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特表2024-503162電池集電体及びその製造方法、二次電池、電池モジュール、電池パックと電力消費装置
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  • 特表-電池集電体及びその製造方法、二次電池、電池モジュール、電池パックと電力消費装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】電池集電体及びその製造方法、二次電池、電池モジュール、電池パックと電力消費装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/66 20060101AFI20240118BHJP
   H01M 4/80 20060101ALI20240118BHJP
   H01M 4/70 20060101ALI20240118BHJP
   C22C 1/08 20060101ALI20240118BHJP
   B22F 3/11 20060101ALI20240118BHJP
   B22F 7/06 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H01M4/66 A
H01M4/80 C
H01M4/70 A
C22C1/08 D
C22C1/08 F
B22F3/11 B
B22F7/06 D
B22F7/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567171
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(85)【翻訳文提出日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 CN2021127540
(87)【国際公開番号】W WO2023070548
(87)【国際公開日】2023-05-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】王 慢慢
(72)【発明者】
【氏名】葛 ▲銷▼明
【テーマコード(参考)】
4K018
5H017
【Fターム(参考)】
4K018AA03
4K018AA06
4K018AA07
4K018AA13
4K018AA14
4K018AA24
4K018BA02
4K018BA03
4K018BA04
4K018BA07
4K018BA08
4K018BA13
4K018CA02
4K018HA08
4K018JA29
4K018JA34
4K018KA22
4K018KA38
5H017AA03
5H017BB04
5H017BB06
5H017BB11
5H017BB14
5H017BB17
5H017CC01
5H017CC28
5H017DD03
5H017DD08
5H017EE01
5H017EE04
5H017EE05
5H017HH02
5H017HH03
5H017HH08
(57)【要約】
本出願は、電池集電体及びその製造方法、二次電池、電池モジュール、電池パックと電力消費装置を提供する。電池集電体は、発泡金属層(1)と、シート状金属層である強度補強層(2)とを含み、強度補強層(2)と発泡金属層(1)と積層設置され、且つ冶金的に結合され、集電体の力学的性能が悪いという関連技術における問題を改善している。強度補強層(2)と発泡金属層(1)と冶金的な結合方式で接続されることは、強度補強層(2)と発泡金属層(1)の構造強度を保証するのに有利であり、強度補強層(2)と発泡金属層(1)との間の良好な導電性能の実現を保証するのにも有利であり、さらに、冶金的に結合されている方式を採用することは、製造コストの削減にも有利である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池集電体であって、
発泡金属層(1)と、
シート状金属層である強度補強層(2)とを含み、前記強度補強層(2)と前記発泡金属層(1)と積層設置され、且つ冶金的に結合されている、電池集電体。
【請求項2】
前記発泡金属層(1)と前記強度補強層(2)は溶接され、又は
前記発泡金属層(1)と前記強度補強層(2)は一体化として焼結成形されている、請求項1に記載の電池集電体。
【請求項3】
前記発泡金属層(1)は、前記強度補強層(2)の一方側に設けられる第1の発泡金属層(11)と、前記強度補強層(2)の他方側に設けられる第2の発泡金属層(12)とを含む、請求項1又は2に記載の電池集電体。
【請求項4】
前記強度補強層(2)に貫通孔が設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の電池集電体。
【請求項5】
前記電池集電体は、集電体本体と、前記集電体本体の幅方向に沿う外側に位置する、タブを形成するための端部とを含み、前記集電体本体は、積層設置される前記発泡金属層(1)と前記強度補強層(2)とを含み、前記端部は、前記強度補強層(2)を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の電池集電体。
【請求項6】
前記強度補強層(2)は、幅方向で両端がともに前記発泡金属層(1)と面一であり、又は
前記強度補強層(2)は、幅方向で一端が前記発泡金属層(1)から突出し、他端が前記発泡金属層(1)と面一であり、又は
前記強度補強層(2)は、幅方向で両端がそれぞれ前記発泡金属層(1)から突出する、請求項1から5のいずれか1項に記載の電池集電体。
【請求項7】
前記発泡金属層(1)の材質は、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、マグネシウム、チタン、鋼と合金のうちの少なくとも1つであり、及び/又は
前記強度補強層(2)の材質は、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、マグネシウム、チタン、鋼と合金のうちの少なくとも1つである、請求項1から6のいずれか1項に記載の電池集電体。
【請求項8】
前記発泡金属層(1)の厚さは10~100μmであり、及び/又は
前記強度補強層(2)の厚さは4~12μmである、請求項1から7のいずれか1項に記載の電池集電体。
【請求項9】
前記発泡金属層(1)の気孔率は20%~90%であり、選択的に、前記発泡金属層(1)の気孔率は80%~85%である、請求項1から8のいずれか1項に記載の電池集電体。
【請求項10】
電池集電体の製造方法であって、
発泡金属層(1)を形成するための第1層の材料を敷設し、前記第1層の材料を第1層のビレットにプレスし、前記第1層の材料は、金属粉末と前記金属粉末に混合された造孔剤とを含むことと、前記第1層のビレット上に、強度補強層(2)を形成するための第2層の材料を敷設し、前記第2層の材料を第2層のビレットにプレスし、前記第2層の材料は、金属粉末を含むこととを含む材料プレスステップと、
前記材料プレスステップで形成されたプレス後の材料を焼結することを含む焼結ステップとを含む、電池集電体の製造方法。
【請求項11】
前記材料プレスステップは、前記第2層のビレット上に、前記発泡金属層(1)を形成するための第3層の材料を敷設し、前記第3層の材料を第3層のビレットにプレスすることをさらに含み、前記第3層の材料は、金属粉末と前記金属粉末に混合された造孔剤とを含む、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記第1層の材料のプレス圧力は、前記第3層の材料のプレス圧力以下である、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記第1層の材料のプレス圧力は150~350MPaであり、
前記第3層の材料のプレス圧力は150~350MPaである、請求項11又は12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記材料は焼結時に、不活性ガスの保護雰囲気にあり、及び/又は
前記材料の焼結温度は700-1000℃であり、及び/又は、
前記材料の焼結時間は5-8時間である、請求項10から13のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
電池集電体の製造方法であって、
発泡金属層(1)を形成するための合金箔シートと前記強度補強層(2)を形成するための金属箔シートを積み重ね、前記合金箔シートと前記金属箔シートを加熱して両者を溶接させて中間体を形成することを含む溶接ステップと
前記中間体を腐食性溶液に入れることにより、前記合金箔シートのうちの1つ又は複数の元素を除去して前記合金箔シートを前記発泡金属層(1)に形成することを含む発泡化ステップとを含む、電池集電体の製造方法。
【請求項16】
前記溶接ステップでは、前記金属箔シートの両側には、それぞれ前記合金箔シートが積み重ねられている、請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記腐食性溶液は、希塩酸溶液、硫酸アンモニウム溶液、HSOとMnSOとを混合した電解液、酢酸溶液、リン酸溶液と硫酸溶液のうちの少なくとも1つを含み、及び/又は
前記合金箔シートは、黄銅箔シートを含み、及び/又は
前記金属箔シートは、純銅箔シートを含む、請求項15又は16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記合金箔シートと前記金属箔シートを積み重ねる前に、前記金属箔シート上に複数の貫通孔を形成する、請求項15から17のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項19】
請求項1から9のいずれか1項に記載の電池集電体、又は、請求項10から18のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された電池集電体を含む、二次電池。
【請求項20】
請求項19に記載の二次電池を含む、ことを特徴とする電池モジュール。
【請求項21】
請求項20に記載の電池モジュールを含む、ことを特徴とする電池パック。
【請求項22】
請求項19に記載の二次電池、請求項20に記載の電池モジュール又は請求項21に記載の電池パックのうちから選択される少なくとも1つを含む、ことを特徴とする電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池技術分野に関し、特に電池集電体及びその製造方法、二次電池、電池モジュール、電池パックと電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人々のエネルギーに対する需要の絶えない増加と環境保護意識の絶えない強化に伴い、新型エネルギーはますます人々の重視を受けている。
【0003】
二次電池はよく見られる新型エネルギーであり、集電体は二次電池の重要な構成部品であり、集電体は活物質を担持する作用を果たすだけでなく、電気化学反応の電子を集めて外部回路に導くことによって、化学エネルギーを電気エネルギーに転化する過程を実現する。発泡金属材質の集電体の力学的性能は比較的に悪いため、発泡金属材質の集電体を負極集電体として応用する際に打ち抜いたタブ又はスピン溶接によるタブの強度が低く、破断しやすいなどの問題を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、発泡金属材質の集電体の力学的性能が悪いという関連技術における問題を改善するための電池集電体及びその製造方法、二次電池、電池モジュール、電池パックと電力消費装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の一方面によれば、電池単体に用いられる電池集電体を提供する。電池集電体は発泡金属層とシート状金属層である強度補強層とを含み、強度補強層と発泡金属層と積層設置され、且つ冶金的に結合され、集電体の力学的性能が悪いという関連技術における問題を改善している。強度補強層と発泡金属層は冶金的な結合方式で接続され、強度補強層と発泡金属層の界面間で原子が相互に拡散して結合するため、冶金的に結合されている接続方式は、強度補強層と発泡金属層の構造強度を保証するのに有利であるだけでなく、強度補強層と発泡金属層との間の良好な導電性能の実現を保証するのにも有利であり、さらに、冶金的に結合されている方式を採用することは、製造コストの削減にも有利である。
【0006】
いくつかの実施例では、発泡金属層と強度補強層は溶接され、加工プロセスが簡単であり、生産効率が高いという利点を有する。
【0007】
いくつかの実施例では、発泡金属層と強度補強層は一体化として焼結成形され、金属粉末の成分又は異なる粉末の配合比率を制御することによって、集電体の材質とパラメータを制御する(例えば、造孔剤の割合を制御することによって、気孔率を制御する)ことができ、実際の必要に応じて集電体の性能パラメータを調整するのに有利である。さらに、発泡金属層と強度補強層とが焼結成形されることは、接続プロセスにおいて発生する残留応力を低減するのにも有利であり、それによって巻回プロセスにおいて集電体が割れないことを保証する。
【0008】
いくつかの実施例では、そのうち、発泡金属層は、強度補強層の一方側に設けられる第1の発泡金属層と、強度補強層の他方側に設けられる第2の発泡金属層とを含み、集電体が対称式の電極構造の特徴を満たすようにする。
【0009】
いくつかの実施例では、そのうち、強度補強層の両側の電池液を互いに流すように、強度補強層に貫通孔が設けられる。
【0010】
いくつかの実施例では、そのうち、電池集電体は、集電体本体と、集電体本体の幅方向に沿う外側に位置する、タブを形成するための端部とを含み、集電体本体は積層設置される発泡金属層と強度補強層とを含み、端部は強度補強層を含み、それによってタブを形成する集電体の領域の力学的性能を保証し、集電体の一端に位置するタブと導電部品と溶接されるときに生じる欠陥を回避する。
【0011】
いくつかの実施例では、強度補強層は幅方向で両端がともに発泡金属層と面一であり、タブを形成するための集電体の端部は強度補強層を有し、それによってタブを形成する集電体の領域の力学的性能を保証し、集電体の一端に位置するタブと導電部品と溶接されるときに生じる欠陥を回避する。
【0012】
いくつかの実施例では、強度補強層は幅方向で一端が発泡金属層から突出し、他端が発泡金属層と面一であり、タブを構成する強度補強層が集電体の一端に残されることは、電池の加工工程の簡略化、生産効率の向上に有利である。
【0013】
強度補強層は幅方向で両端がそれぞれ発泡金属層から突出し、タブを構成する強度補強層が集電体の両端に残されることは、電池の加工工程の簡略化、生産効率の向上に有利である。さらに、タブを構成する強度補強層が集電体の両端に残されることは、後工程の選択肢を広げることができる。
【0014】
いくつかの実施例では、そのうち、発泡金属層の材質は銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、マグネシウム、チタン、鋼と合金のうちの少なくとも1つであり、強度補強層の材質は銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、マグネシウム、チタン、鋼と合金のうちの少なくとも1つであることによって、集電体に良好な耐折り曲げ性と折り曲げ易さを持たせ、集電体をロール状に巻回することを容易にする。
【0015】
いくつかの実施例では、発泡金属層の厚さは10~100μmであり、強度補強層の厚さは4~12μmであり、発泡金属層と電池の活物質との十分な接触を保証しつつ、集電体の良好な耐折り曲げ性を保証することもできる。
【0016】
いくつかの実施例では、そのうち、発泡金属層の気孔率は20%~90%であり、選択的に、発泡金属層1の気孔率は80%~85%である。発泡金属層と電池の活物質との十分な接触を保証しつつ、集電体の良好な耐折り曲げ性を保証することもできる。
【0017】
本出願の別の方面によれば、上記の電池集電体の製造方法をさらに提供する。製造方法は、材料プレスステップと焼結ステップとを含み、材料プレスステップは、発泡金属層を形成するための第1層の材料を敷設し、第1層の材料をプレスすることと、第1層のビレット上に、強度補強層を形成するための第2層の材料を敷設し、第2層の材料を第2層のビレットにプレスし、第2層の材料は、金属粉末を含むこととを含む。焼結ステップは、材料プレスステップで形成されたプレス後の材料を焼結することを含む。金属粉末の成分又は異なる粉末の配合比率を制御することによって、集電体の材質とパラメータを制御することができ(例えば、造孔剤の割合を制御することによって、気孔率を制御する)、実際の必要に応じて集電体の性能パラメータを調整するのに有利である。さらに、発泡金属層と強度補強層とが焼結成形されることは、接続プロセスにおいて発生する残留応力を低減するのにも有利であり、それによって巻回プロセスにおいて集電体が割れないことを保証する。
【0018】
いくつかの実施例では、そのうち、材料プレスステップは、第2層のビレット上に、発泡金属層を形成するための第3層の材料を敷設し、第3層の材料を第3層のビレットにプレスすることをさらに含み、第3層の材料は、金属粉末と金属粉末に混合された造孔剤とを含み、それによって集電体が対称式の電極構造の特徴を満たすようにする。
【0019】
いくつかの実施例では、そのうち、第1層の材料のプレス圧力は、第3層の材料のプレス圧力以下であり、第1の発泡金属層と第2の発泡金属層の性能パラメータを一致させるのに有利である。
【0020】
いくつかの実施例では、前記第1層の材料のプレス圧力は150~350MPaであり、前記第3層の材料のプレス圧力は150-350MPaである。
【0021】
いくつかの実施例では、そのうち、材料は焼結時に、不活性ガスの保護雰囲気にあり、焼結のプロセスにおいて金属粉末が酸化するのを防止し、及び/又は、前記材料の焼結温度は700-1000℃であり、及び/又は、前記材料の焼結時間は5-8時間である。
【0022】
本出願の別の方面によれば、上記の電池集電体の製造方法をさらに提供する。溶接ステップと発泡化ステップとを含む。溶接ステップは、発泡金属層を形成するための合金箔シートと強度補強層を形成するための金属箔シートを積み重ね、合金箔シートと金属箔シートを加熱して両者を溶接させて中間体を形成することを含む。発泡化ステップは、中間体を腐食性溶液に入れることにより、合金箔シートのうちの1つ又は複数の元素を除去して合金箔シートを発泡金属層に形成することを含む。発泡金属層と強度補強層は溶接され、加工プロセスが簡単であり、生産効率が高いという利点を有する。
【0023】
いくつかの実施例では、溶接ステップでは、金属箔シートの両側には、それぞれ合金箔シートが積み重ねられて、集電体が対称式の電極構造の特徴を満たすようにする。
【0024】
いくつかの実施例では、腐食性溶液は希塩酸溶液、硫酸アンモニウム溶液、HSOとMnSOとを混合した電解液、酢酸溶液、リン酸溶液と硫酸溶液のうちの少なくとも1つを含み、及び/又は、合金箔シートは黄銅箔シートを含み、及び/又は、金属箔シートは純銅箔シートを含む。
【0025】
いくつかの実施例では、そのうち、合金箔シートと金属箔シートを積み重ねる前に、強度補強層の両側の電池液を互いに流すように、金属箔シート上に複数の貫通孔を形成する。
【0026】
本出願の別の方面によれば、二次電池をさらに提供する。この二次電池は、上記の電池集電体又は上記の製造方法によって製造された電池集電体を含む。
【0027】
本出願の別の方面によれば、電池モジュールをさらに提供する。この電池モジュールは、上記の二次電池を含む。
【0028】
本出願の別の方面によれば、電池パックをさらに提供する。この電池パックは、上記の二次電池を含む。
【0029】
本出願の別の方面によれば、電力消費装置をさらに提供する。電力消費装置は、上記の二次電池、上記の電池モジュール又は上記の電池パックのうちから選択される少なくとも1つを含む。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本出願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下は、本出願の実施例において使用される必要な添付図面を簡単に紹介する。自明なことに、以下に記述された添付図面は、本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、添付図面に基づいて他の添付図面を得ることもできる。
図1】本出願の1つの選択可能な実施例による電池集電体の構造概略図である。
図2】本出願のもう1つの選択可能な実施例による電池集電体の構造概略図である。
図3】本出願のもう1つの選択可能な実施例による電池集電体の構造概略図である。
図4】本出願の一実施例による二次電池の概略図である。
図5図4に示す本出願の一実施例による二次電池の分解図である。
図6】本出願の一実施例による電池モジュールの概略図である。
図7】本出願の実施例におけるタブ引張力試験の原理図である。
【0031】
添付図面において、添付図面は、実際の縮尺通りに描かれてはいない。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面と実施例を結び付けて、本出願の実施形態をさらに詳しく記述する。以下の実施例の詳細な記述と図面は、本出願の原理を例示的に説明するためのものであるが、本出願の範囲を限定するために使用されることはできず、即ち、本出願は、記述される実施例に限定されない。
【0033】
本明細書の記述において、説明すべきこととして、特に説明されていない限り、「複数」は二つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語によって指示される方位又は位置関係は、単に本出願の記述を容易にし、記述を簡略化するためのものであり、指示される装置又は要素が特定の方位を有し、特定の方位で構成して操作しなければならないことを指示又は示唆するものではないため、本出願を限定するものとして理解されるべきではない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、単に記述のためのものであり、相対的な重要性を指示又は示唆するものとして理解されるべきではない。「垂直」とは、厳密な意味での垂直ではなく、誤差許容範囲内である。「平行」とは、厳密な意味での平行ではなく、誤差許容範囲内である。
【0034】
下記の記述に現れる方位用語は、いずれも図に示す方向であり、本出願の具体的な構造を限定するものではない。本出願の記述において、さらに説明すべきこととして、特に明記し、限定する場合を除き、「取り付け」、「繋がり」、「接続」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接的な繋がりであってもよく、中間媒体を介した間接的な繋がりであってもよい。当業者にとって、本出願における上記の用語の具体的な意味は、具体的な状況に応じて理解されてもよい。
【0035】
本出願に開示される「範囲」は、下限及び上限の形式で限定され、所定範囲は、特定の範囲の境界を限定する1つの下限と1つの上限を選定することによって限定される。このように限定される範囲は、端値を含んでもよいし、含まなくてもよく、且つ任意に組み合わせてもよく、即ち、任意の下限と任意の上限とを組み合わせて1つの範囲を形成してよい。例えば、特定のパラメータに対して60~120と80~110の範囲がリストアップされた場合、60~110と80~120の範囲ことも予想できるとして理解される。なお、リストアップされた最小範囲値が1と2で、かつリストアップされた最大範囲値が3、4と5である場合、1~3、1~4、1~5、2~3、2~4と2~5の範囲の全ては予想できるものである。本出願において、別段の記載がない限り、数値範囲「a~b」は、aないしbの間のいずれの実数の組み合わせを表す短縮表現を表し、そううち、aとbはいずれも実数である。例えば、数値範囲「0~5」は、本明細書で「0~5」の間の全ての実数がリストアップされていることを意味し、「0~5」はこれら数値の組み合わせの短縮表現にすぎない。また、あるパラメータ≧2の整数であると記述している場合、このパラメータは例えば、整数2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12などであることを開示していることに相当する。
【0036】
特に説明されていない限り、本出願の全ての実施形態及び選択可能な実施形態は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成してもよい。
【0037】
特に説明されていない限り、本出願の全ての技術的特徴及び選択可能な技術的特徴は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成してもよい。
【0038】
特に説明されていない限り、出願の全てのステップは、順次行われてもよく、ランダムに行われてもよく、好ましくは、順次行われる。例えば、前記方法がステップ(a)と(b)とを含むことは、前記方法が順次行われるステップ(a)と(b)とを含んでもよく、順次行われるステップ(b)と(a)とを含んでもよいことを表す。例えば、以上で言及した前記方法がステップ(c)をさらに含むことは、ステップ(c)が任意の順で前記方法に追加されてもよいことを表し、例えば、前記方法は、ステップ(a)、(b)と(c)を含んでもよく、ステップ(a)、(c)と(b)を含んでもよく、ステップ(c)、(a)と(b)などを含んでもよい。
【0039】
特に説明されていない限り、本出願で言及した「含む」と「包含」は、開放型を表し、閉鎖型であってもよい。例えば、前記「含む」と「包含」は、リストアップされていない他の成分をさらに含むか又は包含してもよく、リストアップされた成分のみを含むか又は包含してもよいことを表してもよい。
【0040】
特に説明されていない限り、本出願において、用語「又は」は包括的である。例えば、「A又はB」というフレーズは、「A、B、又はAとBの両方」を表す。より具体的には、Aが真であり(又は存在し)かつBが偽である(又は存在しない)条件と、Aが偽である(又は存在しない)がBが真である(又は存在する)条件と、また、AとBが共に真である(又は存在する)条件のいずれかも「A又はB」を満たしている。
【0041】
図1から図3に示すように、集電体の端部でタブを打ち抜いたり、電池集電体のタブと導電部品とを溶接したりする際に破断が発生しやすいという関連技術における問題を改善するために、本実施例の電池集電体は、発泡金属層1と、発泡金属層1に積層設置される強度補強層2とを含む。
【0042】
発泡金属層1の基体には、多数の連通又は非連通孔を有することによって、発泡金属層1の基体と電池の活物質を十分に接触させる。
【0043】
強度補強層2は、シート状金属層である。本出願におけるシート状金属層とは、内部に気孔のない、非発泡構造の、金属材質のシート状構造をいう。説明すべきこととして、内部に気孔のない非発泡構造は、貫通する貫通孔又は表面凹みを有してもよい。本実施例の電池集電体は強度補強層2を含み、集電体の力学的性能が悪いという関連技術における問題を改善している。
【0044】
本実施例では、強度補強層2と発泡金属層とが冶金的に結合されている。冶金的に結合されていることは、2つの金属部品の界面間で原子が相互に拡散して形成される結合であり、この結合又は接続状態は、温度及び/又は圧力の作用によって形成される。強度補強層2と発泡金属層1とは冶金的な結合方式で接続され、強度補強層と発泡金属層の界面間で原子が相互に拡散して結合する。冶金的に結合されている接続方式は、接着等の他の接合方式と比べて、強度補強層2と発泡金属層1の構造強度を保証するのに有利であるだけでなく、強度補強層2と発泡金属層1との間の良好な導電性能の実現を保証するのにも有利であり、さらに、冶金的に結合されている方式を採用することは、製造コストの削減にも有利である。
【0045】
いくつかの実施例では、強度補強層2の材質が銅、銅質である強度補強層2は、集電体の力学的性能を強化するだけでなく、集電体に良好な溶接性と導電性を持たせ、さらに、集電体の耐折り曲げ性を保証して、集電体をロール状に巻回するプロセスにおける破断を防止するのにも有利である。強度補強層2は、他の優れた強度、導電性能、塑性靭性を有する材料、例えば、ニッケル、アルミニウム、鉄、マグネシウム、チタン、鋼と合金を選択することもできる。
【0046】
いくつかの実施例では、発泡金属層1は発泡銅を含む。発泡銅は、良好な導電性を有し、電池の内部抵抗を下げるのに有利であり、発泡銅は集電体をロール状に巻回するプロセスにおける破断を避けるように、良好な耐折り曲げ性も有する。発泡金属層1は、他の優れた導電性能と塑性靭性を有する材料、例えば、ニッケル、アルミニウム、鉄、マグネシウム、チタン、鋼と合金を選択することもできる。
【0047】
いくつかの実施例では、発泡金属層1と強度補強層2とは溶接される。集電体は、発泡金属層1を形成するための合金箔シートと、強度補強層2を形成するための金属箔シートと溶接して形成される。この実施例では、合金箔シートと金属箔シートの2種類の箔材を溶接して集電体を形成し、加工プロセスが簡単であり、生産効率が高いという利点を有する。
【0048】
別のいくつかの実施例では、発泡金属層1と強度補強層2は、一体化として焼結成形されている。発泡金属層1と強度補強層2とは、それぞれ異なる金属粉末によって焼結されるものであり、発泡金属層1と強度補強層2とは、焼結によって接合され、生産プロセスにおいて、金属粉末の成分又は異なる粉末の配合比率を制御することによって、集電体の材質とパラメータを制御する(例えば、造孔剤の割合を制御することによって、気孔率を制御する)ことができ、実際の必要に応じて集電体の性能パラメータを調整するのに有利であり、さらに、発泡金属層1と強度補強層2焼結成形も、接続プロセスにおいて発生する残留応力を低減するのにも有利であり、それによって巻回プロセスにおいて集電体が割れないことを保証する。
【0049】
いくつかの実施例では、発泡金属層1は、強度補強層2の一方側に設けられる第1の発泡金属層11と、強度補強層2の他方側に設けられる第2の発泡金属層12とを含み、集電体が対称式の電極構造の特徴を満たすようにする。
【0050】
強度補強層2の両側の電池液を互いに流すように、強度補強層2に貫通孔が設けられる。
【0051】
電池集電体は、集電体本体と、集電体本体の幅方向に沿う外側に位置する、タブを形成するための端部とを含み、集電体本体は、積層設置される発泡金属層1と強度補強層2とを含み、端部は強度補強層2を含み、それによってタブを形成する集電体の領域の力学的性能を保証し、集電体の一端に位置するタブと導電部品と溶接されるときに生じる欠陥を回避する。
【0052】
図1に示すように、本出願のいくつかの選択可能な実施例では、強度補強層2は幅方向で両端がともに発泡金属層1と面一であり、タブを形成するための集電体の端部は強度補強層2を有し、それによってタブを形成する集電体の領域の力学的性能を保証し、集電体の一端に位置するタブと導電部品と溶接されるときに生じる欠陥を回避する。
【0053】
図2に示すように、本出願の別のいくつかの選択可能な実施例では、強度補強層2は幅方向で一端が発泡金属層1から突出し、他端と発泡金属層1と面一であり、強度補強層2が発泡金属層1から突出する部分は、集電体のタブを構成するために用いられ、タブを構成する強度補強層2が集電体の一端に残されることは、電池の加工工程の簡略化、生産効率の向上に有利である。
【0054】
図3に示すように、本出願の別のいくつかの選択可能な実施例では、強度補強層2は、幅方向で両端がそれぞれ発泡金属層1から突出し、タブを構成する強度補強層2が集電体の両端に残されることは、電池の加工工程の簡略化、生産効率の向上に有利である。さらに、タブを構成する強度補強層2が集電体の両端に残されることは、後工程の選択肢を広げることができる。
【0055】
いくつかの実施例では、発泡金属層1の厚さは、10~100μmである。発泡金属層1の厚さが小さすぎると、対応する発泡金属層1内の気孔も少なくなり、発泡金属層1と電池内の活物質との接触面も小さくなる。発泡金属層1の厚さが大きすぎると、発泡金属層1の耐折り曲げ性が低下し、集電体をロール状に巻回するプロセスにおいて破断が発生しやすい。発泡金属層1の厚さは、10~100μmであり、発泡金属層1と電池の活物質との十分な接触を保証しつつ、集電体の良好な耐折り曲げ性を保証することもできる。
【0056】
いくつかの実施例では、強度補強層2の厚さは、4~12μmである。強度補強層2の厚さが大きいほど、集電体の力学的性能が良くなるが、それに応じて、集電体の折り曲げ易さが低下し、それによって集電体がロール状に巻き取られにくくなる。強度補強層2の厚さは、4~12μmであり、集電体の良好な力学的性能を保証しつつ、集電体の良好な折り曲げ易さを保証することもできる。
【0057】
いくつかの実施例では、発泡金属層1の気孔率は20%~90%である。気孔率とは、多孔質の固体材料の内部の気孔に対する体積が材料の全体積に占める割合である。発泡金属層1の気孔率が大きいほど、発泡金属層1と電池の活物質との接触面積が大きくなる。しかし、対応する発泡金属層1の耐折り曲げ性が低下し、集電体をロール状に巻回するプロセスにおいて破断が発生しやすい。発泡金属層1の気孔率は20%~90%であり、発泡金属層1と電池の活物質との十分な接触を保証しつつ、集電体の良好な耐折り曲げ性を保証することもできる。
【0058】
別のいくつかの実施例では、発泡金属層1の気孔率は80%~85%であり、発泡金属層1の気孔率が80%~85%である電池集電体を採用する電池体積エネルギー密度が高く、気孔率を20%から80%又は85%に向上させ、質量エネルギー密度を58%程度向上させることができる。本出願の別の方面によれば、材料プレスステップと焼結ステップとを含む上記の電池集電体の製造方法をさらに提供する。
【0059】
材料プレスステップは、発泡金属層1を形成するための第1層の材料を敷設し、第1層の材料を第1層のビレットにプレスし、第1層の材料は、金属粉末と金属粉末に混合された造孔剤とを含むことと、第1層のビレット上に、強度補強層2を形成するための第2層の材料を敷設し、第2層の材料を第2層のビレットにプレスし、第2層の材料は、金属粉末を含むこととを含む。
【0060】
焼結ステップは、材料プレスステップで形成されたプレス後の材料を焼結することを含む。
【0061】
発泡金属層1と強度補強層2は一体化として焼結成形されている。発泡金属層1と強度補強層2とは、それぞれ異なる金属粉末によって焼結されるものであり、発泡金属層1と強度補強層2とは、焼結によって接合され、生産プロセスにおいて、金属粉末の成分又は異なる粉末の配合比率を制御することによって集電体の材質とパラメータを制御する(例えば、発泡金属層1の気孔率)ことができ、実際の必要に応じて集電体の性能パラメータを調整するのに有利である。さらに、発泡金属層1と強度補強層2とが焼結成形されることは、接続プロセスにおいて発生する残留応力を低減するのにも有利であり、それによって巻回プロセスにおいて集電体が割れないことを保証する。
【0062】
いくつかの実施例では、上記の造孔剤の粒度は0.1~0.7mmであり、上記の金属粉末の粒度は0.05~0.1mmである。いくつかの実施例では、金属粉末は銅粉末である。いくつかの実施例では、造孔剤は可溶性塩又は高温分解性塩であり、造孔剤はNaCl又は尿素であってもよい。
【0063】
製造方法は、材料プレスステップの前の材料準備ステップをさらに含む。材料準備ステップは、第1の材料層の材料準備を含み、第1の材料層の材料準備は、造孔剤粒子を粒径の異なる粒子に篩分けることと、金属粉末と造孔剤とを均一に混合することとを含む。本実施例では、造孔剤粒子は、球状又は球状に近い形状であってもよく、篩分けによって、平均粒径0.1~0.7mmの粒度を有する造孔剤粒子が得られる。
【0064】
そのうち、金属粉末と造孔剤とを均一に混合することは、粒度0.05~0.1mmの純銅粉と、上記粒径の造孔剤粒子とを均一に混合し、そのうち、純銅粉と上記粒径の造孔剤粒子との体積比は1:9~8:2であり、その後、適量の有機溶媒を添加し、0.4~1時間程度攪拌して混合粉体を形成することを含む。
【0065】
材料準備ステップは、第2の材料層の材料準備を含み、第2の材料層の材料準備は、金属粉末と有機溶媒とを均一に混合することとを含む。
【0066】
そのうち、材料プレスステップは、第2層のビレット上に、発泡金属層1を形成するための第3層の材料を敷設することをさらに含み、第3層の材料を第3層のビレットにプレスし、第3層の材料は、金属粉末と金属粉末に混合された造孔剤とを含む。いくつかの実施例では、第3の材料層の材料は、第1の材料層の材料と同じである。
【0067】
そのうち、第1層のビレットと第3層のビレットの厚さは同一である。第1層のビレットと第3層のビレットの厚さは、10~100μmである。第2層のビレットの厚さは、4~12μmである。
【0068】
そのうち、第1層の材料のプレス圧力は第3層の材料のプレス圧力以下であり、第1層の材料が複数回プレスされるため、第1層の材料のプレス圧力が第3層の材料のプレス圧力以下であることは、第1の発泡金属層11と第2の発泡金属層12の性能パラメータを一致させるのに有利である。いくつかの実施例では、第1層の材料のプレス圧力と第3層の材料のプレス圧力とのうちの少なくとも一つは100~350Mpaである。
【0069】
そのうち、材料は焼結時に、不活性ガスの保護雰囲気にあり、焼結のプロセスにおいて金属粉末が酸化するのを防止する。いくつかの実施例では、不活性ガスはアルゴンガスを含む。
【0070】
具体的には、焼結ステップは、多層ビレットを保護雰囲気に置き、焼結炉内で700-1000℃で5~8時間焼結することと、焼結して冷水冷却したサンプルを、流れている脱イオン水及び無水エタノールで十分に洗浄し、最終製品を得ることとを含む。
【0071】
図1では、上記の製造方法を用いて製造される本実施例の電池集電体が示されている。この電池集電体の強度補強層2の両側は、それぞれ第1の発泡金属層11と第2の発泡金属層12である。強度補強層2は、純銅層であり、第1の発泡金属層11と第2の発泡金属層12の気孔率がともに35%~40%であり、両者の厚さはすべて40~50μmである。強度補強層2の厚さは、5~6μmである。強度補強層2と発泡金属層1は幅方向で両端がともに面一である。
【0072】
いくつかの実施例では、造孔剤粒子が球状又は球状に近い形状であってもよいため、本実施例の第1の発泡金属層11と第2の発泡金属層12で形成される孔は、円形又は円形に近い形状の閉鎖孔であってもよく、貫通孔であってもよい。いくつかの実施例では、孔は第1の発泡金属層11と第2の発泡金属層12に均一に分布している。
【0073】
本出願の別の方面によれば、上記の電池集電体の別の製造方法をさらに提供し、この製造方法は、溶接ステップと発泡化ステップとを含む。
【0074】
溶接ステップは、発泡金属層1を形成するための合金箔シートと強度補強層2を形成するための金属箔シートを積み重ね、合金箔シートと金属箔シートを加熱して両者を溶接させて中間体を形成することを含む。発泡化ステップは、中間体を腐食性溶液に入れることにより、合金箔シートのうちの1つ又は複数の元素を除去して合金箔シートを発泡金属層1に形成することを含む。合金箔シートと金属箔シートの2種類の箔材を溶接して集電体を形成し、加工プロセスが簡単であり、生産効率が高いという利点を有する。
【0075】
いくつかの実施例では、腐食性溶液は希塩酸溶液を含み、合金箔シートは黄銅箔シートを含み、金属箔シートは純銅箔シートを含む。
【0076】
別のいくつかの実施例では、腐食性溶液は、硫酸アンモニウム溶液、HSOとMnSOとを混合した電解液、酢酸溶液、リン酸溶液と硫酸溶液のうちの一つを含む。
【0077】
溶接ステップでは、金属箔シートの両側に、それぞれ合金箔シートが積み重ねられて、集電体が対称式の電極構造の特徴を満たすようにする。
【0078】
製造方法は、溶接ステップ前の裁断ステップをさらに含み、裁断ステップは合金箔シートと金属箔シートを所定幅の予備材料に裁断することを含む。本実施例では、合金箔シートと金属箔シートの幅を同一とすることによって、発泡金属層1と強度補強層2は幅方向で両端がともに面一である集電体を容易に形成する。別のいくつかの実施例では、合金箔シートの幅を金属箔シートの幅よりも小さくすることによって、強度補強層2は幅方向で一端又は両端が発泡金属層1から突出する集電体を容易に形成する。
【0079】
製造方法は、溶接ステップ前の、合金箔シートと金属箔シートの表面を洗浄する清浄処理ステップをさらに含む。いくつかの実施例では、清浄処理ステップは裁断ステップの後にあり、裁断ステップにおける箔シートの二次汚染を防止することを図る。
【0080】
具体的には、清浄処理ステップは、合金箔シートと金属箔シートを無水エタノール溶液に浸漬し、清浄処理を行って、箔材表面の粉塵と金属粒子を除去し、その後、合金箔シートと金属箔シートを風箱に入れて風乾することを含む。
【0081】
具体的には、溶接ステップは、清浄処理後の箔シートを合金箔シート、金属箔シート及び合金箔シートの順に積層した後、積層した箔シートを温度700~920℃の焼結炉で焼結して多層箔シートを溶接させることを含み、焼結時間は、合金箔シートと金属箔シートとの接触面の融合を満たすことに準拠する。積層とは、箔シートの幅を完全に重なるか、幅方向の端部をずらして設置することである。
【0082】
具体的には、発泡化ステップは、溶接後の多層箔シートを希塩酸溶液に浸漬して黄銅における亜鉛元素を除去することを含む。
【0083】
製造方法は、発泡化ステップ後の洗浄ステップをさらに含む。具体的には、清洗ステップは、発泡化ステップで得られた材料を清水に入れて超音波処理を行い、表面に吸着したイオンを除去し、最終の集電体を得ることを含む。
【0084】
製造方法は、合金箔シートと金属箔シートを積み重ねる前に、金属箔シート上に複数の貫通孔を形成して、強度補強層2の両側の電池液を互いに流すことをさらに含む。
【0085】
図2では、上記の製造方法を用いて製造される本出願の1つの実施例の電池集電体が示されている。この電池集電体の強度補強層2の両側は、それぞれ第1の発泡金属層11と第2の発泡金属層12である。強度補強層2は、純銅層であり、第1の発泡金属層11と第2の発泡金属層12の気孔率がともに35%~40%であり、両者の厚さはすべて40~50μmである。強度補強層2の厚さは、5~6μmである。強度補強層2は、幅方向で一端が発泡金属層1から突出する。
【0086】
図3では、上記の製造方法を用いて製造される本出願の1つの実施例の電池集電体が示されている。この電池集電体の強度補強層2の両側は、それぞれ第1の発泡金属層11と第2の発泡金属層12である。強度補強層2は、純銅層であり、第1の発泡金属層11と第2の発泡金属層12は、気孔率がいずれも45%~50%であり、両者の厚さはすべて30~40μmである。強度補強層2の厚さは、5~6μmである。強度補強層2は、幅方向で両端がそれぞれ発泡金属層1から突出する。
【0087】
また、以下では、添付図面を適当に参照しながら、本出願の二次電池、電池モジュール、電池パックと電力消費装置について説明する。
【0088】
本出願の一実施形態では、二次電池を提供する。
【0089】
一般的には、二次電池は正極極板と、負極極板と、電解質とセパレータとを含む。電池の充放電過程において、活性イオンは、正極極板と負極極板との間で往復して吸蔵及び放出する。電解質は、正極極板と負極極板との間でイオンを伝導する役割を果たす。セパレータは、正極極板と負極極板との間に設けられ、主に正負極の短絡を防止する作用を奏するとともに、イオンを通過させることができる。
【0090】
[正極極板]
正極極板は、正極集電体と、正極集電体の少なくとも1つの表面に設けられた正極膜層とを含み、前記正極膜層は本出願の第1方面の正極活物質を含む。
【0091】
例示的に、正極集電体は、その自体の厚さ方向において対向する2つの表面を有し、正極膜層は、正極集電体の対向する2つの表面のいずれか1つ又は両者上に積層して設けられている。
【0092】
いくつかの実施形態では、正極集電体は、上記の電池集電体又は上記の電池集電体製造方法によって製造された電池集電体である。
【0093】
前記別のいくつかの実施例では、正極集電体は金属箔シート又は複合集電体を用いることができる。例えば、金属箔シートとしては、アルミニウム箔を用いることができる。複合集電体は、高分子材料基層と高分子材料基材の少なくとも一つの表面上に形成された金属層とを含んでもよい。複合集電体は、金属材料(アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀及び銀合金など)を高分子材料基材(例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)などの基材)上に形成することによって形成することができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、正極活物質は、本分野で公知の電池用の正極活物質を用いることができる。例示的に、正極活物質は、オリビン構造のリチウム含有リン酸塩、リチウム遷移金属酸化物及びそれらの改質化合物のうちの少なくとも1つを含んでもよい。しかし、本出願では、これらの材料に限定されず、電池正極活物質として用いることができる他の従来の材料を用いることもできる。これらの正極活物質は、1種類のみを単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。そのうち、リチウム遷移金属酸化物の例示としては、リチウムコバルト酸化物(例えば、LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(例えば、LiNiO)、リチウムマンガン酸化物(例えば、LiMnO、LiMn)、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3(NCM333と略称されてもよい)、LiNi0.5Co0.2Mn0.3(NCM523と略称されてもよい)、LiNi0.5Co0.25Mn0.25(NCM211と略称されてもよい)、LiNi0.6Co0.2Mn0.2(NCM622と略称されてもよい)、LiNi0.8Co0.1Mn0.1(NCM811と略称されてもよい)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えば。LiNi0.85Co0.15Al0.05)及びその改質化合物などのうちの少なくとも1つを含んでもよいが、これらに限らない。オリビン構造のリチウム含有リン酸塩の例示としては、リン酸鉄リチウム(例えば、LiFePO(LFPと略称されてもよい))、リン酸鉄リチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガンリチウム(例えば、LiMnPO)、リン酸マンガンリチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウムと炭素との複合材料のうちの少なくとも1つを含んでもよいが、これらに限らない。
【0095】
いくつかの実施形態では、正極膜層は、さらに選択的に接着剤を含む。例示的に、前記接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-プロピレン三元共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン三元共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体及びフッ素含有アクリレート樹脂のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、正極膜層は、さらに選択的に導電剤を含む。例示的に、前記導電剤は、超電導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0097】
いくつかの実施形態では、以下の方式によって正極極板を製造することができる。正極極板を製造するための上記の成分、例えば、正極活物質、導電剤、接着剤および任意の他の成分を溶媒(例えば、N-メチルピロリドン)に分散させて正極スラリーを形成し、正極スラリーを正極集電体上に塗布し、乾燥や冷間加圧などの工程を経て正極極板を得ることができる。
【0098】
[負極極板]
負極極板は、負極集電体と、負極集電体の少なくとも一つの表面に設置される負極膜層とを含み、前記負極膜層は、負極活物質を含む。
【0099】
例示的に、負極集電体は、その自体の厚さ方向において対向する2つの表面を有し、負極膜層は、負極集電体の対向する2つの表面のいずれか1つ又は両者上に積層して設けられている。
【0100】
いくつかの実施形態では、負極集電体は、上記の電池集電体又は上記の電池集電体製造方法によって製造された電池集電体である。
【0101】
いくつかの実施形態では、負極活物質は、本分野で公知の電池用負極活物質を用いることができる。例示的に、負極活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、シリコン系材料、スズ系材料及びチタン酸リチウムなど材料のうちの少なくとも1つを含んでもよい。前記シリコン系材料は、シリコン単体、シリコン酸化物、シリコン炭素複合体、シリコン窒素複合体及びシリコン合金のうちの少なくとも1つから選択されてもよい。前記スズ系材料は、スズ単体、スズ酸化物及びスズ合金のうちの少なくとも1つから選択されてもよい。しかし、本出願では、これらの材料に限定されず、電池負極活物質として使用されることができる他の従来の材料を用いることもできる。これらの負極活物質は、1種類のみを単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、負極膜層は、さらに選択的に接着剤を含む。前記接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸ナトリウム(PAAS)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸ナトリウム(SA)、ポリメタクリル酸(PMAA)及びカルボキシメチルキトサン(CMCS)のうちの少なくとも1つから選択されてもよい。
【0103】
いくつかの実施形態では、負極膜層は、さらに選択的に導電剤を含む。導電剤は、超電導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの少なくとも1つから選択されてもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、負極膜層は、さらに選択的に他の助剤、例えば、増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na))などを含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、以下の方式によって負極極板を製造することができる。負極極板を製造するための上記の成分、例えば、負極活物質、導電剤、接着剤および任意の他の成分を溶媒(例えば、脱イオン水)に分散させて負極スラリーを形成し、負極スラリーを負極集電体上に塗布し、乾燥や冷間加圧などの工程を経て負極極板を得ることができる。
【0106】
[電解質]
電解質は、正極極板と負極極板との間でイオンを伝導する作用を果たす。本出願では、電解質の種類に対して具体的に制限せず、需要に応じて選択することができる。例えば、電解質は、液状、ゲル状、又は全固体であってもよい。
【0107】
いくつかの実施形態では、前記電解質は、電解液を採用する。前記電解液は、電解質塩と溶媒を含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、電解質塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、リチウムヘキサフルオロアルセネート、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム、ジフルオロ(オキサラトホウ酸リチウム、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート及びリチウムテトラフルオロ(オキサラト)ホスフェートのうちの少なくとも1つから選択されてもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、溶媒は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ぎ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、1,4-ブチロラクトン、スルホン、ジメチルスルホン、メチルエチルスルホン及びジエチルスルホンのうちの少なくとも1つから選択されてもよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、前記電解液は、さらに選択的に添加剤を含む。例えば、添加剤は、負極膜形成添加剤、正極膜形成添加剤を含んでもよく、電池の何らかの性能を改善できる添加剤、例えば、電池の過充電性能を改善する添加剤、電池の高温又は低温性能を改善する添加剤などを含んでもよい。
【0111】
[セパレータ]
いくつかの実施形態では、二次電池には、セパレータがさらに含まれている。本出願では、セパレータの種類に対して特に制限することはなく、よく知られている、良好な化学的安定性と機械的安定性を有する任意の多孔質構造のセパレータを選択してもよい。
【0112】
いくつかの実施形態では、セパレータの材質は、ガラス繊維、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリフッ化ビニリデンのうちの少なくとも1つから選択されてもよい。セパレータは、単層薄膜であってもよく、多層複合薄膜であってもよく、特に制限はない。セパレータが多層複合薄膜である場合、各層の材料は、同じであってもよく、異なってもよく、特に制限はない。
【0113】
いくつかの実施形態では、正極極板、負極極板とセパレータは、巻回プロセス又は積層プロセスによって電極コンポーネントを製造することができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、二次電池は外装体を含んでもよい。この外装体は、上記電極コンポーネントと電解質のパッケージングに用いられてもよい。
【0115】
いくつかの実施形態では、二次電池の外装体は、硬質ケース、例えば硬質プラスチックケース、アルミニウムケース、鋼製ケースなどであってもよい。二次電池の外装体は、軟質バッグ、例えば袋式軟質バッグであってもよい。軟質バッグの材質はプラスチックであってもよく、プラスチックとして、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート及びポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。
【0116】
本出願は、二次電池の形状に対して特に制限せず、それは円柱形、四角形又は他の任意の形状であってもよい。例えば、図4は、一例としての四角形構造の二次電池5である。
【0117】
いくつかの実施形態では、図5を参照すると、外装体はハウジング51と蓋板53とを含んでもよい。そのうち、ハウジング51は底板及び底板に接続される側板を含むことができ、底板と側板は囲んで収容室を形成する。ハウジング51は、収容室に連通する開口を有し、蓋板53は、前記収容室を閉塞するように前記開口に蓋設可能である。正極極板、負極極板及びセパレータは、巻回プロセス又は積層プロセスによって電極コンポーネント52を形成することができる。電極コンポーネント52は、前記収容室内にパッケージングされる。電解液は、電極コンポーネント52に浸漬している。二次電池5に含まれる電極コンポーネント52の数は一つ又は複数であってもよく、当業者は実際の具体的な需要に応じて選択してもよい。
【0118】
いくつかの実施形態では、二次電池を電池モジュールに組み立ててもよく、電池モジュールに含まれる二次電池の数は一つ又は複数であってもよく、具体的な数は、当業者は電池モジュールの応用と容量に基づいて選択してもよい。
【0119】
図6は、一例としての電池モジュール4である。図6を参照すると、電池モジュール4において、複数の二次電池5は、電池モジュール4の長さ方向に沿って順に配列して設けられてもよい。無論、他の任意の方式で配列してもよい。さらに、この複数の二次電池5を締め具によって固定してもよい。
【0120】
選択的に、電池モジュール4は、収容空間を有するハウジングをさらに含んでもよく、複数の二次電池5はこの収容空間に収容される。
【0121】
いくつかの実施形態では、上記電池モジュールをさらに電池パックに組み立ててもよく、電池パックに含まれる電池モジュールの数は、一つ又は複数であってもよく、具体的な数は、当業者が電池パックの応用と容量に基づいて選択してもよい。
【0122】
下記表は、本実施例の技術手段を用いた電池集電体と比較例の電池集電体との実験データを示す。以下に記述されている実施例は、例示的なもので、本出願を解釈することのみに用いられ、本出願を制限するものとして理解すべきではない。実施例において具体的な技術又は条件が明記されていないものは、当技術分野の文献に記述されている技術若しくは条件、又は製品説明書に従って実行する。使用する試薬又は機器について、製造メーカが明記されていないものは、いずれも市販で購入できる一般的な製品である。
【0123】
各実施例及び比較例の電池集電体のパラメータ及び性能試験は、下記表に示すとおりである。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
導電率は、材料の導電性能を代表するパラメータであり、導電率が大きいほど、材料の導電性が良くなる。そのうち、導電率σ=1/抵抗率ρであり、抵抗率は抵抗率測定器で測定して得られる。
【0127】
抵抗率のテスト方法:テストサンプルを抵抗率測定器の2つの電極間に埋込み、それらを十分に接触させる。両電極に印加される直流電圧とサンプルの体積内に流れる電流との比を、体積抵抗Rvと呼ぶ。Rv及び電極とサンプルサイズから算出した1cmの材料の両対向面間の抵抗を、体積抵抗率ρvと呼ぶ。即ち、ρv=Rv*S/d(Ω/cm)、式において、S-測定電極の面積、d-サンプルの厚さ、Rv-体積抵抗である。
【0128】
タブせん断引張力のテスト方法:図7に示すように、溶接したサンプル(アダプタシート7と箔材8を溶接して形成したもの)を挟み込み、上下クランプは、それぞれアダプタシート7と箔材8(電池集電体)を挟み込み、両クランプは水平又は垂直方向において同一直線上にあり、受力方向と溶接印刷の平面とは鉛直平行を維持し、挟み込む時にタブを引き裂くことができない。上下クランプは、30mm/minの速度で相対運動してサンプルを引張り、サンプルが破断する時の引張力はタブ溶接せん断引張である。
【0129】
体積エネルギー密度テスト方法は、二次電池の製造と、この二次電池の体積エネルギー密度の測定とを含む。
【0130】
二次電池の製造方法は、以下のとおりである。
【0131】
1、NCM811を正極活物質とし、導電剤アセチレンブラックと、接着剤ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、質量比94:3:3でN-メチルピロリドン溶媒体系において十分に攪拌混合して均一化した後、アルミニウム箔に塗布して乾燥、冷間加圧を経て、正極極板を得る。
【0132】
2、負極活物質とする人造黒鉛と、導電剤アセチレンブラックと、接着剤スチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)とを、質量比90:5:2:2:1で脱イオン水溶媒体系において十分に攪拌混合して均一化した後、上記各実施例と比較例における集電体に塗布して乾燥、冷間加圧を経て、負極極板を得る。
【0133】
3、ポリエチレン(PE)製多孔性重合薄膜をセパレータとする。
【0134】
4、正極板、セパレータ及び負極板を順に積層し、隔離作用を奏するようにセパレータを正負極の間に位置させ、そして捲回してベアセルを得る。ベアセルを外装体に入れ、1M濃度のヘキサフルオロリン酸リチウム(20%vol炭酸エチレンと30%ジメチルカーボネートを溶媒とし、及び50%メチルエチルカーボネート)電解液を注入してパッケージングし、二次電池を得る。
【0135】
二次電池の体積エネルギー密度の測定方法は、以下のとおりである。
【0136】
1、上記で製造された各二次電池を、それぞれ25℃の恒温環境下で5min静置した後、1/3Cで2.8Vに放電し、5min再静置した後、1/3Cで4.2Vに充電した後、4.2Vで0.05C以下の電流まで定電圧充電し、5min再静置し、そのときの充電容量をC0とし、その後1/3Cで2.8Vに放電し、そのときの放電容量を初期放電容量として、D0とする。
【0137】
2、テストした放電容量値(初期放電容量D0)に体系のプラットフォーム電圧Uを乗算し、電池のハウジング体積Vで除算して、電池の体積エネルギー密度とする。
【0138】
比較例1の製造プロセスは、以下のとおりである。
【0139】
1.造孔剤として、市販のビーズボール状のNaCl塩球(純度≧99%)を用い、ふるいかけ、予備として平均粒径0.1mmの篩分けを選択しておく。
【0140】
2.ステップ1で処理、篩分けを経て得られた平均粒径0.1mmのNaCl粒子と市販の電解銅粉(純度≧99.5%)及びエタノールを均一に混合した後、プレス型に投入し、200Mpaまで一方向に加圧してグリーン体を得、電解銅粉とNaCl粒子の質量は、それぞれ1792gと1728gであり、電解銅粉とNaClとの合計質量に対して、エタノールの添加量は70.4gである。
【0141】
3.ステップ2で得られたグリーン体をアルゴンガス雰囲気に置き、焼結炉で740℃で3時間焼結した後、920℃まで昇温して5時間焼結する。
【0142】
4.ステップ3で得られた物品を炉とともに室温まで冷却し、ワイヤカットでこの物品の表皮を除去した後、この物品の質量が変化しなくなるまで循環温水に置いてNaCl粒子を溶かし、この物品を超音波水浴に入れて15分間洗浄し、アセトンで洗浄した後、オーブンで80℃の条件で乾燥することにより、気孔率80%の多孔質発泡銅を得ることができる。
【0143】
比較例2の製造プロセスは、以下のとおりである。
【0144】
1.造孔剤として、市販のビーズボール状のNaCl塩球(純度≧99%)を用い、ふるいかけ、予備として平均粒径0.1mmの篩分けを選択しておく。
【0145】
2.ステップ1で処理、篩分けを経て得られた平均粒径0.1mmのNaCl粒子と市販の電解銅粉(≧純度99.5%)及びエタノールを均一に混合した後、プレス型に投入し、200Mpaまで一方向に加圧してグリーン体を得、前記電解銅粉とNaCl粒子の質量は、それぞれ1792gと1728gであり、電解銅粉とNaClとの合計質量に対して、エタノールの添加量は70.4gである。
【0146】
3.ステップ2で得られたグリーン体をアルゴンガス雰囲気に置き、焼結炉で740℃で3時間焼結した後、920℃まで昇温して5時間焼結する。
【0147】
4.ステップ3で得られた物品を炉とともに室温まで冷却し、ワイヤカットでこの物品の表皮を除去した後、循環温水に置いてNaCl粒子を溶かし、この物品の質量が変化しなくなるまで、この物品を超音波水浴に入れて15分間洗浄し、アセトンで洗浄した後、オーブンで80℃で乾燥することにより、気孔率80%の多孔質発泡銅を得ることができる。
【0148】
5.ステップ4で得られた多孔質発泡銅を2つ取り、そのうちの1つの多孔質銅の1つの表面に市販の導電性炭素接着剤(米国TED PELLA、INC.製DAG-T-502接着剤、仕様30g/ボトル)を、10umの厚さで均一に塗布した後、2つの外側の多孔質発泡銅と一緒に接着することにより、導電性接着剤接着発泡銅を得ることができる。
【0149】
実施例1の製造プロセスは、以下のとおりである。
【0150】
1.造孔剤として、市販のビーズボール状のNaCl塩球(純度≧99%)を用い、ふるいかけ、予備として平均粒径0.1mmの篩分けを選択しておく。
【0151】
2.ステップ1で処理、篩分けを経て得られた平均粒径0.1mmのNaCl粒子と市販の電解銅粉(純度≧99.5%)、及び電解銅粉とNaClとの合計質量に対する2%のエタノールとを均一に混合した後、プレス型に投入し、200Mpaまで一方向に加圧してグリーン体の第1層を得る。第1層上に電気銅粉とエタノールの混合物をタイリングし、200Mpaまで一方向に加圧してグリーン体の第2層を得、第2層上にNaCl粒子と市販の電解銅粉及びエタノールの混合物をタイリングし、200Mpaまで一方向に加圧してグリーン体の第3層を得る。前記電解銅粉とNaCl粒子の質量は、それぞれ1792gと1728gであり、エタノールの質量は70.4gである。
【0152】
3.ステップ2で得られたグリーン体をアルゴンガス雰囲気に置き、焼結炉で740℃で3時間焼結した後、920℃まで昇温して5時間焼結する。
【0153】
4.ステップ3で得られた物品を炉とともに室温まで冷却し、ワイヤカットでこの物品の表皮を除去した後、この物品の質量が変化しなくなるまで循環温水に置いてNaCl粒子を溶かし、この物品を超音波水浴に入れて15分間洗浄し、アセトンで洗浄した後、オーブンで80℃で乾燥することにより、多孔質発泡銅を得ることができる。実施例1の集電体の気孔率は80%である。
【0154】
実施例2の製造プロセスは、以下のとおりである。
【0155】
1.造孔剤として、市販のビーズボール状のNaCl塩球(純度≧99%)を用い、ふるいかけ、予備として平均粒径0.1mmの篩分けを選択しておく。
【0156】
2.ステップ1で処理、篩分けを経て得られた平均粒径0.1mmのNaCl粒子と市販の電解銅粉(純度≧99.5%)、及び電解銅粉とNaClとの合計質量に対する2%のエタノールとを均一に混合した後、プレス型に投入し、200Mpaまで一方向に加圧してグリーン体の第1層を得る。第1層上に電気銅粉とエタノールの混合物をタイリングし、200Mpaまで一方向に加圧してグリーン体の第2層を得、第2層上にNaCl粒子と市販の電解銅粉及びエタノールの混合物をタイリングし、200Mpaまで一方向に加圧してグリーン体の第3層を得る。前記電解銅粉とNaCl粒子の質量は、それぞれ1344gと1836gであり、エタノールの質量は63.6gである。
【0157】
3.ステップ2で得られたグリーン体をアルゴンガス雰囲気に置き、焼結炉で740℃で3時間焼結した後、920℃まで昇温して5時間焼結する。
【0158】
4.ステップ3で得られた物品を炉とともに室温まで冷却し、ワイヤカットでこの物品の表皮を除去した後、この物品の質量が変化しなくなるまで循環温水に置いてNaCl粒子を溶かし、この物品を超音波水浴に入れて15分間洗浄し、アセトンで洗浄した後、オーブンで80℃で乾燥することにより、多孔質発泡銅を得ることができる。実施例2の集電体の気孔率は85%である。
【0159】
好ましい実施例を結び付けながら本出願を記述したが、本出願の範囲から逸脱することなく、それに対していろいろな改良を行うことができるとともに、その中の部品を同等の物で置き換えることができる。特に、構造的矛盾が存在しない限り、各実施例で言及した各技術的特徴を、任意の方式で組み合わせることができる。本出願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の全ての技術案を含むものである。
【符号の説明】
【0160】
1 発泡金属層
11 第1の発泡金属層
12 第2の発泡金属層
2 強度補強層
4 電池モジュール
5 二次電池
51 ハウジング
52 電極コンポーネント
53 蓋板
6 クランプ
7 アダプタシート
8 箔材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】