(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】熱管理のためのコンフォーマル流体リザーバ
(51)【国際特許分類】
F28D 21/00 20060101AFI20240117BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
F28D21/00 B
H05K7/20 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543116
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 US2021047984
(87)【国際公開番号】W WO2022159144
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ホルト,ブレンドン,アール.
(72)【発明者】
【氏名】イム,ケヴィン、ヤング
(72)【発明者】
【氏名】トゥリウス,ジェイミ,フランシス
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA06
5E322DA04
5E322FA04
(57)【要約】
熱管理システムで使用するためのリザーバは、内部容積部を画定する分割面に沿って第2のハウジングに接合された第1のハウジングを含む。第1及び第2のハウジングは、分割面に関して非対称であり、内部容積部を第1の容積部と第2の容積部とに分割するバリアの周縁を保持する。第1のポートは第1の容積部と連通し、第2のポートは第2の容積部と連通する。リザーバの内部に含まれる作動流体は、加圧源から第1のポートを通ってリザーバ内に気体を放出し、バリアを第2のポートに向かって移動させることによって、排出できる。リザーバから排出された作動流体は、ビークルから排出される前に、電子モジュールを冷却する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビークルの電子モジュールを冷却する方法であって、
第1のポートを介して貯蔵部からリザーバに気体を排出することと、
前記貯蔵部から排出される気体を使用して前記リザーバ内部のバリアを移動させることと、
前記バリアを移動させることによって、前記リザーバの内部に含まれる作動流体を第2のポートを通して排出することと、
前記リザーバから排出された前記作動流体を使用して前記電子モジュールを冷却することと、
前記作動流体を第3のポートを通じて前記ビークルの外部に排出することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記電子モジュールを冷却することが、前記電子モジュールと熱的に連通している熱交換器を通して前記作動流体を排出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リザーバの前記第2のポートを前記熱交換器に流体接続するラインに沿って配置されたオリフィスまたはバルブの1つを使用して、前記第2のポートから前記熱交換器への前記作動流体の流量を調節すること、をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
スクイブを作動させ、それによって前記貯蔵部から前記気体を排出し、前記リザーバから前記作動流体を排出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記リザーバの前記第2のポートを前記熱交換器に流体接続するラインに沿って配置されたバルブの開口面積を変動させることによって、前記第2のポートから前記熱交換器への前記作動流体の流量を調節すること、をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記熱交換器または前記電子モジュールのパラメータを感知し、前記電子モジュールは前記パラメータに基づいて前記バルブの前記開口面積を変動させることをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記バルブの前記開口面積は、時間依存変数の関数として前記バルブの開口面積を定める前記電子モジュールに格納されたスケジュールに従って変動する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記スケジュールは、少なくとも第1の開口面積及び第2の開口面積を定め、前記第1の開口面積及び前記第2の開口面積のそれぞれはゼロ以外である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記電子モジュールを冷却することは、前記電子モジュールから除かれた熱を使用して前記作動流体の少なくとも一部の相変化を引き起こすことを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記貯蔵部から気体を排出することが、充填ライン内部の閾値圧力を超えることによって、バーストディスクを破壊することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
リザーバであって、
第1のハウジングと、
分割面に沿って前記第1のハウジングに接合され、前記第1のハウジングと第2のハウジングとの間に内部容積部を画定する前記第2のハウジングと、
前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとの間に保持される周縁を有し、前記内部容積部を第1の容積部と第2の容積部とに分割するバリアと、
前記第1の容積部と連通する第1のポートと、
前記第2の容積部と連通する第2のポートと、を含み、
前記第1のハウジングと前記第2のハウジングが、前記分割面に関して非対称的である、リザーバ。
【請求項12】
前記第1のハウジングまたは前記第2のハウジングの境界壁が、前記リザーバの前記内部容積部から遠ざかるように延びる局所的突出部を画定する、請求項11に記載のリザーバ。
【請求項13】
前記第2のハウジングの前記第1のハウジングの境界壁が、前記リザーバの前記内部容積部に向かって延びる局所的凹部を画定する、請求項11に記載のリザーバ。
【請求項14】
前記第1のハウジング及び前記第2のハウジングが、前記分割面の環状部分の範囲を定める、請求項11に記載のリザーバ。
【請求項15】
前記第1のハウジング及び前記第2のハウジングによって画定される前記内部容積部が、トロイドの少なくとも一部の範囲を定める、請求項11に記載のリザーバ。
【請求項16】
ビークルであって、
電子モジュールと、
熱管理システムであって、
貯蔵部と、
リザーバであって、
第1のハウジングと、
分割面に沿って前記第1のハウジングに接合され、前記第1のハウジングと第2のハウジングとの間に内部容積部を画定する前記第2のハウジングと、
前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとの間に保持される周縁を有し、前記内部容積部を第1の容積部と第2の容積部とに分割するバリアと、
前記第1の容積部と連通する第1のポートと、
前記第2の容積部と連通する第2のポートであって、
前記第1のハウジングと前記第2のハウジングが、前記分割面に関して非対称的である、前記第2のポートを含む、前記リザーバと、
前記ビークル周囲の外部空間と連通する外部ポートと、
前記貯蔵部を前記第1のポートに流体接続する、第1のラインと、
前記第2のポートを前記外部ポートに流体接続する、第2のラインと、
前記リザーバの前記第2のポートと前記外部ポートとの間の前記第2のラインに沿い、前記電子モジュールと熱的に連通している、熱交換器の位置と、
前記リザーバの前記第2のポートと前記熱交換器との間の前記第2のラインに沿って配置されたバーストディスクまたはスクイブを含む、前記熱管理システムと、
を含む、ビークル。
【請求項17】
前記ビークル内部の空間を少なくとも部分的に境界付ける、前記リザーバに隣接する1つまたは複数のコンポーネントであって、前記第1のハウジング及び前記第2のハウジングが前記空間の形状に適合する、前記1つまたは複数のコンポーネント、をさらに含む、請求項16に記載のビークル。
【請求項18】
前記第1のハウジング及び前記第2のハウジングのうちの一方が、前記内部容積部から遠ざかる方向に延びる局所的突出部、または前記内部容積部に向かって延びる局所的凹部を含み、前記局所的突出部または前記局所的凹部が、前記1つまたは複数のコンポーネントに適合する、請求項17に記載のビークル。
【請求項19】
前記リザーバの前記第1のハウジング及び前記第2のハウジングのうちの一方が、前記ビークルのボディの内面に適合する、請求項17に記載のビークル。
【請求項20】
前記第1のハウジングが非平面フランジで前記第2のハウジングに接合する、請求項16に記載のビークル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、B.R.Holt及びK.Y.Kim及びJ.F.Tulliusによる「CONFORMAL FLUID RESERVOIR FOR THERMAL MANAGEMENT」に関して2021年1月19日に出願された米国非仮出願第2017/152,083号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、リザーバに関し、より具体的には、熱管理システムに使用される能動的排出リザーバに関する。
【背景技術】
【0003】
最新の軍需品(例えば、特に、ミサイル、誘導発射体、魚雷、ロケット)、及び他の使い捨てまたは使用の限定されたビークルには、ビークルの動作を補助する1つまたは複数の電子モジュールが含まれている。例えば、ビークルの電子モジュールは、ビークルの動作中に使用される誘導モジュール、電源、またはその他の高密度のパワーデバイスであり得る。これらのデバイスは、電力の消費が集中するため、比較的狭いスペースの内部で大きな熱負荷を生成する。中出力密度から低出力密度のデバイスに由来する熱負荷を分散する試みには、軍需品やビークルの外側ボディをヒートシンクとして使用すること、電子モジュールの熱負荷をヒートパイプを通して経路指定すること、熱容量デバイスを使用して熱負荷を内的に吸収することが含まれる。現在のところ、これらの試みは、近未来の製品向けの高密度のパワーデバイスによって生成される熱負荷に対処するには不十分である。
【発明の概要】
【0004】
ビークルの電子モジュールを冷却する方法は、気体を加圧または圧力発生貯蔵部から第1のポートを介してリザーバに排出すること、リザーバの内部に含まれる作動流体を、排出された気体でリザーバ内部のバリアを移動させることによって、第2のポートを介して排出することを含む。さらに、方法は、リザーバから排出された作動流体を使用して電子モジュールを冷却すること、及び外部(overboard)ポートを介してビークルの外部に作動流体を排出することを含む。
【0005】
リザーバは、リザーバの内部容積部を画定する分割面に沿って第2のハウジングに接合された第1のハウジングを含む。第1及び第2のハウジングは、分割面に関して非対称であり、内部容積部を第1の容積部と第2の容積部とに分割するバリアの周縁を保持する。第1のポートは第1の容積部と連通し、第2のポートは第2の容積部と連通する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】ビークルの内部に含まれる高密度の電力負荷を散逸させるために作動媒体を排出するためのリザーバを備えた熱管理システムの概略図である。
【
図2A】
図1の熱管理システムに組み込まれた例示的なリザーバの概略図である。
【
図2B】
図1の熱管理システムに組み込まれた例示的なリザーバの概略図である。
【
図3】リザーバの形状をビークル内部の空間にさらに適合させるための1つ以上の局所的凹部及び/または1つ以上の局所的突出部を含む、リザーバの別の例示的な実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に開示されるのは、軍需品などの使い捨てまたは使用の限定されたビークルの内部に含まれる高密度のパワーデバイスのための熱管理システム及び関連するコンポーネントならびに方法である。熱管理システムは、熱交換器及び外部ポートに流体で直列に接続されたリザーバを含む。作動時、貯蔵部は充填流体をリザーバ内に放出し、その中に含まれる作動流体を駆動して熱交換器に到達させ、その後、外部ポートを通るようにして作動流体をビークルから外部に排出する。充填流体は、圧力下で保管してもよく、気体発生器を使用して加圧及び/または生成することもできる。ビークルの電子モジュールなどの高密度のパワーデバイスは、熱交換器で作動流体への熱を遮断し、ビークルが動作している間、電子モジュールを許容温度範囲内に維持する。
【0008】
リザーバは、2つ以上のハウジングの部分の間に保持されたバリアを備えた複数の部分を有するハウジングを含む。例えば、いくつかの実施形態は、分割面に沿って互いに嵌合される第1及び第2のハウジングによって形成される2つの部分を有するハウジングを含む。第1及び第2のハウジングは、分割面に関して対称または非対称とすることができ、分割面自体は、ビークルの内部で利用可能なスペースに応じて、第1及び第2のハウジングの嵌合する面と共に、平面、曲面、または不規則にすることができる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のハウジングは、分割面の環状部分の範囲を定める。他の実施形態では、第1及び第2のハウジングは、部分的または完全なトロイダル状の内部容積部を画定する。さらに他の実施形態では、第1及び第2のハウジングは、球形、円筒形、または環状の内部容積部、あるいはその一部を形成することができる。
【0009】
リザーバの特定の実施形態は、内部容積部から離れる方向に延びる局所的突出部、内部容積部に向かって延びる局所的凹部、または1つ以上の局所的突出部と局所的凹部の組み合わせを有する1つ以上のハウジングを含む。局所的突出部の例は、こぶ状、ドーム、ランプ、膨隆、隆起、突起、凸面、または内部容積部から離れるハウジングの別の偏向を形成する境界ハウジング壁の部分を含むが、局所的凹部の例は、くぼみ、凹面、内部成長、圧入、空洞、キャビティ、後退、または内部容積部に向かうハウジング壁のその他の偏りを含む。局所的突出部及び/または凹部のそれぞれは、全体としてハウジングの形状と一致しないが、滑らかで連続的な移行部を使用してハウジング全体の形状に組み込まれる。
【0010】
リザーバの形状を選択し、任意選択で、1つ以上の局所的突出部及び/または局所的凹部を組み込むことによって、リザーバの形状を、1つ以上の内部コンポーネントとビークルの外側ケーシングによって境界付けられるビークルまたは軍需品の内部空間に適合させることができ、それは、考えられる他の内部コンポーネントの中でも特に、レーダーシステム、誘導システム、舵面作動システム、及び推進システムのコンポーネントが含まれる場合がある。
【0011】
図1は、高密度の電力負荷を有し、その結果として高い熱負荷を伴う軍需品などの使い捨てまたは使用の限定されたビークルへの設置を容易にするために、これらの特徴の1つまたは複数を組み込んだリザーバ12を備えた熱管理システム10の概略図である。リザーバ12は、第2のハウジング16に嵌合される第1のハウジング14と、分割面20に沿って第1のハウジング14と第2のハウジング16との間に保持されるバリア18とを含む。第1のハウジング14及び第2のハウジング16は内部容積部22を取り囲んで画定し、バリア18は内部容積部22を2つのサブ容積部22A及び22Bに分割する。リザーバ12の充填ポート24は、充填ポート24を貯蔵部28に流体接続する充填ライン26と連通するサブ容積部22Aを配置する。リザーバ12の排出ポート30は、サブ容積部22Bを、排出ポート30を外部ポート34に流体接続する排出ライン32と連通するように配置する。通気ポート31は、サブ容積部22Aと連通しており、バリア18がリザーバ12の内部で移動するときにサブ容積部22Aを排気することによって、サブ容積部22Bの充填を容易にすることができる。熱交換器36は、排出ポート30と外部ポート34との間の排出ライン32に沿って配置され、排出ライン32を熱源38と熱的に連通させる。
【0012】
バリア18は、リザーバ12のサブ容積部22Bの内部に貯蔵された作動流体40からの圧力下で、貯蔵部28の内部に含まれるもしくは生成された充填流体42からの圧力下で、または作動流体40と充填流体42の両方からの圧力下で、バリア18の中立的な状態に応じて、弾性的に変形可能である。例えば、いくつかの実施形態におけるバリア18は、リザーバ12の内壁に適合し、充填ポート24を覆う中立的な状態を含む。この構成により、作動流体40はバリア18からの復元力によって加圧されない。あるいは、バリア18の中立的な状態を、内部容積部22をサブ容積部22A及び22Bの任意の割合に分割するように選択することができ、バリア18の中立的な状態によりサブ容積部22Aが増大していくにつれて、作動流体40に対するバリア18の復元力が増加していく。
【0013】
充填状態では、遮断要素44は、作動流体40をリザーバ12の内部に保持するために、排出ポート30または外部ポート34を含む排出ライン32に沿った任意の位置に配置される。図示されているように、遮断要素44は排出ポート30の下流にあり、熱交換器36の上流にある。いくつかの実施形態では、遮断要素44は、閾値圧力を超えると破壊して開くバーストディスク、またはトリガー後に爆発で破壊して開くスクイブとすることができる。他の実施形態では、遮断要素44は、排出ライン32内部の作動流体40の流量Qを調整するように選択される開口面積を特徴とするソレノイドバルブまたはニードルバルブなどの2つの位置のバルブであってもよい。バルブ遮断要素44を備えたいくつかの実施形態では、オリフィス45は、遮断要素44と外部ポート34との間の排出ライン32に沿って配置され、オリフィス45の開口面積よりも大きくなるように選択されて、作動流体40の流量Q、バルブの開口面積、または他の遮断要素44を調節することができる。さらに他の実施形態では、遮断要素44は、以下にさらに説明するように、排出ライン32内部の流量Qを調節するようにバルブ44の開口面積が変動する流量制御バルブであってもよい。
【0014】
貯蔵部28は、作動流体40をリザーバ12から排出ライン32及び関連するコンポーネントを通って外部ポート34に排出するのに必要な充填流体42を収容する。いくつかの実施形態では、充填流体42は充填ライン26をバリア18まで満たし、バリア18を圧迫し、遮断要素44によって充填状態に保持される。他の実施形態では、充填ライン26は、閉じられたときに作動流体40及び遮断要素44とは独立して充填流体42を貯蔵部28の内部に保持する別の遮断要素46を含む。遮断要素46の例は、当技術分野で知られている他の潜在的な遮断要素の中でも特に、ソレノイドバルブ、バーストディスク、またはスクイブを含む。各構成において、充填流体42は、加圧下で貯蔵部28の内部に貯蔵することができ、あるいは、加圧せずに、気体発生器によって生成される加圧気体を使用して貯蔵部28から排出することができる。さらに他の実施形態では、貯蔵部28が気体発生器の反応の動作に必要な1つまたは複数の成分を含みながら、充填流体42が気体発生器自体の生成物である場合がある。
【0015】
作動流体40及び充填流体42は両方とも気体または液体であり得るが、作動流体40として液体を選択すると、相変化するまたは相の流れが混合する熱交換器36の構成が容易になり、作動流体42として気体を選択すると、作動流体40をリザーバ12から排出するのに十分な量及び圧力の作動流体42のコンパクトな貯蔵が容易になる。作動流体40の液体の例は、水、メタノール、及びアンモニアを含み、気体の充填流体42の例は、二酸化炭素、乾燥または湿った空気、及び窒素を含む。ただし、熱管理システム10の設計と適合する熱の特性を有するいずれかの不揮発性気体または流体を、作動流体40及び充填流体42として選択することができる。さらに他の実施形態では、気体発生器を使用して、2つ以上の成分の反応の開始時に充填流体42を生成するか、または貯蔵された充填流体42を加圧することができる。
【0016】
熱交換器36は、排出ライン32を熱源38と熱的に連通させ、作動流体40への熱を排除する。熱交換器36は、用途に応じて、シングルパス構成またはマルチパス構成に配置されたシングルチャネル、マルチチャネル、マイクロチャネル、プレート及びフィン、またはプレート及びフレームという熱交換器の設計を含む、様々な構成を選択することができる。熱交換器36は、熱伝導性材料を使用して熱源38に直接結合することができ、あるいは、熱源38を循環するかヒートパイプ構成の内部に含まれる気体または液体などの別の媒体を通じて、除かれた熱を受け取ることができる。いくつかの実施形態では、熱交換器36は、気体または混合相の作動流体40が熱交換器36から出るように、作動流体40を部分的に蒸発または完全に蒸発させるように構成されている。
【0017】
熱源38は、熱を生成するビークル内部のいずれかのコンポーネントであり得る。例えば、熱源38は、他の考えられる内部コンポーネントの中でも、レーダーシステム、誘導システム、舵面作動システム、または推進システムの発熱コンポーネントであり得る。いくつかの実施形態では、熱源38は、前述のシステムのうちの1つまたは複数と動作可能に関連付けられた電子モジュールである。熱源38によって生成された熱は、熱交換器36を出た作動流体40に放出され、排出ライン32に沿って流れ、外部ポート34を通ってビークルの外部に排出される。
【0018】
動作中、熱管理システム10は、充填流体42を貯蔵部28からリザーバ12の充填ポート24を通ってサブ容積部22Aの中に排出する。流体42の排出は、遮断要素44を開くことによって、または遮断要素44と遮断要素46の両方を開くことによって開始することができる。充填流体42は、充填ポート24を覆う充填位置から排出ポート30を覆う排出位置までバリア18を変位させ、それによって作動流体40をリザーバ12から排出ライン32の中に排出する。
【0019】
作動流体40が排出ポート30を通ってリザーバ12から出る間、遮断要素44またはオリフィス45が排出ライン32を通る作動流体40の流量Qを調整する。遮断要素44が流量制御バルブである他の実施形態では、バルブの開口面積は、排出ライン32内部の作動流体40の流量Qを制御するために変動する。これらの実施形態では、遮断要素44は、当技術分野で知られているように、バルブの開口面積を変化させるように動作するアナログまたはデジタル電気パイロット信号48を受信する。例えば、信号48は、熱源38の温度Tを示し、温度Tが増加するか閾値温度を超えると流量Qを増加させるように動作することができるが、他の実施形態では他の用途特有の温度源を使用することもできる。さらに他の実施形態では、バルブのスケジュールは、信号48を介して時間または何らかの他の時間依存変数の関数としてバルブの開口面積を変化させるビークルまたは軍需品の内部に含まれる電子モジュールの内部に保存することができる。例えば、この電子モジュールは、熱源38からより高い熱流束を生成することが知られている期間に、増加するバルブの初期の開口面積を、異なる開口面積に対して指令することができる。
【0020】
図2Aは概略的な端面図、
図2Bは概略的な概略断面図であり、
図2A及び2Bの各々は、ビークル52または軍需品54の外側ケーシング50と、少なくとも1つの内部コンポーネント56A、及び添字の「n」で示される任意の数までの内部コンポーネント56nとによって境界付けられる空間にリザーバ12の形状を適合させるために、リザーバ12の実施形態に組み込むことができる特徴を示す。図示のように、リザーバ12は、それぞれのフランジ64と66の間の分割面62に沿って内側ハウジング60に嵌合された外側ハウジング58を含む。締結具67は、フランジ64及び66を通って延びており、そのうちの2つが示されており、外側ハウジング58を内側ハウジング60に固定する。他の実施形態では、異なる機械による取り付けを実装することができる。例えば、外側ハウジング58は、他の可能な機械による取り付けの中でも特に、適切な溶接接合、接着剤もしくはエポキシ接合、またはVバンドクランプを介して内側ハウジング60に取り付けることができる。
【0021】
外側ハウジング58及び内側ハウジング60は、フランジ64及び66の嵌合する面に沿って画定される分割面62に関して非対称である。総じて、外側ハウジング58と内側ハウジング60は、
図2Bに示す内部容積部68を取り囲む。外側ハウジング58と内側ハウジング60との間にはバリア70が保持されており、これは充填位置70A、排出位置、及び中間位置70Cで示されている。バリア70は、内部容積部68をサブ容積部68A及び68Bに分割しており、これは中間位置70Cにあるバリア70で最もよく示されている。充填位置70Aでは、バリア70は外側ハウジング58の内面に適合し、充填ポート72を覆う。排出位置70Bでは、バリア70は内側ハウジング60の内面に適合し、排出ポート74を覆う。充填ポート72及び排出ポート74は、それぞれ、充填ライン26及び排出ライン32と連通する。動作時、充填流体42はサブ容積部68Aに入り、バリア70を充填位置70Aから排出位置70Bに移動させ、作動流体40を内部容積部68から排出ライン32の中に排出する。他の実施形態では、充填流体42がバリア70を内側ハウジング60から外側ハウジング58に移動させるように、充填ポート72と排出ポート74の位置を逆転させることができる。
【0022】
図3は、1つまたは複数の局所的凹部76、1つまたは複数の局所的突出部78、及び1つまたは複数の局所的凹部76及び1つまたは複数の局所的突出部78を備えたリザーバ12の別の実施形態の概略的な断面図である。各局所的凹部76は、外側ハウジングまたは内側ハウジングの全体の形状に対して、内部容積部68に向かって内側に偏向する外側ハウジング58または内側ハウジング60の壁によって、特徴付けられる。対照的に、各局所的突出部78は、外側ハウジング58または内側ハウジング60の全体的な形状に対して内部容積部68から逸脱した外側ハウジング58または内側ハウジング60の壁によって特徴付けられる。
【0023】
図3に示されるように、リザーバ12は、外側ハウジング58の局所的凹部76と、内側ハウジング60の局所的突出部60とを含む。バリア70の形状は
図2A及び
図2Bに示された実施形態とは異なるが、局所的凹部76及び局所的突出部60を収容し、バリア70は、
図2Bに示される実施形態と同様に、外側ハウジング58または内側ハウジング60の内面に適合する。同様に、作動流体はポート72及び74の一方に入り、構成に応じて他方のポート72またはポート74から作動流体40を排出する。
図2A及び
図2Bに示される実施形態と同様に、1つまたは複数の局所的凹部76及び/または1つまたは複数の局所的突出部78を組み込んだリザーバ12は、分割面62に対して非対称の外側ハウジング58及び内側ハウジング60を有することができる。このようにして、リザーバ12は、外側ケーシング50及び内部コンポーネント56A~56nのうちの1つまたは複数によって境界付けられるビークルの内部空間に適合させることができる。
【0024】
可能な実施形態の考察
以下に、本発明の可能な実施形態の非排他的な説明を行う。
【0025】
本開示によるリザーバは、他の可能なものの中でもとりわけ、第1のハウジングと、第2のハウジングであって、分割面に沿って第1のハウジングに接合され、第1のハウジングと第2のハウジングとの間に内部容積部を画定する第2のハウジングとを含む。第1のハウジングと第2のハウジングとの間に保持されるバリアの周縁は、内部容積部を第1の容積部と第2容積部とに分割する。第1のポートは第1の容積部と連通し、第2のポートは第2の容積部と連通する。第1のハウジングと第2のハウジングが、分割面に関して非対称的である。
【0026】
先行の段落のリザーバは、追加的に及び/または代替的に、以下の特徴、構成、及び/または追加のコンポーネントのうちのいずれか1つ以上を、任意選択的に含み得る。
【0027】
前述のリザーバのさらなる実施形態では、第1のハウジングまたは第2のハウジングの境界壁が、内部容積部から遠ざかるように延びる局所的突出部を画定することができる。
【0028】
前述のリザーバのいずれかのさらなる実施形態では、第1のハウジングまたは第2のハウジングの境界壁が、内部容積部に向かって延びる局所的突出部を画定することができる。
【0029】
前述のリザーバのいずれかのさらなる実施形態では、第1のハウジング及び第2のハウジングが、分割面の環状部分の範囲を定め得る。
【0030】
前述のリザーバのいずれかのさらなる実施形態では、第1のハウジング及び第2のハウジングによって画定される内部容積部がトロイドの少なくとも一部の範囲を定めることができる。
【0031】
前述のリザーバのいずれかのさらなる実施形態では、第1のハウジングが非平面フランジで第2のハウジングに接合することができる。
【0032】
本開示によるビークルは、他の可能なものの中でもとりわけ、電子モジュール及び熱管理システムを含む。熱管理システムは、貯蔵部、リザーバ、外部ポート、貯蔵部を第1のポートに流体接続する第1のライン、及び第2のポートを外部ポートに流体接続する第2のライン、第2のポートと外部ポートの間で第2のラインに沿う、熱交換器の位置、及び第2のポートと熱交換器と間の第2のラインに沿って配置されるバーストディスクまたはスクイブを含む。リザーバは、第1のハウジングと、分割面に沿って第1のハウジングに接合され、第1のハウジングと第2のハウジングとの間に内部容積部を画定する第2のハウジングを含む。第1のハウジングと第2のハウジングとの間に保持されるバリアの周縁は、内部容積部を第1の容積部と第2容積部とに分割する。第1のポートは第1の容積部と連通し、第2のポートは第2の容積部と連通する。第1のハウジングと第2のハウジングが、分割面に関して非対称的である。熱交換器は電子モジュールと熱的に連通する。
【0033】
先行の段落のビークルは、追加的に及び/または代替的に、以下の特徴、構成、及び/または追加のコンポーネントのうちのいずれか1つ以上を、任意選択的に含み得る。
【0034】
前述のビークルのさらなる実施形態では、第1のハウジングまたは第2のハウジングの境界壁が、内部容積部から遠ざかるように延びる局所的突出部を画定することができる。
【0035】
前述のビークルのいずれかのさらなる実施形態では、第1のハウジングまたは第2のハウジングの境界壁が、内部容積部に向かって延びる局所的突出部を画定することができる。
【0036】
前述のビークルのいずれかのさらなる実施形態では、第1のハウジング及び第2のハウジングが、分割面の環状部分の範囲を定め得る。
【0037】
前述のビークルのいずれかのさらなる実施形態では、第1のハウジング及び第2のハウジングによって画定される内部容積部がトロイドの少なくとも一部の範囲を定めることができる。
【0038】
前述のビークルのいずれかのさらなる実施形態は、ビークル内部の空間を少なくとも部分的に境界付けるリザーバに隣接する1つまたは複数のコンポーネントを含むことができる。
【0039】
前述のビークルのいずれかのさらなる実施形態では、第1のハウジング及び第2のハウジングは、空間の形状に適合することができる。
【0040】
前述のビークルのいずれかのさらなる実施形態では、第1のハウジング及び第2のハウジングの一方は、内部容積部から遠ざかるように延びる局所的突出部、または内部容積部に向かって延びる局所的凹部を含むことができる。
【0041】
前述のビークルのいずれかのさらなる実施形態では、局所的突出部は、1つまたは複数のコンポーネントに適合することができる。
【0042】
前述のビークルのいずれかのさらなる実施形態では、局所的凹部は、1つまたは複数のコンポーネントに適合することができる。
【0043】
前述のビークルのいずれかのさらなる実施形態では、リザーバの第1のハウジング及び第2のハウジングのうちの一方は、ビークルのボディの内面に適合することができる。
【0044】
前述のビークルのいずれかのさらなる実施形態では、第1のハウジングが非平面フランジで第2のハウジングに接合することができる。
【0045】
本開示によるビークルの電子モジュールを冷却する方法は、他の可能なこと及び/またはステップの中でも特に、気体を貯蔵部から第1のポートを介してリザーバに排出すること、リザーバの内部に含まれる作動流体を、排出された気体でリザーバ内部のバリアを移動させることによって、第2のポートを介して排出することを含む。さらに、方法は、リザーバから排出された作動流体を使用して電子モジュールを冷却すること、及び第3のポートを介してビークルの外部に作動流体を排出することを含む。
【0046】
上記の方法は、追加的に及び/または代替的に、以下の特徴、構成、及び/または追加のコンポーネントのうちのいずれか1つ以上を、任意選択的に含み得る。
【0047】
前述の方法のさらなる実施形態は、電子モジュールを冷却することが、電子モジュールと熱的に連通している熱交換器を通して作動流体を排出することを含むことができる。
【0048】
前述の方法のいずれかのさらなる実施形態は、リザーバの第2のポートを熱交換器に流体接続するラインに沿って配置されたオリフィスまたはバルブの1つを使用して、第2のポートから熱交換器への作動流体の流量を調節すること、を含むことができる。
【0049】
前述の方法のいずれかのさらなる実施形態では、第2のポートから熱交換器への作動流体の流量が、電磁バルブ、オリフィス、またはニードルバルブによって調整される。
【0050】
前述の方法のいずれかのさらなる実施形態は、スクイブを作動させ、それによって貯蔵部から気体を排出し、リザーバから作動流体を排出することを含むことができる。
【0051】
前述の方法のいずれかのさらなる実施形態は、リザーバの第2のポートを熱交換器に流体接続するラインに沿って配置されたバルブの開口面積を変動させることによって、第2のポートから熱交換器への作動流体の流量を調節することを含むことができる。
【0052】
前述の方法のいずれかのさらなる実施形態は、熱交換器または電子モジュールのパラメータを感知することを含むことができる。
【0053】
前述の方法のいずれかのさらなる実施形態では、電子モジュールは、パラメータに基づいてバルブの開口面積を変動することができる。
【0054】
前述の方法のいずれかのさらなる実施形態では、バルブの開口面積は、時間依存変数の関数としてバルブの開口面積を定める電子モジュールに格納されたスケジュールに従って変動し得る。
【0055】
前述の方法のいずれかのさらなる実施形態では、スケジュールは、少なくとも第1の開口面積及び第2の開口面積を定めることができる。
【0056】
前述の方法のいずれかのさらなる実施形態では、第1の開口面積及び第2の開口面積のそれぞれがゼロであり得る。
【0057】
前述の方法のいずれかのさらなる実施形態では、電子モジュールを冷却することは、電子モジュールから除かれた熱を使用して作動流体の少なくとも一部の相変化を引き起こすことを含む。
【0058】
前述の方法のいずれかのさらなる実施形態では、貯蔵部から気体を排出することは、ソレノイドバルブを開くことを含むことができる。
【0059】
前述の方法のいずれかのさらなる実施形態では、貯蔵部から気体を排出することは、充填ライン内部の閾値圧力を超えることによってバーストディスクを破壊することを含むことができる。
【0060】
本発明を例示の実施形態(複数可)に関して説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更を行ってもよく、また均等物をその要素に代えて置換してもよいことを当業者ならば理解するであろう。加えて、本発明の必須の範囲から逸脱することなく、多くの修正を行って特定の状況または材料を本発明の教示に適合させてもよい。したがって、本発明は、開示される特定の実施形態(複数可)に限定されず、本発明は、添付の特許請求の範囲内に収まる全ての実施形態を含むことが意図される。
【国際調査報告】