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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】関節部材
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/29 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A61B17/29
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526092
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 GB2022053150
(87)【国際公開番号】W WO2023118788
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】2118678.8
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522063697
【氏名又は名称】プレシジョン ロボティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シャン ジャンジュン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160GG22
4C160GG28
4C160NN07
(57)【要約】
手術器具(4)用の関節部材(2)であって、この関節部材は、関節部材(2)を通って長手方向に延びる第1の回転平面を横切って延びるそれぞれの軸(14)の周りで回転可能な第1の近位及び遠位ジョイント(11a、12a)と、それぞれが第1の回転平面に垂直に関節部材(2)を通って長手方向に延びる第2の回転平面を横切って延びるそれぞれの軸(14)の周りで回転可能であるので、第1の近位及び遠位ジョイント(11a、12a)に対して直交的に回転可能な第2の近位及び遠位ジョイント(11b、12b)と、それぞれの結合腱受け部(22)を介して関節部材(2)を通って延びる複数の結合腱(26a、26b、26c、26d)と、を含む。各結合腱は、第1及び第2の回転平面の両方から実質的に離間した関節部材(2)に沿って延びるので、近位及び遠位ジョイント(11a、11b、12a、12b)の一方の回転は、それぞれの近位及び遠位ジョイントの他方の回転を引き起こす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術器具用の関節部材であって、前記関節部材は、近位端、遠位端、及び、前記近位端と前記遠位端との間で直列に配置された複数の回転可能なジョイントを含み、前記複数の回転可能なジョイントは、
それぞれが、前記関節部材を通って長手方向に延びる第1の回転平面を横切って延びるそれぞれの軸の周りで回転可能な第1の近位ジョイント及び第1の遠位ジョイントと、
それぞれが、前記第1の回転平面に垂直に前記関節部材を通って長手方向に延びる第2の回転平面を横切って延びるそれぞれの軸の周りで回転可能であるので、前記第1の近位及び遠位ジョイントに対して直交的に回転可能な第2の近位ジョイント及び第2の遠位ジョイントと、
前記第1及び第2の回転平面の両方から離間した前記関節部材を通って長手方向に延びる複数の結合腱受け部と、
前記近位ジョイントと遠位ジョイントとの間に配置され、結合腱を1つの結合腱受け部から異なる結合腱受け部に通過させるジャンクションと、
それぞれの結合腱受け部を介して前記関節部材を通って延びる複数の結合腱であって、各結合腱は、前記近位端と前記遠位端との間に固定され、前記第1の回転平面及び第2の回転平面の両方から実質的に離間した関節部材に沿って延びるので、前記第1の近位及び遠位ジョイントの一方の回転は、前記第1の近位及び遠位ジョイントの他方の回転を引き起こし、前記第2の近位及び遠位ジョイントの一方の回転は、前記第2の近位及び遠位ジョイントの他方の回転を引き起こす複数の結合腱と、を含むことを特徴とする関節部材。
【請求項2】
前記複数の結合腱受け部は、少なくとも4つの結合腱受け部を含み、前記複数の結合腱は、少なくとも4つの結合腱を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の関節部材。
【請求項3】
前記複数の結合腱受け部は、それぞれ、前記関節部材を通って長手方向延びる平面に沿って延び、前記第1及び第2の回転平面のそれぞれから等しくオフセットする、ことを特徴とする請求項2に記載の関節部材。
【請求項4】
前記関節部材は、前記第1及び第2の回転平面によって4つの部分に分割され、各部分は、それを通って延びる結合腱受け部を含む、ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の関節部材。
【請求項5】
各結合腱は、近位部と遠位部を含み、
前記ジャンクションを介して一方の部分から反対側の部分に進行する前記結合腱によって、各近位部はそれぞれの部分を通過し、関連する遠位部は前記反対側の部分を通過する、ことを特徴とする請求項6に記載の関節部材。
【請求項6】
各結合腱は、近位部と遠位部を含み、
前記ジャンクションをバイパスする前記結合腱によって、各近位部はそれぞれの部分を通過し、関連する遠位部は同じ部分を通過する、ことを特徴とする請求項4に記載の関節部材。
【請求項7】
互いに回転可能に係合可能で直列に配置された複数のモジュールをさらに含み、それによって少なくとも1つの前記回転可能なジョイントは、隣接する2つのモジュールによって形成される、ことを特徴とする先行請求項のいずれか一項に記載の関節部材。
【請求項8】
各モジュールは、ジャンクションと複数の結合腱受けセクションを含み、各結合腱受けセクションは、それぞれの結合腱受け部の一部を形成する、ことを特徴とする請求項7に記載の関節部材。
【請求項9】
各モジュールは、少なくとも2つの構成で強固に一緒に結合可能な一対のサブモジュールを含み、前記少なくとも2つの構成は、平行構成と直交構成を含み、
前記サブモジュールが平行構成の場合、直接隣接する2つのモジュールで形成された2つの回転可能なジョイントは、同じ回転平面を横切って延びるそれぞれの軸の周りで回転可能であり、
前記サブモジュールが直交構成の場合、直接隣接するモジュールで形成された2つの回転可能なジョイントは、別々の直交する回転平面を横切って延びるそれぞれの軸の周りで回転可能である、ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の関節部材。
【請求項10】
関節部材を少なくとも部分的に通って延びる、少なくとも1つの回転可能なジョイントの回転を引き起こすための作動腱を受け入れるように構成された作動腱受け部をさらに含む、ことを特徴とする先行請求項のいずれか一項に記載の関節部材。
【請求項11】
前記関節部材の前記遠位端はエンドエフェクタに結合可能である、ことを特徴とする先行請求項のいずれか一項に記載の関節部材。
【請求項12】
エンドエフェクタを作動させるためのエンドエフェクタ腱を受け入れるように構成されたエンドエフェクタ腱受け部をさらに含み、前記エンドエフェクタ腱受け部は、前記関節部材を通って長手方向に延び、回転可能なジョイントが回転可能な各軸と交差するように配置される、ことを特徴とする請求項13に記載の関節部材。
【請求項13】
先行請求項のいずれか一項に記載の関節部材と、前記関節部材の前記遠位端に結合されたエンドエフェクタと、を含む手術器具。
【請求項14】
先行請求項のいずれか一項による複数の関節部材であって、前記関節部材が直列に一緒に結合され、前記複数の関節部材が近位端及び遠位端を有する複数の関節部材と、
前記複数の関節部材の前記遠位端に結合されたエンドエフェクタと、を含む手術器具。
【請求項15】
前記複数の関節部材のうちの少なくとも1つの関節部材は、請求項5に記載の関節部材である、ことを特徴とする請求項14に記載の手術器具。
【請求項16】
前記関節部材又は各関節部材の関節接合を駆動するための駆動モジュールをさらに含み、前記駆動モジュールは、前記関節部材又は前記複数の関節部材の前記近位端に結合されている、ことを特徴とする請求項13~15のいずれか一項に記載の手術器具。
【請求項17】
前記関節部材又は複数の関節部材の近位端を前記駆動モジュールに結合する細長いシャフトをさらに含む、ことを特徴とする請求項16に記載の手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術器具用の関節部材に関する。本発明は、低侵襲手術のための手術器具のエンドエフェクタの移動を容易にする外科用ロボティクスの分野で特に応用可能であるが、本発明はそのような応用に限定されず、複数のジョイントの回転による関節接合を必要とする部材を含む他の医療/手術装置にも使用され得る。
【背景技術】
【0002】
ロボティック手術システムの一部を形成する既知の手術器具は、シャフト、関節部及びエンドエフェクタを含む。シャフトは、関節部とエンドエフェクタの移動を制御及び駆動する手術用ロボットの他のコンポーネントから延在し得る。それによって、シャフトは、患者に対する必要な領域に関節部とエンドエフェクタを配置することを容易にし得る。関節部は、シャフトに対するエンドエフェクタの移動の自由度を提供するために、互いに隣接して配置された複数のジョイントを含んでもよい。最後に、エンドエフェクタは、外科手術手技に必要な特定の動作を実行するように適合化されてもよい。
【0003】
既知の手術器具では、関節部のジョイントは独立して制御される。これは、より大きな移動範囲を提供するために多数のジョイントを有する関節部は、各ジョイントの移動を駆動するのに必要なコンポーネントの数により、複雑で高価であることを意味する。あるいは、複雑さとコストを抑えるために、ジョイントの数を減らし、達成可能な移動範囲を制限する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1態様によれば、手術器具用の関節部材を提供する。この関節部材は、近位端、遠位端、及び、前記近位端と前記遠位端との間で直列に配置された複数の回転可能なジョイントを含み、前記複数の回転可能なジョイントは、
それぞれが前記関節部材を通って長手方向に延びる第1の回転平面を横切って延びるそれぞれの軸の周りで回転可能な第1の近位ジョイント及び第1の遠位ジョイントと、
それぞれが、前記第1の回転平面に垂直に前記関節部材を通って長手方向に延びる第2の回転平面を横切って延びるそれぞれの軸の周りで回転可能であるので、前記第1の近位及び遠位ジョイントに対して直交的に回転可能な第2の近位ジョイント及び第2の遠位ジョイントと、
前記第1及び第2の回転平面の両方から離間した前記関節部材を通って長手方向に延びる複数の結合腱受け部と、
前記近位ジョイントと遠位ジョイントとの間に配置され、結合腱を1つの結合腱受け部から別の結合腱受け部に通過させるジャンクションと、
それぞれの結合腱受け部を介して前記関節部材を通って延びる複数の結合腱であって、各結合腱は、前記近位端と前記遠位端との間に固定され、前記第1の回転平面及び第2の回転平面の両方から実質的に離間した関節部材に沿って延びるので、前記第1の近位及び遠位ジョイントの一方の回転は、前記第1の近位及び遠位ジョイントの他方の回転を引き起こし、前記第2の近位及び遠位ジョイントの一方の回転は、前記第2の近位及び遠位ジョイントの他方の回転を引き起こす複数の結合腱と、を含む。
【0005】
なぜ第1の近位及び遠位ジョイントの一方の回転が第1の近位及び遠位ジョイントの他方の回転を引き起こすのか(そしてなぜ第2の近位及び遠位ジョイントの一方の回転が同様に第2の近位及び遠位ジョイントの他方の回転を引き起こすのか)を理解するには、第1の近位ジョイントが第1の向きに回転した場合関節部材を考慮されたい。複数の結合腱は、第1の回転平面から離間したそれぞれの結合腱受け部を介して第1の近位ジョイントを横切って延びる。従って、第1の向きの第1の近位ジョイントの回転により、第1の近位ジョイントを横切って延びる必要のある複数の結合腱の長さが変化する。
【0006】
近位と遠位端の間に固定されている複数の結合腱により、第1の近位ジョイントを横切って延びる必要のある各結合腱の長さの変化は、第1の遠位ジョイントを横切って延びる必要のある結合腱の長さの対応する変化によって相殺する必要がある。従って、第1の遠位ジョイントは、第1の近位ジョイントと同時に作動する。同じ関係が第2の近位及び遠位ジョイントにも当てはまる。
【0007】
よって、本発明により、少なくとも2つの回転可能なジョイントが複数の結合腱によって一緒に結合されるため、それらの回転可能なジョイントのうちの1つを回転させるによって、関節部材の2つの回転可能なジョインは同時に作動し得る。従って、手術器具の関節部材の作動を駆動するのに必要なコンポーネントの数は減少してもよい。
【0008】
さらに、ジャンクションは、結合された回転可能なジョイントが互いに同じ向きに回転するか又は反対の向きに回転するように、関節部材が構成できるようにする。
【0009】
例えば、第1の構成では、複数の結合腱の各結合腱は、第1及び第2の回転平面のいずれにも横断しないように単一のそれぞれの結合腱受け部を通って延びることができる。これは、例えば、第1の近位ジョイントが第1の向きに回転すると、第1の遠位ジョイントは、相殺する必要のある第1の近位ジョイントを横切って延びる複数の結合腱の長さの変動により、第1の向きとは反対の第2の向きに回転することになることを意味する。
【0010】
しかしながら、第2の構成では、各結合腱は、近位ジョイントと遠位ジョイントとの間に延びるにつれて、第1及び第2の回転平面の両方を横断してもよい。これは、ジャンクションを介して1つの結合腱受け部から異なる結合腱受け部に通過する各結合腱によって実現される。その結果、例えば、第1の近位ジョイントが第1の向きに回転すると、第1の遠位ジョイントも、相殺する必要のある第1の近位ジョイントを横切って延びる複数の結合腱の長さの変動により、第1の向きに回転することになる。
【0011】
本発明の実施形態では、複数の結合腱受け部は少なくとも4つの結合腱受け部を含んでもよく、複数の結合腱は4つの結合腱含んでもよい。さらに、複数の結合腱受け部は、それぞれ、関節部材を通って長手方向延びる平面に沿って延び、第1及び第2の回転平面のそれぞれから等しくオフセットしてもよい。
【0012】
本発明のそのような実施形態では、複数の結合腱受け部は、2つの結合腱が第1の回転平面及び第2の回転平面の両方のいずれかの側に配置されるように、関節部材を通って延びてもよい。これは、第1の近位及び遠位ジョイントの移動が第2の近位及び遠位ジョイントと独立して発生でき、その逆もできることを意味する。
【0013】
本発明の幾つかの実施形態では、結合腱受け部は、関節部材全体にわたって互いに均一に離間している。これは、互いに結合された近位と遠位ジョイントは、同じ向き又は反対の向きに同時に回転するだけでなく、同じ速度で回転することができる。
【0014】
本発明の別の実施形態では、結合腱受け部の間の間隔は、関節部材に沿って変化してもよい。結合腱の関節部材の中心軸からの距離、ひいては互いからの距離を変化させることにより、互いに結合された近位と遠位ジョイントの回転比を変化させることもできる。例えば、結合腱が、近位部と比較して遠位部における関節部材の中心により近い結合腱受け部を通って延びる場合、一定の角度で近位ジョイントを作動させると、それに結合された遠位ジョイントの回転角が大きくなる。
【0015】
本発明の実施形態では、関節部材は、第1及び第2の回転平面によって4つの部分に分割されてもよく、各部分は、それを通って延びる結合腱受け部を含んでもよい。さらに、各結合腱は、近位部と遠位部を含んでもよく、ジャンクションを介して1つの部分から反対側の部分に進行する結合腱によって、各近位部はそれぞれの部分を通過し、関連する遠位部は反対側の部分を通過する。
【0016】
本発明のそのような実施形態では、第1の近位ジョイントは、第1の遠位ジョイントと同じ向きに回転し、第2の近位ジョイントは、第2の遠位ジョイントと同じ向きに回転する。従って、関節部材によって達成可能な全体的な曲げ角度は、特定のジョイントの曲げ角度を大きくすることなく、乗算することができる。
【0017】
単一のジョイントで大きな曲げ角度を実現する場合、ジョイントの作用は肘の作用に似ているため、特に大きな曲げ角度の必要があるとき、関節部材全体はぎくしゃくした動き及び/又は不正確な動きをする傾向がある。しかしながら、複数のジョイントで大きな曲げ角度を実現する場合、各ジョイントの回転及び関節部材全体の動きは、はるかにスムーズで正確になる可能性がある。このようなジョイントの作用は、より優れた器用さを提供するために調和して動作する指ジョイントに似ている。
【0018】
よって、関節部材によって実現可能な全体的な曲げ角度を大きくすることにより、特定のジョイントの曲げ角度を大きくすることなく、本発明は、関節部材のよりスムーズかつ正確な作動を可能にする。
【0019】
本発明の代替実施形態では、結合腱がジャンクションをバイパスすることによって、各近位部はそれぞれの部分を通過し、関連する遠位部は同じ部分を通過する。
【0020】
本発明のそのような実施形態では、第1の近位ジョイントは、第1の遠位ジョイントと反対の向きに回転し、第2の近位ジョイントは、第2の遠位ジョイントと反対の向きに回転する。2つのジョイントを同時に反対の向きに回転させることで、移動中に向きを一定に維持しながら、関節部材の遠位端を近位端に移動させることができる。これは、遠位端に結合されたエンドエフェクタや別の関節部材の近位端などの器具部品が、異なる位置間を移動するときに一定の向きを維持する必要がある応用に特に有用である。1つのこのよう応用は、2つ以上の手術器具をシングルポートアクセスで外科手技に使用する場合であってもよい。2つの手術器具を互いに衝突させずに同じ領域で操作できるようにするには、一定の向きに維持しながら手術器具を互いに分離すると便利である。これは、本発明のそのような実施形態による関節部材を各手術器具に組み込むことによって行うことができる。
【0021】
本発明の実施形態では、関節部材は、互いに回転可能に係合可能で直列に配置された複数のモジュールをさらに含んでもよく、それによって回転可能なジョイントの少なくとも1つは、隣接する2つのモジュールによって形成される。
【0022】
本発明のそのような実施形態では、モジュールは、交換可能であってもよく、且つ/又は関節部材の一部を形成する回転可能なジョイントの数を増加又は減少させるように、モジュールを追加又は除去することができる。必要に応じて、故障又は損傷したモジュールを交換することもできる。
【0023】
本発明の実施形態では、各モジュールは、ジャンクションと複数の結合腱受けセクションを含んでもよい。各結合腱受けセクションは、それぞれの結合腱受け部の一部を形成する。
【0024】
言い換えれば、関節部材は複数のジャンクションを含んでもよく、関節部材に回転可能なジョイントがいくつ含まれているか、及び特定の作動のために関節部材に必要な作動の種類に応じて、結合腱は、ジャンクションを通らないか、1つのジャンクション又は複数のジャンクションを通ることができる。
【0025】
また、各結合腱受け部は、少なくとも部分的に、それぞれの複数のモジュールにおける複数の結合腱受けセクションの組み合わせによって形成されてもよい。従って、各結合腱受け部は、関節モジュールに含まれるモジュールの数に関係なく、近位端から遠位端に延びることができる。
【0026】
本発明の実施形態では、各モジュールは、少なくとも2つの構成で強固に一緒に結合可能な一対のサブモジュールを含んでもよい。少なくとも2つの構成は平行構成と直交構成を含む。サブモジュールが平行構成の場合、直接隣接する2つのモジュールで形成された2つの回転可能なジョイントは、同じ回転平面を横切って延びるそれぞれの軸の周りで回転可能であってもよい。しかしながら、サブモジュールが直交構成の場合、直接隣接するモジュールで形成された2つの回転可能なジョイントは、別々の直交する回転平面を横切って延びるそれぞれの軸の周りで回転可能であってもよい。
【0027】
従って、関節部材は、関節部材が使用される応用に応じて、複数のジョイントの各々が互いに対して配向されるように構成されてもよい。例えば、関節部材は、隣接するジョイントが回転可能な軸と直交する軸の周りで各ジョイントが回転可能になるように構成することができる。これは、関節部材により実現可能な曲げ動作が関節部材の長さに沿って均一の分布することを意味する。あるいは、平行な回転軸の周りで回転可能な複数のジョイントは、その領域における関節部材のより鋭い曲げを提供するように一緒にグループ化されてもよい。
【0028】
本発明の実施形態では、関節部材は、関節部材を少なくとも部分的に通って延びる、少なくとも1つの回転可能なジョイントの回転を引き起こすための作動腱を受け入れるように構成された作動腱受け部をさらに含んでもよい。
【0029】
本発明のそのような実施形態では、作動腱が回転する必要のある回転可能なジョイント又はジョイントに応じて、作動腱は、少なくとも部分的に関節部材を通って延び、関節部材の特定の点に固定されてもよい。例えば、作動腱が第1の近位ジョイント(ひいては第1の遠位ジョイント)の回転を引き起こすように操作可能な本発明の実施形態では、作動腱は近位端から、それぞれの作動腱受け部を介して関節部材を通って、作動腱が第1の近位ジョイントを横切って延び、次いで関節部材に固定されるまで、伸びてもよい。言い換えれば、作動腱の第1端は、作動腱が回転することを目的とする回転可能なジョイントに対して遠位に関節部材に固定されてもよい。次に、使用中に、第1の近位ジョイントを回転させるために、作動腱を引っ張ってもよい(即ち、関節部材の近位端から延びる作動腱の第2端を引っ張ってもよい)。
【0030】
本発明の幾つかの実施形態では、関節部材は、互いに拮抗的に操作可能な一対の作動腱を受け入れるように構成された一対の作動腱受け部を含んでもよい。即ち、一対の作動腱の一方を引っ張って回転可能なジョイントを一つの向きに回転させることができ、一対の作動腱の他方を引っ張って回転可能なジョイントを反対の向きに回転させることができる。
【0031】
本発明の実施形態では、関節部材の遠位端は、エンドエフェクタに結合可能である。さらに、関節部材は、エンドエフェクタを作動させるためのエンドエフェクタ腱を受け入れるように構成されたエンドエフェクタ腱受け部を含んでもよい。前記エンドエフェクタ腱受け部は、前記関節部材を通って長手方向に延び、回転可能なジョイントが回転可能な軸の各々と交差するように配置される。
【0032】
本発明のそのような実施形態では、エンドエフェクタ腱は、エンドエフェクタ腱受け部を介して関節部材を通って延び、エンドエフェクタ腱の作動によりエンドエフェクタの作動を引き起こすようにエンドエフェクタに結合されてもよい。それぞれの回転可能なジョイントが回転する各軸と交差するエンドエフェクタ腱により、様々な回転可能なジョイントのいずれの回転は、エンドエフェクタ腱に影響を与えない(又は、少なくとも、影響が無視できる)。従って、関節部材に沿った回転の結果として、エンドエフェクタは、意図せず作動してしまうことがない。
【0033】
本発明の第2態様によれば、手術器具が提供される。この手術器具は、本発明の第1態様による関節部材と、関節部材の遠位端に結合されたエンドエフェクタとを含む。
【0034】
本発明の第3態様によれば、手術器具が提供される。この手術器具は、本発明の第1態様による複数の関節部材であって、前記関節部材が直列に一緒に結合され、前記複数の関節部材が近位端及び遠位端を有する複数の関節部材と、前記複数の関節部材の前記遠位端に結合されたエンドエフェクタと、を含む。
【0035】
手術器具は、特定の応用のために手術器具に要求される関節接合の程度及び器用さに応じて、任意の適切な数の本発明の第1態様による関節部材を含んでもよい。
【0036】
本発明の実施形態では、複数の関節部材のうちの少なくとも1つの関節部材は、第1及び第2の回転平面によって4つの部分に分割されてもよく、各部分は、それを通って延びる結合腱受け部を含んでもよい。さらに、各結合腱は、近位部と遠位部を含んでもよく、結合腱がジャンクションを介して1つの部分から反対側の部分に進行することよって、各近位部はそれぞれの部分を通過し、関連する遠位部は反対側の部分を通過する。
【0037】
本発明の実施形態では、(本発明の第2又は第3態様による)手術器具は、前記関節部材又は各関節部材の関節接合を駆動するための駆動モジュールをさらに含んでもよい。前記駆動モジュールは、前記関節部材又は前記複数の関節部材の前記近位端に結合されている。
【0038】
本発明の実施形態では、(本発明の第2又は第3態様による)手術器具は、関節部材又は複数の関節部材の近位端を駆動モジュールに結合する細長いシャフトをさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
ここでは、添付の図面を参照して、例としてのみ本発明を説明する。
図1-3】本発明の第1態様の実施形態による関節部材の概略図である。
図4】結合腱が除去された、図1~3に示す関節部材の概略図である。
図5-6】非線形構成の場合の、図1~3に示す関節部材の概略図である。
図7-9】本発明の第1態様の別の実施形態による関節部材の概略図である。
図10】非線形構成の場合の、図7~9に示す関節部材の概略図である。
図11】本発明の第1態様による関節部材の一部を形成するモジュールの概略図であり、モジュールは平行構成でサブモジュールを含む。
図12】本発明の第1態様による関節部材の一部を形成するモジュールの概略図であり、モジュールは直交構成でサブモジュールを含む。
図13図11と12に示すモジュールの一部を形成するサブモジュールの概略図である。
図14】本発明の第3態様の実施形態による手術器具の概略図である。
図15図14に示す手術器具の概略図であり、特に手術器具の一部を形成するエンドエフェクタ腱を示す。
図16】本発明の第3態様の別の実施形態による手術器具の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
最初に図1~3を参照すると、本発明の実施形態による関節部材は、一般に参照番号2で指定されている。関節部材2は、近位端6、遠位端8、及び、近位端6と遠位端8との間に直列に配置された複数の回転可能なジョイント10を含む。
【0041】
複数の回転可能なジョイント10は、第1の近位ジョイント11a、第1の遠位ジョイント12a、第2の近位ジョイント11b、及び第2の遠位ジョイント12bを含む。第1の近位及び遠位ジョイント11a、12aは、それぞれ、関節部材2を通って長手方向に延びる第1の回転平面を横切って延びるそれぞれの軸14の周りで回転可能である。同様に、第2の近位及び遠位ジョイント11b、12bは、それぞれ、関節部材2を通って長手方向に延びる第2の回転平面を横切って延びるそれぞれの軸14の周りで回転可能である。第2の回転平面は、第1の回転平面に垂直に延びるので、第2の近位及び遠位ジョイント11b、12bは、第1の近位及び遠位ジョイント11a、12aに対して直交的に回転可能である。
【0042】
関節部材2は、関節部材2を通って長手方向に延びる複数の結合腱受け部22と、それぞれの結合腱受け部22を介し関節部材2を通って延びる複数の結合腱26とをさらに含む。関節部材2はまた、近位と遠位端6、8の間に配置されたジャンクション24を含む。ジャンクションは、結合腱26が1つの結合腱受け部22から異なる結合腱受け部22に通過することを可能にする。(結合腱受け部22とジャンクション24は特に、結合腱26が除去された関節部材を示す図4で見られる)
【0043】
本発明のこの実施形態では、複数の結合腱受け部22は、4つの結合腱受け部を含み、複数の結合腱26は、第1、第2、第3、及び第4の結合腱26a、26b、26c、26d(それぞれ)を含む。各結合腱26a、26b、26c、26dは、それぞれの近位部27a、27b、27c、27d及びそれぞれの遠位部28a、28b、28c、28dを含む。
【0044】
各結合腱26はまた、近位端6と遠位端8との間に固定される。これは、第1の近位及び遠位ジョイント11a、12aの一方の回転が、第1の近位及び遠位ジョイント11a、12aの他方の回転を引き起こし、第2の近位及び遠位ジョイント11b、12b一方の回転が、第2の近位及び遠位ジョイント11b、12bの他方の回転を引き起こすことを意味する。言い換えれば、第1の近位及び遠位ジョイント11a、12aは、第2の近位及び遠位ジョイント11b、12bと同様に、一緒に結合されている。
【0045】
関節部材2は、第1及び第2の回転平面によって4つの部分に分割されるとみなされてもよい。各部分は、それを通って延びるそれぞれの結合腱受け部22を含み、それによって結合腱受け部22の各々は、第1及び第2の回転平面の両方から離間している。
【0046】
さらに、本発明のこの実施形態では、結合腱受け部22は、関節部材2の全体にわたって互いに均一に離間している。またさらに、各結合腱受け部22は、関節部材を通って長手方向に延び且つ第1及び第2の回転平面から45度オフセットした平面に沿って延びる。
【0047】
第1及び第2の回転平面は回転可能なジョイント10が回転可能な方向を表すことに加えて、第1及び第2の回転平面も対称面を表す。関節部材2を貫通する対称性により、第1の近位及び遠位ジョイント11a、12aは、一方のジョイントの回転が他方のジョイントの回転を等しい大きさで引き起こすように、一緒に結合される。第2の近位及び遠位ジョイント11b、12bの結合についても同様である。
【0048】
また、本発明のこの実施形態では、各結合腱26a、26b、26c、26dは、ジャンクション24を介して1つの結合腱受け部22から異なる結合腱受け部22に通過する。具体的には、ジャンクション24を介して一方の部分から反対側の部分に進行する結合腱26a、26b、26c、26dによって、各近位部27a、27b、27c、27dはそれぞれの部分を通過し、関連する遠位部28a、28b、28c、28dは反対側の部分を通過する。
【0049】
ジャンクションを通った結合腱26の通過により、第1の近位及び遠位ジョイント11a、12aが結合されて、両方が同じ方向に回転するようになる。第2の近位及び遠位ジョイント11b、12bについても同様である。
【0050】
図5と6は、第1の近位及び遠位ジョイントと第2の近位及び遠位ジョイントとの結合を示す。
【0051】
特に図5を参照すると、第1の近位ジョイント11aは、近位端6が読者(即ち、ページ上で関節部材2を見たときの読者の視点)から離れて回転したように、図1~3に示す線形構成から離れて回転したことがわかることができる。その結果、第1の近位ジョイント11aを横切って延びるのに必要な各結合腱26a、26b、26c、26dの長さは変化した。特に、第2及び第4の近位部27b及び27dは、第1の近位ジョイント11aを横切って延びるにつれて、より多く露出している。
【0052】
結合腱26a、26b、26c、26dの各々は、近位と遠位端6、8の間で一定の長さを有するため、第1の近位ジョイント11aを横切って延びるのに必要な第2及び第4の結合腱26b、26dの長さの変動は、第1の遠位ジョイント12aの対応する変動によってバランスをとる必要がある。言い換えれば、第1の遠位ジョイント12aを横切って延びる第2及び第4の遠位部28bの長さは短くしなければならず(図6でより明確に見えるように)、それにより、第1の遠位ジョイント12aが第1の近位ジョイント11aと同じ向きに回転し、つまり読者から離れて回転する。
【0053】
一方、第1の遠位ジョイント11bを横切って延びるのに必要な第1及び第3の遠位部28a、28cの長さは長くなった。第1の遠位ジョイント12aを横切って延びるのに必要な第1及び第3の結合腱26a、26cの長さのこの変動も、バランスが取れていなければならない。よって、第1の近位ジョイント11aを横切って延びる第1及び第3の近位部27a、27cの長さを短くしなければならない(図6でより明確に見えるように)。第2及び第4の結合腱26b、26dに対する第1及び第3の結合腱26a、26cの同等かつ反対の動作により、関節部材2の動きにバックラッシュがないことが保証される。
【0054】
第2の近位及び遠位ジョイント11b、12bは、第1の近位及び遠位ジョイント11a、12aとほぼ同じように結合される。ただし、第1の近位及び遠位ジョイントの場合と同様に、第1及び第3の結合腱26a、26cは第2及び第4の結合腱26b、26dに対して作用するのではなく、第1及び第4の結合腱26a、26dは第2及び第3の結合腱26b、26cに対して作用する。第1の近位及び遠位ジョイント11a、12aの場合と同様に、第2の近位ジョイント11bを第2の遠位ジョイント12bと同じ向きに回転させる。
【0055】
関節部材2は、関節部材2を少なくとも部分的に通って延びる複数の作動腱受け部42をさらに含む。各作動腱受け部42は、作動腱44を受け入れるように構成されている。
【0056】
本発明のこの実施形態では、特定の回転可能なジョイント10を回転させるために、作動腱44の対は、互いに拮抗的に操作することができる。例えば、図5では、一対の作動腱44a、44bは、それらが第2の遠位ジョイント12bを横切って延び、次に関節部材2に固定されるまで、関節部材2を通って、実質的に第2の回転平面に沿って延びる。使用中、作動腱44aを引っ張り、それによって、第2の遠位ジョイント12bを図5に示す構成に回転させることができる。また、第2の近位及び遠位ジョイント11b、12bは上記のように結合されているため、作動腱44aを引っ張ることは、第2の近位ジョイント11bを第2の遠位ジョイント12bと同等に回転させる。
【0057】
言い換えれば、関節部材2の一部を形成する回転可能なジョイント10の結合により、一つより多くの回転可能なジョイント10を単一の作動腱44(又は一対の拮抗的な作動腱44)によって作動させることができる。本発明のこの実施形態では、結合された回転可能なジョイント10は、同じ向きに回転する。これにより、達成する必要がある全体の曲げ角度を2つ以上のジョイントに分散させることができ、その結果、1つの回転可能なジョイントだけで試みる場合よりスムーズに曲げ作動を実行することができる。
【0058】
図7~10を参照すると、関節部材102は、図1~3に示す関節部材2と同様であるが、複数の結合腱126は、各近位部127a、127b、127c、127dがそれぞれの遠位部128b、128c、128dと同じ関節部材102の部分を通過するように、関節部材102を通って直線的に延びる。これは、複数の結合腱126が関節部材102を通って延びる際に、単にジャンクション24をバイパスすることによって実現される。
【0059】
同様に、図1~3に示す関節部材2に対して、複数の回転可能なジョイント10は、第1の近位ジョイント111a、第1の遠位ジョイント112a、第2の近位ジョイント111b及び第2の遠位ジョイント112bを含む。第1の近位及び遠位ジョイント111a、112aは、それぞれ、関節部材2を通って長手方向に延びる第1の回転平面を横切って延びるそれぞれの軸14の周りで回転可能である。また、第2の近位及び遠位ジョイント111b、112bはそれぞれ、関節部材2を通って長手方向に延びる第2の回転平面を横切って延びるそれぞれの軸14の周りで回転可能である。第2の回転平面は、第2の近位及び遠位ジョイント112a、112bが第1の近位及び遠位ジョイント111a、111bに対して直交的に回転可能であるように、第1の回転平面に垂直に延びる。
【0060】
図1~3に示す関節部材2の場合と同様に、第1の近位及び遠位ジョイント111a、112aは、第2の近位及び遠位ジョイント111b、112bと同様に、複数の結合腱126によって一緒に結合されている。
【0061】
しかしながら、複数の結合腱126がジャンクション24をバイパスした結果として、回転可能なジョイント10のうちの1つが回転すると、結合されたジョイントは、(関節部材2と同じ方向ではなく)反対の方向に回転する。
【0062】
図10は、特に第1の近位及び遠位ジョイント111a、112aのこの結合を示す。
【0063】
関節部材102は、関節部材102を少なくとも部分的に通って延びる複数の作動腱受け部42を含む。各作動腱受け部42は、作動腱144を受け入れるように構成されている。
【0064】
本発明のこの実施形態では、一対の作動腱144a、144bは、それらが第1の近位ジョイント111aを横切って延び、次に関節部材102に固定されるまで、関節部材102を通って、実質的に第1の回転平面に沿って延びる。使用中、作動腱44aを引っ張り、それによって、第1の近位ジョイント111aを図10に示す構成に回転させることができる。
【0065】
第1の近位ジョイント111aのこの回転は、第1の近位ジョイント111aを横切って延びる必要のある第1の近位部127a及び第3の近位部127c(図10に示されていないが、図8に見られる)の長さが長くなることを意味する。複数の結合腱126が一定の長さを有するため、第1の遠位ジョイント112aを横切って延びる第1の遠位部128a及び第3の遠位部128cの長さを短くしなければならず、それによって第1の遠位ジョイント112aが回転する。
【0066】
第1及び第3の結合腱126a、126cの各々が関節部材102の単一の部分のみに沿って延びているため、第1の近位及び遠位ジョイント111a、112aは反対の方向に回転する。これは、遠位端8が近位端6と同様な向きに保つように移動可能であることを可能にする。
【0067】
実際には、本発明のこの実施形態において、結合腱受け部22は、関節部材102の全体にわたって均一に離間している。これは、結合されたジョイントの回転の大きさが等しくなるので、遠位端8が近位端6と実質的に平行に位置合わせた状態を維持することを意味する。しかしながら、本発明の別の実施形態では、結合腱受け部の間隔は、関節部材に沿って変化してもよい。これにより、近位及び遠位端6、8が互いに平行に位置合わせた状態を維持しない可能性があるように、結合されたジョイントは互いに異なる速度で回転する。各結合されたジョイントの回転は、他のジョイントの回転と少なくとも何らかの方法で相殺されるため、向きの変動は限られる。
【0068】
一方、第1の遠位ジョイント111bを横切って延びるのに必要な第2及び第4の遠位部128b、128dの長さは、第1の近位及び遠位ジョイント111a、112aの回転により増加する。第1の遠位ジョイント112aを横切って延びるのに必要な第2及び第4の結合腱126b、126dの長さのこの変動も、バランスが取れていなければならない。よって、第1の近位ジョイント111aを横切って延びる第2及び第4の近位部127b及び127dの長さを短くしなければならない(特に図10で第2の近位部127bについて見られるように)。図1~3に示す関節部材2と同様に、第2及び第4の結合腱126b、126dに対する第1及び第3の結合腱126a、126cの同等かつ反対の動作により、関節部材102の動きにバックラッシュがないことが保証される。
【0069】
図1~10に示す関節部材2、102はそれぞれ、互いに回転可能に係合可能で直列に配置された複数のモジュール34を含み、それによって複数の回転可能なジョイント10は、隣接する2つのモジュール34により形成される。
【0070】
図11を参照すると、モジュール234は、平行構成で強固に一緒に結合された一対のサブモジュール36を含み、それによって直接隣接する2つのモジュール(図示せず)で形成され得る2つの回転可能なジョイントは、同じ回転平面を横切って延びるそれぞれの軸の周りで回転可能である。
【0071】
対照的に、図12では、モジュール334は、直交構成で強固に一緒に結合された一対のサブモジュール36を含み、それによって直接隣接するモジュール(図示せず)で形成され得る2つの回転可能なジョイントは、別々の直交する回転平面を横切って延びるそれぞれの軸の周りで回転可能である。
【0072】
従って、図1~10に示す関節部材2、102などの関節部材は、所望の軸14の組み合わせの周りで回転可能な関節部材を提供するために、複数のモジュール234、複数のモジュール334、又は2種類のモジュール234、334の組み合わせから構築され得ることが理解できる。
【0073】
図13を参照すると、各サブモジュール36は、2つのサブモジュール36が平行構成(図11)又は直交構成(図12)で一緒に結合されるとき、別のサブモジュール36の結合腱受けセクション52と位置合わせ可能な複数の結合腱受けセクション52を含む。関節部材の一部を形成する複数のモジュール34の位置合わせた結合腱受けセクション52は、結合腱受け部22を形成する。
【0074】
各サブモジュールは、別のサブモジュールの作動腱受けセクション54と同様に位置合わせして、それぞれの作動腱44が延びることができる作動腱受け部42を形成する作動腱受けセクション54をさらに含む。
【0075】
図14を参照すると、本発明の第3態様によれば、手術器具4は、(図7~9に示す)関節部材102に結合された(図1~3に示す)関節部材2を含む。一対の関節部材2、102は、近位端66と遠位端68を有する。本発明のこの実施形態では一対の回転可能なジョー62を含むエンドエフェクタ50が、遠位端68に結合されている。
【0076】
図15では、手術器具は、エンドエフェクタ50を作動させるための一対のエンドエフェクタ腱48をさらに含む。例えば、エンドエフェクタ腱48は、エンドエフェクタ50のジョー62を開閉するように作動することができる。
【0077】
関節部材2、102は、エンドエフェクタ腱48が関節部材2、102を通って近位端66からエンドエフェクタ50に長手方向に延びる一対のエンドエフェクタ腱受け部46を含む。エンドエフェクタ腱受け部46は、回転可能なジョイント10が回転可能な軸14の各々と交差するように配置される。特に、本発明のこの実施形態では、エンドエフェクタ腱受け部46は、各サブモジュール36の一部を形成する複数のエンドエフェクタ腱受けセクション56(図13に示す)を含む。各エンドエフェクタ腱受けセクション56は、サブモジュール36が回転可能なジョイント10の一部を形成することができる軸と直交的に交差するように、それぞれのサブモジュールを通って延びる。
【0078】
エンドエフェクタ腱48が各軸14と交差するという事実は、様々な回転可能なジョイント10の回転がエンドエフェクタ腱48に影響を与えない(又は、最大で、軽微な影響)ことを意味する。従って、関節部材2、102に沿った回転の結果として、エンドエフェクタ50は、意図せず作動してしまうことがない。
【0079】
図16を参照すると、本発明の第3態様によれば、手術器具204は、図14及び15に示す手術器具と同様であるが、駆動モジュール70と複数の関節部材2、102の近位端66を駆動モジュール70に結合する細長いシャフト72とを追加して含む。駆動モジュール70は、関節部材2、102の関節接合を駆動するために構成されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-06-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術器具用の関節部材であって、前記関節部材は、近位端、遠位端、及び、前記近位端と前記遠位端との間で直列に配置された複数の回転可能なジョイントを含み、前記複数の回転可能なジョイントは、
それぞれが、前記関節部材を通って長手方向に延びる第1の回転平面を横切って延びるそれぞれの軸の周りで回転可能な第1の近位ジョイント及び第1の遠位ジョイントと、
それぞれが、前記第1の回転平面に垂直に前記関節部材を通って長手方向に延びる第2の回転平面を横切って延びるそれぞれの軸の周りで回転可能であるので、前記第1の近位及び遠位ジョイントに対して直交的に回転可能な第2の近位ジョイント及び第2の遠位ジョイントと、
前記第1及び第2の回転平面の両方から離間した前記関節部材を通って長手方向に延びる複数の結合腱受け部と、
前記近位ジョイントと遠位ジョイントとの間に配置され、結合腱を1つの結合腱受け部から異なる結合腱受け部に通過させるジャンクションと、
それぞれの結合腱受け部を介して前記関節部材を通って延びる複数の結合腱であって、各結合腱は、前記近位端と前記遠位端との間に固定され、前記第1の回転平面及び第2の回転平面の両方から実質的に離間した関節部材に沿って延びるので、前記第1の近位及び遠位ジョイントの一方の回転は、前記第1の近位及び遠位ジョイントの他方の回転を引き起こし、前記第2の近位及び遠位ジョイントの一方の回転は、前記第2の近位及び遠位ジョイントの他方の回転を引き起こす複数の結合腱と、を含むことを特徴とする関節部材。
【請求項2】
前記複数の結合腱受け部は、少なくとも4つの結合腱受け部を含み、前記複数の結合腱は、少なくとも4つの結合腱を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の関節部材。
【請求項3】
前記複数の結合腱受け部は、それぞれ、前記関節部材を通って長手方向延びる平面に沿って延び、前記第1及び第2の回転平面のそれぞれから等しくオフセットする、ことを特徴とする請求項2に記載の関節部材。
【請求項4】
前記関節部材は、前記第1及び第2の回転平面によって4つの部分に分割され、各部分は、それを通って延びる結合腱受け部を含む、ことを特徴とする請求項に記載の関節部材。
【請求項5】
各結合腱は、近位部と遠位部を含み、
前記ジャンクションを介して一方の部分から反対側の部分に進行する前記結合腱によって、各近位部はそれぞれの部分を通過し、関連する遠位部は前記反対側の部分を通過する、ことを特徴とする請求項に記載の関節部材。
【請求項6】
各結合腱は、近位部と遠位部を含み、
前記ジャンクションをバイパスする前記結合腱によって、各近位部はそれぞれの部分を通過し、関連する遠位部は同じ部分を通過する、ことを特徴とする請求項4に記載の関節部材。
【請求項7】
互いに回転可能に係合可能で直列に配置された複数のモジュールをさらに含み、それによって少なくとも1つの前記回転可能なジョイントは、隣接する2つのモジュールによって形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の関節部材。
【請求項8】
各モジュールは、ジャンクションと複数の結合腱受けセクションを含み、各結合腱受けセクションは、それぞれの結合腱受け部の一部を形成する、ことを特徴とする請求項7に記載の関節部材。
【請求項9】
各モジュールは、少なくとも2つの構成で強固に一緒に結合可能な一対のサブモジュールを含み、前記少なくとも2つの構成は、平行構成と直交構成を含み、
前記サブモジュールが平行構成の場合、直接隣接する2つのモジュールで形成された2つの回転可能なジョイントは、同じ回転平面を横切って延びるそれぞれの軸の周りで回転可能であり、
前記サブモジュールが直交構成の場合、直接隣接するモジュールで形成された2つの回転可能なジョイントは、別々の直交する回転平面を横切って延びるそれぞれの軸の周りで回転可能である、ことを特徴とする請求項に記載の関節部材。
【請求項10】
関節部材を少なくとも部分的に通って延びる、少なくとも1つの回転可能なジョイントの回転を引き起こすための作動腱を受け入れるように構成された作動腱受け部をさらに含む、ことを特徴とする請求項に記載の関節部材。
【請求項11】
前記関節部材の前記遠位端はエンドエフェクタに結合可能である、ことを特徴とする請求項に記載の関節部材。
【請求項12】
エンドエフェクタを作動させるためのエンドエフェクタ腱を受け入れるように構成されたエンドエフェクタ腱受け部をさらに含み、前記エンドエフェクタ腱受け部は、前記関節部材を通って長手方向に延び、回転可能なジョイントが回転可能な各軸と交差するように配置される、ことを特徴とする請求項11に記載の関節部材。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の関節部材と、前記関節部材の前記遠位端に結合されたエンドエフェクタと、を含む手術器具。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項による複数の関節部材であって、前記関節部材が直列に一緒に結合され、前記複数の関節部材が近位端及び遠位端を有する複数の関節部材と、
前記複数の関節部材の前記遠位端に結合されたエンドエフェクタと、を含む手術器具。
【請求項15】
前記複数の関節部材のうちの少なくとも1つの関節部材は、請求項5に記載の関節部材である、ことを特徴とする請求項14に記載の手術器具。
【請求項16】
前記関節部材又は各関節部材の関節接合を駆動するための駆動モジュールをさらに含み、前記駆動モジュールは、前記関節部材又は前記複数の関節部材の前記近位端に結合されている、ことを特徴とする請求項13に記載の手術器具。
【請求項17】
前記関節部材又は複数の関節部材の近位端を前記駆動モジュールに結合する細長いシャフトをさらに含む、ことを特徴とする請求項16に記載の手術器具。
【国際調査報告】