(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】デジタルメディアを登録し、デジタルメディアの登録を検証する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/10 20130101AFI20240118BHJP
G06F 21/64 20130101ALI20240118BHJP
【FI】
G06F21/10
G06F21/64
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506118
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 EP2021087527
(87)【国際公開番号】W WO2023117104
(87)【国際公開日】2023-06-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522288832
【氏名又は名称】フジツウ テクノロジー ソリューションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ニコラオス・サクラムパナキス
(57)【要約】
本発明は、許可されたブロックチェーンネットワークを使用してデジタルメディアを登録する方法(100、300)に関し、本方法は:
- 許可されたブロックチェーンネットワークの少なくとも1つのピア(33)によって、メディアプロバイダからのデジタルメディア及びメディアプロバイダの識別子を受信するステップ(S101、303)と、
- 少なくとも1つのピア(33)によって、デジタルメディアを登録するためにスマートコントラクト(34)を実行するステップ(S102、305)と、
- 少なくとも1つのピア(33)によって、スマートコントラクト(34)を使用してメディアプロバイダの識別子を検証するステップ(S103、306)と、
- 少なくとも1つのピア(33)によって、スマートコントラクト(34)を使用してデジタルメディアのコンテンツ識別子を決定するステップ(S104、306)と、
- 少なくとも1つのピア(33)によって、スマートコントラクト(34)を使用してデジタルメディアに対応する登録識別子を生成するステップ(S105、306)と、
少なくとも1つのピア(33)によって、登録識別子をブロックチェーンに記憶するステップ(S106、307)と、
少なくとも1つのピア(33)によって、登録識別子及びコンテンツ識別子をデータベース(36)に提供するステップ(S107、309、310)と、
を含む。
本発明は更に、対応するシステム、デジタルメディアの登録を検証するための方法及びシステム、コンピュータプログラム及びコンピュータ読取可能記憶媒体に関する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
許可されたブロックチェーンネットワークを使用してデジタルメディアを登録する方法であって、
許可されたブロックチェーンネットワークの少なくとも1つのピアによって、メディアプロバイダからのデジタルメディア及び前記メディアプロバイダの識別子を受信するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記デジタルメディアを登録するためにスマートコントラクトを実行するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記スマートコントラクトを使用して前記メディアプロバイダの前記識別子を検証するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記スマートコントラクトを使用して前記デジタルメディアのコンテンツ識別子を決定するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記スマートコントラクトを使用して前記デジタルメディアに対応する登録識別子を生成するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記登録識別子をブロックチェーンに記憶するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記登録識別子及び前記コンテンツ識別子をデータベースに提供するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
当該方法は、
前記データベースが、前記メディアプロバイダから受信した前記デジタルメディアに対応する前記コンテンツ識別子と同一及び/又は類似の少なくとも1つのコンテンツ識別子を含むかどうかを判断するステップ、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンテンツ識別子は、前記許可されたブロックチェーンネットワークの少なくとも1つの更なるピアに更に伝播される、
請求項1又は2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記メディアプロバイダの前記識別子が更に、前記少なくとも1つのピアによって、前記ブロックチェーン内に記憶される、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
当該方法は、
前記少なくとも1つのピアによって、前記メディアプロバイダへ前記デジタルメディアの前記登録の結果を送信するステップ、
を更に含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのピアによって、前記デジタルメディアに対応するメタデータを受信するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記メタデータを分析するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記メタデータを前記データベースに提供するステップと、
を更に含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記デジタルメディアは、
デジタルピクチャと、
デジタルオーディオと、
デジタルビデオと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
許可されたブロックチェーンネットワークを使用してデジタルメディアの登録を検証する方法であって、
許可されたブロックチェーンネットワークの少なくとも1つのピアによって、メディアプロバイダからデジタルメディアを受信するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記許可されたブロックチェーンネットワーク内の前記デジタルメディアの登録を検証するためにスマートコントラクトを実行するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記スマートコントラクトを使用して前記デジタルメディアのコンテンツ識別子を決定するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記デジタルメディアの前記コンテンツ識別子を前記メディアプロバイダに送信するステップであって、前記コンテンツ識別子は、前記メディアプロバイダによって、前記決定されたコンテンツ識別子に対応する少なくとも1つの記憶されたコンテンツ識別子及び少なくとも1つの対応する登録識別子についてデータベースを検索するために使用される、ステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、少なくとも1つの登録識別子を受信するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記少なくとも1つのピアにおいて実行された前記スマートコントラクトを使用して、前記少なくとも1つの登録識別子がブロックチェーンに記憶されているかどうかを判断して、受信した前記少なくとも1つの登録識別子を検証するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記メディアプロバイダに前記少なくとも1つの登録識別子の検証の結果を送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのピアによって、前記少なくとも1つの登録識別子の検証の結果を送信するステップは、
前記少なくとも1つのピアによって、前記少なくとも1つの登録識別子に対応する少なくとも1つのメディアプロバイダの少なくとも1つの識別子を送信するステップを更に含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記決定されたコンテンツ識別子に対応する少なくとも1つのコンテンツ識別子は、類似性閾値に従って前記決定されたコンテンツ識別子と同一及び/又は類似する少なくとも1つのコンテンツ識別子である、
請求項8又は9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
デジタルメディアを登録するためのシステムであって、当該システムは、少なくとも1つのピアとデータベースを含む、許可されたブロックチェーンネットワークを含み、
前記少なくとも1つのピアは、メディアプロバイダからのデジタルメディア及び前記メディアプロバイダの識別子を受信し、前記デジタルメディアを登録するためにスマートコントラクトを実行し、前記スマートコントラクトを使用して前記メディアプロバイダの前記識別子を検証し、前記スマートコントラクトを使用して前記デジタルメディアのコンテンツ識別子を決定し、前記スマートコントラクトを使用して前記デジタルメディアに対応する登録識別子を生成し、前記登録識別子をブロックチェーンに記憶し、前記登録識別子及び前記コンテンツ識別子をデータベースに提供するよう構成され、
前記データベースは、前記登録識別子及び前記コンテンツ識別子を記憶するよう構成される、
システム。
【請求項12】
デジタルメディアの登録を検証するためのシステムであって、当該システムは、少なくとも1つのピアとデータベースを含む、許可されたブロックチェーンネットワークを含み、
前記少なくとも1つのピアは、メディアプロバイダからデジタルメディアを受信し、前記許可されたブロックチェーンネットワーク内の前記デジタルメディアの登録を検証するためにスマートコントラクトを実行し、前記スマートコントラクトを使用して前記デジタルメディアのコンテンツ識別子を決定し、前記デジタルメディアの前記コンテンツ識別子を前記メディアプロバイダに送信するよう構成され、
前記データベースは、前記コンテンツ識別子を前記メディアプロバイダから受信し、前記決定されたコンテンツ識別子に対応する少なくとも1つの記憶されたコンテンツ識別子及び対応する少なくとも1つの登録識別子について当該データベースを検索し、対応する少なくとも1つの登録識別子を前記メディアプロバイダに送信するよう構成され、
前記少なくとも1つのピアは、前記少なくとも1つの登録識別子を前記メディアプロバイダから受信し、前記少なくとも1つのピアにおいて実行された前記スマートコントラクトを使用して、前記少なくとも1つの登録識別子がブロックチェーンに記憶されているかどうかを判断して、受信した前記少なくとも1つの登録識別子を検証し、前記メディアプロバイダに前記少なくとも1つの登録識別子の検証の結果を送信するよう更に構成される、
システム。
【請求項13】
少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、該少なくとも1つのプロセッサに、請求項1乃至7のいずれかに記載の方法又は請求項8乃至10のいずれかに記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータプログラムを含むコンピュータ読取可能記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルメディアを登録(registering)する方法に関する。本発明は更に、デジタルメディアの登録を検証する方法に関する。本発明は更に、対応するシステム、コンピュータプログラム及びコンピュータ読取可能記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
芸術作品、音楽作品、文書、ビデオ又は任意の他のタイプのデジタル又は現実世界の資産のような資産の元の所有者を検証する方法は、常に課題であった。特に、電子デバイスを使用して、そのような資産のデジタルメディアを電子的に容易に増やして配布することができるので、そのようなデジタルメディアに表示されるか又はその中に含まれる資産の所有権の証明の可能性がより一層緊急に必要とされる。しかしながら、そのようなメディアの所有権を証明する電子的な方法は、通常は改ざんされやすく、そのため信頼性に欠ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、デジタルメディアを登録し、デジタルメディアの登録を検証するためのセキュアで信頼性のある方法、システム、コンピュータプログラム及びコンピュータ読取可能記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的は、添付の独立請求項の特徴によって達成される。更に有利な実施形態は、従属請求項、並びに添付の図面及びその説明において提供される。
【0005】
第1の態様によると、許可されたブロックチェーンネットワークを使用してデジタルメディアを登録するための方法は、
- 許可されたブロックチェーンネットワークの少なくとも1つのピアによって、メディアプロバイダからのデジタルメディア及びメディアプロバイダの識別子を受信するステップと、
- 少なくとも1つのピアによって、デジタルメディアを登録するためにスマートコントラクトを実行するステップと、
- 少なくとも1つのピアによって、スマートコントラクトを使用してメディアプロバイダの識別子を検証するステップと、
- 少なくとも1つのピアによって、スマートコントラクトを使用してデジタルメディアのコンテンツ識別子を決定するステップと、
- 少なくとも1つのピアによって、スマートコントラクトを使用してデジタルメディアに対応する登録識別子を生成するステップと、
― 少なくとも1つのピアによって、登録識別子をブロックチェーンに記憶するステップと、
- 少なくとも1つのピアによって、登録識別子及びコンテンツ識別子をデータベースに提供するステップと、
を含む。
【0006】
ブロックチェーンネットワークは、元帳及びスマートコントラクト(「チェーンコード」とも呼ばれる)サービスをアプリケーションに提供する技術インフラストラクチャである。例えばスマートコントラクトは、トランザクションを生成するために使用され、これらは続いて、これらが台帳のこれらのコピーに不変に記録されるネットワーク内、すなわちブロックチェーン内のすべてのピアに分散され得る。アプリケーションのユーザは、クライアントアプリケーションを使用するエンドユーザ又はブロックチェーンネットワーク管理者であり得る。
【0007】
許可されたブロックチェーンネットワークは、その一部となるためにアクセスを必要とするブロックチェーンネットワークである。これらのブロックチェーンタイプでは、許可された参加者によって実行されるアクションを統治するブロックチェーンの上部において制御レイヤが実行される。例えば複数の組織がコンソーシアムとして集まってネットワークを形成し、それらの許可は、コンソーシアムによって合意されたポリシーのセットよって決定される。代替的に、ネットワークは、該ネットワークを統治する単一の信頼できる機関によってセットアップされる。
【0008】
ブロックチェーンネットワークは、ピア(「ピアノード」とも呼ばれる)で構成され、その各々は、台帳のコピーとスマートコントラクトのコピーを保持することができる。ピアを作成、開始、停止、再構成及び削除さえすることができる。これらは、管理者とアプリケーションが、それらが提供するサービスと対話することを可能にするアプリケーションプログラミングインタフェース、APIのセットを公開する。ブロックチェーンネットワークは、異なる組織が所有及び貢献するピアから構築される。各ピアは、特定の認証局からのデジタル証明書を介してそれらに割り当てられる識別情報(identity)を有する。例えばピアは、予め定義された仕様に基づいてソフトウェアによって実装され得る。監査能力、セキュリティ及び信頼の理由から、オープンソースで実装されたピアが使用されてよい。ピアの展開は、オンプレミス又はクラウドで、あるいは第三者によって提供されるインフラストラクチャで又はそれらの組合せであり得る。
【0009】
この文脈におけるデジタルメディアとは、その所有権の証明が登録されるべきであり、そのコンテンツ識別子を決定することができる、任意の種類のデジタル資産であり得る。デジタルメディアは、例えば視覚芸術作品のピクチャ、視覚文書、楽曲又は口詞、ビデオ等のような、デジタル又は現実世界の資産の任意の視覚又は聴覚メディアであり得る。
【0010】
コンテンツ識別子は、デジタルメディアのコンテンツを一意に識別する識別子であり得る。コンテンツ識別子は、例えばデジタルメディアの音響指紋及び/又は視覚指紋である。例えばデジタルメディアが歌である場合、コンテンツ識別子は、歌の音響指紋、例えば歌に対応するオーディオ信号から決定論的に生成される時間-周波数関係(すなわち、スペクトログラム)であり得る。ビデオの場合、ビデオ指紋又はビデオハッシュが使用され得るが、これらは、ソフトウェアがビデオの特徴的な構成要素を一意の又は複数の知覚ハッシュのセットとして識別し、抽出し、次いで要約する、次元削減技術のクラスである。デジタルメディアが画像である場合、画像のコンテンツが一意に識別され得る任意のタイプの既知の視覚認識技術、例えばピクセルあたりの光スペクトログラム(light per pixel spectrogram)を使用して、コンテンツ識別子を取得することができる。
【0011】
さらに、コンテンツ識別子を決定するステップではまた、2つ以上、例えば3つのコンテンツ識別子が決定されてもよい。各決定されたコンテンツ識別子は、その後、データベースに提供されてよく、データベースは、複数のコンテンツ識別子のうちの1つだけによって又は複数のコンテンツ識別子のうちのいくつかによって検索されてよい。画像の場合、例えば画像の各ピクセルの光がその画像全体又は一部の光の平均値とは異なる値に関連する第1コンテンツ識別子が決定されてよく、画像の各ピクセルの光がその隣接するピクセルの光の値と異なる値に関連する第2コンテンツ識別子が決定されてよい。例えばトレーニングされた人工知能モデルを使用して、マッチするデータベースエントリの検索のために、相互に関して、複数のコンテンツ識別子のうちどれが最も信頼されるべきか、それらがどのように重み付けされるかを決定し得る。
【0012】
この文脈では、コンテンツ識別子は、デジタルメディア自体に含まれるコンテンツ(例えば画像内に示される芸術作品又はサウンドファイルの音楽)に基づき、かつそれが含まれるデジタルファイル(例えばメタデータ又はファイル自体のハッシュ)には基づかずに、デジタルメディアを識別することを指摘しなければならない。
【0013】
この文脈では、メディアプロバイダは、登録の目的のため又はデジタルメディアの所有権に関する情報を取得するために、デジタルメディアをネットワークに提供しているエンティティである。メディアプロバイダは、例えばゲートウェイ、ウェブアプリケーション又は個人若しくは組織がデジタルメディアをブロックチェーンネットワークに提供し得る任意の他の手段を使用する電子デバイスであり得る。メディアプロバイダの識別子は、対応するメディアプロバイダを一意に識別する任意の識別子であり得る。例えばメディアプロバイダの識別子は、メディアプロバイダの署名、暗号鍵、特に非対称暗号化のためのメディアプロバイダの公開鍵、あるいは暗号的に検証可能な証明書、例えばX.509規格に従った証明書であり得る。
【0014】
スマートコントラクトは、ブロックチェーンネットワークのルールを実行可能コードで定義する。ピアは、スマートコントラクトを呼び出して、元帳に記録されるトランザクションを生成し得る。したがって、ブロックチェーンネットワークを使用して、スマートコントラクトは実行可能プログラムを実装している。スマートコントラクトは、統治ルール(governance rules)を実装することができ、その結果、スマートコントラクトが実行されるとき、これらのルールを自動的に施行することができる。
【0015】
本ケースでは、スマートコントラクトを実行することによって、メディアプロバイダの識別子を検証し、デジタルメディアのコンテンツ識別子を決定するアルゴリズムが開始される。さらに、本明細書において登録識別子と呼ばれる登録プロセスの識別子が生成される。この登録識別子は上記のトランザクションに対応し、これらは、スマートコントラクトを実行することによってブロックチェーンで生成されて記録される。登録識別子は、特定のデジタルメディアの登録プロセスを一意に識別する。登録識別子は、次いで、それがブロックチェーンに付加されているかどうかを識別することによって、対応する登録プロセスが実行されたかどうかを検証するために使用されることができる。
【0016】
許可されたブロックチェーンネットワークを使用してデジタルメディアを登録する第1の態様による方法の利点は、デジタルメディアの所有権のセキュアで信頼できる登録が提供され、したがって、デジタルメディアに示されるか又は他の方法で含まれる資産の所有権を証明するセキュアで信頼できる方法が提供されることである。これにより、データベースのエントリとブロックチェーンエントリの相互参照により外部データベースのデータの信頼性が強化される。さらに、記憶された登録識別子により、直接マッチ(direct matches)をブロックチェーンから直接検索して取り出すことができる。効率化の理由のために、外部データベースを利用することによって類似性ベースのクエリが実行され得る。類似性ベースのクエリは、いくつかのユースケースのためにスマートコントラクトアプリケーションにおいても実装され得る。
【0017】
さらに、本明細書で説明される方法は、そのような資産を登録するための迅速で容易な方法も提供する。スマートコントラクト自体が、その識別子を検証することによってメディアプロバイダを認証し、デジタルメディアのコンテンツ識別子を決定し、登録識別子を生成するために使用される点において、これらのタスクは、追加のセキュリティと迅速な処理のために一緒にリンクされる。
【0018】
更なる利点は、デジタルメディアを登録するこの方法により、ブロックチェーンネットワークが、第1の態様による登録プロセスに基づいて、従属請求項及び添付の図面に関してより詳細に説明される、更なる追加適用の可能性を可能にすることである。例えばデジタルメディアを登録する間に、データベース内のデジタルメディアへの類似エントリがクエリ及び/又は評価され得る。追加又は代替的に、メディアプロバイダに対して異なる認証手順及び/又は許可が適用されることがあり、これは、登録方法を異なるブロックチェーンネットワークアーキテクチャ及び/又はセキュリティ及び実装要件に容易に適応可能にする。さらに、本明細書で説明される方法では、登録されたデジタルメディアに関する情報を容易かつ確実に取り出すことができる。
【0019】
少なくとも1つの実施形態によると、本方法は、データベースが、類似性閾値に従って、メディアプロバイダから受信したデジタルメディアに対応するコンテンツ識別子と同一及び/又は類似の少なくとも1つのコンテンツ識別子を含むかどうかを判断するステップを更に含む。
【0020】
その利点は、デジタルメディアの登録の時点で、同一又は類似の資産が既に登録されているかどうかをチェックすることができることである。このようにして、例えば登録されるべきデジタルメディアのプロバイダに対して、あるいは同一又は類似の資産が既に登録されている場合、既に登録されているデジタルメディアのプロバイダのいずれかに対して通知を生成することができ、それにより、(現在の登録プロセスの又は以前の既存の登録のいずれかの)不正な登録を潜在的に検出することができる点において、資産の所有権の証明の信頼性を向上させることができる。
【0021】
少なくとも1つの実施形態によると、コンテンツ識別子は、許可されたブロックチェーンネットワークの少なくとも1つの更なるピアに更に伝播される。
【0022】
その利点は、スマートコントラクトによるコンテンツ識別子の決定のセキュリティを更に向上させることができることである。例えば第1のピアから他のピアにコンテンツ識別子を伝播することによって、第1のピアによって決定されたコンテンツ識別子が正しく決定されているかどうか、すなわち、第1のピアが、ネットワークの他のピアと同じコンテンツ識別子を決定したかどうかをチェックすることができる。1つのピアが他のピアと異なるコンテンツ識別子を決定した場合、その1つのピアが、改ざんされているか、他の理由で不具合を生じている可能性がある。通知が生成され得ると、第1のピアが無視さ得るか又はネットワークから省略され得るか、あるいは他の手段がとられることがある。
【0023】
少なくとも1つの実施形態によると、メディアプロバイダの識別子が更に、少なくとも1つのピアによって、ブロックチェーン内に記憶される。
【0024】
その利点は、例えばデジタルメディアの登録も、ブロックチェーンに記憶されている対応するメディアプロバイダを参照してデータベースに記憶することができることである。このようにして、特定のメディアプロバイダのデジタルメディアに関心がある場合、例えばメディアプロバイダに基づいて結果を提供するように、ブロックチェーンがクエリされ得る。
【0025】
少なくとも1つの実施形態によると、方法は、少なくとも1つのピアによって、メディアプロバイダへデジタルメディアの登録の結果を送信するステップを更に含む。
【0026】
このようにして、メディアプロバイダは、例えば「登録成功」メッセージを送信することによって、登録プロセスが成功したかどうかを通知されることができる。加えて、例えば登録プロセスの結果が、メディアプロバイダが登録したいデジタルメディアのコンテンツ識別子に関して類似又は/又は同一の結果に関する通知も含む場合、メディアプロバイダはそれに応じて通知されることができ、メディアプロバイダは、登録されるべきデジタルメディアであるかどうか又はデータベースとブロックチェーンに既に登録されている他のデジタルメディアが不正に登録された可能性があるかどうかを検証するための追加のステップをとることができる。さらに、登録の結果を送信するステップは、メディアプロバイダが更なる参照のためにそれらを記憶することができるように、コンテンツ識別子及び/又は登録識別子をメディアプロバイダに送信することも含み得る。
【0027】
少なくとも1つの実施形態によると、本方法は、少なくとも1つのピアによって、デジタルメディアに対応するメタデータを受信するステップと、少なくとも1つのピアによって、メタデータを分析するステップと、少なくとも1つのピアによって、メタデータをデータベースに提供するステップとを更に含む。
【0028】
その利点は、追加のメタデータが、そのようなメタデータに基づいて、データベースにクエリする追加の可能性を提供し得ることである。メタデータは、例えばデジタルメディアに含まれる資産の創作者の名前、資産の創作の時期、資産の創作の場所、デジタルメディアそれ自体に関する前述の情報、デジタルメディアが提供されるファイルの追加情報、すなわちファイルのタイプ(.jpeg、.png、.pdf、.mp3、.mov、.wav等)、作成及び/又は変更の時期、サイズ等を含み得る。それらの追加情報がデータベース内のメタデータに基づいて記憶されるとき、データベースは、例えば特定の作曲家、特定のファイルタイプ、特定の時間に/その前/その後に作成された特定のファイルタイプ等から登録を見つけるためにクエリされ得る。
【0029】
第2の態様によると、許可されたブロックチェーンネットワークを使用してデジタルメディアの登録を検証する方法は、
許可されたブロックチェーンネットワークの少なくとも1つのピアによって、メディアプロバイダからデジタルメディアを受信するステップと、
少なくとも1つのピアによって、許可されたブロックチェーンネットワーク内のデジタルメディアの登録を検証するためにスマートコントラクトを実行するステップと、
少なくとも1つのピアによって、スマートコントラクトを使用してデジタルメディアのコンテンツ識別子を決定するステップと、
少なくとも1つのピアによって、デジタルメディアのコンテンツ識別子をメディアプロバイダに送信するステップであって、コンテンツ識別子は、メディアプロバイダによって、決定されたコンテンツ識別子に対応する少なくとも1つの記憶されたコンテンツ識別子及び少なくとも1つの対応する登録識別子についてデータベースを検索するために使用される、ステップと、
少なくとも1つのピアによって、少なくとも1つの登録識別子を受信するステップと、
少なくとも1つのピアによって、少なくとも1つのピアにおいて実行されたスマートコントラクトを使用して、少なくとも1つの登録識別子がブロックチェーンに記憶されているかどうかを判断して、受信した少なくとも1つの登録識別子を検証するステップと、
少なくとも1つのピアによって、メディアプロバイダに少なくとも1つの登録識別子の検証の結果を送信するステップと、
を含む。
【0030】
その利点は、デジタルメディアが提供される資産の所有権がブロックチェーンネットワークに登録されているかどうかを検証するために、データベースがクエリされ得る、セキュアで信頼できる方法が提供されることである。第2の態様によるこの方法により、第1の態様に従って実行された可能性のある登録を、提供されたデジタルメディアに基づいて、容易かつ迅速に取り出して、検証することができる。このように、決定されたコンテンツ識別子と少なくとも1つの記憶されたコンテンツ識別子との同一性又は類似性により、データベース内で見つかった登録識別子は、対応する登録識別子がブロックチェーン内に記憶されているかどうかをチェックすることによって検証され得る。
【0031】
対応する登録識別子がブロックチェーン内で見つかった場合、少なくとも1つの記憶されたコンテンツ識別子が対応する少なくとも1つのデジタルメディアに対して、少なくとも1つの対応する登録プロセスが実行されて、ブロックチェーン内に登録されていると判断することができる。したがって、そのようなデジタルメディアの所有権が事前に登録されていると判断することができる。
【0032】
決定されたコンテンツ識別子とマッチする記憶されたコンテンツ識別子をデータベース内に見つけることができない場合、対応するデジタルメディアの所有権は、まだブロックチェーンネットワークに登録されていないと判断することができる。しかしながら、少なくとも1つの記憶されたコンテンツ識別子をデータベース内で見つけることができたが、対応する登録識別子の検証が失敗した場合、当該デジタルメディアの所有権に関するエントリがデータベース内で改ざんされていると判断することができる。
【0033】
第1の態様に関して説明したのと同様に、第2の態様によっても、複数のコンテンツ識別子が使用されてもよい。デジタルメディアに関して複数のコンテンツ識別子がデータベースに記憶される場合、データベースは、複数のコンテンツ識別子のうちの1つだけのマッチについて検索されてよく、あるいは例えばコンテンツ識別子の重み付けされた重要度に基づいて及び/又はそれぞれの閾値に基づいて、複数のコンテンツ識別子のうちの2つ以上のマッチについて検索されてもよい。
【0034】
第2の態様による方法の更なる利点並びに技術的詳細及び実施形態は、第1の態様による方法のものに対応しており、ここでは再度説明しない。第1の態様及び第2の態様による方法は、コンピュータで実装される方法である。
【0035】
少なくとも1つの実施形態によると、少なくとも1つのピアによって、少なくとも1つの登録識別子の検証の結果を送信するステップは、少なくとも1つのピアによって、少なくとも1つの登録識別子に対応する少なくとも1つのメディアプロバイダの少なくとも1つの識別子を送信するステップを更に含む。
【0036】
その利点は、登録が存在したかどうかを判断することができるだけでなく、どのメディアプロバイダが、登録されたデジタルメディアの所有権を登録したかも判断することができることである。
【0037】
少なくとも1つの実施形態によると、決定されたコンテンツ識別子に対応する少なくとも1つのコンテンツ識別子は、決定されたコンテンツ識別子と同一及び/又は類似する少なくとも1つのコンテンツ識別子である。
【0038】
その利点は、同一のデジタルメディアの登録を検証することができるだけでなく、例えば類似性閾値によって決定される、特定の類似性を有する登録も見つけることができることであり、そのような類似性閾値に従って、提供されたデジタルメディアと、登録されたデジタルメディアに関する情報との間の類似性のレベルを定義することができる。例えばそのような類似性閾値よりも高い類似性を有する、データベース内に記憶されたすべてのコンテンツ識別子は、データベースから、マッチするコンテンツ識別子エントリとして返される。
【0039】
これは、特定の修正がデジタルメディアに対して行われたが、このデジタルメディアが、対応する修正されていないバージョンに依然としてマッチするとみなされるべきである場合に特に有利である。例えばデジタルメディアがデジタルピクチャであり、デジタルピクチャのコントラスト及び/又は明るさ及び/又は色付けが変更されている場合、類似性閾値を定義することができ、これは、変更されたデジタルピクチャと変更されていないデジタルピクチャの対応するコンテンツ識別子をデータベース内のマッチするエントリとして見つけるであろう。さらに、デジタルメディアが、例えばブロックチェーンネットワークに所有権が登録されている現実世界の彫刻又は絵画のピクチャである場合、その彫刻又は絵画のピクチャは、異なるデバイスで及び/又は異なる角度から撮影される可能性があり、その結果、対応するデジタルメディア間で一定の相違が生じる可能性がある。類似のコンテンツ識別子もマッチするコンテンツ識別子として決定することによって、そのような相違が検証プロセスで受け入れられてよく、類似した資産に関する結果を返すことができる。
【0040】
第3の態様によると、デジタルメディアを登録するためのシステムは、許可されたブロックチェーンネットワークを含む。許可されたブロックチェーンネットワークは、少なくとも1つのピアとデータベースを含む。少なくとも1つのピアは、メディアプロバイダからのデジタルメディア及びメディアプロバイダの識別子を受信し、デジタルメディアを登録するためにスマートコントラクトを実行し、スマートコントラクトを使用してメディアプロバイダの識別子を検証し、スマートコントラクトを使用してデジタルメディアのコンテンツ識別子を決定し、スマートコントラクトを使用してデジタルメディアに対応する登録識別子を生成し、登録識別子をブロックチェーンに記憶し、登録識別子及びコンテンツ識別子をデータベースに提供するよう構成される。データベースは、登録識別子及びコンテンツ識別子を記憶するよう構成される。
【0041】
第4の態様によると、デジタルメディアの登録を検証するためのシステムは、少なくとも1つのピアとデータベースを含む、許可されたブロックチェーンネットワークを含む。少なくとも1つのピアは、メディアプロバイダからのデジタルメディアを受信し、許可されたブロックチェーンネットワーク内のデジタルメディアの登録を検証するためにスマートコントラクトを実行し、スマートコントラクトを使用してデジタルメディアのコンテンツ識別子を決定し、デジタルメディアのコンテンツ識別子をメディアプロバイダに送信するよう構成される。データベースは、コンテンツ識別子をメディアプロバイダから受信し、決定されたコンテンツ識別子に対応する少なくとも1つの記憶されたコンテンツ識別子及び対応する少なくとも1つの登録識別子について当該データベースを検索し、対応する少なくとも1つの登録識別子をメディアプロバイダに送信するよう構成される。少なくとも1つのピアは、少なくとも1つの登録識別子をメディアプロバイダから受信し、少なくとも1つのピアにおいて実行されたスマートコントラクトを使用して、少なくとも1つの登録識別子がブロックチェーンに記憶されているかどうかを判断して、受信した少なくとも1つの登録識別子を検証し、メディアプロバイダに少なくとも1つの登録識別子の検証の結果を送信するよう更に構成される。
【0042】
第5の態様によると、コンピュータプログラムは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、該少なくとも1つのプロセッサに、第1又は第2の態様による方法を実行させる命令を含む。
【0043】
第6の態様によると、コンピュータ読取可能記憶媒体は、第5の態様によるコンピュータプログラムを含む。
【0044】
第3から第6の態様の利点と実施形態は、第1及び第2の態様に関して説明されているものに対応しており、ここでは再度繰り返さない。さらに、それらの態様の1つに関して説明されている任意の特徴を、他の態様のいずれかと容易に組み合わせることができる。
【0045】
本発明の更に有利な実施形態は、添付の特許請求の範囲、並び例示的な実施形態の以下の詳細な説明において開示される。例示的な実施形態は、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】第1の実施形態による、許可されたブロックチェーンネットワークを使用してデジタルメディアを登録する方法のフローチャートを示す図である。
【
図2】第1の実施形態による、許可されたブロックチェーンネットワークを使用してデジタルメディアの登録を検証する方法のフローチャートを示す図である。
【
図3】第2の実施形態による、許可されたブロックチェーンネットワークを使用してデジタルメディアを登録する方法のフローチャートを示す図である。
【
図4】第2の実施形態による、許可されたブロックチェーンネットワークを使用してデジタルメディアの登録を検証する方法のフローチャートを示す図である。
【
図5】デジタルメディアを登録し、デジタルメディアの登録を検証するためのシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、本発明の第1の実施形態による、許可されたブロックチェーンネットワークを使用してデジタルメディアを登録する方法100のフローチャートを示す。この文脈において、デジタルメディアを登録(registering)することとは、以下で説明されるように、デジタルメディアのコンテンツを、そのコンテンツ識別子に基づいて登録することを意味することを指摘しておく。
【0048】
1つのステップS101において、許可されたブロックチェーンネットワークの少なくとも1つのピアが、メディアプロバイダからデジタルメディアを受信する。少なくとも1つのピアは、デジタルメディアとともにメディアプロバイダからメディアプロバイダの識別子を更に受信する。識別子は、デジタルメディアとともに送信されるメディアプロバイダの明示的な識別子であってよく、あるいはメディアプロバイダの暗号鍵又は他の識別手段から導出される暗黙的な識別子であってもよい。
【0049】
別のステップS102において、少なくとも1つのピアは、ステップS101において受信したデジタルメディアを登録するためにスマートコントラクトを実行する。複数のピアがスマートコントラクトを実行する場合、各ピアは同じスマートコントラクトを個々に実行する。スマートコントラクトは、次のステップで説明されるような、デジタルメディアを登録するために少なくとも1つのピアによって実行される必要があるタスクを実装するアルゴリズムを備える。
【0050】
別のステップS103において、少なくとも1つのピアは、スマートコントラクト内のメディアプロバイダの識別子を検証する。これにより、少なくとも1つのピアは、スマートコントラクトを使用して、メディアプロバイダの識別子が有効であるかどうかを検証する。例えば特定のメディアプロバイダのみが受け入れられる場合、デジタルメディア及び識別子を提供するメディアプロバイダが、そのような許可されたメディアプロバイダであるかどうかが検証される。
【0051】
別のステップS104において、少なくとも1つのピアは、スマートコントラクト内のデジタルメディアのコンテンツ識別子を決定する。ここで、スマートコントラクトは、コンテンツ識別子を識別するためにデジタルメディアに対してコンテンツ識別(content identification)を実行する。例えばデジタルメディアがサウンドファイルである場合には、サウンドファイルの音響指紋が生成される。例えばデジタルメディアが画像である場合には、ピクセルあたりの光のスペクトルが生成され得る。他のコンテンツ識別プロセスも当然可能である。
【0052】
別のステップS105において、少なくとも1つのピアは、スマートコントラクト内のデジタルメディアに対応する登録識別子を生成する。登録識別子は、ブロックチェーンネットワークの範囲内で、登録プロセスのグローバルに一意な識別子である。登録識別子を生成する1つの可能性は、ブロックチェーンプロトコルに従って生成される、実際のトランザクション識別子に基づいて登録識別子を生成することである。代替的に、登録識別子は、ブロックチェーントランザクション識別子とは独立に生成され得る。しかしながら、一意の登録識別子を生成する更なる可能性も当然にあり得る。
【0053】
別のステップS106において、少なくとも1つのピアは、ブロックチェーンに登録識別子を記憶する。ブロックチェーンに登録識別子を記憶することは、スマートコントラクトによって開始又は実行され得る。ブロックチェーンに登録識別子を記憶する前に、登録識別子は更なるピアへ、特にスマートコントラクトも実行して登録識別子を生成したそのような更なるピアへ、伝播されてチェックされ得る。
【0054】
別のステップS107において、少なくとも1つのピアは、登録識別子及びコンテンツ識別子をデータベースに提供する。データベースは、その後、後続のクエリのために、登録識別子を対応するコンテンツ識別子とともに記憶し得る。
【0055】
図2は、第1の実施形態による、許可されたブロックチェーンネットワークを使用してデジタルメディアの登録を検証する方法200のフローチャートを示す。例えば
図2に示される方法200は、
図1に示される方法100で生成されたデータベースエントリをクエリするために使用され得る。
【0056】
1つのステップS201において、許可されたブロックチェーンネットワークの少なくとも1つのピアが、メディアプロバイダからデジタルメディアを受信する。任意に、少なくとも1つのピアは、メディアプロバイダの識別子も受信し得る。
【0057】
別のステップS202において、少なくとも1つのピアは、許可されたブロックチェーンネットワーク内のデジタルメディアの登録を検証するためにスマートコントラクトを実行する。任意に、少なくとも1つのピアがメディアプロバイダの識別子も受け取った場合、
図1に示される方法100のステップS103で実行されるのと等しく、スマートコントラクトにおいてメディアプロバイダの識別子が検証され得る。しかしながら、クエリプロセスでは、識別されていないエンティティからの要求も許可される場合、メディアプロバイダの識別子の検証は必須ではない。
【0058】
別のステップS203において、少なくとも1つのピアは、スマートコントラクトを使用してデジタルメディアのコンテンツ識別子を決定する。このステップは、
図1に示される方法100のステップS104と同一に実行され得る。
【0059】
別のステップS204において、少なくとも1つのピアは、ステップS203において決定されたデジタルメディアのコンテンツ識別子をメディアプロバイダに送信する。メディアプロバイダは、これにより、決定されたコンテンツ識別子にマッチする少なくとも1つの記憶されたコンテンツ識別子についてデータベースをクエリすることが可能になる。加えて、メディアプロバイダは、データベースから少なくとも1つの登録識別子を受け取ることが可能になり、この少なくとも1つの登録識別子は少なくとも1つのコンテンツ識別子とともに記憶されている。
【0060】
別のステップS205において、少なくとも1つのピアは、少なくとも1つの登録識別子を受信するが、この少なくとも1つの登録識別子は、ステップS204においてデータベース内で見つかったものであって、ステップS203において決定されたコンテンツ識別子にマッチする少なくとも1つの記憶されたコンテンツ識別子に属する。少なくとも1つのピアは、メディアプロバイダから登録識別子を受信する。
【0061】
別のステップS206において、少なくとも1つのピアは、該少なくとも1つのピアで実行されたスマートコントラクト内の少なくとも1つの登録識別子を検証する。この検証は、例えば
図1に関するステップS106に関して説明したように、登録識別子が記憶されているブロックチェーン内で、マッチする登録識別子を見つけることができるかどうかをチェックすることによって実行される。
【0062】
別のステップS207において、少なくとも1つのピアは、少なくとも1つの登録識別子の検証の結果をメディアプロバイダに送信する。登録識別子を検証することができなかった場合、すなわち、ブロックチェーン内に記憶されたマッチする登録識別子が見つからなかった場合、検証の結果は、少なくとも1つの登録識別子を取得したデータベースエントリが間違っていること、例えば改ざんされていることである可能性がある。ブロックチェーン内でマッチする登録識別子が見つかった場合、検証の結果は、ステップS201において提供されたデジタルメディアが、許可されたブロックチェーンネットワークに以前登録されたものである可能性がある。後者の場合、検証された登録に関する通知のみがステップS207において返され得るか、あるいは、更なる対応する情報、例えばブロックチェーンネットワーク内にデジタルメディアを最初に登録したメディアプロバイダの識別子及び/又は本出願の他の部分で説明されるような更なるメタデータ等が提供される可能性がある。
【0063】
図3は、第2の実施形態による、許可されたブロックチェーンネットワークを使用してデジタルメディアの登録を検証する方法300のフローチャートを示す。
【0064】
1つのステップ301において、ユーザ31は、登録のためにメタデータとともにデジタルメディアをクライアントアプリケーション32に提示する。デジタルメディアは、例えば絵画、彫刻、文書、歌、口詞等のような、デジタル又は現実世界の資産のピクチャ、サウンドファイル又はビデオであり得る。ユーザ31は、該ユーザがそのようなデジタルメディアを提供するために使用することができる任意の電子デバイスを使用し得る。例えばユーザ31は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップ、デスクトップコンピュータ、ウェアラブル等を使用し得る。メタデータは、例えば資産名及び創作者名のような資産に関する情報、デジタルメディアのファイルタイプに関する情報、資産及び/又はデジタルメディアの作成時間等を含み得る。
【0065】
クライアントアプリケーション32は、例えばユーザ31のパーソナライズされたユーザデバイス上で実行されるアプリケーションであってよく、あるいは例えばパーソナライズされたプロファイルでユーザがアクセスすることができるウェブアプリケーションであってもよい。代替的に、クライアントアプリケーション32は、例えばデジタルメディアを提供するユーザの識別情報を入力することができる、オープンにアクセス可能なアプリケーションであってもよい。
【0066】
別のステップ302において、クライアントアプリケーション32は、ステップ301において受信したデジタルメディアとメタデータを処理する。例えばクライアントアプリケーション32は、デジタルメディアのタイプ(例えばピクチャ/歌/ファイルタイプ/等)を検証し得る。さらに、クライアントアプリケーション32は、API検証を実行し、受信したデータをパックして、それをそのAPIを介して転送し得る。クライアントアプリケーション32は、トランザクションペイロード、すなわち、デジタルメディアとメタデータとを含むデータパケットを生成する。この場合、クライアントアプリケーション32及びユーザ31は、メディアプロバイダとみなされてよい。
【0067】
別のステップ303において、クライアントアプリケーション32は、クライアントアプリケーション32の暗号鍵でトランザクションペイロードに署名し、署名されたトランザクションペイロードを、許可されたブロックチェーンネットワークのピア33に送信する。署名されたトランザクションペイロードをピア33に送信することによって、クライアントアプリケーション32は、ピア33における登録のためにスマートコントラクトを実行する要求を開始する。この実施形態では、本発明は1つのピアのみに関連して説明される。しかしながら、1つのピア33のみを使用する代わりに、許可されたブロックチェーンネットワークの複数のピアが使用されることもある。
【0068】
この実施形態では、
図3に示されるように、クライアントアプリケーション32の暗号鍵でトランザクションペイロードに署名することによって、デジタルメディアを提供するユーザの識別子がピア33に提供される。しかしながら、メディアプロバイダのこのような識別子を提供する他の方法も当然可能である。クライアントアプリケーション32が例えばウェブアプリケーションである場合、メディアプロバイダの識別子は、例えば当該ウェブアプリケーション用のユーザ31のアカウントに関連するものであってよく、あるいはユーザ31によって当該ウェブアプリケーションを介して入力されてもよい。
【0069】
別のステップ304において、ピア33は、署名されたトランザクションペイロードを復号する。したがって、ピア33は、デジタルメディア、メタデータ及びメディアプロバイダの識別子を取得する。
【0070】
別のステップ305において、ピア33は、ブロックチェーンネットワークにデジタルメディアを登録するためにスマートコントラクト34の実行を要求する。
【0071】
スマートコントラクト34が実行されると、スマートコントラクト34は、ステップ306において、ピア33によって受信されたメディアプロバイダの識別子に基づいて、メディアプロバイダの識別情報を検証する。許可されたブロックチェーンネットワークでは、統治エンティティ(governing entity)又はエンティティのコンソーシアムが、ブロックチェーンネットワークのためのポリシーを提供する。これらのポリシーでは、例えばどのエンティティが登録のためにデジタルメディアを提供することを許可されるかに関するルールが提供される。したがって、ステップ306において、スマートコントラクト34は、これらのポリシーを施行することによって、メディアプロバイダの識別情報を検証し得る。
【0072】
さらに、ステップ306において、スマートコントラクト34は、本出願の他の部分において説明されるように、デジタルメディアを分析して、デジタルメディアのコンテンツ識別子(指紋とも呼ばれる)を生成する。
【0073】
スマートコントラクト34は、次いで、この登録プロセスのトランザクションを識別する登録識別子を更に生成する。
【0074】
別のステップ307において、スマートコントラクト34は、ピア33の元帳にトランザクションを付加することによって、ブロックチェーンネットワークのブロックチェーンに登録識別子を記憶する。あるいは、ピア33の元帳にトランザクションを直接付加するために、ステップ307は、ここには示されていないいくつかのサブステップを含んでよく:登録識別子を生成した後、ピア33は、トランザクションデータを含む、トランザクションが成功裏に生成されたことをクライアントアプリケーション32に通知する保証メッセージ(endorsement message)をクライアントアプリケーション32に送信する。クライアントアプリケーション32は、次いで、トランザクションデータを保証メッセージとともに、ここには示されていないオーダリングサービス(ordering service)に送信する。オーダリングサービスは、トランザクションデータを生成し得るピアとは異なり、好ましくは、ブロックチェーンネットワークのピアである。オーダリングサービスは、トランザクションデータを検証し、検証が成功した場合、トランザクション識別子をブロックへ命じ(order)、そのブロックを登録のためにピア33に送信する。ピア33がオーダリングサービスから当該ブロックを受信すると、ピア33は、次いで、そのトランザクションについて対応する保証が存在することを検証し、トランザクション識別子を確認し、トランザクションデータに対応する登録識別子を含むブロックを、ブロックチェーンに付加する。代替的に、トランザクション及び保証メッセージを生成してブロックをブロックチェーンに付加するために同じピア33を使用する代わりに、異なるピアがこのために使用されてもよい。トランザクション及び保証メッセージを生成する保証ピアと、受信したブロックをブロックチェーンに付加するコミットピア(committing peer)である。これは、より高いレベルのセキュリティを達成し得る。
【0075】
その後、ピア33は、ステップ308において、「登録成功」メッセージをクライアントアプリケーション32に提供する。任意に、その「登録成功」メッセージにより、登録識別子がクライアントアプリケーション32に提供されてよく、それにより、クライアントアプリケーション32は、提供されたデジタルメディアの登録が要求されて成功裏に実行されたことの検証可能な証明を有する。
【0076】
加えて、ピア33は、ステップ309において、トランザクションイベントデータ、すなわち、登録識別子、コンテンツ識別子、メディアプロバイダの識別子及びメタデータを、データベースコントローラ35に提供する。そのようにするために、データベースコントローラ35はピア33に接続し、新たなトランザクションイベントをインターセプトする。例えばデータベースコントローラ35は、ピア33に接続されたクライアントのアプリケーションであるか又はピア33に接続されたクライアントを介して通信する外部アプリケーションであり、ここで、クライアントは、クライアントアプリケーション32又は別のクライアントであってよい。データベースコントローラ35は、新たなトランザクションイベントデータが利用可能になると、データベースコントローラ35に通知を提供するようにピアに指示してよく、それにより、データベースコントローラ35は、ピア33から対応するデータを取得することができる。
【0077】
データベースコントローラ35は、トランザクションイベントデータを維持する、すなわち、インターセプトしたトランザクションイベントデータから、データベース36に登録されるべき対応する情報を作成し、ステップ310において対応するデータのクエリを可能にし、そのデータをデータベース36に転送する。
【0078】
データベース36は、次いで、ステップ311において、データベースコントローラ35から受け取ったトランザクションイベントデータをデータベース36に記憶する。特に、登録識別子及びコンテンツ識別子が、データベース36に記憶される。加えて、メタデータ、メディアプロバイダの識別子、デジタルメディア自体のコピー又は他の関連するデータもデータベース36に記憶されてよい。
【0079】
図4は、第2の実施形態による、許可されたブロックチェーンネットワークを使用してデジタルメディアの登録を検証する方法400のフローチャートを示す。
【0080】
1つのステップ401において、ユーザ41は、デジタルメディアをクライアントアプリケーション32に提供する。加えて、ユーザ41は、類似性閾値を定義してよく、類似性閾値は、データベース内の記憶されたエントリに対応するデジタルメディアが、依然として、クライアントアプリケーション32に提供されたデジタルメディアとマッチすると判断されているが、ユーザ41によって提供されたデジタルメディアとどの程度異なり得るかを定義し得る。
【0081】
ステップ402において、デジタルメディアは、クライアントアプリケーション42によって処理される。クライアントアプリケーション42は、トランザクションペイロード、すなわちデジタルメディアとメタデータを含むデータパケットを生成する。
【0082】
次に、クライアントアプリケーション42は、ステップ403において、クライアントアプリケーション42の暗号鍵でトランザクションペイロードに署名し、署名されたトランザクションペイロードを、許可されたブロックチェーンネットワークのピア43に送信する。署名されたトランザクションペイロードをピア43に送信することによって、クライアントアプリケーション42は、ピア43において提供されたデジタルメディアを分析するためのスマートコントラクトを実行する要求、すなわち、同一又は類似のデジタルメディアがブロックチェーンネットワークに正しく登録されているかどうかを検証する要求を開始する。この実施形態では、本発明は1つのピア43のみに関してのみ説明される。しかしながら、1つのピア43のみを使用する代わりに、許可されたブロックチェーンネットワークの複数のピアが使用されることもある。
【0083】
別のステップ404において、ピア43は、署名されたトランザクションペイロードを復号する。したがって、ピア43は、デジタルメディアとメディアプロバイダの識別子を取得する。メディアプロバイダの識別子は、方法300に関して説明されたプロセスに対応して取得され得る。
【0084】
別のステップ405において、ピア43は、ブロックチェーンネットワーク内のデジタルメディアを分析するためにスマートコントラクト44の実行を要求する。
【0085】
スマートコントラクト44が実行されると、スマートコントラクト44は、ピア43によって受信されたメディアプロバイダの識別子に基づいて、ステップ406においてメディアプロバイダの識別情報を検証する。メディアプロバイダの識別子の検証は、方法300に関して説明されたプロセスに対応して実行され得る。
【0086】
さらに、ステップ406において、スマートコントラクト44がデジタルメディアを分析し、本出願の他の部分で説明されているように、デジタルメディアのコンテンツ識別子(指紋とも呼ばれる)を生成する。コンテンツ識別子の生成は、方法300に関して説明されているものと同一に実行され得る。
【0087】
スマートコントラクト44は、任意に、この分析プロセスのトランザクションを識別するトランザクション識別子を更に生成してよい。トランザクション識別子の生成は、方法300に関して説明されているように、登録識別子の生成に対応し得る。
【0088】
別のステップ407において、スマートコントラクト44は、任意に、ピア43の元帳にトランザクションを付加することによって、ブロックチェーンネットワークのブロックチェーンにトランザクション識別子を記憶する。トランザクション識別子が付加されるブロックチェーンは、登録識別子が記憶されているブロックチェーンと同じであっても異なるブロックチェーンであってもよい。
【0089】
更なるステップ408において、ピア43は、決定されたコンテンツ識別子をクライアントアプリケーション42に送信する。
【0090】
クライアントアプリケーション42は、次いで、ステップ409において、ステップ401でユーザ41によって定義されたコンテンツ識別子と類似性閾値をデータベースコントローラ45に送信し、対応する記憶されたコンテンツ識別子についてデータベース46の検索を開始する。
【0091】
ステップ410において、データベースコントローラ45は、提供されたコンテンツ識別子と類似性閾値に基づいて、クエリを実行するようデータベース46に要求する。
【0092】
データベース46は、ステップ411においてクエリを実行して、類似性閾値を考慮して、提供されたコンテンツ識別子とマッチする、データベース46内の記憶されたエントリを見つける。
【0093】
データベース46は、次いで、ステップ412において、コンテンツ識別子のマッチしたエントリに対応する登録識別子を、データベースコントローラ45に返す。言い換えると、データベース46は、該データベース内のコンテンツ識別子に対応するすべての登録識別子を返す。これらの登録識別子は、提供されたコンテンツ識別子と同一であるか、類似性閾値を考慮すると、提供されたデジタルメディアのコンテンツに関してマッチとみなされるほど十分に類似している。
【0094】
更なるステップ413において、データベースコントローラ45は、取り出した登録識別子をクライアントアプリケーション42に送信する。
【0095】
更なるステップ414において、クライアントアプリケーション42は、データベースコントローラ45から受信した登録識別子を検証する要求をピア43に送信する。ピア43からのセット検証(set verification)を要求するために、クライアントアプリケーション42は、ステップ413で受信した登録識別子をピア43に送信する。
【0096】
更なるステップ415において、ピア43は、スマートコントラクト44の実行を開始し、受信した登録識別子の検証を要求する。
【0097】
更なるステップ416において、スマートコントラクト44は、登録識別子のプロバイダの識別情報を検証し、クライアントアプリケーション42から取得した登録識別子に対応する登録識別子をブロックチェーンから取り出す。このブロックチェーンには、例えば方法300に関して説明したように、登録識別子が記憶されている。
【0098】
更なるステップ417において、スマートコントラクト44は、次いで、ピア43に応答を返す。提供された登録識別子に対応するブロックチェーンに記憶された登録識別子がスマートコントラクト44によって見つからなかった場合、応答は、対応する登録トランザクションが存在しなかったこと及びデータベース46内の対応するエントリが誤っていたに違いないということであり得る。提供された登録識別子に対応する登録識別子がブロックチェーン内で見つかった場合、スマートコントラクト44は、例えば対応する登録トランザクションが存在したことを宣言する肯定応答をピア43に返す。任意に、スマートコントラクト44は更に、当該応答を用いて元帳データをピア43に送信する。
【0099】
更なるステップ418において、ピア43は、検証された又は検証されていない登録に関する応答をクライアントアプリケーション42に返す。このように、同じ又は対応する類似のデジタルメディアがブロックチェーンネットワークに登録されているかどうかを見つけ出すためにデジタルメディアを提供したユーザは、そのような登録エントリがデータベース46内に存在するかどうか及び対応する登録トランザクションをブロックチェーンに基づいて検証することができるかどうかの信頼性のあるセキュアな応答を受信する。
【0100】
ユーザ41、クライアントアプリケーション42、ピア43、スマートコントラクト44、データベースコントローラ45及びデータベース46は、
図3に関して説明されているものに対応し得る。しかしながら、特にユーザ41、クライアントアプリケーション42、ピア43及びスマートコントラクト44も、対応するユーザ31、クライアントアプリケーション32、ピア33及びスマートコントラクト34とは異なり得る。
【0101】
図5は、デジタルメディアを登録し、許可されたブロックチェーンネットワーク内のデジタルメディアの登録を検証するためのシステム50を示す。
【0102】
システム50は、ゲートウェイアプリケーション51を含み、このゲートウェイアプリケーション51を介してユーザ52は、該ユーザ52が登録を望むか又は以前の登録に関してデータベースへのクエリを望むコンテンツを含むデジタルメディアを提供し得る。
【0103】
システム50は、ピア53、この実施形態ではhyperledger fabricの許可されたブロックチェーンネットワークのピアを更に含む。
【0104】
デジタルメディアを登録するために、ピア53は、ユーザ52からゲートウェイアプリケーション51からデジタルメディア及びユーザ52の識別子を受信するよう構成される。ピア53は、デジタルメディアを登録するためにスマートコントラクトを実行するよう更に構成される。
【0105】
図5に示されるシステム50では、スマートコントラクトは、システム50のメディアレジストリ54に記憶され得る。ピア53は、スマートコントラクト内のユーザ52の識別子を検証し、スマートコントラクト内のデジタルメディアのコンテンツ識別子を決定し、スマートコントラクト内のデジタルメディアに対応する登録識別子を生成し、ブロックチェーン内に登録識別子を記憶するよう構成される。登録識別子は、ピア53自体の台帳に記憶されてよく、かつ/又はシステム50の他のピア53’に伝播されてもよい。
【0106】
ピア53は、システム50のデータベース56に接続されるデータベースコントローラ55に登録識別子及びコンテンツ識別子を提供するよう更に構成される。データベースコントローラ55は、ブロックチェーンネットワークのクライアント上に実装されてもよく、あるいはそのようなクライアントを通してブロックチェーンネットワークと通信していることもあり、これは、その後、データベースコントローラ55のゲートウェイとして機能する。データベースコントローラ55は、例えばAPIを通してピア53と通信してもよい。データベース56は、登録識別子とコンテンツ識別子を記憶するよう構成される。
【0107】
デジタルメディアの登録を検証するために、ピア53は、ユーザ52からゲートウェイアプリケーション51からデジタルメディアを受信し、許可されたブロックチェーンネットワーク内でデジタルメディアの登録を検証するためにスマートコントラクトを実行し、スマートコントラクトを使用してデジタルメディアのコンテンツ識別子を決定するよう構成される。ピア53は、デジタルメディアのコンテンツ識別子をゲートウェイアプリケーション51に送信するよう更に構成される。
【0108】
データベースコントローラ55は、ゲートウェイアプリケーション51からコンテンツ識別子を受信し、決定されたコンテンツ識別子に対応する少なくとも1つの記憶されたコンテンツ識別子及び少なくとも1つの対応する登録識別子についてデータベース56を検索し、対応する少なくとも1つの登録識別子をゲートウェイアプリケーション51に送信するよう構成される。
【0109】
ピア53は、ゲートウェイアプリケーション51から少なくとも1つの登録識別子を受信し、スマートコントラクト内の少なくとも1つの登録識別子を検証し、少なくとも1つの登録識別子の検証の結果をゲートウェイアプリケーション51に送信するよう更に構成される。
【0110】
図面又は上記の態様及び実施形態のいずれかに関して説明されている技術及び実装の詳細は、本明細書で説明される態様及び実施形態のいずれか他のものに対応して当てはまり、詳細には繰り返されない。
【0111】
参照符号のリスト
31、41 ユーザ
32、42 クライアントアプリケーション
33、43 ピア
34、44 スマートコントラクト
35、45 データベースコントローラ
36、46 データベース
50 システム
51 ゲートウェイアプリケーション
52 ユーザ
53、53’ ピア
54 メディアレジストリ
55 データベースコントローラ
56 データベース
100、200 方法
300、400 方法
S101~S107 ステップ
S201~S207 ステップ
301~311 ステップ
401~418 ステップ
【手続補正書】
【提出日】2023-01-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
許可されたブロックチェーンネットワークを使用してデジタルメディアを登録する方法であって、
許可されたブロックチェーンネットワークの少なくとも1つのピアによって、メディアプロバイダからのデジタルメディア及び前記メディアプロバイダの識別子を受信するステップ
であって、前記デジタルメディアは、デジタルピクチャと、デジタルオーディオと、デジタルビデオとのうちの少なくとも1つを含む、ステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記デジタルメディアを登録するためにスマートコントラクトを実行するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記スマートコントラクトを使用して前記メディアプロバイダの前記識別子を検証するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記スマートコントラクトを使用して前記デジタルメディアのコンテンツ識別子を決定するステップ
であって、前記コンテンツ識別子は、前記デジタルメディアのコンテンツを一意に識別する識別子である、ステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記スマートコントラクトを使用して前記デジタルメディアに対応する登録識別子を生成するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記登録識別子をブロックチェーンに記憶するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記登録識別子及び前記コンテンツ識別子をデータベースに提供するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
当該方法は、
前記データベースが、前記メディアプロバイダから受信した前記デジタルメディアに対応する前記コンテンツ識別子と同一及び/又は類似の少なくとも1つのコンテンツ識別子を含むかどうかを判断するステップ、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンテンツ識別子は、前記許可されたブロックチェーンネットワークの少なくとも1つの更なるピアに更に伝播される、
請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記メディアプロバイダの前記識別子が更に、前記少なくとも1つのピアによって、前記ブロックチェーン内に記憶される、
請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
当該方法は、
前記少なくとも1つのピアによって、前記メディアプロバイダへ前記デジタルメディアの前記登録の結果を送信するステップ、
を更に含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのピアによって、前記デジタルメディアに対応するメタデータを受信するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記メタデータを分析するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記メタデータを前記データベースに提供するステップと、
を更に含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
許可されたブロックチェーンネットワークを使用してデジタルメディアの登録を検証する方法であって、
許可されたブロックチェーンネットワークの少なくとも1つのピアによって、メディアプロバイダからデジタルメディアを受信するステップ
であって、前記デジタルメディアは、デジタルピクチャと、デジタルオーディオと、デジタルビデオとのうちの少なくとも1つを含む、ステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記許可されたブロックチェーンネットワーク内の前記デジタルメディアの登録を検証するためにスマートコントラクトを実行するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記スマートコントラクトを使用して前記デジタルメディアのコンテンツ識別子を決定するステップ
であって、前記コンテンツ識別子は、前記デジタルメディアのコンテンツを一意に識別する識別子である、ステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記デジタルメディアの前記コンテンツ識別子を前記メディアプロバイダに送信するステップであって、前記コンテンツ識別子は、前記メディアプロバイダによって、前記決定されたコンテンツ識別子に対応する少なくとも1つの記憶されたコンテンツ識別子及び少なくとも1つの対応する登録識別子についてデータベースを検索するために使用される、ステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、少なくとも1つの登録識別子を受信するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記少なくとも1つのピアにおいて実行された前記スマートコントラクトを使用して、前記少なくとも1つの登録識別子がブロックチェーンに記憶されているかどうかを判断して、受信した前記少なくとも1つの登録識別子を検証するステップと、
前記少なくとも1つのピアによって、前記メディアプロバイダに前記少なくとも1つの登録識別子の検証の結果を送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのピアによって、前記少なくとも1つの登録識別子の検証の結果を送信するステップは、
前記少なくとも1つのピアによって、前記少なくとも1つの登録識別子に対応する少なくとも1つのメディアプロバイダの少なくとも1つの識別子を送信するステップを更に含む、
請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記決定されたコンテンツ識別子に対応する少なくとも1つのコンテンツ識別子は、類似性閾値に従って前記決定されたコンテンツ識別子と同一及び/又は類似する少なくとも1つのコンテンツ識別子である、
請求項
7に記載の方法。
【請求項10】
デジタルメディアを登録するため
及び/又はデジタルメディアの登録を検証するためのシステムであって、当該システムは、少なくとも1つのピアとデータベースを含む、許可されたブロックチェーンネットワークを含み、
前記少なくとも1つのピアは、メディアプロバイダからのデジタルメディア及び前記メディアプロバイダの識別子を受信し、
ここで、前記デジタルメディアは、デジタルピクチャと、デジタルオーディオと、デジタルビデオとのうちの少なくとも1つを含み、前記デジタルメディアを登録するためにスマートコントラクトを実行し、前記スマートコントラクトを使用して前記メディアプロバイダの前記識別子を検証し、前記スマートコントラクトを使用して前記デジタルメディアのコンテンツ識別子を決定し、
ここで、前記コンテンツ識別子は、前記デジタルメディアのコンテンツを一意に識別する識別子であり、前記スマートコントラクトを使用して前記デジタルメディアに対応する登録識別子を生成し、前記登録識別子をブロックチェーンに記憶し、前記登録識別子及び前記コンテンツ識別子をデータベースに提供するよう構成され、
前記データベースは、前記登録識別子及び前記コンテンツ識別子を記憶するよう構成される
か、
及び/又は、
前記少なくとも1つのピアは、メディアプロバイダからデジタルメディアを受信し、ここで、前記デジタルメディアは、デジタルピクチャと、デジタルオーディオと、デジタルビデオとのうちの少なくとも1つを含み、前記許可されたブロックチェーンネットワーク内の前記デジタルメディアの登録を検証するためにスマートコントラクトを実行し、前記スマートコントラクトを使用して前記デジタルメディアのコンテンツ識別子を決定し、ここで、前記コンテンツ識別子は、前記デジタルメディアのコンテンツを一意に識別する識別子であり、前記デジタルメディアの前記コンテンツ識別子を前記メディアプロバイダに送信するよう構成され、
前記データベースは、前記コンテンツ識別子を前記メディアプロバイダから受信し、前記決定されたコンテンツ識別子に対応する少なくとも1つの記憶されたコンテンツ識別子及び対応する少なくとも1つの登録識別子について当該データベースを検索し、対応する少なくとも1つの登録識別子を前記メディアプロバイダに送信するよう構成され、
前記少なくとも1つのピアは、前記少なくとも1つの登録識別子を前記メディアプロバイダから受信し、前記少なくとも1つのピアにおいて実行された前記スマートコントラクトを使用して、前記少なくとも1つの登録識別子がブロックチェーンに記憶されているかどうかを判断して、受信した前記少なくとも1つの登録識別子を検証し、前記メディアプロバイダに前記少なくとも1つの登録識別子の検証の結果を送信するよう更に構成される、
システム。
【国際調査報告】