(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】断熱壁を備えるエアロゾル発生デバイス及び関連する組立方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20240118BHJP
【FI】
A24F40/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535532
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2022051271
(87)【国際公開番号】W WO2022157261
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 顕
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA06
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB13
4B162AB23
4B162AC01
4B162AC10
(57)【要約】
エアロゾル発生デバイス(10)は、ハウジング(12)を備え、ハウジング(12)は内部空間(30)を画成し、デバイス(10)は内部空間(30)内に少なくとも1つの熱源(34)を備え、ハウジング(12)は、内部空間(30)に面する内面(41)と内面(41)に対向する外面(42)とを備える少なくとも1つの断熱壁(40)を備え、デバイス(10)は、更に、断熱壁(40)の外面(42)の少なくとも1つの熱保護部分上に配置される断熱層(50)を備え、断熱層(50)はメッシュ副層を備え、メッシュ副層は織交構造を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(12)を備えるエアロゾル発生デバイス(10)であって、前記ハウジング(12)は内部空間(30)を画成し、前記デバイス(10)は前記内部空間(30)内に少なくとも1つの熱源(34)を備え、
前記ハウジング(12)は、前記内部空間(30)に面する内面(41)と前記内面(41)に対向する外面(42)とを備える少なくとも1つの断熱壁(40)を備え、
前記デバイス(10)は、更に、前記断熱壁(40)の前記外面(42)の少なくとも1つの熱保護部分上に配置される断熱層(50)を備え、前記断熱層(50)はメッシュ副層(52)を備え、前記メッシュ副層(52)は織交構造を備え、前記織交構造は、前記熱源(34)によって発せられる熱が前記内部空間(30)から前記デバイス(10)の前記外部に流れる貫通孔を備え、前記貫通孔は20μm~100μmの間の大きさを有する、
エアロゾル発生デバイス(10)。
【請求項2】
前記メッシュ副層(52)は、木材又は織物で構成される、請求項1に記載のエアロゾル発生デバイス(10)。
【請求項3】
前記断熱層(50)は、更に、前記熱保護部分に固定される裏打ち副層(56)と、前記裏打ち副層(56)に固定される接着副層(54)とを備え、前記メッシュ副層(52)は、前記接着副層(54)に固定される、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生デバイス(10)。
【請求項4】
更に、前記断熱壁(40)の前記内面(41)の少なくとも1つの熱拡散部分と前記デバイス(10)の前記内部空間(30)との間に配置される熱拡散層(60)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(10)。
【請求項5】
前記熱拡散層(60)は、前記断熱壁(40)の延長面(P)に対して略平行に延在する、請求項4に記載のエアロゾル発生デバイス(10)。
【請求項6】
前記熱拡散層(60)は熱伝導プレートである、請求項4又は5に記載のエアロゾル発生デバイス(10)。
【請求項7】
前記熱伝導プレートは銅で構成される、請求項6に記載のエアロゾル発生デバイス(10)。
【請求項8】
更に、前記ハウジング(12)に取り付けられ、前記内部空間(30)内に延在する支持体(32)と、前記熱拡散層(60)を前記支持体(32)に固定するよう前記支持体(32)上に配置される少なくとも1つの磁石(62)とを備える、請求項4から7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(10)。
【請求項9】
更に、前記デバイス(10)の前記内部空間(30)内に光源(36)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(10)。
【請求項10】
前記熱拡散層(60)は、前記光源(36)に面して配置される光オリフィス(64)を備える、請求項4から8のいずれか一項と組み合わせて用いられる請求項9に記載のエアロゾル発生デバイス(10)。
【請求項11】
前記断熱壁(40)は、前記ハウジング(12)の脱着自在壁である、請求項1から10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(10)。
【請求項12】
前記熱源(34)は、気化性材料からエアロゾルを発生させるよう構成される加熱システムである、請求項1から11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(10)。
【請求項13】
前記断熱層(50)を前記断熱壁(40)の前記外面(42)の前記熱保護部分上に固定するステップを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(10)の組立方法。
【請求項14】
前記断熱層(50)は、更に、前記熱保護部分に固定される裏打ち副層(56)と、前記裏打ち副層(56)に固定される接着副層(54)とを備え、前記メッシュ副層(52)は前記接着副層(54)に固定され、前記固定ステップは、
-前記接着副層(54)を前記裏打ち副層(56)上に固定することと、
-前記メッシュ副層(52)を前記接着副層(54)上に載置して、前記断熱層(50)を形成することと、
-前記断熱層(50)を加熱プレス内に載置することと、
-前記断熱層(50)を加圧及び加熱して、前記メッシュ副層(52)を前記接着副層(54)に固定することと、
-前記断熱層(50)を前記熱保護部分の寸法に適合する寸法に切断することと、
-前記裏打ち副層(56)を前記熱保護部分上に固定することと、
を含む、請求項13に記載の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱壁を備えるエアロゾル発生デバイスに関する。
【0002】
本発明は、また、かかるエアロゾル発生デバイスの組立方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
異なる種類のエアロゾル発生デバイスが当該技術分野において既に公知である。一般に、かかるデバイスは、内部空間を画成するハウジングを備えている。内部空間は、例えば、液体又は固体であってもよい気化性材料を貯蔵するための貯蔵部を備える。通常、内部空間は熱源も備えている。例えば、この熱源は、前記気化性材料を加熱してエアロゾルを発生させるよう配置される1つ以上の電気的に作動する抵抗加熱要素から作成される加熱システムである。エアロゾルは、デバイスの入口と出口との間に延在する流路内に放出される。出口は、エアロゾルを送出するためにユーザが吸入するマウスピースとして配置されうる。
【0004】
大量のベイピングの場合、熱源は、かなりの熱量を発生させる可能性がある。これは、ユーザがデバイスを保持することに不快になる場合があるように、ハウジングの加熱に繋がる可能性がある。ユーザは、次いで、デバイスを冷却させるために、ベイピングを停止せざるを得ない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の1つは、過熱が低減されるエアロゾル発生デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、本発明は、ハウジングを備えるエアロゾル発生デバイスであって、ハウジングは内部空間を画成し、デバイスは内部空間内に少なくとも1つの熱源を備え、
ハウジングは、内部空間に面する内面と内面に対向する外面とを備える少なくとも1つの断熱壁を備え、
デバイスは、更に、断熱壁の外面の少なくとも1つの熱保護部分上に配置される断熱層を備え、断熱層はメッシュ副層を備え、メッシュ副層は織交構造を備え、織交構造は、熱源によって発せられる熱が内部空間からデバイスの外部に流れる貫通孔を備え、貫通孔は20μm~100μmの間の大きさを有する、エアロゾル発生デバイスに関する。
【0007】
メッシュ副層の織交構造は、外面の熱保護部分上に穿孔を形成する。これらの穿孔は、内部空間内からデバイスの外側に向かう熱の流れを容易にする。
【0008】
幾つかの実施形態によれば、メッシュ副層は、木材又は織物で構成される。
【0009】
木材及び織物は、比較的良好な断熱材である材料である。従って、メッシュ副層は、熱がそのメッシュ開口を通って流れることを可能にするが、熱をほとんど伝導しない。
【0010】
幾つかの実施形態によれば、断熱層は、更に、熱保護部分に固定される裏打ち副層と、裏打ち副層に固定される接着副層とを備え、メッシュ副層は、接着副層に固定される。
【0011】
これらの特徴のため、メッシュ副層は断熱壁にしっかりと取り付けられる。
【0012】
幾つかの実施形態によれば、エアロゾル発生デバイスは、更に、断熱壁の内面の少なくとも1つの熱拡散部分とデバイスの内部空間との間に配置される熱拡散層を備える。
【0013】
幾つかの実施形態によれば、熱拡散層は、断熱壁の延長面に対して略平行に延在する。
【0014】
幾つかの実施形態によれば、熱拡散層は熱伝導プレートである。
【0015】
幾つかの実施形態によれば、熱伝導プレートは銅で構成される。
【0016】
これらの特徴のため、熱源によって発生した熱は、ハウジング全体に拡散される。これにより、熱源を取り囲む狭い空間に熱が蓄積することを回避することが可能となる。これにより、また、熱保護部分との熱交換面が広くなる。メッシュ副層を通る熱の流れが増加する。
【0017】
幾つかの実施形態によれば、エアロゾル発生デバイスは、更に、ハウジングに取り付けられ、内部空間内に延在する支持体と、熱拡散層を支持体に固定するよう支持体上に配置される少なくとも1つの磁石とを備える。
【0018】
これらの特徴のため、熱拡散層は、デバイスに容易に固定される。
【0019】
幾つかの実施形態によれば、エアロゾル発生デバイスは、更に、デバイスの内部空間内に光源を備える。
【0020】
幾つかの実施形態によれば、熱拡散層は、光源に面して配置される光オリフィスを備える。
【0021】
これらの特徴のため、熱拡散層の存在にも関わらず、ユーザは、光源から生じ、光オリフィスを通過する光により、デバイスが電源投入されているか否かを認識することができる。
【0022】
幾つかの実施形態によれば、断熱壁は、ハウジングの脱着自在壁である。
【0023】
これらの特徴のため、断熱壁はカスタマイズ可能である。デバイスのユーザは、その断熱性に応じて、又はその外観若しくはその質感等の他の特徴に応じて、特定の断熱壁を選択することができる。
【0024】
幾つかの実施形態によれば、熱源は、気化性材料からエアロゾルを発生させるよう構成される加熱システムである。
【0025】
エアロゾル発生デバイスの加熱システムは、かなりの熱量を発生させる可能性がある。これらの特徴のため、デバイスは、その加熱システムから生じるかなりの熱量を排出することができる。
【0026】
本発明はまた、断熱層を断熱壁の外面の熱保護部分上に固定するステップを含む、上に開示したようなエアロゾル発生デバイスの組立方法に関する。
【0027】
幾つかの実施形態によれば、断熱層は、更に、熱保護部分に固定される裏打ち副層と、裏打ち副層に固定される接着副層とを備え、メッシュ副層は接着副層に固定され、固定ステップは、
-接着副層を裏打ち副層上に固定することと、
-メッシュ副層を接着副層上に載置して、断熱層を形成することと、
-断熱層を加熱プレス内に載置することと、
-断熱層を加圧及び加熱して、メッシュ副層を接着副層に固定することと、
-断熱層を熱保護部分の寸法に適合する寸法に切断することと、
-裏打ち副層を熱保護部分上に固定することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明によるエアロゾル発生デバイスの斜視図である。
【
図2】
図1のエアロゾル発生デバイスの垂直面II-IIに沿った断面略図である。
【
図3】断熱壁が取り除かれた
図1のエアロゾル発生デバイスの正面略図である。
【
図4】
図1のエアロゾル発生デバイスの断熱壁の背面略図である。
【
図5】
図1のデバイスの断熱壁及び断熱層の断面図であり、断熱壁の延長面に対して垂直に取った図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を説明する前に、本発明は、以下の説明に記載する構造の詳細に限定されないことを理解されたい。本開示の利益を有する当業者には、本発明は他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践又は実行できることが明らかであろう。
【0030】
本明細書中で用いる場合、用語「エアロゾル発生デバイス」又は「デバイス」は、エアロゾル発生ユニット(例えば、ユーザによる吸入のために、例えばマウスピースにおいてデバイスの出口に送出される前に、エアロゾルに凝縮する蒸気を発生させるエアロゾル発生要素)によって、ベイピングのためのエアロゾルを含むエアロゾルをユーザに送出するベイピングデバイスを含む可能性がある。デバイスは、可搬であってもよい。「可搬」とは、ユーザが保持する場合に用いられるデバイスを指してもよい。デバイスは、例えば、可変の時間量にわたって加熱システムを作動させることにより、(定量のエアロゾルとは対照的に)可変量のエアロゾルを発生させるよう適合されてもよく、その発生はトリガにより制御できる。トリガは、ベイピングボタン及び/又は吸入センサ等、ユーザが作動させるものであってもよい。吸入センサは、吸入強度並びに吸入持続時間に対する感度が高いものであってもよく、(たばこ、葉巻、又はパイプ等のような従来の可燃性喫煙物品の喫煙効果を模倣するように)可変量の蒸気を提供することを可能にしてもよい。
【0031】
本明細書中で用いるように、用語「エアロゾル」は、固体粒子、液滴、気体の1つ以上の前駆体の懸濁液を含んでいてもよい。前記懸濁液は、空気を含む気体の状態であってもよい。本明細書のエアロゾルは、一般に、蒸気を指すか又はそれを含んでいてもよい。エアロゾルは、前駆体の1つ以上の成分を含んでいてもよい。
【0032】
本明細書中で用いるように、用語「気化性材料」若しくは「エアロゾル形成前駆体」或いは「前駆体」、又は「エアロゾル形成物質」若しくは「物質」という用語は、液体、固体、ゲル、ムース、フォーム、又は他の物質のうちの1つ以上を指してもよい。前駆体は、本明細書で定義されるように、エアロゾルを形成するためにデバイスの加熱システムによって処理可能であってもよい。前駆体は、ニコチン、カフェイン、又は他の有効成分のうちの1つ以上を含んでいてもよい。有効成分は、液体であってもよい担体によって運ばれてもよい。キャリアは、プロピレングリコール又はグリセリンを含んでいてもよい。香料が存在していてもよい。香料は、エチルバニリン(バニラ)、メントール、酢酸イソアミル(バナナ油)、又は類似物を含んでいてもよい。固体エアロゾル形成物質は、加工されたたばこ材料、波形シート、又は再構成たばこ(RTB)の向きが揃えられた細片を含むロッド状であってもよい。
【0033】
図1及び2を参照すると、本発明によるエアロゾル発生デバイス10はハウジング12を備えている。例えば、
図1に示すように、ハウジング12は、僅かに丸みを帯びた縁部を有する略平行六面体形状を有している。ハウジング12は、デバイス10の内部空間30を画成する壁20を備える。例えば、ハウジング12は、前壁21と、対向する後壁22と、2つの横方向側壁23と、2つの上下側壁24とを備える。
【0034】
デバイス10は、更に、ハウジング12に取り付けられ、内部空間30内に延在し、デバイス10の機能コンポーネントを支持するよう構成される支持体32を備える。支持体32は、かかる機能コンポーネントをハウジング12内部に受け入れ、固定するように適合されるシャーシによって形成されてもよい。例えば、かかる機能コンポーネントは、電子コンポーネント、バッテリ、又は前記電子コンポーネントに電力を供給するよう設計される電源を備える。幾つかの実施形態において、機能コンポーネントは、更に、気化性材料を貯蔵するための貯蔵部分(図示せず)を備えていてもよい。これらの実施形態において、貯蔵部分は、従って、ハウジング12の内部に配置される。この場合、気化性材料で直接、又はかかる部分に挿入されるよう設計される脱着自在のカートリッジを用いて、再充填することができる。他の幾つかの実施形態において、貯蔵部分は、例えば、脱着自在カートリッジによって、ハウジング12の外側に形成されてもよい。この場合、ハウジング12は、脱着自在カートリッジを受け入れ、固定するよう構成される固定手段を画成する。
【0035】
デバイス10は、更に、内部空間30内に配置される少なくとも1つの熱源34を備える。例えば、熱源34は、支持体32に取り付けられ、気化性材料を加熱することによってエアロゾルを発生させるよう構成されるデバイス10の加熱システムに含まれる。この場合、熱源34は、例えば、加熱プレート、電気抵抗、又はサセプタのような貯蔵部分に含まれる気化性材料を加熱するために用いられる加熱要素に対応してもよい。他の実施例によれば、熱源34は、デバイスのバッテリ及び/若しくは電源、又はデバイスの任意の他の電気コンポーネントによって形成される。幾つかの実施例において、熱源34は、上記のコンポーネントのうちの幾つかのコンポーネントによって形成される。
【0036】
デバイス10の膨大な使用の場合、熱源34は、かなりの量熱を発生させる可能性がある。これは、デバイス10の過熱、特にハウジングの壁20の過熱に繋がる可能性がある。デバイス10のユーザは、次いで、この不快な熱を手に感じる場合がある。深刻な過熱の場合、ユーザはそれに悩まされる場合があり、デバイス10の支持が不可能になる場合がある。次いで、デバイス10への損傷を回避するために、熱源34を停止させることが必要になる場合がある。
【0037】
例えば、
図2及び3に示すように、デバイス10は、更に、内部空間30内に配置される光源36を備えている。例えば、光源36は、支持体20に取り付けられ、ハウジングの前壁21に面している。例えば、それは、デバイス10がオンである場合、特にバッテリ又は電源がデバイスの電子コンポーネント又は加熱システムに電力を供給してエアロゾルを発生させる場合に発光するよう構成される。
【0038】
図2及び4を見ると、ハウジング12は、少なくとも1つの断熱壁40を備えている。例えば、断熱壁40は、ハウジング12の壁20のうちの1つ、例えば前壁21である。例えば、断熱壁40は、延長面Pに略沿って延在する。断熱壁40は、内部空間30に面する内面41と、内面41の反対側の外面42とを備える。断熱壁40は、例えば、断熱壁40がハウジング12に装着される装着位置(
図1)と、断熱壁40がハウジング12から離間される離間位置(
図2、3、及び4)との間で移動可能なハウジング12の脱着自在壁である。装着位置において、断熱壁40は、内部空間30を外部要素、例えば、埃又は水から保護する。以下に説明するように、装着位置において、断熱壁40はまた、熱源34から生じる熱の流れも調節する。離間位置において、ユーザは、例えば、デバイス10の機能要素の修理又は保守のために内部空間30にアクセスすることができる。幾つかの実施形態において、ユーザは、内部空間30にアクセスして、貯蔵部分を気化性材料で直接、又は脱着自在カートリッジにより再充填することができる。
【0039】
断熱壁40はまた、取り外され、外面42の別の態様又は別のテクスチャ等の異なる特徴を呈する別の断熱壁40によって置換することもできる。例えば、断熱壁40は、ハウジング12又は支持体32の他の壁にスナップ嵌めによって固定される。例えば、横方向側壁23並びに上下側壁24は、それらの前縁部に周辺スナップ嵌めボックス(図示せず)を備える。断熱壁40は、断熱壁40を壁23、24に装着位置において装着するために、周辺スナップ嵌めボックスと協働するよう設計される周辺スナップ嵌めピンをその縁部に備えていてもよい。
【0040】
幾つかの実施形態において、例えば、
図2に示す実施形態のように、断熱壁40は、光源36によって発せられる光を通過させ、デバイス10の外側に到達させるよう設計される光オリフィス43を備える。例えば、断熱壁40の光オリフィス43は、発せられた光が通過することを可能にするが、外部要素が内部空間30に入ることを防止するために、半透明材料で充填される。
【0041】
断熱壁40の外面42は、少なくとも1つの熱保護部分を備える。デバイス10は、熱保護部分上に配置される、例えば、熱保護部分に固定される断熱層50を備えている。
図2の実施例に示すように、熱保護部分は、外面42全体に対応する。本発明の他の実施形態によれば、熱保護部分は、外面42の一部、例えば、熱源34に面する外面42の一部に対応する。
【0042】
図5に示すように、断熱層50はメッシュ副層52を備える。例えば、断熱層50は、更に、接着副層54及び裏打ち副層56を備える。例えば、裏打ち副層56は断熱壁40の外面42上に固定され、接着副層54は裏打ち副層56の上に載置され、メッシュ副層52は接着副層54の上に載置される。
【0043】
メッシュ副層52は、例えば、木材又は織物等の材料の織交ぜられた構造を備える。メッシュ副層52は、従って、織交ぜられた繊維で構成される。例えば、メッシュ副層52は、木質繊維又は織物繊維で構成される。木質繊維は、例えば、セルロースで構成される。例えば、織物繊維は、綿、ポリエステル、ナイロン、アクリル、及び/又はポリウレタンで構成される。織交構造は、木質繊維又は織物繊維の織物又は不織構造であってもよい。かかる織交構造は、熱源34によって発生した熱が内部空間30からデバイス10の外側に流れる貫通孔を備える。例えば、メッシュ副層52は、断熱壁40の外面42全体に面して延在する。例えば、メッシュ副層52は接着副層54上に固定される。メッシュ副層52の貫通孔はまた、光源36によって発する光を通過させ、デバイス10の外側に到達させる。例えば、貫通孔は、20μm~100μmの間、好ましくは30μm~90μmの間、より好ましくは40μm~80μmの間、更により好ましくは50μm~70μmの間、特に略60μmに等しい大きさを有する。無論、貫通孔の大きさに対して他の値の範囲も可能である。
【0044】
裏打ち副層56は、熱保護部分に固定される。例えば、裏打ち副層56は、不織繊維で構成される。例えば、前記不織繊維は、ポリエステルで構成される。
【0045】
接着副層54は、裏打ち副層に固定される。例えば、接着副層54は、形状を可撓的に変化させる熱可塑性樹脂の接着剤で構成される。例えば、接着副層54は、アクリル樹脂接着剤等のホットメルト接着剤で構成される。例えば、メッシュ副層52は、接着副層54に固定され、従って、接着副層54及び裏打ち副層56を介して断熱壁40に固定される。例えば、裏打ち副層56及び接着副層54は、熱保護部分の一部のみ及びメッシュ副層52の一部のみに面して延在する。このようにして、裏打ち副層54及び接着副層56は、熱源34からデバイス10の外側への熱の流れを妨げないが、依然としてメッシュ副層52を断熱壁40にしっかりと取り付ける。
【0046】
図2を参照すると、断熱壁40の内面41は、少なくとも1つの熱拡散部分を備えている。例えば、デバイス10は、更に、断熱壁40の内面41の熱拡散部分とデバイス10の内部空間30との間に配置される熱拡散層60を備える。熱拡散層60は、断熱壁40の延長面Pに対して略平行に延在している。例えば、断熱壁40の内面41に固定される。熱拡散層60は、例えば、銅又は他の任意の熱拡散材料で構成される、例えば、熱伝導プレートである。熱拡散層60は、熱源34によって発せられた熱をその全体にわたって、例えば、延長面P全体にわたって拡散させるよう構成される。熱拡散層60は、発生した熱を、熱保護部分に面する増大した表面上に拡散する。内部空間30とデバイス10の外部との間の熱交換面は、従って、増大する。例えば、
図2に示すように、熱拡散層60は、断熱壁40がその装着位置にある場合に光源36に面して配置される光オリフィス64を備えている。断熱壁40の装着位置において、光源34によって発せられる光は、熱拡散層60の光オリフィス64、断熱壁40の光オリフィス43、及びメッシュ副層52の貫通孔を通ってハウジング12を出る。
【0047】
例えば、
図2及び3に示すように、デバイス10は、更に、熱伝導プレートが銅等の強磁性材料で構成される場合に熱伝導プレートを支持体32に固定するよう支持体32上に配置される少なくとも1つの磁石62を備えている。例えば、
図2及び3に示すように、デバイス10は2つの磁石62を備える。磁石62は、断熱壁40と壁23、24との間の追加の固定手段を構成する。
【0048】
上で説明したような断熱層50及び熱拡散層60は、特にハウジング内部の熱源34の配置に応じて、ハウジング12の他の任意の壁20に配置することができることは、当業者にとって明らかであろう。幾つかの実施形態において、これらの層50、60は、例えばハウジング12が円筒形状を有する場合、幾つかの壁20上に、又は固有の側壁20上に配置することができる。
【0049】
ここで、エアロゾル発生デバイス10の操作方法について説明する。デバイス10のユーザは、エアロゾルを発生させるために、ベイピングボタン又は吸入センサを作動させる。これにより、熱源34に電力が供給され、熱が発生する。例えば、熱源34が熱を発生すると、光源36が発光する。デバイス10のユーザは、次いで、光オリフィス64及び43を通り、メッシュ副層52を通って発する光を見ることによって、熱源34が電源投入されていることを認識することができる。熱拡散層60は、熱源34によって発生した熱を全体に拡散させる。熱は、例えば、延長面Pに平行な延長表面にわたって拡散される。拡散された熱は、次いで、断熱壁40を通して、且つメッシュ副層52の貫通孔を通して、内部空間30内からデバイス10の外側に流れる。これにより、内部空間30及びハウジング12の効率的な冷却に繋がる。大量のベイピングの場合であっても、壁20の過熱は防止される。
【0050】
必要に応じて、ユーザは、断熱層50及び熱拡散層60と共に断熱壁40を取り外し、それを、例えば、異なる層50、60又は異なる態様若しくは質感を備える異なる断熱壁と交換することができる。
【0051】
ここで、エアロゾル発生デバイス10の組立方法について説明する。組立方法は、断熱層50を断熱壁40の外面42の熱保護部分に固定するステップを含む。前記固定ステップは、接着副層54を裏打ち副層56上に固定することを含む。メッシュ副層52を、次いで、接着副層54上に載置して断熱層50を形成する。断熱層50を、次いで、加熱プレス機に載置する。断熱層50は、加熱プレス内で加圧及び加熱されて、メッシュ副層52を接着副層54に固定する。断熱層は、次いで、前記熱保護部分の寸法に適合する寸法に切断される。最後に、裏打ち副層56が前記熱保護部分上に固定される。従って、図示のように、従来のデバイスのハウジング12の壁20上への断熱層50の実装が容易になる。
【国際調査報告】