(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】温室
(51)【国際特許分類】
A01G 9/24 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A01G9/24 G
A01G9/24 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533305
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2021083481
(87)【国際公開番号】W WO2022117533
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518355652
【氏名又は名称】ファン・デル・フーベン・ホルティカルチャラル・プロジェクツ・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステーンチェス,マルティヌス・アドリアヌス・ビルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】キケル,フィンセント・マルテイン
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029PA02
(57)【要約】
本発明は、屋根(2)と、床(3)と、2つの端壁(4)と、2つの側壁(5)とを有する温室(1)に関する。端部または側壁(4、5)のうちの1つに沿って、調整空気用の細長い空間(7)に隣接して細長い混合空間(6)が存在する。混合空間(6)は、温室の外部(10)に流体接続され、1つ以上の開口部(11)によって生育空間に流体接続される。混合空間(6)および調整空気用の空間(7)は、1つ以上の水パッド(12)を介して、および平行なバイパス流路(B)を介して流体接続される。生育空間(8)は、複数の平行な換気導管(13)を備え、各導管(13)は、調整空気(7)用の空間に流体接続された空気入口(14)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根(2)と、床(3)と、2つの端壁(4)と、2つの側壁(5)とを有する温室(1)であって、細長い混合空間(6)は、端壁または側壁(4,5)のうちの1つに沿って、調整空気用の細長い空間(7)に隣接して配置され、混合空間(6)および調整空気用の空間(7)は、温室(1)内に存在する生育空間(8)から分離され、
混合空間(6)は、周囲空気用の開口部(9)によって温室の外部(10)に流体接続され、かつ1つ以上の開口部(11)によって生育空間に流体接続され、
混合空間(6)および調整空気用の空間(7)は、1つ以上の水パッド(12)を介して、および平行な空気流路(B)を介して流体接続され、水パッド(12)は平行な流路(B)と平行に配置され、
生育空間(8)は複数の平行な換気導管(13)を備え、各導管(13)は換気装置(20)が設けられた空気入口(14)を有し、空気入口(14)は調整空気用の空間(7)に流体接続される、温室。
【請求項2】
平行な空気流路は、1つ以上の間接加熱ユニット(15)を備える、請求項1に記載の温室。
【請求項3】
平行な空気流路(B)には、空気置換手段が設けられている、請求項1または2に記載の温室。
【請求項4】
周囲空気用の温室の外部(10)への開口部(9)は、生育区画から混合空間に入る空気の20体積部あたり少なくとも1体積部の周囲空気が混合空間に入るように設計された半閉鎖可能な開口部である、請求項1~3のいずれか一項に記載の温室。
【請求項5】
温室の生育区画(8)への開口部(11)は、混合空間に入る周囲空気の20体積部あたり、生育空間からの空気の少なくとも1体積部が混合空間に入るように設計された半閉鎖可能な開口部である、請求項1~4のいずれか一項に記載の温室。
【請求項6】
混合空間(6)の周囲空気用の温室の外部(10)への開口部(9)は、屋根(2)の開口部である、請求項1~5のいずれか一項に記載の温室。
【請求項7】
混合空間(6)および調整空気用の空間(7)は各々単一の空間である、請求項1から6のいずれか一項に記載の温室。
【請求項8】
混合空間(6)は、屋根(2)と、端壁(4)または側壁(5)と、端壁(4)または側壁(5)から離間され、端壁(4)または側壁(5)と略平行に延びる略垂直な仕切壁(16)と、床(3)または床(3)から離間された略水平な高い仕切床(17)と、によって画定される、請求項1から7のいずれか一項に記載の温室。
【請求項9】
調整空気用の空間(7)は、略水平な高い仕切床(17)と、端壁(4)または側壁(5)と、端壁(4)または側壁(5)から離間された略垂直な仕切壁(18)と、によって画定される、請求項7に記載の温室。
【請求項10】
高い仕切床(17)は、床から少なくとも2m離間されており、調整空気用の空間(7)の垂直な仕切壁(18)には、複数の非常ドア(19)が設けられている、請求項9に記載の温室。
【請求項11】
複数の平行な換気導管(13)の空気入口(14)は、換気装置(20)によって調整空気用の空間(7)の垂直な仕切壁(18)に流体接続されている、請求項9または10に記載の温室。
【請求項12】
1つ以上の水パッド(12)は、床(3)または仕切床(17)上に配置され、細長い混合空間(6)の長さの80%を超える長さに沿って延びる垂直湿潤スクリーン(21)から構成され、垂直湿潤スクリーン(21)は、混合空間(6)に流体接続された空気(22)の入口側と、調整空気用の空間(7)に流体接続された空気(23)の出口側とを有する、請求項7から11のいずれか一項に記載の温室。
【請求項13】
垂直湿潤スクリーン(21)の上端部(24)または垂直湿潤スクリーン(21)を備える壁の上端部には、混合空間(6)の垂直仕切(16)まで延在する水平屋根部分(26)が接続され、屋根部分(26)は、混合空間(6)に流体接続された空気用の入口側(27)と、調整空気用の空間(7)に流体接続された空気用の出口側(28)とを有する1つ以上の間接加熱ユニット(15)から構成される、請求項12に記載の温室。
【請求項14】
生育空間および別個の混合空間を備える温室内の温度および/または湿度を制御するためのプロセスであって、
(a)周囲空気と、別個の混合空間内の生育空間からの空気とを収集して、給気を得るステップと、
(b)給気の一部を液体水と直接接触させて、混合空気を断熱冷却して湿潤空気を得るステップであって、給気の別の部分が液体水と直接接触せずにバイパス空気を得る、ステップと、
(c)湿潤空気とバイパス空気とを混合して調整空気を得て、調整空気を生育空間に排出するステップと、を備える、プロセス。
【請求項15】
ステップ(c)を実施する前に、液体水と直接接触しない給気の一部の温度を上昇させる、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
別個の混合空間は、長方形の温室の側壁の端壁に沿って延びる連続空間である、請求項14または15に記載のプロセス。
【請求項17】
長方形の温室は、屋根、床、2つの端壁および2つの側壁を有し、混合空間は、温室の屋根の一部と、端壁または側壁と、端壁または側壁から離間され、端壁または側壁に略平行に延びる垂直な仕切壁と、床、または床から離間された略水平な高い仕切床とによって画定され、周囲空気は、端壁または側壁および/または屋根の1つ以上の開口部を介して混合空間に入り、生育空間からの空気は、仕切壁の1つ以上の開口部を介して混合空間に入る、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
周囲空気は、屋根の1つ以上の開口部を介して混合空間に入る、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
温室は、略水平な高い仕切床の下に調整空気用の空間を備え、ステップ(c)において、調整空気は、生育空間内の複数の平行な換気導管を介して生育空間に排出され、換気導管は、調整空気用の空間に流体接続された調整空気用の入口を有する、請求項17または18に記載のプロセス。
【請求項20】
温室(30、33)であって、温室(30、33)は、屋根(2)と、床(3)と、2つの端壁(4)および2つの側壁(5)と、第1および第2の細長い混合空間(6a、6b)であって、温室(30)内に存在する第1および第2の生育空間(8a、8b)を分離する、第1および第2の細長い混合空間(6a、6b)と、を有し、
第1の細長い混合空間(6a)は、屋根(2)の周囲空気用の開口部(9a)によって温室の外部(10)に流体接続され、1つ以上の開口部(11a)によって第1の生育空間に流体接続され、
第2の細長い混合空間(6b)は、屋根(2)の周囲空気用の開口部(9b)によって温室の外部(10)に流体接続され、1つ以上の開口部(11b)によって第2の生育空間に流体接続され、
第1の生育空間(8a)は、複数の平行な換気導管(13a)を備え、各導管(13a)は、第1の混合空間(6a)に流体接続された空気入口(14a)を有し、
第2の生育空間(8b)は、複数の平行な換気導管(13b)を備え、各導管(13b)は、第1の混合空間(6b)に流体接続された空気入口(14b)を有する、温室(30、33)。
【請求項21】
第1および第2の細長い混合空間(6a、6b)は各々、調整空気用の細長い第1および第2の空間(7a、7b)に隣接して配置され、第1および第2の細長い混合空間(6a、6b)ならびに調整空気用の空間(7a、7b)は、温室(1)内に存在する第1および第2の生育空間(8a、8b)から分離され、
第1および第2の細長い混合空間(6a、6b)ならびに調整空気用の空間(7a、7b)は、1つ以上の水パッド(12a、12b)を介して、および平行な空気流路(Ba、Bb)を介して流体接続され、水パッド(12a、12b)は、バイパス流路(B)に対して平行に配置され、
第1の生育空間(8a)の複数の平行な換気導管(13a)の各々は、調整空気(7)用の第1の空間(7a)に流体接続された入口(14a)を有し、
第2の生育空間(8b)の複数の平行な換気導管(13b)の各々は、調整空気用の第2の空間(7b)に流体接続された入口(14b)を有する、請求項20に記載の温室(30)。
【請求項22】
第1および第2の細長い混合空間(6a、6b)は、端壁(4)から反対側の端壁(4)まで平行に延びる、請求項20または21に記載の温室(30、33)。
【請求項23】
第1および第2の細長い混合空間(6a、6b)は共通の壁(32)を共有する、請求項22に記載の温室(30、33)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温室に関し、温室の壁の1つに沿って、調整された周囲および/または温室再循環空気のための細長い空間が存在する。細長い空間は、温室の生育空間から分離される。生育空間は、導管が細長い空間に流体接続された複数の平行な換気導管を備える。
【背景技術】
【0002】
そのような温室設計は周知であり、一般に半閉鎖温室と呼ばれる。この原理にしたがって建設された最初の温室のうちの1つは、2005年にオランダ、RillandのVan der Lansで建設された半閉鎖温室である。この温室の細長い空間は、下端で妻端壁に沿って延びている。この空間には、周囲空気がこの空間に入ることを可能にする閉鎖可能な窓と、生育区画からの空気がこの空間に入ることを可能にするためにこの細長い空間の上端部に閉鎖可能な弁とが設けられている。細長い空間自体には、周囲空気、再循環空気またはそれらの混合物の温度を加熱または冷却するための間接熱交換器が設けられている。
【0003】
国際公開第2008/002686号は端妻壁に空間が設けられた温室を記載しており、この温室では、周囲空気および/または温室再循環空気が収集され、空気は複数の平行な換気管を経て生育区画に分配される。熱交換器がファンの入口に存在してもよく、このファンは、空気を冷却または加熱するために、換気管内に空気を引き込む。この公開公報によれば、温室の内部は、端壁の周囲空気用の入口に配置されたパッド冷却システムを介して周囲空気を引き込み、この空気を換気管を介して分配することによって温度を低下させることができる。
【0004】
特開2015-6133号公報は端妻壁に空間を備えた温室を記載しており、この温室では、周囲空気および/または温室再循環空気が収集され、複数の平行な換気管を経て生育区画に分配される。周囲空気は、場合により温室再循環空気と混合されて、生育区画に分配される前に水パッドを通過する。必要に応じて、温室再循環空気は、生育区画に分配される前に水パッドを通過した空気と混合されてもよい。
【0005】
周囲空気および温室再循環空気を使用することによって温室内の気候を制御することは、長年にわたって知られており、例えば1968年に発行された米国特許第3404618号明細書に記載されている。この公報には、周囲空気を分配し、温室の空気を再循環させ、または温室の生育領域で組み合わせる換気管が記載されている。夜間には、温室空気のみが再循環され、直火によって加熱される。日中、太陽放射のために温室内の空気が上昇すると、より冷たい周囲空気が引き込まれて、再循環温室空気と組み合わされる。空気を再循環させずに周囲空気のみを導入することにより、最大の冷却が達成される。水冷パッドを通して空気を引き込むことによって、追加の冷却を達成することができる。
【0006】
国際公開第2017/176114号は、蒸発パッド内で冷却され飽和した空気流を得るために、最初に空気を液体水と接触させることによって周囲空気が冷却される温室を記載している。続いて、空気を乾燥させるために、この空気流は1,2-プロパンジオール水溶液と接触される。冷却された空気を得るために、乾燥空気は水と接触される。この冷却された空気は、換気管を経て生育区画に分配される。このプロセスの問題は、その複雑さである。
【0007】
水パッドを使用する従来技術のプロセスの欠点は、最大100%の飽和水を有する空気が得られ得ることである。このような高い飽和は、換気管内に空気を引き込むために使用される換気装置の消耗を引き起こす可能性があるため、好ましくは回避される。これは、続いてこの空気流を加熱することによって緩和され得る。しかしながら、温室生育空間内の空気を冷却するために冷気が必要とされる場合、その後の空気の加熱は好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2008/002686号
【特許文献2】特開2015-6133号公報
【特許文献3】米国特許第3404618号明細書
【特許文献4】国際公開第2017/176114号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来技術の温室の欠点を有さない温室を提供することである。これは、以下の温室によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
屋根と、床と、2つの端壁と、2つの側壁とを有する温室であって、細長い混合空間は、端壁または側壁のうちの1つに沿って、調整空気用の細長い空間に隣接して配置されて存在し、混合空間および調整空気用の空間は、温室内に存在する生育空間から分離され、
混合空間は、周囲空気用の1つ以上の開口部によって温室の外部に流体接続され、かつ1つ以上の開口部によって生育空間に流体接続され、
混合空間および調整空気用の空間は、1つ以上の水パッドを介して、および平行な空気流路を介して流体接続され、水パッドは平行な空気流路と平行に配置され、
生育空間は複数の平行な換気導管を備え、各導管は換気装置が設けられた空気入口を有し、空気入口は調整空気用の空間に流体接続される、温室。
【0011】
出願人らは、現在クレームされている温室が、換気導管によって分配されるため、空気をより良好に調整することができることを見出した。周囲空気と生育区画からの空気とを混合して給気を得ることができることに加えて、この給気を所望の湿度を有する調整空気にさらに処理する追加の選択肢を有する。高すぎる湿度を有する水パッド内に形成された空気は、ここで、平行な空気流路からの空気と混合されてもよい。この空気は水パッドをバイパスする。このようにして、過剰な湿度は、例えば生育区画からの温かい再循環空気の顕熱によって低減されてもよい。これは、よりエネルギー効率の良い気候制御をもたらす。温室の設計はさらに、換気導管を介して分配される空気の湿度の慎重な制御を可能にする。
【0012】
したがって、本発明はまた、以下のプロセスに関する。生育空間および別個の混合空間を備える温室内の温度および/または湿度を制御するためのプロセスであって、以下のステップを備える。
(a)周囲空気と、別個の混合空間内の生育空間からの空気とを収集して、給気を得るステップ。
(b)給気の一部を液体水と直接接触させて、混合空気を断熱冷却して湿潤空気を得るステップであって、給気の別の部分は液体水と直接接触されずにバイパス空気を得るステップ。
(c)湿潤空気と加熱された空気とを混合して調整空気を得て、調整空気を生育空間に排出するステップ。
【0013】
温室は、切妻屋根またはアーチ型屋根を有してもよい。切妻形状またはアーチ形状の屋根は、一方の端壁から他方の端壁まで側壁と平行に延びる。言い換えれば、これらの屋根型の棟木は、側壁と平行に延びる。壁および屋根は、ガラスパネルまたはプラスチック箔を備えてもよい。好ましくは、温室は、矩形の形状または平面図を有し、端妻壁とも呼ばれる端壁は、側壁に垂直に接続される。本発明の文脈において、本発明による2つ以上の温室は、互いに隣接して配置され、側壁または端壁が共有されてもよい。
【0014】
端壁または側壁のうちの1つに沿って、調整空気用の細長い空間に隣接して配置された細長い混合空間が存在する。混合空間は、調整空気用の空間の隣および/または上に配置されてもよい。混合空間は、好適には少なくとも温室の上半分に存在する。混合空間は、生育空間から内壁に適切に分離され、内壁は透明壁であってもよい。この内壁には、生育空間を混合空間と流体接続する1つ以上の開口部が存在する。これらの開口部は、好ましくは、生育空間内で生育する栽培物の最大高さよりも高い高さにある。これにより、栽培物の上方の空気が内壁のこれらの1つ以上の開口部に向かって略水平に流れることが可能になる。開口部は半閉鎖可能である。ここで半閉鎖可能とは、開口部を100%閉鎖することができず、その結果、いくらかの空気が常に生育区画から混合空間に流れることを意味する。そのような半閉鎖可能な開口部は、ガス透過性材料で作られた閉鎖可能なカーテンであってもよく、または制御ソフトウェアのプログラムされた制限のために、または機械的障害物のために開口部を完全に閉じることができないフラップであってもよい。半閉鎖開口部は、混合空間に入る周囲空気20体積部当たり少なくとも1体積部の生育空間からの空気が混合空間に入るように設計されてもよい。
【0015】
周囲空気用の開口部は、半閉鎖可能である。ここで半閉鎖可能とは、開口部を100%閉鎖することができず、その結果、いくらかの周囲空気が常に混合空間に流入することを意味する。そのような半閉鎖可能な開口部は、ガス透過性材料で作られた閉鎖可能なカーテンであってもよく、または制御ソフトウェアのプログラムされた制限のために、または機械的障害物のために開口部を完全に閉じることができないフラップであってもよい。半閉鎖開口部は、生育区画から混合空間に入る空気の20体積部当たり少なくとも1体積部の周囲空気が混合空間に入るように設計することができる。
【0016】
平行な空気流路は、混合空間と調整空気用の空間との間の1つ以上の開口部によって形成されてもよい。この開口部は、水パッドを備えていない。導管の上流端部、またはそうでなければ入口には、換気装置が適切に存在する。この換気装置の動作により、調整空気用の空間内の圧力は、混合空間内の圧力よりも低くなり、その結果、混合空間から水パッドを経て、かつ平行な空気流路を経て調整空気用の空間への正の空気流が生じる。したがって、水パッドおよび平行な空気流路を経て流れる空気の比率は、これらの1つまたは複数の開口部のサイズによって影響され得る。開口部のサイズは、ルーバーによって影響を受けるものとしてもよい。好ましくは、この比は、バイパス空気流路に存在する空気置換手段によって影響を受ける。これらの空気置換手段、適切には換気装置を制御することにより、平行な空気流路を介して流れる空気の流れを制御することができる。
【0017】
さらに、平行な空気流路は、1つ以上の加熱ユニットを備えることが好ましい。これらの加熱ユニットは、間接熱交換ユニットであってもよい。例えば、加熱流体、例えば水が管を介して流れ、空気が熱交換器のいわゆるシェル側で流れるシェル管熱交換ユニットであってもよい。加熱流体の流れおよび/または温度は、好ましくは制御可能である。このようにして、所望の温度および湿度を有する所望の体積の調整空気を得るように、最適な温度を有する最適な体積のバイパス空気を得ることができる。
【0018】
混合空間は、周囲空気用の開口部によって温室の外部に流体接続される。これらの開口部は、細長い混合空間が存在する端壁または側壁に存在してもよい。そのような実施形態では、それぞれの端壁または側壁が混合空間を画定する。端壁または側壁のこれらの1つ以上の開口部の位置は、端壁または側壁の下端部にあってもよく、より好ましくは、上記で言及した内壁の1つ以上の開口部と同じ高さ、または上記で言及した内壁の1つ以上の開口部の高さの上方にあってもよい。混合空間の周囲空気用の温室の外部への開口部は、屋根の開口部であることがさらにより好ましい。これは、本発明による2つの隣接する温室を互いに近接して配置することを可能にするため、有利である。最も極端な実施形態では、各温室の細長い混合空間が沿って配置される端壁または側壁は、両方の温室間で共有されてもよい。これにより、本発明による混合空間が設けられた複数の温室を、複数の流体接続されていない混合空間を有する複数区画の温室に組み合わせることが可能になる。
【0019】
生育空間には、好ましくは、生育区画内から温室の外部に空気を排出するための開口部が設けられる。そのような開口部の必要性は、周囲空気が複数の平行な換気導管を経て生育空間に引き込まれることを認識したときに理解され得る。これらの開口部がなければ、圧力が上昇し、ガラスまたはプラスチックで覆われた温室の壁および屋根が損傷する。これらの開口部は、好ましい切妻屋根またはアーチ型屋根の閉鎖可能な窓であってもよい。あるいは、これらの開口部は、本出願人による特許出願である国際公開第2019/125169号に記載されているように、好ましい切妻屋根の棟木に存在してもよい。
【0020】
生育空間は、複数の平行な換気導管を備える。換気導管は、生育空間内の温室の床の真上に適切に配置される。導管は、植物が成長する栽培樋の下方に好適に配置される。導管には、その長さに沿って空気出口開口部が設けられている。導管は、例えば、円形または半円形の断面を有する任意の設計を有することができる。好ましくは、導管は管である。そのような換気管は周知であり、オランダ、RillandのVan der Lansにおける前述の半閉鎖温室建設などの多くの温室で使用されている。換気管は、管の長さに沿って配置された1つまたは複数列の開口部を介した空気の均一な流出を促進する等しい静圧の環状空間を形成するための内側管を備えてもよい。あるいは、本出願人による特許出願である国際公開第2019/185503号に記載されているように、導管を栽培樋と組み合わせることができる。
【0021】
細長い混合空間は、端壁または側壁の一方に沿って存在し、調整空気用の細長い空間に隣接して配置される。好ましくは、混合空間は、混合空間が端壁と対向する側壁の一部とによって画定されるように端壁全体に沿って存在し、空間または混合空間の各端部は、混合空間が側壁と、端壁の一部と、混合空間の各端部とによって画定されるように側壁全体に沿って存在する。混合空間および調整空気用の空間は、それぞれ単一の空間であることが好ましい。これは、より均一な気候制御が達成され得るので有利である。
【0022】
混合空間の上端部は、内部屋根部分によって画定されてもよい。好ましくは、混合空間の上端部は、例えば混合空間の周囲空気用の温室の外部への開口部が屋根の開口部である場合に、屋根によって画定される。混合空間は、細長い混合空間がどの壁に沿って配置されるかに応じて、端壁または側壁によってさらに画定される。端壁または側壁はまた、端壁または側壁に隣接して配置された任意の内壁を含む。混合空間はまた、端壁または側壁から離間され、端壁または側壁に略平行に延びる略垂直な仕切壁によって画定される。温室の壁とこの仕切壁との間の距離は、1~5mであってもよく、例えば、混合空間が切妻屋根を備えた温室の側壁に沿って延びる状況では、単一の切妻屋根に及んでもよい。混合空間は、床または床から離間された略水平な高い仕切床によってさらに画定される。混合空間の下端部が床である実施形態は、以下でより詳細に説明するように、単純であり、高い仕切床およびパッドのための支持構造をほとんど必要としないため有利である。
【0023】
高い床を有することの利点は、温室内で生育領域から調整空気用の空間への非常用脱出経路を設けることができることである。そのような実施形態では、パッドおよび加熱ユニットのような装置は、温室の床に配置されることがはるかに少なくなり、それによって、生育区画から調整空気用の空間への人員のための非常用経路を形成し、その経路は障害物がない。したがって、調整空気用の空間は、略水平な高い仕切床、混合空間がどの壁に沿ってどのように配置されるかに応じて端壁または側壁、および端壁または側壁から離間された略垂直な仕切壁によって適切に画定される。この仕切壁は、混合空間の仕切壁と同じ垂直面内に配置されてもよく、または異なる垂直面内に配置されてもよい。高い仕切床は、少なくとも2mにわたって床から適切に離間され、それによって、非常用経路のための十分な頭部スペースを可能にする。調整空気用の空間の垂直な仕切壁には、生育空間から調整空気用の空間への非常用経路の一部を形成する複数の非常ドアが設けられてもよい。
【0024】
複数の平行な換気導管の空気入口は、換気装置によって調整空気用の空間の垂直な内壁に流体接続される。
【0025】
混合空間および調整空気用の空間は、1つ以上の水パッドを介して流体接続される。これらのパッドは、いわゆる蒸発パッドとも呼ばれる、適切に垂直に配置された湿潤スクリーンであり、水はその上端部から下端部まで流れ、空気は略水平な流れ方向にスクリーンを通過する。垂直な湿潤スクリーンは、混合空間に流体接続された空気用の入口側と、調整空気用の空間に流体接続された空気用の出口側とを有する。空気はパッド内の水と直接接触し、その結果、液体水の一部が蒸発する。その結果、空気の温度が低下し、空気中の気体水が増加する。このような冷却は断熱冷却とも呼ばれる。
【0026】
混合空間および調整空気用の空間もまた、1つ以上の間接加熱ユニットを介して流体接続される。パッドは、1つ以上の間接加熱ユニットと平行に配置され、その結果、混合空間からの空気の一部は、1つ以上のパッドを通過するときに冷却され、空気の別の部分は、1つ以上の間接加熱ユニットを通過するときに温度が上昇する。
【0027】
上述の垂直な湿潤スクリーンは、床または仕切床に配置されてもよい。湿潤スクリーンは、好ましくは、細長い混合空間の長さの80%を超えて延びる。湿潤スクリーンまたは垂直なスクリーンを備える壁は、細長い上端部を有する。この上端部には、屋根部分を接続することが好ましい。この屋根部分はまた、混合空間の垂直な仕切壁に接続され、1つ以上の間接加熱ユニットを備える。1つ以上の加熱ユニットは、混合空間に流体接続された空気用の入口側と、調整空気用の空間に流体接続された空気用の出口側とを有する。屋根部分は、ある角度未満または水平に配置されてもよい。
【0028】
本発明によるプロセスのステップ(a)において、周囲空気および生育空間からの空気は、給気を得るために別個の混合空間に収集される。周囲空気用の前述の半閉鎖可能な開口部および生育空間からの空気用の半閉鎖可能な開口部を有する温室が使用される場合、周囲空気および生育空間からの空気が混合空間において常に収集される状況が存在する。周囲空気および生育空間から収集される空気の体積は、開口部の面積に依存する。この領域を制御することにより、混合空間に収集される周囲空気と、生育区画からの空気との相対体積および絶対体積を制御することが可能である。絶対体積はまた、空気をこの空間から生育区画に移動させる空気置換手段によって混合空間内に生成される負圧によって適切に制御される。
【0029】
ステップ(b)では、湿潤空気を得るために、給気の一部を液体水と直接接触させて、混合空気を断熱冷却する。得られた空気は、85%を超える、典型的には90~95%の相対湿度を有し得る。
【0030】
ステップ(b)において、液体水と直接接触していない給気の温度は、同様に前述したように、ステップ(c)を実行する前に温度を適切に上昇させることができる。所望の温度上昇は、例えば、給気の温度および湿度、バイパス空気の体積、断熱的に冷却される空気の体積、ならびに生育区画の空気を調整するのに適した調整空気の所望の温度および湿度に依存し得る。例えば、大きな体積の給気が平行な空気流路を通して流れる場合、より低い加熱が必要とされるか、または加熱は必要とされないことがあり、一方、少ない体積が使用される場合、より多くの加熱が必要とされることがある。調整空気の相対湿度は変えてもよく、例えば、生育区画における栽培の種類、栽培の時期および日中の瞬間に依存してもよい。
【0031】
ステップ(c)では、調整空気を得るために、湿潤空気と加熱空気とが混合される。調整空気は、続いて生育空間に排出される。好ましくは、この排出は、上述のように複数の平行な換気導管を経るものである。
【0032】
別個の混合空間は、好適には、長方形の温室の端壁または側壁に沿って延びる連続空間である。より好ましくは、この空間は、端壁または側壁全体に沿って、またはその長さの少なくとも80%に沿って延びる。長方形の温室は、屋根、床、2つの端壁および2つの側壁を適切に有し、混合空間は、温室の屋根の一部と、端壁または側壁と、端壁または側壁から離間され、端壁または側壁と略平行に延びる垂直な仕切壁によって画定される。混合空間は、床または床から離間された略水平な高い仕切床によってさらに画定される。周囲空気は、端壁または側壁および/または好ましくは屋根の1つ以上の開口部を通して混合空間に入る。生育空間からの空気は、仕切壁の1つ以上の開口部を通して混合空間に入る。
【0033】
温室は、好適には、略水平な高い仕切床の下に調整空気用の空間を備える。ステップ(c)において、調整空気は、生育空間内の複数の平行な換気導管を通して生育空間に適切に排出され、換気導管は、調整空気用のこの空間に流体接続された調整空気用の入口を有する。
【0034】
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、切妻屋根および床を有する温室の断面図を示す。
【
図2】
図2は、混合空間が国際公開第2008/002686号の温室に匹敵する端壁全体に沿って存在する温室の実施形態を示す。
【
図4】
図4は、混合空間が端壁に沿って延びることを除いて、
図3の温室の変形例である。
【
図6】
図6は、屋根と、床と、2つの端壁および2つの側壁と、第1の細長い混合空間および第2の細長い混合空間と、を有する温室を示す。
【
図7】
図7は、平行な空気流路が存在しないことを除いて、
図6の温室と同様の温室を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、切妻屋根(2)および床(3)を有する温室(1)の断面図を示す。細長い混合空間(6)が、側壁(5)全体に沿って存在する。混合空間(6)は、切妻屋根(2)に存在する周囲空気用の閉鎖可能な開口部(9)によって温室の外部(10)に流体接続される。これらの開口部(9)は、
図5に示すように、細長い混合空間(6)および切妻屋根(2)のほぼ全長に沿って延びる単一の細長い開口部であってもよい。調整空気用の細長い空間(7)が、仕切壁(16)の下端部に配置されて示されている。この仕切壁(16)の上端部には、1つ以上の閉鎖可能な開口部(11)が示されており、この開口部(11)は、生育空間(8)から空気が流れることを可能にする。混合空間(6)および調整空気用の空間(7)は、生育空間(8)から分離される。混合空間(6)および調整空気用の空間(7)は、水パッドとしての1つ以上の垂直なスクリーン(12)を介して、および平行な空気流路(B)に存在する1つ以上の間接加熱ユニット(15)を介して流体接続される。混合空間(6)からの空気は、図示のように2つの平行な流路(A)および(B)を介して調整空気(7)用の空間に流れることができる。空気流路(A)を流れる湿潤空気と、平行な空気流路(B)内の加熱された空気とは、空間(7)内で混合され、結果として生じる調整空気は、矢印Cによって概略的に表されるように、複数の平行な換気導管(13)を介して生育区画(8)に分配される。調整空気は、入口(14)で換気導管に入る。この入口(14)には、換気装置(20)が存在する。
【0037】
図1の混合空間(6)は、(
図5に示すように)屋根(2)の一部、側壁(5)、床(3)の一部、仕切壁(16)、および2つの対向する端壁(4)の一部によって境界付けられている。水平屋根部分(26)は、垂直な湿潤スクリーン(12)の上端部(24)に接続されている。屋根部分(26)の他方の細長い端部は、仕切壁(16)に接続されている。屋根部分(26)は、混合空間(6)に流体接続された空気用の入口側(27)と、調整空気用の空間(7)に流体接続された空気用の出口側(28)とを有する1つ以上の間接加熱ユニット(15)を備える。
【0038】
図2は、混合空間(6)が国際公開第2008/002686号の温室に匹敵する、端壁(4)全体に沿って存在する温室の実施形態を示す。他の符号は、閉鎖可能な窓(9)を除いて、
図1と同じ意味を有する。
図2のこれらの窓(9)は、切妻屋根(2)の列に存在する別個の窓である。
【0039】
図3は、
図1の温室の変形例である。相違点は、混合空間(6)が、屋根(2)と、側壁(5)と、側壁(5)から離間され、側壁(5)に略平行に延びる略垂直な仕切壁(16)と、床(3)から少なくとも2メートル離間された略水平な高い仕切床(17)と、によって画定されることである。調整空気用の空間(7)は、略水平な高い仕切床(17)と、側壁(5)と、側壁(5)から離間された略垂直な仕切壁(18)と、によって画定される。垂直な仕切壁(18)には、生育領域から調整空気用の空間(7)への矢印Dで示す非常用脱出経路の一部として、複数の非常ドア(19)が設けられている。ドア(19)は、容易なアクセスのために床まで至る経路を通ってもよい。スクリーン(12)および加熱ユニット(15)がより高く配置されているため、生育区画から調整空気用の空間への人員のための障害物のない非常用経路が、そのように提供される。仕切床(17)の上側は、凝縮水がスクリーン(12)の下端部に向かって流れるようにわずかに傾斜しており、凝縮水は樋に集められ、スクリーンを通って流れる水とともに排出されてもよい。
【0040】
図4は、混合空間(6)が端壁(4)に沿って延びることを除いて、
図3の温室の変形例である。
【0041】
図5は、
図3の温室の三次元図である。寸法は全て縮尺通りということではない。例えば、単一の切妻屋根部分の幅、すなわち混合空間(6)の幅は約4.5mであってもよく、一方、単一の換気導管(13)の長さは、25個の切妻屋根部分(29)の下に存在するように最大110mであってもよい。閉鎖可能な開口部(9)および閉鎖可能な開口部(11)は、側壁(5)の全長に沿って延びてもよい。隣接する換気導管(13)間の各通路には、非常ドア(19)が設けられてもよい。このようにして、これらの通路に存在する作業者は、非常ドアにアクセスすることができる。
【0042】
図6は、屋根(2)と、床(3)と、2つの端壁(4)および2つの側壁(5)と、第1の細長い混合空間および第2の細長い混合空間(6a、6b)と、を有する温室(30)を示し、第1の細長い混合空間および第2の細長い混合空間(6a、6b)は、温室(30)内に存在する第1の生育空間および第2の生育空間(8a、8b)を分離する。第1および第2の細長い混合空間(6a、6b)は、端壁(4)から反対側の端壁(4)まで平行に延び、図示のように共通の壁(32)を適切に共有する。第1の細長い混合空間(6a)は、屋根(2)の周囲空気用の開口部(9a)によって温室の外部(10)に流体接続され、1つ以上の開口部(11a)によって第1の生育空間に流体接続される。第2の細長い混合空間(6b)は、屋根(2)の周囲空気用の開口部(9b)によって温室の外部(10)に流体接続され、1つ以上の開口部(11b)によって第2の生育空間に流体接続される。第1の生育空間(8a)は、複数の平行な換気導管(13a)を備え、各導管(13a)は、第1の混合空間(6a)に流体接続された空気入口(14a)を有する。第2の生育空間(8b)は、複数の平行な換気導管(13b)を備え、各導管(13b)は、第1の混合空間(6b)に流体接続された空気入口(14b)を有する。細長い混合空間(6a、6b)は、
図3の構成を有し、分かりやすくするために、調整空気用の仕切床(17)および空間(7)のみが示されている。
図6において、第1および第2の細長い混合空間(6a、6b)は、図示および好ましいように共通の壁(32)を共有する。あるいは、複数の区画化された温室(30)の2つの混合空間の間には、混合空間(6a、6b)の維持およびアクセス用の小さな通路および/または調整空気用の空間(7)が存在してもよい。
【0043】
図7は、平行な空気流路(B)が存在しないことを除いて、
図6の温室(30)と同様の温室(33)を示す。この温室では、全ての周囲空気および生育空間(8a、8b)からの空気は、水パッドとして機能する1つ以上の垂直なスクリーン(12a、12b)を通して流れる。これらの垂直なスクリーン(12a、12b)の下流の空間は、第1および第2の細長い混合空間(6a、6b)ごとに1つの連続した空間であってもよく、および/または
図8に示すように別個の空間であってもよい。
【0044】
図8は、
図7の断面
図AA’を示す。第1の細長い混合空間(6a)の場合、垂直なスクリーン(12a)の下流の空間は、導管(34a)ごとに別個の空間(13a)である。第2の細長い混合空間(6b)の場合、垂直なスクリーン(12b)の下流の空間は、全ての導管(13b)に流体接続された1つの連続した空間(34b)である。
【0045】
図6、
図7、または
図8による組み合わされた温室の利点は、2つの別々に離間された温室が使用される場合と比較して、単位動作を互いに近づけることができることである。周囲空気の取り込みのために側部または端部に空間が必要とされないので、組み合わされた温室用の生育空間の同じ領域に必要とされる面積はさらに少ない。
【0046】
実施例1
35Cの周囲空気(10)および40%の相対湿度が使用される、
図3および
図5に記載の温室がシミュレートされる。生育区画(8)の空気の温度は32℃であり、相対湿度(RH)は85%である。さらなる特性を表1に列挙する。この実施例における制御目的は、空間(7)内の調整空気を得て、この調整空気を換気導管(13)を介して生育区画内に供給することによって、生育区画(8)内の空気の温度を低下させ、相対湿度を上昇させないことである。
【0047】
(7)の調整空気は、温度34.8Cおよび相対湿度42.1%の給気を得るために、まず、95体積部の周囲空気(10)を5体積部の混合空間(6)内で混合することによって得られる。温度25.4℃および相対湿度90.2%を有する湿潤空気を得るために、この給気の84体積%を水パッド(12)内の液体水と接触させる。27℃の温度および79.5%の相対湿度を有する調整空気を得るために、給気の残りの16体積%は、(
図1のように)平行な空気流路(B)を経て水パッド(12)を迂回するか、またはそうでなければ回避し、湿潤空気と混合される。この実施例では、平行な空気流路(B)内の空気は加熱されない。調整空気は、生育区画内の空気よりも低い温度を有し、より低い相対湿度を有し、したがって、換気導管(13)を介して前記生育区画に供給されるときに生育区画(8)内の温度を低下させ、生育区画(8)内の湿度を低下させるのに適している。
【0048】
実施例2
平行な空気流路(B)内の空気を加熱してエンタルピを約0.1kJ/kg増加させることを除いて、実施例1は繰り返される。空間(7)内の得られた調整空気の温度は27.1℃であり、相対湿度(RH)は78.9%である。実施例1のように調整空気は、生育区画内の空気よりも低い温度を有し、さらに低い相対湿度を有し、したがって、換気導管(13)を介して前記生育区画に供給されるときに生育区画(8)内の温度を低下させ、生育区画(8)内の湿度を低下させるのに適している。
【0049】
比較実験
この計算された実験は、実施例1および2の同じ周囲空気を使用して、最新技術の温室において実施例1および2と同じ開始条件を有する生育区画の空気をどのように冷却するかを示す。この例では、25.1℃の温度および89.8%の相対湿度(RH)を有する湿潤空気を得るために、最初に周囲空気を水パッド内の液体水と直接接触させることによって温度を低下させる。湿度を生育区画の湿度未満の値に低下させるために、この湿潤空気は27.1℃(実施例2に等しい)に加熱され、80%の相対湿度を有する。この加熱工程に必要なエネルギー量は約2kJ/kgである。
【0050】
したがって、従来技術の温室では、従来技術の温室の生育区画の空気を冷却するために、生育区画に供給するのに適した空気を得るために、より多くのエネルギーが必要とされる。さらに、この空気の湿度は実施例2よりもさらに高い。この比較は、本発明による温室およびプロセスが、温室の生育空間の内部を調整するためのよりエネルギー効率の良いプロセスおよびより低い相対湿度の空気を提供することを示す。
【0051】
【国際調査報告】