(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ケイ素炭素複合粒子
(51)【国際特許分類】
C01B 32/372 20170101AFI20240118BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20240118BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240118BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20240118BHJP
【FI】
C01B32/372
H01M4/38 Z
H01M4/36 A
H01M4/587
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022578780
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(85)【翻訳文提出日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 EP2021059963
(87)【国際公開番号】W WO2022218550
(87)【国際公開日】2022-10-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100183678
【氏名又は名称】丸島 裕
(72)【発明者】
【氏名】アレナ、カリヤキナ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ、ドレガー
(72)【発明者】
【氏名】クラウディア、クラインライン
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン、プファイファー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ティルマン
【テーマコード(参考)】
4G146
5H050
【Fターム(参考)】
4G146AA06
4G146AB01
4G146AC02A
4G146AC04A
4G146AC04B
4G146AC07A
4G146AC07B
4G146AD15
4G146AD25
4G146BA38
4G146BA45
4G146BB11
4G146BC08
4G146BC23
4G146BC32A
4G146BC32B
4G146BC33A
4G146BC38B
5H050AA07
5H050AA08
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB08
5H050CB11
5H050GA27
5H050GA30
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA07
5H050HA14
5H050HA15
(57)【要約】
本発明の主題は、a)0.05~10wt%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度、およびb)pH>7.5を有するケイ素-炭素複合粒子;多孔質炭素粒子の存在下でケイ素前駆体からのケイ素の浸透によって該粒子を製造する方法;該ケイ素-炭素複合粒子を含むリチウムイオン電池用アノード材料;該アノード材料で被覆されている集電体を備えるアノード;ならびに該ケイ素-炭素複合粒子を含む少なくとも1つのアノードを備えるリチウムイオン電池である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)0.05~10wt%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度、および
b)pH>7.5
を有するケイ素-炭素複合粒子。
【請求項2】
0.1~20wt%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度、およびpH>7.5を有する多孔質炭素粒子の存在下、20℃かつ1013mbarで液体または気体のケイ素前駆体から選択されるケイ素前駆体からのケイ素の浸透によって、請求項1に記載のケイ素-炭素複合粒子を製造する方法。
【請求項3】
直径パーセンタイルd
50が0.5~20μmである体積加重粒径分布を有する、請求項1に記載のケイ素-炭素複合粒子。
【請求項4】
ケイ素の浸透によって得られたケイ素を少なくとも30wt%有する、請求項1または3に記載のケイ素-炭素複合粒子。
【請求項5】
前記ケイ素-炭素複合粒子の細孔内および外表面において、ケイ素が、1μm以下の厚さを有する、層の形態でまたはケイ素粒子から形成された層の形態で存在する、請求項1、3または4に記載のケイ素-炭素複合粒子。
【請求項6】
100m
2/g以下のBET比表面積を有する、請求項1または3~5のいずれか一項に記載のケイ素-炭素複合粒子。
【請求項7】
前記ケイ素-炭素複合粒子におけるケイ素の浸透によって得られた前記ケイ素の体積に対して、細孔容積Pが少なくとも100vol%であり、前記ケイ素-炭素複合粒子の前記細孔容積Pが、ガスアクセス可能な細孔容積とガスアクセス不可能な細孔容積との合計から得られる、請求項4~6のいずれか一項に記載のケイ素-炭素複合粒子。
【請求項8】
0.1~20%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度、およびpH>7.5を有する前記多孔質炭素粒子を、塩基性アルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物で多孔質炭素粒子を処理することによって得る、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
ケイ素の浸透を、流動床反応器、水平から垂直に配置されている回転式管型炉、開放系または閉鎖系の固定床反応器、および圧力反応器から選択される反応器内で行う、請求項2または8に記載の方法。
【請求項10】
ケイ素の浸透を280~900℃で行う、請求項2、8または9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1または3~7のいずれか一項に記載のケイ素-炭素複合粒子を、モノシランおよび塩素含有シランから選択されるシランからのケイ素の浸透によって製造する、請求項2、8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1または3~7のいずれか一項に記載のケイ素-炭素複合粒子を含む、リチウムイオン電池用アノード材料。
【請求項13】
請求項9に記載のアノード材料で被覆されている集電体を備えるアノード。
【請求項14】
請求項1または3~7のいずれか一項に記載のケイ素-炭素複合粒子を含む少なくとも1つのアノードを備えるリチウムイオン電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質粒子とケイ素とをベースとするケイ素-炭素複合粒子、ケイ素-炭素複合粒子の製造方法、およびリチウムイオン電池用アノードにおける活物質としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
電力の貯蔵媒体として、最も高いエネルギー密度を持つ実用的な電気化学的エネルギー貯蔵装置は、現在はリチウムイオン電池である。リチウムイオン電池は、主に携帯用電子機器の分野で、工具のため、ならびに自転車、スクーターおよび自動車などの電動輸送手段のために利用されている。現在普及している、このような電池の負極(「アノード」)用材料は、グラファイトカーボンである。しかしながら、このようなグラファイトカーボンの電気化学的容量は比較的低く、理論的にはグラファイト1g当たり最大でも372mAhであり、したがってリチウム金属で理論的に達成できる電気化学的容量の約10分の1にしか相当しないことが不利な点である。アノード用の代替活物質は、例えばEP3335262B1に記載されているように、ケイ素の添加を使用する。ケイ素は、リチウムと電気化学的に活性な二元合金を形成し、該二元合金は、ケイ素1グラム当たり最大4200mAhという非常に高い電気化学的に達成可能なリチウム含有量を可能にする。
【0003】
ケイ素中のリチウムイオンのインターカレーションとデインターカレーションは、体積の急激な変化を伴うという不利な点と関連しており、該変化は、完全にインターカレーションした場合には300%にも達することがある。このような体積変化は、ケイ素含有活物質に厳しい機械的負荷を与え、最終的に活物質が破壊されてしまう可能性がある。活物質および電極構造において、このプロセスは、放電研磨とも呼ばれ、電気的接触の損失をもたらし、したがって電極の一部で持続的かつ不可逆的な容量損失をもたらす。
【0004】
また、ケイ素含有活物質の表面は、電解質の成分と反応し、不動態化保護層(固体電解質界面:SEI)を継続的に形成する。形成された成分は、もはや電気化学的に活性ではない。それらの内部に結合されたリチウムは、もはや系で利用できないため、電池の一部において著しくかつ継続的な容量の損失をもたらす。電池の充放電中にケイ素の体積が極端に変化するため、SEIは定期的に壊れ、これは、ケイ素含有活物質のまだ占有されていない表面がさらに露出し、次にさらなるSEI形成を受けることを意味している。完全セルでは、有効容量に相当する可動リチウムの量がカソード材料によって制限され、その結果として次第に消費され、わずか数サイクルでセルの容量が性能の観点から許容できない程度に低下する。
【0005】
多数回の充放電サイクルの過程における容量の減少をフェーディングまたは継続的な容量損失ともいい、一般的に不可逆である。
【0006】
リチウムイオン電池のアノード用ケイ素含有活物質として使用するための一連のケイ素-炭素複合粒子が記載されてきた。この場合、ケイ素-炭素複合粒子は、例えば、気体または液体のケイ素前駆体から出発して、後者の熱分解により、多孔質炭素粒子中におけるケイ素の堆積を伴って得られる。例えば、US10,147,950B2には、CVD法(「化学気相成長」)またはPE-CVD法(「プラズマ化学気相成長」)により、管型炉または同等の炉型において300~900℃の高温で、好ましくは粒子の攪拌を行いながら、多孔質炭素粒子中にモノシランであるSiH4からケイ素を堆積させることについて記載されている。このようにして得られた複合材料でさえ、サイクル安定性は、要求の厳しい用途に使用するには充分ではない。また、ケイ素の堆積は、高温および/または長い反応時間を必要とするため、エネルギーおよび時間を非常に多く費やすことになる。
【0007】
したがって、公知のケイ素-炭素複合粒子に共通する特徴は、ケイ素-炭素複合粒子をリチウムイオン電池用アノードにおける活物質として使用する場合、それらは電気化学サイクルにおいて既に低い容量損失を示し、したがってフェーディングが低い結果として良好なサイクル安定性を有するということである。しかしながら、ある用途の分野に関して、特に電動自動車用電池に使用する場合、達成されているサイクル安定性は充分ではなく、さらに向上させる必要がある。
【0008】
このような背景から、本目的は、リチウムイオン電池のアノードにおける活物質として使用した場合、セル内で利用可能なリチウムの初期損失および継続的損失が非常に少なく、したがって、安定した電気化学的挙動の結果として高いクーロン効率および高いサイクル安定性を可能にするケイ素-炭素複合粒子を提供することである。このフェーディングは最小であることが望ましい。
【0009】
この目的は、驚くべきことに、0.05~10wt%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度、およびpH>7.5を有するケイ素-炭素複合粒子で達成された。リチウムイオン電池用活物質として使用する場合、そのようなケイ素-炭素複合粒子は、著しく増加したサイクル安定性を有するので、フェーディングの減少につながる。さらに、驚くべきことに、上記CVD法と類似して、気体または液体のケイ素前駆体から出発して、多孔質炭素粒子中へのケイ素の堆積によるケイ素-炭素複合粒子の製造において、多孔質炭素自体が0.1超~20wt%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度および7.5超のpHを有する場合に、著しく増加した反応速度を観察できることが分かった。
【0010】
本発明の主題は、
a)0.05~10wt%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度、および
b)pH>7.5
を有するケイ素-炭素複合粒子である。
【0011】
多孔質炭素粒子は、好ましくは0.1~20wt%、より好ましくは0.2~10wt%、最も好ましくは0.3~5wt%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を有する。多孔質炭素粒子のアルカリ金属の濃度およびアルカリ土類金属の濃度は、例えば、Perkin Elmerの装置「Optima 7300 DV」を用いたICP発光分光法により定量的に測定することができる。
【0012】
本発明のケイ素-炭素複合粒子の製造には、任意の所望のプロセスを採用することができる。特に、US10,147,950B2に記載されたプロセスに類似した、気体または液体のケイ素前駆体からのケイ素を、多孔質炭素粒子中へ浸透(infiltration)により堆積させることによる製造は、本発明のケイ素-炭素複合粒子に適した経路である。
【0013】
本発明の他の主題は、0.1~20wt%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度、およびpH>7.5を有する多孔質炭素粒子の存在下、20℃かつ1013mbarで液体または気体のケイ素前駆体から選択されるケイ素前駆体からのケイ素の浸透により本発明のケイ素-炭素複合粒子を製造する方法である。
【0014】
この方法では、多孔質炭素粒子の細孔内および表面にケイ素を堆積させる。
【0015】
気体または液体のケイ素前駆体から熱分解によりケイ素を多孔質炭素粒子の細孔内および表面に堆積させることを、本明細書においてケイ素の浸透と呼ぶ。
【0016】
同一のまたは異なるケイ素前駆体は、同一のまたは異なる多孔質炭素粒子と反応させることができる。
【0017】
多孔質炭素粒子を塩基性のアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物で処理することにより、0.1~20%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度、およびpH>7.5を有する多孔質炭素粒子が得られる。
【0018】
好ましい塩基性のアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、過炭酸塩、アミド、アルコキシド、フェノキシド、アルキレート、水素化物、アルキド、ケイ酸塩、二亜硫酸塩、フッ化物、シアン化物、亜硝酸塩、過酸化物、超酸化物である。水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、過炭酸塩、水素化物、フッ化物およびアミドが好ましく、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アミド、水素化物、複合水素化物(テトラヒドロメタレート、例えば、BH4またはAlH4と対イオンとして例えばLi、Na、K、Mg、Ca、例えば、LiBH4、NaBH4、Li2Zn(BH4)4)が特に好ましく、水酸化物、炭酸塩および炭酸水素塩がとりわけ好ましい。好ましい塩基性のアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、単独で使用してもよく、あるいは異なる塩基性アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物の混合物として使用してもよい。
【0019】
0.1~20%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度、およびpH>7.5を有する多孔質炭素粒子は、代替的に、多孔質炭素粒子を塩基性のアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物の溶液で処理することによっても得ることができる。塩基性のアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物に用いられる溶媒は、水、液体アンモニア、アセトンなどのケトン、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、グリセロールなどのアルコール、トルエン、スチレン、ベンゼンなどの炭化水素、ピリジンおよびビピリジンなどの複素環化合物、アセトニトリルなどのニトリル、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド、ならびにテトラヒドロフランおよび1,4-ジオキサンなどのエーテルであってもよい。好ましい溶媒としては、水、ならびにエタノール、メタノール、プロパノールおよびブタノールなどのアルコールが挙げられ、特に好ましくは水およびエタノールの使用であり、最も好ましくは水の使用である。
【0020】
多孔質炭素粒子および塩基性アルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物は、炭素粒子の形態で存在する炭素を基準として、100:1~5:1のモル比で、より好ましくは50:1~5:1のモル比で、最も好ましくは20:1~5:1のモル比で用いられる。
【0021】
多孔質炭素粒子は、20℃未満、20℃超または20℃の温度で塩基性のアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物で処理してもよく;処理は好ましくは昇温して行われる。多孔質炭素粒子を塩基性のアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物で処理する際の温度は、好ましくは30~200℃、より好ましくは50~160℃、非常に好ましくは70~120℃である。
【0022】
多孔質炭素粒子は、減圧下、大気圧下または昇圧下で塩基性のアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物で処理してもよい。処理は、好ましくは大気圧または5bar以下の昇圧で行われ、より好ましくは大気圧で行われる。
【0023】
多孔質炭素粒子は、上記処理に適した任意の所望の反応器において、塩基性のアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物の溶液で処理してもよい。より詳細には、上記処理は、塩基性のアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物の溶液中の多孔質炭素粒子の懸濁液を攪拌しながら行われ、または塩基性のアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物の溶液を多孔質炭素粒子に噴霧することによって行われる。
【0024】
塩基性のアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を用いた多孔質炭素粒子の処理後、多孔質炭素粒子は、好ましくは、塩基性のアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物の溶液から遊離される。これは、例えば、濾過または遠心分離によって行ってもよい;処理された多孔質炭素粒子は、必要に応じて、過剰の塩基性アルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物を除去するために水洗浄によって精製される。代替的に、処理された多孔質炭素粒子は、塩基性のアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物のための溶媒を蒸発させることによって得てもよい。
【0025】
気体または液体のケイ素前駆体との反応前に、多孔質炭素粒子は、好ましくは乾燥される。多孔質炭素粒子の乾燥は、乾燥に適した任意の所望の反応器内で、不活性ガス雰囲気下、50~400℃の昇温で行ってもよい。使用される不活性ガスは、例えば、窒素またはアルゴンであってもよい。乾燥は、代替的に、50~400℃の昇温および0.001~900mbarの減圧で行ってもよい。乾燥時間は、好ましくは0.1秒~12時間である。多孔質炭素粒子は、気体または液体のケイ素前駆体との反応と同じ反応器内で乾燥させてもよく、または乾燥に適した別の反応器内で乾燥させてもよい。
【0026】
多孔質炭素粒子は、ヘリウムピクノメトリーにより測定される、0.1~4g/cm3の密度を有することが好ましく、0.3~3g/cm3の密度を有することがより好ましい。
【0027】
多孔質炭素粒子は、直径パーセンタイルd50が好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.5μm以上、最も好ましくは2μm以上である体積加重粒径分布を有する。直径パーセンタイルd50は、好ましくは20μm以下、より好ましくは12μm以下、最も好ましくは8μm以下である。
【0028】
多孔質炭素粒子の体積加重粒径分布は、好ましくは直径パーセンタイルd10≧0.2μmかつd90≦20.0μm、より好ましくはd10≧0.4μmかつd90≦15.0μm、最も好ましくはd10≧0.6μmからd90≦12.0μmである。
【0029】
多孔質炭素粒子は、直径パーセンタイルd10が好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、特に好ましくは3μm以下、最も好ましくは2μm以下である体積加重粒径分布を有する。直径パーセンタイルd10は、好ましくは0.2μm以上、より好ましくは0.4μm以上、最も好ましくは0.6μm以上である。
【0030】
多孔質炭素粒子は、直径パーセンタイルd90が好ましくは4μm以上、より好ましくは8μm以上である体積加重粒径分布を有する。直径パーセンタイルd90は、好ましくは20μm以下、より好ましくは15以下、最も好ましくは12μm以下である。
【0031】
多孔質炭素粒子の体積加重粒径分布は、好ましくは15.0μm以下、より好ましくは12.0μm以下、非常に好ましくは10.0μm以下、特に好ましくは8.0μm以下、最も好ましくは4.0μm以下のd90-d10スパンを有する。多孔質炭素粒子の体積加重粒径分布は、好ましくは0.6μm以上、より好ましくは0.7μm以上、最も好ましくは1.0μm以上のd90-d10スパンを有する。
【0032】
体積加重粒径分布は、ISO 13320に準拠して、多孔質粒子のための分散媒としてエタノールを用い、Horiba LA 950装置でMieモデルを用いた静的レーザー散乱により測定することができる。
【0033】
多孔質炭素粒子は、例えば、孤立した形態であってもよく、塊状の形態であってもよい。多孔質炭素粒子は、好ましくは凝集しておらず、好ましくは塊状ではない。凝集しているとは、一般的に、多孔質炭素粒子の製造過程で、最初に一次粒子が形成され融合を受け、および/または一次粒子が例えば共有結合を介して互いに連結され、このようにして凝集体を形成することを意味する。一次粒子は、一般的に孤立粒子である。凝集体または孤立粒子は、凝集塊を形成することができる。凝集塊は、例えばファンデルワールス相互作用または水素結合を介して互いに連結している、凝集体または一次粒子の緩やかな連合体である。塊状の凝集体は、従来の混練および分散技術により容易に凝集体に分割して戻すことができる。凝集体は、これらの技術では一次粒子に分解できないか、あるいは部分的にしか分解できない。凝集体、凝集塊または孤立粒子の形態の多孔質粒子の存在は、例えば、従来の走査型電子顕微鏡(SEM)により視覚化することができる。粒子の粒径分布または粒子径を測定するための静的光散乱法は、対照的に、凝集体と凝集塊とを区別することができない。
【0034】
多孔質粒子は、任意の所望のモルフォロジーを有してよく、したがって、例えば、破片状、板状、球状または針状であってもよく、破片状または球状の多孔質炭素粒子が好ましい。
【0035】
モルフォロジーは、例えば、球形度ψまたは球形度Sによって特徴付けることができる。Wadellの定義によれば、球形度ψは、物体の実際の表面積に対する、体積が等しい球体の表面積の比である。球体の場合、ψの値は1である。この定義によれば、多孔質粒子は、好ましくは0.3~1.0、より好ましくは0.5~1.0、最も好ましくは0.65~1.0の球形度ψを有する。
【0036】
球形度Sは、粒子を表面に投影した投影図と同じ面積Aを持つ等価円の円周の、この投影図の測定された外周Uに対する比である。
【0037】
【0038】
理想的な円形度の粒子の場合、Sの値は1になる。多孔質粒子の場合、球形度Sは、数球形度分布のパーセンタイルS10~S90に基づいて、好ましくは0.5~1.0、より好ましくは0.65~1.0の範囲にある。球形度Sは、例えば、個々の粒子の光学顕微鏡写真から、または好ましくは、粒子<10μmの場合、走査型電子顕微鏡を用いて、例えば、ImageJなどの画像解析ソフトウェアを用いたグラフィック評価により測定される。
【0039】
多孔質炭素粒子は、好ましくは0.2cm3/g以上、より好ましくは0.6cm3/g以上、最も好ましくは1.0cm3/g以上のガスアクセス可能な細孔容積を有する。これは、高い容量を有するリチウムイオン電池を得るために有益である。ガスアクセス可能な細孔容積は、DIN 66134に準拠した、窒素を用いたガス吸着測定によって決定される。
【0040】
多孔質炭素粒子は、オープンポア(open-pore)であることが好ましい。オープンポアとは、一般的に、細孔が、例えばチャネルを介して、粒子の表面に接続されており、好ましくは、周囲と物質を移動できること、特にガス状成分を交換できることを意味する。これは、ガス収着測定(Brunauer、EmmettおよびTeller、「BET」に従った評価)、すなわち比表面積の測定を使用して検証することができる。
【0041】
多孔質炭素粒子は、好ましくは50m2/g以上、より好ましくは500m2/g以上、最も好ましくは1000m2/g以上の比表面積を有する。BET表面積は、DIN 66131(窒素を使用)に準拠して測定される。
【0042】
多孔質炭素粒子の細孔は、任意の所望の直径、すなわち、通常は、マクロ細孔(50nm超)、メソ細孔(2~50nm)、およびミクロ細孔(2nm未満)の範囲を有することができる。多孔質炭素粒子は、異なる細孔型を持つ任意の混合物で用いることができる。総細孔容積に対して最大でも30%のマクロ細孔を有する多孔質粒子を用いることが好ましく、マクロ細孔を有しない多孔質炭素粒子を用いることがより好ましく、平均細孔直径が5nm未満である細孔を少なくとも50%有する多孔質炭素粒子を用いることが非常に好ましい。より特に好ましくは、多孔質炭素粒子は、2nm未満の細孔直径を有する細孔のみを含む(測定方法:メソ細孔範囲ではDIN 66134に準拠したBJH(ガス吸着)による、ミクロ細孔範囲ではDIN 66135に準拠したHorvath-Kawazoe(ガス吸着)による細孔径分布;マクロ細孔範囲の細孔径分布はDIN ISO 15901-1に準拠した水銀ポロシメトリーにより評価される)。
【0043】
多孔質炭素粒子は、好ましくは7.5超、より好ましくは8.5超、非常に好ましくは9超のpHを有する。多孔質炭素粒子のpHは、ASTM規格番号D1512、方法Aにより測定することができる。
【0044】
多孔質炭素粒子は、0.05~10wt%、好ましくは0.1~5wt%、より好ましくは0.15~2.5wt%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を有する。
【0045】
本発明のケイ素-炭素複合粒子は、0.05~10wt%、好ましくは0.1~5wt%、より好ましくは0.15~2.5wt%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を有する。本発明のケイ素-炭素複合粒子のアルカリ金属の濃度およびアルカリ土類金属の濃度は、例えば、Perkin Elmerの装置「Optima 7300 DV」を用いたICP発光分光法により測定することができる。
【0046】
本発明のケイ素-炭素複合粒子は、7.5超、好ましくは8.5超、最も好ましくは9超のpH値を有する。本発明のケイ素-炭素複合粒子のpHは、ASTM規格番号D1512、方法Aにより測定することができる。
【0047】
本発明のケイ素-炭素複合粒子は、直径パーセンタイルd50が好ましくは0.5~20μmの範囲である体積加重粒径分布を有する。d50値は、1.5μm以上、より好ましくは2μm以上である。直径パーセンタイルd50は、好ましくは13μm以下、より好ましくは8μm以下である。
【0048】
本発明のケイ素-炭素複合粒子の体積加重粒径分布は、好ましくは直径パーセンタイルd10≧0.2μmかつd90≦20.0μm、より好ましくはd10≧0.4μmかつd90≦15.0μm、最も好ましくはd10≧0.6μmからd90≦12.0μmである。
【0049】
本発明のケイ素-炭素複合粒子は、直径パーセンタイルd10が好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、特に好ましくは3μm以下、最も好ましくは1μm以下である体積加重粒径分布を有する。直径パーセンタイルd10は、好ましくは0.2μm以上、より好ましくは0.4μm以上、最も好ましくは0.6μm以上である。
【0050】
本発明のケイ素-炭素複合粒子は、直径パーセンタイルd90が好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上である体積加重粒径分布を有する。直径パーセンタイルd90は、好ましくは20.0μm以下、より好ましくは15.0μm以下、最も好ましくは12.0μm以下である。
【0051】
本発明のケイ素-炭素複合粒子の体積加重粒径分布は、好ましくは15.0μm以下、特に好ましくは12.0μm以下、より好ましくは10.0μm以下、特に好ましくは8.0μm以下、最も好ましくは4.0μm以下のd90-d10スパンを有する。本発明のケイ素-炭素複合粒子の体積加重粒径分布は、好ましくは0.6μm以上、より好ましくは0.7μm以上、最も好ましくは1.0μm以上のd90-d10スパンを有する。
【0052】
本発明のケイ素-炭素複合粒子は、好ましくは粒子の形態である。粒子は、孤立した形態であってもよく、塊状の形態であってもよい。本発明のケイ素-炭素複合粒子は、好ましくは凝集しておらず、好ましくは塊状ではない。孤立した、塊状の、および凝集していないという用語は、多孔質炭素粒子に関連して、既に上記で先に定義されている。凝集体または凝集塊の形態の本発明のケイ素-炭素複合粒子の存在は、例えば、従来の走査型電子顕微鏡(SEM)によって視覚化することができる。
【0053】
本発明のケイ素-炭素複合粒子は、任意の所望のモルフォロジーを有してもよく、したがって、例えば、破片状、板状、球状または針状であり、破片状または球状の粒子が好ましい。
【0054】
Wadellの定義によれば、球形度ψは、物体の実際の表面積に対する、体積が等しい球体の表面積の比である。球体の場合、ψの値は1である。この定義によれば、本発明のケイ素-炭素複合粒子は、好ましくは0.3~1.0、より好ましくは0.5~1.0、最も好ましくは0.65~1.0の球形度ψを有する。
【0055】
球形度Sは、粒子を表面に投影した投影図と同じ面積Aを持つ等価円の円周の、この投影図の測定された外周Uに対する比である。
【0056】
【0057】
理想的な円形度の粒子の場合、Sの値は1になる。本発明のケイ素-炭素複合粒子の場合、球形度Sは、数球形度分布のパーセンタイルS10~S90に基づいて、好ましくは0.5~1.0、より好ましくは0.65~1.0の範囲にある。球形度Sは、例えば、個々の粒子の光学顕微鏡写真から、または好ましくは、粒子<10μmの場合、走査型電子顕微鏡を用いて、例えば、ImageJなどの画像解析ソフトウェアによるグラフィック評価により測定される。
【0058】
リチウムイオン電池のサイクル安定性は、本発明のケイ素-炭素複合粒子のモルフォロジー、材料組成、特に比表面積または内部空隙率を介してさらに向上させることが可能である。
【0059】
本発明のケイ素-炭素複合粒子は、本発明のケイ素-炭素複合粒子の総重量に対して、ケイ素の浸透により得られた、好ましくは10~90wt%、より好ましくは20~80wt%、非常に好ましくは30~60wt%、特に好ましくは40~50wt%のケイ素を含む(ICP-OESなどの元素分析により好ましく測定される)。
【0060】
本発明のケイ素-炭素複合粒子における浸透により得られたケイ素の体積は、本発明のケイ素-炭素複合粒子の総質量の割合としての、ケイ素前駆体からの浸透により得られたケイ素の質量分率を、ケイ素の密度(2.336g/cm3)で除して得られる。
【0061】
本発明のケイ素-炭素複合粒子の細孔容積Pは、ガスアクセス可能な細孔容積とガスアクセス不可能な細孔容積との合計から得られる。本発明のケイ素-炭素複合粒子のGurvichによるガスアクセス可能な細孔容積は、DIN 66134に準拠した窒素を用いたガス収着測定により決定することができる。
【0062】
本発明のケイ素-炭素複合粒子のガスアクセス不可能な細孔容積は、次式により決定することができる。
ガスアクセス不可能な細孔容積=1/骨格密度-1/純物質密度
【0063】
本明細書における骨格密度とは、DIN 66137-2に準拠したヘリウムピクノメトリーで測定されるケイ素-炭素複合体の密度であり、本発明のケイ素-炭素複合粒子の純物質密度とは、本発明のケイ素-炭素複合粒子に含まれる成分の理論純物質密度に、材料全体におけるそれぞれの重量基準の百分率割合を乗じたものの合計から算出することのできる理論密度である。したがって、ケイ素-炭素複合粒子の場合:
純物質密度=ケイ素の理論純物質密度(2.336g/cm3)×ケイ素の割合(wt%)+多孔質炭素粒子の密度(ヘリウムピクノメトリーにより測定)×多孔質炭素粒子の割合(wt%)
【0064】
本発明のケイ素-炭素複合粒子の細孔容積Pは、ケイ素の浸透により得られるケイ素であって本発明のケイ素-炭素複合粒子中に存在するケイ素の体積に対して、好ましくは0~400vol%の範囲にあり、より好ましくは100~350vol%の範囲にあり、非常に好ましくは200~350vol%の範囲にある。
【0065】
本発明のケイ素-炭素複合粒子中に存在する空隙は、ガスアクセス可能でもよく、ガスアクセス不可能でもよい。本発明のケイ素-炭素複合粒子のガスアクセス不可能な空隙に対するガスアクセス可能な空隙の体積比は、通常は0(ガスアクセス可能な細孔なし)~1(全ての細孔がガスアクセス可能である)の範囲にあってもよい。本発明のケイ素-炭素複合粒子のガスアクセス不可能な空隙に対するガスアクセス可能な空隙の体積比は、好ましくは0~0.8の範囲にあり、より好ましくは0~0.3の範囲にあり、特に好ましくは0~0.1の範囲にある。
【0066】
本発明のケイ素-炭素複合粒子の細孔は、例えばマクロ細孔(50nm超)、メソ細孔(2~50nm)、およびミクロ細孔(2nm未満)の範囲に位置する、任意の所望の直径を有することができる。また、本発明のケイ素-炭素複合粒子は、異なる細孔型を持つ任意の所望の混合物を含んでもよい。本発明のケイ素-炭素複合粒子は、好ましくは、総細孔容積に対して最大でも30%のマクロ細孔を含み、マクロ細孔を有しない本発明のケイ素-炭素複合粒子が特に好ましく、平均細孔直径が5nm未満である細孔を少なくとも50%有する本発明のケイ素-炭素複合粒子が非常に特に好ましい。より特に好ましくは、本発明のケイ素-炭素複合粒子は、最大でも2nmの直径を有する細孔のみを含む。
【0067】
本発明のケイ素-炭素複合粒子は、好ましくは、少なくとも1次元において、好ましくは最大1000nm、より好ましくは100nm未満、非常に好ましくは5nm未満の構造サイズを有するケイ素構造体を含む(測定方法:走査型電子顕微鏡法(SEM)および/または高分解能透過型電子顕微鏡法(HR-TEM))。
【0068】
本発明のケイ素-炭素複合粒子は、細孔内および外表面において、好ましくは最大で1000nm、より好ましくは100nm未満、非常に好ましくは5nm未満の層厚を有するケイ素層を含む(測定方法:走査型電子顕微鏡法(SEM)および/または高分解能透過型電子顕微鏡法(HR-TEM))。また、本発明のケイ素-炭素複合粒子は、ケイ素粒子から形成された層の形態でケイ素を含んでもよい。ケイ素粒子は、好ましくは最大1000nm、より好ましくは100nm未満、非常に好ましくは5nm未満の直径を有する(測定方法:走査型電子顕微鏡法(SEM)および/または高分解能透過型電子顕微鏡法(HR-TEM))。なお、ここでのケイ素粒子の数値は、好ましくは、顕微鏡画像における粒子を囲む円の直径を基準とする。
【0069】
本発明のケイ素-炭素複合粒子は、最大100m2/g、好ましくは60m2/g未満、特に好ましくは20m2/g未満の比表面積を有する。BET表面積は、DIN 66131(窒素を使用)に準拠して測定される。したがって、本発明のケイ素-炭素複合粒子をリチウムイオン電池用アノードにおける活物質として用いた場合、SEIの形成を低減し、初期クーロン効率を向上させることが可能である。
【0070】
ケイ素前駆体から堆積されたケイ素含有材料中のケイ素は、例えば、Fe、Al、Cu、S、Cl、Zr、Ti、Pt、Ni、Cr、Sn、Ag、Co、Zn、B、P、Sb、Pb、Ge、Bi、希土類またはそれらの組み合わせを含む群から選択されるドーパントをさらに含んでもよい。本明細書において、Liおよび/またはSnが好ましい。ケイ素-炭素複合粒子を含む材料中のドーパントの量は、ケイ素-炭素複合粒子の総重量に対して、好ましくは最大1wt%、より好ましくは最大100ppmであり、ICP-OESによって測定可能である。
【0071】
本発明のケイ素-炭素複合粒子は、通常は、圧縮応力下および/またはせん断応力下において、驚くほど高い安定性を有する。本発明のケイ素-炭素複合粒子の圧力安定性およびせん断安定性は、例えば、本発明のケイ素-炭素複合粒子が、それぞれ、圧縮応力下(例えば、電気圧縮時)およびせん断応力下(例えば、電極作製時)のSEMにおいてその多孔質構造にわずかな変化のみを示し、または変化を示さないという事実によって本明細書において明らかにされる。
【0072】
本発明のケイ素-炭素複合粒子は、ケイ素の浸透のために慣用されている任意の所望の反応器内において製造することができる。好ましい反応器は、流動床反応器、回転式管型炉、これは水平から垂直までの任意の所望の配置で方向付けられてもよく、および固定床反応器、これは開放系または閉鎖系として操作してもよく、例えば圧力反応器の形態、から選択されるものである。特に好ましい反応器は、多孔質粒子および浸透中に形成されたケイ素含有材料と、ケイ素前駆体と、の均一な混合を可能にするものである。これは、多孔質粒子の細孔内および表面へのケイ素の極めて均一な堆積に有利である。最も好ましい反応器は、流動床反応器、回転式管型炉または圧力反応器、特に流動床反応器または圧力反応器である。
【0073】
通常はケイ素は、ケイ素前駆体から熱分解により堆積される。ケイ素の浸透には、1種のケイ素前駆体を使用すること、または複数種のケイ素前駆体を混合してもしくは交互に使用することが可能である。好ましいケイ素前駆体は、ケイ素水素化合物、例えば、モノシラン SiH4、ジシラン Si2H6、および、より高級の直鎖状、分岐状または環状のホモログ、ネオペンタシラン Si5H12、シクロヘキサシラン Si6H12;塩素含有シラン、例えば、トリクロロシラン HSiCl3、ジクロロシラン H2SiCl2、クロロシラン H3SiCl、テトラクロロシラン SiCl4、ヘキサクロロジシラン Si2Cl6、および、より高級の直鎖状、分岐状または環状のホモログ、例えば、1,1,2,2-テトラクロロジシラン Cl2HSi-SiHCl2など;塩素化および部分塩素化オリゴシランおよびポリシラン、メチルクロロシラン、例えば、トリクロロメチルシラン MeSiCl3、ジクロロジメチルシラン Me2SiCl2、クロロトリメチルシラン Me3SiCl、テトラメチルシラン Me4Si、ジクロロメチルシラン MeHSiCl2、クロロメチルシラン MeH2SiCl、メチルシラン MeH3Si、クロロジメチルシラン Me2HSiCl、ジメチルシラン Me2H2Si、トリメチルシラン Me3SiH、または記載したケイ素化合物の混合物から選択される。ケイ素前駆体は、モノシラン SiH4、ジシラン Si2H6、塩素含有シラン、特にトリクロロシラン HSiCl3、ジクロロシラン H2SiCl2、クロロシラン H3SiCl、テトラクロロシラン SiCl4、ヘキサクロロジシラン Si2Cl6およびこれらのシランを含む混合物からより詳細には選択される。モノシランが特に好ましい。
【0074】
さらに、1種以上の反応性成分を反応器に導入してもよい。そのような成分の例は、ホウ素、窒素、リン、ヒ素、ゲルマニウム、鉄またはニッケルを含む化合物をベースとするドーパントである。ドーパントは、好ましくは、アンモニア NH3、ジボラン B2H6、ホスフィン PH3、ゲルマン GeH4、アルシン AsH3、およびニッケルテトラカルボニル Ni(CO)4から選択される。
【0075】
反応性成分のさらなる例は、水素または炭化水素であり、より詳細には、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、イソブタン、ヘキサン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンなどの炭素数1~10、好ましくは炭素数1~6の脂肪族炭化水素;エチレン、アセチレン、プロピレンまたはブチレン;イソプレン、ブタジエン、ジビニルベンゼン、ビニルアセチレン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエンなどの炭素数1~10の不飽和炭化水素;シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンおよびノルボルナジエンなどの環状不飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、p-、m-およびo-キシレン、スチレン(ビニルベンゼン)、エチルベンゼン、ジフェニルメタンおよびナフタレンなどの芳香族炭化水素;フェノール、o-、m-およびp-クレゾール、シメン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、ピリジン、アントラセンおよびフェナントレン、ミルセン、ゲラニオール、チオテルピネオール、ノルボルナン、ボルネオール、イソボルネオール、ボルナン、カンファー、リモネン、テルピネン、ピネン、ピナン、カレン、フェノール、アニリン、アニソール、フラン、フルフラール、フルフリルアルコール、ヒドロキシメチルフルフラール、ビスヒドロキシメチルフランなどのさらなる芳香族炭化水素;ならびに、例えば天然ガス凝縮物、石油蒸留物、コークス炉凝縮物からの、複数のこのような化合物を含む混合留分、流動接触分解装置(FCC)、スチームクラッカーまたはフィッシャー・トロプシュ合成プラントからの製品流からの混合留分、あるいは、ごく一般的には、木材、天然ガス、石油および石炭の処理からの炭化水素含有流など、多数の化合物を含む混合留分を含むもの、を含む群から選択される。
【0076】
このプロセスは、好ましくは、例えば窒素またはアルゴン雰囲気のような不活性ガス雰囲気で行われる。
【0077】
このプロセスにおいて、ケイ素の浸透は、好ましくは280~900℃、より好ましくは320~600℃、特に好ましくは350~450℃で行われる。
【0078】
ケイ素の浸透は、減圧下、大気圧下または昇圧下で行ってもよい。該処理は、好ましくは、大気圧下または50bar以下の昇圧下で行われる。
【0079】
その他、このプロセスは、ケイ素前駆体からのケイ素の浸透に一般的な方法で、必要に応じて、当業者に慣用されている通常の改変を伴って、従来通り実施することができる。
【0080】
本発明のさらなる主題は、本発明のケイ素-炭素複合粒子を含む、リチウムイオン電池用アノード材料である。
【0081】
アノード材料は、好ましくは、本発明のケイ素-炭素複合粒子、1種以上のバインダー、必要に応じてさらなる活物質としてのグラファイト、必要に応じて1種以上のさらなる導電性成分、および必要に応じて1種以上の添加剤を含む混合物をベースとする。
【0082】
アノード材料は、本発明のケイ素-炭素複合粒子、好ましくは1種以上のバインダー、必要に応じてさらなる活物質としてのグラファイト、必要に応じて1種以上のさらなる導電性成分、および必要に応じて1種以上の添加剤を含む。
【0083】
アノード材料において導電性成分をさらに用いることにより、電極内および電極/集電体間の伝達抵抗を低減し、それによりリチウムイオン電池の通電容量を向上させることができる。好ましいさらなる導電性成分は、導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブ、または金属粒子、例えば銅である。
【0084】
導電性カーボンブラックの一次粒子は、好ましくは、直径パーセンタイルd10=5nmとd90=200nmとの間の体積加重粒径分布を有する。導電性カーボンブラックの一次粒子は、鎖状の分岐を有し、最大でμmサイズの構造を形成することもできる。カーボンナノチューブは、好ましくは0.4~200nm、より好ましくは2~100nm、最も好ましくは5~30nmの直径を有する。金属粒子は、直径パーセンタイルd10=5nmとd90=800nmとの間にある体積加重粒径分布を有する。
【0085】
アノード材料は、アノード材料の総重量に対して、好ましくは0~95wt%、より好ましくは0~40wt%、最も好ましくは0~25wt%の1種以上のさらなる導電性成分を含む。
【0086】
本発明のケイ素-炭素複合粒子は、リチウムイオン電池用アノード中に、アノード材料中に存在する活物質全体に対して、好ましくは5~100wt%、より好ましくは30~100wt%、最も好ましくは60~100wt%で存在してもよい。
【0087】
好ましいバインダーは、ポリアクリル酸またはそのアルカリ金属塩、より詳細にはリチウム塩またはナトリウム塩、ポリビニルアルコール、セルロースまたはセルロース誘導体、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオレフィン、ポリイミド、特にポリアミドイミド、または熱可塑性エラストマー、特にエチレン-プロピレン-ジエンターポリマーである。特に好ましくは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、またはセルロース誘導体、特にカルボキシメチルセルロースである。また、特に好ましくは、上述のバインダーのアルカリ金属塩、より詳細にはリチウム塩またはナトリウム塩である。最も好ましくは、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸のアルカリ金属塩、より詳細にはリチウム塩またはナトリウム塩である。バインダー中の酸性基の全てまたは好ましくはその一部が塩の形態で存在してもよい。バインダーは、好ましくは100,000~1,000,000g/molのモル質量を有する。2種以上のバインダーの混合物も使用することができる。
【0088】
使用されるグラファイトは、通常は、天然グラファイトまたは合成グラファイトであってよい。グラファイト粒子は、好ましくは、直径パーセンタイルd10>0.2μmかつd90<200μmの体積加重粒径分布を有する。
【0089】
添加剤の例としては、細孔形成剤、分散剤、流動制御剤またはドーパント、例として元素状リチウム、が挙げられる。
【0090】
アノード材料の好ましい配合は、好ましくは5~95wt%、より特に60~90wt%の本発明のケイ素-炭素複合粒子;0~90wt%、より特に0~40wt%のさらなる導電性成分;0~90wt%、より特に5~40wt%のグラファイト;0~25wt%、より特に5~20wt%のバインダー;および必要に応じて0~80wt%、より特に0.1~5wt%のさらなる添加剤を含み、数値(wt%)はアノード材料の総重量に基づき、アノード材料の全成分の割合は合計で100wt%になる。
【0091】
本発明のさらなる主題は、本発明のアノード材料で被覆されている集電体を備えるアノードである。このアノードは、好ましくはリチウムイオン電池に使用される。
【0092】
アノード材料の成分は、例えば、好ましくはローターステータ機、高エネルギーミル、遊星型混練機、攪拌ボールミル、シェーカープレートまたは超音波器具を使用して、好ましくは水、ヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、アセトン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドおよびエタノール、ならびにこれらの溶媒の混合物を含む群から選択される溶剤中で処理してアノードインクまたはアノードペーストを与えることができる。
【0093】
アノードインクまたはアノードペーストは、好ましくは2~10のpH(例えば、SenTix RJDプローブ付きpHメーターWTW pH 340iを用いて20℃で測定される)を有する。
【0094】
アノードインクまたはアノードペーストは、例えば、銅箔または他の集電体にナイフコーティングされてもよい。また、本発明では、他のコーティング方法、例えば、回転コーティング(スピンコーティング)、ローラーコーティング、ディップコーティングまたはスロットダイコーティング、塗装または噴霧を用いてもよい。
【0095】
銅箔が本発明のアノード材料で被覆される前に、銅箔を、例えばポリマー樹脂またはシランをベースとする市販のプライマーで処理してもよい。プライマーは、銅との密着性を向上させることができるが、通常はそれ自身は実質的に電気化学的活性を有しない。
【0096】
アノード材料を、好ましくは一定重量まで乾燥させる。乾燥温度は、採用される成分および使用される溶媒によって導かれる。それは、好ましくは20℃~300℃であり、より好ましくは50℃~150℃である。
【0097】
アノード被膜の乾燥層厚を意味する層厚は、好ましくは2μm~500μm、より好ましくは10μm~300μmである。
【0098】
最後に、電極被膜は、定義された空隙率を確立するために、カレンダー処理されてもよい。このようにして製造された電極は、好ましくは15~85%の空隙率を有し、これはDIN ISO 15901-1に準拠した水銀ポロシメトリーによって測定することができる。この場合、好ましくは、このように測定可能な細孔容積の25~85%が、0.01~2μmの細孔直径を有する細孔によって提供される。
【0099】
本発明のさらなる主題は、本発明のケイ素-炭素複合粒子を含む少なくとも1つのアノードを備えるリチウムイオン電池である。このリチウムイオン電池は、カソードと、電極への2つの導電性接続部と、セパレータと、セパレータおよび2つの電極に含浸される電解質とをさらに備えてもよく、さらに、上述の要素を収容する筐体を備えてもよい。
【0100】
本発明の目的において、「リチウムイオン電池」という用語は、セルも包含する。セルは、通常は、カソード、アノード、セパレータ、および電解質を含む。リチウムイオン電池は、1つ以上のセルの他に、好ましくは、電池管理システムをさらに含む。電池管理システムは、例えば、特に、充電状態を認識するため、消耗放電からの保護のため、または過充電からの保護のため、電子回路によって電池を制御する役割を通常は果たす。
【0101】
採用される好ましいカソード材料は、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケルコバルト酸リチウム(ドープまたは非ドープ)、マンガン酸リチウム(スピネル)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、ニッケルマンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、リン酸コバルトリチウム、リン酸マンガンリチウム、リン酸バナジウムリチウムまたはバナジウム酸リチウムである。
【0102】
セパレータは、好ましくは、例えばポリエチレン(PE)もしくはポリプロピレン(PP)のようなポリオレフィン、またはポリエステル、または対応する積層体から作られた、イオンに対して透過性の電気絶縁性の膜であることが好ましい。電池の製造において通例であるように、セパレータは、代替的に、ガラス質材料またはセラミック材料で作られていてもよく、または被覆されていてもよい。知られているように、セパレータは第1の電極を第2の電極から分離するので、電極間の電子伝導性接続(短絡)を防止することができる。
【0103】
電解質は、好ましくは、非プロトン性溶媒中に1種以上のリチウム塩(すなわち、導電性塩)を含む溶液である。好ましい導電性塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ヘキサフルオロヒ酸リチウム、過塩素酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、リチウムイミド、リチウムメチド、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)、およびリチウムボレートを含む群から選択されるものである。導電性塩の濃度は、溶媒を基準として、好ましくは0.5mol/lから当該塩の溶解限度である。より好ましくは、それは0.8~1.2mol/lである。
【0104】
使用できる溶媒の例は、環状カーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ガンマ-ブチロラクトン、ジオキソラン、アセトニトリル、有機炭酸エステルまたはニトリルの単独またはこれらの混合物である。
【0105】
電解質は、例えば、ビニレンカーボネートおよびフルオロエチレンカーボネートなどのフィルム形成剤を含むことが好ましい。このようにして、本発明のケイ素含有材料を含むアノードのサイクル安定性の著しい向上を達成することができる。この効果は、主として活性粒子表面に固体電解質界面が形成されることに起因する。電解質中のフィルム形成剤の割合は、好ましくは0.1~20.0wt%、より好ましくは0.2~15.0wt%、最も好ましくは0.5~10wt%である。
【0106】
リチウムイオンセルの電極の実容量の、最高の相互最適化を達成するためには、正極用材料および負極用材料を定量的にバランスさせることが有利である。この文脈で特に重要なのは、二次リチウムイオンセルの最初または初期の充放電サイクルの過程で、アノード中の電気化学的活物質の表面に外層が形成されることである(形成として知られている)。この外層は「固体電解質界面」(SEI)と呼ばれ、一般的にとりわけ電解質分解生成物、およびある程度のリチウムからなり、それゆえさらなる充放電反応にはもはや利用できない。SEIの厚さおよび組成は、使用されるアノード材料および使用される電解液溶液の性質および品質に依存する。
【0107】
SEIはグラファイトの場合、特に薄い。グラファイトの場合、最初の充電ステップでセル内の可動リチウムの通常は5%~35%の損失がある。電池の可逆容量もそれに応じて低下する。
【0108】
本発明のケイ素-炭素複合粒子を含むアノードの場合、最初の充電ステップにおける可動リチウムの損失は、好ましくは多くても30%、より好ましくは多くても20%、最も好ましくは多くても10%であり、これは、例えばケイ素含有複合アノード材料に関するUS10,147,950B1に記載された先行技術の値を充分に下回るものである。
【0109】
本発明のリチウムイオン電池は、例えば、巻回型、折りたたみ型または積層型など、あらゆる慣用的な形態で製造することができる。
【0110】
本発明のリチウムイオン電池を製造する際に利用される材料および物質は、本発明のケイ素-炭素複合粒子を除いて、上述したようにすべて公知である。本発明の電池の要素および本発明の電池を与えるためのそれらの組立は、電池製造の分野で知られている技術に従って行われる。
【0111】
本発明のケイ素-炭素複合粒子は、電気化学的挙動が著しく改善され、高い体積容量および優れた性能特性を有するリチウムイオン電池につながることが注目される。本発明のケイ素-炭素複合粒子は、リチウムイオンおよび電子に対して透過性を有するため、電荷輸送が可能である。本発明のケイ素-炭素複合粒子を用いれば、リチウムイオン電池におけるSEIの量を大幅に低減することができる。さらに、本発明のケイ素-炭素複合粒子の設計のため、SEIは、本発明のケイ素-炭素複合粒子の表面から剥離しなくなるか、または少なくともはるかに少ない程度で剥離する。これらの全てのことから、対応するリチウムイオン電池のサイクル安定性が高くなる。フェーディングおよびトラッピングを最小限に抑えることができる。さらに、本発明のリチウムイオン電池は、セル内で利用可能なリチウムの初期損失および継続的損失をほとんど示さず、したがって高いクーロン効率を示す。
【0112】
以下の例では、それぞれの場合で特に断らない限り、すべての量およびパーセントは重量で示され、すべての圧力は0.10MPa(絶対圧)であり、温度は20℃である。
【実施例】
【0113】
pH値は、ASTM規格番号D1512、方法Aに準拠して測定される。
【0114】
走査型電子顕微鏡(SEM/EDX):
顕微鏡観察は、Zeiss Ultra 55 走査型電子顕微鏡とOxford X-Max 80N エネルギー分散型X線分光器とを用いて行った。帯電現象を防ぐため、観察に先立ち、Safematic 010/HV コンパクト被覆ユニットを用いて、試料を炭素で蒸気被覆した。ケイ素含有材料の断面は、Leica TIC 3X イオンカッターを用いて、6kVで製造した。
【0115】
無機分析/元素分析:
Cの含有量は、Leco CS 230 アナライザーを用いて測定し、酸素および窒素の含有量の測定には、Leco TCH-600 アナライザーを用いた。他の元素の定性的および定量的測定、特にアルカリ金属およびアルカリ土類金属の測定は、ICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析(Optima 7300 DV、Perkin Elmer製)を用いて行った。この目的のために、試料を電子レンジ(Microwave 3000、Anton Paar製)内で酸分解(HF/HNO3)した。ICP-OESによる測定は、ISO 11885「水質-誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES)による選択元素の測定(ISO 11885:2007);ドイツ版 EN ISO 11885:2009」に基づき、これは、酸性水溶液(例えば、飲料水、排水および他の水、土壌および堆積物からの王水抽出物の酸性化試料)分析に用いられている。
【0116】
粒子径の測定:
粒径分布は、ISO 13320に準拠して、LA 950(Horiba)を用いた静的レーザー散乱法によって測定した。試料の調製では、個々の粒子ではなく、凝集塊のサイズを測定しないように、測定溶液への粒子の分散に特に注意を払う必要がある。本明細書で観察した材料は、エタノールに分散させた。したがって、測定に先立ち、必要に応じて、分散液を実験用超音波装置(Hielscher製、モデルUIS250v、LS24d5ソノトロード付き、250W)で4分間超音波処理した。
【0117】
BET表面積の測定:
材料の比表面積は、Sorptomatic 199090装置(Porotec)またはSA-9603MP装置(Horiba)を用いて、BET法(窒素を用いたDIN ISO 9277:2003-05に準拠した測定)に準拠して、窒素によるガス吸着によって測定した。
【0118】
骨格の密度:
骨格の密度、つまり外部からガスがアクセスできる細孔空間の体積のみに基づく多孔質固体の密度は、DIN 66137-2に準拠して、ヘリウムピクノメトリーにより測定した。
【0119】
ガスアクセス可能な細孔容積(Gurvich細孔容積):
Gurvichによるガスアクセス可能な細孔容積は、DIN 66134に準拠して、窒素を用いたガス収着測定によって決定した。
【0120】
以下の発明例1~6および比較例1において、本発明のケイ素-炭素複合粒子の製造に用いる多孔質炭素粒子の製造および特性について記載する。
【0121】
比較例1:アルカリ/アルカリ土類金属濃度<0.1wt%、およびpH<7.5を有する多孔質炭素粒子
以下の特性を有する多孔質炭素粒子を使用した。
BET表面積:2140m2/g
Gurvich PV:1.01cm3/g
Naの含有量:25ppm
Kの含有量:115ppm
pH=5.4
【0122】
発明例1:1モーラーNaOH溶液を用いた多孔質炭素粒子の処理
250mlのフラスコに比較例1の炭素20gを装入し、1M NaOH(水溶液)160mlと室温で混合した。次に、この懸濁液を100℃に加熱し、還流で3時間沸騰させた。周囲温度まで冷却した後、懸濁液を吸引フィルターで濾過し、固体生成物を洗浄水のpHが7になるまで蒸留水で洗浄した。得られた粉末を最後に、真空乾燥キャビネット内で80℃かつ10-2barで一晩乾燥させた。これにより、19.6gの黒色固体を得た。
【0123】
発明例2:1モーラーNaOH溶液を用いた多孔質炭素粒子の処理、さらに洗浄工程
発明例1と同様に多孔質炭素粒子を処理した後、試料をさらに2Lの蒸留水で洗浄した。得られた粉末を最後に、80℃かつ10-2barの真空乾燥キャビネット内で一晩乾燥させた。これにより、19.4gの黒色固体を得た。
【0124】
発明例3:1モーラーNaOH溶液を用いた多孔質炭素粒子の室温での処理
250mlのフラスコに比較例1の炭素20gを装入し、1M NaOH(水溶液)160mlと室温で混合した。次に、この懸濁液を室温で1時間攪拌し、その後、吸引フィルターでろ過し、固体生成物を洗浄水のpHが7になるまで蒸留水で洗浄した。得られた粉末を最後に、真空乾燥キャビネット内で80℃かつ10-2barで一晩乾燥させた。これにより、19.5gの黒色固体を得た。
【0125】
発明例4:NaOH溶液を用いた多孔質炭素粒子の室温での処理(洗浄無し)
250mlのフラスコに比較例1の炭素20gを装入し、NaOH溶液(50mlの蒸留水中に0.4424gのNaOH)と室温で混合した。次に、この懸濁液を室温で1時間攪拌し、その後、吸引フィルターで濾過した。得られた粉末を最後に、真空乾燥キャビネット内で80℃かつ10-2barで一晩乾燥させた。これにより、19.5gの黒色固体を得た。
【0126】
発明例5:1M LiOHを用いた多孔質炭素粒子の室温での処理
250mlのフラスコに比較例1の炭素20gを装入し、1M LiOH(水溶液)160mlと室温で混合した。次に、この懸濁液を100℃に加熱し、還流下で3時間沸騰させた。周囲温度まで冷却した後、懸濁液を吸引フィルターで濾過し、固体生成物を洗浄水のpHが7になるまで蒸留水で洗浄した。得られた粉末を最後に、真空乾燥キャビネット内で80℃かつ10-2barで一晩乾燥させた。これにより、19.6gの黒色固体を得た。
【0127】
発明例6:1M KOHを用いた多孔質炭素粒子の室温での処理
250mlのフラスコに比較例1の炭素20gを装入し、1M KOH(水溶液)160mlと室温で混合した。次に、この懸濁液を100℃に加熱し、還流下で3時間沸騰させた。周囲温度まで冷却した後、懸濁液を吸引フィルターで濾過し、固体生成物を洗浄水のpHが7になるまで蒸留水で洗浄した。得られた粉末を最後に、真空乾燥キャビネット内で80℃かつ10-2barで一晩乾燥させた。これにより、19.6gの黒色固体を得た。
【0128】
多孔質炭素粒子の物性を下記表1にまとめて示す。
【0129】
【0130】
ケイ素-炭素複合粒子の製造
比較例1A:比較例1の多孔質炭素粒子からのケイ素-炭素複合粒子
管型反応器に、溶融シリカボート内で比較例1の多孔質炭素粒子(比表面積=2140m2/g、Gurvich細孔容積=1.01cm3/g、pH=5.4)3.0gを装入した。反応器を窒素で不活性化した後、反応器を410℃に加熱した。反応温度に達したとき、反応ガス(N2中で10%SiH4、10L(STP)/h)を反応器に4.9時間通した。その後、反応器に不活性ガスを流し、室温まで冷却し、生成物を取り出した。
【0131】
比較例1B:下げた温度での比較例1の多孔質炭素粒子からのケイ素-炭素複合粒子
管型反応器に、溶融シリカボート内で比較例1の多孔質炭素(比表面積=2140m2/g、Gurvich細孔容積=1.01cm3/g、pH=5.4)3.0gを装入した。反応器を窒素で不活性化した後、反応器を380℃に加熱した。反応温度に達したとき、反応ガス(N2中で10%SiH4、10L(STP)/h)を反応器に10.2時間通した。その後、反応器に不活性ガスを流し、室温まで冷却し、生成物を取り出した。
【0132】
発明例1A:発明例1の多孔質炭素粒子からのケイ素-炭素複合粒子
管型反応器に、溶融シリカボート内で発明例1の多孔質炭素粒子(比表面積=2010m2/g、Gurvich細孔容積=0.95cm3/g、pH=10.7)3.0gを装入した。反応器を窒素で不活性化した後、反応器を380℃に加熱した。反応温度に達したとき、反応ガス(N2中で10%SiH4、10L(STP)/h)を反応器に4.6時間通した。その後、反応器に不活性ガスを流し、室温まで冷却し、生成物を取り出した。
【0133】
発明例2A:発明例2の多孔質炭素粒子からのケイ素-炭素複合粒子
管型反応器に、溶融シリカボート内で発明例2の多孔質炭素粒子(比表面積=1980m2/g、Gurvich細孔容積=0.98cm3/g、pH=9.0)3.0gを装入した。反応器を窒素で不活性化した後、反応器を380℃に加熱した。反応温度に達したとき、反応ガス(N2中で10%SiH4、10L(STP)/h)を反応器に8.5時間通した。その後、反応器に不活性ガスを流し、室温まで冷却し、生成物を取り出した。
【0134】
発明例3A:発明例3の多孔質炭素粒子からのケイ素-炭素複合粒子
管型反応器に、溶融シリカボート内で発明例3の多孔質炭素粒子(比表面積=1940m2/g、Gurvich細孔容積=0.96cm3/g、pH=10.7)3.0gを装入した。反応器を窒素で不活性化した後、反応器を380℃に加熱した。反応温度に達したとき、反応ガス(N2中で10%SiH4、10L(STP)/h)を反応器に5.4時間通した。その後、反応器に不活性ガスを流し、室温まで冷却し、生成物を取り出した。
【0135】
発明例4A:発明例4の多孔質炭素粒子からのケイ素-炭素複合粒子
管型反応器に、溶融シリカボート内で発明例4の多孔質炭素粒子(比表面積=1900m2/g、Gurvich細孔容積=0.94cm3/g、pH=9.8)3.0gを装入した。反応器を窒素で不活性化した後、反応器を380℃に加熱した。反応温度に達したとき、反応ガス(N2中で10%SiH4、10L(STP)/h)を反応器に5.7時間通した。その後、反応器に不活性ガスを流し、室温まで冷却し、生成物を取り出した。
【0136】
発明例5A:発明例5の多孔質炭素粒子からのケイ素-炭素複合粒子
管型反応器に、溶融シリカボート内で発明例5の多孔質炭素粒子(比表面積=2030m2/g、Gurvich細孔容積=0.95cm3/g、pH=9.8)3.0gを装入した。反応器を窒素で不活性化した後、反応器を380℃に加熱した。反応温度に達したとき、反応ガス(N2中で10%SiH4、10L(STP)/h)を反応器に7.1時間通した。その後、反応器に不活性ガスを流し、室温まで冷却し、生成物を取り出した。
【0137】
発明例6A:発明例6の多孔質炭素粒子からのケイ素-炭素複合粒子
管型反応器に、溶融シリカボート内で発明例6の多孔質炭素粒子(比表面積=1990m2/g、Gurvich細孔容積=0.93cm3/g、pH=9.4)3.0gを装入した。反応器を窒素で不活性化した後、反応器を380℃に加熱した。反応温度に達したとき、反応ガス(N2中で10%SiH4、10L(STP)/h)を反応器に8.0時間通した。その後、反応器に不活性ガスを流し、室温まで冷却し、生成物を取り出した。
【0138】
発明例7A:圧力反応器内での反応による発明例1の多孔質炭素粒子からのケイ素-炭素複合粒子
反応は、シリンダー状下部(ビーカー)と、幾つかの接続部(例えば、ガス供給、ガス除去、温度測定および圧力測定用)を有する蓋とからなる、容量594mlの電気加熱式オートクレーブを用いて行った。使用したスターラーは、非常に狭いクリアランスのヘリカルスターラーである。このスターラーの高さは、反応器内部のクリア高さの約50%に相当する。ヘリカルスターラーは、床内で直接温度測定ができるように構成されている。オートクレーブに、発明例1の多孔質炭素(比表面積=2010m2/g、Gurvich細孔容積=0.95cm3/g、pH=10.7)10.0gを装入し、密閉した。オートクレーブを、まず、排気した。次に、SiH4(15.6g)を15.1barの圧力で注入した。その後、オートクレーブを90分かけて425℃の温度まで加熱し、その温度を240分間保持した。反応の過程で、圧力は76barまで上昇した。12時間かけて、オートクレーブは室温(21℃)まで冷却された。冷却後、オートクレーブ内での圧力は35barであった。オートクレーブ内の圧力を1barに下げ、次に、オートクレーブに窒素を5回、酸素分率が5%の希薄空気(lean air)を5回、酸素分率が10%の希薄空気を5回、その後、空気を5回流した。21.3gのケイ素-炭素複合粒子が微細な黒色固体の形態で単離された。
【0139】
ケイ素-炭素複合粒子を製造するための反応条件、および当該粒子の物性を下記表2にまとめて示す。
【0140】
【0141】
本発明のケイ素-炭素複合粒子の製造のためのデータは、アルカリ金属濃度>0.05wt%および7.5超のpHを有する多孔質炭素粒子から製造する本発明の方法を採用する場合のケイ素の浸透が、有利にはるかに速く起こることを明確に示している。
【0142】
電気化学セルにおけるケイ素-炭素複合粒子の評価
発明例8:発明例1Aの本発明のケイ素-炭素複合粒子を含むアノード、およびリチウムイオン電池での電気化学的試験
29.71gのポリアクリル酸(85℃で一定重量に乾燥;Sigma-Aldrich、Mw~450,000g/mol)と756.60gの脱イオン水を、ポリアクリル酸が完全に溶解するまでシェーカー(290 1/min)を用いて2.5時間攪拌した。この溶液に水酸化リチウム一水和物(Sigma-Aldrich)をpHが7.0になるまで分けて加えた(WTW pH 340i pHメーターおよびSenTix RJDプローブを使用して測定)。続いて、溶液をさらに4時間シェーカーで混合した。中和したポリアクリル酸溶液3.87gとグラファイト(Imerys、KS6L C)0.96gを50ml容器に導入し、遊星型ミキサー(SpeedMixer、DAC 150 SP)で2000rpmで混ぜ合わせた。次に、発明例1Aの本発明のケイ素-炭素複合粒子3.40gを入れて2000rpmで1分間攪拌した。次に、8%導電性カーボンブラック分散液1.21gと脱イオン水0.8gとを加え、遊星型ミキサー上で2000rpmで混練した。続いて、ディゾルバーで3000rpm、20℃一定で30分間分散させた。その後、インクを再び遊星型ミキサーで2500rpm、減圧下で5分間脱気した。
【0143】
次に、完成した分散液を、ギャップ高さ0.1mmのフィルム延伸フレーム(Erichsen、モデル360)を用いて、厚さ0.03mmの銅箔(Schlenk Metallfolien、SE-Cu58)上に塗布した。このようにして製造されたアノード被膜は、その後、60℃、空気圧1barで60分間乾燥させた。乾燥したアノード被膜の単位面積当たりの平均重量は2.2mg/cm2であり、被膜密度は0.8g/cm3であった。
【0144】
電気化学的研究は、2電極配置のボタンセル(CR2032型、Hohsen社)で行った。電極被膜は対電極または負極(Dm=15mm)として使用され、含有率が94.0%であり、単位面積当たりの平均重量が15.9mg/cm2のニッケルマンガンコバルト酸リチウム6:2:2に基づく被膜(SEI社から供給)は作用電極または正極(Dm=15mm)として使用した。60μlの電解質を浸したガラス繊維濾紙(Whatman、GD Type D)をセパレータとした(Dm=16mm)。使用した電解質は、フルオロエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの1:4(v/v)混合物におけるヘキサフルオロリン酸リチウムの1.0モーラー溶液からなる。セルはグローブボックス(<1ppm H2O、O2)内で組み立てた。使用したすべての成分の乾燥質量中の水分含有量は20ppm未満であった。
【0145】
電気化学的試験は22℃で行った。最初のサイクルは15mA/g(C/10に相当)の定電流、その後のサイクルは75mA/g(C/2に相当)の定電流で行い、4.2Vの電圧限界に達した後は、電流が1.5mA/g(C/100に相当)未満または3mA/g(C/50に相当)未満になるまで定電圧で行うcc/cv(定電流/定電圧)法により、セルを充電した。最初のサイクルは15mA/g(C/10に相当)の定電流で、その後のサイクルは電圧限界の2.5Vに達するまで75mA/g(C/2に相当)の定電流で行うcc(定電流)法により、セルを放電させた。選択した特定の電流は、正極の被膜の重量に基づいていた。電極は、カソード:アノード容量比が1:1.2となるように選択した。
【0146】
発明例9:発明例5Aの本発明のケイ素-炭素複合粒子を含むアノード、およびリチウムイオン電池での電気化学的試験
発明例5Aの本発明のケイ素含有材料を用いて、発明例8に記載したようにアノードを製造した。発明例8に記載したように、アノードをリチウムイオン電池に組み入れ、同じ試験手順に従った。
【0147】
発明例10:発明例6Aの本発明のケイ素-炭素複合粒子を含むアノード、およびリチウムイオン電池での電気化学的試験
発明例6Aの本発明のケイ素含有材料を用いて、発明例8に記載したようにアノードを製造した。発明例8に記載したように、アノードをリチウムイオン電池に組み入れ、同じ試験手順に従った。
【0148】
比較例11:発明例6Aの本発明のケイ素-炭素複合粒子を含むアノード、およびリチウムイオン電池での電気化学的試験
比較例1Aの非発明例のケイ素含有材料を用いて、発明例8に記載したようにアノードを製造した。発明例8に記載したように、アノードをリチウムイオン電池に組み入れ、同じ試験手順に従った。
【0149】
電気化学的評価の結果を以下の表3にまとめて示す。
【0150】
【0151】
本発明のケイ素-炭素複合粒子を用いることによって、従来のケイ素-炭素複合粒子を用いた場合よりも著しく高いサイクル安定性が達成できていることは明らかである。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)0.05~10wt%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度、および
b)pH>7.5
を有するケイ素-炭素複合粒子。
【請求項2】
多孔質炭素粒子の存在下、20℃かつ1013mbarで液体または気体のケイ素前駆体から選択されるケイ素前駆体からのケイ素の浸透によって、請求項1に記載のケイ素-炭素複合粒子を製造する方法
であり、前記多孔質炭素粒子は、前記多孔質炭素粒子中に存在する炭素を基準として、塩基性アルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物を100:1~5:1のモル比で用いた処理によるものであり、0.1~20wt%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度、およびpH>7.5を有する、前記方法。
【請求項3】
直径パーセンタイルd
50が0.5~20μmである体積加重粒径分布を有する、請求項1に記載のケイ素-炭素複合粒子。
【請求項4】
ケイ素の浸透によって得られたケイ素を少なくとも30wt%有する、請求項1または3に記載のケイ素-炭素複合粒子。
【請求項5】
前記ケイ素-炭素複合粒子の細孔内および外表面において、ケイ素が、1μm以下の厚さを有する、層の形態でまたはケイ素粒子から形成された層の形態で存在する、請求項1、3または4に記載のケイ素-炭素複合粒子。
【請求項6】
100m
2/g以下のBET比表面積を有する、請求項1または3~5のいずれか一項に記載のケイ素-炭素複合粒子。
【請求項7】
前記ケイ素-炭素複合粒子におけるケイ素の浸透によって得られた前記ケイ素の体積に対して、細孔容積Pが少なくとも100vol%であり、前記ケイ素-炭素複合粒子の前記細孔容積Pが、ガスアクセス可能な細孔容積とガスアクセス不可能な細孔容積との合計から得られる、請求項4~6のいずれか一項に記載のケイ素-炭素複合粒子。
【請求項8】
ケイ素の浸透を、流動床反応器、水平から垂直に配置されている回転式管型炉、開放系または閉鎖系の固定床反応器、および圧力反応器から選択される反応器内で行う、請求項2
に記載の方法。
【請求項9】
ケイ素の浸透を280~900℃で行う、請求項2
または8
に記載の方法。
【請求項10】
請求項1または3~7のいずれか一項に記載のケイ素-炭素複合粒子を、モノシランおよび塩素含有シランから選択されるシランからのケイ素の浸透によって製造する、請求項2、8
または9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1または3~7のいずれか一項に記載のケイ素-炭素複合粒子を含む、リチウムイオン電池用アノード材料。
【請求項12】
請求項
11に記載のアノード材料で被覆されている集電体を備えるアノード。
【請求項13】
請求項1または3~7のいずれか一項に記載のケイ素-炭素複合粒子を含む少なくとも1つのアノードを備えるリチウムイオン電池。
【国際調査報告】