骨格において欠失させた構造タンパク質の長さ)であり得る。カセットは、アルファウイルスから欠失させた長さより短い長さであり得る。カセットは、アルファウイルスから欠失させた長さを超える長さであり得る。
【0257】
複数のカセットが含まれるベクターの場合、全カセットを合わせた合計の長さは、少なくとも100、200、300、400、500、600、700、800、または900ヌクレオチド長であり得る。複数のカセットが含まれるベクターの場合、全カセットを合わせた合計の長さは、少なくとも1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、または10000ヌクレオチド長であり得る。複数のカセットが含まれるベクターの場合、全カセットを合わせた合計の長さは、100~1000、100~2000、100~3000、100~4000、100~5000、100~6000、100~7000、100~8000、100~9000、または100~10000ヌクレオチド長であり得る。複数のカセットが含まれるベクターの場合、全カセットを合わせた合計の長さは、500~1000、500~2000、500~3000、500~4000、500~5000、500~6000、500~7000、500~8000、500~9000、または500~10000ヌクレオチド長であり得る。複数のカセットが含まれるベクターの場合、全カセットを合わせた合計の長さは、1000~2000、1000~3000、1000~4000、1000~5000、1000~6000、1000~7000、1000~8000、1000~9000、または1000~10000ヌクレオチド長であり得る。
【0258】
カセットは、700ヌクレオチド以下であり得る。カセットは、700ヌクレオチド以下であり得、2つの別個のエピトープコード核酸配列をコードすることができる(例えば、免疫原性ポリペプチドコードする、感染症または腫瘍に由来する2つの別個の核酸配列をコードすることができる)。カセットは、700ヌクレオチド以下であり得、少なくとも2つの別個のエピトープコード核酸配列をコードすることができる。カセットは、700ヌクレオチド以下であり得、3つの別個のエピトープコード核酸配列をコードすることができる。カセットは、700ヌクレオチド以下であり得、少なくとも3つの別個のエピトープコード核酸配列をコードすることができる。カセットは、700ヌクレオチド以下であり得、1~10、1~5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のペイロードが含まれ得る。
【0259】
カセットは、375~700ヌクレオチド長であり得る。カセットは、375~700ヌクレオチド長であり得、2つの別個のエピトープコード核酸配列をコードすることができる(例えば、免疫原性ポリペプチドコードする、感染症または腫瘍に由来する2つの別個の核酸配列をコードすることができる)。カセットは、375~700ヌクレオチド長であり得、少なくとも2つの別個のエピトープコード核酸配列をコードすることができる。カセットは、375~700ヌクレオチド長であり得、3つの別個のエピトープコード核酸配列をコードすることができる。カセットは375~700ヌクレオチド長であり得、少なくとも3つの別個のエピトープコード核酸配列コードすることができる。カセットは、375~700ヌクレオチド長であり得、1~10、1~5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のペイロードが含まれ得る。
【0260】
カセットは、600、500、400、300、200、もしくは100ヌクレオチド長またはそれ以下であり得る。カセットは、600、500、400、300、200、もしくは100ヌクレオチド長またはそれ以下であり得、2つの別個のエピトープコード核酸配列をコードすることができる。カセットは、600、500、400、300、200、もしくは100ヌクレオチド長またはそれ以下であり得、少なくとも2つの別個のエピトープコード核酸配列をコードすることができる。カセットは、600、500、400、300、200、もしくは100ヌクレオチド長またはそれ以下であり得、3つの別個のエピトープコード核酸配列をコードすることができる。カセットは、600、500、400、300、200、もしくは100ヌクレオチド長またはそれ以下であり得、少なくとも3つの別個のエピトープコード核酸配列をコードすることができる。カセットは、600、500、400、300、200、もしくは100ヌクレオチド長またはそれ以下であり得、1~10、1~5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のペイロードが含まれ得る。
【0261】
カセットは、375~600、375~500、または375~400ヌクレオチド長であり得る。カセットは、375~600、375~500、または375~400ヌクレオチド長であり得、2つの別個のエピトープコード核酸配列をコードすることができる。カセットは、375~600、375~500、または375~400ヌクレオチド長であり得、少なくとも2つの別個のエピトープコード核酸配列をコードすることができる。カセットは、375~600、375~500、または375~400ヌクレオチド長であり得、3つの別個のエピトープコード核酸配列をコードすることができる。カセットは、375~600、375~500、または375~400ヌクレオチド長であり得、少なくとも3つの別個のエピトープコード核酸配列をコードすることができる。カセットは、375~600、375~500、または375~400ヌクレオチド長であり得、1~10、1~5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のペイロードが含まれ得る。
【0262】
V.ワクチン組成物
本明細書ではまた、特異的免疫応答、例えば、腫瘍特異的免疫応答または感染症生物特異的免疫応答を生じさせる能力がある免疫原性組成物、例えば、ワクチン組成物も開示する。ワクチン組成物は典型的には、例えば、本明細書に記載の方法を使用して選択されるか、あるいは病原体由来ペプチド、ウイルス由来ペプチド、細菌由来ペプチド、真菌由来ペプチド、及び/または寄生虫由来ペプチドから選択される、1つまたは複数の抗原を含む。ワクチン組成物はワクチンとも呼ばれ得る。
【0263】
ワクチンは、1~30のペプチド、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30の異なるペプチド、6、7、8、9、10 11、12、13、もしくは14の異なるペプチド、または12、13もしくは14の異なるペプチドを含有することができる。ペプチドには、翻訳後修飾が含まれ得る。ワクチンは、1~100もしくはそれ以上のヌクレオチド配列、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94,95、96、97、98、99、100もしくはそれ以上の異なるヌクレオチド配列、6、7、8、9、10 11、12、13、もしくは14の異なるヌクレオチド配列、または12、13もしくは14の異なるヌクレオチド配列を含有することができる。ワクチンは、1~30の抗原配列、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94,95、96、97、98、99、100もしくはそれ以上の異なる抗原配列、6、7、8、9、10 11、12、13、もしくは14の異なる抗原配列、または12、13もしくは14の異なる抗原配列を含有することができる。
【0264】
ワクチンは、1~30の抗原コード核酸配列、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94,95、96、97、98、99、100もしくはそれ以上の異なる抗原コード核酸配列、6、7、8、9、10 11、12、13、もしくは14の異なる抗原コード核酸配列、または12、13もしくは14の異なる抗原コード核酸配列を含有することができる。抗原コード核酸配列とは、「抗原カセット」の部分をコードする抗原を指し得る。抗原カセットの特徴については本明細書で詳述されている。カセットは、カセット内で一緒に連結されている2つ以上の抗原コード核酸配列(例えば、連結されたT細胞エピトープをコードする連結された抗原コード核酸配列)を含有することができる。
【0265】
ワクチンは、1~30の別個のエピトープコード核酸配列、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94,95、96、97、98、99、100もしくはそれ以上の別個のエピトープコード核酸配列、6、7、8、9、10 11、12、13、もしくは14の別個のエピトープコード核酸配列、または12、13もしくは14の別個のエピトープコード核酸配列を含有することができる。エピトープコード核酸配列とは、カセット内で一緒に連結されている2つ以上の抗原コード核酸配列の、連結されたT細胞エピトープの各々のような、個々のエピトープ配列のための配列を指し得る。
【0266】
ワクチンは、エピトープコード核酸配列の少なくとも2つのリピートを含有することができる。本明細書で使用される、「反復」(または互換的に「リピート」)とは、抗原コード核酸配列内での同一の核酸エピトープコード核酸配列(本明細書に記載される任意選択の5’リンカー配列及び/または任意選択の3’リンカー配列を包含)の2回以上の反復を指す。一例では、カセットの抗原コード核酸配列部分は、エピトープコード核酸配列の少なくとも2回の反復をコードする。さらなる非限定的な例では、カセットの抗原コード核酸配列部分は、複数の別個のエピトープをコードし、別個のエピトープのうちの少なくとも1つは、別個のエピトープをコードする核酸配列の少なくとも2回の反復によってコードされる(すなわち、少なくとも2つの別個のエピトープコード核酸配列)。例示的な非限定的例では、抗原コード核酸配列は、エピトープコード核酸配列によってコードされるエピトープA、B、及びCをコードし、エピトープコード配列A(E)、エピトープコード配列B(E)、及びエピトープコード配列C(E)、ならびに別個のエピトープのうちの少なくとも1つの反復を有する例示的な抗原コード核酸配列は、以下の式によって例示されるが、これらに限定されない:
-1つの別個のエピトープの反復(エピトープAの反復):
-E-E-E、または
-E-E-E
-複数の別個のエピトープの反復(エピトープA、B、及びCの反復):
-E-E-E-E-E、または
-E-E-E-E-E
-複数の別個のエピトープの多回反復(エピトープA,B,及びCの反復):
-E-E-E-E-E-E-E-E、または
-E-E-E-E-E-E-E-E
【0267】
上記の例は限定的なものではなく、別個のエピトープのうちの少なくとも1つの反復を有する抗原コード核酸配列は、別個のエピトープの各々を任意の順序または頻度でコードすることができる。例えば、順序及び頻度は、別個のエピトープのランダムな配置、例えば、エピトープA、B、及びCを用いる例では式E-E-E-E-E-E-E-E-E-E-E-EB。が可能である。
【0268】
本明細書ではまた、抗原コードカセットも提供され、この抗原コードカセットは、5’側から3’側へ、下式で表される少なくとも1つの抗原コード核酸配列を有し、
(E-(E
式中、Eは、別個のエピトープコード核酸配列等のヌクレオチド配列を表し、
nは、別々の別個のエピトープコード核酸配列の数を表し、かつ、0を含めた任意の整数であり、
は、それぞれの対応するnの、別々の別個のエピトープコード核酸配列を構成するヌクレオチド配列を表し、
z回の反復ごとに、x=0または1、各nについてy=0または1、及びxまたはyの少なくとも一方=1、かつ
z=2以上であり、ここで、抗原コード核酸配列は、E、所与のE、またはそれらの組み合わせの少なくとも2回の反復を含む。
【0269】
各EまたはEは、独立して、本明細書に記載の任意のエピトープコード核酸配列(例えば、感染症T細胞エピトープ及び/またはネオアンチゲンエピトープをコードするペプチド)を含むことができる。例えば、各EまたはEは、独立して、5’側から3’側へ、式(L5-N-L3)で表されるヌクレオチド配列を含むことができ、その場合、Nは、各EまたはEと関連する別個のエピトープコード核酸配列を含み、c=1であり、L5は5’リンカー配列を含み、b=0または1であり、L3は3’リンカー配列を含み、d=0または1である。使用可能なエピトープ及びリンカーは本明細書に詳述されており、例えば、V.A.抗原カセットを参照されたい。
【0270】
エピトープコード核酸配列(任意選択の5’リンカー配列及び/または任意選択の3’リンカー配列を包含)の反復は、配列同士を直鎖状に直接連結され得る(例えば、上記例示のようにE-E-...)。エピトープコード核酸配列の反復は、1つ以上の追加のヌクレオチド配列によって区切られ得る。一般に、エピトープコード核酸配列の反復は、本明細書に記載の組成物に適用可能な任意のサイズのヌクレオチド配列によって区切られ得る。一例では、エピトープコード核酸配列の反復は、別々の別個のエピトープコード核酸配列(例えば、上記例示のように、E-E-E-E...))によって区切られ得る。反復が、単一の別々の別個のエピトープコード核酸配列によって区切られており、各エピトープコード核酸配列(任意選択の5’リンカー配列及び/または任意選択の3’リンカー配列を包含)が25アミノ酸長のペプチドをコードする例では、反復は75ヌクレオチドによって区切られ得、例えば、E-E-E・・・で表される抗原コード核酸の場合、Eは75ヌクレオチドによって区切られている。例を用いて説明すると、25マーの抗原であるTrp1(VTNTEMFVTAPDNLGYMYEVQWPGQ)及びTrp2(TQPQIANCSVYDFFVWLHYYSVRDT)の反復をコードする配列VTNTEMFVTAPDNLGYMYEVQWPGQTQPQIANCSVYDFFVWLHYYSVRDTVTNTEMFVTAPDNLGYMYEVQWPGQTQPQIANCSVYDFFVWLHYYSVRDTを有する抗原コード核酸では、Trp1の反復は25マーのTrp2によって区切られており、したがって、Trp1エピトープコード核酸配列の反復は、75ヌクレオチドのTrp2エピトープコード核酸配列で区切られている。反復が、2、3、4、5、6、7、8、または9の別々の別個のエピトープコード核酸配列によって区切られており、各エピトープコード核酸配列(任意選択の5’リンカー配列及び/または任意選択の3’リンカー配列を包含)が25アミノ酸長のペプチドをコードする例では、反復はそれぞれ、150、225、300、375、450、525、600、または675のヌクレオチドによって区切られ得る。
【0271】
一実施形態では、異なるペプチド及び/またはポリペプチド、あるいはそれらをコードするヌクレオチド配列は、ペプチド及び/またはポリペプチドが、異なるMHCクラスI分子及び/または異なるMHCクラスII分子等の異なるMHC分子と会合する能力を持つよう選択される。いくつかの態様では、1つのワクチン組成物は、出現頻度が最も高いMHCクラスI分子及び/または異なるMHCクラスII分子と会合する能力があるペプチド及び/またはポリペプチドのためのコード配列を含む。したがって、ワクチン組成物は、少なくとも2つの好ましい、少なくとも3つの好ましい、もしくは少なくとも4つの好ましいMHCクラスI分子及び/または異なるMHCクラスII分子と会合する能力がある異なる断片を含むことができる。
【0272】
ワクチン組成物は、特異的細胞傷害性T細胞応答及び/または特異的ヘルパーT細胞応答を刺激する能力があり得る。ワクチン組成物は、特異的細胞傷害性T細胞応答及び特異的ヘルパーT細胞応答を刺激する能力があり得る。
【0273】
ワクチン組成物は、特異的B細胞応答(例えば、抗体反応)を刺激する能力があり得る。
【0274】
ワクチン組成物は、特異的細胞傷害性T細胞応答、特異的ヘルパーT細胞応答、及び/または特異的B細胞応答を刺激する能力があり得る。ワクチン組成物は、特異的細胞傷害性T細胞応答及び特異的B細胞応答を刺激する能力があり得る。ワクチン組成物は、特異的ヘルパーT細胞応答及び特異的B細胞応答を刺激する能力があり得る。ワクチン組成物は、特異的細胞傷害性T細胞応答、特異的ヘルパーT細胞応答、及び特異的B細胞応答を刺激する能力があり得る。
【0275】
ワクチン組成物はさらに、アジュバント及び/または担体を含むことができる。有用なアジュバント及び担体の例は、本明細書で以下に記載される。組成物は、担体、例えば、タンパク質または抗原提示細胞等、例えば、T細胞にペプチドを提示する能力がある樹状細胞(DC)等と会合することができる。
【0276】
アジュバントは、ワクチン組成物内に混合することにより抗原に対する免疫応答を増大させるか、そうでなければ修正する、任意の物質である。担体は、足場構造、例えば、抗原を会合させることができるポリペプチドまたは多糖であり得る。任意選択で、アジュバントは、共有結合または非共有結合により結合される。
【0277】
アジュバントが抗原に対する免疫応答を増大させる能力は、典型的には、免疫介在性反応の大幅もしくは実質的な増大、または疾患症状の軽減により示される。例えば、液性免疫の増大は典型的には、抗原に対して産生された抗体の力価の大幅な増大によって示され、またT細胞活性の増大は、典型的には、細胞の増殖、または細胞傷害性、またはサイトカイン分泌の増大に示される。アジュバントはまた、免疫応答を、例えば、主に液性またはThによる応答を主に細胞性またはThによる応答に変えることによって変化させ得る。
【0278】
好適なアジュバントには、1018 ISS、ミョウバン、アルミニウム塩、Amplivax、AS15、BCG、CP-870,893、CpG7909、CyaA、dSLIM、GM-CSF、IC30、IC31、イミキモド、ImuFact IMP321、IS Patch、ISS、ISCOMATRIX、JuvImmune、LipoVac、MF59、モノホスホリルリピドA、Montanide IMS 1312、Montanide ISA 206、Montanide ISA 50V、Montanide ISA-51、OK-432、OM-174、OM-197-MP-EC、ONTAK、PepTelベクター系、PLG微粒子、レジキモド、SRL172、ビロソーム及び他のウイルス様粒子、YF-17D、VEGFトラップ、R848、ベータグルカン、Pam3Cys、サポニン由来のAquilaのQS21 stimulon(Aquila Biotech,Worcester,Mass.,USA)、マイコバクテリア抽出物及び合成細菌細胞壁模倣物、ならびにRibiのDetox.QuilまたはSuperfos等の所有権のある他のアジュバントが含まれるが、これらに限定されない。不完全フロイントまたはGM-CSF等のアジュバントが有用である。樹状細胞に対して特異的ないくつかの免疫アジュバント(例えば、MF59)及びそれらの調製物が、以前に報告されている(Dupuis M,et al.,Cell Immunol.1998;186(1):18-27、Allison A C;Dev Biol Stand.1998;92:3-11)。サイトカインも使用され得る。いくつかのサイトカインは、樹状細胞のリンパ組織への遊走に影響を与えること(例えば、TNF-アルファ)、Tリンパ球に対する効率的抗原提示細胞への樹状細胞の成熟を促進すること(例えば、GM-CSF、IL-1及びIL-4)(参照によりその全体が具体的に本明細書に組み込まれる米国特許第5,849,589号)、及び免疫アジュバントとして作用すること(例えば、IL-12)(Gabrilovich D I,et al.,J Immunother Emphasis Tumor Immunol.1996(6):414-418)に直接関連している。
【0279】
CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドもまた、ワクチンという状況ではアジュバントの効果を増強させることが報告されている。TLR7、TLR8及び/またはTLR9と結合するRNA等の他のTLR結合分子も使用され得る。
【0280】
有用なアジュバントの他の例には、化学修飾されたCpG(例えば、CpR、Idera)、ポリ(I:C)(例えば、polyi:CI2U)、非-CpG細菌DNAもしくはRNA、ならびに治療薬及び/またはアジュバントとして作用し得るシクロホスファミド、スニチニブ、ベバシズマブ、セレブレックス、NCX-4016、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ソラフィニブ、XL-999、CP-547632、パゾパニブ、ZD2171、AZD2171、イピリムマブ、トレメリムマブ、及びSC58175等の免疫活性小分子及び抗体が含まれるが、これらに限定されない。アジュバント及び添加物の量及び濃度は、過度の実験を伴うことなく当業者により容易に決定され得る。追加のアジュバントには、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF、サルグラモスチム)等のコロニー刺激因子が含まれる。
【0281】
ワクチン組成物は、2種以上の異なるアジュバントを含むことができる。さらに、治療用組成物は、上記のものまたはそれらの組み合わせのいずれかを含め、任意のアジュバント物質を含むことができる。また、ワクチン及びアジュバントを一緒に、または任意の適切な順序で別々に投与可能であることも企図される。
【0282】
担体(または賦形剤)は、アジュバントとは独立して存在することができる。担体の機能は、例えば、活性または免疫原性を増大させるために特に変異体の分子量を増加させること、安定性を付与すること、生物学的活性を増大させること、または血清中半減期を延長することであり得る。さらに、担体は、ペプチドをT細胞に提示するのを助けることができる。担体は、当業者に既知の任意の好適な担体、例えば、タンパク質または抗原提示細胞であり得る。担体タンパク質は、キーホールリンペットヘモシアニン、血清タンパク質、例えば、トランスフェリン、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、サイログロブリンもしくはオボアルブミン等、免疫グロブリン、またはホルモン、例えば、インスリンもしくはパルミチン酸等であり得るが、これらに限定されない。ヒトの免疫化の場合、担体は一般に、ヒトに許容され、かつ安全な、生理学的に許容される担体である。ただし、破傷風トキソイド及び/またはジフテリアトキソイドは好適な担体である。別法として、担体は、デキストラン、例えば、セファロースであり得る。
【0283】
細胞傷害性T細胞(CTL)は、無傷の外来性抗原それ自体ではなく、MHC分子に結合したペプチドという形態にある抗原を認識する。MHC分子自体は、抗原提示細胞の細胞表面に位置する。したがって、CTLの活性化は、ペプチド抗原、MHC分子、及びAPCの三量体複合体が存在する場合に可能である。これに一致して、ペプチドがCTLの活性化に使用されるだけではなく、さらなるAPCがそれぞれのMHC分子と共に加えられる場合、免疫応答が増強され得る。したがって、いくつかの実施形態では、ワクチン組成物はさらに、少なくとも1つの抗原提示細胞を含有する。
【0284】
抗原はまた、ウイルスベクターに基づくワクチンプラットフォーム、例えば、ワクシニア、鶏痘、自己複製アルファウイルス、マラバウイルス、アデノウイルス(例えば、Tatsis et al.,Adenoviruses,Molecular Therapy(2004)10,616-629を参照のこと)、または第2世代、第3世代もしくは第2/第3世代ハイブリッドのレンチウイルス及び特定の細胞型もしくは受容体を標的にするよう設計された任意の世代の組換えレンチウイルスが含まれるが、これらに限定されないレンチウイルス等に含めることもできる(例えば、Hu et al.,Immunization Delivered by Lentiviral Vectors for Cancer and Infectious Diseases,Immunol Rev.(2011)239(1):45-61、Sakuma et al.,Lentiviral vectors:basic to translational,Biochem J.(2012)443(3):603-18、Cooper et al.,Rescue of splicing-mediated intron loss maximizes expression in lentiviral vectors containing the human ubiquitin C promoter,Nucl.Acids Res.(2015)43(1):682-690、Zufferey et al.,Self-Inactivating Lentivirus Vector for Safe and Efficient In Vivo Gene Delivery,J.Virol.(1998)72(12):9873-9880を参照のこと)。上記のウイルスベクターに基づくワクチンプラットフォームのパッケージング容量に応じて、この手法では、1つ以上の抗原ペプチドをコードする1つ以上のヌクレオチド配列を送達することができる。配列は、非変異配列に隣接する場合もあれば、リンカーによって区切られている場合も、細胞内コンパートメントを標的とする1つ以上の配列が先行する場合もある(例えば、Gros et al.,Prospective identification of neoantigen-specific lymphocytes in the peripheral blood of melanoma patients,Nat Med.(2016)22(4):433-8、Stronen et al.,Targeting of cancer neoantigens with donor-derived T cell receptor repertoires,Science.(2016)352(6291):1337-41、Lu et al.,Efficient identification of mutated cancer antigens recognized by T cells associated with durable tumor regressions,Clin Cancer Res.(2014)20(13):3401-10を参照のこと)。宿主への導入時、感染細胞は抗原を発現し、それによりペプチド(複数可)に対する宿主免疫(例えば、CTL)応答が刺激される。免疫プロトコルに有用なワクシニアベクター及び方法は、例えば、米国特許第4,722,848号に記載されている。別のベクターは、BCG(Bacille Calmette Guerin:カルメット・ゲラン桿菌)である。BCGベクターは、Stover et al.(Nature 351:456-460(1991))に記載されている。抗原の治療的投与または免疫に有用な多種多様な他のワクチンベクター、例えば、Salmonella typhiベクター等は本明細書での説明から当業者に明らかであろう。
【0285】
V.A.ワクチンの設計及び製造に関する追加の考慮事項
V.A.1.すべての腫瘍サブクローンを対象とするペプチドのセットの決定
すべてまたはほとんどの腫瘍サブクローンによって提示されるペプチドを意味する幹ペプチド(Truncal peptide)に、ワクチン内に含めるための優先順位を付けることができる。任意選択で、提示され、かつ高い確率で免疫原性であることが予測される幹ペプチドがない場合、または提示され、かつ高い確率で免疫原性であることが予測される幹ペプチドの数が、追加の非幹ペプチドをワクチンに含めることができるほど十分に少ない場合は、腫瘍サブクローンの数及び同一性を推定し、ワクチンでカバーされる腫瘍サブクローンの数が最大限となるようにペプチドを選択することにより、さらなるペプチドに優先順位を付けることができる。
【0286】
V.A.2.抗原の優先順位付け
上記の抗原フィルターがすべて適用された後でも、ワクチン技術が支持できるよりも多くの候補抗原が、依然としてワクチンに含めるために利用可能な場合がある。さらに、抗原分析の様々な側面が依然として不確かな場合があり、ワクチン抗原候補の異なる特性間でのトレードオフが存在し得る。したがって、選択工程の各ステップにおける所定のフィルターの代わりに、統合的多次元モデル、すなわち、少なくとも以下の軸を有する空間に候補抗原を配し、統合的手法を使用して選択を最適化するモデルを考慮することができる。
1.自己免疫または寛容のリスク(生殖細胞系列のリスク)(典型的には、自己免疫のリスクが低い方が好ましい)
2.シークエンシングアーチファクトの確率(典型的には、アーチファクトの確率の低い方が好ましい)
3.免疫原性の確率(典型的には、免疫原性の確率の高い方が好ましい)
4.提示の確率(典型的には、提示の確率の高い方が好ましい)
5.遺伝子発現(典型的には、発現の高い方が好ましい)
6.HLA遺伝子の対象範囲(抗原のセットの提示に関与するHLA分子の数が大きいほど、腫瘍、感染症、及び/または感染細胞がHLA分子の下方制御もしくは変異を介して免疫攻撃から逃避する確率が低くなり得る)
7.HLAクラスの対象範囲(HLA-I及びHLA-IIの両方を対象とすることにより、治療効果の確率が上がり、腫瘍または感染症による回避の確率が下がり得る)
【0287】
さらに、任意選択で、抗原が、患者の腫瘍もしくは感染細胞の全部もしくは一部において、喪失または不活性化しているHLAアレルにより提示されることが予測される場合、それらの抗原をワクチン接種の優先順位から外す(例えば、除外する)ことができる。HLAアレルの喪失は、体細胞変異、ヘテロ接合性の消失、または遺伝子座のホモ接合性の欠失のいずれかによって起こる。HLAアレル体細胞変異の検出のための方法は、当該技術分野において周知である(例えば、Shukla et al.,2015)。体細胞LOH(ヘテロ接合性の消失)及びホモ接合性の欠失(HLA遺伝子座を含む)の検出のための方法も同様に十分に報告されている。(Carter et al.,2012、McGranahan et al.,2017、Van Loo et al.,2010)。抗原はまた、質量分析データから、予測抗原が予測HLAアレルにより提示されないことが示される場合にも優先順位から外され得る。
【0288】
V.C.自己増幅RNAベクター
一般に、すべての自己増幅RNA(SAM)ベクターは、自己複製ウイルスに由来する自己増幅骨格を含有する。用語「自己増幅骨格」とは、ウイルスゲノムの自己複製を可能にする、自己複製ウイルスの最小配列(複数可)を指す。例えば、アルファウイルスの自己複製を可能にする最小配列には、非構造タンパク質媒介性増幅のための保存された配列(例えば、非構造タンパク質1(nsP1)遺伝子、nsP2遺伝子、nsP3遺伝子、nsP4遺伝子、及び/またはポリA配列)が含まれ得る。自己増幅骨格にはまた、ウイルスのサブゲノムRNAの発現のための配列(例えば、アルファウイルスでは26Sプロモーターエレメント)も含まれ得る。SAMベクターは、プラス鎖RNAポリヌクレオチドまたはマイナス鎖RNAポリヌクレオチド、例えば、プラス鎖またはマイナス鎖自己複製ウイルスに由来する骨格を持つベクターであり得る。自己複製ウイルスには、アルファウイルス、フラビウイルス(例えば、クンジンウイルス)、麻疹ウイルス、及びラブドウイルス(例えば、狂犬病ウイルス及び水疱性口内炎ウイルス)が含まれるが、これらに限定されない。自己複製ウイルスに由来するSAMベクター系の例は、Lundstrom(Molecules.2018 Dec 13;23(12).pii:E3310.doi:10.3390/molecules23123310)に詳述されており、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0289】
V.C.1.アルファウイルス生物学
アルファウイルスはトガウイルス(Togaviridae)科のメンバーであり、一本鎖プラス鎖RNAウイルスである。それらのメンバーは典型的には、シンドビスウイルス、ロスリバーウイルス、マヤロウイルス、チクングニアウイルス、及びセムリキ森林ウイルス等の旧世界、または東部ウマ脳炎、アウラウイルス、フォートモルガンウイルス、もしくはベネズエラウマ脳炎ウイルス及びその派生株TC-83等の新世界に分類される(Strauss Microbial Review 1994)。天然アルファウイルスゲノムは典型的には、長さが約12kbであり、その最初の3分の2には、ウイルスゲノムの自己複製のためのRNA複製複合体を形成する非構造タンパク質(nsP)をコードする遺伝子が含有され、最後の3分の1には、ビリオン産生のための構造タンパク質をコードするサブゲノム発現カセットが含有される(Frolov RNA 2001)。
【0290】
アルファウイルスのモデル生活環は、複数の異なるステップを含む(Strauss Microbrial Review 1994,Jose Future Microbiol 2009)。宿主細胞へのウイルスの付着に続き、ビリオンが細胞内コンパートメント内の膜と融合し、最終的にサイトゾル内へのゲノムRNAの放出をもたらす。このゲノムRNAは、プラス鎖方向にあり、かつ5’のメチルグアニル酸キャップ及び3’のポリA尾部を含み、翻訳されて、複製複合体を形成する非構造タンパク質nsP1~4を生成する。感染初期にはその後、プラス鎖は複合体によりマイナス鎖のテンプレートに複製される。現在のモデルでは、複製複合体は、感染の進行につれてさらなるプロセシングを受け、そこから生じるプロセシングされた複合体が、マイナス鎖から、全長プラス鎖ゲノムRNA、及び構造遺伝子を含有する26Sサブゲノミックプラス鎖RNAの両方への転写に切り替わる。アルファウイルスのいくつかの保存配列エレメント(CSE)は、様々なRNA複製ステップにおいて役割を果たすことが確認されており、それらには、マイナス鎖テンプレートからのプラス鎖RNAの複製における5’UTRの相補鎖、ゲノムテンプレートからのマイナス鎖合成の複製における51nt CSE、マイナス鎖からのサブゲノムRNAの転写におけるnsPと26S RNAの間の接合部領域での24nt CSE、及びプラス鎖テンプレートからのマイナス鎖合成における3’ 19nt CSEが含まれる。
【0291】
ウイルスの自然の生活環では、様々なRNA種の複製に続き、ウイルス粒子が典型的には構築される。26S RNAが翻訳され、そこから生じたタンパク質がさらなるプロセシングを受けて、カプシドタンパク質、糖タンパク質E1及びE2、ならびに2つの小ポリペプチドE3及び6K等の構造タンパク質が生成される(Strauss 1994)。ウイルスRNAのカプシド形成が起こり、通常はパッケージされるゲノムRNAにのみ特異的なカプシドタンパク質を持ち、その後、ビリオンが組み立てられ、膜表面に出芽する。
【0292】
V.C.2.送達ベクターとしてアルファウイルス
アルファウイルス(アルファウイルスの配列、特徴、及び他の要素を含む)を使用して、アルファウイルス系送達ベクター(アルファウイルスベクター(alphavirus vector)、アルファウイルスウイルスベクター(alphavirus viral vector)、アルファウイルスワクチンベクター、自己複製RNA(srRNA)ベクター、または自己増幅mRNA(SAM)ベクターとも呼ばれる)を生成することができる。アルファウイルスは、以前から発現ベクター系として使用するために操作されている(Pushko 1997,Rheme 2004)。アルファウイルスは、特に、異種抗原発現が所望され得るワクチンという状況において、いくつかの利点を提供する。アルファウイルスベクターは一般に、宿主サイトゾルで自己複製するその能力のため、細胞内に多くのコピー数の発現カセットを生成することができ、高レベルの異種抗原生成をもたらす。さらに、ベクターは一般に一過性であるため、バイオセーフティの改善、ならびにベクターに対する免疫寛容の誘導の減少をもたらす。一般に、公衆は、ヒトアデノウイルス等の他の標準的ウイルスベクターと比較して、アルファウイルスベクターに対する既存の免疫も欠いている。また、アルファウイルスに基づくベクターは一般に、感染細胞に対する細胞傷害性応答ももたらす。細胞傷害性は、発現された異種抗原に対する免疫応答を適切に刺激するために、ワクチンという状況ではある程度重要であり得る。ただし、所望の細胞傷害性の程度は綱渡り的であり得るため、VEEのTC-83株を含め、いくつかの弱毒化アルファウイルスが開発されている。したがって、本明細書に記載される抗原発現ベクターの一例は、高レベルの抗原発現を可能にし、抗原に対する強い免疫応答を刺激し、ベクター自体に対する免疫応答を刺激せず、かつ安全な方法で使用可能である、アルファウイルス骨格を利用することができる。さらに、抗原発現カセットは、VEEまたはその弱毒化派生株TC-83に由来する配列が含まれるがこれらに限定されない、ベクターが使用するアルファウイルス配列の最適化を介して、異なるレベルの免疫応答を刺激するよう設計可能である。
【0293】
アルファウイルス配列を使用して、いくつかの発現ベクター設計戦略が設計されている(Pushko 1997)。一戦略では、アルファウイルスベクター設計には、26Sプロモーター配列エレメントの第2のコピーを構造タンパク質遺伝子の下流に挿入し、それに続けて異種遺伝子を挿入することが含まれる(Frolov 1993)。したがって、天然の非構造タンパク質及び構造タンパク質に加え、異種タンパク質を発現する追加のサブゲノムRNAが生成される。この系では、感染性ビリオンの生成のための全エレメントが存在するため、非感染細胞における発現ベクターの感染の繰り返しが発生し得る。
【0294】
別の発現ベクター設計では、ヘルパーウイルス系を利用している(Pushko 1997)。この戦略では、構造タンパク質が異種遺伝子に置き換えられる。したがって、まだ無傷の非構造遺伝子に媒介されるウイルスRNAの自己複製に続いて、26SサブゲノムRNAにより、異種タンパク質の発現がもたらされる。従来、構造タンパク質を発現する追加のベクターはその後、細胞株のコトランスフェクション等によりトランスで供給され、感染性ウイルスが生成される。系は、USPN8,093,021に詳述されており、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ヘルパーベクター系は、感染性粒子が形成される可能性を制限するという利益を提供し、したがって、バイオセーフティが改善する。さらに、ヘルパーベクター系はベクター全長を短縮し、複製及び発現の効率が改善する。したがって、本明細書に記載される抗原発現ベクターの一例では、アルファウイルス骨格を利用することができ、ここで、構造タンパク質は抗原カセットに置き換えられ、得られたベクターは、バイオセーフティの問題を減らすと同時に、発現ベクター全体のサイズの縮小による効率的な発現を促進する。
【0295】
V.C.3.インビトロでの自己増幅ウイルスの生成
RNA生成のための当該技術分野で周知の好都合な技術は、インビトロ転写(IVT)である。この技術では、まず所望のベクターのDNAテンプレートが、当業者に周知の技術、例えば、クローニング、制限酵素消化、ライゲーション、遺伝子合成(例えば、化学合成及び/または酵素による合成)、ならびにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等の標準的な分子生物学技術によって生成される。
【0296】
DNAテンプレートは、RNAへの転写が所望される配列(例えば、SAM)の5’末端にRNAポリメラーゼプロモーターを含有する。プロモーターには、T3、T7、K11、またはSP6等のバクテリオファージポリメラーゼプロモーターが含まれるが、これらに限定されない。選択される特定のRNAポリメラーゼプロモーター配列に応じて、所望の配列に加え、追加の5’ヌクレオチドを転写させることができる。例えば、標準T7プロモーターは、配列TAATACGACTCACTATAGGにより参照され得、ここで、所望の配列Nの生成のためにDNAテンプレートTAATACGACTCACTATAGGNを使用するIVT反応により、mRNA配列GG-Nがもたらされる。理論に拘束されることは望まないが、一般に、T7ポリメラーゼは、グアノシンで始まるRNA転写産物をより効率的に転写する。追加の5’ヌクレオチドが所望されない場合(例えば、追加のGGがない場合)、DNAテンプレートに含有されているRNAポリメラーゼプロモーターは、所望の配列(例えば、SAMベクターが由来する自己複製ウイルスの天然5’配列を有するSAM)の5’ヌクレオチドのみを含有する転写産物をもたらす配列であり得る。例えば、最小T7プロモーターは、配列TAATACGACTCACTATAにより参照され得、ここで、所望の配列Nの生成のためにDNAテンプレートTAATACGACTCACTATANを使用するIVT反応により、mRNA配列Nがもたらされる。同様に、配列ATTTAGGTGACACTATAにより参照される最小SP6プロモーターを、追加の5’ヌクレオチドを含まない転写産物を生成するために使用することができる。典型的IVT反応では、DNAテンプレートは、適切なRNAポリメラーゼ酵素、緩衝剤、及びヌクレオチド(NTP)と共にインキュベートされる。
【0297】
得られたRNAポリヌクレオチドを任意選択でさらに修飾することができ、これには、7-メチルグアノシンまたは関連構造等の5’キャップ構造の付加、及び任意選択で、ポリアデニル化(ポリA)尾部が含まれるよう3’末端を修飾することが含まれるが、これに限定されない。修飾IVT反応では、RNAは、IVT中のキャップ類似体付加を介して共転写により5’キャップ構造でキャップ化される。キャップ類似体には、ジヌクレオチド(mG-ppp-N)キャップ類似体またはトリヌクレオチド(mG-ppp-N-N)キャップ類似体が含まれ得、ここで、Nは、ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドを表す(例えば、アデノシン、グアノシン、シチジン、及びウリジン等の、これらに限定されないリボヌクレオシド)。例示的キャップ類似体及びIVT反応におけるそれらの使用は米国特許第10,519,189号にも詳述されており、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。考察されているように、T7ポリメラーゼは、グアノシンで始まるRNA転写産物をより効率的に転写する。グアノシンで始まっていないテンプレートでの転写効率を改善するために、トリヌクレオチドキャップ類似体(mG-ppp-N-N)を使用することができる。トリヌクレオチドキャップ類似体は、ジヌクレオチドキャップ類似体(mG-ppp-N)を使用するIVT反応と比べて転写効率を、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、またはそれ以上高めることができる。
【0298】
5’キャップ構造はまた、mRNA 2’-O-メチルトランスフェラーゼ及びS-アデノシルメチオニンを含有するワクシニアキャッピング系(例えば、NEBカタログ番号M2080)等を使用して、転写後に付加することが可能である。
【0299】
得られたRNAポリヌクレオチドを、任意選択で、記載されているキャッピング技術とは別に、またはそれに加えてさらに修飾することができ、ポリアデニル化(ポリA)尾部が含まれるよう3’末端を修飾することが含まれるが、これに限定されない。
【0300】
その後、RNAは、当該技術分野で周知の技術、例えば、フェノール-クロロホルム抽出またはカラム精製(例えば、クロマトグラフィーを用いる精製)を使用して精製可能である。
【0301】
V.C.4.脂質ナノ粒子による送達
ワクチンベクターの設計において考慮すべき重要な側面は、ベクターそれ自体に対する免疫である(Riley 2017)。これは、ある特定のヒトアデノウイルス系の場合のように、ベクターそれ自体に対する免疫をすでに有している形の場合もあれば、ワクチン投与の後でベクターに対する免疫が発生している形の場合もある。後者は、プライミング用量とブースト用量が分かれている場合のように、同じワクチンの複数投与が実施される場合、または異なる抗原カセットを送達するために同じワクチンベクター系が使用される場合に、重要な考慮事項である。
【0302】
アルファウイルスベクターの場合、標準的送達方法は、カプシドタンパク質、E1タンパク質、及びE2タンパク質をトランスで提供して感染性ウイルス粒子を生成する、すでに考察されているヘルパーウイルス系である。ただし、E1タンパク質及びE2タンパク質は多くの場合、中和抗体の主な標的であることに留意することが重要である(Strauss 1994)。したがって、感染性粒子が中和抗体により標的とされる場合には、標的細胞に目的抗原を送達するためにアルファウイルスベクターを使用することの有効性が低減され得る。
【0303】
ウイルス粒子媒介性の遺伝子送達の代替は、発現ベクターを送達するためのナノ材料の使用である(Riley 2017)。ナノ材料ビヒクルは重要なことには、非免疫原性物質で作製可能であり、一般に、送達ベクターそれ自体に対する免疫が刺激されることを回避できる。これらの材料には、脂質、無機ナノ材料、及び他の高分子材料が含まれ得るが、これらに限定されない。脂質は、カチオン性、アニオン性、または中性であり得る。材料は、合成でも天然由来でもあり得、場合によっては生物分解性であり得る。脂質には、脂肪、コレステロール、リン脂質、脂質複合体が含まれ得、それらとしては、ポリエチレングリコール(PEG)複合体(PEG化脂質)、ワックス、油、グリセリド、及び脂溶性ビタミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0304】
脂質ナノ粒子(LNP)は、両親媒性という脂質の性質が膜及び小胞様構造の形成を可能にするため、魅力的な送達システムである(Riley 2017)。一般に、これらの小胞は、標的細胞の膜内への吸収及びサイトゾル内への核酸の放出により発現ベクターを送達する。さらに、LNPは、特定の細胞型の標的化が促進されるよう、さらに修飾または機能化され得る。LNP設計での別の考慮事項は、標的化効率と細胞毒性の間のバランスである。脂質組成物には一般に、カチオン、中性、アニオン性、及び両親媒性脂質の定義された混合物が含まれる。場合によっては、LNPの凝集を防ぐため、脂質の酸化を防ぐため、または追加の部分の結合を促進する官能性化学基を提供するために、特定の脂質を含める。脂質の組成は、LNP全体のサイズ及び安定性に影響を与え得る。一例では、脂質組成物は、ジリノレイルメチル-4-ジメチルアミノブチラート(MC3)またはMC3様分子を含む。MC3及びMC3様脂質組成物は、PEGもしくはPEG結合脂質、ステロール、または中性脂質等の1つ以上の他の脂質が含まれるよう製剤化可能である。
【0305】
血清に直接曝露される発現ベクター等の核酸ベクターでは、血清ヌクレアーゼによる核酸の分解または遊離核酸によるオフターゲットの免疫系刺激を含め、いくつかの望ましくない結果が生じる可能性がある。したがって、分解を回避すると同時に、潜在的オフターゲット作用も回避するために、アルファウイルスベクターの封入を使用することができる。ある特定の例では、アルファウイルスベクターは、送達ビヒクル内、例えば、LNPの水性内部内に、完全に封入されている。アルファウイルスベクターのLNP内封入は、マイクロ流体混合及びマイクロ流体液滴生成デバイスでの液滴生成等の当業者に周知の技術によって実施可能である。そのようなデバイスには、標準的T字型デバイスまたはフローフォーカス型デバイスが含まれるが、これらに限定されない。一例では、MC3またはMC3様を含有する組成物等の所望の脂質製剤が、アルファウイルス送達ベクター及び他の所望の物質と並行して液滴生成デバイスに提供され、送達ベクター及び所望の物質が、MC3またはMC3様を用いるLNPの内部内に完全に封入される。一例では、液滴生成デバイスは、生産されるLNPのサイズ範囲及び粒度分布を制御することができる。例えば、LNPは、直径が1~1000ナノメートル、例えば、1、10、50、100、500、または1000ナノメートルの範囲のサイズを有し得る。液滴生成後、発現ベクターを内包する送達ビヒクルをさらに処理または修飾して、それらを投与用に調製することができる。
【0306】
V.D.チンパンジーアデノウイルス(ChAd)
V.D.1.チンパンジーアデノウイルスでのウイルス送達
1つ以上の抗原の(例えば、抗原カセットを介した)送達のためのワクチン組成物は、チンパンジー由来のアデノウイルスヌクレオチド配列、様々な新規ベクター、及びチンパンジーアデノウイルス遺伝子を発現する細胞株を提供することにより作製が可能である。チンパンジーC68アデノウイルス(本明細書ではChAdV68とも呼ばれる)のヌクレオチド配列(配列番号1を参照のこと)を、抗原送達のためのワクチン組成物に使用することができる。C68アデノウイルス由来ベクターは、USPN6,083,716に詳述されており、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ChAdV68を用いるベクター及び送達システムは、米国出願公開第US20200197500A1号及び国際特許出願公開第WO2020243719A1号に詳述されており、その各々は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0307】
さらなる態様では、C68等のチンパンジーアデノウイルスのDNA配列を含む組換えアデノウイルス、及びその発現を導く制御配列に機能的に連結されている抗原カセットが本明細書で提供される。組換えウイルスは、哺乳類の細胞、好ましくはヒトの細胞に感染する能力があり、細胞で抗原カセット産物を発現させる能力がある。このベクターでは、天然のチンパンジーE1遺伝子、及び/またはE3遺伝子、及び/またはE4遺伝子を欠失させることができる。これらの遺伝子欠失部位のいずれにも抗原カセットを挿入することができる。抗原カセットには、抗原刺激された免疫応答が所望される対象となる抗原が含まれ得る。
【0308】
別の態様では、C68等のチンパンジーアデノウイルスに感染した哺乳類細胞が本明細書で提供される。
【0309】
さらに別の態様では、チンパンジーアデノウイルス遺伝子(例えば、C68由来)またはその機能的断片を発現する新規哺乳類細胞株が提供される。
【0310】
さらに別の態様では、哺乳類細胞に抗原カセットを送達するための方法が本明細書で提供され、細胞に、抗原カセットを発現するよう操作されているC68等のチンパンジーアデノウイルスを有効量にて導入するステップを含む。
【0311】
さらに別の態様では、がんを治療するために、哺乳類宿主での免疫応答を刺激するための方法が提供される。この方法は、免疫応答が標的とする対象である腫瘍からの1つ以上の抗原をコードする抗原カセットを含むC68等の組換えチンパンジーアデノウイルスを、有効量にて宿主に投与するステップを含むことができる。
【0312】
さらに別の態様では、感染症等の対象での疾患を治療または予防するために、哺乳類宿主での免疫応答を刺激するための方法が提供される。この方法は、免疫応答が標的とする対象である感染症等からの1つ以上の抗原をコードする抗原カセットを含むC68等の組換えチンパンジーアデノウイルスを、有効量にて宿主に投与するステップを含むことができる。
【0313】
また、配列番号1の配列から得られるチンパンジーアデノウイルス遺伝子を発現する非サル哺乳類細胞も開示する。遺伝子は、配列番号1のアデノウイルスE1A、E1B、E2A、E2B、E3、E4、L1、L2、L3、L4及びL5からなる群より選択され得る。
【0314】
また、配列番号1の配列から得られる遺伝子を含むチンパンジーアデノウイルスDNA配列を含む核酸分子も開示する。遺伝子は、配列番号1の前記チンパンジーアデノウイルスE1A、E1B、E2A、E2B、E3、E4、L1、L2、L3、L4及びL5遺伝子からなる群より選択され得る。いくつかの態様では、核酸分子は配列番号1を含む。いくつかの態様では、核酸分子は配列番号1の配列を含み、配列番号1のE1A、E1B、E2A、E2B、E3、E4、L1、L2、L3、L4及びL5遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子を欠いている。
【0315】
また、配列番号1から得られるチンパンジーアデノウイルスDNA配列を含むベクター、及び抗原カセットであって、異種宿主細胞でのかかるカセットの発現を導く1つ以上の制御配列に機能的に連結されている、抗原カセット、も開示し、任意選択で、チンパンジーアデノウイルスDNA配列は、複製及びビリオンのカプシド形成に必要なシスエレメントを少なくとも含み、シスエレメントは、抗原カセット及び制御配列に隣接している。いくつかの態様では、チンパンジーアデノウイルスDNA配列は、配列番号1のE1A、E1B、E2A、E2B、E3、E4、L1、L2、L3、L4及びL5遺伝子配列からなる群より選択される遺伝子を含む。いくつかの態様では、ベクターは、E1A及び/またはE1B遺伝子を欠くことができる。
【0316】
本明細書ではまた、部分的に欠失したE4遺伝子を含むアデノウイルスベクターであって、欠失または部分的欠失E4orf2領域、及び欠失または部分的欠失E4orf3領域、ならびに任意選択で、欠失または部分的欠失E4orf4領域、を含むアデノウイルスベクターも開示する。部分的に欠失したE4は、配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド34,916~35,642のE4欠失を含むことができ、ここで、ベクターは、配列番号1に記載の配列の少なくともヌクレオチド2~36,518を含む。部分的に欠失したE4は、配列番号1に示される配列のヌクレオチド34,916~34,942の少なくとも部分欠失、配列番号1に示される配列のヌクレオチド34,952~35,305の少なくとも部分欠失、及び配列番号1に示される配列のヌクレオチド35,302~35,642の少なくとも部分欠失、のE4欠失を含むことができ、ここで、ベクターは、配列番号1に記載の配列の少なくともヌクレオチド2~36,518を含む。部分的に欠失したE4は、配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド34,980~36,516のE4欠失を含むことができ、ここで、ベクターは、配列番号1に記載の配列の少なくともヌクレオチド2~36,518を含む。部分的に欠失したE4は、配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド34,979~35,642のE4欠失を含むことができ、ここで、ベクターは、配列番号1に記載の配列の少なくともヌクレオチド2~36,518を含む。部分的に欠失したE4は、E4Orf2の少なくとも部分欠失、完全欠失E4Orf3、及びE4Orf4の少なくとも部分欠失である、E4欠失を含むことができる。部分的に欠失したE4は、E4Orf2の少なくとも部分欠失、E4Orf3の少なくとも部分欠失、及びE4Orf4の少なくとも部分欠失である、E4欠失を含むことができる。部分的に欠失したE4は、E4Orf1の少なくとも部分欠失、完全欠失E4Orf2、及びE4Orf3の少なくとも部分欠失である、E4欠失を含むことができる。部分的に欠失したE4は、E4Orf2の少なくとも部分欠失及びE4Orf3の少なくとも部分欠失である、E4欠失を含むことができる。部分的に欠失したE4は、E4Orf1の開始部位からE4Orf5の開始部位までのE4欠失を含むことができる。部分的に欠失したE4は、E4Orf1の開始部位に隣接するE4欠失であり得る。部分的に欠失したE4は、E4Orf2の開始部位に隣接するE4欠失であり得る。部分的に欠失したE4は、E4Orf3の開始部位に隣接するE4欠失であり得る。部分的に欠失したE4は、E4Orf4の開始部位に隣接するE4欠失であり得る。E4欠失は、少なくとも50ヌクレオチド、少なくとも100ヌクレオチド、少なくとも200ヌクレオチド、少なくとも300ヌクレオチド、少なくとも400ヌクレオチド、少なくとも500ヌクレオチド、少なくとも600ヌクレオチド、少なくとも700ヌクレオチド、少なくとも800ヌクレオチド、少なくとも900ヌクレオチド、少なくとも1000ヌクレオチド、少なくとも1100ヌクレオチド、少なくとも1200ヌクレオチド、少なくとも1300ヌクレオチド、少なくとも1400ヌクレオチド、少なくとも1500ヌクレオチド、少なくとも1600ヌクレオチド、少なくとも1700ヌクレオチド、少なくとも1800ヌクレオチド、少なくとも1900ヌクレオチド、または少なくとも2000ヌクレオチドであり得る。E4欠失は、少なくとも700ヌクレオチドであり得る。E4欠失は、少なくとも1500ヌクレオチドであり得る。E4欠失は、50ヌクレオチド以下、100ヌクレオチド以下、200ヌクレオチド以下、300ヌクレオチド以下、400ヌクレオチド以下、500ヌクレオチド以下、600ヌクレオチド以下、700ヌクレオチド以下、800ヌクレオチド以下、900ヌクレオチド以下、1000ヌクレオチド以下、1100ヌクレオチド以下、1200ヌクレオチド以下、1300ヌクレオチド以下、1400ヌクレオチド以下、1500ヌクレオチド以下、1600ヌクレオチド以下、1700ヌクレオチド以下、1800ヌクレオチド以下、1900ヌクレオチド以下、または2000ヌクレオチド以下であり得る。E4欠失は、750ヌクレオチド以下であり得る。E4欠失は、少なくとも1550ヌクレオチド以下であり得る。
【0317】
部分的に欠失したE4遺伝子は、配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド34,916~35,642を欠く、配列番号1に示されるE4遺伝子配列であり得る。部分的に欠失したE4遺伝子は、配列番号1に示され、かつ配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド34,916~34,942、ヌクレオチド34,952~35,305、及び配列番号1に示される配列のヌクレオチド35,302~35,642を欠くE4遺伝子配列を欠く、配列番号1に示されるE4遺伝子配列であり得る。部分的に欠失したE4遺伝子は、配列番号1に示され、かつ配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド34,980~36,516を欠く、E4遺伝子配列であり得る。部分的に欠失したE4遺伝子は、配列番号1に示され、かつ配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド34,979~35,642を欠く、E4遺伝子配列であり得る。部分的に欠失したE4遺伝子を有するアデノウイルスベクターは、カセットを有することができ、ここで、カセットは、少なくとも1つのペイロード核酸配列を含み、かつ、カセットは、少なくとも1つのペイロード核酸配列に機能的に連結されている少なくとも1つのプロモーター配列を含む。部分的に欠失したE4遺伝子を有するアデノウイルスベクターは、配列番号1に示されるChAdV68配列の1つ以上の遺伝子または制御配列を有することができ、任意選択で、1つ以上の遺伝子または制御配列は、配列番号1に示される配列のチンパンジーアデノウイルス末端逆位反復(ITR)、E1A、E1B、E2A、E2B、E3、E4、L1、L2、L3、L4、及びL5遺伝子のうちの少なくとも1つを含む。部分的に欠失したE4遺伝子を有するアデノウイルスベクターは、配列番号1に示される配列のヌクレオチド2~34,916を有することができ、ここで、部分的に欠失したE4遺伝子は、ヌクレオチド2~34,916の3’であり、任意選択で、ヌクレオチド2~34,916はさらに、E1欠失に対応する、配列番号1に示される配列のヌクレオチド577~3403を欠き、及び/またはE3欠失に対応する、配列番号1に示される配列のヌクレオチド27,125~31,825を欠く。部分的に欠失したE4遺伝子を有するアデノウイルスベクターは、配列番号1に示される配列のヌクレオチド35,643~36,518を有することができ、部分的に欠失したE4遺伝子は、ヌクレオチド35,643~36,518の5’である。部分的に欠失したE4遺伝子を有するアデノウイルスベクターは、配列番号1に示される配列のヌクレオチド2~34,916を有することができ、ここで、部分的に欠失したE4遺伝子は、ヌクレオチド2~34,916の3’であり、ヌクレオチド2~34,916はさらに、E1欠失に対応する、配列番号1に示される配列のヌクレオチド577~3403を欠き、かつ、E3欠失に対応する、配列番号1に示される配列のヌクレオチド27,125~31,825を欠く。部分的に欠失したE4遺伝子を有するアデノウイルスベクターは、配列番号1に示される配列のヌクレオチド2~34,916を有することができ、ここで、部分的に欠失したE4遺伝子は、ヌクレオチド2~34,916の3’であり、ヌクレオチド2~34,916はさらに、E1欠失に対応する、配列番号1に示される配列のヌクレオチド577~3403を欠き、かつ、E3欠失に対応する、配列番号1に示される配列のヌクレオチド27,125~31,825を欠き、また配列番号1に示される配列のヌクレオチド35,643~36,518を有し、ここで、部分的に欠失したE4遺伝子は、ヌクレオチド35,643~36,518の5’である。
【0318】
部分的に欠失したE4遺伝子は、配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド34,916~35,642を欠き、配列番号1に示される配列のヌクレオチド2~34,916である、配列番号1に示されるE4遺伝子配列であり得、ここで、部分的に欠失したE4遺伝子は、ヌクレオチド2~34,916の3’であり、ヌクレオチド2~34,916はさらに、E1欠失に対応する、配列番号1に示される配列のヌクレオチド577~3403を欠き、かつ、E3欠失に対応する、配列番号1に示される配列のヌクレオチド27,125~31,825を欠き、また配列番号1に示される配列のヌクレオチド35,643~36,518を有し、ここで、部分的に欠失したE4遺伝子は、ヌクレオチド35,643~36,518の5’である。
【0319】
本明細書ではまた、抗原カセットを発現するよう操作されたC68ベクター等の本明細書に開示されるベクターをトランスフェクトされた宿主細胞も開示する。本明細書ではまた、ヒト細胞への本明細書に開示されるベクターの導入を介して導入された選択遺伝子を発現するヒト細胞も開示する。
【0320】
本明細書ではまた、抗原カセットを哺乳類細胞に送達するための方法も開示し、抗原カセットを発現するよう操作されたC68ベクター等の本明細書に開示されるベクターを有効量にて前記細胞に導入することを含む。
【0321】
本明細書ではまた、本明細書に開示されるベクターを哺乳類細胞内に導入すること、細胞を好適な条件下で培養すること、及び抗原を生成することを含む、抗原を生成するための方法も開示する。
【0322】
V.D.2.E1発現補完細胞株
本明細書に記載される遺伝子のいずれかが欠失した組換えチンパンジーアデノウイルス(Ad)を作製するために、欠失遺伝子領域の機能は、ウイルスの複製及び感染性に必須であれば、ヘルパーウイルスまたは細胞株によって、すなわち、補完細胞株またはパッケージング細胞株によって組換えウイルスに供給が可能である。例えば、複製欠損型チンパンジーアデノウイルスベクターを作製ために、ヒトまたはチンパンジーアデノウイルスのE1遺伝子産物を発現する細胞株を使用することができ、そのような細胞株には、HEK293またはそのバリアントが含まれ得る。チンパンジーE1遺伝子産物を発現する細胞株の作製のためのプロトコル(USPN6,083,716の実施例3及び4)に従って、任意の選択チンパンジーアデノウイルス遺伝子を発現する細胞株を作製することができる。
【0323】
チンパンジーアデノウイルスE1発現細胞株を同定するには、AAV増強アッセイを使用することができる。このアッセイは、特徴付けられていない他の(例えば、他の種からの)アデノウイルスのE1遺伝子を使用して作製された細胞株でのE1機能を確認するために有用である。そのアッセイは、USPN6,083,716の実施例4Bに記載されている。
【0324】
選択チンパンジーアデノウイルス遺伝子、例えば、E1は、選択された親細胞株での発現のためのプロモーターの転写調節下にあり得る。この目的のために、誘導性プロモーターまたは構成的プロモーターを用いることができる。誘導性プロモーターの中には、亜鉛による誘導性のヒツジメタロチオニン(metallothionine)プロモーター、またはグルココルチコイド、特に、デキサメタゾンによる誘導性のマウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーターが含まれる。参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願第WO95/13392号において特定されているプロモーター等の他の誘導性プロモーターも、パッケージング細胞株の生産に使用することができる。チンパンジーアデノウイルス遺伝子の発現制御に構成的プロモーターを用いることもできる。
【0325】
親細胞は、任意の所望C68遺伝子を発現する新規細胞株の作製のために選択され得る。制限することなく、そのような親細胞株は、HeLa[ATCC受託番号CCL2]、A549[ATCC受託番号CCL185]、KB[CCL17]、Detroit[例えば、Detroit510、CCL72]及びWI-38[CCL75]細胞であり得る。他の好適な親細胞株は、他の供給源から入手可能である。親細胞株には、CHO、HEK293またはそのバリアント、911、HeLa、A549、LP-293、PER.C6、またはAE1-2aが含まれ得る。
【0326】
E1発現細胞株は、組換えチンパンジーアデノウイルスE1欠失ベクターの作製に有用であり得る。本質的に同じ手順を使用して構築される、1つ以上の他のチンパンジーアデノウイルスの遺伝子産物を発現する細胞株は、それらの産物をコードする遺伝子が欠失した組換えチンパンジーアデノウイルスベクターの作製において有用である。さらに、他のヒトAd E1遺伝子産物を発現する細胞株もまた、チンパンジー組換えAdの作製に有用である。
【0327】
V.D.3.ベクターとしての組換えウイルス粒子
本明細書に開示される組成物は、細胞に少なくとも1つの抗原を送達するウイルスベクターを含むことができる。そのようなベクターは、C68等のチンパンジーアデノウイルスDNA配列、及び抗原カセットであって、そのカセットの発現を導く制御配列に機能的に連結されている抗原カセット、を含む。C68ベクターは、感染哺乳類細胞でカセットを発現させる能力がある。C68ベクターは、1つ以上のウイルス遺伝子が機能的に欠失していてよい。抗原カセットは、プロモーター等の1つ以上の制御配列の制御下にある少なくとも1つの抗原を含む。任意選択のヘルパーウイルス及び/またはパッケージング細胞株は、欠失したアデノウイルス遺伝子の任意の必要産物をチンパンジーウイルスベクターに供給することができる。
【0328】
「機能的に欠失した」という用語は、十分な量の遺伝子領域が除去されるか、そうでなければ、例えば、変異または修飾によって改変されており、その遺伝子領域がもはや遺伝子発現の1つ以上の機能的産物を生成できなくなっていることを意味する。機能欠失をもたらし得る変異または修飾には、未成熟終止コドンの導入ならびに標準及び非標準の開始コドンの除去等のナンセンス変異、mRNAスプライシングもしくは他の転写プロセシングを変化させる変異、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。所望される場合、遺伝子領域全体を除去することができる。
【0329】
本明細書に開示されるベクターを形成する核酸配列の修飾、例えば、配列の欠失、挿入、及び他の変異は、標準的分子生物学的技術を使用して生成され得、それらは本発明の範囲内である。
【0330】
V.D.4.ウイルスプラスミドベクターの構築
本発明に有用なチンパンジーアデノウイルスC68ベクターには、組換え欠損アデノウイルス、すなわち、E1aまたはE1b遺伝子が機能的に欠失しており、任意選択で、他の変異、例えば、温度感受性変異または他の遺伝子の欠失を持つチンパンジーアデノウイルス配列が含まれる。これらのチンパンジー配列はまた、他のアデノウイルス及び/またはアデノ随伴ウイルス配列からハイブリッドベクターを形成する上でも有用であることが予測される。ヒトアデノウイルスから調製された同種アデノウイルスベクターについては、刊行文献に記載されている(例えば、上記に引用のKozarsky I及びII、ならびに同文献に引用された参照文献、米国特許第5,240,846号を参照のこと)。
【0331】
ヒト(または他の哺乳類の)細胞への抗原カセットの送達に有用なチンパンジーアデノウイルスC68ベクターの構築では、一連のアデノウイルス核酸配列をベクターで用いることができる。最小チンパンジーC68アデノウイルス配列を含むベクターをヘルパーウイルスと併用して感染性組換えウイルス粒子を生成することができる。ヘルパーウイルスは、ウイルスの感染性及び最小チンパンジーアデノウイルスベクターの増殖に必要とされる必須遺伝子産物を提供する。チンパンジーアデノウイルス遺伝子の1つ以上の選択欠失のみが、他の点では機能的なウイルスベクターで行われる場合、欠失させた遺伝子産物は、欠失した遺伝子機能をトランスで提供する選択パッケージング細胞株でウイルスを増殖させることにより、ウイルスベクター生成工程において供給可能である。
【0332】
V.D.5.組換え最小アデノウイルス
最小チンパンジーAd C68ウイルスは、複製及びビリオンのカプシド形成に必要なアデノウイルスシスエレメントのみを含有するウイルス粒子である。すなわち、ベクターは、アデノウイルスのシス作用性の5’及び3’の末端逆位反復(ITR)配列(複製起点として機能)ならびに天然5’パッケージング/エンハンサードメイン(線状Adゲノムのパッケージング及びE1プロモーターのエンハンサーエレメントに必要な配列を含有)を含有する。例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願第WO96/13597号中の「最小」ヒトAdベクターの調製について記載されている技術を参照のこと。
【0333】
V.D.6.他の欠損アデノウイルス
組換え複製欠損アデノウイルスは、最小チンパンジーアデノウイルス配列よりも多く含有することもできる。これらの他のAdベクターは、ウイルスの遺伝子領域の様々な部分の欠失、ならびにヘルパーウイルス及び/またはパッケージング細胞株の任意選択の使用により形成される感染性ウイルス粒子を特徴とし得る。
【0334】
一例として、好適なベクターは、C68アデノウイルス最初期遺伝子E1a及び遅初期(delayed early)遺伝子E1bの全部または十分な部分を、それらの正常な生物学的機能が排除されるよう、欠失させることによって形成され得る。複製欠損型E1欠失ウイルスは、機能的アデノウイルスE1a及びE1b遺伝子を含有する、対応遺伝子産物をトランスで提供する、チンパンジーアデノウイルスに形質転換された補完細胞株で増殖させた場合、感染性ウイルスを複製及び生成する能力がある。既知のアデノウイルス配列との相同性に基づき、当該技術分野のヒト組換えE1欠失アデノウイルスについても言えるように、得られる組換えチンパンジーアデノウイルスは多くの細胞型に感染する能力があり、抗原(複数可)を発現することはできるが、細胞が非常に高い感染多重度で感染しない限り、チンパンジーE1領域DNAを持たない大半の細胞においては複製することはできないことが予測される。
【0335】
別の例として、C68アデノウイルス遅初期遺伝子E3の全部または一部は、組換えウイルスの一部を形成するチンパンジーアデノウイルス配列から排除され得る。
【0336】
チンパンジーアデノウイルスC68ベクターはまた、E4遺伝子の欠失を有して構築可能である。さらに別のベクターは、遅初期遺伝子E2aに欠失を含有することができる。
【0337】
欠失は、チンパンジーC68アデノウイルスゲノムの後期遺伝子L1~L5のいずれかにおいても行うことができる。同様に、中期(intermediate)遺伝子IX及びIVa2での欠失も一部の目的に有用であり得る。他の欠失は、他の構造または非構造アデノウイルス遺伝子で行われ得る。
【0338】
上記で考察した欠失は個々に使用することができる、すなわち、アデノウイルス配列は、E1欠失のみを含有することができる。別法として、生物学的活性の破壊または低下に有効な遺伝子全体またはそれらの部分の欠失を任意の組み合わせで使用することができる。例えば、1つの例示的ベクターでは、アデノウイルスC68配列は、E3欠失の有無を問わず、E1遺伝子及びE4遺伝子の欠失、またはE1、E2a及びE3遺伝子の欠失、またはE1及びE3遺伝子の欠失、またはE1、E2a及びE4遺伝子の欠失等を有することができる。上述のように、そのような欠失を温度感受性変異等の他の変異と組み合わせて使用して、所望の結果を達成することができる。
【0339】
抗原(複数可)を含むカセットは、任意選択で、チンパンジーC68 Adウイルスの任意の欠失領域に挿入され得る。別法として、所望される場合、既存の遺伝子領域にカセットを挿入して、その領域の機能を破壊することができる。
【0340】
V.D.7.ヘルパーウイルス
抗原カセットを運ぶために用いられるウイルスベクターのチンパンジーアデノウイルス遺伝子含量に応じて、ヘルパーアデノウイルスまたは非複製ウイルス断片を使用して、カセットを含有する感染性組換えウイルス粒子を生成するのに十分なチンパンジーアデノウイルス遺伝子配列を提供することができる。
【0341】
有用なヘルパーウイルスは、アデノウイルスベクターコンストラクト中に存在しない、及び/またはベクターがトランスフェクトされるパッケージング細胞株によって発現されない、選択アデノウイルス遺伝子配列、を含有する。ヘルパーウイルスは、複製欠損であり得、上記配列に加えて様々なアデノウイルス遺伝子を含有し得る。ヘルパーウイルスを、本明細書に記載されるE1発現細胞株と組み合わせて使用することができる。
【0342】
C68の場合、「ヘルパー」ウイルスは、C68ゲノムのC末端とSspIをクリッピングすることにより形成される断片であり得、この場合、ウイルスの左端から約1300bpが除去される。次いで、このクリッピングされたウイルスは、プラスミドDNAと共にE1発現細胞株にコトランスフェクトされ、それにより、プラスミドでのC68配列との相同組換えによって組換えウイルスが形成される。
【0343】
ヘルパーウイルスはまた、Wu et al,J.Biol.Chem.,264:16985-16987(1989)、K.J.Fisher and J.M.Wilson,Biochem.J.,299:49(Apr.1,1994)に記載されているようにポリカチオン複合体に形成することもできる。ヘルパーウイルスは、任意選択で、レポーター遺伝子を含有することができる。多数のそのようなレポーター遺伝子が当該技術分野で知られている。アデノウイルスベクター上の抗原カセットとは異なる、ヘルパーウイルス上のレポーター遺伝子の存在により、Adベクターとヘルパーウイルスの両方を独立してモニターすることが可能になる。この第2のレポーターは、得られた組換えウイルスとヘルパーウイルスの間の分離を精製時に可能にするために使用される。
【0344】
V.D.8.ウイルス粒子のアセンブリ及び細胞株の感染
アデノウイルスの選択されたDNA配列、抗原カセット、及び他のベクター要素の、様々な中間プラスミド及びシャトルベクターへのアセンブリ、及び組換えウイルス粒子を生成するためのプラスミド及びベクターの使用はいずれも、従来技術を使用して達成することができる。そのような技術には、従来のcDNAクローニング技術、インビトロ組換え技術(例えば、ギブソンアセンブリ)、アデノウイルスゲノムの重複オリゴヌクレオチド配列の使用、ポリメラーゼ連鎖反応、及び所望のヌクレオチド配列をもたらす任意の好適な方法が含まれる。標準的トランスフェクション及びコトランスフェクション技術、例えば、CaPO4沈殿法またはリポフェクタミン等のリポソーム媒介性トランスフェクション法が用いられる。用いられる他の従来方法には、ウイルスゲノムの相同組換え、寒天重層でのウイルスプラーク形成、シグナル発生を測定する方法等が含まれる。
【0345】
例えば、所望抗原カセットを含有するウイルスベクターの構築及びアセンブリの後、ヘルパーウイルス存在下、インビトロでベクターをパッケージング細胞株にトランスフェクトすることができる。ヘルパーとベクター配列の間で相同組換えが起こり、これにより、ベクター中のアデノウイルス抗原の配列が複製されてビリオンカプシド内にパッケージングされることができ、組換えウイルスベクター粒子がもたらされる。
【0346】
得られた組換えチンパンジーC68アデノウイルスは、選択された細胞への抗原カセットの導入に有用である。パッケージング細胞株で増殖させた組換えウイルスを用いたインビボ試験では、E1欠失組換えチンパンジーアデノウイルスは、非チンパンジー細胞、好ましくはヒト細胞にカセットを導入する際の有用性を示している。
【0347】
V.D.9.組換えウイルスベクターの使用
このように、抗原カセットを含有する、得られた組換えチンパンジーC68アデノウイルス(上記のようにアデノウイルスベクターとヘルパーウイルスまたはアデノウイルスベクターとパッケージング細胞株の協働により生成)により、対象にインビボまたはエキソビボで抗原(複数可)を送達することができる効率的な遺伝子導入ビヒクルが提供される。
【0348】
上記の組換えベクターは、公開されている遺伝子治療法に従ってヒトに投与される。抗原カセットを担持するチンパンジーウイルスベクターは、好ましくは、生物学的に適合する溶液または薬学的に許容される送達ビヒクルに懸濁させて、患者に投与され得る。好適なビヒクルには、滅菌生理食塩水が含まれる。薬学的に許容される担体であることが既知であり、かつ当業者に周知の他の水性及び非水性の等張無菌注射液ならびに水性及び非水性の無菌懸濁液は、この目的のために用いられ得る。
【0349】
チンパンジーアデノウイルスベクターは、ヒト細胞に形質導入するのに十分な量であり、かつ、過度の有害作用を伴わないか、または医学的に許容される生理学的効果を伴う治療上の利益を提供するのに十分なレベルの抗原導入及び発現をもたらすのに十分な量で投与され、これは、医療分野の当業者により決定され得る。従来の薬学的に許容される投与経路には、肝臓への直接送達、鼻腔内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、経口及び他の非経口による投与経路が含まれるが、これらに限定されない。投与経路は、必要に応じて組み合わせてよい。
【0350】
ウイルスベクターの投与量は、主に、治療される病態、患者の年齢、体重及び健康等の要因に応じて異なるため、患者によって異なり得る。投与量は、任意の副作用に対する治療上の利益のバランスが取れるよう調整され、そのような投与量は、組換えベクターが用いられる治療用途に応じて異なり得る。抗原(複数可)の発現レベルをモニターして、投与量の投与頻度を決定することができる。
【0351】
組換え複製欠損アデノウイルスは、「薬学的に有効な量」、すなわち、所望の細胞にトランスフェクトするため、及びワクチン効果、すなわち、ある程度の測定可能なレベルの防御免疫を得るのに十分なレベルの選択遺伝子の発現を提供するための投与経路において有効な組換えアデノウイルスの量にて投与され得る。抗原カセットを含むC68ベクターは、アジュバントと共に同時投与され得る。アジュバントは、特に、アジュバントがタンパク質である場合、ベクターとは別個(例えば、ミョウバン)であってもベクター内でコードされてもよい。アジュバントは、当該技術分野において周知である。
【0352】
従来の薬学的に許容される投与経路には、鼻腔内、筋肉内、気管内、皮下、皮内、直腸、経口及び他の非経口による投与経路が含まれるが、これらに限定されない。投与経路は、必要に応じて組み合わされる場合もあれば、免疫原または疾患に応じて調整される場合もある。例えば、狂犬病予防では、皮下、気管内及び鼻腔内の経路が好ましい。投与経路は主に、治療される疾患の性質に応じて異なる。
【0353】
抗原(複数可)に対する免疫レベルをモニターして、ブースターがある場合はその必要性を決定することができる。例えば、血清中の抗体価の評価の後、任意選択のブースター免疫が望ましい場合がある。
【0354】
VI.治療方法及び製造方法
対象での腫瘍特異的な免疫応答を刺激すること、腫瘍に対するワクチン接種をすること、対象でのがんの症状を、1つ以上の抗原、例えば、本明細書に開示される方法を使用して同定される複数の抗原を対象に投与することによって治療及び/または軽減すること、を行う方法もまた提供される。
【0355】
対象での感染症生物特異的な免疫応答を刺激すること、感染症生物に対するワクチン接種をすること、対象での感染症生物と関連する感染症の症状を、1つ以上の抗原、例えば、本明細書に開示される方法を使用して同定される複数の抗原を対象に投与することによって治療及び/または軽減すること、を行う方法もまた提供される。
【0356】
いくつかの態様では、対象は、がんと診断されているかまたはがんを発症するリスクがある。対象は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマまたは腫瘍特異的な免疫応答が望ましい任意の動物であり得る。腫瘍は、乳房、卵巣、前立腺、肺、腎臓、胃、結腸、精巣、頭頸部、膵臓、脳、黒色腫、及び組織器官の他の腫瘍等の任意の固形腫瘍、ならびにリンパ腫及び白血病等の血液腫瘍、例えば、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、T細胞リンパ性白血病、及びB細胞リンパ腫であり得る。
【0357】
いくつかの態様では、対象は、感染症と診断されているかまたは感染症のリスクがある(例えば、年齢、地理/旅行により、及び/または仕事上、感染症のリスクが高いかもしくはその素因がある、あるいは季節性及び/または新規疾患による感染症のリスクがある)。
【0358】
抗原は、CTL応答を刺激するのに十分な量で投与され得る。抗原は、T細胞応答を刺激するのに十分な量で投与され得る。抗原は、B細胞応答を刺激するのに十分な量で投与され得る。抗原は、T細胞応答及びB細胞応答の両方を刺激するのに十分な量で投与され得る。
【0359】
抗原は、単独で、または他の治療剤と組み合わせて投与され得る。治療剤には、抗ウイルス剤または抗生物質等の感染症生物を標的とするものが含まれ得る。
【0360】
さらに、チェックポイント阻害剤等の抗免疫抑制剤/免疫刺激剤を対象にさらに投与することができる。例えば、抗CTLA抗体または抗PD-1もしくは抗PD-L1を対象にさらに投与することができる。抗体によるCTLA-4またはPD-L1の遮断は、患者でのがん性細胞に対する免疫応答を増強させることができる。特に、CTLA-4の遮断は、ワクチン接種プロトコルに従った場合、有効であることが示されている。
【0361】
ワクチン組成物中に含められる各抗原の最適量、及び最適投与レジメンを決定することができる。例えば、抗原またはそのバリアントは、静脈内(i.v.)注射、皮下(s.c.)注射、皮内(i.d.)注射、腹腔内(i.p.)注射、筋肉内(i.m.)注射用に調製可能である。注射の方法には、s.c.、i.d.、i.p.、i.m.、及びi.v.が含まれる。DNAまたはRNA注射の方法には、i.d.、i.m.、s.c.、i.p.及びi.v.が含まれる。ワクチン組成物の他の投与方法は当業者に公知である。
【0362】
ワクチンは、組成物中に存在する抗原の選択、数及び/または量が、組織、がん、感染症、及び/または患者に特異的であるよう編集可能である。例えば、ペプチドの正確な選択は、所与の組織における親タンパク質の発現パターンによって導くことができ、また患者の変異または疾患の状態によっても導くことができる。選択は、特定の種類のがん、特定の感染症(例えば、対象が感染しているかまたはそれによる感染リスクがある特定の感染症の分離株(isolate)/株(strain))、疾患の状態、ワクチン接種の目的(例えば、予防的か、または進行中の疾患の標的化)、先行治療レジメン、患者の免疫状態、及び当然のことながら患者のHLAハプロタイプ、に応じて異なり得る。さらに、ワクチンは、特定の患者の個人のニーズに従って、個別化された成分を含有することができる。例としては、特定の患者での抗原の発現に従った抗原選択の変更、または一次治療もしくは治療スキームに続く二次治療の調整が含まれる。
【0363】
患者は、様々な診断方法、例えば、以下に詳述される患者選択方法の使用を介して抗原ワクチンの投与のために特定され得る。患者選択には、1つ以上の遺伝子における変異、または、1つ以上の遺伝子の発現パターンを特定することを伴い得る。患者選択には、進行中の感染の感染症を特定することを伴い得る。患者選択には、感染症による感染のリスクを特定することを伴い得る。場合によっては、患者選択には、患者のハプロタイプを特定することを伴う。様々な患者選択方法を並行して実施することができ、例えば、シークエンシング診断では、患者の変異及びハプロタイプの両方を特定することができる。様々な患者選択方法を順次に実施することができ、例えば、1つの診断検査で変異を特定し、別の診断検査で患者のハプロタイプを特定し、その場合、各検査は、同じ診断法(例えば、両方ともハイスループットシークエンシング)でも、異なる診断法(例えば、一方がハイスループットシークエンシング、他方がサンガー法による配列決定)でも可能である。
【0364】
がんまたは感染症のためのワクチンとして使用される組成物の場合、正常組織で高量発現される自己ペプチドと同様の正常な自己ペプチドを持つ抗原は、本明細書に記載される組成物では回避され得るかまたは低量で存在し得る。一方、患者の腫瘍または感染細胞が高量の特定の抗原を発現することが知られている場合、このがんまたは感染症を治療するための医薬組成物はそれぞれ、高量で存在することができ、及び/またはこの特定の抗原またはこの抗原の経路に特異的な複数の抗原が含まれ得る。
【0365】
抗原を含む組成物は、すでにがんまたは感染症を患っている個体に投与され得る。治療用途では、組成物は、腫瘍抗原または感染症生物抗原に対する有効なCTL応答を刺激し、症状及び/または合併症を治癒もしくは少なくとも部分的に停止させるのに十分な量で対象に投与される。これを達成するために適した量は、「治療的有効用量」と定義される。この使用に有効な量は、例えば、組成物、投与様式、治療される疾患の病期及び重症度、患者の体重及び全身の健康状態、及び処方医師の判断に応じて異なる。組成物は一般に、重篤な病状、すなわち、生命を脅かすかもしくは生命を脅かす可能性のある状況、特に、がんが転移している、または感染症生物により臓器障害及び/または他の免疫病理が誘導されている場合に用いられ得ることに留意すべきである。そのような場合、外来性物質の最小化及び抗原の相対的無毒性を考慮し、これらの組成物を実質的に過剰に投与することが可能であり、また担当医はそのことが望ましいと感じ得る。
【0366】
治療的使用の場合、投与は、腫瘍の検出時もしくは外科的除去時に開始するか、または検出時もしくは感染症治療時に開始することができる。これに続き、少なくとも症状が実質的に軽減されるまで、及びその後の期間、または免疫が提供されている(例えば、メモリーB細胞もしくはメモリーT細胞集団、または抗原特異的B細胞もしくは抗体が産生される)と見なされるまで用量をブーストすることができる。
【0367】
治療的処置のための医薬組成物(例えば、ワクチン組成物)は、非経口、局所(topical)、経鼻、経口または局所(local)の投与について意図される。医薬組成物は、非経口で、例えば、静脈内、皮下、皮内、または筋肉内に投与され得る。組成物は、腫瘍に対する局所免疫応答を刺激するために外科的切除部位に投与され得る。組成物は、対象の特定の感染した組織及び/または細胞を標的とするために投与され得る。本明細書では、非経口投与用の組成物を開示し、これは、抗原の溶液を含み、ワクチン組成物は、許容される担体、例えば、水性担体に溶解または懸濁される。様々な水性担体、例えば、水、緩衝用水、0.9%生理食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸等を使用することができる。これらの組成物は、従来の周知の滅菌技術により滅菌することができ、また濾過滅菌することもできる。得られた水溶液は、そのままでの使用のためにパッケージングされるか、または凍結乾燥され得、凍結乾燥調製物は、投与前に滅菌溶液と合わせられる。組成物は、pH調整剤及び緩衝剤、等張化剤、湿潤剤等のような、生理的条件に近づけるために必要とされる薬学的に許容される補助物質、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウラート、オレイン酸トリエタノールアミン等を含有し得る。
【0368】
抗原はまた、それらをリンパ組織等の特定の細胞組織に指向させるリポソームにより投与され得る。リポソームもまた、半減期延長に有用である。リポソームには、エマルジョン、フォーム、ミセル、不溶性単層、液晶、リン脂質分散液、ラメラ層等が含まれる。これらの調製物では、送達される抗原は、単独で、あるいはCD45抗原に結合するモノクローナル抗体等の、例えば、リンパ系細胞の間で高頻度に見られる受容体に結合する分子と組み合わせて、または他の治療用もしくは免疫原性の組成物と組み合わせて、リポソームの一部として組み込まれる。したがって、所望の抗原が充填されたリポソームをリンパ系細胞の部位へと方向付けることができ、そこで、リポソームが、選択された治療用/免疫原性の組成物を送達する。リポソームは、標準的小胞形成脂質から形成することができ、これには一般に、中性及び負の電荷を帯びたリン脂質及びコレステロール等のステロールが含まれる。脂質の選択は一般に、例えば、リポソームサイズ、酸不安定性及び血流中でのリポソーム安定性を考慮することによって導かれる。例えば、Szoka et al.,Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9;467(1980)、米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,501,728号、同第4,837,028号、及び第5,019,369号に記載されているように、リポソームを調製するために様々な方法が利用可能である。
【0369】
免疫細胞に指向させる場合、リポソーム内に組み込まれるリガンドには、例えば、所望の免疫系細胞の細胞表面決定基に特異的な抗体またはその断片が含まれ得る。リポソーム懸濁液は、特に、投与様式、送達されるペプチド、及び治療される疾患病期によって異なる用量で、静脈内、局所(locally)、局所(topically)等に投与され得る。
【0370】
治療または免疫を目的とする場合、ペプチドをコードし、任意選択で本明細書に記載されるペプチドのうちの1つ以上をコードする核酸もまた患者に投与され得る。患者に核酸を送達するために多数の方法が好都合に使用される。例えば、核酸は、「裸のDNA」として直接送達され得る。この手法は、例えば、Wolff et al.,Science 247:1465-1468(1990)ならびに米国特許第5,580,859号及び同第5,589,466号に記載されている。核酸はまた、例えば、米国特許第5,204,253号に記載のような弾道(ballistic)送達を使用して投与され得る。DNAのみで構成されている粒子が投与され得る。別法として、DNAを金粒子等の粒子に付着させることができる。核酸配列を送達するための手法には、電気穿孔を用いるかまたは用いない、ウイルスベクター、mRNAベクター、及びDNAベクターが含まれ得る。
【0371】
核酸はまた、カチオン性脂質等のカチオン性化合物と複合体にして送達され得る。脂質媒介性遺伝子送達方法は、例えば、9618372WOAWO96/18372、9324640WOAWO93/24640、Mannino & Gould-Fogerite,BioTechniques 6(7):682-691(1988)、米国特許第5,279,833号(Rose)、米国特許第5,279,833号、9106309WOAWO91/06309、及びFelgner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA84:7413-7414(1987)に記載されている。
【0372】
抗原はまた、ウイルスベクターに基づくワクチンプラットフォーム、例えば、ワクシニア、鶏痘、自己複製アルファウイルス、マラバウイルス、アデノウイルス(例えば、Tatsis et al.,Adenoviruses,Molecular Therapy(2004)10,616-629を参照のこと)、または第2世代、第3世代もしくは第2/第3世代ハイブリッドのレンチウイルス及び特定の細胞型もしくは受容体を標的にするよう設計された任意の世代の組換えレンチウイルスが含まれるが、これらに限定されないレンチウイルス等に含めることもできる(例えば、Hu et al.,Immunization Delivered by Lentiviral Vectors for Cancer and Infectious Diseases,Immunol Rev.(2011)239(1):45-61、Sakuma et al.,Lentiviral vectors:basic to translational,Biochem J.(2012)443(3):603-18、Cooper et al.,Rescue of splicing-mediated intron loss maximizes expression in lentiviral vectors containing the human ubiquitin C promoter,Nucl.Acids Res.(2015)43(1):682-690、Zufferey et al.,Self-Inactivating Lentivirus Vector for Safe and Efficient In Vivo Gene Delivery,J.Virol.(1998)72(12):9873-9880を参照のこと)。上記のウイルスベクターに基づくワクチンプラットフォームのパッケージング容量に応じて、この手法では、1つ以上の抗原ペプチドをコードする1つ以上のヌクレオチド配列を送達することができる。配列は、非変異配列に隣接する場合もあれば、リンカーによって区切られている場合も、細胞内コンパートメントを標的とする1つ以上の配列が先行する場合もある(例えば、Gros et al.,Prospective identification of neoantigen-specific lymphocytes in the peripheral blood of melanoma patients,Nat Med.(2016)22(4):433-8、Stronen et al.,Targeting of cancer neoantigens with donor-derived T cell receptor repertoires,Science.(2016)352(6291):1337-41、Lu et al.,Efficient identification of mutated cancer antigens recognized by T cells associated with durable tumor regressions,Clin Cancer Res.(2014)20(13):3401-10を参照のこと)。宿主への導入時、感染細胞は抗原を発現し、それによりペプチド(複数可)に対する宿主免疫(例えば、CTL)応答が刺激される。免疫プロトコルに有用なワクシニアベクター及び方法は、例えば、米国特許第4,722,848号に記載されている。別のベクターは、BCG(Bacille Calmette Guerin:カルメット・ゲラン桿菌)である。BCGベクターは、Stover et al.(Nature 351:456-460(1991))に記載されている。抗原の治療的投与または免疫に有用な多種多様な他のワクチンベクター、例えば、Salmonella typhiベクター等は本明細書での説明から当業者に明らかであろう。
【0373】
核酸を投与する手段は、1つまたは複数のエピトープをコードするミニ遺伝子コンストラクトを使用する。ヒト細胞での発現のための選択されたCTLエピトープ(ミニ遺伝子)をコードするDNA配列を作製するために、エピトープのアミノ酸配列が逆翻訳される。ヒトのコドン使用表を使用して、各アミノ酸についてのコドン選択を導き出す。これらのエピトープコードDNA配列に直接隣接する、連続ポリペプチド配列を作成する。発現及び/または免疫原性を最適化するために、追加の要素をミニ遺伝子設計に組み込むことができる。逆翻訳され、ミニ遺伝子配列に含まれ得るアミノ酸配列の例には、ヘルパーTリンパ球、エピトープ、リーダー(シグナル)配列、及び小胞体保留シグナルが挙げられる。さらに、合成(例えば、ポリアラニン)または天然に存在するフランキング配列をCTLエピトープに隣接して含めるこれにより、MHCのCTLエピトープ提示を改善することができる。ミニ遺伝子配列は、ミニ遺伝子のプラス鎖及びマイナス鎖をコードするオリゴヌクレオチドを組み立てることによりDNAに変換される。重複オリゴヌクレオチド(30~100塩基長)は、周知の技術を使用して適切な条件下で合成、リン酸化、精製及びアニールされる。オリゴヌクレオチドの末端は、T4 DNAリガーゼを使用して連結される。CTLエピトープポリペプチドをコードするこの合成ミニ遺伝子はその後、所望の発現ベクターにクローニング可能である。
【0374】
精製プラスミドDNAは、様々な製剤を使用して注射用に調製され得る。これらのうち最も簡便なものは、滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)での凍結乾燥DNAの再構成である。様々な方法が報告されており、また新たな技術が利用可能になり得る。上記のように、核酸は、カチオン性脂質を用いて好都合に製剤化される。さらに、保護的相互作用性非凝縮性(PINC)と総称される糖脂質、膜融合性リポソーム、ペプチド及び化合物はまた、安定性、筋肉内分散、または特定の器官もしくは細胞型への輸送等の可変要素に影響を与えるために、精製プラスミドDNAと複合体を形成させることが可能である。
【0375】
また、本明細書に開示される方法のステップを実施すること、及び複数の抗原または複数の抗原のサブセットを含むワクチンを生成すること、を含むワクチンを製造する方法も開示する。
【0376】
本明細書に開示される抗原は、当該技術分野で公知の方法を使用して製造され得る。例えば、本明細書に開示される抗原またはベクター(例えば、1つ以上の抗原をコードする少なくとも1つの配列を含むベクター)を生成する方法には、抗原またはベクターをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む宿主細胞を、かかる抗原またはベクターの発現に好適な条件下で培養すること、及び抗原またはベクター精製することが含まれ得る。標準的精製方法には、クロマトグラフィー法、電気泳動法、免疫学的技術、沈殿、透析、濾過、濃縮、及びクロマトフォーカシング技術が含まれる。
【0377】
宿主細胞には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、酵母、またはHEK293細胞が含まれ得る。宿主細胞は、本明細書に開示される抗原またはベクターをコードする少なくとも1つの核酸配列を含む1つ以上のポリヌクレオチドで形質転換が可能であり、ここで、任意選択で、単離されたポリヌクレオチドはさらに、抗原またはベクターをコードする少なくとも1つの核酸配列に機能的に連結されているプロモーター配列を含む。ある特定の実施形態では、単離されたポリヌクレオチドはcDNAであり得る。
【0378】
VII.抗原の使用及び投与
他に使用可能な、ワクチン接種の方法、プロトコル、及びスケジュールには、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる国際出願公開第WO2021092095号に記載のものが含まれるが、これらに限定されない。
【0379】
プライム/ブースト戦略における各ベクターには、典型的には、抗原が含まれるカセットが含まれる。カセットには、約1~50の抗原が含まれ得、通常は各抗原を囲む天然配列等のリンカー、またはAAY等の他の非天然リンカー配列によって区切られている。カセットにはまた、ユニバーサルなクラスII抗原と見なすことができる破傷風トキソイド抗原及びPADRE抗原のようなMHCII抗原も含まれ得る。カセットにはまた、ユビキチン指向配列等の標的指向配列も含まれ得る。さらに、各ワクチン用量は、免疫調節因子と併せて(例えば、同時、前、または後)対象に投与され得る。各ワクチン用量は、チェックポイント阻害剤(CPI)と併せて(例えば、同時、前、または後)対象に投与され得る。CPIには、CTLA4、PD1、及び/またはPDL1を阻害するもの、例えば、抗体またはそれらの抗原結合部分が含まれ得る。そのような抗体には、トレメリムマブまたはデュルバルマブが含まれ得る。各ワクチン用量は、IL-2、IL-7、IL-12(IL-12のp35、p40、p70、及び/またはp70融合コンストラクトを含む)、IL-15、またはIL-21等のサイトカインと併せて(例えば、同時、前、または後)対象に投与され得る。各ワクチン用量は、修飾サイトカイン(例えば、pegIL-2)と併せて(例えば、同時、前、または後)対象に投与され得る。
【0380】
対象に1つ以上の抗原を投与するには、ワクチン接種プロトコルを使用することができる。対象への投与にはプライミングワクチン及びブースティングワクチンを使用することができる。プライミングワクチンには、本明細書に記載される抗原コードベクター、例えば、ChAdV68(例えば、配列番号1または2に示される配列)に基づくベクターのいずれかが用いられ得る。ブースト用量には、本明細書に記載される抗原コードベクター、例えば、ChAdV68(例えば、配列番号1または2に示される配列)またはSAM系ベクター(例えば、配列番号3または4に示される配列)に基づくベクターのいずれかが用いられ得る。1つ以上のブースト用量を投与することができ、同じブースティングワクチンの連続投与(例えば、同じChAdV68系ベクターの連続投与もしくは同じSAM系ベクターの連続投与)、または異なるブースティングワクチンの連続投与(例えば、SAM系ベクターの投与、それに続くChAdV68系ベクターの投与)が可能である。異なるワクチンの連続投与には、異なるワクチンの任意の組み合わせが含まれ得る。例えば、ワクチン戦略では、ChAdV68系のプライム、それに続く1回以上のSAM系ブースト、及びSAM系ブーストに続くChAdV68系ブーストを使用することができる。例示的な非限定的なワクチン戦略には、ChAdVプライム-SAMブースト-SAMブースト-ChAdVブースト、またはChAdVプライム-SAMブースト-SAMブースト-SAMブースト-SAMブースト-ChAdVブーストが含まれるが、これらに限定されない。
【0381】
ChAdV68に基づくワクチンは、1x1011ウイルス粒子~1x1012ウイルス粒子の範囲の用量で投与され得る。ChAdV68に基づくワクチンは、1x1011ウイルス粒子の用量で投与され得る。ChAdV68に基づくワクチンは、5x1011ウイルス粒子の用量で投与され得る。ChAdV68に基づくワクチンは、1x1012ウイルス粒子の用量で投与され得る。ChAdV68に基づくワクチンについて選択された投与量は、例えば、組成物、投与様式、治療される疾患の病期及び重症度、患者の体重及び全身の健康状態、ならびに処方医師の判断に応じて異なる。
【0382】
SAMベースのワクチンは、10~300μgのRNAの範囲の用量で投与され得る。SAMベースのワクチンは、100~300μgのRNAの範囲の用量で投与され得る。SAMベースのワクチンは、100μgのRNAの用量で投与され得る。SAMベースのワクチンは、300μgのRNAの用量で投与され得る。SAMベースのワクチンについて選択された投与量は、例えば、組成物、投与様式、治療される疾患の病期及び重症度、患者の体重及び全身の健康状態、ならびに処方医師の判断に応じて異なる。
【0383】
プライミングワクチンは、対象に(例えば、筋肉内に)注射され得る。用量ごとの両側注射を使用することができる。例えば、ChAdV68(C68)1回以上の注射を使用することができる(例えば、総投与量が1x1012ウイルス粒子);0.001~1ugのRNAの範囲から選択される低ワクチン用量、特に0.1ugもしくは1ugでのSAMベクターの1回以上の注射を使用することができる;または1~100ugRNAの範囲から選択される高ワクチン用量、特に10、100、もしくは300ugでのSAMベクターの1回以上の注射を使用することができる。
【0384】
ワクチンブースト(ブースティングワクチン)は、プライムワクチン接種後に(例えば、筋肉内に)注射され得る。用量ごとの両側注射を使用することができる。例えば、ChAdV68(C68)1回以上の注射を使用することができる(例えば、総投与量が1x1012ウイルス粒子);0.001~1ugのRNAの範囲から選択される低ワクチン用量、特に0.1ugもしくは1ugでのSAMベクターの1回以上の注射を使用することができる、または1~100ugRNAの範囲から選択される高ワクチン用量、特に10、100もしくは300ugでのSAMベクターの1回以上の注射を使用することができる。
【0385】
ブースティングワクチンは、プライムの後、約1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、6週間ごと、7週間ごと、8週間ごと、9週間ごと、または10週間ごと、例えば、4週間ごと及び/または8週間ごとに投与され得る。ブースティングワクチンは、プライムの後、4週間ごとに投与され得る。ブースティングワクチンは、プライムの後、6週間ごとに投与され得る。ブースティングワクチンは、プライムの後、12週間ごとに投与され得る。ブースト用量は、ワクチン接種プロトコルの期間中、異なる間隔で投与され得る。例えば、例示的な非限定的例には、プライム-4w-ブースト-12w-ブースト-12w-ブースト、またはプライム-4w-ブースト-6w-ブースト-6w-ブースト-6w-ブースト-6w-ブーストが含まれる(「w」は週を表す)。
【0386】
ワクチン投与のうちの1回以上には、1つ以上のチェックポイント阻害剤の同時投与が含まれ得る。例示的な免疫チェックポイント阻害剤としては、トレメリムマブ(CTLA-4遮断抗体)、抗OX40、PD-L1モノクローナル抗体(抗B7-H1;MEDI4736)、イピリムマブ、MK-3475(PD-1遮断薬)、ニボルマブ(抗PD1抗体)、CT-011(抗PD1抗体)、BY55モノクローナル抗体、AMP224(抗PDL1抗体)、BMS-936559(抗PDL1抗体)、MPLDL3280A(抗PDL1抗体)、MSB0010718C(抗PDL1抗体)、及びヤーボイ/イピリムマブ(抗CTLA-4チェックポイント阻害剤)が挙げられる。例示的な非限定的例では、ニボルマブ、ヤーボイ/イピリムマブ、またはそれらの組み合わせ。
【0387】
抗CTLA-4(例えば、トレメリムマブ)もまた、対象に投与され得る。例えば、抗CTLA4は、同じリンパ節への流入が確実に行われるよう、筋肉内ワクチン注射(ChAdV68プライムまたはSAM低用量)部位の近くに皮下投与され得る。トレメリムマブは、CTLA-4の選択的ヒトIgG2 mAb阻害剤である。抗CTLA-4(トレメリムマブ)目的皮下用量は、典型的には、70~75mg(特に75mg)であり、用量範囲は、例えば、1~100mgまたは5~420mgである。
【0388】
ある特定の場合には、デュルバルマブ(MEDI4736)等の抗PD-L1抗体を使用することができる。デュルバルマブは、PD-1及びCD80へのPD-L1の結合を遮断する選択的高親和性ヒトIgG1 mAbである。デュルバルマブは一般に、4週間ごとに20mg/kgでi.v.投与される。
【0389】
ワクチンの投与前、投与中、及び/または投与後に免疫モニタリングが実施され得る。そのようなモニタリングから、パラメータの中でも特に安全性及び有効性の情報を得ることができる。
【0390】
免疫モニタリングの実施には、PBMCが一般に使用される。PBMCは、プライムワクチン接種前、及びプライムワクチン接種後(例えば、4週間及び8週間後)に分離され得る。PBMCは、ブーストワクチン接種の直前及び各ブーストワクチン接種後(例えば、4週間及び8週間後)に採取され得る。
【0391】
T細胞応答及びB細胞応答等の免疫応答は、免疫モニタリングプロトコルの一部として評価され得る。例えば、本明細書に記載されるワクチン組成物が免疫応答を刺激する能力を、モニター及び/または評価することができる。本明細書で使用される場合、「免疫応答を刺激する」とは、免疫応答の任意の増大、例えば、免疫応答の開始(例えば、プライミングワクチンが、無感作の対象での免疫応答の開始を刺激すること)、または免疫応答の任意の増強作用(例えば、ブースティングワクチンが、プライミングワクチンにより開始された既存の免疫応答等の、抗原に対する既存の免疫応答を有する対象での免疫応答の増強作用を刺激すること)を指す。T細胞応答は、当該技術分野で公知の1つ以上の方法を使用して、例えば、ELISpot、細胞内サイトカイン染色、サイトカイン分泌及び細胞表面捕捉、T細胞増殖、MHCマルチマー染色、または細胞毒性アッセイにより測定され得る。ワクチンでコードされるエピトープに対するT細胞応答は、ELISpotアッセイを使用して、IFN-ガンマ等のサイトカインの誘導を測定することによってPBMCからモニターされ得る。ワクチンでコードされるエピトープに対する特定のCD4またはCD8T細胞応答は、フローサイトメトリーを使用して、細胞内または細胞外で捕捉されるIFN-ガンマ等のサイトカインの誘導を測定することによってPBMCからモニターされ得る。ワクチンでコードされるエピトープに対する特定のCD4またはCD8T細胞応答は、MHCマルチマー染色を使用して、エピトープ/MHCクラスI複合体に特異的なT細胞受容体を発現しているT細胞集団を測定することによってPBMCからモニターされ得る。ワクチンでコードされるエピトープに対する特定のCD4またはCD8T細胞応答は、3H-チミジン、ブロモデオキシウリジン及びカルボキシフルオレセインジアセタートスクシンイミジルエステル(CFSE)取り込み後のT細胞集団のエキソビボ増殖を測定することによってPBMCからモニターされ得る。ワクチンでコードされるエピトープに特異的なPBMC由来T細胞の抗原認識能及び溶解活性は、クロム遊離アッセイまたは代替的比色細胞毒性アッセイによって機能的に評価され得る。
【0392】
B細胞応答は、当該技術分野で公知の1つ以上の方法、例えば、B細胞分化(例えば、形質細胞への分化)、B細胞もしくは血漿細胞の増殖、B細胞もしくは形質細胞の活性化(例えば、CD80もしくはCD86等の共刺激マーカーの上方制御)、抗体クラススイッチ、及び/または抗体産生(例えば、ELISA)を決定するために使用されるアッセイを使用して測定され得る。
【0393】
対象の疾患の状態は、本明細書に記載されるワクチン組成物のいずれかの投与後にモニター可能である。例えば、疾患の状態は、対象からの単離されたセルフリーDNA(cfDNA)を使用してモニターされ得る。さらに、ワクチン療法の有効性は、対象からの単離されたcfDNAを使用してモニターされ得る。cfDNAのモニタリングには、a.対象からcfDNAを単離するか、または単離しておくステップ、b.単離されたcfDNAをシークエンシングするか、またはシークエンシングしておくステップ、c.対象の野生型生殖細胞系列核酸配列と比べて、cfDNAでの1つ以上の変異の頻度を決定するか、または決定しておくステップ、及びd.対象の疾患の状態を、ステップ(c)から評価するか、または、評価しておくステップ、が含まれ得る。方法にはまた、上記ステップ(c)に続いて、d.所与の対象についてステップ(a)~(c)の反復を複数回実施し、複数回の反復で決定された1つ以上の変異の頻度を比較すること、及びf.対象の疾患の状態をステップ(d)から評価すること、または評価しておくこと、も含めることができる。複数回の反復は、異なる時点で実施され得、例えば、ステップ(a)~(c)の第1の反復をワクチン組成物の投与の前に実施し、ステップ(a)~(c)の第2の反復をワクチン組成物の投与の後で実施することができる。ステップ(c)には、複数回の反復で決定された1つ以上の変異の頻度、または第1の反復で決定された1つ以上の変異の頻度と、第2の反復で決定された1つ以上の変異の頻度と、を比較することが含まれ得る。後続の反復または第2の反復で決定された1つ以上の変異の頻度の増加は、疾患の進行として評価され得る。後続の反復または第2の反復で決定された1つ以上の変異の頻度の減少は、応答として評価され得る。いくつかの態様では、応答は、完全奏功(CR)または部分奏効◇(PR)である。評価ステップに続いて、例えば、cfDNAにおける1つ以上の変異の頻度の評価により対象が疾患を有することが示される場合は、療法が対象に実施され得る。cfDNA単離ステップでは、細胞または細胞片からcfDNAを分離するために遠心分離を使用することができる。cfDNAは、血漿層、バフィーコート、及び赤血球を分離する等により全血から単離され得る。cfDNAシークエンシングでは、次世代シークエンシング(NGS)、サンガー法による配列決定、デュプレックスシークエンシング、全エクソームシークエンシング、全ゲノムシークエンシング、de novoシークエンシング、段階的シークエンシング、ターゲットアンプリコンシークエンシング、ショットガンシークエンシング、またはそれらの組み合わせを使用することができ、また、シークエンシングの前に1つ以上の目的ポリヌクレオチド領域についてcfDNAを濃縮させることが含まれ得る(例えば、1つ以上の変異をコードすることが既知である、もしくはその疑いのあるポリヌクレオチド、コード領域、及び/または腫瘍エクソームポリヌクレオチド)。cfDNAを濃縮させることには、修飾(例えば、ビオチン化)され得る1つ以上のポリヌクレオチドプローブを、1つ以上の目的ポリヌクレオチド領域にハイブリダイズさせることが含まれ得る。一般に、任意の数の変異が同時または並行してモニターされ得る。
【0394】
同種ワクチン接種レジメンには、2回目の用量の有効性を改善するため、同種の用量間の間隔が含まれ得る。例えば、ChAdV68に基づくワクチンは、初回用量として投与が可能であり、有効性改善のため、例えば、ChAdV特異的中和抗体価がブースト用量の有効性に与える影響を軽減するために、ブースト用量としてのChAdV68に基づくワクチンの再投与の前に間隔を含めることが可能である。例えば、初回用量では、中和抗体の産生が誘導され得、これは、その後、経時的に減少する。本明細書に記載されるChAdV68に基づくワクチンの例示的な非限定的例では、間隔は、少なくとも27週間である。間隔は、27週間であり得る。間隔は、28週間であり得る。間隔は、29週間であり得る。間隔は、30週間であり得る。間隔は、31週間であり得る。間隔は、32週間であり得る。間隔は、33週間であり得る。間隔は、少なくとも27週間であり得る。間隔は、少なくとも28週間であり得る。間隔は、少なくとも29週間であり得る。間隔は、少なくとも30週間であり得る。間隔は、少なくとも31週間であり得る。間隔は、少なくとも32週間であり得る。間隔は、少なくとも33週間であり得る。
【0395】
同種プライム-ブースト戦略におけるChAdV68に基づくワクチン投与の間隔は、わずか8週間であり得る。間隔は、8週間であり得る。間隔は、9週間であり得る。間隔は、10週間であり得る。間隔は、11週間であり得る。間隔は、12週間であり得る。間隔は、13週間であり得る。間隔は、14週間であり得る。間隔は、15週間であり得る。間隔は、16週間であり得る。間隔は、17週間であり得る。間隔は、18週間であり得る。間隔は、19週間であり得る。間隔は、20週間であり得る。間隔は、21週間であり得る。間隔は、23週間であり得る。間隔は、24週間であり得る。間隔は、25週間であり得る。間隔は、26週間であり得る。
【0396】
同種プライム-ブースト戦略におけるChAdV68に基づくワクチン投与の間隔は、少なくとも8週間であり得る。間隔は、少なくとも9週間であり得る。間隔は、少なくとも10週間であり得る。間隔は、少なくとも11週間であり得る。間隔は、少なくとも12週間であり得る。間隔は、少なくとも13週間であり得る。間隔は、少なくとも14週間であり得る。間隔は、少なくとも15週間であり得る。間隔は、少なくとも16週間であり得る。間隔は、少なくとも17週間であり得る。間隔は、少なくとも18週間であり得る。間隔は、少なくとも19週間であり得る。間隔は、少なくとも20週間であり得る。間隔は、少なくとも21週間であり得る。間隔は、少なくとも23週間であり得る。間隔は、少なくとも24週間であり得る。間隔は、少なくとも25週間であり得る。間隔は、少なくとも26週間であり得る。
【0397】
同種プライム-ブースト戦略におけるChAdV68に基づくワクチン投与の間隔は、2か月であり得る。間隔は、2.5か月であり得る。間隔は、3か月であり得る。間隔は、3.5か月であり得る。間隔は、4か月であり得る。間隔は、4.5か月であり得る。間隔は、5か月であり得る。間隔は、5.5か月であり得る。間隔は、6か月であり得る。間隔は、6.5か月であり得る。間隔は、7か月であり得る。間隔は、7.5か月であり得る。間隔は、8か月であり得る。間隔は、8.5か月であり得る。間隔は、少なくとも2か月であり得る。間隔は、少なくとも2.5か月であり得る。間隔は、少なくとも3か月であり得る。間隔は、少なくとも3.5か月であり得る。間隔は、少なくとも4か月であり得る。間隔は、少なくとも4.5か月であり得る。間隔は、少なくとも5か月であり得る。間隔は、少なくとも5.5か月であり得る。間隔は、少なくとも6か月であり得る。間隔は、少なくとも6.5か月であり得る。間隔は、少なくとも7か月であり得る。間隔は、少なくとも7.5か月であり得る。間隔は、少なくとも8か月であり得る。間隔は、少なくとも8.5か月であり得る。
【0398】
VIII.HLAペプチドの単離及び検出
組織試料の溶解及び可溶化後、古典的免疫沈降(IP)法を使用してHLAペプチド分子の単離を実施した(55~58)。HLA特異的IPには清澄化したライセートを使用した。例及び方法は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際特許出願公開第WO/2018/208856号に詳述されている。
【0399】
IX.提示モデル
患者におけるペプチド提示の可能性を特定するために、提示モデルを使用することができる。様々な提示モデルが当業者に公知であり、例えば、米国特許第10,055,540号、米国出願公開第US20200010849A1号及び同第US20110293637号、ならびに国際特許出願公開第WO/2018/195357号、同第WO/2018/208856号、及び同第WO2016187508号に提示モデルが詳述されており、それぞれ、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0400】
X.トレーニングモジュール
ペプチド配列が、そのペプチド配列と関連するMHCアレルによって提示されるかどうかの可能性を生成するトレーニングデータセットに基づいて、1つ以上の提示モデルを構築するために、トレーニングモジュールを使用することができる。様々なトレーニングモジュールが当業者に公知であり、例えば、米国特許第10,055,540号、米国出願公開第US20200010849A1号、ならびに国際特許出願公開第WO/2018/195357号及び同第WO/2018/208856号に提示モデルが詳述されており、それぞれ、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。トレーニングモジュールでは、アレルごとにペプチドの提示可能性を予測するための提示モデルを構築することができる。トレーニングモジュールではまた、2つ以上のMHCアレルが存在する複数アレル設定でのペプチドの提示可能性を予測するための提示モデルを構築することができる。
【0401】
XI.予測モジュール
配列データを受け取り、提示モデルを使用する配列データにおいて候補抗原を選択するために、予測モジュールを使用することができる。具体的には、配列データは、患者の腫瘍組織細胞、患者の感染細胞、もしくは感染症生物自体から抽出された、DNA配列、RNA配列、及び/またはタンパク質配列であり得る。予測モジュールは、患者の正常組織細胞から抽出された配列データを、患者の腫瘍組織細胞から抽出された配列データと比較し、1つ以上の変異を含有する部分を特定することによって、変異ペプチド配列である候補ネオアンチゲンを特定し得る。予測モジュールは、患者の正常組織細胞から抽出された配列データを、患者の感染細胞から抽出された配列データと比較し、感染症生物と関連する1つ以上の抗原を含有する部分を特定すること等によって、病原体由来ペプチド、ウイルス由来ペプチド、細菌由来ペプチド、真菌由来ペプチド、及び寄生虫由来ペプチドである候補抗原を特定し得る。予測モジュールは、患者の正常組織細胞から抽出された配列データを、患者の腫瘍組織細胞から抽出された配列データと比較し、不適切に発現された候補抗原を特定することによって、正常な細胞または組織と比較して腫瘍細胞またはがん性組織において発現が変化している候補抗原を特定し得る。予測モジュールは、患者の正常組織細胞から抽出された配列データを、患者の感染組織細胞から抽出された配列データと比較し、発現された候補抗原を特定する(例えば、発現されたポリヌクレオチド及び/または感染症に特異的なポリペプチドを特定する)ことによって、正常な細胞または組織と比較して感染細胞または感染組織で発現している候補抗原を特定し得る。
【0402】
提示モジュールでは、処理されたペプチド配列に1つ以上の提示モデルを適用して、ペプチド配列の提示可能性を推定することができる。具体的には、予測モジュールは、候補抗原に提示モデルを適用することによって、HLA分子または感染細胞HLA分子に提示される可能性の高い腫瘍1つ以上の候補抗原ペプチド配列を選択し得る。一実施態様では、提示モジュールは、推定提示可能性が所定の閾値を上回る候補抗原配列を選択する。別の実施態様では、提示モデルは、推定提示可能性が最も高いN個の候補抗原配列を選択する(Nは一般に、ワクチンで送達可能な最大エピトープ数である)。所与の患者について選択された候補抗原が含まれるワクチンを対象に注射して免疫応答を刺激することができる。
【0403】
XI.B.カセット設計モジュール
XI.B.1概要
患者への注射用に選択された候補ペプチドに基づいてワクチンカセット配列を生成するために、カセット設計モジュールを使用することができる。例えば、カセット設計モジュールを使用して、連結されたT細胞エピトープ等の連結されたエピトープ配列をコードする配列を生成することができる。様々なカセット設計モジュールが当業者に公知であり、例えば、米国特許第10,055,540号、米国出願公開第US20200010849A1号、ならびに国際特許出願公開第WO/2018/195357号及び同第WO/2018/208856号にカセット設計モジュールが詳述されており、それぞれ、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0404】
治療用エピトープのセットは、所定の閾値を上回る提示可能性と関連している予測モジュールによって決定された選択ペプチドに基づいて生成され得、ここで、提示可能性は提示モデルにより決定される。ただし、他の実施形態では、治療用エピトープのセットは、多数の方法(単独または組み合わせ)のうちのいずれか1つ以上に基づいて、例えば、患者のHLAクラスIアレルまたはHLAクラスIIアレルへの結合親和性もしくは予測結合親和性、患者のHLAクラスIアレルまたはHLAクラスIIアレルへの結合安定性もしくは予測結合安定性、ランダムサンプリング等に基づいて生成され得ることが理解される。
【0405】
治療用エピトープは、選択されたペプチド自体に対応し得る。治療用エピトープには、選択されたペプチドに加え、C末端及び/またはN末端のフランキング配列も含まれ得る。N末端及びC末端のフランキング配列は、その供給源であるタンパク質との関連における治療用ワクチンエピトープの天然のN末端及びC末端のフランキング配列であり得る。治療用エピトープは、長さが固定されたエピトープを表し得る。治療用エピトープは、長さが可変のエピトープを表し得、ここで、エピトープの長さは、例えば、C-フランキング配列またはN-フランキング配列の長さに応じて変動し得る。例えば、C末端フランキング配列及びN末端フランキング配列は、各々が2~5残基の異なる長さを有することができ、エピトープに16の可能な選択肢をもたらす。
【0406】
カセット設計モジュールはまた、カセット内の1対の治療用エピトープ間の接合部にまたがる接合部エピトープの提示を考慮に入れてカセット配列を生成することができる。接合部エピトープは、カセット内で治療用エピトープとリンカー配列を連結させる過程が原因でカセットに生じる、非自己であるが無関係な新規エピトープ配列である。接合部エピトープの新規配列は、カセット自体の治療用エピトープとは異なる。
【0407】
カセット設計モジュールは、接合部エピトープが患者において提示される可能性を低下させるカセット配列を生成することができる。具体的には、カセットが患者に注射される場合、接合部エピトープには、患者のHLAクラスIまたはHLAクラスIIのアレルによって提示され、それぞれ、CD8またはCD4のT細胞応答を刺激する可能性がある。そのような反応は、その接合部エピトープに反応性のT細胞には、治療上の利益がなく、カセット内の選択された治療用エピトープに対する免疫応答を抗原競合により減弱させる可能性があるため、望ましくない場合が多い76
【0408】
カセット設計モジュールは、1つ以上の候補カセットを反復処理することができ、カセット配列が、そのカセット配列と関連する接合部エピトープの提示スコアが数的閾値を下回るものを決定することができる。接合部エピトープ提示スコアは、カセット内の接合部エピトープの提示可能性と関連する量であり、接合部エピトープ提示スコアが高値であるほど、カセットの接合部エピトープがHLAクラスIもしくはHLAクラスIIまたは両方によって提示される可能性が高いことを示す。
【0409】
一実施形態では、カセット設計モジュールは、候補カセット配列のうち接合部エピトープ提示スコアが最も低いものと関連するカセット配列を決定し得る。
【0410】
カセット設計モジュールは、1つ以上の候補カセット配列を反復処理し、候補カセットの接合部エピトープ提示スコアを決定して、閾値を下回る接合部エピトープ提示スコアと関連する最適カセット配列を特定し得る。
【0411】
カセット設計モジュールはさらに1つ以上の候補カセット配列をチェックして、候補カセット配列内の接合部エピトープのいずれかが、ワクチンを設計する対象である所与の患者の自己エピトープであるかどうかを特定し得る。これを達成するために、カセット設計モジュールは、BLAST等の既知のデータベースに対して接合部エピトープをチェックする。一実施形態では、カセット設計モジュールは、接合部自己エピトープを回避するカセットを設計ように構成される。
【0412】
カセット設計モジュールは、力任せ(brute force)法を実施して、可能性のある全部またはほとんどの候補カセット配列を反復処理し、接合部エピトープ提示スコアが最も小さい配列を選択することができる。ただし、そのような候補カセットの数は、ワクチン容量が増大するにつれて、とてつもなく大きくなり得る。例えば、ワクチン容量が20エピトープの場合、カセット設計モジュールは、接合部エピトープ提示スコアが最低のカセットを決定するために、約1018の可能な候補カセットを反復処理しなければならない。こうした決定は、カセット設計モジュールが、患者のためのワクチン生成を妥当な時間内に完了させるには、計算的に負担となり(計算処理資源が必要という点で)、ときに解決困難な場合がある。さらに、可能な接合部エピトープを候補カセットごとに考慮することは、さらに大きな負担となり得る。したがって、カセット設計モジュールは、力任せ法の場合の候補カセット配列数よりは大幅に少数の、多数の候補カセット配列を反復処理する方法に基づいてカセット配列を選択し得る。
【0413】
カセット設計モジュールは、ランダムまたは少なくとも準ランダムに生成された候補カセットのサブセットを生成することができ、カセット配列として所定の閾値を下回る接合部エピトープ提示スコアと関連する候補カセットを選択する。さらに、カセット設計モジュールは、カセット配列として接合部エピトープ提示スコアが最も低いサブセットからの候補カセットを選択し得る。例えば、カセット設計モジュールは、20選択エピトープのセットに対して約100万候補カセットのサブセットを生成、接合部エピトープ提示スコアが最も小さい候補カセットを選択し得る。ランダムカセット配列のサブセットを生成し、そのサブセットから接合部エピトープ提示スコアが低いカセット配列を選択することは、力任せ法と比べて最適以下であり得るが、計算資源が大幅に少なくて済むため、その実装が技術的に実現可能となる。さらに、より効率的なこの手法とは対照的に力任せ法を実施しても、接合部エピトープ提示スコアにはわずかな、さらには無視できるほどの改善しかもたらされない場合があるため、資源配分の観点からは価値がない。カセット設計モジュールは、非対称巡回セールスマン問題(TSP)としてカセットのエピトープ配列を定式化することにより、改善されたカセット構成を決定することができる。ノードのリストと各ノードペア間の距離が与えられている場合、TSPは、各ノードを1回だけ訪問し、元のノードへ戻るための総距離が最小となるものと関連するノードの配列を決定する。例えば、互いの距離が既知の都市A、B、及びCが与えられている場合、TSPの解法は、各都市を1回だけ訪問するために巡回した総距離が可能経路のうちで最小である閉の都市配列を生成する。TSPの非対称バージョンでは、ノードペア間の距離が非対称である場合の最適ノード配列を決定する。例えば、ノードAからノードBまで巡回するための「距離」は、ノードBからノードAまで巡回するための「距離」とは異なる場合がある。非対称TSPを使用して改善された最適カセットについて解くことによって、カセット設計モジュールは、カセットのエピトープ間の接合部を横断して、提示スコア減少をもたらすカセット配列を見出すことができる。非対称TSPの解は、カセットの接合部全体の接合部エピトープ提示スコアを最小限に抑えるために、エピトープがカセット内で連結されるべき順序に対応する治療用エピトープの配列を示す。この手法で決定されたカセット配列は、接合部エピトープの提示が大幅に少ない配列となる可能性があり、一方で、生成される候補カセット配列数が大きい場合は特に、ランダムサンプリング法よりも計算資源が大幅に少なくて済む可能性が高い。様々な計算手法及びカセット設計最適化のための比較の例示的な例は、米国特許第10,055,540号、米国出願公開第US20200010849A1号、ならびに国際特許出願公開第WO/2018/195357号及び同第WO/2018/208856号に詳述されており、それぞれ、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0414】
共通抗原ワクチンに含めるための共通(ネオ)抗原配列及びそのようなワクチンによる治療に適切な患者は、例えば、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる米国出願第17/058,128号に記載のように、当業者により選択され得る。共通(ネオ)抗原候補の質量分析(MS)による確認は、選択工程の一部として実施可能である。
【0415】
カセット設計モジュールはまた、ワクチンでコードされる追加のタンパク質配列を考慮に入れてカセット配列を生成することができる。例えば、連結されたT細胞エピトープをコードする配列を生成するために使用されるカセット設計モジュールは、ワクチン中に存在する追加のタンパク質配列(例えば、全長タンパク質配列)によってすでにコードされているT細胞エピトープを考慮に入れることができ、例えば、追加のタンパク質配列によってすでにコードされているT細胞エピトープを候補配列の一覧から除去すること等により行う。
【0416】
カセット設計モジュールはまた、配列のサイズを考慮に入れてカセット配列を生成することができる。理論に拘束されることは望まないが、一般に、カセットサイズの増大は、ワクチン生成及び/またはワクチン有効性等のワクチンの態様にマイナスの影響を与え得る。一例では、カセット設計モジュールは、重複T細胞エピトープ配列等の重複配列を考慮に入れることができる。一般に、重複T細胞エピトープ配列を含有する単一配列(「フレーム」とも呼ばれる)は、複数のペプチドをコードするために必要な配列サイズが縮小されることから、個々のT細胞エピトープ配列を別々に連結している配列よりも効率的である。したがって、例示的な例では、連結されたT細胞エピトープをコードする配列を生成するために使用されるカセット設計モジュールは、1つ以上の追加のT細胞エピトープをコードするようT細胞エピトープ候補を拡張することのコスト/利益を考慮に入れることができ、例えば、追加のT細胞エピトープを提示するMHCにさらなる集団を対象とさせることで得られる利益を、配列サイズ増大のコストと対比させて決定することができる。
【0417】
カセット設計モジュールはまた、確認されたエピトープにより引き起こされる免疫応答の刺激の程度を考慮に入れてカセット配列を生成することができる。
【0418】
カセット設計モジュールはまた、例えば、集団のある割合で、例えば、集団の少なくとも85%、90%、または95%で、少なくとも1つの免疫原性エピトープが少なくとも1つのHLAにより提示される(例えば、4つの主要な民族集団、すなわちヨーロッパ人(EUR)、アフリカ系米国人(AFA)、アジア人・太平洋諸島住民(APA)及びヒスパニック(HIS)にわたる、HLA-A、HLA-B及びHLA-C遺伝子)、ある集団全体でコードされたエピトープの提示を考慮に入れてカセット配列を生成することができる。例示的な非限定的例として、カセット設計モジュールはまた、少なくとも1つの確認されたエピトープを提示するか、または少なくとも4つ、5つ、6つ、もしくは7つの予測エピトープを提示する、少なくとも1つのHLAが少なくとも集団の85%、90%、または95%にわたって存在するよう、カセット配列を生成することができる。
【0419】
カセット設計モジュールはまた、潜在的安全性を改善する他の態様を考慮に入れてカセット配列を生成することができ、例えば、安全性リスクを示す可能性のある機能性タンパク質、機能性タンパク質ドメイン、機能性タンパク質サブユニット、または機能性タンパク質断片を、コードすること、もしくはコードする可能性を制限する。場合によっては、カセット設計モジュールは、コードされるペプチドの配列サイズが、翻訳された対応する全長タンパク質の50%未満、49%未満、48%未満、47%未満、46%未満、45%未満、45%未満、43%未満、42%未満、41%未満、40%未満、39%未満、38%未満、37%未満、36%未満、35%未満、34%未満、または33%未満であるよう制限することができる。場合によっては、カセット設計モジュールは、単一連続配列が、翻訳された対応する全長タンパク質の50%未満であるよう、コードされるペプチドの配列サイズを制限することができるが、複数の配列が、同じ翻訳された対応する全長タンパク質に由来し得、合わせて50%超をコードし得る。例を用いて説明すると、重複T細胞エピトープ配列を含有する単一配列(「フレーム」)が、翻訳された対応する全長タンパク質の50%よりも大きい場合、フレームを複数のフレームに分割して(例えば、f1、f2等)、各フレームが翻訳された対応する全長タンパク質の50%未満となるようにすることができる。カセット設計モジュールはまた、コードされるペプチドの配列サイズを、単一連続配列が、翻訳された対応する全長タンパク質の49%未満、48%未満、47%未満、46%未満、45%未満、45%未満、43%未満、42%未満、41%未満、40%未満、39%未満、38%未満、37%未満、36%未満、35%未満、34%未満、または33%未満となるよう制限することができる。同じ遺伝子からの複数のフレームがコードされる場合、複数のフレームは、互いに重複する配列を有することができ、言い換えれば、それぞれが別々に同じ配列をコードすることができる。同じ遺伝子からの複数のフレームがコードされる場合、同じ遺伝子に由来する2つ以上の核酸配列を、第1の核酸配列が、第2の核酸配列の直前またはそれに連結されることのないよう並べることができるが、これは、対応する遺伝子において第1の核酸配列に第2の核酸配列が続く場合であり、それが直後であるか否かは問わない。例えば、同じ遺伝子内に3つのフレームがある場合(アミノ酸位置が増加する順にf1、f2、f3):
-以下のカセット順序は許容されない:
○ f1の直後にf2
○ f2の直後にf3
○ f1の直後にf3
-以下のカセット順序は許容される:
○ f3の直後にf2
○ f2の直後にf1
【0420】
XIII.コンピュータの例
本明細書に記載される計算方法のいずれかではコンピュータを使用することができる。当業者は、コンピュータが、異なるアーキテクチャを有し得ることを認識するであろう。コンピュータの例は当業者に公知であり、例えば、米国特許第10,055,540号、米国出願公開第US20200010849A1号、ならびに国際特許出願公開第WO/2018/195357号及び同第WO/2018/208856号にコンピュータが詳述されており、それぞれ、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0421】
XIV.実施例
以下は、本発明を実施するための具体的な実施形態の例である。実施例は、あくまで事例を提供するにすぎず、本発明の範囲を何ら限定するものではない。使用する数字(例えば、量、温度等)に関して正確さを保証するべく試みがなされたが、実験上の一部の誤差及び偏差は当然のことながら許容されるべきである。
【0422】
本発明の実施には、特に明記しない限り、当技術分野の技術の範囲内であるタンパク質化学、生化学、組換えDNA技術及び薬理学の従来方法が使用される。そのような技術は文献に十分な説明がある。例えば、T.E.Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freeman and Company,1993)、A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,current addition)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd Edition,1989)、Methods In Enzymology(S.Colowick and N.Kaplan eds.,Academic Press,Inc.)、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company,1990)、Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3rd Ed.(Plenum Press) Vols A and B(1992)を参照のこと。
【0423】
XIV.A.スパイクタンパク質配列の最適化
スパイクタンパク質をコードする、配列が最適化された様々なヌクレオチド配列をChAdV68ワクチンベクターで評価した。
【0424】
スパイク配列の配列最適化
Wuhan Hu/1からのスパイクヌクレオチド配列(配列番号78)を、アミノ酸配列が影響を受けないように、同義コドンを置換することにより配列最適化を行った。ヒトでの発現増強のため、及び合成を助けるよう複雑さの軽減のため、IDTアルゴリズムを使用した(例えば、配列番号66~74を参照のこと)。スパイク配列に、2つの追加のアルゴリズムを使用してさらなる配列最適化を行い、(1)SGI DNA(La Jolla,CA)を使用して生成された単一配列(配列番号87)、(2)University of SingaporeによるCOOLを使用して生成されたCT1、CT20、CT56、CT83、CT131、及びCT199で表される6つの配列(配列番号79~84)(COOLアルゴリズムは複数の配列を生成し、6つが選択された)を得た。それぞれの配列を表1に示す。
【0425】
ChAdV68ウイルスを感染させるかまたはChAdV68ゲノムDNAをトランスフェクトした293A細胞からのcDNAにおいてスプライシング現象を特定した。具体的には、10e5~10e6細胞からのトータルRNAを、QiagenのRNeasyカラムを使用して精製した。残留DNAをDNAse処理により除去し、SuperScriptIV逆転写酵素(Thermo)を使用してcDNAを作製した。その後、Gritstone ChAdV68カセットの5’UTR及び3’UTRに対して特異的なプライマーを使用してPCR産物を生成させ、アガロースゲル電気泳動、ゲル精製、及びサンガー法による配列決定により分析して、スプライシングにより欠失した領域を特定した。
【0426】
スプライスドナー部位を、ヌクレオチド配列モチーフを破壊するがアミノ酸配列を乱さない部位特異的変異誘発によって除去した。変異誘発は、上記変異をPCRプライマーに組み込み、いくつかの断片を並行して増幅させ、断片にGibsonアセンブリを実行することによって達成された(30~60ntが重複)。最適化されたクローンCT1-2C(配列番号85)は、NT385及びNT539における、サンガー法による配列決定で同定されたスプライスドナーモチーフが変異しており、クローンIDT-4C(配列番号86)では、NT385、NT539における、サンガー法による配列決定で同定されたスプライスドナーモチーフ、ならびにNT2003及びNT2473における予測ドナーモチーフが変異していた。さらに、IDT-4Cクローンでは、nt445における可能なポリアデニル化部位AATAAAがAAcAAAに変異していた。
【0427】
記載の配列を表1に示す。

【0428】
配列最適化済みスパイク配列のクローニング
配列が最適化されたスパイク配列はそれぞれ、3つのgBlockを1セットとしてIDTから注文したものであり、各gblockが1300~1500bpであり、互いに約100ヌクレオチド重複するものであった。スパイク配列の5’末端及び3’末端を含むgBlockは、プラスミド骨格と100ヌクレオチド重複した。gblockを、PCRとGibsonアセンブリの組み合わせにより線状pA68-E4d AsisI/PmeI骨格に構築して、pA68-E4配列で最適化されたスパイクのクローンを生成した。PCRによりクローンのスクリーニングを行い、次いで、適切なサイズのクローンをプラスミド作製のために成長させ、NGSまたはサンガー法による配列決定のいずれかでシークエンシングした。適切なクローンの配列が確認された時点で、トランスフェクション用に大規模なプラスミドの作製及び精製を実施した。
【0429】
ベクターの作製
pA68-E4-スパイクプラスミドDNAをPacIで消化し、TransIt Lentiトランスフェクション試薬を使用して2ugのDNAを293F細胞にトランスフェクトした。トランスフェクション5日後、細胞及び培地を採取し、-80℃及び37℃での凍結-解凍によりライセートを生成した。ライセートの一部を使用して、30mLの293F細胞を再感染させ、48~72時間インキュベートしてから採取した。ライセートを、-80℃及び37℃での凍結-解凍により生成し、ライセートの一部を使用して400mLの293F細胞を感染させ、1e6細胞/mLで播種した。次いで、48~72時間の後、細胞を採取し、10mM tris pH8.0/0.1%Triton X-100に溶解し、37℃及び-80℃での凍結・解凍を1回行った。その後、ライセートを4300×gで10分間遠心分離にかけて清澄化してから、1.2/1.4のCsClのグラジエントに負荷した。グラジエントを最低2時間実行してからバンドを採取し、Trisで2~4倍に希釈した後、1.35のCsClグラジエントで少なくとも2時間、再実行した。ウイルスバンドを採取し、次いで、1×ARM緩衝液で3回透析した。ウイルス感染価を免疫染色力価アッセイにより決定し、ウイルス粒子を、A260nmの吸光度で測定した。
【0430】
ウェスタン分析
スパイク発現分析用の試料を、トランスフェクション後の指定された時間に採取するか、または精製したウイルスの場合、既知のウイルスMOIを用いた制御された感染実験を設定することにより、感染後の特定の時間、典型的には24~48時間目に採取した。1e6細胞を、典型的には、10%ベータ-メルカプトエタノールを添加した0.5mLのSDS-PAGEローディング緩衝液に採取した。試料を沸させ、変性及び還元条件下、4~20%ポリアクリルアミドゲルで実行した。その後、BioRad Rapid転写装置を使用して、ゲルをPVDF膜上にブロットした。膜を、5%スキムミルク含有TBST中で室温にて2時間ブロッキングした。その後、膜を、抗スパイクS1 ポリクローナル(Sino Biologicals)または抗スパイクモノクローナル抗体1A9(GeneTex;カタログ番号GTX632604)でプローブし、2時間インキュベートした。その後、膜を、PBST中で洗浄し(5回)、HRP結合抗マウス抗体(Bethyl labs)で1時間プローブした。膜を上記のように洗浄し、その後、化学発光基質ECL plus(ThermoFisher)と共にインキュベートした。その後、Chemidoc(BioRad装置)を使用して画像を取得した。
【0431】
結果
スパイクS2タンパク質の発現を、スパイクをコードする様々なベクターを用いた293F細胞でのウイルス生成時に評価した。IDT配列最適化スパイクカセットをコードするベクターを使用して、SAMベクターで発現させた場合には、抗スパイクS2抗体(GeneTex)を使用したウエスタンブロットによってスパイクS2タンパク質が検出されたが、ChAdV68ベクター(「CMV-スパイク(IDT)」;配列番号69)で発現させた場合には、2つの異なるMOI及び時点において検出されなかった(データ図示せず)。スパイクバリアントD614G(「CMV-スパイク(IDT)-D614G」、配列番号70)を発現するよう操作された2つのクローンもまた、S2抗体を使用したウェスタンにより検出可能なレベルのスパイクタンパク質を発現しなかった(データ図示せず)。SARS-CoV-2膜タンパク質をスパイク(「CMV-スパイク(IDT)-D614G-Mem」、配列番号66)と共に共発現するよう操作されたクローン、またはFurin切断部位を破壊するようR682V変異が含まれているクローンでは、発現表現型はレスキューされなかった(データ図示せず)。対照的に、スパイクS1 タンパク質が検出されなかったFurin R682V変異を除いては、すべてのIDTコンストラクトで、低レベルではあるが、スパイクS1 タンパク質が検出された。
【0432】
IDT配列最適化クローンに関する発現の問題が、S1ドメインまたはS2ドメインに特異的なものであったのかどうかを解き明かすため、S1ドメインまたはS2ドメインのみを発現するベクターも評価した。IDT配列最適化スパイクS1タンパク質のみをコードするChAdV68ベクターは、全長スパイクベクターで観察された、より低い発現とは対照的に、タンパク質強発現を示した(データ図示せず)。予想どおり、S2ドメインのみをコードするベクターを用いたS1では、シグナルは観察されなかった。対照的に、IDT配列最適化スパイクS2タンパク質のみをコードするChAdV68ベクターは、観察できるほどのタンパク質発現を示さず、全長スパイクベクターでは観察されたシグナルは存在しないに等しかった(データ図示せず)。したがって、データは、IDT配列最適化スパイクS2が、全長スパイク配列の発現に影響を与えることも含め、不十分な発現を示すことを示す。
【0433】
タンパク質発現に対処するため、SARS-CoV-2スパイクをコードするヌクレオチド配列に、追加の配列最適化アルゴリズムを使用して配列最適化を行い、(1)SGI DNA(La Jolla,CA)を使用して生成された単一配列(配列番号87)、(2)University of SingaporeによるCOOLを使用して生成されたCT1、CT20、CT56、CT83、CT131、及びCT199で表される6つの配列(配列番号79~84)(COOLアルゴリズムは複数の配列を生成し、6つが選択された)を得た。COOLアルゴリズムでの配列最適化では、配列CT1(配列番号79)が生成され、これは、抗S2抗体及び抗S1抗体の両方を使用したウェスタンにより評価した場合、ChAdV68ベクターを使用して検出可能な発現が示された(データ図示せず)。COOLアルゴリズム及びSGIアルゴリズムを使用して生成された追加の配列もまたウェスタンにより評価した。SGIクローン及びCOOL配列CT131もまた、抗S2抗体を使用したウェスタンにより検出可能なレベルのスパイクタンパク質を示したが、COOLで生成された他の配列では、対照のCT1由来配列(レーン2)以外の検出可能なシグナルは生成されなかった。したがって、データは、特定の配列最適化がChAdV68ベクターにおける全長SARS-CoV-2スパイクタンパク質の発現を改善したことを示している。
【0434】
SARS-CoV-2は、それ自身の複製機構をコードする、細胞質で複製するプラス鎖RNAウイルスであり、そのため、SARS-CoV-2 mRNAは、スプライシング及び核外輸送機構による自然のプロセシングを受けない。ChAdV68ベクターから発現するSARS-CoV-2スパイクコードmRNAにおけるスプライシングの役割を評価するため、スパイクコード領域を増幅させるためのプライマーを設計した。mRNAスプライシングの存在下では、アンプリコンのサイズは、予測される全長コード領域よりも小さいと思われる。SARS-CoV-2スパイクカセットをコードするプラスミドのPCRでは予測したアンプリコンサイズが示されたが(「スパイクプラスミド」左パネル、右カラム)、感染293細胞からのcDNAのPCR増幅では2つの小さいアンプリコンが示され、これはmRNA転写産物のスプライシングを示す(「ChAd-スパイク(IDT)cDNA」左パネル、左カラム)。さらに、スパイクコード配列を、S1コード配列とS2コード配列とに分割した。感染293細胞からのS1 cDNAのPCR増幅では予測したアンプリコンサイズが示され(「スパイクS1」右パネル、左カラム)、S1は望ましくないスプライシングを受けない可能性が高いが、S2領域内の配列はスプライシングに影響し得ることを示している。
【0435】
より小さいアンプリコン配列を分析し、サンガー法による配列決定により2つのスプライスドナー部位を同定した。さらなるシークエンス解析により、さらなる3つの潜在的ドナー部位を予測した。スプライスモチーフ配列の位置及び同一性を以下に示す(ntトリプレットはコドンに対応し、番号付けはスパイクATGを基準に開始する):
NT385-:AAG GTG TGT->AAa GTc TGc(シークエンシングにより同定)
NT539-:AA GGT AAG C->Ag GGc AAa C(シークエンシングにより同定)
NT2003-:CA GGT ATC T->Ct GGa ATC T(予測)
NT2473-:AAG GTG ACC->AAa GTc ACC(予測)
NT3417-:C CCC CTT CAG CCT GAA CTT GAT TCC->T CCa CTg CAa CCT GAA CTT GAT agt
【0436】
選択されたスプライスドナー部位を、ヌクレオチド配列モチーフを破壊するがアミノ酸配列を乱さない部位特異的変異誘発によって除去した。COOLで配列最適化されたクローンCT1を、NT385及びNT539にて変異している、配列が同定されたスプライスドナーモチーフを有するクローンCT1-2C(配列番号85)のための参照配列として使用した。IDT配列最適化クローンを、クローンIDT-4C(配列番号86)のための参照配列として使用し、NT385、NT539、NT2003、及びNT2473にて変異している、配列が同定されたスプライスドナーモチーフ及び予測スプライスドナーモチーフの両方、ならびにNT445にてAAcAAAに変異している、可能なポリアデニル化部位AATAAAを有した。クローンでは、配列が同定されたスプライスドナーモチーフを含め、スパイクタンパク質発現がウェスタンによって検出された。スプライシングをさらにコンストラクトでPCR分析により評価した。スプライスドナーモチーフ及び/または潜在的ポリA部位単独を変異させることでスプライシングが妨げられることはなかったことから、スプライシングが、サブドミナントなスプライス部位から生じた可能性があることを示している。
【0437】
ChAdV68ベクターから発現する全長スパイクmRNAでのスプライシング現象の特定を考慮して、追加のコンストラクトが生成され、タンパク質発現改善について評価される。追加の最適化には、外因性核外輸送シグナル(例えば、恒常的輸送エレメント(CTE)、RNA輸送エレメント(RTE)、もしくはウッドチャック転写後調節エレメント(WPRE))を特徴とするコンストラクト、またはスプライシングにバイアスをかけるための、外因性スプライスのドナー/分岐/アクセプターのモチーフ配列の導入、例えば、SV40ミニイントロン(配列番号88)をスパイク遺伝子のすぐ上流でCMVプロモーターとコザック配列との間に導入すること、による人工イントロンの追加を特徴とするコンストラクトが含まれる。同定及び予測されたスプライスドナーモチーフもまた、追加の配列最適化と組み合わせてさらに評価される。
【0438】
XIV.B.多シストロン性自己増幅mRNAベクターの評価
別々のアルファウイルス由来サブゲノミックプロモーターにより駆動される複数の発現カセットを特徴とする自己増幅mRNA(SAM)SARS-CoV-2ワクチン設計について、評価結果を記載する。図1は、単一アルファウイルス由来サブゲノミックプロモーター(SGP)を特徴とする自己増幅mRNA(SAM)系を示す。そのような系では、単一SGPは、2Aリボソームスキッピング配列要素(例えば、E2A、P2A、F2A、またはT2A配列)または配列内リボソーム進入部位(IRES)配列要素を使用して複数のタンパク質を発現する多シストロン性転写産物を含め、ペイロードカセットの転写にのみ関与する。図2は、別々のSGPにより駆動される複数の発現カセットを特徴とするSAM系を示す。理論に拘束されることは望まないが、複数のSGPは、SGP1とSGP2の両方が第2の遺伝子をコードする転写産物を産生することを考えると、第2のSGP(SGP2)の制御下にある遺伝子の高発現を駆動することができる。
【0439】
様々なSARS-CoV-2ワクチンの設計、コンストラクト、及び投与レジメンを評価した。ワクチンは、スパイクタンパク質の様々な最適化型、選択された予測T細胞エピトープ(TCE)、またはスパイクとTCEカセットの組み合わせをコードした。
【0440】
具体的には、26S転写産物の転写のためのプロモーターとして機能する24ntのコア保存プロモーター配列ctctctacggcTAAcctgaa(+1)tggaが含まれる、様々なアルファウイルス由来サブゲノミックプロモーター(SGP)を評価した。
【0441】
SARS-CoV-2ペプチド(下表2の様々なスパイクバリアント配列)または様々な連結されたT細胞エピトープカセット(代表的「TCE5」を参照のこと)をコードする2つのカセットを有するベクターでは、第1のカセットは、第1のアルファウイルス由来サブゲノミックプロモーターSGP1(GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGAC)により駆動され、第2のカセットは、第2のアルファウイルス由来サブゲノミックプロモーターSGP2(GGGCCCCTATAACTCTCTACGGCTAACCTGAATGGACTACGACATAGTCTAGTCCGCCAAG)により駆動された。SGP2には、非構造タンパク質4(nsP4)のC末端の8アミノ酸をコードするヌクレオチドを5’領域で隣接させ、3’では、VEEVアルファウイルスからの18ntの非翻訳領域(例えば、atagtctagtccgccaag)をコードするヌクレオチドを隣接させた(あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれるAm.J.Trop.Med.Hyg.,59(6),1998,pp.952-964を参照のこと)。フランキング配列は、SGP1との組み換え予防及び任意の潜在的な追加の転写エンハンサーエレメントの組み込みを含め、様々な目的のためにSGP2に含めた。さらに、SGP2は、第2のカセットのためのコザック配列の5’側に隣接してコードされる。SGP1及びSGP2の両方が含まれる代表的配列を配列番号93に示す。
【0442】
具体的な方法を以下に詳述する。
【0443】
マウスの免疫化
マウスの試験はすべて、IACUCで承認されたプロトコルを基にMurigenicsにて行われた。6~8週齢のBalb/cマウス(Envigo)を全試験で使用した。ワクチンを-80℃で保存し、免疫当日に室温で解凍し、その後、PBSで0.1μg/mLに希釈して、0.2ミクロンのフィルターで濾過した。濾過した製剤を4℃で保存し、調製の4時間以内に注射した。すべての免疫を、前脛骨筋への両側筋肉内に50μLずつ2回、計100μLを注射して行った。
【0444】
脾細胞の単離
T細胞応答の評価では、免疫後の様々な時点でマウスの脾臓を抽出した。いくつかの試験では、脾臓の採取を同時に行い、比較が可能になるよう、免疫をずらして行われたことに留意されたい。脾臓を採取し、IFNγ ELISpot及びICSにより分析した。脾臓を完全RPMI(RPMI+10%FBS)に懸濁させ、gentleMACS Dissociator(Milltenyi Biotec)を使用して解離させた。解離した細胞を40μmストレーナーを使用して濾過し、赤血球ACK溶解バッファー(150mM NHCl、10mM KHCO、0.1mM EDTA)で溶解した。溶解後、細胞を30μmストレーナーで濾過し、完全RMPIに再懸濁させた。
【0445】
血清採取
免疫後の様々な時点において200μLの血液を採取した。血液を1000gにて室温で10分間、遠心分離にかけた。血清を採取し、-80℃で凍結した。
【0446】
S1 IgG MSD/ELISA
96ウェルQuickPlexプレート(Meso Scale Discovery,Rockville,MD)を、DPBS(Corning,Corning,NY)で希釈した50μLのSARS-CoV-2 S1(1μg/mL)(ACROBiosystems,Newark,DE)でコートし、4℃で一晩インキュベートした。ウェルを、250μLのPBS+0.05%Tween-20(Teknova,Hollister,CA)を使用して撹拌しながら3回洗浄し、オービタルシェーカーでプレートを150μLのSuperblock PBS(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)で室温にて1時間ブロッキングした。被験血清を、10%同一種血清(Innovative Research,Novi,MI)で適切な系列にて希釈し、各プレートの単一ウェルで試験した。希釈度1:100で開始して3倍希釈し、試料あたり11の希釈である。ウェルを洗浄し、50uLの希釈試料をウェルに加え、オービタルシェーカー上で室温にて1時間インキュベートした。ウェルを洗浄して、DPBS+1%BSA(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)で希釈した25μLのSULFO-TAG標識抗マウス抗体(1μg/mL)(MSD)と共にオービタルシェーカー上で室温にて1時間インキュベートした。ウェルを洗浄し、150μLのトリプロピルアミン含有読み取り用緩衝液(MSD)を加えた。QPlex SQ 120(MSD)ECLマイクロプレートリーダーを使用してプレートに直ちに実行した。エンドポイント力価は、シグナルがバックグラウンド値の2倍となる各試料の相互希釈と定義され、バックグラウンド値の2倍を超える最終2値の間にラインを適合させて内層される。バックグラウンド値は、10%同一種血清のみを含有する対照ウェルの平均値(プレートごとに計算)である。
【0447】
IFNγ ELISpot分析
プレコートした96ウェルプレート(MAbtech,Mouse IFNγ ELISpot PLUS,ALP)を製造者の操作手順に従って使用し、IFNγ ELISpotアッセイを実施した。試料を、様々な重複ペプチドプール(15アミノ酸長、11のアミノ酸重複)で、ペプチドあたり1μg/mLの最終濃度にて一晩刺激した。スパイクの場合-SARS-CoV-2スパイク抗原に広がる8つの異なる重複ペプチドプール(Genscript、プールあたり36~40ペプチド)。脾細胞を、各スパイクプールにつき1×10細胞/ウェルにて2連で播種し、スパイクプールの2、4、及び7の場合は2.5×10細胞/ウェル(7.5×10ナイーブ細胞と混合)にて2連で播種した。TCEカセットに対する応答の測定-ヌクレオカプシドタンパク質(JPT、NCap-1、102ペプチド)に広がる1プール、膜タンパク質(JPT、VME-1、53ペプチド)に広がる1プール、及びカセットでコードされるOrf3a領域に広がる1プール(Genscript、38ペプチド)。TCEペプチドプールの場合、脾細胞を、各プールにつき2x10細胞/ウェルにて2連で播種した。DMSOのみの対照を、それぞれの試料及び細胞数ごとに播種した。37℃で一晩のインキュベーションの後、プレートをPBSで洗浄し、抗サルIFNγ mAbビオチン(MAbtech)と共に2時間インキュベートし、次いで、追加洗浄、及びストレプトアビジン-ALP(MAbtech)との1時間のインキュベーションを行った。最終洗浄後、プレートをBCIP/NBT(MAbtech)と共に10分間インキュベートし、免疫スポットを発生させた。スポットを画像化し、AIDリーダー(Autoimmun Diagnostika)を使用して計数した。データの処理及び分析では、複製ウェル変動性(変動性=分散/(中央値+1))が10より大きく、中央値が10より大きい試料を除外した。スポット値を、下式に従ったウェル飽和に基づいて補正した。

補正スポット=生スポット+2(生スポット飽和/(100-飽和)

各試料を、陰性対照ペプチドウェルの平均値を減算してバックグラウンドを補正した。データは、1×10脾細胞あたりのスポット形成コロニー(SFC)として表される。ウェル飽和値が35%超のウェルを「過多のため計数不能」(TNTC)と分類し、除外した。TNTCであった試料及びペプチドの場合、2.5×10細胞/ウェルで測定した値を用いた。
【0448】
評価された様々な配列は以下のとおりである:
-「IDTスパイク」:IDT最適化配列によってコードされるSARS-CoV-2スパイクタンパク質であり(配列番号69を参照のこと)、配列番号59に関してD614G変異が含まれ(配列番号70の対応するヌクレオチド変異を参照のこと)、「スパイクV1」とも呼ばれる
-「CTスパイク」:Cool Tool最適化配列バージョン1によってコードされるSARS-CoV-2スパイクタンパク質(配列番号79)であり、配列番号59に関してD614G変異が含まれ(配列番号70の対応するヌクレオチド変異を参照のこと)、「スパイクV2」とも呼ばれる。「CTスパイク」と呼ばれるバージョンでは、D614は未変化である。
-「CTスパイクF2P」:Cool Tool最適化配列バージョン1によってコードされるSARS-CoV-2スパイクタンパク質であり(配列番号79)、Furin切断部位を破壊(682~685のRRARをGSASに)するためのR682V、ならびに参照スパイクタンパク質(配列番号59)に関してスパイクの2次構造を妨げるためのK986P及びV987Pが含まれる。
ヌクレオチド配列は配列番号89に示され、タンパク質配列は配列番号90に示される
-「TCE5」:スパイク以外のSARS-CoV-2タンパク質に対する、MHC分子上に提示されることがEDGEプラットフォームで予測された、選択されたCD8+エピトープ。
ヌクレオチド配列は配列番号91に示され、タンパク質配列は配列番号92に示される
-「TCE6」:スパイク以外のSARS-CoV-2タンパク質に対する、MHC分子上に提示されることがEDGEプラットフォームで予測された、選択されたCD8+エピトープ。
-「TCE7」:スパイク以外のSARS-CoV-2タンパク質に対する、MHC分子上に提示されることがEDGEプラットフォームで予測された、選択されたCD8+エピトープ。
-「TCE7」:スパイク以外のSARS-CoV-2タンパク質に対する、MHC分子上に提示されることがEDGEプラットフォームで予測された、選択されたCD8+エピトープ。
-「TCE9」:スパイク以外のSARS-CoV-2タンパク質に対する、MHC分子上に提示されることがEDGEプラットフォームで予測された、選択されたCD8+エピトープであり、SARSとSARS-2間で保存されている確認されたエピトープ(例えば、汎コロナウイルスワクチンとして)が含まれており、ある特定のフレームが、アレルのための追加の予測エピトープ(すなわち、未確認エピトープ)を含めるために拡張されており(全フレームを通して21の追加のアミノ酸)、合計サイズが556アミノ酸である
-「TCE11」:スパイク及びヌクレオカプシド以外のSARS-CoV-2タンパク質に対する、MHC分子上に提示されることがEDGEプラットフォームで予測された、選択されたCD8+エピトープ;スパイクに加え、合計サイズが616アミノ酸である確認されたエピトープ(197aa+全長N)
-代表的SAMベクターであるSAM-SGP1-TCE5-SGP2-CTスパイクF2Pは配列番号93に示される



【0449】
TCE5アミノ酸配列(配列番号92):
MAGEAPFLYLYALVYFLQSINFVRIIMRLWLCWKCRSKNPLLYDANYFLCWHTNLAVFQSASKIITLKKRWQLALSKGVHFVCNLLLVTLKQGEIKDATPSDFVRATATIPIQASLPFGWLIVGVALLAVRRPQGLPNNTASWFTALTQHGKEDLKFPRGQGVPINTNSSPDDQIGYYRRATRRIMACLVGLMWLSYFIASFRLKKDKKKKADETQALPQRQKKQQTVTLLPAADLDDFSKQLQGNFGDQELIRQGTDYKHWPQIAQFAPSASAFFGMSRIGMEVTPSGTWLTYTGAIKITSGDGTTSPISEHDYQIGGYTEKWESGVKKMSGKGQQQQGQTVTKKSAAEASKKPRQKRTATKAYNVTQAFGRRGPEQTLLWPVTLACFVLAAVYRINWFKDQVILLNKHIDAYKTFPPTEPKKDKKKKTSPARMAGNGGDAALALLLLDRLNQLESKMSGKGQKMKDLSPRWYFYYLGTGPEDCVVLHSYFTSDYYQLYSTQLSTDTGVEHVTFFIYNKIVDEPEEHVQIHTIDGSSGGIIWVATEGALNTPKDHIGTRNPANNAAIVLQLPQGTTLPKGFYAEGPGPGAKFVAAWTLKAAAGPGPGQYIKANSKFIGITELGPGPG-
【0450】
TCE11アミノ酸配列:N末端のリーダー(太字)と、C末端のGPGPGリンカー(配列番号56)を持つ普遍的MHCクラスII(太字斜体)とを有する、連結された、EDGE予測によるSARS-CoV-2のMHCクラスIエピトープカセット「TCE11」:
【0451】
SAM-SGP1-TCE5-SGP2-CTスパイクF2Pヌクレオチド配列(配列番号93):(NT1~17:T7プロモーター;NT62~7543:VEEV非構造タンパク質コード領域;NT7518~7560:SGP1;NT7582~7587及び9541~9546:コザック配列;NT7588~9474:TCE5カセット;NT9480~9540:SGP2;NT9547~13368:CTスパイクFurin-2P)
【0452】
CMV-CTスパイクGF2P-CMV-TCE5カセットのヌクレオチド配列(配列番号114)
【0453】
結果
いずれもSGP1及びSGP2により発現される二重カセットを特徴とする様々なSAMベクター編成を評価した。
【0454】
検討したのは、当該分野に存在する潜在的な技術的制約に対処する多シストロン性SAMベクターであったが、これには、(1)大型カセット(例えば、天然アルファウイルスサブゲノミックプロモーターから発現する天然カセットのサイズより大きい、例えば、長さが約4kb以上のカセット)が含まれている複数のペイロードの発現を改善すること、(2)複数のペイロードの発現の制御改善、例えば、異なるペイロードの相対発現を制御すること、及び(3)ベクター組み換え事象(例えば、アルファウイルスサブゲノミックプロモーター間でのベクター内部プロモーターの組み換え)の低減等によるベクター安定性の改善、が含まれるが、これらに限定されない。
【0455】
コードされたエピトープに対するT細胞応答をモニタリングすることにより評価されるように、カセットの発現は、両プロモーターにより効果的に駆動された。注目すべきことに、SGP2プロモーターの制御下にある第2のカセットは、T細胞応答をモニタリングすることにより評価されるように、ワクチンという状況ではより良い発現をもたらし、概ね2倍超である。
【0456】
様々な順序の、修飾SARS-CoV-2スパイクタンパク質と、EDGE予測によるエピトープ(EPE)をコードするT細胞エピトープ(TCE)カセットと、をコードするSAMワクチンプラットフォームを評価した。
【0457】
様々なコンストラクトでワクチン接種した場合、スパイクに対するT細胞応答(上パネル)、コードされたT細胞エピトープに対するT細胞応答(中央パネル)、及びスパイク特異的IgG抗体(下パネル)が産生された。図5及び図6(及び表4A~表4Cで定量化)では、SAMコンストラクトには、「IDTスパイク」(配列番号69)単独(左列)、IDTスパイクが第1のサブゲノミックプロモーターから発現し、その後、TCE5が第2のサブゲノミックプロモーターから発現するもの(中央列)、またはTCE5が第1のサブゲノミックプロモーターから発現し、その後、IDTスパイクが第2のサブゲノミックプロモーターから発現するもの(右列)が含まれ、評価した免疫応答は上記のとおりであった。図7及び図8(及び表5A~表5Cで定量化)では、SAMコンストラクトには、「IDTスパイク」(配列番号69)単独(1列目)、IDTスパイクが第1のサブゲノミックプロモーターから発現し、その後、TCE6もしくはTCE7が第2のサブゲノミックプロモーターから発現するもの(それぞれ列2及び列4)、またはTCE6もしくはTCE7が第1のサブゲノミックプロモーターから発現し、その後、IDTスパイクが第2のサブゲノミックプロモーターから発現するもの(それぞれ列3及び列5)が含まれ、評価した免疫応答は上記のとおりであった。図9及び図10(及び表6A~表6Cで定量化)では、SAMコンストラクトには、「CTスパイク」(配列番号79)単独(1列目)、CTスパイクが第1のサブゲノミックプロモーターから発現し、その後、TCE5もしくはTCE8が第2のサブゲノミックプロモーターから発現するもの(それぞれ列2及び列4)、またはTCE5もしくはTCE8が第1のサブゲノミックプロモーターから発現し、その後、CTスパイクが第2のサブゲノミックプロモーターから発現するもの(それぞれ列3及び列5)が含まれ、評価した免疫応答は上記のとおりであった。図11及び図12(及び表7A~表7Dで定量化)では、SAMコンストラクトには、B.1.351(「南アフリカ」ベータ-系列)SARS-CoV-2分離株(配列番号112;「SAスパイク」)からのスパイクタンパク質(501Y.V2)単独(1列目)、TCE9(表8を参照のこと)が第1のサブゲノミックプロモーターから発現し、その後、SA-スパイクが第2のサブゲノミックプロモーターから発現するもの(列2)、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質(配列番号62;「Nuc」;Wuhan原株分離株)とTCE11(表9を参照のこと)の両方をコードするカセットが、第1のサブゲノミックプロモーター(ヌクレオカプシド-T2Aリンカー-TCE11であり、かつ、GPGPGリンカー及びPADREと破傷風トキソイドの両方の普遍的MHCクラスIIエピトープを含む)から発現し、その後、SA-スパイクが第2のサブゲノミックプロモーターから発現するもの(列3)、または無感作マウス(列4)が含まれ、評価した免疫応答は上記のとおりであった。
【0458】
一般に、特にスパイクタンパク質では、それぞれのエピトープが第2のサブゲノミックプロモーター(SGP2)から発現した場合にT細胞応答が増大し、これには、スパイク単独と比べて、スパイクを標的とするT細胞応答の増大も含まれた。同様の傾向は、スパイク抗原が第2のサブゲノミックプロモーターから発現した場合のスパイク特異的IgG力価でも全般的に観察されたが、ただし、CTスパイクコンストラクトの可能性が高い。
【0459】
したがって、結果は、複数の別個のSGPプロモーターの使用により、特に、ワクチンという状況で、アルファウイルス由来SAMベクター内の複数のカセットの効果的な発現が生じることを実証している。さらに、データは、SAMワクチンプラットフォームにおける抗原カセットの配列順序が免疫応答に影響を与えたことを実証している。













【0460】
本明細書で言及されるベクター、カセット、及び抗体のための特定の追加配列が以下に記載され、配列番号により言及されている。

【0461】
表A
配列表、配列番号130~8195を指す。EDGEスコアが0.001超の、所与のHLAアレルと関連することが予測されたSARS-CoV-2によってコードされる各候補MHCクラスIエピトープが示されている。各エントリーには、予測されたEDGEスコアが0.001超の候補エピトープ配列及び同族HLAアレルが含まれ、それぞれの同族ペア形成がH(EDGEスコア>0.1)、M(EDGEスコアが0.01~0.1)、及びL(EDGEスコア<0.01)にランク付けされている。例えば、候補エピトープMESLVPGF(配列番号127)は、HLA-B18:01、HLA-B37:01、及びHLA-B07:05とペアを形成して、EDGEスコアがそれぞれ.019、.032、及び.008であることが予測される。したがって、配列番号130のエントリーは、「MESLVPGF:B18:01M;B37:01M;B07:05L」となる。
【0462】
表B
配列表、配列番号8196~26740を指す。EDGEスコアが0.001超の、所与のHLAアレルと関連することが予測されたSARS-CoV-2によってコードされる各候補MHCクラスIIエピトープが示されている。各エントリーには、予測されたEDGEスコアが0.001超の候補エピトープ配列及び同族HLAアレルが含まれ、それぞれの同族ペア形成がH(EDGEスコア>0.1)、M(EDGEスコアが0.01~0.1)、及びL(EDGEスコア<0.01)にランク付けされている。例えば、候補エピトープVELVAELEGI(配列番号128)は、HLA-DQA103:02-B103:03、HLA-DRB111:02、HLA-DQA105:05-B103:19、及びHLA-DPA101:03-B1104:01とペアを形成して、EDGEスコアがそれぞれ0.003145、0.00328、0.041097、及び0.011613であることが予測される。したがって、配列番号8219のエントリーは、「VELVAELEGI:DQA103:02-B103:03L;DRB111:02L;DQA105:05-B103:19M;DPA101:03-B1104:01M」となる。HLA-DQ及びHLA-DPだけは、それらのアルファ鎖及びベータ鎖で言及されている。HLA-DRは、アルファ鎖がヒト集団では一般にインバリアントであり、HLA-DRペプチドの接触領域は特にインバリアントであるため、そのベータ鎖でのみ言及される。
【0463】
表C
配列表、配列番号26741~27179を指す。EDGEスコアが0.001超の、所与のHLAアレルと関連することが予測された、最適化カセット内でコードされる、スパイクタンパク質からのMHCクラスIエピトープ以外の追加のMHCクラスIエピトープが示されている。追加のエピトープは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質(配列番号59)により得られたすべての初期エピトープをS1とS2に分割して、対象とする集団の基準Pを計算し、本明細書に記載される最適化アルゴリズムを適用することによって決定された。
【0464】
表D
SARS-CoV-2スパイク重複ペプチドプールについての配列表、配列番号27180~27495を指す。各エントリーには、刺激性ペプチド、SARS-CoV-2タンパク質源、ペプチドサブプール情報、及び表が含まれる。例えば、刺激性ペプチドMFVFLVLLPLVSSQC(配列番号27180)は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質(Wuhan D614Gバリアント)に由来し、サブプールS_Wu_1_2に含められ、表Dに見出される。したがって、配列番号27180のエントリーは、「MFVFLVLLPLVSSQC:スパイクWuhan D614G;S_Wu_1_2;表D」となる。
【0465】
表E
TCE5でコードされる重複ペプチドプールについての配列表、配列番号27496~27603を指す。各エントリーには、刺激性ペプチド、SARS-CoV-2タンパク質源、ペプチドサブプール情報、及び表が含まれる。例えば、刺激性ペプチドLLWPVTLACFVLAAV(配列番号27496)は、SARS-CoV-2の膜タンパク質に由来し、サブプールOLP_Memに含められ、表Eに見出される。したがって、配列番号27496のエントリーは、「LLWPVTLACFVLAAV:膜;OLP_Mem;表E」となる。
【0466】
表F
TCE5でコードされる最小エピトープペプチドプールについての配列表、配列番号27604~27939を指す。各エントリーには、刺激性ペプチド、SARS-CoV-2タンパク質源、ペプチドサブプール情報、及び表が含まれる。例えば、刺激性ペプチドALSKGVHFV(配列番号27604)は、SARS-CoV-2のORF3aタンパク質(フレーム52~85)に由来し、サブプールMin_確認済に含められ、表Fに見出される。したがって、配列番号27604のエントリーは、「ALSKGVHFV:ORF3a 52~85;Min_確認済;表F」となる。

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図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【配列表】
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【手続補正書】
【提出日】2023-10-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
2024503108000001.app
【国際調査報告】