(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】C13炭化水素混合物及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07C 9/15 20060101AFI20240118BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240118BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20240118BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240118BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240118BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240118BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20240118BHJP
C07C 9/22 20060101ALI20240118BHJP
C09K 3/30 20060101ALI20240118BHJP
C11D 3/18 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
C07C9/15
A61K8/31
A61Q17/04
A61Q19/00
A61Q19/10
A61Q5/12
A61K47/06
C07C9/22
C09K3/30 F
C11D3/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534616
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(85)【翻訳文提出日】2023-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2021083803
(87)【国際公開番号】W WO2022122510
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/134952
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ディアカー,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ジュー,ベン チュワン
(72)【発明者】
【氏名】正木 功一
(72)【発明者】
【氏名】分部 孝範
(72)【発明者】
【氏名】エルンスト,マルティン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4H003
4H006
【Fターム(参考)】
4C076BB31
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4C083AA082
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4H006AB12
4H006AB20
4H006AB68
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4H006AB90
(57)【要約】
本発明は、特定の炭化水素混合物であって、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の飽和直鎖C13炭化水素を含む特定の炭化水素混合物において、C11/C12の量は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%であり、及びC14~C17の量は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%であることを特徴とする特定の炭化水素混合物並びに化粧品及び/又は医薬製剤におけるその使用と、炭化水素混合物を含む化粧品製剤とに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素混合物であって、前記炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の飽和直鎖C13炭化水素を含む炭化水素混合物において、
C11/C12の量は、前記炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%であり、及び
C14~C17の量は、前記炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%であることを特徴とする炭化水素混合物。
【請求項2】
炭化水素の合計を基準として少なくとも95~99.5重量%の飽和直鎖C13炭化水素を含むことを特徴とし、
C11/C12の量は、前記炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.1~1.0重量%であり、及び
C14~C17の量は、前記炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.3~3.0重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の炭化水素混合物。
【請求項3】
炭化水素の合計を基準として少なくとも97重量%の飽和直鎖C13炭化水素を含むことを特徴とし、
C11/C12の量は、前記炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.1~0.5重量%であり、及び
C14~C17の量は、前記炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.4~2.5重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の炭化水素混合物。
【請求項4】
芳香族炭化水素の合計は、炭化水素の合計を基準として1重量%以下、特に0.1重量%以下であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の炭化水素混合物。
【請求項5】
不飽和炭化水素の合計は、炭化水素の合計を基準として1重量%以下、特に0.1重量%以下、特に0.03重量%以下であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の炭化水素混合物。
【請求項6】
テトラデカノールの量は、前記炭化水素混合物の重量を基準として1重量%以下であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の炭化水素混合物。
【請求項7】
17以上の炭素鎖長を有する炭化水素の合計は、炭化水素の合計を基準として0.5重量%以下であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の炭化水素混合物。
【請求項8】
10以下の炭素鎖長を有する炭化水素の合計は、炭化水素の合計を基準として0.5重量%以下であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の炭化水素混合物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の炭化水素混合物の、化粧品及び/又は医薬製剤中のエモリエント剤、化粧水、洗浄剤、コンディショナー、溶剤、分散剤、油分及び/又は分散剤としての使用。
【請求項10】
装飾用又はサンケア用化粧品組成物中における、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
0.1~80重量%の、請求項1~8のいずれか一項に記載の炭化水素混合物を含む化粧品製剤。
【請求項12】
少なくとも1種の香水、オイル香水又は香料を含む、請求項11に記載の化粧品製剤。
【請求項13】
香水、オイル香水又は香料を含まない、請求項11に記載の化粧品製剤。
【請求項14】
顔料、及び/又は染料、及び/又はUV光防御遮蔽剤から選択される少なくとも1種の成分を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の化粧品製剤。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか一項に記載の炭化水素混合物と、ゲル化剤、好ましくは疎水性無機ゲル化剤、より好ましくは有機変性ヘクトライトゲルとを含む化粧品製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の炭化水素の混合物、化粧品及び/又は医薬製剤におけるその使用並びに炭化水素混合物を含む化粧品製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
揮発性直鎖炭化水素は、いわゆる「ライトエモリエント剤」として化粧品組成物での使用に成功している。
【0003】
再生可能な原料をベースとして得られるため、これらは、石油化学プロセス由来の炭化水素又はシリコーンよりも生態学的及び毒物学的に優れており、環境に優しい化粧品成分への高まる要求に応えるものである。
【0004】
PCT出願国際公開第2007/068371号パンフレットは、これらの直鎖飽和アルカンを、炭素鎖の炭素原子数がアルカンよりも1個多い1級アルコールから、水素及び触媒の存在下での還元的脱ヒドロキシメチル化によって製造する方法に関する。使用される1級アルコールは、8~24個の炭素原子を有する脂肪アルコールから選択される。特定の鎖長を有する高純度の炭化水素は、それにより得られた反応混合物から、好ましくは例えば分別蒸留後の粗精製物の精製及び好ましくは再び脱臭後に製造され得る。
【0005】
こうして得られた特定の鎖長を有するこれらの炭化水素は、化粧品製剤中の個々の成分として、いわゆるライトエモリエント剤として使用されるか、又は特殊な特性、例えば伸展挙動、揮発性又は更に引火点などを確立することができるように特定の方法で混合され得る。具体的には、国際特許出願国際公開第2008/155057号パンフレットに開示されている、C11及びC13の鎖長のエモリエント剤混合物は、シリコーン油の代替品として好ましい特性を示す。これらは、先行技術の炭化水素混合物と比較して官能特性及び皮膚許容性が向上している。
【0006】
欧州特許出願公開第2324816A1号明細書から、C11及びC13の鎖長の直鎖炭化水素に香料を組み合わせることが知られている。そこで言及されているように、各香料は、異なる時点で蒸発する様々な香気物質の組合せである。香料は、香水をつけたとき又は容器を開けたときに最初に広がる匂いであるいわゆる「トップノート」、完成された香りに対応する「ハートノート又はボディ」(「トップノート」後に数時間にわたって放出される)及び最も持続性の高い匂いである「ベースノート」(「ハートノート」後に数時間にわたって放出される)を有する。ベースノートの持続性が香水の持続性に対応する。残念ながら、この炭化水素分布は、独自の匂い及び固有の揮発性を有するため、C11及びC13炭化水素混合物を使用することにより、ベースノート、ボディ及びトップノートが変化する。
【0007】
したがって、この炭化水素を特に香料、香水、装飾用化粧料及び敏感肌用製剤に使用することができるように、皮膚寛容性を有する無香性の原料を得ることに特に関心が寄せられている。より具体的には、オイル香水(perfume oil)及び香料のための溶媒として適した原料を提供することが望まれていた。
【0008】
他方では、無香性且つ無香料の組成物は、望ましくない匂いを隠すための香水及び香料が不要になるため、好ましくは無香料製剤及び敏感肌用化粧料に使用することができる無香性の原料が必要とされている。
【0009】
顔料及び染料を多く含む装飾用化粧品組成物を配合するための揮発性溶媒も必要とされているため、更なる目的は、装飾用化粧料のための有効成分を有する安定な製剤を可能にする原料を提供することであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特に関心が持たれているのは、化粧品製剤に官能的に有利な印象を与えることができ、且つ敏感肌に十分に許容される新規な原料を提供することである。装飾用化粧料、例えば口紅、アイシャドー、マスカラ、マニキュア液などの製剤は、適用される部位が主に顔であるため、「重たい」印象を与えないように、その官能特性、特に揮発性に関する要求が高まっている。加えて、これらの製品における顔料の良好な分散性も望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的は、炭化水素混合物であって、炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素を含む炭化水素混合物において、C11/C12の量は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%であり、及びC14~C17の量は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%であることを特徴とする炭化水素混合物を用いて解決される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】電子鼻による無極性成分の匂いプロファイルである。
【
図2】電子鼻による極性成分の匂いプロファイルである。
【
図3】塗布直後の官能評価結果を表すグラフである。
【
図4】塗布から3分後の官能評価結果を表すグラフである。
【
図5】塗布から5分後の官能評価結果を表すグラフである。
【
図6】2つの製品の匂いに関する質問の回答を棒グラフで表す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この特定の炭化水素分布は、その匂いの観点で有利な特性を示し、好ましくは化粧品組成物において、香水、オイル香水及び香料と組み合わせて、香水入り組成物のプロファイルを変化させることなく使用することができる。
【0014】
加えて、これは、エモリエント剤の匂いをマスキングすることが不要であるため、特に無香料組成物に使用することができる。香料も香水も含まない組成物には無臭の原料が必要であり、したがって、本発明の炭化水素混合物は、好ましくは、無香料製剤、したがって敏感肌用化粧料に使用することができる。
【0015】
純粋なC13炭化水素は、匂いプロファイルが同一であるが、多くの精製ステップ並びに時間及びエネルギーを消費する製造プロセスが必要である。加えて、化粧料及びパーソナルケア組成物に使用する際に重要となる官能特性及び展延性に関して、本発明の炭化水素混合物は、皮膚に適用した後の印象が軽く、べたつかず、ロウ感もないことから有利である。
【0016】
好ましくは、炭化水素混合物は、炭化水素の合計を基準として95~99.5重量%の飽和直鎖C13炭化水素を含み、C11/C12の量は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.1~1.0重量%であり、及びC14~C17の量は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.3~3.0重量%である。
【0017】
本発明の他の実施形態において、炭化水素混合物は、炭化水素の合計を基準として少なくとも97重量%の飽和直鎖C13炭化水素を含み、C11/C12の量は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.1~0.5重量%であり、及びC14~C17の量は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.4~2.5重量%である。
【0018】
「炭化水素の合計」というパラメータには、その炭素数に関わらず、混合物中に存在する全ての炭化水素が含まれる。
【0019】
炭化水素とは、炭素及び水素のみからなる有機化合物を指す。これらは、環状及び非環状(=脂肪族)化合物の両方を含む。これらは、飽和及び1価又は多価不飽和化合物を含む。炭化水素は、直鎖又は分岐であり得る。炭化水素中の炭素原子数に従い、炭化水素は、奇数炭化水素(例えば、ノナン、ウンデカン、トリデカン)又は偶数炭化水素(例えば、オクタン、ドデカン、テトラデカン)に分類することができる。分岐の種類に応じて、炭化水素は、直鎖(=非分岐)又は分岐炭化水素に分類することができる。飽和脂肪族炭化水素は、パラフィン類と称されることもある。
【0020】
本発明に関連する「炭化水素混合物」は、炭化水素以外の物質の含有量が5重量%以下である炭化水素の混合物を意味すると理解される。直鎖C13炭化水素の重量百分率は、それぞれの場合に混合物中に存在する炭化水素の合計を基準とする。5重量%以下で存在する非炭化水素は、この計算に含まれない。
【0021】
炭化水素混合物の重量を基準として5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下、特に0.1重量%以下で存在することができる非炭化水素物質は、例えば、炭化水素混合物中に未変換の反応体として残存する脂肪アルコールである。
【0022】
本発明による炭化水素混合物は、17以上の炭素鎖長を有する炭化水素の合計が、炭化水素の合計を基準として0.5重量%以下であることを特徴とする。
【0023】
本発明による炭化水素混合物は、10以下の炭素鎖長を有する炭化水素の合計が、炭化水素の合計を基準として0.5重量%以下であることを特徴とする。
【0024】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の炭化水素混合物は、炭化水素の合計を基準として3重量%以下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下、特に0.5重量%以下の分岐炭化水素を含む。
【0025】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の炭化水素混合物は、炭化水素の合計を基準として1%未満、特に0.1%未満、特に0.01重量%未満の芳香族炭化水素を含む。
【0026】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の炭化水素混合物は、炭化水素の合計を基準として1%以下、特に0.1%以下、特に0.03重量%以下の不飽和炭化水素を含む。
【0027】
好ましい実施形態において、本発明の炭化水素混合物は、炭化水素の合計を基準として1.5重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下のC12炭化水素を含む。
【0028】
テトラデカノールの量は、炭化水素混合物の重量を基準として1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の炭化水素混合物。
【0029】
本発明の好ましい実施形態は、炭化水素混合物に関し、この混合物は、
炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%のC13炭化水素、好ましくは直鎖C13炭化水素と、
0.01~1.5重量%のウンデカンと、
0.01~1.5重量%のドデカンと、
0.1~2.0重量%のテトラデカンと、
0.01~1.5重量%のペンタデカンと
を含み、好ましくは、
炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%のC13炭化水素、好ましくは直鎖C13炭化水素と、
0.01~1.0重量%のウンデカンと、
0.01~1.0重量%のドデカンと、
0.1~2.0重量%のテトラデカンと、
0.1~1.5重量%のペンタデカンと
を含み、より好ましくは、
炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として95重量%のC13炭化水素、好ましくは直鎖C13炭化水素と、
0.01~0.7重量%のウンデカンと、
0.01~0.7重量%のドデカンと、
0.1~2.0重量%のテトラデカンと、
0.1~1.5重量%ペンタデカンと
を含む。
【0030】
特に好ましくは、炭化水素混合物は、
炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、
0.01~0.5重量%のウンデカンと、
0.01~0.5重量%のドデカンと、
0.1~1.5重量%のテトラデカンと、
0.1~1.2重量%のペンタデカンと
を含む。
【0031】
本発明の炭化水素混合物は、特に化粧品製剤、パーソナルケア製剤及び/又は医薬製剤中において、特に油分(oil body)、化粧水、洗浄剤、コンディショナー、溶剤、分散剤及び/又はエモリエント剤として使用するのに適している。
【0032】
本発明は、化粧品及び/又は医薬製剤を製造するためのプロセスであって、本発明による炭化水素混合物は、化粧的及び/又は医薬的に好適な担体に添加される、プロセスを更に提供する。
【0033】
炭化水素混合物の製造
必要とされる特定の鎖長を有する脂肪アルコールは、再生可能な原料、例えばヤシ油、パーム油又はパーム核油などから、メタノールとのエステル交換及びその後の水素化によって公知の方法で製造することができる。純粋な脂肪アルコールの他に、原則として、工業規模で製造された他の直鎖又は分岐の1価又は多価アルコール、アルコール混合物又は誘導体化アルコールも使用することができる。好ましい実施形態において、使用される1級アルコールは、一般式R-OH(式中、Rは、14個の炭素原子を含む飽和直鎖アルキル基である)に対応する。
【0034】
本発明の炭化水素混合物は、好ましくは、当業者に知られている方法によって還元的脱メチル化により得られる。本発明の炭化水素混合物の製造に特に適したプロセスは、国際出願国際公開第2007/068371号パンフレットに記載されている、植物由来の脂肪アルコールからの還元的脱ヒドロキシメチル化処理のためのプロセスである。
【0035】
このプロセスでは、例えば、具体的に選択された精製C14脂肪アルコールを、記載されているプロセスに個別に付すことができ、それにより得られたC13炭化水素を更に蒸留することによって精製することができる。しかしながら、好ましくは、反応生成物として本発明の炭化水素混合物が直接得られるように、少なくとも95重量%のC14脂肪アルコールを含むC14脂肪アルコールの混合物を還元的脱ヒドロキシメチル化に付す。
【0036】
この手順により、複雑な分画手順及び高い分離効率が不要になるが、依然として、エネルギー及び時間を要する分離ステップを含まない単純な蒸留を実施することにより、十分な純度を有する生成物が達成される。この生成物は、複雑な精製ステップなしにそのまま化粧品製剤及び/又は医薬製剤に使用することができる。
【0037】
化粧品及び/又は医薬製剤
本発明の炭化水素混合物は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素とを含み、皮膚及び/又は毛髪をケアするための化粧品製剤、特に日光防御のための化粧品製剤での使用に適している。
【0038】
本発明の炭化水素混合物は、無香性の性質を有するため、香水、オイル香水又は他の香料を含む製剤に特に適しており、主に装飾用化粧品製剤、例えば口紅、リップグロス、ファンデーション、カバー用スティック、プレスト及びルースパウダー、アイシャドー、マスカラ、アイペンシル、マニキュア液並びに任意の種類のメークアップ用製剤の組成物に組み込まれる。
【0039】
本発明の炭化水素混合物は、装飾用化粧料を使用した後に皮膚を清浄化するための製剤、例えばメーク落とし並びに皮膚及び/又は毛髪を清浄化するための製剤、例えばシャンプー、シャワージェル、入浴剤、特にコンディショナーのための製剤に加えて、オーフレッシュ、オードパルファム、オードトワレ、エリキシル剤又は抽出香料などの組成物及びアフターシェーブローションでの使用に適している。
【0040】
本発明の炭化水素混合物は、微細なエマルション、例えばナノエマルション、マイクロエマルション又はPITエマルションの製造にも適している。一般に、この種の微細なエマルション中には、直径が10~1000nm、好ましくは100~500nmの範囲の油滴が存在する。
【0041】
本発明の他の主題は、化粧品及び/又は医薬製剤であって、化粧品製剤及び/又は医薬製剤を基準として0.1~80重量%の炭化水素混合物を含み、この炭化水素混合物は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素とを含む、化粧品及び/又は医薬製剤である。
【0042】
本発明の好ましい実施形態は、0.1~80重量%、好ましくは0.5~50重量%、より好ましくは5~25重量%、最も好ましくは1~5重量%の炭化水素混合物を含む化粧品及び/又は医薬製剤であって、この炭化水素混合物は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素とを含む、化粧品及び/又は医薬製剤に関する。
【0043】
「炭化水素の合計」というパラメータには、その炭素数に関わらず、化粧品及び/又は医薬製剤中に存在する全ての炭化水素が含まれる。
【0044】
「炭化水素の重量%」又は「炭化水素混合物の重量%」という用語は、特に指定のない限り、常に化粧品及び/又は医薬製剤の総重量に関する。
【0045】
したがって、これらの化粧品及び/又は医薬製剤は、直鎖C13炭化水素の合計が炭化水素の合計を基準として95重量%以上であることを条件として、更なる炭化水素、例えばパラフィン類又はロウ類を含むことができる。
【0046】
本発明による化粧品組成物は、特に、ボディケア、フェイスケア、サンケア及びヘアケア用製剤並びに装飾用化粧料、例えばボディ用乳液、クリーム、化粧水、アフターシェーブローション、噴霧可能なエマルション、ヘアトニック及び着香水、体臭を消すための防臭剤及び制汗剤などの製品、メーク落とし、コンディショナー、整髪用製品であり得る。可溶化剤組成物も、更なる界面活性剤を含む製剤、例えばフォームバス及びシャワージェル、ヘアシャンプー及びヘアケア用リンスなどに使用することができる。
【0047】
本発明の特に好ましい実施形態は、0.1~80重量%、好ましくは0.5~50重量%、より好ましくは5~25重量%、最も好ましくは、1~5重量%の炭化水素混合物を含む化粧品及び/又は医薬製剤であって、この炭化水素混合物は、炭化水素の合計を基準として95~99.5重量%の飽和直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.1~1.0重量%の量の飽和直鎖C11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.3~3.0重量%の量の飽和直鎖C14~C17炭化水素とを含む、化粧品及び/又は医薬製剤に関する。
【0048】
本発明の他の特に好ましい実施形態は、0.1~80重量%、好ましくは0.5~50重量%、より好ましくは5~25重量%、最も好ましくは1~5重量%の炭化水素混合物を含み、香料、香水又はオイル香水を含まない化粧品及び/又は医薬製剤であって、この炭化水素混合物は、炭化水素の合計を基準として95~99.5重量%の飽和直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.1~1.0重量%の量の飽和直鎖C11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.3~3.0重量%の量の飽和直鎖C14~C17炭化水素とを含む、化粧品及び/又は医薬製剤に関する。
【0049】
好ましい実施形態において、化粧品及び/又は医薬製剤は、0.1~80重量%、好ましくは0.5~50重量%、より好ましくは5~25重量%、最も好ましくは1~5重量%の炭化水素混合物を含み、この炭化水素混合物は、炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素とを含み、テトラデカノールの量は、炭化水素混合物を基準として1重量%以下であることを特徴とする。
【0050】
特に好ましい化粧品及び/又は医薬製剤は、0.1~80重量%、好ましくは0.5~50重量%、より好ましくは5~25重量%、最も好ましくは1~5重量%の炭化水素混合物を含み、この炭化水素混合物は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素とを含み、炭化水素の合計を基準として3重量%未満、好ましくは2重量%以下、好ましくは1重量%以下、特に0.5重量%以下の分岐炭化水素を含む。
【0051】
特に好ましい化粧品及び/又は医薬製剤は、0.1~80重量%、好ましくは0.5~50重量%、より好ましくは5~25重量%、最も好ましくは1~5重量%の炭化水素混合物を含み、この炭化水素混合物は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%のC14~C17炭化水素とを含み、炭化水素の合計を基準として1重量%未満、好ましくは0.1重量%以下の芳香族炭化水素含む。
【0052】
特に好ましい化粧品及び/又は医薬製剤は、0.1~80重量%、好ましくは0.5~50重量%、より好ましくは5~25重量%、最も好ましくは1~5重量%の炭化水素混合物を含み、この炭化水素混合物は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素とを含み、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として1重量%以下、特に0.1重量%以下、特に0.01重量%以下の不飽和炭化水素を含む。
【0053】
好ましくは、これらの化粧品及び/又は医薬製剤は、界面活性物質(界面活性剤、乳化剤)、他の油成分、真珠光沢ワックス、粘稠要素、増粘剤、過脂肪剤、安定剤、ポリマー、脂肪、ロウ、レシチン、リン脂質、生物由来物質、UV防御要素、酸化防止剤、防臭剤、制汗剤、抗フケ剤、皮膜形成剤、膨潤剤、昆虫忌避剤、セルフタンニング剤、チロシナーゼ阻害剤(色素沈着抑制剤)、ハイドロトロープ剤、可溶化剤、防腐剤、オイル香水、顔料、染料及びこれらの混合物からなる群から選択される追加の補助剤及び添加剤を含む。
【0054】
より好ましくは、化粧品製剤は、0.1~80重量%、好ましくは0.5~50重量%、より好ましくは5~25重量%、最も好ましくは1~5重量%の炭化水素混合物と、成分としての少なくとも1種の香水、オイル香水又は香料並びに/或いは少なくとも1種のUV光防御遮蔽剤及び/又は顔料若しくは染料とを含み、この炭化水素混合物は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素とを含む。
【0055】
本発明の他の実施形態において、化粧品製剤は、香水、香料及びオイル香水を含まず、0.1~80重量%、好ましくは0.5~50重量%、より好ましくは1~25%、最も好ましくは1~5重量%の炭化水素混合物と、界面活性物質(界面活性剤、乳化剤)、他の油成分、真珠光沢ワックス、粘稠要素、増粘剤、過脂肪剤、安定剤、ポリマー、脂肪、ロウ、レシチン、リン脂質、生物由来物質、UV防御要素、酸化防止剤、防臭剤、制汗剤、抗フケ剤、皮膜形成剤、膨潤剤、昆虫忌避剤、セルフタンニング剤、チロシナーゼ阻害剤(色素沈着抑制剤)、ハイドロトロープ剤、可溶化剤、防腐剤、顔料、染料及びこれらの混合物からなる群から選択される追加の添加剤とを含み、この炭化水素混合物は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素とを含む。
【0056】
香水、オイル香水又は香料
オイル香水は、天然及び合成由来の混合物を含む。天然着香剤は、花、茎、葉、果実、果実の外殻、根、木、薬草及び草、針状葉及び枝、樹脂及びバルサムの抽出物であるか、又は動物性原料のもの、例えばシベット及びカストリウムなどでもあり、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール及び炭化水素型の合成着香剤化合物でもある。
【0057】
オイル香水は、花の抽出物、例えばバラ、ユリ、ラベンダー、キンセンカ、カモミール、リンデンブロッサム、スズラン、ジャスミン、ネロリ、トケイソウ、イランイラン;茎の抽出物、例えばゼラニウム、パチョリ、プチグレンなど;果実の抽出物、例えばアニス、チョウジ、コリアンダー、ヒメウイキョウ、ジュニパー、マンゴー、モモ、バニラ;果皮の抽出物、例えばベルガモット、レモン、オレンジ;根の抽出物、例えばメース、アンゼリカ、セロリ、カルダモン、木香油、アヤメ、ショウブ;木の抽出物、例えばマツ、ビャクダン、グアヤック(gujak)、セダー、ローズウッド;薬草及び草の抽出物、例えばタラゴン、レモングラス、セージ、タイム、ローズマリー、ミント、セイヨウヤマハッカ、シナモン、シナモンの葉;針状葉及び小枝の抽出物、例えばトウヒ、モミ、マツ、モンタナマツ;又は樹脂及びバルサムの抽出物、例えばガルバヌム、エレミ、安息香、没薬、乳香、オポポナックスを含む。
【0058】
香料は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール又は炭化水素の合成生成物も含み得る。
【0059】
エステル型の香料化合物は、例えば、酢酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、メチルフェニルグリシン酸エチル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、プロピオン酸スチラリル及びサリチル酸ベンジルである。
【0060】
エーテルとしては、例えば、ベンジルエチルエーテル、(ジヒドロ)ローズオキシドが挙げられる。
【0061】
アルデヒドは、8~18個のC原子を有する直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアール及びブルゲオナールから選択することができ、ケトンは、イオノン、α-イソメチルイオノン及びメチルセドリルケトンである。
【0062】
アルコールとしては、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール及びテルピネオールが挙げられる。
【0063】
多くの場合、単一種の香料は、様々な香気成分を特定の組合せで組み合わせた組成物を含む。
【0064】
主に芳香成分として使用される精油は、好ましくは、ベルガモット油、カミツレ油、ローズマリー油、タイム油、フランキンセンス油、セイヨウネズ果実油、ベチベル油、レモン油、ライム油、オレンジ油、マンダリン油、グレープフルーツ油、ラベンダー油、レモングラス油、リンデンブロッサム油、ユーカリ油、メリッサ油、ギンバイカ油、ハッカ油、松葉油、ローズ油、セージ油、ビャクダン油、ティーツリー油、ニュウコウジュ油、フェルラガルバニフルア樹脂油、ラブダナム油、ラバンデュラヒブリダ油、イランイラン油及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0065】
ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアール、リラール、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α-ヘキシルシナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイスアンブレン・フォルテ、アンブロキサン、インドール、ヘディオン、サンデライス、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、アミルグリコール酸アリル、シクロバータル、ラバンジン油、オニサルビア油、β-ダマスコン、ゼラニウムバーボン、サリチル酸シクロヘキシル、ベルトフィクス・クール、エベリニル、イラルダイン・ガンマ、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキサイド、ロミラ、イロチル及びフローラマットを単独で又は混合物として使用することも好ましい。
【0066】
本発明の特に好ましい実施形態は、0.1~80重量%の炭化水素混合物と、製剤を基準として0.01~10%、好ましくは0.1~3重量%の量の少なくとも1種の香水、及び/又はオイル香水若しくは精油、及び/又は香料とを含む化粧品及び/又は医薬製剤であって、この炭化水素混合物は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素とを含む、化粧品及び/又は医薬製剤に関する。
【0067】
UV光防御遮蔽剤
本発明の炭化水素混合物を用いることにより、特に炭化水素混合物をUV光防御遮蔽剤と一緒に使用した場合、軽い使用感を有する化粧品及び/又は医薬製剤が得られる。
【0068】
したがって、本発明は、0.1~80重量%の、直鎖C11及び直鎖C13炭化水素を含む炭化水素と、少なくとも1種のUV光防御遮蔽剤とを含む化粧品及び/又は医薬製剤であって、直鎖C11及び直鎖C13炭化水素の合計は、炭化水素の合計を基準として60重量%以上である、化粧品及び/又は医薬製剤を提供する。
【0069】
本発明によれば、好適なUV光防御遮蔽剤は、紫外線を吸収し、吸収したエネルギーを再びより波長の長い放射、例えば熱の形態で放出することができる、室温で液体又は結晶である有機物質(光防御遮蔽剤)である。UV遮蔽剤は、油溶性又は水溶性であり得る。典型的な油溶性UVB遮蔽剤又は広帯域UVA/B遮蔽剤の例として、以下が挙げられる:
・3-ベンジリデンカンファー又は3-ベンジリデンノルカンファー(Mexoryl SDS 20)及びその誘導体、例えば欧州特許第0693471B1号明細書に記載されている3-(4-メチルベンジリデン)カンファー、
・3-(4’-トリメチルアンモニウム)ベンジリデンボルナン-2-オン硫酸メチル(Mexoryl SO)、
・3,3’-(1,4-フェニレンジメチン)ビス(7,7-ジメチル-2-オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-メタンスルホン酸)及び塩(Mexoryl SX)、
・3-(4’-スルホ)ベンジリデンボルナン-2-オン及び塩(Mexoryl SL)、
・N-{(2及び4)-[2-オキソボルン-3-イリデン)-メチル}ベンジル]アクリルアミドの重合体(Mexoryl SW)、
・2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-(2-メチル-3-(1,3,3,3-テトラメチル-1-(トリメチルシリルオキシ)-ジシロキサニル)プロピル)フェノール(Mexoryl SL)、
・4-アミノ安息香酸誘導体、好ましくは4-(ジメチルアミノ)安息香酸2-エチルヘキシル、4-(ジメチルアミノ)安息香酸2-オクチル及び4-(ジメチル-アミノ)安息香酸アミル;
・ケイ皮酸のエステル、好ましくは4-メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、4-メトキシケイ皮酸プロピル、4-メトキシケイ皮酸イソアミル、2-シアノ-3,3-フェニルケイ皮酸2-エチルヘキシル(オクトクリレン);
・サリチル酸のエステル、好ましくはサリチル酸2-エチルヘキシル、サリチル酸4-イソプロピルベンジル、サリチル酸ホモメンチル;
・ベンゾフェノンの誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン;
・ベンザルマロン酸のエステル、好ましくは4-メトキシベンズマロン酸ジ-2-エチルヘキシル;
・トリアジン誘導体、例えば欧州特許出願公開第0818450A1号明細書に記載されている2,4,6-トリアニリノ(p-カルボ-2’-エチル-1’-ヘキシルオキシ)-1,3,5-トリアジン及び2,4,6-トリス[p-(2-エチルヘキシルオキシ-カルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン(UvinulT 150)又は4,4’-[(6-[4-((1,1-ジメチルエチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)ジイミノ]安息香酸ビス(2-エチルヘキシル)(Uvasorb(登録商標)HEB);
・2,2-(メチレンビス(6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール)(Tinosorb M);
・2,4-ビス[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(Tinosorb S);
・プロパン-1,3-ジオン、例えば1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4’-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン;
・欧州特許第0694521B1号明細書に記載されているケトトリシクロ(5.2.1.0)デカン誘導体;
・ベンザルマロン酸ジメチコジエチル(Parsol SLX)。
【0070】
有用な水溶性UV遮蔽剤として、以下が挙げられる:
・2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸及びそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム及びグルカンモニウム塩;
・2,2-((1,4-フェニレン)ビス(1H-ベンズイミダゾール-4,6-ジスルホン酸一ナトリウム塩)(NeoHeliopan AP);
・ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸及びその塩;
・3-ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば4-(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸及び2-メチル-5-(2-オキソ-3-ボルニリデン)スルホン酸及びこれらの塩。
【0071】
有用な典型的なUVA遮蔽剤は、特に、ベンゾイルメタンの誘導体、例えば1-(4’-tert-ブチルフェニル)-3-(4’-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイル-メタン(Parsol(登録商標)1789)、1-フェニル-3-(4’-イソプロピルフェニル)プロパン-1,3-ジオン及び独国特許出願公開第19712033A1号明細書(BASF)に記載されているエナミン化合物並びにまた安息香酸2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシ-ベンゾイル]ヘキシルエステル(Uvinul(登録商標)Aplus)である。
【0072】
当然のことながら、UVA及びUVB遮蔽剤も混合物中に使用され得る。特に好ましい組合せは、ベンゾイルメタンの誘導体、例えば4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン(Parsol(登録商標)1789)及び2-シアノ-3,3-フェニルケイ皮酸2-エチルヘキシル(オクトクリレン)と、ケイ皮酸のエステル、好ましくは4-メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、及び/又は4-メトキシケイ皮酸プロピル、及び/又は4-メトキシケイ皮酸イソアミルとの組合せからなる。この種の組合せは、水溶性遮蔽剤、例えば2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸及びそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム及びグルカンモニウム塩と有利に組み合わされる。
【0073】
好適なUV光防御遮蔽剤は、本明細書において明示的に参照される、特に委員会指令(Commission Directive)(化粧品に関する理事会指令(Council Directive)76/768/EECを、その附属書VIIを技術進歩に適合させる目的で改正した、2005年1月28日付の委員会指令2005/9/EC)の附属書VIIに従って認可された物質である。
【0074】
ここに述べた可溶性物質に加えて、不溶性光防御顔料、具体的には微細に分散した金属酸化物及び塩もこの目的に有用である。好適な金属酸化物の例は、特に、酸化亜鉛及び二酸化チタン、加えて鉄の酸化物、ジルコニウムの酸化物、ケイ素の酸化物、マンガンの酸化物、アルミニウムの酸化物及びセリウムの酸化物並びにこれらの混合物である。使用する塩は、ケイ酸塩(タルク)、硫酸バリウム又はステアリン酸亜鉛であり得る。酸化物及び塩は、スキンケア及び皮膚保護用エマルション並びに装飾用化粧料のための顔料の形態で使用される。粒子の平均径は、100nm未満、好ましくは5~50nm、特に15~30nmであるべきである。これらは、球形であり得るが、楕円形状を有するか、又は球状の輪郭から他の何らかの方法で逸れた形状を有する粒子を使用することも可能である。顔料は、表面処理、即ち親水性化又は疎水性化された形態で存在することもできる。その典型的な例は、被覆された二酸化チタン、例えばT 805二酸化チタン(Degussa)又はEusolex(登録商標)T、Eusolex(登録商標)T-2000、Eusolex(登録商標)T Aqua、Eusolex(登録商標)AVO、Eusolex(登録商標)T-ECO、Eusolex(登録商標)T-OLEO及びEusolex(登録商標)T-S(Merck)である。酸化亜鉛の典型的な例は、例えば、Zinc Oxide neutral、Zinc Oxide NDM(Symrise)又はZ-Cote(登録商標)(BASF)又はSUNZnO-AS及びSUNZnO-NAS(Sunjun Chemical Co.Ltd.)である。好適な疎水性被覆は、特に、シリコーン、具体的にはトリアルコキシオクチルシラン又はシメチコンである。サンスクリーン組成物中にミクロ顔料又はナノ顔料を使用することが好ましい。微粉化された酸化亜鉛を使用することが好ましい。
【0075】
上記の主要な光防御物質の2つの群に加えて、皮膚に紫外放射が侵入することにより誘発される光化学反応の連鎖を阻止する酸化防止型の二次的光防御剤を使用することも可能である。その典型的な例は、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)及びその誘導体、イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)及びその誘導体、ペプチド、例えばD,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシン及びその誘導体(例えば、アンセリン)、カロテノイド、カロテン(例えば、α-カロテン、β-カロテン、リコペン)及びその誘導体、クロロゲン酸及びその誘導体、リポ酸及びその誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、オーロチオグルコース、プロピルチオウラシル及び他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン及びこれらのグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル、ラウリル、パルミトイル、オレイル、リノレイル、コレステリル及びグリセリルエステル)及びこれらの塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸及びその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド及び塩)並びにスルホキシミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタチオニンスルホキシミン)を非常に低い許容される用量(例えば、pmol~mol/kg)で用いるもの、また(金属)キレート剤(例えば、α-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α-ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、没食子酸、胆汁エキス、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTA及びその誘導体、不飽和脂肪酸及びその誘導体(例えば、γ-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸及びその誘導体、ユビキノン及びユビキノール並びにこれらの誘導体、ビタミンC及び誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルMg、酢酸アスコルビル)、トコフェロール及び誘導体(例えば、酢酸ビタミンE)、ビタミンA及び誘導体(パルミチン酸ビタミンA)並びにベンゾイン樹脂の安息香酸コニフェリル、ルチン酸及びその誘導体、α-グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアイアレチン酸、ノルジヒドログアヤレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸及びその誘導体、マンノース及びその誘導体、スーパーオキシドジスムターゼ、亜鉛及びその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO4)、セレン及びその誘導体(例えば、セレノメチオニン)、スチルベン及びその誘導体(例えば、スチルベンオキシド、トランス-スチルベンオキシド)及び誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチド及び脂質)は、上に規定した活性成分の中でも本発明に従って適している。
【0076】
本発明の好ましい実施形態は、0.1~80重量%、好ましくは0.5~50重量%、より好ましくは5~25重量%、最も好ましくは1~5重量%の炭化水素混合物と、4-メチルベンジリデンカンファー、ベンゾフェノン-3、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、エチルヘキシルトリアゾン及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、3-(4’-トリメチルアンモニウム)ベンジリデンボルナン-2-オン硫酸メチル、3,3’-(1,4-フェニレンジメチン)ビス(7,7-ジメチル-2-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-メタンスルホン酸)及びその塩、3-(4’-スルホ)ベンジリデンボルナン-2-オン及びその塩、N-{(2及び4)-[2-オキソボルン-3-イリデン)メチル}ベンジル]アクリルアミドの重合体、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-(2-メチル-3-(1,3,3,3-テトラメチル-1-(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)-プロピル)フェノール、ジメチコジエチルベンザルマロネート及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のUV光防御遮蔽剤とを含む化粧品及び/又は医薬製剤であって、この炭化水素混合物は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素とを含む、化粧品及び/又は医薬製剤に関する。
【0077】
これらのUV光防御遮蔽剤は、例えば、以下の商品名で市販されている:NeoHeliopan(登録商標)MBC(INCI:メチルベンジリデンカンファー(4-Methylbenzylidene Camphor);製造業者:Symrise);NeoHeliopan(登録商標)BB(INCI:オキシベンゾン-3(Benzophenone-3);製造業者:Symrise);Parsol(登録商標)1789(INCI:t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン(Butyl Methoxydibenzoylmethane);製造業者:Hoffmann-La Roche(Givaudan));Tinosorb(登録商標)S(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(Bis-Ethylhexyloxyphenol Methoxyphenyl Triazine));Tinosorb(登録商標)M(INCI:メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(Methylene Bis-Benzotriazolyl Tetramethylbutylphenol);製造業者:Ciba Specialty Chemicals Corporation);Uvasorb(登録商標)HEB(INCI:ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(Diethylhexyl Butamido Triazone);製造業者:3V Inc.);Uvinul(登録商標)T 150(INCI:エチルヘキシルトリアゾン(Ethylhexyl Triazone);製造業者:BASF AG);Uvinul(登録商標)A plus(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(Diethylamino Hydroxybenzoyl Hexyl Benzoate);製造業者:BASF AG);Mexoryl(登録商標)SO:3-(4’-トリメチルアンモニウム)ベンジリデンボルナン-2-オン硫酸メチル、INCI:カンファーベンザルコニウムメトスルフェート(Camphor Benzalkonium Methosulfate);Mexoryl(登録商標)SX:3,3’-(1,4-フェニレンジメチン)ビス(7,7-ジメチル-2-オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-メタンスルホン酸)、CTFA:INCI:テレフタリリデンジカンフルスルホン酸(Terephthalylidene Dicamphor Sulfonic Acid);Mexoryl(登録商標)SL:3-(4’-スルホ)ベンジリデンボルナン-2-オン、INCI:ベンジリデンカンファースルホン酸(Benzylidene Camphor Sulfonic Acid);Mexoryl(登録商標)SW:N-{(2及び4)-[2-オキソボルン-3-イリデン)メチル}-ベンジル]アクリルアミドの重合体、INCI:ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー(Polyacrylamidomethyl Benzylidene Camphor);Mexoryl(登録商標)SL:2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-(2-メチル-3-(1,3,3,3-テトラメチル-1-(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)プロピル)フェノール、INCI:ドロメトリゾールトリシロキサン(Drometrizole trisiloxane);Parsol(登録商標)SLX:ジメチコジエチルベンザルマロネート、INCI:ポリシリコーン-15(Polysilicone-15)。
【0078】
本発明の製剤は、UV光防御遮蔽剤を、化粧品及び/又は医薬製剤の総重量を基準として0.5~30重量%、好ましくは2.5~20重量%、より好ましくは5~15重量%の量で含むことができる。
【0079】
本発明は、0.1~80重量%、好ましくは0.5~50重量%、より好ましくは5~25重量%、最も好ましくは1~5重量%の炭化水素混合物と、少なくとも1種のセルフタンニング剤とを含む化粧品及び/又は医薬製剤であって、この炭化水素混合物は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素とを含む、化粧品及び/又は医薬製剤を提供する。
【0080】
セルフタンニング剤は、皮膚を褐色にする物質を意味すると理解される。その例として、皮膚中のアミノ酸とメイラード反応の方式で反応して有色の化合物を生成するジヒドロキシアセトン、エリトルロース及びα,β-不飽和アルデヒドが挙げられる。セルフタンニング剤の有用な活性成分には、天然又は合成のケトール又はアルドールも含まれる。活性成分の好適な例としては、ジヒドロキシアセトン、エリトルロース、グリセロールアルデヒド、アロキサン、ヒドロキシメチルグリオキサール、γ-ジアルデヒド、6-アルド-D-フルクトース、ニンヒドリン及びメソ酒石酸アルデヒドが挙げられる。好適なセルフタンニング剤は、特にジヒドロキシアセトン及び/又はエリトルロースである。
【0081】
上記の活性成分の混合物又はムコンアルデヒド及び/若しくはナフトキノン、例えば5-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン(ジュグロン)及び2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノンとの混合物も特に有利であることが分かっている。
【0082】
本発明の製剤は、セルフタンニング剤を、典型的には化粧品及び/又は医薬製剤の総重量を基準として1~10重量%、特に2~5重量%の濃度で含む。
【0083】
本発明の特に好ましい実施形態は、0.1~80重量%、好ましくは0.5~50重量%、より好ましくは5~25重量%、最も好ましくは1~5重量%の炭化水素混合物と、少なくとも1種UV光防御遮蔽剤及び少なくとも1種のセルフタンニング剤とを含む化粧品及び/又は医薬製剤であって、この炭化水素混合物は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素とを含む。
【0084】
本発明の化粧品及び/又は医薬製剤は、例えば、O/W型又はW/O型ケア用エマルション、日焼け止め製剤、制汗/防臭の概念に基づく製剤、装飾用化粧品製剤、ケア用油性製剤、基材、例えば紙又は不織製品の含浸液として存在することができる。その例として、ウェットティッシュ、ティッシュペーパー、おむつ又は衛生用品が挙げられる。
【0085】
本発明の炭化水素混合物及び本発明の化粧品及び/又は医薬製剤は、特に、乳児衛生分野、ベビーケア、スキンケア、日光防御、日焼け後の処置、昆虫忌避、清浄化、洗顔及び制汗/防臭用途における、軽い使用感を有する噴霧可能な用途並びに/又はティッシュペーパー、紙、ワイプシート、スポンジ(例えば、ポリウレタンスポンジ)、絆創膏のためのケア用エマルションの構成成分としても適している。これらは、清浄化、衛生及び/又はケア分野に利用されるティッシュペーパー、紙、ワイプシート、不織製品、スポンジ、化粧用パフ、絆創膏及び包帯に利用することができる(乳児衛生及びベビーケア用ウェットティッシュ、汚れ落とし用ワイプシート、顔の汚れ落とし用ワイプシート、スキンケア用ワイプシート、皮膚の老化に対抗する活性成分を含むケア用ワイプシート、日焼け止め製剤及び昆虫忌避剤を含むワイプシート並びに装飾用化粧用又は日焼け後の処置用ワイプシート、トイレ用ウェットティッシュ、制汗用ワイプシート、おむつ、ティッシュペーパー、ウェットティッシュ、衛生用品、セルフタンニング用ワイプシート、トイレットペーパー、清涼化用ワイプシート、アフターシェーブ用ワイプシート)。これらは、とりわけ、ヘアケア、毛髪洗浄又は毛髪着色用製剤に使用することもできる。本発明の炭化水素混合物の使用は、適用時の官能特性に好ましい影響が与える。
【0086】
本発明の炭化水素混合物は、装飾用化粧品製剤、例えば口紅、目元のメーク用化粧料、例えばアイシャドー、マスカラ、アイペンシル、コール墨、マニキュア液など、及びメークアップ製剤の構成成分として特に適している。
【0087】
したがって、本発明は、0.1~80重量%、好ましくは0.5~50重量%、より好ましくは5~25重量%、最も好ましくは1~5重量%の炭化水素混合物と、少なくとも1種の顔料及び/又は染料とを含む化粧品及び/又は医薬製剤であって、この炭化水素混合物は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素とを含む、化粧品及び/又は医薬製剤を提供する。
【0088】
加えて、本発明は、着色されたメークアップ及び/又は皮膚若しくは口唇ケア用化粧品組成物であって、組成物の総重量に対して少なくとも0.1重量%の顔料及び/又は染料を含み、且つ組成物の総重量に対して1~80重量%、好ましくは3~50重量%、より好ましくは5~25重量%の炭化水素混合物を含み、この炭化水素混合物は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素とを含む、化粧品組成物に関する。
【0089】
顔料及び染料
顔料という用語は、白色又は有色であり、有機又は無機であり、製剤中に不溶であり、製剤を着色する役割を果たすあらゆる種類の粒子を包含する。顔料は、化粧品組成物の総重量に対して0.1~15重量%、特に1~10重量%、特に2~8重量%の割合で存在することができる。
【0090】
好ましい実施形態では、無機顔料が使用され、特に金属酸化物が好ましい。
【0091】
無機顔料の例として、以下が挙げられる:任意選択的に表面被覆された二酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム並びに酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色又は赤色)及び酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、水酸化クロム及び青色鉄(III)、アルミニウム粉末又は銅粉末などの金属粉末。
【0092】
本発明の好ましい実施形態において、顔料は、無機顔料、好ましくは金属酸化物から選択される。好ましい実施形態において、顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0093】
顔料は、単独で又は混合物のいずれかで存在することができる。
【0094】
本発明に関連して、白色顔料(例えば、カオリン、二酸化チタン又は酸化亜鉛)及び無機有色顔料(例えば、酸化鉄顔料、酸化クロム)から構成される顔料混合物が好ましく、顔料は、被覆形態又は無被覆形態で存在することができる。有色顔料の中で、酸化鉄が特に好ましい。
【0095】
本発明に関連して、有利には、顔料は、純色に加えて、化粧品製剤に追加の特性、例えば色の視角依存性(フロップ性)、光輝感(表面光沢ではなく)又は質感を付与するエフェクト顔料からなる群から選択することもできる。この種のエフェクト顔料は、本発明に従い、有利には、1種又は複数の白色及び/又は有色顔料に追加して使用される。
【0096】
エフェクト顔料の最も重要な群は、光輝顔料であり、DIN 55944:2003-11に準拠すると、これには、金属光沢(顔料及び真珠光沢顔料が含まれる。一部の特定のエフェクト顔料、例えば薄片状グラファイト、薄片状酸化鉄及び二酸化チタン微粉末は、これらの2つの群に振り分けることができず、後者は、光輝効果を呈するものではなく、角度依存性光散乱効果を呈する。DIN 55943:2001-10に準ずる光輝顔料は、主に薄片状のエフェクト顔料である。光輝顔料を平行に整列させると、特徴的な光輝を呈する。光輝顔料の視覚効果は、金属粒子上での指向性反射(金属光沢顔料)、高屈折率を有する透明粒子(真珠光沢顔料)又は干渉現象(干渉顔料)に基づく(DIN 55944:2003 11)。
【0097】
本発明による好ましい市販のエフェクト顔料の例は、以下の通りである:MerckからのTimiron及び#174;MerckからのIriodin及び#174(工業用装飾用途に用いるための真珠光沢及び有色光輝顔料);MerckからのXirallic及び#174(明度の高い色を有するクリスタル効果顔料)。
【0098】
加えて、本発明の製剤は、有利には、有機有色顔料、即ち製剤中に実質的に不溶な有機染料も含むことができる。DIN 55944:1990-04によれば、有機顔料は、その化学的側面に従い、アゾ顔料及び多環顔料に分けることができ、色の側面に従い、有彩色又は黒色顔料に分けることができる。有機白色顔料は、実用上重要ではない。
【0099】
本発明に関連して、顔料は、有利には、市販の油性又は水性予備分散物の形態で用いることもできる。本発明の製剤は、典型的には、化粧品及び/又は医薬製剤の総重量に基づいて0.1~40重量%の顔料を含む。
【0100】
本発明に関連して、本発明の製剤が1種又は複数の染料を含むことも有利である。
【0101】
染料は、合成由来又は天然由来であり得る。
【0102】
好適な染料の一覧は、欧州特許出願公開第1371359A2号明細書8頁25~57行目、9頁及び10頁に加えて、11頁1~54行目に記載されており、これは、本明細書において明示的に参照される。
【0103】
本発明の製剤は、典型的には、化粧品及び/又は医薬製剤の総重量を基準として0.01~5重量%、好ましくは0.1~1.0重量%の染料を含む。本発明の製剤は、典型的には、染料及び顔料を、化粧品及び/又は医薬製剤の総重量を基準として0.01~30重量%、特に0.1~15重量%、好ましくは1~10重量%の範囲の総量で含む。
【0104】
好適な染料及び顔料は、特に、本明細書において明示的に参照される、委員会指令(化粧品に関する理事会指令76/768/EECを、その附属書IV及びVIを技術進歩に適合させる目的で改正した、2007年4月17日付の委員会指令2007/22/EC)の附属書IVに従って認可されている染料及び顔料である。
【0105】
本発明は、炭化水素混合物と、少なくとも1種の疎水性ゲル化剤とを含む化粧品及び/又は医薬製剤であって、この炭化水素混合物は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素とを含み、好ましくは、疎水性ゲル化剤は、疎水性無機ゲル化剤、好ましくは有機変性ヘクトライトゲルを含む、化粧品及び/又は医薬製剤を更に提供する。幾つかの実施形態において、疎水性無機ゲル化剤は、ステアラルコニウムヘクトライト、ジステアルジモニウムヘクトライト及びクオタニウム-18ヘクトライトから選択される。幾つかの実施形態において、疎水性無機ゲル化剤は、組成物の総質量に対して約1質量%~約15質量%、好ましくは2~10質量%の範囲で存在する。本発明の炭化水素混合物をゲル化剤と共に含む組成物は、特にサンケア製品の耐水性及び装飾用化粧料の顔料分布を改善することが示されている。
【0106】
化粧品及び/又は医薬製剤は、ボディケア製剤、例えばボディ用乳液、クリーム、化粧水、噴霧可能なエマルション、体臭を軽減するための製品などであり得る。炭化水素混合物は、界面活性剤を含む製剤、例えばシャワー及びバスジェル、シャンプー及びケアリンス並びにオードトワレ、オードパルファム、オーフレッシュ、エリキシル剤又は抽出香料、アフターシェーブローション、ケアウォーター、2相式化粧水に使用することもできる。
【0107】
最終用途に応じて、化粧品及び/又は医薬製剤は、一連の更なる補助剤及び添加剤、例えば以下にその例を列挙する界面活性剤、更なる油分、乳化剤、真珠光沢ワックス、増粘剤、増粘剤、過脂肪剤、安定剤、ポリマー、脂肪、ロウ、レシチン、リン脂質、生物活性成分、抗フケ剤、皮膜形成剤、膨潤剤、昆虫忌避剤、セルフタンニング剤、チロシナーゼ阻害剤(色素沈着抑制剤)、ハイドロトロープ剤、可溶化剤、防腐剤、オイル香水、染料などを含む。
【0108】
本発明は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素と、少なくとも1種の乳化剤、及び/又は界面活性剤、及び/又はロウ成分、及び/又はポリマー、及び/又は更なる油分とを含む化粧品及び/又は医薬製剤を更に提供する。
【0109】
制汗剤
制汗剤は、アルミニウムの塩、ジルコニウムの塩又は亜鉛の塩である。この種の好適な制汗活性成分は、例えば、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムジクロロハイドレート、アルミニウムセスキクロロハイドレート及びこれらの例えば1,2-プロピレングリコールとの錯体、ヒドロキシアラントイン酸アルミニウム、アルミニウムクロリドタータレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、テトラクロロ(Al/ジルコニウム)水和物、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート及びこれらの例えばグリシンなどのアミノ酸との錯体である。アルミニウムクロロハイドレート、テトラクロロ(Al/ジルコニウム)水和物、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート及びこれらの錯体を使用することが好ましい。
【0110】
本発明の製剤は、制汗剤を、化粧品及び/又は医薬製剤の総重量を基準として1~50%の量、好ましくは5~30重量%、特に8~25重量%の量で含むことができる。
【0111】
エステラーゼ阻害剤
脇の下に汗が存在すると、細菌が細胞外酵素であるエステラーゼ、好ましくはプロテアーゼ及び/又はリパーゼを形成し、これらは、汗に存在するエステルを切断し、それにより臭気物質を放出する。好適なエステラーゼ阻害剤は、好ましくは、クエン酸トリアルキル、例えばクエン酸トリメチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチル、特にクエン酸トリエチル(Hydagen(登録商標)CAT、CognisGmbH、Duesseldorf/FRG)である。この物質は、酵素活性を阻害し、したがって臭いの形成を抑える。エステラーゼ阻害剤となり得る他の物質は、ステロールの硫酸又はリン酸エステル、例えばラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステロール、シトステロールの硫酸エステル又はリン酸エステル、ジカルボン酸及びそのエステル、例えばグルタル酸、グルタル酸モノエチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸、アジピン酸モノエチル、アジピン酸ジエチル、マロン酸、マロン酸ジエチル、ヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸又は酒石酸ジエチル、グリシン酸亜鉛である。
【0112】
本発明の製剤は、エステラーゼ阻害剤を、化粧品及び/又は医薬製剤の総重量を基準として0.01~20重量%、好ましくは0.1~10重量%、特に0.3~5重量%の量で含むことができる。
【0113】
殺菌又は静菌活性成分
好適な殺菌又は静菌活性成分の典型的な例は、特にキトサン又はフェノキシエタノールである。5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノールも特に有効であることが分かっており、Irgasan(登録商標)ブランドでBasle、SwitzerlandのCiba-Geigy社から販売されている。好適な殺菌剤は、原則としてグラム陽性菌に作用するあらゆる物質であり、例えば4-ヒドロキシ安息香酸並びにその塩及びエステル、N-(4-クロロフェニル)-N’-(3,4-ジクロロフェニル)尿素、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2’-メチレンビス(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-1,2-プロパンジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、クロルヘキシジン、3,4,4’-トリクロロカルバニリド(TTC)、抗菌臭気物質、チモール、タイム油、オイゲノール、チョウジ油、メントール、ハッカ油、ファルネソール、フェノキシエタノール、モノカプリン酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル(GML)、モノカプリン酸ジグリセリル(DMC)、N-アルキルサリチルアミド、例えばn-オクチルサリチルアミド又はn-デシルサリチルアミドである。
【0114】
本発明の製剤は、殺菌又は静菌活性成分を、化粧品及び/又は医薬製剤の総重量を基準として0.01~5重量%、好ましくは0.1~2重量%の量で含むことができる。
【0115】
吸汗物質
有用な吸汗物質としては、化工デンプン、例えばDry Flo Plus(National Starchから)、ケイ酸塩、タルク及び汗を吸収させるのに適していると思われる類似の多形性を有する他の物質が挙げられる。本発明の製剤は、吸汗物質を、化粧品及び/又は医薬製剤の総重量を基準として0.1~30重量%、好ましくは1~20重量%、特に2~8重量%の量で含むことができる。
【0116】
本発明の炭化水素混合物を、特に炭化水素混合物を制汗/防臭活性成分と一緒に使用した場合、軽い使用感を有する安定な化粧品及び/又は医薬製剤が得られる。
【0117】
本発明によれば、好適な制汗/防臭活性成分は、体臭を消すか、隠すか又は取り除くあらゆる活性成分である。体臭は、アポクリン腺からの発汗に皮膚の細菌が作用し、不快な臭いの分解物を形成した結果として発生する。好適な制汗/防臭活性成分は、特に、制汗剤、エステラーゼ阻害剤、殺菌若しくは静菌活性成分及び/又は汗を吸収する物質からなる群から選択される化合物である。
【0118】
好ましくは、本発明の炭化水素混合物を含む化粧品及び/又は医薬製剤は、少なくとも1種のポリオール、及び/又は乳化剤、及び/又は界面活性剤、及び/又はロウ成分、及び/又はポリマー、及び/又は更なる油分を含む。
【0119】
より好ましくは、ポリオールは、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-ペンタンジオール又は1,2-ヘキサンジオールからなる群から選択される。
【0120】
乳化剤
本発明の一実施形態において、本発明の製剤は、少なくとも1種の乳化剤を含む。
【0121】
したがって、本発明は、0.1~80重量%、好ましくは0.5~50重量%、より好ましくは5~25重量%、最も好ましくは1~5重量%の炭化水素混合物と、少なくとも1種の乳化剤とを含む化粧品及び/又は医薬製剤であって、この炭化水素混合物は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素とを含む、化粧品及び/又は医薬製剤を更に提供する。
【0122】
本発明の製剤は、乳化剤を、典型的には製剤の総重量を基準として0~40重量%、好ましくは0.1~20重量%、好ましくは0.1~15重量%、特に0.1~10重量%の量で含む。
【0123】
各乳化剤は、水溶性又は油溶性のいずれが優位であるかを表す、いわゆるHLB値(0~20の無次元数)を割り当てられる。この数字が9を下回る場合、油溶性が優位な疎水性乳化剤であることを表し、数字が11を超える場合、水溶性の親水性乳化剤である。HLB値は、乳化剤の親水性基及び親油性基のサイズ及び強さのバランスを表す。乳化剤のHLB値は、変化量から算出することもでき、分子を構成する異なる親水性基及び疎水性基ごとのHLBの変化量が表にまとめて記載されている(例えば、H.P.Fiedler,Lexikon der Hilfsstoffe fuer Pharmazie,Kosmetik und angrenzende Gebiete[Lexicon of the Excipients for Pharmacy,Cosmetics and Related Fields],Editio Cantor Verlag,Aulendorf,4th Ed.1996)か、又は製造業者のデータからも得られる。乳化剤の油又は水中への溶解性から、エマルションの種類及び相の数が有効に決定される。乳化剤の水中への溶解性がより高い場合、O/W型エマルションが得られる。反対に、乳化剤の油相中への溶解性がより高く、それ以外の条件が同じである場合、W/Oエマルションが生成する。乳化剤の親水性及び親油性を調整することにより、例えば1つの油相、1つの水相、油相及び水相の2つの分離した相又は共連続エマルションが得られる。
【0124】
本発明の一実施形態において、本発明の製剤は、2種以上の乳化剤を含む。当業者は、他の成分に応じて、使用する慣用の乳化剤系(例えば、乳化剤及び乳化助剤)を変える。
【0125】
より好ましくは、乳化剤は、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、オレイン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ジカプリン酸ポリグリセリル-6、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-10、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、ジオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-10、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-20からなる群から選択されるポリグリセロール脂肪酸エステルから、及びイソステアリン酸PEG-8グリセリル、PEG-7グリセリルココエート、PEG-7(カプリル/カプリン酸)グリセリズ、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル、ラウリン酸PEG-12、テトラオレイン酸ソルベス-30、オレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、PEG-5ラウレス-5、PPG-1-PEG-9ラウリルグリコールエーテル、PEG-40水添ヒマシ油、ラウレス-7クエン酸、アルキルポリグルコシドからなる群から選択される非イオン性乳化剤から選択される。
【0126】
非イオン性乳化剤
非イオン性乳化剤の群としては、例えば、以下が挙げられる:
(1)2~50molのエチレンオキシド及び/又は1~20molのプロピレンオキシドを、8~40個の炭素原子を有する直鎖脂肪アルコール、12~40個の炭素原子を有する脂肪酸及びアルキル基中に8~15個の炭素原子を有するアルキルフェノールに付加させた付加生成物。
(2)1~50molのエチレンオキシドをグリセロールに付加した付加生成物のC12~C18脂肪酸モノ-及びジエステル。
(3)6~22個の炭素原子を有する飽和及び不飽和脂肪酸のソルビタンモノ-及びジエステル並びにそのエチレンオキシド付加生成物。
(4)アルキル基中に8~22個の炭素原子を有するアルキルモノ-及びオリゴグリコシド及びそのエトキシル化された類似体。
(5)7~60molのエチレンオキシドをヒマシ油及び/又は水添ヒマシ油に付加した付加生成物。
(6)ポリオール、特にポリグリセリルのエステル、例えばポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)ポリオールエステル、ポリリシノール酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル又はダイマー酸ポリグリセリル。これらに分類される物質の2種以上の化合物の混合物も同様に好適である。
(7)2~15molのエチレンオキシドをヒマシ油及び/又は水添ヒマシ油に付加した付加生成物。
(8)直鎖、分岐、不飽和又は飽和C6~C22脂肪酸、リシノール酸及び12-ヒドロキシステアリン酸と、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、アルキルグルコシド(例えば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)及びポリグルコシド(例えば、セルロース)とをベースとする部分エステル又は混合エステル、例えばクエン酸ステアリン酸グリセリル及び乳酸ステアリン酸グリセリル。
(9)ポリシロキサン-ポリアルキル-ポリエーテルコポリマー及び対応する誘導体。
(10)ペンタエリスリトール、脂肪酸、クエン酸及び脂肪アルコールの混合エステル並びに/又は6~22個の炭素原子を有する脂肪酸、メチルグルコース及びポリオール、好ましくはグリセロール若しくはポリグリセロールの混合エステル。
【0127】
エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを、脂肪アルコール、脂肪酸、アルキルフェノール、グリセリルモノ-及びジエステル並びに脂肪酸のソルビタンモノ-及びジエステルに付加した付加生成物並びにヒマシ油に付加した付加生成物が知られており、市販されている製品である。これらは、同族体混合物であり、その平均アルコキシル化度は、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの量と、付加反応を実施する基質との比に対応する。エトキシル化度に応じて、これらは、W/O型又はO/W型乳化剤となる。エチレンオキシドをグリセロールに付加した付加生成物のC12/18脂肪酸モノ-及びジエステルは、化粧品製剤の脂質補給剤として知られている。
【0128】
本発明による特に好適な低刺激性乳化剤は、ポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)ポリオール及びその混合物であり、これは、例えば、「Dehymuls(登録商標)PGPH」(W/O乳化剤)又は「Eumulgin(登録商標)VL 75」(ラウリルグルコシドとの重量比1:1のブレンド、O/W乳化剤)又はDehymuls(登録商標)SBL(W/O乳化剤)ブランドでCognis Deutschland GmbHから販売されている。これに関連して、特に欧州特許第766661B1号明細書を参照することができる。これらの乳化剤のポリオール成分は、少なくとも2個、好ましくは3~12個、特に3~8個のヒドロキシル基及び2~12個の炭素原子を有する物質から誘導することができる。特に好ましい乳化剤は、例えば、セチルジメチコンコポリオール(例えば、Abil EM-90)、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2(例えば、Dehymuls PGPH)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3(例えば、Lameform TGI)、イソステアリン酸ポリグリセリル-4(例えば、Isolan GI 34)、オレイン酸ポリグリセリル-3(例えば、Isolan GO 33)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3(例えば、Isolan PDI)、ジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコース(例えば、Tego Care 450)、ポリグリセリル-3ミツロウ(例えば、Cera Bellina)、カプリン酸ポリグリセリル-4(例えば、Polyglycerol Caprate T2010/90)、ポリグリセリル-3セチル(例えば、Chimexane NL)、ジステアリン酸ポリグリセリル-3(例えば、Cremophor GS 32)及びポリリシノール酸ポリグリセリル(例えば、Admul WOL 1403)、オレイン酸グリセリル(例えば、Monomuls 90-O 18)、アルキルグルコシド(例えば、Plantacare 1200、Emulgade PL 68/50、Montanov 68、Tego Care CG 90、Tego Glucosid L 55)、イソステアリン酸メチルグルコース(例えば、Tego Care IS)、セスキステアリン酸メチルグルコース(Tego Care PS)、ココイル加水分解コムギタンパクNa(例えば、Gluadin WK)、セチルリン酸K(例えば、Amphisol K、Crodafos CKP)、アルキル硫酸ナトリウム(例えば、Lanette E)、ショ糖エステル(例えば、Crodesta F-10、F-20、F-50、F-70、F-110、F-160、SL-40、Emulgade(登録商標)Sucro)、エトキシル化及び/又はプロポキシル化脂肪アルコール、脂肪酸、ヒマシ油及び水添ヒマシ油(例えば、Eumulgin B2、B2、B3、L、HRE 40、HRE 60、RO 40、Cremophor HRE 40、HRE 60、L、WO 7、Dehymuls HRE 7、Arlacel 989)、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30(例えば、Arlacel P 135、Dehymuls LE)、ソルビタンエステル、ソルビタンエステルエトキシル化物及び/又はプロポキシル化物並びにこれらの混合物である。特に有効な混合物は、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2及びラウリルグルコシド及びグリセロールからなる(例えば、Eumulgin VL 75)。ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル-4(Isolan(登録商標)GPS)、ジイソステアロイルポリグリセリル-3ジイソステアレート(例えば、Isolan PDI)、アシルグルタミン酸アルカリ金属塩(例えば、Eumulgin SG)も同じく好適である。
【0129】
好適な親油性W/O乳化剤は、原則としてHLB値が1~8の乳化剤であり、これは、多くの表にまとめられており、当業者に知られている。
【0130】
W/O乳化剤の群からは、ポリオール、特にC4~C6ポリオールの部分エステル、例えばペンタエリスリトールの部分エステル又は糖エステル、例えばジステアリン酸スクロース、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ジイソステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ジオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノエルカ酸ソルビタン、セスキエルカ酸ソルビタン、ジエルカ酸ソルビタン、トリエルカ酸ソルビタン、モノリシノール酸ソルビタン、セスキリシノール酸ソルビタン、ジリシノール酸ソルビタン、トリリシノール酸ソルビタン、モノヒドロキシステアリン酸ソルビタン、セスキヒドロキシステアリン酸ソルビタン、ジヒドロキシステアリン酸ソルビタン、トリヒドロキシステアリン酸ソルビタン、モノ酒石酸ソルビタン、セスキ酒石酸ソルビタン、ジ酒石酸ソルビタン、トリ酒石酸ソルビタン、モノクエン酸ソルビタン、セスキクエン酸ソルビタン、ジクエン酸ソルビタン、トリクエン酸ソルビタン、モノマレイン酸ソルビタン、セスキマレイン酸ソルビタン、ジマレイン酸ソルビタン、トリマレイン酸ソルビタン及びその工業用混合物が特に有利である。1~30、好ましくは5~10molのエチレンオキシドを、規定したソルビタンエステルに付加した付加生成物も乳化剤として好適である。
【0131】
処方に応じて、非イオン性O/W乳化剤(HLB値:8~18)及び/又は可溶化剤の群からの少なくとも1種の乳化剤を追加して使用することが有利であり得る。
【0132】
これらは、例えば、導入部で既に述べたエチレンオキシド付加生成物であり、それに従い、エトキシル化度の高い、例えばO/W乳化剤の場合には10~20個のエチレンオキシド単位、可溶化剤の場合には20~40個のエチレンオキシド単位を有する。本発明によれば、セテアレス-12及びステアリン酸PEG-20がO/W乳化剤として特に有利である。優先的には、好適な可溶化剤は、Eumulgin(登録商標)HRE 40(INCI:PEG-40水添ヒマシ油(PEG-40 Hydrogenated Castor Oil))、Eumulgin(登録商標)HRE 60(INCI:PEG-60水添ヒマシ油(PEG-60 Hydrogenated Castor Oil))、Eumulgin(登録商標)L(INCI:PPG-1-PEG-9ラウリルグリコールエーテル(PPG-1-PEG-9Lauryl Glycol Ether))及びEumulgin(登録商標)SML 20(INCI:ポリソルベート20(Polysorbate-20))である。
【0133】
アルキルオリゴグリコシドの群からの非イオン性乳化剤が特に皮膚に優しく、しがたってO/W乳化剤として適しており、優先される。C8~C22アルキルモノ及びオリゴグリコシド、これらの調製及びこれらの使用は、先行技術から知られている。これらは、特にグルコース又はオリゴ糖を、8~22個の炭素原子を有する1級アルコールと反応させることにより調製される。グリコシド基に関して、環状糖基が脂肪アルコールにグリコシド結合しているモノグリコシド又は低重合度が好ましくは約8までであるグリコシドオリゴマーのいずれかが好適である。ここで言う低重合度は、この種の工業等級の製品に慣用されている、同族体の分布に基づく統計平均である。Plantacare(登録商標)の名称で入手可能な製品は、平均低重合度が1~2であるオリゴグリコシド基にグルコシド結合しているC8~C16アルキル基を含む。グルカミンから誘導されるアシルグルカミドも非イオン性乳化剤として好適である。本発明によれば、Emulgade(登録商標)PL 68/50の名称でCognis Deutschland GmbHから販売されている、アルキルポリグルコシド及び脂肪アルコールの1:1混合物である製品が好ましい。本発明によれば、Eumulgin(登録商標)VL 75の名称で市販されている、ラウリルグルコシド、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2、グリセロール及び水の混合物を使用することも有利な可能性がある。
【0134】
レシチン及びリン脂質などの物質も乳化剤として好適である。天然レシチンの例として、ホスファチジン酸とも呼ばれるケファリンを挙げることができ、これは、1,2-ジアシル-sn-グリセロール-3-リン酸の誘導体である。一方、リン脂質は、通常、脂肪に一般に含有されるリン酸及びグリセロールのモノエステル及び好ましくはジエステル(グリセロールリン酸)を意味すると理解される。加えて、スフィンゴシン及びスフィンゴ脂質も適している。
【0135】
存在する乳化剤は、例えば、シリコーン乳化剤であり得る。これらは、例えば、アルキルメチコンコポリオール及び/又はアルキルジメチコンコポリオールの群、特に以下の化学構造によって特徴付けられる化合物の群から選択され得る:
(式中、X及びYは、それぞれ独立に、H(水素)並びに1~24個の炭素原子を有する分岐及び非分岐アルキル基、アシル基及びアルコキシ基から選択され、pは、0~200であり、qは、1~40であり、rは、1~100である)。
【0136】
本発明に関連して特に有利に使用されるシリコーン乳化剤の例として、Evonik GoldschmidtからAXIL(登録商標)B 8842、ABIL(登録商標)B 8843、ABIL(登録商標)B8847、ABIL(登録商標)B 8851、ABIL(登録商標)B 8852、ABIL(登録商標)B 8863、ABIL(登録商標)B 8873及びABIL(登録商標)B 88183の商品名で販売されているジメチコンコポリオールの乳化剤が挙げられる。本発明に関連して特に有利に使用される界面活性物質の更なる例として、Evonik GoldschmidtからABIL(登録商標)EM 90の商品名で販売されているセチルPEG/PPG-10/1ジメチコン(セチルジメチコンコポリオール)が挙げられる。本発明に関連して特に有利に使用される界面活性物質の更なる例として、Evonik GoldschmidtからABIL(登録商標)EM 97及びABIL(登録商標)WE 09の商品名で販売されているシクロメチコンジメチコンコポリオールが挙げられる。加えて、乳化剤であるラウリルPEG/PPG-18/18メチコン(ラウリルメチコンコポリオール)が特に有利であることが分かっており、これは、Dow Corning LtdからDow Corning(登録商標)5200 Formulation Aidの商品名で入手可能である。シリコーン乳化剤の更なる例は、Wackerからのオクチルジメチコンエトキシグルコシドである。
【0137】
本発明のシリコーン油中水型エマルションには、この種のエマルションに使用されるあらゆる公知の乳化剤を使用することができる。本発明による特に好ましいシリコーン中水型乳化剤は、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン及びラウリルPEG/PPG-18/18メチコン[例えば、ABIL(登録商標)EM 90(Evonik Goldschmidt)、DC5200 Formulation Aid(Dow Corning)]並びにこの2種の乳化剤の所望の混合物である。
【0138】
界面活性剤
本発明の一実施形態において、本発明の製剤は、少なくとも1種の界面活性剤を含む。
【0139】
界面活性剤は、無極性有機物質を水中に溶解させることができる両親媒性物質である。これらは、少なくとも1個の親水性基及び疎水性分子部分を有する特殊な分子構造を有することにより、水の表面張力を低下させ、皮膚を濡らし、汚れの除去及び溶解を促進し、濯ぎを容易にし、必要に応じて起泡を調整する。
【0140】
界面活性剤は、典型的には、HLB値が20を超える界面活性物質を意味すると理解される。
【0141】
したがって、本発明は、0.1~80重量%、好ましくは0.5~50重量%、より好ましくは5~25重量%、最も好ましくは1~5重量%の炭化水素混合物と、少なくとも1種の界面活性剤とを含む化粧品及び/又は医薬製剤であって、この炭化水素混合物は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素とを含む、化粧品及び/又は医薬製剤を更に提供する。
【0142】
存在する界面活性物質は、アニオン性、非イオン性、カチオン性及び/又は両性若しくは両イオン性界面活性剤である。界面活性剤を含有する化粧品製剤、例えばシャワージェル、泡入浴剤、シャンプーなどには、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤が存在することが好ましい。
【0143】
本発明の製剤は、界面活性剤を、製剤の総重量を基準として典型的には0~40重量%、好ましくは0.05~30重量%、特に0.05~20重量%、好ましくは0.1~15重量%、特に0.1~10重量%の量で含む。
【0144】
非イオン性界面活性剤の典型的な例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシル化トリグリセリド、混合エーテル及び混合ホルマール、任意選択的に一部酸化されたアルキル(アルケニル)オリゴグリコシド及びグルクロン酸誘導体、脂肪酸N-アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特にコムギをベースとする植物製品)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベート及びアミンオキシドである。非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を有する場合、これらは、従来の同族体分布を有することができるが、好ましくは狭い同族体分布を有する。
【0145】
両イオン性界面活性剤とは、分子内に少なくとも1個の4級アンモニウム基及び少なくとも1個の-COO(-)又は-SO3(-)基を有する界面活性化合物を指す。特に好適な両イオン性界面活性剤は、ベタイン、例えばアルキル基又はアシル基内にそれぞれ8~18個の炭素原子を有する、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばヤシアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばヤシ油脂肪酸アシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート及び2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリンに加えて、ヤシ油脂肪酸アシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。好ましい両イオン性界面活性剤は、INCI名コカミドプロピルベタイン(Cocamidopropyl Betaine)で知られている脂肪酸アミド誘導体である。
【0146】
同様に、特に共界面活性剤として、両性界面活性剤が適している。両性界面活性剤とは、分子内のC8~C18アルキル基又はアシル基とは別に、少なくとも1個の遊離アミノ基及び少なくとも1個の-COOH又は-SO3H基及びを含み、内部塩を形成することができる界面活性化合物を意味すると理解される。好適な両性界面活性剤の例は、それぞれアルキル基が約8~18個の炭素原子を有する、N-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸及びアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両性界面活性剤は、N-ヤシアルキルアミノプロピオネート、ヤシ油脂肪酸アシルアミノエチルアミノプロピオネート及びC12~18アシルサルコシンである。
【0147】
両性又は両イオン性界面活性剤の典型的な例は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタイン及びスルホベタインである。ここに特定した界面活性剤が専ら知られている化合物である。これらの物質の構造及び調製については、この分野の該当する概説論文を参照することができる。特に好適な低刺激性、即ち特に皮膚に優しい界面活性剤の典型的な例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル硫酸エステル塩、モノグリセリド硫酸塩、モノ-及び/又はジアルキルスルホコハク酸塩、脂肪酸イセチオン酸エステル塩、脂肪酸サルコシン塩、脂肪酸タウリン塩、脂肪酸グルタミン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、エーテルカルボン酸、アルキルオリゴグリコシド及び/若しくはそのアルキルオリゴグルコシドカルボキシレートとの混合物、脂肪酸グルカミド、アルキルアミドベタイン、アンホアセタール並びに/又はタンパク質脂肪酸縮合物であり、後者は、好ましくは、コムギタンパク質又はその塩をベースとするものである。
【0148】
アニオン性界面活性剤は、水中に可溶化させるアニオン性基、例えばカルボン酸基、硫酸基、スルホン酸基又はリン酸基と親油性基とによって特徴付けられる。皮膚適合性を有するアニオン性界面活性剤は、該当するハンドブックから多くのものが当業者に知られており、市販されている。これらは、特に、12~18個の炭素原子を有する直鎖アルキル基又はアシル基を有する、アルカリ金属、アンモニウム又はアルカノールアンモニウム塩の形態のアルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシルイセチオン酸塩、アシルサルコシン塩、アシルタウリン塩に加えて、アルカリ金属又はアンモニウム塩形態のスルホコハク酸塩及びアシルグルタミン酸塩である。
【0149】
アニオン性界面活性剤の典型的な例は、石鹸、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、グリセロールエーテルスルホン酸塩、α-メチルエステルスルホン酸塩、スルホ脂肪酸、アルキル硫酸塩、脂肪アルコールエーテル硫酸塩、グリセロールエーテル硫酸塩、脂肪酸エーテル硫酸塩、ヒドロキシ混合エーテル硫酸塩、モノグリセリド(エーテル)硫酸塩、脂肪酸アミド(エーテル)硫酸塩、モノ-及びジアルキルスルホコハク酸塩、モノ-及びジアルキルスルホコハク酸塩、スルホトリグリセリド、アミド石鹸、エーテルカルボン酸及びその塩、脂肪酸イセチオン酸エステル塩、脂肪酸サルコシン塩、脂肪酸タウリン塩、N-アシルアミノ酸、例えばアシル乳酸塩、アシル酒石酸塩、アシルグルタミン酸塩及びアシルアスパラギン酸塩、アルキルオリゴグルコシド硫酸塩、タンパク質脂肪酸縮合物(特にコムギをベースとする植物製品)及びアルキル(エーテル)リン酸塩である。アニオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含む場合、これらは、従来の同族体分布を有し得るが、好ましくは狭い同族体分布を有する。
【0150】
使用可能なカチオン性界面活性剤は、特に4級アンモニウム化合物である。ハロゲン化アンモニウム、特に塩化物及び臭化物、例えばアルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド及びトリアルキルメチルアンモニウムクロリド、例えばセチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド及びトリセチルメチルアンモニウムクロリドが特に好ましい。加えて、易生分解性が非常に高い4級エステル化合物、例えばStepantex(登録商標)の商品名で販売されているジアルキルアンモニウムメトサルフェート及びメチルヒドロキシアルキルジアルキルオキシアルキルアンモニウムメトサルフェート並びにDehyquart(登録商標)シリーズの対応する製品もカチオン性界面活性剤として使用することができる。「エステルクワット」という用語は、一般に、4級化脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩を意味すると理解される。これらは、本発明による製剤に極めて柔軟な感触を付与することができる。これらは、有機化学の該当する方法により調製される公知の物質である。本発明に従って使用することができる他のカチオン性界面活性剤は、4級化タンパク質加水分解物である。
【0151】
ロウ成分
本発明の一実施形態において、本発明の製剤は、少なくとも1種のロウ成分を含む。
【0152】
したがって、本発明は、0.1~80重量%、好ましくは0.5~50重量%、より好ましくは5~25重量%、最も好ましくは1~5重量%の炭化水素混合物と、少なくとも1種のロウ成分とを含む化粧品及び/又は医薬製剤であって、この炭化水素混合物は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素とを含む、化粧品及び/又は医薬製剤に更に関する。
【0153】
本発明の製剤は、ロウ成分を、典型的には、製剤の総重量を基準として0~40重量%、特に0~20重量%、好ましくは0.1~15重量%、特に0.1~10重量%の量で含む。
【0154】
「ロウ」という用語は、典型的には、以下の特性を有するあらゆる天然及び合成物質並びに物質混合物を意味すると理解される:これらは、稠度が堅固なものから脆く硬いものまで、粗い結晶から微細な結晶まで、透明なものから濁ったものまであり、30℃を超える温度で分解することなく溶融する。これらは、更に融点をわずかに上回る低い粘度を示し、糸を曳かず、稠度及び溶解性の温度依存性が高い。本発明によれば、30℃以上で溶融するロウ成分又はロウ成分の混合物を使用することも可能である。
【0155】
本発明により使用されるロウは、所要の融点を有するのであれば、ロウ様の稠度を有する脂肪及び脂肪様物質でもあり得る。そのようなものとして、とりわけ、脂肪(トリグリセリド)、モノ-及びジグリセリド、天然及び合成ロウ、脂肪及びロウアルコール、脂肪酸、脂肪アルコールと脂肪酸とのエステルに加えて、脂肪酸アミド又はこれらの物質の任意の所望の混合物も挙げられる。
【0156】
脂肪とは、トリアシルグリセロール、即ち脂肪酸とグリセロールとのトリエステルを意味すると理解される。これらは、好ましくは、飽和非分岐無置換脂肪酸基を含む。これらは、混合エステル、即ちグリセロールと異なる脂肪酸とのトリエステルでもあり得る。本発明によれば、部分水素化により得られる水素添加された脂肪及び油を使用することも可能であり、これは、稠度調整剤に特に適している。植物性の水素添加された脂肪及び油、例えば水素添加されたヒマシ油、ピーナッツ油、大豆油、菜種油(rapeseed oil)、菜種油(colza oil)、綿実油、大豆油、ヒマワリ油、パーム油、パーム核油、亜麻仁油、アーモンド油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、カカオ脂及びヤシ油が好ましい。
【0157】
好適な例としては、グリセロールとC12~C60脂肪酸、特にC12~C36脂肪酸とのトリエステルが挙げられる。そのようなものとして、水添ヒマシ油、例えばCutina HRの名称で市販されているグリセロールとヒドロキシステアリン酸とのトリエステルが挙げられる。トリステアリン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル(例えば、Syncrowax HRC)、トリパルミチン酸グリセリル又はSyncrowax HGLCの名称で知られているトリグリセリド混合物も、混合物のロウ成分の融点が30℃以上であれば同様に好適である。
【0158】
本発明によれば、有用なロウ成分は、特に、モノ-及びジグリセリド並びにこれらの部分グリセリドの混合物である。本発明により使用することができるグリセリド混合物としては、Cognis Deutschland GmbH&Co.KGから販売されているNovata AB及びNovata B(C12~C18モノ-、ジ-及びトリグリセリドの混合物)並びにCutina MD又はCutina GMS(ステアリン酸グリセリル)製品が挙げられる。
【0159】
本発明により使用することができるロウ成分としての脂肪アルコールとしては、C12~C50脂肪アルコールが挙げられる。脂肪アルコールは、天然脂肪、油及びロウから得ることができる、例えばミリスチルアルコール、1-ペンタデカノール、セチルアルコール、1-ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、1-ノナデカノール、アラキジルアルコール、1ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール、ブラシジルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコール又はミリシルアルコールである。本発明によれば、飽和非分岐脂肪アルコールが好ましい。しかしながら、本発明によれば、所要の融点を有するのであれば、不飽和の分岐又は非分岐脂肪アルコールをロウ成分として使用することもできる。本発明によれば、自然に存在する脂肪及び油、例えば牛脂、ピーナッツ油、菜種油(colza oil)、綿実油、大豆油、ヒマワリ油、パーム核油、亜麻仁油、ヒマシ油、コーン油、菜種油(rapeseed oil)、ゴマ油、カカオ脂及びヤシ油を還元することにより生成する脂肪アルコール画分を使用することも可能である。一方、合成アルコール、例えばチーグラー合成により得られる直鎖偶数脂肪アルコール又はオキソ法により得られる一部分岐したアルコールを使用することも可能である。本発明によれば、例えば、Cognis Deutschland GmbHからLanette 18(C18アルコール)、Lanette 16(C16アルコール)、Lanette 14(C14アルコール)、Lanette O(C16/C18アルコール)及びLanette 22(C18/C22アルコール)の名称で販売されているC14~C22脂肪アルコールが特に好ましい。脂肪アルコールは、トリグリセリドよりもさらっとした皮膚感触を製剤に与え、したがって後者よりも好ましい。
【0160】
使用されるロウ成分は、C14~C40脂肪酸又はその混合物でもあり得る。そのようなものとして、例えば、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、エルカ酸及びエレオステアリン酸に加えて、置換脂肪酸、例えば12-ヒドロキシステアリン酸及び脂肪酸のアミド又はモノエタノールアミドが挙げられるが、この一覧は、例示的なものであり、非限定的な性質を有する。
【0161】
本発明によれば、例えば天然の植物性ロウ、例えばキャンデリラロウ、カルナウバロウ、モクロウ、エスパルトロウ、コルクロウ、グアルマワックス、米胚芽ロウ、サトウキビワックス、オウリキュリーロウ、モンタンロウ、ヒマワリロウ、果実ロウ、例えばオレンジロウ、レモンロウ、グレープフルーツロウ、ベイベリーロウ及び動物性ロウ、例えばミツロウ、シェラックロウ、鯨ロウ、羊毛ロウ及び尾脂油を使用することも可能である。本発明に関連して、水素添加又は硬化されたロウを使用すると有利となり得る。本発明により使用することができる天然ロウとしては、鉱物ロウ、例えばセレシン及びオゾケライト又は石油化学ロウ、例えばペトロラタム、パラフィンロウ及び微結晶ロウも挙げられる。有用なロウ成分としては、化学的に変性されたロウ、特に硬質ワックス、例えばモンタンエステルロウ、サソールワックス及び水添ホホバロウも挙げられる。本発明により使用することができる合成ロウとしては、例えば、ロウ様のポリアルキレンワックス及びポリエチレングリコールワックスが挙げられる。本発明によれば、植物性ロウが好ましい。
【0162】
ロウ成分は、同様に、飽和及び/又は不飽和の分岐及び/又は非分岐アルカンカルボン酸と、飽和及び/又は不飽和の分岐及び/又は非分岐アルコールとのワックスエステルの群、芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸(例えば、12-ヒドロキシステアリン酸)と、飽和及び/又は不飽和の分岐及び/又は非分岐アルコールとのエステルの群並びに長鎖ヒドロキシカルボン酸のラクチドの群から選択することができる。この種のエステルの例としては、ステアリン酸C16~C40アルキルエステル、ステアリン酸C20~C40アルキルエステル(例えば、Kesterwachs K82H)、ダイマー酸のC20~C40ジアルキルエステル、ステアリン酸C18~C38アルキルヒドロキシステアロイル又はエルカ酸C20~C40アルキルエステルが挙げられる。ミツロウC30~C50アルキルエステル、クエン酸トリステアリル、クエン酸トリイソステアリル、ヘプタン酸ステアリル、オクタン酸ステアリル、クエン酸トリラウリル、ジパルミチン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ジ(12-ヒドロキシステアリン酸)エチレングリコール、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸パルミチル、ベヘン酸ステアリル、セチルエステル、ベヘン酸ステアリル及びベヘン酸ベヘニルを使用することも可能である。脂肪酸部分グリセリド、即ちグリセロールと12~18個の炭素原子を有する脂肪酸との工業等級のモノ-及び/又はジエステル、例えばモノ/ジラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸又はステアリン酸グリセロールエステルもこの目的に有用である。
【0163】
好適なロウとしては、更に真珠光沢ワックスが挙げられる。特に界面活性製剤中に使用するのに有用な真珠光沢ワックスの例は、以下の通りである:アルキレングリコールエステル、特にジステアリン酸エチレングリコール;脂肪酸アルカノールアミド、特にヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド;部分グリセリド、特にステアリン酸モノグリセリド;任意選択的にヒドロキシ置換された多価カルボン酸と、6~22個の炭素原子を有する脂肪アルコールとのエステル、特に酒石酸の長鎖エステル;脂肪質物質、例えば全体で少なくとも24個の炭素原子を有する、脂肪アルコール、脂肪ケトン、脂肪アルデヒド、脂肪エーテル及び脂肪カーボネート、特にラウロン及びジステアリルエーテル;脂肪酸、例えばステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸又はベヘン酸、12~22個の炭素原子を有するオレフィンエポキシドと12~22個の炭素原子を有する脂肪アルコール並びに/又は2~15個の炭素原子及び2~10個のヒドロキシル基を有するポリオールとの開環生成物並びにこれらの混合物。
【0164】
ポリマー
本発明の一実施形態において、本発明の製剤は、少なくとも1種のポリマーを含む。
【0165】
したがって、本発明は、0.1~80重量%、好ましくは0.5~50重量%、より好ましくは5~25重量%、最も好ましくは1~5重量%の炭化水素混合物と、少なくとも1種のポリマーとを含む化粧品及び/又は医薬製剤であって、この炭化水素混合物は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素とを含む、化粧品及び/又は医薬製剤を更に提供する。
【0166】
本発明の製剤は、ポリマーを、典型的には、製剤の総重量を基準として0~20重量%、好ましくは0.1~15重量%、特に0.1~10重量%の量で含む。
【0167】
好適なカチオン性ポリマーは、例えば、カチオン性セルロース誘導体、例えばPolymer JR400(登録商標)の名称でAmercholから入手可能な4級化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン性デンプン、ジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドとのコポリマー、4級化ビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー、例えばLuviquat(登録商標)(BASF)、ポリグリコール及びアミンの縮合生成物、4級化コラーゲンポリペプチド、例えばラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン(Lamequat(登録商標)L/Gruenau)、4級化コムギポリペプチド、ポリエチレンイミン、カチオン性シリコーンポリマー、例えばアミドメチコン、アジピン酸とジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンとのコポリマー(Cartaretine(登録商標)/Sandoz)、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのコポリマー(Merquat(登録商標)550/Chemviron)、ポリアミノポリアミド、カチオン性キチン誘導体、例えば任意選択的に微結晶が分布している4級化キトサン、ジハロアルキレン、例えばジブロモブタンとビスジアルキルアミンとの縮合生成物、例えばビスジメチルアミノ-1,3-プロパン、カチオン性グアーガム、例えばCelaneseからのJaguar(登録商標)CBS、Jaguar(登録商標)C-17、Jaguar(登録商標)C-16、4級アンモニウム塩重合体、例えばMiranolからのMirapol(登録商標)A-15、Mirapol(登録商標)AD-1、Mirapol(登録商標)AZ-1である。
【0168】
有用なアニオン性、両イオン性、両性及び非イオン性ポリマーは、例えば、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、ビニルピロリドン/アクリル酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソボルニルコポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー及びそのエステル、未架橋ポリアクリル酸及びポリオールで架橋したポリアクリル酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、オクチルアクリルアミド/メタクリル酸メチル/メタクリル酸tert-ブチルアミノエチル/メタクリル酸2-ヒドロキシプロピルコポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチル/ビニルカプロラクタムターポリマー並びに任意選択的に誘導体化されたセルロースエーテル及びシリコーンである。
【0169】
同じく好適なポリマーは、多糖類、特にキサンタンガム、グアーガム、寒天、アルギン酸塩及びtylosesに加えて、例えば各グレードのエアロジル(Aerosil)(親水性ケイ酸塩)、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びベントナイト、例えばBentone(登録商標)GelVS-5PC(Rheox)である。同様に好適な4級ポリマーは、例えば、INCI名がポリクオタニウム(Polyquaternium-37)のものであり、これは、以下の一般式に従う。
【0170】
代わりに、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及びアルキル化若しくはプロトン化により得ることができるそのアンモニウム塩又はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド及びアルキル化若しくはプロトン化により得ることができるそのアンモニウム塩を使用することも可能である。MAPTAC、APTAC、MADAME、ADAME、DMAEMA及びTMAEMACを含むポリマーが特に好ましい。更に、本発明によるアニオン性モノマー、他のカチオン性モノマー又は無電荷モノマー、特に規定したアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート又はアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドモノマーに加えて、更に(メタ)アクリル酸、及び/又は2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、及び/又はアクリルアミド、及び/又はビニルピロリドン、及び/又はアルキル(メタ)アクリレートを含むコポリマーを使用することも可能である。その例として、INCI名がポリクオタニウム-11(Polyquaternium-11)、ポリクオタニウム-13(Polyquaternium-13)、ポリクオタニウム-14(Polyquaternium-14)、ポリクオタニウム-15(Polyquaternium-15)、ポリクオタニウム-28(Polyquaternium-28)、ポリクオタニウム-32(Polyquaternium-32)、ポリクオタニウム-43(Polyquaternium-43)、ポリクオタニウム-47(Polyquaternium-47)であるポリマーを挙げることができる。
【0171】
油分
本発明の一実施形態において、本発明の製剤は、少なくとも1種の油分を含む。典型的には、本発明の製剤は、油分として炭化水素混合物を含む。したがって、本製剤は、本明細書において好ましいものとして規定する実施形態において「更なる油分」とも称される、本発明の炭化水素混合物以外の油分を含む。
【0172】
したがって、本発明は、0.1~80重量%、好ましくは0.5~50重量%、より好ましくは5~25重量%、最も好ましくは1~5重量%の炭化水素混合物と、少なくとも1種の(更なる)油分とを含む化粧品及び/又は医薬製剤であって、この炭化水素混合物は、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として少なくとも95重量%の直鎖C13炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.05~1.5重量%の量のC11/C12炭化水素と、炭化水素混合物中の炭化水素の合計を基準として0.2~3.5重量%の量のC14~C17炭化水素とを含む、化粧品及び/又は医薬製剤を更に提供する。
【0173】
油分(本発明の炭化水素混合物及び更なる油分の合計)は、典型的には、0.1~90重量%、特に0.1~80重量%、特に0.5~70重量%、好ましくは1~60重量%、特に1~50重量%、特に1~40重量%、好ましくは5~25重量%、特に5 15重量%の総量で存在する。更なる油分は、典型的には、製剤の総重量を基準として0.1~40重量%の量で存在する。
【0174】
好適な更なる油分は、例えば、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を有する脂肪アルコールをベースとするゲルベアルコールに加えて、更なる追加のエステル、例えばミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、イソステアリン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、ベヘン酸ミリスチル、エルカ酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、イソステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、ベヘン酸セチル、エルカ酸セチル、ミリスチン酸ステアリル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸ステアリル、オレイン酸ステアリル、ベヘン酸ステアリル、エルカ酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ベヘン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ミリスチン酸オレイル、パルミチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、イソステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ベヘン酸オレイル、エルカ酸オレイル、ミリスチン酸ベヘニル、パルミチン酸ベヘニル、ステアリン酸ベヘニル、イソステアリン酸ベヘニル、オレイン酸ベヘニル、ベヘン酸ベヘニル、エルカ酸ベヘニル、ミリスチン酸エルシル、パルミチン酸エルシル、ステアリン酸エルシル、イソステアリン酸エルシル、オレイン酸エルシル、ベヘン酸エルシル及びエルカ酸エルシルである。C18 C38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖又は分岐C6~C22脂肪アルコールとのエステル、特にリンゴ酸ジオクチル、直鎖及び/又は分岐脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオール又はトリマートリオール)とのエステル、C6 C10脂肪酸をベースとするトリグリセリド、C6~C18脂肪酸をベースとする液体モノ-/ジ-/トリグリセリド混合物、C6~C22脂肪アルコール及び/又はゲルベアルコールと芳香族カルボン酸、特に安息香酸とのエステル、C2~C12ジカルボン酸と2~10個の炭素原子及び2~6個のヒドロキシル基を有するポリオールとのエステル、植物油、分岐1級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖及び分岐C6~C22脂肪アルコール炭酸エステル、例えば炭酸ジカプリリル(Cetiol(登録商標)CC)、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を有する脂肪アルコールをベースとするゲルべアルコール炭酸エステル、安息香酸と直鎖及び/又は分岐C6~C22アルコールとのエステル(例えば、Finsolv(登録商標)TN)、アルキル基あたり6~22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐の対称又は非対称ジアルキルエーテル、例えばジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標)OE)、エポキシ化された脂肪酸エステルとポリオールとの開環生成物並びに炭化水素又はその混合物が更に適している。
【0175】
有用な更なる油分は、例えば、シリコーン油である。これらは環状及び/又は直鎖シリコーン油として存在することができる。シリコーン油は、ケイ素原子が酸素原子を介して鎖状及び/又は網目状に繋がっており、ケイ素の残りの原子価が炭化水素基(通常、メチルであり、それよりも頻度は少ないが、エチル、プロピル、フェニル基など)で満たされている、高分子量の合成高分子化合物である。体系的には、シリコーン油は、ポリオルガノシロキサンと称される。メチル置換されたポリオルガノシロキサンは、その豊富さの観点でこの群の最も重要な化合物であり、以下の構造式で特徴付けられ、ポリジメチルシロキサン又はジメチコン(INCI)とも称される。ジメチコンには、様々な鎖長及び様々な分子量を有するものが存在する。
【0176】
本発明に関連する有利なポリオルガノシロキサンは、例えば、Abil 10~10000の商品名でEvonik Goldschmidtから入手可能なジメチルポリシロキサン[ポリ(ジメチルシロキサン)]である。フェニルメチルポリシロキサン(INCI:フェニルジメチコン(Phenyl Dimethicone)、フェニルトリメチコン(Phenyl Trimethicone))、INCIに従いシクロメチコン(Cyclomethicone)とも称される環状シリコーン(オクタメチルシクロテトラシロキサン又はデカメチルシクロペンタシロキサン)、アミノ変性シリコーン(INCI:アモジメチコン(Amodimethicone))及びシリコーンワックス、例えばポリシロキサン-ポリアルキレンコポリマー(INCI:ステアリルジメチコン(Stearyl Dimethicone)及びセチルジメチコン(Cetyl Dimethicone))並びに様々なグレードのAbilワックスとしてEvonik Goldschmidtから入手可能なジアルコキシジメチルポリシロキサン(ステアロキシジメチコン及びベヘノキシステアリルジメチコン)も有利である。しかしながら、本発明に関連して、他のシリコーン油、例えばセチルジメチコン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)も有利に使用することができる。本発明による特に好ましいシリコーンは、ジメチコン及びシクロメチコンである。
【0177】
本発明の製剤は、生物活性成分、昆虫忌避剤、チロシナーゼ阻害剤、防腐剤、オイル香水、過脂肪剤、安定剤及び/又はハイドロトロープ剤を更に含むことができる。
【0178】
生物活性成分とは、例えば、トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、アスコルビン酸、(デオキシ)リボ核酸及びその断片化生成物、β-グルカン、レチノール、ビサボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、AHA酸、アミノ酸、セラミド、疑似セラミド、精油、植物抽出物、例えばバルバドスアロエ、サクラ属植物抽出物、バンバラナッツ抽出物及びビタミン複合体を意味すると理解される。
【0179】
有用な昆虫忌避剤としては、例えば、N,N-ジメチル-m-トルアミド、1,2-ペンタンジオール又はInsect Repellent(登録商標)3535の名称でMerckKGaAから販売されている3-(N-n-ブチル-N-アセチルアミノ)プロピオン酸)エチルエステル及びブチルアセチルアミノプロピオン酸エステルが挙げられる。
【0180】
メラニンの生成を防ぐ色素沈着抑制剤に利用される有用なチロシン阻害剤としては、例えば、アルブチン、フェルラ酸、コウジ酸、クマル酸、アスコルビン酸(ビタミンC)が挙げられる。
【0181】
好適な防腐剤は、例えば、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタンジオール又はソルビン酸及びSurfacine(登録商標)の名称で知られている銀錯体である。更なる好適な防腐剤は、国際公開第07/048757号パンフレットに記載されている、5~8個の炭素原子を有する1,2-アルカンジオールである。
【0182】
好適な防腐剤は、特に、本明細書において明示的に参照される、委員会指令(化粧品に関する理事会指令76/768/EECを、その附属書IV及びVIを技術進歩に適合させる目的で改正した、2007年4月17日付の委員会指令2007/22/EC)の附属書VIに従って認可されている物質である。
【0183】
使用される安定剤は、脂肪酸の金属塩、例えばマグネシウム、アルミニウム及び/又は亜鉛のステアリン酸又はリシノール酸塩であり得る。
【0184】
流動挙動を向上させるために、ハイドロトロープ剤、例えばエタノール、イソプロピルアルコール又はポリオールを使用することも可能である。本明細書において有用なポリオールは、好ましくは、2~15個の炭素原子及び少なくとも2個のヒドロキシル基を有するものである。ポリオールは、更なる官能基、特にアミノ基を含み得るか、又は窒素で修飾され得る。
【実施例】
【0185】
実施例1:製造
調製例1:本発明の炭化水素混合物の調製
1a)1-テトラデカノールからのトリデカンの調製
1-テトラデカノール1000g(4.7mol;BASFからのLanette 14)を、まず、ニッケル触媒10g(EngelhardからのNi-5249P;Ni含有量=63重量%)を入れた撹拌可能な圧力槽に投入し、240℃に加熱した。次いで、散気管を介して水素を圧力20バールで12時間添加し、同時に反応気体を反応器蓋の弁を介して排出した。その後、生成物を冷却し、排出して濾過した。最終重量845gの反応生成物を得た。
【0186】
GC分析から、以下の組成(組成物を基準とする重量%)を有することが示された:トリデカン89.0%、テトラデカン2.3%、1-テトラデカノール4.0%。
【0187】
この反応生成物を分別蒸留し、純粋なトリデカンに分類されるものを得、次いで窒素で脱臭した。これにより、無色の移動可能な低臭生成物を得た。
【0188】
実施例1による炭化水素混合物の組成:
ウンデカン:0.05
ドデカン:0.237
トリデカン:97.9
テトラデカン:0.6
ペンタデカン:0.65
C16デカン:0.22
C17デカン:0.07。
【0189】
実施例2a:電子鼻を用いた調査
3種の試料:
・実施例1による炭化水素混合物(Cetiol iSAN、BASF) - レーダーグラフ:
図1a、2a:青線、
図1b,2b:2番の矢印
・ウンデカン/トリデカン(Cetiol Ultimate、BASF) - レーダーグラフ:
図1a、2a:赤線、
図1b、2b、1番の矢印
・トリデカン>99%(Sigma Aldrich) - レーダーグラフ:
図1a、2a:緑線、
図1b、2b:3番の矢印
の無極性成分(
図1a、1b)及び極性成分(
図2a、2b)の匂いプロファイルを、電子鼻装置を使用して調査した。
【0190】
この比較に利用した電子鼻は、18種の金属酸化物半導体ガスセンサを備えるAlpha-MOS(Toulouse、France)からのFOX4000にヘッドスペースオートサンプラーHS100を取り付けたものである。
【0191】
試料2グラム(試料は3連で分析した)を容量10mLのバイアルに入れ、60℃に加熱した。ヘッドスペースの気体1mLをシリンジにより自動で電子鼻に注入し、センサの応答を120秒間記録した(基準の空気を流す)。電子鼻の18個のセンサのそれぞれで自動的に記録された最大応答点を解析に使用した。
【0192】
結果:
レーダーグラフ:
図1:電子鼻によるレーダーチャート(無極性成分)
図2:電子鼻によるレーダーチャート(極性成分)
から、異なる匂い強度プロファイルを観測することができた。センサの揮発性化合物に関する応答は、Cetiol Ultimate(赤線)が最も高く、Cetiol iSan(青線)及びAldrichからのトリデカン(>99%)(緑線)は、比較的低かった。後者の2種は、匂いプロファイルが似ていた。
【0193】
実施例2b:in vivoでの匂い官能評価
Cetiol iSan及びCetiol Ultimateの匂いの差を評価するために、匂い官能評価を実施した。素人パネルにより、2種の油の匂いの差を判定した。これらの参加者に匂いに関するコメントも自由に提出させた。参加者は、有意差があると判断した。
【0194】
試験手順の概要:
油の匂いの官能的知覚を評価するために、2種の異なるエモリエント剤(毒物学的な問題はない)を、参加者の素人パネル(匂い評価の訓練を受けていない)が直接比較する官能評価によって調査した。ここで3つの質問を提示した。
- いずれか一方又は両方の油に匂いはあるか?
- その場合、どのような匂いか?
- 油の匂いは同じか?
【0195】
試験設計:
11人のパネルが個別に製品を評価した。試料に単盲検試験デザインを用いるためのコードを割り付けた。官能評価は、温度22℃、相対湿度40%の空調室で実施した。この環境調整室にHEPAフィルターを取り付けた。油は、同じサイズの瓶に入れた。これらを蓋で密閉し、匂い評価時に蓋を開けた。試験後に再び蓋を閉め、次のパネルが匂いを嗅げるように、液体の上に確実に蒸気が存在するようにした。
【0196】
統計:
11人の参加者から割合のみを算出した。
【0197】
試験物質
コード587:Cetiol iSan→実施例1によるトリデカン
コード364:Cetiol Ultimate→ウンデカン/トリデカン(BASF)
【0198】
結果:
参加者からの聞き取りを元に、製品が同じであるか否かに関し、回答した人数の割合を棒グラフで表した(
図6)。11人中10人の参加者は、両方のエモリエント剤が異なると判断した。匂いを比較した専門家パネルは、Cetiol iSan及びCetiol Ultimateに有意差があると評価した。Cetiol iSanがCetiol Ultimateと比較してかなり匂いが少ないと判定された。
【0199】
表1に独自のコメントをまとめた。
【0200】
【0201】
実施例3:官能試験
実施例1によるトリデカンである炭化水素混合物を、15人の参加者パネルにより、「ピロートーク」と名付けた実験により試験を行い、Cetiol Ultimateと比較した。
- 参加者は、まず異なる5個の枕を、枕の見た目による先入観をなくすためにサンバイザーを付けて両手で触れた。参加者は、自らの感覚で枕を感じとることが必要である。
- 次いで、40マイクロリットルのエモリエント剤製品を参加者の前腕に塗布し、20回円を描いて広げた。その直後に製品の評価を開始した。
- 参加者は、5個の枕を再び触り、肌の感触に近い枕を選択するように、感覚的知覚が一致する枕を選択した。全ての枕を選ぶこともあり得る。
- 1分後及び3分後に同じ手順を繰り返し、枕を選択した。
【0202】
統計:いずれの枕を選択したかを記録した。その人数を蜘蛛の巣グラフに示した(
図3;塗布直後の官能評価、
図4:3分後の官能評価、
図5:5分後の官能評価)。
【0203】
図3~5は、実施例1による炭化水素混合物を塗布してもロウのような印象を与えないことを示す。Cetiol Ultimate(
図3~5の黒線)と比較すると、実施例1によるトリデカンである炭化水素混合物(
図3~5の明るい灰色)は、塗布直後に中程度の柔らかさを感じた人がより少なかったことが示された。(
図3)。塗布から1分後、実施例1によるトリデカンは、Cetiol Ultimateよりも粉っぽさを感じた人が明らかに多かったが、滑らかさを感じた人は、少なく(
図4)、塗布から3分後、Cetiol Ultimateと比較して、粉っぽさ及びシルク感が強くなったが、中程度の柔らかい感触がより小さくなった(
図5)。しかしながら、両方の炭化水素混合物の全体的な官能プロファイルは、同等であり、驚くべきことに、本発明の炭化水素混合物は、炭化水素鎖がより短いC11/C13混合物と同程度にロウ感を感じさせなかった。
【0204】
処方例:
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【0227】
【0228】
【0229】
【国際調査報告】