IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セエルイ フルタフェラクの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】メタノール合成反応器
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/06 20060101AFI20240117BHJP
   C07C 31/04 20060101ALI20240117BHJP
   C07C 29/152 20060101ALI20240117BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240117BHJP
【FI】
B01J8/06 301
C07C31/04
C07C29/152
C07B61/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543122
(86)(22)【出願日】2022-01-13
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 IB2022050268
(87)【国際公開番号】W WO2022153214
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】63/138,022
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523269889
【氏名又は名称】セエルイ フルタフェラク
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨンソン、インギ マール
(72)【発明者】
【氏名】サロン、エメリック
(72)【発明者】
【氏名】イヴァルソン、アウスゲイル
【テーマコード(参考)】
4G070
4H006
【Fターム(参考)】
4G070AA01
4G070AB05
4G070BB01
4G070CA03
4G070CA15
4G070CA17
4G070CA25
4G070CB17
4G070DA23
4H006AA04
4H006AC41
4H006BA05
4H006BA07
4H006BD81
4H006BE20
4H006BE40
4H006BE41
(57)【要約】
改善された反応器は、シェルと、少なくとも1つの反応器内部構成要素とを備える。反応器内部構成要素は、チューブバンドルであって、少なくとも1つの放射状支材と、チューブバンドルの少なくとも1つのチューブに固定するように構成された少なくとも1つのブラケットとを備える少なくとも1つのチューブ支持プレートにより、取り付けられた複数のチューブを備える、チューブバンドルを含んでいる。上記複数のチューブは、反応器の長手方向軸を中心に同心状の帯状に配置されている。反応器は、ガス導入プレートと、触媒支持プレートと、上部プレートとを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器であって、
触媒を受容するように構成された内部空間を画定するシェルと、
少なくとも1つの入口ノズルと、
前記反応器の長手方向軸を中心に同心状の帯状に配置された複数のチューブを備えるチューブバンドルと
を備える、反応器。
【請求項2】
少なくとも1つの触媒支持プレート、
少なくとも1つのチューブ支持プレート、
ガス導入プレート、
上部プレート、または
上部プレートおよびチューブ支持プレート
をさらに備える、請求項1に記載の反応器。
【請求項3】
前記触媒は第1の径のボールを備える固体触媒である、請求項1に記載の反応器。
【請求項4】
前記固体触媒は第2の径のボールをさらに備える、請求項3に記載の反応器。
【請求項5】
前記反応器は触媒支持プレートをさらに備え、前記第1の径の触媒ボール、および前記第2の径の触媒ボールは、前記触媒支持プレート近傍の個別のそれぞれの層に配置された、請求項4に記載の反応器。
【請求項6】
前記シェルは、少なくとも1つの固体触媒を受容するように構成され、前記固体触媒は、ペレット、リング、タブレット、および球のうちの少なくとも1つを画定する形状を備える、請求項1に記載の反応器。
【請求項7】
前記反応器は触媒支持プレートをさらに備え、前記触媒支持プレートは、所定の高さの前記固体触媒を支持するように構成された、請求項1に記載の反応器。
【請求項8】
前記反応器は触媒支持プレートをさらに備え、前記触媒支持プレートは1つまたは複数の開口を画定する、請求項1に記載の反応器。
【請求項9】
前記1つまたは複数の開口は、第1のサイズの複数の開口と、第2のサイズの複数の開口とを備え、前記複数の開口は、前記触媒支持プレートの厚さの少なくとも一部を通って延在している、請求項8に記載の反応器。
【請求項10】
前記第1のサイズは前記チューブバンドルの少なくとも1つのチューブの周長に対応し、前記第2のサイズは前記第1のサイズよりも小さい、請求項9に記載の反応器。
【請求項11】
前記第1のサイズの前記複数の開口は、前記チューブバンドルの前記複数のチューブの配置に応じて前記触媒支持プレートを貫通して画定される、請求項10に記載の反応器。
【請求項12】
前記反応器はガス導入プレートをさらに備え、前記ガス導入プレートは、前記ガス導入プレートの厚さを貫通して画定された複数の開口を備え、前記複数の開口は、前記チューブバンドルの前記複数のチューブの配置に応じて前記ガス導入プレートを貫通して画定された複数の円形開口である、請求項1に記載の反応器。
【請求項13】
前記ガス導入プレートは、前記ガス導入プレートの厚さを貫通して画定された第2の複数の開口を備え、前記第2の複数の開口は、前記複数の円形開口とは異なるサイズおよび/または形状を備えている、請求項12に記載の反応器。
【請求項14】
前記反応器は、少なくとも1つのチューブ支持プレートをさらに備え、前記少なくとも1つのチューブ支持プレートは少なくとも1つの環状の帯を備え、前記少なくとも1つの環状の帯は、前記チューブバンドルのチューブの一部分のまわりに延在するように構成された少なくとも1つのブラケットを備えている、請求項1に記載の反応器。
【請求項15】
前記少なくとも1つのチューブ支持プレートは複数の同心状の環状の帯を画定する、請求項14に記載の反応器。
【請求項16】
前記少なくとも1つのチューブ支持プレートは、複数の前記環状の帯の少なくとも1つに接続された少なくとも1つの放射状支材を画定する、請求項15に記載の反応器。
【請求項17】
前記少なくとも1つのチューブ支持プレートの最も内側の環状の帯は、前記チューブバンドルの、同じ所定数の最も内側のチューブの同心状の帯状のリングに対応するようにそれぞれが構成された、所定数のブラケットを備え、前記少なくとも1つのチューブ支持プレートの第2の環状の帯は、前記最も内側の環状の帯と比較して等しいか、またはより大きい数のブラケットを備え、前記第2の環状の帯のブラケットは、前記チューブバンドルの、第2の同心状の帯状のリング内の対応する数のチューブに対応するようにそれぞれが構成されている、請求項15に記載の反応器。
【請求項18】
前記少なくとも1つのチューブ支持プレートの複数の前記環状の帯の1つが、少なくとも1つの熱電対挿入チューブに対応するブラケットを備え、前記少なくとも1つの熱電対挿入チューブは温度測定装置を受容するように構成され、前記温度測定装置は、前記反応器内の複数の長手方向の位置で温度を得るように構成された、請求項17に記載の反応器。
【請求項19】
メタノール合成反応器であって、
固体触媒を受容するように構成された内部空間を画定するシェルと、
複数のチューブを備えるチューブバンドルであって、前記複数のチューブが、前記反応器の長手方向軸を中心に同心状の帯状に配置された、チューブバンドルと、
少なくとも1つの入口ノズルと、
出口ノズルであって、前記出口ノズルが前記シェルの底部近傍に位置している、出口ノズルと、
触媒支持プレートであって、前記出口ノズルが前記触媒支持プレートの下に配置された、触媒支持プレートと、
複数のチューブ支持プレートであって、前記複数のチューブ支持プレートそれぞれが複数の環状の帯を備えており、前記複数の環状の帯それぞれが、前記チューブバンドルのチューブのまわりに延在するように構成された少なくとも1つのブラケットを備えた、チューブ支持プレートと、
ガス導入プレートと
を備え、
前記複数のチューブ支持プレートそれぞれが複数の放射状支材を画定し、前記複数の放射状支材それぞれが、前記チューブ支持プレートの前記複数の環状の帯の間に接続され、
前記複数の放射状支材それぞれが、前記複数のチューブ支持プレートそれぞれの前記複数の環状の帯の少なくとも1つに取り外し可能に固定され、
前記ガス導入プレートが前記入口ノズル近傍に配置され、前記入口ノズルが前記ガス導入プレートの下に配置されている、メタノール合成反応器。
【請求項20】
前記チューブバンドルは、前記反応器の上部に対して、前記反応器の底部近傍で、より大きな度合いの熱伝達を容易にするように構成された、請求項19に記載の反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は反応器、特にメタノール合成用反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
地球規模の気候変動は、「現代における、最も差し迫った環境問題」であると考えられている。米国航空宇宙局(NASA)は、「気候システムの温暖化に関する科学的根拠がはっきりとしている」と述べている。気候変動は、水蒸気、亜酸化窒素、メタン、および二酸化炭素などの温室効果ガスの温暖化効果によって生じる。これらのうち、二酸化炭素の排出が主な原因である。というのは、産業革命が始まって以来、地球規模の大気中CO2濃度が3分の1増加しているからである。CO2の排出は主に、化石燃料の消費などの、人間の活動に起因しており、その副生成物は大気中に排出される。
【0003】
風力および太陽光発電などの再生可能エネルギー源が本質的に断続的であり、および予測不可能であるという問題に対する解決策として、化学エネルギー貯蔵が探究されてきている。風力および太陽光発電の断続性が理由で、パワーグリッドおよび電力会社は化石燃料ベースのエネルギー源により、ベースラインの電力需要を満たさなければならないが、突然利用可能になった風力および太陽光発電を上記グリッドに組み入れることは、石炭火力発電所のようなそうした化石燃料ベースのエネルギー源をすばやく縮小し、および拡大することが困難であることが理由で困難である。多くの再生可能エネルギー源は、従来の化石燃料ベースの電力源の代替として拡大することが困難であるので、再生可能エネルギーの高密度エネルギー貯蔵であって、上記グリッドが上記エネルギーに対応できる場合に上記再生可能エネルギーが貯蔵され、および使用され得るような、再生可能エネルギーの高密度エネルギー貯蔵が、気候変動に取り組むために重要である。
【0004】
熱エネルギー貯蔵、圧縮空気エネルギー貯蔵、水素貯蔵、揚水式水力発電貯蔵、および大型蓄電池を含む、既存のエネルギー貯蔵モダリティはこれまでのところ、拡大することが法外に高価であり、および/または困難であることが証明されている。たとえば燃焼、燃料電池の消費、またはメタノール合成などの化学合成のための、水を電気分解して水素を生成する形態における、再生可能エネルギーの化学的貯蔵は、必要な場合に使用され得る再生可能エネルギーの十分に高密度であり、および安定した貯蔵を提供し、断続的というよりは常に変わることなしでエネルギー需要を再生エネルギーが供給することを可能にするための有望な手法である。
【0005】
合成ガスからのメタノール合成において使用される反応器は通常、相当量のCOを含む典型的な反応スイートの高い熱プロファイルが理由で、沸騰水型原子炉(BWR)に制限される。BWRは、複雑であり、および高価な装置であるが、通常、反応生成物、反応器、および触媒を保護するために合成ガスからの、メタノールの発熱生成から発生させられた熱を軽減するために必要である。
【0006】
触媒および/または発熱反応、たとえば銅および酸化亜鉛(Cu/ZnO)ベースの触媒または他の好適な触媒などの好適な触媒を使用した、CO2およびH2からの、メタノールの合成用のシェルアンドチューブ反応器は、定期的なメンテナンス、たとえば、触媒の装填、ならびに/または除去および再充填、反応器シェルの汚れの除去、種々の構成要素の修理の実施、またはそれら以外を受けなければならない。触媒の装填、メンテナンスの実施、および他の目的のために反応器の内部にアクセスすることができることは、バンドル内にチューブを維持することの必要性とのバランスがとられなければならない。
【0007】
既存のシェルアンドチューブ反応器の設計は、所望の処理能力などの、特定の施設の必要性に基づいて拡大し、または縮小することは困難である。上記施設の処理能力は、ボトルネック解消の取り組みが理由で、時間とともに変化する場合があり、それは反応器の処理能力要件を増加させ得る。施設のボトルネック解消のために反応器を拡大することは、内部を含む反応器全体が多くの場合に改良され、または再設計される必要がある状態で、困難であり、高価であり、および時間がかかる試みになり得る。
【0008】
これには、設計およびエンジニアリングの多大な労力を必要とし得る。というのは、技術者として、とりわけ、チューブの配置および断面積、シェルのサイズおよび構成、ならびに、触媒床の体積および断面表面積を考慮しながら、設計を拡大する場合に、基本的には、「一から作り直し」をする必要があるからである。既存のシェルアンドチューブ反応器の設計および提供者は、反応器の設計を、変化する要件に効率的なやり方で適合させるのにあまり適していない。反応器が適切に設計されていない場合、触媒、反応物、および熱の均等でない分配が生じる場合があり、それは、触媒、および/または反応器の構成要素を損傷し、および反応の効率を低下させ得る。多くの場合、暴走発熱反応が、反応器の壊滅的な故障をもたらし得る。
【0009】
さらに、反応器内の、および/または反応器用の供給チューブを拡大/縮小し、および適切に製造することは困難である。不適切に設計され、配置され、および/または製造された供給チューブは多くの場合、反応器内の反応物の閉塞、エディ、および不均等な領域の発生につながり、それは、不利なことに、反応器の効率および処理能力を低下させ、ならびに、ホットスポットをもたらし得る。発熱反応におけるホットスポットは特に、危険であり、反応器および触媒に損傷を与える。
【0010】
反応器の設計における別の問題は、1つまたは複数の所望の位置で反応器内部の温度を測定することが困難なことである。特に発熱反応などの高リスクの用途における、反応器を含むプロセスを、特に、反応の異なる段階、および/または異なる反応器状態に対応する、反応器本体に沿った異なる位置における、反応器内部の温度プロファイルの理解なしで適切に制御することは困難である。
【0011】
しかし、ガスケット座を含む熱電対接合部は、経時的に損傷し、熱電対接合部の漏れにつながり得る。そうした漏れは修理し得るが、そうするためには、触媒を不活性化し、およびガスケット座を交換することが必要である。これには、費用がかかり、潜在的に危険であり、および時間がかかる運転停止、触媒の不活性化、およびスタートアップが関係し、それらそれぞれには、多大な機会費用を含む高い費用がかかる。触媒の予想寿命が3~5年になることを考えれば、そうした修理は、施設の運転に対する非常に費用のかかる中断となる。さらに、水素が関係する高圧および/または温度反応では、水素または他の反応物/生成物の外側への、および酸素、触媒毒の内側への、フランジ接合部からの漏れのリスクが特に高い。
【0012】
よって、反応器本体に沿った異なる高さ位置で熱電対を設けるための複数のサーモウェルを組み入れた既存の反応器の設計は、熱電対接合部の漏れによる重大な運転中断の影響を受けやすく、および、中断を回避するためにそうしたサーモウェルを省略した、反応器の設計は、反応を適切に制御するために必要な反応器状態データを欠いている。さらに、反応器内の既存のサーモウェル構成は、熱電対を、流れ方向に対して横方向に、たとえば半径方向に反応器本体内に挿入する。これは不利なことに、より大きな反応器の場合、温度測定値が、外側シェルに近い状態のものになり、それは、反応器の設計の拡大/縮小をさらに困難にする。反応器の設計はさらに、触媒が存在している場合に、熱電対を損傷することなく熱電対が反応器本体内に挿入されることを可能にするのには不適である。
【0013】
既存の反応器の設計は、使用済触媒を、たとえば反応器本体の底部から取り出すための1つまたは複数のノズルを備え得る。既存の反応器の触媒取り出しノズルの構成は、操作者が反応器本体から触媒を掻き出さなければならないように触媒を効果的に、およびすばやく除去するように十分に適合させられている訳でない。
【0014】
特定のシェルアンドチューブ型反応器および他のタイプの反応器は、反応器本体の中心を通って延在しているパイプを通って反応物ガスがそれから送られるその入口ノズルを備え得る。上記パイプは、1つまたは複数の供給チューブに合うように穿孔される場合があり、上記1つまたは複数の供給チューブそれぞれは、いずれもパイプに接続し、および次いで反応器本体を通って上方に反応物を供給するように曲げられる場合がある。そうした反応器の構成は、複数の供給チューブそれぞれにパイプを接続するために行われなければならない、正確であり、およびチューブ固有の調整を考慮に入れれば、たとえば数百本のチューブに拡大するように適合させられている訳でない。
【0015】
特定の反応器の構成における導入パイプは、反応器本体内の異なる高さにおける供給チューブを支持するためにさらに利用され、1つまたは複数のフラットバーが、導入パイプと、1つまたは複数の供給チューブとの間に溶接されており、および延在している。この構成は、特に大型反応器の製造、組立て、および保守に非常に時間がかかり、これは、施設の要件に応じて反応器の設計を拡大/縮小する作業を複雑にする。さらに、不利なことに、導入パイプは、かなりの断面積を占めており、それは、さもなければ触媒により、占められ得る。シェルアンドチューブ反応器内の供給チューブを支持するためにタイロッドが考えられてきているが、そうした支持体は、触媒スペースを占有し、ならびに触媒の装填および取り出し中の障害となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
すでに述べたことから、反応器内部を維持し、および触媒を管理するために、施設の処理能力の必要性に基づいて拡大し、または縮小するために、反応器の完全性および保守性を損なうことのない、反応器状態の改善された測定のために、使用済触媒を効果的に除去するために、改善された製造のために、ならびに、シェルアンドチューブ反応器を構築することの課題を解消するために構成された、改善された反応器に対する必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本開示による、反応器の実施形態は有利には、拡大/縮小可能であり、および/または反応器の、特に反応器の内部の改善されたアクセスおよび保守性のために構成された反応器を提供することにより、既存の反応器の設計の欠点に対応する。上述された、反応器の実施形態は、1つまたは複数のチューブおよび1つまたは複数の支持構造を備える反応器チューブバンドルなどの反応器内部の強度および堅牢性を、上記チューブバンドルが無傷であり、および損傷されていない状態のままであるように犠牲にすることなく、反応器内部へのアクセスを容易にするように構成され得る。
【0018】
上述された、反応器の実施形態は、特定の施設の必要性に基づいて容易に拡大し、または縮小するために構成されたチューブ配置をさらに備える。既存の反応器の設計では、チューブは、大幅な再設計作業なしでは、反応器を構築する場合に反応器シェル形状に応じて容易にチューブバンドルに追加され、または上記チューブバンドルから除去されることは可能でないが、本開示の実施形態は有利には、反応器、および関連付けられた施設の必要な処理能力に基づいて、チューブの環状の帯または他の配置がモジュラー式に配置されることを可能にする。上記実施形態では、チューブの配置は、反応器を設計する場合に、単に既存のチューブバンドルの設計に追加され、および/または上記既存のチューブバンドルの設計から除去され得る規則的な、および/または繰り返しパターンを画定し得る。これは、ボトルネック解消作業または他の設計作業を、製造の観点からはるかに容易にし、およびコストを低くするという利点を有する。
【0019】
チューブバンドルの配置は、反応器内部全体にわたる、特に、触媒床を通る熱および反応物の分配を、触媒装填であって、通常、操作者が反応器の開放している上端から触媒粒子を反応器内部との間で装填し、または投棄するにつれ、生じる、触媒装填を中断することなく、さらに容易にする。実施形態の反応器およびチューブバンドルの配置は有利には、改善された構築可能性のための設計のモジュール性、ならびに熱および反応物の分配に関する所望の特性の維持をいずれも、さらに触媒粒子が反応器内部で均等に分布していることを確実にしながらもたらす。
【0020】
本開示による、反応器の実施形態のチューブバンドルは、構築、輸送、および設置中の、ならびに運転中の反応器の増加させられた堅牢性のために、1つまたは複数のチューブに対する、改善された構造的支持を与えるようにさらに構成される。実施形態では、1つもしくは複数の構造的支持体には、および/または複数のチューブの1つもしくは複数には、チューブバンドルの所望の位置における構造的支持を確実にするために、増加させられた厚みが与えられる。
【0021】
実施形態では、反応器、およびその構成要素は、重要な部品のメンテナンスのために、容易なアクセスを容易にするように構成される。チューブバンドルを支持するために構成された1つまたは複数のプレートは、操作者が、既存の反応器と比較して容易に、反応器内部との間で触媒を装填し、触媒を取り出し、または反応器内部の構成要素にアクセスし得るようにモジュラー式であり、支持プレートなどの構成要素は反応器シェルの内面に溶接され、および、反応器内部構成要素へのアクセスを禁止し得る。
【0022】
反応器の実施形態は、既存の反応器の設計が反応器および触媒床内の、適切な流れおよび反応物の分配、ならびに、よって、熱分配をもたらすのに不適であるという問題に、反応器の内部内に配置されたチューブバンドル内に反応物を誘導するように構成された改善された入口ノズルおよび分配機構を提供することにより、対応する。実施形態では、入口ノズルは、ガス導入プレート近傍に設けられており、およびチューブバンドルの複数のチューブの流れ方向に対して横方向である流れ方向に配置される。第2入口ノズルが、反応器の底部に設けられる場合があり、およびチューブバンドルの複数のチューブ内への流れを均等に分配するための構造で構成され得る。実施形態では、1つまたは複数の触媒取り出しノズルが、触媒を除去するための改善された構成で設けられており、上記取り出しノズルは、下方角を付けて構成されている。
【0023】
チューブバンドルおよび複数のチューブは、触媒の断面積に対する複数のチューブの断面積が、チューブバンドルの構造的な、およびモジュラー性の特徴を妨げることなく、均等な熱および流れの分配について改善されるように配置され得る。
【0024】
反応器の実施形態は、反応の過程中の触媒、反応器内部、および反応物の改善された分配に備えることにより、反応器本体および付随するホットスポット内の反応物の閉塞、エディ、および/または不均等な領域の発生を低減させるようにさらに構成される。
【0025】
本開示の反応器の実施形態は、プロセスコントロールおよび温度測定に関する既存の反応器の設計の欠点にさらに対応する。実施形態では、反応器は、1つまたは複数のそれぞれの熱電対を受容するように構成された1つまたは複数のサーモウェルを設けるように構成される。熱電対は、反応器本体に対して軸方向に、または長手方向に配置された単一のサーモウェルをそれぞれ使用する複数の位置で反応器内部の温度を測定するように構成され得る。
【0026】
本開示による実施形態例は、内部空間を画定するシェルと、少なくとも1つの入口ノズルと、1つまたは複数のチューブを備えるチューブバンドルとを備える反応器に関するものであり得る。
【0027】
実施形態は触媒支持プレートをさらに備え得る。
【0028】
実施形態は、少なくとも1つのチューブ支持プレートをさらに備え得る。
【0029】
実施形態はガス導入プレートをさらに備え得る。
【0030】
実施形態は上部プレートをさらに備え得る。
【0031】
実施形態は、上部プレートおよびチューブ支持プレートをさらに備え得る。
【0032】
シェルが少なくとも1つの触媒を受容するように構成された実施形態がさらに構成され得る。
【0033】
実施形態では、少なくとも1つの触媒は固体触媒である。そうした固体触媒は第1の径のボールを備え得る。
【0034】
実施形態では、上記固体触媒は第2の径のボールを備える。
【0035】
実施形態では、上記シェルは、少なくとも1つの固体触媒を受容するように構成される。そうした固体触媒は、ペレット、リング、タブレット、および球のうちの少なくとも1つを画定する形状を備え得る。
【0036】
実施形態では、上記触媒支持プレートは、所定の高さの上記固体触媒を支持するように構成される。
【0037】
実施形態では、上記触媒支持プレートは1つまたは複数の開口を画定する。
【0038】
実施形態では、上記1つまたは複数の開口は、第1のサイズの複数の開口と、第2のサイズの複数の開口とを備えており、上記複数の開口は、上記触媒支持プレートの厚さの少なくとも一部を通って延在している。
【0039】
実施形態では、上記第1のサイズは上記チューブバンドルの少なくとも1つのチューブの周長に対応している。
【0040】
実施形態では、上記第2のサイズは上記第1のサイズよりも小さい。
【0041】
実施形態では、上記第2のサイズは上記触媒支持プレートの厚さの関数である。
【0042】
実施形態では、上記第1のサイズの上記複数の開口は、上記複数のチューブの配置に応じて上記触媒支持プレートを貫通して画定される。
【0043】
実施形態では、上記ガス導入プレートは、上記ガス導入プレートの厚さを貫通して画定された複数の開口を備えている。
【0044】
実施形態では、上記複数の開口は、上記複数のチューブの配置に応じて上記ガス導入プレートを貫通して画定された複数の円形開口である。
【0045】
実施形態では、上記ガス導入プレートは、上記ガス導入プレートの上記厚さを貫通して画定された第2の複数の開口を備えており、上記第2の複数の開口は、上記複数の円形開口とは異なるサイズおよび/または形状を備えている。
【0046】
実施形態では、上記シェルは出口ノズルを画定する。
【0047】
実施形態では、上記出口ノズルは、上記シェルの側部に位置している。
【0048】
実施形態では、上記入口ノズルは、上記シェルの底部近傍に位置している。
【0049】
実施形態では、上記入口ノズルは、上記シェルを通る流れの方向に対して横方向に配置される。
【0050】
実施形態では、上記入口ノズルは、上記シェルを通る流れの方向に対して略平行に配置される。
【0051】
実施形態では、上記ガス導入プレートは、上記入口ノズル近傍に配置される。
【0052】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートは少なくとも1つの環状の帯を備えている。
【0053】
実施形態では、上記少なくとも1つの環状の帯は、上記チューブバンドルのチューブの一部分のまわりに延在するように構成された少なくとも1つのブラケットを備えている。
【0054】
実施形態では、上記少なくとも1つのブラケットは、上記チューブ全体のまわりに延在している。
【0055】
実施形態では、上記シェルは、加熱流体の供給のために構成されたスタートアップ用ノズルを画定する。
【0056】
実施形態では、上記反応器は、少なくとも1つの触媒取り出しノズルをさらに備える。
【0057】
実施形態では、上記反応器はハンドホールをさらに備える。
【0058】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートは複数の同心状の環状の帯を画定する。
【0059】
実施形態では、上記チューブバンドルは、第1のサイズの少なくとも1つのチューブと、第2のサイズの少なくとも1つのチューブとを備える。
【0060】
実施形態では、上記入口ノズルは上記ガス導入プレートの下に配置される。
【0061】
実施形態では、上記シェルは出口ノズルを画定し、および上記出口ノズルは上記触媒支持プレートの下に配置される。
【0062】
実施形態では、第1のサイズ(たとえば、径)の触媒(たとえば、ボール)、および第2のサイズ(たとえば、径)の触媒(たとえば、ボール)は、上記触媒支持プレート近傍の個別のそれぞれの層に配置される。
【0063】
実施形態では、上記シェルは少なくとも1つの固体触媒であって、上記触媒が、還元されていない状態における上記シェル内の第1の高さと、還元された状態(たとえば、運転中に起こり得る沈降のため)における上記シェル内の第2の高さとを画定する、少なくとも1つの固体触媒を受容するように構成されている。
【0064】
実施形態では第2の高さは第1の高さよりも低い。
【0065】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートは、上記複数の環状の帯の少なくとも1つに接続された少なくとも1つの放射状支材を画定する。
【0066】
実施形態では、上記少なくとも1つの放射状支材は、上記複数の環状の帯の少なくとも1つに、および外側支持帯に接続する。
【0067】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートの最も内側の環状の帯は、第1のサイズの同数の最も内側のチューブのリングに対応するようにそれぞれが構成された、任意の数の(たとえば、6つの)ブラケットを備えている。
【0068】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートの第2の環状の帯は、先行する帯(たとえば、10)と比較して等しいか、またはより大きい数のブラケットを備え、第2の環状の帯のブラケットは、複数のチューブの第2の同心状の帯またはリング内に位置している、上記チューブバンドルの同数のチューブの同心状の帯(たとえば、リング)に対応するようにそれぞれが構成されている。そうした複数のチューブは、第1のサイズのものであり得る。
【0069】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートの第3の環状の帯は、先行する帯(たとえば、14)と比較して等しいか、またはより大きい数のブラケットを備え、第3の環状の帯のブラケットは、複数のチューブの第3の同心状の帯またはリング内に位置している、上記チューブバンドルの同数のチューブの同心状の帯(たとえば、リング)に対応するようにそれぞれが構成されている。そうした複数のチューブは、第2のサイズのものであり得る。
【0070】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートの第4の環状の帯は、先行する帯(たとえば、18)と比較して等しいか、またはより大きい数のブラケットを備え、第4の環状の帯のブラケットは、複数のチューブの第4の同心状の帯またはリング内に位置している、上記チューブバンドルの同数のチューブの同心状の帯(たとえば、リング)に対応するようにそれぞれが構成されている。そうした複数のチューブは、第1のサイズのものであり得る。
【0071】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートの第5の環状の帯は、先行する帯(たとえば、22)と比較して等しいか、またはより大きい数のブラケットを備え、第5の環状の帯のブラケットは、複数のチューブの第5の同心状の帯またはリング内に位置している、上記チューブバンドルの同数のチューブの同心状の帯(たとえば、リング)に対応するようにそれぞれが構成されている。そうした複数のチューブは、第1のサイズのものであり得る。
【0072】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートの第6の環状の帯は、先行する帯(たとえば、26)と比較して等しいか、またはより大きい数のブラケットを備え、第6の環状の帯のブラケットは、複数のチューブの第6の同心状の帯またはリング内に位置している、上記チューブバンドルの同数のチューブの同心状の帯(たとえば、リング)に対応するようにそれぞれが構成されている。そうした複数のチューブは、第1のサイズのものであり得る。
【0073】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートの第7の環状の帯は、先行する帯(たとえば、30)の複数のブラケットと比較して等しいか、またはより大きい数のブラケットを備え、第7の環状の帯のブラケットは、複数のチューブの第7の同心状の帯またはリング内に位置している、上記チューブバンドルの同数のチューブの同心状の帯(たとえば、リング)に対応するようにそれぞれが構成されている。そうした複数のチューブは、第2のサイズのものであり得る。
【0074】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートの第8の環状の帯は、先行する帯(たとえば、34)と比較して等しい、またはより大きい数のブラケットを備え、第8の環状の帯のブラケットは、複数のチューブの第8の同心状の帯またはリング内に位置している、上記チューブバンドルの同数のチューブの同心状の帯(たとえば、リング)に対応するようにそれぞれが構成されている。そうした複数のチューブは、第1のサイズのものであり得る。
【0075】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートの第9の環状の帯は、先行する帯(たとえば、36)と比較して等しいか、またはより大きい数のブラケットを備え、第9の環状の帯のブラケットは、複数のチューブの第9の同心状の帯またはリング内に位置している、上記チューブバンドルの同数のチューブの同心状の帯(たとえば、リング)に対応するようにそれぞれが構成されている。そうした複数のチューブは、第1のサイズのものであり得る。
【0076】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートの第10の環状の帯は、先行する帯(たとえば、42)と比較して等しいか、またはより大きい数のブラケットを備え、第10の環状の帯のブラケットは、複数のチューブの第10の同心状の帯またはリング内に位置している、上記チューブバンドルの同数のチューブの同心状の帯(たとえば、リング)に対応するようにそれぞれが構成されている。そうした複数のチューブは、第1のサイズのものであり得る。
【0077】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートの第11の環状の帯は、先行する帯(たとえば、46)と比較して等しいか、またはより大きい数のブラケットを備え、第11の環状の帯のブラケットは、複数のチューブの第11の同心状の帯またはリング内に位置している、上記チューブバンドルの同数のチューブの同心状の帯(たとえば、リング)に対応するようにそれぞれが構成されている。そうした複数のチューブは、第2のサイズのものであり得る。
【0078】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートの第12の環状の帯は、先行する帯(たとえば、50)と比較して等しいか、またはより大きい数のブラケットを備え、第12の環状の帯のブラケットは、複数のチューブの第12の同心状の帯またはリング内に位置している、上記チューブバンドルの同数のチューブの同心状の帯(たとえば、リング)に対応するようにそれぞれが構成されている。そうした複数のチューブは、第1のサイズのものであり得る。
【0079】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートの第13の環状の帯は、先行する帯(たとえば、54)と比較して等しい、またはより大きい数のブラケットを備え、第13の環状の帯のブラケットは、複数のチューブの第13の同心状の帯またはリング内に位置している、上記チューブバンドルの同数のチューブの同心状の帯(たとえば、リング)に対応するようにそれぞれが構成されている。そうした複数のチューブは、第1のサイズのものであり得る。
【0080】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートの第14の環状の帯は、先行する帯と比較して等しいか、またはより大きい数のブラケットを備え、第13の環状の帯のブラケットは、複数のチューブの第14の同心状の帯またはリング内に位置している、上記チューブバンドルの同数のチューブの同心状の帯(たとえば、リング)に対応するようにそれぞれが構成されている。そうした複数のチューブは、第2のサイズのものであり得る。
【0081】
任意の数の環状の帯が設けられ得ることは明らかになるであろう。
【0082】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートの複数の環状の帯のいずれかは、少なくとも1つの熱電対挿入チューブに対応するブラケットをさらに備えている。そうした熱電対挿入チューブは、上記チューブバンドルの上記複数のチューブに対して同様のサイズのもの(たとえば、第1の、または第2のサイズのもの)であり得る。
【0083】
実施形態では、少なくとも4つのチューブ支持プレートが、上記チューブバンドルに沿って長手方向に配置されている。
【0084】
実施形態では、少なくとも1つのチューブ支持プレートが、上記チューブバンドルに沿って長手方向に配置されており、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートの環状の帯は、少なくとも1つの熱電対挿入チューブに対応するブラケットをさらに備えており、上記少なくとも1つの熱電対挿入チューブは温度測定装置を受容するように構成されている。
【0085】
実施形態では、上記温度測定装置は、上記反応器内の複数の長手方向の位置で温度を得るように構成されている。
【0086】
実施形態では、上記温度測定装置は、複数の位置で(たとえば、少なくとも8つの異なる位置で)、たとえば上記反応器に沿って長手方向に温度を得るように構成されている。
【0087】
実施形態では、上記シェルは、上記シェルの上部の、上記シェルの本体部との間の取り付けおよび取り外しを容易にする少なくとも1つのフランジを画定する。
【0088】
実施形態では、上記シェルは、上記シェルの底部でスカートに取り付けられるように構成される。
【0089】
実施形態では、上記スカートは、導入スプールを受容するように構成された開口を画定する。
【0090】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートは、上記チューブ支持プレートの複数の環状の帯の少なくとも1つに接続された少なくとも1つの放射状支材を画定しており、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートの上記少なくとも1つの放射状支材は、別のチューブ支持プレートの少なくとも1つの放射状支材と軸方向に整列している。
【0091】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートの上記少なくとも1つの放射状支材は、隣接するチューブ支持プレートの少なくとも1つの放射状支材に対して軸方向にオフセットされている。
【0092】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートは、上記反応器の長手方向軸を中心に対称に配置された複数の放射状支材を画定する。
る。
【0093】
実施形態では、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートは上記チューブ支持プレートの複数の環状の帯の少なくとも1つに接続された少なくとも1つの放射状支材を画定しており、上記少なくとも1つのチューブ支持プレートの上記少なくとも1つの環状の帯は、上記少なくとも1つの放射状支材に、取り外し可能に固定されている。
【0094】
実施形態では、上記チューブバンドルの少なくとも1つのチューブは、均一な厚さを上記反応器内の長手方向に画定している。
【0095】
実施形態では、上記チューブバンドルの少なくとも1つのチューブは、先細になった厚さを上記反応器内の長手方向に画定している。
【0096】
実施形態では、上記チューブバンドルの少なくとも1つのチューブは、上記反応器の上部に対して、上記反応器の底部近傍で、より大きな度合いの熱伝達を容易にするように構成される。
【0097】
上述された複数の特徴、または本明細書に記載の他の複数の特徴のいずれをも、互いに組み合わせて、単独で、または他の特徴との組み合わせで使用され得る。
【0098】
システムの他の方法、実施形態、および変形については、以下の記載において、より詳細に説明される。
【0099】
本発明のこれらの、ならびに他の特徴、態様、および利点は、以下の明細書、添付された請求項、および付随する図面を考慮して容易に明らかになり、およびよりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0100】
図1A】本開示の実施形態による反応器の斜視図である。
図1B図1Aの実施形態による反応器の回転させられた斜視図である。
図2図1Aの実施形態による反応器の平面図である。
図3】線1A-1Aに沿って得られた、図1Aの実施形態の反応器および反応器内部の切断立面図である。
図4】線1A-1Aに沿って得られた、図1Aの実施形態の反応器および触媒床、ならびに触媒支持層の切断立面図である。
図5A】詳細IVによる、図1Aの実施形態の反応器の拡大立面切断図である。
図5B】詳細IIIによる、図1Aの実施形態の反応器の拡大立面切断図である。
図6図1Aの実施形態による反応器との使用のためのチューブバンドルの斜視図である。
図7図6の実施形態のチューブバンドルの立面図である。
図8図6の実施形態によるチューブバンドルおよびチューブ支持プレートの斜視図である。
図9図1Aの実施形態の反応器による上部および供給チューブ支持プレートの平面図である。
図10A図6の実施形態によるチューブ支持プレートの平面図である。
図10B】別の実施形態によるチューブ支持プレートの平面図である。
図11図1Aの実施形態の反応器によるガス導入プレートの平面図である。
図12図1Aの実施形態の反応器による触媒支持プレートの平面図である。
図13】詳細XIIによる触媒支持プレートの拡大平面図である。
図14図1Aの実施形態による上部プレートおよび反応器の斜視分解図である。
図15図14の実施形態の上部プレートの平面図である。
図16図XIVによる図1Aの実施形態の反応器との使用のための上部プレートの拡大斜視分解図である。
図17】線16A-16Aに沿って得られた、図1Aの実施形態による反応器のノズルとの使用のための保持プレートの立面切断図である。
図18図17の実施形態による保持プレートおよびノズルの立面図である。
図19図17の実施形態による保持プレートおよびノズルの斜視図である。
図20】別の実施形態による反応器、触媒床、および熱電対挿入チューブの切断立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0101】
本発明の異なる実施形態のよりよい理解は、同様の参照符号が同様の構成要素を表す添付図面とともに読まれる以下の説明から得られ得る。
【0102】
本開示は種々の修正、および代替的な構成の影響を受けやすいが、特定の例証的な実施形態が、図面に示されており、および以下に説明される。しかし、開示された実施形態に本開示を限定する意図が存在するものでないが、逆に、本開示の趣旨および範囲内に収まっており、および添付の請求項により、画定される修正、代替的な構成、組み合わせ、および同等物すべてを網羅する意図であることが理解されるものとする。
【0103】
任意の用語が、記述された意味を有していると本特許において定義されていない限り、そうした用語の意味を、その平易な、または通常の意味を超えて明示的に、または間接的に限定する意図が存在するものでないことが理解されよう。
【0104】
図1Aを参照すれば、本開示の実施形態による反応器100が示されている。反応器100は、内部空間103(図4)を画定しており、および少なくとも1つの入口ノズル120を備えるシェル102を備える。反応器100は、1つまたは複数のチューブ131を備えるチューブバンドル130(図3)などの少なくとも1つの反応器内部構成要素を受容し、および上記少なくとも1つの反応器内部構成要素と協働するように構成される。反応器100は、上端105から底端107へ軸1A-1Aを中心に長手方向に延在しており、および略円筒形状を画定し得る。
【0105】
入口ノズル120は、底端107近傍に配置され、1つまたは複数の反応物が、入口ノズル120を通って入り、1つまたは複数のチューブ131内を、反応器100の内部空間103を通って方向F1(図4)に上方に移動し、次いで、上端105近傍でチューブ131を出て、方向F2に下方に方向転換して対応するフランジ125を画定する出口ノズル124に向かう。反応物が1つまたは複数のチューブ131を通って上方に進む際に、反応物は触媒と熱を交換し、方向F2(図4)に下方に進む反応物および生成物と熱を交換する。
【0106】
メタノール合成などの発熱反応では、反応物は有利には、上記チューブ131内の反応により、発生させられた熱を吸収して、反応物を触媒床140に供給する前に反応物を予熱する。これはさらに有利には、触媒ホットスポットの形成、ならびに関連付けられた触媒シンタリングおよび生成物劣化を軽減する。これはさらに、暴走反応の可能性を低減させる。というのは、反応物は、触媒床から熱を除去するための熱交換媒体を規定するからである。上記チューブ131の分布により、反応物は、たとえば反応器100を取り囲む冷却水スリーブよりもはるかに効果的な熱交換モダリティを形成する。
【0107】
反応器100は、入口ノズル120および出口ノズル124に加えて、1つまたは複数の触媒取り出しノズル116および/または1つまたは複数のハンドホール118であって、1つまたは複数の触媒取り出しノズル116および/または1つまたは複数のハンドホール118を通って内部空間103にアクセス可能な、1つまたは複数の触媒取り出しノズル116および/または1つまたは複数のハンドホール118を画定し得る。1つまたは複数の触媒取り出しノズル116は、たとえば使用済触媒を除去し、および再充填する場合に、触媒床140からの触媒の重力ベースの除去を容易にするように下方に角度が付けられ得る。1つまたは複数のハンドホール118は、触媒支持プレート154、触媒床140近傍で、またはいずれかの他の好適な位置で内部空間103内に手、工具、または器具を技術者が挿入することを可能にすることにより、メンテナンスを容易にし得る。
【0108】
図1Aおよび1Bにみられるように、反応器100は、加熱流体の供給のために構成されたスタートアップ用ノズル110を画定する。スタートアップ運転中、反応が定常状態運転に未だ達していない場合、複数の反応物は、それらがチューブバンドル130内を方向F1に進むにつれ、必要な量の予熱を受けない場合がある。スタートアップ用ノズル110は、内部空間103を通過する場合があり、および反応の収率に悪影響を与えることなく、定常状態運転を実現するのに十分なエンタルピーを供給する、加熱窒素ガスのような不活性ガスなどの加熱流体を受容する場合がある。
【0109】
シェル102はさらに、少なくとも1つの熱電対ポート106を画定し得る。各熱電対ポート106は、反応器100内へ、実施形態では、チューブバンドル130内へ軸または長手方向に温度測定装置を挿入することを容易にし得る。反応器100の上部105に熱電対ポート106を配置することにより、複数の位置で温度を測定することができる、熱電対などの単一の温度測定装置が、それを通って挿入され得る。実施形態では、温度測定装置は、細長く延在しており、および複数の熱電対などの複数の測定装置を所定の複数の距離をおいてその上に、上記所定の複数の距離それぞれにおける反応器状態が反応の改善された制御のために測定され得るように備え得る。
【0110】
2つの熱電対ポート106が図1Aおよび1Bに、スタートアップ用ノズル110の両側に示されているが、より多くの、または、より少ない熱電対ポート106がいずれの好適な位置でも設けられ得ることが理解されよう。熱電対ポート106を介して温度測定装置を設けることにより、反応器100は有利には、熱電対接合の数を最小にしながら、反応器内の異なる高さ位置における反応器状態の測定を可能にし、それにより、改善されたプロセスコントロールおよび処理能力を、シェル102の中への、または外への漏れのリスクを最小にしながら容易にする。熱電対ポート106の位置は、不釣り合いにシェル近くで、より大きな反応器がサンプリングされるように熱電対が半径方向に挿入される既存の反応器の設計とは対照的に、反応器100のサイズにかかわらず、反応器100の所望の半径方向の位置における反応器状態をサンプリングすることをさらに可能にする。
【0111】
図4に移れば、シェル102は入口ノズル120を画定しており、対応するフランジ121がガス導入プレート156の下方に任意の距離をおいて配置されており、およびいずれも反応器100の底端107近傍に配置され得る。入口ノズル120は、反応物が入口ノズル120を通って流れ方向F4に流入するにつれ、反応物が方向を変え、およびガス導入プレート156を通ってチューブバンドル130の1つまたは複数のチューブ131内に方向F1に流入するように反応器100の長手延在方向に対して横方向に配置され得る。
【0112】
入口ノズル120は、入口ノズル120と、チューブバンドル130の底部との間の距離を最適にし、および閉塞、ホットスポット、および不均等な流れをもたらすエディが回避されるように反応物を上記チューブ131へ均等に分配するように、図示されたように配置され得る。フランジ121は、ノズル120への反応物供給ラインの取り付けを容易にするように構成され得る。入口ノズル120について図示され、および表されているが、入口ノズル120と、チューブバンドル130の底部との間の距離が適宜、より大きい、または、より小さい場合があることが理解されよう。
【0113】
さらに、または代替として、シェル102は、図5Aに示されるように、対応するフランジ133を備えた第2入口ノズル132をさらに画定する。フランジ133は、ノズル132への反応物供給ラインの取り付けを容易にするように構成され得る。第2入口ノズル132は、チューブ131を通る上方への流れ方向F1に対応、または上記流れ方向F1と平行であり得る方向F3に鉛直方向に反応物を送るように配置される。反応器シェル102は、第2入口ノズル132に接続する入口スプール135を受容するように構成された開口122をその厚さを貫通して画定し得るスカート108により、固定され得る。
【0114】
スカート108は、形状が円筒状であり、および底端107から下方に反応器シェル102と実質的に同一の広がりを持って延在している場合がある。スカート108は、反応器100およびスカート108を所定の位置に固定するリング109を同一平面上で画定し得る。入口スプール135は、反応物が反応器100に向けて、流れ方向F3に対しておおむね横切る流れ方向、たとえば入口ノズル120の方向F4に対して略平行な方向に供給されるように湾曲させられ得る。入口ノズル120および第2入口ノズル132は、同時に、または互いに独立して作用するように構成され得る。スカートについて図示され、および表されているが、いかなる好適な支持体も利用される場合があり、および本開示はスカートの使用に限定されるものでない。
【0115】
実施形態では、分流器137は、第2入口ノズル132が使用中の場合に反応物の流れ方向を誘導するために、除去可能に第2入口ノズル132またはシェル102内に配置され得る。分流器137は、第2入口ノズル132からの反応物の流れの一部分を、第2入口ノズル132および複数の外側チューブとおおむね整列している複数の中央チューブ間で上記流れが均等に分配されるように半径方向外側に分配する形状を画定し得る。分流器137について図示され、および表されているが、いかなる好適な構造、構成、または配置も利用され得ることが理解されよう。実施形態では、分流器137は、ノズル132を通って流入した反応物の流れを分配させるために構成された複数の開口および/または突起を画定する。
【0116】
図5Bに移れば、反応器100は、シェル102から取り外し可能であり、および開口および対応するファスナなどの、ドーム型ヘッド部104およびシェル102を取り付けるための任意の好適な手段を備え得るフランジ112、114において、解放可能にそれに取り付けられたドーム型ヘッド部104をさらに備え得る。ドーム型ヘッド部104は、チューブバンドル130の上部範囲上方の空間113を画定し得る。空間113は、予熱された反応物が混合され、および触媒床140を通って下方に戻るための空間を提供する。ノズル110は、前述されたように、スタートアップ運転中に加熱媒体の追加を可能にするためにドーム型ヘッド部104の厚さを貫通して画定され得る。
【0117】
解放可能にシェルに固定可能なドーム型ヘッド部について図示され、および表されているが、本開示はそれに限定されるものでなく、反応器のいかなるサイズについても、たとえばフランジ付きマンホールを備える固定ヘッドが代わりに利用され得ることが理解されよう。
【0118】
熱電対ポート106は、チューブバンドル130の上部範囲上方の任意の距離を延在し得るそれぞれの熱電対挿入チューブ126と整列され得る。熱電対ポート106は、反応器内部103へのアクセスを可能にするために、ドーム型ヘッド部104の厚さの一部または全体を通って延在し得る。熱電対ポート106は、任意の好適なやり方で、たとえば、圧力が反応器内部103内で維持され得るように温度測定装置の表面と面一であるように構成されたサイズの開口を画定することにより、ガスケットシールと協働すること、それらの組み合わせ、または任意の他の好適な手段により、反応器内部103へのアクセスを容易にし得る。いかなる好適な手段も使用され得る。チューブバンドル130の上部範囲上方の任意の距離を延在することにより、熱電対挿入チューブ126は、特にドーム型ヘッド104が所定の位置にある場合にアクセスが限定されるので熱電対の設置中に、より容易に識別されるように構成される。熱電対挿入チューブ126は、供給チューブ131と略平行に、または整列されて反応器100の長さに沿って延在し得る。
【0119】
反応器100は、1つまたは複数の触媒支持プレート154、少なくとも1つのチューブ支持プレート162、163、164、165、ガス導入プレート156、上部供給チューブ支持プレート150、および/または上部プレート190を備えており、それらを設けることは有利には、メンテナンスまたは他の目的のために必要に応じて反応器内部103へのアクセスを可能にしながらシェル102内のチューブバンドル130を固定することを容易にし得る。ガス導入プレート156および触媒支持プレート154は有利には、シェル102の内面に溶接されて、その中にチューブバンドル130を固定し得る。
【0120】
チューブバンドル130の上記チューブ131は、ガス導入プレート156、上部供給チューブ支持プレート150、および/または少なくとも1つのチューブ支持プレート162、163、164、165に溶接され得る。実施形態では、ガス導入プレート156のみが反応器シェル102の内面に溶接され、または他のやり方で固定され、上部供給チューブ支持プレート150、および少なくとも1つのチューブ支持プレート162、163、164、165は、上記チューブ131の熱膨張に対応するように、固定されていない。
【0121】
図4に移れば、触媒床140は、固体触媒などの触媒の1つまたは複数のセクションを備え得る。触媒床140は追加でまたは代替的に、第1の径、たとえば1~30mm、より具体的には5~20mm、または実施形態では9mmの支持セラミックボールを備え得る1つまたは複数の不活性セクション142、144を備え得る。触媒床140はさらに、第2の径、たとえば1~30mm、より具体的には10~25mm、または実施形態では19mmの支持セラミックボールを備え得る。触媒床140は、実質的に、単一のサイズのボールのみを備えるセラミックボールに対応する別個のセクション142、144を画定し得る。
【0122】
たとえば、描かれた実施形態では、セクション142が実質的に、9mmの径を有するボールのみを備えている一方、セクション144は、19mmの径を有するボールのみを備えている。セクション142、144は、反応器100内の任意の好適な高さ、たとえば5~500mm、より具体的には100~300mm、または実施形態では200mmをセクション142、144毎に有し得る。セクション142、144の高さは、同じであり、または互いに異なり得る。触媒床140はさらに、または、あるいは、ペレット、リング、タブレット、および球のうちの少なくとも1つを画定する形状を有する固体触媒を備え得る。セクション142、144は、触媒支持プレート154近傍に(たとえば、上方に、または直上に)、ならびに実質的に、セクション142、144の支持セラミックボールに対して、異なる形状および/またはサイズの固体触媒のみを備えるセクション141の下に配置され得る。
【0123】
支持セラミックボールセクション142、144は有利には、効果的かつ均等な、流れの分配を促進しながら触媒床内の触媒の重量を支持する。別個の第1および第2のセクション142、144を設けることにより、出口ノズル124へ向かって反応器内部103を通る、反応物、生成物、および副生成物の流れは、触媒床140内の触媒粒子の間、第1のセクション142内の、より小さな第1の径の支持セラミックボールの間、そして最後に、第2のセクション144内の、より大きな第2の径の支持セラミックボールの間でのガスの流れを許容して、触媒支持プレート154を通過する前に、ガスの流れが改善される。支持セラミックボールは有利には、不活性であり、種々の反応物、生成物、および/または副生成物からの熱衝撃および腐食に耐えるように構成され得る。支持セラミックボールが説明されているが、セクション142、144が、より多くの、またはより少ないセクションを有する場合があり、およびリング、円筒、多角形、またはそれら以外などの異なる形状またはサイズの支持構造を備える場合があることが理解されよう。
【0124】
実施形態では、触媒床140のセクション141は、還元されていない触媒の高さに対応する第1の高さ148と、還元された触媒の高さに対応する第2の高さ146とを有しており、または画定し得る。
【0125】
触媒床140のセクション141は単一のサイズおよび/または形状の触媒粒子を備え得るが、異なるサイズの、および/または形状の触媒粒子の触媒床140内の別個のセクションが本開示の範囲内で考えられていることが理解されよう。触媒粒子は、任意の好適な形状または構成、たとえば、球、ペレット、円筒、三葉、四葉、ピラミッド、円錐、星、またはそれら以外を有する場合があり、ならびに任意の好適な数およびサイズの複数の開口であって、それらを貫通して画定された複数の開口、および/またはそれらの表面の一部分上に画定された複数のノッチまたは複数の溝を有し得る。単一の、異なるタイプの触媒サイズおよび/または形状に対応する別個のセクションは、触媒床140内に、たとえば、軸方向の、または半径方向の層もしくはポケットとして設けられ得る。実施形態では、異なるサイズおよび形状の触媒粒子が、任意の好適な構成で、触媒本体内で設けられ、および一緒に混合され得る。
【0126】
触媒床140内の触媒粒子は、セクション142、144内の支持セラミックボールの機能であり、および上記支持セラミックボールと協働し、逆も同様であり得る。実施形態では、触媒粒子は支持セラミックボールと独立して選択される。
【0127】
実施形態によるチューブバンドル130は、図6および7に示されている。チューブバンドル130は、シェル102内の軸1A-1Aを中心に略長手方向に延在するように構成されており、および上部から底部へ順に、上部プレートおよびチューブ支持プレート150、複数のチューブ支持プレート162、163、164、165、触媒支持プレート154、およびガス導入プレート156により、維持される。上部プレートおよびチューブ支持プレート150と、チューブ支持プレート162との間、ならびに上記チューブ支持プレート162、163、164、および165間の距離161はチューブバンドル130の長さに沿って均一であり得る。実施形態では、距離161は変化し得る。チューブ支持プレート165と、触媒支持プレート154との間の距離167は、距離161よりも大きい場合がある。触媒支持プレート154とガス導入プレート156との間の距離169は、距離167よりも小さい場合がある。描かれた実施形態が例示的なものであるにすぎず、およびチューブバンドル130のいかなる配置も使用され得ることが理解されよう。
【0128】
複数のチューブ131は、チューブバンドル130の長手方向の長さに沿って均一な厚さおよび径を画定し得る。実施形態では、複数のチューブ131は、チューブバンドルの長さに沿ってテーパ状の厚さを有しており、複数のプレートを支持するために1つまたは複数のプレート150、162、163、164、165、154、156近傍で厚さおよび/または径が増加させられている。実施形態では、チューブバンドル130の1つまたは複数のチューブ131は、構造的支持を増加させるために、他の複数のチューブ131に対して、増加させられた厚さを有し得る。たとえば、チューブバンドル130の中心または外側エッジのより近くに延在する複数のチューブ131は、たとえば、10%、20%、25%、33%、50%または任意の他の好適な厚さの他の複数のチューブに対して、増加させられた厚さを有し得る。すなわち、そうした複数のチューブ131の複数の壁は、実施形態において同じ内径を維持しながら、増加させられた厚さを有し得る。これは有利には、増加させられた厚さを有する複数のチューブ131がチューブバンドル130を支持しながら反応物を運ぶことを可能にし、それにより、他の構造的配置に対して、増加させられた触媒充填、およびより均等に分配された触媒のために、断面積を自由にする。
【0129】
実施形態では、複数のチューブ131は、たとえば、反応器100の上部と比較して、反応器100の底部で、より効率的な熱伝達を容易にするために、反応器100の底部近傍で、低減させられた厚さ、および/または増加させられた径を有する。あるいは、チューブバンドル130の複数のチューブ131の1つまたは複数は、内部チューブロッドであって、その中で予熱される反応物の速度を増加させるように構成された、内部チューブロッドを備え得る。内部チューブロッドは、複数のチューブ131の底部から複数のチューブ131の上部までの距離の一部分または全体を延在し得る。
【0130】
一般に、チューブバンドル130および反応器100は有利には、設計および実装においてモジュール式に構成される。既存のシェルアンドチューブ型反応器は、チューブの長さおよび径、触媒床、シェル、ならびに他の構成要素のバランスを適切にとるために行われなければならないかなりの手直しが理由で、容易な拡大/縮小が可能でないが、反応器100の設計は有利には、チューブバンドル130上の複数のチューブ131の複数の同心円状の帯状配置に基づいて拡大または縮小することを可能にする。チューブバンドル130は、複数のチューブ131の複数の環状の帯が、(より大きな処理能力のために、または、ボトルネック解消の取り組み中に、反応器の設計の容量を増加させるために)追加されるか、または(反応器の設計の容量を縮小するために)除去される場合でも、反応器の他の幾何学的特徴が、変更されない状態に留まり得る。その結果、大規模な再設計作業が回避され得る。
【0131】
チューブバンドル130は、反応器およびチューブバンドルが種々の設計において、低減させられた処理能力のために構成されていても、増加させられた処理能力のために構成されていても1つまたは複数の幾何学的制約または比率がいかなる設計においても維持されるように構成され得る。チューブ密度が改善されることを確実にするために、チューブバンドルの平均チューブピッチ(すなわち、複数のチューブ間の中心間距離)はチューブバンドルにわたり、略一定であり、それを画定する複数の環状の帯およびチューブは、一定のチューブピッチを維持するように間隔が空けられる。
【0132】
別の例としてチューブバンドル130は有利には、反応器を平面視で見た場合の触媒床の累積断面積の、同じ平面視での、複数のチューブ131の累積断面積(すなわち、合わせて得られた、複数のチューブの合計半径方向表面積)に対する所望の比率を実現する。実施形態では、触媒の累積断面積の、複数のチューブの累積断面積に対する比率は、2~20、より具体的には5~12の範囲内にある。
【0133】
複数のチューブ131の環状の帯がチューブバンドル130の設計に追加されても、除去されても、触媒床に対する、複数のチューブ131の断面積は、反応器の性能、および、特にその安全プロファイルが好適であるように好適な範囲内に留まるように単純に、および容易に調整され得る。実施形態では、複数のチューブの1つまたは複数の環状の帯の追加または除去は、複数のチューブの累積断面積に対する、触媒の累積断面積を実質的に変化させる訳でない場合がある。他の実施形態では、チューブバンドル130は、複数のチューブの複数の環状の帯の除去または追加が、大がかりな再設計を必要としないが、むしろ、技術者が反応器を、新たな必要な容量または他の要件に単純に、および容易に調整することを可能にするように任意の他の幾何学的な、またはプロセス関連のパラメータが目標とされるように設計され得る。複数のチューブおよび触媒床の複数の断面積間の特定された関係をチューブバンドル130に与えることにより、熱分配が改善され、それは、ホットスポットを削減し、および反応器100を通る全体的な処理能力を改善することにより、暴走反応の可能性を低減させる。
【0134】
反応器100は、触媒床140および/またはチューブバンドル130の1つまたは複数の特徴を制御するように、運転中に制御され、および維持され得る。一部の実施形態では、反応器100は、温度測定装置を利用して、触媒床の断面積全体にわたる、熱の分配を評価するように構成される。特に、反応器100は、(上端105から底端107へ向かう、)反応器100内の、深さによる、反応器内の半径方向の温度勾配を評価すること、および/または深さによる、上記勾配の成長を評価することにより、制御され得る。
【0135】
図12および13に移れば、触媒支持プレート154は、セクション141の高さと組み合わされた、セクション142、144の高さなど、固体触媒の合計高さを支持するように構成される。触媒支持プレート154はさらに、有利には、触媒床140上の差圧に起因する力を支持する。触媒支持プレート154は、触媒取り出しノズル116および/またはハンドホール118近傍でシェル102内に配置され得る。触媒支持プレート154は、1つまたは複数の開口180、181を画定し得る。開口180、181は、開口180に対応する第1のサイズの複数の開口と、開口181に対応する第2のサイズの複数の開口とを備える複数の開口を備えており、または画定する場合があり、上記複数の開口は触媒支持プレート154の厚さの少なくとも一部を通って延在する。
【0136】
開口180の第1のサイズは、チューブバンドル130の少なくとも1つのチューブ131の周長に対応してもよい。実施形態では、開口180内で上記複数のチューブの任意の度合いの移動および/または熱膨張を可能にするために、開口180の第1のサイズは複数のチューブ131の周長よりも大きい。開口180は、チューブバンドル130内の複数のチューブ131の配置に応じて触媒支持プレート154を貫通して画定され得る。開口181の第2のサイズは開口180の第1のサイズよりも小さく、開口181の第2のサイズは出口ノズル124への経路でそこを通る、反応物、反応生成物、および反応副生成物の流れを可能にする役目を務め得る。
【0137】
実施形態では、1つまたは複数の開口180は、温度測定装置の終端を画定し得る。開口182は、熱電対挿入チューブ126を受容し、および熱電対挿入チューブ126の延長部を終端させるようなサイズおよび構成であり得る(図7)。開口182は、実施形態では、触媒支持プレート154の厚さの一部のみ延在していてもよい。実施形態では、熱電対挿入チューブ126は、触媒支持プレート154に溶接され、そこを塞いでもよい。複数のチューブ131は、熱膨張の影響を考慮するために、触媒支持プレート154に溶接されなくてもよい。
【0138】
複数の開口181のサイズおよび/または複数の開口181間の平均距離は、複数の開口181のサイズが触媒支持プレート154の厚さに比例し、および/または複数の開口181間の距離が触媒支持プレート154の厚さに反比例するような、触媒支持プレート154の厚さの関数であり得る。すなわち、触媒支持プレート154の厚さが大きいほど、複数の開口181の径は、より大きくなり、および/または複数の開口181間の距離は、より小さくなる。実施形態では、触媒支持プレート154が20~500mmの、より具体的には50~300mmの、および実施形態では110mmの厚さを有し得る一方、複数の開口181は1~50mmの、より具体的には5~25mmの、および実施形態では10mmの径を有し得る。
【0139】
図13の拡大図にみられるように、複数の開口180は、本明細書でさらに詳細に述べられるように、チューブバンドル130内の、複数のチューブ131の配置に対応するパターンまたは配置で延在し得る。複数の開口181は、複数の開口180それぞれの間に延在し得る。複数の開口181は、直線を画定する延在方向183Aおよび/または横方向延在方向183Bなどの任意の好適なパターンまたは配置を画定し得る。複数の開口181の他のパターンまたは配置が、本開示の範囲内で想定される。複数の開口181は、任意の距離だけ、たとえば実施形態では方向183A、183Bの一方または両方に沿って、隣接する複数の開口181の中心間で1~30mmの、より具体的には隣接する複数の開口181の、中心間で5~20mmの、および実施形態では中心間で15mmの距離だけ、互いに間隔が空けられ得る。隣接する複数の開口181の中心間の距離は、触媒支持プレート154の表面全部にわたって均一でなくてよいが、むしろ適宜、変化し得る。
【0140】
触媒支持プレート154は、外周において、開口180、181のいずれも画定しない、触媒支持プレート154を形成する材料の帯184を画定し得る。上記帯184は、触媒支持プレート154の上記外周のまわりを部分的に、または全体に延在しており、および有利には、シェル102の内面への、触媒支持プレート154の溶接または他の好適な取り付けを容易にする。実施形態では、帯184は、シェル102の内面により画定された凹所内に延在し、次いで、上記凹所に溶接され得る。帯184は、半径方向に、任意の好適な距離、たとえば5mm延在し得る。
【0141】
図11に移れば、ガス導入プレート156は触媒支持プレート154の下に配置される場合があり、およびガス導入プレート156の厚さの少なくとも一部を貫通して画定された複数の開口155を備え得る。複数の開口155は、チューブバンドル130の複数のチューブ131の配置に応じて、ガス導入プレート156を貫通して画定されており、および触媒支持プレート154の複数の開口180の配置と整列している円形開口であり得る。実施形態では、ガス導入プレート156は実質的に中実であり、複数の開口155以外の開口がなく、流入する反応物を複数のチューブ131内に押し込む。複数のチューブ131は、ガス導入プレート156にシール溶接され、および/または強度溶接され得る。一構成要素が別の構成要素に溶接されるものとして本明細書で述べられている場合、シール溶接、強度溶接、それらの組み合わせ、またはいずれかの他のタイプの取り付けが考えられることが理解されよう。
【0142】
図8~9に移れば、反応器100は、チューブバンドル130の軸方向の、または長手方向の長さに沿って長手方向に間隔が空けられて配置され得る少なくとも1つのチューブ支持プレート150、162、163、164、165をさらに備え得る。チューブ支持プレート150、162、163、164、165が図示されており、および表されているが、より多くの、またはより少ない支持プレートが設けられ得ることが理解されよう。上部供給チューブ支持プレート150は、チューブ支持プレート162、163、164、165と実質的に同じであり、1つまたは複数の特徴を含むか、または省略し得る。たとえば、上部供給チューブ支持プレート150は、チューブ支持プレート162、163、164、165と同じ特徴を有してもよく、以下にさらに詳細に説明されるように、上部プレートと協働するように構成された1つまたは複数のスペーサをさらに含んでいてもよい。
【0143】
チューブ支持プレート150、162、163、164、165は、少なくとも1つのチューブ131の位置を維持するように構成された少なくとも1つの環状の帯168を備え得る。少なくとも1つの環状の帯168は、チューブバンドル130のチューブ131の一部のまわりに延在するように構成された少なくとも1つのブラケット172を備える。実施形態では、少なくとも1つのブラケット172は、チューブ131全体のまわりに延在している。上記ブラケット172は、取り外し可能にチューブ131に取り付けるように構成され得る。
【0144】
実施形態では、ブラケット172はチューブの全体よりも一部のみのまわりを延在してもよい。ブラケット172は有利には、ブラケット172と、隣接するチューブ131に取り付けられた隣接するブラケット172との間に延在する、梁部173と協働し得る。ブラケット172は、取り外し可能にまたは取り外し不能に、梁部173と接続されてもよく、たとえばフィレット接続を画定し得る。環状の帯168は、対応するチューブ131とともに略環状の配置を画定する、一連の接続されたブラケット172および梁部173により、画定され得る。
【0145】
環状の帯168は、チューブ支持プレート150、162、163、164、165の隣接する環状の帯168と同心状に配置されており、環状の帯168は任意には、反応器の長手方向軸1A-1Aを中心に配置され得る。ブラケット172、梁部173、放射状支材166、および環状の帯168の協働によってチューブ支持プレートが画定される。環状の帯168が図示されており、および表されているが、非対称の配置、オフセットされた配置、または非環状の配置を含むいかなる好適な構成も使用され得ることが理解されよう。種々の構成要素の協働が、チューブ支持プレートを画定するものとして説明されているが、チューブ支持プレートが、任意の好適な構成をとる場合があり、およびこれにより、限定されるものでないことが理解されよう。
【0146】
少なくとも1つのチューブ支持プレート150、162、163、164、165は、取付点169で少なくとも1つの環状の帯168に、および/または取付点171で外側支持帯170に接続された少なくとも1つの放射状支材166を画定する。上記チューブ支持プレートは、半径方向に対称に、たとえば、22.5°刻みで、30°刻みで、45°刻みで、90°刻みで、120°刻みで、180°刻みで、360°で均等に割り切れる別の刻みで、または他のやり方で配置された複数の放射状支材166を画定し得る。他の実施形態では、複数の放射状支材166は、任意の好適なやり方で非対称に配置される。
【0147】
外側支持帯170は、チューブ支持プレートに対する十分な剛性、強度、および/もしくは支持を与え、ならびに/または反応器シェル102の内面への、外側支持帯170の取り付けを容易にする、ステンレススチールなどの支持材料の実質的に連続した帯を画定し得る。8つの放射状支材166が、図9および10の実施形態に関して図示されており、表されているが、より多くの、または、より少ない放射状支材166が設けられ得ること、およびチューブ支持プレート150、162、163、164、165のすべてが、同じ数または配置の放射状支材または他の構成要素を有していなくてよいことが理解されよう。
【0148】
複数の放射状支材166は、チューブ支持プレートの中心から外側支持帯170へまっすぐ外側に延在していてもよいし、または湾曲した、曲がった、曲がりくねった、もしくは他の構成を画定してもよい。複数の放射状支材166は、ステンレススチールなどの任意の好適な材料で形成され、反応器状態において所望の剛性および強度を維持するための耐熱特性を画定し得る。複数の放射状支材166は有利には、環状の帯168と複数の放射状支材166との間の取付点169を画定する。取付点169は、取り外し可能であってもよいし、または取り外し不能であってもよく、併せて溶接され、または好適なファスナにより、取り付けられるなどの、任意の好適な接続を画定してもよい。チューブ支持プレートは、熱膨張および収縮により、複数のチューブ131とともに移動するように構成される場合があり、ならびに鋼(たとえば、ステンレススチール)、セラミック、高分子材料、複合材料、またはそれ以外などの耐高温材料で形成される場合がある。
【0149】
実施形態では、チューブ支持プレート150、162、163、164、165は任意の好適な手段を使用して製造され得る。実施形態では、チューブ支持プレート150、162、163、164、165は、たとえばウォータージェット切断により、材料がそれから除去されるその単一の強固なプレートから形成される。他の実施形態では、放射状支材および環状の帯は別個に製造され、および組み立てられてチューブ支持プレートを形成する。
【0150】
上部供給チューブ支持プレート150は、その上面上に1つまたは複数のスペーサ174をさらに画定し得る。スペーサ174は、任意の好適なやり方で、たとえば溶接により、上部供給チューブ支持プレート150の1つまたは複数の構造に取り付けられ得る。スペーサ174は、所定の高さを延在する場合があり、およびその中心部内で開口を画定し得る。開口は、上部プレート190に関して以下にさらに詳細に述べられるように、ファスナの1つまたは複数のねじ山と嵌合するように構成された1つまたは複数のねじ山を備え得る。スペーサ174は、任意の好適な配置で、および任意の好適な数で上部供給チューブ支持プレート150のまわりを延在し得る。
【0151】
たとえば、スペーサ174は、スペーサ174が複数の放射状支材166に取り付けられるとき、上部供給チュープ支持プレート150のまわりに3つの同心リングパターン175(図9)を画定し得る。実施形態では、スペーサ174は、第1および第2の環状の帯の間、第7および第8の環状の帯の間、ならびに第13および第14の環状の帯の間の4つの放射状支材166に沿って延在する。合計4つのスペーサ174が、以下に説明されるように、各同心リングパターン175上に、上部プレート190の各セグメントのコーナー部分がそれに固定されるように配置され得る。
【0152】
複数の放射状支材166の配置は有利には、触媒が反応器100の上部105から装填されるにつれ、触媒の分配への干渉を最小にしながら、チューブバンドル130の複数のチューブ131の確実な取り付けをもたらす。たとえば、触媒粒子がシェル102内に流し込まれるにつれ、複数の放射状支材166は、触媒の不均等な分配を最小にするように構成される。実施形態では、隣接するチューブ支持プレート162、163、164、165の複数の放射状支材166は、反応器100の長手方向延在長に沿って軸方向に整列し得る。
【0153】
他の実施形態では、図10Bにみられるように、隣接するチューブ支持プレートの複数の放射状支材167は、装填中の触媒の均等な分配を促進するために複数の放射状支材166からオフセットされている場合がある。オフセットの度合いは任意の好適な度合いであり得る。実施形態では、複数の放射状支材167は、複数の放射状支材166間の角度距離の半分に対応する距離だけオフセットされている。図10Bの実施形態では、放射状支材166は、互いに45°だけオフセットされており、および複数の放射状支材167のオフセットは22.5°である。その後のチューブ支持プレートは交互に配置され得る。隣接するチューブ支持プレートの複数の放射状支材166は、反応器の長手方向の長さを下方にオフセットされてスパイラルまたはヘリックスパターンを画定し得る。描かれた実施形態は例示的なものであり、および任意の他の配置が適宜、使用され得る。
【0154】
チューブバンドル130は、少なくとも1つのチューブ支持プレートの最も内側の環状の帯168Aが、第1のサイズの6つの最も内側のチューブのリングに対応するようにそれぞれが構成された6つのブラケットを備えるように配置され得る。第1のサイズは、たとえば、径が0.5~3mm、より具体的には径が1~2mm、および実施形態では1.5mmであり得る。少なくとも1つのチューブ支持プレートの第2の環状の帯168Bは、第1のサイズのチューブバンドルの10のチューブのリングに対応するようにそれぞれが構成された10のブラケットを備える。少なくとも1つのチューブ支持プレートの第3の環状の帯168Cは、第2のサイズのチューブバンドルの14のチューブのリングに対応するようにそれぞれが構成された14のブラケットを備える。第2のサイズは、たとえば、径が0.5~5mm、より具体的には1~4mm、および実施形態では2.5mmであり得る。
【0155】
少なくとも1つのチューブ支持プレートの第4の環状の帯168Dは、第1のサイズのチューブバンドルの18のチューブのリングに対応するようにそれぞれが構成された18のブラケットを備える。少なくとも1つのチューブ支持プレートの第5の環状の帯168Eは、第1のサイズのチューブバンドルの22のチューブのリングに対応するようにそれぞれが構成された22のブラケットを備える。少なくとも1つのチューブ支持プレートの第6の環状の帯168Fは、第1のサイズのチューブバンドルの26のチューブのリングに対応するようにそれぞれが構成された26のブラケットを備える。
【0156】
少なくとも1つのチューブ支持プレートの第7の環状の帯168Gは、第2のサイズのチューブバンドルの30のチューブのリングに対応するようにそれぞれが構成された30のブラケットを備える。少なくとも1つのチューブ支持プレートの第8の環状の帯168Hは、第1のサイズのチューブバンドルの34のチューブのリングに対応するようにそれぞれが構成された34のブラケットを備える。少なくとも1つのチューブ支持プレートの第9の環状の帯168Iは、第1のサイズのチューブバンドルの36のチューブのリングに対応するようにそれぞれが構成された36のブラケットを備える。少なくとも1つのチューブ支持プレートの第10の環状の帯168Jは、第1のサイズのチューブバンドルの42のチューブのリングに対応するようにそれぞれが構成された42のブラケットを備える。
【0157】
少なくとも1つのチューブ支持プレートの第11の環状の帯168Kは、第2のサイズのチューブバンドルの46のチューブのリングに対応するようにそれぞれが構成された46のブラケットを備える。少なくとも1つのチューブ支持プレートの第12の環状の帯168Lは、第1のサイズのチューブバンドルの50のチューブのリングに対応するようにそれぞれが構成された50のブラケットを備える。少なくとも1つのチューブ支持プレートの第13の環状の帯168Mは、第1のサイズのチューブバンドルの54のチューブのリングに対応するようにそれぞれが構成された54のブラケットを備える。少なくとも1つのチューブ支持プレートの第14の環状の帯168Nは、第2のサイズのチューブバンドルの58のチューブのリングに対応するようにそれぞれが構成された58のブラケットを備える。
【0158】
第1~第14の環状の帯が図示され、および表されているが、本開示の反応器の実施形態が、既存の反応器の設計よりも良好に、異なる施設の異なる処理能力要件に対応するモジュラー式反応器の構成を容易にすることが理解されよう。必要に応じて、たとえば、技術者は、より多くの、より少ない、および/または異なる環状の帯を有するように、描かれたチューブバンドル130を修正し得る。ボトルネック解消の取り組み中などの、プラントのより高い年産能力に対応するために全体としてチューブバンドル130および反応器100を拡大するために、単純な改造においてチューブの数を増加させ、およびチューブバンドルを外側に拡張し得るためにさらなる環状の帯が追加され得る。たとえば、放射状支材166と外側帯170との間の取付部171が、追加の環状の帯がチューブ支持プレートに追加され得るように取り外され、新たな環状の帯まわりの外側帯170が交換され得る。この目的で、外側帯170は、拡張可能な周長を有するように構成され得る。
【0159】
逆に、反応器100を縮小するために、最も外側の環状の帯などの環状の帯は、より小さな反応器シェルに合うように、および/または対応する、より低いプラント年産能力をもたらすようにチューブバンドルのサイズを削減するために除去され得る。これは、たとえば、環状の帯と放射状支材との間の取り付け部169を取り外すことにより、行われ得る。
【0160】
さらに、図示されたような環状の帯の配置は、放射状支材の構造に対応しながら、環状の帯、ならびに付随する複数のブラケットおよび複数のチューブの追加または除去を可能にする。見ての通り、環状の帯は、複数のチューブが、実質的に均等な分布で、ならびに触媒および反応物がそれらの間を通過することと、おおむね放射状支材およびチューブ支持体の設計を損なうことなく、環状の帯が追加され、または除去されることとを可能にするのに十分な、複数のチューブ間のスペースで配置されるようにブラケットおよびチューブの数が増加する。
【0161】
実施形態では、少なくとも1つのチューブ支持プレートの第9の環状の帯168I(または任意の他のもの)は、少なくとも1つの熱電対挿入チューブ126であって、上記少なくとも1つの熱電対挿入チューブ126が第1のチューブサイズのものである、少なくとも1つの熱電対挿入チューブ126に対応するブラケット172をさらに備える。上記熱電対挿入チューブ126にブラケット172を設けることにより、温度測定装置がチューブバンドル内へ、好ましくは、反応器の長手方向の長さに沿った正確な温度測定値を得るために温度測定装置が触媒および複数のチューブにより、取り囲まれる、チューブバンドルの任意の領域内へ挿入されることが可能になる。
【0162】
上部および供給チューブ支持プレートは、チューブ支持プレート162、163、164、165と同様に、1つまたは複数の放射状支材166と、外側帯170と、チューブバンドル130のチューブ131と係合し、および/または上記チューブ131を取り囲むように構成された1つもしくは複数のブラケット172とを備え得る。上部供給チューブ支持プレート150の上記放射状支材166は、供給チューブ支持プレート162、163、164、165の上記支材166と同様に、または対応して配置される場合があり、および好適な角度176(図9)、たとえば45°で軸方向に分割される場合がある。他の角度または配置が本開示により、考えられることが理解されよう。
【0163】
上部供給チューブ支持プレート150のブラケット172が、チューブ131の終端近傍を構成し、または上記終端近傍で延在し、予熱された反応物がそこでチューブ131を出て、次いで、第2の方向F2に下方に流れる。熱電対挿入チューブ126は、チューブ131の最上部の距離または範囲より上方の任意の距離を延在し、これが熱電対ポート106から熱電対挿入チューブ126への温度測定装置のより容易な挿入を容易にし得る。チューブ支持プレート162、163、164、165と同様に、上部供給チューブ支持プレート150は、反応器100の所望の容量に適するようにサイズを拡大し、または減少させるように構成され得る。
【0164】
チューブバンドル130、およびチューブ支持プレート150、162、163、164、165の配置は有利には、反応器の熱伝達および反応器動力学の原因を示し得る。
【0165】
図14~16に移れば、上部プレート190が示されている。上部プレート190は、上部供給チューブ支持プレート150の上に、または上方に設置され得る。上部プレート190は構成がモジュラー式であり、およびフランジ191により、取り囲まれた4つの別個のセグメント192を画定し得る。上部プレート190は、プレートエッジ194、プレート190の厚さの少なくとも一部を通って画定された1つまたは複数のチューブ穴202、およびプレート190の厚さの少なくとも一部を通って画定された1つまたは複数のガス開口204を画定し得る。上記チューブ穴202は、チューブバンドル130のチューブ131の配置とおおむね整列し、およびチューブ131から反応器100の空間113(図5B)内への、予熱された反応物の通過を容易にするように構成され得る。
【0166】
上記ガス開口204は、触媒床140内への、予熱された反応物の通過を容易にし、および適切な流れの分配を確実にする。上部プレート190は、触媒床へ流入する流れをできる限り均一にするために小さな圧力降下を生じさせるように構成され得る。上部プレート190は有利には、製造すること、ならびに/またはメンテナンス目的で操作することが困難であり、および/もしくはコストがかかる重い、ならびに/または複雑な設計を利用し得る既存の手法に対して図示されており、および表されたような単純化された設計を使用して、流れの分配の改善された均一性を実現するように構成される。
【0167】
上部プレート190がフランジ191へ外側に延在し得るので、ガス開口204は、触媒支持プレート154内のような間隙を残すことなく、実質的にエッジ194へ延在し得る。上部プレート190は、触媒支持プレート154と比較して、低減させられた厚さを有し得る。実施形態では、上部プレート190は、1~25mmの、より具体的には5~15mmの、および実施形態では8mmの厚さを有する。
【0168】
上部プレート190は、任意の好適な機構により、たとえば、プレート190の各セクションのエッジにおいて、対応する開口193(図15)と協働する締結部材196の使用により、除去可能にシェル102に、ならびに/または上部プレートおよびチューブ支持プレート150に取り付けられるように構成される。上部プレート190の締結部材196は、上部プレート190と、上部供給チューブ支持プレート150との間に延在しており、ならびに上部供給チューブ支持プレート150に溶接され、たとえばタック溶接され得る1つまたは複数のスペーサ174と協働し得る。
【0169】
実施形態では、スペーサ174は、スペーサ174の厚さの一部を通って画定された軌道または凹所内に締結部材196の相手側端を受容するのに十分な高さおよび/または周長を有し、これが、上部供給チューブ支持プレート150への、上部プレート190の強固な取り付けを可能にし得る。スペーサ174の高さは、1~30mm、より具体的には5~20mm、および実施形態では15mmであり得る。スペーサ174は、放射状支材166、環状の帯168、ブラケット172、またはその他のものに溶接され得る。見ての通り、締結部材196、および対応するスペーサ174は、締結部材、およびスペーサ196、174が各コーナーに、および上部プレート190のセクション194の内部エッジに沿って設けられるように位置している場合がある。
【0170】
上部プレート190はさらに、1つまたは複数のロードリング195を備えており、または上記1つまたは複数のロードリング195と協働し得る。上記ロードリング195は、上部プレート190のセクション194の位置決めおよび/または除去を容易にするように構成された任意の好適な構成要素であり得る。ロードリング195は、1つもしくは複数のガス開口204を通して、または任意の他の好適な位置で取り付け、ならびに除去可能に上部プレート190に固定し、および上記上部プレート190を操作するための構成要素を画定し得る。実施形態では、ロードリング195は、反応器シェル102から離れる方向に上部プレート190を持ち上げるための工具により、上部プレート190を操作者が把持することを可能にするように構成される。
【0171】
上部プレート190に、別個の複数のセクション194をモジュラー式に設けることにより、上部プレート190は、上部プレート190が反応物を分配し、および触媒床140を固定することができることを犠牲にすることなく、メンテナンス作業中により容易に除去可能であり、および交換可能である。上部プレート190のモジュラー式構成は、一体構成のプレート190ではなく同一の複数のセクション192が製造され得るので、製造プロセスを、よりコストが低く、および、より複雑でないものにする。上部プレート190の配置の一利点は、工場作業員が、除去されたセクション194により、設けられた開口を通して触媒を装填している間に上部プレート190の複数のセクション194の1つの上に立つことができることである。
【0172】
図17~19に移れば、反応器100の1つまたは複数のノズルとの使用のための保持プレート210が図示されており、表されている。保持プレート210は、触媒取り出しノズル116および/またはハンドホール118を固定し得る。保持プレート210は、ハンドル212を備えている場合があり、およびノズル116により、画定されたリップ214と協働するように構成される。実施形態では、ノズル116は、任意の好適なパターンに、ノズルの開口のまわりに円周方向に配置された複数のリップ214を画定しており、保持プレート210は、図17にみられるようにリップ214の内面に当接するように構成される。実施形態では、複数のリップ214は、任意の角度、たとえば15°、20°、30°、45°、60°、90°、またはその他のものだけ間隔が空けられている。複数のリップ214の配置は対称または非対称であり得る。ノズル116のフランジ117は、1つまたは複数の開口211であって、好適なスプールにノズル116を接続するために、好適なファスナが上記1つまたは複数の開口211を通して受容され得る、1つまたは複数の開口211を画定し得る。
【0173】
特定の実施形態では、複数のリップ214は、触媒取り出しノズル116またはハンドホール118により、画定された周方向開口の最底部セクションBのまわりを延在するものでない。むしろ、図19にみられるように、最底部セクションBは、触媒粒子が触媒取り出し中に重力の影響下で自由に流れ得るように、遮られていない。保持プレート210の配置は、触媒取り出し中に触媒が速く流れすぎるのを防止する。
【0174】
図20に移れば、実施形態による反応器300が図示されており、および表されている。「300」シリーズの参照番号は、「100」シリーズの参照番号により、既に表されているものと同様の、または同一の特徴を含み得る。反応器300は、上述されたような上部プレート350を有するチューブバンドルが受容され、および固定される場合があり、ならびに入口ノズル320および出口ノズル324を画定するシェル302を備えている。シェル302はさらに、熱電対挿入ノズル306を画定し、および/または支持するドーム型上部304を備えており、または上記ドーム型上部304と協働し得る。ドーム型上部304は、フランジ312により、シェル302に固定され得る。反応器300は軸20A-20Aを中心に長手方向に延在する。触媒床340は、反応器シェル302により、画定された内部空間内の好適な高さを延在し得る。
【0175】
反応器300は、長手方向軸20A-20Aを中心に、または実質的に上記長手方向軸20A-20Aと平行に、もしくは整列して、および触媒床340を通って延在している熱電対挿入チューブ326をさらに画定する。熱電対挿入チューブ326は、上述されたようなチューブバンドルと、一体化されており、または独立している場合がある。熱電対挿入チューブ326は、同様に長手方向軸20A-20Aを中心に延在している温度測定装置310を受容するように構成される。温度測定装置310は多素子熱電対であり得る。多素子熱電対は、反応器300に沿った複数の位置で温度の測定値を得るように構成される。
【0176】
図20にみられるように、温度測定装置310は、8つの測定位置382A、382B、382C、382D、382E、382F、382G、382Hを反応器300の長さに沿って備えている場合があり、および終端327へ延在している。温度測定装置310は全長330Iを有し得る。位置382A、382B、382C、382D、382E、382F、382G、382Hはそれぞれ、距離330A、330B、330C、330D、330E、330F、330Gだけ、間隔が空けられている場合がある。距離330A、330B、330C、330D、330E、330F、330Gは、測定位置が反応器300に沿って等間隔であるような同じ距離である場合があり、または特定のプロセスの必要性に応じて、異なる距離である場合がある。
【0177】
熱電対挿入チューブ326は、たとえば、温度測定装置310が反応器内部の温度を測定することを可能にするために、位置382A、382B、382C、382D、382E、382F、382G、382Hで、または上記位置382A、382B、382C、382D、382E、382F、382G、382H近傍で熱電対挿入チューブ326内の開口を画定することにより、温度測定装置310が位置382A、382B、382C、382D、382E、382F、382G、382Hで測定値を得ることを可能にするように好適に構成され得る。温度測定装置が表されてきているが、本開示が他のタイプのセンサにもおよび、および多素子熱電対に限定されるものでないことが理解されよう。実施形態では、異なるセンサが、必要に応じて異なる位置に配置され得る。
【0178】
温度測定装置310、反応器300、および熱電対挿入チューブ326は有利には、熱電対接合部の数を削減することにより、特に、高圧および/もしくは高温サービスの場合に、ならびに/または水素、もしくは酸素に敏感な触媒が関与する反応の場合に、同時に漏れのリスクを最小にしながら反応器内の複数の位置での高細分性の反応器状態データを提供することにより、改善されたプロセスコントロールを容易にする。温度測定装置310、反応器300、および熱電対挿入チューブ326の構成は、熱電対挿入チューブ326および温度測定装置310の配置が、反応器のサイズにかかわらず、内部反応器状態の正確な測定を可能にするので反応器の設計の拡張性をさらに向上させ、反応器の側壁面から半径方向にサーモウェルが配置された反応器を監視すること、および、より大きな反応器の場合に、反応器の中心近くよりもシェル近くの状態を不釣り合いに測定することの困難性を軽減する。
【0179】
さらに、少なくとも図2および7にみられるように、反応器は、複数の温度測定装置を備え得る。上記温度測定装置は、反応器シェルに対して、および互いに対して任意の好適な構成で配置され得る。図2および7の実施形態では、たとえば、温度測定装置は、同じ距離だけ、反応器の中心長手方向軸からオフセットされており、および互いに反対側に配置され得る。複数の温度測定装置間の距離は、反応器、特に触媒床内の熱分配への干渉または、上記熱分配における攪乱を最小にするように構成され得る。距離は、反応物および生成物の流れ、ならびに、よって熱分配に対する、結果として生じる途絶により、複数の温度測定装置の間で、または近傍でホットスポットが生じる最小しきい値より上になるように選択され得る。最小しきい値より上に複数の温度測定装置を配置することは、それにより、反応器の性能の乱れを回避し、および測定値の精度を向上させる。
【0180】
複数の温度測定装置は、異なる目的を果たす場合があり、および/または互いに補完的であり得る。図2および7の実施形態では、温度測定装置は、図20に関して表されるような複数の多素子熱電対である。複数の多素子熱電対の1つがプロセスコントロールシステムに接続され得る一方、複数の多素子熱電対の第2のものは安全計装システムに接続され得る。
【0181】
複数の多素子熱電対を設けることにより、有利には、反応器内の特定の位置、すなわち高さでの、温度の測定が確認される。複数の多素子熱電対から得られる複数の信号間の差がある場合、それは、たとえば、特定の高さでのホットスポットの発生を判定するために使用され、操作者が必要に応じて調整を行うことを可能にし得る。任意の好適な構成での任意の好適な数の熱電対が使用され得ることが認識されよう。
【0182】
反応器の実施形態は、反応器および触媒床を通って長手方向に延在する複数の供給チューブを備える。チューブバンドルは、複数の熱電対挿入チューブであって、複数の供給チューブと平行に延在しており、および多素子熱電対などの温度測定装置を、それらを通って受容するように構成された、複数の熱電対挿入チューブを画定し得る。複数の熱電対挿入チューブは、反応器の中心から異なる距離をおいて延在するように構成され得る。
【0183】
上記複数の距離は、中心からの複数の異なる距離における温度分布の測定を可能にするように構成され得る。特に、これは、特定の規模での反応器の設計を検証するのに役立ち、本開示の実施形態の反応器の拡張性をさらに高め得る。これは、温度測定の細分性が向上させられて、および関連付けられた応答を、プロセスコントロールシステムを使用して調整することができて、反応器のプロセスコントロールをさらに強化する。実施形態では、複数の熱電対挿入チューブの半径方向の構成は、予測されたホットスポットと一致するように決定され得る。
【0184】
これは、操作者が、ホットスポットがいつ形成されたかをすばやく、および正確に判定し、および、それに応じて対応し、それにより、暴走反応を防止することを可能にする。複数の熱電対挿入チューブの構成はさらに、反応器シェルのサイズに対応するようにチューブバンドルに対して決定され得る。より小さな反応器では、たとえば、より少ない熱電対挿入チューブが利用され得るが、熱電対挿入チューブの数、およびその構成の複雑さは、より大きな反応器において増大し得る。
【0185】
開示された実施形態による反応器を提供することにより、既存の反応器が、メンテナンスが必要な場合にアクセスすることが困難であること、および施設の処理能力の必要性に基づいて反応器を拡大/縮小することが困難であることという問題が対処される。本開示の反応器の実施形態は有利には、施設の設計の処理能力の必要性に基づいてモジュラー式に配置され、メンテナンスおよび触媒装填のために容易にアクセス可能であり、触媒、反応物、および熱の改善された均等な分配を容易にし、ならびに/または構築、輸送、設置、および運転中の堅牢な構造的支持を与えるように構成された、堅牢であるが、柔軟な反応器内部を備える反応器を提供する。
【0186】
図面および前述の説明において、反応器について図示され、および表されてきているが、それらは例証的であり、および制限的な性格を有しないものとされ、好ましい実施形態のみについて図示され、および表されていること、ならびに以下の請求項により、規定される実施形態の趣旨の範囲内に収まる変更、同等物、および修正すべてが保護されることが望まれることが理解される。
【0187】
よって、開示された実施形態の複数の特徴は、当業者により、本開示から理解されることになるように、特定の利点を実現するために組み合わせられ、または配置され得る。同様に、開示された実施形態の複数の特徴は、本明細書中に詳述されていない他の実施例に適用可能な独立した便益を与え得る。特に、開示された一実施形態からの任意の特徴が、開示された別の実施形態において採用され得る。
【0188】
必ずしもすべての目的または利点が本開示の任意の実施形態の下で実現され得る訳でないことが理解されるものとする。教示されたような一利点または利点群を、教示され、または示唆されたような他の目的もしくは利点を実現することなく、実現し、または最適化するやり方で反応器が実施され、または行われ得ることを当業者は認識するであろう。
【0189】
当業者は、開示された種々の特徴の互換性を認識するであろう。記載された変形以外に、特徴毎の他の既知の同等物が当業者により、混合され、および、マッチングされて、本開示の原理の下で反応器を製造し、または使用し得る。記載された特徴が他のタイプの反応器、反応スイート、化学種、およびプロセスに適合され得ることが当業者により、理解されよう。よって、本開示ならびに、その実施形態および変形は、メタノール合成プロセスに、またはシェルアンドチューブ反応器に限定されるものでないが、任意の化学プロセスにおいて利用され得る。
【0190】
本開示は反応器の特定の例示的な実施形態および実施例を説明しているが、したがって、本開示が、具体的に開示された実施形態を超えて、本開示の他の代替的な実施形態、および/または用途、ならびにそれらの明らかな修正および同等物におよぶことが当業者により、理解されよう。本開示が上記特定の開示された実施形態により、限定されるものでないことが意図されている。
【0191】
さらに、別途、示されていない限り、本明細書および請求項において使用される数量、構成要素、距離、または他の測定値を表す数値は、用語「about」またはその同義語により、任意的に修正されるものと理解されたい。用語「about」、「approximately」、「substantially」等が、記載された量、値、または状態とともに使用される場合、記載された量、値、または状態の20%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、または0.01%未満だけ逸脱している量、値、または状態を意味すると解され得る。本明細書で使用されるように、用語「between」は任意の参照された端点を含む。たとえば、「between 2 and 10」は、2および10をいずれも含んでいる。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】