(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置
(51)【国際特許分類】
H01H 39/00 20060101AFI20240118BHJP
H01H 37/76 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H01H39/00 C
H01H37/76 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580730
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 CN2022123433
(87)【国際公開番号】W WO2023071713
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】202122591504.3
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111252921.3
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521368463
【氏名又は名称】西安中熔電気股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石 暁光
(72)【発明者】
【氏名】段 少波
(72)【発明者】
【氏名】王 欣
(72)【発明者】
【氏名】戈 西斌
【テーマコード(参考)】
5G502
【Fターム(参考)】
5G502AA01
5G502BB07
5G502KK04
(57)【要約】
【課題】複数の仮破断部を破断させる順序およびその時間間隔が、単一の衝撃装置の衝撃ヘッドの高さのみにより調整する場合、調整可能なパラメータが少なく、コントロール可能な範囲が小さく、そして、運動時、衝撃装置の異なる高さの衝撃ヘッドにより仮破断部を前後に破断させる場合、衝撃装置全体の受ける力が不均一であるため、断裂になりやすく、遮断に影響を与える。
【解決手段】本出願に係る単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置は、ハウジングと、誘起源と、衝撃装置と、導体とを備え、前記ハウジングに、異なるチャンバーのそれぞれに位置する少なくとも2つの衝撃装置が設置され、前記衝撃装置の一側に1つの誘起源が設置され、前記衝撃装置および前記誘起源が、それらの位置するチャンバーと密封接触するように構成され、前記誘起源により前記衝撃装置が駆動されて同時または前後に変位し、少なくとも1つの前記衝撃装置が変位する過程において前記導体を破断させるように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、誘起源と、衝撃装置と、導体とを備え、前記ハウジングに、異なるチャンバーのそれぞれに位置する少なくとも2つの衝撃装置が設置され、前記衝撃装置の一側に1つの誘起源が設置され、前記衝撃装置および前記誘起源が、それらの位置するチャンバーと密封接触するように構成され、前記誘起源により前記衝撃装置が駆動されて同時または前後に変位し、少なくとも1つの前記衝撃装置が変位する過程において前記導体を破断させるように構成される
ことを特徴とする単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項2】
前記ハウジングに少なくとも1つのバルブ構造が設置され、前記バルブ構造は、圧力調整バルブ、チェックバルブ、切り換えバルブまたはプレッシャーリリーフバルブから選択されるものである
ことを特徴とする請求項1に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項3】
各前記バルブ構造は、前記誘起源、または前記衝撃装置、または破断した前記導体により駆動され、
前記バルブ構造が2つ以上である場合、すべての前記バルブ構造が、前記誘起源、前記衝撃装置および破断した前記導体から選択される同一のものにより駆動され、あるいは、すべての前記バルブ構造のうちの2つが、前記誘起源、前記衝撃装置および破断した前記導体から選択される異なる2つによりそれぞれ駆動される
ことを特徴とする請求項2に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、上ハウジングと、前記上ハウジングと密封接続する下ハウジングとを含み、前記導体が前記上ハウジングと前記下ハウジングとの接触面の箇所に設置され、前記導体の2つの端部が、それぞれ前記ハウジングの外部に位置する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項5】
前記導体に少なくとも1つの可溶体が並列接続される
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項6】
少なくとも1つの前記衝撃装置により前記導体を破断させ、少なくとも1つの前記衝撃装置により前記可溶体を破断させまたは前記導体および前記可溶体を順に破断させるように構成される
ことを特徴とする請求項5に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項7】
前記可溶体に溶断脆弱箇所および破断脆弱箇所が設けられ、前記破断脆弱箇所が、前記衝撃装置により破断する部位に設けられる
ことを特徴とする請求項6に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項8】
可溶体の破断脆弱箇所の、衝撃装置に近接するチャンバーに押しブロックが設置され、前記押しブロックと、前記押しブロックの位置するチャンバーとの間に押しブロックの初期位置を制限する位置制限構造が設置される
ことを特徴とする請求項7に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項9】
前記溶断脆弱箇所は、消弧媒体が充填されている密閉したチャンバーに位置する
ことを特徴とする請求項7または8に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項10】
前記誘起源の位置するチャンバーが各前記衝撃装置の位置するチャンバーのそれぞれに連通する場合、誘起源が動作するとき、前記衝撃装置が駆動されて同時または前後に動作し、あるいは、前記誘起源の位置するチャンバーが前記衝撃装置のうちの1つの位置するチャンバーに連通する場合、各前記衝撃装置の位置するチャンバーが流路を介して直列連通し、誘起源が動作するとき、前記衝撃装置が駆動されて前後に動作するように構成される
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項11】
各前記衝撃装置の位置するチャンバーが流路を介して連通する場合、先に動作する衝撃装置が変位することにより、それが動作した直後に動作する衝撃装置の位置するチャンバーと、前記先に動作する衝撃装置の位置するチャンバーとの連通する流路の開口を開くように構成される
ことを特徴とする請求項10に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項12】
前記衝撃装置のうちの1つの前記衝撃装置が中央に設置され、その他の衝撃装置が、中央に設置される前記衝撃装置の外側の周りに間隔をあけて設置される
ことを特徴とする請求項10または11に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項13】
前記衝撃装置は、誘起源の位置するチャンバーの外側の周りに配置される
ことを特徴とする請求項10または11に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項14】
中央に設置される前記衝撃装置の外側に位置する衝撃装置は、いずれも環状構造であり、順次に間隔をあけて中央に設置される前記衝撃装置の外周に環装される
ことを特徴とする請求項12に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項15】
前記環状構造の前記衝撃装置において、前記導体に対応する位置にそれぞれ切欠が設けられ、環状構造の前記衝撃装置が変位して可溶体を破断させるとき、前記導体が前記切欠内に位置する
ことを特徴とする請求項14に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項16】
前記衝撃装置と、前記衝撃装置の位置するチャンバーとの接触面の間、および、前記誘起源と、前記誘起源の位置するチャンバーとの接触面の間に、接触面を密封するための密封装置が設置される
ことを特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項17】
前記ハウジングは、前記ハウジングの底部に設置される可溶体ハウジングをさらに含み、前記可溶体が前記可溶体ハウジングを穿通し、前記可溶体の両端が、前記可溶体ハウジングを穿通して前記導体と並列接続され、前記可溶体ハウジングに、前記衝撃装置により前記可溶体を破断させるためのチャンバーが設けられる
ことを特徴とする請求項5~16のいずれか1項に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項18】
前記ハウジングに前記ハウジングと密封接触する告知装置が設置され、前記告知装置と前記ハウジングとの間に位置制限機構が設置され、前記告知装置が、流路を介して、同時に動作する前記衝撃装置のうちの1つの位置するチャンバーに連通し、または、流路を介して、前後に動作する前記衝撃装置のうちの最後に動作する衝撃装置の位置するチャンバーに連通し、前記告知装置の流路の、前記衝撃装置の位置するチャンバーに位置する開口の位置は、すべての衝撃装置の動作が完了したとき、前記告知装置が、前記誘起源による駆動力で前記位置制限機構による位置制限を克服して変位し、前記告知装置の一端が前記ハウジングの外部まで突き出る要求を満たす
ことを特徴とする請求項10~17のいずれか1項記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項19】
前記誘起源は、誘起信号を受信することにより動作する電子点火装置または液圧装置であり、前記電子点火装置が高圧ガスを発生し、前記液圧装置が絶縁の高圧液体を吐出するように構成される
ことを特徴とする請求項1~18のいずれか1項に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電力制御および電気自動車の分野に属し、特に、1つの誘起源により導体を段階的に切断することにより電流遮断を行う誘起保護装置に関する。
【0002】
(関係出願の相互参照)
本出願は、2021年10月27日に中国国家知識財産権局に提出された、出願番号が202111252921.3であり、名称が「単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置」である中国出願、および、2021年10月27日に中国国家知識財産権局に提出された、出願番号が202122591504.3であり、名称が「単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置」である中国出願に基づいて優先権を主張し、その内容のすべては本出願に参照として取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
現在、電気自動車の電池パック保護デバイスとして、従来の熱溶断ヒューズのほか、回路を素早く遮断可能な誘起保護装置があり、その適用範囲がますます広くなり、主に従来のヒューズの、発した熱の量が大きく、電力消費が高く、体積および重量が比較的大きく、電流衝撃に耐える能力に限界があり、遮断に要する時間が長く、遮断過程が制御不能の不足を克服するためのものである。
【0004】
誘起保護装置は、一般的に、ハウジングに1つの誘起源と、1つの衝撃装置と、導体とが順に設置され、導体に仮破断部が設置されるように構成される。その作用原理として、電池パックの主回路に故障電流が発生した場合、電池パックの主回路に直列接続される誘起保護装置における誘起源がトリガーされ、誘起源が動作して高圧ガスを発生して、これによって衝撃装置が下へ押されて導体の仮破断部を破断させ、導体に物理的破断口を形成し、誘起保護装置の導体と電池パックの主回路とが直列接続されるため、導体の破断口で生じたアークが空気において漸次に冷却されて消弧され、電流が遮断され、よって回路を素早く遮断する目的を実現する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の誘起保護装置は、単一の誘起源と、単一の衝撃装置と、仮破断部が設けられた1つの導体とを備え、耐電流衝撃性が優れ、電力消費が小さく、素早く遮断可能などのメリットを有するが、遮断能力が低下し、消弧能力が十分でなく、遮断電圧が低いなどの欠点を有する。上記の構造の不足に鑑みて、研究者らは、単一の誘起源と、単一の衝撃装置と、仮破断部が2つ以上設けられた導体とを備えるものを開発した。この場合、導体の2つ以上の仮破断部の破断順序が、衝撃装置に高さが異なる衝撃ヘッドを設けることにより決められ、これによれば、1つの仮破断部の場合、遮断能力が低下し、消弧能力が不十分であり、遮断電圧が低い問題をある程度で解決できるが、下記の課題もある。複数の仮破断部を破断させる順序およびその時間間隔が、単一の衝撃装置の衝撃ヘッドの高さのみにより調整する場合、調整可能なパラメータが少なく、コントロール可能な範囲が小さく、そして、運動時、衝撃装置の異なる高さの衝撃ヘッドにより仮破断部を前後に破断させる場合、衝撃装置全体の受ける力が不均一であるため、断裂になりやすく、遮断に影響を与える。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は、上記の課題に対して、1つの誘起源により少なくとも2つの独立した衝撃装置を駆動して導体を同時または前後に切断して回路を遮断する、単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置を設計した。これをもとに、導体に可溶体を並列接続することができ、この場合、衝撃装置により導体および可溶体を順に破断させ、または、1つの衝撃装置により導体を切断し、他の衝撃装置により可溶体を切断するように構成される。
【0007】
本出願に係る単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置は、ハウジングと、誘起源と、衝撃装置と、導体とを備え、前記ハウジングに、異なるチャンバーのそれぞれに位置する少なくとも2つの衝撃装置が設置され、前記衝撃装置の一側に1つの誘起源が設置され、前記衝撃装置および前記誘起源が、それらの位置するチャンバーと密封接触するように構成され、前記誘起源により前記衝撃装置が駆動されて同時または前後に変位し、少なくとも1つの前記衝撃装置が変位する過程において前記導体を破断させるように構成される。本出願に係る技術案は、少なくとも上記の技術目的を実現する。
【0008】
任意で、前記ハウジングに少なくとも1つのバルブ構造が設置され、前記バルブ構造は、圧力調整バルブ、チェックバルブ、切り換えバルブまたはプレッシャーリリーフバルブから選択されるものである。
【0009】
任意で、各前記バルブ構造は、前記誘起源、または前記衝撃装置、または破断した前記導体により駆動され、前記バルブ構造が2つ以上である場合、すべての前記バルブ構造が、前記誘起源、前記衝撃装置および破断した前記導体から選択される同一のものにより駆動され、あるいは、すべての前記バルブ構造のうちの2つが、前記誘起源、前記衝撃装置および破断した前記導体から選択される異なる2つによりそれぞれ駆動される。
【0010】
任意で、前記ハウジングは、上ハウジングと、前記上ハウジングと密封接続する下ハウジングとを含み、前記導体が前記上ハウジングと前記下ハウジングとの接触面の箇所に設置され、前記導体の2つの端部が、それぞれ前記ハウジングの外部に位置する。
【0011】
任意で、前記導体に少なくとも1つの可溶体が並列接続される。
【0012】
任意で、少なくとも1つの前記衝撃装置により前記導体を破断させ、少なくとも1つの衝撃装置により前記可溶体を破断させまたは前記導体および前記可溶体を順に破断させるように構成される。
【0013】
任意で、前記可溶体に溶断脆弱箇所および破断脆弱箇所が設けられ、前記破断脆弱箇所が、前記衝撃装置により破断する部位に設けられる。
【0014】
任意で、可溶体の破断脆弱箇所の、衝撃装置に近接するチャンバーに押しブロックが設置され、前記押しブロックと、前記押しブロックの位置するチャンバーとの間に押しブロックの初期位置を制限する位置制限構造が設置される。
【0015】
任意で、前記溶断脆弱箇所は、消弧媒体が充填されている密閉したチャンバーに位置する。
【0016】
任意で、前記誘起源の位置するチャンバーが各前記衝撃装置の位置するチャンバーのそれぞれに連通する場合、誘起源が動作するとき、前記衝撃装置が駆動されて同時または前後に動作し、あるいは、前記誘起源の位置するチャンバーが前記衝撃装置のうちの1つの位置するチャンバーに連通する場合、各前記衝撃装置の位置するチャンバーが流路を介して直列連通し、誘起源が動作するとき、前記衝撃装置が駆動されて前後に動作するように構成される。
【0017】
任意で、各前記衝撃装置の位置するチャンバーが流路を介して連通する場合、先に動作する衝撃装置が変位することにより、それが動作した直後に動作する衝撃装置の位置するチャンバーと、前記先に動作する衝撃装置の位置するチャンバーとの連通する流路の開口を開くように構成される。
【0018】
任意で、前記衝撃装置のうちの1つの衝撃装置が中央に設置され、その他の衝撃装置が、中央に設置される前記衝撃装置の外側の周りに間隔をあけて設置される。
【0019】
任意で、前記衝撃装置は、誘起源の位置するチャンバーの外側の周りに配置される。
【0020】
任意で、中央に設置される前記衝撃装置の外側に位置する衝撃装置は、いずれも環状構造であり、順次に間隔をあけて中央に設置される前記衝撃装置の外周に環装される。
【0021】
任意で、前記環状構造の前記衝撃装置において、前記導体に対応する位置にそれぞれ切欠が設けられ、環状構造の前記衝撃装置が変位して可溶体を破断させるとき、前記導体が前記切欠内に位置する。
【0022】
任意で、前記衝撃装置と、前記衝撃装置の位置するチャンバーとの接触面の間、および、前記誘起源と、前記誘起源の位置するチャンバーとの接触面の間に、接触面を密封するための密封装置が設置される。
【0023】
任意で、前記ハウジングは、前記ハウジングの底部に設置される可溶体カバープレートをさらに含み、前記可溶体が前記可溶体カバープレートを穿通し、前記可溶体の両端が、前記可溶体カバープレートを穿通して前記導体と並列接続され、前記可溶体カバープレートに、前記衝撃装置により前記可溶体を破断させるためのチャンバーが設けられる。
【0024】
任意で、前記ハウジングに前記ハウジングと密封接触する告知装置が設置され、前記告知装置と前記ハウジングとの間に位置制限機構が設置され、前記告知装置が、流路を介して、同時に動作する前記衝撃装置のうちの1つの位置するチャンバーに連通し、または、流路を介して、前後に動作する前記衝撃装置のうちの最後に動作する衝撃装置の位置するチャンバーに連通し、前記告知装置の流路の、前記衝撃装置の位置するチャンバーに位置する開口の位置は、すべての衝撃装置の動作が完了したとき、前記告知装置が、前記誘起源による駆動力で前記位置制限機構による位置制限を克服して変位し、前記告知装置の一端が前記ハウジングの外部まで突き出る要求を満たす。
【0025】
任意で、前記誘起源は、誘起信号を受信することにより動作する電子点火装置または液圧装置であり、前記電子点火装置が高圧ガスを発生し、前記液圧装置が絶縁の高圧液体を吐出するように構成される。
【発明の効果】
【0026】
本出願に係る誘起保護装置は、従来の誘起保護装置に比べて、少なくとも下記の利点を有する。
【0027】
複数の衝撃装置が設置され、衝撃装置が段階的に順次に動作し、互いに影響することなく、衝撃装置の受ける力が比較的に均一であり、信頼性がより高い。
【0028】
誘起源により発生した高圧ガスによる気圧を合理的に分配することにより複数の衝撃装置が段階的に順次に動作することができ、高圧ガスのエネルギーを最大限に利用することができ、火薬ガスが他のチャンバーまたは外部に漏れるリスクが低減し、漏れることによる悪影響を防止することができる。
【0029】
ガスガイド孔の位置の相対高さ、ガスガイド孔の断面積、衝撃装置の位置するチャンバーの断面積、衝撃装置の運動経路などの複数のパラメータを調整することにより各衝撃装置が動作する順序および時間間隔を調整することができ、調整可能なパラメータが多く、複数のパラメータに対する調整によれば、時間間隔の調整可能な範囲を広くすることができる。
【0030】
本出願に係る誘起保護装置は、耐電流衝撃性が優れ、消弧能力が向上し、素早い保護を実現することができ、そして、遮断されたあとの絶縁性能が優れ、複数の破断口を破断させる順序および時間間隔のコントロール可能な範囲が広く、該誘起保護装置による確実な遮断に寄与できるとともにその遮断能力の向上に寄与でき、製品の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本出願のいくつかの実施例による誘起保護装置の、初期位置のときの模式的断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す誘起保護装置の、初期位置のときの、
図1に示す断面方向に垂直な方向に沿った模式的断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す誘起保護装置の、第1衝撃装置が動作したあとの模式的断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す誘起保護装置の、第1衝撃装置が動作したあとの、
図3に示す断面方向に垂直な方向に沿った模式的断面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す誘起保護装置の、第1衝撃装置と第2衝撃装置との両方が動作したあとの模式的断面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す誘起保護装置の、第1衝撃装置と第2衝撃装置との両方が動作したあとの、
図5に示す断面方向に垂直な方向に沿った模式的断面図である。
【
図9】
図9は、本出願の他のいくつかの実施例による誘起保護装置の、初期位置のときの模式的断面図である。
【
図10】
図10は、
図9に示す誘起保護装置の、第1衝撃装置が動作したあとの模式的断面図である。
【
図11】
図11は、
図9に示す誘起保護装置の、第2衝撃装置が動作したあとの模式的断面図である。
【
図12】
図12は、
図9に示す誘起保護装置の変形例の、初期位置のときの模式的断面図である。
【
図13】
図13は、
図12に示す誘起保護装置の、第1衝撃装置が動作したあとの模式的断面図である。
【
図14】
図14は、
図12に示す誘起保護装置の、第2衝撃装置が動作したあとの模式的断面図である。
【
図15】
図15は、
図12に示す誘起保護装置の変形例の、初期位置のときの模式的断面図である。
【
図16】
図16は、
図15に示す誘起保護装置の、第1衝撃装置が動作したあとの模式的断面図である。
【
図17】
図17は、
図15に示す誘起保護装置の、第2衝撃装置が動作したあとの模式的断面図である。
【
図19】
図19は、
図1~
図17に示す正常状態での誘起保護装置に告知装置が追加されたときの模式的構成図である。
【
図20】
図20は、
図19に示す、告知装置が追加された誘起保護装置の、動作が完全に終了したあとの模式的構成図である。
【
図21】
図21は、圧力調整バルブ110の模式的断面図である。
【
図22】
図22は、チェックバルブ111の模式的断面図である。
図22(a)は、チェックバルブ111がオフ状態にある場合を示す。
図22(b)は、チェックバルブ111がオン状態にある場合を示す。
【
図23】
図23は、異なる方式でプレッシャーリリーフバルブを駆動する場合の例その1を示す図面である。
【
図24】
図24は、異なる方式でプレッシャーリリーフバルブを駆動する場合の例その2を示す図面である。
【
図25】
図25は、異なる方式でプレッシャーリリーフバルブを駆動する場合の例その3を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
上記の技術案に対して、好ましい実施例を用いて、図面を参照しながら詳細に説明する。本出願に言及された構造の位置関係、例えば上下左右、上面、下面、左面、右面、前進、後退などは、本出願を限定するものにならない。
【0033】
(実施の形態1.)
本出願のいくつかの実施例において、
図1~
図6に示すように、ハウジングは、上ハウジング102と、上ハウジング102と合わせる下ハウジング106とを含む。上ハウジングと下ハウジング106とは、接触面で密封される。上ハウジングおよび下ハウジングは、絶縁材質のものであり、全体または一部が射出成形により形成されたものである。上ハウジングと下ハウジングとの接触面の箇所に導体105が穿通され、導体の2つの端部が、それぞれ上ハウジングおよび下ハウジングの外部に位置する。誘起保護装置を使用するとき、導体の2つの端部が外部回路に直列接続され、外部回路に対する保護を実現する。上ハウジングおよび下ハウジングのそれぞれに、上ハウジングと下ハウジングとの接触面を貫通する複数のチャンバーが設けられている。導体105は、長尺板状構造であり、導体の2つの側辺に位置制限凸ブロック105aが設けられ、位置制限凸ブロックが下ハウジングにおける位置制限凸ブロックに対応する位置に設けられた位置制限凹溝に係止されることにより、導体に対する位置決めを実現する。
【0034】
上ハウジング102は、中空のハウジングであり、内部に2つのチャンバーが設けられ、第1チャンバー102bが上ハウジングの内部の中間位置に位置し、第2チャンバーが第1チャンバーに対して間隔をあけて第1チャンバーの外周側に設けられ、第2チャンバー102cが環状構造である。第1チャンバーと第2チャンバーとの間にガス流路が設けられ、第1チャンバーおよび第2チャンバーが、それぞれ下ハウジングのチャンバーに連通する。導体が第1チャンバー102bを穿通するように設置される。
【0035】
第1チャンバー102bに対応する上ハウジングの頂部に、誘起源101を収容するチャンバーが設けられ、第1チャンバーと誘起源を収容するチャンバーとが完全に連通している。誘起源101は、インサート成形方法により上ハウジングに固定してもよく、チャンバー内に段付き孔を設けて誘起源101を取り付け、上ハウジングに押圧プレートまたは押圧カバー(図示しない)を設置することにより誘起源を固定してもよい。誘起源と、それが位置するチャンバーとは、密封接触である。誘起源は、外部からの誘起信号を受信することにより動作して、第1衝撃装置の移動を駆動する駆動力を発生するように構成される。本実施例において、誘起源は、電子点火装置であり、受信した誘起信号により点火して、その中の化学薬品が反応して駆動力としての大量の高圧ガスを瞬時に発生することができる。
【0036】
第1衝撃装置103は、第1チャンバー102bに設置され、第1衝撃装置103の頂部に環状の位置制限フランジ103aが設置され、位置制限フランジが、第1チャンバー102bの頂部の上面に係止されるとともに上ハウジングの頂部の内壁と接触して、第1衝撃装置の初期位置を制限するための位置制限構造として形成される。第1衝撃装置の初期位置に対する制限は、チャンバーの壁に凹溝を設け、第1衝撃装置に凸ブロックを設け、凸ブロックを凹溝における位置制限構造に係止させることにより実現してもよい。第1衝撃装置103の頂部と上ハウジングの頂部とが密封接触することにより、初期状態で第1チャンバー102bと第2チャンバー102cとの間のガス流路を遮断できる。これにより、第1チャンバー102bと第2チャンバー102cとが連通しないように隔てることができる。第1衝撃装置が位置制限フランジの位置制限を克服して導体の方向へ変位し、第1衝撃装置と上ハウジングの頂部とが密封接触から非密封接触になり、ガス流路が露出されたとき、第1チャンバーと第2チャンバーとは、連通した状態になる。第1衝撃装置の上端面に凹溝103aが設けられ、誘起源が凹溝103aの位置する領域に位置する。このようにして、誘起源により発生した高圧ガスが先に第1衝撃装置に作用することを確保することができる。
【0037】
第1チャンバー102bの対向する2つの側壁に上ハウジングと下ハウジングとの接触面を貫通する制限スライド溝が設けられ、第1衝撃装置において、制限スライド溝に対応する位置にスライドブロックが設けられる。第1衝撃装置のスライドブロックが嵌入制限スライド溝に嵌入することによりガイド装置を形成し、駆動力の作用で第1衝撃装置が制限スライド溝に沿って直線変位することを保証し、第1衝撃装置の回動を防止する。第1衝撃装置と第1チャンバーとが密封接触であり、これによって、隙間からの高圧ガスの漏れに起因した、逆向きの力により第1衝撃装置の移動を妨げたり、高圧ガスの圧力の低下で第2衝撃装置の運動に影響を与えたり、することを防止することができる。
【0038】
第1衝撃装置の衝撃端は、刃状構造であってもよく、錐状の断面縮小構造のような尖った構造であってもよく、単位面積当たりの作用力の向上に寄与できる他の構造であってもよい。
【0039】
導体105は長尺板状構造である。
図8に示すように、導体105に導体の構造強度を低下させる少なくとも1つの破断脆弱箇所105bが設けられる。破断脆弱箇所は、導体の表面に設けられた凹溝であってもよく、例えば、
図1および
図3に示すV字形溝、U字形溝、または他の構造の凹溝であり、あるいは、導体の幅方向に沿って間隔をあけて設けられた複数の透孔であってもよく、導体の構造強度を低下させ、衝撃装置による破断に寄与できるものであればよい。破断脆弱箇所105bの両側に、破断脆弱箇所105bから一定距離離れたところで折り曲がり脆弱箇所105cが設けられ、第1衝撃装置により導体の破断脆弱箇所を衝撃すると、導体が破断脆弱箇所で破断し、導体が破断したあとに第1衝撃装置の作用により折り曲がり脆弱箇所で折り曲がり、このように、破断した導体の折り曲がり部分がそれぞれ第1衝撃装置の両側に位置する。
【0040】
第2衝撃装置104は、第2チャンバー102c内に設置され、第2衝撃装置と第2チャンバーとが密封接触である。
図7に示すように、本実施例において、第2衝撃装置104は、円環状構造であり、円環状構造の対向する両側のそれぞれに第2衝撃装置の衝撃端を貫通する切欠104aが設けられている。第2衝撃装置が変位して導体を通るとき、導体が第2衝撃装置の切欠のところに位置し、このようにして、第2衝撃装置の変位が導体に影響を与えない。第2衝撃装置の誘起源に近接した端部に複数の凹部104bが設けられている。誘起源が動作して第1衝撃装置の動作を駆動したあと、第1衝撃装置の変位に従って、第1チャンバーと第2チャンバーとが連通し、誘起源により発生した高圧ガスが第2チャンバー内に進入して第2衝撃装置の変位を駆動することができる。第2衝撃装置は、他の形状の環状構造であってもよく、例えば、楕円形、四角形などである。
【0041】
導体の下面に可溶体107が並列接続され、可溶体107が底部カバー108により下ハウジングに封じられるように取り付けられる。底部カバーに可溶体を支持するための支持構造が設置される。
図8に示すように、可溶体107は、空間幾何形状を有し、折曲成形されたものである。可溶体の両端は、それぞれ導体105の折り曲がり脆弱箇所の外側の部分と接続され、つまり、導体が破断したあと、可溶体の両端がそれぞれ破断口の両側に位置する。可溶体に複数の溶断脆弱箇所および破断脆弱箇所が設けられている。本実施例において、溶断脆弱箇所は、狭径部である。
図4において、可溶体107の本体部分が導体105に直交するように設置され、可溶体は、その長手方向において導体を跨り、両端が導体の幅方向の両側の外部に位置する。このように設置する目的は、第2衝撃装置により可溶体を破断させるとき、導体に影響を与えないことである。可溶体と導体との導電接続を実現するため、可溶体の導体と接続する両端がそれぞれ湾曲構造として設置され、このようにして可溶体と導体との並列接続を実現する。可溶体と導体とは、ボルトによる圧着、導電弾性片による接続、溶接などの方式で接続される。第2衝撃装置が可溶体に移動して可溶体を破断させるように、下ハウジングには第2チャンバーに連通するチャンバーが設けられている。第2衝撃装置による可溶体の破断を容易にするため、可溶体の、第2衝撃装置による衝撃を受ける部位の両側が下ハウジングにより支持される。可溶体と導体との間に密封カバー106aが設置される。密封カバー106aは、おわん状の構造であり、密封カバーにより可溶体の位置する空間を密封するとともに、密封カバーにより、導体の下方の下ハウジングに、導体が切断されたあとに切断された部分の落下および第1衝撃装置の変位のためのチャンバーが形成される。可溶体が位置するチャンバーには消弧媒体が充填される。消弧媒体は、消弧砂または消弧ゲルである。
【0042】
(作用原理)
本実施例の作用原理は、下記の通りである。
【0043】
零電流下で遮断する必要がある場合、または倍数の低い故障電流である場合、誘起源が電気信号によりトリガーされて高圧ガスを発生し、高圧ガスにより先に第1衝撃装置の変位を駆動することにより、第1衝撃装置が押されて導体の破断脆弱箇所を破断させて破断口を形成する。破断口のアーク電流が完全に破断脆弱箇所の両端に並列接続される可溶体に転移され、故障電流が小さいため、可溶体の狭径部で発生した熱が狭径部を溶断してアークを消弧するほど十分ではない。第1衝撃装置が運動する過程において、第1チャンバーと第2チャンバーとがだんだん連通し、第2チャンバーに進入する高圧ガスがだんだん多くなって第2衝撃装置の上端の凹部と第2チャンバーの頂部との間を満たし、高圧ガスは、ある程度蓄積されると、第2衝撃装置を、第2チャンバーに沿って下へ変位するように駆動して、可溶体を破断させ、アークが素早く冷却されて消弧され、よって回路が遮断される。
【0044】
中倍数の故障電流下で、誘起源が電気信号によりトリガーされて高圧ガスを発生し、高圧ガスにより第1衝撃装置が先に押されて導体の破断脆弱箇所を破断させて破断口を形成する。破断口におけるアーク電流が完全に破断脆弱箇所の両端に並列接続される可溶体に転移され、故障電流が比較的大きく可溶体の狭径部を流れて熱が発生したため、可溶体の狭径部が溶断され、溶断の過程において、第1チャンバーと第2チャンバーとがだんだん連通し、第2チャンバー内の高圧ガスがだんだん多くなって第2衝撃装置の上端の凹部と第2チャンバーの頂部との間を満たし、高圧ガスは、ある程度蓄積されると、第2衝撃装置を、第2チャンバーに沿って下へ変位するように駆動して、可溶体を破断させ、可溶体の溶断と機械的切断による破断口とが共働することによりアークが消弧され、よって回路が遮断される。
【0045】
倍数の高い故障電流下で、誘起源が電気信号によりトリガーされて高圧ガスを発生し、高圧ガスが先に第1衝撃装置の位置するチャンバーに進入して、第1衝撃装置が押されて導体の破断脆弱箇所を破断させて破断口を形成する。破断口のアーク電流が完全に破断脆弱箇所の両端に並列接続される可溶体に転移し、故障電流が非常に大きいため、可溶体の狭径部で大量の熱が発生して可溶体が素早く溶断され、消弧媒体による消弧で、アークが素早く消弧され、第1衝撃装置が運動する過程において、第1チャンバーと第2チャンバーとがだんだん連通し、高圧ガスにより第2衝撃装置が押されて可溶体を破断させ、きれいな物理的破断口が形成され、よって遮断されたあとの絶縁が保証される。
【0046】
(実施の形態2.)
本出願の他のいくつかの実施例において、
図9~
図11に示すように、ハウジングは、上ハウジング202と、それと密封接続される下ハウジング206とを含み、下ハウジング206の下に可溶体210を収容するための可溶体カバープレート209および底部ハウジング211が取り付けられる。導体205が、上ハウジングと下ハウジングとの接触面の箇所に穿通される。導体の一側に位置する上ハウジングに第1チャンバー203aと、第2チャンバー204aと、密閉した第3チャンバー201aとの互いに隔てられた少なくとも3つのチャンバーが設けられている。第1チャンバー203aおよび第2チャンバー204aは、それぞれ上ハウジングと下ハウジングとの接触面を貫通して下ハウジングに設けられた第4チャンバー207aおよび第5チャンバー208aに連通し、導体が、第1チャンバーと、第2チャンバーと、第4チャンバーと、第5チャンバーとを穿通するように設置される。第1チャンバー203aおよび第2チャンバー204aにそれぞれ第1衝撃装置203および第2衝撃装置204が設置される。高圧ガスが進入して衝撃装置を移動駆動できるように、第1衝撃装置および第2衝撃装置のそれぞれの頂端と第1衝撃装置および第2衝撃装置の位置するチャンバーの頂部との間に一定の隙間が設けられる。第1衝撃装置および第2衝撃装置のそれぞれと、それらの位置するチャンバーとが密封接触し、密封接触が、締まり嵌めにより実現してもよく、両者の接触面の箇所に例えばパッキン203b、パッキン204bのような密封装置を設置することにより実現してもよい。密封接触の設計によれば、上チャンバーと下チャンバーとが完全に隔離され、したがって、高圧ガスによる破断口の絶縁能力への影響、および下チャンバーの故障電流が駆動回路に流れることを防止するできるとともに、高圧ガスが独立して上部に密封されるため、衝撃装置が所定位置まで移動したあとに戻されることを防止することができる。
【0047】
第1衝撃装置および第2衝撃装置は、形状が略T字形のものであり、衝撃端が刃状構造である。第3チャンバー201aの頂部に誘起源201が設置され、誘起源201は、インサート成形により上ハウジングに設置してもよく、段付き孔などにより第3チャンバーに固定するように取り付けてもよい。第3チャンバー201aは、第1ガス流路201bを介して第1チャンバー203aに連通する。第1ガス流路201bが、第1衝撃装置の頂部と第1チャンバー203aとの間の隙間に位置し、これによって、誘起源が動作するとき、高圧ガスが即時に第1衝撃装置の動作を駆動することを保証することができる。第3チャンバーと第2チャンバーとが連通しない。第2チャンバー204aと第1チャンバー203aとは第2ガス流路212を介して連通する。第2ガス流路212は、
図9~
図11における点線で示される部分であり、1つであってもよく、2つ以上であってもよく、第1チャンバーの複数の方向から第2チャンバーに連通することができる。第2ガス流路212の第1チャンバー203aに位置する開口は、第1衝撃装置が初期位置に位置するとき頂部の下方の適切な位置に位置し、該位置は、第1衝撃装置が所定位置まで変位していないかぎり、すなわち第1衝撃装置により導体および可溶体を破断させていないかぎり、誘起源により発生した高圧ガスが第2ガス流路212を介して第2チャンバーに進入することがない要求を満たす。このように設置する目的として、高圧ガスがまず第1衝撃装置を駆動して導体と、それと並列接続される可溶体とを破断させることを満たす必要がある。高圧ガスが第2チャンバーに進入するときに第2衝撃装置の動作を駆動できることを確保するように、第2ガス流路212の第2チャンバーに位置する開口が、第2衝撃装置の頂部と第2チャンバーの頂部との隙間に位置する。
【0048】
第1衝撃装置および第2衝撃装置の初期位置に対する位置制限は、第1衝撃装置および第2衝撃装置と、第1衝撃装置および第2衝撃装置の位置するチャンバーとの間に設置される位置制限構造により実現される。該位置制限構造として、チャンバーに凹溝を設け、衝撃装置に凸ブロックを設け、凹溝と凸ブロックとの係止により位置制限を実現してもよく、チャンバーに位置制限階段を設け、衝撃装置に位置制限フランジを設け、位置制限フランジが位置制限階段に係止することにより位置制限を実現してもよく、他の係止による位置制限の方式により実現してもよい。第1衝撃装置および第2衝撃装置のそれぞれの頂部の端面が円弧状凹面構造であり、このような構成が高圧ガスにより衝撃装置を押して移動させることに有利であり、衝撃装置の下端の衝撃ヘッドが刃状構造であり、このような構成が力を集中して導体を切断することに有利である。
【0049】
下ハウジングの第4チャンバー207aおよび第5チャンバー208aが独立して設けられ、第4チャンバーが第1チャンバーと連通し、第5チャンバーが第2チャンバーと連通し、これによって、第1衝撃装置および第2衝撃装置が導体を切断したあとにさらに下ハウジングのチャンバーに変位して可溶体を切断することを保証することができる。第4チャンバーおよび第5チャンバーの形状は、第1衝撃装置および第2衝撃装置の形状と類似し、第4チャンバーおよび第5チャンバーの上端部分が比較的大きい。第1衝撃装置または第2衝撃装置が変位して導体を切断して第4チャンバーまたは第5チャンバーに進入したあと、導体の破断した部分が第4チャンバーおよび第5チャンバーへ折り曲がる。第1衝撃装置および第2衝撃装置の衝撃端の両側部分が、それらに対応する第4チャンバーおよび第5チャンバーと緊密に接触し、このように構成する目的として、過剰な高圧ガスによる衝撃エネルギーを消耗してハウジングの破裂を防止するとともに、アークを押圧して、ある程度で消弧に補助することである。
【0050】
第4チャンバーおよび第5チャンバーの箇所において導体205の厚さが薄くするように設けられ、導体205の厚さが薄くされた箇所にそれぞれ破断脆弱箇所205aが設けられ、破断脆弱箇所205aの一側または両側に回動脆弱箇所205dが設けられる。実施例2において、回動脆弱箇所は、断面が減少した部分である。第1衝撃装置または第2衝撃装置が動作したあと、導体における、第1衝撃装置または第2衝撃装置に対応する破断脆弱箇所を破断させ、導体が破断したあと、破断した部分が回動脆弱箇所により回動して落下する。破断脆弱箇所は、衝撃装置が所定位置で導体を切断することを容易にする箇所であり、回動脆弱箇所は、破断した導体が所定軌跡に従って回動して移動することを保証する箇所である。破断脆弱箇所および回動脆弱箇所は、「V」字形溝、「U」字形溝、断面が減少した部分または仮破断構造などの強度を低下させる構造であり得るが、動作時の回動脆弱箇所の断裂による悪影響を防止するため、回動脆弱箇所の構造強度が破断脆弱箇所の構造強度よりも高いようにする必要がある。
図18に示すように、導体において破断脆弱箇所のほか、導体のハウジング内に位置する両端部分に位置決め孔205bおよび位置決め凹溝205cが設けられており、位置決め孔および位置決め凹溝がハウジングとの協働により、導体の固定を実現する。そして、導体の幅方向の両側に誤装着防止凹溝205eおよび誤装着防止凹溝205fが設けられている。両側に設けられている誤装着防止凹溝は、個数または形状が異なり、誤装着を防止することができる。
【0051】
第1衝撃装置および第2衝撃装置が変位するときに通過するチャンバーにおける接触面の、少なくとも対向する両側に鉛直の制限スライド溝が設けられ、第1衝撃装置または第2衝撃装置に、制限スライド溝に対応するスライドブロックが設けられ、スライドブロックが制限スライド溝に設置され、このようにして、第1衝撃装置および第2衝撃装置が制限スライド溝に沿って直線的に変位することができ、第1衝撃装置または第2衝撃装置の回動を防止することができる。
【0052】
可溶体210は、下ハウジングを穿通して導体と並列接続される。可溶体の両端と導体との接続する箇所がそれぞれ第4チャンバーおよび第5チャンバーの外側に位置し、このようにして可溶体と導体とが並列接続される。
【0053】
下ハウジングの底部に可溶体カバープレート209および底部ハウジング211が固定設置され、可溶体カバープレートおよび底部ハウジング211により可溶体を底部ハウジングに密封し、底部ハウジングにより可溶体に対する支持を実現する。可溶体をより良好に固定するため、カバープレートに可溶体を支持するリブ209aが設けられ、可溶体の、第6チャンバーおよび第7チャンバーの外側に位置する部分がリブに掛かるように設置されてさらに固定される。可溶体の両端が可溶体カバープレートを穿通して導体と導電接続され、可溶体が可溶体カバープレートを穿通するための透孔の箇所において、密封用接着剤を使用しまたはパッキンなどを予め設置するなどの方式により可溶体と可溶体カバープレートとの間の隙間を密封して可溶体カバープレートと底部ハウジングとにより形成される内部空間を密封する。可溶体の構造は、実施例1による可溶体の構造を参照することができ、空間幾何形状のものである。可溶体は、底部ハウジングにおける第6チャンバー211aおよび第7チャンバー211bを穿通する。可溶体の、第6チャンバー211aおよび第7チャンバー211bに位置する部分に破断脆弱箇所が設けられ、破断脆弱箇所が、穿設孔、断面が減少した部分などがあり得る。可溶体の破断脆弱箇所の上の第6チャンバーおよび第7チャンバーにそれぞれ第1押しブロック207および第2押しブロック208が設置され、第1押しブロックおよび第2押しブロックの、可溶体と接触する端面が平面であり、第1押しブロックおよび第2押しブロックが、それぞれ位置する第6チャンバーおよび第7チャンバーと密封接触するように構成され、可溶体の位置するチャンバーを密封する。第1押しブロックおよび第2押しブロックと、底部ハウジングとの間に位置制限構造を設置することにより第1押しブロックおよび第2押しブロックを初期位置に固定する。衝撃装置により導体を切断したあと、押しブロックを駆動して可溶体を破断させることができる。可溶体において破断脆弱箇所のほか、複数の狭径部がさらに設けられている。狭径部は、可溶体の、第1押しブロックと第2押しブロックとの間に位置する部分に設けられ得る。第6チャンバーおよび第7チャンバーの底部にクッション(図示しない)が設置され、衝撃装置により押しブロックを駆動して可溶体を破断させるとき、クッションが、押しブロックによる運動エネルギーの大部分を吸収することができ、底部ハウジングの損壊を防止することができる。可溶体カバープレートと底部ハウジングとにより形成されるチャンバーに消弧媒体が充填されている。消弧媒体は、消弧砂または消弧ゲルであり、可溶体が消弧媒体内に位置する。可溶体カバープレート、可溶体および底部ハウジングは、独立した部分として事前に組み立てられ、下ハウジングと接続して固定される。
【0054】
(作用原理)
本実施例の作用原理は、下記の通りである。
【0055】
零電流下で遮断する必要がある場合、または倍数の低い故障電流である場合、誘起源が電気信号によりトリガーされて高圧ガスを発生し、高圧ガスが先に第1ガス流路を介して第1チャンバーに進入し、高圧ガスにより第1衝撃装置が押されて位置制限構造による位置制限を克服して変位して、導体の破断脆弱箇所を破断させて破断口を形成する。破断口のアーク電流が完全に破断脆弱箇所の両端に並列接続される可溶体に転移し、故障電流が小さいため、可溶体の狭径部で発生した熱が狭径部を溶断してアークを消弧するほど十分ではない。第1衝撃装置がさらに移動して可溶体を破断させ、アークが素早く消弧され、よって回路が遮断される。第1衝撃装置が所定位置まで移動した場合、第2ガス流路と第1ガス流路とが連通し、高圧ガスが第1ガス流路、第1チャンバーおよび第2ガス流路を流れて第2チャンバー内に進入して蓄積され、気圧が十分になると、第2衝撃装置が押されて導体および可溶体を順に破断させ、きれいな物理的破断口が形成され、よって遮断されたあとの絶縁が保証される。
【0056】
中倍数の故障電流下で、誘起源が電気信号によりトリガーされて高圧ガスを発生し、高圧ガスが先に第1ガス流路を介して第1チャンバーに進入し、高圧ガスにより第1衝撃装置が押されて導体の破断脆弱箇所を破断させて破断口を形成する。破断口のアーク電流が完全に破断脆弱箇所の両端に並列接続される可溶体に転移され、故障電流が比較的大きくて可溶体の狭径部を流れて熱が発生したため、可溶体の狭径部が溶断され、溶断の過程において、第1衝撃装置がさらに移動して可溶体を破断させる。このとき、狭径部が完全に溶断されていなく、可溶体の最初の破断口にアークが存在する可能性がある。第1衝撃装置が所定位置まで移動した場合、第2ガス流路と第1ガス流路とが連通し、高圧ガスが第1ガス流路、第1チャンバーおよび第2ガス流路を流れて第2チャンバー内に蓄積され、気圧が十分になると、第2衝撃装置が押されて導体および可溶体を順に破断させ、可溶体の溶断と機械的切断による破断口とが共働することによりアークが消弧され、よって回路が遮断される。
【0057】
倍数の高い故障電流下で、誘起源が電気信号によりトリガーされて高圧ガスを発生し、高圧ガスが先に第1ガス流路を介して第1チャンバーに進入して、第1衝撃装置が押されて導体の破断脆弱箇所を破断させて破断口を形成する。破断口のアーク電流が完全に破断脆弱箇所の両端に並列接続される可溶体に転移し、故障電流が非常に大きいため、可溶体の狭径部で大量の熱が発生して可溶体が素早く溶断され、消弧媒体による消弧で、アークが素早く消弧され、よって回路が遮断される。第1衝撃装置がさらに移動して電流が流れていない状態で可溶体を破断させる。第1衝撃装置が所定位置まで移動した場合、第2ガス流路と第1ガス流路とが連通し、高圧ガスが第1ガス流路、第1チャンバーおよび第2ガス流路を流れて第2衝撃装置のチャンバー内に蓄積され、気圧が十分になると、第2衝撃装置が押されて導体および可溶体を順に破断させ、きれいな物理的破断口が形成され、よって遮断されたあとの絶縁が保証される。
【0058】
(実施の形態3.)
本出願は、上記の実施例の変形例をさらに提供する。
図12~
図14に示すように、底部ハウジング211と可溶体カバープレート209との間に第6チャンバーが設けられていなく、第4チャンバー207aの下端面が下ハウジング206の底部に設けられており。第1衝撃装置203により導体205のみを破断させ、第2衝撃装置204により導体および可溶体を順に破断させる。可溶体210をより良好に固定するため、可溶体カバープレートにおける、第6チャンバーが設けられないところに可溶体を固定するリブ209aが設けられ、また、可溶体の形状も少し変更され、その他の構造が実施例2によるものと同じである。
【0059】
(作用原理)
本実施例の作用原理は、下記の通りである。
誘起源201が外部信号を受信することにより動作し、発生した高圧ガスが第1ガス流路201aを介して第1チャンバー203aに進入して、第1衝撃装置203を変位するように駆動して導体205の破断脆弱箇所を破断させたあと、第1ガス流路と第2ガス流路212とが連通し、高圧ガスが第2チャンバー204aに進入して、第2衝撃装置204を駆動して導体および可溶体を順に破断させる。
【0060】
(実施の形態4.)
本出願は、上記の実施例の他の変形例をさらに提供する。
図15~
図17に示すように、該実施例において、導体に可溶体が並列接続されていなく、可溶体カバープレートおよび底部ハウジングを設置しなく、下ハウジング206に第4チャンバー307および第5チャンバー308が設けられ、第4チャンバー307および第5チャンバー308がいずれも下ハウジングの底部を貫通しないように構成される。その他の構造が上記の実施例によるものと同じである。
【0061】
(作用原理)
本実施例の作用原理は、下記の通りである。
誘起源201が動作して、発生した高圧ガスが第1ガス流路201aを介して第1チャンバー203aに進入して第1衝撃装置203を作動するように駆動して導体205を破断させたあと、第2ガス流路212と第1ガス流路201aとが連通し、高圧ガスが第2チャンバー204aに進入して、第2衝撃装置204を動作するように駆動して導体を破断させる。
【0062】
上記の実施例において、衝撃装置が2つに限定されなく、それぞれ独立したチャンバーに位置する衝撃装置を複数設置し得る。誘起源が第1ガス流路を介して直接衝撃装置の位置する複数のチャンバーに連通することができ、誘起源と直接連通するチャンバーにおける衝撃装置がいずれも第1衝撃装置であり、第2ガス流路を介して第1衝撃装置の位置するチャンバーと直接連通するチャンバーにおける衝撃装置が第2衝撃装置であり、第3ガス流路を介して第2衝撃装置の位置するチャンバーと直接連通するチャンバーにおける衝撃装置が第3衝撃装置であり、その他は同様である。第1衝撃装置、第2衝撃装置、第3衝撃装置のそれぞれが位置するチャンバーのガス流路は直列連通する。このため、第1衝撃装置、第2衝撃装置、第3衝撃装置は、高圧ガスが流れる順に従って前後に動作する。誘起源により提供される高圧ガスがすべての衝撃装置の動作を駆動できれば、理論的に、同時または順次に動作する衝撃装置が複数設置されることが可能である。
【0063】
(実施の形態5.)
本出願の他のいくつかの実施例において、上記の実施例による誘起保護装置の構造をもとに、告知装置がさらに設置される。上記の1つの実施例で例示すると、
図19に示すように、第2チャンバー102cの外側の上ハウジングに第3チャンバーが設けられている。第3チャンバーは、一端の開口が上ハウジングの外面に位置するとともに外部に連通し、他端がガス流路102eを介して第2チャンバー102cと連通する。第3チャンバーに告知装置109が締まり嵌めで設置される。本実施例において、告知装置109は、逆T字形構造であり、直径の大きい端部が、第3チャンバーと締まり嵌めで設置され、ガス流路と接続する端に位置し、直径が小さい端部が、上ハウジングの外面における開口が設けられた端に位置する。告知装置と第3チャンバーとの接触面に位置制限機構が設置される。本実施例において、位置制限機構は、締まり嵌めで設置され、告知装置を初期位置に保つように第3チャンバーに固定し、告知装置の誤動作に起因した、間違った告知を防止するためのものである。
【0064】
ガス流路102eの、第2チャンバー102cに位置する開口の位置は、下記の要求を満たし、第2衝撃装置104が可溶体を破断させて死点位置まで変位したときのみ、ガス流路102eの、第2チャンバー102cに位置する開口が露出することができ、第2衝撃装置104が死点位置まで変位していないとき、ガス流路102eの、第2チャンバー102cに位置する開口が第2衝撃装置により遮断される。
【0065】
(作用原理)
本実施例の作用原理は、下記の通りである。
第1衝撃装置および第2衝撃装置が所定位置まで変位したあと、ガス流路102eの、第2チャンバー102cに位置する開口が露出し、高圧ガスがガス流路102eを介して第3チャンバーに進入して、告知装置109を締まり嵌めによる摩擦力を克服するように駆動する。これによって告知装置は、一端が誘起保護装置のハウジングの外部まで突き出て誘起保護装置の外部に位置する告知回路と接続され、他端が依然として第3チャンバー内に締まり嵌めで配置されている。告知装置を告知回路に接続することにより、主回路において故障が発生し、誘起保護装置の保護動作が完了しており、主回路を修理する必要があることを告知する。
【0066】
告知装置は、主回路に故障が発生し、誘起保護装置の動作が完了したことを告知するためのものである。このため、告知装置がガス流路を介して、最後に動作する衝撃装置の位置するチャンバーのみに連通すればよい。各衝撃装置が同時に動作する場合、告知装置がガス流路を介して、衝撃装置のうちの1つの位置するチャンバーに連通すればよい。告知装置に連通するガス流路の、衝撃装置の位置するチャンバーに位置する開口の位置は、すべての衝撃装置の動作が完了したときのみ、告知装置に連通するガス流路の開口が露出し、告知装置が動作する要求を満たす。
【0067】
(実施の形態6.)
本出願の他のいくつかの実施例において、誘起源の位置するチャンバーは、各衝撃装置の位置するチャンバーとそれぞれガス流路を介して連通する。誘起源が誘起信号を受信して動作するとき、発生した高圧ガスがそれぞれガス流路を介して同時に各衝撃装置の位置するチャンバーに進入し、各衝撃装置を同時に動作するように駆動する。
【0068】
上記の実施例において、誘起源は、高圧ガスを発生可能な電子点火装置である。本出願は、他の実施例をさらに提供する。誘起源は、外部誘起信号を受信可能な液圧装置であり、誘起信号を受信することにより、高圧液体を発生させ、高圧液体が液体流路、すなわち上記の実施例におけるガス流路を介して、相応の衝撃装置の位置するチャンバーに進入して相応の衝撃装置を動作するように駆動する。液圧装置を使用する場合、それにより発生する高圧液体が絶縁液体でなくてはいけない。実施例において、誘起源の種類だけを変更し、その他の構造が上記の実施例によるものと同じである。
【0069】
本出願のいくつかの実施例において、ハウジングに少なくとも1つのバルブ構造がさらに設置される。前記バルブ構造は、圧力調整バルブ、チェックバルブ、切り換えバルブまたはプレッシャーリリーフバルブから選択されるものであり得る。
【0070】
本出願のいくつかの実施例において、各前記バルブ構造は、前記誘起源、前記衝撃装置、破断した前記導体により駆動される。前記バルブ構造が2つ以上である場合、すべての前記バルブ構造が、前記誘起源、前記衝撃装置および破断した前記導体から選択される同一のものにより駆動され、あるいは、すべての前記バルブ構造のうちの2つが、前記誘起源、前記衝撃装置および破断した前記導体から選択される異なる2つによりそれそれ駆動されてもよい。
【0071】
なお、上記のバルブ構造の具体的な実現方式がこれに限定されなく、本出願の精神および範囲から逸出しない限り、任意の他の形式のバルブ構造を使用してもよい。
【0072】
以下、
図21から
図25までを参照しながら、本出願に係るバルブ構造のいくつかの具体的な実施の形態を詳細に説明する。
【0073】
図21は、バルブ構造のいくつかの実施の形態のうちの一つとして例示した、圧力調整バルブ110の模式的断面図である。
図21に示すように、圧力調整バルブ110は、上ハウジングに形成された流路に設置され、ネジを有し、上下に回すことにより流路の開口の大きさを調整してガス流量を調整することにより、圧力調整を実現するように構成される。これによって、圧力調整バルブ110は、各衝撃装置の運動の時間間隔をコントロールし、時間遅延パラメータを調整することができ、破断に有利である。圧力調整バルブは、必要に応じて少なくとも1つ設置されるとよい。
【0074】
図22は、バルブ構造の他のいくつかの実施の形態のうちの一つとして例示した、チェックバルブ111の模式的断面図である。
図22に示すように、チェックバルブ111は、上ハウジングの流路口に設置されるとともにヒンジ構造として形成され、ガスが流路口から他のチャンバーに進入するとき、ガスの圧力による駆動で、ヒンジ構造のチェックバルブ111が回動して流路口を開き(
図22(b)を参照)、一方向の流通を実現する。このようにして、ガスの逆流に起因した、他のチャンバーの圧力が不十分になって衝撃装置を運動するように押すことができないことを防止することができる。チェックバルブは、必要に応じて少なくとも1つ設置されるとよい。
【0075】
また、
図23から
図25までは、バルブ構造の他のいくつかの実施の形態のうちの一つとして例示した、プレッシャーリリーフバルブの模式的断面図である。
【0076】
なお、本出願に係るバルブ構造は、多種の方式で駆動することができ、本出願ではバルブ構造の駆動方式が限定されない。本出願に係るバルブ構造は、例えば、切換えバルブであってもよい。例えば、いくつかの実施の形態において、本出願に係るバルブ構造は、上記の誘起源、衝撃装置、および破断した導体の少なくとも一方により駆動されることができる。以下、プレッシャーリリーフバルブを例にして本出願に係るバルブ構造の駆動方式を詳細に説明する。
【0077】
図23は、誘起源によりプレッシャーリリーフバルブ112を駆動する実施の形態を示す。
図23に示す実施の形態において、プレッシャーリリーフバルブ112は、上ハウジングの流体チャンバーに設置されるとともにバネ構造が設置される。気圧が過大である場合、気圧の作用で、該バネ構造が圧縮されて流出孔とガスチャンバーとが連通する。このようにして、余分なガスが流出孔から排出され、オーバーフローの作用を実現する。この方式によれば、プレッシャーリリーフバルブにより、ハウジングを保護することができ、過大の気圧によるハウジングの損壊を防止することができる。
【0078】
図24は、衝撃装置によりプレッシャーリリーフバルブ212を駆動する実施の形態を示す。
図24に示す実施の形態において、プレッシャーリリーフバルブ212は、上ハウジングにおける、衝撃装置が変位する経路に設置されるとともに、回転軸構造として形成される。衝撃装置が変位する過程において、プレッシャーリリーフバルブ212が衝撃装置により駆動されて回動して流出孔を開き、このようにして、ガスが流出口から流出し、オーバーフローの作用を実現し、したがって、過大の気圧によるハウジングの損壊を防止することができる。
【0079】
図25は、破断した導体によりプレッシャーリリーフバルブ213を駆動する実施形態を示す。
図25に示す実施の形態において、プレッシャーリリーフバルブ213は、下ハウジングにおける、導体が破断するときの経路に設置されるとともに、回転軸構造として形成される。導体の破断した部分が衝撃装置により駆動されて折り曲がるとき、プレッシャーリリーフバルブ213が導体により駆動されて回動して流出孔を開き、このようにして、遮断するときにアークの燃焼により発生したガスが流出口から流出し、ハウジングの損壊を防止することができる。
【0080】
プレッシャーリリーフバルブは、必要に応じて少なくとも1つ設置されるとよい。
【0081】
既出の実施例によるガス流路も、実施の形態6による液体流路も、本明細書において流路と定義されるものとする。すなわち、既出の実施例においてガスと説明した箇所を液体で置き換える場合でも、本開示技術の本質的な事項ではなく、本出願の保護範囲内に属する。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本出願は、単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置を提供する。該誘起保護装置は、ハウジングと、誘起源と、衝撃装置と、導体とを備え、前記ハウジングに、異なるチャンバーのそれぞれに位置する少なくとも2つの衝撃装置が設置され、前記衝撃装置の一側に1つの誘起源が設置され、前記衝撃装置および前記誘起源が、それらが位置するチャンバーと密封接触するように構成され、前記誘起源により前記衝撃装置が駆動されて同時または前後に変位し、少なくとも1つの前記衝撃装置が変位する過程において前記導体を破断させるように構成される。本出願に係る誘起保護装置は、電気自動車の電池パックおよび負荷回路の保護、または他の電力制御回路に適用する。本出願に係る誘起保護装置は、耐電流衝撃性が優れ、消弧能力が向上し、素早い保護を実現することができ、そして、遮断されたあとの絶縁性能が優れ、複数の破断口を破断させる順序および時間間隔のコントロール可能な範囲が広く、該誘起保護装置による確実な遮断に寄与できるとともにその遮断能力の向上に寄与でき、製品の信頼性を向上させることができる。
【0083】
なお、本出願に係る単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置は、実施可能なものであり、さまざまな産業用途に適用することができる。例えば、本出願に係る単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置は、電力制御および電気自動車の技術分野に適用することができる。
よって本開示技術に係る誘起保護装置は、産業上の利用可能性を有する。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、誘起源と、衝撃装置と、導体と、を
有し、
前記ハウジングに
は、異なる
2つのチャンバーのそれぞれに位置する2つの前記衝撃装置が設置され、
前記衝撃装置
は、1つの前記誘起源が
接続され、
前記衝撃装置
及び前記誘起源
は、対応するチャンバーと密封接触するように構成され、
前記衝撃装置は、前記誘起源
の作用により同時
又は前後に変位し、少なくとも1つの前記衝撃装置が変位する過程において
、前記導体を破断させるように構成される
、
単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項2】
前記ハウジングに
は、少なくとも1つのバルブ構造が設置され、
前記バルブ構造は、圧力調整バルブ、チェックバルブ、切換えバルブ
、又はプレッシャーリリーフバルブ
のいずれかである
、
請求項1に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項3】
前記バルブ構造は、前記誘起源、前記衝撃装置、
又は破断
された前記導体により駆動され、
前記バルブ構造が2つ以上である場合、すべての前記バルブ構造が、前記誘起源、前記衝撃装置
、及び破断
された前記導体
のうち、選択される同一のものにより駆動
されるか、あるいは、すべての前記バルブ構造のうち2つが、前記誘起源、前記衝撃装置
、及び破断
された前記導体
のうち、選択される異なる2つによりそれぞれ駆動される
、
請求項2に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、上ハウジングと、前記上ハウジングと
対を成し密封接続
される下ハウジングと
、を含み、
前記導体
は、前記上ハウジングと前記下ハウジングとの接触面に設置され、
前記導体の2つの端部
は、それぞれ前記ハウジングの外部に位置する
、
請求項1に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項5】
前記導体に
は、少なくとも1つの可溶体が並列接続される
、
請求項1に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項6】
少なくとも1つの前記衝撃装置により前記導体を破断させ、少なくとも1つの前記衝撃装置により前記可溶体を破断させまたは前記導体および前記可溶体を順に破断させるように構成される、
請求項5に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項7】
前記可溶体に
は、溶断脆弱箇所
及び破断脆弱箇所が設けられ、
前記破断脆弱箇所
は、前記衝撃装置
が破断
を実施する
位置に
設置されている、
請求項6に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項8】
前記可溶体の
前記破断脆弱箇所が位置するチャンバーのうち、
前記衝撃装置に近接するチャンバーに
、押しブロックが設置され、
前記押しブロックと
対応するチャンバーとの間に
、前記押しブロックの初期位置を制限する位置制限
機構が
設けられている、
請求項7に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項9】
前記溶断脆弱箇所は、消弧媒体が充填されている密閉したチャンバーに位置する
、
請求項7に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項10】
前記衝撃装置は、
前記誘起源の位置するチャンバーが各前記衝撃装置の位置するチャンバーのそれぞれに連通する場合、
前記誘起源が動作するとき
に、同時または前後に動作
する、又は、
前記誘起源の位置するチャンバーが前記衝撃装置のうちの1つの位置するチャンバーに連通する場合、前記衝撃装置の
各々に位置するチャンバーが流路を介して直列連通し、
前記誘起源が動作するとき、前後に動作する
、
請求項1
から9
までのいずれか1項に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項11】
前記衝撃装置
のそれぞれの位置するチャンバーが流路を介して連通する場合、先に動作する
前記衝撃装置が変位することにより、それが動作した直後に動作する
前記衝撃装置の位置するチャンバーと、
先に動作する
前記衝撃装置の位置するチャンバーとの連通する流路の開口を開くように構成される
、
請求項10に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項12】
前記衝撃装置
は、1つが中央に
配置され、
残りが
その周りに間隔をあけて
配置されている、
請求項10に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項13】
前記衝撃装置は、
前記誘起源の位置するチャンバーの外側の周りに配置
されている、
請求項10に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項14】
中央に設置される前記衝撃装置の外側に位置する
前記衝撃装置は、いずれも環状構造であり、順次に間隔をあけて中央に設置される前記衝撃装置の外周に
環状に装備される
、
請求項12に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項15】
環状構造の前記衝撃装置において、前記導体に対応する位置にそれぞれ切欠が設けられ、環状構造の前記衝撃装置が変位して
前記可溶体を破断させるとき、前記導体が前記切欠内に位置する
、
請求項
5に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項16】
前記衝撃装置と、前記衝撃装置の位置するチャンバーとの接触面の間、
及び、前記誘起源と、前記誘起源の位置するチャンバーとの接触面の間に、接触面を密封するための密封装置が設置される
、
請求項1に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項17】
前記ハウジングは、前記ハウジングの底部に設置される底部ハウジングをさらに含み、前記可溶体が前記底部ハウジングを穿通し、前記可溶体の両端が、前記底部ハウジングを穿通して前記導体と並列接続され、前記底部ハウジングに、前記衝撃装置により前記可溶体を破断させるためのチャンバーが設けられる
、
請求項5に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項18】
前記ハウジングに前記ハウジングと密封接触する告知装置が設置され、
前記告知装置と前記ハウジングとの間に位置制限機構が設置され、
前記告知装置が、流路を介して、同時に動作する前記衝撃装置のうちの1つの位置するチャンバーに連通し、
又は、流路を介して、前後に動作する前記衝撃装置のうちの最後に動作する
前記衝撃装置の位置するチャンバーに連通し、
前記告知装置の流路
に関する、前記衝撃装置の位置するチャンバーに位置する開口の位置は、すべての
前記衝撃装置の動作が完了したとき、前記告知装置が、前記誘起源による駆動力で位置制限機構による位置制限を克服して変位し、前記告知装置の一端が前記ハウジングの外部まで突き出る要求を満たす
、
請求項10
に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【請求項19】
前記誘起源は、誘起信号を受信することにより動作する電子点火装置
又は液圧装置であり
、
前記誘起源が前記電子点火装置である場合、前記電子点火装置が高圧ガスを発生し、
前記誘起源が前記液圧装置である場合、前記液圧装置が絶縁の高圧液体を
吐出する
、
請求項1に記載の単一の誘起源による段階的な動作に基づく誘起保護装置。
【国際調査報告】