(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】多重ヘリックスフレキシブルメカニズム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/008 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
A61B1/008 512
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543287
(86)(22)【出願日】2022-01-19
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 KR2022000963
(87)【国際公開番号】W WO2022158841
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0007614
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523271413
【氏名又は名称】株式会社ペラザ
【氏名又は名称原語表記】PERAZAH INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【氏名又は名称】藤野 香子
(72)【発明者】
【氏名】ソ ジョンテ
(72)【発明者】
【氏名】リュ ファンテク
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161HH39
(57)【要約】
多数のフレキシブルチューブを含み、前記多数のフレキシブルチューブのそれぞれは、長さ方向の一端に加えられる操作力を、長さ方向の他端に連結されるエンドエフェクタに伝達するために、少なくとも2本以上の操向ワイヤを、内部に長さ方向に直線配置し、前記フレキシブルチューブは、少なくとも2本以上設けられ、前記少なくとも2本以上のフレキシブルチューブは、長さ方向に沿って螺旋状に撚れて、フレキシブルチューブ群をなす。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に延在する多数のフレキシブルチューブを含み、
前記多数のフレキシブルチューブのそれぞれは、長さ方向の一端に加えられる操作力を、長さ方向の他端に連結されるエンドエフェクタに伝達するために、内部に長さ方向に直線配置される少なくとも2つ以上の操向ワイヤを有し、
前記フレキシブルチューブは、少なくとも2本以上設けられ、
前記少なくとも2本以上のフレキシブルチューブは、長さ方向に沿って螺旋状に撚れて、フレキシブルチューブ群をなす、多重ヘリックスフレキシブルメカニズム。
【請求項2】
更に、前記フレキシブルチューブの長さ方向に延在するフレキシブル軸を含み、
前記少なくとも2本以上のフレキシブルチューブは、前記フレキシブル軸の外周面の長さ方向に沿って螺旋状に撚れる、請求項1に記載の多重ヘリックスフレキシブルメカニズム。
【請求項3】
前記少なくとも2本以上のフレキシブルチューブは、互いに交互に同一の周期に撚れる、請求項1に記載の多重ヘリックスフレキシブルメカニズム。
【請求項4】
前記少なくとも2本以上のフレキシブルチューブの撚れ周期は、360度の倍数である、請求項3に記載の多重ヘリックスフレキシブルメカニズム。
【請求項5】
前記フレキシブルチューブは、内側に長さ方向に設けられる少なくとも1つの直線トンネルを含み、
いずれか1つの前記操向ワイヤは、いずれか1つの前記直線トンネルに貫挿される、請求項1に記載の多重ヘリックスフレキシブルメカニズム。
【請求項6】
更に、ハウジングチューブを含み、
前記ハウジングチューブは、長さ方向に延在し、
前記フレキシブルチューブ群は、前記ハウジング内に長さ方向に配置される、請求項1に記載の多重ヘリックスフレキシブルメカニズム。
【請求項7】
前記ハウジングチューブ内には、前記フレキシブルチューブ群の螺旋状経路を提供するための螺旋状レールが設けられる、請求項6に記載の多重ヘリックスフレキシブルメカニズム。
【請求項8】
ウォームと、前記ウォームと噛合して回転するウォームホイールとからなるウォームギアと、
前記ウォームホイールの内径側に設けられ、前記ウォームホイールの内径を貫通する前記フレキシブルチューブ群の長さ方向の一端側の外周面に締め付けられるクランプ部材と、
前記フレキシブルチューブ群が前記ウォームホイールの回転により、360度の倍数で撚れた場合、前記ウォームホイールの外径一側に対する押圧により、前記ウォームホイールの回転を拘束して、前記フレキシブルチューブ群の撚れ構造を維持させるウォームホイール固定ピンと、
前記ウォームホイール固定ピンを支持するマウント部とを含む、請求項1に記載の多重ヘリックスフレキシブルメカニズム。
【請求項9】
前記クランプ部材は、
前記ウォームホイールの内径側に固定される第1のクランプと、
前記フレキシブルチューブ群を挟んで、前記第1のクランプと対称をなすように配置される第2のクランプと、
前記第2のクランプに連結され、前記ウォームホイールに締め付けられる締結力により、前記第1のクランプ側に前記第2のクランプを押圧して、前記第1のクランプ及び第2のクランプにより抱き込まれた前記フレキシブルチューブ群を固定するクランプ加圧ピンとを含む、請求項8に記載の多重ヘリックスフレキシブルメカニズム。
【請求項10】
前記フレキシブルチューブ群の長さ方向の一端と他端には、前記フレキシブルチューブ群が360度の倍数で撚れているか否かを見込む整列目盛が、同一線上にそれぞれ表示されている、請求項8に記載の多重ヘリックスフレキシブルメカニズム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重ヘリックスフレキシブルメカニズムに関し、より詳しくは、ワイヤの弛み(slack)を防止し、末端に装着されたエンドエフェクタの動作を円滑に制御できるようにし、少なくとも2本以上のフレキシブルチューブは、長さ方向に沿って螺旋状に撚れ、各フレキシブルチューブ内には、操向ワイヤが長さ方向に沿って直線配置される、多重ヘリックスフレキシブルメカニズムに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルメカニズムは、屈曲のある狭い空間を観察又は治療するための医療用途、又はロボットのエンドエフェクタを制御するためのロボット用途として活用される。
【0003】
従来のフレキシブルメカニズムをより具体的に説明するために、
図1及び
図2を参照する。
【0004】
図1に示しているように、従来のフレキシブルメカニズム10は、バックボーン11と、多数の操向ワイヤ(W1、W2、W3)12と、操向操作装置の役割を果たすハンドラー14と、エンドエフェクタ15とを含む。前記バックボーン11は、所定の経路内に引き込まれ、その経路に沿って曲がることになる。前記操向ワイヤ12は、前記バックボーン11の長さ方向に沿って配置され、前記ハンドラー14から提供された操作力を、前記エンドエフェクタ15に伝達する。
【0005】
このように、操向ワイヤ12により、操作力を、ハンドラー14からエンドエフェクタ15に伝達する場合、バックボーンの姿勢、すなわち、バックボーンが通過する経路のずれによって、不要な操作力が発生する。
【0006】
より具体的な説明のために、
図1を参照すると、前記バックボーン11が直線状の場合、前記バックボーン11の第1の断面(ES1)と第2の断面(ES2)の間の距離は、Lである。この場合、前記バックボーン11内に設けられた前記操向ワイヤ(W1、W2、W3)の前記第1の断面(ES1)と前記第2の断面(ES2)の間の距離もLと同一である。この場合、バックボーン11と前記操向ワイヤ(W1、W2、W3)の長さが互いに同一であるので、相対的な変位は、0と理解される。
【0007】
この際、
図2に示しているように、前記フレキシブルメカニズム10にずれが発生した場合、前記バックボーン11と操向ワイヤ12の間の相対的な変位が生じる。例えば、
図2におけるA領域を参照すると、第1の操向ワイヤ(W1)は、前記第1の断面(ES1)と前記第2の断面(ES2)を過ぎて突出することになる。一方、
図2におけるB領域を参照すると、第3の操向ワイヤ(W3)は、前記第1の断面(ES1)から前記第2の断面(ES2)の間に至らなくなる。
【0008】
この場合、操向ワイヤ12がエンドエフェクタ15に及ぶ張力に不要な変化が生じるため、不要な操作が発生する問題があり、これにより、エンドエフェクタ5の動作制御が容易でないだけでなく、操向ワイヤ12が切れる現象が頻繁に発生する不都合があった。
【0009】
一方、応用分野の特性上、フレキシブルメカニズムの径が小さくなければならない場合、多数の操向ワイヤを1つのフレキシブルメカニズムに挿入するには、困難がある。このような場合は、多数のフレキシブルメカニズムを螺旋状に巻いた構造を用いることができる。
【0010】
ここで、従来の場合、それぞれのフレキシブル構造物内に挿入される操向ワイヤも、螺旋通路を介して挿入されて、螺旋状に巻いた構造をなすことになる。
【0011】
しかし、この場合でも、フレキシブルメカニズムにずれが発生すると、操向ワイヤが引かれ又は緩み、不要な操作が発生する問題を解決するには、限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、ワイヤの弛み(slack)を防止し、末端に装着されたエンドエフェクタの動作を円滑に制御することができる、多重ヘリックスフレキシブルメカニズムを提供することにある。
【0013】
本発明の目的は、前述したことに限定されない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明は、多重ヘリックスフレキシブルメカニズムを提供する。
【0015】
前記多重ヘリックスフレキシブルメカニズムは、長さ方向に延在する多数のフレキシブルチューブを含み、前記多数のフレキシブルチューブのそれぞれは、長さ方向の一端に加えられる操作力を、長さ方向の他端に連結されるエンドエフェクタに伝達するために、少なくとも2本以上の操向ワイヤを、内部に長さ方向に直線配置し、前記フレキシブルチューブは、少なくとも2本以上設けられ、前記少なくとも2本以上のフレキシブルチューブは、長さ方向に沿って螺旋状に撚れて、フレキシブルチューブ群をなすことを特徴とする。
【0016】
更に、前記フレキシブルチューブの長さ方向に延在するフレキシブル軸を含み、前記少なくとも2本以上のフレキシブルチューブは、前記フレキシブル軸の外周面の長さ方向に沿って螺旋状に撚れる。
【0017】
前記少なくとも2本以上のフレキシブルチューブは、互いに交互に同一の周期に撚れる。
【0018】
前記少なくとも2本以上のフレキシブルチューブの撚れ周期は、360度の倍数である。
【0019】
前記フレキシブルチューブは、内側に長さ方向に設けられる少なくとも1つの直線トンネルを含み、いずれか1つの前記操向ワイヤは、いずれか1つの前記直線トンネルに貫挿される。
【0020】
更に、ハウジングチューブを含み、前記ハウジングチューブは、長さ方向に延在し、前記フレキシブルチューブ群は、前記ハウジング内に長さ方向に配置される。
【0021】
前記ハウジングチューブ内には、前記フレキシブルチューブ群の螺旋状経路を提供するための螺旋状レールが設けられる。
【0022】
ウォームと、前記ウォームと噛合して回転するウォームホイールとからなるウォームギアと、前記ウォームホイールの内径側に設けられ、前記ウォームホイールの内径を貫通する前記フレキシブルチューブ群の長さ方向の一端側の外周面に締め付けられるクランプ部材と、前記フレキシブルチューブ群が前記ウォームホイールの回転により、360度の倍数で撚れた場合、前記ウォームホイールの外径一側に対する押圧により、前記ウォームホイールの回転を拘束して、前記フレキシブルチューブ群の撚れ構造を維持させるウォームホイール固定ピンと、前記ウォームホイール固定ピンを支持するマウント部とを含む。
【0023】
前記クランプ部材は、前記ウォームホイールの内径側に固定される第1のクランプと、前記フレキシブルチューブ群を挟んで、前記第1のクランプと対称をなすように配置される第2のクランプと、前記第2のクランプに連結され、前記ウォームホイールに締め付けられる締結力により、前記第1のクランプ側に前記第2のクランプを押圧して、前記第1のクランプ及び第2のクランプにより抱き込まれた前記フレキシブルチューブ群を固定するクランプ加圧ピンとを含む。
【0024】
前記フレキシブルチューブ群の長さ方向の一端と他端には、前記フレキシブルチューブ群が360度の倍数で撚れているか否かを見込む整列目盛が、同一線上にそれぞれ表示されている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、長さ方向に延在する多数のフレキシブルチューブを含み、前記多数のフレキシブルチューブのそれぞれは、長さ方向の一端に加えられる操作力を、長さ方向の他端に連結されるエンドエフェクタに伝達するために、少なくとも2本以上の操向ワイヤを、内部に長さ方向に直線配置し、前記フレキシブルチューブは、少なくとも2本以上設けられ、前記少なくとも2本以上のフレキシブルチューブは、長さ方向に沿って、螺旋状に撚れて、フレキシブルチューブ群をなす。
【0026】
これにより、ワイヤの弛み(slack)を防止する多重ヘリックスフレキシブルメカニズムが提供され、結果として、末端に装着されたエンドエフェクタに対する円滑な動作制御が可能となる。
【0027】
すなわち、本発明によると、エンドエフェクタに及ぶ張力に不要な変化が生じて、エンドエフェクタに対する不要な操作が発生することを防止又は最小化することができる、多重ヘリックスフレキシブルメカニズムを提供することができる。
【0028】
また、本発明によると、内視鏡に適用する場合、内視鏡の末端に連結されたエンドエフェクタの操向動作をより円滑にするだけでなく、寿命を延ばすことができる、多重ヘリックスフレキシブルメカニズムを提供することができる。
【0029】
更に、本発明によると、単一チャンネルの腹腔鏡手術に使用される手動型道具に適用可能な、多重ヘリックスフレキシブルメカニズムを提供することができる。
【0030】
また、本発明によると、屈曲した人体内に挿入される様々な人体挿入型診断及び治療機器に広く適用可能な、多重ヘリックスフレキシブルメカニズムを提供することができる。
【0031】
更に、本発明によると、屈曲したパイプライン内を診断する産業用内視鏡、長くて屈曲が生じる娯楽用装置、及び災難現場での救助作業のために投入される長くて屈曲した装置などに容易に適用可能な、多重ヘリックスフレキシブルメカニズムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、従来のフレキシブルメカニズムを説明するための図である。
【
図2】
図2は、従来のフレキシブルメカニズムを説明するための図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に係るフレキシブルメカニズムのフレキシブルチューブ群を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例に係るフレキシブルメカニズムのフレキシブルチューブを説明するための図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例に係るフレキシブルメカニズムを示す断面図である。
【
図6】
図6は、末端にエンドエフェクタが連結された、本発明の一実施例に係るフレキシブルメカニズムを示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の他の実施例に係るフレキシブルメカニズムを説明するための図である。
【
図8】
図8は、本発明の更に他の実施例に係るフレキシブルメカニズムを説明するための図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施例と比較例に対する実験結果を説明するための図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施例と比較例に対する実験結果を説明するための図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施例と比較例に対する実験結果を説明するための図である。
【
図12】
図12は、本発明の変形実施例によるフレキシブルメカニズムを説明するための図である。
【
図13】
図13は、本発明の変形実施例によるフレキシブルメカニズムを説明するための図である。
【
図14】
図14は、本発明の変形実施例によるフレキシブルメカニズムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好適な実施例を詳しく説明する。しかし、本発明の技術思想は、ここで説明される実施例に限定されず、他の形態に具体化することもできる。むしろ、ここで紹介される実施例は、開示された内容が徹底的で完全となるように、また、当業者に本発明の思想が十分伝達されるように提供される。
【0034】
本明細書において、ある構成要素が他の構成要素上にあるとする場合、それは、他の構成要素上に直接形成されるか、又は、それらの間に第3の構成要素が介在されることもできることを意味する。また、図面において、形状及びサイズは、技術的内容の効果的な説明のために誇張されている。
【0035】
また、本明細書の様々な実施例において、第1、第2、第3などの用語が多様な構成要素を記述するために使用されているが、これらの構成要素が、このような用語により限定されてはいけない。これらの用語は、単に、ある構成要素を他の構成要素と区別するために使われている。そこで、いずれか1つの実施例において、第1の構成要素として言及したものが、他の実施例では、第2の構成要素として言及されることもできる。ここで説明され例示される各実施例は、その相補的な実施例も含む。また、本明細書において、「及び/又は」は、前後に並べた構成要素のうち、少なくとも1つを含む意味として使用されている。
【0036】
明細書において、単数の表現は、文脈上、明白に異なることを意図しない限り、複数の表現をも含む。また、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、構成要素、又はこれらを組み合わせたことが存在することを指定しようとすることであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、構成要素、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を排除することと理解されてはいけない。また、本明細書において、「連結」は、複数の構成要素を間接的に連結すること、及び直接的に連結することをいずれも含む意味として使用される。
【0037】
また、下記で本発明を説明することに当たり、関連する公知機能又は構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を濁していると判断される場合は、その詳細な説明は、省略する。
【0038】
図3は、本発明の一実施例に係るフレキシブルメカニズムのフレキシブルチューブ群を説明するための図であり、
図4は、本発明の一実施例に係るフレキシブルメカニズムのフレキシブルチューブを説明するための図であり、
図5は、本発明の一実施例に係るフレキシブルメカニズムを示す断面図であり、
図6は、末端にエンドエフェクタが連結された、本発明の一実施例に係るフレキシブルメカニズムを示す図である。
【0039】
図3乃至
図5に示しているように、本発明の一実施例に係る多重ヘリックスフレキシブルメカニズム100は、フレキシブルチューブ110と、ワイヤ(W)とを含む。
【0040】
フレキシブルチューブ110は、所定の経路を提供する。例えば、多重ヘリックスフレキシブルメカニズム100が医療用に使われる場合、フレキシブルチューブ110は、人体内の例えば、大腸、食道などに沿って移動することができる。ここで、フレキシブルチューブ110は、人体内の屈曲によって曲がるフレキシブルな材質からなる。
【0041】
前記フレキシブルチューブ110が人体内の経路を移動するため、身体にやさしい物質からなることは言うまでもない。例えば、フレキシブルチューブ110がロボット用の目的に使われる場合でも、フレキシブルな素材からなる。
【0042】
このようなフレキシブルチューブ110は、長さ方向に延在する円筒状である。フレキシブルチューブ110には、フレキシブルチューブ110の長さ方向の一端及び他端にそれぞれ連結される操向操作装置、及びエンドエフェクタ(
図6の180)を連結する操向ワイヤ(W)が配置される。
【0043】
図4に示しているように、このために、フレキシブルチューブ110は、操向ワイヤ(W)の数に対応する直線トンネル111を含む。
【0044】
直線トンネル111は、フレキシブルチューブ110の内側に長さ方向に設けられる。直線トンネル111は、円筒状であり、長さ方向の両端部は、開放される。これにより、フレキシブルチューブ110の内側に設けられるいずれか1つの直線トンネル111には、いずれか1つの操向ワイヤ(W)が貫挿される。
【0045】
一方、本発明の一実施例によると、フレキシブルチューブ110は、少なくとも2本以上設けられる。例えば、フレキシブルチューブ110は、2本、3本、4本、・・・n本の選択された数で設けられる。ここで、フレキシブルチューブ110は、最大12本まで設けられるのが望ましい。
【0046】
これにより、本発明の一実施例に係るフレキシブルチューブ110は、第1のフレキシブルチューブ110aと、第2のフレキシブルチューブ110bと、第3のフレキシブルチューブ110cとを含む。
【0047】
このように、本発明の一実施例では、説明の便宜のために、フレキシブルチューブ110が、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cを含むことと想定したが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0048】
本発明の一実施例によると、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cは、長さ方向に沿って螺旋状に撚れ、換言すると、DNA構造と同様に、1つのフレキシブルチューブ群101をなす。
【0049】
ここで、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cは、互いに交互に同一の周期に撚れる。ここで、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cの撚れ周期は、360度の倍数である。
【0050】
一実施例によると、第1のフレキシブルチューブ110aは、時計方向に回転しながら、螺旋状に撚れる。また、第2のフレキシブルチューブ110bは、反時計方向に回転しながら、第1のフレキシブルチューブ110aの外周面に、長さ方向に螺旋状に巻かれる。そして、第3のフレキシブルチューブ110cは、時計方向に回転しながら、第1のフレキシブルチューブ110a及び第2のフレキシブルチューブ110bの外周面に、長さ方向に螺旋状に巻かれる。
【0051】
ここで、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cは、同じ周期及び周期内の位相を有する。すなわち、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cの節と腹は、同一である。
【0052】
ここで、フレキシブルチューブ群101のDNAと同様な形状は、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cを、長さ方向に沿って螺旋状に撚れた後、これを紫外線硬化物質に含浸し、その後、これを取り出して紫外線照射することで、維持される。しかし、本発明は、これに制限されるものではない。
【0053】
図5に示しているように、操向ワイヤ(W)は、フレキシブルチューブ110の長さ方向に沿って、一直線に配置される。具体的に、操向ワイヤ(W)は、フレキシブルチューブ110の長さ方向に形成されている直線トンネル111に貫挿され、これにより、フレキシブルチューブ110の長さ方向に直線配置される。
【0054】
操向ワイヤ(W)は、長さ方向の一端に連結された操向操作装置に加えられた操作力で張力が調節されることで、長さ方向の他端に連結されたエンドエフェクタ(
図6の180)を制御する駆動力を伝達することができる。
【0055】
このような操向ワイヤ(W)は、複数設けられる。例えば、操向ワイヤ(W)がn本設けられる場合、n本の操向ワイヤ(W)は、エンドエフェクタ(
図6の180)のn-1本の自由度を制御することができる。ここで、前記nは、自然数である。
【0056】
本発明の一実施例によると、操向ワイヤ(W)は、第1の操向ワイヤ(W1)と、第2の操向ワイヤ(W2)と、第3の操向ワイヤ(W3)とを含む。これにより、操向ワイヤ(W)は、エンドエフェクタ(
図6の180)の2自由度を制御することができる。
【0057】
このように、本発明の一実施例では、説明の便宜のために、操向ワイヤ(W)が、第1の操向ワイヤ(W1)、第2の操向ワイヤ(W2)、及び第3の操向ワイヤ(W3)を含むことを想定しているが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0058】
第1の操向ワイヤ(W1)、第2の操向ワイヤ(W2)、及び第3の操向ワイヤ(W3)は、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cのそれぞれの内側に配置される。この時、第1の操向ワイヤ(W1)、第2の操向ワイヤ(W2)、及び第3の操向ワイヤ(W3)は、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cのそれぞれの内側に、直線に配置される。
【0059】
すなわち、第1の操向ワイヤ(W1)、第2の操向ワイヤ(W2)、及び第3の操向ワイヤ(W3)は、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cのそれぞれの内側で長さ方向に平行配置される。
【0060】
本発明の一実施例において、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cは、DNA構造と同様に、長さ方向に沿って、螺旋状に撚れる形状に配置される。これにより、第1の操向ワイヤ(W1)、第2の操向ワイヤ(W2)、及び第3の操向ワイヤ(W3)は、互いに平行を維持したまま、螺旋状に撚れる。
【0061】
本発明の一実施例に係る多重ヘリックスフレキシブルメカニズム100は、長さ方向に沿って、螺旋状に撚れる少なくとも2本以上のフレキシブルチューブ110を有すると共に、それぞれのフレキシブルチューブ110内に直線方向に配置される操向ワイヤ(W)を有するため、フレキシブルチューブ110にずれが発生した場合でも、
図2で説明した操向ワイヤが、バックボーン(フレキシブルチューブ)の一端から不要に突出又は引き込まれることで、エンドエフェクタが不要に制御されることを最小化することができる。
【0062】
より具体的に、内側に直線方向に操向ワイヤ(W)が配置される少なくとも2本以上のフレキシブルチューブ110が、長さ方向に沿って螺旋状に撚れる、すなわち、DNA構造と同様な構造を有するため、フレキシブルメカニズム100にずれが生じた場合でも、前記操向ワイヤ(W1、W2、W3)の経路は、一定に維持される。
【0063】
前記フレキシブルチューブ110がずれると、前記フレキシブルチューブ110の内側領域は、初期状態よりも長さが短くなり、外側領域は、初期状態よりも長さが長くなる。ここで、前記操向ワイヤ(W1、W2、W3)は、それぞれのフレキシブルチューブ110の内側で直線配置されるため、前記フレキシブルチューブ110の内側領域と外側領域で発生する長さ変化にいずれも影響を受ける。
【0064】
この際、少なくとも2本以上のフレキシブルチューブ110が、長さ方向に沿って螺旋状に撚れた構造をなすため、操向ワイヤ(W)の緩む領域ときつい領域が互いに相殺することになる。これにより、操向ワイヤ(W1、W2、W3)は、フレキシブルメカニズム100にずれが発生した場合でも、前記フレキシブルチューブ110の長さ方向の一端と他端の間での長さは、同一に維持される。
【0065】
このような効果を奏するために、少なくとも2本以上のフレキシブルチューブ110が巻かれる周期は、360度の倍数となり、各フレキシブルチューブ110の内側に配置される操向ワイヤ(W)は、フレキシブルチューブ110の長さ方向に沿って、直線状をなす。
【0066】
ここで、各フレキシブルチューブ110は、互いに反対方向の螺旋方向に配置される。これとは異なり、各フレキシブルチューブ110が互いに同一の螺旋方向に配置される場合、フレキシブルチューブ110が一直線状の初期状態では問題がないが、操向ワイヤ(W)に張力が与えられた場合、フレキシブルチューブ110の形状が一直線を維持せず、捻れることになる。
【0067】
これは、操向ワイヤ(W)を引く場合、フレキシブルチューブ110により螺旋状に配置された操向ワイヤ(W)が一直線に広がろうとする力により、フレキシブルチューブ110の形状の変形を招くことと理解される。
【0068】
このように、本発明の一実施例によると、各フレキシブルチューブ110が互いに反対方向の螺旋に配置され、各フレキシブルチューブ110の内側に、操向ワイヤ(W)が一直線に配置されるため、操向ワイヤ(W)の張力が増加しても、フレキシブルチューブ110の形状変形を最小化することができる。
【0069】
これにより、本発明の一実施例によると、操向ワイヤ(W)の弛みを防止することができ、その結果、末端に連結されるエンドエフェクタ(
図6の180)の動作を円滑に制御することができる。
【0070】
すなわち、本発明の一実施例によると、エンドエフェクタ(
図6の180)に及ぶ張力に不要な変化が発生して、エンドエフェクタ(
図6の180)に対する不要な操作が発生することを防止又は最小化することができる。
【0071】
これにより、例えば、本発明の一実施例に係る多重ヘリックスフレキシブルメカニズム100が内視鏡に適用されると、この末端に連結されたエンドエフェクタの操向動作をより円滑にするだけでなく、寿命を延ばすことができ、単一チャンネルの腹腔鏡手術に使われる手動型道具にも適用することができる。
【0072】
すなわち、本発明の一実施例に係る多重ヘリックスフレキシブルメカニズム100は、前記のような効果を奏することで、屈曲した人体内に挿入される様々な人体挿入型診断及び治療機器に広く適用することができる。
【0073】
更に、本発明の一実施例に係る多重ヘリックスフレキシブルメカニズム100は、屈曲したパイプライン内を診断する産業用内視鏡、長くて屈曲が生じる娯楽用装置、及び災難現場での救助作業のために投入される長くて屈曲のある装置などに容易に適用可能である。
【0074】
図6は、本発明の一実施例に係る多重ヘリックスフレキシブルメカニズム100が、ロボット用ハンドに適用された姿を示している。
【0075】
図6に示しているように、フレキシブルチューブ110は、第1のフレキシブルチューブ110aと、第2のフレキシブルチューブ110bと、第3のフレキシブルチューブ110cとからなる。
【0076】
第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cは、長さ方向に沿って、螺旋状に撚れて、フレキシブルチューブ群101をなす。
【0077】
ここで、フレキシブルチューブ群101は、回転自由度を提供するジンバル140を貫通して、エンドエフェクタ180に接続される。ジンバル140は、図面を基準に、水平軸及び垂直軸方向の回転2自由度を、エンドエフェクタ180に提供する。
【0078】
本発明の一実施例によると、内側に操向ワイヤが直線配置されている第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cが互いに螺旋状に巻かれた状態で、ジンバル140を貫通することによって、ジンバル140が回転しても、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cのそれぞれの内側に配置されている操向ワイヤの張力状態は、そのまま維持される。
【0079】
以下、本発明の他の実施例に係る多重ヘリックスフレキシブルメカニズムについて、
図7を参照して説明する。
【0080】
図7は、本発明の他の実施例に係るフレキシブルメカニズムを説明するための図である。
【0081】
図7に示しているように、本発明の他の実施例に係るフレキシブルメカニズム200は、フレキシブルチューブ110と、フレキシブル軸120と、操向ワイヤW(
図5参照)とを含む。
【0082】
本発明の他の実施例は、本発明の一実施例と比較して、フレキシブル軸を更に備えているので、残りの同一の構成要素に対しては、同一の図面符号を付し、これらに関する詳細な説明は、省略することにする。
【0083】
本発明の他の実施例によると、フレキシブル軸120は、フレキシブルチューブ110の長さ方向に延在する。
【0084】
フレキシブル軸120は、円筒状である。フレキシブル軸120は、フレキシブルな材質からなる。このようなフレキシブル軸120は、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cの巻取経路を提供する。
【0085】
すなわち、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cは、フレキシブル軸120の外周面の長さ方向に沿って、螺旋状に撚れることになる。
【0086】
このように、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び 第3のフレキシブルチューブ110cが、フレキシブル軸120を中心に螺旋状に撚れることになると、螺旋状に撚れる形状が、フレキシブル軸120により支持されて、より安定した形状が維持される。
【0087】
以下、本発明の更に他の実施例に係る多重ヘリックスフレキシブルメカニズムについて、
図8を参照して説明する。
【0088】
図8は、本発明の更に他の実施例に係るフレキシブルメカニズムを説明するための図である。
【0089】
図8に示しているように、本発明の更に他の実施例に係るフレキシブルメカニズム300は、フレキシブルチューブ110と、ハウジングチューブ130と、操向ワイヤW(
図5参照)とを含む。
【0090】
本発明の更に他の実施例は、本発明の一実施例と比較して、ハウジングチューブをさらに備えているので、残りの同一の構成要素に対しては、同一の図面符号を付し、これらに関する詳細な説明は、省略することにする。
【0091】
本発明の更に他の実施例に係るハウジングチューブ130は、フレキシブルチューブ110の長さ方向に延在する。
【0092】
ハウジングチューブ130は、円筒状である。ハウジングチューブ130は、フレキシブルな材質からなる。例えば、ハウジングチューブ130は、フレキシブルチューブ110と同一の材質からなる。
【0093】
このようなハウジングチューブ130は、内側にフレキシブルチューブ110、より詳しくは、複数のフレキシブルチューブ110a、110b、110cが、長さ方向に螺旋状に撚れてなすフレキシブルチューブ群101の装着空間を提供する。
【0094】
このために、ハウジングチューブ130内には、フレキシブルチューブ群101の螺旋状経路を提供するための螺旋状レールが設けられる。
【0095】
このように、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び 第3のフレキシブルチューブ110cが螺旋状に撚れてなすフレキシブルチューブ群101が、ハウジングチューブ130内に配置されると、フレキシブルチューブ群101がハウジングチューブ130により支持されて、より安定した形状を維持することができる。
【0096】
以下、本発明の実施例による多重ヘリックスフレキシブルメカニズムの特性について、
図9乃至
図11を参照して説明する。
【0097】
図9乃至
図11は、本発明の実施例1と比較例1に対する実験結果を説明するための図である。
【0098】
図9に示しているように、実施例1では、3本のフレキシブルチューブ110(フレキシブルチューブ1、フレキシブルチューブ2、フレキシブルチューブ3)が、長さ方向に沿って、螺旋状に360度の周期で撚れた構造をなし、各フレキシブルチューブ110の内側に、4本の操向ワイヤW(W1、W2、W3、W4)が、フレキシブルチューブ110の長さ方向に沿って、一直線に配置された手首モジュールを製作した。
【0099】
比較例1では、3本のフレキシブルチューブ110(フレキシブルチューブ1、フレキシブルチューブ2、フレキシブルチューブ3)が、長さ方向に沿って、螺旋状に360度の周期で撚れた構造をなし、各フレキシブルチューブ110の内側に、4本の操向ワイヤW(W1、W2、W3、W4)が、フレキシブルチューブ110の長さ方向に沿って、同様に螺旋状に360度の周期で撚れた構造で配置された手首モジュールを製作した。
【0100】
ここで、通路(lumen)(操向ワイヤが配置されるフレキシブルチューブの内側トンネル)の長さを求めるために、離散長さ積分方式を用いており、これによるシミュレーション結果を、
図10及び
図11、表1乃至表6に示した。
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
図10、
図11及び前記表1乃至表6から分かるように、実施例1と比較例1のそれぞれの手首モジュールに対して、手首モジュールが広がり状態とずれ状態となったとき、それぞれの通路(lumen)の長さ変化を比較したところ、実施例1の場合、手首モジュールが直線の場合とずれた場合の各ワイヤの長さ変化は、-0.096乃至-0.015mmであると測定された。
【0108】
一方、比較例1の場合は、手首モジュールが直線の場合とずれた場合の各ワイヤの長さ変化は、-0.606乃至0.606mmあると測定された。
【0109】
そこで、フレキシブルチューブが長さ方向に沿って螺旋状に撚れ、各フレキシブルチューブの内側には、一直線状の操向ワイヤが配置される実施例1は、フレキシブルチューブと操向ワイヤがいずれも、螺旋状に撚れた比較例1に比べて、手首モジュールがずれても、各操向ワイヤからエンドエフェクタに及ぶ張力が一定に維持され、その結果、操向ワイヤの弛みを効率よく防止することができると確認された。
【0110】
実施例1のように、複数のフレキシブルチューブが長さ方向に沿って螺旋状に撚れ、各フレキシブルチューブの内側に配置される操向ワイヤが一直線に配置される構造は、ロボットハンド設計において、それぞれの指駆動のために使われる操向ワイヤの長さが、手首の回転により引かれるか緩む影響を受けなくするために使用される。
【0111】
以下、本発明の変形実施例によるフレキシブルメカニズムについて、
図12乃至
図14を参照して説明する。
【0112】
図12乃至
図14は、本発明の変形実施例によるフレキシブルメカニズムを説明するための図である。
【0113】
図12に示しているように、本発明の変形実施例によるフレキシブルメカニズムは、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cを、長さ方向に沿って螺旋状に撚れて、フレキシブルチューブ群101を形成し、これを維持するための手段を含む。
【0114】
これにより、本発明の変形実施例によるフレキシブルメカニズムは、ウォームギア140、クランプ部材150、ウォームホイール固定ピン160と、マウント部170とを含む。
【0115】
ウォームギア140は、ウォーム141と、前記ウォーム141と噛合して回転するように、前記ウォーム141とギア結合するウォームホイール142とからなる。本発明の変形実施例によると、このようなウォームホイール142の内径中心で、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cの長さ方向の一端が貫通される。
【0116】
クランプ部材150は、ウォームホイール142の内径側に設けられる。クランプ部材150は、ウォームホイール142の内径中心を貫通する第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cの長さ方向の一端側外周面に締め付けられて、これらを一体に固定する。
【0117】
本発明の変形実施例によると、このようなクランプ部材150は、第1のクランプ151と、第2のクランプ152と、クランプ加圧ピン153とを含む。
【0118】
第1のクランプ151は、ウォームホイール142の内径側に固定される。第1のクランプ151は、ウォームホイール142の内径側に固定した状態で、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cの下側(図面基準)を支持する。
【0119】
第2のクランプ152は、積層されている第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cを挟んで、第1のクランプ151と対称をなすように、これらのフレキシブルチューブ110a、110b、110cの上側(図面基準)を支持する。すなわち、これらのフレキシブルチューブ110a、110b、110cは、この上下側に配置される第1のクランプ151と第2のクランプ152により、押圧支持される。
【0120】
クランプ加圧ピン153は、第2のクランプ152を加圧する。このために、クランプ加圧ピン153は、第2のクランプ152に連結される。クランプ加圧ピン153は、ウォームホイール142の半径方向外側から内側方向にボルト結合される。
【0121】
クランプ加圧ピン153の長さ方向の下端は、ウォームホイール142にボルト結合に際して下降し、第2のクランプ152の上側(図面基準)に接触することになる。ここで、クランプ加圧ピン153のボルト結合が続く場合、クランプ加圧ピン153の長さ方向の下端から第2のクランプ152の上端に加えられるクランプ加圧ピン153の加圧力は、増加し続け、これにより、第1のクランプ151と第2のクランプ152により外周面を円周方向に抱き込まれたフレキシブルチューブ110a、110b、110cは、これらにより押圧固定される。
【0122】
このように、クランプ加圧ピン153は、ウォームホイール142に締め付けられる締結力により、第1のクランプ151側に第2のクランプ152を付勢し、これにより、フレキシブルチューブ110a、110b、110cは、第1のクランプ151と第2のクランプ152の間に押圧固定される。
【0123】
ウォームホイール固定ピン160は、ウォームホイール142の外径一側に対する押圧により、ウォームホイール142の回転を拘束することができる。フレキシブルチューブ110a、110b、110cがウォームホイール142の回転により、360度の倍数で撚れてフレキシブルチューブ群101をなす場合、ウォームホイール固定ピン160は、ウォームホイール142の更なる回転を拘束して、フレキシブルチューブ群101の撚れ構造が維持されるようにする。
【0124】
このようなウォームホイール固定ピン160は、マウント部170に装着され、マウント部170により支持される。ここで、ウォームホイール固定ピン160は、マウント部170にボルト結合される方式で結合されることで、ウォームホイール142の外周面を押圧することができる。すなわち、ウォームホイール固定ピン160は、クランプ加圧ピン153と同一のメカニズムにより、ウォームホイール142の回転を拘束することができる。
【0125】
図13に示しているように、初期セットに際して、ウォームホイール142の中心部分に、直線状に相互積層されている第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cの長さ方向の一端が貫通される。
【0126】
これらのフレキシブルチューブ110a、110b、110cの長さ方向の一端は、クランプ部材150により押圧支持され、ウォームホイール142の中心部分に貫通した形状に位置される。ここで、これらのフレキシブルチューブ110a、110b、110cの長さ方向の他端は、固定した状態をなす。
【0127】
図14に示しているように、この状態で、ウォームギア140を動作させると、長さ方向の他端が固定した第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cの長さ方向の一端が、ウォームギア140のウォームホイール142と一体に回転することになり、これにより、長さ方向に沿って螺旋状に撚れたフレキシブルチューブ群101が形成される。
【0128】
ここで、ウォームギア140は、フレキシブルチューブ群101の撚れ周期が、360度の倍数となるように、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cの長さ方向の一端を回転することができ、完了に際して、ウォームホイール固定ピン160により、更なる回転を拘束することができる。
【0129】
ここで、フレキシブルチューブ群101の長さ方向の一端と他端、より詳しくは、第1のフレキシブルチューブ110aの長さ方向の一端と他端には、整列目盛(G)が同一線上にそれぞれ表示される。
【0130】
これにより、ウォームホイール142の回転により、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cの長さ方向の一端を回転させて、これらを螺旋状に撚れて、フレキシブルチューブ群101をなす場合、フレキシブルチューブ群101の撚れ周期が360度の倍数をなすか否かを、容易に見込むことができる。
【0131】
すなわち、ウォームホイール142を回転させる場合、第1のフレキシブルチューブ110aの長さ方向の一端と他端にそれぞれ表示されている整列目盛(G)が、同一線上に位置するかを確認し、ウォームホイール142の回転程度を適切に制御することができる。
【0132】
第1のフレキシブルチューブ110aの長さ方向の一端と他端にそれぞれ表示されている整列目盛(G)が同一線上に位置するとは、フレキシブルチューブ群101をなすために、第1のフレキシブルチューブ110a、第2のフレキシブルチューブ110b、及び第3のフレキシブルチューブ110cの撚れ周期が360度の倍数をなすことを意味する。
【0133】
以上、本発明を好適な実施例を用いて詳しく説明したが、本発明の範囲は、特定の実施例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲により解析されるべきである。また、当該技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の範囲から逸脱しない範囲で、修正と変形が可能であることを理解するだろう。
【国際調査報告】